JP2005011776A - 有機エレクトロルミネッセンス基板およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス基板およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Masaya Ueda
昌哉 上田
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Abstract

【課題】本発明の目的は、光学特性、成形性、適度な透湿性、適度な吸水性、剛性、生産性を満足する有機EL用のプラスチック基板を提供する。
【解決手段】溶融粘度が、キャピラリーフローメーター(L/D=30)を用いて、300℃、シェアーレート2000sec−1の条件下で66Pa・S以下であり、曲げ弾性率が、ASTM D−790に記載の方法で2500Mpa以上であり、透湿率が、JIS Z 0208に記載の方法で10g/m ・day以上33g/m ・day以下であり、かつ、吸水率が、ASTM D−570に記載の方法で0.10%・day以上0.30%・day以下である芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を含む有機エレクトロルミネッセンス基板を採用した。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を含む基板を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。特に、光学特性、成形性、適度な透湿性、適度な吸水性、剛性、生産性に優れ、高品質、高寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。また、このような、特性を有する有機エレクトロルミネッセンス素子に使用する基板材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELとも称す)素子は、携帯電話、携帯端末機器、ゲーム機器等のディスプレイやパーソナルコンピュータのディスプレイ等に応用されている。特に、有機EL素子は、低電圧で駆動し、高輝度の発光を生じる薄型ディスプレイとして注目を浴びている。
【0003】
典型的な有機EL素子は、一般的に、透明基板上に、陽極がコーティングされ、その上に、発光機能を有する有機材料からなる薄い有機層が積層され、さらにその上に、陰極が積層された構造からなる。ここで、陽極は、インジウム−スズ酸化物(以下、ITOという)等の透明電極であり、陰極は、アルミニウム、マグネシウム等の単体もしくは合金からなる金属電極である。また、上記発光機能を有する有機材料(以下、発光材料という)としては、高分子材料、低分子材料、金属錯体等が使用される。これらの発光材料は、その種類により溶液からの塗布や真空蒸着などによって形成されている。
【0004】
上記の有機EL素子の構造体に電圧を印加すると、陽極からホール(すなわち、正孔)が、陰極から電子が発生する。そして、電子と正孔が再結合する際に、有機層から発せられる光を透明電極および透明基板を通して取り出すことによって表示機能が発現する。
【0005】
図3は、有機EL素子の構造の一例を示したものである。ここで、31は透明基板からなる第1の基板を、32は前記第1の基板の上に積層された透明の陽極電極である第1の電極を、33は前記第1の電極の上に積層された正孔輸送層を、34は前記正孔輸送層の上に積層された発光層を、35は前記発光層の上に積層された電子輸送層を、36は電子輸送層の上に積層された陰極の電極を兼ねた第2の電極を、それぞれ示している。ここで、両電極間に電圧を印加すると、第1の電極32から正孔の注入が行われ、第2の電極36から電子の注入が行われる。そして、発光層34で、電子と正孔が再結合し、電子にエネルギーが加えられる。この励起状態に達した電子が基底状態に落ちる際に発生する可視光が、発光源として取り出される。すなわち、発光層34から発せられた光は第1の電極32及び第1の基板31を通して外部に取り出される。
【0006】
ところで、透明基板として、従来は、ガラスが使用されていた。これは、ガラスは複屈折が小さく、また、透明性に優れていたからである。すなわち、発光層から発生する光を効果的に外部に取り出せることによる。加えて、透湿率が低く、また、吸水率も低いので、吸水による基板の寸法変化が小さいという利点もある。一方、発光層の有機化合物は、湿気や酸化による劣化があり、寿命低下が問題となっている。そして、発光層が劣化すると、素子の点灯時に黒点が発生し、装置の寿命が短縮されるという問題があった。そのため、透明基板側からの吸水や透湿をできるだけ避けることが必要であり、その観点からも、基盤として、ガラス基板が最適であるとされていた。さらに、基板の厚みは、0.05−0.5mm程度と薄いため、プラスチックフィルムのように剛性が低い材質を採用すると、アセンブリの際にしわが発生しやすくなる。この観点からも、剛性の高いガラスが使用されていた。さらにまた、ガラスを用いることによって平面性に優れた基板が得られるという利点もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、有機EL素子をフレキシブルな形状、例えば、湾曲させたり、折り曲げたりしても表示可能な形状にする試みがなされている。これは、従来のガラス基板では、不可能である。そこで、基板用材料として熱可塑性樹脂や溶媒流延法に適した樹脂が用いられている。具体的には、基板用透明樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)等があげられている(特許文献1)。特に、熱可塑性樹脂は、射出成形によって透明基板を成形できるのでガラスと比べて飛躍的に生産性が向上する。この中でも、透明性や衝撃強度等を考慮すると、芳香族ポリカーボネート樹脂が適している。
【0008】
しかし、芳香族ポリカーボネート樹脂を、有機EL素子の基板として適用するには、以下のような問題がある。すなわち、基板の厚みを0.5mm以下に成形するには、従来の芳香族ポリカーボネート樹脂では流動性が悪く成形性が劣る。このため、圧力をかけて成形しなければならず、内部にひずみによる複屈折が発生し、結果として、光学特性が劣る。また、分子量を小さくすれば、流動性は向上するが、構造部品としての強度が低下する。さらに、流動性が劣ることにより、基板の平面性や平坦度に問題が生ずる。加えて、従来の芳香族ポリカーボネート樹脂は、透湿率や吸水率が高く、水分による基板の寸法変化や有機発光層の劣化等の問題も発生する。また、ある程度の剛性がなければ、積層時にしわが発生しやすく生産性が劣るが、従来の芳香族ポリカーボネート樹脂は光学特性が良好で、かつ、剛性が満足できるものは得られていなかった。
【0009】
また、芳香族ポリカーボネート樹脂の透明性を維持したまま流動性を改良する技術が開示されている。例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂に、ポリカプロラクトンやシリコーンを添加する技術が述べられている(特許文献2、特許文献3)。しかしながら、これらは、透湿性や吸水性に対する問題が残っている。実際、従来から知られている、ビスフェノールA型の芳香族ポリカーボネートの透湿率は、JIS Z 0208に記載される方法で測定すると35g/m ・dayと高い値を示す。また、吸水率はASTM D−570の方法で、0.35%・dayと高い値を示す。
【0010】
そこで、芳香族ポリカーボネート樹脂の透湿率や吸水性の改良が検討されている。例えば、ビスフェノールAとフルオレンモノマーを共重合させて透湿率および吸水率を低下する方法が開示されている(特許文献4)。しかしながら、フルオレン成分が導入されているため、流動性が低下し、成形性が劣るという問題がある。
【0011】
また、基板の透湿率を低減させるため、基板の片側に無機あるいは有機のパッシベーション膜を形成する技術が開示されている(特許文献5)。しかしながら、この方法は生産工程を複雑にすると共に、材料費も増加する。さらに、透湿率が低すぎると、基板の厚み方向に水分濃度勾配が生じて反りが発生しやすくなる。すなわち、適度な透湿性が必要の条件となる。また、吸水率が低すぎると、基板表面に静電気が発生しやすくなり、そのため、埃が付着しやすくなる。加えて、電極との密着性も劣るという問題もある。
【0012】
一方、芳香族ポリカーボネートの複屈折を低減させる技術として、光弾性係数を低減させるモノマーを導入する方法が開示されている(特許文献6)。しかしながら、このように光弾性係数を低減させるモノマーを導入しても、流動性の低下や新たな成分の導入による経済性等の問題が残る。
【0013】
また、従来から、芳香族ポリカーボネートに剛性を付与させる技術として、ガラス繊維やタルク等の充填剤を添加する方法が公知である。しかしながら、そのような充填材の存在により基板の透過率が著しく低下する。
【0014】
【特許文献1】特開2002−359076号公報
【特許文献2】特開平9−87504号公報
【特許文献3】特開平7−102166号公報
【特許文献4】特開2002−117580号公報
【特許文献5】特開2000−36974号公報
【特許文献6】特開2002−92943号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述のとおり、成形性、低透湿性、低吸水性、剛性、生産性を満足する有機EL用の基板は得られていなかった。そこで、上述の問題点に着目し、本発明はこれを有効に解決すべく創案された。すなわち、本発明の目的は、光学特性、成形性、適度な透湿性、適度な吸水性、剛性、生産性を満足する有機EL用のプラスチック基板を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
そして、本発明者は検討した結果、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を含む有機エレクトロルミネッセンス基板において、当該芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の溶融温度、曲げ弾性率、透湿率および吸水率を決定することより、当該課題を解決しうることを見出した。
【0017】
具体的には、▲1▼溶融粘度が、キャピラリーフローメーター(L/D=30)を用いて、300℃、シェアーレート2000sec−1の条件下で66Pa・S以下であり、曲げ弾性率が、ASTM D−790に記載の方法で2500Mpa以上であり、透湿率が、JIS Z 0208に記載の方法で10g/m ・day以上33g/m ・day以下であり、かつ、吸水率が、ASTM D−570に記載の方法で0.10%・day以上0.30%・day以下である芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を含む有機エレクトロルミネッセンス基板;
【0018】
▲2▼上記▲1▼において、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、下記式(1)および(2)を満たす化合物を0.1〜40重量部含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス基板。
式(1)
Tg(A)>Tg(C)
(式(1)において、Tg(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(℃)を、Tg(C)は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のガラス転移温度(℃)を示す。)
式(2)
Fm(C)>Fm(A)
(式(2)において、Fm(C)は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の曲げ弾性率(Mpa)を、Fm(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂の曲げ弾性率(Mpa)を示す。);
【0019】
▲3▼芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、下記一般式[I]で表される化合物を0.1〜40重量部含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス基板。
一般式[I]
【化3】
Figure 2005011776
(式中、R11〜R13は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびrは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、qは0〜4の整数を示し、nは、0〜5の整数を示す。nが2以上の場合、n個のR12、qおよびフェニレン置換は、それぞれ異なっていてもよい。);
【0020】
▲4▼芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、下記一般式[II]で表される化合物を0.1〜40重量部含有することを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス基板。
一般式[II]
【化4】
Figure 2005011776
(式中、R21〜R23は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびrは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、qは0〜4の整数を示し、mおよびnは、それぞれ独立に、1〜5の整数を示す。nが2以上の場合、n個のR22、qおよびフェニレン置換は、それぞれ異なっていてもよい。nおよび/またはmが2以上の場合、それぞれのメチレン基とフェニレン基は、順不同である。);
【0021】
▲5▼上記▲1▼〜▲4▼のいずれかの基板上に、少なくとも、電極と有機発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子;を採用した。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明でいう透湿率とは、JIS Z 0208に記載の方法で測定された透湿率をいう。本発明の基板の透湿率は、好ましくは、10g/m ・day以上32g/m ・day以下であり、より好ましくは、20g/m ・day以上30g/m ・day以下である。透明基板の透湿率が33g/m ・dayよりも高すぎると、透明基板からの水分が透過となり、発光層の劣化が発生しやすくなる。また、透明基板自体の寸法が変形しやすくなる。逆に、透湿率が10g/m・dayよりも低すぎると、水分濃度勾配が生じ、基板の反りが発生しやすい。
【0023】
本発明でいう吸水率とは、ASTM D−570に記載の方法で測定された吸水率をいう。本発明の透明基板の吸水率は、好ましくは、0.10%・day以上0.30%・day以下である。吸水率を、0.10%以上とすることにより、基板表面に静電気が発生したり、埃が付着するのを防ぐことができる。一方、吸水率を0.3%以下とすることにより、水分による基板の寸法変化や有機発光層の劣化を防ぐことができる。
【0024】
本発明でいう溶融粘度とは、キャピラリ−フロ−メ−タ−(L/D=30)を用いて、300℃、シェアレート2000sec−1の条件下で測定された値をいう。本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の溶融粘度は、好ましくは、66Pa・s以下である。
【0025】
本発明でいう曲げ弾性率とは、ASTM D−790に記載の方法で測定された曲げ弾性率をいう。本発明の芳香族樹脂組成物の曲げ弾性率は、好ましくは、2500Mpa以上である。
【0026】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、好ましくは、10,000〜40,000であり、より好ましくは、15,000〜22,000である。粘度平均分子量(M)分子量を10,000以上とすることにより、効果的に、機械的強度の低下を防ぐことができる。また、分子量を40,000以下とすることにより、効果的に、成形時の流動性が低下するのを防止することができる。さらに、これらの効果は、分子量15,000〜22,000の範囲で特に、顕著である。なお、本発明において粘度平均分子量(M)とは、塩化メチレンを溶媒とし、オストワルド粘度計を使用して極限粘度[η]を求め、Schnellの粘度式、すなわち、[η]=1.23×10−5×M0.83、から算出される値を意味する。極限粘度[η]を求める際の溶液濃度の単位はg/Lである。
【0027】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、一例として、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、下記式(1)かつ(2)を満たす化合物を0.01〜40重量部含有している。ここで、式(1)は、
Tg(A)>Tg(C)
(式(1)において、Tg(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(℃)を、Tg(C)は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のガラス転移温度(℃)を示す。)で表される。
また、式(2)は、
Fm(C)>Fm(A)
(式(2)において、Fm(C)は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の曲げ弾性率(Mpa)を、Fm(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂の曲げ弾性率(Mpa)を示す。)
【0028】
ここで、式(1)の要件を満たすことにより、効果的に、成型性が向上し、平坦でかつ表面性に優れた基板が得られる。さらに、より効果的に実際の使用環境における耐熱性が低下によって熱変形が発生するのを防ぐことができる。尚、好ましくは、60.0>Tg(A)−Tg(C)>20.0であり、より好ましくは、30.0>Tg(A)−Tg(C)>10.0である。
【0029】
一方、式(2)の要件を満たすことにより、基板の平坦度がより向上する。また、衝撃強度の低下による基板の割れを、より効果的に防ぐことができる。さらに、反り低減や吸水による寸法変化の低減を、より効果的に防ぐことができる。尚、好ましくは、1000>Fm(C)−Fm(A)>200であり、より好ましくは、900>Fm(C)−Fm(A)>500である。
【0030】
上記式(1)および式(2)を満たす化合物は、上記要件を満たす限り、特に定めるものではないが、その一例として、一般式[I]で表わされる化合物があげられる。
一般式[I]
【化5】
Figure 2005011776
(式中、R11〜R13は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびrは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、qは0〜4の整数を示し、nは、0〜5の整数を示す。nが2以上の場合、n個のR12、qおよびフェニレン置換は、それぞれ異なっていてもよい。)
【0031】
前記一般式[I]で表わされる化合物は、nは、0〜5の間で選ばれる。ここで、nが0の場合、当該化合物はビフェニル化合物に相当し、nが1の場合、当該化合物はターフェニル化合物に相当する。また、nが1以上の場合、ベンゼン環同士の結合は、オルト、メタ、パラのいずれであってもよい。さらに、nを5以下とすることにより、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性が不足するのを防ぐことができる。各フェニル基は、置換基R11〜R13を、それぞれ独立に有していても良い。置換基R11〜R13としては、好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基である。例えば、メトキシ基である。置換基R11〜R13に相当するものが、複数ある場合、これらは、同一であっても良いし、異なっていてもよい。もちろん、置換基を有していなくてもよい。さらに、nが2以上の場合、n個のR12、qおよびフェニレン置換は、それぞれ異なっていてもよい。すなわち、各単位は、同じものが連結していてもよいし、異なったものが連結していてもよい。さらに、ベンゼン環同士の結合は、オルト、パラ、メタのいずれであってもよい。また、添加量は、芳香族ポリカーボネートに対して好ましくは、0.01〜40重量部であり、より好ましくは1〜20重量部であり、最も好ましくは2〜10重量部であり、最も好ましくは2〜10重量部である。
【0032】
前記一般式[I]で表わされる化合物として、上述のビフェニル化合物および/またはターフェニル化合物を採用することができる。これらは、工業的に入手が容易であるという点からも好ましい。 ビフェニル化合物は2つのベンゼン環が結合した化合物であり、塩素原子などの置換基を有していてもよく、好ましくは、下記の一般式[III]で表される化合物である。ターフェニル化合物は3つのベンゼン環が結合した化合物であり、塩素原子などの置換基を有していてもよく、好ましくは下記の一般式[IV]で表されるオルトターフェニル化合物、下記の一般式[V]で表されるメタターフェニル化合物、下記の一般式[VI]で表されるパラターフェニル化合物などが挙げられる。
【0033】
一般式[III]
【化6】
Figure 2005011776
(式中、R31およびR32は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびqは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示す。)
【0034】
一般式[IV]
【化7】
Figure 2005011776
(式中、R41〜R43は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびqは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、rは、0〜4の整数を示す。)
【0035】
一般式[V]
【化8】
Figure 2005011776
(式中、R51〜R53は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびrは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、qは、0〜4の整数を示す。)
【0036】
一般式[VI]
【化9】
Figure 2005011776
(式中、R61〜R63は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびrは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、qは、0〜4の整数を示す。)
【0037】
尚、一般式[III]〜一般式[VI]において、R31〜R63の置換基としては、例えば、塩素原子を採用することができる。もちろん、無置換であってもよい。
【0038】
ターフェニル化合物には、上記のとおり3種の異性体が存在する。好ましくは、オルトターフェニルおよびメタターフェニル化合物であり、より好ましくは、メタターフェニル化合物である。このように、メタ型のものがより良好な効果を発揮する。
【0039】
上記式(1)および式(2)を満たす化合物の第2の例として、一般式[II]で表わされる化合物があげられる。
一般式[II]
【化10】
Figure 2005011776
(式中、R21〜R23は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびrは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、qは0〜4の整数を示し、mおよびnは、それぞれ独立に、1〜5の整数を示す。nが2以上の場合、n個のR22、qおよびフェニレン置換は、それぞれ異なっていてもよい。nおよび/またはmが2以上の場合、それぞれのメチレン基とフェニレン基は、順不同である。)
【0040】
前記一般式[II]で表わされる化合物において、mおよびnは、1〜5の間で選ばれる。n、mを5以下とすることにより、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性が不足するのを防止することができる。各フェニル基は、置換基R21〜R23を、それぞれ独立に有していても良い。置換基R21〜R23としては、好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基である。例えば、メトキシ基があげられる。置換基R21〜R23に相当するものが、複数ある場合、これらは、同一であっても良いし、異なっていてもよい。もちろん、置換基を有していなくてもよい。nが2以上の場合、n個のR22、qおよびフェニレン置換は、それぞれ異なっていてもよい。すなわち、各単位は、同じものが連結していてもよいし、異なったものが連結していてもよい。さらに、ベンゼン環同士の結合は、オルト、パラ、メタのいずれであってもよい。また、nおよび/またはmが2以上の場合、それぞれの繰り返し単位は順不同である。すなわち、nで括られる単位とmで括られる単位は、順不同に連結していてもよい。例えば、両単位が交互に連結する形態や、nで括られる単位の同士の間に、mで括られる単位が存在する形態であってもよい。さらに、これらの連結は、オルト、パラ、メタのいずれと結合していてもよい。添加量は、芳香族ポリカーボネートに対して好ましくは、0.01〜40重量部であり、より好ましくは2.0〜10.0重量部である。
【0041】
前記一般式[I]〜[VI]で表わされる化合物は、1種類のみを使用しても良いし、2種類以上を混合して使用してもよい。さらに、他の上記式(1)および(2)を満たす化合物を添加してもよい。ここで、前記一般式[I]〜[VI]で表される化合物の添加量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、全体で、好ましくは、0.01〜40重量部であり、より好ましくは1〜20重量部であり、最も好ましくは2〜10重量部である。
【0042】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、種々のジヒドキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法等によって得られる重合体または共重合体である。代表的なものとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0043】
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフォキシドのようなジヒドロキシジアリールスルフォキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルフォン類等があげられる。これらは単独でまたは2種類以上混合して使用される。さらに、これらの他にビペラジン、ジピペリジル、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’ージヒドロキシジフェニル等を混合することもできる。
【0044】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂に前記式(1)および(2)を満たす化合物を含有させる方法としては、例えば、界面法やエステル交換法等を採用することができる。界面法の場合、芳香族ポリカーボネート樹脂のフレークおよび前記式(1)および(2)を満たす化合物を所定量秤量し、V型ブレンダー等の混合機によって混合し、得られた混合物を押出機などの混練機によって溶融・混練してペレット化する。エステル交換法の場合は、反応の重合の最終段階の押出機中に、前記式(1)および(2)を満たす化合物を、定量フイーダー等を用いて供給する。
【0045】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、目的を損なわない範囲で耐熱安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機系充填剤、無機系充填剤等の添加剤が配合されたものでもよい。このような添加剤は、溶融状態にある芳香族ポリカーボネート樹脂に添加することもできるし、また、一旦ペレット化した後、必要に応じて芳香族ポリカーボネート樹脂を再溶融して、添加することもできる。また、当該ペレットは、射出成形による平坦性に優れている。すなわち、表面の粗さが小さいフレキシブル透明基板が得られる。
【0046】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機系充填剤、無機系充填剤等の添加剤を配合してもよい。このような添加剤は、溶融状態にある芳香族ポリカーボネート樹脂に添加してもよいし、一旦ペレット化した後、必要に応じて芳香族ポリカーボネート樹脂を再溶融して、添加してもよい。
【0047】
図1は、本発明の好ましい有機EL素子の実施形態の一例を示したものである。ここで、11は、第1の基板であって、本願発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる透明基板を、12は透明基板の上に積層された透明の陽極電極である第1の電極を、13は前記第1の電極の上に積層された正孔輸送層を、14は正孔輸送層の上に積層された発光層を、15は発光層の上に積層された電子輸送層を、16は電子輸送層の上に積層された陰極電極を兼ねた第2の基板を、それぞれ示している。ここで、12の陽極である第1の電極はITOの透明電極を採用することができ、陰極である第2の基板16としては、アルミニウム、マグネシウム等の金属が採用することができる。第2の基板は透明であってもよく、第1の基板と電極とからなる構成と同様に、透明基板にITOを積層する構成にすることもできる。第1の基板の厚みは、通常数mm以下であり、好ましくは0.05mm〜0.5mmである。透明陽極電極層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極電極層のそれぞれの厚みは、好ましくは、10nm〜500nmである。ここで、両電極間に電圧を印加すると、第1の電極12から正孔の注入が行われ、一方、第2の電極16から電子の注入が行われる。そして、発光層14で電子と正孔が再結合し、電子にエネルギーが加えられる。この励起状態に達した電子が基底状態に落ちる際に発生する可視光が、発光源として取り出される。すなわち、発光層14から発せられた光は第1の電極12及び第1の基板11を通して外部に取り出される。また、第2の基板に透明材料を用い、且つ透明な陰極電極を採用することにより、第1の基板と第2の基板の両面を通して外部に発光層からの光を取り出すことができる。尚、上記積層体の周囲、すなわち、第1の基板と第2の基板の間を紫外線硬化樹脂等で封止することができる。また、第2の基板は、フレキシブル基板であることが好ましく、第2の基板の材質は、第1の基板の材料と同種類の樹脂を採用することもできる。この場合、温度や湿度による寸法変化をより効果的に防止できる。
【0048】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は、その趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。
【0049】
【実施例1】
1.芳香族ポリカーボネートの調製
芳香族ポリカーボネート樹脂は、エステル交換法にて調製した。ここで、芳香族ジヒドロキシ化合物としてはビスフェノールAを、炭酸ジエステルとしてはジフェニルカーボネートを、それぞれ用いた。具体的には、ビスフェノールA1モルに対し、ジフェニルカーボネートを1.10モルの割合で用いた。重合触媒としては、炭酸セシウムを、ビスフェノール1モルに対し1.0×10−7モルの割合で用いた。本実施例のエステル交換反応は、2段階で実施した。具体的には、第1段目の反応は、減圧下に220℃の温度で、2時間反応させた。反応圧力は、600Torrの条件で行った。2段階目には、1mmHgの減圧下、310℃の温度で2時間重縮合反応を行った。得られた芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は16,000であった。尚、触媒失活剤として、p−トルエンスルホン酸ブチルを5ppm用いた。
【0050】
2.前記一般式[I]で表される化合物または前記一般式[II]で表される化合物の導入
前記一般式[I]で表される化合物または前記一般式[II]で表される化合物として、表1に示す化合物を採用し、当該化合物を反応の最終段階の押出機中に、定量フイーダーを用いて導入した。実施例1においては、メタターフェニル(東京化成(株)製 試薬特級)を用い、上記芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、5重量部含有するように導入した。その後、押出機のダイスから吐出されるストランドを冷却し、ペレット化して成形用ペレットを得た。尚、実施例1の化合物は、上述の式[V]において、p、q、rがそれぞれ0である。
【0051】
3.芳香族ポリカーボネート樹脂及び芳香族ポリカーボネ−ト樹脂組成物のガラス転移温度の測定(℃)
ガラス移転温度は、DSC(セイコー社製、型式:SSC−5000)を用い、芳香族ポリカーボネート及び上記ペレット状の樹脂組成物を、窒素気流下、室温から10℃/minの速度で昇温し、その変曲点をガラス転移温度として測定した。
【0052】
その結果、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のガラス移転温度(Tg(A))は、143℃であり、芳香族ポリカーボネート樹脂のガラス移転温度(Tg(C))は、117℃であった。すなわち、Tg(A)>Tg(C)であり、上記式(1)の要件を満たしていた。
【0053】
4.芳香族ポリカーボネート樹脂及び芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の曲げ弾性率の測定(MPa)
曲げ弾性率は、ASTM D−790に準拠して測定した。
【0054】
その結果、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の曲げ弾性率(Fm(C))は、2900Mpaであり、芳香族ポリカーボネート樹脂の曲げ弾性率(Fm(A))は、2300Mpaであった。すなわち、Fm(C)>Fm(A)であり、上記式(2)の要件を満たしていた。
【0055】
5.芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量(M)
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を、塩化メチレンを溶媒とし、オストワルド粘度計を使用して極限粘度[η]を求めた。そして、Schnellの粘度式、すなわち、[η]=1.23×10−5×M0.83、からMの値を算出した。
【0056】
6.芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の透湿率
JIS Z 0208に記載の方法により測定した。
【0057】
7.芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の飽和吸水率
ASTM D−570に記載の方法により測定した。
【0058】
8.透明基板の調製
上記1,2に記載の方法で得られたペレットを、射出成形機(住友SG75)を用い、シリンダー温度320℃、金型温度を90℃、型締め力50T、成形サイクルを12秒として厚み0.1mm、長さ100mm、幅50mmの基板を得た。
【0059】
9.透明基板の全光線透過率(%)の測定
上記基板をJIS K−7105に従って測定した。
【0060】
10.基板表面の表面粗さの測定
上記基板全面の平均面粗さを共焦点レーザー顕微鏡で測定した。
【0061】
11.有機EL素子のアセンブリの方法
まず、図2に示すように上記第1の基板21上に、透明な第1の電極を形成した。ここでは、第1の電極として、ITO(インジウムスズ酸化物)22を蒸着した。その膜厚は、100nmとした。そして、第1の電極の上に、正孔輸送層として、ポリアニリン23をダイコートにて積層した。その厚さは、100nmとした。そして、正孔輸送層の上に、有機発光層として、ポリビニルカルバゾール24をダイコートにて積層した。その厚さは、100nmとした。そして、有機発光層の上に、電子輸送層として、Alキノリノラート錯体からなる層25をスパッタにて積層した。その、厚さは、100nmとした。さらに、電子輸送層の上に、第2の電極26として、マグネシウムを積層した。その厚さは200nmとした。以上によって、有機EL素子を得た。
【0062】
12.高温高湿試験での有機発光層の劣化による黒点
上記実施例で得られた素子を60℃×95%RHの条件下で240時間通電点灯し、水分の侵入による有機発光層の劣化による黒点の発生の有無を調べた。
【0063】
13.高温高湿試験での透明基板の寸法変化
上記実施例で得られた素子60℃×95%RHの条件下で240時間通電点灯し、素子を分解し、透明基板の厚み方向の反りの大きさを3次元測定機で測定した。
【0064】
【実施例2】
実施例1において、芳香族ポリカーボネート樹脂の調製を、温度320℃で、3時間重縮合反応を行った。その他は、実施例1と、同様の方法で行った。
【0065】
【実施例3】
前記一般式[I]又は[II]で表わされる化合物として、ビフェニル(東京化成(株) 試薬特級)を用いた以外は実施例1と同様の方法で行った。尚、本実施例の化合物は、上記式[III]において、p、qが、それぞれ、0の場合である。
【0066】
【実施例4】
実施例1においては、メタタ−フェニルの添加量を、10重量部とした。その他は、実施例1と同様に行った。
【0067】
【実施例5】
実施例1においては、パラベンジルビフェニル(東京化成(株) 試薬特級)を、5重量部添加した。その他は、実施例1と同様に行った。尚、本実施例の可塑剤は、上記式[II]において、nおよびmは、1であり、p、q、rが、それぞれ、0である。すなわち、無置換の場合を示している。
【0068】
【比較例1】
メタターフェニルを用いなかった他は、実施例1と同様に行った。すなわち、前記一般式[I]又は[II]で表わされる化合物を用いなかった場合の結果を検討した。
【0069】
上記実施例の結果を表1に示す。ここで、前記一般式[I]又は[II]で表わされる化合物の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対する値(重量部)で示している。Tg(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂のガラス移転温度を、Tg(C)は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のガラス移転温度を、それぞれ、単位を℃として示している。また、Fm(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂の曲げ弾性率を、Fm(C)は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の曲げ弾性率を、それぞれ、単位をMpaとして示している。粘度平均分子量Mは、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量を示している。
【0070】
【表1】
Figure 2005011776
【0071】
【発明の効果】
本発明は、上述の基板を採用することにより、光学特性、成形性、低透湿性、低吸収性、剛性、生産性をすべて満足する有機EL基板とすることが可能となった。
本発明の有機EL基板を用いることにより、高品質、高寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい有機EL素子の実施形態の一例を示す。
【図2】本発明の有機EL素子の実施例の一例を示す。
【図3】従来の有機EL素子の構造一例を示す。
【符号の説明】
11 第1の基板
12 第1の電極
13 正孔輸送層
14 発光層
15 電子輸送層
16 第2の電極
21 第1の基板
22 ITO
23 ポリアニン
24 ポリビニルカルバゾール
25 Alキノリノラート錯体からなる層
26 第2の電極
27 第2の基板
31 第1の基板
32 第1の電極
33 正孔輸送層
34 発光層
35 電子輸送層
36 第2の電極

Claims (5)

  1. 溶融粘度が、キャピラリーフローメーター(L/D=30)を用いて、300℃、シェアーレート2000sec−1の条件下で66Pa・S以下であり、曲げ弾性率が、ASTM D−790に記載の方法で2500Mpa以上であり、透湿率が、JIS Z 0208に記載の方法で10g/m ・day以上33g/m ・day以下であり、かつ、吸水率が、ASTM D−570に記載の方法で0.10%・day以上0.30%・day以下である芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を含む有機エレクトロルミネッセンス基板。
  2. 前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、下記式(1)および(2)を満たす化合物を0.1〜40重量部含有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス基板。
    式(1)
    Tg(A)>Tg(C)
    (式(1)において、Tg(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(℃)を、Tg(C)は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のガラス転移温度(℃)を示す。)
    式(2)
    Fm(C)>Fm(A)
    (式(2)において、Fm(C)は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の曲げ弾性率(Mpa)を、Fm(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂の曲げ弾性率(Mpa)を示す。)
  3. 芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、下記一般式[I]で表される化合物を0.1〜40重量部含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス基板。
    一般式[I]
    Figure 2005011776
    (式中、R11〜R13は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびrは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、qは0〜4の整数を示し、nは、0〜5の整数を示す。nが2以上の場合、n個のR12、qおよびフェニレン置換は、それぞれ異なっていてもよい。)
  4. 芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、下記一般式[II]で表される化合物を0.1〜40重量部含有することを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス基板。
    一般式[II]
    Figure 2005011776
    (式中、R21〜R23は、それぞれ独立に、置換基を示し、pおよびrは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、qは0〜4の整数を示し、mおよびnは、それぞれ独立に、1〜5の整数を示す。nが2以上の場合、n個のR22、qおよびフェニレン置換は、それぞれ異なっていてもよい。nおよび/またはmが2以上の場合、それぞれのメチレン基とフェニレン基は、順不同である。)
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板上に、少なくとも、電極と有機発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
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