JP2004533231A - 組換えベクター、形質転換植物又はその一部分、形質転換植物細胞、形質転換植物及び形質転換植物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、重金属耐性が強化されて吸収力が減少した形質転換体の製造方法、及び細胞から重金属を汲み出すP型ATPアーゼZntA遺伝子で形質転換した植物に関する。形質転換体は、重金属で汚染された環境では野生型に比べてよく育ち、野生型植物に比べて重金属の含量が少ない。したがって、ZntA又は生物学的に活性なZntA-類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼで植物を形質転換させるこの方法は植物環境浄化技術用植物の開発や、重金属に耐性を有し重金属の蓄積が低い安全な農作物の開発に有用である。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は重金属耐性が強化された形質転換体の製造方法に関する。より詳しくは、重金属で汚染された環境でよく成長するが、重金属の蓄積量が少ない形質転換植物に関する。したがってこの方法は、植物を利用した植物環境浄化技術及び安全な農作物開発に有用に利用することができる。
【背景技術】
【0002】
重金属は主な環境汚染因子で、反応性酸化種の生成、DNA損傷及び細胞内酵素の活性部位に結合することによる酵素の不活性化を招く。
【0003】
産業化に伴って重金属による環境汚染が急激に増加している。1990年台の初めには世界年平均放出量はカドミウム22,000トン、銅954,000トン、鉛796,000トン、亜鉛1,372,000トンに達した(Alloway BJ & Ayres DC (1993) Principles of environmentalpollution. Chapman and Hall, London)。また、重金属に汚染された土壌は植物の正常な成長を阻害し、農作物の汚染を招く。殆どの重金属は人間の健康に害になるだけでなく、低濃度でも発癌性を示す。したがって、環境から重金属を除去することは緊急な課題である。
【0004】
全世界的に重金属を土壌から除去するための研究が進められている。土壌汚染物質を扱う一般的な方法は汚染された土壌の除去及び埋立、汚染地域の隔離、固定(金属を固定するための土壌の化学的処理)及び酸またはアルカリ性溶液を利用したろ過のような物理及び化学方法である( Salt DE, Blaylock M, Kumar NPBA, Viatcheslav D, Ensley BD, et al. (1995). Phytoremediation: a novel strategy forthe removal of toxic metals from the environment using plants. Bio-Technology13,468-74; Raskin I, Smith RD, Salt DE. (1997) Phytoremediation of metals:using plants to remove pollutants from the environment. Curr. Opin.Biotechnol. 8, 221-6)。しかし、このような方法は費用が多くかかり、莫大なエネルギーがかかる。
【0005】
植物環境浄化技術は、汚染された土壌から重金属を除去するために最近提案された安価で環境親和的な方法であって、一般的な植物、特に改良された植物または環境汚染物質を蓄積、除去または無毒化させることができる形質転換植物を利用して汚染された土壌を浄化する比較的新しい技術である。植物環境浄化技術は植物抽出、根ろ過及び植物安定化に分類される。
【0006】
植物抽出は、重金属を蓄積する植物を利用する方法であって、土壌の金属を植物の取入れ可能な部分に取り入れて土壌から金属を抽出する方法であり、根ろ過は植物の根を利用して汚染された水質から汚染物質を除去する方法であり、植物安定化は植物を利用して土壌内毒性金属のような汚染物質を安定化させて地下水への流入を防止することである( Salt DE et al., Biotechnology 13(5):468-474, 1995)。
【0007】
植物環境浄化技術の例としてはラレア トリデンタータ(Larreatridentata)植物を使用して銅、ニッケル及びカドミウムが含まれている土壌を浄化する方法(米国特許第5,927,005号)と、ブラシカセエ科(Brassicaceaefamily)の植物を利用した方法( Baker et al., New Phytol. 127:61-68, 1994)がある。
【0008】
また、重金属に耐性を示す遺伝子を導入して製造した形質転換植物を利用した植物環境浄化技術が試みられている。重金属に耐性を有する遺伝子としては、CAX2(Calcium exchanger2)、シトクロムP450 2E1、NtCBP4(Nicotiana tabacumcalmodulin-binding protein)、GSHII(glutathione synthetase)、merB(organomercuriallyase)またはMRTポリペプチド(metal-regulated transporter polypeptide)が知られている。
【0009】
アラビドプシス タリアナから単離されたCAX2(Calciumexchanger2)はカドミウム及びマンガンを含む重金属を植物内に蓄積する(Hirschi et al., Plant Physiol.124:125-134, 2000)。シトクロムP450 2E1はトリクロロエチレンのような有機物質を植物内に吸収して分解する(Doty SL etal., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:6287-6291, 2000)。NtCBP4で形質転換されたニコチアナタバクムはニッケルに対して耐性を示し(Arazi T et al., Plant J. 20:171-182, 1999)、GSHIIはカドミウムを蓄積し(LiangZhu Y et al., Plant Physiol. 119:73-80, 1999)、merBは有機水銀を分解し(Bizilyet al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:6808-6813, 1999)、MRTポリペプチドはカドミウム、亜鉛及びマンガンを含む重金属を汚染された土壌から除去する(米国特許第5,846,821号)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、前記で列挙した遺伝子を導入して産生した形質転換植物は重金属を継続して細胞質内に蓄積しなければならないため、成長に限界があり、汚染された土壌で成長するときは汚染された果実や農作物を生産することがある。したがって、重金属の吸収率が野生型に比べて低く、重金属で汚染された環境でも健康に成長し続ける植物が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、植物で発現されるとき、重金属耐性を有し、重金属の蓄積を阻害することができる遺伝子を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、重金属耐性遺伝子を含む組換えベクターを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、重金属耐性を有し、野生型植物に比べて重金属蓄積が少ない形質転換体の製造方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、重金属耐性を有し、野生型植物に比べて重金属の蓄積が少ない形質転換体を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、重金属汚染地域を環境親和的な空間に変換する方法を提供することである。
【0016】
前記目的を達成するため、本発明は、重金属-輸送P型ATPアーゼのコーディング(coding)配列を含む組換えベクターを提供する。ここで前記コーディング(coding)配列は、植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結され、その調節配列の統制下で作動可能である。
【0017】
また、本発明は、組換えベクターによってそれぞれ形質転換された形質転換植物又はその一部分を提供する。
【0018】
また、本発明は形質転換植物細胞を提供する。
【0019】
また、本発明は組換えベクターによって安定的に形質転換された形質転換植物を提供する。
【0020】
また、本発明は、重金属-輸送P型ATPアーゼ、すなわち配列番号1のZntAのコーディング(coding)配列を含む組換えベクターを提供し;
前記コーディング(coding)配列は、植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結され、その調節配列の統制下で作動可能であり、
前記ZntAは、約100個のアミノ酸残基からなるN-末端延長ドメイン、第1の膜貫通ドメイン、陽イオンチャンネルモチーフCPXドメインと推定されるものを含む第2の膜貫通ドメイン、第3の膜貫通ドメイン、第1の細胞質ドメイン、第2の細胞質ドメイン及びC-末端ドメインを含む。
【0021】
また、本発明は、重金属-輸送P型ATPアーゼ、すなわちZntAのコーディング(coding)配列を有する組換えベクターを提供し、;
前記コーディング(coding)配列は、植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結され、その調節配列の統制下で作動可能であり、
前記ZntAは、約100個のアミノ酸残基からなるN-末端延長ドメイン、第1の膜貫通ドメイン、陽イオンチャンネルモチーフCPXドメインと推定されるものを含む第2の膜貫通ドメイン、第3の膜貫通ドメイン、第1の細胞質ドメイン、第2の細胞質ドメイン及びC-末端ドメインを含み、
前記コーディング(coding)配列の前記各ドメインは、配列番号1と同一のドメインと少なくとも約50%の相同性を有する。
【0022】
また、本発明は、重金属耐性が強化された形質転換植物の製造方法を提供し、その製造方法では、;
(a)植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結されてその調節配列の統制下で作動可能な重金属-輸送P型ATPアーゼをエンコードする配列を含む発現構築体を調製し、
(b)前記発現構築体を有する組換えベクターを調製し、
(c)前記組換えベクター内の前記発現構築体を植物細胞又は植物組織に導入して形質転換植物細胞又は形質転換植物組織を製造する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
ここで言及する“P型ATPアーゼ”とは、ATPの加水分解から得たエネルギーを利用することにより特定物質を輸送し、リン酸化された中間体を形成する輸送体を意味する。より詳しくは、P型ATPアーゼは重金属-輸送ATPアーゼである。前記重金属は比重が4以上の金属元素であり、砒素(As)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、クロム、錫(Sn)、亜鉛、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)及びバナジウム(V)を含む。
【0024】
ZntAは、原形質膜と交差してPb(II)/Cd(II)/Zn(II)を汲み出す(pumps)大腸菌のP型ATPアーゼである(Rensing C, Mitra B, Rosen BP. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 94,14326-31; Sharma, R., Rensing, C., Rosen, B. P., Mitra, B. (2000) J Biol Chem. 275,3873-8)。
【0025】
P型ATPアーゼは一般的に2個の巨大細胞質ドメインと6個のトランスメンブレンドメインを有している。ZntAも同様のドメインを有しており、それ以外にN-末端に2個のトランスメンブレンへリックスと、CXXCモチーフを含む約100個のアミノ酸からなるN-末端延長部とを、有している。ZntAの第1の巨大細胞質ドメインは約145個のアミノ酸長さでリン酸中間体の加水分解に作用し、第2の巨大細胞質ドメインは約280個のアミノ酸長さでリン酸化モチーフを有している。われわれはN-末端側の4個のトランスメンブレンへリックスを第1の膜貫通ドメインとして示している。2個の巨大細胞質ドメインの間に位置する2個のトランスメンブレンへリックスは、第2の膜貫通ドメインとして示されている。このドメインは、陽イオンチャンネルモチーフCPXを含んでいると推定されている。第2の巨大細胞質ドメインとC-末端の間のトランスメンブレンへリックスは第3の膜貫通ドメインとして示されている。第3トランスメンブレン膜貫通ドメインの次の細胞質ドメインは、ZntAのC-末端ドメインとして示されている。
【0026】
“相同性(homology)”とは、2つのDNA又は蛋白質分子間での配列類似性を意味する。“生物学的に活性なZntA-類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼ”はZntAと50%以上の相同性を有するDNA配列によってコードされ、重金属ポンピング(pumping)活性を有する。生物学的に活性なZntA-類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼとしては、亜鉛-輸送ATPアーゼ(NC_000913)、亜鉛-輸送ATPアーゼ(NC_002655)、重金属-輸送ATPアーゼ(NC_003198)、P-型 ATPアーゼファミリー(NC_003197)、マイコバクテリウムレプラエド(Mycobacterium lepraed)由来の陽イオン輸送P型ATPアーゼ(GenBank#Z46257)及びその他のものがある。
【0027】
“重金属耐性蛋白質”は、鉛、カドミウム及び亜鉛に限定はしないが、これら重金属のうち少なくとも一種の重金属に対して耐性を媒介することができる蛋白質である。重金属耐性蛋白質の例として配列番号1のZntA蛋白質がある。
【0028】
“植物で発現可能な”というのは、コーディング(coding)配列が転写及び翻訳調節配列に連結されてその調節配列の統制下で作動し、植物細胞、植物組織、植物の一部分及び植物全体で効率的に発現できることを意味する。
【0029】
“植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列”とは、植物、植物組織、植物の一部分及び植物細胞で作用してこれと結合した標的配列の転写及び翻訳発現に影響を与えるものである。これは発現される標的遺伝子の5’末端配列に含まれていて、遺伝子発現を定性的に調節し(光などの環境的な信号や組織特異な様相に対する反応で、遺伝子発現の有無を決定する)、定量調節配列は都合よく下流の遺伝子の発現レベルを増加させる。翻訳調節配列として役立つ配列モチーフの例はリボソーム結合部位配列のそれである。ポリアデニル化信号は標的遺伝子の下流に位置した転写調節配列の例であり、植物分子生物学分野では公知のものがいくつかある。
【0030】
“形質転換植物”は遺伝工学的に操作されたものの一つで、野生型植物とは異なる。形質転換植物は一般に異種DNA配列を発現して野生型植物とは異なる特徴を示す。下記に例示されるように、形質転換植物は、植物細胞、植物組織又は植物全体で作用する転写調節配列に連結されてその調節配列の調節統制下で作動する少なくとも1種の異種DNA配列を含んで発現するように遺伝工学的に修飾されている。
【0031】
本発明は、重金属-輸送ATPアーゼ蛋白質のコーディング(coding)配列を含む、植物で発現可能な発現構築体を提供する。前記コーディング(coding)配列は、植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結されてその調節配列の調節統制下で作動する。前記重金属としては、砒素(As)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、クロム、錫(Sn)、亜鉛、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)及びバナジウム(V)がある。
【0032】
発現構築体はプロモーター、重金属輸送P型ATPアーゼ遺伝子及びターミネーターを含む。植物で発現可能なプロモーターとして適したプロモーターには、カリフラワーモザイクウイルス(CMV)の35S又は19Sプロモーター;アグロバクテリウムチュメファシエンスTiプラスミド(Agrobacterium tumefaciens Ti plasmid)のnos(ノパリンシンターゼ)プロモーター、ocs(オクトピンシンターゼ)プロモーター及びmas(マノピン(mannopine)シンターゼ)プロモーター;及びその技術分野で公知のプロモーターがある。
【0033】
本発明の重金属-輸送ATPアーゼ遺伝子は、ZntA(配列番号1)をエンコードする遺伝子又は生物学的に活性なZntA-類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼ遺伝子であることが好ましい。このZntA-類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼ遺伝子は、ZntAと少なくとも50%の相同性を有し、重金属ポンピング(pumping)活性を有する蛋白質をコードしている。
【0034】
また、本発明の重金属-輸送ATPアーゼ遺伝子は、約100個のアミノ酸残基からなるN-末端延長ドメイン、第1の膜貫通ドメイン、陽イオンチャンネルモチーフCPXドメインと推定されるものを有する第2の膜貫通ドメイン、第3の膜貫通ドメイン、第1の細胞質ドメイン、第2の細胞質ドメイン及びZntAのC-末端ドメインを含むDNA配列であるか、又は生物学的に活性なZntA類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼ遺伝子の上記ドメインと少なくとも50%の相同性を有するDNA配列であることが好ましい。
【0035】
本発明の発現構築体には、植物細胞における形質転換体の選別を可能とするマーカー又は標的蛋白質の発現位置を示すマーカーがさらに含まれてもよい。マーカーの例としては、カナマイシン、ヒグロマイシン、ゼンタマイシン及びブレオマイシンなどの抗生物質に対して耐性を示す遺伝子や;GUS(β-グルクロニダーゼ)、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)、ルシフェラーゼ及びGFP(緑色蛍光蛋白質(greenfluorescent protein))をコードする遺伝子がある。このマーカーにより、特定の抗生物質を含む培地で生育する形質転換植物を容易に選別することができる。このマーカーは、その特定の抗生物質に耐性を示す遺伝子と一緒に発現構築体を構成するからである。
【0036】
また、本発明は上記の発現構築体を含む組換えベクターを提供する。この組換えベクターは、公知のベクターのバックボーン(backbone)及び上記発現構築体を有している。公知のベクターは、pROKII、pBI76、pET21、pSK(+)、pLSAGPT、pBI121及びpGEMからなる群より選択されるのが好ましい。調製した組換えベクターの例としてPBI121/zntA及びpEZGがある。PBI121/zntAは、PBI121バックボーンにCMV35Sプロモーター、zntA遺伝子及びノパリンシンターゼターミネーターを含み;pEZGは、pUCバックボーンにECMV 35Sプロモーター、zntA遺伝子、緑色蛍光蛋白質及びノパリンシンターゼターミネーターを含む。
【0037】
また、本発明は前記発現構築体を含む形質転換体を提供する。前記形質転換体は重金属-輸送P型ATPアーゼ蛋白質をエンコードするDNA配列を含む。この配列は転写及び翻訳調節配列に連結されてその調節配列の調節統制下で作動する。
【0038】
本発明の形質転換体は好ましくは植物であり、より好ましくは植物、植物の一部分及び植物細胞である。前記植物の一部分は種子を含む。前記植物は草本植物及び木本植物であって、この植物には、花卉作物、園芸作物、玉ネギ、ニンジン、キュウリ、オリーブ、さつまいも、ジャガイモ、白菜、大根、レタス、ブロッコリー、ニコチアナタバクム、ペチュニア ヒブリダ、ひまわり、ブラシカ ジュンセア、芝、アラビドプシス タリアナ、ブラシカ カムペストリス、ベチュラ プラティフィラ、ポプラ、雑種ポプラ及びベチュラシュミッティが含まれる。
【0039】
形質転換体の製造技術は公知である。一例として、アグロバクテリウム チュメファシエンス-媒介DNA転移方法(Agrobacterium tumefaciens-mediated DNA transfer)がある。好ましくはエレクトロポレーション、微細粒子注入方法(micro-particleinjection)又は遺伝子銃(gene gun)を利用して製造した組換えアグロバクテリウムチュメファシエンスを用いることができる。
【0040】
また、本発明は、重金属耐性が強化された形質転換植物の製造方法を提供し、その製造方法では、;
(a)植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結されてその調節配列の統制下で作動可能な重金属-輸送P型ATPアーゼをエンコードする配列を含む発現構築体を調製し、
(b)前記発現構築体を有する組換えベクターを調製し、;さらに
(c)前記組換えベクター内の前記発現構築体を植物細胞又は植物組織に導入して形質転換植物細胞又は形質転換植物組織を製造する。
【0041】
前記した形質転換植物の製造方法はさらに、ステップ(c)の形質転換植物細胞又は形質転換植物組織から形質転換植物を再生させるステップ(d)を含む。
【0042】
本発明において、ZntA蛋白質を原形質膜で発現した(図2、3)。さらに、zntA-形質転換アラビドプシス植物は鉛及びカドミウムに対して強く耐性を示し、鉛及びカドミウムの含量は野生型植物に比べて低かった。
【0043】
したがって、zntA-形質転換植物又は生物学的に活性なZntA類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼをエンコードする遺伝子で形質転換された植物は、重金属で汚染された環境で成長することができ、このような技術は、有害な重金属の吸収量が低い農作物を生産するのに有用である。有害な重金属が黄砂や自然災害などにより偶然に農耕地に流入することもあるので、重金属ポンピング(pumping)形質転換農作物は健康に関心を持つ消費者には安全な上等品となり得る。
【0044】
下記の実施例は詳細な説明のために提供されたものであって、本発明の範囲は下記記述したことに限定されない。例示された組成物及び方法上一部の変形は当業者であれば可能なことで、本発明が属する分野内で実施することが可能である。
【実施例1】
【0045】
zntA遺伝子の単離
大腸菌K-12を韓国生命工学研究所遺伝子銀行から購入し、zntA遺伝子をクローニングした。
大腸菌K-12菌株のゲノムDNAを鋳型として利用したPCRでzntAを単離した。1組の配列番号2,3のプライマーでPCRを実施し、約2.2kbのPCR産物と配列番号1のzntA遺伝子を収得した。PCR産物の配列を分析し、そのPCR産物をpGEM-TEasyベクターにクローニングしてpGEM-T/zntAを製造した。
【実施例2】
【0046】
ZntA蛋白質の発現
zntA遺伝子をアラビドプシス原形質体に導入し、ZntA蛋白質の発現位置を確認した。
【0047】
(2-1)アラビドプシス原形質体調製
アラビドプシス原形質体を(Abel S, Theologis A (1994)Transient transformation of Arabidopsis leaf protoplasts: a versatileexperimental system to study gene expression. Plant J. 5, 421-7)に記載したように調製した。
【0048】
アラビドプシス種子を防腐液(滅菌水:クロロックス:0.05%トリトンX-100=3:2:2)に入れて、20-30秒間振とうし、5-10分間常温に放置した。その後、この種子を滅菌水で5回洗浄した。
【0049】
アラビドプシスの種子を、ビタミン、Duchefa4.4g/L、ショ糖20g/L、MES(2-(N-Morpholino)Ethanesulfonicacid、Sigma)0.5g/Lを含む液体培地(Murashige & Skoog medium;MSMO、pH5.7-5.8)100mlに入れ、22℃で16/8時間(昼/夜)周期に2-3週間120rpmで攪拌培養した。
【0050】
2-3週後、全ての植物をかみそりの刃(razor blade)で5-10mm2の大きさに切断した。葉切片を酵素溶液(1%セルラーゼR-10、0.25%マルセロチームR-10、0.5Mマニトール、10mMMES、1mM CaCl2、5mM β-メルカプトエタノール、0.1%BSA、pH5.7-5.8)に移して、10分間真空ろ過し、その後50-75rpmで攪拌しながら22℃の暗所で5時間放置した。放出された原形質体を100μmメッシュ(SIGMAS0770)でろ過し、730rpmでの10分間の遠心分離による21%ショ糖濃度勾配で精製し、その後20mlのW5溶液(154mM NaCl、125mMCaCl2、5mM KCl、5mM葡萄糖、1.5mM MES、pH5.6)に懸濁し、530rpmで6分間再び遠心分離した。沈殿した原形質体をW5溶液で再懸濁して氷冷した。
【0051】
(2-2)ベクターの調製
pGEM-T/zntA DNAをBamHI制限酵素で切断し、zntA遺伝子を抽出した(QIAGENGel extraction kit)。そのzntA遺伝子を、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの調節下に配置・融合させ、その後、緑色蛍光蛋白質(GFP)及びノパリン合成酵素(NOS)ターミネーターを含むpUC-GFPに挿入してpEZGを製造した。
【0052】
(2-3)H+ポンプ遺伝子用ベクターの調製
アラビドプシスの水素イオンポンプ遺伝子であるAHA2 cDNA(GeneBank:P19456)をPCRにより増幅した。PCR用プライマーを配列番号4及び配列番号5のポリヌクレオチドとした。PCR条件を下記の通りとした:94℃、30秒−>45℃、30秒−>72℃、1分、50周期。AHA2cDNAとしてのPCR産物を収得した。
【0053】
DsRedベクター(Clontech,Inc.)をBglII/NotI制限酵素で処理してDsRedを収得した。そのDsRedを、BamHI/Ecl136II制限酵素で開放したsmGFPベクターに挿入して326RFPを製造した。また、326RFPベクターのXmaIにAHA2cDNAを挿入して326RFP/AHA2を調製した。
【0054】
(2-4)原形質体へのpEZG又は326RFP/AHA2の導入
実施例(2-1)で調製した原形質体にpEZG及び326RFP/AHA2を導入し、外因性遺伝子(foreigngenes)の発現を確認した。
【0055】
その原形質体を500rpmで5分間遠心分離し、5×106個/mlの原形質体をMaMg溶液(400mMマニトール、15mMMgCl2、5mM MES-KOH、pH5.6)に懸濁した。300μlの懸濁液にpEZG及び326RFP/AHA2を各々10μg混合し、その後PEG溶液(400mMマニトール、100mMCa(NO3)2、40%PEG6000)300μlを添加し、常温で30分間保存した。その混合物をW5溶液5mlで洗浄して500rpmで3分間遠心分離し、沈殿物を収得した。その沈殿物を2mlのW5溶液で洗浄して22-25℃の暗所で放置した。24時間後、GFP蛋白質の発現を観察し、イメージをZeissAxioplan蛍光顕微鏡を使用して冷却電荷-結合素子(cooled charge-coupled device)カメラで撮影した。GFP撮影のために使用したフィルターセットはXF116(exciter、474AF20;dichroic、500DRLP;emitter、510AF23)(Omega,Inc., Brattleboro, VT)である。その後データをアドビ(Mountain View, CA)フォトショップソフトウェアで処理した。
【0056】
図2は、pEZG及び326RFP/AHA2でそれぞれ形質転換された原形質体においてGFPと融合したZntA蛋白質の発現位置を示している。“a”は対照であり、“b”は326RFP/AHA2で発現したAHA2蛋白質を示しており、“c”はpEZGで発現したZntA蛋白質を示しており、“d”は“b”と“c”の写真を重ねたものである。GFPと融合したZntA蛋白質はGFPによって緑色を示しており、DsRedと融合したAHA2はDsRedによって赤色を示している。
【0057】
図2中、GFPと融合したZntAはアラビドプシス原形質体内で細胞膜に位置した。
【0058】
さらに、アラビドプシス原形質体から膜及び細胞質分画を単離し、GFP抗体をプローブとして用いてウェスタンブロットを実施した。図3はウェスタンブロット写真で、“WT-C”は野生型アラビドプシス原形質体の細胞質であり、“WT-M”は野生型アラビドプシス原形質体の膜であり、“ZntA-C”はpEZGで形質転換されたアラビドプシス原形質体の細胞質であり、“ZntA-M”はpEZGで形質転換されたアラビドプシス原形質体の膜である。図3において、GFP抗体がpEZGで形質転換されたアラビドプシスの原形質体から抽出した膜蛋白質とのみ交差反応したことから、ZntA蛋白質が膜で発現したことを確認できた。
【実施例3】
【0059】
ZntA蛋白質を発現する形質転換植物の調製
(3-1)アラビドプシス
アラビドプシス植物を4℃で二日間成長させ、その後さらにそれらを16/8時間(昼/夜)の光周期、22℃/18℃で3-4週間花茎が形成されるまで育てた。1次花茎を除去し、2次花茎を形質転換に使用した。
【0060】
(3-2)pBI121/zntAベクター
zntA遺伝子を植物用発現ベクターであるpBI121に導入してpBI121/zntAベクターを製造した。
【0061】
SmaI及びEcl136II制限酵素で消化することによりpBI121ベクターのGUS遺伝子を除去し、pGEM-T/zntAから調製されたzntA遺伝子をpBI121ベクターに挿入し、これによりpBI121/zntAベクターを調製した(図4)。
【0062】
(3-3)形質転換植物の調製
pBI121/zntAベクターをプレップ-キット(prep-kit)(Qiagen)で単離し、エレクトロポレーションを用いてアグロバクテリウムに導入した。そのアグロバクテリウム(KCTC10270BP)を、O.D.値が0.8-1.0になるまでYEP培地(酵母抽出物10g、NaCl 5g、ペプトン10g、pH7.5)で培養した。その培養液を遠心分離し、細胞を収集して5%ショ糖を含むMS培地(Murashige& Skoog medium、4.3g/L、Duchefa)に懸濁し、最終濃度が0.01%濃度になるようにSilwetL-77(LEHLE SEEDS、USA)を形質転換直前に添加した。植物の形質転換として、pBI121/zntAをアグロバクテリウムLBA4404菌株に導入し、その後浸漬法でアラビドプシスを形質転換させた(Clough SJ,and Bent AF (1988), Floral dip: a simplified method for Agrobacterium-mediatedtransformation of Arabidopsis thaliana. Plant J. 16, 735-743)。
【実施例4】
【0063】
形質転換体の選別
zntA遺伝子で形質転換された植物を選別するために、カナマイシン(50mg/l)を含むムラシゲスクーグ(Murashige-Skoog)(MS)固形培地で植物を成長させた。T2又はT3世代の種子を実験に使用した。また、pBI121ベクターをアラビドプシスに導入し、形質転換体(pBI121植物)を選別した。野生型アラビドプシス、pBI121植物及びpBI121/zntA植物からそれぞれ種子を収得した。
【0064】
ZntAの発現レベルを確認するために、全RNAを、カナマイシン-選別されたT2植物から単離し、ノーザンブロット分析に使用した。全RNAを、1/2MS(Murashige& Skoog medium、2.15g/L、Duchefa)-寒天培地で3週間培養したアラビドプシス植物から抽出した。次に、公知の方法に多少の変更を加えてRNA調製及びノーザンハイブリダイゼーションを実施した(Sambrook etal. (2001) Molecular Cloning: A laboratory manual (Third Edition), ColdSpring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY)。
【0065】
植物基質を液体窒素で冷凍し、乳鉢及び乳棒で均一化した。組織100mgにつきTRIzol試薬(Lifetechnology、USA)1mlを試料に添加して5分間常温で放置した後、TRIzol試薬1mlにつきクロロホルム0.2mlを添加した。4℃で10分間10,000gで遠心分離した後、液相を取り出してTRIzol試薬1mlにつきイソプロピルアルコール0.5mlで沈殿させ、UV分光学により定量した。全RNAをホルムアルデヒド-含有寒天ゲルで分離し、その後ナイロン膜に転移させた。UV交差反応後、32P-標識されたzntAプローブを用いて、修飾チャーチ(Church)緩衝液(7%(w/v)SDS、0.5Mリン酸ナトリウム(pH7.2)、1mMEDTA(pH7.0))中で、ハイブリダイゼーションを68℃で一晩実施した。膜を1×SSC,0.1%SDS中で10分間常温で1回洗浄し、0.5×SSC,0.1%SDS中で10分間68℃で2回洗浄した。その膜をホスホイメージャスクリーン(phosphorimagerscreen)(富士フィルム)又はx-線フィルム(コダック)に露出させた。mRNAの発現レベルをMac-BASイメージ-リーダープログラムで解析した。図5は、アラビドプシス中のzntAmRNAの発現を示すノーザンブロット写真である。野生型アラビドプシス及びpBI121植物ではzntA mRNAの転写は観察されなかったが、pBI121/zntA植物では観察された。EF1-aは植物で常に発現される遺伝子であるが、その一様な発現レベルから同一量のRNAが他の試料に用いられたことが示された。
【実施例5】
【0066】
zntA遺伝子で形質転換された植物の重金属耐性
野生型アラビドプシス植物及びpBI121/zntA植物を1/2MS寒天培地で2週間育て、70μMのカドミウム又は0.7mMの鉛を含む1/2MS培地に移した。2週間後、成長、重量及び重金属含量を測定した。
【0067】
(5-1)植物の成長
図6は、鉛を含む培地で成長させた野生型及びpBI121/zntAアラビドプシス植物の成長程度を示したものである。図7は、カドミウムを含む培地で成長させた野生型及びpBI121/zntAアラビドプシス植物を示す。“WT”は野生型アラビドプシスであり、“1”乃至“4”はpBI121/zntA植物である。図6及び7で、pBI121/zntA植物は野生型植物に比べて発育がよく;これらの葉はより広くて緑色をしており、その新鮮重量も野生型に比べて重かった。このような結果は、ZntAの発現が形質転換植物にPb(II)-及びCd(II)-耐性を付与することを示している。
【0068】
(5-2)重量測定
野生型及びpBI121/zntAアラビドプシス植物を1/2MS-寒天培地で2週間生育させ、その後Cd(II)若しくはPb(II)を含有するか又は含有しない小さな砂利で支持した1/2MS-液体培地に移した。さらに2週間生育させた後、その植物を回収した。それらを氷冷1mM酒石酸塩溶液で洗浄して除去-乾燥した。その後、野生型及びpBI121/zntAアラビドプシス植物の重量を測定した。
【0069】
図8aは、鉛を含む培地で育てた野生型及びpBI121/zntAアラビドプシス植物の重量を示したグラフであり、図8bは、カドミウムを含む培地で育てた野生型及びpBI121/zntAアラビドプシス植物の重量を示したグラフである。pBI121/zntA植物の重量は野生型アラビドプシス植物に比べて重かった。このような結果は、ZntA蛋白質を発現する植物が重金属で汚染された土壌では野生型に比べてよく発育することを示している。
【0070】
(5-3)葉緑素含量測定
葉緑素含量を測定するために、葉を回収して95%エタノールで20分間80℃で抽出した。664nmと648nmで吸光度を測定し、葉緑素A及びBの含量を、(Oh SA, Park JH, Lee GI, Paek KH, ParkSK, Nam HG (1997) Identification of three genetic loci controlling leafsenescence in Arabidopsis thaliana. Plant J. 12, 527-35)に記載された通りに計算した。
【0071】
図9aは、鉛を含む培地で育てた野生型及びzntA形質転換アラビドプシス植物の葉緑素含量を示したグラフであり、図9bは、カドミウムを含む培地で育てた野生型及びzntA形質転換アラビドプシス植物の葉緑素含量を示したグラフである。zntA-形質転換植物の葉緑素含量は野生型に比べて多かった。
【0072】
(5-4)重金属含量の測定
われわれは、重金属を含む培地で成長させた対照及びZntA過剰発現植物におけるPb及びCd含量を測定した。pBI121/zntA植物を回収して重量を測定し、さらに65%HNO3で一晩200℃で蒸解した。蒸解した試料を0.5NのHNO3で希釈し、原子吸光分光光度計(AAS;SpectrAA-800、Varian)で解析した。
【0073】
図10は、重金属を含む培地で成長させた野生型及びzntA-形質転換植物の重金属含量を示したグラフである。図10aは鉛含量であり、10bはカドミウム含量である。pBI121/zntA植物のPb含量はライン(lines)ごとに差があるが、野生型に比べて全て少なかった。形質転換ライン1及び3のカドミウム含量は対照におけるそれに比べて少なかった。
【0074】
このように、zntA又はその他の生物学的に活性なZntA類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼで形質転換された植物は、重金属汚染された土壌で成長することができ、野生型植物に比べて重金属の吸収性に劣る。植物の成長を汚染された土壌で維持させることができるため、土壌の流失を減少させることができ、またzntA-形質転換植物は、重金属により汚染された土壌において野生型植物に比べて発育がよいため、汚染された地域から汚染物質の移動を減少させることができ、それによって汚染物質による地下水の汚染を減らすことができる。本発明を農作物植物に適用して重金属含量の低い安全な農作物を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】組換えベクターpEZGの地図を示したものである。
【図2】アラビドプシス原形質体で発現したZntA蛋白質が原形質膜に位置することを示したものである。
【図3】アラビドプシス原形質体で発現したZntA蛋白質が膜に位置することを示すウェスタンブロット写真である。
【図4】組換えベクターPBI121/zntAの地図を示したものである。
【図5】アラビドプシスにおけるzntA mRNAの発現を示すノーザンブロット写真である。
【図6】鉛を含む培地ではzntA-形質転換植物が野生型に比べてよく成長することを示したものである。
【図7】カドミウムを含む培地ではzntA-形質転換植物が野生型に比べてよく成長することを示したものである。
【図8】重金属を含む培地で栽培したzntA-形質転換植物の重量を示したグラフである。
【図9】重金属を含む培地で栽培したzntA-形質転換植物及び野生型植物の葉緑素含量を示したグラフである。
【図10】重金属を含む培地で栽培したzntA-形質転換植物及び野生型植物の重金属含量を示したグラフである。
【0001】
本発明は重金属耐性が強化された形質転換体の製造方法に関する。より詳しくは、重金属で汚染された環境でよく成長するが、重金属の蓄積量が少ない形質転換植物に関する。したがってこの方法は、植物を利用した植物環境浄化技術及び安全な農作物開発に有用に利用することができる。
【背景技術】
【0002】
重金属は主な環境汚染因子で、反応性酸化種の生成、DNA損傷及び細胞内酵素の活性部位に結合することによる酵素の不活性化を招く。
【0003】
産業化に伴って重金属による環境汚染が急激に増加している。1990年台の初めには世界年平均放出量はカドミウム22,000トン、銅954,000トン、鉛796,000トン、亜鉛1,372,000トンに達した(Alloway BJ & Ayres DC (1993) Principles of environmentalpollution. Chapman and Hall, London)。また、重金属に汚染された土壌は植物の正常な成長を阻害し、農作物の汚染を招く。殆どの重金属は人間の健康に害になるだけでなく、低濃度でも発癌性を示す。したがって、環境から重金属を除去することは緊急な課題である。
【0004】
全世界的に重金属を土壌から除去するための研究が進められている。土壌汚染物質を扱う一般的な方法は汚染された土壌の除去及び埋立、汚染地域の隔離、固定(金属を固定するための土壌の化学的処理)及び酸またはアルカリ性溶液を利用したろ過のような物理及び化学方法である( Salt DE, Blaylock M, Kumar NPBA, Viatcheslav D, Ensley BD, et al. (1995). Phytoremediation: a novel strategy forthe removal of toxic metals from the environment using plants. Bio-Technology13,468-74; Raskin I, Smith RD, Salt DE. (1997) Phytoremediation of metals:using plants to remove pollutants from the environment. Curr. Opin.Biotechnol. 8, 221-6)。しかし、このような方法は費用が多くかかり、莫大なエネルギーがかかる。
【0005】
植物環境浄化技術は、汚染された土壌から重金属を除去するために最近提案された安価で環境親和的な方法であって、一般的な植物、特に改良された植物または環境汚染物質を蓄積、除去または無毒化させることができる形質転換植物を利用して汚染された土壌を浄化する比較的新しい技術である。植物環境浄化技術は植物抽出、根ろ過及び植物安定化に分類される。
【0006】
植物抽出は、重金属を蓄積する植物を利用する方法であって、土壌の金属を植物の取入れ可能な部分に取り入れて土壌から金属を抽出する方法であり、根ろ過は植物の根を利用して汚染された水質から汚染物質を除去する方法であり、植物安定化は植物を利用して土壌内毒性金属のような汚染物質を安定化させて地下水への流入を防止することである( Salt DE et al., Biotechnology 13(5):468-474, 1995)。
【0007】
植物環境浄化技術の例としてはラレア トリデンタータ(Larreatridentata)植物を使用して銅、ニッケル及びカドミウムが含まれている土壌を浄化する方法(米国特許第5,927,005号)と、ブラシカセエ科(Brassicaceaefamily)の植物を利用した方法( Baker et al., New Phytol. 127:61-68, 1994)がある。
【0008】
また、重金属に耐性を示す遺伝子を導入して製造した形質転換植物を利用した植物環境浄化技術が試みられている。重金属に耐性を有する遺伝子としては、CAX2(Calcium exchanger2)、シトクロムP450 2E1、NtCBP4(Nicotiana tabacumcalmodulin-binding protein)、GSHII(glutathione synthetase)、merB(organomercuriallyase)またはMRTポリペプチド(metal-regulated transporter polypeptide)が知られている。
【0009】
アラビドプシス タリアナから単離されたCAX2(Calciumexchanger2)はカドミウム及びマンガンを含む重金属を植物内に蓄積する(Hirschi et al., Plant Physiol.124:125-134, 2000)。シトクロムP450 2E1はトリクロロエチレンのような有機物質を植物内に吸収して分解する(Doty SL etal., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:6287-6291, 2000)。NtCBP4で形質転換されたニコチアナタバクムはニッケルに対して耐性を示し(Arazi T et al., Plant J. 20:171-182, 1999)、GSHIIはカドミウムを蓄積し(LiangZhu Y et al., Plant Physiol. 119:73-80, 1999)、merBは有機水銀を分解し(Bizilyet al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:6808-6813, 1999)、MRTポリペプチドはカドミウム、亜鉛及びマンガンを含む重金属を汚染された土壌から除去する(米国特許第5,846,821号)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、前記で列挙した遺伝子を導入して産生した形質転換植物は重金属を継続して細胞質内に蓄積しなければならないため、成長に限界があり、汚染された土壌で成長するときは汚染された果実や農作物を生産することがある。したがって、重金属の吸収率が野生型に比べて低く、重金属で汚染された環境でも健康に成長し続ける植物が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、植物で発現されるとき、重金属耐性を有し、重金属の蓄積を阻害することができる遺伝子を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、重金属耐性遺伝子を含む組換えベクターを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、重金属耐性を有し、野生型植物に比べて重金属蓄積が少ない形質転換体の製造方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、重金属耐性を有し、野生型植物に比べて重金属の蓄積が少ない形質転換体を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、重金属汚染地域を環境親和的な空間に変換する方法を提供することである。
【0016】
前記目的を達成するため、本発明は、重金属-輸送P型ATPアーゼのコーディング(coding)配列を含む組換えベクターを提供する。ここで前記コーディング(coding)配列は、植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結され、その調節配列の統制下で作動可能である。
【0017】
また、本発明は、組換えベクターによってそれぞれ形質転換された形質転換植物又はその一部分を提供する。
【0018】
また、本発明は形質転換植物細胞を提供する。
【0019】
また、本発明は組換えベクターによって安定的に形質転換された形質転換植物を提供する。
【0020】
また、本発明は、重金属-輸送P型ATPアーゼ、すなわち配列番号1のZntAのコーディング(coding)配列を含む組換えベクターを提供し;
前記コーディング(coding)配列は、植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結され、その調節配列の統制下で作動可能であり、
前記ZntAは、約100個のアミノ酸残基からなるN-末端延長ドメイン、第1の膜貫通ドメイン、陽イオンチャンネルモチーフCPXドメインと推定されるものを含む第2の膜貫通ドメイン、第3の膜貫通ドメイン、第1の細胞質ドメイン、第2の細胞質ドメイン及びC-末端ドメインを含む。
【0021】
また、本発明は、重金属-輸送P型ATPアーゼ、すなわちZntAのコーディング(coding)配列を有する組換えベクターを提供し、;
前記コーディング(coding)配列は、植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結され、その調節配列の統制下で作動可能であり、
前記ZntAは、約100個のアミノ酸残基からなるN-末端延長ドメイン、第1の膜貫通ドメイン、陽イオンチャンネルモチーフCPXドメインと推定されるものを含む第2の膜貫通ドメイン、第3の膜貫通ドメイン、第1の細胞質ドメイン、第2の細胞質ドメイン及びC-末端ドメインを含み、
前記コーディング(coding)配列の前記各ドメインは、配列番号1と同一のドメインと少なくとも約50%の相同性を有する。
【0022】
また、本発明は、重金属耐性が強化された形質転換植物の製造方法を提供し、その製造方法では、;
(a)植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結されてその調節配列の統制下で作動可能な重金属-輸送P型ATPアーゼをエンコードする配列を含む発現構築体を調製し、
(b)前記発現構築体を有する組換えベクターを調製し、
(c)前記組換えベクター内の前記発現構築体を植物細胞又は植物組織に導入して形質転換植物細胞又は形質転換植物組織を製造する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
ここで言及する“P型ATPアーゼ”とは、ATPの加水分解から得たエネルギーを利用することにより特定物質を輸送し、リン酸化された中間体を形成する輸送体を意味する。より詳しくは、P型ATPアーゼは重金属-輸送ATPアーゼである。前記重金属は比重が4以上の金属元素であり、砒素(As)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、クロム、錫(Sn)、亜鉛、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)及びバナジウム(V)を含む。
【0024】
ZntAは、原形質膜と交差してPb(II)/Cd(II)/Zn(II)を汲み出す(pumps)大腸菌のP型ATPアーゼである(Rensing C, Mitra B, Rosen BP. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 94,14326-31; Sharma, R., Rensing, C., Rosen, B. P., Mitra, B. (2000) J Biol Chem. 275,3873-8)。
【0025】
P型ATPアーゼは一般的に2個の巨大細胞質ドメインと6個のトランスメンブレンドメインを有している。ZntAも同様のドメインを有しており、それ以外にN-末端に2個のトランスメンブレンへリックスと、CXXCモチーフを含む約100個のアミノ酸からなるN-末端延長部とを、有している。ZntAの第1の巨大細胞質ドメインは約145個のアミノ酸長さでリン酸中間体の加水分解に作用し、第2の巨大細胞質ドメインは約280個のアミノ酸長さでリン酸化モチーフを有している。われわれはN-末端側の4個のトランスメンブレンへリックスを第1の膜貫通ドメインとして示している。2個の巨大細胞質ドメインの間に位置する2個のトランスメンブレンへリックスは、第2の膜貫通ドメインとして示されている。このドメインは、陽イオンチャンネルモチーフCPXを含んでいると推定されている。第2の巨大細胞質ドメインとC-末端の間のトランスメンブレンへリックスは第3の膜貫通ドメインとして示されている。第3トランスメンブレン膜貫通ドメインの次の細胞質ドメインは、ZntAのC-末端ドメインとして示されている。
【0026】
“相同性(homology)”とは、2つのDNA又は蛋白質分子間での配列類似性を意味する。“生物学的に活性なZntA-類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼ”はZntAと50%以上の相同性を有するDNA配列によってコードされ、重金属ポンピング(pumping)活性を有する。生物学的に活性なZntA-類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼとしては、亜鉛-輸送ATPアーゼ(NC_000913)、亜鉛-輸送ATPアーゼ(NC_002655)、重金属-輸送ATPアーゼ(NC_003198)、P-型 ATPアーゼファミリー(NC_003197)、マイコバクテリウムレプラエド(Mycobacterium lepraed)由来の陽イオン輸送P型ATPアーゼ(GenBank#Z46257)及びその他のものがある。
【0027】
“重金属耐性蛋白質”は、鉛、カドミウム及び亜鉛に限定はしないが、これら重金属のうち少なくとも一種の重金属に対して耐性を媒介することができる蛋白質である。重金属耐性蛋白質の例として配列番号1のZntA蛋白質がある。
【0028】
“植物で発現可能な”というのは、コーディング(coding)配列が転写及び翻訳調節配列に連結されてその調節配列の統制下で作動し、植物細胞、植物組織、植物の一部分及び植物全体で効率的に発現できることを意味する。
【0029】
“植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列”とは、植物、植物組織、植物の一部分及び植物細胞で作用してこれと結合した標的配列の転写及び翻訳発現に影響を与えるものである。これは発現される標的遺伝子の5’末端配列に含まれていて、遺伝子発現を定性的に調節し(光などの環境的な信号や組織特異な様相に対する反応で、遺伝子発現の有無を決定する)、定量調節配列は都合よく下流の遺伝子の発現レベルを増加させる。翻訳調節配列として役立つ配列モチーフの例はリボソーム結合部位配列のそれである。ポリアデニル化信号は標的遺伝子の下流に位置した転写調節配列の例であり、植物分子生物学分野では公知のものがいくつかある。
【0030】
“形質転換植物”は遺伝工学的に操作されたものの一つで、野生型植物とは異なる。形質転換植物は一般に異種DNA配列を発現して野生型植物とは異なる特徴を示す。下記に例示されるように、形質転換植物は、植物細胞、植物組織又は植物全体で作用する転写調節配列に連結されてその調節配列の調節統制下で作動する少なくとも1種の異種DNA配列を含んで発現するように遺伝工学的に修飾されている。
【0031】
本発明は、重金属-輸送ATPアーゼ蛋白質のコーディング(coding)配列を含む、植物で発現可能な発現構築体を提供する。前記コーディング(coding)配列は、植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結されてその調節配列の調節統制下で作動する。前記重金属としては、砒素(As)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、クロム、錫(Sn)、亜鉛、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)及びバナジウム(V)がある。
【0032】
発現構築体はプロモーター、重金属輸送P型ATPアーゼ遺伝子及びターミネーターを含む。植物で発現可能なプロモーターとして適したプロモーターには、カリフラワーモザイクウイルス(CMV)の35S又は19Sプロモーター;アグロバクテリウムチュメファシエンスTiプラスミド(Agrobacterium tumefaciens Ti plasmid)のnos(ノパリンシンターゼ)プロモーター、ocs(オクトピンシンターゼ)プロモーター及びmas(マノピン(mannopine)シンターゼ)プロモーター;及びその技術分野で公知のプロモーターがある。
【0033】
本発明の重金属-輸送ATPアーゼ遺伝子は、ZntA(配列番号1)をエンコードする遺伝子又は生物学的に活性なZntA-類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼ遺伝子であることが好ましい。このZntA-類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼ遺伝子は、ZntAと少なくとも50%の相同性を有し、重金属ポンピング(pumping)活性を有する蛋白質をコードしている。
【0034】
また、本発明の重金属-輸送ATPアーゼ遺伝子は、約100個のアミノ酸残基からなるN-末端延長ドメイン、第1の膜貫通ドメイン、陽イオンチャンネルモチーフCPXドメインと推定されるものを有する第2の膜貫通ドメイン、第3の膜貫通ドメイン、第1の細胞質ドメイン、第2の細胞質ドメイン及びZntAのC-末端ドメインを含むDNA配列であるか、又は生物学的に活性なZntA類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼ遺伝子の上記ドメインと少なくとも50%の相同性を有するDNA配列であることが好ましい。
【0035】
本発明の発現構築体には、植物細胞における形質転換体の選別を可能とするマーカー又は標的蛋白質の発現位置を示すマーカーがさらに含まれてもよい。マーカーの例としては、カナマイシン、ヒグロマイシン、ゼンタマイシン及びブレオマイシンなどの抗生物質に対して耐性を示す遺伝子や;GUS(β-グルクロニダーゼ)、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)、ルシフェラーゼ及びGFP(緑色蛍光蛋白質(greenfluorescent protein))をコードする遺伝子がある。このマーカーにより、特定の抗生物質を含む培地で生育する形質転換植物を容易に選別することができる。このマーカーは、その特定の抗生物質に耐性を示す遺伝子と一緒に発現構築体を構成するからである。
【0036】
また、本発明は上記の発現構築体を含む組換えベクターを提供する。この組換えベクターは、公知のベクターのバックボーン(backbone)及び上記発現構築体を有している。公知のベクターは、pROKII、pBI76、pET21、pSK(+)、pLSAGPT、pBI121及びpGEMからなる群より選択されるのが好ましい。調製した組換えベクターの例としてPBI121/zntA及びpEZGがある。PBI121/zntAは、PBI121バックボーンにCMV35Sプロモーター、zntA遺伝子及びノパリンシンターゼターミネーターを含み;pEZGは、pUCバックボーンにECMV 35Sプロモーター、zntA遺伝子、緑色蛍光蛋白質及びノパリンシンターゼターミネーターを含む。
【0037】
また、本発明は前記発現構築体を含む形質転換体を提供する。前記形質転換体は重金属-輸送P型ATPアーゼ蛋白質をエンコードするDNA配列を含む。この配列は転写及び翻訳調節配列に連結されてその調節配列の調節統制下で作動する。
【0038】
本発明の形質転換体は好ましくは植物であり、より好ましくは植物、植物の一部分及び植物細胞である。前記植物の一部分は種子を含む。前記植物は草本植物及び木本植物であって、この植物には、花卉作物、園芸作物、玉ネギ、ニンジン、キュウリ、オリーブ、さつまいも、ジャガイモ、白菜、大根、レタス、ブロッコリー、ニコチアナタバクム、ペチュニア ヒブリダ、ひまわり、ブラシカ ジュンセア、芝、アラビドプシス タリアナ、ブラシカ カムペストリス、ベチュラ プラティフィラ、ポプラ、雑種ポプラ及びベチュラシュミッティが含まれる。
【0039】
形質転換体の製造技術は公知である。一例として、アグロバクテリウム チュメファシエンス-媒介DNA転移方法(Agrobacterium tumefaciens-mediated DNA transfer)がある。好ましくはエレクトロポレーション、微細粒子注入方法(micro-particleinjection)又は遺伝子銃(gene gun)を利用して製造した組換えアグロバクテリウムチュメファシエンスを用いることができる。
【0040】
また、本発明は、重金属耐性が強化された形質転換植物の製造方法を提供し、その製造方法では、;
(a)植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結されてその調節配列の統制下で作動可能な重金属-輸送P型ATPアーゼをエンコードする配列を含む発現構築体を調製し、
(b)前記発現構築体を有する組換えベクターを調製し、;さらに
(c)前記組換えベクター内の前記発現構築体を植物細胞又は植物組織に導入して形質転換植物細胞又は形質転換植物組織を製造する。
【0041】
前記した形質転換植物の製造方法はさらに、ステップ(c)の形質転換植物細胞又は形質転換植物組織から形質転換植物を再生させるステップ(d)を含む。
【0042】
本発明において、ZntA蛋白質を原形質膜で発現した(図2、3)。さらに、zntA-形質転換アラビドプシス植物は鉛及びカドミウムに対して強く耐性を示し、鉛及びカドミウムの含量は野生型植物に比べて低かった。
【0043】
したがって、zntA-形質転換植物又は生物学的に活性なZntA類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼをエンコードする遺伝子で形質転換された植物は、重金属で汚染された環境で成長することができ、このような技術は、有害な重金属の吸収量が低い農作物を生産するのに有用である。有害な重金属が黄砂や自然災害などにより偶然に農耕地に流入することもあるので、重金属ポンピング(pumping)形質転換農作物は健康に関心を持つ消費者には安全な上等品となり得る。
【0044】
下記の実施例は詳細な説明のために提供されたものであって、本発明の範囲は下記記述したことに限定されない。例示された組成物及び方法上一部の変形は当業者であれば可能なことで、本発明が属する分野内で実施することが可能である。
【実施例1】
【0045】
zntA遺伝子の単離
大腸菌K-12を韓国生命工学研究所遺伝子銀行から購入し、zntA遺伝子をクローニングした。
大腸菌K-12菌株のゲノムDNAを鋳型として利用したPCRでzntAを単離した。1組の配列番号2,3のプライマーでPCRを実施し、約2.2kbのPCR産物と配列番号1のzntA遺伝子を収得した。PCR産物の配列を分析し、そのPCR産物をpGEM-TEasyベクターにクローニングしてpGEM-T/zntAを製造した。
【実施例2】
【0046】
ZntA蛋白質の発現
zntA遺伝子をアラビドプシス原形質体に導入し、ZntA蛋白質の発現位置を確認した。
【0047】
(2-1)アラビドプシス原形質体調製
アラビドプシス原形質体を(Abel S, Theologis A (1994)Transient transformation of Arabidopsis leaf protoplasts: a versatileexperimental system to study gene expression. Plant J. 5, 421-7)に記載したように調製した。
【0048】
アラビドプシス種子を防腐液(滅菌水:クロロックス:0.05%トリトンX-100=3:2:2)に入れて、20-30秒間振とうし、5-10分間常温に放置した。その後、この種子を滅菌水で5回洗浄した。
【0049】
アラビドプシスの種子を、ビタミン、Duchefa4.4g/L、ショ糖20g/L、MES(2-(N-Morpholino)Ethanesulfonicacid、Sigma)0.5g/Lを含む液体培地(Murashige & Skoog medium;MSMO、pH5.7-5.8)100mlに入れ、22℃で16/8時間(昼/夜)周期に2-3週間120rpmで攪拌培養した。
【0050】
2-3週後、全ての植物をかみそりの刃(razor blade)で5-10mm2の大きさに切断した。葉切片を酵素溶液(1%セルラーゼR-10、0.25%マルセロチームR-10、0.5Mマニトール、10mMMES、1mM CaCl2、5mM β-メルカプトエタノール、0.1%BSA、pH5.7-5.8)に移して、10分間真空ろ過し、その後50-75rpmで攪拌しながら22℃の暗所で5時間放置した。放出された原形質体を100μmメッシュ(SIGMAS0770)でろ過し、730rpmでの10分間の遠心分離による21%ショ糖濃度勾配で精製し、その後20mlのW5溶液(154mM NaCl、125mMCaCl2、5mM KCl、5mM葡萄糖、1.5mM MES、pH5.6)に懸濁し、530rpmで6分間再び遠心分離した。沈殿した原形質体をW5溶液で再懸濁して氷冷した。
【0051】
(2-2)ベクターの調製
pGEM-T/zntA DNAをBamHI制限酵素で切断し、zntA遺伝子を抽出した(QIAGENGel extraction kit)。そのzntA遺伝子を、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの調節下に配置・融合させ、その後、緑色蛍光蛋白質(GFP)及びノパリン合成酵素(NOS)ターミネーターを含むpUC-GFPに挿入してpEZGを製造した。
【0052】
(2-3)H+ポンプ遺伝子用ベクターの調製
アラビドプシスの水素イオンポンプ遺伝子であるAHA2 cDNA(GeneBank:P19456)をPCRにより増幅した。PCR用プライマーを配列番号4及び配列番号5のポリヌクレオチドとした。PCR条件を下記の通りとした:94℃、30秒−>45℃、30秒−>72℃、1分、50周期。AHA2cDNAとしてのPCR産物を収得した。
【0053】
DsRedベクター(Clontech,Inc.)をBglII/NotI制限酵素で処理してDsRedを収得した。そのDsRedを、BamHI/Ecl136II制限酵素で開放したsmGFPベクターに挿入して326RFPを製造した。また、326RFPベクターのXmaIにAHA2cDNAを挿入して326RFP/AHA2を調製した。
【0054】
(2-4)原形質体へのpEZG又は326RFP/AHA2の導入
実施例(2-1)で調製した原形質体にpEZG及び326RFP/AHA2を導入し、外因性遺伝子(foreigngenes)の発現を確認した。
【0055】
その原形質体を500rpmで5分間遠心分離し、5×106個/mlの原形質体をMaMg溶液(400mMマニトール、15mMMgCl2、5mM MES-KOH、pH5.6)に懸濁した。300μlの懸濁液にpEZG及び326RFP/AHA2を各々10μg混合し、その後PEG溶液(400mMマニトール、100mMCa(NO3)2、40%PEG6000)300μlを添加し、常温で30分間保存した。その混合物をW5溶液5mlで洗浄して500rpmで3分間遠心分離し、沈殿物を収得した。その沈殿物を2mlのW5溶液で洗浄して22-25℃の暗所で放置した。24時間後、GFP蛋白質の発現を観察し、イメージをZeissAxioplan蛍光顕微鏡を使用して冷却電荷-結合素子(cooled charge-coupled device)カメラで撮影した。GFP撮影のために使用したフィルターセットはXF116(exciter、474AF20;dichroic、500DRLP;emitter、510AF23)(Omega,Inc., Brattleboro, VT)である。その後データをアドビ(Mountain View, CA)フォトショップソフトウェアで処理した。
【0056】
図2は、pEZG及び326RFP/AHA2でそれぞれ形質転換された原形質体においてGFPと融合したZntA蛋白質の発現位置を示している。“a”は対照であり、“b”は326RFP/AHA2で発現したAHA2蛋白質を示しており、“c”はpEZGで発現したZntA蛋白質を示しており、“d”は“b”と“c”の写真を重ねたものである。GFPと融合したZntA蛋白質はGFPによって緑色を示しており、DsRedと融合したAHA2はDsRedによって赤色を示している。
【0057】
図2中、GFPと融合したZntAはアラビドプシス原形質体内で細胞膜に位置した。
【0058】
さらに、アラビドプシス原形質体から膜及び細胞質分画を単離し、GFP抗体をプローブとして用いてウェスタンブロットを実施した。図3はウェスタンブロット写真で、“WT-C”は野生型アラビドプシス原形質体の細胞質であり、“WT-M”は野生型アラビドプシス原形質体の膜であり、“ZntA-C”はpEZGで形質転換されたアラビドプシス原形質体の細胞質であり、“ZntA-M”はpEZGで形質転換されたアラビドプシス原形質体の膜である。図3において、GFP抗体がpEZGで形質転換されたアラビドプシスの原形質体から抽出した膜蛋白質とのみ交差反応したことから、ZntA蛋白質が膜で発現したことを確認できた。
【実施例3】
【0059】
ZntA蛋白質を発現する形質転換植物の調製
(3-1)アラビドプシス
アラビドプシス植物を4℃で二日間成長させ、その後さらにそれらを16/8時間(昼/夜)の光周期、22℃/18℃で3-4週間花茎が形成されるまで育てた。1次花茎を除去し、2次花茎を形質転換に使用した。
【0060】
(3-2)pBI121/zntAベクター
zntA遺伝子を植物用発現ベクターであるpBI121に導入してpBI121/zntAベクターを製造した。
【0061】
SmaI及びEcl136II制限酵素で消化することによりpBI121ベクターのGUS遺伝子を除去し、pGEM-T/zntAから調製されたzntA遺伝子をpBI121ベクターに挿入し、これによりpBI121/zntAベクターを調製した(図4)。
【0062】
(3-3)形質転換植物の調製
pBI121/zntAベクターをプレップ-キット(prep-kit)(Qiagen)で単離し、エレクトロポレーションを用いてアグロバクテリウムに導入した。そのアグロバクテリウム(KCTC10270BP)を、O.D.値が0.8-1.0になるまでYEP培地(酵母抽出物10g、NaCl 5g、ペプトン10g、pH7.5)で培養した。その培養液を遠心分離し、細胞を収集して5%ショ糖を含むMS培地(Murashige& Skoog medium、4.3g/L、Duchefa)に懸濁し、最終濃度が0.01%濃度になるようにSilwetL-77(LEHLE SEEDS、USA)を形質転換直前に添加した。植物の形質転換として、pBI121/zntAをアグロバクテリウムLBA4404菌株に導入し、その後浸漬法でアラビドプシスを形質転換させた(Clough SJ,and Bent AF (1988), Floral dip: a simplified method for Agrobacterium-mediatedtransformation of Arabidopsis thaliana. Plant J. 16, 735-743)。
【実施例4】
【0063】
形質転換体の選別
zntA遺伝子で形質転換された植物を選別するために、カナマイシン(50mg/l)を含むムラシゲスクーグ(Murashige-Skoog)(MS)固形培地で植物を成長させた。T2又はT3世代の種子を実験に使用した。また、pBI121ベクターをアラビドプシスに導入し、形質転換体(pBI121植物)を選別した。野生型アラビドプシス、pBI121植物及びpBI121/zntA植物からそれぞれ種子を収得した。
【0064】
ZntAの発現レベルを確認するために、全RNAを、カナマイシン-選別されたT2植物から単離し、ノーザンブロット分析に使用した。全RNAを、1/2MS(Murashige& Skoog medium、2.15g/L、Duchefa)-寒天培地で3週間培養したアラビドプシス植物から抽出した。次に、公知の方法に多少の変更を加えてRNA調製及びノーザンハイブリダイゼーションを実施した(Sambrook etal. (2001) Molecular Cloning: A laboratory manual (Third Edition), ColdSpring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY)。
【0065】
植物基質を液体窒素で冷凍し、乳鉢及び乳棒で均一化した。組織100mgにつきTRIzol試薬(Lifetechnology、USA)1mlを試料に添加して5分間常温で放置した後、TRIzol試薬1mlにつきクロロホルム0.2mlを添加した。4℃で10分間10,000gで遠心分離した後、液相を取り出してTRIzol試薬1mlにつきイソプロピルアルコール0.5mlで沈殿させ、UV分光学により定量した。全RNAをホルムアルデヒド-含有寒天ゲルで分離し、その後ナイロン膜に転移させた。UV交差反応後、32P-標識されたzntAプローブを用いて、修飾チャーチ(Church)緩衝液(7%(w/v)SDS、0.5Mリン酸ナトリウム(pH7.2)、1mMEDTA(pH7.0))中で、ハイブリダイゼーションを68℃で一晩実施した。膜を1×SSC,0.1%SDS中で10分間常温で1回洗浄し、0.5×SSC,0.1%SDS中で10分間68℃で2回洗浄した。その膜をホスホイメージャスクリーン(phosphorimagerscreen)(富士フィルム)又はx-線フィルム(コダック)に露出させた。mRNAの発現レベルをMac-BASイメージ-リーダープログラムで解析した。図5は、アラビドプシス中のzntAmRNAの発現を示すノーザンブロット写真である。野生型アラビドプシス及びpBI121植物ではzntA mRNAの転写は観察されなかったが、pBI121/zntA植物では観察された。EF1-aは植物で常に発現される遺伝子であるが、その一様な発現レベルから同一量のRNAが他の試料に用いられたことが示された。
【実施例5】
【0066】
zntA遺伝子で形質転換された植物の重金属耐性
野生型アラビドプシス植物及びpBI121/zntA植物を1/2MS寒天培地で2週間育て、70μMのカドミウム又は0.7mMの鉛を含む1/2MS培地に移した。2週間後、成長、重量及び重金属含量を測定した。
【0067】
(5-1)植物の成長
図6は、鉛を含む培地で成長させた野生型及びpBI121/zntAアラビドプシス植物の成長程度を示したものである。図7は、カドミウムを含む培地で成長させた野生型及びpBI121/zntAアラビドプシス植物を示す。“WT”は野生型アラビドプシスであり、“1”乃至“4”はpBI121/zntA植物である。図6及び7で、pBI121/zntA植物は野生型植物に比べて発育がよく;これらの葉はより広くて緑色をしており、その新鮮重量も野生型に比べて重かった。このような結果は、ZntAの発現が形質転換植物にPb(II)-及びCd(II)-耐性を付与することを示している。
【0068】
(5-2)重量測定
野生型及びpBI121/zntAアラビドプシス植物を1/2MS-寒天培地で2週間生育させ、その後Cd(II)若しくはPb(II)を含有するか又は含有しない小さな砂利で支持した1/2MS-液体培地に移した。さらに2週間生育させた後、その植物を回収した。それらを氷冷1mM酒石酸塩溶液で洗浄して除去-乾燥した。その後、野生型及びpBI121/zntAアラビドプシス植物の重量を測定した。
【0069】
図8aは、鉛を含む培地で育てた野生型及びpBI121/zntAアラビドプシス植物の重量を示したグラフであり、図8bは、カドミウムを含む培地で育てた野生型及びpBI121/zntAアラビドプシス植物の重量を示したグラフである。pBI121/zntA植物の重量は野生型アラビドプシス植物に比べて重かった。このような結果は、ZntA蛋白質を発現する植物が重金属で汚染された土壌では野生型に比べてよく発育することを示している。
【0070】
(5-3)葉緑素含量測定
葉緑素含量を測定するために、葉を回収して95%エタノールで20分間80℃で抽出した。664nmと648nmで吸光度を測定し、葉緑素A及びBの含量を、(Oh SA, Park JH, Lee GI, Paek KH, ParkSK, Nam HG (1997) Identification of three genetic loci controlling leafsenescence in Arabidopsis thaliana. Plant J. 12, 527-35)に記載された通りに計算した。
【0071】
図9aは、鉛を含む培地で育てた野生型及びzntA形質転換アラビドプシス植物の葉緑素含量を示したグラフであり、図9bは、カドミウムを含む培地で育てた野生型及びzntA形質転換アラビドプシス植物の葉緑素含量を示したグラフである。zntA-形質転換植物の葉緑素含量は野生型に比べて多かった。
【0072】
(5-4)重金属含量の測定
われわれは、重金属を含む培地で成長させた対照及びZntA過剰発現植物におけるPb及びCd含量を測定した。pBI121/zntA植物を回収して重量を測定し、さらに65%HNO3で一晩200℃で蒸解した。蒸解した試料を0.5NのHNO3で希釈し、原子吸光分光光度計(AAS;SpectrAA-800、Varian)で解析した。
【0073】
図10は、重金属を含む培地で成長させた野生型及びzntA-形質転換植物の重金属含量を示したグラフである。図10aは鉛含量であり、10bはカドミウム含量である。pBI121/zntA植物のPb含量はライン(lines)ごとに差があるが、野生型に比べて全て少なかった。形質転換ライン1及び3のカドミウム含量は対照におけるそれに比べて少なかった。
【0074】
このように、zntA又はその他の生物学的に活性なZntA類似重金属ポンピング(pumping)ATPアーゼで形質転換された植物は、重金属汚染された土壌で成長することができ、野生型植物に比べて重金属の吸収性に劣る。植物の成長を汚染された土壌で維持させることができるため、土壌の流失を減少させることができ、またzntA-形質転換植物は、重金属により汚染された土壌において野生型植物に比べて発育がよいため、汚染された地域から汚染物質の移動を減少させることができ、それによって汚染物質による地下水の汚染を減らすことができる。本発明を農作物植物に適用して重金属含量の低い安全な農作物を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】組換えベクターpEZGの地図を示したものである。
【図2】アラビドプシス原形質体で発現したZntA蛋白質が原形質膜に位置することを示したものである。
【図3】アラビドプシス原形質体で発現したZntA蛋白質が膜に位置することを示すウェスタンブロット写真である。
【図4】組換えベクターPBI121/zntAの地図を示したものである。
【図5】アラビドプシスにおけるzntA mRNAの発現を示すノーザンブロット写真である。
【図6】鉛を含む培地ではzntA-形質転換植物が野生型に比べてよく成長することを示したものである。
【図7】カドミウムを含む培地ではzntA-形質転換植物が野生型に比べてよく成長することを示したものである。
【図8】重金属を含む培地で栽培したzntA-形質転換植物の重量を示したグラフである。
【図9】重金属を含む培地で栽培したzntA-形質転換植物及び野生型植物の葉緑素含量を示したグラフである。
【図10】重金属を含む培地で栽培したzntA-形質転換植物及び野生型植物の重金属含量を示したグラフである。
Claims (35)
- 重金属-輸送P型ATPアーゼのコーディング配列を含む組換えベクターであって、
前記コーディング配列は、植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結され、その調節配列の統制下で作動可能であることを特徴とする組換えベクター。 - 請求項1に記載の組換えベクターにおいて、
前記重金属は、砒素、アンチモン、鉛、水銀、カドミウム、クロム、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅及びバナジウムからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする組換えベクター。 - 請求項1に記載の組換えベクターにおいて、
前記P型ATPアーゼはZntAであることを特徴とする組換えベクター。 - 請求項3に記載の組換えベクターにおいて、
前記ZntAは、配列番号2に記載されたアミノ酸配列を有することを特徴とする組換えベクター。 - 請求項1に記載の組換えベクターにおいて、
前記コーディング配列は、配列番号1に記載されたZntAと少なくとも約50%の相同性を有する核酸配列を含むZntA-類似重金属ポンピングATPアーゼ遺伝子であることを特徴とする組換えベクター。 - 請求項1に記載の組換えベクターにおいて、
PBI121/zntA又はpEZGであることを特徴とする組換えベクター。 - 請求項1に記載の組換えベクターによってそれぞれ形質転換されたことを特徴とする形質転換植物又はその一部分。
- 請求項7に記載の形質転換植物又はその一部分において、
前記重金属は、砒素、アンチモン、鉛、水銀、カドミウム、クロム、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅及びバナジウムからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする形質転換植物又はその一部分。 - 請求項1に記載の組換えベクターによって形質転換されたことを特徴とする形質転換植物細胞。
- 請求項9に記載の形質転換植物細胞において、
前記重金属は砒素、アンチモン、鉛、水銀、カドミウム、クロム、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅及びバナジウムからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする形質転換植物細胞。 - 請求項1に記載の組換えベクターによって安定的に形質転換されたことを特徴とする形質転換植物。
- 請求項11に記載の形質転換植物において、
前記重金属は、砒素、アンチモン、鉛、水銀、カドミウム、クロム、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅及びバナジウムからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする形質転換植物。 - 請求項5に記載の組換えベクターによってそれぞれ形質転換されたことを特徴とする形質転換植物又はその一部分。
- 請求項13に記載の形質転換植物又はその一部分において、
前記重金属は、砒素、アンチモン、鉛、水銀、カドミウム、クロム、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅及びバナジウムからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする形質転換植物又はその一部分。 - 請求項5に記載の組換えベクターによって形質転換されたことを特徴とする形質転換植物細胞。
- 請求項15に記載の形質転換植物細胞において、
前記重金属は、砒素、アンチモン、鉛、水銀、カドミウム、クロム、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅及びバナジウムからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする形質転換植物細胞。 - 請求項5に記載の組換えベクターによって安定的に形質転換されたことを特徴とする形質転換植物。
- 請求項17に記載の形質転換植物において、
前記重金属は、砒素、アンチモン、鉛、水銀、カドミウム、クロム、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅及びバナジウムからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする形質転換植物。 - 重金属-輸送P型ATPアーゼ、すなわち配列番号1のZntAのコーディング配列を含む組換えベクターであって、
前記コーディング配列は、植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結され、その調節配列の統制下で作動可能であり、
前記ZntAは、約100個のアミノ酸残基からなるN-末端延長ドメイン、第1の膜貫通ドメイン、陽イオンチャンネルモチーフCPXドメインと推定されるものを含む第2の膜貫通ドメイン、第3の膜貫通ドメイン、第1の細胞質ドメイン、第2の細胞質ドメイン及びC-末端ドメインを含むことを特徴とする組換えベクター。 - 請求項19に記載の組換えベクターによってそれぞれ形質転換されたことを特徴とする形質転換植物又はその一部分。
- 請求項20に記載の形質転換植物又はその一部分において、
前記重金属は、砒素、アンチモン、鉛、水銀、カドミウム、クロム、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅及びバナジウムからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする形質転換植物又はその一部分。 - 請求項19に記載の組換えベクターによって形質転換されたことを特徴とする形質転換植物細胞。
- 請求項22に記載の形質転換植物細胞において、
前記重金属は、砒素、アンチモン、鉛、水銀、カドミウム、クロム、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅及びバナジウムからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする形質転換植物細胞。 - 請求項19に記載の組換えベクターによって安定的に形質転換されたことを特徴とする形質転換植物。
- 請求項24に記載の形質転換植物において、
前記重金属は、砒素、アンチモン、鉛、水銀、カドミウム、クロム、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅及びバナジウムからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする形質転換植物。 - 重金属-輸送P型ATPアーゼ、すなわちZntAのコーディング配列を有する組換えベクターであって、
前記コーディング配列は、植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結され、その調節配列の統制下で作動可能であり、
前記ZntAは、約100個のアミノ酸残基からなるN-末端延長ドメイン、第1の膜貫通ドメイン、陽イオンチャンネルモチーフCPXドメインと推定されるものを含む第2の膜貫通ドメイン、第3の膜貫通ドメイン、第1の細胞質ドメイン、第2の細胞質ドメイン及びC-末端ドメインを含み、
前記コーディング配列の前記各ドメインは、配列番号1と同一のドメインと少なくとも約50%の相同性を有することを特徴とする組換えベクター。 - 請求項26に記載の組換えベクターによってそれぞれ形質転換されたことを特徴とする形質転換植物又はその一部分。
- 請求項27に記載の形質転換植物又はその一部分において、
前記重金属は、砒素、アンチモン、鉛、水銀、カドミウム、クロム、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅及びバナジウムからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする形質転換植物又はその一部分。 - 請求項26に記載の組換えベクターによって形質転換されたことを特徴とする形質転換植物細胞。
- 請求項29に記載の形質転換植物細胞において、
前記重金属は、砒素、アンチモン、鉛、水銀、カドミウム、クロム、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅及びバナジウムからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする形質転換植物細胞。 - 請求項26に記載の組換えベクターによって安定的に形質転換されたことを特徴とする形質転換植物。
- 請求項31に記載の形質転換植物において、
前記重金属は、砒素、アンチモン、鉛、水銀、カドミウム、クロム、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅及びバナジウムからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする形質転換植物。 - 重金属耐性が強化された形質転換植物の製造方法であって、
(a)植物で発現可能な転写及び翻訳調節配列に連結されてその調節配列の統制下で作動可能な重金属-輸送P型ATPアーゼをエンコードする配列を含む発現構築体を調製し、
(b)前記発現構築体を有する組換えベクターを調製し、
(c)前記組換えベクター内の前記発現構築体を植物細胞又は植物組織に導入して形質転換植物細胞又は形質転換植物組織を製造することを特徴とする形質転換植物の製造方法。 - 請求項33に記載の形質転換植物の製造方法において、
前記重金属は、砒素、アンチモン、鉛、水銀、カドミウム、クロム、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅及びバナジウムからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする形質転換植物の製造方法。 - 請求項33に記載の形質転換植物の製造方法において、
前記ステップ(c)の形質転換植物細胞又は形質転換植物組織から形質転換植物を再生させるステップをさらに含むことを特徴とする形質転換植物の製造方法。
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