JP2005010481A - 反射型スクリーン - Google Patents
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Abstract
【課題】電力消費量を低減することが可能であり、また照明の影響による画像の見にくさを低減して画像表示品質を確保することが可能な、反射型スクリーンを提供する。
【解決手段】光反射基板10の表面に、高分子分散型の液晶層50を配置した。この液晶層50は、電界無印加時には光透過モードを示し、電界印加により光散乱モードを示すものである。また光反射基板10の表面に、複数の半球状凹部24からなる回帰反射部22を形成した。この半球状凹部24の表面は、可視光を散乱可能な程度の粗面とした。
【選択図】 図1
【解決手段】光反射基板10の表面に、高分子分散型の液晶層50を配置した。この液晶層50は、電界無印加時には光透過モードを示し、電界印加により光散乱モードを示すものである。また光反射基板10の表面に、複数の半球状凹部24からなる回帰反射部22を形成した。この半球状凹部24の表面は、可視光を散乱可能な程度の粗面とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射型スクリーンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクタ等の投射型表示装置から投射された画像光を表示するスクリーンが知られている。スクリーンには透過型と反射型とが存在する。透過型スクリーンは、プロジェクタ等の投射型表示装置と画像鑑賞者(以下、鑑賞者という)とがスクリーンを挟んで反対側に位置するものであり、反射型スクリーンは、投射型表示装置と鑑賞者とがスクリーンに対して同じ側に位置するものである。
【0003】
反射型スクリーンには、用途に応じた特徴を有する複数のタイプが存在する。まず散乱タイプの反射型スクリーンは、例えばガラス等の基板上にポリ塩化ビニル等のホワイトシートを形成し、そのシートの表面にエンボス加工等を施したものである。この散乱タイプのスクリーンは、エンボス加工されたシートにより光を散乱するため、視野角は広くなるが、光の反射率が低くゲインが確保できないという特徴がある。したがって、大ホールや映画館等において大人数で画像を鑑賞する場合に利用されている。また反射タイプの反射型スクリーンは、例えばガラス等の基板上にアルミ等の反射シートを形成したものである。この反射タイプのスクリーンは、光の反射率が高くゲインは確保できるが、視野角が狭くなるという特徴がある。したがって、ショールームやホームシアタ等において少人数で画像を鑑賞する場合に利用されている。
【0004】
ところが、さまざまな環境で画像を鑑賞する場合には、それぞれの環境に適した複数のスクリーンが必要となる。そこで近時、用途に応じて特徴を変化させることが可能なスクリーンが提案されている。例えば特許文献1には、高分子分散液晶を備えたスクリーンが提案されている。この高分子分散液晶は、電界無印加の状態で光透過率が低くなり、電界を印加すると光透過率が高くなるようになっている。これにより、スクリーンの色を変えることが可能になり、室内の明暗に応じて良好な投射画像を得るようになっている。また特許文献2には、液晶固化物複合体を備えたスクリーンが提案されている。この液晶固化物複合体は、電圧オフ時に散乱性が高くなり、電圧印加時に透過率が高くなるようになっている。これにより、スクリーンゲインが可変となり、外光強度などの投射環境および視野角などの投射目的に応じてスクリーン特性を調整することが可能になっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−241242号公報
【特許文献2】
特開平6−242511号公報
【特許文献3】
特開平7−253621号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記各特許文献に記載された発明は、いずれも電界無印加時に光透過率が減少し、電界印加時に光透過率が増加するようになっている。そして、電界無印加時には光散乱状態となるので、視野角が広くなり、大人数による画像の鑑賞に適するようになる。また、電界印加時には光透過状態となるので、基材表面によるゲインの調整が可能となり、少人数による画像の鑑賞に適するようになる。しかし近時では、家庭向けプロジェクタの普及等により、大人数で画像を鑑賞する場合よりも、少人数あるいは個人で画像を鑑賞する場合の方が多くなりつつある。これに対して、上述したスクリーンは、大人数による画像鑑賞の場合に電界無印加状態で使用し、少人数による画像鑑賞の場合に電界を印加して使用することになる。したがって、電力消費量が大きくなるという問題がある。
【0007】
また、上記各特許文献に記載された発明では、電界を印加して光透過状態となった場合に、基材表面による光の反射を利用することになる。ところが、室内の照明条件によっては、照明からの光が基材表面で正反射して、画像鑑賞者に到達する場合がある。この場合の鑑賞者は、画像光とともに強い照明光を見ることになる。したがって、照明の影響により画像が見にくくなり、画像表示品質が低下するという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題を達成するためになされたものであって、電力消費量を低減することが可能であり、また照明の影響による画像の見にくさを低減して画像表示品質を確保することが可能な、反射型スクリーンの提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の反射型スクリーンは、光反射基板と、前記光反射基板の表面に配置され、電界無印加時には光透過モードを示し電界印加により光散乱モードを示すモード可変層と、を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、電界無印加時には、モード可変層が光透過モードを示すので、光反射基板による反射タイプのスクリーンとして機能する。したがって、少人数で画像を鑑賞する場合に適するようになる。また電界を印加すると、モード可変層が光散乱モードを示すので、散乱タイプのスクリーンとして機能する。したがって、視野角が広くなり、大人数で画像を鑑賞する場合に適するようになる。そして、スクリーンの使用形態は、大人数で画像を鑑賞する場合よりも、少人数で画像を鑑賞する場合の方が多くなりつつある。したがって、電界無印加の状態で使用する割合を増加させることが可能になり、電力消費量を低減することができる。
【0010】
また、前記モード可変層は、高分子分散型液晶を備え、前記高分子分散型液晶は、電界無印加時には液晶分子の屈折率と高分子の屈折率とが同等に設定され、電界印加により前記液晶分子の屈折率と前記高分子の屈折率とが異なるように設定されていることが望ましい。
従来技術のように、液晶を固化物に分散保持させた液晶固化物複合体を採用する場合には、光透過モードを実現するために高電圧を印加することが必要になる。これに対して本発明のように、高分子を配向させつつ液晶中に分散させた高分子分散型液晶を採用すれば、電界無印加の状態で光透過モードを容易に実現することができる。したがって、電力消費量を低減することができる。
【0011】
また、前記光反射基板の表面は、可視光を散乱可能な粗面とされていることが望ましい。なお、前記光反射基板と前記モード可変層との間に、可視光の散乱膜が形成されていてもよい。
この構成によれば、電界無印加の状態で反射タイプのスクリーンとして使用する場合に、反射光の指向性を緩和することができる。また、電界を印加して散乱タイプのスクリーンとして使用する場合に、光散乱性能を強化することができる。したがって、いずれの場合にも画像表示品質を向上させることができる。
【0012】
また、前記光反射基板は、光の回帰反射部を備えていることが望ましい。
この構成によれば、電界無印加の状態で反射タイプのスクリーンとして使用する場合に、室内照明からの照明光を入射方向に回帰反射させることができる。これにより、画像鑑賞者に到達する照明光が弱くなり、照明の影響による画像の見にくさを低減することができる。したがって、画像表示品質を向上させることができる。
【0013】
前記回帰反射部は、前記光反射基板の表面に形成された複数の半球状凹部によって構成されていることが望ましい。
この半球状凹部は、入射光に対して垂直な面を含んでいるので、入射光を入射方向に回帰反射させることができる。また半球状凹部は、グレースケールマスクを利用したフォトリソグラフィ等によって容易に形成することが可能である。したがって、製造コストを削減することができる。
【0014】
また、前記半球状凹部の直径は、可視光波長より大きく形成されていることが望ましい。
この構成によれば、入射する可視光を散乱させることなく反射することができる。したがって、電界無印加の状態で反射タイプのスクリーンとして使用することができる。
【0015】
また、前記半球状凹部の直径は、200μm以下に形成されていることが望ましい。
この構成によれば、半球状凹部が画像鑑賞者によって視認されることがなくなり、画像表示品質の低下を防止することができる。
【0016】
なお、前記光反射基板は、硬質材料で構成されていてもよい。
この構成によれば、スクリーンの強度を確保することが可能になる。したがって、常設型として好適な反射型スクリーンを提供することができる。
【0017】
なお、前記光反射基板は、可撓性を有する材料で構成されていてもよい。
この構成によれば、スクリーンをロール状に巻き取ることが可能になる。これにより、不使用時には小スペースにスクリーンを保管し、使用時にのみスクリーンを設置することができる。したがって、非常設型として好適な反射型スクリーンを提供することができる。
【0018】
また、前記光反射基板は、表面に光反射層を備え、前記光反射層は、前記モード可変層に対して電界を印加可能に形成されていることが望ましい。
この構成によれば、光反射層が電極を兼務するので、透明導電性材料からなる電極を別途形成する必要がない。したがって、製造コストを削減することができる。
【0019】
また、前記モード可変層の表面に、偏光透過部が配置されていることが望ましい。
この構成によれば、あらゆる方向に振動する光によって構成されている照明光のうち、一部の偏光のみが偏光透過部を透過してモード可変層に入射する。そして、電界を印加した状態で散乱タイプのスクリーンとして使用する場合には、入射光は散乱され、偏光透過部を再透過して画像鑑賞者に到達する。この散乱光は、偏光透過部を透過しうる偏光のみによって構成されているため、光強度が弱くなっている。したがって、照明光の影響による画像の見にくさを低減することが可能になり、画像表示品質を向上させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0021】
図1は、電界無印加時における反射型スクリーンの動作説明図であって、図2のA−A線における断面の拡大図である。図1に示す本実施形態の反射型スクリーン1は、主に、光反射基板10および光透過基板40と、光反射基板10の表面ならびに光透過基板40の裏面に形成された一対の電極30,32と、一対の電極30,32に挟持された液晶層(モード可変層)50とによって構成されている。そして、光反射基板10の表面には反射層20が形成され、その反射層20の表面には回帰反射部22が形成されている。なお本明細書では、反射型スクリーンを構成する基板等の鑑賞者側の面を表面と呼び、鑑賞者とは反対側の面を裏面と呼ぶ。
【0022】
[断面構造]
光反射基板10および光透過基板40は、所定間隔をおいて平行に配置されている。なお、本実施形態の反射型スクリーン1は、大人数による画像鑑賞にも利用されるものである。そこで、光反射基板10および光透過基板40は、対角50〜100インチ程度の大型に形成するのが望ましい。なお、複数の小型基板をつなぎ合わせることによって光反射基板10および光透過基板40を形成してもよい。一方、光反射基板10および光透過基板40は、ガラス等の透明な硬質材料によって形成されている。なお、反射型スクリーンでは入射光が光反射基板10を透過することがないので、光反射基板10は不透明な硬質材料によって構成してもよい。このように、光反射基板10および光透過基板40を硬質材料によって形成することにより、反射型スクリーン1の強度を確保することが可能になる。したがって、常設型として好適な反射型スクリーン1を提供することができる。
【0023】
なお、可撓性を有する材料によって光反射基板10および光透過基板40を形成してもよい。光反射基板10は、例えばポリ塩化ビニルやガラス糸織布等によって形成することができる。また光透過基板40は、例えばポリカーボネート等のプラスティックフィルムによって形成することができる。このように、可撓性を有する材料によって光反射基板10および光透過基板40を形成することにより、スクリーン1をロール状に巻き取ることが可能になる。これにより、不使用時には小スペースにスクリーン1を保管し、使用時にのみスクリーン1を設置することができる。したがって、非常設型として好適な反射型スクリーン1を提供することができる。
【0024】
また、光反射基板10の表面には光の反射層20が形成されている。反射層20は、光反射率の高いAl等の金属材料をコーティングすることによって形成されている。これにより、入射光は反射層20の表面で正反射される。したがって、標準拡散板による反射光の10倍程度の高ゲインを確保することができる。ただし、反射光の視野角は15°程度と小さくなる。
【0025】
そして、反射層20の表面に回帰反射部22が形成されている。回帰反射部22は、入射光を入射方向に回帰反射させるものである。その回帰反射部22として、反射層20の表面に多数の半球状凹部24が形成されている。図2に本実施形態の反射型スクリーンの正面図を示す。各半球状凹部24は、隣接する半球状凹部相互の隙間ができるだけ小さくなるように最密充填配置されている。すなわち、1個の半球状凹部24の周囲に6個の半球状凹部24が等間隔で配置されいる。なお、相互に隣接する3個の半球状凹部24の中央部に、直径の小さい他の半球状凹部25を形成してもよい。このように、各半球状凹部24を最密充填配置することにより、入射光の正反射を減少させ回帰反射を増加させることができる。
【0026】
なお、図1に示す半球状凹部24の直径が可視光波長と同等の場合には、半球状凹部24に入射した可視光を反射することができずに、散乱させてしまうことになる。そこで、半球状凹部24の直径は、可視光波長より大きく形成するのが好ましい。具体的には、可視光波長が0.38〜0.78μm程度であることから、0.78μmより大きく形成すればよい。これにより、半球状凹部24に入射した可視光を散乱させることなく、回帰反射させることができる。一方、半球状凹部24の直径が大きくなると、半球状凹部24が鑑賞者によって視認されてしまう。この場合、半球状凹部24の模様が画像に現れて、反射型スクリーン1の表示品質を低下させることになる。そこで、半球状凹部24の直径は、200μm以下に形成するのが好ましい。これにより、半球状凹部24が鑑賞者5によって視認されることがなくなり、反射型スクリーン1の表示品質の低下を防止することができる。
【0027】
ところで、半球状凹部24の表面を鏡面状態とした場合には、プロジェクタ80から入射した画像光がプロジェクタ80に向かって回帰反射される。この場合、鑑賞者5の方向に反射される画像光が弱くなり、画像が暗くなってしまう。そこで、半球状凹部24の表面は、可視光を散乱可能な程度の粗面とするのが好ましい。具体的には、半球状凹部24の表面におけるRa(中心線平均粗さ)を、可視光波長ないし数μm程度とすればよい。すなわちRaが、0.38μm以上であって、2〜3μm以下となるようにする。これにより、電界無印加の状態で反射タイプのスクリーンとして使用する場合に、反射光の指向性を緩和して、画像の明るさを確保することができる。また、電界を印加して散乱タイプのスクリーンとして使用する場合に、光散乱性能を強化することができる。したがって、いずれの場合にも画像表示品質を向上させることができる。なお、半球状凹部24の表面のRaをこのように設定する場合には、上述した半球状凹部24の直径を比較的大きな値とするのが望ましい。また、半球状凹部24の表面を粗面とする代わりに、半球状凹部24の表面と電極30との間に散乱膜を形成してもよい。散乱膜は、二酸化ケイ素(SiO2)等の光透過性材料で構成する。そして、その表面にフロスト処理(曇ガラス処理)等を施すことにより、上記と同等の粗面を形成すればよい。
【0028】
上述した半球状凹部24は、グレースケールマスク(以下、GSMという)を利用したフォトリソグラフィによって形成することができる。GSMは、濃淡が断続的あるいは連続的に変化するフォトマスクである。すなわち、ポジ型レジストに対応するGSMの場合には、半球状凹部に相当する円形パターンの周縁部から中心部にかけて光透過性が増加している。半球状凹部24の具体的な形成手順は、まず反射層20の表面にレジストを塗布する。次に、上述したGSMを介してレジストを露光する。これにより、半球状凹部の形成位置におけるレジストは、周縁部から中心部にかけて深い位置まで露光される。そして露光されたレジストを現像すると、形成すべき半球状凹部と同等の凹部がレジストの表面に形成される。次に、このレジストをマスクとして反射層20をドライエッチングする。すると、レジストに形成された凹部が下方に移動するように反射層20がエッチングされる。以上により、反射層20の表面に半球状凹部24を容易に形成することができる。
【0029】
なお、半球状凹部24の形成方法は上記に限られず、例えば転写法を使用して半球状凹部24を形成してもよい。転写法は、レジストの表面に転写型を押圧して半球状凹部24と同等の凹部を形成するものである。転写型は、半球状凹部24に対応する半球状凸部を、石英ガラスやシリコン基板等の表面に形成したものである。転写型における半球状凸部の形成は、集束イオンビーム(FIB)加工法や、GSMを利用したフォトリソグラフィによって行うことができる。この転写法を用いてレジストの表面に半球状凹部24と同等の凹部を形成した後は、上記と同様にレジストをマスクとして反射層20をドライエッチングする。これにより、反射層20の表面に半球状凹部24が形成される。
【0030】
一方、上述した反射層20の表面および半球状凹部24からなる回帰反射部22の表面には、電極30が形成されている。また、光透過基板40の裏面にも電極32が形成されている。これら一対の電極30,32は、液晶層50に電界を印加するものであり、それぞれ光反射基板10および光透過基板40のほぼ全面にわたって形成されている。各電極30,32は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電性材料によって構成され、スパッタリング等によって形成されている。このように各電極30,32を透明導電性材料によって構成することにより、スクリーン1への入射光を反射層20まで到達させることができる。そして、各電極30,32は、図示しない電源に接続されている。
【0031】
なお、反射層20を金属等の導電性材料によって構成した場合には、反射層20を一方の電極として利用してもよい。なお、入射光は反射層20の表面で反射されるので、反射層20は透明材料によって構成する必要はない。このように、反射層20を電極として利用すれば、透明導電性材料からなる電極30を別途形成する必要がなくなる。したがって、製造コストを削減することができる。
【0032】
そして、一対の電極30,32の間には、モード可変層としての液晶層50が挟持されている。液晶層50は、液晶分子52と高分子54との複合体である高分子分散型液晶(散乱性液晶の一種)で構成されている。本実施形態では、Journal of the SID vol.7/1, pp.23−27に記載の、リバース散乱型(Internal−Reflection Inverted−Scattering Mode)の液晶が採用されている。このリバース散乱型の液晶は、液晶中にポリマー前駆体やモノマーを混合し、その液晶にUV光を照射してポリマー前駆体やモノマーを重合させたものである。その際、ポリマー前駆体やモノマーは液晶中でゲストとして分散しかつ配向しているので、この配向状態のまま光重合することでポリマー骨格を特定方向に並べて固定化することができる。なおモノマー材料として、例えば光感光性のメタクリレートを用いることができる。また液晶材料として、例えばシアノビフェニル系液晶をベースとしたネマティック液晶を用いることができる。なお、リバース散乱型の液晶は、PDLC(Polymer−Dispersed Liquid Crystal)の一種である。
【0033】
そして、UV照射条件や液晶材料、ポリマー前駆体の材料、モノマーの材料等を適宜選択することにより、ポリマー54の屈折率と液晶分子52の屈折率とをほぼ一致させた状態で液晶分子52を配向させることができる。これにより、液晶層50に電界が印加されない状態(OFF状態)で透明モードとなり、入射光は液晶中を直進する。一方、液晶層50に電界が印加されると、図3に示すように液晶分子52は電界に沿って再配向し、電界に追随しないポリマー54との間で屈折率の差異が生じる。これにより、液晶層50に電界が印加された状態(ON状態)で散乱モードとなり、入射光は液晶の表面で散乱される。なお、従来一般のPDLCがOFF時に散乱、ON時に透明であったのに対し、リバース散乱型の液晶はOFF時に透明、ON時に散乱となる点が大きな特徴である。
【0034】
なお高分子分散型液晶には、液晶が微小粒滴として高分子マトリクス中に分散しているタイプや、液晶の連続相中に高分子が3次元網目状または微小粒滴状に分散しているタイプがある。そして従来技術のように、液晶を固化物に分散保持させた液晶固化物複合体を採用する場合には、光透過モードを実現するために高電圧を印加することが必要になる。これに対して本発明のように、高分子を配向させつつ液晶中に分散させた高分子分散型液晶を採用すれば、電界無印加の状態で光透過モードを容易に実現することができる。したがって、電力消費量を低減することができる。
【0035】
なお図1に示すように、電界OFF時において液晶分子52をツイスト配向させれば、入射光を適度に散乱させて視野角を広げることが可能になる。特に、一対の電極30,32の間で、液晶分子52を270°程度ツイストさせた場合には、各方向に対してほぼ均等に視野角を広げることができる。なお、本実施形態では一対の電極30,32の表面に必ずしも配向膜を形成する必要はないが、液晶分子52をツイスト配向させる場合には配向膜を形成するのが好ましい。この場合、電極30側の配向膜と電極32側の配向膜とは、配向規制方向を270°程度ずらした状態で配置する。
【0036】
[使用方法]
次に、本実施形態の反射型スクリーンの使用方法につき、図1および図3を用いて説明する。
図1は、電界無印加時における反射型スクリーンの動作説明図である。上述した液晶層50では、ポリマー54が配向した状態で固定化されている。また電界無印加時には、ポリマー54の屈折率と液晶分子52の屈折率とがほぼ一致するように液晶分子52が配向されている。これにより、液晶層50の光透過率が増加して光透過モードとなり、本実施形態の反射型スクリーンは回帰反射タイプのスクリーンとして機能する。
【0037】
一方、反射型スクリーン1と対向するように、プロジェクタ80が配置されている。このプロジェクタ80から、電界無印加状態のスクリーン1に向かって画像光82を投射すると、スクリーン1に入射した画像光82は、透明状態の液晶層50を直進する。そして、反射層20の表面に形成された半球状凹部24に到達する。この半球状凹部24は、入射光に対して垂直な面を含んでいるので、入射光を入射方向に回帰反射させる。そのため、画像光は主にプロジェクタ80の方向に反射されることになる。しかし、半球状凹部24の表面は可視光を散乱しうる程度の粗面とされているので、反射光のベクトルは楕円84のように分布する。しかも、反射層20は光反射率の高い材料によって構成されているので、反射光のゲインを確保することができる。そこで、スクリーン1に対する鑑賞者5の方向とほぼ同じ方向にプロジェクタ80を配置する。これにより、スクリーン1への入射光に対する鑑賞者5への反射光の角度が小さくなるので、鑑賞者5に対して強い画像光を供給することができる。これにより、画像光のゲインを確保することが可能になり、反射型スクリーンの画像表示品質を確保することができる。
【0038】
なお、反射型スクリーン1が設置された室内には照明90が設けられている。そのため、反射型スクリーン1には照明光も入射することになる。スクリーン1に入射した照明光92は、透明状態の液晶層50を直進する。そして、反射層20の表面に形成された半球状凹部24に到達する。この半球状凹部24は、入射光に対して垂直な面を含んでいるので、入射光を入射方向に回帰反射させることができる。そのため、照明光は主に照明90の方向に反射される。なお、半球状凹部24の表面は可視光を散乱しうる程度の粗面とされているので、反射光のベクトルは楕円94のように分布することになる。しかし、一般に照明90は天井等に配置されているので、スクリーン1への入射光に対する鑑賞者5への反射光の角度は相当に大きくなる。したがって、鑑賞者5に向かって反射する照明光は弱くなり、照明光の影響による画像の見にくさを低減することができる。これにより、反射型スクリーンの画像表示品質を確保することができる。
【0039】
このように、電界無印加時における本実施形態の反射型スクリーン1は、画像光のゲインを確保することが可能であり、また照明の影響を低減することが可能である。加えて、内面反射を利用しているので、視差がなく高解像度を得ることができる。ただし、光反射率の高い反射層20において入射光を反射させているので、視野角が狭くなるという特徴がある。したがって、室内の明るさを問わず、少人数で画像を鑑賞する場合に適している。
【0040】
一方、図3は電界印加時における反射型スクリーンの動作説明図である。一対の電極30,32により液晶層50に電界を印加すると、液晶分子52が電界に沿って再配向され、電界に追随しないポリマー54との間で屈折率の差異が生じる。これにより、液晶層50の光透過率が低下して散乱モードとなり、本実施形態の反射型スクリーンは散乱タイプのスクリーンとして機能する。
【0041】
このように電界を印加したスクリーン1に向かって、プロジェクタ180から画像光182を投射すると、スクリーン1に入射した画像光182は液晶層50において散乱される。その散乱光の一部が鑑賞者105に到達するので、鑑賞者105は画像を見ることができる。なお、散乱光のベクトルは半球184状に分布するので、スクリーンの前方に多数の鑑賞者105がいる場合でも、ほとんどの鑑賞者105が画像を見ることができる。したがって、スクリーン1の視野角は60°程度に広くなる。ただし、散乱光は弱いので、ゲインを確保するのは困難である。
【0042】
なお、スクリーン1には照明190からの照明光192も入射する。スクリーン1に入射した照明光192は、画像光と同様に液晶層50において散乱される。その散乱光の一部は鑑賞者105に到達するので、鑑賞者105は画像光とともに照明光を見ることになる。このように、電界印加時における本実施形態の反射型スクリーン1は、広い視野角を確保できるが、照明光の影響を受けるという特徴がある。したがって、鑑賞者の位置や人数を問わず、暗い室内で画像を鑑賞する場合に適している。
【0043】
上述したように、電界無印加時における本実施形態の反射型スクリーン1は、画像光のゲインを確保することが可能であり、また照明の影響を低減することが可能であるが、視野角が狭くなるという特徴がある。そのため、室内の明るさを問わず、少人数あるいは個人で画像を鑑賞する場合に適している。一方、電界印加時における本実施形態の反射型スクリーン1は、広い視野角を確保できるが、照明光の影響を受けるという特徴がある。そのため、鑑賞者の位置や人数を問わず、暗い室内で画像を鑑賞する場合に適している。そして、印加する電界の強さを調節することにより、両者の中間的な特徴を実現することが可能である。したがって、印加する電界の強さを調節することにより、あらゆる用途に適したスクリーンを提供することができる。
【0044】
なお近時では、家庭向けプロジェクタの普及等により、少人数あるいは個人による画像鑑賞の機会が増加している。そのため、反射型スクリーンの利用形態は、大人数で画像を鑑賞する場合よりも、少人数で画像を鑑賞する場合の方が多くなりつつある。本実施形態の反射型スクリーンは、電界無印加時において少人数あるいは個人による画像鑑賞に適するものとなり、電界印加時において大人数による画像鑑賞に適するものとなる。したがって、電力消費量を低減することができるのである。
【0045】
なお本実施形態では、図1に示すように、回帰反射部22として半球状凹部24を形成した。しかし、回帰反射部22としてビーズ等の透明球状体を採用することも可能である。この場合には、反射層20の表面に多数のビーズを最密充填配置する。その際、各ビーズの底部を反射層20の表面に接着してもよいし、各ビーズの下半部を反射層20の表面に埋め込んでもよい。この透明球状体も、半球状凹部と同様に、あらゆる角度で入射する光に対して垂直な面を有している。したがって、入射光をその入射方向に回帰反射することができる。
【0046】
また、本実施形態の反射型スクリーンの表面に偏光フィルムを形成して、偏光スクリーンを形成してもよい。図4は、電圧印加時における反射型偏光スクリーンの動作説明図である。この反射型偏光スクリーン201では、光透過基板240の表面に、偏光透過部としての偏光板260が配置されている。偏光板260は、ポリビニルアルコール等のフィルムにヨウ素分子等を配向させて構成することができる。この偏光板260は、ヨウ素分子の長軸方向に対して垂直に振動する偏光のみを透過することができる。一方、この偏光スクリーン201に画像光を投射するプロジェクタとして、偏光プロジェクタ280を採用する。偏光プロジェクタ280が投射する画像光は、偏光板260を透過しうる偏光のみによって構成されている。
【0047】
この偏光プロジェクタ280から投射された画像光は、すべて偏光板260を透過して偏光スクリーン201に入射する。なお、液晶層250には電界が印加されているので、上述した実施形態と同様に入射光は散乱される。この散乱光は入射光と同じ偏光によって構成されているので、偏光板260を再透過し、その一部が鑑賞者205に到達する。一方、照明290から照射された照明光は、あらゆる方向に振動する光によって構成されている。したがって、この照明光のうち一部の偏光のみが偏光板260を透過して、偏光スクリーン201に入射する。この入射光は液晶層250で散乱され、散乱光が偏光板260を再透過して、その一部が鑑賞者205に到達する。ところで、図3において鑑賞者105に到達する照明光は、あらゆる方向に振動する光によって構成されている。これに対して、図4において鑑賞者205に到達する照明光は、偏光板260を再透過した偏光のみによって構成されているので、光強度が弱くなっている。したがって、画像光の強度を維持したまま、照明光の影響を低減することが可能になり、スクリーンの画像表示品質を向上させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】電界無印加時における反射型スクリーンの動作説明図である。
【図2】反射型スクリーンの正面図である。
【図3】電界印加時における反射型スクリーンの動作説明図である。
【図4】電界印加時における反射型偏光スクリーンの動作説明図である。
【符号の説明】
10光反射基板 22回帰反射部 24半球状凹部 50液晶層
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射型スクリーンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクタ等の投射型表示装置から投射された画像光を表示するスクリーンが知られている。スクリーンには透過型と反射型とが存在する。透過型スクリーンは、プロジェクタ等の投射型表示装置と画像鑑賞者(以下、鑑賞者という)とがスクリーンを挟んで反対側に位置するものであり、反射型スクリーンは、投射型表示装置と鑑賞者とがスクリーンに対して同じ側に位置するものである。
【0003】
反射型スクリーンには、用途に応じた特徴を有する複数のタイプが存在する。まず散乱タイプの反射型スクリーンは、例えばガラス等の基板上にポリ塩化ビニル等のホワイトシートを形成し、そのシートの表面にエンボス加工等を施したものである。この散乱タイプのスクリーンは、エンボス加工されたシートにより光を散乱するため、視野角は広くなるが、光の反射率が低くゲインが確保できないという特徴がある。したがって、大ホールや映画館等において大人数で画像を鑑賞する場合に利用されている。また反射タイプの反射型スクリーンは、例えばガラス等の基板上にアルミ等の反射シートを形成したものである。この反射タイプのスクリーンは、光の反射率が高くゲインは確保できるが、視野角が狭くなるという特徴がある。したがって、ショールームやホームシアタ等において少人数で画像を鑑賞する場合に利用されている。
【0004】
ところが、さまざまな環境で画像を鑑賞する場合には、それぞれの環境に適した複数のスクリーンが必要となる。そこで近時、用途に応じて特徴を変化させることが可能なスクリーンが提案されている。例えば特許文献1には、高分子分散液晶を備えたスクリーンが提案されている。この高分子分散液晶は、電界無印加の状態で光透過率が低くなり、電界を印加すると光透過率が高くなるようになっている。これにより、スクリーンの色を変えることが可能になり、室内の明暗に応じて良好な投射画像を得るようになっている。また特許文献2には、液晶固化物複合体を備えたスクリーンが提案されている。この液晶固化物複合体は、電圧オフ時に散乱性が高くなり、電圧印加時に透過率が高くなるようになっている。これにより、スクリーンゲインが可変となり、外光強度などの投射環境および視野角などの投射目的に応じてスクリーン特性を調整することが可能になっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−241242号公報
【特許文献2】
特開平6−242511号公報
【特許文献3】
特開平7−253621号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記各特許文献に記載された発明は、いずれも電界無印加時に光透過率が減少し、電界印加時に光透過率が増加するようになっている。そして、電界無印加時には光散乱状態となるので、視野角が広くなり、大人数による画像の鑑賞に適するようになる。また、電界印加時には光透過状態となるので、基材表面によるゲインの調整が可能となり、少人数による画像の鑑賞に適するようになる。しかし近時では、家庭向けプロジェクタの普及等により、大人数で画像を鑑賞する場合よりも、少人数あるいは個人で画像を鑑賞する場合の方が多くなりつつある。これに対して、上述したスクリーンは、大人数による画像鑑賞の場合に電界無印加状態で使用し、少人数による画像鑑賞の場合に電界を印加して使用することになる。したがって、電力消費量が大きくなるという問題がある。
【0007】
また、上記各特許文献に記載された発明では、電界を印加して光透過状態となった場合に、基材表面による光の反射を利用することになる。ところが、室内の照明条件によっては、照明からの光が基材表面で正反射して、画像鑑賞者に到達する場合がある。この場合の鑑賞者は、画像光とともに強い照明光を見ることになる。したがって、照明の影響により画像が見にくくなり、画像表示品質が低下するという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題を達成するためになされたものであって、電力消費量を低減することが可能であり、また照明の影響による画像の見にくさを低減して画像表示品質を確保することが可能な、反射型スクリーンの提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の反射型スクリーンは、光反射基板と、前記光反射基板の表面に配置され、電界無印加時には光透過モードを示し電界印加により光散乱モードを示すモード可変層と、を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、電界無印加時には、モード可変層が光透過モードを示すので、光反射基板による反射タイプのスクリーンとして機能する。したがって、少人数で画像を鑑賞する場合に適するようになる。また電界を印加すると、モード可変層が光散乱モードを示すので、散乱タイプのスクリーンとして機能する。したがって、視野角が広くなり、大人数で画像を鑑賞する場合に適するようになる。そして、スクリーンの使用形態は、大人数で画像を鑑賞する場合よりも、少人数で画像を鑑賞する場合の方が多くなりつつある。したがって、電界無印加の状態で使用する割合を増加させることが可能になり、電力消費量を低減することができる。
【0010】
また、前記モード可変層は、高分子分散型液晶を備え、前記高分子分散型液晶は、電界無印加時には液晶分子の屈折率と高分子の屈折率とが同等に設定され、電界印加により前記液晶分子の屈折率と前記高分子の屈折率とが異なるように設定されていることが望ましい。
従来技術のように、液晶を固化物に分散保持させた液晶固化物複合体を採用する場合には、光透過モードを実現するために高電圧を印加することが必要になる。これに対して本発明のように、高分子を配向させつつ液晶中に分散させた高分子分散型液晶を採用すれば、電界無印加の状態で光透過モードを容易に実現することができる。したがって、電力消費量を低減することができる。
【0011】
また、前記光反射基板の表面は、可視光を散乱可能な粗面とされていることが望ましい。なお、前記光反射基板と前記モード可変層との間に、可視光の散乱膜が形成されていてもよい。
この構成によれば、電界無印加の状態で反射タイプのスクリーンとして使用する場合に、反射光の指向性を緩和することができる。また、電界を印加して散乱タイプのスクリーンとして使用する場合に、光散乱性能を強化することができる。したがって、いずれの場合にも画像表示品質を向上させることができる。
【0012】
また、前記光反射基板は、光の回帰反射部を備えていることが望ましい。
この構成によれば、電界無印加の状態で反射タイプのスクリーンとして使用する場合に、室内照明からの照明光を入射方向に回帰反射させることができる。これにより、画像鑑賞者に到達する照明光が弱くなり、照明の影響による画像の見にくさを低減することができる。したがって、画像表示品質を向上させることができる。
【0013】
前記回帰反射部は、前記光反射基板の表面に形成された複数の半球状凹部によって構成されていることが望ましい。
この半球状凹部は、入射光に対して垂直な面を含んでいるので、入射光を入射方向に回帰反射させることができる。また半球状凹部は、グレースケールマスクを利用したフォトリソグラフィ等によって容易に形成することが可能である。したがって、製造コストを削減することができる。
【0014】
また、前記半球状凹部の直径は、可視光波長より大きく形成されていることが望ましい。
この構成によれば、入射する可視光を散乱させることなく反射することができる。したがって、電界無印加の状態で反射タイプのスクリーンとして使用することができる。
【0015】
また、前記半球状凹部の直径は、200μm以下に形成されていることが望ましい。
この構成によれば、半球状凹部が画像鑑賞者によって視認されることがなくなり、画像表示品質の低下を防止することができる。
【0016】
なお、前記光反射基板は、硬質材料で構成されていてもよい。
この構成によれば、スクリーンの強度を確保することが可能になる。したがって、常設型として好適な反射型スクリーンを提供することができる。
【0017】
なお、前記光反射基板は、可撓性を有する材料で構成されていてもよい。
この構成によれば、スクリーンをロール状に巻き取ることが可能になる。これにより、不使用時には小スペースにスクリーンを保管し、使用時にのみスクリーンを設置することができる。したがって、非常設型として好適な反射型スクリーンを提供することができる。
【0018】
また、前記光反射基板は、表面に光反射層を備え、前記光反射層は、前記モード可変層に対して電界を印加可能に形成されていることが望ましい。
この構成によれば、光反射層が電極を兼務するので、透明導電性材料からなる電極を別途形成する必要がない。したがって、製造コストを削減することができる。
【0019】
また、前記モード可変層の表面に、偏光透過部が配置されていることが望ましい。
この構成によれば、あらゆる方向に振動する光によって構成されている照明光のうち、一部の偏光のみが偏光透過部を透過してモード可変層に入射する。そして、電界を印加した状態で散乱タイプのスクリーンとして使用する場合には、入射光は散乱され、偏光透過部を再透過して画像鑑賞者に到達する。この散乱光は、偏光透過部を透過しうる偏光のみによって構成されているため、光強度が弱くなっている。したがって、照明光の影響による画像の見にくさを低減することが可能になり、画像表示品質を向上させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0021】
図1は、電界無印加時における反射型スクリーンの動作説明図であって、図2のA−A線における断面の拡大図である。図1に示す本実施形態の反射型スクリーン1は、主に、光反射基板10および光透過基板40と、光反射基板10の表面ならびに光透過基板40の裏面に形成された一対の電極30,32と、一対の電極30,32に挟持された液晶層(モード可変層)50とによって構成されている。そして、光反射基板10の表面には反射層20が形成され、その反射層20の表面には回帰反射部22が形成されている。なお本明細書では、反射型スクリーンを構成する基板等の鑑賞者側の面を表面と呼び、鑑賞者とは反対側の面を裏面と呼ぶ。
【0022】
[断面構造]
光反射基板10および光透過基板40は、所定間隔をおいて平行に配置されている。なお、本実施形態の反射型スクリーン1は、大人数による画像鑑賞にも利用されるものである。そこで、光反射基板10および光透過基板40は、対角50〜100インチ程度の大型に形成するのが望ましい。なお、複数の小型基板をつなぎ合わせることによって光反射基板10および光透過基板40を形成してもよい。一方、光反射基板10および光透過基板40は、ガラス等の透明な硬質材料によって形成されている。なお、反射型スクリーンでは入射光が光反射基板10を透過することがないので、光反射基板10は不透明な硬質材料によって構成してもよい。このように、光反射基板10および光透過基板40を硬質材料によって形成することにより、反射型スクリーン1の強度を確保することが可能になる。したがって、常設型として好適な反射型スクリーン1を提供することができる。
【0023】
なお、可撓性を有する材料によって光反射基板10および光透過基板40を形成してもよい。光反射基板10は、例えばポリ塩化ビニルやガラス糸織布等によって形成することができる。また光透過基板40は、例えばポリカーボネート等のプラスティックフィルムによって形成することができる。このように、可撓性を有する材料によって光反射基板10および光透過基板40を形成することにより、スクリーン1をロール状に巻き取ることが可能になる。これにより、不使用時には小スペースにスクリーン1を保管し、使用時にのみスクリーン1を設置することができる。したがって、非常設型として好適な反射型スクリーン1を提供することができる。
【0024】
また、光反射基板10の表面には光の反射層20が形成されている。反射層20は、光反射率の高いAl等の金属材料をコーティングすることによって形成されている。これにより、入射光は反射層20の表面で正反射される。したがって、標準拡散板による反射光の10倍程度の高ゲインを確保することができる。ただし、反射光の視野角は15°程度と小さくなる。
【0025】
そして、反射層20の表面に回帰反射部22が形成されている。回帰反射部22は、入射光を入射方向に回帰反射させるものである。その回帰反射部22として、反射層20の表面に多数の半球状凹部24が形成されている。図2に本実施形態の反射型スクリーンの正面図を示す。各半球状凹部24は、隣接する半球状凹部相互の隙間ができるだけ小さくなるように最密充填配置されている。すなわち、1個の半球状凹部24の周囲に6個の半球状凹部24が等間隔で配置されいる。なお、相互に隣接する3個の半球状凹部24の中央部に、直径の小さい他の半球状凹部25を形成してもよい。このように、各半球状凹部24を最密充填配置することにより、入射光の正反射を減少させ回帰反射を増加させることができる。
【0026】
なお、図1に示す半球状凹部24の直径が可視光波長と同等の場合には、半球状凹部24に入射した可視光を反射することができずに、散乱させてしまうことになる。そこで、半球状凹部24の直径は、可視光波長より大きく形成するのが好ましい。具体的には、可視光波長が0.38〜0.78μm程度であることから、0.78μmより大きく形成すればよい。これにより、半球状凹部24に入射した可視光を散乱させることなく、回帰反射させることができる。一方、半球状凹部24の直径が大きくなると、半球状凹部24が鑑賞者によって視認されてしまう。この場合、半球状凹部24の模様が画像に現れて、反射型スクリーン1の表示品質を低下させることになる。そこで、半球状凹部24の直径は、200μm以下に形成するのが好ましい。これにより、半球状凹部24が鑑賞者5によって視認されることがなくなり、反射型スクリーン1の表示品質の低下を防止することができる。
【0027】
ところで、半球状凹部24の表面を鏡面状態とした場合には、プロジェクタ80から入射した画像光がプロジェクタ80に向かって回帰反射される。この場合、鑑賞者5の方向に反射される画像光が弱くなり、画像が暗くなってしまう。そこで、半球状凹部24の表面は、可視光を散乱可能な程度の粗面とするのが好ましい。具体的には、半球状凹部24の表面におけるRa(中心線平均粗さ)を、可視光波長ないし数μm程度とすればよい。すなわちRaが、0.38μm以上であって、2〜3μm以下となるようにする。これにより、電界無印加の状態で反射タイプのスクリーンとして使用する場合に、反射光の指向性を緩和して、画像の明るさを確保することができる。また、電界を印加して散乱タイプのスクリーンとして使用する場合に、光散乱性能を強化することができる。したがって、いずれの場合にも画像表示品質を向上させることができる。なお、半球状凹部24の表面のRaをこのように設定する場合には、上述した半球状凹部24の直径を比較的大きな値とするのが望ましい。また、半球状凹部24の表面を粗面とする代わりに、半球状凹部24の表面と電極30との間に散乱膜を形成してもよい。散乱膜は、二酸化ケイ素(SiO2)等の光透過性材料で構成する。そして、その表面にフロスト処理(曇ガラス処理)等を施すことにより、上記と同等の粗面を形成すればよい。
【0028】
上述した半球状凹部24は、グレースケールマスク(以下、GSMという)を利用したフォトリソグラフィによって形成することができる。GSMは、濃淡が断続的あるいは連続的に変化するフォトマスクである。すなわち、ポジ型レジストに対応するGSMの場合には、半球状凹部に相当する円形パターンの周縁部から中心部にかけて光透過性が増加している。半球状凹部24の具体的な形成手順は、まず反射層20の表面にレジストを塗布する。次に、上述したGSMを介してレジストを露光する。これにより、半球状凹部の形成位置におけるレジストは、周縁部から中心部にかけて深い位置まで露光される。そして露光されたレジストを現像すると、形成すべき半球状凹部と同等の凹部がレジストの表面に形成される。次に、このレジストをマスクとして反射層20をドライエッチングする。すると、レジストに形成された凹部が下方に移動するように反射層20がエッチングされる。以上により、反射層20の表面に半球状凹部24を容易に形成することができる。
【0029】
なお、半球状凹部24の形成方法は上記に限られず、例えば転写法を使用して半球状凹部24を形成してもよい。転写法は、レジストの表面に転写型を押圧して半球状凹部24と同等の凹部を形成するものである。転写型は、半球状凹部24に対応する半球状凸部を、石英ガラスやシリコン基板等の表面に形成したものである。転写型における半球状凸部の形成は、集束イオンビーム(FIB)加工法や、GSMを利用したフォトリソグラフィによって行うことができる。この転写法を用いてレジストの表面に半球状凹部24と同等の凹部を形成した後は、上記と同様にレジストをマスクとして反射層20をドライエッチングする。これにより、反射層20の表面に半球状凹部24が形成される。
【0030】
一方、上述した反射層20の表面および半球状凹部24からなる回帰反射部22の表面には、電極30が形成されている。また、光透過基板40の裏面にも電極32が形成されている。これら一対の電極30,32は、液晶層50に電界を印加するものであり、それぞれ光反射基板10および光透過基板40のほぼ全面にわたって形成されている。各電極30,32は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電性材料によって構成され、スパッタリング等によって形成されている。このように各電極30,32を透明導電性材料によって構成することにより、スクリーン1への入射光を反射層20まで到達させることができる。そして、各電極30,32は、図示しない電源に接続されている。
【0031】
なお、反射層20を金属等の導電性材料によって構成した場合には、反射層20を一方の電極として利用してもよい。なお、入射光は反射層20の表面で反射されるので、反射層20は透明材料によって構成する必要はない。このように、反射層20を電極として利用すれば、透明導電性材料からなる電極30を別途形成する必要がなくなる。したがって、製造コストを削減することができる。
【0032】
そして、一対の電極30,32の間には、モード可変層としての液晶層50が挟持されている。液晶層50は、液晶分子52と高分子54との複合体である高分子分散型液晶(散乱性液晶の一種)で構成されている。本実施形態では、Journal of the SID vol.7/1, pp.23−27に記載の、リバース散乱型(Internal−Reflection Inverted−Scattering Mode)の液晶が採用されている。このリバース散乱型の液晶は、液晶中にポリマー前駆体やモノマーを混合し、その液晶にUV光を照射してポリマー前駆体やモノマーを重合させたものである。その際、ポリマー前駆体やモノマーは液晶中でゲストとして分散しかつ配向しているので、この配向状態のまま光重合することでポリマー骨格を特定方向に並べて固定化することができる。なおモノマー材料として、例えば光感光性のメタクリレートを用いることができる。また液晶材料として、例えばシアノビフェニル系液晶をベースとしたネマティック液晶を用いることができる。なお、リバース散乱型の液晶は、PDLC(Polymer−Dispersed Liquid Crystal)の一種である。
【0033】
そして、UV照射条件や液晶材料、ポリマー前駆体の材料、モノマーの材料等を適宜選択することにより、ポリマー54の屈折率と液晶分子52の屈折率とをほぼ一致させた状態で液晶分子52を配向させることができる。これにより、液晶層50に電界が印加されない状態(OFF状態)で透明モードとなり、入射光は液晶中を直進する。一方、液晶層50に電界が印加されると、図3に示すように液晶分子52は電界に沿って再配向し、電界に追随しないポリマー54との間で屈折率の差異が生じる。これにより、液晶層50に電界が印加された状態(ON状態)で散乱モードとなり、入射光は液晶の表面で散乱される。なお、従来一般のPDLCがOFF時に散乱、ON時に透明であったのに対し、リバース散乱型の液晶はOFF時に透明、ON時に散乱となる点が大きな特徴である。
【0034】
なお高分子分散型液晶には、液晶が微小粒滴として高分子マトリクス中に分散しているタイプや、液晶の連続相中に高分子が3次元網目状または微小粒滴状に分散しているタイプがある。そして従来技術のように、液晶を固化物に分散保持させた液晶固化物複合体を採用する場合には、光透過モードを実現するために高電圧を印加することが必要になる。これに対して本発明のように、高分子を配向させつつ液晶中に分散させた高分子分散型液晶を採用すれば、電界無印加の状態で光透過モードを容易に実現することができる。したがって、電力消費量を低減することができる。
【0035】
なお図1に示すように、電界OFF時において液晶分子52をツイスト配向させれば、入射光を適度に散乱させて視野角を広げることが可能になる。特に、一対の電極30,32の間で、液晶分子52を270°程度ツイストさせた場合には、各方向に対してほぼ均等に視野角を広げることができる。なお、本実施形態では一対の電極30,32の表面に必ずしも配向膜を形成する必要はないが、液晶分子52をツイスト配向させる場合には配向膜を形成するのが好ましい。この場合、電極30側の配向膜と電極32側の配向膜とは、配向規制方向を270°程度ずらした状態で配置する。
【0036】
[使用方法]
次に、本実施形態の反射型スクリーンの使用方法につき、図1および図3を用いて説明する。
図1は、電界無印加時における反射型スクリーンの動作説明図である。上述した液晶層50では、ポリマー54が配向した状態で固定化されている。また電界無印加時には、ポリマー54の屈折率と液晶分子52の屈折率とがほぼ一致するように液晶分子52が配向されている。これにより、液晶層50の光透過率が増加して光透過モードとなり、本実施形態の反射型スクリーンは回帰反射タイプのスクリーンとして機能する。
【0037】
一方、反射型スクリーン1と対向するように、プロジェクタ80が配置されている。このプロジェクタ80から、電界無印加状態のスクリーン1に向かって画像光82を投射すると、スクリーン1に入射した画像光82は、透明状態の液晶層50を直進する。そして、反射層20の表面に形成された半球状凹部24に到達する。この半球状凹部24は、入射光に対して垂直な面を含んでいるので、入射光を入射方向に回帰反射させる。そのため、画像光は主にプロジェクタ80の方向に反射されることになる。しかし、半球状凹部24の表面は可視光を散乱しうる程度の粗面とされているので、反射光のベクトルは楕円84のように分布する。しかも、反射層20は光反射率の高い材料によって構成されているので、反射光のゲインを確保することができる。そこで、スクリーン1に対する鑑賞者5の方向とほぼ同じ方向にプロジェクタ80を配置する。これにより、スクリーン1への入射光に対する鑑賞者5への反射光の角度が小さくなるので、鑑賞者5に対して強い画像光を供給することができる。これにより、画像光のゲインを確保することが可能になり、反射型スクリーンの画像表示品質を確保することができる。
【0038】
なお、反射型スクリーン1が設置された室内には照明90が設けられている。そのため、反射型スクリーン1には照明光も入射することになる。スクリーン1に入射した照明光92は、透明状態の液晶層50を直進する。そして、反射層20の表面に形成された半球状凹部24に到達する。この半球状凹部24は、入射光に対して垂直な面を含んでいるので、入射光を入射方向に回帰反射させることができる。そのため、照明光は主に照明90の方向に反射される。なお、半球状凹部24の表面は可視光を散乱しうる程度の粗面とされているので、反射光のベクトルは楕円94のように分布することになる。しかし、一般に照明90は天井等に配置されているので、スクリーン1への入射光に対する鑑賞者5への反射光の角度は相当に大きくなる。したがって、鑑賞者5に向かって反射する照明光は弱くなり、照明光の影響による画像の見にくさを低減することができる。これにより、反射型スクリーンの画像表示品質を確保することができる。
【0039】
このように、電界無印加時における本実施形態の反射型スクリーン1は、画像光のゲインを確保することが可能であり、また照明の影響を低減することが可能である。加えて、内面反射を利用しているので、視差がなく高解像度を得ることができる。ただし、光反射率の高い反射層20において入射光を反射させているので、視野角が狭くなるという特徴がある。したがって、室内の明るさを問わず、少人数で画像を鑑賞する場合に適している。
【0040】
一方、図3は電界印加時における反射型スクリーンの動作説明図である。一対の電極30,32により液晶層50に電界を印加すると、液晶分子52が電界に沿って再配向され、電界に追随しないポリマー54との間で屈折率の差異が生じる。これにより、液晶層50の光透過率が低下して散乱モードとなり、本実施形態の反射型スクリーンは散乱タイプのスクリーンとして機能する。
【0041】
このように電界を印加したスクリーン1に向かって、プロジェクタ180から画像光182を投射すると、スクリーン1に入射した画像光182は液晶層50において散乱される。その散乱光の一部が鑑賞者105に到達するので、鑑賞者105は画像を見ることができる。なお、散乱光のベクトルは半球184状に分布するので、スクリーンの前方に多数の鑑賞者105がいる場合でも、ほとんどの鑑賞者105が画像を見ることができる。したがって、スクリーン1の視野角は60°程度に広くなる。ただし、散乱光は弱いので、ゲインを確保するのは困難である。
【0042】
なお、スクリーン1には照明190からの照明光192も入射する。スクリーン1に入射した照明光192は、画像光と同様に液晶層50において散乱される。その散乱光の一部は鑑賞者105に到達するので、鑑賞者105は画像光とともに照明光を見ることになる。このように、電界印加時における本実施形態の反射型スクリーン1は、広い視野角を確保できるが、照明光の影響を受けるという特徴がある。したがって、鑑賞者の位置や人数を問わず、暗い室内で画像を鑑賞する場合に適している。
【0043】
上述したように、電界無印加時における本実施形態の反射型スクリーン1は、画像光のゲインを確保することが可能であり、また照明の影響を低減することが可能であるが、視野角が狭くなるという特徴がある。そのため、室内の明るさを問わず、少人数あるいは個人で画像を鑑賞する場合に適している。一方、電界印加時における本実施形態の反射型スクリーン1は、広い視野角を確保できるが、照明光の影響を受けるという特徴がある。そのため、鑑賞者の位置や人数を問わず、暗い室内で画像を鑑賞する場合に適している。そして、印加する電界の強さを調節することにより、両者の中間的な特徴を実現することが可能である。したがって、印加する電界の強さを調節することにより、あらゆる用途に適したスクリーンを提供することができる。
【0044】
なお近時では、家庭向けプロジェクタの普及等により、少人数あるいは個人による画像鑑賞の機会が増加している。そのため、反射型スクリーンの利用形態は、大人数で画像を鑑賞する場合よりも、少人数で画像を鑑賞する場合の方が多くなりつつある。本実施形態の反射型スクリーンは、電界無印加時において少人数あるいは個人による画像鑑賞に適するものとなり、電界印加時において大人数による画像鑑賞に適するものとなる。したがって、電力消費量を低減することができるのである。
【0045】
なお本実施形態では、図1に示すように、回帰反射部22として半球状凹部24を形成した。しかし、回帰反射部22としてビーズ等の透明球状体を採用することも可能である。この場合には、反射層20の表面に多数のビーズを最密充填配置する。その際、各ビーズの底部を反射層20の表面に接着してもよいし、各ビーズの下半部を反射層20の表面に埋め込んでもよい。この透明球状体も、半球状凹部と同様に、あらゆる角度で入射する光に対して垂直な面を有している。したがって、入射光をその入射方向に回帰反射することができる。
【0046】
また、本実施形態の反射型スクリーンの表面に偏光フィルムを形成して、偏光スクリーンを形成してもよい。図4は、電圧印加時における反射型偏光スクリーンの動作説明図である。この反射型偏光スクリーン201では、光透過基板240の表面に、偏光透過部としての偏光板260が配置されている。偏光板260は、ポリビニルアルコール等のフィルムにヨウ素分子等を配向させて構成することができる。この偏光板260は、ヨウ素分子の長軸方向に対して垂直に振動する偏光のみを透過することができる。一方、この偏光スクリーン201に画像光を投射するプロジェクタとして、偏光プロジェクタ280を採用する。偏光プロジェクタ280が投射する画像光は、偏光板260を透過しうる偏光のみによって構成されている。
【0047】
この偏光プロジェクタ280から投射された画像光は、すべて偏光板260を透過して偏光スクリーン201に入射する。なお、液晶層250には電界が印加されているので、上述した実施形態と同様に入射光は散乱される。この散乱光は入射光と同じ偏光によって構成されているので、偏光板260を再透過し、その一部が鑑賞者205に到達する。一方、照明290から照射された照明光は、あらゆる方向に振動する光によって構成されている。したがって、この照明光のうち一部の偏光のみが偏光板260を透過して、偏光スクリーン201に入射する。この入射光は液晶層250で散乱され、散乱光が偏光板260を再透過して、その一部が鑑賞者205に到達する。ところで、図3において鑑賞者105に到達する照明光は、あらゆる方向に振動する光によって構成されている。これに対して、図4において鑑賞者205に到達する照明光は、偏光板260を再透過した偏光のみによって構成されているので、光強度が弱くなっている。したがって、画像光の強度を維持したまま、照明光の影響を低減することが可能になり、スクリーンの画像表示品質を向上させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】電界無印加時における反射型スクリーンの動作説明図である。
【図2】反射型スクリーンの正面図である。
【図3】電界印加時における反射型スクリーンの動作説明図である。
【図4】電界印加時における反射型偏光スクリーンの動作説明図である。
【符号の説明】
10光反射基板 22回帰反射部 24半球状凹部 50液晶層
Claims (12)
- 光反射基板と、
前記光反射基板の表面に配置され、電界無印加時には光透過モードを示し電界印加により光散乱モードを示すモード可変層と、
を備えていることを特徴とする反射型スクリーン。 - 前記モード可変層は、高分子分散型液晶を備え、
前記高分子分散型液晶は、電界無印加時には液晶分子の屈折率と高分子の屈折率とが同等に設定され、電界印加により前記液晶分子の屈折率と前記高分子の屈折率とが異なるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。 - 前記光反射基板の表面は、可視光を散乱可能な粗面とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反射型スクリーン。
- 前記光反射基板と前記モード可変層との間に、可視光の散乱膜が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反射型スクリーン。
- 前記光反射基板は、光の回帰反射部を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の反射型スクリーン。
- 前記回帰反射部は、前記光反射基板の表面に形成された複数の半球状凹部によって構成されていることを特徴とする請求項5に記載の反射型スクリーン。
- 前記半球状凹部の直径は、可視光波長より大きく形成されていることを特徴とする請求項6に記載の反射型スクリーン。
- 前記半球状凹部の直径は、200μm以下に形成されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の反射型スクリーン。
- 前記光反射基板は、硬質材料で構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の反射型スクリーン。
- 前記光反射基板は、可撓性を有する材料で構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の反射型スクリーン。
- 前記光反射基板は、表面に光反射層を備え、
前記光反射層は、前記モード可変層に対して電界を印加可能に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の反射型スクリーン。 - 前記モード可変層の表面に、偏光透過部が配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の反射型スクリーン。
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