JP2004531261A - 皮膚の治療 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は対立遺伝子の同定方法に関する。より特定的には本発明は、個体のゲノムに存在するプロフィラグリン対立遺伝子を同定する方法に関する。この対立遺伝子に関する情報は、ある種の皮膚の異常状態を生じ易い個体の素因を判定するために使用できる。
【背景技術】
【0002】
表皮の分化中にケラチノサイトは、十分に解明された一連の形態学的及び生化学的な変化を生じる。この過程で、活発に増殖する基底細胞が段階的に分化し、棘状及び顆粒状の細胞層を経由して最終的には皮膚表面の保護角質層の特徴的な無核偏平細胞を形成する(Preslandら(1992)J Biol Chem,267(33),23772−23781)。表皮層の各々は特異的生化学マーカーを発現させることを特徴としており、基底層及び棘状層のそれぞれの優勢なマーカーはケラチン中間フィラメントタンパク質、K5/K14及びK1/K10である(Preslandら(1992)J Biol Chem 267(33),23772−23781)。
【0003】
顆粒状細胞の特徴はプロフィラグリンを発現させることである。プロフィラグリン遺伝子は、類縁であるが同一でない複数のフィラグリン反復単位から成る高分子量のリン酸化ポリタンパク質をコードしている。ペプチドのマッピング及び配列決定に関する研究から、フィラグリン単位が短いリンカーペプチドによって隔てられており、これらのリンカーペプチドはタンパク質分解プロセシング中に除去されることが明らかになった(Preslandら(1992)J Biol Chem,267(33),23772−23781)。齧歯類の対応遺伝子と同様に、ヒトのプロフィラグリン遺伝子のコーディング領域はコーディング領域の反復性部分の内部にイントロンを全く含まない。
【0004】
リン酸化プロフィラグリンは機能性でなく、表皮分化の後期にF−ケラトヒアリン顆粒として蓄積する(Ganら(1990)Biochemistry,29,9432−9440)。顆粒状細胞から最終的に分化した角化細胞に移行する間にプロフィラグリンが脱リン酸化されタンパク質分解的にプロセシングされてフィラグリンモノマーを生じる。フィラグリンは、ケラチン中間フィラメントが角質層の特徴的な緻密なマクロフィブリルとして凝集することに関与する(Preslandら(1992)J Biol Chem,267(33),23772−23781)。プロフィラグリンはまた、フィラグリンを遊離アミノ酸に分解することによって表皮の水和を維持する役割も果たし得る(Preslandら(1992)J Biol Chem,267(33),23772−23781)。この遊離アミノ酸は角質層の天然湿潤因子(NMF)の一部を形成する。NMFは皮膚の水和を維持し、これによって皮膚の状態を維持する。
【0005】
プロフィラグリン遺伝子は、表皮分化複合体(Epidermal Differentiation Complex(EDC))として知られた遺伝子クラスターの一部として染色体1a21に局在する(Mishkeら(1996)SID 106(5):989−992)。これらの遺伝子の多くは、角質層の構造及び機能に寄与すると考えられる産生物をコードしている。プロフィラグリン遺伝子は、エキソン3に局在するフィラグリン反復単位の数が違うという対立遺伝子差異があるのでサイズ多形性であると報告されていた(Ganら(1990)Biochemistry,29,9432−9440)。ヒトの集団では、長さの異なる3つのプロフィラグリン遺伝子変異体が同定されており、これらの変異体は10、11または12個の反復単位から成るマルチマーをコードしている。双方のプロフィラグリン対立遺伝子がほぼ等しいレベルで発現されること、即ち、プロフィラグリン遺伝子の発現はバイアレリックであることが判明した(Nirunsuksiriら(1998)Journal of Investigative Dermatology,110(6),854−861)。
【0006】
優性形質として遺伝した鱗屑剥落性皮膚病である魚鱗癬(IV)に罹患している個体のプロフィラグリン遺伝子の対立遺伝子差異を、罹患していない近親者または同じような年齢及び性別の健常な対照に比較した(Nirunsuksiriら(1998)Journal of Investigative Dermatology,110(6),854−861)。完全コーディング領域に隣接するEcoRV制限部位を利用して反復単位のサイズ及び数の評価を行った。IV罹患個体及び対照個体の双方でフィラグリンドメインの数に10−12個の範囲の違いがあることが判明したが、対立遺伝子の分布については2つのグループ間で明らかな違いはなかった(Nirunsuksiriら(1998)Journal of Investigative Dermatology,110(6),854−861)。これは、個体のプロフィラグリン遺伝子型が該個体の皮膚の異常状態には全く影響を与えないことを示す。この見解は更に、Ganら(1990,Biochemistry,29,9432−9440)によって支持されている。Ganらは、最終的に分化した健常なヒト表皮は前駆体遺伝子から産生された機能性フィラグリンの正確な量に決定的には左右されないと考えられると記述している。
【0007】
このような背景下で意外ではあったが、フィラグリン反復単位の数と乾燥肌に傾き易い素因との間の相関関係が証明された。我々は、プロフィラグリン遺伝子型と界面活性剤刺激(即ち、洗剤誘発紅斑に罹り易い素因)に対する皮膚の抵抗能力との間に関係が存在することを証明した。また、フィラグリン反復単位とNMFの産生量との間に直接的な相関関係が存在することも証明された。個体のNMF産生能力及び/または乾燥肌、ふけ及び/または洗剤誘発紅斑のような皮膚の異常状態を生じ易い素因は、個体のゲノムに存在するプロフィラグリン対立遺伝子を同定することによって測定できる。臨床試験では個体をそのプロフィラグリン遺伝子型に基づいてグループ分けする。個体のプロフィラグリン遺伝子型に基づいて各人に合う適切な化粧品を選ぶことができる。
【発明の開示】
【0008】
従って本発明は、皮膚の異常状態を生じ易い個体の素因を判定するために、個体から採取したex vivoサンプルのゲノム中に存在するプロフィラグリン対立遺伝子を同定する段階から成る方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、皮膚の異常状態を生じ易い個体の素因を判定するための、個体から採取したサンプルのゲノム中に存在するプロフィラグリン対立遺伝子を同定する手段を含むシステムを提供する。
【0010】
本発明はまた、NMFの産生量を増加させる方法及び/または乾燥肌及び/またはふけを治療または予防する方法を提供する。該方法は、プロフィラグリンまたはその変異体もしくはフラグメントの配列を含むポリペプチドまたはこれらのいずれかをコードするポリヌクレオチドを投与する段階から成る。好ましい実施態様では方法が洗剤誘発紅斑を治療または予防する方法である。ポリペプチドが12個のフィラグリン反復単位を有しているプロフィラグリン対立遺伝子の配列を含むのが好ましい。
【0011】
本発明はまた、プロフィラグリン対立遺伝子またはその変異体もしくはフラグメントの配列を含むポリペプチドまたはこれらのいずれかをコードするポリヌクレオチドを提供する。ポリペプチドが12個のフィラグリン反復単位を有しているプロフィラグリン対立遺伝子の配列から成るのが好ましい。
【0012】
本発明はまた、プロフィラグリン対立遺伝子またはその変異体もしくはフラグメントの配列を含むポリペプチドまたはこれらのいずれかをコードするポリヌクレオチドを皮膚の異常状態の治療用組成物(例えば、化粧組成物または医薬)に製造に使用することを提案する。ポリペプチドが12個のフィラグリン反復単位を有しているプロフィラグリン対立遺伝子の配列を含むのが好ましい。
【0013】
本発明はまた、配列5′GGA TGA AGC CTA TGA CACCAC 3′または5′GA CAG GAA AAG ATA ACT TCC C 3′から成るポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、皮膚の異常状態を生じ易い個体の素因を判定するためにこのようなポリヌクレオチドを使用することを提案する。
【0014】
本発明はまた、個体のプロフィラグリン遺伝子型を同定する段階と、このようにして決定されたプロフィラグリン遺伝子型に使用するために適当であることが判明している身体手入れ用製品を選択する段階とから成る個体に使用するための適当な身体手入れ用製品を同定する方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、個体から採取したサンプルのゲノム中に存在するプロフィラグリン対立遺伝子の同定手段から成る診断用キットを提供する。
【0016】
本発明は、個体の皮膚が、環境条件のような条件に対して、または、スキンケア製品、化粧品、清浄化製品もしくはヘアケア製品のような身体手入れ用製品または布類洗剤、布類柔軟剤、食器洗剤のような家庭用製品などの接触に対して、どのように反応するかを判断するのが必要であるという問題を扱う。スキンケア製品の非限定例は、湿潤剤、擬似日焼け用調製物、日焼け用ローション、マッサージオイル、バスオイル、香料、香油、クリーム、フェースパック、シェービングフォーム及びジェルである。化粧品の非限定例は、口紅、ファンデーション、アイシャドウ、アイライナー、頬紅及びコンシーラーである。清浄化製品の非限定例は、シャンプー(特にフケ取りシャンプー)、セッケン、シャワージェル及びバブルバスのような身体洗浄用製品、布類洗剤及び食器洗剤である。ヘアケア製品の非限定例は、整髪用ムース、整髪用スプレー、整髪用ジェル、ヘアコンディショナーまたは染毛剤である。
【0017】
個体のプロフィラグリン遺伝子型を鑑別することによって、皮膚の異常状態を生じ易い個体の素因を判定することが可能である。“プロフィラグリン遺伝子型”という用語は、個体のゲノム中のプロフィラグリン対立遺伝子の一致を意味する。本発明の方法によって検査される個体は典型的には哺乳動物である。1つの実施態様では哺乳動物が齧歯類である。別の実施態様では哺乳動物がヒトである。従って本発明の方法によって検査される個体は二倍体であり、従ってそれらのゲノム内部にプロフィラグリン遺伝子の2つのコピーが含まれる。個体がプロフィラグリン遺伝子の等しい2つのコピーを有するとき、これらはこの対立遺伝子に関してホモ接合性である。個体がプロフィラグリン遺伝子の異なる2つのコピーを有するとき、即ち、一方のコピーが他方のコピーに対して多形性であるとき、個体はこの対立遺伝子に関してヘテロ接合性である。“素因”という用語は、個体のゲノム中の個々のプロフィラグリン対立遺伝子の存在または個体のゲノム中に存在するプロフィラグリン対立遺伝子の組合せが皮膚の異常状態に関連するかまたは該皮膚の異常状態の前兆となることを意味する。
【0018】
本文中に使用された“皮膚の異常状態”という用語は、頭皮を含む皮膚の全ての物理的パラメーター、例えば、水分保持、物質産生または障壁形成のようなパラメーターを含意する。1つの実施態様では“皮膚の異常状態”という用語が、健全なNMF産生レベルの維持に関する皮膚の能力を表す。従って、本発明は、健全なNMF産生レベルの維持に関する個体の素因を判定する方法を提供する。言い換えると、本発明は、個体が異常なNMF産生に関係のある状態を生じ易いか否かを判定する方法を提供する。典型的には、異常なNMF産生によって惹起されるかまたは悪化する皮膚の異常状態は、NMF産生量が健康な皮膚よりも少ないことが原因で生じる。フィラグリン及びNMFの異常産生に付随する状態としては尋常性魚鱗癬がある。別の実施態様では“皮膚の異常状態”という用語が乾燥肌を表す。乾燥肌状態としては、老人性/閉経後皮脂欠乏症、界面活性剤誘発皮脂欠乏症、冬季皮脂欠乏症、日焼けなどがある。別の実施態様では“皮膚の異常状態”という用語がふけのような頭皮の状態を表す。別の実施態様では“皮膚の異常状態”という用語が洗剤誘発紅斑のような紅斑を表す。
【0019】
従って、本発明の方法は、個体をそれぞれの皮膚の特徴によって分類する手段を提供する。これは治療的用途及び非治療的用途の双方に有用である。1つの実施態様では、本発明の方法を治療的用途に使用する。別の実施態様では、本発明の方法を化粧品用のような非治療的用途に使用する。
【0020】
本発明方法の治療的用途としては、病的皮膚状態の原因診断手段がある。それに応じて個体の表現型を補完するように病的皮膚状態の治療方法を設計できる。本発明方法の治療的用途としてはまた、外用投与された医薬製剤のような医薬製剤に対して個体の皮膚が副作用を生じ易いか否かを判断する手段がある。この場合には、個体の皮膚の状態に最大の治療効果を与えながらも望ましくない影響は最小限に抑制または阻止するように個体に合った特定の医薬製剤を選定することができる。
【0021】
本発明方法の非治療的用途は、試薬、例えば化粧品または身体に導入される別の形態の調製物を試験するために個体をグループ分けする手段とすることである。これは、例えば異なる個体の皮膚の反応が試験中に均一でない場合に、このような試験から得られた結果を解釈するために有用である。皮膚の異常状態を生じ易い個体の素因に従って個体をグループ分けするかまたは階層化することによってレスポンスの不均一性をより明白に解釈できる。一部の個体には使用が適当であるがその他の個体には適当でない試薬の開発がこの方法の使用によって可能であることは当業者に理解されよう。これに応じて、異なる個体に対してそれぞれに使用するのが適当な異なる試薬から成る試薬パネルを作製できる。試験後、このような試薬の使用を希望する個体は、皮膚の異常状態を生じ易い自身の素因に基づいてどの試薬の使用が最適であるかを本発明の方法を使用して判断できる。即ち、本発明の方法は、個体が個体に合った前述の種類の身体手入れ用製品を選定することを可能にする。
【0022】
個体のプロフィラグリン遺伝子型を同定する方法は、個体の生物材料に対して行う。好ましくは同定方法を行う前に個体から生物材料を採取する。言い換えると、典型的には生物材料がex vivoである。方法を実行する前にex vivo材料を更にin vitroで培養してもよい。
【0023】
ex vivoサンプルは身体の何処かの部位から採取された組織または細胞から成り得る。好ましいex vivoサンプルは、循環系から採取された材料、または、口腔のような体腔から採取された材料である。特に好ましいex vivoサンプルは唾液サンプルである。個体に存在する対立遺伝子は、Schie and Wilson(1997,Journal of Immunological Methods,208,91−101)に記載されているような当業界で公知の方法を使用して唾液サンプルから判定できる。
【0024】
このようにex vivoサンプルは専門的な収集手段を要せずに個体から提供され得る。例えば、個体は試験に先立って唾液サンプルまたは口腔スワブを容易に提供できる。
【0025】
プロフィラグリンの遺伝子及びタンパク質は当業界で公知であり、前出の文献及びGanら(1990,Biochemistry,29,9432−9440)の文献に記載されている。多数のプロフィラグリン配列が公的にアクセスできるデータベースに寄託されている。
【0026】
プロフィラグリン遺伝子は、多数のフィラグリン反復単位、通常は、10、11または12個の反復単位を含んでいる。フィラグリン反復単位は典型的には互いに同じ長さ(ヒトでは972bp、324アミノ酸)であるが、mRNAの5′−端及び3′−端のフィラグリン反復単位はそれほど典型的でない。フィラグリン反復単位は同じ対立遺伝子上の反復単位間及び異なる対立遺伝子間でかなりの配列変異を示しており、典型的には0−50%、より典型的には2−30%、もっと典型的には10−15%の配列変異を示し得る。変異は、通常は単一塩基の変化に起因するが、電荷の変化が関与することもある(Ganら(1990)Biochemistry,29,9432−9440)。ヒトフィラグリン反復単位のコンセンサスアミノ酸配列マップは既知であり(Ganら(1990)Biochemistry,29,9432−9440)、好ましくはフィラグリン反復単位がGanら(1990,Biochemistry,29,9432−9440)に示されているコンセンサス配列または該コンセンサス配列の変異体に少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、更に好ましくは90%、もっと好ましくは少なくとも95%の配列一致を有しているであろう。通常は、アミノ末端及びカルボキシ末端をコードしているアミノ酸配列が、遺伝子のコーディング部分に隣接する5′及び3′のDNA配列と同様により高度に保存されている(Preslandら(1992)J Biol Chem,267(33),23772−23781)。
【0027】
個体のゲノム中に存在する種々のプロフィラグリン対立遺伝子は、分岐構造をもつ巨大分子を識別するための当業界で公知の方法によって同定できる。プロフィラグリンに関して本文中で使用された“対立遺伝子”という用語は、多形を含むすべてのプロフィラグリン遺伝子を意味する。好ましい実施態様では、プロフィラグリンに関する“対立遺伝子”という用語は、該遺伝子がコードするフィラグリン反復単位の個数によって同定され得るプロフィラグリン遺伝子を意味する。しかしながら、プロフィラグリン遺伝子には多くの別の多形があり得ること、及び、すべてのプロフィラグリン対立遺伝子が本発明の範囲に包含されることが当業者には理解されよう。例えば、10、11または12個のフィラグリン反復単位をもつプロフィラグリンをコードしているプロフィラグリン対立遺伝子を有している個体間で表現型の違いが観察されるとき、この違いはフィラグリン産生量の違いの直接結果であると考えられる。しかしながら、フィラグリン反復単位の数はむしろ、異なるプロフィラグリン対立遺伝子中または表皮分化複合体内部の別の遺伝子中の何らかの別の配列多形の“マーカー”となり得ることが当業者には理解されよう。即ち、表現型は、存在するフィラグリン反復単位の個数に直接的な関係はないと考えられる。従って、本文中に記載された方法が、いかなるプロフィラグリン対立遺伝子間の違いを同定するためにも適当であること、及び、本発明がフィラグリン反復単位の個数に関する多形性に限定されないことは理解されよう。
【0028】
登録番号M60494は、ヒトプロフィラグリン遺伝子の3′端であると同定されており(及び、Ganら(1990,Biochemistry,29,9432−9440)に開示されているプロフィラグリンのアミノ末端配列であり)、2つのEF−ハンド、イントロン2、N末端及び末端欠失反復単位、及び、リンカー2で終結する最初の全長フィラグリン反復単位を含んでいる。
【0029】
登録番号LO1089は、ヒトプロフィラグリン遺伝子のエキソン2−3であると同定されている(及び、Preslandら(1992),J Biol Chem,267(33),23772−23781に開示されているプロフィラグリンのアミノ末端配列である)。これは、EF−ハンド2(EF−ハンド1はエキソン1中に存在、 L01088)、末端欠失反復単位、第一リンカー、及び、最初の全長フィラグリン反復単位のほぼ1/2を含んでいる。
【0030】
登録番号AH003056は、プロフィラグリンのカルボキシ末端配列であると同定されており(Ganら(1990),Biochemistry,29,9432−9440によって発表されたM60501.1、M60502.1及びM60503.1の組合せ)、最終の全長フィラグリン反復単位、末端欠失反復単位、c−末端及びポリA尾部を含んでいる。
【0031】
典型的には、ポリヌクレオチドのレベルで例えばゲノムDNAまたはmRNAを解析することによって対立遺伝子を同定し得る。当業者は種々のポリヌクレオチドの有無を判定する方法に精通している。特定のRNA配列の有無を判定する公知の方法には、ノーザンブロット、逆転写及びPCR(RT−PCR)及びリボヌクレアーゼ保護アッセイがある(Sambrook and Russell,(2001) Molecular Cloning:A Laboratory Manual.3rd edition,Cold Spring Harbour Laboratory Press,New York,USA)。特定のDNA配列の有無を判定する公知の方法には、配列決定、サザンブロット、ゲノムDNAのPCR増幅及び制限断片長多型(RFLP)の解析がある。Sambrook and Russell(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual.3rd edition,Cold Spring Harbour Laboratory Press,New York,USA)、Innisら(1995,PCR Strategies,Academic Press,Inc.:NY);Dieffenbachら(1995,PCR Primer:A Laboratory Manual,New York:Cold Spring Harbor Press)参照。DNA配列解析はまた、変性剤を含有するゲル中または非含有のゲル中でDNAフラグメントの電気泳動移動度の変化を検出することによって行うことができる。違いはまた、高分解能ゲル電気泳動によって可視化することもでき、または、DNA配列の融点の違いによって識別することもできる。例えば、Myersら(1982,Science,230,1242)参照。特定配列の存在を検出する方法としては、蛍光に基づく検出方法、RIAのような免疫に基づくアッセイ、ウェスタンブロット分析のような抗体染色、または、適正に標識されたプローブを使用するin situハイブリダイゼーションなどの検出技術がある。
【0032】
問題の配列の存在を検出するために使用できる適当なプローブの構築に有用な配列は、Blast searchによって公知のプロフィラグリン遺伝子の配列またはそのフラグメントに少なくとも約50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%またはそれ以上の配列一致または相同を有しているいかなる核酸配列でもよい。““配列一致パーセント(%)”または“配列相同パーセント(%)”は、候補配列中で問題の配列の核酸残基に一致している核酸残基のパーセンテージであると定義される。このパーセンテージは、双方の配列を位置合せし、配列一致パーセントが最大になるように必要ならばギャップを導入した後で、保存性置換を配列一致部分と考えないで計算する。配列の位置合せを行う方法及び配列一致を測定する方法は当業界で公知であり、煩雑な実験を要せずに行うことができ、一致%の計算値は、例えばWU−BLAST−2(Altschulら,1996,Methods in Enzymology 266,460−480)のような入手容易なコンピュータープログラムを使用して得られる。場合によっては、コンピューターソフトウェアプログラム中のセットデフォールトパラメーターを使用して位置合せを行ってもよい(Blast search,MacVector and Vector NTI)。問題の配列を認識するプローブにサザンブロットがハイブリダイズするとき、特定対立遺伝子の制限マップに基づいてバンド形成パターンを予測できる。使用されるハイブリダイゼーションの緊縮性レベルは所望の感度レベル、特定プローブの特性値、例えばプローブの長さ及び/またはアニーリング温度、または、プローブ配列と問題の配列との相同度に従属して変更できる。従って、感度及び特異性に関する考察が特定のアッセイに必要なハイブリダイゼーションの緊縮度を決定する。
【0033】
ハイブリダイゼーション反応の“緊縮性”は当業者が容易に決定でき、一般には、プローブの長さ、洗浄温度及び塩濃度に従属する実験的計算値である。一般に適正なアニーリングを行わせるためには、プローブが長いほど高い温度が必要であり、プローブが短いほど必要な温度が低い。ハイブリダイゼーションは一般に、相補鎖がそれらの融解温度よりも低温の環境に存在するときの変性DNAの再アニーリング能力に左右される。プローブとハイブリダイズ可能配列との間の望ましい相同度が高いほど、使用できる温度が相対的に高くなる。ハイブリダイゼーション反応の緊縮性に関するその他の委細及び説明に関しては、Ausubelら(1995,Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience Publishers)またはProtocols Online(URL: www.protocol−online.net/molbio/index.htm)を参照するとよい。
【0034】
本文中で定義された“緊縮条件”または“高緊縮性”は、(I)洗浄に低イオン強度及び高温を使用すること、例えば、0.1×SSC,0.2%SDSを65−70℃で使用することを意味する。
【0035】
“中度の緊縮条件”は、Sambrook and Russell(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd edition)に記載された条件と同じであり、洗浄溶液及びハイブリダイゼーションにおいて上述よりも緊縮でない条件(例えば、温度、イオン強度及びSDSの%)を使用することを意味する。中度の緊縮条件の一例では、0.2×SSC、0.1%SDSを58−65℃で使用する。当業者は、プローブの長さ、プローブとターゲット部位との相同度、などの要因に応じて温度、イオン強度などの調節がどの程度必要であるかを容易に認識できよう。従ってまた、問題の配列以外にも、問題の配列とは異なっている付加的または代替的なプローブ配列が問題の配列のスクリーニングに有用であると考えられる。
【0036】
好ましい実施態様では、プロフィラグリン対立遺伝子が、存在するフィラグリン反復単位の個数によって同定される。従って典型的には、個体のゲノム中に存在するプロフィラグリン対立遺伝子の同定方法は、存在する対立遺伝子が有しているフィラグリン反復単位の数が10個であるか11個であるかまたは12個であるかを測定する段階から成る。
【0037】
1つの好ましい実施態様では、対立遺伝子の同定がPCRを使用して行われる。当業界で公知の技術を使用して順方向及び逆方向のプライマーを調製する。プライマーは、多形性のフィラグリン反復単位をコードするプロフィラグリン遺伝子コーディング配列の配列に対してそれぞれ上流の領域及び下流の領域に基づく配列から成る。好ましくは、プライマーを設計するために選択された上流領域及び下流領域は種々の対立遺伝子間で実質的に保存されているであろう。“実質的に保存されている”という表現は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%または100%の配列一致を有している配列を含意する。従ってプライマーは、例えば、縮重プライマーを使用することによって、または、相補性目的で特異性の小さいイノシンのようなヌクレオチドをプライマー内部に含ませることによって、類似であるが一致しない複数の配列に結合するように設計され得る。順方向及び逆方向のプライマーの好ましくは一方、より好ましくは双方が、各プロフィラグリン対立遺伝子の上流領域及び/または下流領域に100%一致である。
【0038】
上流及び下流のプライマーは公的に入手可能なデータベースに存在する配列に由来し得る。例えば、後出の実施例に使用したプライマーの1つは、登録番号LO1089によって同定される配列の塩基3112−3132(登録番号M60494によって同定される配列の塩基1530−1551に等価)に従って設計され、他方のプライマーは登録番号AH003056によって同定される配列の塩基3341−3361に従って設計される。
【0039】
これらのプライマーを使用するプロフィラグリン対立遺伝子を増幅すると、コードされているフィラグリン反復単位の個数に従属する種々のサイズの産物が産生されるであろう。10個の反復単位から成る対立遺伝子は11,610bpのフラグメントを産生し、11個の反復単位から成る対立遺伝子は12,582bpのフラグメントを産生し、12個の反復単位から成る対立遺伝子は13,553bpのフラグメントを産生するであろう。従って、順方向プライマーの設計に使用される好ましい上流領域は、プロフィラグリン遺伝子の領域の少なくとも一部であり、該領域は、遺伝子のアミノ末端をコードする領域であるかまたは遺伝子のコーディング部分の上流の5′DNA配列をコードする領域である。好ましくは順方向プライマーの配列が5′GGA TGA AGC CTA TGA CACCAC 3′である。
【0040】
逆方向プライマーの設計に使用される好ましい下流領域は、プロフィラグリン遺伝子領域の少なくとも一部であり、該領域は遺伝子のカルボキシ末端をコードする領域であるかまたは遺伝子のコーディング部分の下流の3′DNA配列をコードする領域である。好ましくは逆方向プライマーの配列が5′GA CAG GAA AAG ATA ACT TCC C 3′である。
【0041】
生物材料から得られるDNAを個体の採取サンプルから増幅するためにPCR反応を行う。1つの実施態様では、DNAが生物材料から抽出されたゲノムDNAである。別の実施態様では、DNAが、RNA、典型的にはmRNAから逆転写されたcDNAである。このRNAは生物材料から抽出される。ゲノムDNAの抽出方法、RNAの抽出方法、mRNAの抽出方法、及び、RNAの逆転写方法は当業界で公知であり、例えば、Sambrook and Russell(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual.3rd edition,Cold Spring Harbour Laboratory Press,New York USA)を参照するとよい。
【0042】
好ましい実施態様ではDNAがゲノムDNAであり、サンプルが唾液サンプルまたは口腔スワブである。唾液サンプル及び口腔スワブからDNAを抽出する方法は当業界で公知である(Schie and Wilson(1997)Journal of Immunological Methods,208,91−101)。
【0043】
PCR反応は、当業界で公知の条件下で行ってもよく、または、市販のPCRキットの製造業者によって示唆された通りに行ってもよい。例えば、0.1−30μg/mlのDNA基質を使用して増幅を行うとよい。2μM−2mMの複数のdNTPを使用して増幅を行うとよい。2μM−2mMの順方向及び逆方向プライマーを使用して増幅を行うとよい。17μM−17mMのMg2+を使用して増幅を行うとよい。好ましい実施態様では、約200μMの複数のdNTPを使用して増幅を行う。好ましい実施態様では、約200μMの順方向及び逆方向プライマーを使用して増幅を行う。好ましい実施態様では、約1.7mMのMg2+を使用して増幅を行う。“約”という用語は、使用される濃度が記載の濃度から違っている範囲が50%、25%、10%または5%以下であることを意味する。最も好ましくは、本質的に以下に例示の方法に記載された通りにPCR反応を行う。
【0044】
次に、任意の適当な方法でPCR産物を分析し得る。典型的には、通常は当業界で公知の技術に従って行うゲル電気泳動を使用したサイズ分画によってPCR産物を分析する(Sambrook and Russell(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual.3rd edition,Cold Spring Harbour Laboratory Press,New York USA参照)。最も好ましくは、本質的に以下に例示の方法に記載された通りにPCR産物を分析する。
【0045】
個体のゲノム中に存在するプロフィラグリン対立遺伝子を同定するための適当な別の方法としては、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、及び、プライマー特異的延長がある。
【0046】
対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションでは、少なくとも1つのプロフィラグリン対立遺伝子の領域にオーバーラップし且つ多形領域の周囲に約5、10、20、25または30個のヌクレオチドを有しているプローブを使用する。好ましい実施態様では、別のプロフィラグリン対立遺伝子に特異的にハイブリダイズできる複数のプローブを固相支持体、例えば、“チップ”に付着させる(チップは約250,000までのオリゴヌクレオチドを保持し得る)。オリゴヌクレオチドはリソグラフィーのような様々な方法によって固体支持体に結合できる。“DNAプローブアレイ”とも呼ばれるこれらのオリゴヌクレオチド含有チップを使用した突然変異検出分析は、例えばCroninら(1996,Human Mutation 7,244)に記載されている。1つの実施態様では、チップが、プロフィラグリン対立遺伝子の少なくとも1つの多形領域の全部の対立遺伝子変異体を含む。次に固相支持体を被検核酸に接触させ、特異的プローブとのハイブリダイゼーションを検出する。それに応じて、1つまたは複数の遺伝子の多数の対立遺伝子変異体の一致を簡単なハイブリダイゼーション実験で同定できる。
【0047】
これらの技術はまた分析前に核酸を増幅する段階を含んでもよい。増幅技術は当業者に公知であり、その非限定例は、クローニング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、特異的対立遺伝子(ASA)のポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応(LCR)、入れ子式ポリメラーゼ連鎖反応、自立配列複製(Guatelliら(1990)Proc Natl Acad Sci USA 87,1874−1878)、転写増幅系(Kwohら(1989)Proc Natl Acad Sci USA 86,1173−1177)、及び、Q−ベータレプリカーゼ(Lizardi(1988)Bio/Technology 6,1197)である。
【0048】
増幅産物は、サイズ分析、制限消化とサイズ分析とによる順次処理、反応産物中の特異的タグで標識したオリゴヌクレオチドの検出、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)のハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異的5′エキソヌクレアーゼの検出、配列決定、ハイブリダイゼーション、などのような様々な方法で検定し得る。
【0049】
単なる代表的な実施態様では、プロフィラグリン対立遺伝子の同定方法が、(i)個体から収集したサンプルの細胞から核酸(例えば、ゲノム、RNAまたは双方)を単離する段階と、(ii)対立遺伝子の多形領域のハイブリダイゼーション及び増幅が生じるような条件下でプロフィラグリン対立遺伝子中の少なくとも1つの多形に5′及び3′で特異的にハイブリダイズする1つまたは複数のプライマーと核酸サンプルとを接触させる段階と、(iii)増幅産物を検出する段階とから成る。これらの検出手順は核酸分子が極めて少数しか存在しない場合の核酸分子の検出に特に有効である。
【0050】
プロフィラグリンの対立遺伝子は制限酵素開裂パターンの変化によって同定し得る。例えば、サンプル及び対照のDNAを単離し、(場合によっては)増幅し、1つまたは複数の制限エンドヌクレアーゼによって消化し、例えばゲル電気泳動によってフラグメント長のサイズを決定する。
【0051】
また別の実施態様では、当業界で公知の様々な配列決定反応のいずれかを使用して対立遺伝子の配列決定を直接行ってもよい。代表的な配列決定反応は、Maxim and Gilbert(1997,Proc Natl Acad Sci USA 74,560)、または、Sangerら(1977,Proc Nat Acad Sci USA,74,5463)によって開発された技術に基づく。また、このようなアッセイを行うときに様々な全自動配列決定手順のいずれか(例えば、Biotechniques(1995)19,448参照)、例えば、質量分析法による配列決定(例えば、国際特許WO94/16101;Cohenら(1996)Adv Chromatogr 36,127−162;Griffinら(1993)Appl Biochem Biotechnol 38,147−159)を利用することも考えてよい。それぞれの実施態様で、配列決定反応で決定することが必要な核酸塩基の数が1個だけなのか、2個または3個なのかは当業者に明らかであろう。例えば、核酸を1個だけ検出する場合にはA−トラックなどを行うことができる。
【0052】
プロフィラグリン対立遺伝子は、RNA/RNAまたはRNA/DNAまたはDNA/DNAヘテロ二本鎖中のミスマッチ塩基を検出するための開裂試薬(例えば、ヌクレアーゼ、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウム)をピペリジンと共に使用することによって同定し得る(Myersら(1985)Science 230,1242)。一般に、当業界の“ミスマッチ開裂”の技術では最初に、野生型対立遺伝子を含む(標識)RNAまたはDNAをサンプルと共にハイブリダイズさせることによって形成されたヘテロ二本鎖を準備する。二重鎖領域を含む二本鎖を、対照鎖とサンプル鎖との間の塩基対ミスマッチが原因で存在する該二本鎖の一本鎖領域を開裂する試薬によって処理する。ミスマッチ領域を酵素的に消化するために、例えば、RNA/DNA二本鎖はRNアーゼによって処理することができ、DNA/DNAハイブリッドはS1ヌクレアーゼによって処理することができる。別の実施態様では、ミスマッチ領域を消化するために、DNA/DNAまたはRNA/DNA二本鎖をヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウム及びピペリジンによって処理できる。ミスマッチ領域の消化後に得られた材料を次に、例えば変性用ポリアクリルアミドゲルを使用してサイズによって分離し、突然変異部位を決定する。例えば、Cottonら(1988)Proc Natl Acad Sci USA 85,4397;及び、Saleebaら(1992)Methods Enzymol 217,286−295参照。好ましい実施態様では、対照DNAまたはRNAを検出用に標識できる。
【0053】
更に別の実施態様では、ミスマッチ開裂反応に、二重鎖DNA中のミスマッチ塩基対を認識する1つまたは複数のタンパク質(いわゆる、“DNAミスマッチ修復”酵素)を使用する。例えば、大腸菌のmutY酵素はG/AミスマッチでAを開裂し、HeLa細胞に由来のチミジンDNAグリコシラーゼはG/TミスマッチでTを開裂する(Hsuら(1994)Carcinogenesis 15,1657−1662)。代表的な実施態様によれば、選択されたプロフィラグリン対立遺伝子に基づくプローブは(1つまたは複数の)被検細胞に由来のcDNAまたはその他のDNA産物にハイブリダイズする。二本鎖をDNAミスマッチ修復酵素で処理し、開裂産物があればこれを電気泳動プロトコルなどによって検出できる。例えば、米国特許第5,459,039号参照。
【0054】
対立遺伝子を検出する別の技術の非限定例は、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、または、選択的プライマー延長である。例えば、既知の突然変異またはヌクレオチド差異(例えば対立遺伝子変異体中)が中央に配置されているオリゴヌクレオチドプライマーを調製し、次いで完全なマッチが見出されたときにだけハイブリダイゼーションが生じ得る条件下でターゲットDNAにハイブリダイズさせる(Saikiら(1986)Nature 324,163;Saikiら(1989)Proc Natl Acad Sci USA 86,6230)。このような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション技術は、オリゴヌクレオチドがPCR増幅したターゲットDNAにハイブリダイズするときは1反応あたり1つの突然変異または多形領域を試験するために使用され、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズ用膜に付着されており標識されたターゲットDNAにハイブリダイズするときは複数の異なる突然変異または多形領域を試験するために使用され得る。
【0055】
別の実施態様では、プロフィラグリン対立遺伝子の同定を、例えば、米国特許第4,998,617号及びLandegrenら(1988,Science 241,1077−1080)に記載されているようなオリゴヌクレオチド結合アッセイ(OLA)を使用して行うことができる。OLAプロトコルは、ターゲットの一本鎖の隣接配列にハイブリダイズできるように設計された2つのオリゴヌクレオチドを使用する。一方のオリゴヌクレオチドは例えばビオチニル化された分離マーカーに結合されており、他方は検出可能に標識されている。ターゲット分子中で完全に相補的な配列が見出されたとき、オリゴヌクレオチドはそれらの末端が隣接するようにハイブリダイズして、結合基質を形成する。結合の後、アビジンまたは別のビオチンリガンドを使用して標識オリゴヌクレオチドを回収し得る。Nickersonらは、PCRとOLAとの特性を組合せた核酸検出アッセイを記載している(Nickersonら(1990)Proc Natl Acad Sci USA 87,8923−27)。この方法では、ターゲットDNAの対数増殖的増幅を達成するためにPCRを使用し、次いでOLAを使用してターゲットDNAを検出する。
【0056】
このOLA法に基づく幾つかの技術が開発され、プロフィラグリン対立遺伝子を検出するために使用できる。例えば、米国特許第5,593,826号は、ホスホラミデート結合を有するコンジュゲートを形成するために3′−アミノ基を有するオリゴヌクレオチドと5′−リン酸化オリゴヌクレオチドとを使用するOLAを開示している。Tobeら(1977,Nucleic Acids Res 24,3728)によって記載されたOLAの別の変形方法では、PCRと組合せたOLAが単一マイクロタイターウェル中の2つの対立遺伝子を型別(typing)し得る。対立遺伝子特異的プライマーの各々を単一ハプテン、即ちデゴキシゲニン及びフルオレセインで標識すると、別のリポーター酵素、即ちアルカリホスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼで標識したハプテン特異的抗体を使用することによってOLA反応の各々を検出できる。この系は、異なる2つの色を生じるような高処理量フォーマットを使用して2つの対立遺伝子を検出し得る。
【0057】
個体のプロフィラグリン遺伝子型を決定できれば、この個体を皮膚の異常状態を生じ易い素因の高低に基づいて分類できる。従って本発明の方法は、皮膚の異常状態を生じ易い個体の素因を判定する目的で個体のプロフィラグリン遺伝子型を同定するために使用できる。これに応じて本発明は、皮膚の異常状態を生じ易い個体の素因を判定するための、個体から採取したサンプルのゲノム中に存在するプロフィラグリン対立遺伝子を同定する手段から成る系を提供する。
【0058】
1つの実施態様において、本発明は、多形を含むプロフィラグリン遺伝子の領域を増幅するために使用し得るプライマーの配列から成るポリヌクレオチドを提供する。好ましい実施態様では、プライマーが、5′GGA TGA AGC CTA TGA CACCAC 3′または5′GA CAG GAA AAG ATA ACT TCC C 3′である。
【0059】
本発明はまた、上述のような皮膚の異常状態を生じ易い個体の素因を判定する方法に本発明のプライマーを使用することを提案する。従って、上述のようなPCRプライマーとハイブリダイゼーション用オリゴヌクレオチドとから成るキット及びアッセイ成分は本発明の別の目的を構成する。
【0060】
本発明のプライマーキットはポリヌクレアーゼ連鎖反応を使用してプロフィラグリン対立遺伝子を同定するために有用である。キットは一本鎖DNAプライマー対のセットを含む。該DNAプライマーは、遺伝子自体のDNA合成の増幅をプライムするために、該当染色体上のプロフィラグリン遺伝子の多形に隣接する配列またはプロフィラグリン遺伝子の内部もしくは周囲の配列にアニーリングできる。完全セットは、プロフィラグリン対立遺伝子コーディング配列の全部のヌクレオチド即ちエキソンを合成し得るか、または、完全コーディング領域よりも小さい領域を合成し得る。対立遺伝子の変異はプロフィラグリン遺伝子のイントロン中に見出されることもあるのでプライマーのセットがイントロン及びエキソンの双方の配列を合成できるのが好ましい。キットはまた、DNAポリメラーゼ、好ましくは好熱性DNAポリメラーゼ、より好ましくはTaqポリメラーゼ、もっと好ましくはElongase(GIBCOBRL Life Technologies)と、適当な反応バッファとを含むことができる。このような成分は当業界で公知である。
【0061】
増幅した配列のその後のクローニングを促進するために、プライマーは5′端に付加された制限酵素部位を有し得る。従って、制限酵素部位の形成に必要な数個のヌクレオチドを除けば、プライマーの全部のヌクレオチドがプロフィラグリン遺伝子の配列または該遺伝子に隣接の配列に由来する。このような酵素及び部位は当業界で公知である。プライマー自体は当業界で公知の技術を使用して合成できる。一般的に、プライマーは市販の合成機を使用して製造できる。当業界で公知のプロフィラグリン対立遺伝子変異の配列が与えられれば、特定のプライマーを設計することは当業者の知識の範囲内である。
【0062】
本発明のキットは場合によっては更に、特定のプロフィラグリン遺伝子型を有している個体に使用するための適当な調製物から成る、上述の化粧調製物のような身体手入れ用製品を包含する。
【0063】
本発明のキットの一例は、QIAamp DNA Blood Midi KitまたはEpicentre BuccalAmpキットのような核酸単離手段と、遠心機、分光光度計のようなDNA定量手段、サーマルサイクラーのようなPCR反応実行手段及びゲル電気泳動キットのようなPCR産物分析手段などの付属装置を含み得る。しかしながら、これらの構成要素の多くまたは全部は分子生物学の実験所から容易に入手できる。例えば本発明のキットは、200μMの最終濃度に希釈するための適当なdNTP、5′GGA TGA AGC CTA TGA CACCAC 3′及び5′GA CAG GAA AAG ATA ACT TCC C 3′のような一対のオリゴヌクレオチドプライマー、Mg2+を1.7mMの最終濃度に希釈するために適当な塩化マグネシウム溶液、及び、Elongase(GIBCOBRL Life Technologies)のような熱安定性DNAポリメラーゼを含み得る。キットは更に、構成要素の使用説明書を含んでもよく、従って、以下のようなPCRサイクルを行うための指示を含んでいてもよい:
反応物を94℃まで5分間加熱する;
1/50に希釈したElongase反応ミックスを加える(高温開始);
プログラムを開始する:
94℃で5分を1サイクル;
94℃で30秒
57℃で30秒
68℃で12分
から成る処理を35サイクル;
4℃で浸漬する。
【0064】
本発明のキットは更に、PCR産物に比較して該PCR産物の寸法を決定するための既知の寸法を有しているポリヌクレオチドを含み得る。このようなポリヌクレオチドは例えば、(GIBCO−BRLによって製造されているような)伸長ラダーマーカー(extension ladder marker)でもよく、または、予め同定された変異体を含む参照ゲノムDNAでもよい。
【0065】
本発明はまた、上述の方法によって個体のプロフィラグリン遺伝子型を判定し、このプロフィラグリン遺伝子型を有している個体と共に使用するための適当な化粧調製物を同定する段階と、このように同定された化粧調製物を当該個体に使用する段階とから成る美容的トリートメント方法を考察する。化粧調製物は普通の方法で使用する。典型的には、個体の皮膚または頭皮に外用塗布することによって使用する。化粧調製物は上述の調製物のいずれかでよい。
【0066】
本発明はまた、個体の表皮中のプロフィラグリン対立遺伝子のタイプ及び/または有用性を操作することによって皮膚の異常状態を治療する方法を考察する。方法は、プロフィラグリン対立遺伝子またはその変異体もしくはそのフラグメントの配列を含むポリペプチドを投与することによって所期の目的を達成する。方法はまた、プロフィラグリン対立遺伝子またはその変異体またはそのフラグメントをコードする配列を含むポリヌクレオチドを投与することによって所期の目的を達成する。従って本発明は、個体の表皮中のNMF産生量を変化させる方法、好ましくは増産する方法を考察する。本発明はまた、乾燥肌及び/または洗剤誘発紅斑を治療する方法を考察する。本発明はまた、ふけを治療する方法を考察する。ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは化粧品の有益効果を増強するためまたは該化粧品の望ましくない効果を改善するために化粧調製物に配合され得る。即ち、好ましい実施態様では、本発明の方法がプロフィラグリン産生量を増加できる。好ましくは、産生されるプロフィラグリン対立遺伝子が12個のプロフィラグリン反復単位を有している。
【0067】
“フラグメント”及び“変異体”という用語は、プロフィラグリンまたはその突然変異形態に特異的に結合する抗体を製造するために有用なポリペプチドを含意する。フィラグリン反復単位中で配列の分岐進化が生じることは公知である(Ganら(1990)Biochemistry,29,9432−9440)。
【0068】
プロフィラグリン“変異体”という用語は、1つまたは複数の位置にアミノ酸の保存性または非保存性の挿入、欠失または置換が存在するが、このような変異があっても、例えば、結合活性(結合のタイプ及び親和性)、熱安定性、あるpH範囲での活性(pH−安定性)のような基本的特性が有意に変化していないタンパク質を与えるポリペプチドを含意する。この場合の“有意に”という用語は、変異体の特性が出発タンパク質の特性に一致しているのが明らかでないならば当業者は変異体の特性が変化したと考えるという意味である。“保存性置換”という用語は、Gly,Ala;Val,Ile;Asp,Glu;Asn,Gln;Ser,Thr;Lys,Arg;及びPhe,Tyrの組合せを意味する。
【0069】
“フラグメント”は完全ポリペプチドの100%未満である。例えば、完全プロフィラグリンタンパク質の少なくとも99%、98%、95%、90%、80%、60%、40%、30%、25%または20%である。
【0070】
本発明のポリペプチドが公知のポリペプチド修飾技術によって修飾され得ることは当業者に認識されるであろう。このような技術としては、1981年11月24日付けのStevensの米国特許第4,302,386号に開示された技術がある。該特許の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。このような修飾は、抗原の免疫原性を変化させてもよく、好ましくは増強してもよく、または、このような免疫原性に全く影響しなくてもよい。例えば、数個のアミノ酸残基が変化してもよい。
【0071】
あるいは、ポリペプチドの抗原部分に対応する短縮されたポリペプチドを当業界で公知の方法によって化学合成してもよい。これらの方法としては、1981年9月22日付けのGoldbergの米国特許第4,290,944号に開示された方法がある。該特許の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。
【0072】
従って、本発明の方法に使用するためのポリペプチドは、起源、構造及び免疫原性という共通要素を本発明の範囲内に有している合成ポリペプチドまたは出発ポリペプチドのフラグメントのような修飾ポリペプチドのクラスを含む。
【0073】
本発明の方法に使用するための単離ポリヌクレオチドは、プロフィラグリン遺伝子または本発明の方法に使用し得る上述のような変異体もしくはフラグメントをコードしている配列を含み得る。本文中に使用された“単離された”という用語は、遺伝子が遺伝子を担っていた少なくとも殆どのヒト染色体から単離されていること、言い換えると、遺伝子がそれまで存在していた形態である必要はないことを意味する。従って、遺伝子がプラスミドのような細菌ベクターまたはバクテリオファージのようなウイルスベクターにクローニングされたとき、このようなクローンが該当染色体のDNAライブラリーを構成するクローンから単離されているならば、このような遺伝子は本発明の遺伝子に包含される。
【0074】
“遺伝子”は、プロモーター及び/または一般にその発現を支配する別の発現調節配列を含んでもよく、イントロンを含んでもよく、または、遺伝子がコーディング配列、例えばcDNA配列のみから構成されてもよい。あるいは、本発明の方法にアンチセンスポリヌクレオチドを使用してもよい。アンチセンスポリヌクレオチドは、相補的核酸配列に特異的に結合できる一本鎖核酸である。適正なターゲット配列に結合することによってRNA−RNA、DNA−DNAまたはRNA−DNA二本鎖が形成される。これらの核酸はしばしば“アンチセンス”と呼ばれるが、その理由は、これらが遺伝子のセンス鎖またコーディング鎖に相補的なためである。最近には、ポリヌクレオチドがDNA二本鎖に結合したトリプルヘリックスも可能であることが立証された。ポリヌクレオチドはDNAダブルヘリックスの主溝中の配列を認識できることが知見された。これによってトリプルヘリックスが形成された。これは、主溝の水素結合部位の認識を介して二重鎖DNAに特異的に結合する配列特異的分子の合成が可能であることを示唆する。
【0075】
プロフィラグリンターゲット核酸に結合することによって上記ポリヌクレオチドはターゲット核酸の機能を阻害し得る。阻害は例えば、転写、プロセシング、ポリ(A)付加、複製、翻訳が阻止された結果、または、RNA減成の促進のような細胞の阻害性メカニズムが促進された結果であろう。
【0076】
アンチセンスポリヌクレオチドは実験室で調製し、次いで、例えばマイクロインジェクションによってもしくは細胞培養培地から細胞に取込ませることによって細胞内に導入してもよく、または、アンチセンス遺伝子を担うプラスミドもしくはレトロウイルスもしくはその他のベクターにトランスフェクション後に細胞中で発現させてもよい。アンチセンスポリヌクレオチドは最初は、ラウス肉腫ウイルス、水泡性口内炎ウイルス、1型単純疱疹ウイルス、シミアンウイルス及びインフルエンザウイルスについて細胞培養中のウイルスの複製または発現を阻害することが知見された。それ以来、ウサギ網状赤血球溶解液及びコムギ胚芽エキスのような無細胞系中でアンチセンスポリヌクレオチドによるmRNA翻訳の阻害が広く研究されてきた。アンチセンスポリヌクレオチドによるウイルス機能の阻害は、AIDS HIVレトロウイルスRNAに相補的なポリヌクレオチドを使用してin vitroで証明された(Goodchild,J.1988“Inhibition of Human Immunodeficiency Virus Replication by Antisense Oligodeoxynucleotides”,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)85(15),5507−11)。Goodchildの研究は、ポリ(A)シグナルに相補的なポリヌクレオチドが最も有効であること、また、RNAの5′端、特にプライマー結合部位に隣接して位置するかまたはプライマー結合部位に位置するキャップ及び5′非翻訳領域にターゲットされたポリヌクレオチドも有効であることを示した。キャップ、5′非翻訳領域及びポリ(A)シグナルはレトロウイルスRNA(R領域)の末端で反復されている配列の内部に存在し、これらに相補的なポリヌクレオチドはRNAに2回結合するであろう。
【0077】
典型的には、アンチセンスポリヌクレオチドは15−35塩基の長さを有している。例えば、20量体のポリヌクレオチドは上皮増殖因子受容体mRNAの発現を阻害することが証明され(Wittersら,Breast Cancer Res Treat 53:41−50(1999))、25量体のポリヌクレオチドは副腎皮質刺激ホルモンの発現を90%以上も減少させることが証明された(Frankelら,J Neurosurg 91:261−7(1999))。しかしながら、この範囲以外の長さ、例えば、10、11、12、13もしくは14塩基、または、36、37、38、39もしくは40塩基のポリヌクレオチドの使用が望ましいことが理解されよう。
【0078】
上述のポリペプチド及びポリヌクレオチドまたはその配合物は、慣用の任意の方法で投与でき、例えば、皮膚の異常状態の生じた部位に外用してもよく、経口投与してもよくまたは非経口(例えば皮下または筋肉内)注射してもよい。治療は一回の投与または長期間にわたる複数回の投与から成り得る。
【0079】
ポリヌクレオチドを全身的に投与してもよい。あるいは、in vivoのポリヌクレオチドの有効性を所期の場所に限定することによって塩基対合に特徴的なポリヌクレオチドの固有結合特異性を強化し、これによって必要な薬用量を減らして全身性作用を最小に抑えるようにしてもよい。即ち、所望の効果を得るためにポリヌクレオチドを局部的に塗布してもよい。所望の場所のポリヌクレオチドの濃度はポリヌクレオチドを全身的に投与したときよりも著しく高い値になり、総使用量を有意に減らして治療効果を得ることができる。ポリヌクレオチドの局部的高濃度はターゲットされた細胞への浸透を増進し、ターゲット核酸配列の翻訳を効果的に阻止する。
【0080】
ポリヌクレオチドは医薬の局在的投与に適した任意の手段によって所期の場所にデリバリーされ得る。例えば、ポリヌクレオチドの溶液を部位に直接注入してもよく、または、インフュージョンポンプを使用するインフュージョンによってデリバリーしてもよい。ポリヌクレオチドはまた、所望部位の近傍に配置されると周囲場所にポリヌクレオチドを放出し得る埋め込み可能なデバイスに組み込まれてもよい。
【0081】
ポリヌクレオチドはヒドロゲル材料を介して投与されてもよい。ヒドロゲルは非炎症性及び生物分解性である。現在では天然ポリマー及び合成ポリマーから製造されたものも含めて多くのこのような材料が知られている。好ましい実施態様では、方法が、体温よりも低い温度では液体であるが体温でまたは体温に近い温度でゲル化して形態維持性の半固体状ヒドロゲルを形成するようなヒドロゲルを使用する。好ましいヒドロゲルはエチレンオキシド−プロピレンオキシド反復単位から成るポリマーである。ポリマーの特性はポリマーの分子量及びポリマー中のポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとの相対的パーセンテージに依存する。好ましいヒドロゲルは、約10重量%−約80重量%のエチレンオキシドと約20重量%−約90重量%のプロピレンオキシドとを含有している。特に好ましいヒドロゲルは約70%のポリエチレンオキシドと30%のポリプロピレンオキシドとを含有している。使用できるヒドロゲルは例えば、BASF Corp.,Parsippany,NJ,から商標PluronicRで入手し得る。
【0082】
この実施態様では、ヒドロゲルを液体状態に冷却し、オリゴヌクレオチドをヒドロゲル1グラムあたりポリヌクレオチド約1gとなる濃度まで液体に加える。得られた混合物を次に、例えば手術で用いるような噴霧もしくは塗布によってまたはカテーテルもしくは内視鏡法の使用によって治療すべき表面に適用する。ポリマーは昇温に伴って凝固してゲルを形成し、ポリヌクレオチドはゲルの正確な組成によって決定される期間にわたってゲルから周囲細胞に拡散する。
【0083】
市販されているかまたは科学文献に記載されている別のインプラント、例えば、リポソーム、マイクロカプセル及び埋め込み可能なデバイスを介してポリヌクレオチドを投与してもよい。ポリヌクレオチドを局部的にデリバリーするために例えば、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸とそれらのコポリマー、コラーゲン及びタンパク質ポリマーのような生物分解性材料、または、エチレン酢酸ビニル(EVAc)、ポリ酢酸ビニル、エチレンビニルアルコール及びそれらの誘導体のような生物非分解性材料から製造したインプラントを使用できる。材料が重合するときまたは凝固するときにメルトもしくは溶媒蒸発技術を使用してポリヌクレオチドを材料に取り込ませてもよく、または、ポリヌクレオチドを材料に機械的に混合してもよい。1つの実施態様では、デキストラン被覆シリカビーズ、ステントまたはカテーテルのような埋め込み可能なデバイスの被膜にポリヌクレオチドを混合するかまたは塗布する。
【0084】
ポリヌクレオチドの用量はポリヌクレオチドのサイズ及びポリヌクレオチドの投与目的に依存する。一般に、治療すべき組織の表面積に基づいて用量の範囲を計算する。ポリヌクレオチドの有効用量はポリヌクレオチドの長さ及び化学組成にも多少は依存するが一般には、組織表面積1cm2あたり約30−3000μgの範囲である。
【0085】
ポリヌクレオチドは、美容、治療及び予防の目的で全身的に投与し得る。ポリヌクレオチドは、効果的な任意の方法、例えば、非経口的(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)または経口的、鼻腔内、または、オリゴヌクレオチドを患者の血流に接近させ血流中で循環させ得る別の手段によって投与し得る。ポリヌクレオチドの全身的投与は、ポリヌクレオチドの局部的投与に付加して使用されるのが好ましいが、局部的投与を使用しなくても有効である。一般には成人に対する1回の投与あたり約0.1−約10グラムの範囲の薬用量がこの目的に有効であろう。
【0086】
アンチセンス成分がまた、上記のプロフィラグリンmRNAまたは遺伝子に結合し、該プロフィラグリンmRNAまたは遺伝子の発現を実質的に阻止し、上記プロフィラグリンタンパク質の発現を実質的に阻止するもっと大きい分子も包含することは理解されよう。従って、上記プロフィラグリンmRNAに実質的に相補的なアンチセンス分子を発現させることも本発明の目的の1つである。
【0087】
上記のもっと大きい分子は、後述するような適当な遺伝子構築物のいずれかから発現され患者にデリバリーされ得る。典型的には、アンチセンス分子を発現する遺伝子構築物が、細胞中でアンチセンス分子を発現させ得るプロモーターに作動可能に連結された上記のプロフィラグリンcDNAまたは遺伝子の少なくとも一部分を含んでいる。
【0088】
ポリヌクレオチドをデリバリーするための遺伝子構築物はDNAまたはRNAでよいが、DNAであるほうが好ましい。
【0089】
好ましくは、遺伝子構築物がヒト細胞へのデリバリーに適応するように設計されている。
【0090】
動物の体内細胞に遺伝子構築物を導入する手段及び方法は当業界で公知である。例えば、本発明の構築物は、構築物を細胞のゲノムに挿入できる任意の簡便な方法、例えば、レトロウイルスを使用する方法によって細胞内に導入され得る。例えば、Kuriyamaら(1991)Cell Struc.and Func.16,503−510は、精製したレトロウイルスを投与する。上述のようなポリヌクレオチドを含むレトロウイルスDNA構築物は当業界で公知の方法を使用して製造し得る。このような構築物から活性レトロウイルスを産生するために、通常は、10%のウシ胎仔血清(FCS)を含有するダルベッコの改質イーグル培地(DMEM)で増殖させた同種指向性psi2をパッケージする細胞系を使用する。細胞系のトランスフェクションはリン酸カルシウムの共沈によって簡便に行うことができ、安定な形質転換体はG418を最終濃度1mg/mlまで添加することによって選択される(レトロウイルス構築物がneoR遺伝子を含有すると想定した場合)。独立コロニーを単離して拡張させ、培養上清を取り出し、細孔サイズ0.45μmのフィルターで濾過し、−70℃で保存する。レトロウイルスを腫瘍細胞に導入するためには、10μg/mlのポリブレンを加えたレトロウイルス上清を直接に注入するのが便利である。直径10mmを上回る腫瘍に対しては、0.1ml−1mlの範囲の量、好ましくは0.5mlのレトロウイルス上清を注入するのが適切である。
【0091】
あるいは、Culverら(1992)Science 256,1550−1552に記載されているように、レトロウイルスを産生する細胞を注入する。このように導入されたレトロウイルス産生細胞は、レトロウイルスベクター粒子を活発に産生し、ベクターの連続産生が腫瘍塊の内部でin situに生じるように設計されている。従って、増殖性の表皮細胞はレトロウイルスベクター産生細胞に混合されるとin vivoで継続的に形質導入され得る。
【0092】
また、ターゲット化されたレトロウイルスを本発明に使用するために入手し得る。例えば、特異的結合親和性を与える配列は既存のウイルスenv遺伝子中で設計し得る(このベクター及びその他の遺伝子治療用ターゲット化ベクターに関しては、Miller & Vile(1995)Faseb J.9,190−199参照)。
【0093】
別の方法では、構築物を細胞にデリバリーするだけで細胞中で短期間発現させるかまたはゲノムに組込んだ後でより長期間発現させる。後者の方法の一例ではリポソームを使用する(Nassanderら(1992)Cancer Res.52,646−653)。
【0094】
免疫リポソームを調製するためには、Martin & Papahadjopoulos(1982)J.Biol.Chem.257,286−288の方法に従ってMPB−PE(N−[4−(p−マレイミドフェニル)ブチリル]−ホスファチジルエタノールアミン)を合成する。MPB−PEをリポソーム二層に組込んで抗体またはそのフラグメントをリポソーム表面に共有結合させる。DNAまたは別の遺伝子構築物の溶液中でリポソームを形成し、次いで0.8MPa以下の窒素圧下で細孔サイズ0.6μm及び0.2μmのポリカーボネート膜フィルターを順次に用いて押出すことによって、ターゲット細胞にデリバリーするための本発明のDNAまたはその他の遺伝子構築物を簡便にリポソームに取り込ませることができる。押出後、80,000×gで45分間超遠心することによって捕獲されたDNA構築物を遊離DNA構築物から分離する。脱酸素バッファ中の新しく調製したMPB−PE−リポソームを新しく調製した抗体(またはそのフラグメント)と混合し、窒素雰囲気中、4℃で定常回転しながら結合反応を一夜行う。80,000×gで45分間超遠心することによって免疫リポソームを未結合抗体から分離する。免疫リポソームは腹膜組織内注射によってまたは直接的に腫瘍に注入し得る。
【0095】
別のデリバリー方法では、抗体−ポリリシンブリッジ(Curiel Prog.Med.Virol.40,1−18参照)を介して外部DNAを担持しているアデノウイルスを使用し、担体としてトランスフェリン−ポリカチオンコンジュゲートを使用する(Wagnerら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,3410−3414)。これらの方法のうちの第一の方法では、本発明のDNA構築物または別の遺伝子構築物と共にポリカチオン−抗体複合体を形成し、該抗体は野生型アデノウイルスに特異的であるかまたは抗体に結合する新しいエピトープが導入された変異型アデノウイルスに特異的である。ポリカチオン部分はリン酸塩主鎖との静電相互作用を介してDNAに結合する。アデノウイルスは非変性のfiberタンパク質及びpentonタンパク質を含有しているので、インターナリゼーションによって細胞に取り込まれ、これに伴って本発明のDNAを細胞内に持ち込む。好ましいポリカチオンはポリリシンである。
【0096】
DNAはまた、例えば後述するようにアデノウイルス粒子の内部に存在する状態でアデノウイルスによってデリバリーされてもよい。
【0097】
代替的方法では、受容体介在エンドサイトーシスを使用してDNA巨大分子を細胞内に持ち込む高い効率の核酸デリバリー系を使用する。このためには、核酸に結合するポリカチオンに鉄輸送タンパク質トランスフェリンをコンジュゲートする。ヒトのトランスフェリン、または、ニワトリのトランスフェリン相同体であるコンアルブミン、または、それらの組合せを、種々のサイズの短いDNA結合タンパク質、プロタミンまたはポリリシンにジスルフィド結合を介して共有結合させる。これらの修飾トランスフェリン分子は、それらのコグネイト受容体に結合し細胞内への効率的な鉄輸送を介在する能力を維持している。トランスフェリン−ポリカチオン分子は、核酸のサイズ(短いオリゴヌクレオチドから21キロ塩基対のDNAまで)にかかわりなく本発明のDNA構築物または別の遺伝子構築物と共に電気泳動的に安定な複合体を形成する。トランスフェリン−ポリカチオンと本発明のDNA構築物または別の遺伝子構築物との複合体を腫瘍細胞に供給すると、細胞中の構築物から高い発現レベルが期待される。
【0098】
Cottenら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,6094−6098の方法によって製造した欠陥アデノウイルスまたは化学的に失活されたアデノウイルスの粒子のエンドソーム−破壊活性を使用しても本発明のDNA構築物または別の遺伝子構築物の受容体介在デリバリーが高い効率で達成される。この方法は、アデノウイルスがリポソームを経由することなくエンドソームから直接にそれらのDNAを放出できるように設計されており、例えば本発明のDNA構築物または別の遺伝子構築物に結合したトランスフェリンの存在下では構築物がアデノウイルス粒子と同じ経路によって細胞に取り込まれるという事実に依存すると考えられる。
【0099】
この方法の利点は、複合体の形態のレトロウイルス構築物を使用する必要がないこと、レトロウイルス感染によって生じるようなゲノムの永久的修飾がないこと、及び、ターゲット化された発現系がターゲット化されたデリバリー系に結合し、このため、別の種類の細胞に対する毒性が減少することである。
【0100】
“ネーキッドDNA”、並びに、カチオン性脂質及び中性脂質と複合体を形成しているDNAも治療すべき個体の細胞に本発明のDNAを導入するために有用である。遺伝子治療の非ウイルス的方法はLedley(1995)Human Gene Therapy 6,1129−1144に記載されている。
【0101】
国際特許WO94/10323に記載された修飾アデノウイルス系のような、典型的にはDNAをアデノウイルス粒子またはアデノウイルス様粒子の内部に持ち込む代替的なターゲット化されたデリバリー系も公知である。Michaelら(1995)Gene Therapy 2,660−668は、fiberタンパク質に細胞選択性部分を付加するためのアデノウイルスの修飾を記載している。Bischoffら(1996)Science 274,373−376に記載されているようなp53−欠損ヒト腫瘍細胞中で選択的に複製する突然変異アデノウイルスも本発明の遺伝子構築物を細胞内にデリバリーするために有用である。従って、本発明の別の目的が本発明の遺伝子構築物を含むウイルス粒子またはウイルス様粒子の提供であることは理解されよう。別の適当なウイルスまたはウイルス様粒子としては、HSV、AAV、ワクシニア及びパルボウイルスがある。
【0102】
本発明の遺伝子構築物は当業界で公知の方法を使用して調製できる。
【0103】
ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを単独で投与することも可能であるが、1種または複数の適格な担体と共に医薬配合物として提供するのが好ましい。(1種または複数の)担体は、本発明の化合物と相溶性でありそのレシピエントに有害でないという意味で“適格”でなければならない。典型的には担体は水であるかまたは無菌で発熱物質非含有の生理食塩水であろう。
【0104】
本発明を図面及び実施例に基づいてより詳細に以下に説明する。
【0105】
実施例
方法
QIAamp DNA Blood Midi Kit(Qiagen)を使用してDNAを単離し、方法をSchie and Wilson(1997,Journal of Immunological Methods,208,91−101)によって記載されたように唾液サンプルに合うように設計した。5mlの唾液を5mlのPBS(Sigma)で希釈し、3000gで5分間遠心した。上清を廃棄し、ペレットを10mlのPBSに再懸濁させた。再懸濁ペレットを3000gで5分間遠心し、上清を廃棄し、ペレットを750μlのPBSに再懸濁させた。1mlのキット溶解バッファと100μlのキットプロテアーゼとをキットプロトコルに従って添加した。5μlのRNアーゼ(7単位/μl)を添加し、次いで掻き混ぜて70℃で20分間インキュベートした。1mlの無水エタノールを添加し、キットプロトコルに従ってDNAを精製した。最終調製物を300μlのキット溶出バッファに溶出させ、溶出液をカラムで1回再処理して調製物を濃縮した。溶出液をアリコートに分けて−20℃で保存した。
【0106】
1/10希釈物を分光光度法で測定することによってDNAを定量した(Sambrook and Russell,(2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual.3rd edition,Cold Spring Harbour Laboratory Press,New York,USA)。
【0107】
以下の条件を使用し、50μl容量でPCR反応を行った:150ngのゲノムDNAサンプル;最終濃度200μMの複数のdNTP;最終濃度200μMの順方向プライマー(5′GGA TGA AGC CTA TGA CACCAC 3′)及び逆方向プライマー(5′GA CAG GAA AAG ATA ACT TCC C 3′);最終濃度1.7mMのMg2+。50μlのElongase(GIBCOBRL Life Technologies)反応に3μlのバッファA+7μlバッファBを使用する。PCR反応は以下の条件を使用して行った:
反応物を94℃まで5分間加熱する;
1/50の希釈度のElongase反応ミックスを加える(高温開始);
以下のプログラムを開始する:
94℃で5分間を1サイクル;
94℃で30秒
57℃で30秒
68℃で12分から成るサイクルを35サイクル;
4℃で浸漬させる。
【0108】
当業界で公知の技術を使用し、ゲル電気泳動によってPCR産物を分析した(Sambrook and Russell,(2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual.3rd edition,Cold Spring Harbour Laboratory Press,New York,USA)。サンプルを取り込むバッファGIBCO−BRLをPCR産物のアリコートに1×の最終濃度まで添加した。20μlのPCR反応産物を0.6%アガロース(1×TBE Sigma)ゲル上で30Vの電気泳動によってサイズ分画した(延長ラダーマーカー−Life Technologiesを使用する)。
【実施例1】
【0109】
無作為に選択した43人の女性グループがDNA分析用唾液サンプルと皮膚の異常状態履歴に関する情報を提供した。パネリストに1%SLS(ドデシル硫酸ナトリウム)のパッチを24時間貼付し、パッチ貼付の4、24及び48時間後の紅斑の程度を評価した。別の試験では、無作為に選択した20人の男女から成るグループが、DNA分析用唾液サンプルと、NMF分析用シアノアクリレート生検と(Marks(1972)British journal of Dermatology 86:20−26)、皮膚/頭皮状態履歴とを提供した。ゲノムDNAを唾液サンプルから抽出し、PCRで分析して各個人のプロフィラグリン遺伝子型を決定した(図1)。標準TNBSアッセイ(Hazraら 1984 Analytical Biochemistry 137:437−443)を使用して角質層のNMF含量を測定し、総タンパク質に正規化した。
【0110】
3つの変異体全部が以下の頻度で同定された:
10個の反復単位(18%)、11個の反復単位(60%)及び12個の反復単位(22%)。
【0111】
一対の染色体あたりのフィラグリン反復単位の数と角質層のNMFレベルとの関係をプロットすると、これらの2つのパラメーター間の比例関係が判明した(図2)。個人は、有している反復単位の数が多いほど高いNMFレベルを有していた。皮膚/頭皮状態履歴は、ふけの悩みを訴えていた個人が12個の反復単位から成る対立遺伝子を1コピー以上有していることを示した(図3)。これらの結果は、個人のゲノム中の12個の反復単位から成る対立遺伝子の存在とふけの発生率(susceptibility)との間の関連を示唆する。
【0112】
SDSパッチ貼付後の紅斑評価のプロット(図4)は、12個の反復単位から成る対立遺伝子を1つ以上有している個人ではチャレンジ48時間後の紅斑評価が低いことが判明した。これらの結果は、12個の反復単位から成る対立遺伝子の存在と洗剤チャレンジ後の皮膚障壁の回復との間の関連を示唆している。
【実施例2】
【0113】
無作為に選択した140人のパネリストのグループがDNA分析用の唾液サンプルと皮膚の異常状態履歴に関する情報とを提供した。問診に対する回答に基づき乾燥肌の自覚頻度に関してパネリストを、“乾燥し易いグループ”(常時、毎日または毎週)及び“乾燥し難いグループ”(毎月またはもっと少ない頻度)に分類した。治療前のパネリストの脚の皮膚の状態を5日間連続して目視評価し、パネリストを“乾燥肌でないグループ”(乾燥なしという目視評価が3つ以上)または“乾燥肌グループ”(乾燥しているという目視評価が2つよりも多い)に分類した。パネリストに1%SLSを24時間貼付し、貼付の4、24及び48時間後に紅斑の程度を評価した。ゲノムDNAを唾液サンプルから抽出し、各個人のプロフィラグリン遺伝子型を判定するためにPCRによって分析した(図1)。
【0114】
3つの変異体全部が以下の頻度で同定された:
10個の反復単位(24%)、11個の反復単位(56%)及び12個の反復単位(20%)。
【0115】
12個の反復単位から成る対立遺伝子を少なくとも1個は有していたパネリストのうちで乾燥肌になり易い悩みを訴えるパネリストの割合は6%にすぎなかった。これに比べて、12個の反復単位から成る対立遺伝子のないパネリストではこの割合が27%であった(図5)。これは、12個の反復単位から成る対立遺伝子が乾燥肌の自覚報告の減少傾向に関連することを証明した。
【0116】
11個の反復単位から成る対立遺伝子を少なくとも1個は有していたパネリストのうちでは目視で脚の乾燥を示したパネリストの割合は73%であり、これに比べて11個の反復単位から成る対立遺伝子を含まないパネリストではこの割合が52%しかなかった(図6)。これは11個の反復単位から成る対立遺伝子が目視で観察される脚乾燥の増加傾向に関連することを証明した。
【0117】
12個の反復単位から成る対立遺伝子を少なくとも1つは有していたパネリストのうちでSLSパッチ貼付の4時間後及び48時間後に紅斑の減少を示したパネリストの割合は66%であり、これに比べて、12個の反復単位から成る対立遺伝子のないパネリストではこの割合が47%しかなかった(図7)。これもまた、12個の反復単位から成る対立遺伝子が洗剤チャレンジ後の皮膚回復の増加傾向に関連することを証明した。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】フィラグリン反復単位の数を測定するPCR法を使用した個体のゲノム中のプロフィラグリン対立遺伝子の同定を示す。
【図2】染色体対あたりのフィラグリン反復単位の数と角質層のNMFレベルとの関係を示す。スピアマンの相関:R=0.47;p=0.036;n=20。
【図3】染色体対あたりのフィラグリン反復単位の数と角質層のNMFレベルとの関係を頭皮状態履歴も含めて示す。12個の反復単位から成る対立遺伝子が1個以上あるときのふけの%=67%;12個の反復単位から成る対立遺伝子を含まないときのふけの%=17%。
【図4a】1%SLSパッチ貼付の48時間後の紅斑評価とプロフィラグリン対立遺伝子型との関係を示す。マン・ホイットニーの順位和検定:12個の反復単位から成る対立遺伝子のないパネリストと12個の反復単位から成る対立遺伝子を1つ以上有しているパネリストとを比較するとき(n=43)、貼付24時間後の紅斑評価には統計的有意差が存在する。(a)12個の反復単位から成る対立遺伝子のない個人から回収したSLSパッチ;(b)12個の反復単位から成る対立遺伝子を1つ以上有している個人から回収したSLSパッチ。
【図4b】1%SLSパッチ貼付の48時間後の紅斑評価とプロフィラグリン対立遺伝子型との関係を示す。マン・ホイットニーの順位和検定:12個の反復単位から成る対立遺伝子のないパネリストと12個の反復単位から成る対立遺伝子を1つ以上有しているパネリストとを比較するとき(n=43)、貼付24時間後の紅斑評価には統計的有意差が存在する。(a)12個の反復単位から成る対立遺伝子のない個人から回収したSLSパッチ;(b)12個の反復単位から成る対立遺伝子を1つ以上有している個人から回収したSLSパッチ。
【図5】12個の反復単位から成る対立遺伝子を有しているパネリストまたは有していないパネリストについて頻繁に乾燥肌を自覚する割合を示す。フィッシヤーの直接確率法:12個の反復単位から成る対立遺伝子の有無と乾燥肌の頻度(n=89)との間に統計的に有意な関係(p=0.0237)が存在する。
【図6】11個の反復単位から成る対立遺伝子を有しているパネリストまたは有していないパネリストについて目視で脚の皮膚の乾燥を示した割合を示す。フィッシヤーの直接確率法:11個の反復単位から成る対立遺伝子の有無と目視で皮膚の乾燥を示したパネリストの割合(n=113)との間に統計的に有意な関係(p=0.099)が存在する。
【図7】12個の反復単位から成る対立遺伝子を有しているパネリスト及び有していないパネリストについて、1%SLSパッチ貼付の4時間後及び48時間後に紅斑の軽減を示したパネリストの割合を示す。フィッシヤーの直接確率法:12個の反復単位から成る対立遺伝子の存在とパッチ貼付後の紅斑軽減(n=131)との間に統計的に有意な関係(p=0.0587)が存在する。
Claims (25)
- 皮膚の異常状態を生じ易い個体の素因を判定するための、個体から採取したex vivoサンプルのゲノム中に存在するプロフィラグリン対立遺伝子を同定することから成る方法。
- 天然湿潤因子(NMF)を産生する個体の能力を測定するための請求項1に記載の方法。
- 乾燥肌になり易い個体の素因を判定するための請求項1または2に記載の方法。
- 洗剤誘発紅斑に罹り易い素因を判定するための請求項1または2に記載の方法。
- プロフィラグリン対立遺伝子が各対立遺伝子によってコードされているフィラグリン反復単位の数を測定することによって同定されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- ex vivoサンプルが口腔から採取されたサンプルであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- (a)ex vivoサンプルから採取されたDNAを基質として準備する段階と、
(b)フィラグリン反復単位コーディング配列を含む基質の所定領域を増幅する段階と、
(c)上記によって産生された1つまたは複数の増幅産物のサイズを測定することによってサンプルのゲノム中に存在するプロフィラグリン対立遺伝子を決定する段階と、
から成る請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。 - 段階(b)がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって行われることを特徴とする請求項7に記載の方法。
- フィラグリン反復単位コーディング配列に隣接する位置で基質DNAにハイブリダイズできる配列を有しているオリゴヌクレオチド対を準備する段階を含む請求項8に記載の方法。
- 前記オリゴヌクレオチド対の一方のオリゴヌクレオチドが配列5′GGA TGA AGC CTA TGA CACCAC 3′を有していることを特徴とする請求項9に記載の方法。
- 前記オリゴヌクレオチド対の一方のオリゴヌクレオチドが配列5′GA CAG GAA AAG ATA ACT TCC C 3′を有していることを特徴とする請求項9または10に記載の方法。
- 増幅が、0.1−30ng/mlのDNA基質、2μM−2mMの複数のdNTP、2μM−2mMの順方向及び逆方向のプライマー、及び、17μM−170mMのMg2+を使用して行われることを特徴とする請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
- 臨床パネルを構成するために個体をグループ分けすることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
- 個体に合った身体手入れ用製品を選定するための請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
- 皮膚の異常状態を生じ易い個体の素因を判定するための、個体から採取したex vivoサンプルのゲノム中に存在するプロフィラグリン対立遺伝子を同定する手段から成るシステム。
- 皮膚の異常状態を生じた個体を治療する組成物を製造するための、プロフィラグリン対立遺伝子またはその変異体もしくはフラグメントの配列を含むポリペプチド、あるいは、上記のいずれかをコードするポリヌクレオチドの使用。
- 個体のプロフィラグリン遺伝子型が請求項1から14のいずれか一項に記載の方法によって決定されることを特徴とする請求項16に記載の使用。
- 皮膚の異常状態がNMF産生量に関連することを特徴とする請求項16または17に記載の使用。
- 皮膚の異常状態が乾燥肌であることを特徴とする請求項16から18のいずれか一項に記載の使用。
- 配列5′GGA TGA AGC CTA TGA CACCAC 3′、または、配列5′GA CAG GAA AAG ATA ACT TCC C 3′から成るポリヌクレオチド。
- 皮膚の異常状態を生じ易い個体の素因を判定するための請求項20に記載のポリヌクレオチドの使用。
- 個体のプロフィラグリン遺伝子型を同定する段階と、このようにして決定されたプロフィラグリン遺伝子型に使用するために適当であることが判明している身体手入れ用製品を選択する段階とから成る、個体に使用するための適当な身体手入れ用製品の同定方法。
- 更に、このようにして決定されたプロフィラグリン遺伝子型を有している個体に使用するための適当な身体手入れ用製品を準備する段階を含む請求項22に記載の方法。
- 身体手入れ用製品が湿潤用スキンケア製品であることを特徴とする請求項22または23に記載の方法。
- 身体手入れ用製品が洗剤主体の洗浄製品であることを特徴とする請求項22または23に記載の方法。
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