JP2005007262A - 排水中のアンモニア性窒素の硝化方法 - Google Patents
排水中のアンモニア性窒素の硝化方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】アンモニア性窒素を含有する排水(A)を曝気槽(2)へ連続的に通水しながら、曝気槽(2)内で酸素(B)と接触させて、硝化細菌によって、より大きな容積負荷で排水(A)中のアンモニア性窒素を硝化できる方法を提供する。
【解決手段】本発明の硝化方法は、曝気槽(2)内で、硝化細菌を粒状担体に固定して排水(A)中に懸濁させながら、排水(A)の酸化還元電位を+170mV以上に維持する。好ましくは粒状担体(C2)の粒子径は0.1μm〜250μmであり、中心粒子径は100μm以下である。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の硝化方法は、曝気槽(2)内で、硝化細菌を粒状担体に固定して排水(A)中に懸濁させながら、排水(A)の酸化還元電位を+170mV以上に維持する。好ましくは粒状担体(C2)の粒子径は0.1μm〜250μmであり、中心粒子径は100μm以下である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアンモニア性窒素の硝化方法に関し、詳しくは排水中に含まれるアンモニア性窒素を硝化細菌によって硝酸などの硝酸性窒素に硝化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工場排水、家庭排水などの排水には、多くの場合、アンモニア性窒素が含まれている。かかる排水からアンモニア性窒素を除去する方法としては、曝気槽内で硝化細菌の存在下に酸素と接触させて硝化する、いわゆる生物学的硝化方法が知られており、特許文献1〔特開平6−496号公報〕には、硝化細菌が固定された粒状の担体を曝気槽内に充填して固定しておき、この曝気槽に排水を通水しつつ、酸素含有ガスを曝気し、+100mV以上の酸化還電位を維持して、アンモニア性窒素を硝化する方法が開示されている。同文献には曝気槽内における酸化還元電位の具体的な数値は開示されておらず、また、高々20mg/L(窒素換算)の濃度で排水に含まれるアンモニア性窒素を2時間以上かけて硝化していることから、単位容積・単位時間あたり窒素換算で10mg/L・hr以下の容積負荷でアンモニア性窒素を硝化しているに過ぎない。
【0003】
アンモニア性窒素の硝化方法としては、より大きな容積負荷でアンモニア性窒素を硝化できる方法が求められている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−496号公報
【特許文献2】特開平9−131178号公報
【特許文献3】特開平9−187272号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、より大きな容積負荷で排水中のアンモニア性窒素を硝化できる方法を開発するべく鋭意検討した結果、硝化細菌を粒状担体に固定して排水中に懸濁させるとともに、排水の酸化還元電位を+170mV以上に維持すれば、大きな容積負荷でアンモニア性窒素を硝化できることを見出し、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
アンモニア性窒素を含有する排水(A)を曝気槽(1)へ連続的に通水しながら、
前記曝気槽(1)内で、
硝化細菌(C1)が粒状担体(C2)に固定された硝化細菌固定化担体(C)を排水(A)中に懸濁させつつ、酸素含有ガス(B)を曝気し、
酸化還元電位を+170mV以上に維持して、
前記硝化細菌(C1)に前記アンモニア性窒素を硝化させる
ことを特徴とする前記排水(A)中のアンモニア性窒素の硝化方法を提供するものである。図1には、本発明の硝化方法によって排水(A)中のアンモニア性窒素を硝化するための曝気槽(1)の一例を模式的に示す。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の硝化方法は、排水(A)に含まれるアンモニア性窒素を硝化する方法である。アンモニア性窒素とは、アンモニア(NH3)またはアンモニウムイオン(NH4 +)として排水中に含まれる窒素である。アンモニウムイオンと対になる対イオンとしては、水酸化物イオン(OH−)の他、例えば塩化物イオン(Cl−)、硫酸イオン(SO4 2−)などの無機陰イオンが挙げられる。排水におけるアンモニア性窒素の含有量は、窒素(N2)換算で50mg/L〜2000mg/L程度である。
【0008】
かかるアンモニア性窒素を含む排水は、工場から排出される工場排水であってもよいし、家庭などから排出される生活排水であってもよい。かかる排水は多くの場合、微生物によって分解されうる有機物を含んでいるが、本発明の硝化方法では、かかる有機物の含有量が生化学的酸素要求量(BOD)として100mg/Lであれば、1000mg/L(窒素換算)の濃度で含まれるアンモニア性窒素を容積負荷60mg/L・hr以上(窒素換算)で硝化することができ、有機物の含有量(BOD)が300mg/Lであっても、500mg/Lの濃度(窒素換算)で排水に含まれるアンモニア性窒素を容積負荷60mg/L・hr以上(窒素換算)で硝化することができる。容積負荷とは、単位容積あたり単位時間あたりに硝化できるアンモニア性窒素を示す量であり、通常は窒素(N)換算で示される。
【0009】
本発明の硝化方法は、硝化細菌(C1)によってアンモニア性窒素を硝化する。硝化細菌としては、アンモニア性窒素を酸化して亜硝酸とするアンモニア酸化細菌、亜硝酸を酸化して硝酸とする亜硝酸酸化細菌が挙げられる。アンモニア酸化細菌は、十分な溶存酸素(O2)濃度を示す好気性雰囲気下で排水中のアンモニア性窒素、例えばアンモニウムイオンを式(1)
【化1】
に従って酸化して亜硝酸イオン(NO2 −)に変換する微生物である。亜硝酸酸化細菌は、例えばアンモニア酸化細菌によって生成した亜硝酸イオンを好気性雰囲気下で式(2)
【化2】
に従って更に酸化して硝酸イオン(NO3 −)に変換する微生物である。
【0010】
本発明の硝化方法では、かかる硝化細菌(C1)を粒状担体(C2)に固定して硝化細菌固定化担体(C)として用いる。粒状担体(C2)としては、例えば石炭を焼却することで生ずる石炭焼却灰、アルミナ粒子、ヒドロキシアパタイト粒子などを用いることができる。石炭焼却灰としては、石炭を焼却して排出される排ガスに同伴されて飛散する、いわゆるフライアッシュを用いることもできる。フライアッシュは、電気集塵機などによって排ガスから分離されて得られる。かかる粒状担体としては、粒子径が0.1μm〜250μmで、中心粒子径が100μm以下のものが好ましく用いられる。
【0011】
硝化細菌を粒状担体に固定するには、例えば水に硝化細菌が分散された分散液と粒状担体とを混合すればよい(特許文献2:特開平9−131178号公報)。分散液としては、硝化細菌の培養液、活性汚泥、活性汚泥を水で希釈した希釈液などが挙げられる。粒状担体は、予め高分子凝集剤の存在下に水に分散させてから、硝化細菌が分散された分散液と混合してもよい。高分子凝集剤としては、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤を用いることができる。粒状担体の使用量は、分散液1L(1dm3)あたり通常1g〜200g程度である。
【0012】
混合後、例えば培養液を通水させながら酸素と接触させることで、硝化細菌が粒状担体上で増殖しつつ固定されて、硝化細菌固定化担体が得られる。培養液としては、用いる排水と同様の組成の液や、該排水を純水などで希釈した液が好ましく用いられる。酸素と接触させるには、例えば粒状担体と培養液との混合物に空気、純酸素ガスなどの酸素含有ガスを混合物に吹き込んで曝気すればよい。培養液を曝気するには、硝化に用いられる曝気槽をそのままで用い、この曝気槽の中で培養液を曝気することができる。
【0013】
通水する培養液に含まれるアンモニア性窒素は、時間の経過と共に濃度を増加させて用いてもよい(特許文献3:特開平9−187272号公報)。アンモニア性窒素の濃度を時間経過とともに増加させるには、例えば培養液として排水を水で希釈して用い、その希釈倍率を時間の経過とともに減少させながら通水すればよい。高い希釈倍率で希釈された培養液で通水を開始した後、徐々に低い希釈倍率の培養液を通水することで、培養液中のアンモニア性窒素の濃度を高くすることができる。
【0014】
本発明の硝化方法では、排水(A)を曝気槽(1)へ連続的に通水しながら、曝気槽(1)内で、排水(A)を酸素と接触させる。
【0015】
図1に示す曝気槽(1)には、排水導入部(2)、排水導出部(3)、吹込器(41、42)および仕切板(5)が設けられている。排水導入部(2)は、外部から排水(A)を連続的に曝気槽(1)内へ導入するものである。排水導出部(3)は、曝気槽(1)内でアンモニア性窒素が硝化された後の排水(A)を連続的に外部へ導き出すものである。かかる排水導入部(2)から排水(A)を連続的に導入しつつ、硝化後の排水(A)を排水導出部(3)から外部へ連続的に導出することで、排水(A)は曝気槽(1)に連続的に通水される。
【0016】
吹込器(41、42)は、空気(B1)または酸素ガス(B2)などの酸素含有ガス(B)を曝気槽(2)に吹き込んで排水(A)に曝気するためのものであり、通常は散気管、ディフューザーなどが用いられる。かかる吹込器(41、42)は槽低部(11)やその付近に設けられている。
【0017】
図1に示す曝気槽(1)には、槽内を2つの領域に分ける仕切板(5)が備えられており、この仕切板(5)によって、曝気槽(1)内は、排水(A)が硝化細菌固定化担体(C)と共に上昇する上昇領域(1a)と、下降する下降領域(1b)との2つの領域に仕切られている。
【0018】
図1に示す曝気槽(1)において、2つの吹込器のうち、空気(B1)を吹き込む吹込器(41)は上昇領域(1a)の下方の槽底部(11)に設けられている。この吹込器(41)から吹き込まれた空気(B1)は、槽底部(11)から、排水(A)および硝化細菌固定化担体(C)を撹拌しながら上昇して、上昇領域(1a)で排水および硝化菌固定化担体(C)の上昇流を形成させる。上昇領域(1a)を上昇して曝気槽の上部(22)に至った排水(A)および硝化菌固定化担体(C)は、排水導入部(2)から導入された排水(A)と混合されて下降領域(1b)へ導かれ、ここを下降して槽底部(11)に至る。その後、再び吹込器(41)から吹き込まれた空気(B1)によって上昇領域(1a)を上昇していて、曝気槽(1)内で排水(A)、硝化細菌固定化担体(C)が懸濁された状態で循環している。
【0019】
排水導出部(3)は、曝気槽上部(22)にある、下降領域(1b)の側壁(22)の液面付近に設けられており、曝気槽(1)内の排水(A)は、ここ(3)から外部へ排出される。排水導出部(3)の近傍の液面付近には、下降領域(1b)を下降する排水(A)の流れを整えると共に、曝気によって排水(A)に含まれる気泡を分離して排水(A)の一部を導くための分離板(6)が設けられている。この分離板(6)によって、下降領域(1b)の排水(A)から気泡が分離された状態で、この排水の一部が排水導出部(3)に導かれる。このため、排水導出部(3)から外部に排出される排水(A’)には、気泡はほとんど含まれていない。
【0020】
かかる曝気槽(1)では、排水導入部(2)から曝気槽上部(12)の上昇領域(1a)に排水(A)を導入しながら、吹込器(41)から空気(B1)を吹込み、場合によっては下降領域(1b)に設けられた吹込器(42)から酸素ガス(B2)を吹き込んで、硝化細菌固定化担体(C)を排水(A)に懸濁させながら酸素含有ガス(B)を曝気させている。
【0021】
本発明の硝化方法では、曝気槽(1)内で排水を+170mV以上、好ましくは+180mV以上、通常は250mV以下の酸化還元電位に維持する。酸化還元電位は、曝気槽(2)に設けられた酸化還元電位計(E)によって容易に計測することができる。なお、酸化還元電位は、銀・塩化銀電極を基準として白金電極によって測定される電位である。
【0022】
曝気槽(1)内の排水(A)を本発明で記載する酸化還元電位に維持するには、例えば酸化還元電位を監視しながら、曝気槽(1)に導入する酸素(B)の曝気量を調整すればよく、具体的には酸化還元電位が本発明で規定する範囲を下回るか、酸化還元電位が徐々に低下していて下回ることが予測される場合には、酸素(B)の曝気量を増加させて、排水をより多くの酸素と接触させればよい。酸素含有ガス(B)として空気(B1)のように酸素濃度が比較的低い酸素含有ガスを用いる場合に、酸素の曝気量を増加させようとすると、排水中に空気を激しく吹き込むこととなって、固定された硝化細菌(C1)が粒状担体(C2)から剥離し、排水(A)中に浮遊するようになるので、空気(B1)と共に、あるいは空気に代えて、空気よりも高濃度で酸素を含む酸素ガス(B2)を吹き込んでもよい。
【0023】
また、酸化還元電位を監視しながら排水(A)の導入量を調整してもよく、具体的には、酸化還元電位が本発明で規定する範囲を下回るか、徐々に低下していて下回ることが予測される場合には、排水(A)の供給量を減少させればよい。
【0024】
さらに、酸化還元電位を監視しながら、曝気槽(2)へ硝化細菌固定化担体(C)を追加してもよい。具体的には、酸化還元電位が本発明で規定する範囲を下回るか、徐々に低下していて下回ることが予測される場合には、予め調整しておいた硝化細菌固定化担体(C)を曝気槽(1)へ追加すればよい。
【0025】
酸素(B)と接触している間、曝気槽(1)内の排水(A)の水素イオン濃度(pH)は、硝化細菌の活性の点で6.5以上、さらには7.0以上であることが好ましい。水素イオン濃度をこの範囲に維持するには、曝気槽(1)に水素イオン濃度計〔pHメーター〕(P)を設けておき、この水素イオン濃度計(P)で排水(A)の水素イオン濃度を監視しながら、例えばアルカリを添加すればよい。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。なお、排水(A)のpHは、亜硝酸酸化細菌の活性の点で8.0以下、さらには7.5以下であることが好ましいので、通常は、排水(A)のpHがこの範囲を超えないようにアルカリの添加量が調整される。
【0026】
排水導出部(4)からは、曝気槽(1)内でアンモニア性窒素が硝化されてたのちの排水(A’)が外部に導き出される。かかる排水(A’)は通常、溶存酸素が殆ど存在しない嫌気性雰囲気下で脱窒細菌によって硝酸などの硝酸性窒素を窒素(N2)ガスに還元する脱膣処理が施される。
【0027】
【発明の効果】
本発明の硝化方法によれば、排水中に含まれるアンモニア性窒素を大きな容積負荷で硝化することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を拠り詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例によって限定されるものではない。
【0029】
実施例1
〔硝化細菌固定化担体の調製〕
カチオン性高分子凝集剤〔「スミフロックFC185N」(住友化学工業製)7.2kgを純水に溶解させて容積を0.36m3とし、石炭焼却灰(粒子径は1μm〜125μm、中心粒子径は15μm)150kgを加え、さらに、アニオン性高分子凝集剤〔「スミフロックFA30」(住友化学工業製)〕0.177kgを純水に溶解させた水溶液〔容積0.177m3〕を加えて石炭焼却灰(C2)が水に分散した分散液を得た。
【0030】
図1に示すような液深3mで内容積3m3の曝気槽(1)に、化学工場の排水処理施設から入手した活性汚泥(MLSS濃度約14g/L)1m3および工業用水1m3を投入し、槽底部(11)に設けた散気管(41)から60m3/hr(大気圧換算)で空気(B1)を吹き込みながら、上記で得た分散液を投入し、さらに工業用水を加えて曝気槽(1)内を液で満たした。その後も、12時間、常温(約20℃〜25℃)で、この曝気槽(1)に同様に空気(B1)を吹き込んだ。この間、曝気槽(1)内の液のpHは7.5であった。また、曝気槽(1)内は、吹き込まれた空気(B1)によって撹拌されており、上昇領域(1a)には上昇流が、下降領域(1b)には下降流が形成されていた。
【0031】
その後、同温度で、上記と同じ曝気量で空気(B1)を吹き込みながら、曝気槽(1)に、アンモニアを含む工場排水を工業用水で希釈して得た培養液を0.17m3/hrで通水させた。この間、曝気槽(1)内の酸化還元電位を監視しながら150mV〜250mVの範囲となるように空気(B1)曝気量を調整した。また培養液のアンモニア性窒素は、工場排水の希釈倍率を調整することで時間の経過と共に増大させ、流入を開始した時点では90mg/L(窒素換算)であったアンモニア性窒素含有量は最終的には603mg/L(窒素換算)になった。最終的に曝気槽(1)の容積負荷は81〜89mg/L・hr(窒素換算)となった。この間、曝気槽(1)内の培養液のpHは7.2〜7.5であった。曝気槽(1)内の培養液には、石炭焼却灰(C2)の表面に硝化細菌(C1)が固定された硝化細菌固定化担体(C)が生成していた。
【0032】
〔工場排水中のアンモニア性窒素の硝化〕
培養液の通水を止め、空気(B1)の吹き込み量を72m3/hr(1.2m3/分、大気圧換算)としたのち、化学工場からの工場排水(A)を0.50〜0.52m3/hrで通水したところ、酸化還元電位が+143mVとなった。直ちに空気(B1)の吹き込み量を90m3/hr(1.5m3/分、大気圧換算)としたところ、酸化還元電位が上昇して+176mVとなった。pHは7.2〜7.4の範囲であった。このときの容積負荷(窒素換算)は78〜117mg/L・hr(窒素換算)であった。なお、用いた工場排水のアンモニア性窒素濃度は460〜850mg/L(窒素換算)の範囲、BODは51〜109mg/Lの範囲でそれぞれ変動していた。
【0033】
実施例2
〔工場排水中のアンモニア性窒素の硝化〕
実施例1で用いたと同様の曝気槽(1)を用い、実施例1と同様に操作して硝化細菌固定化担体(C)を調製した。その後、散気管(41)からの空気(B1)の吹き込み量を60m3/hr(1m3/分、大気圧換算)とし、下降領域(1b)に設けた別の散気管(42)から酸素ガス〔純度94%(モル比〕〕(B2)を6m3/hr〔大気圧換算)で吹き込みながら、化学工場からの工場排水(A)を0.50〜0.52m3/hrで通水した以外は実施例1と同様に操作したところ、酸化還元電位は+158mVとなった。直ちに工場排水(A)の通水量を減少させて0.46m3/hrとしたところ、酸化還元電位は+185mVとなった。このときの容積負荷(窒素換算)は122〜154mg/L・hr(窒素換算)であり、pHは7.2〜7.3であった。なお、用いた工場排水(A)のアンモニア性窒素濃度は820〜920mg/L(窒素換算)の範囲、BODは80〜145mg/Lの範囲でそれぞれ変動していた。
【0034】
比較例1
〔工場排水中のアンモニア性窒素の硝化〕
実施例1で用いたと同様の曝気槽(1)を用い、実施例1と同様に操作して硝化細菌固定化担体(C)を調製した。その後、散気管(41)からの空気(B1)の吹き込み量を90m3/hr(1.5m3/分、大気圧換算)とし、化学工場からの工場排水(A)を0.41〜0.45m3/hrで通水した以外は実施例1と同様に操作したところ、酸化還元電位は+122mVとなった。このときの容積負荷は110〜120mg/L・hr(窒素換算)であり、pHは7.2〜7.3であった。その後もそのまま空気(B1)を吹き込み、通水を続けたところ、酸化還元電位は+63mVまで下降した。このときの容積負荷は約6mg/L・hr(窒素換算)であり、pHは7.2〜8.2であった。なお、用いた工場排水(A)のアンモニア性窒素濃度は400〜870mg/L(窒素換算)の範囲、BODは51〜109mg/Lの範囲でそれぞれ変動していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の硝化方法によって排水に含まれるアンモニア性窒素を硝化するための硝化装置の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1:曝気槽 11:槽底部 12:上部
13:側壁
1a:上昇領域 1b:下降領域
2:排水導入部
3:排水導出部
41、42:吹込器
5:仕切板
6:分離板
A:排水 A’:硝化後の排水
B:酸素(酸素含有ガス) B1:空気 B2:酸素ガス
C:硝化細菌固定化担体 C1:硝化細菌 C2:粒状担体
E:酸化還元電位計 P:pHメーター
【発明の属する技術分野】
本発明はアンモニア性窒素の硝化方法に関し、詳しくは排水中に含まれるアンモニア性窒素を硝化細菌によって硝酸などの硝酸性窒素に硝化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工場排水、家庭排水などの排水には、多くの場合、アンモニア性窒素が含まれている。かかる排水からアンモニア性窒素を除去する方法としては、曝気槽内で硝化細菌の存在下に酸素と接触させて硝化する、いわゆる生物学的硝化方法が知られており、特許文献1〔特開平6−496号公報〕には、硝化細菌が固定された粒状の担体を曝気槽内に充填して固定しておき、この曝気槽に排水を通水しつつ、酸素含有ガスを曝気し、+100mV以上の酸化還電位を維持して、アンモニア性窒素を硝化する方法が開示されている。同文献には曝気槽内における酸化還元電位の具体的な数値は開示されておらず、また、高々20mg/L(窒素換算)の濃度で排水に含まれるアンモニア性窒素を2時間以上かけて硝化していることから、単位容積・単位時間あたり窒素換算で10mg/L・hr以下の容積負荷でアンモニア性窒素を硝化しているに過ぎない。
【0003】
アンモニア性窒素の硝化方法としては、より大きな容積負荷でアンモニア性窒素を硝化できる方法が求められている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−496号公報
【特許文献2】特開平9−131178号公報
【特許文献3】特開平9−187272号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、より大きな容積負荷で排水中のアンモニア性窒素を硝化できる方法を開発するべく鋭意検討した結果、硝化細菌を粒状担体に固定して排水中に懸濁させるとともに、排水の酸化還元電位を+170mV以上に維持すれば、大きな容積負荷でアンモニア性窒素を硝化できることを見出し、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
アンモニア性窒素を含有する排水(A)を曝気槽(1)へ連続的に通水しながら、
前記曝気槽(1)内で、
硝化細菌(C1)が粒状担体(C2)に固定された硝化細菌固定化担体(C)を排水(A)中に懸濁させつつ、酸素含有ガス(B)を曝気し、
酸化還元電位を+170mV以上に維持して、
前記硝化細菌(C1)に前記アンモニア性窒素を硝化させる
ことを特徴とする前記排水(A)中のアンモニア性窒素の硝化方法を提供するものである。図1には、本発明の硝化方法によって排水(A)中のアンモニア性窒素を硝化するための曝気槽(1)の一例を模式的に示す。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の硝化方法は、排水(A)に含まれるアンモニア性窒素を硝化する方法である。アンモニア性窒素とは、アンモニア(NH3)またはアンモニウムイオン(NH4 +)として排水中に含まれる窒素である。アンモニウムイオンと対になる対イオンとしては、水酸化物イオン(OH−)の他、例えば塩化物イオン(Cl−)、硫酸イオン(SO4 2−)などの無機陰イオンが挙げられる。排水におけるアンモニア性窒素の含有量は、窒素(N2)換算で50mg/L〜2000mg/L程度である。
【0008】
かかるアンモニア性窒素を含む排水は、工場から排出される工場排水であってもよいし、家庭などから排出される生活排水であってもよい。かかる排水は多くの場合、微生物によって分解されうる有機物を含んでいるが、本発明の硝化方法では、かかる有機物の含有量が生化学的酸素要求量(BOD)として100mg/Lであれば、1000mg/L(窒素換算)の濃度で含まれるアンモニア性窒素を容積負荷60mg/L・hr以上(窒素換算)で硝化することができ、有機物の含有量(BOD)が300mg/Lであっても、500mg/Lの濃度(窒素換算)で排水に含まれるアンモニア性窒素を容積負荷60mg/L・hr以上(窒素換算)で硝化することができる。容積負荷とは、単位容積あたり単位時間あたりに硝化できるアンモニア性窒素を示す量であり、通常は窒素(N)換算で示される。
【0009】
本発明の硝化方法は、硝化細菌(C1)によってアンモニア性窒素を硝化する。硝化細菌としては、アンモニア性窒素を酸化して亜硝酸とするアンモニア酸化細菌、亜硝酸を酸化して硝酸とする亜硝酸酸化細菌が挙げられる。アンモニア酸化細菌は、十分な溶存酸素(O2)濃度を示す好気性雰囲気下で排水中のアンモニア性窒素、例えばアンモニウムイオンを式(1)
【化1】
に従って酸化して亜硝酸イオン(NO2 −)に変換する微生物である。亜硝酸酸化細菌は、例えばアンモニア酸化細菌によって生成した亜硝酸イオンを好気性雰囲気下で式(2)
【化2】
に従って更に酸化して硝酸イオン(NO3 −)に変換する微生物である。
【0010】
本発明の硝化方法では、かかる硝化細菌(C1)を粒状担体(C2)に固定して硝化細菌固定化担体(C)として用いる。粒状担体(C2)としては、例えば石炭を焼却することで生ずる石炭焼却灰、アルミナ粒子、ヒドロキシアパタイト粒子などを用いることができる。石炭焼却灰としては、石炭を焼却して排出される排ガスに同伴されて飛散する、いわゆるフライアッシュを用いることもできる。フライアッシュは、電気集塵機などによって排ガスから分離されて得られる。かかる粒状担体としては、粒子径が0.1μm〜250μmで、中心粒子径が100μm以下のものが好ましく用いられる。
【0011】
硝化細菌を粒状担体に固定するには、例えば水に硝化細菌が分散された分散液と粒状担体とを混合すればよい(特許文献2:特開平9−131178号公報)。分散液としては、硝化細菌の培養液、活性汚泥、活性汚泥を水で希釈した希釈液などが挙げられる。粒状担体は、予め高分子凝集剤の存在下に水に分散させてから、硝化細菌が分散された分散液と混合してもよい。高分子凝集剤としては、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤を用いることができる。粒状担体の使用量は、分散液1L(1dm3)あたり通常1g〜200g程度である。
【0012】
混合後、例えば培養液を通水させながら酸素と接触させることで、硝化細菌が粒状担体上で増殖しつつ固定されて、硝化細菌固定化担体が得られる。培養液としては、用いる排水と同様の組成の液や、該排水を純水などで希釈した液が好ましく用いられる。酸素と接触させるには、例えば粒状担体と培養液との混合物に空気、純酸素ガスなどの酸素含有ガスを混合物に吹き込んで曝気すればよい。培養液を曝気するには、硝化に用いられる曝気槽をそのままで用い、この曝気槽の中で培養液を曝気することができる。
【0013】
通水する培養液に含まれるアンモニア性窒素は、時間の経過と共に濃度を増加させて用いてもよい(特許文献3:特開平9−187272号公報)。アンモニア性窒素の濃度を時間経過とともに増加させるには、例えば培養液として排水を水で希釈して用い、その希釈倍率を時間の経過とともに減少させながら通水すればよい。高い希釈倍率で希釈された培養液で通水を開始した後、徐々に低い希釈倍率の培養液を通水することで、培養液中のアンモニア性窒素の濃度を高くすることができる。
【0014】
本発明の硝化方法では、排水(A)を曝気槽(1)へ連続的に通水しながら、曝気槽(1)内で、排水(A)を酸素と接触させる。
【0015】
図1に示す曝気槽(1)には、排水導入部(2)、排水導出部(3)、吹込器(41、42)および仕切板(5)が設けられている。排水導入部(2)は、外部から排水(A)を連続的に曝気槽(1)内へ導入するものである。排水導出部(3)は、曝気槽(1)内でアンモニア性窒素が硝化された後の排水(A)を連続的に外部へ導き出すものである。かかる排水導入部(2)から排水(A)を連続的に導入しつつ、硝化後の排水(A)を排水導出部(3)から外部へ連続的に導出することで、排水(A)は曝気槽(1)に連続的に通水される。
【0016】
吹込器(41、42)は、空気(B1)または酸素ガス(B2)などの酸素含有ガス(B)を曝気槽(2)に吹き込んで排水(A)に曝気するためのものであり、通常は散気管、ディフューザーなどが用いられる。かかる吹込器(41、42)は槽低部(11)やその付近に設けられている。
【0017】
図1に示す曝気槽(1)には、槽内を2つの領域に分ける仕切板(5)が備えられており、この仕切板(5)によって、曝気槽(1)内は、排水(A)が硝化細菌固定化担体(C)と共に上昇する上昇領域(1a)と、下降する下降領域(1b)との2つの領域に仕切られている。
【0018】
図1に示す曝気槽(1)において、2つの吹込器のうち、空気(B1)を吹き込む吹込器(41)は上昇領域(1a)の下方の槽底部(11)に設けられている。この吹込器(41)から吹き込まれた空気(B1)は、槽底部(11)から、排水(A)および硝化細菌固定化担体(C)を撹拌しながら上昇して、上昇領域(1a)で排水および硝化菌固定化担体(C)の上昇流を形成させる。上昇領域(1a)を上昇して曝気槽の上部(22)に至った排水(A)および硝化菌固定化担体(C)は、排水導入部(2)から導入された排水(A)と混合されて下降領域(1b)へ導かれ、ここを下降して槽底部(11)に至る。その後、再び吹込器(41)から吹き込まれた空気(B1)によって上昇領域(1a)を上昇していて、曝気槽(1)内で排水(A)、硝化細菌固定化担体(C)が懸濁された状態で循環している。
【0019】
排水導出部(3)は、曝気槽上部(22)にある、下降領域(1b)の側壁(22)の液面付近に設けられており、曝気槽(1)内の排水(A)は、ここ(3)から外部へ排出される。排水導出部(3)の近傍の液面付近には、下降領域(1b)を下降する排水(A)の流れを整えると共に、曝気によって排水(A)に含まれる気泡を分離して排水(A)の一部を導くための分離板(6)が設けられている。この分離板(6)によって、下降領域(1b)の排水(A)から気泡が分離された状態で、この排水の一部が排水導出部(3)に導かれる。このため、排水導出部(3)から外部に排出される排水(A’)には、気泡はほとんど含まれていない。
【0020】
かかる曝気槽(1)では、排水導入部(2)から曝気槽上部(12)の上昇領域(1a)に排水(A)を導入しながら、吹込器(41)から空気(B1)を吹込み、場合によっては下降領域(1b)に設けられた吹込器(42)から酸素ガス(B2)を吹き込んで、硝化細菌固定化担体(C)を排水(A)に懸濁させながら酸素含有ガス(B)を曝気させている。
【0021】
本発明の硝化方法では、曝気槽(1)内で排水を+170mV以上、好ましくは+180mV以上、通常は250mV以下の酸化還元電位に維持する。酸化還元電位は、曝気槽(2)に設けられた酸化還元電位計(E)によって容易に計測することができる。なお、酸化還元電位は、銀・塩化銀電極を基準として白金電極によって測定される電位である。
【0022】
曝気槽(1)内の排水(A)を本発明で記載する酸化還元電位に維持するには、例えば酸化還元電位を監視しながら、曝気槽(1)に導入する酸素(B)の曝気量を調整すればよく、具体的には酸化還元電位が本発明で規定する範囲を下回るか、酸化還元電位が徐々に低下していて下回ることが予測される場合には、酸素(B)の曝気量を増加させて、排水をより多くの酸素と接触させればよい。酸素含有ガス(B)として空気(B1)のように酸素濃度が比較的低い酸素含有ガスを用いる場合に、酸素の曝気量を増加させようとすると、排水中に空気を激しく吹き込むこととなって、固定された硝化細菌(C1)が粒状担体(C2)から剥離し、排水(A)中に浮遊するようになるので、空気(B1)と共に、あるいは空気に代えて、空気よりも高濃度で酸素を含む酸素ガス(B2)を吹き込んでもよい。
【0023】
また、酸化還元電位を監視しながら排水(A)の導入量を調整してもよく、具体的には、酸化還元電位が本発明で規定する範囲を下回るか、徐々に低下していて下回ることが予測される場合には、排水(A)の供給量を減少させればよい。
【0024】
さらに、酸化還元電位を監視しながら、曝気槽(2)へ硝化細菌固定化担体(C)を追加してもよい。具体的には、酸化還元電位が本発明で規定する範囲を下回るか、徐々に低下していて下回ることが予測される場合には、予め調整しておいた硝化細菌固定化担体(C)を曝気槽(1)へ追加すればよい。
【0025】
酸素(B)と接触している間、曝気槽(1)内の排水(A)の水素イオン濃度(pH)は、硝化細菌の活性の点で6.5以上、さらには7.0以上であることが好ましい。水素イオン濃度をこの範囲に維持するには、曝気槽(1)に水素イオン濃度計〔pHメーター〕(P)を設けておき、この水素イオン濃度計(P)で排水(A)の水素イオン濃度を監視しながら、例えばアルカリを添加すればよい。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。なお、排水(A)のpHは、亜硝酸酸化細菌の活性の点で8.0以下、さらには7.5以下であることが好ましいので、通常は、排水(A)のpHがこの範囲を超えないようにアルカリの添加量が調整される。
【0026】
排水導出部(4)からは、曝気槽(1)内でアンモニア性窒素が硝化されてたのちの排水(A’)が外部に導き出される。かかる排水(A’)は通常、溶存酸素が殆ど存在しない嫌気性雰囲気下で脱窒細菌によって硝酸などの硝酸性窒素を窒素(N2)ガスに還元する脱膣処理が施される。
【0027】
【発明の効果】
本発明の硝化方法によれば、排水中に含まれるアンモニア性窒素を大きな容積負荷で硝化することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を拠り詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例によって限定されるものではない。
【0029】
実施例1
〔硝化細菌固定化担体の調製〕
カチオン性高分子凝集剤〔「スミフロックFC185N」(住友化学工業製)7.2kgを純水に溶解させて容積を0.36m3とし、石炭焼却灰(粒子径は1μm〜125μm、中心粒子径は15μm)150kgを加え、さらに、アニオン性高分子凝集剤〔「スミフロックFA30」(住友化学工業製)〕0.177kgを純水に溶解させた水溶液〔容積0.177m3〕を加えて石炭焼却灰(C2)が水に分散した分散液を得た。
【0030】
図1に示すような液深3mで内容積3m3の曝気槽(1)に、化学工場の排水処理施設から入手した活性汚泥(MLSS濃度約14g/L)1m3および工業用水1m3を投入し、槽底部(11)に設けた散気管(41)から60m3/hr(大気圧換算)で空気(B1)を吹き込みながら、上記で得た分散液を投入し、さらに工業用水を加えて曝気槽(1)内を液で満たした。その後も、12時間、常温(約20℃〜25℃)で、この曝気槽(1)に同様に空気(B1)を吹き込んだ。この間、曝気槽(1)内の液のpHは7.5であった。また、曝気槽(1)内は、吹き込まれた空気(B1)によって撹拌されており、上昇領域(1a)には上昇流が、下降領域(1b)には下降流が形成されていた。
【0031】
その後、同温度で、上記と同じ曝気量で空気(B1)を吹き込みながら、曝気槽(1)に、アンモニアを含む工場排水を工業用水で希釈して得た培養液を0.17m3/hrで通水させた。この間、曝気槽(1)内の酸化還元電位を監視しながら150mV〜250mVの範囲となるように空気(B1)曝気量を調整した。また培養液のアンモニア性窒素は、工場排水の希釈倍率を調整することで時間の経過と共に増大させ、流入を開始した時点では90mg/L(窒素換算)であったアンモニア性窒素含有量は最終的には603mg/L(窒素換算)になった。最終的に曝気槽(1)の容積負荷は81〜89mg/L・hr(窒素換算)となった。この間、曝気槽(1)内の培養液のpHは7.2〜7.5であった。曝気槽(1)内の培養液には、石炭焼却灰(C2)の表面に硝化細菌(C1)が固定された硝化細菌固定化担体(C)が生成していた。
【0032】
〔工場排水中のアンモニア性窒素の硝化〕
培養液の通水を止め、空気(B1)の吹き込み量を72m3/hr(1.2m3/分、大気圧換算)としたのち、化学工場からの工場排水(A)を0.50〜0.52m3/hrで通水したところ、酸化還元電位が+143mVとなった。直ちに空気(B1)の吹き込み量を90m3/hr(1.5m3/分、大気圧換算)としたところ、酸化還元電位が上昇して+176mVとなった。pHは7.2〜7.4の範囲であった。このときの容積負荷(窒素換算)は78〜117mg/L・hr(窒素換算)であった。なお、用いた工場排水のアンモニア性窒素濃度は460〜850mg/L(窒素換算)の範囲、BODは51〜109mg/Lの範囲でそれぞれ変動していた。
【0033】
実施例2
〔工場排水中のアンモニア性窒素の硝化〕
実施例1で用いたと同様の曝気槽(1)を用い、実施例1と同様に操作して硝化細菌固定化担体(C)を調製した。その後、散気管(41)からの空気(B1)の吹き込み量を60m3/hr(1m3/分、大気圧換算)とし、下降領域(1b)に設けた別の散気管(42)から酸素ガス〔純度94%(モル比〕〕(B2)を6m3/hr〔大気圧換算)で吹き込みながら、化学工場からの工場排水(A)を0.50〜0.52m3/hrで通水した以外は実施例1と同様に操作したところ、酸化還元電位は+158mVとなった。直ちに工場排水(A)の通水量を減少させて0.46m3/hrとしたところ、酸化還元電位は+185mVとなった。このときの容積負荷(窒素換算)は122〜154mg/L・hr(窒素換算)であり、pHは7.2〜7.3であった。なお、用いた工場排水(A)のアンモニア性窒素濃度は820〜920mg/L(窒素換算)の範囲、BODは80〜145mg/Lの範囲でそれぞれ変動していた。
【0034】
比較例1
〔工場排水中のアンモニア性窒素の硝化〕
実施例1で用いたと同様の曝気槽(1)を用い、実施例1と同様に操作して硝化細菌固定化担体(C)を調製した。その後、散気管(41)からの空気(B1)の吹き込み量を90m3/hr(1.5m3/分、大気圧換算)とし、化学工場からの工場排水(A)を0.41〜0.45m3/hrで通水した以外は実施例1と同様に操作したところ、酸化還元電位は+122mVとなった。このときの容積負荷は110〜120mg/L・hr(窒素換算)であり、pHは7.2〜7.3であった。その後もそのまま空気(B1)を吹き込み、通水を続けたところ、酸化還元電位は+63mVまで下降した。このときの容積負荷は約6mg/L・hr(窒素換算)であり、pHは7.2〜8.2であった。なお、用いた工場排水(A)のアンモニア性窒素濃度は400〜870mg/L(窒素換算)の範囲、BODは51〜109mg/Lの範囲でそれぞれ変動していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の硝化方法によって排水に含まれるアンモニア性窒素を硝化するための硝化装置の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1:曝気槽 11:槽底部 12:上部
13:側壁
1a:上昇領域 1b:下降領域
2:排水導入部
3:排水導出部
41、42:吹込器
5:仕切板
6:分離板
A:排水 A’:硝化後の排水
B:酸素(酸素含有ガス) B1:空気 B2:酸素ガス
C:硝化細菌固定化担体 C1:硝化細菌 C2:粒状担体
E:酸化還元電位計 P:pHメーター
Claims (2)
- アンモニア性窒素を含有する排水を曝気槽へ連続的に通水しながら、前記曝気槽内で、硝化細菌が粒状担体に固定された硝化細菌固定化担体を排水中に懸濁させつつ、酸素含有ガスを曝気し、酸化還元電位を+170mV以上に維持して、前記硝化細菌に前記アンモニア性窒素を硝化させることを特徴とする前記排水中のアンモニア性窒素の硝化方法。
- 粒状担体の粒子径が0.1μm〜250μmであり、中心粒子径が100μm以下である請求項1に記載の硝化方法。
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JP2003173041A JP2005007262A (ja) | 2003-06-18 | 2003-06-18 | 排水中のアンモニア性窒素の硝化方法 |
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JP2012228646A (ja) * | 2011-04-26 | 2012-11-22 | Hitachi Ltd | 生物学的水処理装置 |
CN103265143A (zh) * | 2013-05-08 | 2013-08-28 | 上海纳米技术及应用国家工程研究中心有限公司 | 一种管道式微污染水源水净化工艺 |
CN110606631A (zh) * | 2019-10-24 | 2019-12-24 | 上海蓝科石化环保科技股份有限公司 | 一种好氧生物流化床污水处理装置及工艺 |
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