JP2005011980A - 位置検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アライメントマークの検出結果にばらつきがある場合でも、必要なアライメント精度とスループットの両立を可能にする位置検出方法を提供する。
【解決手段】複数のマーク要素から構成されるアライメントマークが形成された被検出体の位置を検出する位置検出方法であって、前記複数のマーク要素の各々の位置を表す位置情報を取得するステップと、前記取得ステップで取得した複数の前記位置情報のうち、所定の精度を有する位置情報を選択するステップと、前記選択ステップで選択された前記所定の精度を有する位置情報を用いて前記被検出体の位置を算出するステップとを有することを特徴とする位置検出方法を提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には、位置検出方法に係り、特に、ICやLSIなどの半導体チップ、液晶ディスプレイ(LCD)、CCD、磁気ヘッド等の各種デバイスを製造する際に使用される露光装置において、ウェハ等の物体の位置を検出する位置検出方法に関する。本発明は、例えば、レチクルとウェハの相対的な位置合わせなどに好適である。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化及び薄型化の要請から、電子機器に搭載される半導体素子の微細化への要求はますます高くなってきている。半導体素子を製造するためのフォトリソグラフィー(焼き付け)方法としては、レチクル又はマスク(本出願では、これらの用語を交換可能に使用する。)に描画された回路パターンを投影光学系によってウェハ等に投影して回路パターンを転写する投影露光装置が従来から使用されている。
【0003】
投影露光装置の解像度(転写できる最小の寸法)は、露光に用いる光の波長に比例し、投影光学系の開口数(NA)に反比例する。従って、波長を短くすればするほど、及び、NAを上げれば上げるほど、解像度はよくなる。このため、近年の半導体素子の微細化への要求に伴い、投影光学系のNAを上げると共に、露光光源は超高圧水銀ランプ(i線(波長約365nm))からKrFエキシマレーザー(波長約248nm)、ArFエキシマレーザー(波長約193nm)、更に、より短波長紫外線光のFレーザー(波長約157nm)やシンクロトロン(SR:Synchrotron Radiation)光と短波長化が進められている。
【0004】
また、投影露光装置では、回路パターンの微細化(即ち、解像度の向上)に伴い、レチクルとウェハの相対的な位置を合わせるアライメントについても高精度化が要求されている。アライメントに必要な精度は、典型的には、回路パターンの1/3程度であり、例えば、1GビットDRAMの回路パターンのデザインルールを0.18μmとすると、60nm以下のオーバーレイ精度が必要とされる。ここで、オーバーレイとは、露光領域全体のアライメントを意味するものである。
【0005】
半導体産業の現状において、ウェハでの重ね合わせ精度を高精度化することは、半導体素子の性能及び製造の歩留まり(スループット)を向上させる上で露光装置に求められる必須の課題であると言える。そこで、アライメント光学系を用いてウェハ等の上に形成されたアライメントマークの位置を光学的に検出し、かかる検出結果に基づいてウェハをレチクルに対して位置決めを行っている。具体的には、アライメントマークから得られるアライメント信号に信号処理を施すことでアライメントマークの位置を検出する。かかる信号処理としては、アライメント信号の対称性を利用した折り返し対称処理など様々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
このような位置検出を全ての露光ポジション(ショット)で毎回行うアライメント方式(「ダイバイダイ方式」とも呼ばれる。)もあるが、通常は、スループットに優れたグローバルアライメントが行われる。グローバルアライメントとは、ウェハ内の複数のサンプルショットの位置座標を計測し、その計測値を統計処理してウェハのシフト、倍率、ローテーション誤差を算出し、この誤差を考慮してウェハの座標系を補正した後、各ショットへのステップ移動を行う、というものである。また、最近では、グローバルアライメントを発展させたアドバンストグローバルアライメント(AGA:Advanced Global Alignment)が行われており、このAGAは、レーザー干渉計が設置されたXYステージ精度頼りでウェハの位置計測を行うグローバルアライメントのことで、ウェハ倍率、ウェハ回転、シフト量を求めると共に異常値はね等の統計処理を行うものである。なお、異常値はねとは、ショットからの計測値から平均値と標準偏差を求め、偏差が大きいショットからの計測値を除去することである。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−094315号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、CMP(Chemical Mechanical Polishing)プロセスなどの特殊な半導体製造技術の導入によって、ウェハ間やショット間でアライメントマークの形状にばらつきが発生し、アライメント精度が劣化するという問題が発生し得る。これは、回路パターンの微細化に伴い、回路パターンの線幅とアライメントマークの線幅との差が大きくなり、成膜、エッチング、CMPなどのプロセス条件が微細な回路パターン(線幅0.1μm乃至0.15μm)に最適化され、線幅の大きなアライメントマーク(線幅0.6μm乃至4.0μm)に対しては最適化されないためである。
【0009】
アライメントマークの線幅を回路パターンの線幅に合わせることも考えられるが、アライメント光学系の分解能が足りないために信号強度又はコントラストが減少し、アライメント信号の安定性が悪化する。また、回路パターンと同等の線幅のアライメントマークを検出するアライメント光学系を構成するためには、大きなNA及び短波長のアライメント光源が必要となり、装置コストが高くなるなどの別の問題を生じてしまう。
【0010】
更に、ウェハプロセス起因の誤差(WIS:Wafer Induced Shift)によって検出結果に大きな誤差(アライメント信号の非対称性)を生じ、アライメント精度が劣化してしまう場合がある。その要因は、アライメントマークの非対称性やレジストの非対称性などが挙げられる。また、装置(露光装置及びアライメント光学系)起因の誤差(TIS:Tool Induced Shift)との相互作用による誤差(TIS−WIS Interaction)もアライメント精度を劣化させてしまう。
【0011】
AGAは、このような誤差を含む計測値に対して異常値はねを行い、更に、ショット異常が多発する場合には、代替ショットで計測を行っている。しかし、代替ショットを計測しても、同様にWISにより誤差が発生し、計測誤差量は少ないとはいえ完全に問題を解消できない場合がある。
【0012】
また、露光後に重ね合わせ結果を確認し、重ね合わせ誤差をオフセット補正することも行っているが、オフセット補正はスループットを低下させることに繋がるためロット毎やプロセス毎に行うのが現実的であり、完全に問題を解消できない場合がある。重ね合わせ結果を基に、どのショットの誤差が多いのかを分析することは可能であるが、多くの時間を要してしまう。
【0013】
そこで、本発明は、アライメントマークの検出結果にばらつきがある場合でも、必要なアライメント精度とスループットの両立を可能にする位置検出方法を提供することを例示的目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての位置検出方法は、複数のマーク要素から構成されるアライメントマークが形成された被検出体の位置を検出する位置検出方法であって、前記複数のマーク要素の各々の位置を表す位置情報を取得するステップと、前記取得ステップで取得した複数の前記位置情報のうち、所定の精度を有する位置情報を選択するステップと、前記選択ステップで選択された前記所定の精度を有する位置情報を用いて前記被検出体の位置を算出するステップとを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面としての位置検出方法について説明する。なお、各図において同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図17は、本発明の一側面としての露光装置100の例示的一形態を示す概略ブロック図である。露光装置100は、例えば、ステップ・アンド・スキャン方式やステップ・アンド・リピート方式でレチクルに形成された回路パターンをウェハに露光する投影露光装置である。かかる露光装置は、サブミクロンやクオーターミクロン以下のリソグラフィー工程に好適である。ここで、「ステップ・アンド・スキャン方式」とは、レチクルに対してウェハを連続的にスキャン(走査)してレチクルパターンをウェハに露光すると共に、1ショットの露光終了後ウェハをステップ移動して、次の露光領域に移動する露光方法である。「ステップ・アンド・リピート方式」とは、ウェハの一括露光ごとにウェハをステップ移動して次の露光領域に移動する露光方法である。
【0018】
図17を参照するに、露光装置100は、所望のパターン(回路パターン等)の描画されたレチクル110を縮小投影する投影光学系120と、前工程で下地パターン及びアライメントマーク180の形成されたウェハ130を保持するウェハチャック145と、ウェハ130を所定の位置に位置決めするウェハステージ140と、ウェハ130上のアライメントマーク180の位置を計測するアライメント光学系150と、アライメント信号処理部160と、制御部170とを有する。なお、図17においては、光源や光源からの光でレチクル110を照明する照明光学系は省略されている。制御部170は、図示しないCPU、メモリを有し、露光装置100の動作を制御する。制御部170は、図示しない照明装置、図示しないレチクルステージ、ウェハステージ140と、アライメント信号処理部160と電気的に接続されている。制御部170は、アライメント信号処理部160からのアライメントマークの位置情報に基づいて、ウェハステージ140を介してウェハ130の位置決めを行う。
【0019】
まず、アライメントマーク130の検出原理について説明する。図18は、図17に示すアライメント光学系150の主要な構成要素を示す概略光路図である。図18を参照するに、アライメント光源151からの照明光は、ビームスプリッタ152で反射し、レンズ153を通り、ウェハ130上のアライメントマーク180を照明する。アライメントマーク180からの光(反射光、回折光)は、レンズ153、ビームスプリッタ152、レンズ154を通り、ビームスプリッタ155で分割され、それぞれCCDセンサー156及び157で受光される。
【0020】
ここで、アライメントマーク130は、レンズ153及び154により100倍程度の結像倍率で拡大され、CCDセンサー156及び157に結像される。CCDセンサー156及び157はそれぞれ、アライメントマーク180のX方向のずれ計測用、アライメントマーク180のY方向のずれ計測用になっており、光軸に対して90度回転させて設置されている。CCDセンサーとしてラインセンサーを使用してもよく、この場合、計測方向と垂直方向にのみにパワーを持つシリンドリカルレンズにより、計測方向と垂直方向に集光して光学的に積分し、平均化するのが好ましい。X方向及びY方向の計測原理は同じなので、X方向の位置計測について説明する。
【0021】
アライメントマーク180は、各ショットのスクライブライン上に配置されており、例えば、図19及び図20に示す形状のアライメントマーク180A及び180Bを使用することができる。なお、アライメントマーク180は、アライメントマーク180A及び180Bを総括するものとする。ここで、図19(a)及び図19(b)は、図17に示すアライメントマーク180Aの概略平面図及び概略断面図であり、図20(a)及び図20(b)は、図17に示すアライメントマーク180Bの概略平面図及び概略断面図である。図19及び図20において、アライメントマーク180A及び180Bは、等間隔で配置された4つのマーク要素182A及び182Bを含んでいる。なお、実際には、アライメントマーク180A及び180Bの上にレジストが塗布されているが、図19及び図20では図示を省略している。
【0022】
アライメントマーク180Aは、図19(a)に示すように、計測方向であるX方向に4μm、非計測方向であるY方向に20μmの矩形のマーク要素182AをX方向に20μmピッチで4つ並べている。マーク要素182Aの断面構造は、図19(b)に示すように、凹形状をしている。一方、アライメントマーク180Bは、図20に示すように、図19に示すマーク要素182Aの輪郭部分を0.6μmの線幅で置き換えたマーク要素182Bを4つ並べている。
【0023】
図19及び図20のどちらのアライメントマーク180A及び180Bを用いても、アライメント光学系150のレンズ153及び154のNAに入らない大きな角度のエッジ部での散乱光の発生や、エッジ部での散乱光の干渉により、CCDセンサー156で撮像された像は、図21のようになるのが一般的である。アライメントマーク180Aはその輪郭部が暗く、アライメントマーク180Bは凹部が暗く又は明るくなる。これは、明視野画像で多く観察される像であり、その特徴と言える。ここで、図21は、図19及び図20に示すアライメントマーク180A及び180Bを光学的に検出した場合の典型的な検出結果を示すグラフである。
【0024】
このように撮像されたアライメントマーク180の画像はアライメント信号処理部160を介して、後述するようなアライメント信号処理が行われる。図22は、図17に示すアライメント信号処理部160が内蔵する主な機能モジュールを示す概略ブロック図である。
【0025】
図22を参照するに、CCDセンサー156及び157からのアライメント信号は、A/D変換器161を通してデジタル化される。デジタル化されたアライメント信号は、記録装置162に内蔵される図示しない各種信号処理回路によってノイズ成分を除去され、内蔵しているメモリに記録される。マーク中心検出部163は、記録されたデジタル化したアライメント信号にデジタル信号処理を行う。マーク中心検出部163は、デジタル化したアライメント信号用の演算素子によって、後述する位置検出方法1000を行い、アライメント信号の中心位置を検出する。CPU164は、A/D変換器161、記録装置162、マーク中心検出部163と接続しており、コントロール信号を出力して動作制御を行っている。通信部165は、図17に示す制御部170と通信を行い、必要なデータ、コントロール指令等のやり取りを行っている。
【0026】
マーク中心検出部163が行うデジタル信号処理はアライメント信号のエッジ部分を検出し、かかるエッジ間の距離を計算する方法や正規化相関によるパターンマッチング法など各種提案されており、本発明もデジタル信号処理の一例としてアライメント信号の中心位置を検出する位置検出方法1000を提案するものである。なお、信号源は、2次元信号でも1次元信号でもよい。2次元画像の水平方向の画素を垂直方向にヒストグラムを取り、画像のボーティング処理を行い主要成分で平均化することで2次元画像を1次元画像に変換することが可能となる。本発明の提案するデジタル信号処理の場合は、X方向及びY方向の計測は独立の構成であるので、位置決めの基本となる信号処理は1次元での信号処理で決められる。例えば、CCDセンサー156及び157上の2次元画像を、デジタル信号で積算して平均化を行って、1次元のライン信号に変換する。
【0027】
まず、本発明者は、従来のデジタル信号処理としてパターンマッチング法について鋭意検討した結果、様々な問題が生じることを発見した。以下にそれを示す。
【0028】
パターンマッチング法は、図23(b)に示す取得した信号Sと、図23(a)に示す予め装置で持っているモデル信号(テンプレート)Tとの相関演算で、最も相関の高い位置をアライメントマークの中心として検出する。図23(c)に示す相関値の関数Eにおいて、ピーク画像から左右に数画素の領域の重心画素位置を求めることにより、1/10画素乃至1/50画素の分解能を達成できる。ここで、図23は、図22に示す検出結果に適用可能なパターンマッチング法を示す図である。
【0029】
パターンマッチング法は、以下の数式1で表される。
【0030】
【数1】
Figure 2005011980
【0031】
ここで、SはCCDセンサーで取得した信号、Tはモデル信号、Eは相関結果である。信号S、モデル信号T、相関値Eの関係を図示すると、図23のようになる。図23では、4つのマーク要素181のうち、1つのマーク要素像についての処理方法を示している。ここでは、相関値Eが最大となる位置をマーク要素像の中心位置としている。なお、モデル信号Tとしては、波形の対称性を利用して、信号Sの左半分を折り返して相関演算を行い、アライメントマークの位置を決定する方法も提案されている。また、相関値Eの精度を上げるために、スプライン関数又はGauss関数などで補間してピークになるX方向の座標位置を求め、かかる座標位置をマーク要素181の中心位置としてもよい。
【0032】
以下同様に、他の3つのマーク要素像についても、パターンマッチング法により、各マーク要素像のCCDセンサー上での位置を検出する。
【0033】
図21は、デジタル化されたアライメント信号をマーク計測位置方向に積算して平均化したアライメント信号である。光学的に集光して1次元のラインセンサーを使用すれば、画像処理を行った2次元画像を1次元画像に変換する処理は不要である。
【0034】
パターンマッチング法により、マーク要素像の中心位置X、X、X及びXを求める(単位は画素)。4つのマーク要素像の中心位置X乃至Xを平均することで、以下の数式2で示すアライメントマーク180全体の中心座標Xaが求まる。
【0035】
【数2】
Figure 2005011980
【0036】
その結果、ウェハ130上のアライメントマーク180の位置ずれXwは、アライメント光学系150の結像倍率をM、CCDセンサー156のアライメント計測方向の画素ピッチをPxとすれば、以下の数式3で表される。
【0037】
【数3】
Figure 2005011980
【0038】
例えば、アライメント光学系150の結像倍率M=100、画素ピッチPx=24μmの場合、CCDセンサー156上で1画素の位置ずれは、ウェハ130上のアライメントマーク180の位置ずれXwとして、24μm/100=240nmに相当する。
【0039】
このようなパターンマッチング法に代表される従来の信号処理は、WISの影響による精度劣化の検出を行っておらず、WISによる影響を見逃していた。従来の信号処理は、マーク要素毎の画像計測を行い、マーク要素の個数分の計測結果を平均化することで部分的なマーク要素の欠陥による計測精度の劣化を抑えている(平均化効果)。しかしながら、近年の半導体素子の微細化に伴う高精度なアライメントの要求に対して、従来の平均化だけでは精度的に厳しい場合があることが判明した。
【0040】
そこで、本発明者は、信号処理として、従来の平均化効果による方法ではなく、誤差を含む情報を除去し、所定の精度を有する情報のみを用いることで計測精度の劣化を防止する位置検出方法1000を提案する。本発明の位置検出方法1000は、アライメントマークを構成する複数のマーク要素のうち、著しくマーク要素の中心位置がずれて計測される情報がある場合に好適である。位置検出方法1000は、WIS、具体的には、アライメントマークの非対称性形状によるアライメントエラーを発生させない信号処理である。
【0041】
従来のパターンマッチング法による信号処理を行った場合、図24に示すように、WISによりマーク要素の中心位置の検出座標にシフトが生じる場合がある。図24を参照するに、レジストが下地にエッチングされたパターンの中心に対して、非対称に右側にシフトして塗布されている。ここで、図24は、WIS(アライメント非対称性)の影響によりマーク要素の計測位置がシフトする場合の一例を示す概略模式図である。
【0042】
このような場合、検出されるアライメント信号を4つのマーク要素毎に比較すると、例えば、4つのマーク要素のうち1つだけがWISの影響で波形歪みが大きくなることになる。これは、1つのマーク要素の周辺にグレインが付着した場合もあるし、ウェハプロセスの不良により部分的にレジストの膜厚が変化して反射率が変わっている場合も考えられる。
【0043】
図25は、4つのマーク要素181Bのうち、左から3つ目の右側のエッジにグレインGRが付着した場合のアライメントマーク180Bの概略平面図である。このようなグレインGRの影響で、検出されるアライメント信号の一部に歪みが大きく現れることになる。図26は、図25に示すアライメントマーク180Bから検出される一部に歪みが発生したアライメント信号の波形の一例を示すグラフである。図26を参照するに、4つのマーク要素181Bのうち、3つ目のマーク要素181Bにアライメント信号の波形の非対称性を大きくする歪み又はノイズ成分が見られる。このようなアライメント信号にパターンマッチング法などの従来の信号処理を行うと、歪みの影響でマーク要素の中心位置がずれて計測される。
【0044】
図27は、アライメント信号の波形に生じた歪みにより一部のマーク要素の波形が他のマーク要素の波形と異なっていることを示す図である。図27は、図25に示すアライメントマーク180Bから検出されるアライメント信号から各マーク要素181Bの波形を抽出し(即ち、アライメント信号をマーク要素181Bの間隔の20μmで分割し)、マーク要素181Bの間隔20μmに相当する画素分の差分を各マーク要素181Bの波形から引いたものを重ねている。なお、アライメントマーク180Bから検出されるアライメント信号から抽出される4つのマーク要素181Bの波形のうち、特徴的な2つの波形を図示し、他は実線とほぼ重なるため省略している。
【0045】
図27を参照するに、破線で示す一部のマーク要素181Bの波形が、実線で示す他のマーク要素181の波形に比べて、左右のマーク幅が異なっている。このような場合にも、例えば、従来の信号処理の1つであるパターンマッチング法を行うと中心位置のシフトが生じることがある。一部のマーク要素181Bの波形のシフトが全体のアライメントマーク180Bの位置ずれに影響してアライメント計測誤差が発生するのためである。
【0046】
以下、図1乃至図16を参照して、アライメント信号処理部160のマーク中心検出部163が行うデジタル信号処理として、本発明の位置検出方法1000について説明する。図1は、本発明の一側面としての位置検出方法1000を説明するためのフローチャートである。位置検出方法1000は、複数のマーク要素から構成されるアライメントマークが形成された被検出体の位置を検出する。
【0047】
図1を参照するに、まず、複数のマーク要素の各々の位置を表す位置情報を取得する(ステップ1002)。複数のマーク要素の各々の位置を表す位置情報は、上述したように、アライメント信号からマーク要素の中心位置を検出し、複数のマーク要素間の所定のマーク間隔として取得される。
【0048】
次に、ステップ1002で取得した複数のマーク要素の各々の位置を表す位置情報のうち、所定の精度を有する位置情報を選択する(ステップ1004)。そして、ステップ1004で選択された所定の精度を有する位置情報を用いて被検出体の位置を算出する(ステップ1006)。位置検出方法1000は、精度の劣る位置情報を除去して、所定の精度を有する位置情報のみを被検出体の位置の検出に用いていると換言することができる。また、除去した精度の劣る位置情報を、所定の精度を有する位置情報から算出することも可能である。
【0049】
以下、位置検出方法1000の最も特徴的なステップ1004の位置情報の選択について説明する。
【0050】
図2は、3つのマーク要素MK1乃至MK3で構成されたアライメントマークを示す概略平面図である。図2を参照するに、MK1乃至MK3は3つの隣接したマーク要素、X乃至Xは信号処理を行った結果のマーク要素MK1乃至MK3の中心位置座標、Lはマーク要素MK1とマーク要素MK2の中心位置座標間の間隔(マーク間隔)を表し、L=X−Xで計算できる。同様に、Lはマーク要素MK3とマーク要素MK2のマーク間隔、L21はマーク要素MK3とマーク要素MK1のマーク間隔を表している。なお、中心位置座標は、右方向に増加するものとする。
【0051】
計測が正常に行われてマーク要素MK1乃至MK3に異常が無い場合、マーク要素MK1乃至MK3に倍率がかかっていなければ設計上のマーク間隔Lになるので、L=L=L、L21=2Lとなる。これらの基本的なマーク要素MK1乃至MK3の特徴量である一定のマーク間隔を利用して計測精度を判定することができる。かかる判定をアライメントマークを構成するマーク要素の組み合わせで行うことにより異常なマーク要素又は計測による誤差が大きいマーク要素を即時に判定することが可能となる。
【0052】
マーク要素MK1乃至MK3のマーク間隔の設計値がL(単位μm)である場合、装置の特有の倍率などがかかるために予め校正した基準値をL、許容するマーク間隔の誤差量(ずれ量)をδLとすると、以下に示す数式4乃至数式6を用いることにより、3つのマーク要素MK1乃至MK3から異常なマーク要素を判別することが可能となる。
【0053】
【数4】
Figure 2005011980
【0054】
【数5】
Figure 2005011980
【0055】
【数6】
Figure 2005011980
【0056】
図3は、アライメントマークを構成する3つのマーク要素MK1乃至MK3の異常を判別した結果を示す図である。図3では、数式4、数式5及び数式6のそれぞれについて、満足する場合を○、満足しない場合を×と記載している。
【0057】
図3を参照するに、数式4が×、数式5が×、数式6が○の場合がマーク要素MK2を異常と判別する条件となる。数式4が×、数式5が○、数式6が×の場合がマーク要素MK1を異常と判別する条件となる。数式4が○、数式5が×、数式6が×の場合がマーク要素MK3を異常と判別する条件となる。これらの判別を基本形としてアライメントマークを構成するマーク要素全てに計測精度の判定を行う。なお、かかる判別アルゴリズムは、一般的なIF Then Elseのような、ソフト上での判別文を用いて容易に判定することができる。
【0058】
図4は、8つのマーク要素MK1乃至MK8で構成されたアライメントマークを示す概略平面図である。図4を参照するに、MK1乃至MK8は8つの隣接したマーク要素、X乃至Xは信号処理を行った結果のマーク要素MK1乃至MK8の中心位置座標、Lはマーク要素MK1とマーク要素MK2の中心位置座標間の間隔(マーク間隔)を表し、L=X−Xで計算できる。同様に、Lはマーク要素MK3とマーク要素MK2のマーク間隔、Lはマーク要素MK3とマーク要素MK4のマーク間隔、Lはマーク要素MK4とマーク要素MK5のマーク間隔、Lはマーク要素MK5とマーク要素MK6のマーク間隔、Lはマーク要素MK6とマーク要素MK7のマーク間隔、Lはマーク要素MK6とマーク要素MK7のマーク間隔、L21はマーク要素MK3とマーク要素MK1のマーク間隔、L32はマーク要素MK4とマーク要素MK2のマーク間隔、L43はマーク要素MK5とマーク要素MK3のマーク間隔、L54はマーク要素MK6とマーク要素MK4のマーク間隔、L65はマーク要素MK7とマーク要素MK5のマーク間隔、L76はマーク要素MK8とマーク要素MK6のマーク間隔を表している。なお、中心位置座標は、右方向に増加するものとする。
【0059】
かかる場合は、マーク間隔L、マーク間隔L及びマーク間隔L21の組み合わせから順次右側へマーク間隔L、マーク間隔L及びマーク間隔L76の組み合わせの6種類を調べることでマーク要素MK1乃至MK8の異常を検出することができる。また、マーク要素MK1乃至MK8の中心位置座標X乃至Xは、マーク要素MK1乃至MK8の個数が多いほど、平均化効果でばらつきに対する誤差を減らすことができる。
【0060】
図5は、アライメントマークを構成する8つのマーク要素MK1乃至MK8のうち3つの隣接したマーク要素MK1乃至MK3の異常を判別した結果を示す図である。なお、マーク要素MK1乃至MK3の異常の判別には数式4乃至数式6を用い、マーク間隔の計測値と設計上の基準値からの残差が1.5(即ち、δL=1.5)を越えた場合を異常と判別して×を記載している。
【0061】
図5を参照するに、ウェハ番号W6のマーク要素MK3から得られる中心位置座標Xの計測結果が異常という判定が示されている。図6は、図5に示す結果について、横軸をウェハ番号、縦軸をマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差であるずれ量としてプロットしたグラフである。図6を参照しても、ウェハ番号W6のマーク間隔|L−L|及び|L21−L|のずれ量が最も大きく、マーク要素MK3に異常をきたしていることがわかる。
【0062】
また、同じアライメントマークを構成する1つ右側のマーク要素MK2乃至MK4の組み合わせに対して同様に判定を行った結果を示す。図7は、アライメントマークを構成する8つのマーク要素MK1乃至MK8のうち3つの隣接したマーク要素MK2乃至MK4の異常を判別した結果を示す図である。図8は、図7に示す結果について、横軸をウェハ番号、縦軸をマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差であるずれ量としてプロットしたグラフである。図7及び図8を参照するに、ウェハ番号W6のマーク要素MK3に異常があることがわかる。
【0063】
これらの判別で求められたプロセスデータを、例えば、データベースとして蓄積することで、プロセス管理上の有益なデータを作成することができる。また、かかるデータベースは、異常なマーク要素の検出データ及び定量データを含み、WISの定量化にとって有効である。
【0064】
異常があるマーク要素からの計測値は除去し、残りのマーク要素からの計測値のみを用いてアライメントを行ってもよいし、残りのマーク要素からの計測値から異常があるマーク要素の計測値に対応する値を算出して代用してもよい。いずれにしても所定の精度を有する計測値のみをアライメントに用いる。
【0065】
図9は、図4に示すアライメントマークのマーク要素MK1乃至MK8のマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差の数値を示す図である。図9を参照するに、ウェハ番号W6のマーク要素MK3の中心位置座標Xに異常があることがわかる。
【0066】
そこで、マーク要素MK2の中心位置座標Xの計測値及びマーク要素MK4の中心位置Xの計測値から、以下の数式7で示されるマーク要素MK3の中心位置座標X’を算出する。
【0067】
【数7】
Figure 2005011980
【0068】
そして、マーク要素MK3の中心位置座標Xの計測値の代わりに、所定の精度を有するマーク要素MK2の中心位置座標Xの計測値及びマーク要素MK4の中心位置Xの計測値から算出した中心位置座標X’を用いてアライメントマーク全体の中心座標Xaを求める。中心位置座標X’を代用することで、誤差を含む中心位置座標Xを除去することができる。なお、かかる中心座標Xaは、以下の数式8で表される。
【0069】
【数8】
Figure 2005011980
【0070】
図10は、図9に示すマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差の数値に数式7を適用した結果を示す図である。図11は、図10に示す結果について、横軸をウェハ番号、縦軸をマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差であるずれ量としてプロットしたグラフである。図10及び図11を参照するに、ウェハ番号W6のマーク要素MK3の中心位置座標Xに関連するマーク間隔が改善されていることがわかる。
【0071】
同様に、ウェハ番号W5のマーク要素MK4の中心位置座標Xに異常がある場合、マーク要素MK2の中心位置座標X、マーク要素MK3の中心位置座標X及び設計上の基準値Lから、以下の数式9で示されるマーク要素MK4の中心位置座標X’を算出する。
【0072】
【数9】
Figure 2005011980
【0073】
そして、マーク要素MK4の中心位置座標Xの代わりに、所定の精度を有するマーク要素MK2の中心位置座標X及びマーク要素MK3の中心位置座標Xから算出した中心位置座標X’を用いてアライメントマーク全体の中心座標Xaを求める。中心位置座標X’を代用することで、誤差を含む中心位置座標Xを除去することができる。なお、かかる中心座標Xaは、以下の数式10で表される。
【0074】
【数10】
Figure 2005011980
【0075】
また、中心位置座標X’は、マーク要素MK1の中心位置座標X、マーク要素MK2の中心位置座標X及びマーク間隔Lの平均値から以下に示す数式11を用いて算出することもできる。
【0076】
【数11】
Figure 2005011980
【0077】
アライメントマーク全体の中心座標Xaは、以下の数式12で表される。この場合も、誤差を含む中心位置座標X’を代用することで、誤差を含む中心位置座標Xを除去することができる。
【0078】
【数12】
Figure 2005011980
【0079】
図12は、図9に示すマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差の数値に数式10又は数式11を適用した結果を示す図である。図13は、図12に示す結果について、横軸をウェハ番号、縦軸をマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差であるずれ量としてプロットしたグラフである。図12及び図13を参照するに、ウェハ番号W5のマーク要素MK4の中心位置座標Xに関連するマーク間隔が改善されていることがわかる。
【0080】
このように、アライメントマークを構成するマーク要素の異常を判定し、所定の精度を有する計測値のみを選択することで、信号処理による精度劣化を防止することができる。また、異常なマーク要素から計測された計測値を用いずに、他のマーク要素から計測された所定の精度を有する計測値から算出される値を代用することもできる。
【0081】
アライメント計測は、例えば、図14に示すように、ショット5、ショット21、ショット29、ショット39で行い、例えば、ショット29で異常が発生した場合、代替ショット28でアライメント計測を行う。ここで、図14は、アライメント計測を行うショットのレイアウトを示す概略平面図である。なお、数字は露光を行う順序を示している。
【0082】
代替ショットでのアライメント計測についても異常かどうかの判定を行い、異常と判定されなければ、その計測値を採用する。異常と判定されれば、再度アライメント計測を行い、予め設定された規定回数(例えば、3回)を越えても異常のままであれば、例えば、アラーム等を発生するようにし、異常がなくなればその計測値を採用するようにすればよい。
【0083】
アライメントマーク全体からアライメント計測精度を判定することも可能である。図17に示すアライメント信号処理部160で信号処理を行って、図21に示す4つのマーク要素の中心位置座標X乃至Xから、以下に示す数式13を用いてマーク間隔L乃至Lを算出する。
【0084】
【数13】
Figure 2005011980
【0085】
マーク間隔L乃至Lは、検出誤差及びWISが発生していない場合において、図19及び図20で示したようにマーク間隔の設計値である20μmで一定となる。これを利用して計測精度を判定することができる。
【0086】
マーク間隔の設計上の基準値L=20μmに対して、マーク間隔L乃至Lに偏りがないことが望ましい。しかし、アライメント信号の一部に歪みがある場合には、マーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差であるL−L、L−L、L−Lのうちいずれかが大きいことになる。
【0087】
マーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差の2乗平均誤差sqを求めることで、アライメントマーク全体の計測誤差及びずれ量を含んだ誤差量がわかる。2乗平均誤差sqは、以下の数式14から求めることができる。
【0088】
【数14】
Figure 2005011980
【0089】
但し、Nは、マーク間隔の数である。
【0090】
数式14が示すように、マーク間隔の数Nが多いほど、精度はN1/2で上がることがわかる。
【0091】
図15は、図19に示すアライメントマーク180Aのマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差と2乗平均誤差の数値を示す図である。図16は、図15に示す結果について、横軸をウェハ番号、縦軸をマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差であるずれ量及び2乗平均誤差としてプロットしたグラフである。
【0092】
図15及び図16を参照するに、ウェハ番号W6の偏りが大きいことがわかる。ここで、異常値の判定に以下の数式15を用いて、JOB設定でδp以上の計測値を以上として検出することができる。
【0093】
【数15】
Figure 2005011980
【0094】
本実施形態では、δp=1.5以上の計測値を以上と設定することで、ウェハ番号W6の計測値が設定範囲を越えた異常値であることがわかる。アライメントマークに異常値が検出された場合には、更に、アライメントマークを構成するマーク要素のどれに異常が発生しているのかを数式14及び数式15から判別することができる。また、異常なマーク要素と判別されたマーク要素は用いず、隣接したマーク要素からの計測値又は設計上の基準値を代用することで精度劣化を防止することができる。
【0095】
本発明の位置検出方法1000によれば、アライメントマークの検出精度をその場で判定することができ、更に、その精度を悪化させる計測値を取り除くことで全体の精度の悪化とスループットの低下を防止することができる。
【0096】
また、従来のように、露光した後の重ね合わせ検査を基に、オフセット補正を行う方法もあるが、露光前に精度を判定できる本発明の方法の方が、即時に精度劣化に対応することが可能である。また、オフセット補正値が常に同じにならない場合、従来の方法では細やかな補正ができないが、本発明では、効果的な対応を行うことができる。
【0097】
また、AGAのショットをウェハ全体で異常検出する方法は従来から行われているが、本発明は、各AGAショットの計測結果を即時に判定し、更に、アライメントマークを構成するどのマーク要素が異常であるかを即時に判定することが大きな特徴である。なお、本発明は、AGAの様なグローバルアライメント方式だけに効果のあるものではなく、ダイバイダイ方式に対しても効果的である。
【0098】
露光において、図示しない照明装置から発せられた光束は、レチクル110を、例えば、ケーラー照明する。レチクル110を通過してレチクルパターンを反映する光は、投影光学系120によりウェハ130上に結像される。露光装置100は、位置検出方法1000によって高精度にアライメントが行われているので、高いスループットで経済性よくデバイス(半導体素子、LCD素子、撮像素子(CCD素子など)、薄膜磁気ヘッドなど)を提供することができる。
【0099】
次に、図28及び図29を参照して、上述の露光装置100を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図28は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。ステップ3(ウェハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウェハを製造する。ステップ4(ウェハプロセス)は、前工程と呼ばれ、マスクとウェハを用いてリソグラフィー技術によってウェハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウェハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0100】
図29は、ステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウェハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウェハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウェハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウェハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置100によってマスクの回路パターンをウェハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウェハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウェハ上に多重に回路パターンが形成される。かかるデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、露光装置100を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
【0101】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本発明は、ウェハの位置合わせだけでなく、レチクルの位置合わせなどにも適用することができる。
【0102】
【発明の効果】
本発明によれば、アライメントマークの検出結果にばらつきがある場合でも、必要なアライメント精度とスループットの両立を可能にする位置検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一側面としての位置検出方法を説明するためのフローチャートである。
【図2】3つのマーク要素で構成されたアライメントマークを示す概略平面図である。
【図3】アライメントマークを構成する3つのマーク要素の異常を判別した結果を示す図である。
【図4】8つのマーク要素で構成されたアライメントマークを示す概略平面図である。
【図5】アライメントマークを構成する8つのマーク要素のうち3つの隣接したマーク要素の異常を判別した結果を示す図である。
【図6】図5に示す結果について、横軸をウェハ番号、縦軸をマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差であるずれ量としてプロットしたグラフである。
【図7】アライメントマークを構成する8つのマーク要素のうち3つの隣接したマーク要素の異常を判別した結果を示す図である。
【図8】図7に示す結果について、横軸をウェハ番号、縦軸をマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差であるずれ量としてプロットしたグラフである。
【図9】図4に示すアライメントマークのマーク要素のマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差の数値を示す図である。
【図10】図9に示すマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差の数値に数式7を適用した結果を示す図である。
【図11】図10に示す結果について、横軸をウェハ番号、縦軸をマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差であるずれ量としてプロットしたグラフである。
【図12】図9に示すマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差の数値に数式10又は数式11を適用した結果を示す図である。
【図13】図12に示す結果について、横軸をウェハ番号、縦軸をマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差であるずれ量としてプロットしたグラフである。
【図14】アライメント計測を行うショットのレイアウトを示す概略平面図である。
【図15】図19に示すアライメントマークのマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差と2乗平均誤差の数値を示す図である。
【図16】図15に示す結果について、横軸をウェハ番号、縦軸をマーク間隔の計測値と設計上の基準値との残差であるずれ量及び2乗平均誤差としてプロットしたグラフである。
【図17】本発明の一側面としての露光装置の例示的一形態を示す概略ブロック図である。
【図18】図17に示すアライメント光学系の主要な構成要素を示す概略光路図である。
【図19】図17に示すアライメントマークの概略図である。
【図20】図17に示すアライメントマークの概略図である。
【図21】図19及び図20に示すアライメントマークを光学的に検出した場合の典型的な検出結果を示すグラフである。
【図22】図17に示すアライメント信号処理部が内蔵する主な機能モジュールを示す概略ブロック図である。
【図23】図22に示す検出結果に適用可能なパターンマッチング法を示す図である。
【図24】WISの影響によりマーク要素の計測位置がシフトする場合の一例を示す概略模式図である。
【図25】4つのマーク要素のうち、左から3つ目の右側のエッジにグレインが付着した場合のアライメントマークの概略平面図である。
【図26】図25に示すアライメントマークから検出される一部に歪みが発生したアライメント信号の波形の一例を示すグラフである。
【図27】アライメント信号の波形に生じた歪みにより一部のマーク要素の波形が他のマーク要素の波形と異なっていることを示す図である。
【図28】デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。
【図29】図28のステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。
【符号の説明】
100 露光装置
110 レチクル
120 投影光学系
130 ウェハ
140 ウェハステージ
145 ウェハチャック
150 アライメント光学系
151 アライメント光源
152及び155 ビームスプリッタ
153及び154 レンズ
156及び157 CCDセンサー
160 アライメント信号処理部
161 A/D変換器
162 記録装置
163 マーク中心検出部
164 CPU
165 中心部
170 制御部
180 アライメントマーク
182 マーク要素

Claims (13)

  1. 複数のマーク要素から構成されるアライメントマークが形成された被検出体の位置を検出する位置検出方法であって、
    前記複数のマーク要素の各々の位置を表す位置情報を取得するステップと、
    前記取得ステップで取得した複数の前記位置情報のうち、所定の精度を有する位置情報を選択するステップと、
    前記選択ステップで選択された前記所定の精度を有する位置情報を用いて前記被検出体の位置を算出するステップとを有することを特徴とする位置検出方法。
  2. 複数のマーク要素から構成されるアライメントマークが形成された被検出体の位置を検出する位置検出方法であって、
    前記複数のマーク要素の位置を検出し、前記複数のマーク要素間の所定のマーク間隔を取得するステップと、
    前記ステップで取得された前記マーク間隔と前記所定のマーク間隔に対応する前記アライメントマークの設計値との差分値を算出するステップと、
    前記算出ステップで算出された前記差分値を基に、前記被検出体の位置を検出するために用いる前記マーク要素の位置を選択するステップとを有することを特徴とする位置検出方法。
  3. 前記選択ステップは、前記差分値と閾値とを比較し、所定の精度を有する前記マーク要素の位置を選択することを特徴とする請求項2記載の位置検出方法。
  4. 前記選択ステップは、前記アライメントマークの隣接する3つの前記マーク要素におけるマーク間隔の組み合わせから、前記3つのマーク要素の異常を判別するステップを有することを特徴とする請求項2記載の位置検出方法。
  5. 前記判別ステップで異常と判別された前記マーク要素の位置を、異常と判断されなかった前記マーク要素の位置から作成するステップを有することを特徴とする請求項4記載の位置検出方法。
  6. 前記判別ステップで異常と判別された前記マーク要素の位置を再度検出するステップを有することを特徴とする請求項3記載の位置検出方法。
  7. 前記選択ステップは、前記差分値の2乗平均誤差を算出するステップと、
    前記2乗平均誤差算出ステップで算出された前記2乗平均誤差を基に、前記複数のマーク要素の異常を判別するステップとを有することを特徴とする請求項2記載の位置検出方法。
  8. 複数のマーク要素から構成されるアライメントマークが形成された被検出体の位置を検出する位置検出装置であって、
    前記マーク要素の位置を検出する検出手段と、
    請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の位置検出方法を行うことができる処理手段とを有することを特徴とする位置検出装置。
  9. 投影光学系を介して所望のパターンを露光する露光装置であって、
    請求項8記載の位置検出装置と、
    前記位置検出装置の検出結果を用いて被検出体のアライメントを行うアライメント手段とを有することを特徴とする露光装置。
  10. 前記被検出体は、前記所望のパターンが露光されるウェハであることを特徴とする請求項9記載の露光装置。
  11. 前記被検出体は、前記所望のパターンが形成されたレチクルであることを特徴とする請求項9記載の露光装置。
  12. 請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の位置検出方法を用いて、被処理体の所定の領域をアライメントするステップと、
    前記アライメントステップでアライメントされた前記被処理体の所定の領域を露光するステップとを有することを特徴とする露光方法。
  13. 請求項9乃至11のうちいずれか一項記載の露光装置を用いて被処理体を露光するステップと、
    露光した前記被処理体に所定のプロセスを行うステップとを有することを特徴とするデバイス製造方法。
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