JP2004530661A - 抗真菌剤としての置換テトラサイクリン化合物 - Google Patents
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Abstract
真菌が関係する疾患を治療するための方法および組成について論じている。
Description
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2001年3月14日に出願された、表題「抗真菌剤としての置換テトラサイクリン化合物」の米国仮特許出願出願番号60/275,948に対する優先権を主張し、参照により本明細書にその全体が取り入れられる。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
長年、真菌疾患(真菌症)のための有効な治療薬の開発は、注目を欠いており、他の伝染性微生物に対して有効な薬剤に向けられていた。最も一般的な真菌感染は本質的には表在性であり、生命の脅威とはならず、製薬会社に対し新規治療を開発するための医学的な原動力をほとんどもたらさない。しかし、このシナリオは変化しており、一方では、真菌疾患による死亡は新しいものではなく、これらの致命性を引き起こす全身性真菌感染の発生率は増加している。皮肉にも、他の分野(免疫抑制薬および/または細胞毒性治療)における現代の医療技術の進歩および後天性免疫不全症候群(AIDS)などの疾患の出現は、重篤真菌感染数の増加を引き起こす主要な原因である。
【0003】
したがって、真菌関連疾患は、ヒストプラスマ症、全身性カンジダ症、アスペルギルス症、ブラストマイセス症、コクシジオイデス症、パラコクシジオイデス症、およびクリプトコッカス症などの、生命の脅威となる全身感染、並びに皮膚糸状菌(白せん)感染、たとえば足部白癬(水虫)および股部白癬(ジョッキ掻痒症)、カンジダ症、並びにアクチノマイセス症などの、より一般的な表在性のものである。生命の脅威となる真菌感染は、上記のように免疫抑制されたか、または免疫力が低下している個体に対してのみの問題ではなく、化学療法または放射線療法を受けている癌患者に対し、抗拒絶剤を受けている移植患者に対し、および毒性化学物質、金属、および放射線被曝を受けた患者に対する、サイトメガロウィルス(CMV)およびインフルエンザなどの他のウィルス感染の個体に対しても増加している問題である。
【0004】
真菌症は、病原体よりむしろ日和見性の真菌によって引き起こされることが多い。カンジダ症、アスペルギルス症、藻菌症、ノカルジア症、およびクリプトコッカス症は、典型的に日和見性の真菌感染である。たとえば鵞口瘡カンジダは、消化管における共生生物として通常見られ、しかも、免疫無防備状態の患者における全身性真菌感染および健康な個体における局所的感染の主要な原因である。
【0005】
現在真菌症の治療のために利用される大部分の薬剤は、効力が制限されているか、または耐容性が不十分である。抗真菌剤におけるしつこくかつ厄介な問題は、主に従来技術では放置されており、合成することが簡単で経済的で、生物に対して高活性および広範なスペクトル活性を保持し、低毒性かつ弊害が制限された剤がないことである。
【0006】
さらに、多くの既知の薬剤は、殺真菌特性よりもむしろ単に静真菌特性を有するだけである。静真菌活性は、真菌の増殖を防ぐ能力であり、一方、殺真菌(対真菌毒性)活性は、真菌を死滅させる能力である。表在性真菌症の治療に使用される多くの薬剤は、使用した濃度における静真菌作用または殺真菌作用を実質的に欠いており、これらの有益効果は、おそらく真菌類に対するどのような直接の効果にも関係しない要因に依存する。
【0007】
抗真菌特性を有するとされていた、またはされた、あり余る程の薬剤にもかかわらず、ほとんどが単に静真菌性であり、対真菌毒性がない。殺真菌性であるもの、たとえばアンホテリシンBについては、これらの使用およびこれらの化学的性質(たとえば溶解性)を制限し、ドラッグデリバリー方法を制限する重篤な副作用がある。
【発明の開示】
【0008】
本発明の概要
日和見性の全身性真菌感染は、高罹患率および死亡率を有し、これらの発生率は増加しているが、限られた副作用で、かつ低毒性であり、幅広い抗真菌薬スペクトラム活性を有する安全で、効率的に水溶性で、合成が容易で、対真菌毒性の薬剤を提供する技術はまだない。
【0009】
1つの態様において、本発明は、真菌の増殖を、少なくとも一部、阻害するための方法に関する。本方法は、真菌の増殖が阻害されるように、置換テトラサイクリン化合物の有効な量と真菌を接触させることを含む。さらなる態様において、置換テトラサイクリン化合物は、式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩である;
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2 ’、R4 ’、およびR4 ’’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4 ’R4 ’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R3、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6 ’は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、または-(CH2)0 〜 3NR7CC(=W')WR7aであり;
R9は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、チオニトロソ(たとえば、-N=S)、または-(CH2)0 〜 3NR9CC(=Z')ZR9aであり;
Zは、CR9dR9e、S、NR9b、またはOであり;
Z'は、O、S、またはNR9fであり;
Wは、CR7dR7e、S、NR7b、またはOであり;
W’は、O、NR7fSであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R9a、R9b、R9c、R9d、およびR9eは、それぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;並びに、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0010】
また、本発明は、被験体の真菌に関連した疾患を治療するための方法に関する。本方法は、被験体が真菌に関連した疾患が治療されるように、置換テトラサイクリン化合物の有効な量を被験体に投与することを含む。
【0011】
また、本発明は、被験体の真菌に関連した疾患を治療するための置換テトラサイクリン化合物の有効な量、および薬学的に許容される担体を含有する薬学的組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、真菌を死滅させるように、本発明の置換テトラサイクリン化合物と真菌を接触させることによって真菌を死滅させる方法に関する。
【0013】
本発明の詳細な説明
これらの周知の抗菌性質に加えて、ミノサイクリンおよびドキシサイクリンは、単独およびアンホテリシンBとの相乗作用の両者において、制限された抗真菌活性を備えていることが示されていた(Antimicrob. Agents Chemother. (1984), 26(6) 837-40;Pathol. Biol. (1975), 23(9):725-8)。本発明は、少なくとも一部で、増大された抗真菌活性を有する置換テトラサイクリン化合物を含む方法および薬学的組成物に関する。
【0014】
1つの態様において、本発明は、真菌の増殖を阻害するための方法に関する。本方法は、真菌の増殖が阻害されるように、置換テトラサイクリン化合物の有効な量と真菌を接触させることを含む。
【0015】
「真菌(fungus)」または「真菌類(fungi)」という用語は、核をもち、胞子を有するクロロフィルを欠いた種々の生物を含む。こという用語はその生育が本発明の化合物によって阻害されうるすべての真菌類を含む。例には、酵母、白カビ、糸状菌、錆菌、およびキノコが含まれるが、これらに限定されない。また、真菌類の例も、アスペルギルスフミガーツス(Aspergillus fumigatus)、黄色コウジ菌(Aspergillus flavus)、アスペルギルスニデュランス(Aspergillus nidulans)、鵞口瘡カンジダ(Candida albicans)、カンジタ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・ギリエルモンヂ(Candida guilliermondii)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、イッサケンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)、コクシジオイデス(Coccidioides)、パラコクシジオイデス(Paracoccidioides)、ヒストプラスマ(Histoplasma)、ブラストミセス(Blastomyces)、およびアカパンカビ(Neurospora crassa)を含むが、これらに限定されない。1つの態様において、本発明の真菌類は、カンジダ属の真菌類を含む(たとえば、C.トロピカリス(C.tropicalis)、C,パラプシローシス(C.parapsilosis)、C.ルシタニエ(C.lusitaniae)、C.クルセイ(C.krusei)、C.ギリエルモンヂ(C.guilliermondii)、C.グラブラータ(C.glabrata)、Cデュブリニエンシス(C.dubliniensis)、および鵞口瘡カンジダ(C.albicans))。
【0016】
「真菌の増殖阻害」という用語は、静真菌活性および殺真菌活性の両者を含む。静真菌活性は、真菌のコロニーの増殖速度におけるいかなる減少をも含む。静真菌活性は、真菌がその現在の大きさを維持しているか、または包囲する領域にコロニーを作ることができないことによって明らかにされてもよい。静真菌活性は、真菌の生殖作用の抑制の結果であってもよい。殺真菌活性は、一般に、たとえば真菌または真菌のコロニーの根絶(irraditication)、真菌または真菌のコロニーの死滅、あるいは1つの態様において、真菌または真菌のコロニーの質量もしくは大きさの減少を含む。
【0017】
「テトラサイクリン化合物」という用語は、メタサイクリン、サンサイクリン(sancycline)、アピサイクリン(apicycline)、クロモサイクリン(clomocycline)、グアメサイクリン(guamecycline)、メグルサイクリン(meglucycline)、メフィルサイクリン(mepylcycline)、ペニメピサイクリン(penimepicycline)、ピパサイクリン(pipacycline)、エタモサイクリン(etamocycline)、ペニモサイクリン(penimocycline)、などのテトラサイクリンファミリーメンバ、並びに特徴あるナフタセンA-B-C-D環状構造を有する、他のテトラサイクリン化合物を含む。さらなるテトラサイクリン化合物は、たとえば米国特許出願出願番号:09/234847および米国特許番号5,834,450;5,532,227;5,789,395;5,639,742、並びにドイツ特許DE2814974およびDE2820983に見出される。上述した出願および特許の全ての内容は、参照により本明細書に明示的に組み入れられる。
【0018】
最近の調査努力は、変化する治療条件および投与経路の下で有効な新規テトラサイクリン組成物を開発すること;並びに元来導入されたテトラサイクリンファミリと同等または抗生物質としてより有効であると判明するかもしれない新規テトラサイクリン類似体を開発することに焦点が集まっている(米国特許番号3,957,980;3,674,859;2,980,584;2,990,331;3,062,717;3,557,280;4,018,889;4,024,272;4,126,680;3,454,697;および3,165,531を参照されたい)。
【0019】
「置換テトラサイクリン化合物」という用語は、たとえば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、11a、12、および12a位に少なくとも1つの置換を有するテトラサイクリン化合物であって、化合物がその目的とする機能、たとえば真菌の増殖を阻害することを、実行可能にする化合物を含む。1つの態様において、「置換テトラサイクリン化合物」という用語は、非置換のテトラサイクリン、ミノサイクリン、またはドキシサイクリンを含まない。1つの態様において、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、カンジダ真菌に対してドキシサイクリンまたはミノサイクリンよりも低いMICを有する(実施例2に示したアッセイ法で測定される)。1つの態様において、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、もしくは約1%以下、または特定の真菌に対する非置換のテトラサイクリン、非置換のドキシサイクリン、もしくは非置換のミノサイクリンのMICよりも低いMICのものを有する。本明細書に記載された範囲内に含まれるか、および/または中間の値および範囲は、本発明の範囲内であることが意図される。たとえば、10%未満のMICは9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、などのMICのものを含み、これは10%未満の範囲内に含まれることを意図する。
【0020】
さらに、置換テトラサイクリン化合物も、有利には非置換のテトラサイクリン、ミノサイクリン、またはドキシサイクリンより細胞毒性がない。1つの態様において、置換テトラサイクリン化合物の細胞毒性は、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、もしくは約1%以下、または非置換のテトラサイクリン、非置換のドキシサイクリン、もしくは非置換のミノサイクリンの細胞毒性よりも低い。本明細書に記載された範囲内に含まれるか、および/または中間の値および範囲は、本発明の範囲内であることが意図される。たとえば、10%未満の細胞毒性は9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、などの細胞毒性のものを含み、これは10%未満の範囲内に含まれることが意図される。
【0021】
「置換テトラサイクリン化合物」という用語は、たとえば置換サンサイクリン化合物、置換されたミノサイクリン化合物、および置換ドキシサイクリン化合物を含む。
【0022】
本発明の方法および組成物に使用される置換テトラサイクリン化合物は、式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩を含む:
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6 ’R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2 ’、R4 ’、およびR4 ’’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4 ’R4 ’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R3、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R10は、水素、プロドラック部分、またはR9に連結して環を形成し;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6 ’は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、または-(CH2)0 〜 3NR7CC(=W')WR7aであり;
R9は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、チオニトロソ(たとえば、-N=S)、または-(CH2)0 〜 3NR9CC(=Z')ZR9aであり;
Zは、CR9dR9e、S、NR9b、またはOであり;
Z'は、O、S、またはNR9fであり;
Wは、CR7dR7e、S、NR7b、またはOであり;
W'は、O、NR7fSであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R9a、R9b、R9c、R9d、およびR9eは、それぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;並びに、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0023】
1つの態様において、本発明の方法および組成物に使用される置換テトラサイクリン化合物は、たとえば2、5、6、7、8、9、10、11、11a、12、12a位、および/またはミノサイクリンについては13位に置換基を有する置換サンサイクリン化合物である。本発明の置換サンサイクリン化合物において、R2 ’、R3、R10、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;R4 ’およびR4 ’’は、それぞれアルキル(たとえば低級アルキル、たとえばメチル)であり;Xは、CR6R6 ’であり;並びにR2、R5、R6、R6 ’、およびR8は、一般にそれぞれ水素である。その他の態様において、置換テトラサイクリン化合物は、置換テトラサイクリン(たとえば、一般に、式中、R4はNR4 ’R4 ’’であり、R4 ’およびR4 ’’はメチルであり、R5は水素であり、並びにXはCR6R6 ’であり、式中R6はメチルであり、およびR6 ’はヒドロキシである);置換ドキシサイクリン(たとえば、式中R4はNR4 ’R4 ’’であり、R4 ’およびR4 ’’はメチルであり、R5はヒドロキシルであり、並びにXはCR6R6 ’であり、式中R6はメチルであり、およびR6 ’は水素である);置換ミノサイクリン(たとえば、式中R4はNR4 ’R4 ’’であり、R4 ’およびR4 ’’はメチルであり;R5は水素であり、並びにXはCR6R6 ’であり、式中R6およびR6 ’は水素原子であり、およびR7はジメチルアミノである)、または置換サンサイクリン(式中R4はNR4 ’R4 ’’であり、R4 ’およびR4 ’’はメチルであり;R5は水素であり、並びにXはCR6R6 ’であり、式中R6およびR6 ’は水素原子である)である。
【0024】
1つの態様において、R5は、置換されており、たとえば水素またはヒドロキシではない。さらなる態様において、R5は、エステル(アルキカルボニルオキシ)である。1つの態様において、R5はアルキルエステルである。R5の例は、アルキルエステル(たとえば、C1〜C12アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールエステル)を含む。アルキル基は、直鎖、分枝鎖、および/または環を含んでいてもよい。エステルの例は、エタン酸、プロパン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、2-シクロペンタンエタン酸、シクロペンタン酸、シクロヘプタン酸、2-メチルプロパン酸、シクロヘキサン酸、およびアダマンタン2-カルボン酸のテトラサイクリンエステルを含むが、これらに限定されない。その他の態様において、R5は水素である。
【0025】
7-置換のテトラサイクリン化合物については、R9は水素であってもよい。1つの態様において、R7は置換のまたは非置換のフェニルである。R7置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる全ての置換基を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールなどであるが、これらに限定されない。
【0026】
1つの態様において、フェニルは、少なくとも1つのアルキル基で置換されており、それ自体は、分枝鎖、直鎖、またはアルキル、非置換もしくは置換(たとえば、ハロゲン化された)であってもよい。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、その他を含むが、これらに限定されない。
【0027】
別の態様において、R7はハロゲン(たとえば塩化物、臭素、またはヨウ素)である。
【0028】
別の態様において、R7は、置換のまたは非置換のヘテロアリールである。複素環式芳香族基の例は、単環および多環(たとえば、多重環)の両者を含み、例えばフラニル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、ピリジニル、ピラゾリル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、インドリル、チエニル、ピリミジル、ピラジニル、プリニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ナフトリジニル(naphthridinyl)、チアゾリル、イソチアゾリル、およびデアザプリニルなどであるが、これらに限定されない。1つの態様において、R7はベンゾフラニルである。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる全ての置換基を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールなどであるが、これらに限定されない。
【0029】
別の態様において、R7は、置換のまたは非置換の、分岐状、直鎖状、または環状のアルキルである。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能(たとえば真菌類の生育を阻害する)を実行しうる置換基を含む。置換基の例は、例えばアルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、トリアルキルシリル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールなどであるが、これらに限定されない。
【0030】
アルキルのR7基の例は、C1〜C15基およびC1〜C10基を含む。例えば2-エチルペンチル、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、などを含む。
【0031】
1つの態様において、R7は置換のまたは非置換のアルケニルである。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる全ての置換基を含み、このような例は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリール含むが、これらに限定されない。
【0032】
1つの態様において、アルケニルR7部分は、置換のまたは非置換の環状部分で置換される。環状部分は、炭素環、複素環の両者の、アリール、ヘテロアリール、シクロアルケニル、およびシクロアルキル基を含む。環状部分の例は、たとえばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、フェニル、その他を含む。環状部分は、たとえば上に一覧を示したアルケニルR7部分のいずれかの置換基で置換することができる。
【0033】
別の態様において、R7は置換のまたは非置換のアルキニルである。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる置換基を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールを含むが、これらに限定されない。
【0034】
R7アルキニル部分は、置換のまたは非置換の環状部分と置換されてもよい。環状部分は、炭素環、複素環の両者の、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルケニル基、およびシクロアルキル基を含む。環状部分の例は、たとえばシクロブタン、シクロペンタン(cylopentane)、シクロヘキサン、フェニルなどを含む。環状部分は、たとえば上に一覧を示したアルキニルR7部分のいずれの置換基で置換することもできる。
【0035】
アルキニルR7部分の環状置換基の例は、フェニル、シクロヘキシル、p-ニトロフェニル、p-メチルフェニル、シクロヘキセン、および1-ヒドロキシシクロヘキサンを含むが、これらに限定されない。
【0036】
別の態様において、R7は置換のまたは非置換のアルコキシである。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる全ての置換基を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスホナート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールなどであるが、これらに限定されない。1つの態様において、アルコキシ基はC1〜C10である。別の態様において、これは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、その他である。
【0037】
別の態様において、本発明は、R5がヒドロキシまたはアルキルカルボニルオキシであり;XがCHR6であり;R6がアルキルである(たとえば低級アルキル、たとえばメチル);およびR8が水素である、置換ドキシサイクリン化合物に関する。R7は、水素またはアルキルであってもよい。R2は、水素またはアルキルであってもよい。
【0038】
1つの態様において、R9は置換のまたは非置換のアリール、たとえばフェニル、ビアリール、ヘテロアリール(たとえば、ピリジン、その他)、その他である。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる全ての置換基を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールなどであるが、これらに限定されない。
【0039】
R9のその他の例は、置換のまたは非置換のアルキル(たとえば、メチル、エチル、プロピル、t-ブチル、n-ブチル、i-ブチル、ペンチル、その他)またはN3を含む。
【0040】
別の態様において、本発明は、置換テトラサイクリン化合物が置換されたミノサイクリン化合物である方法および組成物に関する。これらの化合物の例は、XがCR6R6'であり、;R2、R5、R6、R6'、およびR8がそれぞれ水素であり、並びにR7がジメチルアミノである化合物を含む。
【0041】
1つの態様において、R9は置換のまたは非置換のアリール(たとえば、フェニル、ビアリール(ナフチル、ベンゾフラニル)、ヘテロアリール、その他)、またはアラルキルである。置換基の例は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールを含むが、これらに限定されない。1つの態様において、アリールR9部分は、置換のまたは非置換のフェニルである。
【0042】
R9部分のその他の例は、置換および非置換の、環式、分枝鎖、または直鎖アルキルを含む(たとえばC1〜C15、C1〜C10、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2-シクロペンタンエチル、その他)。置換基の例は、アリールR9部分について上記一覧を示したものを含む。
【0043】
別の態様において、R9は置換のまたは非置換の、分枝鎖、直鎖、または環状アルキルである。置換基の例は、置換テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行すること、たとえば真菌の増殖を阻害することが可能なものを含む。置換基の例は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、トリアルキルシリル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールを含むが、これらに限定されない。
【0044】
アルキルR9基の例は、C1〜C15基、およびC1〜C10基を含む。例は、2-エチルペンチル、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、その他を含む。
【0045】
1つの態様において、R9は置換のまたは非置換のアルケニルである。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる全ての置換基を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールなどであるが、これらに限定されない。
【0046】
1つの態様において、アルケニルR9部分は、置換のまたは非置換の環状部分で置換される。環状部分は、炭素環、複素環の両者の、アリール、ヘテロアリール、シクロアルケニル、およびシクロアルキル基を含む。環状部分の例は、たとえばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、フェニル、その他を含む。環状部分は、たとえばアルケニルR9部分について上記一覧を示したいずれの置換基でも置換することができる。
【0047】
別の態様において、R9は置換のまたは非置換のアルキニルである。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる全ての置換基を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールなどであるが、これらに限定されない。
【0048】
R9アルキニル部分は、置換のまたは非置換の環状部分で置換されてもよい。環状部分は、炭素環、複素環の両者の、アリール、ヘテロアリール、シクロアルケニル、およびシクロアルキル基を含む。環状部分の例は、たとえばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、フェニル、その他を含む。環状部分は、たとえばアルケニルR9部分について上記一覧を示したいずれの置換基でも置換することができる。
【0049】
さらに、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、上記記載した置換基または表2に示した置換基のいずれか1つとの組み合わせで置換することができる。
【0050】
アルキニルR9部分のための環状置換基の例は、フェニル、シクロヘキシル、p-ニトロフェニル、p-メチルフェニル、および1-ヒドロキシシクロヘキサンを含むが、これらに限定されない。
【0051】
さらなる態様において、R9は置換のまたは非置換のアミノアルキルである。置換基の例は、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール置換基を含むが、これらにら限定されない。
【0052】
1つの態様において、本方法に使用される置換テトラサイクリン化合物および本発明の組成物は、非置換のドキシサイクリンまたはミノサイクリンよりも高い抗真菌活性を有する。これらの化合物は共に、A.ニデュランス(A.nidulans)、C.ギアブラータ(C.giabrata)、C.トロピカリス(C.tropicalis)、およびC,パラプシローシス(C.parapsilosis)について、64を越える最小阻害濃度(MIC)を有する(MICを測定するための手順については実施例2を参照されたい)。
【0053】
別の態様において、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、たとえば当業者に認識されるアッセイ法で測定されるものとして、抗炎症活性を有していてもよい。
【0054】
別の態様において、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、非抗菌性であってもよく、たとえば、ほとんど抗菌活性がなくてもよい。本発明の化合物の抗菌活性は、実施例5に示したアッセイ法を使用して測定することができる。1つの態様において、化合物は、4μM以上のMIC(細菌に対して)を有する場合に、非抗菌性であると考えられる。
【0055】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載されたか、または表2に示された置換基を有する4-デジメチルアミノテトラサイクリン化合物に関する(たとえば、ジメチルアミノ基が水素であるR4位を除き、本明細書または表2に記載されたものと同じ置換基を有する)。
【0056】
本発明の方法および組成物に使用することができる置換テトラサイクリン化合物の例を、以下および表2に示す。
【0057】
本発明の置換テトラサイクリン化合物は、実施例1に記載された方法、および以下のスキームを使用して合成することができる。本明細書において、記載された全ての任意の新規テトラサイクリン化合物は、化合物として、さらにそれらを用いた方法およびそれらを含む薬学的組成物として本発明に含まれる。
【0058】
9-置換のテトラサイクリン(たとえば9-シクロペンチルドキシサイクリン)は、スキーム1に示した方法によって合成することができる。スキーム1のように、9-および7-置換のテトラサイクリン化合物は、テトラサイクリン化合物(たとえば、ドキシサイクリン、1A)を硫酸および硝酸ナトリウムで処理することによって合成することができる。生じた生成物は、7-ニトロおよび9-ニトロ異性体(それぞれ1Bおよび1C)の混合物である。7-ニトロ(1B)および9-ニトロ(1C)誘導体を、水素気体および白金触媒を用いた水素化によって処理し、アミン1DおよびIEを得る。このとき、異性体を従来法によって分離する。7-または9-置換のアルケニル誘導体を合成するためには、7-または9-アミノテトラサイクリン化合物(それぞれ1Eおよび1F)をHONOで処理して、ジアゾニウム塩(1Gおよび1H)を得る。この塩(1Gおよび1H)をハロゲン化された適切な試薬(たとえば、R9がアリール、アルケニル、またはアルキニル部分であるR9Br)で処理して、所望の化合物(たとえば、スキーム1における、7-シクロペント-1-エニルドキシサイクリン(1H)および9-シクロペント-1-エニルドキシサイクリン(1I))を得る。
【0059】
【0060】
【0061】
スキーム2に示したとおり、R7がカルバメートまたは尿素誘導体である本発明のテトラサイクリン化合物は、以下のプロトコルを使用して合成することができる。サンサイクリン(2A)を酸性条件下においてNaNO2で処理して、位置異性体の混合物中に7-ニトロサンサイクリン(2B)を形成させる。次いで、7-ニトロサンサイクリン(2B)をH2気体および白金触媒で処理して、7-アミノサンサイクリン誘導体(2C)を形成させる。尿素誘導体(2E)を形成させるためには、イソシアネート(2D)を7-アミノサンサイクリン誘導体(2C)と反応させる。カルバメート(2G)を形成させるためには、適切な塩素酸エステル(2F)を2Cと反応させる。
【0062】
【0063】
スキーム3に示したとおり、本発明のテトラサイクリン化合物であって、式中R7が複素環(すなわちチアゾール)置換のアミノ基である化合物は、上記プロトコルを使用して合成することができる。7-アミノサンサイクリン(3A)をFmoc-イソチオシアネート(3B)と反応させて、保護されたチオ尿素(3C)を生成させる。次に、保護されたチオ尿素(3C)を脱保護して、活性サンサイクリンチオ尿素(3D)化合物を得る。サンサイクリンチオ尿素(3D)をα-ハロケトン(3E)と反応させて、チアゾール置換の7-アミノサンサイクリン(3F)を生成させる。
【0064】
【0065】
7-アルキニルサンサイクリン(4A)および7-アルケニルサンサイクリン(4B)などの7-アルケニルテトラサイクリン化合物を水素化して、7-置換のテトラサイクリン化合物(たとえば、7-アルキルサンサイクリン,4C)を形成させることができる。スキーム4には、生成物を得るための、飽和メタノールおよび塩酸溶液での圧力下におけるパラジウム/炭素触媒による7位の二重結合または三重結合の選択的水素化を示す。
【0066】
【0067】
スキーム5には、7位アリール誘導体を合成するための一般的な合成スキームを示す。ヨードサンサイクリン化合物とアリールボロン酸のスズキカップリングを示す。ヨードサンサイクリン化合物(5B)は、酸性条件下において少なくとも1当量のN-ヨードスクシンイミド(NIS)でサンサイクリン(5A)を処理することにより、サンサイクリンから合成することができる。反応を停止させ、次いで、生じた7-ヨードサンサイクリン(5B)は、当業者に既知の標準的な技術を使用して精製することができる。アリール誘導体を形成させるためには、7-ヨードサンサイクリン(5B)を水性塩基(たとえば、Na2CO3)および適切なボロン酸(5C)で、および不活性雰囲気下で処理する。反応は、パラジウム触媒によって触媒される(たとえばPd(OAc)2)。生成物(5d)は、当業者に既知の方法(HPLCなど)によって精製することができる。その他の7-アリールおよびアルキニルテトラサイクリン化合物も、同様のプロトコルを使用して合成することができる。
【0068】
また、本発明の7-置換のテトラサイクリン化合物は、Stilleクロスカップリングを用いて合成することができる。スティルクロスカップリングは、適切なスズ試薬(たとえば、R-SnBu3)およびハロゲン化されたテトラサイクリン化合物(たとえば、7-ヨードサンサイクリン)を用いて行うことができる。スズ試薬およびヨードサンサイクリン化合物を、パラジウム触媒(たとえば、Pd(PPh3)2Cl2またはPd(AsPh3)2Cl2)で、および選択的に、さらに銅の塩、たとえばCuIで処理することもできる。次いで、生じた化合物は、当業者に既知の技術を用いて精製することができる。
【0069】
【0070】
また、本発明の化合物は、Heck-型クロスカップリング反応を使用して合成することができる。スキーム6に示すように、ハロゲン化されたテトラサイクリン化合物(たとえば、6-ヨードサンサイクリン,6A)および適切なパラジウムまたはその他の遷移金属触媒(たとえば、Pd(OAc)2およびCuI)を懸濁することによって、適切な溶媒(たとえば、脱ガスしたアセトニトリル)中で、Heck-型クロスカップリングを行うことができる。次いで、基質、反応性アルケン(6B)またはアルキン(6D)、およびトリエチルアミンを添加して、混合液を数時間加熱した後、室温に冷却する。次いで、生じた7-置換のアルケニル(6C)または7-置換のアルキニル(6E)テトラサイクリン化合物は、当業者に既知の技術を使用して精製することができる、
【0071】
【0072】
7-(2'-クロロ-アルケニル)-テトラサイクリン化合物を調製するために、以下の手法を用いることができる。7-(アルキニル)-サンサイクリン(7A)を飽和メタノールおよび塩酸に溶解して撹拌する。次いで、溶媒を除去して生成物(7B)を得る。
【0073】
【0074】
スキーム8に図示したように、9-置換テトラサイクリン化合物である5-エステルは、強酸(たとえばHF、メタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸)に9-置換化合物(8A)を溶解し、適切なカルボン酸を添加することによって形成し、対応するエステル(8B)を得ることができる。
【0075】
下記のスキーム9に示すように、7および9アミノメチルテトラサイクリンは、ヒドロキシメチル-カルバミン酸ベンジルエステルなどの試薬を使用して合成してもよい。
【0076】
【0077】
「アルケニル」という用語は、直鎖アルケニル基、分枝鎖アルケニル基、シクロアルケニル(脂環式)基、アルケニル置換のシクロアルキル基またはシクロアルケニル基、およびシクロアルケニル置換のアルキル基またはアルケニル基を含む不飽和の脂肪族基を含む。アルケニルという用語は、アルケニル基をさらに含み、これには、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄、または亜リン酸原子、たとえば酸素、窒素、硫黄、または亜リン酸原子をさらに含むことができる。好ましい態様において、直鎖または分枝鎖アルケニル基は、その骨格に10以下の炭素原子(たとえば、直鎖についてC1〜C10、分枝鎖についてC3〜C10)、およびより好ましくは、6以下の炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルケニル基は、それらの環状構造(たとえば、シクロペンテンまたはシクロヘキセン)に4〜7個の炭素原子を有し、より好ましくは、それらの環状構造に5個または6個の炭素原子を有する。
【0078】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換のシクロアルキル基、およびシクロアルキル置換のアルキル基を含む飽和脂肪族基を含む。アルキルという用語は、さらにアルキル基を含み、これには、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄、または亜リン酸原子、たとえば酸素、窒素、硫黄、または亜リン酸原子をさらに含むことができる。好ましい態様において、直鎖または分枝鎖アルキル基は、その骨格に10個以下の炭素原子、およびより好ましくは、6個以下の炭素原子を有する(たとえば、直鎖についてC1〜C10、分枝鎖についてC3〜C10)。同様に、好ましいシクロアルキルは、それらの環状構造に4〜7個の炭素原子を有し、より好ましくは、それらの環状構造に5個または6個の炭素原子を有する。
【0079】
さらに、アルキルという用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両者を含み、これらのうちの後者は、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素の水素を置換する置換基を有するアルキル部分をいう。このような置換基は、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリルアミノ、ジアリールアミノ、およびアミノアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分を含むことができる。炭化水素鎖において置換された部分が、適切であるならば、それ自体を置換しうることは、当業者によって理解と考えられる。シクロアルキルは、たとえば上記に挙げた置換基によってさらに置換することもできる。「アルキルアリール」部分は、アリール(たとえば、フェニルメチル(ベンジル))で置換されたアルキルである。
【0080】
「アリール」という用語は、ゼロから4つのヘテロ原子を含む5員環および6員環の単環芳香族基を含むアリール基、たとえば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジン、その他同種のものを含む。また、アリール基は、ナフチル、キノリル、インドリル、その他同種のものなどの多環融合された芳香族基を含む。また、環状構造中にヘテロ原子を有するこれらのアリール基は、「アリールヘテロ環」、「ヘテロアリール」または「複素環式芳香族」と呼ぶ。芳香環は、1つまたは複数の環状部位に、上記に挙げたような置換基(たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリルアミノ、ジアリールアミノ、およびアミノアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分)で置換することもできる。また、アリール基は、多環(たとえば、テトラリン)を形成するように、芳香族でない脂環式もしくは複素環のリングと融合または架橋することができる。
【0081】
「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、長さおよび起こりうる置換が上記のアルキルと類似しているが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む不飽和の脂肪族基を含む。アルキニル基の置換基の例は、たとえば、アルキル基、アルケニル基(たとえばシクロアルケニル、たとえばシクロヘキシニル)、およびアリール基を含む。
【0082】
炭素数が特に指定されない限り、本明細書において使用される「低級アルキル」は、上記に定義した通りのアルキル基を意味するが、その骨格構成に1個〜3個の炭素原子を有する。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」も同様の鎖長を有する。
【0083】
記述のように、「アルコキシアルキル」、「ポリアミノアルキル」、および「チオアルコキシアルキル」という用語は、アルキル基を含み、記述のように、これには炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄、または亜リン酸原子、たとえば酸素、窒素、硫黄、または亜リン酸原子をさらに含むことができる。
【0084】
「多環式」または「多環式ラジカル」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接しているリングに共通である、2つ以上の環式の環(たとえば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/またはヘテロシクリル)を指し、たとえば本リングは、「融合されたリング」である。隣接していない原子を介して結合されたリングは、「架橋された」リングである。多環リングのそれぞれは、このような上記記載したとおりの置換基で置換することもでき、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアミノアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分を含むことができる。
【0085】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外のいかなる要素の原子をも含む。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、およびリンである。
【0086】
「アルキルスルフィニル」という用語は、1つまたは複数のスルフィニル(SO)結合、典型的には、1個〜約5個または6個のスルフィニル結合を有する基を含む。有利なアルキルスルフィニル基は、1個〜約12個の炭素原子、好ましくは1個〜約6個の炭素原子を有する基を含む。
【0087】
「アルキルスルホニル」という用語は、1つまたは複数のスルホニル(SO2)結合、典型的には、1個〜約5個または6個のスルホニル結合を有する基を含む。有利なアルキルスルホニル基は、1個〜約12個の炭素原子、好ましくは1個〜約6個の炭素原子を有する基を含む。
【0088】
「アルカノイル」という用語は、1個〜約4個または5個のカルボニル基を有する基を含む。「アロイル」という用語は、フェニルおよびその他の炭素環アリールなどの、カルボニル置換基を有するアリール基を含む。「アルカロイル」という用語は、アルキルカルボニル置換基、たとえばフェニルアセチルを有するアリール基を含む。
【0089】
本発明のテトラサイクリン化合物構造には、不斉炭素原子を含むものもある。特に示されない限り、キラル原子(たとえば、全ての鏡像異性体およびジアステレオマー)から生じる異性体は、本発明の範囲内に含まれる。このような異性体は、古典的な分離技術により、および立体化学的に制御された合成により、実質的に純粋の形態で得ることができる。
【0090】
また、本発明は、被験体が治療されるように、置換されたテトラサイクリンの有効な量を被験体に投与することにより、被験体における真菌に関連した疾患を治療する方法に関する。置換テトラサイクリン化合物は、1つの態様において、式(I)の化合物または表2に示した化合物のいずれか1つであってもよい。
【0091】
テトラサイクリン化合物の「有効な量」という専門用語は、真菌の増殖を阻害するためまたは真菌に関連した疾患を治療するために、たとえば動物においてまたは植物において、たとえば真菌に関連した疾患の種々の形態学的および身体的な症状を防止するために、必要または十分な量のことである。有効な量は、被験体の大きさおよび重量、疾患のタイプ、または特定の置換テトラサイクリン化合物のような要因に依存して変化し得る。たとえば、置換テトラサイクリン化合物の選択は、「有効な量」を構成するものに影響を及ぼし得る。当業者であれば、前述の因子を研究して、過度の実験のなく、置換テトラサイクリン化合物の有効な量に関する決定を行うことができるであろう。実施例4に記載したとおりのインビボアッセイ法またはこれと同様のアッセイ法(たとえば、細胞株の選択または疾病のタイプが異なるもの)は、テトラサイクリン化合物の「有効な量」を決定するために使用することができる。当業者であれば、上述したインビボにおけるアッセイ法に使用するために、テトラサイクリン化合物の適切な量を選択するであろう。1つの態様において、テトラサイクリンの有効な量は、カンジダ属に由来する真菌に関連する、真菌に関連した疾患に罹患した哺乳類を治療するために有効である。
【0092】
「被験体」という用語は、真菌の抑制による利益を得る可能性がある、または真菌に関連した疾患を有し得る、任意の生物を含む。被験体の例は、哺乳類、鳥類、魚、その他などの動物だけでなく、真菌の存在下で逆に効果を与える植物も含む。
【0093】
「哺乳類」という用語は、反すう動物(たとえば、ウシおよびヤギ)、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ライオン、トラ、クマ、サル、チンパンジー、および好ましい態様においてヒトを含むが、これらに限定されない。哺乳類は、免疫応答性でもよく、または免疫無防備状態、たとえば免疫不全に罹患していてもよい。たとえば、哺乳類は、AIDSを有してもよく、または以前にもしくは並行して、化学療法を受けていてもよい。別の態様において、哺乳類は初老または若令であってもよい。哺乳類は、真菌に関連した疾患に罹患していてもよく、または罹患していなくてもよい。テトラサイクリン化合物は、疾患の発症を予防するために、真菌に関連した疾患にかかりやすい哺乳類に投与されてもよい。
【0094】
「真菌に関連した疾患」という専門用語は、被験体に真菌が存在することに関連した疾患を含む。真菌に関連した疾患の例は、たとえばカンジダ(Candida)および白癬菌(Trichophyton)、ミクロスポルム(Microsporum)、もしくはエピダーモフィトン(Epidermophyton)などの皮膚糸状菌によって引き起こされる局所的真菌感染、または鵞口瘡カンジダ(Candida.albicans)(たとえば、経口口腔カンジタ症および膣カンジダ症)によって引き起こされる粘膜感染を含む。また、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、たとえば鵞口瘡カンジダ(Candida.albicans)、クリプトコッカス・ネオフォーマンス(Cryptococcus neoformans)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フトニガタス(Aspergillus fumigatus)、コクシジオイド(Coccidioides)、パラコクシジオイド(Paracoccidioides)、ヒストプラスマ(Histoplasma)、またはブラストミセス(Blastomyces)によって引き起こされる全身性真菌感染の治療に有用である。本発明の置換テトラサイクリン化合物は、AIDS、CMV、およびインフルエンザなどのウィルス感染した患者のような免疫無防備状態の患者、化学療法または放射線療法を受けている癌患者、抗拒絶性剤を受けている移植患者、並びに毒性化学物質、金属、および放射線被曝を受けている患者の真菌感染を治療するために有用であるだろう。
【0095】
動物における真菌に関連した疾患の例は、たとえばヒストプラスマ症、全身性カンジダ症、アスペルギルス症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、パラコクシジオイデス症、およびクリプトコッカス症などの全身感染、並びに皮膚糸状菌(白せん)感染症、たとえば足部白癬(水虫)および股部白癬(ジョッキ掻痒症)、カンジダ症、およびアクチノマイセス症などの表在性の菌類の疾患を含む。真菌に関連した疾患のもう1つの例は、病原性よりもむしろ日和見性の真菌によって引き起こされる可能性のある真菌症を含む。真菌症を引き起こす可能性のある真菌の例は、カンジダ症、アスペルギルス症、藻菌症、ノカルジア症、およびクリプトコッカス症を含む。
【0096】
その他の真菌に関連した疾患は、動物におけるアスペルギルス症、カンジダ症、黒色真菌感染症、コクシジウム症(coccidioidiocycosis)、クリプトコッカス症、エントモフトラ真菌症(entomophthoromycosis)、伝染性リンパ管炎、ゲオトリクム症、ヒストプラスマ症、ムコール菌症、足菌腫(mycetoma)、北アメリカ分芽菌症、卵菌症、パエシリマイコシス(paecilimycosis)、ペニシリウム症、リノスポリジウム症、およびスプロトリッチイオシス(sprotrichiosis)を含む。1つの態様において、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、家畜類の飼料に含ませることもでき、その結果前記飼料の通常の消費により、1日あたりkg動物毎に、本発明の置換テトラサイクリン化合物のうちの少なくとも約1mg〜約200mgを提供することができる。
【0097】
また、本発明は、被験体、たとえば哺乳類における真菌に関連した疾患を治療または予防するための、テトラサイクリン化合物の有効な量を含む薬学的組成物と薬学的に許容される担体に関する。本テトラサイクリン化合物は、式(I)の化合物、または表2に示したトラサイクリン化合物である。
【0098】
「薬学的に許容される担体」という専門用語は、置換テトラサイクリン化合物および抗真菌剤の同時投与できる物質を含み、これにより、抗真菌剤および置換テトラサイクリン化合物がこれらの意図された機能を実行すること、たとえば真菌に関連した疾患を治療するか、または予防することが可能となる。このような担体の例は、溶液、溶媒、分散媒体、遅延剤、乳剤、その他同種のものを含む。薬学的に活性な物質に対するこのような媒体の使用は、当業者に周知である。本発明のテトラサイクリンの用途に適した従来のいずれのその他の担体も、含まれる。
【0099】
たとえば、本発明の1つまたは複数の化合物は、単独で被験体に投与されてもよく、より典型的には、本発明の化合物は、従来の賦形剤、すなわち、非経口的、経口、またはその他の所望の投与に適した薬学的に許容される有機または無機の担体物質との混合物中に薬学的組成物の一部として投与され、これは活性化合物と有害な反応を起こさず、かつレシピエントに有害でない。適切な薬学的に許容される担体は、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘稠性パラフィン、香料油、脂肪酸モノグリセリド、および脂肪酸ジグリセリド、石油エーテル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、その他を含むが、これらに限定されない。薬学的製剤は、殺菌することができ、必要に応じて補助剤、たとえば潤滑剤、防腐剤、安定器、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、カラーリング、香料、および/または芳香薬物質、活性化合物と有害な反応を生じないその他同種のものと混合することができる。
【0100】
置換テトラサイクリン化合物および抗真菌剤の多くはいずれにせよ、プロトン化されかつ水溶性の形態、たとえば有機または無機の酸の薬学的に許容される塩、たとえば塩酸塩、硫酸塩、ヘミ硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、メシレート、その他として、適切に被験体に投与されてもよい。また、適切な酸性基が本発明の置換テトラサイクリン化合物または抗真菌剤に存在する場合、有機または無機塩基の薬学的に許容される塩には、アンモニウム塩、または有機アミンの塩、またはカリウム、カルシウム、もしくはナトリウムの塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などを使用することができる。
【0101】
治療的な化合物は、様々なルートのいずれによって本発明に従って被験体に投与することもできる。局所的(経皮的、ほほ側、または舌下を含む)、経口的、非経口的(腹腔内、皮下、静脈内、皮内、または筋内の注射を含む)が一般的に好ましい。
【0102】
経口投与については、微結晶性セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、およびグリシンなどの種々の賦形剤を含むタブレットを、デンプン(および好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ、またはタピオカデンプン)、アルギン酸、およびある化合物体のシリケートなどの種々の崩壊剤とともに、ポリビニルピロリドン、シュクロース、ゼラチン、およびアカシア様の顆粒結合剤とともに使用してもよい。その上、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクなどの潤滑剤は、タブレット化の目的にしばしば非常に有用である。また、同様のタイプの固体組成物を、ゼラチンカプセルにおける賦形剤して使用してもよく;この点について、好ましい物質は、ラクトースまたは乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコールを含む。経口投与のために水性懸濁液および/またはエリキシルが望まれる場合、活性成分は、種々のスイートニングまたは香料、カラーリング物質または色素、要望に応じて、乳化剤および/または懸濁剤、また、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、およびこれらの種々の組み合わせなどの稀釈剤と共に、組み合わせてもよい。テトラサイクリン化合物はまた、化合物が長期間(extended period of time)にわたって放出されるように、調製することもできる。
【0103】
非経口的な適用については、溶液、好ましくは油性もしくは水性の溶液、並びに懸濁液、乳剤、または坐薬を含むインプラントが特に適している。置換テトラサイクリン化合物は、無菌の生理食塩液または通常注射可能薬物と共に使用される5%塩類デキストロース溶液などの液体担体中に分散されたものなどの、複数または一回用量形態で無菌形態として処方されてもよい。
【0104】
経腸の適用については、タルクおよび/もしくは含水炭素担体結合剤を有するタブレット、糖衣丸、またはカプセル等が特に適しており、担体には、ラクトースおよび/またはコンスターチおよび/またはジャガイモデンプンが好ましい。シロップ、エリキシル等は、加糖媒体が使用される場合に使用することができる。徐放性組成物は、マイクロカプセル化、複数の被覆、その他により、有効成分が差別的に分解可能な被覆で保護されているものを含むように処方することができる。
【0105】
局所適用については、置換テトラサイクリン化合物は、ジェル、軟膏、ローション、またはクリームなどの薬理学的に不活性の局所的担体中に、適切に混合することができる。このような局所的担体は、水、グリセロール、アルコール、プロピレングリコール、脂肪族アルコール、トリグリセリド、脂肪酸エステル、または鉱油を含む。その他の可能な局所的担体は、液状ペトロラタム、イソプロピルペトロラタム、ポリエチレングリコール、95%エタノール、モノラウリン酸ポリオキシエチレン5%の水溶液、5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液、その他同種のものである。さらに、抗酸化剤、湿潤剤、粘度調整剤、その他同種のものなどの物質も、必要に応じて添加されてもよい。
【0106】
所与の治療法に使用される活性化した置換テトラサイクリン化合物の実際の好ましい量は、利用される特定の化合物、処方される特定の組成物、適用の型式、投与の特定の部位等により、変化するであろう。所与の投与プロトコルについての最適な投与比率は、前述のガイドラインに関して行った従来の用量決定試験を使用して、当業者によって容易に確認することができる。
【0107】
たとえば、1つまたは複数の本発明の化合物の適切な有効量は、1日あたりレシピエント体重の1キログラムにつき0.01〜100ミリグラム、好ましくは、1日あたりレシピエント体重の1キログラムにつき0.1〜50ミリグラム、より好ましくは、1日あたりレシピエント体重の1キログラムにつき1〜20ミリグラムの範囲である。所望の用量は、適切には、1日1回または数回のサブ用量であり、たとえば、1日にわたって適切な間隔で、またはその他の適切なスケジュールで2〜5回投与される。
【0108】
また、一般に正常な使用環境下でテトラサイクリンの効率を保証するために、正常な従来の既知の予防措置がテトラサイクリンの投与に関してなされることは理解されるであろう。特に、ヒトおよび動物の治療処置のために、インビボにおいて使用されるときに、開業医は、従来の既知の矛盾および毒作用を回避するために、全ての賢明な予防措置をするべきである。したがって、胃腸の窮迫および炎症について従来認識されている有害反応、腎毒性、過敏性反応、血液における変化、並びにアルミニウム、カルシウム、およびマグネシウムイオンを介した吸収機能障害は、従来方法によってしかるべく考慮されるべきである。
【0109】
なおさらなる側面において、本発明の置換テトラサイクリン化合物(たとえば置換テトラサイクリン化合物、たとえば式(I)の化合物、または表2に示された化合物)は、農業組成物(たとえば錆、ミルデュ、および糸状菌を含む様々な植物病原真菌を治療するか、または予防するための植物および種子のための組成物)に有利に使用することができる。通常、本発明の化合物は、打ち粉、顆粒、シード包帯剤、水溶液、分散剤もしくは乳剤、浸漬剤、スプレー、エアロゾル、または煙の形で調剤される。また、組成物は、分散可能な粉末、顆粒、もしくは粒子の形態、または使用前に希釈するように濃縮物で供給されてもよい。このような組成物は、農業および園芸において既知であり、許容されており、このような従来の担体、希釈液、またはアジュバントを含んでもよく、これらは、従来の手順に従って製造される。組成物は、典型的には0.01〜10wt%、好ましくは0.1〜1wt%の活性成分を含む。また、組成物は、その他の活性成分、たとえば除草性または殺虫性の活性を有する化合物またはさらなる抗真菌剤を取り入れてもよい。化合物および組成物は、多くの方法に適用することができ、たとえば、これらを直接、植物枝葉、茎、枝、種子、もしくは根に、または土壌もしくはその他の成長媒体に適用することもでき、これらは、疾患を根絶するためだけでなく、罹患から植物または種子を保護するために予防的に適用することもできる。用地に使用するためには、おそらく活性成分の適用率は、約100〜10,000g/エーカーである。本発明の置換テトラサイクリン化合物はまた補充物を除去する際に使用されるように調製することができる(たとえば、真菌類の生育を防ぐため、または真菌類を死滅させるもしくは生育を止めるために)。
【0110】
本発明の具体例
実施例1:テトラサイクリン化合物の合成
以下の例では、本発明の置換テトラサイクリン化合物を合成する方法を考察する。通常の当業者は、提示した実施例および/または当技術分野で認識された技術を用いて本発明の化合物を合成することができるだろう。
【0111】
実験例
融点は、Mel-Tempキャピラリ融点装置で測定し、修正していない。核磁気共鳴(1HNMR)スペクトラムは、Bruker Avance分光計において300MHzで記録した。化学シフト値は、テトラメチルシランまたは3-(トリメチルシリル)-1-プロパンスルホン酸、ナトリウム塩に関してδ値(ppm)で表し、内部または外部標準として、CDCl3、DMSO-d6、またはMeOH-d4のいずれかを溶媒として使用した。カラムクロマトグラフィは、使用前にNa2EDTA飽和溶液で処理して、水で洗浄し、濾過して乾燥器において130℃で3時間乾燥したBaker「flash」グレードシリカゲル(40μm)を使用して、スティルの方法に従って行った。分析的TLC分離は、J.Tから得られる蛍光指示薬と共に0.25mmのシリカゲルプレートを使用した。Baker Chemical Co., Phillipsburg, NJは、Na2EDTAの飽和溶液中に5分間液浸することによって予め処理し、130℃において3時間再活性化した。使用した溶媒系は、以下の通りであった:50:50:5 CHCl3/MeOH/5% Na2EDTAの(低層)(I),65:20:5、CHCl3/MeOH/Na2EDTA(低層)(II)。TLCの視覚化は、水性の0.5%のFast Blue BB塩により、および130℃で5分間加温することにより達成した。分析的HPLCは、Waters Bondapak C18逆相カラムにおいて、ソフトウェアによって1.6mL/minの流速に制御した2 Varian SD100 HPLCポンプを使用することによって行った。検出は、Model441の吸収度検出器を280nmで操作してUV吸収によって行った。移動相は、1.6mL/分の流速で30分にわたって30%から100%のメタノール直線勾配に続いて、MeOHでのアイソクラチック溶出を使用した;溶媒システムA:0.02MのNa2HPO4+0.001MのNa2EDTAをH3PO3でpH4.5に合わせた;溶媒システムB:100%のMeOH。準調整用のHPLC分離には、6.4mL/分の流速で、Waters準調整用C18逆相カラムを使用した。低解像度および高解像度質量スペクトルは、PE Mariner分光計において行った(Nelsonら, J. Med. Chem.(1993)36(3):374)。
【0112】
7 ヨードサンサイクリン
1グラムのサンサイクリンを、0℃(氷上)に冷却した25mLのTFA(トリフルオロ酢酸)に溶解した。1.2当量のN-ヨードスクシンイミド(NIS)を反応液に添加して40分間反応させた。反応液を氷溶液から除去して、さらに5時間室温で反応させた。次いで、混合液をHPLCおよびTLCによって分析し、NISの段階的添加によって化合物体を溶出した。反応の完了後、TFAを真空中で除去し、3mLのMeOHを添加して残さを溶解した。メタノール溶液を、迅速に撹拌しているジエチルエーテル溶液にゆっくりと添加して、緑がかった褐色沈降物を形成させた。サンサイクリンの7-ヨード異性体は、7-ヨード生成物を活性炭で処理することによって精製し、セライトを通して濾過し、および次の真空中における溶媒の除去により、75%の収率で純粋な黄色の固体として7-異性体化合物を生成した。
MS(M+H)(ギ酸溶媒)541.3。
/Rt:Hypersil C18 BDS Column、11.73
【0113】
7-(2',5'- ジメチル - フェニルサンサイクリン )
7-ヨードサンサイクリン(0.28mM)、Pd(OAc)2、および10mLのMeOHを撹拌バーを有するフラスコに添加して、3xアルゴンを使用して系から脱ガスした。水に溶解してアルゴンで脱ガスしたNa2CO3(0.8mM)を注射器によって添加して、2,5-ジメトキシフェニルホウ酸(0.55mM)の脱ガスしたMeOH溶液と共に添加した。反応液を2時間HPLCにかけて、室温に冷却した。溶液を濾過して乾燥し、未精製の混合液を生成させた。固体をジメチルホルムアミドに溶解して、C18逆相シリカを使用して調整用HPLC系に注入した。溶媒を真空中で除去して、生成物プラス塩を得た。塩を50:25:25 水、ブタノール、エチルアセテート中に抽出することによって除去して、真空で乾燥した。この固体をMeOHに溶解して、HCl気体中に通気することによってHCI塩を作製した。
【0114】
7-( ヘキシニル )- サンサイクリン
25mLのアセトニトリルに取り入れた7-I-サンサイクリン(1mg, 1.86mmol)を脱ガスして窒素(3回)でパージした。この懸濁液にPd(OAc)2(20mg, 089mmol)、CuI(10mg, 053mmol)、(o-トルイル)3P(56mg, 0.183mmol)を添加して、数分間窒素でパージした。1-ヘキシン(3.72mmol)およびトリエチルアミン(1mL)を懸濁液に添加した。これは、Et3Nの添加によって褐色の溶液に変化した。次いで、反応混合液を70℃で3時間加熱した。反応の進行は、HPLCによってモニターした。次いで、これを室温に冷却しセライトを通して濾過した。溶媒の蒸発により褐色の固体を得て、次いで調整用HPLCで精製して黄色の固体を得た。この化合物の構造を1H NMR、HPLC、およびMSを使用して特徴づけた。
【0115】
9-(4'- フルオロフェニルエチル )- ミノサイクリン
9-(4'-フルオロフェニルエチル)-ミノサイクリン(1mmol)を、飽和MeOH/HCl溶液に取り入れた。この溶液に、10%のPd/Cを添加して、50psiで12時間水素化に供した。次いで、これをセライトを通して濾過した。溶媒を蒸発して黄色の粉末を得た。最後に、これをMeOH/ジエチルエーテルから沈殿させた。この化合物の構造を、1H NMR、HPLC、およびMSを使用して特徴づけた。
【0116】
9-(2',5'- ジメチルフェニル ) ミノサイクリン
清潔な、乾式した反応導容器に、10mlの試薬グレードメタノールと共に、9-ヨードミノサイクリン(0.762mmole)ビスHCl塩、パラジウム(II)酢酸塩(0.076mmole)を配置した。溶液を撹拌しながら、約5分間アルゴンガス流で直ちにパージした。反応容器を還流させて、これには注射器によって2M炭酸カリウム溶液、続いてp-アセチルフェニルボロン酸(1.53mmole)の5mlの試薬DMF溶液を順番に添加した。これらの溶液は共に、事前に約5分間アルゴンガスで脱ガスさせた。反応液を45分間加熱して、進行を逆相HPLCによってモニターした。反応液を、珪藻土のパッドを通して吸入濾過して、DMFでパッドを洗浄した。ろ液を減圧下で油に減少し、および残渣をt-ブチルメチルエーテルで処理した。未精製物質を、1.0%のトリフルオロ酢酸を含む水およびメタノール/アセトニトリルの勾配を利用して、DVBにおける逆相HPLCによって精製した。
【0117】
実施例2:置換テトラサイクリン化合物の抗真菌活性
置換されたテトラサイクリンの相乗的な抗真菌薬活性を、NCCLS(1997)Standardに従ったブロス微量希釈技術によって決定した。アッセイ法は、TecanGenesロボットワークステーションを使用してセットアップした。全ての薬剤は、DMSOに溶解して適切に希釈した。薬剤濃度は、0.125〜64μg/mLの範囲に2倍の階段希釈した。それぞれのテトラサイクリンは、0.125〜64μg/mLの範囲の10濃度で試験した。化合物は、それらの鵞口瘡カンジダ(Candida albicans)(ATCC#;90028)に対する抗真菌薬活性について試験した。DMSOの終濃度は、1%以下に維持した。初期ヒットのチェッカー盤解析により、化合物の活性がより適切に決定されるであろう。
【0118】
試験した系統は、表1に一覧を示したもの含む。
【0119】
【表1】
【0120】
結果を表2に示す。それぞれの化合物について、*は特定の真菌に対して良好な抗真菌薬活性を示し、**は非常に良好な真菌の抑制を示し、および***は特定の真菌に対して優れた抑制を示す。表2の各化合物は、少なくとも1つの真菌系統に対するアンホテリシンBとの相乗的挙動を示した。
【0121】
【表2】
【0122】
実施例3:哺乳類細胞毒性アッセイ法
COS-1およびCHO細胞懸濁液を調製し、96穴組織培養処理された黒壁マイクロタイタープレート(細胞株によって密度を決定した)にまき、および5%CO2、約95%の湿度下において37℃でオーバーナイトでインキュベートした。翌日、階段希釈した薬剤を無菌条件下で調製して細胞プレートへ移した。細胞/薬剤プレートを上記の条件下で24時間インキュベートした。インキュベーション期間後、媒体/薬剤を吸引し、および50μlのレザズリンを添加した。次いで、プレートを上記の条件下で2時間インキュベートして、次いでさらに暗闇で室温において30分間インキュベートする。蛍光測定を行った(535nm励起、590nm放射)。次いで、IC50(50%の成長阻害が生じる薬剤濃度)を算出した。非置換のミノサイクリンおよび非置換のドキシサイクリン25より大きいことがわかった。
【0123】
実施例4:インビトロにおける抗菌活性アッセイ法
以下のアッセイ法は、一般の細菌に対するテトラサイクリン化合物の効率を決定するために使用される。2mgのそれぞれの化合物を100μlのDMSOに溶解する。次いで、溶液を、カチオン調整したミュラーヒントンブロス(CAMHB)に添加し、これにより200μmlの最終化合物濃度となる。テトラサイクリン化合物溶液を、.098μg/mLの濃度の試験化合物で50μL体積に希釈する。光学濃度(OD)測定は、試験系統の新規ログ-段階ブロス培養から行う。希釈を行い、lX106CFU/mlの最終菌体密度を達成する。OD=1では、種々の属についての菌体密度は、おおよそ以下の通りのはずである:
大腸菌 1x109CFU/ml
S.アウレウス(aureus) 5X108CFU/ml
エンテロコッカス(Enterococcus) sp. 2.5x109CFU/ml
【0124】
50μlの細胞懸濁液をマイクロタイタープレートのそれぞれのウェルに添加する。最終菌体密度は、約5x105CFU/mlであるべきである。これらのプレートを約18時間環境空気インキュベータにおいて35℃でインキュベートする。プレートをマイクロプレートリーダで読取り、必要に応じて視覚的に調べる。MICは、テトラサイクリン化合物の増殖を阻害する最も低い濃度として定義される。
【0125】
均等物
当業者であれば、ルーチン実験、本明細書において記載した多くの特定の手順の均等物のみを使用して、認識するか、または確認することができるでだろう。このような均等物は、本発明の範囲内であると考えられ、請求の範囲によって包含される。本出願の全体にわたって引用される全ての参照、特許、および特許出願の内容は、本明細書に組み入れられたものとする。適切なコンポーネント、プロセス、並びにこれらの特許、出願、およびその他のドキュメントの方法は、本発明およびその態様として選択されてもよい。
【0001】
関連出願
本出願は、2001年3月14日に出願された、表題「抗真菌剤としての置換テトラサイクリン化合物」の米国仮特許出願出願番号60/275,948に対する優先権を主張し、参照により本明細書にその全体が取り入れられる。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
長年、真菌疾患(真菌症)のための有効な治療薬の開発は、注目を欠いており、他の伝染性微生物に対して有効な薬剤に向けられていた。最も一般的な真菌感染は本質的には表在性であり、生命の脅威とはならず、製薬会社に対し新規治療を開発するための医学的な原動力をほとんどもたらさない。しかし、このシナリオは変化しており、一方では、真菌疾患による死亡は新しいものではなく、これらの致命性を引き起こす全身性真菌感染の発生率は増加している。皮肉にも、他の分野(免疫抑制薬および/または細胞毒性治療)における現代の医療技術の進歩および後天性免疫不全症候群(AIDS)などの疾患の出現は、重篤真菌感染数の増加を引き起こす主要な原因である。
【0003】
したがって、真菌関連疾患は、ヒストプラスマ症、全身性カンジダ症、アスペルギルス症、ブラストマイセス症、コクシジオイデス症、パラコクシジオイデス症、およびクリプトコッカス症などの、生命の脅威となる全身感染、並びに皮膚糸状菌(白せん)感染、たとえば足部白癬(水虫)および股部白癬(ジョッキ掻痒症)、カンジダ症、並びにアクチノマイセス症などの、より一般的な表在性のものである。生命の脅威となる真菌感染は、上記のように免疫抑制されたか、または免疫力が低下している個体に対してのみの問題ではなく、化学療法または放射線療法を受けている癌患者に対し、抗拒絶剤を受けている移植患者に対し、および毒性化学物質、金属、および放射線被曝を受けた患者に対する、サイトメガロウィルス(CMV)およびインフルエンザなどの他のウィルス感染の個体に対しても増加している問題である。
【0004】
真菌症は、病原体よりむしろ日和見性の真菌によって引き起こされることが多い。カンジダ症、アスペルギルス症、藻菌症、ノカルジア症、およびクリプトコッカス症は、典型的に日和見性の真菌感染である。たとえば鵞口瘡カンジダは、消化管における共生生物として通常見られ、しかも、免疫無防備状態の患者における全身性真菌感染および健康な個体における局所的感染の主要な原因である。
【0005】
現在真菌症の治療のために利用される大部分の薬剤は、効力が制限されているか、または耐容性が不十分である。抗真菌剤におけるしつこくかつ厄介な問題は、主に従来技術では放置されており、合成することが簡単で経済的で、生物に対して高活性および広範なスペクトル活性を保持し、低毒性かつ弊害が制限された剤がないことである。
【0006】
さらに、多くの既知の薬剤は、殺真菌特性よりもむしろ単に静真菌特性を有するだけである。静真菌活性は、真菌の増殖を防ぐ能力であり、一方、殺真菌(対真菌毒性)活性は、真菌を死滅させる能力である。表在性真菌症の治療に使用される多くの薬剤は、使用した濃度における静真菌作用または殺真菌作用を実質的に欠いており、これらの有益効果は、おそらく真菌類に対するどのような直接の効果にも関係しない要因に依存する。
【0007】
抗真菌特性を有するとされていた、またはされた、あり余る程の薬剤にもかかわらず、ほとんどが単に静真菌性であり、対真菌毒性がない。殺真菌性であるもの、たとえばアンホテリシンBについては、これらの使用およびこれらの化学的性質(たとえば溶解性)を制限し、ドラッグデリバリー方法を制限する重篤な副作用がある。
【発明の開示】
【0008】
本発明の概要
日和見性の全身性真菌感染は、高罹患率および死亡率を有し、これらの発生率は増加しているが、限られた副作用で、かつ低毒性であり、幅広い抗真菌薬スペクトラム活性を有する安全で、効率的に水溶性で、合成が容易で、対真菌毒性の薬剤を提供する技術はまだない。
【0009】
1つの態様において、本発明は、真菌の増殖を、少なくとも一部、阻害するための方法に関する。本方法は、真菌の増殖が阻害されるように、置換テトラサイクリン化合物の有効な量と真菌を接触させることを含む。さらなる態様において、置換テトラサイクリン化合物は、式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩である;
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2 ’、R4 ’、およびR4 ’’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4 ’R4 ’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R3、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6 ’は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、または-(CH2)0 〜 3NR7CC(=W')WR7aであり;
R9は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、チオニトロソ(たとえば、-N=S)、または-(CH2)0 〜 3NR9CC(=Z')ZR9aであり;
Zは、CR9dR9e、S、NR9b、またはOであり;
Z'は、O、S、またはNR9fであり;
Wは、CR7dR7e、S、NR7b、またはOであり;
W’は、O、NR7fSであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R9a、R9b、R9c、R9d、およびR9eは、それぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり;並びに、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0010】
また、本発明は、被験体の真菌に関連した疾患を治療するための方法に関する。本方法は、被験体が真菌に関連した疾患が治療されるように、置換テトラサイクリン化合物の有効な量を被験体に投与することを含む。
【0011】
また、本発明は、被験体の真菌に関連した疾患を治療するための置換テトラサイクリン化合物の有効な量、および薬学的に許容される担体を含有する薬学的組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、真菌を死滅させるように、本発明の置換テトラサイクリン化合物と真菌を接触させることによって真菌を死滅させる方法に関する。
【0013】
本発明の詳細な説明
これらの周知の抗菌性質に加えて、ミノサイクリンおよびドキシサイクリンは、単独およびアンホテリシンBとの相乗作用の両者において、制限された抗真菌活性を備えていることが示されていた(Antimicrob. Agents Chemother. (1984), 26(6) 837-40;Pathol. Biol. (1975), 23(9):725-8)。本発明は、少なくとも一部で、増大された抗真菌活性を有する置換テトラサイクリン化合物を含む方法および薬学的組成物に関する。
【0014】
1つの態様において、本発明は、真菌の増殖を阻害するための方法に関する。本方法は、真菌の増殖が阻害されるように、置換テトラサイクリン化合物の有効な量と真菌を接触させることを含む。
【0015】
「真菌(fungus)」または「真菌類(fungi)」という用語は、核をもち、胞子を有するクロロフィルを欠いた種々の生物を含む。こという用語はその生育が本発明の化合物によって阻害されうるすべての真菌類を含む。例には、酵母、白カビ、糸状菌、錆菌、およびキノコが含まれるが、これらに限定されない。また、真菌類の例も、アスペルギルスフミガーツス(Aspergillus fumigatus)、黄色コウジ菌(Aspergillus flavus)、アスペルギルスニデュランス(Aspergillus nidulans)、鵞口瘡カンジダ(Candida albicans)、カンジタ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・ギリエルモンヂ(Candida guilliermondii)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、イッサケンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)、コクシジオイデス(Coccidioides)、パラコクシジオイデス(Paracoccidioides)、ヒストプラスマ(Histoplasma)、ブラストミセス(Blastomyces)、およびアカパンカビ(Neurospora crassa)を含むが、これらに限定されない。1つの態様において、本発明の真菌類は、カンジダ属の真菌類を含む(たとえば、C.トロピカリス(C.tropicalis)、C,パラプシローシス(C.parapsilosis)、C.ルシタニエ(C.lusitaniae)、C.クルセイ(C.krusei)、C.ギリエルモンヂ(C.guilliermondii)、C.グラブラータ(C.glabrata)、Cデュブリニエンシス(C.dubliniensis)、および鵞口瘡カンジダ(C.albicans))。
【0016】
「真菌の増殖阻害」という用語は、静真菌活性および殺真菌活性の両者を含む。静真菌活性は、真菌のコロニーの増殖速度におけるいかなる減少をも含む。静真菌活性は、真菌がその現在の大きさを維持しているか、または包囲する領域にコロニーを作ることができないことによって明らかにされてもよい。静真菌活性は、真菌の生殖作用の抑制の結果であってもよい。殺真菌活性は、一般に、たとえば真菌または真菌のコロニーの根絶(irraditication)、真菌または真菌のコロニーの死滅、あるいは1つの態様において、真菌または真菌のコロニーの質量もしくは大きさの減少を含む。
【0017】
「テトラサイクリン化合物」という用語は、メタサイクリン、サンサイクリン(sancycline)、アピサイクリン(apicycline)、クロモサイクリン(clomocycline)、グアメサイクリン(guamecycline)、メグルサイクリン(meglucycline)、メフィルサイクリン(mepylcycline)、ペニメピサイクリン(penimepicycline)、ピパサイクリン(pipacycline)、エタモサイクリン(etamocycline)、ペニモサイクリン(penimocycline)、などのテトラサイクリンファミリーメンバ、並びに特徴あるナフタセンA-B-C-D環状構造を有する、他のテトラサイクリン化合物を含む。さらなるテトラサイクリン化合物は、たとえば米国特許出願出願番号:09/234847および米国特許番号5,834,450;5,532,227;5,789,395;5,639,742、並びにドイツ特許DE2814974およびDE2820983に見出される。上述した出願および特許の全ての内容は、参照により本明細書に明示的に組み入れられる。
【0018】
最近の調査努力は、変化する治療条件および投与経路の下で有効な新規テトラサイクリン組成物を開発すること;並びに元来導入されたテトラサイクリンファミリと同等または抗生物質としてより有効であると判明するかもしれない新規テトラサイクリン類似体を開発することに焦点が集まっている(米国特許番号3,957,980;3,674,859;2,980,584;2,990,331;3,062,717;3,557,280;4,018,889;4,024,272;4,126,680;3,454,697;および3,165,531を参照されたい)。
【0019】
「置換テトラサイクリン化合物」という用語は、たとえば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、11a、12、および12a位に少なくとも1つの置換を有するテトラサイクリン化合物であって、化合物がその目的とする機能、たとえば真菌の増殖を阻害することを、実行可能にする化合物を含む。1つの態様において、「置換テトラサイクリン化合物」という用語は、非置換のテトラサイクリン、ミノサイクリン、またはドキシサイクリンを含まない。1つの態様において、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、カンジダ真菌に対してドキシサイクリンまたはミノサイクリンよりも低いMICを有する(実施例2に示したアッセイ法で測定される)。1つの態様において、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、もしくは約1%以下、または特定の真菌に対する非置換のテトラサイクリン、非置換のドキシサイクリン、もしくは非置換のミノサイクリンのMICよりも低いMICのものを有する。本明細書に記載された範囲内に含まれるか、および/または中間の値および範囲は、本発明の範囲内であることが意図される。たとえば、10%未満のMICは9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、などのMICのものを含み、これは10%未満の範囲内に含まれることを意図する。
【0020】
さらに、置換テトラサイクリン化合物も、有利には非置換のテトラサイクリン、ミノサイクリン、またはドキシサイクリンより細胞毒性がない。1つの態様において、置換テトラサイクリン化合物の細胞毒性は、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、もしくは約1%以下、または非置換のテトラサイクリン、非置換のドキシサイクリン、もしくは非置換のミノサイクリンの細胞毒性よりも低い。本明細書に記載された範囲内に含まれるか、および/または中間の値および範囲は、本発明の範囲内であることが意図される。たとえば、10%未満の細胞毒性は9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、などの細胞毒性のものを含み、これは10%未満の範囲内に含まれることが意図される。
【0021】
「置換テトラサイクリン化合物」という用語は、たとえば置換サンサイクリン化合物、置換されたミノサイクリン化合物、および置換ドキシサイクリン化合物を含む。
【0022】
本発明の方法および組成物に使用される置換テトラサイクリン化合物は、式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩を含む:
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6 ’R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2 ’、R4 ’、およびR4 ’’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4 ’R4 ’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R3、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R10は、水素、プロドラック部分、またはR9に連結して環を形成し;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6 ’は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、または-(CH2)0 〜 3NR7CC(=W')WR7aであり;
R9は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、チオニトロソ(たとえば、-N=S)、または-(CH2)0 〜 3NR9CC(=Z')ZR9aであり;
Zは、CR9dR9e、S、NR9b、またはOであり;
Z'は、O、S、またはNR9fであり;
Wは、CR7dR7e、S、NR7b、またはOであり;
W'は、O、NR7fSであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R9a、R9b、R9c、R9d、およびR9eは、それぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;並びに、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0023】
1つの態様において、本発明の方法および組成物に使用される置換テトラサイクリン化合物は、たとえば2、5、6、7、8、9、10、11、11a、12、12a位、および/またはミノサイクリンについては13位に置換基を有する置換サンサイクリン化合物である。本発明の置換サンサイクリン化合物において、R2 ’、R3、R10、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;R4 ’およびR4 ’’は、それぞれアルキル(たとえば低級アルキル、たとえばメチル)であり;Xは、CR6R6 ’であり;並びにR2、R5、R6、R6 ’、およびR8は、一般にそれぞれ水素である。その他の態様において、置換テトラサイクリン化合物は、置換テトラサイクリン(たとえば、一般に、式中、R4はNR4 ’R4 ’’であり、R4 ’およびR4 ’’はメチルであり、R5は水素であり、並びにXはCR6R6 ’であり、式中R6はメチルであり、およびR6 ’はヒドロキシである);置換ドキシサイクリン(たとえば、式中R4はNR4 ’R4 ’’であり、R4 ’およびR4 ’’はメチルであり、R5はヒドロキシルであり、並びにXはCR6R6 ’であり、式中R6はメチルであり、およびR6 ’は水素である);置換ミノサイクリン(たとえば、式中R4はNR4 ’R4 ’’であり、R4 ’およびR4 ’’はメチルであり;R5は水素であり、並びにXはCR6R6 ’であり、式中R6およびR6 ’は水素原子であり、およびR7はジメチルアミノである)、または置換サンサイクリン(式中R4はNR4 ’R4 ’’であり、R4 ’およびR4 ’’はメチルであり;R5は水素であり、並びにXはCR6R6 ’であり、式中R6およびR6 ’は水素原子である)である。
【0024】
1つの態様において、R5は、置換されており、たとえば水素またはヒドロキシではない。さらなる態様において、R5は、エステル(アルキカルボニルオキシ)である。1つの態様において、R5はアルキルエステルである。R5の例は、アルキルエステル(たとえば、C1〜C12アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールエステル)を含む。アルキル基は、直鎖、分枝鎖、および/または環を含んでいてもよい。エステルの例は、エタン酸、プロパン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、2-シクロペンタンエタン酸、シクロペンタン酸、シクロヘプタン酸、2-メチルプロパン酸、シクロヘキサン酸、およびアダマンタン2-カルボン酸のテトラサイクリンエステルを含むが、これらに限定されない。その他の態様において、R5は水素である。
【0025】
7-置換のテトラサイクリン化合物については、R9は水素であってもよい。1つの態様において、R7は置換のまたは非置換のフェニルである。R7置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる全ての置換基を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールなどであるが、これらに限定されない。
【0026】
1つの態様において、フェニルは、少なくとも1つのアルキル基で置換されており、それ自体は、分枝鎖、直鎖、またはアルキル、非置換もしくは置換(たとえば、ハロゲン化された)であってもよい。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、その他を含むが、これらに限定されない。
【0027】
別の態様において、R7はハロゲン(たとえば塩化物、臭素、またはヨウ素)である。
【0028】
別の態様において、R7は、置換のまたは非置換のヘテロアリールである。複素環式芳香族基の例は、単環および多環(たとえば、多重環)の両者を含み、例えばフラニル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、ピリジニル、ピラゾリル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、インドリル、チエニル、ピリミジル、ピラジニル、プリニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ナフトリジニル(naphthridinyl)、チアゾリル、イソチアゾリル、およびデアザプリニルなどであるが、これらに限定されない。1つの態様において、R7はベンゾフラニルである。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる全ての置換基を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールなどであるが、これらに限定されない。
【0029】
別の態様において、R7は、置換のまたは非置換の、分岐状、直鎖状、または環状のアルキルである。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能(たとえば真菌類の生育を阻害する)を実行しうる置換基を含む。置換基の例は、例えばアルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、トリアルキルシリル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールなどであるが、これらに限定されない。
【0030】
アルキルのR7基の例は、C1〜C15基およびC1〜C10基を含む。例えば2-エチルペンチル、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、などを含む。
【0031】
1つの態様において、R7は置換のまたは非置換のアルケニルである。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる全ての置換基を含み、このような例は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリール含むが、これらに限定されない。
【0032】
1つの態様において、アルケニルR7部分は、置換のまたは非置換の環状部分で置換される。環状部分は、炭素環、複素環の両者の、アリール、ヘテロアリール、シクロアルケニル、およびシクロアルキル基を含む。環状部分の例は、たとえばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、フェニル、その他を含む。環状部分は、たとえば上に一覧を示したアルケニルR7部分のいずれかの置換基で置換することができる。
【0033】
別の態様において、R7は置換のまたは非置換のアルキニルである。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる置換基を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールを含むが、これらに限定されない。
【0034】
R7アルキニル部分は、置換のまたは非置換の環状部分と置換されてもよい。環状部分は、炭素環、複素環の両者の、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルケニル基、およびシクロアルキル基を含む。環状部分の例は、たとえばシクロブタン、シクロペンタン(cylopentane)、シクロヘキサン、フェニルなどを含む。環状部分は、たとえば上に一覧を示したアルキニルR7部分のいずれの置換基で置換することもできる。
【0035】
アルキニルR7部分の環状置換基の例は、フェニル、シクロヘキシル、p-ニトロフェニル、p-メチルフェニル、シクロヘキセン、および1-ヒドロキシシクロヘキサンを含むが、これらに限定されない。
【0036】
別の態様において、R7は置換のまたは非置換のアルコキシである。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる全ての置換基を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスホナート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールなどであるが、これらに限定されない。1つの態様において、アルコキシ基はC1〜C10である。別の態様において、これは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、その他である。
【0037】
別の態様において、本発明は、R5がヒドロキシまたはアルキルカルボニルオキシであり;XがCHR6であり;R6がアルキルである(たとえば低級アルキル、たとえばメチル);およびR8が水素である、置換ドキシサイクリン化合物に関する。R7は、水素またはアルキルであってもよい。R2は、水素またはアルキルであってもよい。
【0038】
1つの態様において、R9は置換のまたは非置換のアリール、たとえばフェニル、ビアリール、ヘテロアリール(たとえば、ピリジン、その他)、その他である。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる全ての置換基を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールなどであるが、これらに限定されない。
【0039】
R9のその他の例は、置換のまたは非置換のアルキル(たとえば、メチル、エチル、プロピル、t-ブチル、n-ブチル、i-ブチル、ペンチル、その他)またはN3を含む。
【0040】
別の態様において、本発明は、置換テトラサイクリン化合物が置換されたミノサイクリン化合物である方法および組成物に関する。これらの化合物の例は、XがCR6R6'であり、;R2、R5、R6、R6'、およびR8がそれぞれ水素であり、並びにR7がジメチルアミノである化合物を含む。
【0041】
1つの態様において、R9は置換のまたは非置換のアリール(たとえば、フェニル、ビアリール(ナフチル、ベンゾフラニル)、ヘテロアリール、その他)、またはアラルキルである。置換基の例は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールを含むが、これらに限定されない。1つの態様において、アリールR9部分は、置換のまたは非置換のフェニルである。
【0042】
R9部分のその他の例は、置換および非置換の、環式、分枝鎖、または直鎖アルキルを含む(たとえばC1〜C15、C1〜C10、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2-シクロペンタンエチル、その他)。置換基の例は、アリールR9部分について上記一覧を示したものを含む。
【0043】
別の態様において、R9は置換のまたは非置換の、分枝鎖、直鎖、または環状アルキルである。置換基の例は、置換テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行すること、たとえば真菌の増殖を阻害することが可能なものを含む。置換基の例は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、トリアルキルシリル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールを含むが、これらに限定されない。
【0044】
アルキルR9基の例は、C1〜C15基、およびC1〜C10基を含む。例は、2-エチルペンチル、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、その他を含む。
【0045】
1つの態様において、R9は置換のまたは非置換のアルケニルである。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる全ての置換基を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールなどであるが、これらに限定されない。
【0046】
1つの態様において、アルケニルR9部分は、置換のまたは非置換の環状部分で置換される。環状部分は、炭素環、複素環の両者の、アリール、ヘテロアリール、シクロアルケニル、およびシクロアルキル基を含む。環状部分の例は、たとえばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、フェニル、その他を含む。環状部分は、たとえばアルケニルR9部分について上記一覧を示したいずれの置換基でも置換することができる。
【0047】
別の態様において、R9は置換のまたは非置換のアルキニルである。置換基の例は、テトラサイクリン化合物がその意図された機能を実行しうる全ての置換基を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル(alkylaminoacarbonyl)、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、およびヘテロアリールなどであるが、これらに限定されない。
【0048】
R9アルキニル部分は、置換のまたは非置換の環状部分で置換されてもよい。環状部分は、炭素環、複素環の両者の、アリール、ヘテロアリール、シクロアルケニル、およびシクロアルキル基を含む。環状部分の例は、たとえばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、フェニル、その他を含む。環状部分は、たとえばアルケニルR9部分について上記一覧を示したいずれの置換基でも置換することができる。
【0049】
さらに、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、上記記載した置換基または表2に示した置換基のいずれか1つとの組み合わせで置換することができる。
【0050】
アルキニルR9部分のための環状置換基の例は、フェニル、シクロヘキシル、p-ニトロフェニル、p-メチルフェニル、および1-ヒドロキシシクロヘキサンを含むが、これらに限定されない。
【0051】
さらなる態様において、R9は置換のまたは非置換のアミノアルキルである。置換基の例は、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール置換基を含むが、これらにら限定されない。
【0052】
1つの態様において、本方法に使用される置換テトラサイクリン化合物および本発明の組成物は、非置換のドキシサイクリンまたはミノサイクリンよりも高い抗真菌活性を有する。これらの化合物は共に、A.ニデュランス(A.nidulans)、C.ギアブラータ(C.giabrata)、C.トロピカリス(C.tropicalis)、およびC,パラプシローシス(C.parapsilosis)について、64を越える最小阻害濃度(MIC)を有する(MICを測定するための手順については実施例2を参照されたい)。
【0053】
別の態様において、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、たとえば当業者に認識されるアッセイ法で測定されるものとして、抗炎症活性を有していてもよい。
【0054】
別の態様において、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、非抗菌性であってもよく、たとえば、ほとんど抗菌活性がなくてもよい。本発明の化合物の抗菌活性は、実施例5に示したアッセイ法を使用して測定することができる。1つの態様において、化合物は、4μM以上のMIC(細菌に対して)を有する場合に、非抗菌性であると考えられる。
【0055】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載されたか、または表2に示された置換基を有する4-デジメチルアミノテトラサイクリン化合物に関する(たとえば、ジメチルアミノ基が水素であるR4位を除き、本明細書または表2に記載されたものと同じ置換基を有する)。
【0056】
本発明の方法および組成物に使用することができる置換テトラサイクリン化合物の例を、以下および表2に示す。
【0057】
本発明の置換テトラサイクリン化合物は、実施例1に記載された方法、および以下のスキームを使用して合成することができる。本明細書において、記載された全ての任意の新規テトラサイクリン化合物は、化合物として、さらにそれらを用いた方法およびそれらを含む薬学的組成物として本発明に含まれる。
【0058】
9-置換のテトラサイクリン(たとえば9-シクロペンチルドキシサイクリン)は、スキーム1に示した方法によって合成することができる。スキーム1のように、9-および7-置換のテトラサイクリン化合物は、テトラサイクリン化合物(たとえば、ドキシサイクリン、1A)を硫酸および硝酸ナトリウムで処理することによって合成することができる。生じた生成物は、7-ニトロおよび9-ニトロ異性体(それぞれ1Bおよび1C)の混合物である。7-ニトロ(1B)および9-ニトロ(1C)誘導体を、水素気体および白金触媒を用いた水素化によって処理し、アミン1DおよびIEを得る。このとき、異性体を従来法によって分離する。7-または9-置換のアルケニル誘導体を合成するためには、7-または9-アミノテトラサイクリン化合物(それぞれ1Eおよび1F)をHONOで処理して、ジアゾニウム塩(1Gおよび1H)を得る。この塩(1Gおよび1H)をハロゲン化された適切な試薬(たとえば、R9がアリール、アルケニル、またはアルキニル部分であるR9Br)で処理して、所望の化合物(たとえば、スキーム1における、7-シクロペント-1-エニルドキシサイクリン(1H)および9-シクロペント-1-エニルドキシサイクリン(1I))を得る。
【0059】
【0060】
【0061】
スキーム2に示したとおり、R7がカルバメートまたは尿素誘導体である本発明のテトラサイクリン化合物は、以下のプロトコルを使用して合成することができる。サンサイクリン(2A)を酸性条件下においてNaNO2で処理して、位置異性体の混合物中に7-ニトロサンサイクリン(2B)を形成させる。次いで、7-ニトロサンサイクリン(2B)をH2気体および白金触媒で処理して、7-アミノサンサイクリン誘導体(2C)を形成させる。尿素誘導体(2E)を形成させるためには、イソシアネート(2D)を7-アミノサンサイクリン誘導体(2C)と反応させる。カルバメート(2G)を形成させるためには、適切な塩素酸エステル(2F)を2Cと反応させる。
【0062】
【0063】
スキーム3に示したとおり、本発明のテトラサイクリン化合物であって、式中R7が複素環(すなわちチアゾール)置換のアミノ基である化合物は、上記プロトコルを使用して合成することができる。7-アミノサンサイクリン(3A)をFmoc-イソチオシアネート(3B)と反応させて、保護されたチオ尿素(3C)を生成させる。次に、保護されたチオ尿素(3C)を脱保護して、活性サンサイクリンチオ尿素(3D)化合物を得る。サンサイクリンチオ尿素(3D)をα-ハロケトン(3E)と反応させて、チアゾール置換の7-アミノサンサイクリン(3F)を生成させる。
【0064】
【0065】
7-アルキニルサンサイクリン(4A)および7-アルケニルサンサイクリン(4B)などの7-アルケニルテトラサイクリン化合物を水素化して、7-置換のテトラサイクリン化合物(たとえば、7-アルキルサンサイクリン,4C)を形成させることができる。スキーム4には、生成物を得るための、飽和メタノールおよび塩酸溶液での圧力下におけるパラジウム/炭素触媒による7位の二重結合または三重結合の選択的水素化を示す。
【0066】
【0067】
スキーム5には、7位アリール誘導体を合成するための一般的な合成スキームを示す。ヨードサンサイクリン化合物とアリールボロン酸のスズキカップリングを示す。ヨードサンサイクリン化合物(5B)は、酸性条件下において少なくとも1当量のN-ヨードスクシンイミド(NIS)でサンサイクリン(5A)を処理することにより、サンサイクリンから合成することができる。反応を停止させ、次いで、生じた7-ヨードサンサイクリン(5B)は、当業者に既知の標準的な技術を使用して精製することができる。アリール誘導体を形成させるためには、7-ヨードサンサイクリン(5B)を水性塩基(たとえば、Na2CO3)および適切なボロン酸(5C)で、および不活性雰囲気下で処理する。反応は、パラジウム触媒によって触媒される(たとえばPd(OAc)2)。生成物(5d)は、当業者に既知の方法(HPLCなど)によって精製することができる。その他の7-アリールおよびアルキニルテトラサイクリン化合物も、同様のプロトコルを使用して合成することができる。
【0068】
また、本発明の7-置換のテトラサイクリン化合物は、Stilleクロスカップリングを用いて合成することができる。スティルクロスカップリングは、適切なスズ試薬(たとえば、R-SnBu3)およびハロゲン化されたテトラサイクリン化合物(たとえば、7-ヨードサンサイクリン)を用いて行うことができる。スズ試薬およびヨードサンサイクリン化合物を、パラジウム触媒(たとえば、Pd(PPh3)2Cl2またはPd(AsPh3)2Cl2)で、および選択的に、さらに銅の塩、たとえばCuIで処理することもできる。次いで、生じた化合物は、当業者に既知の技術を用いて精製することができる。
【0069】
【0070】
また、本発明の化合物は、Heck-型クロスカップリング反応を使用して合成することができる。スキーム6に示すように、ハロゲン化されたテトラサイクリン化合物(たとえば、6-ヨードサンサイクリン,6A)および適切なパラジウムまたはその他の遷移金属触媒(たとえば、Pd(OAc)2およびCuI)を懸濁することによって、適切な溶媒(たとえば、脱ガスしたアセトニトリル)中で、Heck-型クロスカップリングを行うことができる。次いで、基質、反応性アルケン(6B)またはアルキン(6D)、およびトリエチルアミンを添加して、混合液を数時間加熱した後、室温に冷却する。次いで、生じた7-置換のアルケニル(6C)または7-置換のアルキニル(6E)テトラサイクリン化合物は、当業者に既知の技術を使用して精製することができる、
【0071】
【0072】
7-(2'-クロロ-アルケニル)-テトラサイクリン化合物を調製するために、以下の手法を用いることができる。7-(アルキニル)-サンサイクリン(7A)を飽和メタノールおよび塩酸に溶解して撹拌する。次いで、溶媒を除去して生成物(7B)を得る。
【0073】
【0074】
スキーム8に図示したように、9-置換テトラサイクリン化合物である5-エステルは、強酸(たとえばHF、メタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸)に9-置換化合物(8A)を溶解し、適切なカルボン酸を添加することによって形成し、対応するエステル(8B)を得ることができる。
【0075】
下記のスキーム9に示すように、7および9アミノメチルテトラサイクリンは、ヒドロキシメチル-カルバミン酸ベンジルエステルなどの試薬を使用して合成してもよい。
【0076】
【0077】
「アルケニル」という用語は、直鎖アルケニル基、分枝鎖アルケニル基、シクロアルケニル(脂環式)基、アルケニル置換のシクロアルキル基またはシクロアルケニル基、およびシクロアルケニル置換のアルキル基またはアルケニル基を含む不飽和の脂肪族基を含む。アルケニルという用語は、アルケニル基をさらに含み、これには、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄、または亜リン酸原子、たとえば酸素、窒素、硫黄、または亜リン酸原子をさらに含むことができる。好ましい態様において、直鎖または分枝鎖アルケニル基は、その骨格に10以下の炭素原子(たとえば、直鎖についてC1〜C10、分枝鎖についてC3〜C10)、およびより好ましくは、6以下の炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルケニル基は、それらの環状構造(たとえば、シクロペンテンまたはシクロヘキセン)に4〜7個の炭素原子を有し、より好ましくは、それらの環状構造に5個または6個の炭素原子を有する。
【0078】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換のシクロアルキル基、およびシクロアルキル置換のアルキル基を含む飽和脂肪族基を含む。アルキルという用語は、さらにアルキル基を含み、これには、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄、または亜リン酸原子、たとえば酸素、窒素、硫黄、または亜リン酸原子をさらに含むことができる。好ましい態様において、直鎖または分枝鎖アルキル基は、その骨格に10個以下の炭素原子、およびより好ましくは、6個以下の炭素原子を有する(たとえば、直鎖についてC1〜C10、分枝鎖についてC3〜C10)。同様に、好ましいシクロアルキルは、それらの環状構造に4〜7個の炭素原子を有し、より好ましくは、それらの環状構造に5個または6個の炭素原子を有する。
【0079】
さらに、アルキルという用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両者を含み、これらのうちの後者は、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素の水素を置換する置換基を有するアルキル部分をいう。このような置換基は、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリルアミノ、ジアリールアミノ、およびアミノアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分を含むことができる。炭化水素鎖において置換された部分が、適切であるならば、それ自体を置換しうることは、当業者によって理解と考えられる。シクロアルキルは、たとえば上記に挙げた置換基によってさらに置換することもできる。「アルキルアリール」部分は、アリール(たとえば、フェニルメチル(ベンジル))で置換されたアルキルである。
【0080】
「アリール」という用語は、ゼロから4つのヘテロ原子を含む5員環および6員環の単環芳香族基を含むアリール基、たとえば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジン、その他同種のものを含む。また、アリール基は、ナフチル、キノリル、インドリル、その他同種のものなどの多環融合された芳香族基を含む。また、環状構造中にヘテロ原子を有するこれらのアリール基は、「アリールヘテロ環」、「ヘテロアリール」または「複素環式芳香族」と呼ぶ。芳香環は、1つまたは複数の環状部位に、上記に挙げたような置換基(たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリルアミノ、ジアリールアミノ、およびアミノアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分)で置換することもできる。また、アリール基は、多環(たとえば、テトラリン)を形成するように、芳香族でない脂環式もしくは複素環のリングと融合または架橋することができる。
【0081】
「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、長さおよび起こりうる置換が上記のアルキルと類似しているが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む不飽和の脂肪族基を含む。アルキニル基の置換基の例は、たとえば、アルキル基、アルケニル基(たとえばシクロアルケニル、たとえばシクロヘキシニル)、およびアリール基を含む。
【0082】
炭素数が特に指定されない限り、本明細書において使用される「低級アルキル」は、上記に定義した通りのアルキル基を意味するが、その骨格構成に1個〜3個の炭素原子を有する。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」も同様の鎖長を有する。
【0083】
記述のように、「アルコキシアルキル」、「ポリアミノアルキル」、および「チオアルコキシアルキル」という用語は、アルキル基を含み、記述のように、これには炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄、または亜リン酸原子、たとえば酸素、窒素、硫黄、または亜リン酸原子をさらに含むことができる。
【0084】
「多環式」または「多環式ラジカル」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接しているリングに共通である、2つ以上の環式の環(たとえば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/またはヘテロシクリル)を指し、たとえば本リングは、「融合されたリング」である。隣接していない原子を介して結合されたリングは、「架橋された」リングである。多環リングのそれぞれは、このような上記記載したとおりの置換基で置換することもでき、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアミノアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分を含むことができる。
【0085】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外のいかなる要素の原子をも含む。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、およびリンである。
【0086】
「アルキルスルフィニル」という用語は、1つまたは複数のスルフィニル(SO)結合、典型的には、1個〜約5個または6個のスルフィニル結合を有する基を含む。有利なアルキルスルフィニル基は、1個〜約12個の炭素原子、好ましくは1個〜約6個の炭素原子を有する基を含む。
【0087】
「アルキルスルホニル」という用語は、1つまたは複数のスルホニル(SO2)結合、典型的には、1個〜約5個または6個のスルホニル結合を有する基を含む。有利なアルキルスルホニル基は、1個〜約12個の炭素原子、好ましくは1個〜約6個の炭素原子を有する基を含む。
【0088】
「アルカノイル」という用語は、1個〜約4個または5個のカルボニル基を有する基を含む。「アロイル」という用語は、フェニルおよびその他の炭素環アリールなどの、カルボニル置換基を有するアリール基を含む。「アルカロイル」という用語は、アルキルカルボニル置換基、たとえばフェニルアセチルを有するアリール基を含む。
【0089】
本発明のテトラサイクリン化合物構造には、不斉炭素原子を含むものもある。特に示されない限り、キラル原子(たとえば、全ての鏡像異性体およびジアステレオマー)から生じる異性体は、本発明の範囲内に含まれる。このような異性体は、古典的な分離技術により、および立体化学的に制御された合成により、実質的に純粋の形態で得ることができる。
【0090】
また、本発明は、被験体が治療されるように、置換されたテトラサイクリンの有効な量を被験体に投与することにより、被験体における真菌に関連した疾患を治療する方法に関する。置換テトラサイクリン化合物は、1つの態様において、式(I)の化合物または表2に示した化合物のいずれか1つであってもよい。
【0091】
テトラサイクリン化合物の「有効な量」という専門用語は、真菌の増殖を阻害するためまたは真菌に関連した疾患を治療するために、たとえば動物においてまたは植物において、たとえば真菌に関連した疾患の種々の形態学的および身体的な症状を防止するために、必要または十分な量のことである。有効な量は、被験体の大きさおよび重量、疾患のタイプ、または特定の置換テトラサイクリン化合物のような要因に依存して変化し得る。たとえば、置換テトラサイクリン化合物の選択は、「有効な量」を構成するものに影響を及ぼし得る。当業者であれば、前述の因子を研究して、過度の実験のなく、置換テトラサイクリン化合物の有効な量に関する決定を行うことができるであろう。実施例4に記載したとおりのインビボアッセイ法またはこれと同様のアッセイ法(たとえば、細胞株の選択または疾病のタイプが異なるもの)は、テトラサイクリン化合物の「有効な量」を決定するために使用することができる。当業者であれば、上述したインビボにおけるアッセイ法に使用するために、テトラサイクリン化合物の適切な量を選択するであろう。1つの態様において、テトラサイクリンの有効な量は、カンジダ属に由来する真菌に関連する、真菌に関連した疾患に罹患した哺乳類を治療するために有効である。
【0092】
「被験体」という用語は、真菌の抑制による利益を得る可能性がある、または真菌に関連した疾患を有し得る、任意の生物を含む。被験体の例は、哺乳類、鳥類、魚、その他などの動物だけでなく、真菌の存在下で逆に効果を与える植物も含む。
【0093】
「哺乳類」という用語は、反すう動物(たとえば、ウシおよびヤギ)、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ライオン、トラ、クマ、サル、チンパンジー、および好ましい態様においてヒトを含むが、これらに限定されない。哺乳類は、免疫応答性でもよく、または免疫無防備状態、たとえば免疫不全に罹患していてもよい。たとえば、哺乳類は、AIDSを有してもよく、または以前にもしくは並行して、化学療法を受けていてもよい。別の態様において、哺乳類は初老または若令であってもよい。哺乳類は、真菌に関連した疾患に罹患していてもよく、または罹患していなくてもよい。テトラサイクリン化合物は、疾患の発症を予防するために、真菌に関連した疾患にかかりやすい哺乳類に投与されてもよい。
【0094】
「真菌に関連した疾患」という専門用語は、被験体に真菌が存在することに関連した疾患を含む。真菌に関連した疾患の例は、たとえばカンジダ(Candida)および白癬菌(Trichophyton)、ミクロスポルム(Microsporum)、もしくはエピダーモフィトン(Epidermophyton)などの皮膚糸状菌によって引き起こされる局所的真菌感染、または鵞口瘡カンジダ(Candida.albicans)(たとえば、経口口腔カンジタ症および膣カンジダ症)によって引き起こされる粘膜感染を含む。また、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、たとえば鵞口瘡カンジダ(Candida.albicans)、クリプトコッカス・ネオフォーマンス(Cryptococcus neoformans)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フトニガタス(Aspergillus fumigatus)、コクシジオイド(Coccidioides)、パラコクシジオイド(Paracoccidioides)、ヒストプラスマ(Histoplasma)、またはブラストミセス(Blastomyces)によって引き起こされる全身性真菌感染の治療に有用である。本発明の置換テトラサイクリン化合物は、AIDS、CMV、およびインフルエンザなどのウィルス感染した患者のような免疫無防備状態の患者、化学療法または放射線療法を受けている癌患者、抗拒絶性剤を受けている移植患者、並びに毒性化学物質、金属、および放射線被曝を受けている患者の真菌感染を治療するために有用であるだろう。
【0095】
動物における真菌に関連した疾患の例は、たとえばヒストプラスマ症、全身性カンジダ症、アスペルギルス症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、パラコクシジオイデス症、およびクリプトコッカス症などの全身感染、並びに皮膚糸状菌(白せん)感染症、たとえば足部白癬(水虫)および股部白癬(ジョッキ掻痒症)、カンジダ症、およびアクチノマイセス症などの表在性の菌類の疾患を含む。真菌に関連した疾患のもう1つの例は、病原性よりもむしろ日和見性の真菌によって引き起こされる可能性のある真菌症を含む。真菌症を引き起こす可能性のある真菌の例は、カンジダ症、アスペルギルス症、藻菌症、ノカルジア症、およびクリプトコッカス症を含む。
【0096】
その他の真菌に関連した疾患は、動物におけるアスペルギルス症、カンジダ症、黒色真菌感染症、コクシジウム症(coccidioidiocycosis)、クリプトコッカス症、エントモフトラ真菌症(entomophthoromycosis)、伝染性リンパ管炎、ゲオトリクム症、ヒストプラスマ症、ムコール菌症、足菌腫(mycetoma)、北アメリカ分芽菌症、卵菌症、パエシリマイコシス(paecilimycosis)、ペニシリウム症、リノスポリジウム症、およびスプロトリッチイオシス(sprotrichiosis)を含む。1つの態様において、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、家畜類の飼料に含ませることもでき、その結果前記飼料の通常の消費により、1日あたりkg動物毎に、本発明の置換テトラサイクリン化合物のうちの少なくとも約1mg〜約200mgを提供することができる。
【0097】
また、本発明は、被験体、たとえば哺乳類における真菌に関連した疾患を治療または予防するための、テトラサイクリン化合物の有効な量を含む薬学的組成物と薬学的に許容される担体に関する。本テトラサイクリン化合物は、式(I)の化合物、または表2に示したトラサイクリン化合物である。
【0098】
「薬学的に許容される担体」という専門用語は、置換テトラサイクリン化合物および抗真菌剤の同時投与できる物質を含み、これにより、抗真菌剤および置換テトラサイクリン化合物がこれらの意図された機能を実行すること、たとえば真菌に関連した疾患を治療するか、または予防することが可能となる。このような担体の例は、溶液、溶媒、分散媒体、遅延剤、乳剤、その他同種のものを含む。薬学的に活性な物質に対するこのような媒体の使用は、当業者に周知である。本発明のテトラサイクリンの用途に適した従来のいずれのその他の担体も、含まれる。
【0099】
たとえば、本発明の1つまたは複数の化合物は、単独で被験体に投与されてもよく、より典型的には、本発明の化合物は、従来の賦形剤、すなわち、非経口的、経口、またはその他の所望の投与に適した薬学的に許容される有機または無機の担体物質との混合物中に薬学的組成物の一部として投与され、これは活性化合物と有害な反応を起こさず、かつレシピエントに有害でない。適切な薬学的に許容される担体は、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘稠性パラフィン、香料油、脂肪酸モノグリセリド、および脂肪酸ジグリセリド、石油エーテル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、その他を含むが、これらに限定されない。薬学的製剤は、殺菌することができ、必要に応じて補助剤、たとえば潤滑剤、防腐剤、安定器、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、カラーリング、香料、および/または芳香薬物質、活性化合物と有害な反応を生じないその他同種のものと混合することができる。
【0100】
置換テトラサイクリン化合物および抗真菌剤の多くはいずれにせよ、プロトン化されかつ水溶性の形態、たとえば有機または無機の酸の薬学的に許容される塩、たとえば塩酸塩、硫酸塩、ヘミ硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、メシレート、その他として、適切に被験体に投与されてもよい。また、適切な酸性基が本発明の置換テトラサイクリン化合物または抗真菌剤に存在する場合、有機または無機塩基の薬学的に許容される塩には、アンモニウム塩、または有機アミンの塩、またはカリウム、カルシウム、もしくはナトリウムの塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などを使用することができる。
【0101】
治療的な化合物は、様々なルートのいずれによって本発明に従って被験体に投与することもできる。局所的(経皮的、ほほ側、または舌下を含む)、経口的、非経口的(腹腔内、皮下、静脈内、皮内、または筋内の注射を含む)が一般的に好ましい。
【0102】
経口投与については、微結晶性セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、およびグリシンなどの種々の賦形剤を含むタブレットを、デンプン(および好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ、またはタピオカデンプン)、アルギン酸、およびある化合物体のシリケートなどの種々の崩壊剤とともに、ポリビニルピロリドン、シュクロース、ゼラチン、およびアカシア様の顆粒結合剤とともに使用してもよい。その上、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクなどの潤滑剤は、タブレット化の目的にしばしば非常に有用である。また、同様のタイプの固体組成物を、ゼラチンカプセルにおける賦形剤して使用してもよく;この点について、好ましい物質は、ラクトースまたは乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコールを含む。経口投与のために水性懸濁液および/またはエリキシルが望まれる場合、活性成分は、種々のスイートニングまたは香料、カラーリング物質または色素、要望に応じて、乳化剤および/または懸濁剤、また、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、およびこれらの種々の組み合わせなどの稀釈剤と共に、組み合わせてもよい。テトラサイクリン化合物はまた、化合物が長期間(extended period of time)にわたって放出されるように、調製することもできる。
【0103】
非経口的な適用については、溶液、好ましくは油性もしくは水性の溶液、並びに懸濁液、乳剤、または坐薬を含むインプラントが特に適している。置換テトラサイクリン化合物は、無菌の生理食塩液または通常注射可能薬物と共に使用される5%塩類デキストロース溶液などの液体担体中に分散されたものなどの、複数または一回用量形態で無菌形態として処方されてもよい。
【0104】
経腸の適用については、タルクおよび/もしくは含水炭素担体結合剤を有するタブレット、糖衣丸、またはカプセル等が特に適しており、担体には、ラクトースおよび/またはコンスターチおよび/またはジャガイモデンプンが好ましい。シロップ、エリキシル等は、加糖媒体が使用される場合に使用することができる。徐放性組成物は、マイクロカプセル化、複数の被覆、その他により、有効成分が差別的に分解可能な被覆で保護されているものを含むように処方することができる。
【0105】
局所適用については、置換テトラサイクリン化合物は、ジェル、軟膏、ローション、またはクリームなどの薬理学的に不活性の局所的担体中に、適切に混合することができる。このような局所的担体は、水、グリセロール、アルコール、プロピレングリコール、脂肪族アルコール、トリグリセリド、脂肪酸エステル、または鉱油を含む。その他の可能な局所的担体は、液状ペトロラタム、イソプロピルペトロラタム、ポリエチレングリコール、95%エタノール、モノラウリン酸ポリオキシエチレン5%の水溶液、5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液、その他同種のものである。さらに、抗酸化剤、湿潤剤、粘度調整剤、その他同種のものなどの物質も、必要に応じて添加されてもよい。
【0106】
所与の治療法に使用される活性化した置換テトラサイクリン化合物の実際の好ましい量は、利用される特定の化合物、処方される特定の組成物、適用の型式、投与の特定の部位等により、変化するであろう。所与の投与プロトコルについての最適な投与比率は、前述のガイドラインに関して行った従来の用量決定試験を使用して、当業者によって容易に確認することができる。
【0107】
たとえば、1つまたは複数の本発明の化合物の適切な有効量は、1日あたりレシピエント体重の1キログラムにつき0.01〜100ミリグラム、好ましくは、1日あたりレシピエント体重の1キログラムにつき0.1〜50ミリグラム、より好ましくは、1日あたりレシピエント体重の1キログラムにつき1〜20ミリグラムの範囲である。所望の用量は、適切には、1日1回または数回のサブ用量であり、たとえば、1日にわたって適切な間隔で、またはその他の適切なスケジュールで2〜5回投与される。
【0108】
また、一般に正常な使用環境下でテトラサイクリンの効率を保証するために、正常な従来の既知の予防措置がテトラサイクリンの投与に関してなされることは理解されるであろう。特に、ヒトおよび動物の治療処置のために、インビボにおいて使用されるときに、開業医は、従来の既知の矛盾および毒作用を回避するために、全ての賢明な予防措置をするべきである。したがって、胃腸の窮迫および炎症について従来認識されている有害反応、腎毒性、過敏性反応、血液における変化、並びにアルミニウム、カルシウム、およびマグネシウムイオンを介した吸収機能障害は、従来方法によってしかるべく考慮されるべきである。
【0109】
なおさらなる側面において、本発明の置換テトラサイクリン化合物(たとえば置換テトラサイクリン化合物、たとえば式(I)の化合物、または表2に示された化合物)は、農業組成物(たとえば錆、ミルデュ、および糸状菌を含む様々な植物病原真菌を治療するか、または予防するための植物および種子のための組成物)に有利に使用することができる。通常、本発明の化合物は、打ち粉、顆粒、シード包帯剤、水溶液、分散剤もしくは乳剤、浸漬剤、スプレー、エアロゾル、または煙の形で調剤される。また、組成物は、分散可能な粉末、顆粒、もしくは粒子の形態、または使用前に希釈するように濃縮物で供給されてもよい。このような組成物は、農業および園芸において既知であり、許容されており、このような従来の担体、希釈液、またはアジュバントを含んでもよく、これらは、従来の手順に従って製造される。組成物は、典型的には0.01〜10wt%、好ましくは0.1〜1wt%の活性成分を含む。また、組成物は、その他の活性成分、たとえば除草性または殺虫性の活性を有する化合物またはさらなる抗真菌剤を取り入れてもよい。化合物および組成物は、多くの方法に適用することができ、たとえば、これらを直接、植物枝葉、茎、枝、種子、もしくは根に、または土壌もしくはその他の成長媒体に適用することもでき、これらは、疾患を根絶するためだけでなく、罹患から植物または種子を保護するために予防的に適用することもできる。用地に使用するためには、おそらく活性成分の適用率は、約100〜10,000g/エーカーである。本発明の置換テトラサイクリン化合物はまた補充物を除去する際に使用されるように調製することができる(たとえば、真菌類の生育を防ぐため、または真菌類を死滅させるもしくは生育を止めるために)。
【0110】
本発明の具体例
実施例1:テトラサイクリン化合物の合成
以下の例では、本発明の置換テトラサイクリン化合物を合成する方法を考察する。通常の当業者は、提示した実施例および/または当技術分野で認識された技術を用いて本発明の化合物を合成することができるだろう。
【0111】
実験例
融点は、Mel-Tempキャピラリ融点装置で測定し、修正していない。核磁気共鳴(1HNMR)スペクトラムは、Bruker Avance分光計において300MHzで記録した。化学シフト値は、テトラメチルシランまたは3-(トリメチルシリル)-1-プロパンスルホン酸、ナトリウム塩に関してδ値(ppm)で表し、内部または外部標準として、CDCl3、DMSO-d6、またはMeOH-d4のいずれかを溶媒として使用した。カラムクロマトグラフィは、使用前にNa2EDTA飽和溶液で処理して、水で洗浄し、濾過して乾燥器において130℃で3時間乾燥したBaker「flash」グレードシリカゲル(40μm)を使用して、スティルの方法に従って行った。分析的TLC分離は、J.Tから得られる蛍光指示薬と共に0.25mmのシリカゲルプレートを使用した。Baker Chemical Co., Phillipsburg, NJは、Na2EDTAの飽和溶液中に5分間液浸することによって予め処理し、130℃において3時間再活性化した。使用した溶媒系は、以下の通りであった:50:50:5 CHCl3/MeOH/5% Na2EDTAの(低層)(I),65:20:5、CHCl3/MeOH/Na2EDTA(低層)(II)。TLCの視覚化は、水性の0.5%のFast Blue BB塩により、および130℃で5分間加温することにより達成した。分析的HPLCは、Waters Bondapak C18逆相カラムにおいて、ソフトウェアによって1.6mL/minの流速に制御した2 Varian SD100 HPLCポンプを使用することによって行った。検出は、Model441の吸収度検出器を280nmで操作してUV吸収によって行った。移動相は、1.6mL/分の流速で30分にわたって30%から100%のメタノール直線勾配に続いて、MeOHでのアイソクラチック溶出を使用した;溶媒システムA:0.02MのNa2HPO4+0.001MのNa2EDTAをH3PO3でpH4.5に合わせた;溶媒システムB:100%のMeOH。準調整用のHPLC分離には、6.4mL/分の流速で、Waters準調整用C18逆相カラムを使用した。低解像度および高解像度質量スペクトルは、PE Mariner分光計において行った(Nelsonら, J. Med. Chem.(1993)36(3):374)。
【0112】
7 ヨードサンサイクリン
1グラムのサンサイクリンを、0℃(氷上)に冷却した25mLのTFA(トリフルオロ酢酸)に溶解した。1.2当量のN-ヨードスクシンイミド(NIS)を反応液に添加して40分間反応させた。反応液を氷溶液から除去して、さらに5時間室温で反応させた。次いで、混合液をHPLCおよびTLCによって分析し、NISの段階的添加によって化合物体を溶出した。反応の完了後、TFAを真空中で除去し、3mLのMeOHを添加して残さを溶解した。メタノール溶液を、迅速に撹拌しているジエチルエーテル溶液にゆっくりと添加して、緑がかった褐色沈降物を形成させた。サンサイクリンの7-ヨード異性体は、7-ヨード生成物を活性炭で処理することによって精製し、セライトを通して濾過し、および次の真空中における溶媒の除去により、75%の収率で純粋な黄色の固体として7-異性体化合物を生成した。
MS(M+H)(ギ酸溶媒)541.3。
/Rt:Hypersil C18 BDS Column、11.73
【0113】
7-(2',5'- ジメチル - フェニルサンサイクリン )
7-ヨードサンサイクリン(0.28mM)、Pd(OAc)2、および10mLのMeOHを撹拌バーを有するフラスコに添加して、3xアルゴンを使用して系から脱ガスした。水に溶解してアルゴンで脱ガスしたNa2CO3(0.8mM)を注射器によって添加して、2,5-ジメトキシフェニルホウ酸(0.55mM)の脱ガスしたMeOH溶液と共に添加した。反応液を2時間HPLCにかけて、室温に冷却した。溶液を濾過して乾燥し、未精製の混合液を生成させた。固体をジメチルホルムアミドに溶解して、C18逆相シリカを使用して調整用HPLC系に注入した。溶媒を真空中で除去して、生成物プラス塩を得た。塩を50:25:25 水、ブタノール、エチルアセテート中に抽出することによって除去して、真空で乾燥した。この固体をMeOHに溶解して、HCl気体中に通気することによってHCI塩を作製した。
【0114】
7-( ヘキシニル )- サンサイクリン
25mLのアセトニトリルに取り入れた7-I-サンサイクリン(1mg, 1.86mmol)を脱ガスして窒素(3回)でパージした。この懸濁液にPd(OAc)2(20mg, 089mmol)、CuI(10mg, 053mmol)、(o-トルイル)3P(56mg, 0.183mmol)を添加して、数分間窒素でパージした。1-ヘキシン(3.72mmol)およびトリエチルアミン(1mL)を懸濁液に添加した。これは、Et3Nの添加によって褐色の溶液に変化した。次いで、反応混合液を70℃で3時間加熱した。反応の進行は、HPLCによってモニターした。次いで、これを室温に冷却しセライトを通して濾過した。溶媒の蒸発により褐色の固体を得て、次いで調整用HPLCで精製して黄色の固体を得た。この化合物の構造を1H NMR、HPLC、およびMSを使用して特徴づけた。
【0115】
9-(4'- フルオロフェニルエチル )- ミノサイクリン
9-(4'-フルオロフェニルエチル)-ミノサイクリン(1mmol)を、飽和MeOH/HCl溶液に取り入れた。この溶液に、10%のPd/Cを添加して、50psiで12時間水素化に供した。次いで、これをセライトを通して濾過した。溶媒を蒸発して黄色の粉末を得た。最後に、これをMeOH/ジエチルエーテルから沈殿させた。この化合物の構造を、1H NMR、HPLC、およびMSを使用して特徴づけた。
【0116】
9-(2',5'- ジメチルフェニル ) ミノサイクリン
清潔な、乾式した反応導容器に、10mlの試薬グレードメタノールと共に、9-ヨードミノサイクリン(0.762mmole)ビスHCl塩、パラジウム(II)酢酸塩(0.076mmole)を配置した。溶液を撹拌しながら、約5分間アルゴンガス流で直ちにパージした。反応容器を還流させて、これには注射器によって2M炭酸カリウム溶液、続いてp-アセチルフェニルボロン酸(1.53mmole)の5mlの試薬DMF溶液を順番に添加した。これらの溶液は共に、事前に約5分間アルゴンガスで脱ガスさせた。反応液を45分間加熱して、進行を逆相HPLCによってモニターした。反応液を、珪藻土のパッドを通して吸入濾過して、DMFでパッドを洗浄した。ろ液を減圧下で油に減少し、および残渣をt-ブチルメチルエーテルで処理した。未精製物質を、1.0%のトリフルオロ酢酸を含む水およびメタノール/アセトニトリルの勾配を利用して、DVBにおける逆相HPLCによって精製した。
【0117】
実施例2:置換テトラサイクリン化合物の抗真菌活性
置換されたテトラサイクリンの相乗的な抗真菌薬活性を、NCCLS(1997)Standardに従ったブロス微量希釈技術によって決定した。アッセイ法は、TecanGenesロボットワークステーションを使用してセットアップした。全ての薬剤は、DMSOに溶解して適切に希釈した。薬剤濃度は、0.125〜64μg/mLの範囲に2倍の階段希釈した。それぞれのテトラサイクリンは、0.125〜64μg/mLの範囲の10濃度で試験した。化合物は、それらの鵞口瘡カンジダ(Candida albicans)(ATCC#;90028)に対する抗真菌薬活性について試験した。DMSOの終濃度は、1%以下に維持した。初期ヒットのチェッカー盤解析により、化合物の活性がより適切に決定されるであろう。
【0118】
試験した系統は、表1に一覧を示したもの含む。
【0119】
【表1】
【0120】
結果を表2に示す。それぞれの化合物について、*は特定の真菌に対して良好な抗真菌薬活性を示し、**は非常に良好な真菌の抑制を示し、および***は特定の真菌に対して優れた抑制を示す。表2の各化合物は、少なくとも1つの真菌系統に対するアンホテリシンBとの相乗的挙動を示した。
【0121】
【表2】
【0122】
実施例3:哺乳類細胞毒性アッセイ法
COS-1およびCHO細胞懸濁液を調製し、96穴組織培養処理された黒壁マイクロタイタープレート(細胞株によって密度を決定した)にまき、および5%CO2、約95%の湿度下において37℃でオーバーナイトでインキュベートした。翌日、階段希釈した薬剤を無菌条件下で調製して細胞プレートへ移した。細胞/薬剤プレートを上記の条件下で24時間インキュベートした。インキュベーション期間後、媒体/薬剤を吸引し、および50μlのレザズリンを添加した。次いで、プレートを上記の条件下で2時間インキュベートして、次いでさらに暗闇で室温において30分間インキュベートする。蛍光測定を行った(535nm励起、590nm放射)。次いで、IC50(50%の成長阻害が生じる薬剤濃度)を算出した。非置換のミノサイクリンおよび非置換のドキシサイクリン25より大きいことがわかった。
【0123】
実施例4:インビトロにおける抗菌活性アッセイ法
以下のアッセイ法は、一般の細菌に対するテトラサイクリン化合物の効率を決定するために使用される。2mgのそれぞれの化合物を100μlのDMSOに溶解する。次いで、溶液を、カチオン調整したミュラーヒントンブロス(CAMHB)に添加し、これにより200μmlの最終化合物濃度となる。テトラサイクリン化合物溶液を、.098μg/mLの濃度の試験化合物で50μL体積に希釈する。光学濃度(OD)測定は、試験系統の新規ログ-段階ブロス培養から行う。希釈を行い、lX106CFU/mlの最終菌体密度を達成する。OD=1では、種々の属についての菌体密度は、おおよそ以下の通りのはずである:
大腸菌 1x109CFU/ml
S.アウレウス(aureus) 5X108CFU/ml
エンテロコッカス(Enterococcus) sp. 2.5x109CFU/ml
【0124】
50μlの細胞懸濁液をマイクロタイタープレートのそれぞれのウェルに添加する。最終菌体密度は、約5x105CFU/mlであるべきである。これらのプレートを約18時間環境空気インキュベータにおいて35℃でインキュベートする。プレートをマイクロプレートリーダで読取り、必要に応じて視覚的に調べる。MICは、テトラサイクリン化合物の増殖を阻害する最も低い濃度として定義される。
【0125】
均等物
当業者であれば、ルーチン実験、本明細書において記載した多くの特定の手順の均等物のみを使用して、認識するか、または確認することができるでだろう。このような均等物は、本発明の範囲内であると考えられ、請求の範囲によって包含される。本出願の全体にわたって引用される全ての参照、特許、および特許出願の内容は、本明細書に組み入れられたものとする。適切なコンポーネント、プロセス、並びにこれらの特許、出願、およびその他のドキュメントの方法は、本発明およびその態様として選択されてもよい。
Claims (115)
- 真菌の増殖を阻害するための方法であって、前記真菌の増殖が阻害されるように、置換テトラサイクリン化合物の有効な量と前記真菌を接触させることを含む方法。
- 請求項1記載の方法であって、置換テトラサイクリン化合物が式Iの化合物、並びにその薬学的に許容される塩である方法:
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2'、R4'、およびR4''は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4 ’R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R3、R11、およびR12は、それぞれ水素、またはプロドラッグ部分であり;
R10は、水素、プロドラッグ部分、またはR9に結合されてリングを形成し;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、または-(CH2)0 〜 3NR7CC(=W')WR7aであり;
R9は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、チオニトロソ(たとえば、-N=S)、または-(CH2)0 〜 3NR9CC(=Z')ZR9aであり;
Zは、CR9dR9e、S、NR9b、またはOであり;
Z'は、O、S、またはNR9fであり;
Wは、CR7dR7e、S、NR7b、またはOであり;
W'は、O、NR7fSであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R9a、R9b、R9c、R9d、およびR9eは、それぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;並びに、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。 - R2'、R3、R10、R11、およびR12がそれぞれ水素またはプロドラッグ部分である、請求項2の方法。
- R4がNR4'R4''である、請求項2または3記載の方法。
- R4'およびR4''がそれぞれメチルである、請求項4記載の方法。
- 請求項2〜5のいずれか一項記載の方法であって、XはCR6R6 ’であり;並びにR2、R5、R6、R6 ’、およびR8はそれぞれ水素である方法。
- R9が水素である、請求項2〜6のいずれか一項記載の方法。
- R7がアリールである、請求項2〜7のいずれか一項記載の方法。
- R7が置換のまたは非置換のフェニルである、請求項8記載の方法。
- 置換のまたは非置換のフェニルが少なくとも1つのアルキル、ハロゲン、ニトロ、またはアルケニルで置換される、請求項8記載の方法。
- R7が置換のまたは非置換のヘテロアリールである、請求項8記載の方法。
- ヘテロアリールが二環式である、請求項10記載の方法。
- R7が置換のまたは非置換のアルキルである、請求項2〜7のいずれか一項記載の方法。
- アルキルがC1〜C10である、請求項13記載の方法。
- R7が置換のまたは非置換のアルケニルである、請求項2〜7のいずれか一項記載の方法。
- 置換アルケニルがアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、またはヘテロアリール部分で置換される、請求項15記載の方法。
- 置換アルケニルが置換のまたは非置換の環状部分で置換される、請求項15記載の方法。
- 環状部分が複素環、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキニル、またはアリールである、請求項17記載の方法。
- 環状部分が置換のまたは非置換のフェニルである、請求項18記載の方法。
- R7が置換のまたは非置換のアルキニルである、請求項2〜7のいずれか一項記載の方法。
- 置換されたアルキニルが環状部分で置換される、請求項19記載の方法。
- 環状部分が複素環、シクロアルケニル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキルである、請求項21記載の方法。
- 環状部分が置換のもしくは非置換のフェニル、または置換のもしくは非置換のシクロアルキルである、請求項22記載の方法。
- R7がアルコキシである、請求項2〜7のいずれか一項記載の方法。
- 請求項2〜5のいずれか一項記載の方法であって、R5はヒドロキシまたはアルキルカルボニルオキシであり;XはCHR6であり;R6はアルキルであり;および、R8は水素である方法。
- R6がメチルである、請求項2〜5および25のいずれか一項記載の方法。
- R7が水素である、請求項25または26記載の方法。
- R9が置換のまたは非置換のアリールである、請求項25〜27のいずれか一項記載の方法。
- R9が置換のもしくは非置換のアルキルまたはN3である、請求項25〜27のいずれか一項記載の方法。
- R2が水素である、請求項25〜29のいずれか一項記載の方法。
- R9が水素であり、およびR8がアルキルである、請求項25〜29のいずれか一項記載の方法。
- 請求項2〜5のいずれか一項記載の方法であって、XがCR6R6 ’であり;並びにR2、R5、R6、R6 ’、およびR8がそれぞれ水素であり、およびR7がジメチルアミノである方法。
- R9が置換のまたは非置換のアリールまたはアラルキルである、請求項32記載の方法。
- アリールがフェニル、ベンゾフラニル、ピリジルである、請求項33記載の方法。
- R9が置換されたもしくは非置換のアルキル、または置換のもしくは非置換のアルケニルである、請求項32記載の方法。
- R9が置換のまたは非置換のフェニル基で置換される、請求項35記載の方法。
- R9が置換のまたは非置換のアミノである、請求項32記載の方法。
- アミノがヘテロアリール基と置換される、請求項32記載の方法。
- ヘテロアリールが置換のまたは非置換のチアゾリルである、請求項38記載の方法。
- R9が置換のまたは非置換のアルキニルである、請求項32記載の方法。
- 置換されたアルキニルが環状部分で置換される、請求項40記載の方法。
- 環状部分が複素環、シクロアルケニル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキルである、請求項41記載の方法。
- 環状部分が置換のもしくは非置換のフェニル、または置換のもしくは非置換のシクロアルキルである、請求項42記載の方法。
- R9が置換アミノアルキルである、請求項32記載の方法。
- 置換テトラサイクリン化合物がドキシサイクリンより高い抗真菌活性を有する、請求項1〜44のいずれか一項記載の方法。
- 置換テトラサイクリン化合物がミノサイクリンより高い抗真菌活性を有する、請求項1〜44のいずれか一項記載の方法。
- テトラサイクリン化合物が非抗菌性である、請求項1〜44のいずれか一項記載の方法。
- テトラサイクリン化合物が抗炎症活性を有する、請求項1〜44のいずれか一項記載の方法。
- 真菌の増殖が静的である、請求項1〜49のいずれか一項記載の方法。
- 真菌を死滅させることにより、テトラサイクリン化合物が真菌の増殖を阻害する、請求項1〜49のいずれか一項記載の方法。
- 真菌がカンジダ属である、請求項1〜51のいずれか一項記載の方法。
- 被験体における真菌に関連した疾患を治療するための方法であって、前記被験体が前記真菌に関連した疾患が治療されるように、置換テトラサイクリン化合物の有効な量を前記被験体に投与することを含む方法。
- 請求項53記載の方法であって、置換テトラサイクリン化合物が式Iの化合物、並びにその薬学的に許容される塩である方法:
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2'、R4'、およびR4''は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4 ’R4 ’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R3、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R10は、水素、プロドラッグ部分、またはR9に結合されてリングを形成し;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、または-(CH2)0 〜 3NR7CC(=W')WR7aであり;
R9は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、チオニトロソ(たとえば、-N=S)、または-(CH2)0 〜 3NR9CC(=Z')ZR9aであり;
Zは、CR9dR9e、S、NR9b、またはOであり;
Z'は、O、S、またはNR9fであり;
Wは、CR7dR7e、S、NR7b、またはOであり;
W'は、O、NR7fSであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R9a、R9b、R9c、R9d、およびR9eは、それぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;並びに、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。 - R2'、R3、R10、R11、およびR12がそれぞれ水素またはプロドラッグ部分である、請求項54記載の方法。
- R4がNR4'R4''である、請求項54または55記載の方法
- R4'およびR4''がそれぞれメチルである、請求項56記載の方法。
- 請求項54〜57のいずれか一項記載の方法であって、XはCR6R6'であり;並びにR2、R5、R6、R6 ’、およびR8はそれぞれ水素である方法。
- R9が水素である、請求項54〜58のいずれか一項記載の方法。
- R7がアリールである、請求項54〜59のいずれか一項記載の方法。
- R7が置換のまたは非置換のフェニルである、請求項60記載の方法。
- 置換のまたは非置換のフェニルが少なくとも1つのアルキル、ハロゲン、ニトロ、またはアルケニルと置換される、請求項61記載の方法。
- R7が置換のまたは非置換のヘテロアリールである、請求項62記載の方法。
- ヘテロアリールが二環式である、請求項63記載の方法。
- R7が置換のまたは非置換のアルキルである、請求項54〜59のいずれか一項記載の方法。
- アルキルがC1〜C10である、請求項64の方法。
- R7が置換のまたは非置換のアルケニルである、請求項54〜59のいずれか一項記載の方法。
- 置換アルケニルがアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィナート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール、またはヘテロアリール部分と置換される、請求項67記載の方法。
- 置換アルケニルが置換のまたは非置換の環状部分で置換される、請求項67記載の方法。
- 環状部分が複素環、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキニル、またはアリールである、請求項69記載の方法。
- 環状部分が置換のまたは非置換のフェニルである、請求項70記載の方法。
- R7が置換のまたは非置換のアルキニルである、請求項54〜59のいずれか一項記載の方法。
- 置換されたアルキニルが環状部分で置換される、請求項72記載の方法。
- 環状部分が複素環、シクロアルケニル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキルである、請求項73記載の方法。
- 環状部分が置換のもしくは非置換のフェニル、または置換のもしくは非置換のシクロアルキルである、請求項74記載の方法。
- R7がアルコキシである、請求項54〜59のいずれか一項記載の方法。
- 請求項54〜57のいずれか一項記載の方法であって、R5はヒドロキシまたはアルキルカルボニルオキシであり;XはCHR6であり;R6はアルキルであり;および、R8は水素である方法。
- R6がメチルである、請求項54〜57および77のいずれか一項記載の方法。
- R7が水素である、請求項77または78記載の方法。
- R9が置換のまたは非置換のアリールである、請求項77〜79のいずれか一項記載の方法。
- R9が置換のまたは非置換のアルキルまたはN3である、請求項77〜79のいずれか一項記載の方法
- R2が水素である、請求項77〜81のいずれか一項記載の方法。
- 請求項77〜81のいずれか一項記載の方法であって、R9は水素であり、およびR8はアルキルである方法。
- 請求項54〜57のいずれか一項記載の方法であって、XはCR6R6'であり;並びにR2、R5、R6、R6'、およびR8はそれぞれ水素であり、およびR7はジメチルアミノである方法。
- R9が置換のもしくは非置換のアリールまたはアラルキルである、請求項84記載の方法。
- アリールがフェニル、ベンゾフラニル、ピリジルである、請求項85記載の方法。
- R9が置換のまたは非置換のアルキルである、請求項84記載の方法。
- R9が置換のまたは非置換のアルケニルである、請求項84記載の方法。
- R9が置換のまたは非置換のフェニル基で置換される、請求項88記載の方法。
- R9が置換のまたは非置換のアミノである、請求項54〜57のいずれか一項記載の方法。
- アミノがヘテロアリール基で置換される、請求項90記載の方法。
- ヘテロアリールが置換のまたは非置換のチアゾリルである、請求項91記載の方法。
- R9が置換のまたは非置換のアルキニルである、請求項54〜57のいずれか一項記載の方法。
- 置換されたアルキニルが環状部分で置換される、請求項93記載の方法。
- 環状部分が複素環、シクロアルケニル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキルである、請求項94記載の方法。
- 環状部分が置換のもしくは非置換のフェニル、または置換のもしくは非置換のシクロアルキルである、請求項95記載の方法。
- R9が置換アミノアルキルまたは置換チオアルキルである、請求項54〜57のいずれか一項記載の方法。
- 請求項54〜98記載のいずれか一項記載の方法であって、真菌がC.ネオホルマンス、C.トロピカリス、C.パラプシローシス、C.ルシタニエ、C.クルセイ、C.ギリエルモンヂ、C.グラブラータ、Cデュブリニエンシス、または鵞口瘡カンジダからなる群より選択される真菌に関連する方法。
- 請求項54〜98のいずれか一項記載の方法であって、真菌に関連した疾患がヒストプラスマ症、全身性カンジダ症、アスペルギルス症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、パラコクシジオイデス症、クリプトコッカス症、皮膚糸状菌感染症、足部白癬、股部白癬、カンジダ症、アクチノマイセス症、真菌症、アスペルギルス症、カンジダ症、黒色真菌感染症、エントモフトラ真菌症、伝染性リンパ管炎、ゲオトリクム症、ヒストプラスマ症、ムコール菌症、足菌腫、北アメリカ分芽菌症、卵菌症、パエシリマイコシス、ペニシリウム症、リノスポリジウム症、またはスプロトリッチイオシスである方法。
- 被験体が植物である、請求項54〜98のいずれか一項記載の方法。
- 被験体が哺乳類である、請求項54〜100のいずれか一項記載の方法。
- 哺乳類がヒトである、請求項102記載の方法。
- 哺乳類が免疫応答性である、請求項102または103記載の方法
- 哺乳類が免疫無防備状態である、請求項102または103記載の方法。
- ヒトが免疫不全である、請求項105記載の方法
- ヒトがAIDSを有する、請求項106記載の方法。
- ヒトが化学療法を受けている、請求項105記載の方法。
- 薬学的に許容される担体の投与をさらに含む、請求項54〜108のいずれか一項記載の方法。
- 薬学的組成物であって、被験体における真菌に関連した疾患を治療するための、置換テトラサイクリン化合物の有効な量と薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
- 請求項110記載の薬学的組成物であって、有効な量がヒストプラスマ症、全身性カンジダ症、アスペルギルス症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、パラコクシジオイデス症、クリプトコッカス症、皮膚糸状菌感染症、足部白癬、股部白癬、カンジダ症、アクチノマイセス症、真菌症、アスペルギルス症、カンジダ症、黒色真菌感染症、エントモフトラ真菌症、伝染性リンパ管炎、ゲオトリクム症、ヒストプラスマ症、ムコール菌症、足菌腫、北アメリカ分芽菌症、卵菌症、パエシリマイコシス、ペニシリウム症、リノスポリジウム症またはスプロトリッチイオシスを治療するために有効である薬学的組成物。
- 請求項110記載の薬学的組成物であって、置換テトラサイクリン化合物が式Iの化合物、並びにその薬学的に許容される塩である薬学的組成物:
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2'、R4'、およびR4''は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R3、R11、およびR12は、それぞれ水素、またはプロドラッグ部分であり;
R10は、水素、プロドラッグ部分、またはR9に結合されてリングを形成し;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、または-(CH2)0 〜 3NR7CC(=W')WR7aであり;
R9は、水素、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、チオニトロソ(たとえば、-N=S)、または-(CH2)0 〜 3NR9CC(=Z')ZR9aであり;
Zは、CR9dR9e、S、NR9b、またはOであり;
Z'は、O、S、またはNR9fであり;
Wは、CR7dR7e、S、NR7b、またはOであり;
W'は、O、NR7fSであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R9a、R9b、R9c、R9d、およびR9eは、それぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;並びに、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。 - 真菌を死滅させる方法であって、前記真菌が死滅するように、置換テトラサイクリン化合物の殺真菌性の量と前記真菌を接触させることを含む方法。
- 請求項113に記載の方法であって、置換テトラサイクリン化合物は、式Iの化合物、並びにその薬学的に許容される塩である方法:
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2'、R4'、およびR4''は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R3、R11、およびR12は、それぞれ水素、またはプロドラッグ部分であり;
R10は、水素、プロドラッグ部分、またはR9に結合されてリングを形成し;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、または-(CH2)0 〜 3NR7CC(=W')WR7aであり;
R9は、水素、ハロゲン、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、チオニトロソ(たとえば、-N=S)、または-(CH2)0 〜 3NR9CC(=Z')ZR9aであり;
Zは、CR9dR9e、S、NR9b、またはOであり;
Z'は、O、S、またはNR9fであり;
Wは、CR7dR7e、S、NR7b、またはOであり;
W'は、O、NR7fSであり;
R7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R9a、R9b、R9c、R9d、およびR9eは、それぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、複素環式芳香族、またはプロドラッグ部分であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;並びに、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。 - テトラサイクリン化合物が表2に示した化合物である、請求項1または53記載の方法。
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