JP2005011632A - 冷陰極蛍光ランプ - Google Patents
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Abstract
【課題】冷陰極蛍光ランプの紫外線吸収のための被膜に用いる金属酸化物の高導電性および紫外線に対する劣化容易性による弊害を防ぎつつ、紫外線による照明装置の劣化を防止する。
【解決手段】バルブ1の内壁面と蛍光体層2との間に、紫外線を吸収可能な金属酸化物の粒子表面を低導電性物質で覆ったものを用いて被膜3を形成する。金属酸化物としては酸化亜鉛を用いる。低導電性物質としてはイットリウムやセリアを用いる。被膜3の膜厚は、0.1μmから2μmの範囲とする。
【選択図】 図2
【解決手段】バルブ1の内壁面と蛍光体層2との間に、紫外線を吸収可能な金属酸化物の粒子表面を低導電性物質で覆ったものを用いて被膜3を形成する。金属酸化物としては酸化亜鉛を用いる。低導電性物質としてはイットリウムやセリアを用いる。被膜3の膜厚は、0.1μmから2μmの範囲とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明装置における光源として使用される冷陰極蛍光ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
冷陰極蛍光ランプは、液晶表示装置や小型情報端末等の各種機器に用いられる照明装置の光源として有用されている。
【0003】
冷陰極蛍光ランプの基本的な構成は、直管型のバルブの内壁面に蛍光体層を形成し、バルブの内部に希ガス及び水銀を封入した状態でバルブの両端部に一対の冷陰極を気密に封着したものである。
【0004】
しかし、このような冷陰極蛍光ランプを照明装置に用いると、水銀から297nm,313nm,365nmの紫外線が放射されるため、照明装置における導光板や反射板等を劣化させる原因となる。
【0005】
そこで、照明装置の長寿命化を図るために、バルブの内壁面又は外壁面に紫外線を吸収するための被膜を形成することが考えられる。
【0006】
バルブの内壁面に被膜を形成する長所としては、被膜によってバルブの内壁面への紫外線の照射を防止できることから、冷陰極蛍光ランプ自体の長寿命化も実現できる点が挙げられる。これによって、光束維持率を向上させることも可能となる。
【0007】
バルブの外壁面に被膜を形成する長所としては、冷陰極蛍光ランプが完成した後でも被膜を加工することができるので、冷陰極蛍光ランプの製造工程における高温の影響を考慮する必要がなく、熱劣化しやすい有機系の材料を被膜として使用できる点が挙げられる。
【0008】
紫外線を吸収する物質としては、酸化亜鉛等の金属酸化物が知られている。これらの金属酸化物は、紫外線のみを吸収し、可視光を吸収しないので、バルブの被膜に使用した場合に冷陰極蛍光ランプの輝度や全光束を損なうことがなく、色温度が変化することもないという利点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、酸化亜鉛は導電性が高いため、これを冷陰極蛍光ランプの紫外線吸収用の被膜に使用すると、被膜を通じて通電してしまい、放電が安定するのに必要な電圧が大幅に上昇してしまうという問題がある。また、酸化亜鉛には水銀と化合してアマルガムを生成する性質があるため、水銀の消耗量が増加してしまい、冷陰極蛍光ランプとして寿命時間の低下が懸念される。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、紫外線吸収のための被膜に用いる金属酸化物の高導電性および紫外線に対する劣化容易性による弊害を防ぎつつ、紫外線による照明装置の劣化を防止し得る冷陰極蛍光ランプを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る冷陰極蛍光ランプは、内壁面に蛍光体層が形成されたバルブ内に希ガス及び水銀を封入しバルブの両端部に一対の冷陰極を備えた冷陰極蛍光ランプにおいて、前記内壁面と前記蛍光体層の間に、紫外線を吸収可能な金属酸化物の粒子表面を導電性を低減させるための物質で覆ったものを用いて被膜を形成したことを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、バルブの内壁面と蛍光体層の間に、紫外線を吸収可能な金属酸化物の粒子表面を導電性を低減させるための物質で覆ったものを用いて被膜を形成したことで、金属酸化物に高導電性のものを用いた場合の通電を防ぎ、また紫外線が金属酸化物に直接的に照射されないようにして金属酸化物の劣化を防いだ上で、冷陰極蛍光ランプが紫外線を外部へ放射しないようにしている。
【0013】
本冷陰極蛍光ランプにおいて、前記物質は、イットリウム又はセリアであることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、導電性を低減させるための低導電性物質としてイットリウム又はセリアを用いることで、高導電性の金属酸化物を用いた場合の通電と、紫外線による金属酸化物の劣化を確実に防止するようにしている。
【0015】
本冷陰極蛍光ランプにおいて、前記被膜は、その膜厚が0.1μmから2μmの範囲にあることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、被膜が厚すぎるとバルブから外部へ放射される可視光の透過量が減少し、薄すぎると紫外線の放射が増加してしまうため、これらの均衡を図る上での適切な膜厚として0.1μmから2μmの範囲にしている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0018】
図1の管軸方向断面図および図2の径方向断面図に示すように、一実施の形態における冷陰極蛍光ランプは、直管型のバルブ1の内壁面に蛍光体層2が形成され、この内壁面と蛍光体層2の間に紫外線を吸収するための被膜3が形成される。バルブ1の内部すなわち放電空間にネオンとアルゴンを混合した希ガス4、水銀5が封入された状態で、バルブ1の両端部に一対の冷陰極6a,6bが気密に封着される。冷陰極6a,6bにはリード線7a,7bがそれぞれ接続される。
【0019】
被膜3は、紫外線を吸収可能な金属酸化物の粒子表面を低導電性物質で覆ったもので形成される。金属酸化物としては、紫外線の吸収能力が高い酸化亜鉛を用いることが望ましい。低導電性物質としては、セリア又はイットリウムを用いることが望ましい。
【0020】
ここで、冷陰極蛍光ランプのより具体的な一実施例について説明する。冷陰極6aと6b間の距離Lを300mm、バルブ1の両端間の距離Mを290mmとし、バルブ1の外径Nを2.6mm、内径を2mmのほぼ真円形とする。バルブ1の材質にはガラスを用いる。
【0021】
被膜3は、酸化亜鉛の粒子表面をイットリウムでコーティングしたもので形成する。被膜3の形成に際しては、酸化亜鉛の粒子表面をイットリウムでコーティングした物質による液体の中にバルブ1の片端を浸し、他方の端に吸引器を備え、空気吸引によりバルブ1の内部を通過するように液体を十分吸い上げてから、空気吸引を停止して液体を落とすことで、バルブ1の内壁面に被膜3を形成する。
【0022】
被膜3の膜厚は、厚すぎるとバルブ1から外部への可視光の透過量が減少して暗くなり、薄すぎると紫外線の放射量が増加してしまうため、適切な膜厚として0.1μmから2μmの範囲とする。本実施例では、膜厚を特に望ましい値として1±0.1μmとする。
【0023】
続いて、比較例の冷陰極蛍光ランプについて説明する。図3の管軸方向断面図および図4の径方向断面図に示すように、比較例の冷陰極蛍光ランプは、直管型のバルブ1の内壁面に蛍光体層2が形成され、バルブ1の内部に希ガス4、水銀5を気密に封入した状態でバルブ1の両端部に一対の冷陰極6a,6bが封着され、冷陰極6a,6bにリード線7a,7bがそれぞれ接続された構成である。比較例の冷陰極蛍光ランプは、実施例におけるバルブ1の内壁面と蛍光体層2との間の被膜3を形成しない構成となっている。
【0024】
比較例の冷陰極6aと6b間の距離Lは300mm、バルブ1の両端間の距離Mは290mmとし、バルブ1の外径Nは2.6mm、内径は2mmのほぼ真円形とする。バルブ1の材質はガラスとする。
【0025】
図5の光分布特性に示すように、紫外線吸収用の被膜3を形成しなかった比較例の冷陰極蛍光ランプでは、波長が297nm、313nm、365nmの紫外線が強く放射されるのに対し、実施例では紫外線の放射を極めて良好に抑制できることが確認された。
【0026】
図6の輝度維持率特性に示すように、冷陰極蛍光ランプを照明装置に使用したときの盤面輝度については、実施例の方が比較例よりも高い輝度を維持できることが確認された。これは、実施例では紫外線による冷陰極蛍光ランプおよび照明装置の劣化を被膜3により防止したことによるものである。
【0027】
したがって、本実施の形態によれば、バルブ1の内壁面と蛍光体層2との間に、紫外線を吸収可能な金属酸化物の粒子表面を低導電性物質で覆ったものを用いて被膜3を形成したことで、金属酸化物に高導電性のものを用いた場合の通電を防ぎ、また紫外線が金属酸化物に直接的に照射されないようにして金属酸化物の劣化を防いだ上で、冷陰極蛍光ランプから外部への紫外線の放射を防止することができ、もって紫外線による照明装置の劣化を防止することができる。また、被膜3をバルブ1の内壁面に形成したことで、冷陰極蛍光ランプ自体の紫外線による劣化も防止することができる。
【0028】
本実施の形態によれば、低導電性物質としてイットリウム又はセリアを用いることで、高導電性の金属酸化物を用いた場合の通電と、紫外線による金属酸化物の劣化を確実に防止することができる。
【0029】
本実施の形態によれば、被膜3の膜厚を0.1μmから2μmの範囲にしたことで、被膜が厚すぎるとバルブから外部へ放射される可視光の透過量が減少し、薄すぎると紫外線の放射が増加してしまう点について、適切な均衡を図ることができる。
【0030】
本実施の形態によれば、金属酸化物として酸化亜鉛を用いた場合に、その粒子表面をイットリウム又はセリアで覆うことにより、酸化亜鉛による通電を防止でき、放電安定に必要な電圧の増加を防止することができる。また、酸化亜鉛が水銀と化合してアマルガムを生成することを防止でき、水銀の消耗量の低減を図ることができる。
【0031】
なお、本実施の形態においては、被膜3をバルブ1の内壁面と蛍光体層2との間に形成することとしたが、被膜3をバルブ1の外壁面に形成するようにしてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係る冷陰極蛍光ランプによれば、紫外線吸収のための被膜に用いる金属酸化物の高導電性および紫外線に対する劣化容易性による弊害を防ぎつつ、冷陰極蛍光ランプから放射される紫外線による照明装置の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態における冷陰極蛍光ランプの構成を示す管軸方向の断面図である。
【図2】図1に示す冷陰極蛍光ランプのA−A部の径方向の断面図である。
【図3】比較例の冷陰極蛍光ランプの管軸方向の断面図である。
【図4】図3に示す冷陰極蛍光ランプのB−B部の径方向の断面図である。
【図5】実施例と比較例の光分布特性を示すグラフである。
【図6】実施例と比較例を照明装置に用いたときの輝度維持率特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…バルブ、2…蛍光体層、3…被膜
4…希ガス、5…水銀
6a,6b…冷陰極
7a,7b…リード線
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明装置における光源として使用される冷陰極蛍光ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
冷陰極蛍光ランプは、液晶表示装置や小型情報端末等の各種機器に用いられる照明装置の光源として有用されている。
【0003】
冷陰極蛍光ランプの基本的な構成は、直管型のバルブの内壁面に蛍光体層を形成し、バルブの内部に希ガス及び水銀を封入した状態でバルブの両端部に一対の冷陰極を気密に封着したものである。
【0004】
しかし、このような冷陰極蛍光ランプを照明装置に用いると、水銀から297nm,313nm,365nmの紫外線が放射されるため、照明装置における導光板や反射板等を劣化させる原因となる。
【0005】
そこで、照明装置の長寿命化を図るために、バルブの内壁面又は外壁面に紫外線を吸収するための被膜を形成することが考えられる。
【0006】
バルブの内壁面に被膜を形成する長所としては、被膜によってバルブの内壁面への紫外線の照射を防止できることから、冷陰極蛍光ランプ自体の長寿命化も実現できる点が挙げられる。これによって、光束維持率を向上させることも可能となる。
【0007】
バルブの外壁面に被膜を形成する長所としては、冷陰極蛍光ランプが完成した後でも被膜を加工することができるので、冷陰極蛍光ランプの製造工程における高温の影響を考慮する必要がなく、熱劣化しやすい有機系の材料を被膜として使用できる点が挙げられる。
【0008】
紫外線を吸収する物質としては、酸化亜鉛等の金属酸化物が知られている。これらの金属酸化物は、紫外線のみを吸収し、可視光を吸収しないので、バルブの被膜に使用した場合に冷陰極蛍光ランプの輝度や全光束を損なうことがなく、色温度が変化することもないという利点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、酸化亜鉛は導電性が高いため、これを冷陰極蛍光ランプの紫外線吸収用の被膜に使用すると、被膜を通じて通電してしまい、放電が安定するのに必要な電圧が大幅に上昇してしまうという問題がある。また、酸化亜鉛には水銀と化合してアマルガムを生成する性質があるため、水銀の消耗量が増加してしまい、冷陰極蛍光ランプとして寿命時間の低下が懸念される。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、紫外線吸収のための被膜に用いる金属酸化物の高導電性および紫外線に対する劣化容易性による弊害を防ぎつつ、紫外線による照明装置の劣化を防止し得る冷陰極蛍光ランプを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る冷陰極蛍光ランプは、内壁面に蛍光体層が形成されたバルブ内に希ガス及び水銀を封入しバルブの両端部に一対の冷陰極を備えた冷陰極蛍光ランプにおいて、前記内壁面と前記蛍光体層の間に、紫外線を吸収可能な金属酸化物の粒子表面を導電性を低減させるための物質で覆ったものを用いて被膜を形成したことを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、バルブの内壁面と蛍光体層の間に、紫外線を吸収可能な金属酸化物の粒子表面を導電性を低減させるための物質で覆ったものを用いて被膜を形成したことで、金属酸化物に高導電性のものを用いた場合の通電を防ぎ、また紫外線が金属酸化物に直接的に照射されないようにして金属酸化物の劣化を防いだ上で、冷陰極蛍光ランプが紫外線を外部へ放射しないようにしている。
【0013】
本冷陰極蛍光ランプにおいて、前記物質は、イットリウム又はセリアであることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、導電性を低減させるための低導電性物質としてイットリウム又はセリアを用いることで、高導電性の金属酸化物を用いた場合の通電と、紫外線による金属酸化物の劣化を確実に防止するようにしている。
【0015】
本冷陰極蛍光ランプにおいて、前記被膜は、その膜厚が0.1μmから2μmの範囲にあることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、被膜が厚すぎるとバルブから外部へ放射される可視光の透過量が減少し、薄すぎると紫外線の放射が増加してしまうため、これらの均衡を図る上での適切な膜厚として0.1μmから2μmの範囲にしている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0018】
図1の管軸方向断面図および図2の径方向断面図に示すように、一実施の形態における冷陰極蛍光ランプは、直管型のバルブ1の内壁面に蛍光体層2が形成され、この内壁面と蛍光体層2の間に紫外線を吸収するための被膜3が形成される。バルブ1の内部すなわち放電空間にネオンとアルゴンを混合した希ガス4、水銀5が封入された状態で、バルブ1の両端部に一対の冷陰極6a,6bが気密に封着される。冷陰極6a,6bにはリード線7a,7bがそれぞれ接続される。
【0019】
被膜3は、紫外線を吸収可能な金属酸化物の粒子表面を低導電性物質で覆ったもので形成される。金属酸化物としては、紫外線の吸収能力が高い酸化亜鉛を用いることが望ましい。低導電性物質としては、セリア又はイットリウムを用いることが望ましい。
【0020】
ここで、冷陰極蛍光ランプのより具体的な一実施例について説明する。冷陰極6aと6b間の距離Lを300mm、バルブ1の両端間の距離Mを290mmとし、バルブ1の外径Nを2.6mm、内径を2mmのほぼ真円形とする。バルブ1の材質にはガラスを用いる。
【0021】
被膜3は、酸化亜鉛の粒子表面をイットリウムでコーティングしたもので形成する。被膜3の形成に際しては、酸化亜鉛の粒子表面をイットリウムでコーティングした物質による液体の中にバルブ1の片端を浸し、他方の端に吸引器を備え、空気吸引によりバルブ1の内部を通過するように液体を十分吸い上げてから、空気吸引を停止して液体を落とすことで、バルブ1の内壁面に被膜3を形成する。
【0022】
被膜3の膜厚は、厚すぎるとバルブ1から外部への可視光の透過量が減少して暗くなり、薄すぎると紫外線の放射量が増加してしまうため、適切な膜厚として0.1μmから2μmの範囲とする。本実施例では、膜厚を特に望ましい値として1±0.1μmとする。
【0023】
続いて、比較例の冷陰極蛍光ランプについて説明する。図3の管軸方向断面図および図4の径方向断面図に示すように、比較例の冷陰極蛍光ランプは、直管型のバルブ1の内壁面に蛍光体層2が形成され、バルブ1の内部に希ガス4、水銀5を気密に封入した状態でバルブ1の両端部に一対の冷陰極6a,6bが封着され、冷陰極6a,6bにリード線7a,7bがそれぞれ接続された構成である。比較例の冷陰極蛍光ランプは、実施例におけるバルブ1の内壁面と蛍光体層2との間の被膜3を形成しない構成となっている。
【0024】
比較例の冷陰極6aと6b間の距離Lは300mm、バルブ1の両端間の距離Mは290mmとし、バルブ1の外径Nは2.6mm、内径は2mmのほぼ真円形とする。バルブ1の材質はガラスとする。
【0025】
図5の光分布特性に示すように、紫外線吸収用の被膜3を形成しなかった比較例の冷陰極蛍光ランプでは、波長が297nm、313nm、365nmの紫外線が強く放射されるのに対し、実施例では紫外線の放射を極めて良好に抑制できることが確認された。
【0026】
図6の輝度維持率特性に示すように、冷陰極蛍光ランプを照明装置に使用したときの盤面輝度については、実施例の方が比較例よりも高い輝度を維持できることが確認された。これは、実施例では紫外線による冷陰極蛍光ランプおよび照明装置の劣化を被膜3により防止したことによるものである。
【0027】
したがって、本実施の形態によれば、バルブ1の内壁面と蛍光体層2との間に、紫外線を吸収可能な金属酸化物の粒子表面を低導電性物質で覆ったものを用いて被膜3を形成したことで、金属酸化物に高導電性のものを用いた場合の通電を防ぎ、また紫外線が金属酸化物に直接的に照射されないようにして金属酸化物の劣化を防いだ上で、冷陰極蛍光ランプから外部への紫外線の放射を防止することができ、もって紫外線による照明装置の劣化を防止することができる。また、被膜3をバルブ1の内壁面に形成したことで、冷陰極蛍光ランプ自体の紫外線による劣化も防止することができる。
【0028】
本実施の形態によれば、低導電性物質としてイットリウム又はセリアを用いることで、高導電性の金属酸化物を用いた場合の通電と、紫外線による金属酸化物の劣化を確実に防止することができる。
【0029】
本実施の形態によれば、被膜3の膜厚を0.1μmから2μmの範囲にしたことで、被膜が厚すぎるとバルブから外部へ放射される可視光の透過量が減少し、薄すぎると紫外線の放射が増加してしまう点について、適切な均衡を図ることができる。
【0030】
本実施の形態によれば、金属酸化物として酸化亜鉛を用いた場合に、その粒子表面をイットリウム又はセリアで覆うことにより、酸化亜鉛による通電を防止でき、放電安定に必要な電圧の増加を防止することができる。また、酸化亜鉛が水銀と化合してアマルガムを生成することを防止でき、水銀の消耗量の低減を図ることができる。
【0031】
なお、本実施の形態においては、被膜3をバルブ1の内壁面と蛍光体層2との間に形成することとしたが、被膜3をバルブ1の外壁面に形成するようにしてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係る冷陰極蛍光ランプによれば、紫外線吸収のための被膜に用いる金属酸化物の高導電性および紫外線に対する劣化容易性による弊害を防ぎつつ、冷陰極蛍光ランプから放射される紫外線による照明装置の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態における冷陰極蛍光ランプの構成を示す管軸方向の断面図である。
【図2】図1に示す冷陰極蛍光ランプのA−A部の径方向の断面図である。
【図3】比較例の冷陰極蛍光ランプの管軸方向の断面図である。
【図4】図3に示す冷陰極蛍光ランプのB−B部の径方向の断面図である。
【図5】実施例と比較例の光分布特性を示すグラフである。
【図6】実施例と比較例を照明装置に用いたときの輝度維持率特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…バルブ、2…蛍光体層、3…被膜
4…希ガス、5…水銀
6a,6b…冷陰極
7a,7b…リード線
Claims (3)
- 内壁面に蛍光体層が形成されたバルブ内に希ガス及び水銀を封入しバルブの両端部に一対の冷陰極を備えた冷陰極蛍光ランプにおいて、
前記内壁面と前記蛍光体層の間に、紫外線を吸収可能な金属酸化物の粒子表面を導電性を低減させるための物質で覆ったものを用いて被膜を形成したことを特徴とする冷陰極蛍光ランプ。 - 前記物質は、イットリウム又はセリアであることを特徴とする請求項1記載の冷陰極蛍光ランプ。
- 前記被膜は、その膜厚が0.1μmから2μmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2記載の冷陰極蛍光ランプ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003173354A JP2005011632A (ja) | 2003-06-18 | 2003-06-18 | 冷陰極蛍光ランプ |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005011632A true JP2005011632A (ja) | 2005-01-13 |
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Country | Link |
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- 2003-06-18 JP JP2003173354A patent/JP2005011632A/ja not_active Abandoned
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