JP2004537274A - 軟骨形成におけるマトリックス遺伝子発現 - Google Patents

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Abstract

本発明は、細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するのに用いることができるポリペプチドに関する。より具体的には、本発明は、間葉細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するのに用いることができるポリペプチドに関する。本発明はまた、軟骨形成、骨形成、細胞マトリックスの増殖、修復、再生及び/又は復元を刺激することができる遺伝子を担持するベクターを用いて、軟骨細胞及びその他の間葉細胞をトランスフェクトするための方法にも関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞増殖及び/又は分裂を刺激するポリペプチドに関する。より具体的には、本発明は間葉細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するポリペプチドに関する。本発明はまた、軟骨細胞及び他の軟骨細胞を、軟骨形成、骨形成、細胞外マトリックスの増殖、修復、再生及び/又は回復を刺激することができる遺伝子を担持するベクターを用いてトランスフェクトする方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
胚の発達において、軟骨形成は、骨格の特異的領域となるように運命付けられた領域中への間葉幹細胞の増殖、移住及び凝縮と共に開始する。この形態形成期の後、間葉由来細胞の分化及びそれらが占める組織に特徴的なマトリックスタンパク質のこれらの分化した細胞による発現が続く(図1)。増殖中の肢芽において、軟骨細胞が支配的な細胞型になり、特定の段階で軟骨マトリックスを形成するのに必要な遺伝子を選択的に発現する。軟骨中で産生される最も豊富なマトリックス遺伝子は、大きな凝集型プロテオグリカンであるアグリカン(aggrecan)と共に発現されるII型コラーゲン(Canceddaら、1995; Sandellら、1991; Muratogluら、1995)である。軟骨形成中にこれらの細胞により産生される軟骨原基は、軟骨内骨化のプロセスにより胎児期及び胎児後期の長骨に最終的に形質転換される。これは軟骨細胞の進行性増殖、成熟、肥大及びアポトーシスの後の、軟骨細胞により空けられた空隙の鉱化作用、骨芽細胞の血管進入及び増殖並びに骨マトリックスの蓄積に関与する(図2)。骨は、軟骨細胞の進行性増殖後、血管化された骨による軟骨の置換によって長軸側に伸長する。胎児の発達の後期段階及び誕生後において、このプロセスは、カルシウム沈着、軟骨細胞の死滅、骨芽細胞形成及び血管進入が軟骨の肥大した/瀕死の軟骨細胞間の境界での骨小柱の形成をもたらす増殖プレート中で起こる。
【0003】
これらの重要な細胞性事象は全て、遺伝的、パラクリン的、オートクライン的、エンドクライン的及び機械的因子により厳密に調節される。しかしながら、同一性及びこれらの因子が演じる各々の役割は、依然としてほとんど知られていない。II型コラーゲンは、軟骨マトリックスの主要な構造タンパク質であり、該組織の乾燥重量の約50%を占める。このコラーゲンはマトリックスの構造的骨格を提供し、軟骨の全体的な形状を維持し、そのネットワーク内に大分子水和プロテオグリカン凝集物(アグリカン)を捕捉する。II型コラーゲンはまた、IX型コラーゲン、フィブロネクチン、オステオネクチン、ヒアルロナン並びにプロテオグリカン、デコリン及びビグリカンを含むデルマタン硫酸などの他のマトリックス分子とのイオン結合、疎水結合及び水素結合を受ける。プロテオグリカン凝集物アグリカンは、その高い陰イオン電荷及び水結合能力のため、機械的機能にとって必要な組織に対して弾性エネルギー及び粘弾特性を付与する。軟骨内骨形成並びに骨形成の部位でのヒト胎児軟骨におけるプロテオグリカン及びII型コラーゲンの相対分布を図2に示す。
【0004】
他の全ての種と対照的に、シカ族の角はその成体期を通して一年周期の脱落と再生を受ける。角形成のプロセスには、遠位領域の軟骨内骨化並びに近位の縁での軟骨内骨化及び膜骨形成を介する軟骨の骨への進行的形質転換と共に、頭蓋の柄部上の骨膜組織からの軟骨の急速な季節的成長を要する(Bank及びNewbrey, 1983; Goss, 1983; Kierdorfら、1995)。軟骨の成長及び骨化の速度は成体脊椎動物界では前例がない(最大2 cm/週)。角における骨への軟骨の変換のプロセスと骨端成長プレートの間には、形態学的及び歴史的類似性があるが(Bank及びNewbrey, 1983; Goss, 1983; Kierdorfら、1995)、特に、子宮における軟骨の形成(軟骨形成)の初期段階に特徴を示す遠位の軟骨領域において差異もある(図2)(Bank及びNewbrey, 1983; Goss, 1983; Kierdorfら、1995; Priceら、1996)。発達中の角の遠位領域においては(図3及び4)、軟骨細胞のニオブの(columbic)集合は骨端の成長プレートにおけるよりも広汎性であり、非鉱化軟骨領域は血管により貫通される前軟骨芽領域中に同化する間葉細胞の最も外側の先端中で形態学的にさらに分画される。前軟骨芽領域の近位に位置する軟骨芽領域においては、細胞は典型的な軟骨細胞の形態を示すが、より深い領域では肥大した外観を示す(図4)。この領域も血管チャンネルにより支配されるが、細胞外マトリックスは依然としてガラス質の軟骨の特徴的遺伝子産物であるII型コラーゲン及びプロテオグリカン(図4)を強力に染色する。II型コラーゲンに加えて、正常な成長プレート軟骨には存在しないI型及びIII型コラーゲンが角の軟骨先端中に存在することが報告されている(Newbreyら、1983)。
【0005】
2つの代替的スプライス遺伝子転写物、IIA型プロコラーゲン及びIIBも再生中の角の軟骨先端中で発現される(Priceら、1996)。しかしながら、軟骨形成を誘導すると考えられるアイソフォームであるIIA型プロコラーゲンのみが、軟骨の軟骨前駆領域中で一過的に発現された(Priceら、1996)。総合すると、これらの報告は、発達中のシカの角における軟骨形成及び骨化のプロセスは胎児後の軟骨におけるよりもむしろ初期胎児組織における長骨形成のパターンにより密接に類似しているが、しかしながら、それは前記2つのハイブリッドであると考えられることを示唆している。
【0006】
軟骨並びに椎間円板、半月板及び腱などの重量を有する他の結合組織に対する変性的損傷及び外傷的損傷は非常に一般的であるが、医学的に治療することが困難であることが多い。例えば、滑膜性連結への損傷は軟骨又は骨軟骨骨折を引き起こすのに十分に強いものとなり得るが、板及び腱の破壊は細胞の壊死をもたらし、機能の悪化とは異なる神経及び血管の欠損は長期の病的状態により付随する。連結軟骨などの結合組織への損傷が軟骨下の骨にまで浸透する場合(骨軟骨の損傷)、線維軟骨形成の形態における不完全な治癒が起こり得る。このタイプの修復は元の組織より機械的に劣化しており、毎日の張力負荷の下で衰える可能性がある。結合組織に対する損傷が血管を欠く領域に限定される場合、自然治癒が起こることは稀である(Buckwalterら、1987)。軟骨、円板又は他の結合組織の損傷も、細胞数並びにその生存能力及び増殖因子に応答する能力が既に低下している老年の被験者においては悪化している可能性がある(Loeserら、2000; Hashimotoら、1998)。これらの例においては、より進行的な軟骨又は円板の変性に続いて、隣接する支持構造における肋軟骨下の骨の過負荷及び変形性関節症(OA)の開始をもたらすのが一般的である。かくして、それは損傷後の正常な再生及び修復を妨げる結合組織細胞の無血管性及び最終段階の分化であることに当業者は一般的に同意している。さらに、この状況は、加齢プロセス、ホルモン状態の変化、機械的因子及び減少した栄養摂取の結果起こる結合組織内の細胞の低密度で低下した応答性及び生存能力によって悪化する。結合組織機能の欠損が、末梢の連結部及び脊椎のOAと共に発生する場合、全社会において疼痛及び身体障害の最も頻繁な原因であり、全世界に広がる最も一般的なリウマチ性障害であるため、これらの欠陥はかなり重要なものである。
【0007】
近年、種々の方法により軟骨、半月板、腱、及び椎間円板における組織再生及び修復を促進する試みが為されてきた。用いられた手法のいくつかはこの課題についての最近の刊行物に記載されている(Buckwalter及びMankin, 1998; Breinanら、1998; Wakitaniら、1998; Rahfothら、1998; Nishidaら、2000; Moonら、2000)。Buckwalter及びMankin(1998)の論文で、著者らは「関節軟骨を修復又は移植するための現在の方法は正常な関節表面を復元しないが、いくらかの患者においては軟骨の欠陥に関連する症状を減少させ得る」と結論付けている。軟骨修復を始める一般的な方法は、軟骨欠損部への軟骨細胞の自家移植(人工マトリックスにより支持される)を使用することである。臨床報告は、この手術が若年者における小さな欠損の修復には効果的である(Brittbergら、1994; Peterson, 1996)が、この方法は既に記載された理由で成熟軟骨細胞の固有の限定された増殖能力及び生合成能力に起因して、依然として満足のいくものではないことを示唆している。考察された通り、骨髄の未分化間葉細胞を欠損部に浸透させ、占有させるためにドリル又は穿孔術により軟骨下プレートに割れ目を作ることによってこの問題を克服する試みも、部分的に成功しているにすぎない。これらの欠損部を最初に占有する物質は、その唯一の性質により、関節軟骨に必要とされる特殊化された生体機械的機能を実行することができない線維軟骨に常に劣化していく(Nehrerら、1999)。Nehrer及び共同研究者ら(1999)は、ウサギの連結部における軟骨の欠損を修復する細胞は、軟骨細胞表現型への骨髄の間葉細胞の不十分な分化に起因して、低い転写レベルのII型コラーゲン遺伝子を発現することを示した。これらの知見から、彼らは、正常な軟骨への形質転換を阻害する修復組織においては、十分な量の基礎的に重要な調節因子、又は前駆細胞が存在しないと結論付けた。
【0008】
より近年では、これらの問題のいくつかを克服する試みは、相溶性バイオマトリックス中で増殖させた結合組織細胞を、増殖因子遺伝子又は細胞外マトリックスの再生もしくは転換の減少を促進することができる他の遺伝子を用いてトランスフェクトする技術の利用をもたらした。この手法の例としては、培養したウマの関節軟骨細胞、間葉幹細胞、滑液外植片、及び滑液内膜細胞を、ウマインスリン様増殖因子Iをコードする配列を含むE1欠失アデノウイルスベクターを用いてトランスフェクトすることが挙げられる(Nixonら、2000)。Ad/CMV-hTGFβ1を注入した円板は、トランスフォーミング増殖因子β1について、髄核と共に、広く、強力な陽性の免疫染色を示し、活発なトランスフォーミング増殖因子β1産生において30倍の増加を示した。さらに、そのようにトランスフェクトされた組織は、トランスフェクトされていない対照組織と比較して100%より多いプロテオグリカンを合成した(Nishidaら、1999)。抗炎症サイトカインの遺伝子導入又はその発現のin vivoでの誘導の使用が、マトリックス分解を減少させることによる変形性関節症の治療のための可能性のある方法として記載されてきた(Fernandesら、2000)。他の研究者たちは、I型コラーゲン、II型コラーゲン及びアグリカンの産生を誘導するためにポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、コラーゲンマトリックス上に塗布されたウシ軟骨細胞の単層培養物を使用してきた。培養期間中を通してコラーゲン骨格上で、I型コラーゲン遺伝子をアップレギュレートしたが、PLA及びPGAは最初の誘導後にダウンレギュレーションを示した(Saldanha及びGrande, 2000)。骨形態形成タンパク質-7はTGF-βスーパーファミリーの16個の関連するBMPのファミリーのメンバーである。BMPの作用の主要部位は骨であると考えられているが、欠損部中のバイオマトリックス内の遺伝子増強組織として投与された場合、ヒト関節軟骨細胞におけるII型コラーゲン及びアグリカンの合成を刺激することにより、軟骨の修復において有効性を有することも示された(Masonら、2000)。
【0009】
無血管結合組織内の欠損の修復は、通常は宿主細胞により発現されるが、トランスフェクトされていない状態では低下したレベルで発現される増殖因子又はサイトカイン/抗サイトカイン遺伝子を用いてトランスフェクトされた宿主細胞を植えたバイオマトリックスの欠損中への移植片に大きく限定されたことは従来技術から明らかである。そのような合理的な手法は、細胞により合成される細胞外マトリックスの量を、トランスフェクト細胞中で増加させることによって、欠損部を充填し、修復を支持するか、あるいは細胞により産生されるマトリックスを異化する速度を減少させる遺伝子を用いてそれらの細胞をトランスフェクトすることである。そのような手法はいくつかの利益を提供するが、標的細胞内に既に存在し、かつ胎児の発達及び成長中に一度発現されたが、それらの細胞の分化及び成熟の状態が進行したために、もはや発現されない、増殖、修復、再生及び/又は復元に関する固有の遺伝的情報は利用されてこなかった。
【発明の開示】
【0010】
本発明者らは、増殖/分裂中の細胞で高レベルに発現されるポリペプチドを同定した。従って、本発明は、細胞の増殖及び/又は分裂の刺激におけるこれらのポリペプチドの使用を提供する。
【0011】
かくして、第1の態様において、本発明は細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、動物細胞を、
a) 配列番号1に示される配列、
b) 配列番号2に示される配列、
c) 配列番号3に示される配列、及び
d) a)〜c)のいずれかの配列と少なくとも50%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含むポリペプチドと接触、又はそこに挿入することを含む、前記方法を提供する。
【0012】
好ましい実施形態において、前記ポリペプチドは、a)〜c)のいずれかと、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、及び最も好ましくは少なくとも99%同一である。
【0013】
別の実施形態において、本発明は細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、動物細胞を、
a) 配列番号4に示される配列、
b) 配列番号5に示される配列、
c) 配列番号6に示される配列、及び
d) a)〜c)のいずれかの配列と少なくとも70%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含むポリペプチドと接触、又はそこに挿入することを含む、前記方法を提供する。
【0014】
好ましい実施形態において、前記ポリペプチドは、a)〜c)のいずれかと、少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、及び最も好ましくは少なくとも99%同一である。
【0015】
別の態様において、本発明は、細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、動物細胞を、
a) 配列番号7に示される配列、
b) 配列番号8に示される配列、
c) 配列番号9に示される配列、及び
d) a)〜c)のいずれかの配列と少なくとも80%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含むポリペプチドと接触、又はそこに挿入することを含む、前記方法を提供する。
【0016】
好ましい実施形態において、前記ポリペプチドは、a)〜c)のいずれかと、少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、及び最も好ましくは少なくとも99%同一である。
【0017】
別の態様において、本発明は、細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、動物細胞を、
a) 配列番号10に示される配列、
b) 配列番号11に示される配列、
c) 配列番号12に示される配列、及び
d) a)〜c)のいずれかの配列と少なくとも85%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含むポリペプチドと接触、又はそこに挿入することを含む、前記方法を提供する。
【0018】
好ましい実施形態において、前記ポリペプチドは、a)〜c)のいずれかと、少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、及び最も好ましくは少なくとも99%同一である。
【0019】
別の態様において、本発明は、細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、動物細胞を、
a) 配列番号13に示される配列、
b) 配列番号14に示される配列、及び
c) a)又はb)のいずれかの配列と少なくとも70%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含むポリペプチドと接触、又はそこに挿入することを含む、前記方法を提供する。
【0020】
好ましい実施形態において、前記ポリペプチドは、a)又はb)のいずれかと、少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、及び最も好ましくは少なくとも99%同一である。
【0021】
別の態様において、本発明は、細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、動物細胞を、
a) 配列番号15に示される配列、
b) 配列番号16に示される配列、及び
c) a)又はb)のいずれかの配列と少なくとも50%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含むポリペプチドと接触、又はそこに挿入することを含む、前記方法を提供する。
【0022】
好ましい実施形態において、前記ポリペプチドは、a)又はb)のいずれかと、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、及び最も好ましくは少なくとも99%同一である。
【0023】
別の態様において、本発明は、細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、動物細胞を、
a) 配列番号17に示される配列、及び
b) a)の配列と少なくとも60%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含むポリペプチドと接触、又はそこに挿入することを含む、前記方法を提供する。
【0024】
好ましい実施形態において、前記ポリペプチドは、a)と、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、及び最も好ましくは少なくとも99%同一である。
【0025】
別の態様において、本発明は、細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、動物細胞を、
a) 配列番号18に示される配列、
b) 配列番号19に示される配列、
c) 配列番号20に示される配列、及び
d) a)〜c)のいずれかの配列と少なくとも50%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含むポリペプチドと接触、又はそこに挿入することを含む、前記方法を提供する。
【0026】
好ましい実施形態において、前記ポリペプチドは、a)〜c)のいずれかと、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、及び最も好ましくは少なくとも99%同一である。
【0027】
別の態様において、本発明は、細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、動物細胞を、
a) 配列番号21に示される配列、
b) 配列番号22に示される配列、
c) 配列番号23に示される配列、及び
d) a)〜c)のいずれかの配列と少なくとも65%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含むポリペプチドと接触、又はそこに挿入することを含む、前記方法を提供する。
【0028】
好ましい実施形態において、前記ポリペプチドは、a)〜c)のいずれかと、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、及び最も好ましくは少なくとも99%同一である。
【0029】
別の態様において、本発明は、細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、動物細胞を、
a) 配列番号24に示される配列、
b) 配列番号25に示される配列、
c) 配列番号26に示される配列、及び
d) a)〜c)のいずれかの配列と少なくとも75%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含むポリペプチドと接触、又はそこに挿入することを含む、前記方法を提供する。
【0030】
好ましい実施形態において、前記ポリペプチドは、a)〜c)のいずれかと、少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、及び最も好ましくは少なくとも99%同一である。
【0031】
別の態様において、本発明は、細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、動物細胞を、
a) 配列番号27に示される配列、及び
b) a)の配列と少なくとも35%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含むポリペプチドと接触、又はそこに挿入することを含む、前記方法を提供する。
【0032】
軟骨形成による細胞分裂及び/又はマトリックス遺伝子発現の増加は、トランスサイレチンの作用の結果として起こる。
【0033】
好ましい実施形態において、前記ポリペプチドは、a)の配列と、少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、及び最も好ましくは少なくとも99%同一である。
【0034】
全ての前記態様の好ましい実施形態において、前記細胞は体細胞である。より好ましくは、体細胞は間葉細胞である。より好ましくは、間葉細胞は、軟骨細胞及び骨細胞からなる群より選択される。
【0035】
全ての前記態様の好ましい実施形態において、前記ポリペプチドを、前記細胞中に該ポリペプチドをコードする発現ベクターを導入することにより提供する。
【0036】
全ての前記態様のさらに好ましい実施形態において、前記細胞を、動物、好ましくは哺乳動物から取り出し、in vitroで培養し、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて形質転換又はトランスフェクトした後、動物中に戻す。
【0037】
これに関して、及び特に好ましい実施形態において、本発明は、動物における軟骨形成、軟骨、円板又は結合組織の増殖、修復、再生及び/又は復元を刺激する方法であって、動物由来の軟骨細胞又は他の間葉細胞を、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いてトランスフェクトし、該ポリヌクレオチド分子が軟骨細胞又は他の間葉細胞中で発現されることによって、該動物において軟骨形成、軟骨、円板もしくは結合組織の増殖、修復、再生及び/又は復元を引き起こすような好適な部位で、該トランスフェクトされた軟骨細胞又は他の間葉細胞を該動物中に移植することを含む、前記方法を提供する。
【0038】
前記細胞を、動物(例えば、ヒト)から取り出し、トランスフェクトした後、好ましくは、該動物において軟骨形成、軟骨、円板もしくは結合組織の増殖、修復、再生及び/又は復元が必要とされる部位で該動物中に戻すことができる。
【0039】
この実施形態の1つの例は、pBK-CMV.2(本明細書に記載)などのベクター中にクローニングされ、ペレット培養物中で増殖させたウサギ軟骨細胞が、これらの細胞により産生されたDNAへの放射性前駆体3H-チミジンのより高い取込みにより測定された通り、増殖の増強を示す(図6)ことが観察されたGoomerら、(2000)により記載された方法に従って軟骨細胞中にトランスフェクトされた、標準的技術に従ってクローンDACC-7から調製した1.5 kbの完全長cDNAの使用を含む。これらのペレット培養物は、たとえそれらが増殖しているとしてもGoomerら(2000)により示されたように軟骨細胞の表現型を維持する。
【0040】
全ての前記態様のさらに好ましい実施形態において、前記細胞を、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いてin vivoで形質転換又はトランスフェクトする。
【0041】
これに関して、及び特に好ましい実施形態において、本発明は動物における軟骨形成、軟骨、円板もしくは結合組織の増殖、修復、再生及び/又は復元を刺激する方法であって、動物において軟骨細胞又は他の間葉細胞を、軟骨細胞又は他の間葉細胞中で発現されることによって動物における軟骨形成、軟骨、円板もしくは結合組織の増殖、修復、再生及び/又は復元を引き起こすような前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いてin vivoでトランスフェクトすること(米国特許第6,159,464号及びGoomerら、2000を参照)を含む、前記方法を提供する。
【0042】
別の態様において、本発明は、細胞の増殖及び/又は分裂を阻害する方法であって、動物細胞を、前記態様に略述したようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズし、かつその翻訳を阻害する化合物と接触させるか、又はそこに挿入することを含む、前記方法を提供する。
【0043】
別の態様において、本発明は、動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するポリペプチドの活性を調節する薬剤を同定する方法であって、
i) 該ポリペプチドを候補薬剤に曝露すること、及び
ii)細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を調節する該候補薬剤の能力を評価すること、
を含む、前記方法を提供する。
【0044】
一実施形態において、該薬剤は細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を阻害する。
【0045】
別の実施形態において、該薬剤は細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を増強する。
【0046】
全ての前記態様の特に好ましい実施形態において、前記動物細胞は哺乳動物細胞である。より好ましくは、該哺乳動物細胞はヒト細胞である。
【0047】
さらなる態様において、本発明は、間葉細胞の増殖及び/分裂を刺激する方法であって、動物の間葉細胞を、シカ角の軟骨細胞から得られた条件化培地、又はその活性画分に曝露することを含む、前記方法を提供する。
【0048】
前記条件化培地を、シカ角の軟骨細胞をin vitroで増殖させる任意の培養物中から取得することができる。本明細書に例示される1つの例は、DMEM:F12/10%(v)FBS中でシカ角の軟骨細胞を増殖させることである。
【0049】
本明細書で用いる用語「その活性画分」とは、間葉細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する因子を維持する条件化培地の少なくとも部分的に精製された部分を指す。
【0050】
好ましくは、前記シカ角軟骨細胞を、前軟骨細胞、成熟軟骨細胞、肥大軟骨細胞、又はそれらの組合せからなる群より選択する。
【0051】
好ましくは、前記方法はさらに、前記細胞を増殖因子に曝露することを含む。より好ましくは、増殖因子を、インスリン様増殖因子(IGF-1)、TGF-β、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、形態発生骨因子、胸腺ホルモン(サイロキシン)、甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)、性ホルモン、黄体形成ホルモン(LH)及びプロラクチンからなる群より選択する。
【0052】
本発明者らは予期せぬことにも、再生中のシカ角の急速に増殖している軟骨の軟骨細胞が、シカ軟骨細胞mRNAのノーザンブロット分析で観察された通り、成熟関節軟骨の軟骨細胞又は骨端成長プレートの軟骨細胞中では発現されない独特な遺伝子を発現することを決定した。さらにより驚くべき知見は、in situハイブリダイゼーションにより証明された通り(その結果を本明細書の以下の部分に提供する)、これらの遺伝子転写物のうちのいくつかがヒト胎児組織における軟骨形成の初期段階でも発現されることであった。
【0053】
従って、別の態様において、本発明は、再生中のシカ角の急速に増殖している軟骨の軟骨細胞中で発現される遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。
【0054】
好ましくは、この新規な遺伝子産物はヒト胎児組織における軟骨形成の初期段階並びにヒト軟骨細胞及び同様の細胞中でも発現され、細胞外マトリックス並びに変性軟骨及び変形性関節症の軟骨の機能を復元しようとするものである。
【0055】
さらなる態様において、本発明は、
a) 配列番号1に示される配列、及び
b) a)の配列と少なくとも91%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激することができる前記ポリペプチドを提供する。
【0056】
好ましくは、前記ポリペプチドはa)の配列と少なくとも95%同一である。より好ましくは、該ポリペプチドはa)の配列と少なくとも99%同一である。
【0057】
別の態様において、本発明は、
a) 配列番号4に示される配列、及び
b) a)の配列と少なくとも99%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/もしくは分裂を刺激すること、又は細胞外マトリックスの構造成分からなる群より選択される生物活性を有する前記ポリペプチドを提供する。
【0058】
別の態様において、本発明は、
a) 配列番号7に示される配列、及び
b) a)の配列と少なくとも99%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/もしくは分裂を刺激すること、又はタンパク質合成に関与するサブユニットからなる群より選択される生物活性を有する前記ポリペプチドを提供する。
【0059】
別の態様において、本発明は、
a) 配列番号13に示される配列、及び
b) a)の配列と少なくとも90%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/もしくは分裂を刺激すること、又はクロマチン構造を変化させることからなる群より選択される生物活性を有する前記ポリペプチドを提供する。
【0060】
好ましくは、前記ポリペプチドは、a)の配列と少なくとも95%同一である。より好ましくは、該ポリペプチドはa)の配列と少なくとも99%同一である。
【0061】
別の態様において、本発明は、
a) 配列番号15に示される配列、及び
b) a)の配列と少なくとも99%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/もしくは分裂を刺激すること、又は細胞移住を調節することからなる群より選択される生物活性を有する前記ポリペプチドを提供する。
【0062】
別の態様において、本発明は、
a) 配列番号18に示される配列、及び
b) a)の配列と少なくとも91%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/もしくは分裂を刺激すること、又は細胞ストレスへの応答からなる群より選択される生物活性を有する前記ポリペプチドを提供する。
【0063】
好ましくは、前記ポリペプチドは、a)の配列と少なくとも95%同一である。より好ましくは、該ポリペプチドはa)の配列と少なくとも99%同一である。
【0064】
別の態様において、本発明は、
a) 配列番号21に示される配列、及び
b) a)の配列と少なくとも96%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/もしくは分裂を刺激すること、又は結合組織もしくはコラーゲン原線維発生の成分からなる群より選択される生物活性を有する前記ポリペプチドを提供する。
【0065】
好ましくは、前記ポリペプチドは、a)の配列と少なくとも99%同一である。
【0066】
別の態様において、本発明は、
a) 配列番号24に示される配列、及び
b) a)の配列と少なくとも98%同一である配列、
からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/もしくは分裂を刺激すること、又はコラーゲンの成分からなる群より選択される生物活性を有する前記ポリペプチドを提供する。
【0067】
好ましくは、前記ポリペプチドは、a)の配列と少なくとも99%同一である。
【0068】
本発明はまた、配列FVEGL/IYQ/KVEL/IDTK(配列番号41)及びEGL/IYQ/KV(配列番号42)を含むヒトトランスサイレチン(配列番号27)のシカorthologをも提供する。
【0069】
別の態様において、本発明は、本発明によるポリペプチドを含む融合タンパク質を提供する。
【0070】
この態様の好ましい実施形態において、少なくとも1個の他のポリペプチドを、本発明のポリペプチドの安定性を増強するポリペプチド、及び前記融合タンパク質の精製を援助するポリペプチドからなる群より選択する。
【0071】
さらなる態様において、本発明は、本発明によるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0072】
好ましくは、前記ポリヌクレオチドは、配列番号28、29、31〜33、又は35〜38のいずれか1つに従う配列を含む。
【0073】
さらに別の態様において、本発明は、配列番号30として提供される配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0074】
別の態様において、本発明は、配列番号34として提供される配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0075】
さらなる態様において、本発明は、高ストリンジェンシーな条件下で本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズするアンチセンスポリヌクレオチドを提供する。
【0076】
さらなる態様において、本発明は、本発明によるポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0077】
好ましくは、前記ポリヌクレオチドをプロモーターに機能し得る形で連結する。
【0078】
前記ベクターは、複製起点、及び好ましくはポリヌクレオチド分子の発現のためのプロモーター、必要に応じて、該プロモーターの調節因子を有する、非ウイルス(合成)もしくはウイルス、並びにプラスミド、又はファージベクターであってもよい。該ベクターは1個以上の選択マーカー、例えば、細菌プラスミドの場合はアンピシリン耐性遺伝子又は動物発現ベクターの場合はネオマイシン耐性遺伝子などを含んでもよい。いつでも使える用途に従って、他の選択マーカーを用いてもよい。前記ベクターを、in vitroで、例えば、RNAの産生のために用いてもよく、又は宿主細胞をトランスフェクトもしくは形質転換するために用いてもよい。
【0079】
別の態様において、本発明は、本発明によるベクターを用いてトランスフェクト又は形質転換された宿主細胞を提供する。
【0080】
好ましくは、前記宿主細胞は動物細胞である。より好ましくは、前記宿主細胞は哺乳動物細胞である。
【0081】
さらなる態様において、本発明は、特に胚発生中の間葉細胞の発達部位を同定及び/又は特性決定する方法であって、間葉細胞のmRNAを含む試験サンプルを、本発明のポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする好適に標識された核酸プローブに曝露し、該プローブの該mRNAへのハイブリダイゼーションを検出することを含む、前記方法を提供する。好ましくは、前記試験サンプルは好適に調製された組織切片である。
【0082】
さらなる態様において、本発明は、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体、並びに細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を遮断するための該抗体の使用を提供する。
【0083】
本明細書を通して、文脈が特に必要としない限り、用語「含む」は、記述された要素、完全体もしくは段階、又は要素群の含有を意味するが、任意の他の要素、完全体もしくは段階、又は要素群、複数の完全体もしくは段階の排除を意味しないと理解される。
【0084】
本発明をより明確に理解するために、好ましい形態を以下の実施例及び図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0085】
一般的分子生物学
特に指摘しない限り、本発明で用いる組換えDNA技術は当業者には公知の標準的な手順である。そのような技術はJ. Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning, John Wiley and Sons (1984)、J. Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory Press (1989)、T.A. Brown (編), Essential Molecular Biology: A Practical Approach, Volumes 1及び2, IRL Press (1991)、D.M. Glover及びB.D. Hames (編), DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes 1-4, IRL Press (1995及び1996)、並びにF.M. Ausubelら(編), Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates及びWiley-Interscience (1988、現在までの全てのアップデートを含む)などの資料中に文献を介して記載及び説明されており、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0086】
ポリペプチド
「実質的に精製された」とは、天然の状態で関連している脂質、核酸、他のポリペプチド、及び他の夾雑分子から分離されたポリペプチドを意味する。
【0087】
ポリペプチドの%同一性は、ギャップ作成ペナルティー=5、及びギャップ延長ペナルティ=0.3でのGAP(Needleman及びWunsch, 1970)分析(GCGプログラム)により決定する。照会配列は少なくとも15アミノ酸の長さであり、GAP分析は2つの配列を少なくとも15アミノ酸の領域に渡って整列させる。より好ましくは、照会配列は少なくとも50アミノ酸の長さであり、GAP分析は2つの配列を少なくとも50アミノ酸の領域に渡って整列させる。さらにより好ましくは、照会配列は少なくとも100アミノ酸の長さであり、GAP分析は2つの配列を少なくとも15アミノ酸の領域に渡って整列させる。より好ましくは、照会配列は少なくとも250アミノ酸の長さであり、GAP分析は2つの配列を少なくとも250アミノ酸の領域に渡って整列させる。さらにより好ましくは、照会配列は少なくとも500アミノ酸の長さであり、GAP分析は2つの配列を少なくとも500アミノ酸の領域に渡って整列させる。
【0088】
本明細書で用いる、本発明の方法において用いるポリペプチドの「生物学的に活性な断片」は、動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する能力を維持するポリペプチドの一部である。
【0089】
本発明の方法にとって有用なポリペプチドは天然のものであってもよいし、突然変異体であってもよく、及び/又はその断片であってもよい。
【0090】
好適なヌクレオチド変化をDNAに導入するか、又は所望のポリペプチドをin vitroで合成することにより、アミノ酸配列変異体を調製することができる。そのような変異体は、例えば、該アミノ酸配列内の残基の欠失、挿入又は置換を含む。最終タンパク質産物が所望の特徴を有するという条件で、最終構築物に到達するために欠失、挿入及び置換の組合せを作製することができる。
【0091】
アミノ酸配列変異体の設計において、突然変異部位の位置及び突然変異の性質は改変しようとする特徴に依存するであろう。突然変異の部位を、例えば、(1) まず保存的アミノ酸選択物で置換し、次いで、達成される結果に依存するよりラジカルな選択物で置換すること、(2) 標的残基を欠失させること、又は(3) 位置決定した部位に隣接して他の残基を挿入することにより、個別に、又は連続して改変することができる。
【0092】
アミノ酸配列の欠失は、一般的には約1〜30個の残基、より好ましくは約1〜10個の残基、典型的には約1〜5個の連続した残基である。
【0093】
置換変異体は、除去されるポリペプチド分子中の少なくとも1個のアミノ酸残基及びその位置に挿入される異なる残基を有する。置換突然変異誘発にとって最も重要な部位としては、活性部位及び/又は結合部位として同定される部位が挙げられる。他の重要な部位は、様々な種から得られる特定の残基が同一であるものである。これらの位置は生物活性にとって重要である。これらの部位、特に、少なくとも3個の他の同一の保存された部位の配列内のものは、比較的保存的な様式で置換するのが好ましい。そのような保存的置換を、「例示的置換」の見出しの下で表1に示す。
【表1】
Figure 2004537274
さらに、必要に応じて、非天然アミノ酸又は化学的アミノ酸類似体を、前記ポリペプチド中に置換又は付加として導入することができる。そのようなアミノ酸としては、限定されるものではないが、一般的アミノ酸のD異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、2-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロ-アミノ酸、β-メチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、Nα-メチルアミノ酸などの設計アミノ酸、及び一般的なアミノ酸類似体が挙げられる。
【0094】
また、本発明の範囲内に含まれるのは、例えば、ビオチン化、ベンジル化、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質溶解的切断、抗体分子もしくは他の細胞リガンドへの連結などにより、合成の途中又は合成後に差時的に改変されるポリペプチドである。これらの改変は、前記ポリペプチドの安定性及び/又は生物活性を増加させるのに役立つ。
【0095】
ポリペプチドを、天然タンパク質の産生及び回収、組換えタンパク質の産生及び回収、並びに該タンパク質の化学的合成などの種々の方法で作製することができる。一実施形態において、本発明の単離されたポリペプチドを、該ポリペプチドを産生するのに効率的な条件下で、該ポリペプチドを発現することができる細胞を培養し、該ポリペプチドを回収することにより作製する。培養するのに好ましい細胞は、本発明の組換え細胞である。効率的な培養条件としては、限定されるものではないが、タンパク質産生を可能にする効率的な培地、バイオリアクター、温度、pH及び酸素条件が挙げられる。効率的な培地とは、本発明のポリペプチドを産生させるために細胞を培養する任意の培地を指す。そのような培地は典型的には同化可能な炭素、窒素及びリン酸源、並びに好適な塩、ミネラル、金属及び他の栄養素、例えばビタミンを有する水性の培地を含む。本発明の細胞を、従来の発酵バイオリアクター、振とうフラスコ、試験チューブ、マイクロタイターディッシュ、及びペトリ皿中で培養することができる。培養を、組換え細胞にとって好適な温度、pH及び酸素含量で実行することができる。そのような培養条件は、当業者の専門技術内にある。
【0096】
ポリヌクレオチド
「単離されたポリヌクレオチド」とは、その天然の状態で結合又は連結されているポリヌクレオチド配列から分離されたポリヌクレオチドを意味する。さらに、用語「ポリヌクレオチド」は、本明細書においては用語「核酸分子」と互換的に使用される。
【0097】
ポリヌクレオチドの%同一性を、ギャップ作成ペナルティー=5、及びギャップ延長ペナルティ=0.3でのGAP(Needleman及びWunsch, 1970)分析(GCGプログラム)により決定する。照会配列は少なくとも45ヌクレオチドの長さであり、GAP分析は2つの配列を少なくとも45ヌクレオチドの領域に渡って整列させる。好ましくは、照会配列は少なくとも150ヌクレオチドの長さであり、GAP分析は2つの配列を少なくとも150ヌクレオチドの領域に渡って整列させる。より好ましくは、照会配列は少なくとも300ヌクレオチドの長さであり、GAP分析は2つの配列を少なくとも300ヌクレオチドの領域に渡って整列させる。
【0098】
本明細書で用いる、高ストリンジェンシーな条件とは、(1) 洗浄に低イオン強度及び高温、例えば、50℃にて0.015 M NaCl/0.0015 Mクエン酸/0.1% NaDodSO4を用いる;(2) ハイブリダイゼーション中にホルムアミドなどの変性剤を用いる、例えば、42℃にて0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%フィコール、0.1%ポリビニルピロリドンを含む50%(vol/vol)ホルムアミド、750 mM NaCl、75 mMクエン酸を含むpH 6.5の50 mMリン酸ナトリウムバッファーを用いる;又は(3) 50%ホルムアミド、5 x SSC(0.75 M NaCl、0.075 Mクエン酸)、50 mMリン酸(pH 6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5 x Denhardt溶液、超音波処理サケ精子DNA(50 g/ml)、0.1% SDS及び10%硫酸デキストランを、42℃にて0.2 x SSC及び0.1% SDS中で用いるものである。
【0099】
ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド残基の欠失、挿入、又は置換である1個以上の突然変異を有していてもよい。突然変異は天然のもの(すなわち、天然の資源から単離されたもの)であっても、合成のもの(例えば、該核酸上で部位特異的突然変異誘発を行うことによる)であってもよい。かくして、ポリヌクレオチドは天然のものであっても組換え体であってもよいことは明らかである。
【0100】
本発明のオリゴヌクレオチドはRNA、DNA又はそのいずれかの誘導体であってもよい。そのようなオリゴヌクレオチドの最小サイズは、本発明の核酸分子上でオリゴヌクレオチドと相補配列との間で安定なハイブリッドを形成させるのに必要とされるサイズである。本発明は、例えば、核酸分子を同定するためのプローブ、核酸分子を製造するためのプライマーとして用いることができるオリゴヌクレオチド、又は本明細書に開示されたポリペプチド(例えば、アンチセンス試薬、三重鎖形成試薬、リボゾーム試薬及び/もしくはRNA薬剤に基づく試薬として)の産生を調節するのに用いることができるオリゴヌクレオチドを含む。プローブとして用いるオリゴヌクレオチドを、典型的には放射性同位体、酵素、ビオチン、蛍光分子又は化学発光分子などの標識と結合させる。
【0101】
触媒核酸
用語「触媒核酸」とは、異なる基質を特異的に認識し、この基質の化学的改変を触媒するDNA分子もしくはDNA含有分子(当業界では「デオキシリボザイム」としても知られる)又はRNA分子もしくはRNA含有分子(「リボザイム」としても知られる)を指す。触媒核酸中の核酸塩基は、塩基A、C、G、T及びU、並びにその誘導体であってよい。これらの塩基の誘導体は当業界で公知である。
【0102】
典型的には、触媒核酸は標的核酸の特異的認識のためのアンチセンス配列、及び核酸を切断する酵素活性(本明細書では「触媒ドメイン」とも呼ぶ)を含む。本発明において特に有用なリボザイムのタイプは、ハンマーヘッド型リボザイム(Heseloff及びGerlach 1988, Perrimanら、1992)及びヘアピン型リボザイム(Shippyら、1999)である。
【0103】
本発明のリボザイム及び該リボザイムをコードするDNAを、当業界で公知の方法を用いて化学的に合成することができる。該リボザイムを、RNAポリメラーゼプロモーター、例えば、T7 RNAポリメラーゼ又はSP6 RNAポリメラーゼのプロモーターに機能し得る形で連結されたDNA分子(転写に際して、RNA分子を得る)から調製することもできる。従って、本発明のリボザイムをコードする核酸分子、すなわちDNA又はcDNAも、本発明により提供される。ベクターが該DNA分子に機能し得る形で連結されたRNAポリメラーゼプロモーターをも含む場合、該リボザイムを、RNAポリメラーゼ及びヌクレオチドと共にインキュベートするに際してin vitroで作製することができる。別の実施形態においては、前記DNAを発現カセット又は転写カセット中に挿入することができる。合成後、RNA分子を、リボザイムを安定化させる能力を有するDNA分子に連結させることにより改変し、それにRNaseに対する耐性を付与することができる。あるいは、リボザイムを、リポソーム送達系における使用のためにホスホチオ類似体に改変することができる。この改変も、リボザイムにエンドヌクレアーゼ活性に対する耐性を付与する。
【0104】
dsRNA
dsRNAは、特定のタンパク質の産生を特異的に阻害するのに特に有用である。理論により限定されることを望まないが、Dougherty及びParks(1995)はdsRNAを用いてタンパク質産生を低下させることができる機構のモデルを提供した。このモデルは最近、Waterhouseら(1998)により改変及び拡張された。この技術は、目的の遺伝子のmRNAに本質的に同一である配列を含むdsRNA分子の存在に基づくものであり、この場合、mRNAは本発明の方法において有用なポリペプチドをコードする。都合のよいことに、センス及びアンチセンス配列が、dsRNA分子を形成するために、ループ構造を形成する非関連配列と、該センス及びアンチセンス配列とをハイブリダイズさせることができる非関連配列の側面に位置する場合、dsRNAを組換えベクター又は宿主細胞中で単一のオープンリーディングフレーム中で作製することができる。本発明にとって好適なdsRNA分子の設計及び作製は、当業者の能力の範囲内にあり、特にDougherty及びParks(1995)、Waterhouseら(1998)、WO 99/32619、WO 99/53050、WO 99/49029、及びWO 01/34815を考慮している。
【0105】
組換えベクター
本発明の一実施形態は、核酸分子を宿主細胞に送達することができる任意のベクターに挿入された、本発明の方法にとって有用なポリペプチドをコードする少なくとも1個の単離された核酸分子を含む組換えベクターを含む。そのようなベクターは、異種核酸配列、すなわち、本発明の方法にとって有用なポリペプチドをコードする核酸分子に隣接する、天然では見出されず、好ましくは該核酸分子が誘導される種以外の種から誘導された核酸配列を含む。該ベクターはRNAでもDNAでもよく、原核性でも真核性でもよく、典型的にはウイルス又はプラスミドである。1タイプの組換えベクターは、発現ベクターに機能し得る形で連結された本発明の方法にとって有用なポリペプチドをコードする核酸分子を含んでなる。用語「機能し得る形で連結された」とは、核酸分子が宿主細胞中に形質転換された場合に発現され得るような様式で、発現ベクター中に該核酸分子が挿入されることを指す。本明細書で用いる発現ベクターは、宿主細胞を形質転換し、特殊化された核酸分子を発現させることができるDNA又はRNAベクターである。該発現ベクターは宿主細胞内で複製することもできるのが好ましい。発現ベクターは原核性でも真核性であってもよく、典型的にはウイルス又はプラスミドである。本発明の発現ベクターは、本発明の組換え細胞、例えば、細菌細胞、菌類細胞、体内寄生虫細胞、節足動物細胞、他の動物細胞、及び植物細胞中で機能する(すなわち、遺伝子の発現を指令する)任意のベクターを含む。本発明の方法にとって有用な好ましい発現ベクターは、細菌細胞、酵母細胞、節足動物細胞及び哺乳動物細胞中で、より好ましくは本明細書に開示される細胞型において、遺伝子発現を指令することができる。最も好ましくは、本発明の方法にとって有用なベクターは哺乳動物細胞中で遺伝子発現を指令することができる。
【0106】
本発明の発現ベクターは、転写制御配列、翻訳制御配列、複製起点、組換え細胞と共存可能であり、本発明の方法にとって有用な核酸分子の発現を制御する他の調節配列などの調節配列を含む。特に、本発明の組換え分子は転写制御配列を含む。転写制御配列は、転写の開始、延長、及び終結を制御する配列である。特に重要な転写制御配列は、プロモーター、エンハンサー、オペレーター及びリプレッサー配列などの転写開始を制御する配列である。好適な転写制御配列としては、少なくとも1種の本発明の組換え細胞中で機能することができる任意の転写制御配列が挙げられる。種々のそのような転写制御配列が当業者には公知である。好ましい転写制御配列としては、限定されるものではないが、tac、lac、trp、oxy-pro、omp/lpp、rrnB、バクテリオファージλ、バクテリオファージT7、T7lac、バクテリオファージT3、バクテリオファージSP6、バクテリオファージSP01、メタロチオネイン、α-接合因子、Pichiaアルコールオキシダーゼ、アルファウイルスサブゲノミックプロモーター(Sindbisウイルスサブゲノミックプロモーターなど)、抗生物質耐性遺伝子、バキュロウイルス、Heliothis zea昆虫ウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、アライグマポックスウイルス、他のポックスウイルス、サルウイルス40、レトロウイルス、アクチン、レトロウイルス末端反復配列、ラウス肉腫ウイルス、熱ショック、リン酸及び硝酸転写制御配列並びに原核又は真核細胞中での遺伝子発現を制御することができる他の配列などの、細菌細胞、酵母細胞、節足動物細胞及び哺乳動物細胞中で機能する配列が挙げられる。さらなる好適な転写制御配列としては、組織特異的プロモーター及びエンハンサー並びにリンホカイン誘導性プロモーター(例えば、インターフェロン又はインターロイキンにより誘導されるプロモーター)が挙げられる。本発明の転写制御配列は、最も好ましくは哺乳動物に天然で関連する天然の転写制御配列である。
【0107】
本発明の組換え分子はまた、(a) 本発明の方法にとって有用な発現されたポリペプチドを、該ポリペプチドを産生する細胞から分泌されるようにする分泌シグナル(すなわち、シグナルセグメント核酸配列)及び/又は(b) 融合タンパク質の発現を導く融合配列をも含んでもよい。好適なシグナルセグメントの例としては、前記融合タンパク質の分泌を指令することができる任意のシグナルセグメントが挙げられる。好ましいシグナルセグメントとしては、限定されるものではないが、組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)、インターフェロン、インターロイキン、増殖ホルモン、組織適合性及びウイルス性エンベロープ糖タンパク質シグナルセグメント、並びに天然のシグナル配列が上げられる。融合セグメント核酸によりコードされる好適な融合セグメントは本明細書に開示される。さらに、本発明の方法にとって有用な核酸分子を、コードされるタンパク質をプロテオソームへと指向させる融合セグメント、例えば、ユビキチン融合セグメントに連結することができる。組換え分子はまた、該核酸配列の周囲及び/もしくはその内部の介在配列並びに/又は非翻訳配列をも含んでもよい。
【0108】
宿主細胞
本発明の別の実施形態は、本発明の方法にとって有用な1種以上の組換え分子で形質転換された宿主細胞を含んでなる組換え細胞を含む。細胞への核酸分子の形質転換を、核酸分子を細胞に挿入することができる任意の方法により達成することができる。形質転換技術としては、限定されるものではないが、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、吸着、及びプロトプラスト融合などが挙げられる。組換え細胞は単細胞を維持してもよく、又は組織、器官もしくは多細胞生物中で増殖させてもよい。本発明の形質転換された核酸分子は染色体外を維持してもよく、又は発現される能力が保持されるような様式で、形質転換された(すなわち、組換え)細胞の染色体内の1個以上の部位に組み込んでもよい。
【0109】
形質転換するのに好適な宿主細胞としては、本発明のポリヌクレオチドで形質転換することができる任意の細胞が挙げられる。宿主細胞は形質転換されていない細胞であってもよく、又は少なくとも1種の核酸分子(例えば、1個以上の本発明のタンパク質をコードする核酸分子)で既に形質転換されている細胞であってもよい。本発明の方法にとって有用な宿主細胞は発現されるタンパク質を内因的に(すなわち、天然に)産生することができるものであってもよいし、又は本明細書に開示されるような発現ベクターで形質転換した後、そのようなタンパク質を産生することができるものであってもよい。本発明の宿主細胞は本発明の方法にとって有用な少なくとも1種のタンパク質を産生することができる任意の細胞であってよく、細菌細胞、菌類(酵母を含む)細胞、寄生虫細胞、節足動物細胞、植物細胞及び動物細胞が挙げられる。最も好ましくは、宿主細胞は哺乳動物細胞である。
【0110】
好適な原核生物としては、限定されるものではないが、グラム陰性もしくはグラム陽性生物などの真菌、例えば、大腸菌、B. subtilisもしくはB. thuringiensisなどのバチルス、P. aeruginosaなどのシュードモナス種、Salmonella typhimuriumもしくはSerratia marcescensなどが挙げられる。
【0111】
糸状菌もしくは酵母などの真核微生物は、本発明のタンパク質を発現させるのに好適な宿主である。Saccharomyces cerevisiae、又は一般的なパン酵母は、下等真核宿主微生物の中で最も一般的に用いられている。しかしながら、Scizosaccharomyces pombe; K. lactisなどのKluyveromyces宿主;NeurosporaもしくはPenicilliumなどの糸状菌;並びにA. nidulans及びA. nigerなどのAspergillus宿主いくつかの他の属、種及び株が一般的に利用可能であり、本明細書において有用である。
【0112】
好適な高等真核宿主細胞は、培養された脊椎動物細胞、無脊椎動物細胞又は植物細胞であってもよい。Spodoptera frugiperda、Aedes aegypti、Aedes albopictus、Drosophila melanogaster、及びBombyx moriなどの種に由来する昆虫宿主細胞を用いることができる。綿、トウモロコシ、ジャガイモ、大豆、トマト、及びタバコの植物細胞培養物を宿主として利用することができる。典型的には、細菌Agrobacterium tumefaciensの特定の株と共にインキュベートすることにより、植物細胞をトランスフェクトする。
【0113】
培養(組織培養)における動物細胞の増殖は近年日常的な手順になってきた。有用な哺乳動物宿主細胞系の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1系(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胚性腎臓系(293細胞もしくは懸濁培養中での増殖のためにサブクローニングされた293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR (CHO);マウスセルトーリ細胞、サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);ヒト頸部癌細胞(HELA, ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK ATCC CCL 34)、及びヒト肝細胞癌細胞系(Hep G2)である。好ましい宿主細胞はヒト胚性腎臓293細胞及びチャイニーズハムスター卵巣細胞である。
【0114】
宿主細胞を、哺乳動物胎児細胞、特にヒト胎児細胞から選択することもできる。特に好ましいのは、ヒト軟骨細胞などの軟骨細胞、又はヒト間葉幹細胞などの他の間葉細胞である。そのような形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞を、例えば、ヒト被験者に対して、異種移植(すなわち、宿主細胞が他の哺乳動物起源のものである場合)又は自家移植(すなわち、宿主細胞がレシピエントを起源とする場合)に用いることができる。
【0115】
宿主細胞を本発明の発現もしくはクローニングベクターでトランスフェクト、好ましくは形質転換し、プロモーターの含有、形質転換体の選択、又は所望の配列をコードする遺伝子の増幅に好適なように改変した従来の栄養培地中で培養する。形質転換とは、DNAが、染色体外要素として、又は染色体への組込みにより複製可能となるように生物中にDNAを導入することを意味する。用いる宿主細胞に応じて、そのような細胞にとって好適な標準的技術を用いて形質転換を行う。
【0116】
組換えDNA技術を用いて、例えば、宿主細胞内のポリヌクレオチド分子のコピー数、それらのポリヌクレオチド分子が転写される効率、得られた転写物が翻訳される効率、及び翻訳後修飾の効率を操作することにより、形質転換されたポリヌクレオチド分子の発現を改良することができる。本発明の方法にとって有用なポリヌクレオチド分子の発現を増加させるのに有用な組換え技術としては、限定されるものではないが、ポリヌクレオチド分子の高コピー数プラスミドへの機能し得る形での連結、1個以上の宿主細胞染色体への該ポリヌクレオチド分子の組込み、プラスミドへのベクター安定化配列の付加、転写制御シグナル(例えば、プロモーター、オペレーター、エンハンサー)の置換もしくは改変、翻訳制御配列(例えば、リボソーム結合部位、Shine-Dalgarno配列)の置換もしくは改変、宿主細胞のコドン使用に一致させるための本発明のポリヌクレオチド分子の改変、及び転写を脱安定化させる配列の欠失が挙げられる。本発明の発現された組換えタンパク質の活性を、そのようなタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子を断片化、改変、又は誘導体化することにより改良することができる。
【0117】
遺伝子治療
ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ポリペプチドであるアゴニストおよびアンタゴニストを、本発明にしたがって利用することができる。それは「遺伝子治療」と称されることが多い治療様式でのこうしたポリペプチドの発現による。これらの例として、患者からの細胞をDNAまたはRNAなどのポリヌクレオチドによって工学操作して、ポリペプチドをex vivoでコードさせることができる。その後、工学操作された細胞を、このポリペプチドで治療する患者に供給する。この実施形態中、例えば本発明の方法にとって有用なポリペプチドをコードするRNAを含有するレトロウイルスプラスミドベクターの使用によって、細胞をex vivoで工学操作し、これを使用して幹細胞または分化した幹細胞を形質転換することができる。こうした方法は当分野で周知であり、本発明でのその使用は、本明細書中の教示から明らかになるはずである。
【0118】
さらに、当分野で知られた操作法によって、ポリペプチドをin vivo発現するように、細胞をin vivoで工学操作することができる。例えば、本発明の方法にとって有用なポリヌクレオチドを、複製能欠損レトロウイルスベクターもしくはアデノウイルスベクターまたはその他のベクター(例えばポックスウイルスベクター)中で発現するように、工学操作することができる。次に発現構築物を単離する。パッケージ用細胞に本発明の方法にとって有用なポリペプチドをコードするRNAを含有するプラスミドベクターで形質導入する。この際、パッケージ用細胞が目的の遺伝子を含有する感染性ウイルス粒子を産生することになるように、形質導入する。これらの産生性細胞を患者に投与して、細胞をin vivo工学操作し、ポリペプチドをin vivo発現させることができる。本発明のポリペプチドを投与するためのこれらの方法およびその他の方法は、本発明の教示から、当業者にとって明らかになるはずである。
【0119】
上記のレトロウイルスプラスミドベクターを誘導することができるレトロウイルスとして、限定するわけではないが、以下のものが含まれる:モロニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、ニワトリ白血病ウイルス、ギボンサル白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、アデノウイルス、脊髄増殖性肉腫ウイルス、および哺乳動物腫瘍ウイルス。好ましい実施形態中、レトロウイルスプラスミドベクターはモロニーマウス白血病ウイルスから誘導される。
【0120】
こうしたベクターにはポリペプチドを発現させるための1種以上のプロモーターを含ませることとなる。使用することができる好適なプロモーターとして、限定するわけではないが、レトロウイルスLTR、SV40プロモーター、およびヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターが含まれる。限定するわけではないが、ヒストン、RNAポリメラーゼIIIおよびβアクチンプロモーターを含む、真核細胞プロモーターなどの細胞プロモーターを使用することもできる。使用することができるその他のウイルスプロモーターとして、限定するわけではないが、アデノウイルスプロモーター、チミジンキナーゼ(TK)プロモーター、およびB19パルボウイルスプロモーターが含まれる。好適なプロモーターの選択は、本明細書に含まれる教示から、当業者にとって明らかになるであろう。
【0121】
本発明の1方法にとって有用なポリペプチドをコードする核酸配列は、好適なプロモーターの制御下に置かれることになる。使用することができる好適なプロモーターとして、限定するわけではないが以下のものが含まれる:アデノウイルスプロモーター(アデノウイルス主要後期プロモーターなど);サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターなどの異種プロモーター;呼吸器合胞体ウイルス(RSV)プロモーター;誘導性プロモーター(MMTプロモーター、メタロチオネインプロモーターなど);熱ショックプロモーター;アルブミンプロモーター;ApoAIプロモーター;ヒトグロビンプロモーター;ウイルスチミジンキナーゼプロモーター(単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーターなど);レトロウイルスLTR(本明細書中、上記の改変レトロウイルスLTRを含む);βアクチンプロモーター;およびヒト成長ホルモンプロモーター。プロモーターはそのポリペプチドをコードする遺伝子を制御する本来のプロモーターでもよい。
【0122】
レトロウイルスプラスミドベクターを使用して、パッケージ用細胞系を形質導入し、産生用細胞系を形成させる。トランスフェクトすることができるパッケージ用細胞の例として限定するわけではないが、以下のものが含まれる:PE501、PA317、Y-2、Y-AM、PA12、T19-14X、VT-19-17-H2、YCRE、YCRIP、GP+E-86、GP+envAm12、およびMillerの記載(1990)にあるDNA細胞系。このベクターを当分野で知られた任意の手段によってパッケージ用細胞中に形質導入する。こうした手段として、限定するわけではないが、エレクトロポレーション、リポソームの使用、およびCaPO4沈降法が含まれる。別法の1つとして、レトロウイルスプラスミドベクターをリポソーム内に内包させるか、脂質と連結させ、その後宿主に適用するものがある。
【0123】
産生用細胞系は感染性レトロウイルスベクター粒子を産生することになるが、これがポリペプチドをコードする核酸配列(群)を含んでいる。次にこのレトロウイルスベクター粒子を使用して、in vitroまたはin vivoで真核細胞に形質導入することができる。形質導入された真核細胞はそのポリペプチドをコードする核酸配列(群)を発現することとなる。形質導入することができる真核細胞として限定するわけではないが、以下のものが含まれる:間葉細胞、軟骨細胞、胚性幹細胞、胚性癌細胞、ならびに増血幹細胞、肝細胞、繊維芽細胞、筋芽細胞、ケラチン細胞、内皮細胞、および気管支上皮細胞。
【0124】
本発明にしたがう遺伝子治療には、患者への遺伝子治療用ポリヌクレオチドの一時的(暫定的)存在、または患者内へのポリヌクレオチドの恒久的導入が関与する。
【0125】
上記考察の薬物の直接の投与のような、本発明にしたがう遺伝子治療法を単独で使用しても、その他の治療様式と組合せて使用してもよい。
【0126】
組成物および投与
本発明の方法にとって有用な組成物は許容される担体を含む。典型的には、担体は「製薬上許容される担体」としても考慮される。これは哺乳動物、好ましくはヒトに投与するのに好適であることを意味している。好適な担体として、等張生理食塩液、例えばリン酸塩緩衝化生理食塩水が含まれる。
【0127】
本発明の組成物を直接の注射によって投与することができる。組成物を、例えば腸管外、筋内、静脈内、皮下、眼内、経口または経皮投与用に製剤化することができる。典型的には、(例えば)各タンパク質を、0.01〜30 mg/kg体重、好ましくは0.01〜10 mg/kg、さらに好ましくは0.01〜1 mg/kg体重の用量で投与することができる。記載した投与経路および投与量は1つの指針にすぎないことを想定している。なぜならば、熟練した実務医ならば、どんな特定の化合物、動物および条件についても、最適な投与経路および投与量を容易に決定することができるはずだからである。
【0128】
ウイルス感染作用に使用するためのポリペプチド成分をコードするポリヌクレオチド/ベクターは、裸の核酸構築物として、好ましくは宿主細胞ゲノムと同種のフランキング配列をさらに含ませて、直接投与することができる。ポリヌクレオチド/ベクターを裸の核酸として投与する場合、投与される核酸の量は典型的には1μg〜10 mg、好ましくは100μg〜1 mgの範囲内である。哺乳動物細胞による裸の核酸構築物の取り込みは、例えばトランスフェクト剤の使用を含むものなどの、いくつかの既知のトランスフェクション技法によって、強化される。これらの薬剤の例としてカチオン剤(例えばリン酸カルシウムおよびDEAEデキストラン)ならびにリポフェクタント(lipofectant)(例えばlipofectamTMおよびtransfectamTM)が含まれる。典型的には、核酸構築物をトランスフェクション剤と混合して、組成物を製造する。
【0129】
本発明の1実施形態は、本発明の方法にとって有用な組成物を動物内に徐々に放出することができる、制御放出製剤である。好適な制御放出ベヒクルとして、限定するわけではないが、以下のものが含まれる:生体適合性ポリマー、その他のポリマーマトリックス、カプセル、マイクロカプセル、マイクロ粒子、大粒製品、浸透圧ポンプ、拡散器具、リポソーム、リポスフェアおよび経皮送達システム。好ましい制御放出製剤は生体崩壊性(すなわち生体侵食性)である。
【0130】
ポリペプチド活性のモジュレーターのスクリーニング方法
本明細書で使用する「リード化合物」とは、本発明の方法によって同定される薬物であって、最終的には例えば1組成物として製剤化し、細胞増殖および/または分裂を刺激するための薬物として販売するという目標を持って、試験に付されるものである。
【0131】
既知のスクリーニング技術を使用して、細胞増殖および/または分裂を刺激する本発明のポリペプチドの活性または産生をモジュレートする薬物を同定することができる。例えば、ポリペプチドの存在または不在下で候補薬物を細胞に曝露し、細胞増殖および/または分裂に対して生成した効果について、細胞数またはDNA合成を測定するなどの標準的技法によって、候補薬物がポリペプチドの活性に直接影響するかどうかを判定して、分析する。
【0132】
アゴニスト/アンタゴニストをスクリーニングするための別の方法には、ポリペプチドと(このポリペプチドと結合することができる)結合相手を混合し、仮想アゴニスト/アンタゴニストの存在または不在下での相互の結合を測定することが関与する。そのポリペプチドまたは結合相手を、放射性同位元素、発蛍光団および発色団からなる群から選択したものなどの既知の標識を使用して、検出し得るように標識することができる。この結合アッセイはELISAプレートアッセイの形態としてもよい。共沈降、遠心分離および表面プラスモン共鳴などの、当業者に知られたその他の結合フォーマットがある。
【0133】
仮想アンタゴニストの1つはポリペプチドに結合する小分子である。小分子の例として、限定するわけではないが、小ペプチド、ペプチド様分子、植物二次代謝物または合成有機化合物がある。
【0134】
本明細書に記載するように、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列に基づいて、好適なアンチセンスポリヌクレオチドおよびdsRNA分子を設計することができる。こうしたアンチセンスポリヌクレオチドおよびdsRNA分子を、そのアンチセンスポリヌクレオチドまたはdsRNA分子で細胞を形質転換したとき、細胞増殖および/または分裂をモジュレートする薬物として、使用することができる。
【0135】
こうしたアンチセンスポリヌクレオチドおよびdsRNA分子を、本発明の方法で使用する薬物としての使用のためにスクリーニングすることもできる。例えば、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを1細胞系中、または細胞を含まない発現系中で発現させ、その結果ポリペプチドを産生させることができる。そのポリペプチドに基づいて設計した候補アンチセンスポリヌクレオチドおよびdsRNA分子をその系中に組み入れて、結果である転写されたmRNAレベルまたはポリペプチドレベルもしくは活性に対する影響を、当分野で既知の技法を使用して、容易に測定することができる。
【0136】
細胞増殖および/または分裂を刺激するポリペプドの能力の好適な阻害剤は、タンパク質の活性部位と直接相互作用することによって活性を阻害する、化合物である。
【0137】
本発明の方法によって同定された薬物の適用のための有効な量および投与方式は、当業者に知られた技術を使用して、容易に決定することができる。
【0138】
候補薬物のスクリーニングのためのファージライブラリー
宿主E.coli中に感染させたときに約10〜15アミノ酸のランダムペプチド配列を産生する、ファージライブラリーを構築することができる。詳述すると、低融点LBアガー中の許容されるE.coliとファージライブラリーを低希釈度で混合し、その後これをLBアガープレートの上に注ぎ入れる。プレートを37℃で一定期間インキュベートした後、E.coliの菌叢中に、活性なファージの増殖およびE.coliの溶菌を表す、小さく透明なプラークが形成する。アガープレート上に乾燥フィルターを置くことによって、これらのファージの典型的なものをナイロンフィルターに吸収させることができる。フィルターに方向を示す印を付けて、取り出し、洗浄液中に入れて、残っている吸収部位があればブロックする。次にフィルターを、例えば本発明の方法に有用な放射性標識したポリペプチド(例えば配列番号1を含むアミノ酸配列を持つポリペプチド)を含有する溶液中に入れる。特定化したインキュベート期間後、フィルターを十分洗浄し、オートラジオグラフィーのために現像する。これによって、放射性ポリペプチドに結合するファージを含有するプラークを検出することができる。これらのファージをさらにクローン化し、その後、前と同様にポリペプチドに結合する能力について再試験する。ファージを精製した後、標準的DNA配列決定技法によって、ファージ中に含まれる結合性配列を決定することができる。DNA配列がわかった後は、これらの配列に相当する合成ペプチドを作製することができる。
【0139】
in vivoモデル中、ならびに場合によっては細胞増殖および/または分裂のモジュレート用の薬物としての使用のために、効果的なペプチド(群)を大量に合成することができる。合成ペプチドの製造は、比較的に非労働集約的であり、容易に製造でき、品質を調節することができ、したがってかなり安価に所望の製品を大量に製造することができる点を、強調すべきである。
【0140】
ハイブリッドスクリーニング技術
本発明のさらに別の実施形態中、ポリペプチドを2ハイブリッドアッセイまたは3ハイブリッドアッセイ(例えばU.S.5,283,317およびWO94/10300参照)中の「ベイト(おとり)(bait)タンパク質」として使用して、このポリペプチドに結合するか、これと相互作用して、細胞増殖および/または分裂のモジュレートに関与する、別のタンパク質を同定することができる。
【0141】
2ハイブリッドシステムは大部分の転写因子のモジュラーとしての性質に基づいており、これは分離可能なDNA結合性および活性化ドメインで構成される。簡単に述べると、このアッセイは2種類のDNA構築物を利用する。1構築物では、対象のポリペプチドをコードする遺伝子が既知の転写因子(例えばGAL-4)のDNA結合性ドメインをコードする遺伝子と融合している。他方の構築物では、未同定タンパク質(「プレイ(獲物)(prey)」または「サンプル」)をコードするDNA配列のライブラリーからの1DNA配列がこの既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子と融合している。この「ベイト(おとり)」および「プレイ(獲物)」タンパク質がin vivoで相互作用することができるならば、転写因子のDNA結合性および活性化ドメインは近傍に接近する。この接近によって、転写因子に応答性の転写調節部位に機能するように連結されたリポーター遺伝子(例えばLacZ)の転写が可能になる。リポーター遺伝子の発現は検出することができるので、機能性転写因子を含有する細胞コロニーを単離することができ、これを使用して、対象のポリペプチドと相互作用するタンパク質をコードするクローン化した遺伝子を取得することができる。
【0142】
タンパク質の構造に基づく候補薬物の設計
本発明の方法に有用なポリペプチドの結晶を、バッチ結晶化、蒸気拡散(滴下または懸滴のいずれかによる)およびマイクロ透析などの多数の技法によって、成長させることができる。いくつかの例では、X線品質の結晶を取得するために、結晶のシーディングを必要とすることがある。その場合は結晶の標準的ミクロおよび/またはマクロシーディングを使用することができる。結晶が成長した後、標準的技法を使用して、X線回折データを採取することができる。
【0143】
ポリペプチドの三次元構造が決定された後、GRAM、DOCKまたはAUTODOCK(Dunbrackら、1997)などのドッキングプログラムを使用するコンピュータモデル化の使用によって、仮想アンタゴニストまたはアゴニストを調べることができる。この操作には、仮想リガンドの形状および化学構造がどのようにうまくポリペプチドの活性を補完または妨害するかを確認するための、ポリペプチドに対する仮想リガンドのコンピュータフィッティングが関与する。ポリペプチドに対するリガンドの引力、反発力およびおよび立体的妨害を評価するためにも、コンピュータプログラムを利用することができる。一般的にフィットが緊密であるほど(例えば立体的妨害が低く、かつ/または引力が大きいほど)、仮想薬物がより強力である。なぜならばこれらの性質はより緊密な結合定数と整合するからである。さらに、仮想薬物の設計がより特異的であるほど、その薬物が別のタンパク質を妨害しない可能性が高い。これは別のタンパク質との望ましくない相互作用による副作用の可能性を最小にすることとなる。
【0144】
最初に、仮想化合物を、例えば上記のような組換えバクテリオファージによって産生させたランダムペプチドライブラリーまたは化学合成ライブラリーをスクリーニングすることによって、取得することができる。次に、この手法で選択した化合物の1つを、1種以上の有望な仮想化合物が同定されるまで、コンピュータモデル化プログラムによって、系統的に修飾する。
【0145】
こうしたコンピュータモデル化によって、有限の数の合理的な化学的修飾の選択が可能になる。これは作製し得る無数の基本的にランダムな化学修飾とは対照的である。そしてその中のどれかが有用な薬物に行き着く可能性がある。化学修飾のそれぞれには追加の化学的ステップを必要とし、これは有限数の化合物の合成にとっては無理がないが、もしすべての可能な修飾を合成する必要があるならば、すぐに圧倒される。このように、三次元構造およびコンピュータモデル化の使用によって、多数のこれらの化合物をコンピュータモニタースクリーン上で迅速にスクリーニングすることができ、数えきれない化合物の過大な合成をすることなく、少数の可能性が高い候補を決定することができる。
【0146】
見込みがある薬物を任意の標準的結合アッセイにかけて、その効果を試験することができる。
【実施例】
【0147】
方法
一般的方法
放射性ヌクレオチド
アルファ結合放射性リン、[α32P]2'-デオキシシチジン5'-トリリン酸(dCTP)、ガンマ 結合[g32P]2'-デオキシアデノシン5'-トリリン酸(dATP)、[α32P]2'-デオキシウリジン(dUTP)および[α35S]dATPヌクレオチドをDupont NENR(Wilmington, DE, USA)から入手した。
【0148】
制限酵素
使用した制限酵素はすべてRoche(Roche Molecular Systems, Inc., NJ, USA)から入手した。
【0149】
プライマー
すべてのプライマーはBresatec Limited(SA-, Australia)から入手した市販品であり、これらは乾燥形態で取得した。ペレットを1 mg/mLの濃度になるように無菌水(Baxter, NSW)に再懸濁させ、-70℃で保存した。この原液濃度から100 ng/mLの作業溶液に希釈し、4℃で保存した。
【0150】
ポリメラーゼ連鎖反応( PCR
PCRに使用した試薬は3つの主な入手元から取得した。大部分のPCR用に、25 mM、10xTaqポリメラーゼのMgCl2溶液をPerkin-Elmer(Roche Molecular Systems, Inc., NJ, USA)から入手した。より高感度のPCRが必要な場合は、AdvantageR cDNA PCRキット(CLONTECH Laboratories, Inc., USA)またはPLATINUMR Taq DNAポリメラーゼHigh Fidelity(Gibco BRL, Life Technologies)を使用した。Perkin Rlmer Cetus DNA熱サイクル機を使用した。適用したサイクルの数は使用したポリメラーゼのタイプおよび反応の性質に応じて決めた。使用した最も普通のサイクルは94℃で5分、その後、94℃で1分、55℃で39秒、72℃で1分の35サイクルとした。
【0151】
アガロースゲル電気泳動
ゲルおよび稼動用バッファーの両方のために、1xTAE(40 mM Tris-酢酸塩、1 mM EDTA pH8.0)を使用して、すべてのアガロースゲルを製造した。1%アガロース/TAEゲルを、アガロースタイプI(Sigma Chemical Co., St.Louis, MO, USA)を使用して製造した。全サンプルのローディングバッファーは、水中 0.25%ブロモフェノールブルーおよび40%(w/v)ショ糖で構成した。濃度0.5μg/mLの臭化エチジウムを各ゲル用に使用した。
【0152】
2つのタイプの水平ゲル装置を使用した。30 mlゲル用には、HORIZONR 58 Gel Tank(BRL, Life Technologies Inc, Gaithersburg, MD, USA)を使用した。より多数のサンプルを分析する場合の70 mLゲル用には、Extra-Wide MinigelシステムモデルD2(Owl Scientific Plastics Inc, Cambridge, MA, USA)を使用した。サンプルを、LKB、Brommaパワーパック2197(Uppsala, Sweden)またはEPS600パワーパック(Pharmacia Biotech, Sweden)を使用し、80〜120 Vで20〜60分の範囲の時間、電気泳動にかけた。
【0153】
DNA の精製および濃縮
制限消化後、またはアガロースゲルからのDNAを精製または濃縮するため、QIAquickR Gel抽出キット(QIAGEN Pty Ltd, Vic, Australia)を使用した。アガロースゲル上の目的のDNAバンドを1.5 mL微量遠心管中に単離した。次にこのゲルスライスを50℃でインキュベートしてアガロースを完全に溶解させ、キットの説明書にしたがって操作した。制限酵素から精製するDNAについては、50℃でのインキュベートは必要でなく、それに代え てキットの説明書にしたがって直接操作した。精製したDNAサンプルを4℃で保存した。
【0154】
プラスミド DNA の調製
プラスミド DNA のミニプレップ (minipreparation)
少量のプラスミドDNAのためには、WizardR Plus Minipreps DNA Purification System(Promega Corp., NSW, Australia)を使用した。このシステムは、品質の良いプラスミドDNAのための信頼し得る方法を提供するキットとして出来ている。適切な補充をしたLB中に細菌培養物 3マイクロリッターをコロニーまたは純粋培養物から播種し、37℃で一晩、振盪しながらインキュベートした。細菌の一晩培養物 1.5マイクロリッターを1.5 mL微量遠心管に入れて、30秒の微量遠心分離にかけ、その後上清を廃棄した。次に細胞ペレットをキットの説明書にしたがって操作した。DNAを1xTE(1 M Tris/0.5 M EDTA, pH8.0)50μLで溶出させた。適切な制限酵素での 5μLの試験的消化およびアガロースゲルでの操作によって、DNAの品質を分析した。
【0155】
プラスミド DNA のミディプレップ (midipreparation)
さらに多量のプラスミドDNA用および配列決定のためのDNA調製用には、QIAGENR Plasmid Midiキットを使用した。適切な補充をしたLB 25 mLに純粋細菌コロニーを播種し、37℃で一晩、振盪しながらインキュベートした。細菌の一晩培養物を250 mL遠心ビンに移して、BeckmannR XL-90(Beckmann Instruments,Inc., CA, USA)またはSorvallR RC 5C Plus(Dupont Australia Ltd., Sydney, Australia)遠心分離機で8,000 rpmで10分遠心分離し、細菌をペレット化した。次に細菌ペレットをキットの説明書にしたがって操作した。DNAペレットを1xTE 200μLに再溶解させた。(Beckmann DuR-68装置での)分光光度計の読みを取得して、プラスミドDNAの収量を決定した。次式を使用してDNA濃度を算出した:260 nmでの光学密度 1.0単位が 50μg/mL dsDNAに等しい。
【0156】
DNA 配列決定
配列決定のための高純度の二本鎖DNA鋳型を上記の操作法によって作製した。この鋳型をSUPAMAC(Sydney University and Prince Alfred Macromolecular Analysis Centre, Sydney, Australia)またはAGRF(Australian Genome Research Facility, Brisbane, Australia)に送り、そこで色素ターミネーター化学法によって、鋳型が配列決定された。この方法では、4つの色素標識ジデオキシヌクレオチドで標準のジデオキシヌクレオチドを交換し、終結塩基としてDNA内に組み込むものである。普遍的プライマー T7、SP6、T3および-21M13(前進および逆進)をサイクル配列反応で使用した。各塩基の蛍光シグナルを追跡して、電気泳動図ファイルを作製し、この配列の別種の塩基をピークとして表示させた。この場合、それぞれのピークが4色の内の1つで標識されており、4種の塩基(A、G、CおよびT)に対応する。粗データのこのファイルを分析のために取得した。配列データをSequencherR プログラム(バージョン3、Genes Codes Corp., Ann Arbor, MI, USA)を使用して分析した。。
【0157】
RNA 技法
すべての試薬を、ジエチルピロカルボネート(DEPC)処理水を使用して調製した。専用のガラス器具およびピペット先端部を使用し、常時手袋を着用して、RNAアーゼの混入の危険を最少にした。
【0158】
RNA プローブ
RNAプローブを作製するためには、RNAポリメラーゼ結合部位(SP6およびT7など)を含有する好適なベクター(pGEM T-EasyRなど)中にcDNA産物をクローン化して、一本鎖RNAが製造できるようにする必要があった。これを宿主細菌(後述)中に形質転換して、ミニプレップ(前述)によって、プラスミドを取得した。
【0159】
放射性標識した cRNA プローブの調製
好適なベクター中にクローン化したインサートを含有する直線化DNA鋳型 2マイクログラムを、以下を添加したねじ蓋付きの管に入れた:5x転写バッファー(200 mM Tris HCl, pH7.5;30 mM MgCl2;25 mM NaCl)4μL、0.2 Mジチオトレイトール(DTT)2μL、rRNAsinR RNAseインヒビター(Promega Corp., Madison, WI, USA)1μL、ATP、CTP、GTP(Pharmacia LKB Biotechnology, Boronia, Australia)混合物 4μL。この混合物をボルテックスして、沈降させた。次に、α32P-dUTP 2.5μLおよび適切なRNAポリメラーゼ 2.5μLをこの混合物に添加し、37℃で1時間インキュベートした。DNaseI(GibcoBRL life Technologies)200単位を含有する混合物 5μL、DEPC水 9μLおよびrRNAsin 2.5単位とともに、37℃で10分間、DNA鋳型を分解した。
【0160】
Elutip-Dカラムを製造元(Schleicher and Schnell, Dassel, Germany)の指示にしたがって使用して、放射性標識したリボプローブを精製した。放射性生成物は高塩バッファー(1 M NaCl;0.01 M Tris, pH8.0;1 mM EDTA, pH8.0)300μL中に溶出した。この300μLから2マイクロリッターを取り出し、これを使用して、□カウンター(TricarbTM Liquid Scintillation Analyser 1600TR, Packard Instruments Co., Canberra, Australia)でプローブの放射能を測定した。測定放射能が少なくとも50,000 cpm/μLのもののみをハイブリダイゼーションに使用した。残りを即座に-70℃に冷凍して、24時間以内に使用した 。
【0161】
RNA の調製
細胞および組織検体の調製
ヒト胎児軟骨組織はDr.Bernie Tuch(Prince of Wales Hospital, Sydney, Australia)およびDr.Sue Craig(Royal North Shore Hospital, Sydney, Australia)から提供された。この研究のためのその取得および使用はRoyal North Shore Hospital Human Research Ethics Committee(HREC)から承認された。成体シカ角の軟骨サンプル(全体および領域別)、成体シカ関節軟骨、6週齢羊成長プレート軟骨、6週齢羊関節軟骨、6週齢羊胸骨軟骨、成人関節軟骨、満期4週間前雄シカ胎仔骨端軟骨、満期4週間前雄シカ胎仔椎間板軟骨、満期4週間前雄シカ胎仔肋骨軟骨、満期4週間前雄シカ胎仔胸骨軟骨および満期4週間前雄シカ胎仔頭蓋冠軟骨(Mr. Denis White, ADP Pharmaceutical Pty Limited, Goulburn, NSW, Australiaより提供された)を、RNA分析のために取り上げた。これらのサンプルは(シカ角全体の場合は皮膚を除去して)液体窒素で急速冷凍するか、最初に酵素で消化して細胞を放出させ、遠心分離によって軟骨細胞を回収し、その後液体窒素で急速冷凍することによって採取した。酵素による消化操作がRNA調製のための好ましい方法であった。なぜならば、急速冷凍組織からの直接の抽出は非常に低いRNA収率となったからである。
【0162】
典型的な操作は以下のようにして実施した:絶命直後(またはシカ角の場合、前頭および後頭静脈に局所麻酔(Lignocaine)を投与した後、動物から採取した後)、検体を氷上4℃に維持したプラスチックバッグに入れて実験室に運んだ。検体に70%(v/v)エタノールを十分噴霧し、無菌条件下で周囲組織(特に間葉)を注意深く除去して、標的軟骨のみを取得した。シカ角軟骨(DAC)領域は以下のように識別され得る:血管を持たない白色の柔らかい軟骨として観察される軟骨前組織;血管を持つ柔らかい軟骨として観察される成熟軟骨組織;および血管に覆われた硬質の石灰化軟骨として観察される肥厚性軟骨。軟骨の外膜(膜内骨化)は各DAC領域について廃棄した。
【0163】
軟骨を、10%(v/v)牛胎仔血清(Trace Biosciences)、76 mM NaHCO3、20 mM HEPES(Sigma Chemical Company, St.Louis, MI, USA)および80単位/mL ゲンタマイシン(Delta West Pty Ltd, WA, Australia)を補充したHams F12培地(Trace Biosciences Pty Ltd, Castle Hill, NSW, Australia)中の0.1%(w/v)プロナーゼ(Boehringer Mannheim Australia Pty Ltd, Castle Hill, NSW, Australia)中、37℃で2時間消化した。次にこれを0.04%(w/v)コラゲナーゼ(Sigma)を含有する培地と交換して、37℃で一晩培養した。DACについては、消化操作は76 mM NaHCO3、20 mM HEPES、80単位/mL ゲンタマイシンを補充した1:1 DMEM(Sigma)/Hams F12(DMEM:F12 )培地中の0.125%(w/v)トリプシン中、4℃で一晩、その後37℃で1時間とした。これを0.04%(w/v)コラゲナーゼ(Sigma)を含有し、10%(v/v)牛胎仔血清を補充した培地と交換して、37℃で3〜4時間、30分毎に10秒間ボルテックスした。細胞を滅菌70μm CellStrainer(Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ, USA)によって回収し、RNA抽出のためにペレット化した。
【0164】
RNA の抽出
細胞ペレット(またはシカ角全体の場合、組織サンプル)を-70℃フリーザーから取り出し、ドライアイス上に置いた。シカ角全体の組織サンプルを最初に液体窒素で満たした乳鉢中でホモジナイズした。TRI ReagentR(Molecular Research Center, Inc., Cincinnati, OH, USA)1 mLを添加した後、細胞ペレット(10x106細胞)または組織サンプル 50 mg を音波処理した。TRI ReagentRを使用したのは、これが他のRNA抽出法よりも未破壊のmRNAを高回収し、これがこの分析にとって必須だからである。次に製造元のプロトコル(TRI Reagent-RNA, DNA, およびタンパク質単離試薬、製造元プロトコル(1995), Molecular Research Center)を使用して、総RNAをサンプルから抽出した。最終の乾燥総RNAペレットをDEPC処理水 50μL中に再懸濁し、-70℃で保存した。
【0165】
RNA の定量
(Beckmann DuR-68装置での)分光光度計の読みを取得して、RNAの収量を決定した。次式を使用してRNA濃度を算出した:260 nmでの光学密度 1.0単位が40μg/mL RNAに等しい。
【0166】
ノーザンブロット分析
ノーザンブロットの調製
総RNAサンプル(5μg)を真空乾燥し、以下で構成されるブルージュースミックスローディングバッファー15μL中に再懸濁した:20%(v/v)ホルムアルデヒド、40%(v/v)脱イオンホルムアミド、1xMOPS(200 mM MOPS(Sigma)、50 mM 酢酸Na、10 mM EDTA2ナトリウム、pH7.0)および12%「ブルージュース」(50%(v/v)グリセロール(Ajax Chemicals, Auburn, NSW, Australia), 1%(v/v)EDTA, 0.4%(v/v)ブロモフェノールブルー(International Biotechnologies Inc., New Haven, Connecticut, USA))。サンプルを65℃で3分間変性し、次に1%(w/v)アガロース(2.2 M ホルムアルデヒド)ゲル上、110 Vで4〜4.5時間の電気泳動によって、分画した。0.24〜9.5 kb RNAラダー(GibcoBRL Life Technologies, Gaithersburg, Maryland, USA)も含ませた。ゲルを臭化エチジウムで染色し、紫外光を透過させて、28Sおよび18S rRNAを視覚化した。撮影後、ゲルを20xSSC(3 M NaClおよび0.3 M クエン酸Na)で10分、洗浄した。次にウィック(wick)として使用する3 MM Whatman紙上にゲルを上下反転して置いた。気泡があれば押し出し、同寸法のGenescreenRナイロン膜(DuPont, NEN, Boston, MA, USA)をゲルの上面に置いて、総RNAをゲルから膜に一晩で転写させた。次にナイロン膜を注意深く取り出し、UV StratalinkerR 1800(Stratagene Corp., La Jolla, California, USA)での120 mJのエネルギーレベルを使用してUV光に曝露し、RNAを膜に架橋させた。膜が湿っている間に膜をプラスチックバッグ中に密閉した。
【0167】
ノーザンブロットハイブリダイゼーション
HybaidRハイブリダイゼーションオーブンによるHybaidRハイブリダイゼーションボトルシステム(Hybaid, Middlesex, United Kingdom)を使用して、ブロットをハイブリダイズさせた。なぜならば、このシステムが感度および再現性がよい結果をもたらしたからである。放射性標識プローブとハイブリダイズさせる前に、ブロットを2xSSC(0.3 M NaClおよび0.03 Mクエン酸Na)に浸漬し、その後以下を含有するプレハイブリダイゼーションバッファー 10 mLで、65℃で3時間、連続回転させながらプレハイブリダイズさせた:50 %(v/v)脱イオンホルムアミド;0.8 M NaCl;1 mM EDTA, pH7.4;50 mM PO4, pH6.5;2%(w/v)SDS;2.5xDenhardts溶液(2%(v/v)Ficoll(Sigma)、2%(w/v)ポリピニルピロリドン(Sigma)および2%(w/v)牛血清アルブミンで構成される100xDenhardts溶液);100 mg/mL剪断鮭精子DNA(Sigma);200 mg/mL tRNA(最後の2試薬は添加5分前に95℃に加熱して変性させた)。プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションおよび洗浄にこの温度(65℃)を使用して、標的RNAへのプローブのアニールのための高ストリンジェンシー条件を確実にした。
【0168】
放射性標識cRNAプローブ(5x106カウント/mL)を迅速に室温で融解させて、プレハイブリダイゼーションバッファーを含有するハイブリダイゼーションボトルに直接注入した。65℃で一晩、連続回転させながら、ハイブリダイゼーションを実施した。ハイブリダイゼーション後、65℃で15分、連続回転させながら、0.1xSSCおよび1%(w/v)SDSを含有するバッファー 100 mLで2回、ブロットを洗浄した。洗浄後、湿ったブロットをプラスチックバッグ内に密閉し、24時間〜7日間リン光イメージャースクリーンに露光させた。ImageQuant ソフトウェアプログラム(Molecular Dynamics, USA)を使用して、イメージのスキャニングを実施した。
【0169】
cRNA プローブ
コラーゲンタイプ II HC22
このcDNAはBrookdale Center for Molecular Biology, Mt Sinai School of Medicine, New YorkからDr F Ramirezの厚意によって提供された。このcDNAはヒトコラーゲンタイプアルファ1(II)のエクソン21〜52をコードする3.185 kbのものだった。このcDNAをpBluescriptIISK(Stratagene)のEcoR1部位中にサブクローン化した。インサートをBamHIおよびT7 RNAポリメラーゼによって直線化することによって、アンチセンスDIGおよび放射性標識cRNAプローブを作成した。インサートをHindIIIによって直線化し、T3 RNAポリメラーゼを使用して、センスDIGおよび放射性標識cRNAプローブを作成した。
【0170】
コラーゲンタイプ IX pKTh123
このcDNAはDepartment of Anatomy and Cellular Biology, Harvard Medical School,Boston, MA, USAからDr Y.Ninomiyaの厚意によって提供された。このcDNAはヒトコラーゲンタイプアルファ1(IX)のCOL2領域の3分の2からNC2領域の半分までをコードする0.6 kbのものだった。このcDNAをpBluescript(Stratagene)のEcoRI部位にサブクローン化した。インサートをKpnIによって直線化し、T3 RNAポリメラーゼを使用して、アンチセンス放射性標識cRNAプローブを作成した。
【0171】
コラーゲンタイプ X NC1
このcDNAはDepartment of Paediatrics, University of Melbourne, Victoria, AustraliaからDr J.Batemanの厚意によって提供された。このcDNAはヒトコラーゲンタイプアルファ1(X)のNC1ドメインをコードする約0.7 kbのものだった。このcDNAをpGEM7Zf(+)のHindIII/SacI部位に挿入した。この鋳型をHindIIIによって直線化し、SP6 RNAポリメラーゼを使用して、アンチセンス放射性標識cRNAプローブを作成した。
【0172】
アグレカンプローブ( rpg4.16
このcDNAはResearch Department, Shriners Hospital, Portland, OR, USAからDr K.Doegeの厚意によって提供された、Swarmラット軟骨肉腫 mRNAから構築したlgt11ライブラリーから取得した(GenBank受け入れ番号 J03485)。このcDNAはヒアルロン酸結合領域(G1からG2の半分まで)をコードする約1.6 kbのものだった。このcDNAをpBluescript(Stratagene)のEcoRI部位にサブクローン化した。 このインサートをKpnIによって直線化し、T3 RNAポリメラーゼを使用して、アンチセンス放射性標識cRNAプローブを作成した。
【0173】
デコリンプローブ( P2
このcDNAはBone Research Branch, NIDR, Bethesda, USAからDr Larry W Fisherの厚意によって提供された。このcDNAはヒト骨細胞から単離したmRNAから作成したものであり、これををpBluescriptSK(Stratagene)のEcoR1部位に挿入した。この1.6 kbインサートはヒト骨デコリンをコードする全配列を含んでいた。この鋳型をBamH1によって直線化し、T7 RNAポリメラーゼを使用して、アンチセンス放射性標識cRNAプローブを作成した。
【0174】
未知の遺伝子産物( DACC7
ハイブリッドリボプローブの1つ(HC22pBluescriptIISK)を設計して、コラーゲン様の豊富に発現される遺伝子について、シカ角cDNAライブラリー(高度に発現する集団について偏重しているもの)をスクリーニングした。スクリーニングした配列の全部を後述のように同定および配列決定した。BLASTおよびFASTA分析で独特の1インサート(DACC-7)が同定され、長さが約1 kbであることがわかった。次にDACC7遺伝子の5'末端を取得するためのRACE用に、この配列から遺伝子特異的プライマーを設計した。これを後述のように配列決定およびクローン化した。pBK-CMV(Stratagene)中のDACC7についての全配列(1.474 kb)をEcoRIで直線化し、T7 RNAポリメラーゼを使用して、アンチセンスDIG標識RNAプローブを作成した。センスDIG標識RNAプローブについては、インサートをXbaIで直線化し、T7 RNAポリメラーゼを使用した。
【0175】
in situ ハイブリダイゼーション
DIG 標識用 cRNA プローブの調製
DIG-Chem-Link標識およびDetection SetをRoche(Roche, Australia)から購入した。cDNA鋳型を適切な制限酵素で直線化し、cDNA鋳型 1μgを真空乾燥した。乾燥したcDNA鋳型に、以下のものを添加した:10x転写バッファー(400 mM tris-HCl, pH8.0;60 mM MgCl2;100 mMジチオトレイトール(DTT)および20 mMスペルミジン)2μL;DEPC処理水 13μL;2.5 mM Nucleotideミックス(10 mM rATP, 10 mM rCTP, 10 mM rGTP, 10 mM rUTP, pH7.5)2μL;適切なRNAポリメラーゼ(T7)2μL、およびRNaseインヒビター 1μL。混合物を短時間遠心分離し、次に37℃で2時間インキュベートした。2時間のインキュベート後、DNaseII 2μLを直接添加することによって、混合物からcDNA鋳型を取り出し、37℃で15分インキュベートした。0.2 M EDTA(pH8.0)溶液2μLの添加によって、in vitro転写を停止させた。次に、Quick Spin Columms(Roche)を製造元の説明にしたがって使用して、cRNAプローブを精製した。cRNAプローブはSTEバッファー(10 mM Tris, pH8.0, 1 mM EDTA, 100 mM NaCl)50μLで溶出した。収量を前記のように分光光度法によって測定した。cRNAプローブを次に、DIG-Chem-Link標識用試薬をキットの説明書にしたがって使用して、DIGで標識し、-70℃で保存した。
【0176】
in situ ハイブリダイゼーション
in situハイブリダイゼーションによって、HC22 cRNAプローブおよびDACC7 cRNAプローブ(1.474-kbユニーク配列)発現の局在性を比較した。パラフィン包埋組織切片をキシレン中で脱パラフィンし、濃度を減少させてゆくエタノール溶液で再水和させた。スライドを3分間キシレンに2回、および3分間100%エタノールに2回浸漬した。これを95%エタノール中に3分、および70%エタノール中に3分間置いた。最後に、スライドをDEPC処理水中に3分間浸漬して、組織切片の再水和を完結させた。次に切片を室温で10分間、200 mM HClで処理して、内在性アルカリペルオキシダーゼを不活性化し、タンパク質からRNAを露出させた。次に、スライドをDEPC処理水で5回洗浄して、HClを除去した。次に、室温で10分間、0.25%(v/v)無水酢酸/0.1 Mトリエタノールアミン HCl/0.9%(w/v)NaClバッファー(pH8.0)中で撹拌しながら、切片をインキュベートして、陽性荷電分子を結合させて、RNAを保護した。スライドを再びDEPC処理水で5回洗浄して、無水酢酸を除去した。スライドを最初に95%エタノール中に、その後100%エタノール中に入れて、組織切片を脱水した。50%ホルムアミドを含む標準ハイブリダイゼーションバッファー(ホルムアミド、50%(v/v);5xSSC(0.1 M NaCl, 0.8 Mクエン酸Na, pH7.0);2%ブロック試薬(Roche Kit) )70マイクロリッターをスライド上に置き、55℃の湿潤箱内で2時間、プレハイブリダイズした。プレハイブリダイゼーションが完了した後、DIG標識 cRNAプローブ 400 ng/mLを含有し、50%ホルムアミドを含む標準ハイブリダイゼーションバッファー 65μLを80℃で5分間変性し、次にスライド上に置いてカバースリップを置いた。切片を湿潤箱に入れて、55℃で一晩、ハイブリダイゼーションを実施した。
【0177】
室温で30分、2xSSCに浸漬することによって、スライドからカバースリップを注意深く取り外した。ストリンジェント洗浄は2xSSCで55℃で1時間、その後0.1xSSCで55℃で30分を2回とした。次にSequenza Immunostaining System(Shandon, UK)中、スライドをTBST(0.3% Tween-20(Sigma)を含有するTris緩衝化生理食塩液、pH7.5)で5分間、平衡化し、その後0.5%(w/v)ブロック試薬/TBST中の1:50に希釈した抗体コンジュゲート(アルカリホスファターゼに連結したウサギF(ab)抗DIG, Dako#D5105)100μL中、室温で30分、インキュベートした。室温で5分間、TBSTで洗浄することによって、未結合の抗体コンジュゲートを除去した。次にスライドをSequenza Systemから取り出し、Pap pen(Dako#S2002)を使用して、組織切片の周囲に疎水性領域を形成させた。色素基剤溶液(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドキシルホスフェート(BCIP)/ニトロブルーテトラゾリウムクロライド(NBT)(Dako#K0598))をスライドに添加して、所望のmRNAシグナルについての発色を開始させた。プローブとハイブリダイズしたmRNAは組織切片内で紫色の粒子を形成した。所望の紫色のドットがスライド上に出てきた後、DEPC処理水 50 mLで2分間、スライドを洗浄することによって、着色反応を停止させた。次にスライドをAquaperm Mounting Medium(IMMUNONTM Thermo, Shandon, PA, USA)に固定し、その後Euckitt(O'Kindler GmbH and Co., Freiberg, Germany)によってカバースリップを置き、分析まで暗所に保存した。
【0178】
cDNA 発現ライブラリーの作製およびスクリーニング
cDNA ライブラリーの作製
ZAP-cDNAR/GigapackRIII Gold Cloningキット(Stratagene)を使用して、2才の雄赤シカ(Cervus elaphus)の最初の角成長部から、増幅したラムダcDNAライブラリーを調製した。別記する以外は、全試薬はキットに含まれているもので、キットのプロトコルに厳密にしたがった。このキットで方向性を持つcDNAライブラリーの構築が可能なので、スクリーニングによって検出し得るクローンの数が倍加する。これは最適のライブラリー構築のために設計されたもので、in vivo切除を含み、サブクローニング操作の必要がなく、かつ高効率のラムダシステムであるので、ライブラリーのサイズを増加することができ、サイズ排除によって当初のmRNA集団の正確な対応cDNAライブラリーを提供する。その呈示量はPCR増幅によって変更されなかったので、1回のみのライブラリーの増幅を実施した。簡単に述べると、前記のように、皮膚を含まないシカ角から総RNA 375μgを抽出した。この総RNAからDynabeadsR mRNA Purificationキット(Dynal Pty Ltd, Carton South, Victoria, Australia)を使用して、合計5.175μgのポリA RNAを抽出した。このキットでは、オリゴ(dT)25磁性ビーズを使用して、総RNAからポリA RNAを精製するので、そのライブラリー中にリボソームおよび転移RNAが含まれない。このmRNAから、ZAP-cDNAR Synthesisキット(Stratagene)を使用して、第1鎖cDNAを合成した。EcoRI(5'末端)およびXhoI(3'末端) 部位を使用して、二本鎖cDNAをラムダUni-ZAPR XRベクター中に連結した。このベクターは長さ10 kbまでのcDNAインサートに適応する。
【0179】
次に、GigapackRIII Gold Cloningキット(Stratagene)を使用して、ラムダライブラリーをパッケージし、パッケージした組換えラムダファージを、E.coli細胞系 XL1-Blue MRF'を使用して、プレーティングした。この段階で、一次ライブラリーの力価測定から、組換え体の力価がベクターアーム1μgについて7.98x107プラーク形成単位と決定された。一次ライブラリーは不安定なことがあるので、このライブラリーを増幅して、より安定で高力価の保存液を取得した。増幅されたライブラリーの力価は1.308x109/mLだった。詳細な方法論はZAP-cDNAR SynthesisキットおよびGigapackRIII Gold Cloningキット(Stratagene)の両方から入手することができる。
【0180】
スクリーニングのための cDNA ライブラリーフィルターの調製
cDNAライブラリーのスクリーニングのため、1プレートについて約50,000プラークを達成可能な大きな135 mmプレートを使用した。プラークが形成した後、プレートを4℃に約2時間維持して、フィルターの引き上げの前に上面のアガロースが固まるようにした。Colony/Plaque ScreenTM膜(DuPont)のタブに標示し、プレート上に表面を下にして2分間置いた。この間にプレートの底面に方向ホールを標示した。2組のプラークリフトを実施した場合は、2番目のフィルターは5分間プレートに接触させて、効果的な転写が可能になるようにした。プレートの蓋を皿として使用して、底部を覆う3 MMペーパーを変性溶液(1.5M NaCl、0.5 M NaOH)で飽和させ、この溶液中にプラーク側を上にしたフィルターを2分間入れた。次に、フィルターをトレーの縁に沿って引っ張り、過剰の溶液を除去して、中和溶液(1.5 M NaCl;0.5 M Tris HCl, pH8.0)を満たした第2のトレーに5分間入れた。このプロセスをリンス溶液(0.2 M Tris HCl, pH7.5;2xSSC)で30秒間繰り返した。次にこのフィルターを3 MMペーパーシートの間で吸い取らせ、UV Stratalinker 1800(Stratsgene)で120 mJのエネルギーレベルに曝露し、DNAをフィルターに架橋させた。湿っている内にフィルターをプラスチックバッグ内に密閉し、ハイブリダイズの準備ができるまで保存した。
【0181】
リボプローブによる cDNA ライブラリーのスクリーニング
1回で2フィルターより多くスクリーニングする場合は、ハイブリダイゼーションボト ルシステム(Hybaid)で背中合わせまたはメッシュの間のいずれかで、プレハイブリダイズした。プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションおよび洗浄は、前記のノーザンブロットハイブリダイゼーションと同様にして、実施した。
【0182】
プラークに対応するフィルターイメージ上のハイブリダイゼーションマークを抜き出して、第2スクリーニングを実施した。第2スクリーニングを通過したクローンを最終の第3スクリーニングにかけた後、さらに特性決定するかどうかを判断した。このスクリーニング操作を通過したクローンのいずれかをin vivo切除した。
【0183】
in vivo 切除
Uni-ZAPR XRベクター(Stratagene)の設計は、ラムダベクターアーム内に含まれるク ローン化されたcDNAインサートのin vivo切除、ならびに再循環を可能にし、そのクローン化インサートを含有するプラスミドを形成することができるようになっている。プラスミドにすれば、クローン化cDNAをグリセロール保存液として保存して、ミニDNA調製を実施することもできる。こうして抜き出したいずれかの目的のプラークを、さらに特性決定するために、in vivo切除した。in vivo切除の方法論はZAP-cDNAR Synthesisキット(Stratagene)のためのプロトコルから知ることができ、これには必要な試薬も含まれている。
【0184】
プラスミド DNA のミニプレップ
プラスミドDNAのミニプレップを、前記のWizardR Plus Miniprep DNA Purificationシステム(Promega)を使用することによって、調製した。プラスミドDNAの収率が低いので、より品質のよいDNAを取得するためには、プラスミドを別の宿主、DH5α中に形質転換する必要があった(後記)。クローンを配列決定し、またPCR技術を使用して再評価して、クローンの特性決定の一助とした(後記)。目的のクローンを、前記のようにミッドプレップDNA抽出のために選択した。
【0185】
5'RACE cDNA 末端の迅速増幅)、クローニングおよび配列決定
5'RACE
5'RACEは、メッセンジャーRNA鋳型からの核酸配列であって、確定された内部部位とそのmRNAの5'末端の未知の配列の間にある配列を増幅するための操作法の1つである。この技法を使用することによって、cDNAライブラリーのスクリーニングから取得した部分3'DACC7クローンが提供する配列情報を使用して、DACC7遺伝子の5'末端を取得し、5'RACEのためのDACC7GSP1および組み込まれたDACC7GSP2遺伝子特異的プライマーを作製した。
【0186】
2才雄赤シカ DAC RNAに、4プロトコルを使用するcDNA末端の迅速増幅の5'RACEシステム、バージョン2.0キット(Gibco BRL, Life Technologies)を、キットの説明書にしたがって適用した。キット説明書およびcDNAライブラリークローン配列の5'末端に基づいて、遺伝子特異的プライマー 1群(GSP1)を設計した。例えば、DACC-7 GSP1(第1鎖合成のためのプライマー)は融点が63℃の20量体で5'GTT CCA CAC GTC ACC ACA GT 3'(配列番号39 )の構成だった。
【0187】
5'RACEシステムのプロトコル4で、AdvantageR cDNA PCRキット(CLONTECH Laboratories, Inc., USA)を使用し、以下のサイクルを使用した:94℃で1分;94℃で0.5分、60℃ で1分および72℃で5分のステップサイクルを35サイクル;その後最終の延長のために72℃で7分。このPCRでは、Abridged Anchor Primer および組み込まれたGSP2を使用した。GSP2はキットの指示にしたがってcDNAライブラリークローン配列から設計した、GSP1に対応する組み込みプライマーである。例えば、DACC-7 GSP2(PCRのためのプライマー)は融点が60℃の24量体で5'CGT ATC GTG CTT AAA TAT GTC AGT 3'(配列番号40)の構成だった。
【0188】
クローニング技法
PCR 産物のクローニング
PCR産物のpGEM-T EasyR ベクターへのクローニングを、pGEM-T EasyR Vector System Kit(Promega)を使用して、実行した。1:1のインサート:ベクターモル比を使用し、キットの説明にしたがって、連結反応物を4℃で一晩インキュベートした。
【0189】
クローン化した PCR 産物の JM109 コンピテント細胞への形質転換
キットの説明にしたがって、クローン化したPCR産物をJM109高効率コンピテント細胞(Promega)中に形質転換した。
【0190】
DNA の制限クローニング
クローン化する非PCR DNA産物を適切な酵素で制限消化して、同様に消化したベクターのオーバーハング末端と適合するオーバーハング「付着末端」を形成させた。各制限消化物をゲル精製した後、連結反応を実施した。
【0191】
連結する各インサートについて、次式を使用して、1:1および3:1のインサート:ベクターモル比の反応を実施した:
ベクター ng インサートのサイズ (kb)xインサート:ベクターモル比=インサートng
ベクターのサイズ(kb)
0.5 mL微量遠心管中、各反応10μlについて、適切な量のベクターおよびインサートとともに、10x連結用バッファー(Roche Molecular Systems)1μL、T4 DNAリガーゼ (Roche Molecular Systems)1μL、およびグリコーゲン(T4リガーゼ分子がオーバーハングDNA末端と接触する可能性を増加させる)1μLを添加した。遠心管中で短時間の混合と回転後、連結反応物を4℃で一晩、インキュベートした。
【0192】
コンピテント細胞の調製
形質転換のためのコンピテント細胞を調製するため、250 mL三角フラスコ中のLuria-Bertaini(LB)培地(トリプトン 10 g、酵母エキストラクト 5 g、NaCl 10 g)50 mLに一晩培養物(DH5αE.coli株)0.5〜1.0 mlを播種し、OD600が0.5に到達するまで、振盪しながら37℃で3〜4時間、培養した。細胞を氷上で20分間冷却した後、3,000 rpmで10分間遠心分離して、細胞をペレット化した。細菌を再生させるためには、冷(4℃)CaCl2 5 mL を添加した。細胞は形質転換のために即時に使用するか、または分注して-70℃で保存した。
【0193】
連結反応物のエレクトロポレーションによる形質転換
各形質転換反応について、無菌1.5 mLマイクロ管中で、一晩連結反応物 2μLをDH5αコンピテント細胞に添加して、軽くはじいて混合させた。混合物を氷上で20分間インキュベートし、その後、水浴中、42℃で45秒間の熱ショックを与え、すぐに氷上に2分間戻した。この管にLB培地を添加して、37℃で1.5時間、振盪しながらインキュベートした。次に形質転換物を100μg/mLアンピシリンを含有するLBプレート上に置き、37℃で一晩、インキュベートした。
【0194】
推定上の全長 DACC7 のクローニング
発現ベクター pBK-CMV(Stratagene)は組換えタンパク質の発現にとって有用なベクターである。このベクターは真核および原核系の両方での発現が可能である。真核発現はサイトメガロウイルス(CMV)即時型プロモーターによって駆動される。真核細胞中での安定なクローンの選択は、ネオマイシンおよびカナマイシン耐性遺伝子の存在によって、G418で可能になり、これはチミジンキナーゼ(TK)転写終結およびポリアデニル化シグナルとともにSV40初期プロモーターによって駆動される。
【0195】
発現ベクター pBK-CMVを修飾して原核lacプロモーターおよびlacZ翻訳開始部位を除去した。なぜならば、この結果としてタンパク質の機能の研究に必須の真核発現が増加するからである。この構築物をpBK-CMV.2と命名した。前述の方法を使用し、図27に概説したように、注意深く選定した制限酵素を使用して、全長DACC7コンティグを接合した。これをpBK-CMV.2中にクローン化したが、lacZ遺伝子のフレーム内には融合させず、非コード3'末端配列を含ませた。概略を前述したように、クローニングステップおよびDH5αまたはJM109コンピテント細胞中への形質転換を実施した。各クローニングステップ後、プラスミドDNAを作製するため、ミニプレップを実施し、制限消化して、次のクローニングステップのためのプラスミドDNAを取得した。
【0196】
DNA の配列決定
クローン化PCR産物のミニプレッププラスミド調製物(前述)を、T7およびSP6プライマーを使用して、配列決定した。配列決定はAGRFによって実施した。
【0197】
組織化学的および免疫組織化学的方法
組織学的染色
シカ角の軟骨状先端部を図21に示すように3つのゾーンに分けて、各ゾーンを2つに当分した。2分の1をすぐに10%中性緩衝化ホルマリン中に固定し、他方はHistochoice固定液中に固定した。固定した組織をパラフィン中に包埋し、5μmの組織学的切片を切り取り、標準的方法を使用して、スライドに置いた。Littleら(1997)によって詳細に記載されているように、ホルマリン固定切片をヘマトキシリンならびにそれぞれpH1.0および2.5のエオシンまたは1%(w/v)Toluidine Blueで加工および染色し、その後高速赤色染料で対比染色した。
【0198】
免疫組織化学染色
これらの研究のため、Histochoice(Amresco#H102-IL, OH, USA)中に固定した角組織を使用した。Histochoiceはホルムアルデヒドを含まないことによって、目的物の再生およびパラフィン切片の予備染色の必要を排除した固定液である。既述(Littleら、1997)のように、タイプIIコラーゲンの免疫学的所在決定を実行した。ただし以下の改変を行なった。グラス上に置いた切片を4℃で16時間インキュベートし、市販のモノクローナル抗体(抗ヒトタイプIIコラーゲン、精製マウスIgG1、クローン:II-4C11、力価:500μg/mL、1:50希釈(ICN Biomedicals, OH, USA))で処理した。ビオチニル化二次抗体(抗マウス/ウサギイムノグロブリン(Dako LSAB2, K1015))を20℃で30分添加し、次にペルオキシダーゼ標識したストレプトアビジン(Dako LSAB+ペルオキシダーゼ K0690)を20℃で30分添加した。Nova Red(Vector Laboratory SK-4800)基質溶液でインキュベートおよびリンス後、染色を完結させた。
【0199】
細胞培養研究のための組織および細胞の調製
アルギン酸塩ビーズ培養のために使用するシカ角軟骨( DAC
RNA調製について前述したように、3頭の雄成体ダマジカ(Dama dama、F1, F2, F3と命名)から、最大成長期に、局所麻酔(Lignocaine)下で、軟骨性先端部を採取した。図3に示すように、軟骨中心部の切片を組織学的検査のために取り除けた。残りのシカ角軟骨(DAC)を図3に示すように3ゾーン(A, B, C)に分割した。これは前軟骨細胞領域(ゾーンA)、成熟増殖軟骨細胞領域(ゾーンB)、および肥厚性軟骨細胞領域(ゾーンC)に相当する。これらのゾーンの主要な軟骨集団を対応する組織学的評価によって確認した。これらのDACゾーンは形態学的に以下のように識別することができる:血管がない白色の軟質軟骨として観察される前軟骨細胞組織;血管がある軟骨組織として観察される成熟軟骨細胞組織;ならびに侵蝕する石灰化および血管の浸潤を示す肥厚性軟骨細胞。3つのゾーンは互いに混在しているので、それぞれから純粋な細胞集団を取得することはできなかった。それぞれのDACゾーンの軟骨の外縁部は廃棄し、RNAの調製について前述したように、3ゾーン(A,BおよびC)からのDAC細胞を酵素消化によって放出させた。血球計算機を使用し、色素排除法によって、それらの生存性を判定した。
【0200】
単層培養に使用した DAC
2頭のダマジカ(F4, F5)および赤シカ(Cervus elaphus)(シカ6-角1(R6.1)、赤シカ6-角2(R6.2)と命名)から角検体を採取した。図3に示すように、これらの検体の先端部を切り取って、前述のように細胞を放出させた。
【0201】
単層培養に使用した羊角軟骨細胞( SAC
4才の純系Merino羊の後膝関節から、羊関節軟骨細胞(SAC)を取得した。関節は絶命後4時間以内に氷上で実験室に輸送され、無菌実験条件下で切開し、#11ブレードを使用して、脛骨プラトー(TP)および滑車溝を含む大腿顆(FC)から、最深部までの関節軟骨を切り出した。各軟骨部分(TPまたはFC)を、37℃で2時間、10%(v/v)FBSを含有するDMEM:F12培地中の0.1%(w/v)プロナーゼ(Boehringer Mannheim Australia Pty.Ltd., Castle Hill, NSW, Australia)で酵素消化し、次にDMEM:F12/10%(v/v)FBS中の0.04%(w/v)コラゲナーゼに変更し、37℃で一晩消化して、細胞を放出させた。無菌70μm細胞濾過器で細胞を回収し、血球計算機を使用し、色素排除法によって、それらの生存性を判定した。
【0202】
単層培養に使用したウサギ耳軟骨細胞( REC
New Zealand雄ウサギからウサギ耳を切り取り、層流キャビネット中、無菌条件下で、注意深く皮膚および骨膜を除去することによって、軟骨を取得した。刻んだ耳軟骨をDMEM:F12中の0.125%(w/v)トリプシンで、4℃で一晩、その後37℃で1時間、酵素消化した。これを、0.04%(w/v)コラゲナーゼを含有し、10%(v/v)FBSを補充した培地と交換して37℃で5時間、30分毎に10秒間ボルテックスした。無菌70μm細胞濾過器でRECを回収し、血球計算機を使用し、色素排除法によって、それらの生存性を判定した。
【0203】
組織片培養に使用した REC
上記のようにRECを採取したが、消化ステップは行なわず、代わりに調製した軟骨を組織片(約1 mm2)に細断して、直接培養実験に使用した。
【0204】
細胞培養法
DAC アルギン酸塩ビーズ培養
基本的にHauselmannら(1994)の記載にしたがって、DACビーズ培養物を調製した。簡単に述べると、各ゾーン(A, B, C)について、コラゲナーゼ消化後に取得したDAC細胞を遠心分離し、DMEM:F12で2回洗浄した。細胞ペレットを、0.15 M NaCl(Ajax Chemicals, Auburn, NSW, Australia)中に溶解した1.2%(w/v)アルギン酸ナトリウム(Sigma)を含有するアルギン酸塩溶液中に3x106細胞/mLの密度で再懸濁した。細胞懸濁液を23ゲージ針から徐々に送り出し、形成した液滴を100 mM CaCl2(May and baker Australia Pty.Ltd., Australia)溶液中に落下させた。この溶液中で10分間、ビーズ(20,000細胞/ビーズ)を重合させた。次にこれらを48(Costar, Cambridge, MA, USA)、(10ビーズ/ウェル)または96(Greiner, Maybachstrasse, Frickenhausen, Germany)、(2ビーズ/ウェル)ウェルプレートに移し、DMEM:F12/10%(v/v)FBS培地で覆った。湿度75%の5%CO2/95%空気雰囲気中、37℃で24時間のインキュベーション後、DAC馴化培地(DAC-CM)を各ウェルから回収した。
【0205】
DAC 単層培養
前述のようにして調製したDAC細胞を2x106細胞/mLで75 cm2フラスコ培養用フラスコ に播種し、湿度75%の5%CO2/95%空気雰囲気中、37℃で、10%FBSを含むか含まないDMEM:F12培地中でインキュベートした。特定の時間に、各一次培養物(すなわち培地は交換したが細胞は継代培養していない)からDAC CMを回収した。DAC-CMサンプルを検体F4、F5、R6.1およびR6.2から調製し、培養開始後1、3、5、7、9、11、13および18日目に回収した。
【0206】
SAC 単層培養
10%FBSを含むDMEM:F12培地とともに75 cm2フラスコ(Corning)中で湿度75%の5%CO2/95%空気雰囲気中、37℃で、SACを1x105細胞/mLで単層培養した。密集状態になった とき、ゾーンA、BおよびCからのDACビーズ培養実験から24時間後に回収して取得した、各種濃度のDAC-CMで、SACを処理した。使用したDAC-CMの濃度は1、3、10、30、100%(v/v)または対照培地[DMEM:F12/10%(V/V)FBS]である。これらの実験を使用して、DAC細胞ゾーン別のDNAの合成および総プロテオグリカン(PG)合成を判定した。
【0207】
REC 単層培養
10%FBSを含むDMEM:F12培地とともに75 cm2フラスコ(Corning)中で湿度75%の5%CO2/95%空気雰囲気中、37℃で、RECを5x104細胞/mlで単層培養した。密集状態になった とき、DACビーズまたは単層培養物、すなわち24時間後に回収したA、BおよびC、ならびに培養開始後1、3、5、7、9、11、13および18日目に回収したF4、F5、R6.1およびR6.2培養からの50%DAC-CMで、RECを処理した。
【0208】
REC 組織片培養
10%FBSを含むDMEM:F12培地とともに湿度75%の5%CO2/95%空気雰囲気中、37℃で、RECの細断した(〜1 mmx1 mm)組織片(4組織片/ウェル)を培養した。培地を除去し、RE細胞を、1dについて領域A、BおよびCから取得したDACビーズ培養物、または培養開始後1、3、5、7、9、11、13および18日目に回収したF4、F5、R6.1およびR6.2の培養物からのCMからのDAC-CMで処理した。
【0209】
マウス繊維芽細胞系
Klagsburnら(1977)によって記載されているようにして、成長因子アッセイのために、3T3 Swiss Albino P137接触阻害細胞系(CSL, Victoria, Australia, ATCC CCL 92)を使用した。湿度75%の5%CO2/95%空気雰囲気中、37℃で、10%FBSを含むDMEM:F12培地中の3T3細胞を96ウェルプレート中で(5x104細胞/mL、1x104細胞/ウェル)培養した。培地を除去し、3T3細胞を、1dについて領域A、BおよびCから取得したDACビーズ培養物、または培養開始後1、3、5、7、9、11、13および18日目に回収したF4、F5、R6.1およびR6.2の培養物からのCMからのDAC-CMで処理した。
【0210】
プロテオグリカンの生合成のアッセイ
DAC アルギン酸塩ビーズ培養
各DACゾーン(A、BおよびC)からのアルギン酸塩ビーズを48ウェルプレート(10ビーズ/ウェル)に入れて、Na2 35SO4(Amersham, Cardiff, UK)を添加して(5μCi/ウェル)を含有するDMEM:F12とともに、8、24、48および72時間培養した。インキュベートの終了時に、各時点で培地およびアルギン酸塩ビーズを別々に加工した(4回反復)。アルギン酸塩ビーズおよびそれに対応する培地を個別に60℃で2時間、パパイン(Sigma)(10 mM EDTAおよび5 mMシステインを含有するPBS中 50μg/mL)で消化し、CollierおよびGhosh(1989)による既述のように、BaSO4沈殿を使用して、取り込まれなかった35SO4を除去した。概説すると、パパイン消化産物のアリコート(400μL)を、25 mg/mLコンドロイチン硫酸(Sigma Chemical Co.)を含有する0.1 M Na2SO4溶液(200μL)と混合した。この溶液に0.4 M BaCl2 100μLを添加した。サンプルをボルテックスし、遠心分離(2500xg)し、上清の400μLアリコートを回収し、そして上記の沈殿法を反復した。2回目の沈殿から上清の250μLアリコートを回収し、0.3 M BaCl2中の1.1 mg/mLコンドロイチン硫酸 50μLを添加した。サンプルをボルテックスし、0.2 M Na2SO4溶液 50μLを添加し、再びサンプルをボルテックスし、前記のように遠心分離した。この上清の100μLアリコートを回収し、シンチラント(Emulsifer SafeR, Canberra Packard, Gladesville, NSW, Australia) 5 mLと混合し、液体シンチレーション分光光度法(Model 1500 Liquid Scintillation Analyser, Canberra Packard)によって、放射能を測定し、そして1分当たりの壊変(DPM)を2分間測定した。サンプル 100μLのそれぞれのDPMにこのアッセイに固有の希釈定数を乗じて、サンプル当たりの合計のDPMを得た。
【0211】
単層培養での SAC のプロテオグリカン合成に対する DAC-CM の効果
羊関節のTPまたはFCから単離した細胞を24ウェルプレート(Nunc, Denmark)中、60,000細胞/ウェルで培養した。すべてNa2 35SO4(5μCi/ウェル)を含有する、濃度1、3、10、30、50および100%(v/v)のゾーンA、BもしくはCからのDAC-CMまたは対照(DMEM:F12/10%(V/V)FBS)をウェルに添加した。48時間のインキュベーション後、培地および細胞を別々に回収し、パパインで消化し、前記のように35S標識PGを単離して、カウントした。
【0212】
組織片培養での REC のプロテオグリカン合成に対する DAC-CM の効果
REC組織片を24ウェルプレートに入れた(4組織片/ウェル)。いくつかのウェルに、DMEM:F12/10%(V/V)FBSで50%に希釈したDAC-CMおよびNa2 35SO4(5μCi/ウェル)をウェ ルに添加した。対照ウェルにはDMEM:F12/10%(V/V)FBSおよびNa2 35SO4(5μCi/ウェル )のみを添加した。48時間のインキュベーション後、培地および組織片を別々に回収し、パパインで消化し、前記のように35S標識PGを単離して、カウントした。
【0213】
DNA 合成のアッセイ
DAC アルギン酸塩ビーズ培養
Hutadilokら(1991)が記載したアッセイを使用し、Hauselmannら(1994)の記載のように、ビーズを溶解する改変を行なって、アルギン酸塩ビーズ中のDAC細胞のDNA合成を判定した。概説すると、DACゾーン(A、B、C)のそれぞれについて、アルギン酸塩ビーズ(2ビーズ/ウェル)を96ウェルプレートに入れた。24時間のインキュベーション後、培地を交換して、3Hチミジンを添加した(0.5μCi/ウェル)。3Hチミジンとのインキュベーションの8、24、48および72時間後(5回反復)、培地を廃棄し、ビーズをNaClに溶解し(Hauselmannら、1994)、細胞収穫器(Titertek Plus)を使用して、細胞をグラスフィルター紙(ICN Biomedicals, Costa Mesa, Ca USA)上に採取した。グラスフィルター紙にシンチラント 3 mLを混合し、液体シンチレーション分光光度法(Model 1500 Liquid Scintillation Analyser, Canberra)によって、DNA中に取り込まれた放射能を測定し、DPMを2分間カウントした。結果をDPM/ウェル(平均±sem)で表示した。
【0214】
SAC 単層培養
TPまたはFCからのSACを96ウェルプレートで培養した(15,000細胞/ウェル)。濃度1、3、10、30、50および100%(v/v)のゾーンA、BもしくはCからのDAC-CMまたはDAC-CMを含まない対照[DMEM:F12/10%(V/V)FBS]プラス3Hチミジン(0.5μCi/ウェル)を各ウェルに添加した。24時間のインキュベーション後、前記のように3Hチミジンで標識されたDNAを測定した。
【0215】
REC 単層培養
REC(10,000細胞/ウェル)を、濃度50%(v/v)のDAC-CMを含有する培地またはDAC-CMを含まない対照[DMEM:F12/10%(V/V)FBS]プラス3Hチミジン(0.5μCi/ウェル)を含む96ウェルプレートで培養した。24時間のインキュベーション後、前記のように3Hチミジンで標識されたDNAを測定した。
【0216】
3T3 マウス繊維芽細胞培養
3T3細胞を、濃度50%(v/v)のゾーンA、BもしくはCからのDAC-CMを含有する培地またはDAC-CMを含まない対照[DMEM:F12/10%(V/V)FBS]とともにインキュベートした。3Hチミジン(0.25μCi/ウェル)を各ウェルに添加し、3時間のインキュベーション後、培地を除去し、細胞を収穫して、前記のように3Hチミジンで標識されたDNAレベルを測定した。
【0217】
MTT 3-[4,5- ジメチルチアゾール -2- イル ]-2,5- ジフェニル - テトラゾリウムブロマイド)アッセイを使用する細胞の代謝活性
SAC 単層培養
以下の改変をした外は、Mosmann(1983)が記載したアッセイ方法を使用して、DAC-CMの存在または不在下でのSACの細胞代謝(ミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性)を判定した:SAC TPまたはFCを、DMEM:F12/10%(V/V)FBSまたは各ゾーンからの1、3、10、30、50および100%(v/v)のDAC-CMとともに96ウェル中(15,000細胞/ウェル)で24時間インキュベートした。各ウェルにMTT(10μL、PBS中5 mg/mL)を添加して、プレートをさらに37℃で2時間インキュベートした。培地を除去し、各ウェルに55 mM クエン酸Na/150 mM NaCl中の100μL(w/v)SDSを添加して、結晶を溶解させた。次にThermomax マイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Menlo Park, Ca, USA)セットで波長562 nmで、ウェル内の発色を読み取った。
【0218】
統計処理
Student t-検定を使用し、p<0.05として、個々のサンプルからの2つの平均が有意に異なるかどうかを判定した。
【0219】
プロテオミクス
この部分の分析では、Macquarie UniversityのAustralian Government's Major National Researchで樹立されたAustralian Proteome Analysis Facilityへのアクセスによって促進された。
【0220】
F4およびF5雄シカの角からのアルギン酸塩ビーズ培養からの馴化培地のサンプルを、培養開始後24時間および7日(168時間)目に採取した。各上清サンプルをアミノ酸分析にかけて、各サンプルのタンパク質含量を判定した。この分析で、サンプル1(F4-24時間)は1.49 mg/ml、サンプル2(F4-168時間)は1.14 mg/ml、サンプル3(F5-24時間)は1.15 mg/ml、そしてサンプル4(F5-168時間)は0.61 mg/mlのタンパク質を含むことが示された。サンプルをTCA沈殿にかけて、タンパク質を精製し、その後30秒の音波処理によって可溶化した。エンドヌクレアーゼを添加し、次にサンプルを20,000xgで10分間遠心分離した。次にサンプルをIsoelectric Focusing(IEF)用のゲル上に添加した。pH3〜6およびpH5〜8の範囲については、グラジエントストリップをインゲル再水和を介して負荷し、pH6〜11についてはグラジエントストリップをアノードのカップに負荷した。第1ディメンジョンIEFについては、95,000 Vh分離ゲルグラジエント 8-18%Tラージフォーマットポリアクリルアミドスラブゲルを使用したが、第2ディメンジョン電気泳動については、@3 mA/ ゲルで6時間、@15 mA/ゲルで14時間の条件を使用した。ゲルをSYPRO Ruby蛍光染料で染色し、スキャンしてディジタルイメージを生成させ、Z3 Image Analysis Software(Compugen)を使用して、生成したサンプルイメージを比較した。培養上清のそれぞれからの3 組のイメージを使用して、素マスターレファレンスゲル複合体にまとめた。次に各サンプルについて作製した3つのゲルコンポジットを使用して、培養上清間でタンパク質プロファイルを比較した。これはpH3〜6、pH5〜8およびpH6〜11グラジエントについて実施した。次に獲得したイメージ分析データを使用して、37℃で16時間のタンパク質のトリプシン消化のための可能性がある標的を同定した。ZipTipを使用して生成したペプチドを精製し、サンプルを濃縮および脱塩した。次に、ナノスプレー源を配備したMicromass Q-TOF MSおよびホウケイ酸塩毛細管を使用してマニュアルで取得したデータを使用して、ESI-TOF MS/MSによって、サンプルを分析した。データをm/z範囲 400〜1800にわたって取得して、MS/MS分析用のペプチドを選択した。ペプチドを選択した後、MSをMS/MSモードにスイッチして、可変衝突エネルギー設定で、m/z範囲 50〜2000にわたって、データを採取した。
【0221】
結果
角軟骨細胞中で過剰発現させた cDNA 配列
本発明は、再生中のシカ角の急速に成長している軟骨の軟骨細胞が、シカ成体もしくは満期胎仔の関節軟骨または骨端成長プレート軟骨細胞、あるいは羊またはヒト軟骨では発現しない、独特の遺伝子産物を発現するという、予期しなかった驚くべき発見に基づいている。さらに驚くべき知見は、これらの遺伝子転写物のいくつかが、ノーザンブロット分析での分離されたバンドに見られるように、ヒト胎児組織中の軟骨発生の前期のみで発現することである。
【0222】
T細胞によって仲介される経口免疫寛容による関節病の治療のための抗原としての各種のコラーゲンの使用において、牛起源のタイプIIコラーゲンはニワトリ起源のタイプIIコラーゲンよりも効果が低いことが知られている(Cremerら、1992;Zhangら、1990;Hartら、1993;Myersら、1993;Weinerら、1994;Barnettら、1996;Trenthamら、1993;Sieperら、1996)。
【0223】
本発明は、出発物質としてシカ角軟骨を使用する、新規な遺伝子のクローニングを実証した。cDNAライブラリーのスクリーニングおよび5'RACEの技法の適用によって、全長クローンを取得した。この遺伝子の発現のパターンを、ヒト組織中のmRNAレベルで検討し、この新規遺伝子のヒト染色体所在地も確定した。
【0224】
ラムダUni-ZAP XR中にExoRIおよびXhoI末端を介して連結したクローンを含有するラムダファージライブラリー(既述)をシカ角軟骨(DAC)から作成した。このDAC cDNAライブラリーを高度に発現したcDNAについてスクリーニングした。シカ角軟骨cDNAライブラリーをスクリーニングするための出発プローブ物質は、pBluescriptSKおよび部分コラーゲン配列(HC22)で構成されるハイブリッドcDNA鋳型を形成させることによって、作製した。このcDNA鋳型を使用して32P放射性標識したRNAプローブを製造した。既述のように、このプローブを使用して、ライブラリーをスクリーニングした。一次スクリーニング後、リン光イメージャー上の対応する放射性ドットの同定によって、陽性物として15クローンを選択した。二次スクリーニング後、当初の15の内、14が陽性として残った。三次スクリーニングで二次スクリーニングからの14クローンのすべてが陽性であると確認され、プラスミドを放出するためのin vivo切除のために、単一で単離された陽性ファージクローンを選択した。次にミニプレップによって、プラスミドDNAを取得した。
【0225】
ミニプレップDNAをEcoRIおよびXhoIで消化して、インサートを放出させ、1%アガロースゲル分離にかけた。クローンは0.5 kb〜1.5 kbの間のサイズ範囲にあった。普遍前進(5'配列決定用プライマー)および逆進(3'配列決定用プライマー)プライマーを使用して、これらを配列決定して、さらに同定した。配列相同性分析で、(図5に示すように)14クローンが以下のものに相同な9群にグループ分けされることがわかった:ヒトα1タイプIIコラーゲン、ヒトプレプロアルファ(I)コラーゲン、ヒトプロコラーゲンアルファ2(V)、ヒトKIAA1075タンパク質(テンシン(tensin)2)、ヒトSPARC/オステオネクチン、ヒトリボソームタンパク質S2(RPS2)、ヒトリボソームタンパク質L23a、ヒト非ヒストン染色体タンパク質(HMG-14)、および機能未知のヒトLOC133957タンパク質(Genbank BC015349)。
【0226】
SOLR E.coli宿主はプラスミドDNAの収量が少量だったので、プラスミドDNA産生にとってよりよい宿主である、E.coli DH5α宿主中にDNAクローンを形質転換した。プライマーウォーキングによって、(DACC-9を除いて)14クローンを完全に配列決定し、オープンリーディングフレームを解明した。
【0227】
DACC-7
ヒトLOC133957とマウスRIKEN0610011N22(Genbank BC003345、機能未知)の配列アラインメントから、サイズおよび配列の比較に基づいて、DACC-7クローンは多分完全長ではないらしいことが示された。
【0228】
既述のように5'RACEの技法を使用して、DACC-7の5'末端を取得した。シカ角軟骨組織からRNAを作製して、変性アガロースゲル上で完全性をチェックした。5'DACC-7を取得する試みとして、(既述のように)シカ角軟骨RNAについて5'RACEキット(CLONTECH)を使用した。5'RACEに使用したプライマーは、図5に示すDACC-7シカ角軟骨ライブラリークローンの5'末端からの配列情報に基づいて作製した。PCR増幅の第1ラウンド後、各レーンには不鮮明なバンドのみが見られた。鮮明なバンドを見るためには、ゲル精製および第2ラウンドのPCRが必要だった。これらの幅広いバンドのサイズは約0.6 kbだったが、この段階で決定することは困難だった。さらにゲル精製した後、方法中で記載したようにPCR産物をpGEM T-EasyRベクター(Promega)中にクローン化し、高効率コンピテントE.coli細胞 JM109(Promega)中に形質転換した。ミニプレップによってプラスミドDNAを単離し、EcoRIで消化してインサートを放出させ、1%ゲル分離にかけた。サイズが約0.7 kbの明瞭なインサートが同定された。普遍前進(T7)および逆進(SP6)プライマーを使用して、この産物のミディプレッププラスミド調製物を配列決定した。配列決定による配列情報は、0.7kb RACE産物は0.729 kbと決定されたことを示した。これを0.287 kbのDACC7シカ角軟骨ライブラリークローンとオーバーラップさせ、その5'配列を0.442 kb延長させて、長さが約1.5 kbのDACC-7遺伝子産物を作製した。最長のオープンリーディングフレームを生成した第1メチオニン(ATG)開始部位はDACC-7遺伝子産物の5'末端から48 bpだった。こうして、47 bpの5'非翻訳領域が同定された。
【0229】
これ以降のDACC-7タンパク質の発現のために、pBK-CMVなどの真核発現ベクター中での全長DACC-7構築物の作製が必要だった。好適に所在させたシングルカット性制限酵素および方法中で記載した操作法(図27)を使用して、0.7 kb RACE産物とライブラリークローンとを連結させて、258 aaのオープンリーディングフレームを持つ1.5 kb(5'非翻訳領域を含む)の推定上のDACC-7 cDNAを作製した。非相補的付着末端を使用する方向性クローニングで、各インサートの適正な方向が確認された。
【0230】
0.7 kb RACE産物と1 kb DACC-7ライブラリークローンの配列のコンティグを、ヒト(LOC133957)およびマウス(RIKEN 0610011N22)相同体とのアミノ酸配列相同性について、分析した(図15)。DACC-7のサイズおよび配列のヒト(LOC133957)オーソログ(ortholog)との比較は、DACC-7コンティグが全長であることを強く示唆している。ヒトゲノムに所在する遺伝子群の情報を提供する、NCBI Entrez Genome マップビューの名称のウェブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/Entrez/maps)には、ヒトLOC133957遺伝子の染色体上の所在地をChr.5,gi|1744086:171999-185824、としている。この所在地は領域 5p15.33に相当する。1.5 kbの全長DACC-7 cDNAは0.777 kb(258 aa)のオープンリーディングフレームを含んでいる。これはヒト(LOC133957、0.783 kb、260 aa)およびマウス(RIKEN 0610011N22、0.783 kb、260 aa)相同体よりも短く、3'末端で2アミノ酸を欠失している(131 aaおよび132 aa)。DACC-7オープンリーディングフレームのヒト(LOC133957)およびマウス(RIKEN 0610011N22)相同体配列との比較から、得られたDACC-7 配列がきわめて全長であるらしいことが示された。図15に示すように、DACC-7はヒト LOC133957およびマウス RIKEN 0610011N22との合理的な高相同性があり、これらがDACC-7の種間相同体であることを証明している。
【0231】
DACC7アミノ酸配列の研究から、DACC-7配列は98 aa...10 aaにN-グリコシル化され得る部位(N-X-SまたはN-X-T、ここでXはプロリン以外の任意のアミノ酸)を持つことが明らかになった。アミノ酸の配置(図15)に基づいて、DACC-7タンパク質のポリペプチド骨格は30 kDaであることが予測された。N-グリコシル化部位の存在は、DACC-7タンパク質のサイズがin vivoではさらに大きいことを示唆している。SMARTデータベース(ドメインを同定する、http://smart.embl-heidelberg.de/)によって、1 aa...46 aaにシグナルペプチドが検出され、したがってこれはおそらく、細胞の外に向けて、分泌されるタンパク質である。DACC-7タンパク質はpI値から塩基性タンパク質であると判定された(図15)。したがって、DACC-7タンパク質は細胞外マトリックス(陰性荷電環境)の主要成分である、プロテオグリカンに結合する可能性がある。
【0232】
DACC-2
このcDNA配列にコードされるポリペプチド配列はヒト(Suら、1989:受け入れ番号 P02458)およびマウス配列(Metsarantaら、1991:受け入れ番号 B41182)を含む既知の脊椎動物コラーゲンアルファ1(II)鎖前駆体と98%までの配列同一性を共有している。タイプIIコラーゲン原繊維は、軟骨、髄核および硝子体などの結合組織の細胞外マトリックス構造を形成する主要構造タンパク質として知られている。これは形状を維持し、組織の変形に抵抗する。
【0233】
脊椎動物コラーゲンアルファ1(II)鎖前駆体に最も密接に関係する遺伝子ファミリーは、DACC-2にコードされるポリペプチドに約68%の同一性があるタイプIコラーゲンである。
【0234】
DACC-3
このcDNA配列にコードされるポリペプチド配列はヒト(Slynnら、1990:受け入れ番号P15880)およびマウス配列(Hellerら、1988:受け入れ番号 P25444)を含む既知の40S リボソームタンパク質 S2(S4)(LIREP3タンパク質)と98%までの配列同一性を共有している。RPS2はmRNA結合のためのリボソームタンパク質(40Sサブユニットの成分)として機能することが知られており、また卵子発生中に必要とされる(無菌雌RPS2突然変異ハエモデルによって証明されている)。
【0235】
脊椎動物リボソームタンパク質 S2(S4)に最も密接に関係する遺伝子ファミリーは、DACC-3にコードされるポリペプチドに約76%の同一性があるマウス wisZタンパク質のヒトオーソログである。
【0236】
DACC-4
このcDNA配列にコードされるポリペプチド配列はヒト(Woolら、1995:受け入れ番号 NP_000975)およびラット配列(Suzuki and Wool、1993:受け入れ番号 CAA46336)を含む既知のリボソームタンパク質 L23aと100%までの配列同一性を共有している。L23aは60s サブユニットの成分であるリボソームタンパク質である。このタンパク質はインターフェロンによる成長阻害の仲介に関与する標的分子の1つであるらしい。
【0237】
脊椎動物リボソームタンパク質 L23aに最も密接に関係する遺伝子ファミリーは、DACC-4にコードされるポリペプチドに約83%の同一性がある60Sリボソームタンパク質である。
【0238】
DACC-5
このcDNA配列にコードされるポリペプチド配列は既知のヒト高速移動群(非ヒストン染色体)タンパク質14(受け入れ番号 XP_049753)と81%までの配列同一性を共有している。ヌクレオソームDNAの内側に結合するHMG-14はこのDNAとヒストン8量体間の相互作用を変更する能力がある。HMG-14と同様に、これも独特のクロマチンコンホメーションにある転写可能な遺伝子を維持する過程に関与するものと考えられる。
【0239】
DACC-6
このcDNA配列にコードされるポリペプチド配列はテンシン2(受け入れ番号 XP_029631)と98%までの配列同一性を共有している。テンシン2は細胞の遊走に正の調節をする。テンシンファミリーの役割は細胞の運動性の制御である。
【0240】
このタンパク質に最も密接に関係する遺伝子ファミリーは、DACC-4にコードされるポリペプチドに約65%の同一性があるテンシンである。
【0241】
DACC-8
DACC-8は非コード性であることがわかるが、オステオネクチンをコードするmRNA(Lankat-Buttgereitら、1988)と高度の配列同一性を共有している。オステオネクチンは細胞外マトリックスおよびサイトカインとの相互作用によって細胞増殖を調節することが明らかである。オステオネクチンはカルシウムおよび銅、いくつかのタイプのコラーゲン、アルブミン、トロンボスポンジン、PDGFならびに細胞膜と結合する。オステオネクチンは形態形成、再造形および創傷の修復を実行している組織中で高レベルで発現する。
【0242】
脊椎動物オステオネクチンに最も密接に関係する遺伝子ファミリーは、ヒトオステオネクチンに約57%の同一性があるヒトSPARC様1タンパク質である。
【0243】
DACC-9
2つの配列、1つは5'末端方向、他方は3’末端方向、を取得した。この5'末端cDNAにコードされるポリペプチド配列はヒト(XP_059039)およびラット配列(Inagumaら、1996:受け入れ番号 P97541)を含む既知の熱ショック 20 kD様タンパク質 P20と90%までの配列同一性を共有している。HEAT-SHOCK 20 KD LIKE-PROTEIN P20は熱ショック小タンパク質(HSP20)ファミリーに属し、ストレスタンパク質に関連がある。
【0244】
脊椎動物の熱ショック 20 kD様タンパク質に最も密接に関係する遺伝子ファミリーは、DACC-9にコードされるポリペプチドに約46%の同一性がある結晶タンパク質である。
【0245】
DACC-10
このcDNA配列にコードされるポリペプチド配列はヒト(Myersら、1985:受け入れ番号 NP_000384)およびマウス配列(Andrikopoulosら、1992:受け入れ番号 NP_031763)を含む既知のアルファ2タイプVプレプロタンパク質と95%までの配列同一性を共有している。コラーゲンアルファ2タイプVはタイプVコラーゲン3量体のサブユニットである。これは、DNA、Heparan硫酸、トロンボスポンジン、ヘパリンおよびインスリンに結合する微量結合組織成分である。これはコラーゲン原線維形成で重要な役割を果たすことが示唆される。
【0246】
脊椎動物アルファ2Vタイプコラーゲンプレプロタンパク質に最も密接に関係する遺伝子ファミリーは、DACC-10にコードされるポリペプチド配列に約62%の同一性があるアルファ1タイプIIコラーゲンである。
【0247】
DACC-11
このcDNA配列にコードされるポリペプチド配列はヒト(Chuら、1985:受け入れ番号 AAB94054)およびマウス配列(Liら、1995:受け入れ番号 P11087)を含む既知のプロアルファ1(I)コラーゲンと97%までの配列同一性を共有している。コラーゲンアルファ1タイプIはタイプIコラーゲンのサブユニットである。これは、皮膚、腱、靭帯および骨の原線維を形成し、結合組織に強度を与える。
【0248】
脊椎動物プロアルファ1(I)コラーゲンに最も密接に関係する遺伝子ファミリーは、DACC-11にコードされるポリペプチド配列に約70%の同一性があるアルファ1タイプIIコラーゲンである。
【0249】
DACC-7 の発現
本発明の1態様は、間葉細胞の、特に胚形成期の発生位置を同定および/または特性決定する方法を提供することである。この方法は、間葉細胞mRNAを含む試験サンプルを、本発明のポリヌクレオチドの1つに特異的にハイブリダイズする、好適に標識した核酸プローブに曝露し、このプローブの前記mRNAへのハイブリダイゼーションを検出することからなる。好ましくは、試験サンプルは好適に調製した組織学的切片である。
【0250】
この態様にしたがう方法の1例は、クローンDACC-7から標準的技法によって調製した1.5 kb RNAプローブを使用して、成長および分化の活性期の軟骨細胞および脊索細胞を同定するものからなっている。図7〜9は、DACC-7由来のRNAプローブを使用してin situハイブリダイゼーションさせた12および14週齢ヒト胎児膝関節および脊椎の組織学的切片を示し、これは成長期の軟骨中での軟骨細胞による強い発現を説明している。ヒト胎児脊柱の組織学的切片を使用したDACC-7プローブでの同様の研究は、胎児ディスクの髄核中の脊索細胞および軟骨細胞も遺伝子産物を強く発現するが、ディスク線維輪の線維軟骨細胞は活性が低いことを証明した(図10および11)。これらの観察は、同一の組織学的切片を使用したが、タイプIIコラーゲンRNAプローブによるin situハイブリダイゼーションによって補強された。この場合、軟骨細胞の均一な染色と線維輪の線維軟骨細胞でのより弱い染色が注目された(図10および11)。DACC-7由来のRNAプローブでの12週齢(図9)および14週齢(図12)ヒト胎児の関節から作製した組織学的切片の細胞染色の強度の比較は、この遺伝子産物の発現が両週齢群で同様であったことを示唆した。成長期胎児軟骨の軟骨細胞の外に、DACC-7リボプローブは、細胞外マトリックスの修復および再生の企てに関与するヒト骨関節炎関節からの繊維化軟骨中に所在する軟骨細胞を同定することもできた。これらの細胞は、図13に示す切片によって説明されるように、DACC-7および軟骨細胞の表現型タンパク質であるタイプIIコラーゲンの強化された発現を呈示した。対照的に、正常若年羊の内側および外側脛骨プラトーの軟骨中に存在する休眠期の軟骨細胞はDACC-7の発現の存在に関する染色の呈示をしなかったので、DACC-7の発現は軟骨成長および修復の活性期の増殖を実行している細胞の1マーカーであることが確認された。
【0251】
遺伝子プローブの起源から予測されるように、成長期のシカ角の軟骨性領域中の軟骨細胞および特に肥厚性軟骨細胞も、これらの同一の細胞によるDACC-7の強度の発現およびタイプIIコラーゲン遺伝子発現を示した。
【0252】
シカ角軟骨細胞から取得した馴化培地中の成長促進因子
DAC領域 A、B、C(図3)から取得した組織切片の組織学的実験で、領域A内のPGについては、Toluidine Blueの使用で、無視し得る染色だったが、ゾーンBおよびCからの切片ではPGについて強度の染色が示された(図4)。血管は各ゾーンに存在したが、ゾーンBおよびCからの切片に明示される細胞学的形態は典型的な軟骨細胞であり、ゾーンA細胞は、Frasierら(1975)が記載しているように、前軟骨芽細胞に相当する外観から、より繊維芽細胞性であることがわかった。Cゾーンの末端付近からのDACの切片は、初期石灰化および増大した血管浸潤を伴う肥厚性軟骨細胞の存在を示した(図4)。
【0253】
アルギン酸塩ビーズ中のDAC細胞はPG内への35Sの高度の取り込みを呈示した。成熟軟骨細胞様細胞と豊富な軟骨マトリックスで構成される領域であるゾーンBは、ゾーンAおよびCからの細胞よりも統計学的に高率のPG合成を示した(p<0.05)(図16)。72時間にわたるインキュベーション期間に、無視し得る量の35S-PGが培地中に放出され(図16)、この培養系では最少のPGのタンパク質分解性修飾が発生していることが確認された。さらに、ノーザンブロット分析およびヒトアグレカンcDNAリボプローブを使用する、これらのDAC細胞から取得したmRNAの研究で、DAC細胞はこれらの実験中、その表現型発現を維持したことが確認された(データは示していない)。
【0254】
DACゾーンBからの細胞は、10%ウシ胎仔血清(FBS)の存在下で培養したとき、これらのDNAへの3Hチミジンの取り込みによって、その他の2つのゾーンからの細胞よりも、増殖性であることも示された(p<0.05)(図17)。DAC細胞のアルギン酸塩培養物から回収した馴化培地(CM)は、FBSの不在下で羊角軟骨細胞の培養物に添加したとき、有糸分裂のわずかな刺激を誘発した(図18)。しかし、ゾーンA、前軟骨芽細胞ゾーンの細胞からのCMは、ゾーンBからよりも強力であったことは注目に値するものだった(p<0.05)(図18)。同一の条件下で、10%FBSの存在中で培養したSAC中でのDNA合成は、30〜35%増大した(図18)。
【0255】
ウシ胎仔血清はDAC細胞によって産生される成長因子と相乗的に作用することがわかった。なぜならば、これが細胞有糸分裂およびPGの合成を増大させたからである。これは図19に示すデータによって説明される。図中、FBSを30%または100%DAC-CMを補充したFBSと交換すると、羊大腿部軟骨細胞による35S-PGの合成が実質的に増大したことがわかる。10%FBSをも含有する100%DAC-CMを使用して合成されたPGの量は10%FBSのみによって産生されたもののほぼ2倍に近かった(図19)。領域AおよびBの培養物から回収した馴化培地は、領域Cからのものよりもより効果的であることが示された(図19)。羊脛骨プラトーから取得した軟骨細胞の培養物についても、類似のプロファイルが得られた(図20)が、この関節領域からの細胞は、大腿部軟骨細胞よりもDAC-CMへの応答性が低いことがわかった(図20)。
【0256】
FBS存在下での羊軟骨細胞による35S-PG合成を刺激するDAC-CMの能力は、増強された有糸分裂活性にも反映された。図21に示すように、大腿部または脛骨SACのいずれかを100%DAC-CMで培養したとき、DNA合成は2倍を超えた。やはり、ゾーンAおよびBからの細胞はDACゾーンCからのものよりも多量の成長因子を産生し(p<0.05)、羊大腿部軟骨細胞の方が脛部軟骨細胞よりもこれらの因子に対する応答性が高かった。
【0257】
DAC-CMの存在下で強化されたSACの代謝活性は、MTTアッセイによると、ミトコンドリア活性の増大にも反映された(図22)。
【0258】
前記の全実験中、使用した馴化培地は24時間培養を維持したDAC細胞から回収した。成長因子(群)がどれほど長くDAC細胞によって強化されるかを判定するため、単層培養開始後1、3、5および7日目にCMを回収した。図23から明白なように、35S-PG合成に対するCMの刺激効果は、その起源とは無関係に、最初の1〜2日の間にDAC培養物から回収したとき、より顕著だった。
【0259】
標的組織としてウサギ耳軟骨組織片培養物を使用したとき、同様の結果が得られた。しかし、予想されるように、単層培養の場合よりもはるかに少量の35S-PGが培地中に放出され、35S-PGの大部分はマトリックス内に残留した(図24)。
【0260】
培養中のDAC細胞によって産生される刺激因子の軟骨細胞に対する選択的効果を、標的細胞として繊維芽細胞を使用する実験で説明した。
【0261】
図25から明白なように、DACアルギン酸塩ビーズ培養物またはDAC単層培養物からのCMの、3T3繊維芽細胞培養物への添加は、これらの細胞によるDNA中への3Hチミジンの取り込みの減少から判定して、(FBSのみの効果に比較して)有糸分裂を刺激することができず、むしろ抑制した。
【0262】
本研究は、DAC細胞が、単層または組織片培養中の軟骨細胞によるDNAおよびPG合成の両方を刺激することができる、可溶性因子(群)を培地中に放出することができることを示した。この刺激効果は、これらの因子(群)を含有する培地にFBSを補充したときに、非常に強化された。FBSはIGF類、塩基性および酸性 FGF類、TGF-βなどの成長因子、ならびにプロテイナーゼおよびホルモン類の複雑な混合物を含有することが知られている。
【0263】
DAC由来の因子(群)の軟骨細胞に対する選択性およびFBS存在下でのその刺激効果の増幅は、成長中の角先端部でのこれらの生理学的役割が、非常に活性な成長期に組織内に拡散する、血液由来の成長因子への指令およびその量の増加にあるらしいことを示唆している。
【0264】
二次元ゲル電気泳動サンプルイメージを、3サンプルのそれぞれについて3組ずつ、pH勾配3〜6、5〜8および6〜11について取得した。3サンプルはF4-24時間、F4-168時間および無血清培養上清由来のものである。各イメージを作成し、3組を1セットのイメージとしてまとめた。各セットの3つのゲルを使用して、複合イメージとして作用する粗マスターレファランスゲルを作製した。次にこの複合イメージを比較用に使用して、培養条件間でのタンパク質スポットの差異を同定した。次に複合イメージから、F4-24時間およびF4-168時間培養上清サンプル間での差異のある呈示を証明する、目的の領域を選択した。各pH範囲について強調された差異のある呈示をする領域から、5〜8でのゲルが、二次元電気泳動を使用して研究する、シカ角軟骨細胞培養物上清サンプルからのタンパク質の最良の分離を提供することが示された。このシステムを使用して、F4-24時間およびF4-168時間培養上清サンプル間のタンパク質発現プロファイルの変化を観察したところ、タンパク質発現が試験した時間経過において異なっていることが示された。タンパク質発現の差異が強調される、差異のある呈示をする領域を選択した。24時間サンプル中には存在するが168時間サンプル中には不在の多数のタンパク質が明らかに存在し、これらに注釈を付けた。すべて低レベルで存在したが、これらをMS分析にかけた。
【0265】
図26で丸印のタンパク質についてのみ、陽性の同定結果が得られた。これらのタンパク質のトリプシン消化物のMS分析の結果、ペプチドAの N末端アミノ酸配列 FVEGL/IYQ/KVEL/IDTK(配列番号41)およびペプチドBの N末端アミノ酸配列 EGL/IYQ/KV(配列番号42)が明らかになった。この方法では、ロイシンとイソロイシン(L/I)は識別できず、またグルタミンとリジン(Q/K)も識別できない。質量が0.04 Daしか違わないからである。利用し得るタンパク質データベースから、これらのタンパク質の両方がタンパク質トランスチレチンと同定された。
【0266】
トランスチレチンはレチノール結合性タンパク質(RBP)と緊密なタンパク質-タンパク質複合体を形成する、甲状腺結合性タンパク質である。RBPとの複合体の形成はレチノールのRBPへの結合を安定化する。この名称はこれがチロキシンおよびレチノール(ビタミンA)の両方の輸送タンパク質であるという事実に対応する。トランスチレチンはアミロイド沈積中に共通して見られる前駆体タンパク質の1つでもある(トランスチレチン随伴アミロイド症疾患)。
【0267】
DAC由来の因子(群)によって培養の早期に発現され、後期には発現されなかったタンパク質の1つがトランスチレチンだったという知見は、観察されたこれらの上清の刺激効果と整合している。この効果はおそらくチロキシンをレチノールとの複合体として細胞中に運搬するというトランスチレチンの能力によって仲介されるものと見られ、それによって軟骨の増殖およびそれに続く骨への転換を促進する。これは軟骨細胞によるトランスチレチンの産生の最初の報告であるが、その他の間葉組織の成長および発生におけるこのタンパク質の既知の役割と整合している(Sakabeら、1999;Barronら、1998;Hamazakiら、2001)。
【0268】
本発明者らは、ヒトおよび羊軟骨細胞の培養中、タイプIIプロコラーゲンのためのmRNAおよびプロテオグリカンの発現をシカ角軟骨細胞由来の遺伝子によって上行調節することができることを示した。この応答は、これらの細胞を以下のような各種のホルモンおよび内分泌成長因子に同時曝露することによって、改変することができる:インスリン様成長因子(IGF-1)、TGFベータ、FGF類、VEGF類、骨形態形成因子、甲状腺ホルモン類(チロキシン)、上皮小体ホルモン関連タンパク質(PTHrP)、性ホルモン類、黄体形成ホルモン(LH)およびプロラクチン、ならびにシカ角軟骨細胞自体を培養することによって取得された馴化培地。これらのホルモンおよび/もしくは成長因子の1つまたは組合せを使用して、当初の生検体から取得し、DACC遺伝子をトランスフェクトした軟骨細胞の増殖速度、したがってその数を増加させ、それによって結合組織欠損部へのインプラント用、または後日の移植のための低温保存用に十分な数の細胞を供給することができる。軟骨細胞へのこれらの刺激活性を産生するシカ角細胞培養物から取得した上清中に同定された、タンパク質の1つはトランスチレチンであり、これは甲状腺ホルモン結合タンパク質であって、レチノール結合タンパク質と複合体を形成し、胚発生に関与することが知られている(Sakabeら、1999;Barronら、1998;Ingenbleek and Bernstein, 1999;Starkら、2001;Hamazakiら、2001;Varga and Vajtai, 1998)。
【0269】
この結果から、軟骨、腱、半月板およびディスク欠損部の間葉細胞の増殖、修復、再生または回復を改善する方法が確定され、これによって関節内でこれらの機能を回復させ、OAの発生速度を減少することになる。これには以下の操作を必要とする:欠損部に隣接する軟骨、または標的ディスク内から小さな生検体を外科的に取得するか、これらの生検体から軟骨細胞を単離して、これらを培養物中で樹立させ、そして本発明者らがシカ角の急速成長中の軟骨細胞中で同定した遺伝子(群)をこれらにトランスフェクトし、好適な担体または人工的マトリックスを使用して、トランスフェクトした軟骨細胞を欠損部内に戻し入れて、その位置で維持させる。別の操作法では、前述およびGoomerら(2000)によって詳記されているように、欠損部に隣接する軟骨、または標的ディスク内にin vivoでトランスフェクトすることを必要とする。in vivoでディスクおよび軟骨プラグに作用する正常な機構的および栄養的因子に応答するこれらの改変軟骨細胞は、形質転換された細胞を刺激して、欠損部を修復することができる新しいマトリックスを増殖および合成することとなる。
【0270】
本発明については、広範に記載したように、本発明の精神および範囲から離脱することなく、特定の実施形態中で示した発明に対して、多数の変更および/または修飾をすることができることが、当業者には理解されるであろう。したがって、これらの実施形態はすべての面で説明のためのものであって限定するためのものではないことを想定している。
【0271】
上記考察中の全刊行物の全体を、参照として本明細書に組み入れる。
【0272】
本明細書に含まれている、あらゆる報告、作用、物質、装置、文献などについての考察は、もっぱら本発明に関する全体像を提供することを目的としている。これらの事項のいずれかまたは全部が、本出願の各クレームの出願日以前にオーストラリア内に存在していたものとして、本発明に関連する分野での先行技術基盤を形成すること、あるいは共通する一般的知識であったことを容認するものではない。
【0273】
引用文献
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【0274】
配列表の説明
配列番号1 - DACC-7によりコードされるシカポリペプチド配列
配列番号2 - 配列番号1と順系相同なヒトポリペプチド(受託番号XP 059677)
配列番号3 - 配列番号1と順系相同なマウスポリペプチド(受託番号XP 077163)
配列番号4 - DACC-2によりコードされるシカポリペプチド配列
配列番号5 - 配列番号4と順系相同なヒトポリペプチド(受託番号P02458)
配列番号6 - 配列番号4と順系相同なマウスポリペプチド(受託番号B41182)
配列番号7 - DACC-3によりコードされるシカポリペプチド配列
配列番号8-配列番号7と順系相同なヒトポリペプチド(受託番号P15880)
配列番号9 - 配列番号7と順系相同なマウスポリペプチド(受託番号P25444)
配列番号10 - DACC-4によりコードされるシカポリペプチド配列
配列番号11 - 配列番号10と順系相同なヒトポリペプチド(受託番号NP 000975)
配列番号12 - 配列番号10と順系相同なラットポリペプチド(受託番号CAA46336)
配列番号13 - DACC-5によりコードされるシカポリペプチド配列
配列番号14 - 配列番号13と順系相同なヒトポリペプチド(受託番号XP_049753)
配列番号15 - DACC-6によりコードされるシカポリペプチド配列
配列番号16 - 配列番号15と順系相同なヒトポリペプチド(受託番号XP_029631)
配列番号17 - 配列番号34(ヒトオステオネクチン)を含む完全長cDNAによりコードされるタンパク質と順系相同なヒトポリペプチド(受託番号P09486)
配列番号18 - DACC-9によりコードされるシカポリペプチド配列
配列番号19 - 配列番号18と順系相同なヒトポリペプチド(受託番号XP_059039)
配列番号20 - 配列番号18と順系相同なラットポリペプチド(受託番号P97541)
配列番号21 - DACC-10によりコードされるシカポリペプチド配列
配列番号22 - 配列番号21と順系相同なヒトポリペプチド(受託番号NP_000384)
配列番号23 - 配列番号21と順系相同なマウスポリペプチド(受託番号NP_031763)
配列番号24 - DACC-11によりコードされるシカポリペプチド配列
配列番号25 - 配列番号24と順系相同なヒトポリペプチド(受託番号AAB94054)
配列番号26 - 配列番号24と順系相同なマウスポリペプチド(受託番号P11087)
配列番号27 - ヒトトランスサイレチン(受託番号P02766)
配列番号28 - クローンDACC-2のシカcDNA配列
配列番号29 - クローンDACC-3のシカcDNA配列
配列番号30 - クローンDACC-4のシカcDNA配列
配列番号31 - クローンDACC-5のシカcDNA配列
配列番号32 - クローンDACC-6のシカcDNA配列
配列番号33 - クローンDACC-7のシカcDNA配列
配列番号34 - クローンDACC-8のシカcDNA配列
配列番号35 - クローンDACC-9の5'末端のシカcDNA配列
配列番号36 - クローンDACC-9の3'末端のシカcDNA配列
配列番号37 - クローンDACC-10のシカcDNA配列
配列番号38 - クローンDACC-11のシカcDNA配列
配列番号39 - オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号40 - オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号41 - シカトランスサイレチンタンパク質断片のN末端配列
配列番号42 - シカトランスサイレチンタンパク質断片のN末端配列
【図面の簡単な説明】
【0275】
【図1】図1は、胎児における軟骨内骨形成の略図を示す。胚発生の初期段階において、肢芽中の間葉細胞が密集して(A〜C)、軟骨原基(D)を形成する。原基の骨幹中で、軟骨細胞の肥大及び境界がそれらと周囲の未分化の積み重ねられた細胞の間に形成される(E)。血管は原基の非分化細胞領域に侵入する(F)。初期骨髄腔が形成され、残りの軟骨は骨端成長プレートを確立する(G)。第2の骨化中心は骨端の血管化に伴って生じ、長軸方向への成長(G)及び(H)を可能にする(Canceddaら1995から改作)。
【図2】図2は、12週齢ヒト胎児遠位指節骨の切片におけるプロテオグリカン及びII型コラーゲンの組織化学染色及び免疫組織化学染色を示し、組織におけるそれらの各々の分布並びに軟骨内骨化プロセスの形態を証明する。A(x16)、D(x50)、G(x100)=胎児の関節の真皮、結合組織、血管及び血液細胞のコラーゲンのマッソン三色染色。B(x16)、E(x50)、H(x100)=骨端硝子軟骨におけるプロテオグリカン分布を示すトルイジンブルー染色。C(x16)、F(x50)、I(x100)=プロテオグリカン分布(トルイジンブルー)と相補的な硝子軟骨のII型コラーゲン免疫染色。中心骨端長幹の初期の軟骨内骨化に対応する血管による侵入及び軟骨マトリックスの吸収に留意されたい。
【図3】図3は、それぞれPC(前軟骨細胞)、MC(成熟軟骨細胞)及びHC(肥大軟骨細胞)に対応するA、B及びCと名づけられた3つの主要な細胞領域を示すシカ角の軟骨(非骨化)先端の模式図である。パネルAは、中心軟骨核のみを含むことによって線維性骨膜及び膜内骨化を受けたと考えられる領域を排除する組織サンプルを示す。パネルBは、細胞培養試験のために別々に処理し、その全RNAを抽出したこれらの3つの領域(A、B、C)の各々に由来する細胞を示す;また、全軟骨先端切片を、組織試験、免疫組織化学試験、及びin situハイブリダイゼーション試験に用い、並びに全RNAを該軟骨先端から抽出した。
【図4】図4は、シカ角軟骨の領域B(成熟軟骨細胞)から得た軟骨切片の組織化学染色及び免疫組織化学染色を示す。パネルA(x50)、B(x100)=血管チャンネル(未染色)間の軟骨マトリックス中のプロテオグリカンのトルイジンブルー染色。パネルC(x50)及びD(x100)は、トルイジンブルー(パネルA及びB)を用いたプロテオグリカンの染色と相補的であると認められる領域Bの軟骨のII型コラーゲンの免疫染色を示す。
【図5−1】(i) DACC-2、長さ:1.426 kb。下線はヒトα1 II型コラーゲンcDNAと重複する1.404 kbの93%相同性を示す。
【図5−2】(ii) DACC-3、長さ:0.957 kb。下線はヒトリボソームタンパク質S2(RPS2)cDNAと重複する0.876 kbの89%相同性を示す。
【図5−3】(iii) DACC-4、長さ:0.532 kb。下線はヒトリボソームタンパク質L23a(RPL23A)cDNAと重複する0.486 kbの92%相同性を示す。
【図5−4】(iv) DACC-5、長さ:1.224 kb。下線はヒト非ヒストン染色体タンパク質(HMG-14)cDNAと重複する1.189 kbの89%相同性を示す。
【図5−5】(v) DACC-6、長さ:1.163 kb。下線はKIAA1075タンパク質(tensin2)cDNAのヒトmRNAと重複する1.145 kbの91%相同性を示す。
【図5−6】(vi) DACC-7、長さ:1.506 kb。下線はRIKEN cDNA 0610011N22遺伝子(LOC133957、Genbank BC015349)と類似するヒトmRNAと重複する1.506 kb(全長)の70%相同性を示す。
【図5−7】(vii) DACC-8、長さ:1.088 kb。下線はヒトSPARC/オステオネクチンと重複する1.086 kbの83%相同性を示す。
【図5−8】(viiia) DACC-9(5'末端)、長さ:0.410 kb。下線はHEAT-SHOCK 20 kDa様タンパク質P20(LOC126393、Genbank AK056951)cDNAと類似するヒトmRNA及び特許WO9954460(Genbank AX013767)cDNAに由来するヒト配列109と重複する0.359 kbの89%相同性を示す。
(viiib) DACC-9(3'末端)、長さ:0.588 kb。下線はHEAT-SHOCK 20 kDa様タンパク質P20(LOC126393、Genbank AK056951)cDNAと類似するヒトmRNA及び特許WO9954460(Genbank AX013767)cDNAに由来するヒト配列109と重複する0.584 kbの79%相同性を示す。
【図5−9】(ix) DACC-10、長さ:1.625 kb。下線はヒトプロコラーゲンα2(V)cDNAと重複する1.578 kbの90%相同性を示す。
【図5−10】(x) DACC-11、長さ:1.508 kb。下線はヒトプレプロα1(I)コラーゲンcDNAと重複する1.508 kbの90%相同性を示す。
【図6】図6は、ベクターのみ(mock)及び以前に記載された(Goomerら、2000)ようにペレット培養物中で増殖させたウサギ軟骨細胞中でDACC-7をトランスフェクトされたベクター(DACC-7)により合成されたDNA中への3Hチミジンの取込み(1分あたりのカウント/μg DNA)を示す。DACC-7をトランスフェクトされた細胞の合成DNA中への放射能のより高い取込みに留意されたい。
【図7】図7は、12週齢ヒト胎児膝関節の切片上のDACC-7 mRNAに関するin situハイブリダイゼーションを示し、骨端硝子軟骨中のこの遺伝子産物の発現が半月板細胞中では低いことを示している。A(x16)、C(x50)、D(x100) DACC-7 mRNA、B(x16)=陰性対照。
【図8】図8は、12週齢ヒト胎児膝関節の切片上のII型コラーゲンmRNAに関するin situハイブリダイゼーションを示す。A(x16)、B(バッファーのみの対照)、C(x50)、D(x100)。硝子骨端軟骨並びに線維軟骨半月板の両方におけるII型コラーゲンmRNAの発現に留意されたい(半月板においてはII型コラーゲンタンパク質が観察されなかった免疫染色とは対照的である)。
【図9】図9は、12及び14週齢ヒト胎児膝関節骨端軟骨の切片中のDACC-7 mRNAに関するin situハイブリダイゼーションを示し、12週齢標本と比較して14週齢標本においてメッセージの発現が低下していることを示している。A(x200)、C(x400)=12週齢関節。B(x200)、D(x400)=14週齢関節。
【図10】図10は、12週齢ヒト胎児脊柱の前部領域の矢状組織切片の顕微鏡写真を示す。パネルA:円板及び近接する軟骨性脊椎体、髄核(NP)の脊索細胞クラスター並びに線維輪(AF)の線維細胞のアラインメントを示すトルイジンブルー染色された切片。パネルB:より高い倍率(x200)でのNP及びAFを示す円板及び近接する軟骨性脊椎体のトルイジンブルー染色された切片。パネルC:脊椎体及び近接する繊維性AF(x400)の軟骨原基中の細胞の分界を示すトルイジンブルー染色された切片。パネルD:脊索細胞及び移行領域に発達する内部AFの細胞を示すNPのより高出力な顕微鏡写真(x400)。パネルE:軟骨原基の細胞によるDACC-7の発現及びアンチセンスプローブを用いたAFへの移行に関するin situハイブリダイゼーション。繊維細胞よりも軟骨細胞の方が強く染色されていることに注目されたい(x400)。パネルF:アンチセンスプローブを用いたNPの細胞によるDACC-7の発現に関するin situハイブリダイゼーション。軟骨細胞の強い染色に注目されたい(x400)。
【図11】図11は、12週齢ヒト胎児脊柱の前部領域の矢状組織切片の顕微鏡写真を示す。パネルA:センスプローブを用いた円板細胞及び脊椎体の軟骨原基の軟骨細胞によるII型コラーゲンの発現に関するin situハイブリダイゼーション(x50)。パネルB:円板細胞及び近接する軟骨性脊椎体の細胞における発現を示す、アンチセンスプローブを用いた円板細胞及び脊椎体の軟骨原基の軟骨細胞によるII型コラーゲンの発現に関するin situハイブリダイゼーション(x50)。パネルC:センスプローブを用いた円板細胞及び脊椎体の軟骨原基の軟骨細胞によるII型コラーゲンの発現に関するin situハイブリダイゼーション(x400)。パネルD:脊椎体の軟骨原基及び近接する線維性AF中の細胞の分界を示す、アンチセンスプローブを用いた円板細胞及び脊椎体の軟骨原基の軟骨細胞によるII型コラーゲンの発現に関するin situハイブリダイゼーション(x400)。パネルE:センスプローブを用いた髄核(NP)の脊索細胞クラスターによるDACC-7の発現に関するin situハイブリダイゼーション(x400)。パネルF:アンチセンスプローブを用いたNPの細胞によるDACC-7の発現に関するin situハイブリダイゼーション。脊索細胞の強い染色に注目されたい(x400)。
【図12】図12は、関節のある表面及び骨端軟骨を示す、14週齢ヒト胎児指関節の冠状組織切片の顕微鏡写真を示す。パネルA:全軟骨及び骨幹端の端部での肥大軟骨細胞の細胞外マトリックスにおけるプロテオグリカン分布を示すトルイジンブルー染色された切片(x50)。パネルB:関節 のある表面及び骨端の軟骨におけるプロテオグリカン分布を示すトルイジンブルー染色された切片(x100)。パネルC:センスプローブを用いたパネルBの連続切片中の軟骨細胞によるII型コラーゲンの発現に関するin situハイブリダイゼーション(x100)。パネルD:アンチセンスプローブを用いたパネルBの連続切片中の軟骨細胞によるII型コラーゲンの発現に関するin situハイブリダイゼーション(x100)。パネルE:センスプローブを用いたパネルBの連続切片中の軟骨細胞によるDACC-7の発現に関するin situハイブリダイゼーション(x100)。パネルF:アンチセンスプローブを用いたパネルBの連続切片中の軟骨細胞によるDACC-7の発現に関するin situハイブリダイゼーション(x100)。
【図13】図13は、ヒトOA関節に由来する変性脛骨プラトー関節軟骨の断片の矢状組織切片の顕微鏡写真を示す。パネルA:プロテオグリカンの分布を示すトルイジンブルー染色された切片(x200)。パネルB:プロテオグリカンの分布を示すトルイジンブルー染色された切片(x400)。パネルC:センスプローブを用いたII型コラーゲンの発現に関するOA軟骨細胞のin situハイブリダイゼーション(x200)。パネルD:アンチセンスプローブを用いたII型コラーゲンの発現に関するOA軟骨細胞のin situハイブリダイゼーション(x200)。パネルE:センスプローブを用いたOA軟骨中の軟骨細胞によるDACC-7の発現に関するin situハイブリダイゼーション(x200)。パネルF:アンチセンスプローブを用いたOA軟骨中の軟骨細胞によるDACC-7の発現に関するin situハイブリダイゼーション(x200)。パネルG:センスプローブを用いたOA軟骨中の軟骨細胞によるDACC-7の発現に関するin situハイブリダイゼーション(x400)。パネルH:アンチセンスプローブを用いたOA軟骨中の軟骨細胞によるDACC-7の発現に関するin situハイブリダイゼーション(x400)。
【図14】図14は、血管チャンネルの内皮を取り囲む軟骨マトリックス中で集合した成熟軟骨細胞及び肥大軟骨細胞を示す、ファロージカの角の領域Bの水平組織切片の顕微鏡写真を示す。パネルA:トルイジンブルー染色された切片(x200)。パネルB:トルイジンブルー染色された切片(x400)。パネルC:センスプローブを用いた角軟骨細胞によるII型コラーゲン発現に関するin situハイブリダイゼーション(x400)。パネルD:アンチセンスプローブを用いた角軟骨細胞によるII型コラーゲン発現に関するin situハイブリダイゼーション(x400)。パネルE:センスプローブを用いた角軟骨細胞によるDACC-7発現に関するin situハイブリダイゼーション(x200)。パネルF:アンチセンスプローブを用いた角軟骨細胞によるDACC-7発現に関するin situハイブリダイゼーション(x200)。パネルG:センスプローブを用いた角軟骨細胞によるDACC-7発現に関するin situハイブリダイゼーション(x400)。パネルH:アンチセンスプローブを用いた角軟骨細胞によるDACC-7発現に関するin situハイブリダイゼーション(x400)。
【図15】図15は、DACC-7の推定アミノ酸配列、サイズ及びpIを示す。DACC-7のヒト(LOC133957)及びマウス(RIKEN 0610011N22)相同体とのアミノ酸の使用、同一性及び類似性も示す。
【図16】図16は、図3に示された3つの角領域A、B、Cに由来するDAC細胞のアルギナートビーズ中での35S-PG合成の刺激の反応速度論を示す。*B>A=C(p<0.05)。
【図17】図17は、アルギナートビーズ中で培養した領域A、B、Cに由来するDAC細胞によるDNA合成(3H-チミジン取込みとして)の反応速度論を示す。*B>A=C(p<0.05)。
【図18】図18は、ウシ血清アルブミン(BSA)、10%ウシ胎仔血清(FBS)又は2種の異なる動物(2,3)に由来する領域AもしくはBからのDAC細胞のアルギナートビーズ培養物から得た条件化培地の存在下で培養したヒツジ関節軟骨細胞によるDNA合成の反応速度論を示す。
【図19】図19は、領域A(□)、B(斜線の入っているバー)、C(■)からのDAC細胞のアルギナートビーズ培養物に由来する種々の量の条件化培地(CM)と共に24時間インキュベートしたヒツジ大腿骨顆軟骨細胞による35S-PG合成の刺激の反応速度論を示す。*A=B<C (p<0.05)。#=ウシ胎仔血清(FBS)のみと比較。
【図20】図20は、領域A(□)、B(斜線の入っているバー)、C(■)からのDAC細胞のアルギナートビーズ培養物に由来する種々の量の条件化培地(CM)と共に24時間インキュベートしたヒツジ脛骨プラトー軟骨細胞による35S-PG合成の刺激の反応速度論を示す。*A=B>C (p<0.05)。
【図21】図21は、領域A(□)、B(斜線の入っているバー)、C(■)からのDAC細胞のアルギナートビーズ培養物に由来する種々の量の条件化培地(CM)と共に24時間インキュベートしたヒツジ軟骨細胞によるDNA合成(3H-チミジン取込み)の反応速度論を示す。*A=B>C (p<0.05)。#=ウシ胎仔血清(FBS)のみと比較。
【図22】図22は、領域A(□)、B(斜線の入っているバー)、C(■)からのDAC細胞のアルギナートビーズ培養物に由来する種々の濃度の条件化培地(CM)と共に24時間インキュベートした後のヒツジ軟骨細胞におけるミトコンドリア活性(MTTアッセイを用いて測定)を示す。*B=C (p<0.05)。#=FBSと比較(P<0.05)。
【図23】図23は、異なる動物(F4、F5、R6.1、R6.2)からのDAC細胞(全領域)の単層培養物から最大7日間集めた条件化培地(CM)と共にインキュベートしたヒツジ大腿骨軟骨細胞による35S-PG合成の刺激の反応速度論を示す。(■)1日、(□)3日、(ドットが入っているバー)5日、(斜線の入っているバー)7日。#=FBSのみと比較(P<0.05)。
【図24】図24は、異なる動物(F4、F5、R6.1、R6.2)からのDAC細胞(全領域)の単層培養物から最大7日間集めた条件化培地(CM)と共にインキュベートしたウサギ軟骨移植片による35S-PG合成の刺激の反応速度論を示す。(■)1日、(□)3日、(ドットが入っているバー)5日、(斜線の入っているバー)7日。#=FBSと比較(P<0.05)。
【図25】図25は、DAC又は単層培養物(F4、F5、R6.1、R6.2)に由来する異なる領域(A)、(B)、(C)からのアルギナートビーズ培養物から得た条件化培地(CM)と共にインキュベートした集密なネズミ3T3線維芽細胞によるDNA合成(3H-チミジン取込み)の反応速度論を示す。#=FBSのみと比較(P<0.05)。
【図26】図26は、培養の最初の24時間に渡って回収したシカ角軟骨細胞のアルギナート培養物からの濃縮された条件化培地の2次元pH 5-8勾配ゲル電気泳動を示す。赤枠のスポットは培養培地の刺激活性の喪失に対応する同じ細胞の7日培養物中に存在しなかった。これらの赤い円内のタンパク質1及び2をQ-TOF MS/MS質量分析にかけた。両タンパク質を、その部分アミノ酸配列に基づいてトランスサイレチンとして同定した。
【図27】図27は、完全長DACC-7 cDNAの構築のために選択した制限酵素を示す。用いた制限酵素はEcoRI、SacI及びKpnIであった。これらの酵素を、重複領域中の位置及びプラスミドのマルチクローニング領域内の制限酵素の順に基づいて選択した。

Claims (70)

  1. 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、
    a) 配列番号1に示される配列、
    b) 配列番号2に示される配列、
    c) 配列番号3に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも50%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドを、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入することを含む、前記方法。
  2. 前記ポリペプチドがa)〜c)のいずれかと少なくとも80%同一である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ポリペプチドがa)〜c)のいずれかと少なくとも90%同一である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ポリペプチドがa)〜c)のいずれかと少なくとも95%同一である、請求項1に記載の方法。
  5. 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、
    a) 配列番号4に示される配列、
    b) 配列番号5に示される配列、
    c) 配列番号6に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも70%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドを、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入することを含む、前記方法。
  6. 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、
    a) 配列番号7に示される配列、
    b) 配列番号8に示される配列、
    c) 配列番号9に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも80%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドを、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入することを含む、前記方法。
  7. 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、
    a) 配列番号10に示される配列、
    b) 配列番号11に示される配列、
    c) 配列番号12に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも85%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドを、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入することを含む、前記方法。
  8. 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、
    a) 配列番号13に示される配列、
    b) 配列番号14に示される配列、及び
    c) a)又はb)の配列のいずれかと少なくとも70%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドを、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入することを含む、前記方法。
  9. 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、
    a) 配列番号15に示される配列、
    b) 配列番号16に示される配列、及び
    c) a)又はb)の配列のいずれかと少なくとも50%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドを、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入することを含む、前記方法。
  10. 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、
    a) 配列番号17に示される配列、及び
    b) a)の配列と少なくとも60%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドを、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入することを含む、前記方法。
  11. 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、
    a) 配列番号18に示される配列、
    b) 配列番号19に示される配列、
    c) 配列番号20に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも50%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドを、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入することを含む、前記方法。
  12. 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、
    a) 配列番号21に示される配列、
    b) 配列番号22に示される配列、
    c) 配列番号23に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも65%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドを、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入することを含む、前記方法。
  13. 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、
    a) 配列番号24に示される配列、
    b) 配列番号25に示される配列、
    c) 配列番号26に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも75%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドを、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入することを含む、前記方法。
  14. 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法であって、
    a) 配列番号27に示される配列、及び
    b) a)の配列と少なくとも35%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドを、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入することを含む、前記方法。
  15. 前記細胞が体細胞である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記体細胞が間葉細胞である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記間葉細胞が軟骨細胞及び骨細胞からなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記ポリペプチドが、前記細胞中に該ポリペプチドをコードする発現ベクターを導入することにより提供される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記細胞を動物から除去し、in vitroで培養し、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて形質転換又はトランスフェクトした後、動物中に戻す、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記細胞を、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いてin vivoで形質転換又はトランスフェクトする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  21. 細胞の増殖及び/又は分裂を阻害する方法であって、
    a) 配列番号1に示される配列、
    b) 配列番号2に示される配列、
    c) 配列番号3に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも50%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする化合物を、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入し、かつその翻訳を阻害することを含む、前記方法。
  22. 細胞の増殖及び/又は分裂を阻害する方法であって、
    a) 配列番号4に示される配列、
    b) 配列番号5に示される配列、
    c) 配列番号6に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも70%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする化合物を、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入し、かつその翻訳を阻害することを含む、前記方法。
  23. 細胞の増殖及び/又は分裂を阻害する方法であって、
    a) 配列番号7に示される配列、
    b) 配列番号8に示される配列、
    c) 配列番号9に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも80%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする化合物を、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入し、かつその翻訳を阻害することを含む、前記方法。
  24. 細胞の増殖及び/又は分裂を阻害する方法であって、
    a) 配列番号10に示される配列、
    b) 配列番号11に示される配列、
    c) 配列番号12に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも85%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする化合物を、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入し、かつその翻訳を阻害することを含む、前記方法。
  25. 細胞の増殖及び/又は分裂を阻害する方法であって、
    a) 配列番号13に示される配列、
    b) 配列番号14に示される配列、及び
    c) a)又はb)の配列のいずれかと少なくとも70%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする化合物を、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入し、かつその翻訳を阻害することを含む、前記方法。
  26. 細胞の増殖及び/又は分裂を阻害する方法であって、
    a) 配列番号15に示される配列、
    b) 配列番号16に示される配列、及び
    c) a)又はb)の配列のいずれかと少なくとも50%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする化合物を、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入し、かつその翻訳を阻害することを含む、前記方法。
  27. 細胞の増殖及び/又は分裂を阻害する方法であって、
    a) 配列番号17に示される配列、及び
    b) a)の配列と少なくとも60%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする化合物を、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入し、かつその翻訳を阻害することを含む、前記方法。
  28. 細胞の増殖及び/又は分裂を阻害する方法であって、
    a) 配列番号18に示される配列、
    b) 配列番号19に示される配列、
    c) 配列番号20に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも50%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする化合物を、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入し、かつその翻訳を阻害することを含む、前記方法。
  29. 細胞の増殖及び/又は分裂を阻害する方法であって、
    a) 配列番号21に示される配列、
    b) 配列番号22に示される配列、
    c) 配列番号23に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも65%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする化合物を、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入し、かつその翻訳を阻害することを含む、前記方法。
  30. 細胞の増殖及び/又は分裂を阻害する方法であって、
    a) 配列番号24に示される配列、
    b) 配列番号25に示される配列、
    c) 配列番号26に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも75%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする化合物を、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入し、かつその翻訳を阻害することを含む、前記方法。
  31. 細胞の増殖及び/又は分裂を阻害する方法であって、
    a) 配列番号27に示される配列、及び
    b) a)の配列と少なくとも35%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする化合物を、動物細胞と接触させるか、又はこれに挿入し、かつその翻訳を阻害することを含む、前記方法。
  32. 動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するポリペプチドの活性を調節する薬剤を同定する方法であって、
    i) 該ポリペプチドを候補薬剤に曝露すること、及び
    ii) 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を調節する候補薬剤の能力を評価すること、
    を含み、該ポリペプチドが
    a) 配列番号1に示される配列、
    b) 配列番号2に示される配列、
    c) 配列番号3に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも50%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を有する、前記方法。
  33. 動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するポリペプチドの活性を調節する薬剤を同定する方法であって、
    i) 該ポリペプチドを候補薬剤に曝露すること、及び
    ii) 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を調節する候補薬剤の能力を評価すること、
    を含み、該ポリペプチドが
    a) 配列番号4に示される配列、
    b) 配列番号5に示される配列、
    c) 配列番号6に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも70%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を有する、前記方法。
  34. 動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するポリペプチドの活性を調節する薬剤を同定する方法であって、
    i) 該ポリペプチドを候補薬剤に曝露すること、及び
    ii) 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を調節する候補薬剤の能力を評価すること、
    を含み、該ポリペプチドが
    a) 配列番号7に示される配列、
    b) 配列番号8に示される配列、
    c) 配列番号9に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも80%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を有する、前記方法。
  35. 動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するポリペプチドの活性を調節する薬剤を同定する方法であって、
    i) 該ポリペプチドを候補薬剤に曝露すること、及び
    ii) 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を調節する候補薬剤の能力を評価すること、
    を含み、該ポリペプチドが
    a) 配列番号10に示される配列、
    b) 配列番号11に示される配列、
    c) 配列番号12に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも85%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を有する、前記方法。
  36. 動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するポリペプチドの活性を調節する薬剤を同定する方法であって、
    i) 該ポリペプチドを候補薬剤に曝露すること、及び
    ii) 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を調節する候補薬剤の能力を評価すること、
    を含み、該ポリペプチドが
    a) 配列番号13に示される配列、
    b) 配列番号14に示される配列、及び
    c) a)又はb)の配列のいずれかと少なくとも70%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を有する、前記方法。
  37. 動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するポリペプチドの活性を調節する薬剤を同定する方法であって、
    i) 該ポリペプチドを候補薬剤に曝露すること、及び
    ii) 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を調節する候補薬剤の能力を評価すること、
    を含み、該ポリペプチドが
    a) 配列番号15に示される配列、
    b) 配列番号16に示される配列、及び
    c) a)又はb)の配列のいずれかと少なくとも50%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を有する、前記方法。
  38. 動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するポリペプチドの活性を調節する薬剤を同定する方法であって、
    i) 該ポリペプチドを候補薬剤に曝露すること、及び
    ii) 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を調節する候補薬剤の能力を評価すること、
    を含み、該ポリペプチドが
    a) 配列番号17に示される配列、及び
    b) a)の配列と少なくとも60%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を有する、前記方法。
  39. 動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するポリペプチドの活性を調節する薬剤を同定する方法であって、
    i) 該ポリペプチドを候補薬剤に曝露すること、及び
    ii) 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を調節する候補薬剤の能力を評価すること、
    を含み、該ポリペプチドが
    a) 配列番号18に示される配列、
    b) 配列番号19に示される配列、
    c) 配列番号20に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも50%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を有する、前記方法。
  40. 動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するポリペプチドの活性を調節する薬剤を同定する方法であって、
    i) 該ポリペプチドを候補薬剤に曝露すること、及び
    ii) 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を調節する候補薬剤の能力を評価すること、
    を含み、該ポリペプチドが
    a) 配列番号21に示される配列、
    b) 配列番号22に示される配列、
    c) 配列番号23に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも65%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を有する、前記方法。
  41. 動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するポリペプチドの活性を調節する薬剤を同定する方法であって、
    i) 該ポリペプチドを候補薬剤に曝露すること、及び
    ii) 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を調節する候補薬剤の能力を評価すること、
    を含み、該ポリペプチドが
    a) 配列番号24に示される配列、
    b) 配列番号25に示される配列、
    c) 配列番号26に示される配列、及び
    d) a)〜c)の配列のいずれかと少なくとも75%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を有する、前記方法。
  42. 動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激するポリペプチドの活性を調節する薬剤を同定する方法であって、
    i) 該ポリペプチドを候補薬剤に曝露すること、及び
    ii) 細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する該ポリペプチドの能力を調節する候補薬剤の能力を評価すること、
    を含み、該ポリペプチドが
    a) 配列番号27に示される配列、及び
    b) a)の配列と少なくとも35%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を有する、前記方法。
  43. 前記薬剤が細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する前記ポリペプチドの能力を阻害する、請求項32〜42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 前記薬剤が細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する前記ポリペプチドの能力を増強する、請求項32〜42のいずれか1項に記載の方法。
  45. 前記動物細胞が哺乳動物細胞である、請求項1〜44のいずれか1項に記載の方法。
  46. 動物間葉細胞を、シカ角軟骨細胞から得た条件化培地、もしくはその活性画分に曝露することを含む、間葉細胞の増殖及び/又は分裂を刺激する方法。
  47. 前記シカ角軟骨細胞が、前軟骨細胞、成熟軟骨細胞、肥大軟骨細胞、又はそれらの組合せからなる群より選択される、請求項46に記載の方法。
  48. 前記方法が、前記細胞を増殖因子に曝露することをさらに含む、請求項46又は47に記載の方法。
  49. 前記増殖因子が、インスリン様増殖因子(IGF-1)、TGF-β、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、形態形成骨因子、胸腺ホルモン(サイロキシン)、甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)、性ホルモン、黄体形成ホルモン(LH)及びプロラクチンからなる群より選択される、請求項48に記載の方法。
  50. 下記のもの:
    a) 配列番号1に示される配列、及び
    b) a)の配列と少なくとも91%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/又は分裂を刺激することができる前記ポリペプチド。
  51. 前記配列がa)の配列と少なくとも95%同一である、請求項50に記載のポリペプチド。
  52. 前記配列がa)の配列と少なくとも99%同一である、請求項50に記載のポリペプチド。
  53. 下記のもの:
    a) 配列番号4に示される配列、及び
    b) a)の配列と少なくとも99%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/もしくは分裂の刺激、又は細胞外マトリックスの構造成分からなる群より選択される生物活性を有する前記ポリペプチド。
  54. 下記のもの:
    a) 配列番号7に示される配列、及び
    b) a)の配列と少なくとも99%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/もしくは分裂の刺激、又はタンパク質合成に関与するサブユニットからなる群より選択される生物活性を有する前記ポリペプチド。
  55. 下記のもの:
    a) 配列番号13に示される配列、及び
    b) a)の配列と少なくとも90%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/もしくは分裂の刺激、又はクロマチン構造の変化からなる群より選択される生物活性を有する前記ポリペプチド。
  56. 下記のもの:
    a) 配列番号15に示される配列、及び
    b) a)の配列と少なくとも99%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/もしくは分裂の刺激、又は細胞移住の調節からなる群より選択される生物活性を有する前記ポリペプチド。
  57. 下記のもの:
    a) 配列番号18に示される配列、及び
    b) a)の配列と少なくとも91%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/もしくは分裂の刺激、又は細胞ストレスへの応答からなる群より選択される生物活性を有する前記ポリペプチド。
  58. 下記のもの:
    a) 配列番号21に示される配列、及び
    b) a)の配列と少なくとも96%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/もしくは分裂の刺激、又は結合組織の成分、又はコラーゲン線維形成からなる群より選択される生物活性を有する前記ポリペプチド。
  59. 下記のもの:
    a) 配列番号24に示される配列、及び
    b) a)の配列と少なくとも98%同一である配列、
    からなる群より選択される配列を含む実質的に精製されたポリペプチドであって、動物細胞の増殖及び/もしくは分裂の刺激、又はコラーゲンの成分からなる群より選択される生物活性を有する前記ポリペプチド。
  60. 請求項50〜59のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む融合タンパク質。
  61. 請求項50〜60のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド。
  62. 配列番号28、29、31〜33、又は35〜38のいずれか1つに記載の配列を含む、請求項61に記載のポリヌクレオチド。
  63. 配列番号30に提供される配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
  64. 配列番号34に提供される配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
  65. 高ストリンジェンシーな条件下で、請求項61〜64のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドにハイブリダイズするアンチセンスポリヌクレオチド。
  66. 請求項61〜65のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  67. 前記ポリヌクレオチドをプロモーターに機能し得る形で連結させる、請求項66に記載のベクター。
  68. 請求項66又は請求項67に記載のベクターを用いてトランスフェクト又は形質転換された宿主細胞。
  69. 哺乳動物細胞である、請求項68に記載の宿主細胞。
  70. 軟骨細胞による細胞分裂及び/又はマトリックス遺伝子発現の増加がトランスサイレチンの作用の結果起こる、請求項14、31、42及び46のいずれか1項に記載の方法。
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