本願は、米国仮出願第61/508,578号、出願日2011年7月15日、名称「ELECTRICAL INSPECTION OF ELECTRONIC DEVICES USING ELECTRON-BEAM INDUCED PLASMA PROBES」の35USC 119(e)に規定する優先権を主張し、かかる出願の内容はすべて参照として本明細書に包含される。
本発明の一実施形態による装置は、ノンメカニカルコンタクト信号測定を可能にするように電子ビーム誘導プラズマプローブに基づく検査技術及びサブシステムを含む。電子ビームは、空気又はその他のガスを有効にイオン化し得、そしてテスト中の装置(以下テスト中の構造体と記載する)に対する損傷のリスクが殆どなしに、指向性の高いプラズマコラムを発生する。電子ビームは、またプラズマプローブの横方向サイズの制御を行い得、このことは、装置の小さくて高密度の導体における電気信号を測定するために重要な利点である。
図1は、本発明の第1の実施形態によるノンメカニカルコンタクト信号測定装置100の概略横断面図である。電子ビーム110は、従来の方法を用いて真空130内で電子ビーム発生器120によって発生される。電子ビーム110は、真空包囲体140(以下真空チャンバーと記載する)の一部140aに設けたオリフィス145を介して真空包囲体140から出ていく。電子ビームの一部は、膜及びフレーム組立体155を通って真空包囲体の外側の雰囲気ガス150(以下雰囲気又はガスと記載する)へ通され、膜及びフレーム組立体155は、電子ビーム発生器を収容している真空包囲体の内側の真空を維持するが電子ビームに対しては半透過性である。代わりに、膜及びフレーム組立体155は、オリフィス又は複数のオリフィスが真空包囲体内の真空を維持するように十分小さい場合には、任意選択事項であり得る。
雰囲気ガスに入る際に、電子ビームの一部における電子は、ガス原子と衝突し、偏向され、イオン化を通してエネルギーを失う。従って、ガス中に向けられる電子ビームの一部はガス中にプラズマ160(以下プラズマプローブと記載する)を誘導し、電子ビームはガスを通過する。スローなガスイオンから離れて、これらの電子・ガス衝突は、誘導しない低エネルギーの二次電子を生成する。従って、電圧及び電流はプラズマを通して測定され得、或いは印加され得る。それでプラズマは、非接触すなわちノンメカニカルコンタクト電気プローブ又はプラズマプローブとして機能し得る。後方散乱電子は、プラズマプローブにおいて電圧又は電流信号を搬送するのには用いられない。
図1には、また、第1の導体165が示され、この第1の導体165は、テスト中の構造体170上に設けられ、ガスは第1の導体と接触し得る。テスト中の構造体は、ベース175で支持され或いはベース上に設置され得る。真空包囲体から離れてすなわち真空包囲体の外側に相対している膜及びフレーム組立体の「装置」すなわち「テスト中の構造体」側は第2の導体180で被覆され得、第2の導体180は以下に詳細に説明するように薄膜導電性フィルムであり得る。ガス150は第1の導体165と第2の導体180との間にあり、第1の導体165及び第2の導体180と接触する。代わりの実施形態では、オリフィスを取り巻く真空包囲体の一部は導電性材料又は第2の導体に対応した導電性装置側フィルムで被覆した材料によって構成され得る。別の代わりの実施形態では、第2の導体は別の電極又はフィルムとして形成され得、別の電極又はフィルムは膜及びフレーム組立体155と第1の導体との間のどこかにあるが、第2の導体がプラズマに電気的に結合される限り、膜に直接取付ける必要はなく、真空包囲体の外側の電子ビームの一部を乱すことがなく、また第2の導体は検査ヘッド195に取付けられ得る。真空包囲体、電子ビーム発生器、及び第2の導体は、プラズマプローブを生成する検査ヘッド195として参照され得る。
第2の導体180は、電気計測器185又は信号源190に結合され得る。データ記憶装置及びシステム制御ブロック198は、検査ルーチンを制御し、測定したデータを記憶し、また検査ヘッド195、電気計測器185、及び信号源190に結合される。データ記憶装置及びシステム制御ブロック198内のデータ記憶ユニットは、計測器に結合され、そして計測器185からの複数のデータ値を記憶するようにされ得る。データ記憶装置及びシステム制御ブロック198内の制御ユニットは、データ記憶ユニット、測定器185、及び信号源190に結合され得る。データ記憶ユニット、計測器185、及び信号源190は、制御ユニットに反応し得る。
かかるプラズマプローブの実施形態で測定した電圧及び電流の例について以下に説明する。第2の導体180は、プラズマ160に電気的に接触し又はプラズマ160に結合するので、プラズマが第1の導体165に向けられる際に、信号源は、第1の導体165、プラズマ160、及び第2の導体180を介して電気計測器に結合され得る。言い換えれば、信号源190、第1の導体165、プラズマ160、第2の導体180、及び電気計測器185は、プラズマが第1の導体165に向けられる際には導電性ループを形成し、電気計測器185が信号源190に反応するようにされ得る。電気計測器185は、電圧、電流、AC又はDC信号を測定し得、或いは普通に実施されるように時間の関数としてこれら信号のいずれも測定し得る。信号源190は電圧、電流、AC又はDC信号を発生し得、或いは普通に実施されるように時間の関数としてこれら信号のいずれも提供し得る。電気計測器185及び信号源190の位置は、導電性ループにおいて交換できる。図1に示す実施形態では、信号源は第1の導体に結合され、また電気計測器は第2の導体に結合される。
ノンメカニカルコンタクト信号測定装置の一実施形態では、さらにテスト中の構造体に回路167が設けられ得る。回路167は第1の導体に結合され得、また電気計測器はさらにかかる回路に反応し得る。第2の導体180はプラズマ160に電気的に接触するすなわちプラズマ160に結合されるので、信号源は、プラズマが第1の導体165に向けられる際には、第1の導体165、回路167、プラズマ160、及び第2の導体180を介して電気計測器に結合され得る。言い換えれば、信号源190、第1の導体165、回路167、プラズマ160、第2の導体180、及び電気計測器185は、プラズマが第1の導体165に向けられる際には導電性ループを形成し得、電気計測器185は信号源190及び回路167の両方に反応することができる。こうして、計測器はテスト中の構造体における回路の特徴を実行することができる。
テスト中の構造体は、好ましくは、第2の導体に近接した真空包囲体の外側に位置している。好ましくは、テスト中の装置における第1の導体は、検査ヘッドとの機械的な干渉を阻止するために第2の導体から十分に大きくしかもプラズマを通る適切な信号を確実にするように例えば第1及び第2の導体間で電気信号をうまく結合するために十分に低いプラズマプローブ抵抗を確実にするように十分小さいギャップ距離に配置される。ギャップ距離はギャップ制御機構(図示していない)によって維持され得る。ギャップ制御装置は、テスト中の構造体と第2の導体との間に30〜50μmの範囲のギャップを形成するようにされる。ギャップが30μm以下である場合には、機械的干渉の可能性が高まる。ギャップが500μm以上である場合には、プラズマコラムの直径は、高エネルギー電子ビームでも大きくなりすぎ得る。ギャップ距離は所望のギャップ距離の許容範囲例えば+/−5μmで制御され得る。
検査ヘッド195の測定側(又は特に膜及びフレーム組立体155)とテスト中の構造体170とのギャップ分離が大きくなると、プラズマプローブの直径は、図8に示しかつ以下にさらに詳しく説明するように大きくなる。システムの分解能は、分解能を改善するのにギャップを最少化することを提案するプラズマプローブが広がるにつれて低下する。半直感的には、プラズマプローブの抵抗は、プラズマプローブの直径の広がりのためにギャップ距離の増大につれて低下する。しかし、検査ヘッドが小さなギャップのために接触すると、テスト中の構造体や検査ヘッドを損傷し得る。従って、最適なギャップ分離は、接触による損傷を防ぐために、システム分解能と所望の分解能との間の妥協である。例えば、フラットパネルディスプレイ検査応用では50μmの最小分離が望ましいが、その他の応用では最小の望ましい分離は異なり得る。分離は、高いプラズマ抵抗を介しての信号の過剰な損失を防ぐため好ましくは500μmより大きくない。検査ヘッドとテスト中の装置との間の分離は、多数の異なる開ループ及び閉ループギャップ制御方法によって維持され得る。一例は、Orbotech・PDIのVIOS−based Array Checker(商標)システムにおける電気光学変調器を浮かせるのに現在用いられている3点エアベアリング(空気軸受)である。他のギャップ制御機構は、ボイスコイル及び圧電素子のようなアクチュエータ並びに光学干渉型センサー、容量センサー及び圧力センサーのようなギャップ(フィードバック)センサーを包含し得る。
図2は、本発明の第2の実施形態によるノンメカニカルコンタクト信号測定装置200を示す概略横断面図である。図2に示す実施形態は、図1に示す実施形態と対応しているが、図2に示す実施形態では、電気計測器185は第1の導体165に結合され、また信号源190は第2の導体180に結合される。第2のその他の要素は同じ参照番号を付した図1におけるものと同じ機能をもち、ここでは改めて詳しくは説明しない。
電子ビーム誘導プラズマプローブ方法について適切な動作条件を決めるために、プロセスに伴うイオンと共に一次及び二次電子の空間的かつ一時的分布のシミュレーションが実行される。図3には、図1及び図2のノンメカニカルコンタクト信号測定装置に関連したプラズマビーム抵抗、有効プラズマビーム抵抗、電子ビームエネルギー、及びプラズマビーム直径の典型的なシミュレーションデータが示されている。この目的には多くのアプローチが用いられ得、例えば、パーティクル・イン・セル(PIC)法に基づきモンテカルロ・衝突(MCC)法と組み合わさったモデルが、正確な結果をもたらすと歴史的に示されているので選択されてきた。PIC法は、固定メッシュにおいて測定した首尾一貫した電磁場における粒子の軌道を描くのに用いられる。MCC法は、荷電粒子間の衝突をシミュレートするのに用いられる。シミュレーションのために仮定した雰囲気ガスは、空気の一次構成成分を表す分子窒素(N2)であった。シミュレーションはプラズマの全特徴(特性)を提供し得る。種々の出力パラメータ例えばテスト中のターゲットすなわち装置のレベルにおけるプラズマの直径及びプラズマ抵抗をシミュレートし得る。プラズマ抵抗及びプラズマの直径は両方とも二次電子分布に関する量である。
シミュレーションの結果は、膜とターゲットとの(例えば第2の導体と第1の導体との)所与分離すなわちギャップの場合、低ビームエネルギーが低プラズマ抵抗値をもたらし、閾値ビームエネルギーまで下がり、電子ビームがもはやガスを有効にイオン化せず、この時点で閾値以下に更に低下すると、閾値ビームエネルギーの抵抗が増大することを示している。例えば、膜とターゲットとの分離が50μmである場合、プラズマ抵抗の最小値は5keVで2.7Mオームである。一方、膜とターゲットとの分離が100μmである場合、プラズマ抵抗の最小値は10keVで6Mオームまで増加する。他方、プラズマ直径は、ビームエネルギーと共に小さくなるが、ビームエネルギーはある特定の値以上では平らになる。例えば、エネルギーが5keVから20keVへ増大される際には、プラズマ直径は85μmから60μmまで減少するが、それより高いエネルギーでは変化しない。これらの結果は、検査のパラメータがプラズマ抵抗及び直径の適切な組み合わせを得るように選択され得ることを示している。しかし、プラズマ抵抗及び直径はビームエネルギーに対して反対に依存しているので、これらパラメータを同時に最小化することはできない。最適条件は、典型的な装置構造体と重なるプラズマの一部の有効抵抗を決めることにより達成され得る。例えば、液晶ディスプレイ(LCD)アレイにおける線は幅5〜50μmであり得る。所与ビームエネルギーでは、プラズマ直径は、作動距離と共に小さくなり、そして二次電子の横方向拡散距離に比較して小さい限り電子ビームのスポットサイズによってあまり影響を受けないことが認められる。N2及びO2の混合物(より正確には空気の組成を表す)を含む他のガス混合物のシミュレーションが行われ、これについては図11を参照して以下に詳しく説明し、上記の結論に一致する。
再び図1を参照すると、真空包囲体140内の電子ビーム発生器120は、電子源196及び電子光学系197を備え得る。電子光学系197は少なくとも一つの電子レンズ及び少なくとも一つの偏向光学系(図示していない)を備え得る。プラズマプローブを生成する電子ビームを発生するのに種々の電子源を用いることができる。それらの電子源には、熱イオン、電界放出、及びショットキー源が含まれる。電子ビームエネルギーは、第1の導体から第2の導体までの通路(約50〜500μm)にわたる雰囲気ガスを有効にイオン化するように5〜50keVの範囲内にあり得る。5keV以下の電子ビームエネルギーは散乱によりビームを過剰に広げさせることになり、膜及びフレーム組立体を過剰に加熱させることになり得る。50keV以上の電子ビームエネルギーは、一次電子がイオン化過程において十分に関与しないことになり、比較的高いプラズマ抵抗に寄与する。プラズマプローブの横寸法、すなわちプラズマプローブ技術の空間分解能を制御するために、雰囲気へ入る部位におけるビーム直径又はスポットサイズは好ましくは、テスト中の装置の特徴間の最短距離に対して小さくあるべきである。殆どのディスプレイに関する応用の場合には、500μm以下か又は500μmに等しい電子ビームの直径又はスポットサイズが許容できる。
ビームを所望のスポットサイズに収束させるために使用した電子レンズの他に、電子ビーム発生器はまた、ビームを偏向、操作或いは変調するのに用いられ得る少なくとも一つの偏向光学系(図示していない)を備え得る。真空包囲体内の電子ビーム発生器は、電子ビームをオリフィス145に指向するようにされる。別の実施形態では、検査ヘッドは、多数の源、又は単一の源から発生して複数の電子ビームをガス中に指向させ電子ビームの通過するガス中に多数のプラズマを生成するようにした多数のビームを備え得る。
電子ビーム組立体における典型的な真空レベルは、10−7Torr又はそれ以下の範囲であり得、そしてターボポンプ、イオンポンプ、拡散ポンプなどを含む種々のポンピング法によって達成され得る。雰囲気ガスは好ましくは無毒であり、そして空気、分子窒素(N2)、アルゴン(Ar)あるいはその他の不活性ガスのようなガスを含む高イオン化横断面をもち得る。一実施形態では、ガスは大気圧にある。別の実施形態では、ガスは大気圧の空気である。
図4は、本発明の一実施形態による膜及びフレーム組立体155の簡単化した横断面図である。膜及びフレーム組立体155は、膜410、膜上に位置する導電性フィルム420、及び膜を支持するフレーム430を有し得る。導電性フィルム420は、図1に示すような第2の導体180に相応し得、また膜410は膜及びフレーム組立体155を介してオリフィス145で真空包囲体140に取付けられる。図4を参照すると示されているように、膜410は第1の面440と第2の面450とを備え、そして真空包囲体内を真空に維持しかつ膜を通して電子ビームの第1の部分を伝達するようにされる。膜の第1の面440は真空包囲体の内側に向って面しており、それで電子ビーム発生器からの電子ビームは、フレーム430におけるウインドウ領域480を通って膜の第1の面に衝突する。膜の第2の面450は真空包囲体の外側すなわちテスト中の構造体に向って対向している。膜の第2の面450は、導電性フィルムが膜上に蒸着(堆積)されない場合(図示していない)に、膜で僅かに減衰され得る電子ビームの第1の部分が代わりの実施形態における膜から放出される部位である。
膜410は、良好な電子透過性を確実にするように低原子番号(例えば15未満又は15に等しい)をもち得る材料で作られる。15以上の原子番号をもつ膜材料は、膜において電子ビームを過剰に散乱させる。膜材料はまた高圧力差に耐え得る。かかる膜材料には、窒化珪素(SixNy)、炭化珪素(SiC)、アルミナ(Al2O3)、ダイヤモンド状炭素膜、黒鉛、二酸化珪素、超薄型カーボン、ベリリウム及び窒化ベリリウム並びにポリイミド(Quantomix(商標)カプセルに用いられる)が含まれ得る。膜材料の厚さは、必要な電子透過性及び真空に対する耐性を達成するために8〜500nmを含む範囲内にあり得る。膜材料の厚さが8nm以下である場合には、膜は、真空包囲体内の真空と真空包囲体外側のガスとの圧力差に機械的に耐えることができない。膜材料の厚さが500nm以上である場合には、膜は、電子ビームを透過させることができない。膜の横サイズは、0.01〜5mmの範囲のサイズで、加熱及びビームアライメントを考慮している。0.01mm以下の膜の横サイズは、i)フレーム組立体におけるウインドウ領域に対して電子ビームを整列させるのに伴う困難さ、及びii)フレーム組立体におけるウインドウ領域を電子ビームの幅より大きくする必要性によって制限される。5mm以上の膜の横サイズは、過剰な熱抵抗によって制限され、過剰な熱抵抗は結果として電子ビームによる膜の過熱となる。薄膜は熱伝導率が低いので、高い温度は、ある特定のビーム電流レベルでの加熱に関して主要な電子吸収を抑え得る。従って、膜は、狭い膜ウインドウ領域の選択、膜ウインドウ領域のメッシュや格子の構成によって、或いは膜上に金属格子を蒸着することによって達成され得るヒートシンク源(すなわち真空包囲体の一部)に対して良好に熱結合し得る。
幾つかの膜材料は導電性ではなく、従ってプラズマプローブに結合すべき信号の測定又は印加を可能にする一つ以上の付加的な導電性被覆を必要とし得る。第2の導体は、膜410の第2の面450上に導電性フィルム420を備え得る。導電性フィルム420は、減衰がわずかであるために、電子ビームの第2の部分を伝達するようにされ得る。ガス及びプラズマは、導電性フィルム420と接触して信号をプラズマプローブに結合させる。金属被覆は導電性フィルムであるので十分に適合され、最良の候補は、高導電率、膜に対する良好な接着性、低反応性、並びに電子散乱を最少化するため低原子番号及び低密度をもつ。導電性フィルム420は、膜の第2の面450上に蒸着される接着層460、及び接着層上に蒸着される導電層470を備え得る。幾つかのフィルム層は、これらの要求を満たすように組み合わされ得る。例えば、接着層460は、接着を改善するためにTiやTiWを含み得、また導電層470は、高導電性及び低反応性のためAuを含み得る。代わりの実施形態では、導電性フィルム420は、Ti、Be、Sc、V、又はCrのような低原子番号、低抵抗率及び高融点をもつ金属の単一層であり得る。導電性フィルム420の厚さは、好ましくは10〜50nmの範囲であり得る。導電性フィルムの厚さは、電子ビームの減衰及び散乱を低く保つため50nmに等しいか又はそれ以下であり、また厚さは、十分な導電率及び接着性を提供するため10nmに等しいか又はそれ以上である。
別の実施形態(図示していない)では、真空を維持するために真空シール膜の代わりに電子ビーム発生包囲体における一つ又は複数のオリフィスが用いられる場合に、導電性電極は、第2の導体としてオリフィスの近くに配置され得、そしてオリフィスからの電子ビームの放出を妨げることなしに、プラズマにおける電気信号を検知したり供給するように電子ビーム誘導プラズマに電気的に結合するようにされる。別の実施形態(図示していない)では、第2の導体は、オリフィスを取り巻く真空包囲体の一部を含み得、ガス及びプラズマは、少なくとも真空包囲体の外側においてオリフィスを取り巻く真空包囲体の一部と接触する。
膜及びフレーム組立体155は、以下の実施形態によって製造され得る。膜410は、基板上に蒸着した層であり得る。基板は、シリコンのような半導体であり得る。基板は、基板のかなりの部分を介して又は好ましくは膜を支持するフレーム430を形成するため全基板を介してウインドウ領域480から除去される。電子ビーム発生器からの電子ビームはフレームにおけるウインドウ領域を介して膜の第1の面440に向けられ得る。膜410は、シリコン(Si)基板上の窒化珪素(SixNy)の薄膜蒸着(例えば低圧化学蒸着法によって)によって作成され得る。従って、基板の一つ以上の小断面(電子ビームを伝達するウインドウ領域又はスリットの所望サイズにほぼ対応する)は、写真平板法及び化学エッチングによって除去される。その後、基板は個々の部分に分割され、個々の部分は、一つ以上のSixNyウインドウ領域又はスリットを備えたSiフレームを含み、膜及びフレーム組立体を形成する。
一つの実施形態では、第2の導体は、膜が十分な導電性の材料で形成される場合には膜を備え得る。例えば、膜は黒鉛から成り得る。膜を形成するのに導電性材料が用いられる場合には、導電性フィルムは任意選択的であるが省略され得る。この実施形態では、膜及びフレーム組立体を真空包囲体に装着する際に、フレームも導電性材料で形成する場合には絶縁性スペーサが設けられ得る。
図5は、本発明の一実施形態による、真空包囲体140aの一部に取付けられた膜及びフレーム組立体155の簡単化した横断面図である。真空包囲体140aの一部には真空フランジ510(以下、代わりにフランジと記載する)と呼ばれる真空包囲体の別の部片が設けられ得、真空フランジ510は真空シール及びボルトを介して真空包囲体のレスト(台)に取付けられる。代わりに、真空包囲体140は単一部片又は複数の部片(図示していない)によって形成され得る。
真空フランジ510は、真空包囲体の内側に向いた第1の面520及び真空包囲体の外側に向いた第2の面530を備え得る。オリフィス145は、真空フランジの第1の面から第2の面へ真空フランジを通って延びている。真空包囲体は、真空包囲体の外部における接着部材又はクランプにより真空包囲体にフレーム430を結合し、またオリフィス145、ウインドウ領域480を電子ビームが通過し膜の第1の面に衝突できるようにオリフィス145と一致させてすなわちオリフィス145と並べて膜及びフレーム組立体155におけるウインドウ領域480を位置決めするようにされる。フレーム430は、例えば超高真空適合接着剤又はエポキシ(図示していない)を用いて膜及びフレーム組立体155に一致した又は膜及びフレーム組立体155より幾分大きい開口540を備えた真空フランジ510に接合又はクランプされ得る。
任意選択事項ではあるが、結合工程を容易にし最適な真空適合性を確実にするため特殊な特徴がフランジに画定され得る。例えば、フランジは、接合を助けるためにフランジにおける開口の周囲に「額縁」のような形状の接着剤グローブ550を備え得る。例えば金接触ピン又はばね板(図示していない)を用いることによって、フランジにおける膜及びフレーム組立体の中心決めを容易にしかつプラズマプローブを介して信号を測定し印加するために膜における導電性フィルムとの電気的接触を確立する、電子配線又はピンのガイドチャンネルが含まれ得る。
さらに、一つの実施形態では、膜フランジは、好ましくは、電子ビームによる衝撃を最少化するようにして設計される。オリフィス145は、真空包囲体の内側(電子ビーム発生器に面した側)における第1の端部560と、真空包囲体の内側と反対側における第2の端部570とを備え得る。オリフィス145の第1の端部560は、電子ビームによるアーク発生及び帯電を最少化するためにオリフィスの第2の端部570より広いテーパー状の開口580を備え得る。別の実施形態では、オリフィスを取り巻く真空包囲体の一部は、形成し続けて電子ビーム制御に伴う問題を生じさせ得る磁場を最少化するようにされ得る。例えば、真空包囲体の一部140a又は真空フランジ510の材料は、SST316を含む磁場を最少化するのに適した材料から選択され得る。
図6は、本発明の一実施形態による真空包囲体の一部140a又は510に取付けられた膜及びフレーム組立体155の簡単化した平面図である。図6に示す実施形態は、以下の新規のエレメントを除いて図5に示す実施形態に対応している。真空フランジ510は、メカニカル・インターフェース用の一つ以上のネジ孔610、ファラデーカップ冶具(図示していない)用の一つ以上の貫通孔620、及びプラズマプローブを介して信号を測定し印加するために膜上の導電性フィルムとの電気的接触を容易に確立させる電子配線用の一つ以上のガイドチャンネル630を備え得る。接着剤グローブは、図示したように、膜及びフレーム組立体155の周囲の直ぐ内側の内側エッジ550aと膜及びフレーム組立体155の周囲を越えて延びる接着剤グローブの外側エッジ550bとの間に延びている。図6におけるその他のエレメントは図5に同じ参照番号で示すものと同じ機能を有し、改めて詳細には説明しない。
図7には、図1及び図2のノンメカニカルコンタクト信号測定装置に関連したプラズマ電流、電子ビーム電流及びサンプル電圧の典型的な特性データを示す。図7は、大気状態に保持したテスト中の構造体が、電子に対して反透過性でありしかも導電性フィルムで被覆した膜を通って伝達される電子ビームで照射される際の電子ビーム誘導プラズマプローブの実験検証結果を示す。言い換えれば、図7には、種々のビーム電流におけるプラズマプローブのI−V特性を示す。膜上の導電性フィルムとテスト中の構造体との間に流れる電流は、テスト中の構造体に電圧を印加した時に測定され得る。電流は印加した電圧の関数として増大し、このことは、この電流が試料に印加した電圧を測定するのに用いられ得ることを意味している。しかし、テスト中の構造体が真空に保持される場合又は電子ビームが止められてプラズマを形成しないようにした場合には、いずれの場合も電流は測定されず、このことは、先に記載した測定電流信号がプラズマプローブを生成する電子ビームと大気との相互作用に関連していることを立証している。この電流信号は、電子ビーム電流Ibを増大することによって増幅され得る。
図8には、図1及び図2のノンメカニカルコンタクト信号測定装置に関連したプラズマビーム空間応答の典型的な特性データを示す。言い換えれば、図8は、プラズマの横寸法を特徴付け、プラズマ直径の測定結果を示している。これらの検査は、テスト中の構造体における導電性と絶縁性のインターフェースを横切ってビームをステッピングしそして結果としてのプラズマ電流を測定することにより行われた。このアプローチを用いて測定したプラズマ直径は、少なくとも150μmの推定作動距離の場合130μmであった。これはこの作動距離の場合正しい状態の大きさであり、ほとんどのTV型の薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイにおける測定に対して十分な分解能であろう。プラズマ直径は、例えば電子ビームエネルギー、ギャップ距離などのようなプラズマパラメータを調整することによってさらに減少され得る。
図9には、図1及び図2のノンメカニカルコンタクト信号測定装置に関連したプラズマビームの時間応答の典型的な特性データを示す。プラズマプローブの時間的挙動は、交流電源、電流増幅器、及びオシロスコープを用いて立証された。トップ波形に表されたステップ機能電圧をテスト中の構造体に印加した場合、ボトム波形で表すプラズマプローブ信号立上り時間は2μ秒未満である。プラズマモデルは上述のように、典型的な立上り時間が実際に100n秒程度又はそれ以下であり、それでプラズマ以外の回路コンポーネントの帯域幅はこの実験では制限因子であった。
電子ビーム誘導プラズマプローブ技術の立証及びテストアプリケーションは以下の実例構造体を含み得るがそれらに限定されない。電気的欠陥は、ピクセル電極における電圧の測定によってLCD薄膜トランジスタ(TFT)アレイにおいて検出され得る(LCDアレイテスター)。電気的欠陥は、ピクセル電極における電流の直接測定によって有機発光ダイオード(OLED)TFTアレイにおいて検出され得る(OLEDアレイテスター)。オープン及びショートは、LCD及びOLEDディスプレイTFTアレイの駆動線において検出され得る(オープン・ショートテスター)。LCD及びOLEDディスプレイTFTアレイは、蒸着修理の後に確認され得る。PCB及び半導体装置の製造に用いるために上記と同様な応用が提供され得る。ソーラーパネルの電圧又は電流測定はなされ得る。
テスト中の構造体における種々の場所に多数のプラズマプローブが同時に指向され得る。図10は、本発明の一実施形態によるデュアルプローブのノンメカニカルコンタクト信号測定装置1000の概略斜視図である。デュアルプローブのノンメカニカルコンタクト信号測定装置1000は、第1のプラズマプローブ160Aを発生する第1の検査ヘッド195Aと第2のプラズマプローブ160Bを発生する第2の検査ヘッド195Bとを備えている。第1及び第2のプラズマプローブ160A、160Bはそれぞれ、一対の第1の導体領域165AA、165BAに向けられ、対の第1の導体領域165AA、165BAは、テスト中の構造体1700上で離間して位置している。対の第1の導体領域165AA、165BAは、テスト中の構造体における簡単な回路の一例である線167Aの両端部に結合される。例えば、線167Aは、テスト中のTFTアレイにおけるデータ線、ゲート線又は共通線であり得る。信号源190は、第2の検査ヘッド195Bにおける第2の導体180B、第2のプラズマプローブ160B、第1の導体領域165BA、線167A、第1の導体領域165AA、第1のプラズマプローブ160A、及び第1の検査ヘッド195Aにおける第2の導体180Aを通る直列接続ループを介して電気計測器185に結合される。電気計測器は、線167Aが繋がってから、第1の電気シグネチャにより信号源に反応する。
例えば、線167Aは、TFTディスプレイに整列して配列される多数のi線167A〜167iの一本であり得る。各線は、各線の両端に配置したそれ自体のそれぞれ対の第1の導体領域を備え得る。検査ヘッド195A、195Bは方向矢印1200で示すように、線の長さ寸法に垂直な方向に第1及び第2のプラズマプローブ160A、160Bを移動するようにされ得る。プラズマプローブの動きは、検査ヘッドを機械的に動かすこと、偏向光学系を用いて第1及び第2のプラズマプローブを生成する電子ビームを電子的にスキャンすること、或いは機械的動きと電子スキャンとを組み合わせることによって行われ得る。この例では、線167Bは、表面欠点1100を含んでいる。第1及び第2の検査ヘッドが線167Bの両端に結合される対の第1の導体領域165AB、165BBに第1及び第2のプラズマプローブを指向すると、直列接続ループは線167Bにおける表面欠点1100によって壊される。それで、電気計測器は、オープン欠陥を検出する第2の電気シグネチャをもって信号源に反応する。この例では、MHz範囲の交流電流、高周波信号がプラズマ抵抗の変動を解消するのに有利であり得、また代わりとして直流電流信号が用いられる場合には、オープン欠陥の電気テストシグネチャをマスクし得る。複数のプラズマプローブは、複雑な回路の機能テストのためにテスト中の構造体に種々の信号を注入及び・又は測定し得る。
一つの実施形態では、複数のプラズマプローブは、機械的プロービングに関連したダメージなしに複雑な回路の機能テストのためにテスト中の構造体に種々の信号を注入及び・又は測定し得る。例えば、ケルビンテスト配置に用いる複数のプラズマプローブは、テスト中の回路における導電率の変化を一層正確に感知し得る。
多くの異なるシステムアーキテクチャ(構成)が想定され得る。一つの実施形態では、電子ビームプラズマプローブに基づくノンメカニカルコンタクト信号測定装置システムは、スループット要求に依存して一つ以上の検査ヘッドを組み込み得る。別の実施形態では、ノンメカニカルコンタクト信号測定装置は、テスト中の構造体の位置に対して電子ビームを機械的に動かすようにされ得る。別の実施形態では、プラズマビームは、テスト中の構造体の位置に対してプラズマビームを電子的にスキャンすることによって移動され得る。別の実施形態では、プラズマビームは、電子スキャン及び機械的運動の組み合わせにより移動され得る。代わりに、別の実施形態では、テスト中の構造体はプラズマビームに対して動き得る。別の実施形態では、システムには、テスト中の構造体の主軸線に沿った検査を達成するようにテスト中の構造体を回転させる機構が設けられ得る。
図11Aは、本発明の一実施形態による多数の可動検査ヘッドを備えたノンメカニカルコンタクト信号測定システム2000のブロック概略頂面図である。この例におけるテスト中の構造体はTFTディスプレイTVパネル又はプレイトであり得る。ノンメカニカルコンタクト信号測定システム2000は、ベース175を備え、多数のそれぞれの検査ヘッド1951〜1954を介して多数のTFTディスプレイ1701〜1704を同時にテストするのに十分なように大きい。この例では、四つのTFTディスプレイ及び四つの検査ヘッドが示されている。しかし、別の実施形態では、単一TFTディスプレイをテストするのに多数の検査ヘッドが用いられ得、或いは多数のTFTディスプレイをテストするのに一つの検査ヘッドが用いられ得る。
検査ヘッド1951〜1954には、各検査ヘッドが図示したようにY方向に独立して機械的に動き得るようにガントリ2100に機械的に取り付けられる。図示したX、Y方向は、TFTディスプレイの面に平行な平面に位置する。少なくとも一つのプローブバー2200は、多数の電気信号を印加しかつ機械的プロービング技術(法)によりTFTディスプレイに給電するのに用いられ得る。検査ヘッドの各々はまたX方向にそれぞれのプラズマプローブを電子的にスキャンし得る。電子的にスキャンしたプラズマプローブは、少なくとも一つの長くて狭い膜スリットと、少なくとも一つの偏向光学系によってスリットの長い側面に沿って偏向される少なくとも一つの電子ビームとを用いて実行され得る。X方向にプラズマプローブを電子的にスキャンすることと、同時にY方向に検査ヘッドを機械的に動かすこととの組み合わせは、各TFTディスプレイにおける検査スライス領域2400の一部をカバーし、そして以下に詳細に説明するようにテスト時間を有利に短縮し得る。一つの実施形態では、検査ヘッドは、検査スライス領域2400の大部分又は全領域をテストできるように一つ以上のプラズマプローブを備え得る。X方向における検査スライス領域2400の幅は、検査ヘッド当たりのビーム数と各ビームによってスキャンされる距離との積で決められ得る。ガントリ2100は、検査スライス領域2400のテスト完了後に検査ヘッドをX方向に機械的に動かして次のスライス領域をテストする又は例えばTFTディスプレイを外すことができるようにする。
代わりの実施形態では、ガントリ2100は代わりに、取付けられた全ての検査ヘッドをY方向に機械的に動かすようにX方向にその長さを備えて位置決めされ得、プラズマプローブはX方向に電子的にスキャンされ、そして検査ヘッドは、検査スライスのテスト完了後にX方向に機械的にステップする。
図11Bは、本発明の一実施形態による図11Aの装置におけるプラズマプローブの動きを詳しく示す拡大差し込み図である。図11Aには、プラズマプローブをX方向に電子的にスキャンすることと、同時に検査ヘッドをY方向に機械的に動かすこととの組み合わせにより、プラズマプローブを第1の対角線スキャン2500において第1のプローブ位置2510から第2のプローブ位置2520へどのように動かすかを示している。検査ヘッドの機械的動き及びプラズマプローブの同時電子的スキャンは、TFTピクセルの列に沿った長さPsに沿ってX方向におけるビームの電子的スキャンと同時に、TFTディスプレイにおける単一ピクセル列Phの高さをプラズマプローブが横断するようにされ得る。例えば、長さPsは上述のX方向に各ビームでスキャンした距離に相応している。検査ヘッドの動きは、プローブが第1の列のTFTピクセルにおける第1の対角線スキャン2500の終了点の第2のプローブ位置2520からY方向において第1の列のTFTピクセルの上方に位置した第2の列のTFTピクセルにおける第2の対角線スキャン2600の開始点の第3のプローブ位置2610へ非常に素早くリセットし得るので、Y方向に連続し得る。従って、TFTディスプレイ面を横切ってプラズマプローブを単に機械的に動かすことで可能なものより検査スライス領域2400の速いテストカバーレジが達成される。
一つの実施形態では、LCDと共にOLED用のフルスケール電気テスターに加えて、電子ビーム誘導プラズマプローブを用いたノンメカニカルコンタクト信号測定装置は、光学式自動欠陥検査(AOI)又はOrbotechのArrayChecker(商標)システムを用いた電気光学テストのような他の主要な検査技術と組み合わせてオンデマンド電気診断で実行し得る。テスト中の構造体170における回路の欠陥167(図1に示す)は、まず、プラズマプローブを用いずに主要な検査技術を用いてモニターされる。主要な検査技術で欠陥が検出された場合には、位置や形態のような欠陥の特徴は、データ記憶装置及び制御ブロック198内の制御ユニットに記録され得る。そして欠陥が検出された場合には、プラズマプローブを用いたノンメカニカルコンタクト信号測定装置は、欠陥をさらに詳細に良く特徴付けるために、電気計測器185で多数のデータ値を取得し得る。欠陥は例えばディスプレイの欠陥領域におけるピクセル(複数)であり得る。欠陥に関連したさらに詳細な特性データは、欠陥の原因を決めそして機械的なプロービングで生じるようなディスプレイのさらなるダメージなしに欠陥の修繕のための情報を提供するのに用いられ得る。電気計測器185からの多数のデータ値は、データ記憶装置及び制御ブロック198内のデータ記憶ユニットに記憶され得る。データ記憶ユニット、電気計測器185、及び信号源190の動作は、データ記憶ユニット記憶されたテストルーチンを用いて、データ記憶装置及び制御ブロック198内の制御ユニットによって調整され制御される。
例えば、ArrayChecker(商標)システムによってLCDパネルにおける欠陥ピクセルを検出した際に、そのピクセルにおける問題のTFTの伝達特性は、ピクセル電極の少なくとも一つ上に電子ビーム誘導プラズマプローブを配置すること、データ電圧Vdsをそれの公称値(約5〜10V)に設定すること、ゲート電圧Vgを掃引すること、及び結果としてのIds電流を測定することで特定され得る。代わりに、Ids対VdsはVgの固定値に対して測定できる。通常二つ以上のトランジスタを備えるOLEDピクセルでは、時間の関数として変化する多くの駆動信号を伴うより複雑な測定が行われ得る。これらの測定には、機械的プローブを受け入れるように設計した領域において従来の機械的プロービングを用いてテスト中のパネルに対して駆動されることになる幾つかの外部信号を必要とし得、一方、少なくとも一つのプラズマプローブは、機械的プロービングがディスプレイをさらに損傷させる恐れのある領域に非機械的プロービングを用いてテスト中の構造体における信号を測定し又は供給するのに用いられる。機械的にプローブした駆動信号は、ArrayChecker(商標)のようなシステムを用いて全パネルテストのために用いたものと同じであるので、プラズマプローブの「オンデマンド電気診断」能力は、すでに機械的プロービング能力をもたないAOIシステムよりむしろArrayChecker(商標)システムに組み込んだ際に必要とされる付加的なシステム機能の点からは複雑さを加えない。
上述のプラズマプローブを用いた詳細な電気測定能力の代わりの実施形態は、独立型の電気特性システムであり得る。かかるシステムを用いることにより、LCD又はOLEDディスプレイの動作領域におけるTFTの性能は、欠陥位置の事前認識の必要なしに非破壊方法で判断され得る。プラズマプローブを用いたノンメカニカルコンタクト信号測定装置は、テスト中の構造体における回路を詳しく特徴付けるために電気計測器185を用いて多数のデータ値を取得し得る。電気計測器185からの多数のデータ値は、データ記憶装置及び制御ブロック198内のデータ記憶ユニットに記憶され得る。データ記憶ユニット、電気計測器185、及び信号源190の動作は、データ記憶ユニットに記憶されたテストルーチンを用いてデータ記憶装置及び制御ブロック198内の制御ユニットによって調整及び制御される。この能力により、装置性能及び一様性をモニターでき、このことは、特に新しいTFTパネルデザイン生産の強化段階中、プロセスの問題を確認するのに役立つ。
一つの実施形態では、制御ユニットは、テスト中の構造体における第1の信号線の第1の電気特性を第1の状態に設定するのを調整し得る。例えば、テスト中のTFTアレイにおけるゲート線の電圧は、従来の機械的プロービングにより第1の電圧に設定され得る。それで、コントローラは、テスト中の構造体における第2の信号線の第2の電気特性と関連した多数のデータ値の1番目を記憶し得、第1のデータ値は第1の状態に関連している。第2の信号線は、電子ビーム誘導プラズマによって探索され得、そして第2の信号線に関連したデータ値は電気計測器によって測定され得る。例えば、電子ビーム誘導プラズマは、テスト中のアレイに設けたTFTのドレーンに結合され得るピクセル電極おける電圧を探索するのに用いられ得る。電気計測器を介してプラズマプローブで測定した電圧値は、データ記憶ユニットに記憶され得る。そして、コントローラは第1の電気特性を第2の状態に設定し得、すなわち、ゲート線における電圧は第2の電圧に変化される。その後、コントローラは、第2の電気特性に関連した多数のデータ値の2番目を記憶し得、第2のデータ値は第2の状態に関連している。例えば、同じTFTのドレーンに結合したピクセル電極における電圧は再び、電気計測器を介してプラズマプローブによって測定され、データ記憶ユニットに記憶される。従って、第1のドレーン電圧データは第1のゲート電圧と関連付けられ、また第2のドレーン電圧データは第2のゲート電圧と関連付けられる。第2の電気特性は回路を介して第1の電気特性に反応する。例えば、ドレーン線は、相互に接続したトランジスタすなわち回路を介してゲート線に反応し得る。コントローラは、データ記憶ユニットにおいて望ましい量のデータが取得されるまで、上記シーケンスを繰り返し得、そして特性は従来技術で作られたグラフィカル・ユーザー・インターフェース又はハードコピーを介して再調査のため出力され得る。
プラズマプローブ法は、「オンデマンド」電気診断用のArrayChecker(商標)システムに現在用いられているIVプローブのような既存の解決法に勝る利点がある。これら既存の解決法は、テスト中のピクセルに対して物理的に接触する(例えば角針を用いて)ことに頼っている。この方法では、機械的に接触したピクセルを例外なく損傷させることになり、従って一般的にはLCDやOLEDパネルの動作領域には用いられず、むしろパネルに隣接したテスト領域において用いられる。従って、既存の方法は、その他の主な検査技術手段で検出した欠陥の電気診断を容易に行うことができない。さらに、プラズマプローブ技術と違って、機械的に接触するプロービングは、各被検査ピクセルの間で針を上げたり下げたりせねばならず、どちらかと言えば遅く、特に特徴の小さなパネル(例えばOLEDディスプレイ)においては空間選択性が悪い。
一つの実施形態では、「オンデマンド電気診断」能力を組み込んだ電気検査システムは、電子ビーム誘導プラズマプローブ検査ヘッドを干渉なしで自由に独立して動かせるステージにこれらの検査ヘッドを装着ことによって高い処理能力を持つように構成され得、それにより、プラズマプローブなしでの主な検査及びプラズマプローブを用いた電気診断は並列に行うことができる。これは、例えば、主な検査のために用いられる検査ヘッドを装着する別のガントリ又はガントリの背後に電子ビーム誘導プラズマプローブ検査ヘッドを設置することにより達成できる。代わりに、プラズマプローブ電気診断ステーションは、最近のIVプローブの場合のように、主な検査のために用いられる検査ヘッドと同じ物理的マウントに設置できる。この場合、並列検査及びオンデマンド電気診断は可能でないが、しかしこれは多くの状況、特にプロセスの開発中には許容され得る。
さらなる正確な欠陥診断結果のため、また好ましくは電気特性のために、プラズマプローブを用いた電気テストは、光誘導キャリアの生成を防ぐため暗い場所で行われ得る。かかるキャリアは高いTFT OFF電流につながるチャンネル欠陥のような欠陥をマスクし得る。一つの実施形態では、ノンメカニカルコンタクト信号測定装置は、光の低減が電気計測器185からのデータ値の精度を改善するために、テスト中の構造体170に入射する光を低減するように包囲され又は構成される。
本発明の上記の実施形態は例示のためであり、限定するものではない。種々の変更及び等価のものが可能である。本発明は、例として単一プラズマプローブを参照して説明してきたが、本発明はプラズマプローブの数によって限定されないことが理解されよう。本発明は例として円形のプラズマに関して説明してきたが、本発明はプラズマの形状によって限定されないことが理解されよう。本発明の実施形態は、膜を支持するフレームを形成するのに用いた基板材料の種類によって限定されない。本発明の実施形態は、膜、フレームまたは真空包囲体の形状によって限定されない。本発明の実施形態は、真空包囲体への膜やフレームの取付け方法によって限定されない。本発明の実施形態は、プラズマに結合した信号源や電気計測器の形式あるいはそれらの数によって限定されない。本発明の実施形態は、テスト中の構造体に対するプラズマプローブの動かし方によって限定されない。さらに、本発明は、フラットパネル上の他の回路、マイクロ電子回路、回路ボード、ソーラーパネル、半導体回路などのような薄膜トランジスタアレイのテストに限定されない物理的接触を必要としないすなわち無接触プロービングのテスト応用において用いられ得る。その他の追加、除去又は変更は本明細書の記載の観点で明らかであり、特許請求の範囲内にあるものとする。