JP2004533541A - リン酸塩処理での廃水処理における膜閉塞の防止方法 - Google Patents
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Abstract
リン酸イオン3〜50g/L及び亜鉛イオン0.2〜3g/Lを含有するリン酸塩処理溶液を用いてリン酸塩処理した後のリン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水を処理する方法であって、かつ該リン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水を膜濾過に付し、該膜濾過からの保持液を保持液循環に回すことができる該方法において、
i)a)0.01〜5g/Lの重金属錯体形成剤、及び
b)該すすぎ水のpHを0.5〜2.5に低下させる量の酸
から選ばれる膜閉塞を遅らせる試薬を該リン酸塩処理浴オーバーフロー、該すすぎ水又は膜濾過前の保持液循環に添加し、又は
ii)膜濾過を設定した時間で中断し、該膜を0〜1.8のpHを有する酸b)の水溶液で処理する
ことを特徴とする該方法。
i)a)0.01〜5g/Lの重金属錯体形成剤、及び
b)該すすぎ水のpHを0.5〜2.5に低下させる量の酸
から選ばれる膜閉塞を遅らせる試薬を該リン酸塩処理浴オーバーフロー、該すすぎ水又は膜濾過前の保持液循環に添加し、又は
ii)膜濾過を設定した時間で中断し、該膜を0〜1.8のpHを有する酸b)の水溶液で処理する
ことを特徴とする該方法。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車産業、家電産業等の金属処理産業において腐食防止手段として大規模に行われており、及び鋼製機械においても腐食防止手段としてある程度は行われている金属表面のリン酸塩処理に関する。本発明はリン酸塩処理浴からのオーバーフロー及び/又はリン酸塩処理後のすすぎ水を処理する方法に関する。本方法によって廃水処理が簡素化され、好ましい態様においては、浴成分のリン酸塩処理浴への再循環及び/又は水のプロセス全般に亘っての再循環が可能になる。
【背景技術】
【0002】
金属のリン酸塩処理は金属表面にそれ自体耐食性を向上させ、ラッカーや他の有機塗料との組合せにおいて密着性及び腐食応力環境下での腐食の下面への侵入に対する抵抗性を実質的に向上させるのに役立つ。かかるリン酸塩処理方法は先行技術においてずっと以前から知られている。ラッカー処理の前処理としての、リン酸塩処理溶液が例えば0.5〜2g/Lという比較的低い濃度の亜鉛イオンを含有する低リン酸亜鉛処理方法は特に好適である。これらの低亜鉛リン酸塩処理浴における必須のパラメーターはリン酸イオン/亜鉛イオンの質量比であり、この比は通常12より大きく、30までの値を想定できる。
【0003】
著しく向上した耐食性及び塗膜密着性を有するリン酸塩皮膜を、リン酸塩処理浴中の亜鉛イオン以外の多価カチオンの併用によって形成し得ることが見出された。例えば、0.5〜1.5g/Lのマンガンイオン及び0.3〜2.0g/Lのニッケルイオンを用いる低亜鉛方法がラッカー処理のための、例えば自動車車体のアニオン電着塗装のための金属表面の前処理としてのいわゆるトリカチオン方法として広く用いられている。
【0004】
リン酸塩処理溶液は亜鉛イオン及び任意的な他の2価金属イオン、及びリン酸イオン等の層形成性成分を含有する。リン酸塩処理溶液は、また、特に促進剤及びその分解生成物等の非層形成性成分をも含有する。促進剤の分解生成物は促進剤が、金属表面上での酸洗い反応によって形成される水素と反応することによって生成する。アルカリ金属イオン、及び特にリン酸塩処理浴中に時間の経過と共に蓄積する促進剤の分解生成物等の非層形成性成分はリン酸塩処理溶液の一部を排出し新たなリン酸塩処理溶液で連続的にもしくは不連続的に置き換えることによってのみリン酸塩処理溶液から除去できる。リン酸塩処理溶液は例えばオーバーフローによってリン酸塩処理浴を操作しオーバーフローを捨てることによって排出できる。しかしながら、一般に、オーバーフローは必須ではない。なぜなら、リン酸塩処理された金属部品のせいで、十分な量のリン酸塩処理溶液が付着する液膜として排出されすすぎ水に移行するからである。
【0005】
リン酸塩処理後、自動車車体等のリン酸塩処理された部品に付着したリン酸塩処理溶液を水ですすぎ落とす。リン酸塩処理溶液は制御しない方法で環境に排出してはならない重金属及び場合によって他の成分を含有しているので、すすぎ水は水処理プロセスを経なければならない。この水処理プロセスはすすぎ水を生物的浄化プラント中に排出する前に独立した工程として設けなければならない。その理由はそうしないと生物的浄化プラントの機能が危うくなるからである。
【0006】
(リン酸塩処理浴オーバーフロー及び/又はすすぎ水からの)廃水の処理及びリン酸塩処理装置の新鮮水による補充はコスト要因であるので、これらのコストを最小にする必要がある。特許文献1は使用済みの界面活性剤含有リン酸鉄処理浴の再処理もしくは濃縮のための方法及びプラントを記載している。したがってこの方法は上述した、処理金属表面に結晶性亜鉛含有リン酸塩層を生成するリン酸亜鉛処理ではない。この方法はリン酸鉄の無定形層及び酸化鉄を鉄表面に形成するリン酸鉄処理を記述している。リン酸鉄処理溶液に界面活性剤を添加すると、それらは同時に清浄化剤として働く。上述した文献はかかる界面活性剤含有リン酸鉄処理溶液の限外濾過による再処理を取り扱っている。この処理は界面活性剤を主として保持液として保持するように行われる。透過液は金属イオンを含有し、処分されなければならない。保持液に保持された界面活性剤はリン酸鉄処理溶液のさらなる成分によって補充されリン酸塩処理浴に再循環され得る。この方法によれば活性成分の一部はリン酸鉄処理溶液に再循環され、かつ廃水及び新鮮水の量を減ずることができる。
【0007】
特許文献2は鉄(II)イオン及び硝酸イオンを含有するリン酸亜鉛水溶液を用いて金属表面上にリン酸塩皮膜を形成させる、廃水のない方法に関している。少なくとも2つのすすぎ浴よりなるすすぎ浴カスケードをリン酸塩処理浴の下流に連結し、低塩含量の、好ましくは塩を含まない水を最後のすすぎ浴に供給し、水オーバーフローを各場合について先行するすすぎ浴又はリン酸塩処理浴に通し、そのようにして少なくとも非常に低塩のもしくは塩を含まない水をリン酸塩処理浴から除去し、リン酸塩処理浴はカスケードからのリン酸塩に富んだすすぎ水で補充する。しかし、この方法においては、促進剤の分解生成物等の、リン酸塩処理浴中の好ましくない成分の蓄積を防止できない。
【0008】
特許文献3はリン酸塩処理浴オーバーフロー及び/又はリン酸塩処理後のすすぎ水の処理方法を記載しており、そこではリン酸塩処理はPO4 3−として計算して3〜50g/Lのリン酸イオン、0.2〜3g/Lの亜鉛イオン、任意的に他の金属イオン、及び促進剤を含有する酸性リン酸塩処理水溶液を用いて行われ、リン酸塩処理浴オーバーフロー及び/又はすすぎ水はナノ濾過に付される。
【0009】
しかしながらこの方法の実際の実施においては、ナノ濾過膜の閉塞が数時間で観察される。これは、リン酸塩処理後のすすぎ水中に及びリン酸塩処理浴オーバーフロー中に含まれるリン酸塩スラリーを工業的に通常用いられる濾過方法、例えばバグフィルターやサンドフィルターを用いる方法によっては溶液から完全には除去できないことに起因している。膜濾過中、残ったスラリーが膜上に沈殿し、膜を塞ぐ。したがって、リン酸塩スラリーによる膜の閉塞を遅らせるかもしくは防止するように膜濾過方法を改善する必要がある。別の目的はすでに生じた閉塞を取り除くことである。これに関して採用する手段はそれによって廃水が余分に発生しないように、また廃水が重金属によってさらに汚染されないように選択すべきである。それよりも、該方法は、すすぎ水又はリン酸塩処理浴オーバーフロー中の有用物質、特に亜鉛、ニッケル及び/又はマンガンイオン等の層形成性金属イオンをリン酸塩処理プロセスに再循環させることができるように工夫すべきである。さらに、できるだけ多くの水を総括プロセスに戻し、それによって水の消費を低減するのが望ましい。
【特許文献1】
DE−C−4420760
【特許文献2】
EP−A−414301
【特許文献3】
DE−A−19813058
【発明の開示】
【0010】
本発明は、リン酸イオン3〜50g/L及び亜鉛イオン0.2〜3g/Lを含有するリン酸塩処理溶液を用いてリン酸塩処理した後のリン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水を処理する方法であって、かつ該リン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水を膜濾過に付し、該膜濾過からの保持液を保持液循環に回すことができる該方法において、
i)a)0.01〜5g/Lの重金属錯体形成剤、及び
b)該すすぎ水のpHを0.5〜2.5に低下させる量の酸
から選ばれる膜閉塞を遅らせる試薬を該リン酸塩処理浴オーバーフロー、該すすぎ水又は膜濾過前の保持液循環に添加し、
及び/又は
ii)膜濾過を設定した時間で中断し、該膜を0〜1.8のpHを有する酸b)の水溶液で処理する
ことを特徴とする該方法に関する。
【0011】
選択工程i)によれば、すすぎ水及び/又はリン酸塩処理浴オーバーフローを、リン酸塩処理スラリーによって、膜の閉塞が起こらないか又は少なくとも膜の閉塞を遅らせるように、膜濾過前に、処理する。これは、膜濾過前に、リン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水に、少なくとも1種の、重金属のための錯体形成剤及び/又はpH値を上述した範囲に低下させる量の酸を添加することによって行われる。できたてのリン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水の酸性化は必要量の酸を直接該リン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水に添加することによって行うことができる。膜処理を行う場合、一般に、保持液は循環し、保持液の一部のみを除去する。保持液循環への酸又は錯体形成剤の添加も可能である。その後は保持液はすでに酸又は錯体形成剤を含有している。この手順においては、その後は、錯体形成剤濃度及び/又はpH値についての前記条件が達成されるような量の錯体形成剤及び/又は酸を添加することが必要とされるのみである。
【0012】
選択工程ii)による手順は選択工程i)のようにできるだけ完全にリン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水を処理することではなく、かなりの時間の経過後に生じた膜閉塞を、透過液量が予め設定した最小量より小さくなる前に、膜濾過を短時間中断して濾過膜を、選択工程i)のb)に相当し0〜約1.8のpHを有する酸の水溶液で処理することによって、取り除くことである。このpH値は膜上に析出したリン酸塩スラリーが溶解するように選ばれなければならない。この方法によって膜の透過性が回復したら直ちにこの膜を用いるリン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水の処理を続行することができる。
【0013】
上記目的の一面によると、リン酸塩処理浴に再循環でき、そこで邪魔にならず、好ましくは活性成分を形成する物質のみを、本発明方法で用いて透過液量を維持するのが好ましい。したがって、酸b)としては、これらが選択工程i)又はii)にしたがって用いられるかどうかとは無関係に、工業的に通常のリン酸塩処理浴中に有用物質を生成する酸を用いるのが好ましい。かかる酸は特にリン酸、フッ化水素酸、及びその酸の残基がホウ素、ケイ素、チタン又はジルコニウムの錯フッ素イオンを形成する酸である。リン酸塩処理浴に促進剤として硝酸イオンを含有させようとする場合又はリン酸塩処理浴が促進剤として硝酸イオンを含有していてもよい場合には、硝酸も好ましい。
【0014】
変動成分a)、すなわち重金属のための錯体形成剤を用いる場合には、それらは分子中の(カルボキシル基の一部でない)水酸基及びカルボキシル基の合計が少なくとも3であるヒドロキシカルボン酸もしくはそれらの水溶性塩から選ばれるのが好ましい。かかる酸の例としては、クエン酸、酒石酸、及びグルコン酸等の糖酸が挙げられる。
【0015】
上記目的の一面によると、本発明方法は、必要な清浄化及びすすぎ工程を含むリン酸塩処理の総括的水消費量が最少になるように、又はリン酸塩処理に有用な物質のうち廃水と共に排出される量が少なくともなるべく少なくなるように操作すべきである。層形成性カチオン等の有用物質をできるだけ完全にリン酸塩処理プロセスに再循環させるために、本発明方法において選択工程i)の手順を採用し、これとの関連で膜濾過からの透過液を弱酸性イオン交換体に通すことができる。好ましい条件下にこのイオン交換体は少なくとも亜鉛イオン及び/又はニッケルイオンを結合し、結合した亜鉛イオン及び/又はニッケルイオンはイオン交換体の再生によって溶出されリン酸塩処理プロセスに再循環させることができる。弱酸性イオン交換体を充填し及び再生するのに特に有利な態様はDE−A−10056629及びDE−A−10056628に記載されている。これらの態様は膜濾過からの透過液のさらなる処理のために本発明の範囲内で採用するのが好ましい。下流にイオン交換体を使用するこの1態様においては、イオン交換体処理によって得られる水相を浄化プラントに直接送り込むことができる。しかしながら、節水の目的からは、この方法はイオン交換体処理後の水相をすすぎ目的のために再使用するように行うのが好ましい。
【0016】
総括的水消費量を最少にするための別の手段は選択工程i)を採用し、膜濾過からの透過液をpH6〜8に調整し、リン酸塩処理する金属表面の清浄化後のすすぎ水として用いる、すなわち清浄化とリン酸塩処理との間で用いることである。経済的理由からpHを調整するのに水酸化ナトリウムを使用するのが好ましい。
【0017】
直上の手順の別法として、膜濾過からの透過液をpH9〜13に調整し、リン酸塩処理する金属表面の清浄化のための清浄化溶液を補充するのに用いることが挙げられる。この場合にもpH調整には水酸化ナトリウムを使用するのが好ましい。
【0018】
膜濾過からの保持液は亜鉛、ニッケル及び/又はマンガンイオン等の層形成性カチオンを含有している。これらはリン酸塩処理に有用な物質であるので、保持液は少なくとも部分的にリン酸塩処理浴に再循環するように処理するのが好ましい。可能な態様として、これは、保持液をリン酸塩処理浴用補充溶液の調製の主成分として用い、活性成分(例えば層形成性金属のイオン、硝酸、リン酸、フッ化水素酸又はその酸残基がB、Si、Ti又はZrの錯フッ素イオンを形成する酸、又はヒドロキシルアミン等の内部促進剤)をリン酸塩処理浴用の補充溶液を形成するように保持液に添加する方法で行うことができる。
【0019】
しかしながら、保持液を活性成分の補充なしに直接リン酸塩処理溶液に再循環することも可能である。しかしこの場合には、リン酸塩処理浴中の遊離酸の含量が許容値を下回らないよう注意すべきである。
【0020】
かくして、本発明方法の1態様によれば、リン酸塩処理浴オーバーフロー又は膜濾過前のすすぎ水のpHが0.5〜2.5に低下した場合に、保持液のpHを2.55〜3.0、好ましくは2.6〜2.8に上昇させた後に該保持液をリン酸塩処理溶液に再循環させる。該pH値を上げるために、水酸化ナトリウム等の苛性アルカリを用い得る。しかしながらこれはリン酸塩処理のための活性成分を構成しない塩をリン酸塩処理浴中に増加させるという望ましくない結果ももたらし、リン酸塩処理浴に不必要な負荷をかける。この理由からリン酸塩処理浴のための活性成分を含有する物質を用いてpHを上げるのが好ましい。例えば、リン酸塩処理促進剤として働くヒドロキシルアミン、又はそれによってリン酸塩処理溶液中の層形成性カチオンの濃度が上昇する亜鉛、ニッケル及び/又はマンガンの酸化物もしくは炭酸塩をpH上昇のために使用できる。
【0021】
この場合においては、選択工程i)に従う好ましい態様を採用し、そこにおいては膜濾過中の膜閉塞を防止するために、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、及びその酸残基がB、Si、Ti又はZrの錯フッ素イオンを形成する酸から選ばれる酸を添加する。この方法の好ましい実施は、
a)膜濾過の保持液(濃縮液)を供給し得る少なくとも第1及び第2緩衝液容器を用意し、
b)予め設定した時間の間又は第1緩衝液容器が満たされるまで、膜濾過保持液を、少なくとも部分的に、第1緩衝液容器に供給し、
c)予め設定した時間の終了後に又は第1緩衝液容器が満たされたときに、
d)第1緩衝液容器への保持液の導入を止め、該保持液を、少なくとも部分的に、第2緩衝液容器に供給し、
e)第1緩衝液容器の内容物の組成に特徴的な少なくとも1つのパラメーターの値を測定し、
f)該特徴的なパラメーターの値を、第1緩衝液容器の内容物をリン酸塩処理溶液の補充溶液として用いることができるような値に変化させる量の補充化学物質を第1緩衝液容器中に添加し、
g)第1緩衝液容器の内容物をリン酸塩処理溶液中に注入し、その間、
h)膜濾過の保持液を、少なくとも部分的に、第2緩衝液容器に供給し、及び
k)第1緩衝液容器が空になった後でかつ第2緩衝液容器を満たすための予め設定した時間が終了した後に、又は第2緩衝液容器が満たされた後に、第1緩衝液容器の役割と第2緩衝液容器の役割とを交替させる
ことによって特徴付けられる。
【0022】
したがって、2以上の緩衝液容器を用意し、その中に膜濾過の保持液を供給できる。適当な寸法を有しているなら、2つの緩衝液容器で十分である。膜濾過の保持液を、予め設定した時間が経過するまで又は第1緩衝液容器が満たされるまで、部分的に又は好ましくはすべて第1緩衝液容器に供給する。予め設定した時間は例えば8〜120時間であり、好ましくは16〜24時間である。これに関して、該時間中に生じるすべての膜濾過保持液をそれ1つで収容し得る容量を有する緩衝液容器を選ぶのが好ましい。予め設定した時間が経過したか又は第1緩衝液容器が満たされたときに、この緩衝液容器への保持液の導入を中止し、その後の保持液は第2緩衝液容器に供給する。第2緩衝液容器の容量及び供給時間は、第1緩衝液容器の容量及びそれへの保持液の供給時間と同様でよい。保持液を第2緩衝液容器に供給している間、第1緩衝液容器の内容物を、該内容物の組成に特徴的な少なくとも1つのパラメーターの値を測定することによって分析する。もっとも簡便には、このパラメーターはpH値である。これとは別に又はこれに加えて、遊離酸もしくは全酸の含量、又はリン酸塩処理の間にリン酸塩層中に取り込まれる少なくとも1種の2価カチオンの含量を測定することができる。これらの2価カチオンは例えば亜鉛、ニッケル及びマンガンのカチオンから選ぶことができる。遊離酸の含量はリン酸塩処理技術において当業者に既知の方法によって、例えば10mLの試料を、必要に応じ水で希釈後に、0.1N水酸化ナトリウムでpH3.6まで滴定することによって測定する。必要とされた水酸化ナトリウムのmLでの量は遊離酸のポイント数を示す。全酸の含量は同様にして試料をpH8.5まで滴定することによって測定する。上述のpH値に代えて、遊離酸の含量はメチルオレンジの色が変わるまで滴定することによっても測定でき、全酸の含量はフェノールフタレインの色が変わるまで滴定することによって測定できる。
【0023】
これに続いて、選択された特徴的なパラメーターの値を第1緩衝液容器の内容物をリン酸塩処理溶液の補充溶液として用いることができるように変化させる量の補充化学物質を第1緩衝液容器に加え、その内容物と混合するか該内容物と反応させる。例えば特徴的なパラメーターとしてpH値(このpH値は膜濾過前のすすぎ水もしくはリン酸塩処理浴オーバーフローの酸性化のため、リン酸塩処理溶液のpH値より低い)を選んだ場合、2.6〜3.6のpH値が達成されるような量の少なくとも1種の中和用補充化学物質を添加する。このpH調整により第1緩衝液容器の内容物はリン酸塩処理溶液の補充溶液として適したものになる。これに関して、アルカリ性の方向に変化させる化学物質としては炭酸亜鉛及び/又は炭酸マンガンを水スラリーとして加えるのが好ましい。このようにすると、pH値が上がるだけでなく、亜鉛及び/又はマンガンの濃度も上がるので、第1緩衝液容器の内容物は、pH値をアルカリ溶液や炭酸アルカリで調整する場合に比し、リン酸塩処理溶液の補充溶液としてより好適なものになる。
【0024】
第1緩衝液容器の内容物をこのように調整した後、内容物をリン酸塩処理溶液中に注入する。これは第1緩衝液容器の内容物を、例えばパイプラインやポンプによって、連続的にリン酸塩処理溶液に移送することによって行うのが好ましい。これに関して、リン酸塩処理溶液への移送速度は、第2緩衝液容器を満たすのに予め設定した時間が経過したか第2緩衝液容器が満たされたときに第1緩衝液容器がちょうど完全に空になるように選ぶのが好ましい。このようにすると、リン酸塩処理溶液の体積やその組成が急速に変化することを防ぐことができる。さらに、第1緩衝液容器はその後再び、第2緩衝液容器への保持液の導入が終了するまさにそのときに、膜濾過の保持液を受けるのに使用することができる。
これ以降、第1緩衝液容器と第2緩衝液容器の役割は交替する。このことは今度は第1緩衝液容器が膜濾過からの保持液で満たされ、一方、その間に、すでに第1緩衝液容器について説明したように、第2緩衝液容器の内容物の組成を測定し、該内容物をリン酸塩処理溶液に移送できるように調整し、ついで第2緩衝液容器の内容物をリン酸塩処理溶液に移送する。
【0025】
上述の手順ためには2つの緩衝液容器で十分である。しかし、安全のため、第3緩衝液容器を用意しておくことができ、第2緩衝液容器がすでに満たされているが、第1緩衝液容器がまだ完全に空になっていない場合に、第3緩衝液容器に膜濾過の保持液を供給する。2つより多くの緩衝液容器を用いるときの手順はすでに述べてきたところと変わりなく、各緩衝液容器を交互に膜濾過の保持液で満たし、ついで該容器の内容物をリン酸塩処理溶液中に注入する。
【0026】
この手順によると、リン酸塩処理後のすすぎ水中又はリン酸塩処理浴オーバーフロー中に存在する層形成性2価カチオンはリン酸塩処理溶液中に再循環される。したがって、これらのカチオンの循環は大きく閉じた循環である。これに関して、膜濾過前のすすぎ水やリン酸塩処理浴オーバーフローの酸性化に使用する酸はリン酸であるのが好ましい。その理由はこの酸はリン酸塩処理溶液の主要な成分を形成するからである。
【0027】
本発明方法のさらなる修飾においては、手順は上述した選択工程i)と同様であり;膜濾過の透過液をpH6〜13に調整し、リン酸塩処理する金属表面を清浄化する清浄化溶液を補充するのに使用するが、この際少なくとも1種の界面活性剤を膜濾過の透過液に添加する。pH値の調整には水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムを用いるのが好ましい。pH値は9〜13に調整するのが好ましい。界面活性剤はノニオン界面活性剤から選択するのが好ましく、かかるノニオン界面活性剤としては、例えば、アルキル鎖中の炭素数が8〜22であるアルキルアルコールもしくはアルキルアミンのエトキシレート及び/又はプロポキシレートが挙げられる。植物もしくは動物油脂から得られるアルキルアルコールもしくはアルキルアミンのエトキシレート及び/又はプロポキシレートを用いるのが好ましい。
【0028】
必要に応じ、界面活性剤に加えて、ビルダー物質も膜濾過の透過液に添加し得る。かかるビルダー物質は水溶性のホウ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、トリリン酸塩及びピロリン酸塩を含む群から選ぶのが好ましい。これらの塩のカチオンとしてはナトリウム及び/又はカリウムイオンが好ましい。
【0029】
この態様においては、膜濾過の透過液を上述した範囲のpH値に連続的に調整し、界面活性剤を透過液に添加し、該透過液をリン酸塩処理する金属表面を清浄化するための清浄化溶液に供給できる。しかし別法として、すでに記述した手順に従って保持液を用いてリン酸塩処理溶液を補充する際に、透過液を緩衝液容器に移送してもよい。その緩衝液容器が膜濾過の透過液で満たされた後に、pH値を上げ、界面活性剤を添加する。ついで緩衝液容器の内容物を上記した清浄化溶液に注入する。すでに詳細に記述した手順と同様に、2以上の緩衝液容器を用意し、それらを交互に満たし、空にする。
【0030】
選択工程i)に従えば、濾過膜を、リン酸塩処理からの廃水の処理においてこれまで通常であった時間より実質上長い間、働かせることができる。しかしながら、この場合も、延長された期間の後に酸又はアルカリで膜を清浄化することが推奨される。この際に好ましい手順は膜の清浄化で放出された亜鉛イオン等のリン酸塩処理溶液の成分を捨てることではなく、それらを最終的にリン酸塩処理溶液に再循環することである。例えば、選択工程i)の手順を採用し、予め設定した透過液量に達しない場合に又は予め設定した時間を経過した後に膜濾過を中断し、該膜をpH8〜14のアルカリ溶液で清浄化する。この清浄化により生ずる透過液を選択工程i)のさらなる手順中で生ずる酸性透過液のpHを上げるために用いるか、又はリン酸塩処理する部品を実際のリン酸塩処理前に清浄化するための清浄化溶液を調製するか補充するために用いることができる。
【0031】
このアルカリ清浄化工程は、例えば、透過液量が新しいもしくは新たに清浄化された膜についての値の20%未満に低下した場合に行うことができる。別法として、選択工程i)の操作の時間を予め設定しておき、それを経過した後に上述のアルカリ清浄化工程を行うことができる。この時間は例えば1〜12か月とし得る。最適の操作時間は現場で実験して決定しなければならない。Desal D5膜を用いる場合には、4〜8か月毎にアルカリで清浄化すれば十分である。例えば、濃縮液を水で0.05%に希釈して得られるアルカリ清浄化溶液がこの目的に適しており、該濃縮液は質量%で水酸化ナトリウム84.5%、グルコン酸ナトリウム10%、トリリン酸ペンタナトリウム5%及び界面活性剤0.5%の組成を有する。希釈された清浄化溶液は10.5程度のpHを有し、膜の清浄化に対しては約30℃の温度で使用するのが好ましい。
【0032】
アルカリ溶液による膜の清浄化はアルカリ溶液の70〜90容量%が膜を通して流れるように行うのが好ましい。残りの保持液は廃水処理に回し廃棄するのが好ましい。アルカリ性の透過液は、清浄化の後に再び採用する選択工程i)の処理、又は膜の清浄化と平行して行われる、第2の膜を用いた選択工程i)の処理における酸性透過液のpH値を上げるために用いることができる。この工程の目的はすでに詳細に論じた。このようにして活性成分を総括プロセスに再循環する。別法として、膜清浄化に伴い生ずるアルカリ性透過液を実際のリン酸塩処理前にリン酸塩処理する部品を清浄化するための清浄化溶液を調製もしくは補充するために用いることができる。この場合には、膜清浄化溶液の清浄化活性成分をリン酸塩処理前の清浄化溶液に戻し、それによって再使用することになる。どの方法を取るかとは関係なく、膜清浄化に伴い生ずる透過液の再循環によって原料需要及び廃棄する廃水の量を減ずることができる。
【0033】
上述のアルカリ膜清浄化の代わりにもしくはこれと交互して、選択工程ii)の処理を行うことができる。選択工程ii)の手順によって、膜上に析出したリン酸塩スラリーが溶解される。したがって、ほんの少量であるとしても亜鉛、ニッケル及び/又はマンガンイオン等の層形成性カチオンを含有する溶液が形成される。この溶液は廃水処理に回すことができる。しかし、膜から溶解したこれらの層形成性カチオンをリン酸塩処理プロセスに再循環するのが好ましい。このためには、本発明方法を交互に選択工程i)と選択工程ii)に従って行う手順を採用するのが好ましい。したがって、本方法は主として選択工程i)に従って行う。しかし、この方法を用いても時間の経過に従って透過液量がかなり低下する場合に、この手順を短期間中断し、選択工程ii)を行う。濾過膜と接触後の酸水溶液は捨てずに貯え、選択工程i)の処理を再スタートさせ、貯蔵した酸溶液を、選択工程i)の手順におけるリン酸塩処理浴オーバーフローまたはすすぎ水に膜閉塞を遅らせる試薬として、リン酸塩処理浴オーバーフローまたはすすぎ水のpHが0.5〜2.5に減じられるような量で、添加することができる。選択工程ii)で用いる酸、及びこの酸によって膜から溶解する層形成性カチオンはこのようにして選択工程i)の好ましい態様のリン酸塩処理プロセスに再循環される。
【0034】
上述した手順のどれを採用するかとは関係なく、膜濾過としてはナノ濾過又は逆浸透を用いるのが好ましい。これらの手順によって、層形成性カチオンをなるべく保持液中に保持し、他方、層非形成性一価カチオン及び場合により促進剤分解生成物を含有する透過液をリン酸塩処理浴から排出することができる。
【0035】
本発明方法及びそれを用いて本発明方法を行うのが好ましいリン酸塩処理溶液を以下により詳細に説明する。
【0036】
リン酸塩処理溶液の亜鉛含量は、低亜鉛処理において一般的である、0.4〜2g/Lであるのが好ましく、0.5〜1.5g/Lであるのが特に好ましい。リン酸塩処理浴におけるリン酸イオン/亜鉛イオンの質量比は、3.7〜30の範囲内である限り、広い範囲に亘って変化させることができるが、10〜20の範囲内であることが特に好ましい。
【0037】
リン酸塩処理浴は、亜鉛イオン及びリン酸イオンとは別に、リン酸塩処理浴で現在通常用いられる成分を含有していもよい。
形成されたリン酸塩層の塗膜密着性及び耐食性に有利に働くことが経験的に見出された別の一価もしくは二価金属イオンを含有するリン酸塩処理溶液を用いることが好ましい。かくして、本発明のリン酸塩処理溶液はさらに以下のカチオンの少なくとも1種を含有するのが好ましい:
0.1〜4g/Lのマンガン(II)イオン、0.1〜2.5g/Lのニッケル(II)イオン、0.2〜2.5g/Lのマグネシウム(II)イオン、0.2〜2.5g/Lのカルシウム(II)イオン、0.002〜0.2g/Lの銅(II)イオン、0.1〜2g/Lのコバルト(II)イオン。
【0038】
例えば、リン酸塩処理溶液は、亜鉛イオンとは別のカチオンとして、0.1〜4g/Lのマンガンイオン及び0.002〜0.2g/Lの銅イオン、及び0.05g/L以下、特に0.001g/L以下のニッケルイオンを含有する。しかし、従来のトリカチオン技術を維持したい場合には、亜鉛イオンとは別に、0.1〜4g/Lのマンガンイオン及び0.1〜2.5g/Lのニッケルイオンを含有するリン酸塩処理浴を用いることができる。カチオンをどのような形態でリン酸塩処理浴に添加するかは原則として重要ではない。しかし、カチオン源として酸化物及び/又は炭酸塩を用いるのが特に好適であることが分かった。リン酸塩処理浴からの塩の析出の危険を避けるため、リン酸以外の酸の塩は避けるのが好ましい。
【0039】
異なる基体に適することが意図されるリン酸塩処理浴の場合には、F−として計算して、遊離及び/又は錯体結合フッ素イオンを2.5g/Lまでの全フッ素イオン量でかつそのうち750mg/Lまでの遊離フッ素イオン量で添加するのが通常になってきた。フッ素イオンのない場合には、浴のアルミニウム含量を3mg/Lを超えた値とすべきでない。フッ素イオンの存在下では、錯体形成により、錯体となっていないアルミニウムイオンが3mg/Lを超えない限り、より高いAl含量とすることができる。
【0040】
層形成性2価カチオンとは別に、リン酸塩処理浴は一般にさらに、遊離酸を調整するためにナトリウム、カリウム及び/又はアンモニウムイオンを含有している。
【0041】
もっぱら亜鉛めっきした材料を処理するのに使用するリン酸塩処理浴はいわゆる促進剤を必ずしも含まなくてもよい。しかしながら、亜鉛めっきされていない鋼表面をリン酸塩処理するのに必要である促進剤は亜鉛めっきした材料をリン酸塩処理する場合にも当業界ではしばしば使用される。促進剤を含有するリン酸塩処理溶液は亜鉛めっきした材料及び亜鉛めっきしていない材料の両方に適しているという利点を有している。このことは自動車車体のリン酸塩処理においては特に重要である。その理由は自動車車体はしばしば亜鉛めっきした表面も亜鉛めっきしていない表面も含んでいるからである。
【0042】
リン酸塩処理浴のための種々の促進剤が先行技術において用いられている。それらは酸洗い反応中に生成する水素と反応するので、層形成を促進し、リン酸塩層の形成を容易にする。このプロセスは「脱分極」と呼ばれる。膜形成の邪魔をする、金属表面上の水素泡の生成はこれによって防止される。本発明方法の範囲内では、その二次生成物もしくは分解生成物(水素との反応生成物)がナノ濾過膜を透過できる促進剤が好ましい。このようにすれば、促進剤の二次生成物もしくは分解生成物がリン酸塩処理浴中に蓄積するのを避け、それらを少なくとも部分的にナノ濾過の濾液(透過液)を経て系外に排出できる。
【0043】
二次生成物もしくは分解生成物として水又はナノ濾過膜を透過できる1価イオンを生成する促進剤が特に好適である。リン酸塩処理溶液は、例えば、以下の促進剤の少なくとも1種を含有することができる:
0.3〜4g/Lの塩素酸イオン、0.01〜0.2g/Lの亜硝酸イオン、0.1〜10g/Lのヒドロキシルアミン、0.001〜0.15g/Lの遊離もしくは結合形態の過酸化水素、0.5〜80g/Lの硝酸イオン。
【0044】
金属表面上の脱分極反応において、塩素酸イオンから塩素イオンが生成し、亜硝酸イオンから硝酸イオン及びアンモニウムイオンが生成し、硝酸イオンからアンモニウムイオンが生成し、ヒドロキシルアミンからアンモニウムイオンが生成し、及び過酸化水素から水が生成する。生成したアニオン又はアンモニウムイオンはナノ濾過膜を透過でき、その結果、本発明方法においては、これらのイオンは少なくとも部分的に、リン酸塩処理浴オーバーフロー又はリン酸塩処理後のすすぎ水から排出される。
【0045】
塩素酸イオンと共に又はその代わりに、過酸化水素を促進剤として用いるのが有利である。過酸化水素はそのものとして又はリン酸塩処理浴の条件下に過酸化水素を生成する化合物の形態で用いることができる。しかし、これに関しては、二次生成物として多価イオンが形成されないのが好ましい。その理由はそれらがナノ濾過からの濃縮液の再循環中にリン酸塩処理浴中に蓄積するからである。この理由から、過酸化水素の代替物としてはアルカリ金属過酸化物が特に好ましい。
【0046】
本発明方法の範囲で同様に好ましく使用し得る促進剤はヒドロキシルアミンである。この化合物を遊離形態又はリン酸ヒドロキシルアンモニウム、硝酸ヒドロキシルアンモニウム及び/又は塩化ヒドロキシルアンモニウムの形態でリン酸塩処理浴に添加する場合には、ナノ濾過膜を透過することができる分解生成物もしくは二次生成物のみを生成させることができる。
【0047】
ナノ濾過についての先行技術においては種々のタイプの膜を利用し得る。リン酸塩処理浴もすすぎ水も酸性なので、使用するナノ濾過膜は酸に対して安定であるべきである。セラミック膜等の無機膜が好適である。しかし、有機重合体膜も使用し得る。有機重合体膜としてはポリアミド膜が特に好適である。
【0048】
ナノ濾過からの濾液(透過液)は、装置及び処理条件の好適な設定の下に、廃水中のその制限値が維持されるような低い濃度の2価カチオンのみを含有する。従って、廃水処理における重金属沈殿はもはや必要とされない。しかし、他方、1価のカチオン及び促進剤分解生成物が(ナノ濾過からの)濃縮液の再循環中にリン酸塩処理浴中に技術的に望ましい濃度を超えて蓄積しないように、かかる量の1価のカチオン及び促進剤分解生成物をナノ濾過からの濾液中に排出する。
【0049】
かくして、本方法はナノ濾過からの濃縮液をリン酸塩処理溶液に再循環するように操作するのが好ましい。それによって、リン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水中に存在する層形成性カチオンは少なくとも完全には捨てられず、少なくとも部分的にリン酸塩処理溶液に再循環される。リン酸塩処理溶液中のこれらのカチオンの濃度はリン酸塩層の形成による又はスラリー形成による消費に対応して補充される必要がある。これによって、一方では処理経費が低減し、他方では補充すべき成分の量を少なくすることができるのでリン酸塩処理浴のより経済的な操作が可能になる。すでに詳細に述べたように、(ナノ濾過からの)透過液の再使用によって、清浄化及びリン酸塩処理プロセスの総括的水消費量を低減できる。
【0050】
実施例1
ナノ濾過を用いる本発明方法をリン酸塩処理後に得られるすすぎ水で試験した。すすぎ水を、バグ濾過によるスラリーの除去(スラリーの88%が除去された)後に、ポリアミド製のDesal DK膜を用いてナノ濾過した。すすぎ水中の亜鉛、ニッケル、マンガン及び1価イオンの濃度を下記に示す。ナノ濾過の透過液及び濃縮液中の対応する値も下記に示す。膜濾過処理を濃縮液:濾液の体積比が5:1になるようにして行った。さらなる操作条件及び結果を以下にまとめて示す。
【0051】
リン酸塩処理後のすすぎ水は以下の成分を含有する:
Zn2+ 100mg/L、Mn2+ 50mg/L、Ni2+ 49mg/L、Na+ 130mg/L、H2PO4 − 1500mg/L、NO3 − 300mg/L、有機成分 10 mg C/L、スラリー 0.05g/L、pH 3.8。
【0052】
すすぎ水処理
バグ濾過によるスラリーの濾過
フィルター:Lofclear 523 D (Loeffler製)、スラリー除去率:88%
【0053】
A.前処理なしのすすぎ水のナノ濾過(比較例)
操作条件
Desal DK膜 (Osmonics)、圧:8 bar、温度:40℃、透過液:15 L/m2・h
体積比:濃縮液:濾液 5:1
結果
3時間後に膜が閉塞した。
透過液:<5 L/m2・h(8 bar)(33%)
【0054】
B.すすぎ水のナノ濾過:すすぎ水にH 2 PO 4 − の添加による前処理
4.0 g/L H 3 PO 4 −75%(酸)(本発明)
操作条件
上記Aと同じ
結果
100時間後に膜が閉塞した。
透過液:<5 L/m2・h(8 bar)(33%)
【0055】
濃縮液はZnCO3又はMnCO3を添加し(て例えばpHを2.7に調整し)た後にリン酸塩処理浴に再循環し得る。これによりリン酸塩処理浴中の遊離酸の増加を防止できる。
濾液はNaOHの添加後に、(リン酸塩処理する金属表面の)清浄化後のすすぎ水として(この場合はNaOH添加によりpHを7に調整する)及び/又は清浄化のための補充溶液として(この場合はpHを10〜11に調整する)(追加成分として界面活性剤の添加が推奨される)再使用し得る。
透過液中のZn2+/Mn2+/Ni2+の濃度を著しく減少させ得る。
【0056】
C.すすぎ水のナノ濾過:すすぎ水のHFの添加による前処理
200 mg/L HF−70% (本発明)
操作条件
上記Aと同じ
結果
50時間後に膜が閉塞した。
透過液:<5 L/m2・h(8 bar)(33%)
【0057】
実施例2
H3PO4−5%による膜の清浄化
操作条件
上記1Bと同じ
100時間後に膜をH3PO4−5%で清浄化した(室温、20分、pH1.2)。
清浄化後該酸を1Bと同様にしてすすぎ水の処理のために使用した(60g/L H3PO4−5%)。
分析
Zn2+ 16ppm、Mn2+ 10ppm、Ni2+ 12ppm、Fe3+ 18ppm、H2PO4 − 50,000ppm
【0001】
本発明は、自動車産業、家電産業等の金属処理産業において腐食防止手段として大規模に行われており、及び鋼製機械においても腐食防止手段としてある程度は行われている金属表面のリン酸塩処理に関する。本発明はリン酸塩処理浴からのオーバーフロー及び/又はリン酸塩処理後のすすぎ水を処理する方法に関する。本方法によって廃水処理が簡素化され、好ましい態様においては、浴成分のリン酸塩処理浴への再循環及び/又は水のプロセス全般に亘っての再循環が可能になる。
【背景技術】
【0002】
金属のリン酸塩処理は金属表面にそれ自体耐食性を向上させ、ラッカーや他の有機塗料との組合せにおいて密着性及び腐食応力環境下での腐食の下面への侵入に対する抵抗性を実質的に向上させるのに役立つ。かかるリン酸塩処理方法は先行技術においてずっと以前から知られている。ラッカー処理の前処理としての、リン酸塩処理溶液が例えば0.5〜2g/Lという比較的低い濃度の亜鉛イオンを含有する低リン酸亜鉛処理方法は特に好適である。これらの低亜鉛リン酸塩処理浴における必須のパラメーターはリン酸イオン/亜鉛イオンの質量比であり、この比は通常12より大きく、30までの値を想定できる。
【0003】
著しく向上した耐食性及び塗膜密着性を有するリン酸塩皮膜を、リン酸塩処理浴中の亜鉛イオン以外の多価カチオンの併用によって形成し得ることが見出された。例えば、0.5〜1.5g/Lのマンガンイオン及び0.3〜2.0g/Lのニッケルイオンを用いる低亜鉛方法がラッカー処理のための、例えば自動車車体のアニオン電着塗装のための金属表面の前処理としてのいわゆるトリカチオン方法として広く用いられている。
【0004】
リン酸塩処理溶液は亜鉛イオン及び任意的な他の2価金属イオン、及びリン酸イオン等の層形成性成分を含有する。リン酸塩処理溶液は、また、特に促進剤及びその分解生成物等の非層形成性成分をも含有する。促進剤の分解生成物は促進剤が、金属表面上での酸洗い反応によって形成される水素と反応することによって生成する。アルカリ金属イオン、及び特にリン酸塩処理浴中に時間の経過と共に蓄積する促進剤の分解生成物等の非層形成性成分はリン酸塩処理溶液の一部を排出し新たなリン酸塩処理溶液で連続的にもしくは不連続的に置き換えることによってのみリン酸塩処理溶液から除去できる。リン酸塩処理溶液は例えばオーバーフローによってリン酸塩処理浴を操作しオーバーフローを捨てることによって排出できる。しかしながら、一般に、オーバーフローは必須ではない。なぜなら、リン酸塩処理された金属部品のせいで、十分な量のリン酸塩処理溶液が付着する液膜として排出されすすぎ水に移行するからである。
【0005】
リン酸塩処理後、自動車車体等のリン酸塩処理された部品に付着したリン酸塩処理溶液を水ですすぎ落とす。リン酸塩処理溶液は制御しない方法で環境に排出してはならない重金属及び場合によって他の成分を含有しているので、すすぎ水は水処理プロセスを経なければならない。この水処理プロセスはすすぎ水を生物的浄化プラント中に排出する前に独立した工程として設けなければならない。その理由はそうしないと生物的浄化プラントの機能が危うくなるからである。
【0006】
(リン酸塩処理浴オーバーフロー及び/又はすすぎ水からの)廃水の処理及びリン酸塩処理装置の新鮮水による補充はコスト要因であるので、これらのコストを最小にする必要がある。特許文献1は使用済みの界面活性剤含有リン酸鉄処理浴の再処理もしくは濃縮のための方法及びプラントを記載している。したがってこの方法は上述した、処理金属表面に結晶性亜鉛含有リン酸塩層を生成するリン酸亜鉛処理ではない。この方法はリン酸鉄の無定形層及び酸化鉄を鉄表面に形成するリン酸鉄処理を記述している。リン酸鉄処理溶液に界面活性剤を添加すると、それらは同時に清浄化剤として働く。上述した文献はかかる界面活性剤含有リン酸鉄処理溶液の限外濾過による再処理を取り扱っている。この処理は界面活性剤を主として保持液として保持するように行われる。透過液は金属イオンを含有し、処分されなければならない。保持液に保持された界面活性剤はリン酸鉄処理溶液のさらなる成分によって補充されリン酸塩処理浴に再循環され得る。この方法によれば活性成分の一部はリン酸鉄処理溶液に再循環され、かつ廃水及び新鮮水の量を減ずることができる。
【0007】
特許文献2は鉄(II)イオン及び硝酸イオンを含有するリン酸亜鉛水溶液を用いて金属表面上にリン酸塩皮膜を形成させる、廃水のない方法に関している。少なくとも2つのすすぎ浴よりなるすすぎ浴カスケードをリン酸塩処理浴の下流に連結し、低塩含量の、好ましくは塩を含まない水を最後のすすぎ浴に供給し、水オーバーフローを各場合について先行するすすぎ浴又はリン酸塩処理浴に通し、そのようにして少なくとも非常に低塩のもしくは塩を含まない水をリン酸塩処理浴から除去し、リン酸塩処理浴はカスケードからのリン酸塩に富んだすすぎ水で補充する。しかし、この方法においては、促進剤の分解生成物等の、リン酸塩処理浴中の好ましくない成分の蓄積を防止できない。
【0008】
特許文献3はリン酸塩処理浴オーバーフロー及び/又はリン酸塩処理後のすすぎ水の処理方法を記載しており、そこではリン酸塩処理はPO4 3−として計算して3〜50g/Lのリン酸イオン、0.2〜3g/Lの亜鉛イオン、任意的に他の金属イオン、及び促進剤を含有する酸性リン酸塩処理水溶液を用いて行われ、リン酸塩処理浴オーバーフロー及び/又はすすぎ水はナノ濾過に付される。
【0009】
しかしながらこの方法の実際の実施においては、ナノ濾過膜の閉塞が数時間で観察される。これは、リン酸塩処理後のすすぎ水中に及びリン酸塩処理浴オーバーフロー中に含まれるリン酸塩スラリーを工業的に通常用いられる濾過方法、例えばバグフィルターやサンドフィルターを用いる方法によっては溶液から完全には除去できないことに起因している。膜濾過中、残ったスラリーが膜上に沈殿し、膜を塞ぐ。したがって、リン酸塩スラリーによる膜の閉塞を遅らせるかもしくは防止するように膜濾過方法を改善する必要がある。別の目的はすでに生じた閉塞を取り除くことである。これに関して採用する手段はそれによって廃水が余分に発生しないように、また廃水が重金属によってさらに汚染されないように選択すべきである。それよりも、該方法は、すすぎ水又はリン酸塩処理浴オーバーフロー中の有用物質、特に亜鉛、ニッケル及び/又はマンガンイオン等の層形成性金属イオンをリン酸塩処理プロセスに再循環させることができるように工夫すべきである。さらに、できるだけ多くの水を総括プロセスに戻し、それによって水の消費を低減するのが望ましい。
【特許文献1】
DE−C−4420760
【特許文献2】
EP−A−414301
【特許文献3】
DE−A−19813058
【発明の開示】
【0010】
本発明は、リン酸イオン3〜50g/L及び亜鉛イオン0.2〜3g/Lを含有するリン酸塩処理溶液を用いてリン酸塩処理した後のリン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水を処理する方法であって、かつ該リン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水を膜濾過に付し、該膜濾過からの保持液を保持液循環に回すことができる該方法において、
i)a)0.01〜5g/Lの重金属錯体形成剤、及び
b)該すすぎ水のpHを0.5〜2.5に低下させる量の酸
から選ばれる膜閉塞を遅らせる試薬を該リン酸塩処理浴オーバーフロー、該すすぎ水又は膜濾過前の保持液循環に添加し、
及び/又は
ii)膜濾過を設定した時間で中断し、該膜を0〜1.8のpHを有する酸b)の水溶液で処理する
ことを特徴とする該方法に関する。
【0011】
選択工程i)によれば、すすぎ水及び/又はリン酸塩処理浴オーバーフローを、リン酸塩処理スラリーによって、膜の閉塞が起こらないか又は少なくとも膜の閉塞を遅らせるように、膜濾過前に、処理する。これは、膜濾過前に、リン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水に、少なくとも1種の、重金属のための錯体形成剤及び/又はpH値を上述した範囲に低下させる量の酸を添加することによって行われる。できたてのリン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水の酸性化は必要量の酸を直接該リン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水に添加することによって行うことができる。膜処理を行う場合、一般に、保持液は循環し、保持液の一部のみを除去する。保持液循環への酸又は錯体形成剤の添加も可能である。その後は保持液はすでに酸又は錯体形成剤を含有している。この手順においては、その後は、錯体形成剤濃度及び/又はpH値についての前記条件が達成されるような量の錯体形成剤及び/又は酸を添加することが必要とされるのみである。
【0012】
選択工程ii)による手順は選択工程i)のようにできるだけ完全にリン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水を処理することではなく、かなりの時間の経過後に生じた膜閉塞を、透過液量が予め設定した最小量より小さくなる前に、膜濾過を短時間中断して濾過膜を、選択工程i)のb)に相当し0〜約1.8のpHを有する酸の水溶液で処理することによって、取り除くことである。このpH値は膜上に析出したリン酸塩スラリーが溶解するように選ばれなければならない。この方法によって膜の透過性が回復したら直ちにこの膜を用いるリン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水の処理を続行することができる。
【0013】
上記目的の一面によると、リン酸塩処理浴に再循環でき、そこで邪魔にならず、好ましくは活性成分を形成する物質のみを、本発明方法で用いて透過液量を維持するのが好ましい。したがって、酸b)としては、これらが選択工程i)又はii)にしたがって用いられるかどうかとは無関係に、工業的に通常のリン酸塩処理浴中に有用物質を生成する酸を用いるのが好ましい。かかる酸は特にリン酸、フッ化水素酸、及びその酸の残基がホウ素、ケイ素、チタン又はジルコニウムの錯フッ素イオンを形成する酸である。リン酸塩処理浴に促進剤として硝酸イオンを含有させようとする場合又はリン酸塩処理浴が促進剤として硝酸イオンを含有していてもよい場合には、硝酸も好ましい。
【0014】
変動成分a)、すなわち重金属のための錯体形成剤を用いる場合には、それらは分子中の(カルボキシル基の一部でない)水酸基及びカルボキシル基の合計が少なくとも3であるヒドロキシカルボン酸もしくはそれらの水溶性塩から選ばれるのが好ましい。かかる酸の例としては、クエン酸、酒石酸、及びグルコン酸等の糖酸が挙げられる。
【0015】
上記目的の一面によると、本発明方法は、必要な清浄化及びすすぎ工程を含むリン酸塩処理の総括的水消費量が最少になるように、又はリン酸塩処理に有用な物質のうち廃水と共に排出される量が少なくともなるべく少なくなるように操作すべきである。層形成性カチオン等の有用物質をできるだけ完全にリン酸塩処理プロセスに再循環させるために、本発明方法において選択工程i)の手順を採用し、これとの関連で膜濾過からの透過液を弱酸性イオン交換体に通すことができる。好ましい条件下にこのイオン交換体は少なくとも亜鉛イオン及び/又はニッケルイオンを結合し、結合した亜鉛イオン及び/又はニッケルイオンはイオン交換体の再生によって溶出されリン酸塩処理プロセスに再循環させることができる。弱酸性イオン交換体を充填し及び再生するのに特に有利な態様はDE−A−10056629及びDE−A−10056628に記載されている。これらの態様は膜濾過からの透過液のさらなる処理のために本発明の範囲内で採用するのが好ましい。下流にイオン交換体を使用するこの1態様においては、イオン交換体処理によって得られる水相を浄化プラントに直接送り込むことができる。しかしながら、節水の目的からは、この方法はイオン交換体処理後の水相をすすぎ目的のために再使用するように行うのが好ましい。
【0016】
総括的水消費量を最少にするための別の手段は選択工程i)を採用し、膜濾過からの透過液をpH6〜8に調整し、リン酸塩処理する金属表面の清浄化後のすすぎ水として用いる、すなわち清浄化とリン酸塩処理との間で用いることである。経済的理由からpHを調整するのに水酸化ナトリウムを使用するのが好ましい。
【0017】
直上の手順の別法として、膜濾過からの透過液をpH9〜13に調整し、リン酸塩処理する金属表面の清浄化のための清浄化溶液を補充するのに用いることが挙げられる。この場合にもpH調整には水酸化ナトリウムを使用するのが好ましい。
【0018】
膜濾過からの保持液は亜鉛、ニッケル及び/又はマンガンイオン等の層形成性カチオンを含有している。これらはリン酸塩処理に有用な物質であるので、保持液は少なくとも部分的にリン酸塩処理浴に再循環するように処理するのが好ましい。可能な態様として、これは、保持液をリン酸塩処理浴用補充溶液の調製の主成分として用い、活性成分(例えば層形成性金属のイオン、硝酸、リン酸、フッ化水素酸又はその酸残基がB、Si、Ti又はZrの錯フッ素イオンを形成する酸、又はヒドロキシルアミン等の内部促進剤)をリン酸塩処理浴用の補充溶液を形成するように保持液に添加する方法で行うことができる。
【0019】
しかしながら、保持液を活性成分の補充なしに直接リン酸塩処理溶液に再循環することも可能である。しかしこの場合には、リン酸塩処理浴中の遊離酸の含量が許容値を下回らないよう注意すべきである。
【0020】
かくして、本発明方法の1態様によれば、リン酸塩処理浴オーバーフロー又は膜濾過前のすすぎ水のpHが0.5〜2.5に低下した場合に、保持液のpHを2.55〜3.0、好ましくは2.6〜2.8に上昇させた後に該保持液をリン酸塩処理溶液に再循環させる。該pH値を上げるために、水酸化ナトリウム等の苛性アルカリを用い得る。しかしながらこれはリン酸塩処理のための活性成分を構成しない塩をリン酸塩処理浴中に増加させるという望ましくない結果ももたらし、リン酸塩処理浴に不必要な負荷をかける。この理由からリン酸塩処理浴のための活性成分を含有する物質を用いてpHを上げるのが好ましい。例えば、リン酸塩処理促進剤として働くヒドロキシルアミン、又はそれによってリン酸塩処理溶液中の層形成性カチオンの濃度が上昇する亜鉛、ニッケル及び/又はマンガンの酸化物もしくは炭酸塩をpH上昇のために使用できる。
【0021】
この場合においては、選択工程i)に従う好ましい態様を採用し、そこにおいては膜濾過中の膜閉塞を防止するために、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、及びその酸残基がB、Si、Ti又はZrの錯フッ素イオンを形成する酸から選ばれる酸を添加する。この方法の好ましい実施は、
a)膜濾過の保持液(濃縮液)を供給し得る少なくとも第1及び第2緩衝液容器を用意し、
b)予め設定した時間の間又は第1緩衝液容器が満たされるまで、膜濾過保持液を、少なくとも部分的に、第1緩衝液容器に供給し、
c)予め設定した時間の終了後に又は第1緩衝液容器が満たされたときに、
d)第1緩衝液容器への保持液の導入を止め、該保持液を、少なくとも部分的に、第2緩衝液容器に供給し、
e)第1緩衝液容器の内容物の組成に特徴的な少なくとも1つのパラメーターの値を測定し、
f)該特徴的なパラメーターの値を、第1緩衝液容器の内容物をリン酸塩処理溶液の補充溶液として用いることができるような値に変化させる量の補充化学物質を第1緩衝液容器中に添加し、
g)第1緩衝液容器の内容物をリン酸塩処理溶液中に注入し、その間、
h)膜濾過の保持液を、少なくとも部分的に、第2緩衝液容器に供給し、及び
k)第1緩衝液容器が空になった後でかつ第2緩衝液容器を満たすための予め設定した時間が終了した後に、又は第2緩衝液容器が満たされた後に、第1緩衝液容器の役割と第2緩衝液容器の役割とを交替させる
ことによって特徴付けられる。
【0022】
したがって、2以上の緩衝液容器を用意し、その中に膜濾過の保持液を供給できる。適当な寸法を有しているなら、2つの緩衝液容器で十分である。膜濾過の保持液を、予め設定した時間が経過するまで又は第1緩衝液容器が満たされるまで、部分的に又は好ましくはすべて第1緩衝液容器に供給する。予め設定した時間は例えば8〜120時間であり、好ましくは16〜24時間である。これに関して、該時間中に生じるすべての膜濾過保持液をそれ1つで収容し得る容量を有する緩衝液容器を選ぶのが好ましい。予め設定した時間が経過したか又は第1緩衝液容器が満たされたときに、この緩衝液容器への保持液の導入を中止し、その後の保持液は第2緩衝液容器に供給する。第2緩衝液容器の容量及び供給時間は、第1緩衝液容器の容量及びそれへの保持液の供給時間と同様でよい。保持液を第2緩衝液容器に供給している間、第1緩衝液容器の内容物を、該内容物の組成に特徴的な少なくとも1つのパラメーターの値を測定することによって分析する。もっとも簡便には、このパラメーターはpH値である。これとは別に又はこれに加えて、遊離酸もしくは全酸の含量、又はリン酸塩処理の間にリン酸塩層中に取り込まれる少なくとも1種の2価カチオンの含量を測定することができる。これらの2価カチオンは例えば亜鉛、ニッケル及びマンガンのカチオンから選ぶことができる。遊離酸の含量はリン酸塩処理技術において当業者に既知の方法によって、例えば10mLの試料を、必要に応じ水で希釈後に、0.1N水酸化ナトリウムでpH3.6まで滴定することによって測定する。必要とされた水酸化ナトリウムのmLでの量は遊離酸のポイント数を示す。全酸の含量は同様にして試料をpH8.5まで滴定することによって測定する。上述のpH値に代えて、遊離酸の含量はメチルオレンジの色が変わるまで滴定することによっても測定でき、全酸の含量はフェノールフタレインの色が変わるまで滴定することによって測定できる。
【0023】
これに続いて、選択された特徴的なパラメーターの値を第1緩衝液容器の内容物をリン酸塩処理溶液の補充溶液として用いることができるように変化させる量の補充化学物質を第1緩衝液容器に加え、その内容物と混合するか該内容物と反応させる。例えば特徴的なパラメーターとしてpH値(このpH値は膜濾過前のすすぎ水もしくはリン酸塩処理浴オーバーフローの酸性化のため、リン酸塩処理溶液のpH値より低い)を選んだ場合、2.6〜3.6のpH値が達成されるような量の少なくとも1種の中和用補充化学物質を添加する。このpH調整により第1緩衝液容器の内容物はリン酸塩処理溶液の補充溶液として適したものになる。これに関して、アルカリ性の方向に変化させる化学物質としては炭酸亜鉛及び/又は炭酸マンガンを水スラリーとして加えるのが好ましい。このようにすると、pH値が上がるだけでなく、亜鉛及び/又はマンガンの濃度も上がるので、第1緩衝液容器の内容物は、pH値をアルカリ溶液や炭酸アルカリで調整する場合に比し、リン酸塩処理溶液の補充溶液としてより好適なものになる。
【0024】
第1緩衝液容器の内容物をこのように調整した後、内容物をリン酸塩処理溶液中に注入する。これは第1緩衝液容器の内容物を、例えばパイプラインやポンプによって、連続的にリン酸塩処理溶液に移送することによって行うのが好ましい。これに関して、リン酸塩処理溶液への移送速度は、第2緩衝液容器を満たすのに予め設定した時間が経過したか第2緩衝液容器が満たされたときに第1緩衝液容器がちょうど完全に空になるように選ぶのが好ましい。このようにすると、リン酸塩処理溶液の体積やその組成が急速に変化することを防ぐことができる。さらに、第1緩衝液容器はその後再び、第2緩衝液容器への保持液の導入が終了するまさにそのときに、膜濾過の保持液を受けるのに使用することができる。
これ以降、第1緩衝液容器と第2緩衝液容器の役割は交替する。このことは今度は第1緩衝液容器が膜濾過からの保持液で満たされ、一方、その間に、すでに第1緩衝液容器について説明したように、第2緩衝液容器の内容物の組成を測定し、該内容物をリン酸塩処理溶液に移送できるように調整し、ついで第2緩衝液容器の内容物をリン酸塩処理溶液に移送する。
【0025】
上述の手順ためには2つの緩衝液容器で十分である。しかし、安全のため、第3緩衝液容器を用意しておくことができ、第2緩衝液容器がすでに満たされているが、第1緩衝液容器がまだ完全に空になっていない場合に、第3緩衝液容器に膜濾過の保持液を供給する。2つより多くの緩衝液容器を用いるときの手順はすでに述べてきたところと変わりなく、各緩衝液容器を交互に膜濾過の保持液で満たし、ついで該容器の内容物をリン酸塩処理溶液中に注入する。
【0026】
この手順によると、リン酸塩処理後のすすぎ水中又はリン酸塩処理浴オーバーフロー中に存在する層形成性2価カチオンはリン酸塩処理溶液中に再循環される。したがって、これらのカチオンの循環は大きく閉じた循環である。これに関して、膜濾過前のすすぎ水やリン酸塩処理浴オーバーフローの酸性化に使用する酸はリン酸であるのが好ましい。その理由はこの酸はリン酸塩処理溶液の主要な成分を形成するからである。
【0027】
本発明方法のさらなる修飾においては、手順は上述した選択工程i)と同様であり;膜濾過の透過液をpH6〜13に調整し、リン酸塩処理する金属表面を清浄化する清浄化溶液を補充するのに使用するが、この際少なくとも1種の界面活性剤を膜濾過の透過液に添加する。pH値の調整には水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムを用いるのが好ましい。pH値は9〜13に調整するのが好ましい。界面活性剤はノニオン界面活性剤から選択するのが好ましく、かかるノニオン界面活性剤としては、例えば、アルキル鎖中の炭素数が8〜22であるアルキルアルコールもしくはアルキルアミンのエトキシレート及び/又はプロポキシレートが挙げられる。植物もしくは動物油脂から得られるアルキルアルコールもしくはアルキルアミンのエトキシレート及び/又はプロポキシレートを用いるのが好ましい。
【0028】
必要に応じ、界面活性剤に加えて、ビルダー物質も膜濾過の透過液に添加し得る。かかるビルダー物質は水溶性のホウ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、トリリン酸塩及びピロリン酸塩を含む群から選ぶのが好ましい。これらの塩のカチオンとしてはナトリウム及び/又はカリウムイオンが好ましい。
【0029】
この態様においては、膜濾過の透過液を上述した範囲のpH値に連続的に調整し、界面活性剤を透過液に添加し、該透過液をリン酸塩処理する金属表面を清浄化するための清浄化溶液に供給できる。しかし別法として、すでに記述した手順に従って保持液を用いてリン酸塩処理溶液を補充する際に、透過液を緩衝液容器に移送してもよい。その緩衝液容器が膜濾過の透過液で満たされた後に、pH値を上げ、界面活性剤を添加する。ついで緩衝液容器の内容物を上記した清浄化溶液に注入する。すでに詳細に記述した手順と同様に、2以上の緩衝液容器を用意し、それらを交互に満たし、空にする。
【0030】
選択工程i)に従えば、濾過膜を、リン酸塩処理からの廃水の処理においてこれまで通常であった時間より実質上長い間、働かせることができる。しかしながら、この場合も、延長された期間の後に酸又はアルカリで膜を清浄化することが推奨される。この際に好ましい手順は膜の清浄化で放出された亜鉛イオン等のリン酸塩処理溶液の成分を捨てることではなく、それらを最終的にリン酸塩処理溶液に再循環することである。例えば、選択工程i)の手順を採用し、予め設定した透過液量に達しない場合に又は予め設定した時間を経過した後に膜濾過を中断し、該膜をpH8〜14のアルカリ溶液で清浄化する。この清浄化により生ずる透過液を選択工程i)のさらなる手順中で生ずる酸性透過液のpHを上げるために用いるか、又はリン酸塩処理する部品を実際のリン酸塩処理前に清浄化するための清浄化溶液を調製するか補充するために用いることができる。
【0031】
このアルカリ清浄化工程は、例えば、透過液量が新しいもしくは新たに清浄化された膜についての値の20%未満に低下した場合に行うことができる。別法として、選択工程i)の操作の時間を予め設定しておき、それを経過した後に上述のアルカリ清浄化工程を行うことができる。この時間は例えば1〜12か月とし得る。最適の操作時間は現場で実験して決定しなければならない。Desal D5膜を用いる場合には、4〜8か月毎にアルカリで清浄化すれば十分である。例えば、濃縮液を水で0.05%に希釈して得られるアルカリ清浄化溶液がこの目的に適しており、該濃縮液は質量%で水酸化ナトリウム84.5%、グルコン酸ナトリウム10%、トリリン酸ペンタナトリウム5%及び界面活性剤0.5%の組成を有する。希釈された清浄化溶液は10.5程度のpHを有し、膜の清浄化に対しては約30℃の温度で使用するのが好ましい。
【0032】
アルカリ溶液による膜の清浄化はアルカリ溶液の70〜90容量%が膜を通して流れるように行うのが好ましい。残りの保持液は廃水処理に回し廃棄するのが好ましい。アルカリ性の透過液は、清浄化の後に再び採用する選択工程i)の処理、又は膜の清浄化と平行して行われる、第2の膜を用いた選択工程i)の処理における酸性透過液のpH値を上げるために用いることができる。この工程の目的はすでに詳細に論じた。このようにして活性成分を総括プロセスに再循環する。別法として、膜清浄化に伴い生ずるアルカリ性透過液を実際のリン酸塩処理前にリン酸塩処理する部品を清浄化するための清浄化溶液を調製もしくは補充するために用いることができる。この場合には、膜清浄化溶液の清浄化活性成分をリン酸塩処理前の清浄化溶液に戻し、それによって再使用することになる。どの方法を取るかとは関係なく、膜清浄化に伴い生ずる透過液の再循環によって原料需要及び廃棄する廃水の量を減ずることができる。
【0033】
上述のアルカリ膜清浄化の代わりにもしくはこれと交互して、選択工程ii)の処理を行うことができる。選択工程ii)の手順によって、膜上に析出したリン酸塩スラリーが溶解される。したがって、ほんの少量であるとしても亜鉛、ニッケル及び/又はマンガンイオン等の層形成性カチオンを含有する溶液が形成される。この溶液は廃水処理に回すことができる。しかし、膜から溶解したこれらの層形成性カチオンをリン酸塩処理プロセスに再循環するのが好ましい。このためには、本発明方法を交互に選択工程i)と選択工程ii)に従って行う手順を採用するのが好ましい。したがって、本方法は主として選択工程i)に従って行う。しかし、この方法を用いても時間の経過に従って透過液量がかなり低下する場合に、この手順を短期間中断し、選択工程ii)を行う。濾過膜と接触後の酸水溶液は捨てずに貯え、選択工程i)の処理を再スタートさせ、貯蔵した酸溶液を、選択工程i)の手順におけるリン酸塩処理浴オーバーフローまたはすすぎ水に膜閉塞を遅らせる試薬として、リン酸塩処理浴オーバーフローまたはすすぎ水のpHが0.5〜2.5に減じられるような量で、添加することができる。選択工程ii)で用いる酸、及びこの酸によって膜から溶解する層形成性カチオンはこのようにして選択工程i)の好ましい態様のリン酸塩処理プロセスに再循環される。
【0034】
上述した手順のどれを採用するかとは関係なく、膜濾過としてはナノ濾過又は逆浸透を用いるのが好ましい。これらの手順によって、層形成性カチオンをなるべく保持液中に保持し、他方、層非形成性一価カチオン及び場合により促進剤分解生成物を含有する透過液をリン酸塩処理浴から排出することができる。
【0035】
本発明方法及びそれを用いて本発明方法を行うのが好ましいリン酸塩処理溶液を以下により詳細に説明する。
【0036】
リン酸塩処理溶液の亜鉛含量は、低亜鉛処理において一般的である、0.4〜2g/Lであるのが好ましく、0.5〜1.5g/Lであるのが特に好ましい。リン酸塩処理浴におけるリン酸イオン/亜鉛イオンの質量比は、3.7〜30の範囲内である限り、広い範囲に亘って変化させることができるが、10〜20の範囲内であることが特に好ましい。
【0037】
リン酸塩処理浴は、亜鉛イオン及びリン酸イオンとは別に、リン酸塩処理浴で現在通常用いられる成分を含有していもよい。
形成されたリン酸塩層の塗膜密着性及び耐食性に有利に働くことが経験的に見出された別の一価もしくは二価金属イオンを含有するリン酸塩処理溶液を用いることが好ましい。かくして、本発明のリン酸塩処理溶液はさらに以下のカチオンの少なくとも1種を含有するのが好ましい:
0.1〜4g/Lのマンガン(II)イオン、0.1〜2.5g/Lのニッケル(II)イオン、0.2〜2.5g/Lのマグネシウム(II)イオン、0.2〜2.5g/Lのカルシウム(II)イオン、0.002〜0.2g/Lの銅(II)イオン、0.1〜2g/Lのコバルト(II)イオン。
【0038】
例えば、リン酸塩処理溶液は、亜鉛イオンとは別のカチオンとして、0.1〜4g/Lのマンガンイオン及び0.002〜0.2g/Lの銅イオン、及び0.05g/L以下、特に0.001g/L以下のニッケルイオンを含有する。しかし、従来のトリカチオン技術を維持したい場合には、亜鉛イオンとは別に、0.1〜4g/Lのマンガンイオン及び0.1〜2.5g/Lのニッケルイオンを含有するリン酸塩処理浴を用いることができる。カチオンをどのような形態でリン酸塩処理浴に添加するかは原則として重要ではない。しかし、カチオン源として酸化物及び/又は炭酸塩を用いるのが特に好適であることが分かった。リン酸塩処理浴からの塩の析出の危険を避けるため、リン酸以外の酸の塩は避けるのが好ましい。
【0039】
異なる基体に適することが意図されるリン酸塩処理浴の場合には、F−として計算して、遊離及び/又は錯体結合フッ素イオンを2.5g/Lまでの全フッ素イオン量でかつそのうち750mg/Lまでの遊離フッ素イオン量で添加するのが通常になってきた。フッ素イオンのない場合には、浴のアルミニウム含量を3mg/Lを超えた値とすべきでない。フッ素イオンの存在下では、錯体形成により、錯体となっていないアルミニウムイオンが3mg/Lを超えない限り、より高いAl含量とすることができる。
【0040】
層形成性2価カチオンとは別に、リン酸塩処理浴は一般にさらに、遊離酸を調整するためにナトリウム、カリウム及び/又はアンモニウムイオンを含有している。
【0041】
もっぱら亜鉛めっきした材料を処理するのに使用するリン酸塩処理浴はいわゆる促進剤を必ずしも含まなくてもよい。しかしながら、亜鉛めっきされていない鋼表面をリン酸塩処理するのに必要である促進剤は亜鉛めっきした材料をリン酸塩処理する場合にも当業界ではしばしば使用される。促進剤を含有するリン酸塩処理溶液は亜鉛めっきした材料及び亜鉛めっきしていない材料の両方に適しているという利点を有している。このことは自動車車体のリン酸塩処理においては特に重要である。その理由は自動車車体はしばしば亜鉛めっきした表面も亜鉛めっきしていない表面も含んでいるからである。
【0042】
リン酸塩処理浴のための種々の促進剤が先行技術において用いられている。それらは酸洗い反応中に生成する水素と反応するので、層形成を促進し、リン酸塩層の形成を容易にする。このプロセスは「脱分極」と呼ばれる。膜形成の邪魔をする、金属表面上の水素泡の生成はこれによって防止される。本発明方法の範囲内では、その二次生成物もしくは分解生成物(水素との反応生成物)がナノ濾過膜を透過できる促進剤が好ましい。このようにすれば、促進剤の二次生成物もしくは分解生成物がリン酸塩処理浴中に蓄積するのを避け、それらを少なくとも部分的にナノ濾過の濾液(透過液)を経て系外に排出できる。
【0043】
二次生成物もしくは分解生成物として水又はナノ濾過膜を透過できる1価イオンを生成する促進剤が特に好適である。リン酸塩処理溶液は、例えば、以下の促進剤の少なくとも1種を含有することができる:
0.3〜4g/Lの塩素酸イオン、0.01〜0.2g/Lの亜硝酸イオン、0.1〜10g/Lのヒドロキシルアミン、0.001〜0.15g/Lの遊離もしくは結合形態の過酸化水素、0.5〜80g/Lの硝酸イオン。
【0044】
金属表面上の脱分極反応において、塩素酸イオンから塩素イオンが生成し、亜硝酸イオンから硝酸イオン及びアンモニウムイオンが生成し、硝酸イオンからアンモニウムイオンが生成し、ヒドロキシルアミンからアンモニウムイオンが生成し、及び過酸化水素から水が生成する。生成したアニオン又はアンモニウムイオンはナノ濾過膜を透過でき、その結果、本発明方法においては、これらのイオンは少なくとも部分的に、リン酸塩処理浴オーバーフロー又はリン酸塩処理後のすすぎ水から排出される。
【0045】
塩素酸イオンと共に又はその代わりに、過酸化水素を促進剤として用いるのが有利である。過酸化水素はそのものとして又はリン酸塩処理浴の条件下に過酸化水素を生成する化合物の形態で用いることができる。しかし、これに関しては、二次生成物として多価イオンが形成されないのが好ましい。その理由はそれらがナノ濾過からの濃縮液の再循環中にリン酸塩処理浴中に蓄積するからである。この理由から、過酸化水素の代替物としてはアルカリ金属過酸化物が特に好ましい。
【0046】
本発明方法の範囲で同様に好ましく使用し得る促進剤はヒドロキシルアミンである。この化合物を遊離形態又はリン酸ヒドロキシルアンモニウム、硝酸ヒドロキシルアンモニウム及び/又は塩化ヒドロキシルアンモニウムの形態でリン酸塩処理浴に添加する場合には、ナノ濾過膜を透過することができる分解生成物もしくは二次生成物のみを生成させることができる。
【0047】
ナノ濾過についての先行技術においては種々のタイプの膜を利用し得る。リン酸塩処理浴もすすぎ水も酸性なので、使用するナノ濾過膜は酸に対して安定であるべきである。セラミック膜等の無機膜が好適である。しかし、有機重合体膜も使用し得る。有機重合体膜としてはポリアミド膜が特に好適である。
【0048】
ナノ濾過からの濾液(透過液)は、装置及び処理条件の好適な設定の下に、廃水中のその制限値が維持されるような低い濃度の2価カチオンのみを含有する。従って、廃水処理における重金属沈殿はもはや必要とされない。しかし、他方、1価のカチオン及び促進剤分解生成物が(ナノ濾過からの)濃縮液の再循環中にリン酸塩処理浴中に技術的に望ましい濃度を超えて蓄積しないように、かかる量の1価のカチオン及び促進剤分解生成物をナノ濾過からの濾液中に排出する。
【0049】
かくして、本方法はナノ濾過からの濃縮液をリン酸塩処理溶液に再循環するように操作するのが好ましい。それによって、リン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水中に存在する層形成性カチオンは少なくとも完全には捨てられず、少なくとも部分的にリン酸塩処理溶液に再循環される。リン酸塩処理溶液中のこれらのカチオンの濃度はリン酸塩層の形成による又はスラリー形成による消費に対応して補充される必要がある。これによって、一方では処理経費が低減し、他方では補充すべき成分の量を少なくすることができるのでリン酸塩処理浴のより経済的な操作が可能になる。すでに詳細に述べたように、(ナノ濾過からの)透過液の再使用によって、清浄化及びリン酸塩処理プロセスの総括的水消費量を低減できる。
【0050】
実施例1
ナノ濾過を用いる本発明方法をリン酸塩処理後に得られるすすぎ水で試験した。すすぎ水を、バグ濾過によるスラリーの除去(スラリーの88%が除去された)後に、ポリアミド製のDesal DK膜を用いてナノ濾過した。すすぎ水中の亜鉛、ニッケル、マンガン及び1価イオンの濃度を下記に示す。ナノ濾過の透過液及び濃縮液中の対応する値も下記に示す。膜濾過処理を濃縮液:濾液の体積比が5:1になるようにして行った。さらなる操作条件及び結果を以下にまとめて示す。
【0051】
リン酸塩処理後のすすぎ水は以下の成分を含有する:
Zn2+ 100mg/L、Mn2+ 50mg/L、Ni2+ 49mg/L、Na+ 130mg/L、H2PO4 − 1500mg/L、NO3 − 300mg/L、有機成分 10 mg C/L、スラリー 0.05g/L、pH 3.8。
【0052】
すすぎ水処理
バグ濾過によるスラリーの濾過
フィルター:Lofclear 523 D (Loeffler製)、スラリー除去率:88%
【0053】
A.前処理なしのすすぎ水のナノ濾過(比較例)
操作条件
Desal DK膜 (Osmonics)、圧:8 bar、温度:40℃、透過液:15 L/m2・h
体積比:濃縮液:濾液 5:1
結果
3時間後に膜が閉塞した。
透過液:<5 L/m2・h(8 bar)(33%)
【0054】
B.すすぎ水のナノ濾過:すすぎ水にH 2 PO 4 − の添加による前処理
4.0 g/L H 3 PO 4 −75%(酸)(本発明)
操作条件
上記Aと同じ
結果
100時間後に膜が閉塞した。
透過液:<5 L/m2・h(8 bar)(33%)
【0055】
濃縮液はZnCO3又はMnCO3を添加し(て例えばpHを2.7に調整し)た後にリン酸塩処理浴に再循環し得る。これによりリン酸塩処理浴中の遊離酸の増加を防止できる。
濾液はNaOHの添加後に、(リン酸塩処理する金属表面の)清浄化後のすすぎ水として(この場合はNaOH添加によりpHを7に調整する)及び/又は清浄化のための補充溶液として(この場合はpHを10〜11に調整する)(追加成分として界面活性剤の添加が推奨される)再使用し得る。
透過液中のZn2+/Mn2+/Ni2+の濃度を著しく減少させ得る。
【0056】
C.すすぎ水のナノ濾過:すすぎ水のHFの添加による前処理
200 mg/L HF−70% (本発明)
操作条件
上記Aと同じ
結果
50時間後に膜が閉塞した。
透過液:<5 L/m2・h(8 bar)(33%)
【0057】
実施例2
H3PO4−5%による膜の清浄化
操作条件
上記1Bと同じ
100時間後に膜をH3PO4−5%で清浄化した(室温、20分、pH1.2)。
清浄化後該酸を1Bと同様にしてすすぎ水の処理のために使用した(60g/L H3PO4−5%)。
分析
Zn2+ 16ppm、Mn2+ 10ppm、Ni2+ 12ppm、Fe3+ 18ppm、H2PO4 − 50,000ppm
Claims (20)
- リン酸イオン3〜50g/L及び亜鉛イオン0.2〜3g/Lを含有するリン酸塩処理溶液を用いてリン酸塩処理した後のリン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水を処理する方法であって、かつ該リン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水を膜濾過に付し、該膜濾過からの保持液を保持液循環に回すことができる該方法において、
i)a)0.01〜5g/Lの重金属錯体形成剤、及び
b)該すすぎ水のpHを0.5〜2.5に低下させる量の酸
から選ばれる膜閉塞を遅らせる試薬を該リン酸塩処理浴オーバーフロー、該すすぎ水又は膜濾過前の保持液循環に添加し、
及び/又は
ii)膜濾過を設定した時間で中断し、該膜を0〜1.8のpHを有する酸b)の水溶液で処理する
ことを特徴とする該方法。 - 硝酸、リン酸、フッ化水素酸、及びその酸の残基がB、Si、Ti又はZrの錯フッ素イオンを形成する酸から選ばれる酸b)を用いる請求項1記載の方法。
- 選択工程i)を採用し、分子中の水酸基及びカルボキシル基の合計が少なくとも3であるヒドロキシカルボン酸もしくはそれらの塩から選ばれる錯体形成剤a)をリン酸塩処理浴オーバーフロー、すすぎ水又は保持液循環に添加する請求項1記載の方法。
- 選択工程i)の手順を採用し、膜濾過からの透過液を弱酸性イオン交換体に通す請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 選択工程i)の手順を採用し、膜濾過からの透過液をpH6〜8に調整し、リン酸塩処理される金属表面の清浄化後のすすぎ水として用いる請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 選択工程i)の手順を採用し、膜濾過からの透過液をpH9〜13に調整し、リン酸塩処理される金属表面の清浄化のための清浄化溶液を補充するために使用する請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 選択工程i)の手順を採用し、膜濾過からの保持液を、少なくとも部分的に、リン酸塩処理溶液に循環する請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- リン酸塩処理浴オーバーフロー、すすぎ水又は膜濾過前の保持液循環のpHが0.5〜2.5に低下した場合に、リン酸塩処理溶液に循環する保持液のpHを2.55〜3.0に上昇させる請求項7記載の方法。
- pHを上昇させるために、ヒドロキシルアミン、又は亜鉛、ニッケル及び/又はマンガンの酸化物もしくは炭酸塩を用いる請求項8記載の方法。
- 選択工程i)の手順を採用し、予め設定した透過液量に達しない場合に又は予め設定した時間を経過した後に膜濾過を中断し、該膜をpH8〜14のアルカリ溶液で清浄化し、この清浄化により生ずる透過液を選択工程i)のさらなる手順中で生ずる酸性透過液のpHを上げるために用いるか、又はリン酸塩処理する部品をリン酸塩処理前に清浄化するための清浄化溶液を調製するか補充するために用いる請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- アルカリ溶液による膜の清浄化をアルカリ溶液の70〜90容量%が透過液として膜中を透過する請求項10記載の方法。
- 選択工程ii)の手順を採用し、濾過膜との接触後の酸b)の水溶液を、引き続いて選択工程i)を採用することとして、リン酸塩処理浴オーバーフロー、すすぎ水又は保持液循環に、膜の閉塞を遅らせるための試薬として、リン酸塩処理浴オーバーフロー又はすすぎ水のpHを0.5〜2.5に低下させる量で添加する請求項1又は2記載の方法。
- 膜濾過がナノ濾過又は逆浸透である請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 選択工程i)の手順を採用し、膜閉塞を遅らせる試薬として硝酸、リン酸、フッ化水素酸、及びその酸の残基がB、Si、Ti又はZrの錯フッ素イオンを形成する酸から選ばれる酸を添加し、さらに
a)膜濾過の保持液を供給し得る少なくとも第1及び第2緩衝液容器を用意し、
b)予め設定した時間の間又は第1緩衝液容器が満たされるまで、膜濾過保持液を、少なくとも部分的に、第1緩衝液容器に供給し、
c)予め設定した時間の終了後に又は第1緩衝液容器が満たされたときに、
d)第1緩衝液容器への保持液の導入を止め、該保持液を、少なくとも部分的に、第2緩衝液容器に供給し、
e)第1緩衝液容器の内容物の組成に特徴的な少なくとも1つのパラメーターの値を測定し、
f)該パラメーターの値を、第1緩衝液容器の内容物をリン酸塩処理溶液の補充溶液として用いることができるような値に変化させる量の補充化学物質を第1緩衝液容器中に添加し、
g)第1緩衝液容器の内容物をリン酸塩処理溶液中に注入し、その間、
h)膜濾過の保持液を、少なくとも部分的に、第2緩衝液容器に供給し、及び
k)第1緩衝液容器が空になった後でかつ第2緩衝液容器を満たすための予め設定した時間が終了した後に、又は第2緩衝液容器が満たされた後に、第1緩衝液容器の役割と第2緩衝液容器の役割とを交替させる
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。 - 予め設定した時間が8〜120時間である請求項14記載の方法。
- 第1緩衝液容器の内容物の組成に特徴的なパラメーターとして該内容物のpH値を選び、2.6〜3.6のpHが得られるような量の少なくとも1種の中和させることができる補充化学物質を添加する請求項14又は15記載の方法。
- アルカリ性補充化学物質として炭酸亜鉛及び/又は炭酸マンガンを添加する請求項16記載の方法。
- 選択工程i)の手順を採用し、膜濾過の透過液を6〜13のpHに調整し、リン酸塩処理する金属表面の清浄化のための清浄化溶液を補充するために使用し、少なくとも1種の界面活性剤を膜濾過の透過液に添加する請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 界面活性剤をノニオン界面活性剤から選択する請求項18記載の方法。
- ビルダー物質を膜濾過の透過液に添加する請求項15又は19記載の方法。
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