JP2005011972A - 被研磨加工物の保持材およびこの保持材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い保持機能を有するとともに、保持機能や研磨精度を低下させるような保持材への研磨液の浸透を抑制できる被研磨加工物の保持材およびこの保持材の製造方法を提供する。
【解決手段】5〜600μmの膜厚を有する第1の湿式凝固多孔質フィルムを上層9とし、研磨圧力が300gf/cm2以上1800gf/cm2以下の範囲において圧縮率が4.5以上60.0%以下の範囲に変形可能な第2の湿式凝固多孔質フィルムを下層10として、前記両湿式凝固多孔質フィルムが接着された2層構造となっている被研磨加工物の保持材。
【選択図】 図2
【解決手段】5〜600μmの膜厚を有する第1の湿式凝固多孔質フィルムを上層9とし、研磨圧力が300gf/cm2以上1800gf/cm2以下の範囲において圧縮率が4.5以上60.0%以下の範囲に変形可能な第2の湿式凝固多孔質フィルムを下層10として、前記両湿式凝固多孔質フィルムが接着された2層構造となっている被研磨加工物の保持材。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として被研磨物の研磨面の平坦度が高い精密研磨を行うのに用いられる被研磨加工物の保持材およびこの保持材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体ウェハ、半導体デバイスの層間絶縁膜及びメタル配線、各種記録用ディスク、LCD用ガラス等の精密平面研磨は、回転する定盤に装着された人工皮革様の研磨布と、定盤面に対向配置した回転可能な被研磨加工物保持プレートで保持された被研磨加工物との間に研磨スラリーを供給して、被研磨加工物及び研磨布を互いに摺動させることにより行われてきた。
【0003】
例えば、図6に示すように、下定盤6の上面に研磨布7を貼り付けるとともに、上定盤2を被研磨加工物保持プレートとしてその下面に保持材4およびテンプレート20を固定し、該テンプレート20に設けられた被研磨加工物保持用リセスに半導体ウェハなどの被研磨加工物5を配置し、上下定盤2,6を面同士対向させた状態で相対的に回転させるとともに、研磨スラリーを研磨布7上に供給しながら半導体ウェハなどの被研磨加工物5を研磨布7に押圧することで被研磨加工物5の表面研磨を行う(特許文献1参照)。
【0004】
このようにして研磨を行う場合、図7(a),(b)を参照して、従来における被研磨加工物の保持材(いわゆるバッキング材)は、ポリウレタン中の溶剤を水中抽出によって得られる単層を成す湿式凝固多孔質フィルム表面(以下、銀面と称する)を表面研削することによって、非常に多数の微小空孔を表面に開口させた後、研磨中に研磨せん断力によって被研磨加工物が飛び出さないようにするためのテンプレートと呼ばれる枠材を湿式凝固多孔質フィルムに接着する一体構成の形態をとって、被研磨加工物は枠体内に装着される。被研磨加工物は、湿式凝固多孔質フィルムに飽和した水の表面張力などによって吸着保持されるようにしている。なお、図7(a)は、表面研削後の湿式凝固多孔質フィルムの表面を平面視により電子顕微鏡で撮像した写真であり、図7(b)は、表面研削後の湿式凝固多孔質フィルムの縦断側面を電子顕微鏡で撮像した写真である。図8に示すようなシリコンウェハのように円板状の被研磨加工物を保持するテンプレートは円環状のテンプレート20(図8(a)参照)を用い、LCDのガラス板のように矩形板状の被研磨加工物を保持するテンプレートは矩形枠状のテンプレート20を用いる。
【0005】
また、上記枠材を持たないタイプでも、図10の湿式凝固多孔質フィルムの縦断面を電子顕微鏡で撮像した写真として示すように、表面研削を行っていない湿式凝固多孔質フィルムの被研磨加工物保持材も提案されている。このスエード調被研磨加工物保持剤は、その表面に内部に生じた空孔よりも非常に微細な空孔が多数形成されているから、湿式凝固多孔質フィルムの表面の研削を行わないことにより残る銀面の摩擦係数などにより作用する密着作用及び限りなく密接な密着状態から発生する分子間力、水中抽出により得られた空孔による保持材表面の微小開口と撥水機能を付与して得られた表面張力から空気のみを内部へ通気させ発生する陰圧作用等を単一ないし複合的に保持能力として利用した単一層構造の湿式凝固多孔質フィルムからなるものである。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−355758(全頁、図1、図3)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
テンプレート方式においては、図9を参照して、テンプレート20と被研磨加工物5との間に若干の隙間Gがあるため、研磨中にテンプレート20内で保持された被研磨加工物5は上記隙間G分若干ながら水平方向へ自由にスライド移動する現象が発生してしまう。その結果、被研磨加工物5の端縁とテンプレート20とが衝突することがあり、この衝突などによって、研磨基板端面の欠けが生じるおそれや応力集中が発生することで被研磨加工物5の端面近くでの研磨精度が悪化してしまうおそれがあった。また、テンプレート20を使用することによる部品点数の増大により、生産コストの上昇も問題になる。
【0008】
したがって、従来のテンプレートを有する保持材においては、コスト削減は困難であり、研磨に投入する研磨基板の寸法公差の安全率及び加工精度を考慮した際にはこれ以上の枠材寸法の余裕を縮小し端面の不具合を解消することも困難である。
【0009】
テンプレートを持たない単一層構造の湿式凝固多孔質フィルムにおいては、未加工表面の特徴を活かして水分を殆ど介さない密着作用等の保持機能を発生させているが、多孔質構造自体が溶剤抽出の軌跡であるため、その表面には物理的な開口が必然的に発生している。この開口により撥水処理等の特殊処理を実施したとしても研磨使用条件下の時系列変化において保持材内部の空孔への水分の浸入が発生してしまう。その状態になると、比較的短時間で保持材自体が水分による内部飽和状態になり、保持材と被研磨加工物との界面に内部の水分が再度回帰してくる現象が生じるため、保持材と被研磨加工物との間において滑りが発生し易くなり、保持力が低下する。
【0010】
また、被研磨加工物の裏面(保持材に保持されている面)への研磨液の浸透も上記現象を生じさせるメカニズムにより短時間(1度の研磨処理中においても)で発生し、被研磨加工物の裏面への砥粒の付着や砥粒による被研磨加工物裏面の不要なエッチングにより研磨後の再洗浄を考慮した水研磨を実施する必要性が使用経過とともに増大する。さらに、保持材の使用寿命経過後においては、内部からの水分抽出・乾燥による再使用も、研磨精度確保の点で保持材のその厚みを厚くとる必要があるため、水分抽出や乾燥に時間が非常に係るため困難である。
【0011】
その他の問題点としては、銀面を残留させることによって上記保持機能を果たすこの従来の保持材は、保持材精度を平滑にして研磨精度を確保するため、成膜上下方向での下表面の研削加工を実施することが多いが、副作用として耐クリープ性を担う構造の基礎を削除してしまうことになるため、連続的な加圧に弱くその保持材に永久歪みを発生させ易い。逆に保持界面(この場合銀面)を研削加工すると表面開口(直径5μmを上回る)の発生により、様々な保持効果は低減してしまうため、単一構造の保持体としては機能しなくなる。
【0012】
したがって、保持材として単一構造の湿式凝固多孔質フィルムのみを用いる従来のものにおいては、研磨精度及びコスト面での有効性があっても、単一層であるが故に、保持材精度及び撥水性の維持を確保することは困難である。
【0013】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであって、テンプレートを用いることなく高い保持機能を有するとともに、保持機能や研磨精度を低下させるような保持材への研磨液の浸透を抑制できる被研磨加工物の保持材およびこの保持材の製造方法の提供を解決しようとする課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る被研磨加工物の保持材は、第1の湿式凝固多孔質フィルムを上層とし、第2の湿式凝固多孔質フィルムを下層として、前記上層から下層への研磨液の透過を抑制する接着層を介して前記第1の湿式凝固多孔質フィルムと前記第2の湿式凝固多孔質フィルムとを積層状態で接着している、ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る被研磨加工物の保持材によれば、第1の湿式凝固多孔質フィルムの表面の開口による陰圧などの物理的接着性により被研磨加工物は接着保持されるとともに、第1の湿式凝固多孔質フィルムと第2の湿式凝固多孔質フィルムとを接着する接着層によって上層から下層への研磨液の透過が抑制されるので、保持材において基材として機能する第2の湿式凝固多孔質フィルムへ研磨液の水や砥粒などがほとんど浸透しなくなる。これにより、従来のように研磨液の水によって保持材が膨潤状態となることがないので、保持材内に研磨液の水が飽和することによる保持機能の低下という不具合や、保持した被研磨加工物の裏面側に砥粒などが回り込む不具合を回避できる。したがって、従来の単層のものに比して、保持機能は高く維持でき、被研磨加工物が研磨中に滑ることないよう確実性高く保持できることで、枠材を不要にできて、被研磨加工物と枠材との衝突も回避できる。
【0016】
また、被研磨加工物の裏面側に砥粒が回り込まないので、被研磨加工物の裏面の異常エッチングの発生を防止できる利点や、研磨後に被研磨加工物を再洗浄するなどの作業を省略することができる利点がある。さらに、保持界面には表面研削を行っていない第1の湿式凝固多孔質を用いることができるため、2層構造とした際には、基材側として第2の湿式凝固多孔質フィルムは成膜上下方向での上表面の研削加工を実施することができる。それにより、耐クリープ性が十分維持できたものとなっており、耐加圧性の優れたものとなっていて、研磨時に第1の湿式凝固多孔質フィルムから受ける圧縮変位力を第2の湿式凝固多孔質フィルムにより十分吸収できる。したがって、被研磨面において保持材の圧縮変位に差が生じていても保持材内における応力を均一にした高精度な研磨が行えるように、被研磨加工物を保持できる。
【0017】
ここで、保持材において上層とは被研磨加工物を密着保持する保持面を有する層であり、下層とは上層を支持するための基材層である。したがって、保持材を実際に使用する際には上層が下層の下側に位置する状態で使用することがあり、上下位置関係に対応して上層、下層としているわけではない。
【0018】
本発明に係る被研磨加工物の保持材は、5〜600μmの膜厚を有する前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを上層とし、研磨圧力が300gf/cm2以上1800gf/cm2以下の範囲において圧縮率が4.5以上60.0%以下の範囲に変形可能な前記第2の湿式凝固多孔質フィルムを下層として、前記両湿式凝固多孔質フィルムが前記接着層を介して接着された2層構造となっていることが好ましい。この場合、第1の湿式凝固多孔質フィルムの膜厚が5〜600μmの範囲内に含まれるものとすることによって、研磨液の水がそのフィルム中に飽和する状態となりにくく、かつ保持材としてのフィルムの精度が良好な薄膜状となっているので、被研磨加工物の保持力を長時間良好に維持できるとともに高精度な研磨を行うことができる。また、第2の湿式凝固多孔質フィルムは、研磨圧力が300gf/cm2以上1800gf/cm2以下の範囲において圧縮率が4.5以上60.0%以下の範囲に変形可能なものとなっているから、保持材の基材として適度な圧縮変形ができるものとなっており、変形量不足による研磨精度の極端な悪化や、変形量が大き過ぎることによるフィルム自体の変形が弾性変形とならずに元に戻らなくなり研磨精度を悪くするなどの不具合を解消できる。
【0019】
本発明に係る被研磨加工物の保持材は、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムと前記第2の湿式凝固多孔質フィルムとを接着シート材料によって貼り合わせていることが好ましい。この場合、予めシート状に構成された接着シート材料を第1または第2の湿式凝固多孔質フィルムに貼り付けた状態にした上で第1の湿式凝固多孔質フィルムと第2の湿式凝固多孔質フィルムとを接着することができるので、作業性がよいとともに、接着剤による第1の湿式凝固多孔質フィルム側から第2の湿式凝固多孔質フィルム側への水の浸透を抑制する機能も高いものとなっている。
【0020】
本発明に係る被研磨加工物の保持材は、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムの微細空孔は、その微細空孔における最大長径と最小短径との比率が0.2〜1.0の範囲内となる形状寸法を有していることが好ましい。この場合、第1の湿式凝固多孔質フィルムの被研磨加工物との密着性が高くなるなどの物理的な密着性能が向上するので、被研磨加工物の保持機能が高いものとなる。
【0021】
本発明に係る被研磨加工物の保持材は、非保持面には、両面テープを張り合わせていることが好ましい。この場合、保持材を上定盤などのキャリアプレートに取り付ける際に、その非保持面の両面テープの粘着面を外部にさらすように両面テープの粘着面保護シートを剥離すればよいから、保持材が取り扱い易くなる。
【0022】
本発明に係る被研磨加工物の保持材は、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを形成する過程において直接前記第2の湿式凝固多孔質フィルム上に前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを塗工形成していることが好ましい。この場合、先に第2の湿式凝固多孔質フィルムを作成しておいて、そのフィルム上に第1の湿式凝固多孔質フィルムを接着層を間に設ける状態で塗工形成し、水中抽出法などにより微細空孔を多数形成する発泡処理などを行うことで第1の湿式凝固多孔質フィルムを第2の湿式凝固多孔質フィルムと積層された状態で形成することができる。
【0023】
本発明に係る被研磨加工物の保持材は、表面研削処理を排した前記第2の湿式凝固多孔質フィルムの表面に、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを積層形成していることが好ましい。この場合、第2の湿式凝固多孔質フィルムの表面について研磨処理しない状態でその表面に第1の湿式凝固多孔質フィルムを積層するものであるから、第2の湿式凝固多孔質フィルムの厚みを十分確保できることで、第2の湿式凝固多孔質フィルムによる第1の湿式凝固多孔質フィルムの支持を良好に行えるとともに、第2の湿式多孔質フィルムにおける微細空孔の表面における開口面積は小さい状態で、第1の湿式凝固多孔質フィルムが積層形成されるので、研磨液の水が第1の湿式凝固多孔質フィルム側から第2の湿式凝固多孔質フィルム側へ一層浸透しにくくなっている。
【0024】
また、本発明に係る被研磨加工物の保持材は、前記第2の湿式凝固多孔質フィルムを形成する過程において直接前記第1の湿式凝固多孔質フィルム上に前記第2の湿式凝固多孔質フィルムを塗工形成していることが好ましい。
【0025】
本発明に係る被研磨加工物の保持材の製造方法は、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを基材フィルム上に塗工する工程と、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムの前記基材フィルムへの塗工面とは反対側の面で前記第2の湿式凝固多孔質フィルムの表面に前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを接着して、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムと前記第2の湿式凝固多孔質フィルムとを積層する工程とを有することが好ましい。
【0026】
本発明に係る被研磨加工物の保持材の製造方法によれば、製造工程の簡略化を図ることができるとともに、第1の湿式凝固多孔質フィルムの表面は、平滑性の高い基材フィルムの表面に対応した平滑性を有するものとなるため、被研磨加工物を保持する際の密着性がきわめて高いものとなり、その保持性能も高いものとなる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1〜図5は、本発明の実施の形態を示し、図1は、本発明の実施の形態に係る保持材を用いた研磨機での研磨の様子を示す概略側面図、図2は、図1で用いられる保持材を概略的に示す断面図、図3は、図2に示す保持材の上層における球状空孔の形態を示す断面図、図4は、比較例の保持材(a)と本発明に係る保持材(b)とにおける研磨加圧下での内部応力の発生の様子を側面視で示す概略説明図、図5は、本発明に係る保持材における湿式凝固多孔質フィルムにおける空孔の様子を示す電子顕微鏡写真である。
【0028】
図1を参照して、シリコンウェハやLCD用のガラス基板などの精密平面研磨が行われる被研磨加工物1は、上下方向に沿った軸心P1周りで回転駆動されるキャリアプレート2に感圧粘着材(PSA)3を介して本発明に係る保持材としてのバッキング材4を粘着固定している。バッキング材4には、例えばシリコンウェハなどの被研磨加工物5が密着されて保持されている。キャリアプレート2の下面と対向する研磨定盤6の上面の全面にわたって研磨布7が感圧粘着材(PSA)8を介して布設されている。研磨定盤6も軸心P1と平行な軸心P2周りで回転駆動されている。
【0029】
そして、図2を参照して、バッキング材4は、第1の湿式凝固多孔質フィルム9を上層とし、第2の湿式凝固多孔質フィルム10を下層として、接着層11を介して第1の湿式凝固多孔質フィルム9と第2の湿式凝固多孔質フィルム10とが積層された構成となっている。したがって、バッキング材4は、第1の湿式凝固多孔質フィルム9と第2の湿式凝固多孔質フィルム10とにより2層構造となっている。
【0030】
詳述すると、第1の湿式凝固多孔質フィルム9は、原料となるポリウレタンをPETフィルム上に塗工したものを、湿式凝固法により多数の高密度球状微小空孔を発泡形成したものである。この第1の湿式凝固多孔質フィルム9は、保持特性等の研磨精度以外の要求特性を担う上層に設定されている。また、この第1の湿式凝固多孔質フィルム9の膜厚は、5μm以上600μm以下の範囲内に設定されている。なお、第1の湿式凝固多孔質フィルム9は、その膜厚が5μm以上100μm以下の範囲内にあることがより好ましく、その膜厚が10μm以上70以下の範囲内にあることがより一層好ましい。
【0031】
その第1の湿式凝固多孔質フィルム9における各空孔sは、図3を参照して、その空孔sの最大長径をd1とし、その空孔sの最小短径をd2とすると、d2/d1の値が0.2以上で1.0以下の範囲に含まれる寸法比率の形状を有する空孔に形成されていることが好ましい。なお、図3においては、空孔sがフィルム厚み方向で最大長径が得られ、フィルムの面方向で最小短径が得られるものを示している。このような形状の空孔sであると、被研磨加工物を保持する際に少量なりとも噛み込んでしまう空気をフィルム内部へ比較的スムーズに除去でき研磨精度への悪影響を与えないとともに、第1の湿式凝固多孔質フィルムに高い撥水性をもたらすことができるという利点がある。
【0032】
一方、第2の湿式凝固多孔質フィルム10についても、原料となるポリウレタンをPETフィルム上に塗工したものを、湿式凝固法により多数の微細空孔を発泡形成したものである。この第2の湿式凝固多孔質フィルム10については、内部に多数形成された微細空孔のうち表面近くに位置するものによって外部に多数の開口が臨むものとなっている。その開口径は5μm程度である。そして、この第2の湿式凝固多孔質フィルム10上にホットメルトタイプの接着剤シート材料を載置させるとともに、その上に第1の湿式凝固多孔質フィルム9を載置して加熱圧着することにより接着剤シート材料が接着層11として第1および第2の湿式凝固多孔質フィルム9,10同士を接着することになる。この場合、第2の湿式凝固多孔質フィルム10について表面研削した状態で、その第2の湿式凝固多孔質フィルム10の表面にフィルム状の接着剤シート材料を接着させている。第2の湿式凝固多孔質フィルム10の表面研削を行うことで、保持材精度を高精度化した第2の湿式凝固多孔質フィルム10を下層つまり研磨精度担当層としている。なお、接着層11は、研磨液の水などを浸透させにくい材質のもの(具体的な例として、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアミド、エチレン酢酸ビニル共重合体などから選択される接着剤)を用いているのであって、研磨時において第1の湿式凝固多孔質フィルム9に研磨液が浸透した状態となっても、その浸透した研磨液は接着層10により第2の湿式凝固多孔質フィルム10側に浸透することが抑制される。これにより、第2の湿式凝固多孔質フィルム10の各空孔内が研磨液の水で飽和することがないように維持される。
【0033】
また、第1の湿式凝固多孔質フィルム9は、その膜厚が5μm以上600μm以下の範囲内に設定されているから、研磨液の水分が空孔内に飽和することの抑制機能が高いものとなっているとともに、研磨時のフィルムの平坦化処理を行う際のフィルムの精度が良好なものとなっている。すなわち、第1の湿式凝固多孔質フィルム9の膜厚が5μmよりも小さい場合、そのフィルム9において研磨液の水分が比較的研磨の早期に飽和状態となり、均一な膜厚のフィルムを作成することが難しいのに対して、本発明に係る実施の形態では、研磨液の飽和が抑制される。逆に、第1の湿式凝固多孔質フィルム9の膜厚が600μmよりも大の場合、フィルム精度が悪化する(具体的には、単位体積当たりの塗工量を増加すれば塗工精度は必然的に悪化の傾向をとり、塗工精度はフィルム精度と相関関係にある結果、第2層に持たせた精度の振幅変動を吸収でき得る許容範囲を越える)ことにより研磨精度が低下し、研磨品質の低下のおそれがあるとともに、第1の湿式凝固多孔質フィルム9が研磨液の水分で飽和した状態となったときに回復しにくいなど問題があるのに対して、本発明に係る実施の形態では、フィルム精度が良好な状態を長期に維持できるとともに、例え研磨液の水分でフィルムが飽和した場合でも使用可能な状態へ回復し易い。なお、この第1の湿式凝固多孔質フィルム9の場合、内部に多数形成された微細空孔のうち表面近くに位置するものによって外部に多数の開口が臨むものとなっている。その開口径は、5μm程度である。
【0034】
第2の湿式凝固多孔質フィルム10は、その多孔質構造により、研磨圧力が300gf/cm2以上1800gf/cm2以下の範囲において圧縮率が4.5以上60.0%以下の範囲に変形可能なものとなっている。これにより、第2の湿式凝固多孔質フィルム10は、保持材の基材として適度な圧縮変形ができるものとなっており、変形量不足による研磨精度の極端な悪化や、変形量が大き過ぎることによるフィルム自体の変形が弾性変形とならずに元に戻らなくなり研磨精度を悪くするなどの不具合を解消できる。
【0035】
さらに、第2の湿式凝固多孔質フィルム10の接着層11が設けられている面とは反対側の面、すなわち被研磨加工物5を保持する面ではない非保持面には、両面テープ12が粘着されて貼り付けられている。この両面テープ12の粘着層13が感圧粘着層3となる。バッキング材4をキャリアプレート2に貼り付けていない状態では、剥型シート14が粘着層13を被覆しているので取り扱いやすくなっている。
【0036】
なお、本発明に係る保持材(バッキング材)の第1および第2の湿式凝固多孔質フィルムの原材料としてはポリウレタンのみでなく、ポリアミド、ポリアミドイミドなどから選択した熱可塑性樹脂の溶剤溶液を水中抽出して形成される多孔質フィルムを採用してもよい。すなわち、その多孔質フィルムの材料として好ましくはポリエーテル系、ポリエステル系あるいはポリカーボネート系のポリウレタンや、ポリアミド、ポリアミドイミドなどを用いてもよい。
【0037】
上記2層の接着を行うために熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアミド、エチレン酢酸ビニル共重合体等からなるフィルム状ホットメルト接着剤を用いて下層へ接着した後、さらに上層を接着し2層構造とした。この接着層は、下層への水分飽和状態を抑制する止水層とした。
【0038】
この構成により保持材による保持精度が確保され、かつ上層の高密度な球体状微小孔は水分の浸入を遅延させる機能や裏面へ水が回り込むことを抑制する機能を果たす。
【0039】
本発明は上記実施の形態の構成に限定されるものではなく、例えば次の変形例や応用例があげられる。
【0040】
(1)上記実施の形態では、第2の湿式凝固多孔質フィルムの表面について表面研削処理した後、第1の湿式凝固多孔質フィルムを接着したものを示したが、第2の湿式凝固多孔質フィルムについて作製された状態のまま表面研削することなく、第1の湿式凝固多孔質フィルムを接着してもよい。
【0041】
(2)保持材の作製方法として、先に第2の湿式凝固多孔質フィルムを作製し、その第2の湿式凝固多孔質フィルム上に接着層を形成した上でポリウレタンなどの発泡可能な樹脂を塗工し、その塗工した樹脂について湿式凝固により高密度の球状空孔を発泡形成することで第1の湿式凝固多孔質フィルムを作製してもよい。
【0042】
(3)保持材の作製方法として、先に第1の湿式凝固多孔質フィルムを作製し、その第1の湿式凝固多孔質フィルムに直接または表面に接着層を形成した上でポリウレタン等の発泡可能な樹脂を塗工し、その塗工した樹脂について湿式凝固により高密度の球状空孔を発泡形成することで第1の湿式凝固多孔質フィルムを作製してもよい。
【0043】
【実施例】
次に本発明に係る保持材の実施例について説明する。
【0044】
ポリウレタンを原料とする第2の湿式凝固多孔質フィルムをPETフィルム基材を考慮に入れた厚み1200μm、圧縮率37.7%で形成して作製した。また、別途ポリウレタンを原料として多数の球状空孔を高密度で備える第1の湿式凝固多孔質フィルムを厚み150μmに作製した。第2の湿式凝固多孔質フィルムと第1の作製された高密度・薄膜湿式凝固多孔質フィルム、保持材厚み150μmをホットメルトタイプの接着シート材料を用いて接着した。
【0045】
表面層である第1の湿式凝固多孔質フィルムが、保持界面として湿式凝固の成膜工程における表面を利用する必要はなく、通常その成膜工程中で使用するPETフィルム等の基材へコーティングさせることにより、2層構造化の工程内で上下の位置関係を反転させて成膜表面を接着界面とし、また、PETフィルム基材界面を保持面として適応することもできる。これにより生産工程の簡略化及びPETフィルムの優れた表面平滑性を利用して密着性を高めることができる。
【0046】
下層基材シート及び上層は、原材料はポリウレタンのみではなく、ポリアミド・ポリアミドイミド等からなる熱可塑性樹脂の溶剤溶液を水中抽出させることなどにより得られる球状微細空孔(できれば複数の空孔同士が連通する微細連通空孔であることが好ましい)を有していることが平坦な研磨を行い得るための必要条件であり、非多孔質フィルムのシートであってはならない。なぜなら保持材を固定する研磨機のキャリア自体厚み精度及び保持材固定用の部材(両面テープなど)の厚み精度、保持材自体の厚み精度を吸収し研磨精度の向上を担っているのが保持材の要求特性の一つといえる。図4(a)に比較例として示すように、内部に異なる構成材料を含まない非多孔質フィルムのシートを保持材として利用した場合、圧縮変位に対するヤング率(縦弾性係数)が一定になり、保持材内部で発生する応力は、各部位での圧縮変位量に応じて異なってくる。結果として上記のような部位間の応力差により研磨速度の変化が発生してしまい、研磨精度の悪化を引き起こす。図4(a),(b)において応力を上向きのベクトル(矢印)で示している。
【0047】
しかしながら、保持材の構成の中に空孔及び連通空孔が形成されている第1の湿式凝固多孔質フィルムの場合においては、図5に電子顕微鏡(SEM)による撮像画像として発泡層の様子を示すように、空孔の中には隣り合う空孔と連通した空孔が3次元的に上下左右前後で連通したものが形成されていることもあって、内部の構造は空気もしくは水という3次元的に自由度が限りなく高い物質が必ず存在し、上下左右前後に自由に移動を行うまたは行い易いため、上記縦弾性係数が面内では一定ではない。このため、厚み精度の変極部位や平坦性の優れた部位を含めた保持面全てにおいて圧縮変位の差異に対する発生する応力は、図4(b)に示すように、一定になりその結果要求される研磨精度が達成できる。図4(a),(b)において、破線は研磨を行っていない無負荷のときの保持材精度自体やキャリア精度の影響を受けた保持材の表面のうねりなどの振幅を示す。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第1の湿式凝固多孔質フィルムの表面の開口による陰圧などの物理的接着性により被研磨加工物は接着保持されるとともに、第1の湿式凝固多孔質フィルムと第2の湿式凝固多孔質フィルムとを接着する接着層によって上層から下層への研磨液の透過が抑制されるので、保持材において基材として機能する第2の湿式凝固多孔質フィルムへ研磨液の水や砥粒などがほとんど浸透しなくなる。これにより、従来のように研磨液の水によって保持材が飽和状態となることがないので、保持材内に研磨液の水が飽和することによる保持機能の低下という不具合や、保持した被研磨加工物の裏面側に砥粒などが回り込む不具合を回避できる。したがって、従来の単層のものに比して、保持機能は高く維持でき、被研磨加工物が研磨中に滑ることないよう確実性高く保持できることで、枠材を不要にできて、被研磨加工物と枠材との衝突も回避できる。
【0049】
また、被研磨加工物の裏面側に砥粒が回り込まないので、被研磨加工物の裏面の異常エッチングの発生を防止できる利点や、研磨後に被研磨加工物を再洗浄するなどの作業を省略することができる利点がある。さらに、基材側として第2の湿式凝固多孔質フィルムによって研磨時の加圧方向での第1の湿式凝固多孔質フィルムの支持が行え、この第2の湿式凝固多孔質フィルムではその多孔質の空孔による圧縮方向で変形しやすくなっているので、耐クリープ性が十分維持できたものとなっており、耐加圧性の優れたものとなっていて、研磨時に第1の湿式凝固多孔質フィルムから受ける圧縮変位力を第2の湿式凝固多孔質フィルムにより十分吸収できる。したがって、被研磨面において保持材の圧縮変位に差が生じていても保持材内における応力を均一にした高精度な研磨が行えるように、被研磨加工物を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る保持材を用いた研磨機での研磨の様子を示す概略側面図
【図2】図1で用いられる保持材を概略的に示す断面図
【図3】図2に示す保持材の上層における球状空孔の形態を示す断面図
【図4】比較例の保持材(a)と本発明に係る保持材(b)とにおける研磨加圧下での内部応力の発生の様子を側面視で示す概略説明図
【図5】本発明に係る保持材における湿式凝固多孔質フィルムにおける空孔の様子を示す電子顕微鏡写真
【図6】従来の保持材を用いた研磨機での研磨の様子を示す概略側面図
【図7】従来の保持材の表面の電子顕微鏡写真(a)と従来の保持材の縦断面の電子顕微鏡写真(b)。
【図8】ウェハ用(a)およびガラス板用(b)の保持材をそれぞれ示す電子顕微鏡写真。
【図9】図6に示す従来の保持材と被研磨加工物とを示す縦断面図
【図10】従来の単一層の湿式凝固多孔質フィルムからなる保持材の縦断面の電子顕微鏡写真
【符号の説明】
4 保持材
9 上層(第1の湿式凝固多孔質フィルム)
10 下層(第2の湿式凝固多孔質フィルム)
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として被研磨物の研磨面の平坦度が高い精密研磨を行うのに用いられる被研磨加工物の保持材およびこの保持材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体ウェハ、半導体デバイスの層間絶縁膜及びメタル配線、各種記録用ディスク、LCD用ガラス等の精密平面研磨は、回転する定盤に装着された人工皮革様の研磨布と、定盤面に対向配置した回転可能な被研磨加工物保持プレートで保持された被研磨加工物との間に研磨スラリーを供給して、被研磨加工物及び研磨布を互いに摺動させることにより行われてきた。
【0003】
例えば、図6に示すように、下定盤6の上面に研磨布7を貼り付けるとともに、上定盤2を被研磨加工物保持プレートとしてその下面に保持材4およびテンプレート20を固定し、該テンプレート20に設けられた被研磨加工物保持用リセスに半導体ウェハなどの被研磨加工物5を配置し、上下定盤2,6を面同士対向させた状態で相対的に回転させるとともに、研磨スラリーを研磨布7上に供給しながら半導体ウェハなどの被研磨加工物5を研磨布7に押圧することで被研磨加工物5の表面研磨を行う(特許文献1参照)。
【0004】
このようにして研磨を行う場合、図7(a),(b)を参照して、従来における被研磨加工物の保持材(いわゆるバッキング材)は、ポリウレタン中の溶剤を水中抽出によって得られる単層を成す湿式凝固多孔質フィルム表面(以下、銀面と称する)を表面研削することによって、非常に多数の微小空孔を表面に開口させた後、研磨中に研磨せん断力によって被研磨加工物が飛び出さないようにするためのテンプレートと呼ばれる枠材を湿式凝固多孔質フィルムに接着する一体構成の形態をとって、被研磨加工物は枠体内に装着される。被研磨加工物は、湿式凝固多孔質フィルムに飽和した水の表面張力などによって吸着保持されるようにしている。なお、図7(a)は、表面研削後の湿式凝固多孔質フィルムの表面を平面視により電子顕微鏡で撮像した写真であり、図7(b)は、表面研削後の湿式凝固多孔質フィルムの縦断側面を電子顕微鏡で撮像した写真である。図8に示すようなシリコンウェハのように円板状の被研磨加工物を保持するテンプレートは円環状のテンプレート20(図8(a)参照)を用い、LCDのガラス板のように矩形板状の被研磨加工物を保持するテンプレートは矩形枠状のテンプレート20を用いる。
【0005】
また、上記枠材を持たないタイプでも、図10の湿式凝固多孔質フィルムの縦断面を電子顕微鏡で撮像した写真として示すように、表面研削を行っていない湿式凝固多孔質フィルムの被研磨加工物保持材も提案されている。このスエード調被研磨加工物保持剤は、その表面に内部に生じた空孔よりも非常に微細な空孔が多数形成されているから、湿式凝固多孔質フィルムの表面の研削を行わないことにより残る銀面の摩擦係数などにより作用する密着作用及び限りなく密接な密着状態から発生する分子間力、水中抽出により得られた空孔による保持材表面の微小開口と撥水機能を付与して得られた表面張力から空気のみを内部へ通気させ発生する陰圧作用等を単一ないし複合的に保持能力として利用した単一層構造の湿式凝固多孔質フィルムからなるものである。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−355758(全頁、図1、図3)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
テンプレート方式においては、図9を参照して、テンプレート20と被研磨加工物5との間に若干の隙間Gがあるため、研磨中にテンプレート20内で保持された被研磨加工物5は上記隙間G分若干ながら水平方向へ自由にスライド移動する現象が発生してしまう。その結果、被研磨加工物5の端縁とテンプレート20とが衝突することがあり、この衝突などによって、研磨基板端面の欠けが生じるおそれや応力集中が発生することで被研磨加工物5の端面近くでの研磨精度が悪化してしまうおそれがあった。また、テンプレート20を使用することによる部品点数の増大により、生産コストの上昇も問題になる。
【0008】
したがって、従来のテンプレートを有する保持材においては、コスト削減は困難であり、研磨に投入する研磨基板の寸法公差の安全率及び加工精度を考慮した際にはこれ以上の枠材寸法の余裕を縮小し端面の不具合を解消することも困難である。
【0009】
テンプレートを持たない単一層構造の湿式凝固多孔質フィルムにおいては、未加工表面の特徴を活かして水分を殆ど介さない密着作用等の保持機能を発生させているが、多孔質構造自体が溶剤抽出の軌跡であるため、その表面には物理的な開口が必然的に発生している。この開口により撥水処理等の特殊処理を実施したとしても研磨使用条件下の時系列変化において保持材内部の空孔への水分の浸入が発生してしまう。その状態になると、比較的短時間で保持材自体が水分による内部飽和状態になり、保持材と被研磨加工物との界面に内部の水分が再度回帰してくる現象が生じるため、保持材と被研磨加工物との間において滑りが発生し易くなり、保持力が低下する。
【0010】
また、被研磨加工物の裏面(保持材に保持されている面)への研磨液の浸透も上記現象を生じさせるメカニズムにより短時間(1度の研磨処理中においても)で発生し、被研磨加工物の裏面への砥粒の付着や砥粒による被研磨加工物裏面の不要なエッチングにより研磨後の再洗浄を考慮した水研磨を実施する必要性が使用経過とともに増大する。さらに、保持材の使用寿命経過後においては、内部からの水分抽出・乾燥による再使用も、研磨精度確保の点で保持材のその厚みを厚くとる必要があるため、水分抽出や乾燥に時間が非常に係るため困難である。
【0011】
その他の問題点としては、銀面を残留させることによって上記保持機能を果たすこの従来の保持材は、保持材精度を平滑にして研磨精度を確保するため、成膜上下方向での下表面の研削加工を実施することが多いが、副作用として耐クリープ性を担う構造の基礎を削除してしまうことになるため、連続的な加圧に弱くその保持材に永久歪みを発生させ易い。逆に保持界面(この場合銀面)を研削加工すると表面開口(直径5μmを上回る)の発生により、様々な保持効果は低減してしまうため、単一構造の保持体としては機能しなくなる。
【0012】
したがって、保持材として単一構造の湿式凝固多孔質フィルムのみを用いる従来のものにおいては、研磨精度及びコスト面での有効性があっても、単一層であるが故に、保持材精度及び撥水性の維持を確保することは困難である。
【0013】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであって、テンプレートを用いることなく高い保持機能を有するとともに、保持機能や研磨精度を低下させるような保持材への研磨液の浸透を抑制できる被研磨加工物の保持材およびこの保持材の製造方法の提供を解決しようとする課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る被研磨加工物の保持材は、第1の湿式凝固多孔質フィルムを上層とし、第2の湿式凝固多孔質フィルムを下層として、前記上層から下層への研磨液の透過を抑制する接着層を介して前記第1の湿式凝固多孔質フィルムと前記第2の湿式凝固多孔質フィルムとを積層状態で接着している、ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る被研磨加工物の保持材によれば、第1の湿式凝固多孔質フィルムの表面の開口による陰圧などの物理的接着性により被研磨加工物は接着保持されるとともに、第1の湿式凝固多孔質フィルムと第2の湿式凝固多孔質フィルムとを接着する接着層によって上層から下層への研磨液の透過が抑制されるので、保持材において基材として機能する第2の湿式凝固多孔質フィルムへ研磨液の水や砥粒などがほとんど浸透しなくなる。これにより、従来のように研磨液の水によって保持材が膨潤状態となることがないので、保持材内に研磨液の水が飽和することによる保持機能の低下という不具合や、保持した被研磨加工物の裏面側に砥粒などが回り込む不具合を回避できる。したがって、従来の単層のものに比して、保持機能は高く維持でき、被研磨加工物が研磨中に滑ることないよう確実性高く保持できることで、枠材を不要にできて、被研磨加工物と枠材との衝突も回避できる。
【0016】
また、被研磨加工物の裏面側に砥粒が回り込まないので、被研磨加工物の裏面の異常エッチングの発生を防止できる利点や、研磨後に被研磨加工物を再洗浄するなどの作業を省略することができる利点がある。さらに、保持界面には表面研削を行っていない第1の湿式凝固多孔質を用いることができるため、2層構造とした際には、基材側として第2の湿式凝固多孔質フィルムは成膜上下方向での上表面の研削加工を実施することができる。それにより、耐クリープ性が十分維持できたものとなっており、耐加圧性の優れたものとなっていて、研磨時に第1の湿式凝固多孔質フィルムから受ける圧縮変位力を第2の湿式凝固多孔質フィルムにより十分吸収できる。したがって、被研磨面において保持材の圧縮変位に差が生じていても保持材内における応力を均一にした高精度な研磨が行えるように、被研磨加工物を保持できる。
【0017】
ここで、保持材において上層とは被研磨加工物を密着保持する保持面を有する層であり、下層とは上層を支持するための基材層である。したがって、保持材を実際に使用する際には上層が下層の下側に位置する状態で使用することがあり、上下位置関係に対応して上層、下層としているわけではない。
【0018】
本発明に係る被研磨加工物の保持材は、5〜600μmの膜厚を有する前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを上層とし、研磨圧力が300gf/cm2以上1800gf/cm2以下の範囲において圧縮率が4.5以上60.0%以下の範囲に変形可能な前記第2の湿式凝固多孔質フィルムを下層として、前記両湿式凝固多孔質フィルムが前記接着層を介して接着された2層構造となっていることが好ましい。この場合、第1の湿式凝固多孔質フィルムの膜厚が5〜600μmの範囲内に含まれるものとすることによって、研磨液の水がそのフィルム中に飽和する状態となりにくく、かつ保持材としてのフィルムの精度が良好な薄膜状となっているので、被研磨加工物の保持力を長時間良好に維持できるとともに高精度な研磨を行うことができる。また、第2の湿式凝固多孔質フィルムは、研磨圧力が300gf/cm2以上1800gf/cm2以下の範囲において圧縮率が4.5以上60.0%以下の範囲に変形可能なものとなっているから、保持材の基材として適度な圧縮変形ができるものとなっており、変形量不足による研磨精度の極端な悪化や、変形量が大き過ぎることによるフィルム自体の変形が弾性変形とならずに元に戻らなくなり研磨精度を悪くするなどの不具合を解消できる。
【0019】
本発明に係る被研磨加工物の保持材は、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムと前記第2の湿式凝固多孔質フィルムとを接着シート材料によって貼り合わせていることが好ましい。この場合、予めシート状に構成された接着シート材料を第1または第2の湿式凝固多孔質フィルムに貼り付けた状態にした上で第1の湿式凝固多孔質フィルムと第2の湿式凝固多孔質フィルムとを接着することができるので、作業性がよいとともに、接着剤による第1の湿式凝固多孔質フィルム側から第2の湿式凝固多孔質フィルム側への水の浸透を抑制する機能も高いものとなっている。
【0020】
本発明に係る被研磨加工物の保持材は、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムの微細空孔は、その微細空孔における最大長径と最小短径との比率が0.2〜1.0の範囲内となる形状寸法を有していることが好ましい。この場合、第1の湿式凝固多孔質フィルムの被研磨加工物との密着性が高くなるなどの物理的な密着性能が向上するので、被研磨加工物の保持機能が高いものとなる。
【0021】
本発明に係る被研磨加工物の保持材は、非保持面には、両面テープを張り合わせていることが好ましい。この場合、保持材を上定盤などのキャリアプレートに取り付ける際に、その非保持面の両面テープの粘着面を外部にさらすように両面テープの粘着面保護シートを剥離すればよいから、保持材が取り扱い易くなる。
【0022】
本発明に係る被研磨加工物の保持材は、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを形成する過程において直接前記第2の湿式凝固多孔質フィルム上に前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを塗工形成していることが好ましい。この場合、先に第2の湿式凝固多孔質フィルムを作成しておいて、そのフィルム上に第1の湿式凝固多孔質フィルムを接着層を間に設ける状態で塗工形成し、水中抽出法などにより微細空孔を多数形成する発泡処理などを行うことで第1の湿式凝固多孔質フィルムを第2の湿式凝固多孔質フィルムと積層された状態で形成することができる。
【0023】
本発明に係る被研磨加工物の保持材は、表面研削処理を排した前記第2の湿式凝固多孔質フィルムの表面に、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを積層形成していることが好ましい。この場合、第2の湿式凝固多孔質フィルムの表面について研磨処理しない状態でその表面に第1の湿式凝固多孔質フィルムを積層するものであるから、第2の湿式凝固多孔質フィルムの厚みを十分確保できることで、第2の湿式凝固多孔質フィルムによる第1の湿式凝固多孔質フィルムの支持を良好に行えるとともに、第2の湿式多孔質フィルムにおける微細空孔の表面における開口面積は小さい状態で、第1の湿式凝固多孔質フィルムが積層形成されるので、研磨液の水が第1の湿式凝固多孔質フィルム側から第2の湿式凝固多孔質フィルム側へ一層浸透しにくくなっている。
【0024】
また、本発明に係る被研磨加工物の保持材は、前記第2の湿式凝固多孔質フィルムを形成する過程において直接前記第1の湿式凝固多孔質フィルム上に前記第2の湿式凝固多孔質フィルムを塗工形成していることが好ましい。
【0025】
本発明に係る被研磨加工物の保持材の製造方法は、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを基材フィルム上に塗工する工程と、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムの前記基材フィルムへの塗工面とは反対側の面で前記第2の湿式凝固多孔質フィルムの表面に前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを接着して、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムと前記第2の湿式凝固多孔質フィルムとを積層する工程とを有することが好ましい。
【0026】
本発明に係る被研磨加工物の保持材の製造方法によれば、製造工程の簡略化を図ることができるとともに、第1の湿式凝固多孔質フィルムの表面は、平滑性の高い基材フィルムの表面に対応した平滑性を有するものとなるため、被研磨加工物を保持する際の密着性がきわめて高いものとなり、その保持性能も高いものとなる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1〜図5は、本発明の実施の形態を示し、図1は、本発明の実施の形態に係る保持材を用いた研磨機での研磨の様子を示す概略側面図、図2は、図1で用いられる保持材を概略的に示す断面図、図3は、図2に示す保持材の上層における球状空孔の形態を示す断面図、図4は、比較例の保持材(a)と本発明に係る保持材(b)とにおける研磨加圧下での内部応力の発生の様子を側面視で示す概略説明図、図5は、本発明に係る保持材における湿式凝固多孔質フィルムにおける空孔の様子を示す電子顕微鏡写真である。
【0028】
図1を参照して、シリコンウェハやLCD用のガラス基板などの精密平面研磨が行われる被研磨加工物1は、上下方向に沿った軸心P1周りで回転駆動されるキャリアプレート2に感圧粘着材(PSA)3を介して本発明に係る保持材としてのバッキング材4を粘着固定している。バッキング材4には、例えばシリコンウェハなどの被研磨加工物5が密着されて保持されている。キャリアプレート2の下面と対向する研磨定盤6の上面の全面にわたって研磨布7が感圧粘着材(PSA)8を介して布設されている。研磨定盤6も軸心P1と平行な軸心P2周りで回転駆動されている。
【0029】
そして、図2を参照して、バッキング材4は、第1の湿式凝固多孔質フィルム9を上層とし、第2の湿式凝固多孔質フィルム10を下層として、接着層11を介して第1の湿式凝固多孔質フィルム9と第2の湿式凝固多孔質フィルム10とが積層された構成となっている。したがって、バッキング材4は、第1の湿式凝固多孔質フィルム9と第2の湿式凝固多孔質フィルム10とにより2層構造となっている。
【0030】
詳述すると、第1の湿式凝固多孔質フィルム9は、原料となるポリウレタンをPETフィルム上に塗工したものを、湿式凝固法により多数の高密度球状微小空孔を発泡形成したものである。この第1の湿式凝固多孔質フィルム9は、保持特性等の研磨精度以外の要求特性を担う上層に設定されている。また、この第1の湿式凝固多孔質フィルム9の膜厚は、5μm以上600μm以下の範囲内に設定されている。なお、第1の湿式凝固多孔質フィルム9は、その膜厚が5μm以上100μm以下の範囲内にあることがより好ましく、その膜厚が10μm以上70以下の範囲内にあることがより一層好ましい。
【0031】
その第1の湿式凝固多孔質フィルム9における各空孔sは、図3を参照して、その空孔sの最大長径をd1とし、その空孔sの最小短径をd2とすると、d2/d1の値が0.2以上で1.0以下の範囲に含まれる寸法比率の形状を有する空孔に形成されていることが好ましい。なお、図3においては、空孔sがフィルム厚み方向で最大長径が得られ、フィルムの面方向で最小短径が得られるものを示している。このような形状の空孔sであると、被研磨加工物を保持する際に少量なりとも噛み込んでしまう空気をフィルム内部へ比較的スムーズに除去でき研磨精度への悪影響を与えないとともに、第1の湿式凝固多孔質フィルムに高い撥水性をもたらすことができるという利点がある。
【0032】
一方、第2の湿式凝固多孔質フィルム10についても、原料となるポリウレタンをPETフィルム上に塗工したものを、湿式凝固法により多数の微細空孔を発泡形成したものである。この第2の湿式凝固多孔質フィルム10については、内部に多数形成された微細空孔のうち表面近くに位置するものによって外部に多数の開口が臨むものとなっている。その開口径は5μm程度である。そして、この第2の湿式凝固多孔質フィルム10上にホットメルトタイプの接着剤シート材料を載置させるとともに、その上に第1の湿式凝固多孔質フィルム9を載置して加熱圧着することにより接着剤シート材料が接着層11として第1および第2の湿式凝固多孔質フィルム9,10同士を接着することになる。この場合、第2の湿式凝固多孔質フィルム10について表面研削した状態で、その第2の湿式凝固多孔質フィルム10の表面にフィルム状の接着剤シート材料を接着させている。第2の湿式凝固多孔質フィルム10の表面研削を行うことで、保持材精度を高精度化した第2の湿式凝固多孔質フィルム10を下層つまり研磨精度担当層としている。なお、接着層11は、研磨液の水などを浸透させにくい材質のもの(具体的な例として、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアミド、エチレン酢酸ビニル共重合体などから選択される接着剤)を用いているのであって、研磨時において第1の湿式凝固多孔質フィルム9に研磨液が浸透した状態となっても、その浸透した研磨液は接着層10により第2の湿式凝固多孔質フィルム10側に浸透することが抑制される。これにより、第2の湿式凝固多孔質フィルム10の各空孔内が研磨液の水で飽和することがないように維持される。
【0033】
また、第1の湿式凝固多孔質フィルム9は、その膜厚が5μm以上600μm以下の範囲内に設定されているから、研磨液の水分が空孔内に飽和することの抑制機能が高いものとなっているとともに、研磨時のフィルムの平坦化処理を行う際のフィルムの精度が良好なものとなっている。すなわち、第1の湿式凝固多孔質フィルム9の膜厚が5μmよりも小さい場合、そのフィルム9において研磨液の水分が比較的研磨の早期に飽和状態となり、均一な膜厚のフィルムを作成することが難しいのに対して、本発明に係る実施の形態では、研磨液の飽和が抑制される。逆に、第1の湿式凝固多孔質フィルム9の膜厚が600μmよりも大の場合、フィルム精度が悪化する(具体的には、単位体積当たりの塗工量を増加すれば塗工精度は必然的に悪化の傾向をとり、塗工精度はフィルム精度と相関関係にある結果、第2層に持たせた精度の振幅変動を吸収でき得る許容範囲を越える)ことにより研磨精度が低下し、研磨品質の低下のおそれがあるとともに、第1の湿式凝固多孔質フィルム9が研磨液の水分で飽和した状態となったときに回復しにくいなど問題があるのに対して、本発明に係る実施の形態では、フィルム精度が良好な状態を長期に維持できるとともに、例え研磨液の水分でフィルムが飽和した場合でも使用可能な状態へ回復し易い。なお、この第1の湿式凝固多孔質フィルム9の場合、内部に多数形成された微細空孔のうち表面近くに位置するものによって外部に多数の開口が臨むものとなっている。その開口径は、5μm程度である。
【0034】
第2の湿式凝固多孔質フィルム10は、その多孔質構造により、研磨圧力が300gf/cm2以上1800gf/cm2以下の範囲において圧縮率が4.5以上60.0%以下の範囲に変形可能なものとなっている。これにより、第2の湿式凝固多孔質フィルム10は、保持材の基材として適度な圧縮変形ができるものとなっており、変形量不足による研磨精度の極端な悪化や、変形量が大き過ぎることによるフィルム自体の変形が弾性変形とならずに元に戻らなくなり研磨精度を悪くするなどの不具合を解消できる。
【0035】
さらに、第2の湿式凝固多孔質フィルム10の接着層11が設けられている面とは反対側の面、すなわち被研磨加工物5を保持する面ではない非保持面には、両面テープ12が粘着されて貼り付けられている。この両面テープ12の粘着層13が感圧粘着層3となる。バッキング材4をキャリアプレート2に貼り付けていない状態では、剥型シート14が粘着層13を被覆しているので取り扱いやすくなっている。
【0036】
なお、本発明に係る保持材(バッキング材)の第1および第2の湿式凝固多孔質フィルムの原材料としてはポリウレタンのみでなく、ポリアミド、ポリアミドイミドなどから選択した熱可塑性樹脂の溶剤溶液を水中抽出して形成される多孔質フィルムを採用してもよい。すなわち、その多孔質フィルムの材料として好ましくはポリエーテル系、ポリエステル系あるいはポリカーボネート系のポリウレタンや、ポリアミド、ポリアミドイミドなどを用いてもよい。
【0037】
上記2層の接着を行うために熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアミド、エチレン酢酸ビニル共重合体等からなるフィルム状ホットメルト接着剤を用いて下層へ接着した後、さらに上層を接着し2層構造とした。この接着層は、下層への水分飽和状態を抑制する止水層とした。
【0038】
この構成により保持材による保持精度が確保され、かつ上層の高密度な球体状微小孔は水分の浸入を遅延させる機能や裏面へ水が回り込むことを抑制する機能を果たす。
【0039】
本発明は上記実施の形態の構成に限定されるものではなく、例えば次の変形例や応用例があげられる。
【0040】
(1)上記実施の形態では、第2の湿式凝固多孔質フィルムの表面について表面研削処理した後、第1の湿式凝固多孔質フィルムを接着したものを示したが、第2の湿式凝固多孔質フィルムについて作製された状態のまま表面研削することなく、第1の湿式凝固多孔質フィルムを接着してもよい。
【0041】
(2)保持材の作製方法として、先に第2の湿式凝固多孔質フィルムを作製し、その第2の湿式凝固多孔質フィルム上に接着層を形成した上でポリウレタンなどの発泡可能な樹脂を塗工し、その塗工した樹脂について湿式凝固により高密度の球状空孔を発泡形成することで第1の湿式凝固多孔質フィルムを作製してもよい。
【0042】
(3)保持材の作製方法として、先に第1の湿式凝固多孔質フィルムを作製し、その第1の湿式凝固多孔質フィルムに直接または表面に接着層を形成した上でポリウレタン等の発泡可能な樹脂を塗工し、その塗工した樹脂について湿式凝固により高密度の球状空孔を発泡形成することで第1の湿式凝固多孔質フィルムを作製してもよい。
【0043】
【実施例】
次に本発明に係る保持材の実施例について説明する。
【0044】
ポリウレタンを原料とする第2の湿式凝固多孔質フィルムをPETフィルム基材を考慮に入れた厚み1200μm、圧縮率37.7%で形成して作製した。また、別途ポリウレタンを原料として多数の球状空孔を高密度で備える第1の湿式凝固多孔質フィルムを厚み150μmに作製した。第2の湿式凝固多孔質フィルムと第1の作製された高密度・薄膜湿式凝固多孔質フィルム、保持材厚み150μmをホットメルトタイプの接着シート材料を用いて接着した。
【0045】
表面層である第1の湿式凝固多孔質フィルムが、保持界面として湿式凝固の成膜工程における表面を利用する必要はなく、通常その成膜工程中で使用するPETフィルム等の基材へコーティングさせることにより、2層構造化の工程内で上下の位置関係を反転させて成膜表面を接着界面とし、また、PETフィルム基材界面を保持面として適応することもできる。これにより生産工程の簡略化及びPETフィルムの優れた表面平滑性を利用して密着性を高めることができる。
【0046】
下層基材シート及び上層は、原材料はポリウレタンのみではなく、ポリアミド・ポリアミドイミド等からなる熱可塑性樹脂の溶剤溶液を水中抽出させることなどにより得られる球状微細空孔(できれば複数の空孔同士が連通する微細連通空孔であることが好ましい)を有していることが平坦な研磨を行い得るための必要条件であり、非多孔質フィルムのシートであってはならない。なぜなら保持材を固定する研磨機のキャリア自体厚み精度及び保持材固定用の部材(両面テープなど)の厚み精度、保持材自体の厚み精度を吸収し研磨精度の向上を担っているのが保持材の要求特性の一つといえる。図4(a)に比較例として示すように、内部に異なる構成材料を含まない非多孔質フィルムのシートを保持材として利用した場合、圧縮変位に対するヤング率(縦弾性係数)が一定になり、保持材内部で発生する応力は、各部位での圧縮変位量に応じて異なってくる。結果として上記のような部位間の応力差により研磨速度の変化が発生してしまい、研磨精度の悪化を引き起こす。図4(a),(b)において応力を上向きのベクトル(矢印)で示している。
【0047】
しかしながら、保持材の構成の中に空孔及び連通空孔が形成されている第1の湿式凝固多孔質フィルムの場合においては、図5に電子顕微鏡(SEM)による撮像画像として発泡層の様子を示すように、空孔の中には隣り合う空孔と連通した空孔が3次元的に上下左右前後で連通したものが形成されていることもあって、内部の構造は空気もしくは水という3次元的に自由度が限りなく高い物質が必ず存在し、上下左右前後に自由に移動を行うまたは行い易いため、上記縦弾性係数が面内では一定ではない。このため、厚み精度の変極部位や平坦性の優れた部位を含めた保持面全てにおいて圧縮変位の差異に対する発生する応力は、図4(b)に示すように、一定になりその結果要求される研磨精度が達成できる。図4(a),(b)において、破線は研磨を行っていない無負荷のときの保持材精度自体やキャリア精度の影響を受けた保持材の表面のうねりなどの振幅を示す。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第1の湿式凝固多孔質フィルムの表面の開口による陰圧などの物理的接着性により被研磨加工物は接着保持されるとともに、第1の湿式凝固多孔質フィルムと第2の湿式凝固多孔質フィルムとを接着する接着層によって上層から下層への研磨液の透過が抑制されるので、保持材において基材として機能する第2の湿式凝固多孔質フィルムへ研磨液の水や砥粒などがほとんど浸透しなくなる。これにより、従来のように研磨液の水によって保持材が飽和状態となることがないので、保持材内に研磨液の水が飽和することによる保持機能の低下という不具合や、保持した被研磨加工物の裏面側に砥粒などが回り込む不具合を回避できる。したがって、従来の単層のものに比して、保持機能は高く維持でき、被研磨加工物が研磨中に滑ることないよう確実性高く保持できることで、枠材を不要にできて、被研磨加工物と枠材との衝突も回避できる。
【0049】
また、被研磨加工物の裏面側に砥粒が回り込まないので、被研磨加工物の裏面の異常エッチングの発生を防止できる利点や、研磨後に被研磨加工物を再洗浄するなどの作業を省略することができる利点がある。さらに、基材側として第2の湿式凝固多孔質フィルムによって研磨時の加圧方向での第1の湿式凝固多孔質フィルムの支持が行え、この第2の湿式凝固多孔質フィルムではその多孔質の空孔による圧縮方向で変形しやすくなっているので、耐クリープ性が十分維持できたものとなっており、耐加圧性の優れたものとなっていて、研磨時に第1の湿式凝固多孔質フィルムから受ける圧縮変位力を第2の湿式凝固多孔質フィルムにより十分吸収できる。したがって、被研磨面において保持材の圧縮変位に差が生じていても保持材内における応力を均一にした高精度な研磨が行えるように、被研磨加工物を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る保持材を用いた研磨機での研磨の様子を示す概略側面図
【図2】図1で用いられる保持材を概略的に示す断面図
【図3】図2に示す保持材の上層における球状空孔の形態を示す断面図
【図4】比較例の保持材(a)と本発明に係る保持材(b)とにおける研磨加圧下での内部応力の発生の様子を側面視で示す概略説明図
【図5】本発明に係る保持材における湿式凝固多孔質フィルムにおける空孔の様子を示す電子顕微鏡写真
【図6】従来の保持材を用いた研磨機での研磨の様子を示す概略側面図
【図7】従来の保持材の表面の電子顕微鏡写真(a)と従来の保持材の縦断面の電子顕微鏡写真(b)。
【図8】ウェハ用(a)およびガラス板用(b)の保持材をそれぞれ示す電子顕微鏡写真。
【図9】図6に示す従来の保持材と被研磨加工物とを示す縦断面図
【図10】従来の単一層の湿式凝固多孔質フィルムからなる保持材の縦断面の電子顕微鏡写真
【符号の説明】
4 保持材
9 上層(第1の湿式凝固多孔質フィルム)
10 下層(第2の湿式凝固多孔質フィルム)
Claims (9)
- 第1の湿式凝固多孔質フィルムを上層とし、第2の湿式凝固多孔質フィルムを下層として、前記上層から下層への研磨液の透過を抑制する接着層を介して前記第1の湿式凝固多孔質フィルムと前記第2の湿式凝固多孔質フィルムとを積層状態で接着している、ことを特徴とする被研磨加工物の保持材。
- 請求項1に記載の被研磨加工物の保持材において、
5〜600μmの膜厚を有する前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを上層とし、研磨圧力が300gf/cm2以上1800gf/cm2以下の範囲において圧縮率が4.5以上60.0%以下の範囲に変形可能な前記第2の湿式凝固多孔質フィルムを下層として、前記両湿式凝固多孔質フィルムが前記接着層を介して接着された2層構造となっている、ことを特徴とする被研磨加工物の保持材。 - 請求項1または2に記載の被研磨加工物の保持材において、
前記第1の湿式凝固多孔質フィルムと前記第2の湿式凝固多孔質フィルムとを接着シート材料によって貼り合わせている、ことを特徴とする被研磨加工物の保持材。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の被研磨加工物の保持材において、
前記第1の湿式凝固多孔質フィルムの微細空孔は、その微細空孔における最大長径と最小短径との比率が0.2〜1.0の範囲内となる形状寸法を有している、ことを特徴とする被研磨加工物の保持材。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の被研磨加工物の保持材において、
非保持面には、両面テープを張り合わせている、ことを特徴とする被研磨加工物の保持材。 - 請求項1、2または4のいずれかに記載の被研磨加工物の保持材において、
前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを形成する過程において直接前記第2の湿式凝固多孔質フィルム上に前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを塗工形成している、ことを特徴とする被研磨加工物の保持材。 - 請求項1、2または4のいずれかに記載の被研磨加工物の保持材において、
前記第2の湿式凝固多孔質フィルムを形成する過程において直接前記第1の湿式凝固多孔質フィルム上に前記第2の湿式凝固多孔質フィルムを塗工形成している、ことを特徴とする被研磨加工物の保持材。 - 請求項1ないし7のいずれかに記載の被研磨加工物の保持材において、
表面研削処理を排した前記第2の湿式凝固多孔質フィルムの表面に、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを積層形成している、ことを特徴とする被研磨加工物の保持材。 - 請求項1に記載の被研磨加工物の保持材の製造方法であって、
前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを基材フィルム上に塗工する工程と、
前記第1の湿式凝固多孔質フィルムの前記基材フィルムへの塗工面とは反対側の面で前記第2の湿式凝固多孔質フィルムの表面に前記第1の湿式凝固多孔質フィルムを接着して、前記第1の湿式凝固多孔質フィルムと前記第2の湿式凝固多孔質フィルムとを積層する工程とを有する、ことを特徴とする被研磨加工物の保持材の製造方法。
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