JP2004534778A - ジニトリルの環境調和型水素化プロセス - Google Patents
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Abstract
ジニトリルをジアミンおよび必要に応じてアミノニトリルに変換するプロセスであって、ジニトリルを触媒の存在下で水素と接触させる実質的に無溶剤の水素化反応の前または反応中に、第VIII族元素触媒を改質剤で処理する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、アジポニトリルからヘキサメチレンジアミンおよび/または6−アミノカプロニトリルの製造で例示されるような、脂肪族または脂環式ジニトリルの水素化によるジアミンおよび/またはアミノニトリルの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
ジニトリルは化学、医薬および農業化学工業においてよく使われる原料である。ジニトリルは、水素化によってジアミンやアミノニトリルに変換でき、重合体の中間体、界面活性剤、キレート化剤および化学合成の中間体の一部またはそのもの自体として使用される。特定の例として、アジポニトリルは水素化によって6−アミノカプロニトリルおよび/またはヘキサメチレンジアミンに変換できる。ヘキサメチレンジアミンはナイロン6,6製造の中間体である。6−アミノカプロニトリルは、ナイロン6製造における中間体として用いることができる。
【0003】
ヘキサメチレンジアミンの従来からの製造方法に、還元された酸化鉄または酸化コバルト触媒を用い、非常に高い圧力、温度のもとでアジポニトリルを水素化する方法がある。このような高圧プロセスに付随する一つの欠点は、商業スケールで実施する場合に装置が高コストとなることである。これに代わるヘキサメチレンジアミン製造の低圧プロセスでは、ラネー(Raney)(商標)Niのような、水溶性苛性アルカリ(水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物)で促進される活性ニッケル触媒を使用し、約3.1MPa(450psig)、約75℃で行われる。この反応条件は高圧プロセスと比較すれば緩和であり、商業規模装置への投資額を節約し得るものの、一方では、触媒活性を保つには苛性アルカリを使用する必要があり、このことによって精製が複雑となり、廃棄物処理や環境保全の点で問題を生ずる。一例を挙げれば、水酸化ナトリウムは焼却処理することはできない。代替法は深井戸への廃棄であるが、環境上望ましくない。
【0004】
アジポニトリルからヘキサメチレンジアミンを商業的に製造している方法の中には、ラネー(Raney)(商標)Ni触媒を溶剤と共に用いているものがある。水と異なり、溶剤は大気中への揮発性有機化合物の排出(VOCs)をもたらすため、環境の観点からは望ましくない。溶剤は、また、資本経費を増大させるリサイクルを必要とし、精製装置を追加する必要が生じることからも望ましくない。
【0005】
米国特許公報(特許文献1)は、実質的に苛性アルカリを含まない反応媒体中で、スポンジ状コバルト触媒の存在下で、アジポニトリルを水素化し、ヘキサメチレンジアミンおよび必要に応じて6−アミノカプロニトリルを製造する方法を開示している。この方法は比較的低圧で行われ苛性アルカリも使用しないが、触媒寿命がより長い方法およびそれに対応して触媒の生産性がより高い方法の開発が望まれる。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第5,900,511号明細書
【特許文献2】
米国特許第1,628,190号明細書
【特許文献3】
国際公開第200067903号パンフレット
【特許文献4】
欧州特許出願公開第212,986号明細書
【特許文献5】
米国特許第4,429,159号明細書
【非特許文献1】
オクテーブ・レーベンシュピール(Octave Levenspiel)著、「化学反応工学(Chemical Reaction Engineering)」
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1は、脂肪族または脂環式ジニトリルをジアミンおよび必要に応じてアミノニトリル、例えばアジポニトリルをヘキサメチレンジアミンおよび必要に応じて6−アミノカプロニトリル、に変換するためのプロセスであって、(1)脂肪族または脂環式ジニトリル、例えばアジポニトリル、(2)水素、(3)第VIII族元素を含む触媒、並びに(4)水酸化第4級アンモニウム、シアン化第4級アンモニウム、フッ化第4級アンモニウム、水酸化第4級ホスホニウムおよびチオシアン化第4級アンモニウムからなる群より選ばれる1種以上の改質剤、を含む反応混合物を生成する工程を含み、前記反応混合物は、ジニトリルとのモル比が1:1未満となる量の溶剤を含み、ジニトリルの少なくとも一部がジアミンおよび必要に応じてアミノニトリルに変換されるのに十分な圧力と温度で運転されるプロセスである。
【0008】
本発明の第二は、脂肪族または脂環式ジニトリルをジアミンおよび必要に応じてアミノニトリル、例えばアジポニトリルをヘキサメチレンジアミンおよび必要に応じて6−アミノカプロニトリル、に変換するためのプロセスであって、第VIII族元素を含有する水素化触媒を、水酸化第4級アンモニウム、シアン化第4級アンモニウム、フッ化第4級アンモニウム、水酸化第4級ホスホニウムおよびチオシアン化第4級アンモニウムからなる群より選ばれる1種以上の改質剤と接触させて改質触媒を生成する工程と、(1)脂肪族または脂環式ジニトリル、例えばアジポニトリル、(2)水素、(3)改質触媒、並びに必要に応じて(4)水酸化第4級アンモニウム、シアン化第4級アンモニウム、フッ化第4級アンモニウム、水酸化第4級ホスホニウムおよびチオシアン化第4級アンモニウムからなる群より選ばれる1種以上の改質剤を含む反応混合物を生成する工程と、を含み、前記反応混合物は、ジニトリルとのモル比が1:1未満となる量の溶剤を含み、ジニトリルの少なくとも一部がジアミンおよび必要に応じてアミノニトリルに変換されるのに十分な圧力と温度で運転されるプロセスである。
【0009】
溶剤濃度が高くない条件下での触媒の活性、選択性および寿命を維持および/または向上させるために改質剤を用いることは、環境および廃棄物処理の観点から苛性アルカリの使用より有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明によれば、苛性アルカリの非存在下で脂肪族または脂環式ジニトリルを水素化してジアミンまたはジアミンとアミノニトリルの混合物に変換(例えば、アジポニトリルを触媒の存在下で水素化してヘキサメチレンジアミンまたはヘキサメチレンジアミンと6−アミノカプロニトリルの混合物に変換)することはできる。本プロセスは、触媒の活性、選択性および/または寿命を維持または改善するため、また、望ましくない副生物の総括的濃度を低減するために、1種以上の触媒改質剤を用いる。アジポニトリルの水素化を例にとれば、ヘキサメチレンイミンおよびビス(ヘキサメチレン)トリアミンは望ましくない副生物である。第4級アンモニウムの水酸化物、シアン化塩、フッ素化塩もしくはチオシアン化塩、または水酸化第4級ホスホニウム塩などの改質剤を用いることは、環境および廃棄物処理の観点から苛性アルカリの使用より有利である。本発明の改質剤は、既存の商業設備においても水酸化ナトリウムの代わりに使用することができる。改質剤は単純な有機物質に分解するので、苛性アルカリでは精製条件下での廃棄物処理や環境への配慮が不要となる。特に、これらの塩またはそれらの分解生成物は、他のプロセスの有機廃棄物と同様に焼却処理することができる。水酸化ナトリウムは一般に使用される苛性アルカリであるが、これとは異なり本発明の改質剤は焼却炉の耐火煉瓦の中に蓄積することはなく、また、深井戸への廃棄の必要もない。本発明は苛性アルカリの使用を排除するものではないが、それを使用しないことによって環境面での利益を得ることができる。
【0011】
ここで使用する適切な脂肪族または脂環式ジニトリルは、R(CN)2の一般式を有する。式中、Rは飽和ハイドロカービレン(hydrocarbylene)基である。飽和ハイドロカービレン基は、分岐鎖状、直鎖状または環状に炭素と水素の各原子を含み、いかなる炭素間の結合においても二重結合や三重結合を含まない。ハイドロカービレン基の炭素数は、好ましくは2〜25個、より好ましくは2〜15個、最も好ましくは2〜10個である。換言すれば、ジニトリルの1分子中の炭素数は、好ましくは4〜27個、より好ましくは4〜17個、最も好ましくは4〜12個である。好ましいハイドロカービレン基は、直鎖状アルキレン基である。
【0012】
適切なジニトリルの例としては、アジポニトリル、メチルグルタロニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アルファ−、オメガ−ヘプタンジニトリル、アルファ−、オメガ−オクタンジニトリル、アルファ−、オメガ−デカンジニトリル、アルファ−、オメガ−ドデカンジニトリル、およびこれらの2種以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましいジニトリルは、アジポニトリルである。
【0013】
このプロセスの触媒は、ジニトリルの水素化によってジアミンまたはジアミンとアミノニトリルの混合物を生成するのに適した水素化触媒である。好ましい触媒は、鉄、コバルト、ニッケル、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよびこれらの組み合わせを含む第VIII族元素をベースとするものである。この触媒は、上記第VIII族元素に加えて1種以上の促進剤、例えばクロム、モリブデンおよびタングステンなどの第VIB族元素の1種以上および/または鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、その他の第VIII族元素の1種以上、を含有してもよい。促進剤は、触媒重量の0.01〜15%、好ましくは0.5〜5%の濃度で含有させることができる。触媒は2種以上の金属の固溶体を含む合金の形態でもよく、個々の金属またはスポンジ金属触媒であってもよい。「スポンジ金属」は、非常に多孔質の「骨格」または「スポンジ状」構造を有し、好ましくはベース金属(例えば、鉄、コバルト、ニッケルなど)に溶融アルミニウムを含み、必要に応じて1種以上の促進剤を含んでいるものである。触媒中の鉄、コバルトまたはニッケルの量は変えることができる。本発明のプロセスに有用な骨格触媒は、鉄、コバルトまたはニッケルを、鉄、コバルトおよび/またはニッケルの合計で約30〜約97重量%含有するもので、より好ましくは鉄、コバルトまたはニッケルを約85〜約97重量%、最も好ましくはニッケルを85〜95重量%含有するものである。ニッケル、クロム、鉄およびモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属促進剤で改質されたスポンジ触媒は、特に有用である。スポンジ金属触媒は、また、表面含水酸化物、吸着した水素ラジカルおよび細孔中に水素の泡を含有している。インスタント触媒は、また、約2〜15重量%のアルミニウムを含んでいることが好ましく、約4〜10重量%のアルミニウムを含んでいることがより好ましい。商業的に入手可能なスポンジタイプの触媒には、メリーランド州コロンビアのグレース・ケミカル・カンパニー(Grace Chemical Co.(Columbia,Maryland))から入手できる、活性化された、または活性化されていない、ラネー(Raney)(登録商標)Niまたはラネー(Raney)(登録商標)Co触媒があり、また、これに代わるスポンジ金属触媒は、例えば、テネシー州セビアビルのアクティベイテッド・メタル・コーポレーション(Activated Metals Corporation(Seviervill,Tenn.))またはニュージャージー州パーシッパニーのデグッサ(Degussa(Parsippany,N.J.))から入手可能である。スポンジ金属触媒は、米国特許公報(特許文献2)に記載された方法で製造することができる。活性化スポンジ触媒は(特許文献3)または(特許文献4)に記載された方法で製造することができる。
【0014】
本発明から得られる利益の程度は、ジニトリルの構造や触媒に含まれる第VIII族金属の特性に依存し得るが、大規模工業プロセスでは選択性の僅かの改善が大きな経済効果をもたらすことを理解することが重要である。
【0015】
触媒金属はアルミナ、酸化マグネシウムおよびそれらの組み合わせ等の無機担体に担持させることもできる。金属は、含浸、共沈、イオン交換およびこれらの2つ以上の組み合わせなどといった当業者に知られた方法で無機担体上に担持させることができる。
【0016】
触媒はどのような物理的形象や形態で存在させてもよい。流動可能な形態、押出物、錠剤形、球形、これらの2つ以上の組み合わせが可能である。固定層触媒プロセスを採用するならば、触媒には、粒径が約0.03〜0.40インチ(0.76〜10.2mm)の粒子状物が使用される。スラリー相触媒プロセスを採用するならば、触媒は、非常に細かく、好ましくは径が約100マイクロ未満、最も好ましくは20〜75マイクロの範囲に、粉砕したものが使用される。
【0017】
触媒とジニトリルとのモル比は、ジニトリルの選択的水素化が触媒的に進む限り、いかなる比率であってもよい。触媒対ジニトリルの重量比は、通常、約0.0001:1〜約1:1の範囲であり、好ましくは約0.001:1〜約0.5:1の範囲である。触媒元素が無機担体上に担持されているとき、あるいは触媒元素が合金または固溶体の一部であるとき、触媒元素量は、通常、全触媒重量の約0.1〜約60重量%の範囲であり、好ましくは約1〜約50重量%の範囲である。
【0018】
本発明の改質剤は、水酸化第4級アンモニウム、シアン化第4級アンモニウム、フッ化第4級アンモニウム、チオシアン化第4級アンモニウムまたは水酸化第4級ホスホニウムから選ばれる。反応には2種以上の改質剤を使用してもよい。適切な改質剤の特定例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、シアン化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、チオシアン化テトラブチルアンモニウムおよび水酸化テトラブチルホスホニウムが挙げられる。好ましい改質剤は水酸化第4級アンモニウムである。好ましい水酸化第4級アンモニウムは水酸化テトラアルキルアンモニウム化合物である。適切な水酸化テトラアルキルアンモニウム化合物の例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウムおよび水酸化テトラブチルアンモニウムが挙げられる。水酸化テトラアルキルアンモニウムおよび水酸化テトラアルキルホスホニウムというとき、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物のような、種々の水和物を含むことに注意すべきである
【0019】
水素化反応は、50〜150℃、好ましくは70〜90℃、水素による全圧2.1〜10.3MPa(300〜1500psig)、好ましくは2.4〜3.8MPa(350〜550psig)で行われる。本プロセスの好ましい運転モードは、連続攪拌槽反応器(CSTR)、スラリー気泡塔反応器(SBCR)、栓流反応器(PFR)またはトリックルベッド反応器による連続運転である。気泡塔反応器の例は、その使用がこの反応に限定されるものではないが、米国特許公報(特許文献5)に記載されている。栓流反応器および攪拌槽反応器については、(非特許文献1)に詳述されている。本発明は回分式モードでも実施できるものであり、反応器の選択によって本発明が制限されることはない。
【0020】
本プロセスは実質的に溶剤なしで実施可能である。「実質的に溶剤なしで」は、溶剤とジニトリルのモル比が1:1未満であることを意味する。本プロセスは無溶剤で行うことが好ましい。本発明において、溶剤は、反応混合物に加えられて1種以上の反応物質を溶解させ、反応混合物の体積を増大させ、反応熱を移動(または除去)させる媒体として作用し、反応生成物でなく、最終生成物に混入したり最終生成物の性質を変えることもない、水以外の物質と定義される。包括的ではないが、溶剤のリストには、アンモニア;トリエチルアミンなどのアミン;メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールなどのアルコール;テロラハイドロフランおよびジオキサンなどのエーテル;ジエチルアセトアミドおよびN−メチルピロリジノンなどのアミド;エチルアセテートおよびアジピン酸ジメチルなどのエステルが挙げられる。
【0021】
改質剤とジニトリルは、別々にまたは予め混合した溶液として、必要ならばジアミン、アミノニトリル、水、溶剤またはこれらの組み合わせとともに、触媒が投入されている反応器に導入される。改質剤はジニトリルとの重量比が1:5000〜1:50、好ましくは1:2000〜1:500となる割合で添加される。
【0022】
ジアミンおよび/またはアミノニトリル、例えば、ヘキサメチレンジアミンおよび/または6−アミノカプロニトリルの収率は、温度、圧力、水素流量、触媒の量と種類、改質剤の量、空間速度などの運転条件に依存する。本発明では、「空間速度」という用語は、触媒単位重量当たり、単位時間に反応器に投入されるジニトリルの重量と定義される。通常、ジニトリルは、その空間速度が0.5〜50h-1となるように投入される。最も好ましい空間速度は、当業者であれば従来法により容易に決定することができる。ジニトリルの投入速度がここでいう空間速度より小さいかまたは大きいときには、希望する化合物の選択性と収率が極端に低下し、触媒活性の低下と触媒寿命の短縮を招く結果となる。
【0023】
いかなる理論も本発明を制限するものではないが、改質剤が触媒の金属元素と反応して改質剤と金属の複合体を作る可能性がある。生成した複合体には、第VIII族の元素が金属の状態で、または、おそらく酸化物の状態で含まれる。改質剤と触媒元素の反応は、不可逆もあり得るが、可逆平衡反応である可能性が高い。改質剤と触媒の相互作用は、触媒の反応性を変化させ、二次的なアミンの低重合体生成反応を抑制し、その結果、触媒寿命が長くなる。
【0024】
触媒と改質剤は別々に導入してジニトリルと接触させることができるが、触媒を予め改質剤と接触させることもできる。これは、水中および/または、アルコール、エーテル、エステル、アンモニアもしくはこれらの2種以上の組み合わせなどの溶剤中で行うことができる。この予備接触もまた水素の存在下で行うことが好ましい。触媒と改質剤を接触させることによって、予備処理された触媒が生成される。予備処理された触媒を前述の溶剤で、好ましくは無酸素条件下で洗浄し、改質剤処理触媒が調製される。
【0025】
触媒と改質剤との接触は、ジニトリルからジアミンおよび/またはアミノニトリルへの水素化反応、例えばアジポニトリルからヘキサメチレンジアミンおよび/または6−アミノカプロニトリルへの水素化反応の選択性を高めることができる改質剤処理触媒の調製に有効であればいかなる条件下で行ってもよい。一般には、改質剤処理触媒を調製する全工程は、触媒を上記開示の改質剤と、約20℃〜約150℃の温度で、好ましくは約30℃〜約100℃の温度で、前述した一般的な圧力下で、約5秒〜約25時間接触させて行う。予備接触処理における改質剤対触媒の重量比は、一般に約0.01:1〜約5:1の範囲であり、好ましくは約0.05:1〜約3:1、より好ましくは約0.1:1〜約2:1、特には約0.25:1〜約1:1の範囲である。
【0026】
水素、好ましくは純水素が、反応混合物に対してガス状で供給される。水素は、ジニトリルに対してモル基準で過剰に存在するように供給されなければならない。
【0027】
触媒の選択性、寿命および活性を維持するために、水をジニトリルに対して1:10000〜1:3の重量比で、連続的にまたは間歇的に反応器に注入することができる。触媒の選択性、寿命および活性を維持するために、苛性アルカリをジニトリルに対して1:400,000〜1:100の重量比で、連続的にまたは間歇的に反応器に注入することができる。触媒寿命を伸ばし、触媒活性を向上させるために、少量の苛性アルカリを反応の初期に反応混合物に添加することが好ましい。苛性アルカリの使用は、本発明によって得られる環境上の利益を、ある程度減ずることになろう。
【0028】
ジアミンおよび/またはアミノニトリル、例えばヘキサメチレンジアミンおよび/または6−アミノカプロニトリルは、再結晶化、または好ましくは蒸留などの通常の精製法で反応生成物から回収することができる。未反応のジニトリルは、ジアミンおよび/またはアミノニトリルをさらに得るために、水素化反応器に戻される。
【0029】
本発明のプロセスを実施した場合には、触媒改質剤を使用しないプロセスに比べて、触媒の長寿命化、ジアミンおよび/またはアミノニトリルへの高い選択性、および副生物、特にアミンが結合した副生物の収率減少という優位性が得られる。さらに、水酸化ナトリウムを使用するプロセスと比べて、廃棄物の点で環境上の優位性が得られる。
【実施例】
【0030】
(実施例1)
(水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物の存在下、ラネー(Raney)(登録商標)Ni2400による回分式水素化)
300ccのタンク型反応器に、6.01gのラネー(Raney)Ni2400のスラリー(乾燥重量、〜3.0g)、3.0gの水、90.0gのヘキサメチレンジアミン(HMD)、60.0gのアジポニトリル(ADN)および純度97%の水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物(TMAHP)0.204gを仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に250RPMで攪拌しながら、反応器を水素で〜0.28MPa(40psig)まで加圧し、75℃まで加熱した。反応温度に達したとき、反応器を水素圧3.45MPa(500psig)まで加圧し、1500RPMで攪拌し、反応を開始させた。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量(20%までの転化率で)は、0.069MPa/分(9.96psi/分)であった。420分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルに内部標準物質としてジエチルアセトアミド(DEAC)を添加して、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは重量基準で、90.6%のHMD、0.2%の6−アミノカプロニトリル(ACN)、0.01%のヘキサメチレンイミン(HMI)、0.11%のビス(ヘキサメチレン)トリアミン(BHMT)を含んでいた。ADNの転化率は100%であった。
【0031】
(比較例A)
(水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物の非存在下、ラネー(Raney)(登録商標)Ni2400による回分式水素化)
TMAHPを反応器に加えないことを除いて、実施例1を繰り返した。
【0032】
300ccのタンク型反応器に、6.04gのラネー(Raney)Ni2400のスラリー(乾燥重量、〜3.0g)、3.01gの水、90.03gのヘキサメチレンジアミン(HMD)および60.00gのアジポニトリル(ADN)を仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に250RPMで攪拌しながら、反応器を水素で〜0.28MPa(40psig)まで加圧し、75℃まで加熱した。その後、反応器を水素圧3.45MPa(500psig)まで加圧し、1500RPMで攪拌し、反応を開始させた。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量は、0.053MPa/分(7.75psi/分)であった。527分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルに内部標準物質としてジエチルアセトアミド(DEAC)を添加して、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは、重量基準で、64.1%のHMD、0.7%のADN、11.1%の6−アミノカプロニトリル(ACN)、3.6%のHMIおよび3.1%のBHMTを含んでいた。ADNの転化率は99.3%であった。
【0033】
(実施例2)
(シアン化テトラブチルアンモニウムの存在下、ラネー(Raney)(登録商標)Ni2400による回分式水素化)
300ccのタンク型反応器に、6.04gのラネー(Raney)Ni2400のスラリー(乾燥重量、〜3.0g)、3.25gの水、90.0gのヘキサメチレンジアミン(HMD)、60.04gのアジポニトリル(ADN)および95%純度のシアン化テトラブチルアンモニウム0.298gを仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に250RPMで攪拌しながら、反応器を水素で〜0.28MPa(40psig)まで加圧し、75℃まで加熱した。その後、反応器を水素圧3.45MPa(500psig)まで加圧し、1500RPMで攪拌し、反応を開始させた。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量は、0.020MPa/分(2.94psi/分)であった。1245分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルに内部標準物質としてジエチルアセトアミド(DEAC)を添加して、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは重量基準で、81.31%のHMD、0.13%のADN、4.24%の6−アミノカプロニトリル(ACN)、0.2%のHMIおよび0.7%のBHMTを含んでいた。ADNの転化率は99.67%であった。
【0034】
(実施例3)
(フッ化テトラエチルアンモニウムの存在下、ラネー(登録商標)(Raney)Ni2400による回分式水素化)
300ccのタンク型反応器に、6.02gのラネー(Raney)Ni2400のスラリー(乾燥重量、〜3.0g)、3.01gの水、90.0gのヘキサメチレンジアミン(HMD)、60.0gのアジポニトリル(ADN)および98%純度のフッ化テトラエチルアンモニウム(TEAF)0.205gを仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に250RPMで攪拌しながら、反応器を水素で〜0.28MPa(40psig)まで加圧し、75℃まで加熱した。その後、反応器を水素圧3.45MPa(500psig)まで加圧し、1000RPMで攪拌し、反応を開始させた。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量は、0.034MPa/分(4.91psi/分)であった。1253分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。反応終了後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルに内部標準物質としてジエチルアセトアミド(DEAC)を添加して、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは重量基準で、90.74%のHMD、0.00%のADN、0.00%の6−アミノカプロニトリル(ACN)、0.3%のHMIおよび1.1%のBHMTを含んでいた。ADNの転化率は100%であった。
【0035】
(実施例4)
(水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物の存在下、Co/アルミナによる回分式水素化)
300ccのタンク型反応器に、0.6%のRuで促進化したCo/AL2O3触媒6.0g、13.0gの水、90.0gのヘキサメチレンジアミン(HMD)、97%純度の水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物(TMAH)0.20gおよび60.0gのアジポニトリル(ADN)を仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に250RPMで攪拌しながら、反応器を水素で〜40psigまで加圧し、75℃まで加熱した。反応温度に達した後、反応器を水素圧500psigまで加圧し、1500RPMで攪拌し、反応を開始させた。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量は、2.76psi/分であった。405分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルに内部標準物質としてジエチルアセトアミド(DEAC)を添加して、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは重量基準で、78.75%のHMD、0.0%のADN、0.0%のACN、3.94%のHMIおよび6.91%のBHMTを含んでいた。ADNの転化率は100%であった。
【0036】
(比較例B)
(水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物の非存在下、Co/アルミナによる回分式水素化)
300ccのタンク型反応器に、0.6%のRuで促進化したCo/AL2O3触媒5.9g、13.0gの水、90.0gのヘキサメチレンジアミン(HMD)および60.0gのアジポニトリル(ADN)を仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に250RPMで攪拌しながら、反応器を水素で〜40psigまで加圧し、75℃まで加熱した。反応温度に達した後、反応器を水素圧500psigまで加圧し、1500RPMで攪拌し、反応を開始させた。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量は、2.78psi/分(0.019MPa/分)であった。424分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルに内部標準物質としてジエチルアセトアミド(DEAC)を添加して、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは重量基準で、75.02%のHMD、0.0%のADN、0.0%のACN、5.1%のHMIおよび7.7%のBHMTを含んでいた。ADNの転化率は100%であった。
【0037】
(実施例5)
(水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物の存在下、6−アミノカプロニトリルおよびヘキサメチレンジアミンを生成するためのラネー(Raney)(登録商標)Ni2400によるアジポニトリルの回分式水素化)
300ccのタンク型反応器に、8.01gのラネー(Raney)Ni2400のスラリー(乾燥重量、〜4.0g)、4.0gの水、150.0gのアジポニトリル(ADN)および97%純度の水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物(TMAHP)0.31gを仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に250RPMで攪拌しながら、反応器を水素で〜0.28MPa(40psig)まで加圧し、75℃まで加熱した。反応温度に達したとき、反応器を水素圧3.45MPa(500psig)まで加圧し、1500RPMで攪拌し、反応を開始させた。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量(20%までの転化率で)は、0.291MPa/分(42.2psi/分)であった。35分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルに内部標準物質としてN−メチルピロリジノンを添加して、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは重量基準で、17.2%のHMD、57.2%の6−アミノカプロニトリル(ACN)、0%のヘキサメチレンイミン(HMI)および0%のビス(ヘキサメチレン)トリアミン(BHMT)を含んでいた。ADNの転化率は92%であった。
【0038】
(実施例6)
(水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物の存在下、オクタメチレンジアミンを生成するためのラネー(Raney)(登録商標)Ni2400によるオクタンジニトリルの回分式水素化)
100ccの加圧反応容器に、2.01gのラネー(Raney)Ni2400のスラリー(乾燥重量、〜1.0g)、2.50gの水、30.02gの1,8−オクタンジニトリル(ODN)および97%純度の水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物(TMAHP)0.10gを仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に700RPMで攪拌しながら、反応器を水素で2.76MPa(400psig)まで加圧し、75℃まで加熱した。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量(20%までの転化率で)は、0.014MPa/分(2.0psi/分)であった。120分後、反応による水素タンクの水素消費は1.72MPa(249psig)であった。330分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルはエタノールで希釈して調製し、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは96.6%のオクタメチレンジアミンを含んでいた。ODNの転化率は100%であった。
【0039】
(比較例C)
(水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物の非存在下、オクタメチレンジアミンを生成するためのラネー(Raney)(登録商標)Ni2400によるオクタンジニトリルの回分式水素化)
100ccの加圧反応容器に、2.00gのラネー(Raney)Ni2400のスラリー(乾燥重量、〜1.0g)、2.50gの水、30.02gの1,8−オクタンジニトリル(ODN)を仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に700RPMで攪拌しながら、反応器を水素で2.76MPa(400psig)まで加圧し、75℃まで加熱した。15分の反応によって1リットル水素タンクから0.152MPa(22psig)の水素を急激に消費し、その後反応は急速に低下した。120分後、反応による水素消費は僅かに0.228MPa(33psig)であって、反応は実質的に停止していた。この時点で、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルはエタノールで希釈して調製し、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは2.2%のオクタメチレンジアミン、6.0%の8−アミノオクタンニトリルおよび91.4%の1,8−オクタンジニトリルを含んでいた。
【0001】
本発明は、アジポニトリルからヘキサメチレンジアミンおよび/または6−アミノカプロニトリルの製造で例示されるような、脂肪族または脂環式ジニトリルの水素化によるジアミンおよび/またはアミノニトリルの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
ジニトリルは化学、医薬および農業化学工業においてよく使われる原料である。ジニトリルは、水素化によってジアミンやアミノニトリルに変換でき、重合体の中間体、界面活性剤、キレート化剤および化学合成の中間体の一部またはそのもの自体として使用される。特定の例として、アジポニトリルは水素化によって6−アミノカプロニトリルおよび/またはヘキサメチレンジアミンに変換できる。ヘキサメチレンジアミンはナイロン6,6製造の中間体である。6−アミノカプロニトリルは、ナイロン6製造における中間体として用いることができる。
【0003】
ヘキサメチレンジアミンの従来からの製造方法に、還元された酸化鉄または酸化コバルト触媒を用い、非常に高い圧力、温度のもとでアジポニトリルを水素化する方法がある。このような高圧プロセスに付随する一つの欠点は、商業スケールで実施する場合に装置が高コストとなることである。これに代わるヘキサメチレンジアミン製造の低圧プロセスでは、ラネー(Raney)(商標)Niのような、水溶性苛性アルカリ(水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物)で促進される活性ニッケル触媒を使用し、約3.1MPa(450psig)、約75℃で行われる。この反応条件は高圧プロセスと比較すれば緩和であり、商業規模装置への投資額を節約し得るものの、一方では、触媒活性を保つには苛性アルカリを使用する必要があり、このことによって精製が複雑となり、廃棄物処理や環境保全の点で問題を生ずる。一例を挙げれば、水酸化ナトリウムは焼却処理することはできない。代替法は深井戸への廃棄であるが、環境上望ましくない。
【0004】
アジポニトリルからヘキサメチレンジアミンを商業的に製造している方法の中には、ラネー(Raney)(商標)Ni触媒を溶剤と共に用いているものがある。水と異なり、溶剤は大気中への揮発性有機化合物の排出(VOCs)をもたらすため、環境の観点からは望ましくない。溶剤は、また、資本経費を増大させるリサイクルを必要とし、精製装置を追加する必要が生じることからも望ましくない。
【0005】
米国特許公報(特許文献1)は、実質的に苛性アルカリを含まない反応媒体中で、スポンジ状コバルト触媒の存在下で、アジポニトリルを水素化し、ヘキサメチレンジアミンおよび必要に応じて6−アミノカプロニトリルを製造する方法を開示している。この方法は比較的低圧で行われ苛性アルカリも使用しないが、触媒寿命がより長い方法およびそれに対応して触媒の生産性がより高い方法の開発が望まれる。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第5,900,511号明細書
【特許文献2】
米国特許第1,628,190号明細書
【特許文献3】
国際公開第200067903号パンフレット
【特許文献4】
欧州特許出願公開第212,986号明細書
【特許文献5】
米国特許第4,429,159号明細書
【非特許文献1】
オクテーブ・レーベンシュピール(Octave Levenspiel)著、「化学反応工学(Chemical Reaction Engineering)」
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1は、脂肪族または脂環式ジニトリルをジアミンおよび必要に応じてアミノニトリル、例えばアジポニトリルをヘキサメチレンジアミンおよび必要に応じて6−アミノカプロニトリル、に変換するためのプロセスであって、(1)脂肪族または脂環式ジニトリル、例えばアジポニトリル、(2)水素、(3)第VIII族元素を含む触媒、並びに(4)水酸化第4級アンモニウム、シアン化第4級アンモニウム、フッ化第4級アンモニウム、水酸化第4級ホスホニウムおよびチオシアン化第4級アンモニウムからなる群より選ばれる1種以上の改質剤、を含む反応混合物を生成する工程を含み、前記反応混合物は、ジニトリルとのモル比が1:1未満となる量の溶剤を含み、ジニトリルの少なくとも一部がジアミンおよび必要に応じてアミノニトリルに変換されるのに十分な圧力と温度で運転されるプロセスである。
【0008】
本発明の第二は、脂肪族または脂環式ジニトリルをジアミンおよび必要に応じてアミノニトリル、例えばアジポニトリルをヘキサメチレンジアミンおよび必要に応じて6−アミノカプロニトリル、に変換するためのプロセスであって、第VIII族元素を含有する水素化触媒を、水酸化第4級アンモニウム、シアン化第4級アンモニウム、フッ化第4級アンモニウム、水酸化第4級ホスホニウムおよびチオシアン化第4級アンモニウムからなる群より選ばれる1種以上の改質剤と接触させて改質触媒を生成する工程と、(1)脂肪族または脂環式ジニトリル、例えばアジポニトリル、(2)水素、(3)改質触媒、並びに必要に応じて(4)水酸化第4級アンモニウム、シアン化第4級アンモニウム、フッ化第4級アンモニウム、水酸化第4級ホスホニウムおよびチオシアン化第4級アンモニウムからなる群より選ばれる1種以上の改質剤を含む反応混合物を生成する工程と、を含み、前記反応混合物は、ジニトリルとのモル比が1:1未満となる量の溶剤を含み、ジニトリルの少なくとも一部がジアミンおよび必要に応じてアミノニトリルに変換されるのに十分な圧力と温度で運転されるプロセスである。
【0009】
溶剤濃度が高くない条件下での触媒の活性、選択性および寿命を維持および/または向上させるために改質剤を用いることは、環境および廃棄物処理の観点から苛性アルカリの使用より有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明によれば、苛性アルカリの非存在下で脂肪族または脂環式ジニトリルを水素化してジアミンまたはジアミンとアミノニトリルの混合物に変換(例えば、アジポニトリルを触媒の存在下で水素化してヘキサメチレンジアミンまたはヘキサメチレンジアミンと6−アミノカプロニトリルの混合物に変換)することはできる。本プロセスは、触媒の活性、選択性および/または寿命を維持または改善するため、また、望ましくない副生物の総括的濃度を低減するために、1種以上の触媒改質剤を用いる。アジポニトリルの水素化を例にとれば、ヘキサメチレンイミンおよびビス(ヘキサメチレン)トリアミンは望ましくない副生物である。第4級アンモニウムの水酸化物、シアン化塩、フッ素化塩もしくはチオシアン化塩、または水酸化第4級ホスホニウム塩などの改質剤を用いることは、環境および廃棄物処理の観点から苛性アルカリの使用より有利である。本発明の改質剤は、既存の商業設備においても水酸化ナトリウムの代わりに使用することができる。改質剤は単純な有機物質に分解するので、苛性アルカリでは精製条件下での廃棄物処理や環境への配慮が不要となる。特に、これらの塩またはそれらの分解生成物は、他のプロセスの有機廃棄物と同様に焼却処理することができる。水酸化ナトリウムは一般に使用される苛性アルカリであるが、これとは異なり本発明の改質剤は焼却炉の耐火煉瓦の中に蓄積することはなく、また、深井戸への廃棄の必要もない。本発明は苛性アルカリの使用を排除するものではないが、それを使用しないことによって環境面での利益を得ることができる。
【0011】
ここで使用する適切な脂肪族または脂環式ジニトリルは、R(CN)2の一般式を有する。式中、Rは飽和ハイドロカービレン(hydrocarbylene)基である。飽和ハイドロカービレン基は、分岐鎖状、直鎖状または環状に炭素と水素の各原子を含み、いかなる炭素間の結合においても二重結合や三重結合を含まない。ハイドロカービレン基の炭素数は、好ましくは2〜25個、より好ましくは2〜15個、最も好ましくは2〜10個である。換言すれば、ジニトリルの1分子中の炭素数は、好ましくは4〜27個、より好ましくは4〜17個、最も好ましくは4〜12個である。好ましいハイドロカービレン基は、直鎖状アルキレン基である。
【0012】
適切なジニトリルの例としては、アジポニトリル、メチルグルタロニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アルファ−、オメガ−ヘプタンジニトリル、アルファ−、オメガ−オクタンジニトリル、アルファ−、オメガ−デカンジニトリル、アルファ−、オメガ−ドデカンジニトリル、およびこれらの2種以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましいジニトリルは、アジポニトリルである。
【0013】
このプロセスの触媒は、ジニトリルの水素化によってジアミンまたはジアミンとアミノニトリルの混合物を生成するのに適した水素化触媒である。好ましい触媒は、鉄、コバルト、ニッケル、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよびこれらの組み合わせを含む第VIII族元素をベースとするものである。この触媒は、上記第VIII族元素に加えて1種以上の促進剤、例えばクロム、モリブデンおよびタングステンなどの第VIB族元素の1種以上および/または鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、その他の第VIII族元素の1種以上、を含有してもよい。促進剤は、触媒重量の0.01〜15%、好ましくは0.5〜5%の濃度で含有させることができる。触媒は2種以上の金属の固溶体を含む合金の形態でもよく、個々の金属またはスポンジ金属触媒であってもよい。「スポンジ金属」は、非常に多孔質の「骨格」または「スポンジ状」構造を有し、好ましくはベース金属(例えば、鉄、コバルト、ニッケルなど)に溶融アルミニウムを含み、必要に応じて1種以上の促進剤を含んでいるものである。触媒中の鉄、コバルトまたはニッケルの量は変えることができる。本発明のプロセスに有用な骨格触媒は、鉄、コバルトまたはニッケルを、鉄、コバルトおよび/またはニッケルの合計で約30〜約97重量%含有するもので、より好ましくは鉄、コバルトまたはニッケルを約85〜約97重量%、最も好ましくはニッケルを85〜95重量%含有するものである。ニッケル、クロム、鉄およびモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属促進剤で改質されたスポンジ触媒は、特に有用である。スポンジ金属触媒は、また、表面含水酸化物、吸着した水素ラジカルおよび細孔中に水素の泡を含有している。インスタント触媒は、また、約2〜15重量%のアルミニウムを含んでいることが好ましく、約4〜10重量%のアルミニウムを含んでいることがより好ましい。商業的に入手可能なスポンジタイプの触媒には、メリーランド州コロンビアのグレース・ケミカル・カンパニー(Grace Chemical Co.(Columbia,Maryland))から入手できる、活性化された、または活性化されていない、ラネー(Raney)(登録商標)Niまたはラネー(Raney)(登録商標)Co触媒があり、また、これに代わるスポンジ金属触媒は、例えば、テネシー州セビアビルのアクティベイテッド・メタル・コーポレーション(Activated Metals Corporation(Seviervill,Tenn.))またはニュージャージー州パーシッパニーのデグッサ(Degussa(Parsippany,N.J.))から入手可能である。スポンジ金属触媒は、米国特許公報(特許文献2)に記載された方法で製造することができる。活性化スポンジ触媒は(特許文献3)または(特許文献4)に記載された方法で製造することができる。
【0014】
本発明から得られる利益の程度は、ジニトリルの構造や触媒に含まれる第VIII族金属の特性に依存し得るが、大規模工業プロセスでは選択性の僅かの改善が大きな経済効果をもたらすことを理解することが重要である。
【0015】
触媒金属はアルミナ、酸化マグネシウムおよびそれらの組み合わせ等の無機担体に担持させることもできる。金属は、含浸、共沈、イオン交換およびこれらの2つ以上の組み合わせなどといった当業者に知られた方法で無機担体上に担持させることができる。
【0016】
触媒はどのような物理的形象や形態で存在させてもよい。流動可能な形態、押出物、錠剤形、球形、これらの2つ以上の組み合わせが可能である。固定層触媒プロセスを採用するならば、触媒には、粒径が約0.03〜0.40インチ(0.76〜10.2mm)の粒子状物が使用される。スラリー相触媒プロセスを採用するならば、触媒は、非常に細かく、好ましくは径が約100マイクロ未満、最も好ましくは20〜75マイクロの範囲に、粉砕したものが使用される。
【0017】
触媒とジニトリルとのモル比は、ジニトリルの選択的水素化が触媒的に進む限り、いかなる比率であってもよい。触媒対ジニトリルの重量比は、通常、約0.0001:1〜約1:1の範囲であり、好ましくは約0.001:1〜約0.5:1の範囲である。触媒元素が無機担体上に担持されているとき、あるいは触媒元素が合金または固溶体の一部であるとき、触媒元素量は、通常、全触媒重量の約0.1〜約60重量%の範囲であり、好ましくは約1〜約50重量%の範囲である。
【0018】
本発明の改質剤は、水酸化第4級アンモニウム、シアン化第4級アンモニウム、フッ化第4級アンモニウム、チオシアン化第4級アンモニウムまたは水酸化第4級ホスホニウムから選ばれる。反応には2種以上の改質剤を使用してもよい。適切な改質剤の特定例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、シアン化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、チオシアン化テトラブチルアンモニウムおよび水酸化テトラブチルホスホニウムが挙げられる。好ましい改質剤は水酸化第4級アンモニウムである。好ましい水酸化第4級アンモニウムは水酸化テトラアルキルアンモニウム化合物である。適切な水酸化テトラアルキルアンモニウム化合物の例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウムおよび水酸化テトラブチルアンモニウムが挙げられる。水酸化テトラアルキルアンモニウムおよび水酸化テトラアルキルホスホニウムというとき、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物のような、種々の水和物を含むことに注意すべきである
【0019】
水素化反応は、50〜150℃、好ましくは70〜90℃、水素による全圧2.1〜10.3MPa(300〜1500psig)、好ましくは2.4〜3.8MPa(350〜550psig)で行われる。本プロセスの好ましい運転モードは、連続攪拌槽反応器(CSTR)、スラリー気泡塔反応器(SBCR)、栓流反応器(PFR)またはトリックルベッド反応器による連続運転である。気泡塔反応器の例は、その使用がこの反応に限定されるものではないが、米国特許公報(特許文献5)に記載されている。栓流反応器および攪拌槽反応器については、(非特許文献1)に詳述されている。本発明は回分式モードでも実施できるものであり、反応器の選択によって本発明が制限されることはない。
【0020】
本プロセスは実質的に溶剤なしで実施可能である。「実質的に溶剤なしで」は、溶剤とジニトリルのモル比が1:1未満であることを意味する。本プロセスは無溶剤で行うことが好ましい。本発明において、溶剤は、反応混合物に加えられて1種以上の反応物質を溶解させ、反応混合物の体積を増大させ、反応熱を移動(または除去)させる媒体として作用し、反応生成物でなく、最終生成物に混入したり最終生成物の性質を変えることもない、水以外の物質と定義される。包括的ではないが、溶剤のリストには、アンモニア;トリエチルアミンなどのアミン;メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールなどのアルコール;テロラハイドロフランおよびジオキサンなどのエーテル;ジエチルアセトアミドおよびN−メチルピロリジノンなどのアミド;エチルアセテートおよびアジピン酸ジメチルなどのエステルが挙げられる。
【0021】
改質剤とジニトリルは、別々にまたは予め混合した溶液として、必要ならばジアミン、アミノニトリル、水、溶剤またはこれらの組み合わせとともに、触媒が投入されている反応器に導入される。改質剤はジニトリルとの重量比が1:5000〜1:50、好ましくは1:2000〜1:500となる割合で添加される。
【0022】
ジアミンおよび/またはアミノニトリル、例えば、ヘキサメチレンジアミンおよび/または6−アミノカプロニトリルの収率は、温度、圧力、水素流量、触媒の量と種類、改質剤の量、空間速度などの運転条件に依存する。本発明では、「空間速度」という用語は、触媒単位重量当たり、単位時間に反応器に投入されるジニトリルの重量と定義される。通常、ジニトリルは、その空間速度が0.5〜50h-1となるように投入される。最も好ましい空間速度は、当業者であれば従来法により容易に決定することができる。ジニトリルの投入速度がここでいう空間速度より小さいかまたは大きいときには、希望する化合物の選択性と収率が極端に低下し、触媒活性の低下と触媒寿命の短縮を招く結果となる。
【0023】
いかなる理論も本発明を制限するものではないが、改質剤が触媒の金属元素と反応して改質剤と金属の複合体を作る可能性がある。生成した複合体には、第VIII族の元素が金属の状態で、または、おそらく酸化物の状態で含まれる。改質剤と触媒元素の反応は、不可逆もあり得るが、可逆平衡反応である可能性が高い。改質剤と触媒の相互作用は、触媒の反応性を変化させ、二次的なアミンの低重合体生成反応を抑制し、その結果、触媒寿命が長くなる。
【0024】
触媒と改質剤は別々に導入してジニトリルと接触させることができるが、触媒を予め改質剤と接触させることもできる。これは、水中および/または、アルコール、エーテル、エステル、アンモニアもしくはこれらの2種以上の組み合わせなどの溶剤中で行うことができる。この予備接触もまた水素の存在下で行うことが好ましい。触媒と改質剤を接触させることによって、予備処理された触媒が生成される。予備処理された触媒を前述の溶剤で、好ましくは無酸素条件下で洗浄し、改質剤処理触媒が調製される。
【0025】
触媒と改質剤との接触は、ジニトリルからジアミンおよび/またはアミノニトリルへの水素化反応、例えばアジポニトリルからヘキサメチレンジアミンおよび/または6−アミノカプロニトリルへの水素化反応の選択性を高めることができる改質剤処理触媒の調製に有効であればいかなる条件下で行ってもよい。一般には、改質剤処理触媒を調製する全工程は、触媒を上記開示の改質剤と、約20℃〜約150℃の温度で、好ましくは約30℃〜約100℃の温度で、前述した一般的な圧力下で、約5秒〜約25時間接触させて行う。予備接触処理における改質剤対触媒の重量比は、一般に約0.01:1〜約5:1の範囲であり、好ましくは約0.05:1〜約3:1、より好ましくは約0.1:1〜約2:1、特には約0.25:1〜約1:1の範囲である。
【0026】
水素、好ましくは純水素が、反応混合物に対してガス状で供給される。水素は、ジニトリルに対してモル基準で過剰に存在するように供給されなければならない。
【0027】
触媒の選択性、寿命および活性を維持するために、水をジニトリルに対して1:10000〜1:3の重量比で、連続的にまたは間歇的に反応器に注入することができる。触媒の選択性、寿命および活性を維持するために、苛性アルカリをジニトリルに対して1:400,000〜1:100の重量比で、連続的にまたは間歇的に反応器に注入することができる。触媒寿命を伸ばし、触媒活性を向上させるために、少量の苛性アルカリを反応の初期に反応混合物に添加することが好ましい。苛性アルカリの使用は、本発明によって得られる環境上の利益を、ある程度減ずることになろう。
【0028】
ジアミンおよび/またはアミノニトリル、例えばヘキサメチレンジアミンおよび/または6−アミノカプロニトリルは、再結晶化、または好ましくは蒸留などの通常の精製法で反応生成物から回収することができる。未反応のジニトリルは、ジアミンおよび/またはアミノニトリルをさらに得るために、水素化反応器に戻される。
【0029】
本発明のプロセスを実施した場合には、触媒改質剤を使用しないプロセスに比べて、触媒の長寿命化、ジアミンおよび/またはアミノニトリルへの高い選択性、および副生物、特にアミンが結合した副生物の収率減少という優位性が得られる。さらに、水酸化ナトリウムを使用するプロセスと比べて、廃棄物の点で環境上の優位性が得られる。
【実施例】
【0030】
(実施例1)
(水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物の存在下、ラネー(Raney)(登録商標)Ni2400による回分式水素化)
300ccのタンク型反応器に、6.01gのラネー(Raney)Ni2400のスラリー(乾燥重量、〜3.0g)、3.0gの水、90.0gのヘキサメチレンジアミン(HMD)、60.0gのアジポニトリル(ADN)および純度97%の水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物(TMAHP)0.204gを仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に250RPMで攪拌しながら、反応器を水素で〜0.28MPa(40psig)まで加圧し、75℃まで加熱した。反応温度に達したとき、反応器を水素圧3.45MPa(500psig)まで加圧し、1500RPMで攪拌し、反応を開始させた。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量(20%までの転化率で)は、0.069MPa/分(9.96psi/分)であった。420分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルに内部標準物質としてジエチルアセトアミド(DEAC)を添加して、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは重量基準で、90.6%のHMD、0.2%の6−アミノカプロニトリル(ACN)、0.01%のヘキサメチレンイミン(HMI)、0.11%のビス(ヘキサメチレン)トリアミン(BHMT)を含んでいた。ADNの転化率は100%であった。
【0031】
(比較例A)
(水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物の非存在下、ラネー(Raney)(登録商標)Ni2400による回分式水素化)
TMAHPを反応器に加えないことを除いて、実施例1を繰り返した。
【0032】
300ccのタンク型反応器に、6.04gのラネー(Raney)Ni2400のスラリー(乾燥重量、〜3.0g)、3.01gの水、90.03gのヘキサメチレンジアミン(HMD)および60.00gのアジポニトリル(ADN)を仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に250RPMで攪拌しながら、反応器を水素で〜0.28MPa(40psig)まで加圧し、75℃まで加熱した。その後、反応器を水素圧3.45MPa(500psig)まで加圧し、1500RPMで攪拌し、反応を開始させた。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量は、0.053MPa/分(7.75psi/分)であった。527分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルに内部標準物質としてジエチルアセトアミド(DEAC)を添加して、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは、重量基準で、64.1%のHMD、0.7%のADN、11.1%の6−アミノカプロニトリル(ACN)、3.6%のHMIおよび3.1%のBHMTを含んでいた。ADNの転化率は99.3%であった。
【0033】
(実施例2)
(シアン化テトラブチルアンモニウムの存在下、ラネー(Raney)(登録商標)Ni2400による回分式水素化)
300ccのタンク型反応器に、6.04gのラネー(Raney)Ni2400のスラリー(乾燥重量、〜3.0g)、3.25gの水、90.0gのヘキサメチレンジアミン(HMD)、60.04gのアジポニトリル(ADN)および95%純度のシアン化テトラブチルアンモニウム0.298gを仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に250RPMで攪拌しながら、反応器を水素で〜0.28MPa(40psig)まで加圧し、75℃まで加熱した。その後、反応器を水素圧3.45MPa(500psig)まで加圧し、1500RPMで攪拌し、反応を開始させた。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量は、0.020MPa/分(2.94psi/分)であった。1245分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルに内部標準物質としてジエチルアセトアミド(DEAC)を添加して、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは重量基準で、81.31%のHMD、0.13%のADN、4.24%の6−アミノカプロニトリル(ACN)、0.2%のHMIおよび0.7%のBHMTを含んでいた。ADNの転化率は99.67%であった。
【0034】
(実施例3)
(フッ化テトラエチルアンモニウムの存在下、ラネー(登録商標)(Raney)Ni2400による回分式水素化)
300ccのタンク型反応器に、6.02gのラネー(Raney)Ni2400のスラリー(乾燥重量、〜3.0g)、3.01gの水、90.0gのヘキサメチレンジアミン(HMD)、60.0gのアジポニトリル(ADN)および98%純度のフッ化テトラエチルアンモニウム(TEAF)0.205gを仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に250RPMで攪拌しながら、反応器を水素で〜0.28MPa(40psig)まで加圧し、75℃まで加熱した。その後、反応器を水素圧3.45MPa(500psig)まで加圧し、1000RPMで攪拌し、反応を開始させた。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量は、0.034MPa/分(4.91psi/分)であった。1253分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。反応終了後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルに内部標準物質としてジエチルアセトアミド(DEAC)を添加して、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは重量基準で、90.74%のHMD、0.00%のADN、0.00%の6−アミノカプロニトリル(ACN)、0.3%のHMIおよび1.1%のBHMTを含んでいた。ADNの転化率は100%であった。
【0035】
(実施例4)
(水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物の存在下、Co/アルミナによる回分式水素化)
300ccのタンク型反応器に、0.6%のRuで促進化したCo/AL2O3触媒6.0g、13.0gの水、90.0gのヘキサメチレンジアミン(HMD)、97%純度の水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物(TMAH)0.20gおよび60.0gのアジポニトリル(ADN)を仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に250RPMで攪拌しながら、反応器を水素で〜40psigまで加圧し、75℃まで加熱した。反応温度に達した後、反応器を水素圧500psigまで加圧し、1500RPMで攪拌し、反応を開始させた。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量は、2.76psi/分であった。405分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルに内部標準物質としてジエチルアセトアミド(DEAC)を添加して、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは重量基準で、78.75%のHMD、0.0%のADN、0.0%のACN、3.94%のHMIおよび6.91%のBHMTを含んでいた。ADNの転化率は100%であった。
【0036】
(比較例B)
(水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物の非存在下、Co/アルミナによる回分式水素化)
300ccのタンク型反応器に、0.6%のRuで促進化したCo/AL2O3触媒5.9g、13.0gの水、90.0gのヘキサメチレンジアミン(HMD)および60.0gのアジポニトリル(ADN)を仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に250RPMで攪拌しながら、反応器を水素で〜40psigまで加圧し、75℃まで加熱した。反応温度に達した後、反応器を水素圧500psigまで加圧し、1500RPMで攪拌し、反応を開始させた。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量は、2.78psi/分(0.019MPa/分)であった。424分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルに内部標準物質としてジエチルアセトアミド(DEAC)を添加して、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは重量基準で、75.02%のHMD、0.0%のADN、0.0%のACN、5.1%のHMIおよび7.7%のBHMTを含んでいた。ADNの転化率は100%であった。
【0037】
(実施例5)
(水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物の存在下、6−アミノカプロニトリルおよびヘキサメチレンジアミンを生成するためのラネー(Raney)(登録商標)Ni2400によるアジポニトリルの回分式水素化)
300ccのタンク型反応器に、8.01gのラネー(Raney)Ni2400のスラリー(乾燥重量、〜4.0g)、4.0gの水、150.0gのアジポニトリル(ADN)および97%純度の水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物(TMAHP)0.31gを仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に250RPMで攪拌しながら、反応器を水素で〜0.28MPa(40psig)まで加圧し、75℃まで加熱した。反応温度に達したとき、反応器を水素圧3.45MPa(500psig)まで加圧し、1500RPMで攪拌し、反応を開始させた。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量(20%までの転化率で)は、0.291MPa/分(42.2psi/分)であった。35分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルに内部標準物質としてN−メチルピロリジノンを添加して、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは重量基準で、17.2%のHMD、57.2%の6−アミノカプロニトリル(ACN)、0%のヘキサメチレンイミン(HMI)および0%のビス(ヘキサメチレン)トリアミン(BHMT)を含んでいた。ADNの転化率は92%であった。
【0038】
(実施例6)
(水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物の存在下、オクタメチレンジアミンを生成するためのラネー(Raney)(登録商標)Ni2400によるオクタンジニトリルの回分式水素化)
100ccの加圧反応容器に、2.01gのラネー(Raney)Ni2400のスラリー(乾燥重量、〜1.0g)、2.50gの水、30.02gの1,8−オクタンジニトリル(ODN)および97%純度の水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物(TMAHP)0.10gを仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に700RPMで攪拌しながら、反応器を水素で2.76MPa(400psig)まで加圧し、75℃まで加熱した。1リットル水素タンクからの初期の水素取り込み量(20%までの転化率で)は、0.014MPa/分(2.0psi/分)であった。120分後、反応による水素タンクの水素消費は1.72MPa(249psig)であった。330分後、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルはエタノールで希釈して調製し、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは96.6%のオクタメチレンジアミンを含んでいた。ODNの転化率は100%であった。
【0039】
(比較例C)
(水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物の非存在下、オクタメチレンジアミンを生成するためのラネー(Raney)(登録商標)Ni2400によるオクタンジニトリルの回分式水素化)
100ccの加圧反応容器に、2.00gのラネー(Raney)Ni2400のスラリー(乾燥重量、〜1.0g)、2.50gの水、30.02gの1,8−オクタンジニトリル(ODN)を仕込んだ。反応器を窒素でパージし、圧力漏れ試験を行った。その後、水素で反応器をパージした。水素パージ後、機械的に700RPMで攪拌しながら、反応器を水素で2.76MPa(400psig)まで加圧し、75℃まで加熱した。15分の反応によって1リットル水素タンクから0.152MPa(22psig)の水素を急激に消費し、その後反応は急速に低下した。120分後、反応による水素消費は僅かに0.228MPa(33psig)であって、反応は実質的に停止していた。この時点で、浸漬チューブによって反応器から液体サンプルを抜き出した。サンプルはエタノールで希釈して調製し、ガスクロマトグラフ法で分析した。サンプルは2.2%のオクタメチレンジアミン、6.0%の8−アミノオクタンニトリルおよび91.4%の1,8−オクタンジニトリルを含んでいた。
Claims (16)
- ジニトリルをジアミンおよび/またはアミノニトリルに変換するプロセスであって、
(1)ジニトリル、(2)水素、(3)第VIII族元素を含む触媒、並びに(4)水酸化第4級アンモニウム、シアン化第4級アンモニウム、フッ化第4級アンモニウム、水酸化第4級ホスホニウムおよびチオシアン化第4級アンモニウムからなる化合物群より選ばれる1種以上の改質剤、を含む反応混合物を生成する工程を含み、
前記反応混合物は、モル比が1:1未満の溶剤を含み、ジニトリルの少なくとも一部がジアミンおよび必要に応じてアミノニトリルに変換されるのに十分な圧力と温度で行われることを特徴とするプロセス。 - 前記温度が50〜150℃であり、前記全体の圧力が約2.07〜約10.34MPa(300〜1500psig)であることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
- 前記触媒がスポンジニッケルであることを特徴とする請求項2に記載のプロセス。
- 前記改質剤が水酸化第4級アンモニウム化合物であることを特徴とする請求項3に記載のプロセス。
- 前記改質剤が水酸化テトラメチルアンモニウムであることを特徴とする請求項4に記載のプロセス。
- 前記温度が70〜90℃であり、前記全体の圧力が約1.38〜約6.89MPa(200〜1000psig)であることを特徴とする請求項5に記載のプロセス。
- 前記改質剤が、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムおよび水酸化テトラブチルホスホニウムからなる群より選ばれることを特徴とする請求項6に記載のプロセス。
- ジニトリル対改質剤の重量比が約1:5000〜約1:50の範囲にあることを特徴とする請求項7に記載のプロセス。
- ジニトリルをジアミンおよび/またはアミノニトリルに変換するプロセスであって、
第VIII族元素を含有する水素化触媒を、水酸化第4級アンモニウム、シアン化第4級アンモニウム、フッ化第4級アンモニウム、水酸化第4級ホスホニウムおよびチオシアン化第4級アンモニウムからなる化合物群より選ばれる改質剤と接触させて改質触媒を生成する工程と、
(1)ジニトリル、(2)水素、(3)改質触媒、並びに必要に応じて(4)水酸化第4級アンモニウム、シアン化第4級アンモニウム、フッ化第4級アンモニウム、水酸化第4級ホスホニウムおよびチオシアン化第4級アンモニウムからなる群より選ばれる1種以上の改質剤、を含む反応混合物を生成する工程と
を含み、前記反応混合物は、モル比が1:1未満の溶剤を含み、ジニトリルの少なくとも一部がジアミンおよび必要に応じてアミノニトリルに変換されるのに十分な圧力と温度で行われることを特徴とするプロセス。 - 前記温度が50〜150℃であり、前記全体の圧力が約2.07〜約10.34MPa(300〜1500psig)であることを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
- 前記触媒がスポンジニッケルであることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
- 前記改質剤が水酸化第4級アンモニウム化合物であることを特徴とする請求項11に記載のプロセス。
- 前記改質剤が水酸化テトラメチルアンモニウムであることを特徴とする請求項12に記載のプロセス。
- 前記温度が70〜90℃であり、前記全体の圧力が約1.38〜約6.89MPa(200〜1000psig)であることを特徴とする請求項13に記載のプロセス。
- 前記改質剤が、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムおよび水酸化テトラブチルホスホニウムからなる群より選ばれることを特徴とする請求項14に記載のプロセス。
- ジニトリル対改質剤の重量比が約1:5000〜約1:50の範囲にあることを特徴とする請求項15に記載のプロセス。
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