JPH07240560A - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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JPH07240560A
JPH07240560A JP3210694A JP3210694A JPH07240560A JP H07240560 A JPH07240560 A JP H07240560A JP 3210694 A JP3210694 A JP 3210694A JP 3210694 A JP3210694 A JP 3210694A JP H07240560 A JPH07240560 A JP H07240560A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高出力でもキンクの生じない半導体レーザを
提供する。 【構成】 n型GaAs基板1上に、n型外側クラッド
層2、n型ガイド層3、n型内側クラッド層4、多重量
子井戸活性層5、p型内側クラッド層6、p型ガイド層
7、p型外側クラッド層8、p型バッファ層9、p型キ
ャップ層10を積層し、エッチングによりメサ状ストラ
イプを形成し、n型GaAsブロック層12をメサ脇に
積層し、p型GaAsコンタクト層13をメサ部及びメ
サ脇部に積層する。メサ部分では端面での光の分布がp
側及びn側クラッド層それぞれに偏り、メサ脇部分では
端面での光の分布がn側に偏っている。メサ部分とメサ
脇部分の屈折率差が大きく、キンクが生じる光出力を大
きくできる。また外側クラッド層の屈折率がガイド層の
屈折率より低いため、層厚方向の光の分布がGaAs基
板及びp型コンタクト層にまで及ばず、内部損失を小さ
くできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高光出力で横モードの安
定した半導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】
(1)近年、高出力AlGaInP系の半導体レーザと
して、図5に示すような構造が特開平5−243669
号公報及びジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライ
ド・フィジックス(Japanese Journal
of Applied Physics)の第32巻
609ページに報告されている(S.Kawanak
a,T.Tanaka,H.Yanagisawa,
S.Yanoand S.Minagawa)。n型G
aAs基板31上に、n型(Al0.7 Ga0.3 0.5
0.5 Pクラッド層32、n型(Al0.5 Ga0.5
0.5 In0.5 P外側ガイド層33、n型(Al0.7 Ga
0.3 0.5 In0.5 P内側クラッド層34、(Al0.5
Ga0.5 0.5 In0.5 P内側ガイド層35 、GaI
nP活性層36(歪み0.3〜0.9%、厚さ20〜3
0nm)、p型(Al0.7Ga0.3 0.5 In0.5 Pクラ
ッド層37からなるヘテロ構造が形成されている。p側
の半導体層中には、ストライプ状のメサが形成され、メ
サ脇がn型GaAsブロック層39で埋め込まれてい
る。上述の構造を半導体レーザに用いることにより、活
性層に対して垂直方向の光強度分布はn型の半導体層側
へ広がり、活性層での相対光強度を小さくできている。
これは、端面での光学損傷が生じる光出力が高く、高出
力動作可能なことを意味する。また、p側のGaAsで
埋め込まれたストライプ状のメサ構造は光導波路を形成
し横モード制御を行うとともに電流の閉じ込めを行うた
めのものである。この構造により横モード制御型の高出
力AlGaInP系の半導体レーザが製作できる。
【0003】(2)また、後述する本発明の半導体レー
ザと構造が類似する半導体レーザが特開平2−1288
5号公報に開示されている。この半導体レーザは、図6
に示すように、クラッド層の構造を屈折率の低い内側ク
ラッド層とそれより屈折率の高い外側クラッド層とから
なる2重構造にしたもので、内側クラッド層と外側クラ
ッド層の組成及び材料を適当に選ぶことによって、垂直
放射角を任意の値に制御できるようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
(1)ストライプ状のメサにより光導波路を形成し導波
姿態の横モードを制御する構造において、横モードの安
定性はメサ部分とメサ脇部分の屈折率差と深く関係し、
その値によって電流−光出力特性の直線性の乱れ、いわ
ゆるキンクの発生する出力が決まってくる。上述の従来
構造(図5)では、n側にクラッド層32、34より屈
折率が大きく活性層36より屈折率が小さい外側ガイド
層33を設けて、メサ部分及びメサ脇部分の両方で端面
での光の分布をn側に偏らせているため、メサ部分とメ
サ脇部分の屈折率差が小さく、キングが生じる光出力が
小さいという欠点がある。実際に従来の技術の(1)で
述べた構造において、p型クラッド層厚を1μm 、活性
層厚を40nm、内側ガイド層厚を0nm、n型内側クラッ
ド層厚を57.5nm、外側クラッド層厚を0.95μm
として、外側ガイド層を変えたときのメサ部分とメサ脇
部分の屈折率差を計算すると図4の(b)に示した実線
となる。安定した基本横モード発振を得るためには1×
10-3〜1×10-2の屈折率差が必要となるが、計算結
果はガイド厚が450nm以上になると1×10-3以下に
なってしまう。高出力化するためにはガイド厚は厚くし
なければならず、高出力化と横モード安定度はトレード
オフの関係にあり両立が難しいことがわかる。言い替え
れば、ガイド層厚が300nmで所望の屈折率差が得られ
ても、端面破壊出力レベルは低く、キンク光出力レベル
は高くともその光出力にいたるまでにレーザは壊れてし
まう。
【0005】本発明の目的は上述の欠点を解消し、メサ
部分とメサ脇部分の屈折率差が大きく、横モード安定性
が高く、キンクが生じる光出力が大きいレーザを提供す
ることにある。
【0006】(2)また、特開平2−12885号公報
に開示されている構造は、垂直放射角を制御する一つの
構造で、後述の本半導体レーザと類似している。本発明
との違いが明確になるように、この半導体レーザの問題
点を述べていく。図6に示すように、内側のクラッド層
よりも高い屈折率の層を外側のクラッド層として用いる
構造である。このため層厚方向の光の分布がクラッド層
と活性層からなるダブルヘテロ構造を挟む電極コンタク
ト層にまで及ぶ。このため電極コンタクト層として電極
との接触抵抗を小さくできるGaAs層を用いたときに
は、GaAsのバンドギャップの狭さのため、電極コン
タクト層が、発振するレーザ光を吸収する層となり、内
部損失が大きくなるという欠点がある。実際に活性層を
Ga0.5In0.5 P、内側クラッド層を(Al0.7 Ga
0.3 0.5 In0.5 P、外側クラッド層を(Al0.5
0.5 0.5 In0.5 P、電極コンタクト層をGaAs
とし、活性層厚を40nm、内側クラッド層厚を57.5
nm、外側クラッド層厚を1.55μm とし、ストライプ
幅を5μm のGaAs埋め込み型屈折率導波型レーザを
製作したときの同レーザの内部損失は20cm-1以上と計
算される。
【0007】本発明の目的は上述の欠点をも解決し、電
極コンタクト層にまで光の分布が及ばない、内部損失の
低いレーザで高いキンク出力を達成することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体レーザ
は、活性層と、この活性層を挟む活性層よりも屈折率の
小さなクラッド層からなるダブルヘテロ構造を少なくと
も有し、両方のクラッド層が高屈折率の光ガイド層を低
屈折率の層が挟んだ3重構造となっており、かつ両脇が
クラッド層より低屈折率の電流ブロック層または発振す
るレーザ光を吸収できるバンドギャップを有する電流ブ
ロック層によって埋め込まれたメサ状のストライプを有
することを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明の半導体レーザの層構造の屈折率分布
を、メサ部分とメサ脇部分に分けて図3に示す。メサ部
分(A)の屈折率分布は活性層を中心に対称であり、光
は、当然、p側及びn側に対称に広がっている。一方、
メサ脇部分(B)ではp側のガイド層が除去されGaA
s層に置き換えられている。このため、n側のガイド層
が光分布を引っ張るとともにGaAs層での損失が光を
n側に押しやっている。この結果として、メサ脇部分で
は光はn側に偏った分布をもっている。メサ部分とメサ
脇部分での光の分布が大きく異なり、すなわち、メサ部
分とメサ脇部分で屈折率差が大きくなっている。
【0010】計算で求めた屈折率差の結果の一例を図4
に示す。図中(a)の実線が本発明に対し、pとn両側
のガイド層厚を等しく保ちながら変化させたときの屈折
率差を計算したものである。(b)は前述したように従
来の半導体レーザの場合に対応している。まず、本発明
では従来に比べ大きい屈折率差が得られる。特に、ガイ
ド層を高出力化のために厚くしていくと、従来の構造で
は1×10-3以下と横モード制御にとって不十分な値に
なっていくが、本発明では1×10-2〜5×10-3程度
の値を維持している。これにより、キンクが生じる光出
力を大きくすることができる。
【0011】また、本発明の半導体レーザは、図3のメ
サ部分の屈折率分布を見てわかるように、GaAs層と
ガイド層との間に低屈折率の層が導入された構造に、結
果としてなっている。この低屈折率の層はGaAs層に
向かって、光を急激に減少させる。よって、層厚方向の
光の分布がクラッド層と活性層からなるダブルヘテロ構
造を挟む電極コンタクト層にまで及ばす、電極コンタク
ト層として電極との接触抵抗を小さくできるGaAs層
を用いたとき、電極コンタクト層によるレーザ光の吸収
は起きず、内部損失を小さくすることができる。実際に
実施例に示した構造を有するレーザの内部損失を計算す
ると15cm-1であった。この値は従来例の内部損失の値
である20cm-1以上に較べて小さい。
【0012】
【実施例】本発明の実施例を図面を用いて説明する。図
1は本発明の半導体レーザの一実施例を示すレーザチッ
プの断面図であり、図2はその工程図である。
【0013】まず、一回目の減圧MOVPE法による成
長で、n型GaAs基板1(Siドープ;n=2×10
18cm-3)上に格子定数を整合させて、次の層を順次形成
する。
【0014】n型(Al0.7 Ga0.3 0.5 In0.5
外側クラッド層2(n=5×1017cm-2;厚さ1μm
)、n型(Al0.5 Ga0.4 0.5 In0.5 Pガイド
層3(厚さ800nm)、n型(Al0.7 Ga0.3 0.5
In0.5 P内側クラッド層4(厚さ50nm)、4つのG
0.5 In0.5 P井戸(厚さ10nm)と3つの(Al
0.7Ga0.3 0.5 In0.5 Pバリヤ(厚さ5nm)とか
らなる多重量子井戸活性層5(アンドープ)、p型(A
0.7 Ga0.3 0.5 In0.5 P内側クラッド層6(厚
さ50nm)、p型(Al0.5 Ga0.5 0.5 In0.5
ガイド層7(厚さ800nm)、p型(Al0.7
0.3 0.5 In0.5 P外側クラッド層8(p=5×1
17cm-3;厚さ1μm )、p型Ga0.5 In0.5 Pバッ
ファ層9、p型GaAsキャップ層10。
【0015】成長温度は温度660℃、圧力70Tor
r、V/III 比=150、キャリヤガス(H2 )の全流
量15l/minとした。原料としては、トリメチルイ
ンジウム(TMI:(C2 5 3 In)、トリエチル
ガリウム(TEG:(C2 5 3 Ga)、トリメチル
アルミニウム(TMA:(CH3 3 Al)、アルシン
(AsH3 )、ホスフィン(PH3 )、n型ドーパン
ト:ジシラン(Si2 6 、p型ドーパント:ジメチル
ジンク(DMZn:(CH3 2 Zn)を用いた。
【0016】こうして成長したウェハーにフォトリソグ
ラフィーにより幅5μm のストライプ上のSiO2 膜1
1のマスクを形成した(図2(a))。つぎにこのSi
2マスク11を用いてリン酸系のエッチング液により
p型GaAsキャップ層10をメサ状にエッチングし、
続いて臭酸系のエッチング液によりp型(Al0.7 Ga
0.3 0.5 In0.5 P外側クラッド層をエッチングし、
同じく、臭酸系のエッチング液によりp型(Al0.5
0.4 0.5 In0.5 Pガイド層をp型メサ脇の残り厚
が活性層のp側界面からの距離において0.25μm の
位置までをメサ状にエッチングした(図2(b))。つ
ぎにSiO2 マスク11をつけたまま減圧MOVPE法
により2回目の成長を行い、n型GaAsブロック層1
2を形成し、SiO2 マスク11を除去した後に減圧M
OVPE法により3回目の成長を行い、p型GaAsコ
ンタクト層13を形成した(図2(c))。最後にp、
n両電極をそれぞれp型コンタクト層13、n型GaA
s基板1上に形成して、キャビティ長700μm に劈開
し、レーザ端面を前面反射率が5%、裏面反射率が95
%となるようにAl2 3 でコーティングした後、個々
のチップに分離し、Si製ヒートシンクに融着して半導
体レーザが完成した。
【0017】上述の製作工程においてp型(Al0.5
0.5 0.5 In0.5 Pガイド層7のメサ幅は下部で5
μmとなった。
【0018】こうして得られた本発明のレーザのキンク
が生じる光出力を連続発振時において室温で測定したと
ころ100mWであった。また同レーザの内部損失を測
定したところ15cm-1であった。また屈折率差を十分と
れるので安定した基本横モード発振が得られた。
【0019】以上述べた実施例では、活性層をGaIn
PとAlGaInPからなる多重量子井戸、クラッド層
を(Al0.7 Ga0.3 0.5 In0.5 P、ガイド層を
(Al0.5 Ga0.5 0.5 In0.5 Pとしたが、クラッ
ド層組成と活性層組成は、光とキャリヤのメサストライ
プ部への閉じ込めが充分にできる組成、材料を選べば良
く、ガイド層組成はクラッド層より屈折率が大きい組
成、材料を選べば良い。またブロック層をGaAsとし
たが、ブロック層組成はクラッド層よりも屈折率の小さ
い組成、材料もしくは発振するレーザ光を吸収できるバ
ンドギャップを有する組成、材料を選べば良い。またレ
ーザに要求される特性により、SCH構造にすることな
どもできる。またエッチングストッパ層を用いれば、メ
サ脇ガイド層の残り厚をより厳密に制御することもでき
る。
【0020】
【発明の効果】本発明により、横モード安定性が高く、
内部損失の低いキンクが生じる光出力が大きい半導体レ
ーザが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の半導体レーザの製作工程を示す断面図
である。
【図3】本発明の半導体レーザの活性層、クラッド層、
ガイド層の屈折率を模式的に表した図である。
【図4】メサ部分とメサ脇部分との屈折率差を本発明と
従来例とで比較した計算結果を示す図である。
【図5】従来の半導体レーザを示す図である。
【図6】従来例の構造を説明するための図である。
【符号の説明】
1 n型GaAs基板 2 n型(Al0.7 Ga0.3 0.5 In0.5 P外側クラ
ッド層 3 n型(Al0.5 Ga0.5 0.5 In0.5 Pガイド層 4 n型(Al0.7 Ga0.3 0.5 In0.5 P内側クラ
ッド層 5 多重量子井戸活性層 6 p型(Al0.7 Ga0.3 0.5 In0.5 P内側クラ
ッド層 7 p型(Al0.5 Ga0.5 0.5 In0.5 Pガイド層 8 p型(Al0.7 Ga0.3 0.5 In0.5 P外側クラ
ッド層 9 p型Ga0.5 In0.5 Pバッファ層 10 p型GaAsキャップ層 11 SiO2 マスク 12 n型GaAsブロック層 13 p型GaAsコンタクト層 31 n型GaAs基板 32 n型(Al0.7 Ga0.3 0.5 In0.5 P外側ク
ラッド層 33 n型(Al0.5 Ga0.5 0.5 In0.5 P外側ガ
イド層 34 n型(Al0.7 Ga0.3 0.5 In0.5 P内側ク
ラッド層 35 (Al0.5 Ga0.5 0.5 In0.5 P内側ガイド
層 36 GaInP活性層 37 p型(Al0.7 Ga0.3 0.5 In0.5 Pクラッ
ド層 38 p型Ga0.5 In0.5 Pバッファ層 39 n型GaAsブロック層 40 p型GaAsキャップ層 41 p型GaAsコンタクト層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性層と、この活性層を挟み活性層よりも
    屈折率の小さなクラッド層からなるダブルヘテロ構造を
    少なくとも有し、両方のクラッド層が高屈折率の光ガイ
    ド層を低屈折率の層が挟んだ3重構造となっており、か
    つ両脇がクラッド層より低屈折率の電流ブロック層また
    は発振するレーザ光を吸収できるバンドギャップを有す
    る電流ブロック層によって埋め込まれたメサ状のストラ
    イプを有することを特徴とする半導体レーザ。
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