JP2005002503A - 水着 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水ガラスにより表面処理されたハイドロタルサイト類化合物を含有するポリウレタン組成物から得られるポリウレタン弾性糸を含む伸縮性織編物を少なくとも一部に使用してなる水着。好ましくは、ポリウレタン弾性糸が含有するハイドロタルサイト類化合物の平均粒径が、2μm以下であり、かつ、粒径2μm以上の粒子が10体積%以下である前記の水着。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、セルロース系繊維等の非伸縮性繊維とポリウレタン弾性糸からなる伸縮性織編物を用いた水着に関する。更に詳しくは、塩素水環境下における劣化に対する安定性に優れた伸縮性織編物を用いた水着に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイソシアネート、比較的低分子量のポリマージオール及び低分子量の多官能性活性水素化合物から製造されるポリウレタンは、機械的性質が優れること、加工しやすいこと等の理由から、フォーム、エラストマー、塗料、合成皮革、繊維等の広い用途に用いられている。中でもポリイソシアネートとして4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネートを用いて得られたポリウレタン弾性繊維は、高度のゴム弾性を有し、引張応力、回復性等の機械的性質に優れ、さらに熱的挙動についても優れた性質を有している。そのため、ポリアミド、ポリエステル等の各種繊維と交編又は交織され、ファンデーション、ソックス、スポーツウェアー等の衣料用機能素材として近年ますます広範に使用されるようになっている。
【0003】
しかしながら、このような主としてセグメント化ポリウレタンからなる弾性繊維を使用した製品が塩素系漂白剤を含む洗剤など、塩素水環境下にさらされると、セグメント化ポリウレタンの物理的性質の大幅な低下が起こることが知られている。またポリウレタン弾性繊維を交編又は交織した水着は、水泳プール中で活性塩素濃度が0.5〜3ppmを含む水に長期間さらされると、繊維の物理的性質の低下が起こることが知られている。
【0004】
このようなポリウレタン弾性繊維の塩素に対する耐久性を改善するため、従来から各種の添加剤が提案されている。例えば、酸化亜鉛を含有するスパンデックス繊維が記載されている(特許文献1参照)。酸化亜鉛は確かに優れた耐塩素効果を示す。しかしながら、酸性条件下での編物の染色工程中に繊維から溶出するという欠点を有し、その結果、繊維の耐塩素性は低下し、さらにはその染色工程から生じる亜鉛を含む廃液により生物活性を利用した排水浄化プラント中のバクテリアが死滅するという重大な問題が生じる。また、ハイドロタルサイト類化合物を含むポリウレタン組成物(例えば、特許文献2参照。)が知られており、高級脂肪酸やシランカップリング剤で被覆されたハイドロタルサイト類化合物を含むポリウレタン組成物なども開示されている(特許文献3、4参照。)。しかしながらこれらのハイドロタルサイト類化合物の添加により得られる耐塩素性は十分でない。
【0005】
【特許文献1】
特開昭57−29609号公報(特許請求の範囲など)
【特許文献2】
特開昭59−133248号公報(特許請求の範囲など)
【特許文献3】
特開平3−292364号公報(請求項1など)
【特許文献4】
特開平5−78569号公報(請求項1など)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、優れた耐塩素性を有するポリウレタン組成物からなるポリウレタン弾性糸を用いた伸縮性織編物を水着の構成に用いることで前期課題を解決せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、水着用の伸縮性織編物に混用されるポリウレタン弾性糸に特定の物質により表面処理されたハイドロタルサイト類化合物を添加することにより、上記目的が達成されることを見いだし、本発明の完成に至った。
【0008】
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1.水ガラスにより表面処理されたハイドロタルサイト類化合物を含有するポリウレタン組成物から得られるポリウレタン弾性糸を含む伸縮性織編物を少なくとも一部に使用してなることを特徴とする水着。
2.伸縮性織編物が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、セルロース系繊維から選ばれる1種以上の繊維を非伸縮性繊維として用いてなることを特徴とする上記第1に記載の水着。
3.ポリウレタン弾性糸が含有するハイドロタルサイト類化合物の平均粒径が、2μm以下であり、かつ、粒径2μm以上の粒子が10体積%以下であることを特徴とする上記第1又は第2に記載の水着。
4.ポリウレタン弾性糸が含有するハイドロタルサイト類化合物が、0.5〜5重量%であることを特徴とする上記第1〜第3のいずれかに記載の水着。
5.上記第1〜第4のいずれかに記載の伸縮性織編物が、ポリウレタン弾性糸をベア(裸)糸若しくはその複合弾性糸として交編又は交織されてなることを特徴とする水着。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のハイドロタルサイト類化合物の表面処理剤として用いられる水ガラスは、ケイ砂(SiO2)とソーダ灰(Na2CO3)をNa2CO3/SiO2=1.6〜3.8程度に混合し、加熱溶融したものの濃厚水溶液で、耐熱性接着剤や粘土泥漿の解膠剤などとして一般的に利用されている。ハイドロタルサイト類化合物を表面処理していないと、伸縮性織編物を加工する後加工工程において、ハイドロタルサイト類化合物への染料の吸着やポリウレタン弾性繊維からのハイドロタルサイト類化合物の脱落が起こりやすく、最終製品における耐塩素性が低下する。また、水ガラス以外の化合物による表面処理では、後加工工程におけるハイドロタルサイト類化合物への染料の吸着やポリウレタン弾性繊維からのハイドロタルサイト類化合物の脱落に対し、その防止効果が不十分であり、最終製品における耐塩素性も十分でない。
【0010】
本発明で伸縮性織編物が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、セルロース系繊維から選ばれる1種以上の繊維を非伸縮性繊維として用いていることが望ましい
【0011】
ポリエステル系繊維とは、当業者に知られている ポリエステル系繊維のことであり、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびこれらのカチオン可染型変成物などを代表的な例として挙げることが出来る。
【0012】
本発明で用いられるポリアミド系繊維とは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、およびこれらのカチオン可染型変成物やポリアミド/エステル複合繊維であり、任意の繊度、断面形状のものが使用出来る。
【0013】
更に本発明に使用されるセルロール系繊維とは、綿、レーヨンあるいはこれらとポリエステル系繊維などの混紡糸、綿、レーヨンなどとポリアミド/ポリエステル長繊維との複合糸などであり、任意の繊度を選ぶことが出来る。
【0014】
またウール、カシミア、アルパカなどの獣毛繊維、絹、アクリル系繊維、プロミックス繊維なども非弾性糸として使用でき、特に限定されるものでは無い。
【0015】
本発明に使用されるハイドロタルサイト類化合物は平均粒径が2μm以下であり、かつ粒径2μm以上の粒子が10重量%以下であることが好ましい。平均粒径が2μmを越えると耐塩素効果を発現するのに必要なハイドロタルサイト粒子の有効表面積が小さくなり、満足な耐塩素効果が得づらくなるのであまり好ましくない。また粒径2μm以上の粒子が10重量%を越えると紡糸工程におけるフィルター詰まり、糸切れが頻発し、長期の安定紡糸が困難となるため、あまり好ましくない。
【0016】
本発明に使用されるハイドロタルサイト類化合物の含有量は、ポリウレタンに対して0.5〜5重量%、好ましくは2〜4重量%である。0.5重量%未満の添加量では耐塩素効果が不十分であり、また5重量%を越える添加は繊維の物理的性質に悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0017】
本発明で使用するポリウレタンは、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系など、公知のポリウレタンを挙げることができる。かかるポリウレタンは、ポリイソシアネート、ポリマージオール、所望により低分子多官能活性水素化合物を反応させて得ることができる。
【0018】
ポリイソシアネートとしては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの1種又はこれらの混合物を用いることができる。好ましくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0019】
ポリマージオールは、両末端にヒドロキシル基を持つ分子量が600〜7000の実質的に線状の重合体として、例えばポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリペンタメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルポリオールや、コポリ(テトラメチレン・ネオペンチレン)エーテルジオール、コポリ(テトラメチレン・2−メチルブチレン)エーテルジオール、コポリ(テトラメチレン・2,3−ジメチルブチレン)エーテルジオール、コポリ(テトラメチレン・2,2−ジメチルブチレン)エーテルジオールなどの2種以上の炭素数6以下のアルキレン基を含むコポリエーテルポリオールや、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、ドデカンジカルボン酸、β−メチルアジピン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの二塩基酸の1種又は2種以上の混合物とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサンなどのグリコールの1種あるいは2種以上の混合物から得られるポリエステルポリオールや、ポリエーテルエステルジオール、ポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオールなどの任意のポリオールを用いることができる。
【0020】
低分子多官能活性水素化合物としては、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を分子中に二つ以上有する化合物(鎖延長剤)を挙げることができる。鎖延長剤として、例えば、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアミンや、エチレングリコール、ブタンジオールなどのポリオール、ポリヒドラジド、ポリセミカルバジド、ポリヒドロキシルアミン、水、ヒドラジン、などの1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0021】
また鎖延長剤と共に末端停止剤として、分子中にイソシアネート基と反応しうる活性水素基をただ1つ有する化合物を併用することもできる。活性水素基を分子中に1つだけ有する化合物として、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミンなどのジアルキルアミンや、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、エタノールアミンなどのモノアルキルアミンや、n−ブタノールなどのモノオール、エチレンジアミンとアセトンの1:1反応物などのジアミンとケトンの脱水縮合物、N ,N−ジメチルヒドラジンなどの1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。
【0022】
ポリウレタンは公知の方法で重合することができる。例えば、溶融重合、溶液重合など任意の方法及びそれらの組合せによって重合することができる。また、原料を一括して混合して反応させるワンショット法、あるいは、まずプレポリマーを形成し鎖延長するプレポリマー法など任意の方法をとることができる。
【0023】
また、反応速度調整剤として、酢酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸や炭酸ガスなどを、重合反応中の任意の段階で適当な量を添加することもできる。これらの反応調節剤は、プレポリマー反応終了後、鎖延長反応終了までに添加することが好ましい。またこれらの反応速度調節剤は、鎖延長剤や末端停止剤と混合して加えてもよい。
【0024】
重合されたポリウレタンは公知の方法で成形し、おのおのの目的に使用することができる。また乾式紡糸法、溶融紡糸法、湿式紡糸法など公知の方法により紡糸され、目的とする繊維が製造される。本発明のハイドロタルサイト類化合物は、紡糸前の任意の段階で添加することが可能である。また任意の安定剤、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、ガス黄変防止剤、光安定剤、着色剤、つや消し剤、充填剤等を単独、又は必要に応じて組み合わせて使用することも可能である。
【0025】
本発明で用いられるポリウレタン弾性糸は通常、ベア(裸)糸や、シングルカバーリング糸、ダブルカバーリング、エアーカバリング糸、コアスパン糸、プライヤーンなどの複合弾性糸の状態で使用される。
【0026】
本発明で対象とする水着は、このポリウレタン弾性糸と前記のポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、およびセルロース系繊維などの非弾性繊維からなる伸縮性織編物を用いたものであり、丸編みでは平編、両面編、リブ編、パール編やこれらの変化編地、経編ではトリコット編地、ラッセル編地、更には織物などであって特に限定されるものではない。経編組織としてはトリコット編地の場合 ハーフ編、逆ハーフ編、ダブルデンビー編、ダブルアトラス編、ラッセル編地ではパワーネット、ハーフパワーネット、サテンネット、トリコネットなどを例示することが出来る。最近では、パレオなどの水着の付属品として織物生地も使用される。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。なお実施例中の部、及び%は特にことわりがない限り、それぞれ重量部、及び重量%を表す。
【0028】
(平均粒径測定法)
ハイドロタルサイト類化合物を1重量%の水スラリーとし、粒度分布測定装置(堀場製作所LA−910)により測定した。
【0029】
(ポリウレタン弾性糸の耐塩素性評価試験法)
44デシテックスのポリウレタン弾性繊維を一口編機(小池製作所製)を用いて、コース108/2.54cm、ウェール178/2.54cmの筒編地を作成した。この試料に対し、一般的なナイロン染色のモデル後加工処理として、95℃、1分の精錬処理、190℃、1分のプレセット処理、ナイロン染色用の染料および助剤の存在下、93℃、30分の染色処理、ソーダ灰の存在下、70℃、10分のソーピング処理、および180℃、1分のファイナルセット処理を連続して行い、評価用試料とした。この試料を活性塩素濃度3ppm、pH7.5、水温30℃に保たれた水槽に120時間浸漬した。処理後の試料を蒸留水にて洗浄、風乾した後、編地を解編し、引張試験機(オリエンテック製RTM−250)を用いて単糸の強度を測定した。耐塩素性は塩素処理後の強度保持率(塩素未処理サンプル測定値との比の百分率)を算出することにより評価した。
【0030】
(紡糸安定性評価法)
ポリウレタン溶液を脱泡後、メッシュ粗さ30μmのフィルターを通過させ、孔径0.3mm、孔数4ホールの口金から押出し、乾式紡糸を行ない、44デシテックスのポリウレタン弾性繊維を得た。600m/minで巻き取り、10日間紡糸を継続した際の紡糸安定性を評価した。評価は、◎:非常に安定した紡糸が可能、○:安定した紡糸が可能、△:希に糸切れが発生、×:糸切れが多発、の4段階にて行った。
【0031】
(水着生地の耐塩素性評価方法)
水着の身生地に使用されている伸縮性編地をタテ14cm、ヨコ7cmとなる様、枠に貼り付け、その生地を流速1.4m/secの円形水槽(活性塩素濃度3ppm、pH7.5、水温30℃に保たれた水槽)に、タテヨコ共に1.4倍に伸長された状態で120時間浸漬した。処理後の試料を蒸留水にて洗浄、風乾した後、伸長力を測定した。耐塩素性は塩素処理後の応力保持率(塩素未処理サンプル測定値との比の百分率)を算出することにより評価した。伸長力の測定には引張試験機(オリエンテック製RTM−250)に布帛用エアチャックを取り付けた装置を用い、試料の幅が2.5cmになるようにカットし、チャック間距離を10cmにセットして取り付けた。経方向に80%伸長回復を3回繰り返し、3サイクル目の応力を求めた。測定は2回行い、その平均値を求めた。
【0032】
(ポリウレタン弾性糸製造実施例1)
数平均分子量1800のポリテトラメチレンエーテルグリコール238.42部と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート52.91部をN2気流下80℃で3時間反応させて、両末端がイソシアネート基のプレポリマーを得た。プレポリマーを40℃まで冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド520.09部を加えて溶解し、さらに10℃まで冷却した。エチレンジアミン4.73部とジエチルアミン0.43部をN,N−ジメチルアセトアミド101.27部に溶解した溶液を、高速撹拌しているプレポリマー溶液に一度に加え混合し反応を完結させた。この溶液に、酸化防止剤としてp−クロロメチルスチレン/p−クレゾール共重合体2.96部、紫外線吸収剤として2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミル)フェニル〕ベンゾトリアゾール(KEMISORB74/ケミプロ化成株式会社)1.48部、及び平均粒径が0.3μmの水ガラスで表面処理されたハイドロタルサイトをポリウレタンに対し3.5%加えて、撹拌混合しポリウレタン溶液を得た。
【0033】
ポリウレタン溶液を脱泡後、孔径0.3mm、孔数4ホールの口金から、250℃に加熱した空気を流した紡糸筒内に押出し、油剤を繊維に対して6重量%付与しつつ600m/minで巻き取り、44デシテックスのポリウレタン弾性糸を得た。
【0034】
紡糸安定性は糸切れなく非常に良好であった。また、得られたポリウレタン弾性糸は、長時間の塩素水処理に対して優れた耐久性を有するものであった。評価結果を表1に示す。
【0035】
(ポリウレタン弾性糸製造実施例2)
ポリウレタン弾性糸製造実施例1のハイドロタルサイトの代わりに平均粒径が1.0μmであるハイドロタルサイトを用いる以外は製造実施例1と同様の操作を行い、ポリウレタン弾性糸を得た。
【0036】
紡糸安定性は良好であった。また、得られたポリウレタン弾性糸は、長時間の塩素水処理に対して優れた耐久性を有するものであった。評価結果を表1に示す。
【0037】
(ポリウレタン弾性糸製造比較例1)
ポリウレタン弾性糸製造実施例1のハイドロタルサイトの代わりに平均粒径が0.3μmの水ガラスで表面処理されていないハイドロタルサイトを用いる以外はポリウレタン弾性糸製造実施例1と同様の操作を行い、ポリウレタン弾性糸を得た。
【0038】
紡糸安定性は良好であったが、得られたポリウレタン弾性糸は、長時間の塩素水処理に対する耐久性が劣っていた。評価結果を表1に示す。
【0039】
(ポリウレタン弾性糸製造比較例2)
ポリウレタン弾性糸製造実施例1のハイドロタルサイトの代わりに平均粒径が0.3μmのステアリン酸で表面処理されたハイドロタルサイトを用いる以外はポリウレタン弾性糸製造実施例1と同様の操作を行い、ポリウレタン弾性糸を得た。
【0040】
紡糸時に糸切れが発生し、紡糸安定性は不良であった。また、得られたポリウレタン弾性糸は、長時間の塩素水処理に対する耐久性がやや劣っていた。評価結果を表1に示す。
【0041】
(ポリウレタン弾性糸製造比較例3)
ポリウレタン弾性糸製造実施例1のハイドロタルサイトの代わりに平均粒径が2.5μmであるハイドロタルサイトを用いる以外はポリウレタン弾性糸製造実施例1と同様の操作を行い、ポリウレタン弾性糸を得た。
【0042】
紡糸時に糸切れが多発し紡糸安定性は不良であった。また、得られたポリウレタン弾性糸は塩素水に対する耐久性が劣っていた。評価結果を表1に示す。
【0043】
(ポリウレタン弾性糸製造比較例4)
ポリウレタン弾性糸製造実施例1のハイドロタルサイトをポリウレタンに対し0.3%用いる以外は製造実施例1と同様の操作を行い、ポリウレタン弾性糸を得た。
【0044】
紡糸安定性は非常に良好であったが、得られたポリウレタン弾性糸は塩素水に対する耐久性が大きく劣っていた。評価結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
(実施例1)
上記ポリウレタン弾性糸製造実施例1によって得られたポリウレタン弾性糸44デシテックスの糸とポリエステルの56デシテックス−24フィラメントを組合せて カールマイヤー社製トリコット編機(HKS2・32ゲージ)を使用してハーフ組織のトリコット2wayの生地を編成した。この生地を 当業者の知る、通常の染色仕上条件で精錬、リラックス、仮セットした後、通常の分散染料により染色した(温度130℃、40分)。染色後、通常のソーピング、脱水、ファイナルセットの各工程を通し、経密度108コース/2.54cm、緯密度63ウェール/2.54cmの生地を得た。該編地を身生地に使用して水着を作製した。
【0047】
編地の整経、編成におけるスパンデックスの糸切れはなく操業性は非常に良好であった。また、得られた編地は、長時間の塩素水処理に対して優れた耐久性を有するものであった。評価結果を表2に示す。
【0048】
(実施例2)
上記ポリウレタン弾性糸製造実施例2によって得られたポリウレタン弾性糸44デシテックスの糸とポリエステルの56デシテックス−24フィラメントを組合せて カールマイヤー社製トリコット編機(HKS2・32ゲージ)を使用してハーフ組織のトリコット2wayの生地を編成した。この生地を 当業者の知る、通常の染色仕上条件で精錬、リラックス、仮セットした後、通常の分散染料により染色した(温度130℃、40分)。染色後、通常のソーピング、脱水、ファイナルセットの各工程を通し、経密度108コース/2.54cm、緯密度63ウェール/2.54cmの生地を得た。該編地を身生地に使用して水着を作製した。
【0049】
編地の整経、編成におけるスパンデックスの糸切れはなく操業性は良好であった。また、得られた編地は、長時間の塩素水処理に対して優れた耐久性を有するものであった。評価結果を表2に示す。
【0050】
(比較例1)
上記ポリウレタン弾性糸製造比較例1によって得られたポリウレタン弾性糸44デシテックスの糸とポリエステルの56デシテックス−24フィラメントを組合せて カールマイヤー社製トリコット編機(HKS2・32ゲージ)を使用してハーフ組織のトリコット2wayの生地を編成した。この生地を 当業者の知る、通常の染色仕上条件で精錬、リラックス、仮セットした後、通常の分散染料により染色した(温度130℃、40分)。染色後、通常のソーピング、脱水、ファイナルセットの各工程を通し、経密度108コース/2.54cm、緯密度63ウェール/2.54cmの生地を得た。該編地を身生地に使用して水着を作製した。
【0051】
編地の整経、編成におけるスパンデックスの糸切れはなく操業性は良好であったが、得られた編地は、長時間の塩素水処理に対する耐久性が劣っていた。評価結果を表2に示す。
【0052】
(比較例2)
上記ポリウレタン弾性糸製造比較例2によって得られたポリウレタン弾性糸44デシテックスの糸とポリエステルの56デシテックス−24フィラメントを組合せて カールマイヤー社製トリコット編機(HKS2・32ゲージ)を使用してハーフ組織のトリコット2wayの生地を編成した。この生地を 当業者の知る、通常の染色仕上条件で精錬、リラックス、仮セットした後、通常の分散染料により染色した(温度130℃、40分)。染色後、通常のソーピング、脱水、ファイナルセットの各工程を通し、経密度108コース/2.54cm、緯密度63ウェール/2.54cmの生地を得た。該編地を身生地に使用して水着を作製した
【0053】
編地の整経、編成におけるスパンデックスの糸切れやフィラメント割れが多く操業性はあまり良くなかった。また、得られた編地は、長時間の塩素水処理に対する耐久性がやや劣っていた。評価結果を表2に示す。
【0054】
(比較例3)
上記ポリウレタン弾性糸製造比較例3によって得られたポリウレタン弾性糸44デシテックスの糸とポリエステルの56デシテックス−24フィラメントを組合せて カールマイヤー社製トリコット編機(HKS2・32ゲージ)を使用してハーフ組織のトリコット2wayの生地を編成した。この生地を 当業者の知る、通常の染色仕上条件で精錬、リラックス、仮セットした後、通常の分散染料により染色した(温度130℃、40分)。染色後、通常のソーピング、脱水、ファイナルセットの各工程を通し、経密度108コース/2.54cm、緯密度63ウェール/2.54cmの生地を得た。該編地を身生地に使用して水着を作製した。
【0055】
編地の整経、編成におけるスパンデックスの糸切れやフィラメント割れが多く操業性はあまり良くなかった。また、得られた編地は、長時間の塩素水処理に対する耐久性が劣っていた。評価結果を表2に示す。
【0056】
(比較例4)
上記ポリウレタン弾性糸製造比較例4によって得られたポリウレタン弾性糸44デシテックスの糸とポリエステルの56デシテックス−24フィラメントを組合せて カールマイヤー社製トリコット編機(HKS2・32ゲージ)を使用してハーフ組織のトリコット2wayの生地を編成した。この生地を 当業者の知る、通常の染色仕上条件で精錬、リラックス、仮セットした後、通常の分散染料により染色した(温度130℃、40分)。染色後、通常のソーピング、脱水、ファイナルセットの各工程を通し、経密度108コース/2.54cm、緯密度63ウェール/2.54cmの生地を得た。該編地を身生地に使用して水着を作製した
【0057】
編地の整経、編成におけるスパンデックスの糸切れはなく操業性は良好であったが、得られた編地は、長時間の塩素水処理に対する耐久性がかなり劣っていた。評価結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた耐塩素性を有するポリウレタン組成物からなるポリウレタン弾性糸を用いた伸縮性織編物をスイミングプール等において使用される水着の構成に用いたことで、塩素水環境下における劣化、脆化に対する安定性に優れた伸縮性織編物を用いた水着の提供が可能となった。
Claims (5)
- 水ガラスにより表面処理されたハイドロタルサイト類化合物を含有するポリウレタン組成物から得られるポリウレタン弾性糸を含む伸縮性織編物を少なくとも一部に使用してなることを特徴とする水着。
- 伸縮性織編物が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、セルロース系繊維から選ばれる1種以上の繊維を非伸縮性繊維として用いてなることを特徴とする請求項1に記載の水着。
- ポリウレタン弾性糸が含有するハイドロタルサイト類化合物の平均粒径が、2μm以下であり、かつ、粒径2μm以上の粒子が10体積%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水着。
- ポリウレタン弾性糸が含有するハイドロタルサイト類化合物が、0.5〜5重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水着。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の伸縮性織編物が、ポリウレタン弾性糸をベア(裸)糸若しくはその複合弾性糸として交編又は交織されてなることを特徴とする水着。
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