JP2005010504A - 電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法 - Google Patents
電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005010504A JP2005010504A JP2003175015A JP2003175015A JP2005010504A JP 2005010504 A JP2005010504 A JP 2005010504A JP 2003175015 A JP2003175015 A JP 2003175015A JP 2003175015 A JP2003175015 A JP 2003175015A JP 2005010504 A JP2005010504 A JP 2005010504A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- short
- electro
- optical device
- circuit wiring
- region
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Liquid Crystal (AREA)
Abstract
【課題】静電気対策が十分な表示装置を提供する。
【解決手段】走査線214とデータ線314との交差に対応して画素110が配列された電気光学装置100となる領域を複数備えた電気光学装置用マザー基板であって、前記各々の領域は、複数の前記走査線及び複数の前記データ線のいずれか一方のみを短絡させるために用いられる短絡配線318をそれぞれ備え、隣接する前記領域に対応する前記各短絡配線は電気的に接続されてなる。前記隣接する領域の前記短絡配線を接続する接続短絡配線は、前記短絡配線と前記短絡配線によって短絡される前記複数の走査線及びデータ線のいずれか一方との接続が切断される仮想ラインを通過するように形成される。
【選択図】 図7
【解決手段】走査線214とデータ線314との交差に対応して画素110が配列された電気光学装置100となる領域を複数備えた電気光学装置用マザー基板であって、前記各々の領域は、複数の前記走査線及び複数の前記データ線のいずれか一方のみを短絡させるために用いられる短絡配線318をそれぞれ備え、隣接する前記領域に対応する前記各短絡配線は電気的に接続されてなる。前記隣接する領域の前記短絡配線を接続する接続短絡配線は、前記短絡配線と前記短絡配線によって短絡される前記複数の走査線及びデータ線のいずれか一方との接続が切断される仮想ラインを通過するように形成される。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶などの電気光学物質の電気光学的な変化により表示を行う表示装置は、駆動方式によってパッシブマトリクス型とアクティブマトリクス型とに大別することができるが、いずれの型においても、行方向に延在して形成される走査線(コモン配線)と、列方向に延在して形成されるデータ線(セグメント配線との交差部分に対応して画素が形成される点においては共通である。
【0003】
このような表示装置において、点灯しないような欠陥画素が存在すると、その欠陥画素は容易にユーザに視認される。また、階調特性が、画素にわたって不均一であると、画面全体として見た場合に表示ムラとして視認される。一方、このような表示装置を欠陥なく製造することは、物理的に不可能である。したがって、製造時において欠陥のある表示装置を、いかにして排除するかが品質管理の上で、重要なポイントとなる。
【0004】
ここで、欠陥の有無を検査する方法として、特開2002−328627号公報には、次の方法が記載されている。
【0005】
図21及び図22に示すように、複数の走査線214は、それぞれ配線372を介して第1の短絡配線216,218によって短絡される。複数のデータ線314は、第2の短絡配線318によって短絡される。
【0006】
次いで、第1及び第2の短絡配線216,218,318の各々に接続された端子217,219,319を介して、画素110に対して所定の駆動電圧(信号Vcom1,Vcom2,Vseg)を印加して、当該画素110の点灯を検査する。走査線214やデータ線314等に断線が発生していると、その欠陥に係る画素110は、非点灯状態になるので当該欠陥を容易に発見できる。
【0007】
その後、図23及び図24に示すように、短絡された走査線214から第1の短絡配線216,218を電気的に切断するとともに、短絡されたデータ線314から第2の短絡配線318を電気的に切断する。その切断は、レーザ光の照射により行う。
【0008】
この場合、配線372の端部及びデータ線314の端部は、いずれも張出領域320において引き出されて最終的にY方向に延在している。したがって、図21における直線390に沿ってレーザ光を移動させれば、単なる1回のスキャンによって各走査線214、各データ線314をそれぞれ電気的に分離することができる。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−328627号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
データ線314には、画素110を構成するTFD及び画素電極等の素子が直接的に接続されていることから、データ線314に静電気が入ると、これらの素子が破壊され、欠陥画素となることがある。データ線314の静電気対策が十分に施されることが望まれる。
【0011】
同様に、走査線214に対する静電気対策が十分に行われることが望まれる。走査線214には、直接的にではなく、スペーサを兼ねる導電性粒子を介して画素110に接続されていることから、静電気が入った場合の上記素子に与える悪影響はデータ線314に比べて低いと考えられていたが、最近では走査線214に対する静電気対策もまた十分に行われることが望まれている。
【0012】
そこで、データ線314及び走査線214の静電気対策として、データ線群314及び走査線群214を基板内で全て短絡させて同電位に保持する方法が考えられる。一般に、画素110の点灯検査時には、データ線群314と走査線群214とにそれぞれ別々の信号Vcom1,Vcom2,Vsegを供給すべく、データ線群314と走査線群214とが電気的に分離されている必要がある。
【0013】
よって、上記方法では、点灯検査を行う前に、データ線群314と走査線群214とを電気的に分離させて、データ線群314と走査線群214とが同電位に保持されていない状態にすることになる。量産工程では、その状態の直後に、パッケージに実装されるため、外部からの静電気がデータ線314又は走査線214に入ることが有効に防止される。
【0014】
これに対し、研究開発が行われている場所では、点灯検査後にも各種試験を行う等の理由から、直ぐには実装されずに、データ線314又は走査線214が露出した状態のまま保管されることが多く、その場合には静電気が入り易い状態におかれることになる。以上のように、点灯検査後に直ぐに実装が行われない場合においても、点灯検査後の静電気対策が十分な方法が望まれる。
【0015】
本発明の目的は、静電気対策が十分な電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、短絡配線と走査線又はデータ線とを電気的に切断する前に検査を行うことができる電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、パネルごとにカットされた後であっても静電気対策が十分な電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、短絡配線と走査線又はデータ線とが電気的に切断された後であっても静電気対策が十分な電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気光学装置用マザー基板は、走査線とデータ線との交差に対応して画素が配列された電気光学装置となる領域を複数備えた電気光学装置用マザー基板であって、前記各々の領域は、複数の前記走査線及び複数の前記データ線のいずれか一方のみを短絡させるために用いられる短絡配線をそれぞれ備え、隣接する前記領域に対応する前記各短絡配線は電気的に接続されてなる。
【0017】
本発明の電気光学装置用マザー基板において、前記隣接する領域の前記短絡配線を接続する接続短絡配線は、前記短絡配線と前記短絡配線によって短絡される前記複数の走査線及びデータ線のいずれか一方との接続が切断される仮想ラインを通過するように形成される。
【0018】
本発明の電気光学装置用マザー基板において、前記接続短絡配線が前記仮想ラインを通過する回数は、3回以上である。
【0019】
本発明の電気光学装置用マザー基板は、第1の基板及び第2の基板を有し、複数の前記走査線及び複数の前記データ線のいずれか他方は、その一方が設けられてなる前記第1の基板と対向する前記第2の基板に設けられ、且つ、前記第1の基板に設けられてなる電極と導通部材によって電気的に接続されてなり、前記接続短絡配線は、前記導通部材を囲うように配置されてなることを特徴とする。
【0020】
本発明の電気光学装置用マザー基板において、前記短絡配線によって短絡される前記複数の走査線及びデータ線のいずれか一方には、スイッチング素子が電気的に接続されている。
【0021】
本発明の電気光学装置用マザー基板において、更に、前記複数の走査線及びデータ線のいずれか他方のみを短絡させるために用いられる第1短絡配線を備えている。
【0022】
本発明の電気光学装置は、本発明の電気光学装置用マザー基板がスクライブされて形成されてなるものである。
【0023】
本発明の電子機器は、本発明の電気光学装置を備えている。
【0024】
本発明の電気光学装置の製造方法は、走査線とデータ線との交差に対応して画素が配列された電気光学装置となる領域を複数備えた電気光学装置用マザー基板から形成される電気光学装置の製造方法であって、(a) 第1の前記領域の、複数の前記走査線、複数の前記データ線及び前記画素を構成する素子を形成するステップと、(b) 前記第1の領域に隣接する第2の前記領域の、複数の前記走査線、複数の前記データ線及びスイッチング素子を形成するステップと、(c) 前記第1の領域の前記複数の走査線及び前記複数のデータ線のいずれか一方のみを短絡させるために用いられる短絡配線を形成するステップと、(d) 前記第2の領域の前記複数の走査線及び前記複数のデータ線のいずれか一方のみを短絡させるために用いられる短絡配線を、該第2の領域と隣接する前記第1の領域の前記短絡配線と電気的に接続されるように形成するステップと、(e) 前記第1の領域と前記第2の領域とに分けるステップと、(f) 前記第1の領域と前記第2の領域の少なくとも一方の前記短絡配線に前記画素の点灯を検査するための電圧を印加するステップと、(g) 前記一方の領域の前記短絡配線と前記短絡配線に接続された前記複数の走査線及び前記複数のデータ線のいずれか一方とを電気的に切断するステップとを備えている。
【0025】
本発明の電気光学装置の製造方法において、前記(c)及び(d)は、同一工程で行われ、前記第1及び第2の領域の前記短絡配線並びに前記第1及び第2の領域の前記短絡配線同士を電気的に接続するための特定短絡配線は、前記短絡配線によって短絡される前記複数の走査線及び前記複数のデータ線のいずれか一方と同一工程で形成される。
【0026】
本発明の電子機器の製造方法は、本発明の電気光学装置の製造方法で製造された表示装置に実装部品を実装して電子機器を製造するステップを備えている。
【0027】
本発明では、SEG(データ線)側とCOM(走査線)側を別々にショートさせ、静電気対策を行う。
SEG側のショートラインは上下導通電極を囲むように引き回し、レーザカット領域を跨いだ所で隣接するパネルと接続する。基板内での同電位が実現される。
【0028】
上記構成により、十分な静電気対策が可能である。また、レーザカット前の点灯検査が可能である(レーザカット後も可能である)。さらに、パネル端面に剥き出しになっているCrラインがパネル内の静電気ラインと切り離される。よって、パネル単体でも十分な静電気対策が可能である。
【0029】
ここで、この方法において、短絡した走査線(またはデータ線)から第1の短絡配線(第2の短絡配線)を電気的に切断する方法としては、レーザ光の照射により行う態様が考えられる。また、この方法では、前記第1の短絡配線の切断方向と、前記第2の短絡配線の切断方向とが、略同一直線上にある態様が好ましい。この態様によれば、走査線から第1の短絡配線を切断する行程と、データ線から第2の短絡配線を切断する行程とを、切断ツールの直線的な移動で済ますことが可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。なお、本発明に係る表示装置としては、例えば液晶表示装置が挙げられる。
【0031】
(実施の形態1)
<表示装置の構成>
はじめに、本発明の実施形態に係る検査方法が適用される表示装置の電気的構成について説明する。
【0032】
図1は、この表示装置の電気的な構成を示すブロック図である。図1に示されるように、表示装置100には、複数m本の走査線(コモン配線)214が行(X)方向に延在に形成される一方、複数3n本のデータ線(セグメント配線)314が列(Y)方向に延在して形成されるとともに、走査線214とデータ線314との各交差に対応して画素110が形成されている。この画素110は、R(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかの一色に対応するものであり、X方向に相隣接するRGBの3つの画素110によって1つのドット120が構成されている。
【0033】
画素110は、液晶容量162と、二端子型スイッチング素子の一例であるTFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)320との直列接続からなる。
液晶容量162は、後述するように、対向電極として機能する走査線214と画素電極との間に、電気光学物質の一例たる液晶を挟持した構成となっている。
TFD320は、本実施形態では、一端がデータ線314に接続される一方、他端が画素電極に接続されて、走査線214とデータ線314との電位差にしたがってオンオフが制御される。
【0034】
なお、この表示装置にあっては、説明の便宜上、走査線214の総数をm本とし、データ線314の総数を3n本として、ドット120がm行n列(画素110でいえば、m行3n列)に配列するマトリクス型表示装置として説明するが、本発明の適用をこれに限定する趣旨ではない。
【0035】
次に、Yドライバ251、253は、一般には走査線駆動回路と呼ばれるものである。Yドライバ251は、 図1において上から数えて奇数(1、3、5、…、m−1)本目の走査線214の駆動を担当し、Yドライバ253は、上から数えて偶数(2、4、6、…、m)本目の走査線214の駆動を担当している。
すなわち、Yドライバ251、253によって、1行目、2行目、3行目、…、m行目の走査線214が1垂直走査期間において順次排他的に1本ずつ選択されるとともに、選択された走査線214には、選択電圧の走査信号が供給される一方、他の非選択の走査線214には、非選択電圧の走査信号が供給される構成となっている。
なお、説明の便宜上、走査信号は、一般的にj(iは、1≦j≦mを満たす整数)行目の走査線214に供給されるものを、Yjと表記している。
【0036】
また、Xドライバ350は、一般にはデータ線駆動回路と呼ばれるものであり、Yドライバ251、253のいずれかにより選択された走査線214に位置する3n個の画素110に対し、表示内容に応じたデータ信号X1B、X1G、X1R、X2B、X2G、X2R、…、XnB、XnG、XnRを、それぞれ対応するデータ線314を介して供給するものである。
なお、データ信号は、一般的にi(iは、1≦i≦nを満たす整数)列目のドット120において、B、G、Rの画素110で兼用されるデータ線314に供給されるものを、それぞれXiB、XiG、XiRと表記している。
【0037】
次に、表示装置100の機械的な構成について説明する。
図2は、この表示装置100の外観構成を示す斜視図である。なお、この図では、表示装置100における配線レイアウトを判りやすくするために、観察者に視認される観察側を図において裏側として示す一方、観察者が通常視認することのない背面側を図において表側として示している。
図3は、この表示装置100を図2におけるX方向に沿って破断した場合の構成を示す部分断面図である。
【0038】
図2及び図3に示されるように、表示装置100は、観察側に位置する基板300と、その背面側に位置して、観察側の基板300よりも一回り小さい基板200とが、スペーサを兼ねる導電性粒子114が適切な割合で分散されたシール材110aによって、一定の間隙を保って貼り合わせられるとともに、この間隙に例えばTN(Twisted Nematic)型の液晶160が封入されている。
【0039】
シール材110aは、基板200の内周縁に沿って形成されるが、液晶160を封入するために、その一部が開口している。このため、液晶160の封入後に、その開口部分が封止材112によって封止されている。
【0040】
背面側の基板200にあって、観察側の基板300との対向面には、m本の走査線214がX方向に延在して形成されている。
観察側の基板300にあって背面側の基板200との対向面には、3n本のデータ線314がY(列)方向に延在して形成されている。
【0041】
基板300には、シール材110aの形成領域において、データ線群314の図2における左右方向の各外側に、それぞれ短絡配線400がY方向に延在して形成されている。短絡配線400は、張出領域302からシール材110aの形成領域内において、データ線314と平行に延設された後、90°外側に曲がって走査線214に沿ってシール材110aの形成領域外に出て、基板300の端面側まで延設されている。短絡配線400のうち基板300の端面側の一端部400aは、隣接する基板300上の短絡配線400と接続されている。
【0042】
基板200に形成された走査線214のうち、奇数行目の走査線214は、シール材110aの形成領域のうち、図2において左側まで延設される一方、偶数行目の走査線214は、シール材110aの形成領域のうち、図において右側まで延設されている。
【0043】
基板300には、走査線214と一対一に対応して配線372が設けられるとともに、シール材110aの形成領域において、対応する走査線214の一端と対向するように形成されている。
【0044】
導電性粒子114は、走査線214の一端と配線372の一端とが対向する部分に、少なくとも1個以上介在するような割合にてシール材110a中に分散される。このため、基板200に形成された走査線214は、導電性粒子114を介して、基板300に形成された配線372に接続される。
【0045】
なお、配線372は、後述するTFD320の第2金属膜と同一層、および、画素電極348と同一層をパターニングした積層構造となって、その配線抵抗が低く抑えられている。
【0046】
配線372のうち、奇数行目の走査線214に接続される配線372は、シール材110aの形成領域外において90度屈曲した後、Y方向に沿って張出領域302まで延設される。そして、当該配線372は、張出領域302において、Yドライバ251の出力側バンプに接合される。
同様に、偶数行目の走査線214に接続される配線372は、シール材110aの形成領域外において90度屈曲した後、Y方向に沿って張出領域302まで延設されて、Yドライバ253の出力側バンプに接合される。
【0047】
上記のように、基板200上の走査線214は、導電性粒子114を介して基板300上に形成された配線372と接続されている。配線372は、X方向に延びた部分372aから点372bにて90°曲がってY方向に沿って張出領域302方向にまで延びている。配線372のうち、その90°曲がった部分372bが上下基板200,300を導通させる上下導通電極に対応する。
【0048】
一方、データ線314は、シール材110aの形成領域外においてピッチが狭められて、張出領域302まで延設される。そして、当該データ線314は、張出領域302において、Xドライバ350の出力側バンプに接合される。
【0049】
また、張出領域302には、FPC(Flexible Circuit Board)基板150が接合されて、外部回路(図示省略)から、Yドライバ251、253およびXドライバ350の入力側バンプにクロック信号や制御信号等を供給する構成となっている。
【0050】
基板300の張出領域302においては配線384が形成されて、その一端は、Yドライバ251、253またはXドライバ350の入力側バンプに接続される一方、その他端は、FPC基板150の配線と接続される。
【0051】
なお、図2においては、説明の理解を優先させたため便宜的に走査線214の本数mを「8」とし、データ線314の本数3nを「18」とした場合を示している。また、張出領域302には、検査用の端子217、219、319が設けられているが、これらの端子については後述する。
【0052】
<内部構成>
次に、表示装置100における表示領域の内部構成について説明する。
【0053】
まず、観察側の基板300について説明する。
図3に示されるように、基板300の外面には、位相差板133および偏光板131が貼り付けられる。なお、これらの位相差板133および偏光板131については、簡略化のため図2では省略されている。
【0054】
基板300の内面には、クロム等からなるデータ線314がY方向(図3では紙面垂直方向)に延在して形成されている。短絡配線400も、データ線314と同じクロム等から成り、データ線314と同じ工程で同時に形成される。同様に、配線372も、データ線314と同じクロム等から成り、データ線314と同じ工程で同時に形成される。また更に、後述する短絡配線216、218、318についても同様に、データ線314と同じクロム等から成り、データ線314と同じ工程で同時に形成される。
【0055】
データ線314の近傍には、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる矩形状の画素電極348が形成されている。
なお、データ線314や画素電極348等の詳細構成については、さらに後述することにする。
【0056】
画素電極348の表面には、ポリイミド等からなる配向膜308が形成されている。なお、配向膜308には、背面側の基板200と貼り合わせる前に、所定の方向にラビング処理が施される。なお、配向膜308は、表示領域外では不要であるから、シール材110aの形成領域近傍およびその外側では設けられていない。
【0057】
次に、背面側の基板200について説明する。
【0058】
基板200の外面には、位相差板123および偏光板121が貼り付けられる。なお、これらの位相差板123および偏光板121についても、図2では省略されている。
【0059】
基板200の内面には、起伏が形成された散乱樹脂層203が形成されている。散乱樹脂層203は、例えば基板200の表面上において点状にパターニングしたフォトレジストを熱処理し、当該フォトレジストの端部を軟化させる等によって、形成したものである。
【0060】
次に、散乱樹脂層203の起伏面には、アルミニウムや銀等の反射性金属からなる反射膜204が形成されている。したがって、散乱樹脂層203の起伏を反映して、反射膜204の表面も起伏となるので、観察側から入射した光は、反射膜204によって反射する際に、適度に散乱することとなる。
【0061】
表示装置100を反射型のみならず透過型としても機能させるために、反射膜204には、光を透過させるための開口部209が設けられている。
なお、このような開口部209を設けずに、例えばアルミニウム等の光反射性を有する金属の膜厚を比較的薄く(20nm〜50nm)して形成することにより、背面側からの入射光の一部を透過させる構成としてもよい。
【0062】
反射膜204の表面には、画素電極348と走査線214との対向領域に対応して、赤色のカラーフィルタ205R、緑色のカラーフィルタ205G、および、青色のカラーフィルタ205Bが、それぞれ所定の配列で設けられている。
なお、カラーフィルタ205R、205G、205Bの配列は、本実施形態では、データ系の表示に好適なストライプ配列となっている。
【0063】
次に、各色のカラーフィルタ205R、205G、205Bの表面には、絶縁材からなる平坦化膜207が設けられて、当該カラーフィルタの段差や反射膜204等の起伏を平坦化している。
【0064】
平坦化膜207により平坦化された面に、ITO等の透明導電材料からなる走査線214がX方向(図3では紙面左右方向)に、観察側の基板300に形成された画素電極348と対向するように形成されている。
【0065】
走査線214の表面には、ポリイミド等からなる配向膜208が形成されている。配向膜208には、観察側の基板300と貼り合わせる前に、所定の方向にラビング処理が施される。また、各色のカラーフィルタ205R、205G、205B、平坦化膜207および配向膜208は、表示領域外では不要であるから、シール材110aの領域近傍およびその外側では設けられていない。
【0066】
<画素構成>
続いて、表示装置100における画素の構成について、TFD320を中心にして説明する。
【0067】
図4(a)は、表示装置100におけるドットの1個分(画素の3個分)のレイアウトを示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)におけるA−A’線に沿って示す断面図である。なお、図4(a)は、背面側から観察側を見た場合の構成を示しているので、図4(a)では手前側が、図4(b)では上側が、それぞれ背面側となる。
【0068】
これらの図に示されるように、矩形状の画素電極348は、マトリクス状に配列し、このうち、同一列に属する画素電極348が、1本のデータ線314にそれぞれTFD320を介して共通接続されている。また、同一行の画素電極348は、上述したように、それぞれ1本の(破線で示される)走査線214と対向している。
【0069】
次に、TFD320は、第1のTFD320aおよび第2のTFD320bを備え、タンタルタングステンなどからなる島状の第1金属膜322と、この第1金属膜322の表面を陽極酸化することによって形成された絶縁膜323と、この絶縁膜323の表面に形成されて相互に離間した第2金属膜316、336とを有する。
【0070】
第2金属膜316、336は、クロム等の同一導電膜をパターニングしたものであり、前者の第2金属膜316は、データ線314からT字状に分岐したものが用いられる一方、後者の第2金属膜336は、ITO等の画素電極348に接続するために用いられる。
【0071】
TFD320のうち、第1のTFD320aは、データ線314の側からみると順番に、第2金属膜316/絶縁膜323/第1金属膜322となって、金属/絶縁体/金属の構造を採るため、その電流−電圧特性は正負双方向にわたって非線形となる。
一方、第2のTFD320bは、データ線314の側からみると順番に、第1金属膜322/絶縁膜323/第2金属膜336となって、第1のTFD320aとは逆向きの構造を採る。このため、第2のTFD320bの電流−電圧特性は、第1のTFD320aの電流−電圧特性を、原点を中心に点対称化したものとなる。
結局、TFD320は、2つのTFDを互いに逆向きに直列接続した形となるため、1つの素子を用いる場合と比べると、電流−電圧の非線形特性が正負双方向にわたって対称化されることになる。
【0072】
データ線314の下層は、断面的にみれば、第1金属膜312、絶縁膜313となっている。この理由は、そもそも第1金属膜322が第1の金属膜312から枝別れしたものであって、絶縁膜313、323が同一プロセスにおける陽極酸化によって形成された後、第1の金属膜322(絶縁膜323)が島状に切り離されたものであるからである。
【0073】
また、図4(b)においては、基板300の表面に、第1金属膜312、322が直接形成されているが、実際には、下地膜などを介して形成される場合が多い。このように下地膜を介して第1金属膜が形成される理由は、第2金属膜の堆積後における熱処理により、第1金属膜が剥離しないようにするため、および、第1金属膜に不純物が拡散しないようにするためである。
【0074】
TFD320はダイオード素子としての一例であり、他に、酸化亜鉛(ZnO)バリスタや、絶縁膜323を窒素欠損状態のSiNxに置換したMSI(Metal Semi−Insulator)などを用いた素子や、これらのいずれかの素子を、単体または逆向きに、並列もしくは直列接続したものなどが適用可能である。
【0075】
このような構成において、データ線314に印加されているデータ信号にかかわらず、TFD320がオンする選択電圧が走査信号として走査線214に印加されると、当該走査線214および当該データ線314の交差に対応するTFD320がオンして、オンしたTFD320に接続された液晶容量162に、当該選択電圧および当該データ電圧の差に応じた電荷が蓄積される。
【0076】
電荷蓄積後、走査線214に非選択電圧を印加して、当該TFD320をオフさせても、液晶容量162における電荷の蓄積は維持される。
ここで、液晶容量に蓄積される電荷量に応じて、液晶の配向状態が変化するので、偏光版131(図3参照)を通過して観察者に視認される光量も、透過型、反射型のいずれにおいても、蓄積された電荷量に応じて変化する。
したがって、選択電圧が印加されたときのデータ信号の電圧によって、液晶容量162における電荷の蓄積量を画素毎に制御することで、所定の階調表示が可能になる。
【0077】
<張出領域>
次に、観察側の基板300のうち、Yドライバ251、253や、Xドライバ350が実装されるとともに、FPC基板150が接合される張出領域302について説明する。
【0078】
図5は、張出領域302のうち、Xドライバ350およびFPC基板150が接合される部分を、図2においてY方向に沿って破断した場合の構成を示す部分断面図である。
【0079】
Xドライバ350における実装面周縁に設けられる電極には、それぞれ例えば金(Au)などからなるバンプ350aまたは350bが形成されているが、このようなXドライバ350は、観察側の基板300における張出領域302に対して次のようにして実装される。
【0080】
まず第1に、基板300にあってXドライバ350が実装されるべき領域に、エポキシ等の接着材130に導電性粒子134を均一に分散させたシート状の異方性導電膜を載置し、第2に、電極形成面を下側にしたXドライバ350と基板300とによって異方性導電膜を挟持し、第3に、Xドライバ350を位置決めした後に、当該異方性導電膜を介して基板300に加圧・加熱し、第4に、冷却後、加圧状態を解放する。
【0081】
これにより、Xドライバ350のうち、データ信号を供給する出力側バンプ350aはデータ線314に、また、FPC基板150からの信号を入力する入力側バンプ350bは配線384に、それぞれ接着材130中の導電性粒子134を介して電気的に接続される。この際、接着材130は、Xドライバ350の接着のみならず、電極形成面を、湿気や、汚染、応力などから保護する封止材を兼ねる。
【0082】
同様にYドライバ251、253の実装にも異方性導電膜が用いられる。また、FPC基板150の接合にも同様に異方性導電膜が用いられる。これにより、FPC基板150において、ポリイミドのような基材152に形成された配線154は、基板300に形成された配線384に対し、接着材140中の導電性粒子144を介して電気的に接続される。
【0083】
なお、Xドライバ350における実装面にあっては、短絡配線318と、この短絡配線318およびデータ線314の他端の間が切断された痕跡とが認められるが、この点については後述することにする。
【0084】
<検査方法>
次に、このように構成される液晶装置の検査について説明する。
この検査は、非点灯の欠陥画素や、階調特性の不均一性を検出する検査である。
【0085】
図6は、表示装置100を検査する段階の構成、詳細には、Yドライバ251、253や、Xドライバ350が実装される前の段階であって、FPC基板150が接合される前の段階の構成を示す斜視図である。
【0086】
この点灯検査は、各チップ毎にカット(隣接する基板300が単一の基板300毎にカット,ブレイク)された後に行われる。また、液晶表示パネルの製造工程のうち、特に組立工程(ラビング処理やブレイク)において、静電気(またはノイズ。以下単に静電気と称する)がデータ線314又は走査線214に入りやすいことが分かっている。
【0087】
図6に示されるように、検査段階における表示装置100にあっては、奇数行目の走査線214に一対一に対応する配線372の他端が、張出領域302において、短絡配線216に接続されて短絡状態となっている。
同様に、偶数行目の走査線214に一対一に対応する配線372の他端は、張出領域302において、短絡配線218に接続されて短絡状態となっている。
【0088】
さらに、すべてのデータ線314の他端についても、張出領域302において、短絡配線318に接続されて短絡状態にある。
短絡配線400の他端についても、張出領域302において、短絡配線318に接続されて短絡状態にある。これにより、短絡配線400とデータ線314は同電位に保持される。
【0089】
図7は、検査段階に先立って、隣接する図6に示す表示装置100の基板300同士がカットブレーク(チップごとに分割)される前の状態を示す平面図である。
図8は、図7に示す状態の複数の表示装置100がウェハー上に並んだ状態を示している。
【0090】
図7及び図8に示すように、短絡配線400の一端部400aは、隣接する基板300の短絡配線400の一端部400aと接続されている。すなわち、図8に示すように、ウェハー上に図8における左右方向に並んだ複数の基板300の全ての短絡配線400は、各一端部400aを介して導通(接続)した状態にある。これにより、ウェハー上の左右方向に並んだ複数の基板300の短絡配線400は、同電位に保持され、かつ、その電位と同電位に、ウェハー上の左右方向に並んだ複数の基板300のデータ線314の電位が保持される。
【0091】
図21に示した従来例では、データ線群314は、その基板300内で短絡配線318で接続されているのみであり、隣接する基板300のデータ線314とは電気的に分離していた。これに対し、本実施形態では、複数の基板300のデータ線314が短絡配線400を介して互いに接続(一体として形成)され、同電位に保持されるため、外部からの静電気の影響がデータ線314に及ぶことが有効に抑制される。
【0092】
なお、短絡配線216、218、318、400は、配線372、データ線314と同時にクロム等により形成されるものであり(または、これらを構成する配線層の一部を含み、当該配線層のパターニングよって形成されるものであり)、それぞれ端子217、219、319から引き回されている。
【0093】
また、検査後においては、後述するように短絡配線216、218はそれぞれ配線372から電気的に切り離され、同様に、短絡配線318、400は、データ線314から電気的に切り離される。
【0094】
図9は、このような短絡配線216、218、318、400によって短絡状態にある表示装置100の等価回路を示す図である。図9に示されるように、奇数行目の走査線214は、短絡配線216によって互いに等しく同電位となる。同様に、偶数行目の走査線214も、短絡配線218によって互いに等しく同電位となる。
【0095】
ある表示装置100の内のすべてのデータ線314は、短絡配線318によって互いに等しく同電位となる。さらに、ある表示装置100の内のすべてのデータ線314は、短絡配線400によって、その表示装置100に隣接する表示装置100の内のすべてのデータ線314と互いに等しく同電位となる。
【0096】
次に、プローブや異方性導電ゴムなどにより端子217には信号Vcom1を、端子219には信号Vcom2を、また、端子319には信号Vsegを、それぞれ印加する。これらのうち、信号Vcom1は、Yドライバ251から出力される走査信号のうち、任意の1本の走査線214に供給される走査信号と同一の電圧波形を有するものである。同様に、信号Vcom2は、Yドライバ253から出力される走査信号のうち、任意の1本の走査線214に供給される走査信号と同一の電圧波形を有するものである。さらに、信号Vsegは、Xドライバ350から出力されるデータ信号のうち、任意の1本のデータ線314に供給されるデータ信号と同一の電圧波形を有するものである。
【0097】
具体的には、信号Vcom1、Vcom2、Vsegとして、例えば図10に示されるような電圧波形を有する信号が用いられる。
すなわち、図10に示される信号Vcom1は、着目した走査線214が選択される1水平走査期間(1H)の後半期間において、選択電圧+VS(または−VS)となった後、1垂直走査期間(1F)が経過するまで非選択電圧+VD/2(または−VD/2)を維持し、再び当該走査線214が選択されると、その後半期間において、今度は選択電圧−VS(または+VS)となった後、非選択電圧−VD/2(または+VD/2)を維持するというものである。
また、信号Vcom2は、信号Vcom1に選択電圧となってから1水平走査期間(1H)経過後に、選択電圧となるものであり、かつ、その選択電圧は、信号Vcom1の選択電圧とは逆極性となるものである。
【0098】
一方、信号Vsegは、本来のデータ信号の観点から言えば、次のような規則にしたがって、電圧±VD/2のいずれとなる2値的な信号である。
すなわち、信号Vsegは、データ線314に共通接続される画素のうち、選択された走査線214の交差に対応する画素の表示内容に着目して、ノーマリーホワイトモードにあって最低階調(黒色)表示とするのであれば、当該走査線214に選択電圧が印加される後半期間の全域にわたって、当該選択電圧とは逆極性の電圧となる一方、その前半期間の全域にわたって、当該選択電圧とは同一極性の電圧となるものである。
【0099】
また、信号Vsegは、画素を最高階調(白色)表示とするのであれば、当該走査線214に選択電圧が印加される後半期間の全域にわたって、当該選択電圧とは同一極性の電圧となる一方、その前半期間の全域にわたって、当該選択電圧とは逆極性の電圧となるものである。
【0100】
さらに、信号Vsegは、画素を中間階調(灰色)表示とするのであれば、当該走査線214に選択電圧が印加される後半期間のうち、階調に応じた期間(階調が大きくなるにつれて、長くなる期間)だけ、当該選択電圧とは逆極性の電圧となり、残余の期間では、該選択電圧とは同一極性の電圧となる一方、1水平走査期間を通してみた場合に電圧+VD/2となる期間と電圧−VD/2となる期間とが互い50%ずつとなるように、前半期間では、当該後半期間での印加を予め相殺する電圧となる。
【0101】
なお、このような信号を供給するのは、いかなるパターンを表示させたとしても、データ信号として電圧−VD/2が印加される期間と電圧+VD/2が印加される期間とを互いに等しくすることにより、いわゆるクロストークの発生を防止するためであるが、この点については、本発明の趣旨から逸脱するので、これ以上の説明は省略することにする。
また、実際の検査では、信号Vsegとしては、黒色から灰色、さらには、白色というように時間的に徐々に変化させたものを用いるのが望ましい。
【0102】
このような信号Vcom1、Vcom2、Vsegが、それぞれ端子217、219、319を介して印加された場合、1垂直走査期間(1F)でみると、正常であれば、すべての画素110の液晶容量162に印加される電圧実効値が互いに等しくなるので、すべての画素は、同一階調となるはずである。
【0103】
ただし、走査線214や、データ線314、配線372、さらにTFD320等に断線が発生していると、その欠陥に係る画素は、非点灯状態になるので、当該欠陥を容易に発見することができる。また、走査線214や、データ線314、配線372の抵抗が不均一であったり、TFD320の素子特性が画素毎にばらついていたりすると、当該欠陥部分の画素の階調が他とは異なるので、そのような欠陥を容易に発見することができる。
【0104】
次に、こうした検査により、正常と判断された表示装置100では、各走査線214、各データ線314をそれぞれ電気的に分離する必要があるが、このような分離する方策としては種々の方法が考えられる。
【0105】
例えば、レーザ光を用いて溶断する方法が考えられる。詳細には、図11に示されるように、レーザ光をX方向に沿ってスキャンして、データ線314の他端のうち、Xドライバ350の出力側バンプ350aと接合されるべき部分と、短絡配線319が形成されている部分との間を溶断させるとともに、そのスキャン方向の延長線上の位置にて短絡配線400を溶断させる。これにより、互いに隣接する表示装置100のデータ線314が電気的に分離される。
【0106】
なお、この場合、データ線314のみが溶断されて、短絡配線400については溶断されなかったとしても、各データ線314は、隣接する表示装置100のデータ線314と電気的に分離されるが、短絡配線400についても溶断した方が好ましい。
【0107】
Yドライバ251、253が実装されるべき領域における配線372の他端と短絡配線216、218との分離についても同様である。また、カッターなどにより物理的に切断してもよい。
【0108】
ここで、走査線214に対応する配線372の他端、および、データ線314の他端は、いずれも張出領域302において引き出されて最終的にY方向に延在している。したがって、図6における直線390に沿ってレーザ光を移動させれば、単なる1回のスキャンによって、各走査線214、各データ線314をそれぞれ電気的に分離することができ、かつ、隣接する表示装置100のデータ線314同士間も電気的に分離することができる(分離後の構成については図12参照)。
【0109】
以上のように、各走査線214、各データ線314をそれぞれ電気的に分離した後に、上述した異方性導電膜を用いて、Yドライバ251、253およびXドライバ350を実装するとともに、FPC基板150を接合して図2に示されるような表示装置100となる。この表示装置100は、携帯電話やPDA等の電子機器へ取り付けられる。
【0110】
本実施形態では、走査線214を短絡させる短絡配線216,218と、データ線314を短絡させる短絡配線318とが短絡されておらず、走査線214とデータ線314とが別々に短絡されているので、レーザカット前に点灯検査(欠陥の有無の検査)を行うことが可能である。レーザカット後にも、異方性導電ゴムを用いて点灯検査を行うことが可能である。
【0111】
このような検査によれば、端子217に供給される信号Vcom1は、短絡配線216によって奇数行目の走査線214に共通に供給され、同様に、端子219に供給される信号Vcom2は、短絡配線218によって偶数行目の走査線214に共通に供給される。さらに、端子319に供給される信号Vsegは、短絡配線318及び短絡配線400によって、短絡配線400によって接続された表示装置100のすべてのデータ線314に共通に供給される。すなわち、短絡配線400によって接続された複数の表示装置100のデータ線314に共通の信号Vsegが供給される。
【0112】
したがって、端子に異方性導電ゴムを用いて信号を供給する場合にその押圧力が不均一であっても、各走査線214(または各データ線314)に供給される信号は互いに同一となるので、その押圧力の不均一の影響を排除することができる。
【0113】
また、端子217、219、319は、検査時以外には用いられない。このため、これらの端子217、219、319にプローブを接触させて信号を供給しても、Yドライバ251、253やXドライバ350の実装時またはFPC基板150の接合時に悪影響を与えることはない。
【0114】
さらに、信号供給するポイントは、本実施形態では、端子217、219、319の3点だけであるので、配線ピッチの狭小化が問題になることは少ない。
【0115】
なお、この検査では、できるだけ製品出荷時に近い状態にして、表示の不具合を発見する、という観点から、端子217には、Yドライバ251から実際に供給される信号と同じ信号Vcom1を供給し、端子219には、Yドライバ253から実際に供給される信号と同じ信号Vcom2を供給し、さらに、端子319には、Xドライバ350から実際に供給される信号と同じ信号Vsegを供給する構成とした。しかしながら、このような信号を供給しなくても、例えば単なるパルス波形や、正弦波形などの信号を供給する構成としても検査は可能である。また、端子217、219の各々に対して、異なる信号Vcom1、Vcom2を供給するのではなく、同一の信号を供給してもよいのはもちろんである。
【0116】
さらに、本実施形態では、走査線214を、シール材110aの導電性粒子114を介して、走査線214を配線372に接続して張出領域302まで引き出した構成の表示装置を検査対象としたが、走査線214とデータ線314とは互いに相対的な概念であるので、走査線を基板300に形成し、データ線を基板200に形成した表示装置の検査も可能である。
【0117】
同様にTFD320の一端をデータ線ではなく走査線に接続する一方、データ線を対向電極とした構成の表示装置を、検査対象とすることができる。
さらに、実施形態では、画素のスイッチングをTFD320により行う表示装置をその対象としたが、画素のスイッチングをTFTにより行う表示装置を検査対象としてもよいし、スイッチング素子を用いないパッシブマトリクス型の表示装置を検査対象としてもよい。
【0118】
加えて、液晶装置に限られず、有機EL装置や、蛍光表示管、プラズマ・ディスプレイ・パネル、ディジタルミラーデバイスなど種々のものに適用可能である。すなわち、本発明では、走査線(コモン配線)およびデータ線(セグメント配線)との交差に対応して画素が設けられる表示装置をすべて検査対象とするものである。
【0119】
(第2実施形態)
次に、図13、図14及び図15を参照して、第2実施形態について説明する。
【0120】
第2実施形態は、短絡配線400の引き回し方が第1実施形態と異なる。その相違点以外は、第1実施形態と共通であるため、その共通部分の説明は省略する。
【0121】
図13、図14及び図15に示すように、短絡配線400の一端部400cは、短絡配線400によって上下導通電極372bが囲まれ、かつレーザーカットライン390よりも図中下側に位置するように構成されている。短絡配線400の一端部400cは、隣接する基板300の短絡配線400の一端部400cと接続されて、同電位に保持される点は第1実施形態と同様である。
【0122】
第1実施形態において、図6及び図7に示すように、レーザーにより直線390の位置にて短絡配線400が溶断された後の状態について考える。チップ単位にブレークされている状態では、短絡配線400の一端部400aは、基板300の端面に剥き出しの(露出した)状態となる。したがって、外部からの静電気が一端部400aから基板300の内部に入り易い状態となる。
【0123】
図7に示すように、レーザーにより直線390の位置にて短絡配線400が溶断された後の状態であっても、一端部400aから短絡配線400の溶断位置(直線390と短絡配線400との交点)までの間には、符号400dで示す部分が存在する。この部分400dは、データ線314や走査線214の直ぐ近くをデータ線314に沿って、データ線314の長さと概ね同じ長さ分だけ存在する。よって、基板300の端面に臨む一端部400aから静電気が入ると、その部分400dを通るときに、その近くのデータ線314又は走査線214に静電気が入る(移る)可能性が相対的に高い。
【0124】
また、一端部400aの位置がそもそも、データ線314や走査線214に近いために、一端部400aからデータ線314や走査線214に静電気が入る(移る)可能性が相対的に高い。
以上のことから、図6及び図7の構成では、画素欠陥が生じる可能性が相対的に高い。
【0125】
これに対して、第2実施形態では、図13に示すように、短絡配線400の一端部400cがレーザカットライン390よりも図中下側にあり、レーザーカット後は、データ線314や走査線214とは電気的に分離されるレーザーカット領域300aに位置している。
【0126】
ここで、図13において、上記と同様に、レーザーにより直線390の位置にて短絡配線400が溶断された後の状態について考える。チップ単位にブレークされている状態では、短絡配線400の一端部400cは、一端部400aと同様に、基板300の端面に剥き出しの(露出した)状態となる。したがって、一端部400aと同様に、外部からの静電気が一端部400cから基板300の内部に入り易い状態となる。
【0127】
一端部400cから短絡配線400の溶断位置(直線390と短絡配線400との交点)までの間には、符号400eで示す部分が存在する。この部分400eは、レーザーカット領域300aに位置しているため、直線390の位置よりも図中上側のその他の短絡配線400の部分400fとは導通していない。よって、基板300の端面に臨む一端部400cから静電気が入ったとしても、その部分400cの静電気は、直線390を跨いだ領域のデータ線314又は走査線214には入らない(移らない)可能性が相対的に高い。よって、画素欠陥が生じる可能性が相対的に低い。
【0128】
短絡配線400のうち、データ線314や走査線214の直ぐ近くをデータ線314に沿って、データ線314の長さと概ね同じ長さ分だけ存在する部分400fの端部400gは、チップ単位にブレークされた状態での基板300の端面に対し、剥き出しの(臨んだ)状態ではない。よって、静電気が端部400gからデータ線314や走査線214に入る可能性は相対的に低い。
【0129】
更に、上下導通電極372bと基板300の端面との間には、短絡配線400の上記部分400fが存在する。上記部分400fが存在することにより、基板300の端面から上下導通電極372bに静電気が入ることが有効に抑制される。
【0130】
また、短絡配線400のうち、レーザーカットライン390よりも上側の逆U字型の部分400hによって、上下導通電極372bが囲まれるため、外部からの静電気に対してシールドする作用が生じ、静電気が入ることが有効に抑制される。逆U字型の部分400hの開放側には、張り出し領域が存在し、基板300の下側端面から十分に離間しているため、下側端面側からの静電気が入る可能性は相対的に低い。
【0131】
(第3実施形態)
次に、図16を参照して、第3実施形態について説明する。
【0132】
第3実施形態において、第2実施形態との相違点は、短絡配線400がレーザカット領域300aにおいて、Y方向に沿って往復する部分400iを更に有している点である。すなわち、短絡配線400の引き回し方法のみが異なっている。その点以外は、第2実施形態と共通であるため、共通部分についての説明は省略する。なお、図16は、図13よりも省略された図になっているが、短絡配線400の上記引き回し方法が異なるのみであり、それ以外の構成は同様である。
【0133】
上記の往復部分400iが存在することにより、直線390の位置にてレーザカットされた後は、基板300の端面に臨む短絡配線400の一端部400jと、レーザーカット領域300aを除く領域での端部400kとの間には、導通していない箇所が2ヶ所存在することになる。更に、上記の往復部分400iが往復している分だけ一端部400jから端部400kまでの距離が長くなる。これらにより、一端部400jから入った静電気が端部400kから内部に入ることが一層有効に抑制される。
【0134】
また、上記の往復部分400iが存在することにより、直線390の位置にてレーザカットされた後は、一端部400jと、Yドライバ251,253との間にも、導通していない箇所が2ヶ所存在することになる。更に、上記の往復部分400iが往復している分だけ一端部400jからYドライバ251,253までの距離が長くなる。これらにより、一端部400jから入った静電気がYドライバ251,253に入ることが一層有効に抑制される。
【0135】
(第4実施形態)
次に、図17を参照して、第4実施形態について説明する。
【0136】
第4実施形態において、第3実施形態との相違点は、短絡配線400がY方向に沿って往復する部分400lが、レーザカット領域300a内のみならず、Y方向に沿って上下導通電極372bが配置される領域にまで、すなわち、データ線314が延在する領域と概ね同じY方向の長さとなるように形成されている点である。すなわち、短絡配線400の引き回し方法のみが異なっている。その点以外は、第3実施形態と共通であるため、共通部分についての説明は省略する。
【0137】
上記の往復部分400lは、短絡配線400によって第2実施形態と同様に囲まれた上下導通電極372bと、基板300の端部との間に存在するため、基板300の端面からの静電気に対するシールド効果が第2実施形態よりも一層高まり、基板300の端面から上下導通電極372bに静電気が入ることが一層有効に抑制される。
【0138】
(第5実施形態)
次に、図18及び図19を参照して、第5実施形態について説明する。
【0139】
第1実施形態では、走査線214の延在方向(図中左右方向)に隣接する基板300間において、短絡配線400同士が走査線214の延在方向(図中左右方向)に接続されていた。
【0140】
これに対して、第5実施形態では、データ線314の延在方向(図中上下方向)に隣接する基板300間において、短絡配線401同士がデータ線314の延在方向(図中上下方向)に接続される。
【0141】
本実施形態の基板300に係る表示装置は、第1実施形態の表示装置と異なり、Yドライバ253が片側にしかないタイプのものである。Yドライバ253が存在しない側に液晶の注入口がある。
【0142】
なお、図18は、図7よりも省略された図になっているが、液晶の注入口の位置が左側部である点と、Yドライバ253が片側にしかない点と、短絡配線401の引き回し方法が異なるのみであり、それ以外の構成は同様である。よって、共通部分の説明は省略する。
【0143】
符号318aは、第1実施形態の短絡配線318と同様に、データ線314が短絡される配線である。本実施形態の短絡配線401は、第1実施形態の短絡配線400と同様に、短絡配線318aに接続される。短絡配線318aに接続された短絡配線401の他端は、レーザーカットライン390よりも上側の位置にて分岐され、その一方の分岐線は、上方にて隣接する基板300の短絡配線401と接続され、その他方の分岐線は、下方にて隣接する基板300の短絡配線401と接続される。
【0144】
第1実施形態と同様に、データ線314を短絡させる短絡配線401が複数の基板300に亘って接続されて同電位に保持されるため、静電気対策に有効である。
【0145】
(第6実施形態)
次に、図20を参照して、第6実施形態について説明する。
【0146】
本実施形態と、図18に示す第5実施形態との相違点は、注入口からの静電気に対する防止を図るため、短絡配線401を注入口付近まで引き回した点のみである。それ以外の点は、第5実施形態と共通であるから、共通部分の説明は省略する。
【0147】
本実施形態によれば、第5実施形態に比べて、静電気に対するシールド効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る検査方法が適用される表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【図2】第1実施形態の表示装置の構成を示す斜視図。
【図3】同表示装置をX方向に破断した場合の構成を示す部分断面図。
【図4】(a)は、同表示装置における画素の構成を示す平面図、(b)は、(a)におけるA−A’線で破断した部分断面図。
【図5】同表示装置をY方向に破断した場合の構成を示す部分断面図。
【図6】第1実施形態の検査時における液晶表示パネルの構成を示す斜視図。
【図7】第1実施形態の互いに隣接する液晶表示パネルの構成を示す平面図。
【図8】第1実施形態のウェハーに並んだ複数の液晶表示パネルの構成を示す平面図。
【図9】第1実施形態の表示装置を検査する構成を示す図。
【図10】検査時における印加電圧の一例を示す波形図。
【図11】(a)、(b)および(c)の各々は、それぞれ検査時、切断時および実装直前におけるドライバ実装領域の配線構成を示す平面図。
【図12】第1実施形態の検査後における液晶表示パネルの構成を示す斜視図。
【図13】第2実施形態の互いに隣接する液晶表示パネルの構成を示す平面図。
【図14】第2実施形態の検査時における液晶表示パネルの構成を示す斜視図。
【図15】第2実施形態のウェハーに並んだ複数の液晶表示パネルの構成を示す平面図。
【図16】第3実施形態の液晶表示パネルの要部構成を示す平面図。
【図17】第4実施形態の液晶表示パネルの要部構成を示す平面図。
【図18】第5実施形態の液晶表示パネルの要部構成を示す平面図。
【図19】第5実施形態の互いに隣接する液晶表示パネルの要部構成を示す平面図。
【図20】第6実施形態の液晶表示パネルの要部構成を示す平面図。
【図21】従来の検査時における液晶表示パネルの構成を示す斜視図。
【図22】従来の表示装置を検査する構成を示す図。
【図23】検査後における液晶表示パネルの構成を示す斜視図。
【図24】(a)、(b)および(c)の各々は、従来のそれぞれ検査時、切断時および実装直前におけるドライバ実装領域の配線構成を示す平面図。
【符号の説明】
100…表示装置、110…画素、160…液晶、162…液晶容量、200、300…基板、214…走査線、216、218、318…短絡配線、217、219、319…端子、251、253…Yドライバ、314…データ線、302…張出領域、320…TFD、350…Xドライバ、372、384…配線、372b…上下導通電極、390…レーザーカットライン、400…短絡配線、400a…一端部、400c…一端部、401…短絡配線
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶などの電気光学物質の電気光学的な変化により表示を行う表示装置は、駆動方式によってパッシブマトリクス型とアクティブマトリクス型とに大別することができるが、いずれの型においても、行方向に延在して形成される走査線(コモン配線)と、列方向に延在して形成されるデータ線(セグメント配線との交差部分に対応して画素が形成される点においては共通である。
【0003】
このような表示装置において、点灯しないような欠陥画素が存在すると、その欠陥画素は容易にユーザに視認される。また、階調特性が、画素にわたって不均一であると、画面全体として見た場合に表示ムラとして視認される。一方、このような表示装置を欠陥なく製造することは、物理的に不可能である。したがって、製造時において欠陥のある表示装置を、いかにして排除するかが品質管理の上で、重要なポイントとなる。
【0004】
ここで、欠陥の有無を検査する方法として、特開2002−328627号公報には、次の方法が記載されている。
【0005】
図21及び図22に示すように、複数の走査線214は、それぞれ配線372を介して第1の短絡配線216,218によって短絡される。複数のデータ線314は、第2の短絡配線318によって短絡される。
【0006】
次いで、第1及び第2の短絡配線216,218,318の各々に接続された端子217,219,319を介して、画素110に対して所定の駆動電圧(信号Vcom1,Vcom2,Vseg)を印加して、当該画素110の点灯を検査する。走査線214やデータ線314等に断線が発生していると、その欠陥に係る画素110は、非点灯状態になるので当該欠陥を容易に発見できる。
【0007】
その後、図23及び図24に示すように、短絡された走査線214から第1の短絡配線216,218を電気的に切断するとともに、短絡されたデータ線314から第2の短絡配線318を電気的に切断する。その切断は、レーザ光の照射により行う。
【0008】
この場合、配線372の端部及びデータ線314の端部は、いずれも張出領域320において引き出されて最終的にY方向に延在している。したがって、図21における直線390に沿ってレーザ光を移動させれば、単なる1回のスキャンによって各走査線214、各データ線314をそれぞれ電気的に分離することができる。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−328627号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
データ線314には、画素110を構成するTFD及び画素電極等の素子が直接的に接続されていることから、データ線314に静電気が入ると、これらの素子が破壊され、欠陥画素となることがある。データ線314の静電気対策が十分に施されることが望まれる。
【0011】
同様に、走査線214に対する静電気対策が十分に行われることが望まれる。走査線214には、直接的にではなく、スペーサを兼ねる導電性粒子を介して画素110に接続されていることから、静電気が入った場合の上記素子に与える悪影響はデータ線314に比べて低いと考えられていたが、最近では走査線214に対する静電気対策もまた十分に行われることが望まれている。
【0012】
そこで、データ線314及び走査線214の静電気対策として、データ線群314及び走査線群214を基板内で全て短絡させて同電位に保持する方法が考えられる。一般に、画素110の点灯検査時には、データ線群314と走査線群214とにそれぞれ別々の信号Vcom1,Vcom2,Vsegを供給すべく、データ線群314と走査線群214とが電気的に分離されている必要がある。
【0013】
よって、上記方法では、点灯検査を行う前に、データ線群314と走査線群214とを電気的に分離させて、データ線群314と走査線群214とが同電位に保持されていない状態にすることになる。量産工程では、その状態の直後に、パッケージに実装されるため、外部からの静電気がデータ線314又は走査線214に入ることが有効に防止される。
【0014】
これに対し、研究開発が行われている場所では、点灯検査後にも各種試験を行う等の理由から、直ぐには実装されずに、データ線314又は走査線214が露出した状態のまま保管されることが多く、その場合には静電気が入り易い状態におかれることになる。以上のように、点灯検査後に直ぐに実装が行われない場合においても、点灯検査後の静電気対策が十分な方法が望まれる。
【0015】
本発明の目的は、静電気対策が十分な電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、短絡配線と走査線又はデータ線とを電気的に切断する前に検査を行うことができる電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、パネルごとにカットされた後であっても静電気対策が十分な電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、短絡配線と走査線又はデータ線とが電気的に切断された後であっても静電気対策が十分な電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気光学装置用マザー基板は、走査線とデータ線との交差に対応して画素が配列された電気光学装置となる領域を複数備えた電気光学装置用マザー基板であって、前記各々の領域は、複数の前記走査線及び複数の前記データ線のいずれか一方のみを短絡させるために用いられる短絡配線をそれぞれ備え、隣接する前記領域に対応する前記各短絡配線は電気的に接続されてなる。
【0017】
本発明の電気光学装置用マザー基板において、前記隣接する領域の前記短絡配線を接続する接続短絡配線は、前記短絡配線と前記短絡配線によって短絡される前記複数の走査線及びデータ線のいずれか一方との接続が切断される仮想ラインを通過するように形成される。
【0018】
本発明の電気光学装置用マザー基板において、前記接続短絡配線が前記仮想ラインを通過する回数は、3回以上である。
【0019】
本発明の電気光学装置用マザー基板は、第1の基板及び第2の基板を有し、複数の前記走査線及び複数の前記データ線のいずれか他方は、その一方が設けられてなる前記第1の基板と対向する前記第2の基板に設けられ、且つ、前記第1の基板に設けられてなる電極と導通部材によって電気的に接続されてなり、前記接続短絡配線は、前記導通部材を囲うように配置されてなることを特徴とする。
【0020】
本発明の電気光学装置用マザー基板において、前記短絡配線によって短絡される前記複数の走査線及びデータ線のいずれか一方には、スイッチング素子が電気的に接続されている。
【0021】
本発明の電気光学装置用マザー基板において、更に、前記複数の走査線及びデータ線のいずれか他方のみを短絡させるために用いられる第1短絡配線を備えている。
【0022】
本発明の電気光学装置は、本発明の電気光学装置用マザー基板がスクライブされて形成されてなるものである。
【0023】
本発明の電子機器は、本発明の電気光学装置を備えている。
【0024】
本発明の電気光学装置の製造方法は、走査線とデータ線との交差に対応して画素が配列された電気光学装置となる領域を複数備えた電気光学装置用マザー基板から形成される電気光学装置の製造方法であって、(a) 第1の前記領域の、複数の前記走査線、複数の前記データ線及び前記画素を構成する素子を形成するステップと、(b) 前記第1の領域に隣接する第2の前記領域の、複数の前記走査線、複数の前記データ線及びスイッチング素子を形成するステップと、(c) 前記第1の領域の前記複数の走査線及び前記複数のデータ線のいずれか一方のみを短絡させるために用いられる短絡配線を形成するステップと、(d) 前記第2の領域の前記複数の走査線及び前記複数のデータ線のいずれか一方のみを短絡させるために用いられる短絡配線を、該第2の領域と隣接する前記第1の領域の前記短絡配線と電気的に接続されるように形成するステップと、(e) 前記第1の領域と前記第2の領域とに分けるステップと、(f) 前記第1の領域と前記第2の領域の少なくとも一方の前記短絡配線に前記画素の点灯を検査するための電圧を印加するステップと、(g) 前記一方の領域の前記短絡配線と前記短絡配線に接続された前記複数の走査線及び前記複数のデータ線のいずれか一方とを電気的に切断するステップとを備えている。
【0025】
本発明の電気光学装置の製造方法において、前記(c)及び(d)は、同一工程で行われ、前記第1及び第2の領域の前記短絡配線並びに前記第1及び第2の領域の前記短絡配線同士を電気的に接続するための特定短絡配線は、前記短絡配線によって短絡される前記複数の走査線及び前記複数のデータ線のいずれか一方と同一工程で形成される。
【0026】
本発明の電子機器の製造方法は、本発明の電気光学装置の製造方法で製造された表示装置に実装部品を実装して電子機器を製造するステップを備えている。
【0027】
本発明では、SEG(データ線)側とCOM(走査線)側を別々にショートさせ、静電気対策を行う。
SEG側のショートラインは上下導通電極を囲むように引き回し、レーザカット領域を跨いだ所で隣接するパネルと接続する。基板内での同電位が実現される。
【0028】
上記構成により、十分な静電気対策が可能である。また、レーザカット前の点灯検査が可能である(レーザカット後も可能である)。さらに、パネル端面に剥き出しになっているCrラインがパネル内の静電気ラインと切り離される。よって、パネル単体でも十分な静電気対策が可能である。
【0029】
ここで、この方法において、短絡した走査線(またはデータ線)から第1の短絡配線(第2の短絡配線)を電気的に切断する方法としては、レーザ光の照射により行う態様が考えられる。また、この方法では、前記第1の短絡配線の切断方向と、前記第2の短絡配線の切断方向とが、略同一直線上にある態様が好ましい。この態様によれば、走査線から第1の短絡配線を切断する行程と、データ線から第2の短絡配線を切断する行程とを、切断ツールの直線的な移動で済ますことが可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。なお、本発明に係る表示装置としては、例えば液晶表示装置が挙げられる。
【0031】
(実施の形態1)
<表示装置の構成>
はじめに、本発明の実施形態に係る検査方法が適用される表示装置の電気的構成について説明する。
【0032】
図1は、この表示装置の電気的な構成を示すブロック図である。図1に示されるように、表示装置100には、複数m本の走査線(コモン配線)214が行(X)方向に延在に形成される一方、複数3n本のデータ線(セグメント配線)314が列(Y)方向に延在して形成されるとともに、走査線214とデータ線314との各交差に対応して画素110が形成されている。この画素110は、R(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかの一色に対応するものであり、X方向に相隣接するRGBの3つの画素110によって1つのドット120が構成されている。
【0033】
画素110は、液晶容量162と、二端子型スイッチング素子の一例であるTFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)320との直列接続からなる。
液晶容量162は、後述するように、対向電極として機能する走査線214と画素電極との間に、電気光学物質の一例たる液晶を挟持した構成となっている。
TFD320は、本実施形態では、一端がデータ線314に接続される一方、他端が画素電極に接続されて、走査線214とデータ線314との電位差にしたがってオンオフが制御される。
【0034】
なお、この表示装置にあっては、説明の便宜上、走査線214の総数をm本とし、データ線314の総数を3n本として、ドット120がm行n列(画素110でいえば、m行3n列)に配列するマトリクス型表示装置として説明するが、本発明の適用をこれに限定する趣旨ではない。
【0035】
次に、Yドライバ251、253は、一般には走査線駆動回路と呼ばれるものである。Yドライバ251は、 図1において上から数えて奇数(1、3、5、…、m−1)本目の走査線214の駆動を担当し、Yドライバ253は、上から数えて偶数(2、4、6、…、m)本目の走査線214の駆動を担当している。
すなわち、Yドライバ251、253によって、1行目、2行目、3行目、…、m行目の走査線214が1垂直走査期間において順次排他的に1本ずつ選択されるとともに、選択された走査線214には、選択電圧の走査信号が供給される一方、他の非選択の走査線214には、非選択電圧の走査信号が供給される構成となっている。
なお、説明の便宜上、走査信号は、一般的にj(iは、1≦j≦mを満たす整数)行目の走査線214に供給されるものを、Yjと表記している。
【0036】
また、Xドライバ350は、一般にはデータ線駆動回路と呼ばれるものであり、Yドライバ251、253のいずれかにより選択された走査線214に位置する3n個の画素110に対し、表示内容に応じたデータ信号X1B、X1G、X1R、X2B、X2G、X2R、…、XnB、XnG、XnRを、それぞれ対応するデータ線314を介して供給するものである。
なお、データ信号は、一般的にi(iは、1≦i≦nを満たす整数)列目のドット120において、B、G、Rの画素110で兼用されるデータ線314に供給されるものを、それぞれXiB、XiG、XiRと表記している。
【0037】
次に、表示装置100の機械的な構成について説明する。
図2は、この表示装置100の外観構成を示す斜視図である。なお、この図では、表示装置100における配線レイアウトを判りやすくするために、観察者に視認される観察側を図において裏側として示す一方、観察者が通常視認することのない背面側を図において表側として示している。
図3は、この表示装置100を図2におけるX方向に沿って破断した場合の構成を示す部分断面図である。
【0038】
図2及び図3に示されるように、表示装置100は、観察側に位置する基板300と、その背面側に位置して、観察側の基板300よりも一回り小さい基板200とが、スペーサを兼ねる導電性粒子114が適切な割合で分散されたシール材110aによって、一定の間隙を保って貼り合わせられるとともに、この間隙に例えばTN(Twisted Nematic)型の液晶160が封入されている。
【0039】
シール材110aは、基板200の内周縁に沿って形成されるが、液晶160を封入するために、その一部が開口している。このため、液晶160の封入後に、その開口部分が封止材112によって封止されている。
【0040】
背面側の基板200にあって、観察側の基板300との対向面には、m本の走査線214がX方向に延在して形成されている。
観察側の基板300にあって背面側の基板200との対向面には、3n本のデータ線314がY(列)方向に延在して形成されている。
【0041】
基板300には、シール材110aの形成領域において、データ線群314の図2における左右方向の各外側に、それぞれ短絡配線400がY方向に延在して形成されている。短絡配線400は、張出領域302からシール材110aの形成領域内において、データ線314と平行に延設された後、90°外側に曲がって走査線214に沿ってシール材110aの形成領域外に出て、基板300の端面側まで延設されている。短絡配線400のうち基板300の端面側の一端部400aは、隣接する基板300上の短絡配線400と接続されている。
【0042】
基板200に形成された走査線214のうち、奇数行目の走査線214は、シール材110aの形成領域のうち、図2において左側まで延設される一方、偶数行目の走査線214は、シール材110aの形成領域のうち、図において右側まで延設されている。
【0043】
基板300には、走査線214と一対一に対応して配線372が設けられるとともに、シール材110aの形成領域において、対応する走査線214の一端と対向するように形成されている。
【0044】
導電性粒子114は、走査線214の一端と配線372の一端とが対向する部分に、少なくとも1個以上介在するような割合にてシール材110a中に分散される。このため、基板200に形成された走査線214は、導電性粒子114を介して、基板300に形成された配線372に接続される。
【0045】
なお、配線372は、後述するTFD320の第2金属膜と同一層、および、画素電極348と同一層をパターニングした積層構造となって、その配線抵抗が低く抑えられている。
【0046】
配線372のうち、奇数行目の走査線214に接続される配線372は、シール材110aの形成領域外において90度屈曲した後、Y方向に沿って張出領域302まで延設される。そして、当該配線372は、張出領域302において、Yドライバ251の出力側バンプに接合される。
同様に、偶数行目の走査線214に接続される配線372は、シール材110aの形成領域外において90度屈曲した後、Y方向に沿って張出領域302まで延設されて、Yドライバ253の出力側バンプに接合される。
【0047】
上記のように、基板200上の走査線214は、導電性粒子114を介して基板300上に形成された配線372と接続されている。配線372は、X方向に延びた部分372aから点372bにて90°曲がってY方向に沿って張出領域302方向にまで延びている。配線372のうち、その90°曲がった部分372bが上下基板200,300を導通させる上下導通電極に対応する。
【0048】
一方、データ線314は、シール材110aの形成領域外においてピッチが狭められて、張出領域302まで延設される。そして、当該データ線314は、張出領域302において、Xドライバ350の出力側バンプに接合される。
【0049】
また、張出領域302には、FPC(Flexible Circuit Board)基板150が接合されて、外部回路(図示省略)から、Yドライバ251、253およびXドライバ350の入力側バンプにクロック信号や制御信号等を供給する構成となっている。
【0050】
基板300の張出領域302においては配線384が形成されて、その一端は、Yドライバ251、253またはXドライバ350の入力側バンプに接続される一方、その他端は、FPC基板150の配線と接続される。
【0051】
なお、図2においては、説明の理解を優先させたため便宜的に走査線214の本数mを「8」とし、データ線314の本数3nを「18」とした場合を示している。また、張出領域302には、検査用の端子217、219、319が設けられているが、これらの端子については後述する。
【0052】
<内部構成>
次に、表示装置100における表示領域の内部構成について説明する。
【0053】
まず、観察側の基板300について説明する。
図3に示されるように、基板300の外面には、位相差板133および偏光板131が貼り付けられる。なお、これらの位相差板133および偏光板131については、簡略化のため図2では省略されている。
【0054】
基板300の内面には、クロム等からなるデータ線314がY方向(図3では紙面垂直方向)に延在して形成されている。短絡配線400も、データ線314と同じクロム等から成り、データ線314と同じ工程で同時に形成される。同様に、配線372も、データ線314と同じクロム等から成り、データ線314と同じ工程で同時に形成される。また更に、後述する短絡配線216、218、318についても同様に、データ線314と同じクロム等から成り、データ線314と同じ工程で同時に形成される。
【0055】
データ線314の近傍には、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる矩形状の画素電極348が形成されている。
なお、データ線314や画素電極348等の詳細構成については、さらに後述することにする。
【0056】
画素電極348の表面には、ポリイミド等からなる配向膜308が形成されている。なお、配向膜308には、背面側の基板200と貼り合わせる前に、所定の方向にラビング処理が施される。なお、配向膜308は、表示領域外では不要であるから、シール材110aの形成領域近傍およびその外側では設けられていない。
【0057】
次に、背面側の基板200について説明する。
【0058】
基板200の外面には、位相差板123および偏光板121が貼り付けられる。なお、これらの位相差板123および偏光板121についても、図2では省略されている。
【0059】
基板200の内面には、起伏が形成された散乱樹脂層203が形成されている。散乱樹脂層203は、例えば基板200の表面上において点状にパターニングしたフォトレジストを熱処理し、当該フォトレジストの端部を軟化させる等によって、形成したものである。
【0060】
次に、散乱樹脂層203の起伏面には、アルミニウムや銀等の反射性金属からなる反射膜204が形成されている。したがって、散乱樹脂層203の起伏を反映して、反射膜204の表面も起伏となるので、観察側から入射した光は、反射膜204によって反射する際に、適度に散乱することとなる。
【0061】
表示装置100を反射型のみならず透過型としても機能させるために、反射膜204には、光を透過させるための開口部209が設けられている。
なお、このような開口部209を設けずに、例えばアルミニウム等の光反射性を有する金属の膜厚を比較的薄く(20nm〜50nm)して形成することにより、背面側からの入射光の一部を透過させる構成としてもよい。
【0062】
反射膜204の表面には、画素電極348と走査線214との対向領域に対応して、赤色のカラーフィルタ205R、緑色のカラーフィルタ205G、および、青色のカラーフィルタ205Bが、それぞれ所定の配列で設けられている。
なお、カラーフィルタ205R、205G、205Bの配列は、本実施形態では、データ系の表示に好適なストライプ配列となっている。
【0063】
次に、各色のカラーフィルタ205R、205G、205Bの表面には、絶縁材からなる平坦化膜207が設けられて、当該カラーフィルタの段差や反射膜204等の起伏を平坦化している。
【0064】
平坦化膜207により平坦化された面に、ITO等の透明導電材料からなる走査線214がX方向(図3では紙面左右方向)に、観察側の基板300に形成された画素電極348と対向するように形成されている。
【0065】
走査線214の表面には、ポリイミド等からなる配向膜208が形成されている。配向膜208には、観察側の基板300と貼り合わせる前に、所定の方向にラビング処理が施される。また、各色のカラーフィルタ205R、205G、205B、平坦化膜207および配向膜208は、表示領域外では不要であるから、シール材110aの領域近傍およびその外側では設けられていない。
【0066】
<画素構成>
続いて、表示装置100における画素の構成について、TFD320を中心にして説明する。
【0067】
図4(a)は、表示装置100におけるドットの1個分(画素の3個分)のレイアウトを示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)におけるA−A’線に沿って示す断面図である。なお、図4(a)は、背面側から観察側を見た場合の構成を示しているので、図4(a)では手前側が、図4(b)では上側が、それぞれ背面側となる。
【0068】
これらの図に示されるように、矩形状の画素電極348は、マトリクス状に配列し、このうち、同一列に属する画素電極348が、1本のデータ線314にそれぞれTFD320を介して共通接続されている。また、同一行の画素電極348は、上述したように、それぞれ1本の(破線で示される)走査線214と対向している。
【0069】
次に、TFD320は、第1のTFD320aおよび第2のTFD320bを備え、タンタルタングステンなどからなる島状の第1金属膜322と、この第1金属膜322の表面を陽極酸化することによって形成された絶縁膜323と、この絶縁膜323の表面に形成されて相互に離間した第2金属膜316、336とを有する。
【0070】
第2金属膜316、336は、クロム等の同一導電膜をパターニングしたものであり、前者の第2金属膜316は、データ線314からT字状に分岐したものが用いられる一方、後者の第2金属膜336は、ITO等の画素電極348に接続するために用いられる。
【0071】
TFD320のうち、第1のTFD320aは、データ線314の側からみると順番に、第2金属膜316/絶縁膜323/第1金属膜322となって、金属/絶縁体/金属の構造を採るため、その電流−電圧特性は正負双方向にわたって非線形となる。
一方、第2のTFD320bは、データ線314の側からみると順番に、第1金属膜322/絶縁膜323/第2金属膜336となって、第1のTFD320aとは逆向きの構造を採る。このため、第2のTFD320bの電流−電圧特性は、第1のTFD320aの電流−電圧特性を、原点を中心に点対称化したものとなる。
結局、TFD320は、2つのTFDを互いに逆向きに直列接続した形となるため、1つの素子を用いる場合と比べると、電流−電圧の非線形特性が正負双方向にわたって対称化されることになる。
【0072】
データ線314の下層は、断面的にみれば、第1金属膜312、絶縁膜313となっている。この理由は、そもそも第1金属膜322が第1の金属膜312から枝別れしたものであって、絶縁膜313、323が同一プロセスにおける陽極酸化によって形成された後、第1の金属膜322(絶縁膜323)が島状に切り離されたものであるからである。
【0073】
また、図4(b)においては、基板300の表面に、第1金属膜312、322が直接形成されているが、実際には、下地膜などを介して形成される場合が多い。このように下地膜を介して第1金属膜が形成される理由は、第2金属膜の堆積後における熱処理により、第1金属膜が剥離しないようにするため、および、第1金属膜に不純物が拡散しないようにするためである。
【0074】
TFD320はダイオード素子としての一例であり、他に、酸化亜鉛(ZnO)バリスタや、絶縁膜323を窒素欠損状態のSiNxに置換したMSI(Metal Semi−Insulator)などを用いた素子や、これらのいずれかの素子を、単体または逆向きに、並列もしくは直列接続したものなどが適用可能である。
【0075】
このような構成において、データ線314に印加されているデータ信号にかかわらず、TFD320がオンする選択電圧が走査信号として走査線214に印加されると、当該走査線214および当該データ線314の交差に対応するTFD320がオンして、オンしたTFD320に接続された液晶容量162に、当該選択電圧および当該データ電圧の差に応じた電荷が蓄積される。
【0076】
電荷蓄積後、走査線214に非選択電圧を印加して、当該TFD320をオフさせても、液晶容量162における電荷の蓄積は維持される。
ここで、液晶容量に蓄積される電荷量に応じて、液晶の配向状態が変化するので、偏光版131(図3参照)を通過して観察者に視認される光量も、透過型、反射型のいずれにおいても、蓄積された電荷量に応じて変化する。
したがって、選択電圧が印加されたときのデータ信号の電圧によって、液晶容量162における電荷の蓄積量を画素毎に制御することで、所定の階調表示が可能になる。
【0077】
<張出領域>
次に、観察側の基板300のうち、Yドライバ251、253や、Xドライバ350が実装されるとともに、FPC基板150が接合される張出領域302について説明する。
【0078】
図5は、張出領域302のうち、Xドライバ350およびFPC基板150が接合される部分を、図2においてY方向に沿って破断した場合の構成を示す部分断面図である。
【0079】
Xドライバ350における実装面周縁に設けられる電極には、それぞれ例えば金(Au)などからなるバンプ350aまたは350bが形成されているが、このようなXドライバ350は、観察側の基板300における張出領域302に対して次のようにして実装される。
【0080】
まず第1に、基板300にあってXドライバ350が実装されるべき領域に、エポキシ等の接着材130に導電性粒子134を均一に分散させたシート状の異方性導電膜を載置し、第2に、電極形成面を下側にしたXドライバ350と基板300とによって異方性導電膜を挟持し、第3に、Xドライバ350を位置決めした後に、当該異方性導電膜を介して基板300に加圧・加熱し、第4に、冷却後、加圧状態を解放する。
【0081】
これにより、Xドライバ350のうち、データ信号を供給する出力側バンプ350aはデータ線314に、また、FPC基板150からの信号を入力する入力側バンプ350bは配線384に、それぞれ接着材130中の導電性粒子134を介して電気的に接続される。この際、接着材130は、Xドライバ350の接着のみならず、電極形成面を、湿気や、汚染、応力などから保護する封止材を兼ねる。
【0082】
同様にYドライバ251、253の実装にも異方性導電膜が用いられる。また、FPC基板150の接合にも同様に異方性導電膜が用いられる。これにより、FPC基板150において、ポリイミドのような基材152に形成された配線154は、基板300に形成された配線384に対し、接着材140中の導電性粒子144を介して電気的に接続される。
【0083】
なお、Xドライバ350における実装面にあっては、短絡配線318と、この短絡配線318およびデータ線314の他端の間が切断された痕跡とが認められるが、この点については後述することにする。
【0084】
<検査方法>
次に、このように構成される液晶装置の検査について説明する。
この検査は、非点灯の欠陥画素や、階調特性の不均一性を検出する検査である。
【0085】
図6は、表示装置100を検査する段階の構成、詳細には、Yドライバ251、253や、Xドライバ350が実装される前の段階であって、FPC基板150が接合される前の段階の構成を示す斜視図である。
【0086】
この点灯検査は、各チップ毎にカット(隣接する基板300が単一の基板300毎にカット,ブレイク)された後に行われる。また、液晶表示パネルの製造工程のうち、特に組立工程(ラビング処理やブレイク)において、静電気(またはノイズ。以下単に静電気と称する)がデータ線314又は走査線214に入りやすいことが分かっている。
【0087】
図6に示されるように、検査段階における表示装置100にあっては、奇数行目の走査線214に一対一に対応する配線372の他端が、張出領域302において、短絡配線216に接続されて短絡状態となっている。
同様に、偶数行目の走査線214に一対一に対応する配線372の他端は、張出領域302において、短絡配線218に接続されて短絡状態となっている。
【0088】
さらに、すべてのデータ線314の他端についても、張出領域302において、短絡配線318に接続されて短絡状態にある。
短絡配線400の他端についても、張出領域302において、短絡配線318に接続されて短絡状態にある。これにより、短絡配線400とデータ線314は同電位に保持される。
【0089】
図7は、検査段階に先立って、隣接する図6に示す表示装置100の基板300同士がカットブレーク(チップごとに分割)される前の状態を示す平面図である。
図8は、図7に示す状態の複数の表示装置100がウェハー上に並んだ状態を示している。
【0090】
図7及び図8に示すように、短絡配線400の一端部400aは、隣接する基板300の短絡配線400の一端部400aと接続されている。すなわち、図8に示すように、ウェハー上に図8における左右方向に並んだ複数の基板300の全ての短絡配線400は、各一端部400aを介して導通(接続)した状態にある。これにより、ウェハー上の左右方向に並んだ複数の基板300の短絡配線400は、同電位に保持され、かつ、その電位と同電位に、ウェハー上の左右方向に並んだ複数の基板300のデータ線314の電位が保持される。
【0091】
図21に示した従来例では、データ線群314は、その基板300内で短絡配線318で接続されているのみであり、隣接する基板300のデータ線314とは電気的に分離していた。これに対し、本実施形態では、複数の基板300のデータ線314が短絡配線400を介して互いに接続(一体として形成)され、同電位に保持されるため、外部からの静電気の影響がデータ線314に及ぶことが有効に抑制される。
【0092】
なお、短絡配線216、218、318、400は、配線372、データ線314と同時にクロム等により形成されるものであり(または、これらを構成する配線層の一部を含み、当該配線層のパターニングよって形成されるものであり)、それぞれ端子217、219、319から引き回されている。
【0093】
また、検査後においては、後述するように短絡配線216、218はそれぞれ配線372から電気的に切り離され、同様に、短絡配線318、400は、データ線314から電気的に切り離される。
【0094】
図9は、このような短絡配線216、218、318、400によって短絡状態にある表示装置100の等価回路を示す図である。図9に示されるように、奇数行目の走査線214は、短絡配線216によって互いに等しく同電位となる。同様に、偶数行目の走査線214も、短絡配線218によって互いに等しく同電位となる。
【0095】
ある表示装置100の内のすべてのデータ線314は、短絡配線318によって互いに等しく同電位となる。さらに、ある表示装置100の内のすべてのデータ線314は、短絡配線400によって、その表示装置100に隣接する表示装置100の内のすべてのデータ線314と互いに等しく同電位となる。
【0096】
次に、プローブや異方性導電ゴムなどにより端子217には信号Vcom1を、端子219には信号Vcom2を、また、端子319には信号Vsegを、それぞれ印加する。これらのうち、信号Vcom1は、Yドライバ251から出力される走査信号のうち、任意の1本の走査線214に供給される走査信号と同一の電圧波形を有するものである。同様に、信号Vcom2は、Yドライバ253から出力される走査信号のうち、任意の1本の走査線214に供給される走査信号と同一の電圧波形を有するものである。さらに、信号Vsegは、Xドライバ350から出力されるデータ信号のうち、任意の1本のデータ線314に供給されるデータ信号と同一の電圧波形を有するものである。
【0097】
具体的には、信号Vcom1、Vcom2、Vsegとして、例えば図10に示されるような電圧波形を有する信号が用いられる。
すなわち、図10に示される信号Vcom1は、着目した走査線214が選択される1水平走査期間(1H)の後半期間において、選択電圧+VS(または−VS)となった後、1垂直走査期間(1F)が経過するまで非選択電圧+VD/2(または−VD/2)を維持し、再び当該走査線214が選択されると、その後半期間において、今度は選択電圧−VS(または+VS)となった後、非選択電圧−VD/2(または+VD/2)を維持するというものである。
また、信号Vcom2は、信号Vcom1に選択電圧となってから1水平走査期間(1H)経過後に、選択電圧となるものであり、かつ、その選択電圧は、信号Vcom1の選択電圧とは逆極性となるものである。
【0098】
一方、信号Vsegは、本来のデータ信号の観点から言えば、次のような規則にしたがって、電圧±VD/2のいずれとなる2値的な信号である。
すなわち、信号Vsegは、データ線314に共通接続される画素のうち、選択された走査線214の交差に対応する画素の表示内容に着目して、ノーマリーホワイトモードにあって最低階調(黒色)表示とするのであれば、当該走査線214に選択電圧が印加される後半期間の全域にわたって、当該選択電圧とは逆極性の電圧となる一方、その前半期間の全域にわたって、当該選択電圧とは同一極性の電圧となるものである。
【0099】
また、信号Vsegは、画素を最高階調(白色)表示とするのであれば、当該走査線214に選択電圧が印加される後半期間の全域にわたって、当該選択電圧とは同一極性の電圧となる一方、その前半期間の全域にわたって、当該選択電圧とは逆極性の電圧となるものである。
【0100】
さらに、信号Vsegは、画素を中間階調(灰色)表示とするのであれば、当該走査線214に選択電圧が印加される後半期間のうち、階調に応じた期間(階調が大きくなるにつれて、長くなる期間)だけ、当該選択電圧とは逆極性の電圧となり、残余の期間では、該選択電圧とは同一極性の電圧となる一方、1水平走査期間を通してみた場合に電圧+VD/2となる期間と電圧−VD/2となる期間とが互い50%ずつとなるように、前半期間では、当該後半期間での印加を予め相殺する電圧となる。
【0101】
なお、このような信号を供給するのは、いかなるパターンを表示させたとしても、データ信号として電圧−VD/2が印加される期間と電圧+VD/2が印加される期間とを互いに等しくすることにより、いわゆるクロストークの発生を防止するためであるが、この点については、本発明の趣旨から逸脱するので、これ以上の説明は省略することにする。
また、実際の検査では、信号Vsegとしては、黒色から灰色、さらには、白色というように時間的に徐々に変化させたものを用いるのが望ましい。
【0102】
このような信号Vcom1、Vcom2、Vsegが、それぞれ端子217、219、319を介して印加された場合、1垂直走査期間(1F)でみると、正常であれば、すべての画素110の液晶容量162に印加される電圧実効値が互いに等しくなるので、すべての画素は、同一階調となるはずである。
【0103】
ただし、走査線214や、データ線314、配線372、さらにTFD320等に断線が発生していると、その欠陥に係る画素は、非点灯状態になるので、当該欠陥を容易に発見することができる。また、走査線214や、データ線314、配線372の抵抗が不均一であったり、TFD320の素子特性が画素毎にばらついていたりすると、当該欠陥部分の画素の階調が他とは異なるので、そのような欠陥を容易に発見することができる。
【0104】
次に、こうした検査により、正常と判断された表示装置100では、各走査線214、各データ線314をそれぞれ電気的に分離する必要があるが、このような分離する方策としては種々の方法が考えられる。
【0105】
例えば、レーザ光を用いて溶断する方法が考えられる。詳細には、図11に示されるように、レーザ光をX方向に沿ってスキャンして、データ線314の他端のうち、Xドライバ350の出力側バンプ350aと接合されるべき部分と、短絡配線319が形成されている部分との間を溶断させるとともに、そのスキャン方向の延長線上の位置にて短絡配線400を溶断させる。これにより、互いに隣接する表示装置100のデータ線314が電気的に分離される。
【0106】
なお、この場合、データ線314のみが溶断されて、短絡配線400については溶断されなかったとしても、各データ線314は、隣接する表示装置100のデータ線314と電気的に分離されるが、短絡配線400についても溶断した方が好ましい。
【0107】
Yドライバ251、253が実装されるべき領域における配線372の他端と短絡配線216、218との分離についても同様である。また、カッターなどにより物理的に切断してもよい。
【0108】
ここで、走査線214に対応する配線372の他端、および、データ線314の他端は、いずれも張出領域302において引き出されて最終的にY方向に延在している。したがって、図6における直線390に沿ってレーザ光を移動させれば、単なる1回のスキャンによって、各走査線214、各データ線314をそれぞれ電気的に分離することができ、かつ、隣接する表示装置100のデータ線314同士間も電気的に分離することができる(分離後の構成については図12参照)。
【0109】
以上のように、各走査線214、各データ線314をそれぞれ電気的に分離した後に、上述した異方性導電膜を用いて、Yドライバ251、253およびXドライバ350を実装するとともに、FPC基板150を接合して図2に示されるような表示装置100となる。この表示装置100は、携帯電話やPDA等の電子機器へ取り付けられる。
【0110】
本実施形態では、走査線214を短絡させる短絡配線216,218と、データ線314を短絡させる短絡配線318とが短絡されておらず、走査線214とデータ線314とが別々に短絡されているので、レーザカット前に点灯検査(欠陥の有無の検査)を行うことが可能である。レーザカット後にも、異方性導電ゴムを用いて点灯検査を行うことが可能である。
【0111】
このような検査によれば、端子217に供給される信号Vcom1は、短絡配線216によって奇数行目の走査線214に共通に供給され、同様に、端子219に供給される信号Vcom2は、短絡配線218によって偶数行目の走査線214に共通に供給される。さらに、端子319に供給される信号Vsegは、短絡配線318及び短絡配線400によって、短絡配線400によって接続された表示装置100のすべてのデータ線314に共通に供給される。すなわち、短絡配線400によって接続された複数の表示装置100のデータ線314に共通の信号Vsegが供給される。
【0112】
したがって、端子に異方性導電ゴムを用いて信号を供給する場合にその押圧力が不均一であっても、各走査線214(または各データ線314)に供給される信号は互いに同一となるので、その押圧力の不均一の影響を排除することができる。
【0113】
また、端子217、219、319は、検査時以外には用いられない。このため、これらの端子217、219、319にプローブを接触させて信号を供給しても、Yドライバ251、253やXドライバ350の実装時またはFPC基板150の接合時に悪影響を与えることはない。
【0114】
さらに、信号供給するポイントは、本実施形態では、端子217、219、319の3点だけであるので、配線ピッチの狭小化が問題になることは少ない。
【0115】
なお、この検査では、できるだけ製品出荷時に近い状態にして、表示の不具合を発見する、という観点から、端子217には、Yドライバ251から実際に供給される信号と同じ信号Vcom1を供給し、端子219には、Yドライバ253から実際に供給される信号と同じ信号Vcom2を供給し、さらに、端子319には、Xドライバ350から実際に供給される信号と同じ信号Vsegを供給する構成とした。しかしながら、このような信号を供給しなくても、例えば単なるパルス波形や、正弦波形などの信号を供給する構成としても検査は可能である。また、端子217、219の各々に対して、異なる信号Vcom1、Vcom2を供給するのではなく、同一の信号を供給してもよいのはもちろんである。
【0116】
さらに、本実施形態では、走査線214を、シール材110aの導電性粒子114を介して、走査線214を配線372に接続して張出領域302まで引き出した構成の表示装置を検査対象としたが、走査線214とデータ線314とは互いに相対的な概念であるので、走査線を基板300に形成し、データ線を基板200に形成した表示装置の検査も可能である。
【0117】
同様にTFD320の一端をデータ線ではなく走査線に接続する一方、データ線を対向電極とした構成の表示装置を、検査対象とすることができる。
さらに、実施形態では、画素のスイッチングをTFD320により行う表示装置をその対象としたが、画素のスイッチングをTFTにより行う表示装置を検査対象としてもよいし、スイッチング素子を用いないパッシブマトリクス型の表示装置を検査対象としてもよい。
【0118】
加えて、液晶装置に限られず、有機EL装置や、蛍光表示管、プラズマ・ディスプレイ・パネル、ディジタルミラーデバイスなど種々のものに適用可能である。すなわち、本発明では、走査線(コモン配線)およびデータ線(セグメント配線)との交差に対応して画素が設けられる表示装置をすべて検査対象とするものである。
【0119】
(第2実施形態)
次に、図13、図14及び図15を参照して、第2実施形態について説明する。
【0120】
第2実施形態は、短絡配線400の引き回し方が第1実施形態と異なる。その相違点以外は、第1実施形態と共通であるため、その共通部分の説明は省略する。
【0121】
図13、図14及び図15に示すように、短絡配線400の一端部400cは、短絡配線400によって上下導通電極372bが囲まれ、かつレーザーカットライン390よりも図中下側に位置するように構成されている。短絡配線400の一端部400cは、隣接する基板300の短絡配線400の一端部400cと接続されて、同電位に保持される点は第1実施形態と同様である。
【0122】
第1実施形態において、図6及び図7に示すように、レーザーにより直線390の位置にて短絡配線400が溶断された後の状態について考える。チップ単位にブレークされている状態では、短絡配線400の一端部400aは、基板300の端面に剥き出しの(露出した)状態となる。したがって、外部からの静電気が一端部400aから基板300の内部に入り易い状態となる。
【0123】
図7に示すように、レーザーにより直線390の位置にて短絡配線400が溶断された後の状態であっても、一端部400aから短絡配線400の溶断位置(直線390と短絡配線400との交点)までの間には、符号400dで示す部分が存在する。この部分400dは、データ線314や走査線214の直ぐ近くをデータ線314に沿って、データ線314の長さと概ね同じ長さ分だけ存在する。よって、基板300の端面に臨む一端部400aから静電気が入ると、その部分400dを通るときに、その近くのデータ線314又は走査線214に静電気が入る(移る)可能性が相対的に高い。
【0124】
また、一端部400aの位置がそもそも、データ線314や走査線214に近いために、一端部400aからデータ線314や走査線214に静電気が入る(移る)可能性が相対的に高い。
以上のことから、図6及び図7の構成では、画素欠陥が生じる可能性が相対的に高い。
【0125】
これに対して、第2実施形態では、図13に示すように、短絡配線400の一端部400cがレーザカットライン390よりも図中下側にあり、レーザーカット後は、データ線314や走査線214とは電気的に分離されるレーザーカット領域300aに位置している。
【0126】
ここで、図13において、上記と同様に、レーザーにより直線390の位置にて短絡配線400が溶断された後の状態について考える。チップ単位にブレークされている状態では、短絡配線400の一端部400cは、一端部400aと同様に、基板300の端面に剥き出しの(露出した)状態となる。したがって、一端部400aと同様に、外部からの静電気が一端部400cから基板300の内部に入り易い状態となる。
【0127】
一端部400cから短絡配線400の溶断位置(直線390と短絡配線400との交点)までの間には、符号400eで示す部分が存在する。この部分400eは、レーザーカット領域300aに位置しているため、直線390の位置よりも図中上側のその他の短絡配線400の部分400fとは導通していない。よって、基板300の端面に臨む一端部400cから静電気が入ったとしても、その部分400cの静電気は、直線390を跨いだ領域のデータ線314又は走査線214には入らない(移らない)可能性が相対的に高い。よって、画素欠陥が生じる可能性が相対的に低い。
【0128】
短絡配線400のうち、データ線314や走査線214の直ぐ近くをデータ線314に沿って、データ線314の長さと概ね同じ長さ分だけ存在する部分400fの端部400gは、チップ単位にブレークされた状態での基板300の端面に対し、剥き出しの(臨んだ)状態ではない。よって、静電気が端部400gからデータ線314や走査線214に入る可能性は相対的に低い。
【0129】
更に、上下導通電極372bと基板300の端面との間には、短絡配線400の上記部分400fが存在する。上記部分400fが存在することにより、基板300の端面から上下導通電極372bに静電気が入ることが有効に抑制される。
【0130】
また、短絡配線400のうち、レーザーカットライン390よりも上側の逆U字型の部分400hによって、上下導通電極372bが囲まれるため、外部からの静電気に対してシールドする作用が生じ、静電気が入ることが有効に抑制される。逆U字型の部分400hの開放側には、張り出し領域が存在し、基板300の下側端面から十分に離間しているため、下側端面側からの静電気が入る可能性は相対的に低い。
【0131】
(第3実施形態)
次に、図16を参照して、第3実施形態について説明する。
【0132】
第3実施形態において、第2実施形態との相違点は、短絡配線400がレーザカット領域300aにおいて、Y方向に沿って往復する部分400iを更に有している点である。すなわち、短絡配線400の引き回し方法のみが異なっている。その点以外は、第2実施形態と共通であるため、共通部分についての説明は省略する。なお、図16は、図13よりも省略された図になっているが、短絡配線400の上記引き回し方法が異なるのみであり、それ以外の構成は同様である。
【0133】
上記の往復部分400iが存在することにより、直線390の位置にてレーザカットされた後は、基板300の端面に臨む短絡配線400の一端部400jと、レーザーカット領域300aを除く領域での端部400kとの間には、導通していない箇所が2ヶ所存在することになる。更に、上記の往復部分400iが往復している分だけ一端部400jから端部400kまでの距離が長くなる。これらにより、一端部400jから入った静電気が端部400kから内部に入ることが一層有効に抑制される。
【0134】
また、上記の往復部分400iが存在することにより、直線390の位置にてレーザカットされた後は、一端部400jと、Yドライバ251,253との間にも、導通していない箇所が2ヶ所存在することになる。更に、上記の往復部分400iが往復している分だけ一端部400jからYドライバ251,253までの距離が長くなる。これらにより、一端部400jから入った静電気がYドライバ251,253に入ることが一層有効に抑制される。
【0135】
(第4実施形態)
次に、図17を参照して、第4実施形態について説明する。
【0136】
第4実施形態において、第3実施形態との相違点は、短絡配線400がY方向に沿って往復する部分400lが、レーザカット領域300a内のみならず、Y方向に沿って上下導通電極372bが配置される領域にまで、すなわち、データ線314が延在する領域と概ね同じY方向の長さとなるように形成されている点である。すなわち、短絡配線400の引き回し方法のみが異なっている。その点以外は、第3実施形態と共通であるため、共通部分についての説明は省略する。
【0137】
上記の往復部分400lは、短絡配線400によって第2実施形態と同様に囲まれた上下導通電極372bと、基板300の端部との間に存在するため、基板300の端面からの静電気に対するシールド効果が第2実施形態よりも一層高まり、基板300の端面から上下導通電極372bに静電気が入ることが一層有効に抑制される。
【0138】
(第5実施形態)
次に、図18及び図19を参照して、第5実施形態について説明する。
【0139】
第1実施形態では、走査線214の延在方向(図中左右方向)に隣接する基板300間において、短絡配線400同士が走査線214の延在方向(図中左右方向)に接続されていた。
【0140】
これに対して、第5実施形態では、データ線314の延在方向(図中上下方向)に隣接する基板300間において、短絡配線401同士がデータ線314の延在方向(図中上下方向)に接続される。
【0141】
本実施形態の基板300に係る表示装置は、第1実施形態の表示装置と異なり、Yドライバ253が片側にしかないタイプのものである。Yドライバ253が存在しない側に液晶の注入口がある。
【0142】
なお、図18は、図7よりも省略された図になっているが、液晶の注入口の位置が左側部である点と、Yドライバ253が片側にしかない点と、短絡配線401の引き回し方法が異なるのみであり、それ以外の構成は同様である。よって、共通部分の説明は省略する。
【0143】
符号318aは、第1実施形態の短絡配線318と同様に、データ線314が短絡される配線である。本実施形態の短絡配線401は、第1実施形態の短絡配線400と同様に、短絡配線318aに接続される。短絡配線318aに接続された短絡配線401の他端は、レーザーカットライン390よりも上側の位置にて分岐され、その一方の分岐線は、上方にて隣接する基板300の短絡配線401と接続され、その他方の分岐線は、下方にて隣接する基板300の短絡配線401と接続される。
【0144】
第1実施形態と同様に、データ線314を短絡させる短絡配線401が複数の基板300に亘って接続されて同電位に保持されるため、静電気対策に有効である。
【0145】
(第6実施形態)
次に、図20を参照して、第6実施形態について説明する。
【0146】
本実施形態と、図18に示す第5実施形態との相違点は、注入口からの静電気に対する防止を図るため、短絡配線401を注入口付近まで引き回した点のみである。それ以外の点は、第5実施形態と共通であるから、共通部分の説明は省略する。
【0147】
本実施形態によれば、第5実施形態に比べて、静電気に対するシールド効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る検査方法が適用される表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【図2】第1実施形態の表示装置の構成を示す斜視図。
【図3】同表示装置をX方向に破断した場合の構成を示す部分断面図。
【図4】(a)は、同表示装置における画素の構成を示す平面図、(b)は、(a)におけるA−A’線で破断した部分断面図。
【図5】同表示装置をY方向に破断した場合の構成を示す部分断面図。
【図6】第1実施形態の検査時における液晶表示パネルの構成を示す斜視図。
【図7】第1実施形態の互いに隣接する液晶表示パネルの構成を示す平面図。
【図8】第1実施形態のウェハーに並んだ複数の液晶表示パネルの構成を示す平面図。
【図9】第1実施形態の表示装置を検査する構成を示す図。
【図10】検査時における印加電圧の一例を示す波形図。
【図11】(a)、(b)および(c)の各々は、それぞれ検査時、切断時および実装直前におけるドライバ実装領域の配線構成を示す平面図。
【図12】第1実施形態の検査後における液晶表示パネルの構成を示す斜視図。
【図13】第2実施形態の互いに隣接する液晶表示パネルの構成を示す平面図。
【図14】第2実施形態の検査時における液晶表示パネルの構成を示す斜視図。
【図15】第2実施形態のウェハーに並んだ複数の液晶表示パネルの構成を示す平面図。
【図16】第3実施形態の液晶表示パネルの要部構成を示す平面図。
【図17】第4実施形態の液晶表示パネルの要部構成を示す平面図。
【図18】第5実施形態の液晶表示パネルの要部構成を示す平面図。
【図19】第5実施形態の互いに隣接する液晶表示パネルの要部構成を示す平面図。
【図20】第6実施形態の液晶表示パネルの要部構成を示す平面図。
【図21】従来の検査時における液晶表示パネルの構成を示す斜視図。
【図22】従来の表示装置を検査する構成を示す図。
【図23】検査後における液晶表示パネルの構成を示す斜視図。
【図24】(a)、(b)および(c)の各々は、従来のそれぞれ検査時、切断時および実装直前におけるドライバ実装領域の配線構成を示す平面図。
【符号の説明】
100…表示装置、110…画素、160…液晶、162…液晶容量、200、300…基板、214…走査線、216、218、318…短絡配線、217、219、319…端子、251、253…Yドライバ、314…データ線、302…張出領域、320…TFD、350…Xドライバ、372、384…配線、372b…上下導通電極、390…レーザーカットライン、400…短絡配線、400a…一端部、400c…一端部、401…短絡配線
Claims (11)
- 走査線とデータ線との交差に対応して画素が配列された電気光学装置となる領域を複数備えた電気光学装置用マザー基板であって、
前記各々の領域は、複数の前記走査線及び複数の前記データ線のいずれか一方のみを短絡させるために用いられる短絡配線をそれぞれ備え、
隣接する前記領域に対応する前記各短絡配線は電気的に接続されてなる
電気光学装置用マザー基板。 - 請求項1に記載の電気光学装置用マザー基板において、
前記隣接する領域の前記短絡配線を接続する接続短絡配線は、前記短絡配線と前記短絡配線によって短絡される前記複数の走査線及びデータ線のいずれか一方との接続が切断される仮想ラインを通過するように形成される
電気光学装置用マザー基板。 - 請求項2に記載の電気光学装置用マザー基板において、
前記接続短絡配線が前記仮想ラインを通過する回数は、3回以上である
電気光学装置用マザー基板。 - 請求項2に記載の電気光学装置用マザー基板は、第1の基板及び第2の基板を有し、
複数の前記走査線及び複数の前記データ線のいずれか他方は、その一方が設けられてなる前記第1の基板と対向する前記第2の基板に設けられ、且つ、前記第1の基板に設けられてなる電極と導通部材によって電気的に接続されてなり、
前記接続短絡配線は、前記導通部材を囲うように配置されてなることを特徴とする
電気光学装置用マザー基板。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の電気光学装置用マザー基板において、
前記短絡配線によって短絡される前記複数の走査線及びデータ線のいずれか一方には、スイッチング素子が電気的に接続されている
電気光学装置用マザー基板。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の電気光学装置用マザー基板において、
更に、
前記複数の走査線及びデータ線のいずれか他方のみを短絡させるために用いられる第1短絡配線を備えた
電気光学装置用マザー基板。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の電気光学装置用マザー基板がスクライブされて形成されてなる電気光学装置。
- 請求項7に記載の電気光学装置を備えた電子機器。
- 走査線とデータ線との交差に対応して画素が配列された電気光学装置となる領域を複数備えた電気光学装置用マザー基板から形成される電気光学装置の製造方法であって、
(a) 第1の前記領域の、複数の前記走査線、複数の前記データ線及び前記画素を構成する素子を形成するステップと、
(b) 前記第1の領域に隣接する第2の前記領域の、複数の前記走査線、複数の前記データ線及びスイッチング素子を形成するステップと、
(c) 前記第1の領域の前記複数の走査線及び前記複数のデータ線のいずれか一方のみを短絡させるために用いられる短絡配線を形成するステップと、
(d) 前記第2の領域の前記複数の走査線及び前記複数のデータ線のいずれか一方のみを短絡させるために用いられる短絡配線を、該第2の領域と隣接する前記第1の領域の前記短絡配線と電気的に接続されるように形成するステップと、
(e) 前記第1の領域と前記第2の領域とに分けるステップと、
(f) 前記第1の領域と前記第2の領域の少なくとも一方の前記短絡配線に前記画素の点灯を検査するための電圧を印加するステップと、
(g) 前記一方の領域の前記短絡配線と前記短絡配線に接続された前記複数の走査線及び前記複数のデータ線のいずれか一方とを電気的に切断するステップと
を備えた電気光学装置の製造方法。 - 請求項9に記載の電気光学装置の製造方法において、
前記(c)及び(d)は、同一工程で行われ、前記第1及び第2の領域の前記短絡配線並びに前記第1及び第2の領域の前記短絡配線同士を電気的に接続するための特定短絡配線は、前記短絡配線によって短絡される前記複数の走査線及び前記複数のデータ線のいずれか一方と同一工程で形成される
電気光学装置の製造方法。 - 請求項9または10に記載の電気光学装置の製造方法で製造された表示装置に実装部品を実装して電子機器を製造するステップを備えた電子機器の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003175015A JP2005010504A (ja) | 2003-06-19 | 2003-06-19 | 電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003175015A JP2005010504A (ja) | 2003-06-19 | 2003-06-19 | 電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005010504A true JP2005010504A (ja) | 2005-01-13 |
Family
ID=34098341
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003175015A Withdrawn JP2005010504A (ja) | 2003-06-19 | 2003-06-19 | 電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005010504A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111243472A (zh) * | 2020-03-06 | 2020-06-05 | 昆山国显光电有限公司 | 显示面板母板以及显示面板的走线异常检测方法 |
-
2003
- 2003-06-19 JP JP2003175015A patent/JP2005010504A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111243472A (zh) * | 2020-03-06 | 2020-06-05 | 昆山国显光电有限公司 | 显示面板母板以及显示面板的走线异常检测方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4982609B2 (ja) | アクティブマトリクス基板、表示装置、アクティブマトリクス基板の検査方法、および表示装置の検査方法 | |
KR101238337B1 (ko) | 어레이 기판 및 이를 갖는 액정표시장치 | |
JP2019169086A (ja) | 位置入力装置 | |
JPH1010493A (ja) | 液晶表示装置および液晶表示基板 | |
JP2010102237A (ja) | 表示装置 | |
JP2008058337A (ja) | 表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法 | |
JP2002333639A (ja) | 液晶表示装置 | |
JP2019184864A (ja) | 表示装置 | |
US9405162B2 (en) | Active matrix display device with auxiliary repair line | |
JP2002328627A (ja) | 表示装置の検査方法 | |
KR20080059928A (ko) | 액정표시장치 및 이의 리페어 방법 | |
JP3119357B2 (ja) | 液晶表示装置 | |
US20030137629A1 (en) | Display device | |
JP3335567B2 (ja) | アクティブマトリクス型液晶表示装置およびその欠陥修正方法 | |
KR20080086119A (ko) | 액정표시장치 리페어 방법 | |
JP3087730B2 (ja) | 液晶表示装置の製造方法 | |
JP2004258365A (ja) | 電気光学装置、およびそれを用いた電子機器 | |
JP2005010504A (ja) | 電気光学装置用マザー基板、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法及び電子機器の製造方法 | |
KR101695025B1 (ko) | 액정표시장치와 그 리페어 방법 | |
KR20050064753A (ko) | 액정 표시 장치용 어레이 기판 및 그 제조 방법 | |
JP2007133067A (ja) | 電気光学装置の製造方法 | |
US20190196283A1 (en) | Substrate for display device and display device | |
JP2007047277A (ja) | 液晶表示装置 | |
JP2000155532A (ja) | 表示装置および液晶表示装置 | |
JP2005266111A (ja) | 電気光学装置の製造方法、電気光学装置及び電子機器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060905 |