JP2005008792A - 導電性液状シリコーン組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性液状シリコーン組成物は、(A)重合度が100〜2000の範囲のポリオルガノシロキサン100質量部と、(B)アリール基およびアラルキル基から選ばれる一価基(R2基)を有し、かつ重合度が5〜1000の範囲であると共に、R2基を有するSiO単位を少なくとも5mol%含有するシリコーンオイル0.5〜30質量部と、(C)導電性カーボンブラック5〜100質量部と、(D)必要量の硬化剤と、(E)溶剤とを含有する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は導電性液状シリコーン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオルガノシロキサンをベースポリマーとし、これを溶剤で希釈した液状シリコーン組成物は、シリコーンベースポリマーの特性に加えて、施工性や取扱い性などに優れる液状体としての性質を利用して、塗料やマーキング剤などを始めとして各種用途に幅広く用いられている。特に、カーボンブラックなどの導電性材料を添加した導電性液状シリコーン組成物は、導電性という特性を活かして、スイッチング機構を始めとする各種電気回路や電子部品などに使用されている。
【0003】
液状シリコーン組成物に導電性を付与する導電性材料としては、シリコーン材料に付与し得る導電性やコストなどの観点から、上記したようにカーボンブラックが多用されている。しかしながら、シリコーンベースポリマーとカーボンブラックとは本来親和性がなく、さらにカーボンブラックの溶剤に対する分散性もしくは溶解性が極めて悪いことから、液状体として均一な分散もしくは溶解状態が得られにくいという問題がある。
【0004】
このような点に対して、例えば特許文献1にはシリコーンベースポリマー、カーボンブラックおよび溶剤に加えて、両末端にアルケニル基を持つ粘度3000〜500000cps(25℃)のポリオルガノシロキサンを配合した導電性液状シリコーン組成物が記載されている。上記したポリオルガノシロキサンは導電性能の安定化などに対しては効果を示すものの、液状体の均一な分散状態もしくは溶解状態の維持性能については必ずしも十分な効果は得られていない。このため、カーボンブラックを一旦均一に分散もしくは溶解させることができても、その後の工程や保存時に分離現象が生じてしまい、均一な分散液ないしは溶液の状態を長期間にわたって維持することが難しいという問題がある。
【0005】
なお、特許文献2にはシリコーンベースポリマーとカーボンブラックに加えて、フェニル基含有有機ケイ素化合物を配合した導電性シリコーンゴム組成物が記載されている。この特許文献2に記載されている導電性シリコーンゴム組成物は、ゴム状弾性体を得るためのシリコーンゴム組成物(混練物)を作製する際のカーボンブラックの均一混合性や均一分散性などを高めるために、上記したフェニル基含有有機ケイ素化合物を配合しているものであり、液状シリコーン組成物の均一な分散状態もしくは溶解状態の維持については何等考慮されていない。
【0006】
【特許文献1】特許第2563003号公報
【特許文献2】特公平3−47663号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の導電性液状シリコーン組成物は、カーボンブラックの溶剤に対する分散性もしくは溶解性が極めて悪いことなどに起因して、カーボンブラックを一旦均一に分散もしくは溶解させることができても、その後の工程や保存時に分離現象が生じてしまうという問題を有していた。このような問題は従来のポリオルガノシロキサン系処理剤を用いた場合においても十分には改善されていない。そこで、均一な分散液ないしは溶液の状態を長期間にわたって維持することを可能にした導電性液状シリコーン組成物が求められている。
【0008】
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、シリコーンベースポリマーや溶剤とカーボンブラックとの親和性をより一層高めることによって、均一な分散液ないしは溶液の状態を長期間にわたって維持することを可能にした導電性液状シリコーン組成物を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の導電性液状シリコーン組成物は、(A)重合度が100〜2000の範囲のポリオルガノシロキサン100質量部と、(B)
【化2】
(式中、R1は同一または異種の非置換または置換の一価炭化水素基を、R2はアリール基およびアラルキル基から選ばれる一価基を示し、nおよびmはn+mが5〜1000の範囲の数である)
で表され、かつ前記R2基を有するSiO単位を少なくとも5mol%含有するシリコーンオイル0.5〜30質量部と、(C)導電性カーボンブラック5〜100質量部と、(D)必要量の硬化剤と、(E)溶剤とを含有することを特徴としている。
【0010】
本発明の導電性液状シリコーン組成物においては、(A)成分のポリオルガノシロキサン、(C)成分のカーボンブラック、(D)成分の硬化剤、および(E)成分の溶剤に加えて、(B)成分として上記(1)式で表され、かつR2基を含むSiO単位を少なくとも5mol%含有するシリコーンオイルを配合している。(B)成分のシリコーンオイルは、シリコーンベースポリマーや溶剤とカーボンブラックとの親和性を向上させ、さらにこの親和性の向上力の持続性に優れることから、導電性液状シリコーン組成物を均一な分散液ないしは溶液の状態として維持することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の導電性液状シリコーン組成物は、(A)成分のポリオルガノシロキサン(シリコーンベースポリマー)、(B)成分のシリコーンオイル(シリコーン系処理剤)、(C)成分の導電性カーボンブラック、(D)成分の硬化剤、および(E)成分の溶剤を必須成分として含有するものである。
【0012】
(A)成分のポリオルガノシロキサンは、本発明の導電性液状シリコーン組成物のベースポリマーとなるものであって、100〜2000の範囲の重合度を有している。シリコーンベースポリマーの重合度が2000を超えると粘度が上昇し、液状シリコーン組成物に求められる流動性、すなわち低粘度を得ることができない。一方、シリコーンベースポリマーの重合度が100未満の場合には、導電性液状シリコーン組成物を硬化させた際の特性が低下し、シリコーン硬化物本来の物理的特性などを得ることができない。(A)成分のシリコーンベースポリマーの重合度は200〜1000の範囲であることがより好ましい。
【0013】
上記した(A)成分のポリオルガノシロキサンにおいて、その主骨格を成すケイ素原子に結合する側鎖基としては、メチル基、エチル基、プロピル基のようなアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のようなシクロアルキル基、ビニル基、アリル基のようなアルケニル基などの非置換の一価炭化水素基、およびこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をハロゲン原子やシアノ基などで置換した、クロロメチル基、クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基などの置換一価炭化水素基が挙げられる。これら側鎖基は同種または異種のいずれであってもよい。
【0014】
上述した一価炭化水素基のうちでも、特に側鎖基の90mol%以上をメチル基とすることが、シリコーン硬化物の特性や取扱い性などの点から好ましい。
なお、ポリオルガノシロキサンの分子鎖末端は一般的なシリコーンベースポリマーと同様に、加水分解性基や水酸基などで封鎖した構造、また適用する硬化反応によってはビニル基などのアルケニル基で封鎖した構造などが適用される。アルケニル基は側鎖基の一部として用いてもよい。
【0015】
(B)成分のシリコーンオイルは、導電性カーボンブラックとシリコーンベースポリマーや溶剤との親和性を高める処理剤であって、
【化3】
(式中、R1は同一または異種の非置換または置換の一価炭化水素基を、R2はアリール基およびアラルキル基から選ばれる一価基を示し、nおよびmはn+mが5〜1000の範囲の数である)
で実質的に表される組成を有し、かつ側鎖基としてR2基を有するSiO単位を5mol%以上含有するものである。
【0016】
(1)式中のR1基としては、上述した(A)成分のポリオルガノシロキサンにおける側鎖基と同様な非置換または置換の一価炭化水素基が挙げられ、特に取扱い性などの点からメチル基を適用することが好ましい。R1基は同種または異種のいずれであってもよい。R2基は(B)成分を特徴付けるものであって、フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基、およびベンジル基、β−フェニルエチル基、β−フェニルプロピル基、γ−フェニルプロピル基、スチリル基、α−メチルスチリル基、γ−フェニルプロペニル基などのアラルキル基から選ばれる一価基である。これらのうちでも、上述した親和性の向上効果やその持続性などの点からアラルキル基を適用することがより好ましい。
【0017】
(B)成分のシリコーンオイルには、上記した(1)式におけるn+mが5〜1000の範囲のオルガノシロキサンを適用する。シリコーンオイルの重合度を示すn+mの値が5未満の場合には分子が小さすぎて、カーボンブラックのシリコーンベースポリマーや溶剤に対する親和性を十分に高めることができない。一方、n+mの値が1000を超える場合には分子が大きくなりすぎて、カーボンブラックに対する処理剤としての特性が低下する。n+mの値は10〜500の範囲とすることがより好ましい。
【0018】
そして、(B)成分としてのシリコーンオイルは、上述したようなR2基を有するSiO単位を少なくとも5mol%以上の範囲で含有するものとする。R2基を有するSiO単位の含有量が5mol%未満であると、(A)成分のシリコーンベースポリマーや(E)成分の溶剤と(C)成分の導電性カーボンブラックとの親和性が十分に高められず、導電性液状シリコーン組成物を均一な分散液ないしは溶液の状態として維持することができない。R2基を有するSiO単位は親和性の向上効果やその持続性などの点から、(B)成分としてのシリコーンオイル中に10mol%以上の範囲で含有させることがより好ましい。ただし、その含有量があまり多すぎるとそれ以上効果が得られないだけでなく、工業的に合成が難しくなってコストの上昇を招くことから、R2基を有するSiO単位の含有量は80mol%未満とすることが好ましい。
【0019】
上述したように、(B)成分のシリコーンオイルは(C)成分の導電性カーボンブラックと(A)成分のシリコーンベースポリマーや(E)成分の溶剤との親和性を高める成分である。このような(B)成分のシリコーンオイルを、導電性カーボンブラックを含む導電性液状シリコーン組成物に配合することによって、液状体として均一な分散もしくは溶解状態を安定的に得ることが可能となる。さらに、(B)成分のシリコーンオイルは導電性カーボンブラックの表面改質効果が高く、さらにその持続性に優れることから、導電性液状シリコーン組成物を均一な分散液もしくは溶液として維持することができる。すなわち、保存時などにおける導電性液状シリコーン組成物の分離現象が大幅に抑制される。
【0020】
このような(B)成分のシリコーンオイルの配合量は、(A)成分のシリコーンベースポリマー100質量部に対して0.5〜30質量部の範囲とする。(B)成分のシリコーンオイルの配合量が0.5質量部未満であると、上述した親和性の向上効果を十分に得ることができない。一方、(B)成分の配合量が30質量部を超えると、導電性液状シリコーン組成物を硬化させた硬化物の特性(例えば機械的特性など)が低下するおそれがある。(B)成分の配合量は(A)成分100質量部に対して1〜10質量部の範囲とすることがより好ましい。
【0021】
(C)成分の導電性カーボンブラックは、導電性液状シリコーン組成物およびその硬化物に導電性を付与する成分である。この(C)成分としての導電性カーボンブラックには、通常、導電性ゴム組成物などに常用されている、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックなどが適用される。具体的には、アセチレンブラック、コンダクティブファーネスブラック、スーパーコンダクティブファーネスブラック、エクストラコンダクティブファーネスブラック、コンダクティブチャンネルブラック、ケッチェンブラック、さらに高温で熱処理されたファーネスブラックなどを使用することができる。これら導電性カーボンブラックのうち、特にアセチレンブラックは不純物含有量が少ない上に、発達した二次ストラクチャー構造を有することから導電性の付与特性に優れており、本発明において好適に用いられるものである。
【0022】
上記した(C)成分の導電性カーボンブラックの配合量は、(A)成分のポリオルガノシロキサン100質量部に対して5〜100質量部の範囲とする。導電性カーボンブラックの配合量が5質量部未満であると、十分な導電性を得ることができないおそれがある。一方、100質量部を超えると(B)成分のシリコーンオイルを配合した場合においても分離現象が生じやすくなったり、また得られるシリコーン硬化物の機械的特性などが劣化するおそれがある。導電性カーボンブラックの配合量は10〜80質量部の範囲とすることが、特に導電性と機械的特性との兼合いからより好ましい。
【0023】
(D)成分の硬化剤は、通常シリコーン組成物の硬化に適用されるラジカル反応や付加反応などを利用して、(A)成分を加硫、硬化させることが可能な各種公知の硬化剤から適宜選択して用いることができ、特に硬化機構に限定されるものではない。このような硬化剤としては、例えばジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサンなどの有機過酸化物が挙げられる。また、付加反応型の硬化剤としては、1分子中に少なくともケイ素原子に結合した水素原子を2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(架橋剤)と白金系触媒との組合せなどが例示される。さらに、縮合反応型の硬化剤としては、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シランやトリメトキシシランなどの架橋剤と、錫化合物や有機チタネートなどの触媒との組合せなどが挙げられる。
【0024】
上述した硬化剤は、通常のシリコーン組成物の場合と同様に、必要量を配合すればよい。具体的には、例えば有機過酸化物の場合には(A)成分のポリオルガノシロキサン100質量部に対して0.05〜15質量部程度配合することが好ましい。付加反応型硬化剤の場合には、白金系触媒を(A)成分のポリオルガノシロキサン100質量部に対して白金元素量で1〜1000ppmの範囲となる量、また架橋剤を(A)成分中のアルケニル基1個に対して架橋剤中のケイ基原子に結合した水素原子が0.5〜4.0個となるような量を配合することが好ましい。縮合反応型硬化剤の場合には、(A)成分のポリオルガノシロキサン100質量部に対して架橋剤を0.5〜20質量部、また触媒を0.01〜5質量部程度配合することが好ましい。
【0025】
(E)成分の溶剤は、所望粘度の導電性液状シリコーン組成物を得る上で必須成分として配合されるものである。使用する溶剤は導電性液状シリコーン組成物の用途などに応じて適宜選択されるものであり、例えばトルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ナフサのような炭化水素系溶剤、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パーフルオロプロパンのようなハロゲン化炭化水素系溶剤、プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノンのようなケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールのようなアルコール系溶剤、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンのようなシロキサン系溶剤、あるいはこれらの混合溶剤など、種々の溶剤を使用することができる。
【0026】
上述した(E)成分の溶剤の配合量は、目的とする導電性液状シリコーン組成物の粘度に応じて適宜に設定される。導電性液状シリコーン組成物の粘度は使用用途などに応じて設定されるものであるが、液状の導電性シリコーン組成物としての取扱い性や実用性などを考慮すると、その粘度は1000P以下であることが好ましい。また、導電性液状シリコーン組成物を硬化させた後の特性などを考慮して、導電性液状シリコーン組成物の粘度は10P以上とすることが好ましい。導電性液状シリコーン組成物の粘度は溶剤量のみによって決定されるものではないが、上記したような粘度の導電性液状シリコーン組成物を得る際には、例えば(A)成分のポリオルガノシロキサン100質量部に対して10〜2000質量部程度の溶剤を配合することが好ましい。
【0027】
本発明の導電性液状シリコーン組成物には、必要に応じて上記(A)〜(E)成分以外の成分、すなわち通常シリコーン組成物に用いられているシリカ系充填剤、石英粉末、溶融石英粉末、けいそう土、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウムなどを添加してもよい。さらに、可塑剤、耐熱性向上剤、難燃性付与剤、加工助剤、分散剤、着色剤などを配合してもよい。
【0028】
本発明の導電性液状シリコーン組成物は、(A)〜(E)の各成分と必要に応じて配合される付加的成分を、常法により均質に分散・混合することにより得ることができる。例えば、(A)成分のシリコーンベースポリマーと(B)成分のシリコーンオイルとを万能混練機やニーダーなどに仕込み、次いで(C)成分の導電性カーボンブラックを添加、混合して均一に分散、混合させる。この際、導電性カーボンブラックは数回に分けて添加、混合を繰り返すようにしてもよい。また、これらの混合物を三本ロールに通したり、加熱混練することなども許容される。こうして得られた均一な混合物に、(E)成分の溶剤と(D)成分の硬化剤を添加し、均一に分散もしくは溶解させることによって、本発明の導電性液状シリコーン組成物が得られる。
【0029】
なお、本発明の導電性液状シリコーン組成物の使用用途は特に限定されるものではないが、シリコーン組成物本来の各種特性と液状体としての性質を利用して、導電性塗料、インク材料、電界緩和用塗料などに好適に用いられるものである。このような用途に使用される導電性液状シリコーン組成物は、おおよそ10〜1000P程度の粘度を有していることが好ましいが、具体的な粘度は使用目的に応じて適宜設定することができる。
【0030】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例とその評価結果について述べる。
【0031】
実施例1
まず、分子鎖末端がビニル基で閉塞され、重合度が810、粘度が100PのポリジメチルシロキサンベースポリマーAと、α−メチルスチリル基を50mol%含み(他はメチル基)、かつ重合度が60のシリコーンオイルAと、導電性カーボンブラックとしてアセチレンブラック(デンカブラックHS−100(商品名、電気化学工業社製))とを用意した。
【0032】
上述したシロキサンベースポリマーA100質量部に対して、シリコーンオイルAを5質量部加え、これを常温で10分間均一に混合した後、アセチレンブラック20質量部をニーダーに仕込み、常温で1時間均一に混練した。その後、溶剤としてトルエンを200質量部加え、混合撹拌して均一に分散させたシリコーン分散液とした。このシリコーン分散液に硬化剤としてメチルハイドロジェンポリシロキサン1質量部と硬化触媒として塩化白金酸を白金元素量として5ppmとなる量で添加し、均一に混合して導電性液状シリコーン組成物を得た。この導電性液状シリコーン組成物を後述する特性評価に供した。
【0033】
実施例2〜9
上記した実施例1で用いた各成分に加えて、分子鎖末端が水酸基で閉塞され、重合度が780、粘度が87PのポリジメチルシロキサンベースポリマーBと、フェニル基を30mol%含み(他はメチル基)、かつ重合度が35のシリコーンオイルBと、導電性カーボンブラックとして#3030B(商品名、三菱化学社製)およびケッチェンブラックEC−DJ600(商品名、ケッチェンブラックインターナショナル社製)と、溶剤としてナフサNo.5とを用意した。
【0034】
上述した各成分を表1に示す配合比で混合する以外は、実施例1と同様にして、それぞれ導電性液状シリコーン組成物を作製した。これら導電性液状シリコーン組成物を後述する特性評価に供した。なお、実施例8、9はポリジメチルシロキサンベースポリマーBを適用し、かつ硬化剤としてメチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シランとジブチル錫ジラウレートを用いたものである。
【0035】
比較例1
(B)成分のシリコーンオイルを用いない以外は、実施例1と同様にして導電性液状シリコーン組成物を作製した。この導電性液状シリコーン組成物を後述する特性評価に供した。
【0036】
比較例2
(B)成分としてのシリコーンオイルAの配合量を本発明の範囲外(シリコーンベースポリマー100質量部に対して0.2質量部)とする以外は、実施例1と同様にして導電性液状シリコーン組成物を作製した。この導電性液状シリコーン組成物を後述する特性評価に供した。
【0037】
比較例3
(B)成分としてのシリコーンオイルに代えて、α−メチルスチリル基の含有量が3mol%(他はメチル基)で、重合度が60のシリコーンオイルC(本発明の(B)成分には該当しないシリコーンオイル)を用いる以外は、実施例1と同様にして導電性液状シリコーン組成物を作製した。この導電性液状シリコーン組成物を後述する特性評価に供した。
【0038】
比較例4
(B)成分のシリコーンオイルを用いない以外は、実施例8と同様にして導電性液状シリコーン組成物を作製した。この導電性液状シリコーン組成物を後述する特性評価に供した。
【0039】
上述した実施例1〜9および比較例1〜4の各導電性液状シリコーン組成物の特性を以下のようにして評価した。まず、各導電性液状シリコーン組成物の粘度を測定し、さらに各組成物を長さ300mmの試験管に入れ、2週間放置した後に分離したオイルの厚みを測定した。また、各導電性液状シリコーン組成物を、付加硬化型組成物については150℃×1時間、縮合硬化型組成物については23℃,50%RH×7日間の条件で硬化させ、各硬化物の体積抵抗率を測定した。これらの測定結果を表1に併せて示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1から明らかなように、実施例1〜9による導電性液状シリコーン組成物はいずれも低粘度を有していることに加えて、長期間放置後においても均一な分散液の状態が保たれていることが分かる。このように、本発明の導電性液状シリコーン組成物は、良好な導電性と均一な液状体としての保存安定性などとを併せ持つものである。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればカーボンブラックで良好な導電性を付与した上で、均一な分散液ないしは溶液の状態を長期間にわたって維持し得る導電性液状シリコーン組成物を安定して提供することが可能となる。これは導電性液状シリコーン組成物の硬化後特性、信頼性、保存性、取扱い性、実用性などの向上に大きく寄与するものである。
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