JP2005002179A - 油性成分用洗浄除去剤およびこれを使用した洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワセリン、流動パラフィン、ゲル化炭化水素などの油性成分及びそれらを含む医薬品、食品および化粧品に対して、洗浄効果が高く、起泡性がなく、後処理として少量の洗浄水で洗浄でき、洗浄廃水は容易に油水分離して油性成分を回収でき、環境への配慮が高い洗浄剤および洗浄方法を提供すること。
【解決手段】アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピルなどのある種の二塩基酸アルキルエステル、ジカプリル酸プロピレングリコールなどのある種のプロピレングリコール脂肪酸エステルを有効成分とする油性洗浄除去剤。この油性洗浄除去剤とある種の水性洗浄除去剤または低級アルコールとの組み合わせによる洗浄方法。
【選択図】 なし
【解決手段】アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピルなどのある種の二塩基酸アルキルエステル、ジカプリル酸プロピレングリコールなどのある種のプロピレングリコール脂肪酸エステルを有効成分とする油性洗浄除去剤。この油性洗浄除去剤とある種の水性洗浄除去剤または低級アルコールとの組み合わせによる洗浄方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は主に医薬品、食品、化粧品などに用いられる油性成分および/または油性成分含有製品(以下「油性成分・製品」とも称す)の洗浄除去剤およびこれを使用した洗浄対象物の洗浄方法に関する。更に詳しくは油脂類、ロウ類、炭化水素、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、医薬品油性原料などの油性成分・製品を洗浄除去する際に有用な洗浄除去剤およびこれを使用した医薬品、食品、化粧品などを製造するための機械装置、容器・器具、配管設備などの洗浄方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油性成分にはオリーブ油や大豆油などの油脂類、ラノリンや蜜蝋などのロウ類、ワセリンや流動パラフィンなどの炭化水素、ラウリン酸やパルミチン酸などの脂肪酸、セタノールやステアリルアルコールなどのアルコール類、ミリスチン酸イソプロピルやステアリン酸ブチルなどのエステル類があり、医薬品、食品、化粧品などには製品中の油性成分として多く利用されている。
【0003】
油脂類は脂肪酸とグリセリンのエステルからなり、構成脂肪酸の違い、エステル体の違い(モノ、ジ、トリ)により常温ではオリーブ油や大豆油などのように油状のものから、カカオ脂や牛脂のように固体のものまである。しかしながらこれらは共通して水不溶性であり、その存在は天然の動植物界に広く存在する。
【0004】
ロウ類は長鎖脂肪酸と長鎖一級アルコールとのエステルを主成分とするものであり、その殆どが固体であり、水不溶性である。ロウ類も天然動植物から得られるが、前記油脂類ほど多くなく、動物由来のラノリンや蜜蝋、植物由来のカルナウバロウやカンデリラロウなどがある。
【0005】
炭化水素には鎖式炭化水素と環式炭化水素に大別されるが、医薬品、化粧品の油相成分として広く利用されているのは前者であり、それらは極性基を有しない化学的には極めて不活性な化合物である。いずれも水不溶性であり、ワセリン、流動パラフィン、スクワランなどがあるが、この他に流動パラフィンと疎水性ポリマーの混合物(例えば、流動パラフィンを5〜10%に相当する量のポリエチレンでゲル化したゲル化炭化水素、別名プラスチベース)もある。
【0006】
脂肪酸は動植物油脂に含まれており、これらはノルマルカルボン酸で炭素数が偶数であることが特徴としてあり、大部分は炭素数8から24程度である。さらには広く天然の油脂、ロウなどにもエステル体として存在している。これらはいずれも水不溶性であり、例としてはラウリン酸やパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などが掲げられる。
【0007】
アルコール類は低級のものは水溶性であるが、高級なものは油脂または脂肪酸エステルを還元するか、ロウ類をケン化分解して得られ、一般に水不溶性である。またエステル類は酸とアルコールを脱水して作られ、その組み合わせは無数にあるが、化粧品に用いられているのは比較的限られたものである。エステル類は製品の油性っぽさを抑え、かつ皮膚浸透性が優れている特長を持つ。
【0008】
油性成分に用いる上記オリーブ油、大豆油、カカオ脂、ラノリン、蜜蝋、カルナウバロウ、ワセリン、ステアリン酸、セタノール、ステアリルアルコールは日本薬局方、化粧品原料基準に、牛脂は日本薬局方に、カンデリラロウ、スクワラン、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチルは化粧品原料基準に、流動パラフィンは日本薬局方、食品添加物公定書、化粧品原料基準に、ゲル化炭化水素は医薬品添加物規格に各々収載され、いずれも医薬品、食品、化粧品の油性成分として広く使用されている。
【0009】
また医薬品油性原料としては、ビタミン類の酢酸トコフェロール、フィトナジオン、メナテトレノン、パルミチン酸レチノール、抗精神病薬のデカン酸フルフェナジン、非ステロイド性抗炎症薬のイブプロフェンピコノール、ウフェナマート、皮膚治療薬のジメチルイソプロピルアズレン、抗高脂血症薬のニコチン酸トコフェロールなどが揚げられる。
【0010】
これらの油性成分・製品はそれ自体疎水性が強く、一般に高い粘性と付着性がある。従って、これらを洗浄除去する場合、その量が少量であれば有機溶媒等で強くこすり、拭き取る事も可能であるが、医薬品、食品、化粧品などの製造時には大量であり、このような方法は採用しがたい。特に、安全で、環境・健康障害が無く、容易に除去できる適当な洗浄除去剤がこれまでなかった。それ故、これ迄軟膏類、クリーム類などの高付着性半固体である油性製品の製造においては、その製造に用いた攪拌混合機などの装置、容器・器具類、配管設備に付着したこれらの油性成分・製品を効果的に洗浄除去することは困難であった。そして油性の医薬品原料、食品原料などにおいても同様の問題が残ることがしばしばであった。
【0011】
従来、医薬品、食品、化粧品などの製造時における油性成分・製品の一般的洗浄方法は、洗浄対象物である装置、容器・器具類中に、多量の油性成分・製品が残存付着している場合、最初にこれら油性成分・製品を大まかに手動、または機械的方法で除去し、次に加温した中性やイオン性の台所用合成洗剤の類であるアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミドなどの界面活性剤を有効成分とする洗浄剤または酸・アルカリ洗浄剤を装置や容器・器具類に注入し、攪拌しながら洗浄除去したりしていた。そして最後に精製水により、洗剤の残留が無くなるまで洗浄を適当回数行われる方法が行われていた。
【0012】
その他の方法としては、油性成分・製品と相溶する鉱油、植物油を添加し、均一に攪拌溶解しながら除去し、残油を界面活性剤などで洗浄除去操作が行われていた。
【0013】
従来の洗浄技術では、使用する台所用合成洗剤の類の洗浄剤には界面活性剤をはじめ多数の成分が含まれており、これらの成分が装置内などに残留する危険性がある。しかし、化学構造的にも多種多様の成分を全て除去すること、それらがどの程度残留しているのかを全て測定することは容易なことではない。また、同洗剤は起泡性が高いので、洗浄攪拌強度を制限され、特に加温下では強い攪拌を行うと大量に泡が発生するので実施できない。また、このような起泡性のある洗剤は洗剤除去に大量の洗浄水を必要とする。さらに、同洗剤は油性成分・製品を乳化することが主な作用であるので、たとえ油性成分・製品を洗浄除去できても、洗浄除去後の廃水は油性成分・製品を含む乳濁液となる。従って、この廃水から油性成分・製品だけを短時間に分離して処理することは容易でなく、その為大量の乳濁廃水の排出により環境汚染の原因になりうる。
【0014】
また、中性やイオン性の台所用合成洗剤の類の洗浄除去剤を使用する方法以外にも、強酸性洗浄除去剤や強アルカリ性洗浄除去剤を使用する方法もあるが、これらは取扱いの危険性と共に、効果が十分でなかったり、洗浄対象物が腐食するといった問題がある。
【0015】
他方、油性成分・製品と相溶する鉱油、植物油を使用する方法では、両者を混合することにより粘度が低下して操作性は向上する。しかし洗浄除去後の油性成分・製品を含む鉱油や植物油の大量処理と、その残油を含む界面活性剤の処理を環境汚染することなく行う必要がある。洗剤の泡立ちの問題と多量の洗浄水が必要となり、問題は前記の台所用合成洗剤と同様にして残る。
【0016】
このように従来の油性成分・製品の洗浄除去方法は、もっぱら界面活性剤を主体とした洗浄剤または酸・アルカリ洗浄剤で洗浄を行う方法が広く使用されて来たが、洗浄性、環境問題、腐食性など数々の問題があり、十分満足のいく洗浄法が未だ確立されていない。従って、このような問題が解決される洗浄除去剤や洗浄方法の開発が望まれていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、医薬品、食品、化粧品に多用されている油性成分・製品について十分な洗浄除去能力を有するとともに、できる限り環境汚染を防止し、泡立ち等がなく操作性がよく、火気についての安全性もあり、健康面にも安全な洗浄除去剤を提供することを目的とする。
【0018】
また、以上のような洗浄除去剤を使用して医薬品、食品、化粧品を製造するための攪拌混合機などの装置、容器・器具類などに対して簡易で安全面にも優れたかつ殺菌効果も得られる洗浄方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の問題点について鋭意検討した結果、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピルなどのある種の二塩基酸アルキルエステル、ジカプリル酸プロピレングリコールなどのある種のプロピレングリコール脂肪酸エステルが油性成分・製品の洗浄除去に非常に効果があることを見いだした。従来これらは油性成分、薬剤浸透剤、難溶性物質溶解剤としては知られているが、洗浄除去剤としての利用方法はなかった。特にこれら油性の洗浄除去剤(以下「油性洗浄除去剤」とも称す)が、次の洗浄除去工程で用いる水溶性成分からなる洗浄除去剤(以下「水性洗浄除去剤」とも称す)により、この油性成分・製品と油性洗浄除去剤がきれいに洗浄除去されることが重要であり、本発明者はそれらを鋭意検討した結果、このような油性洗浄除去剤と水性洗浄除去剤の洗浄方法を組み合わせることにより有効な結果を得ることが出来た。
【0020】
そしてこれらを有効成分として含む油性洗浄除去剤を時には加温して、および/または同洗浄除去剤を高圧で噴射し、および/または水を添加して油性洗浄除去剤層を上昇させて行う第一洗浄工程とプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、乳酸などの水性洗浄除去剤の水溶液による第二洗浄工程、最後に水または温水で洗浄する第三洗浄工程からなる洗浄方法、また第二洗浄工程で水性洗浄除去剤の代わりに低級アルコールによる非水系で行う洗浄方法、さらに洗浄廃水を油水分離させる洗浄方法が上記の問題を解決するものであることに着目し、本発明を完成するに至った。
【0021】
即ち、本発明の洗浄除去剤は前記の二塩基酸アルキルエステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルの内から選ばれたものを有効成分として含むものであるので、残留量測定が非常に容易である。これに対して、従来の洗浄除去剤は多種の界面活性剤および安定剤などが含まれており、洗浄後の洗剤中の成分で何が残っているか測定する事は不可能とも言える。
【0022】
付着性の高い油性成分・製品を洗浄除去するには、洗浄除去剤を強く攪拌して油性成分・製品を洗浄液に溶解または剥離懸濁させるのが好ましい。前述のごとく、界面活性剤を主体としたこれまでの台所用洗剤の類の洗浄除去剤では起泡性が高いので攪拌力に限度が生じたが、本発明の洗浄除去剤は起泡性に乏しいので洗浄効果を高める為に攪拌を強くしても操作上の問題は生じない。
【0023】
本発明では、油性洗浄除去剤は洗浄対象物の付着表面から油性成分・製品を溶解または剥離する洗浄効果を有し、これらを一旦排水した後、水性洗浄除去剤の水溶液は洗浄対象物の付着表面に残った油性成分・製品、それに油性洗浄除去剤をきれいに洗浄除去する。特に水性洗浄除去剤は洗浄対象物と油性成分・製品の境界面に残る油性洗浄除去剤と油性成分・製品をより完全に洗浄除去することができた。
【0024】
従って、最終工程として洗浄対象物を水や湯水で清浄化した後は、水性洗浄除去剤も洗浄除去され、完全に油性成分・製品、油性洗浄除去剤、水性洗浄除去剤が除去された。更に油性成分・製品の種類、洗浄方法によっては、水性洗浄除去剤を使用した洗浄工程を省略し、油性洗浄除去剤による洗浄後、直ちに水または湯水洗浄を行うことも可能となった。
【0025】
その他の方法として、油性成分・製品を第一洗浄工程で洗浄除去して洗浄廃水を排出後、第二工程でアルコールを使用した洗浄も可能となった。特に非水系の環境下で洗浄が必要な場合有効な方法である。
【0026】
本発明の油性洗浄除去剤である二塩基酸アルキルエステルは R1OOC(CH2)nCOOR2で表され、nは2〜10の整数、R1およびR2は炭素数1〜6のアルキル基で表される化合物である。アルキル基の炭素数が大きくなると水性洗浄除去剤への取り込みが悪くなり、反対に炭素数0は単なる二塩基酸であり、水溶性となり洗浄には適さない。またn数が10を超えると通常の化合物として入手困難であり、洗浄除去剤としての価値も乏しくなる。好ましくはコハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルであるが、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチルは特異臭が強いので、より好ましくはアジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルである。
【0027】
本発明の油性洗浄除去剤であるプロピレングリコール脂肪酸エステルはR1COOCH2CH(CH3)OOCR2で表され、R1は炭素数5〜11のアルキル基、R2は炭素数5〜11のアルキル基または水酸基を表す化合物である。炭素数が大きくなると固体または粘ちゅうな液体となり、水性洗浄除去剤への取り込みが悪くなる。一方炭素数が小さくなると水溶性が強く出て、油性成分の取り込みが悪くなる。そこで好ましくはモノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジデカン酸プロピレングリコールである。
【0028】
洗浄剤の有効成分であるアジピン酸ジイソプロピルは医薬品添加物規格、化粧品原料基準で、セバシン酸ジエチルは医薬品添加物規格、化粧品種別配合成分規格で、セバシン酸ジイソプロピルは化粧品原料基準でそれぞれ認められており、いずれも浸透性、親和性に優れた各種化粧品、医薬品の油相成分として使用されている。モノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジデカン酸プロピレングリコールは食品添加物、化粧品種別配合成分規格で認められており、難溶性薬物の溶解剤、油性成分相互溶解剤として使用されている。これらはいずれも人体に接触する形での使用がされており、一般に比較的安全性の高いものとして評価されているので、医薬品や化粧品を製造するための各種装置、容器・器具、配管設備の洗浄に際しても十分使用することができる。
【0029】
本発明の油性洗浄除去剤は油性成分により剥離効果を発揮し、あるいは溶解効果を発揮する。従って、目的とする洗浄方法によりこれらの油性洗浄除去剤は適宜混合することができる。またこれらの有効成分含有量は本来の油性的性質を保持する為に少なくとも60重量%以上が望ましい。
【0030】
本発明で使用する水性洗浄除去剤は先に油性洗浄除去剤で油性成分・製品を剥離または溶解除去後に残留したものを洗浄除去することができる事が重要な要件であり、更に起泡性がなく、環境汚染が少なく、火気安全性、健康面に安全であることなどから選択された。その結果、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、平均分子量250〜1200のポリエチレングリコール、乳酸またはその塩、1,3−ブチレングリコールが選ばれた。
【0031】
平均分子量1000以上のポリエチレングリコールを除き、常温で液状の水性洗浄除去剤はそのままの形態で使用してもよいが、使用の便宜を考慮して水で希釈されていたほうが好ましい。水性洗浄除去剤を水に溶解させる場合、水で希釈する場合、そのいずれの場合であっても、水を除いた成分中における水性洗浄除去剤の含有量は70重量%以上であることが好ましい。また、洗浄効果を考慮すると、水性洗浄除去剤が1重量%以上、好ましくは10重量%以上含まれるように溶解・希釈することが好ましい。
【0032】
プロピレングリコールは日本薬局方医薬品、医薬品添加物に認められており、医薬品、化粧品においては溶剤、緩和剤、保湿剤、保温剤、保存剤、皮膚柔軟剤として利用されており、その他食品の品質保持剤、香料の溶剤、コルクの可塑剤など広く利用されている。ジプロピレングリコールは化粧品原料基準に認められており、医薬品においては一般外用剤に薬剤溶解のための溶剤として利用されており、安全性の認められた物質である。トリプロピレングリコールは工業用中間原料、インキの溶剤などに用いられている。
ポリエチレングリコールは、日本薬局方医薬品、医薬品添加物に認められており、軟膏基剤、坐薬基剤、錠剤バインダー、表面平滑用コーティング剤、注射剤の溶剤として、化粧品においては化粧品原料等に使用されており、安全性の高い物質である。
【0033】
乳酸は日本薬局方医薬品、食品添加物として認められており、医薬品としては安定化剤、緩衝剤、湿潤剤、pH調節剤、溶解剤、溶解補助剤に、食品分野においては清涼飲料水の酸味剤に使用されており、安全性の高いものである。乳酸の塩としてはナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩などが挙げられるが、このうち乳酸ナトリウムは日本薬局方外医薬品、食品添加物として認められており、安定化剤、緩衝剤、pH調整剤などとして静脈用注射剤、一般外用剤に使用されている。また、1,3−ブチレングリコールは化粧品原料基準に認められており、抗酸化剤、湿潤剤、粘ちゅう剤、溶剤、溶解補助剤として、トリエチレングリコールは医薬品添加物規格で認められており、基剤として使用されている。このように一般に安全性の高いものとして評価されているので、医薬品や化粧品を製造するための各種装置、容器・器具、配管設備の洗浄に際しても安心して使用することができる。
【0034】
本発明では油性成分・製品を洗浄対象物から洗浄除去するために、油性洗浄除去剤による洗浄除去が必須であり、その一態様として油性成分・製品に直接噴射および/または攪拌下接触による溶解・剥離させたりすることができる。
洗浄対象物としては、例えば、攪拌混合槽や乳化槽のように底部を有するものが挙げられる。このような洗浄対象物に対して洗浄除去剤を高圧噴射して、および/または洗浄除去剤を添加してその底部に洗浄除去剤を貯留させる。その後、撹拌下で系内に水を徐々に添加していくと、その水面が徐々に上昇するが、これと共に水面上に位置する洗浄除去剤層も上昇することで、洗浄対象物表面に付着している油性成分・製品を洗浄除去剤が下方から上方へと取り込んでいく。最後に、例えば、洗浄対象物の底部から水層および洗浄除去剤層の両液を同時に排出することで洗浄対象物の洗浄除去を効果的に行うことができる。
【0035】
また底部のない配管などでは高圧スプレーノズルから油性洗浄除去剤を直接噴射して洗浄除去したり、油性洗浄除去剤で配管内を充満させ時間経過とともに剥離溶解を行うことができる。装置部品などの各種部品類は容器内にいれて油性洗浄除去剤に漬け置き、ブラシなどで洗浄除去することもできる。
【0036】
第一工程終了後、この第二工程を行うことは洗浄対象物から油性成分・製品および油性洗浄除去剤を非常に良く洗浄除去し、一度剥離した油性成分・製品の再付着を防止する効果を持つ。また水性洗浄除去剤は難溶性薬物を溶解させる効果も保有するので、正に効果的な洗浄方法と言える。この工程においては洗浄効果をより有効にするために加温し、攪拌を強くするのが好ましい。好ましくは75℃以上、より好ましくは85℃以上の加温が良い。
【0037】
第三工程は水または温水で清浄する工程であり、第二工程を経る場合は主に水性洗浄除去剤の除去を、第一工程終了後から直接行う場合は油性成分・製品を含む油性洗浄除去剤を除去することを目的とする。原則としてこの工程では温水で清浄することが望ましい。温水温度は好ましくは75℃以上、より好ましくは85℃以上が良い。
【0038】
第一工程終了後からメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールまたはそれらの混合物で洗浄することもできる。特に水の存在により油性成分・製品が固化、結晶化、高粘度化などの不都合が起きる場合などは、洗浄条件が非水系下で行なわなければならないので有効な方法である。洗浄方法は油性洗浄除去剤による場合と同じく、直接噴射や攪拌下溶解・剥離することができる。しかし後者の場合水を添加するとアルコール濃度が低下し、洗浄効果が低下するので、なるべく水分の入らないのが良い。
【0039】
アルコールを使用した油性成分・製品の洗浄除去は、例えば、洗浄対象物が密閉系にできる装置、容器、配管などの場合、その密閉系内にアルコールを入れてこれを加温して還流することにより行うことが好ましい。
【0040】
医薬品や化粧品の洗浄工程において、洗浄対象物に対して洗浄だけでなく、同時に殺菌や滅菌も行えることは、操作工程の短縮、労力の削減などの点で効果が大きい。従って、本発明の洗浄工程中、最終またはその一工程前での水、温水、アルコール、水性洗浄除去剤に抗菌剤や殺菌剤を含ませ、洗浄とともに殺菌や滅菌を行うことは有効な手段である。この場合、抗菌剤や殺菌剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、エタノール、アクリノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、クレゾール、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウムなどが使用される。なお、使用しうる抗菌剤や殺菌剤は上記のものに限定されるものではない。
【0041】
第一工程から出て来た廃水が、水を含む場合は、油性成分・製品を含む油性洗浄除去剤層と水層に分離する。そのため油性成分・製品を含まない下層の水層は容易に廃棄可能であり、一方洗浄除去剤層は油性成分・製品を均一に溶解する場合は更に洗浄除去剤層を蒸発、温度変化、pH調整、静置などの操作により分離することができる。また剥離した不溶物が存在する場合はろ過、遠心法などの操作により分離する事ができる。このようにして、水層は環境汚染せずに排出可能であり、油性洗浄除去剤はリサイクルすることにより洗浄液として再利用することも可能である。そして最後に残った油性成分・製品のみを廃棄すれば環境の汚染を最小限に押さえることができる。
【0042】
第二工程から排出される廃水は少量の油性成分・製品を含む油性洗浄除去剤溶液と多量の水性洗浄除去剤溶液からなる。前者は通常比重が1未満であり、他方後者は比重が1以上で乳化作用を持たないので、互いに分離し、容易に各溶液に適した後処理が可能となる。
【0043】
【実施例】
以下に具体的な実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
[実施例1](ゲル化炭化水素洗浄試験)
本実施例は撹拌混合機で製品を製造後、槽を攪拌洗浄し、槽底部から洗浄廃水を排水する一般的製造工程を想定して行った。特に液面が低下した時のゲル化炭化水素の壁面への再付着による残留性の問題を重視するものである。比較対照としては市販の家庭用台所洗剤のうち、油性基剤・製品の洗浄評価が一番高かったファミリーフレッシュ(花王株式会社製品)を選んだ。
【0045】
試験方法は、内側壁面にゲル化炭化水素250mgを付着させた50mL用ステンレスビーカーに油性洗浄除去剤を10mL添加し、攪拌下、水を45mL徐々に入れた後、15分間攪拌して、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。次に水性洗浄除去剤の10重量%水溶液を50mL添加し、攪拌下、75℃で15分間攪拌した後、同じくビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。更に水約50mL添加し、攪拌下、加温75℃で15分間攪拌した後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。ビーカーを自然乾燥した後、ビーカー内側壁面を判定評価する。
【0046】
比較対照である乳酸の試験方法は、前記試験方法のうち最初の油性洗浄除去剤による洗浄除去工程が無い以外は同様の方法で行う。同じく比較対照である洗剤の試験方法は、内側壁面にゲル化炭化水素250mgを付着させた50mL用ステンレスビーカーにファミリーフレッシュの10重量%水溶液を50mL添加し、攪拌下、85℃まで加温した後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。次に水約50mL添加し、攪拌下、加温75℃まで行った後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。ビーカーを自然乾燥した後、ビーカー内側壁面を判定評価する。これらの結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
判定評価:ビーカー壁面へのゲル化炭化水素の残留量を目視および触手で判断する。
◎残留物なし。壁面のヌメリ感なし。
○残留物なし。壁面のヌメリ感多少あり。
▲残留物少量あり。壁面のヌメリ感あり。
×残留物大量あり。壁面のヌメリ感あり。
【0049】
表1の結果より、油性洗浄除去剤であるアジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、モノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジデカン酸プロピレングリコールを用いた洗浄方法は比較対照である乳酸、ファミリーフレッシュよりも洗浄効果が優れていた。
【0050】
[実施例2](ワセリン洗浄試験)
本実施例は洗浄除去対象物がワセリンである事以外は試験目的及び試験方法が実施例1と同様である。これらの結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
(※)加熱により強烈な特異臭が発生する
【0052】
判定評価:ビーカー壁面へのワセリンの残留量を目視および触手で判断する。
◎残留物なし。壁面のヌメリ感なし。
○残留物なし。壁面のヌメリ感多少あり。
▲残留物少量あり。壁面のヌメリ感あり。
×残留物大量あり。壁面のヌメリ感あり。
【0053】
表2の結果より、油性洗浄除去剤であるコハク酸エステル2種、アジピン酸エステル3種、セバシン酸エステル2種を用いた洗浄方法は比較対照であるファミリーフレッシュよりも洗浄効果が優れていた。しかしながらコハク酸エステル2種は加熱により強烈な特異臭が発生するので、密閉系での洗浄除去工程に限定するのが好ましい。また炭素数8のアルキル基を持つセバシン酸ジオクチルは水性洗浄除去剤との組み合わせが悪く、洗浄効果は劣っていた。
【0054】
[実施例3](各種製品洗浄試験)
本実施例は被洗浄除去物を実施例1、2で行ったゲル化炭化水素、ワセリンだけでなく、広く医薬品原料、化粧品基剤、食品、化粧品、医薬品についても検討した。
【0055】
試験方法は、被洗浄除去物250mg(常温で液体の場合は250μL)を付着させた50mL用ステンレスビーカーに油性洗浄除去剤のアジピン酸ジイソプロピルを10mL添加し、75℃で加温攪拌下、水を45mL徐々に入れて20分間経過後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。次に水性洗浄除去剤の10重量%水溶液を50mL添加し、75℃で加温攪拌を20分間行った後、同じくビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。更に水約50mL添加し、75℃で加温攪拌を10分間行った後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。ビーカーを自然乾燥した後、ビーカー内側壁面を判定評価する。比較対照である水性洗浄除去剤による試験方法は、実施例1の比較対照である乳酸による試験法と同様である。これらの結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
マクロゴール400:平均分子量400のポリエチレングリコール
【0057】
判定評価:ビーカー壁面へのワセリンの残留量を目視および触手で判断する。
◎残留物なし。壁面のヌメリ感なし。
○残留物なし。壁面のヌメリ感多少あり。
▲残留物少量あり。壁面のヌメリ感あり。
×残留物大量あり。壁面のヌメリ感あり。
【0058】
表3の結果より、油性洗浄除去剤であるアジピン酸ジイソプロピルは各種油性成分・製品の洗浄除去に非常に有効である事が確認され、かつ水性洗浄除去剤単独による洗浄除去よりも飛躍的に効果が上がった。
【0059】
[実施例4](簡易洗浄試験)
本実施例は第二工程として行う水性洗浄除去剤による洗浄除去工程を省略した場合の洗浄効果を検討した。
【0060】
試験方法は、被洗浄除去物250mgを付着させた50mL用ステンレスビーカーに油性洗浄除去剤のアジピン酸ジイソプロピルを10mL添加し、75℃で加温攪拌下、水を45mL徐々に入れて20分間経過後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。次に水約50mL添加し、85℃で加温攪拌を10分間行った後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。再度水約50mL添加し、同様の操作を行った。ビーカーを自然乾燥した後、ビーカー内側壁面を判定評価した。これらの結果を表4に示す。
【0061】
【表4】
【0062】
判定評価:ビーカー壁面へのワセリンの残留量を目視および触手で判断する。
◎残留物なし。壁面のヌメリ感なし。
○残留物なし。壁面のヌメリ感多少あり。
▲残留物少量あり。壁面のヌメリ感あり。
×残留物大量あり。壁面のヌメリ感あり。
【0063】
表4の結果より、ワセリンおよび流動パラフィンは水性洗浄除去剤による洗浄除去工程を省略する事が可能であるが、ゲル化炭化水素、ラノリンは省略できなかった。この水性洗浄除去剤による工程を省略できるか否かは被洗浄除去物の性質、洗浄方法により異なった。
【0064】
[実施例5](アルコール洗浄試験)
本実施例は第二工程としてアルコールを使用して洗浄除去することを特徴とする洗浄除去法である。
【0065】
試験方法は、被洗浄除去物100mgを付着させた50mL用ステンレスビーカーに油性洗浄除去剤を10mL添加し、75℃で加温攪拌下、水を45mL徐々に入れて10分間経過後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。次にエタノール50mLを加え、10分間攪拌後、同じくビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。比較対照はアルコールのみの洗浄除去工程とした。これらの結果を表5に示す。
【0066】
【表5】
【0067】
判定評価:ビーカー壁面へのワセリンの残留量を目視および触手で判断する。
◎残留物なし。壁面のヌメリ感なし。
○残留物なし。壁面のヌメリ感多少あり。
▲残留物少量あり。壁面のヌメリ感あり。
×残留物大量あり。壁面のヌメリ感あり。
【0068】
表5の結果より、各種油性洗浄除去剤はアルコールとの組み合わせでも洗浄除去可能な事がわかった。
【0069】
〔実施例6〕(抗菌剤溶解試験)
本実施例は洗浄除去剤の中に抗菌剤、殺菌剤などを加えて、洗浄と殺菌を一度に行う可能性を検討した。実験にあたっては洗浄除去剤または水が殺菌剤との混合により均一溶液となるか否か、特に経時的変化が見られない事の確認を行った。試験法は洗浄除去剤原液、同10%液または水各2mLに対して殺菌剤などを1mL添加し、溶解性について殺菌洗浄時間を考慮して、12時間後の経時的変化を見た。これらの結果を表6に示す。
【0070】
【表6】
(洗浄剤濃度は重量%)
【0071】
表6の結果より、乳酸やプロピレングリコールを有効成分とする水性洗浄除去剤およびそれらの水溶液、水は殺菌剤などを併用して洗浄・殺菌を一度に行う事が可能であることを示した。
【0072】
【発明の効果】
本発明のアジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピルなどのある種の二塩基酸アルキルエステル、ジカプリル酸プロピレングリコールなどのある種のプロピレングリコール脂肪酸エステルを有効成分とする油性洗浄除去剤は乳酸、平均分子量400のポリエチレングリコールなどの水性洗浄除去剤または低級アルコールとの組み合わせにより、ワセリン、ゲル化炭化水素などの油性成分及びそれらを含む医薬品、食品および化粧品を有効に洗浄除去できる。特にこの洗浄法は洗浄効果が高く、洗剤残留量の測定が容易で、起泡性がなく、後処理として少量の洗浄水で洗浄でき、かつ洗浄廃水は容易に油水分離して油性成分を回収できる。従って、環境への安全性が高く、人体に対しても安全性の高い洗浄剤であり、必要時には殺菌剤などを併用し、同時に殺菌洗浄も兼ねることが可能な洗浄方法が提供される。
【産業上の利用分野】
本発明は主に医薬品、食品、化粧品などに用いられる油性成分および/または油性成分含有製品(以下「油性成分・製品」とも称す)の洗浄除去剤およびこれを使用した洗浄対象物の洗浄方法に関する。更に詳しくは油脂類、ロウ類、炭化水素、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、医薬品油性原料などの油性成分・製品を洗浄除去する際に有用な洗浄除去剤およびこれを使用した医薬品、食品、化粧品などを製造するための機械装置、容器・器具、配管設備などの洗浄方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油性成分にはオリーブ油や大豆油などの油脂類、ラノリンや蜜蝋などのロウ類、ワセリンや流動パラフィンなどの炭化水素、ラウリン酸やパルミチン酸などの脂肪酸、セタノールやステアリルアルコールなどのアルコール類、ミリスチン酸イソプロピルやステアリン酸ブチルなどのエステル類があり、医薬品、食品、化粧品などには製品中の油性成分として多く利用されている。
【0003】
油脂類は脂肪酸とグリセリンのエステルからなり、構成脂肪酸の違い、エステル体の違い(モノ、ジ、トリ)により常温ではオリーブ油や大豆油などのように油状のものから、カカオ脂や牛脂のように固体のものまである。しかしながらこれらは共通して水不溶性であり、その存在は天然の動植物界に広く存在する。
【0004】
ロウ類は長鎖脂肪酸と長鎖一級アルコールとのエステルを主成分とするものであり、その殆どが固体であり、水不溶性である。ロウ類も天然動植物から得られるが、前記油脂類ほど多くなく、動物由来のラノリンや蜜蝋、植物由来のカルナウバロウやカンデリラロウなどがある。
【0005】
炭化水素には鎖式炭化水素と環式炭化水素に大別されるが、医薬品、化粧品の油相成分として広く利用されているのは前者であり、それらは極性基を有しない化学的には極めて不活性な化合物である。いずれも水不溶性であり、ワセリン、流動パラフィン、スクワランなどがあるが、この他に流動パラフィンと疎水性ポリマーの混合物(例えば、流動パラフィンを5〜10%に相当する量のポリエチレンでゲル化したゲル化炭化水素、別名プラスチベース)もある。
【0006】
脂肪酸は動植物油脂に含まれており、これらはノルマルカルボン酸で炭素数が偶数であることが特徴としてあり、大部分は炭素数8から24程度である。さらには広く天然の油脂、ロウなどにもエステル体として存在している。これらはいずれも水不溶性であり、例としてはラウリン酸やパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などが掲げられる。
【0007】
アルコール類は低級のものは水溶性であるが、高級なものは油脂または脂肪酸エステルを還元するか、ロウ類をケン化分解して得られ、一般に水不溶性である。またエステル類は酸とアルコールを脱水して作られ、その組み合わせは無数にあるが、化粧品に用いられているのは比較的限られたものである。エステル類は製品の油性っぽさを抑え、かつ皮膚浸透性が優れている特長を持つ。
【0008】
油性成分に用いる上記オリーブ油、大豆油、カカオ脂、ラノリン、蜜蝋、カルナウバロウ、ワセリン、ステアリン酸、セタノール、ステアリルアルコールは日本薬局方、化粧品原料基準に、牛脂は日本薬局方に、カンデリラロウ、スクワラン、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチルは化粧品原料基準に、流動パラフィンは日本薬局方、食品添加物公定書、化粧品原料基準に、ゲル化炭化水素は医薬品添加物規格に各々収載され、いずれも医薬品、食品、化粧品の油性成分として広く使用されている。
【0009】
また医薬品油性原料としては、ビタミン類の酢酸トコフェロール、フィトナジオン、メナテトレノン、パルミチン酸レチノール、抗精神病薬のデカン酸フルフェナジン、非ステロイド性抗炎症薬のイブプロフェンピコノール、ウフェナマート、皮膚治療薬のジメチルイソプロピルアズレン、抗高脂血症薬のニコチン酸トコフェロールなどが揚げられる。
【0010】
これらの油性成分・製品はそれ自体疎水性が強く、一般に高い粘性と付着性がある。従って、これらを洗浄除去する場合、その量が少量であれば有機溶媒等で強くこすり、拭き取る事も可能であるが、医薬品、食品、化粧品などの製造時には大量であり、このような方法は採用しがたい。特に、安全で、環境・健康障害が無く、容易に除去できる適当な洗浄除去剤がこれまでなかった。それ故、これ迄軟膏類、クリーム類などの高付着性半固体である油性製品の製造においては、その製造に用いた攪拌混合機などの装置、容器・器具類、配管設備に付着したこれらの油性成分・製品を効果的に洗浄除去することは困難であった。そして油性の医薬品原料、食品原料などにおいても同様の問題が残ることがしばしばであった。
【0011】
従来、医薬品、食品、化粧品などの製造時における油性成分・製品の一般的洗浄方法は、洗浄対象物である装置、容器・器具類中に、多量の油性成分・製品が残存付着している場合、最初にこれら油性成分・製品を大まかに手動、または機械的方法で除去し、次に加温した中性やイオン性の台所用合成洗剤の類であるアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミドなどの界面活性剤を有効成分とする洗浄剤または酸・アルカリ洗浄剤を装置や容器・器具類に注入し、攪拌しながら洗浄除去したりしていた。そして最後に精製水により、洗剤の残留が無くなるまで洗浄を適当回数行われる方法が行われていた。
【0012】
その他の方法としては、油性成分・製品と相溶する鉱油、植物油を添加し、均一に攪拌溶解しながら除去し、残油を界面活性剤などで洗浄除去操作が行われていた。
【0013】
従来の洗浄技術では、使用する台所用合成洗剤の類の洗浄剤には界面活性剤をはじめ多数の成分が含まれており、これらの成分が装置内などに残留する危険性がある。しかし、化学構造的にも多種多様の成分を全て除去すること、それらがどの程度残留しているのかを全て測定することは容易なことではない。また、同洗剤は起泡性が高いので、洗浄攪拌強度を制限され、特に加温下では強い攪拌を行うと大量に泡が発生するので実施できない。また、このような起泡性のある洗剤は洗剤除去に大量の洗浄水を必要とする。さらに、同洗剤は油性成分・製品を乳化することが主な作用であるので、たとえ油性成分・製品を洗浄除去できても、洗浄除去後の廃水は油性成分・製品を含む乳濁液となる。従って、この廃水から油性成分・製品だけを短時間に分離して処理することは容易でなく、その為大量の乳濁廃水の排出により環境汚染の原因になりうる。
【0014】
また、中性やイオン性の台所用合成洗剤の類の洗浄除去剤を使用する方法以外にも、強酸性洗浄除去剤や強アルカリ性洗浄除去剤を使用する方法もあるが、これらは取扱いの危険性と共に、効果が十分でなかったり、洗浄対象物が腐食するといった問題がある。
【0015】
他方、油性成分・製品と相溶する鉱油、植物油を使用する方法では、両者を混合することにより粘度が低下して操作性は向上する。しかし洗浄除去後の油性成分・製品を含む鉱油や植物油の大量処理と、その残油を含む界面活性剤の処理を環境汚染することなく行う必要がある。洗剤の泡立ちの問題と多量の洗浄水が必要となり、問題は前記の台所用合成洗剤と同様にして残る。
【0016】
このように従来の油性成分・製品の洗浄除去方法は、もっぱら界面活性剤を主体とした洗浄剤または酸・アルカリ洗浄剤で洗浄を行う方法が広く使用されて来たが、洗浄性、環境問題、腐食性など数々の問題があり、十分満足のいく洗浄法が未だ確立されていない。従って、このような問題が解決される洗浄除去剤や洗浄方法の開発が望まれていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、医薬品、食品、化粧品に多用されている油性成分・製品について十分な洗浄除去能力を有するとともに、できる限り環境汚染を防止し、泡立ち等がなく操作性がよく、火気についての安全性もあり、健康面にも安全な洗浄除去剤を提供することを目的とする。
【0018】
また、以上のような洗浄除去剤を使用して医薬品、食品、化粧品を製造するための攪拌混合機などの装置、容器・器具類などに対して簡易で安全面にも優れたかつ殺菌効果も得られる洗浄方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の問題点について鋭意検討した結果、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピルなどのある種の二塩基酸アルキルエステル、ジカプリル酸プロピレングリコールなどのある種のプロピレングリコール脂肪酸エステルが油性成分・製品の洗浄除去に非常に効果があることを見いだした。従来これらは油性成分、薬剤浸透剤、難溶性物質溶解剤としては知られているが、洗浄除去剤としての利用方法はなかった。特にこれら油性の洗浄除去剤(以下「油性洗浄除去剤」とも称す)が、次の洗浄除去工程で用いる水溶性成分からなる洗浄除去剤(以下「水性洗浄除去剤」とも称す)により、この油性成分・製品と油性洗浄除去剤がきれいに洗浄除去されることが重要であり、本発明者はそれらを鋭意検討した結果、このような油性洗浄除去剤と水性洗浄除去剤の洗浄方法を組み合わせることにより有効な結果を得ることが出来た。
【0020】
そしてこれらを有効成分として含む油性洗浄除去剤を時には加温して、および/または同洗浄除去剤を高圧で噴射し、および/または水を添加して油性洗浄除去剤層を上昇させて行う第一洗浄工程とプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、乳酸などの水性洗浄除去剤の水溶液による第二洗浄工程、最後に水または温水で洗浄する第三洗浄工程からなる洗浄方法、また第二洗浄工程で水性洗浄除去剤の代わりに低級アルコールによる非水系で行う洗浄方法、さらに洗浄廃水を油水分離させる洗浄方法が上記の問題を解決するものであることに着目し、本発明を完成するに至った。
【0021】
即ち、本発明の洗浄除去剤は前記の二塩基酸アルキルエステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルの内から選ばれたものを有効成分として含むものであるので、残留量測定が非常に容易である。これに対して、従来の洗浄除去剤は多種の界面活性剤および安定剤などが含まれており、洗浄後の洗剤中の成分で何が残っているか測定する事は不可能とも言える。
【0022】
付着性の高い油性成分・製品を洗浄除去するには、洗浄除去剤を強く攪拌して油性成分・製品を洗浄液に溶解または剥離懸濁させるのが好ましい。前述のごとく、界面活性剤を主体としたこれまでの台所用洗剤の類の洗浄除去剤では起泡性が高いので攪拌力に限度が生じたが、本発明の洗浄除去剤は起泡性に乏しいので洗浄効果を高める為に攪拌を強くしても操作上の問題は生じない。
【0023】
本発明では、油性洗浄除去剤は洗浄対象物の付着表面から油性成分・製品を溶解または剥離する洗浄効果を有し、これらを一旦排水した後、水性洗浄除去剤の水溶液は洗浄対象物の付着表面に残った油性成分・製品、それに油性洗浄除去剤をきれいに洗浄除去する。特に水性洗浄除去剤は洗浄対象物と油性成分・製品の境界面に残る油性洗浄除去剤と油性成分・製品をより完全に洗浄除去することができた。
【0024】
従って、最終工程として洗浄対象物を水や湯水で清浄化した後は、水性洗浄除去剤も洗浄除去され、完全に油性成分・製品、油性洗浄除去剤、水性洗浄除去剤が除去された。更に油性成分・製品の種類、洗浄方法によっては、水性洗浄除去剤を使用した洗浄工程を省略し、油性洗浄除去剤による洗浄後、直ちに水または湯水洗浄を行うことも可能となった。
【0025】
その他の方法として、油性成分・製品を第一洗浄工程で洗浄除去して洗浄廃水を排出後、第二工程でアルコールを使用した洗浄も可能となった。特に非水系の環境下で洗浄が必要な場合有効な方法である。
【0026】
本発明の油性洗浄除去剤である二塩基酸アルキルエステルは R1OOC(CH2)nCOOR2で表され、nは2〜10の整数、R1およびR2は炭素数1〜6のアルキル基で表される化合物である。アルキル基の炭素数が大きくなると水性洗浄除去剤への取り込みが悪くなり、反対に炭素数0は単なる二塩基酸であり、水溶性となり洗浄には適さない。またn数が10を超えると通常の化合物として入手困難であり、洗浄除去剤としての価値も乏しくなる。好ましくはコハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルであるが、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチルは特異臭が強いので、より好ましくはアジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルである。
【0027】
本発明の油性洗浄除去剤であるプロピレングリコール脂肪酸エステルはR1COOCH2CH(CH3)OOCR2で表され、R1は炭素数5〜11のアルキル基、R2は炭素数5〜11のアルキル基または水酸基を表す化合物である。炭素数が大きくなると固体または粘ちゅうな液体となり、水性洗浄除去剤への取り込みが悪くなる。一方炭素数が小さくなると水溶性が強く出て、油性成分の取り込みが悪くなる。そこで好ましくはモノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジデカン酸プロピレングリコールである。
【0028】
洗浄剤の有効成分であるアジピン酸ジイソプロピルは医薬品添加物規格、化粧品原料基準で、セバシン酸ジエチルは医薬品添加物規格、化粧品種別配合成分規格で、セバシン酸ジイソプロピルは化粧品原料基準でそれぞれ認められており、いずれも浸透性、親和性に優れた各種化粧品、医薬品の油相成分として使用されている。モノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジデカン酸プロピレングリコールは食品添加物、化粧品種別配合成分規格で認められており、難溶性薬物の溶解剤、油性成分相互溶解剤として使用されている。これらはいずれも人体に接触する形での使用がされており、一般に比較的安全性の高いものとして評価されているので、医薬品や化粧品を製造するための各種装置、容器・器具、配管設備の洗浄に際しても十分使用することができる。
【0029】
本発明の油性洗浄除去剤は油性成分により剥離効果を発揮し、あるいは溶解効果を発揮する。従って、目的とする洗浄方法によりこれらの油性洗浄除去剤は適宜混合することができる。またこれらの有効成分含有量は本来の油性的性質を保持する為に少なくとも60重量%以上が望ましい。
【0030】
本発明で使用する水性洗浄除去剤は先に油性洗浄除去剤で油性成分・製品を剥離または溶解除去後に残留したものを洗浄除去することができる事が重要な要件であり、更に起泡性がなく、環境汚染が少なく、火気安全性、健康面に安全であることなどから選択された。その結果、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、平均分子量250〜1200のポリエチレングリコール、乳酸またはその塩、1,3−ブチレングリコールが選ばれた。
【0031】
平均分子量1000以上のポリエチレングリコールを除き、常温で液状の水性洗浄除去剤はそのままの形態で使用してもよいが、使用の便宜を考慮して水で希釈されていたほうが好ましい。水性洗浄除去剤を水に溶解させる場合、水で希釈する場合、そのいずれの場合であっても、水を除いた成分中における水性洗浄除去剤の含有量は70重量%以上であることが好ましい。また、洗浄効果を考慮すると、水性洗浄除去剤が1重量%以上、好ましくは10重量%以上含まれるように溶解・希釈することが好ましい。
【0032】
プロピレングリコールは日本薬局方医薬品、医薬品添加物に認められており、医薬品、化粧品においては溶剤、緩和剤、保湿剤、保温剤、保存剤、皮膚柔軟剤として利用されており、その他食品の品質保持剤、香料の溶剤、コルクの可塑剤など広く利用されている。ジプロピレングリコールは化粧品原料基準に認められており、医薬品においては一般外用剤に薬剤溶解のための溶剤として利用されており、安全性の認められた物質である。トリプロピレングリコールは工業用中間原料、インキの溶剤などに用いられている。
ポリエチレングリコールは、日本薬局方医薬品、医薬品添加物に認められており、軟膏基剤、坐薬基剤、錠剤バインダー、表面平滑用コーティング剤、注射剤の溶剤として、化粧品においては化粧品原料等に使用されており、安全性の高い物質である。
【0033】
乳酸は日本薬局方医薬品、食品添加物として認められており、医薬品としては安定化剤、緩衝剤、湿潤剤、pH調節剤、溶解剤、溶解補助剤に、食品分野においては清涼飲料水の酸味剤に使用されており、安全性の高いものである。乳酸の塩としてはナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩などが挙げられるが、このうち乳酸ナトリウムは日本薬局方外医薬品、食品添加物として認められており、安定化剤、緩衝剤、pH調整剤などとして静脈用注射剤、一般外用剤に使用されている。また、1,3−ブチレングリコールは化粧品原料基準に認められており、抗酸化剤、湿潤剤、粘ちゅう剤、溶剤、溶解補助剤として、トリエチレングリコールは医薬品添加物規格で認められており、基剤として使用されている。このように一般に安全性の高いものとして評価されているので、医薬品や化粧品を製造するための各種装置、容器・器具、配管設備の洗浄に際しても安心して使用することができる。
【0034】
本発明では油性成分・製品を洗浄対象物から洗浄除去するために、油性洗浄除去剤による洗浄除去が必須であり、その一態様として油性成分・製品に直接噴射および/または攪拌下接触による溶解・剥離させたりすることができる。
洗浄対象物としては、例えば、攪拌混合槽や乳化槽のように底部を有するものが挙げられる。このような洗浄対象物に対して洗浄除去剤を高圧噴射して、および/または洗浄除去剤を添加してその底部に洗浄除去剤を貯留させる。その後、撹拌下で系内に水を徐々に添加していくと、その水面が徐々に上昇するが、これと共に水面上に位置する洗浄除去剤層も上昇することで、洗浄対象物表面に付着している油性成分・製品を洗浄除去剤が下方から上方へと取り込んでいく。最後に、例えば、洗浄対象物の底部から水層および洗浄除去剤層の両液を同時に排出することで洗浄対象物の洗浄除去を効果的に行うことができる。
【0035】
また底部のない配管などでは高圧スプレーノズルから油性洗浄除去剤を直接噴射して洗浄除去したり、油性洗浄除去剤で配管内を充満させ時間経過とともに剥離溶解を行うことができる。装置部品などの各種部品類は容器内にいれて油性洗浄除去剤に漬け置き、ブラシなどで洗浄除去することもできる。
【0036】
第一工程終了後、この第二工程を行うことは洗浄対象物から油性成分・製品および油性洗浄除去剤を非常に良く洗浄除去し、一度剥離した油性成分・製品の再付着を防止する効果を持つ。また水性洗浄除去剤は難溶性薬物を溶解させる効果も保有するので、正に効果的な洗浄方法と言える。この工程においては洗浄効果をより有効にするために加温し、攪拌を強くするのが好ましい。好ましくは75℃以上、より好ましくは85℃以上の加温が良い。
【0037】
第三工程は水または温水で清浄する工程であり、第二工程を経る場合は主に水性洗浄除去剤の除去を、第一工程終了後から直接行う場合は油性成分・製品を含む油性洗浄除去剤を除去することを目的とする。原則としてこの工程では温水で清浄することが望ましい。温水温度は好ましくは75℃以上、より好ましくは85℃以上が良い。
【0038】
第一工程終了後からメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールまたはそれらの混合物で洗浄することもできる。特に水の存在により油性成分・製品が固化、結晶化、高粘度化などの不都合が起きる場合などは、洗浄条件が非水系下で行なわなければならないので有効な方法である。洗浄方法は油性洗浄除去剤による場合と同じく、直接噴射や攪拌下溶解・剥離することができる。しかし後者の場合水を添加するとアルコール濃度が低下し、洗浄効果が低下するので、なるべく水分の入らないのが良い。
【0039】
アルコールを使用した油性成分・製品の洗浄除去は、例えば、洗浄対象物が密閉系にできる装置、容器、配管などの場合、その密閉系内にアルコールを入れてこれを加温して還流することにより行うことが好ましい。
【0040】
医薬品や化粧品の洗浄工程において、洗浄対象物に対して洗浄だけでなく、同時に殺菌や滅菌も行えることは、操作工程の短縮、労力の削減などの点で効果が大きい。従って、本発明の洗浄工程中、最終またはその一工程前での水、温水、アルコール、水性洗浄除去剤に抗菌剤や殺菌剤を含ませ、洗浄とともに殺菌や滅菌を行うことは有効な手段である。この場合、抗菌剤や殺菌剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、エタノール、アクリノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、クレゾール、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウムなどが使用される。なお、使用しうる抗菌剤や殺菌剤は上記のものに限定されるものではない。
【0041】
第一工程から出て来た廃水が、水を含む場合は、油性成分・製品を含む油性洗浄除去剤層と水層に分離する。そのため油性成分・製品を含まない下層の水層は容易に廃棄可能であり、一方洗浄除去剤層は油性成分・製品を均一に溶解する場合は更に洗浄除去剤層を蒸発、温度変化、pH調整、静置などの操作により分離することができる。また剥離した不溶物が存在する場合はろ過、遠心法などの操作により分離する事ができる。このようにして、水層は環境汚染せずに排出可能であり、油性洗浄除去剤はリサイクルすることにより洗浄液として再利用することも可能である。そして最後に残った油性成分・製品のみを廃棄すれば環境の汚染を最小限に押さえることができる。
【0042】
第二工程から排出される廃水は少量の油性成分・製品を含む油性洗浄除去剤溶液と多量の水性洗浄除去剤溶液からなる。前者は通常比重が1未満であり、他方後者は比重が1以上で乳化作用を持たないので、互いに分離し、容易に各溶液に適した後処理が可能となる。
【0043】
【実施例】
以下に具体的な実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
[実施例1](ゲル化炭化水素洗浄試験)
本実施例は撹拌混合機で製品を製造後、槽を攪拌洗浄し、槽底部から洗浄廃水を排水する一般的製造工程を想定して行った。特に液面が低下した時のゲル化炭化水素の壁面への再付着による残留性の問題を重視するものである。比較対照としては市販の家庭用台所洗剤のうち、油性基剤・製品の洗浄評価が一番高かったファミリーフレッシュ(花王株式会社製品)を選んだ。
【0045】
試験方法は、内側壁面にゲル化炭化水素250mgを付着させた50mL用ステンレスビーカーに油性洗浄除去剤を10mL添加し、攪拌下、水を45mL徐々に入れた後、15分間攪拌して、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。次に水性洗浄除去剤の10重量%水溶液を50mL添加し、攪拌下、75℃で15分間攪拌した後、同じくビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。更に水約50mL添加し、攪拌下、加温75℃で15分間攪拌した後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。ビーカーを自然乾燥した後、ビーカー内側壁面を判定評価する。
【0046】
比較対照である乳酸の試験方法は、前記試験方法のうち最初の油性洗浄除去剤による洗浄除去工程が無い以外は同様の方法で行う。同じく比較対照である洗剤の試験方法は、内側壁面にゲル化炭化水素250mgを付着させた50mL用ステンレスビーカーにファミリーフレッシュの10重量%水溶液を50mL添加し、攪拌下、85℃まで加温した後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。次に水約50mL添加し、攪拌下、加温75℃まで行った後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。ビーカーを自然乾燥した後、ビーカー内側壁面を判定評価する。これらの結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
判定評価:ビーカー壁面へのゲル化炭化水素の残留量を目視および触手で判断する。
◎残留物なし。壁面のヌメリ感なし。
○残留物なし。壁面のヌメリ感多少あり。
▲残留物少量あり。壁面のヌメリ感あり。
×残留物大量あり。壁面のヌメリ感あり。
【0049】
表1の結果より、油性洗浄除去剤であるアジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、モノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジデカン酸プロピレングリコールを用いた洗浄方法は比較対照である乳酸、ファミリーフレッシュよりも洗浄効果が優れていた。
【0050】
[実施例2](ワセリン洗浄試験)
本実施例は洗浄除去対象物がワセリンである事以外は試験目的及び試験方法が実施例1と同様である。これらの結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
(※)加熱により強烈な特異臭が発生する
【0052】
判定評価:ビーカー壁面へのワセリンの残留量を目視および触手で判断する。
◎残留物なし。壁面のヌメリ感なし。
○残留物なし。壁面のヌメリ感多少あり。
▲残留物少量あり。壁面のヌメリ感あり。
×残留物大量あり。壁面のヌメリ感あり。
【0053】
表2の結果より、油性洗浄除去剤であるコハク酸エステル2種、アジピン酸エステル3種、セバシン酸エステル2種を用いた洗浄方法は比較対照であるファミリーフレッシュよりも洗浄効果が優れていた。しかしながらコハク酸エステル2種は加熱により強烈な特異臭が発生するので、密閉系での洗浄除去工程に限定するのが好ましい。また炭素数8のアルキル基を持つセバシン酸ジオクチルは水性洗浄除去剤との組み合わせが悪く、洗浄効果は劣っていた。
【0054】
[実施例3](各種製品洗浄試験)
本実施例は被洗浄除去物を実施例1、2で行ったゲル化炭化水素、ワセリンだけでなく、広く医薬品原料、化粧品基剤、食品、化粧品、医薬品についても検討した。
【0055】
試験方法は、被洗浄除去物250mg(常温で液体の場合は250μL)を付着させた50mL用ステンレスビーカーに油性洗浄除去剤のアジピン酸ジイソプロピルを10mL添加し、75℃で加温攪拌下、水を45mL徐々に入れて20分間経過後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。次に水性洗浄除去剤の10重量%水溶液を50mL添加し、75℃で加温攪拌を20分間行った後、同じくビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。更に水約50mL添加し、75℃で加温攪拌を10分間行った後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。ビーカーを自然乾燥した後、ビーカー内側壁面を判定評価する。比較対照である水性洗浄除去剤による試験方法は、実施例1の比較対照である乳酸による試験法と同様である。これらの結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
マクロゴール400:平均分子量400のポリエチレングリコール
【0057】
判定評価:ビーカー壁面へのワセリンの残留量を目視および触手で判断する。
◎残留物なし。壁面のヌメリ感なし。
○残留物なし。壁面のヌメリ感多少あり。
▲残留物少量あり。壁面のヌメリ感あり。
×残留物大量あり。壁面のヌメリ感あり。
【0058】
表3の結果より、油性洗浄除去剤であるアジピン酸ジイソプロピルは各種油性成分・製品の洗浄除去に非常に有効である事が確認され、かつ水性洗浄除去剤単独による洗浄除去よりも飛躍的に効果が上がった。
【0059】
[実施例4](簡易洗浄試験)
本実施例は第二工程として行う水性洗浄除去剤による洗浄除去工程を省略した場合の洗浄効果を検討した。
【0060】
試験方法は、被洗浄除去物250mgを付着させた50mL用ステンレスビーカーに油性洗浄除去剤のアジピン酸ジイソプロピルを10mL添加し、75℃で加温攪拌下、水を45mL徐々に入れて20分間経過後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。次に水約50mL添加し、85℃で加温攪拌を10分間行った後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。再度水約50mL添加し、同様の操作を行った。ビーカーを自然乾燥した後、ビーカー内側壁面を判定評価した。これらの結果を表4に示す。
【0061】
【表4】
【0062】
判定評価:ビーカー壁面へのワセリンの残留量を目視および触手で判断する。
◎残留物なし。壁面のヌメリ感なし。
○残留物なし。壁面のヌメリ感多少あり。
▲残留物少量あり。壁面のヌメリ感あり。
×残留物大量あり。壁面のヌメリ感あり。
【0063】
表4の結果より、ワセリンおよび流動パラフィンは水性洗浄除去剤による洗浄除去工程を省略する事が可能であるが、ゲル化炭化水素、ラノリンは省略できなかった。この水性洗浄除去剤による工程を省略できるか否かは被洗浄除去物の性質、洗浄方法により異なった。
【0064】
[実施例5](アルコール洗浄試験)
本実施例は第二工程としてアルコールを使用して洗浄除去することを特徴とする洗浄除去法である。
【0065】
試験方法は、被洗浄除去物100mgを付着させた50mL用ステンレスビーカーに油性洗浄除去剤を10mL添加し、75℃で加温攪拌下、水を45mL徐々に入れて10分間経過後、ビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。次にエタノール50mLを加え、10分間攪拌後、同じくビーカー中央底部より液全体を吸引廃棄する。比較対照はアルコールのみの洗浄除去工程とした。これらの結果を表5に示す。
【0066】
【表5】
【0067】
判定評価:ビーカー壁面へのワセリンの残留量を目視および触手で判断する。
◎残留物なし。壁面のヌメリ感なし。
○残留物なし。壁面のヌメリ感多少あり。
▲残留物少量あり。壁面のヌメリ感あり。
×残留物大量あり。壁面のヌメリ感あり。
【0068】
表5の結果より、各種油性洗浄除去剤はアルコールとの組み合わせでも洗浄除去可能な事がわかった。
【0069】
〔実施例6〕(抗菌剤溶解試験)
本実施例は洗浄除去剤の中に抗菌剤、殺菌剤などを加えて、洗浄と殺菌を一度に行う可能性を検討した。実験にあたっては洗浄除去剤または水が殺菌剤との混合により均一溶液となるか否か、特に経時的変化が見られない事の確認を行った。試験法は洗浄除去剤原液、同10%液または水各2mLに対して殺菌剤などを1mL添加し、溶解性について殺菌洗浄時間を考慮して、12時間後の経時的変化を見た。これらの結果を表6に示す。
【0070】
【表6】
(洗浄剤濃度は重量%)
【0071】
表6の結果より、乳酸やプロピレングリコールを有効成分とする水性洗浄除去剤およびそれらの水溶液、水は殺菌剤などを併用して洗浄・殺菌を一度に行う事が可能であることを示した。
【0072】
【発明の効果】
本発明のアジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピルなどのある種の二塩基酸アルキルエステル、ジカプリル酸プロピレングリコールなどのある種のプロピレングリコール脂肪酸エステルを有効成分とする油性洗浄除去剤は乳酸、平均分子量400のポリエチレングリコールなどの水性洗浄除去剤または低級アルコールとの組み合わせにより、ワセリン、ゲル化炭化水素などの油性成分及びそれらを含む医薬品、食品および化粧品を有効に洗浄除去できる。特にこの洗浄法は洗浄効果が高く、洗剤残留量の測定が容易で、起泡性がなく、後処理として少量の洗浄水で洗浄でき、かつ洗浄廃水は容易に油水分離して油性成分を回収できる。従って、環境への安全性が高く、人体に対しても安全性の高い洗浄剤であり、必要時には殺菌剤などを併用し、同時に殺菌洗浄も兼ねることが可能な洗浄方法が提供される。
Claims (20)
- R1OOC(CH2)nCOOR2で表される二塩基酸アルキルエステルを有効成分として含むことを特徴とする油性成分および/または油性成分含有製品の洗浄除去剤(但し、nは2〜10の整数、R1とR2は同一および/または異なって炭素数1〜6のアルキル基を表す)。
- 二塩基酸アルキルエステルがコハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の洗浄除去剤。
- 有効成分が実質的にアジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルから選ばれる少なくとも1種のみからなることを特徴とする請求項1乃至2記載の洗浄除去剤。
- R1COOCH2CH(CH3)OOCR2で表されるプロピレングリコール脂肪酸エステルを有効成分として含むことを特徴とする油性成分および/または油性成分含有製品の洗浄除去剤(但し、R1は炭素数5〜11のアルキル基、R2は炭素数5〜11のアルキル基または水酸基を表す)。
- プロピレングリコール脂肪酸エステルがモノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジデカン酸プロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4記載の洗浄除去剤。
- 有効成分が実質的にモノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジデカン酸プロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種のみからなることを特徴とする請求項4乃至5記載の洗浄除去剤。
- 有効成分が請求項1乃至2記載の二塩基酸アルキルエステル、請求項4乃至5記載のプロピレングリコール脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも2種成分からなることを特徴とする油性成分および/または油性成分含有製品の洗浄除去剤。
- 洗浄除去剤中における有効成分含有量が60重量%以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の洗浄除去剤。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の洗浄除去剤を使用して油性成分および/または油性成分含有製品を洗浄除去する工程を含むことを特徴とする洗浄対象物の洗浄方法。
- 第一工程として請求項1乃至8のいずれかに記載の洗浄除去剤を使用して油性成分および/または油性成分含有製品を洗浄除去した後、第二工程としてプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、平均分子量250〜1200のポリエチレングリコール、乳酸またはその塩、1,3−ブチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を有効成分として含む洗浄除去剤を使用して洗浄除去することを特徴とする請求項9記載の洗浄方法。
- 洗浄最終工程として洗浄対象物を水または温水で洗浄することを特徴とする請求項9乃至10記載の洗浄方法。
- 第一工程として請求項1乃至8のいずれかに記載の洗浄除去剤を使用して油性成分および/または油性成分含有製品を洗浄除去した後、第二工程としてアルコールを使用して洗浄除去することを特徴とする請求項9記載の洗浄方法。
- アルコールがメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項12記載の洗浄方法。
- 第二工程として使用するプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、平均分子量250〜1200のポリエチレングリコール、乳酸またはその塩、1,3−ブチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を有効成分として含む洗浄除去剤、または第二工程として用いるアルコール、または洗浄最終工程で用いる水または温水に抗菌剤および/または殺菌剤を含有せしめることを特徴とする請求項10乃至13記載の洗浄方法。
- 第一工程としてアジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチルまたはセバシン酸ジイソプロピルを有効成分として含む洗浄除去剤を使用して油性成分および/または油性成分含有製品を洗浄除去した後、第二工程として乳酸、平均分子量400のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、またはジプロピレングリコールを有効成分として含む洗浄除去剤を使用して洗浄除去することを特徴とする請求項9記載の洗浄方法。
- 油性成分が医薬品、食品または化粧品に含まれる油性成分であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の洗浄除去剤。
- 油性成分含有製品が医薬品、食品または化粧品であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の洗浄除去剤。
- 油性成分がゲル化炭化水素(別名プラスチベース)、ワセリン、ラノリン、蜜蝋、流動パラフィン、大豆油、オリーブ油から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の洗浄除去剤
- 洗浄対象物が医薬品、食品、化粧品またはこれらの原材料を製造するための攪拌混合機、充填機、乳化機、反応釜、蒸留装置、遠心分離機、ろ過機などの装置、容器・器具、配管設備であることを特徴とする請求項9記載の洗浄方法。
- 洗浄対象物がステンレス素材からなることを特徴とする請求項9記載の洗浄方法。
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JP2010059136A (ja) * | 2008-09-08 | 2010-03-18 | Shiseido Co Ltd | 日焼け止め化粧料 |
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JP2014108402A (ja) * | 2012-12-03 | 2014-06-12 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 狭隘部の腐食生成物や塩分の除去方法及び狭隘部の洗浄装置 |
CN105002516A (zh) * | 2015-08-10 | 2015-10-28 | 苏州科淼新材料有限公司 | 一种机械设备清洗剂及其制备方法 |
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