JP2005001963A - 合わせガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】耐光性に優れた合わせガラスを提供する。
【解決手段】少なくとも2枚の透明基材の間に位置する中間膜を有する合わせガラスであって、前記中間膜が下記一般式(1)で表されるパーオキシケタール系過酸化物を有することを特徴とする合わせガラスである。該中間膜は、さらに、ベンゾイルパーオキサイド系過酸化物を有することが好ましい。
【化1】
Figure 2005001963

[一般式(1)中、R、Rは−C2m+1を表し、R〜R12は−H又は−CHを表す。mは1〜3の整数を表す。]
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両用、航空機等の窓ガラス、建築物の窓ガラス等に用いられる合わせガラスに関する技術である。
【0002】
【従来の技術】
車両用、特に自動車のウィンドウや建築物の窓ガラスには、合わせガラスが一般的に用いられている。合わせガラスの構成としては、ガラスとガラスの間に中間膜を設けたものが利用されている。中間膜を設けることでガラスの破損を防止することができる。すなわち、合わせガラスに、外部から衝撃を加えられた際に、ガラス板部分は破損してしまうが、中間膜部分は破損しにくい。そのため、破損したガラスが中間膜に貼着したままで、周囲に飛散することがほとんどない。
【0003】
上記のような合わせガラスの特性を十分に発揮させるためには、ガラス板と、中間膜との接着力が重要となる。ガラス板と中間膜の接着力が小さい場合は、外部からの衝撃によって破損したガラス破片が中間膜から剥がれて、周囲に飛散しやすくなってしまう。一方ガラス板と中間膜の接着力が大きい場合には、外部からの衝撃によって、ガラス板と中間膜の両方が破損して、周囲に飛散してしまうことがある。
【0004】
また、このような合わせガラスは上述の特性を保持しつつ、さらに合わせガラス自体の高い透明性も必要とされる。合わせガラスはフロントガラスや窓ガラス等として利用されるため、耐光性も重要であり、太陽光による劣化で、合わせガラスとしての透明性が損なわれることは合わせガラスとして用いる以上、適当でない。
例えば、特許文献1で開示されているような、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、有機過酸化物を含む合わせガラス用の中間膜は、接着力があり、かつガラス板と貼着させたときの透明性が良好なものが提供できるとされている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−147736号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、有機過酸化物を含む合わせガラス用中間膜の場合には、ガラス板との貼り合せ温度が120℃以上でないとガラス板との貼着が良好でないという問題があった。
また、貼り合せ温度が80℃程度である熱硬化性樹脂を用いた中間膜では、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド系有機過酸化物を用いるが、屋外用途で用いた場合、耐光性があまり良好でなく、中間膜が黄変するという不具合が生じてしまうことがあった。
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、
本発明の目的は、耐光性に優れた合わせガラスを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも2枚の透明基材の間に位置する中間膜を有する合わせガラスであって、前記中間膜が下記一般式(1)で表されるパーオキシケタール系過酸化物を有することを特徴とする合わせガラスである。
【0008】
【化3】
Figure 2005001963
[一般式(1)中、R、Rは−C2m+1を表し、R〜R12は−H又は−CHを表す。mは1〜3の整数を表す。]
【0009】
<2> 前記中間膜がベンゾイルパーオキサイド系過酸化物を有する前記<1>に記載の合わせガラスである。
<3> 前記中間膜が紫外線吸収剤として、下記一般式(2)で表される化合物を有する前記<1>乃至<2>に記載の合わせガラスである。
【0010】
【化4】
Figure 2005001963
[一般式(2)中、nは0〜23の整数を表す。なお、nが0の場合、−C2n+1は−Hを表す。]
【0011】
<4> 前記中間膜がエチレン−酢酸ビニルを有する前記<1>乃至<3>のいずれかに記載の合わせガラスである。
<5> 前記中間膜がシランカップリング剤を有する前記<1>乃至<4>のいずれかに記載の合わせガラスである。
<6> 前記中間膜が少なくとも官能基を2つ有する化合物を含む前記<1>乃至<5>のいずれかに記載の合わせガラスである。
<7> 前記中間膜がJIS R3212に準拠した高圧水銀灯による500時間照射後の黄変度がJIS K7103に準拠した測定方法で5以下である前記<1>乃至<6>のいずれかに記載の合わせガラスである。
なお、字義からは、本発明の合わせガラス は、「合わせ透明基材」と呼ぶべきであるが、「合わせガラス」の語は、材質をいうものではなく、2枚の透明基材に中間膜を挟持してなるものを呼ぶものとして「合わせガラス」の語を用いる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の合わせガラスの実施の形態を説明する。
本発明の合わせガラスは、透明基材、樹脂で構成されている中間膜を有し、層構成としては、例えば、透明基材−中間膜−透明基材、透明基材−中間膜−ポリカーボネート−中間膜−透明基材とすることができる。
ここで用いる透明基材は、特に限定されないが例えば無機ガラス板、無着色透明ガラス板、或いは剛性の高い有機高分子板を用いてもよい。剛性の高い有機高分子板としては、ポリカーボネート板、アクリル板等が挙げられる。貼着時の加熱温度等を鑑みると無機ガラス板、無着色透明ガラス板が好ましい。
【0013】
本発明の合わせガラスの中間膜には、下記一般式(1)で表されるパーオキシケタール系過酸化物を用いる。
【化5】
Figure 2005001963
[一般式(1)中、R、Rは−C2m+1を表し、R〜R12は−H又は−CHを表す。mは1〜3の整数を表す。]
【0014】
前記パーオキシケタール系過酸化物としては、R、Rが、m=1〜3のn−アルキル基で、RからR12がHまたはCHで表される化合物が挙げられる。本発明で用いる場合には、好ましくは一般式(1)で表される化合物で、RからR12のうち、RとRがいずれもCH、R、R10がH又はCHで表される化合物が好ましい。また、RからR12のうち、R、RがH又はCHで表される化合物であってもよい。RからR12のいずれもHで表される化合物であってもよい。
【0015】
前記一般式(1)で表されるパーオキシケタール系過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどが挙げられる。このパーオキシケタール系過酸化物は1種あるいは2種以上組み合わせて使用してもよい。前記パーオキシケタール系過酸化物で本発明に用いるのに好ましいのは、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサンである。
【0016】
本発明の合わせガラスに用いる前記パーオキシケタール系過酸化物の配合量は樹脂100質量部に対して、0.1から10質量部が好ましく、0.1から5質量部が更に好ましい。0.1質量部未満では、十分に架橋せず、耐貫通性、光学特性を得ることができない場合があり、2質量部を超えると、後述するエチレン−酢酸ビニルとの相溶性が悪化することや、貯蔵安定性が悪化する場合がある。
【0017】
本発明の合わせガラスの中間膜は、ベンゾイルパーオキサイド系過酸化物を有することが好ましい。ここで用いるベンゾイルパーオキサイド系過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。このベンゾイルパーオキサイド系過酸化物は1種あるいは2種以上組み合わせて使用してもよい。前記ベンゾイルパーオキサイド系過酸化物で本発明に用いる化合物として好ましいのは、ベンゾイルパーオキサイドである。前記ベンゾイルパーオキサイド系過酸化物の配合量は樹脂100質量部に対して、0.1から10質量部が好ましく、更に0.1から5質量部が好ましい。
【0018】
また、本発明の合わせガラスの中間膜は、紫外線吸収剤として、下記一般式(2)で表される化合物を有することが好ましい。
【0019】
【化6】
Figure 2005001963
[一般式(2)中、nは0〜23の整数を表す。なお、nが0の場合、−C n+1は−Hを表す。]
【0020】
ここで、一般式(2)で表される化合物としては、nは0〜23であるが、0〜12であることが好ましく、8が最も好ましい。
【0021】
前記一般式(2)で表される化合物は、一般的には、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤であり、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトシキベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等が挙げられる。本発明の合わせガラスに用いるのに用いる化合物として好ましいのは、(2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン)である。上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の配合量は樹脂100質量部に対して、0.01から5質量部が好ましく、更に0.05から3質量部が好ましい。
【0022】
前記樹脂としては、エチレン−酢酸ビニルが好適に用いられる。
【0023】
上記エチレン−酢酸ビニルとしては、酢酸ビニル含有量が20から40質量%でのものであることが好ましく、25〜35質量%のものであることがより好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含有量が20質量%未満であると、得られる中間膜の透明性が低下することがある。また40質量%を超えると、中間膜の加工性が悪くなることがある。
【0024】
更に本発明の合わせガラスの中間膜には接着性を向上させるためにシランカップリング剤を用いるのが好ましい。用いるシランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチル−トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。本発明に用いられるシランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。また、前記シランカップリング剤は、1種あるいは2種以上組み合わせて使用してもよい。前記シランカップリング剤の配合量は樹脂100質量部に対して、0.01から5質量部が好ましく、0.05から5質量部が更に好ましい。
【0025】
このシランカップリング剤を用いる際に、樹脂等と混合して用いることもでき、また合わせガラスの中間膜に接する面にシランカップリング剤を直接塗布して使用してもよい。
【0026】
また更に、本発明においては、中間膜の種々の物性(機械的強度、接着性、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性、架橋速度等)の改良又は調整、特に、機械的強度の改良のため、官能性モノマーを添加することが好ましい。1〜3個の官能基を有する官能性モノマーとしては、アクリロキシ基、メタクリロキシ基又はアリル基を有する化合物が挙げられる。
【0027】
該当する化合物としては、アクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体、例えばそのエステルやアミドが最も一般的である。この場合、エステル残基としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのようなアルキル基の他に、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。また、アクリル酸又はメタクリル酸とエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いられる。アミドとしては、アクリルアミドが代表的である。また、アリル基含有化合物としては、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物が、エチレン−酢酸ビニル樹脂100質量部に対し、0.1〜50質量部、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.1〜20質量部添加して用いられる。0.1質量部未満であると前記機械的強度向上という改良効果を低下させることがあり、50質量部を超えると接着剤の調製時の作業性や製膜製を低下させることがある。配合量を0.1〜50質量部とすることにより、中間膜の物性(機械的強度、接着性、光学特性、耐熱性、耐光性等)が十分に発現するとともに、樹脂組成物の調製時の作業性や中間膜の成膜性が良好となり好ましい。
【0028】
アクリル酸又はメタクリル酸のエステルのエステル残基の例としては、メチル基、エチル基、ドデシル基、ステアリル基、ラウリル基等の直鎖状のアルキル基、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基等を挙げることができる。
【0029】
また、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール1分子とアクリル酸又はメタクリル酸1分子又は2分子以上とがエステル化したエステルを挙げることもできる。
【0030】
本発明においては、前記官能性モノマーの中でも、特に、3官能モノマーを用いることが好ましい。3官能モノマーと、本発明に係るエチレン−酢酸ビニル樹脂とを併用することにより、透明性が向上し好ましい。該3官能モノマーとしては、トリメチロールプロパンメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルシアヌレート、等が挙げられ、中でも特に、トリメチロールプロパンメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルシアヌレートが好ましい。
【0031】
耐光性向上のために、光安定剤を配合することも可能である。用いる光安定剤としては、アミン系光安定剤が好ましい。市販入手であるものとしては、例えば、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63、LA−63p、LA−67、LA−68(いずれも旭電化(株)製)、Tinuvin 744、Tinuvin 770、Tinuvin 765、Tinuvin 144、Tinuvin 622LD、CHIMASSORB 944LD(いずれもチバ・ガイギー社製)、UV−3034(B.F.グッドリッチ社製)等を挙げることができる。なお、本発明に用いる光安定剤としては、(LA−63p)が好ましい。
上記光安定剤は、1種あるいは2種以上組み合わせて用いてもよく、その配合量は、樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましい。更に好ましくは(0.01〜2質量部)である。
【0032】
以上の添加剤以外にも、本発明には、老化防止剤、可塑剤、滑剤、硬化助剤等の添加剤を必要に応じて用いることが可能である。
【0033】
本発明の合わせガラスの中間膜は、JIS R3212に準拠した高圧水銀灯による500時間照射後の黄変度がJIS K7103に準拠した測定方法で5以下であることが好ましい。本発明においては、前記一般式(1)で表されるパーオキシケタール系過酸化物を中間膜に用いることにより耐光性を向上させることができ、黄変度の値を前記範囲内とすることができる。前記JIS R3212に準拠した高圧水銀灯による耐光性促進試験は、100mW/cmの高圧水銀灯を用いて行うものである。なお、黄変度とはJIS K7103に準拠した方法、すなわち下記数式1で表される式で求められた値であり、耐光性試験前と試験後の黄色度(YI:イエローインデックス)の差で求めた値をいう。
【0034】
【数1】
Figure 2005001963
(X,Y,Z・・・標準光Cにおける試験試料または試験片の三刺激値)
【0035】
試験開始後、500時間における黄変度が5を超えると、合わせガラスが変色し、物性も低下してしまうため使用に適さない。前記黄変度はより好ましくは30以下である。
【0036】
次に、本発明の合わせガラス用の中間膜の製膜方法及び、合わせガラスの製造方法について述べる。前記ガラス用中間膜の製膜方法は合わせガラス中間膜を構成する材料をロールミルにて混練し、必要に応じて加温しながら行う。次に、押出し成形、カレンダー成形、Tダイ成形等の成膜方法にてシート状に成形する。あるいは前記混合物を適当な溶剤によって溶かして溶液状にし、この溶液をロールコーター、あるいはナイフコーター、ドクターブレードのような塗布機を用いて適当な支持体上に塗布し、乾燥させてシート状に中間膜を得る。このようにして得られたシート状の中間膜の厚さとしては、0.1から2mmのものが好ましく、さらに0.5から1mmのものが、透明性、物性ともに好ましい。次に、シート状に加工した中間膜を2枚の透明基材によって、透明基材、中間膜、透明基材のような積層構造になるよう挟持し、真空脱気により透明基材と中間膜の間にある空気を脱気する。続いて、加熱下で予備圧着を行い、更にこの予備圧着した合わせガラスをオートクレーブ中で加熱加圧処理を行い、中間膜の樹脂を熱硬化させることで合わせガラスが得られる。
【0037】
ここで得られた合わせガラスの透明基材表面に、金属や金属酸化物等からなる導電層を設けてもよい。
【0038】
【実施例】
本発明の実施例について説明するが、本発明について以下に述べる実施例によって限定されるものではない。
【0039】
(実施例1〜24及び比較例1〜3)
−合わせガラス用中間膜の作製−
表1〜表3に示した配合に基づき、組成物を55℃に加温しながらロールミルを用いて十分に混練した。
次に、上記で得られた組成物を2枚のPETフィルムの間に挟持し、70℃に加熱しながら10分間の条件でプレス成形した。プレス後、放冷して得られた中間膜をPETフィルムより剥離することで、厚み0.8mmの中間膜を得た。
【0040】
−合わせガラスの作製−
予め洗浄しておいた2枚の板状のフロートガラス(厚さ3mm)の間に、前記中間膜を挟持した。これをゴム袋に入れて真空脱気をし、さらに70℃に加熱しながら予備圧着を行った。
続いて、この予備圧着を行った合わせガラスをオートクレーブに入れ、圧力4.9×10Pa、温度100℃の条件で30分間、加熱加圧処理を行った。
【0041】
【表1】
Figure 2005001963
【0042】
【表2】
Figure 2005001963
【0043】
【表3】
Figure 2005001963
【0044】
表1〜表3における、
樹脂1;東ソー(株)製「UE750R」(酢酸ビニル含有量32%)
樹脂2;東ソー(株)製「UE710R」(酢酸ビニル含有量28%):エチレン−酢酸ビニル共重合体を表す。
【0045】
紫外線吸収剤1、2、3、4、5、6、7はベンゾフェノン系紫外線吸収剤である。
1;「スミソルブ130」住友化学工業(株)製、
2;KEMISORB10、
3;KEMISORB11、
4;KEMISORB13、
5;KEMISORB15、
6;KEMISORB111(3から6は全てケミプロ化成(株)製)、
7;「ユビナールd49」(2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノン)BASF社製、を表す。
【0046】
有機過酸化物1;「ナイパーFF」(ベンゾイルパーオキサイド)日本油脂(株)を表す。
有機過酸化物2、3、4、5、6はそれぞれパーオキシケタール系過酸化物である。
2;「パーヘキサMC」{1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン}
3;「パーヘキサTMH」{1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン}
4;「パーヘキサHC」{1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン}
5;「パーヘキサ3M」{1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン}
6;「パーヘキサC」{1、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン}すべて日本油脂(株)製を表す。
【0047】
添加剤1、2、3、4は
1;「TAIC」(トリアリルイソシアネレート)日本化成(株)製
2;「TMPT」(トリメチロールプロパンアクリレート)新中村化学(株)製
3;「A−NPG」(ネオペンチルアクリレート)新中村化学(株)製
4;「A−TMPT」(トリメチロールプロパントリアクリレート)新中村化学(株)製を表す。
【0048】
カップリング剤1;「KBM503」(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)信越化学(株)製を表す。
【0049】
滑剤;「LTP−2」(リン酸エステルポリマー)川研ファインケミカル(株)製
【0050】
表1〜表3における配合量はすべて「質量部」で表す。また、「キュラスト」とはキュラスト試験機を用いて、サンプル量5g、温度100℃で60分の時のトルク値(N・m)を測定した値である。
表1における「接着力」は、得られた合わせガラスを25mm幅の短冊状に裁断し、180°ピール試験と同じように引っ張り試験機で得られた値を接着力とした。「YI値」はカラーコンピューター(スガ試験機(株)製)を用いて、耐光性試験前(0時間)と試験後(500時間)の値を測定した。
【0051】
表1から明らかなように、比較例1から3の合わせガラスでは、JIS R3212に準拠した高圧水銀灯による500時間照射後の黄変度がJIS K7103に準拠した測定方法で5を超えていたが、実施例1から24では黄変度が5以下であり、かつ合わせガラスに用いる中間膜として十分な接着力があった。
【0052】
【発明の効果】
本発明によると、耐光性に優れた合わせガラス用中間膜を得ることができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも2枚の透明基材の間に位置する中間膜を有する合わせガラスであって、
    前記中間膜が下記一般式(1)で表されるパーオキシケタール系過酸化物を有することを特徴とする合わせガラス。
    Figure 2005001963
    [一般式(1)中、R、Rは−C2m+1を表し、R〜R12は−H又は−CHを表す。mは1〜3の整数を表す。]
  2. 前記中間膜がベンゾイルパーオキサイド系過酸化物を有する請求項1に記載の合わせガラス。
  3. 前記中間膜が紫外線吸収剤として、下記一般式(2)で表される化合物を有する請求項1乃至2に記載の合わせガラス。
    Figure 2005001963
    [一般式(2)中、nは0〜23の整数を表す。なお、nが0の場合、−C n+1は−Hを表す。]
  4. 前記中間膜がエチレン−酢酸ビニルを有する請求項1乃至3のいずれかに記載の合わせガラス。
  5. 前記中間膜がシランカップリング剤を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の合わせガラス。
  6. 前記中間膜が少なくとも官能基を2つ有する化合物を含む請求項1乃至5のいずれかに記載の合わせガラス。
  7. 前記中間膜がJIS R3212に準拠した高圧水銀灯による500時間照射後の黄変度がJIS K7103に準拠した測定方法で5以下である請求項1乃至6のいずれかに記載の合わせガラス。
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