JP2004501188A - インスリンの放出制御製剤及びその方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は,インスリンの放出制御製剤及びその方法に係り,特にインスリンの均一な微細結晶を生物分解性高分子物質でマイクロカプセル化して得たマイクロパーティクルを含有するインスリン放出制御製剤及びその方法に関する。特に,本発明は,マイクロカプセル化段階で起こるインスリンの変成を減少させ製剤の安定性を増加させ,高分子運搬体に対するインスリンの含有比率を増加させたもので,肺を通して投与されるのに適しており,生体内で長時間持続的に安定的な薬効を発揮することができる。
Description
【0001】
技術分野
本発明は,インスリンの放出制御製剤及びその製造方法に係り,特にインスリンの均一な微細結晶を生物分解性高分子物質でマイクロカプセル化して得たマイクロパーティクルを含有するインスリン放出制御製剤,及びその製造方法に関する。
【0002】
背景技術
放出制御システム(controlled release system)
薬物は,適用に便利なように薬理効果が最適に発現できる剤型に加工された後に,様々な経路を通して生体に投与される。投与された薬物は,剤型から放出された後に,吸収,分布,代謝,排泄の過程を経ながら生体内で薬理的な効果を表す。生体内で薬物が安定的かつ効率よく発現され,意図した作用部位に選択的に作用できるようにするためには,薬物の生体内挙動を各種技術で制御する必要がある。このように薬物の副作用を抑制する一方,効力を極大化させ必要な量の薬物を効率よく伝達できるよう設計された剤型をドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System;DDS)と称する。
【0003】
DDSに対する定義は,完全に確立されていないのが現状ではあるが,広意の解釈としては,ターゲットデリバリーシステムと化学的デリバリーシステムを含有して,薬物の生体内挙動を制御する広範な剤型設計を全て包括する意味として使用され,狭い意味での解釈としては,放出制御形式のデリバリーシステムを意味するものとして使用されてきた。
【0004】
医薬品の放出制御方法は,1970年代以降に薬剤学分野で急速に発展されてきた。低分子量の放出制御システムが主に医薬分野に適用されており,特に身体の特定部位に医薬品を伝達するのに活用されてきた。
【0005】
放出制御システムは,経口投与のためのカプセル型,マトリックス型,経口及び注射用のマイクロカプセル,ミクロスフェア,マイクロパーティクル,ナノパーティクル,リポソーム,及びインプラント等の多様な形態で存在する(J.Kost.1995)。
【0006】
マイクロカプセル化
放出制御製剤で最重要な技術がマイクロカプセル化である。本分野においては,ナノテクノロジが薬剤学分野のドラッグデリバリーシステムの発展に伴って,マイクロパーティクルの生産が急速に発展された。
【0007】
例えば,水溶性薬品である偽エフェドリンHCLをオイル−イン−ウォーター(O/W)分散,または共溶媒法,W/O/W多重エマルジョン化法(water−in−oil−in−water multiple emulsion method),エマルジョン溶媒蒸発法(emulsion−solvent evaporation method)を用いて高分子ミクロスフェア内に閉じ込む実験において,適切量の薬物を積載できるということが明らかになった(R.Bodmeier et.Al.1991)。マイクロカプセルは,固体または液体の薬物が中心核に位置した球状粒子を指し,ミクロスフェアは,高分子物質中に固体または液体薬物が分散されているもので,多核のマイクロカプセルと言える。また,マイクロパーティクルは,マイクロカプセルとミクロスフェアを全て包括し,高分子マトリックスや脂質などの微粒子を薬物運搬体として使用する微粒子性薬物運搬体を意味する。以下,本明細書では,特定しない限りかかる用語は,前述したような意味として使用する。
【0008】
マイクロパーティクルは,粒子の直径を0.1μmから数百μmまで多様に製造できる。このうち粒子の直径が1μm以下のものをナノスフェア(またはナノパーティクル)と称する。大半のミクロスフェアは,通常では固体状態で保存されてから使用する際に懸濁させるが,以前から放射線診断薬として使用されてきており,最近では薬物運搬体として注目されている。
【0009】
薬物運搬体
放出制御システムに使用される物理的支持体(運搬体)としては,多様な合成及び天然高分子があり,このうち生体内で分解される高分子としては,アルブミン,ゼラチン,コラーゲン,フィブリノゲン,ポリラクチド(polylactides : PLA),ポリグリコリド(polyglycolides : PGA),ポリβ−ヒドロキシ酪酸(poly β−hydroxy butyric acid;PHB),ポリカプロラクトン,ポリアンヒドリド,ポリオルトエステルと,かかる物質の共重合物であるPLGA等がある。このような高分子は,1960年代に外科用縫合糸として開発されて以来,1970年代からステロイド,抗マラリア剤,麻薬拮抗剤,抗癌剤などの徐放化製剤の基剤として多くの研究がなされてきており,Ticeなどが水溶性化合物,例えば抗生物質及び黄体ホルモン−遊離ホルモン(luteinizing hormone−releasing hormone;LHRH)誘導体をミクロスフェア製剤で製造して徐放化をなしうると発表されて以来,さらに関心の対象になっている(Tice,T.R.(1984) Pharm,Tech.8,26−36)。
【0010】
PLGA
ペプチド(peptides)を高分子重合物質でマイクロカプセル化する時は,以下の要件を満たさねばならない。
1) 生分解性重合体で作らねばならない。
2) 段階過程においてペプチドの変成を引き起こしてはならない。
3) マイクロカプセル化効率が十分高くなるべきである。
【0011】
現在,ペプチドとタンパク質のマイクロカプセル化に関する研究は,PLA(poly−(lactic acid)),またはPLAとPGA(poly−(glycolicacid))の共重合体物であるPLGA(poly−lactic−co−glycolide)を用いたW/O/W(water−in−oil−in−water)溶媒蒸発技術(solvent evaporation technique)が主流である。
【0012】
現在,PLGAとPLAは,毒性学的臨床資料が十分裏付けられている高分子であり,無毒性,生親和性,生物分解性高分子でFDAから人体使用を認められた物質である。これらの分解産物であるグリゴリック酸と乳酸は,体内代謝過程を経て除去される。かかる高分子重合体の加水分解速度は,温度,触媒の存在,pHの確実な変化がある時間だけ変動されるため,体内の位置による分解速度変動が観察されない。これは,ドラッグデリバリー剤型として利用されるのに適切な要件を満たす。分解速度は,高分子の分子量,結晶性,そしてPLGAのラクチド/グリコリド比率によって決定される。乳酸は,不斉炭素原子を有しているため,二つの光学異性体を有する。従って,これらの重合体は,L,D−,そしてD,L−乳酸で構成されており,L,D−重合体は,結晶型を,そしてD,L−重合体は,無定形であり早めに分解される(Patrick Convreur,Maria Jose,Blanco−Prieto,Francis Puisienx,Bernard Reques,Elias Fattal,Multiple emulsion technology for the design of microspheres containing peptides and oligopeptide.Advanced Drug Delivery Review 28(1997) 85−96)。
【0013】
PLGAは,水溶性と非水溶性医薬品のマイクロカプセル化に使用される。牛血清アルブミン(bovine serum albumin : BSA)をモデルタンパク質として使用してO/O(oil/oil),O/W(oil/water),W/O/Wエマルジョン化法でミクロスフェアを生産した場合,剤型溶液内に投与した全体タンパク質のうち50〜70%がミクロスフェア内に含有されることにより現われ,粒子のサイズは,順番に500μm,25〜100μm,10〜20μmであった。BSAの放出形態は,各製造方法によって相違に現われたが,W/O/Wエマルジョン化法で製造して真空乾燥したミクロスフェアの場合,放出量が多く,Carbopol−R951を含んだO/W方法で製造した微細粒子の場合,初期放出量が多いときに現われた。各々の場合,放出持続期間は,それぞれ54日,36日,34日となった。
【0014】
また,PLGAを用いて二重エマルジョン化法でミクロスフェアを製造する場合,肺伝達に適切なサイズに製造されることが報告されている。CNTF(Ciliary neurotrophic fact)をPLGA(30:70)を使用してミクロスフェアを製造した場合(D.Maysinger.Et.al.1996),相分析を通してミクロスフェアの粒子サイズが平均1.76±0.0186μmと報告されている。
【0015】
インスリン
放出制御製剤の対象として最も多く研究されているものがインスリンである。現在インスリンは,注射剤,ポンプの形態に多用されており,大半は即効性で40,80,100IU/mlのZn−インスリン懸濁液,または中性溶液の形態であり,一般的に100IU/mlのものを多用する。インスリンは,溶液状態の時が結晶状態の時より効果を早めに示しているが,作用持続時間が短い。従って,患者は,食前や寝る前に殆んど注射の形態に使用しており,活動によって即効性の持続性インスリンを区別して投薬している。現在使用されるインスリン製剤は,頻繁な投薬によって患者の日常生活に不便を招き,多少誤って投薬時間を逃した場合に,急激な血糖低下や低血糖ショックなどを引き起こす恐れがある。
【0016】
インスリン結晶は,インスリン溶液に比べて薬効が長く持続されることが知られており,注射する場合,36時間中効能を示せることが既知である。このことは,インスリン結晶が体内でインスリンをゆっくり溶解させるからであるが,この点をうまく活用すれば体内の膵臓でインスリンが生成され分泌されることに類似させて血液内でインスリンの活性を一層長く持続させうる。この点に着目してSchlichtkrullは,糖尿病治療用として使用できる小さいインスリン結晶の生成を試図し(1956年),以後製薬分野では,体内でゆっくり溶解されるようインスリンまたはインスリン誘導体の結晶を小さく作る結晶化方法が研究し続けられる。今まで多くのインスリン結晶化方法が報告され,その大半は,インスリン溶液のpH変化を用いるものである(米国第3,719,655号,米国特許第4,959,351号)。しかし,このような従来の結晶化方法では,肺を通して投与するのに適した10μm以下の微細インスリン結晶を高収率で得難い。
【0017】
生体投与後長時間にわたり,持続的に血中グルコースの濃度を減少させうるインスリンの放出制御製剤に対する研究が多数なされており,このうち確実な発展を示す幾つかのシステムが開発された。インスリン伝達方法で研究中の大半のシステムは,DDS内の高分子中に固定化されたグルコースオキシダーゼと血液内存在するグルコースの反応に基づいている。グルコースとグルコースオキシダーゼの反応結果,ドラッグデリバリーシステムの微細環境内にpH低下が生じると,このために高分子システムを膨張させることによってインスリンの放出を増加させる。この際に使用される高分子システムは,N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートやポリアクリルアマイドがある。
【0018】
また,インスリンを経口投与するための方法として消化器官内で変成されることを防ぐためにナノスフェアを製造することもある。これは,腸内に存在するM細胞を通して吸収される前まで高分子マトリックスでタンパク質の変成を防ぎ,小サイズを用いて細胞膜壁を通過する方法である。便利な投与方法であることが長所であるが,腹腔伝達に比べてその効果が11%ほどしか至らないという短所がある(Gerardo P.Carino,Jules S.Jacob,Edith Mathiowitz,Nanosphere based oral insulin delivery.Journal of controlled release 65 (2000) 261−269)。
【0019】
現在盛んに研究が進行されている分野の一つは,肺伝達(pulmonary delivery)である。肺伝達の場合,鼻腔伝達に比べて広いテニスコート(100m2)ほどの表面積を提供するのみならず,薄い肺上皮細胞壁越しに存在する数多くの血管を通して早い吸収が可能である。米国糖尿協会会議(1998年)で発表された幾つかの会社による臨床実験の結果,注射を用いる時ほどのインスリン効果を得られると現われ,現在千人以上の患者を動員した臨床実験3相(phaseIII)が進行中であることが知られている。このような肺伝達を用いたタンパク質ドラッグデリバリーシステムの開発は,今まで注射を通してだけ供給されて来た多くのタンパク質医薬品を一層手軽く楽に投与できる道を開いてくれると予想される。 本発明は,このようなインスリンの肺伝達と関連して一層効果的なインスリン放出制御製剤を提供することに関する。
【0020】
タンパク質医薬品の安定性 (Stability)
小さいペプチドの場合,その分解が起こる場合に稀だとしても,安定性は,本質的な課題である。マイクロパーティクルの製造段階において,タンパク質またはペプチドは,過渡な応力に適用される。従って,タンパク質医薬品のマイクロカプセル化製造段階は,熱,せん断応力,激しいpH変化,有機溶媒,凍結と乾燥への過渡な露出を排除させるべきである。貯蔵期間中もマイクロカプセル化されたタンパク質が水和され,かかる環境下でタンパク質は,一層変成されやすく,凝集されうる。また,投与後に高分子が分解し始めると高分子の内部の周囲に分解による酸性の単量体によって,高濃縮された酸性微細環境が形成される。かかる環境下でタンパク質は,凝集しやすくなり,加水分解,化学的変化を引き起こす。最後に,タンパク質が高分子と可逆的あるいは非可逆的に吸着を引き起こすことによって,ドラッグデリバリー速度に影響を与え,結局タンパク質の変成,凝集及び不活性化を引き起こすこととなる。
【0021】
治療目的として使用されるペプチド中で,インスリンは,タンパク質分解酵素のターゲットになるだけではなく,溶液や懸濁液内でも化学的,物理的な変成を受けやすい(J.Brange,L.Andersen,E.D.Laursen,G.Meyn,E.Rasmussen,Toward understanding insulin fibrillation,J.Pharm.Sci.86(1997)517−525)。
【0022】
液状溶液内でインスリンの化学的分解で脱アミド体,例えば酸性媒体でdesamido A21,中性溶液でのdesamido B3ができるか,トランスアミデーション反応によって共有結合したインスリン二量体が形成されうる(R.T.Darrington,B.D.Anderson,Evidence for a common intermediate in insulin deamidation and covalent dimer formation; effects of pH and aniline trapping in dilute acidic solutions,J.Pharm.Sci.84(1995)274−282)。
【0023】
他の球状タンパク質のようにインスリンもフォールディングや,各分子のアセンブリを通して疏水性表面が内部に隠されている3次元構造を有している。一方,自然的な形状の変化は,様々な要因によって影響を受ける。そのうち熱,物理的な力,それから疏水性表面への露出は,タンパク質の構造に変化を引き起こしてタンパク質の凝集と不溶性の沈澱を作る(B.V.Fisher,P.B.Porter,Stability of bovine insulin,J.Pharm.Pharmacol.33 (1981)203−206)。
【0024】
タンパク質医薬品の変成は,免疫原性や抗原性を誘導して抗体の生成を伴う場合があり,これは投入されたタンパク質の活動を妨害するのみならず,人体内に自然に生成される同一タンパク質の作用にも影響を与えるので極めて危険である(http://bric.postech.ac.kr/webzine/content/review/appliedbio/test1/html)。
【0025】
従って,医薬品の安定性は,生産過程と共に剤型側面でも考慮すべきである。本発明は,剤型に含有されるインスリンの安定性を確保しつつマイクロカプセル化する方法に関する。
【0026】
発明の開示
遺伝子組み換え技術を用いてタンパク質医薬品を開発するにおいて,剤型とドラッグデリバリーは,極めて重要な要素となる。特にこれら生物医薬品は,分子量が大きく3次元的構造によって,その活性と物理的な特性が大幅に左右されるため,一般的な化学合成薬物に比べて変成しやすくなり,その結果,構造安定のために製剤化が重要な課題となる。
【0027】
インスリンの場合,マイクロカプセル化過程において,変成を引き起こして脱アミド化体が形成されやすく,全体タンパク質の約50%の損失が起こる。また,マイクロパーティクルの乾燥過程において,タンパク質表面に吸着されて起こる初期の放出は,低血糖を引き起こす場合がある。
【0028】
従って,本発明の目的は,マイクロカプセル化過程においてインスリンのタンパク質変成を最小化することにより,安定性を増加させたインスリン放出制御製剤及びその方法を提供する。
【0029】
このため本発明では,高分子運搬体を使用してインスリンの微細結晶をマイクロカプセル化したインスリン放出制御製剤を提供する。本発明のインスリン放出制御製剤は,肺を通した吸入投与剤,注射剤,経口投与剤,硬皮吸収剤などの形態に製造でき,特に肺を通した投与のためにマイクロパーティクルのサイズを肺に伝達するのに適した10μm以下,さらに望ましくは5μm以下にする。本発明のインスリン放出制御製剤は,持続的な薬効発現でインスリン投与回数を減らせる持効性製剤であり,また急激な血糖低下を防止するためにインスリンの初期放出量が制御される。
【0030】
本発明の他の目的は,インスリンのマイクロカプセル化効率増加及び最適化に関する。
【0031】
マイクロカプセル化に使用される生物分解性高分子は,それぞれの物性及び具体的な組成によって分解速度が異なるが,大体完全に分解されるのに相当な時間が所要される。人体に対する安全性が立証されたPLGAの場合,具体的な組成によって分解速度が異なるが,一般に分解に約50〜100日ほど所要されることが知られている。従って,生物分解性高分子を運搬体として使用するマイクロカプセル製剤を投与し続ける場合に,体内に高分子蓄積を引き起こす恐れがあるため,マイクロカプセル化において同量の高分子運搬体を使用してさらに多量の薬物を捕獲させることは,剤型技術の目標となる。
【0032】
液体状態の薬物をマイクロカプセル化する場合,薬物の溶解度によってマイクロパーティクル内に捕獲できる薬物の濃度が決定される。溶解度が高くない薬物の場合に,少量だけが捕獲されるが,この場合では,適切な容量の薬物を伝達するためには,一層多量のマイクロパーティクルを体内に投与しなければならないという問題点が発生する。
【0033】
このような問題点は,マイクロパーティクル製剤を肺経由で伝達する際には,深刻になる。一般に,肺に伝達された物質は,内部に吸収される。非吸収性の物質の場合では,大食細胞による浄化過程を通して除去される。浄化過程は,気道では24時間以内に除去されるが,肺胞では一層長時間かかる(Camner,P.1994)。また肺の内部に物質が多量存在するほど,かかる浄化過程が遅く進行されるという報告もある。
【0034】
従って,特に肺を通して投与される薬物の場合は,高分子運搬体に対する薬物の比を増加させ体内に投与される高分子物質の量を減らすことが必要となる。本発明では,インスリンの均一な微細結晶を用いてマイクロパーティクルを製造することによって,マイクロパーティクル内に含有されるインスリンの含量を必要に応じて調節できるインスリン放出制御製剤を提供する。
【0035】
本発明のさらに他の目的は,インスリンのマイクロカプセル製剤を使用直前に再び溶液に分散させて使用するという不便を改善するために,インスリンのマイクロパーティクルを液相保存する方法に関する。
【0036】
マイクロパーティクルは,凍結乾燥して保管し使用前に分散させ使用することが一般的である。しかし,タンパク質医薬品の場合,凍結乾燥過程において薬物の変成が起こる場合があり,乾燥による薬物のマイクロパーティクル表面吸着によって初期放出現象が起こる場合がある。従って,本発明では,必要時に薬物投与を容易にし,患者に危険を引き起こす初期放出効果を防止するため,インスリンマイクロパーティクル製剤を凍結乾燥せずに,インスリン等電点を用いて溶液内で保存する方法を提供する。
【0037】
また,本発明では,インスリン結晶のマイクロパーティクルと共に即効性のインスリン部分を製剤に含有して製造することによって,一回の投与で即効性と持続性の効果が同時に得られるインスリンの放出制御製剤及びその方法を提供することを目的とする。
【0038】
本発明の他の目的及び長所は,後述され,本発明の実施によって一層理解しやすくなる。
【0039】
発明を実施するための最良の形態
以下,本発明に係るインスリン結晶のマイクロカプセル化について詳述する。
【0040】
インスリンの均一な微細結晶を用いてマイクロパーティクルを製造するためには,まず微細インスリン結晶を高収率で生成できるインスリンの結晶化方法を探求する必要がある。本発明者らは,以前の研究において,インスリン溶液の溶解度調節によって結晶の核として働ける微細なインスリン粒子を溶液内に形成させた後,溶液中のインスリン溶解度を下げて結晶化させることによって10μm以下,特に5μm以下の微細したインスリン結晶を高収率で製造できる方法を開発したことがある(韓国特許出願第99−14957号)。本発明では,本発明者らが開発したことのあるインスリン結晶化方法を適用して製造された微細インスリン結晶をマイクロカプセル化する。
【0041】
インスリンの均一な微細結晶を得る方法は,次の通りである。インスリン等電点以下の酸性インスリン溶液のpHを,塩基を用いて約pH9から10.5まで変化させてインスリン溶液内にシードとして働ける微細粒子を形成させた後,かかるインスリン溶液のインスリン溶解度を下げることによって10μm,特に好ましくは5μm以下のインスリン微細結晶を得る。
【0042】
一般に,マイクロパーティクルは,マトリックス高分子を薬物のように乳化(分散)させた後,加熱して変成させたり,ホルマリンなどを用いて化学的に架橋させたり,放射線重合,液中乾燥などの操作を実行して,硬化させて作成される。マイクロパーティクルの粒子サイズは,薬物の体内挙動を決定する最も大事な因子になるが,製剤条件をよく選択して粒子サイズを調節することができる。
【0043】
ペプチドは,N−,C−末端が環形成やアミド形成,エステル化などによってブロッキングされていない場合は,親水性を有する。従って,親水性によってペプチドとタンパク質は,疏水性高分子より構成される高分子マトリックスシステム内にマイクロカプセル化をし難い。このような特性によってW/O/W溶媒蒸発法を用いた微細粒子の製造方法が開発された。
【0044】
多重エマルジョン溶媒蒸発法は,蒸溜水や緩衝溶液に溶かした薬物(inner water phase;IWP)と,水と混合されず揮発性の強い有機溶媒に溶解されている高分子溶液(organic solvent;OS)とから構成される。IWPを有機溶媒上に乳化させ1次エマルジョン(primary emulsion;W/O)を作った後,かかるエマルジョンを乳化剤が含有されている液相(outer water phase;OWP)に注ぎながら撹拌して,2次エマルジョン(W/O/W)を作る。作られた多重エマルジョンを撹拌し続けて,有機溶媒を蒸発させて高分子の沈澱を誘発させることによって,固体の薬物保有マイクロパーティクルが形成される。
【0045】
OWPにおいて乳化剤の存在は,球状のマイクロパーティクルの形成に重要な役割を果たす。乳化剤は,有機溶媒の除去中に微細粒子の凝析を防ぐ役割を果たす。乳化剤としては,一般にポリビニルアルコール(poly(vinylalchol);PVA)を使用するが,ポリビニルピロリドン,アルギネート,メチルセルロース,ゼラチンなども使える。
【0046】
有機溶媒の除去は,正常気圧下または減圧状態で実行される。溶媒の完全な除去は,以下のような三つの方法を通して実行される。
1) 割り込みプロセス : 常温で蒸発を行なってから,部分的に固くなった微細粒子を低濃度の乳化剤溶液や乳化剤のない溶液に移して蒸発を継続させる方法。
2) 連続プロセス : 有機溶媒が完全に除去されるまで常温で撹拌し続ける方法。
3) ロータリーエバポレーション : ロータリエバポレーターを使用して約30℃で除去する方法。
【0047】
溶媒が除去された後,堅くなったマイクロカプセルは,ろ過や遠心分離を通して分離し,乳化剤を除去するために数回洗浄した後に,真空乾燥または凍結乾燥する。
【0048】
本発明においてマイクロカプセル化は,好ましくは二重エマルジョン化法を使用し,子物質としては,生体内で分解される生物分解性高分子物質を使用する。生物分解性高分子物質としては,例えばアルブミン,ゼラチン,コラーゲン,フィブリノゲン,PLA及びPGAのようなヒドロキシ酸;PLGA,PEG,ポリβ−ヒドロキシ酪酸(poly β−hydroxy butyric acid; PHB),ポリカプロラクトン,ポリアンヒドリド,ポリオルトエステル,PLGA(poly(lactide−co−glycolides)),ポリアンヒドリド,ポリウレタン,ポリ(酪酸),ポリ(吉草酸)及びPLGA等とその誘導体,そしてこれらの共重合体及び混合物が使用される。ここで,「誘導体」という用語は,化学基,例えばアルキル,アルキレンの置換,付加,水酸化,酸化及び当業者によって通常に実施される他の変形を有する高分子を含有する。一般に,生物分解性高分子物質は,非酵素的及び酵素的加水分解の全て,及び表面またはバルクの侵食によって生体内で分解される。前述の高分子物質としては,特にPLGAを使用することが好ましい。
【0049】
二重エマルジョン溶媒蒸発段階を使用する本発明のマイクロカプセル化過程を具体的に説明すると,以下の通りである。
【0050】
まず,前述したような方法で微細インスリン結晶を得た後,これをインスリン等電点であるpH4.5〜6.5の溶液に懸濁させ使用する。
【0051】
この際,前述の懸濁液は,1%酢酸溶液で作った1%キトサン溶液に塩基を添加してインスリン結晶が溶けない条件,すなわち等電点であるpH4.5〜6.5に合わせたキトサン溶液を使用したり,あるいはキトサンの代りにPBS(phosphate buffered saline)溶液を使用したり,あるいは結晶化段階で溶液状態に得られたインスリン結晶の上澄み液を使用できる。
【0052】
前述したように用意したインスリン懸濁液を高分子溶液(例えばPLGA/DCM溶液)に加えて1次エマルジョンを作り,これを乳化剤(例えば1%PVA溶液)にゆっくり加えて2次エマルジョンを作る。その後,撹拌して高分子を凝固させた後に,遠心分離で粒子を回収し蒸溜水で3回洗浄した後に,凍結乾燥して本発明のマイクロパーティクルを得る。
【0053】
前述の乳化剤としては,ポリビニルアルコール(PVA),ポリビニルピロリドン,アルギネート,メチルセルロース,ゼラチン等の通常の乳化剤が使用される。
【0054】
前述したような過程を通して製造された本発明のマイクロパーティクルは,体積平均直径10μm以下の小さく,均一な様相の粒子分布を示し,好ましくは体積平均直径0.1μm以上を有する。特に,肺を通した投与剤の形態に剤型化する場合,好ましくは体積平均直径約5μm以下のサイズを有するように作られ,粒子サイズは,マイクロパーティクル内のインスリン結晶の量に影響を受けない。
【0055】
後述の実施例において,インスリン結晶をマイクロカプセル化した本発明のマイクロパーティクルとインスリン溶液をマイクロカプセル化したマイクロパーティクルとを比較した。インスリン溶液は,インスリンを酢酸溶液に溶かして使用した。 様々な比較実験結果,インスリン結晶をマイクロカプセル化した場合は,薬物が中心核に位置したマイクロカプセル(以下,”crystal/PLGA”と称する)が形成され,液相のインスリン溶液をマイクロカプセル化した場合は,高分子物質中に薬物が分散されているミクロスフェア(以下,”solution/PLGA”と称する)が形成された(図1参照)。このような剤型構造の影響によって,本発明のcrystal/PLGAは,solution/PLGAに比べて粒子のサイズにおいて一層小さくて均一な様相を示した(図3及び図4参照)。
【0056】
また,本発明によってインスリン結晶をマイクロカプセル化した場合,有機溶媒との接触面が減少して段階から発生しうるタンパク質の変成が減少するなど剤型の安定性が大幅に増加した(図6及び図7参照)。
【0057】
その他,crystal/PLGAの場合,solution/PLGAに比べて高いマイクロカプセル化効率を示し(図8参照),硬化段階中起こりうるタンパク質の損失も減少した。
【0058】
本発明者らの実験結果,インスリンは,0.1N酢酸溶液(pH2.0)に約254IU/0.3mlの濃度まで溶解されると現われ,これに比べてインスリン結晶は,溶解度に対する制限がないため,425IU/0.3ml以上のインスリンをマイクロカプセル化段階に導入することができた。crystal/PLGAの場合,インスリン濃度が増加するほど薬物含量も線形的に増加しカプセル化効率が約79%と一定に現われたが,solution/PLGAの場合,薬物含量は,インスリンの溶解度を考慮した時で最大3%であり,カプセル化効率は,インスリン濃度が増加するほど減少された。従って,インスリン結晶を使用して高分子でマイクロカプセル化する場合,使用される高分子運搬体に対する薬物の比を増加させることによって,体内に投与される高分子化合物の量を減少させ,浄化過程に対する肺の負担を軽減できることが確認できた。
【0059】
また,本発明では,インスリン等電点を用いてマイクロパーティクル製剤を凍結乾燥せずに,等電緩衝溶液内で保存するインスリンマイクロパーティクル製剤の液相保存方法を提供する。インスリンの等電点であるpH4.5〜6.5の等電緩衝溶液内でインスリン結晶のマイクロパーティクル製剤を保存する場合に,15時間後にもマイクロパーティクル内に96%のインスリンが残存することが確認された。かかる液相のインスリンマイクロパーティクル製剤の場合,使用時で溶液に分散させる必要なく,そのまま患者に投与できるので投与が容易となり,凍結乾燥過程におけるタンパク質変成がないため,体内に投与時初期放出効果も相当に減少される。
【0060】
インスリン結晶をマイクロカプセル化したcrystal/PLGAは,生体内における薬効発現を確認するための動物実験において,マイクロカプセル化しないインスリン結晶に比べて低い血糖濃度を一層長時間維持させることが現われたが,生体内で長時間に亘って安定的に薬効が持続されることと確認された(図11参照)。
【0061】
インスリン微細結晶をマイクロカプセル化した本発明のマイクロパーティクルは,生体内でインスリンの薬効が長時間持続的に維持されるインスリン放出制御製剤として使用される。
【0062】
前述のインスリン放出制御製剤は,薬剤学的に許容可能な賦形剤や運搬体または補助剤をさらに含有することができる。
【0063】
好ましくは,上記のインスリン放出制御製剤は,インスリン結晶のマイクロパーティクルをpH4.5〜6.5の等電緩衝溶液内に保存する形態を有する。
【0064】
上記のインスリン放出制御製剤は,肺を通した吸入投与剤,経口投与剤,注射剤,硬皮吸収剤などの多様な形態に製造でき,肺を通して投与される吸入剤の形態を有することが最も好ましい。
【0065】
また,既存の知られている剤型化技術によって,本発明のマイクロパーティクル(例えば,crystal/PLGA)と即効性のインスリン部分を共に製剤に含めて即効性と持続性の効果を同時に得られるインスリンの放出制御製剤を製造することができる。この際,即効性の部分は,インスリン溶液や既存の即効性のインスリン製剤などを利用することができる。
【0066】
以下,実施例を通して本発明をさらに詳述する。しかし,次の実施例によって本発明の範囲が限定されず,本発明の属する技術分野において通常の知識を持つものによって,本発明の技術思想と後述する特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能なことは勿論である。
【0067】
実施例1
インスリン結晶のマイクロカプセル化
(1)インスリン粉末をpH2.0酢酸に溶かしてから,1Nと10Nの NaOHを用いて酸度を変化させれば,pH4.5を越えながら集合体が生成し始め,pHをさらに増加させれば,pH6.0を越えながら5μm以下の微細インスリン結晶が62%以上生成され,pH9.0から10.5におけるインスリン溶液をpH6に急激に減少させれば,数秒から2分内に5μm以下の微細インスリン結晶が90%以上生成される。このような方法で溶液状態に存在する微細インスリン結晶を用意した。
(2)用意された溶液状態のインスリン微細結晶を4,500rpmで15分間遠心分離して上澄み液を除去しインスリン結晶を分離した。
(3)分離されたインスリン結晶を蒸溜水で洗浄して溶液内に存在するインスリン分子を除去した後に,再び上記(2)の別に分離した上澄み液0.3mlに懸濁させた。
(4)懸濁液をガラス試験管に用意した4mlのPLGA/CH2Cl2溶液に注ぎ組織破砕器を使用してエマルジョンを作った。
(5)上記のエマルジョンを50mlのポリビニルアルコール(1%)溶液に次第に注ぎ二重エマルジョンを作った。
(6)上記の二重エマルジョンを3時間撹拌してCH2Cl2を除去した後に,2,300rpmで5分間遠心分離して上澄み液を除去し,蒸溜水で3回洗浄して本発明のマイクロパーティクル,すなわちマイクロカプセル形態のcrystal/PLGAを得た。
【0068】
実施例2
インスリン溶液のマイクロカプセル化
インスリン微細結晶の代りに,0.1N酢酸溶液に溶解させたインスリン溶液を使用することを除けば,実施例1と同様な方法でマイクロカプセル化してインスリン溶液のマイクロパーティクル,すなわちミクロスフェア形態のsolution/PLGAを得た。
【0069】
実施例3
インスリン微細粒子サイズの測定
実施例1及び2で得られたマイクロパーティクル粒子を光学顕微鏡(Inverted microscope,model CK2,Olympus,Tokyo,Japan)で観察して,その結果を図1に示し,SEM(scanning electron microscopy)で表面を観察した結果を図2に示した。また,粒子分析器(CILAS particle size analyzer 1064,France)を用いて,実施例1及び2で得たマイクロパーティクルの粒子サイズを測定してその結果を図3に示し,実施例1の(1)で作ったインスリン結晶と実施例1で製造されたマイクロパーティクル(crystal/PLGA)の粒子サイズを分析した結果を図4に示した。
【0070】
図1(a)及び図1(c)は,実施例2で得たsolution/PLGAの光学顕微鏡写真(それぞれ×400,×200)であり,図1(b)及び図1(d)は,実施例1で得たcrystal/PLGAの光学顕微鏡写真(それぞれ×400,×200)である。図1から確認できるように,極めて均一な球状のマイクロパーティクルが製造された。
【0071】
図2を見れば,実施例1で製造したcrystal/PLGAの場合,表面に微細孔がより少なくれ,内部構造を見れば内部にインスリン微細結晶が入っているマイクロカプセルの形態であることが分かる。一方,実施例2で製造したsolution/PLGA場合は,表面に微細孔が多く形成されており,内部が多核で構成されているミクロスフェアの形態であることが分かる。
【0072】
また,図3を見れば,全体的に実施例1で得たcrystal/PLGAが実施例2で得たsolution/PLGAに比べて粒子サイズが小さいことが分かる。インスリン結晶とマイクロカプセル化したインスリン結晶とを比較した図4を見れば,マイクロカプセル化された場合,そうでない場合に比べてサイズがやや増加したことが分かる。しかし,実施例1で得たマイクロパーティクルは,実験毎にやや差があったが,体積平均直径が約5.09±0.92μmであって肺を通して伝達可能なサイズであり,特に肺を通して投与するのに適した5μm以下の粒子が体積−直径で約60%を占め,数−直径で約99%を占めることがわかった。
【0073】
実施例4
安定性試験
実施例1のcrystal/PLGAと実施例2のsolution/PLGAをpH7.4のPBS溶液に分散させ,37℃で放出させた。7日間放出させた後,遠心分離して上澄み液を回収し,RP−HPLCで分析して結果を図5(a)及び図5(b)に示した。
【0074】
実施例5
安定性試験
実施例1のcrystal/PLGAと実施例2のsolution/PLGAを凍結乾燥した後,それぞれpH7.4のPBS溶液に分散させ,37℃で放出させた。7日間放出させてから遠心分離して上澄み液を回収し,RP−HPLCで分析して結果を図5(c)及び図5(d)に示した。
【0075】
図5(a),図5(d)から分かるように,実施例4及び5において脱アミド体が観察された。一層正確に把握するため,これらを全体インスリンピーク面積に対する比率で計算し,凍結乾燥したものと凍結乾燥しないものとを比較して次の表1に示した。
【0076】
【表1】
【0077】
表1から分かるように,実施例1のcrystal/PLGAの場合,実施例2のsolution/PLGAに比べてアミド分解が遥かに少なく起こり,これはイギリス薬典とアメリカ薬典で明示した3%より少ない量であった。
【0078】
したがって,インスリン結晶をマイクロカプセル化した場合,その安定性がインスリン溶液をマイクロカプセル化したことに比べて,遥かに優れ,凍結乾燥を経た後も安定性が維持されることが確認できた。
【0079】
実施例6
段階中インスリンの損失
実施例1及び2のマイクロパーティクルの製造段階中,CH2Cl2を除去する段階で,一定時間間隔で試料を採取し,これをマイクロパーティクルとOWPとに分離した。マイクロパーティクルは,CH2Cl2に溶解した後,0.1N酢酸溶液を添加して内部に捕獲されたインスリンを抽出した。OWPは,pHを2に減少させて残りうるインスリン微細結晶を溶解させた。これらを全てブラッドフォード法で定量して,その結果を図6及び図7に示した。
【0080】
Solution/PLGAの場合,薬物含量の減少が観察されたが,crystal/PLGAの場合このような減少が観察されなかった(図6)。
【0081】
OWPとして放出されたインスリン量もsoltuion/PLGA場合,増加し続けて,3時間後全体システム内に添加したインスリン量の9%ほどが外部に放出されることが分かった(図7)。
【0082】
従って,インスリン微細結晶をマイクロカプセル化した場合,インスリン溶液をマイクロカプセル化した場合に比べて,段階中での損失が遥かに小さいことが確認できた。
【0083】
実施例7
マイクロパーティクル内薬物含量とカプセル化効率
実施例1の(1)のような方法で用意したインスリン懸濁液を一定量取って,3mg,6mg,10.5mg,15mgのインスリン結晶を得た。
【0084】
これを遠心分離した後,上澄み液を捨て,0.3のクリスタルスープ(crystal soup)に分散させた後,実施例1のような方法でマイクロパーティクルを製造した。また,別に3mg,6mg,10.5mg,15mgのインスリンを取って0.3mlの0.1N酢酸溶液に溶かして実施例2のような方法でマイクロパーティクルを製造した。
【0085】
これを凍結乾燥した後,約5mgをそれぞれ取って実施例6のような方法で内部のインスリンを抽出して薬物含量とカプセル化効率を測定して,その結果を図8及び次の表2に示した。
【0086】
【表2】
【0087】
crystal/PLGAの場合,インスリンの濃度が増加するほど薬物含量が線形的に増加し,カプセル化効率も約79%で一定であった。しかし,solution/PLGAの場合,薬物含量は,インスリンの溶解度を考慮した時に,最大3%であり,カプセル化効率は,濃度が増加するほど減少された。
【0088】
これを通して,インスリン微細結晶をカプセル化した場合,インスリン溶液をカプセル化する既存の方法に比べてマイクロパーティクル内薬物含量が増加し,段階中の損失も低くなってカプセル化効率も高まることが確認できた。
【0089】
実施例8
溶出実験
インスリン放出と関わるマイクロカプセル化の影響を評価するため,インスリン結晶をマイクロカプセル化した後,一部は,凍結乾燥し,一部は,凍結乾燥しないままインスリン結晶と共に放出実験を行った。
【0090】
インスリン結晶(●)と,実施例1で製造したマイクロカプセルを凍結乾燥したもの(〇)と,実施例1で製造したマイクロカプセルを凍結乾燥しないもの(▼)を0.4mlのPBS溶液(pH7.4)に混ぜた後,37℃で放出させた。一定時間間隔に遠心分離して上澄み液を回収し,新たな溶液を補充した。ブラッドフォード法を使用して放出されたインスリンの量を測定し,その結果は,図9の通りである。
【0091】
図9から分かるように,初期放出後0次放出を示す二相性放出を示した。インスリン結晶の場合,初期放出量が約28%であることに比べ,マイクロカプセル化(crystal/PLGA)した後に凍結乾燥した時は,約36%と約8%が増加した。逆に,凍結乾燥しないマイクロパーティクル(crystal/PLGA)では,初期放出量が約24%でインスリン結晶に比べて4%ほど減少され,凍結乾燥したものに比べて12%減少された。これは,高分子膜によって放出量が制御されたと推測される。
【0092】
また,インスリン微細結晶の場合,持続的に多量が放出され4時間後には,完全に放出され残存量がなかった。しかし,マイクロカプセル化された場合は,初期に多量が放出された後,少量のインスリンが持続的に放出され,放出4時間後も凍結乾燥しない場合は,38%,凍結乾燥した場合は,18%のインスリンがマイクロパーティクル内に残存した。
【0093】
結局,凍結乾燥しないマイクロカプセル化の場合インスリンの初期放出を減少させることができ,特に凍結乾燥しないマイクロカプセル化の場合は,インスリン結晶に比べて,さらに長時間持続的にインスリンが均一に放出されることが確認できた。
【0094】
実施例9
等電点を用いた貯蔵性実験
実施例1で製造したマイクロカプセルを凍結乾燥しない状態で溶出実験を行った。インスリンが完全に溶解されるpH3(●)と,等電点であるpH6(〇),それから体内放出条件であるpH7.4(▼)のPBS溶液で実施例8と同様に行い,その結果を図10に示した。
【0095】
実験結果,pH6(〇)では,4時間後,全体インスリン量の約20%が放出され80%が残存する一方,pH3(●)とpH7.4(▼)では,それぞれ15%,38%が残存した。結局,pH3やpH7.4の放出様相と違って,pH6では,少量がゆっくり放出されることが観察された。
【0096】
また,pH6のPBSで4℃に貯蔵した場合は,15時間後も96%のインスリンがマイクロパーティクル内に残存していることが確認された。
【0097】
実施例10
インスリン剤型による前臨床実験
インスリンをPBS緩衝液(pH7.2)に溶かしたインスリン溶液と,実施例1で使用したインスリン微細結晶,実施例1の段階を経て製造したマイクロカプセルを実験用ホワイトラット(SD Rat)の腹腔内に注射で投与した。インスリン溶液は,PBS緩衝液(pH2.14)に完全に溶かしてから,水酸化ナトリウム(NaOH)と塩酸(HCl)を用いてpH7.2に合わせた。各製剤による最適投与量を選定して投与した。インスリン溶液の場合,投与容量は,2IU/kgであり,ホワイトラット9匹に腹腔注射投与した。インスリン微細結晶は,平均粒子サイズが4.16μmであり,収率94.25%のもので投与容量は,5IU/kgにし,ホワイトラット9匹に腹腔注射投与した。マイクロカプセル化したインスリン微細結晶は,20IU/kg,ホワイトラット8匹に腹腔投与した。対照群としては,ホワイトラット9匹にPBS7.2の溶液を投与した。1匹当たり注射量は,ラット重さ別にインスリン懸濁液で同様に実行した。結果は,図11の通りである。
【0098】
対照群(●)に比べてインスリンを注射したマウス(〇,▼,▽)で血糖値の著しい減少を確認できた。薬効持続時間がインスリン溶液(〇)の場合,約6時間程であり,インスリン結晶(▼)の場合は,約8時間であったが,これに比べてマイクロパーティクル(crystal/PLGA)(▽)の場合は,12時間ほどであった。
【0099】
また,マイクロカプセル化したcrystal/PLGA(▽)がインスリン結晶(▼)に比べてさらに低い血糖値をより長く持続させることが確認された。
【0100】
すなわち,インスリン溶液(〇)は,2時間経過時点で最低血糖値を示し,インスリン微細結晶(▼)も2時間経過時点で最低であったし,インスリンマイクロカプセル(▽)は,3時間経過時点で最低血糖になることとなった。
【0101】
体内血糖濃度のパターンでインスリンの放出パターンを逆に確認できるため,最低血糖値の際に,インスリン放出は,最大値であることを相対的に分かる。
【0102】
インスリン溶液(〇)とインスリン微細結晶(▼)では,2時間経過時点を基準にして血糖が回復傾向になって,6〜8時間後は,正常レベルに回復されたが,これに比べてインスリンマイクロカプセル(▽)は,3時間経過時点を基準にして12時間後に,正常血糖に回復された。これは,マイクロカプセルが体内でインスリンをゆっくり放出することによって,薬効持続時間を延したことを示すものである。また,インスリン溶液が5IU/kgを越える場合,及びインスリン微細結晶が10IU/kgを越えて投与する場合,低血糖によってラットが死ぬようになる。しかし,インスリンマイクロカプセルの場合(▽)は,20IU/kgでも血糖が低下されてから,ゆっくり正常レベルに回復されることから,高分子物質によって体内で薬物がゆっくり分泌され,薬効を示すまでの時間を遅らせることによって糖尿患者の睡眠中低血糖によるショックや死亡に有効なものとして期待された。
【0103】
次の表3は,インスリンの剤型による投与量(Dose),血糖濃度減少結果の最低値(MRPG),最低血糖時間,血糖濃度の曲線下面積(AUC),総血糖減少量(TRPG)を示したものである。この表を通してインスリンの生体内薬物動態が分かる。
【0104】
【表3】
【0105】
産業上の利用可能性
上記の実施例から確認されるように,インスリン微細結晶をマイクロカプセル化した本発明のインスリン放出制御製剤は,マイクロカプセル化段階で起こるインスリンの変成を減少させ製剤の安定性を増加させ,生体内におけるインスリンの初期放出及び低血糖の危険を減少させる。また,肺に投与するのに適した小さくて均一な粒子の形態にマイクロパーティクルが得られ,マイクロカプセル化効率(高分子運搬体に対する薬物の比)も増加され肺または注射を通して投与するのに適した形態になる。本発明のインスリン放出制御製剤は,体内で長時間持続的に安定的な薬効を発揮するようになるため,糖尿患者にとってインスリンの投与回数を減らしながらも一層安定的に血糖を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インスリン微細結晶とインスリン溶液を二重エマルジョン化法を使用してマイクロカプセル化した光学顕微鏡写真であって,(a)はインスリン溶液をカプセル化したもの(×400),(b)はインスリン微細結晶をカプセル化したもの(×400),(c)はインスリン溶液をカプセル化したもの(×200),(d)はインスリン微細結晶をカプセル化したもの(×200)を示す。
【図2】インスリン微細結晶とインスリン溶液を,二重エマルジョン化法を使用してマイクロカプセル化した電子顕微鏡写真であって,Aはインスリン溶液をカプセル化したもの(×1300,scale bar:30μm),Bはインスリン溶液をカプセル化したものの表面(×5000,scale bar:6μm),Cはインスリン溶液をカプセル化したものの断面(×9000,scale bar: 6μm),Dはインスリン結晶をカプセル化したもの(×1300,scale bar: 30μm),Eはインスリン結晶をカプセル化化したものの表面(×4700,scale bar:6μm),Fはインスリン結晶をカプセル化したものの断面(×9000,scale bar: 6μm)である。
【図3】solution/PLGAとcrystal/PLGAの粒子サイズを,粒子分析器を用いて分析した結果を示したグラフである。
【図4】インスリン微細結晶とこれを用いて製造した本発明のマイクロパーティクル(crystal/PLGA)の粒子サイズの差を,粒子分析器を用いて分析した結果を示したグラフである。
【図5】Solution/PLGAとcrystal/PLGAを7日間溶出させた後,RP−HPLCで脱アミド体を測定した図であって,図5(a)のAは非凍結乾燥solution/PLGA,図5(b)のBは非凍結乾燥crystal/PLGA,図5(c)のCは凍結乾燥solution/PLGA,図5(d)のDは凍結乾燥crystal/PLGAである。
【図6】CH2Cl2の除去段階中solution/PLGAとcrystal/PLGAの薬物含量の減少を測定した図である。
【図7】CH2Cl2の除去段階中solution/PLGAとcrystal/PLGAのマイクロパーティクルの外部に放出されたインスリン量を測定した図である。
【図8】Solution/PLGAとcrystal/PLGAの製造時使用したインスリンの濃度と薬物含量との関係を示した図である。
【図9】インスリン結晶,カプセル化したインスリン結晶,カプセル化して凍結乾燥したインスリン結晶の溶出推移を示した図である。
【図10】pH3,pH6,pH7.4のPBS溶液で凍結乾燥しないcrystal/PLGAのマイクロパーティクル内部のインスリン残存量を示した図である。
【図11】PBS,インスリン溶液,インスリン結晶,Crystal/PLGAをホワイトレットの腹腔内に投与した後の血糖減少を示した図である。
技術分野
本発明は,インスリンの放出制御製剤及びその製造方法に係り,特にインスリンの均一な微細結晶を生物分解性高分子物質でマイクロカプセル化して得たマイクロパーティクルを含有するインスリン放出制御製剤,及びその製造方法に関する。
【0002】
背景技術
放出制御システム(controlled release system)
薬物は,適用に便利なように薬理効果が最適に発現できる剤型に加工された後に,様々な経路を通して生体に投与される。投与された薬物は,剤型から放出された後に,吸収,分布,代謝,排泄の過程を経ながら生体内で薬理的な効果を表す。生体内で薬物が安定的かつ効率よく発現され,意図した作用部位に選択的に作用できるようにするためには,薬物の生体内挙動を各種技術で制御する必要がある。このように薬物の副作用を抑制する一方,効力を極大化させ必要な量の薬物を効率よく伝達できるよう設計された剤型をドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System;DDS)と称する。
【0003】
DDSに対する定義は,完全に確立されていないのが現状ではあるが,広意の解釈としては,ターゲットデリバリーシステムと化学的デリバリーシステムを含有して,薬物の生体内挙動を制御する広範な剤型設計を全て包括する意味として使用され,狭い意味での解釈としては,放出制御形式のデリバリーシステムを意味するものとして使用されてきた。
【0004】
医薬品の放出制御方法は,1970年代以降に薬剤学分野で急速に発展されてきた。低分子量の放出制御システムが主に医薬分野に適用されており,特に身体の特定部位に医薬品を伝達するのに活用されてきた。
【0005】
放出制御システムは,経口投与のためのカプセル型,マトリックス型,経口及び注射用のマイクロカプセル,ミクロスフェア,マイクロパーティクル,ナノパーティクル,リポソーム,及びインプラント等の多様な形態で存在する(J.Kost.1995)。
【0006】
マイクロカプセル化
放出制御製剤で最重要な技術がマイクロカプセル化である。本分野においては,ナノテクノロジが薬剤学分野のドラッグデリバリーシステムの発展に伴って,マイクロパーティクルの生産が急速に発展された。
【0007】
例えば,水溶性薬品である偽エフェドリンHCLをオイル−イン−ウォーター(O/W)分散,または共溶媒法,W/O/W多重エマルジョン化法(water−in−oil−in−water multiple emulsion method),エマルジョン溶媒蒸発法(emulsion−solvent evaporation method)を用いて高分子ミクロスフェア内に閉じ込む実験において,適切量の薬物を積載できるということが明らかになった(R.Bodmeier et.Al.1991)。マイクロカプセルは,固体または液体の薬物が中心核に位置した球状粒子を指し,ミクロスフェアは,高分子物質中に固体または液体薬物が分散されているもので,多核のマイクロカプセルと言える。また,マイクロパーティクルは,マイクロカプセルとミクロスフェアを全て包括し,高分子マトリックスや脂質などの微粒子を薬物運搬体として使用する微粒子性薬物運搬体を意味する。以下,本明細書では,特定しない限りかかる用語は,前述したような意味として使用する。
【0008】
マイクロパーティクルは,粒子の直径を0.1μmから数百μmまで多様に製造できる。このうち粒子の直径が1μm以下のものをナノスフェア(またはナノパーティクル)と称する。大半のミクロスフェアは,通常では固体状態で保存されてから使用する際に懸濁させるが,以前から放射線診断薬として使用されてきており,最近では薬物運搬体として注目されている。
【0009】
薬物運搬体
放出制御システムに使用される物理的支持体(運搬体)としては,多様な合成及び天然高分子があり,このうち生体内で分解される高分子としては,アルブミン,ゼラチン,コラーゲン,フィブリノゲン,ポリラクチド(polylactides : PLA),ポリグリコリド(polyglycolides : PGA),ポリβ−ヒドロキシ酪酸(poly β−hydroxy butyric acid;PHB),ポリカプロラクトン,ポリアンヒドリド,ポリオルトエステルと,かかる物質の共重合物であるPLGA等がある。このような高分子は,1960年代に外科用縫合糸として開発されて以来,1970年代からステロイド,抗マラリア剤,麻薬拮抗剤,抗癌剤などの徐放化製剤の基剤として多くの研究がなされてきており,Ticeなどが水溶性化合物,例えば抗生物質及び黄体ホルモン−遊離ホルモン(luteinizing hormone−releasing hormone;LHRH)誘導体をミクロスフェア製剤で製造して徐放化をなしうると発表されて以来,さらに関心の対象になっている(Tice,T.R.(1984) Pharm,Tech.8,26−36)。
【0010】
PLGA
ペプチド(peptides)を高分子重合物質でマイクロカプセル化する時は,以下の要件を満たさねばならない。
1) 生分解性重合体で作らねばならない。
2) 段階過程においてペプチドの変成を引き起こしてはならない。
3) マイクロカプセル化効率が十分高くなるべきである。
【0011】
現在,ペプチドとタンパク質のマイクロカプセル化に関する研究は,PLA(poly−(lactic acid)),またはPLAとPGA(poly−(glycolicacid))の共重合体物であるPLGA(poly−lactic−co−glycolide)を用いたW/O/W(water−in−oil−in−water)溶媒蒸発技術(solvent evaporation technique)が主流である。
【0012】
現在,PLGAとPLAは,毒性学的臨床資料が十分裏付けられている高分子であり,無毒性,生親和性,生物分解性高分子でFDAから人体使用を認められた物質である。これらの分解産物であるグリゴリック酸と乳酸は,体内代謝過程を経て除去される。かかる高分子重合体の加水分解速度は,温度,触媒の存在,pHの確実な変化がある時間だけ変動されるため,体内の位置による分解速度変動が観察されない。これは,ドラッグデリバリー剤型として利用されるのに適切な要件を満たす。分解速度は,高分子の分子量,結晶性,そしてPLGAのラクチド/グリコリド比率によって決定される。乳酸は,不斉炭素原子を有しているため,二つの光学異性体を有する。従って,これらの重合体は,L,D−,そしてD,L−乳酸で構成されており,L,D−重合体は,結晶型を,そしてD,L−重合体は,無定形であり早めに分解される(Patrick Convreur,Maria Jose,Blanco−Prieto,Francis Puisienx,Bernard Reques,Elias Fattal,Multiple emulsion technology for the design of microspheres containing peptides and oligopeptide.Advanced Drug Delivery Review 28(1997) 85−96)。
【0013】
PLGAは,水溶性と非水溶性医薬品のマイクロカプセル化に使用される。牛血清アルブミン(bovine serum albumin : BSA)をモデルタンパク質として使用してO/O(oil/oil),O/W(oil/water),W/O/Wエマルジョン化法でミクロスフェアを生産した場合,剤型溶液内に投与した全体タンパク質のうち50〜70%がミクロスフェア内に含有されることにより現われ,粒子のサイズは,順番に500μm,25〜100μm,10〜20μmであった。BSAの放出形態は,各製造方法によって相違に現われたが,W/O/Wエマルジョン化法で製造して真空乾燥したミクロスフェアの場合,放出量が多く,Carbopol−R951を含んだO/W方法で製造した微細粒子の場合,初期放出量が多いときに現われた。各々の場合,放出持続期間は,それぞれ54日,36日,34日となった。
【0014】
また,PLGAを用いて二重エマルジョン化法でミクロスフェアを製造する場合,肺伝達に適切なサイズに製造されることが報告されている。CNTF(Ciliary neurotrophic fact)をPLGA(30:70)を使用してミクロスフェアを製造した場合(D.Maysinger.Et.al.1996),相分析を通してミクロスフェアの粒子サイズが平均1.76±0.0186μmと報告されている。
【0015】
インスリン
放出制御製剤の対象として最も多く研究されているものがインスリンである。現在インスリンは,注射剤,ポンプの形態に多用されており,大半は即効性で40,80,100IU/mlのZn−インスリン懸濁液,または中性溶液の形態であり,一般的に100IU/mlのものを多用する。インスリンは,溶液状態の時が結晶状態の時より効果を早めに示しているが,作用持続時間が短い。従って,患者は,食前や寝る前に殆んど注射の形態に使用しており,活動によって即効性の持続性インスリンを区別して投薬している。現在使用されるインスリン製剤は,頻繁な投薬によって患者の日常生活に不便を招き,多少誤って投薬時間を逃した場合に,急激な血糖低下や低血糖ショックなどを引き起こす恐れがある。
【0016】
インスリン結晶は,インスリン溶液に比べて薬効が長く持続されることが知られており,注射する場合,36時間中効能を示せることが既知である。このことは,インスリン結晶が体内でインスリンをゆっくり溶解させるからであるが,この点をうまく活用すれば体内の膵臓でインスリンが生成され分泌されることに類似させて血液内でインスリンの活性を一層長く持続させうる。この点に着目してSchlichtkrullは,糖尿病治療用として使用できる小さいインスリン結晶の生成を試図し(1956年),以後製薬分野では,体内でゆっくり溶解されるようインスリンまたはインスリン誘導体の結晶を小さく作る結晶化方法が研究し続けられる。今まで多くのインスリン結晶化方法が報告され,その大半は,インスリン溶液のpH変化を用いるものである(米国第3,719,655号,米国特許第4,959,351号)。しかし,このような従来の結晶化方法では,肺を通して投与するのに適した10μm以下の微細インスリン結晶を高収率で得難い。
【0017】
生体投与後長時間にわたり,持続的に血中グルコースの濃度を減少させうるインスリンの放出制御製剤に対する研究が多数なされており,このうち確実な発展を示す幾つかのシステムが開発された。インスリン伝達方法で研究中の大半のシステムは,DDS内の高分子中に固定化されたグルコースオキシダーゼと血液内存在するグルコースの反応に基づいている。グルコースとグルコースオキシダーゼの反応結果,ドラッグデリバリーシステムの微細環境内にpH低下が生じると,このために高分子システムを膨張させることによってインスリンの放出を増加させる。この際に使用される高分子システムは,N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートやポリアクリルアマイドがある。
【0018】
また,インスリンを経口投与するための方法として消化器官内で変成されることを防ぐためにナノスフェアを製造することもある。これは,腸内に存在するM細胞を通して吸収される前まで高分子マトリックスでタンパク質の変成を防ぎ,小サイズを用いて細胞膜壁を通過する方法である。便利な投与方法であることが長所であるが,腹腔伝達に比べてその効果が11%ほどしか至らないという短所がある(Gerardo P.Carino,Jules S.Jacob,Edith Mathiowitz,Nanosphere based oral insulin delivery.Journal of controlled release 65 (2000) 261−269)。
【0019】
現在盛んに研究が進行されている分野の一つは,肺伝達(pulmonary delivery)である。肺伝達の場合,鼻腔伝達に比べて広いテニスコート(100m2)ほどの表面積を提供するのみならず,薄い肺上皮細胞壁越しに存在する数多くの血管を通して早い吸収が可能である。米国糖尿協会会議(1998年)で発表された幾つかの会社による臨床実験の結果,注射を用いる時ほどのインスリン効果を得られると現われ,現在千人以上の患者を動員した臨床実験3相(phaseIII)が進行中であることが知られている。このような肺伝達を用いたタンパク質ドラッグデリバリーシステムの開発は,今まで注射を通してだけ供給されて来た多くのタンパク質医薬品を一層手軽く楽に投与できる道を開いてくれると予想される。 本発明は,このようなインスリンの肺伝達と関連して一層効果的なインスリン放出制御製剤を提供することに関する。
【0020】
タンパク質医薬品の安定性 (Stability)
小さいペプチドの場合,その分解が起こる場合に稀だとしても,安定性は,本質的な課題である。マイクロパーティクルの製造段階において,タンパク質またはペプチドは,過渡な応力に適用される。従って,タンパク質医薬品のマイクロカプセル化製造段階は,熱,せん断応力,激しいpH変化,有機溶媒,凍結と乾燥への過渡な露出を排除させるべきである。貯蔵期間中もマイクロカプセル化されたタンパク質が水和され,かかる環境下でタンパク質は,一層変成されやすく,凝集されうる。また,投与後に高分子が分解し始めると高分子の内部の周囲に分解による酸性の単量体によって,高濃縮された酸性微細環境が形成される。かかる環境下でタンパク質は,凝集しやすくなり,加水分解,化学的変化を引き起こす。最後に,タンパク質が高分子と可逆的あるいは非可逆的に吸着を引き起こすことによって,ドラッグデリバリー速度に影響を与え,結局タンパク質の変成,凝集及び不活性化を引き起こすこととなる。
【0021】
治療目的として使用されるペプチド中で,インスリンは,タンパク質分解酵素のターゲットになるだけではなく,溶液や懸濁液内でも化学的,物理的な変成を受けやすい(J.Brange,L.Andersen,E.D.Laursen,G.Meyn,E.Rasmussen,Toward understanding insulin fibrillation,J.Pharm.Sci.86(1997)517−525)。
【0022】
液状溶液内でインスリンの化学的分解で脱アミド体,例えば酸性媒体でdesamido A21,中性溶液でのdesamido B3ができるか,トランスアミデーション反応によって共有結合したインスリン二量体が形成されうる(R.T.Darrington,B.D.Anderson,Evidence for a common intermediate in insulin deamidation and covalent dimer formation; effects of pH and aniline trapping in dilute acidic solutions,J.Pharm.Sci.84(1995)274−282)。
【0023】
他の球状タンパク質のようにインスリンもフォールディングや,各分子のアセンブリを通して疏水性表面が内部に隠されている3次元構造を有している。一方,自然的な形状の変化は,様々な要因によって影響を受ける。そのうち熱,物理的な力,それから疏水性表面への露出は,タンパク質の構造に変化を引き起こしてタンパク質の凝集と不溶性の沈澱を作る(B.V.Fisher,P.B.Porter,Stability of bovine insulin,J.Pharm.Pharmacol.33 (1981)203−206)。
【0024】
タンパク質医薬品の変成は,免疫原性や抗原性を誘導して抗体の生成を伴う場合があり,これは投入されたタンパク質の活動を妨害するのみならず,人体内に自然に生成される同一タンパク質の作用にも影響を与えるので極めて危険である(http://bric.postech.ac.kr/webzine/content/review/appliedbio/test1/html)。
【0025】
従って,医薬品の安定性は,生産過程と共に剤型側面でも考慮すべきである。本発明は,剤型に含有されるインスリンの安定性を確保しつつマイクロカプセル化する方法に関する。
【0026】
発明の開示
遺伝子組み換え技術を用いてタンパク質医薬品を開発するにおいて,剤型とドラッグデリバリーは,極めて重要な要素となる。特にこれら生物医薬品は,分子量が大きく3次元的構造によって,その活性と物理的な特性が大幅に左右されるため,一般的な化学合成薬物に比べて変成しやすくなり,その結果,構造安定のために製剤化が重要な課題となる。
【0027】
インスリンの場合,マイクロカプセル化過程において,変成を引き起こして脱アミド化体が形成されやすく,全体タンパク質の約50%の損失が起こる。また,マイクロパーティクルの乾燥過程において,タンパク質表面に吸着されて起こる初期の放出は,低血糖を引き起こす場合がある。
【0028】
従って,本発明の目的は,マイクロカプセル化過程においてインスリンのタンパク質変成を最小化することにより,安定性を増加させたインスリン放出制御製剤及びその方法を提供する。
【0029】
このため本発明では,高分子運搬体を使用してインスリンの微細結晶をマイクロカプセル化したインスリン放出制御製剤を提供する。本発明のインスリン放出制御製剤は,肺を通した吸入投与剤,注射剤,経口投与剤,硬皮吸収剤などの形態に製造でき,特に肺を通した投与のためにマイクロパーティクルのサイズを肺に伝達するのに適した10μm以下,さらに望ましくは5μm以下にする。本発明のインスリン放出制御製剤は,持続的な薬効発現でインスリン投与回数を減らせる持効性製剤であり,また急激な血糖低下を防止するためにインスリンの初期放出量が制御される。
【0030】
本発明の他の目的は,インスリンのマイクロカプセル化効率増加及び最適化に関する。
【0031】
マイクロカプセル化に使用される生物分解性高分子は,それぞれの物性及び具体的な組成によって分解速度が異なるが,大体完全に分解されるのに相当な時間が所要される。人体に対する安全性が立証されたPLGAの場合,具体的な組成によって分解速度が異なるが,一般に分解に約50〜100日ほど所要されることが知られている。従って,生物分解性高分子を運搬体として使用するマイクロカプセル製剤を投与し続ける場合に,体内に高分子蓄積を引き起こす恐れがあるため,マイクロカプセル化において同量の高分子運搬体を使用してさらに多量の薬物を捕獲させることは,剤型技術の目標となる。
【0032】
液体状態の薬物をマイクロカプセル化する場合,薬物の溶解度によってマイクロパーティクル内に捕獲できる薬物の濃度が決定される。溶解度が高くない薬物の場合に,少量だけが捕獲されるが,この場合では,適切な容量の薬物を伝達するためには,一層多量のマイクロパーティクルを体内に投与しなければならないという問題点が発生する。
【0033】
このような問題点は,マイクロパーティクル製剤を肺経由で伝達する際には,深刻になる。一般に,肺に伝達された物質は,内部に吸収される。非吸収性の物質の場合では,大食細胞による浄化過程を通して除去される。浄化過程は,気道では24時間以内に除去されるが,肺胞では一層長時間かかる(Camner,P.1994)。また肺の内部に物質が多量存在するほど,かかる浄化過程が遅く進行されるという報告もある。
【0034】
従って,特に肺を通して投与される薬物の場合は,高分子運搬体に対する薬物の比を増加させ体内に投与される高分子物質の量を減らすことが必要となる。本発明では,インスリンの均一な微細結晶を用いてマイクロパーティクルを製造することによって,マイクロパーティクル内に含有されるインスリンの含量を必要に応じて調節できるインスリン放出制御製剤を提供する。
【0035】
本発明のさらに他の目的は,インスリンのマイクロカプセル製剤を使用直前に再び溶液に分散させて使用するという不便を改善するために,インスリンのマイクロパーティクルを液相保存する方法に関する。
【0036】
マイクロパーティクルは,凍結乾燥して保管し使用前に分散させ使用することが一般的である。しかし,タンパク質医薬品の場合,凍結乾燥過程において薬物の変成が起こる場合があり,乾燥による薬物のマイクロパーティクル表面吸着によって初期放出現象が起こる場合がある。従って,本発明では,必要時に薬物投与を容易にし,患者に危険を引き起こす初期放出効果を防止するため,インスリンマイクロパーティクル製剤を凍結乾燥せずに,インスリン等電点を用いて溶液内で保存する方法を提供する。
【0037】
また,本発明では,インスリン結晶のマイクロパーティクルと共に即効性のインスリン部分を製剤に含有して製造することによって,一回の投与で即効性と持続性の効果が同時に得られるインスリンの放出制御製剤及びその方法を提供することを目的とする。
【0038】
本発明の他の目的及び長所は,後述され,本発明の実施によって一層理解しやすくなる。
【0039】
発明を実施するための最良の形態
以下,本発明に係るインスリン結晶のマイクロカプセル化について詳述する。
【0040】
インスリンの均一な微細結晶を用いてマイクロパーティクルを製造するためには,まず微細インスリン結晶を高収率で生成できるインスリンの結晶化方法を探求する必要がある。本発明者らは,以前の研究において,インスリン溶液の溶解度調節によって結晶の核として働ける微細なインスリン粒子を溶液内に形成させた後,溶液中のインスリン溶解度を下げて結晶化させることによって10μm以下,特に5μm以下の微細したインスリン結晶を高収率で製造できる方法を開発したことがある(韓国特許出願第99−14957号)。本発明では,本発明者らが開発したことのあるインスリン結晶化方法を適用して製造された微細インスリン結晶をマイクロカプセル化する。
【0041】
インスリンの均一な微細結晶を得る方法は,次の通りである。インスリン等電点以下の酸性インスリン溶液のpHを,塩基を用いて約pH9から10.5まで変化させてインスリン溶液内にシードとして働ける微細粒子を形成させた後,かかるインスリン溶液のインスリン溶解度を下げることによって10μm,特に好ましくは5μm以下のインスリン微細結晶を得る。
【0042】
一般に,マイクロパーティクルは,マトリックス高分子を薬物のように乳化(分散)させた後,加熱して変成させたり,ホルマリンなどを用いて化学的に架橋させたり,放射線重合,液中乾燥などの操作を実行して,硬化させて作成される。マイクロパーティクルの粒子サイズは,薬物の体内挙動を決定する最も大事な因子になるが,製剤条件をよく選択して粒子サイズを調節することができる。
【0043】
ペプチドは,N−,C−末端が環形成やアミド形成,エステル化などによってブロッキングされていない場合は,親水性を有する。従って,親水性によってペプチドとタンパク質は,疏水性高分子より構成される高分子マトリックスシステム内にマイクロカプセル化をし難い。このような特性によってW/O/W溶媒蒸発法を用いた微細粒子の製造方法が開発された。
【0044】
多重エマルジョン溶媒蒸発法は,蒸溜水や緩衝溶液に溶かした薬物(inner water phase;IWP)と,水と混合されず揮発性の強い有機溶媒に溶解されている高分子溶液(organic solvent;OS)とから構成される。IWPを有機溶媒上に乳化させ1次エマルジョン(primary emulsion;W/O)を作った後,かかるエマルジョンを乳化剤が含有されている液相(outer water phase;OWP)に注ぎながら撹拌して,2次エマルジョン(W/O/W)を作る。作られた多重エマルジョンを撹拌し続けて,有機溶媒を蒸発させて高分子の沈澱を誘発させることによって,固体の薬物保有マイクロパーティクルが形成される。
【0045】
OWPにおいて乳化剤の存在は,球状のマイクロパーティクルの形成に重要な役割を果たす。乳化剤は,有機溶媒の除去中に微細粒子の凝析を防ぐ役割を果たす。乳化剤としては,一般にポリビニルアルコール(poly(vinylalchol);PVA)を使用するが,ポリビニルピロリドン,アルギネート,メチルセルロース,ゼラチンなども使える。
【0046】
有機溶媒の除去は,正常気圧下または減圧状態で実行される。溶媒の完全な除去は,以下のような三つの方法を通して実行される。
1) 割り込みプロセス : 常温で蒸発を行なってから,部分的に固くなった微細粒子を低濃度の乳化剤溶液や乳化剤のない溶液に移して蒸発を継続させる方法。
2) 連続プロセス : 有機溶媒が完全に除去されるまで常温で撹拌し続ける方法。
3) ロータリーエバポレーション : ロータリエバポレーターを使用して約30℃で除去する方法。
【0047】
溶媒が除去された後,堅くなったマイクロカプセルは,ろ過や遠心分離を通して分離し,乳化剤を除去するために数回洗浄した後に,真空乾燥または凍結乾燥する。
【0048】
本発明においてマイクロカプセル化は,好ましくは二重エマルジョン化法を使用し,子物質としては,生体内で分解される生物分解性高分子物質を使用する。生物分解性高分子物質としては,例えばアルブミン,ゼラチン,コラーゲン,フィブリノゲン,PLA及びPGAのようなヒドロキシ酸;PLGA,PEG,ポリβ−ヒドロキシ酪酸(poly β−hydroxy butyric acid; PHB),ポリカプロラクトン,ポリアンヒドリド,ポリオルトエステル,PLGA(poly(lactide−co−glycolides)),ポリアンヒドリド,ポリウレタン,ポリ(酪酸),ポリ(吉草酸)及びPLGA等とその誘導体,そしてこれらの共重合体及び混合物が使用される。ここで,「誘導体」という用語は,化学基,例えばアルキル,アルキレンの置換,付加,水酸化,酸化及び当業者によって通常に実施される他の変形を有する高分子を含有する。一般に,生物分解性高分子物質は,非酵素的及び酵素的加水分解の全て,及び表面またはバルクの侵食によって生体内で分解される。前述の高分子物質としては,特にPLGAを使用することが好ましい。
【0049】
二重エマルジョン溶媒蒸発段階を使用する本発明のマイクロカプセル化過程を具体的に説明すると,以下の通りである。
【0050】
まず,前述したような方法で微細インスリン結晶を得た後,これをインスリン等電点であるpH4.5〜6.5の溶液に懸濁させ使用する。
【0051】
この際,前述の懸濁液は,1%酢酸溶液で作った1%キトサン溶液に塩基を添加してインスリン結晶が溶けない条件,すなわち等電点であるpH4.5〜6.5に合わせたキトサン溶液を使用したり,あるいはキトサンの代りにPBS(phosphate buffered saline)溶液を使用したり,あるいは結晶化段階で溶液状態に得られたインスリン結晶の上澄み液を使用できる。
【0052】
前述したように用意したインスリン懸濁液を高分子溶液(例えばPLGA/DCM溶液)に加えて1次エマルジョンを作り,これを乳化剤(例えば1%PVA溶液)にゆっくり加えて2次エマルジョンを作る。その後,撹拌して高分子を凝固させた後に,遠心分離で粒子を回収し蒸溜水で3回洗浄した後に,凍結乾燥して本発明のマイクロパーティクルを得る。
【0053】
前述の乳化剤としては,ポリビニルアルコール(PVA),ポリビニルピロリドン,アルギネート,メチルセルロース,ゼラチン等の通常の乳化剤が使用される。
【0054】
前述したような過程を通して製造された本発明のマイクロパーティクルは,体積平均直径10μm以下の小さく,均一な様相の粒子分布を示し,好ましくは体積平均直径0.1μm以上を有する。特に,肺を通した投与剤の形態に剤型化する場合,好ましくは体積平均直径約5μm以下のサイズを有するように作られ,粒子サイズは,マイクロパーティクル内のインスリン結晶の量に影響を受けない。
【0055】
後述の実施例において,インスリン結晶をマイクロカプセル化した本発明のマイクロパーティクルとインスリン溶液をマイクロカプセル化したマイクロパーティクルとを比較した。インスリン溶液は,インスリンを酢酸溶液に溶かして使用した。 様々な比較実験結果,インスリン結晶をマイクロカプセル化した場合は,薬物が中心核に位置したマイクロカプセル(以下,”crystal/PLGA”と称する)が形成され,液相のインスリン溶液をマイクロカプセル化した場合は,高分子物質中に薬物が分散されているミクロスフェア(以下,”solution/PLGA”と称する)が形成された(図1参照)。このような剤型構造の影響によって,本発明のcrystal/PLGAは,solution/PLGAに比べて粒子のサイズにおいて一層小さくて均一な様相を示した(図3及び図4参照)。
【0056】
また,本発明によってインスリン結晶をマイクロカプセル化した場合,有機溶媒との接触面が減少して段階から発生しうるタンパク質の変成が減少するなど剤型の安定性が大幅に増加した(図6及び図7参照)。
【0057】
その他,crystal/PLGAの場合,solution/PLGAに比べて高いマイクロカプセル化効率を示し(図8参照),硬化段階中起こりうるタンパク質の損失も減少した。
【0058】
本発明者らの実験結果,インスリンは,0.1N酢酸溶液(pH2.0)に約254IU/0.3mlの濃度まで溶解されると現われ,これに比べてインスリン結晶は,溶解度に対する制限がないため,425IU/0.3ml以上のインスリンをマイクロカプセル化段階に導入することができた。crystal/PLGAの場合,インスリン濃度が増加するほど薬物含量も線形的に増加しカプセル化効率が約79%と一定に現われたが,solution/PLGAの場合,薬物含量は,インスリンの溶解度を考慮した時で最大3%であり,カプセル化効率は,インスリン濃度が増加するほど減少された。従って,インスリン結晶を使用して高分子でマイクロカプセル化する場合,使用される高分子運搬体に対する薬物の比を増加させることによって,体内に投与される高分子化合物の量を減少させ,浄化過程に対する肺の負担を軽減できることが確認できた。
【0059】
また,本発明では,インスリン等電点を用いてマイクロパーティクル製剤を凍結乾燥せずに,等電緩衝溶液内で保存するインスリンマイクロパーティクル製剤の液相保存方法を提供する。インスリンの等電点であるpH4.5〜6.5の等電緩衝溶液内でインスリン結晶のマイクロパーティクル製剤を保存する場合に,15時間後にもマイクロパーティクル内に96%のインスリンが残存することが確認された。かかる液相のインスリンマイクロパーティクル製剤の場合,使用時で溶液に分散させる必要なく,そのまま患者に投与できるので投与が容易となり,凍結乾燥過程におけるタンパク質変成がないため,体内に投与時初期放出効果も相当に減少される。
【0060】
インスリン結晶をマイクロカプセル化したcrystal/PLGAは,生体内における薬効発現を確認するための動物実験において,マイクロカプセル化しないインスリン結晶に比べて低い血糖濃度を一層長時間維持させることが現われたが,生体内で長時間に亘って安定的に薬効が持続されることと確認された(図11参照)。
【0061】
インスリン微細結晶をマイクロカプセル化した本発明のマイクロパーティクルは,生体内でインスリンの薬効が長時間持続的に維持されるインスリン放出制御製剤として使用される。
【0062】
前述のインスリン放出制御製剤は,薬剤学的に許容可能な賦形剤や運搬体または補助剤をさらに含有することができる。
【0063】
好ましくは,上記のインスリン放出制御製剤は,インスリン結晶のマイクロパーティクルをpH4.5〜6.5の等電緩衝溶液内に保存する形態を有する。
【0064】
上記のインスリン放出制御製剤は,肺を通した吸入投与剤,経口投与剤,注射剤,硬皮吸収剤などの多様な形態に製造でき,肺を通して投与される吸入剤の形態を有することが最も好ましい。
【0065】
また,既存の知られている剤型化技術によって,本発明のマイクロパーティクル(例えば,crystal/PLGA)と即効性のインスリン部分を共に製剤に含めて即効性と持続性の効果を同時に得られるインスリンの放出制御製剤を製造することができる。この際,即効性の部分は,インスリン溶液や既存の即効性のインスリン製剤などを利用することができる。
【0066】
以下,実施例を通して本発明をさらに詳述する。しかし,次の実施例によって本発明の範囲が限定されず,本発明の属する技術分野において通常の知識を持つものによって,本発明の技術思想と後述する特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能なことは勿論である。
【0067】
実施例1
インスリン結晶のマイクロカプセル化
(1)インスリン粉末をpH2.0酢酸に溶かしてから,1Nと10Nの NaOHを用いて酸度を変化させれば,pH4.5を越えながら集合体が生成し始め,pHをさらに増加させれば,pH6.0を越えながら5μm以下の微細インスリン結晶が62%以上生成され,pH9.0から10.5におけるインスリン溶液をpH6に急激に減少させれば,数秒から2分内に5μm以下の微細インスリン結晶が90%以上生成される。このような方法で溶液状態に存在する微細インスリン結晶を用意した。
(2)用意された溶液状態のインスリン微細結晶を4,500rpmで15分間遠心分離して上澄み液を除去しインスリン結晶を分離した。
(3)分離されたインスリン結晶を蒸溜水で洗浄して溶液内に存在するインスリン分子を除去した後に,再び上記(2)の別に分離した上澄み液0.3mlに懸濁させた。
(4)懸濁液をガラス試験管に用意した4mlのPLGA/CH2Cl2溶液に注ぎ組織破砕器を使用してエマルジョンを作った。
(5)上記のエマルジョンを50mlのポリビニルアルコール(1%)溶液に次第に注ぎ二重エマルジョンを作った。
(6)上記の二重エマルジョンを3時間撹拌してCH2Cl2を除去した後に,2,300rpmで5分間遠心分離して上澄み液を除去し,蒸溜水で3回洗浄して本発明のマイクロパーティクル,すなわちマイクロカプセル形態のcrystal/PLGAを得た。
【0068】
実施例2
インスリン溶液のマイクロカプセル化
インスリン微細結晶の代りに,0.1N酢酸溶液に溶解させたインスリン溶液を使用することを除けば,実施例1と同様な方法でマイクロカプセル化してインスリン溶液のマイクロパーティクル,すなわちミクロスフェア形態のsolution/PLGAを得た。
【0069】
実施例3
インスリン微細粒子サイズの測定
実施例1及び2で得られたマイクロパーティクル粒子を光学顕微鏡(Inverted microscope,model CK2,Olympus,Tokyo,Japan)で観察して,その結果を図1に示し,SEM(scanning electron microscopy)で表面を観察した結果を図2に示した。また,粒子分析器(CILAS particle size analyzer 1064,France)を用いて,実施例1及び2で得たマイクロパーティクルの粒子サイズを測定してその結果を図3に示し,実施例1の(1)で作ったインスリン結晶と実施例1で製造されたマイクロパーティクル(crystal/PLGA)の粒子サイズを分析した結果を図4に示した。
【0070】
図1(a)及び図1(c)は,実施例2で得たsolution/PLGAの光学顕微鏡写真(それぞれ×400,×200)であり,図1(b)及び図1(d)は,実施例1で得たcrystal/PLGAの光学顕微鏡写真(それぞれ×400,×200)である。図1から確認できるように,極めて均一な球状のマイクロパーティクルが製造された。
【0071】
図2を見れば,実施例1で製造したcrystal/PLGAの場合,表面に微細孔がより少なくれ,内部構造を見れば内部にインスリン微細結晶が入っているマイクロカプセルの形態であることが分かる。一方,実施例2で製造したsolution/PLGA場合は,表面に微細孔が多く形成されており,内部が多核で構成されているミクロスフェアの形態であることが分かる。
【0072】
また,図3を見れば,全体的に実施例1で得たcrystal/PLGAが実施例2で得たsolution/PLGAに比べて粒子サイズが小さいことが分かる。インスリン結晶とマイクロカプセル化したインスリン結晶とを比較した図4を見れば,マイクロカプセル化された場合,そうでない場合に比べてサイズがやや増加したことが分かる。しかし,実施例1で得たマイクロパーティクルは,実験毎にやや差があったが,体積平均直径が約5.09±0.92μmであって肺を通して伝達可能なサイズであり,特に肺を通して投与するのに適した5μm以下の粒子が体積−直径で約60%を占め,数−直径で約99%を占めることがわかった。
【0073】
実施例4
安定性試験
実施例1のcrystal/PLGAと実施例2のsolution/PLGAをpH7.4のPBS溶液に分散させ,37℃で放出させた。7日間放出させた後,遠心分離して上澄み液を回収し,RP−HPLCで分析して結果を図5(a)及び図5(b)に示した。
【0074】
実施例5
安定性試験
実施例1のcrystal/PLGAと実施例2のsolution/PLGAを凍結乾燥した後,それぞれpH7.4のPBS溶液に分散させ,37℃で放出させた。7日間放出させてから遠心分離して上澄み液を回収し,RP−HPLCで分析して結果を図5(c)及び図5(d)に示した。
【0075】
図5(a),図5(d)から分かるように,実施例4及び5において脱アミド体が観察された。一層正確に把握するため,これらを全体インスリンピーク面積に対する比率で計算し,凍結乾燥したものと凍結乾燥しないものとを比較して次の表1に示した。
【0076】
【表1】
【0077】
表1から分かるように,実施例1のcrystal/PLGAの場合,実施例2のsolution/PLGAに比べてアミド分解が遥かに少なく起こり,これはイギリス薬典とアメリカ薬典で明示した3%より少ない量であった。
【0078】
したがって,インスリン結晶をマイクロカプセル化した場合,その安定性がインスリン溶液をマイクロカプセル化したことに比べて,遥かに優れ,凍結乾燥を経た後も安定性が維持されることが確認できた。
【0079】
実施例6
段階中インスリンの損失
実施例1及び2のマイクロパーティクルの製造段階中,CH2Cl2を除去する段階で,一定時間間隔で試料を採取し,これをマイクロパーティクルとOWPとに分離した。マイクロパーティクルは,CH2Cl2に溶解した後,0.1N酢酸溶液を添加して内部に捕獲されたインスリンを抽出した。OWPは,pHを2に減少させて残りうるインスリン微細結晶を溶解させた。これらを全てブラッドフォード法で定量して,その結果を図6及び図7に示した。
【0080】
Solution/PLGAの場合,薬物含量の減少が観察されたが,crystal/PLGAの場合このような減少が観察されなかった(図6)。
【0081】
OWPとして放出されたインスリン量もsoltuion/PLGA場合,増加し続けて,3時間後全体システム内に添加したインスリン量の9%ほどが外部に放出されることが分かった(図7)。
【0082】
従って,インスリン微細結晶をマイクロカプセル化した場合,インスリン溶液をマイクロカプセル化した場合に比べて,段階中での損失が遥かに小さいことが確認できた。
【0083】
実施例7
マイクロパーティクル内薬物含量とカプセル化効率
実施例1の(1)のような方法で用意したインスリン懸濁液を一定量取って,3mg,6mg,10.5mg,15mgのインスリン結晶を得た。
【0084】
これを遠心分離した後,上澄み液を捨て,0.3のクリスタルスープ(crystal soup)に分散させた後,実施例1のような方法でマイクロパーティクルを製造した。また,別に3mg,6mg,10.5mg,15mgのインスリンを取って0.3mlの0.1N酢酸溶液に溶かして実施例2のような方法でマイクロパーティクルを製造した。
【0085】
これを凍結乾燥した後,約5mgをそれぞれ取って実施例6のような方法で内部のインスリンを抽出して薬物含量とカプセル化効率を測定して,その結果を図8及び次の表2に示した。
【0086】
【表2】
【0087】
crystal/PLGAの場合,インスリンの濃度が増加するほど薬物含量が線形的に増加し,カプセル化効率も約79%で一定であった。しかし,solution/PLGAの場合,薬物含量は,インスリンの溶解度を考慮した時に,最大3%であり,カプセル化効率は,濃度が増加するほど減少された。
【0088】
これを通して,インスリン微細結晶をカプセル化した場合,インスリン溶液をカプセル化する既存の方法に比べてマイクロパーティクル内薬物含量が増加し,段階中の損失も低くなってカプセル化効率も高まることが確認できた。
【0089】
実施例8
溶出実験
インスリン放出と関わるマイクロカプセル化の影響を評価するため,インスリン結晶をマイクロカプセル化した後,一部は,凍結乾燥し,一部は,凍結乾燥しないままインスリン結晶と共に放出実験を行った。
【0090】
インスリン結晶(●)と,実施例1で製造したマイクロカプセルを凍結乾燥したもの(〇)と,実施例1で製造したマイクロカプセルを凍結乾燥しないもの(▼)を0.4mlのPBS溶液(pH7.4)に混ぜた後,37℃で放出させた。一定時間間隔に遠心分離して上澄み液を回収し,新たな溶液を補充した。ブラッドフォード法を使用して放出されたインスリンの量を測定し,その結果は,図9の通りである。
【0091】
図9から分かるように,初期放出後0次放出を示す二相性放出を示した。インスリン結晶の場合,初期放出量が約28%であることに比べ,マイクロカプセル化(crystal/PLGA)した後に凍結乾燥した時は,約36%と約8%が増加した。逆に,凍結乾燥しないマイクロパーティクル(crystal/PLGA)では,初期放出量が約24%でインスリン結晶に比べて4%ほど減少され,凍結乾燥したものに比べて12%減少された。これは,高分子膜によって放出量が制御されたと推測される。
【0092】
また,インスリン微細結晶の場合,持続的に多量が放出され4時間後には,完全に放出され残存量がなかった。しかし,マイクロカプセル化された場合は,初期に多量が放出された後,少量のインスリンが持続的に放出され,放出4時間後も凍結乾燥しない場合は,38%,凍結乾燥した場合は,18%のインスリンがマイクロパーティクル内に残存した。
【0093】
結局,凍結乾燥しないマイクロカプセル化の場合インスリンの初期放出を減少させることができ,特に凍結乾燥しないマイクロカプセル化の場合は,インスリン結晶に比べて,さらに長時間持続的にインスリンが均一に放出されることが確認できた。
【0094】
実施例9
等電点を用いた貯蔵性実験
実施例1で製造したマイクロカプセルを凍結乾燥しない状態で溶出実験を行った。インスリンが完全に溶解されるpH3(●)と,等電点であるpH6(〇),それから体内放出条件であるpH7.4(▼)のPBS溶液で実施例8と同様に行い,その結果を図10に示した。
【0095】
実験結果,pH6(〇)では,4時間後,全体インスリン量の約20%が放出され80%が残存する一方,pH3(●)とpH7.4(▼)では,それぞれ15%,38%が残存した。結局,pH3やpH7.4の放出様相と違って,pH6では,少量がゆっくり放出されることが観察された。
【0096】
また,pH6のPBSで4℃に貯蔵した場合は,15時間後も96%のインスリンがマイクロパーティクル内に残存していることが確認された。
【0097】
実施例10
インスリン剤型による前臨床実験
インスリンをPBS緩衝液(pH7.2)に溶かしたインスリン溶液と,実施例1で使用したインスリン微細結晶,実施例1の段階を経て製造したマイクロカプセルを実験用ホワイトラット(SD Rat)の腹腔内に注射で投与した。インスリン溶液は,PBS緩衝液(pH2.14)に完全に溶かしてから,水酸化ナトリウム(NaOH)と塩酸(HCl)を用いてpH7.2に合わせた。各製剤による最適投与量を選定して投与した。インスリン溶液の場合,投与容量は,2IU/kgであり,ホワイトラット9匹に腹腔注射投与した。インスリン微細結晶は,平均粒子サイズが4.16μmであり,収率94.25%のもので投与容量は,5IU/kgにし,ホワイトラット9匹に腹腔注射投与した。マイクロカプセル化したインスリン微細結晶は,20IU/kg,ホワイトラット8匹に腹腔投与した。対照群としては,ホワイトラット9匹にPBS7.2の溶液を投与した。1匹当たり注射量は,ラット重さ別にインスリン懸濁液で同様に実行した。結果は,図11の通りである。
【0098】
対照群(●)に比べてインスリンを注射したマウス(〇,▼,▽)で血糖値の著しい減少を確認できた。薬効持続時間がインスリン溶液(〇)の場合,約6時間程であり,インスリン結晶(▼)の場合は,約8時間であったが,これに比べてマイクロパーティクル(crystal/PLGA)(▽)の場合は,12時間ほどであった。
【0099】
また,マイクロカプセル化したcrystal/PLGA(▽)がインスリン結晶(▼)に比べてさらに低い血糖値をより長く持続させることが確認された。
【0100】
すなわち,インスリン溶液(〇)は,2時間経過時点で最低血糖値を示し,インスリン微細結晶(▼)も2時間経過時点で最低であったし,インスリンマイクロカプセル(▽)は,3時間経過時点で最低血糖になることとなった。
【0101】
体内血糖濃度のパターンでインスリンの放出パターンを逆に確認できるため,最低血糖値の際に,インスリン放出は,最大値であることを相対的に分かる。
【0102】
インスリン溶液(〇)とインスリン微細結晶(▼)では,2時間経過時点を基準にして血糖が回復傾向になって,6〜8時間後は,正常レベルに回復されたが,これに比べてインスリンマイクロカプセル(▽)は,3時間経過時点を基準にして12時間後に,正常血糖に回復された。これは,マイクロカプセルが体内でインスリンをゆっくり放出することによって,薬効持続時間を延したことを示すものである。また,インスリン溶液が5IU/kgを越える場合,及びインスリン微細結晶が10IU/kgを越えて投与する場合,低血糖によってラットが死ぬようになる。しかし,インスリンマイクロカプセルの場合(▽)は,20IU/kgでも血糖が低下されてから,ゆっくり正常レベルに回復されることから,高分子物質によって体内で薬物がゆっくり分泌され,薬効を示すまでの時間を遅らせることによって糖尿患者の睡眠中低血糖によるショックや死亡に有効なものとして期待された。
【0103】
次の表3は,インスリンの剤型による投与量(Dose),血糖濃度減少結果の最低値(MRPG),最低血糖時間,血糖濃度の曲線下面積(AUC),総血糖減少量(TRPG)を示したものである。この表を通してインスリンの生体内薬物動態が分かる。
【0104】
【表3】
【0105】
産業上の利用可能性
上記の実施例から確認されるように,インスリン微細結晶をマイクロカプセル化した本発明のインスリン放出制御製剤は,マイクロカプセル化段階で起こるインスリンの変成を減少させ製剤の安定性を増加させ,生体内におけるインスリンの初期放出及び低血糖の危険を減少させる。また,肺に投与するのに適した小さくて均一な粒子の形態にマイクロパーティクルが得られ,マイクロカプセル化効率(高分子運搬体に対する薬物の比)も増加され肺または注射を通して投与するのに適した形態になる。本発明のインスリン放出制御製剤は,体内で長時間持続的に安定的な薬効を発揮するようになるため,糖尿患者にとってインスリンの投与回数を減らしながらも一層安定的に血糖を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インスリン微細結晶とインスリン溶液を二重エマルジョン化法を使用してマイクロカプセル化した光学顕微鏡写真であって,(a)はインスリン溶液をカプセル化したもの(×400),(b)はインスリン微細結晶をカプセル化したもの(×400),(c)はインスリン溶液をカプセル化したもの(×200),(d)はインスリン微細結晶をカプセル化したもの(×200)を示す。
【図2】インスリン微細結晶とインスリン溶液を,二重エマルジョン化法を使用してマイクロカプセル化した電子顕微鏡写真であって,Aはインスリン溶液をカプセル化したもの(×1300,scale bar:30μm),Bはインスリン溶液をカプセル化したものの表面(×5000,scale bar:6μm),Cはインスリン溶液をカプセル化したものの断面(×9000,scale bar: 6μm),Dはインスリン結晶をカプセル化したもの(×1300,scale bar: 30μm),Eはインスリン結晶をカプセル化化したものの表面(×4700,scale bar:6μm),Fはインスリン結晶をカプセル化したものの断面(×9000,scale bar: 6μm)である。
【図3】solution/PLGAとcrystal/PLGAの粒子サイズを,粒子分析器を用いて分析した結果を示したグラフである。
【図4】インスリン微細結晶とこれを用いて製造した本発明のマイクロパーティクル(crystal/PLGA)の粒子サイズの差を,粒子分析器を用いて分析した結果を示したグラフである。
【図5】Solution/PLGAとcrystal/PLGAを7日間溶出させた後,RP−HPLCで脱アミド体を測定した図であって,図5(a)のAは非凍結乾燥solution/PLGA,図5(b)のBは非凍結乾燥crystal/PLGA,図5(c)のCは凍結乾燥solution/PLGA,図5(d)のDは凍結乾燥crystal/PLGAである。
【図6】CH2Cl2の除去段階中solution/PLGAとcrystal/PLGAの薬物含量の減少を測定した図である。
【図7】CH2Cl2の除去段階中solution/PLGAとcrystal/PLGAのマイクロパーティクルの外部に放出されたインスリン量を測定した図である。
【図8】Solution/PLGAとcrystal/PLGAの製造時使用したインスリンの濃度と薬物含量との関係を示した図である。
【図9】インスリン結晶,カプセル化したインスリン結晶,カプセル化して凍結乾燥したインスリン結晶の溶出推移を示した図である。
【図10】pH3,pH6,pH7.4のPBS溶液で凍結乾燥しないcrystal/PLGAのマイクロパーティクル内部のインスリン残存量を示した図である。
【図11】PBS,インスリン溶液,インスリン結晶,Crystal/PLGAをホワイトレットの腹腔内に投与した後の血糖減少を示した図である。
Claims (13)
- 塩基を使用することにより等電点以下の酸性インスリン溶液のpHをpH9から10.5まで変化させてインスリン溶液内にシードとして機能する微細粒子を形成させた後に,前記インスリン溶液のインスリン溶解度を低下させることにより,粒子体積平均直径10μm以下のインスリン微細結晶を生成し,該インスリン微細結晶を等電点にあたるpH4.5〜6.5の溶液に懸濁させた後に,生物分解性高分子溶液に加えて1次エマルジョンを作り,前記1次エマルジョンに乳化剤を加えて2次エマルジョンを作ってから撹拌する二重エマルジョン方法を使用してマイクロカプセル化された粒子体積平均直径10μm以下のマイクロパーティクルを含有することを特徴とする,インスリン放出制御製剤。
- 前記マイクロパーティクルをpH4.5〜6.5の等電緩衝溶液内に保存することを特徴とする,請求項1に記載のインスリン放出制御製剤。
- 前記生物分解性高分子は,アルブミン,ゼラチン,コラーゲン,フィブリノゲン;ポリラクチド(polylactides:PLA)またはPGAのようなヒドロキシ酸;PLGA,PEG,ポリβ−ヒドロキシ酪酸(poly β−hydroxy butyric acid; PHB),ポリカプロラクトン,ポリアンヒドリド,ポリオルトエステル,PLGA,ポリアンヒドリド,ポリウレタン,ポリ(酪酸),ポリ(吉草酸)またはPLGA;これらの誘導体と共重合体及び混合物より構成された群から選択されることを特徴とする,請求項1または2に記載のインスリン放出制御製剤。
- 前記高分子は,PLGAであることを特徴とする,請求項3に記載のインスリン放出制御製剤。
- 前記インスリン結晶を懸濁させる溶液は,1%酢酸溶液で作った1%キトサン溶液,PBS溶液,または結晶化過程で溶液状態に得られたインスリン結晶の上澄み液のいずれか一つであることを特徴とする,請求項1または2に記載のインスリン放出制御製剤。
- 前記製剤は,肺への吸入投与剤,経口投与剤,注射剤,または硬皮吸収剤のいずれか一つの剤型を有することを特徴とする,請求項1または2に記載のインスリン放出制御製剤。
- 前記マイクロパーティクルは,体積平均直径5μm以下であり,肺への吸入投与剤の形状を有することを特徴とする,請求項1または2に記載のインスリン放出制御製剤。
- 前記製剤には,薬剤学的に許容可能な賦形剤,運搬体,および補助剤が更に含有されることを特徴とする,請求項1または2に記載のインスリン放出制御製剤。
- 即効性のインスリン部分を更に含有することを特徴とする,請求項1または2に記載のインスリン放出制御製剤。
- (a) 塩基を用いて等電点以下の酸性インスリン溶液のpHをpH9から10.5まで変化させて前記インスリン溶液内にシードとして作用する微細粒子を形成させた後に,前記溶液のインスリン溶解度を下げて体積平均直径10μm以下のインスリン微細結晶を得る段階と,
(b)前記(a)段階で得た前記インスリン微細結晶を等電点であるpH4.5〜6.5の溶液に懸濁させた後に,生物分解性高分子溶液に加えて1次エマルジョンを作り,前記1次エマルジョンに乳化剤を加えて2次エマルジョンを作ってから撹拌して体積平均直径10μm以下のマイクロパーティクルを得る段階と,
(c)前記(b)段階で得た前記マイクロパーティクルに薬剤学的に許容可能な運搬体,賦形剤,または補助剤を加えて通常の薬剤学的方法で剤型化する段階とを備えることを特徴とする,インスリン放出制御製剤の製造方法。 - 前記(c)段階の剤型化段階は,前記マイクロパーティクルをpH4.5〜6.5の等電緩衝溶液内に保存する段階を含有することを特徴とする,請求項10に記載の方法。
- 前記乳化剤は,ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,アルギネート,メチルセルロース,またはゼラチンのいずれか一つを使用することを特徴とする,請求項10または11に記載の方法。
- 前記インスリン結晶を懸濁させる溶液は,1%酢酸溶液で作った1%キトサン溶液,PBS溶液,または結晶化過程で溶液状態に得られたインスリン結晶の上澄み液のいずれか一つであることを特徴とする,請求項10または11に記載の方法。
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