以下、本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
本発明に係るクリーニング装置により付着物の清掃を行う画像形成装置内の被清掃部材は、典型的には、電子写真画像形成装置が備える電子写真感光体、或いは中間転写体である。以下、本発明を電子写真複写機に適用する場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、広く電子写真方式、静電記録方式の画像形成装置に適用し得るものである。
[画像形成装置全体構成]
先ず、図1を参照して画像形成装置の全体構成について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の全体構成を示す。本実施例において、画像形成装置100は、読み取った原稿の画像情報に従って、転写材S、例えば、記録用紙、OHPシートなどに、電子写真方式によりフルカラーの画像を形成することができる電子写真複写機である。又、画像形成装置100は、装置本体に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部ホスト機器から送信される画像情報に従って、所謂、プリンターとして画像を出力することもできる。
本実施例の画像形成装置100は、画像読み取り手段R、像担持体(第1の像担持体)としてのドラム型の感光体2、帯電手段である帯電器1、露光手段であるROS(潜像書込装置)13、現像手段である4個の現像器31、32、33、34を現像器支持体である現像ロール(回転体)4に有する回転式現像装置(現像ユニット)30、像担持体(第2の像担持体)としての機能を有する中間転写体である中間転写ベルト40などを備える転写手段、感光体2のクリーニング手段であるクリーニング装置(以下「感光体クリーナ」という。)50、除電手段である前露光装置3、中間転写ベルト40のクリーニング手段であるクリーニング装置(以下「中間転写体クリーナ」という。)49、定着器64、及び給排紙システムなどを有する。
以下、画像形成装置100の構成要素毎に更に詳しく説明する。
感光体2は、その上に形成された静電潜像に現像剤を供給して形成した現像剤像(トナー像)を担持する像担持体である。感光体2としては、非晶質シリコン系感光体を用いることができる。感光体として非晶質シリコンを用いると、感光体の耐久性の向上、感光体の硬度上昇による表面性変化の防止の点で有利である。非晶質シリコン系感光体は、シリコン原子を母体とする非単結晶材料(アモルファスシリコン(a−Si))によって形成される感光層を有する感光体である。a−Siには、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子、酸素原子、ホウ素などの周期表第3B族に分類される原子、及び窒素などの周期表第5Bに分類される原子など、他の原子が含まれていても良い。又、上記感光層は、機能の異なる複数の層の積層によって構成されることが好ましい。このような複数の層としては、下部阻止層、電荷輸送層や電荷発生層などで構成される光導電層、バッファ層及び表面層などを例示することができる。
上記非晶質シリコン系感光体は、その最表面に水素化アモルファス(非晶質)カーボンで形成される表面層を有することが、感光体表面の硬度の向上及び感光体表面の潤滑性の向上などの観点からより好ましい。水素化アモルファスカーボンは、炭素原子を母体とする非単結晶材料に水素原子が含まれているもの(a−C:H)であり、前述したa−Siと同様の他の原子を含むものであっても良い。尚、a−C:Hとは、グラファイトとダイヤモンドとの中間的な性質を有するアモルファス状の炭素を主に表すが、a−C:Hには微結晶や多結晶を部分的に含んでいても良い。
上記の表面層を含む非晶質シリコン系感光体は、従来知られている方法で製造することができ、このような製造方法としては、例えば、導電性基体を系内に設置し、前述した原子を含む原子供給ガス(原料ガス)を系内に導入し、系内でプラズマを発生させて原料ガスを分解し、原子を導電性基体に堆積させる製造方法(例えばプラズマCVD法など)を例示することができる。形成される感光層(表面層を含む)の膜厚や強度は、原料ガスの濃度や放電に用いる高周波電力などにより調整することができる。原料ガスは、水素や希ガス(不活性ガス)によって希釈して用いても良い。
本実施例では、感光体2として、マイナス帯電の非晶質シリコン系感光体を用いた。直径80mm、厚さ約3mmのアルミニウムシリンダ上に、グロー放電などによって厚さ30μmの非晶質シリコン感光層を形成して構成されている。本実施例における感光体2の表層としては、SiC:H(水素化アモルファス(非晶質)炭化ケイ素)を8000Å積層したものを用いた。
尚、1000回転当たりの感光体2の表面研磨速度は、所定回転回数後において感光体2の摩耗量を測定し、摩耗量をその所定回転数で除し、これに1000をかけることにより求めることができる。研磨深さは反射分光式干渉計(大塚電子(株)製MCDP2000)によって測定することができる。
帯電器1は、感光体2の外表面に電荷を付与する帯電手段である。帯電手段としては、従来知られている種々の帯電手段を用いることができ、このような帯電手段としては、例えば、コロナ放電により感光体を帯電させるコロナ放電帯電装置や、導電性ローラ部材により接触又は非接触の状態で感光体を帯電させるローラ帯電装置や、導電性ブラシにより接触した状態で感光体を帯電させる導電性ブラシ帯電装置や、磁力により磁気ブラシをローラ上に形成し磁気ブラシを接触させた状態で感光体を帯電させる磁気ブラシ帯電装置などを例示することができる。
本実施例では、帯電手段として、コロナ放電式の帯電器1を用いた。この帯電器1は、タングステンなどで形成された放電ワイヤと、感光体2に向けて開口する断面コの字型のケーシングとを有する。
本実施例では、第1の像担持体たる感光体に対しては、画像形成手段として、露光手段、現像手段を例示することができる。尚、第2の像担持体たる中間転写体に対しては、画像形成手段として、感光体への露光手段、現像手段、中間転写体にトナー像を転写する転写手段を例示することができる。
露光手段は、帯電した感光体2に光を照射して、所望の画像に応じた静電潜像を感光体2に形成する手段である。露光手段としては、従来知られている種々の露光手段を用いることができ、このような露光手段としては、例えば、He−Neレーザーなどのガスレーザーや、半導体レーザー、LED、及びLCDなどを例示することができる。
本実施例では、露光手段として、ROS(潜像書込装置)13を用いた、ROS13は、読み取られた画像に応じてレーザービームを発生するレーザー発生装置を有する。レーザービームLの光路には、結像レンズやミラーなどが適宜配置されている。
画像読み取り手段Rは、原稿台ガラス10と、原稿台ガラス10に向けて光を照射する光源11と、原稿台ガラス10からの反射光を赤(R)、緑(G)、青(B)の電気信号に変換するCCD12と、CCD12から入力されるRGBの電気信号を受けて黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の画像データに変換し、変換した画像に応じた電気信号をレーザー発生装置に出力するIPS(イメージプロセッシングシステム)(図示せず)とを有する。
現像手段としては、主に樹脂トナー粒子と磁性キャリア粒子とを備える2成分現像剤を用いる現像器を用いることができる。斯かる現像器は、磁力によって2成分現像剤を担持して磁気ブラシを形成し、感光体の表面移動方向に対して例えばカウンター方向に回転自在な現像剤担持体である現像スリーブを有する。一般に、2成分現像剤は、トナーが磁性粒子を含まなくて良いため、フルカラー画像形成装置などにおけるカラー画像形成に有利である。このような現像手段を画像形成装置が複数有することにより、フルカラー画像を形成することが可能となる。
現像手段は、上述の現像スリーブのほかに、現像剤を収容する現像容器、現像スリーブに担持される現像剤を規制する現像剤規制部材、現像容器内に収容されている現像剤を攪拌する攪拌部材、非磁性トナー粒子を補給する補給手段などを有する構成とすることができる。
ここで、一般に、フルカラー画像形成装置に現像手段を複数設ける場合、1つの感光体に対して1つの現像手段が配置され、これらの組が複数設けられる構成であって良い。このような構成としては、例えば感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段を有する画像形成ユニットを複数併設し、これら各ユニットの転写手段に転写材を順次搬送することによって、転写材上にトナー像が順次転写する構成を例示することができる。
又、現像手段を複数有する場合、1つの感光体に対して複数の現像手段を順次切り替えて使用し、それぞれの現像手段が備える現像スリーブ上に担持された現像剤が感光体に摺擦可能な位置に配置される構成であっても良い。このような構成としては、例えば感光体と、複数の現像手段を有するドラム状の回転自在な回転式現像装置(現像ユニット)とを設け、現像ユニットが回転することによって複数の現像手段を順次感光体との摺擦位置へ配置する構成を例示することができる。
現像スリーブは、磁力によって2成分現像剤を担持して磁気ブラシを形成するものであれば特に限定されず、従来知られている種々の構成を採用することができる。このような現像スリーブとしては、例えば、アルミニウムやステンレスなどで形成された非磁性且つ導電性の回転スリーブと、複数の磁極を有し回転スリーブの内側に固定される磁石などの磁界発生手段とを有する構成を例示することができる。
本実施例では、複数の現像手段として4つの現像器31〜34を現像ロール4に配設した回転式現像装置を用いる。図2に示すように、例えば現像器31は、ブラック(K)の2成分現像剤を収容する現像容器37aと、現像容器37aの開口部に回転自在に設けられた現像スリーブ35aと、現像スリーブ35a上に担持される現像剤を規制して現像スリーブ35a上に形成される磁気ブラシの穂高を規制する規制ブレード36aと、現像容器37a内の現像剤を攪拌するための回転ロッド38aと、現像時に現像スリーブ35aに電圧を印加する電源(図示せず)とを有する。現像スリーブ35a内には、複数の磁極を有する磁界発生手段としての磁石体39aが固定されている。磁石体は、現像スリーブ35aの回転方向に沿って、その外周にN2極、S2極、N1極、S1極、N3極と、所定パターンに着磁されている。本実施例では、N2極がその位置で現像容器37a中の現像剤を現像スリーブ35aに汲み上げる汲み上げ極で、S1極がその位置で感光体2に現像剤を接触させて現像を行う現像主極である。又、隣り合うN3極とN2極とは、反発磁界を形成し、現像スリーブ35a上の現像剤を現像容器37aに戻す作用を成す。
現像器32はイエロー(Y)の現像剤が、現像器33にはマゼンタ(M)の現像剤が、現像器34にはシアン(C)の現像剤が収容されており、収容される現像剤以外はブラック(K)用の現像器31と同様の構成とされている。図中、上記現像容器37a、現像スリーブ35a、規制ブレード36aに対応する要素には、イエロー用、マゼンタ用、シアン用の各現像器32、33、34について、それぞれb、c、dの添え字を与えた同一の参照番号を付している。
現像器31〜34は、回転自在な現像ロール4に設けられている。現像ロール4は回転軸30aを有し、静電潜像の色データに対応する現像器31〜34を現像時に現像領域Bへ搬送するように回転する回転体であり、ロータリ式の現像手段(回転式現像装置)30を構成している。この現像ロール4により、現像スリーブ35a〜35dは、少なくとも現像時においては、感光体2に対し最近接領域が約400μmになるように配置され、現像スリーブ35a〜35d上の磁気ブラシが感光体2に対して接触した状態で静電潜像を現像できるように配置される。
転写手段は、感光体に形成されたトナー像を転写材に転写する手段である。転写手段としては、従来知られている種々の転写手段を用いることができるが、静電転写方式の転写手段がより好ましい。このような転写手段としては、例えばコロナ転写装置やバイアスローラ転写装置などを例示することができる。
又、転写手段は、感光体から転写材へトナー像を直接転写する手段に限定されず、中間転写体を介して感光体から転写材へトナー像を転写する転写手段も好適に用いられる。この場合、中間転写体は像担持体としての機能を有する。このような転写手段としては、例えば像担持体(第1の像担持体)としての感光体に接触配置され、感光体のトナー像が転写される像担持体(第2の像担持体)としての機能を有する中間転写体と、中間転写体に感光体上のトナー像を転写させる1次転写手段(第1転写手段)と、中間転写体に接触配置され中間転写体からトナー像を転写材に転写させる2次転写手段(第2転写手段)と、を有する構成を例示することができる。尚、中間転写体としては、ローラ状転写手段やベルト状転写手段などを例示することができる。
複数の現像手段を有し、且つ、上記中間転写体を用いる場合には、現像手段が形成するそれぞれのトナー像を中間転写体に転写し、その都度2次転写手段により転写材へ転写する構成としても良いし、現像手段が形成するトナー像を全て重なるように感光体から中間転写体に転写し、その後2次転写手段の作用により中間転写体からトナー像を一括して転写材に転写する構成としても良い。
中間転写体を用いない場合は、感光体上に、異なる複数色のトナー像を多重現像し、一括して転写材に転写する構成を用いても良い。
静電転写方式の転写手段は、適当な表面抵抗値や体積抵抗値を有する部材(中間転写体など)によって構成されることが好ましい。斯かる抵抗値を有する部材としては、例えばカーボンブラックなどの導電性微粉体を含有する樹脂体などを例示することができ、導電性微粉体の種類や含有量などによって抵抗値を調整することができる。樹脂体としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)など、又はこれらの発砲体を例示することができる。ベルト体としては、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート、PVDFなどのフッ素樹脂などを例示することができる。
又、中間転写体は、転写されたトナーの離型性を向上させるために、離型性に富んだ材料でその表層を形成することが好ましい。このような材料としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、パーフロロアルコキシ樹脂(PFA)などのフッ素樹脂を例示することができる。
ここで、高画質画像の形成、耐久性、及びクリーニング性の観点から、中間転写体は、ヤング率2.5×103MPa以上であることが好ましい。中間転写体のヤング率が2.5×103MPa未満であると、ベルト体を保持、回転させるローラ対に架け回す必要が生じる。より好ましくは3.0×103MPa以上とする。又、使用可能な材料の理由から、通常、中間転写体のヤング率は10.0×103MPa以下である。
又、中間転写体は、引張強度が1000N/cm未満、より詳しくは、500N/cm未満であると耐久により想定寿命前に破断する虞がある。従って、信頼性の観点から、引張強度1000N/cm以上であることが好ましい。より好ましくは2000N/cm以上とする。又、膜厚100μm前後のポリイミド樹脂等の高分子化合物を使用することから、通常、中間転写体の引張強度は10000N/cm以下とされる。
このような点から、中間転写体の材料としては、ヤング率/引張強度などの高いポリイミドのような樹脂が好ましい。
又、この場合、中間転写体の表面粗さRz(十点平均粗さ:JIS B 0601)は、0.2以上、4.0以下であることが好ましい。表面粗さRzが4.0を越えるとクリーニング不良となることがある。又、表面粗さが0.2未満であると、クリーニングブレード(後述)と中間転写体、残留トナー間の摩擦力が増大してしまい、クリーニングブレードの欠け、めくれが発生しやすくなる。
本実施例では、感光体2の下方に、中間転写体としての中間転写ベルト40と、ベルト駆動ロール45、テンションロール43、アイドラロール46、47及び2次転写用バックアップロール44を備える複数のベルト支持ロールと、1次転写手段としての1次転写ロール42と、それらを支持するベルトフレーム(図示せず)と、ブレード式のクリーニング部材(クリーニングブレード)を備える中間転写体クリーナ49とが設けられている。そして、中間転写ベルト40はベルト支持ロールにより回転移動可能に支持されている。中間転写体クリーナ49は、転写前の中間転写ベルト40に付着する付着物(残留トナーなど)を除去するためのクリーニング手段である。
中間転写ベルト40から離間した位置には、中間転写ベルトの非転写部に設けられるホームポジションを検知するベルト位置センサ41が設けられている。又、中間転写ベルト40を介して2次転写用バックアップロール44に対向する位置には、中間転写ベルト40上のトナー像を記録用紙などの転写材Sに転写するための2次転写手段としての2次転写ロール48が設けられている。
本実施例では、中間転写ベルト40はポリイミド樹脂にて形成した。この中間転写ベルト40は次のようにして製造される。基層のカーボンブラックを分散した熱硬化性シームレスベルトは、カーボンブラックを宇部興産(株)耐熱皮膜用ポリイミドワニスUに混ぜてミキサーなどにより混合する。この原液を円筒型に注入して加熱しつつ遠心成形する。半硬化した状態で脱型し、その後、脱型したベルトを鉄芯に被せて400℃〜450℃に加熱して本硬化(イミド化反応)し、表面抵抗率1010Ω/□、体積抵抗率109Ω・cmの厚さ75μmのシームレスベルトを得る。上記円筒型の内面の粗さにより、中間転写ベルト40の表面粗さRz(十点平均粗さ:JIS B 0601)は、0.5に調整されている。中間転写ベルト40の表面の摩擦係数は、0.17(HEIDON トライボギアミューズTYPE:94B)であった。
一方、中間転写ベルト40の支持ロールであり、且つ、2次転写ロール48の対向電極をなす2次転写用バックアップロール44の層構成は、単層又は多層のいずれでもよい。例えば、単層の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)などにカーボンブラックなどの導電性微粉末が適量配合されたロールで構成される。2層構造の2次転写用バックアップロール44は、体積抵抗率を適宜調節したシリコーンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)などの発泡体で構成されるコア層と、その外周面に導電性のシリコーンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)などにカーボンブラックなどの導電剤を配合してなるスキン層とで構成される。2次転写用バックアップロール44の体積抵抗率は、転写特性の観点から、102Ω・cm〜109Ω・cmの範囲にあることが好ましい。
尚、2次転写ロール48の層構成は、特に限定されるものではないが、例えば、2層構造の場合、コア層とその表面を被覆するコーティング層からなる。コア層は、導電性粉末を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)など、又はこれらの発泡体で構成される。コーティング層は、導電性粉末を分散してなるフッ素樹脂系の材料で構成することが好ましい。フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、パーフロロアルコキシ樹脂(PFA)などが挙げられる。2次転写ロール48の体積抵抗率は、転写特性の観点から106〜109Ω・cmの範囲にあることが好ましい。
感光体のクリーニング手段は、1次転写後の感光体上に残留するトナーを除去する手段である。クリーニング手段としては、従来知られている種々のクリーニング手段を用いることができるが、クリーニング部材として、ウレタンなどで成形され、感光体に当接する弾性ブレード(クリーニングブレード)を有するクリーニング手段(感光体クリーナ)が好ましい。
感光体クリーナにて用いられるクリーニングブレードは、適度な硬度を有することが感光体表面を傷つけずにトナーを除去する上で好ましい。又、このクリーニングブレードは、適度な反発弾性を有することがトナーのすり抜けを防止し、且つ、感光体との摩擦で生じる微振動を吸収する上で好ましい。更に、このクリーニングブレードは、適度なモジュラスを有することが耐摩耗性による長寿命化の観点から好ましい。クリーニングブレードに関するこれらの物性は、JISで規定される測定方法により測定される。
本実施例では、感光体2のクリーニング手段たる感光体クリーナ50は、感光体2の表面に当接するクリーニングブレード52と、クリーニングブレード52を保持し、又クリーニングブレード52によって感光体2から除去されたトナー粒子などを収容する保持手段としてのクリーニング容器51とを有する。クリーニングブレード52は、感光体2の表面移動方向に対してカウンター方向、即ち、その先端が感光体2の表面移動方向上流側を向くように感光体2に当接している。感光体クリーナ50については、後述の具体例で更に詳しく説明する。
又、画像形成装置は、感光体クリーナ50による感光体2のクリーニング後に感光体2上に残留する静電潜像を除去するために、除電手段を有することが好ましい。除電手段としては、従来知られている種々の除電手段を用いることができ、例えば、クリーニング後の感光体に光を照射することにより残留静電潜像を打ち消す手段として、ガスレーザー、半導体レーザー、LED及びLCDなどを例示することができる。
本実施例では、斯かる除電手段として、前露光装置3を設ける。前露光装置3は、660nmのピーク波長を主体とした発光ダイオード(素子GaAlAs)である。前露光装置3は、ピーク波長の1/2になる半値幅は約25nmであり、露光量としては20μJ/cm2である。前露光装置3から帯電器1までにおける感光体2の表面の移動時間は約50mm・secである。
又、2次転写後の中間転写体上を清掃するクリーニング手段としては、感光体上を清掃するクリーニング手段と同様に従来知られている種々のクリーニング手段を用いることができるが、クリーニング部材として、ウレタンなどで成形され、中間転写体に当接する弾性ブレード(クリーニングブレード)を有するクリーニング手段(中間転写体クリーナ)が好ましい。
中間転写体クリーナにて用いられるクリーニングブレードは、適度な硬度を有することが中間転写体表面を傷つけずにトナーを除去する上で好ましい。又、上記感光体クリーナの場合と同様、中間転写体クリーナにて用いられるクリーニングブレードは、適度な反発弾性を有することがトナーのすり抜けを防止し、且つ、中間転写体との摩擦で生じる微振動を吸収する上で好ましい。更に、このクリーニングブレードは、適度なモジュラスを有することが耐摩耗性による長寿命化の観点から好ましい。クリーニングブレードに関するこれらの物性は、JISで規定される測定方法により測定される。
本実施例では、中間転写ベルト40のクリーニング手段たる中間転写体クリーナ49は、中間転写体の表面に当接するクリーニングブレード49aと、クリーニングブレード49aを保持し、又クリーニングブレード49aによって中間転写ベルト40から除去されたトナー粒子などを収容する保持手段としてのクリーニング容器49bとを有する。クリーニングブレード49aは、中間転写ベルト40の表面移動方向に対してカウンター方向、即ち、その先端が中間転写ベルト40の表面移動方向上流側を向くように中間転写ベルト40に当接している。中間転写体クリーナ49については、後述の具体例で更に詳しく説明する。
又、本実施例では、定着器64は、加熱ロール64aと、この加熱ロール64aに対向して配置される加圧ロール64bとを有する。
更に、本実施例の画像形成装置が備える給排紙システムは、転写材(記録シート)Sを収容するトレイ60と、トレイ60内の記録シートを1枚ずつトレイ60から取り出すためのピックアップロール61と、2次転写ロール48へタイミングを合わせて転写材Sを搬送するレジロール対62と、トナー像が2次転写された転写材Sを定着器64に向けて搬送するシート搬送ベルト63と、定着器64による画像の定着を受けた転写材Sが搬送される排出トレイ65とを有する。
次に、本実施例の画像形成装置にて用い得る2成分現像剤について説明する。
2成分現像剤は、少なくとも非磁性トナー粒子及び磁性キャリアを備えている。非磁性トナー粒子としては、略球形形状のものを用い得る。非磁性トナー粒子の形状は、電子顕微鏡による観察などによっても確認することもできるが、非磁性トナー粒子は、形状係数SF−1が100〜140、SF−2が100〜120である略球形のトナー粒子であることが、高転写効率を維持するためには好ましい。上記範囲の形状係数であるトナー粒子を用いることで、1次転写効率95%以上を常に確保可能となる。
上記SF−1及びSF−2は、非磁性トナー粒子の画像(電子顕微鏡写真など)におけるトナー粒子の投影面積、トナー粒子の絶対最大長、及びトナー粒子の周長を用いて下式により定義される。
形状係数SF−1及びSF−2は、非磁性トナー粒子の画像を得、画像中の適当数のトナー粒子をサンプリングし、サンプリングしたトナー粒子画像を解析し、得られた数値を上記式に代入し、算出することにより求められる。より具体的には、形状係数SF−1及びSF−2は、(株)日立製作所の走査型電子顕微鏡FE−SEM(S−800)を用い、100個のトナー粒子を無作為にサンプリングし、その画像情報をインターフェースを介してニコレ(株)製の画像解析装置(Luzex3)に導入して解析を行い、上記式により算出することにより求められる。
非磁性トナー粒子は、重量平均粒径が6〜10μmであることが、良好な画像を形成する上で好ましい。重量平均粒径が上記範囲よりも大きいと解像性が悪くなり、鮮明で高画質の画像を形成できなくなることがある。又、重量平均粒径が上記範囲よりも小さいと静電力よりも付着力や凝集力が強くなり、種々のトラブルの原因となることがある。
非磁性トナー粒子の重量平均粒径は、ふるい分け法、沈降法、光子相関法などの種々の方法によって測定することができるが、ここでは、測定装置としてコールターマルチサイザー(コールター社製)を用いて測定した。測定方法は次のようなものである。
特級又は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製(例えば、コールターサイエンティフイックジャパン社製のISOTON−IIを使用)し、この電解水溶液100〜150mL中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5mL加え、更に測定試料であるトナーを2〜20mg加え、試料を懸濁した電解液を超音波分散機で約1〜3分間分散処理し、100μmアパーチャーを用いてトナーの体積、個数を測定し、体積分布と個数分布とを算出する。そして、この体積分布から重量平均粒径を求める(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)ことにより、非磁性トナー粒子の重量平均粒径を測定することができる。
非磁性トナー粒子は、従来知られている製法によって製造することができる。非磁性トナー粒子は、構成材料を加熱溶融により均一化し、これを冷却固化し、これを粉砕することによりトナー粒子を製造する粉砕法によっても製造することができる。しかし、この粉砕法で得られるトナー粒子は一般に不定形であるため、略球形形状とするには機械的、熱的又は何らかの特殊な処理を行うことが必要であり、前述した範囲の重量平均粒径とするには球形化処理後のトナー粒子を分級することが必要となる。そこで、非磁性トナー粒子の製造法としては、重合法を採用することが好ましい。
重合トナーの製造法としては種々の製造方法が知られており、例えば乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、2段階膨潤重合法、分散重合法、及び懸濁重合法などを例示することができる。重合反応の1段で所望の粒子径を有するトナー粒子を製造しようとする場合では、2段階膨潤重合法、分散重合法、及び懸濁重合法が優れており、工程の簡略性及び製造品の品質などの観点から懸濁重合法がより優れている。
懸濁重合法は、本発明に用いられる非磁性トナー粒子を製造するのに適した製造方法である。懸濁重合法とは、適当な分散安定剤を含む水系分散媒中に、トナー粒子を構成する油性の材料を投入して水系分散媒中に単量体系の液滴粒子を形成し、この状態で単量体系を重合させてトナー粒子を製造する方法である。単量体系にはトナー粒子を構成する材料には、例えば、重合性単量体、着色剤、及び必要に応じて重合開始剤、架橋剤、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、及び他の添加剤が含まれる。
懸濁時においては、高速攪拌機又は超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子径とすることが、得られるトナー粒子の粒度分布をシャープにする上で好ましい。重合開始剤は、他の添加剤と同時に単量体系に加えても良いし、液滴粒子造粒前又は液滴粒子造粒後に単量体系又は水系分散媒中に加えても良く、この場合、重合開始剤を単量体系又は適当な溶媒に溶解させて加えることもできる。
単量体系の重合によって造粒がなされた後は、通常の攪拌機を用い、粒子状態が維持され、且つ、粒子の浮遊や沈降が防止される程度の攪拌を行えば良い。
尚、重合が終了した後、公知の方法によりろ過、洗浄、及び乾燥を行うことにより、非磁性トナー粒子を得ることができる。又、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも、非磁性トナー粒子を製造する上での好ましい形態の1つである。又、分級工程では、得られたトナー粒子を所定の粒径に分類でき、粒径の異なるトナー粒子を混合し、所望の粒度分布を有するトナー粒子を調整することもできる。
上記重合性単量体には、従来知られている種々の重合性単量体を用いることができる。このような重合性単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンなどのスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン及び不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ジオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸及びメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸及びアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸又はメタクリル酸誘導体;アクロレイン類などが挙げられ、これらの中から1種又は2種以上が用いられる。
上記着色剤には、従来知られている種々の着色剤を用いることができ、フルカラー画像を形成する場合では、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの色素や顔料などを用いることができる。
イエロー用の着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、83;C.I.バットイエロー1、3、20などを例示することができる。
シアン用の着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー2、3、15、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した構造を有する銅フタロシアニン顔料などを例示することができる。
マゼンタ用の着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などのマゼンタ用顔料や、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料を例示することができる。
ブラック用の着色剤としては、例えばカーボンブラックなどを例示することができる。
上記重合開始剤には、従来知られている種々の重合開始剤を用いることができる。このような重合開始剤としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシ−α−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリアジン、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、クミンパービバレート、ジクミルパーオキサイド、アゾビス−イソブチロニトリル及びジメチルアゾイソブチレートなどを例示することができる。
上記架橋剤には、従来知られている種々の架橋剤を用いることができる。このような架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに代えたものなどを例示することができる。
上記離型剤及び可塑剤には、ワックス類が用いられる。一般に離型剤には融点が高く重合性単量体に対する溶解性に低いものが好ましくは選ばれる。又、可塑剤には融点が低く重合性単量体に対する溶解性の高いものが好ましくは選ばれる。融点についてはガラス転移点を測定することにより判断でき、重合性単量体に対する溶解性については重合性単量体中に分散したときの分散状態(例えば白濁の有無など)によって判断することができる。
離型剤や可塑剤として用いられるワックス類としては、例えば、パラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物やビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。ポリオレフィンワックスとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセンのような直鎖α−オレフィン及び分岐α−オレフィンの単重合体や共重合体、アルコール、脂肪酸、酸アミド、エステル、ケトン、硬化ひまし油及びその誘導体、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、ペトロラクタムなどを例示することができる。
上記荷電制御剤には、従来知られている種々の負帯電性及び正帯電性の荷電制御剤を用いることができる。
トナー粒子を負帯電性に制御する荷電制御剤としては、例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩や無水物、エステル類、ビスフェノールなどのフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、四級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、ノンメタルカルボン酸型化合物などを例示することができる。
トナー粒子を正帯電性に制御する荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩などによる変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩などのオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;これらを単独で、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
上記他の添加物は特に限定されないが、例えばトナー粒子の物性を制御するために、種々の中から選ばれる樹脂化合物を例示することができ、より具体的には、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂などの非ビニル縮合系樹脂、又はこれらと結着樹脂との混合物などを例示することができる。
上記水系分散媒とは水を主要成分としている媒体である。具体的には、水系分散媒として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものなどが挙げられる。界面活性剤としては、例えばポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。pH調整剤としては、塩酸の如き無機酸が挙げられる。
上記分散安定剤は、水系分散媒中で良好な造粒を実現するために用いられ、分散安定剤には従来知られている種々の分散安定剤を用いることができる。このような分散安定剤としては、例えばリン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナなどの無機化合物、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプンなどの有機化合物、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムなど、オレイン酸カルシウムなどの界面活性剤などを例示することができる。
又、非磁性トナー粒子は、比重が(1.3g/cm3)以下であることが好ましい。トナー粒子の比重が(1.4g/cm3)を大きく上回るとトナー粒子にかかるシェアが大きくなり、トナー粒子の劣化という観点から好ましくない。尚、トナー粒子の比重は、用いる材料の種類(比重)及び配合量などにより調整することができ、例えば、島津製作所のアキュピック1330などの測定装置を用いるなど、種々の測定方法によって測定することができる。
2成分現像剤には、上記非磁性トナー粒子のほかに少なくとも磁性キャリアが含まれる。磁性キャリアは、非磁性トナーを担持して現像スリーブ上で磁気ブラシを形成するものであれば特に限定されず、従来知られている種々の磁性キャリアを用いることができる。
磁性キャリアは、所望の粒径に調整された磁性体であっても良いが、本発明では、樹脂中に磁性体を分散させた磁性体分散型磁性キャリアを好ましくは用いることができる。磁性体分散型キャリアは、磁力や電気抵抗、粒径などの調整が自在にでき、比重を小さくすることができ、さらに材料の選択や構成比の調整により幅広い特性を得ることができることから、高画質用キャリアに適していると言える。
磁性体分散型キャリアは、前述した重合法に準じて製造することができ、樹脂としては前述した重合性単量体の重合により形成される樹脂、及び前記他の添加剤として記載された樹脂化合物との混合物及び共重合体などを例示することができる。又、必要に応じて、非磁性トナー粒子について例示した種々の材料を用いることができる。
磁性キャリアには磁性体が含まれる。このような磁性体としては、例えば鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属、フェライト、マグネタイト、ヘマタイトなどのように、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性を示す元素を含む合金又は化合物などが挙げられる。尚、上記磁性体は、1種類のみを使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。又、磁性体はシリコーンオイルなどによって表面処理されたものであっても良い。
磁性体分散型キャリアの平均粒径は、10〜60μmの範囲であることが好ましい。平均粒径が10μmより小さいとキャリアが感光体へ付着し易くなり、感光体に傷などが発生し、画像劣化の原因となることがある。又、平均粒径が60μmを超えると、現像手段内において現像剤にかかるシェアが大きくなり、現像剤の劣化、特にトナー粒子の外添剤の剥離や形状変化を引き起こし、画像劣化の原因となることがある。更に、粒径が大きいと比表面積的に小さくなるため、現像剤として構成する上で保持できるトナー量が少なくなり、精細性を欠いた画像が形成され易い。
磁性体分散型キャリアの比抵抗は107〜1015Ω・cmの範囲が好ましい。107Ω・cm未満では、バイアス電圧を印加する現像方法では現像領域において現像剤担持体(現像スリーブ)から感光体表面へと電流がリークし、良好な画像が得られないことがある。又、1015Ω・cmを超えると、低湿のごとき条件下でチャージアップ現象を引き起こし、画像濃度薄、転写不良、カブリなどの画像劣化の原因となることがある。
磁性キャリアの平均粒径は、種々の測定方法によって測定できるが、例えば、磁性キャリアを電子顕微鏡写真として撮影し、撮影されたキャリアを所定数抽出し、抽出されたキャリアの最大弦長の算術平均を算出することによって求めることができる。又、磁性キャリアの比抵抗は、種々の方法によって測定できるが、いわゆる錠剤法によって測定することができる。即ち、測定対象である磁性キャリアを40φ(mm)のアルミリングに入れ、2500Nで加圧成形し、抵抗率計ロレスタAP、又はハイレスタIP(ともに三菱油化製)にて4端子プローブを用いて比抵抗を測定する。
本実施例では、2成分現像剤として次のものを用いた。即ち、本実施例において、2成分現像剤は懸濁重合法により作製した非磁性トナー粒子である重合トナーと、重合法により作製した樹脂磁性キャリアと、研磨粒子との混合物であり、前述した4色のそれぞれの着色剤を用いて、4色のトナー粒子として作製した。得られた現像剤のトナー粒子と磁性キャリアの和に対するトナー粒子の重量比であるT/D比(現像剤中のトナーの割合)は8%であった。磁性キャリアは、比抵抗が1013Ω・cmであった。又、非磁性重合トナーは、形状係数SF−1が115、SF−2が110である表面が滑らかな略球状のトナーであって、重量平均粒径が8μm、比重が1.05g/cm3、単位質量当たりの平均電荷量が25μC/gであった。又、研磨粒子は、アルミナであり、モース硬度が9、平均粒径が1.2μm、非磁性トナー粒子に対する添加量が1重量%であった。
尚、本実施例の画像形成装置100における最大画像幅は、A4横にノビ対応長さを加えた約320mmである。又、本実施例における感光体2の周速は300mm/secである。
[画像形成装置全体動作]
次に、本実施例の画像形成装置100の全体動作を説明する。
図1において、原稿台ガラス10上に置かれた原稿Gからの反射光は、露光光学系を介してCCD12でR(赤)、G(緑)、B(青)の電気信号に変換される。IPS(イメージプロセッシングシステム)は、CCD12から入力される前記R、G、Bの電気信号をK(黒)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の画像データに変換して一時的に記憶し、この画像データを所定のタイミングで潜像形成用の画像データとしてレーザー駆動回路(図示せず)に出力する。レーザー駆動回路は、入力された画像データに応じてレーザー駆動信号をROS13に出力する。
感光体2は図中矢印Da方向に回転しており、その表面は帯電器1により一様に帯電された後、潜像書込位置AにおいてROS13のレーザービームL(主波長655nm)により露光走査されて静電潜像が形成される。フルカラー画像を形成する場合は、K(黒)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の4色の画像に対応した静電潜像が順次形成され、モノクロ画像の場合はK(黒)画像に対応した静電潜像のみが形成される。
感光体2の表面へのレーザービームLによる潜像書込は、中間転写ベルト40の非画像部に設けられたホームポジションをベルト位置センサ41が検知してから所定の時間経時後に開始される。フルカラー画像の場合は、各色を重ね合わせるので、ベルト位置センサ41がホームポジションを検知してからレーザービームLによる潜像書込開始までの時間は各色同一である。
静電潜像が形成された感光体2の表面は、回転移動して現像領域B、1次転写領域Dを順次通過する。現像器31〜34は、現像ロール4の回転によって現像位置へ搬送され、現像領域Bを通過する感光体2表面上の静電潜像をトナー像にする。
ここで、図2をも参照して、本実施例における2成分磁気ブラシ法による現像工程について説明する。ブラック用の現像器31を例に説明する。他の色用の現像器32、33、34の動作も同様である。先ず、現像スリーブ35aの回転に伴い磁石体のN2極で汲み上げられた現像剤は、S2極、N1極と順次搬送される過程において、現像スリーブ35aに対して垂直に配置された規制ブレード36aによって規制され、現像スリーブ35a上に現像剤の薄層が形成される。ここで薄層形成された現像剤が、現像主極S1極に搬送されてくると磁気力によって穂立ちが形成され、現像スリーブ35a上に磁気キャリアによる磁気ブラシが形成される。
この穂状に形成された現像剤は、感光体2の表面を摺擦する。このときトナー粒子は感光体2へ移行して静電潜像を現像する。磁気ブラシを形成する磁性キャリア、及び研磨粒子は積極的に感光体2へは移行せず、現像スリーブ35a上に残留する。その後N3極、N2極の反発磁界によって現像スリーブ35a上の現像剤は、現像容器37a内に戻される。
現像スリーブ35aには電源(図示せず)から直流電圧及び交流電圧が印加され、本実施例では、感光体表面電位(暗部電位)Vd(−450v)、露光部電位(明部電位)Vl(−50v)に対して、直流電圧として−300V、交流電圧としてVpp=1500V、Vf=2000Hzが印加されている。一般に、2成分現像法においては、交流電圧を印加すると現像効率が増し、画像は高品位になるが、逆にかぶりが発生し易くなる。このため、通常、現像スリーブ35aに印加する直流電圧と感光体2の表面電位(暗部電位)との間に電位差を設けることによって、かぶりを防止する。
又、本実施例では、現像スリーブ35aを、感光体2の図中矢印Da方向への周速300mm/secでの回転に対して、カウンター方向(対向部において表面移動方向が逆方向)に450mm/secの周速で回転させた。感光体2の表面に対する現像スリーブ35aの回転負荷トルクは、0.038N・mであった。感光体2に対する現像スリーブ35a上の磁気ブラシによる摺擦機能としての回転負荷トルクは、0.02〜0.06N・mが好ましい。
フルカラー画像を形成する場合、潜像書込位置Aにおいて第1色目の静電潜像が形成され、現像領域Bにおいて1色目のトナー像が形成される。このトナー像は、1次転写領域Dを通過する際に、1次転写ロール42によって中間転写ベルト40上に静電的に1次転写される。その後同様にして、第1色目のトナー像を担持した中間転写ベルト40上に、第2色目、第3色目、第4色目のトナー像が順次重ねて1次転写され、最終的にフルカラーの多重トナー像が中間転写ベルト40上に形成される。単色の、例えば白黒画像を形成する場合には、現像器31のみを使用し、単色トナー像が中間転写ベルト40上に1次転写される。
一方、トレイ60に収容された転写材Sは、所定のタイミングでピックアップロール61により取り出され、レジストロール対62に搬送される。レジストロール62は、中間転写ベルト40に1次転写された多重トナー像又は単色トナー像が2次転写領域Eに移動するのにタイミングを合わせて、2次転写領域Eに転写材Sを搬送する。2次転写領域Eにおいて、2次転写ロール48は、中間転写ベルト40上のトナー像を転写材Sに静電的に一括して2次転写する。
トナー像が2次転写された転写材Sは、シート搬送ベルト63により定着器64に搬送され、定着器64により加熱定着される。トナー像が定着された転写材Sは、排出トレイ65に排出される。
ところで、1次転写後に感光体2の表面上に残留したトナーは、感光体クリーナ50のクリーニングブレード52により除去される。
又、2次転写後の中間転写ベルト40に残留したトナーは、中間転写体クリーナ49のクリーニングブレード49aが、中間転写ベルト40に対しクリーニングブレード49aを離接させるブレード離接手段491(図3(b))としてのカム機構(図示せず)が作動することにより中間転写ベルトに当接し、このクリーニングブレード49aにより除去される。こうして中間転写ベルト40はクリーニングされる。
尚、感光体上にトナー像を多重転写し、これを直接転写材に転写する場合は、感光体上に残留したトナーは、感光体クリーナ50のクリーニングブレード52が、感光体に対しクリーニングブレード52を離接させるブレード離接手段としてのカム機構(図示せず)が作動することにより感光体に当接し、このクリーニングブレード52により除去される。こうして感光体2はクリーニングされる。
本実施例では、2次転写ロール48及び中間転写体クリーナ49は、中間転写ベルト40と離接(離隔及び接触)自在に配設されている。カラー画像が形成される場合には、最終色の未定着トナー像が中間転写ベルト40に一次転写されるまで、2次転写ロール48及び中間転写クリーナ49は中間転写ベルト40から離隔している。
尚、感光体上にトナー像を多重転写し、これを直接転写材に転写する場合は、カラー画像を形成する際には、最終色の未定着トナー像が転写材に転写されるまで、感光体クリーナ50のクリーニングブレード52は感光体2から離隔させる。
ここで、クリーニングブレードの離接タイミングとして、本実施例では、上述のように最終色の未定着トナー像が転写材若しくは中間転写体に転写されるまで、クリーニングブレードは像担持体(感光体、中間転写体)から離隔しているが、これに限らず、プロセススピードの向上の為、画像形成中(潜像形成中、現像中、転写中。複数のトナーを重ねて画像形成行う場合は、一色目から最終色までを重ねる間の潜像形成工程中、現像工程中、転写工程中。)に行っても良い。つまり、クリーニングブレードは画像形成手段が画像形成中に当接又は離間することができる。本発明によれば、クリーニングブレードと像担持体間の摩擦力が低い為、当接離間時の負荷変動による像担持体速度変動の影響を受けにくい。そして、本発明によれば、多重転写によりカラー画像を形成する際には、色ずれを防止することができる。
例えば、感光体から転写材若しくは中間転写体へ最終色のトナー像が転写されている最中に、形成中の画像の先端をクリーニングする場合、最終色の未定着トナー像の転写材若しくは中間転写体への転写工程中にクリーニングブレードを像担持体に当接させても良い。当接タイミングとしては、感光体から転写材にトナー像を転写させる転写手段としての転写ロール、若しくは中間転写体から転写材にトナー像を転写させる2次転写手段としての2次転写ロール48を、感光体若しくは中間転写体に当接させた後、画像の先端がブレード当接部を通過する前であればよい。例えば、画像の先端が2次転写ロール48を通過した直後にクリーニングブレードを中間転写体に当接させる。つまり、クリーニングブレードは、画像形成手段が第1のトナー像(例えば、4色フルカラー画像形成中の3色目)を形成中は離間され、第1のトナー像の上に第2のトナー像(例えば、4色フルカラー画像形成中の4色目)を重ねているときに当接される構成とされていてよい。斯かる構成においても、本発明によれば、第1のトナー像(3色目)から第2のトナー像(4色目)の色ずれを防止することができる。
又、2次転写後の転写残トナーをクリーニングしている最中に、次の画像の一色目を中間転写体に転写し始める構成の場合、次の画像の1色目の転写中にクリーニングが終了した直後から、次の画像の2色目が転写される前に、クリーニングブレードを中間転写体から離間させる構成であっても良い。つまり、クリーニングブレードは、画像形成手段が第1のトナー像(例えば、4色フルカラー画像形成中の1色目)を形成中は当接され、前記第1のトナー像の上に第2のトナー像(例えば、4色フルカラー画像形成中の2色目)を重ねているときに離間される構成とされていてもよい。斯かる構成においても、本発明によれば、第1のトナー像(1色目)から第2のトナー像(2色目)の色ずれを防止することができる。
尚、上記では、画像形成装置が、像担持体上に複数色のトナー像を順次表面に重ねて画像形成する画像形成手段を有する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像形成装置が、像担持体上に単色のトナー像を形成する画像形成手段を有する場合にも適用可能である。この場合にも、本発明によれば、クリーニングブレードと像担持体間の摩擦力が低い為、当接離間時の負荷変動による像担持体速度変動の影響を受けにくく、像担持体の速度ムラによる画像形成不良を防止することができる。
[クリーニング部材]
次に、本発明において最も特徴的な、画像形成装置内の被清掃部材上の付着物を除去するためのクリーニング部材について説明する。
本発明の一態様によれば、クリーニング部材たるクリーニングブレードは、被清掃部材と接触する側の第1の領域の硬度は、保持手段に保持される側の第2の領域の硬度よりも高くされる。これにより、クリーニングブレードの被清掃部材との当接部の変形を少なくして、例えばクリーニングブレードが被清掃部材に対して離接自在である場合の当接時のショックに対する耐久性を向上すると共に、ショックを良好に吸収して振動を防止することがきでる。又、クリーニングブレードの被清掃体への当接時の摩擦係数ムラによる捲れを防止することができる。そして、上記の如く、クリーニングブレードと像担持体間の摩擦力を低くして、当接離間時の負荷変動による像担持体速度変動の影響を少なくすることができる。より詳細には、クリーニングブレードは、被清掃部材に当接する部分を含む第1の領域と、損失正接tanδの温度依存性のピーク値がこの第1の領域と異なる保持手段に保持される部分を含む第2の領域と、を有する構成とする。
クリーニング部材は、構成が簡単で、コンパクト化、低コスト化が可能であり、付着物の除去機能も優れていることから、通常、被清掃部材に当接される板状部材(ブレード部材)、即ち、クリーニングブレードとされる。そして、本発明に従うクリーニングブレードは、上記本実施例の画像形成装置100が備える感光体クリーナ50、中間転写体クリーナ49のクリーニングブレード52、49aとして好適に用い得る。
本発明に従うクリーニングブレードは、ポリウレタン中に元々存在する、活性水素を持ったウレタン結合基に着目し、イソシアネート化合物とウレタンとをアロファネート結合を介して強固に結合させ、更に活性水素化合物と反応しない余剰のイソシアネート化合物を自己重合させることを特徴とした製造方法にて得ることができる。
この方法によれば、活性水素化合物を含浸することなく、イソシアネートを含有させて表面硬化部を形成することができる点で、工程が少なく簡便であり、又低コストである。
又、被清掃部材との当接部を含む第1の領域、より具体的には、クリーニングブレードの先端(特に、被清掃部材に接触するエッジ部(以下、単に「エッジ部」と呼ぶ。))近傍が低摩擦で、且つ、硬化部に覆われているので、対接物との摩擦力による変形が少なく、エッジ部が常に鋭利な形状を保っている。これにより、微少なトナーや球形トナー、特に、種類の異なるトナーのそれぞれ対するクリーニング性を両立させることについては、その性能は著しく向上する。
以下、更に詳しく説明する。
(ブレード基材)
電子写真画像形成装置用のクリーニングブレードとしては、一般に、JIS K 6253で定義されるJIS−A硬度60度以上80度以下のポリウレタンを基材(基層)としたものを好適に使用しうる。測定条件は、25℃、50%RHである。このようなブレード基材(ブレード部材)は、全体としては柔軟でゴム弾性に富んでいる。本発明に従うクリーニングブレードのブレード基材を形成するポリウレタンとしては、高分子ポリオール、ポリイソシアネート、及び硬化剤を反応させたものを用いることができる。ブレード基材を硬化させる際に、通常ウレタン硬化のために用いられる触媒を用いても良い。
ブレード基材形成のための上記高分子ポリオールとしては、限定されるものではないが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、カプロラクトンエステルポリオール、ポリカーボネートエステルポリオール、シリコーンポリオールなどが挙げられる。分子量は通常500〜5000のものを用いることができる。
ブレード基材形成のためのイソシアネートとしては、限定されるものではないが、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
又、ブレード基材形成のために用いられる架橋剤としては、限定されるものではないが、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。更に、ブレード基材形成のための触媒としては、限定されるものではないが、トリエチレンジアミンなどが挙げられる。
ブレード基材の成形は、(1)上記各成分を一度に混合して金型又は遠心成形円筒金型に注型して成形するワンショット法、(2)イソシアネートとポリオールを予め反応させてプレポリマーとし、その後架橋剤を混合して金型又は遠心成形円筒金型に注型して成形するプレポリマー法、若しくは(3)イソシアネートにポリオールを反応させたセミプレポリマーと、架橋剤にポリオールを添加した硬化剤を反応させて金型又は遠心成形円筒金型に注型して成形するセミワンショット法を用いることができる。
このようにして成形したクリーニングブレードは、一般的に、JIS−A硬度が60度以上85度以下であることが好ましい。JIS−A硬度が60度未満であると対接物への圧接力が弱く、85度を越えると対接物を損傷する可能性がある。
(イソシアネート化合物の含浸・硬化)
そして、本発明に従うクリーニングブレードは、上述のようにして成形したブレード基材の全体又は一部分にイソシアネート化合物を含浸させ、加熱硬化することにより、ウレタンの表面から内部に向かって硬化膜を形成させることを特徴とする製造方法で作成することができる。
イソシアネート化合物をクリーニングブレードに含浸させる位置は、少なくともクリーニングブレードと被清掃部材、例えば、感光体、中間転写体などの像担持体(現像剤像搬送体)とが接する部分であり、更に余裕を持ってその周辺も含浸させることが好ましい。つまり、クリーニングブレードは、被清掃部材との摺動時には、被清掃部材の回転又は移動により被清掃部材との接触部分が変形し、静止時には接触部の周辺部分であった部位が、被清掃部材に触れる可能性があるからである。このような摺動時の変形は、イソシアネート化合物を含浸させる厚さが大きいほど小さく、又この厚さが小さいほど大きい。
本実施例では図3に示すようにイソシアネート化合物の含浸層を設けた。ここで、図3(b)に示すように、クリーニングブレードの自由長(ブレード固定部の先端からブレード先端までの距離)をL0とし、イソシアネート化合物を含浸させた後硬化させる処理により硬化部を形成する部分(以下、「処理部」と呼ぶ。)の自由長方向長さをL1、カット面方向(ブレード厚み方向)長さをL2、含浸層の厚さをL3とする。図3(b)中、クリーニングブレードの処理部(第1の領域)をA、保持手段に保持される部分を含むその他の部分(第2の領域)をB、被清掃部材に当接するエッジ部をEとする。
処理部の長さL1が自由長L0の80%以上になると、クリーニングブレード全体が硬くなりゴム弾性を失い、被清掃部材に対する追従性が悪くなる傾向がある。又、クリーニングブレードの被清掃部材への進入量に対する線圧の増加が急峻になり、安定した線圧が得られ難くなる。従って、処理部の長さL1は自由長L0の80%以下とすることが好ましく、より好ましくは70%以下とする。更に好ましくは30%以下である。これにより、クリーニングブレードの被清掃部材に対する追従性と線圧の安定性が確保される。又、処理部の効果を良好に発揮するためには、処理部の長さL1は自由長L0の1%以上とすることが好ましい。つまり、クリーニングブレードの自由長に対する被清掃部材と当接する側の第1の領域の割合は、1%以上80%以下であることが好ましい。
尚、自由長L0は0.5mm以上10mm以下が好ましい。又、クリーニングブレードの厚み(L2方向の長さ)は0.5mm以上3.5mm以下が好ましい。
尚、図4は、イソシアネート化合物の含浸層の設け方の他の幾つかの例を示す。図4(a)に示すように、含浸層の厚さL3をL1と等しくしてもよいし、図4(b)に示すようにL2と等しくしてもよい。又、図4(c)、(d)に示すように、クリーニングブレードの被清掃部材に対向する面とは反対の面にもイソシアネート化合物の含浸層を設けてもよく、この場合、その含浸層のクリーニングブレードの自由長方向の長さは上記L1と同じであってもよいし、或いはより短い若しくは長いものであってもよい。
ここで、L2は、最大でクリーニングブレードの厚みまでとすることができる。
又、ブレード基材にイソシアネート化合物を含有させてなる硬化部(硬化層、表層)の厚さL3は0.12mm以上であることが好ましい。硬化部の厚さL3が0.12mmより小さいと、耐磨耗性がよくない。又、硬化部の厚さL3が1.2mmより大きいと、含浸に要する時間が長くなり、原料のイソシアネートの熱劣化が進行するため実用的ではない。従って、処理部の厚さL3の範囲は、好ましくは、0.12mm以上1.2mm以下に設定する。
つまり、クリーニングブレードの被清掃部材と接触する側の第1の領域は、表層とこの表層の内側に位置する基層とを有し、表層の硬度が基層よりも高くすることができる。これにより、クリーニングブレードの内部のクッション性を向上することができる。
通常、その最大値において、クリーニングブレードの先端の接触部の長さは、L1=5.0mm、L2=2.0mm程度である。
ブレード基材にイソシアネート化合物を含浸させる方法としては、例えば、ポリイソシアネート化合物を液状であるような温度とし、その中にブレード基材を浸漬させる。又、繊維質、多孔質体にイソシアネート化合物を含浸させブレード基材に塗布する方法を採ることができる。又、スプレーにより塗布しても良い。イソシアネート化合物液に浸漬中、或いは塗布中、塗布した後のそれぞれのイソシアネート化合物の温度も同様に、そのイソシアネート化合物が液状である温度が好ましい。このようにして、イソシアネート化合物をウレタンに含浸させ、一定時間後に、ウレタン表面に残存するイソシアネート化合物を拭き取る。
クリーニングブレードの一部にイソシアネート化合物を含浸させるにあたっては、ブレート部材単体であっても、支持部材を接合させたものであっても良い。又、クリーニングブレードを裁断若しくは切断する前のシート、又は支持部材付きのものでも良い。
クリーニングブレードの一部分のみにイソシアネート化合物を含浸させる際には、含浸させたくない部分を耐薬品性テープなどでマスキングする、或いは含浸させたい部分のみを浸漬するなどの方法を採ることができる。
ブレード基材に含浸させるイソシアネート化合物は、分子中に1個以上のイソシアネート基を有するものである。本発明は、ブレード基材に含浸させるイソシアネート化合物を特に限定するものではないが、下記のものが挙げられる。
1個のイソシアネート基を有するものとしては、オクタデシルイソシアネートなどの脂肪族モノイソシアネート、芳香族モノイソシアネートなどが挙げられる。
2個のイソシアネート基を有するものとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4、4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタジンイソシアネート(MDI)、m−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'、4''−トリフェニルメタントリイソシアネート、2,4'、4''−ビフェニルトリイソシアネート、2,4,4''−ジフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。
又、3個以上のイソシアネート基を有するもの、及び2個以上のイソシアネート基を有するものの変性体・多量体をも使用することができる。
これらの中で立体障害の少ない脂肪族モノイソシアネート、分子量の小さいMDIなどが浸透性の点から好ましい。
イソシアネート化合物と共に用いる多量化触媒としては、第四級アンモニウム塩、カルボン酸塩などを用いることができる。これらの触媒は、水酸基を含むが、その機能としてはイソシアネートを重合させるものであり、それ自体が架橋構造に関与するものではない。これらの触媒は溶剤に溶解しない状態では非常に粘性が高かったり、結晶であったりすることから、溶剤に溶解した後イソシアネート化合物に添加することが好ましい。このような溶媒としては、具体的には、MEK、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチルなどが挙げられる。希釈倍率は1.5倍から10倍程度が好ましい。
イソシアネート化合物に対する触媒の添加率は、1ppm〜1000ppmが好ましい。触媒の添加率が1000ppmを越えると、溶剤に溶解しなくなる可能性があり、1ppm未満であると、重合反応時間がかかり、ベースゴム材の劣化を招く可能性がある。又、イソシアネートに触媒を混合すると、重合反応が促進されるため、含浸する直前に混合することが好ましい。含浸させるときのイソシアネート化合物の温度は、下限は液状であれば良く、上限は処理中にイソシアネート化合物が劣化するのを防止するため、90℃程度が好ましい。
ブレード基材の表面に、イソシアネート化合物を、浸漬又は塗布することにより、数分から数時間含浸させ、余分なイソシアネート化合物を拭き取った後に、50〜140℃の雰囲気で数分から数時間加熱処理する。ポリウレタンの構造中には活性水素を持つウレタン結合があり、イソシアネート基と反応しうる。即ち、ポリウレタン中のウレタン基の活性水素と反応してアロファネート結合を生成し、3次元分岐構造を形成する。
2個以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物は環境中の水を介在したウレア結合による高分子化反応が進行し、上記の3次元分岐構造と合わせて網目構造を形成し、硬化部が形成される。
多量化触媒を用いたものは、その反応により多量化反応も進行する。この反応は環境中の水分を必要とせず、イソシアネート基同士が反応するので、反応が早く完結する特徴がある。又、三量化反応により架橋構造が形成されるので硬化膜の強度が大きく、耐久性が良いクリーニングブレードが製造できる。
1個のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物は、イソシアネート基がウレタン基と反応してアロファネート結合を形成すると、フリーな末端がポリウレタン表面の外側に向かって配向するので、ウレタンと被清掃部材表面が直接接触するのを避け、低摩擦化することができる。
ブレード基材へのイソシアネート化合物の含浸性は、イソシアネート化合物の分子量が小さいほうが良く、イソシアネートの密度が高い硬化膜を作り易い。又、硬化部の膜厚L3の薄いものから厚いものまでコントロールすることができる。分子量の大きいものは含浸性は劣るものの、長鎖であるためにポリウレタンの表面から分子鎖が飛び出した形となり、硬化部の厚さは比較的薄いが摩擦力の低減には効果がある。当業者は、本発明の範囲内で、イソシアネート化合部を適宜選択して用いることができる。又、硬化部の硬度は国際ゴム硬度(IRHD)75度以上100度以下であることが好ましい。この範囲であると、クリーニングブレードの良好な耐久性を実現し、トナー担持体がクリーニングブレードにより損傷されることを防ぐことができる。測定条件は、25℃、50%RHである。つまり、クリーニングブレードの被清掃部材と当接する側の第1の領域の硬度は、75度以上100度以下であることが好ましい。又、上記の如く、クリーニングブレードの保持手段に保持される側の第2の領域の硬度は、60度以上85度以下であることが好ましい。
上述のようにして、ブレード基材にイソシアネート化合物を含浸させた後硬化させて硬化部を形成することにより、被清掃部材に当接するエッジ部Eを含む部分(第1の領域)Aと、保持手段に保持される部分を含むそれ以外の部分(第2の領域)Bとで、粘弾性を表す損失正接tanδ(内部摩擦)の温度依存性のピーク値が異なるクリーニングブレードを得ることができる(図5)。
尚、本明細書では、損失正接tanδの温度依存性のピーク値は、次のようにして測定して得た値とする。
クリーニングブレードの硬化部のみと、基材部分のみとのそれぞれを切断し、粘弾性測定装置(動的粘弾性測定機)RSAII(レオメトリックス・ファーイースト社製)(ソフト;Rhios)を用い、測定周波数10Hzで低温側から0.1℃/分で昇温させて、損失正接tanδの温度依存性を測定した。得られたスペクトルを図5に、基材部分のみは実線、硬化部のみは破線で示した。そして、損失正接tanδの温度依存性のピーク温度を測定した。更に説明すると、試験片(ウレタンゴム製)を、その両端から測定機に固定し、一定荷重の張力を加え、10Hzの周波数で歪をかけ、それによって試験に生じる応力を測定し、これを弾性応力に分解し、更にこれらから貯蔵弾性率E′と損失弾性率E″を算出し、E″をE′で割った値が損失正接tanδ値として求められ、この測定を低温から高温域まで0.1℃/分で昇温させながら、各温度における損失正接tanδ値を計測し、最大値を示す温度を、損失正接tanδの温度依存性のピーク温度とした。尚、試験片(ウレタンゴム製)にかけられる歪は、予め加えられている張力に±agの張力を10Hz周期で加えることによって生じさせるものであり、agの値は、測定温度により変化させるものでオートストレインモードで設定される。
このように、被清掃部材と接触する側の第1の領域と保持手段に保持される側の第2の領域における周波数10Hzで測定された損失正接tanδの温度依存性のピーク値を、第2の領域よりも第1の領域の方を小さくすることが好ましい。これにより、クリーニングブレードの支持側のクッション性を向上することができる。
又、本発明の1つの特徴として、上述のようにして作製される本発明に従うクリーニングブレードは、少なくとも被清掃部材に当接する部分のPET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムに対する摩擦係数(対ポリエチレンテレフタラートの動摩擦係数)が1.0以下であることが好ましい。つまり、クリーニングブレードの被清掃部材に当接する側の第1の領域の対ポリエチレンテレフタラートの動摩擦係数は1.0以下とすることが好ましい。これにより、耐摩耗性を向上することができる。この摩擦係数が1.0を越えると、クリーニングブレードのビビリ/めくれとなることがある。より好ましくは0.8以下とする。この摩擦係数は、通常、0より大きい。
尚、本明細書では、PETフィルムに対する摩擦係数は、次のようにして測定して得た値とする。
HEIDON14型表面性測定機(新東化学製)のサンプル台に、静止摩擦係数0.6動摩擦係数0.4(ASTMD1894)のPET(ポリエチレンテレフタラート)フィルム(東レ・ルミラー:タイプS10)を固定する。この平膜に45°の角度に保った試験片(ポリウレタンゴム製ブレード(厚さ2mm×幅10mm×長さ50mm))に上方より荷重(100g)をかけ、サンプル台を動かした(速度50mm/分)。サンプル台の移動方向は試験片の傾きに対して順方向(カウンター方向と逆方向)に移動させた。
次に、いくつかの具体例(本発明)、比較例を参照して、本発明の効果をより詳細に説明する。
(具体例1)
本例では、上記画像形成装置100において、被清掃部材としての中間転写ベルト40から、転写工程後に残留したトナーや、紙粉などの付着物を除去するためのクリーニング手段である、中間転写体クリーナ40が備えるクリーニング部材として、中間転写ベルト40と接触するエッジ部近傍にイソシアネート化合物を含浸させた後硬化する処理により硬化部を形成したクリーニングブレード49aを用いる。
本例では、中間転写体クリーナ49のクリーニングブレード49aは、分子量2000のエチレンブチレンアジペート系ポリエステルポリオールと4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートより製造したNCO%が7.0%のプレポリマーに、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンが重量比で65:35に混合されたトリエチレンジアミン触媒を含む架橋剤を、水酸基/イソシアネーート基のモル比が0.9になるように混合して製造した、ウレタンで形成されたブレード基材[硬度70°(JIS−A)反発弾性率15(%)(40℃での反発弾性率25%)、300%モジュラス200(kg/cm2)(いずれもJIS規格による)]を用いた。
そして、このブレード基材を、L1=3mm、L2=2mmとなるように耐薬品性テープでマスキングし、80℃のMDI浴に30分間浸漬し、余分なイソシアネート化合物を拭き取り、マスキングを取り去り、130℃のオーブンで60分キュアした。
このクリーニングブレード49aの中間転写ベルト40に接触するエッジ部のPETフィルムに対する摩擦係数は0.6であった(HEIDON表面性試験器/幅50mm、荷重20g/10mm、移動速度10cm/分)。又、断面の硬化した部分は白濁しており、顕微鏡観察により硬化部の厚みL3は0.7mmであった。硬化部の硬度は80度(JIS−A)であった。
又、クリーニングブレード49aのエッジ部を含む処理部の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は0.56であり、その他の部分の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は1.20であった。
クリーニングブレード49aは、当接角度24゜、当接圧25(g/cm)、当接長さ(長手長さ)330mmにて中間転写ベルト40に接触配置した。クリーニングブレード49aの板厚は2mm、又、自由長L0は8mmであった。クリーニングブレード49aの当接圧は5g/mm以上70g/mm以下が好ましい。5g/mm未満であると、クリーニング不良が発生し、70g/mm以上であると、クリーニングブレード49aの離接による負荷変動が大きくなり、色ずれが発生してしまう。
尚、当接圧(線圧)は、次のように測定した値とする。ブレード当接圧の測定方法について図6を用いて説明する。先ず単位cm当たりの線圧を測定するために、1cm幅に切断したブレード49aをモータ156により図中矢印方向へ移動可能なブレード台157にセットし、該ブレード49aを約10°〜35°のうち所望の設定角φに設定して荷重センサ158に当接する。次いで前記ブレード台157を求めたい侵入量λ分だけ荷重センサ方向に移動し、その時の荷重センサ158の検知値をアンプ159で増幅して電圧計160で読み取る。そして予め求めておいた単位電圧当たりの荷重を、前記単位cm当たりの線圧と置き換えることによって測定している。このようにして測定した値を前記ブレード当接圧としている。他のクリーニングブレードについても同様にして測定した。
クリーニングブレード49aの被清掃部材への当接角はカウンター方向に10°以上35°以下が好ましい。
ここで、図3(b)を参照して、当接角とは、被清掃部材の当接部における接線αと、仮想的に変形しないと考えたときのクリーニングブレードとのなす角度θをいい、クリーニングブレードが撓んでいるときは、被清掃部材の仮想外周とクリーニングブレードの接点における被清掃部材の接線αと、クリーニングブレードの接線とのなす角と規定する。
上述の画像形成装置100を用いて、高温高湿(32.5℃/85%)/常温低湿(23℃/5%)の環境下で画像を形成した。そして、中間転写体クリーナ49のクリーニング性について評価した。
その結果、100万枚の耐久後でも中間転写ベルト40へのクリーニングブレード49aの脱着による画像上の色ズレ、又クリーニングブレード49aのエッジ部のチッピング、中間転写ベルト40上のクリーニング不良などの問題は発生しなかった。
(具体例2)
本例では、中間転写体クリーナ49のクリーニングブレード49aは、硬度70°(JIS−A)、反発弾性率35%のウレタンゴムをブレード基材として、中間転写ベルト40に当接するエッジ部を具体例1と同様の硬化方法により処理したものを用いた。このクリーニングブレード49aの中間転写ベルト40に接触するエッジ部のPETフィルムに対する摩擦係数は0.4であった。硬化部の厚みL3は0.5mmであった。又、クリーニングブレード49aのエッジ部を含む処理部の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は0.4であり、その他の部分の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は1.0であった。
中間転写体クリーナ49に関して、具体例1と同様の評価を行った。その結果、100万枚の耐久後でも、中間転写ベルト40へのクリーニングブレード49aの脱着による画像上の色ズレ、中間転写ベルト40の表面の摺擦傷などの画像に発生するような問題は全く生じず、又クリーニングブレード49aのエッジ部のチッピング、中間転写ベルト40上のクリーニング不良などの問題は発生しなかった。
(具体例3)
本例では、表面粗さを、十点平均粗さRz0.5にした中間転写ベルト40を画像形成装置100に投入した。中間転写ベルト40の表面の摩擦係数は、0.22(HEIDON トライボギアミューズTYPE:94B)であった。その他の構成は具体例1と同様である。中間転写体クリーナ49に関して、具体例1と同様な評価を実施した。
その結果、100万枚の耐久後でも、中間転写ベルト40へのクリーニングブレード49aの脱着による画像上の色ズレ、中間転写ベルト40の表面の摺擦傷などの画像に発生するような問題は全く生じず、又クリーニングブレード49aのエッジ部のチッピング、中間転写ベルト40上のクリーニング不良などの問題は発生しなかった。
(比較例1)
本例のクリーニングブレード49aは、具体例1にて説明したクリーニングブレード49aの作製方法と同様にして作製した。但し、本例では、クリーニングブレード49aをMDI浴に5分間浸漬し、余分なイソシアネートを拭き取り、130℃のオーブンで60分キュアした。断面部分の硬化膜の厚さL3は0.1mmであった。
本例のクリーニングブレード49aのエッジ部のPETフィルムに対する摩擦係数を具体例1と同様の方法で測定したところ、2.5であった。又、クリーニングブレード49aのエッジ部を含む処理部の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は0.7であり、その他の部分の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は1.2であった。中間転写体クリーナ49に関して、具体例1と同様に耐久試験を実施した。その結果、50万枚の時点でクリーニング不良が発生した。
(比較例2)
本例では、具体例2と同様のウレタンゴムを、イソシアネート化合物を含浸させて表面硬化部を形成する処理を施さないまま用いた。本例のクリーニングブレード49aのエッジ部のPETフィルムに対する摩擦係数を具体例1と同様にして測定したところ、2.7であった。中間転写体クリーナ49に関して、具体例1と同様の耐久試験を行った。その結果、耐久試験では、30万枚の時点でクリーニングブレード49aのチッピングによるクリーニング不良が発生した。
以上説明したように、本発明に従うクリーニングブレード49aを中間転写体クリーナ49に設けたことによって、中間転写ベルト40の表面とクリーニングブレード49aとの摩擦力の増大を防ぎ、適正な中間転写体の表面状態を維持して画像形成装置の信頼性を大きく向上することができる。又、画像形成装置の画像生産性が画期的に飛躍した場合にも対応可能である。
つまり、本発明に従うクリーニングブレード49aによれば、磁性、非磁性トナーのいずれを用いるかに拘わらず、耐久による中間転写ベルト40とクリーニングブレード49aとの摩擦力の増大、トナーの凝着或いは融着、色ずれなどの問題、重合トナー、小粒径トナーを用いる場合にもすり抜けの問題などを防止して、又クリーニングブレード49a及び中間転写ベルト40の破損を防止することができる。従って、中間転写ベルト40及びクリーニングブレード49aの信頼性向上を達成することができ、高画質の画像を長期にわたって形成することが可能となる。
次に、感光体クリーナ50が備えるクリーニングブレード52として、上記本発明に従うクリーニング部材を用いたいくつかの具体例(本発明)と比較例を参照して、本発明の効果を詳細に説明する。
(具体例4)
本例では、上記画像形成装置100において、被清掃部材としての感光体2から、転写工程後に残留したトナーや、紙粉などの付着物を除去するためのクリーニング手段である、感光体クリーナ50が備えるクリーニング部材として、感光体2と接触するエッジ部近傍にイソシアネート化合物を含浸させた後硬化する処理により硬化部を形成したクリーニングブレード52を用いる。
本例では、感光体クリーナ50が備えるクリーニングブレード52は、分子量2000のエチレンブチレンアジペート系ポリエステルポリオールと4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートより製造したNCO%が7.0%のプレポリマーに、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンが重量比で65:35に混合されたトリエチレンジアミン触媒を含む架橋剤を、水酸基/イソシアネーート基のモル比が0.9になるように混合して製造した、ウレタンで形成されたブレード基材[硬度70度(JIS−A)、反発弾性率15(%)(40℃での反発弾性率25%)、300%モジュラス200(kg/cm2)(いずれもJIS規格による)]を用いた。
そして、このブレード基材を、L1=3mm、L2=2mmとなるように耐薬品性テープでマスキングし、80℃のMDI浴に30分間浸漬し、余分なイソシアネート化合物を拭き取り、マスキングを取り去り、130℃のオーブンで60分キュアした。
このクリーニングブレード52の感光体2に接触するエッジ部のPETフィルムに対する摩擦係数は0.6であった(HEIDON表面性試験器/幅50mm、荷重20g/10mm、移動速度10cm/分)。又、断面の硬化した部分は白濁しており、顕微鏡観察により硬化部の厚みL3は0.7mmであった。硬化部の硬度は80度(JIS−A)であった。
又、クリーニングブレード52のエッジ部を含む処理部の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は0.55であり、その他の部分の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は1.1であった。
クリーニングブレード52は、当接角度24°、当接圧20(g/cm)、当接長さ(長手長さ)320mmにて感光体2に接触配置した。クリーニングブレード52の板厚は2mmであり、背板としてSUS板(板厚1.0mm)が配設されている。クリーニングブレードの自由長は8mmとした。
上述の画像形成装置100を用いて高温高湿(32.5℃/85%)の環境下で画像を形成した。そして、感光体クリーナ50のクリーニング性について評価した。
尚、本例並びに下記具体例5、6、比較例3、4では、中間転写ベルト40として、ポリイミド層及びシアノレジン層(高誘電率層)の2層構造のものを用いた。この中間転写ベルト40は、上記同様の方法で製造される、表面抵抗率1012Ω/□、体積抵抗率は1010Ω・cmの厚さ75μmのシームレスベルトである。
その結果、300万枚の耐久後でも、高温高湿の環境下でも画像流れの発生は生じなかった。又、クリーニングブレード52のエッジ部にチッピングなどの問題は発生しなかった。
そして、300万枚の耐久後に感光体2を検査した結果、トナーの融着、部分的なフィルミング膜の発生や摺擦傷など、画像に発生するような問題は全く生じていなかった。又、感光体2の表面の摩耗量は、0.12nm/1,000回転と、適正な値であった。更に、300万枚の耐久後の感光体2を、5%ペルオキソ二硫酸ナトリウム(Na2S2O8)水溶液中で加熱し(70℃〜80℃、30分)、アセトン中で超音波洗浄し(約1分)、エタノール/純水での濯ぎの前後で、反射分光式干渉計(大塚電子(株)製MCDP2000)にて測定したところ、フィルミング層は確認されなかった。
(具体例5)
本例では、感光体クリーナ50のクリーニングブレード52は、硬度70°(JIS−A)、反発弾性率35%のウレタンゴムをブレード基材として、感光体2に当接するエッジ部を具体例4と同様の硬化方法により処理したものを用いた。このクリーニングブレード52の感光体2に接触するエッジ部のPETフィルムに対しての摩擦係数は0.38であった。硬化部の厚みL3は0.3mmであった。又、クリーニングブレード52のエッジ部を含む処理部の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は0.5であり、その他の部分の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は1.0であった。感光体クリーナ50に関して、具体例4と同様の評価を行った。
その結果、300万枚耐久後も、感光体2におけるトナーの融着、部分的なフィルミング膜の発生、摺擦傷など、画像に発生するような問題は全く生じず、フィルミング層も確認されなかった。
(具体例6)
本例では、SiC:Hに替えて、表面層にa−C:H(水素化アモルファスカーボン)を1000Å積層した感光体2を用いた。その他の構成は具体例4と同様である。
本発明者の検討によると、水素化アモルファスカーボンは、従来のSiC:H表面層に比べて摩擦係数が小さいことが確認されている。尚、本例における感光体2の表面のビッカース硬度は(1100Kg/m2)であった。
感光体クリーナ50に関して、具体例4と同様の耐久試験を行った。その結果、高温高湿(32.5℃/85%)の環境下における300万枚の耐久後においても、画像流れの発生は生じなかった。又、クリーニングブレード52のエッジ部にチッピングなどの問題は発生しなかった。そして、300万枚耐久後においても、感光体2におけるトナーの融着、部分的なフィルミング膜の発生、摺擦傷など、画像に発生するような問題は全く生じず、フィルミング層も確認されなかった。
又、本例における感光体2の摩耗量は、0.02Å/1000回転であった。又、耐久後の摩擦係数も、SiC:H表面層に比べて小さかった。これは、水素化アモルファスカーボンの表面自由エネルギーがSiC:Hに比べて小さいため、オゾン生成物、トナー、紙粉などの有機物が感光体2の表面に付着、凝着し難いことから、フィルミング膜が形成され難いためと推定される。
(比較例3)
本例では、具体例4にて説明したクリーニングブレード52の作製方法と同様にして作製した。但し、本例では、クリーニングブレード52をMDI浴に浸漬し、余分なイソシアネートを拭き取り、130℃のオーブンで60分キュアした。断面部分の硬化膜の厚さL3は0.1mmであった。
本例のクリーニングブレード52のエッジ部のPETフィルムに対する摩擦係数を具体例4と同様な方法で測定したところ、1.5であった。又、クリーニングブレード52のエッジ部を含む処理部の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は0.7であり、その他の部分の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は1.0であった。感光体クリーナ50に関して、具体例4と同様に耐久試験を実施した。その結果、初期30万枚の時点でクリーニング不良が発生した。
(比較例4)
本例では、具体例4と同様なウレタンゴムを、イソシアネート化合物を含浸させて表面硬化部を形成する処理を施さないまま用いた。本例のクリーニングブレード50のエッジ部のPETフィルムに対する摩擦係数を具体例4と同様にして測定したところ、3.0であった。感光体クリーナ50に関して、具体例4と同様の耐久試験を行った。その結果、耐久試験では、5万枚の時点でトナー融着が発生した。
以上説明したように、本発明に従うクリーニングブレード52を感光体クリーナ50に設けることによって、現像剤として磁性トナー、非磁性トナーのいずれを用いるかに拘わらず、画像流れやトナー融着を発生させない感光体2の表面状態を維持して、画像形成装置100の信頼性を大きく向上させることができる。又、画像形成装置の画像生産性が画期的に飛躍した場合にも対応可能である。
つまり、本発明に従うクリーニングブレード52によれば、耐久による感光体2上のフィルミングの原因となる、紙粉やコロナ生成物などの固着が防止され、従って、2成分現像剤を用いるフルカラー画像形成装置においても、フィルミングの発生に起因する、画像流れなどの画質の低下(劣化)を防止することができる。又、感光体2とクリーニングブレード52との摩擦力の増大、トナーの凝着或いは融着、クリーニングブレード52及び感光体2の損傷を防止することができ、感光体2及びクリーニング部材の信頼性向上を達成することができ、高画質の画像を長期にわたって形成することができる。
上述のように、画像形成装置100がクリーニングブレード49a、52を中間転写ベルト40、感光体2に対し接離させる手段を有する場合、上述のように、クリーニングブレード49a、52を本発明に従って構成することによって、クリーニングブレード49a、52の脱着時、即ち、中間転写ベルト40、感光体2に対するクリーニングブレード49a、52の当接、離間の際に、クリーニングブレード49a、52の中間転写ベルト40、感光体2への当接時にうける衝撃や中間転写ベルト40、感光体2からの摩擦力等によるクリーニングブレード49a、52の消耗、或いはクリーニングブレード49a、52の当接時の衝撃により、中間転写ベルト40、感光体2に振動を付与して画像不良を生じさせることを防止することができる。
又、クリーニングブレード49a、52を中間転写ベルト40、感光体2の表面移動方向に対してカウンター方向に当接させ、クリーニングブレード49a、52の中間転写ベルト40、感光体2への当接部における対ポリエチレンテレフタラートの動摩擦係数を1.0以下とし、中間転写ベルト40、感光体2のクリーニングブレード49a、52との当接面の表面粗さRzを0.2以上4.0以下とすることは、カラー画像形成装置、単色(通常、モノクロ)画像形成装置において、低摩擦によるクリーニングブレード49a、52の離接時の付加変動防止、付加変動による振動音防止の点で極めて効果的である。
次に、本発明の更に他の特徴について説明する。
更に、本発明者らは鋭意検討を進めた結果、特に、被清掃部材に対してカウンター方向に当接する場合、被清掃部材に当接する部分を含む第1の領域と、損失正接tanδの温度依存性のピーク値がこの第1の領域と異なる第2の領域と、を有するクリーニングブレードは、クリーニングブレードと、被清掃部材表面と、被清掃部材表面上の付着物との、三者間の平均動摩擦係数が1.2以下であることが好ましく、斯かる構成とすることによって、特に、被清掃部材が中間転写体である場合のトナーのすり抜けなどを防止して、被清掃部材の表面を長期にわたり良好な状態に維持し、クリーニングブレード及び被清掃部材の破損を防止して信頼性を向上させ得ることを見出した。この三者間の平均動摩擦係数が1.2を越えると、クリーニングブレードのビビリ/めくれ/欠けが発生することがある。より好ましくは1.0以下とする。又、カウンター当接するクリーニングブレードのかきとり力を確保する理由から、この三者間の平均動摩擦係数は0.1以上であることが好ましい。この三者間の平均動摩擦係数を上記のように設定することは、カラー画像形成装置、単色(通常、モノクロ)画像形成装置において、被清掃部材たる像担持体(感光体、中間転写体)の速度ムラによる画像形成不良を防止する点で極めて有利である。
尚、これら三者間の平均動摩擦係数は、例えば、次のようにして測定して得た値とする。
クリーニングブレードと、被清掃部材たる像担持体としての感光体とを有し、実際にトナー像を形成する画像形成装置の状態において測定を行う。つまり、感光体表面にトナーが存在する状態において下記の測定を行う。(より詳しくは、像担持体上にラインスケール、グレースケールが混在する画像で、画像比率が5%のテストチャート画像を作成し、その後、該画像を転写した後の感光体上の転写残トナーをクリーニングしている状態で測定を行う)クリーニングブレードが感光体を押圧する垂直方向の力N(N)、感光体が回転する時にクリーニングブレードとの摩擦により生じる摩擦力F(N)を測定し、下記式、
摩擦係数μ=F/N
で算出する。ここで、摩擦力Fは、感光体自体の回転トルクT1(N・m)及びクリーニングブレードが感光体垂直方向の力Nで押圧した際の回転トルクT2(N・m)、像担持体の半径γ(m)とすると、F=T2−T1/γで表される。
尚、像担持体が中間転写体の場合は、各色において感光体上にラインスケール、グレースケールが混在する画像で、画像比率が5%のテストチャート画像を作成し、その後、該画像を重ねて中間転写体上に転写し、該画像を2次転写した後の中間転写体上の転写残トナーをクリーニングしている状態で測定を行う。
以下、いくつかの具体例(本発明)と比較例を参照して、本発明の効果を詳細に説明する。
(具体例7)
本例では、中間転写体クリーナ49のクリーニングブレード49aは、分子量2000のエチレンブチレンアジペート系ポリエステルポリオールと4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートより製造したNCO%が7.0%のプレポリマーに、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンが重量比で65:35に混合されたトリエチレンジアミン触媒を含む架橋剤を、水酸基/イソシアネーート基のモル比が0.9になるように混合して製造した、ウレタンで形成されたブレード基材[硬度70°(JIS−A)反発弾性率15(%)(40℃での反発弾性率25%)、300%モジュラス200(kg/cm2)(いずれもJIS規格による)]を用いた。
そして、このブレード基材を、L1=3mm、L2=2mmとなるように耐薬品性テープでマスキングし、80℃のMDI浴に30分間浸漬し、余分なイソシアネートを拭き取り、マスキングを取り去り、130℃のオーブンで60分キュアした。
このクリーニングブレード49aの中間転写ベルト40に接触するエッジ部のPETフィルムに対する摩擦係数は0.6であった(HEIDON表面性試験器/幅50mm、荷重20g/10mm、移動速度10cm/分)。又、断面の硬化した部分は白濁しており、顕微鏡観察により硬化部の厚みL3は0.7mmであった。硬化部の硬度は80度(JIS−A)であった。
又、クリーニングブレード49aのエッジ部を含む処理部の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は0.45であり、その他の部分の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は1.0であった。
クリーニングブレード49aは、当接角度24゜、当接圧25(g/cm)、当接長さ(長手長さ)330mmにて中間転写ベルト40に接触配置した。クリーニングブレード49aの板厚は2mm、又、クリーニングブレード49aの自由長は8mmとした。
又、クリーニングブレード49aと、中間転写ベルト40の表面と、2次転写後の中間転写ベルト40表面上の付着物(残留物)との、三者間の平均動摩擦係数が0.7であった。
上述の画像形成装置100を用いて、高温高湿(32.5℃/85%)/常温低湿(23℃/5%)の環境下で画像を形成した。そして、中間転写体クリーナ49のクリーニング性について評価した。
その結果、100万枚の耐久後でも、中間転写ベルト40への中間転写体クリーナ49の脱着による画像上の色ズレ、又クリーニングブレード49aのエッジ部のチッピング、中間転写ベルト40上のクリーニング不良などの問題は発生しなかった。
(具体例8)
本例では、中間転写体クリーナ49のクリーニングブレード49aは、硬度70°(JIS−A)、反発弾性率35%のウレタンゴムをブレード基材として、中間転写ベルト40に当接するエッジ部を具体例7と同様の硬化方法により処理したものを用いた。
クリーニングブレード49aと、中間転写ベルト40の表面と、2次転写後の中間転写ベルト40表面上の付着物(残留物)との、三者間の平均摩擦係数は0.8であった。又、クリーニングブレード49aのエッジ部を含む処理部の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は0.5であり、その他の部分の損失正接tanδの温度依存性のピーク値は1.0であった。中間転写体クリーナ49に関して、具体例7と同様の評価を行った。
その結果、100万枚の耐久後でも、中間転写ベルト40へのクリーニングブレード49aの脱着による画像上の色ズレ、中間転写ベルト40の表面の摺擦傷などの画像に発生するような問題は全く生じず、又クリーニングブレード49aのエッジ部のチッピング、中間転写ベルト40上のクリーニング不良などの問題は発生しなかった。
(具体例9)
本例では、表面粗さを、十点平均粗さRz0.5にした中間転写ベルト40を画像形成装置100に投入した。中間転写ベルト40の表面の摩擦係数は、0.22(HEIDON トライボギアミューズ TYPE:94B)であった。又、クリーニングブレード49aと、中間転写ベルト40の表面と、2次転写後の中間転写ベルト40表面上の付着物(残留物)との、三者間の平均動摩擦係数は、1.1であった。その他の構成は具体例7と同様である。中間転写体クリーナ49に関して、具体例7と同様の評価を行った。
その結果、100万枚の耐久後でも、中間転写ベルト40へのクリーニングブレード49aの脱着による画像上の色ズレ、中間転写ベルト40の表面の摺擦傷などの画像に発生するような問題は全く生じず、又クリーニングブレード49aのエッジ部のチッピング、中間転写ベルト40上のクリーニング不良などの問題は発生しなかった。
(比較例5)
本例のクリーニングブレード49aは、具体例7にて説明したクリーニングブレード49aの作製方法と同様にして作製した。但し、本例では、クリーニングブレード49aをMDI浴に5分間浸漬し、余分なイソシアネートを拭き取り、130°のオーブンで60分キュアした。断面部分の硬化膜の厚さL3は0.1mmであった。本例では、実機上のクリーニングブレード49aと、中間転写ベルト40の表面と、2次転写後の中間転写ベルト40表面上の付着物(残留物)との三者間の平均動摩擦係数は1.4となった。中間転写体クリーナ49に関して、具体例7と同様に耐久試験を実施した。その結果、30万枚の時点でクリーニング不良が発生した。
(比較例6)
本例では、具体例8と同様なウレタンゴムを、イソシアネート化合物を含浸させて表面硬化部を形成する処理を施さないまま用いた。本例では、実機上のクリーニングブレード49aと、中間転写ベルト40の表面と、2次転写後の中間転写ベルト40表面上の付着物(残留物)との三者間の平均動摩擦係数は1.8となった。中間転写体クリーナ49に関して、具体例7と同様に耐久試験を実施した。その結果、30万枚の時点でクリーニングブレード49aのチッピングによるクリーニング不良が発生した。
(比較例7)
本例では、中間転写ベルト40の成形時の円筒型の内面の粗さにより、中間転写ベルト40の表面粗さRzを5.0に調整した。その他の構成は具体例7と同じである。本例では、実機上のクリーニングブレード49aと、中間転写ベルト40の表面と、2次転写後の中間転写ベルト40表面上の付着物(残留物)との三者間の平均動摩擦係数は、0.7となったが、中間転写体クリーナ49に関して、具体例7と同様に耐久試験を実施した結果、初期より、トナーの中間転写体クリーナ49のすり抜けが発生した。
以上説明したように、特に、中間転写ベルト40にカウンター当接するクリーニングブレード49aにおいて、中間転写ベルト40と接触するエッジ部近傍にイソシアネート化合物を含浸させた後硬化する処理により硬化部を形成し、クリーニングブレード49aと、中間転写ベルト40の表面と、2次転写後の中間転写ベルト40表面上の付着物(残留物)との、三者間の平均動摩擦係数を1.2以下にすることによっても、中間転写ベルト40の表面とクリーニングブレード49aとの摩擦力の増大を防ぎ、適正な中間転写体の表面状態を維持して画像形成装置の信頼性を大きく向上することができる。又、画像形成装置の画像生産性が画期的に飛躍した場合にも対応可能である。尚、被清掃部材が中間転写ベルト40である場合を例に説明したが、同様の構成により、被清掃部材が感光体2である場合にも好結果が得られた。
上述のように、本発明に従うクリーニングブレード52、49a及びこれを備える画像形成装置100によれば、電子写真感光体、中間転写体といった画像形成装置内の被清掃部材表面のクリーニング性が向上され、長期にわたり高品位画像の形成を可能である。
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は、上記各具体例に限定されるものではない。当然、感光体クリーナ50が備えるクリーニングブレード52、中間転写体クリーナ49が備えるクリーニングブレード49aの双方に、同時に本発明に従うクリーニング部材を設けてもよいことは言うまでもない。