JP2005000085A - 乳成分含有飲料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温で長期間保存した場合に製品自体の酸化による製品pHの低下を抑制することにより、乳化状態の安定化に優れた風味良好な乳成分含有飲料を提供する。
【解決手段】乳成分含有飲料に乳化剤として使用される0.01〜0.1質量%のポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB15)と寒天を配合したものである。寒天は、0.001〜0.05質量%とし、成分分子が短く切断され、ゼリー強度1.5%、寒天濃度で100g/cm2以下の範囲に調整された低強度寒天を用いる。
【解決手段】乳成分含有飲料に乳化剤として使用される0.01〜0.1質量%のポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB15)と寒天を配合したものである。寒天は、0.001〜0.05質量%とし、成分分子が短く切断され、ゼリー強度1.5%、寒天濃度で100g/cm2以下の範囲に調整された低強度寒天を用いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳成分を含有する飲料(以下、「乳成分含有飲料」という)に関する。具体的には、高温状態で長期間保存した場合であっても乳成分の沈殿や分離等の品質劣化や製品の酸化に伴う風味劣化を生じることのない品質安定性に優れた良好な風味を有する乳成分含有飲料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
乳成分含有飲料とは、牛乳、生クリーム、全粉乳、脱脂粉乳等の乳成分をコーヒー、紅茶、ココア等の飲料に混合して得られるものであり、近年、缶や紙或いはPET容器等に入れた形態で数多くの商品が販売され、その需要も拡大している。通常、これらの飲料は最終製品の形態に違いがあるものの、製造の工程で必ず加熱殺菌処理を行って製造されるため、添加した乳成分が熱を加えられて変性し、沈殿や分離などの品質の劣化を生じやすいことが知られている。
【0003】
一般に、乳成分含有飲料では、乳成分由来の乳蛋白質や乳脂肪が飲料中の他の成分と乳化された状態(以下、乳化状態という。)で存在しているため、製造時の加熱殺菌等によって熱が加えられると乳成分が変性し、その乳化状態が破壊され、沈殿や分離等が生じる。また、これら以外にもリング現象(乳脂肪を含んだ乳成分が浮上する現象)やオイルオフ(乳脂肪が凝集し油滴となって浮上する現象)等によって品質の劣化を生じる。このような品質の劣化は、特に、冬期にホットベンダー等を用いて高温状態で保存される乳成分含有飲料に顕著に見られるため、その改善方法が望まれている。
【0004】
そこで、これまで数多くの検討がなされており、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤を単独或いは併用して使用し、飲料中の乳化状態を安定化させる方法(特許文献1乃至特許文献6)或いは、上記乳化剤とカラギーナン等の安定剤を併用して使用する方法(特許文献7)等の数多くの技術が報告されている。これらの方法は、いずれも乳成分含有飲料中での乳化状態を安定化させる効果に優れているため有用である。
【0005】
また、従来から使用されている乳化剤には、飲料中の乳化状態を安定化させ、乳成分に起因する飲料の品質劣化を改善するだけではなく、製品製造時の加熱殺菌処理で死滅できなかった高温耐性芽胞菌が保存中に発芽・増殖することによって生じる製品の変敗を抑制する効果や製品製造時の攪拌などによって生じる泡の発生を抑制する効果を有する。さらには、開缶時の内容物の吹き溢れを防止する効果があること等が報告されており、いずれも乳成分含有飲料の製造に有用な技術として知られている。
【0006】
【特許文献1】特開平2−261366号公報
【0007】
【特許文献2】特許第1961623号公報
【0008】
【特許文献3】特許第3040019号公報
【0009】
【特許文献4】特許第2538496号公報
【0010】
【特許文献5】特開平11−9200号公報
【0011】
【特許文献6】特開平11−75683号公報
【0012】
【特許文献7】特開平3−266939号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、種々の乳化剤の乳化状態を安定化する効果は、製品のpHに影響を受けやすく、製品のpHが変動するような状況ではその効果は十分でない。特に、高温状態で長期間保存された製品では、酸化されてpHが低下することが知られているため、乳化剤を添加した乳成分含有製品であっても、十分な乳化状態の安定化効果が得られるとはいえなかった。そのため、十分な乳化状態の安定化を図るために、製品のpHを中性領域に調整したり、製品の酸化を防止する目的でビタミンCや茶抽出物を添加する方法等が行われているが、いずれの方法も飲料の種類によっては風味を損なう場合があり、必ずしも好ましい方法とはいえなかった。
【0014】
このように、品質劣化が改善された乳成分を含有する飲料を得るためには、飲料中における乳化状態を安定化させる効果に優れた乳化剤を選択して配合するだけでは不十分であって、高温状態で長期保存した場合に製品が酸化されることで生じるpHの低下を抑制することが必要である。即ち、本発明は、高温で長期間保存した場合であっても製品の酸化が抑制され、乳化状態の安定性に優れた風味良好な乳成分含有飲料及びその製造方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意研究を行った結果、乳成分含有飲料に乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を併用することにより、高温状態で長期間保存した場合であっても製品が酸化されることを抑制し長期間乳化状態を安定化させ、風味良好な乳成分含有飲料を製造できることを見出し、本発明に至った。また、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を含有する乳成分含有飲料であって、ポリグリセリン脂肪酸エステルがHLB13〜16であることを特徴とする。
【0016】
更に、上記手段において、寒天は、ゼリー強度が1.5%寒天濃度で100g/cm2以下の範囲に調整された低強度寒天であることを特徴とする。
更に、上記いずれかの手段において、0.01〜0.1質量%のポリグリセリン脂肪酸エステルと0.001〜0.05質量%の寒天を含有することを特徴とする。
更に、上記いずれかの手段において、乳成分含有飲料が、コーヒー、紅茶、ココア等の中性域における嗜好性飲料であることを特徴とする。
更に、乳成分含有飲料の製造方法は、該製造工程において、ポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を配合することを特徴とする。
そして、かかる特徴を有する乳成分含有飲料及びその製造方法によって得られた乳成分含有飲料は、高温状態で長期間保存された場合であっても、製品の酸化が抑制されることで優れた乳化状態の安定性を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
(乳成分含有飲料)
本発明における乳成分含有飲料とは、牛乳、生クリーム、全粉乳、脱脂粉乳等の乳成分を加えた飲料であれば特に限定されず、例えば、コーヒー、紅茶、ココア等を例示することができる。また、これらの乳成分含有飲料に添加される乳成分の量は、特に限定されるものではないが、飲料の全体量に対し乳固形分として0.1〜3.0質量%添加されていればよく、特に、0.3〜1.7質量%添加されているものであれば、風味もよく、且つポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を含有させることにより高温状態で長期間保存しても、乳化安定性に優れた乳成分含有飲料を得ることができるため好ましい。
【0018】
(ポリグリセリン脂肪酸エステル)
本発明において使用するポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、市販されているHLB13〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルであれば、いずれを使用してもよい。本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量は、飲料に対して、0.01〜0.1質量%であり、特に、0.02〜0.05質量%程度添加すれば、高温状態で長期間保存した場合であっても製品の酸化が抑制され、乳化状態の安定化効果に優れているため好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量が、0.05質量%以上であるとポリグリセリン脂肪酸エステルが有する薬品臭が飲料に付与されるため好ましくなく、逆に添加量が0.02質量%よりも少ないと、高温状態で長期間保存した場合に製品の酸化が十分に抑制できず、優れた乳化状態の安定化効果が得られないため好ましくない。
【0019】
(寒天)
また、寒天には、寒天分子の長さや、ゲル強度、融点、凝固点などにより分類され様々な種類があるが、本発明において使用される寒天には、飲料の安定化に顕著な効果を有し、飲料の風味を損なうことのないものであればいずれを使用しても良く、寒天成分の分子が短く切断されてゼリー強度が1.5%寒天濃度で100g/cm2以下の範囲に調整された低強度寒天を使用することが好ましい。特に、1.5質量%寒天濃度で30g/cm2以下を用いるとポリグリセリン脂肪酸エステルと併用した場合に優れた乳化安定性が得られるため好ましい。
【0020】
具体的なものとしては、ウルトラ寒天BX−30(伊奈食品工業株式会社)等を挙げることができる。本発明における寒天の添加量は、飲料に対して、0.001〜0.05質量%であり、特に、飲料の安定性を長期間維持する効果を十分に得るために0.001〜0.01質量%程度添加することが好ましい。
寒天の添加量が、0.05質量%以上であるとコールド飲用時の冷却により飲料自体がゲル化するため風味嗜好上好ましくなく、逆に添加量が0.001質量%よりも少ないとポリグリセリン脂肪酸エステルと併用しても高温状態で長期間保存した時、乳化状態を安定に長期間維持された風味良好な乳成分含有飲料を得ることができないため好ましくない。
【0021】
(作用・効果)
本発明のように、乳成分含有飲料を高温状態で長期間保存した場合であっても製品の酸化を抑制し、乳化状態を長期に渡って安定に維持するためには、ポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天とを必ず併用することが必要であって、どちらか一方を添加しただけでは十分な効果が得られないため好ましくない。
例えば、乳固形分として1.0質量%の乳成分を含有するコーヒー飲料を製造する場合であれば、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.02〜0.03質量%、寒天を0.005〜0.01質量%添加すると高温状態で長期間保存しても製品の酸化が抑制され、乳化状態を長期に渡って安定に維持された風味良好なミルク入りコーヒー飲料を得ることができる。
【0022】
これまで、乳成分を含有する飲料中における安定な乳化状態を維持するために各種の乳化剤や安定剤を添加する方法が報告されているが、乳化剤や安定剤を使用することにより高温状態で保存した製品の酸化を抑制し、乳化状態の安定化を図れることは見出されておらず、特に、ポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を配合した場合に高温状態で保存されても製品の酸化に伴うpHの低下が抑制され、乳化状態を長期に渡って安定に維持された風味良好な乳成分含有飲料が得られることを見出したのは本発明が初めてである。
【0023】
(製造方法)
本発明の乳成分含有飲料は、一般の飲料の製造において、各飲料に、上記した特定の品質を有するポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を所定の割合で配合することにより製造することができる。即ち、本発明の乳成分含有飲料の製造方法は、ポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を添加する以外は通常の飲料の製造方法がそのまま適用できる。
例えば、通常、飲料では、コーヒー、紅茶等の抽出物に牛乳、生クリーム、全粉乳、脱脂粉乳等の乳成分を混合し、乳化剤、香料、色素、糖質、pH調整剤等を混合し、密封容器に充填して加熱殺菌することにより製造されるが、本発明においても当該方法が適用される。
【0024】
また、本発明の乳成分含有飲料には、各種糖質や本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤、及び寒天以外の増粘安定剤、甘味料、蛋白素材等の通常各種飲料に使用されるものであれば、必要に応じて添加することができる。具体的には、ショ糖、異性化糖、グルコース、フルクトース、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース等の糖類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール類、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン酸脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、クェン酸モノグリセライド等の乳化剤、カルボキシメチルセルロース、アルギシ酸プロピレングリコールエステル、カラギーナン、キサンタンガム、ペクチン、タマリンドガム等の増粘安定剤、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、その他全乳蛋白等の蛋白素材などが挙げられる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
【試験例1】
(乳化剤検討)
コーヒー抽出液(Bx3.0)40部、グラニュー糖6部、牛乳10部、炭酸水素ナトリウム0.13部、抗菌性を持たせるためにショ糖脂肪酸エステルP−1670(三菱化学フーズ株式会社)0.03部、蛋白索材としてのカゼインナトリム0.06部、並びに表1に示す乳化剤とを混合し、水を加えて合計100部とし、缶容器に充填した。充填後、122℃で30分間、オートクレーブ中で殺菌を行い、比較品1〜4の乳成分含有コーヒーを得た。
なお、得られた乳成分含有コーヒーのpHは6.40程度であった。また、得られたコーヒーについて、製造直後、虐待条件(プログラム恒温機を使用し、5℃にて12時問、65℃にて12時間静置保存)で保存した4週間後に、それぞれ開缶し、製品pH、沈殿の有無、液面の様子(攪拌前と攪拌後)及び風味を観察した。この結果を表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
(評価基準)
1.沈殿の有無
A:沈殿が無く良好な状態 B:底に張り付く膜状の沈殿
C:底にこびり付く泥状の沈殿 D:その他
なお、沈殿の程度は、大量・多い・少量・極少・無で表す。
2.液面状態
▲1▼攪拌前
−:製造直後と変化が無い。
±:フェザリングや油滴が極微量生じている。
+:フェザリングや凝集物が多数生じている。
++:乳成分が固化し、凝集物になっている状態。
▲2▼攪拌後(左右各10回づつ)
−:製造直後と変化が無い。
±:フェザリングが消失し、直径0.5〜1mmの凝集物が20個以下、或いは直径1mm以上の凝集物が10個以下の状態。
+:フェザリングが消失し、直径0.5〜1mmの凝集物が20個以上、或いは直径1mm以下の凝集物が10個以上の状態。
3.風味
○:風味良好
△:若干の風味の変化はあるが、マスキングが可能な程度。
×:風味の変化大きく、コーヒーらしくない。
【0030】
(総合評価)
表2より、各種乳化剤の中でもポリグリセリン脂肪酸エステルを使用することにより、乳成分入りコーヒー飲料の保存後の性状が安定化し、製品の酸化によるpHの低下を抑制し、風味劣化が少ないものが得られることが認められた。
【0031】
【試験例2】
(ポリグリセリン脂肪酸エステルの検討)
試験例1と同様の素材と表3に示す乳化剤を混合し、試験例1と同様の方法で比較品5〜9の乳成分含有コーヒーを得た。なお、得られた乳成分含有コーヒーのpHは6.40程度であった。また、得られたコーヒーについても試験例1と同様に製造直後、虐待条件で保存した4週間後の製品pH、沈殿の有無、液面の様子(攪拌前と攪拌後)及び風味を観察し、試験例1の基準で評価した。この結果を表4に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
(総合評価)
表4の結果から、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、いずれを使用してもほぼ同等の効果が得られるが、長期間保存した場合には、HLB値が13〜16のものを使用することが好ましいことが認められた。
【0035】
【実施例1】
(添加量及び寒天との併用に関する検討)
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB値15)添加量を0.01質量%から0.1質量%に変え、また、寒天(製品名)の添加量を0.001質量%から0.1質量%に変え、それぞれを組み合わせた添加量で以下試験例1と同様の方法で乳成分入りコーヒー飲料、製品1〜16を得た。なお、得られた乳成分含有コーヒーのpHは6.40であった。また、得られたコーヒーについても試験例1と同様に製造直後、虐待条件で保存した4週間後の製品pH、沈殿の有無及び風味を観察し、試験例1の基準で評価した。この結果を表5に示す。
【0036】
【表5】
【0037】
(総合評価)
表5の結果から、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.01質量%以下で配合しても十分な乳化状態の安定化を図ることはできず、寒天を併用しても効果は変わらなかった。また、逆に0.1質量%以上配合すると得られる製品の風味が著しく損なわれる傾向が見られた。
このことから、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、飲料に対して0.01〜0.1質量%配合することが好ましく、この際、0.001〜0.05質量%の寒天を併用することで保存中の製品pHの低下を抑制するとともに乳化状態の安定性に優れた乳成分入りコーヒー飲料が得られることが認められた。
【0038】
【実施例2】
(ポリグリセリン脂肪酸エステルとの併用効果の検討)
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB値15)添加量を0.03質量%と表6に示す乳化安定剤とを併用して、それぞれを組み合わせた添加量で以下試験例1と同様の方法で乳成分入りコーヒー飲料、本発明品と比較品10及び11を得た。なお、得られた乳成分含有コーヒーのpHは6.4程度であった。また、得られたコーヒーについても試験例1と同様に製造直後、虐待条件で保存した4週間後の製品pH、沈殿の有無及び風味を観察し、試験例1の基準で評価した。この結果を表7に示す。
【0039】
【表6】
【0040】
【表7】
【0041】
(総合評価)
表7の結果から、ポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を併用することにより、長期高温保存による製品pHの低下が抑制され、優れた乳化状態の安定性を有する乳成分含有コーヒー飲料が得られるが、寒天以外のものとしてカラギナンを使用した場合には、同様の効果を得ることはできなかった。
【0042】
【実施例3】
紅茶抽出液(Bx1.0)25部、グラニュー糖6部、牛乳25部、抗菌性を持たせるためにショ糖脂肪酸エステルP−1670(三菱化学フーズ株式会社)0.03部、ポリグリセリン脂肪酸エステル0.03部、寒天0.01部を混合し、水を加えて合計100部とし、缶容器に充填した。充填後、122℃で20分間、オートクレーブ中で殺菌を行い、乳成分含有の紅茶を得た。
得られた紅茶飲料は、高温で長期間保存しても乳成分入りコーヒー飲料と同様に優れた乳化状態の安定性を有し、風味良好であった。
【0043】
【発明の効果】
本発明は、乳化剤として使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を併用することにより、高温状態で長期間保存した場合に製品の酸化が抑制され、乳化状態を長期間安定に維持できる風味良好な乳成分含有飲料を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳成分を含有する飲料(以下、「乳成分含有飲料」という)に関する。具体的には、高温状態で長期間保存した場合であっても乳成分の沈殿や分離等の品質劣化や製品の酸化に伴う風味劣化を生じることのない品質安定性に優れた良好な風味を有する乳成分含有飲料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
乳成分含有飲料とは、牛乳、生クリーム、全粉乳、脱脂粉乳等の乳成分をコーヒー、紅茶、ココア等の飲料に混合して得られるものであり、近年、缶や紙或いはPET容器等に入れた形態で数多くの商品が販売され、その需要も拡大している。通常、これらの飲料は最終製品の形態に違いがあるものの、製造の工程で必ず加熱殺菌処理を行って製造されるため、添加した乳成分が熱を加えられて変性し、沈殿や分離などの品質の劣化を生じやすいことが知られている。
【0003】
一般に、乳成分含有飲料では、乳成分由来の乳蛋白質や乳脂肪が飲料中の他の成分と乳化された状態(以下、乳化状態という。)で存在しているため、製造時の加熱殺菌等によって熱が加えられると乳成分が変性し、その乳化状態が破壊され、沈殿や分離等が生じる。また、これら以外にもリング現象(乳脂肪を含んだ乳成分が浮上する現象)やオイルオフ(乳脂肪が凝集し油滴となって浮上する現象)等によって品質の劣化を生じる。このような品質の劣化は、特に、冬期にホットベンダー等を用いて高温状態で保存される乳成分含有飲料に顕著に見られるため、その改善方法が望まれている。
【0004】
そこで、これまで数多くの検討がなされており、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤を単独或いは併用して使用し、飲料中の乳化状態を安定化させる方法(特許文献1乃至特許文献6)或いは、上記乳化剤とカラギーナン等の安定剤を併用して使用する方法(特許文献7)等の数多くの技術が報告されている。これらの方法は、いずれも乳成分含有飲料中での乳化状態を安定化させる効果に優れているため有用である。
【0005】
また、従来から使用されている乳化剤には、飲料中の乳化状態を安定化させ、乳成分に起因する飲料の品質劣化を改善するだけではなく、製品製造時の加熱殺菌処理で死滅できなかった高温耐性芽胞菌が保存中に発芽・増殖することによって生じる製品の変敗を抑制する効果や製品製造時の攪拌などによって生じる泡の発生を抑制する効果を有する。さらには、開缶時の内容物の吹き溢れを防止する効果があること等が報告されており、いずれも乳成分含有飲料の製造に有用な技術として知られている。
【0006】
【特許文献1】特開平2−261366号公報
【0007】
【特許文献2】特許第1961623号公報
【0008】
【特許文献3】特許第3040019号公報
【0009】
【特許文献4】特許第2538496号公報
【0010】
【特許文献5】特開平11−9200号公報
【0011】
【特許文献6】特開平11−75683号公報
【0012】
【特許文献7】特開平3−266939号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、種々の乳化剤の乳化状態を安定化する効果は、製品のpHに影響を受けやすく、製品のpHが変動するような状況ではその効果は十分でない。特に、高温状態で長期間保存された製品では、酸化されてpHが低下することが知られているため、乳化剤を添加した乳成分含有製品であっても、十分な乳化状態の安定化効果が得られるとはいえなかった。そのため、十分な乳化状態の安定化を図るために、製品のpHを中性領域に調整したり、製品の酸化を防止する目的でビタミンCや茶抽出物を添加する方法等が行われているが、いずれの方法も飲料の種類によっては風味を損なう場合があり、必ずしも好ましい方法とはいえなかった。
【0014】
このように、品質劣化が改善された乳成分を含有する飲料を得るためには、飲料中における乳化状態を安定化させる効果に優れた乳化剤を選択して配合するだけでは不十分であって、高温状態で長期保存した場合に製品が酸化されることで生じるpHの低下を抑制することが必要である。即ち、本発明は、高温で長期間保存した場合であっても製品の酸化が抑制され、乳化状態の安定性に優れた風味良好な乳成分含有飲料及びその製造方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意研究を行った結果、乳成分含有飲料に乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を併用することにより、高温状態で長期間保存した場合であっても製品が酸化されることを抑制し長期間乳化状態を安定化させ、風味良好な乳成分含有飲料を製造できることを見出し、本発明に至った。また、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を含有する乳成分含有飲料であって、ポリグリセリン脂肪酸エステルがHLB13〜16であることを特徴とする。
【0016】
更に、上記手段において、寒天は、ゼリー強度が1.5%寒天濃度で100g/cm2以下の範囲に調整された低強度寒天であることを特徴とする。
更に、上記いずれかの手段において、0.01〜0.1質量%のポリグリセリン脂肪酸エステルと0.001〜0.05質量%の寒天を含有することを特徴とする。
更に、上記いずれかの手段において、乳成分含有飲料が、コーヒー、紅茶、ココア等の中性域における嗜好性飲料であることを特徴とする。
更に、乳成分含有飲料の製造方法は、該製造工程において、ポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を配合することを特徴とする。
そして、かかる特徴を有する乳成分含有飲料及びその製造方法によって得られた乳成分含有飲料は、高温状態で長期間保存された場合であっても、製品の酸化が抑制されることで優れた乳化状態の安定性を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
(乳成分含有飲料)
本発明における乳成分含有飲料とは、牛乳、生クリーム、全粉乳、脱脂粉乳等の乳成分を加えた飲料であれば特に限定されず、例えば、コーヒー、紅茶、ココア等を例示することができる。また、これらの乳成分含有飲料に添加される乳成分の量は、特に限定されるものではないが、飲料の全体量に対し乳固形分として0.1〜3.0質量%添加されていればよく、特に、0.3〜1.7質量%添加されているものであれば、風味もよく、且つポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を含有させることにより高温状態で長期間保存しても、乳化安定性に優れた乳成分含有飲料を得ることができるため好ましい。
【0018】
(ポリグリセリン脂肪酸エステル)
本発明において使用するポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、市販されているHLB13〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルであれば、いずれを使用してもよい。本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量は、飲料に対して、0.01〜0.1質量%であり、特に、0.02〜0.05質量%程度添加すれば、高温状態で長期間保存した場合であっても製品の酸化が抑制され、乳化状態の安定化効果に優れているため好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量が、0.05質量%以上であるとポリグリセリン脂肪酸エステルが有する薬品臭が飲料に付与されるため好ましくなく、逆に添加量が0.02質量%よりも少ないと、高温状態で長期間保存した場合に製品の酸化が十分に抑制できず、優れた乳化状態の安定化効果が得られないため好ましくない。
【0019】
(寒天)
また、寒天には、寒天分子の長さや、ゲル強度、融点、凝固点などにより分類され様々な種類があるが、本発明において使用される寒天には、飲料の安定化に顕著な効果を有し、飲料の風味を損なうことのないものであればいずれを使用しても良く、寒天成分の分子が短く切断されてゼリー強度が1.5%寒天濃度で100g/cm2以下の範囲に調整された低強度寒天を使用することが好ましい。特に、1.5質量%寒天濃度で30g/cm2以下を用いるとポリグリセリン脂肪酸エステルと併用した場合に優れた乳化安定性が得られるため好ましい。
【0020】
具体的なものとしては、ウルトラ寒天BX−30(伊奈食品工業株式会社)等を挙げることができる。本発明における寒天の添加量は、飲料に対して、0.001〜0.05質量%であり、特に、飲料の安定性を長期間維持する効果を十分に得るために0.001〜0.01質量%程度添加することが好ましい。
寒天の添加量が、0.05質量%以上であるとコールド飲用時の冷却により飲料自体がゲル化するため風味嗜好上好ましくなく、逆に添加量が0.001質量%よりも少ないとポリグリセリン脂肪酸エステルと併用しても高温状態で長期間保存した時、乳化状態を安定に長期間維持された風味良好な乳成分含有飲料を得ることができないため好ましくない。
【0021】
(作用・効果)
本発明のように、乳成分含有飲料を高温状態で長期間保存した場合であっても製品の酸化を抑制し、乳化状態を長期に渡って安定に維持するためには、ポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天とを必ず併用することが必要であって、どちらか一方を添加しただけでは十分な効果が得られないため好ましくない。
例えば、乳固形分として1.0質量%の乳成分を含有するコーヒー飲料を製造する場合であれば、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.02〜0.03質量%、寒天を0.005〜0.01質量%添加すると高温状態で長期間保存しても製品の酸化が抑制され、乳化状態を長期に渡って安定に維持された風味良好なミルク入りコーヒー飲料を得ることができる。
【0022】
これまで、乳成分を含有する飲料中における安定な乳化状態を維持するために各種の乳化剤や安定剤を添加する方法が報告されているが、乳化剤や安定剤を使用することにより高温状態で保存した製品の酸化を抑制し、乳化状態の安定化を図れることは見出されておらず、特に、ポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を配合した場合に高温状態で保存されても製品の酸化に伴うpHの低下が抑制され、乳化状態を長期に渡って安定に維持された風味良好な乳成分含有飲料が得られることを見出したのは本発明が初めてである。
【0023】
(製造方法)
本発明の乳成分含有飲料は、一般の飲料の製造において、各飲料に、上記した特定の品質を有するポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を所定の割合で配合することにより製造することができる。即ち、本発明の乳成分含有飲料の製造方法は、ポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を添加する以外は通常の飲料の製造方法がそのまま適用できる。
例えば、通常、飲料では、コーヒー、紅茶等の抽出物に牛乳、生クリーム、全粉乳、脱脂粉乳等の乳成分を混合し、乳化剤、香料、色素、糖質、pH調整剤等を混合し、密封容器に充填して加熱殺菌することにより製造されるが、本発明においても当該方法が適用される。
【0024】
また、本発明の乳成分含有飲料には、各種糖質や本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤、及び寒天以外の増粘安定剤、甘味料、蛋白素材等の通常各種飲料に使用されるものであれば、必要に応じて添加することができる。具体的には、ショ糖、異性化糖、グルコース、フルクトース、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース等の糖類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール類、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン酸脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、クェン酸モノグリセライド等の乳化剤、カルボキシメチルセルロース、アルギシ酸プロピレングリコールエステル、カラギーナン、キサンタンガム、ペクチン、タマリンドガム等の増粘安定剤、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、その他全乳蛋白等の蛋白素材などが挙げられる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
【試験例1】
(乳化剤検討)
コーヒー抽出液(Bx3.0)40部、グラニュー糖6部、牛乳10部、炭酸水素ナトリウム0.13部、抗菌性を持たせるためにショ糖脂肪酸エステルP−1670(三菱化学フーズ株式会社)0.03部、蛋白索材としてのカゼインナトリム0.06部、並びに表1に示す乳化剤とを混合し、水を加えて合計100部とし、缶容器に充填した。充填後、122℃で30分間、オートクレーブ中で殺菌を行い、比較品1〜4の乳成分含有コーヒーを得た。
なお、得られた乳成分含有コーヒーのpHは6.40程度であった。また、得られたコーヒーについて、製造直後、虐待条件(プログラム恒温機を使用し、5℃にて12時問、65℃にて12時間静置保存)で保存した4週間後に、それぞれ開缶し、製品pH、沈殿の有無、液面の様子(攪拌前と攪拌後)及び風味を観察した。この結果を表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
(評価基準)
1.沈殿の有無
A:沈殿が無く良好な状態 B:底に張り付く膜状の沈殿
C:底にこびり付く泥状の沈殿 D:その他
なお、沈殿の程度は、大量・多い・少量・極少・無で表す。
2.液面状態
▲1▼攪拌前
−:製造直後と変化が無い。
±:フェザリングや油滴が極微量生じている。
+:フェザリングや凝集物が多数生じている。
++:乳成分が固化し、凝集物になっている状態。
▲2▼攪拌後(左右各10回づつ)
−:製造直後と変化が無い。
±:フェザリングが消失し、直径0.5〜1mmの凝集物が20個以下、或いは直径1mm以上の凝集物が10個以下の状態。
+:フェザリングが消失し、直径0.5〜1mmの凝集物が20個以上、或いは直径1mm以下の凝集物が10個以上の状態。
3.風味
○:風味良好
△:若干の風味の変化はあるが、マスキングが可能な程度。
×:風味の変化大きく、コーヒーらしくない。
【0030】
(総合評価)
表2より、各種乳化剤の中でもポリグリセリン脂肪酸エステルを使用することにより、乳成分入りコーヒー飲料の保存後の性状が安定化し、製品の酸化によるpHの低下を抑制し、風味劣化が少ないものが得られることが認められた。
【0031】
【試験例2】
(ポリグリセリン脂肪酸エステルの検討)
試験例1と同様の素材と表3に示す乳化剤を混合し、試験例1と同様の方法で比較品5〜9の乳成分含有コーヒーを得た。なお、得られた乳成分含有コーヒーのpHは6.40程度であった。また、得られたコーヒーについても試験例1と同様に製造直後、虐待条件で保存した4週間後の製品pH、沈殿の有無、液面の様子(攪拌前と攪拌後)及び風味を観察し、試験例1の基準で評価した。この結果を表4に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
(総合評価)
表4の結果から、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、いずれを使用してもほぼ同等の効果が得られるが、長期間保存した場合には、HLB値が13〜16のものを使用することが好ましいことが認められた。
【0035】
【実施例1】
(添加量及び寒天との併用に関する検討)
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB値15)添加量を0.01質量%から0.1質量%に変え、また、寒天(製品名)の添加量を0.001質量%から0.1質量%に変え、それぞれを組み合わせた添加量で以下試験例1と同様の方法で乳成分入りコーヒー飲料、製品1〜16を得た。なお、得られた乳成分含有コーヒーのpHは6.40であった。また、得られたコーヒーについても試験例1と同様に製造直後、虐待条件で保存した4週間後の製品pH、沈殿の有無及び風味を観察し、試験例1の基準で評価した。この結果を表5に示す。
【0036】
【表5】
【0037】
(総合評価)
表5の結果から、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.01質量%以下で配合しても十分な乳化状態の安定化を図ることはできず、寒天を併用しても効果は変わらなかった。また、逆に0.1質量%以上配合すると得られる製品の風味が著しく損なわれる傾向が見られた。
このことから、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、飲料に対して0.01〜0.1質量%配合することが好ましく、この際、0.001〜0.05質量%の寒天を併用することで保存中の製品pHの低下を抑制するとともに乳化状態の安定性に優れた乳成分入りコーヒー飲料が得られることが認められた。
【0038】
【実施例2】
(ポリグリセリン脂肪酸エステルとの併用効果の検討)
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB値15)添加量を0.03質量%と表6に示す乳化安定剤とを併用して、それぞれを組み合わせた添加量で以下試験例1と同様の方法で乳成分入りコーヒー飲料、本発明品と比較品10及び11を得た。なお、得られた乳成分含有コーヒーのpHは6.4程度であった。また、得られたコーヒーについても試験例1と同様に製造直後、虐待条件で保存した4週間後の製品pH、沈殿の有無及び風味を観察し、試験例1の基準で評価した。この結果を表7に示す。
【0039】
【表6】
【0040】
【表7】
【0041】
(総合評価)
表7の結果から、ポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を併用することにより、長期高温保存による製品pHの低下が抑制され、優れた乳化状態の安定性を有する乳成分含有コーヒー飲料が得られるが、寒天以外のものとしてカラギナンを使用した場合には、同様の効果を得ることはできなかった。
【0042】
【実施例3】
紅茶抽出液(Bx1.0)25部、グラニュー糖6部、牛乳25部、抗菌性を持たせるためにショ糖脂肪酸エステルP−1670(三菱化学フーズ株式会社)0.03部、ポリグリセリン脂肪酸エステル0.03部、寒天0.01部を混合し、水を加えて合計100部とし、缶容器に充填した。充填後、122℃で20分間、オートクレーブ中で殺菌を行い、乳成分含有の紅茶を得た。
得られた紅茶飲料は、高温で長期間保存しても乳成分入りコーヒー飲料と同様に優れた乳化状態の安定性を有し、風味良好であった。
【0043】
【発明の効果】
本発明は、乳化剤として使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を併用することにより、高温状態で長期間保存した場合に製品の酸化が抑制され、乳化状態を長期間安定に維持できる風味良好な乳成分含有飲料を得ることができる。
Claims (6)
- ポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を含有することを特徴とする乳成分含有飲料。
- ポリグリセリン脂肪酸エステルがHLB13〜16であることを特徴とする請求項1記載の乳成分含有飲料。
- 寒天は、ゼリー強度1.5%寒天濃度で100g/cm2以下の範囲に調整された低強度寒天であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の乳成分含有飲料。
- 0.01〜0.1質量%のポリグリセリン脂肪酸エステルと0.001〜0.05質量%の寒天を含有することを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかの乳成分含有飲料。
- 乳成分含有飲料が、コーヒー、紅茶、ココア等の中性域における嗜好性飲料であることを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれかの乳成分含有飲料。
- 乳成分含有飲料の製造工程において、ポリグリセリン脂肪酸エステルと寒天を配合させることを特徴とする乳成分含有飲料の製造方法。
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- 2003-06-12 JP JP2003167543A patent/JP2005000085A/ja active Pending
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