JP2005012568A - スピーカ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スピーカユニット23の駆動部25の背面側には、錘り40が装着される。錘り40は、腕41がスピーカボックス20の上部分31と下部分32とで挟まれて固定される。錘り40は、たとえば亜鉛ダイキャスト製であり、前面ロード22よりも大きな質量を有する。スピーカユニット23は、スピーカボックス20に支持される錘り40の中心に挿通されるボルト42で駆動部25が支持される。スピーカユニット23の振動板24の周囲は、フェルトやゴムなどの緩衝材43を介して、スピーカボックス20の上部分31に設けられる開口部44周辺に押付けられる。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーディオ装置で音響再生する際に、特に低音域の再生に用いるスピーカ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、スピーカ装置では、低音域の再生に対して種々の技術が開発されている(たとえば、非特許文献1参照)。低音域では、スピーカユニット単体での使用は、振動板の表裏両面から放射される逆位相の音が混じって干渉し、相互に打ち消し合って音圧が低下してしまう。スピーカの有効振動半径をaとすると、音波の波長λが2×π×aとなる周波数が−3dB低下するカットオフ周波数となり、以下−6dB/octの割合で低下する。干渉による音圧低下は、振動板の背面側をエンクロージャで囲うことによって避けることができる。ただし、エンクロージャ内の空気がばねとして働き、振動板などの振動系の質量との間で共振し、共振周波数よりも低い周波数の再生は困難になる。低音を一定の音圧で再生するためには、有効振動半径aが大きい方が一般に有利である。しかし、共振周波数が一定の条件でエンクロージャの内容積Vcは、スピーカユニットの有効振動半径aの4乗に比例するので、大口径の振動板を有するスピーカユニットを用いると、大きなエンクロージャを必要とする。
【0003】
小口径のスピーカユニットを使用する場合は、エンクロージャを小形化することができる。しかしながら、大口径のスピーカと同程度の音圧を得るためには、振幅が大きくなる。スピーカユニットの振動板の振幅が大きくなると、スピーカユニットの他の部分にも振動が伝わり、さらにエンクロージャにも振動が伝わって、振動板以外の部分からも音の放射が行われやすくなる。本件出願人は、振動板以外の部分からの音の放射を防ぐため、エンクロージャとして使用する比較的小容積のスピーカボックスを前半と後半とに分割可能とし、前半部分に開口部を設けて、比較的小口径のスピーカユニットの音響放射部を緩衝材を介して接続し、スピーカユニットをスピーカボックス内部で支持するスピーカシステムを開示している(たとえば、特許文献1参照)。スピーカユニットは、スピーカボックスの前半と後半との接続部からスピーカボックス内部に先端が挿入されるスタンドで直接支持され、あるいは仮想的な接地として機能する錘りで支持され、スピーカユニットの駆動部などに生じる振動が、スピーカボックスには伝わりにくくされている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−285974号公報(図1)
【非特許文献1】
佐伯多門監修「新版スピーカー&エンクロージャー百科」株式会社誠文堂新光社、1999年5月28日、p.72−129
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1で開示しているようなスピーカシステムは、低音域から高音域までのフルレンジでの再生を目的としているけれども、スタンドを使用する関係上、あまり大きくすることはできず、低音域の再生については限界がある。低音域の再生については、製品化されている、より大形のスピーカシステムでも充分ではなく、低音再生用のサブウーファを追加する3Dシステムや5.1チャネルシステムなども用いられている。これらのサブウーファは、低音では指向性が弱いので、多くの場合、1基だけ用いられる。
【0006】
特許文献1で開示しているスピーカシステムでは、小形で高音質の再生を目標としているので、サブウーファを組合わせるにしても、あまり大形のスピーカシステムを用いることは好ましくない。振動板の口径を小さくし、質量を大きくすれば、比較的小さな容積のスピーカボックスと組合わせても、低音域の再生が可能となる。ただし、そのようなスピーカシステムから再生される低音域は、重くなりがちで、スピード感に欠けるものとなる。
【0007】
本発明の目的は、小形でも、スピード感がある低音再生が可能なスピーカ装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、振動板および駆動部を備え、振動板の背後に配置される駆動部で振動板を前後に往復振動させて音響再生を行うスピーカユニットと、
スピーカユニットの振動板の前面側に、振動板表面から、最大振幅時に接触しない程度の隙間をあけて配置され、振動板表面に臨む側の表面が、振動板の立体形状沿う形状を有し、振動板に付加される空気の質量に比較して大きい質量を有する前面ロードとを含むことを特徴とするスピーカ装置である。
【0009】
本発明に従えば、スピーカユニットは、振動板と駆動部とを備え、振動板の背後に配置される駆動部で振動板を前後に往復振動させて音響再生を行う。振動板の前面側には、前面ロードが振動板表面から、最大振幅時に接触しない程度の隙間をあけて配置される。前面ロードは、振動板表面に臨む側の表面が、振動板の立体形状沿う形状を有し、振動板に付加される空気の質量に比較して大きい質量を有するので、振動板の振動に伴って振動板前面から空気に伝達される振動が前面ロードの表面で反射され、振動板に戻される。振動板にとっては、音の放射の媒質となる空気の抵抗が大きくなることに相当し、等価的に大きな質量が付加されて振動を行うことになる。振動板自体の質量を大きくしないでも、振動系としての質量が大きくなるので、低音域までの再生が可能となる。振動板自体の質量増加はないので、聴感上、スピード感がある低音再生が可能となる。
【0010】
さらに本発明は、振動板および駆動部を備え、振動板の背後に配置される駆動部で振動板を前後に往復振動させて音響再生を行い、該前後の方向が鉛直方向となるように設置されるスピーカユニットと、
スピーカユニットの振動板の前面側に、振動板表面から、最大振幅時に接触しない程度の隙間をあけて配置され、振動板表面に臨む側の表面が、振動板の立体形状沿う形状を有し、振動板に付加される空気の質量に比較して大きい質量を有する前面ロードと、
スピーカユニットの駆動部の背後に配置され、スピーカユニットに対して仮想的な接地となる質量を有し、駆動部を介してスピーカユニットを支持する錘りとを含むことを特徴とするスピーカ装置である。
【0011】
本発明に従えば、スピーカユニットは、振動板と駆動部とを備え、振動板の背後に配置される駆動部で振動板を前後に往復振動させて音響再生を行う。振動板の前面側には、前面ロードが振動板表面から、最大振幅時に接触しない程度の隙間をあけて配置される。前面ロードは、振動板表面に臨む側の表面が、振動板の立体形状沿う形状を有し、振動板に付加される空気の質量に比較して大きい質量を有するので、振動板の振動に伴って振動板前面から空気に伝達される振動が前面ロードの表面で反射され、振動板に戻される。振動板にとっては、音の放射の媒質となる空気の抵抗が大きくなることに相当し、等価的に大きな質量が付加されて振動を行うことになる。振動板自体の質量を大きくしないでも、振動系としての質量が大きくなるので、低音域までの再生が可能となる。振動板自体の質量増加はないので、聴感上、スピード感がある低音再生が可能となる。スピーカユニットの駆動部の背後には、スピーカユニットに対して仮想的な接地となる質量を有し、駆動部を介してスピーカユニットを支持する錘りが配置されるので、振動板が空気からの反力を受けても、錘りで吸収され、周囲への振動の伝達を低減し、周囲の振動で、音質を低下させないようにすることができる。
【0012】
また本発明で、前記前面ロードは、前記スピーカユニットの振動板表面に臨む側の表面が該振動板の凹凸を逆にした形状であり、
前面ロードと振動板とは、均一な隙間を保つことを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、前面ロードがスピーカユニットの振動板表面に臨む側の表面形状として、振動板の凹凸を逆にした形状を有して、前面ロードと振動板とは、均一な隙間を保つので、低音の大音量再生時に、振動板が大きな振幅で振動しても、振動板に全体的に均一な音響負荷をかけることができる。
【0014】
また本発明で、前記前面ロードは、前記スピーカユニットの振動板に臨む側の表面が、中心部に比較して周辺部で前記隙間が拡大するような形状を有することを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、前面ロードがスピーカユニットの振動板表面に臨む側の表面が、中心部に比較して周辺部で前記隙間が拡大するような形状を有するので、比較的強度がある振動板の中心部にかける負荷を大きくし、振動板の周辺へかける負荷を小さくすることができるとともに、振動板と前面ロードとの間の空気層の出入りを容易にすることができる。
【0016】
また本発明で、前記前面ロードと前記スピーカユニットとを、共通の軸線が鉛直方向となるように支持するスピーカボックスをさらに含むことを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、前面ロードとスピーカユニットとを、共通の軸線が鉛直方向となるように、スピーカボックスで支持するので、前面ロードやスピーカユニットの質量が大きくなっても、容易に支持することができる。スピーカユニットの背後に錘りを付加する場合であっても、鉛直軸線に沿って配置し、容易に支持を行うことができる。
【0018】
さらに本発明は、振動板および駆動部を備え、振動板の背後に配置される駆動部で振動板を前後に往復振動させて音響再生を行い、該前後の方向が鉛直方向となるように設置されるスピーカユニットと、
スピーカユニットの駆動部の背後に配置され、スピーカユニットに対して仮想的な接地となる質量を有し、駆動部を介してスピーカユニットを支持する錘りと、
スピーカユニットおよび錘りを収容し、錘りを支持するスピーカボックスとを含むことを特徴とするスピーカ装置である。
【0019】
本発明に従えば、スピーカボックス内に、スピーカユニットおよびその背後の錘りを、スピーカユニットで振動板の駆動を行う方向が鉛直方向となるように支持するので、低音再生用で、質量が大きいスピーカユニットや錘りでも、容易に支持することができる。低音域では再生音の指向性がなくなるので、スピーカユニットの向きを鉛直方向にしても、充分な音質で再生音を聴取することができる。
【0020】
また本発明で、前記スピーカボックスは、前記スピーカユニットの振動板の前面側に、振動板表面から、最大振幅時に接触しない程度の隙間をあけて配置され、振動板表面に臨む側の表面が、振動板の立体形状沿う形状を有し、振動板に付加される空気の質量に比較して大きい質量を有する前面ロードを、共通の軸線が鉛直方向となるように支持することを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、前面ロードとスピーカユニットとを、共通の軸線が鉛直方向となるように、スピーカボックスで支持するので、前面ロードやスピーカユニットの質量が大きくなっても、容易にバランスよく支持することができる。スピーカユニットの背後に錘りを付加する場合であっても、鉛直軸線に沿って配置し、容易にバランスよく支持を行うことができる。
【0022】
また本発明で、前記スピーカユニットは、低音域再生用スピーカであることを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、比較的小形でも、低音域で、スピーカユニットの口径以上の音圧やスピード感を得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態であるスピーカ装置1の主要部分の概略的な構成を示す。スピーカ装置1は、前面ロード2とスピーカユニット3とを含む。スピーカユニット3は、振動板4および駆動部5を備える。駆動部5は、動電形であり、永久磁石を含む磁気回路6と、磁気回路6の磁気空隙内に挿入されるボイスコイル7とを有する。ボイスコイル7を音響信号によって電気的に駆動すると、磁気空隙でボイスコイル7に、スピーカユニット3の中心軸3a方向の機械的な往復振動が発生し、振動板4に伝達される。すなわち、振動板4の背後に配置される駆動部5で振動板4を前後に往復振動させて音響再生を行うことができる。スピーカユニット3の振動板4の前面側には、振動板4の表面から、最大振幅時に接触しない程度の隙間をあけて前面ロード2が配置される。前面ロード2の支持は、図示を省略しているスペーサなどで行うことができる。前面ロード2は、振動板4の表面に臨む側の表面が、振動板4の立体形状に沿う形状を有し、振動板4の振動に伴う音響インピーダンスとして周囲の空気から振動板4に付加される質量に比較して大きい質量、たとえば数kgの質量を有する。
【0025】
前面ロード2として、スピーカユニット3の振動板4表面に臨む側の表面を、振動板4の凹凸を逆にした形状とし、前面ロード2と振動板4とは均一な隙間を保つようにすることができる。前面ロード2と振動板4とは、均一な隙間を保つので、低音の大音量再生時に、振動板4が大きな振幅で振動しても、振動板4に全体的に均一な音響負荷をかけることができる。
【0026】
図2は、前面ロード2をスピーカユニット3の振動板4の前方に配置する効果を示す。駆動電力が一定で周波数を変化させるときの再生音圧は、低音域ではほとんど影響が無く、中高音域では斜線を施して示すように、再生音圧が低下する。すなわち、一種のローパスフィルタとして、動作することが判る。聴感上は、スピーカユニット3の構造や口径以上の低音やスピード感を得ることができる。
【0027】
前面ロード2は、振動板4の表面に臨む側の表面が、振動板4の立体形状沿う形状を有し、振動板4に付加される空気の質量に比較して大きい質量を有するので、振動板4の振動に伴って振動板4の前面から空気に伝達される振動が前面ロード2の表面で反射され、振動板4に戻されると考えられる。振動板4にとっては、音の放射の媒質となる空気の抵抗が大きくなることに相当し、等価的に大きな質量が付加されて振動を行うことになる。振動板4自体の質量を大きくしないでも、振動系としての質量が大きくなるので、低音域までの再生が可能とり、振動板4自体の質量増加はないので、聴感上、スピード感がある低音再生が可能となるものと推定される。
【0028】
図3は、本発明の実施の他の形態であるスピーカ装置11の主要部分の概略的な構成を示す。本実施の形態で、図1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明を省略する。本実施形態では、スピーカユニット3は、図1の実施形態と基本的に同一であるけれども、前面ロード12が異なる。前面ロード12は、スピーカユニット3の振動板4に臨む側の表面が、中心部に比較して周辺部で前記隙間が拡大するような形状を有する。すなわち、破線で示すような図1の前面ユニット2の形状に比較し、実線で示すように、前面ロード12がスピーカユニット3の振動板4表面に臨む側の表面が、中心部に比較して周辺部で前記隙間が拡大するような形状となる。前面ロード12をこのような形状とすることによって、比較的強度がある振動板4の中心部にかける負荷を大きくし、振動板4の周辺へかける負荷を小さくすることができるとともに、振動板4と前面ロード12との間の空気層の出入りを容易にすることができる。
【0029】
図1や図3の実施形態でのスピーカユニット3の中心軸3aは図の上下方向に記載してあり、スピーカユニット3を縦置きで使用することを示しているけれども、中心軸3aが左右方向となる横置きで使用してもよいことはもちろんである。
【0030】
図4は、本発明の実施のさらに他の形態として、縦置き型のスピーカボックス20を用いるスピーカ装置21の全体的な外観構成を、前面ロード22を取外した状態で示す。前面ロード22は、たとえばアルミニウムダイキャスト製であり、数kgの質量を有する。スピーカユニット23は、口径がたとえば160mm程度である振動板24が上側で、後述する駆動部25が下側となるように、スピーカボックス20の頂部に内側から支持される。前面ロード22は、スピーカボックス20の頂部から突出するボス26にボルト27などで固定することができる。ボス26の高さは、スピーカ装置21が定格最大入力で駆動されても、振動板24が接触しない高さとする。ボスにスペーサなどを付加して前面ロード25を取付けるようにすれば、振動板24と前面ロード22との間隙を調整することができる。
【0031】
図5、図6および図7は、図4のスピーカ装置21を正面側、右側面側および上面側から見た状態をそれぞれ示す。スピーカ装置21は、駆動用のアンプを内蔵し、スピーカボックス20は、上部分31と下部分32とに分割可能であり、さらに内部には、後述する内側部分33が収納される。上部分31、下部分32および内側部分33は、たとえばアルミニウムダイキャストや発泡ポリプロピレン成型などで製造することができる。スピーカボックス20の底部には電源部34が装着され、さらに背後側には後述するアンプ部35が収納される。図4のスピーカユニット23は、中心軸23aが鉛直方向となる姿勢で、スピーカボックス20内に、上部分31と下部分32とを分割している状態で取付ける。
【0032】
図8は、図4のスピーカ装置21を側断面視した構成を示す。スピーカユニット23の駆動部25の背面側には、錘り40が装着される。錘り40には、たとえば4つの腕41が横方向に伸びる形状に設けられ、スピーカボックス20の上部分31および下部分32の頂面および底面にそれぞれ立設されるボスに挟まれて固定される。錘り40は、たとえば亜鉛ダイキャスト製であり、前面ロード22よりも大きな質量を有する。スピーカユニット23は、スピーカボックス20に支持される錘り40の中心に挿通されるボルト42で駆動部25が支持される。スピーカユニット23の振動板24の周囲は、フェルトやゴムなどの緩衝材43を介して、スピーカボックス20の上部分31に設けられる開口部44周辺に押付けられる。スピーカボックス20内には、スピーカユニット23の装着後に、内側部分33とアンプ部35とが取付けられる。
【0033】
図9は、図8の切断面線IX−IXから見た構造を示す。図10は、錘り40の1つの腕41についての支持構造を示す。スピーカボックス20の下部分32の底面から立設されるボス46は、X字状の頂点位置に配置される。スピーカボックス20の上部分31の頂面から立設されるボス47も対応する位置に配置される。腕41の先端には、取付部50が設けられ、取付部50には、貫通孔51が形成されている。スピーカボックス20の下部分32の底面から立設されるボス46は、中空であり、ボルト52を挿入可能である。ボルト52のねじ部の径は、貫通孔51の内径よりも小さくしておき、ボルト52と取付部51とが直接触れないようにしながら、ボルト52の先端を、上部分31の頂面から立設されるボス47に形成するか、インサートするめねじに螺合させて、取付部50を固定する。ボス46およびボス47の端面と取付部50の表面との間には、フェルトやゴムなどを材料とする緩衝材53を介在させる。
【0034】
このようにして、前面ロード22、スピーカユニット23および錘り40をスピーカボックス20に収容するスピーカ装置21が構成される。スピーカユニット23は、振動板24および駆動部25を備え、振動板24の背後に配置される駆動部25で振動板24を前後に往復振動させて音響再生を行い、中心軸23a、すなわち前後の方向が鉛直方向となるように設置される。前面ロード22は、スピーカユニット23の振動板24の前面側に、振動板24の表面から、最大振幅時に接触しない程度の隙間をあけて配置され、振動板24の表面に臨む側の表面が、振動板24の立体形状沿う形状を有し、振動板24に付加される空気の質量に比較して大きい質量を有する。錘り40は、スピーカユニット23の駆動部25の背後に配置され、スピーカユニット23に対して仮想的な接地となる質量を有し、駆動部25を介してスピーカユニット23を支持する。
【0035】
前面ロード22は、振動板24の表面に臨む側の表面が、振動板24の立体形状に沿う形状を有し、振動板24に付加される空気の質量に比較して大きい質量を有するので、振動板24の振動に伴って振動板24前面から空気に伝達される振動が前面ロード22の表面で反射され、振動板24に戻される。振動板24にとっては、音の放射の媒質となる空気の抵抗が大きくなることに相当し、等価的に大きな質量が付加されて振動を行うことになる。振動板24自体の質量を大きくしないでも、振動系としての質量が大きくなるので、低音域までの再生が可能となる。振動板24自体の質量増加はないので、聴感上、スピード感がある低音再生が可能となると推定される。スピーカユニット23の駆動部25の背後には、スピーカユニット23に対して仮想的な接地となる質量を有し、駆動部25を介してスピーカユニット23を支持する錘り40が配置されるので、振動板24が空気からの反力を受けても、錘り40で吸収され、周囲への振動の伝達を低減し、周囲の振動で、音質を低下させないようにすることができる。
【0036】
図8に示すように、スピーカボックス20は、内部に管55を収納し、スピーカユニット23の側方部分56で連通し、底部に開口部57が設けられるバスレフダクトを形成し、バスレフ形式のエンクロージャとして動作する。スピーカボックス内部には、吸音材58などを挿入することもある。
【0037】
なお、前面ロード22とスピーカユニット23とは、スピーカユニット23を上向きとして、前面ロード22をスピーカユニット23よりも上に配置しているけれども、スピーカユニット23を下向きに取付けて、前面ロード22をスピーカユニット23の下側に配置させることもできる。このように、スピーカユニット23と前面ロード22とは、共通の軸線が鉛直方向となるようにスピーカボックスで支持すればよい。前面ロード22とスピーカユニット23とを、共通の軸線が鉛直方向となるように、スピーカボックスで支持するので、前面ロード22やスピーカユニット23の質量が大きくなっても、容易にバランスよく支持することができる。スピーカユニット23の背後に錘り40を付加する場合であっても、鉛直軸線に沿って配置し、容易にバランスよく支持を行うことができる。
【0038】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、スピーカユニットの振動板の前面側には、振動板に付加される空気の質量に比較して大きい質量を有する前面ロードを配置するので、振動板の振動に伴って振動板前面から空気に伝達される振動が前面ロードの表面で反射され、振動板に戻される。小形のスピーカ装置でも、聴感上、スピード感がある低音再生が可能となる。
【0039】
さらに本発明によれば、スピーカユニットの振動板の前面側には前面ロードを配置し、スピーカユニットの駆動部の背面側には仮想的な接地となる錘りを配置する。前面ロードは、振動板表面に臨む側の表面が、振動板の立体形状沿う形状を有し、振動板に付加される空気の質量に比較して大きい質量を有するので、小形のスピーカ装置でも、聴感上、スピード感がある低音再生が可能となる。スピーカユニットの駆動部の背後には、駆動部を介してスピーカユニットを支持する錘りが配置されるので、振動板が空気からの反力を受けても、錘りで吸収され、周囲への振動の伝達を低減し、周囲の振動で、音質を低下させないようにすることができる。
【0040】
また本発明によれば、前面ロードの振動板表面に臨む側の表面形状は、振動板の凹凸を逆にした形状であるので、振動板に均等な音圧をかけ、聴感上、構造や口径で期待される以上の音圧やスピード感を得ることができる。
【0041】
また本発明によれば、前面ロードの振動板表面に臨む側の表面形状は、中心部に比較して周辺部で振動板表面との隙間が拡大するような形状を有するので、スムーズに振動板と前面ロードとの間の空気を抜くことができ、過渡応答性を向上させることができる。
【0042】
また本発明によれば、前面ロードとスピーカユニットとを縦に配置して、低音域用で、前面ロードやスピーカユニットの質量が大きくなっても、容易に支持することができる。スピーカユニットの背後に錘りを付加する場合であっても、鉛直軸線に沿って配置し、低音域用に質量が大きい錘りでも、容易に支持することができる。
【0043】
さらに本発明によれば、スピーカボックス内に、スピーカユニットおよびその背後の錘りを縦に配置し、低音再生用で、質量が大きいスピーカユニットや錘りでも、容易に支持することができる。低音域では再生音の指向性がなくなるので、スピーカユニットの向きを鉛直方向にしても、充分な音質で再生音を聴取することができる。
【0044】
また本発明によれば、前面ロードとスピーカユニットとを縦に配置して、低音域用で、前面ロードやスピーカユニットの質量が大きくなっても、容易にバランスよく支持することができる。
【0045】
また本発明によれば、低音域の再生で、聴感上、スピーカユニットの口径以上の音圧やスピード感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるスピーカ装置1の主要部分の概略的な構成を示す側断面図である。
【図2】図1のスピーカ装置1の概略的な出力音圧周波数特性を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の他の形態であるスピーカ装置11の主要部分の概略的な構成を示す側断面図である。
【図4】本発明の実施のさらに他の形態であるスピーカ装置21で前面ロード22を取外している状態の外観を示す斜視図である。
【図5】図4のスピーカ装置21の正面図である。
【図6】図4のスピーカ装置21の右側面図である。
【図7】図4のスピーカ装置21の平面図である。
【図8】図4のスピーカ装置21の右側面断面図である。
【図9】図8の切断面線IX−IXから見た断面図である。
【図10】図8の錘り40の取付部分の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1,11,21 スピーカ装置
2,12,22 前面ロード
3,23 スピーカユニット
3a,23a 中心軸
4,24 振動板
5,25 駆動部
20 スピーカボックス
26,46,47 ボス
27,42,52 ボルト
31 上部分
32 下部分
40 錘り
43,53 緩衝材
50 取付部
Claims (8)
- 振動板および駆動部を備え、振動板の背後に配置される駆動部で振動板を前後に往復振動させて音響再生を行うスピーカユニットと、
スピーカユニットの振動板の前面側に、振動板表面から、最大振幅時に接触しない程度の隙間をあけて配置され、振動板表面に臨む側の表面が、振動板の立体形状沿う形状を有し、振動板に付加される空気の質量に比較して大きい質量を有する前面ロードとを含むことを特徴とするスピーカ装置。 - 振動板および駆動部を備え、振動板の背後に配置される駆動部で振動板を前後に往復振動させて音響再生を行い、該前後の方向が鉛直方向となるように設置されるスピーカユニットと、
スピーカユニットの振動板の前面側に、振動板表面から、最大振幅時に接触しない程度の隙間をあけて配置され、振動板表面に臨む側の表面が、振動板の立体形状沿う形状を有し、振動板に付加される空気の質量に比較して大きい質量を有する前面ロードと、
スピーカユニットの駆動部の背後に配置され、スピーカユニットに対して仮想的な接地となる質量を有し、駆動部を介してスピーカユニットを支持する錘りとを含むことを特徴とするスピーカ装置。 - 前記前面ロードは、前記スピーカユニットの振動板表面に臨む側の表面が該振動板の凹凸を逆にした形状であり、
前面ロードと振動板とは、均一な隙間を保つことを特徴とする請求項1または2記載のスピーカ装置。 - 前記前面ロードは、前記スピーカユニットの振動板に臨む側の表面が、中心部に比較して周辺部で前記隙間が拡大するような形状を有することを特徴とする請求項1または2記載のスピーカ装置。
- 前記前面ロードと前記スピーカユニットとを、共通の軸線が鉛直方向となるように支持するスピーカボックスをさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスピーカ装置。
- 振動板および駆動部を備え、振動板の背後に配置される駆動部で振動板を前後に往復振動させて音響再生を行い、該前後の方向が鉛直方向となるように設置されるスピーカユニットと、
スピーカユニットの駆動部の背後に配置され、スピーカユニットに対して仮想的な接地となる質量を有し、駆動部を介してスピーカユニットを支持する錘りと、
スピーカユニットおよび錘りを収容し、錘りを支持するスピーカボックスとを含むことを特徴とするスピーカ装置。 - 前記スピーカボックスは、前記スピーカユニットの振動板の前面側に、振動板表面から、最大振幅時に接触しない程度の隙間をあけて配置され、振動板表面に臨む側の表面が、振動板の立体形状沿う形状を有し、振動板に付加される空気の質量に比較して大きい質量を有する前面ロードを、共通の軸線が鉛直方向となるように支持することを特徴とする請求項6記載のスピーカ装置。
- 前記スピーカユニットは、低音域再生用スピーカであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のスピーカ装置。
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