JP2005010053A - 半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】HFETエピタキシャル膜の上に存在する表面側エピタキシャル領域構造に影響されることなく、チャネル層のシートキャリヤ濃度を評価することが可能な半導体エピタキシャル膜の完全な非破壊検査方法を提供すること。
【解決手段】基板の表面にバッファ層を介して形成された半導体エピタキシャル膜のキャリア濃度をフォトルミネッセンスで非破壊検査する方法において、該基板のバンドギャップエネルギーより低いエネルギーをもつ励起光を該基板の裏面側から照射し、フォトルミネッセンスを該基板の裏面から検出することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】基板の表面にバッファ層を介して形成された半導体エピタキシャル膜のキャリア濃度をフォトルミネッセンスで非破壊検査する方法において、該基板のバンドギャップエネルギーより低いエネルギーをもつ励起光を該基板の裏面側から照射し、フォトルミネッセンスを該基板の裏面から検出することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法に係る。より詳細には、半導体エピタキシャル膜を破壊することなく,フォトルミネッセンススペクトルの測定からシートキャリヤ濃度を評価することが可能な半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法に関する。
【0002】
特に、超高速のデバイスとして近年脚光をあびているInP基板を用いたInAlAs/InGaAs等のヘテ口構造変調ドープ電界効果トランジスタにおいてチャネル層として機能する半導体エピタキシャル膜の評価法として本発明は好適に用いられる。
【0003】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2000−028518号公報
【非特許文献1】
{H.Hida,T.Tsukada,Y.0gawa,H.Toyoshima,M.Fujii,K.Shibahara,M.Kohno,andT.Nozaki,IEEETrans.Eleectron Device,36,223(1989)}。
【0004】
近年、マルチメディアの発達に対応した光伝送通信システムあるいは無線通信システムのブロードバンド化等に伴ない、半導体デバイスには更なる高速動作が求められている。このような分野において、ヘテ口構造変調ドープ電界効果トランジスタ(以後「HFET」と略記)は最も高速な半導体デバイスの一つである。中でも、InP基板上のInAlAs/InGaAsを主バリヤ/チャネル材料構成とするHFETは、超高速のデバイスとして注目されている。このような構成のデバイスでは、基板上に前もってチャネル層として機能するInGaAs層を含む半導体エピタキシャル膜が設けられ、その膜を用いてInAlAs/InGaAs系HFETが形成される。
【0005】
従って、半導体エピタキシャル膜に対して、デバイス作製プロセスに供する前に非破壊評価によってチャネル層のシートキャリヤ濃度(以後「Ns」と略記)を求めスクリーニングすることができれば、所望のデバイス特性(例えば、しきい値電圧(以後「Vth」と略記)を有するHFETを歩留まり良く得ることができる。例えば、上記Nsと上記Vthには一定の関係があることが報告されている(【非特許文献1】)ため、Ns知ればVthの設計が可能となる。
【0006】
一方、InP基板上のInAlAs/InGaAs系HFETエピタキシャル膜ではソースドレイン電極のアロイ熱処理ができない。それは、アロイ熱処理を行うとフッ素汚染等材料劣化を招いてしまうためである。そこで、オーミックコンタクトをとるためにはn+InGaAs等の高導電性のコンタクトエピタキシャル層をHFETエピタキシヤル膜の表面側に用いノンアロイ電極をつける必要がある。また、そのHFETを用いてソースカップルFET論理回路を構成するときにはレベルシフトダイオードが用いられる。そのため、HFETエピタキシャル膜に続いてレベルシフトダイオード領域がエピタキシャル成長される。これらのコンタクト層やダイオード領域は、HFET用エピタキシャル膜のチャネル層のNsに対する非破壊検査の障害となる。
【0007】
従来、エピタキシャル膜のキャリヤ濃度等電気特性の非破壊検査に実用的に用いられているうず電流法は、チャネル層以外に導電層(例えばコンタクト層)をもつHFETエピタキシャル膜には適用できない。これはチャネル層のNsとそれ以外の導電層のNsとを同時に測定してしまい、両者のNsの分離ができないためである。また、コンタクト層を持たないHFETエピタキシャル膜に対しチャネルNsの非破壊測定方法としてフォトリフレクタンス法が報告されている。しかし、この方法では、コンタクト層やダイオード領域が表面側にあるとチャネル層からの所望の信号の検出が困難となる。
【0008】
一方、コンタクト層やダイオード領域があってもHFETエピタキシャル膜のチャネルNsの非破壊評価が可能な測定法としては,フォトルミネッセンス法を用いた測定が報告されている。このフォトルミネッセンス法は、エピタキシャル膜や基板を構成する半導体のバンドギャップより高エネルギーの励起レーザー光をエピタキシャル膜表面側から照射し、発生するルミネッセンスを表面側から検出するものである。研究段階の初めでは、フォトルミネッセンス(以後「PL」と略記)によるチャネルNsの評価は、低温(例えば20K)で行われた。
【0009】
HFETチャネル層における基底準位の電子e1と基底準位の正孔hとの結合に対応するPLピークエネルギー位置E1およびフェルミエネルギー位置の電子eFと基底準位の正孔hとの結合に対応する高エネルギー側肩部のエネルギー位置EF間のエネルギー差Δ*Eを求めている。そのΔ*EがNsとほぼ線形関係にあることを利用している。しかし、冷却過程において、ウェハの表面が汚れたり傷ついたりすること、あるいはエピタキシャル膜に歪が生じること、などの心配があるため完全な非破壊測定とは言えず、HFET等デバイスの実用生産ラインでは受け入れがたい。
【0010】
そこで、室温におけるPL測定からNsを求める方法が開発された。室温ではE1とEFの位置が識別できず、Δ*EをPLスペクトルから求めることができない。代わりに、HFETエピタキシャル膜のチャネル層からのPLスペクトルの最大強度の主ピーク位置に対応する第1のエネルギーEpを求め、前記ピークの高エネルギー側で前記スペクトルが前記ピーク値の50%前後の範囲のあらかじめ決めた値となる位置の第2のエネルギー値Ehを求め、前記第1のエネルギー値Epと前記第2のエネルギー値Ehとの差ΔEを算出し(図4参照)、前記差分とホール効果Ns測定値との比較からあらかじめ求めておいた関係を用いて、前記半導体エピタキシャル膜のNsを推定する技術が提案されている(【特許文献1】)。
【0011】
上記の室温PL測定は完全な非破壊測定といえるが、次のような課題がある。InAlAs/InGaAs系HFETにおけるエピタキシャル膜のチャネル層よりも表面側に存在するHFETコシタクト領域の厚み変化(用途に応じコンタクト抵抗を調節する際必要が生じる)やHFETエピタキシャル膜の上に存在するレベルシフトダイオード領域(ソースカップルFET論理回路を構成するとき必要が生じる)の有無等表面側のエピタキシシャル領域の存在条件でΔE値が変動する。この主原因は、PL励起光がそれらの表面側のエピタキシャル領域で吸収され、対象とするPLが発生するチャネル層に到達した時弱められているためである。そのため、表面側エピタキシャル領域条件の違う構造のInAlAs/InGaAs系HFETエピタキシャル膜を用いて予め求めておいたΔE−Nsの相関関係を適用し、ΔEからNsを求めると誤差を生じる。また、コンタクト領域がチャネル層と同じInGaAsを含むため、チャネルで発生したPL光の一部が吸収し、観測されるPLスペクトルひいてはΔE値に影響する懸念が問題視される。
【0012】
一方、ソース結合FET論理回路を形成するときはレべルシフトダイオード領域が必要であるし、FETを単体で使うときにはレベルシフトダイオード領域が不必要である。また、ソースドレイン電極金属の種類やFETの用途によりコンタクト領域の層構造や厚みを変えオーミック特性を調整することが必要となる。なお、このコンクタト領域の厚み変化やレベルシフトダイオード領域の存在ほ室温PLの場合のみならず低温PLでのE1とEFの位置測定の際にも同様の誤差を生じることが問題視される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、HFETエピタキシャル膜の上に存在する表面側エピタキシャル領域構造に影響されることなく、チャネル層のシートキャリヤ濃度を評価することが可能な半導体エピタキシャル膜の完全な非破壊検査方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法は、基板の表面にバッファ層を介して形成された半導体エピタキシャル膜のキャリア濃度をフォトルミネッセンスで非破壊検査する方法において、該基板のバンドギャップエネルギーより低いエネルギーをもつ励起光を該基板の裏面側から照射し、フォトルミネッセンスを該基板の裏面から検出することを特徴とする。
【0015】
【作用】
本発明の作用を基板としてInP、HFETエピタキシャル膜としてInAlAs/InGaAs系HFETエピタキシャル膜を例にとり説明する。
【0016】
本発明者は、InP基板上のInAlAs/InGaAs系HFETエピタキシャル膜が、チャネル層より表面側にチャネルと同じInGaAsから主になるn+コンタタト領域を持ちさらにInAlAsから主になるレベルシフトダイオード領域を持つ構造の場合があること、それらの構造条件により表面からチャネルに到達するPL励起光強度ひいてはΔEが変化してくることの対策として、チャネルに到達するPL励起光強度を一定で変化しないように工夫した。そのため、InP基板の裏面側から励起光を照射することとし表面側構造条件の影響を受けないようにした。
【0017】
しかし、裏面側には非常に厚いInP基板とInAlAsバッファ層(例えばInAlAsバッファ層)が存在するため通常のPL励起光(例えば緑色光のアルゴンレーザー光や赤色光のヘリウムネオンレーザー光)が吸収されてしまいチャネル層まで到達しない。基板やバッファ層のバンドギャップエネルギーは一般にチャネルよりも高いので、基板やバッファ層よりエネルギーが低くチャネルよりエネルギーが高い励起光を照射すると吸収されることなくチャネルに到達しそこでPLを励起することができる。またチャネルで発生したPL光は、裏面側がバッファ層のInAlAs基板のInPからなることからチャネル層と同じInGaAsを含まないため裏面側を通過する時吸収されず、観測されるPLスペクトルがバッファ層や基板に影響されない。
【0018】
【実施例】
以下では、本発明に係る半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法について実施例に基づきより具体的に詳述する。
【0019】
(実施例1)
評価対象として、半導体エピタキシャル膜としてInGaAsからなるチャネル層を有する、表1に示した層構成からなるHFET用ウェハを用意した。表1のInAlAsとしてはIn0.52Al0.48Asを、InGaAsとしてはInGa0.58As0.47を、それぞれ用いた。またInP基板は表面及び裏面の両面ともに鏡面状態のものである。
【0020】
【表1】
【0021】
表1に示す構成のウェハを15枚用い、各ウェハの4箇所(5mm間隔の正方形位置)で5回ずつ合計20回の室温PLスペクトル測定を行った。各スペクトルから、図4に示すように主ピーク高エネルギー側半値位置のエネルギーEhと主ピーク最大強度位置のエネルギーEpとの差ΔEを求め、20回の測定について平均操作を行い平均値ΔEaveを求めた。その際エピタキシャル膜表面から波長524.5nm(InGaAs、InP、InAlAsいずれのバンドギャップよりもエネルギーが大きい)のアルゴンレーザー光を照射している状態で表面側からPL測定した。そのアルゴンレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEAVEとPL測定後に対応する4箇所でホール効果素子を作って求めたチャネルシートキャリヤ濃度Nsとの平均値NSAVEの相関を図5に×印で示す。
【0022】
また、ダイオード領域をエッチングで取り除いた15枚のウェハに対し同様のPL測定操作を行った。その場合のΔEAVEとNSAVEとの相関を図5に白丸で示す。図5から、HFET作製に通常用いられる実用上重要な1×cm2<NSAVE<3×1012cm2の範囲すなわち図中のNSAVEが低い範囲において、ダイオード領域がある場合のほうが同じNSAVEに対応するΔEAVEの値が明らかに小さいことがわかる。この小さくなる理由は前に説明したようにPL励起光がダイオード領域により吸収されチャネルに到達する強度が低くなりそこで光励起されるキャリヤが少なくなるためである。その際、Nsが高くもともとキャリヤが多く存在するとこの光励起されるキャリヤ濃度変化の影響が小さくなり、反対にNsが低く、もともとキャリヤが少なく存在すると光励起されるキャリヤ濃度変化の影響が大きくなると考えられる。
【0023】
又、各ウェハの対応する4箇所(5mm間隔の正方形位置)で5回ずつ合計20回、基板側裏面から波長1000nm(InGaAsのバンドギャップよりもエネルギーが大きく、InPおよびInAlAsのバンドギャップよりエネルギーが小さい)のチタンサファイアレーザー光を照射している状態で裏面からPL測定した。チタンサファイアレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEAVEとPL測定後にホ―ル効果素子を作って求めたチャネルNsの平均値NSAVEの相関を図1に×印で示す。次に、ダイオード領域をエッチングで取り除いた15枚のウェハに対し同様の操作を行った。その場合のΔEAVEとNSAVEの相関を図1に白丸で示す。アルゴンレーザーの場合と異なりダイオード領域があってもなくてもほぼ同じΔEAVEとNSAVEの値の相関を示している。これは、前に説明したように、チャネルでPLが励起される条件およびチャネルで発生したPLがウェハから取り出されまでに受ける減衰条件がダイオード領域の有無に影響されないためである。ここでチタンサファイアレーザー光の波長として1000nmを使ったがInGaAsチャネルのバンドギャップエネルギー(約0.86eV:波長約1450nm)より高いエネルギーでInP基板のバンドギャップエネルギー(約1.35eV:波長約920nm)より低いエネルギーの他波長であってもよい。なお、In0.52Al0.48Asのバンドギャップエネルギー(約1.49eV:波長約830nm)はInPより高い。
【0024】
(実施例2)
評価対象として、半導体エピタキシャル膜としてInGaAsからなるチャネル層を有する、表2に示した層構成からなるHFET用ウェハを用意した。すなわち、これらのウェハは表面裏面とも鏡面状態のInP基板上にInAlAs/InGaAs系HFET構造を備えている。但し、実施例1と同様、表2のInAlAsとしてはIn0.52Al0.48Asを、InGaAsとしてはInGa0.58As0.47を、それぞれ用いた。実施例1と異なるところは、ダイオード領域がas−grownの状態で無いこと、InGaAsコンタタト層の厚みが非常に大きいことである。
【0025】
【表2】
表2に示す構成のウェハ15枚を用い、各ウェハ4箇所(5mm間隔の正方形位置)で5回ずつ合計20回の室温PLスペクトル測定を行った。実施例1と同じく、各スペクトルからΔEを求め、20回の測定について平均操作を行い平均値ΔEAVEを求めた。その際はじめの20回はエピタキシャル膜表面から波長524.5nmのアルゴンレーザー光を照射している状態で表面側からPL測定し、引き続き対応する4箇所で5回ずつ合計20回基板側裏面から波長1000nmのチタンサファイアレーザー光を照射している状態で裏面からPL測定した。
【0026】
アルゴンレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEAVEとPL測定後に対応する4箇所でホール効果素子を作って求めたチャネルNsの平均値NSAVEの相関を図2に+印で示す。加えて図2には、実施例1のダイオード領域をエッチングで取り除いた15枚のウェハに対する、ΔEAVEとNSAVEの相関を比較のため白丸で示す。図2から、HFET実用上重要な1×1012cm2<NSAVE<3×1012cm2の範囲すなわち図中のNSAVEが低い範囲において、コンタクト層の厚い実施例2の場合のほうが同じNSAVEに対応するΔEAVEの値が明らかに小さいこどがわかる。この小さくなる理由は前に説明したようにPL励起光が厚いコンタタト層により大きく吸収されチャネルに到達する強度が低くなりそこで光励起されるキャリヤが少なくなるためである。その際、Nsが高くもともとキャリヤが多く存在するとこの光励起されるキャリヤ濃度変化の影響が小さくなり、反対にNsが低く、もともとキャリヤが少なく存在すると光励起されるキャリヤ濃度変化の影響が大きくなる。
【0027】
チタンサファイアレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEAVEとその後にホール効果素子を作って求めたチャネルNsの平均値NSAVEの相関を図3に+印で示す。加えて図3には、実施例1のダイオード領域をエッチングで取り除いた15枚のウェハに対する、ΔEAVEとNSAVE の値の相関を白丸で示す。アルゴンレーザーの場合と異なりInGaAsコンタクト層の厚みにかかわらずほぼ同じΔEAVEとチャネルNSAVEの値の相関を示している。これは、チャネルでPLが励起される条件およびチャネルで発生したPLがウエハから取り出されるまでに受ける減衰がコンタクト領域の厚みに影響されないためである。
【0028】
ここでチタンサファイアレーザー光の波長として1000nmを使ったがInGaAsチャネルのバンドギャップエネルギー(約0.86eV:波長約1450nm)より高いエネルギーでInP基板のバンドギャップエネルギー(約1.35eV:波長約920nm)より低いエネルギーの他波長であってもよい。実施例1および実施例2では、チャネル表面側のエピタキシャル膜構造の変化はダイオード領城の有無とコンタクト層の厚みに限られたが、コンタクト層のIn組成等他の変化にも本半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法ほ有効である。なお、チャネル裏両側のバッファ層の構造は通常変化させない。したがって、本半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法はチャネル表面側のエピタキシヤル膜構造が変化しても同じΔEAVEとNSAVEの相関を用いてNsの非破壊評価ができる。
【0029】
実施例1および実施例2では、InP基板上のInAlAs/InGaAs系HFET構造系エピタキシャル膜に対して特に顕著な効果が得られるが、GaAs基板上のAlGaAs/InGaAs系やInGaP/InGaAs系のHFET構造エピタキシヤル膜でバリヤ/チヤネル層の表面側にダイオード領域等の他のエピタキシャル膜領域をもつものであってもよい。
【0030】
また、基板よりバンドエネルギーの低いチャネル等の導電性エピタキシャル層をもつ電界効果トランジスタ用のエピタキシャル膜で、その表面側に電界効果トランジスタ以外の層構造のエピタキシャル領域をもつものであってもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、ヘテロ構造変調ドープ電界効果型トランジスタ(HFET)を作製するための半導体エピタキシャルウェハの重要な電気特性であるチャネル層のシートキャリヤ濃度Nsを、チャネル層の表面側エピタキシャル構造に影響されることなく、フォトルミネッセンスで評価することが可能となる。
【0032】
本発明により、HFETの重要な特性であるしきい値電圧に関しより簡単に歩留まり良く所望の値のウェハを得ることができるようになる。したがって、廃棄ウェハの低減につながり、省資源、環境保全の意味からも有意義な技術といえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】チタンサファイアレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEの平均値ΔEAVEとその後にホール効果素子を作って求めたチャネルNsの平均値NSAVEの相関を示した図である。表面側にダイオード領域があるウェハにおける相関を×印で示す。また、ダイオード領域をエッチングで取り除いたウェハにおける相関を白丸で示す。
【図2】アルゴンレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEの平均値ΔEAVEとその後にホール効果素子を作って求めたチャネルNsの平均値NSAVEの相関を示した図である。表面側に厚いInGaAsコンタタト領域があるウェハにおける相関を+印で示す。また、実施例1で用いた表面側に薄いInGaAsコンタタト領域があるウェハにおける相関を比較のため白丸で示す。
【図3】チタンサファイアレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEの平均値ΔEAVEとその後にホール効果素子を作って求めたチャネルNsの平均値NSAVEの相関を示した図である。表面側に厚いInGaAsコンタクト領域があるウェハにおける相関を+印で示す。また、実施例1で用いた表面側に薄いInGaAsコンタタト領域があるウェハにおける相関を比較のため白丸で示す。
【図4】HFETエピタキシャル膜のチャネル層の室温PLスペクトルからΔEを求める過程を示す図である。通常主PLピークの強度最大位置のエネルギーEpと主ピークの高エネルギー側半値位置のエネルギーEhとからΔE=Eh―Epを求める。
【図5】アルゴンレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEの平均値ΔEAVEとその後にホール効果素子を作って求めたチャネルNsの平均価NSAVEの相関を示した図である。表面側にダイオード領域があるウェハにおける相関を×印で示す。また、ダイオード領域をエッチングで取り除いたウェハにおける相関を白丸で示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法に係る。より詳細には、半導体エピタキシャル膜を破壊することなく,フォトルミネッセンススペクトルの測定からシートキャリヤ濃度を評価することが可能な半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法に関する。
【0002】
特に、超高速のデバイスとして近年脚光をあびているInP基板を用いたInAlAs/InGaAs等のヘテ口構造変調ドープ電界効果トランジスタにおいてチャネル層として機能する半導体エピタキシャル膜の評価法として本発明は好適に用いられる。
【0003】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2000−028518号公報
【非特許文献1】
{H.Hida,T.Tsukada,Y.0gawa,H.Toyoshima,M.Fujii,K.Shibahara,M.Kohno,andT.Nozaki,IEEETrans.Eleectron Device,36,223(1989)}。
【0004】
近年、マルチメディアの発達に対応した光伝送通信システムあるいは無線通信システムのブロードバンド化等に伴ない、半導体デバイスには更なる高速動作が求められている。このような分野において、ヘテ口構造変調ドープ電界効果トランジスタ(以後「HFET」と略記)は最も高速な半導体デバイスの一つである。中でも、InP基板上のInAlAs/InGaAsを主バリヤ/チャネル材料構成とするHFETは、超高速のデバイスとして注目されている。このような構成のデバイスでは、基板上に前もってチャネル層として機能するInGaAs層を含む半導体エピタキシャル膜が設けられ、その膜を用いてInAlAs/InGaAs系HFETが形成される。
【0005】
従って、半導体エピタキシャル膜に対して、デバイス作製プロセスに供する前に非破壊評価によってチャネル層のシートキャリヤ濃度(以後「Ns」と略記)を求めスクリーニングすることができれば、所望のデバイス特性(例えば、しきい値電圧(以後「Vth」と略記)を有するHFETを歩留まり良く得ることができる。例えば、上記Nsと上記Vthには一定の関係があることが報告されている(【非特許文献1】)ため、Ns知ればVthの設計が可能となる。
【0006】
一方、InP基板上のInAlAs/InGaAs系HFETエピタキシャル膜ではソースドレイン電極のアロイ熱処理ができない。それは、アロイ熱処理を行うとフッ素汚染等材料劣化を招いてしまうためである。そこで、オーミックコンタクトをとるためにはn+InGaAs等の高導電性のコンタクトエピタキシャル層をHFETエピタキシヤル膜の表面側に用いノンアロイ電極をつける必要がある。また、そのHFETを用いてソースカップルFET論理回路を構成するときにはレベルシフトダイオードが用いられる。そのため、HFETエピタキシャル膜に続いてレベルシフトダイオード領域がエピタキシャル成長される。これらのコンタクト層やダイオード領域は、HFET用エピタキシャル膜のチャネル層のNsに対する非破壊検査の障害となる。
【0007】
従来、エピタキシャル膜のキャリヤ濃度等電気特性の非破壊検査に実用的に用いられているうず電流法は、チャネル層以外に導電層(例えばコンタクト層)をもつHFETエピタキシャル膜には適用できない。これはチャネル層のNsとそれ以外の導電層のNsとを同時に測定してしまい、両者のNsの分離ができないためである。また、コンタクト層を持たないHFETエピタキシャル膜に対しチャネルNsの非破壊測定方法としてフォトリフレクタンス法が報告されている。しかし、この方法では、コンタクト層やダイオード領域が表面側にあるとチャネル層からの所望の信号の検出が困難となる。
【0008】
一方、コンタクト層やダイオード領域があってもHFETエピタキシャル膜のチャネルNsの非破壊評価が可能な測定法としては,フォトルミネッセンス法を用いた測定が報告されている。このフォトルミネッセンス法は、エピタキシャル膜や基板を構成する半導体のバンドギャップより高エネルギーの励起レーザー光をエピタキシャル膜表面側から照射し、発生するルミネッセンスを表面側から検出するものである。研究段階の初めでは、フォトルミネッセンス(以後「PL」と略記)によるチャネルNsの評価は、低温(例えば20K)で行われた。
【0009】
HFETチャネル層における基底準位の電子e1と基底準位の正孔hとの結合に対応するPLピークエネルギー位置E1およびフェルミエネルギー位置の電子eFと基底準位の正孔hとの結合に対応する高エネルギー側肩部のエネルギー位置EF間のエネルギー差Δ*Eを求めている。そのΔ*EがNsとほぼ線形関係にあることを利用している。しかし、冷却過程において、ウェハの表面が汚れたり傷ついたりすること、あるいはエピタキシャル膜に歪が生じること、などの心配があるため完全な非破壊測定とは言えず、HFET等デバイスの実用生産ラインでは受け入れがたい。
【0010】
そこで、室温におけるPL測定からNsを求める方法が開発された。室温ではE1とEFの位置が識別できず、Δ*EをPLスペクトルから求めることができない。代わりに、HFETエピタキシャル膜のチャネル層からのPLスペクトルの最大強度の主ピーク位置に対応する第1のエネルギーEpを求め、前記ピークの高エネルギー側で前記スペクトルが前記ピーク値の50%前後の範囲のあらかじめ決めた値となる位置の第2のエネルギー値Ehを求め、前記第1のエネルギー値Epと前記第2のエネルギー値Ehとの差ΔEを算出し(図4参照)、前記差分とホール効果Ns測定値との比較からあらかじめ求めておいた関係を用いて、前記半導体エピタキシャル膜のNsを推定する技術が提案されている(【特許文献1】)。
【0011】
上記の室温PL測定は完全な非破壊測定といえるが、次のような課題がある。InAlAs/InGaAs系HFETにおけるエピタキシャル膜のチャネル層よりも表面側に存在するHFETコシタクト領域の厚み変化(用途に応じコンタクト抵抗を調節する際必要が生じる)やHFETエピタキシャル膜の上に存在するレベルシフトダイオード領域(ソースカップルFET論理回路を構成するとき必要が生じる)の有無等表面側のエピタキシシャル領域の存在条件でΔE値が変動する。この主原因は、PL励起光がそれらの表面側のエピタキシャル領域で吸収され、対象とするPLが発生するチャネル層に到達した時弱められているためである。そのため、表面側エピタキシャル領域条件の違う構造のInAlAs/InGaAs系HFETエピタキシャル膜を用いて予め求めておいたΔE−Nsの相関関係を適用し、ΔEからNsを求めると誤差を生じる。また、コンタクト領域がチャネル層と同じInGaAsを含むため、チャネルで発生したPL光の一部が吸収し、観測されるPLスペクトルひいてはΔE値に影響する懸念が問題視される。
【0012】
一方、ソース結合FET論理回路を形成するときはレべルシフトダイオード領域が必要であるし、FETを単体で使うときにはレベルシフトダイオード領域が不必要である。また、ソースドレイン電極金属の種類やFETの用途によりコンタクト領域の層構造や厚みを変えオーミック特性を調整することが必要となる。なお、このコンクタト領域の厚み変化やレベルシフトダイオード領域の存在ほ室温PLの場合のみならず低温PLでのE1とEFの位置測定の際にも同様の誤差を生じることが問題視される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、HFETエピタキシャル膜の上に存在する表面側エピタキシャル領域構造に影響されることなく、チャネル層のシートキャリヤ濃度を評価することが可能な半導体エピタキシャル膜の完全な非破壊検査方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法は、基板の表面にバッファ層を介して形成された半導体エピタキシャル膜のキャリア濃度をフォトルミネッセンスで非破壊検査する方法において、該基板のバンドギャップエネルギーより低いエネルギーをもつ励起光を該基板の裏面側から照射し、フォトルミネッセンスを該基板の裏面から検出することを特徴とする。
【0015】
【作用】
本発明の作用を基板としてInP、HFETエピタキシャル膜としてInAlAs/InGaAs系HFETエピタキシャル膜を例にとり説明する。
【0016】
本発明者は、InP基板上のInAlAs/InGaAs系HFETエピタキシャル膜が、チャネル層より表面側にチャネルと同じInGaAsから主になるn+コンタタト領域を持ちさらにInAlAsから主になるレベルシフトダイオード領域を持つ構造の場合があること、それらの構造条件により表面からチャネルに到達するPL励起光強度ひいてはΔEが変化してくることの対策として、チャネルに到達するPL励起光強度を一定で変化しないように工夫した。そのため、InP基板の裏面側から励起光を照射することとし表面側構造条件の影響を受けないようにした。
【0017】
しかし、裏面側には非常に厚いInP基板とInAlAsバッファ層(例えばInAlAsバッファ層)が存在するため通常のPL励起光(例えば緑色光のアルゴンレーザー光や赤色光のヘリウムネオンレーザー光)が吸収されてしまいチャネル層まで到達しない。基板やバッファ層のバンドギャップエネルギーは一般にチャネルよりも高いので、基板やバッファ層よりエネルギーが低くチャネルよりエネルギーが高い励起光を照射すると吸収されることなくチャネルに到達しそこでPLを励起することができる。またチャネルで発生したPL光は、裏面側がバッファ層のInAlAs基板のInPからなることからチャネル層と同じInGaAsを含まないため裏面側を通過する時吸収されず、観測されるPLスペクトルがバッファ層や基板に影響されない。
【0018】
【実施例】
以下では、本発明に係る半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法について実施例に基づきより具体的に詳述する。
【0019】
(実施例1)
評価対象として、半導体エピタキシャル膜としてInGaAsからなるチャネル層を有する、表1に示した層構成からなるHFET用ウェハを用意した。表1のInAlAsとしてはIn0.52Al0.48Asを、InGaAsとしてはInGa0.58As0.47を、それぞれ用いた。またInP基板は表面及び裏面の両面ともに鏡面状態のものである。
【0020】
【表1】
【0021】
表1に示す構成のウェハを15枚用い、各ウェハの4箇所(5mm間隔の正方形位置)で5回ずつ合計20回の室温PLスペクトル測定を行った。各スペクトルから、図4に示すように主ピーク高エネルギー側半値位置のエネルギーEhと主ピーク最大強度位置のエネルギーEpとの差ΔEを求め、20回の測定について平均操作を行い平均値ΔEaveを求めた。その際エピタキシャル膜表面から波長524.5nm(InGaAs、InP、InAlAsいずれのバンドギャップよりもエネルギーが大きい)のアルゴンレーザー光を照射している状態で表面側からPL測定した。そのアルゴンレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEAVEとPL測定後に対応する4箇所でホール効果素子を作って求めたチャネルシートキャリヤ濃度Nsとの平均値NSAVEの相関を図5に×印で示す。
【0022】
また、ダイオード領域をエッチングで取り除いた15枚のウェハに対し同様のPL測定操作を行った。その場合のΔEAVEとNSAVEとの相関を図5に白丸で示す。図5から、HFET作製に通常用いられる実用上重要な1×cm2<NSAVE<3×1012cm2の範囲すなわち図中のNSAVEが低い範囲において、ダイオード領域がある場合のほうが同じNSAVEに対応するΔEAVEの値が明らかに小さいことがわかる。この小さくなる理由は前に説明したようにPL励起光がダイオード領域により吸収されチャネルに到達する強度が低くなりそこで光励起されるキャリヤが少なくなるためである。その際、Nsが高くもともとキャリヤが多く存在するとこの光励起されるキャリヤ濃度変化の影響が小さくなり、反対にNsが低く、もともとキャリヤが少なく存在すると光励起されるキャリヤ濃度変化の影響が大きくなると考えられる。
【0023】
又、各ウェハの対応する4箇所(5mm間隔の正方形位置)で5回ずつ合計20回、基板側裏面から波長1000nm(InGaAsのバンドギャップよりもエネルギーが大きく、InPおよびInAlAsのバンドギャップよりエネルギーが小さい)のチタンサファイアレーザー光を照射している状態で裏面からPL測定した。チタンサファイアレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEAVEとPL測定後にホ―ル効果素子を作って求めたチャネルNsの平均値NSAVEの相関を図1に×印で示す。次に、ダイオード領域をエッチングで取り除いた15枚のウェハに対し同様の操作を行った。その場合のΔEAVEとNSAVEの相関を図1に白丸で示す。アルゴンレーザーの場合と異なりダイオード領域があってもなくてもほぼ同じΔEAVEとNSAVEの値の相関を示している。これは、前に説明したように、チャネルでPLが励起される条件およびチャネルで発生したPLがウェハから取り出されまでに受ける減衰条件がダイオード領域の有無に影響されないためである。ここでチタンサファイアレーザー光の波長として1000nmを使ったがInGaAsチャネルのバンドギャップエネルギー(約0.86eV:波長約1450nm)より高いエネルギーでInP基板のバンドギャップエネルギー(約1.35eV:波長約920nm)より低いエネルギーの他波長であってもよい。なお、In0.52Al0.48Asのバンドギャップエネルギー(約1.49eV:波長約830nm)はInPより高い。
【0024】
(実施例2)
評価対象として、半導体エピタキシャル膜としてInGaAsからなるチャネル層を有する、表2に示した層構成からなるHFET用ウェハを用意した。すなわち、これらのウェハは表面裏面とも鏡面状態のInP基板上にInAlAs/InGaAs系HFET構造を備えている。但し、実施例1と同様、表2のInAlAsとしてはIn0.52Al0.48Asを、InGaAsとしてはInGa0.58As0.47を、それぞれ用いた。実施例1と異なるところは、ダイオード領域がas−grownの状態で無いこと、InGaAsコンタタト層の厚みが非常に大きいことである。
【0025】
【表2】
表2に示す構成のウェハ15枚を用い、各ウェハ4箇所(5mm間隔の正方形位置)で5回ずつ合計20回の室温PLスペクトル測定を行った。実施例1と同じく、各スペクトルからΔEを求め、20回の測定について平均操作を行い平均値ΔEAVEを求めた。その際はじめの20回はエピタキシャル膜表面から波長524.5nmのアルゴンレーザー光を照射している状態で表面側からPL測定し、引き続き対応する4箇所で5回ずつ合計20回基板側裏面から波長1000nmのチタンサファイアレーザー光を照射している状態で裏面からPL測定した。
【0026】
アルゴンレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEAVEとPL測定後に対応する4箇所でホール効果素子を作って求めたチャネルNsの平均値NSAVEの相関を図2に+印で示す。加えて図2には、実施例1のダイオード領域をエッチングで取り除いた15枚のウェハに対する、ΔEAVEとNSAVEの相関を比較のため白丸で示す。図2から、HFET実用上重要な1×1012cm2<NSAVE<3×1012cm2の範囲すなわち図中のNSAVEが低い範囲において、コンタクト層の厚い実施例2の場合のほうが同じNSAVEに対応するΔEAVEの値が明らかに小さいこどがわかる。この小さくなる理由は前に説明したようにPL励起光が厚いコンタタト層により大きく吸収されチャネルに到達する強度が低くなりそこで光励起されるキャリヤが少なくなるためである。その際、Nsが高くもともとキャリヤが多く存在するとこの光励起されるキャリヤ濃度変化の影響が小さくなり、反対にNsが低く、もともとキャリヤが少なく存在すると光励起されるキャリヤ濃度変化の影響が大きくなる。
【0027】
チタンサファイアレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEAVEとその後にホール効果素子を作って求めたチャネルNsの平均値NSAVEの相関を図3に+印で示す。加えて図3には、実施例1のダイオード領域をエッチングで取り除いた15枚のウェハに対する、ΔEAVEとNSAVE の値の相関を白丸で示す。アルゴンレーザーの場合と異なりInGaAsコンタクト層の厚みにかかわらずほぼ同じΔEAVEとチャネルNSAVEの値の相関を示している。これは、チャネルでPLが励起される条件およびチャネルで発生したPLがウエハから取り出されるまでに受ける減衰がコンタクト領域の厚みに影響されないためである。
【0028】
ここでチタンサファイアレーザー光の波長として1000nmを使ったがInGaAsチャネルのバンドギャップエネルギー(約0.86eV:波長約1450nm)より高いエネルギーでInP基板のバンドギャップエネルギー(約1.35eV:波長約920nm)より低いエネルギーの他波長であってもよい。実施例1および実施例2では、チャネル表面側のエピタキシャル膜構造の変化はダイオード領城の有無とコンタクト層の厚みに限られたが、コンタクト層のIn組成等他の変化にも本半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法ほ有効である。なお、チャネル裏両側のバッファ層の構造は通常変化させない。したがって、本半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法はチャネル表面側のエピタキシヤル膜構造が変化しても同じΔEAVEとNSAVEの相関を用いてNsの非破壊評価ができる。
【0029】
実施例1および実施例2では、InP基板上のInAlAs/InGaAs系HFET構造系エピタキシャル膜に対して特に顕著な効果が得られるが、GaAs基板上のAlGaAs/InGaAs系やInGaP/InGaAs系のHFET構造エピタキシヤル膜でバリヤ/チヤネル層の表面側にダイオード領域等の他のエピタキシャル膜領域をもつものであってもよい。
【0030】
また、基板よりバンドエネルギーの低いチャネル等の導電性エピタキシャル層をもつ電界効果トランジスタ用のエピタキシャル膜で、その表面側に電界効果トランジスタ以外の層構造のエピタキシャル領域をもつものであってもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、ヘテロ構造変調ドープ電界効果型トランジスタ(HFET)を作製するための半導体エピタキシャルウェハの重要な電気特性であるチャネル層のシートキャリヤ濃度Nsを、チャネル層の表面側エピタキシャル構造に影響されることなく、フォトルミネッセンスで評価することが可能となる。
【0032】
本発明により、HFETの重要な特性であるしきい値電圧に関しより簡単に歩留まり良く所望の値のウェハを得ることができるようになる。したがって、廃棄ウェハの低減につながり、省資源、環境保全の意味からも有意義な技術といえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】チタンサファイアレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEの平均値ΔEAVEとその後にホール効果素子を作って求めたチャネルNsの平均値NSAVEの相関を示した図である。表面側にダイオード領域があるウェハにおける相関を×印で示す。また、ダイオード領域をエッチングで取り除いたウェハにおける相関を白丸で示す。
【図2】アルゴンレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEの平均値ΔEAVEとその後にホール効果素子を作って求めたチャネルNsの平均値NSAVEの相関を示した図である。表面側に厚いInGaAsコンタタト領域があるウェハにおける相関を+印で示す。また、実施例1で用いた表面側に薄いInGaAsコンタタト領域があるウェハにおける相関を比較のため白丸で示す。
【図3】チタンサファイアレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEの平均値ΔEAVEとその後にホール効果素子を作って求めたチャネルNsの平均値NSAVEの相関を示した図である。表面側に厚いInGaAsコンタクト領域があるウェハにおける相関を+印で示す。また、実施例1で用いた表面側に薄いInGaAsコンタタト領域があるウェハにおける相関を比較のため白丸で示す。
【図4】HFETエピタキシャル膜のチャネル層の室温PLスペクトルからΔEを求める過程を示す図である。通常主PLピークの強度最大位置のエネルギーEpと主ピークの高エネルギー側半値位置のエネルギーEhとからΔE=Eh―Epを求める。
【図5】アルゴンレーザー光を使ったPL測定で求めたΔEの平均値ΔEAVEとその後にホール効果素子を作って求めたチャネルNsの平均価NSAVEの相関を示した図である。表面側にダイオード領域があるウェハにおける相関を×印で示す。また、ダイオード領域をエッチングで取り除いたウェハにおける相関を白丸で示す。
Claims (5)
- 基板の表面にバッファ層を介して形成された半導体エピタキシャル膜のキャリア濃度をフォトルミネッセンスで非破壊検査する方法において、該基板のバンドギャップエネルギーより低いエネルギーをもつ励起光を該基板の裏面側から照射し、フォトルミネッセンスを該基板の裏面から検出することを特徴とする半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法。
- 前記基板のバンドギャップエネルギーより低いエネルギーをもつ励起光が、前記バッファ層のバンドギャップエネルギーより低いエネルギーをもつ励起光であることを特徴とする請求項1記載の半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法。
- 前記半導体エピタキシャル膜がヘテ口構造変調ドープ電界効果トランジスタに用いられるチャネル層となっていることを特徴とする請求項1記載の半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法。
- 前記ヘテ口構造変調ドープ電界効果トランジスタがInP基板上のInAlAs/InGaAsエピタキシャル膜をバリヤ/チャネル層として用いたヘテロ構造変調ドープ電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項3に記載の半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法。
- 前記ヘテ口構造変調ドープ電界効果トランジスタがGaAs基板上のAlGaAs/InGaAsエピタキシャル膜あるいはInGaP/InGaAsエピタキシャル膜をバリヤ/チャネル層として用いたヘテロ構造変調ドープ電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項3に記載の半導体エピタキシャル膜の非破壊検査方法。
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