JP2005006440A - 無接点充電システムおよび無接点充電器 - Google Patents
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Abstract
【課題】無接点充電を行う上での利便性を向上させること。
【解決手段】無接点充電システム1は、複数の一次コイル11〜14を備える充電シート10を含んでいる。そして、一次コイル11〜14に携帯電話20をそれぞれ載置して充電することが可能であると共に、載置された携帯電話20の仕様に応じて、一次コイル11〜14の発振周波数が自動的に設定される。したがって、携帯電話20の専用充電器を用意する必要がなくなり、また、充電シート10によって、複数の携帯電話20を同時に充電することが可能となる。さらに、携帯電話20を充電する際、充電シート10の所定位置に載置することで充電が行えるため、専用充電器のように、厳密に、定められた設置状態とする必要がなくなる。このように、無接点充電システム1によれば、無接点充電を行う上での利便性を向上させることが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】無接点充電システム1は、複数の一次コイル11〜14を備える充電シート10を含んでいる。そして、一次コイル11〜14に携帯電話20をそれぞれ載置して充電することが可能であると共に、載置された携帯電話20の仕様に応じて、一次コイル11〜14の発振周波数が自動的に設定される。したがって、携帯電話20の専用充電器を用意する必要がなくなり、また、充電シート10によって、複数の携帯電話20を同時に充電することが可能となる。さらに、携帯電話20を充電する際、充電シート10の所定位置に載置することで充電が行えるため、専用充電器のように、厳密に、定められた設置状態とする必要がなくなる。このように、無接点充電システム1によれば、無接点充電を行う上での利便性を向上させることが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁誘導を利用して二次電池を充電するための無接点充電システムおよび無接点充電器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話等のバッテリを充電するために、無接点充電器が使用されている。無接点充電器は、例えば、携帯電話の場合、充電器に一次コイルを備えると共に、携帯電話に二次コイルを備えておき、携帯電話を充電器の所定位置に嵌め込むこと等により、一次コイルと二次コイルとが近接して対向する位置関係となり、充電が可能となる。
【0003】
このような無接点充電方式は、導体の接点が機器外部に表出しないため、水濡れやほこりに強いという特長を有している。
なお、無接点充電に関する技術については、特開平10−23677号公報に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−23677号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の無接点充電器は、充電器の一次コイルと、携帯電話といった充電される機器(以下、「被充電機器」と言う。)の二次コイルとを、充電効率がより高くなるような位置関係とする目的や、あるいは被充電機器の仕様の違いといった理由から、充電器は被充電機器それぞれにのみ対応する専用充電器となっている。
【0006】
そのため、各被充電機器に対応する充電器を用意する必要があり、複数の被充電機器を充電する際に、充電器を置くスペースが広く必要となる、あるいは、複数の被充電機器を持ち歩く場合には、それぞれに対応する充電器も持ち歩く必要があるといった問題が生じていた。
即ち、従来の無接点充電器においては、無接点充電を行う上での利便性が十分なものとは言えなかった。
【0007】
なお、特開平10−23677号公報に記載された技術は、構造を簡単としつつ、一次コイルと二次コイルとによる相互誘導を効率的に行うことを目的とするものであり、上述の利便性に関する問題を解決する手段とはなり得なかった。
本発明の課題は、無接点充電を行う上での利便性を向上させることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明は、
一次コイルを備える無接点充電器(例えば、図1の充電シート10)と、二次コイルを備える被充電機器(例えば、図1の携帯電話20や、充電式の電気かみそり等)とを含み、前記一次コイルと二次コイルとの相互誘導による誘導起電力によって、前記被充電機器のバッテリを充電可能な無接点充電システムであって、前記無接点充電器は、充電に関する形状的仕様(例えば、充電器に携帯電話を設置するための嵌合形状)あるいは電気的仕様(例えば、充電時の定格入力等)の少なくともいずれかが、複数種類の前記被充電機器の仕様に対応していることを特徴とする無接点充電システム。
【0009】
ここで、充電に関する形状的仕様あるいは電気的仕様のいずれか一方を規格等によって統一し、他方のみを複数種類の被充電機器の仕様に対応させる構成とすることも可能である。
また、前記一次コイルあるいは二次コイルの少なくともいずれかは、素線の束からなる導線を平面的に渦巻き状とした平面コイルによって構成されていることを特徴としている。
【0010】
また、前記無接点充電器は、内部に一次コイルを備えるシート状の外観構成を有し、該シートの上面において前記一次コイルが発生する交流磁界領域に、前記被充電機器を載置することにより充電が可能であることを特徴としている。
ここで、「シート状」とは、ある程度の薄さを有し、上面としてものを載置できる面を有する形状であればよく、紙等でできたいわゆる「シート」のようなものに限定されるものではない。
【0011】
また、前記無接点充電器は、一または複数の前記一次コイルを備え、該一次コイルによって、複数の前記被充電機器を充電可能な面積を有する交流磁界領域を発生することを特徴としている。
即ち、シートの上面全体に及ぶような大型の一次コイルで、広い面積の交流磁界領域を発生させたり、小型の一次コイル複数によって狭い交流磁界領域を複数発生させたりすることが可能である。
【0012】
また、前記シート上面において、前記交流磁界領域であることを示す指標が備えられていることを特徴としている。
即ち、被充電機器をシート上面のいずれの位置に載置すれば最も効率的に充電可能であるかを利用者に示すことができる。
また、前記無接点充電器は、シート状の本体と、本体側面に取り付けられた保持部(例えば、図6の「ポケット」)とを含み、前記保持部あるいは該保持部が取り付けられた本体内部の少なくともいずれかに、前記一次コイルを備え、前記保持部内に前記一次コイルによって交流磁界領域が発生され、該保持部に前記被充電機器を保持させることにより、前記被充電機器の充電が可能であることを特徴としている。
【0013】
この保持部は、取り外して、無接点充電器の本体側面の任意の位置に取り付けることが可能な構成としてもよい。
また、前記無接点充電器は、前記被充電機器の筐体の少なくとも一部と嵌合する形状を有し、該嵌合部分に一次コイルを備え、前記被充電機器の嵌合部分に備えられた二次コイルと相互誘導を行うものであって、該嵌合部分の嵌合形状を、前記被充電機器の種類に応じて変形可能である(例えば、図8に示すように、嵌合部分の幅を調整可能とする等)ことを特徴としている。
【0014】
また、前記無接点充電器は、前記被充電機器が充電のための所定位置に設置されたことを検出する設置検出手段と、前記設置検出手段によって、前記被充電機器が設置されたことを検出した場合に、前記一次コイルに印加する交流電圧を、該被充電機器に対応する特性に設定する一次電圧設定手段とを備えることを特徴としている。
【0015】
即ち、充電に関する電気的仕様が異なる複数種類の被充電機器が充電される場合にも、それぞれの被充電機器に合わせて、適切な充電電圧(一次電圧)で充電することが可能である。
ここで、設置検出手段が被充電機器の設置を検出する方法としては、例えば、設置による磁界の変化や圧力変化等を検出することや、設置位置に光センサを備えておき、光センサの検出信号によって被充電機器の設置を検出すること等が可能である。
【0016】
また、前記一次電圧設定手段は、前記設置検出手段によって、前記被充電機器が設置されたことを検出した場合に、前記一次コイルに印加する交流電圧の周波数を漸増させる周波数調整手段(例えば、発明の実施の形態中の「分周回路」)と、該交流電圧を印加された一次コイルが発生する交流磁界によって、前記被充電機器の充電が開始されたことを検出する充電検出手段(例えば、図1の充電検出回路11a〜14a)とを備え、前記周波数調整手段は、前記充電検出手段が前記被充電機器の充電開始を検出したことに対応して、前記交流電圧の周波数を固定することを特徴としている。
【0017】
前記被充電機器から前記無接点充電機器に、該被充電機器の前記電気的仕様に関する情報を送信可能に構成され(例えば、被充電機器にICチップを備えておき、無接点充電器がそれを読み取る等)、前記一次電圧設定手段は、充電のための所定位置に設置されている被充電機器から受信した前記電気的仕様に関する情報に基づいて、前記一次コイルに印加する交流電圧を設定する交流電圧設定手段(例えば、発明の実施の形態中の「分周回路」)とを備えることを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、
自装置に備えられた一次コイルと被充電機器に備えられた二次コイルとの相互誘導による誘導起電力によって、前記被充電機器のバッテリを充電可能な無接点充電器であって、充電に関する形状的仕様あるいは電気的仕様の少なくともいずれかが、複数種類の前記被充電機器の仕様に対応可能であることを特徴としている。
【0019】
本発明によれば、無接点充電器が、種々の形状あるいは定格充電電圧である複数種類の被充電機器を充電可能に構成されている。即ち、本発明においては、一つあるいは複数の一次コイルを備える無接点充電器を含み、無接点充電器の一次コイルに対応する部分に、被充電機器を設置して充電することが可能であると共に、設置された被充電機器の仕様に応じて充電が行われる。
【0020】
したがって、被充電機器の専用充電器を用意する必要がなくなり、また、無接点充電器によって、複数の被充電機器を同時に充電することが可能となる。さらに、被充電機器を充電する際、無接点充電器の所定位置に設置することで充電が行えるため、専用充電器のように、厳密に、定められた設置状態とする必要がなくなる。
【0021】
このように、本発明によれば、無接点充電を行う上での利便性を向上させることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明に係る無接点充電システムの実施の形態を説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、本発明を適用した無接点充電システム1の構成を示す図である。
【0023】
図1において、無接点充電システム1は、充電シート10と、携帯電話20とを含んで構成される。
充電シート10は、数ミリメートルから数センチメートル程度の厚みを有する、十〜数十センチメートル四方のシート状の外観を有し、内部には、充電時に交流磁界を発生する一次コイル11〜14を含んで構成される。
【0024】
また、充電シート10の上面において、一次コイル11〜14が内蔵されている位置には、充電時に携帯電話20を載置する位置の目印として、コイルの模様が描かれている。
さらに、一次コイル11〜14それぞれには、発振周波数を変化させるための分周回路が備えられており、発生する交流磁界の周波数を調整することが可能である。また、一次コイル11〜14それぞれは、携帯電話20の二次コイルと相互誘導可能な位置関係となり、充電可能な状態であるか否かを検出する充電検出回路11a〜14aを備えている。充電検出回路11a〜14aは、一次コイル11〜14が二次コイル21と相互誘導可能な位置関係となった場合に、二次コイル21が存在しない場合と比べて、一次コイル11〜14周辺の磁界の状態が変化することを利用して、携帯電話20が載置されたことを検出する。具体的には、一次コイル11〜14が単独で発振した場合、自己誘導により、一次コイル11〜14が発生する磁界の状態は安定化する。一方、一次コイル11〜14に導体(導体片としての二次コイル21)が近づくと、磁界の変化が乱され、自己誘導の状態に対し、磁界の状態が変化することとなる。したがって、この変化を検出することにより、携帯電話20が載置されたことを検出することができる。
【0025】
また、充電検出回路11a〜14aは、一次コイル11〜14と二次コイル21との間で相互誘導が開始され、充電中となったことを検出可能である。この場合、相互誘導によって、二次コイル21から一次コイル11〜14に加えられる磁界の変化を検出することにより、充電中であるか否かを検出することができる。
【0026】
なお、充電シート10には、上面のほぼ全体にわたる交流磁界を発生させるような大型の一次コイルを1つ備えることとしてもよい。
携帯電話20は、充電シート10に内蔵された一次コイル11〜14との相互誘導によって、誘導起電力を発生可能な二次コイル21と、二次電池であるバッテリ22とを含んで構成される。そして、携帯電話20は、充電シート10の所定位置に載置され、一次コイル11〜14によって交流磁界が発生されると、二次コイル21によって誘導起電力を発生し、その誘導電圧によってバッテリ22を充電する。
【0027】
ここで、一次コイル11〜14および二次コイル21としては、相互誘導が可能なコイルであれば種々のものが採用可能であるが、本実施の形態においては、素線の集合体(以下、「素線束」と言う。)を平面的な渦巻き状とした平面コイルを用いることとして説明する。
このような平面コイルは、鉄心のコアに導線を巻きつけたソレノイド等に比べ、多くの利点を有する。
【0028】
以下、平面コイルによって無接点充電を行う場合の利点について説明する。
まず、無接点充電の基本的な原理について説明する。
図2は、二次コイルに誘導起電力が発生する原理を示す図である。
図2において、二次コイルは、一次コイルによって発生された磁束と鎖交するようにコイル面が設置され、一次コイルによって発生される磁束数をφ、二次コイルの巻き数をN、誘導起電力をVとすると、V=N×(dφ/dt)の関係を有する。
【0029】
したがって、一般に、巻き数Nを増加する程、高い誘導起電力Vが得られ、一次コイルに印加する交流電圧の周波数を高くする程、高い誘導起電力Vが得られることとなる。
しかしながら、一般のコイルにおいては、単線の導線を巻くことによりコイルを構成するため、1本の導線の断面積が大きくなり、渦電流による損失が比較的大きくなる。また、1本の導線の表面積が小さくなることから、表皮効果による高周波電流の伝達特性が劣化することとなる。さらに、1本の導線当たりの容量が大きくなる上、コイルにおける導線の密度が小さくなることから漏れ磁束が多く発生してしまうこととなる。
【0030】
一方、本実施の形態で用いる平面コイルは、これらの点において、一般のコイルに比し優れた特性を有する。
図3は、平面コイルの構成を示す概略図である。
図3において、平面コイルは、より細い素線を束ねて1つの線(素線束)とし、その素線束を同一平面上で渦巻き状に巻いた構造を有する。また、各素線は、絶縁皮膜で覆われており、素線間で短絡が起きないものとなっている。
【0031】
このような構成の平面コイルにおいては、電磁誘導が行われる場合、素線の断面積が小さくなることから渦電流による損失が軽減され、また、素線が集合することから全体として表面積が大きくなり、表皮効果によって高周波電流の伝達特性が向上する。さらに、素線間に生ずる線間容量が小さくなることからノイズによる劣化が減少し、また、コイルの導線密度が増加することから漏れ磁束を減少することができる。
【0032】
そのため、平面コイルを用いる場合、一般のコイルを用いて無接点充電を行う場合に比べ、数倍程度の効率を実現することが可能となる。
次に、動作を説明する。
図4は、無接点充電システム1の使用状態を示す図である。
図4において、充電シート10には複数の平面コイル(一次コイル11〜14)が内蔵されており、それぞれの平面コイルの位置に携帯電話20が載置されることにより、対応する平面コイルによって携帯電話20の充電が可能である。なお、ここでは、一次コイル11に携帯電話20が載置される場合を例に挙げて説明する。
【0033】
充電シート10は、所定時間間隔で、磁界内における導体の存在を検出するための交流磁界を発生しており、平面コイル上に二次コイル21が存在しているか否かを検出する。
二次コイル21の存在を検出すると、充電シート10は、一次コイル11において、徐々に交流磁界の周波数(電圧の周波数)を上昇させる。
【0034】
そして、携帯電話20の充電条件に適合する周波数になると、携帯電話20において充電が開始される。このとき、一次コイル11と二次コイル21とが相互誘導を行う状態となっている。
すると、充電シート10の充電検出回路11aは、一次コイル11が相互誘導状態となったことを検出し、一次コイル11に印加する電圧の周波数をその状態で固定する。
【0035】
以後、携帯電話20の充電が行われ、バッテリ22が充電された状態となると、携帯電話20は、従来の携帯電話と同様に、自動的に充電を行う回路を切断し、充電を停止する。また、それに対応して、充電パッド10は、一次コイル11に対する交流電圧の印加を停止する。
また、このように一次コイル11において充電が行われている際に、他の一次コイル12〜14に他の携帯電話20が載置された場合、同様の手順によって、並行して充電が行われる。
【0036】
以上のように、本実施の形態に係る無接点充電システム1は、複数の一次コイル11〜14を備える充電シート10を含んでいる。そして、一次コイル11〜14に携帯電話20をそれぞれ載置して充電することが可能であると共に、載置された携帯電話20の仕様に応じて、一次コイル11〜14の発振周波数が自動的に設定される。
【0037】
したがって、携帯電話20の専用充電器を用意する必要がなくなり、また、充電シート10によって、複数の携帯電話20を同時に充電することが可能となる。さらに、携帯電話20を充電する際、充電シート10の所定位置に載置することで充電が行えるため、専用充電器のように、厳密に、定められた設置状態とする必要がなくなる。
【0038】
このように、無接点充電システム1によれば、無接点充電を行う上での利便性を向上させることが可能となる。
なお、本実施の形態においては、充電シート10側において携帯電話20の充電が開始されたことを検出し、携帯電話20を充電する場合の発振周波数を定めることとしたが、携帯電話20に、充電に関する仕様を記憶したICチップを備えておき、充電シート10がそのICチップに記憶された情報を読み取ることによって、一次コイルに印加する交流電圧の特性を定めることとしてもよい。
【0039】
また、本実施の形態においては、被充電機器として携帯電話20を例に挙げて説明したが、充電シート10は、無接点充電が可能な機器であれば、電気かみそりや電動歯ブラシ等の種々の機器を充電可能である。
(応用例)
上述の実施の形態においては、充電シート10を机上等の平面に置いた上で、携帯電話20を載置して充電を行う場合について説明したが、充電シート10を壁掛け式のものとし、一次コイル11〜14に対応する位置に、携帯電話20を保持するポケットを備えることにより、充電を行うことも可能である。
【0040】
図5は、充電シート10を壁掛け式とした場合の無接点充電システム1の構成を示す図である。
図5において、充電シート10は、複数のポケットをおもて面に備えており、充電シート10の各ポケットが設置された位置には、一次コイル11〜14が内蔵されている。
【0041】
また、充電シート10は、壁に掛けて使用する際に、フック等を通すための壁掛け用穴を備えている。
そして、充電シート10が壁に掛けられた状態で、各ポケットに携帯電話20が保持された場合、携帯電話20の二次コイル21と、そのポケットの位置に内蔵された一次コイルとが相互誘導を行い、携帯電話20が充電される。
【0042】
このような構成とした場合、充電を行う際に、充電シート10を置くスペースが不要となるため、無接点充電を行う上での利便性をさらに向上させることが可能となる。
例えば、電気かみそりや電動歯ブラシ等、水まわりで使用される機器を充電する際に、充電シート10を壁掛け式とすることにより、充電シート10に水がかかりにくくすることができる。
【0043】
なお、充電シート10を壁掛け式とする場合、ポケット側に一次コイルを備えることも可能である。
図6は、充電シート10を壁掛け式とし、ポケット側に一次コイルを備える場合の無接点充電システム1の構成を示す図である。
図6において、ポケットの前面あるいは側面に一次コイルが備えられている。そして、各ポケットに一次コイルが備えられていることから、充電シート10側に一次コイルが内蔵されている場合に比べ、ポケットの設置位置が制限されないこととなる。そのため、図6に示す無接点充電システム1においては、ポケットを充電シート10から取り外し、充電シート10上の所望の位置に取り付けることを可能としている。
【0044】
この場合、一次コイルに対する電源の供給は、充電シート10を介して行われ、例えば、充電シート10のおもて面上の多数の位置に電源コネクタを備えておき、ポケットに備えられた端子を電源コネクタに接続することにより、充電シート10から一次コイルに電源を供給すること等が可能である。
あるいは、図7に示すように、充電シート10内部をパッチボードのようにマトリクス状に仕切り、横一列の穴を配線しておく。そして、横一列の配線について、隔行を入力側に接続し、他の行を出力側に接続しておく。一方、ポケットの裏面(充電シート10に取り付けられる面)に、上記マトリクスの奇数行(例えば3行)と等間隔の2つの金属ピンを備えておく。この金属ピンは、一次コイルの一端とそれぞれ接続されている。
【0045】
このような構成とすると、ポケットが充電シート10に取り付けられることにより、金属ピンの一つが充電シート10の入力側に接続され、他方が充電シート10の出力側に接続される。
そして、充電シート10に交流電圧が印加されると、一次コイルに交流電圧が供給され、交流磁界が発生されることとなる。即ち、ポケットに保持された携帯電話20の充電が可能となる。
【0046】
このように、ポケット側に一次コイルを備えると、充電シート10の任意の位置にポケットを取り付けることが可能となり、被充電機器の大きさが同一でない場合に、適切にポケットを配置し、より多くの被充電機器を充電することが可能となる。
以上の応用例において、一次コイルは充電シート10側あるいはポケット側のいずれかに備えることとして説明したが、双方に備えることも可能である。
【0047】
なお、他の応用例として、従来の専用充電器に課されていた形状上および電気的仕様上の制限を緩和するため、専用充電器の受容部分(嵌合部分)の大きさを可変とすると共に(図8参照)、上述の実施の形態のように、一次コイルの発振周波数を徐々に上昇し、被充電機器の充電が開始された周波数で固定するといったことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した無接点充電システム1の構成を示す図である。
【図2】二次コイルに誘導起電力が発生する原理を示す図である。
【図3】平面コイルの構成を示す概略図である。
【図4】無接点充電システム1の使用状態を示す図である。
【図5】充電シート10を壁掛け式とした場合の無接点充電システム1の構成を示す図である。
【図6】充電シート10を壁掛け式とし、ポケット側に一次コイルを備える場合の無接点充電システム1の構成を示す図である。
【図7】ポケットに一次コイルを備える場合の電源供給方法を示す図である。
【図8】充電器の受容部分の大きさを可変とする構成例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図である。
【符号の説明】
1 無接点充電システム,10 充電シート,11〜14 一次コイル,11a〜14a 充電検出回路,20 携帯電話,21 二次コイル,22 バッテリ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁誘導を利用して二次電池を充電するための無接点充電システムおよび無接点充電器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話等のバッテリを充電するために、無接点充電器が使用されている。無接点充電器は、例えば、携帯電話の場合、充電器に一次コイルを備えると共に、携帯電話に二次コイルを備えておき、携帯電話を充電器の所定位置に嵌め込むこと等により、一次コイルと二次コイルとが近接して対向する位置関係となり、充電が可能となる。
【0003】
このような無接点充電方式は、導体の接点が機器外部に表出しないため、水濡れやほこりに強いという特長を有している。
なお、無接点充電に関する技術については、特開平10−23677号公報に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−23677号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の無接点充電器は、充電器の一次コイルと、携帯電話といった充電される機器(以下、「被充電機器」と言う。)の二次コイルとを、充電効率がより高くなるような位置関係とする目的や、あるいは被充電機器の仕様の違いといった理由から、充電器は被充電機器それぞれにのみ対応する専用充電器となっている。
【0006】
そのため、各被充電機器に対応する充電器を用意する必要があり、複数の被充電機器を充電する際に、充電器を置くスペースが広く必要となる、あるいは、複数の被充電機器を持ち歩く場合には、それぞれに対応する充電器も持ち歩く必要があるといった問題が生じていた。
即ち、従来の無接点充電器においては、無接点充電を行う上での利便性が十分なものとは言えなかった。
【0007】
なお、特開平10−23677号公報に記載された技術は、構造を簡単としつつ、一次コイルと二次コイルとによる相互誘導を効率的に行うことを目的とするものであり、上述の利便性に関する問題を解決する手段とはなり得なかった。
本発明の課題は、無接点充電を行う上での利便性を向上させることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明は、
一次コイルを備える無接点充電器(例えば、図1の充電シート10)と、二次コイルを備える被充電機器(例えば、図1の携帯電話20や、充電式の電気かみそり等)とを含み、前記一次コイルと二次コイルとの相互誘導による誘導起電力によって、前記被充電機器のバッテリを充電可能な無接点充電システムであって、前記無接点充電器は、充電に関する形状的仕様(例えば、充電器に携帯電話を設置するための嵌合形状)あるいは電気的仕様(例えば、充電時の定格入力等)の少なくともいずれかが、複数種類の前記被充電機器の仕様に対応していることを特徴とする無接点充電システム。
【0009】
ここで、充電に関する形状的仕様あるいは電気的仕様のいずれか一方を規格等によって統一し、他方のみを複数種類の被充電機器の仕様に対応させる構成とすることも可能である。
また、前記一次コイルあるいは二次コイルの少なくともいずれかは、素線の束からなる導線を平面的に渦巻き状とした平面コイルによって構成されていることを特徴としている。
【0010】
また、前記無接点充電器は、内部に一次コイルを備えるシート状の外観構成を有し、該シートの上面において前記一次コイルが発生する交流磁界領域に、前記被充電機器を載置することにより充電が可能であることを特徴としている。
ここで、「シート状」とは、ある程度の薄さを有し、上面としてものを載置できる面を有する形状であればよく、紙等でできたいわゆる「シート」のようなものに限定されるものではない。
【0011】
また、前記無接点充電器は、一または複数の前記一次コイルを備え、該一次コイルによって、複数の前記被充電機器を充電可能な面積を有する交流磁界領域を発生することを特徴としている。
即ち、シートの上面全体に及ぶような大型の一次コイルで、広い面積の交流磁界領域を発生させたり、小型の一次コイル複数によって狭い交流磁界領域を複数発生させたりすることが可能である。
【0012】
また、前記シート上面において、前記交流磁界領域であることを示す指標が備えられていることを特徴としている。
即ち、被充電機器をシート上面のいずれの位置に載置すれば最も効率的に充電可能であるかを利用者に示すことができる。
また、前記無接点充電器は、シート状の本体と、本体側面に取り付けられた保持部(例えば、図6の「ポケット」)とを含み、前記保持部あるいは該保持部が取り付けられた本体内部の少なくともいずれかに、前記一次コイルを備え、前記保持部内に前記一次コイルによって交流磁界領域が発生され、該保持部に前記被充電機器を保持させることにより、前記被充電機器の充電が可能であることを特徴としている。
【0013】
この保持部は、取り外して、無接点充電器の本体側面の任意の位置に取り付けることが可能な構成としてもよい。
また、前記無接点充電器は、前記被充電機器の筐体の少なくとも一部と嵌合する形状を有し、該嵌合部分に一次コイルを備え、前記被充電機器の嵌合部分に備えられた二次コイルと相互誘導を行うものであって、該嵌合部分の嵌合形状を、前記被充電機器の種類に応じて変形可能である(例えば、図8に示すように、嵌合部分の幅を調整可能とする等)ことを特徴としている。
【0014】
また、前記無接点充電器は、前記被充電機器が充電のための所定位置に設置されたことを検出する設置検出手段と、前記設置検出手段によって、前記被充電機器が設置されたことを検出した場合に、前記一次コイルに印加する交流電圧を、該被充電機器に対応する特性に設定する一次電圧設定手段とを備えることを特徴としている。
【0015】
即ち、充電に関する電気的仕様が異なる複数種類の被充電機器が充電される場合にも、それぞれの被充電機器に合わせて、適切な充電電圧(一次電圧)で充電することが可能である。
ここで、設置検出手段が被充電機器の設置を検出する方法としては、例えば、設置による磁界の変化や圧力変化等を検出することや、設置位置に光センサを備えておき、光センサの検出信号によって被充電機器の設置を検出すること等が可能である。
【0016】
また、前記一次電圧設定手段は、前記設置検出手段によって、前記被充電機器が設置されたことを検出した場合に、前記一次コイルに印加する交流電圧の周波数を漸増させる周波数調整手段(例えば、発明の実施の形態中の「分周回路」)と、該交流電圧を印加された一次コイルが発生する交流磁界によって、前記被充電機器の充電が開始されたことを検出する充電検出手段(例えば、図1の充電検出回路11a〜14a)とを備え、前記周波数調整手段は、前記充電検出手段が前記被充電機器の充電開始を検出したことに対応して、前記交流電圧の周波数を固定することを特徴としている。
【0017】
前記被充電機器から前記無接点充電機器に、該被充電機器の前記電気的仕様に関する情報を送信可能に構成され(例えば、被充電機器にICチップを備えておき、無接点充電器がそれを読み取る等)、前記一次電圧設定手段は、充電のための所定位置に設置されている被充電機器から受信した前記電気的仕様に関する情報に基づいて、前記一次コイルに印加する交流電圧を設定する交流電圧設定手段(例えば、発明の実施の形態中の「分周回路」)とを備えることを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、
自装置に備えられた一次コイルと被充電機器に備えられた二次コイルとの相互誘導による誘導起電力によって、前記被充電機器のバッテリを充電可能な無接点充電器であって、充電に関する形状的仕様あるいは電気的仕様の少なくともいずれかが、複数種類の前記被充電機器の仕様に対応可能であることを特徴としている。
【0019】
本発明によれば、無接点充電器が、種々の形状あるいは定格充電電圧である複数種類の被充電機器を充電可能に構成されている。即ち、本発明においては、一つあるいは複数の一次コイルを備える無接点充電器を含み、無接点充電器の一次コイルに対応する部分に、被充電機器を設置して充電することが可能であると共に、設置された被充電機器の仕様に応じて充電が行われる。
【0020】
したがって、被充電機器の専用充電器を用意する必要がなくなり、また、無接点充電器によって、複数の被充電機器を同時に充電することが可能となる。さらに、被充電機器を充電する際、無接点充電器の所定位置に設置することで充電が行えるため、専用充電器のように、厳密に、定められた設置状態とする必要がなくなる。
【0021】
このように、本発明によれば、無接点充電を行う上での利便性を向上させることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明に係る無接点充電システムの実施の形態を説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、本発明を適用した無接点充電システム1の構成を示す図である。
【0023】
図1において、無接点充電システム1は、充電シート10と、携帯電話20とを含んで構成される。
充電シート10は、数ミリメートルから数センチメートル程度の厚みを有する、十〜数十センチメートル四方のシート状の外観を有し、内部には、充電時に交流磁界を発生する一次コイル11〜14を含んで構成される。
【0024】
また、充電シート10の上面において、一次コイル11〜14が内蔵されている位置には、充電時に携帯電話20を載置する位置の目印として、コイルの模様が描かれている。
さらに、一次コイル11〜14それぞれには、発振周波数を変化させるための分周回路が備えられており、発生する交流磁界の周波数を調整することが可能である。また、一次コイル11〜14それぞれは、携帯電話20の二次コイルと相互誘導可能な位置関係となり、充電可能な状態であるか否かを検出する充電検出回路11a〜14aを備えている。充電検出回路11a〜14aは、一次コイル11〜14が二次コイル21と相互誘導可能な位置関係となった場合に、二次コイル21が存在しない場合と比べて、一次コイル11〜14周辺の磁界の状態が変化することを利用して、携帯電話20が載置されたことを検出する。具体的には、一次コイル11〜14が単独で発振した場合、自己誘導により、一次コイル11〜14が発生する磁界の状態は安定化する。一方、一次コイル11〜14に導体(導体片としての二次コイル21)が近づくと、磁界の変化が乱され、自己誘導の状態に対し、磁界の状態が変化することとなる。したがって、この変化を検出することにより、携帯電話20が載置されたことを検出することができる。
【0025】
また、充電検出回路11a〜14aは、一次コイル11〜14と二次コイル21との間で相互誘導が開始され、充電中となったことを検出可能である。この場合、相互誘導によって、二次コイル21から一次コイル11〜14に加えられる磁界の変化を検出することにより、充電中であるか否かを検出することができる。
【0026】
なお、充電シート10には、上面のほぼ全体にわたる交流磁界を発生させるような大型の一次コイルを1つ備えることとしてもよい。
携帯電話20は、充電シート10に内蔵された一次コイル11〜14との相互誘導によって、誘導起電力を発生可能な二次コイル21と、二次電池であるバッテリ22とを含んで構成される。そして、携帯電話20は、充電シート10の所定位置に載置され、一次コイル11〜14によって交流磁界が発生されると、二次コイル21によって誘導起電力を発生し、その誘導電圧によってバッテリ22を充電する。
【0027】
ここで、一次コイル11〜14および二次コイル21としては、相互誘導が可能なコイルであれば種々のものが採用可能であるが、本実施の形態においては、素線の集合体(以下、「素線束」と言う。)を平面的な渦巻き状とした平面コイルを用いることとして説明する。
このような平面コイルは、鉄心のコアに導線を巻きつけたソレノイド等に比べ、多くの利点を有する。
【0028】
以下、平面コイルによって無接点充電を行う場合の利点について説明する。
まず、無接点充電の基本的な原理について説明する。
図2は、二次コイルに誘導起電力が発生する原理を示す図である。
図2において、二次コイルは、一次コイルによって発生された磁束と鎖交するようにコイル面が設置され、一次コイルによって発生される磁束数をφ、二次コイルの巻き数をN、誘導起電力をVとすると、V=N×(dφ/dt)の関係を有する。
【0029】
したがって、一般に、巻き数Nを増加する程、高い誘導起電力Vが得られ、一次コイルに印加する交流電圧の周波数を高くする程、高い誘導起電力Vが得られることとなる。
しかしながら、一般のコイルにおいては、単線の導線を巻くことによりコイルを構成するため、1本の導線の断面積が大きくなり、渦電流による損失が比較的大きくなる。また、1本の導線の表面積が小さくなることから、表皮効果による高周波電流の伝達特性が劣化することとなる。さらに、1本の導線当たりの容量が大きくなる上、コイルにおける導線の密度が小さくなることから漏れ磁束が多く発生してしまうこととなる。
【0030】
一方、本実施の形態で用いる平面コイルは、これらの点において、一般のコイルに比し優れた特性を有する。
図3は、平面コイルの構成を示す概略図である。
図3において、平面コイルは、より細い素線を束ねて1つの線(素線束)とし、その素線束を同一平面上で渦巻き状に巻いた構造を有する。また、各素線は、絶縁皮膜で覆われており、素線間で短絡が起きないものとなっている。
【0031】
このような構成の平面コイルにおいては、電磁誘導が行われる場合、素線の断面積が小さくなることから渦電流による損失が軽減され、また、素線が集合することから全体として表面積が大きくなり、表皮効果によって高周波電流の伝達特性が向上する。さらに、素線間に生ずる線間容量が小さくなることからノイズによる劣化が減少し、また、コイルの導線密度が増加することから漏れ磁束を減少することができる。
【0032】
そのため、平面コイルを用いる場合、一般のコイルを用いて無接点充電を行う場合に比べ、数倍程度の効率を実現することが可能となる。
次に、動作を説明する。
図4は、無接点充電システム1の使用状態を示す図である。
図4において、充電シート10には複数の平面コイル(一次コイル11〜14)が内蔵されており、それぞれの平面コイルの位置に携帯電話20が載置されることにより、対応する平面コイルによって携帯電話20の充電が可能である。なお、ここでは、一次コイル11に携帯電話20が載置される場合を例に挙げて説明する。
【0033】
充電シート10は、所定時間間隔で、磁界内における導体の存在を検出するための交流磁界を発生しており、平面コイル上に二次コイル21が存在しているか否かを検出する。
二次コイル21の存在を検出すると、充電シート10は、一次コイル11において、徐々に交流磁界の周波数(電圧の周波数)を上昇させる。
【0034】
そして、携帯電話20の充電条件に適合する周波数になると、携帯電話20において充電が開始される。このとき、一次コイル11と二次コイル21とが相互誘導を行う状態となっている。
すると、充電シート10の充電検出回路11aは、一次コイル11が相互誘導状態となったことを検出し、一次コイル11に印加する電圧の周波数をその状態で固定する。
【0035】
以後、携帯電話20の充電が行われ、バッテリ22が充電された状態となると、携帯電話20は、従来の携帯電話と同様に、自動的に充電を行う回路を切断し、充電を停止する。また、それに対応して、充電パッド10は、一次コイル11に対する交流電圧の印加を停止する。
また、このように一次コイル11において充電が行われている際に、他の一次コイル12〜14に他の携帯電話20が載置された場合、同様の手順によって、並行して充電が行われる。
【0036】
以上のように、本実施の形態に係る無接点充電システム1は、複数の一次コイル11〜14を備える充電シート10を含んでいる。そして、一次コイル11〜14に携帯電話20をそれぞれ載置して充電することが可能であると共に、載置された携帯電話20の仕様に応じて、一次コイル11〜14の発振周波数が自動的に設定される。
【0037】
したがって、携帯電話20の専用充電器を用意する必要がなくなり、また、充電シート10によって、複数の携帯電話20を同時に充電することが可能となる。さらに、携帯電話20を充電する際、充電シート10の所定位置に載置することで充電が行えるため、専用充電器のように、厳密に、定められた設置状態とする必要がなくなる。
【0038】
このように、無接点充電システム1によれば、無接点充電を行う上での利便性を向上させることが可能となる。
なお、本実施の形態においては、充電シート10側において携帯電話20の充電が開始されたことを検出し、携帯電話20を充電する場合の発振周波数を定めることとしたが、携帯電話20に、充電に関する仕様を記憶したICチップを備えておき、充電シート10がそのICチップに記憶された情報を読み取ることによって、一次コイルに印加する交流電圧の特性を定めることとしてもよい。
【0039】
また、本実施の形態においては、被充電機器として携帯電話20を例に挙げて説明したが、充電シート10は、無接点充電が可能な機器であれば、電気かみそりや電動歯ブラシ等の種々の機器を充電可能である。
(応用例)
上述の実施の形態においては、充電シート10を机上等の平面に置いた上で、携帯電話20を載置して充電を行う場合について説明したが、充電シート10を壁掛け式のものとし、一次コイル11〜14に対応する位置に、携帯電話20を保持するポケットを備えることにより、充電を行うことも可能である。
【0040】
図5は、充電シート10を壁掛け式とした場合の無接点充電システム1の構成を示す図である。
図5において、充電シート10は、複数のポケットをおもて面に備えており、充電シート10の各ポケットが設置された位置には、一次コイル11〜14が内蔵されている。
【0041】
また、充電シート10は、壁に掛けて使用する際に、フック等を通すための壁掛け用穴を備えている。
そして、充電シート10が壁に掛けられた状態で、各ポケットに携帯電話20が保持された場合、携帯電話20の二次コイル21と、そのポケットの位置に内蔵された一次コイルとが相互誘導を行い、携帯電話20が充電される。
【0042】
このような構成とした場合、充電を行う際に、充電シート10を置くスペースが不要となるため、無接点充電を行う上での利便性をさらに向上させることが可能となる。
例えば、電気かみそりや電動歯ブラシ等、水まわりで使用される機器を充電する際に、充電シート10を壁掛け式とすることにより、充電シート10に水がかかりにくくすることができる。
【0043】
なお、充電シート10を壁掛け式とする場合、ポケット側に一次コイルを備えることも可能である。
図6は、充電シート10を壁掛け式とし、ポケット側に一次コイルを備える場合の無接点充電システム1の構成を示す図である。
図6において、ポケットの前面あるいは側面に一次コイルが備えられている。そして、各ポケットに一次コイルが備えられていることから、充電シート10側に一次コイルが内蔵されている場合に比べ、ポケットの設置位置が制限されないこととなる。そのため、図6に示す無接点充電システム1においては、ポケットを充電シート10から取り外し、充電シート10上の所望の位置に取り付けることを可能としている。
【0044】
この場合、一次コイルに対する電源の供給は、充電シート10を介して行われ、例えば、充電シート10のおもて面上の多数の位置に電源コネクタを備えておき、ポケットに備えられた端子を電源コネクタに接続することにより、充電シート10から一次コイルに電源を供給すること等が可能である。
あるいは、図7に示すように、充電シート10内部をパッチボードのようにマトリクス状に仕切り、横一列の穴を配線しておく。そして、横一列の配線について、隔行を入力側に接続し、他の行を出力側に接続しておく。一方、ポケットの裏面(充電シート10に取り付けられる面)に、上記マトリクスの奇数行(例えば3行)と等間隔の2つの金属ピンを備えておく。この金属ピンは、一次コイルの一端とそれぞれ接続されている。
【0045】
このような構成とすると、ポケットが充電シート10に取り付けられることにより、金属ピンの一つが充電シート10の入力側に接続され、他方が充電シート10の出力側に接続される。
そして、充電シート10に交流電圧が印加されると、一次コイルに交流電圧が供給され、交流磁界が発生されることとなる。即ち、ポケットに保持された携帯電話20の充電が可能となる。
【0046】
このように、ポケット側に一次コイルを備えると、充電シート10の任意の位置にポケットを取り付けることが可能となり、被充電機器の大きさが同一でない場合に、適切にポケットを配置し、より多くの被充電機器を充電することが可能となる。
以上の応用例において、一次コイルは充電シート10側あるいはポケット側のいずれかに備えることとして説明したが、双方に備えることも可能である。
【0047】
なお、他の応用例として、従来の専用充電器に課されていた形状上および電気的仕様上の制限を緩和するため、専用充電器の受容部分(嵌合部分)の大きさを可変とすると共に(図8参照)、上述の実施の形態のように、一次コイルの発振周波数を徐々に上昇し、被充電機器の充電が開始された周波数で固定するといったことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した無接点充電システム1の構成を示す図である。
【図2】二次コイルに誘導起電力が発生する原理を示す図である。
【図3】平面コイルの構成を示す概略図である。
【図4】無接点充電システム1の使用状態を示す図である。
【図5】充電シート10を壁掛け式とした場合の無接点充電システム1の構成を示す図である。
【図6】充電シート10を壁掛け式とし、ポケット側に一次コイルを備える場合の無接点充電システム1の構成を示す図である。
【図7】ポケットに一次コイルを備える場合の電源供給方法を示す図である。
【図8】充電器の受容部分の大きさを可変とする構成例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図である。
【符号の説明】
1 無接点充電システム,10 充電シート,11〜14 一次コイル,11a〜14a 充電検出回路,20 携帯電話,21 二次コイル,22 バッテリ
Claims (11)
- 一次コイルを備える無接点充電器と、二次コイルを備える被充電機器とを含み、前記一次コイルと二次コイルとの相互誘導による誘導起電力によって、前記被充電機器のバッテリを充電可能な無接点充電システムであって、
前記無接点充電器は、充電に関する形状的仕様あるいは電気的仕様の少なくともいずれかが、複数種類の前記被充電機器の仕様に対応していることを特徴とする無接点充電システム。 - 前記一次コイルあるいは二次コイルの少なくともいずれかは、素線の束からなる導線を平面的に渦巻き状とした平面コイルによって構成されていることを特徴とする請求項1記載の無接点充電システム。
- 前記無接点充電器は、内部に一次コイルを備えるシート状の外観構成を有し、該シートの上面において前記一次コイルが発生する交流磁界領域に、前記被充電機器を載置することにより充電が可能であることを特徴とする請求項1または2記載の無接点充電システム。
- 前記無接点充電器は、一または複数の前記一次コイルを備え、該一次コイルによって、複数の前記被充電機器を充電可能な面積を有する交流磁界領域を発生することを特徴とする請求項3記載の無接点充電システム。
- 前記シート上面において、前記交流磁界領域であることを示す指標が備えられていることを特徴とする請求項3または4記載の無接点充電システム。
- 前記無接点充電器は、シート状の本体と、本体側面に取り付けられた保持部とを含み、前記保持部あるいは該保持部が取り付けられた本体内部の少なくともいずれかに、前記一次コイルを備え、前記保持部内に前記一次コイルによって交流磁界領域が発生され、該保持部に前記被充電機器を保持させることにより、前記被充電機器の充電が可能であることを特徴とする請求項1または2記載の無接点充電システム。
- 前記無接点充電器は、前記被充電機器の筐体の少なくとも一部と嵌合する形状を有し、該嵌合部分に一次コイルを備え、前記被充電機器の嵌合部分に備えられた二次コイルと相互誘導を行うものであって、該嵌合部分の嵌合形状を、前記被充電機器の種類に応じて変形可能であることを特徴とする請求項1または2記載の無接点充電システム。
- 前記無接点充電器は、
前記被充電機器が充電のための所定位置に設置されたことを検出する設置検出手段と、
前記設置検出手段によって、前記被充電機器が設置されたことを検出した場合に、前記一次コイルに印加する交流電圧を、該被充電機器に対応する特性に設定する一次電圧設定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の無接点充電システム。 - 前記一次電圧設定手段は、
前記設置検出手段によって、前記被充電機器が設置されたことを検出した場合に、前記一次コイルに印加する交流電圧の周波数を漸増させる周波数調整手段と、
該交流電圧を印加された一次コイルが発生する交流磁界によって、前記被充電機器の充電が開始されたことを検出する充電検出手段と、
を備え、
前記周波数調整手段は、前記充電検出手段が前記被充電機器の充電開始を検出したことに対応して、前記交流電圧の周波数を固定することを特徴とする請求項8記載の無接点充電システム。 - 前記被充電機器から前記無接点充電機器に、該被充電機器の前記電気的仕様に関する情報を送信可能に構成され、
前記一次電圧設定手段は、充電のための所定位置に設置されている被充電機器から受信した前記電気的仕様に関する情報に基づいて、前記一次コイルに印加する交流電圧を設定することを特徴とする請求項8記載の無接点充電システム。 - 自装置に備えられた一次コイルと被充電機器に備えられた二次コイルとの相互誘導による誘導起電力によって、前記被充電機器のバッテリを充電可能な無接点充電器であって、
充電に関する形状的仕様あるいは電気的仕様の少なくともいずれかが、複数種類の前記被充電機器の仕様に対応可能であることを特徴とする無接点充電器。
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