JP2004538347A - 生分解性ポリマー組成物、及びその使用方法 - Google Patents

生分解性ポリマー組成物、及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、生分解性ポリマー、そのポリマーから製造される組成物、任意でマイクロスフィア及びナノスフィア形状の組成物並びにそのポリマー及び組成物を使用する方法を提供する。本発明のポリマー組成物は、治療薬を含有してもよく、患者への投与の後に被包された薬剤が徐放性投与されても良い。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性ポリマー、そのポリマーから製造される組成物、詳細にはマイクロスフィア及びナノスフィア形状の組成物並びにそのポリマー及び組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生物工学において革新が起こり、多くの効き目のある新規な蛋白質、ペプチド及びDNAベースの薬が製造されている。しかし、効率よく便利で効果的なこれらの治療薬の投与手段がやはり求められている。
人類は、数世紀にわたり医薬用、娯楽用及びその他の目的で薬剤を吸引してきた。今日、喫煙者、薬物常用者及び喘息患者にとって、吸引された薬物は急速に効果を表し、必要な薬品量を最小化し、かつ非侵襲性であることが知られている。実際、エアロゾル化された薬の吸入法は、肺中の局部的疾患病状の治療の確立した手段となっており、予期せぬ喘息の発作の治療として即効性の吸入用β2−作用薬を使用する米国の数百万の人々も使用している。更に近年、肺はペプチド及び蛋白質を含む治療用分子の体循環への非侵襲性の投与用には理想的な部位となりえることが示されてきた。インシュリン、カルシトニン、インターフェロン、副甲状腺ホルモン、及びロイプロリドが、吸入後の全身作用に関する臨床研究における蛋白質として挙げられる。肺は、胃腸管に比べて、その非常に広い吸収用表面積(〜100−140m2)、高度に透過性の上皮により好ましい薬投与経路であり、経口投与に伴う低いpH及び高いプロテアーゼレベル(濃度)に比べ、蛋白質薬に対して好ましい環境である。更に、肺疾患用の薬投与は、初回の肝臓代謝を回避でき、一般的に注射よりもより患者に好まれる。
【0003】
このような利点があるにも拘らず、治療薬の肺への投与は、幾つかの解剖学上及び生理学上の課題に直面している。薬は肺中に付着するために、形状および環境が患者により異なる複雑な肺構造を通過する必要がある。一旦導入されると、「粘液線毛輸送(mucociliary escalator)」を含む自発的な浄化作用が、気道上部から微粒子を排出するために働き、一方、胞状のマクロファージが急速に(しばしば数分以内に)下肺部に到達した1〜5μmの微粒子を取り込む。更なる薬の消耗が、吸入器装置中で非効率なエアロゾル化により発生し、口中、咽喉及び気道上部では最適状態には及ばないエアロゾルの性質又は不適当なエアロゾル活性化及び呼吸の組み合わせにより発生する。従って、エアロゾル設計は、投与効率を最大化し、新規な肺疾患の治療の実用性を制限する再生不能を排除するためにきわめて重要である。
【0004】
肺疾患用薬投与法は、従来2つの方法のいずれかが注目されてきた。(i)液体エアロゾル液滴中の薬剤懸濁液及び/又は溶液、及び(ii)乾燥薬剤微粒子と一般的に糖類から構成される乾燥キャリア微粒子との混合物。これらの方法は、薬を素早く血流又は局部組織へ放出でき、喘息からインフルエンザに対する鎮痛まで様々な治療用に研究されてきた。しかし、すぐ効く鎮痛治療として効果的であるにも拘わらず、従来法では徐放性の薬剤放出が達成できなかったため、吸入薬の範囲が限られていた。
放出調整ポリマー系システムの使用は、局部及び全身両方において、吸入薬の持続性及び有効性を改善することを約束するアプローチである。マイクロメーター及びナノメーターサイズのポリマー系システムが、蛋白質及び遺伝子を含む薬を正確な量で放出するために、注入後に長時間にわたり局部組織又は体循環へ使用されている。生分解性ミクロ粒子が、好ましい投与キャリア(vehicle)として提示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、優れたミクロ粒子エアロゾル投与システムを構成するためには多くの問題が解決される必要があった。これらの問題として、吸入されたエアロゾルの肺の非吸収性領域における大きな損失、及び肺のマクロファージによる食細胞活動の結果のミクロ粒子の除去がある。静脈から注入されたミクロ粒子への食細胞活動を減少させる機構が、熱心に研究されてきた。成功した方法の一つは、ミクロ粒子表面をポリ(エチレングリコール)(PEG)で被覆することであった。同様に、近年大きく(5−20μm)、低密度(<0.1g/cc)な乾燥粉状エアロゾルが、効率よく肺下部まで噴霧されることが明らかになった。大きな微粒子サイズは、劇的に食細胞による微粒子除去率を減少させ、それら微粒子を肺下部に残存させ、長時間薬を放出することを可能とする。
このような利点があるにも拘らず、薬吸入治療法は、肺の吸収可能部分(肺下部又は胞状領域)への微粒子付着効率が低いためと、エアロゾル形状の薬剤作用の持続時間が短いために限度があった。結局、現在流通している多くの医薬用エアロゾルでは、目的とする臨床効果を得るために1日3〜4回の吸入が必要である。
【0006】
初期のポリマー系エアロゾルシステムに関する研究は、適切に設計された大型多孔性微粒子(LPP)も、ラットの血液へ生物活性インシュリンを放出して、ブドウ糖レベルを96時間制御できることを示した。従来のインシュリンの肺を経由する血液への最も長期の徐放性投与は、リポソームをラットの肺中へ気管内点滴して使用してもたったの6時間であった。その後のポリマー系エアロゾルシステムの報告例も限られていた。例えば、結核治療用のリファンピシンを含有するポリ(乳酸−グリコール酸)(PLGA)の吸入用マイクロスフィアがモルモットモデルで研究された。DNAと複合されたポリエチレンイミン(PEI)及びポリ−L−リシン(PLL)等のカチオン性ポリマーも、一過性の遺伝子発現を達成する方法として、やはり気道内で試験された。このような利点があるにも拘らず、一過性遺伝子発現も又、治療用効果を保つには頻繁な投与が必要である。従って、肺の様々な領域を対象とすることの出来る適切に設計された新規なポリマー系エアロゾルは、体循環への薬投与が必要な、喘息又は嚢胞性線維症等の肺の症状、及び肺の疾患の両方の長期にわたる非侵襲性の治療に有益である必要がある。
【0007】
ポリマー系肺疾患用薬投与の従来の研究の多くでは、それが容易に入手可能であり、人体中で安全であることが長い歴史で確認されてきたPLGAを使用する。しかし、PLGAは、肺中での薬のキャリアとしては多くの限界を有する。第一に、小型のPLGAマイクロスフィアは、数週間から数ヶ月の間に生分解するが、一般的により短期間で薬を放出してしまう。このような様式は、投与の反復によって肺中にポリマーが蓄積されてしまい好ましくない。第二に、PLGAマイクロスフィアのバルク生分解では酸性コアが発生し、ペプチド及び蛋白質等のpHに影響されやすい薬を破壊する。ポリ無水物等の表面が腐食分解されるポリマーは、微粒子からの溶解性フラグメントの分散離脱割合が増加することにより酸性物質が蓄積される効果を弱める。第三に、PLGAマイクロスフィアは、疎水性表面を有し、(微粒子がファン・デル・ワールス力により凝集するため)微粒子の下肺部への飛翔が最適状態には及ばない。更に、疎水性表面は急速なオプソニン作用(蛋白質吸着)を引き起こし、胞状食細胞による急速な除去が行われてしまう。このように、肺疾患用医薬品の投与へも他の経路からの徐放性投与へも有用である新たなポリマーマトリックスが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は生体適合性及び任意で生分解性ポリマー等のポリマー、そのポリマーを使用する治療法、及びその製造方法及び使用方法に関する。
又、本発明のポリマーは生体適合性および/または生分解性である。ポリマーは、下記に詳細に記載するようにポリマーを形成するよう配置されたモノマー性ユニットを含有する。本発明のポリマー中、ある種のモノマー性ユニットの化学構造は、得られるポリマー組成物の投与(放出)特性、又は取り扱い性等を含む望ましい種々の物理的又は化学的性質を達成することができる。
更に、本発明のポリマーは1以上の生物活性薬を被包してもよい。本発明のポリマーは、ポリマーの物理的及び/又は化学的性質を変化させる1以上の他の材料と結合されても良く、性質として例えば、生成ポリマー組成物からの結合していた生物活性薬投与(放出)特性等が挙げられる。これら材料の例として、生体適合性可塑剤、投与(放出)剤、充填剤等が挙げられる。
【0009】
本発明は本発明の組成物を製造する多くの方法を提供する。更に、本発明は本発明のポリマーの製造、及び毒素を実質的に含まない医薬組成物等でありポリマーを含有する組成物を対象とする。
更に、本発明の組成物はマイクロスフィアの形状でもよい。又、本発明の組成物はナノスフィアの形状でもよい。更に、マイクロスフィア又はナノスフィアはエマルジョン中に形成される。更に、本発明の組成物は、凍結乾燥、又は噴霧乾燥等の他の適切な乾燥技術を施され、及び次に、例えば適切な粉吸入装置又は注入装置により粉状で吸入又は注入されて、直接使用されるか、使用前に再水和されて注入される。
更に、本発明は予防用又は治療用の処置のため本発明のポリマー組成物を使用する方法を目的とする。本発明の組成物は、ヒト等の動物の疾患又は症状の予防又は治療に使用されてもよい。又、治療薬を徐放的に投与する本発明の組成物の使用は、これら治療薬の他の投与が可能であるような異なる治療処方を可能とする。
【0010】
更に、本発明の組成物を使用する治療の効果は、治療用及び/又は生物活性薬が本発明のポリマーで被包されていない公知の治療処方、例えば薬剤が(本発明とは)異なるポリマーに結合されるか、実質的にポリマー非存在下で注入されるような治療処方に比べて優れている。本発明の組成物中に被包される薬剤として、造影剤及び診断用薬(陽性造影剤(radioopaque agent)、標識抗体、標識核酸プローブ、着色剤又は蛍光色素等の色素等)並びに補助剤(放射線増感剤、トランスフェクション強化薬剤(クロロキン及びその類似体等)、化学走性薬剤及び化学走性促進物質、細胞接着及び/又は細胞流動性(cell mobility)を調節するペプチド、細胞浸透剤、多剤耐性阻害剤及び/又は流出ポンプ等)が挙げられる。
更に、本発明のポリマーは、患者の疾患又は他の治療可能な症状の治療等の多くの使用のための薬剤の製造に使用できる。更に、本発明は医薬的に適用可能なキャリア中の本発明のポリマー及び組成物の製造方法を目的とする。
【0011】
更に、本発明は本発明の組成物を含む一式及び任意でそれらの使用方法をも目的とする。これら一式の使用方法として、例えば治療への適用が挙げられる。上記一式に含まれる本発明の組成物は、凍結乾燥され及び/又は噴霧乾燥されてもよく、使用前に再水和が必要でもよい。
本発明の例示並びにそれらの態様及び性質は、本発明の特許請求の範囲、明細書及び図面により明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
1.概略
本発明は、治療用及び生物活性薬の投与に適した生分解性ポリ(エーテル無水物)の一群を提供するものであり、その投与としては、注射又は吸入用マイクロスフィア及びナノスフィア等の非常に多種の経路を通して投与される徐放性投与が挙げられる。ポリマーは、セバシン酸(SA)、1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン(CPP)、及び種々の分子量のポリ(エチレングリコール)(PEG)のブロック等の、臨床的に定評のあるモノマーを使用して製造できる。それらの組成物を制御することにより、これら新規なポリマーから調製される薬が担持された微粒子の性質を最適化できる。例えば、表面の性質は、エアロゾル化効率を改良するため調整でき;下肺部での食細胞による微粒子排除は、ポリマー主鎖中にPEGを存在させることにより阻止でき;連続的薬投与速度が全持続時間(数週間の期間)にわたり制御されて達成できる。これらの性質は、広い範囲の薬の投与への非常に大きな可能性を提供する。
【0013】
従って、本発明は、例えば患者の疾患又は他の症状の予防又は治療用等の生物活性及び/又は治療薬の投与用医薬組成物等を含有するポリマー及び組成物に関する。例えば、生分解性、生体適合性ポリマーは、被包された治療薬の徐放性投与を可能とするために使用できる。本発明の組成物中に被包されてもよい薬剤として、造影剤及び診断用薬(陽性造影剤、標識抗体、標識核酸プローブ、着色剤又は蛍光色素等の色素等)並びに補助剤(放射線増感剤、トランスフェクション強化薬剤(クロロキン及びその類似体等)、化学走性薬剤及び化学走性促進物質、細胞接着及び/又は細胞流動性を調節するペプチド、細胞浸透剤、多剤耐性阻害剤及び/又は流出ポンプ等)が挙げられる。本発明は又、上記組成物の注入法に関するものであり、注入法としては、治療の一部としての、吸入又は、皮下、筋肉若しくは静脈内への注射等が挙げられる。
更に、本発明の医薬組成物は、例えば血液、髄液、リンパ液等の体液と接触するような生物学的状態において、(生理食塩水からの放出に比べて)徐々に又は長期間の間被包された薬が放出される。このようなシステムは、長期にわたって(例えば、8〜800時間、好ましくは24〜480時間以上の間)、薬の有効量(例えば、0.0001mg/kg/時間〜10mg/kg/時間)を投与できる。この投与薬の構成は、治療される対象、苦痛の激しさ、担当医師の判断等に必ず対応されるべきである。
【0014】
2.定義
便宜上、本発明の更なる記載の前に、明細書、実施例、特許請求の範囲に記載された特定の用語をここに記載する。本明細書等においては、それらの定義のとおり当業者により読まれ、理解されるべきである。
「アクセス装置」は、当分野の用語であり、解剖学的領域へのアクセスをしてそれを保持するために使用される医薬用装置をいう。これらの装置は、医薬及び外科分野において当業者によく知られている。アクセス装置として、針、カテーテル、カニューレ、トロカール、チューブ、シャント、ドレーン;又は耳鏡、鼻咽腔鏡、気管支鏡等の内視鏡;頭部及び頸部で使用される他の内視鏡;その他の目的とする解剖学的領域中に導入され保持されるのに適した医薬用装置が挙げられる。
【0015】
「生体適合性ポリマー」及び「生体適合性(biocompatibility)」は、ポリマーに関して使用される場合当分野に認知されている。例えば、生体適合性ポリマーは、ホスト(例えば、動物又はヒト)に毒性を示さないか、(ポリマーが生分解する場合には)ホスト中で毒性を示す濃度のモノマー性又はオリゴマー性サブユニット又は他の副成物を生成する速度では生分解しないポリマーが挙げられる。本発明では通常、生分解とはポリマーが生体内で非毒性効果のないことで知られているモノマー性サブユニット等へ分解されることをいう。上記生分解で生成する中間体オリゴマー生成物は異なる毒性プロフィールを有しても良く、又生分解は、ポリマーのモノマー性サブユニット以外の分子を生成するような酸化又は他の生化学的反応をも含むものである。
従って、患者へのインプラント又は注射等の生体内使用のための生分解性ポリマーの毒性判断は、1以上の毒性分析を行なって決定される。生体適合性と見なされるために本発明の組成物は生体適合性ポリマーの純度が100%である必要はない。従って、本発明の組成物は、生体適合性ポリマーを99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%又はそれ未満含有するものでもよく、例えば、ポリマー、他の材料及び下記記載の賦形剤を含有する組成物もやはり生体適合性を有する。
【0016】
ポリマー又は他の材料が生体適合性であるかを決定するために、毒性分析を行なうことが必要である。これらの効力検定(assay)は当分野で公知である。上記効力検定として、例えばGT3TKB腫瘍細胞等の生がん細胞に対して下記のように行なわれる方法が挙げられる。サンプルを1MNaOH中37℃で完全な生分解が観察されるまで分解処理を行なう。次に溶液を1MHClで中和する。種々の濃度の生分解したサンプル生成物溶液約200μLを96−well組織培養プレート中に設置し、ヒト胃ガン細胞(GT3TKB)を104/well密度でシードする。生分解されたサンプル生成物をGT3TKB細胞で48時間培養する。効力検定の結果は、組織培養well中の生分解サンプル濃度に対する相対成長率%でプロットされる。更に、本発明のポリマー及び配合構成物はラットに皮下インプラントする等公知の生体内試験により、皮下インプラントされた部位での非常に大きなレベルの刺激又は炎症を引き起こさないことが確実かどうかを評価される。
【0017】
「生分解性(biodegradable)」は当分野の用語であり、本明細書で記載されているような使用中に分解することを予定されているポリマー、組成物及び配合構成物が含まれる。生分解性ポリマーは、一般的に使用中に生分解する点で非生分解性ポリマーとは異なる。上記使用は生体内での治療法等の生体内使用を含み、又生体外使用をも含む。一般に、生分解性に寄与する分解として、生分解性ポリマーのその成分サブユニットへの分解、又は生化学的プロセスによるポリマーのより小さな非ポリマー系サブユニットへの消化が挙げられる。生分解には二つの異なる種類が、一般的に知られている。1の生分解の種類としてポリマー主鎖の結合の解裂(共有又はその他のいずれか)が挙げられる。一般的にこの生分解ではモノマー及びオリゴマーが生じ、又この生分解はポリマーの1以上のサブユニットに結合している1の結合の解裂により発生することもある。反対に、もう一方の種類の生分解では、側鎖への内部結合又は側鎖をポリマー主鎖と結びつける結合の解裂(共有又はその他のいずれか)を含む。例えば、側鎖としてポリマー主鎖に結合されている治療薬又は他の化学的成分が、生分解により放出される。本発明では、上位種類のいずれか又は両方の生分解がポリマーの使用中に発生してもよい。
【0018】
本明細書で使用される「生分解」は、一般的に両方の種類の生分解をもたらす。ポリマーの分解率のは、分解の原因となる結合の化学的性質、分子量、結晶性、生物学的安定性、及びポリマーの架橋度、インプラントの物理的性質(形状及びサイズ等)、並びに投与の方法及び部位等の、種々の要素である程度定まることが多い。例えば、分子量が大きいほど、結晶度が高いほど、及び/又は生物学的安定性が大きいほど、通常生分解性ポリマーの生分解は遅くなる。「生分解性」は「生物被侵食性(bioerodible)」である材料及びプロセスをも同様に表す。
【0019】
生分解性ポリマーが治療薬又は他の材料を組み合わせて有する場合、そのポリマーの生分解率は、その材料の放出速度により特徴付けられる。このような環境で、生分解率は、ポリマーの化学的性質及び物理的性質だけではなく、そこに結合している材料の性質によっても定まる。
本発明のポリマー系配合構成物は、目的とする適用で適切な期間中に生分解する。生体内での治療では、上記生分解は、pH6〜8、温度25〜37℃での生理(食塩)水への暴露では普通、約5年、1年、6か月、3か月、1か月、15日、5日、3日、又は1日未満の期間で起こる。更に、本発明のポリマーは、目的とする適用に応じて約1時間から数週間の期間で分解することができる。
【0020】
「薬投与装置」は当分野で使用される言葉であり、対象とする器官又は解剖学的領域への薬又は治療薬の適用に適した医薬用装置ならどのようなものも含む。この言葉は、限定するものではないが、本発明の組成物の配合構成物であり、解剖学的領域の周囲の組織への治療薬の投与をするものも含む。更にこの言葉には、たとえ装置それ自体が本発明の組成物を含有するように設計されていないとしても、対象とする器官又は解剖学的領域への本発明の組成物の輸送又は点滴の達成ができる装置をも含む。
又、針又はカテーテル等、即ちそれを通して組成物が解剖学的領域又は血管、若しくは解剖学的領域にある他の構造へ挿入される装置は、薬投与装置である。更に、本発明の組成物を含有するか、本発明の組成物がその表面に被覆されているステント、シャント又はカテーテルも薬投与装置である。
【0021】
治療薬又は他の材料に関して使用される場合の「徐放性投与(sustained release)」は当分野の用語であり、長期にわたり物質を放出する本発明の組成物は、物質の全量が一度に生物学的に反応可能な瞬時投与ではなく、徐放性投与性を示す。特に、血液、髄液、リンパ液等の体液と接触する場合、本発明のポリマーマトリックス(本発明又は当業者に公知の方法により調製されたもの)は、治療用及び/又は生物活性薬等の共に組み込まれた材料の持続的又は長期間(瞬時投与に比べ)の放出と同時に、徐々に(加水分解等の)分解を受けることがある。この放出は、組み込まれた治療薬の治療有効量の長期にわたる投与を達成できる。徐放性投与は下記に更に詳細に記載されるように変えられる。
【0022】
「投与(放出)剤」は当分野で使用される言葉であり、治療薬又は他の材料の細胞内投与を促進する分子が挙げられる。投与剤の例として、ステロール(コレステロール等)及び脂質(カチオン性脂質、virosome又はリポソーム等)が挙げられる。「マイクロスフィア」は当分野の用語であり、本発明の組成物等の生体適合性ポリマー等から形成され、約1から約1000ミクロンまでのサイズを有する実質的に球状のコロイド状構造が挙げられる。一般に「マイクロカプセル」も当分野で使用される言葉であるが、マイクロカプセルは一般的にポリマー組成物等の特定種類の物質に被覆されているためマイクロスフィアとは区別されるものを表す。「ミクロ粒子」は当分野の用語であり、マイクロスフィア及びマイクロカプセルを含み、更に3方向の平均大きさが約1000ミクロン未満の上記2つのカテゴリーのいずれかに属するか容易に分類できないものも含む。直径が約1ミクロン未満の構造の場合は、当分野で対応する用語「ナノスフィア」「ナノカプセル」及び「ナノ微粒子」も使用できる。例えば、ナノスフィア、ナノカプセル及びナノ微粒子は、平均径が約500、200、100、50又は10nmのサイズである。
【0023】
マイクロスフィアを含む組成物として、微粒子サイズの粒子が挙げられる。例えば、微粒子サイズ分布が体積直径中央値の標準偏差が約20%未満で均一であるものや、約10%以内の体積直径中央値(の標準偏差)で更に均一であるものが挙げられる。
「非経口投与」及び「非経口的注入」は、当分野の用語であり、腸内投与及び注射等の局所投与以外にも、限定するものではないが静脈内、筋肉内、胸膜腔内、血管内、心膜内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、歯内、腹腔内、気管間(内)、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内及び胸骨内への注射並びに注入が挙げられる。
【0024】
「治療」は当分野の用語であり疾患、障害及び/又は症状に罹患する可能性があるがまだ罹患したとは診断されていない動物において発生する疾患、障害又は症状を予防すること;その進行を抑制するなどして疾患、障害又は症状を阻害すること;及び例えば、疾患、障害及び/又は症状を緩解するなどで疾患、障害又は症状を緩和することを含む。疾患又は症状の治療として、薬剤が痛みの原因を治療しないけれども鎮痛薬の投与により対象の痛みに対処するような、基本的な病理生理学では効果が上げられなくても、特定の疾患又は症状の少なくとも1の症候を改善することも挙げられる。
【0025】
「流体」は当分野の用語であり、気体又は液体中におけるように、その中で原子又は分子が自由に互いに移動できるような物質の非固体状態を言う。適用に制限がない場合、流体材料は切除された部位又は皮膚弁下に残された死腔の表面等を被覆するように流入して、用意された空間の形状となることができる。流体材料は、一定の空間部分へ挿入され又は注入されてもよく、次により広い部分又は全域に流入してもよい。これら材料は、「流動性を有する」。「流動性を有する(もの)」は当分野の用語であり、部位へ噴霧され;23−ゲージ針等に適合する手動で操作されるシリンジで注入され;又はカテーテルを経由して投与される;ことのできる液体組成物が挙げられる。同様に「流動性を有する」ものには、室温で高度に粘調な「ゲル状」材料も挙げられ、その材料は、注入、管からの圧搾又は高度に粘調な材料を針又はカテーテル等の投与システムを通して推進するのに充分な注射圧力を供給できる市販の注射装置のいずれかで注入されて目的とする部位に投与されることができる。使用されたポリマー自体が流動性を有する場合、それを含有する組成物は、体腔中にそれを分散させるための生体適合性溶媒を含む必要はない。更に流動性を有するポリマーは、材料固有の流動性に起因する投与システムを目的とする組織表面への適用のために使用して体腔へ投与されることもできる。流動性を有する場合、本発明のポリマーを含有する組成物は、注入して注入後に内部器官又は組織を被覆し又は被包するための一時的な生体力学的バリアを形成でき、又は強固なインプラントが可能な装置の皮膜を形成するための使用もできる。流動性を有する本発明の組成物は、長期にわたり体温で、それを含む空間の形状をとることもできる。
【0026】
本明細書では、粘度は、当分野の常識であるように、変形を受けた場合に流体材料により示される流体の内部摩擦又は耐流動性である。ポリマーの粘度は、ポリマーの分子量で調整でき、同様に種々のモノマーサブユニットの割合を変化させることによっても調整できる。特定のポリマーの物理的性質を変えるための他の方法は、当業者に公知の通常の実験手段に過ぎない。本発明の組成物中に使用されるポリマーの分子量は、剛直な固体状態(より高い分子量)が望まれるか、液体状態(低級分子量)が望まれるかに依存して大きく変化させることができる。
【0027】
「医薬的に適用可能な」は当分野の用語であり、例えば、この言葉は、過度の毒性、炎症、アレルギー反応、若しくは他の問題又は合併症なしにヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適した組成物、ポリマー及び他の材料及び/又は、合理的な利益/危険割合である適切な医薬用判断の範囲内の投薬が挙げられる。
【0028】
「医薬的に適用可能なキャリア」は当分野の用語であり、液体又は固体充填剤、希釈剤、溶媒又は被包材料等の、医薬的に適用可能な材料、組成物又はキャリア(vehicle)が挙げられ、それらは、体の1の器官又は部分から、体の他の器官又は部分への本発明の組成物の輸送又は移送に伴われる。それぞれのキャリアは、本発明の組成物中の他の成分と適合する意味で「適合性がある」必要があり、患者に害があってはならない。例えば、医薬的に適用可能なキャリアは、毒素を含有しない。医薬的に適用可能なキャリアとして使用可能な材料として、(1)乳糖、ブドウ糖及びショ糖等の糖類;(2)トウモロコシ澱粉及び馬鈴薯澱粉等の澱粉;(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース等のセルロース及びその誘導体;(4)粉状トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココアバター及び座剤用ワックス;(9)ピーナッツ油、綿実油、ひまわり油、ごま油、オリーブ油、コーン油及び大豆油等のオイル;(10)プロピレングリコール等のグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール等のポリオール;(12)オレイン酸エチル及び乳酸エチル等のカルボン酸エステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝液;(15)アルギン酸;(16)脱毒素水;(17)生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸塩緩衝液;並びに(21)医薬品配合構成物に使用できる他の非毒性の物質が挙げられる。
【0029】
「医薬的に適用可能な塩」は当分野で使用されているもので、比較的毒性のない、組成物の無機酸付加塩及び有機酸付加塩が挙げられ、限定するものではないが、鎮痛薬、治療薬、他の材料等が挙げられる。医薬的に適用可能な塩として、塩酸及び硫酸等の鉱酸の誘導体、並びにエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、等の有機酸の誘導体が挙げられる。塩形成用の好ましい無機性塩基として、アンモニア、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛等の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩が挙げられる。同様に塩は、非毒性のかつこれら塩を形成するために充分に強く適当な有機塩基とで形成できる。これら有機塩基の種類として、メチルアミン、ジメチルアミン、及びトリエチルアミン等のモノ、ジ、及びトリアルキルアミン;モノ、ジ、及びトリエタノールアミン等のモノ、ジ、又はトリヒドロキシアルキルアミン;アルギニン及びリシン等のアミノ酸;グアニジン;N−メチルグルコサミン;N−メチルグルカミン;L−グルタミン;N−メチルピペラジン;モルホリン;エチレンジアミン;N−ベンジルフェネチルアミン;(トリヒドロキシメチル)アミノエタン等が挙げられる。例えば、J.Pharm.Sci.66:1-19(1977)を参照のこと。
【0030】
本発明の方法で治療される「患者」「対象」又は「ホスト」は、ヒト又は、霊長類、哺乳類及び脊椎動物等の非ヒト動物のいずれをも意味する。
「予防用又は治療用」処置は当分野の用語であり、ホストへの1以上の本発明の組成物の投与が挙げられる。それが望ましくない症状(例えば、ホスト動物の疾患又は他の望ましくない病状)の臨床的発現前に適用された場合は、治療は予防用、即ち望ましくない症状の展開に対しホストを保護するものである。一方、それが望ましくない症状の発現後に適用された場合、治療治療用である(即ち、その発現している望ましくない症状又は副作用を減少させ、改善し又は安定化させることを目的とする。)。
【0031】
「予防」は当分野の用語であり、局所再発(疼痛等)、がん等の疾患、心臓麻痺等の複合症候群等の病状、又は他の病状に関して使用されることは当分野で公知であり、組成物を投与されていない対象患体に関する対象患体の病状の症候の発病の頻度を減少させるか遅延させる組成物の投与を含む。このように、がんの予防は、統計的に及び/又は臨床的に非常に大きな量で非治療の対照集団に対する予防用治療を受けた患者集団中の検出可能なガン性増殖の数を減少させ、及び/又は非治療の対照集団に対する治療集団中の検出可能なガン性増殖の発現を遅延させることができる。感染予防は、非治療の対照集団に対する治療集団中の感染の診断数を減少させ、及び/又は非治療の対照集団に対する治療集団中の感染症候の発病を遅延させることができる。疼痛予防は、非治療の対照集団に対する治療集団中の対象患体による体験では、疼痛感覚の強さを減少させるか遅延させることができる。
【0032】
「全身的投与」「全身的な注入」「末梢性投与」及び「末梢で注入された」は当分野の用語であり、本発明の組成物、治療用又は他の材料を治療される疾患から離れた部位で投与することを含む。たとえ薬剤が次に全身へ分散されるとしても、治療される疾患の病巣中へ直接又はその近くへの薬剤投与は、「局所の」又は「局所的」又は「領域的」投与であり、患者の器官系へ入って代謝又は他のプロセスにかけられるような皮下投与等の中枢神経系への直接投与ではない。
【0033】
「治療用的有効量」は当分野で使用される言葉である。この言葉は、本発明のポリマーと共に使用された場合、どのような医薬用治療にも適用できる合理的な利益/危険割合での目的とする効果をある程度の発生させる治療薬の量をいってもよい。又、この言葉は疼痛感覚を解消するかその時間を減少させるために充分な量をもいう。有効量は、治療される疾患又は病状、目的とされ適用される特定の構成体、対象物(被検体)のサイズ、又は疾患又は病状の程度等の要素により決定される。当業者は、通常特に試験をせずに特定の化合物の有効量を経験的に決定できる。
「ED50」は当分野の用語であり、例えば、ED50は、その最大の反応又は効果の50%を得られる投薬量を意味するか、50%の試験対象患体又は調製薬が一定の反応を示す投薬量を意味する。
「LD50」は当分野の用語であり、例えば、LD50は、50%の試験対象患体が致死する投薬量を意味する。「治療係数」は当分野で使用される言葉であり、LD50/ED50で定義される薬の治療係数をいう。
【0034】
「組み込まれる」及び「被包された」は、治療薬又は他の材料並びに本発明の組成物等のポリマー系組成物に関して使用される場合当分野で使用される言葉である。これらの言葉は、これら薬剤を組成物と併用し、配合し又はその他含有することをいい、その組成物は、目的とする適用においてこれら薬を徐放性投与等で放出する。その言葉は治療薬又は他の材料がポリマーマトリックス中へ組み込まれるいずれの方法をも対象とする。例えば:そのポリマーのモノマーへ結合し(共有、イオン性、又は他の相互結合作用により)、物理的に混合し、ポリマーの皮膜内に薬剤を封入し、これらモノマーを重合の一部に使用してポリマー系構成を得たり、ポリマー系マトリックス中に分散し、ポリマー系マトリックスの表面へ付加し(共有、又は他の相互結合作用により)、ポリマー系マトリックス内に被包されたりすることを含む。「共に結合」又は「共被包」としては、治療薬又は他の材料及び少なくとも1の他の治療薬又は他の材料を本発明の組成物中で組み込むことが挙げられる。
【0035】
更に好ましくは、治療薬又は他の材料がポリマー中に被包された物理的形状は、特定の態様により異ってもよい。治療薬又は他の材料は、最初にマイクロスフィア中に被包され、次にマイクロスフィア構造の少なくとも一部が保持されるようにポリマーと結合されてもよい。一方、治療薬又は他の材料はポリマー中に溶解するよりは小さな液滴として分散し、本発明のポリマーと充分に混和しない。被包又は組み込みのどのような形状も本発明の対象となるが、被包された治療薬又は他の材料の、好ましくは徐放性投与による放出は、被包形状がどのような特定の使用で充分に適合性があるかを決定する。
【0036】
「生体適合性可塑剤」は当分野の用語であり、本発明の組成物中に可溶又は分散可能であり、ポリマーマトリックスの柔軟性を増加させ、その使用量で生体適合性がある材料が挙げられる。好ましい可塑剤は当分野で公知であり、米国特許第2784127及び4444933号に記載された内容が挙げられる。特定の可塑剤の例として、クエン酸アセチルトリ−n−ブチル(濃度;20重量%以下)、クエン酸アセチルトリヘキシル(濃度;20重量%以下)、ブチルベンジルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、クエン酸n−ブチリルトリ−n−ヘキシル、ジエチレングリコールジベンゾエート(濃度;20重量%以下)等が挙げられる。
【0037】
「アシル」は、窒素原子からアミド又はカルバメートを形成し、炭素原子からケトンを形成し、硫黄原子からチオエステルを形成し、又は酸素原子からエステル基を形成するようなアシル化に適した基、例えば−C(=O)−成分に結合した炭化水素が挙げられる。好ましいアシル基として、ベンゾイル、アセチル、tert−ブチルアセチル、ピバロイル、及びトリフルオロアセチル基が挙げられる。更に好ましいアシル基はアセチル及びベンゾイル基が挙げられる。最も好ましいアシル基はアセチル基である。
「アシルアミノ」は当分野の用語であり、好ましくは下記一般式で表される成分を表す。
【化1】
Figure 2004538347
但し、R9及びR'11はそれぞれ独立して水素又は、アルキル、へテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、炭素環式脂肪族及びヘテロ環式脂肪族等の炭化水素基を表す。
【0038】
「アミン」及び「アミノ」は当分野の用語であり非置換の及び置換のアミンの両方並びにアンモニウム塩であり、例えば下記一般式で表される成分を表す。
【化2】
Figure 2004538347
但し、R9、R10及びR'10それぞれ独立して水素又は炭化水素基を表し、又はR9及びR10はN原子と結合して共に環構造中に4〜8原子を有するヘテロサイクルを完成させる。好ましくはR9、R10及びR'10のいずれもアシル基ではなく、例えば、R9、R10及びR'10は水素、アルキル、へテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、炭素環式脂肪族及びヘテロ環式脂肪族から選ばれる。「アルキルアミン」は、上記で定義され、少なくとも1の置換又は非置換のアルキルが結合したアミン基を含む。正に荷電した(R'10が存在する等)アミノ基は、「アンモニウム」基という。アンモニウム基ではなくアミノ基中で、アミンは好ましくは塩基性であり、例えば、その共役酸は7を超えるpKaを有する。
【0039】
「アミド(amido及びamide)」は、下記一般式で表される成分等のアミノ置換のカルボニルとして当分野で公知である。
【化3】
Figure 2004538347
但し、R9及びR10は上記と同様である。上記アミドはイミドも含む。
【0040】
「アルキル」は、1〜18炭素原子、好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4炭素原子を有する置換又は非置換炭化水素鎖を表す。アルキル鎖は、直鎖状(例えば、n−ブチル)又は分岐状(例えば、sec−ブチル、イソブチル又はt−ブチル)であってもよい。好ましい分岐状アルキルは、1又は2の分岐、好ましくは1の分岐を有する。アルキルは好ましくは飽和されている。不飽和のアルキルは、1以上の二重結合及び/又は1以上の三重結合を有する。好ましい不飽和のアルキルは、1又は2の二重結合又は1の三重結合、更に好ましくは1の二重結合を有する。アルキル鎖は、非置換又は1〜4置換基で置換されている。アルキルは好ましくは非置換である。好ましい置換アルキルは、モノ、ジ、又はトリ置換である。好ましいアルキル置換基として、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アリール(例えば、フェニル、トリル、アルコキシフェニル、アルキルオキシカルボニルフェニル、ハロフェニル)、ヘテロサイクリル及びヘテロアリール基が挙げられる。
【0041】
「アルケニル」及び「アルキニル」は、上記アルキルの不飽和の脂肪族基である長さにおける類似体および可能な置換基であり、それぞれ少なくとも1の二重又は三重結合を含有するものをいう。特記されない場合、好ましいアルケニル及びアルキニル基は、それぞれ低級アルケニル及び低級アルキニル基をいう。「アルキル」が一覧中に「アルケニル」及び「アルキニル」と共に記載されている場合、「アルキル」は、アルケニル及びアルキニル基以外の飽和アルキル基をいう。
「アルコキシル」及び「アルコキシ」は−O−アルキル基をいう。代表的アルコキシル基として、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert−ブトキシ、等が挙げられる。「エーテル」は酸素と共有結合している2つの炭化水素をいう。従って、炭化水素をエーテルとする炭化水素の置換基としては、アルコキシル、又は−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−O−へテロアルキル、−O−アラルキル、−O−ヘテロアラルキル、−O−炭素環式脂肪族若しくは−O−ヘテロ環式脂肪族基等の他の成分が挙げられる。
【0042】
「アルキルセレノ」又は「セレノアルキル」は、−Se−アルキル基をいう。「セレノエーテル」は、更に広くセレニウム原子により結合された2つの炭化水素基をいう。従って、炭化水素をセレノエーテルとする炭化水素の置換基としてアルキルセレノ又は−Se−アリール、−Se−ヘテロアリール、−Se−へテロアルキル、−Se−アラルキル、−Se−ヘテロアラルキル、−Se−炭素環式脂肪族又は−Seヘテロ環式脂肪族基等の他の成分が挙げられる。
「アルキルチオ」は−S−アルキル基をいう。代表的アルキルチオ基として、メチルチオ、エチルチオ基等が挙げられる。「チオエーテル」は、酸素原子が硫黄により置換されているエーテル等の、2つの炭化水素基に結合した硫黄原子をいう。従って、炭素原子上のチオエーテル置換基は、アルキルチオ又はアリールチオ等の炭化水素置換の硫黄原子置換基をいう。
【0043】
「アラルキル」は、アリール基で置換されているアルキル基をいう。
「アリール環」とは、芳香族炭化水素環システムをいう。芳香族環は、フェニル、ナフチル等の単環式又は融合二環式環系をいう。単式芳香族環は、環中に約5〜約10炭素原子、好ましくは5〜7炭素原子、最も好ましくは5〜6炭素原子を含有する。二環式芳香族環は、環中に8〜12炭素原子、好ましくは9又は10炭素原子を含有する。「アリール」としては同様に、たった1つの環が芳香族、例えば、残りの環は、シクロアルキル、シクロアルケニル又はヘテロサイクリルであるような二環式環系が挙げられる。芳香族環は、非置換又は環上に1〜約5置換基を有していても良い。好ましい芳香族環置換基として、ハロゲン、シアノ、低級アルキル基、へテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、フェノキシ基又はこれらの組み合わせが挙げられる。更に好ましい置換基として、低級アルキル基、シアノ、ハロゲン及びハロアルキル基が挙げられる。
【0044】
「生物的加水分解可能なアミド」は、生理的条件下で開裂する(ヒドロキシル及びカルボン酸を形成する等)アミド成分をいう。生理的条件として、消化管(例えば、胃、腸等)中の酸性及び塩基性環境、酵素による解裂、代謝、及び他の生物学的プロセス、好ましくは哺乳動物等の脊椎動物中の生理的条件が挙げられる。
「生物的加水分解可能なエステル」は、生理的条件下で開裂する(ヒドロキシル及びカルボン酸を形成する等)エステル成分をいう。生理的条件として、消化管(例えば、胃、腸等)中の酸性及び塩基性環境、酵素による解裂、代謝、及び他の生物学的プロセス、好ましくは哺乳動物等の脊椎動物中の生理的条件が挙げられる。
「生物的加水分解可能なイミド」は、生理的条件下で開裂する(ヒドロキシル及びカルボン酸を形成する等)イミド成分をいう。生理的条件として、消化管(例えば、胃、腸等)中の酸性及び塩基性環境、酵素による解裂、代謝、及び他の生物学的プロセス、好ましくは哺乳動物等の脊椎動物中の生理的条件が挙げられる。
【0045】
「炭素環式脂肪族環」は置換又は非置換炭化水素環をいう。炭素環式脂肪族環は芳香族ではない。炭素環式脂肪族環は、単環、又は融合した、らせん状の(spiro)又は架橋された二環式環系である。単環炭素環式脂肪族環は、環中に約4〜約10炭素原子、好ましくは4〜7炭素原子、最も好ましくは5〜6炭素原子を含有する。二環式炭素環式脂肪族環は、環中に8〜12炭素原子、好ましくは9〜10炭素原子を含有する。炭素環式脂肪族環は、非置換又は環上で1〜4置換基に置換されたものでもよい。好ましい炭素環式脂肪族環置換基としてハロゲン、シアノ、アルキル、へテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、フェノキシ基又はこれらの組み合わせが挙げられる。更に好ましい置換基は、ハロゲンおよびハロアルキル基が挙げられる。好ましい炭素環式脂肪族環として、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基も挙げられる。更に好ましい炭素環式脂肪族環として、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル基が挙げられる。
【0046】
「カルボニル」は当分野の用語であり、下記一般式で表される成分が挙げられる。
【化4】
Figure 2004538347
但し、Xは1の結合又は酸素又は硫黄を表し、R11は水素、炭化水素基又は医薬的に適用可能な塩を表し、R'11は水素又は炭化水素基を表す。Xが酸素でR11又はR'11が水素ではない場合、式は「エステル」を表す。Xが酸素で、R11が上記定義されたものである場合、上記成分はカルボキシル基をいい、特にR11が水素の場合、式は「カルボン酸」を表す。Xが酸素でR'11が水素の場合、式は「ホルメート」を表す。一般に上式の酸素原子が硫黄で置換された場合、式は、「チオカルボニル」基を表す。Xが硫黄でR11又はR'11が水素でない場合、式は「チオエステル」を表す。Xが硫黄でR11が水素の場合、式は、「チオカルボン酸」を表す。Xが硫黄でR11が水素の場合、式は「チオホルメート」を表す。一方Xが1の結合でありR11が水素でなく、カルボニルが炭化水素に結合している場合、上式は「ケトン」基を表す。Xが1の結合でありRが水素でカルボニルが炭化水素に結合している場合、上式は「アルデヒド」又は「ホルミル」基を表す。
【0047】
「Ciアルキル」はi員原子を有するアルキル鎖をいう。例えば、C4アルキル基は4炭素員原子を有する。C4アルキル基は、1又は2の二重結合(シス又はトランス)又は1の三重結合で置換されていても又は非置換でもよい。好ましいC4アルキル基は飽和である。好ましい不飽和のC4アルキル基は、1の二重結合を有する。C4アルキル基は、非置換又は1又は2の置換基で置換されてもよい。好ましい置換基として、低級アルキル基、低級へテロアルキル、シアノ、ハロゲン及びハロアルキル基が挙げられる。
【0048】
「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード置換基をいう。好ましいハロゲンは、フルオロ、クロロ及びブロモ;更に好ましくはクロロ及びフルオロである。
「ハロアルキル」は、1以上のハロ置換基で置換された直鎖状、分岐状、又は環状炭化水素をいう。好ましいハロアルキルはC1−C12;更に好ましくはC1−C6;特に好ましくはC1−C3である。好ましいハロ置換基はフルオロ及びクロロである。最も好ましいハロアルキルはトリフルオロメチル基である。
【0049】
「へテロアルキル」は置換又は非置換炭素原子鎖及び少なくとも1のヘテロ原子であるが、2つのヘテロ原子は隣接していない。へテロアルキル鎖は、鎖中に1〜18、好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4員原子(炭素及びヘテロ原子)を含有する。へテロアルキル鎖は直鎖状でも分岐状でもよい。好ましい分岐状へテロアルキルは1又は2の分岐、好ましくは1の分岐を有する。好ましいへテロアルキルは飽和されている。不飽和のへテロアルキルは、1以上の二重結合及び/又は1以上の三重結合を有する。好ましい不飽和のへテロアルキルは1又は2の二重結合又は1の三重結合、更に好ましくは1の二重結合を有する。へテロアルキル鎖は非置換又は置換のその他特定されない1〜約4置換基で置換されていても良い。好ましいへテロアルキルは非置換である。好ましいへテロアルキル置換基として、ハロゲン、アリール(フェニル、トリル、アルコキシフェニル、アルコキシカルボニルフェニル、ハロフェニル基等)、ヘテロサイクリル、ヘテロアリール基が挙げられる。例えば、置換されたアルキル鎖としてへテロアルキル:アルコキシ(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ基等)、アリールオキシ(フェノキシ、クロロフェノキシ、トリロキシ、メトキシフェノキシ、ベンジルオキシ、アルコキシカルボニルフェノキシ、アシロキシフェノキシ基等)、アシロキシ(プロピオニルオキシ、ベンゾイルオキシ、アセトキシ基等)、カルバモイルオキシ、カルボキシ、メルカプト、アルキルチオ、アシルチオ、アリールチオ(フェニルチオ、クロロフェニルチオ、アルキルフェニルチオ、アルコキシフェニルチオ、ベンジルチオ、アルコキシカルボニルフェニルチオ基等)、アミノ(アミノ、モノ−及びジ−C1−C3アルキルアミノ、メチルフェニルアミノ、メチルベンジルアミノ、C1−C3アルキルアミド、カルバマミド、ウレイド、グアニジド基等)基等が挙げられる。
【0050】
「ヘテロ原子」は、ホウ素、リン、ケイ素、窒素、硫黄又は酸素原子、好ましくは窒素、硫黄又は酸素原子等の多価の非炭素原子をいう。1を超えるヘテロ原子を有する基は、異なる種類のヘテロ原子を有していても良い。
「ヘテロアリール環」は環中に炭素及び1〜約4ヘテロ原子を有する芳香族環システムをいう。ヘテロ芳香族環は単環又は融合二環式環系である。単環ヘテロ芳香族環は、環中に約5〜約10、好ましくは5〜7、最も好ましくは5〜6員原子(炭素及びヘテロ原子)を有する。二環式ヘテロ芳香族環は、環中に8〜12員原子、好ましくは9又は10員原子を有する。「ヘテロアリール」は同様一つの環のみが芳香族で、残りの環はシクロアルキル、シクロアルケニル又はヘテロサイクリルでもよい二環式環系を言う。ヘテロ芳香族環は、非置換又は環上で1〜約4置換基で置換されていてもよい。好ましいヘテロ芳香族環置換基として、ハロゲン、シアノ、低級アルキル基、へテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、フェノキシ基又はこれらの組み合わせが挙げられる。好ましいヘテロ芳香族環として、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、ピロリル、プリニル、ピリミジル、ピリジル、及びフラニル基が挙げられる。更に好ましいヘテロ芳香族環としてチエニル、フラニル及びピリジル基が挙げられる。
【0051】
「ヘテロ環式脂肪族環」は、環中に炭素及び1〜約4ヘテロ原子を有する非芳香族の置換又は非置換環であり、環中の2つのヘテロ原子はいずれも隣接しておらず、好ましくは環中の炭素はヘテロ原子に結合しておらず、それに結合しているヒドロキシル、アミノ、又はチオール基を有する。ヘテロ環式脂肪族環は単環又は融合されているか架橋された二環式環系でもよい。単環ヘテロ環式脂肪族環は、環中に約4〜約10員原子(炭素及びヘテロ原子)、好ましくは4〜7、最も好ましくは5〜6員原子を有する。二環式ヘテロ環式脂肪族環は、環中に8〜12員原子、好ましくは9又は10員原子を有する。ヘテロ環式脂肪族環は非置換又は環上で1〜約4置換基で置換されていてもよい。好ましいヘテロ環式脂肪族環置換基としてハロゲン、シアノ、低級アルキル基、へテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、フェノキシ基又はこれらの組み合わせが挙げられる。更に好ましい置換基として、ハロゲン及びハロアルキル基が挙げられる。ヘテロサイクリル基として、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチン(phenoxathin)、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、ヒダントイン、オキサゾリン、イミダゾリネトリン(imidazolinetrione)、トリアゾリノン、キノリン、フラタジン、ナフチリジン、キノクサリン、キナゾリン、キノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アセチジノン及びピロリジノン等のラクタム、サルタム(sultam)、サルトン基等が挙げられる。好ましいヘテロ環式脂肪族環としてピペラジル、モルホリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル及びピペリジル基が挙げられる。ヘテロサイクルは同様にポリサイクルでもよい。
【0052】
「ヒドロキシル」は−OHを表す。
「低級アルキル基」は1〜4、好ましくは1〜3炭素員原子、更に好ましくは1又は2炭素員原子を有するアルキル鎖をいう。低級アルキル基は置換又は非置換でもよい。好ましい低級アルキル基は飽和されている。低級アルキル基は非置換又は1又は約2の置換基で置換されていてもよい。低級アルキル基上の好ましい置換基は、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、アミノ及びヒドロキシル基が挙げられる。本発明の適用において、好ましいアルキル基は低級アルキル基である。好ましい態様として、ここでアルキルとして選ばれた置換基は、低級アルキル基である。同様に「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は、類似の鎖長さを有する。
「低級へテロアルキル」は、1〜4、好ましくは1〜3員原子、更に好ましくは1〜2員原子を有するへテロアルキル鎖をいう。低級へテロアルキルは1又は2の隣接していないヘテロ原子員原子を含有する。好ましい低級へテロアルキルは、1のヘテロ原子員原子を含有する。低級へテロアルキルは置換又は非置換でもよい。好ましい低級へテロアルキルは飽和されている。低級へテロアルキルは非置換でも1又は約2の置換基で置換されていてもよい。低級へテロアルキル上の好ましい置換基として、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル及びヒドロキシル基が挙げられる。
【0053】
「Miへテロアルキル」はi員原子を有するへテロアルキル鎖をいう。例えばM4へテロアルキルは1又は2の隣接していないヘテロ原子員原子を有する。1ヘテロ原子員原子を含有するM4へテロアルキルは、1の二重結合(シス又はトランス)又は1の三重結合で置換されていても非置換でもよい。好ましくは、飽和の2ヘテロ原子員原子を有するM4へテロアルキルである。又、1の二重結合を有する不飽和のM4へテロアルキルも好ましい。M4へテロアルキルは非置換でも1又は2の置換基で置換されていてもよい。好ましい置換基として低級アルキル基、低級へテロアルキル、シアノ、ハロゲン及びハロアルキル基が挙げられる。
【0054】
「員原子」は鎖又は環の一部を構成する鎖又は環系中の多価原子(例えば、C、O、N又はS原子)をいう。例えば、クレゾール中に、6の炭素原子が環の員原子であり、メチル置換基の酸素原子及び炭素原子は環の員原子ではない。
「ニトロ」は−NO2をいう。
【0055】
「医薬的に適用可能な塩」は、酸性(例えば、ヒドロキサム酸又はカルボン酸)基から形成されるカチオン性塩、又は塩基性(例えば、アミノ又はグアニジド)基から形成されるアニオン性塩をいい、これら塩は当分野で公知である。例えば、国際公開WO87/05297号、Johnstonetal.、publishedSeptember11、1987が挙げられ、ここで資料として使用する。これら塩は、当業者に公知の方法で調製される。当業者は溶解性、安定性、配合容易性、費用等を改良するため適当な1の塩を他の塩から選択できる。これら塩の決定及び最適化は、当業者の通常行う実施の範囲内である。好ましいカチオンとしてアルカリ金属(ナトリウム及びカリウム等)及びアルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)並びにトリメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の有機性カチオンが挙げられる。好ましいアニオンとして、ハライド(クロライド等)、硫酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン等が挙げられる。上記塩中で、なかったところへ光学(キラル)中心を与える付加塩は、当然本発明の対象である。例えば、キラルな酒石酸塩は、本発明の化合物から調製できる。この定義は、キラルな塩を含むものである。
【0056】
「フェニル」は、1〜5置換基で置換されていてもいなくてもよい6員の単式芳香族環をいう。置換基は、フェニル環上のオルト、メタ又はパラ位又はこれらの組み合わせの位置に位置しても良い。好ましいフェニル置換基として、ハロゲン、シアノ、低級アルキル基、へテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、フェノキシ基又はこれらの組み合わせが挙げられる。更に好ましいフェニル環上の置換基として、ハロゲンおよびハロアルキル基が挙げられる。最も好ましい置換基はハロゲンである。
「ポリサイクリル」及び「ポリサイクリル基」は、1の環の2以上員原子が第2の環の員原子であるような2以上の環(シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、アリール及び/又はヘテロサイクリル基等)をいう。隣接していない複数の原子を通して結合されている環は「架橋」環であり、隣接している複数の原子を通して結合されている環は「融合環」である。
【0057】
「スルフヒドリル」は−SHをいい、「スルホニル」は−SO2−をいう。
「スルファモイル」は当分野の用語であり、下記一般式で表される成分が挙げられる。
【化5】
Figure 2004538347
但し、R9及びR10は上記と同様である。
【0058】
「スルフェート」は当分野の用語であり、下記一般式で表される成分が挙げられる。
【化6】
Figure 2004538347
但し、R10は上記と同様である。
【0059】
「スルホンアミド」は当分野の用語であり、下記一般式で表される成分が挙げられる。
【化7】
Figure 2004538347
但し、R9及びR'11は上記と同様である。
【0060】
「スルホキシド」及び「スルフィニル」は当分野の用語であり下記一般式で表される成分が挙げられる。
【化8】
Figure 2004538347
但しR9は上記と同様である。
【0061】
小さな有機分子上の「置換部位(substitution)」又は「置換位置(substituent)」は、一般的に水素以外の成分に結合している多価原子の位置、例えば鎖又は環員原子以外の鎖又は環上の位置をいう。これら成分として、ここで定義されたもの及び当分野で公知であるもの、例えばハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アジド、ハロアルキル、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、ケトン又はアシル等)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート又はチオホルメート等)、アルコキシル、ホスホリル、ホスホナート、ホスフィナート、アミン、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、シリル、エーテル、シクロアルキル、ヘテロサイクリル、へテロアルキル、ヘテロアルケニル及びヘテロアルキニル、ヘテロアラルキル、アラルキル、アリール又はヘテロアリールが挙げられる。適切であれば、アリール、ヘテロアリール、ポリサイクリル、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキル、シクロアルキル、ヘテロサイクリル、アルケニル、アルキニル、へテロアルキル、ヘテロアルケニル及びヘテロアルキニル基等のある種の置換基はそれ自身置換されてもよいことは当業者に当然である。本発明は、許容される有機化合物の置換基により限定されるものではない。「置換」又は「で置換された」は、置換が許容された置換原子及び置換基の原子価に従って行なわれ、置換により自発的に転位、環化、脱離、加水分解等の変形を受けない安定な化合物を生じるという前提は当然である。
【0062】
本明細書のそれぞれの表現の定義、例えば、アルキル、m、n等は、構造中で1回以上存在する場合、同一の構造中でどこでも互いに独立して表される。
略語Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts及びMsはそれぞれメチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニル及びメタンスルホニルを表す。更に有機化学者の当業者が使用できる包括的略語リストは、The Journal of Organic Chemistryのそれぞれの巻の最初の発行頁に記載されている;そのリストは一般的に「Standard List of Abbreviations」の題名の表として印刷されている。上記リストに含まれる略語及び、有機化学者の当業者が使用できる全ての略語はここで資料として使用する。
【0063】
「オルト、メタ及びパラはそれぞれ1,2−、1,3−及び1,4−位の二置換のベンゼンに使用される。例えば、1,2−ジメチルベンゼン及びオルトジメチルベンゼンは同義語である。
「保護基」は、目的としない化学的変形から反応可能な官能基を保護する一時的な置換基をいう。これら保護基として、それぞれカルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル並びにアルデヒド及びケトンのアセタール及びケタールが挙げられる。保護基化学分野は、下記のように研究されている(Greene,T. W.; Wuts, P. G. M. "Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd ed." Wiley, New York, 1991 ;及びKocienski, P. J. "Protecting Groups, Georg Thieme Verlag" New York, 1994)。
【0064】
本発明では、化学的元素は、元素の周期律表;CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 67th Ed., 1986-87, inside coverに従い特定された。同様に本発明では「炭化水素」は少なくとも1の炭素−水素結合を有する全ての許容される化合物又は成分を含む。広い範囲で、許容される炭化水素は、環式および非環式、分岐状及び分岐していない、炭素環式及びヘテロ環式、芳香族及び非芳香族有機化合物を含み、置換されていても非置換でもよい。
【0065】
上記化合物と等価の目的物は、一部で化合物に一致して同一の有用な性質を有し、1以上の置換基の1の変形が化合物の有効性に悪影響を及ぼさない化合物を含有する。一般に、本発明の化合物は、例えば下記記載方法又はそれらの変形により、容易に入手可能な出発材料、試薬及び従来の合成操作を使用した一般的な反応体系で表される方法により製造できる。これら反応中、ここで記載されていないが公知の変形を使用することも同様に可能である。
【0066】
3.ポリマー組成物及びそれらの調製方法
本発明は下記式Aのサブユニット及び式B並びに任意で式Cのサブユニットの繰り返し単位を有するポリ無水物ポリマーを提供する。
【化9】
Figure 2004538347
(式中、原子価及び安定性が許す範囲内で、
Mはそれぞれ独立して置換又は非置換のメチレン基を表し、例えば、CH2、CH(Me)、CF2、CH(OH)、C=O等、好ましくはO、C=Oに隣接しているMに対してはCH2であり;
Xは存在しないか、又はそれぞれ独立してNR、O及びSから選ばれた1のヘテロ原子を表し、好ましくはOであり;
Rはそれぞれ独立してH又は低級アルキル基を表し;jはそれぞれ独立して0〜16の整数を表し、好ましくは1〜9;
mはそれぞれ独立して4〜20の整数を表し、好ましくは8〜14、更に好ましくは10であり;
nはそれぞれ独立して4〜500の整数を表し、好ましくは10〜200であり;
pはそれぞれ独立して1〜60の整数を表し、好ましくは4〜40であり;
qはそれぞれ独立して1〜20の整数を表し、好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜6である。)。
【0067】
例えば、m、n及びqはそれぞれ独立して、ポリマー全体で特定値を表してもよい。即ち、m、n及びqは式A、B若しくはCのサブユニット内、又は同一の式中の異なるサブユニット内、ポリマー又はポリマー鎖サンプル内で変わらなくてもよい。
【0068】
ポリマーは、式A、B及びCで表されるサブユニット以外のモノマー性ユニットを含有してもよい。しかし、ポリマーは、好ましくは式A、B及びCの構造を有するサブユニットを必須のものとして構成されてもよい。
本発明のポリマーは、式[K]n-を有してもよい(但しKは、式A若しくはBのサブユニット又は上記記載のように任意のCのサブユニットそれぞれについてを表す)。ポリマー鎖はヒドロキシル基(カルボン酸を形成する。)、アシル基(無水物を形成する。)、アルコキシ基(エステルを形成する。)又他の好ましい保護(capping)基で保護(封止)されていてもよい。
【0069】
式Bのサブユニットの分子量は、200〜1000daltonsであっても、式Bのサブユニットの分子量が4000〜10000daltonsでもよい。又、式Bのサブユニットの分子量がポリマー全体で200daltons〜10000以上daltonsに変化させてもよく、一方、式Bのサブユニットの分子量が狭い範囲内でしか変化しなくてもよい(例えば、200−300daltons、又は2000−3000daltons)。
【0070】
例えば、式Bのサブユニットはポリマーの1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%を構成してもよく、例えば、式Cのサブユニットは、存在する場合、ポリマーの1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%を構成しても良い。例えば、式Aのサブユニットは、ポリマーの10〜99重量%、好ましくは15%〜95重量%を構成してもよい。
【0071】
それぞれのサブユニットは、何回繰り返されても良く、1のサブユニットは、他のサブユニットと実質的に同一の頻度でおこってもよく、より多く又はより少ない頻度で起こっても良く、両方のサブユニットがほとんど同一の量存在しても、異なった量で存在しても良く、異なる場合わずかに異なっても非常に相違してもよく、例えば1のサブユニットが残り(サブユニット)を除外したものとほとんど近く存在してもよい。
例えば、ポリマーは、異なるサブユニット及び/又は他のモノマー性ユニットがランダムにポリマー鎖全体に分散されているランダムコポリマーでもよい。一部は、「ランダム」は、1以上の種類のモノマー性ユニットを有するポリマー中のモノマー性ユニットの特定の分布又は結合が、合成プロトコルにより定められたり直接的に制御されたりした結果ではなく、反応性、サブユニットの量並びに、合成反応又は他の製造、プロセス若しくは処理方法等の他の特徴等のポリマー系システムに依存している状況を表す。
【0072】
例えば、本発明の式のいずれかで表される繰り返し要素を含む本発明の組成物のポリマー系鎖の分子量(Mw)は約2000以下〜約300000、600000又は1000000以上daltons、又は少なくとも約10000、20000、30000、40000、又は50000daltons、更に特に少なくとも約100000daltonsである。数平均分子量(Mn)も同様に幅広く変化するが、一般的に約1000〜約200000daltons、好ましくは約10000〜約100000daltons、更に好ましくは約8000〜約50000daltonsの範囲である。最も好ましくは、Mnは約12000〜45000daltonsで変化する。本発明のポリマーで得られたサンプルの範囲内で、広い範囲の分子量が存在する。例えば、サンプル内の分子の分子量は、2、5、10、20、50、100又はそれ以上の要素で異なるか、2、5、10、20、50、100又はそれ以上の要素で平均分子量とは異なる。
【0073】
分子量測定方法の一つは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(混床式カラム、CH2Cl2溶媒、光散乱検知器、及びoff-line dn/dc)による。その他の方法は当分野で公知である。
更に、ポリマー本発明の組成物は柔軟性又は流動性を有する材料であってもよい。使用されたポリマーがそれ自体流動性を有する場合、粘調であっても、痕跡又は残留量の生体適合性溶媒がまだ存在するかもしれないが、流動性を備えるために生体適合性溶媒を含有する必要はない。
【0074】
本発明において、生分解性ポリマー又は生物活性薬が非毒性である少量の溶媒中に溶解して、無定形の、生物活性薬の柔軟性又は流動性を有する組成物中への一体型分布又は微細な分散を更に効率よく製造することが可能であり、本発明の利点である。本発明の好ましい例では、流動性を有する組成物を製造するために溶媒が必要ない。更に、溶媒の使用は避けられるべきである。一旦溶媒を含有するポリマー組成物が体の全体又は一部におかれた場合、溶媒はポリマーから分散又は拡散し、体で処理されて排除されなければならず、既に疾患(及び/又は病気の他の治療)が悪影響を及ぼしている時には体のクリアランス能力への更なる負荷をかけるからである。
【0075】
しかし、溶媒が混合を促進するか本発明のポリマー組成物の流動性を保持するために使用される場合、それは非毒性であり生体適合性でなければならず、比較的少量で使用されるべきである。毒性のある溶媒は部分的であっても生体中に設置されるどの材料にも使用されるべきではない。同様にこのような溶媒は、投与部位で実質的な組織炎症又は壊死を引き起こしてはならない。
【0076】
溶媒が使用される場合に好ましい生体適合性溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、エタノール、プロピレングリコール、アセトン、メチルアセテート、エチルアセテート、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、オレイン酸又は1−ドデシルアザシクロヘプタノンが挙げられる。好ましい溶媒として、それらの溶媒和能おそれらの生体適合性からN−メチルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド及びアセトンが挙げられる。
例えば、本発明のポリマーは、製造及び処理の容易性のため1以上の通常の有機溶媒に可溶である。通常の有機溶媒として、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、2−ブタノン、ブチルアセテート、エチルブチレート、アセトン、エチルアセテート、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシド等の溶媒が挙げられる。
【0077】
本発明のポリマーは下記記載の式A’、B’、及びC’の化合物の混合物を、通常140〜250℃、好ましくは150〜220℃、更に好ましくは170〜190℃の温度で、通常10分〜8時間、好ましくは10分〜1時間半から2時間、更に好ましくは20分〜40分の時間、加熱して製造できる。当業者に当然のことであるが、反応が低い温度で行われた場合、より高い分子量ポリマーを達成するためにはより長い反応時間が必要である。
【0078】
【化10】
Figure 2004538347
但し、Zは低級アルキル基又は低級へテロアルキル基を表し、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、メトキシ、エトキシ、t−ブトキシ等の低級アルキル基又は低級アルコキシ基を表す。例えば、Zは、CO2と結合してカーボネート、カルバメート、又はエステル成分を形成する。
【0079】
任意で、混合物は例えば、>1Torr、好ましくは>0.1Torrの真空下で加熱されても良い。溶媒が混合物に添加される場合、好ましくは溶媒は反応条件下で反応温度を超える温度、例えば10℃以上、更に好ましくは30℃以上で沸騰する。典型的な溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO)及びスルホランが挙げられる。しかし好ましくは、反応は実質的に無溶媒で行われ、その場合反応混合物は、反応物、生成物、反応の副生成物を必須の構成要素とし、任意で、酢酸カドミウム若しくはランタニドハライド等のルイス酸触媒、又はサマリウムトリイソプロポキシド等のアルコキシドから構成される。
【0080】
4.適用
A.治療用組成物
本発明の生体適合性ポリマー組成物としては、上記式のひとつで示された繰り返しモノマー性ユニットを有する生体適合性及び任意で生分解性のポリマーが挙げられ、又上記若しくは当分野で公知の他の生体適合性及び任意で生分解性のポリマーが挙げられる。
更に鎮痛薬について、本発明の組成物は、ヒト又は動物の体内で局所的又は全身的に作用する生物学的、生理学上又は薬理的に活性な物質である「薬」、「治療薬」「薬剤」又は「生物活性物質」を含有してもよい。本発明の組成物として、上記他の化合物のいずれかも挙げられる。
【0081】
薬剤又は生物活性材料の種々の形状は、ポリマーマトリックスから隣接している組織又は流体へ投与されることが可能なものが使用される。それらは酸性、塩基性又は塩でもよい。それらは水素結合可能な中性分子、極性分子又は分子錯体でもよい。それらはエーテル、エステル、アミド等の形状でも良く、ヒト又は動物の体内へ注入された時に、例えば、エステル又はアミドの解裂により生物学的に活性化されるプロドラッグも挙げられる。鎮痛薬は同様に「生物活性物質」に含まれる。本発明の組成物中の更に追加的な生物活性物質は、組成物の目的により幅広く変化する。「生物活性薬」として、限定するものではないが、薬剤;ビタミン;ミネラル補給剤;疾患又は不健康の治療、予防、診断、療養又は緩和に使用される物質;若しくは体の構造又は機能に影響する物質;又は一定の生理学上環境に設置された後に生物活性となるかそれ以上に活性化するプロドラッグが挙げられる。
【0082】
当分野で公知である可塑剤及び安定剤は、本発明のポリマーと組み合わせられる。例えば、可塑剤及び安定剤等の添加剤はそれらの生体適合性のために選択される。例えば、添加剤は、1,2−ジパルミトイルホスファチジルコリン(dipalmitoylphosphatidycholine)(DPPC)及びL−α−ホスファチジルコリン(PC)等の肺表面活性剤でもよい。
本発明の組成物は更に1以上の充填剤、希釈剤等の補助剤物質を含有してもよい。又、補助剤として働く材料を本発明のポリマーマトリックスと組み合わせても良い。これら追加的材料は得られるポリマーマトリックスの性質に影響を及ぼす。
【0083】
例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)又はマウス血清アルブミン(MSA)等の充填剤は、本発明のポリマーマトリックスと組み合わせても良い。充填剤の量は、ポリマーマトリックス重量の約0.1〜約50%以上、又は約2.5、5、10、25、又は40パーセントであり、これら充填剤との組み合わせは、ポリマー系材料の生分解及び/又は被包された物質の徐放性放出速度に影響する。炭水化物、糖類、でんぷん、サッカリド、セルロース並びにマンニトール(mannitose)及びショ糖等の多糖類等、当業者に公知の充填剤も本発明で使用できる。
【0084】
更に、球形化増進剤は一般的に球形である本発明のポリマー系マトリックスの製造を補助する。ゼイン、微結晶性セルロース又はナトリウムカルボキシメチルセルロースと共処理された微結晶性セルロース等の物質は、本発明の組成物へ可塑性並びにインプラント強度及び(構造的欠陥がない)完全性を付与する。特に球形化の間、剛直であるが可塑性がない押出品はダンベル型インプラントを形成したり、及び/又は微粒子の割合が大きくなり、可塑性があるが剛直でない押出品は凝集して過度に巨大なインプラントを形成しやすい。この場合、剛直性及び可塑性のバランスが求められる。構成中の球形化増進剤の割合は、一般的に10〜90重量%である。
【0085】
本発明の組成物は賦形剤を含有してもよい。特定の賦形剤は、その融点、溶媒中の溶解性(例えば、ポリマー及び/又は治療薬を溶解する溶媒)及び得られるミクロ粒子の性質に基づいて選択される。
賦形剤は本発明の組成物の数パーセント、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、又はより高いパーセントを構成しても良い。
緩衝剤、酸及び塩基を、本発明の組成物と組み合わせてそれらのpHを調整してもよい。ポリマーマトリックスから放出される薬剤の拡散距離を増大させる薬剤も同様に含有できる。
【0086】
崩壊剤は、液体の存在下で本発明の組成物の崩壊を促進する物質である。崩壊剤は最もしばしばインプラント中で使用され、崩壊剤はインプラント内で本発明の構成中に使用される結合材料の効果を妨害し又は中性化する機能を示す。一般に、崩壊機構は水分吸収及び不溶な材料の膨張を含む。
崩壊剤として、croscarmelloseナトリウム及びcrospovidoneが挙げられ、それらは、ポリマー系マトリックス中に合計マトリックス重量の約1−20%の割合で組み合わされてもよい。又、糖類(マンニトール及び乳糖)等の可溶な充填剤も同様にインプラントの崩壊を促進するために添加できる。
【0087】
特定の処理プロトコル用の治療薬の目的とする放出速度を調整する効果を得るため他の材料も使用できる。例えば、徐放性投与が特定の適用には非常に遅い場合、孔形成薬剤を添加してマトリックス中に追加的孔を形成できる。どのような生体適合性水溶性材料も孔形成薬剤として使用出来る。孔及びマイクロ孔水路がシステム(ポリマー系)中に形成され、それらは形成されたポリマー系からの溶解、拡散又は分散を可能とする。組成物中の孔形成薬剤(及び適切であれば、これら孔形成薬剤の分散された微粒子サイズ)の量はポリマー系中の孔のサイズ及び数に影響する。
【0088】
孔形成薬剤として、医薬的に適用可能な有機的又は無機的物質が挙げられ、それらは水及び体液とは実質的に混和性があり、形成中のマトリックス及び形成されたマトリックスから水性溶媒若しくは体液へ分散するか、又は、水と混和しないが水溶性物質へと急速に生分解する物質である。
好ましい孔形成薬剤として、ショ糖及びブドウ糖等の糖類、塩化ナトリウム及び炭酸ナトリウム等の塩、並びにヒドロキシルプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール及びPVP等のポリマーが挙げられる。孔のサイズ及び範囲は、ポリマー系へ組み合わせられる孔形成薬剤の分子量及び割合を変えることにより広い範囲で変化出来る。
【0089】
本発明のポリマー系マトリックスの電荷、親油性又は親水性は、適切な化合物をマトリックス表面へ何らかの方法で結合することにより改質できる。例えば、界面活性剤が貧溶性又は疎水性組成物の濡れ性を強化するために使用できる。好ましい界面活性剤として、デキストラン、ポリソルベート及びナトリウムラウリルスルフェートが挙げられる。一般に、界面活性剤は低濃度で、一般的に約5%未満で使用される。
接合剤はポリマー系配合構成物へ組み合わされて、結合してマトリックスの完全性を保持する粘着性材料である。接合剤は乾燥粉状又は溶液として添加できる。糖類及び天然及び合成ポリマーは接合剤として働くことができる。
接合剤として添加されてもよい材料は、一般的にマトリックス構成の約0.5%−15重量%の範囲で含有される。微結晶性セルロース等のある種の材料も同様に球形化増進剤として使用され、同様に追加的に結合性を有する。
【0090】
種々のコーティングがマトリックスの性質を改質するために使用できる。
コーティングの典型的な3つの種類は、シール、グロス及び腸溶コーティングである。種々の溶解又は生分解性を有する他の種類のコーティングも更に目的とするマトリックス挙動を改良するために使用されることができ、これらコーティングは当業者に公知である。
シールコーティングは、水性ベースの腸溶コーティングの適用中にマトリックスにより過剰の水分が取り込まれることを防止することができる。グロスコーティングは、一般的に最終マトリックスの取り扱い性を改良する。ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性材料は、インプラントのシールコーティング及びグロスコーティングに使用できる。シールコーティング及びグロスコーティングは、一般的に重量が約0.5%〜約5%、しばしばシールコーティング用に約1%、グロスコーティング用に約3%となるまでマトリックス上に噴霧されて達成される。
腸溶コーティングは胃の低いpH(未満3.0)中では不溶であるが、小腸のより高いpH(4.0を超える。)では可溶なポリマーから構成される。商品名EUDRAGIT(RohmTech、Inc.社製、Malden、Mass.)及びAQUATERIC(FMC Corp.社製、Philadelphia、Penn.)等のポリマーが使用でき、薄膜としてインプラント上に水性溶液若しくは懸濁液又は噴霧乾燥法により被膜される。腸溶コーティングは一般的に約1〜約30%、好ましくは約10〜約15%の重量となるまで噴霧され、又、可塑剤、界面活性剤、コーティング中のインプラントの粘着性を減少させる分離剤、及びコーティング透過性調節剤等のコーティング補助剤を含有してもよい。
【0091】
本発明の組成物は更に繊維状強化剤、着色剤、香料、ゴム改質剤、改質剤等の1以上の任意の添加剤を含有してもよい。実際には、これら任意の添加剤それぞれは、得られるポリマー及びその目的とする使用に適合性がなくてはならない。好ましい繊維状強化剤として、PGAマイクロフィブリル、コラーゲンマイクロフィブリル、セルロース性マイクロフィブリル及びオレフィン性マイクロフィブリルが挙げられる。組成物中に使用されるこれら任意の添加剤のそれぞれの量は、目的とする効果を達成するために必要な量である。
【0092】
B.本発明の組成物の物理的構造
本発明のポリマーは多くの種類の形状に形成できる。本発明のポリマーマトリックスはミクロ粒子又はナノ微粒子の形状でもよい。マイクロスフィアは一般的に、生分解性ポリマーマトリックスを薬と組み合わされて含有する。マイクロスフィアは当業者に公知の広い種類の技術により形成できる。マイクロスフィア形成技術として、限定されるものではないが、(a)乳化による相分離及び次に続く有機溶媒蒸発留去(油/水型エマルジョン、水/油型エマルジョン及び水/油/水型エマルジョン等の複合エマルジョン方法を含有する。);(b)コアセルベーション−相分離;(c)溶融分散体;(d)界面付着;(e)生体外重合;(f)噴霧乾燥及び噴霧凝結;(g)流動(カプセル化)(air suspension)コーティング;及び(h)パンコーティング及びスプレーコーティングが挙げられる。これら方法並びに性質及びマイクロスフィアの性質は、例えば米国特許第4652441;5100669;4526938号;並びに国際公開第WO93/24150号;欧州特許EPA0258780A2;米国特許第4438253及び5330768号に記載されており、ここで全ての記載を資料として使用する。
【0093】
本発明のマイクロスフィアを製造するために、数種の方法が目的とする投与キャリア(vehicles)の適用に基づいて採用できる。好ましい方法として、限定されるものではないが、噴霧乾燥、凍結乾燥、空気乾燥、真空乾燥、流動床乾燥、粉砕、共沈殿(析出)及び臨界液体抽出が挙げられる。噴霧乾燥、凍結乾燥、空気乾燥、真空乾燥、流動床乾燥及び臨界液体抽出の場合;成分(安定化ポリオール、生物活性材料、緩衝剤等)は、最初に水性状態中で溶解され又は懸濁される。粉砕の場合、成分は乾燥状態で混合され、当分野で公知の方法で粉砕される。共沈殿(析出)の場合、成分は有機的状態で混合され下記の通り処理される。噴霧乾燥は、安定化ポリオールへ生物活性材料を担持するために使用できる。成分は水性状態で混合され、乾燥室中で精密ノズルを使用して非常に均一な液滴を形成することにより乾燥される。好ましい噴霧乾燥機械として、限定されるものではないが、商品名Buchi、NIRO、APV及びLab-plantスプレードライヤーが製造元の指示書に従って使用できる。
【0094】
ミクロ粒子及びナノ微粒子の形状は、走査型電子顕微鏡により決定できる。球状に形成されたナノ微粒子が例えば血流を通して循環するために使用できる。必要であれば、微粒子は公知技術を使用して特定の適用のために更に有用な他の形状へ加工できる。
更に治療薬の細胞内投与のために、ミクロ粒子又はナノ微粒子等の本発明の組成物の微粒子は、エンドサイトーシスを受けることができて、その結果細胞へのアクセスが出来る。これらエンドサイトーシスプロセスの発生頻度は、微粒子のサイズに影響されやすい。
【0095】
一定の形状を形成し剛直性及び構造的強度をポリマー系マトリックスに付与するために有用な固体製品も使用できる。本発明のポリマーは、インプラント用の金網又は他の編み物上に形成されても良い。ポリマーは同様にステント又はシャントとして形成でき、体組織中の開口領域を維持するため又は1の体腔若しくは体の内腔から他への流体の排出のために適用される。更に、ポリマーは、手術後の部位から流体を除去するのに適したドレーン又はチューブとして形成でき、当分野で公知であるJackson-Prattドレーン等の閉鎖部位排出システムの使用にも適用できる。
ポリマーの機械的性質は、成形され又は圧縮成形されたインプラント用製品のプロセス性に重要である。例えば、ガラス転移温度は幅広く変化してもよいが、圧縮成形、押し出し又は射出成形等の従来の製造技術に対応するためには分解温度よりも充分に低い必要がある。
【0096】
C.生分解性及び放出特性
本発明のポリマー及びそのブレンドは体液に接触して徐々に生分解を受ける。生分解性ポリマーの生体内での寿命は、他の物の中でも、その分子量、結晶性、生物学的安定性及び架橋度に依存する。一般に、分子量が大きく、結晶度が高く、生物学的安定性が大きいほど生分解性は低くなる。
本発明の組成物が治療薬又は他の材料と配合される場合、これら薬剤又は他の材料の投与は、一般的に生理食塩水からの投与に比べ、徐々に又は長期間放出される。これら投与(放出)特性は、ポリマーと組み合わされた薬剤又は他の材料の有効量(例えば、約0.0001mg/kg/時間〜約10mg/kg/時間)の長期にわたる放出(例えば1〜約2000時間、又は約2〜約800時間の間)を示す。
【0097】
多くの種類の要素が、本発明のポリマーの加水分解の目的とする速度、得られた固体マトリックスの目的とする軟性及び柔軟性、生物活性材料の放出速度及び範囲に影響する。これら要素の幾つかとして、種々のサブユニットの選択又は性質、モノマー性サブユニットの光学純度又はジアステレオマー性純度、ポリマー中に観察されるサブユニットの均質性、並びにポリマー長が挙げられる。本発明は、マトリックスの生分解速度を制御するために、結合を変えたヘテロポリマー、及び/又はポリマー中に他のモノマー性要素を含むものも目的とする。
具体的には、広い範囲の生分解率は、ポリマーが目的とする使用のために充分な生分解性を保持しながら、ポリマーの主鎖又は側鎖の疎水性を調整することにより得られる。これらの結果は、ポリマーの種々の官能基を変えることにより達成できる。例えば、疎水性主鎖及び親水性結合の組み合わせは、開裂が助長される一方水の浸透が阻害されるため不均一な生分解を生じる。
【0098】
本発明のポリマーマトリックス中に担持された治療薬又は他の材料の放出速度を決定するために使用されてもよい、当分野に一般的に受け入れられる1のプロトコルとして、0.1MPBS溶液(pH7.4)中37℃でのマトリックスの生分解の効力検定が当分野で公知である。本発明では「PBSプロトコル」は、ここでこのようなプロトコルを示すのに使用される。
本発明の異なるポリマー系の放出速度は、それらを上記プロトコルで行なることにより比較できる。行なわれる異なるシステムを直接的及び対照的に正確な比較を行なうための同一の様式でポリマー系システムを加工することが必要である。本発明は、本発明のポリマー系マトリックスの数種の異なる配合手段を提供する。これらの比較は、本発明のポリマー系システムは、他のポリマー系システムよりも約2以下〜約1000以上倍早い速度で組み合わせた材料を放出できることを示す。一方、比較は、約3、5、7、10、25、50、100、250、500又は750倍の速度の相違を明らかにする。本発明及び放出速度プロトコルは、より大きな速度の相違をも目的とする。
【0099】
ある種の方法で配合された場合、本発明のポリマー系の放出速度は、一相又は二相として存在できる。
しばしばマイクロスフィアとして提供されるポリマーマトリックス中へ組み合わされた材料の放出は、初期には組み合わされた材料を約5〜約50%以上、又は約10、15、20、25、30又は40%で放出する大きな放出速度を示し、次により小さな放出速度となる点で特徴を有する。
組み合わされた材料の放出速度は、同様に一日当りポリマーマトリックス1mg当りその材料が放出された量で表される。放出速度は一日当りポリマー系システム1mg当り組み合わされた材料の約1ng以下から約500以上ng/日/mgまで変化できる。一方、放出速度は約0.05、0.5、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、又は500ng/日/mgでもよい。又、組み合わされた材料の放出速度は、10000ng/日/mg又はそれ以上でもよい。例えば、組み合わされ、放出速度プロトコルにより特徴づけられる材料には、治療薬、充填剤及び他の物質が挙げられる。
【0100】
又、本発明のポリマーマトリックスからの材料の放出速度は、マトリックス中のその材料の寿命の半分でもよい。
更に、生体外用のポリマー系システムの放出速度を生体内プロトコルで決定するプロトコル、生体内の実施例でポリマー系システムの放出速度を決定する、ことも本発明の目的である。本発明のシステムのポリマーからの材料の放出の決定のための有用な他の効力検定は当分野で公知である。
【0101】
D.インプラント及び投与システム
最も単純な形では、治療薬用の生分解性投与システムは、ポリマーマトリックス中のこれら治療薬の分散体から構成される。更に、体の全体又は一部の位置へのインプラント、注射、又はその他に使用される製品として、本発明の組成物を含有する製品が挙げられる。脈管組織へインプラントされ又は注入された場合に組織の炎症を最小化する製品は特に重要である。
生分解性投与システム、及びその製品は、当分野で公知である多くの種類の方法で製造できる。本発明のポリマーは、従来の押し出し又は射出成形技術を使用して溶融処理でき、又、これらは適切な溶媒中に溶解し、装置を形成し、次に蒸発留去又は抽出により溶媒を除去しても調製できる。
一旦システム又はインプラント製品が部位に設置された場合、それは少なくとも部分的に残存し、血液、内部組織分泌液、粘液膜、脳脊髄液等の生物学的流体に接触して、被包された治療薬の徐放性投与を可能とする。
【0102】
5.本発明の組成物の投与量及び配合構成物
多くの場合、本発明のポリマーは、予防用又は治療用治療の一部として、治療用的有効量の組み合わされた治療薬又は他の材料を患者へ投与するのに充分な量で放出される物質と組み合わせてもよい。微粒子中の活性な化合物の目的とする濃度は、吸収、不活性化、及び薬の排出率並びに本発明の組成物からの化合物の放出速度に依存する。当然のことながら、投与量の値も同様に緩和されるべき病状の程度に依存する。又、特定の対象患体には、特定の投与量処方が長期に渡り個々の必要性並びに患者への投与の専門的判断又は組成物の投与の管理に従って調整されるべきである。通常、投薬は技術当業者に公知の技術を用いて決定される。
更に、生物活性物質の量は選択された薬剤の相対的有効性に依存して変化する。更に、特定の治療薬の最適の濃度及び/又は量は治療パラメーターの変化に応じて調整できる。これら治療パラメーターとして、特定のマイクロスフィア調製のポリマー組成物、使用された治療薬の性質、並びに、治療部位、ヒト又は非ヒトや大人又は子供等の患体の種類、及び疾患又は病状の性質等の調製物の臨床的使用方法、が挙げられる。
【0103】
本発明の組成物のための治療薬又は他の被包された材料の必要な濃度及び/又は量は、ラット等の動物での通常のスクリーニングや、適切な効力検定方法を使用して対象とする材料の濃度及び/又は量の範囲のスクリーニングにより容易に特定できる。
公知の方法は同様に局部組織濃度、マイクロスフィアからの分散率並びに本発明の治療用配合構成物の投与の前後に渡る局部の血流の分析をするために使用できる。これらの方法の1つは、マイクロ透析であり、T.E.Robinsonら、1991、MICRODIALYSIS IN THE NEUROSCIENCES、Techniques、volume 7、Chapter 1に記載されている。Robinsonにより研究された方法は、要するに下記の通りである。マイクロ透析ループを試験動物の生体外に出して、透析流体をポンプでループに注入した。本発明のマイクロスフィアをループに隣接して注入した時に、投与薬が透析液中にそれらの局部組織濃度に比例して集められた。活性薬剤の分散の進展は、活性な薬剤の既知の濃度を使用して好ましい検定操作で決定できた。
本発明の投与量は、治療薬又は他の被包された材料の血漿濃度により決定できる。例えば、0から無限大時間までの血漿濃度−時間曲線における最大の血漿濃度(Cmax)及び範囲が使用できる。
【0104】
本発明のポリマーは、それらの目的とする使用に依存して当分野では公知の種々の手段により注入できる。本発明の組成物が経口で注入される場合、それは錠剤、カプセル、粒状、粉状又はシロップ塩の形状に調製できる。一方、本発明の配合構成物は、注射(静脈内、筋肉、又は皮下)、液滴注入調製剤又は座薬として非経口投与できる。眼粘液膜経由で適用する場合、本発明の組成物は、目薬又は眼軟膏の形状に調製できる。これら配合構成物は従来の手段により調製でき、そして必要であれば、本発明の組成物は接合剤、崩壊剤、滑剤、矯味薬、可溶化剤、懸濁助剤、乳化剤又は被覆剤等の従来の添加剤と混合されてもよい。
更に、本発明の組成物は、凍結乾燥又は噴霧乾燥等の他の適切な乾燥技術で処理されても良い。
【0105】
本発明の組成物は一度に注入されても、多くの少量の薬量に分割して、組成物の放出速度及び目的とする投与量にある程度依存して時間の間隔を変えて注入されてもよい。
本発明の方法中有用な配合構成物として、経口、鼻孔、局所(口腔及び舌下を含む。)、直腸、経膣、エアロゾル及び/又は非経口投与に適したものが挙げられる。配合構成物は、ユニット投与量形式で便利に表され、製薬分野で公知の方法により調製できる。本発明の1回の投与を製造するためにキャリア材料と組み合わせられる組成物の量は、治療対象及び特定の投与様式に依存して変化する。
【0106】
これら配合構成物又は組成物の製造方法は、本発明の組成物をキャリア及び任意で1以上の補助的成分と組み合わせるステップを含有する。一般に、配合構成物は、本発明の組成物を液体キャリア又は微細に分割された固体キャリア又は両方と均一に完全に混合し、次に、必要であれば、生成物を形成して製造できる。
配合構成物に適した経口投与は、カプセル形状、カシェ剤、丸薬、錠剤、薬用ドロップ(普通ショ糖及びアラビアゴム又はトラガカントの風味付き)、粉状、粒状;又は水性又は非水性液体中の溶液又は懸濁液:又は油/水型又は水/油型液体エマルジョン;又はエリキシル剤又はシロップ;又はトローチ剤(ゼラチン及びグリセリン、又はショ糖及びアラビアゴム等の不活性な基剤を使用したもの)が挙げられ、それぞれは一定の量の本発明の組成物を活性成分として含有する。本発明の組成物は同様に、瞬時投与、舐剤又はペーストとして注入されてもよい。
【0107】
経口投与(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉状、粒状等)用の固体投与形状として、本発明の組成物は、1以上の医薬的に適用可能なキャリア及び/又は下記のいずれかと混合できる:(1)でんぷん、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、及び/又はケイ酸等の充填剤又は増量剤;(2)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖及び/又はアラビアゴム等の接合剤;(3)グリセロール等の湿潤剤;(4)寒天、カルシウムカーボネート、馬鈴薯又はタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種のケイ酸塩及び炭酸ナトリウム等の崩壊剤;(5)パラフィン等の溶液(浸透)遅延剤;(6)第4級アンモニウム化合物等の吸収促進剤;(7)アセチルアルコール及びグリセロールモノステアレート等の湿潤剤;(8)カオリン及びベントナイトクレイ等の吸収剤;(9)タルク、カルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、固体ポリエチレングリコール、ナトリウムラウリルスルフェート及びそれらの混合物等の滑剤;並びに(10)着色剤。カプセル、錠剤及び丸薬の場合、医薬組成物は同様に緩衝液を含有する。類似の種類の固体組成物は同様に乳糖又は乳糖類及び高分子量のポリエチレングリコール等を使用した軟質又は硬質ゼラチンカプセルの充填剤として使用できる。
【0108】
錠剤は圧縮又は成形により任意で1以上の補助的成分を使用して製造できる。圧縮錠は接合剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性の希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、ナトリウム澱粉グリコレート又は架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤又は分散剤を使用して製造できる。成形錠は、好ましい機械中で、不活性の液体希釈剤で湿らせた本発明の組成物の混合物を成形して製造できる。錠剤、及び糖衣錠、カプセル、丸薬及び粒形状その他の固体投与薬の形状は、任意で刻み目を入れたり、医薬品配合分野で公知の腸溶コーティング及び他のコーティング等のコーティング及びシェルと共に製造することが出来る。
【0109】
経口投与用の液体投与薬の形状として、医薬的に適用可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤が挙げられる。更に液体投与薬形状は、本発明の組成物に加え、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、オイル(特に、綿種、アメリカホドイモ、トウモロコシ、ピーナッツ、ひまわり、大豆、オリーブ、ひまし油、及びごま油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物等の通常に当分野で使用される不活性の希釈剤を含有したものでもよい。
懸濁液も本発明の組成物に加え、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタ水酸化物、ベントナイト、寒天及びトラガカント、並びにそれらの混合物等の懸濁剤薬剤を含有してもよい。
【0110】
直腸又は膣を経由する投与のための配合構成物として、本発明の組成物を、ココアバター、ポリエチレングリコール、座剤用ワックス又はサリチル酸エステル等の室温で固体であるが体温で液体であり、適切な体腔内で溶融し、被包された鎮痛薬を放出する1以上の好ましい非炎症性キャリアを混合して製造できる座剤が挙げられる。
同様に経膣投与に適した配合構成物として適切であることが知られているキャリアを含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、又はスプレー配合構成物が挙げられる。
【0111】
経皮的投与用の投与薬形状として、粉、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、貼付及び吸入剤が挙げられる。本発明の組成物は、無菌状態下で医薬的に適用可能なキャリア及び必要であれば防腐剤、緩衝剤又は充填ガスと混合される。経皮的投与のために、複合体は親油性及び親水性基を含有し、目的とする水溶性及び輸送特性を達成してもよい。
軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、本発明の組成物に加え、動物性及び植物性油脂、オイル、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン樹脂、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、又はそれらの混合物等の他のキャリアを含有してもよい。粉状及びスプレーは、本発明の組成物に加え、乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、カルシウムケイ酸塩及びポリアミド粉状、又はそれら物質の混合物等の賦形剤を含有してもよい。スプレーは更に通常のクロロフルオロ炭化水素並びにブタン及びプロパン等の揮発性非置換の炭化水素等の充填ガスを含有してもよい。
【0112】
本発明の吸入用又はエアロゾル配合構成物が適用されたマイクロスフィアは、補助剤、診断用薬、造影剤又は治療薬等の薬剤を含有してもよく、それらは吸入法治療法に有用であり、選択された充填ガスシステム中に可溶又は実質的に可溶な形状で存在する。
微粒子薬剤の微粒子サイズは、エアロゾル構成物の導入により実質的に全ての薬剤を肺へ吸入することを可能にするものでなくてはならず、従って好ましくは20ミクロン未満、更に好ましくは1〜10ミクロン、特に好ましくは1〜5ミクロンの範囲である。薬剤の微粒子サイズは、例えば粉砕又は微粉化による従来の手段により微細に出来る。
【0113】
最終的なエアロゾル構成は好ましくは構成の合計重量の0.005−10重量%、好ましくは0.005−5重量%、特に0.01−1.0重量%の薬剤を含有する。
好ましくは、必須ではないが、本発明の配合構成物は成層圏のオゾンの分解を起こす成分は含まない。特に配合構成物は好ましくは実質的にCCl3F、CCl22及びCF3CCl3等のクロロフルオロ炭素を含まない。「実質的に含まない」とは、充填ガス系を基準にして好ましくは1重量%未満、更に好ましくは0.5%未満、特に好ましくは0.1%以下である。
【0114】
充填ガスは任意で充填ガスより高い極性及び/又はより高い沸点を有する補助剤を含有してもよい。使用される極性補助剤として、エタノール、イソプロパノール及びプロピレングリコール等の(C2-6等)脂肪族アルコール及びポリオール、好ましくはエタノールが挙げられる。一般にほんの少量の極性補助剤(0.05−3.0重量%等)が分散体の安定性を改良するために必要であり、5重量%の過剰量を使用すれば薬剤は溶解できることが多い。
本発明の配合構成物は好ましくは1重量%未満、更に好ましくは約0.1重量%の極性補助剤を含有してもよい。しかし、本発明の配合構成物は好ましくは実質的に極性補助剤、特にエタノールを含まない。好ましい揮発性補助剤としてプロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン及びイソペンタン飽和炭化水素並びにジメチルエーテル等のアルキルエーテルが挙げられる。一般に、充填ガスの50重量%までの揮発性補助剤、例えば1〜30重量%の揮発性飽和C1−C6炭化水素が含有できる。
【0115】
任意で、本発明のエアロゾル配合構成物は更に1以上の界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は投与吸入法において生理学的適合性がなければならない。このカテゴリー中に含有される界面活性剤として、L−α−ホスファチジルコリン(PC)、1,2−ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、オレイン酸、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、天然レシチン、オレイルポリオキシエチレン(2)エーテル、ステアリルポリオキシエチレン(2)エーテル、ラウリルポリオキシエチレン(4)エーテル、オキシエチレン及びオキシプロピレンのブロックコポリマー、合成レシチン、ジエチレングリコールジオレエート、テトラヒドロフルフリルオレエート、オレイン酸エチル、イソプロピルミリステート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノリシノール酸エステル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール400、セチルピリジニウムクロライド、ベンズアルコニウムクロライド、オリーブ油、グリセリルモノラウレート、コーン油、綿実油及びひまわり種油が挙げられる。好ましい界面活性剤はレシチン、オレイン酸及びソルビタントリオレエートである。
【0116】
必要であれば、界面活性剤は微粒子薬剤上に表面コーティングされた形状のエアロゾル構成と組み合わされてもよい。この場合、実質的な非極性溶媒に対しかなりの溶解性を有する実質的な非イオン性界面活性剤を使用することは、薬剤が限定された又は最小の溶解性を示す非極性溶媒中で界面活性剤の溶液を使用して薬剤微粒子のコーティングを促進するため有利であることが多い。
コーティング微粒子薬剤中で使用される界面活性剤の量は、好ましくは薬剤の0.1〜10重量%更に好ましくは1〜10重量%である。界面活性剤が表面コーティングとして存在する場合、量は好ましくは実質的にsentの単分子コーティングが形成されるように選択される。しかし、本発明の配合構成物は実質的に界面活性剤を含まない、即ち、薬剤の0.0001重量%未満等の界面活性剤の有効安定化量未満しか含有しないことが好ましい。
【0117】
本発明の配合構成物は適切な容器中の選択された充填ガス及び/又は共充填ガス中に、例えば音波粉砕を使用して薬剤を分散して製造できる。好ましくは微粒子薬剤は、共充填ガス中に懸濁され、適当な容器中に充填される。容器のバルブが次に所定の位置にシールされ、充填ガスがバルブを通してかけられた圧力により従来法で注入される。従って活性成分は液体化した充填ガス中に懸濁され又は溶解され、バルブで検量しながら容器中に密閉し、作動装置中へ導入する。このように検量される投薬用吸入器は当分野で公知である。検量用バルブは通常10〜500μL、好ましくは25〜150μLを検量出来る。例えば分散は、マイクロスフィア(乾燥粉状で存在する。)用の乾燥粉状吸入器(例えば、商品名spinhaler)により達成できる。更に、ナノスフィアは、水性流体中で懸濁されて肺中へ微細な液滴となるように噴霧され、エアロゾル化される。
曝露された薬剤が破断(化合物の生分解を引き起こす)することを最小化するため音波噴霧器が使用できる。通常、水性エアロゾルが、ポリマー系材料の水性溶液又は懸濁液を従来の医薬的に適用可能なキャリア及び安定剤と共に配合されて製造される。キャリア及び安定剤は、特定の化合物の要求に従い変化するが、一般的に非イオン性界面活性剤(商品名Tweens、Pluronics、又はポリエチレングリコール)、血清アルブミン等の無害な蛋白質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、グリシン等のアミノ酸、緩衝剤、塩、糖類又は糖アルコール等を含有する。エアロゾルは一般的に等張性溶液から調製される。
【0118】
眼科用配合構成物、眼軟膏、粉、溶液等も又本発明の目的の範囲内である。
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、1以上の目的とする組成物と共に1以上の医薬的に適用可能な無菌等張性の;水性又は非水性溶液;分散体、懸濁液又はエマルジョン;又は使用の直前に無菌の注入用溶液又は分散体中で再構成されてもいい無菌の粉を含有してもよく、それらは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、対象被験者の血液と等張な構成を与える溶質、懸濁化剤又は希釈剤を含有してもよい。
本発明の医薬組成物中に使用できる好ましい水性及び非水性キャリアとして、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、及びそれらの好ましい混合物、オリーブ油等の植物性油並びにオレイン酸エチル等の注入用有機エステルが挙げられる。適切な流体性は;レシチン等のコーティング材料を使用して;分散体の場合は必要な微粒子サイズを維持して;又は界面活性剤を使用しても;保持できる。
【0119】
マイクロスフィア及び/又はナノスフィア組成物は、生理食塩水、リンゲル液、デキストラン溶液、ブドウ糖溶液、ソルビトール溶液、ポリビニルアルコール含有溶液(約l%〜約3%、好ましくは約2%)、又は浸透圧を調整された界面活性剤(商品名Tween80又はTween20等)並びに粘度促進剤(ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース等)含有溶液等の医薬的に適用可能な溶液中で懸濁されてもよい。本発明の組成物は皮下に注入されてもよく、静脈から注入されてもよい。静脈内投与の場合、組成物は好ましくはマイクロスフィア又はナノスフィアの形状を有し、それらは平均で好ましくは約15ミクロン未満、更に好ましくは約10ミクロン未満、特に好ましくは約5ミクロン未満の平均径を有する。
【実施例】
【0120】
本発明は上記のとおり一般的な記載がされたが、更に本発明を容易に理解するため下記実施例を使用して説明する。但し、実施例は本発明を具体的に示すためのみに使用されるべきであり、本発明を限定するものではない。
【0121】
1.材料及び方法
1.1 材料
全ての化学薬品は、特記しない限りSigma-Aldrich(St.Louis、MO)社から購入した。セバシン酸はエタノールから3回再結晶した。無水酢酸は蒸留精製した。トルエン及びクロロホルム(J.T.Baker社製、Phillipsburg、NJ)は水素化カルシウムを使用して還流し、蒸留した。ポリ(エチレングリコール)ビスカルボキシメチルエーテル、Mn=600(PEG600)及びポリエチレングリコール(PEG)Mn=8000はAldrich社から購入し、凍結乾燥で乾燥した。1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン(CPP)はConix(Macromol.Synth.1966、2、95)記載の方法で合成した。酢酸カドミウム、ポリビニルアルコール(88mol%加水分解化、Mw=25kDa、Polysciences Inc.社製、Warrington、PA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ピリジン、1,2−ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、L−α−ホスファチジルコリン(PC)、無水コハク酸及び他の試薬は入手した状態のまま更に精製せずに使用した。
【0122】
1.2 機器
1H NMRスペクトルはCDCl3中でVarian社製 UNITY-400MHz spectrometerを使用して測定した。FT-IRスペクトルはPerkin-Elmer社製 1600 series spectrometer(KBrペレット)を使用して測定した。ポリマーの分子量はクロロホルム中のGPC分析(PU-980 intelligent HPLC pump、1560 intelligent カラム thermoset、RI‐1530 intelligent RI検知器)を使用して、ポリスチレン(JASCO社製GPC)標準で測定した。マイクロスフィアは、その表面形態を走査型電子顕微鏡(SEM)でAMRAY社製1860 FE顕微鏡を使用して評価した。熱分析はSEKIO社製DSC220を使用して、平均サンプル重量5−10mgを加熱速度10℃/分、−100から200℃まで加熱して行なった。
【化11】
Figure 2004538347
【0123】
2.1 プレポリマーの調製
セバシン酸(SA)プレポリマー
SA(10.0g)を100mL無水酢酸中で乾燥窒素下15分間還流し、反応物を室温まで冷却し、ロータリーエバポレータを使用して乾燥した。粗製プレポリマーをドライトルエンから再結晶し、1:1無水エチルエーテル:石油エーテル(Fisher社、Fair Lawn、NJ)で洗浄し、真空乾燥した。
ポリオキシエチレンジカルボン酸
PEG(40.0g)をクロロホルム(300mL)中に溶解した。無水コハク酸(5.0g)及びピリジン(5mL)を添加し、反応混合物を60℃、72時間に保った。溶液を冷却し、ろ過し、商品名rotovapにより乾燥するまで濃縮した。
粗製生成物を30mLの1NHCl中に溶解し、ジエチルエーテルで洗浄し、クロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、最後に溶媒を真空下で乾燥した。
【0124】
ポリ(エチレングリコール)(PEG)プレポリマー
ポリオキシエチレンジカルボン酸(10.0g)(2.1.2により(PEGプレポリマーA)又はポリのケン化により(エチレングリコール)ビスカルボキシメチルエーテル(PEGプレポリマーB)調製した。)を200mL無水酢酸中30分間窒素雰囲気下で還流し、ロータリーエバポレータを使用して乾燥するまで蒸発留去した。残留物を無水エーテルで抽出し、真空下で乾燥した。
CPPプレポリマー
CPP(10.0g)を200mL無水酢酸中で30分間窒素下で還流し、未反応のジカルボン酸をろ過により除去し、溶媒を蒸発留去した。残留物をジメチルホルムアミド(DMF)及びエチルエーテルで再結晶し、次に乾燥エチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥した。
【0125】
2.2 ポリマー合成I
エーテル−無水物コポリマー類をSAプレポリマー及びPEGプレポリマーAの溶融重縮合により合成した。反応は、温度が通常140〜250℃、好ましくは150〜220℃、時間は通常10分〜6時間、好ましくは10分〜2時間で、縮合中に生成する無水酢酸及び酢酸の除去が可能な条件、即ち1Torr未満、好ましくは0.1Torr未満の真空下で行なわれた。反応は、好ましくは温度180℃、30分間、0.04−0.05Torrの真空下で行なわれた。5mol%まで、好ましくは0〜1mol%の酢酸カドミウム等の触媒が添加できる。クロロホルム中のポリマーを石油エーテル中に沈殿させ、真空乾燥した。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(JASCO社製AS1555、Tokyo、Japan)で3カラムシリーズ(Waters社製、Milford、MA;Styragel guardカラム、4.6mmI.D.×30mm;HR3カラム、4.6mmI.D.×300mm;HR4カラム、4.6mmI.D.×300mm)及び標準ポリスチレン(Fluka社製、Milwaukee、WI)を使用して測定した。ポリ(PEG:SA)は下式に表される繰り返しサブユニットを含有していた。
【化12】
Figure 2004538347
但し、サブユニットはポリマー全体中にランダムに分散されていたと思われる。この構造は、図1に示すように1H NMR(CDCl3中Varian社製 UNITY-400MHz spectrophotometer(Palo Alto、CA))及びFT-IR(臭化カリウムペレット、Perkin-Elmer社製1600series spectrophotometer(Wellesley、MA))を使用して確定された。
【0126】
2.3 ポリマー合成II
PEG分子量(PEG600及びPEG8000)の異なるポリ(エーテル−無水物)類をプレポリマーの高真空下での溶融重縮合により合成した。合成したポリマーをクロロホルムから石油エーテル中へ沈殿させ、真空乾燥した。
【0127】
2.4 ポリ(セバシン酸無水物−コ−PEG)ミクロ粒子の調製
ミクロ粒子をダブル(複合)エマルジョンの溶媒−蒸発留去法を使用して調製した。第1水/油型エマルジョンを、ポリマーのメチレンクロライド(+/−ホスファチジルコリン)溶液4mL中の100μL水性溶液(+/−ウシ血清アルブミン)をプローブ音波粉砕(Sonics and Materials Inc.社製、Newtown、CT)して製造した。次に第1エマルジョンは100mLの1%(wt/vol)ポリ(ビニルアルコール)(PVA)溶液中へ投入し、6000rpmで1分間均一化し(Silverson Machines Inc.社製East Longmeadow、MA)、ダブルエマルジョンを形成した。マイクロスフィア(MS)を3時間攪拌して硬化させ、次に遠心分離により回収して脱イオン水で2回洗浄し、10mL水中で再懸濁して凍結乾燥した。
【0128】
2.5 集中複合設計(central composite design)によるミクロ粒子の最適化
ミクロ粒子サイズに対する5つのミクロ粒子の調製パラメーターの効果(第2エマルジョンの均一化速度、メチレンクロライド中のポリマー濃度(油相)、外側水相中のPVA濃度、油相中のホスファチジルコリン濃度、第1エマルジョンの水/油比;表1参照)、密度及び空気動力学的直径は、半反復集中複合設計(half-replicate central composite design)を使用して分析した(Peng PC.、The design and analysis of scientific experiments、Reading、Massachusetts:Addison-Wesley、1967、p.163-171)。CCD実験において一般的に、K入力変数はセンターポイント価を割り当てられ0とされた。又、センターポイントの両側に等距離で存在する高い価と低い値(それぞれ1及び−1とする。)はコーナーポイントと呼ばれた。この設計では、2K実験がコーナーポイントのすべての組み合わせについて実施された。追加的2K実験が、1の変数ではレベル±2k/4であり他の全ての変数ではレベル0であるスターポイントで実施された。残りの実験が、全ての変数がレベル0であるセンターポイントについて行われた。データをそれぞれの実験から得て、2次の関係を全てのK入力変数の間で展開した。統計的有意性(p<0.05)をそれぞれの反応変数(サイズ、密度及び空気動力学的直径)に対する平方偏差(ANOVA)の分析により決定した。
【0129】
【表1】
Figure 2004538347
【0130】
50mLの2.5%PVAが添加された4mLメチレンクロライド中に100mgポリマーを溶解することにより、コポリマーのミクロ粒子を調製した。混合物を8000rpmで3分間均一化し、室温で1時間攪拌して遠心分離し、洗浄して凍結乾燥した。この方法でPSA:PEG9:1及び7:3ポリマーから調製した微粒子は。はわずかに2μmを超える平均粒径を有していた。
25−50mgポリマーを2mLメチレンクロライドに溶解し、5mL0.1−0.3%PVA溶液の存在下で1分間音波処理することにより、ターポリマーのナノ微粒子(サイズ262〜435nm)を適切に調製した。得られた混合物を0.1−0.3%PVA中へ投入し、混合溶液を室温で2時間攪拌してから遠心分離し、洗浄して凍結乾燥した。
【0131】
2.6 ポリマー系ミクロ粒子の特徴
ミクロ粒子の質量平均サイズ分布を商品名Coulter Multisizer IIe(Beckman-Coulter Inc.社製、Fullerton、CA)を使用して決定した。約2mlの商品名isoton II溶液を5−10mgミクロ粒子に添加した。溶液を簡単に攪拌してミクロ粒子を懸濁し、次に100mlのisoton II溶液へ微粒子の一致(coincidence)が8%〜10%となるまで滴下した。100000を超える微粒子が、平均の微粒子サイズ及びサイズ分布を決定するために、ミクロ粒子のバッチごとに分級された。微粒子のかさ密度をタップ密度(Edwards et al.Science1997、276、1868-1871)により決定した。ポリ(PEG:SA)の生分解の測定は、特定の量(−10mg)のミクロ粒子を1.0mLリン酸塩バッファ生理食塩水(0.1M、pH7.4)中に入れ、37℃でロータリー攪拌により培養して行なった。一定の時間間隔で、ミクロ粒子中のポリマーの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した。
【0132】
3.結果及び検討
3.1 PEG−SAの特徴
ポリ(エーテル−無水物)を、高真空下でセバシン酸無水物及びPEGプレポリマーの溶融重縮合により合成した。種々の組成物のコポリマーの性質を1H NMR及びFT-IRにより測定した。PEGのメチレンプロトンの1H NMR(図1A)レゾナンス線は3.65ppmに現れ、PEGがサンプル中に組み込まれたことを示した。2.44、1.65及び1.32ppmの3つのピークはSAのメチレンプロトンに帰属された。GPC(図示しない)データには、ポリマーの分子量に相当する1のピークが現れたが、フリーのPEGの重量に相当するピークは存在しなかった。NMRの結果をGPCデータと組み合わせることでPEG鎖がうまくSAと共重合したことが明らかとなった。ポリマー中のPEGの実際の重量%は、PEGのプロトンのSAのメチレンプロトンに対する面積比から概算された。表2に示されるように、その概算は重合前に添加されたPEGのSAに対する供給比とよく一致した。典型的な無水物のIRダブルピークが〜1813及び〜1742cm-1に現れた(図1B)。ポリ(PEG:SA)の重量平均分子量は、50%PEG供給で12kDaを超え、10%PEG供給でほとんど20kDaであった。本発明の測定の結果、約10kDa以上のポリ無水物の分子量は、薬投与の制御が可能なミクロ粒子を充分に効率良く調製できることを示した。
【0133】
【表2】
Figure 2004538347
【0134】
3.2 PEG−SA−CPPの特徴
PEG8000−SA−CPPを合成し、その構造を1H NMR及びFT-IR(図2)により測定した。無水物の典型的なIRダブルピークが〜1813及び〜1742cm-1に現れた。PEGのメチレンプロトンの典型的な1H NMR(図2)レゾナンス線が3.65ppmに現れ、PEG鎖がSAとうまく共重合したことを示した。2.44、1.65及び1.32ppmの3つのピークはSAのメチルプロトンに帰属された。2.33、4.25、6.95、7.98ppmはCCPのプロトンに帰属された。ポリマー中のPEG、SA及びCPPの実際の重量%は、PEG、SA、CPPの面積比から概算され、重合前に添加された量と表3で比較され、結果は供給比とよく一致した。コポリマー中の実際のSA量は供給量より大きく、コポリマー中のCPP量は供給量より少なかった。SAモノマーはより柔軟性であるため、よりポリマー鎖へ導入されやすい。CPPはより剛直であるため立体的に妨げられ、ポリマー鎖中で移動して反応するための自由末端基と遭遇することはより困難である。
ポリ(エーテル−無水物)の熱分析結果を、同様に表3に示した。PEG−SA中のPEG割合が10%未満である場合、PSAの融点のみが観察された(〜80℃)。PEGが30%まで増大すると、PEG(49.8℃)及びSA(79.9℃)両方の融点が観察された。20%のCPPが30%PEGを含有するポリマー鎖に導入された場合、おそらくCPPがPSAの結晶性を変えるためにPSAの融点は60.3℃まで低下した。CPP量が50%まで増大すると、PEGの融点のみが検出され、PSAの融点は見られなかった。結晶性の損失は、PP及びSAモノマーがポリマー主鎖全体に均一に分散されたことの更なる証拠といえる。
【0135】
【表3】
Figure 2004538347
【0136】
3.3 PEG−SA合成の最適化
ここでは、ポリ(エーテル−無水物)分子量に影響する要素を重量供給割合30:70のPEG:SA(PEG8000−SA30)を使用して検討した。図3はPEG−SA30重量平均分子量の重合時間への依存性を示す。重合温度が増大すると、最大の分子量がより短時間で得られたが(10分で220℃及び90分で150℃)、最大分子量は低下した(図3)。重合が180℃で行われた場合、PEG−SA分子量は30分重合後に最大となった。
溶融重縮合における触媒効果も同様に検討した。酢酸カドミウム(CdAc2)は高分子量ポリ無水物を製造するのに有効であることは以前から公知であった。ここでは、PEG−SA分子量に対するCdAc2の効果を検証した。図4は、CdAc2の存在下でのPEG−SA30分子量の重合時間依存性を示す。最大の分子量は30〜20分で達成された。触媒がより多いとより高いPEG−SA分子量が可能であった。
【0137】
3.3 エアロゾル薬キャリアとしてのポリ(エーテル−無水物)
微粒子はそれらの空気動力学的直径により肺中に付着することが判明しているため、マイクロスフィアサイズ及び密度は、乾燥粉状エアロゾル設計に非常に重要である。微粒子の密度が1g/cm3であると仮定すると、微粒子の空気動力学的直径が球状微粒子の有する飛行中直径とされる。ストークスの法則(Bird RB, et al. Transport phenomena. New York: John Wiley and Sons 1960, p. 59)から導かれる球状微粒子の空気動力学的直径(da)の量的関係は下式の通りである。
【数1】
Figure 2004538347
ここで、d=幾何学的直径、ρ=微粒子質量密度(g/cm3)、及びρa=水質量密度(1g/cm3)である。方程式(1)は、球状微粒子の空気動力学的直径が密度及び直径を1のパラメーターに収束することを示す。初期の重要な研究では、Landahlらにより口、咽喉、及び肺中の堆積及び不活性埋伏は、空気動力学的直径のみに依存することが明らかにされた(Landahl H.Bull Math Biophys 1950,12,43-56)。堆積及び不活性埋伏は、>1um直径の微粒子の肺中への付着の2つの最も重要な機構である。
【0138】
ポリエーテル−無水物マイクロスフィアの特徴は、それらの密度、従って、空気動力学的直径がポリマー主鎖中に組み込まれたPEG量により制御されることを明らかにした。ポリマー主鎖中のPEG量が増大するに従い、ポリエーテル−無水物MS密度は、0.344(0%PEG)から0.055g/cc(50%PEG)まで減少した(図5A)。密度変化に対する説明として、親水性モノマーPEGの添加は、MSにより取り込まれる水を増加させ、従ってMSを膨潤させるためであると考えられる。更に、乾燥で水が除去されるに従って孔が形成され(図6)、密度が減少すると考えられる。PEG部分がより多いと、より多孔性のマイクロスフィアとなり、密度はより低くなる。同様にポリマー主鎖中のPEGの増加は、マイクロスフィア収率を83%(0%PEG)から40%(30%PEG)まで低下させた。低い収率は、ポリマー主鎖中のPEG量の増加に伴う水溶性ポリマー鎖割合の増加のためと思われる。高い親水性PEG割合を有するより短い鎖は、調製中に溶解しマイクロスフィアから拡散する。PEG10/PSA70/CPP20ポリマーから形成されたナノスフィアの透過型電子顕微鏡写真を図7に示す。商品名zeta-sizerで測定されたこれらナノスフィアの平均は262nmであった。
【0139】
PEG含量の増加に伴うMS密度の減少により、MS空気動力学的直径(Da)が3.7(0%PEG)から1.5μm(50%PEG)まで減少し、平均幾何学的直径(図示しない)は大きくなった(〜7lμm)(図5B)。従ってこれら微粒子は、その幾何学的直径が非常に大きなものであっても、肺下部への有効なエアロゾル化のために必須の空気動力学的サイズ範囲(1−3μm)内であった。
ポリ(エーテル無水物)から容易に製造でき、1−3μmの空気動力学的直径を有する巨大な低密度微粒子は、肺胞への付着及び全身投与に非常に有効であった(Edwards DA et al., J Appl Phys 1998,85,379-385)。巨大微粒子の食細胞による除去率は非常に低減され、それらを肺下部に残し薬を長時間放出することを可能とした。更にファン・デル・ワールス力による微粒子凝集は、より大きな微粒子では非常に低減され(Batycky RP et al., J Pharm Sci 1997, 86, 1464-1477)エアロゾル化効率の増大をもたらした。空気動力学的直径>5μmの微粒子は、最初に気道上部又は口、咽喉領域に付着するが、1um未満のものの大部分は呼吸ではき出される(Darquenne C. et al., J App Physiol 1997, 83, 966-974)。この領域−特定付着により、ポリ(エーテル−無水物)微粒子は微粒子空気動力学的直径を設計することにより肺中の様々な領域を対象とできる。例えば、空気動力学的直径約4μmを有する微粒子は、喘息又は嚢胞性線維症等の肺疾患の治療のための気管支投与用治療用キャリアとして使用できる。
【0140】
ポリマー主鎖中のPEG割合も、同様にマイクロスフィア生分解時間及びモデル薬放出反応速度に対して非常に大きな効果を有する。ポリ無水物又はポリ(エーテル−無水物)マイクロスフィアのリン酸塩−バッファ生理食塩水(pH7.4)中の生分解率(図8)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定された。種々の組成物のポリ(エーテル−無水物)ポリマーは、8時間以内でそれらの最初の分子量の20%以内に生分解された。一方、疎水性モノマーの遅い溶解及び分解は薬放出速度を制御した(Fu J et al.,Proc Intern Symp Controlled Rel Bioact Mater 2001,28,393-394; Hanes J et al.,Biomaterials 1998,19,163-172)。薬放出速度を反映する生分解時間は、しばしば疎水性ポリ無水物で達成されるような、反復投与による肺中へのポリマーの堆積問題を回避できる。より高いPEG割合を有するポリマーは、生分解率の増加を示した(図8)。これはPEG−SAポリマーの親水性が増加するため、更に急速に水が取り込まれるためであると考えられる。発明者は、関連する研究においてプラスミドDNAの生体外放出はポリマー中のPEG量を変えることにより1週間まで制御できることを示した。ポリマーが数時間で生分解するにもかかわらずDNAは6日まで絶え間なく放出されたことは興味深い。ポリ(無水物−コ−イミド)マイクロスフィアに関する従来の研究では、生分解生成物(不溶モノマー)の溶解が、被包されたマクロ分子の放出を制御するため提示された。従って、今回の実施例で見られるように、疎水性モノマーを有する早期生分解性ポリマーは被包された薬の徐放性投与を可能とし、その速度はモノマーの溶解速度により制御されることができる。
DNAを含有するマイクロスフィアが調製されそれらの生分解が試験された。10mgMSをマイクロ遠心分離チューブ中の1mL PBS(pH7.4)中に投入し、37℃で商品名benchtop rotator上で振動させながら培養した。一定の時間間隔で、サンプルを遠心分離し、浮遊物を除去して商品名Pico green assay(Molecular Probes社製、Eugene、OR)で分析した。次に1mlの未反応PBSをそれぞれの遠心分離チューブに添加し、サンプルを簡単に攪拌しMSを再懸濁し、再び培養器中に戻した。実施例の結果を図9に示す。
【0141】
3.4 注入用薬キャリア用ポリ(エーテル−無水物)
肺疾患用薬投与に適しているが、約5質量%PEGを有する「ステルス」リポソームが静脈内注射の後、非常に長い循環時間を提供することが示された(Gref R et al.,Science 1994,263,1600-1603)。従って、50質量%程度のPEGを含有するPEG:SAポリマーも同様に静脈内注射の後の長時間循環する「ステルス」微粒子用材料として使用できる可能性が期待された。この場合、PLGAに比べ高い生分解率を有するこれらシステムは、システム細網内皮系により除去される前にそれらの治療用薬搭載量のより高い割合を放出できる。
【0142】
3.4 集中複合設計(central composite design)によるポリマー系エアロゾルのシステム設計
本発明のポリマー系エアロゾル微粒子の重要な物理的性質(ミクロ粒子サイズ、密度及び空気動力学的直径)に対する、種々の微粒子調製変数の効果を調査するため、2つのレベルの要素設計を使用した。多くの分野で有用なこの方法論は、行なわれる実施例の数を最小化し、かつ多くの設計入力間の量的関係を明らかにできる。次にそれらの関係は、最初の設計では明白に試験されなかった結果を得ることのできる予測の道具として使用できる。最適化された被包パラメーターは:有機相中のポリマー濃度、有機相中のホスファチジルコリン濃度、第一エマルジョンの水性薬相のポリマー有機相に対する割合(比)、第二エマルジョンの乳化速度、及び最終的な水相の界面活性剤濃度(図10及び表4参照)である。この方法を使用して、1−30μmの質量平均径及び1−9μmの空気動力学的直径を有するポリマーマイクロスフィアを製造できるプロトコルを作成した。
【0143】
均一化速度及びポリマー濃度はマイクロスフィアサイズに最大の効果を示した(表4)。均一化速度の5000から7000RPMまでの緩やかな増加は、マイクロスフィアサイズの15.8から12.0μmまでの低下を生じ、一方ポリマー濃度の118.75から56.25mg/mlまでの減少はマイクロスフィアサイズの15.5から10.8μmまでの低下を引き起こした(表4)。水性薬相の有機相に対する割合(比)は、比が7から19ml/mlまで増加しても直径は13.0から14.0μmへ増加しただけであり、マイクロスフィア直径に僅かな効果しか与えなかった。最終的な水相中の界面活性剤(PVA)濃度は、ミクロ粒子サイズとの負の相関関係を示した(表4)。ホスファチジルコリン(PC)濃度はマイクロスフィアサイズに特に大きな効果を示さなかった。均一化速度及びポリマー濃度のミクロ粒子サイズに対する効果を示す応答面(example response surface)(図11)は、9〜19ミクロンの微粒子が製造できることを示す(水/有機相容積比が0.13、PVA濃度が2.5%(wt/vol)及びPC濃度が5mg/mlの組み合わせ)。応答面は次に微粒子直径を制御するための予測用テンプレート、エアロゾルを肺の異なる領域へ向けるための重要なパラメーター、として使用できる。
【0144】
【表4】
Figure 2004538347
【0145】
均一化速度、ポリマー濃度、水性薬相の有機相に対する割合(比)、及びPVA濃度は、マイクロスフィア密度に対して大きな効果を示さなかった(表4)。PC濃度が増大するに従い、ミクロ粒子密度は3倍程度減少した(図12)。ポリマー及びPC濃度のミクロ粒子密度に対する効果を示す応答面は、0.15〜0.35g/mlの密度が達成できることを示した(均一化速度が6000rpm、水/有機相比が0.13及びポリマー濃度が87.5mg/mlの組み合わせ)。より低い密度は、全ての被包パラメーターを同時に最適化することにより達成できる。
均一化速度及びポリマー濃度は同様にマイクロスフィアの空気動力学的直径に最大の効果を示した(表4)。均一化速度が増大するか又はポリマー濃度が減少するに従い、空気動力学的直径は減少した。PC又はPVA濃度のいずれかが増加すると、空気動力学的直径が非常に大きく減少した(PC濃度でP<0.001、PVA濃度でP<0.007)。一方、水の有機相に対する割合の増加は空気動力学的直径を増大させた。
【0146】
微粒子を「完全浸漬」(微粒子をバッファ中に沈める)で特性化する従来の方法は、肺表面上の薄い流体膜上に付着するミクロ粒子の水和性、生分解性及び薬放出速度を非常に改良する。更に微粒子が肺の様々な領域で遭遇する条件に近づけるため、生分解実験を、最表面上で粘液又は界面活性剤を分泌する、空気に面している肺の上皮細胞単層を使用して行ない、微粒子の特性の研究で更に生体内で見られる薄い流体膜により近づけてもよい(Fiegel J et al.,Annals of Biomedical Engineering 2001,29, Supplement 1)。
【0147】
資料
本明細書で挙げられた全ての刊行物及び特許公報は、それぞれ個々の刊行物又は公報が別個に資料として使用されていたとしても、それら全体をも本明細書の資料として使用するものである。
均等物
当業者は、本明細書に記載された本発明の態様と均等な多くの均等物を認識し、又は通常の実験を使用して認識することができる。しかしこれら均等物は、本発明の目的の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明のポリマーのスペクトルを示す。(A)はポリ(PEG:SA)10:90(10%PEG)の1H NMRスペクトル;(B)はポリ(PEG:SA)のFT-IRスペクトルである。
【図2】ポリ(PEG:SA:CPP)のNMRスペクトルを示す。
【図3】本発明で得られたポリマーの分子量に対する反応時間の効果を示す。
【図4】本発明の重合反応に対する触媒の効果を示す。
【図5】PEG:SAミクロ粒子における(A)密度及び(B)空気動力学的直径に対するPEG含有量の効果を示す。
【図6】本発明のポリマーから調製されたマイクロスフィアの写真を示す。
【図7】本発明のナノスフィアの写真を示す。
【図8】PBS(pH7.4、37℃)中でのPEG:SAミクロ粒子の生分解プロフィールを示す。
【図9】生分解条件下での本発明のポリマー系マイクロスフィアからのDNAの放出を示す。
【図10】マイクロスフィア調製プロセスの概略図である。
【図11】ミクロ粒子サイズに対するポリマー濃度及び均一化速度の効果を示す。
【図12】ミクロ粒子密度に対するポリマー及びホスファチジルコリン濃度の効果を示す。

Claims (61)

  1. 式A、式B及び式Cそれぞれのサブユニットを2以上含有するポリマー:
    Figure 2004538347
    (式中、原子価及び安定性が許す範囲内で、Mはそれぞれ独立して置換又は非置換のメチレン基を表し;Xは存在しないか、又はそれぞれ独立してNR、O及びSから選ばれた1のヘテロ原子を表し;Rはそれぞれ独立してH又は低級アルキル基を表し;jはそれぞれ独立して0〜16の整数を表し;mはそれぞれ独立して4〜20の整数を表し;nはそれぞれ独立して4〜500の整数を表し;pはそれぞれ独立して1〜60の整数を表し;qはそれぞれ独立して1〜20の整数を表す。)。
  2. Mは全てCH2を表すか、Oに隣接する1のMはCH2又はC=Oである請求項1のポリマー。
  3. 上記ポリマーは式A、B及びCの構造を有するサブユニットを必須のものとして構成された請求項1のポリマー。
  4. 式Aのサブユニットがポリマーの10〜99重量%、式Bのサブユニットがポリマーの1〜80重量%、そして式Cのサブユニットがポリマーの1〜80重量%を構成する請求項1のポリマー。
  5. 式Aのサブユニットがポリマーの15〜95重量%、式Bのサブユニットがポリマーの5〜60重量%、そして式Cのサブユニットがポリマーの5〜60重量%を構成する請求項4のポリマー。
  6. 請求項1のポリマーを含有する医薬組成物。
  7. 上記ポリマーは治療薬、診断用薬、造影剤、又は補助剤を被包する請求項1のポリマー。
  8. 上記ポリマーはマイクロスフィアの形状である請求項7のポリマー。
  9. 上記ポリマーはナノスフィアの形状である請求項8のポリマー。
  10. 上記マイクロスフィアは吸入投与に好適である請求項8のポリマー。
  11. 請求項10のマイクロスフィアを含有する吸入器。
  12. 請求項7のポリマーの患者への投与を含む患者の症状の治療、予防又は診断方法。
  13. 式A及び式Bそれぞれのサブユニットを2以上含有するポリマーを含むマイクロスフィアであり:
    Figure 2004538347
    (式中、原子価及び安定性が許す範囲内で、Mはそれぞれ独立して置換又は非置換のメチレン基を表し;Rはそれぞれ独立してH又は低級アルキル基を表し;jはそれぞれ独立して0〜16の整数を表し;mはそれぞれ独立して4〜20の整数を表し;nはそれぞれ独立して4〜500の整数を表し;pはそれぞれ独立して1〜60の整数を表す。)平均粒径12〜1μmを有するマイクロスフィア。
  14. Mは全てCH2を表すか、Oに隣接する1のMはCH2又はC=Oである請求項13のマイクロスフィア。
  15. 上記ポリマーは式A及びBの構造を有するサブユニットを必須のものとして構成された請求項13のマイクロスフィア。
  16. 式Aのサブユニットがポリマーの10〜99重量%、式Bのサブユニットがポリマーの1〜80重量%を構成する請求項13のマイクロスフィア。
  17. 式Aのサブユニットがポリマーの15〜95重量%、式Bのサブユニットがポリマーの5〜60重量%を構成する請求項16のマイクロスフィア。
  18. 請求項13のマイクロスフィアを含有する医薬組成物。
  19. 上記ポリマーは治療薬、診断用薬、造影剤、又は補助剤を被包する請求項13のマイクロスフィア。
  20. 上記マイクロスフィアは吸入投与に好適である請求項13のマイクロスフィア。
  21. 請求項20のマイクロスフィアを含有する吸入器。
  22. 請求項19のマイクロスフィアの患者への投与を含む患者の症状の治療、予防又は診断方法。
  23. 式A及び式Bのサブユニットを2以上含有するポリマーにより被包された薬剤を含有する組成物であり:
    Figure 2004538347
    (式中、原子価及び安定性が許す範囲内で、Mはそれぞれ独立して置換又は非置換のメチレン基を表し;Rはそれぞれ独立してH又は低級アルキル基を表し;jはそれぞれ独立して0〜16の整数を表し;mはそれぞれ独立して4〜20の整数を表し;nはそれぞれ独立して4〜500の整数を表し;pはそれぞれ独立して1〜60の整数を表す。)、被包された薬剤が生理的条件下で少なくとも二日間放出される組成物。
  24. Mは全てCH2を表すか、Oに隣接する1のMはCH2又はC=Oである請求項23の組成物。
  25. 上記ポリマーは更に式Cのサブユニットを含有する請求項23の組成物であり;
    Figure 2004538347
    (式中、原子価及び安定性が許す範囲内で、Xは存在しないか、又はそれぞれ独立してNR、O及びSから選ばれた1のヘテロ原子を表し;pはそれぞれ独立して1〜60の整数を表し;qはそれぞれ独立して1〜20の整数を表す。)。
  26. 式Aのサブユニットがポリマーの20〜99重量%、式Bのサブユニットがポリマーの1〜80重量%を構成する請求項23の組成物。
  27. 式Aのサブユニットがポリマーの10〜99重量%、式Bのサブユニットがポリマーの1〜80重量%、更に式Cのサブユニットがポリマーの1〜80重量%を構成する請求項25の組成物。
  28. 式Aのサブユニットがポリマーの少なくとも90重量%を構成する請求項26の組成物。
  29. 請求項23の組成物を含有する医薬組成物。
  30. 上記薬剤は治療薬、診断用薬、造影剤、又は補助剤である請求項23の組成物。
  31. 上記組成物はマイクロスフィアの形状である請求項23の組成物。
  32. 上記組成物はナノスフィアの形状である請求項31の組成物。
  33. 上記マイクロスフィアは吸入投与に好適である請求項31の組成物。
  34. 請求項33のマイクロスフィアを含有する吸入器。
  35. 請求項23の組成物の患者への投与を含む患者の症状の治療、予防又は診断方法。
  36. ポリマーのMwが少なくとも20000daltonsである請求項23の組成物。
  37. ポリマーのMwが少なくとも20000daltonsである請求項28の組成物。
  38. ポリマーのMwが少なくとも40000daltonsである請求項23の組成物。
  39. ポリマーのMwが少なくとも40000daltonsである請求項28の組成物。
  40. 式Bのサブユニットの分子量が少なくとも1000daltonsである請求項23の組成物。
  41. 式Bのサブユニットの分子量が少なくとも1000daltonsである請求項28の組成物。
  42. 式Bのサブユニットの分子量が少なくとも1000daltonsである請求項36の組成物。
  43. 式Bのサブユニットの分子量が少なくとも1000daltonsである請求項37の組成物。
  44. 式A及び式Bのモノマーを共に使用するポリマーの製造方法であり:
    Figure 2004538347
    (式中、原子価及び安定性が許す範囲内で、Mはそれぞれ独立して置換又は非置換のメチレン基を表し;Rはそれぞれ独立してH又は低級アルキル基を表し;Zは低級アルキル基又は低級へテロアルキル基を表し;jはそれぞれ独立して0〜16の整数を表し;mはそれぞれ独立して4〜20の整数を表し;nはそれぞれ独立して4〜500の整数を表し;pはそれぞれ独立して1〜60の整数を表す。)、混合物を160〜200℃の反応温度で、反応時間15〜60分で反応させる製造方法。
  45. 反応温度は170〜190℃である請求項44の方法。
  46. 反応時間は20〜60分間である請求項44の方法。
  47. 反応時間は20〜60分間である請求項45の方法。
  48. 反応時間は20〜40分間である請求項45の方法。
  49. 混合物は、1Torr未満の真空下で反応させられる請求項44の方法。
  50. 混合物は更にルイス酸触媒を含有する請求項44の方法。
  51. 混合物は更に有機溶媒を含有する請求項44の方法。
  52. 混合物はモノマーを必須の要素として含有し、更に触媒を含有しても良い請求項44の方法。
  53. 式A、式B及び式Cのモノマーを共に使用するポリマーの製造方法であり:
    Figure 2004538347
    (式中、原子価及び安定性が許す範囲内で、Mはそれぞれ独立して置換又は非置換のメチレン基を表し;Rはそれぞれ独立してH又は低級アルキル基を表し;Xは存在しないか、又はそれぞれ独立してNR、O及びSから選ばれた1のヘテロ原子を表し;Zは低級アルキル基又は低級へテロアルキル基を表し;jはそれぞれ独立して0〜16の整数を表し;mはそれぞれ独立して4〜20の整数を表し;nはそれぞれ独立して4〜500の整数を表し;pはそれぞれ独立して1〜60の整数を表し;qはそれぞれ独立して1〜20の整数を表す。)、混合物を150〜220℃の反応温度で反応させる製造方法。
  54. 反応温度は160〜200℃である請求項53の方法。
  55. 反応時間は15〜180分間である請求項53の方法。
  56. 反応時間は15〜180分間である請求項54の方法。
  57. 式Aのモノマーが混合物の10〜99重量%、式Bのモノマーが混合物の1〜80重量%、更に式Cのモノマーが混合物の1〜80重量%を構成する請求項53の方法。
  58. 混合物は、1Torr未満の真空下で反応させられる請求項53の方法。
  59. 混合物は更にルイス酸触媒を含有する請求項53の方法。
  60. 混合物は更に有機溶媒を含有する請求項53の方法。
  61. 混合物はモノマーを必須の要素として含有し、更に触媒を含有しても良い請求項53の方法。
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