JP2005009356A - 圧縮着火式内燃機関の制御装置 - Google Patents

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尚平 岡崎
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桂 大久保
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彰 加藤
Toru Kitamura
徹 北村
Toshihiro Yamaki
利宏 八巻
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    • F02D41/3035Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion characterised by the mode(s) being used a mode being the premixed charge compression-ignition mode

Abstract

【課題】燃焼モードを燃焼室内の温度に応じて適切に切り換えることができ、それにより、圧縮着火燃焼モード中におけるノッキングおよび失火を回避しながら、圧縮着火燃焼を可能な限り実行することができる圧縮着火式内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】混合気を自己着火によって燃焼させる圧縮着火燃焼モードと、火花点火によって燃焼させる火花点火燃焼モードとに、燃焼モードを切り換えて運転される圧縮着火式内燃機関3の制御装置1であって、制御装置1のECU2は、混合気の燃焼によって生成される燃焼ガスの温度を表す燃焼ガス温度パラメータTEXGASを検出し(図3のステップ14)、検出された燃焼ガス温度パラメータTEXGASに応じて、燃焼モードを圧縮着火燃焼モードまたは火花点火燃焼モードに決定する(図2のステップ4〜6、図8のステップ41〜43,46,53、図9のステップ61)。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼モードを圧縮着火燃焼モードと火花点火燃焼モードに切り換えて運転される圧縮着火式内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の制御装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この制御装置では、内燃機関が、そのトルクが低く且つ回転数が低〜中程度の所定の運転領域(以下、このような領域を「圧縮着火燃焼領域」という)にあるとともに、内燃機関のシリンダブロック内を循環する冷却水の温度が所定温度以上のときには、内燃機関の燃焼モードを圧縮着火燃焼モードに決定し、それ以外のときには、火花点火燃焼モードに決定する。このように冷却水の温度が低いときに圧縮着火燃焼を実行しないのは、冷却水の温度が低く、吸気管やシリンダブロックの温度が低いと、燃焼室内に充填される作動ガスが、吸気管やシリンダブロックによって十分に暖められないことで、自己着火に適した温度まで昇温されず、それにより失火するおそれがあるので、これを回避するためである。
【0003】
【特許文献1】
特開平2000−87749号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、圧縮着火燃焼における自己着火の適否は、内燃機関の燃焼直前の燃焼室内の温度と密接な関係にあり、この燃焼室内の温度が適正な範囲内にある場合には自己着火を支障なく行える一方、燃焼室内の温度が、高すぎる場合にはノッキングが、低すぎる場合には失火が発生しやすくなる。しかし、上述したように、従来の制御装置では、内燃機関のトルクなどが上述した所定の圧縮着火燃焼領域にあり、かつ冷却水の温度が所定温度以上のときに、燃焼モードを圧縮着火燃焼モードに決定するので、次のような問題がある。すなわち、冷却水の温度は、シリンダブロックの熱容量が比較的大きいことやラジエータによる冷却などにより、燃焼室内の温度の変化に対して応答性が低く、遅れて変化するので、燃焼室内の温度を必ずしも良好には反映しない。
【0005】
このため、例えば、極低負荷状態での火花点火燃焼モードによる運転中において、内燃機関のトルクなどの上昇により、燃焼室内の温度が自己着火が可能な温度まで上昇したとしても、冷却水の温度が所定温度以上にならず、燃焼モードが圧縮着火燃焼モードに切り換えられない場合がある。その場合には、圧縮着火燃焼モードによる運転期間が短くなるので、その分、燃費や排気特性が悪化するなど、圧縮着火燃焼による利点が得られなくなってしまう。また、この冷却水の温度の遅れ分を見越して、上記の所定温度を低めに設定することが考えられるが、その場合には逆に、失火するおそれがある。
【0006】
さらに、燃焼室内の温度は、内燃機関のトルクおよび回転数が急激に変化しても、この変化に対応するように速やかには変化しないので、内燃機関のトルクおよび回転数もまた、燃焼室内の温度を必ずしも良好には反映しない。このため、例えば、高負荷状態での火花点火燃焼モードによる運転が実行されることにより、燃焼室内の温度が非常に高い場合において、内燃機関のトルクおよび回転数が急激に低下することにより、圧縮着火燃焼領域に入ったときには、燃焼室内の温度が非常に高いままであるにもかかわらず、燃焼モードが圧縮着火燃焼モードに切り換えられる。その結果、燃焼室内の温度が高すぎることにより、ノッキングが発生するおそれがある。
【0007】
また、圧縮着火燃焼モード中において、内燃機関のトルクなどの急激な上昇により、トルクなどが圧縮着火燃焼領域から外れた場合には、燃焼室内の温度がノッキングが生じるような温度まで上昇していないにもかかわらず、燃焼モードが火花点火燃焼モードに切り換えられる。この場合にも、圧縮着火燃焼モードによる運転期間が短くなり、やはり圧縮着火燃焼による利点が得られなくなってしまう。さらに、このような不具合は、圧縮着火燃焼モード中において、内燃機関のトルクなどの急激な低下により、圧縮着火燃焼領域から外れた場合にも、燃焼室内の温度が失火するような温度まで低下していないにもかかわらず、燃焼モードが火花点火燃焼モードに切り換えられるので、同様に生じてしまう。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、燃焼モードを燃焼室内の温度に応じて適切に切り換えることができ、それにより、圧縮着火燃焼モード中におけるノッキングおよび失火を回避しながら、圧縮着火燃焼を可能な限り実行することができる圧縮着火式内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1による発明は、混合気を自己着火によって燃焼させる圧縮着火燃焼モードと、火花点火によって燃焼させる火花点火燃焼モードとに、燃焼モードを切り換えて運転される圧縮着火式内燃機関3の制御装置1であって、混合気の燃焼によって生成される燃焼ガスの温度を表す燃焼ガス温度パラメータ(実施形態における(以下本項において同じ)推定燃焼ガス温度TEXGAS)を検出する燃焼ガス温度パラメータ検出手段(ECU2、図3のステップ14)と、検出された燃焼ガス温度パラメータに応じて、燃焼モードを圧縮着火燃焼モードまたは火花点火燃焼モードに決定する燃焼モード決定手段(ECU2、図2のステップ4〜6、図8のステップ41〜43,46,53、図9のステップ61)と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この圧縮着火式内燃機関の制御装置によれば、燃焼モードが、検出された燃焼ガス温度パラメータに応じて、圧縮着火燃焼モードまたは火花点火燃焼モードに決定される。一般に、燃焼ガスは、燃焼室内の混合気が燃焼することによって生成されるので、この燃焼ガスの温度は、燃焼直前の燃焼室内の温度状態を良好に反映する。本発明によれば、上記のように、そのような燃焼ガスの温度を表す燃焼ガス温度パラメータに応じて、燃焼モードを決定するので、燃焼モードを燃焼室内の実際の温度に応じて適切に切り換えることができる。したがって、燃焼室内がノッキングや失火が発生するような温度にある場合に、燃焼モードを火花点火燃焼モードに決定することができるので、圧縮着火燃焼中におけるノッキングや失火を回避することができる。また、そのような場合に限って、火花点火燃焼を行うので、圧縮着火燃焼を可能な限り行うことができ、それによる燃費や排気特性の向上などの利点を、最大限に得ることができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の圧縮着火式内燃機関3の制御装置1において、燃焼モード決定手段は、検出された燃焼ガス温度パラメータが、所定の範囲(上限温度TEXGASH,下限温度TEXGASL)内にあるときには、燃焼モードを圧縮着火燃焼モードに決定し(図2のステップ4,6)、燃焼ガス温度パラメータが所定の範囲内にないときには、燃焼モードを火花点火燃焼モードに決定する(図2のステップ4,5)ことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、燃焼モードは、検出された燃焼ガス温度パラメータが所定の範囲内にあるときには、圧縮着火燃焼モードに決定される。このように、燃焼ガスの温度が所定の範囲よりも高いかまたは低く、すなわち、燃焼室内の温度が高すぎるかまたは低すぎる場合に、燃焼モードを火花点火燃焼モードに決定するので、上述した請求項1による効果を確実に得ることができる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の圧縮着火式内燃機関3の制御装置1において、燃焼ガス温度パラメータに応じて、圧縮着火燃焼の実行領域(下限回転数NEL,上限回転数NEH,下限トルクPMEL,上限トルクPMEH)を設定する実行領域設定手段(ECU2、図8のステップ43〜50、図9のステップ61)と、内燃機関3の運転状態を表す運転状態パラメータ(エンジン回転数NE,要求トルクPMECMD)を検出する運転状態パラメータ検出手段(クランク角センサ22、ECU2、図2のステップ1)と、をさらに備え、燃焼モード決定手段は、燃焼モードを、検出された運転状態パラメータが設定された実行領域内にあるときには、圧縮着火燃焼モードに決定する(図8のステップ51〜53、図9のステップ61)とともに、運転状態パラメータが実行領域内にないときには、火花点火燃焼モードに決定する(図8のステップ51,52,42、図9のステップ61)ことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、燃焼ガス温度パラメータに応じて、圧縮着火燃焼の実行領域が設定されるとともに、検出された運転状態パラメータが設定された実行領域内にあるときには、燃焼モードが圧縮着火燃焼モードに決定され、それ以外のときには、火花点火燃焼モードに決定される。このように、燃焼ガス温度パラメータに応じて設定された実行領域内に運転状態パラメータがあるか否かに応じて、燃焼モードを決定するので、燃焼モードを、燃焼室内の温度に加えて、内燃機関の実際の運転状態に応じてより適切に切り換えることができる。
【0015】
請求項4による発明は、請求項3に記載の圧縮着火式内燃機関3の制御装置1において、実行領域設定手段は、燃焼ガス温度パラメータが小さいほど、実行領域をより狭くなるように設定する(図8のステップ43〜50、図9のステップ61)ことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、圧縮着火燃焼の実行領域を、燃焼ガス温度パラメータが小さいほど、すなわち燃焼室内の温度が低いほど、より狭くなるように設定する。これにより、燃焼室内の温度が低く、自己着火が安定して行えないような場合には、実行領域を狭め、圧縮着火燃焼を制限することによって、失火を確実に回避することができる。また、燃焼室内の温度が高く、自己着火が比較的安定して行えるような場合には、実行領域を拡大し、圧縮着火燃焼を最大限に行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。 図1は、本発明の第1実施形態による制御装置1、およびこれを適用した圧縮着火式内燃機関(以下「エンジン」という)3を概略的に示している。
【0018】
エンジン3は、例えば、車両に搭載された直列4気筒(1気筒のみ図示)タイプのガソリンエンジンであり、各気筒のピストン3aとシリンダヘッド3bとの間に燃焼室3cが形成されている。ピストン3aの上面の中央部には、凹部3dが形成されている。また、シリンダヘッド3bには、吸気管4および排気管5がそれぞれ接続されている。
【0019】
また、シリンダヘッド3bには、燃焼室3cに臨むようにインジェクタ6および点火プラグ7が取り付けられている。インジェクタ6は、燃料ポンプ(図示せず)に接続されており、その燃料噴射時間(開弁時間)は、後述するECU2によって制御される。また、点火プラグ7には、ECU2からの駆動信号により点火時期に応じたタイミングで高電圧が加えられ、次に遮断されることによって放電し、それにより、各気筒内で混合気の点火が行われる。また、エンジン3は、その燃焼モードを、燃焼室3c内の混合気を点火プラグ7の火花により点火する火花点火燃焼モード(以下「SI燃焼モード」という)と、自己着火により着火する圧縮着火燃焼モード(以下「CI燃焼モード」という)とに切り換えて運転される。
【0020】
吸気弁8および排気弁9は、それぞれ電磁式動弁機構10によって駆動される。各電磁式動弁機構10は、2つの電磁石(図示せず)を備えており、ECU2からの駆動信号により、これらの電磁石の励磁・非励磁のタイミングを制御することによって、吸気弁8および排気弁9が開閉駆動されるとともに、これらの開閉タイミング(以下「バルブタイミング」という)が自在に制御される。
【0021】
また、排気弁9の閉弁タイミングを通常よりも早くするとともに、吸気弁8の開弁タイミングを通常よりも遅くするように制御することによって、燃焼ガスの一部をEGRガスとして燃焼室3c内に残留させる(以下「内部EGR」という)とともに、その残留量であるEGRガス量を制御することが可能である。
【0022】
さらに、排気弁9を駆動する電磁式動弁機構10には、バルブリフト量センサ21が取り付けられている。このバルブリフト量センサ21は、排気弁9の実際のバルブリフト量EVLを検出して、その検出信号をECU2に出力する。
【0023】
ECU2には、クランク角センサ22(運転状態パラメータ検出手段)から、パルス信号であるCRK信号およびTDC信号が出力される。このCRK信号は、エンジン3のクランクシャフト(図示せず)の回転に伴い、所定のクランク角度ごとに出力される。ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン回転数NE(運転状態パラメータ)を求める。また、ECU2は、バルブリフト量EVLおよびCRK信号から、排気弁9の実際の閉弁タイミングCAEVCACTを求める。TDC信号は、各気筒のピストン3aが吸気行程開始時のTDC(上死点)付近の所定クランク角度位置にあることを表す信号であり、エンジン3が4気筒タイプの本例では、クランク角180゜ごとに出力される。
【0024】
さらに、ECU2には、吸気温センサ23から、燃焼室3c内に吸入される吸入空気の温度(以下「吸気温」という)TAを表す検出信号が、アクセル開度センサ24から、アクセルペダル(図示せず)の開度(以下「アクセル開度」という)APを表す検出信号が、それぞれ出力される。
【0025】
ECU2は、本実施形態において、燃焼ガス温度パラメータ検出手段、燃焼モード決定手段、実行領域設定手段、および運転状態パラメータ検出手段を構成するものであり、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROMなどからなるマイクロコンピュータで構成されている。前述した各種センサ21〜24からの検出信号はそれぞれ、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。
【0026】
CPUは、これらの入力信号に応じて、エンジン3の運転状態を判別し、判別した運転状態に応じ、ROMに記憶された制御プログラムなどに従って、エンジン3の燃焼モードをSI燃焼モードまたはCI燃焼モードに決定するとともに、その結果に応じて、CI燃焼モード中におけるEGRガス量の制御などを実行する。
【0027】
図2は、燃焼モードを決定する燃焼モード決定処理を示している。本処理は、所定時間(例えば20msec)ごとに実行される。まず、ステップ1では、エンジン3の要求トルクPMECMD(運転状態パラメータ)を、エンジン回転数NEなどを用いて次式(1)によって算出する。
PMECMD=CONST・PSE/NE …… (1)
ここで、CONSTは定数であり、PSEはエンジン3の要求出力である。この要求出力PSEは、PSEテーブル(図示せず)に基づき、アクセル開度APおよびエンジン回転数NEに応じて設定される。このPSEテーブルは、0%〜100%の範囲内の所定のアクセル開度APごとに設定された複数のテーブルで構成されており、アクセル開度APがこれらの中間値を示す場合には、要求出力PSEは補間演算によって求められる。また、これらのテーブルでは、要求出力PSEは、エンジン回転数NEが大きいほど、およびアクセル開度APが大きいほど、大きな値に設定されている。
【0028】
次いで、エンジン回転数NEが、所定の下限回転数NEL(例えば1500rpm)および上限回転数NEH(例えば4000rpm)で規定される所定の範囲内にあるか否かを判別する(ステップ2)とともに、算出した要求トルクPMECMDが、所定の下限トルクPMEL(例えば30N・m)および上限トルクPMEH(例えば110N・m)で規定される所定の範囲内にあるか否かを判別する(ステップ3)。
【0029】
ステップ2または3の答のいずれかがNOで、エンジン回転数NEまたは要求トルクPMECMDが、それぞれの所定の範囲内になく、これらが高すぎるかまたは低すぎるときには、燃焼モードをSI燃焼モードに決定するとともに、そのことを表すためにCI燃焼モードフラグF_HCCIを「0」にセットし(ステップ5)、本処理を終了する。
【0030】
一方、前記ステップ2および3の答がいずれもYESのときには、推定燃焼ガス温度TEXGAS(燃焼ガス温度パラメータ)が、所定の下限温度TEXGASL(例えば500℃)(所定の範囲)および上限温度TEXGASH(例えば1000℃)(所定の範囲)で規定される所定の範囲内にあるか否かを判別する(ステップ4)。なお、この推定燃焼ガス温度TEXGASは、燃焼によって生成される燃焼ガスの温度を推定したものであり、その詳細については後述する。
【0031】
このステップ4の答がNOで、推定燃焼ガス温度TEXGASが所定の範囲内にないときには、燃焼直前の燃焼室3c内の温度(以下「燃焼室内温度」という)が高すぎるか、または低すぎるとして、前記ステップ5に進み、燃焼モードをSI燃焼モードに決定する。一方、ステップ4の答がYESのときには、燃焼モードをCI燃焼モードに決定するとともに、そのことを表すためにCI燃焼モードフラグF_HCCIを「1」にセットし(ステップ6)、本処理を終了する。
【0032】
以上のように、推定燃焼ガス温度TEXGASが、上限温度TEXGASH以上のとき、または下限温度TEXGASL以下のとき、すなわち、燃焼室内温度が高すぎるかまたは低すぎる場合に、燃焼モードがSI燃焼モードに決定される。
【0033】
次に、図3を参照しながら、前述した推定燃焼ガス温度TEXGASを算出する燃焼ガス温度推定処理について説明する。本処理は、TDC信号の入力に同期して割り込み実行される。まず、そのステップ11では、現在の推定燃焼ガス温度TEXGASをその前回値TEXGASZとして設定する。なお、この前回値TEXGASZは、エンジン3の始動時には、所定温度(例えば150℃)に設定される。次いで、フューエルカットフラグF_FCが「1」であるか否かを判別する(ステップ12)。この答がYESで、フューエルカット(以下「F/C」という)が実行されているときには、燃焼ガス温度暫定値TEXGASTを、所定値TCYLWALに設定する(ステップ13)。なお、この所定値TCYLWALは、F/Cにより燃焼が行われない場合において、それまでの燃焼によって加熱されたシリンダブロックの温度に相当し、例えば80℃である。
【0034】
次いで、今回の推定燃焼ガス温度TEXGASを、その前回値TEXGASZ、および設定した燃焼ガス温度暫定値TEXGASTなどを用いて、次式(2)によって算出し(ステップ14)、本処理を終了する。
TEXGAS=TEXGAST・(1−TDTGAS)+TEXGASZ・TDTGAS ……(2)
ここで、TDTGASは、値1.0未満の所定のなまし係数(例えば0.9)である。
【0035】
一方、ステップ12の答がNOで、F_FC=0、すなわちF/Cが実行されていないときには、図2の前記ステップ5または6でセットされたCI燃焼モードフラグF_HCCIが、「1」であるか否かを判別する(ステップ15)。この答がNOで、SI燃焼モード中のときには、ステップ16において、吸気温TAおよび要求トルクPMECMDに応じ、SI燃焼モード用のTEXGASSIMマップを検索することによって、マップ値TEXGASSIMを求め、燃焼ガス温度中間値TEXGASαとして設定する。この燃焼ガス温度中間値TEXGASαは、燃焼によって直接的に得られる(外部からの影響を受けないと仮定したときの)燃焼ガスの温度に相当する。
【0036】
図4は、このSI燃焼モード用のTEXGASSIMマップを示しており、同マップでは、マップ値TEXGASSIMは、吸気温TAが高いほど、および要求トルクPMECMDが大きいほど、より大きな値に設定されている。これは、吸気温TAが高いほど、燃焼室3c内に充填される混合気の温度がより高いことにより、燃焼ガスの温度がより高いためであり、また、要求トルクPMECMDが大きいほど、エンジン3の出力がより大きいことにより、燃焼によって発生する熱量、すなわち燃焼ガスの温度がより高いためである。なお、マップ値TEXGASSIMは、所定の下限温度TAL(例えば−10℃)から所定の上限温度TAH(例えば100℃)までの計6つの所定の吸気温TAに対して設定されており、吸気温TAがこれらの所定の温度にないときには、補間演算によって求められる。
【0037】
一方、前記ステップ15の答がYESで、F_HCCI=1、すなわちCI燃焼モード中のときには、ステップ17において、推定作動ガス温度TCYLGASおよび要求トルクPMECMDに応じ、CI燃焼モード用のTEXGASCIMマップを検索することによって、マップ値TEXGASCIMを求め、燃焼ガス温度中間値TEXGASαとして設定する。この推定作動ガス温度TCYLGASは、推定した圧縮行程の開始時における実際の作動ガスの温度であり、その詳細については後述する。
【0038】
図5は、このCI燃焼モード用のTEXGASCIMマップを示しており、このマップでは、マップ値TEXGASCIMは、要求トルクPMECMDが大きいほど、および推定作動ガス温度TCYLGASが高いほど、より大きな値に設定されている。これは、推定作動ガス温度TCYLGASが高いほど、圧縮行程の開始時の作動ガスの温度が高いことにより、その燃焼によって生成される燃焼ガスの温度がより高く、また、前述したように、要求トルクPMECMDが大きいほど、燃焼ガスの温度がより高いためである。
【0039】
前記ステップ16または17に続くステップ18では、前記ステップ16または17で設定した燃焼ガス温度中間値TEXGASα、および前記ステップ13で用いた所定値TCYLWALなどを用いて、燃焼ガス温度暫定値TEXGASTを次式(3)によって算出するとともに、前記ステップ14を実行し、本処理を終了する。
Figure 2005009356
ここで、KTEXGMEは、値1.0未満の所定のなまし係数(例えば0.01)であり、TDCMEは現在のTDC信号の周期である。また、TDCMEαは、エンジン回転数NEが、高速時F/Cが実行される限界回転数(例えば6000rpm)にあるときのTDC信号の周期に設定されている。
【0040】
上記の式(3)の右辺の第1項は、燃焼によって直接的に得られる燃焼ガスの温度に相当し、第2項は、燃焼ガスの温度に対するシリンダブロックの温度の影響分に相当する。また、式(3)から明らかなように、右辺中に第2項が占める割合は、TDC信号の周期TDCMEが長いほどより大きい。これは、TDC信号の周期TDCMEが長いほど、燃焼サイクル間の時間間隔が長いことで、燃焼ガスの温度に対するシリンダブロックの温度の影響度合がより大きく、それにより、燃焼ガスの低下度合がより大きいためである。
【0041】
図6は、図3の前記ステップ17で用いられる推定作動ガス温度TCYLGASを算出する作動ガス温度推定処理を示しており、本処理は、CI燃焼モード中にのみ、TDC信号の入力に同期して割り込み実行される。また、本処理では、ステップ21において、推定作動ガス温度TCYLGASを、図3の前記ステップ11で設定された推定燃焼ガス温度の前回値TEXGASZ、および吸気温TAなどを用いて、次式(4)によって算出する。
TCYLGAS=(TEXGASZ−TA)・NEGR/ETACC・NTCYLMAX+TA ……(4)
【0042】
ここで、NTCYLMAXは、燃焼室3cの容積と行程容積との和である。ETACCは、作動ガス(混合気およびEGRガスを含むガス)の充填効率(燃焼室3cの容積と行程容積との和に対する作動ガスの充填量の比)の目標値(目標充填効率)で、EGRガス量の制御に用いられるものであり、その詳細については後述する。NEGRは、推定された燃焼室3c内に残留した実際のEGRガス量を表す推定EGRガス量である。
【0043】
この推定EGRガス量は、排気弁9の実際の閉弁タイミングCAEVCACTおよび要求トルクPMECMDに応じて、マップ(図示せず)を検索することによって求められる。このマップでは、推定EGRガス量NEGRは、排気弁9の閉弁タイミングCAEVCACTが早いほど、および要求トルクPMECMDが大きいほど、より大きな値に設定されている。これは、排気弁9の閉弁タイミングが早いほど、燃焼ガスが排気管5に排出されにくく、EGRガス量がより多くなるためであり、また、要求トルクPMECMDが大きいほど、発生する燃焼ガスの量がより多いので、それに応じて残留するEGRガス量もより多くなるためである。
【0044】
前述した式(4)の右辺の(TEXGASZ−TA)は、燃焼ガスと新気との温度差を表し、NEGR/ETACC・NTCYLMAXは、作動ガス中に占めるEGRガスの割合を表す。したがって、両者の積、すなわち第1項は、EGRガスによる作動ガスの温度の上昇分を表し、それにさらに吸気温TAを加算することによって、圧縮行程の開始時における実際の作動ガスの温度である推定作動ガス温度TCYLGASを、適切に算出することができる。
【0045】
図7は、図6の前記ステップ21で用いた目標充填効率ETACCの算出処理を示しており、本処理は、所定時間(例えば10msec)ごとに実行される。まず、ステップ31では、前述したCI燃焼モードフラグF_HCCIが、「1」であるか否かを判別する。この答がNOで、SI燃焼モード中であるときには、そのまま本処理を終了する。
【0046】
一方、前記ステップ31の答がYESで、CI燃焼モード中であるときには、ステップ32において、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMECMDに応じ、マップ(図示せず)を検索することによって、目標作動ガス温度TCYLGASCを求める。この目標作動ガス温度TCYLGASCは、圧縮行程の開始時における混合気およびEGRガスを含む作動ガスの温度を自己着火が生じやすいような温度に制御するために設定され、このマップでは、エンジン回転数NEが低いほど、および要求トルクPMECMDが小さいほどより大きな値に設定されている。これは、エンジン回転数NEが低いほど、燃焼サイクル間の時間間隔が長いことで、自己着火が生じにくく、また、要求トルクPMECMDが小さいほど、噴射する燃料量が少ないことで、自己着火が生じにくいので、これを生じやすくするために作動ガスの温度を高めるためである。
【0047】
次いで、求めた目標作動ガス温度TCYLGASCに基づき、目標充填効率ETACCを、テーブル(図示せず)を検索することによって求め(ステップ33)、本処理を終了する。このテーブルでは、目標充填効率ETACCは、目標作動ガス温度TCYLGASCが大きいほど、より大きな値に設定されている。これは、目標作動ガス温度TCYLGASCが大きいほど、作動ガスの温度を高めるために、より多量のEGRガスを燃焼室3c内に残留させる必要があるためである。
【0048】
以上のように、CI燃焼モード中においては、推定作動ガス温度TCYLGASを、推定EGRガス量NEGRおよび目標充填効率ETACCに応じて算出する(図6のステップ21)ので、圧縮行程の開始時における実際の作動ガスの温度を、作動ガス中のEGRガス量の割合、すなわちEGRガスによる温度の上昇度合を反映させながら、適切に推定することができる。また、そのように適切に推定された推定作動ガス温度TCYLGASを用いて推定燃焼ガス温度TEXGASを算出する(図3のステップ17、18および14)ので、燃焼ガスの温度を適切に推定することができる。
【0049】
また、一般に、SI燃焼モード時には、点火プラグによって混合気が点火されるため、圧縮着火燃焼モード時と異なり、作動ガスの温度を自己着火が生じやすいような温度に維持する必要がないので、EGRガス量の吸入空気に対する割合は非常に小さい。これに対して、本実施形態では、SI燃焼モード中において、吸気温TAに応じて燃焼ガス温度中間値TEXGASαを求め(図3のステップ16)、これに応じて推定燃焼ガス温度TEXGASを算出する(図3のステップ18、14)ので、燃焼ガスの温度を適切に推定することができる。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、推定燃焼ガス温度TEXGASが、上限温度TEXGASH以上のとき、または下限温度TEXGASL以下のときに、燃焼モードをSI燃焼モードに決定する。このように、燃焼室内温度が高すぎるためにノッキングが発生するおそれがある場合に、および燃焼室内温度が低すぎるためにや失火が発生するおそれがある場合に、燃焼モードをSI燃焼モードに決定するので、CI燃焼モード中におけるノッキングや失火を回避することができる。また、そのような場合に限って、SI燃焼を行うので、CI燃焼を可能な限り行うことができ、それによる燃費や排気特性の向上などの利点を、最大限に得ることができる。
【0051】
図8は、本発明の第2実施形態による燃焼モード決定処理を示している。まず、ステップ41では、推定燃焼ガス温度TEXGASが図2の前記ステップ4で用いた上限温度TEXGASH以上であるか否かを判別する。この答がYESのときには、燃焼室内温度が高すぎるとして、燃焼モードをSI燃焼モードに決定するとともに、そのことを表すためにCI燃焼モードフラグF_HCCIを「0」にセットし(ステップ42)、本処理を終了する。
【0052】
一方、ステップ41の答がNOで、TEXGAS<TEXGASHのときには、ステップ43〜50において、CI燃焼の実行領域を、推定燃焼ガス温度TEXGASに応じて設定する。まず、ステップ43では、推定燃焼ガス温度TEXGASが、上限温度TEXGASHよりも低い所定の第1温度TEXGASα(例えば500℃)よりも高いか否かを判別する。この答がYESのときには、ステップ44において、エンジン回転数NEに関するCI燃焼の実行領域を規定するための下限回転数NELおよび上限回転数NEHをそれぞれ、所定の第1下限値NEL1および第1上限値NEH1(例えば1400rpm、4000rpm)に設定する。次いで、ステップ45において、要求トルクPMECMDに関するCI燃焼の実行領域を規定するための下限トルクPMELおよび上限トルクPMEHをそれぞれ、所定の第1下限値PMEL1および第1上限値PMEH1(例えば20N・m、90N・m)に設定する。
【0053】
一方、前記ステップ43の答がNOで、TEXGAS≦TEXGASαのときには、推定燃焼ガス温度TEXGASが、所定の第2温度TEXGASβ(<TEXGASα、例えば0℃)よりも高いか否かを判別する(ステップ46)。この答がYESのときには、ステップ47において、下限回転数NELを、前記第1下限値NEL1よりも大きな所定の第2下限値NEL2(例えば1700rpm)に設定するとともに、上限回転数NEHを、前記第1上限値NEH1よりも小さな所定の第2上限値NEH2(例えば3500rpm)に設定する。次いで、ステップ48において、下限トルクPMELを、前記第1下限値PMEL1よりも大きな所定の第2下限値PMEL2(例えば30N・m)に設定するとともに、上限トルクPMEHを、前記第1上限値PMEH1よりも小さな所定の第2上限値PMEH2(例えば80N・m)に設定する。
【0054】
一方、前記ステップ46の答がNOで、TEXGAS≦TEXGASβのときには、ステップ49において、下限回転数NELを、前記第2下限値NEL2よりも大きな所定の第3下限値NEL3(例えば2000rpm)に設定するとともに、上限回転数NEHを、前記第2上限値NEH2よりも小さな所定の第3上限値NEH3(例えば2800rpm)に設定する。次いで、ステップ50において、下限トルクPMELを、前記第2下限値PMEL2よりも大きな所定の第3下限値PMEL3(例えば40N・m)に設定するとともに、上限トルクPMEHを、前記第2上限値PMEH2よりも小さな所定の第3上限値PMEH3(例えば60N・m)に設定する。
【0055】
以上のように、推定燃焼ガス温度TEXGASが低いほど、上限回転数NEHがより小さく(NEH3<NEH2<NEH1)設定されるとともに、下限回転数NELがより大きく(NEL3>NEL2>NEL1)設定され、それにより、エンジン回転数NEに関するCI燃焼の実行領域がより狭くなるように設定される。同様に、推定燃焼ガス温度TEXGASが低いほど、上限トルクPMEHがより小さく(PMEH3<PMEH2<PMEH1)設定されるとともに、下限トルクPMELがより大きく(PMEL3>PMEL2>PMEL1)設定され、それにより、要求トルクPMECMDに関するCI燃焼の実行領域がより狭くなるように設定される。
【0056】
前記ステップ45、48または50に続くステップ51では、前記ステップ44、47または49で設定した下限および上限回転数NEL,NEHで規定される所定の範囲内に、エンジン回転数NEがあるか否かを判別する。この答がNOで、エンジン回転数NEがCI燃焼の実行領域内にないときには、前記ステップ42を実行し、燃焼モードをSI燃焼モードに決定する。一方、ステップ51の答がYESで、NEL<NE<NEHのときには、ステップ52において、前記ステップ45、48または50で設定した下限および上限トルクPMEL,PMEHで規定される所定の範囲内に、要求トルクPMECMDがあるか否かを判別する。この答がNOで、要求トルクPMECMDがCI燃焼の実行領域にないときには、前記ステップ42を実行する。
【0057】
一方、この答がYES、すなわち、NEL<NE<NEHでかつPMEL<PMECMD<PMEHで、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMECMDがCI燃焼の実行領域内にあるときには、燃焼モードをCI燃焼モードに決定するとともに、そのことを表すためにCI燃焼モードフラグF_HCCIを「1」にセットし(ステップ53)、本処理を終了する。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、推定燃焼ガス温度TEXGASに応じて、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMECMDに関するCI燃焼の実行領域を設定するとともに、この実行領域内にエンジン回転数NEおよび要求トルクPMECMDがあるか否かに応じて燃焼モードを決定するので、燃焼モードを、燃焼室内温度に加えて、エンジン3の実際の運転状態に応じてより適切に切り換えることができる。また、前述したように、CI燃焼の実行領域を、推定燃焼ガス温度TEXGASが低いほど、より狭くなるように設定する。これにより、燃焼室内温度が低く、自己着火が安定して行えないような場合には、実行領域を狭め、CI燃焼を制限することによって、失火を確実に回避することができる。また、燃焼室内温度が高く、自己着火が比較的安定して行えるような場合には、実行領域を拡大し、CI燃焼を最大限に行うことができる。
【0059】
また、第1実施形態と同様、推定燃焼ガス温度TEXGASが上限温度TEXGASH以上のときに、燃焼モードをSI燃焼モードに決定するので、CI燃焼中におけるノッキングを回避することができる。
【0060】
なお、CI燃焼の実行領域を、上記の設定に代えて、次のように設定してもよい。すなわち、推定燃焼ガス温度TEXGASが高いほど、CI燃焼の実行領域が全体として低回転数側にかつ低トルク側に移動するように設定してもよい。推定燃焼ガス温度TEXGASが高い場合において、エンジン回転数NEまたは要求トルクPMECMDが高いときにCI燃焼を許容すると、燃焼室内温度が上昇し、ノッキングがさらに生じやすくなるので、上記の設定により、そのようなときに燃焼モードをSI燃焼モードに決定することによって、CI燃焼中におけるノッキングを回避することができる。また、推定燃焼ガス温度TEXGASが低い場合において、エンジン回転数NEまたは要求トルクPMECMDが低いときにCI燃焼を許容すると、燃焼室内温度が低下し、失火がさらに生じやすくなるので、そのようなときには、燃焼モードをSI燃焼モードに決定することによって、CI燃焼中における失火を回避することができる。
【0061】
図9は、燃焼モード決定処理の変形例を示している。この処理では、予め用意した燃焼モード決定マップを用いて燃焼モードが決定される。具体的には、ステップ61において、エンジン回転数NE、要求トルクPMECMDおよび推定燃焼ガス温度TEXGASに応じて、燃焼モード決定マップを検索することによって燃焼モードを決定する。この燃焼モード決定マップでは、CI燃焼の実行領域は、図8の燃焼モード決定処理と同様の傾向で、すなわち推定燃焼ガス温度TEXGASが低いほど、より狭くなるように設定されており、かつ図8の燃焼モード決定処理よりも3つのパラメータに応じて、きめ細かく設定されている。したがって、この変形例によれば、燃焼モードを、エンジン回転数NE、要求トルクPMECMDおよび推定燃焼ガス温度TEXGASに応じて、よりきめ細かく適切に切り換えることができる。
【0062】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、燃焼ガス温度パラメータとして、燃焼ガス温度を演算により推定したが、これを直接検出してもよく、あるいは、排気管5に設けられたセンサで検出された排気ガスの温度を用いてもよい。また、本発明は、クランク軸を鉛直方向に配置した船外機などのような船舶推進機用エンジンを含む、様々な産業用の圧縮着火式内燃機関に適用することが可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、本発明の圧縮着火式内燃機関の制御装置によれば、燃焼モードを燃焼室内の温度に応じて適切に切り換えることができ、それにより、圧縮着火燃焼モード中におけるノッキングおよび失火を回避しながら、圧縮着火燃焼を可能な限り実行することができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御装置およびこれを適用した内燃機関を概略的に示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態による燃焼モード決定処理を示すフローチャートである。
【図3】燃焼ガス温度推定処理を示すフローチャートである。
【図4】図3の処理で用いられるTEXGASSIMマップを示す図である。
【図5】図3の処理で用いられるTEXGASCIMマップを示す図である。
【図6】作動ガス温度推定処理を示すフローチャートである。
【図7】目標充填効率算出処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態による燃焼モード決定処理を示すフローチャートである。
【図9】燃焼モード決定処理の変形例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 制御装置
2 ECU(燃焼ガス温度パラメータ検出手段、
燃焼モード決定手段、実行領域設定手段、
運転状態パラメータ検出手段)
3 エンジン
22 クランク角センサ(運転状態パラメータ検出手段)
TEXGAS 推定燃焼ガス温度(燃焼ガス温度パラメータ)
TEXGASH 上限温度(所定の範囲)
TEXGASL 下限温度(所定の範囲)
NEL 下限回転数(実行領域)
NEH 上限回転数(実行領域)
PMEL 下限トルク(実行領域)
PMEH 上限トルク(実行領域)
NE エンジン回転数(運転状態パラメータ)
PMECMD 要求トルク(運転状態パラメータ)

Claims (4)

  1. 混合気を自己着火によって燃焼させる圧縮着火燃焼モードと、火花点火によって燃焼させる火花点火燃焼モードとに、燃焼モードを切り換えて運転される圧縮着火式内燃機関の制御装置であって、
    混合気の燃焼によって生成される燃焼ガスの温度を表す燃焼ガス温度パラメータを検出する燃焼ガス温度パラメータ検出手段と、
    当該検出された燃焼ガス温度パラメータに応じて、前記燃焼モードを前記圧縮着火燃焼モードまたは前記火花点火燃焼モードに決定する燃焼モード決定手段と、
    を備えることを特徴とする圧縮着火式内燃機関の制御装置。
  2. 前記燃焼モード決定手段は、前記検出された燃焼ガス温度パラメータが、所定の範囲内にあるときには、前記燃焼モードを前記圧縮着火燃焼モードに決定し、前記燃焼ガス温度パラメータが前記所定の範囲内にないときには、前記燃焼モードを前記火花点火燃焼モードに決定することを特徴とする、請求項1に記載の圧縮着火式内燃機関の制御装置。
  3. 前記燃焼ガス温度パラメータに応じて、圧縮着火燃焼の実行領域を設定する実行領域設定手段と、
    前記内燃機関の運転状態を表す運転状態パラメータを検出する運転状態パラメータ検出手段と、をさらに備え、
    前記燃焼モード決定手段は、前記燃焼モードを、前記検出された運転状態パラメータが前記設定された実行領域内にあるときには、前記圧縮着火燃焼モードに決定するとともに、前記運転状態パラメータが前記実行領域内にないときには、前記火花点火燃焼モードに決定することを特徴とする、請求項1に記載の圧縮着火式内燃機関の制御装置。
  4. 前記実行領域設定手段は、前記燃焼ガス温度パラメータが小さいほど、前記実行領域をより狭くなるように設定することを特徴とする、請求項3に記載の圧縮着火式内燃機関の制御装置。
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