JP2005009541A - 自動二輪車等のフロントフォーク - Google Patents

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Munemitsu Eguchi
宗光 江口
Takeshi Arai
武志 新井
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Abstract

【課題】ピストンロッドの上端部をアジャスタを介して車体側チューブの上端部に設けたキャップ部材に結合した自動二輪車等のフロントフォークにおいて、アジャスタに対するピストンロッドの相対位置を変化させることなくそれら両者を簡易に着脱可能にすること
【解決手段】アジャスタ24を介して、ピストンロッド29の上端部を、車体側チューブ11の上端部に設けたキャップ部材23に結合した自動二輪車等のフロントフォーク10において、アジャスタ24を、キャップ部材23側に結合する第1のアジャスタ101と、ピストンロッド29の上端部側に結合する第2のアジャスタ102の分割体から構成し、第1のアジャスタ101と第2のアジャスタ102を互いに螺合するとともに、いずれか一方のストッパ面101Aを他方のストッパ面102Aに当接させた状態で締結したもの。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車等のフロントフォークに関し、懸架スプリングの交換、油面調整等の仕様変更、オーバーホール等に際し、これらの作業の前後で、作動特性の変化を生じない自動二輪車等のフロントフォークに関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1のフロントフォークは、アウタチューブ11とインナチューブ12を摺動自在に嵌合し、インナチューブ12内に設けた油室と、該油室内を摺動するピストン42と、ピストン42を先端部に取付けたピストンロッド29とを備えるとともに、アウタチューブ11とインナチューブ12の間に懸架スプリング13を介装している。そして、ピストンロッド29の上端部外周に、懸架スプリング13のばね荷重を調整するアジャスタ28を固定し、アジャスタ28を介して、ピストンロッド29の上端部を、アウタチューブ11の上端部に設けたキャップ25に結合している。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−161938(3頁、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1のフロントフォークでは、懸架スプリング13を以下の手順で交換する。特許文献1の図5において、キャップ25とアウタチューブ11との螺合を外し、アウタチューブを下方に下げる。次に、スプリングカラーを下方に押し下げた状態で、アジャスタ28とピストンロッド29との螺合を外すことにより、キャップ25にアジャスタ28、スライダ33が組付いた組立体を、一体として取外す。その後、スプリングカラー34、懸架スプリング13を上方に取出す。
【0005】
しかしながら、上述の懸架スプリング13の交換作業では、一般のユーザーが、懸架スプリング13を交換した後、再度アジャスタ28とピストンロッド29を螺合して組付ける際に、ピストンロッド29とアジャスタ28の相対位置を分解する前の位置に組付けることを保証することができない(アジャスタ28とロックナット30は、ピストンロッド29外周のねじ部の任意の位置でロックできる)。
【0006】
その結果、アジャスタ28に対するピストンロッド29の相対位置が変化することになり、ピストンロッド29のダンパシリンダ21に対する取付位置や、ピストンロッド29の外周に取付けたオイルロックピース70Cとダンパシリンダ21に取付けたオイルロックカラー31との相対位置が変化し、伸び切り位置や、最圧縮位置が異なってしまうという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、ピストンロッドの上端部をアジャスタを介して車体側チューブの上端部に設けたキャップ部材に結合した自動二輪車等のフロントフォークにおいて、アジャスタに対するピストンロッドの相対位置を変化させることなくそれら両者を簡易に着脱可能にすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、車体側チューブと車輪側チューブを摺動自在に嵌合し、車輪側チューブ内に設けた油室と、該油室内を摺動するピストンと、該ピストンを先端部に取付けたピストンロッドとを備え、車体側チューブと車輪側チューブの間に懸架スプリングを介装し、ピストンロッドの上端部外周に、懸架スプリングのばね荷重を調整するアジャスタを固定し、該アジャスタを介して、前記ピストンロッドの上端部を、車体側チューブの上端部に設けたキャップ部材に結合した自動二輪車等のフロントフォークにおいて、前記アジャスタを、前記キャップ部材側に結合する第1のアジャスタと、前記ピストンロッドの上端部側に結合する第2のアジャスタの分割体から構成し、第1のアジャスタと第2のアジャスタを互いに螺合するとともに、いずれか一方のストッパ面を他方のストッパ面に当接させた状態で締結したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1はフロントフォークを示す全体断面図、図2は図1の下部断面図、図3は図1の中間部断面図、図4は図1の上部断面図、図5はアジャスタの結合状態を示す断面図、図6はアジャスタの分解状態を示す断面図、図7は第1のアジャスタを示し、(A)は正面図、(B)は平面図、図8はアジャスタカバーを示し、(A)は平面図、(B)は断面図、(C)は底面図、図9は第2のアジャスタを示し、(A)は断面図、(B)は底面図である。
【0010】
自動二輪車等のフロントフォーク10は、図1〜図4に示す如く、車体側のアウタチューブ(車体側チューブ)11を車軸側のインナチューブ(車輪側チューブ)12に摺動自在に嵌合して倒立にし、両チューブ11、12の間に懸架スプリング13を介装するとともに、単筒型ダンパ14を正立にして内装している。
【0011】
アウタチューブ11の下端内周部にはインナチューブ12の外周部が摺接するブッシュ15、オイルシール16が嵌着され、インナチューブ12の上端外周部にはアウタチューブ11の内周部が摺接するブッシュ18が嵌着される。
【0012】
アウタチューブ11はアッパブラケット19A(不図示)、ロアブラケット19B(不図示)を介して車体側に支持され、インナチューブ12は車軸ブラケット20を介して車軸に結合される。
【0013】
フロントフォーク10は、車軸ブラケット20の内部に固定した、ダンパ14のダンパシリンダ21をインナチューブ12の内部に立設している。ダンパシリンダ21は、車軸ブラケット20の底部に挿着したセンターボルト22により固定される。
【0014】
フロントフォーク10は、図5に示す如く、アウタチューブ11の上端開口部にキャップ(キャップ部材)23の円筒部23Aを液密に挿着するとともに螺着され、キャップ23の蓋部23Bの内周にはばね荷重調整アジャスタ24を液密に挿着している。アジャスタ24は蓋部23Bの内側面に衝合する段差部を備えるとともに、蓋部23Bに対する外側突出部に螺着されるロックナット25を備え、段差部とロックナット25により蓋部23Bを挟んで該蓋部23Bに回転可能に挿着される。アジャスタ24のロックナット25より外方に突出する端部には、図8に示すアジャスタカバー26が挿着される。アジャスタカバー26は、アジャスタ24の外周の二面幅部(後述の第1のアジャスタ101の二面幅部101B)に係着される二面幅部27を内周に有し、この二面幅部27によりアジャスタ24と回転方向に一体に結合されるとともに、アジャスタ24の端部に係着したストッパリング28と軸方向に係合してアジャスタ24から抜け止めされる。アジャスタ24の下端内周にはピストンロッド29の上端部が螺着され、ロックナット30でロックされている。このピストンロッド29の下端部はダンパシリンダ21に挿入されている。
【0015】
インナチューブ12の内部のダンパシリンダ21の上端外周部にはストッパリング31Aに支持されるばね受ストッパ31B、スラストレース31Cを介してばね受32が支持される。他方、アウタチューブ11の内部で、アジャスタ24の外周には軸方向に沿う溝部24Aが設けられ、このアジャスタ24の溝部24Aに係合して回り止めされるスライダ33がキャップ23の円筒部23Aの内周に螺合している。スライダ33は筒状のスプリングカラー34を介して懸架スプリング13の上端を支持し、ばね受32によって懸架スプリング13の下端を支持する。アジャスタ24を回動操作することにより、スライダ33を上下動し、ひいてはスプリングカラー34を介して懸架スプリング13の初期荷重を設定可能とする。
【0016】
アウタチューブ11とインナチューブ12の内部で、ダンパシリンダ21の外周部には、油溜室35Aと気体室35Bとが設けられ、気体室35Bに閉じ込められている気体が気体ばねを構成する。油溜室35Aの作動油は、気体室35Bのばね定数の調整と、アウタチューブ11とインナチューブ12の摺接ブッシュ15、18の潤滑、インナチューブ12の下端部のオイルシール16の湿潤に寄与する。そして、これらの懸架ばね13と気体ばねの弾発力が、車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。
【0017】
ダンパ14は、ピストンバルブ装置(伸側減衰力発生装置)40と、ボトムバルブ装置(圧側減衰力発生装置)50とを有する。ダンパ14は、ピストンバルブ装置40とボトムバルブ装置50の発生する減衰力により、懸架スプリング13と気体ばねによる衝撃力の吸収に伴うアウタチューブ11とインナチューブ12の伸縮振動を抑制する。
【0018】
ダンパシリンダ21の上端開口部にはロッドガイド36が液密に螺着され、ロッドガイド36の内周にはピストンロッド29を摺接案内するブッシュ36Aが圧入される。
【0019】
尚、ピストンロッド29の外周には最圧縮ストローク規制手段としてのストッパラバー37が固定され、このストッパラバー37はロッドガイド36の上端面に衝合することにより、最圧縮時の緩衝をなす。
【0020】
また、ダンパシリンダ21の内部で、ロッドガイド36の直下にはリバウンドシート38が取着され、リバウンドシート38にリバウンドスプリング39の上端部を保持する。このリバウンドスプリング39は後述するピストンホルダ41に衝合することにより、最伸張時の緩衝をなす。
【0021】
以下、フロントフォーク10の減衰機構について説明する。
(ピストンバルブ装置40)
ピストンバルブ装置40は、ピストンロッド29の先端部にピストンホルダ41を装着し、このピストンホルダ41に螺着されるナット41A、バルブストッパ41Bによりピストン42、バルブストッパ41Cを装着している。ピストン42は、ダンパシリンダ21の内部を摺接し、ダンパシリンダ21の内部をピストンロッド29が収容されないピストン側油室43Aとピストンロッド29が収容されるロッド側油室43Bとに区画する。ピストン42は、伸側バルブ44Aを備えてピストン側油室43Aとロッド側油室43Bとを連絡可能とする伸側流路44と、圧側バルブ(チェックバルブ)45Aを備えてピストン側油室43Aとロッド側油室43Bとを連絡可能とする圧側流路45(不図示)とを備える。
【0022】
また、ピストンバルブ装置40は、アジャスタ24にの中空部に液密に挿着されるとともに螺着されて外部から操作できる減衰力調整ロッド46を有し、ピストンロッド29の中空部に挿入した減衰力調整チューブ47を減衰力調整ロッド46の下端部に突き当て、ピストンホルダ41の中空部に挿入したニードル48を減衰力調整チューブ47の下端部に突き当てるように、ニードル48のフランジとピストンホルダ41の端面との間にばね49を介装している。アジャスタ24と減衰力調整ロッド46は、減衰力調整ロッド46の回転操作に節度感を与えるクリックボール装置46Aを備える。ニードル48により、ピストンホルダ41に設けてあるピストン側油室43Aとロッド側油室43Bのバイパス路43Cの流路面積を調整可能にする。
【0023】
従って、フロントフォーク10の圧縮時には、ピストン側油室43Aの油が圧側流路45を通り圧側バルブ45Aを開いてロッド側油室43Bへ導かれる。
【0024】
また、フロントフォーク10の伸張時には、ダンパシリンダ21とピストンロッド29の相対速度が低速のとき、ロッド側油室43Bの油がニードル48のあるバイパス路43Cを通ってピストン側油室43Aへ導かれ、この間のニードル48による絞り抵抗により伸側の減衰力を生ずる。この減衰力は、ニードル48の位置調整により調整される。
【0025】
また、フロントフォーク10の伸張時で、ダンパシリンダ21とピストンロッド29の相対速度が中高速のとき、ロッド側油室43Bの油が伸側流路44を通り伸側バルブ44Aを撓み変形させてピストン側油室43Aへ導かれ、伸側の減衰力を生ずる。
【0026】
(ボトムバルブ装置50)
フロントフォーク10は、ボトムバルブ装置50を構成するサブタンク51を車軸ブラケット20に固定的に備える。ボトムバルブ装置50は、サブタンク51の開口部にキャップ52を螺着し、サブタンク51の上部油室51Aに臨むキャップ52の下端面に支持ボルト53を螺着し、支持ボルト53の先端部にボトムピース54を固定している。ボトムピース54は下部油室51Bと上部油室51Aを区画する。ボトムピース54は、下部油室51Bと上部油室51Aを連通可能にする圧側流路55と伸側流路56を有し、圧側流路55を圧側バルブ55Aにより開閉可能にし、伸側流路56をチェックバルブ56Aにより開閉可能とする。
【0027】
また、ボトムバルブ装置50は、ボトムピース54をバイパスして下部油室51Bと上部油室51Aを連通可能にするバイパス油路57を有し、バイパス油路57をニードル57Aにより開閉可能とする。このとき、キャップ52に減衰力調整ロッド58を螺着し、減衰力調整ロッド58を支持ボルト53の中央部に回転可能に挿通し、その挿通端に上述のニードル57Aを備える。支持ボルト53と減衰力調整ロッド58は、減衰力調整ロッド58の回転操作に節度感を与えるクリックボール装置58Aを備える。
【0028】
従って、フロントフォーク10の圧縮時には、ダンパシリンダ21に進入したピストンロッド29の進入容積分の油が、ピストン側油室43Aから、下部油室51B、バイパス油路57を通って油溜室35A、或いは圧側流路55、上部油室51Aを通って油溜室35Aに排出される。このとき、ダンパシリンダ21とピストンロッド29の相対速度が低速のときには、バイパス油路57に設けてあるニードル57Aによる絞り抵抗により圧側の減衰力を得る。この減衰力は、減衰力調整ロッド58によるニードル57Aの位置調整により調整される。また、ダンパシリンダ21とピストンロッド29の相対速度が中高速のときには、ピストン側油室43Aから圧側流路55を通る油が圧側バルブ55Aを撓み変形させ、圧側の減衰力を生ずる。
【0029】
フロントフォーク10の伸張時には、ダンパシリンダ21から退出するピストンロッド29の退出容積分の油が、油溜室35Aから伸側流路56を通ってピストン側油室43Aに還流される。
【0030】
従って、フロントフォーク10は以下の如くに減衰作用を行なう。
(圧縮時)
フロントフォーク10の圧縮時には、ボトムバルブ装置50において、ボトムピース54の圧側バルブ55A或いはニードル57Aを流れる油により圧側減衰力を生じ、ピストンバルブ装置40では殆ど減衰力を生じない。
【0031】
(伸張時)
フロントフォーク10の伸張時には、ピストンバルブ装置40において、ピストン42のニードル48或いは伸側バルブ44Aを流れる油により伸側減衰力を生じ、ボトムバルブ装置50では殆ど減衰力を生じない。
【0032】
これらの圧側と伸側の減衰力により、フロントフォーク10の伸縮振動が抑制される。
【0033】
しかるに、フロントフォーク10にあっては、懸架スプリング13の交換、油溜室35Aの油面調整等の仕様変更、オーバーホール等において、キャップ23をアウタチューブ11から取外し、アジャスタ24をピストンロッド29から取外す作業の前後で、作動特性の変化を生じさせないようにするため、以下の構成を備える。
【0034】
フロントフォーク10は、図5に示す如く、アジャスタ24を、キャップ23の側に結合する筒状の第1のアジャスタ101(図7)と、ピストンロッド29の上端部の側に結合する筒状の第2のアジャスタ102(図9)の複数(本実施形態では2個)の分割体から構成される。
【0035】
第1のアジャスタ101は、前述の懸架スプリング13の上端部をスプリングカラー34を介して支持するためのスライダ33を回り止めする溝部24Aを備えるとともに、前述の減衰力調整ロッド46が螺着される中空部を備え、前述のロックナット25及びアジャスタカバー26を備え、キャップ23の蓋部23Bに前述の如くに結合される。第2のアジャスタ102は、ピストンロッド29の上端部に前述の如くに螺着されて結合される。
【0036】
第1のアジャスタ101は下端部の外周に第2のアジャスタ102の上端部の内周を互いに嵌合して螺合する。そして、第1のアジャスタ101の下端面からなるストッパ面101Aを、第2のアジャスタ102の内周の中間部に設けたストッパ面102Aにそれらの軸方向にて当接させる状態で軸方向一体に締結される。
【0037】
従って、フロントフォーク10における例えば懸架スプリング13の交換作業は以下の如くなされる。
【0038】
(1)キャップ23の蓋部23Bに設けた六角状工具係止部23Cに工具を係止し、キャップ23とアウタチューブ11の螺合を外し、アウタチューブ11を下方に下げる。このとき、キャップ23にはアジャスタ24(第1のアジャスタ101と第2のアジャスタ102の組立体)を介してピストンロッド29が吊下がり、このピストンロッド29の下端部のピストンホルダ41がダンパシリンダ21のロッドガイド36に拘束され、キャップ23は未だダンパシリンダ21、ピストンロッド29の側から取外しできない。
【0039】
(2) キャップ23とアジャスタ24の結合体をアウタチューブ11の外側に引き出す。第1のアジャスタ101の外周上端側の二面幅部101Bに二面幅部27を係着させている前述のアジャスタカバー26の六角状工具係止部26A(図8)と、第2のアジャスタ102の外周下端側の二面幅状工具係止部102Bのそれぞれに工具を係止し、第1のアジャスタ101と第2のアジャスタ102を分離する(図6)。
【0040】
(3)キャップ23と第1のアジャスタ101の結合体をダンパシリンダ21、ピストンロッド29の側から取外し、アウタチューブ11の上端開口部を開放する。このとき、第1のアジャスタ101の中空部に螺着されている減衰力調整ロッド46は、ピストンロッド29の側の突き当て状態にあった減衰力調整チューブ47から上方に離れ、減衰力調整チューブ47をピストンロッド29の側に置き去りにする。尚、第1のアジャスタ101の中空部に螺着されている減衰力調整ロッド46の下端部に減衰力調整チューブ47が加締め止め等されている場合には、第1のアジャスタ101及び減衰力調整ロッド46に吊下がる減衰力調整チューブ47がピストンロッド29の中空部から引抜かれ、該ピストンロッド29の側から取外される。
【0041】
(4)アウタチューブ11の開放された上端開口部からスプリングカラー34、懸架スプリング13を上方に取出す。懸架スプリング13の交換後には、以上の逆順で、第1のアジャスタ101と第2のアジャスタ102を互いに螺合して結合し、第1のアジャスタ101に結合されているキャップ23をアウタチューブ11の上端開口部に螺着する。
【0042】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
アジャスタ24を、キャップ23に結合する第1のアジャスタ101と、ピストンロッド29の上端部側に結合する第2のアジャスタ102の分割体から構成し、第1のアジャスタ101と第2のアジャスタ102を互いに螺合するとともに、第1のアジャスタ101のストッパ面101Aを第2のアジャスタ102のストッパ面102Aにそれらの軸方向にて当接させた状態で締結した。従って、アジャスタ24を構成する第1のアジャスタ101と第2のアジャスタ102の分解後の再組立時に、第1のアジャスタ101と第2のアジャスタ102の対向する各ストッパ面101A、102Aを当接させることにより、アジャスタ24とピストンロッド29の軸方向の相対位置をその分解前の位置に確実に復元できる。その結果、ダンパシリンダ21に対するピストンロッド29の取付位置や、ダンパシリンダ21とピストンロッド29のそれぞれに設けた最圧縮ストローク規制手段(ロッドガイド36とストッパラバー37)の相対位置が変化せず、分解の前後で、伸び切り位置や、最圧縮位置が変化しない。
【0043】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明の実施においては、ピストンロッドに取付けたピストンが車輪側チューブに設けた油室内を摺動するものとしても良い。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、ピストンロッドの上端部をアジャスタを介して車体側チューブの上端部に設けたキャップ部材に結合した自動二輪車等のフロントフォークにおいて、アジャスタに対するピストンロッドの相対位置を変化させることなくそれら両者を簡易に着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はフロントフォークを示す全体断面図である。
【図2】図2は図1の下部断面図である。
【図3】図3は図1の中間部断面図である。
【図4】図4は図1の上部断面図である。
【図5】図5はアジャスタの結合状態を示す断面図である。
【図6】図6はアジャスタの分解状態を示す断面図である。
【図7】図7は第1のアジャスタを示し、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図8】図8はアジャスタカバーを示し、(A)は平面図、(B)は断面図、(C)は底面図である。
【図9】図9は第2のアジャスタを示し、(A)は断面図、(B)は底面図である。
【符号の説明】
10 フロントフォーク
11 アウタチューブ(車体側チューブ)
12 インナチューブ(車輪側チューブ)
13 懸架スプリング
23 キャップ(キャップ部材)
24 アジャスタ
29 ピストンロッド
42 ピストン
43A、43B 油室
101 第1のアジャスタ
102 第2のアジャスタ
101A、102A ストッパ面

Claims (1)

  1. 車体側チューブと車輪側チューブを摺動自在に嵌合し、
    車輪側チューブ内に設けた油室と、該油室内を摺動するピストンと、該ピストンを先端部に取付けたピストンロッドとを備え、
    車体側チューブと車輪側チューブの間に懸架スプリングを介装し、
    ピストンロッドの上端部外周に、懸架スプリングのばね荷重を調整するアジャスタを固定し、該アジャスタを介して、前記ピストンロッドの上端部を、車体側チューブの上端部に設けたキャップ部材に結合した自動二輪車等のフロントフォークにおいて、
    前記アジャスタを、前記キャップ部材側に結合する第1のアジャスタと、前記ピストンロッドの上端部側に結合する第2のアジャスタの分割体から構成し、第1のアジャスタと第2のアジャスタを互いに螺合するとともに、いずれか一方のストッパ面を他方のストッパ面に当接させた状態で締結したことを特徴とする自動二輪車等のフロントフォーク。
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