JP2005009938A - イオンマイグレーション試験方法及び装置 - Google Patents

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勝 座古
Atsushi Ishii
敦 石井
Yuki Oshima
有希 大島
Hiroaki Okada
浩明 岡田
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Abstract

【課題】イオンマイグレーション現象の実態を正確に把握することができるイオンマイグレーション試験方法及び装置の提供。
【解決手段】高温高湿閉鎖環境下において電圧を印加して実施するイオンマイグレーション試験方法であって、計測ユニット1により試験試料の絶縁抵抗値を連続測定すると同時に、析出物の発生から成長進展過程及び形態を環境槽2外部に設置されるマイクロスコープ16を用いてその場観察する特徴的方法の採用。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板等に代表される電子部品のイオンマイグレーション及び絶縁劣化の試験を行うイオンマイグレーション試験方法及びその実施に直接使用する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
モバイルコンピュータや携帯電話に代表されるように電子機器の小型化、軽量化と共に高機能化が急速に進められている。それに伴ってプリント配線板のファインピッチ化が推進され、低いバイアス電圧であっても高電界強度によって絶縁層への負担が増加している。
【0003】
このため絶縁信頼性が重要課題となっており、特に隣接配線間においてイオン化した金属が絶縁間隙を移行し析出するイオンマイグレーション現象による絶縁劣化は製品寿命を著しく劣化させる。以上のことから、電子機器の信頼性確保のためにイオンマイグレーション試験を行うことが必須とされている。
【0004】
従来のイオンマイグレーションの試験は高温高湿密閉環境下において試験試料の絶縁抵抗を測定する方法が一般的であり、規定された環境試験の予め決められた時間における絶縁抵抗値が規定された不良判定基準値(例えば、1MΩ以下)まで低下しなければ不良ではないと判断される。
【0005】
また、イオンマイグレーション現象による析出物の発生状況や成長進展及び形態を観察する必要がある場合は、絶縁抵抗測定終了後若しくは規定の環境試験の予め決められた時間、または回数到達後一時的に試験試料を高温高湿閉鎖環境槽から取り出し、試験試料表面を光学顕微鏡ないしはEPMA(X線マイクロアナリシス)等の面分析を行った後、再び高温高湿閉鎖環境槽に投入して絶縁抵抗測定を再開する方法が採られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上の従来技術によれば、マイグレーション現象の発生初期は絶縁抵抗値に変動が見られない場合が多く、絶縁抵抗値の測定のみではマイグレーション現象の実態を正確に把握することが難しい。また、試験試料の表面分析後に、再び前記環境槽に投入しても絶縁性が復活しており、マイグレーション現象を正確に捉えることができない。
【0007】
ここにおいて、本発明の解決すべき主要な目的は以下の通りである。
【0008】
即ち、本発明の目的は、試験試料の高温高湿閉鎖環境下におけるマイグレーション現象を正確に捉えることのできるイオンマイグレーション試験方法及び装置を提供せんとするものである。
【0009】
本発明の他の目的は、明細書、図面、特に特許請求の範囲における各請求項の記載から自ずと明らかとなろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明方法は、上記課題の解決に当たり、試験試料の絶縁抵抗値を連続測定すると同時に、析出物の発生から成長進展過程及び形態をその場観察する特徴的構成手法を講じる。
【0011】
本発明装置は、上記課題の解決に当たり、試験試料の絶縁抵抗値を連続的に測定できる計測ユニットと、当該計測ユニットと接続され、内部に試験試料を挟み込むための試験試料治具を有し、前面に閉鎖用の内扉を設けてある恒温恒湿状態を保つ環境槽と、前記試験試料に発生した析出物の経時変態を正対直視する焦点合せ自在な高倍率イメージモニタセンサを三次元位置決め調整自在に設置したイメージモニタセンサ位置調整ユニットとを具備する特徴的構成手段を講じる。
【0012】
更に詳説すると、当該課題の解決では、本発明が次に列挙する新規な特徴的構成手段又は手法を採用することにより、上記目的を達成するようになされる。
【0013】
本発明方法の第1の特徴は、高温高湿閉鎖環境下において試験試料に電圧を印加して実施するイオンマイグレーション試験方法であって、当該試験試料の絶縁抵抗値を連続測定するのと同時並行して、析出物の発生から成長進展過程及び形態変化を測定状態を維持したまま逐一経時観察してなるイオンマイグレーション試験方法の構成採用にある。
【0014】
本発明方法の第2の特徴は、本発明方法の第1の特徴における観察が、前記恒温恒湿閉鎖環境外又は内から実施されてなるイオンマイグレーション試験方法の構成採用にある。
【0015】
本発明方法の第3の特徴は、本発明方法の第1又は第2の特徴における観察が、マイクロスコープを用いた直視観察であるイオンマイグレーション試験方法の構成採用にある。
【0016】
一方、本発明装置の第1の特徴は、高温高湿閉鎖環境下において試験試料に電圧を印可して実施するイオンマイグレーション試験装置であって、当該試験試料の絶縁抵抗値を連続的に測定できる計測ユニットと、当該計測ユニットと電気的に接続され、内部に当該試験試料をセットするための試験試料治具を有し、正面に閉鎖用内扉を設けてある恒温恒湿状態を保つ環境槽と、前記試験試料に焦点合せするよう先端を臨ませる高倍率イメージモニタセンサを上下左右前後動位置決め調整自在に設置したイメージモニタセンサ位置調整ユニットと、を具備してなるイオンマイグレーション試験装置の構成採用にある。
【0017】
本発明装置の第2の特徴は、上記本発明装置の第1の特徴におけるイメージモニタセンサ位置調整ユニットが、前記高倍率イメージモニタセンサの先端を前記内扉に開設した観察窓に臨ませるよう当該内扉直外に設置してなるイオンマイグレーション試験装置の構成採用にある。
【0018】
本発明装置の第3の特徴は、上記本発明装置の第1の特徴におけるイメージモニタセンサ位置調整ユニットが、前記環境槽内部に設置されるイオンマイグレーション試験装置の構成採用にある。
【0019】
本発明装置の第4の特徴は、上記本発明装置の第1、第2又は第3の特徴における高倍率イメージモニタセンサが、マイクロスコープであるイオンマイグレーション試験装置の構成採用にある。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を示す装置例及び方法例を説明する。
【0021】
(装置例)
図1に本発明の装置例に係るイオンマイグレーション試験装置αの全体図を示す。また、図2には本イオンマイグレーション試験装置αの側面図を示す。以下、同図を参照しながら、各部の構成を説明することとする。
【0022】
1は、図示しない計測制御パソコン、モニタ、電圧印加電源部、超絶縁抵抗測定器、微小電流用スキャナから構成される計測ユニットであり、温度、湿度及び印加電圧を制御でき、絶縁抵抗値を連続的に測定できるように構成されている。計測ユニット1の例としては、エスペック社製イオンマイグレーション評価システムAMI−025P、エタック社製絶縁劣化評価システムSIR12、IMV社製イオンマイグレーションテスターMIG−8600、MIG−8500等が挙げられる。
【0023】
環境槽2は、内部を恒温恒湿状態に保つものであり、本装置例においては、温度が10℃〜100℃、相対湿度が20%〜98%の範囲内で調整できるものであればよい。そして、環境槽2は計測ユニット1とシールドケーブル3で接続されている。環境槽2としては、エスペック社製PL−1S、エタック社製TH401、TH402、TH403、TH411、TH412を挙げることができる。
【0024】
環境槽2の前面には、閉鎖観察用のガラス製の内扉4が設けられてあり、これにより、析出物の発生からその成長過程及びその形態を観察することができる。
図3に内扉4の正面図を示す。内扉4は、中心に観察窓5が設けられてあり、作業者が手作業を行うための操作孔6が2つ設けられてある。
【0025】
また、環境槽2の内部には、試験試料を挟み込みセットするための試験試料治具7が設置されている。この試験試料治具7は、環境槽2の内部の床板8に敷設した案内路9上を前後に位置決め自在に水平滑動させることが可能であり、環境槽2の発する微弱な振動を吸収できる構造となっている。
【0026】
試験試料治具7の正面図及び側面図を図4及び5にそれぞれ示す。同図において、10は試験試料固定板であり、11はケーブル、12は試験試料固定板10を支える支柱で前後位置調整設定自在に設置された基板13上に立設され、環境槽2による微弱な振動を吸収するための弾性ゴム14が下部に設けられている。
【0027】
15は、高倍率イメージモニタセンサである、例えばマイクロスコープ16を上下左右前後動位置決め調整自在に搭載したイメージモニタセンサ位置調整ユニットとしてのマイクロスコープ位置調整ユニットである。16は、本体17とケーブル18で結ばれたマイクロスコープであり、倍率が400倍〜3000倍、好ましくは150倍〜3000倍まで連続可変できるもので、高解像度211万画素以上の性能を有するものであればよい。マイクロスコープ16としては、例えば、キーエンス社製VH−Z150又はVH−Z450等が挙げられる。
【0028】
マイクロスコープ16にはレンズの結露防止対策として、レンズ付近に温度調節が可能なヒーター19等で覆われている。また、マイクロスコープ16と試験試料治具7に挟み込まれセットする試験試料に焦点を合わせるためにXYZ3方向に微小移動が可能なかつマイクロスコープ16を水平固定するXYZステージ20が設置台21上に立設する治具支柱22aに上下位置調整設定自在に取り付けた治具片持梁22b上に搭載されている。同図中22は、治具支柱22aと治具片持梁22bとの組合構成からなるマイクロスコープ取付治具である。
【0029】
本装置例を実施することにより、計測ユニット1により環境槽2内の温度湿度を恒定制御し試験試料の絶縁抵抗値を測定しながら、同時に内扉4の観察窓5からマイクロスコープ16を通して内部の試験試料を観察することが出来るため、マイグレーション現象による析出物の発生からその成長進展過程を把握することが可能となる。
【0030】
(方法例)
以下、上述した装置例に係るイオンマイグレーション試験装置αを用いたイオンマイグレーションの試験方法例を説明することとする。
【0031】
まず、作業者は、環境槽2内部にある試験試料治具7の試験試料固定板10に試験対象の試料の両側を挟み付けセットする。このときの作業は、内扉4に設けられている操作孔6等によって行われる。
【0032】
そして、作業者は、高倍率イメージモニタセンサとしてのマイクロスコープ16をXYZステージ20で、前後左右上下動してマイクロスコープ16のレンズの焦点を合せながら内扉4の観察窓5から試験試料が見えるように正対直視位置決め調整する。
【0033】
以上の準備が終了すると、計測ユニット1により、環境槽2の内部の温度、湿度及び印加電圧を試験について適切な値をとるように制御するとともに、試験試料から得られる絶縁抵抗値を図示しない超絶縁抵抗測定器又は微小電流用スキャナを用いて連続的に測定する。測定された絶縁抵抗値は図示しない計測ユニット1のモニタ等により確認される。
【0034】
この状態において、作業者は、マイクロスコープ16を通して試験試料を逐一観察することにより、試験試料における析出物の発生から成長進展過程及びその形態変化を経時把握することができる。
【0035】
以上、本発明の実施の形態である装置例及び方法例につき説明してきたが、本発明の目的を達し、下記する効果を奏する範囲において、適宜変更して実施可能である。
【0036】
例えば、本実施形態においてマイクロスコープ16を含むマイクロスコープ位置調整ユニット15は恒温恒湿を保つ環境槽2外部の内扉4直外に設置したが、気密性、耐湿性、耐腐食性に優れるマイクロスコープであればマイクロスコープ15先端を観察窓5を貫通して内部に突出したり、本体16を除きマイクロスコープ位置調整ユニット15自体を環境槽2内部に設置しても構わない。
【0037】
マイクロスコープ位置調整ユニット15自体を内部に設置する場合には、内扉4の観察窓5は不要であり、設置台21やマイクロスコープ取付治具22等は環境槽2内部に設置可能にコンパクト形成される。又、高倍率イメージモニタセンサはマイクロスコープ16に限らず、視認可能に拡大してディスプレイ表示できるイメージセンサであれば高倍率CCDイメージセンサ、高倍率イメージチューブ、高倍率電荷結合イメージセンサ、高倍率イメージアイコノスコープ、高倍率イメージオシルコン等も当然含まれる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電子機器の絶縁信頼性を確保するために重要なイオンマイグレーション評価を絶縁抵抗値の測定と同時に試験試料をその場観察することによって析出物の発生から成長進展過程の観察をすることができるので、イオンマイグレーション現象を的確に把握することができる。
【0039】
また、成長進展過程を同時に観察するので、試験後に光学顕微鏡等による表面観察を不要とし、EPMA等による析出物の成分分析へと直ちに移行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施形態であるイオンマイグレーション試験装置の概略全体図である。
【図2】同上装置の一部透視及び破断した側面図である。
【図3】内扉の拡大正面図である。
【図4】試験試料治具の拡大詳細正面図である。
【図5】試験試料治具の拡大詳細側面図である。
【符号の説明】
α…イオンマイグレーション試験装置
1…計測ユニット
2…環境槽
3…シールドケーブル
4…内扉
5…観察窓
6…操作孔
7…試験試料治具
8…床板
9…並行案内路
10…試験試料固定板
11…ケーブル
12…支柱
13…基板
14…弾性ゴム
15…マイクロスコープ位置調整ユニット
16…マイクロスコープ
17…本体
18…ケーブル
19…ヒーター
20…XYZステージ
21…設置台
22…マイクロスコープ取付治具
22a…治具支柱
22b…治具片持梁

Claims (7)

  1. 高温高湿閉鎖環境下において試験試料に電圧を印加して実施するイオンマイグレーション試験方法であって、
    当該試験試料の絶縁抵抗値を連続測定するのと同時並行して、析出物の発生から成長進展過程及び形態変化を測定状態を維持したまま逐一経時観察する、
    ことを特徴とするイオンマイグレーション試験方法。
  2. 前記観察は、
    前記恒温恒湿閉鎖環境外又は内から実施される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のイオンマイグレーション試験方法。
  3. 前記観察は、
    マイクロスコープを用いた直視観察である、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のイオンマイグレーション試験方法。
  4. 高温高湿閉鎖環境下において試験試料に電圧を印可して実施するイオンマイグレーション試験装置であって、
    当該試験試料の絶縁抵抗値を連続的に測定できる計測ユニットと、
    当該計測ユニットと電気的に接続され、内部に当該試験試料をセットするための試験試料治具を有し、正面に閉鎖用内扉を設けてある恒温恒湿状態を保つ環境槽と、
    前記試験試料に焦点合せするよう先端を臨ませる高倍率イメージモニタセンサを上下左右前後動位置決め調整自在に設置したイメージモニタセンサ位置調整ユニットと、
    を具備する、
    ことを特徴とするイオンマイグレーション試験装置。
  5. 前記イメージモニタセンサ位置調整ユニットは、
    前記高倍率イメージモニタセンサの先端を前記内扉に開設した観察窓に臨ませるよう当該内扉直外に設置する、
    ことを特徴とする請求項4に記載のイオンマイグレーション試験装置。
  6. 前記イメージモニタセンサ位置調整ユニットは、
    前記環境槽内部に設置される、
    ことを特徴とする請求項4に記載のイオンマイグレーション試験装置。
  7. 前記高倍率イメージモニタセンサは、
    マイクロスコープである、
    ことを特徴とする請求項4、5又は6に記載のイオンマイグレーション試験装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103308518A (zh) * 2013-05-22 2013-09-18 中国航天科技集团公司第六研究院第十一研究所 重活塞快压试验系统及利用该系统实现超临界状态的方法
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CN111077427A (zh) * 2018-10-22 2020-04-28 现代摩比斯株式会社 用于检测离子迁移的装置和方法

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