JP2003327996A - 油性基剤用洗浄剤およびこれを使用した洗浄方法 - Google Patents

油性基剤用洗浄剤およびこれを使用した洗浄方法

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JP2003327996A JP2002137853A JP2002137853A JP2003327996A JP 2003327996 A JP2003327996 A JP 2003327996A JP 2002137853 A JP2002137853 A JP 2002137853A JP 2002137853 A JP2002137853 A JP 2002137853A JP 2003327996 A JP2003327996 A JP 2003327996A
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Kiichiro Nabeta
喜一郎 鍋田
Kana Oshiumi
佳奈 鴛海
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特にワセリン、流動パラフィン、ゲル化炭化
水素、流動パラフィンと疎水性ポリマーの混合物、ラノ
リンなどの油性基剤やこれらを基剤として含む製品に対
して、洗浄効果が高く、起泡性がなく、後処理として少
量の洗浄水で洗浄でき、洗浄廃水は容易に油水分離して
油性基剤のみを回収可能でき、環境への配慮が高い洗浄
剤および洗浄方法を提供すること。 【解決手段】 平均分子量250〜1600のポリエチ
レングリコールを有効成分とすることを特徴とする油性
基剤および/または油性基剤含有製品の洗浄剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主に医薬品や化粧品など
に含まれる油性基剤の洗浄剤およびこれを使用した洗浄
対象物の洗浄方法に関する。更に詳しくはワセリン、流
動パラフィン、ゲル化炭化水素、流動パラフィンと疎水
性ポリマーの混合物、ラノリンなどの油性基剤を洗浄除
去する際に有用な洗浄剤およびこれを使用した医薬品や
化粧品を製造するための攪拌混合槽などの洗浄方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】油性基剤にはオリーブ油や大豆油などの
油脂類、ラノリンや蜜蝋などの蝋類、ワセリンや流動パ
ラフィンなどの炭化水素、ラウリン酸やパルミチン酸な
どの脂肪酸、その他アルコール類、エステル類などがあ
り、医薬品や化粧品には製品中の基剤として多く利用さ
れている。
【0003】ワセリンは石油から得た半固形の炭化水素
類の混合物であり、白色〜微黄色の全質均等な軟膏様の
物質である。白色ワセリンは黄色ワセリンを適当な脱色
を行う事により得られる。
【0004】流動パラフィンは石油から得た液状の炭化
水素類の混合物であり、無色で、におい及び味は無く、
ほとんど蛍光を発しない澄明の油液である。粘度の差に
より軽質と重質のものがある。
【0005】ゲル化炭化水素は流動パラフィンを5〜1
0%に相当する量のポリエチレンでゲル化したものであ
り、無色〜微黄色半透明の軟膏様物質であり、例えば、
特開平10−147539号公報、特開平10−874
87号公報により公知のものであり、プラスチベース
(ブリストル・マイヤーズ・スクイブ株式会社製)とし
て知られている。
【0006】流動パラフィンと疎水性ポリマーの混合物
は、その代表的なものとして前記のゲル化炭化水素があ
るが、これ以外にもポリイソブチレン、ポリイソプレ
ン、ポリブチレン、ポリスチレン・ポリイソプレン・ポ
リスチレンゴムなどをはじめとして疎水性ポリマーの種
類、分子量、添加量を変えることにより粘度、物理的安
定性、化学的安定性を変化させる事ができる。
【0007】ラノリンは羊毛から得た脂肪様の物質を精
製したものであり、淡黄色〜微黄褐色の軟膏様の物質で
ある。
【0008】ワセリンは日本薬局方、化粧品原料基準
に、流動パラフィンは日本薬局方、食品添加物公定書
に、ゲル化炭化水素は医薬品添加物規格に、ラノリンは
日本薬局方、化粧品原料基準に各々収載され、いずれも
外用剤、化粧品の基剤として広く使用されている。
【0009】これらの油性基剤およびそれらを基にした
油性基剤含有製品(以下「油性基剤・製品」とも称す)
はそれ自体疎水性が強く、高い粘性と付着性がある。従
って、これらを洗浄除去する場合、その量が少量であれ
ば有機溶媒等で強くこすり、拭取る事も可能であるが、
医薬品や化粧品などの製造時のように大量の場合、この
ような方法は採用しがたく、また、安全で、環境・健康
障害が無く、容易に除去できる適当な洗浄剤もこれまで
なかった。それ故、これ迄特に軟膏類、クリーム類など
の油性製品の製造においては、その製造に用いた攪拌混
合槽などの装置、器具類、配管設備に付着したこれらの
油性基剤・製品を効果的に洗浄することは困難であっ
た。
【0010】従来、医薬品や化粧品などの製造時におけ
る油性基剤・製品の一般的洗浄方法は、洗浄対象物であ
る装置、器具類中に、多量の被洗浄除去対象物である油
性基剤・製品が残存付着している場合、最初にこれらを
大まかに手動または機械的方法で除去し、次に加温した
中性やイオン性の台所用合成洗剤の類のアルキルベンゼ
ンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド
などの界面活性剤を有効成分とする洗浄剤を装置や器具
類に注入し、攪拌しながら洗浄したりしていた。そして
最後に精製水により、洗剤の残留が無くなるまで洗浄を
適当回数行われる方法が行われていた。
【0011】さらに水に難溶性の物質が油性基剤含有製
品に含まれている場合には、上記のような洗浄剤ではこ
れを除去することができず、装置、器具類に残留し易い
ので、これらの除去については、アルコール類、特にエ
タノールで直接手拭き除去する方法が洗浄工程の中で行
われていた。また拭取りにくい装置、器具類には、可能
であれば洗剤、アルコールの長時間浸漬により洗浄せざ
るを得なかった。
【0012】その他の方法としては、油性基剤・製品と
相溶する鉱油、植物油を添加し、均一に攪拌溶解しなが
ら除去し、残油を界面活性剤などで水洗除去操作を行
い、必要な場合は前記アルコール操作を併用することも
行われていた。
【0013】従来の洗浄技術では、使用する台所用合成
洗剤の類の洗浄剤には界面活性剤をはじめ多数の成分が
含まれており、これらの成分が装置内などに残留する危
険性がある。しかし、化学構造的にも多種多様の成分を
全て除去すること、それらがどの程度残留しているのか
を全て測定することは容易なことではない。また、同洗
剤は起泡性が高いので、洗浄攪拌強度を制限され、特に
加温下では強い攪拌を行うと大量に泡が発生するので実
施できない。また、このような起泡性のある洗剤は洗剤
除去に大量の洗浄水を必要とする。さらに、同洗剤は油
性基剤・製品を乳化することが主な作用であるので、た
とえ油性基剤・製品を洗浄できても、洗浄後の廃水は油
性基剤・製品を含む乳濁液となる。従って、この廃水か
ら油性基剤・製品だけを短時間に分離して処理すること
は容易でなく、その為大量の乳濁廃水の放出により環境
汚染の原因になり、更に難溶性成分の除去が困難である
といった問題がある。
【0014】また、中性やイオン性の台所用合成洗剤の
類の洗浄剤を使用する方法以外にも、酸性洗浄剤やアル
カリ性洗浄剤を使用する方法もあるが、効果が十分でな
かったり、洗浄対象物が腐食するといった問題がある。
【0015】また、通常、難溶性物質の除去にはエチル
アルコールによる手拭き操作を行うが、エチルアルコー
ルをはじめ低級アルコールは蒸気圧が高いので加温が難
しく、蒸気吸入すると健康障害を起こし、また引火性も
強いので火気による危険も十分あるので好ましくない。
また拭取りにくい装置、器具類をアルコールによる長時
間の浸漬洗浄する場合も加温できず、密閉容器で換気性
の良い所の環境が必要であった。
【0016】他方、油性基剤・製品と相溶する鉱油、植
物油を使用する方法では、両者を混合することにより粘
度低下して操作性は向上するが、洗浄後のワセリン等を
含む鉱油や植物油の大量処理と、その残油を含む界面活
性剤の処理を環境汚染することなく行う必要がある。ま
た、洗剤の泡立ちの問題と多量の洗浄水が必要となる問
題は前記と同様の問題として残る。
【0017】また、従来の油性基剤・製品の洗浄方法
は、もっぱらワセリンの洗浄を行う方法として使用され
て来たものであり、ゲル化炭化水素、流動パラフィンと
疎水性ポリマー混合物の洗浄については、十分な洗浄効
果が期待できず、最適な洗浄剤や洗浄方法は未だ確立さ
れていない。従って、このような問題が解決される洗浄
剤や洗浄方法の開発が望まれていた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、医薬
品外用剤、化粧品に多用されている油性基剤・製品につ
いて十分な洗浄力を有するとともに、油性基剤含有製品
の中に水に難溶性物質が含まれている場合でもこれを同
時に除去する効果を有する洗浄剤、また、できる限り環
境汚染を防止し、泡立ち等がなく操作性がよく、火気に
ついての安全性もあり、健康面にも安全な洗浄剤を提供
することを目的とする。さらに、洗浄中に殺菌効果も奏
される洗浄剤、そして洗浄廃液が大量の環境汚染につな
がらないような洗浄剤を提供することを目的とする。
【0019】また、以上のような洗浄剤を使用して、医
薬品や化粧品を製造するための攪拌混合槽などの装置、
器具類などに対して簡易で安全面にも優れた洗浄方法を
提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
点について鋭意検討した結果、ある特定の平均分子量を
有するポリエチレングリコールが油性基剤・製品の洗浄
に非常に効果があることを見いだした。そしてこれらの
ポリエチレングリコールを有効成分とする洗浄剤、そし
て抗菌剤、殺菌剤を含んだ洗浄剤、洗浄剤を加温して、
および/または同洗浄剤を高圧で噴射して行う洗浄方
法、さらに洗浄廃液を油水分離させる洗浄方法が上記の
問題を解決するものであることに着目し、本発明を完成
するに至った。
【0021】即ち、本発明の洗浄剤の有効成分はすべて
ポリエチレングリコールであるので、水溶性で、同系列
の構造であり、残留可能性の高い成分を容易に判明する
ことができる。従って、通常は残留可能性の高い物質を
一種測定すれば全体での最大残留量を把握することが可
能である。たとえ、全成分測定するにしても、測定方法
は同一でよく、測定が容易である。
【0022】付着性の高い油性基剤・製品を洗浄除去す
るには、洗浄剤を強く攪拌して油性基剤・製品を洗浄液
に溶解または剥離懸濁させるのが好ましい。前述のごと
く、界面活性剤を主体としたこれまでの台所用洗剤の類
の洗浄剤では起泡性が高いので攪拌力に限度が生じた
が、ポリエチレングリコールは起泡性に乏しいので洗浄
効果を高める為に攪拌を強くしても操作上の問題は生じ
ない。
【0023】さらに加温した場合、洗浄効果が高くなる
という利点がある一方で、操作上の問題はいっさい生じ
ない。また前述のようにポリエチレングリコールは水溶
性なので、油性基剤・製品を洗浄除去後には容易に水洗
除去することができる。
【0024】ポリエチレングリコールはこれまで知られ
ている洗浄剤とは異なり、油性基剤・製品に対して乳化
作用や溶解作用を持つのではなく、油性基剤・製品と洗
浄対象物の付着表面との間に入り込んで浮かせて落ちや
すくする剥離作用を持つ。即ち、油性基剤・製品と洗浄
対象物の付着表面の間に浸透して、油性基剤・製品を細
かく乳化したり溶解したりするのではなく、むしろ物理
的力による攪拌力とポリエチレングリコールの剥離力、
更に加熱による油性基剤・製品の水からの離反促進によ
り、油性基剤・製品を塊状にひきちぎるものである。
【0025】従って、最終工程として洗浄対象物を水や
湯水で清浄化した後は、塊状になった油性基剤・製品は
洗浄廃液の水面上に浮きやすく、互いに合一しやすくな
り、結局は乳濁化することなく油水分離が非常に早く起
きる。これにより油性基剤のみを短時間に容易に分取
し、洗浄廃液の油分汚濁が少なくなるので、排水処理が
し易く、環境汚染の原因になりにくくなる。
【0026】さらに、ポリエチレングリコールによる物
質を溶解させる作用は、油性基剤含有製品に難溶性物質
が含まれている場合、これを溶解させる効果を持つ場合
があるので、非常に効果的である。
【0027】本発明において洗浄剤の有効成分となるポ
リエチレングリコールは平均分子量250〜1600の
ものを使用する。ポリエチレングリコールはエチレンオ
キシドと水との付加重合体で、一般式:HOCH2(CH2OC
H2CH2OHで表されるものである。通常、平均分子量
が250のものは上記一般式でnが4〜5の化合物の混
合物を主体とする。平均分子量が1600のものは上記
一般式でnが35付近の化合物を主体とした混合物から
なる。しかしながら、平均分子量の大きく異なるポリエ
チレングリコールを数種混合し、それら全体の見かけの
平均分子量で表した混合物も含まれる。例えば、平均分
子量300のものと平均分子量1500のものの等量混
合物は平均分子量900のポリエチレングリコールとな
る。
【0028】本発明において使用するポリエチレングリ
コールの平均分子量を250以上と規定するのは、後述
する実施例においても明らかなように、250未満であ
ると洗浄剤としての効果が期待し難くなるからである。
一方、本発明において使用するポリエチレングリコール
の平均分子量を1600以下と規定するのは、ポリエチ
レングリコールは平均分子量が1000程度になると常
温(25℃)で固体となることから、洗浄剤としての使
用の際は水溶液の形態で使用することとなるので、16
00を超えると高い含有濃度の水溶液を調製した場合、
粘性が高くなって取扱い難くなるとともに、洗浄剤とし
ての効果も低下するからである。
【0029】洗浄剤としての高い効果と取扱いの容易性
などを勘案すると、平均分子量が300〜1000のも
のを使用することが好ましく、平均分子量が350〜5
00のものを使用することがより好ましい。なお、ポリ
エチレングリコールは単一の平均分子量を有するものを
単独で使用してもよいし、複数の平均分子量を有するも
のを混合して使用してもよい。
【0030】平均分子量250〜1600のポリエチレ
ングリコールの中で、特に精製したもので平均分子量の
揃ったものをマクロゴールと称して日本薬局方医薬品、
医薬品添加物に認められており、その平均分子量からマ
クロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール
600、マクロゴール1000、マクロゴール1540
などがある。マクロゴール1500だけはマクロゴール
300とマクロゴール1540の等量混合物である。こ
れらは本発明において好適に使用される。なお、これら
は医薬品においては軟膏基剤、坐薬基剤、錠剤バインダ
ー、表面平滑用コーティング剤、注射剤の溶剤として、
化粧品においては化粧品原料等に使用されており、安全
性の高い物質である事は周知の事実である。しかし、洗
浄剤としてのポリエチレングリコールの使用について
は、過去において全くその事実がない。
【0031】更に有効成分として添加しうるプロピレン
グリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレン
グリコール(以下「グリコール類」とも称す)はポリエ
チレングリコールと同様に油性基剤・製品を剥離する作
用を持つが、剥離後の油性基剤・製品の塊が前者は大き
く、後者は小さくするので、使用の目的により選択が可
能であり、両者を適度に混合することにより剥離塊の大
きさを選択できる。
【0032】安全性においても、プロピレングリコール
は日本薬局方医薬品、医薬品添加物に認められており、
医薬品、化粧品においては溶剤、緩和剤、保湿剤、保温
剤、保存剤、皮膚柔軟剤として利用されており、その他
食品の品質保持剤、香料の溶剤、コルクの可塑剤など広
く利用されている。ジプロピレングリコールは化粧品原
料基準に認められており、医薬品においては一般外用剤
に薬剤溶解のための溶剤として利用されており、安全性
の認められた物質である。トリプロピレングリコールは
工業用中間原料、インキの溶剤などに用いられている。
このようにポリエチレングリコール、およびグリコール
類は一般に安全性の高いものとして評価されているの
で、医薬品や化粧品を製造するための攪拌混合槽の洗浄
に際しても安心して使用することができる。
【0033】このようなポリエチレングリコールの油性
基剤に対する作用は本発明者らによってはじめて見いだ
されたものであり、この効果が記載されていたり示唆さ
れていたりする先行文献は本発明者らの知る限りにおい
ては存在しない。固形石鹸や粉末石鹸にポリエチレング
リコールが含まれている場合があるが、この場合のポリ
エチレングリコールは固形化を目的として使用されてい
るに過ぎず、使用されているものも平均分子量が400
0や6000のもので本発明において使用するものより
も大きいものである。液状洗浄剤にポリエチレングリコ
ールが含まれている場合も多く見られるが、その場合は
界面活性剤が洗浄効果を担う有効成分として必ず含まれ
ている。なお、ポリエチレングリコール誘導体で、ポリ
エチレングリコール脂肪酸エステルやポリエチレングリ
コールアルキルエーテルなどがあるが、これらは界面活
性剤に属し、ポリエチレングリコールとはその特性、性
状等がまったく異なるものであり、本願における洗浄剤
としての有効成分にはなり得ない。
【0034】洗浄剤の有効成分となるポリエチレングリ
コールならびにグリコール類の各物質は油性基剤・製品
に対して、溶解作用や乳化作用があるのではなく、あく
までも剥離作用が主作用であり、洗浄後再付着させにく
い事も判明した。しかしながら、これらはそれぞれ剥離
作用の中でも少しずつその作用が異なり、かつそれぞれ
が各法律に収載、未収載のものがあるので、それらを総
合的に考慮して、油性基剤の成分に最適な洗浄剤成分を
選ぶ事が肝要である。
【0035】ポリエチレングリコールの配合は洗浄対象
となる装置、器具類の材質・構造等により、また洗浄除
去対象となる油性基剤・製品の成分、加温の有無、成分
配合規制、更に製品中にある難溶性物質の有無などによ
り最適配合が決定される。
【0036】本発明における洗浄剤はポリエチレングリ
コールが有効成分として含まれていればどのような形態
のものであってもよいが、洗浄剤の有効成分としては実
質的にポリエチレングリコールのみからなるものが好ま
しい。界面活性剤などが含まれているとこれらの成分が
装置内などに残留する危険性が生じ、好ましくないから
である。また、洗浄剤には洗浄剤としての有効成分以外
の成分、例えば、後述する抗菌剤や殺菌剤などが含まれ
ていてもよい。ここで、洗浄剤中におけるポリエチレン
グリコールの含有量は70重量%以上であることが好ま
しい。なお、本発明において界面活性剤と定義する物質
には、N−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボ
ン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル硫酸塩などのようなアニオン型界面活性剤、酢
酸ベタイン型、イミダゾリン型などのような両性界面活
性剤、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコー
ル脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのよ
うな非イオン型界面活性剤、その他レシチン誘導体のよ
うな天然界面活性剤、アクリル酸メタアクリル酸アルキ
ル共重合体のような高分子界面活性剤などがある。
【0037】前述のように、平均分子量が1000を超
えるポリエチレングリコールは常温で固体であるので使
用の際は必ず水に溶解させて水溶液の形態または加温下
溶液の形態で使用される。常温で液状のポリエチレング
リコールはそのままの形態で使用してもよいが、使用の
便宜を考慮して水で希釈されていてもよい。ポリエチレ
ングリコールを水に溶解させる場合、水で希釈する場
合、そのいずれの場合であっても、水を除いた成分中に
おけるポリエチレングリコールの含有量は70重量%以
上であることが好ましい。また、洗浄効果を考慮する
と、ポリエチレングリコールが1重量%以上、好ましく
は10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上含
まれるように溶解・希釈することが好ましい。
【0038】本発明の洗浄剤を使用するに際しては、当
然のことながら洗浄効果が認められる濃度以上を必要と
し、それはポリエチレングリコールの成分配合、洗浄除
去対象物である油性基剤・製品の成分と量、攪拌の有無
および強度、洗浄剤の加温そして/または高圧噴射の有
無、および洗浄時間、被洗浄表面の材質などの要因によ
り変わるが、通常はグリコール類を1重量%以上、好ま
しくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以
上含む液状にて使用する。
【0039】しかしながら、洗浄をより効果的に行い、
洗浄剤濃度を低減させるには、攪拌は強く行い、加温は
行った方が、また洗浄対象物である装置、器具類はなる
べく壁面が滑らかで凸凹部がない方が好ましい。
【0040】洗浄剤を加温する場合、その温度は油性基
剤・製品の成分および量により異なるが、好ましくは6
0℃以上、より好ましくは80℃以上とする。加温温度
の上限は特にないが、油性基剤・製品の特性を考慮し、
かつ一般には熱水で加温する場合が多いので100℃が
多い。100℃以上で行う場合はヒーター、加熱蒸気ま
たは加熱油などで加温を行う。
【0041】直接的に油性基剤・製品をより強力な物理
的力で除去するには洗浄剤を高圧下で噴射洗浄すること
が効果的であり、洗浄剤放出部は高圧スプレーノズル、
全方位噴射可能なボール型噴射口などを用いる。攪拌混
合槽、複雑形状部分、特に配管部等にはこのような洗浄
が有効である。この方法は直接噴射なので、攪拌式洗浄
よりも洗浄液量は少なくて済む長所がある。更にポリエ
チレングリコールは一度剥離した油性基剤・製品の再付
着を防止する効果を持つ。
【0042】本発明の洗浄剤は油性基剤の剥離作用だけ
でなく、ある種の難溶性物質が製品中に含まれる場合、
その難溶性物質に対して溶解作用があるので、油性基剤
・製品の洗浄時にこのような難溶性物質を同時に洗浄除
去する効果がある。本発明の洗浄剤によって効果的に洗
浄除去される難溶性物質には、アテノロール、インドメ
タシン、カルバマゼピン、カルバミン酸クロルフェネシ
ンなどが挙げられる。しかしながら難溶性物質はこれら
に限定されるものではない。
【0043】医薬品や化粧品の洗浄工程において、洗浄
対象物に対して洗浄だけでなく、同時に殺菌や滅菌も行
えることは、操作工程の短縮、労力の削減などの点で効
果が大きい。従って、本発明の洗浄剤に抗菌剤や殺菌剤
を含ませ、洗浄とともに殺菌や滅菌を行うことは有効な
手段である。この場合、抗菌剤や殺菌剤としては、例え
ば、塩化ベンザルコニウム、エタノール、アクリノー
ル、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、クレゾー
ル、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム
などが使用される。
【0044】また、特に揮発性であるヒノキチオール、
アリルイソチオシアネート、ニッキ、ペパーミントなど
を抗菌剤や殺菌剤として使用した場合、これらの揮発性
物質は洗浄液から揮発し、その効果が持続しやすい。洗
浄後は精製水で洗浄することにより抗菌剤や殺菌剤を除
去することができる。なお、使用しうる抗菌剤や殺菌剤
は上記のものに限定されるものではない。
【0045】本発明の洗浄剤を使用して洗浄対象物から
油性基剤・製品を洗浄除去し、後処理として洗浄対象物
を水または温水で清浄した場合、洗浄後の洗浄廃液は、
水や温水に油性基剤・製品が乳化されていたり溶解した
りしているものではなく、これらが分離剥離した液であ
る。一般に油性基剤・製品の比重は水より小さく、これ
に対してポリエチレングリコールは水より大きいので、
ポリエチレングリコールが溶解した洗浄廃液は水より重
くなり、当然剥離後塊状となる油性基剤・製品は洗浄廃
液上部に浮く。その為これらは容易に洗浄廃液と分離可
能となる。油性基剤の代表的なものとしてのワセリンの
比重は約0.81〜0.88であり、流動パラフィンの
比重は約0.85〜0.89であり、ゲル化炭化水素の
比重は約0.88であり、いずれも水より比重は小さ
い。一方ポリエチレングリコールは1.11〜1.14
であり、グリコール類では、プロピレングリコールが約
1.04、ジプロピレングリコール、トリプロピレング
リコールが共に約1.02といずれも水より比重は大き
い。
【0046】洗浄廃液上部に浮く油性基剤・製品と洗浄
廃液との分離法は各種考えられるが、通常の沈殿濃縮の
シックナーは掻き取り位置が底部にある点において異な
るが、原理は類似であり、油性基剤・製品が表面に順次
浮上して表面濃縮し、それを表面で掻き取りながら洗浄
廃液をオーバーフローまたは底部より排水させて採取す
る方式、遠心分離で強制分離促進させる方式、回転円筒
型濾過器による分取方式などが考えられる。しかしなが
ら、分離装置については特にこれらに限定されるもので
はない。
【0047】油性基剤・製品をこのように簡単に分離採
取することができるので、洗浄廃液をリサイクルすれ
ば、洗浄液として再利用することも可能であり、また廃
棄する場合にも環境の汚染を最小限に押さえることが出
来る。
【0048】これまでに述べてきたように、これらの洗
浄剤は装置、器具類の洗浄に特に有効であるが、この洗
浄剤は安全性も優れているので、こればかりに限定され
ることなく、広く、例えば医療用には皮膚に塗布した油
性基剤の製剤を拭取る目的の洗浄製品に、化粧品ではネ
イルカラー、マスカラ、基礎化粧品など同じく皮膚、爪
などに塗布した油性基剤の製品を拭取る洗浄製品として
も利用可能である。
【0049】
【実施例】以下に具体的な実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。なお、以下の実施例に
おいてはポリエチレングリコールをPEGと略記する。
【0050】〔実施例1〕(ゲル化炭化水素洗浄試験そ
の1) 本実施例は、攪拌洗浄後、攪拌槽の底部から液を排出す
る一般的製造工程を想定して行った。特に液面が静かに
低下した時のゲル化炭化水素の壁面への再付着による残
留性の問題を重視するものである。
【0051】試験方法は、20mL用ビーカーの側壁面
にゲル化炭化水素200mgを付着させ、規定濃度の洗
浄剤を25mL添加し、スターラーバーで攪拌下、80
℃まで加熱する。次に底部より洗浄液を排出後、80℃
の熱湯を20mL添加し、スターラーバーで攪拌後、底部
より排出する。
【0052】排出完了後およびビーカーの自然乾燥後
に、ビーカー側壁面についたゲル化炭化水素の残留度合
を目視判定した。これらの結果を表1に示す。なお、家
庭用台所洗剤(ファミリーフレッシュ:商品名、花王株
式会社製)は市販のもののうち、油性基剤・製品の洗浄
評価が一番良かったものとして選んだ。
【0053】
【表1】 (洗浄剤濃度は重量%) PEG400:平均分子量400のポリエチレングリコ
ール(日本油脂株式会社製マクロゴールを使用)を意味
する。以下同様。 PEG等量品:PEG300とPEG1540の等量混
合物。平均分子量約900。
【0054】 判定評価:◎残留物なし ○残留物殆どなし △残留物少量あり ▲残留物多い ×残留物大量 泡および操作性の評価は含まない
【0055】表1の結果より、上記PEGは対照である
水、プロピレングリコール(PG)よりも洗浄効果が高
く、特にPEG400は台所用洗剤と比べても洗浄効果
が十分あることが認められた。また同じPEGでもPE
G200は洗浄化効果が劣ることが明らかである。PG
とPEGの等量混合物はPG単独よりも洗浄効果が高い事
が示された。また、加温時に泡の発生がグリコール類に
は認められないので、操作性は台所用洗剤に比べて優位
であった。
【0056】〔実施例2〕(ゲル化炭化水素洗浄試験そ
の2) 本実施例は、洗浄効果が厳しくなる低い濃度のままで、
油性基剤であるゲル化炭化水素を多めに付着させ、攪拌
力を前例より強くする事により剥離効果が向上するか確
認する事を観点に、以下実施例1と同様の操作を行っ
た。
【0057】試験方法は、200mL用ビーカーの側壁
面にゲル化炭化水素1gを付着させ、規定濃度の洗浄剤
を170mL添加し、スターラーバーで攪拌下、80℃
まで加熱する。次に底部より洗浄液を排出した後、80
℃の熱湯を170mL添加し、スターラーバーで攪拌後、
底部より排出する。排出完了後およびビーカーの自然乾
燥後に、ビーカーの側壁面についたゲル化炭化水素の残
留度合を判定した。判定評価は実施例1と同様である。
これらの結果を表2に示す。
【0058】
【表2】 (洗浄剤濃度は重量%)
【0059】表2の結果により、PEG400の洗浄効
果は実施例1の場合に比べ、洗浄対象物であるプラスチ
ベースを多くしても攪拌力の増大により同様の洗浄効果
が得られ、攪拌力の効果も洗浄には重要な要因であるこ
とを示している。
【0060】〔実施例3〕(ワセリン洗浄試験その1) 本実施例は洗浄除去対象物がワセリンである事以外は実
施例1と同様である。試験方法および評価方法も実施例
1と同様である。これらの結果を表3に示す。
【0061】
【表3】 (洗浄剤濃度は重量%)
【0062】表3の結果により、上記PEGは対照であ
るPEG200、グリセリン、プロピレングリコール、
水よりも洗浄効果が優れていることが認められた。
【0063】〔実施例4〕(ワセリン洗浄試験その2) 本実施例は、油性基剤がワセリンであること以外は実施
例2と同様である。試験方法、評価方法も実施例2と同
様である。これらの結果を表4に示す。
【0064】
【表4】 (洗浄剤濃度は重量%)
【0065】表4の結果より、ワセリンは加熱時自然に
剥離して行く傾向が強いが、ゲル化炭化水素と同様、攪
拌力の増大は洗浄効果に影響を与える重要な要因である
事を示している。
【0066】〔実施例5〕(加温・高圧試験) 本実施例は洗浄時の温度の違い、および洗浄除去対象物
である油性基剤・製品に対して高圧で強いせん断力を与
える事により、洗浄効果がいかに向上するかを検証する
ことを目的とした。
【0067】即ち、温度をかけることにより油性基剤・
製品の粘度を下げて剥離を促進させ、また高圧で洗浄液
を油性基剤・製品にあてることにより、同じく剥離促進
効果を上げることを目的とするものである。剥離後の油
性基剤・製品の試験管壁への再付着は、洗浄剤の再付着
防止効果に依存する。したがって、高圧下の洗浄は、強
力なせん断力による剥離効果と剥離後の再付着防止効果
を見ることを目的とするものである。
【0068】試験方法は、高圧噴射洗浄を想定し、試験
管内で洗浄液の攪拌力を強くして、壁面に付着させた油
性基剤・製品に対する洗浄液の衝突を強くした。また温
度については、室温時と加温時の場合で実験方法を変え
た。
【0069】室温の場合は、試験管壁にプラスチベース
100mgを付着させ、洗浄剤5mLを添加し、強くミ
キシングした後、洗浄液を廃棄する。次に5mLの水を
添加し、強くミキシング後、液を廃棄する水洗工程を2
回行う。完了後試験管を逆さに立て、管壁を目視観察
し、プラスチベースの残量有無、水滴の付着量有無を評
価した。
【0070】加温の場合は、試験管壁にプラスチベース
100mgを付着させ、洗浄剤5mLを添加し、80℃
に加熱後、強くミキシングする。ミキシングした後、洗
浄液を廃棄する。次に80℃の温湯5mLを添加し、強
くミキシング後、液を廃棄する湯洗工程を2回行う。完
了後試験管を逆さに立て、管壁を目視観察し、プラスチ
ベースの残量有無、水滴の付着量有無を評価した。これ
らの結果を表5に示す。
【0071】
【表5】 (洗浄剤濃度は重量%) PEG400:平均分子量400のポリエチレングリコ
ール(日本油脂株式会社製のマクロゴールを使用)を意
味する。以下同様。 PEG等量品:PEG300とPEG1540の等量混
合物。平均分子量約900。 PG:プロピレングリコール FF:台所用洗剤(ファミリーフレッシュ)
【0072】 評価法:○残留物がなく、水滴がなし又は殆どないもの △残留物がわずかであり、水滴がわずか又は少量 ×残留物あり
【0073】表5の結果より、室温時における洗浄結果
よりも、加温時における洗浄結果の方が明らかに効果的
であることがわかった。高圧噴射を想定した試験の結果
については、本実施例の加温時の結果と表1の結果(通
常攪拌)との比較から、洗浄除去対象となる油性基剤・
製品に対して強いせん断力を与えた方が、洗浄効果が上
昇する事が分かった。また台所用洗剤に比べ、PEGは
泡の発生が起こらないので操作性が良く、大きな利点で
ある。
【0074】〔実施例6〕(他油剤の洗浄試験) 本実施例は、ワセリン、プラスチベース以外に良く使用
される油性基剤についても検討した。
【0075】試験方法は、室温評価として試験管壁に油
性基剤100mgを壁面に付着させ、洗浄剤5mLを添
加し、ミキシング後管壁の状況を目視評価した。加温評
価として80℃に加温した後、再度ミキシングし、洗浄
液を廃棄する。さらに80℃温湯10mLで洗浄後廃棄
する湯洗浄工程を2回行った後、試験管を逆さにして壁
面を目視評価した。これらの結果を表6に示す。
【0076】
【表6】 (洗浄剤濃度は重量%) 洗浄剤の略号は表5と同様である。
【0077】
【0078】表6の結果より、PEGはラノリン、流動
パラフィンに関しても有効な洗浄効果が得られることが
分かる。但し、PEGの中でも少しずつその洗浄効果が
異なるので、洗浄除去対象である油性基剤・製品によ
り、適宜洗浄剤の成分を変える必要がある。また台所用
洗剤は特に加熱時に泡の発生がひどいので、実験中適確
な評価を行えなかった。
【0079】〔実施例7〕(抗菌剤溶解試験) 本実施例は洗浄剤の中に抗菌剤、殺菌剤などを加えて、
洗浄と殺菌を一度に行う可能性もあると考え、実施し
た。実験にあたっては洗浄剤と殺菌剤などが均一溶液に
なり、特に経時的変化が見られない事の確認を行った。
試験法は洗浄剤100%液、同10%液各2mLに対し
て殺菌剤などを適量添加し、溶解性、12時間後の経時
的変化を見た。これらの結果を表7に示す。
【0080】
【表7】 (洗浄剤濃度は重量%)
【0081】洗浄剤の略号は表5と同様である。
【0082】表7の結果より、グリコール類の洗浄液は
抗菌剤や殺菌剤などを併用して洗浄・殺菌を一度に行う
事が可能であることを示唆している。
【0083】〔実施例8〕(難溶性物質溶解試験) 本実施例は、油性基剤をベースにした製品中に薬効成分
として使用され、かつ難溶性物質である、アテノロー
ル、インドメタシン、カルバマゼピン、カルバミン酸ク
ロルフェネシンについて、PEGがこれらを溶解するか
確認する目的で行った。
【0084】試験方法は、上記の四種の難溶性物質を各
30mg量り、それを洗浄剤1mLに入れ、振盪攪拌後
その溶解状態を目視確認する。比較対象として、エタノ
ール、台所用洗剤、水を用いた。これらの結果を表8に
示す。
【0085】
【表8】 (洗浄剤濃度は重量%)
【0086】表8の結果より、PEGの代表例であるP
EG400は台所用洗剤、水に比べ、溶解性があり、難
溶性物質を拭取る場合に用いるエタノールの代用も十分
可能となる。従って、PEG400は油性基剤・製品の
剥離作用、難溶性物質の溶解作用と両面の作用を持つの
で、これらの難溶性物質を含む軟膏等の製品の洗浄除去
に効果がある。
【0087】〔実施例9〕(ワセリン溶解性試験) 本実施例は、溶解性に乏しいワセリンのPEGへの溶解
性について検討した。これにより、洗浄後の廃液からの
ワセリンの効率的な除去取扱いが検証される。比較対照
としてプロピレングリコールを用いた。
【0088】試験法はワセリン100mgを試験管に採取
し、その壁面に付着させる。次に洗浄剤を5mL添加し、
80℃10分間加熱し、ミキシング後に液の状況を目視
観察()する。次に均一溶解している場合には適量の
温湯を添加し、ミキシング後再度液の状況を観察()
する。これらの結果を表9に示す。
【0089】
【表9】 (洗浄剤濃度は重量%)
【0090】表9の結果から明らかなように、PEGは
ワセリンを二相分離させ、冷却してもワセリンの塊が硬
くなるだけで分離採取が容易である。これに対してプロ
ピレングリコールは加温時は均一溶解するので、ワセリ
ン相を分離除去はすぐにできない。しかし温湯を添加す
ることにより二相分離するので水、台所用洗剤に比べれ
ばワセリン分離除去は容易である。いずれも液温が低下
すればワセリンがゲル状になり、一層ワセリンを分取し
易くなるが、PEGのほうがワセリンの分離除去には適
している。これにより上澄のみを前記の各種分離機で除
去すれば水相はリサイクル可能となる。
【0091】
【発明の効果】このように、本発明の平均分子量250
〜1600のポリエチレングリコールを有効成分とする
油性基剤および/または油性基剤含有製品の洗浄剤は、
特にワセリン、流動パラフィン、ゲル化炭化水素、流動
パラフィンと疎水性ポリマーの混合物、ラノリンなどの
油性基剤、またこれらが基剤として含まれる医薬品や化
粧品などに対して、洗浄効果が高く、洗剤残留量の測定
が容易で、起泡性がなく、後処理として少量の洗浄水で
洗浄でき、洗浄廃水は容易に油水分離して油性基剤のみ
を回収することができる。従って、環境への安全性が高
く、かつ難溶性成分も除去でき、人体に対しても安全性
の高い洗浄剤であり、必要時には殺菌剤などを併用し、
同時に殺菌洗浄も兼ねることが可能な洗浄方法が提供さ
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B201 AA23 AA47 BB22 BB82 BB94 CB11 4C083 AD041 AD042 CC23 DD23 EE50 4H003 DA12 DB02 DC04 EB36 ED29 FA34

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均分子量250〜1600のポリエチ
    レングリコールを有効成分とすることを特徴とする油性
    基剤および/または油性基剤含有製品の洗浄剤。
  2. 【請求項2】 平均分子量350〜500のポリエチレ
    ングリコールを有効成分とすることを特徴とする請求項
    1記載の洗浄剤。
  3. 【請求項3】 洗浄剤としての有効成分が実質的に平均
    分子量250〜1600のポリエチレングリコールのみ
    からなることを特徴とする請求項1記載の洗浄剤。
  4. 【請求項4】 洗浄剤としての有効成分が実質的に平均
    分子量350〜500のポリエチレングリコールのみか
    らなることを特徴とする請求項2記載の洗浄剤。
  5. 【請求項5】 洗浄剤としての有効成分がプロピレング
    リコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレング
    リコールから選ばれる少なくとも1種を更に含むことを
    特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の洗浄剤
  6. 【請求項6】 油性基剤がワセリン、流動パラフィン、
    ゲル化炭化水素、流動パラフィンと疎水性ポリマーの混
    合物、ラノリンであることを特徴とする請求項1乃至5
    のいずれかに記載の洗浄剤。
  7. 【請求項7】 洗浄剤中における有効成分含有量が70
    重量%以上であることを特徴とする請求項1乃至6のい
    ずれかに記載の洗浄剤。
  8. 【請求項8】 水で希釈されていることを特徴とする請
    求項1乃至7のいずれかに記載の洗浄剤。
  9. 【請求項9】 抗菌剤および/または殺菌剤を含むこと
    を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の洗浄
    剤。
  10. 【請求項10】 油性基剤含有製品が医薬品または化粧
    品であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに
    記載の洗浄剤。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
    洗浄剤を使用して油性基剤および/または油性基剤含有
    製品を洗浄することを特徴とする洗浄対象物の洗浄方
    法。
  12. 【請求項12】 洗浄剤を加温して、および/または高
    圧で噴射して、油性基剤および/または油性基剤含有製
    品を洗浄する工程を含むことを特徴とする請求項11記
    載の洗浄対象物の洗浄方法。
  13. 【請求項13】 油性基剤および/または油性基剤含有
    製品を洗浄する工程を行ってから、洗浄対象物を水また
    は温水で清浄する工程を行うことを特徴とする請求項1
    2記載の洗浄方法。
  14. 【請求項14】 洗浄対象物を水または温水で清浄する
    工程を行ってから、洗浄された油性基剤および/または
    油性基剤含有製品を分離する工程を行うことを特徴とす
    る請求項13記載の洗浄方法。
  15. 【請求項15】 洗浄対象物が医薬品または化粧品を製
    造するための攪拌混合槽などの装置、容器・器具、配管
    設備であることを特徴とする請求項11乃至14のいず
    れかに記載の洗浄方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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