JP2005005452A - 半導体レーザ用エピタキシャルウエハおよびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】電流阻止層に空洞を有さず、高出力まで横基本モードで安定にレーザ発振する半導体レーザ用エピタキシャルウエハ、半導体レーザ用ウエハ、そのウエハを搭載した半導体レーザチップ、およびそのチップを搭載した光ディスク装置を提供することを課題とする。
【解決手段】化合物半導体基板上に、下部クラッド層、量子井戸活性層、第1上部クラッド層、エッチング停止層、リッジストライプ状のメサ部を構成する第2上部クラッド層およびキャップ層が順次積層され、エッチング停止層上の第2上部クラッド層以外の領域に電流阻止層が形成され、さらにコンタクト層が形成されてなり、第2上部クラッド層の構成原子の1つが積層方向に連続的に減少し、かつ第2上部クラッド層がメサ部の近傍に空洞を発生させない厚さを有することを特徴とする半導体レーザ用エピタキシャルウエハにより、上記の課題を解決する。
【選択図】 図1
【解決手段】化合物半導体基板上に、下部クラッド層、量子井戸活性層、第1上部クラッド層、エッチング停止層、リッジストライプ状のメサ部を構成する第2上部クラッド層およびキャップ層が順次積層され、エッチング停止層上の第2上部クラッド層以外の領域に電流阻止層が形成され、さらにコンタクト層が形成されてなり、第2上部クラッド層の構成原子の1つが積層方向に連続的に減少し、かつ第2上部クラッド層がメサ部の近傍に空洞を発生させない厚さを有することを特徴とする半導体レーザ用エピタキシャルウエハにより、上記の課題を解決する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどの光ディスク装置に使用され、高出力まで横基本モードで安定にレーザ発振する半導体レーザ用エピタキシャルウエハ、半導体レーザ用ウエハ、そのウエハを搭載した半導体レーザチップおよびそのチップを搭載した光ディスク装置(システム)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体レーザの基本構造について説明する。
図8は、従来の半導体レーザの概略断面図である(従来例1)。この半導体レーザは、横モード制御型のAlGaAs系リッジストライプ型であり、化合物半導体基板1のn−GaAs基板上に、バッファ層2のn−GaAs層、下部クラッド層3のn−AlGaAs層、量子井戸活性層4のAlGaAs層、上部クラッド層5のp−AlGaAs層およびキャップ層6のp−GaAs層からなるダブルへテロ接合構造が順次積層されている。上部クラッド層5のp−AlGaAs層にはリッジストライプ状のメサ部9が形成され、このメサ部(段差部)の両側部10には電流阻止層7のn−AlGaAs層が形成されている。このような構造により、電流狭窄機能と光導波機能が同時に達成される。また、ウエハ全面にはコンタクト層8のp−GaAs層が形成され、コンタクト層8のp−GaAs層上にはp型電極11が、化合物半導体基板1のn−GaAs基板の裏面にはn型電極が形成されている。
【0003】
次に、図8に示す従来の半導体レーザの製造プロセスを簡単に説明する。
まず、化合物半導体基板1のn−GaAs基板上に、ダブルへテロ接合構造、すなわちバッファ層2のn−GaAs層からキャップ層6のp−GaAs層までの5層構造を、MOCVD(有機金属気相成長)法またはMBE(分子線エピタキシー)法でエピタキシャル成長させて形成する。次いで、キャップ層6上の全面にSiO2膜を成膜し、フォトリソ技術により幅5μmのSiO2ストライプに加工する。このストライプをマスクとして、例えば硫酸系のエッチャントにより、上部クラッド層5のp−AlGaAs層の途中までエッチングしてリッジストライプ状のメサ部9を形成する。このメサ部(段差部)の両側部10における上部クラッド層5のp−AlGaAs層は、エッチング時間を制御することにより、厚さdが通常0.1〜0.2μmになるように残す。次いで、ウエハ全面に電流阻止層7のn−AlGaAs層をMOCVD法またはMBE法でエピタキシャル成長させて形成し、リッジストライプ状のメサ部9上のSiO2膜とその上に形成された結晶質層をエッチング除去した後、コンタクト層8のp−GaAs層をMOCVD法またはMBE法でエピタキシャル成長させて形成する。次いで、公知の方法によりコンタクト層8のp−GaAs層上にp型電極11を、化合物半導体基板1のn−GaAs基板の裏面にn型電極12を形成する。
【0004】
しかしながら、図8に示す従来の半導体レーザでは、上部クラッド層5のp−AlGaAs層を途中までエッチングしてリッジストライプ状のメサ部9を形成するときに、メサ部の両側部10における上部クラッド層5のp−AlGaAs層の厚さdがエッチング時間により決定されるため、厚さdがウエハ内およびウエハ間で均一でなくなり、その結果、レーザ発振しきい値電流やレーザビーム放射角などの特性がばらつくという問題が生じる。
【0005】
図9は、従来の半導体レーザの概略断面図である(従来例2)。この半導体レーザは、横モード制御型のAlGaAs系リッジストライプ型であり、レーザ特性、特にレーザビームの出射角を決定するために最も重要であるメサ部の両側部10における上部クラッド層の厚さdを制御性よく形成するために、厚さdの第1上部クラッド層51のp−AlGaAs層を形成し、その上にエッチング停止層13のp−GaAs層を設けている。
【0006】
次に、図9に示す従来の半導体レーザの製造プロセスを簡単に説明する。
まず、化合物半導体基板1のn−GaAs基板上に、多層へテロ接合構造、すなわちバッファ層2のn−GaAs層、下部クラッド層3のn−AlGaAs層、量子井戸活性層4のAlGaAs層、第1上部クラッド層51のp−AlGaAs層、エッチング停止層13のp−GaAs層、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層、キャップ層6のp−GaAs層までの7層構造を、MOCVD法またはMBE法でエピタキシャル成長させて形成する。次いで、キャップ層6上の全面にレジスト膜を塗布し、フォトリソ技術により幅6μmのレジストストライプに加工する。このストライプをマスクとして、例えば硫酸系のエッチャントにより、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層をエッチング停止層13のp−GaAs層の近傍までエッチングした後、フッ酸系のエッチャントにより、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層のみをエッチングしてリッジストライプ状のメサ部9を形成する。このとき、メサ部の両側部10では、エッチング停止層13のp−GaAs層でエッチングがストップする。次いで、レジストストライプを剥離した後、ウエハ全面に電流阻止層71のn−AlGaAs層およびその保護層としての電流阻止保護層72のp−GaAs層をMOCVD法でエピタキシャル成長させて形成する。そして、リッジストライプ状のメサ部9上に形成された結晶質層をエッチング除去した後、コンタクト層8のp−GaAs層をMOCVD法でエピタキシャル成長させて形成する。次いで、公知の方法によりコンタクト層8のp−GaAs層上にp型電極11を、化合物半導体基板1のn−GaAs基板の裏面にn型電極12を形成する。
【0007】
リッジストライプ状のメサ部9の形成では、フッ酸系のエッチャントがAlGaAsのみをエッチングし、GaAsを全くエッチングしないという選択性を利用している。また、メサ部の両側部10における上部クラッド層の厚さdが、第1上部クラッド層51のp−AlGaAs層により決定されるため、厚さdがウエハ内およびウエハ間で均一になり、その結果、レーザ発振しきい値電流やレーザビーム放射角などの特性のばらつきが低減される。なお、リッジストライプ状のメサ部9内にもエッチング停止層13のp−GaAs層が存在するが、その厚さは3nm程度と薄いために、レーザ光の吸収はほとんど無視できる。
【0008】
しかしながら、図9に示す従来の半導体レーザでは、フッ酸系のエッチャントにより、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層のみをエッチングしてリッジストライプ状のメサ部9を形成するので、キャップ層6のp−GaAs層がエッチングされず、図示するようにp−GaAsのキャップ層ひさし14が残る。そして、このウエハ上に電流阻止層71のn−AlGaAs層をMOCVD法でエピタキシャル成長させて形成すると、p−GaAsのキャップ層ひさし14直下では材料ガスが欠乏するので完全には電流阻止層71のn−AlGaAs層が埋まらず、空洞15が内包される。この空洞15およびその周囲のGaAs結晶は、リッジストライプ状のメサ部9内においてレーザの一部を吸収するので、レーザ導波の内部損失となり、出射レーザ光の外部微分量子効率(またはスロープ効率)の低下という問題が生じる。
【0009】
特開2003−46194号公報(特許文献1)には、少なくとも結晶成長プロセスの途中からAl組成比が徐々に小さくなるように、第2上部クラッド層を設計し、フッ酸系のエッチャントでエッチングすることにより、空洞の発生を防止または縮小した半導体レーザが得られることが開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2003−46194号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電流阻止層に空洞を有さず、高出力まで横基本モードで安定にレーザ発振する半導体レーザ用エピタキシャルウエハ、半導体レーザ用ウエハ、そのウエハを搭載した半導体レーザチップ、およびそのチップを搭載した光ディスク装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、第2上部クラッド層を従来の1〜1.5μmよりも厚くし、同時に第2上部クラッド層のpn接合形成用元素(例えば、Al)の組成比をその積層方向に連続的に減少させることにより、電流阻止層に空洞を有さず、高出力まで横基本モードで安定にレーザ発振する半導体レーザ用エピタキシャルウエハが得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0013】
本発明によれば、化合物半導体基板上に、下部クラッド層、量子井戸活性層、第1上部クラッド層、エッチング停止層、リッジストライプ状のメサ部を構成する第2上部クラッド層およびキャップ層が順次積層され、エッチング停止層上の第2上部クラッド層以外の領域に電流阻止層が形成され、さらにコンタクト層が形成されてなり、第2上部クラッド層の構成原子の1つが積層方向に連続的に減少し、かつ第2上部クラッド層がメサ部の近傍に空洞を発生させない厚さを有することを特徴とする半導体レーザ用エピタキシャルウエハが提供される。
【0014】
また、本発明によれば、上記の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの表面と裏面に電極を形成した半導体レーザ用ウエハ、その半導体レーザ用ウエハをへき開とスクライブにより分割して製造した半導体レーザチップ、その半導体レーザチップを搭載した光ディスク用ピックアップ、およびその光ディスク用ピックアップを搭載した光ディスク装置が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハは、化合物半導体基板上に、下部クラッド層、量子井戸活性層、第1上部クラッド層、エッチング停止層、リッジストライプ状のメサ部を構成する第2上部クラッド層およびキャップ層が順次積層され、エッチング停止層上の第2上部クラッド層以外の領域に電流阻止層が形成され、さらにコンタクト層が形成されてなり、第2上部クラッド層の構成原子の1つが第2上部クラッド層の積層方向に連続的に減少し、かつ第2上部クラッド層がメサ部の近傍に空洞を発生させない厚さを有することを特徴とする。
【0016】
第2上部クラッド層がメサ部の近傍に空洞を発生させない厚さを有することにより、図9に示す従来の半導体レーザ(従来例2)におけるp−GaAsキャップ層ひさし14を短くすることができる。すなわち、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層を厚く(リッジを高く)することにより、硫酸系のエッチャントで第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層をエッチング停止層13のp−GaAs層の近傍までエッチングする際に、エッチング時間を長く設定できるので、第2上部クラッド層(リッジ)上のキャップ層6のp−GaAs層の幅が狭くなり、p−GaAsのキャップ層ひさし14を短くすることができる。
【0017】
一方、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層のAl組成比が一定の場合に、第2上部クラッド層を厚く(リッジを高く)すると、図10に示すように、第2上部クラッド層のp−AlGaAs層(リッジ)の幅が上部(キャップ層6のp−GaAs層側)で狭くなり、結局p−GaAsのキャップ層ひさし14が長くなり、空洞が形成されてしまう。また、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層の上部が細くなるために、素子としての直列抵抗が大きくなってしまう。なお、図10は、半導体レーザのリッジ高さとひさしの関係を説明するための概略断面図であり、その図番は図9に準ずる。
【0018】
そこで、本発明者は、フッ酸によるエッチング速度が、エッチング対象物質のAl組成比が小さくなる程遅くなる性質に着目した。図11は、フッ酸によるエッチング速度とエッチング対象物質AlXGa1−XAsのAl組成比xとの関係を示す図である。
すなわち、第2上部クラッド層が、その積層方向に連続的に減少する組成を有することにより、第2上部クラッド層のp−AlGaAs層(リッジ)上部のフッ酸によるエッチング速度を遅くすることができ、第2上部クラッド層のp−AlGaAs層(リッジ)の上部においてもその幅が狭くなり難くなる。
【0019】
しかし、第2上部クラッド層がメサ部の近傍に空洞を発生させない厚さを有さない(厚さが1.5μmよりも薄い)と、電流阻止層を形成する際に、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層とp−GaAsのキャップ層ひさし14直下において材料ガスの供給が不足し空洞ができる。
図2は、第2上部クラッド層のp−AlGaAs(AlXGa1−XAs)層のAl組成比xを連続的に減少させて半導体レーザを作製した場合における、第2上部クラッド層の厚さHとキャップ層ひさし14横の空洞の幅(長さ)Bとの関係を示す図である。この関係は本発明者が実験により求めた結果であり、両者には負の相関関係がみられ、厚さHが1.5μm以上のとき、空洞が消失すること(空洞の長さB=0)がわかる。
【0020】
したがって、本発明の課題を解決するためには、第2上部クラッド層がその積層方向に連続的に減少する組成を有すること、および第2上部クラッド層がメサ部の近傍に空洞を発生させない厚さを有することを同時に満足させる必要がある。また、本発明においては、第2上部クラッド層の厚さは、従来の1〜1.5μmよりも厚くする必要がある。
【0021】
図1は、本発明の半導体レーザの一例(AlGaAs系半導体レーザ)を示す概略断面図である。図中、1は化合物半導体基板のn−GaAs基板、2はバッファ層のn−GaAs層、3は下部クラッド層のn−AlGaAs層、4は量子井戸活性層のAlGaAs層、51は第1上部クラッド層のp−AlGaAs層、13はエッチング停止層のp−GaAs層、52は第2上部クラッド層のp−AlGaAs層、6はキャップ層のp−GaAs層、71は電流阻止層のn−AlGaAs層、72は電流阻止保護層のp−GaAs層、8はコンタクト層のp−GaAs層、9はリッジストライプ状のメサ部、10はメサ部(段差部)の両側部、11はp側電極、12はn側電極を示す。
【0022】
化合物半導体基板1と下部クラッド層3との間には、バッファ層2を設けるのが好ましい。図1の場合には、化合物半導体基板1のn−GaAs基板と下部クラッド層3のn−AlGaAs層3との間には、バッファ層2のn−GaAs層が設けられている。
また、電流阻止層71とコンタクト層8との間には、電流阻止保護層72を設けるのが好ましい。図1の場合には、電流阻止層71のn−AlGaAs層とコンタクト層8のp−GaAs層との間には、電流阻止保護層72のp−GaAs層が設けられている。
【0023】
第2上部クラッド層は、エッチング停止層側がキャップ層側に比べてエッチングされやすい組成を有するのが好ましい。
第2上部クラッド層は、1.5μm以上、好ましくは1.5〜2.2μmの厚さを有するのが好ましい。
リッジストライプ状のメサ部は、3.0μm以下、好ましくは2.5〜3.0μmの幅を有するのが好ましい。
【0024】
半導体レーザ用エピタキシャルウエハは、例えば、
▲1▼化合物半導体基板がn−GaAs基板、下部クラッド層がn−AlGaAs層、量子井戸活性層がAlGaAs層、第1上部クラッド層がp−AlGaAs層、エッチング停止層がp−GaAs層、第2上部クラッド層がp−AlGaAs層、キャップ層がp−GaAs層、電流阻止層がn−AlGaAs、コンタクト層がp−GaAs層からなるか、または
▲2▼化合物半導体基板がn−GaAs基板、下部クラッド層がn−AlGaInP層、量子井戸活性層がGaInP層、第1上部クラッド層がp−AlGaInP層、エッチング停止層がp−GaInP層、第2上部クラッド層がp−AlGaInP層、キャップ層がp−GaAs層、電流阻止層がn−AlInP層、コンタクト層がp−GaAs層からなるのが好ましい。
本発明は、▲1▼のAlGaAs系半導体レーザ、▲2▼のAlGaInP系半導体レーザのみならず、GaN系半導体レーザにも応用できる。
【0025】
本発明によれば、本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの表面と裏面に電極を形成した半導体レーザ用ウエハが提供される。
電極は、当該分野で公知の材料を用い、公知の方法により形成することができる。実施例において、具体的に述べる。
【0026】
また、本発明によれば、本発明の半導体レーザ用ウエハをへき開とスクライブにより分割して製造した半導体レーザチップが提供される。
【0027】
さらに、本発明によれば、本発明の半導体レーザチップを搭載した光ディスク用ピックアップ、および本発明の光ディスク用ピックアップを搭載した光ディスク装置が提供される。
【0028】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)
図3および図4は、図1の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの製造工程を示す概略断面図であり、これに基づいて説明する。
(1)面方位(100)のn−GaAs基板1(厚さ350μm程度)上に、MBE(分子線エピタキシー)装置を用いて、バッファ層2のn−GaAs層(厚さ0.5μm)、下部クラッド層3のn−Al0.5Ga0.5As層(厚さ3μm)、多重量子井戸活性層4のAlGaAs層(厚さ0.04μm)、第1上部クラッド層51のp−Al0.5Ga0.5As層(厚さ0.2μm)、エッチング停止層13のp−GaAs層(厚さ0.003μm)、第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層(厚さ2μm)およびキャップ層6のp−GaAs層(厚さ0.6μm)からなる多層構造をエピタキシャル成長させて形成した。第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層のAl組成比xが0.5から0.4まで連続的に減少するように設計した(図5参照)。図5は、実施例1の第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層の距離(高さ)とそのAl組成比xとの関係を示す図である。
次いで、キャップ層6のp−GaAs層の表面にレジスト膜53を約0.2μmの厚さになるように塗布した(図3(a)参照)。
【0030】
(2)フォトリソ技術により、レジスト膜53を幅6μmのストライプに加工した。次いで、硫酸+過酸化水素系のエッチャントを用いて、第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層がエッチング停止層13上に約0.2μm残るようにエッチングした(図3(b)参照)。
【0031】
(3)フッ酸系のエッチャントを用いて、第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層を選択的にエッチングすることにより、エッチング停止層13のp−GaAs層上のp−AlxGa1−xAsを除去した後、さらにリッジストライプ状のメサ部(リッジ部)9におけるエッチング停止層13のp−GaAs層側の幅が2.5μmになるまでエッチングを続けた(図3(c)参照)。フッ酸によるエッチング速度とエッチング対象物質AlXGa1−XAsのAl組成比xとは、図11に示すような関係がある、すなわちAl組成比xが小さくなる程フッ酸のエッチング速度が遅くなるので、リッジストライプ状のメサ部(リッジ部)9は、図3(c)に示すような形状になった。
【0032】
(4)レジスト膜53を除去した後、MOCVD法により、電流阻止層71のn−Al0.7Ga0.3As層(厚さ1.5μm程度)および電流阻止保護層72のp−GaAs層(厚さ0.5μmμm程度)をエピタキシャル成長させて形成した(図4(d)参照)。リッジストライプ状のメサ部(リッジ部)9の両側には空洞の発生が全くなかった。
【0033】
(5)リッジストライプ状のメサ部(リッジ部)9上に成長した、電流通路の障害になる電流阻止層71のn−Al0.7Ga0.3As層および電流阻止保護層72のp−GaAs層を、キャップ層6のp−GaAs層に達するまでエッチング除去した(図4(e)参照)。
【0034】
(6)ウエハ全面にコンタクト層8のp−GaAs層(厚さ40μm)をMOCVD法によってエピタキシャル成長させて形成して、本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハを得た(図4(f))。
【0035】
(7)n−GaAs基板1の裏面を、基板全体の厚みが80μmになるまで研磨した後、コンタクト層8のp−GaAs層表面にはAu−Znによるp型電極11を、n−GaAs基板1の裏面にはAu−Geによるn型電極を12形成して、本発明の半導体レーザ用ウエハを得た。
【0036】
(8)共振器長が800μmになるようにウエハをへき開し、電子ビーム蒸着により、光出射端面にはAl2O3保護膜を形成して低反射率(約10%)とし、後端面にはAl2O3/a−Siの多層膜を形成して高反射率(約95%)として、本発明の半導体レーザチップを得た。
【0037】
得られた半導体レーザチップおよび図9に示す従来の半導体レーザ(従来品)のレーザ特性を評価したところ、次のような結果が得られた。括弧内に従来品の数値を示す。
▲1▼発振波長:784nm(従来品:784nm)
▲2▼しきい値電流:27mA(従来品:30mA)
▲3▼光出力140mW(75℃、CW)での駆動電流IOP:165mA(従来品:200mA)
▲4▼光出力260mW(75℃、パルス)での駆動電流IOP:270mA(従来品:320mA)
▲5▼共振器長をパラメーターとした光導波の内部吸収係数:2.5cm−1(従来品:5cm−1)
▲6▼光出射端面からのレーザ光のスロープ効率η(光出力/電流比):1.3(従来品:0.95)
▲7▼直列抵抗:2.6Ω(従来品:4.0Ω)
【0038】
得られた半導体レーザチップは、従来品で問題となっていたメサ部の近傍に発生する空洞による光吸収がなく、また多重量子井戸活性層4のAl0.1Ga0.9As層からキャップ層6のp−GaAs層までの距離が2μm、同様にn−GaAs基板1までの距離が3μmと遠く、これらのGaAsによる光吸収もないことから、上記の結果が得られたものと考えられる。
また、得られた半導体レーザチップは、▲5▼光導波の内部吸収係数の低下により、▲6▼スロープ効率ηが向上したものと考えられる。
さらに、得られた半導体レーザチップは、リッジストライプ状のメサ部9である第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層における上部(キャップ層6のp−GaAs層側)の幅が従来品より広いために、▲7▼直列抵抗が低下したものと考えられる。
【0039】
(実施例2)
第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層のAl組成比xが0.4から0.55まで連続的に減少するように設計して(図7参照)、リッジストライプ状のメサ部9の側面を垂直に近い形状に加工すること以外は、実施例1と同様にして、図6に示す半導体レーザ用エピタキシャルウエハを得、その半導体レーザチップを得た。図6は、本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの別の例(AlGaAs系半導体レーザ)を示す概略断面図であり、図7は、実施例2の第2上部クラッド層のp−AlxGa1−xAs層の距離(高さ)とそのAl組成比xとの関係を示す図である。図7に示すように、第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層のAl組成比xの変化を底部(エッチング停止層13のp−GaAs層側)において急峻にした。これにより、底部におけるエッチング速度が大きくなり(図11参照)、リッジストライプ状のメサ部9における底部のダレが小さくなった。このようにメサ部9の裾ダレが小さくなった分、リッジ幅のウエハ面内での均一性が増し、しきい値電流、ビーム放射角などの特性のばらつきが小さくなった。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、第2上部クラッド層を従来の1〜1.5μmよりも厚くし、同時に第2上部クラッド層の構成元素(例えば、Al)の組成比をその積層方向に連続的に減少させることにより、電流阻止層に空洞を有さず、高出力まで横基本モードで安定にレーザ発振する半導体レーザ用エピタキシャルウエハを提供することができる。
すなわち、本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハは、従来品で問題となっていたメサ部の近傍に発生する空洞による光吸収がなく、また量子井戸活性層からキャップ層までの距離および量子井戸活性層から化合物半導体基板までの距離が遠く、これらによる光吸収もない。よって、光導波の内部吸収係数が低下し、光出射端面からのレーザ光のスロープ効率η(光出力/電流比)が大幅に向上する。
【0041】
また、本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハは、リッジストライプ状のメサ部である第2上部クラッド層における上部(キャップ層6側)の幅が従来品より広いために、直列抵抗が低下する。よって、素子としての自己発熱が抑制されるので、素子寿命が長くなる。例えば、CD−RやCD−RWへの書き込み用の光ディスク装置では、200mW以上の高い光出力が要求されるので、本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハ、半導体レーザ用ウエハ、そのウエハを搭載した半導体レーザチップおよびそのチップを搭載した光ディスク装置の半導体レーザは、これらへの応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの一例(AlGaAs系半導体レーザ)を示す概略断面図である(実施例1)。
【図2】第2上部クラッド層のp−AlGaAs(AlXGa1−XAs)層のAl組成比xを連続的に減少させて半導体レーザを作製した場合における、第2上部クラッド層の厚さHとキャップ層ひさし14横の空洞の幅(長さ)Bとの関係を示す図である。
【図3】図1の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの製造工程を示す概略断面図(a)〜(c)である。
【図4】図1の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの製造工程を示す概略断面図(d)〜(f)である。
【図5】実施例1の第2上部クラッド層のp−AlxGa1−xAs層の距離(高さ)とそのAl組成比xとの関係を示す図である。
【図6】本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの別の例(AlGaAs系半導体レーザ)を示す概略断面図である(実施例2)。
【図7】実施例2の第2上部クラッド層のp−AlxGa1−xAs層の距離(高さ)とそのAl組成比xとの関係を示す図である。
【図8】従来の半導体レーザの概略断面図である(従来例1)。
【図9】従来の半導体レーザの概略断面図である(従来例2)。
【図10】半導体レーザのリッジ高さとひさしの関係を説明するための概略断面図である。
【図11】フッ酸によるエッチング速度とエッチング対象物質AlXGa1−XAsのAl組成比xとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 化合物半導体基板(n−GaAs基板)
2 バッファ層(n−GaAs層)
3 下部クラッド層(n−AlGaAs層)
4 量子井戸活性層(AlGaAs層)
5 上部クラッド層(p−AlGaAs層)
6 キャップ層(p−GaAs層)
7、71 電流阻止層(n−AlGaAs層)
8 コンタクト層(p−GaAsコンタクト層)
9 リッジストライプ状のメサ部
10 メサ部(段差部)の両側部
11 p側電極
12 n側電極
13 エッチング停止層(p−GaAs層)
14 キャップ層ひさし(p−GaAs)
15 空洞
51 第1上部クラッド層(p−AlGaAs層)
52 第2上部クラッド層(p−AlGaAs層)
53 レジスト膜
72 電流阻止保護層(p−GaAs層)
d 厚さ
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどの光ディスク装置に使用され、高出力まで横基本モードで安定にレーザ発振する半導体レーザ用エピタキシャルウエハ、半導体レーザ用ウエハ、そのウエハを搭載した半導体レーザチップおよびそのチップを搭載した光ディスク装置(システム)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体レーザの基本構造について説明する。
図8は、従来の半導体レーザの概略断面図である(従来例1)。この半導体レーザは、横モード制御型のAlGaAs系リッジストライプ型であり、化合物半導体基板1のn−GaAs基板上に、バッファ層2のn−GaAs層、下部クラッド層3のn−AlGaAs層、量子井戸活性層4のAlGaAs層、上部クラッド層5のp−AlGaAs層およびキャップ層6のp−GaAs層からなるダブルへテロ接合構造が順次積層されている。上部クラッド層5のp−AlGaAs層にはリッジストライプ状のメサ部9が形成され、このメサ部(段差部)の両側部10には電流阻止層7のn−AlGaAs層が形成されている。このような構造により、電流狭窄機能と光導波機能が同時に達成される。また、ウエハ全面にはコンタクト層8のp−GaAs層が形成され、コンタクト層8のp−GaAs層上にはp型電極11が、化合物半導体基板1のn−GaAs基板の裏面にはn型電極が形成されている。
【0003】
次に、図8に示す従来の半導体レーザの製造プロセスを簡単に説明する。
まず、化合物半導体基板1のn−GaAs基板上に、ダブルへテロ接合構造、すなわちバッファ層2のn−GaAs層からキャップ層6のp−GaAs層までの5層構造を、MOCVD(有機金属気相成長)法またはMBE(分子線エピタキシー)法でエピタキシャル成長させて形成する。次いで、キャップ層6上の全面にSiO2膜を成膜し、フォトリソ技術により幅5μmのSiO2ストライプに加工する。このストライプをマスクとして、例えば硫酸系のエッチャントにより、上部クラッド層5のp−AlGaAs層の途中までエッチングしてリッジストライプ状のメサ部9を形成する。このメサ部(段差部)の両側部10における上部クラッド層5のp−AlGaAs層は、エッチング時間を制御することにより、厚さdが通常0.1〜0.2μmになるように残す。次いで、ウエハ全面に電流阻止層7のn−AlGaAs層をMOCVD法またはMBE法でエピタキシャル成長させて形成し、リッジストライプ状のメサ部9上のSiO2膜とその上に形成された結晶質層をエッチング除去した後、コンタクト層8のp−GaAs層をMOCVD法またはMBE法でエピタキシャル成長させて形成する。次いで、公知の方法によりコンタクト層8のp−GaAs層上にp型電極11を、化合物半導体基板1のn−GaAs基板の裏面にn型電極12を形成する。
【0004】
しかしながら、図8に示す従来の半導体レーザでは、上部クラッド層5のp−AlGaAs層を途中までエッチングしてリッジストライプ状のメサ部9を形成するときに、メサ部の両側部10における上部クラッド層5のp−AlGaAs層の厚さdがエッチング時間により決定されるため、厚さdがウエハ内およびウエハ間で均一でなくなり、その結果、レーザ発振しきい値電流やレーザビーム放射角などの特性がばらつくという問題が生じる。
【0005】
図9は、従来の半導体レーザの概略断面図である(従来例2)。この半導体レーザは、横モード制御型のAlGaAs系リッジストライプ型であり、レーザ特性、特にレーザビームの出射角を決定するために最も重要であるメサ部の両側部10における上部クラッド層の厚さdを制御性よく形成するために、厚さdの第1上部クラッド層51のp−AlGaAs層を形成し、その上にエッチング停止層13のp−GaAs層を設けている。
【0006】
次に、図9に示す従来の半導体レーザの製造プロセスを簡単に説明する。
まず、化合物半導体基板1のn−GaAs基板上に、多層へテロ接合構造、すなわちバッファ層2のn−GaAs層、下部クラッド層3のn−AlGaAs層、量子井戸活性層4のAlGaAs層、第1上部クラッド層51のp−AlGaAs層、エッチング停止層13のp−GaAs層、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層、キャップ層6のp−GaAs層までの7層構造を、MOCVD法またはMBE法でエピタキシャル成長させて形成する。次いで、キャップ層6上の全面にレジスト膜を塗布し、フォトリソ技術により幅6μmのレジストストライプに加工する。このストライプをマスクとして、例えば硫酸系のエッチャントにより、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層をエッチング停止層13のp−GaAs層の近傍までエッチングした後、フッ酸系のエッチャントにより、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層のみをエッチングしてリッジストライプ状のメサ部9を形成する。このとき、メサ部の両側部10では、エッチング停止層13のp−GaAs層でエッチングがストップする。次いで、レジストストライプを剥離した後、ウエハ全面に電流阻止層71のn−AlGaAs層およびその保護層としての電流阻止保護層72のp−GaAs層をMOCVD法でエピタキシャル成長させて形成する。そして、リッジストライプ状のメサ部9上に形成された結晶質層をエッチング除去した後、コンタクト層8のp−GaAs層をMOCVD法でエピタキシャル成長させて形成する。次いで、公知の方法によりコンタクト層8のp−GaAs層上にp型電極11を、化合物半導体基板1のn−GaAs基板の裏面にn型電極12を形成する。
【0007】
リッジストライプ状のメサ部9の形成では、フッ酸系のエッチャントがAlGaAsのみをエッチングし、GaAsを全くエッチングしないという選択性を利用している。また、メサ部の両側部10における上部クラッド層の厚さdが、第1上部クラッド層51のp−AlGaAs層により決定されるため、厚さdがウエハ内およびウエハ間で均一になり、その結果、レーザ発振しきい値電流やレーザビーム放射角などの特性のばらつきが低減される。なお、リッジストライプ状のメサ部9内にもエッチング停止層13のp−GaAs層が存在するが、その厚さは3nm程度と薄いために、レーザ光の吸収はほとんど無視できる。
【0008】
しかしながら、図9に示す従来の半導体レーザでは、フッ酸系のエッチャントにより、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層のみをエッチングしてリッジストライプ状のメサ部9を形成するので、キャップ層6のp−GaAs層がエッチングされず、図示するようにp−GaAsのキャップ層ひさし14が残る。そして、このウエハ上に電流阻止層71のn−AlGaAs層をMOCVD法でエピタキシャル成長させて形成すると、p−GaAsのキャップ層ひさし14直下では材料ガスが欠乏するので完全には電流阻止層71のn−AlGaAs層が埋まらず、空洞15が内包される。この空洞15およびその周囲のGaAs結晶は、リッジストライプ状のメサ部9内においてレーザの一部を吸収するので、レーザ導波の内部損失となり、出射レーザ光の外部微分量子効率(またはスロープ効率)の低下という問題が生じる。
【0009】
特開2003−46194号公報(特許文献1)には、少なくとも結晶成長プロセスの途中からAl組成比が徐々に小さくなるように、第2上部クラッド層を設計し、フッ酸系のエッチャントでエッチングすることにより、空洞の発生を防止または縮小した半導体レーザが得られることが開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2003−46194号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電流阻止層に空洞を有さず、高出力まで横基本モードで安定にレーザ発振する半導体レーザ用エピタキシャルウエハ、半導体レーザ用ウエハ、そのウエハを搭載した半導体レーザチップ、およびそのチップを搭載した光ディスク装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、第2上部クラッド層を従来の1〜1.5μmよりも厚くし、同時に第2上部クラッド層のpn接合形成用元素(例えば、Al)の組成比をその積層方向に連続的に減少させることにより、電流阻止層に空洞を有さず、高出力まで横基本モードで安定にレーザ発振する半導体レーザ用エピタキシャルウエハが得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0013】
本発明によれば、化合物半導体基板上に、下部クラッド層、量子井戸活性層、第1上部クラッド層、エッチング停止層、リッジストライプ状のメサ部を構成する第2上部クラッド層およびキャップ層が順次積層され、エッチング停止層上の第2上部クラッド層以外の領域に電流阻止層が形成され、さらにコンタクト層が形成されてなり、第2上部クラッド層の構成原子の1つが積層方向に連続的に減少し、かつ第2上部クラッド層がメサ部の近傍に空洞を発生させない厚さを有することを特徴とする半導体レーザ用エピタキシャルウエハが提供される。
【0014】
また、本発明によれば、上記の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの表面と裏面に電極を形成した半導体レーザ用ウエハ、その半導体レーザ用ウエハをへき開とスクライブにより分割して製造した半導体レーザチップ、その半導体レーザチップを搭載した光ディスク用ピックアップ、およびその光ディスク用ピックアップを搭載した光ディスク装置が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハは、化合物半導体基板上に、下部クラッド層、量子井戸活性層、第1上部クラッド層、エッチング停止層、リッジストライプ状のメサ部を構成する第2上部クラッド層およびキャップ層が順次積層され、エッチング停止層上の第2上部クラッド層以外の領域に電流阻止層が形成され、さらにコンタクト層が形成されてなり、第2上部クラッド層の構成原子の1つが第2上部クラッド層の積層方向に連続的に減少し、かつ第2上部クラッド層がメサ部の近傍に空洞を発生させない厚さを有することを特徴とする。
【0016】
第2上部クラッド層がメサ部の近傍に空洞を発生させない厚さを有することにより、図9に示す従来の半導体レーザ(従来例2)におけるp−GaAsキャップ層ひさし14を短くすることができる。すなわち、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層を厚く(リッジを高く)することにより、硫酸系のエッチャントで第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層をエッチング停止層13のp−GaAs層の近傍までエッチングする際に、エッチング時間を長く設定できるので、第2上部クラッド層(リッジ)上のキャップ層6のp−GaAs層の幅が狭くなり、p−GaAsのキャップ層ひさし14を短くすることができる。
【0017】
一方、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層のAl組成比が一定の場合に、第2上部クラッド層を厚く(リッジを高く)すると、図10に示すように、第2上部クラッド層のp−AlGaAs層(リッジ)の幅が上部(キャップ層6のp−GaAs層側)で狭くなり、結局p−GaAsのキャップ層ひさし14が長くなり、空洞が形成されてしまう。また、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層の上部が細くなるために、素子としての直列抵抗が大きくなってしまう。なお、図10は、半導体レーザのリッジ高さとひさしの関係を説明するための概略断面図であり、その図番は図9に準ずる。
【0018】
そこで、本発明者は、フッ酸によるエッチング速度が、エッチング対象物質のAl組成比が小さくなる程遅くなる性質に着目した。図11は、フッ酸によるエッチング速度とエッチング対象物質AlXGa1−XAsのAl組成比xとの関係を示す図である。
すなわち、第2上部クラッド層が、その積層方向に連続的に減少する組成を有することにより、第2上部クラッド層のp−AlGaAs層(リッジ)上部のフッ酸によるエッチング速度を遅くすることができ、第2上部クラッド層のp−AlGaAs層(リッジ)の上部においてもその幅が狭くなり難くなる。
【0019】
しかし、第2上部クラッド層がメサ部の近傍に空洞を発生させない厚さを有さない(厚さが1.5μmよりも薄い)と、電流阻止層を形成する際に、第2上部クラッド層52のp−AlGaAs層とp−GaAsのキャップ層ひさし14直下において材料ガスの供給が不足し空洞ができる。
図2は、第2上部クラッド層のp−AlGaAs(AlXGa1−XAs)層のAl組成比xを連続的に減少させて半導体レーザを作製した場合における、第2上部クラッド層の厚さHとキャップ層ひさし14横の空洞の幅(長さ)Bとの関係を示す図である。この関係は本発明者が実験により求めた結果であり、両者には負の相関関係がみられ、厚さHが1.5μm以上のとき、空洞が消失すること(空洞の長さB=0)がわかる。
【0020】
したがって、本発明の課題を解決するためには、第2上部クラッド層がその積層方向に連続的に減少する組成を有すること、および第2上部クラッド層がメサ部の近傍に空洞を発生させない厚さを有することを同時に満足させる必要がある。また、本発明においては、第2上部クラッド層の厚さは、従来の1〜1.5μmよりも厚くする必要がある。
【0021】
図1は、本発明の半導体レーザの一例(AlGaAs系半導体レーザ)を示す概略断面図である。図中、1は化合物半導体基板のn−GaAs基板、2はバッファ層のn−GaAs層、3は下部クラッド層のn−AlGaAs層、4は量子井戸活性層のAlGaAs層、51は第1上部クラッド層のp−AlGaAs層、13はエッチング停止層のp−GaAs層、52は第2上部クラッド層のp−AlGaAs層、6はキャップ層のp−GaAs層、71は電流阻止層のn−AlGaAs層、72は電流阻止保護層のp−GaAs層、8はコンタクト層のp−GaAs層、9はリッジストライプ状のメサ部、10はメサ部(段差部)の両側部、11はp側電極、12はn側電極を示す。
【0022】
化合物半導体基板1と下部クラッド層3との間には、バッファ層2を設けるのが好ましい。図1の場合には、化合物半導体基板1のn−GaAs基板と下部クラッド層3のn−AlGaAs層3との間には、バッファ層2のn−GaAs層が設けられている。
また、電流阻止層71とコンタクト層8との間には、電流阻止保護層72を設けるのが好ましい。図1の場合には、電流阻止層71のn−AlGaAs層とコンタクト層8のp−GaAs層との間には、電流阻止保護層72のp−GaAs層が設けられている。
【0023】
第2上部クラッド層は、エッチング停止層側がキャップ層側に比べてエッチングされやすい組成を有するのが好ましい。
第2上部クラッド層は、1.5μm以上、好ましくは1.5〜2.2μmの厚さを有するのが好ましい。
リッジストライプ状のメサ部は、3.0μm以下、好ましくは2.5〜3.0μmの幅を有するのが好ましい。
【0024】
半導体レーザ用エピタキシャルウエハは、例えば、
▲1▼化合物半導体基板がn−GaAs基板、下部クラッド層がn−AlGaAs層、量子井戸活性層がAlGaAs層、第1上部クラッド層がp−AlGaAs層、エッチング停止層がp−GaAs層、第2上部クラッド層がp−AlGaAs層、キャップ層がp−GaAs層、電流阻止層がn−AlGaAs、コンタクト層がp−GaAs層からなるか、または
▲2▼化合物半導体基板がn−GaAs基板、下部クラッド層がn−AlGaInP層、量子井戸活性層がGaInP層、第1上部クラッド層がp−AlGaInP層、エッチング停止層がp−GaInP層、第2上部クラッド層がp−AlGaInP層、キャップ層がp−GaAs層、電流阻止層がn−AlInP層、コンタクト層がp−GaAs層からなるのが好ましい。
本発明は、▲1▼のAlGaAs系半導体レーザ、▲2▼のAlGaInP系半導体レーザのみならず、GaN系半導体レーザにも応用できる。
【0025】
本発明によれば、本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの表面と裏面に電極を形成した半導体レーザ用ウエハが提供される。
電極は、当該分野で公知の材料を用い、公知の方法により形成することができる。実施例において、具体的に述べる。
【0026】
また、本発明によれば、本発明の半導体レーザ用ウエハをへき開とスクライブにより分割して製造した半導体レーザチップが提供される。
【0027】
さらに、本発明によれば、本発明の半導体レーザチップを搭載した光ディスク用ピックアップ、および本発明の光ディスク用ピックアップを搭載した光ディスク装置が提供される。
【0028】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)
図3および図4は、図1の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの製造工程を示す概略断面図であり、これに基づいて説明する。
(1)面方位(100)のn−GaAs基板1(厚さ350μm程度)上に、MBE(分子線エピタキシー)装置を用いて、バッファ層2のn−GaAs層(厚さ0.5μm)、下部クラッド層3のn−Al0.5Ga0.5As層(厚さ3μm)、多重量子井戸活性層4のAlGaAs層(厚さ0.04μm)、第1上部クラッド層51のp−Al0.5Ga0.5As層(厚さ0.2μm)、エッチング停止層13のp−GaAs層(厚さ0.003μm)、第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層(厚さ2μm)およびキャップ層6のp−GaAs層(厚さ0.6μm)からなる多層構造をエピタキシャル成長させて形成した。第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層のAl組成比xが0.5から0.4まで連続的に減少するように設計した(図5参照)。図5は、実施例1の第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層の距離(高さ)とそのAl組成比xとの関係を示す図である。
次いで、キャップ層6のp−GaAs層の表面にレジスト膜53を約0.2μmの厚さになるように塗布した(図3(a)参照)。
【0030】
(2)フォトリソ技術により、レジスト膜53を幅6μmのストライプに加工した。次いで、硫酸+過酸化水素系のエッチャントを用いて、第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層がエッチング停止層13上に約0.2μm残るようにエッチングした(図3(b)参照)。
【0031】
(3)フッ酸系のエッチャントを用いて、第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層を選択的にエッチングすることにより、エッチング停止層13のp−GaAs層上のp−AlxGa1−xAsを除去した後、さらにリッジストライプ状のメサ部(リッジ部)9におけるエッチング停止層13のp−GaAs層側の幅が2.5μmになるまでエッチングを続けた(図3(c)参照)。フッ酸によるエッチング速度とエッチング対象物質AlXGa1−XAsのAl組成比xとは、図11に示すような関係がある、すなわちAl組成比xが小さくなる程フッ酸のエッチング速度が遅くなるので、リッジストライプ状のメサ部(リッジ部)9は、図3(c)に示すような形状になった。
【0032】
(4)レジスト膜53を除去した後、MOCVD法により、電流阻止層71のn−Al0.7Ga0.3As層(厚さ1.5μm程度)および電流阻止保護層72のp−GaAs層(厚さ0.5μmμm程度)をエピタキシャル成長させて形成した(図4(d)参照)。リッジストライプ状のメサ部(リッジ部)9の両側には空洞の発生が全くなかった。
【0033】
(5)リッジストライプ状のメサ部(リッジ部)9上に成長した、電流通路の障害になる電流阻止層71のn−Al0.7Ga0.3As層および電流阻止保護層72のp−GaAs層を、キャップ層6のp−GaAs層に達するまでエッチング除去した(図4(e)参照)。
【0034】
(6)ウエハ全面にコンタクト層8のp−GaAs層(厚さ40μm)をMOCVD法によってエピタキシャル成長させて形成して、本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハを得た(図4(f))。
【0035】
(7)n−GaAs基板1の裏面を、基板全体の厚みが80μmになるまで研磨した後、コンタクト層8のp−GaAs層表面にはAu−Znによるp型電極11を、n−GaAs基板1の裏面にはAu−Geによるn型電極を12形成して、本発明の半導体レーザ用ウエハを得た。
【0036】
(8)共振器長が800μmになるようにウエハをへき開し、電子ビーム蒸着により、光出射端面にはAl2O3保護膜を形成して低反射率(約10%)とし、後端面にはAl2O3/a−Siの多層膜を形成して高反射率(約95%)として、本発明の半導体レーザチップを得た。
【0037】
得られた半導体レーザチップおよび図9に示す従来の半導体レーザ(従来品)のレーザ特性を評価したところ、次のような結果が得られた。括弧内に従来品の数値を示す。
▲1▼発振波長:784nm(従来品:784nm)
▲2▼しきい値電流:27mA(従来品:30mA)
▲3▼光出力140mW(75℃、CW)での駆動電流IOP:165mA(従来品:200mA)
▲4▼光出力260mW(75℃、パルス)での駆動電流IOP:270mA(従来品:320mA)
▲5▼共振器長をパラメーターとした光導波の内部吸収係数:2.5cm−1(従来品:5cm−1)
▲6▼光出射端面からのレーザ光のスロープ効率η(光出力/電流比):1.3(従来品:0.95)
▲7▼直列抵抗:2.6Ω(従来品:4.0Ω)
【0038】
得られた半導体レーザチップは、従来品で問題となっていたメサ部の近傍に発生する空洞による光吸収がなく、また多重量子井戸活性層4のAl0.1Ga0.9As層からキャップ層6のp−GaAs層までの距離が2μm、同様にn−GaAs基板1までの距離が3μmと遠く、これらのGaAsによる光吸収もないことから、上記の結果が得られたものと考えられる。
また、得られた半導体レーザチップは、▲5▼光導波の内部吸収係数の低下により、▲6▼スロープ効率ηが向上したものと考えられる。
さらに、得られた半導体レーザチップは、リッジストライプ状のメサ部9である第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層における上部(キャップ層6のp−GaAs層側)の幅が従来品より広いために、▲7▼直列抵抗が低下したものと考えられる。
【0039】
(実施例2)
第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層のAl組成比xが0.4から0.55まで連続的に減少するように設計して(図7参照)、リッジストライプ状のメサ部9の側面を垂直に近い形状に加工すること以外は、実施例1と同様にして、図6に示す半導体レーザ用エピタキシャルウエハを得、その半導体レーザチップを得た。図6は、本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの別の例(AlGaAs系半導体レーザ)を示す概略断面図であり、図7は、実施例2の第2上部クラッド層のp−AlxGa1−xAs層の距離(高さ)とそのAl組成比xとの関係を示す図である。図7に示すように、第2上部クラッド層52のp−AlxGa1−xAs層のAl組成比xの変化を底部(エッチング停止層13のp−GaAs層側)において急峻にした。これにより、底部におけるエッチング速度が大きくなり(図11参照)、リッジストライプ状のメサ部9における底部のダレが小さくなった。このようにメサ部9の裾ダレが小さくなった分、リッジ幅のウエハ面内での均一性が増し、しきい値電流、ビーム放射角などの特性のばらつきが小さくなった。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、第2上部クラッド層を従来の1〜1.5μmよりも厚くし、同時に第2上部クラッド層の構成元素(例えば、Al)の組成比をその積層方向に連続的に減少させることにより、電流阻止層に空洞を有さず、高出力まで横基本モードで安定にレーザ発振する半導体レーザ用エピタキシャルウエハを提供することができる。
すなわち、本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハは、従来品で問題となっていたメサ部の近傍に発生する空洞による光吸収がなく、また量子井戸活性層からキャップ層までの距離および量子井戸活性層から化合物半導体基板までの距離が遠く、これらによる光吸収もない。よって、光導波の内部吸収係数が低下し、光出射端面からのレーザ光のスロープ効率η(光出力/電流比)が大幅に向上する。
【0041】
また、本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハは、リッジストライプ状のメサ部である第2上部クラッド層における上部(キャップ層6側)の幅が従来品より広いために、直列抵抗が低下する。よって、素子としての自己発熱が抑制されるので、素子寿命が長くなる。例えば、CD−RやCD−RWへの書き込み用の光ディスク装置では、200mW以上の高い光出力が要求されるので、本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハ、半導体レーザ用ウエハ、そのウエハを搭載した半導体レーザチップおよびそのチップを搭載した光ディスク装置の半導体レーザは、これらへの応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの一例(AlGaAs系半導体レーザ)を示す概略断面図である(実施例1)。
【図2】第2上部クラッド層のp−AlGaAs(AlXGa1−XAs)層のAl組成比xを連続的に減少させて半導体レーザを作製した場合における、第2上部クラッド層の厚さHとキャップ層ひさし14横の空洞の幅(長さ)Bとの関係を示す図である。
【図3】図1の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの製造工程を示す概略断面図(a)〜(c)である。
【図4】図1の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの製造工程を示す概略断面図(d)〜(f)である。
【図5】実施例1の第2上部クラッド層のp−AlxGa1−xAs層の距離(高さ)とそのAl組成比xとの関係を示す図である。
【図6】本発明の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの別の例(AlGaAs系半導体レーザ)を示す概略断面図である(実施例2)。
【図7】実施例2の第2上部クラッド層のp−AlxGa1−xAs層の距離(高さ)とそのAl組成比xとの関係を示す図である。
【図8】従来の半導体レーザの概略断面図である(従来例1)。
【図9】従来の半導体レーザの概略断面図である(従来例2)。
【図10】半導体レーザのリッジ高さとひさしの関係を説明するための概略断面図である。
【図11】フッ酸によるエッチング速度とエッチング対象物質AlXGa1−XAsのAl組成比xとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 化合物半導体基板(n−GaAs基板)
2 バッファ層(n−GaAs層)
3 下部クラッド層(n−AlGaAs層)
4 量子井戸活性層(AlGaAs層)
5 上部クラッド層(p−AlGaAs層)
6 キャップ層(p−GaAs層)
7、71 電流阻止層(n−AlGaAs層)
8 コンタクト層(p−GaAsコンタクト層)
9 リッジストライプ状のメサ部
10 メサ部(段差部)の両側部
11 p側電極
12 n側電極
13 エッチング停止層(p−GaAs層)
14 キャップ層ひさし(p−GaAs)
15 空洞
51 第1上部クラッド層(p−AlGaAs層)
52 第2上部クラッド層(p−AlGaAs層)
53 レジスト膜
72 電流阻止保護層(p−GaAs層)
d 厚さ
Claims (10)
- 化合物半導体基板上に、下部クラッド層、量子井戸活性層、第1上部クラッド層、エッチング停止層、リッジストライプ状のメサ部を構成する第2上部クラッド層およびキャップ層が順次積層され、エッチング停止層上の第2上部クラッド層以外の領域に電流阻止層が形成され、さらにコンタクト層が形成されてなり、第2上部クラッド層の構成原子の1つが積層方向に連続的に減少し、かつ第2上部クラッド層がメサ部の近傍に空洞を発生させない厚さを有することを特徴とする半導体レーザ用エピタキシャルウエハ。
- 第2上部クラッド層が、エッチング停止層側がキャップ層側に比べてエッチングされやすい組成を有する請求項1に記載の半導体レーザ用エピタキシャルウエハ。
- メサ部の近傍に空洞を発生させない厚さが、1.5μm以上である請求項1または2に記載の半導体レーザ用エピタキシャルウエハ。
- リッジストライプ状のメサ部が、3.5μm以下の幅を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体レーザ用エピタキシャルウエハ。
- 化合物半導体基板がn−GaAs基板、下部クラッド層がn−AlGaAs層、量子井戸活性層がAlGaAs層、第1上部クラッド層がp−AlGaAs層、エッチング停止層がp−GaAs層、第2上部クラッド層がp−AlGaAs層、キャップ層がp−GaAs層、電流阻止層がn−AlGaAs、コンタクト層がp−GaAs層からなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体レーザ用エピタキシャルウエハ。
- 化合物半導体基板がn−GaAs基板、下部クラッド層がn−AlGaInP層、量子井戸活性層がGaInP層、第1上部クラッド層がp−AlGaInP層、エッチング停止層がp−GaInP層、第2上部クラッド層がp−AlGaInP層、キャップ層がp−GaAs層、電流阻止層がn−AlInP層、コンタクト層がp−GaAs層からなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体レーザ用エピタキシャルウエハ。
- 請求項1〜6のいずれか1つに記載の半導体レーザ用エピタキシャルウエハの表面と裏面に電極を形成した半導体レーザ用ウエハ。
- 請求項7に記載の半導体レーザ用ウエハをへき開とスクライブにより分割して製造した半導体レーザチップ。
- 請求項8に記載の半導体レーザチップを搭載した光ディスク用ピックアップ。
- 請求項9に記載の光ディスク用ピックアップを搭載した光ディスク装置。
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