JP2005002251A - 水性塗料組成物及び深絞り加工缶胴部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、深絞り加工缶胴部内面塗料として用いた場合、頚部形成、ネジ切り加工に伴う極めて過酷な加工に対し、亀裂等の発生しない良好な加工性を発揮するのみならず、耐レトルト性、耐食性、風味保持性においても良好な特性を発揮する水性塗料組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】重量平均分子量が8000〜20000であり、エポキシ当量が6000〜10000であるエポキシ樹脂(A1)と重量平均分子量が25000〜80000であり、エポキシ当量が6000〜10000であるエポキシ樹脂(A2)とを100/0〜30/70の重量比で含有するエポキシ樹脂(A)に、フリーラジカル発生剤を用いて、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分とするラジカル重合性モノマー(B1)を、グラフト重合せしめてなる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)、及びフェノール樹脂(E)を特定の割合で含有する水性塗料組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】重量平均分子量が8000〜20000であり、エポキシ当量が6000〜10000であるエポキシ樹脂(A1)と重量平均分子量が25000〜80000であり、エポキシ当量が6000〜10000であるエポキシ樹脂(A2)とを100/0〜30/70の重量比で含有するエポキシ樹脂(A)に、フリーラジカル発生剤を用いて、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分とするラジカル重合性モノマー(B1)を、グラフト重合せしめてなる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)、及びフェノール樹脂(E)を特定の割合で含有する水性塗料組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性塗料組成物に関する。詳しくは、本発明は、金属素材に直接又は下地塗料上に塗工される水性塗料組成物であって、殊に金属缶内面被覆に好適に用いられる水性塗料組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、深絞り加工缶缶胴部等の極めて過酷な加工性が要求される金属缶の内面被覆に好適に用いられ、優れた加工性のみならず、耐食性、耐レトルト性、風味保持性等においても良好な性能を発揮する水性塗料組成物に関する。
また、本発明は、上記水性塗料組成物を内面に塗布してなる深絞り加工缶胴部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から金属缶の内面は、ブリキ、ティンフリースチール、アルミ等の金属素材が内容物に直接接触し腐食するのを防ぐために、金属素材上に通常薄い合成樹脂保護被膜が施されている。また近年は金属缶の新形状としてペットボトル同様に本体とキャップ部材との嵌合によるリシール性を付与した深絞り加工缶が上市され始めている。
【0003】
深絞り加工缶の本体、即ち深絞り加工缶胴部材は、開口部の直径が底部の直径の30〜60%になるように絞り加工が施され、次いで開口部近傍に同直径の頸部が形成される。そして、当該頚部にはキャップ部材との嵌合を確保するためのネジ切り加工が施される。従って、このような深絞り加工缶胴部材の内面に塗布される塗料には、従来の缶用塗料に比べ極めて過酷な加工性が要求される。
また通常缶飲料は、パスト、レトルト処理等の殺菌工程を経て市場に提供されるので、内面塗膜には内容物に対する耐食性及び風味保持性が要求される。従って、深絞り加工缶胴部材に使用される内面用塗料には、上記したような極めて厳しい加工性が要求される他、内面用塗料として耐食性、耐レトルト性、風味保持性等も当然要求される。しかし、これらの諸性能を全て満足するものはいまだ確立されていなかった。
【0004】
ところで、内面被覆用の水性塗料組成物としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂と酸成分を含むアクリル系樹脂とが部分的に結合している状態にある、いわゆる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂と、フェノール樹脂とを水性媒体中に溶解ないし分散させた塗料組成物が知られている。
自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂を含有する水性塗料組成物は、例えば下記(1)〜(3)等に示す方法によって得ることができる。
(1)エステル化法
ビスフェノール型エポキシ樹脂を、カルボキシル基を含有するアクリル系樹脂にてエステル化し、塩基で中和して水性媒体中に分散等させる(特許文献1:特公昭59−37026号公報等参照)。
(2)グラフト法
アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有重合性モノマーを必須成分とするアクリル系モノマー混合物を、フリーラジカル発生剤を用いてビスフェノール型エポキシ樹脂にグラフトさせ、上記同様の方法で水性媒体中に分散等させる(特許文献2:特公昭63−17869号公報等参照)。
(3)直説法(変形エステル化法)
ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ基の一部にアクリル酸やメタクリル酸を反応せしめ、(メタ)アクロイル基を有すエポキシ樹脂を得、次いで該エポキシ樹脂と、アクリル酸やメタクリル酸を含有するアクリル系モノマーとを共重合し、得られた共重合体を上記同様の方法で水中に分散等させる(特公昭62−7213号公報等参照)。
【0005】
また、塗膜の加工性向上を目的として、エポキシ樹脂の他にフェノキシ樹脂を併用し、両樹脂とアクリル系樹脂部分との結合物を含有する水性塗料組成物が、特許文献1:特開平06−1455936号公報に記載されている。
【0006】
さらに、食品中の香気性成分の吸着防止を目的として、特定組成のアクリル系樹脂部分とエポキシ樹脂との結合物を含有する水性塗料組成物が、特願2002−102163号に提案されている。
また、アルコール飲料用に缶内面被覆に好適な水性塗料組成物が、特願2002−320615号に提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特公昭59−37026号公報
【特許文献2】
特公昭63−17869号公報
【特許文献3】
特公昭62−7213号公報
【特許文献4】
特開平006−1455936号公報
【0008】
上記特許文献に提案される水性塗料組成物は、いずれも塗膜形成成分である樹脂自身が、それ自体水性媒体に溶解ないし分散し得るので、得られる塗膜の化学的性能、耐水性等が優れていた。
しかし、これら従来の自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂系水性塗料組成物から形成される塗膜は、耐食性、耐レトルト性には優れるが、深絞り加工缶胴部材特有の過酷な加工に十分耐え得るものではなかった。あるいは、加工性向上のため内面塗膜に柔軟性を付与すると、その反面耐食性、耐レトルト性、風味保持性が低下してしまい、缶の内面被覆用には適さなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、深絞り加工缶胴部材内面被覆用塗料として用いた際、優れた加工性を発揮するのみならず、耐食性、耐レトルト性、風味保持性等にも優れる水性塗料組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、深絞り加工缶胴部材内面用塗料に必要とされる加工性と耐食性、耐レトルト性、風味保持性の関係について検討を重ねた結果、特定の分子量及びエポキシ当量を有するエポキシ樹脂を用い、グラフト法もしくは直接重合法によって、前記エポキシ樹脂とカルボキシル基含有アクリル系共重合体部分とを結合してなる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂と、フェノール樹脂とを組み合わせる事により、深絞り加工及びネジ切り加工部において亀裂等の発生しない良好な塗膜を得るのみならず、耐食性、耐レトルト性、風味保持性でも良好な性
【0011】
即ち、第1の発明は、自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)、フェノール樹脂(E)、アミンもしくはアンモニア及び水性媒体を含有する水性塗料組成物であって、
前記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)が、フリーラジカル発生剤を用いて、エポキシ樹脂(A)に、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分とするラジカル重合性モノマー(B1)を、グラフト重合せしめてなる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)であり、
エポキシ樹脂(A)が下記(1)及び(2)の関係を満足するエポキシ樹脂(A1)と下記(3)及び(4)の関係を満足するエポキシ樹脂(A2)とを(A1)/(A2)=100/0〜30/70(重量比)の比率で含有し、
前記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)の形成に使用されたエポキシ樹脂(A)並びにラジカル重合性モノマー(B1)とフェノール樹脂(E)との重量比が、(A)/(B1)/(E)=70〜85/10〜29/1〜7であることを特徴とする水性塗料組成物に関する。
(1)8000≦X≦20000
(2)6000≦Y≦10000
(3)25000≦X≦80000
(4)6000≦Y≦10000
[式中、Xは重量平均分子量、Yはエポキシ当量(g/eq)である。]
【0012】
第2の発明は、自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)及びフェノール樹脂(E)、アミンもしくはアンモニア及び水性媒体を含有する水性塗料組成物であって、
前記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)が、
エポキシ樹脂(A)のエポキシ基の一部とアクリル酸及び/又はメタクリル酸(B2)とを反応させてなる(メタ)アクリロイル基含有エポキシ樹脂を、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分とするラジカル重合性モノマー(B3)を重合してなる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)であり、
エポキシ樹脂(A)が下記(1)及び(2)の関係を満足するエポキシ樹脂(A1)と下記(3)及び(4)の関係を満足するエポキシ樹脂(A2)とを(A1)/(A2)=100/0〜30/70(重量比)の比率で含有し、
前記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)の形成に使用されたエポキシ樹脂(A)、アクリル酸及び/又はメタクリル酸(B2)並びにラジカル重合性モノマー(B3)とフェノール樹脂(E)との重量比が、(A)/[(B2)+(B3)]/(E)=70〜85/10〜29/1〜7であることを特徴とする水性塗料組成物に関する。
(1)8000≦X≦20000
(2)6000≦Y≦10000
(3)25000≦X≦80000
(4)6000≦Y≦10000
[式中、Xは重量平均分子量、Yはエポキシ当量(g/eq)である。]
[式中、Xは重量平均分子量、Yはエポキシ当量(g/eq)である。]
【0013】
第3の発明は、エポキシ樹脂(A1)が、エポキシ樹脂(a1)と一分子中にフェノール性又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との反応生成物であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載の水性塗料組成物に関する。
【0014】
第4の発明は、エポキシ樹脂(A1)が、下記式(4)で表されるビスフェノール型エポキシモノマー(a3)と、ビスフェノール類(a4)と、一分子中にフェノール性又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との反応生成物であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載の水性塗料組成物に関する。
【化2】
【0015】
第5の発明は、エポキシ樹脂(A1)が、エピクロルヒドリン(a6)と、ビスフェノール類(a4)と、一分子中にフェノール性又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との反応生成物であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載の水性塗料組成物に関する。
【0016】
第6の発明は、有底円筒状金属の内面が第1ないし第5の発明のいずれかに記載の水性塗料組成物で被覆されてなる缶胴部材であって、開口部の直径が底部の直径の30〜60%である頚部を有することを特徴とする深絞り加工缶胴部材に関する。
【0017】
第7の発明は、頚部がネジ切り加工部を具備することを特徴とする第6の発明に記載の深絞り加工缶胴部材に関する。
【0018】
第8の発明は、開口部の直径が底部の直径以上である有底円筒状金属の内面を、第1ないし第5の発明のいずれか記載の水性塗料組成物で被覆した後、開口部の直径を底部の直径の30〜60%にし、次いで開口部近傍に同直径の頸部を形成し、さらに当該頚部にネジ切り加工部を形成することを特徴とする深絞り加工缶胴部材の製造方法に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
深絞り加工缶胴部内面塗料は、内面塗膜を構成する主要成分であるエポキシ樹脂の分子量と塗膜としての架橋密度(ゲル分率、架橋間分子量)を最適組成に設定することが非常に重要である。特に内面塗膜の架橋密度は非常に重要である。本発明は、後述するように比較的低分子量でありながら、エポキシ樹脂の官能基濃度を表すエポキシ当量がかなり高い範囲にあるエポキシ樹脂(A1)を用いることによって、塗膜の架橋密度を制御し得ることができ、良好な特性が得られるようになったものである。
【0020】
ところで、後述するエポキシ樹脂(A1)のように高いエポキシ当量を持つ(エポキシ基官能基濃度の低い)エポキシ樹脂を用いた場合、エポキシ樹脂とアクリル樹脂の反応性が低下する。従って、従来の技術の項で述べた自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂を含有する水性塗料組成物の製造方法のうち、(1)のエステル化法では安定した水性塗料が得にくい。
さらに、エステル化法の場合、エステル化触媒として3級アミンが用いられるが、エポキシ樹脂とアクリル樹脂との反応と同時に、エステル化触媒である3級アミンを介してエポキシ樹脂同士の反応も生じる。その結果、塗膜硬化時に残留応力が増加し、かつ架橋密度が高くなりすぎ、塗膜の柔軟性が失われがちになる。
従って、エステル化法による自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂を含有する塗料では、深絞り加工缶胴部材の頸部のネジ切り加工に耐えられる程の加工性に優れる硬化塗膜を形成できない。深絞り加工缶胴部材内面被覆用には、グラフト法及び直接法(変形エステル化法)による自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂の利用が適している。
【0021】
即ち、前記第1の発明は、いわゆるグラフト法によって得られる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)、フェノール樹脂(E)、アミンもしくはアンモニア及び水性媒体を含有する水性塗料組成物を提供するものであり、前記第2の発明は、いわゆる直説法(変形エステル化法)によって得られる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)、フェノール樹脂(E)、アミンもしくはアンモニア及び水性媒体を含有する水性塗料組成物を提供するものである。
【0022】
そこで、まず自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)を生成する成分の1つである、エポキシ樹脂(A)について説明する。
エポキシ樹脂(A)は、重量平均分子量が8000〜20000、エポキシ当量が6000〜10000のエポキシ樹脂(A1)と、重量平均分子量が25000〜80000、エポキシ当量が6000〜10000のエポキシ樹脂(A2)とを(A1)/(A2)=100/0〜30/70(重量比)の比率で含有するものである。エポキシ樹脂(A1)は、重量平均分子量が10000〜15000、エポキシ当量が7000〜9000であることが好ましく、エポキシ樹脂(A2)は、重量平均分子量が25000〜60000、エポキシ当量が7000〜9000であることが好ましく、(A1)/(A2)=70/30〜30/70(重量比)であることが好ましい。エポキシ当量が7000〜9000と同程度で重量平均分子量が相違するエポキシ樹脂(A1)と(A2)とを併用することが、反応時溶液粘度の著しい上昇の防止及び塗膜の加工性付与のバランスを取る上で好ましい。また、製造の容易さ及び塗料コストを重視する場合には、エポキシ樹脂(A2)を併用せずに、エポキシ樹脂(A1)を単独使用することが好ましい。
【0023】
エポキシ樹脂としてエポキシ当量が6000より小さいビスフェノール型エポキシ樹脂を用いた場合、焼付乾燥後の塗膜架橋密度が高くなりすぎる為、硬化歪みが増加し、塗膜としての柔軟性が失われ、加工性が低下し深絞り加工缶缶胴部に用いた場合、頚部のネジ切り加工部等で塗膜に亀裂が生じてしまう。
一方、エポキシ当量が10000を越えると、得られる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)や(D)の反応性が低下し、塗膜架橋密度が低くなり過ぎるため、缶内面塗料として使用した場合、耐食性、耐レトルト性が劣り、缶内容物中への抽出物量が増加し、フレーバーや衛生性が劣化する問題が発生する。加工性と反応性の関係からエポキシ当量は6000〜10000の範囲であることが重要である。
【0024】
エポキシ樹脂(A1)は、エポキシ当量が6000〜10000であると共に、上記したように重量平均分子量が8000〜20000であることが重要である。重量平均分子量が8000未満では、後述する低エポキシ当量樹脂(a1)使用時と同様に加工性が低下し、深絞り加工缶胴部材に用いた場合、頚部のネジ切り加工部等で塗膜に亀裂が生じてしまう。他方、重量平均分子量が20000を超えると、製造時の溶液粘度上昇を招き、製造が困難になる。
【0025】
このようなエポキシ樹脂(A1)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びこれらの共重合型エポキシ樹脂が挙げられる。
このようなエポキシ樹脂(A1)は、種々の方法で得ることができる。例えば、以下に示す(ア)〜(ウ)のような方法が挙げられる。
(ア) エポキシ当量が6000未満のエポキシ樹脂(a1)と一分子中にフェノール性又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)とを反応生せしめる。
(イ) 下記式(4)で表されるビスフェノール型エポキシモノマー(a3)と、ビスフェノール類(a4)と、一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基をを1個有する化合物(a2)とを反応生せしめる。
【化3】
(ウ) エピクロルヒドリン(b5)と、ビスフェノール類(b4)と、一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)とを反応せしめる。
【0026】
(ア)の方法について説明する。
(ア)の方法は、一般に汎用性エポキシ樹脂として市販されているエポキシ当量が6000未満のエポキシ樹脂(a1)と、一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)とを反応せしめ、重量平均分子量Xをほとんど変えずにエポキシ当量を所定の大きさまで増大させてエポキシ樹脂(A1−1)を得る方法である。
エポキシ樹脂(a1)として使用できる市販品としては、例えばエピコート1009(重量平均分子量(以下、Mwという)=10000、エポキシ当量(以下、Eeqという)=2900)、エピコート1010(Mw=14000、Eeq=4000)(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、エポトートYD−019(Mw=10500、Eeq=2900、東都化成(株)製)、エポトートYD−020(Mw=14500、Eeq=4000、東都化成(株)製)、AER−6019(Mw=11000、Eeq=2500)(以上、旭化成エポキシ(株)製)等がある。
上記したように一般に市販されているエポキシ樹脂のエポキシ当量は、最も高くても4000程度である。これらのエポキシ基を少なくとも部分的に変性し、エポキシ当量を6000〜10000のエポキシ樹脂(A1)とすることによって、絞り加工缶胴部材内面被覆用の塗料に使用することができる。
【0027】
(ア)の方法で用いられる一分子中にフェノール性の水酸基を1個有する化合物(a2)としては、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−sec−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、4−sec−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、5−イソプロピル−3−メチルフェノール、p−ノニルフェノール等種々のものが挙げられるが、アルキルフェノールが好ましく、アルキル基の炭素数が4以下のアルキルフェノールがより好ましい。
【0028】
また、(ア)の方法で用いられる一分子中にアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−プロパノール、イソプロパール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール等のアルコール化合物、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルプロピレングリコール、エチルプロピレングリコール、プロピルプロピレングリコール、ブチルプロピレンジグリコール等のエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールの誘導体を挙げることができる。
尚、フェノール性水酸基を有する化合物とアルコール性水酸基を有する化合物とを併用することもでき、併用する場合にはフェノール性水酸基を有する化合物の方が優先的にエポキシ樹脂(a1)と反応する。
【0029】
次に(イ)の方法について説明する。
(イ)の方法は、いわゆるアドバンス法といわれる方法の一種である。即ち、上記式(4)で表されるビスフェノール型エポキシモノマー(a3)と、ビスフェノール類(a4)と、一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)とを反応せしめて、所定の重量平均分子量、エポキシ当量のエポキシ樹脂(A1)を得る方法である。
【0030】
ここで用いられる一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)としては、上記(ア)の方法において例示したものが同様に例示できる。
【0031】
ここで用いられるビスフェノール類(a4)としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA等があり、このうち特にビスフェノールA、ビスフェノールFをそれぞれ単独または併用して使用することが好ましい。
【0032】
次に(ウ)の方法について説明する。
(ウ)の方法は、いわゆるタフィー法といわれる方法の一種である。即ち、エピクロヒドリン(a6)をビスフェノール類(a4)、一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)とを反応せしめ、所定の重平均分子量、エポキシ当量のエポキシ樹脂(A1)を得る方法である。
ここで用いられるビスフェノール類(a4)としては、上記(イ)の方法において例示されたものが同様に例示できる。また、一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)としても、上記(ア)、(イ)の方法において例示されたものが同様に例示できる。
【0033】
上記(ア)の方法におけるエポキシ樹脂(a1)と一分子中にフェノール性の水酸基を1個有する化合物又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との反応、上記(イ)の方法における式(4)で表されるビスフェノール型エポキシモノマー(a2)とビスフェノール類(a4)と一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との反応、上記(ウ)の方法におけるエピクロヒドリン(a6)とビスフェノール類(a4)と一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との反応は、いずれも触媒の存在下、通常80乃至220℃の温度において30分乃至20時間の条件下に行うことができる。
【0034】
ここで使用される触媒の例としては、苛性ソーダ、苛性カリ等のアルカリ金属水酸化物類、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩類等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの触媒は1種または必要に応じて2種以上組み合わせても良く、その使用量は使用する触媒によっても異なるが、
【0035】
上記(ア)の方法の場合、エポキシ樹脂(a1)と一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との合計100重量部当たり、0.005乃至3重量部程度、
上記(イ)の方法の場合、ビスフェノール型エポキシモノマー(a3)、ビスフェノール類(a4)、及び一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)を1個有する化合物(b1)の合計100重量部当たり、0.005乃至3重量部程度、
上記(ウ)の方法の場合、エピクロヒドリン(a6)、ビスフェノール類(a4)、及び一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)の合計100重量部当たり、0.005乃至3重量部程度である。
【0036】
また、エポキシ樹脂(A1)を得る際には溶媒を使用することができる。使用できる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエステル系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの溶媒は1種または必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
【0037】
次にエポキシ樹脂(A1)の他に併用され得るエポキシ樹脂(A2)について説明する。
エポキシ樹脂(A2)のエポキシ当量は、エポキシ樹脂(A1)と同様に6000〜10000であることが重要であり、7000〜9000であることが好ましく、6000〜10000の範囲を外れるとエポキシ樹脂(A1)の場合と同様の不都合を生じる。
【0038】
エポキシ樹脂(A2)は、一般にはフェノキシ樹脂とも呼ばれる高分子量のエポキシ樹脂の一種であり、エポキシ樹脂(A1)に比して高分子量なのでこれを併用することによって加工性を向上することができる。
従って、エポキシ樹脂(A2)は、重量平均分子量が25000〜80000であることが重要であり、重量平均分子量が25000未満のエポキシ樹脂を前記エポキシ樹脂(A1)と組み合わせても加工性改良効果が小さい。
一方、重量平均分子量が80000を超えるエポキシ樹脂は、必然的にエポキシ当量が高くなるので、このようなエポキシ樹脂を前記エポキシ樹脂(A1)と組み合わせると塗膜の耐食性、耐レトルト性等を低下させる傾向にある。このような高分子量エポキシ樹脂を併用すると塗料の粘度上昇の原因となり、塗工に適する粘度にするためには希釈する必要が生じる。
塗膜の加工性向上と耐食性、耐レトルト性等とのバランス、及び塗装性等とを考慮すると、前記エポキシ樹脂(A1)と併用し得るエポキシ樹脂(A2)の重量平均分子量は25000〜80000であることが重要であり、25000〜60000であることが好ましい。
【0039】
本発明で用いられるエポキシ樹脂(A2)は、エポキシ樹脂(A1)と同様に種々の方法で得ることができるが、分子量を大きくしながらもできるだけエポキシ基が残存するように、比較的低温長時間で反応させることが好ましい。
このようなエポキシ樹脂(A2)は、一般にフェノキシ樹脂と呼ばれ市販されているもののうち、エピコート1256(Mw=29000、Eeq=8000、ジャパンエポキシレジン(株)製)、エポトート YP−55L(Mw=50000、Eeq=9500、東都化成(株)製)等が好適に用いられる。
【0040】
尚、Union Carbide Chem.社製品PKHHも一般的にフェノキシ樹脂として知られている。しかし、該「PKHH」は、Mw=16000、Eeq=50000以上であり、実質的にエポキシ基を有しないので反応性が非常に乏しく、前記エポキシ樹脂(A1)と併用する樹脂としては好ましくない。即ち、このような「PKHH」を前記エポキシ樹脂(A1)と併用する場合、エポキシ樹脂(A1)単独の場合に比して、加工性の向上が望める一方、反応性の劣る「PKHH」の混入で硬化塗膜の架橋密度が低くなり、衛生性や耐食性、風味保持性が劣化する傾向が認められる。また、このような「PKHH」を前記エポキシ樹脂(A1)と併用しても、エポキシ樹脂(A1)とエポキシ樹脂(A2)とを併用する場合に比して、加工性においても向上が認められない一方、同様に硬化塗膜の架橋密度が低くなり、衛生性や耐食性、風味保持性で望まれる性能が得られない問題が生じる。
【0041】
エポキシ樹脂(A1)とエポキシ樹脂(A2)との併用比(重量比)は、(A1)/(A2)=100/0〜30/70であることが重要であり、70/30〜30/70であることが好ましい。エポキシ樹脂(A2)を併用することで加工性の改良が望める反面、エポキシ樹脂(A2)の併用比率が多すぎると製造中の自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)の樹脂溶液粘度が高くなり製造自体が困難になったり、塗工性確保のために塗料を希釈したりしなければならない。
【0042】
次に第1の発明における自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)及びその水性化について説明する。
自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)は、フリーラジカル発生剤を用いて、エポキシ樹脂(A)にアクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分とするラジカル重合性モノマー(B1)をグラフトせしめてなるものである。
一般にグラフト反応ではフリーラジカル発生剤が用いられ、その効果によりエポキシ樹脂(A)分子中の2級炭素(メチレン結合)の水素が引き抜かれる事により分子中にフリーラジカルが生れ、アクリル重合反応がそれに従って生じることでエポキシ樹脂にカルボキシル基含有アクリル樹脂部分を導入することができる。
グラフト法は、エステル化法と異なり、エポキシ樹脂中のエポキシ基が反応に関与しないので、エポキシ当量が6000〜10000と高い(エポキシ基の少ない)エポキシ樹脂(A)の水性化に適している。
【0043】
ここで用いられるフリーラジカル発生剤としては、一般にラジカル重合に用いられる重合開始剤の内、有機過酸化物が好適であり、ベンゾイルパーオキサイド、パーブチルオクテート、t−ブチルハイドロパーオキサイド等を用いることができ、特にベンゾイルパーオキサイドが好ましい。
【0044】
アクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分とするラジカル重合性モノマー(B1)は、親水性を付与するカルボキシル基含有モノマーであるアクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分として含有するほか、これらのアクリルモノマーと共重合性を有するアクリルモノマー1種または2種以上を使用することができる。
例えば、スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−2エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸エステル系モノマー;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−2エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル系モノマー;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基含有モノマー;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−置換(メタ)アクリル系モノマー等の1種もしくは2種以上とを共重合せしめて得られるものである。
【0045】
グラフト反応によりエポキシ樹脂(A)中にカルボキシル基を持つアクリル樹脂部分を導入した後、自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)中のカルボキシル基の少なくとも一部をアミンもしくはアンモニアで中和することによって自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)を水性媒体中に分散せしめることができる。
またアミンもしくはアンモニアを添加した後、いわゆるエステル化反応を行い反応性を向上させる事もできる。エステル化反応は水性媒体を添加する前にアミンもしくはアンモニアを加え、60〜100℃で30分〜6時間加熱撹絆する事で行うことが出来る。
用いられるアミンとしては、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等のアルコールアミン類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン類、モルホリン等の揮発性アミン等が挙げられる。
【0046】
本発明における水性媒体とは、少なくとも50容積%以上、好ましくは80容積%以上が水である、水と親水性溶剤との混合物である。親水性溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、ペンタノール等のアルコール系溶剤の他、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル系溶剤、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル系溶剤、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の一連のグリコールアルキルエーテル系溶剤のエステル化物等が挙げられる。
【0047】
第1の発明の水性塗料組成物は、上記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)に対して、硬化剤としてフェノール樹脂(E)を含有する必要がある。
フェノール樹脂(E)は、石炭酸、クレゾール類、エチルフェノール類その他のアルキルフェノール類或いはビスフェノール類など、2官能、3官能或いは4官能性のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類とを塩基性触媒の存在下で反応させた初期縮合或いは、それらをアルコール類と反応させたアルキルエーテル化反応物を使用することが好ましい。
このような初期縮合物を使用することにより、フェノール樹脂(E)中のメチロール基或いはアルコキシル化メチル基濃度を高くすることができ、焼付塗膜の緻密性を向上させることにより、衛生性を低下させることなく塗膜の耐蝕性を向上させることができる。
第1の発明の水性塗料組成物は、前記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)の形成に使用されたエポキシ樹脂(A)並びにラジカル重合性モノマー(B1)とフェノール樹脂(E)との合計100重量%中、(A)/(B1)/(E)=70〜85/10〜29/1〜7(重量%)であることが重要であり、75〜83/15〜25/2〜5(重量%)の範囲であることが望ましい。
ラジカル重合性モノマー(B1)が、10重量%よりも少ないと自己乳化性エポキシ樹脂の水性媒体に対する分散安定性が悪化し、29重量%よりも多くなると塗膜の耐水性が悪化する。
フェノール樹脂(E)が、1重量%よりも少ないと硬化剤として寄与が認めにくく、7重量部を越えると塗膜の加工性が低下することがあるので好ましくない。
【0048】
次に、第2の発明について説明する。
第2の発明は、いわゆる直接法(変形エステル化法)によって得られる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)を含有する水性塗料組成物であって、自己乳化型エポキシ樹脂(C)の代わりに自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)を用いる点を除き、上記第1の発明と同様である。
【0049】
自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)は、エポキシ樹脂(A)の一部に、アクリル酸もしくはメタクリル酸(B2)を反応させてなる(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ樹脂を得、次いで該エポキシ樹脂と、アクリル酸もしくはメタクリル酸を必須成分とするラジカル重合性モノマー(B3)とを共重合してなる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)である。
自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)の形成に供されるエポキシ樹脂(A)、及び該エポキシ樹脂(A)を構成するエポキシ樹脂(A1)、(A2)、並びにその割合については、自己乳化性エポキシ樹脂(C)の場合と同様である。
【0050】
エポキシ樹脂(A)とアクリル酸もしくはメタクリル酸(B2)との反応の際に用い得るエステル化触媒としては、苛性ソーダ、苛性カリ等のアルカリ金属水酸化物類、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩類等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの触媒は1種または必要に応じて2種以上組み合わせても良い。
【0051】
アクリル酸もしくはメタクリル酸を必須成分として含むラジカル重合性モノマー(B3)としては、グラフト法の場合にラジカル重合性モノマー(B1)として例示したものが同様に例示できる。
【0052】
また、(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ樹脂と、アクリル酸もしくはメタクリル酸を必須成分として含むラジカル重合性モノマー(B3)とを共重合する際に用いられる重合開始剤としては、有機過酸化物、過硫酸塩、アゾビス化合物等があり、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、パーブチルオクテート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル、2,2−アゾビス(2−アミノプロパン)ハイドロクロライド等が挙げられる。
【0053】
自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)は形成のプロセスが自己乳化性エポキシ樹脂(C)とは異なるが、結果として、エポキシ樹脂(A)とアクリル酸もしくはメタクリル酸を必須とする特定組成のラジカル重合性のモノマーに由来する部分とが結合してなるものである。
従って、自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)を構成しているエポキシ樹脂(A)とラジカル重合性のモノマーに由来する部分との比は、自己乳化性エポキシ樹脂(C)の場合と同様であることが重要である。即ち、エステル化の際に用いるアクリル酸もしくはメタクリル酸(B2)と、共重合の際に使用するアクリル酸もしくはメタクリル酸を必須成分として含有するラジカル重合性モノマー(B3)との合計量(B2)+(B3)は、エポキシ樹脂(A)及びフェノール樹脂(E)との重量比で、(A)/[(B2)+(B3)]/(E)=70〜85/10〜29/1〜7であることが必要であり、75〜83/15〜25/2〜5(重量%)であることが望ましい。
【0054】
本発明の水性塗料組成物は、そのままで、または必要に応じて塗工性を改良するための界面活性剤、消泡剤などを添加して、塗料、特に缶の内面用の塗料として用いることができる。
【0055】
本発明の水性塗料組成物が適用される基材としては、未処理鋼板、処理鋼板、亜鉛鉄板、ブリキ板、アルミ板などの金属板が適しており、塗装方法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電スプレーなどのスプレー塗装や浸漬塗装ロールコーター塗装、電着塗装なども可能である。
基材上に塗膜を定着させる焼付条件は、温度150℃〜230℃、時間としては10秒〜30分の範囲から選ぶことができる。
【0056】
本発明の深絞り加工缶胴部材とは有底円筒状金属の内面が当発明における水性塗料組成物で被覆されてなる缶胴部材であって、開口部の直径が底部の直径の30〜60%である頚部を有することを特徴とする深絞り加工缶胴部材を示す。また更には頚部がネジ切り加工部を具備することを特徴とするものであり、その様な加工が施されても塗布されている内面塗膜に亀裂等の塗膜欠陥が生ぜず、かつ良好な耐食性、耐レトルト性、風味保持性を有する。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。なお、例中「部」、「%」はそれぞれ「重量部」、「重量%」を示す。
【0058】
製造例1〔フェノール樹脂(E)溶液の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコに、1)イオン交換水 60部、2)20%水酸化ナトリウム水溶液 60部、3)o−クレゾール 90部、4)p−クレゾール 30部、5)37%ホルマリン 200部を仕込み、60℃で3時間反応させたところ赤褐色透明な溶液を得た。次いで40℃まで冷却してからこの赤褐色透明溶液に、6)20%塩酸 55部を加え攪拌したところ、10分程度で上層が無色透明な水層、下層が赤褐色の有機層に分離した。上層をデカンテーションにより分離・除去したのち、7)n−ブタノール140を加え、固形分50%のフェノール樹脂(E)溶液を得た。
【0059】
製造例2〔比較例用のカルボキシル基含有アクリル系共重合体溶液の製造〕
1)ブチルセロソルブ 400部、2)n−ブタノール 294部、3)メタクリル酸 300部、4)スチレン 100部、5)エチルアクリレート 100部、6)メチルメタクリレート 100部、7)過酸化ベンゾイル 6部
窒素ガス置換した4ッ口フラスコに、ブチルセロソルブ 400部、n−ブタノール 300部、及び3)〜7)のモノマー及び重合開始剤混合液の1/4を仕込んだ。次に100℃に加熱して30分攪拌後、100℃を保ちながらモノマー及び重合開始剤混合液の残りの3/4を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に100℃を保ち2時間攪拌し、冷却、取り出し、固形分30.0%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0060】
実施例1〔水性塗料組成物の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコにエピコート1010(重量平均分子量(Mw)=14000、エポキシ当量(Eeq)=4000、ジャパンエポキシレジン(株)製)49部、p−クレゾール1部、水酸化カリウム0.01部、ブチルセロソルブ 10部を仕込み、160℃、6時間反応させ、重量平均分子量15200、エポキシ当量7700のエポキシ樹脂(A1−1)50部を含む樹脂溶液を得た。
120℃まで冷却した後、エピコート1256(Mw=29000、Eeq=8000、ジャパンエポキシレジン(株)製)110部、ブチルセロソルブ70部、n−ブタノール80部をフラスコ中に仕込み120℃にて攪拌しエピコート1256を完全に溶解させた。
【0061】
フラスコ内を120℃に保持した状態でメタクリル酸25部、スチレン15部、エチルアクリレート5部、メチルメタクリレート5部、過酸化ベンゾイル3部を混合したアクリルモノマー及び重合開始剤溶液を1時間にて滴下した。滴下終了後120℃にて更に1時間保持した後、60℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノール15部を添加した。
つづけてイオン交換水592部を1時間かけて滴下した後、前記フェノール樹脂(E)溶液20部を加え、固形分22.0%の水性塗料組成物を得た。
【0062】
実施例2〔水性塗料組成物の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコにエピコート1009(Mw=10000、Eeq=2900、ジャパンエポキシレジン(株)製)176部、o−クレゾール 3.6部、水酸化ナトリウム 0.03部、ブチルセロソルブ80部、n−ブタノール80部を仕込み、125℃まで加熱し、6時間攪拌し、エポキシ当量8000、Mw=11500のエポキシ樹脂(A1−2)約180部を含む溶液を得た。
【0063】
フラスコ内を125℃に保持した状態でメタクリル酸1.0部、ハイドロキノン0.005部を仕込み、次いで25%水酸化ナトリウム水溶液0.2部を仕込み3時間反応させた。
90℃まで冷却した後、その温度を保持しメタクリル酸15部、スチレン5部、エチルアクリレート3部、メチルメタクリレート7部、N,N−アゾビスイソブチロニトリル1部を混合したアクリルモノマー及び重合開始剤溶液を1時間かけて滴下した。更に90℃にて1時間保持した後、60℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノール10部を添加した。
続けてイオン交換水603部を1時間かけて滴下した後、前記フェノール樹脂(E)溶液10部を加え、固形分22.0%の水性塗料組成物を得た。
【0064】
実施例3〔水性塗料組成物の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコにエピコート828EL(Mw=370、Eeq=190、ジャパンエポキシレジン(株)製)100部、ビスフェノールA58部、n−ペンタノール 2部、テトラメチルアンモニウムクロライド0.1部を仕込み撹絆しながら160℃まで加熱し、同温度で6時間保持しMw=16500、Eeq=7100のエポキシ樹脂(A1−3)約160部を得た。
120℃に冷却した後、このエポキシ樹脂にブチルルセロソルブ80部及びn−ブタノール80部を添加した。
【0065】
フラスコ内を120℃に保持した状態でメタクリル酸30部、スチレン15部、エチルアクリレート10部、メチルメタクリレート10部、過酸化ベンゾイル3部を混合したアクリルモノマー及び重合開始剤溶液を1時間にて滴下した。滴下終了後120℃にて更に1時間保持した後、70℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノール15部を添加した。添加後70℃にて3時間撹絆しエステル化反応を行った後、イオン交換水592部を1時間かけて滴下した後、前記フェノール樹脂(E)溶液10部を加え、固形分22.0%の水性塗料組成物を得た。
【0066】
実施例4〔水性塗料組成物の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコにエピクロルヒドリン50部、ビスフェノールA124部、p−tert−ブチルフェノール1部、トリフェニルフォスフォニウムイオライド0.05部を仕込み、撹絆しながら160℃まで加熱し、6時間保持しMw=14300、Eeq=8800のエポキシ樹脂(A1−4)約175部を得た。
125℃まで冷却した後、ブチルセロソルブ80部、n−ブタノール80部を添加した。
【0067】
次いで、フラスコ内を125℃に保持した状態でメタクリル酸1.0部、ハイドロキノン0.005部を仕込み、次いで25%水酸化ナトリウム水溶液0.2部を仕込み3時間反応させた。
110℃まで冷却した後、その温度を保持しメタクリル酸15部、スチレン10部、エチルアクリレート10部、メチルメタクリレート5部、ベンゾイルパーオキサイド1部を混合したアクリルモノマー及び重合開始剤溶液を1時間かけて滴下した。更に110℃にて1時間保持した後、60℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノール12部を添加した。
続けてイオン交換水602部を1時間かけて滴下した後、前記フェノール樹脂(E)溶液10部を加え、固形分22.0%の水性塗料組成物を得た。
【0068】
実施例5〜6〔水性塗料組成物の製造〕
実施例1において用いたエポキシ樹脂(A1−1)50部及びエピコート1256 110部の代わりに、エポキシ樹脂(A1−1) 100部及びエポトートYP−55L(Mw=50000、Eeq=9500、東都化成(株)製)40部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5の水性塗料組成物を得た。
また同様にエポキシ樹脂(A1−1)160部のみを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例6の水性塗料組成物を得た。
【0069】
実施例7〔水性塗料組成物の製造〕
実施例2において用いたエピコート1009(Mw=10000、Eeq=2900、ジャパンエポキシレジン(株)製)176部、o−クレゾール 3.6部に代わり、エピコート1010 177部、p−tert−ブチルフェノール3部を用いた以外は実施例2と同様にして、エポキシ当量 7700、Mw=15500のエポキシ樹脂(A1−5)約180部を含む溶液を得た。
以下、実施例2と同様にして、実施例7の水性塗料組成物を得た。
【0070】
実施例8〔水性塗料組成物の製造〕
実施例3において用いたエピコート828EL(Mw=370、Eeq=190、ジャパンエポキシレジン(株)製)100部、ビスフェノールA 58部、n−ペンタノール 2部の代わりに、エピコート828EL 102部、ビスフェノールA 56部、p−tert−ブチルフェノール 2部を用いた以外は実施例3と同様にして、Mw=15200、Eeq=8900のエポキシ樹脂(A1−6)約160部を得た。
以下、実施例3と同様にして、実施例8の水性塗料組成物を得た。
【0071】
実施例9〔水性塗料組成物の製造〕
実施例4において用いたp−tert−ブチルフェノール1部の代わりに、n−ブタノール1部を用いた以外は実施例4と同様にして、Mw=13700、Eeq=7900のエポキシ樹脂(A1−7)約175部を得た。
以下、実施例4と同様にして、実施例9の水性塗料組成物を得た。
【0072】
比較例1〔水性塗料組成物の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコにエピコート1009(Mw=10000、Eeq=2900、ジャパンエポキシレジン(株)製)160部、ブチルセロソルブ70部を仕込み、120℃まで加熱、攪拌しエポキシ樹脂を完全に溶解させた。
その後、80℃まで冷却し、製造例2で得た上記カルボキシル基含有アクリル系共重合体溶液160部を仕込んだ。次に80℃を保持した状態においてジメチルアミノエタノール11部を添加し2時間反応させた。
60℃まで冷却したのち、上記フェノール樹脂(E)溶液24部を仕込み、10分間撹拌した後、イオン交換水575部を1時間かけて徐々に滴下し、固形分22.0%の水性塗料組成物を得た。
【0073】
比較例2〔水性塗料組成物の製造〕
上記比較例1において用いたエピコート1009 160部の代わりに、エピコート1009 120部及びエピコート1256 40部を用いた以外は比較例1と同様にして、比較例2の水性塗料組成物を得た。
【0074】
比較例3〔水性塗料組成物の製造〕
上記実施例1において用いたエポキシ樹脂(A1−1) 50部及びエピコート1256 110部の代わりに、AER−6019(Mw=11000、Eeq=2500、旭化成エポキシ(株)製)160部のみを用いた以外は比実施例1と同様にして、比較例3の水性塗料組成物を得た。
【0075】
比較例4〔水性塗料組成物の製造〕
上記実施例1において用いたエポキシ樹脂(A1−1) 50部の代わりに、エピコート1010 50部を用いた以外は比実施例1と同様にして、比較例4の水性塗料組成物を得た。
【0076】
比較例5〔水性塗料組成物の製造〕
上記実施例2で用いたエポキシ樹脂(A1−2)溶液の代わりに、エポトートYD−019(Mw=10500、Eeq=2900、東都化成(株)製)180部をブチルセロソルブ80部、n−ブタノール80部に溶解したエポキシ樹脂溶液を以外は比実施例2と同様にして、比較例5の水性塗料組成物を得た。
【0077】
比較例6〔水性塗料組成物の製造〕
上記実施例3で用いたエポキシ樹脂(A1−3)約160部の代わりに、エピコート1009 60部及びUnion Carbide Chem.社製 PKHH(Mw=16000、Eeq=50000) 100部を用いた以外は比実施例3と同様にして、比較例6の水性塗料組成物を得た。
【0078】
比較例7〔水性塗料組成物の製造〕
上記実施例4で用いたエポキシ樹脂(A1−4)約175部の代わりに、PKHH 約175部を用いた以外は比実施例4と同様にして、比較例7の水性塗料組成物を得た。
【0079】
比較例8〔水性塗料組成物の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコに実施例1において用いたエポキシ樹脂(A1−1)160部、ブチルセロソルブ 70部を仕込み、120℃まで加熱、攪拌しエポキシ樹脂を完全に溶解させた。
その後、80℃まで冷却し、製造例2で得た前記カルボキシル基含有アクリル系共重合体溶160部、前記フェノール樹脂(E)溶液24部を仕込んだ。
次に80℃を保持した状態においてジメチルアミノエタノール11部を添加し1時間反応させた。その後60℃まで冷却したのち、イオン交換水575部を1時間かけて徐々に滴下したが、安定した水性塗料組成物は得られず、経時で樹脂が沈降、分離してしまった。
【0080】
比較例9〔水性塗料組成物の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコにエピコート1010を50部、エピコート1256を110部、ブチルセロソルブ 70部を仕込み、120℃まで加熱、攪拌しエポキシ樹脂を完全に溶解させた。
その後、80℃まで冷却し、前記カルボキシル基含有アクリル系共重合体溶液160部を仕込み、次に80℃を保持した状態においてジメチルアミノエタノール11部を添加したところ樹脂溶液の粘度は著しく増加した。
反応30分後、60℃まで冷却したのち、フェノール樹脂(E)溶液24部を仕込み10分撹拌後、イオン交換水575部を1時間かけて徐々に滴下したが、安定した水性塗料組成物は得られず、経時で樹脂が沈降、分離してしまった。
【0081】
(塗膜性能試験パネル作製)
上記実施例1〜9及び比較例1〜7(比較例8及び9は塗料とならなかった為、塗膜性能評価は行えなかった)で得られた水性塗料組成物を焼付乾燥後の塗膜厚が5μmになる様に0.1mm厚のアルミ板上に塗装し、200℃×2分の焼付乾燥を行い試験用パネルを作製した。各試験パネルを用い、以下の内容の塗膜性能評価を行い、表2に試験結果を表記した。
【0082】
(試験項目)
以下に示す方法で(1)加工性(60mm深さ、キャップネジ切り加工試験)、(2)耐レトルト性、(3)耐食性、(4)水フレーバー、(5)過マンガン酸カリウム消費量、(6)ゲル分率、(7)架橋間分子量について試験を行った。
【0083】
(1) 加工性;塗膜が外面となるように上記試験パネルを深さ60mm、直径幅30mm(ネジ切り加工有り)のキャップ状に成形加工した後、電極を付けたキャップを1%食塩水に浸漬し、6V−4秒通電後の電流値を測定し、以下の基準に従って評価した。
通電量;0.5mA以下・・・・・・・○
通電量;0.5〜5.0mA・・・・・△
通電量;5.0mA以上・・・・・・・×
深絞り加工缶缶胴部において最も過酷な加工が加わるのは頚部であり、絞り加工により頚部が形成された後にキャップ装着用にネジ切り加工が加えられる。
今回は代用試験として、塗装板を深さ60mm,径30mmのキャップ加工(ネジ切り加工有り)を施し、整形加工後の塗膜亀裂の発生程度を評価した。塗膜亀裂レベルを評価する為に、キャップ加工品を1%食塩水に浸漬し、6V−4秒通電後の電流値を測定した。流れる電流が0mAであれば塗膜に亀裂はまったく生じておらず、流れる電流値が大きい程、塗膜亀裂が大きいと言える。
尚、塗膜がキャップの外面となるように加工したのは、レトルト処理等をした後に塗膜の状態を観察するためである。
【0084】
(2)耐レトルト性
(2−1)通電量:上記(1)で述べたキャップ加工成形物にレトルト処理(蒸留水中、125℃−30分処理)を施した後、塗膜亀裂の発生程度を(1)と同様の方法で判断した。評価基準は以下の通りである。
通電量;1.0mA以下・・・・・・・・○
通電量;1.0〜10.0mA・・・・・△
通電量;10.0mA以上・・・・・・・×
(2−2)キャップ成形加工していない試験パネルを用い同様のレトルト処理を施し、塗膜白化の有無を目視で評価した。
塗膜表面状態変化無し・・・・・・・・○
塗膜表面に僅かな白化が生じる・・・・・△
塗膜表面が全面白化する・・・・・・・・×
(2−3)キャップ成形加工していない試験パネルを用い同様のレトルト処理を施した後、塗膜をクロスカットしセロテープ剥離試験を行い、以下の基準に従って密着性を評価した。
全く剥離無し・・・・・・・・・・・・○
1〜10%の面積が剥離・・・・・・・△
10〜100%の面積が剥離・・・・・×
【0085】
(3)耐蝕性評価
(3−1)通電量:上記(1)で述べたキャップ加工成形物をクエン酸 0.5%リンゴ酸 0.5%を含む5%エタノール水溶液中で経時(37℃−30日)処理を施した後の塗膜亀裂の発生程度を(1)と同様の方法で判断した。
通電量;1.0mA以下・・・・・・・○
通電量;1.0〜10.0mA・・・・△
通電量;10.0mA以上・・・・・・×
(3−2)キャップ成形加工していない試験パネルを用い、同様の経時処理を施し、塗膜表面変化を観察、評価した。
塗膜表面状態変化無し・・・・・・・○
塗膜表面に僅かな曇りが生じる・・・△
塗膜表面がマット状になる・・・・・×
(3−3)キャップ成形加工していない試験パネルを用い、同様の経時処理を施し、塗膜をクロスカットしセロテープ剥離試験を行い、以下の基準に従って密着性を評価した。
全く剥離無し・・・・・・・・・・・・○
1〜10%の面積が剥離・・・・・・・△
10〜100%の面積が剥離・・・・・×
【0086】
(4)水フレーバー
キャップ成形加工していない各試験パネル500cm2を、活性炭処理水500ccに浸漬し、密栓したのち125℃−30分の加熱処理を行った。塗装板を浸漬しないで同様の処理を行った活性炭処理水を標準として、以下の基準にしたがって各処理水の味覚を評価した。
味覚に変化なし・・・・・・・・○
かすかに味覚に変化あり・・・・△
味覚に変化あり・・・・・・・・×
水フレーバー試験は、内容物に対する味覚変化を評価したものであり、変化が少ない程、缶内面塗料として良好な性能を有していると言える。
【0087】
(5)過マンガン酸カリウム消費量
キャップ成形加工していない各試験パネル500cm2を、蒸留水500ccに浸漬し、密栓したのち125℃−30分の加熱処理を行った。各処理水の過マンガン酸カリウム消費量を測定し、以下の基準に従って評価した。
過マンガン酸カリウム消費量 3ppm以下・・・・・○
過マンガン酸カリウム消費量 3〜6ppm・・・・・△
過マンガン酸カリウム消費量 6ppm以上・・・・・×
過マンガン酸カリウム消費量は一般的な水質検査であるCODに相当する試験法であり、測定値が低い程、衛生性が優れていると言える。
【0088】
(6)ゲル分率
予め重量を測定した所定の塗膜量の塗装板をフラスコ中で還流(80℃)中のメチルエチルケトン中に浸漬し、60分抽出処理を行った。抽出後の塗膜重量を測定し塗膜残量よりゲル分率(抽出後の塗膜重量/抽出前の塗膜重量×100[%])を求めた。
ゲル分率は、硬化塗膜の架橋レベルを判断するための測定法であり、メチルエチルケトン等の溶解力の高い溶剤を用い、還流(80℃)−60分抽出処理を行った際の塗膜の不溶分率より塗膜の架橋レベルを判断する。深絞り加工缶胴部内面塗料用としては87〜93%においてバランスの取れた性能が得られた。
【0089】
(7)架橋間分子量
動的粘弾性(DMS)測定によりゴム状領域(175℃)における塗膜弾性率(E′)を求め、上記ニールセンの式を用い算出した。
ニールセン式;Mc[g/mol]=239d/(log(E′h/3)−7.0)、d:塗膜の密度[g/cm3]、E′h[dyn/cm2]
架橋間分子量としては、350〜450g/molにおいてバランスの取れた性能を示した。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば深絞り加工缶胴部内面塗料として用いた場合、頚部形成、ネジ切り加工に伴う極めて厳しい加工に良好な加工性を発揮するのみならず、耐レトルト性、耐食性、風味保持性を発揮する、フレーバーや衛生性に優れた塗膜を形成し得る水性塗料組成物及び当塗料組成物を含む塗料で内面を被覆した深絞り加工缶缶胴部及び深絞り加工缶缶胴部の製造方法が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性塗料組成物に関する。詳しくは、本発明は、金属素材に直接又は下地塗料上に塗工される水性塗料組成物であって、殊に金属缶内面被覆に好適に用いられる水性塗料組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、深絞り加工缶缶胴部等の極めて過酷な加工性が要求される金属缶の内面被覆に好適に用いられ、優れた加工性のみならず、耐食性、耐レトルト性、風味保持性等においても良好な性能を発揮する水性塗料組成物に関する。
また、本発明は、上記水性塗料組成物を内面に塗布してなる深絞り加工缶胴部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から金属缶の内面は、ブリキ、ティンフリースチール、アルミ等の金属素材が内容物に直接接触し腐食するのを防ぐために、金属素材上に通常薄い合成樹脂保護被膜が施されている。また近年は金属缶の新形状としてペットボトル同様に本体とキャップ部材との嵌合によるリシール性を付与した深絞り加工缶が上市され始めている。
【0003】
深絞り加工缶の本体、即ち深絞り加工缶胴部材は、開口部の直径が底部の直径の30〜60%になるように絞り加工が施され、次いで開口部近傍に同直径の頸部が形成される。そして、当該頚部にはキャップ部材との嵌合を確保するためのネジ切り加工が施される。従って、このような深絞り加工缶胴部材の内面に塗布される塗料には、従来の缶用塗料に比べ極めて過酷な加工性が要求される。
また通常缶飲料は、パスト、レトルト処理等の殺菌工程を経て市場に提供されるので、内面塗膜には内容物に対する耐食性及び風味保持性が要求される。従って、深絞り加工缶胴部材に使用される内面用塗料には、上記したような極めて厳しい加工性が要求される他、内面用塗料として耐食性、耐レトルト性、風味保持性等も当然要求される。しかし、これらの諸性能を全て満足するものはいまだ確立されていなかった。
【0004】
ところで、内面被覆用の水性塗料組成物としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂と酸成分を含むアクリル系樹脂とが部分的に結合している状態にある、いわゆる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂と、フェノール樹脂とを水性媒体中に溶解ないし分散させた塗料組成物が知られている。
自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂を含有する水性塗料組成物は、例えば下記(1)〜(3)等に示す方法によって得ることができる。
(1)エステル化法
ビスフェノール型エポキシ樹脂を、カルボキシル基を含有するアクリル系樹脂にてエステル化し、塩基で中和して水性媒体中に分散等させる(特許文献1:特公昭59−37026号公報等参照)。
(2)グラフト法
アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有重合性モノマーを必須成分とするアクリル系モノマー混合物を、フリーラジカル発生剤を用いてビスフェノール型エポキシ樹脂にグラフトさせ、上記同様の方法で水性媒体中に分散等させる(特許文献2:特公昭63−17869号公報等参照)。
(3)直説法(変形エステル化法)
ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ基の一部にアクリル酸やメタクリル酸を反応せしめ、(メタ)アクロイル基を有すエポキシ樹脂を得、次いで該エポキシ樹脂と、アクリル酸やメタクリル酸を含有するアクリル系モノマーとを共重合し、得られた共重合体を上記同様の方法で水中に分散等させる(特公昭62−7213号公報等参照)。
【0005】
また、塗膜の加工性向上を目的として、エポキシ樹脂の他にフェノキシ樹脂を併用し、両樹脂とアクリル系樹脂部分との結合物を含有する水性塗料組成物が、特許文献1:特開平06−1455936号公報に記載されている。
【0006】
さらに、食品中の香気性成分の吸着防止を目的として、特定組成のアクリル系樹脂部分とエポキシ樹脂との結合物を含有する水性塗料組成物が、特願2002−102163号に提案されている。
また、アルコール飲料用に缶内面被覆に好適な水性塗料組成物が、特願2002−320615号に提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特公昭59−37026号公報
【特許文献2】
特公昭63−17869号公報
【特許文献3】
特公昭62−7213号公報
【特許文献4】
特開平006−1455936号公報
【0008】
上記特許文献に提案される水性塗料組成物は、いずれも塗膜形成成分である樹脂自身が、それ自体水性媒体に溶解ないし分散し得るので、得られる塗膜の化学的性能、耐水性等が優れていた。
しかし、これら従来の自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂系水性塗料組成物から形成される塗膜は、耐食性、耐レトルト性には優れるが、深絞り加工缶胴部材特有の過酷な加工に十分耐え得るものではなかった。あるいは、加工性向上のため内面塗膜に柔軟性を付与すると、その反面耐食性、耐レトルト性、風味保持性が低下してしまい、缶の内面被覆用には適さなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、深絞り加工缶胴部材内面被覆用塗料として用いた際、優れた加工性を発揮するのみならず、耐食性、耐レトルト性、風味保持性等にも優れる水性塗料組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、深絞り加工缶胴部材内面用塗料に必要とされる加工性と耐食性、耐レトルト性、風味保持性の関係について検討を重ねた結果、特定の分子量及びエポキシ当量を有するエポキシ樹脂を用い、グラフト法もしくは直接重合法によって、前記エポキシ樹脂とカルボキシル基含有アクリル系共重合体部分とを結合してなる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂と、フェノール樹脂とを組み合わせる事により、深絞り加工及びネジ切り加工部において亀裂等の発生しない良好な塗膜を得るのみならず、耐食性、耐レトルト性、風味保持性でも良好な性
【0011】
即ち、第1の発明は、自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)、フェノール樹脂(E)、アミンもしくはアンモニア及び水性媒体を含有する水性塗料組成物であって、
前記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)が、フリーラジカル発生剤を用いて、エポキシ樹脂(A)に、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分とするラジカル重合性モノマー(B1)を、グラフト重合せしめてなる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)であり、
エポキシ樹脂(A)が下記(1)及び(2)の関係を満足するエポキシ樹脂(A1)と下記(3)及び(4)の関係を満足するエポキシ樹脂(A2)とを(A1)/(A2)=100/0〜30/70(重量比)の比率で含有し、
前記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)の形成に使用されたエポキシ樹脂(A)並びにラジカル重合性モノマー(B1)とフェノール樹脂(E)との重量比が、(A)/(B1)/(E)=70〜85/10〜29/1〜7であることを特徴とする水性塗料組成物に関する。
(1)8000≦X≦20000
(2)6000≦Y≦10000
(3)25000≦X≦80000
(4)6000≦Y≦10000
[式中、Xは重量平均分子量、Yはエポキシ当量(g/eq)である。]
【0012】
第2の発明は、自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)及びフェノール樹脂(E)、アミンもしくはアンモニア及び水性媒体を含有する水性塗料組成物であって、
前記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)が、
エポキシ樹脂(A)のエポキシ基の一部とアクリル酸及び/又はメタクリル酸(B2)とを反応させてなる(メタ)アクリロイル基含有エポキシ樹脂を、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分とするラジカル重合性モノマー(B3)を重合してなる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)であり、
エポキシ樹脂(A)が下記(1)及び(2)の関係を満足するエポキシ樹脂(A1)と下記(3)及び(4)の関係を満足するエポキシ樹脂(A2)とを(A1)/(A2)=100/0〜30/70(重量比)の比率で含有し、
前記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)の形成に使用されたエポキシ樹脂(A)、アクリル酸及び/又はメタクリル酸(B2)並びにラジカル重合性モノマー(B3)とフェノール樹脂(E)との重量比が、(A)/[(B2)+(B3)]/(E)=70〜85/10〜29/1〜7であることを特徴とする水性塗料組成物に関する。
(1)8000≦X≦20000
(2)6000≦Y≦10000
(3)25000≦X≦80000
(4)6000≦Y≦10000
[式中、Xは重量平均分子量、Yはエポキシ当量(g/eq)である。]
[式中、Xは重量平均分子量、Yはエポキシ当量(g/eq)である。]
【0013】
第3の発明は、エポキシ樹脂(A1)が、エポキシ樹脂(a1)と一分子中にフェノール性又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との反応生成物であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載の水性塗料組成物に関する。
【0014】
第4の発明は、エポキシ樹脂(A1)が、下記式(4)で表されるビスフェノール型エポキシモノマー(a3)と、ビスフェノール類(a4)と、一分子中にフェノール性又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との反応生成物であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載の水性塗料組成物に関する。
【化2】
【0015】
第5の発明は、エポキシ樹脂(A1)が、エピクロルヒドリン(a6)と、ビスフェノール類(a4)と、一分子中にフェノール性又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との反応生成物であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載の水性塗料組成物に関する。
【0016】
第6の発明は、有底円筒状金属の内面が第1ないし第5の発明のいずれかに記載の水性塗料組成物で被覆されてなる缶胴部材であって、開口部の直径が底部の直径の30〜60%である頚部を有することを特徴とする深絞り加工缶胴部材に関する。
【0017】
第7の発明は、頚部がネジ切り加工部を具備することを特徴とする第6の発明に記載の深絞り加工缶胴部材に関する。
【0018】
第8の発明は、開口部の直径が底部の直径以上である有底円筒状金属の内面を、第1ないし第5の発明のいずれか記載の水性塗料組成物で被覆した後、開口部の直径を底部の直径の30〜60%にし、次いで開口部近傍に同直径の頸部を形成し、さらに当該頚部にネジ切り加工部を形成することを特徴とする深絞り加工缶胴部材の製造方法に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
深絞り加工缶胴部内面塗料は、内面塗膜を構成する主要成分であるエポキシ樹脂の分子量と塗膜としての架橋密度(ゲル分率、架橋間分子量)を最適組成に設定することが非常に重要である。特に内面塗膜の架橋密度は非常に重要である。本発明は、後述するように比較的低分子量でありながら、エポキシ樹脂の官能基濃度を表すエポキシ当量がかなり高い範囲にあるエポキシ樹脂(A1)を用いることによって、塗膜の架橋密度を制御し得ることができ、良好な特性が得られるようになったものである。
【0020】
ところで、後述するエポキシ樹脂(A1)のように高いエポキシ当量を持つ(エポキシ基官能基濃度の低い)エポキシ樹脂を用いた場合、エポキシ樹脂とアクリル樹脂の反応性が低下する。従って、従来の技術の項で述べた自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂を含有する水性塗料組成物の製造方法のうち、(1)のエステル化法では安定した水性塗料が得にくい。
さらに、エステル化法の場合、エステル化触媒として3級アミンが用いられるが、エポキシ樹脂とアクリル樹脂との反応と同時に、エステル化触媒である3級アミンを介してエポキシ樹脂同士の反応も生じる。その結果、塗膜硬化時に残留応力が増加し、かつ架橋密度が高くなりすぎ、塗膜の柔軟性が失われがちになる。
従って、エステル化法による自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂を含有する塗料では、深絞り加工缶胴部材の頸部のネジ切り加工に耐えられる程の加工性に優れる硬化塗膜を形成できない。深絞り加工缶胴部材内面被覆用には、グラフト法及び直接法(変形エステル化法)による自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂の利用が適している。
【0021】
即ち、前記第1の発明は、いわゆるグラフト法によって得られる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)、フェノール樹脂(E)、アミンもしくはアンモニア及び水性媒体を含有する水性塗料組成物を提供するものであり、前記第2の発明は、いわゆる直説法(変形エステル化法)によって得られる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)、フェノール樹脂(E)、アミンもしくはアンモニア及び水性媒体を含有する水性塗料組成物を提供するものである。
【0022】
そこで、まず自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)を生成する成分の1つである、エポキシ樹脂(A)について説明する。
エポキシ樹脂(A)は、重量平均分子量が8000〜20000、エポキシ当量が6000〜10000のエポキシ樹脂(A1)と、重量平均分子量が25000〜80000、エポキシ当量が6000〜10000のエポキシ樹脂(A2)とを(A1)/(A2)=100/0〜30/70(重量比)の比率で含有するものである。エポキシ樹脂(A1)は、重量平均分子量が10000〜15000、エポキシ当量が7000〜9000であることが好ましく、エポキシ樹脂(A2)は、重量平均分子量が25000〜60000、エポキシ当量が7000〜9000であることが好ましく、(A1)/(A2)=70/30〜30/70(重量比)であることが好ましい。エポキシ当量が7000〜9000と同程度で重量平均分子量が相違するエポキシ樹脂(A1)と(A2)とを併用することが、反応時溶液粘度の著しい上昇の防止及び塗膜の加工性付与のバランスを取る上で好ましい。また、製造の容易さ及び塗料コストを重視する場合には、エポキシ樹脂(A2)を併用せずに、エポキシ樹脂(A1)を単独使用することが好ましい。
【0023】
エポキシ樹脂としてエポキシ当量が6000より小さいビスフェノール型エポキシ樹脂を用いた場合、焼付乾燥後の塗膜架橋密度が高くなりすぎる為、硬化歪みが増加し、塗膜としての柔軟性が失われ、加工性が低下し深絞り加工缶缶胴部に用いた場合、頚部のネジ切り加工部等で塗膜に亀裂が生じてしまう。
一方、エポキシ当量が10000を越えると、得られる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)や(D)の反応性が低下し、塗膜架橋密度が低くなり過ぎるため、缶内面塗料として使用した場合、耐食性、耐レトルト性が劣り、缶内容物中への抽出物量が増加し、フレーバーや衛生性が劣化する問題が発生する。加工性と反応性の関係からエポキシ当量は6000〜10000の範囲であることが重要である。
【0024】
エポキシ樹脂(A1)は、エポキシ当量が6000〜10000であると共に、上記したように重量平均分子量が8000〜20000であることが重要である。重量平均分子量が8000未満では、後述する低エポキシ当量樹脂(a1)使用時と同様に加工性が低下し、深絞り加工缶胴部材に用いた場合、頚部のネジ切り加工部等で塗膜に亀裂が生じてしまう。他方、重量平均分子量が20000を超えると、製造時の溶液粘度上昇を招き、製造が困難になる。
【0025】
このようなエポキシ樹脂(A1)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びこれらの共重合型エポキシ樹脂が挙げられる。
このようなエポキシ樹脂(A1)は、種々の方法で得ることができる。例えば、以下に示す(ア)〜(ウ)のような方法が挙げられる。
(ア) エポキシ当量が6000未満のエポキシ樹脂(a1)と一分子中にフェノール性又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)とを反応生せしめる。
(イ) 下記式(4)で表されるビスフェノール型エポキシモノマー(a3)と、ビスフェノール類(a4)と、一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基をを1個有する化合物(a2)とを反応生せしめる。
【化3】
(ウ) エピクロルヒドリン(b5)と、ビスフェノール類(b4)と、一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)とを反応せしめる。
【0026】
(ア)の方法について説明する。
(ア)の方法は、一般に汎用性エポキシ樹脂として市販されているエポキシ当量が6000未満のエポキシ樹脂(a1)と、一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)とを反応せしめ、重量平均分子量Xをほとんど変えずにエポキシ当量を所定の大きさまで増大させてエポキシ樹脂(A1−1)を得る方法である。
エポキシ樹脂(a1)として使用できる市販品としては、例えばエピコート1009(重量平均分子量(以下、Mwという)=10000、エポキシ当量(以下、Eeqという)=2900)、エピコート1010(Mw=14000、Eeq=4000)(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、エポトートYD−019(Mw=10500、Eeq=2900、東都化成(株)製)、エポトートYD−020(Mw=14500、Eeq=4000、東都化成(株)製)、AER−6019(Mw=11000、Eeq=2500)(以上、旭化成エポキシ(株)製)等がある。
上記したように一般に市販されているエポキシ樹脂のエポキシ当量は、最も高くても4000程度である。これらのエポキシ基を少なくとも部分的に変性し、エポキシ当量を6000〜10000のエポキシ樹脂(A1)とすることによって、絞り加工缶胴部材内面被覆用の塗料に使用することができる。
【0027】
(ア)の方法で用いられる一分子中にフェノール性の水酸基を1個有する化合物(a2)としては、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−sec−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、4−sec−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、5−イソプロピル−3−メチルフェノール、p−ノニルフェノール等種々のものが挙げられるが、アルキルフェノールが好ましく、アルキル基の炭素数が4以下のアルキルフェノールがより好ましい。
【0028】
また、(ア)の方法で用いられる一分子中にアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−プロパノール、イソプロパール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール等のアルコール化合物、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルプロピレングリコール、エチルプロピレングリコール、プロピルプロピレングリコール、ブチルプロピレンジグリコール等のエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールの誘導体を挙げることができる。
尚、フェノール性水酸基を有する化合物とアルコール性水酸基を有する化合物とを併用することもでき、併用する場合にはフェノール性水酸基を有する化合物の方が優先的にエポキシ樹脂(a1)と反応する。
【0029】
次に(イ)の方法について説明する。
(イ)の方法は、いわゆるアドバンス法といわれる方法の一種である。即ち、上記式(4)で表されるビスフェノール型エポキシモノマー(a3)と、ビスフェノール類(a4)と、一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)とを反応せしめて、所定の重量平均分子量、エポキシ当量のエポキシ樹脂(A1)を得る方法である。
【0030】
ここで用いられる一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)としては、上記(ア)の方法において例示したものが同様に例示できる。
【0031】
ここで用いられるビスフェノール類(a4)としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA等があり、このうち特にビスフェノールA、ビスフェノールFをそれぞれ単独または併用して使用することが好ましい。
【0032】
次に(ウ)の方法について説明する。
(ウ)の方法は、いわゆるタフィー法といわれる方法の一種である。即ち、エピクロヒドリン(a6)をビスフェノール類(a4)、一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)とを反応せしめ、所定の重平均分子量、エポキシ当量のエポキシ樹脂(A1)を得る方法である。
ここで用いられるビスフェノール類(a4)としては、上記(イ)の方法において例示されたものが同様に例示できる。また、一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)としても、上記(ア)、(イ)の方法において例示されたものが同様に例示できる。
【0033】
上記(ア)の方法におけるエポキシ樹脂(a1)と一分子中にフェノール性の水酸基を1個有する化合物又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との反応、上記(イ)の方法における式(4)で表されるビスフェノール型エポキシモノマー(a2)とビスフェノール類(a4)と一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との反応、上記(ウ)の方法におけるエピクロヒドリン(a6)とビスフェノール類(a4)と一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との反応は、いずれも触媒の存在下、通常80乃至220℃の温度において30分乃至20時間の条件下に行うことができる。
【0034】
ここで使用される触媒の例としては、苛性ソーダ、苛性カリ等のアルカリ金属水酸化物類、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩類等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの触媒は1種または必要に応じて2種以上組み合わせても良く、その使用量は使用する触媒によっても異なるが、
【0035】
上記(ア)の方法の場合、エポキシ樹脂(a1)と一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との合計100重量部当たり、0.005乃至3重量部程度、
上記(イ)の方法の場合、ビスフェノール型エポキシモノマー(a3)、ビスフェノール類(a4)、及び一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)を1個有する化合物(b1)の合計100重量部当たり、0.005乃至3重量部程度、
上記(ウ)の方法の場合、エピクロヒドリン(a6)、ビスフェノール類(a4)、及び一分子中にフェノール性の水酸基又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)の合計100重量部当たり、0.005乃至3重量部程度である。
【0036】
また、エポキシ樹脂(A1)を得る際には溶媒を使用することができる。使用できる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエステル系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの溶媒は1種または必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
【0037】
次にエポキシ樹脂(A1)の他に併用され得るエポキシ樹脂(A2)について説明する。
エポキシ樹脂(A2)のエポキシ当量は、エポキシ樹脂(A1)と同様に6000〜10000であることが重要であり、7000〜9000であることが好ましく、6000〜10000の範囲を外れるとエポキシ樹脂(A1)の場合と同様の不都合を生じる。
【0038】
エポキシ樹脂(A2)は、一般にはフェノキシ樹脂とも呼ばれる高分子量のエポキシ樹脂の一種であり、エポキシ樹脂(A1)に比して高分子量なのでこれを併用することによって加工性を向上することができる。
従って、エポキシ樹脂(A2)は、重量平均分子量が25000〜80000であることが重要であり、重量平均分子量が25000未満のエポキシ樹脂を前記エポキシ樹脂(A1)と組み合わせても加工性改良効果が小さい。
一方、重量平均分子量が80000を超えるエポキシ樹脂は、必然的にエポキシ当量が高くなるので、このようなエポキシ樹脂を前記エポキシ樹脂(A1)と組み合わせると塗膜の耐食性、耐レトルト性等を低下させる傾向にある。このような高分子量エポキシ樹脂を併用すると塗料の粘度上昇の原因となり、塗工に適する粘度にするためには希釈する必要が生じる。
塗膜の加工性向上と耐食性、耐レトルト性等とのバランス、及び塗装性等とを考慮すると、前記エポキシ樹脂(A1)と併用し得るエポキシ樹脂(A2)の重量平均分子量は25000〜80000であることが重要であり、25000〜60000であることが好ましい。
【0039】
本発明で用いられるエポキシ樹脂(A2)は、エポキシ樹脂(A1)と同様に種々の方法で得ることができるが、分子量を大きくしながらもできるだけエポキシ基が残存するように、比較的低温長時間で反応させることが好ましい。
このようなエポキシ樹脂(A2)は、一般にフェノキシ樹脂と呼ばれ市販されているもののうち、エピコート1256(Mw=29000、Eeq=8000、ジャパンエポキシレジン(株)製)、エポトート YP−55L(Mw=50000、Eeq=9500、東都化成(株)製)等が好適に用いられる。
【0040】
尚、Union Carbide Chem.社製品PKHHも一般的にフェノキシ樹脂として知られている。しかし、該「PKHH」は、Mw=16000、Eeq=50000以上であり、実質的にエポキシ基を有しないので反応性が非常に乏しく、前記エポキシ樹脂(A1)と併用する樹脂としては好ましくない。即ち、このような「PKHH」を前記エポキシ樹脂(A1)と併用する場合、エポキシ樹脂(A1)単独の場合に比して、加工性の向上が望める一方、反応性の劣る「PKHH」の混入で硬化塗膜の架橋密度が低くなり、衛生性や耐食性、風味保持性が劣化する傾向が認められる。また、このような「PKHH」を前記エポキシ樹脂(A1)と併用しても、エポキシ樹脂(A1)とエポキシ樹脂(A2)とを併用する場合に比して、加工性においても向上が認められない一方、同様に硬化塗膜の架橋密度が低くなり、衛生性や耐食性、風味保持性で望まれる性能が得られない問題が生じる。
【0041】
エポキシ樹脂(A1)とエポキシ樹脂(A2)との併用比(重量比)は、(A1)/(A2)=100/0〜30/70であることが重要であり、70/30〜30/70であることが好ましい。エポキシ樹脂(A2)を併用することで加工性の改良が望める反面、エポキシ樹脂(A2)の併用比率が多すぎると製造中の自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)の樹脂溶液粘度が高くなり製造自体が困難になったり、塗工性確保のために塗料を希釈したりしなければならない。
【0042】
次に第1の発明における自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)及びその水性化について説明する。
自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)は、フリーラジカル発生剤を用いて、エポキシ樹脂(A)にアクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分とするラジカル重合性モノマー(B1)をグラフトせしめてなるものである。
一般にグラフト反応ではフリーラジカル発生剤が用いられ、その効果によりエポキシ樹脂(A)分子中の2級炭素(メチレン結合)の水素が引き抜かれる事により分子中にフリーラジカルが生れ、アクリル重合反応がそれに従って生じることでエポキシ樹脂にカルボキシル基含有アクリル樹脂部分を導入することができる。
グラフト法は、エステル化法と異なり、エポキシ樹脂中のエポキシ基が反応に関与しないので、エポキシ当量が6000〜10000と高い(エポキシ基の少ない)エポキシ樹脂(A)の水性化に適している。
【0043】
ここで用いられるフリーラジカル発生剤としては、一般にラジカル重合に用いられる重合開始剤の内、有機過酸化物が好適であり、ベンゾイルパーオキサイド、パーブチルオクテート、t−ブチルハイドロパーオキサイド等を用いることができ、特にベンゾイルパーオキサイドが好ましい。
【0044】
アクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分とするラジカル重合性モノマー(B1)は、親水性を付与するカルボキシル基含有モノマーであるアクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分として含有するほか、これらのアクリルモノマーと共重合性を有するアクリルモノマー1種または2種以上を使用することができる。
例えば、スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−2エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸エステル系モノマー;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−2エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル系モノマー;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基含有モノマー;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−置換(メタ)アクリル系モノマー等の1種もしくは2種以上とを共重合せしめて得られるものである。
【0045】
グラフト反応によりエポキシ樹脂(A)中にカルボキシル基を持つアクリル樹脂部分を導入した後、自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)中のカルボキシル基の少なくとも一部をアミンもしくはアンモニアで中和することによって自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)を水性媒体中に分散せしめることができる。
またアミンもしくはアンモニアを添加した後、いわゆるエステル化反応を行い反応性を向上させる事もできる。エステル化反応は水性媒体を添加する前にアミンもしくはアンモニアを加え、60〜100℃で30分〜6時間加熱撹絆する事で行うことが出来る。
用いられるアミンとしては、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等のアルコールアミン類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン類、モルホリン等の揮発性アミン等が挙げられる。
【0046】
本発明における水性媒体とは、少なくとも50容積%以上、好ましくは80容積%以上が水である、水と親水性溶剤との混合物である。親水性溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、ペンタノール等のアルコール系溶剤の他、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル系溶剤、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル系溶剤、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の一連のグリコールアルキルエーテル系溶剤のエステル化物等が挙げられる。
【0047】
第1の発明の水性塗料組成物は、上記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)に対して、硬化剤としてフェノール樹脂(E)を含有する必要がある。
フェノール樹脂(E)は、石炭酸、クレゾール類、エチルフェノール類その他のアルキルフェノール類或いはビスフェノール類など、2官能、3官能或いは4官能性のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類とを塩基性触媒の存在下で反応させた初期縮合或いは、それらをアルコール類と反応させたアルキルエーテル化反応物を使用することが好ましい。
このような初期縮合物を使用することにより、フェノール樹脂(E)中のメチロール基或いはアルコキシル化メチル基濃度を高くすることができ、焼付塗膜の緻密性を向上させることにより、衛生性を低下させることなく塗膜の耐蝕性を向上させることができる。
第1の発明の水性塗料組成物は、前記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)の形成に使用されたエポキシ樹脂(A)並びにラジカル重合性モノマー(B1)とフェノール樹脂(E)との合計100重量%中、(A)/(B1)/(E)=70〜85/10〜29/1〜7(重量%)であることが重要であり、75〜83/15〜25/2〜5(重量%)の範囲であることが望ましい。
ラジカル重合性モノマー(B1)が、10重量%よりも少ないと自己乳化性エポキシ樹脂の水性媒体に対する分散安定性が悪化し、29重量%よりも多くなると塗膜の耐水性が悪化する。
フェノール樹脂(E)が、1重量%よりも少ないと硬化剤として寄与が認めにくく、7重量部を越えると塗膜の加工性が低下することがあるので好ましくない。
【0048】
次に、第2の発明について説明する。
第2の発明は、いわゆる直接法(変形エステル化法)によって得られる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)を含有する水性塗料組成物であって、自己乳化型エポキシ樹脂(C)の代わりに自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)を用いる点を除き、上記第1の発明と同様である。
【0049】
自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)は、エポキシ樹脂(A)の一部に、アクリル酸もしくはメタクリル酸(B2)を反応させてなる(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ樹脂を得、次いで該エポキシ樹脂と、アクリル酸もしくはメタクリル酸を必須成分とするラジカル重合性モノマー(B3)とを共重合してなる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)である。
自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)の形成に供されるエポキシ樹脂(A)、及び該エポキシ樹脂(A)を構成するエポキシ樹脂(A1)、(A2)、並びにその割合については、自己乳化性エポキシ樹脂(C)の場合と同様である。
【0050】
エポキシ樹脂(A)とアクリル酸もしくはメタクリル酸(B2)との反応の際に用い得るエステル化触媒としては、苛性ソーダ、苛性カリ等のアルカリ金属水酸化物類、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩類等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの触媒は1種または必要に応じて2種以上組み合わせても良い。
【0051】
アクリル酸もしくはメタクリル酸を必須成分として含むラジカル重合性モノマー(B3)としては、グラフト法の場合にラジカル重合性モノマー(B1)として例示したものが同様に例示できる。
【0052】
また、(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ樹脂と、アクリル酸もしくはメタクリル酸を必須成分として含むラジカル重合性モノマー(B3)とを共重合する際に用いられる重合開始剤としては、有機過酸化物、過硫酸塩、アゾビス化合物等があり、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、パーブチルオクテート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル、2,2−アゾビス(2−アミノプロパン)ハイドロクロライド等が挙げられる。
【0053】
自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)は形成のプロセスが自己乳化性エポキシ樹脂(C)とは異なるが、結果として、エポキシ樹脂(A)とアクリル酸もしくはメタクリル酸を必須とする特定組成のラジカル重合性のモノマーに由来する部分とが結合してなるものである。
従って、自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)を構成しているエポキシ樹脂(A)とラジカル重合性のモノマーに由来する部分との比は、自己乳化性エポキシ樹脂(C)の場合と同様であることが重要である。即ち、エステル化の際に用いるアクリル酸もしくはメタクリル酸(B2)と、共重合の際に使用するアクリル酸もしくはメタクリル酸を必須成分として含有するラジカル重合性モノマー(B3)との合計量(B2)+(B3)は、エポキシ樹脂(A)及びフェノール樹脂(E)との重量比で、(A)/[(B2)+(B3)]/(E)=70〜85/10〜29/1〜7であることが必要であり、75〜83/15〜25/2〜5(重量%)であることが望ましい。
【0054】
本発明の水性塗料組成物は、そのままで、または必要に応じて塗工性を改良するための界面活性剤、消泡剤などを添加して、塗料、特に缶の内面用の塗料として用いることができる。
【0055】
本発明の水性塗料組成物が適用される基材としては、未処理鋼板、処理鋼板、亜鉛鉄板、ブリキ板、アルミ板などの金属板が適しており、塗装方法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電スプレーなどのスプレー塗装や浸漬塗装ロールコーター塗装、電着塗装なども可能である。
基材上に塗膜を定着させる焼付条件は、温度150℃〜230℃、時間としては10秒〜30分の範囲から選ぶことができる。
【0056】
本発明の深絞り加工缶胴部材とは有底円筒状金属の内面が当発明における水性塗料組成物で被覆されてなる缶胴部材であって、開口部の直径が底部の直径の30〜60%である頚部を有することを特徴とする深絞り加工缶胴部材を示す。また更には頚部がネジ切り加工部を具備することを特徴とするものであり、その様な加工が施されても塗布されている内面塗膜に亀裂等の塗膜欠陥が生ぜず、かつ良好な耐食性、耐レトルト性、風味保持性を有する。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。なお、例中「部」、「%」はそれぞれ「重量部」、「重量%」を示す。
【0058】
製造例1〔フェノール樹脂(E)溶液の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコに、1)イオン交換水 60部、2)20%水酸化ナトリウム水溶液 60部、3)o−クレゾール 90部、4)p−クレゾール 30部、5)37%ホルマリン 200部を仕込み、60℃で3時間反応させたところ赤褐色透明な溶液を得た。次いで40℃まで冷却してからこの赤褐色透明溶液に、6)20%塩酸 55部を加え攪拌したところ、10分程度で上層が無色透明な水層、下層が赤褐色の有機層に分離した。上層をデカンテーションにより分離・除去したのち、7)n−ブタノール140を加え、固形分50%のフェノール樹脂(E)溶液を得た。
【0059】
製造例2〔比較例用のカルボキシル基含有アクリル系共重合体溶液の製造〕
1)ブチルセロソルブ 400部、2)n−ブタノール 294部、3)メタクリル酸 300部、4)スチレン 100部、5)エチルアクリレート 100部、6)メチルメタクリレート 100部、7)過酸化ベンゾイル 6部
窒素ガス置換した4ッ口フラスコに、ブチルセロソルブ 400部、n−ブタノール 300部、及び3)〜7)のモノマー及び重合開始剤混合液の1/4を仕込んだ。次に100℃に加熱して30分攪拌後、100℃を保ちながらモノマー及び重合開始剤混合液の残りの3/4を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に100℃を保ち2時間攪拌し、冷却、取り出し、固形分30.0%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0060】
実施例1〔水性塗料組成物の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコにエピコート1010(重量平均分子量(Mw)=14000、エポキシ当量(Eeq)=4000、ジャパンエポキシレジン(株)製)49部、p−クレゾール1部、水酸化カリウム0.01部、ブチルセロソルブ 10部を仕込み、160℃、6時間反応させ、重量平均分子量15200、エポキシ当量7700のエポキシ樹脂(A1−1)50部を含む樹脂溶液を得た。
120℃まで冷却した後、エピコート1256(Mw=29000、Eeq=8000、ジャパンエポキシレジン(株)製)110部、ブチルセロソルブ70部、n−ブタノール80部をフラスコ中に仕込み120℃にて攪拌しエピコート1256を完全に溶解させた。
【0061】
フラスコ内を120℃に保持した状態でメタクリル酸25部、スチレン15部、エチルアクリレート5部、メチルメタクリレート5部、過酸化ベンゾイル3部を混合したアクリルモノマー及び重合開始剤溶液を1時間にて滴下した。滴下終了後120℃にて更に1時間保持した後、60℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノール15部を添加した。
つづけてイオン交換水592部を1時間かけて滴下した後、前記フェノール樹脂(E)溶液20部を加え、固形分22.0%の水性塗料組成物を得た。
【0062】
実施例2〔水性塗料組成物の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコにエピコート1009(Mw=10000、Eeq=2900、ジャパンエポキシレジン(株)製)176部、o−クレゾール 3.6部、水酸化ナトリウム 0.03部、ブチルセロソルブ80部、n−ブタノール80部を仕込み、125℃まで加熱し、6時間攪拌し、エポキシ当量8000、Mw=11500のエポキシ樹脂(A1−2)約180部を含む溶液を得た。
【0063】
フラスコ内を125℃に保持した状態でメタクリル酸1.0部、ハイドロキノン0.005部を仕込み、次いで25%水酸化ナトリウム水溶液0.2部を仕込み3時間反応させた。
90℃まで冷却した後、その温度を保持しメタクリル酸15部、スチレン5部、エチルアクリレート3部、メチルメタクリレート7部、N,N−アゾビスイソブチロニトリル1部を混合したアクリルモノマー及び重合開始剤溶液を1時間かけて滴下した。更に90℃にて1時間保持した後、60℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノール10部を添加した。
続けてイオン交換水603部を1時間かけて滴下した後、前記フェノール樹脂(E)溶液10部を加え、固形分22.0%の水性塗料組成物を得た。
【0064】
実施例3〔水性塗料組成物の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコにエピコート828EL(Mw=370、Eeq=190、ジャパンエポキシレジン(株)製)100部、ビスフェノールA58部、n−ペンタノール 2部、テトラメチルアンモニウムクロライド0.1部を仕込み撹絆しながら160℃まで加熱し、同温度で6時間保持しMw=16500、Eeq=7100のエポキシ樹脂(A1−3)約160部を得た。
120℃に冷却した後、このエポキシ樹脂にブチルルセロソルブ80部及びn−ブタノール80部を添加した。
【0065】
フラスコ内を120℃に保持した状態でメタクリル酸30部、スチレン15部、エチルアクリレート10部、メチルメタクリレート10部、過酸化ベンゾイル3部を混合したアクリルモノマー及び重合開始剤溶液を1時間にて滴下した。滴下終了後120℃にて更に1時間保持した後、70℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノール15部を添加した。添加後70℃にて3時間撹絆しエステル化反応を行った後、イオン交換水592部を1時間かけて滴下した後、前記フェノール樹脂(E)溶液10部を加え、固形分22.0%の水性塗料組成物を得た。
【0066】
実施例4〔水性塗料組成物の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコにエピクロルヒドリン50部、ビスフェノールA124部、p−tert−ブチルフェノール1部、トリフェニルフォスフォニウムイオライド0.05部を仕込み、撹絆しながら160℃まで加熱し、6時間保持しMw=14300、Eeq=8800のエポキシ樹脂(A1−4)約175部を得た。
125℃まで冷却した後、ブチルセロソルブ80部、n−ブタノール80部を添加した。
【0067】
次いで、フラスコ内を125℃に保持した状態でメタクリル酸1.0部、ハイドロキノン0.005部を仕込み、次いで25%水酸化ナトリウム水溶液0.2部を仕込み3時間反応させた。
110℃まで冷却した後、その温度を保持しメタクリル酸15部、スチレン10部、エチルアクリレート10部、メチルメタクリレート5部、ベンゾイルパーオキサイド1部を混合したアクリルモノマー及び重合開始剤溶液を1時間かけて滴下した。更に110℃にて1時間保持した後、60℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノール12部を添加した。
続けてイオン交換水602部を1時間かけて滴下した後、前記フェノール樹脂(E)溶液10部を加え、固形分22.0%の水性塗料組成物を得た。
【0068】
実施例5〜6〔水性塗料組成物の製造〕
実施例1において用いたエポキシ樹脂(A1−1)50部及びエピコート1256 110部の代わりに、エポキシ樹脂(A1−1) 100部及びエポトートYP−55L(Mw=50000、Eeq=9500、東都化成(株)製)40部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5の水性塗料組成物を得た。
また同様にエポキシ樹脂(A1−1)160部のみを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例6の水性塗料組成物を得た。
【0069】
実施例7〔水性塗料組成物の製造〕
実施例2において用いたエピコート1009(Mw=10000、Eeq=2900、ジャパンエポキシレジン(株)製)176部、o−クレゾール 3.6部に代わり、エピコート1010 177部、p−tert−ブチルフェノール3部を用いた以外は実施例2と同様にして、エポキシ当量 7700、Mw=15500のエポキシ樹脂(A1−5)約180部を含む溶液を得た。
以下、実施例2と同様にして、実施例7の水性塗料組成物を得た。
【0070】
実施例8〔水性塗料組成物の製造〕
実施例3において用いたエピコート828EL(Mw=370、Eeq=190、ジャパンエポキシレジン(株)製)100部、ビスフェノールA 58部、n−ペンタノール 2部の代わりに、エピコート828EL 102部、ビスフェノールA 56部、p−tert−ブチルフェノール 2部を用いた以外は実施例3と同様にして、Mw=15200、Eeq=8900のエポキシ樹脂(A1−6)約160部を得た。
以下、実施例3と同様にして、実施例8の水性塗料組成物を得た。
【0071】
実施例9〔水性塗料組成物の製造〕
実施例4において用いたp−tert−ブチルフェノール1部の代わりに、n−ブタノール1部を用いた以外は実施例4と同様にして、Mw=13700、Eeq=7900のエポキシ樹脂(A1−7)約175部を得た。
以下、実施例4と同様にして、実施例9の水性塗料組成物を得た。
【0072】
比較例1〔水性塗料組成物の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコにエピコート1009(Mw=10000、Eeq=2900、ジャパンエポキシレジン(株)製)160部、ブチルセロソルブ70部を仕込み、120℃まで加熱、攪拌しエポキシ樹脂を完全に溶解させた。
その後、80℃まで冷却し、製造例2で得た上記カルボキシル基含有アクリル系共重合体溶液160部を仕込んだ。次に80℃を保持した状態においてジメチルアミノエタノール11部を添加し2時間反応させた。
60℃まで冷却したのち、上記フェノール樹脂(E)溶液24部を仕込み、10分間撹拌した後、イオン交換水575部を1時間かけて徐々に滴下し、固形分22.0%の水性塗料組成物を得た。
【0073】
比較例2〔水性塗料組成物の製造〕
上記比較例1において用いたエピコート1009 160部の代わりに、エピコート1009 120部及びエピコート1256 40部を用いた以外は比較例1と同様にして、比較例2の水性塗料組成物を得た。
【0074】
比較例3〔水性塗料組成物の製造〕
上記実施例1において用いたエポキシ樹脂(A1−1) 50部及びエピコート1256 110部の代わりに、AER−6019(Mw=11000、Eeq=2500、旭化成エポキシ(株)製)160部のみを用いた以外は比実施例1と同様にして、比較例3の水性塗料組成物を得た。
【0075】
比較例4〔水性塗料組成物の製造〕
上記実施例1において用いたエポキシ樹脂(A1−1) 50部の代わりに、エピコート1010 50部を用いた以外は比実施例1と同様にして、比較例4の水性塗料組成物を得た。
【0076】
比較例5〔水性塗料組成物の製造〕
上記実施例2で用いたエポキシ樹脂(A1−2)溶液の代わりに、エポトートYD−019(Mw=10500、Eeq=2900、東都化成(株)製)180部をブチルセロソルブ80部、n−ブタノール80部に溶解したエポキシ樹脂溶液を以外は比実施例2と同様にして、比較例5の水性塗料組成物を得た。
【0077】
比較例6〔水性塗料組成物の製造〕
上記実施例3で用いたエポキシ樹脂(A1−3)約160部の代わりに、エピコート1009 60部及びUnion Carbide Chem.社製 PKHH(Mw=16000、Eeq=50000) 100部を用いた以外は比実施例3と同様にして、比較例6の水性塗料組成物を得た。
【0078】
比較例7〔水性塗料組成物の製造〕
上記実施例4で用いたエポキシ樹脂(A1−4)約175部の代わりに、PKHH 約175部を用いた以外は比実施例4と同様にして、比較例7の水性塗料組成物を得た。
【0079】
比較例8〔水性塗料組成物の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコに実施例1において用いたエポキシ樹脂(A1−1)160部、ブチルセロソルブ 70部を仕込み、120℃まで加熱、攪拌しエポキシ樹脂を完全に溶解させた。
その後、80℃まで冷却し、製造例2で得た前記カルボキシル基含有アクリル系共重合体溶160部、前記フェノール樹脂(E)溶液24部を仕込んだ。
次に80℃を保持した状態においてジメチルアミノエタノール11部を添加し1時間反応させた。その後60℃まで冷却したのち、イオン交換水575部を1時間かけて徐々に滴下したが、安定した水性塗料組成物は得られず、経時で樹脂が沈降、分離してしまった。
【0080】
比較例9〔水性塗料組成物の製造〕
窒素ガス置換した4ッ口フラスコにエピコート1010を50部、エピコート1256を110部、ブチルセロソルブ 70部を仕込み、120℃まで加熱、攪拌しエポキシ樹脂を完全に溶解させた。
その後、80℃まで冷却し、前記カルボキシル基含有アクリル系共重合体溶液160部を仕込み、次に80℃を保持した状態においてジメチルアミノエタノール11部を添加したところ樹脂溶液の粘度は著しく増加した。
反応30分後、60℃まで冷却したのち、フェノール樹脂(E)溶液24部を仕込み10分撹拌後、イオン交換水575部を1時間かけて徐々に滴下したが、安定した水性塗料組成物は得られず、経時で樹脂が沈降、分離してしまった。
【0081】
(塗膜性能試験パネル作製)
上記実施例1〜9及び比較例1〜7(比較例8及び9は塗料とならなかった為、塗膜性能評価は行えなかった)で得られた水性塗料組成物を焼付乾燥後の塗膜厚が5μmになる様に0.1mm厚のアルミ板上に塗装し、200℃×2分の焼付乾燥を行い試験用パネルを作製した。各試験パネルを用い、以下の内容の塗膜性能評価を行い、表2に試験結果を表記した。
【0082】
(試験項目)
以下に示す方法で(1)加工性(60mm深さ、キャップネジ切り加工試験)、(2)耐レトルト性、(3)耐食性、(4)水フレーバー、(5)過マンガン酸カリウム消費量、(6)ゲル分率、(7)架橋間分子量について試験を行った。
【0083】
(1) 加工性;塗膜が外面となるように上記試験パネルを深さ60mm、直径幅30mm(ネジ切り加工有り)のキャップ状に成形加工した後、電極を付けたキャップを1%食塩水に浸漬し、6V−4秒通電後の電流値を測定し、以下の基準に従って評価した。
通電量;0.5mA以下・・・・・・・○
通電量;0.5〜5.0mA・・・・・△
通電量;5.0mA以上・・・・・・・×
深絞り加工缶缶胴部において最も過酷な加工が加わるのは頚部であり、絞り加工により頚部が形成された後にキャップ装着用にネジ切り加工が加えられる。
今回は代用試験として、塗装板を深さ60mm,径30mmのキャップ加工(ネジ切り加工有り)を施し、整形加工後の塗膜亀裂の発生程度を評価した。塗膜亀裂レベルを評価する為に、キャップ加工品を1%食塩水に浸漬し、6V−4秒通電後の電流値を測定した。流れる電流が0mAであれば塗膜に亀裂はまったく生じておらず、流れる電流値が大きい程、塗膜亀裂が大きいと言える。
尚、塗膜がキャップの外面となるように加工したのは、レトルト処理等をした後に塗膜の状態を観察するためである。
【0084】
(2)耐レトルト性
(2−1)通電量:上記(1)で述べたキャップ加工成形物にレトルト処理(蒸留水中、125℃−30分処理)を施した後、塗膜亀裂の発生程度を(1)と同様の方法で判断した。評価基準は以下の通りである。
通電量;1.0mA以下・・・・・・・・○
通電量;1.0〜10.0mA・・・・・△
通電量;10.0mA以上・・・・・・・×
(2−2)キャップ成形加工していない試験パネルを用い同様のレトルト処理を施し、塗膜白化の有無を目視で評価した。
塗膜表面状態変化無し・・・・・・・・○
塗膜表面に僅かな白化が生じる・・・・・△
塗膜表面が全面白化する・・・・・・・・×
(2−3)キャップ成形加工していない試験パネルを用い同様のレトルト処理を施した後、塗膜をクロスカットしセロテープ剥離試験を行い、以下の基準に従って密着性を評価した。
全く剥離無し・・・・・・・・・・・・○
1〜10%の面積が剥離・・・・・・・△
10〜100%の面積が剥離・・・・・×
【0085】
(3)耐蝕性評価
(3−1)通電量:上記(1)で述べたキャップ加工成形物をクエン酸 0.5%リンゴ酸 0.5%を含む5%エタノール水溶液中で経時(37℃−30日)処理を施した後の塗膜亀裂の発生程度を(1)と同様の方法で判断した。
通電量;1.0mA以下・・・・・・・○
通電量;1.0〜10.0mA・・・・△
通電量;10.0mA以上・・・・・・×
(3−2)キャップ成形加工していない試験パネルを用い、同様の経時処理を施し、塗膜表面変化を観察、評価した。
塗膜表面状態変化無し・・・・・・・○
塗膜表面に僅かな曇りが生じる・・・△
塗膜表面がマット状になる・・・・・×
(3−3)キャップ成形加工していない試験パネルを用い、同様の経時処理を施し、塗膜をクロスカットしセロテープ剥離試験を行い、以下の基準に従って密着性を評価した。
全く剥離無し・・・・・・・・・・・・○
1〜10%の面積が剥離・・・・・・・△
10〜100%の面積が剥離・・・・・×
【0086】
(4)水フレーバー
キャップ成形加工していない各試験パネル500cm2を、活性炭処理水500ccに浸漬し、密栓したのち125℃−30分の加熱処理を行った。塗装板を浸漬しないで同様の処理を行った活性炭処理水を標準として、以下の基準にしたがって各処理水の味覚を評価した。
味覚に変化なし・・・・・・・・○
かすかに味覚に変化あり・・・・△
味覚に変化あり・・・・・・・・×
水フレーバー試験は、内容物に対する味覚変化を評価したものであり、変化が少ない程、缶内面塗料として良好な性能を有していると言える。
【0087】
(5)過マンガン酸カリウム消費量
キャップ成形加工していない各試験パネル500cm2を、蒸留水500ccに浸漬し、密栓したのち125℃−30分の加熱処理を行った。各処理水の過マンガン酸カリウム消費量を測定し、以下の基準に従って評価した。
過マンガン酸カリウム消費量 3ppm以下・・・・・○
過マンガン酸カリウム消費量 3〜6ppm・・・・・△
過マンガン酸カリウム消費量 6ppm以上・・・・・×
過マンガン酸カリウム消費量は一般的な水質検査であるCODに相当する試験法であり、測定値が低い程、衛生性が優れていると言える。
【0088】
(6)ゲル分率
予め重量を測定した所定の塗膜量の塗装板をフラスコ中で還流(80℃)中のメチルエチルケトン中に浸漬し、60分抽出処理を行った。抽出後の塗膜重量を測定し塗膜残量よりゲル分率(抽出後の塗膜重量/抽出前の塗膜重量×100[%])を求めた。
ゲル分率は、硬化塗膜の架橋レベルを判断するための測定法であり、メチルエチルケトン等の溶解力の高い溶剤を用い、還流(80℃)−60分抽出処理を行った際の塗膜の不溶分率より塗膜の架橋レベルを判断する。深絞り加工缶胴部内面塗料用としては87〜93%においてバランスの取れた性能が得られた。
【0089】
(7)架橋間分子量
動的粘弾性(DMS)測定によりゴム状領域(175℃)における塗膜弾性率(E′)を求め、上記ニールセンの式を用い算出した。
ニールセン式;Mc[g/mol]=239d/(log(E′h/3)−7.0)、d:塗膜の密度[g/cm3]、E′h[dyn/cm2]
架橋間分子量としては、350〜450g/molにおいてバランスの取れた性能を示した。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば深絞り加工缶胴部内面塗料として用いた場合、頚部形成、ネジ切り加工に伴う極めて厳しい加工に良好な加工性を発揮するのみならず、耐レトルト性、耐食性、風味保持性を発揮する、フレーバーや衛生性に優れた塗膜を形成し得る水性塗料組成物及び当塗料組成物を含む塗料で内面を被覆した深絞り加工缶缶胴部及び深絞り加工缶缶胴部の製造方法が得られる。
Claims (8)
- 自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)、フェノール樹脂(E)、アミンもしくはアンモニア及び水性媒体を含有する水性塗料組成物であって、
前記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)が、フリーラジカル発生剤を用いて、エポキシ樹脂(A)に、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分とするラジカル重合性モノマー(B1)を、グラフト重合せしめてなる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)であり、
エポキシ樹脂(A)が、下記(1)及び(2)の関係を満足するエポキシ樹脂(A1)と下記(3)及び(4)の関係を満足するエポキシ樹脂(A2)とを(A1)/(A2)=100/0〜30/70(重量比)の比率で含有し、
前記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(C)の形成に使用されたエポキシ樹脂(A)並びにラジカル重合性モノマー(B1)とフェノール樹脂(E)との重量比が、(A)/(B1)/(E)=70〜85/10〜29/1〜7であることを特徴とする水性塗料組成物。
(1)8000≦X≦20000
(2)6000≦Y≦10000
(3)25000≦X≦80000
(4)6000≦Y≦10000
[式中、Xは重量平均分子量、Yはエポキシ当量(g/eq)である。] - 自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)及びフェノール樹脂(E)、アミンもしくはアンモニア及び水性媒体を含有する水性塗料組成物であって、
前記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)が、
エポキシ樹脂(A)のエポキシ基の一部とアクリル酸及び/又はメタクリル酸(B2)とを反応させてなる(メタ)アクリロイル基含有エポキシ樹脂を、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分とするラジカル重合性モノマー(B3)を重合してなる自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)であり、
エポキシ樹脂(A)が、下記(1)及び(2)の関係を満足するエポキシ樹脂(A1)と下記(3)及び(4)の関係を満足するエポキシ樹脂(A2)とを(A1)/(A2)=100/0〜30/70(重量比)の比率で含有し、
前記自己乳化性ビスフェノール型エポキシ樹脂(D)の形成に使用されたエポキシ樹脂(A)、アクリル酸及び/又はメタクリル酸(B2)並びにラジカル重合性モノマー(B3)とフェノール樹脂(E)との重量比が、(A)/[(B2)+(B3)]/(E)=70〜85/10〜29/1〜7であることを特徴とする水性塗料組成物。
(1)8000≦X≦20000
(2)6000≦Y≦10000
(3)25000≦X≦80000
(4)6000≦Y≦10000
[式中、Xは重量平均分子量、Yはエポキシ当量(g/eq)である。] - エポキシ樹脂(A1)が、エポキシ樹脂(a1)と一分子中にフェノール性又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との反応生成物であることを特徴とする請求項1又は2記載の水性塗料組成物。
- エポキシ樹脂(A1)が、エピクロルヒドリン(a6)と、ビスフェノール類(a4)と、一分子中にフェノール性又は/及びアルコール性の水酸基を1個有する化合物(a2)との反応生成物であることを特徴とする請求項1又は2記載の水性塗料組成物。
- 有底円筒状金属の内面が請求項1ないし5いずれか記載の水性塗料組成物で被覆されてなる缶胴部材であって、開口部の直径が底部の直径の30〜60%である頚部を有することを特徴とする深絞り加工缶胴部材。
- 頚部がネジ切り加工部を具備することを特徴とする請求項6記載の深絞り加工缶胴部材。
- 開口部の直径が底部の直径以上である有底円筒状金属の内面を、請求項1ないし5いずれか記載の水性塗料組成物で被覆した後、開口部の直径を底部の直径の30〜60%にし、次いで開口部近傍に同直径の頸部を形成し、さらに当該頚部にネジ切り加工部を形成することを特徴とする深絞り加工缶胴部材の製造方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2003
- 2003-06-13 JP JP2003168808A patent/JP2005002251A/ja active Pending
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