JP2005001952A - 合わせガラス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エチレン−酢酸ビニル樹脂を少なくとも含有する樹脂組成物からなる中間膜の硬化物が2枚の透明基材に挟持されてなる合わせガラスであって、前記エチレン−酢酸ビニル樹脂の、酢酸ビニルの含有量が28〜50質量%であり、かつメルトフローレートが0.02(g/10分)以上40(g/10分)以下であることを特徴とする合わせガラスである。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合わせガラス、特に自動車、航空機等のウインドウ用ガラス、建築物の窓ガラス等に用いる合わせガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車、航空機等のウインドウ用ガラス、建築物の窓ガラス等には、従来から合わせガラスが広く用いられている。合わせガラスは、通常2枚の透明基材の間に樹脂膜(中間膜)が挟持されており、衝撃等に対して高い安全性を有することから、上記のような用途で安全ガラスとして使用されている。
【0003】
合わせガラスは、外部から衝撃が加えられた場合に、ガラスの部分は破損するが、透明基材間の中間膜は、容易には破損されないため、破損したガラスは中間膜に貼着されたままで、ガラスの破片が周囲に飛散することはほとんどない。
【0004】
合わせガラスが、上記のような安全ガラスとしての機能を発揮するには、透明基材と中間膜の接着力をある範囲に調整することが必要である。透明基材と中間膜との接着力が小さい場合は、外部からの衝撃により破損した透明基材が中間膜から剥がれて飛散しやすく、一方、接着力が大きい場合は透明基材と中間膜が衝撃と同時に共に破損して、破片が飛散してしまう。
【0005】
また、合わせガラスの中間膜は、上記機能を有し、更にガラスの透明性を低下させないように、それ自身に高い透明性が要求される。
【0006】
このような合わせガラスの中間膜としては、ポリビニルアセタールと可塑剤とを主成分とする膜が代表的であるが、上述のような特性を高いレベルで満足する中間膜はまだ得られていない。
【0007】
また、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤及び有機過酸化物を含む組成物から形成された中間膜により合わせガラスが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この中間膜は、中間膜の圧着時に150℃程度の温度が必要であり、この場合、ガラスと樹脂材料との膨張係数の違いから反り、剥離等が発生してしまうことがある。
【0008】
一方、熱硬化性中間膜としては、架橋エチレン−酢酸ビニル(EVA)共重合体が用いられているが、従来のエチレン酢酸ビニル系の中間膜は、酢酸ビニル含有率が26質量%以下のものでしか圧延加工ができず、結果的に透明性の低い中間膜しか製造することができなかった。一方、従来、酢酸ビニル含有率が28%以上で透明性が高いエチレン−酢酸ビニルは溶融粘度が高く樹脂が圧延ロールにべたついてしまい、製膜加工性が極めて悪かった。また、製膜できたとしても製膜後に製品を巻き取り貯蔵すると、ブロッキングが発生し取り扱い性が悪くなるという問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−147736号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明の目的は、透明性が高く、圧延加工が可能で、かつブロッキングの発生が少ない中間膜を有する合わせガラスを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、中間膜に用いるエチレン−酢酸ビニルとして、酢酸ビニル含有量とメルトフローレート(以下、「MFR」と呼ぶ場合がある。)とが特定の数値範囲内のものを用いることにより、高い透明性と良好な圧延加工性の両立ができることを見出し本発明を想到するに至った。
なお、字義からは、本発明の合わせガラス は、「合わせ透明基材」と呼ぶべきであるが、「合わせガラス」の語は、材質をいうものではなく、2枚の透明基材に中間膜を挟持してなるものを呼ぶものとして「合わせガラス」の語を用いる。
上記課題を解決する手段は以下の通りである。即ち、
本発明の合わせガラスは、エチレン−酢酸ビニル樹脂を少なくとも含有する樹脂組成物からなる中間膜の硬化物が2枚の透明基材に挟持されてなる合わせガラスであって、前記エチレン−酢酸ビニル樹脂の酢酸ビニルの含有量が28〜50質量%であり、かつ前記エチレン−酢酸ビニル樹脂のメルトフローレートが0.02(g/10分)以上40(g/10分)以下であることを特徴とする合わせガラスである。
前記樹脂組成物に、さらに、3官能モノマーを含有させることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の合わせガラスは、エチレン−酢酸ビニル樹脂を少なくとも含有する樹脂組成物からなる中間膜の硬化物が2枚の透明基材に挟持されてなる合わせガラスであって、前記エチレン−酢酸ビニル樹脂の酢酸ビニルの含有量が28〜50質量%であり、かつ前記エチレン−酢酸ビニル樹脂のMFRが0.02(g/10分)以上40(g/10分)以下であることを特徴としている。以下、本発明の合わせガラスについて詳述する。
【0013】
<樹脂組成物>
[エチレン−酢酸ビニル樹脂]
前記エチレン−酢酸ビニル樹脂とは、エチレンと酢酸ビニルの共重合体からなる樹脂であり、従来公知のエチレン−酢酸ビニル樹脂を用いることができるが、本発明においては、酢酸ビニルの含有量が28〜50質量%で、かつMFRが0.02(g/10分)以上40(g/10分)以下のものを使用する。酢酸ビニルの含有量とMFRとを当該範囲内とすることにより、ヘイズ値が0.3%以下の高い透明性を確保しつつ、良好な圧延加工性を維持することができる。酢酸ビニルの含有量は、好ましくは、28〜40質量%であり、より好ましくは、28〜35質量%である。酢酸ビニルの含有量が28質量%未満では、中間膜の透明性が不十分となり、50質量%を超えると、透明度は良好になるが耐貫通性が悪くなったり、樹脂の軟化温度が低く貯蔵が困難となってしまう。
また、前記エチレン−酢酸ビニルのMFRは、好ましくは、0.02〜30(g/10分)であり、より好ましくは、0.02〜20(g/10分)である。該MFRが0.02(g/10分)未満では、流動性が低くなり製膜加工性が悪化し、また、被着体との形状追従性が悪化し、40(g/10分)を超えると、流動性が高くなり圧延加工時のべたつきの発生や貯蔵時にブロッキングが発生する。
【0014】
前記ヘイズ値は、フロートガラス(厚み:3mm)/中間膜(厚み:0.8mm)/フロートガラス(厚み:3mm)の構成で測定したときの値である。
【0015】
[架橋剤]
本発明においては、樹脂組成物中のエチレン−酢酸ビニル樹脂を硬化させるための架橋剤として、有機過酸化物又は光開始剤を用いることが好ましい。有機過酸化物としては、樹脂の加工温度・貯蔵安定性の観点から例えば、ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ−n−オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、スクシニックアシドパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオイル+ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキサシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサネート、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシマレイックアシド、tert−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、等が挙げられる。
【0016】
特に好ましいのは、ベンゾイルパーオキサイド系硬膜剤、ジ−n−オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、スクシニックアシドパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオイル+ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキサシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサネート、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネートである。
上記ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤としては、70℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであればいずれも使用可能であるが、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものが好ましく、調製条件、成膜温度、硬化(貼り合わせ)温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して適宜選択できる。
【0017】
使用可能なベンゾイルパーオキサイド系硬化剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤は1種でも2種以上を組み合わせて使用してもよく、その配合量は、エチレン−酢酸ビニル樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。また、上記で例示したもの以外のパーオキサイドと混合して用いることも可能である。
【0018】
また、光開始剤としては、公知のどのような光開始剤でも使用することができるが、配合後の貯蔵安定性の良いものが望ましい。このような光開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系、ベンジルジメチルケタ−ルなどのベンゾイン系、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、その他特殊なものとしては、メチルフェニルグリオキシレ−トなどが使用できる。特に好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が挙げられる。これら光開始剤は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸のごとき安息香酸系又は、第3級アミン系などの公知慣用の光重合促進剤の1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、光開始剤のみの1種単独または2種以上の混合で使用することができる。
また、光開始剤の配合量は、エチレン−酢酸ビニル樹脂100質量部に対して0.5〜5.0質量部であることが好ましい。
【0019】
[官能性モノマー]
また更に、本発明においては、中間膜の種々の物性(機械的強度、接着性、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性、架橋速度等)の改良又は調整、特に、機械的強度の改良のため、官能性モノマーを添加することが好ましい。1〜3個の官能基を有する官能性モノマーとしては、アクリロキシ基、メタクリロキシ基又はアリル基を有する化合物が挙げられる。
【0020】
該当する化合物としては、アクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体、例えばそのエステルやアミドが最も一般的である。この場合、エステル残基としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのようなアルキル基の他に、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。また、アクリル酸又はメタクリル酸とエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いられる。アミドとしては、アクリルアミドが代表的である。また、アリル基含有化合物としては、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物が、エチレン−酢酸ビニル樹脂100質量部に対し、0.1〜50質量部、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.1〜20質量部添加して用いられる。0.1質量部未満であると前記機械的強度向上という改良効果を低下させることがあり、50質量部を超えると接着剤の調製時の作業性や製膜製を低下させることがある。配合量を0.1〜50質量部とすることにより、中間膜の物性(機械的強度、接着性、光学特性、耐熱性、耐光性等)が十分に発現するとともに、樹脂組成物の調製時の作業性や中間膜の成膜性が良好となり好ましい。
【0021】
アクリル酸又はメタクリル酸のエステルのエステル残基の例としては、メチル基、エチル基、ドデシル基、ステアリル基、ラウリル基等の直鎖状のアルキル基、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基等を挙げることができる。
【0022】
また、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール1分子とアクリル酸又はメタクリル酸1分子又は2分子以上とがエステル化したエステルを挙げることもできる。
【0023】
本発明においては、前記官能性モノマーの中でも、特に、3官能モノマーを用いることが好ましい。3官能モノマーと、本発明に係るエチレン−酢酸ビニル樹脂とを併用することにより、透明性が向上し好ましい。該3官能モノマーとしては、トリメチロールプロパンメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルシアヌレート、等が挙げられ、中でも特に、トリメチロールプロパンメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルシアヌレートが好ましい。
【0024】
[紫外線吸収剤]
更に、本発明においては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を配合することが好ましい。上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、公知のベンゾフェノン系紫外線吸収剤を用いることができるが、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等が好ましく挙げられる。なお、上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の配合量は、エチレン−酢酸ビニル樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
【0025】
[接着促進剤]
本発明においては、更に、接着促進剤を添加することが好ましい。
接着促進剤は、樹脂組成物の接着性を向上させるために添加することができ、従来公知のものを用いることが可能であるが、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトシキエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチル−トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が好ましく挙げられる。
【0026】
なお、上記接着促進剤は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて用いてもよく、その配合量は、エチレン−酢酸ビニル樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
【0027】
[光安定剤]
また、本発明においては、耐光性の向上のために、光安定剤を添加することができる。光安定剤としてはヒンダードアミン系と呼ばれる光安定剤を用いることが好ましく、例えば、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63LA―63p、LA−67、LA−68(いずれも旭電化(株)製)、Tinuvin744、Tinuvin 770、Tinuvin 765、Tinuvin144、Tinuvin 622LD、CHIMASSORB 944LD(いずれもチバ・ガイギー社製)、UV−3034(B.F.グッドリッチ社製)等を挙げることができる。なお、上記光安定剤は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて用いてもよく、その配合量は、エチレン−酢酸ビニル樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
【0028】
[その他の添加剤]
以上の添加剤のほか、本発明には、老化防止剤、タッキファイアー(松脂成分)、染料、加工助剤等を本発明の効果に支障をきたさない範囲で用いてもよい。
【0029】
前記老化防止剤としては、例えばN,Ν’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、ビタミンE系熱安定剤、イオウ系熱安定剤等が挙げられる。
【0030】
<透明基材>
本発明の合わせガラスに用いる透明基材は、特に限定されないが、例えば無機ガラス板、無着色透明ガラス板、或いは剛性の高い有機高分子板を用いてもよい。剛性の高い有機高分子板としては、ポリカーボネート板、アクリル板等が挙げられる。貼着時の加熱温度等を鑑みると無機ガラス板、無着色透明ガラス板が好ましい。
【0031】
本発明の合わせガラスの層構成としては、例えば、透明基材−中間膜−透明基材、透明基材−中間膜−ポリカーボネート−中間膜−透明基材とすることができる。
【0032】
[合わせガラスの製造]
本発明の合わせガラスの製造には、従来公知の製造方法が適用できるが、例えば、上述の樹脂組成物の各成分をロールミル等にて十分に混和し、例えば、通常の押出成形、カレンダー成形等により成形して得たシート、又は樹脂組成物を溶剤に溶解させ、この溶液を適当な塗布機(コーター)で適当な支持体上に塗布、乾燥して得た塗膜状のシート等を2枚の透明基材間に挟み込み、真空脱気により中間膜と透明基材との間の空気を脱気し、加熱下で予備圧着し、更に、オートクレーブ中で加圧加熱処理して、樹脂層を架橋硬化させることにより得ることができるが、上記樹脂組成物の硬化温度を120℃以下、特に70〜120℃、とりわけ80〜110℃とすることが好ましい。硬化温度が120℃を超えると、合わせガラスに反りや剥離が発生する恐れがある。
【0033】
なお、合わせガラスの透明基材表面には、金属及び/又は金属酸化物からなる透明の導電層を設けてもよい。
【0034】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0035】
[実施例1〜10、比較例1〜4]
表1に示す配合成分をロールミルにて55℃で混練して樹脂組成物を調製し、得られた組成物を各エチレン−酢酸ビニル樹脂の溶融温度(JIS K 6924−2)よりも5℃低い温度でカレンダー加工し、放冷後、厚さ0.8mmのシートを得た。なお、表1、表2に示す各成分の数値は質量部を表す。
【0036】
次に、洗浄乾燥した3mm厚の2枚のガラス板の間に上記シートを挟み、これをゴム袋に入れて真空脱気し、80℃の温度で予備圧着した。更に、これをオートクレーブに入れ、圧力4.9×105Pa、温度100℃の条件で30分間加圧加熱処理して、合わせガラスを得た。なお、表1において、エチレン−酢酸ビニル樹脂の括弧内(例えば、「634」の場合、VA26%MFR4)の「VA」はエチレン−酢酸ビニル中の酢酸ビニルの含有量(質量%)を示し、MFRはメルトフローレートの数値(g/10分)を示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
表1、表2中の各配合種の詳細を以下に示す。
634:エチレン−酢酸ビニル樹脂(東ソー(株)製)
720R:エチレン−酢酸ビニル樹脂(東ソー(株)製)
726:エチレン−酢酸ビニル樹脂(東ソー(株)製)
710:エチレン−酢酸ビニル樹脂(東ソー(株)製)
750R:エチレン−酢酸ビニル樹脂(東ソー(株)製)
9B54A:エチレン−酢酸ビニル樹脂(東ソー(株)製)
YX11:エチレン−酢酸ビニル樹脂(東ソー(株)製)
YX13:エチレン−酢酸ビニル樹脂(東ソー(株)製)
YX14:エチレン−酢酸ビニル樹脂(東ソー(株)製)
ナイパーFF:ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂(株)製)
パーブチルO:tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製)
TAIC:トリアリルイソシアヌレート(日本化成(株)製)
TAC:トリアリルシアヌレート((株)武蔵野化学研究所製)
A−TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業(株)製)
TMPT:トリメチロールプロパンメタクリレート(新中村化学工業(株)製)
スミソルブ130:ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(住友化学工業(株)製)
ユビナールD−49:2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン(BASF社製)
KBM503:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)
LTP−2:リン酸エステルポリマー(川研ファインケミカル(株)製)
【0040】
[評価]
(1)カレンダー加工性
カレンダー処理した中間膜を目視評価した。
加工性が良好なものを○、圧延ロールに樹脂のべたつきが生じたものを×として評価した。結果を表1、表2に示す。
(2)ブロッキング性
得られた中間膜を3ヶ月間巻き取り貯蔵後、引き出し張力をDFG−30T、日本電産シンポ(株)製で測定した。10N/m以下の場合を◎とし、10〜20N/mの場合を○とし、20N/m以上の場合を×として評価した。結果を表1、表2に示す。
(3)光学特性(ヘイズ値)
各実施例及び各比較例において得られた合わせガラスのヘイズ値を、ヘイズメーター(濁度計)(NDH 2000、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。測定結果を表1、表2に示す。
【0041】
表1、表2から、酢酸ビニル含有量及びMFRが本発明の範囲内のエチレン−酢酸ビニル樹脂、及び3官能モノマーを使用した実施例1〜9の合わせガラスは、カレンダー加工性、ブロッキング性、及びヘイズ値ともに満足できる結果が得られ、酢酸ビニル含有量及びMFRが本発明の範囲内のエチレン−酢酸ビニル樹脂を使用した実施例10、11はカレンダー加工性及びブロッキング性が満足できる結果が得られたのに対し、比較例1〜3の合わせガラスは、すべてを同時に満足させることができなかった。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、透明性が高く、圧延加工が可能で、かつブロッキングの発生が少ない中間膜を有する合わせガラスを提供することができる。
Claims (2)
- エチレン−酢酸ビニル樹脂を少なくとも含有する樹脂組成物からなる中間膜の硬化物が2枚の透明基材に挟持されてなる合わせガラスであって、
前記エチレン−酢酸ビニル樹脂の酢酸ビニルの含有量が28〜50質量%であり、かつ前記エチレン−酢酸ビニル樹脂のメルトフローレートが0.02(g/10分)以上40(g/10分)以下であることを特徴とする合わせガラス。 - 前記樹脂組成物が、さらに、3官能モノマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の合わせガラス。
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