JP2005002380A - 金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施す方法と、導電膜用ニッケルメッキ液組成物 - Google Patents
金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施す方法と、導電膜用ニッケルメッキ液組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】シールド処理によらずに金属酸化物粉体成形焼成物の導電膜にニッケルメッキを施す。
【解決手段】金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施すに際し、メッキ液の主成分として選定されたニッケル塩の濃度を70〜200g/L、メッキ液のpHを5.4〜6.6、メッキ液の温度を60℃±5℃に保ち、通電電流3A〜5Aで2時間以内に金属酸化物粉体成形焼成物の素体に直接メッキを施す。
【選択図】 図1
【解決手段】金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施すに際し、メッキ液の主成分として選定されたニッケル塩の濃度を70〜200g/L、メッキ液のpHを5.4〜6.6、メッキ液の温度を60℃±5℃に保ち、通電電流3A〜5Aで2時間以内に金属酸化物粉体成形焼成物の素体に直接メッキを施す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施す方法と、導電膜用ニッケルメッキ液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属酸化物粉体成形焼成物、例えばセラミックチップは、サーミスタ、バリスタなどの電子部品に広く用いられている。セラミックチップを電子部品に組み立てるには、その両端外表面の一定領域に電極が形成される。セラミックチップに電極を形成する方法として、例えば、特許文献1には、従来例として次のような方法が紹介されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−330116号公報
【0004】
特許文献1に記載されたサーミスタ等の電子部品の従来の電極形成方法は以下の通りである。すなわち、コンデンサ、サーミスタなどのチップ部品素子(セラミックチップ)の両端面にAgあるいはAg−Pdペーストを塗布して乾燥した後、所定の温度で焼付して下地電極を形成し、次に電解メッキ浴中でNi電極、次にSn又は半田電極からなる上部電極を形成するというのである。しかしながら上記方法によるときには、その製造方法は煩雑でコストも高くなることから、特許文献1に記載された発明は、チップ部品素子の表面に焼き付けた銅電極よりなる下地電極を形成し、この下地電極上に半田付け用のフラックスとして溶剤を塗布し、この溶剤を介して粉末状半田を下地電極上に付着させた後、加熱して上部電極を形成する方法を提供することを目的として電解メッキ工程を不要とする成形方法を提案している。
【0005】
コンデンサ、サーミスタなどのチップ部品素子に電極を形成する場合には、通常は電解メッキによって形成するのが一般的であり、セラミックチップにニッケルメッキを施す必要性は、電子部品に半田付けが必要であるのと同程度に必要な条件であるとされている。
【0006】
通常、セラミックチップの電極形成部分に通常の手法を用いてメッキを施すときには、電極形成部分以外のセラミックチップの素体表面にメッキ金属が付着すること(素体へのメッキ付着)、さらに素体表面にメッキ金属が付着するだけでなく、電極から素体上に伸びてメッキ膜が形成されること(素体へのメッキ伸び)、あるいはセラミックチップの素体が侵食される(素体エッチング)という現象が生じることがある。電極以外の部分にメッキを付着させず、また、セラミック素体にエッチングを生じさせないために、従来はセラミックチップの表面に表面保護層や絶縁コートを形成することで対応していた。特許文献2には、セラミックチップの表面の全面にわたり、耐メッキ性の無機物層を設ける例が記載されている。
【0007】
【特許文献2】特開平5−251210号公報
【0008】
特許文献2には、セラミックチップを無機物層にて被覆する方法(シールド処理)として、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法のような物理蒸着法(PVD法)又は化学蒸着法(CVD)が紹介されている。
【0009】
また、素体へのメッキ付着は、ニッケルメッキを施す際のメッキ浴の管理などメッキ条件によっても左右されるが、ニッケルメッキを施す際のメッキ浴の管理などメッキ条件がさほど厳密でなくても、メッキ被り(素体へのメッキ付着)が起こり難いことが望ましいには違いない(特許文献3参照)。
【0010】
【特許文献3】特開平11−335890
【0011】
しかし、特許文献3においては、メッキ条件の管理のみによる方法では不安定であり、確実性に欠け、品質の低下を招いていたとして、メッキ条件の管理では解決できないことを明らかにし,結局その解決手段として、最上層と最下層の電気絶縁層をメッキ被りの起こり難いセラミック素材によって積層チップ構造を構成したというのである。結局は、この方法も特許文献2に記載された方法と基本的には同じである。ところが、特許文献3に記載の発明に用いられるシールド処理によるときには、メッキ被りの起こり難いセラミックス素材から形成された電気絶縁層をチップの上下面に積層するのみであるため、チップの上下面のメッキ被りはなくなるとしても、チップの側面でのメッキ被りの発生は避けられない。
【0012】
いずれにしても、メッキ条件の管理のみでは、メッキ被りは防止できないとし、その解決方法は、実質的に特許文献2に記載されたようなシールド処理によらざるを得ないと考えられているのである。これらの例のように素体へのメッキ付着(メッキ被り)に関しては、幾つかの文献中に取り上げられているのであるが、素体エッチングの問題については従来はあまり考察されたことがなかったようである。特許文献を調査したが、メッキ処理による素体エッチングの問題に触れた先行例は見出すことができなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように、セラミックチップに電気メッキを施すには、必ずその表面を保護層、絶縁層にて被覆処理するシールド処理が必要であるとされていたのであるが、そもそも表面保護層や絶縁コートによる表面処理でセラミックチップの表面を完全にシールドすることは難しく、このため、メッキ処理に際し、セラミックチップの素体がメッキ液中に浸されることによって、素体エッチング、素体へのメッキ付着などの不具合の発生はどうしても避けることができない。
【0014】
次に電気部品の製造コストの面を考えると、メッキの際にシールド処理を行なうことによって工数が増える。ところで、メッキ処理は、サーミスタ等の電子部品の場合、3〜5Aの通電電流で約2時間をかけて行なわれるのが通例である。これが、もしシールド処理を行なうことなくメッキすることができれば、工数を減らす上では確かに有利ではあるが、電気部品の製造コストの削減は、メッキ処理に要する電力、工数、資材を含めて総合的に考えなければならならない問題である。
【0015】
たとえ、メッキの際に、シールド処理が不要であっても、例えば電力消費が大きく、また、シールド処理に替わる他の複雑な工程が必要であったとすれば、当然ながらその方法は、必ずしも有利な方法であるとはいえない。これは、単に電極を形成する場合に限らず、セラミックチップの素体に導電膜を形成する場合にもそのままあてはまる。
【0016】
本発明の目的は、シールド処理によらずにメッキ条件を調整するのみで、通常のメッキ処理によって、金属酸化物粉体成形焼成物の電極を含む導電膜にニッケルメッキを施す方法と、この方法に用いる導電膜用ニッケルメッキ液組成物を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施す方法においては、メッキ条件調整処理を有し、金属酸化物粉体成形焼成物の素体表面に表面保護層や絶縁コートを設けることなく、金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施す方法であって、
メッキ条件調整処理は、メッキ液のニッケル塩濃度と、メッキ液のpHと、温度とを調整して金属酸化物粉体成形焼成物の素体にエッチングを生じさせず、且つ該素体にメッキを付着させない処理である。
【0018】
また、メッキ条件調整処理は、メッキ液の主成分として選定されたニッケル塩の濃度を70〜200g/L(リットル、以下同じ)、メッキ液のpHを5.4〜6.6、メッキ液の温度を60℃±5℃に保ち、通電電流3A〜5Aで2時間以内に導電膜に直接メッキを施す処理である。
【0019】
また、本発明による導電膜用ニッケルメッキ液組成物においては、スルファミン酸浴を浴種とする金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜用ニッケルメッキ液組成物であって、メッキ処理時の通電電流3A〜5A、通電時間2時間以内、メッキ処理時の温度は60℃±5℃、ニッケル塩濃度を安定に保持することを条件として、
70〜200g/Lのスルファミン酸ニッケルを主体とし、pHは5.4〜6.6に調整されているものである。
【0020】
また、陽極溶解剤と、pH調整剤と、pH緩衝剤とを選択的に含み、
陽極溶解剤は、メッキ液のニッケル塩濃度の変動を補償するものであり、
pH調整剤は、メッキ液のpHを5.4〜6.6に調整するものであり、
pH緩衝剤は、金属酸化物粉体成形焼成物上のメッキ付着部分を中和するものである。
【0021】
また、pH緩衝剤として1〜10g/Lのほう酸を、陽極溶解剤として10g/L以下の臭化ニッケルを、pH調整剤として1〜3g/Lの炭酸ニッケルを含むものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をセラミックチップ上の端子電極の形成に適用したときの実施の形態を説明する。
【0023】
本発明による金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施す方法においては、サーミスタ、バリスタなどの電気部品に加工するセラミックチップの電極形成部分のメッキ処理に際し、セラミックチップの素体表面に表面保護層や絶縁コートを設けることなく、セラミックチップの基体の一部に付された電極の導電膜にニッケルメッキを施すものである。本発明によるメッキ処理は、メッキ液のニッケル塩濃度と、メッキ液のpHと、温度とを調整することによって実現される。すなわち、ニッケル塩濃度を低く抑え、その濃度を安定に保ち、pHを酸性領域でできるだけ高く(中性側に値を近づけて)設定し、しかも一定温度の下で、電極面へのメッキの付着速度を遅らせることである。これらの条件が適正に選ばれたときに素体のエッチングや、素体へのメッキ付着、メッキ伸びがなく、端子電極に限って良好にメッキが施される。
【0024】
本発明において、セラミックチップに対する電極形成は、以下の手順で行なわれる。すなわち、セラミックチップのグリーンシートを所定の大きさのチップに裁断する。次にそのチップを焼成後、バレル研磨し、その端子電極形成部分に電極液(Ag)を塗布し、電極の焼付けを行なった後、表面保護層や絶縁コートを形成することなく、直ちにメッキ処理を行なう。メッキ処理は、通常はNiメッキとSnメッキとの2段階メッキが行なわれるが、本発明においては、Niメッキ処理を問題にしている。
【0025】
メッキ条件調整処理は、基本的にメッキ液の主成分として選定されたニッケル塩の濃度を薄く、メッキ液のpHを5.4〜6.6に調整し、温度を60℃±5℃の範囲に調整する処理であるが、その処理には以下に述べるニッケルメッキ液組成物が用いられる。本発明において、メッキ浴のニッケル塩には、ニッケル塩濃度70〜200g/Lのスルファミン酸ニッケルを用いる。この濃度は、一般の金属にNiメッキを行なう場合に用いられるスルファミン酸ニッケルのニッケル塩濃度400〜450g/Lの半分以下である。
【0026】
本発明によるセラミックチップ上の端子電極用ニッケルメッキ液組成物は、スルファミン酸浴を浴種とし、ニッケル塩としてスルファミン酸ニッケルを主体として選定されたニッケル浴を形成するものであり、メッキ液のニッケル塩濃度の変動を補償するため、陽極溶解剤を含み、メッキ浴のpHを5.4〜6.6の範囲に安定に保持するため、pH調整剤を含み、メッキ付着部分を中和するためにpH緩衝剤を含んでいる。
【0027】
pH緩衝剤は、ほう酸であり、1〜10g/Lを添加する。pH調整剤は、炭酸ニッケルであり、1〜3g/Lを添加する。陽極溶解剤は、臭化ニッケルであり、メッキ液の温浴中に10g/L以下を添加する。一般にニッケル塩にスルファミン酸ニッケルを選定するのは、水に対する溶解度が大きく、高濃度浴が使用できること、塩からの析出物は残留応力が小さいため、主成分として最適であると判断されているからである。
【0028】
セラミックチップの素体表面にメッキ金属を付着させないためには、前述のように、金属メッキに比べてニッケル塩濃度を低く抑えることのほか、pH緩衝剤であるほう酸の添加量を可能な限り抑え、メッキ浴の温度を金属メッキの際のメッキ浴の温度(50℃)よりも高くし、メッキ処理での電流、通電時間を適正に管理してNiの成長を遅延させると効果があることが分かった。
【0029】
もし、金属メッキと同様にニッケル塩濃度400〜450g/Lの単位でセラミックチップのメッキ液としてスルファミン酸ニッケルを使用したときには、ニッケル塩濃度が高く、また、pHの数値が低い(酸性度が高い)ので、素子形状を維持できない程度にセラミックチップ素体のエッチングが進行し、素子特性の抵抗値が著しく変化してしまうという不都合が生じる。
【0030】
また、ニッケル塩濃度が高いと、電気メッキのニッケル膜の成長速度が速く、目的とする領域以外にも着層されてしまうため、金属メッキと同じ条件で使用することはできない。このため、本発明においては、スルファミン酸ニッケルの濃度を70〜200g/Lの範囲に特定してセラミックチップのエッチング防止の基本組成として有効な範囲であることが確認できた。
【0031】
臭化ニッケルは、陽極溶解剤としてメッキ液のニッケル塩濃度の変動を防止するために添加される。その添加量は、一般に金属メッキの場合に5〜70g/Lとされているのに対し、本発明においては、10g/L以下の添加でスルファミン酸の濃度管理が可能である。
【0032】
ところで、セラミックチップの素体にメッキ液が付着すると、セラミックチップは局部的に酸性となり、その部分に「焼け焦げ」が生ずるが、pH緩衝剤として1〜10g/Lの範囲で適量のほう酸を添加するとこのような不具合を防止できる。メッキ浴のpHについては、一般の金属メッキでは、pHは、通常4程度に調整されるが、セラミックチップに対してpHを4にすると、素体に「エッチング」が生じてしまうため、これを防ぐには、本発明においては5.4以上に調整し、その上限を6.6以内に抑えることが安全である。
【0033】
メッキ浴の温度を60±5℃の範囲に調整することによって、セラミックチップの素体に対するメッキ付着を防止できる。温浴が40℃より低いとメッキ金属の延びが速く、逆に温度が高いとメッキ付着が起こる。さらに温浴の温度が高く、例えば70℃になると、スルファミン酸ニッケルが硫化してメッキ不能となる。
メッキ条件が以上述べたように適正に調整されていると、セラミックチップの抵抗値にもよるが、通電電流3A〜5A、通電時間2時間以内で、セラミックチップ素体に素体エッチングを生じさせず、素体にメッキを付着させずに端子電極面にのみ均一にNiメッキ膜を付着させることができる。
【0034】
表1に、本発明によるメッキ液の組成と、メッキ液の作成条件をあわせて示す。
【0035】
【表1】
【0036】
本発明において重要な点は、メッキ処理中は、メッキ液のニッケル塩濃度を70〜200g/Lの範囲で、メッキ液のpHを常に5.4〜6.6の範囲に安定に維持することである。陽極溶解剤、pH調整剤、pH緩衝剤の添加は、メッキ液のニッケル塩濃度、pHを上記範囲に保たせるために添加するのであって、陽極溶解剤、pH調整剤、pH緩衝剤の添加量を表1に規定する範囲に調整することが重要ということではない。例えば、ニッケル塩の濃度が70〜200g/Lの範囲内で高濃度のときには、pH緩衝剤として添加されるほう酸の量は少なくてよいが、逆にニッケル塩の濃度が低濃度のときに、メッキの精度を上げるには、ほう酸を10g/Lの範囲内で多量に添加しなければならない。以上実施形態においては、セラミックチップのAg端子電極にNiメッキを行なう例について説明したが、本発明は端子電極に限らず、セラミックチップを含む金属酸化物粉体成形焼成物の一部に付された導電膜上にNiメッキを施す場合に広く適用できるのは言うまでもない。
【0037】
(実施例)以下に本発明の実施例を示す。
内部電極が付された2以上のグリーンシートを積層し、積層を圧縮して個々のチップに裁断後、焼成されたセラミックチップの両端部分の一定範囲にわたって外部電極形成用の端子電極ペースト(Ag)を塗布し、その後、電極ペーストを焼きつけた。外部端子電極の焼付け温度はおよそ600℃〜850℃である。次にメッキ処理を行なった。メッキ処理には、開放型特殊バレルを用い、これを回転させながら、メッキ槽内のNiメッキ液にセラミックチップと、通電用メディアとを投入し、メッキ液のニッケル塩濃度を一定に保ち、メッキ条件の安定化を図った。以下に、それぞれのメッキ処理条件に対するメッキの付着状況についての結果を示す。
【0038】
<実施例1>
○セラミックチップの材料
MnCo系セラミック、抵抗値2.7kΩ、比抵抗値、300Ω・cm
○メッキ液配合
スルファミン酸ニッケル 150g/L
ほう酸 2g/L
臭化ニッケル 2.0g/L
炭酸ニッケル 1.5g/L
pH 5.6
温度 60℃
電流、通電時間 5A×1.5H
実施例1によるメッキの付着状況を図1に示す。図1(a)は、メッキ処理後のセラミックチップの外観を示す写真である。図1(b)はメッキ前のセラミックチップの拡大写真(×100)であり、図1(c)は、メッキ処理後の拡大写真(×100)を示している。図1(a)では、幾つかのセラミックチップが撮影されているが、いずれも電極と素体面とか明瞭に区別でき、その内の一つの拡大写真である図1(b)と、図1(c)とを比較しても分かるようにメッキの前後においてチップ表面の違いは殆ど認められない。図1(d)は、メッキ後のチップの長さ方向の断面の拡大写真(×150)、図1(e)は、端子電極と、素体との境界部分を示す図1(d)のさらに拡大写真(×1000)、図1(f)は、メッキ後のチップの幅方向の拡大写真(×200)、図1(g)は、同じくメッキ後のチップの端子電極と、素体との角部分の拡大写真(×1000)である。いずれも、端子電極にのみメッキが付着し、素体面へのメッキの付着や素体エッチングはまったく認められなかった。実施例1に示すニッケルメッキ処理はメッキ条件調整処理が適正に実行されたものであることがわかる。
【0039】
<実施例2>
実施例2は、セラミックチップの材料にMnCoCu系セラミック(比抵抗値7Ω・cm)を用い、スルファミン酸ニッケルを、それぞれ70g/L(下限値)、200g/L(上限値)、ほう酸を10g/L、通電電流3A、通電時間1.5Hに設定し、他の配合および条件は実施例1と同じ条件でメッキ処理を施した。結果を図2に示す。図2(a)は下限値に設定された場合、図2(c)は上限値に設定された場合である。スルファミン酸ニッケルの配合量が下限値70g/Lあるいは、上限値200g/Lのいずれであっても、全体としては、素体エッチング、素体へのメッキの付着は問題にはならないが、その拡大写真(倍率200倍)の下限値の写真図2(b)、上限値の写真図2(d)でみれば、試料の中には、スルファミン酸ニッケルの配合量が下限のものでは、問題がなかったが、上限のものでは、電極面から素体へのメッキの伸びがわずかに生じていることが認められる。
【0040】
<実施例3>
実施例3は、セラミックチップの材料にMnCoCu系セラミック(比抵抗値35Ω・cm)を用い、スルファミン酸ニッケルを、その上限値200g/Lを越えて添加し、通電電流3A、通電時間1.5Hに設定し、他の配合および条件は実施例1と同じ条件でメッキ処理を施した例である。結果を図3に示す。図3(a)に示すチップの外観をみて明らかの通り、素体の全面にわたってNiメッキが付着しているものがあることが分かる。拡大写真では、素体へのメッキの付着(図3(b))、電極から素体へのメッキの伸び(図3(c))がはっきりと観察される。
【0041】
<実施例4>
実施例4は、セラミックチップの材料にMnCoCu系セラミック(比抵抗値7Ω・cm)を用い、ほう酸の添加量をそれぞれ0g/L、2g/L、10g/L、通電電流3A、通電時間1.5Hに設定し、他は実施例1と同じ条件でメッキ処理を行なった例である。結果を図4に示す。ほう酸を添加しない例(図4(a)、その拡大写真図4(b))では、素体の1部に焼け焦げが生じた。また、ほう酸の添加量10g/L(図4(e)、その拡大写真図4(f))では、素体にNiが付着することが認められた。ちなみにスルファミン酸ニッケルの添加量70g/Lでは、ほう酸の添加量が10g/Lであっても異常が生じないことが確認された。ほう酸の添加量2g/L(図4(c)、その拡大写真図4(d))では何ら異常は生じていない。
【0042】
<実施例5>
実施例5は、セラミックチップの材料がMnCoCu系セラミック(比抵抗値7Ω・cm)を用い、臭化Niをそれぞれ1g/L、5g/L、10g/L、通電電流3A、通電時間1.5Hに設定し、他は実施例1と同じ条件でメッキ処理を行なった例である。結果を図5に示す。
図5(a)は、臭化Niの添加量1g/Lの場合、図5(b)はその拡大写真、
図5(c)は、臭化Niの添加量5g/Lの場合、図5(d)はその拡大写真、
図5(e)は臭化Niの添加量10g/Lの場合、図5(f)はその拡大写真、
結果的に、この例では、臭化Niの添加量の違いによって、素体への影響はほとんど見られなかった。
【0043】
<実施例6>
実施例6は、セラミックチップの材料がMnCoCu系セラミック(比抵抗値7Ω・cm)を用い、メッキ浴の温度をそれぞれ40℃、50℃、55℃、60℃、65℃、通電電流3A、通電時間1.5Hに設定し、他は実施例1と同じ条件でメッキ処理を行なった例である。結果を図6−1、6−2に示す。図6−1(a)〜(e)は、順に40℃、50℃、55℃、60℃、65℃のときのチップの外観の写真、図6−2(a)〜(e)は、順に40℃、50℃、55℃、60℃、65℃のときのチップの拡大写真である。図に明らかな通り、50℃以下では、素体へのメッキ付着および電極面から素体へのメッキの伸びが認められたが、60℃±5℃の範囲では、異常は認められなかった。
【0044】
<実施例7>
実施例7は、セラミックチップの材料にMnCoCu系セラミック(比抵抗値7Ωcm)を用い、メッキ浴のpHをそれぞれ、6.6、5.6、5.2、4.8、通電電流3A、通電時間1.5Hに設定し、他は実施例1と同じ条件でメッキ処理を行なった例である。結果を図7に示す。(a)〜(d)は、順にpHが6.6、5.6、5.2、4.8に設定されたときのチップの拡大写真である。図に明らかな通り、pHが6.6と、5.6では、チップの素体面にメッキが付着することはなかったが、pH5.2、pH4.8では素体の全面に渡って分散してメッキの付着が認められた。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、セラミックチップの表面一部に付されたAg電極その他の導電性膜にメッキ処理を行なうに際し、セラミックチップ表面を被覆する絶縁層、あるいは表面保護層がなくても、セラミックチップ素体にエッチングが生ぜず、またには素体へのメッキ付着、導電膜から素体へのメッキの伸びがないため、メッキ処理に先立つセラミックチップのシールド処理が不要になり、特別の処理工程を必要とせず、従来と同等の電力消費、処理時間でメッキを行なうことができ、したがって、金属酸化物粉体成形焼成物に対するメッキの処理コストを従来法に比べて大幅に削減できる。本発明は、サーミスタ、バリスタ、コンデンサをはじめ、セラミックチップを用いて製造する電気部品の製造工程を簡略化でき、あわせてエッチング、メッキ付着の問題を解消して製品の品質向上に大きく寄与できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の結果を示す写真である。
【図2】実施例2の結果を示す写真である。
【図3】実施例3の結果を示す写真である。
【図4】実施例4の結果を示す写真である。
【図5】実施例5の結果を示す写真である。
【図6−1】実施例6の結果を示す写真である。
【図6−2】実施例6の結果を示す拡大写真である。
【図7】実施例7の結果を示す写真である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施す方法と、導電膜用ニッケルメッキ液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属酸化物粉体成形焼成物、例えばセラミックチップは、サーミスタ、バリスタなどの電子部品に広く用いられている。セラミックチップを電子部品に組み立てるには、その両端外表面の一定領域に電極が形成される。セラミックチップに電極を形成する方法として、例えば、特許文献1には、従来例として次のような方法が紹介されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−330116号公報
【0004】
特許文献1に記載されたサーミスタ等の電子部品の従来の電極形成方法は以下の通りである。すなわち、コンデンサ、サーミスタなどのチップ部品素子(セラミックチップ)の両端面にAgあるいはAg−Pdペーストを塗布して乾燥した後、所定の温度で焼付して下地電極を形成し、次に電解メッキ浴中でNi電極、次にSn又は半田電極からなる上部電極を形成するというのである。しかしながら上記方法によるときには、その製造方法は煩雑でコストも高くなることから、特許文献1に記載された発明は、チップ部品素子の表面に焼き付けた銅電極よりなる下地電極を形成し、この下地電極上に半田付け用のフラックスとして溶剤を塗布し、この溶剤を介して粉末状半田を下地電極上に付着させた後、加熱して上部電極を形成する方法を提供することを目的として電解メッキ工程を不要とする成形方法を提案している。
【0005】
コンデンサ、サーミスタなどのチップ部品素子に電極を形成する場合には、通常は電解メッキによって形成するのが一般的であり、セラミックチップにニッケルメッキを施す必要性は、電子部品に半田付けが必要であるのと同程度に必要な条件であるとされている。
【0006】
通常、セラミックチップの電極形成部分に通常の手法を用いてメッキを施すときには、電極形成部分以外のセラミックチップの素体表面にメッキ金属が付着すること(素体へのメッキ付着)、さらに素体表面にメッキ金属が付着するだけでなく、電極から素体上に伸びてメッキ膜が形成されること(素体へのメッキ伸び)、あるいはセラミックチップの素体が侵食される(素体エッチング)という現象が生じることがある。電極以外の部分にメッキを付着させず、また、セラミック素体にエッチングを生じさせないために、従来はセラミックチップの表面に表面保護層や絶縁コートを形成することで対応していた。特許文献2には、セラミックチップの表面の全面にわたり、耐メッキ性の無機物層を設ける例が記載されている。
【0007】
【特許文献2】特開平5−251210号公報
【0008】
特許文献2には、セラミックチップを無機物層にて被覆する方法(シールド処理)として、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法のような物理蒸着法(PVD法)又は化学蒸着法(CVD)が紹介されている。
【0009】
また、素体へのメッキ付着は、ニッケルメッキを施す際のメッキ浴の管理などメッキ条件によっても左右されるが、ニッケルメッキを施す際のメッキ浴の管理などメッキ条件がさほど厳密でなくても、メッキ被り(素体へのメッキ付着)が起こり難いことが望ましいには違いない(特許文献3参照)。
【0010】
【特許文献3】特開平11−335890
【0011】
しかし、特許文献3においては、メッキ条件の管理のみによる方法では不安定であり、確実性に欠け、品質の低下を招いていたとして、メッキ条件の管理では解決できないことを明らかにし,結局その解決手段として、最上層と最下層の電気絶縁層をメッキ被りの起こり難いセラミック素材によって積層チップ構造を構成したというのである。結局は、この方法も特許文献2に記載された方法と基本的には同じである。ところが、特許文献3に記載の発明に用いられるシールド処理によるときには、メッキ被りの起こり難いセラミックス素材から形成された電気絶縁層をチップの上下面に積層するのみであるため、チップの上下面のメッキ被りはなくなるとしても、チップの側面でのメッキ被りの発生は避けられない。
【0012】
いずれにしても、メッキ条件の管理のみでは、メッキ被りは防止できないとし、その解決方法は、実質的に特許文献2に記載されたようなシールド処理によらざるを得ないと考えられているのである。これらの例のように素体へのメッキ付着(メッキ被り)に関しては、幾つかの文献中に取り上げられているのであるが、素体エッチングの問題については従来はあまり考察されたことがなかったようである。特許文献を調査したが、メッキ処理による素体エッチングの問題に触れた先行例は見出すことができなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように、セラミックチップに電気メッキを施すには、必ずその表面を保護層、絶縁層にて被覆処理するシールド処理が必要であるとされていたのであるが、そもそも表面保護層や絶縁コートによる表面処理でセラミックチップの表面を完全にシールドすることは難しく、このため、メッキ処理に際し、セラミックチップの素体がメッキ液中に浸されることによって、素体エッチング、素体へのメッキ付着などの不具合の発生はどうしても避けることができない。
【0014】
次に電気部品の製造コストの面を考えると、メッキの際にシールド処理を行なうことによって工数が増える。ところで、メッキ処理は、サーミスタ等の電子部品の場合、3〜5Aの通電電流で約2時間をかけて行なわれるのが通例である。これが、もしシールド処理を行なうことなくメッキすることができれば、工数を減らす上では確かに有利ではあるが、電気部品の製造コストの削減は、メッキ処理に要する電力、工数、資材を含めて総合的に考えなければならならない問題である。
【0015】
たとえ、メッキの際に、シールド処理が不要であっても、例えば電力消費が大きく、また、シールド処理に替わる他の複雑な工程が必要であったとすれば、当然ながらその方法は、必ずしも有利な方法であるとはいえない。これは、単に電極を形成する場合に限らず、セラミックチップの素体に導電膜を形成する場合にもそのままあてはまる。
【0016】
本発明の目的は、シールド処理によらずにメッキ条件を調整するのみで、通常のメッキ処理によって、金属酸化物粉体成形焼成物の電極を含む導電膜にニッケルメッキを施す方法と、この方法に用いる導電膜用ニッケルメッキ液組成物を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施す方法においては、メッキ条件調整処理を有し、金属酸化物粉体成形焼成物の素体表面に表面保護層や絶縁コートを設けることなく、金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施す方法であって、
メッキ条件調整処理は、メッキ液のニッケル塩濃度と、メッキ液のpHと、温度とを調整して金属酸化物粉体成形焼成物の素体にエッチングを生じさせず、且つ該素体にメッキを付着させない処理である。
【0018】
また、メッキ条件調整処理は、メッキ液の主成分として選定されたニッケル塩の濃度を70〜200g/L(リットル、以下同じ)、メッキ液のpHを5.4〜6.6、メッキ液の温度を60℃±5℃に保ち、通電電流3A〜5Aで2時間以内に導電膜に直接メッキを施す処理である。
【0019】
また、本発明による導電膜用ニッケルメッキ液組成物においては、スルファミン酸浴を浴種とする金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜用ニッケルメッキ液組成物であって、メッキ処理時の通電電流3A〜5A、通電時間2時間以内、メッキ処理時の温度は60℃±5℃、ニッケル塩濃度を安定に保持することを条件として、
70〜200g/Lのスルファミン酸ニッケルを主体とし、pHは5.4〜6.6に調整されているものである。
【0020】
また、陽極溶解剤と、pH調整剤と、pH緩衝剤とを選択的に含み、
陽極溶解剤は、メッキ液のニッケル塩濃度の変動を補償するものであり、
pH調整剤は、メッキ液のpHを5.4〜6.6に調整するものであり、
pH緩衝剤は、金属酸化物粉体成形焼成物上のメッキ付着部分を中和するものである。
【0021】
また、pH緩衝剤として1〜10g/Lのほう酸を、陽極溶解剤として10g/L以下の臭化ニッケルを、pH調整剤として1〜3g/Lの炭酸ニッケルを含むものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をセラミックチップ上の端子電極の形成に適用したときの実施の形態を説明する。
【0023】
本発明による金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施す方法においては、サーミスタ、バリスタなどの電気部品に加工するセラミックチップの電極形成部分のメッキ処理に際し、セラミックチップの素体表面に表面保護層や絶縁コートを設けることなく、セラミックチップの基体の一部に付された電極の導電膜にニッケルメッキを施すものである。本発明によるメッキ処理は、メッキ液のニッケル塩濃度と、メッキ液のpHと、温度とを調整することによって実現される。すなわち、ニッケル塩濃度を低く抑え、その濃度を安定に保ち、pHを酸性領域でできるだけ高く(中性側に値を近づけて)設定し、しかも一定温度の下で、電極面へのメッキの付着速度を遅らせることである。これらの条件が適正に選ばれたときに素体のエッチングや、素体へのメッキ付着、メッキ伸びがなく、端子電極に限って良好にメッキが施される。
【0024】
本発明において、セラミックチップに対する電極形成は、以下の手順で行なわれる。すなわち、セラミックチップのグリーンシートを所定の大きさのチップに裁断する。次にそのチップを焼成後、バレル研磨し、その端子電極形成部分に電極液(Ag)を塗布し、電極の焼付けを行なった後、表面保護層や絶縁コートを形成することなく、直ちにメッキ処理を行なう。メッキ処理は、通常はNiメッキとSnメッキとの2段階メッキが行なわれるが、本発明においては、Niメッキ処理を問題にしている。
【0025】
メッキ条件調整処理は、基本的にメッキ液の主成分として選定されたニッケル塩の濃度を薄く、メッキ液のpHを5.4〜6.6に調整し、温度を60℃±5℃の範囲に調整する処理であるが、その処理には以下に述べるニッケルメッキ液組成物が用いられる。本発明において、メッキ浴のニッケル塩には、ニッケル塩濃度70〜200g/Lのスルファミン酸ニッケルを用いる。この濃度は、一般の金属にNiメッキを行なう場合に用いられるスルファミン酸ニッケルのニッケル塩濃度400〜450g/Lの半分以下である。
【0026】
本発明によるセラミックチップ上の端子電極用ニッケルメッキ液組成物は、スルファミン酸浴を浴種とし、ニッケル塩としてスルファミン酸ニッケルを主体として選定されたニッケル浴を形成するものであり、メッキ液のニッケル塩濃度の変動を補償するため、陽極溶解剤を含み、メッキ浴のpHを5.4〜6.6の範囲に安定に保持するため、pH調整剤を含み、メッキ付着部分を中和するためにpH緩衝剤を含んでいる。
【0027】
pH緩衝剤は、ほう酸であり、1〜10g/Lを添加する。pH調整剤は、炭酸ニッケルであり、1〜3g/Lを添加する。陽極溶解剤は、臭化ニッケルであり、メッキ液の温浴中に10g/L以下を添加する。一般にニッケル塩にスルファミン酸ニッケルを選定するのは、水に対する溶解度が大きく、高濃度浴が使用できること、塩からの析出物は残留応力が小さいため、主成分として最適であると判断されているからである。
【0028】
セラミックチップの素体表面にメッキ金属を付着させないためには、前述のように、金属メッキに比べてニッケル塩濃度を低く抑えることのほか、pH緩衝剤であるほう酸の添加量を可能な限り抑え、メッキ浴の温度を金属メッキの際のメッキ浴の温度(50℃)よりも高くし、メッキ処理での電流、通電時間を適正に管理してNiの成長を遅延させると効果があることが分かった。
【0029】
もし、金属メッキと同様にニッケル塩濃度400〜450g/Lの単位でセラミックチップのメッキ液としてスルファミン酸ニッケルを使用したときには、ニッケル塩濃度が高く、また、pHの数値が低い(酸性度が高い)ので、素子形状を維持できない程度にセラミックチップ素体のエッチングが進行し、素子特性の抵抗値が著しく変化してしまうという不都合が生じる。
【0030】
また、ニッケル塩濃度が高いと、電気メッキのニッケル膜の成長速度が速く、目的とする領域以外にも着層されてしまうため、金属メッキと同じ条件で使用することはできない。このため、本発明においては、スルファミン酸ニッケルの濃度を70〜200g/Lの範囲に特定してセラミックチップのエッチング防止の基本組成として有効な範囲であることが確認できた。
【0031】
臭化ニッケルは、陽極溶解剤としてメッキ液のニッケル塩濃度の変動を防止するために添加される。その添加量は、一般に金属メッキの場合に5〜70g/Lとされているのに対し、本発明においては、10g/L以下の添加でスルファミン酸の濃度管理が可能である。
【0032】
ところで、セラミックチップの素体にメッキ液が付着すると、セラミックチップは局部的に酸性となり、その部分に「焼け焦げ」が生ずるが、pH緩衝剤として1〜10g/Lの範囲で適量のほう酸を添加するとこのような不具合を防止できる。メッキ浴のpHについては、一般の金属メッキでは、pHは、通常4程度に調整されるが、セラミックチップに対してpHを4にすると、素体に「エッチング」が生じてしまうため、これを防ぐには、本発明においては5.4以上に調整し、その上限を6.6以内に抑えることが安全である。
【0033】
メッキ浴の温度を60±5℃の範囲に調整することによって、セラミックチップの素体に対するメッキ付着を防止できる。温浴が40℃より低いとメッキ金属の延びが速く、逆に温度が高いとメッキ付着が起こる。さらに温浴の温度が高く、例えば70℃になると、スルファミン酸ニッケルが硫化してメッキ不能となる。
メッキ条件が以上述べたように適正に調整されていると、セラミックチップの抵抗値にもよるが、通電電流3A〜5A、通電時間2時間以内で、セラミックチップ素体に素体エッチングを生じさせず、素体にメッキを付着させずに端子電極面にのみ均一にNiメッキ膜を付着させることができる。
【0034】
表1に、本発明によるメッキ液の組成と、メッキ液の作成条件をあわせて示す。
【0035】
【表1】
【0036】
本発明において重要な点は、メッキ処理中は、メッキ液のニッケル塩濃度を70〜200g/Lの範囲で、メッキ液のpHを常に5.4〜6.6の範囲に安定に維持することである。陽極溶解剤、pH調整剤、pH緩衝剤の添加は、メッキ液のニッケル塩濃度、pHを上記範囲に保たせるために添加するのであって、陽極溶解剤、pH調整剤、pH緩衝剤の添加量を表1に規定する範囲に調整することが重要ということではない。例えば、ニッケル塩の濃度が70〜200g/Lの範囲内で高濃度のときには、pH緩衝剤として添加されるほう酸の量は少なくてよいが、逆にニッケル塩の濃度が低濃度のときに、メッキの精度を上げるには、ほう酸を10g/Lの範囲内で多量に添加しなければならない。以上実施形態においては、セラミックチップのAg端子電極にNiメッキを行なう例について説明したが、本発明は端子電極に限らず、セラミックチップを含む金属酸化物粉体成形焼成物の一部に付された導電膜上にNiメッキを施す場合に広く適用できるのは言うまでもない。
【0037】
(実施例)以下に本発明の実施例を示す。
内部電極が付された2以上のグリーンシートを積層し、積層を圧縮して個々のチップに裁断後、焼成されたセラミックチップの両端部分の一定範囲にわたって外部電極形成用の端子電極ペースト(Ag)を塗布し、その後、電極ペーストを焼きつけた。外部端子電極の焼付け温度はおよそ600℃〜850℃である。次にメッキ処理を行なった。メッキ処理には、開放型特殊バレルを用い、これを回転させながら、メッキ槽内のNiメッキ液にセラミックチップと、通電用メディアとを投入し、メッキ液のニッケル塩濃度を一定に保ち、メッキ条件の安定化を図った。以下に、それぞれのメッキ処理条件に対するメッキの付着状況についての結果を示す。
【0038】
<実施例1>
○セラミックチップの材料
MnCo系セラミック、抵抗値2.7kΩ、比抵抗値、300Ω・cm
○メッキ液配合
スルファミン酸ニッケル 150g/L
ほう酸 2g/L
臭化ニッケル 2.0g/L
炭酸ニッケル 1.5g/L
pH 5.6
温度 60℃
電流、通電時間 5A×1.5H
実施例1によるメッキの付着状況を図1に示す。図1(a)は、メッキ処理後のセラミックチップの外観を示す写真である。図1(b)はメッキ前のセラミックチップの拡大写真(×100)であり、図1(c)は、メッキ処理後の拡大写真(×100)を示している。図1(a)では、幾つかのセラミックチップが撮影されているが、いずれも電極と素体面とか明瞭に区別でき、その内の一つの拡大写真である図1(b)と、図1(c)とを比較しても分かるようにメッキの前後においてチップ表面の違いは殆ど認められない。図1(d)は、メッキ後のチップの長さ方向の断面の拡大写真(×150)、図1(e)は、端子電極と、素体との境界部分を示す図1(d)のさらに拡大写真(×1000)、図1(f)は、メッキ後のチップの幅方向の拡大写真(×200)、図1(g)は、同じくメッキ後のチップの端子電極と、素体との角部分の拡大写真(×1000)である。いずれも、端子電極にのみメッキが付着し、素体面へのメッキの付着や素体エッチングはまったく認められなかった。実施例1に示すニッケルメッキ処理はメッキ条件調整処理が適正に実行されたものであることがわかる。
【0039】
<実施例2>
実施例2は、セラミックチップの材料にMnCoCu系セラミック(比抵抗値7Ω・cm)を用い、スルファミン酸ニッケルを、それぞれ70g/L(下限値)、200g/L(上限値)、ほう酸を10g/L、通電電流3A、通電時間1.5Hに設定し、他の配合および条件は実施例1と同じ条件でメッキ処理を施した。結果を図2に示す。図2(a)は下限値に設定された場合、図2(c)は上限値に設定された場合である。スルファミン酸ニッケルの配合量が下限値70g/Lあるいは、上限値200g/Lのいずれであっても、全体としては、素体エッチング、素体へのメッキの付着は問題にはならないが、その拡大写真(倍率200倍)の下限値の写真図2(b)、上限値の写真図2(d)でみれば、試料の中には、スルファミン酸ニッケルの配合量が下限のものでは、問題がなかったが、上限のものでは、電極面から素体へのメッキの伸びがわずかに生じていることが認められる。
【0040】
<実施例3>
実施例3は、セラミックチップの材料にMnCoCu系セラミック(比抵抗値35Ω・cm)を用い、スルファミン酸ニッケルを、その上限値200g/Lを越えて添加し、通電電流3A、通電時間1.5Hに設定し、他の配合および条件は実施例1と同じ条件でメッキ処理を施した例である。結果を図3に示す。図3(a)に示すチップの外観をみて明らかの通り、素体の全面にわたってNiメッキが付着しているものがあることが分かる。拡大写真では、素体へのメッキの付着(図3(b))、電極から素体へのメッキの伸び(図3(c))がはっきりと観察される。
【0041】
<実施例4>
実施例4は、セラミックチップの材料にMnCoCu系セラミック(比抵抗値7Ω・cm)を用い、ほう酸の添加量をそれぞれ0g/L、2g/L、10g/L、通電電流3A、通電時間1.5Hに設定し、他は実施例1と同じ条件でメッキ処理を行なった例である。結果を図4に示す。ほう酸を添加しない例(図4(a)、その拡大写真図4(b))では、素体の1部に焼け焦げが生じた。また、ほう酸の添加量10g/L(図4(e)、その拡大写真図4(f))では、素体にNiが付着することが認められた。ちなみにスルファミン酸ニッケルの添加量70g/Lでは、ほう酸の添加量が10g/Lであっても異常が生じないことが確認された。ほう酸の添加量2g/L(図4(c)、その拡大写真図4(d))では何ら異常は生じていない。
【0042】
<実施例5>
実施例5は、セラミックチップの材料がMnCoCu系セラミック(比抵抗値7Ω・cm)を用い、臭化Niをそれぞれ1g/L、5g/L、10g/L、通電電流3A、通電時間1.5Hに設定し、他は実施例1と同じ条件でメッキ処理を行なった例である。結果を図5に示す。
図5(a)は、臭化Niの添加量1g/Lの場合、図5(b)はその拡大写真、
図5(c)は、臭化Niの添加量5g/Lの場合、図5(d)はその拡大写真、
図5(e)は臭化Niの添加量10g/Lの場合、図5(f)はその拡大写真、
結果的に、この例では、臭化Niの添加量の違いによって、素体への影響はほとんど見られなかった。
【0043】
<実施例6>
実施例6は、セラミックチップの材料がMnCoCu系セラミック(比抵抗値7Ω・cm)を用い、メッキ浴の温度をそれぞれ40℃、50℃、55℃、60℃、65℃、通電電流3A、通電時間1.5Hに設定し、他は実施例1と同じ条件でメッキ処理を行なった例である。結果を図6−1、6−2に示す。図6−1(a)〜(e)は、順に40℃、50℃、55℃、60℃、65℃のときのチップの外観の写真、図6−2(a)〜(e)は、順に40℃、50℃、55℃、60℃、65℃のときのチップの拡大写真である。図に明らかな通り、50℃以下では、素体へのメッキ付着および電極面から素体へのメッキの伸びが認められたが、60℃±5℃の範囲では、異常は認められなかった。
【0044】
<実施例7>
実施例7は、セラミックチップの材料にMnCoCu系セラミック(比抵抗値7Ωcm)を用い、メッキ浴のpHをそれぞれ、6.6、5.6、5.2、4.8、通電電流3A、通電時間1.5Hに設定し、他は実施例1と同じ条件でメッキ処理を行なった例である。結果を図7に示す。(a)〜(d)は、順にpHが6.6、5.6、5.2、4.8に設定されたときのチップの拡大写真である。図に明らかな通り、pHが6.6と、5.6では、チップの素体面にメッキが付着することはなかったが、pH5.2、pH4.8では素体の全面に渡って分散してメッキの付着が認められた。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、セラミックチップの表面一部に付されたAg電極その他の導電性膜にメッキ処理を行なうに際し、セラミックチップ表面を被覆する絶縁層、あるいは表面保護層がなくても、セラミックチップ素体にエッチングが生ぜず、またには素体へのメッキ付着、導電膜から素体へのメッキの伸びがないため、メッキ処理に先立つセラミックチップのシールド処理が不要になり、特別の処理工程を必要とせず、従来と同等の電力消費、処理時間でメッキを行なうことができ、したがって、金属酸化物粉体成形焼成物に対するメッキの処理コストを従来法に比べて大幅に削減できる。本発明は、サーミスタ、バリスタ、コンデンサをはじめ、セラミックチップを用いて製造する電気部品の製造工程を簡略化でき、あわせてエッチング、メッキ付着の問題を解消して製品の品質向上に大きく寄与できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の結果を示す写真である。
【図2】実施例2の結果を示す写真である。
【図3】実施例3の結果を示す写真である。
【図4】実施例4の結果を示す写真である。
【図5】実施例5の結果を示す写真である。
【図6−1】実施例6の結果を示す写真である。
【図6−2】実施例6の結果を示す拡大写真である。
【図7】実施例7の結果を示す写真である。
Claims (5)
- メッキ条件調整処理を有し、金属酸化物粉体成形焼成物の素体表面に表面保護層や絶縁コートを設けることなく、金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施す方法であって、
メッキ条件調整処理は、メッキ液のニッケル塩濃度と、メッキ液のpHと、温度とを調整して金属酸化物粉体成形焼成物の素体にエッチングを生じさせず、且つ該素体にメッキを付着させない処理であることを特徴とする金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施す方法。 - メッキ条件調整処理は、メッキ液の主成分として選定されたニッケル塩の濃度を70〜200g/L、メッキ液のpHを5.4〜6.6、メッキ液の温度を60℃±5℃に保ち、素体の抵抗値に応じて通電電流を3A〜5Aの範囲内で調整し、2時間以内で導電膜に直接メッキを施す処理であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜にニッケルメッキを施す方法。
- スルファミン酸浴を浴種とする金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜用ニッケルメッキ液組成物であって、メッキ処理時の通電電流3A〜5A、通電時間2時間以内、メッキ処理時の温度は60℃±5℃、ニッケル塩濃度を安定に保持することを条件として、
70〜200g/Lのスルファミン酸ニッケルを主体とし、pHは5.4〜6.6に調整されていることを特徴とする金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜用ニッケルメッキ液組成物。 - 陽極溶解剤と、pH調整剤と、pH緩衝剤とを選択的に含み、
陽極溶解剤は、メッキ液のニッケル塩濃度の変動を補償するものであり、
pH調整剤は、メッキ液のpHを5.4〜6.6に調整するものであり、
pH緩衝剤は、金属酸化物粉体成形焼成物上のメッキ付着部分を中和するものであることを特徴とする請求項3に記載の金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜用ニッケルメッキ液組成物。 - pH緩衝剤として1〜10g/Lのほう酸を、陽極溶解剤として10g/L以下の臭化ニッケルを、pH調整剤として1〜3g/Lの炭酸ニッケルを含むものであることを特徴とする請求項4に記載の金属酸化物粉体成形焼成物上の導電膜用ニッケルメッキ液組成物。
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