図1は、本発明の実施の一形態による車載用のオートチェンジャ機能を備え得るCD再生装置21の概略的な全体構成を示す。筺体22は、車載用の機器として標準的な1DINと称される大きさ、すなわち、幅が約18cm、厚さが5cm、奥行きが17cm程度に形成される。筐体22は、厚み方向が大略的に鉛直方向となるように、車両のダッシュボードなどに設置される。
筺体22内には、収納部であるストッカ23が配置され、円盤状の記録媒体であるCD24を、6枚まで収納することができる。CD24は、約12cmの直径と、約1.2mmの厚さを有し、PUユニット25で再生することができる。ストッカ23は、昇降機構26によって全体としての昇降変位が可能である。フローティング機構27は、PUユニット25のみを他の部分から機械的に浮いた状態とし、CD24がPUユニット25に装着されて再生を行っているときに、外部からの振動や衝撃の影響を受けにくくすることができる。昇降機構26によって1つの収納位置が選択されると、分割機構28によってストッカ23は上下に分割され、分割された収納位置間で間隔をあけることができる。筺体22の側方には、制御回路29を構成する電子回路基板なども配置され、各部の移動の制御を行う。
PUユニット25は、筺体22の底部に設けられるスライドベース30上を変位可能である。スライドベース30は、フローティング機構27によって筺体22の底部から機械的に浮いている状態に保つことができる。制御回路29は、CD24の再生を行うとき以外には、ロック機構31によってフローティング機構27による浮遊状態を解除し、PUユニット25が筺体22内の他の部分と独立して移動することがないようにしている。
筺体22の操作面であるフロントパネル32には、CD24の挿入または排出を行うための開口部として挿排口33が形成される。筺体22内には挿排口33に隣接して、挿排機構34が設けられる。挿排機構34は、挿排ローラ35と支持板36とを含む。挿排口33から挿入または排出されるCD24は、支持板36上に載置され、挿排ローラ35の回転によって挿入方向または排出方向に搬送される。筺体22内でCD24の搬送や再生などが行われているときには、挿排口33を開閉機構を構成するシャッタ機構37で閉鎖する。また、筺体22内に挿入されたCD24を逆方向の排出方向に搬送して、シャッタ軌溝37に当接させて位置決めを行う。図示の状態では、PUユニット25のターンテーブル38は、基準位置で待機して、挿排口33から挿入されるCD24を位置決めすれば、受取ることが可能な状態である。ストッカ23は、個別にCD24を収納可能なホルダ39が積層されて形成される。
図2、図3および図4は、図1に示すCD再生装置21に対するCD24の挿入、再生またはストッカ23への収納の各動作状態の概要をそれぞれ示す。図2では、筺体22の挿排口33から、CD24を挿入し、挿排機構34の挿排ローラ35と支持板36との間で挟持しながら、CD24を筺体22内に引込む状態を示す。CD24が、筺体22内に引込まれると、図1のシャッタ機構が挿排口33を閉じて、新たなCD24の挿入が不可能な状態に変える。挿排ローラ35は、一旦CD24を筺体22内に引込んだ後、逆方向に回転し、CD24を図1のシャッタ機構37によって停止するまで押し戻す。これによって、CD24を一定の位置、すなわち挿排口33の直ぐ内側に確実に位置決めすることができる。
図3は、位置決めされたCD24に対し、その下方に待機しているPUユニット25が上昇し、ターンテーブル38にCD24をチャッキングして装着し、分割されたストッカ23内に移動する状態を示す。また、挿入されたCD24を、このままの状態でPUユニット25で再生することもできる。
図4は、ストッカ23内の空間に移動したPUユニット25から、ターンテーブル38に装着しているCD24をストッカ23を構成するホルダ39に移し換える状態を示す。ホルダ39は、ターンテーブル38に装着されて搬送されるCD24よりも下方に待機し、上昇してCD24の周縁部を持上げるようにして、ターンテーブル38からCD24を外す。また、ストッカ23内に収納されているCD24を、PUユニット25のターンテーブル38に移行させて排出する際には、ホルダ39が下降して、収納しているCD24をターンテーブル38上に移す。ストッカ23への収納の際には、CD24をホルダ39上に移したPUユニット25をストッカ23間の空間から取出す。CD24の排出を行う際には、ストッカ23間でホルダ29から受取ったCD24を装着したPUユニット25を引出して、挿排機構34側に移し換える。
図5、図6、図7、図8および図9は、本実施形態のCD再生装置21で、CD24の挿入、排出、収納、再生およびチェンジを行う際の動作の概要をそれぞれ示す。図5(1)は、CD24の挿入が可能な挿入スタンバイ状態を示す。挿排機構34では、挿排ローラ35が下降して、挿入されるCD24を引込むことが可能な状態になっている。ストッカ23では、選択される収納位置に対応するホルダ39に対して、その下側のホルダが全部下降して間隔があいており、また選択されたホルダ39の上側のホルダは全部上昇している。選択されたホルダ39とその上方のホルダとの間の空間にCD24が収納される。PUユニット25は、挿排機構34の出側の待機位置で待機している。
図5(2)は、CD再生装置21のユーザが、図1の挿排口33からCD24を1枚挿入した状態を示す。挿排機構34の挿排ローラ35は、挿入されたCD24を図5(3)に示すように一旦筺体22内に引込み、図5(4)に示すように逆方向に搬送して位置決めを行う。図5(3)に示すようにCD24を引込んだ後では、シャッタ機構37が閉じる。図5(4)に示すように、CD24を逆方向に搬送すると、CD24の後端はシャッタ機構37に当接して停止し、位置決めを行うことができる。
図5(4)で位置決めされたCD24に対し、図5(5)では、PUユニット25が上昇してターンテーブル38にCD24を装着して、CD24を受取る。ターンテーブル38には、チャッキング機構40が設けられ、図5(6)に示すように、チャッキング機構40を作動させてCD24をターンテーブル38に対してクランプする。次にPUユニット25を挿入方向に移動させ、挿排機構34からCD24を引出し、図5(7)に示すように、ストッカ23内にCD24を移動させ、図5(8)に示すようなPLAY状態で、図1のロック機構31を解除し、PUユニット25がフローティング機構27によって機械的に浮いた状態として、CD24からの情報の再生を行う。
図6は、図5(8)に示す再生状態から、CD24を排出する動作の過程を示す。図6(1)の再生状態では、図1のロック機構31がロック状態を解除しているけれども、図6(2)では、図1のロック機構31を作動させて、図1のフローティング機構27による浮遊状態を停止する。図6(3)では、PUユニット25をストッカ23内から挿排機構34の出側の待機位置まで移動する。図6(4)では、チャッキング機構40を作動させて、CD24に対するターンテーブル38へのクランプ状態を解除する。図6(5)では、PUユニット25が待機位置で下降するとともに、挿排機構34の挿排ローラ35も下降して、CD24を挿排ローラ35と支持板36との間で保持する。これによってCD24は、PUユニット25から挿排機構34側に受け渡される。図6(6)では、挿排ローラ35が回転し、CD24を排出する。排出は、図1の挿排口33からCD24が突出する状態で一旦停止し、CD再生装置21のユーザがCD24を取出す動作を行うのを待つ。
図7は、CD24をストッカ23内の収納位置まで収納する収納動作の概要を示す。ただし、図5(8)に示すPLAY状態を、図7(1)のPLAY状態として説明を行う。挿排口33から挿入されるCD24をストッカ23に収納する場合には、図5の(1)から(8)までの動作の後、再生を行わないで直ちにCD24の収納を行う。図7(2)では、図1のロック機構31が動作して浮遊状態が解除された後、PUユニット25とCD24を収納するホルダ39とが上昇する。図7(3)では、PUユニット25のチャッキング機構40によるCD24のターンテーブル38へのクランプ状態が解除される。図7(4)では、PUユニット25が下方に移動し、ターンテーブル38からCD24がホルダ39上に抜取られる。図7(5)では、PUユニット25が挿排機構34の下方の位置まで移動し、図7(6)では分割されていたストッカ23が全部下降して分割状態が解除される。
図8は、ストッカ23内に収納されている任意のCD24を排出する動作手順を示す。図8(1)に示すように、PUユニット25が挿排機構34の下方に位置し、ストッカ23の全体が下降している状態から、排出すべきCD24を収納しているホルダ39が選択されると、図8(2)に示すように、選択されたホルダ39を含み、その上方の部分と、選択されたホルダ39よりも下方の部分とに、ストッカ23が分割される。図8(3)では、分割されて形成されるストッカ23内の空間にPUユニット25が移動する。図8(4)では、PUユニット25が上昇し、排出するCD24をターンテーブル38に装着する。図8(4)では、ターンテーブル38のチャッキング機構40を作動させてCD24をクランプする。図8(5)では、CD24を収納していたホルダ39が下降し、ターンテーブル38側にCD24を移行させる。図8(6)では、CD24を装着したターンテーブル38を含むPUユニット25がストッカ23間に形成される空間から挿排機構34の出側の待機位置まで移動する。CD24は、挿排ローラ35が引上げられている支持板36に挿入される。図8(7)では、チャッキング機構40によるCD24のターンテーブル38へのクランプ状態を解除し、図8(8)でPUユニット25を下降させるとともに挿排ローラ35を下降させ、挿排ローラ35と支持板36との間でCD24を保持してターンテーブル38からCD24を除去し、挿排ローラ35を回転させてCD24の排出を行う。図8(8)は、CD24がユーザによって挿排口33から除去されれば、新たにCD24の挿入が可能となる挿入スタンバイ状態となる。
図9は、1つのCD24を再生しているPLAY状態から、ストッカ23内に収納されている他のCD24に交換するチェンジ動作を示す。図9(1)から(6)までの動作は、図7(1)から(6)までと同様である。図9(7)から(11)までの動作は、図8(1)から(5)までの動作と同様である。図9(12)では、図1のロック機構31を解除し、PUユニット25が図1のフローティング機構27によって、機械的に浮遊している状態となるようにした後、選択されたCD24を収納していたホルダ39を下降させ、CD24の再生を行う。図1のロック機構39によるロックを解除しているので、外部から与えられる衝撃や振動をフローティング機構27でPUユニット25に伝わりにくくした状態で、CD24の再生を行うことができる。ただし、振動の吸収のために、PUユニット25と他の部分との間には相対的な変位が生じる可能性があるので、CD24を装着したPUユニット25は、CD24が周囲に当たらないような位置に移動することが好ましい。
図10は、図1のCD再生装置21の外観を示す。フロントパネル32の挿排口33の周囲には、選択ボタン41〜46が設けられ、ストッカ23内に収納されるCD24の収納位置を指定することができる。収納位置には、たとえば下から上に1〜6番の番号を与え、選択ボタン41〜46で対応する番号を指定する。
図11は図1のCD再生装置21で筺体22を除去した機構部分の構成を示す。図12は、図11に示す機構部分を平面視した状態を示す。取除いた筺体22のフロントパネル32側を前方側、フロントパネル32と対向する側を後方側として、機構部分の全体はシャーシ50によって支えられる。シャーシ50上には、前方側にシャッタ機構37および挿排機構34などが配置され、後方側にはストッカ23などが配置される。
PUユニット25は図12に示すような待機のための基準位置と、ストッカ23内に進入した位置との間で、ターンテーブル38の中心位置がシャーシ50の中心線51上に位置するように、前後方向に移動が可能である。また図12に示す基準位置から、ターンテーブル38側を先端として旋回変位し、ターンテーブル38を挿排機構34の下方に移動させることもできる。
シャーシ50の幅方向の両側には、ストッカ23の昇降移動を行う昇降機構26、ストッカ23の分割を行う分割機構28、およびPUユニット25やロック機構31を作動させるための機構が、前後方向に往復移動する各種のスライド板などとして配置される。スライド板の駆動を行うために、シャーシ50の後方の、角隅の部分に、昇降モータ52および分割モータ53がそれぞれ配置される。昇降モータ52は、昇降用スライド板54をシャーシ50の前後方向に移動させ、カウントセンサ55で計数される段数に従って、ストッカ23の収納位置の選択を行う。昇降モータ52で選択された収納位置に対しては、分割モータ53によって駆動される分割用スライド板56が作用し、ストッカ23の分割が行われる。
シャーシ50の前方側および後方側には、分割用スライド板56および昇降用スライド板54の原点位置を示す分割原点スイッチ57および昇降原点スイッチ58がそれぞれ設けられる。分割用スライド板56の中間の位置は、分割位置センサ59によって検出される。分割位置センサ59は、直線状に作動する可変抵抗器であり、位置をアナログ電圧で示すように使用する。検出出力はA/D変換され、デジタル値として取扱われる。
本実施形態では、昇降モータ52で挿排ローラ35の駆動も行う。挿排ローラ35は、CD24の挿入または排出を行う際にだけ下降して作用し、他の状態では上昇しているので、機構を簡略化するために、挿排ローラ35には常時昇降モータ52からの駆動を伝達している。ストッカ23の昇降変位を必要とするときには、クラッチ機構を作動させて、駆動力が昇降用スライド板54に伝達されるように連結する。本実施形態のクラッチ機構は、分割用スライド板56が最も後退した位置にあるときに、昇降モータ52からの駆動力を昇降用スライド板54に伝達可能な状態に接続する。分割用スライド板56が最後方の位置から離れると、クラッチ機構58はモータ52からの駆動力が昇降用スライド板54に伝わらないように切断する。
図13は、PUユニット25を移動するため、スライドベース30上に形成されるスライドユニット60の構成を示す。図14は、スライドユニット60のスライド板61をスライドベース30に対して後方に移動させた状態を平面視して示す。図15は、旋回板62に関連する構成を示す。スライドユニット60は、大略的にスライド板61および旋回板62を有する。スライド板61は、スライドベース30に対して、前後方向に移動可能である。旋回板62は、基端側に設けられる旋回軸63を中心として、スライド板61に対して先端側のPUユニット25が弧を描くように旋回変位が可能である。スライド板61には、旋回板62の旋回変位の際の案内を行う円弧状案内溝64が形成される。スライドベース30には、L字状案内溝65が形成され、縦溝66と横溝67とを有する。旋回軸63には、スライドベース30のL字状案内溝65に係合する突起68が設けられ、突起68がL字状案内溝65の横溝67と係合している間に、旋回板62に設けられる突起69がスライド板61の円弧状案内溝64と係合して、旋回板62の旋回変位が行われる。揺動板62の突起68がL字状案内溝65の縦溝66側と係合するようになると、旋回板62はそれ以上の旋回変位を行うことができず、縦溝66と突起68とが係合した状態で、前後方向の移動のみが可能となる。
旋回板62上でのPUユニット25の移動は、送りモータ70が送りねじ軸71を回転駆動して行う。PUユニット25がターンテーブル38側の原点位置にあることは、PU原点スイッチ72によって検出される。一般的なPUユニットでは、PUユニットが原点位置まで達すると、それ以上の送りモータ70の駆動は行わない。本実施形態では、原点位置でPUユニット25を機械的に停止させないで、送りモータ70をさらに駆動して、チャッキング機構40によるクランプ状態の解除も可能にしている。クランプ状態が解除されることはクランプ解除スイッチ73によって検出する。ターンテーブル38は、スピンドルモータ74によって直接回転駆動する。
スライドベース30に対するスライドユニット60の相対的な移動は、スライドモータ75によって駆動される。スライドモータ75はスライドベース30上に設けられ、スライド板61の移動位置は、スライド原点スイッチ76、スライド完了スイッチ77および挿排待機スイッチ78によってそれぞれ検出される。スライドユニット60で、スライドモータ75からの駆動力をスライド板61に伝達する歯車機構中には、スリップ機構79が設けられ、過大な駆動力の伝達を阻止している。スライド板61の前方への移動では、ピン61aが所定の挿排機構34に当接して停止する。
なお、スライドベース30の背面側には、図13に示すように、フローティング軸60a、ロック軸60b、およびロック片60cが突出する。フローティング軸60aは、スライドユニット60を浮遊状態にするために使用される。ロック軸60bおよびロック片60cは、浮遊状態を解除するために使用される。
図16は、スリップ機構79の構成を示す。スリップ機構79では、共通の軸79aに2つの歯車79bおよび79cが設けられている。スライドモータ75に連なる側の歯車79bは、軸79aに対して固定されている。スライド板61側に連なる歯車79cは、軸79aに対して固定されておらず、軸79aのまわりに回転することができる。歯車79cは、軸79aに固定される止め輪79dに対してばね79eで押圧されているので、歯車79cと止め輪79dとの摩擦力で駆動力が伝達される。
駆動力が、摩擦力を超えると、歯車79bから軸79aに伝達される駆動力は、止め輪79dから歯車79bに伝達されないで空回りしてしまう。これによって、スライド板61をスライドベース30に対して最も突出させ、PUユニット25をストッカ23内に進入させた状態、またはスライドベース30に対してスライド板61を最も引き戻した状態に、それぞれ到達して機械的な当たりで停止状態になると、スリップ機構79が空回りするようになる。スリップ機構79が空回りするまで時間を充分にとって、スライドモータ75を駆動してから、スライドモータ75を停止させるような制御を行えば、高精度にスライド板61の停止位置を決めることができる。光センサなどを用いて位置を検出して停止させるような制御では、機械的な制御の遅れなどの影響で、正確な位置決めは困難である。本実施形態では、簡単な制御で確実に高精度の位置決めを行うことができる。
スライドユニット60の直線状の移動は、スリップ機構79からの駆動力を連動軸でスライドベース30の両側方に伝達し、同一構成の歯車機構を介して行われる。両側が同時にかつ均等に駆動されるので、円滑な移動が可能になる。
図17は、挿排機構34およびシャッタ機構37を含む開閉機構の構成を示す。後方に配置される昇降モータ52および分割モータ53からの駆動力は、平歯車80,81にそれぞれ伝達される。挿排機構34の挿排ローラ35は、前述のように後部側に配置される昇降モータ52によって駆動されるので、基端に平歯車80が取付けられている駆動用のドライブシャフト82が延長して設けられ、その先端は歯車機構83と連結している。後方側の分割モータ53からの駆動力も、基端に平歯車81が取付けられているドライブシャフト84で伝達され、両側を連結する連結軸85を回転駆動した後、各連結軸85の両側に設けられる歯車機構86,87を介して、分割用スライド板56を前後方向に同等に駆動する。
開閉機構のシャッタ機構37は、開閉用スライド板88aと、シャッタ用スライド部材88bと、シャッタ部材88cとを含む。開閉機構としては、さらに開閉ピン89aを含み、開閉ピン89aには、開閉ストッパ89bおよびピン用スライド板89cが関連して設けられる。これらの関連動作については、後述する。開閉機構としては、両側に対をなして配置される開閉ピン89が、CD24が二重に挿入されることを防ぐ。最初のCD24の挿入時や、CD24の排出時には、開閉ピン89aは、CD24の移動を妨げないように、CD24に当接する圧力でCD24の移動範囲から逃げるようになっている。二重挿入を防止する際には、開閉ピン89aは、開閉ストッパ89bによって変位を阻止され、CD24が当接しても逃げることがなく、CD24の移動が阻止される。シャッタ部材88cは、前述のように、一旦挿入されるCD24に対し、挿排ローラ35を逆回転させて位置決めを行う際に利用される。
また、CD24の挿入および排出に関連して、挿入検知スイッチ90a、挿入有無スイッチ90b、挿入完了スイッチ90cおよび排出完了スイッチ90dも設けられる。
図18は、ホルダ39の構成を示す。ホルダ39は大略的に半円弧状である。ホルダ39の内周側にはCD24を載置するCD載置部91が形成される。CD24を水平な姿勢でホルダ39のCD載置部91に載置するだけで保持可能なようにするため、ホルダ39は半円よりも大きな範囲でCD24の周囲を載置可能とする。ホルダ39の後方端側には、CD載置部91に載置されているCD24が浮き上がらないように抑える浮き上がり防止突起92を形成する。ホルダ39の両側には、後述するように、分割用スライド56で分割を行うための分割用突起93,94,95,96を形成する。またホルダ39の幅方向の両側には、一対の挿通孔97,98を形成する。ホルダ39の表面の前方には位置ずれ防止用突起99,100を形成する。
図19は、ホルダ39を積層して、ストッカ23を形成している状態を示す。ストッカ23は、昇降用スライド板54によって昇降変位する底板101と、底板101上方に向けて立設される一対の昇降ガイド102,103と、昇降ガイド102,103が挿通孔97,98にそれぞれ挿通される6枚のホルダ39と、天板104とを含む。天板104は、中心部の切欠き105を除いて、最上段のホルダ39上に載置されるCD24の上面を押さえることができるように、大略的に矩形の形状に形成される。矩形形状の四隅には、ホルダ39の分割用突起93〜96に対応する分割用突起106〜109がそれぞれ形成される。また、天板104には、昇降ガイド102,103が挿通する挿通孔110,111と、最上段のホルダ39の位置ずれ防止用突起99と係合する位置ずれ防止穴112,113も設けられる。本実施形態では、複数段のCD24を収納するために、同一のホルダ39を用いることができる。底板101の両側方には、昇降用スライド板54に形成される階段状の溝と係合して昇降変位を行うためのピン114,115,116,117が設けられる。
また、天板104の両側には、ばね受け118が設けられる。両側のばね受け118には、細長いコイルばね119がそれぞれ接続され、底板101の中央で、コイルばね119の先端同士が引っ掛けられて止められる。コイルばね119は全長が長いので、ストッカ23が分割されて全長が伸びた状態でも、ストッカ23が閉じて伸びが小さくなった状態でも、ストッカ23が閉じるように付勢する力にほとんど差がないようにすることができる。
図20は、ストッカ23を任意の位置で分割することができる分割用スライド板56の形状を示す。分割用スライド板56には、前後方向に分けて、2組の上側カム部120および下側カム部121がそれぞれ形成される。分割する収納位置のホルダ39の分割用突起93〜96は、上側カム部120の斜面に沿って上昇する。分割するホルダ39よりも下側のホルダは、下側カム部121によって分割用突起93〜96の上側が抑えられる。上側カム部120に沿って斜面を上昇する分割用突起93〜96は、分離部122で、収納位置のホルダ39とその上方のホルダ39とに分離される。最上段のホルダ39を選択しているときには、天板104の分割用突起106〜109が分離部122で分離される。下側のホルダ39は、抑え部123でばねの効果でさらに押し付けられる。分割用スライド板56の前後方向の移動は、分割用スライド板56の前方の上部に設けられるラック124を、図17に示される歯車機構86,87内のピニオン歯車で駆動して行う。なお、分割用スライド板56には、後述するPU昇降用スライド板と連動させるためのばね受け125が上方に形成され、ピン126が側方に立設される。
図20では、分割用突起93,94と分割用スライド板96の移動位置との関係を、参照符93a1,93a2,…,94c4等で示す。分割用突起を示す「93」および「94」の後の「a」、「b」、「c」は、選択されたホルダ39の上のホルダ39、選択されたホルダ39、および選択されたホルダ39の下のホルダ39のそれぞれに対応する。選択されたホルダ39が最上段のホルダ39であるときは、そのウエハ天板104となる。選択されたホルダ39が最下段のホルダ39であるときは、その下は底板101となる。最後の数字「1」、「2」、「3」、「4」は、ストッカ23の分割の状態に対応する。
図5〜図9を参照すると、「1」は、ストッカ23が閉じている状態であり、図7(6)、図8(1)および図9(6),(7)に対応する。「2」は、図7(2)〜(5)、図8(2)〜(5)、図9(2)〜(5)、および図9(8)〜(11)に対応する分割状態である。「3」は、図5(8)、図6(1)、図7(1)、図9(1)および図9(12)に対応する状態である。「4」は、図5(1)〜(7)、図6(2)〜(6)、および図8(6)〜(9)に対応する状態である。
図21は、ホルダ39の分割用突起93〜96を、上側カム部120と下側カム部121とで分割している状態を示す。このような分割用スライド板56を用いることによって、図5〜図9に示すようなストッカ23の昇降変位が可能となる。
図22は、図1の分割機構28を構成する主要部分の配置を示す。シャーシ50の両側方には、連動して前後方向に移動する分割用スライド板56が配置される。なお、分割用スライド板56は、右側を56a、左側を56bで示し、総称するときは単に参照符56で示す。
図23は、分割用スライド板56と連動して、PUユニット25のスライドベース30を昇降変位させるPU昇降用スライド板130に関連する構成を示す。図23(a)はPU昇降用スライド板130自体、図23(b)は昇降用スライド板130が装着されるシャーシ50の左側方から見た状態をそれぞれ示す。
図23(a)に示すように、PU昇降用スライド板130には、スライドベース30を昇降変位させるためのPU昇降用溝131が形成される。PU昇降用スライド板130は、ピン132で案内されて前後方向に移動する。連動溝133は、分割用スライド板56のピン126と係合し、分割用スライド板56がある程度以上後退すると連動して後退し、上方に形成されるラック134が歯車機構86,87のピニオン歯車に噛合するようになって、さらに後方に移動可能となる。PU昇降用スライド板130には、分割用スライド板56のばね受け125との間に、コイルばねを掛けるためのばね受け135も設けられる。
図23(b)に示すように、PU昇降用スライド板130は、シャーシ50の側板136に装着される。側板136には、スライド溝137がカムとして形成され、PU昇降用スライド板130のピン132が係合し、PU昇降用スライド板130の前後方向の移動を案内する。PU昇降用スライド板130の下方には、昇降用スライド板54が装着される。
なお、PU昇降用スライド板130は、分割用スライド板56と一体化させることもできる。その場合は、PU昇降用溝131を分割用スライド板56に形成する。本実施形態のように別体とすれば、前後方向に必要な長さを短くすることができる。
図24は、シャーシ50に取付ける基本的な昇降用スライド板54の駆動機構を示し、図25は昇降用スライド板54自体の構成を示す。昇降用スライド板54は、シャーシ50の前方で両側が連動レバー140で機械的に連結され、一方が前進すれば他方が後退するように、逆方向に移動する。連動レバー140は、中央の支軸141まわりに揺動変位が可能である。左側の昇降用スライド板54は、昇降モータ52から傘歯車142を介してピニオン歯車143に伝達される駆動力で前後方向の移動を行う。
図25に示すように、昇降用スライド板54には、階段溝144が形成されており、ストッカ23の底板101のピン114,115,116,117に係合する。階段溝144は、カムとして、ストッカ23を全体として昇降変位させる。ストッカ23は、昇降変位によって分割するホルダ39間を分割用スライド板56の先端の高さに合わせることによって、分割する収納位置の選択を行う。本実施形態では、分割する位置の上方のホルダ39を選択することになるけれども、下方のホルダ39を選択するような構成も、同様に可能である。
図26は、昇降モータ52と図24に示す傘歯車142との間に介在される歯車機構150の構成を示す。図26(a)は、左側方から見た状態、図26(b)は正面から見た状態をそれぞれ示す。歯車機構150には、昇降モータ52の出力軸に取付けられるウォーム歯車151から駆動力が伝達される。歯車機構150中には、遊星歯車152が設けられ、傘歯車153への駆動力の伝達を、断続することができる。遊星歯車152は、クラッチレバー154の先端のピン155が分割用スライド板56bの先端で押圧されると、傘歯車153への噛合状態が解消されるように変位する。なお、ばね156は、ピン155が分割用スライド板56bの先端で押圧されない限り、遊星歯車152から傘歯車153に駆動力が伝達され、傘歯車153から図24の傘歯車142を介して昇降用スライド板54が駆動される状態に保つ。
昇降用スライド板54の駆動が停止されるような分割用スライド板56bの移動状態は、図20の参照符93a4,93b4,93c4,94a4,94b4,94c4に相当し、ストッカ23は分割され、しかも選択されたホルダ39はターンテーブル38の位置から下がっている。この位置から、PU昇降用スライド板130のみが分割モータ54からの駆動力で移動し、PUユニット25を昇降変位させる。
図22に示すように、分割用スライド板56に関連して、シャーシ50の前部寄りには、押えレバー157が配置される。押えレバー157は、分割された下側のストッカ23を構成するホルダ39内に収納されるCD24が脱落しないように、前方から抑えるため、ばねで付勢される。分割用スライド板56が最前方の位置に移動してストッカ23の分割が解消されると、押えレバー157によるストッカ23の押えも解除される。
シャーシ50の前方側にはロック機構31が設けられ、図13に示すスライドユニット60のスライドベース30から突出するロック軸60bが挿通されるロック孔158を有する。また、スライドベース30に立設されるフローティング軸60aは、ロック機構31よりも幅方向の外側に設けられるダンパ取付孔159に取付けられる制動のためのダンパに挿入される。さらにダンパの周囲にコイルばねを配置し、シャーシ50に対してスライドユニット60をフローティング状態で弾発的に支持して、フローティング機構が構成される。
図27は、挿排機構34での挿排ローラ35の昇降動作を示す。図27(a)は上昇状態を示す。昇降板160は、ばねで引上げられ、同時に開閉ストッパ89bも押上げている。このため、開閉ピン89aは、挿排口33を閉鎖する。昇降板160には、図13に示すスライド板61に設けられるピン61aが当接して係合する当接部161が形成される。昇降板160が上昇しているときには、レバー162のピン163を押上げ、レバー162に軸が装着される挿排ローラ35を上昇させる。
図27(b)は、昇降板160の当接部161にピン61aを当接させ、PU昇降用スライド板130でスライドベース30を引下げて、スライドユニット60のピン61aも引下げ、連動して昇降板160を下降させている状態を示す。レバー162のピン163を昇降板160が押上げなくなるので、挿排ローラ35は下降する。また、開閉ストッパ89bが下がるので、開閉ピン89aはCD24を挿入すれば逃げることができるようになり、挿排口33の閉鎖は解除される。
図28は、図27(b)に示す状態を断面視して示す。挿排ローラ35および支持板36の内方寄りには、挿排レバー165が配置される。挿排レバー165は、後述するように、CD24の挿入時には開閉用スライド板88aを前方に変位させる。CD24の排出時には、開閉用スライド板88aを変位させず、図17の排出完了スイッチ90dを作動させる。
図29は、分割用スライド板56およびPU昇降用スライド板130と、挿排ローラ35とを駆動するための歯車機構の概要を示す。ドライブシャフト82の先端には、歯車機構83を構成する傘歯車83aが設けられ、傘歯車83bおよび平歯車83cに、平歯車80を介する昇降モータ52からの駆動力を伝達する。ドライブシャフト84の先端には傘歯車84aが設けられ、傘歯車84bおよび平歯車84cに、平歯車81を介する分割モータ54からの駆動力を伝達する。連結軸85には、右端側に平歯車85a,85bが設けられ、左端側には平歯車85cが設けられる。分割モータ54からの駆動力は、平歯車84cから歯車機構86の軸86aに挿入されている平歯車86bを介して平歯車85aに伝達される。
平歯車86bは、軸86aには固定されておらず、軸86aを中心として自由に回転することができる。歯車機構86の軸86aの両端には平歯車86cおよびピニオン歯車86dが設けられる。左端側の歯車機構87は、軸87aを中心として自由に回転することができる平歯車87bと、軸87aの両端に設けられる平歯車87cおよびピニオン歯車87dとを有し、右端側の歯車機構86と同一の構成を有する。
分割モータ53から平歯車85aに駆動力が伝達されると、連結軸85が回転し、平歯車85b,85cを介して、平歯車86c,87cに駆動力がそれぞれ伝達される。この駆動力は、ピニオン歯車86d,87dを回転させ、分割用スライド板56b,56aのラックを前後方向に駆動する。なお、左端側の歯車機構87で、ドライブシャフト82を介して伝達される昇降モータ52からの駆動力は、平歯車87bを介して、挿排ローラ35の駆動機構に伝達される。
すなわち、歯車機構83には、平歯車83cから歯車機構87の平歯車87bを介して駆動される平歯車83d,83eも含まれる。平歯車83eは、挿排ローラ35の軸に取付けられており、挿排ローラ35を回転駆動することができる。挿排ローラ35は、昇降モータ52を回転させれば常に回転駆動される。ただし、挿排ローラ35が図27(a)に示すような上昇位置にあれば、回転しても何の影響も生じない。
図30は、開閉機構の動作を示す。図30(a)は、CD24の挿入前の状態を示す。CD24が挿入されると、開閉ピン89aが左右に押されて変位し、ピン用スライド板89cの変位を阻止していたピン取付板89dが移動するので、ピン用スライド板89cがばねで変位し、挿入検知スイッチ90aが作動する。さらにCD24を挿入すると、挿排レバー165が押されて、開閉用スライド板88aが前方に変位する。これによって、図30(b)に示すように、挿入有無スイッチ90bが作動する。シャッタ部材88cは前方から押されて傾くけれども、CD24の挿入の障害とはならない。
図30(c)は、CD24を装置内部に取込んだ状態を示す。シャッタ用スライド部材88bは、ばね166で引張られているので、開閉用スライド板88aが前方に変位している状態では、右方に移動しようとしている。CD24が内部に取込まれて、シャッタ部材88cの傾きがなくなれば、シャッタ用スライド部材88bは右方に変位し、シャッタ部材88cをロックする。また、挿入完了スイッチ90cも作動させる。
図30(d)は、挿排レバー165がCD24の排出時に、排出完了スイッチ90dを作動させる状態を示す。CD24が残っていて、挿排レバー165が傾いていれば、板ばね167で挿排完了スイッチ90dは押圧されている。CD24の排出が完了すれば、板ばね167による押圧は解除される。挿排完了スイッチ90dは、板ばね167による押圧力の変化を検出する。
図31は、シャッタ部材88cの形状と動作とを示す。図31(a)に示すような形状のシャッタ部材88cは、図31(b)から(c)に示すように、CD24の挿入は妨げない。図31(d)に示すように、取込んだCD24を逆に送ると、傾きがロックされ、CD24の移動を阻止する。なお、排出時には、開閉用スライド板88aが図30(a)の位置にあるので、シャッタ部材88cの傾きはロックされず、排出を阻止することはない。
図32は、挿排レバー165の形状と動作とを示す。図32(a)に示すような挿排レバー165は、図32(b)に示すように、挿入時165aと排出時165bとで、傾きの方向が異なる。これによって、挿入時は、開閉用スライド板88aを変位させるけれども、排出時は変位させない。
図33は、図1の制御回路29によってCD再生装置21の各部を制御するための電気的構成を示す。制御回路29には、マイクロコンピュータなどが含まれ、予め設定されるプログラムに従って、種々の動作を行わせる。どのような動作を行うかは、フロントパネル32に設けられる選択ボタン41〜46などを含む入力スイッチ170からの指示に従って行われる。
図34〜図51は、図33の制御回路29による制御動作を示す。モータは、時計まわり方向(CW)と反時計まわり方向(CCW)とに、方向が切換え可能である。分割位置センサ59の出力値は、デジタル変換した後の16進数で示し、「h」を付加してある。また、「const.」、「inc.」および「dec.」は、値が一定、増加および減少することをそれぞれ示す。
図34は、フローティング機構27によってPUユニット25を含むスライドベース30をシャーシ50から浮遊させている状態から、ストッカ23のホルダ39にCD24を戻すまでの動作の際の制御タイミングを示す。動作開始時点Sで、図9(1)に示すように、下方に逃げているホルダ39を分割用スライド板56を分割モータ53で反時計まわり(CCW)方向に駆動して上昇させ、分離部122で下方に押下げられていたホルダ39を上昇させるとともに、ロック機構31によるロックを解除し、フローティング状態を回復する。図35は、CD24のチャッキング機構40によるクランプ状態を解除し、スライドユニット60を下降させて、CD24からターンテーブル38を抜取る動作の手順を示す。図36は、スライドユニット60をストッカ23内から待機位置まで引出して退避させる動作の制御手順を示す。図37は、PUユニット25がストッカ23外部に退避し、分割されて形成されているストッカ23の空間が、分割用スライド板56の移動によって閉じて、ストッカ23が全て密着し、分割が終了する状態の動作手順を示す。図38は、昇降用スライド板54によって、ストッカ23の全体が昇降変位する動作手順を示す。以上説明した図34から図38までの制御によって、図7(1)から図7(6)まで、あるいは図9(1)から図9(6)までの動作を行わせることができる。
図39は、分割用スライド板56によって、ストッカ23の分割を行う際の制御動作を示す。図40は、分割されたストッカ23の空間に、PUユニット25を挿入する動作を示す。図41は、ストッカ23内に挿入されたPUユニット25のターンテーブル38を上昇させ、ターンテーブル38にCD24を装着する動作を示す。図42は、チャッキング機構40を作動させて、ターンテーブル38にCD24をクランプし、ロック機構31によるロックを解除して、スライドベース30上のPUユニット25等をフローティング機構27による浮遊状態にする動作の制御を示す。図39から図42までの制御で、図9(7)から図9(12)までの動作を行わせることができる。
図43は、ストッカ23内でターンテーブル38にクランプしている状態から、CD24を収納していたホルダ39を下降させる動作の制御を示す。図44は、ターンテーブル38にクランプした状態のCD24を、PUユニット25を用いて待機位置まで移動させる搬送の動作を示す。図45は、PUユニット25が待機位置に位置決めされた状態でチャッキング機構40によるCD24のターンテーブル38へのクランプ状態を解除し、スライドユニット60を下降させるとともに、挿排ローラ35を下降させて挿排機構34内でCD24を保持し、ターンテーブル38をCD24に搬送経路から下方へ退避させる動作の制御を示す。図46は、挿排ローラ35を駆動して、CD24を外部に排出する動作の制御を示す。以上説明した図43から図46までの制御は、図6の(1)から(6)までの手順に対応する。
図47は挿排口33から挿入されるCD24を、挿排ローラ35によって内部に取込む動作の制御を示す。図48は、挿排ローラ35を逆方向に駆動して、CD24の待機位置に対する位置決めを行う動作の制御を示す。図49は、位置決めされたCD24に対し、PUユニット25を上昇させて、CD24をターンテーブル38に装着する動作の制御を示す。図50はターンテーブル38にチャッキング機構40によってクランプしたCD24を、PUユニット25を移動して、ストッカ23内の空間に搬送する動作の制御を示す。以上説明した図47から図50の制御で、図5(1)から(7)までの動作を行わせることができる。
図51はロック機構31によりスライドベース30をロックし、PUユニット25のターンテーブル38を上昇させる動作の制御を示す。
以上説明した実施形態では、円盤状すなわちディスク状の記録媒体であるCD24を、ほぼ水平な状態で取扱うようにしているけれども、同様なディスク状記録媒体、たとえばDVDやLDなども同様に取扱うことができる。また、記録媒体は、再生専用のCD24などばかりではなく、情報の記録も可能なCD−RやCD−RWなども用いることができる。このような書込みも可能な記録媒体は、たとえばパーソナルコンピュータなどの情報記録媒体として用いることができる。本発明を適用すれば、パーソナルコンピュータなどの筺体内に内蔵したり、外部に接続したりする場合であっても、多くの記録媒体を収納する再生または再生記録装置を、小形に構成し、しかも記録媒体を1枚ずつ挿入排出することができる。
また、偏平な状の記録媒体は、ほぼ水平な姿勢ばかりではなく、鉛直な姿勢や、傾斜した姿勢で用いることもできる。記録媒体の周辺を保持して中心をチャッキングすれば、狭い空間内で記録媒体を容易に取扱うことができる。また記録媒体は、MDなどのように、カートリッジに収納した状態で用いることもできる。このような場合でも、ドライブユニットで記録媒体を搬送すれば挿排機構の簡略化と小形化とを図ることができる。
さらに、複数の記録媒体を収納するオートチェンジャ装置ばかりではなく、記録媒体を個別に挿入して再生するスロットイン方式の再生装置の位置決めにも、本発明を適用し、必要な機構の簡略化と小形化とを図ることができる。
本発明は、次の実施の形態が可能である。
(1)記録媒体が個別に挿入または排出される挿排口を有し、挿入される記録媒体について情報の再生および/または記録を行う記録媒体の再生装置において、
挿排口に挿入される記録媒体を装置内部に挿入し、または装置内部の記録媒体を挿排口から装置外部へ排出することが可能な挿排機構と、
記録媒体が挿排口から装置内部に挿入されると、該挿排口の少なくとも一部を閉鎖可能な開閉機構と、
記録媒体が挿入されるとき、該挿排機構を挿入方向に駆動して記録媒体を装置内部に挿入した後、該挿排機構を排出方向に駆動して、記録媒体を該開閉機構機構に当接させ、装置内部で記録媒体を位置決めするように制御する制御回路とを含むことを特徴とする記録媒体の再生装置。
記録媒体の挿入および排出のために挿排口が設けられ、挿入または排出される記録媒体の搬送のために装置内部には挿排機構が設けられる。制御回路は、挿排口から記録媒体が挿入されると、挿排機構を制御して装置内部に取込み、開閉機構が挿排口の少なくとも一部を閉鎖する。挿排口の閉鎖によって、記録媒体が二重に挿入されることを防ぐ。挿排口の閉鎖の後で、制御回路は挿排機構を制御して、記録媒体を挿入方向と逆方向の排出方向に搬送する。挿排口は開閉機構によって閉鎖されているので、記録媒体は開閉機構に当接して停止する。記録媒体の排出方向への搬送による停止位置で位置決めを行い、装置内部で記録媒体を取扱う基準位置とすることができるので、装置内部の空間を有効に利用して記録媒体からの情報の再生や、記録媒体への情報の記録などを行うことができ、装置内に確保すべき空間を小さくして、全体の小形化を図ることができる。また記録媒体の位置決めを確実に行うことができるので、記録媒体の挿排のための機構やセンサなどを簡略化し、必要な空間を小さくして、小形化を図ることもできる。
記録媒体を挿排口から装置内部に挿入した位置で位置決めするので、装置内部の空間を有効に利用して、全体を小形化することができる。記録媒体の位置決めは挿排口から記録媒体を挿排機構が装置内部に挿入させた後、挿排口の少なくとも一部を開閉機構で閉鎖し、挿排機構が記録媒体を排出方向に駆動して開閉機構に当接させて行うので、挿排口の部分で確実に位置決めを行うことができる。
(2)前記位置決めされた記録媒体を装着して、情報の再生および/または記録を行う再生部を備えることを特徴とする記録媒体の再生装置。
挿排機構の排出方向への駆動で位置決めされた記録媒体を、情報の再生および/または記録を行う再生部に装着させるので、記録媒体を確実に装着し、小さな空間で効率的に情報の再生や記録を行うことができる。
位置決めされている記録媒体を、情報の再生および/または記録を行う再生部に装着するので、再生部を確実に記録媒体に装着させることができる。
(3)前記記録媒体はディスク状であり、
前記再生部は、記録媒体の中央孔に挿入して、記録媒体の保持および保持の解除が可能なターンテーブルを有することを特徴とする記録媒体の再生装置。
CDなどのディスク状の記録媒体の中央孔にターンテーブルを挿入して記録媒体を取扱うことができる。
ディスク状の記録媒体の中心孔に対して再生部のターンテーブルを挿入して記録媒体の保持を行い、またターンテーブルに保持されている記録媒体の保持を解除するので、位置決め位置での記録媒体の挿排機構からターンテーブルへの移行や、ターンテーブルから挿排機構への移行を円滑に行うことができる。
(4)前記装置内には、複数の記録媒体を収納可能な収納部が設置され、
前記位置決め位置と収納部との間に、記録媒体を装着したターンテーブルを移動させて搬送を行う搬送機構を備えることを特徴とする記録媒体の再生装置。
装置内部に複数の記録媒体を収納可能な収納部を備え、挿排機構で位置決めされた記録媒体を再生部のターンテーブルを利用して収納部に挿入したり、収納部に収納されている記録媒体を位置決め位置までターンテーブルで排出することができる。ターンテーブルを、収納部との間の記録媒体の挿排にも使用することによって、記録媒体の挿排のための機構を簡略化し、装置内部に必要な空間を小さくして全体の小形化を図ることができる。
装置内に設置される収納部に挿排口から挿入される記録媒体を、ターンテーブルに装着して収納し、あるいは収納部に収納されている記録媒体をターンテーブルで搬送して挿排機構側に排出するように、ターンテーブルを挿排機構で移動させることができる。
(5)前記制御回路は、前記搬送機構を前記位置決め位置で前記挿排機構に当接させ、記録媒体が前記ターンテーブルから挿排機構に移行するように制御することを特徴とする記録媒体の再生装置。
ターンテーブルから挿排機構に記録媒体を移行させる際に、ターンテーブルの搬送機構を挿排機構に当接させるように制御するので、機械的に確実に位置決め位置で停止させることができ、記録媒体の移行を円滑に行わせることができる。
ターンテーブルは移動機構によって位置決め位置で挿排機構に当接して保持していた記録媒体を挿排機構側に移行させるので、記録媒体の排出をターンテーブルを利用して円滑に行うことができる。
(6)前記挿排機構は、記録媒体をターンテーブルから挿排機構へ移行させる際に、記録媒体を保持することを特徴とする記録媒体の再生装置。
ターンテーブルが記録媒体を挿排機構側に移行させて、ターンテーブルから記録媒体を引抜く際に、挿排機構側で記録媒体の保持を行うので、確実に記録媒体からターンテーブルを引抜くことができる。
ターンテーブルから記録媒体を移行させる際に挿排機構が記録媒体を保持するので、記録媒体のターンテーブルから挿排機構への移行を確実に行うことができる。
(7)前記開閉機構は、ターンテーブルの記録媒体の厚み方向への移動に連動して、前記挿排口の閉鎖を解除することを特徴とする記録媒体の再生装置。
開閉機構は、ターンテーブルの搬送機構が挿排機構に当接し、記録媒体の厚み方向に移動するのに連動して挿排口の閉鎖を解除するので、記録媒体の排出や新たな記録媒体の挿入を円滑に行うことができる。
ターンテーブルが挿排機構に当接して位置決めされ、記録媒体に対して取扱いが可能な状態で、挿排口を開閉機構が開放し、記録媒体の挿入または搬出が可能な状態にすることができる。
(8)前記搬送機構は、前記ターンテーブルの移動のための駆動力伝達経路に、駆動力を制限するスリップ機構を含むことを特徴とする記録媒体の再生装置。
ターンテーブルを移動させる搬送機構には、駆動力の伝達経路に駆動力を制限するスリップ機構を設けるので、ターンテーブルが機械的に停止している状態で過大な駆動力が伝達経路に加わることがなく、確実に停止させることができる。このため、制御回路は、たとえば移動に充分な時間の駆動を行ってから、確実に停止している時点で駆動を停止するように制御すればよく、正確な位置決めを簡単な制御で行うことができる。
ターンテーブルを移動して記録媒体の搬送を行う挿排機構は、移動のための駆動力の伝達経路にスリップ機構を設け、伝達される駆動力を制限するので、ターンテーブルの移動範囲の終端で他の構成部分に当接させて機械的に停止させ、その後に駆動源の駆動を停止する制御で正確な位置決めを行うことができる。
(9)前記挿排機構は、記録媒体を挿排する挿排ローラを備えることを特徴とする記録媒体の再生装置。
記録媒体の挿排を挿排ローラで確実に行うことができる。
挿排ローラで記録媒体の挿排を容易に行うことができる。
(10)前記挿排ローラは、記録媒体の挿入または排出時のみ挿排経路に位置し、挿入または排出時外では挿排経路から退避することを特徴とする記録媒体の再生装置。
挿排に必要なときに挿排ローラを挿排経路に配置することができる。
挿排ローラを記録媒体の挿排が必要なときに、挿排経路に導入することができ、不要なときは退避させることができる。