JP2004535279A - 吸気エアフィルター - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、吸気エアフィルターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、ハーフマスクと、これに結合されたフィルター部材とを有するフィルター装置が公知である。必要に応じて、あらかじめフィルター部材を通ってマスクに流れ込んだ空気しか吸い込むことがないように、人はハーフマスクを鼻と口に装着する。このような種類のフィルター装置は比較的高いコストをかけて設計されており、安価な大量生産には適していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、できるだけ簡素に構成されていて安価に製造できる呼吸用エアフィルターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、次のものを備える呼吸用エアフィルターによって解決される:
− 空気透過性の外装と、
− 外装の中に配置され、活性炭を含んでいる少なくとも1つのフィルター層。
【0005】
この呼吸用エアフィルターは非常に簡素であり、安価な材料で構成されているので、大量生産用として格別に適している。しかも、人間の鼻と口が十分に覆われるだけの大きさがあればよいので、非常にコンパクトで扱いやすい。価格が安くサイズが小さいので、ティッシュペーパーやチューインガムと同じように、誰でもどこへでも持ち運ぶことができ、したがっていつでも使用準備が整っている。たとえば、乗用車のグローブボックスに、同乗者の分として十分な個数を問題なく備え付けておくことができるので、トンネル火災が発生したとき、中毒にかかるのを、生死を分けるかもしれない時間だけ先に延ばすことができるかもしれない。
【0006】
フィルター層に含まれる活性炭は、吸入される空気に含まれる有毒ガスを、吸着によって少なくとも部分的に取り除くガスフィルターとしての役目をする。
【0007】
本発明のその他の特徴と構成は、請求項に記載されている。
【0008】
外装は不織布でできていることが意図されていてよい。外装にはそれ以外の繊維生地、たとえばフェルト、編物、織物、ニットなどを使用することもできるが、これらに比べて不織布ははるかに安価に製造することができる。
【0009】
この場合、不織布がポリプロピレン繊維から製造されることが意図されていてよい。このようなポリプレピレン繊維は、格別に簡単かつ恒久的に、静電気を帯電させることができる。このことは従来技術で一般に周知であるので、詳しい説明は割愛する。
【0010】
さらにこの場合、不織布が、たとえば従来技術ではメルトブローン法とも呼ばれる溶融紡糸によって製造することができるスパンボンド不織布であることが意図されていてよい。
【0011】
さらにこの場合、外装は、30〜40g/m2、特に35g/m2の、重量密度とも呼ばれる単位面積当り重量を有することが意図されていてよい。
【0012】
さらに、外装が静電気を帯電していることが意図されていてよい。外装が静電気で帯電されているので、外装は、たとえば煤粒子、埃、煙、噴霧などの粒子を格別によく引きつけることができる。したがって外装が粒子フィルターとしての役目をする。
【0013】
さらに、少なくとも1つのフィルター層が不織布でできていることが意図されていてよい。この場合も別の繊維生地を使うことができるが、不織布は価格が安いので優先される。
【0014】
この場合、不織布からなる各々のフィルター層は170〜210g/m2、特に190g/m2の単位面積当り重量を有することが意図されていてよい。
【0015】
さらに、少なくとも1つのフィルター層が、相互に結合された活性炭粒状体を有することが意図されていてよい。
【0016】
この場合、活性炭粒状体が接着剤によって相互に結合されることが意図されていてよい。そうすれば、このような種類のフィルター層は、単位面積当り重量が1000〜1300g/m2、特に1265g/m2の軽い活性炭と、単位面積当り重量がわずか300〜400g/m2、特に335g/m2の接着剤とを有することができるので、有利な場合には活性炭の占める割合がほぼ79重量%になり、従来の活性炭フィルターマットの場合より明らかに高くなる。
【0017】
接着剤は、有利には連続気泡をもつウレタンフォームであってよい。あるいは接着剤として、これ以外の材料を使用することもできる。
【0018】
さらに、相互に結合された活性炭粒状体を備える各々のフィルター層が、250〜2700g/m2、主として1400〜1800g/m2、特に1500〜1700g/m2、とりわけ1600g/m2の単位面積当り重量を有することが意図されていてよい。
【0019】
さらに、活性炭の割合が70〜90重量%、主として75〜85重量%、特に80重量%であり、接着剤の割合が10〜30重量%、主として15〜25重量%、特に20重量%であることが意図されていてよい。
【0020】
さらに、少なくとも1つのフィルター層が、マトリクス材料と、これと結合された活性炭粒状体とを有していることが意図されていてよい。
【0021】
この場合、マトリクス材料は、有利には連続気泡ウレタンフォームおよび/または網状ウレタンフォームであることが意図されていてよい。あるいはマトリクス材料として、これ以外の材料を用いることもできる。
【0022】
さらにこの場合、活性炭が接着剤によってマトリクス材料と結合されることが意図されていてよい。接着剤はアクリレート接着剤であってよい。あるいは接着剤として、これ以外の材料を用いることもできる。このような種類のフィルター層は、単位面積当り重量が1000〜1300g/m2、特に1265g/m2の軽い活性炭と、単位面積当り重量がわずか300〜400g/m2、特に335g/m2のマトリクス材料と接着剤の合計を有することができるので、有利な場合には活性炭の占める割合がほぼ79重量%となり、従来の活性炭フィルターマットの場合よりも明らかに高くなる。
【0023】
さらに、マトリクス材料と結合された活性炭粒状体を備える各々のフィルター層が250〜2700g/m2、主として1400〜1800g/m2、特に1500〜1700g/m2、とりわけ1600g/m2の単位面積当り重量を有することが意図されていてよい。
【0024】
さらに、活性炭の割合が70〜90重量%、主として75〜85重量%、特に80重量%であり、マトリクス材料と接着剤の合計の割合が10〜30重量%、主として15〜25重量%、特に20重量%であることが意図されていてよい。
【0025】
さらに、粒状体が顆粒および/または結晶であることが意図されていてよい。このとき、グラニュール粒とも呼ばれる顆粒はそれぞれ粉末粒子からなる非対称な集合物であり、たとえば完全な結晶もしくは結晶剥離片である。
【0026】
さらに、粒状体が0.01〜1.0mm、特に0.1〜0.5mmの粒度を有することが意図されていてよい。
【0027】
さらに、活性炭が酸素および/またはオゾンを帯びていることが意図されていてよい。この目的のために、呼吸用エアフィルターを有利には気密に包装する前に、所望の気体量を吸着するまで活性炭を相応の気体に触れさせる。このことは、たとえば、組立の完了した呼吸用エアフィルターを、相応の気体雰囲気の中に保管することによって行うことができる。呼吸用エアフィルターの使用時には、酸素および/またはオゾンを帯びた活性炭が、フィルター層を通って流れる吸気にこれらを放出するので、吸気が吸い込まれる前に酸素および/またはオゾンが豊富になる。このようにして、呼吸用エアフィルターが酸素源としての役目も果たす。
【0028】
さらに、少なくとも1つのフィルター層が、一酸化炭素を濾過する手段を有していることが意図されていてよい。
【0029】
さらにこの場合、前記手段が一酸化炭素を酸化して二酸化炭素にすることが意図されていてよい。この手段は、少なくとも1つのホプカライトを含んでいてよい。ホプカライトは、たとえば60%のMnO2と40%のCuO、または50%のMnO2、30%のCuO、15%の酸化コバルト、および5%のAg2Oでできていてよい。
【0030】
さらに、少なくとも2つのフィルター層が互いに上下して配置されており、それぞれ隣接する2つのフィルター層の間に空気透過性の分離層が介在することが意図されていてよい。フィルター性能はフィルター層の数に伴って向上するので、浄化されるべき吸気は、吸い込まれる前に、できるだけ多くのフィルター層を通過して流れるのが望ましい。残念ながら、フィルター層の数が増えるにつれて流動抵抗も増えてしまうが、前記の場合には、フィルター層が直接積み重なっているフィルター層の積層に比べて、流動抵抗を分離層によって明らかに減らすことができる。
【0031】
この場合、各々の分離層が不織布でできていることが意図されていてよい。この場合にも、別の繊維生地を使用することができるが、不織布は価格が低いので優先される。
【0032】
さらに、不織布がポリエステル繊維から製作されることが意図されていてよい。
【0033】
さらにこの場合、不織布が穴のあいたスパンレース不織布であり、すなわち、たとえばニードルパンチ、ステッチボンド、ウォータージェットを利用した渦巻きなどによって機械的に強化され、穴パターンを有している不織布であることが意図されていてよい。このような種類の穴のあいたスパンレース不織布は従来技術から公知なので、ここではこれ以上詳しく説明しない。
【0034】
さらにこの場合、各々の分離層が35〜65g/m2、特に50g/m2の単位面積当り重量を有することが意図されていてよい。
【0035】
さらに、外装が気密性の包装に包まれていることが意図されていてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
次に、添付の図面を参照しながら有利な実施例について詳しく説明する。
【0037】
図1には、第1実施形態の呼吸用エアフィルター10が示されている。この呼吸用エアフィルターは、空気透過性の外装11と、4つのフィルター層12と、3つの空気透過性の分離層13とを有している。
【0038】
外装11は、ポリプロピレン繊維から溶融紡糸によって製作されたスパンボンド不織布でできている。この不織布は恒久的に静電気で帯電しており、30〜40g/m2、主として35g/m2の単位面積当り重量を有している。
【0039】
各々のフィルター層12は、幅が5〜9cm、主として7cm、長さが9〜13cm、主として11cm、厚さが1〜3mm、主として2mmであり、単位面積当り重量が170〜210g/m2、主として190g/m2である、長方形をした一片の不織布でできている。フィルター繊維12の不織布は、一方では粒子フィルターとしての役目を果たし、また他方では、ガスフィルターとしての役目をする活性炭の支持体としての役目を果たす。このような種類の活性炭フィルターマットの製造は従来技術から公知なので、ここではこれ以上詳しくは説明しない。
【0040】
各々の分離層13は、幅および長さがフィルター層12と実質的に同じであり、厚さが0.5〜1.5mm、主として1.0mm、単位面積当り重量が35〜65g/m2、主として50g/m2である、長方形をした一片のスパンレース不織布でできている。この不織布はポリエステル繊維で製作されており、穴パターンを有している。
【0041】
4つのフィルター層12と3つの分離層13は、それぞれ2つの隣接するフィルター層12の間に1つの分離層13が介在する直方体の積層をなすように、交互に相上下して配置されている。この積層が外装11によって取り囲まれており、さらに外装は包装フィルム14に気密に包まれている。
【0042】
必要に応じて人は包装フィルムを破り、呼吸用エアフィルター10を取り出す。図2に示すように、これを手の上に載せ、指と手の間で横辺のところを軽く圧縮して、手と反対を向いているほうの面が若干凹面状に湾曲するようにする。そして呼吸用エアフィルター10の凹面状になっている面を、同時に口と鼻を覆うように、顔に押し当てる。そして息を吸い込むと、空気は指の間から呼吸用エアフィルター10へと流れ、さらに呼吸用エアフィルターを通り抜けて口および/または鼻に流入する。
【0043】
図3には、呼吸用エアフィルター10が第2実施形態で示されている。この第2実施形態が図1の第1実施形態と違っているのは、4つのフィルター層12と3つの分離層13に代えて、外装11の中に1つのフィルター層12’しか設けられておらず、このフィルター層12’は、第1案では、ウレタンフォームによって相互に結合された活性炭粒状体でできていることである。
【0044】
第2案では、フィルター層12’は、たとえば連続気泡ウレタンフォームであってよいマトリクス材料と、アクリレート接着剤でマトリクス材料と結合された活性炭粒状体とでできていてもよい。
【0045】
本発明による呼吸用エアフィルター10は安価、コンパクト、かつ簡単に利用可能である。したがって、ティッシュペーパーのパッケージのように、誰でもいつでもどこへでも問題なく持ち運ぶことができ、たとえば自動車のグローブボックスやホテル客室のナイトテーブルなどに備え付けておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】気密に包装された第1実施形態の呼吸用エアフィルターを示す断面図である。
【図2】手のひらに持った図1の呼吸用エアフィルターを示す平面図である。
【図3】気密に包装された第2実施形態の呼吸用エアフィルターを示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
10 呼吸用エアフィルター
11 外装
12,12’ フィルター層
13 分離層
14 包装フィルム
Claims (32)
- 呼吸用エアフィルター(10)において、
空気透過性の外装(11)と、
この外装(11)の中に配置され、活性炭を含んでいる少なくとも1つのフィルター層(12、12’)とを備える、呼吸用エアフィルター。 - 外装(11)が不織布でできていることを特徴とする、請求項1に記載の呼吸用エアフィルター。
- 不織布がポリプロピレン繊維から製造されていることを特徴とする、請求項2に記載の呼吸用エアフィルター。
- 不織布がスパンボンド不織布であることを特徴とする、請求項2または3に記載の呼吸用エアフィルター。
- 不織布が溶融紡糸によって製造されることを特徴とする、請求項4に記載の呼吸用エアフィルター。
- 外装(11)が30〜40g/m2、特に35g/m2の単位面積当り重量を有していることを特徴とする、前記請求項のうちいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- 外装(11)が静電気で帯電していることを特徴とする、前記請求項のうちいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- 少なくとも1つのフィルター層(12)が不織布でできていることを特徴とする、前記請求項のうちいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- 不織布からなる各々のフィルター層(12)が170〜210g/m2、特に190g/m2の単位面積当り重量を有していることを特徴とする、請求項8に記載の呼吸用エアフィルター。
- 少なくとも1つのフィルター層(12’)が、相互に結合された活性炭粒状体を有していることを特徴とする、前記請求項のうちいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- 活性炭粒状体が接着剤によって相互に結合されていることを特徴とする、請求項10に記載の呼吸用エアフィルター。
- 前記接着剤がウレタンフォームであることを特徴とする、請求項11に記載の呼吸用エアフィルター。
- 相互に結合された活性炭粒状体を備える各々のフィルター層(12’)が250〜2700g/m2、主として1400〜1800g/m2、特に1500〜1700g/m2、とりわけ1600g/m2の単位面積当り重量を有していることを特徴とする、請求項10〜12までのいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- 活性炭の割合が70〜90重量%、主として75〜85重量%、特に80重量%であり、接着剤の割合が10〜30重量%、主として15〜25重量%、特に20重量%であることを特徴とする、請求項10〜13までのいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- 少なくとも1つのフィルター層(12’)が、マトリクス材料と、これと結合された活性炭粒状体とを有していることを特徴とする、前記請求項のうちいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- マトリクス材料がウレタンフォームであることを特徴とする、請求項15に記載の呼吸用エアフィルター。
- 活性炭粒状体が接着剤によってマトリクス材料と結合されていることを特徴とする、請求項15または16に記載の呼吸用エアフィルター。
- 接着剤がアクリレート接着剤であることを特徴とする、請求項17に記載の呼吸用エアフィルター。
- マトリクス材料と結合された活性炭粒状体を備える各々のフィルター層(12’)が250〜2700g/m2、主として1400〜1800g/m2、特に1500〜1700g/m2、とりわけ1600g/m2の単位面積当り重量を有していることを特徴とする、請求項15〜18までのいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- 活性炭の割合が70〜90重量%、主として75〜85重量%、特に80重量%であり、マトリクス材料と接着剤を合わせた割合が10〜30重量%、主として15〜25重量%、特に20重量%であることを特徴とする、請求項15〜19までのいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- 粒状体が顆粒および/または結晶であることを特徴とする、請求項10〜20までのいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- 粒状体が0.01〜1.0mm、有利には0.1〜0.5mmの粒度を有していることを特徴とする、請求項10〜21までのいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- 活性炭が酸素および/またはオゾンを帯びていることを特徴とする、前記請求項のうちいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- 少なくとも1つのフィルター層(12、12’)が、一酸化炭素を濾過する手段を有していることを特徴とする、前記請求項のうちいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- 前記手段が一酸化炭素を酸化して二酸化炭素にすることを特徴とする、請求項24に記載の呼吸用エアフィルター。
- 前記手段が少なくとも1つのホプカライトを含んでいることを特徴とする、請求項25に記載の呼吸用エアフィルター。
- 少なくとも2つのフィルター層(12,12’)が互いに上下して配置され、それぞれ隣接する2つのフィルター層(12、12’)の間に空気透過性の分離層(13)が介在していることを特徴とする、前記請求項のうちいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- 各々の分離層(13)が不織布でできていることを特徴とする、請求項27に記載の呼吸用エアフィルター。
- 不織布がポリエステル繊維から製造されていることを特徴とする、請求項28に記載の呼吸用エアフィルター。
- 不織布が穴のあいたスパンレース不織布であることを特徴とする、請求項28または29に記載の呼吸用エアフィルター。
- 各々の分離層(13)が35〜65g/m2、特に50g/m2の単位面積当り重量を有していることを特徴とする、請求項28〜30までのいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
- 外装(11)が気密な包装(14)に包まれていることを特徴とする、前記請求項のうちいずれか1項に記載の呼吸用エアフィルター。
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