JP2005002019A - ニキビ改善剤 - Google Patents
ニキビ改善剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005002019A JP2005002019A JP2003165801A JP2003165801A JP2005002019A JP 2005002019 A JP2005002019 A JP 2005002019A JP 2003165801 A JP2003165801 A JP 2003165801A JP 2003165801 A JP2003165801 A JP 2003165801A JP 2005002019 A JP2005002019 A JP 2005002019A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- hydrogen atom
- carbon atoms
- branched
- acid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Cosmetics (AREA)
Abstract
【課題】使用感が良好で、皮膚へのダメージが少なく、ニキビを効果的に治療するニキビ改善剤の提供。
【解決手段】(A)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類
【化1】
(R1は置換基を有していてもよい炭化水素基;Yはメチレン、メチン又はO;X1、X2、X3はH、OH、アセトキシ基;X4はH、アセチル基等;R2、R3はH、OH等;RはH、アミジノ基等;aは2又は3)、
(B)無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物、
(C)一般式(2)で表わされるセラミド類
【化2】
(R7は置換基を有していてもよい炭化水素基又はH;Zはメチレン、メチン又はO;X5、X6、X7はH、OH、アセトキシ基;X4はH、アセチル基等;R8及びR9はH、OH等;R10は置換基を有していてもよい炭化水素基;R11はH、置換基を有していてもよい炭化水素基)、並びに
(D)水を含有するニキビ改善剤。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類
【化1】
(R1は置換基を有していてもよい炭化水素基;Yはメチレン、メチン又はO;X1、X2、X3はH、OH、アセトキシ基;X4はH、アセチル基等;R2、R3はH、OH等;RはH、アミジノ基等;aは2又は3)、
(B)無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物、
(C)一般式(2)で表わされるセラミド類
【化2】
(R7は置換基を有していてもよい炭化水素基又はH;Zはメチレン、メチン又はO;X5、X6、X7はH、OH、アセトキシ基;X4はH、アセチル基等;R8及びR9はH、OH等;R10は置換基を有していてもよい炭化水素基;R11はH、置換基を有していてもよい炭化水素基)、並びに
(D)水を含有するニキビ改善剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミド類の乳化物からなるニキビ改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ニキビ、すなわち尋常性座瘡は主として思春期に発現する皮膚疾患であり、一般には皮脂分泌亢進とその貯留、毛包管の角化亢進と閉塞、毛包管内におけるPropionibacterium acnes などの細菌増殖等、いくつかの因子が相互に関連する皮膚疾患であると考えられている。ニキビは顔面に好発するため、特に思春期の患者にとっては美容的な悩みにもなっている。
【0003】
ニキビ治療の外用剤としては、上記の各要因に対応して、皮脂抑制・吸収成分、角質軟化・剥離成分、抗菌・殺菌成分、抗炎症成分等を有効成分として配合したクリーム、軟膏などが多く用いられている。例えば、サリチル酸等の殺菌剤を配合したもの、エリスロマイシン、テトラサイクリン、グリンダマイシン、硫黄、カンフル、サルファ剤等の抗生物質、抗菌剤、角質剥離剤などが使用されている。しかしながら、一般的な抗生物質、抗菌剤等は、多く使用すると皮膚の有用な微生物までも殺してしまったり、重度なる塗布によりニキビ周辺の皮膚にダメージを与えることが懸念され、これらを防止するために使用量を抑えると十分なニキビ改善効果が得られない。
また、角層剥離剤や皮脂抑制・吸収成分は皮膚の乾燥・かさつきを生じさせる場合があり、美容的に好ましいものではない。これらの皮膚ダメージを抑制するために保湿剤を添加すると、べたつきが生じるなど使用感が悪化するという問題があった。
【0004】
そこで、皮膚へのダメージが少なく、改善効果の高いニキビ改善剤が検討されている。例えば、特許文献1には、表皮内に存在する成分であるスフィンゴシン等のリン酸エステル化物をニキビ予防・改善剤として使用することが記載されている。しかしながら、使用感が良好で、皮膚へのダメージが少なく、優れたニキビ改善効果を得るには、十分ではなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−109409号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、使用感に優れ、皮膚へのダメージが少なく、ニキビを効果的に治療するニキビ改善剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、セラミド類をスフィンゴシン類と酸性化合物とで乳化することにより得られるセラミド類の乳化物が、使用感に優れ、皮膚へのダメージが少なく、ニキビを改善する効果に優れることを見出した。
【0008】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類
【0009】
【化3】
【0010】
(式中、R1はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Yはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X1、X2、及びX3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。);R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のRは各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)、
(B)無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物、
(C)一般式(2)で表わされるセラミド類
【0011】
【化4】
【0012】
(式中、R7はヒドロキシル基、カルボニル基若しくはアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X5、X6及びX7は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Zがメチン基のとき、X5とX6のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X7は存在しない。);R8及びR9は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R10はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;R11は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい、総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し(但し、R7が水素原子、Zが酸素原子のときR11は総炭素数10〜30の炭化水素基であり、R7が水素原子以外のときR11は総炭素数1〜8の炭化水素基である);破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)、
(D)水を含有するニキビ改善剤を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のニキビ改善剤によると、一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類と無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物とにより、スフィンゴシン類がカチオン化され、活性剤的な働きをするようになり、べたつきの原因となる界面活性剤や油剤を用いることなく、一般式(2)で表わされるセラミド類が安定に乳化されると考えられる。セラミド類は、一般に角層機能の維持に有用な物質であり、皮膚の乾燥やかさつきの改善に用いられるが、スフィンゴシン類と酸性化合物により得られる乳化系を形成することにより、ニキビに対して優れた改善効果を有するものとなる。
【0014】
本発明で用いる成分(A)のスフィンゴシン類は、前記一般式(1)で表わされるものである。
式中、R1は、ヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30、好ましくはヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基である。特に、炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、Y側末端にヒドロキシル基を持つ炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基で、分岐鎖アルキル基の場合は分岐鎖がメチル分岐のもの等が好ましい。具体的には、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、1−ヒドロキシトリデシル基、1−ヒドロキシペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソステアリル基が好ましい。
【0015】
Yはメチレン基(CH2)、メチン基(CH)又は酸素原子のいずれかを示す。
X1、X2、及びX3は、各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基、グリセリル基、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成する置換基を示す。特に、X1、X2、及びX3のうち0〜1個がヒドロキシル基で、残余が水素原子、及びX4が水素原子であるものが好ましい。なお、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方のみが水素原子であり、他方は存在しない。また、X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。
【0016】
R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、特にR3は水素原子であることが好ましい。
【0017】
また、aは2又は3の数を示し、aが2のときRはR4及びR5を示し、aが3のときRはR4、R5及びR6を示す。
【0018】
R4、R5及びR6は、各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。ここで炭化水素基に置換し得るヒドロキシアルコキシ基としては炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖のヒドロキシアルコキシ基が好ましい。またアルコキシ基としては炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が好ましい。R4、R5及びR6としては、例えば水素原子;メチル、エチル、プロピル、2−エチルへキシル、イソプロピル等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;ビニル、アリル等のアルケニル基;アミジノ基;ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシへキシル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、2−メトキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、3−メトキシプロピル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基から選ばれる1〜6個が置換した総炭素数1〜8の炭化水素基が挙げられる。
【0019】
特に水素原子、又はメチル基、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル等のヒドロキシル基及びヒドロキシアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよいアルキル基が好ましい。
【0020】
一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類としては、次の一般式(3)で表わされる天然又は天然型スフィンゴシン類、及びその誘導体(以下、天然型スフィンゴシンと記載する。)又は一般式(4)で表わされるスフィンゴシン構造を有する擬似型スフィンゴシン類(以下、擬似型スフィンゴシンと記載する。)が好ましい。
(I)一般式(3)で表わされる天然型スフィンゴシン。
【0021】
【化5】
【0022】
(式中、R12はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Y1はメチレン基又はメチン基を示し;X8、X9及びX10は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X11は水素原子を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Y1がメチン基のとき、X8とX9のいずれか一方が水素原子を示し、他方は存在しない。X11がオキソ基を形成するとき、X10は存在しない。);R13はヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のR1は各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合があってもよいことを示す)
【0023】
ここでR12としては、炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましく、特に炭素数13〜15の直鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましい。aは2が好ましく、R1は各々独立して水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基が好ましい。
【0024】
一般式(3)で表わされる天然型スフィンゴシンとしては、具体的には、天然のスフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、スフィンガジエニン、デヒドロスフィンゴシン、デヒドロフィトスフィンゴシン、及びこれらのN−アルキル体(例えばN−メチル体)等が挙げられる。
これらのスフィンゴシンは天然型(D(+)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(−)体)の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでも良く、また、これらの混合物によるものでもよい。
特に、PHYTOSPHINGOSINE(INCI名;8th Edition)及び次式で表わされるものが好ましい。
【0025】
【化6】
【0026】
これらは、天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
天然型スフィンゴシンの市販のものとしては、例えば、D−Sphingosine(4−Sphingenine) (SIGMA−ALDRICH社)、DS−phytosphingosine (DOOSAN社)、phytosphingosine(コスモファーム社)が挙げられる。
【0027】
(II)一般式(4)で表わされる擬似型スフィンゴシン。
【0028】
【化7】
【0029】
(式中、R17はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し;a個のR2は各々独立して水素原子又はアミジノ基を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、aは2又は3の数を示す)
【0030】
ここでR17としては、炭素数14〜20のイソ分岐アルキル基が好ましく、特にイソステアリル基が好ましい。イソステアリル基は、動植物油由来の脂肪酸を用いたダイマー酸製造時の副生成物由来のイソステアルアルコールを原料油として得られるイソステアリル基がもっとも好ましい。
また、aが2のときR2はR18及びR19を示し、aが3のときR2はR18、R19及びR20である。
【0031】
R18、R19及びR20は、例えば水素原子;メチル、エチル、プロピル、2−エチルへキシル、イソプロピル等の直鎖又は分岐鎖のアルキル基;ビニル、アリル等のアルケニル基;アミジノ基;ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシへキシル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、2−メトキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、3−メトキシプロピル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシ、ヒドロキシアルコキシ及びアルコキシから選ばれる置換基を有する総炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
特に、R18及びR19のいずれか1つが水素原子で、他方が2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルである2級アミンが好ましい。
【0032】
擬似型スフィンゴシンとしては、R17がイソステアリル基、X4は水素原子で、R18が水素原子、R19が2−ヒドロキシエチル基、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル基、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル基、又は2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基等のヒドロキシル基及びヒドロキシアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換したアルキル基であるものが好ましい。
擬似型スフィンゴシンの具体例としては、次の擬似型スフィンゴシン(i)〜(iv)が挙げられる。
【0033】
【化8】
【0034】
成分(A)は2種以上を併用してもよい。本発明のニキビ改善剤中の成分(A)の含有量は、0.001〜10質量%、特に0.005〜3質量%、更に0.01〜1.5質量%であるのが好ましい。
【0035】
本発明で用いる成分(B)の酸性化合物は、成分(A)のスフィンゴシン類のアミン基と、酸−塩基の中和反応により塩を形成し得るもので、それにより、スフィンゴシン類がカチオン化されて活性剤的な働きをするようになると考えられる。スフィンゴシン類の塩の状態は、例えば、通常化合物の構造を特定するために用いられる、赤外吸収分光法やプロトン核磁気共鳴分光法等を用いて確認することができる。
酸性化合物としては、25℃における0.1mol/L水溶液のpHが1以上7未満、特にpH1〜6.5であるものが好ましい。
【0036】
無機酸としては、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、炭酸等が挙げられ、特にリン酸、塩酸が好ましい。
有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸等のモノカルボン酸;コハク酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸等のジカルボン酸;グリコール酸、クエン酸、乳酸、ピルビン酸、リンゴ酸、酒石酸等のオキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸等が挙げられる。
これらのうち、リン酸、塩酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等が好ましく、特に乳酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等が好ましい。
【0037】
成分(B)は、2種以上を併用してもよい。本発明のニキビ改善剤中の成分(B)の含有量は、0.001〜10質量%、特に0.005〜3質量%、更に0.01〜1.5質量%であるのが好ましい。
【0038】
また、成分(B)は、成分(A)のアミンをカチオン化するために、成分(A)1モルに対して0.3モル以上、特に0.3〜5モル、更に0.5〜3モル含有するのが好ましい。例えば、成分(A)と等モル混合した水溶液のpHが、25℃で2〜6になるのが好ましい(フタル酸塩標準液で補正後、HORIBA pH METER F−22で測定)。
【0039】
本発明で用いる成分(C)のセラミド類は、前記一般式(2)で表わされるものである。
式中、R7は、ヒドロキシル基、カルボニル基若しくはアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の、好ましくはヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子である。
Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子のいずれかを示す。
【0040】
X5、X6及びX7は、各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示す。特にX5、X6及びX7のうち0〜1個がヒドロキシル基で、残余が水素原子であるのが好ましい。Zがメチン基のとき、X5とX6のいずれか一方のみが水素原子であり、他方は存在しない。また、X4は水素原子かグリセリル基であるのが好ましい。
R8及びR9は、水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、好ましいR8は水素原子又はヒドロキシメチル基であり、好ましいR9は水素原子である。
【0041】
R10は、ヒドロキシル基、カルボキシ基又はアミノ基が置換していてもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。好ましくは、ヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜35の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基、又は該炭化水素基のω位に、ヒドロキシル基が置換してもよい炭素数8〜22の直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合又はアミド結合したものが挙げられる。結合する脂肪酸としては、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸又はリノール酸が好ましい。
【0042】
R11は、水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基である。特に、R7が水素原子、Zが酸素原子のときR11は総炭素数10〜30の炭化水素基である。R7が炭化水素基のときR11は総炭素数1〜8の炭化水素基である。このうち水素原子あるいは、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよい総炭素数1〜8の炭化水素基が好ましい。ここで、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基としては炭素数1〜7のものが好ましい。
【0043】
一般式(2)で表わされるセラミド類としては、特に次の一般式(5)又は(6)で表わされるセラミド類であることが好ましい。
(I)一般式(5)で表わされる天然又は天然型セラミド類、及びその誘導体(以下、天然型セラミドと記載する。)。
【0044】
【化9】
【0045】
(式中、R21はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Z1はメチレン基又はメチン基を示し;X12、X13、及びX14は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し;X15は水素原子を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Z1がメチン基のとき、X12とX13のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X15がオキソ基を形成するとき、X14は存在しない。);R22はヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R23は水素原子を示すか、炭素数1〜4のアルキル基を示し;R24はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数5〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該アルキル基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す。)
【0046】
好ましくは、R21が炭素数7〜19、更に好ましくは炭素数13〜15の直鎖アルキル基;、R24がヒドロキシル基が置換しても良い炭素数9〜27の直鎖アルキル基又はリノール酸がエステル結合した炭素数9〜27の直鎖アルキル基である化合物が挙げられる。また、X15は水素原子を示すか、酸素原子とともにオキソ基を形成するのが好ましい。特に、R24としては、トリコシル、1−ヒドロキシペンタデシル、1−ヒドロキシトリコシル、ヘプタデシル、1−ヒドロキシウンデシル、ω位にリノール酸がエステル結合したノナコシル基が好ましい。
【0047】
天然型セラミドの具体的な例示として、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン又はスフィンガジエニンがアミド化されたセラミドType1〜7(例えば、J. Lipid Res., 24:759(1983)の図2、及びJ. Lipid. Res.,35:2069(1994)の図4記載のブタ及びヒトのセラミド類)が挙げられる。
【0048】
更にこれらのN−アルキル体(例えばN−メチル体)も含まれる。
これらのセラミドは天然型(D(−)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(+)体)の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでも良く、また、これらの混合物によるものでもよい。特にCERAMIDE1、CERAMIDE2、CERAMIDE3、CERAMIDE5、CERAMIDE6IIの化合物(以上、INCI、8th Edition)及び次式で表わされるものが好ましい。
【0049】
【化10】
【0050】
これらは天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
天然型セラミドの市販のものとしては、Ceramide I、Ceramide III、Ceramide IIIA、Ceramide IIIB、Ceramide IIIC、Ceramide VI(以上、コスモファーム社)、Ceramide TIC−001(高砂香料社)、CERAMIDE II(Quest International社)、DS−Ceramide VI、DS−CLA−Phytoceramide、C6−Phytoceramide、DS−ceramide Y3S(DOOSAN社)、CERAMIDE2(セダーマ社)が挙げられる。
【0051】
【化11】
【0052】
(II)一般式(6)で表わされる擬似型セラミド。
【0053】
【化12】
【0054】
(式中、R25は、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;X16は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し;R26はヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該炭化水素基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;R27は水素原子を示すか、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基を示す)
【0055】
R26としては、特にノニル、トリデシル、ペンタデシル、ω位にリノール酸がエステル結合したウンデシル基、ω位にリノール酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位に12−ヒドロキシステアリン酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位にメチル分岐イソステアリン酸がアミド結合したウンデシル基が好ましい。
【0056】
R27は、R25が水素原子の場合は、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数10〜30の、好ましくは総炭素数12〜20のアルキル基であり、R25がヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基である場合には、水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1〜8のアルキル基を示すのものが好ましい。R27のヒドロキシアルコキシ基又はアルコキシ基としては炭素数1〜7のものが好ましい。
【0057】
一般式(6)としては、R25がヘキサデシル基、X16が水素原子、R26がペンタデシル基、R27がヒドロキシエチル基のもの;R25がヘキサデシル基、X16が水素原子、R26がノニル基、R27がヒドロキシエチル基のもの;又はR25がヘキサデシル基、X16がグリセリル基、R26がトリデシル基、R27が3−メトキシプロピル基の擬似型セラミド類が好ましく、一般式(6)のR25がヘキサデシル基、X4が水素原子、R26がペンタデシル基、R27がヒドロキシエチル基のものが特に好ましい。
【0058】
このうち、成分(C)のセラミド類は、特に成分(A)が一般式(3)であれば成分(C)は一般式(5)を、成分(A)が一般式(4)であれば成分(C)は一般式(6)を組み合わせるのが好ましい。特に、成分(C)一般式(2)の窒素に結合したCOR10をHに置換したものを、成分(A)の一般式(1)として用いるのが、安定性及び効果の点で好ましい。
【0059】
本発明において、セラミド類は、スフィンゴシン類と強い相互関係を有するため、スフィンゴシン類と酸性化合物により形成された塩により結晶化を抑制され、安定に乳化されるものと考えられる。
【0060】
成分(C)は2種以上を併用してもよい。本発明のニキビ改善剤中の成分(C)の含有量は、0.001〜50質量%、特に0.01〜20質量%、更に0.01〜10質量%であるのが好ましい。
【0061】
本発明のニキビ改善剤において、成分(A)、(B)及び(C)の含有質量比率((A)+(B))/(C)は、0.001以上、特に0.001〜100、更に0.01〜10であるのが、安定性の点で好ましい。
【0062】
成分(D)水の含有量は、全組成中に5〜99質量%、特に30〜99質量%、更に50〜99質量%であるのが好ましい。
【0063】
本発明のニキビ改善剤は、従来用いられているニキビ改善成分を含むことができる。かかる成分としては、抗炎症剤;例えばグリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム;アスナロ、ハマメリス、ボタンピ、ムクロジ、オウバク、カンゾウ、オウレン等の植物抽出物;アラントイン、シコニン、ヒノキチオール、セドロール、ε−アミノカプロン酸等、抗菌剤;例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノール、感光素201等、皮脂分泌抑制剤;例えばエストラジオール、ビタミンB6、ローヤルゼリーエキス等、皮脂吸収剤;例えば多孔質ナイロンパウダー等の吸油性多孔質粉体、酸化亜鉛等、角層剥離剤;例えばサリチル酸、レゾルシン、イオウ等が挙げられる。
【0064】
これらの成分はニキビ改善効果を高める点で好ましく、特に抗菌剤と抗炎症剤が、ニキビの改善効果に優れるとともに、肌への刺激が低い点で好ましい。これらの成分は種類によって有効含有量が異なるが、全組成中に0.001〜30質量%、特に0.01〜10質量%含有させるのが好ましい。
【0065】
本発明のニキビ改善剤には、更に、上記成分(A)及び(C)以外に、通常化粧料に使用される油剤、すなわち液状、半固体又は固体状の、合成及び天然由来の油性成分を含むことができる。
【0066】
液状油としては、例えば、ホホバ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等の脂肪酸エステル;ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等の脂肪酸とアルコールとからなるエステル油;グリセリン誘導体、アミノ酸誘導体等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油等が挙げられる。
【0067】
半固体又は固体状の油性成分としては、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、バチルアルコール等の高級アルコール;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸;コレステロール、フィトステロール、コレステリル脂肪酸エステル等のコレステロール類;ホホバワックス等の植物油;グリセリンモノステアリルエーテル、グリセリンモノセチルエーテル等のアルキルグリセリルエーテル;ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のワックス類が挙げられる。また、その他として特開2002−226350号公報に記載の紫外線吸収剤等の油溶性もしくは水難溶性の油性成分が含まれる。
【0068】
本発明のニキビ改善剤には、上記成分以外に、通常の皮膚外用剤で使用される成分、例えば1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、トレハロース等の多価アルコール;グリシンベタイン、尿素、アミノ酸等の保湿剤;キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアガム等の水溶性増粘剤;セルロースパウダー、ナイロンパウダー、架橋型シリコーン末、架橋型メチルポリシロキサン、多孔質セルロースパウダー、多孔質ナイロンパウダー等の有機粉体;無水シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機粉体;メントール、カンファー等の清涼剤;pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、色素などを含有させることができる。
【0069】
本発明のニキビ改善剤は、成分(A)〜(D)、及びその他の成分を混合、乳化して製造される。ただし、成分(A)〜(D)は乳化時に同時に存在することが必要であり、乳化時にセラミド類、スフィンゴシン類とその塩を形成する酸性化合物のいずれかが存在しない場合、乳化終了後に該不足の成分を加えても安定な乳化物は得られない。その他の成分は上記乳化を妨害しない限り、乳化時でも乳化後でも添加することが可能である。
【0070】
また、ニキビ改善剤の製造は、スフィンゴシン類、セラミド類のいずれかが乳化時に固体である場合は加熱溶融を行うか、又は油剤やアルコール等の溶剤によりスフィンゴシン類及びセラミド類を溶解して行い、乳化時にスフィンゴシン類、スフィンゴシン類の塩及びセラミド類のいずれもが液状であることが好ましい。
【0071】
この乳化物は、透明、半透明又は白濁した状態に製造される。ここで透明、半透明とは積分球光電散乱光度計により測定した濁度(カオリン標準:精製カオリン1mg/1リットル水の濁りを濁度1ppmとする。)が1〜1500ppmのものをいう。成分(A)、(B)及び(C)の含有重量比率((A)+(B))/(C)が0.2以上で透明、半透明の乳化物が得られ、0.2未満では白濁した乳液状となる。また、乳化物の油滴の平均粒子径は、3nm〜200μmの範囲で外観、用途に応じて適宜製造されるが、乳化物の外観の安定性の点で5nm〜50μm、特に5nm〜10μmであるのが好ましい。平均粒子径は、動的光散乱式粒径分布測定装置(例えば、HORIBA LB−500)又はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、HORIBA LA−920)で測定される。
【0072】
本発明のニキビ改善剤は、清拭剤、化粧水、乳液、美容液、パック、エアゾール等の形態として使用するのが好ましく、不織布等の担持体に浸透させて使用することもできる。
【0073】
【実施例】
実施例1〜3、比較例1〜3
表1に示す組成のニキビ改善剤を下記方法により製造し、ニキビ改善効果、かさつき防止効果、及び使用感を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0074】
(製造方法)
成分(1)、(2)、(5)〜(7)を乳化槽に入れ、80℃で加熱溶融し、均一分散するよう撹拌する。成分(3)又は(4)を水の一部(30質量%)に、80℃で溶かした水溶液を、乳化槽の温度を維持しながら加えて撹拌し(300rpm)、添加した後、ホモミキサーにかけて乳化物を得た。25℃迄冷却しながら残部の水に成分(8)を溶解したものを加え、ニキビ改善剤を得た。
【0075】
(評価方法)
(1)ニキビ改善効果:
顔面にニキビ症状を有する25〜35才の健常男子20人に対し、顔面右部に実施例又は比較例のニキビ改善剤を、顔面左部に対照品を、1日2回朝夕、2週間塗布した。その後、ニキビ症患部の改善効果を、対照品との比較により以下の基準で判定した。その結果を20人の平均値で示した。
3点:対照品と比較して明らかに改善している。
2点:対照品と比較して改善している。
1点:対照品と比較してわずかに改善が認められる。
0点:改善していない。
【0076】
(2)かさつき防止効果(皮膚水分量):
上記の試験と同時に測定を行った。試験開始前と2週間後の2回、頬部の水分量を測定した。測定前に洗顔し、温度20℃、湿度40%の恒温恒湿室に入り、15分後に角質層中の水分含有量をインピーダンスメーター(IBS社製)で測定した。得られた結果は、下記の式でΔΔ水分量として計算し、下記の基準で判定した。
ΔΔ水分量=(S2−S1)−(C2−C1)
S1;実施例又は比較例塗布前の肌の水分量。
S2;実施例又は比較例塗布後の肌の水分量。
C1;対照品塗布前の肌の水分量。
C2;対照品塗布後の肌の水分量。
【0077】
(評価基準)
◎:ΔΔ水分量が25以上で明らかに水分量が高い。
○:ΔΔ水分量が10〜25未満でやや水分量が高い。
×:ΔΔ水分量が10未満で水分量にほとんど差がない。
【0078】
(3)使用感:
各ニキビ改善剤0.8gを顔面へ適用した場合のべたつき感を、専門パネラー20人の判定に基づき、次の基準により評価した。
◎:15〜20人がべたつかないと判定。
○:8〜14人がべたつかないと判定。
×:7人以下がべたつかないと判定。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】
本発明のニキビ改善剤は、使用感が良好で、皮膚へのダメージが少なく、優れたニキビ改善効果が得られるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミド類の乳化物からなるニキビ改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ニキビ、すなわち尋常性座瘡は主として思春期に発現する皮膚疾患であり、一般には皮脂分泌亢進とその貯留、毛包管の角化亢進と閉塞、毛包管内におけるPropionibacterium acnes などの細菌増殖等、いくつかの因子が相互に関連する皮膚疾患であると考えられている。ニキビは顔面に好発するため、特に思春期の患者にとっては美容的な悩みにもなっている。
【0003】
ニキビ治療の外用剤としては、上記の各要因に対応して、皮脂抑制・吸収成分、角質軟化・剥離成分、抗菌・殺菌成分、抗炎症成分等を有効成分として配合したクリーム、軟膏などが多く用いられている。例えば、サリチル酸等の殺菌剤を配合したもの、エリスロマイシン、テトラサイクリン、グリンダマイシン、硫黄、カンフル、サルファ剤等の抗生物質、抗菌剤、角質剥離剤などが使用されている。しかしながら、一般的な抗生物質、抗菌剤等は、多く使用すると皮膚の有用な微生物までも殺してしまったり、重度なる塗布によりニキビ周辺の皮膚にダメージを与えることが懸念され、これらを防止するために使用量を抑えると十分なニキビ改善効果が得られない。
また、角層剥離剤や皮脂抑制・吸収成分は皮膚の乾燥・かさつきを生じさせる場合があり、美容的に好ましいものではない。これらの皮膚ダメージを抑制するために保湿剤を添加すると、べたつきが生じるなど使用感が悪化するという問題があった。
【0004】
そこで、皮膚へのダメージが少なく、改善効果の高いニキビ改善剤が検討されている。例えば、特許文献1には、表皮内に存在する成分であるスフィンゴシン等のリン酸エステル化物をニキビ予防・改善剤として使用することが記載されている。しかしながら、使用感が良好で、皮膚へのダメージが少なく、優れたニキビ改善効果を得るには、十分ではなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−109409号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、使用感に優れ、皮膚へのダメージが少なく、ニキビを効果的に治療するニキビ改善剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、セラミド類をスフィンゴシン類と酸性化合物とで乳化することにより得られるセラミド類の乳化物が、使用感に優れ、皮膚へのダメージが少なく、ニキビを改善する効果に優れることを見出した。
【0008】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類
【0009】
【化3】
【0010】
(式中、R1はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Yはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X1、X2、及びX3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。);R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のRは各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)、
(B)無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物、
(C)一般式(2)で表わされるセラミド類
【0011】
【化4】
【0012】
(式中、R7はヒドロキシル基、カルボニル基若しくはアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X5、X6及びX7は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Zがメチン基のとき、X5とX6のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X7は存在しない。);R8及びR9は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R10はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;R11は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい、総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し(但し、R7が水素原子、Zが酸素原子のときR11は総炭素数10〜30の炭化水素基であり、R7が水素原子以外のときR11は総炭素数1〜8の炭化水素基である);破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)、
(D)水を含有するニキビ改善剤を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のニキビ改善剤によると、一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類と無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物とにより、スフィンゴシン類がカチオン化され、活性剤的な働きをするようになり、べたつきの原因となる界面活性剤や油剤を用いることなく、一般式(2)で表わされるセラミド類が安定に乳化されると考えられる。セラミド類は、一般に角層機能の維持に有用な物質であり、皮膚の乾燥やかさつきの改善に用いられるが、スフィンゴシン類と酸性化合物により得られる乳化系を形成することにより、ニキビに対して優れた改善効果を有するものとなる。
【0014】
本発明で用いる成分(A)のスフィンゴシン類は、前記一般式(1)で表わされるものである。
式中、R1は、ヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30、好ましくはヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基である。特に、炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、Y側末端にヒドロキシル基を持つ炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基で、分岐鎖アルキル基の場合は分岐鎖がメチル分岐のもの等が好ましい。具体的には、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、1−ヒドロキシトリデシル基、1−ヒドロキシペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソステアリル基が好ましい。
【0015】
Yはメチレン基(CH2)、メチン基(CH)又は酸素原子のいずれかを示す。
X1、X2、及びX3は、各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基、グリセリル基、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成する置換基を示す。特に、X1、X2、及びX3のうち0〜1個がヒドロキシル基で、残余が水素原子、及びX4が水素原子であるものが好ましい。なお、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方のみが水素原子であり、他方は存在しない。また、X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。
【0016】
R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、特にR3は水素原子であることが好ましい。
【0017】
また、aは2又は3の数を示し、aが2のときRはR4及びR5を示し、aが3のときRはR4、R5及びR6を示す。
【0018】
R4、R5及びR6は、各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。ここで炭化水素基に置換し得るヒドロキシアルコキシ基としては炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖のヒドロキシアルコキシ基が好ましい。またアルコキシ基としては炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が好ましい。R4、R5及びR6としては、例えば水素原子;メチル、エチル、プロピル、2−エチルへキシル、イソプロピル等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;ビニル、アリル等のアルケニル基;アミジノ基;ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシへキシル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、2−メトキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、3−メトキシプロピル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基から選ばれる1〜6個が置換した総炭素数1〜8の炭化水素基が挙げられる。
【0019】
特に水素原子、又はメチル基、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル等のヒドロキシル基及びヒドロキシアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよいアルキル基が好ましい。
【0020】
一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類としては、次の一般式(3)で表わされる天然又は天然型スフィンゴシン類、及びその誘導体(以下、天然型スフィンゴシンと記載する。)又は一般式(4)で表わされるスフィンゴシン構造を有する擬似型スフィンゴシン類(以下、擬似型スフィンゴシンと記載する。)が好ましい。
(I)一般式(3)で表わされる天然型スフィンゴシン。
【0021】
【化5】
【0022】
(式中、R12はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Y1はメチレン基又はメチン基を示し;X8、X9及びX10は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X11は水素原子を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Y1がメチン基のとき、X8とX9のいずれか一方が水素原子を示し、他方は存在しない。X11がオキソ基を形成するとき、X10は存在しない。);R13はヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のR1は各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合があってもよいことを示す)
【0023】
ここでR12としては、炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましく、特に炭素数13〜15の直鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましい。aは2が好ましく、R1は各々独立して水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基が好ましい。
【0024】
一般式(3)で表わされる天然型スフィンゴシンとしては、具体的には、天然のスフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、スフィンガジエニン、デヒドロスフィンゴシン、デヒドロフィトスフィンゴシン、及びこれらのN−アルキル体(例えばN−メチル体)等が挙げられる。
これらのスフィンゴシンは天然型(D(+)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(−)体)の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでも良く、また、これらの混合物によるものでもよい。
特に、PHYTOSPHINGOSINE(INCI名;8th Edition)及び次式で表わされるものが好ましい。
【0025】
【化6】
【0026】
これらは、天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
天然型スフィンゴシンの市販のものとしては、例えば、D−Sphingosine(4−Sphingenine) (SIGMA−ALDRICH社)、DS−phytosphingosine (DOOSAN社)、phytosphingosine(コスモファーム社)が挙げられる。
【0027】
(II)一般式(4)で表わされる擬似型スフィンゴシン。
【0028】
【化7】
【0029】
(式中、R17はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し;a個のR2は各々独立して水素原子又はアミジノ基を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、aは2又は3の数を示す)
【0030】
ここでR17としては、炭素数14〜20のイソ分岐アルキル基が好ましく、特にイソステアリル基が好ましい。イソステアリル基は、動植物油由来の脂肪酸を用いたダイマー酸製造時の副生成物由来のイソステアルアルコールを原料油として得られるイソステアリル基がもっとも好ましい。
また、aが2のときR2はR18及びR19を示し、aが3のときR2はR18、R19及びR20である。
【0031】
R18、R19及びR20は、例えば水素原子;メチル、エチル、プロピル、2−エチルへキシル、イソプロピル等の直鎖又は分岐鎖のアルキル基;ビニル、アリル等のアルケニル基;アミジノ基;ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシへキシル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、2−メトキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、3−メトキシプロピル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシ、ヒドロキシアルコキシ及びアルコキシから選ばれる置換基を有する総炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
特に、R18及びR19のいずれか1つが水素原子で、他方が2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルである2級アミンが好ましい。
【0032】
擬似型スフィンゴシンとしては、R17がイソステアリル基、X4は水素原子で、R18が水素原子、R19が2−ヒドロキシエチル基、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル基、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル基、又は2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基等のヒドロキシル基及びヒドロキシアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換したアルキル基であるものが好ましい。
擬似型スフィンゴシンの具体例としては、次の擬似型スフィンゴシン(i)〜(iv)が挙げられる。
【0033】
【化8】
【0034】
成分(A)は2種以上を併用してもよい。本発明のニキビ改善剤中の成分(A)の含有量は、0.001〜10質量%、特に0.005〜3質量%、更に0.01〜1.5質量%であるのが好ましい。
【0035】
本発明で用いる成分(B)の酸性化合物は、成分(A)のスフィンゴシン類のアミン基と、酸−塩基の中和反応により塩を形成し得るもので、それにより、スフィンゴシン類がカチオン化されて活性剤的な働きをするようになると考えられる。スフィンゴシン類の塩の状態は、例えば、通常化合物の構造を特定するために用いられる、赤外吸収分光法やプロトン核磁気共鳴分光法等を用いて確認することができる。
酸性化合物としては、25℃における0.1mol/L水溶液のpHが1以上7未満、特にpH1〜6.5であるものが好ましい。
【0036】
無機酸としては、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、炭酸等が挙げられ、特にリン酸、塩酸が好ましい。
有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸等のモノカルボン酸;コハク酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸等のジカルボン酸;グリコール酸、クエン酸、乳酸、ピルビン酸、リンゴ酸、酒石酸等のオキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸等が挙げられる。
これらのうち、リン酸、塩酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等が好ましく、特に乳酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等が好ましい。
【0037】
成分(B)は、2種以上を併用してもよい。本発明のニキビ改善剤中の成分(B)の含有量は、0.001〜10質量%、特に0.005〜3質量%、更に0.01〜1.5質量%であるのが好ましい。
【0038】
また、成分(B)は、成分(A)のアミンをカチオン化するために、成分(A)1モルに対して0.3モル以上、特に0.3〜5モル、更に0.5〜3モル含有するのが好ましい。例えば、成分(A)と等モル混合した水溶液のpHが、25℃で2〜6になるのが好ましい(フタル酸塩標準液で補正後、HORIBA pH METER F−22で測定)。
【0039】
本発明で用いる成分(C)のセラミド類は、前記一般式(2)で表わされるものである。
式中、R7は、ヒドロキシル基、カルボニル基若しくはアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の、好ましくはヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子である。
Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子のいずれかを示す。
【0040】
X5、X6及びX7は、各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示す。特にX5、X6及びX7のうち0〜1個がヒドロキシル基で、残余が水素原子であるのが好ましい。Zがメチン基のとき、X5とX6のいずれか一方のみが水素原子であり、他方は存在しない。また、X4は水素原子かグリセリル基であるのが好ましい。
R8及びR9は、水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、好ましいR8は水素原子又はヒドロキシメチル基であり、好ましいR9は水素原子である。
【0041】
R10は、ヒドロキシル基、カルボキシ基又はアミノ基が置換していてもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。好ましくは、ヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜35の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基、又は該炭化水素基のω位に、ヒドロキシル基が置換してもよい炭素数8〜22の直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合又はアミド結合したものが挙げられる。結合する脂肪酸としては、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸又はリノール酸が好ましい。
【0042】
R11は、水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基である。特に、R7が水素原子、Zが酸素原子のときR11は総炭素数10〜30の炭化水素基である。R7が炭化水素基のときR11は総炭素数1〜8の炭化水素基である。このうち水素原子あるいは、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよい総炭素数1〜8の炭化水素基が好ましい。ここで、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基としては炭素数1〜7のものが好ましい。
【0043】
一般式(2)で表わされるセラミド類としては、特に次の一般式(5)又は(6)で表わされるセラミド類であることが好ましい。
(I)一般式(5)で表わされる天然又は天然型セラミド類、及びその誘導体(以下、天然型セラミドと記載する。)。
【0044】
【化9】
【0045】
(式中、R21はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Z1はメチレン基又はメチン基を示し;X12、X13、及びX14は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し;X15は水素原子を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Z1がメチン基のとき、X12とX13のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X15がオキソ基を形成するとき、X14は存在しない。);R22はヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R23は水素原子を示すか、炭素数1〜4のアルキル基を示し;R24はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数5〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該アルキル基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す。)
【0046】
好ましくは、R21が炭素数7〜19、更に好ましくは炭素数13〜15の直鎖アルキル基;、R24がヒドロキシル基が置換しても良い炭素数9〜27の直鎖アルキル基又はリノール酸がエステル結合した炭素数9〜27の直鎖アルキル基である化合物が挙げられる。また、X15は水素原子を示すか、酸素原子とともにオキソ基を形成するのが好ましい。特に、R24としては、トリコシル、1−ヒドロキシペンタデシル、1−ヒドロキシトリコシル、ヘプタデシル、1−ヒドロキシウンデシル、ω位にリノール酸がエステル結合したノナコシル基が好ましい。
【0047】
天然型セラミドの具体的な例示として、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン又はスフィンガジエニンがアミド化されたセラミドType1〜7(例えば、J. Lipid Res., 24:759(1983)の図2、及びJ. Lipid. Res.,35:2069(1994)の図4記載のブタ及びヒトのセラミド類)が挙げられる。
【0048】
更にこれらのN−アルキル体(例えばN−メチル体)も含まれる。
これらのセラミドは天然型(D(−)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(+)体)の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでも良く、また、これらの混合物によるものでもよい。特にCERAMIDE1、CERAMIDE2、CERAMIDE3、CERAMIDE5、CERAMIDE6IIの化合物(以上、INCI、8th Edition)及び次式で表わされるものが好ましい。
【0049】
【化10】
【0050】
これらは天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
天然型セラミドの市販のものとしては、Ceramide I、Ceramide III、Ceramide IIIA、Ceramide IIIB、Ceramide IIIC、Ceramide VI(以上、コスモファーム社)、Ceramide TIC−001(高砂香料社)、CERAMIDE II(Quest International社)、DS−Ceramide VI、DS−CLA−Phytoceramide、C6−Phytoceramide、DS−ceramide Y3S(DOOSAN社)、CERAMIDE2(セダーマ社)が挙げられる。
【0051】
【化11】
【0052】
(II)一般式(6)で表わされる擬似型セラミド。
【0053】
【化12】
【0054】
(式中、R25は、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;X16は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し;R26はヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該炭化水素基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;R27は水素原子を示すか、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基を示す)
【0055】
R26としては、特にノニル、トリデシル、ペンタデシル、ω位にリノール酸がエステル結合したウンデシル基、ω位にリノール酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位に12−ヒドロキシステアリン酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位にメチル分岐イソステアリン酸がアミド結合したウンデシル基が好ましい。
【0056】
R27は、R25が水素原子の場合は、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数10〜30の、好ましくは総炭素数12〜20のアルキル基であり、R25がヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基である場合には、水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1〜8のアルキル基を示すのものが好ましい。R27のヒドロキシアルコキシ基又はアルコキシ基としては炭素数1〜7のものが好ましい。
【0057】
一般式(6)としては、R25がヘキサデシル基、X16が水素原子、R26がペンタデシル基、R27がヒドロキシエチル基のもの;R25がヘキサデシル基、X16が水素原子、R26がノニル基、R27がヒドロキシエチル基のもの;又はR25がヘキサデシル基、X16がグリセリル基、R26がトリデシル基、R27が3−メトキシプロピル基の擬似型セラミド類が好ましく、一般式(6)のR25がヘキサデシル基、X4が水素原子、R26がペンタデシル基、R27がヒドロキシエチル基のものが特に好ましい。
【0058】
このうち、成分(C)のセラミド類は、特に成分(A)が一般式(3)であれば成分(C)は一般式(5)を、成分(A)が一般式(4)であれば成分(C)は一般式(6)を組み合わせるのが好ましい。特に、成分(C)一般式(2)の窒素に結合したCOR10をHに置換したものを、成分(A)の一般式(1)として用いるのが、安定性及び効果の点で好ましい。
【0059】
本発明において、セラミド類は、スフィンゴシン類と強い相互関係を有するため、スフィンゴシン類と酸性化合物により形成された塩により結晶化を抑制され、安定に乳化されるものと考えられる。
【0060】
成分(C)は2種以上を併用してもよい。本発明のニキビ改善剤中の成分(C)の含有量は、0.001〜50質量%、特に0.01〜20質量%、更に0.01〜10質量%であるのが好ましい。
【0061】
本発明のニキビ改善剤において、成分(A)、(B)及び(C)の含有質量比率((A)+(B))/(C)は、0.001以上、特に0.001〜100、更に0.01〜10であるのが、安定性の点で好ましい。
【0062】
成分(D)水の含有量は、全組成中に5〜99質量%、特に30〜99質量%、更に50〜99質量%であるのが好ましい。
【0063】
本発明のニキビ改善剤は、従来用いられているニキビ改善成分を含むことができる。かかる成分としては、抗炎症剤;例えばグリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム;アスナロ、ハマメリス、ボタンピ、ムクロジ、オウバク、カンゾウ、オウレン等の植物抽出物;アラントイン、シコニン、ヒノキチオール、セドロール、ε−アミノカプロン酸等、抗菌剤;例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノール、感光素201等、皮脂分泌抑制剤;例えばエストラジオール、ビタミンB6、ローヤルゼリーエキス等、皮脂吸収剤;例えば多孔質ナイロンパウダー等の吸油性多孔質粉体、酸化亜鉛等、角層剥離剤;例えばサリチル酸、レゾルシン、イオウ等が挙げられる。
【0064】
これらの成分はニキビ改善効果を高める点で好ましく、特に抗菌剤と抗炎症剤が、ニキビの改善効果に優れるとともに、肌への刺激が低い点で好ましい。これらの成分は種類によって有効含有量が異なるが、全組成中に0.001〜30質量%、特に0.01〜10質量%含有させるのが好ましい。
【0065】
本発明のニキビ改善剤には、更に、上記成分(A)及び(C)以外に、通常化粧料に使用される油剤、すなわち液状、半固体又は固体状の、合成及び天然由来の油性成分を含むことができる。
【0066】
液状油としては、例えば、ホホバ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等の脂肪酸エステル;ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等の脂肪酸とアルコールとからなるエステル油;グリセリン誘導体、アミノ酸誘導体等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油等が挙げられる。
【0067】
半固体又は固体状の油性成分としては、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、バチルアルコール等の高級アルコール;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸;コレステロール、フィトステロール、コレステリル脂肪酸エステル等のコレステロール類;ホホバワックス等の植物油;グリセリンモノステアリルエーテル、グリセリンモノセチルエーテル等のアルキルグリセリルエーテル;ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のワックス類が挙げられる。また、その他として特開2002−226350号公報に記載の紫外線吸収剤等の油溶性もしくは水難溶性の油性成分が含まれる。
【0068】
本発明のニキビ改善剤には、上記成分以外に、通常の皮膚外用剤で使用される成分、例えば1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、トレハロース等の多価アルコール;グリシンベタイン、尿素、アミノ酸等の保湿剤;キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアガム等の水溶性増粘剤;セルロースパウダー、ナイロンパウダー、架橋型シリコーン末、架橋型メチルポリシロキサン、多孔質セルロースパウダー、多孔質ナイロンパウダー等の有機粉体;無水シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機粉体;メントール、カンファー等の清涼剤;pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、色素などを含有させることができる。
【0069】
本発明のニキビ改善剤は、成分(A)〜(D)、及びその他の成分を混合、乳化して製造される。ただし、成分(A)〜(D)は乳化時に同時に存在することが必要であり、乳化時にセラミド類、スフィンゴシン類とその塩を形成する酸性化合物のいずれかが存在しない場合、乳化終了後に該不足の成分を加えても安定な乳化物は得られない。その他の成分は上記乳化を妨害しない限り、乳化時でも乳化後でも添加することが可能である。
【0070】
また、ニキビ改善剤の製造は、スフィンゴシン類、セラミド類のいずれかが乳化時に固体である場合は加熱溶融を行うか、又は油剤やアルコール等の溶剤によりスフィンゴシン類及びセラミド類を溶解して行い、乳化時にスフィンゴシン類、スフィンゴシン類の塩及びセラミド類のいずれもが液状であることが好ましい。
【0071】
この乳化物は、透明、半透明又は白濁した状態に製造される。ここで透明、半透明とは積分球光電散乱光度計により測定した濁度(カオリン標準:精製カオリン1mg/1リットル水の濁りを濁度1ppmとする。)が1〜1500ppmのものをいう。成分(A)、(B)及び(C)の含有重量比率((A)+(B))/(C)が0.2以上で透明、半透明の乳化物が得られ、0.2未満では白濁した乳液状となる。また、乳化物の油滴の平均粒子径は、3nm〜200μmの範囲で外観、用途に応じて適宜製造されるが、乳化物の外観の安定性の点で5nm〜50μm、特に5nm〜10μmであるのが好ましい。平均粒子径は、動的光散乱式粒径分布測定装置(例えば、HORIBA LB−500)又はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、HORIBA LA−920)で測定される。
【0072】
本発明のニキビ改善剤は、清拭剤、化粧水、乳液、美容液、パック、エアゾール等の形態として使用するのが好ましく、不織布等の担持体に浸透させて使用することもできる。
【0073】
【実施例】
実施例1〜3、比較例1〜3
表1に示す組成のニキビ改善剤を下記方法により製造し、ニキビ改善効果、かさつき防止効果、及び使用感を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0074】
(製造方法)
成分(1)、(2)、(5)〜(7)を乳化槽に入れ、80℃で加熱溶融し、均一分散するよう撹拌する。成分(3)又は(4)を水の一部(30質量%)に、80℃で溶かした水溶液を、乳化槽の温度を維持しながら加えて撹拌し(300rpm)、添加した後、ホモミキサーにかけて乳化物を得た。25℃迄冷却しながら残部の水に成分(8)を溶解したものを加え、ニキビ改善剤を得た。
【0075】
(評価方法)
(1)ニキビ改善効果:
顔面にニキビ症状を有する25〜35才の健常男子20人に対し、顔面右部に実施例又は比較例のニキビ改善剤を、顔面左部に対照品を、1日2回朝夕、2週間塗布した。その後、ニキビ症患部の改善効果を、対照品との比較により以下の基準で判定した。その結果を20人の平均値で示した。
3点:対照品と比較して明らかに改善している。
2点:対照品と比較して改善している。
1点:対照品と比較してわずかに改善が認められる。
0点:改善していない。
【0076】
(2)かさつき防止効果(皮膚水分量):
上記の試験と同時に測定を行った。試験開始前と2週間後の2回、頬部の水分量を測定した。測定前に洗顔し、温度20℃、湿度40%の恒温恒湿室に入り、15分後に角質層中の水分含有量をインピーダンスメーター(IBS社製)で測定した。得られた結果は、下記の式でΔΔ水分量として計算し、下記の基準で判定した。
ΔΔ水分量=(S2−S1)−(C2−C1)
S1;実施例又は比較例塗布前の肌の水分量。
S2;実施例又は比較例塗布後の肌の水分量。
C1;対照品塗布前の肌の水分量。
C2;対照品塗布後の肌の水分量。
【0077】
(評価基準)
◎:ΔΔ水分量が25以上で明らかに水分量が高い。
○:ΔΔ水分量が10〜25未満でやや水分量が高い。
×:ΔΔ水分量が10未満で水分量にほとんど差がない。
【0078】
(3)使用感:
各ニキビ改善剤0.8gを顔面へ適用した場合のべたつき感を、専門パネラー20人の判定に基づき、次の基準により評価した。
◎:15〜20人がべたつかないと判定。
○:8〜14人がべたつかないと判定。
×:7人以下がべたつかないと判定。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】
本発明のニキビ改善剤は、使用感が良好で、皮膚へのダメージが少なく、優れたニキビ改善効果が得られるものである。
Claims (3)
- 次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類
(B)無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物、
(C)一般式(2)で表わされるセラミド類
(D)水を含有するニキビ改善剤。 - ((A)+(B))/(C)が0.001以上である請求項1記載のニキビ改善剤。
- 成分(D)を5〜99質量%含有する請求項1又は2記載のニキビ改善剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003165801A JP2005002019A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | ニキビ改善剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003165801A JP2005002019A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | ニキビ改善剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005002019A true JP2005002019A (ja) | 2005-01-06 |
Family
ID=34092145
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003165801A Pending JP2005002019A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | ニキビ改善剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005002019A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009143897A (ja) * | 2007-11-19 | 2009-07-02 | Neochemir Inc | ニキビ治療剤 |
JP2010138122A (ja) * | 2008-12-12 | 2010-06-24 | Kao Corp | ニキビ改善剤 |
-
2003
- 2003-06-10 JP JP2003165801A patent/JP2005002019A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009143897A (ja) * | 2007-11-19 | 2009-07-02 | Neochemir Inc | ニキビ治療剤 |
JP2010138122A (ja) * | 2008-12-12 | 2010-06-24 | Kao Corp | ニキビ改善剤 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4869240B2 (ja) | グリセリンおよびヒドロキシプロピル第四級アンモニウム塩を含むパーソナルケア組成物 | |
JP2740148B2 (ja) | セラミドの混合物を含む化粧用もしくは皮膚科用組成物及び皮膚に潤いを与えるその使用 | |
BRPI0914843B1 (pt) | Composição cosmética e método para o clareamento da cor da pele | |
JP2000327558A (ja) | 細胞更新速度を増大させる方法 | |
EP0810852A1 (en) | Skin care composition | |
JP2014208626A (ja) | リポソーム組成物 | |
WO2003049709A1 (fr) | Emulsions a base de ceramides | |
JP3780257B2 (ja) | 油及び脂肪を抑制する皮膚用組成物 | |
JP4220838B2 (ja) | 皮膚外用剤 | |
JP2006028109A (ja) | 水中油型乳化組成物 | |
JP4778256B2 (ja) | 水中油型エマルション及びその製造方法 | |
JP4119646B2 (ja) | セラミド類乳化物の製造法 | |
JP3967292B2 (ja) | 油中水型乳化組成物 | |
JP4188149B2 (ja) | 皮膚外用剤 | |
JP4220698B2 (ja) | 皮膚外用剤 | |
JP2006335692A (ja) | 油中水型乳化組成物 | |
JP4284236B2 (ja) | 水中油型乳化化粧料 | |
JP4188150B2 (ja) | 皮膚外用剤 | |
JP2005002019A (ja) | ニキビ改善剤 | |
JP2005002020A (ja) | 水中油型乳化化粧料 | |
JP6972098B2 (ja) | 脂肪酸アミド誘導体を含むパーソナルケア組成物 | |
JP3464524B2 (ja) | 化粧料 | |
JPH0235721B2 (ja) | ||
JP2741143B2 (ja) | 皮膚外用剤 | |
JP3660374B2 (ja) | 皮膚外用剤 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051212 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20061213 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20070109 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080212 |