JP2005006758A - 遊技盤用被覆シート - Google Patents
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Abstract
【課題】鮮明な画像が形成可能であり、耐擦傷性及び寸法安定性に優れるとともに、遊技盤を簡便に製造できる記録用被覆シートを提供する。
【解決手段】遊技機の遊技盤を構成する盤材1を被覆するためのシートとして、セルロース誘導体や非晶性ポリエステル系樹脂で構成された基材層5の片面にインクジェット記録方式により画像が形成可能なインク受容層3が形成されたシートを調製する。このシートは、基材層5とインク受容層3との間に、接着層4を介在させていてもよい。さらに、画像が形成されたインク受容層の上に隠蔽層2を形成していてもよい。このシートは、インクジェット記録方式によりインク受容層3に画像を形成し、インク受容層3を盤材1と接合することにより、パチンコ機などの遊戯機の遊技盤に用いることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】遊技機の遊技盤を構成する盤材1を被覆するためのシートとして、セルロース誘導体や非晶性ポリエステル系樹脂で構成された基材層5の片面にインクジェット記録方式により画像が形成可能なインク受容層3が形成されたシートを調製する。このシートは、基材層5とインク受容層3との間に、接着層4を介在させていてもよい。さらに、画像が形成されたインク受容層の上に隠蔽層2を形成していてもよい。このシートは、インクジェット記録方式によりインク受容層3に画像を形成し、インク受容層3を盤材1と接合することにより、パチンコ機などの遊戯機の遊技盤に用いることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小遊技動体を用いた遊技機(例えば、パチンコ機やピンボールゲーム機など)の盤面に用いられる記録用被覆シート及びそれを用いて得られた遊技盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、パチンコ機などの小球を用いた遊技機の遊技盤としては、ベニヤ板などで構成された盤材と、セルロイドなどで構成された透明樹脂シートとを貼り合わせた遊技盤が使用されている。そして、前記透明樹脂シートの裏面(前記基材と接触する側の面)には、通常、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷などの印刷法により画像が形成される。これらの印刷法のうち、近年は、鮮明な画像を形成できるシルクスクリーン印刷法が主流になりつつある。
【0003】
特開平7−178216号公報には、セルロースアセテートブチレートフィルムやニトロセルロースフィルムなどの透明フィルムの上に、スクリーン印刷などにより画像を形成した後、その画像の上に部分的な金属層を形成して得られる遊技機基板の被覆材が開示されている。また、特開2000−107364号公報には、セルロイドやセルロースアセテートブチレートなどの透明樹脂シートの上に、UVオフセット印刷やシルクスクリーン印刷などで絵柄層を形成した後、この絵柄層の上に白色層及び光フィルム又は箔を形成して得られる遊技機用表化粧板が開示されている。
【0004】
しかし、これらの方法では、シルクスクリーン印刷などの印刷法で画像を形成する必要があるため、版が必要であると共に、印刷設備や工程が複雑であり、生産性が低い。さらに、これらの版を必要とする印刷方法では、盤面のデザイン変更に対して迅速に対応できない。
【0005】
一方、他の印刷方法を用いた遊技盤として、特開平10−323422号公報には、遊技板とこの遊技板の表面に固着された成形マットとこのマットの表面に植設された調整突起とを少なくとも備えた弾球遊技機の遊技盤が開示されている。この文献には、硬質ゴムや低発泡プラスチックなどで構成された成形マットにインクジェット印刷により装飾を施した後、遊技板と成形マットとを圧着させる遊技盤の製造方法も記載されている。しかし、この製造方法では、成形マットに直接印刷を施しているため、画像鮮明性が低い。また、インクジェット印刷の態様では、セルロイド板の代わりに、ゴムやプラスチックで形成された成形マットを使用しているため、耐擦傷性や寸法安定性も低い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、遊技機の遊技盤に用いられるシートにおいて、鮮明な画像が形成可能であり、耐擦傷性及び寸法安定性に優れる記録用被覆シート及びこのシートを用いて得られた遊技盤を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、デザインのバリエーションが豊富で、かつ画像の耐光性にも優れた記録用被覆シート及びこのシートを用いて得られた遊技盤を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、デザインの変更に迅速に対応できると共に、遊技盤を簡便に製造できる記録用被覆シート及びこのシートを用いて得られた遊技盤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討の結果、セルロース誘導体や非晶性ポリエステル系樹脂で構成された基材層とインクジェット記録方式により画像を形成可能なインク受容層とでシートを構成することにより、鮮明な画像が形成可能であり、耐擦傷性及び寸法安定性に優れると共に、遊技盤を簡便に製造できる遊技盤用シートが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の記録用被覆シートは、遊技盤の盤材を被覆するためのシートであって、セルロース誘導体及び非晶性ポリエステル系樹脂から選択された少なくとも一種で構成された基材層の片面にインクジェット記録方式により画像が形成可能なインク受容層が形成されている。前記インク受容層は、ヤング率が50〜1500MPa程度であってもよい。前記シートは、基材層の片面に、軟質接着性樹脂で構成された接着層を介してインク受容層が形成されていてもよい。前記インク受容層の厚みは1〜100μm程度で、前記基材層の厚みは1〜100μm程度であり、かつ前記インク受容層と前記基材層との厚み比は、インク受容層/基材層=1/2〜1/100程度であってもよい。前記シートは、基材層が透明であるとともに、インク受容層が盤材に接合可能であってもよい。前記遊技機にはパチンコ機などが含まれる。
【0011】
本発明には、盤材上に前記シートが形成された遊技盤であって、インク受容層にインクジェット記録方式で画像が形成された遊技盤も含まれる。さらに、本発明には、前記シートにインクジェット記録方式で画像を形成した後、このシートを盤材に貼り合わせて遊技盤を製造する方法も含まれる。この方法では、インク受容層と盤材とを接合してもよい。また、画像を形成した後、インク受容層の上に盤材に接合可能な隠蔽層を形成し、この隠蔽層と盤材とを接合してもよい。さらに、前記方法において、画像を形成した後、インク受容層の上にセルロース誘導体や非晶性ポリエステル系樹脂などで構成された透明保護層を形成し、基材層と盤材とを接合してもよい。この方法において、基材層は不透明な隠蔽層であってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の記録用被覆シートは、遊技盤の盤材を被覆するためのシートであって、基材層の片面にインク受容層が形成されている。この記録用被覆シートは、基材層が透明であるとともに、インク受容層が盤材に接合可能であってもよい。また、基材層が盤材に接合可能であるとともに、インク受容層の上に透明保護層が形成されていてもよい。
【0013】
[インク受容層]
インク受容層は、インクジェット記録用インクを受容可能な樹脂で構成されており、インクを受容可能である限り特に制限されず、種々の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が使用できる。なお、簡便性の点から、インクジェット記録用インクとしては水性インクが汎用されており、水性インクを使用する場合は、インク受容層も水に対して親和性を有する種々の高分子(親水性重合体)、例えば、水溶性高分子、水分散性高分子、水不溶性であって吸水性を有する高分子で構成するのが好ましい。
【0014】
このような親水性重合体としては、例えば、水性ウレタン系樹脂、水性ポリエステル系樹脂、酸ビニルエステル系重合体又はその誘導体(ポリ酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその部分ケン化物等)、ポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリオキシC2−4アルキレングリコールなど)、アクリル系重合体[ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル酸−ポリビニルアルコール共重合体等]、ビニルエーテル系重合体(ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体などのC1−6アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体等)、スチレン系重合体[スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸又はその塩等]、セルロース誘導体[セルロースエーテル類(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、セルロースエステル類(酢酸セルロース、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、硝酸セルロースなど)など]、親水性天然高分子又はその誘導体(アルギン酸又はその塩、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン、デキストリンなど)、ポリスルホン系重合体(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、窒素含有重合体(又はカチオン性ポリマー)又はその塩[ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩、ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリ−N−メチルアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ビニルピロリドン共重合体(例えば、アクリロニトリル含量50〜99.9モル%程度の共重合体)、ポリビニルピロリドン等]等が挙げられる。親水性重合体の塩(特にカルボキシル基又はスルホン酸基の塩)としては、アンモニウム塩、塩アミン塩(メチルアミンやジメチルアミンなどのアルキルアミン塩や、モノエタノールアミンやジエタノールアミンなどのアルカノールアミン塩など)、アルカリ金属塩(ナトリウムやリチウム、カリウムなどのアルカリ金属塩など)などが含まれる。これらの親水性重合体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0015】
これらの高分子のうち、インク受容層を構成する樹脂としては、水性ウレタン系樹脂及び水性ポリエステル系樹脂から選択された少なくとも一種の水系樹脂と酢酸ビニル系重合体のケン化物とを含む水性溶液中で、親水性ビニル単量体及び共重合性ビニル単量体を、前者/後者=100/0〜60/40程度の割合(重量比)で含有する単量体組成物を重合した水性重合体組成物(A1)、架橋性基含有カチオン性ビニル系重合体(A2)が好ましい。これらの水性重合体組成物(A1)及び架橋性基含有カチオン性ビニル系重合体(A2)も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0016】
水性重合体組成物(A1)において、水性ウレタン系樹脂は、例えば、ジイソシアネート成分と、ジオール成分との反応により得られるウレタン系重合体に親水性基を導入することにより調製できる。これらの水性ウレタン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0017】
ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート(例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート等)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネートなど)、脂環式ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネートなど)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等)等が例示できる。ジイソシアネート成分は、アダクト体であってもよく、必要によりトリフェニルメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート成分と併用してもよい。ジイソシアネート成分は、単独で又は二種以上で組み合わせて使用できる。
【0018】
ジオール成分としては、例えば、脂肪族ジオール(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のC2−10アルキレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリオキシC2−4アルキレングリコール等)、脂環式ジオール、芳香族ジオールなどのジオール成分の他、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール等が例示できる。ジオール成分は、単独で又は二種以上で組み合わせて使用できる。
【0019】
ポリエステルジオールは、前記ジオールと、ジカルボン酸又はその反応性誘導体(低級アルキルエステル、酸無水物)との反応に限らず、ラクトンから誘導してもよい。ジオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジオールは、必要により、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオールと併用してもよい。
【0020】
ジカルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族C4−14脂肪族ジカルボン酸など)、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が例示される。これらのジカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジカルボン酸は、必要により、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸と併用してもよい。
【0021】
ラクトンには、例えば、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ラウロラクトン等が含まれ、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0022】
これらのウレタン系樹脂のうち、ジオール成分として、ポリエーテルジオール(ポリオキシテトラメチレングリコールなどのポリオキシC2−6アルキレングリコールなど)を用いたポリエーテル型ウレタン系樹脂や、ポリエステルジオール(例えば、1,4−ブタンジオールなどのC2−6アルキレンジオールと、アジピン酸などのC4−12脂肪族ジカルボン酸やイソフタル酸又はフタル酸との反応により得られるポリエステルジオールや、前記ラクトンから誘導されるポリエステルジオールなど)を用いたポリエステル型ウレタン系樹脂が好ましい。
【0023】
親水性基の導入方法としては、例えば、ジオール成分として遊離のカルボキシル基又は3級アミノ基を有するジオール(特に高分子ジオール)成分を用いる方法などが例示できる。なお、このようなジオール(特に高分子ジオール)は、例えば、前記ジオール成分と、分子内に3個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸又はその無水物(例えば、無水ピロメリット酸などの4塩基酸無水物など)や、スルホン酸基を有する多価カルボン酸(スルホイソフタル酸など)との反応、ジメチロールプロピオン酸やN−メチルジエタノールアミンなどを用いる方法により調製してもよい。第3級アミノ基は4級アンモニウム塩を形成してもよい。
【0024】
水性ポリエステル系樹脂は、例えば、ジカルボン酸成分又はその反応性誘導体(低級アルキルエステル、酸無水物)とジオール成分との反応により得られるポリエステル樹脂や、ラクトン(前記水性ウレタン系樹脂の項で例示のラクトンなど)の開環重合により得られるポリエステル系樹脂に親水性基を導入することにより調製できる。ジカルボン酸成分及びジオール成分としては、前記水性ウレタン系樹脂の項で例示のジカルボン酸及びジオール成分などが例示できる。水性ポリエステル系樹脂においても、水性ウレタン系樹脂と同様に、ジオール成分は、必要により、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオールと併用してもよい。これらの水系ポリエステル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0025】
これらのポリエステル系樹脂のうち、ジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸やナフタレンジカルボン酸など)を用い、ジオール成分として、アルキレンジオール(エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなど)を用いた芳香族ポリエステル系樹脂などが好ましい。
【0026】
親水性基の導入方法としては、例えば、水性ウレタン系樹脂と同様に、ジオール成分として、遊離のカルボキシル基又は3級アミノ基を有するジオール成分を用いる方法や、ジカルボン酸成分として、スルホン酸塩基やカルボン酸塩基等を有するジカルボン酸成分(5−ナトリウムスルホイソフタル酸や3官能以上の多価カルボン酸など)を用いる方法が例示できる。
【0027】
酢酸ビニル系重合体のケン化物としては、例えば、ポリ酢酸ビニルのケン化物、酢酸ビニルとビニル系単量体との共重合体[エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸メチル等]のケン化物などが例示できる。ケン化度は、例えば、75〜100%、好ましくは80〜100%、さらに好ましくは90〜100%程度である。重合度は300〜10000、好ましくは500〜5000、さらに好ましくは1000〜3000程度である。
【0028】
親水性ビニル単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体[(メタ)アクリル酸、マレイン酸等]、ヒドロキシル基含有単量体[(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等]、アミド基含有単量体[(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド等]、スルホン酸基含有単量体[ビニルスルホン酸など]等が例示できる。これらの親水性ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0029】
共重合性ビニル単量体としては、例えば、アクリル系単量体[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等]、カチオン性アクリル系単量体[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、4−(2−ジメチルアミノエチル)スチレン等]、芳香族ビニル系単量体[スチレン、ビニルトルエン等]、ビニルエステル系単量体[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等]等が例示できる。これらのうち、カチオン性単量体を使用すると、インク定着性が向上するため好ましい。
【0030】
親水性ビニル単量体と共重合性ビニル単量体との割合(重量比)は、前者/後者=100/0〜60/40、好ましくは100/0〜70/30、さらに好ましくは100/0〜80/20程度である。
【0031】
酢酸ビニル系重合体ケン化物の割合は、水性ウレタン系樹脂及び/又は水性ポリエステル系樹脂100重量部に対して、10〜500重量部、好ましくは20〜300重量部程度である。ビニル性単量体の割合は、水性ウレタン系樹脂及び/又は水性ポリエステル系樹脂100重量部に対して、10〜500重量部、好ましくは20〜300重量部程度である。
【0032】
水性重合体組成物(A1)の製造方法としては、例えば、水性ウレタン系樹脂及び/又は水性ポリエステル系樹脂と、酢酸ビニル系重合体ケン化物とを含む水分散液中にラジカル重合開始剤及び必要に応じて少量の乳化分散剤を添加し、70〜80℃程度でビニル系単量体を攪拌しながら徐々に添加した後、2〜5時間程度熟成する方法などを挙げることができる。このようにして得られた水性重合体組成物(A1)は、グラフト重合体組成物であるのが好ましい。
【0033】
架橋性基含有カチオン性ビニル系重合体(A2)としては、架橋性ビニル単量体とカチオン性ビニル単量体とを重合して得られるビニル系重合体が例示できる。前記重合体を構成する単量体としては、さらに、親水性ビニル単量体や共重合性ビニル単量体、特に親水性ビニル単量体が含まれていてもよい。
【0034】
架橋性ビニル単量体としては、エポキシ基含有ビニル単量体[(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アリルグリシジルエーテル等]、メチロール基含有単量体[N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等]、加水分解縮合性基含有単量体[ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルトリアルコキシシラン、ビニルメトキシジメチルシランなどのビニルアルコキシジアルキルシラン、ビニルジメトキシメチルシランなどのビニルジアルコキシアルキルシラン、アリルトリエトキシシランなどのアリルトリアルコキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシシランなど]等が例示できる。これらの架橋性ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの架橋性ビニル単量体のうち、加水分解縮合性基含有単量体、特にアルコキシシリル基(例えば、メトキシシリル基やエトキシシリル基等のC1−4アルコキシシリル基など)を有する単量体が好ましい。
【0035】
カチオン性ビニル単量体としては、例えば、第3級アミノ基含有アクリルアミド系単量体[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド又はそれらの塩など]、第3級アミノ基含有アクリレート系単量体[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はそれらの塩など]、第3級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体[4−(2−ジメチルアミノエチル)スチレン、4−(2−ジメチルアミノプロピルスチレン等のアルキルアミノアルキルスチレン又はそれらの塩等]、窒素含有複素環式単量体[ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン又はそれらの塩など]が例示できる。塩としては、例えば、ハロゲン化水素酸塩(塩酸塩、臭化水素塩等)、硫酸塩やアルキル硫酸塩(メチル硫酸塩、エチル硫酸塩等)、アルキルスルホン酸塩やアリールスルホン酸塩、カルボン酸塩(酢酸塩など)が例示できる。また、第3級アミノ基にアルキル化剤(エピクロロヒドリンや塩化メチル、ベンジルクロライド等)を反応させて、第4級アンモニウム塩基を生成してもよい。これらのカチオン性ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのカチオン性ビニル単量体のうち、ジC1−4アルキルアミノ−C2−3アルキル(メタ)アクリルアミドもしくは(メタ)アクリレート又はそれらの塩などが好ましい。
【0036】
親水性ビニル単量体としては、例えば、水性重合体組成物(A1)の項で例示された親水性ビニル単量体の他、ポリオキシアルキレン基を有する単量体、例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のジ乃至ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等が例示できる。これらの親水性ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの親水性ビニル単量体のうち、ポリC2−4アルキレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0037】
共重合性ビニル単量体としては、例えば、水性重合体組成物(A1)の項で例示された共重合性ビニル単量体が使用できる。これらの共重合性ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの共重合性ビニル単量体のうち、(メタ)アクリル酸C1−3アルキル(メタクリル酸メチルなど)や芳香族ビニル単量体(スチレンなど)等の硬質成分と、(メタ)アクリル酸C2−10アルキル(アクリル酸ブチルなど)等の軟質成分とを組み合わせるのが好ましい。
【0038】
架橋性ビニル単量体の含有量は、全ビニル単量体中0.5〜20重量%、好ましくは2〜10重量%程度である。カチオン性ビニル単量体の含有量は、全ビニル単量体成分中1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%程度である。親水性ビニル単量体の含有量は、全ビニル単量体成分中0〜50重量%、好ましくは5〜40重量%程度である。共重合性ビニル単量体の含有量は、全ビニル単量体成分中10〜90重量%、好ましくは20〜70重量%程度である。
【0039】
架橋性基含有カチオン性ビニル系重合体(A2)も、親水性基を含むのが好ましく、水溶液や水分散液、特に水性エマルジョンの形態であるのが好ましい。
【0040】
インク受容層には、さらに、変性酢酸ビニル系重合体又はそのケン化物(A3)が含まれていてもよい。酢酸ビニル系重合体又はそのケン化物としては、前記水性重合体組成物(A1)で例示された酢酸ビニル系重合体又はそのケン化物が使用できる。その変性体としては、前記酢酸ビニル又はそのケン化物を、ポリオキシアルキレン単位、アセトアセチル基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基等から選択された少なくとも一種で変性された重合体、又はそれらの基を有する重合体(例えば、それらの基を有する単量体から得られた重合体など)が例示できる。
【0041】
変性酢酸ビニル系重合体又はそのケン化物(A3)の割合は、水性重合体組成物(A1)、及び架橋性基含有カチオン性ビニル系重合体(A2)の合計100重量部に対して、0〜300重量部、好ましくは5〜100重量部、さらに好ましくは10〜50重量部程度である。
【0042】
インク受容層は、慣用の添加剤、例えば、染料定着剤(4級アンモニウム塩などのカチオン性化合物など)、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤等)、染顔料、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、アンチブロッキング剤、充填剤、着色剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤等を含有していてもよい。
【0043】
インク受容層のヤング率は、例えば、50〜1500MPa程度であり、好ましくは100〜800MPa、さらに好ましくは150〜400MPa(特に200〜400MPa)程度である。
【0044】
インク受容層の厚みは、1〜100μm、好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜50μm(特に10〜30μm)程度である。
【0045】
[基材層]
基材層としては、寸法安定性や耐擦傷性などの点から、セルロース誘導体及び/又は非晶性ポリエステル系樹脂が使用される。
【0046】
セルロース誘導体には、セルロースエステル類やセルロースエーテル類が含まれる。セルロースエステル類としては、例えば、有機酸エステル[セルロースジアセテートやセルローストリアセテートなどのセルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等のセルロースC2−6カルボン酸エステルなど]、有機酸混合エステル(セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースジC2−6カルボン酸エステルなど)、グラフト体(ポリカプロラクトングラフト化セルロースアセテートなど)、セルロースエステルエーテル(アセチルメチルセルロース、アセチルエチルセルロース、アセチルプロピルセルロース等のC2−6アシルセルロースC1−6アルキルエーテル、アセチルヒドロキシエチルセルロース、アセチルヒドロキシプロピルセルロース等のC2−6アシルセルロースヒドロキシC2−6アルキルエーテル等)、無機酸エステル(硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース等)、有機酸・無機酸混合エステル(硝酸酢酸セルロースなど)等が例示できる。
【0047】
セルロースエーテル類としては、例えば、アルキルエーテル(メチルセルロース、エチルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロースなどのC1−6アルキルエーテルなど)、アラルキルエーテル(ベンジルセルロースなど)、ヒドロキシアルキルエーテル(ヒドロキシエチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2−4アルキルセルロースなど)、カルボキシアルキルエーテル(カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロースなどのカルボキシC1−4アルキルセルロースなど)、シアノアルキルエーテル(シアノエチルセルロースなどのシアノC1−4アルキルセルロースなど)などが例示できる。
【0048】
非晶性ポリエステル系樹脂には、ポリアルキレンアリレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートや、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリアルキレンナフタレートなど)において、ジオール成分及び/又はジカルボン酸成分の一部(例えば、10〜80モル%、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜75モル%程度)として、(ポリ)オキシアルキレングリコール(ジエチレングリコールやトリエチレングリコールなど)や、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール、フタル酸やイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などの共重合成分を用いたコポリエステルなどが含まれる。これらの共重合成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの共重合成分のうち、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオールやイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などが好ましい。好ましい非晶性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレートにおいて、ジオール成分の一部として、シクロヘキサンジメタノールを用いたコポリエステルなどが例示できる。
【0049】
これらの樹脂のうち、セルロース誘導体が好ましく、特に、小遊技動体を用いた遊技機盤として要求される性能(高湿度下における寸法安定性、耐擦傷性、フィルム成形性など)の点から、セルロースエステル、特に、セルロースの有機酸エステル(セルロースアセテートやセルロースブチレートなどのセルロースC2−4カルボン酸エステルや、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアセテートC3−4カルボキシレートなど)、セルロースの無機酸エステル(硝酸セルロースなど)が好ましい。有機酸エステルのアシル基の平均置換度は、1〜3、好ましくは1.5〜3(例えば、1.7〜3)、さらに好ましくは1.8〜3(例えば、2〜3)程度である。有機酸混合エステルの各アシル基の平均置換度は、例えば、アセチル基が、1〜2.5、好ましくは1.2〜2.3、さらに好ましくは1.5〜2程度であり、C3−4アシル基が、0.1〜1.5、好ましくは0.3〜1.3、さらに好ましくは0.5〜1.2程度である。
【0050】
セルロースエステルのカルボキシル基含量(濃度)は、インク受容層や接着層との接着性の点から、セルロース換算で、0.1meq/100g以上(例えば、0.1〜5meq/100g)、好ましくは0.5〜5meq/100g、さらに好ましくは1〜3meq/100g程度である。
【0051】
セルロースエステルの重合度は、特に制限されず、粘度平均重合度100〜1000、好ましくは100〜500、さらに好ましくは200〜500(特に200〜400)程度である。
【0052】
基材層には、他の樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレンなど)、ポリ塩化ビニルなど、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレートなど)、ポリカーボネート系樹脂(例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6など)、ビニルアルコール系樹脂などが含まれていてもよい。また、これらの樹脂との積層体であってもよい。
【0053】
基材層がインク受容層よりも表面側に配設される場合、基材層は透明であるのが好ましい。この場合、基材層の全光線透過率は、50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
【0054】
インク受容層が基材層よりも表面側に配設される場合、インク受容層に形成された画像の鮮明を向上させる点などから、基材層は不透明な隠蔽層であってもよい。基材層を隠蔽層とするためには、例えば、白色顔料などの顔料成分を基材層に含有させてもよい。
【0055】
白色顔料としては、チタン系白色顔料[酸化チタン(チタン白)など]、亜鉛系白色顔料(酸化亜鉛、硫化亜鉛等)、複合白色顔料(リトポンなど)、体質顔料[ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミニウム系体質顔料(アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム等)、シリカ、マイカ、ベントナイト等]等が例示できる。これらの白色顔料は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの白色顔料のうち、チタン系白色顔料、特に酸化チタンが好ましい。
【0056】
酸化チタンの結晶型は、アナターゼ型であってもよいが、屈折力が大きくて隠蔽力に優れる点から、ルチル型が好ましい。
【0057】
白色顔料の平均粒径は3μm以下、例えば、0.01〜3μm、好ましくは0.05〜2μm(例えば、0.05〜1μm)、さらに好ましくは0.1〜1μm(例えば、0.1〜0.5μm)程度である。
【0058】
白色顔料の割合は、基材層を構成する樹脂100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部、さらに好ましくは10〜15重量部程度である。
【0059】
基材層には必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑材、顔料、紫外線吸収剤等を添加してもよい。また、インク受容層や盤材との接着性を向上させるため、コロナ放電処理やアンダーコート処理などの表面処理も行うこともできる。
【0060】
基材層の厚みは、用途に応じて選択でき、通常、10〜1000μm、好ましくは30〜500μm、さらに好ましくは50〜300μm程度である。
【0061】
インク受容層と基材層との厚み比は、インク受容層/基材層=1/2〜1/100、好ましくは1/3〜1/50、さらに好ましくは1/5〜1/30(特に1/7〜1/20)程度である。
【0062】
[接着層]
接着層は、前記インク受容層と前記基材層との密着性を改良するために設けてもよく、少なくとも透明な接着性樹脂で構成するのが好ましい。
【0063】
透明な接着性樹脂としては、熱可塑性樹脂[例えば、ビニル系樹脂(アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等)、ポリオレフィン系樹脂(無水マレイン酸グラフトポリプロピレンや(メタ)アクリル酸グラフトポリプロピレン等の(無水)カルボン酸変性ポリオレフィン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やプロピレン−(メタ)アクリル酸共重合体等のオレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体等)など)、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、セルロース誘導体、ゴム系接着剤(ABS樹脂やMBS樹脂等のゴム変性スチレン系樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等)等]、熱硬化性樹脂(二液硬化型ポリウレタン系樹脂など)などが例示できる。これらの接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0064】
これらの接着性樹脂は、軟質接着性樹脂(例えば、50〜1500MPa、好ましくは100〜800MPa程度)であるのが好ましい。軟質接着性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂及び/又はビニル系重合体を好ましく使用することができる。
【0065】
ウレタン系樹脂としては、前記インク受容層の項で例示のウレタン系重合体が使用できる。ウレタン系重合体の中でも、前記インク受容層と同様に、前記ポリエーテル型ウレタン系樹脂やポリエステル型ウレタン系樹脂が好ましい。
【0066】
ウレタン系樹脂は、有機溶媒溶液、水溶液、水性エマルジョンとして用いるのが好ましい。ウレタン系樹脂の水溶液又は水性エマルジョン(水性ウレタン系樹脂)は、ウレタン系樹脂を、乳化剤を用いて、溶解又は乳化分散させて調製してもよく、前記インク受容層の項で例示の水性ウレタン系樹脂を溶解又は分散させることにより調製してもよい。ウレタン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0067】
ビニル系重合体としては、アクリル系重合体[ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル酸−ポリビニルアルコール共重合体等]、ビニルエーテル系重合体(ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のポリビニルC1−6アルキルエーテル、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体などのC1−6アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体等)、スチレン系重合体[スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸C1−10アルキルエステル共重合体、ポリスチレンスルホン酸又はその塩等]、酢酸ビニル系重合体[酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体等]、ビニルアルコール系重合体(ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等)等が例示できる。これらのビニル系重合体のうち、アクリル系重合体やスチレン重合体、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸C1−10アルキルエステル共重合体などが好ましい。これらのビニル系重合体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0068】
前記接着性樹脂の中でも、水性アクリル系ウレタン樹脂が特に好ましい。水性アクリル系ウレタン樹脂には、前記水性ウレタン系樹脂において、ポリオール成分として、アクリルポリオールを用いて得られた水性ウレタン系樹脂が含まれる。アクリルポリオールとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの重合体や、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なビニル系単量体との共重合体等が使用できる。アクリルポリオールの重量平均分子量は、1000〜100000、好ましくは5000〜50000、さらに好ましくは8000〜30000程度である。
【0069】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸5,6−ジヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシC2−6アルキルエステルなどが例示できる。これらのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。共重合可能なビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル等の(メタ)アクリル系単量体や、酢酸ビニル、無水マレイン酸、スチレン等のビニル系単量体等が例示できる。
【0070】
ポリオール成分中のアクリルポリオールの含有量は、5重量%以上(例えば、5〜60重量%)、好ましくは7〜50重量%、さらに好ましくは10〜30重量%程度である。ポリオール成分は、アクリルポリオールの他に、前記ウレタン系樹脂の項で例示されたジオール成分、ロジン変性ポリオールやダイマージオール等のポリオール成分などを含んでいてもよい。
【0071】
ロジン変性ポリオールとしては、ジエポキシ化合物に対して2倍モル量のロジン類を反応させたロジン変性ポリオールが使用できる。ロジン類としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の天然ロジンや、精製ロジン、不均化ロジン、水添ロジン等の合成ロジン等が例示できる。ジエポキシ化合物としては、例えば、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル等が例示できる。
【0072】
ダイマージオールとしては、不飽和脂肪酸を二量化したダイマー酸を還元して得られたダイマージオールが使用できる。ダイマー酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等のC12−24不飽和脂肪酸等が例示できる。
【0073】
ポリオール成分中のロジン変性ポリオールやダイマージオールの含有量は、それぞれ1〜40重量%、好ましくは2〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%程度である。
【0074】
接着層には、前記インク受容層と同様の慣用の添加剤を含んでいてもよい。
【0075】
接着層の厚みは、0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、さらに好ましくは1〜10μm(特に2〜5μm)程度である。
【0076】
インク受容層と接着層との厚み比は、インク受容層/接着層=1/1〜10/1、好ましくは2/1〜8/1、さらに好ましくは3/1〜6/1程度である。
【0077】
[記録用被覆シート及びその製造方法]
本発明の記録用被覆シートは、インク(特に水性インク)の小滴を飛翔させて記録するインクジェット方式により画像を形成するのに適している。従って、デザインのバリエーションが豊富であり、例えば、グラデーションを有する画像なども簡便に形成できる。さらに、このシートは、インクジェット記録方式により画像を形成できるとともに、基材層が切削加工容易なセルロース誘導体や非晶性ポリエステル系樹脂(特にセルロース誘導体)で構成されているため、デザインの変更に対して、迅速に対応が可能である。また、鮮明な画像を形成できるだけでなく、耐擦傷性及び寸法安定性にも優れている。さらに、前記成分で構成された各層を組み合わせることにより、各層の密着性に優れている。
【0078】
本発明の記録用被覆シートは、基材層とインク受容層のうち一方の層に、他方の層を形成することにより製造できる。例えば、基材層の上に必要により前記接着層を形成した後、前記インク受容層を形成することにより製造できる。この方法において、前記接着層及びインク受容層は、例えば、基材層の上に、前記接着層用塗布剤を塗布して乾燥した後、前記インク受容層用塗布剤を塗布することにより形成できる。樹脂成分は、通常、水性溶液又はエマルジョンの形態で使用できる。水性溶液又は水性エマルジョンの溶媒は、水単独であってもよく、必要によりアルコール類などの親水性有機溶媒を含んでいてもよい。
【0079】
塗布剤は、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビアコーターなどにより基材の少なくとも一方の面に塗布できる。塗膜を、50〜150℃(好ましくは80〜120℃)程度の温度で乾燥させることにより形成ができる。
【0080】
[遊技盤及びその製造方法]
本発明の記録用被覆シートは、小遊技動体(金属球などの小球)を用いた遊技機、例えば、パチンコ機やピンボールゲーム機などの遊技盤を構成する基材を被覆するためのシートとして用いることができる。これらの遊技盤は、前記記録用被覆シートにインクジェット記録方式で画像を形成した後、例えば、慣用の接着剤を用いて、前記シートと、木材板(ベニヤ板など)やプラスチック板、ゴム板などの盤材とを貼り合わすことにより得ることができる。
【0081】
画像を形成した記録用被覆シートを盤材に貼り合わせる方法としては、基材層を表面側に配設する方法(すなわち、インク受容層と盤材とを接合する方法)と、インク受容層を表面側に配設する方法(すなわち、基材層と盤材とを接合する方法)とが挙げられる。
【0082】
基材層がインク受容層よりも表面側に配設される場合、画像を形成したインク受容層の上に隠蔽層を設け、この隠蔽層と盤材とを接合してもよい。隠蔽層は、インク受容層に形成された画像の鮮明性を向上させる役割を有する。隠蔽層は、紙類などであってもよく、前記基材層の項で例示の白色顔料などの顔料成分を樹脂成分に含有させた白色インク層であってもよい。
【0083】
隠蔽層を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレンやポリエチレン等)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレンなど)、セルロース誘導体(酢酸セルロースなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ハロゲン系重合体(ポリ塩化ビニルなど)などが挙げられる。これらのフィルムのうち、通常、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが好ましい。なお、隠蔽層は、盤材との貼り合わせに用いられる接着層として形成してもよく、その場合には、慣用の接着性樹脂、例えば、ホットメルト接着性樹脂や前記接着層の項で例示した接着性樹脂などが使用できる。
【0084】
白色顔料の割合は、隠蔽層を構成する樹脂100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部、さらに好ましくは10〜15重量部程度である。
【0085】
隠蔽層の厚みは、1〜30μm、好ましくは3〜20μm、さらに好ましくは5〜10μm程度である。
【0086】
基材層を表面側に配設する方法では、基材層と反対側の層(例えば、隠蔽層又はインク受容層)が盤材と接合され、基材層はインク受容層に形成された画像を小遊技動体の摩擦などから保護する役割を有する。従って、遊技盤は、少なくとも、盤材と基材層との間にインク受容層を介在する構造を有し、例えば、図1に示すように、盤材1上に、隠蔽層(又は接着層)2、画像が形成されたインク受容層3、接着層4、基材層5が順次積層された構造となる。
【0087】
なお、この方法では、インク受容層に形成された画像は反転されて使用されるため、インクジェット記録方式によりインク受容層に形成される画像は、鏡像印刷画像となる。
【0088】
一方、インク受容層が基材層よりも表面側に配設され、基材層が盤材に接合される場合、画像を形成したインク受容層の上に、透明保護層を形成してもよい。透明保護層は、インク受容層に形成された画像を小遊技動体の摩擦などから保護する役割を有する。なお、透明保護層とインク受容層との間には、前記接着層が介在してもよい。
【0089】
透明保護層としては、前記基材層の項で例示のセルロース誘導体及び/又は非晶性ポリエステル系樹脂が使用できる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの樹脂のうち、セルロース誘導体、特にセルロースの有機酸エステルなどのセルロースエステルが好ましい。透明保護層にも、透明性を損なわない限り、前記基材層の項で例示の他の樹脂や添加剤を添加してもよい。
【0090】
透明保護層の厚みは、用途に応じて選択でき、通常、10〜1000μm、好ましくは30〜500μm、さらに好ましくは50〜300μm程度である。
【0091】
インク受容層を基材層よりも表面側に配設する方法では、基材層が盤材と接合される。従って、遊技盤は、少なくとも、盤材とインク受容層との間に基材層を介在する構造を有し、例えば、図2に示すように、盤材11上に、接着層12、基材層13、接着層14、画像が形成されたインク受容層15、接着層16、透明保護層17が順次積層された構造となる。さらに、前述の如く、基材層は隠蔽層であってもよい。
【0092】
なお、インク受容層を表面側に配設する方法では、インク受容層に形成された画像は反転されないため、インクジェット記録方式によりインク受容層に形成される画像は、正像印刷画像となる。
【0093】
このようにして得られた遊技盤は、そのシート上において、釘などの針状物を釘打ち加工したり、装飾物(いわゆる役物など)を装着するために、切削加工が施される。本発明の遊技盤は、基材層がセルロース誘導体や非晶性ポリエステル系樹脂(特にセルロース誘導体)で形成されているため、切削加工が容易であると共に、湿度の変動に対する寸法安定性及び耐擦傷性に優れる。従って、本発明の遊技盤は、釘打ち加工が施され、小球との接触回数が多い遊戯具(特にパチンコ機)に特に適している。
【0094】
【発明の効果】
本発明の記録用被覆シートは、鮮明な画像が形成可能であり、耐擦傷性及び寸法安定性に優れる。また、デザインのバリエーションが豊富で、かつ画像の耐光性にも優れている。さらに、デザインの変更に迅速に対応できると共に、遊技盤を簡便に製造できる。従って、パチンコ機などの遊技機の遊技盤に用いられる記録用被覆シートとして適している。
【0095】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、特に断わりのない限り、「部」は重量基準である。また、実施例及び比較例で用いた成分の内容は次の通りである。さらに、実施例及び比較例で得られたシートの各種特性の評価法は次の通りである。
【0096】
[成分]
(基材層)
セルロイドシート:ダイセルファインケム(株)製
CABシート:太平化学(株)製、商品名「キャブロイドCP」、セルロースアセテートブチレート
PET−Gシート:三菱樹脂(株)製、商品名「ディアフィクス」
二軸延伸PETシート:帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テトロンS」
(透明保護層)
セルロイドシート:ダイセルファインケム(株)製
(インク受容層)
ポリエステル系グラフト重合体:高松油脂(株)製、商品名「NS−310X」
(接着層)
水性アクリル系ウレタン樹脂:日華化学(株)製、商品名「ネオステッカー400W」。
【0097】
[印刷性及び画像のデザイン性]
実施例及び比較例に記載の方法で、インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、PM950C)を用いたインクジェット印刷又はスクリーン印刷により、シートのインク受容層又は基材層に、グラデーションカラースケールを印刷し、印刷性及び画像のデザイン性(カラースケール印刷の再現性)について、目視により、以下の基準で評価した。
【0098】
(印刷性)
○:画像を印刷することできた
×:画像を印刷することができなかった。
【0099】
(画像のデザイン性)
○:グラデーション部が明瞭に現れた
×:グラデーション部が現れず、単色ベタ塗りとなった。
【0100】
[画像の耐久性]
JIS K5400に準拠して、硬度Bの鉛筆を、実施例1〜3、比較例1〜2及び比較例7〜8においては基材層、実施例4〜6においては透明保護層に垂直に当て、荷重500gにて5回引っ掻き、キズの発生による画像の視認性の変化を目視により、以下の基準で評価した。
【0101】
○:画像が確認できる
×:画像が確認しにくい、又は表面が破壊されている。
【0102】
[釘打ち性]
遊技盤を形成した後、釘を打ち、その釘を往復殴打機を用いて、横方向に殴打を100回繰り返した。その後、釘周辺のシートの状態を目視により、以下の基準で評価した。
【0103】
○:釘周辺のシートに損傷がなく、釘とシートとの密着性が保持されている
×:釘周辺のシートに損傷があり、釘とシートとの間に間隙が生じている。
【0104】
実施例1〜3及び比較例8
表1に示す基材層(厚み100μm)に、前記接着層成分を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布して乾燥することにより、接着層を有するシートを得た。この接着層の上に、前記インク受容層成分を乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布して乾燥して、シートを得た。このシートにインクジェット記録方式(表1中、「I」と称する)で画像を形成した後、インク受容層と、盤材(表面を白色仕上げした盤材)とを貼り合わせ、遊技盤を製造した。得られた遊技盤の評価結果を表1に示す。
【0105】
実施例4〜6
表1に示す基材層(厚み100μm)に、前記接着層成分を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布して乾燥することにより、接着層を有するシートを得た。この接着層の上に、前記インク受容層成分を乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布して乾燥して、シートを得た。このシートにインクジェット記録方式で画像を形成した。
【0106】
さらに、前記透明保護層(厚み100μm)に、前記接着層成分を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布して乾燥することにより、接着層を形成した後、この接着層と前記インク受容層とを接合して、シートを得た。このシートの基材層と、盤材とを貼り合わせ、遊技盤を製造した。得られた遊技盤の評価結果を表1に示す。
【0107】
比較例1〜3
表1に示す基材層(厚み100μm)に、スクリーン印刷(表1中、「S」と称する)で画像を形成した後、その画像の上に、前記接着層成分を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布して乾燥することにより、接着層を有するシートを得た。この接着層と、盤材(表面を白色仕上げした盤材)とを貼り合わせ、遊技盤を製造した。得られた遊技盤の評価結果を表1に示す。
【0108】
比較例4〜6
表1に示す基材層(厚み100μm)に、インクジェット記録方式で画像を印刷しようとしたが印刷が不可能であった。
【0109】
比較例7
基材層と盤材とを貼り合わせる以外は実施例1と同様にして、遊技盤を製造した。得られた遊技盤の評価結果を表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜6のシートでは、印刷性、画像特性及び釘打ち性に優れている。これに対して、比較例1〜8のシートでは、印刷性と画像特性と釘打ち性とを両立することができない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遊技盤の積層構造を示す概略断面図である。
【図2】本発明の他の例である遊技盤の積層構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…盤材
2…隠蔽層(又は接着層)
3…画像が形成されたインク受容層
4…接着層
5…基材層
【発明の属する技術分野】
本発明は、小遊技動体を用いた遊技機(例えば、パチンコ機やピンボールゲーム機など)の盤面に用いられる記録用被覆シート及びそれを用いて得られた遊技盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、パチンコ機などの小球を用いた遊技機の遊技盤としては、ベニヤ板などで構成された盤材と、セルロイドなどで構成された透明樹脂シートとを貼り合わせた遊技盤が使用されている。そして、前記透明樹脂シートの裏面(前記基材と接触する側の面)には、通常、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷などの印刷法により画像が形成される。これらの印刷法のうち、近年は、鮮明な画像を形成できるシルクスクリーン印刷法が主流になりつつある。
【0003】
特開平7−178216号公報には、セルロースアセテートブチレートフィルムやニトロセルロースフィルムなどの透明フィルムの上に、スクリーン印刷などにより画像を形成した後、その画像の上に部分的な金属層を形成して得られる遊技機基板の被覆材が開示されている。また、特開2000−107364号公報には、セルロイドやセルロースアセテートブチレートなどの透明樹脂シートの上に、UVオフセット印刷やシルクスクリーン印刷などで絵柄層を形成した後、この絵柄層の上に白色層及び光フィルム又は箔を形成して得られる遊技機用表化粧板が開示されている。
【0004】
しかし、これらの方法では、シルクスクリーン印刷などの印刷法で画像を形成する必要があるため、版が必要であると共に、印刷設備や工程が複雑であり、生産性が低い。さらに、これらの版を必要とする印刷方法では、盤面のデザイン変更に対して迅速に対応できない。
【0005】
一方、他の印刷方法を用いた遊技盤として、特開平10−323422号公報には、遊技板とこの遊技板の表面に固着された成形マットとこのマットの表面に植設された調整突起とを少なくとも備えた弾球遊技機の遊技盤が開示されている。この文献には、硬質ゴムや低発泡プラスチックなどで構成された成形マットにインクジェット印刷により装飾を施した後、遊技板と成形マットとを圧着させる遊技盤の製造方法も記載されている。しかし、この製造方法では、成形マットに直接印刷を施しているため、画像鮮明性が低い。また、インクジェット印刷の態様では、セルロイド板の代わりに、ゴムやプラスチックで形成された成形マットを使用しているため、耐擦傷性や寸法安定性も低い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、遊技機の遊技盤に用いられるシートにおいて、鮮明な画像が形成可能であり、耐擦傷性及び寸法安定性に優れる記録用被覆シート及びこのシートを用いて得られた遊技盤を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、デザインのバリエーションが豊富で、かつ画像の耐光性にも優れた記録用被覆シート及びこのシートを用いて得られた遊技盤を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、デザインの変更に迅速に対応できると共に、遊技盤を簡便に製造できる記録用被覆シート及びこのシートを用いて得られた遊技盤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討の結果、セルロース誘導体や非晶性ポリエステル系樹脂で構成された基材層とインクジェット記録方式により画像を形成可能なインク受容層とでシートを構成することにより、鮮明な画像が形成可能であり、耐擦傷性及び寸法安定性に優れると共に、遊技盤を簡便に製造できる遊技盤用シートが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の記録用被覆シートは、遊技盤の盤材を被覆するためのシートであって、セルロース誘導体及び非晶性ポリエステル系樹脂から選択された少なくとも一種で構成された基材層の片面にインクジェット記録方式により画像が形成可能なインク受容層が形成されている。前記インク受容層は、ヤング率が50〜1500MPa程度であってもよい。前記シートは、基材層の片面に、軟質接着性樹脂で構成された接着層を介してインク受容層が形成されていてもよい。前記インク受容層の厚みは1〜100μm程度で、前記基材層の厚みは1〜100μm程度であり、かつ前記インク受容層と前記基材層との厚み比は、インク受容層/基材層=1/2〜1/100程度であってもよい。前記シートは、基材層が透明であるとともに、インク受容層が盤材に接合可能であってもよい。前記遊技機にはパチンコ機などが含まれる。
【0011】
本発明には、盤材上に前記シートが形成された遊技盤であって、インク受容層にインクジェット記録方式で画像が形成された遊技盤も含まれる。さらに、本発明には、前記シートにインクジェット記録方式で画像を形成した後、このシートを盤材に貼り合わせて遊技盤を製造する方法も含まれる。この方法では、インク受容層と盤材とを接合してもよい。また、画像を形成した後、インク受容層の上に盤材に接合可能な隠蔽層を形成し、この隠蔽層と盤材とを接合してもよい。さらに、前記方法において、画像を形成した後、インク受容層の上にセルロース誘導体や非晶性ポリエステル系樹脂などで構成された透明保護層を形成し、基材層と盤材とを接合してもよい。この方法において、基材層は不透明な隠蔽層であってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の記録用被覆シートは、遊技盤の盤材を被覆するためのシートであって、基材層の片面にインク受容層が形成されている。この記録用被覆シートは、基材層が透明であるとともに、インク受容層が盤材に接合可能であってもよい。また、基材層が盤材に接合可能であるとともに、インク受容層の上に透明保護層が形成されていてもよい。
【0013】
[インク受容層]
インク受容層は、インクジェット記録用インクを受容可能な樹脂で構成されており、インクを受容可能である限り特に制限されず、種々の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が使用できる。なお、簡便性の点から、インクジェット記録用インクとしては水性インクが汎用されており、水性インクを使用する場合は、インク受容層も水に対して親和性を有する種々の高分子(親水性重合体)、例えば、水溶性高分子、水分散性高分子、水不溶性であって吸水性を有する高分子で構成するのが好ましい。
【0014】
このような親水性重合体としては、例えば、水性ウレタン系樹脂、水性ポリエステル系樹脂、酸ビニルエステル系重合体又はその誘導体(ポリ酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその部分ケン化物等)、ポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリオキシC2−4アルキレングリコールなど)、アクリル系重合体[ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル酸−ポリビニルアルコール共重合体等]、ビニルエーテル系重合体(ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体などのC1−6アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体等)、スチレン系重合体[スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸又はその塩等]、セルロース誘導体[セルロースエーテル類(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、セルロースエステル類(酢酸セルロース、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、硝酸セルロースなど)など]、親水性天然高分子又はその誘導体(アルギン酸又はその塩、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン、デキストリンなど)、ポリスルホン系重合体(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、窒素含有重合体(又はカチオン性ポリマー)又はその塩[ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩、ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリ−N−メチルアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ビニルピロリドン共重合体(例えば、アクリロニトリル含量50〜99.9モル%程度の共重合体)、ポリビニルピロリドン等]等が挙げられる。親水性重合体の塩(特にカルボキシル基又はスルホン酸基の塩)としては、アンモニウム塩、塩アミン塩(メチルアミンやジメチルアミンなどのアルキルアミン塩や、モノエタノールアミンやジエタノールアミンなどのアルカノールアミン塩など)、アルカリ金属塩(ナトリウムやリチウム、カリウムなどのアルカリ金属塩など)などが含まれる。これらの親水性重合体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0015】
これらの高分子のうち、インク受容層を構成する樹脂としては、水性ウレタン系樹脂及び水性ポリエステル系樹脂から選択された少なくとも一種の水系樹脂と酢酸ビニル系重合体のケン化物とを含む水性溶液中で、親水性ビニル単量体及び共重合性ビニル単量体を、前者/後者=100/0〜60/40程度の割合(重量比)で含有する単量体組成物を重合した水性重合体組成物(A1)、架橋性基含有カチオン性ビニル系重合体(A2)が好ましい。これらの水性重合体組成物(A1)及び架橋性基含有カチオン性ビニル系重合体(A2)も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0016】
水性重合体組成物(A1)において、水性ウレタン系樹脂は、例えば、ジイソシアネート成分と、ジオール成分との反応により得られるウレタン系重合体に親水性基を導入することにより調製できる。これらの水性ウレタン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0017】
ジイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート(例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート等)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネートなど)、脂環式ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネートなど)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等)等が例示できる。ジイソシアネート成分は、アダクト体であってもよく、必要によりトリフェニルメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート成分と併用してもよい。ジイソシアネート成分は、単独で又は二種以上で組み合わせて使用できる。
【0018】
ジオール成分としては、例えば、脂肪族ジオール(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のC2−10アルキレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリオキシC2−4アルキレングリコール等)、脂環式ジオール、芳香族ジオールなどのジオール成分の他、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール等が例示できる。ジオール成分は、単独で又は二種以上で組み合わせて使用できる。
【0019】
ポリエステルジオールは、前記ジオールと、ジカルボン酸又はその反応性誘導体(低級アルキルエステル、酸無水物)との反応に限らず、ラクトンから誘導してもよい。ジオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジオールは、必要により、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオールと併用してもよい。
【0020】
ジカルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族C4−14脂肪族ジカルボン酸など)、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が例示される。これらのジカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジカルボン酸は、必要により、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸と併用してもよい。
【0021】
ラクトンには、例えば、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ラウロラクトン等が含まれ、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0022】
これらのウレタン系樹脂のうち、ジオール成分として、ポリエーテルジオール(ポリオキシテトラメチレングリコールなどのポリオキシC2−6アルキレングリコールなど)を用いたポリエーテル型ウレタン系樹脂や、ポリエステルジオール(例えば、1,4−ブタンジオールなどのC2−6アルキレンジオールと、アジピン酸などのC4−12脂肪族ジカルボン酸やイソフタル酸又はフタル酸との反応により得られるポリエステルジオールや、前記ラクトンから誘導されるポリエステルジオールなど)を用いたポリエステル型ウレタン系樹脂が好ましい。
【0023】
親水性基の導入方法としては、例えば、ジオール成分として遊離のカルボキシル基又は3級アミノ基を有するジオール(特に高分子ジオール)成分を用いる方法などが例示できる。なお、このようなジオール(特に高分子ジオール)は、例えば、前記ジオール成分と、分子内に3個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸又はその無水物(例えば、無水ピロメリット酸などの4塩基酸無水物など)や、スルホン酸基を有する多価カルボン酸(スルホイソフタル酸など)との反応、ジメチロールプロピオン酸やN−メチルジエタノールアミンなどを用いる方法により調製してもよい。第3級アミノ基は4級アンモニウム塩を形成してもよい。
【0024】
水性ポリエステル系樹脂は、例えば、ジカルボン酸成分又はその反応性誘導体(低級アルキルエステル、酸無水物)とジオール成分との反応により得られるポリエステル樹脂や、ラクトン(前記水性ウレタン系樹脂の項で例示のラクトンなど)の開環重合により得られるポリエステル系樹脂に親水性基を導入することにより調製できる。ジカルボン酸成分及びジオール成分としては、前記水性ウレタン系樹脂の項で例示のジカルボン酸及びジオール成分などが例示できる。水性ポリエステル系樹脂においても、水性ウレタン系樹脂と同様に、ジオール成分は、必要により、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオールと併用してもよい。これらの水系ポリエステル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0025】
これらのポリエステル系樹脂のうち、ジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸やナフタレンジカルボン酸など)を用い、ジオール成分として、アルキレンジオール(エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなど)を用いた芳香族ポリエステル系樹脂などが好ましい。
【0026】
親水性基の導入方法としては、例えば、水性ウレタン系樹脂と同様に、ジオール成分として、遊離のカルボキシル基又は3級アミノ基を有するジオール成分を用いる方法や、ジカルボン酸成分として、スルホン酸塩基やカルボン酸塩基等を有するジカルボン酸成分(5−ナトリウムスルホイソフタル酸や3官能以上の多価カルボン酸など)を用いる方法が例示できる。
【0027】
酢酸ビニル系重合体のケン化物としては、例えば、ポリ酢酸ビニルのケン化物、酢酸ビニルとビニル系単量体との共重合体[エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸メチル等]のケン化物などが例示できる。ケン化度は、例えば、75〜100%、好ましくは80〜100%、さらに好ましくは90〜100%程度である。重合度は300〜10000、好ましくは500〜5000、さらに好ましくは1000〜3000程度である。
【0028】
親水性ビニル単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体[(メタ)アクリル酸、マレイン酸等]、ヒドロキシル基含有単量体[(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等]、アミド基含有単量体[(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド等]、スルホン酸基含有単量体[ビニルスルホン酸など]等が例示できる。これらの親水性ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0029】
共重合性ビニル単量体としては、例えば、アクリル系単量体[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等]、カチオン性アクリル系単量体[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、4−(2−ジメチルアミノエチル)スチレン等]、芳香族ビニル系単量体[スチレン、ビニルトルエン等]、ビニルエステル系単量体[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等]等が例示できる。これらのうち、カチオン性単量体を使用すると、インク定着性が向上するため好ましい。
【0030】
親水性ビニル単量体と共重合性ビニル単量体との割合(重量比)は、前者/後者=100/0〜60/40、好ましくは100/0〜70/30、さらに好ましくは100/0〜80/20程度である。
【0031】
酢酸ビニル系重合体ケン化物の割合は、水性ウレタン系樹脂及び/又は水性ポリエステル系樹脂100重量部に対して、10〜500重量部、好ましくは20〜300重量部程度である。ビニル性単量体の割合は、水性ウレタン系樹脂及び/又は水性ポリエステル系樹脂100重量部に対して、10〜500重量部、好ましくは20〜300重量部程度である。
【0032】
水性重合体組成物(A1)の製造方法としては、例えば、水性ウレタン系樹脂及び/又は水性ポリエステル系樹脂と、酢酸ビニル系重合体ケン化物とを含む水分散液中にラジカル重合開始剤及び必要に応じて少量の乳化分散剤を添加し、70〜80℃程度でビニル系単量体を攪拌しながら徐々に添加した後、2〜5時間程度熟成する方法などを挙げることができる。このようにして得られた水性重合体組成物(A1)は、グラフト重合体組成物であるのが好ましい。
【0033】
架橋性基含有カチオン性ビニル系重合体(A2)としては、架橋性ビニル単量体とカチオン性ビニル単量体とを重合して得られるビニル系重合体が例示できる。前記重合体を構成する単量体としては、さらに、親水性ビニル単量体や共重合性ビニル単量体、特に親水性ビニル単量体が含まれていてもよい。
【0034】
架橋性ビニル単量体としては、エポキシ基含有ビニル単量体[(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アリルグリシジルエーテル等]、メチロール基含有単量体[N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等]、加水分解縮合性基含有単量体[ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルトリアルコキシシラン、ビニルメトキシジメチルシランなどのビニルアルコキシジアルキルシラン、ビニルジメトキシメチルシランなどのビニルジアルコキシアルキルシラン、アリルトリエトキシシランなどのアリルトリアルコキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシシランなど]等が例示できる。これらの架橋性ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの架橋性ビニル単量体のうち、加水分解縮合性基含有単量体、特にアルコキシシリル基(例えば、メトキシシリル基やエトキシシリル基等のC1−4アルコキシシリル基など)を有する単量体が好ましい。
【0035】
カチオン性ビニル単量体としては、例えば、第3級アミノ基含有アクリルアミド系単量体[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド又はそれらの塩など]、第3級アミノ基含有アクリレート系単量体[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はそれらの塩など]、第3級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体[4−(2−ジメチルアミノエチル)スチレン、4−(2−ジメチルアミノプロピルスチレン等のアルキルアミノアルキルスチレン又はそれらの塩等]、窒素含有複素環式単量体[ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン又はそれらの塩など]が例示できる。塩としては、例えば、ハロゲン化水素酸塩(塩酸塩、臭化水素塩等)、硫酸塩やアルキル硫酸塩(メチル硫酸塩、エチル硫酸塩等)、アルキルスルホン酸塩やアリールスルホン酸塩、カルボン酸塩(酢酸塩など)が例示できる。また、第3級アミノ基にアルキル化剤(エピクロロヒドリンや塩化メチル、ベンジルクロライド等)を反応させて、第4級アンモニウム塩基を生成してもよい。これらのカチオン性ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのカチオン性ビニル単量体のうち、ジC1−4アルキルアミノ−C2−3アルキル(メタ)アクリルアミドもしくは(メタ)アクリレート又はそれらの塩などが好ましい。
【0036】
親水性ビニル単量体としては、例えば、水性重合体組成物(A1)の項で例示された親水性ビニル単量体の他、ポリオキシアルキレン基を有する単量体、例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のジ乃至ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等が例示できる。これらの親水性ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの親水性ビニル単量体のうち、ポリC2−4アルキレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0037】
共重合性ビニル単量体としては、例えば、水性重合体組成物(A1)の項で例示された共重合性ビニル単量体が使用できる。これらの共重合性ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの共重合性ビニル単量体のうち、(メタ)アクリル酸C1−3アルキル(メタクリル酸メチルなど)や芳香族ビニル単量体(スチレンなど)等の硬質成分と、(メタ)アクリル酸C2−10アルキル(アクリル酸ブチルなど)等の軟質成分とを組み合わせるのが好ましい。
【0038】
架橋性ビニル単量体の含有量は、全ビニル単量体中0.5〜20重量%、好ましくは2〜10重量%程度である。カチオン性ビニル単量体の含有量は、全ビニル単量体成分中1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%程度である。親水性ビニル単量体の含有量は、全ビニル単量体成分中0〜50重量%、好ましくは5〜40重量%程度である。共重合性ビニル単量体の含有量は、全ビニル単量体成分中10〜90重量%、好ましくは20〜70重量%程度である。
【0039】
架橋性基含有カチオン性ビニル系重合体(A2)も、親水性基を含むのが好ましく、水溶液や水分散液、特に水性エマルジョンの形態であるのが好ましい。
【0040】
インク受容層には、さらに、変性酢酸ビニル系重合体又はそのケン化物(A3)が含まれていてもよい。酢酸ビニル系重合体又はそのケン化物としては、前記水性重合体組成物(A1)で例示された酢酸ビニル系重合体又はそのケン化物が使用できる。その変性体としては、前記酢酸ビニル又はそのケン化物を、ポリオキシアルキレン単位、アセトアセチル基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基等から選択された少なくとも一種で変性された重合体、又はそれらの基を有する重合体(例えば、それらの基を有する単量体から得られた重合体など)が例示できる。
【0041】
変性酢酸ビニル系重合体又はそのケン化物(A3)の割合は、水性重合体組成物(A1)、及び架橋性基含有カチオン性ビニル系重合体(A2)の合計100重量部に対して、0〜300重量部、好ましくは5〜100重量部、さらに好ましくは10〜50重量部程度である。
【0042】
インク受容層は、慣用の添加剤、例えば、染料定着剤(4級アンモニウム塩などのカチオン性化合物など)、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤等)、染顔料、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、アンチブロッキング剤、充填剤、着色剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤等を含有していてもよい。
【0043】
インク受容層のヤング率は、例えば、50〜1500MPa程度であり、好ましくは100〜800MPa、さらに好ましくは150〜400MPa(特に200〜400MPa)程度である。
【0044】
インク受容層の厚みは、1〜100μm、好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜50μm(特に10〜30μm)程度である。
【0045】
[基材層]
基材層としては、寸法安定性や耐擦傷性などの点から、セルロース誘導体及び/又は非晶性ポリエステル系樹脂が使用される。
【0046】
セルロース誘導体には、セルロースエステル類やセルロースエーテル類が含まれる。セルロースエステル類としては、例えば、有機酸エステル[セルロースジアセテートやセルローストリアセテートなどのセルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等のセルロースC2−6カルボン酸エステルなど]、有機酸混合エステル(セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースジC2−6カルボン酸エステルなど)、グラフト体(ポリカプロラクトングラフト化セルロースアセテートなど)、セルロースエステルエーテル(アセチルメチルセルロース、アセチルエチルセルロース、アセチルプロピルセルロース等のC2−6アシルセルロースC1−6アルキルエーテル、アセチルヒドロキシエチルセルロース、アセチルヒドロキシプロピルセルロース等のC2−6アシルセルロースヒドロキシC2−6アルキルエーテル等)、無機酸エステル(硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース等)、有機酸・無機酸混合エステル(硝酸酢酸セルロースなど)等が例示できる。
【0047】
セルロースエーテル類としては、例えば、アルキルエーテル(メチルセルロース、エチルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロースなどのC1−6アルキルエーテルなど)、アラルキルエーテル(ベンジルセルロースなど)、ヒドロキシアルキルエーテル(ヒドロキシエチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2−4アルキルセルロースなど)、カルボキシアルキルエーテル(カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロースなどのカルボキシC1−4アルキルセルロースなど)、シアノアルキルエーテル(シアノエチルセルロースなどのシアノC1−4アルキルセルロースなど)などが例示できる。
【0048】
非晶性ポリエステル系樹脂には、ポリアルキレンアリレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートや、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリアルキレンナフタレートなど)において、ジオール成分及び/又はジカルボン酸成分の一部(例えば、10〜80モル%、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜75モル%程度)として、(ポリ)オキシアルキレングリコール(ジエチレングリコールやトリエチレングリコールなど)や、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール、フタル酸やイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などの共重合成分を用いたコポリエステルなどが含まれる。これらの共重合成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの共重合成分のうち、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオールやイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などが好ましい。好ましい非晶性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレートにおいて、ジオール成分の一部として、シクロヘキサンジメタノールを用いたコポリエステルなどが例示できる。
【0049】
これらの樹脂のうち、セルロース誘導体が好ましく、特に、小遊技動体を用いた遊技機盤として要求される性能(高湿度下における寸法安定性、耐擦傷性、フィルム成形性など)の点から、セルロースエステル、特に、セルロースの有機酸エステル(セルロースアセテートやセルロースブチレートなどのセルロースC2−4カルボン酸エステルや、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアセテートC3−4カルボキシレートなど)、セルロースの無機酸エステル(硝酸セルロースなど)が好ましい。有機酸エステルのアシル基の平均置換度は、1〜3、好ましくは1.5〜3(例えば、1.7〜3)、さらに好ましくは1.8〜3(例えば、2〜3)程度である。有機酸混合エステルの各アシル基の平均置換度は、例えば、アセチル基が、1〜2.5、好ましくは1.2〜2.3、さらに好ましくは1.5〜2程度であり、C3−4アシル基が、0.1〜1.5、好ましくは0.3〜1.3、さらに好ましくは0.5〜1.2程度である。
【0050】
セルロースエステルのカルボキシル基含量(濃度)は、インク受容層や接着層との接着性の点から、セルロース換算で、0.1meq/100g以上(例えば、0.1〜5meq/100g)、好ましくは0.5〜5meq/100g、さらに好ましくは1〜3meq/100g程度である。
【0051】
セルロースエステルの重合度は、特に制限されず、粘度平均重合度100〜1000、好ましくは100〜500、さらに好ましくは200〜500(特に200〜400)程度である。
【0052】
基材層には、他の樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレンなど)、ポリ塩化ビニルなど、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレートなど)、ポリカーボネート系樹脂(例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6など)、ビニルアルコール系樹脂などが含まれていてもよい。また、これらの樹脂との積層体であってもよい。
【0053】
基材層がインク受容層よりも表面側に配設される場合、基材層は透明であるのが好ましい。この場合、基材層の全光線透過率は、50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
【0054】
インク受容層が基材層よりも表面側に配設される場合、インク受容層に形成された画像の鮮明を向上させる点などから、基材層は不透明な隠蔽層であってもよい。基材層を隠蔽層とするためには、例えば、白色顔料などの顔料成分を基材層に含有させてもよい。
【0055】
白色顔料としては、チタン系白色顔料[酸化チタン(チタン白)など]、亜鉛系白色顔料(酸化亜鉛、硫化亜鉛等)、複合白色顔料(リトポンなど)、体質顔料[ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミニウム系体質顔料(アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム等)、シリカ、マイカ、ベントナイト等]等が例示できる。これらの白色顔料は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの白色顔料のうち、チタン系白色顔料、特に酸化チタンが好ましい。
【0056】
酸化チタンの結晶型は、アナターゼ型であってもよいが、屈折力が大きくて隠蔽力に優れる点から、ルチル型が好ましい。
【0057】
白色顔料の平均粒径は3μm以下、例えば、0.01〜3μm、好ましくは0.05〜2μm(例えば、0.05〜1μm)、さらに好ましくは0.1〜1μm(例えば、0.1〜0.5μm)程度である。
【0058】
白色顔料の割合は、基材層を構成する樹脂100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部、さらに好ましくは10〜15重量部程度である。
【0059】
基材層には必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑材、顔料、紫外線吸収剤等を添加してもよい。また、インク受容層や盤材との接着性を向上させるため、コロナ放電処理やアンダーコート処理などの表面処理も行うこともできる。
【0060】
基材層の厚みは、用途に応じて選択でき、通常、10〜1000μm、好ましくは30〜500μm、さらに好ましくは50〜300μm程度である。
【0061】
インク受容層と基材層との厚み比は、インク受容層/基材層=1/2〜1/100、好ましくは1/3〜1/50、さらに好ましくは1/5〜1/30(特に1/7〜1/20)程度である。
【0062】
[接着層]
接着層は、前記インク受容層と前記基材層との密着性を改良するために設けてもよく、少なくとも透明な接着性樹脂で構成するのが好ましい。
【0063】
透明な接着性樹脂としては、熱可塑性樹脂[例えば、ビニル系樹脂(アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等)、ポリオレフィン系樹脂(無水マレイン酸グラフトポリプロピレンや(メタ)アクリル酸グラフトポリプロピレン等の(無水)カルボン酸変性ポリオレフィン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やプロピレン−(メタ)アクリル酸共重合体等のオレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体等)など)、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、セルロース誘導体、ゴム系接着剤(ABS樹脂やMBS樹脂等のゴム変性スチレン系樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等)等]、熱硬化性樹脂(二液硬化型ポリウレタン系樹脂など)などが例示できる。これらの接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0064】
これらの接着性樹脂は、軟質接着性樹脂(例えば、50〜1500MPa、好ましくは100〜800MPa程度)であるのが好ましい。軟質接着性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂及び/又はビニル系重合体を好ましく使用することができる。
【0065】
ウレタン系樹脂としては、前記インク受容層の項で例示のウレタン系重合体が使用できる。ウレタン系重合体の中でも、前記インク受容層と同様に、前記ポリエーテル型ウレタン系樹脂やポリエステル型ウレタン系樹脂が好ましい。
【0066】
ウレタン系樹脂は、有機溶媒溶液、水溶液、水性エマルジョンとして用いるのが好ましい。ウレタン系樹脂の水溶液又は水性エマルジョン(水性ウレタン系樹脂)は、ウレタン系樹脂を、乳化剤を用いて、溶解又は乳化分散させて調製してもよく、前記インク受容層の項で例示の水性ウレタン系樹脂を溶解又は分散させることにより調製してもよい。ウレタン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0067】
ビニル系重合体としては、アクリル系重合体[ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル酸−ポリビニルアルコール共重合体等]、ビニルエーテル系重合体(ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のポリビニルC1−6アルキルエーテル、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体などのC1−6アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体等)、スチレン系重合体[スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸C1−10アルキルエステル共重合体、ポリスチレンスルホン酸又はその塩等]、酢酸ビニル系重合体[酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体等]、ビニルアルコール系重合体(ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等)等が例示できる。これらのビニル系重合体のうち、アクリル系重合体やスチレン重合体、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸C1−10アルキルエステル共重合体などが好ましい。これらのビニル系重合体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0068】
前記接着性樹脂の中でも、水性アクリル系ウレタン樹脂が特に好ましい。水性アクリル系ウレタン樹脂には、前記水性ウレタン系樹脂において、ポリオール成分として、アクリルポリオールを用いて得られた水性ウレタン系樹脂が含まれる。アクリルポリオールとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの重合体や、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なビニル系単量体との共重合体等が使用できる。アクリルポリオールの重量平均分子量は、1000〜100000、好ましくは5000〜50000、さらに好ましくは8000〜30000程度である。
【0069】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸5,6−ジヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシC2−6アルキルエステルなどが例示できる。これらのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。共重合可能なビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル等の(メタ)アクリル系単量体や、酢酸ビニル、無水マレイン酸、スチレン等のビニル系単量体等が例示できる。
【0070】
ポリオール成分中のアクリルポリオールの含有量は、5重量%以上(例えば、5〜60重量%)、好ましくは7〜50重量%、さらに好ましくは10〜30重量%程度である。ポリオール成分は、アクリルポリオールの他に、前記ウレタン系樹脂の項で例示されたジオール成分、ロジン変性ポリオールやダイマージオール等のポリオール成分などを含んでいてもよい。
【0071】
ロジン変性ポリオールとしては、ジエポキシ化合物に対して2倍モル量のロジン類を反応させたロジン変性ポリオールが使用できる。ロジン類としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の天然ロジンや、精製ロジン、不均化ロジン、水添ロジン等の合成ロジン等が例示できる。ジエポキシ化合物としては、例えば、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル等が例示できる。
【0072】
ダイマージオールとしては、不飽和脂肪酸を二量化したダイマー酸を還元して得られたダイマージオールが使用できる。ダイマー酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等のC12−24不飽和脂肪酸等が例示できる。
【0073】
ポリオール成分中のロジン変性ポリオールやダイマージオールの含有量は、それぞれ1〜40重量%、好ましくは2〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%程度である。
【0074】
接着層には、前記インク受容層と同様の慣用の添加剤を含んでいてもよい。
【0075】
接着層の厚みは、0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、さらに好ましくは1〜10μm(特に2〜5μm)程度である。
【0076】
インク受容層と接着層との厚み比は、インク受容層/接着層=1/1〜10/1、好ましくは2/1〜8/1、さらに好ましくは3/1〜6/1程度である。
【0077】
[記録用被覆シート及びその製造方法]
本発明の記録用被覆シートは、インク(特に水性インク)の小滴を飛翔させて記録するインクジェット方式により画像を形成するのに適している。従って、デザインのバリエーションが豊富であり、例えば、グラデーションを有する画像なども簡便に形成できる。さらに、このシートは、インクジェット記録方式により画像を形成できるとともに、基材層が切削加工容易なセルロース誘導体や非晶性ポリエステル系樹脂(特にセルロース誘導体)で構成されているため、デザインの変更に対して、迅速に対応が可能である。また、鮮明な画像を形成できるだけでなく、耐擦傷性及び寸法安定性にも優れている。さらに、前記成分で構成された各層を組み合わせることにより、各層の密着性に優れている。
【0078】
本発明の記録用被覆シートは、基材層とインク受容層のうち一方の層に、他方の層を形成することにより製造できる。例えば、基材層の上に必要により前記接着層を形成した後、前記インク受容層を形成することにより製造できる。この方法において、前記接着層及びインク受容層は、例えば、基材層の上に、前記接着層用塗布剤を塗布して乾燥した後、前記インク受容層用塗布剤を塗布することにより形成できる。樹脂成分は、通常、水性溶液又はエマルジョンの形態で使用できる。水性溶液又は水性エマルジョンの溶媒は、水単独であってもよく、必要によりアルコール類などの親水性有機溶媒を含んでいてもよい。
【0079】
塗布剤は、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビアコーターなどにより基材の少なくとも一方の面に塗布できる。塗膜を、50〜150℃(好ましくは80〜120℃)程度の温度で乾燥させることにより形成ができる。
【0080】
[遊技盤及びその製造方法]
本発明の記録用被覆シートは、小遊技動体(金属球などの小球)を用いた遊技機、例えば、パチンコ機やピンボールゲーム機などの遊技盤を構成する基材を被覆するためのシートとして用いることができる。これらの遊技盤は、前記記録用被覆シートにインクジェット記録方式で画像を形成した後、例えば、慣用の接着剤を用いて、前記シートと、木材板(ベニヤ板など)やプラスチック板、ゴム板などの盤材とを貼り合わすことにより得ることができる。
【0081】
画像を形成した記録用被覆シートを盤材に貼り合わせる方法としては、基材層を表面側に配設する方法(すなわち、インク受容層と盤材とを接合する方法)と、インク受容層を表面側に配設する方法(すなわち、基材層と盤材とを接合する方法)とが挙げられる。
【0082】
基材層がインク受容層よりも表面側に配設される場合、画像を形成したインク受容層の上に隠蔽層を設け、この隠蔽層と盤材とを接合してもよい。隠蔽層は、インク受容層に形成された画像の鮮明性を向上させる役割を有する。隠蔽層は、紙類などであってもよく、前記基材層の項で例示の白色顔料などの顔料成分を樹脂成分に含有させた白色インク層であってもよい。
【0083】
隠蔽層を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレンやポリエチレン等)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレンなど)、セルロース誘導体(酢酸セルロースなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ハロゲン系重合体(ポリ塩化ビニルなど)などが挙げられる。これらのフィルムのうち、通常、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが好ましい。なお、隠蔽層は、盤材との貼り合わせに用いられる接着層として形成してもよく、その場合には、慣用の接着性樹脂、例えば、ホットメルト接着性樹脂や前記接着層の項で例示した接着性樹脂などが使用できる。
【0084】
白色顔料の割合は、隠蔽層を構成する樹脂100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部、さらに好ましくは10〜15重量部程度である。
【0085】
隠蔽層の厚みは、1〜30μm、好ましくは3〜20μm、さらに好ましくは5〜10μm程度である。
【0086】
基材層を表面側に配設する方法では、基材層と反対側の層(例えば、隠蔽層又はインク受容層)が盤材と接合され、基材層はインク受容層に形成された画像を小遊技動体の摩擦などから保護する役割を有する。従って、遊技盤は、少なくとも、盤材と基材層との間にインク受容層を介在する構造を有し、例えば、図1に示すように、盤材1上に、隠蔽層(又は接着層)2、画像が形成されたインク受容層3、接着層4、基材層5が順次積層された構造となる。
【0087】
なお、この方法では、インク受容層に形成された画像は反転されて使用されるため、インクジェット記録方式によりインク受容層に形成される画像は、鏡像印刷画像となる。
【0088】
一方、インク受容層が基材層よりも表面側に配設され、基材層が盤材に接合される場合、画像を形成したインク受容層の上に、透明保護層を形成してもよい。透明保護層は、インク受容層に形成された画像を小遊技動体の摩擦などから保護する役割を有する。なお、透明保護層とインク受容層との間には、前記接着層が介在してもよい。
【0089】
透明保護層としては、前記基材層の項で例示のセルロース誘導体及び/又は非晶性ポリエステル系樹脂が使用できる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの樹脂のうち、セルロース誘導体、特にセルロースの有機酸エステルなどのセルロースエステルが好ましい。透明保護層にも、透明性を損なわない限り、前記基材層の項で例示の他の樹脂や添加剤を添加してもよい。
【0090】
透明保護層の厚みは、用途に応じて選択でき、通常、10〜1000μm、好ましくは30〜500μm、さらに好ましくは50〜300μm程度である。
【0091】
インク受容層を基材層よりも表面側に配設する方法では、基材層が盤材と接合される。従って、遊技盤は、少なくとも、盤材とインク受容層との間に基材層を介在する構造を有し、例えば、図2に示すように、盤材11上に、接着層12、基材層13、接着層14、画像が形成されたインク受容層15、接着層16、透明保護層17が順次積層された構造となる。さらに、前述の如く、基材層は隠蔽層であってもよい。
【0092】
なお、インク受容層を表面側に配設する方法では、インク受容層に形成された画像は反転されないため、インクジェット記録方式によりインク受容層に形成される画像は、正像印刷画像となる。
【0093】
このようにして得られた遊技盤は、そのシート上において、釘などの針状物を釘打ち加工したり、装飾物(いわゆる役物など)を装着するために、切削加工が施される。本発明の遊技盤は、基材層がセルロース誘導体や非晶性ポリエステル系樹脂(特にセルロース誘導体)で形成されているため、切削加工が容易であると共に、湿度の変動に対する寸法安定性及び耐擦傷性に優れる。従って、本発明の遊技盤は、釘打ち加工が施され、小球との接触回数が多い遊戯具(特にパチンコ機)に特に適している。
【0094】
【発明の効果】
本発明の記録用被覆シートは、鮮明な画像が形成可能であり、耐擦傷性及び寸法安定性に優れる。また、デザインのバリエーションが豊富で、かつ画像の耐光性にも優れている。さらに、デザインの変更に迅速に対応できると共に、遊技盤を簡便に製造できる。従って、パチンコ機などの遊技機の遊技盤に用いられる記録用被覆シートとして適している。
【0095】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、特に断わりのない限り、「部」は重量基準である。また、実施例及び比較例で用いた成分の内容は次の通りである。さらに、実施例及び比較例で得られたシートの各種特性の評価法は次の通りである。
【0096】
[成分]
(基材層)
セルロイドシート:ダイセルファインケム(株)製
CABシート:太平化学(株)製、商品名「キャブロイドCP」、セルロースアセテートブチレート
PET−Gシート:三菱樹脂(株)製、商品名「ディアフィクス」
二軸延伸PETシート:帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テトロンS」
(透明保護層)
セルロイドシート:ダイセルファインケム(株)製
(インク受容層)
ポリエステル系グラフト重合体:高松油脂(株)製、商品名「NS−310X」
(接着層)
水性アクリル系ウレタン樹脂:日華化学(株)製、商品名「ネオステッカー400W」。
【0097】
[印刷性及び画像のデザイン性]
実施例及び比較例に記載の方法で、インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、PM950C)を用いたインクジェット印刷又はスクリーン印刷により、シートのインク受容層又は基材層に、グラデーションカラースケールを印刷し、印刷性及び画像のデザイン性(カラースケール印刷の再現性)について、目視により、以下の基準で評価した。
【0098】
(印刷性)
○:画像を印刷することできた
×:画像を印刷することができなかった。
【0099】
(画像のデザイン性)
○:グラデーション部が明瞭に現れた
×:グラデーション部が現れず、単色ベタ塗りとなった。
【0100】
[画像の耐久性]
JIS K5400に準拠して、硬度Bの鉛筆を、実施例1〜3、比較例1〜2及び比較例7〜8においては基材層、実施例4〜6においては透明保護層に垂直に当て、荷重500gにて5回引っ掻き、キズの発生による画像の視認性の変化を目視により、以下の基準で評価した。
【0101】
○:画像が確認できる
×:画像が確認しにくい、又は表面が破壊されている。
【0102】
[釘打ち性]
遊技盤を形成した後、釘を打ち、その釘を往復殴打機を用いて、横方向に殴打を100回繰り返した。その後、釘周辺のシートの状態を目視により、以下の基準で評価した。
【0103】
○:釘周辺のシートに損傷がなく、釘とシートとの密着性が保持されている
×:釘周辺のシートに損傷があり、釘とシートとの間に間隙が生じている。
【0104】
実施例1〜3及び比較例8
表1に示す基材層(厚み100μm)に、前記接着層成分を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布して乾燥することにより、接着層を有するシートを得た。この接着層の上に、前記インク受容層成分を乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布して乾燥して、シートを得た。このシートにインクジェット記録方式(表1中、「I」と称する)で画像を形成した後、インク受容層と、盤材(表面を白色仕上げした盤材)とを貼り合わせ、遊技盤を製造した。得られた遊技盤の評価結果を表1に示す。
【0105】
実施例4〜6
表1に示す基材層(厚み100μm)に、前記接着層成分を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布して乾燥することにより、接着層を有するシートを得た。この接着層の上に、前記インク受容層成分を乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布して乾燥して、シートを得た。このシートにインクジェット記録方式で画像を形成した。
【0106】
さらに、前記透明保護層(厚み100μm)に、前記接着層成分を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布して乾燥することにより、接着層を形成した後、この接着層と前記インク受容層とを接合して、シートを得た。このシートの基材層と、盤材とを貼り合わせ、遊技盤を製造した。得られた遊技盤の評価結果を表1に示す。
【0107】
比較例1〜3
表1に示す基材層(厚み100μm)に、スクリーン印刷(表1中、「S」と称する)で画像を形成した後、その画像の上に、前記接着層成分を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布して乾燥することにより、接着層を有するシートを得た。この接着層と、盤材(表面を白色仕上げした盤材)とを貼り合わせ、遊技盤を製造した。得られた遊技盤の評価結果を表1に示す。
【0108】
比較例4〜6
表1に示す基材層(厚み100μm)に、インクジェット記録方式で画像を印刷しようとしたが印刷が不可能であった。
【0109】
比較例7
基材層と盤材とを貼り合わせる以外は実施例1と同様にして、遊技盤を製造した。得られた遊技盤の評価結果を表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜6のシートでは、印刷性、画像特性及び釘打ち性に優れている。これに対して、比較例1〜8のシートでは、印刷性と画像特性と釘打ち性とを両立することができない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遊技盤の積層構造を示す概略断面図である。
【図2】本発明の他の例である遊技盤の積層構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…盤材
2…隠蔽層(又は接着層)
3…画像が形成されたインク受容層
4…接着層
5…基材層
Claims (12)
- 遊技盤の盤材を被覆するためのシートであって、セルロース誘導体及び非晶性ポリエステル系樹脂から選択された少なくとも一種で構成された基材層の片面にインクジェット記録方式により画像を形成可能なインク受容層が形成された記録用被覆シート。
- インク受容層が、ヤング率50〜1500MPaを有する請求項1記載のシート。
- 基材層の片面に、軟質接着性樹脂で構成された接着層を介してインク受容層が形成されている請求項1記載のシート。
- インク受容層の厚みが1〜100μmで、基材層の厚みが10〜1000μmであり、かつインク受容層と基材層との厚み比が、インク受容層/基材層=1/2〜1/100である請求項1記載のシート。
- 基材層が透明であるとともに、インク受容層が盤材に接合可能である請求項1記載のシート。
- パチンコ機の遊技盤に用いられる請求項1記載のシート。
- 盤材上に請求項1記載のシートが形成された遊技盤であって、インク受容層にインクジェット記録方式で画像が形成された遊技盤。
- 請求項1記載のシートにインクジェット記録方式で画像を形成した後、このシートを盤材に貼り合わせて遊技盤を製造する方法。
- インク受容層と盤材とを接合する請求項8記載の方法。
- 画像を形成した後、インク受容層の上に盤材に接合可能な隠蔽層を形成し、この隠蔽層と盤材とを接合する請求項8記載の方法。
- 画像を形成した後、インク受容層の上にセルロース誘導体及び非晶性ポリエステル系樹脂から選択された少なくとも一種で構成された透明保護層を形成し、基材層と盤材とを接合する請求項8記載の方法。
- 基材層が不透明な隠蔽層である請求項11記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003172300A JP2005006758A (ja) | 2003-06-17 | 2003-06-17 | 遊技盤用被覆シート |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005006758A true JP2005006758A (ja) | 2005-01-13 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP2005006758A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006280850A (ja) * | 2005-04-05 | 2006-10-19 | Taihei Kagaku Seihin Kk | 遊技機用フィルム、および遊技機用化粧板シート材 |
JP2013240686A (ja) * | 2013-07-22 | 2013-12-05 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 弾球遊技機基盤用複合シート |
JP2015043909A (ja) * | 2013-08-29 | 2015-03-12 | 有限会社フジスクリーン印刷 | 遊技盤及びその製造方法 |
JP2016086943A (ja) * | 2014-10-31 | 2016-05-23 | 有限会社フジスクリーン印刷 | 遊技盤及びその製造方法 |
JP2020081741A (ja) * | 2018-11-30 | 2020-06-04 | 株式会社クラレ | 不透明な弾球遊技用樹脂基盤とその製造方法、及び、印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤 |
EP3755753B1 (de) * | 2018-02-21 | 2022-07-27 | Basf Se | Verfahren zur herstellung von mit klebstoff beschichteten artikeln |
-
2003
- 2003-06-17 JP JP2003172300A patent/JP2005006758A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7093718B2 (ja) | 2018-11-30 | 2022-06-30 | 株式会社クラレ | 不透明な弾球遊技用樹脂基盤とその製造方法、及び、印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤 |
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