JP2004532099A - 多ウェル装置 - Google Patents

Abstract

多ウェルブロック（１２）およびガイドプレート（１４）を備える多ウェルアセンブリ（１０）を開示する。多ウェルブロック（１２）は複数のウェル（１８）を有し、各ウェルは液体を通さない底面（２２）を有する。ガイドプレート（１４）には多ウェルブロック（１２）のウェル（１８）に対応する複数の液体通路（３４）が設けられる。ガイドプレート（１４）は、ガイドプレート（１４）と多ウェルブロック（１２）とを整列させたとき、各ウェル（１８）と対応する液体通路（３４）の間に液体が連通するように構成されている。

Description

【技術分野】
【０００１】
本明細書は、２００１年３月８日出願の米国仮特許出願第６０／２７４，２６２号の優先権を主張する。
【０００２】
本発明は、典型的に化学的、生物学的、および生化学的分析に有用な多ウェル装置に関する。
【背景技術】
【０００３】
近年、様々な研究分野において、経済的な分析法と小規模な反応を使用することにより、効率と精度を高め、高い処理能力を達成することが望まれている。多ウェルプレートまたは多ウェルブロックなど、独立したウェルを複数有する多ウェル装置は、そのような反応および分析を行う際に最も一般的に使用されるツールの１つである。規格化された型式にしたがって構築された、様々な多ウェル構造が商業的に入手可能である。例えば、９６のくぼみ、または１２×８のアレーに配置されたウェルを有する多ウェル装置が、一般に使用される構造である。従来型の多ウェル装置は、ウェル内の物質を保持するために液体を通さない底面を有している場合と、開口した底を有している場合があり、開口した底を有している場合は多ウェル装置の下方に収容プレートを配してウェルから流出する物質を回収することができる。
【０００４】
従来技術では、多数の用途に使用される試料プレートが周知である。例えば、組織試料の培養に使用するための試料プレートが知られている。試料プレートの他の形式として、化学反応を行うため、またはマイクロ−クロマトグラフィーのための使用に適合させたものがある。
【０００５】
濾過を必要とする用途については、多ウェル装置のウェル内にそれぞれフィルタを配置することができる。そのような用途においては、装置のウェル内の液体試料の濾過を促すため、真空または圧力を加える場合がある。濾過後、収容プレートの各容器またはウェル内の液体を回収することができる。
【０００６】
上記のような先行発明にもかかわらず、新規および改良型多ウェル装置とその使用方法が引き続き求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は、化学的、生物学的および生化学的分析などに使用する多ウェルアセンブリの様態および特徴を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
１つの例示的実施形態による多ウェルアセンブリは、１つの多ウェルブロックおよび１つのガイドプレートを備える。多ウェルブロックは複数のウェルを有し、各ウェルは液体を通さない底面を有する。ガイドプレートは多ウェルブロックのウェルに対応する複数の液体通路を画定する。ガイドプレートは、ガイドプレートを多ウェルブロックに嵌め合わせたとき、各ウェルと、対応する液体通路との間で、液体が連通するように構成されている。
【０００９】
例証する実施形態では、ガイドプレートは多ウェルブロックのウェルに対応する複数の突起部を有する。突起部は、ガイドプレートに多ウェルブロックを嵌め合わせたとき、各ウェルの底面を穿孔し、それにより、重力などにより穿孔されたウェルの底面からウェルの内容物（例えば薬品）が各液体通路へと流出するように構成されている。開示する実施形態の液体通路は、ガイドプレートと各突起物を通って実質的に縦方向に伸びる流路を備える。随意でカバーを設け、多ウェルブロックの開口頂部を覆ってもよい。
【００１０】
多ウェルアセンブリはまた、多ウェルブロックの内容物を受ける、または回収するための第２多ウェルブロック（「収容」ブロックとも呼ぶ）を備える。特定の実施形態における収容ブロックは、それぞれがガイドプレートの各液体通路に対応する複数のウェルを有する。よって、収容ブロックにガイドプレートおよび多ウェルブロックを嵌め合わせたとき、多ウェルブロックの各ウェル、ガイドプレート内の対応する液体通路、および収容ブロックの対応するウェルの間に液体通路が画定される。
【００１１】
別の例示的実施例では、多ウェルアセンブリは第１プレートと第２プレートを備える。第１プレートは複数のウェルを有する。第２プレートは複数の上方に伸びる液体導管を有し、各液体導管は、第１プレートを第２プレートに嵌め合わせたとき、それぞれ１つのウェルの内容物を受容するようにつくられている。また、液体導管は、第１プレートを第２プレートに嵌め合わせたとき、各々が対応するウェルの下部内を上方に向かって伸び、そこから液体を受容するように構成することができる。特定の実施形態では、液体導管は実質的に縦方向に伸びる通路を有するように形成された突起部を備える。第２プレートには、各液体導管に外接し、上方に向かってのびる壁部を備えることもできる。壁部は、第１プレートを第２プレートに嵌め合わせたとき、各壁部が対応するウェルの下部の周囲と一致し、隣接するウェル間の相互汚染を最小にするように構成される。
【００１２】
別の例示的実施形態では、多ウェル装置は、下部表面が液体を通さない複数のウェルを含む。ガイドトレイは多ウェル装置のウェルに対応する複数の液体通路を有する。ガイドトレイはまた、ガイドトレイに多ウェル装置を嵌め合わせたとき、各液体通路と対応するウェルを流動的に結ぶ手段を有する。
【００１３】
また別の例示的実施形態によると、多ウェル装置に使用するガイドプレートは、上部および下部に主要な面を有する本体を備える。上面からは複数の突起部が突出し、下面には突起部の下方に複数の出口が設けられている。各突起部と出口を通って液体通路または流路が延びる。開示する実施形態の１つでは、各突起部を囲んで上方に伸びる壁部が設けられており、該壁部は、ガイドプレートに多ウェル装置を嵌め合わせたとき、多ウェル装置の１つのウェルの下部周囲に一致するように構成されている。また、各突起部は、ガイドプレートに多ウェル装置を嵌め合わせたとき、ウェルの底面を穿孔するように構成された切開面を有するように構成されてもよい。
【００１４】
別の例示的実施形態によると、多ウェル装置に使用されるガイドプレートは、第１および第２の主要面を有する本体を備える。第１および第２の主要面の１つからは複数の突起部が突出している。各突起部は、ガイドプレートに多ウェル装置を嵌め合わせたとき、多ウェル装置の１つのウェルの底面を穿孔するように構成される。特定の実施形態では、突起部は蹄形状（つまり、円筒形状か、円筒または円錐を底面に対して斜角を有する１つ以上の面で切り取ってできる円錐部）に形成され、縦方向に伸びる流路を有するように構成することができる。
【００１５】
別の例示的実施例において、複数の化学反応を実行する方法は、底面が液体を通さない複数のウェルを有する多ウェル装置と、ウェルに対応する複数の通路を画定するガイドプレートとを用意することを含む。化学反応のための試薬を多ウェル装置のウェル内に注入することができる。化学反応終了後、ガイドプレートに多ウェル装置を嵌め合わせることにより、各ウェルの底とガイドプレート内の通路とを連通させることができる。よって、化学反応の産出物が通路を流れ、収容プレートが設置される場合は収容プレートの対応するウェル内に流れ込むことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
本発明の上記およびその他の特徴を、添付図面を参照する以下の詳細な説明によりさらに説明する。
【００１７】
まず図１には１つの実施形態による多ウェルアセンブリ（参照番号１０）を示す。通常、アセンブリ１０は第１多ウェルブロック１２、第１多ウェルブロックの下方に位置するガイドプレート（またはトレイ）１４、およびガイドプレート１４の下方に位置する第２多ウェルブロック（「収容ブロック」とも呼ぶ）１６を備える。使用時には、様々な化学的、生物学的および生化学的反応および処理を行うための化学的または生物学的物質を第１多ウェルブロック１２内へ注入する。第２多ウェルブロック１６は、後述するように、第１多ウェルブロック１２から化学的または生物学的物質を受容するための収容ブロックとして機能する。
【００１８】
また、図２ないし４において、図示された構造を有する第１多ウェルブロック１２は、その名前の通り一般的に長方形のブロック形状を有し、鉛直方向に配置された長形のウェルまたはキャビティ１８の８×１２のアレーを支持している。中心から中心までの間隔が一定（例えば９ｍｍ）の９６ウェルのアレーは、商業的に入手可能な多ウェル試験プレートの多くに標準的な構成である。第１多ウェルブロック１２ならびにガイドプレート１４と第２多ウェルブロック１６の全体面積は、標準的装置ホルダ、壁部洗浄器などが使用可能な、標準的９６ウェルプレートと同じ大きさの設置面積を有する。
【００１９】
図示された実施形態において第１多ウェルブロック１２は一般的なブロック形状を有するように図示されているが、第１多ウェルブロック１２は一般的な円筒形状またはその他様々な形状とすることができる。また、ウェル１８は任意の数および構造を使用することができる。例えば、これに限定するものではないが、その他可能なウェル１８のアレーとしては、４×６アレーおよび６×８アレーを挙げることができる。好適ではないが、別の実施形態では、第１多ウェルブロック１２は、整列したアレーに構成されていないウェル１８を支持していてもよい。また別の実施形態では、図示した実施形態より実質的に浅いウェルを使用してもよく、その場合第１多ウェルブロック１２の形状は図示されたブロック形状よりむしろプレート状の形状を有する。ウェル１８は、１ウェル当たり例えば約１００μＬから数ｍＬの容積を保持するように構成することができるが、それよりも大きいまたは小さい容量を保持できるようにすることも可能である。ここで使用する実施形態では、ウェル１８は各ウェルにつき約２ｍＬから３ｍＬを収容するように構成されている。
【００２０】
図示されたウェル１８は、開口した頂部２０（図１および３参照）と、ウェル１８の底面となる液体を通さないバリヤ２２（図３および４）とを有する。図３および５に最もよく示すように、各ウェル１８は一般的に（鉛直方向に長い）長方形の上部２４、円筒形状の中間部分２６、および円筒形状の下部４４を有する。図示したように、各ウェル１８の上部２４および下部４４は、直径が頂部から底部に向かうにつれて縮小するように、だんだん細くなっていてよい。各下部４４の下端は、対応する液体バリヤ２２（図２および４参照）で覆われるかまたはシールされる。加えて、図３および５に示すように、各ウェル１８の上部２４には、ウェル１８の内容物が上部２４に留まるのを防ぐために、湾曲した底面２８を形成してもよい。別の実施形態では、ウェル１８には様々な他の構成が可能である。例えば、上部２４は円形の断面または角が丸みを帯びた四角形の断面を有してもよい。或いは、ウェル１８の断面は全長に亘って一定としてもよい。
【００２１】
また、さらに別の実施形態では、下部４４の下端よりも上方にバリヤ２２を配置することができる。例えば、ウェル１８の中間部分２６または下部４４にバリヤ２２を配置することができる。いずれにせよ、バリヤ２２は各ウェル１８内に注入された物質（例えば薬品）を保持する役割を有する。
【００２２】
好適には、バリヤ２２の厚みは０．００５から０．０１５インチで、特に例として０．０１０インチである。ただし、バリヤ２２の厚みはこれより小さくても大きくてもよい。別の実施形態では、バリヤ２２の厚みは部位によって変えることができる。例えば、バリヤ２２は中心で厚みが最も大きくなる凸形状か、または周縁部で厚みが最も大きくなる凹形状とすることができる。
【００２３】
図２、５および９に示すように、ウェル１８の開口頂部２０を覆うために随意でカバーまたは蓋６０を取り付けることができる。図に示したカバー６０は、液体を通さない上端部６２と上端部６２の反対側から下方に伸びる脚部６４とを備える。各脚部６４の下部は、第１多ウェルブロック１２の側面に画定されたノッチ５８と対応し一致するように設計された、内側に伸びるラッチ６６を形成する（図２および５参照）。好適には脚部６４は、カバー６０を取り付けるとき、または取り外すとき、脚部６４がわずかに曲がるか、しなることが可能であるように、ある程度柔軟性を有する材料から形成される。平らなガスケットなどのシール部材を開口頂部２０とカバー６０の間に配置し、液体がもれないよう確実にシールしてもよい。カバー６０を取り外すには、多ウェルブロック１２の側面から脚部６４の下端を引き離し、ラッチ部６６がそれと対応するノッチ５８から外れた時点で多ウェルブロック１２の上方に引き上げる。
【００２４】
ここで再び図１を参照する。第２多ウェルブロック１６は、第１多ウェルブロック１２と同様に、それぞれが第１多ウェルブロック１２のウェル１８に対応するウェル４８の整列したアレーを有する。ガイドプレート１４は、後述するように、第１多ウェルブロック１２のウェル１８から第２多ウェルブロック１６の対応するウェル４８に物質の流れを導く。図示された実施形態では、第２多ウェルブロック１６の構成は第１多ウェルブロック１２と同じであるが、これは必須要件ではない。例えば、第１多ウェルブロック１２とガイドプレート１４が９６ウェル形式などの標準的形式と一致する場合、適切である限り商業的に入手可能ないずれの収容ブロックも図示した第２多ウェルブロック１６の代わりに使用することができる。
【００２５】
図５ないし８に図示した構成のガイドプレート１４は、上面４０と下面４２とを有する本体３８を備える。ガイドプレート１４は上方に伸びる液体導管（突起部３２）の整列アレーを有し、各突起部は第１多ウェルブロック１２の各ウェルに対応している。ガイドプレート１４はまた、各突起部３２の下方に位置し、下方に伸びる出口５０の整列アレーを有する。ガイドプレート１４には、各突起部３２と出口３０をそれぞれ通って伸びる孔、または流路３４が設けられている。
【００２６】
突起部３２は、ガイドプレート１４に第１多ウェルブロック１２を嵌め合わせたとき、対応するバリヤ２２を穿孔し、各ウェル１８の内容物がそこから流出することができるように構成されている（図５および８参照）。ここで使用する、ガイドプレート１４に第１多ウェルブロック１２を「嵌め合わせる」という表現は、各突起部３２と対応するウェル１８の各バリヤ２２の位置を合わせ、突起部３２がウェル１８の対応する下部４４内に伸びるまでガイドプレート１４と第１多ウェルブロック１２を押し合わせることを意味する。同様に、ウェル４８の開口頂部とガイドプレート１４の対応する出口５０の位置を合わせ、ガイドプレート１４と第２多ウェルブロック１６を押し合わせて出口５０が対応するウェル４８内に伸びるようにすることにより、第２多ウェルブロック１６にガイドプレート１４を嵌め合わせることができる（図５参照）。
【００２７】
図７に最も分かり易く示すように、図示された各突起部３２の形状は、円筒を、図示したように円筒の底面に対して傾斜する２つの面で切ることにより形成される円筒形状部である。よって、突起部３２の頂部に、平らで、上方に向かう角度を有する２つの面５４ａおよび５４ｂが形成され、切れ刃５６を形成する。切れ刃５６は、ガイドプレート１４と第１多ウェルブロック１２を押し合わせたとき、対応するバリヤ２２を切り開くような方向を向いている。或いは、他の形態の突起部３２を使用することができる。例えば、突起部３２は円錐、円筒またはそれらの変形形状でもよく、図７のように切れ刃を設けてバリヤ２２の穿孔を行い易くしてもよく、切れ刃を設けなくともよい。
【００２８】
別の実施形態では、ガイドプレート１４に第１多ウェルブロック１２を嵌め合わせたとき、穿孔する（または他の方法で破損する）ことなく対応するウェル１８の底のシールからバリヤを取り外すことができるように、対応するウェル１８の下部４４にバリヤ２２を連結することができる。例えば、第１多ウェルブロック１２がガイドプレート１４に嵌め合わされていないとき、ウェル１８の内容物を保持する通常の閉位置にバリヤ２２が留まるように、バリヤ２２を下部４４にヒンジ接合することができる。第１多ウェルブロック１２をガイドプレート１４に嵌め合わせると、対応する突起部３２がウェル１８の内容物を底から流出させることにより、ヒンジ接合されたバリヤ２２が開位置へと動く。この構成におけるバリヤ２２には、ガイドプレート１４を第１多ウェルブロック１２から取り外したとき、下部４４を自動的に閉じる、またはシールするように、通常の閉位置に向かう力がかかっていてもよい。
【００２９】
別の実施形態では、通常は閉位置にあり、第１多ウェルブロック１２がガイドプレート１４に重ね合わされたときに対応する突起部３２により下部４４を通って上方に動くようにバリヤ２２を構成することができる。この構成においては、対応する突起部３２によりバリヤが上方に動かされたときにバリヤ２２の周縁と下部４４の内部表面との間に開口が形成されるように、下部４４が頂部から底部へ向うにつれ細くなっている。
【００３０】
図５ないし８に示す実施形態では、各突起部３２にはガイドプレート１４の上面４０から突出する上方壁部３６が外接している。各出口５０には同様に下面４２から突出する下方壁部５２が外接している。図５および８に示すように、ガイドプレート１４に第１多ウェルブロック１２を嵌め合わせるとき、ガイドプレート１４の各上方壁部３６は対応するウェル１８の下部４４の周囲にぴったりと嵌り込む。これにより各ウェル１８と対応する流路３４の間に伸びる実質的に液体のもれのない通路が形成され、隣接するウェル１８間の相互汚染を実質的に低減する。また、各下方壁部５２は、第２多ウェルブロック１６の対応するウェル４８の開口頂部４６に嵌るような寸法である。よって、第１多ウェルブロック１２、ガイドプレート１４、および第２多ウェルブロック１６を図５に示すように組み立てたとき、第１多ウェルブロック１２の各ウェル１８の内容物がガイドプレート１４の流路３４を通って収容ブロック１６の対応するウェル４８に流れ込むことが可能である。
【００３１】
ガイドプレートと突起部には図示した構造以外の構成も使用可能である。例えば、別の実施形態では、１つ以上の流路を、突起部３２内ではなくガイドプレート１４の各突起部３２とそれに対応する上方壁部３６との間の空間に形成し、ガイドプレート１４に第１多ウェルブロック１２を嵌め合わせたとき、ウェル１８の内容物がガイドプレート１４を通って流れるようにすることができる。さらに別の実施形態では、上方壁部３６を、ウェル１８の対応する下部４４に挿入できるような寸法につくることができる。
【００３２】
図５に示すように、第１多ウェルブロック１２のウェル１８内に随意でフィルタ３０を配置し、ウェル１８に注入された薬品またはその他物質を濾過することができる。或いは、ガイドプレート１４の流路３４および／または第２多ウェルブロック１６のウェル４８にフィルタ（図示しない）を配置することができる。フィルタ３０は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ガラスファイバーなど、任意の適切な材料を含むことができる。
【００３３】
第１多ウェルブロック１２、ガイドプレート１４、第２多ウェルブロック１６、およびカバー６０は、好適には、多ウェルアセンブリ１０に注入される物質と化学的に反応しない、実質的に剛性で非水溶性の、液体を通さない材料から形成される。ここで使用する「実質的に剛性」という表現は、該材料がわずかな機械的負荷または熱負荷により変形または湾曲しないことを意味する。適切な材料としては、以下に限定するものではないが、中でも、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）、ポリフッ化ビニリデン（ＰＶＤＦ）、ガラス含浸プラスチック、およびステンレス鋼を挙げることができる。本明細書の実施形態では、変化する気温および気圧に合わせて容易に修正でき、製作が容易であることから、ポリプロピレンを使用している。
【００３４】
第１多ウェルブロック１２、ガイドプレート１４、第２多ウェルブロック１６、およびカバー６０は、適切な方法により形成することができる。例えば、従来の射出成形技術を使用して、アセンブリ１０の各構成要素（すなわち、第１多ウェルブロック１２、ガイドプレート１４、第２多ウェルブロック１６、およびカバー６０）を一体型に形成することができる。別の方法では、従来の熱接合技術を使用して各構成要素の様々な部分を形成し、接合することができる。例えば、ウェル１８および／またはバリヤ２２を別々に形成し、その後熱接合して第１多ウェルブロック１２を形成することができる。
【００３５】
多ウェルアセンブリ１０は、それらに限定されるものではないが、特に、溶体相または個体相の化学的合成および反応、タンパク質遊離アッセイ、タンパク質捕捉アッセイ、ビオチン化および蛍光標識付けアッセイ、磁気分離アッセイ、クロマトグラフィー、および微生物の培養など、多岐に亘る化学的、生物学的、生化学的反応および処理に使用することができる。アセンブリ１０内での処理は、室温か、室温より低い温度か、または室温より高い温度で行うことができる。また、アセンブリ１０は複数の同時反応に対応する。
【００３６】
多ウェルアセンブリ１０を、例えば多重化学反応を実行するために使用する場合、例えば多重チャネルピペットを使用して試薬を第１多ウェルブロック１２のウェル１８内に注入する。このように、第１多ウェルブロック１２は多重化学反応の実行において「反応ブロック」としての役割を果たす。上述したように、バリヤ２２は、反応段階の間、ウェル１８内に試薬を保持する働きをする。必要であれば、カバー６０を第１多ウェルブロック１２の上に配置して、反応が起こったときにウェル１８の開口頂部２０からガスが逃げること、および／または反応の汚染またはクロス汚染を防ぐことができる。
【００３７】
反応段階の終了後、各ウェル１８の底にガイドプレート１４の対応する上方壁部３６を合わせ、同軸上に整列させ、第２多ウェル（収容）ブロック１６の各ウェル４８をガイドプレート１４の対応する下方壁部５２と合わせ、整列させる。次いで第１多ウェルブロック１２、ガイドプレート１４、および収容ブロック１６を従来型のプレス装置（図示せず）内に配置することができる。プレス装置を操作し、アセンブリをプレスして突起部３２により対応するバリヤ２２を穿孔することにより、各ウェル１８内の反応生成物がガイドプレート１４の流路３４を通って分析および／または保存のための収容ブロック１６の各ウェル４８内へ流入する。
【００３８】
本明細書で開示する特定の実施形態においては、プレス操作により１つのウェル１８につき約５ｌｂから１５ｌｂの力がかかると突起部３２が十分にバリヤ２２を穿孔するようにアセンブリ１０を構成する。但しこれは必須要件ではない。別の実施形態では、第１多ウェルブロック１２、ガイドプレート１４、および収容ブロック１６をプレス装置なしで嵌め合わせることができるようにアセンブリ１０を構成することができる。
【００３９】
プレス後、従来技術を使用してウェル１８の内容物を容易に取り除くことができる。例えば、従来技術により周知であるように、アセンブリ１０を遠心分離にかけることができ、またはアセンブリ１０に圧力差を生成することができる。例えば、圧縮ガス（例えば圧縮空気）源から第１多ウェルブロック１２のウェル１８に向かって正の圧力を印加する、または、これに替えて、収容ブロック１６のウェル４８に真空を印加することにより圧力差を生成することができる。
【００４０】
反応生成物を収容ブロック１６から取り除いた後、アセンブリ１０を洗浄し、別の処理に使用することができる。必要であれば、ウェル１８の底を、例えば適切な材料（例えばポリプロピレン）からなるマットをウェル１８の底に溶接することにより再びシールすることができる。或いは、第１ウェルブロック１２をそのまま使用する、つまりウェル１８内に注入された物質を保持するためのバリヤ２２を配置せずに、使用することができる。
【００４１】
また、他の使用法においては、第１反応段階の後、収容ブロック１６を使用して引き続き反応段階を行うか、または処理段階を行い、追加的薬品または試薬をウェル４８に注入することができる。その後、収容ブロック１６に別のガイドプレート１４と上述の収容ブロック１６を嵌め合わせることができる。このようにして、収容ブロック１６は、後続の反応または処理段階における反応ブロックとしても使用される。
【００４２】
本発明を例示のみを目的とする特定の実施形態および使用法を参照しながら説明した。本発明には、その理念または本質的な特徴を逸脱せずに多くの修正および変形を加えることが可能である。したがって、それらすべての変形例は本発明の請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【００４３】
【図１】本発明の１実施形態による多ウェルアセンブリの斜視図であり、上部多ウェルブロックの一部を開いてガイドプレートの上面を示し、ガイドプレートの一部を開いて下部多ウェルブロックのウェルを示している。
【図２】ウェルの開口頂部を覆うカバーを備えた図１の多ウェルアセンブリの上部多ウェルブロックの側面図である。
【図３】図１の上部多ウェルブロックの部分斜視図である。
【図４】図１の上部多ウェルブロックの底部斜視図である。
【図５】上部多ウェルブロックにカバーが取り付けられ、各ウェルにフィルタが配置された図１の多ウェルアセンブリの側断面図である。
【図６】図１の多ウェルアセンブリのガイドプレートの上部斜視図である。
【図７】ガイドプレートの部分拡大斜視図であり、一部を断面図で示す。
【図８】それぞれ一部を断面図で示した上部多ウェルブロックとガイドプレートの部分拡大斜視図であり、多ウェルブロックのウェルをガイドプレートの対応する液体通路に嵌め合わせた状態を示す。
【図９】図２のカバーの斜視図である。

Claims (32)

1. 各々が液体を通さない底面を持つ複数のウェルを有する多ウェルブロックと、
   各々が多ウェルブロックの各ウェルに対応している複数の液体通路を画定し、ガイドプレートに多ウェルブロックを嵌め合わせたとき、各ウェルと対応する液体通路の間に液体が連通するように構成されたガイドプレートと
   を備える多ウェルアセンブリ。
2. ガイドプレートが上方に伸びる突起部を有し、該突起部が、ガイドプレートに多ウェルブロックを嵌め合わせたとき、ウェルの底面を開口する、請求項１に記載のアセンブリ。
3. 各突起部はウェルの底面を穿孔するように構成されている、請求項２に記載のアセンブリ。
4. 各突起部は縦方向に伸びる通路を有するように形成されている、請求項２に記載のアセンブリ。
5. 各ウェルに配置されたフィルタをさらに有する請求項１に記載のアセンブリ。
6. 各液体通路に配置されたフィルタをさらに有する請求項１に記載のアセンブリ。
7. 各々がガイドプレートの各液体通路に対応する複数のウェルを有する収容ブロックをさらに有し、収容ブロックにガイドプレートを嵌め合わせ、ガイドプレートに多ウェルブロックを嵌め合わせたとき、多ウェルブロックの各ウェル、ガイドプレートの対応する液体通路、および収容ブロックの対応するウェル間に液体が連通するように構成された、請求項１に記載のアセンブリ。
8. 多ウェルブロックのウェルの開口頂部を覆うためのカバーをさらに備える、請求項１に記載のアセンブリ。
9. 複数のウェルを有する第１プレートと、
   上方に伸びる複数の液体導管を有し、第１プレートを第２プレートに嵌め合わせたとき、各液体導管が対応するウェル内を上方に延びて液体を液体導管内へ流入させるように構成された第２プレートと
   を備える多ウェルアセンブリ。
10. 各ウェルが液体のもれのない底面を有し、
    第１プレートを第２プレートに嵌め合わせたとき、各液体導管が各ウェルの底面を穿孔することにより液体導管とウェルが連通する、
    請求項９に記載のアセンブリ。
11. 各々が第２プレートから液体を受容および回収するために第２プレートの対応する液体導管と嵌合することが可能な複数の容器部を有する収容ブロックをさらに備える、請求項９に記載のアセンブリ。
12. 第１プレートを第２プレートに嵌め合わせたとき、各ウェルと対応する液体導管が実質的に液体のもれのない経路を画定する、請求項９に記載のアセンブリ。
13. 各液体導管が、それぞれ縦方向に伸びる流路を有するように形成された突起部を備える、請求項９に記載のアセンブリ。
14. 第２プレートが、各液体導管の周囲に上方に伸びる壁部を備え、第１プレートを第２プレートに嵌め合わせたとき、各壁部は対応するウェルの下部の周囲に嵌合するように構成されている、請求項９に記載のアセンブリ。
15. 各々が液体を通さない下部表面を持つ複数のウェルを有する多ウェル装置と、
    各々が多ウェル装置の１つのウェルに対応している複数の液体通路を備えるガイドトレイであって、ガイドトレイに多ウェル装置を嵌め合わせたとき、各液体通路と対応するウェルの間に液体を連通させる手段を備えるガイドトレイと
    を備える多ウェル試験装置。
16. 前記各液体通路と対応するウェルの間に液体を連通させる手段が、ガイドトレイに多ウェル装置を嵌め合わせたとき対応するウェルの下部表面を穿孔するように構成された上方に伸びる突起部を複数備える、請求項１５に記載の装置。
17. 各ウェルに１つずつ配置されたフィルタをさらに備える請求項１５に記載の装置。
18. ガイドトレイが、各液体通路の周囲に上方に伸びる壁部をさらに備え、各壁部が、ガイドトレイに多ウェル装置を嵌め合わせたとき、対応するウェルの下部の周囲に嵌合するように構成されている、請求項１５に記載の装置。
19. 各々がガイドトレイの各液体通路に対応する複数のウェルを有する収容ブロックをさらに備え、収容ブロックにガイドトレイを嵌め合わせ、ガイドトレイに多ウェル装置を嵌め合わせたとき、多ウェル装置の各ウェル、ガイドトレイの各液体通路、および収容ブロックの各ウェルの間に液体が連通する、請求項１５に記載の装置。
20. 上面および下面を有する本体と、
    上面から突出する複数の突起部と、
    各突起部の下方で、下面から突出する複数の出口と、
    各突起部と出口とを通って伸びる液体通路と
    を備える多ウェル装置用ガイドプレート。
21. 各突起部の周囲に同心円状に設けられた上方に伸びる壁部をさらに有する請求項２０に記載のガイドプレート。
22. 各出口の周囲に同心円状に設けられた下方に伸びる壁部をさらに有する請求項２０に記載のガイドプレート。
23. 各突起部がそれぞれ切開面を画定する請求項２０に記載のガイドプレート。
24. 第１および第２主要面を有する本体と、
    第１および第２主要面の一方から突出する複数の突起部であって、それぞれが多ウェル装置の対応するウェルの底面を穿孔し、そこを介して対応するウェルの内容物を受容する通路を画定する突起部と
    を備え、複数のウェルを有する多ウェル装置用ガイドプレート。
25. 前記第１および第２主要面の他方から突出する複数の出口をさらに有し、各出口は対応する突起部の下方に位置している請求項２４に記載のガイドプレート。
26. 各突起部は通常蹄形状に形成される、請求項２５に記載のガイドプレート。
27. それぞれが各突起部を囲んで上方に伸び、多ウェル装置の対応するウェルの下部の周囲に嵌合するように構成された複数の壁部をさらに備える、請求項２４に記載のガイドプレート。
28. 多重化学反応を実行する方法であって、
    液体を通さない底面を有する複数のウェルを備える多ウェル装置を準備する段階と、
    ウェルに対応する複数の通路を画定するガイドプレートを準備する段階と、
    ウェル内に試薬を注入し、ウェル内でそれぞれの化学反応を開始する段階と、
    ガイドプレートに多ウェル装置を嵌め合わせ、各ウェルと対応する通路に液体を連通させて各化学反応の生成物を通路に流入させる段階と
    を含む方法。
29. 収容プレートにガイドプレートを嵌め合わせて通路から流出する化学反応の生成物を回収する段階をさらに含む、請求項２８に記載の方法。
30. 試薬を濾過するために各ウェルにフィルタを設ける段階をさらに含む、請求項２８に記載の方法。
31. 通路内における各化学反応の生成物の流れを促すために、通路に圧力差をつくり出す段階をさらに含む、請求項２８に記載の方法。
32. ガイドプレートに多ウェル装置を嵌め合わせる段階が、プレス装置を使用してガイドプレートと多ウェル装置とを押し合わせることを含む、請求項２８に記載の方法。