JP2005002811A - オイル・ミスト捕集装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、例えば自動車のエンジンに併設されて、エンジン内のブローバイガス中のオイル・ミストを捕集することを目的としている。
【解決手段】オイル・ミスト捕集装置を全体筒状形状とし、かつ筒状の放電室を複数個並設させるグロー放電に匹敵する放電を生じさせている。また筒状中央部にブローバイガスを上部方向に供給するガス供給筒状空間をもうけると共に、当該ガス供給筒状空間の外周に沿うように並べて、複数個配置された筒状放電室群をもうけ、各筒状放電室を、マイナス針電極を含めて上・下において機械的に支持する。
【選択図】 図1
【解決手段】オイル・ミスト捕集装置を全体筒状形状とし、かつ筒状の放電室を複数個並設させるグロー放電に匹敵する放電を生じさせている。また筒状中央部にブローバイガスを上部方向に供給するガス供給筒状空間をもうけると共に、当該ガス供給筒状空間の外周に沿うように並べて、複数個配置された筒状放電室群をもうけ、各筒状放電室を、マイナス針電極を含めて上・下において機械的に支持する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのクランク・ケース内においてブローバイガス中にオイル・ミストとして飛散しているエンジン・オイルを捕集するオイル・ミスト捕集装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14は、従来からエンジンに対して、オイル・ミスト捕集装置が配置される配置関係を説明する説明図である。
【0003】
図中の符号1はエンジン、2はシリンダ、3はクランク・ケース、4はピストン、5はクランク軸、6は吸気管、7は吸気弁、8は排気管、9は排気弁を表している。そして、10は本発明の対象となるオイル・ミスト捕集装置(ブリーザ)、11はブローバイガス導入管、12はエンジンの吸気管に連結される連結管、13はオイル・ドレイン管を表している。
【0004】
なお、エンジン・オイルはクランク・ケースの底部に存在しており、ブローバイガスはクランク・ケースの上部から中部にかけての空間内に存在しているオイル・ミストを含んでいる。
【0005】
エンジン1のシリンダ2内でピストン4が往復動せしめられ、ピストン4と連結されるクランク軸5が回転駆動される。クランク・ケース3内にはエンジン・オイルが存在するが、クランク軸5が回転することなどに伴ってブローバイガス中にオイル・ミストが飛散する。
【0006】
従来から、ブローバイガス中のオイル・ミストを捕集することが行われていて、オイル・ミスト捕集装置(ブリーザ)10が図14に示す例の如く、もうけられている。
【0007】
この種のオイル・ミスト捕集装置に関して、高圧電源を備えた電極間に静電場を発生させてオイル・ミストを捕集しオイルを分離する技術として、例えば特許文献1が知られている。
【0008】
図15は従来から存在するフィルタ使用のオイル・ミスト捕集装置の原理的構成を示している。図中の符号10ないし13は図14に対応している。そして、14はガス供給筒状空間、15は中空筒状体のフィルタ(濾紙)、16はバネ体を表している。
【0009】
オイル・ミストを含んだブローバイガスは、筒状のオイル・ミスト捕集装置10の下方の中央位置から導かれ、ガス供給筒状空間14の下方から上方に立上げられ、中空筒状体のフィルタ15を貫通し、気体成分は連結管12に導かれ、オイルはフィルタ15で分離されて下方に落下してオイル・ドレイン管13にて排出される。
【0010】
【特許文献1】
特開平3−141811号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図15に示す如き従来のオイル・ミスト捕集装置の場合では、フィルタ15によるオイル・ミストの捕集は、指標として装置の前後で計測しているオイル・ミストの分離効率で約60%程度にとどまっている。
【0012】
また、フィルタ15を定期的に交換する必要があり、オイル・ミスト捕集装置が設けられているエンジンを搭載している自動車のユーザにとっては、メンテナンスの負担が大きい。
【0013】
また、特許文献1に示された技術では、静電場を形成しているが、静電場を形成するのみでは分離の原理がブローバイガス中の水分量に依存していることになるために、オイルの分離効率を向上させるには限界がある。
【0014】
更に近年、地球環境問題に対して積極的に取り組んだエンジン及びエンジン部品の開発は急務であり、市場において強く望まれている。従ってオイル・ミストを含んだブローバイガスが大気中へ放出されることは、環境の面からも抑制されなければならない。
【0015】
本発明はエンジンのブローバイガスに含まれるオイル・ミストを高電圧を印加した電極間に放電させた空間を通過させて電極にオイル・ミストを捕集させ、オイル・ミストの分離効率をより向上させる放電型ブリーザを提供することを目的とする。
【0016】
また図15に示す如き筒状形状のオイル・ミスト捕集装置10において、放電によるオイル・ミスト捕集機構を配置しようとすると、原理的には次のようなものとなる。
【0017】
即ち、図15に示す中空筒状体のフィルタ15の代わりに、2重円環状体の形状をもつ1つの放電室を形成する。そして、中空筒状の内側筒壁面と外側筒壁面とにプラス電極筒を配置し、互いに対向する内側筒壁面と外側筒壁面との間に、例えば筒状のマイナス電極あるいは全体を筒状に丸めたスダレ状のマイナス電極群を配置する。オイル・ミストを含んだブローバイガスは、ガス供給筒状空間の下方から上方に立上げられ、内側筒壁面と外側筒壁面とでいわば2重円環状体に形成している放電室に上部から導入され、そして、放電室内で放電によってオイル・ミストを捕集して、分離されたオイルを放電室の下方に落下させる。
【0018】
このような放電室を形成する場合には、2重円環状体を形成している放電室内の空間中央にマイナス電極あるいはマイナス電極群を配置する上での、機械的な支持構造に難点がある。また、マイナス電極やマイナス電極群の表面に、放電を発生し易くするための尖状の突起を形成しようとした場合にも難点がある。また電極の支持態様が不安定であることから、マイナス電極とプラス電極との間の間隙を小に保つことが困難である。
【0019】
したがって、本発明は、オイル・ミスト捕集装置を全体筒状形状とし、かつ筒状の放電室を複数個並設させることによって、マイナス電極の機械的支持を確実にしかつ尖状の突起を有するマイナス電極群をもうけ得るようにすることをも目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
そのため本発明は、請求項1の発明として、エンジンのクランク・ケース内のブローバイガスを導入するブローバイガス導入管と、エンジンの吸気管に連結される連結管と、エンジンのクランク・ケースに連結されるオイル・ドレイン管とをそなえ、
前記ブローバイガス導入管を介して導入されたブローバイガスに含まれるオイル・ミストを捕集してオイルを分離し、当該分離したオイルを前記エンジンのクランク・ケースに返却するオイル・ミスト捕集装置において、
複数個配置された筒状放電室群と、
複数個配置されている前記筒状放電室の夫々に対応して存在する捕集極と、
当該夫々の筒状放電室の中心軸位置に配置される放電電極と、
前記各捕集極と各放電電極とに対して高電圧を印加する電源部と、
をそなえ、前記筒状放電室群内において放電を生じさせ、ブローバイガスに含まれるオイル・ミストを捕集極に付着させる構成となる。
【0021】
また請求項2の発明として、エンジンのクランク・ケース内のブローバイガスを導入するブローバイガス導入管と、エンジンの吸気管に連結される連結管と、エンジンのクランク・ケースに連結されるオイル・ドレイン管とをそなえ、
前記ブローバイガス導入管を介して導入されたブローバイガスに含まれるオイル・ミストを捕集してオイルを分離し、当該分離したオイルを前記エンジンのクランク・ケースに返却するオイル・ミスト捕集装置において
外壁を構成する有底のブリーザ・ケース体と、当該有底のブリーザ・ケース体を覆いかつ内部空間に電源部を収容するブリーザ・ケース蓋とを有する筒状に構成されてなり、
当該オイル・ミスト捕集装置の筒状中央部に形成されて、前記ブローバイガス導入管から導入されたブローバイガスを、当該オイル・ミスト捕集装置の上部方向に供給するガス供給筒状空間と、
当該ガス供給筒状空間の外周に沿うように並べて、複数個配置された筒状放電室群と、
前記ガス供給筒状空間の上部を覆いかつ並べて前記複数個配置された筒状放電室群の上部を覆い、当該ガス供給筒状空間と当該筒状放電室群とに対して前記電源部を分離する電源部密閉用蓋と、
複数個配置されている前記筒状放電室の夫々の外周壁筒を構成する捕集極と、
当該夫々の筒状放電室の中心軸位置に配置される放電電極と、
当該夫々の筒状放電室において分離されたオイルを受入れかつ前記オイル・ドレイン管に連結される有底のブリーザ・ケースの内部底部空間と、
をそなえ、
前記電源部密閉用蓋が前記複数個配置されている前記筒状放電室における前記捕集極と前記放電電極とを、機械的に支持し、
かつ、前記筒状放電室内を通ってオイルを分離された気体が前記連結管を介して前記吸気管に導かれる構成となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のオイル・ミスト捕集装置の一実施例断面構造を示す。
【0023】
図中の符号10はオイル・ミスト捕集装置、11はブローバイガス導入管、12は連結管、13はオイル・ドレイン管、14はガス供給筒状空間、20は放電室、21は捕集極、22は放電電極である針電極、23は有底ブリーザ・ケース、24はブリーザ・ケース蓋、25は電源部、26は電源部密閉用蓋、27は底部空間、28はブローバイガス収容空間、29は捕集極上部固定部材、30は捕集極下部固定部材、31は針電極上部固定部材、32は針電極下部固定部材、33は金網状のフィルタ、34はスプリング、35は逆止弁、36は調圧弁、37は逆止弁を表している。また38は捕集極給電刷子を表している。
【0024】
オイル・ミスト捕集装置10は、全体的にみて図示の場合には円筒状体に構成されている。そして、当該円筒状体の筒状中央部に、ブローバイガスを下方から上方に導くガス供給筒状空間14が配置されている。
【0025】
図2は本発明に用いられる1つの放電室についての原理的説明図である。図2では複数個存在する放電室の1つについて縦割りした状態を表している。
【0026】
図中の符号20は放電室、21はプラス電位を与えられる捕集極であって例えば円環状に形成されているもの、22は放電電極を構成する針電極であって金属板を打抜いて多数の尖状突起22cをもつものを示す。
【0027】
言うまでもなく針電極22は、例えば円環状の放電室20内の空間の中央部に固定される。そして、放電室20の外周壁筒を形成している捕集極21にプラス電位が与えられ、針電極22にマイナス電位が与えられ、放電室20の内部空間にオイル・ミストを含んだブローバイガスが導かれる。
【0028】
このような放電室20内において、ブローバイガスに含まれていたオイル・ミストはマイナス電位に帯電されて捕集極21の内側に付着する。当該捕集されたオイル・ミストはオイル滴となって下方に落下する。
【0029】
捕集極21(プラス側)と針電極22(マイナス側)との間には数kvの高電圧を印加して、両電極間でグロー放電に匹敵する放電(コロナ放電状態から更に大気圧の下でのグロー放電に近い放電状態に進めて──以下同様)を生じさせ、両極間に連続して数100μAの電流を流すことにより、放電室20を通過するブローバイガスに含まれるオイル・ミストは電離、イオン化されて捕集極に集まる。
【0030】
図1に戻りガス供給筒状空間14の外周に沿うように、図示実施例の場合には、6個の筒状放電室20が並べられて配置され、筒状放電室群を形成している。個々の筒状放電室20は、図9を参照して後述するように、円筒形状をしており、外周壁筒が金属(例えばステンレス)性の捕集極21とされ、筒状放電室20の中心軸位置に、図10を参照して後述するように、尖状突起をもつ針電極22が配置されている。
【0031】
ガス供給筒状空間14の上部と6個並んでいる筒状放電室20の上部とを覆い、かつ電源部25とを分離する形で、電源部密閉用蓋26が配置される。そして当該電源部密閉用蓋26の内周面に配置されている捕集極上部固定部材29と一緒になって、ガス供給筒状空間14内を立ちのぼってきたブローバイガスが前述の6個の夫々の筒状放電室20の上部から当該各筒状放電室20に導かれる。
【0032】
電源部密閉用蓋26は、図4に示す如き形状を有する絶縁体で構成されている。図4において、図4(A)は上面図、図4(B)は断面図、図4(C)は下面図を表している。電源部密閉用蓋26には、円弧に沿う形で6個のスリット26aが貫通されており、当該スリット26aの位置に補強突起26bがもうけられている。そして、後述するように捕集極給電刷子38は電源部密閉用蓋26と一体に成形されている。なお、スリット26aの各位置に、前述の針電極22の上端が貫通されることになる。
【0033】
電源部密閉用蓋26の上面に、図5に示す針電極上部固定部材31が取り付けられる。図5(A)は上面図、図5(B)は断面図を表している。当該針電極上部固定部材31は、6個の足31aをもつ金属板で構成され、各足31aの先端部に針電極保持バネ31bがもうけられ、針電極上部固定部材31の中央部に通電端子31cがもうけられている。
【0034】
電源部密閉用蓋26の上面に針電極上部固定部材31が重ねられ、針電極22の上端が電源部密閉用蓋26の下面からスリット26aと針電極保持バネ31bとに貫通され、針電極22の上部が固定される。
【0035】
電源部密閉用蓋26の内周面に対して、図7に示す如き形状をもつ捕集極上部固定部材29がはめ込まれる。図7(A)は上面図、図7(B)は断面図、図7(C)は下面図を表している。
【0036】
捕集極上部固定部材29においては、中心部に、前述のガス供給筒状空間14の上部開口に対応する大きさの開口29aがもうけられ、当該開口29aの周囲の板状部に6個の小開口29bがあけられている。
【0037】
なお当該6個の小開口29bは夫々、図9に示す捕集極21の上部開口部と対応するようにされる。図9(A)は上面図、図9(B)は断面図を表している。なお、捕集極21の上端部は、捕集極上部固定部材29における前記小開口29bの回りにもうけられている環状突起29cの外周に溝29dを介在させてはめ合わされて固定される。詳細には図12を参照して説明される。
【0038】
また前述の電源部密閉用蓋26には図6に示す捕集極給電刷子38が一体に成形され、図1に示す如く、当該捕集極給電刷子38が捕集極21の上部外周面に接触し、捕集極21にプラス電位が印加される。
【0039】
なお、図6(A)は上面図、図6(B)は断面図を表している。捕集極給電刷子38は環状の輪38aをもち、6個の通電突起38bがもうけられている。各通電突起38bが夫々1つ1つの筒状放電室20の外周壁筒を構成している捕集極21に接している。
【0040】
説明が前後したが、オイル・ミスト捕集装置10は、前述の如く椀形の有底ブリーザ・ケース23をそなえ、当該有底ブリーザ・ケース23の上端開口部に、図3に示す如き形状をもつブリーザ・ケース蓋24の下端開口部24aが嵌合される。なお図3に示すブリーザ・ケース蓋24の図示右側は外面図であり、図示左側は断面図である。ブリーザ・ケース蓋24の内側段差部24bの位置に前述の電源部密閉用蓋26が嵌合される。また当該内側段差部24bの上部の内部空間に、図1に示す電源部25が存在することになる。
【0041】
前述のガス供給筒状空間14の下端開口部には、図8に示す捕集極下部固定部材30が嵌合されている。
【0042】
図8(A)は上面図、図8(B)は断面図、図8(C)は下面図を表している。
【0043】
捕集極下部固定部材30の中央部に円筒状部30aが形成されていて、前述のガス供給筒状空間14に嵌合される。
【0044】
捕集極下部固定部材30の下端には、円筒状部30aの外周に円板状部30bがもうけられる。そして当該円板状部30bに、6個の穴30cがもうけられる。当該穴30cの夫々が、図13に後述する如く、捕集極21の下端開口に対応している。そして、穴30cの外周部に存在する段差部30dの所に、捕集極21の下端が支えられる。したがって捕集極21においては、上端が捕集極上部固定部材29に支えられ、下端が捕集極下部固定部材30の前記段差部30dの所で支えられる。穴30cの外周部を構成する壁と段差部30dとの間に溝30eがもうけられる。詳細には図13を参照して説明される。
【0045】
オイル・ミスト捕集装置10における前記ブリーザ・ケース23の中心部に、前記捕集極下部固定部材30における円筒状部30aと嵌合する円筒状部23aが存在(図1参照)する。当該円筒状部23aの外周に、当該円筒状部23aを包むように、ブローバイガス収容空間28が形成される。なお、当該ブローバイガス収容空間28の外部上面に、図1に示す如く、図11に示す形状の針電極下部固定部材32が載置される。
【0046】
なお、図11(A)は上面図、図11(B)は断面図、図11(C)は下面図を表している。針電極下部固定部材32には中央部に、前記ブリーザ・ケース23の円筒状部23aと嵌合する穴32aが存在し、当該穴32aの周辺に円板状部32bがもうけられ、当該円板状部32bから6個の足32cがもうけられている。そして、6個の足32cの夫々の先端部にネジ孔32d(図11(B)参照)がもうけられている。そして、当該ネジ孔32dに対して、針電極22の下端がネジ止められる(図1参照)。前述の如く、針電極22の上端は針電極上部固定部材31に支持されており、針電極22は機械的に固定される。
【0047】
なお、図10は針電極22を示し、図10(A)は断面図、図10(B)は側面図を示す。針電極22は、金属板を図10(B)に示す形状に打抜いて形成される。針電極22の上端には前述の針電極上部固定部材31に挿入される頭部22aをもち、針電極22の下端には前述の如くネジ止めされる孔22bをもち、針電極22の棒状部には、多数の尖状突起22cがもうけられている。針電極22には、前述の針電極上部固定部材31を介して、電源部25からマイナス電位が印加される。
【0048】
図12は捕集極上部固定部材と捕集極との係合状態を説明する図である。捕集極21の上端部は、図示の如く、環状突起29cの外周をめぐるようにもうけられて溝29dの更に外側に係合される。この溝29dは、捕集極上部固定部材29に係合された捕集極21の上端部の近傍に、水滴や導電性の物質が付着しないようにもうけられるものである(例えば付着しても環状突起29cを伝わって排除される)。
【0049】
また図13は捕集極下部固定部材と捕集極との係合状態を説明する図である。捕集極21の下端部は、図示の如く、環状の溝30eを形成する外周壁に係合される。なおこの溝30eを形成する内壁の突起は、図12に示す溝29dにおける環状突起29cと同様な作用、即ち、溝30eの近傍(図1参照)には付着するかも知れない水滴や導電性の物質を排除する作用を行う。
【0050】
図1に示す如く、ブローバイガス収容空間28に導かれたブローバイガスは、当該収容空間28の底面に穿たれている環状の孔を通って、フィルタ33内の隙間を通り抜け、前述のガス供給筒状空間14に導かれる。そして、当該ブローバイガスはガス供給筒状空間14の上部開口から、6個の筒状放電室20に導かれる。
【0051】
6個の筒状放電室20の各室内において、図2に示す如く、針電極22の尖状突起22cの所で、放電が生じ、ブローバイガス中に含まれるオイル・ミストがマイナス電位に帯電され、捕集極21に付着される。当該付着されたオイル・ミストは比較的大きいかたまりのオイル滴となり、図2に示す如く、捕集極21の下端からオイル滴として滴下する。
【0052】
当該滴下したオイル滴は、図1図示の逆止弁37を通って、底部空間27に貯り、逆止弁35を通って、エンジンのクランク・ケース3内に戻される。
【0053】
なお、本発明の場合の実験によると、筒状放電室20として外径70mm高さ約100mmのものを用い、複数の筒状放電室群を用いることによる流路断面積が大となることと捕集極の表面積が広くなることから、その結果ブローバイガスの流速が筒状放電室群の部分で遅くなって、オイル・ミストの分離効率は90%以上のものとなった。
【0054】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明によれば、捕集極と放電電極との間に数kvの高電圧を印加して、両電極間でグロー放電に匹敵する放電を生じさせ、両電極間で連続して数100μAの電流を流すことができて分離効率を向上させることができた。また放電室を複数個の互いに分離した筒状放電室とし、各筒状放電室を構成する捕集極と針電極とを夫々上下で固定するようにしていることから、特に針電極の機械的支持が確実となり、捕集極と針電極との間に高電圧を印加した際にも針電極が非所望にふらつくことがない。またエンジンを搭載している車体が振動してオイル・ミスト捕集装置が振動した場合にも、針電極が非所望にふらつくことがない。
【0055】
更に、複数個の筒状放電室を並べた形となっているので、例えば、筒状放電室を交換するような場合でも、1つ1つの筒状放電室を個別に交換することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオイル・ミスト捕集装置の一実施例断面構造を示す。
【図2】本発明に用いる1つの放電室についての原理説明図である。
【図3】ブリーザ・ケース蓋を説明する図である。
【図4】電源部密閉用蓋を説明する図である。
【図5】針電極上部固定部材を説明する図である。
【図6】捕集極給電刷子を説明する図である。
【図7】捕集極上部固定部材を説明する図である。
【図8】捕集極下部固定部材を説明する図である。
【図9】捕集極を説明する図である。
【図10】針電極を説明する図である。
【図11】針電極下部固定部材を説明する図である。
【図12】捕集極上部固定部材と捕集極との係合状態を説明する図である。
【図13】捕集極下部固定部材と捕集極との係合状態を説明する図である。
【図14】従来からエンジンに対して、オイル・ミスト捕集装置が配置される配置関係を説明する説明図である。
【図15】従来から存在するフィルタ使用のオイル・ミスト捕集装置の原理的構成を示す図である。
【符号の説明】
1:エンジン
2:シリンダ
3:クランク・ケース
4:ピストン
5:クランク軸
6:吸気管
7:吸気弁
8:排気管
9:排気弁
10:オイル・ミスト捕集装置
11:ブローバイガス導入管
12:連結管
13:オイル・ドレイン管
14:ガス供給筒状空間
20:放電室
21:捕集極
22:針電極
23:有底ブリーザ・ケース
24:ブリーザ・ケース蓋
25:電源部
26:電源部密閉用蓋
27:底部空間
28:ブローバイガス収容空間
29:捕集極上部固定部材
30:捕集極下部固定部材
31:針電極上部固定部材
32:針電極下部固定部材
33:フィルタ
38:捕集極給電刷子
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのクランク・ケース内においてブローバイガス中にオイル・ミストとして飛散しているエンジン・オイルを捕集するオイル・ミスト捕集装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14は、従来からエンジンに対して、オイル・ミスト捕集装置が配置される配置関係を説明する説明図である。
【0003】
図中の符号1はエンジン、2はシリンダ、3はクランク・ケース、4はピストン、5はクランク軸、6は吸気管、7は吸気弁、8は排気管、9は排気弁を表している。そして、10は本発明の対象となるオイル・ミスト捕集装置(ブリーザ)、11はブローバイガス導入管、12はエンジンの吸気管に連結される連結管、13はオイル・ドレイン管を表している。
【0004】
なお、エンジン・オイルはクランク・ケースの底部に存在しており、ブローバイガスはクランク・ケースの上部から中部にかけての空間内に存在しているオイル・ミストを含んでいる。
【0005】
エンジン1のシリンダ2内でピストン4が往復動せしめられ、ピストン4と連結されるクランク軸5が回転駆動される。クランク・ケース3内にはエンジン・オイルが存在するが、クランク軸5が回転することなどに伴ってブローバイガス中にオイル・ミストが飛散する。
【0006】
従来から、ブローバイガス中のオイル・ミストを捕集することが行われていて、オイル・ミスト捕集装置(ブリーザ)10が図14に示す例の如く、もうけられている。
【0007】
この種のオイル・ミスト捕集装置に関して、高圧電源を備えた電極間に静電場を発生させてオイル・ミストを捕集しオイルを分離する技術として、例えば特許文献1が知られている。
【0008】
図15は従来から存在するフィルタ使用のオイル・ミスト捕集装置の原理的構成を示している。図中の符号10ないし13は図14に対応している。そして、14はガス供給筒状空間、15は中空筒状体のフィルタ(濾紙)、16はバネ体を表している。
【0009】
オイル・ミストを含んだブローバイガスは、筒状のオイル・ミスト捕集装置10の下方の中央位置から導かれ、ガス供給筒状空間14の下方から上方に立上げられ、中空筒状体のフィルタ15を貫通し、気体成分は連結管12に導かれ、オイルはフィルタ15で分離されて下方に落下してオイル・ドレイン管13にて排出される。
【0010】
【特許文献1】
特開平3−141811号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図15に示す如き従来のオイル・ミスト捕集装置の場合では、フィルタ15によるオイル・ミストの捕集は、指標として装置の前後で計測しているオイル・ミストの分離効率で約60%程度にとどまっている。
【0012】
また、フィルタ15を定期的に交換する必要があり、オイル・ミスト捕集装置が設けられているエンジンを搭載している自動車のユーザにとっては、メンテナンスの負担が大きい。
【0013】
また、特許文献1に示された技術では、静電場を形成しているが、静電場を形成するのみでは分離の原理がブローバイガス中の水分量に依存していることになるために、オイルの分離効率を向上させるには限界がある。
【0014】
更に近年、地球環境問題に対して積極的に取り組んだエンジン及びエンジン部品の開発は急務であり、市場において強く望まれている。従ってオイル・ミストを含んだブローバイガスが大気中へ放出されることは、環境の面からも抑制されなければならない。
【0015】
本発明はエンジンのブローバイガスに含まれるオイル・ミストを高電圧を印加した電極間に放電させた空間を通過させて電極にオイル・ミストを捕集させ、オイル・ミストの分離効率をより向上させる放電型ブリーザを提供することを目的とする。
【0016】
また図15に示す如き筒状形状のオイル・ミスト捕集装置10において、放電によるオイル・ミスト捕集機構を配置しようとすると、原理的には次のようなものとなる。
【0017】
即ち、図15に示す中空筒状体のフィルタ15の代わりに、2重円環状体の形状をもつ1つの放電室を形成する。そして、中空筒状の内側筒壁面と外側筒壁面とにプラス電極筒を配置し、互いに対向する内側筒壁面と外側筒壁面との間に、例えば筒状のマイナス電極あるいは全体を筒状に丸めたスダレ状のマイナス電極群を配置する。オイル・ミストを含んだブローバイガスは、ガス供給筒状空間の下方から上方に立上げられ、内側筒壁面と外側筒壁面とでいわば2重円環状体に形成している放電室に上部から導入され、そして、放電室内で放電によってオイル・ミストを捕集して、分離されたオイルを放電室の下方に落下させる。
【0018】
このような放電室を形成する場合には、2重円環状体を形成している放電室内の空間中央にマイナス電極あるいはマイナス電極群を配置する上での、機械的な支持構造に難点がある。また、マイナス電極やマイナス電極群の表面に、放電を発生し易くするための尖状の突起を形成しようとした場合にも難点がある。また電極の支持態様が不安定であることから、マイナス電極とプラス電極との間の間隙を小に保つことが困難である。
【0019】
したがって、本発明は、オイル・ミスト捕集装置を全体筒状形状とし、かつ筒状の放電室を複数個並設させることによって、マイナス電極の機械的支持を確実にしかつ尖状の突起を有するマイナス電極群をもうけ得るようにすることをも目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
そのため本発明は、請求項1の発明として、エンジンのクランク・ケース内のブローバイガスを導入するブローバイガス導入管と、エンジンの吸気管に連結される連結管と、エンジンのクランク・ケースに連結されるオイル・ドレイン管とをそなえ、
前記ブローバイガス導入管を介して導入されたブローバイガスに含まれるオイル・ミストを捕集してオイルを分離し、当該分離したオイルを前記エンジンのクランク・ケースに返却するオイル・ミスト捕集装置において、
複数個配置された筒状放電室群と、
複数個配置されている前記筒状放電室の夫々に対応して存在する捕集極と、
当該夫々の筒状放電室の中心軸位置に配置される放電電極と、
前記各捕集極と各放電電極とに対して高電圧を印加する電源部と、
をそなえ、前記筒状放電室群内において放電を生じさせ、ブローバイガスに含まれるオイル・ミストを捕集極に付着させる構成となる。
【0021】
また請求項2の発明として、エンジンのクランク・ケース内のブローバイガスを導入するブローバイガス導入管と、エンジンの吸気管に連結される連結管と、エンジンのクランク・ケースに連結されるオイル・ドレイン管とをそなえ、
前記ブローバイガス導入管を介して導入されたブローバイガスに含まれるオイル・ミストを捕集してオイルを分離し、当該分離したオイルを前記エンジンのクランク・ケースに返却するオイル・ミスト捕集装置において
外壁を構成する有底のブリーザ・ケース体と、当該有底のブリーザ・ケース体を覆いかつ内部空間に電源部を収容するブリーザ・ケース蓋とを有する筒状に構成されてなり、
当該オイル・ミスト捕集装置の筒状中央部に形成されて、前記ブローバイガス導入管から導入されたブローバイガスを、当該オイル・ミスト捕集装置の上部方向に供給するガス供給筒状空間と、
当該ガス供給筒状空間の外周に沿うように並べて、複数個配置された筒状放電室群と、
前記ガス供給筒状空間の上部を覆いかつ並べて前記複数個配置された筒状放電室群の上部を覆い、当該ガス供給筒状空間と当該筒状放電室群とに対して前記電源部を分離する電源部密閉用蓋と、
複数個配置されている前記筒状放電室の夫々の外周壁筒を構成する捕集極と、
当該夫々の筒状放電室の中心軸位置に配置される放電電極と、
当該夫々の筒状放電室において分離されたオイルを受入れかつ前記オイル・ドレイン管に連結される有底のブリーザ・ケースの内部底部空間と、
をそなえ、
前記電源部密閉用蓋が前記複数個配置されている前記筒状放電室における前記捕集極と前記放電電極とを、機械的に支持し、
かつ、前記筒状放電室内を通ってオイルを分離された気体が前記連結管を介して前記吸気管に導かれる構成となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のオイル・ミスト捕集装置の一実施例断面構造を示す。
【0023】
図中の符号10はオイル・ミスト捕集装置、11はブローバイガス導入管、12は連結管、13はオイル・ドレイン管、14はガス供給筒状空間、20は放電室、21は捕集極、22は放電電極である針電極、23は有底ブリーザ・ケース、24はブリーザ・ケース蓋、25は電源部、26は電源部密閉用蓋、27は底部空間、28はブローバイガス収容空間、29は捕集極上部固定部材、30は捕集極下部固定部材、31は針電極上部固定部材、32は針電極下部固定部材、33は金網状のフィルタ、34はスプリング、35は逆止弁、36は調圧弁、37は逆止弁を表している。また38は捕集極給電刷子を表している。
【0024】
オイル・ミスト捕集装置10は、全体的にみて図示の場合には円筒状体に構成されている。そして、当該円筒状体の筒状中央部に、ブローバイガスを下方から上方に導くガス供給筒状空間14が配置されている。
【0025】
図2は本発明に用いられる1つの放電室についての原理的説明図である。図2では複数個存在する放電室の1つについて縦割りした状態を表している。
【0026】
図中の符号20は放電室、21はプラス電位を与えられる捕集極であって例えば円環状に形成されているもの、22は放電電極を構成する針電極であって金属板を打抜いて多数の尖状突起22cをもつものを示す。
【0027】
言うまでもなく針電極22は、例えば円環状の放電室20内の空間の中央部に固定される。そして、放電室20の外周壁筒を形成している捕集極21にプラス電位が与えられ、針電極22にマイナス電位が与えられ、放電室20の内部空間にオイル・ミストを含んだブローバイガスが導かれる。
【0028】
このような放電室20内において、ブローバイガスに含まれていたオイル・ミストはマイナス電位に帯電されて捕集極21の内側に付着する。当該捕集されたオイル・ミストはオイル滴となって下方に落下する。
【0029】
捕集極21(プラス側)と針電極22(マイナス側)との間には数kvの高電圧を印加して、両電極間でグロー放電に匹敵する放電(コロナ放電状態から更に大気圧の下でのグロー放電に近い放電状態に進めて──以下同様)を生じさせ、両極間に連続して数100μAの電流を流すことにより、放電室20を通過するブローバイガスに含まれるオイル・ミストは電離、イオン化されて捕集極に集まる。
【0030】
図1に戻りガス供給筒状空間14の外周に沿うように、図示実施例の場合には、6個の筒状放電室20が並べられて配置され、筒状放電室群を形成している。個々の筒状放電室20は、図9を参照して後述するように、円筒形状をしており、外周壁筒が金属(例えばステンレス)性の捕集極21とされ、筒状放電室20の中心軸位置に、図10を参照して後述するように、尖状突起をもつ針電極22が配置されている。
【0031】
ガス供給筒状空間14の上部と6個並んでいる筒状放電室20の上部とを覆い、かつ電源部25とを分離する形で、電源部密閉用蓋26が配置される。そして当該電源部密閉用蓋26の内周面に配置されている捕集極上部固定部材29と一緒になって、ガス供給筒状空間14内を立ちのぼってきたブローバイガスが前述の6個の夫々の筒状放電室20の上部から当該各筒状放電室20に導かれる。
【0032】
電源部密閉用蓋26は、図4に示す如き形状を有する絶縁体で構成されている。図4において、図4(A)は上面図、図4(B)は断面図、図4(C)は下面図を表している。電源部密閉用蓋26には、円弧に沿う形で6個のスリット26aが貫通されており、当該スリット26aの位置に補強突起26bがもうけられている。そして、後述するように捕集極給電刷子38は電源部密閉用蓋26と一体に成形されている。なお、スリット26aの各位置に、前述の針電極22の上端が貫通されることになる。
【0033】
電源部密閉用蓋26の上面に、図5に示す針電極上部固定部材31が取り付けられる。図5(A)は上面図、図5(B)は断面図を表している。当該針電極上部固定部材31は、6個の足31aをもつ金属板で構成され、各足31aの先端部に針電極保持バネ31bがもうけられ、針電極上部固定部材31の中央部に通電端子31cがもうけられている。
【0034】
電源部密閉用蓋26の上面に針電極上部固定部材31が重ねられ、針電極22の上端が電源部密閉用蓋26の下面からスリット26aと針電極保持バネ31bとに貫通され、針電極22の上部が固定される。
【0035】
電源部密閉用蓋26の内周面に対して、図7に示す如き形状をもつ捕集極上部固定部材29がはめ込まれる。図7(A)は上面図、図7(B)は断面図、図7(C)は下面図を表している。
【0036】
捕集極上部固定部材29においては、中心部に、前述のガス供給筒状空間14の上部開口に対応する大きさの開口29aがもうけられ、当該開口29aの周囲の板状部に6個の小開口29bがあけられている。
【0037】
なお当該6個の小開口29bは夫々、図9に示す捕集極21の上部開口部と対応するようにされる。図9(A)は上面図、図9(B)は断面図を表している。なお、捕集極21の上端部は、捕集極上部固定部材29における前記小開口29bの回りにもうけられている環状突起29cの外周に溝29dを介在させてはめ合わされて固定される。詳細には図12を参照して説明される。
【0038】
また前述の電源部密閉用蓋26には図6に示す捕集極給電刷子38が一体に成形され、図1に示す如く、当該捕集極給電刷子38が捕集極21の上部外周面に接触し、捕集極21にプラス電位が印加される。
【0039】
なお、図6(A)は上面図、図6(B)は断面図を表している。捕集極給電刷子38は環状の輪38aをもち、6個の通電突起38bがもうけられている。各通電突起38bが夫々1つ1つの筒状放電室20の外周壁筒を構成している捕集極21に接している。
【0040】
説明が前後したが、オイル・ミスト捕集装置10は、前述の如く椀形の有底ブリーザ・ケース23をそなえ、当該有底ブリーザ・ケース23の上端開口部に、図3に示す如き形状をもつブリーザ・ケース蓋24の下端開口部24aが嵌合される。なお図3に示すブリーザ・ケース蓋24の図示右側は外面図であり、図示左側は断面図である。ブリーザ・ケース蓋24の内側段差部24bの位置に前述の電源部密閉用蓋26が嵌合される。また当該内側段差部24bの上部の内部空間に、図1に示す電源部25が存在することになる。
【0041】
前述のガス供給筒状空間14の下端開口部には、図8に示す捕集極下部固定部材30が嵌合されている。
【0042】
図8(A)は上面図、図8(B)は断面図、図8(C)は下面図を表している。
【0043】
捕集極下部固定部材30の中央部に円筒状部30aが形成されていて、前述のガス供給筒状空間14に嵌合される。
【0044】
捕集極下部固定部材30の下端には、円筒状部30aの外周に円板状部30bがもうけられる。そして当該円板状部30bに、6個の穴30cがもうけられる。当該穴30cの夫々が、図13に後述する如く、捕集極21の下端開口に対応している。そして、穴30cの外周部に存在する段差部30dの所に、捕集極21の下端が支えられる。したがって捕集極21においては、上端が捕集極上部固定部材29に支えられ、下端が捕集極下部固定部材30の前記段差部30dの所で支えられる。穴30cの外周部を構成する壁と段差部30dとの間に溝30eがもうけられる。詳細には図13を参照して説明される。
【0045】
オイル・ミスト捕集装置10における前記ブリーザ・ケース23の中心部に、前記捕集極下部固定部材30における円筒状部30aと嵌合する円筒状部23aが存在(図1参照)する。当該円筒状部23aの外周に、当該円筒状部23aを包むように、ブローバイガス収容空間28が形成される。なお、当該ブローバイガス収容空間28の外部上面に、図1に示す如く、図11に示す形状の針電極下部固定部材32が載置される。
【0046】
なお、図11(A)は上面図、図11(B)は断面図、図11(C)は下面図を表している。針電極下部固定部材32には中央部に、前記ブリーザ・ケース23の円筒状部23aと嵌合する穴32aが存在し、当該穴32aの周辺に円板状部32bがもうけられ、当該円板状部32bから6個の足32cがもうけられている。そして、6個の足32cの夫々の先端部にネジ孔32d(図11(B)参照)がもうけられている。そして、当該ネジ孔32dに対して、針電極22の下端がネジ止められる(図1参照)。前述の如く、針電極22の上端は針電極上部固定部材31に支持されており、針電極22は機械的に固定される。
【0047】
なお、図10は針電極22を示し、図10(A)は断面図、図10(B)は側面図を示す。針電極22は、金属板を図10(B)に示す形状に打抜いて形成される。針電極22の上端には前述の針電極上部固定部材31に挿入される頭部22aをもち、針電極22の下端には前述の如くネジ止めされる孔22bをもち、針電極22の棒状部には、多数の尖状突起22cがもうけられている。針電極22には、前述の針電極上部固定部材31を介して、電源部25からマイナス電位が印加される。
【0048】
図12は捕集極上部固定部材と捕集極との係合状態を説明する図である。捕集極21の上端部は、図示の如く、環状突起29cの外周をめぐるようにもうけられて溝29dの更に外側に係合される。この溝29dは、捕集極上部固定部材29に係合された捕集極21の上端部の近傍に、水滴や導電性の物質が付着しないようにもうけられるものである(例えば付着しても環状突起29cを伝わって排除される)。
【0049】
また図13は捕集極下部固定部材と捕集極との係合状態を説明する図である。捕集極21の下端部は、図示の如く、環状の溝30eを形成する外周壁に係合される。なおこの溝30eを形成する内壁の突起は、図12に示す溝29dにおける環状突起29cと同様な作用、即ち、溝30eの近傍(図1参照)には付着するかも知れない水滴や導電性の物質を排除する作用を行う。
【0050】
図1に示す如く、ブローバイガス収容空間28に導かれたブローバイガスは、当該収容空間28の底面に穿たれている環状の孔を通って、フィルタ33内の隙間を通り抜け、前述のガス供給筒状空間14に導かれる。そして、当該ブローバイガスはガス供給筒状空間14の上部開口から、6個の筒状放電室20に導かれる。
【0051】
6個の筒状放電室20の各室内において、図2に示す如く、針電極22の尖状突起22cの所で、放電が生じ、ブローバイガス中に含まれるオイル・ミストがマイナス電位に帯電され、捕集極21に付着される。当該付着されたオイル・ミストは比較的大きいかたまりのオイル滴となり、図2に示す如く、捕集極21の下端からオイル滴として滴下する。
【0052】
当該滴下したオイル滴は、図1図示の逆止弁37を通って、底部空間27に貯り、逆止弁35を通って、エンジンのクランク・ケース3内に戻される。
【0053】
なお、本発明の場合の実験によると、筒状放電室20として外径70mm高さ約100mmのものを用い、複数の筒状放電室群を用いることによる流路断面積が大となることと捕集極の表面積が広くなることから、その結果ブローバイガスの流速が筒状放電室群の部分で遅くなって、オイル・ミストの分離効率は90%以上のものとなった。
【0054】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明によれば、捕集極と放電電極との間に数kvの高電圧を印加して、両電極間でグロー放電に匹敵する放電を生じさせ、両電極間で連続して数100μAの電流を流すことができて分離効率を向上させることができた。また放電室を複数個の互いに分離した筒状放電室とし、各筒状放電室を構成する捕集極と針電極とを夫々上下で固定するようにしていることから、特に針電極の機械的支持が確実となり、捕集極と針電極との間に高電圧を印加した際にも針電極が非所望にふらつくことがない。またエンジンを搭載している車体が振動してオイル・ミスト捕集装置が振動した場合にも、針電極が非所望にふらつくことがない。
【0055】
更に、複数個の筒状放電室を並べた形となっているので、例えば、筒状放電室を交換するような場合でも、1つ1つの筒状放電室を個別に交換することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオイル・ミスト捕集装置の一実施例断面構造を示す。
【図2】本発明に用いる1つの放電室についての原理説明図である。
【図3】ブリーザ・ケース蓋を説明する図である。
【図4】電源部密閉用蓋を説明する図である。
【図5】針電極上部固定部材を説明する図である。
【図6】捕集極給電刷子を説明する図である。
【図7】捕集極上部固定部材を説明する図である。
【図8】捕集極下部固定部材を説明する図である。
【図9】捕集極を説明する図である。
【図10】針電極を説明する図である。
【図11】針電極下部固定部材を説明する図である。
【図12】捕集極上部固定部材と捕集極との係合状態を説明する図である。
【図13】捕集極下部固定部材と捕集極との係合状態を説明する図である。
【図14】従来からエンジンに対して、オイル・ミスト捕集装置が配置される配置関係を説明する説明図である。
【図15】従来から存在するフィルタ使用のオイル・ミスト捕集装置の原理的構成を示す図である。
【符号の説明】
1:エンジン
2:シリンダ
3:クランク・ケース
4:ピストン
5:クランク軸
6:吸気管
7:吸気弁
8:排気管
9:排気弁
10:オイル・ミスト捕集装置
11:ブローバイガス導入管
12:連結管
13:オイル・ドレイン管
14:ガス供給筒状空間
20:放電室
21:捕集極
22:針電極
23:有底ブリーザ・ケース
24:ブリーザ・ケース蓋
25:電源部
26:電源部密閉用蓋
27:底部空間
28:ブローバイガス収容空間
29:捕集極上部固定部材
30:捕集極下部固定部材
31:針電極上部固定部材
32:針電極下部固定部材
33:フィルタ
38:捕集極給電刷子
Claims (4)
- エンジンのクランク・ケース内のブローバイガスを導入するブローバイガス導入管と、エンジンの吸気管に連結される連結管と、エンジンのクランク・ケースに連結されるオイル・ドレイン管とをそなえ、
前記ブローバイガス導入管を介して導入されたブローバイガスに含まれるオイル・ミストを捕集してオイルを分離し、当該分離したオイルを前記エンジンのクランク・ケースに返却するオイル・ミスト捕集装置において、
複数個配置された筒状放電室群と、
複数個配置されている前記筒状放電室の夫々に対応して存在する捕集極と、
当該夫々の筒状放電室の中心軸位置に配置される放電電極と、
前記各捕集極と各放電電極とに対して高電圧を印加する電源部と、
をそなえ、前記筒状放電室群内において放電を生じさせ、ブローバイガスに含まれるオイル・ミストを捕集極に付着させる
ことを特徴とするオイル・ミスト捕集装置。 - エンジンのクランク・ケース内のブローバイガスを導入するブローバイガス導入管と、エンジンの吸気管に連結される連結管と、エンジンのクランク・ケースに連結されるオイル・ドレイン管とをそなえ、
前記ブローバイガス導入管を介して導入されたブローバイガスに含まれるオイル・ミストを捕集してオイルを分離し、当該分離したオイルを前記エンジンのクランク・ケースに返却するオイル・ミスト捕集装置において、
外壁を構成する有底のブリーザ・ケース体と、当該有底のブリーザ・ケース体を覆いかつ内部空間に電源部を収容するブリーザ・ケース蓋とを有する筒状に構成されてなり、
当該オイル・ミスト捕集装置の筒状中央部に形成されて、前記ブローバイガス導入管から導入されたブローバイガスを、当該オイル・ミスト捕集装置の上部方向に供給するガス供給筒状空間と、
当該ガス供給筒状空間の外周に沿うように並べて、複数個配置された筒状放電室群と、
前記ガス供給筒状空間の上部を覆いかつ並べて前記複数個配置された筒状放電室群の上部を覆い、当該ガス供給筒状空間と当該筒状放電室群とに対して前記電源部を分離する電源部密閉用蓋と、
複数個配置されている前記筒状放電室の夫々の外周壁筒を構成する捕集極と、
当該夫々の筒状放電室の中心軸位置に配置される放電電極と、
当該夫々の筒状放電室において分離されたオイルを受入れかつ前記オイル・ドレイン管に連結される有底のブリーザ・ケースの内部底部空間と、
をそなえ、
前記電源部密閉用蓋が前記複数個配置されている前記筒状放電室における前記捕集極と前記放電電極とを、機械的に支持し、
かつ、前記筒状放電室内を通ってオイルを分離された気体が前記連結管を介して前記吸気管に導かれる
ことを特徴とするオイル・ミスト捕集装置。 - 前記筒状に構成されているオイル・ミスト捕集装置が縦長方向に設置されることを特徴とする請求項2記載のオイル・ミスト捕集装置。
- 前記放電電極は、前記捕集極に対してマイナス電極を与えられ、かつ当該放電電極の外面に複数の尖状突起を有することを特徴とする請求項2記載のオイル・ミスト捕集装置。
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2003
- 2003-06-10 JP JP2003164550A patent/JP2005002811A/ja active Pending
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