JP2005007461A - 溶接端子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の端子部材は、テルミット溶接において、溶接の鋳型の電線挿入口と電線との空隙を遮蔽するための端子部材であって、当該部材が前記鋳型の電線挿入口の断面と適合するような形状を有し、少なくとも電線を挿通させたときに電線の周囲の一部を覆うことができる形状の開口部を有し、溶接時に電線に取り付けて前記鋳型に配置することにより溶材の流出を防止することができることを特徴とする。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、母材と導体又は導体同士を溶接するテルミット溶接用端子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一例として鉄道用レールのボンド線の接続は一般にハンダ付けによる溶接、或いは、テルミット溶接などで行われているが、テルミット溶接は溶接部の接合強度が高く、高度な技能を必要とせずに所期の溶接性能を確保することができることから近年盛んに使用されるようになっている。
【0003】
本発明が主に用いられるテルミット溶接とは、母材の表面近傍でアルミニウムと酸化銅(又は酸化鉄)の混合粉に点火して、その化学反応によって生じた熱によって銅(又は鉄)と母材の一部を溶融させて溶着を行うものである。
【0004】
テルミット溶接の工程は、必要な場合は導体または電線を溶接端子に固定し、前記溶接端子または導体あるいは電線をテルミット溶接装置の所定の位置に配置し、これらを溶接箇所に位置付けた後に前記混合粉に点火して溶接を行うことからなる。
【0005】
【先行技術文献】
特願2002−243286号
特開2002−346771号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
通常、鉄道レール等にテルミット溶接を用いる場合、ルツボと称される前記テルミット溶接装置が用いられる。鉄道レールの平面を有する一部分に図1で示されるような形状のテルミット溶接装置1を配置し、溶接する電線等を前記テルミット溶接装置1のほぼ半円断面形状の電線挿入口に挿通した状態で溶接する。
【0007】
通常、電線を母材へテルミット溶接で溶着させる場合、図1に示すような片断面の鋳型を有する前記ルツボ1の半円形状の電線挿入口が電線径の大きさに適合するとは限らず前記電線挿入口と電線との間に空隙が生じてしまう。通常は粘土材からなるシーラーと称される部材を用いてこの空隙を埋めて溶接が行われている。溶接後、前記ルツボを取り除いて電線と母材の溶着部を観察すると、前記シーラーが溶接部と電線の近傍に付着した状態で残っており外観の面から好ましくなく、また、溶接時にこういったシーラーのごとき部材をマニュアルで取扱うことは作業性の面からも好ましいとは言えない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
したがって、本出願人は、溶接時に電線をルツボに配置するときに電線を挿通可能でルツボの電線挿入口断面形状と適合するシール部材を前記電線に固定して溶着を行えば、溶接後の美観を損なうことなく溶材の漏れを防止し、さらに、マニュアル作業を要するテルミット溶接の作業時に電線の位置決めが容易となり作業性が非常に向上するということを発見した。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の端子部材は、テルミット溶接において、溶接の鋳型の電線挿入口と電線との空隙を遮蔽するための端子部材であって、当該部材が前記鋳型の電線挿入口の断面と適合するような形状を有し、少なくとも電線を挿通させたときに電線の周囲の一部を覆うことができる形状の開口部を有し、溶接時に電線に取り付けて前記鋳型に配置することにより溶材の流出を防止することができることを特徴とする。
【0010】
例えば、テルミット溶接の際に配置される電線に固定される部材がルツボの電線挿入口の断面と適合するような形状を有していれば、従来からマニュアル作業で行われているシーラー部材を電線挿入口と電線との間の空隙に詰める作業を省略することができ、前記電線に固定される部材が密封部を形成するために溶接の際に溶材が前記空隙から漏れることはなく、溶接後の溶着部も外観上の美観が優れている。万が一、溶接後の前記密封部材が何らかの外力により外れたとしても溶着部の強度には何ら影響はない。
【0011】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の端子部材は、電線を固定するためのクランプ部を有する。
【0012】
例えば、圧着等の外力を加えて前記クランプ部により電線を挟持するようにすれば、電線を溶接装置に配置する際に前記溶接装置の電線の挿入口を密封するための密封部材と電線とを安定した状態で供給することができる。
【0013】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の端子部材は、少なくとも一部が平坦部を有する。
【0014】
例えば、本発明の端子部材の一部が平坦部を有していれば、前記平坦部が前記溶接装置の母材との密着面と同一面となるように形成することによりこの溶着面に隙間が生じない状態で溶接を行うことができる。
【0015】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の端子部材は、前記開口部が逆C状となるような切欠部を有する。
【0016】
例えば、シール部材の電線挿通部(開口部)の断面が逆C状に形成されていれば、前記電線挿通部断面の径よりも小さな径を有する電線を前記電線挿通部に配置するときに、前記逆C形状部の顎部に外力を加えて電線の周面に圧着させることにより電線とシール部材とを固定し、異なる径により発生した空隙を最小にすることができる。
【0017】
【実施形態】
図1は、溶接用のルツボ1に溶材を詰める前に本発明の端子部材を具備した電線を所定の位置に配置した斜視図である。前記ルツボ1の電線挿入口は電線に固着された密封部3により密封されている。テルミット溶接において、図1の状態で前記ルツボ1の一面5を溶着対象となる母材の一面に密着させる。母材と密着した状態で溶材に点火することにより所望の溶接が行われる。
【0018】
図2は、電線挿入口の密封部7を有する本発明の端子部材を図示している。(a)の端子部材は、逆C形状断面の電線挿入口8を有する密封部7および電線を固定するためのクランプ部6を具備している。(b)の端子は、前記密封部7の電線挿入口8が円形状断面である以外は(a)と同一である。
【0019】
図4(a)の上図は、図2(a)の端子部材を用いた電線2との接続図であり、電線2は、前記ルツボ1内の所定位置に配されるように前記挿入口8から挿入される。そして、所定位置で電線2を挟持するように密封部7の逆C形状断面の顎部を電線の周面に密着させるように圧着させて前記電線2を固定する。さらに、前記電線2とクランプ部6を圧着工具等で圧着することにより電線2と端子部材がより強固に固定される。前記端子部材に固定された電線2を前述したように溶接用ルツボ1に配してテルミット溶接を行う。
【0020】
図4(a)の下図は、図2(a)の端子部材を用いた電線2との溶接完了図であり、前記端子部材に固定された電線2がテルミット溶接により溶着された外観図が図示されている。従来の粘土状のシーラーを用いてテルミット溶接を行った場合、粘土材のカスが電線と溶着部13の近傍に付着するため外観上好ましくない。本願の密封部材を有する端子を用いてテルミット溶接を行った場合、前記密封部材が溶着部13と一体化するので外観上の美観に優れており、さらに電線に固定された端子にも溶着するために溶着面積が増大することとなり一層強固に固定される効果も有する。
【0021】
図4(b)の上図は、図2(b)の端子部材を用いた電線2との接続図であり、ケーブル2を固着するためのスリーブ部14を有し、電線の代わりにケーブル2を用いている以外は図4(a)と同一である。また、図4(a)の効果以外にスリーブ部14を具備することにより電線を圧着固定し溶着面積を増大させて溶接強度を高める効果も有する。図4(b)の下図は、図2(b)の端子部材を用いた溶接完了図であり、当該電線と固着した端子がテルミット溶接により溶着された外観図を図示している。
【0022】
図3(a)は、逆C形状断面の電線挿入口9を有する密封部10からなる端子部材である。図3(a)の場合、電線の径の大きさが前記挿入口9より若干小さくても逆C形状断面の顎部に外圧を加えて前記電線の周面を挟み込むように圧着することにより電線を挟持することができる。
【0023】
図3(b)は、円形状の電線挿入口9を有する密封部10からなる端子部材である。前記挿入口9とほぼ同一の径を有する電線を所定位置まで前記挿入口に押入れて当該端子部材と電線とを接触摩擦により固定する。
【0024】
図5(a)の上図は、図3(a)の端子を用いた電線2との接続図であり、挿入口9の径よりも電線の径が小さい場合は逆C形状断面の顎部を圧着することにより電線を挟持することができる。
図5(a)の下図は、図3(a)の端子を用いた溶着完了図であり、当該電線と固着した端子がテルミット溶接により溶着された外観図が図示されている。
【0025】
図5(b)の上図は、図3(b)の端子を用いた電線との接続図であり、前記電線挿入口9とほぼ同一の径を有する電線2が押入れられている。
図5(b)の下図は、図3(b)の端子を用いた溶着完了図であり、当該電線と固着した端子がテルミット溶接により溶着された外観図が図示されている。
【0026】
図1ないし図5において、複数の電線と端子との固定方法を開示しているが、これらは単一または組合わせて使用することができることは当業者には自明である。
【0027】
【発明の効果】
上述したように本願の端子部材を用いることにより溶接装置内を完全に密封状態を確保することができるので溶接中の溶材漏れを防止し、溶接後も前記端子が溶着部13と一体となるため外観上の美観も保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は溶接用のルツボに溶材を詰め込む前の電線を配置した斜視図である。
【図2】図2(a)は密封部が断面逆C形状の電線の挿通口を有する本発明の端子であり、図2(b)は密封部が断面円形状の電線の挿通口を有する本発明の端子である。
【図3】図3は図2と別形状の溶接密封部材で(a)は密封部が断面逆C形状の電線の挿通口を有する本発明の端子であり、(b)は密封部が断面円形状の電線の挿通口を有する本発明の端子である。
【図4】図4(a)の上図は、図2(a)の端子部材を用いた電線との接続図であり、図4(a)の下図は、図2(a)の端子部材を用いた溶着完了図である。図4(b)の上図は、図2(b)の端子部材を用いた電線との接続図であり、図4(b)の下図は、図2(b)の端子部材を用いた溶着完了図である。
【図5】図5(a)の上図は、図3(a)の端子部材を用いた電線との接続図であり、図5(a)の下図は、図3(a)の端子部材を用いた溶着完了図である。図5(b)の上図は、図3(b)の端子部材を用いた電線との接続図であり、図5(b)の下図は、図3(b)の端子部材を用いた溶着完了図である。
【符号の説明】
1・・・溶接用ルツボ
2・・・電線
3・・・密封用部材
4・・・溶材流入口
5・・・母材との接着面
6・・・電線固定用クランプ
7・・・溶材密封部
8・・・電線挿入口
9・・・電線挿入口
10・・密封部
13・・溶着部
14・・スリーブ
Claims (4)
- テルミット溶接において、溶接の鋳型の電線挿入口と電線との空隙を遮蔽するための端子部材であって、当該部材が前記鋳型の電線挿入口の断面と適合するような形状を有し、少なくとも電線を挿通させたときに電線の周囲の一部を覆うことができる形状の開口部を有し、溶接時に電線に取り付けて前記鋳型に配置することにより溶材の流出を防止することができることを特徴とする端子部材。
- 電線を固定するためのクランプ部を有する請求項1に記載の端子部材。
- 少なくとも一部が平坦部を有する請求項1に記載の端子部材。
- 前記開口部が逆C状となるような切欠部を有する請求項1に記載の端子部材。
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JP2003176900A JP2005007461A (ja) | 2003-06-20 | 2003-06-20 | 溶接端子 |
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2003
- 2003-06-20 JP JP2003176900A patent/JP2005007461A/ja active Pending
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