JP2004530437A - ビタミンb6リン酸ホスファターゼ - Google Patents

ビタミンb6リン酸ホスファターゼ Download PDF

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Abstract

ビタミンB6リン酸ホスファターゼ(VB6PP)、VB6PPを製造する方法、および、VB6PPと、VB6PPを製造することができる特異的微生物の無細胞抽出物とを利用して、ビタミンB6リン酸(VB6P)からビタミンB6を製造する方法について開示する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、新規酵素、即ちビタミンB6リン酸ホスファターゼ(以後VB6PPとする)、VB6PPを製造する方法、および、VB6PPと、VB6PPを製造することができる特異的微生物の無細胞抽出物とを利用して、ビタミンB6リン酸(以後VB6Pとする)からビタミンB6を製造する方法に関する。
【0002】
本発明において用いられる「ビタミンB6」には、ピリドキソール(pyridoxol)、ピリドキサール(pyridoxal)、およびピリドキサミン(pyridoxamine)が含まれる。ビタミンB6は、ヒト、動物、植物、および微生物の栄養摂取に重要なビタミンの一つである。
【背景技術】
【0003】
アルカリおよび酸ホスファターゼなどの非特異的ホスホモノエステラーゼは、VB6Pを含む様々な種類のリン酸モノエステル化合物を、対応するエステルを含まない化合物に加水分解することがよく知られている[GlennおよびDilworth, Arch. Microbiol. 126:251-256 (1980)]。ヒト赤血球から精製されたホスファターゼ以外には、VB6P特異的ホスファターゼに関する報告はない[Fonda, J. Biol. Chem. 267:15978-15983 (1992)]。
【発明の開示】
【0004】
本発明の目的は、VB6Pに作用してビタミンB6を製造する新規VB6PPを提供することである。本発明のVB6PPは以下の物理化学的性質を有する:
a) 分子量:29,000±5,000(29,000±5,000の分子量を有するモノマーからなる)
b) 補因子:Mn2+、Mg2+、Co2+、Sn2+、またはNi2+
c) 基質特異性:ピリドキソール5'-リン酸(以後PNPとする)、ピリドキサール5'-リン酸(以後PLPとする)、およびピリドキサミン5'-リン酸(以後PMPとする)に活性
d) 至適温度:pH 7.5で30℃〜40℃
e) 至適pH:7.0〜8.0。
【0005】
本発明の別の目的は、上記物理化学的性質を有するVB6PPを製造することができるシノリゾビウム(Sinorhizobium)属に属する微生物を、栄養培養液中、好気性条件下で培養する段階と、微生物の細胞を破壊する段階と、微生物の破壊された細胞の無細胞抽出物からVB6PPを単離および精製する段階とを含む、上記の新規VB6PPを製造する方法を提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、VB6Pを、(i)Mn2+、Mg2+、Co2+、Sn2+、もしくはNi2+の存在下、上記VB6PPに接触させる段階、または、(ii)上記物理化学的性質を有するVB6PPを製造することができるシノリゾビウム属に属する該微生物の無細胞抽出物に接触させる段階と、(i)および(ii)の各ケースにおいて、結果として得られるビタミンB6を反応混合液から単離する段階とを含む、VB6PからビタミンB6を製造する方法を提供することである。
【0007】
以後の実施例に記載の通り調製されたVB6PPの精製試料の物理化学的性質は以下の通りである。
【0008】
1)酵素活性
本発明の新規VB6PPは、二価の金属イオン、即ちMn2+、Mg2+、Co2+、Sn2+、またはNi2+の存在下、以下の式に記載の通り、VB6PのビタミンB6への加水分解を触媒する:
VB6P + H2O → ビタミンB6+ H3PO4
【0009】
標準的な酵素アッセイを以下の通りに行った:基本反応混合液は総容積125 μlであり、50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.5)、1 mM MnCl2、1.35 μgの酵素、および水からなる総容積118.5 μlの溶液を、37℃で1分インキュベートした。そして、6.5 μlの800 μM PNP溶液を加えて最終濃度40 μMとし、全体を37℃でインキュベートした。30分間インキュベーションした後、反応混合液を氷浴中にて冷却した。活性は以下の二通りの方法で決定した。(i)製造されたビタミンB6を、OsboneおよびVoogtの方法[The Analysis of Nutrients in Foods, Academic Press, London, 224-227 (1978)]に準じ、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)ATCC 9080を用いた濁度法(turbidity method)により、微生物学的に測定した。酵素活性は、上記アッセイ系において30分間に1 μmolのビタミンB6を合成する酵素量を1ユニットと定義した。(ii)推定基質から遊離したリン酸は、Geladopoulosらのマラカイトグリーン法[Analytical Biochemistry 192:112-116 (1991)]により比色定量的に測定し、この方法を、基質特異性、ならびにミカエリス定数(Km)および最大反応速度(Vmax)値の決定に用いた。
【0010】
タンパク質濃度は、ローリー法[Lowryら, J. Biol. Chem. 193:265-275 (1951)]により決定した。
【0011】
2)分子量
酵素の分子量(以後MWとする)は、ゲルろ過カラムHi PreHiPrep Sephacryl S-200HR(Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)を用いて測定した。酵素の見かけ上のMWは、MWマーカータンパク質:ゲルろ過標準キット(Gel filtration Standard kit, Bio-Rad Laboratories, Richmond, California, USA);サイログロブリン(thyroglobulin、MW 670,000)、ウシガンマグロブリン(bovine gamma globulin、MW 158,000)、ニワトリ卵白アルブミン(chicken ovalbumin、MW 44,000)、ウマミオグロビン(equine myoglobin、MW 17,000)、およびビタミンB12(vitamin B12、MW 1,350)と比較して、29,000±5,000と算出された。SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(以後SDS-PAGEとする)により、分子マーカータンパク質:低分子量電気泳動較正キット(Low MW Electrophoresis calibration kit, Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden);ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin、MW 67,000)、卵白アルブミン(ovalbumin、MW 43,000)、炭酸脱水酵素(carbonic anhydrase、MW 30,000)、ダイズトリプシンインヒビター(soybean trypsin inhibitor、MW 20,100)、およびα-ラクトアルブミン(α-lactalbumin、MW 14,400)と比較して、MW 29,000±5,000の単一のバンドが得られた。これは、酵素がモノマー単位で構成されていることを示している。酵素のMW値(MW 29,000±5,000)は、可能な各方法、即ちゲルろ過カラム法およびSDS-PAGE法のように正確に決定された。
【0012】
3)補因子
VB6PをビタミンB6に変換するための酵素の補因子要求性を調査した。その結果、二価の金属イオン、即ちMn2+、Mg2+、Co2+、Sn2+、またはNi2+がこの変換の補因子として働きうることが確認された。
【0013】
【表1】
Figure 2004530437
【0014】
4)基質特異性
酵素の基質特異性は、様々な基質溶液(160 μM、反応混合液における最終濃度)を使用した以外は、1)に記載したものと同じ方法を用いて決定した。
【0015】
【表2】
Figure 2004530437
【0016】
5)至適温度
酵素活性は、5℃〜45℃の温度で測定した。酵素活性の至適温度は、30℃〜40℃であった。
【0017】
【表3】
Figure 2004530437
【0018】
6)至適 pH
酵素活性と反応混合液のpH値との相関を、1)に記載したものと同じ酵素アッセイ法を用いて決定した。酵素反応の至適pHは、7.0〜8.0であることが判明した。
【0019】
【表4】
Figure 2004530437
【0020】
7)温度安定性
酵素溶液を様々な温度で10分間処理し、残存する酵素活性を、1)に記載したものと同じ酵素アッセイ法を用いて測定した。温度が上昇すると酵素活性は減少し、50℃で完全に失活することが確認された。
【0021】
【表5】
Figure 2004530437
【0022】
7)ミカエリス定数( Km )および最大反応速度( Vmax )値
酵素のKm値は、基質としてPNPおよびPLPを用いて測定した。基本的な酵素アッセイ法は、1)に記載したものと同じであるが、基質濃度は変更した。PNPに対するKmおよびVmax値は、それぞれ330 μMおよび92 nmol/分/mgであった。一方、PLPに対するKmおよびVmax値は、それぞれ1.22 mMおよび46 nmol/分/mgであった。
【0023】
KmおよびVmax値は、既知のミカエリス-メンテン方程式に基づいて算出した。Kmは酵素反応のVmaxの50%を与える基質濃度である。これらの値は、関与する基質に対する酵素の触媒的性質を示すために役立つ。
【0024】
8)精製手順
VB6PPの精製は、原則的には、例えば硫酸アンモニウム、ポリエチレングリコールなどの沈殿剤による分画、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、疎水的相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、ならびに、塩析および透析など、既知の精製方法を任意に組み合わせることにより行われる。
【0025】
上述の通り、本発明によるVB6PPは、好気性条件下、栄養培養液中において適切な微生物を培養し、微生物を破壊し、微生物の破壊した細胞の細胞抽出物からVB6PPを単離および精製することにより調製することができる。
【0026】
本発明に用いられる微生物は、ここまでに定義したとおり、ビタミンB6を製造することができるシノリゾビウム属に属する微生物である。そして、本発明において使用可能な微生物には、S.メリロティ(S. meliloti)、S.フレディ(S. fredii)、S.キンジアンゲンス(S. xinjiangense)、S.サヘリィ(S. saheli)、S.テランガエ(S. terangae)およびメディカエ(. medicae)が含まれる。該微生物の変異体も、本発明において使用することができる。
【0027】
好ましい菌株は、シノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)である。本発明において最も好適に用いられる特異的菌株は、発酵研究所(Institute for Fermentation, Osaka, 17-85, Juso-hon-machi 2-chome, Yodogawa-ku Osaka 523-8686 Japan)にシノリゾビウム・メリロティIFO 14782として寄託されており、また、DSM(Deutsche Sammlung Von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Mascheroder Weg 1b, D-3300 Braunschweig, Germany)にDSM No. 10226としてブダペスト条約に基づき寄託されている。
【0028】
微生物は、炭素源として、グルコースおよびスクロースなどのサッカライド類、エタノールおよびグリセロールなどのアルコール類、オレイン酸およびステアリン酸などの脂肪酸類、もしくはそれらのエステル類、またはナタネ油およびダイズ油などの油類;窒素源として、尿素、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、ペプトン、アミノ酸類、コーンスティープリカー(corn steep liquor)、ブラン(bran)、酵母抽出物など;無機塩源として、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸鉄、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウムなど;ならびに、他の栄養源として、麦芽抽出物、肉抽出物などを含む、栄養培地中で培養してもよい。培養培地のpHは、約5〜約9でよく、好ましくは約6〜約8である。培養の温度範囲は、約10℃〜約45℃が適しており、好ましくは約25℃〜約40℃である。培養時間は、通常、約1日〜約5日であり、好ましくは約1日〜約3日である。培養中に通気および撹拌することにより、通常、好都合な結果が得られる。
【0029】
培養後の微生物からVB6PPを単離および精製する態様は、以下の通りである:
細胞を遠心分離またはろ過により液体培養から回収する。
回収した細胞を、水、生理的塩類溶液、または適切なpHを有する緩衝液溶液で洗浄する。
洗浄した細胞をEDTA/ライソザイム(lysozyme)を含む緩衝液において前処理し、ホモジナイザー、ソニケーター、フレンチプレスなどにより破壊して、破壊された細胞の溶液を得る。
VB6PPを、破壊された細胞の無細胞抽出物から単離および精製する。
【0030】
本発明により提供されるVB6PPは、VB6PからビタミンB6を製造するための触媒として有用である。
【0031】
VB6PのビタミンB6へのVB6PP触媒性加水分解反応は、溶媒中に二価の金属の存在下、pH値約5.5〜約9.0で15分間〜5時間、簡便に行う。より好ましいpH範囲は、約6.5〜約8.0である。溶媒としては、Tris-HCl緩衝液、Tris-マレイン酸緩衝液、Bis-tris緩衝液、HEPES(Dojindo Laboratories, Kumamoto prefecture, Japan)緩衝液などの、pHを約5.5〜約9.5の範囲に維持する任意の緩衝液が適している。
【0032】
反応を行う好ましい範囲は約15℃〜約45℃であり、より好ましい温度範囲は約25℃〜約40℃である。反応は、通常、pHおよび温度が約6.5〜約8.0および約37℃に設定されているときに、最もよい結果が得られる。
【0033】
溶媒におけるVB6Pの濃度は、他の反応条件に依存するが、一般的には、1 μM〜1 Mであり、好ましくは10 μM〜100 mMである。
【0034】
反応混合液中に適切に存在する二価の金属の量は、他の反応条件に依存するが、一般的には、各ケースにおいて独立に、約1 μM〜100 mMである。
【0035】
反応において、VB6PPは、適切な担体を用いて固定した状態で使用してもよい。当技術分野において一般的に知られている酵素を固定する任意の手段を用いうる。例えば、酵素は、一つもしくは複数の官能基を有する樹脂の膜、顆粒などに直接結合してもよく、または、一つもしくは複数の官能基を有する架橋化合物、例えばグルタルアルデヒドを介して樹脂に結合してもよい。そのような酵素固定手段は、例えば、Microbial Enzymes and Biotechnology, Elsevier Applied Science (1990); FogartyおよびKelly編、第二版、第369〜394ページに記載されている。
【0036】
以下の実施例により、本発明をさらに説明する。
【0037】
実施例 1 VB6PP の調製
特記しない限り、すべての操作は4℃で行い、緩衝液は1 mMジチオスレイトール、0.1 mMフッ化フェニルメチルスルホニル、および15%スクロースを含む10 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.5)であった。
【0038】
(1) シノリゾビウム・メリロティIFO 14782(DSM No. 10226)の培養:微生物は、1%グルコース、0.5%ポリペプトン(Nihon Pharmaceutical Co., Osaka, Japan)、0.2%酵母抽出物(Difco Laboratories, Detroit, Michigan, USA)、0.05% MgSO4・7H2O、0.001% MnSO4・5H2O、および0.001% FeSO4・7H2Oを含む種培地中、28℃で17時間培養した。種培養を、4%グルコース、2%ポリペプトン、0.2%酵母抽出物、0.05% MgSO4・7H2O、0.05% MnSO4・5H2O、0.001% FeSO4・7H2O、および消泡剤を一滴(antifoam CA-115, Nippon Yushi Co., Ltd., Tokyo, Japan)含む発酵培地200 mlが入った500 mlフラスコに移した。フラスコを、フラスコ振盪機上28℃で振盪した。72時間培養した後、10,400 x gで10分間遠心分離することにより、3.4リットルの培養ブロスから、59.5 gの湿潤細胞を得た。
【0039】
(2) EDTA-ライソザイム処理:ライソザイム/EDTA処理は、Glennらの方法に従い、細胞の周辺質画分を除去するために行った[J. Gen. Microbiol. 112:405-409 (1979)]。湿潤細胞(59.5 g)を、20%スクロースおよび1 mM EDTAを含む340 mlの30 mM Tris-HCl緩衝液(pH 8.0)に懸濁した。170 mgのライソザイム(Sigma Chemical Co., St. Louis, Missouri, USA)を、室温で撹拌している懸濁液に加え、その後20分間撹拌を続けた。10,400 x gで10分間遠心分離することにより、細胞を回収した。
【0040】
(3) 無細胞抽出物の調製:細胞を、340 mlの緩衝液に懸濁し、フレンチプレッシャーセル(French pressure cell)に800 kg/cm2で通した。その処理の後、ホモジネートを、34,000 x gで90分間遠心分離した。その結果、8,570 mgのタンパク質を含む280 mlの無細胞抽出物が得られた。
【0041】
(4) QセファロースHPクロマトグラフィー:前工程で得られた無細胞抽出物(280 ml)を、緩衝液で平衡化したQセファロースHPカラム(直径44 mm、高さ17 cm; Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)に適用した。カラムを同じ緩衝液で洗浄した後、0.4 M KClの濃度で酵素を溶出した。活性画分(350 ml)を回収し、4リットルの緩衝液に対して一晩透析した。
【0042】
(5) QセファロースHP再クロマトグラフィー:前工程で得られた透析試料(5,700 mgタンパク質)を、緩衝液で平衡化したQセファロースHPカラム(直径44 mm、高さ12.5 cm)で再度クロマトグラフィーを行った。同じ緩衝液でカラムを洗浄した後、KClの直線勾配(0 M〜0.5 M)を用い、0.25 M KClの濃度で酵素を溶出した。活性画分を回収し、4リットルの緩衝液に対して一晩透析した。
【0043】
(6) エーテル・トヨパール(Ether Toyopearl)クロマトグラフィー:前工程で得られた透析酵素溶液(316 mgタンパク質)に、濃度が1.3 Mになるように硫酸アンモニウムを加えた。そして、結果として得られる試料を、1.3 M硫酸アンモニウムを含む緩衝液で平衡化したエーテル・トヨパールカラム(直径2.5 cm、高さ15 cm; Tosoh Co., Tokyo, Japan)に適用した。1.3 M硫酸アンモニウムを含む緩衝液で洗浄した後、硫酸アンモニウムの直線勾配(1.3 M〜0.5 M)を用い、0.86 M硫酸アンモニウムの濃度で酵素を溶出した。活性画分を回収した。
【0044】
(7) リソース(Resource)ISOクロマトグラフィー:前工程で得られた活性酵素溶液(74 mgタンパク質)に、濃度が1.2 Mになるように硫酸アンモニウムを加えた。そして、活性酵素溶液を、1.2 M硫酸アンモニウムを含む緩衝液で平衡化したリソースISO 6 mlカラム(Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)に適用した。1.2 M硫酸アンモニウムの緩衝液で洗浄した後、硫酸アンモニウムの直線勾配(1.2 M〜0.5 M)を用い、0.74 M硫酸アンモニウムの濃度で酵素を溶出した。活性画分を回収し、4リットルの緩衝液に対して一晩透析した。
【0045】
(8) HiPrep 16/60 Sephacryl S-200HRカラム:前工程からの透析試料を限外ろ過(Centriplus YM-10 concentrator、続いてMicrocon YM-10 concentrator, Amicon Inc., Beverly, Massachusetts, USA)により300 μlに濃縮した。試料(4.2 mgタンパク質)を、15%スクロース、1 mM DTT、および150 mM KClを含む50 mM Tris-HCl(pH 7.5)で平衡化したHiPrep 16/60 Sephacryl S-200HRカラム(直径16 mm、高さ60 cm; Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)に適用した。酵素を70.5 mlの緩衝液で溶出した。この酵素により、SDS-PAGE解析において均質なバンドが得られた。
【0046】
【表6】
Figure 2004530437
【0047】
(9) 反応産物の同定:50 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.5)、640 μM PNP、1 mM MnCl2、および108 μgの酵素からなる総容積5 mlの反応混合液を37℃でインキュベートした。1時間インキュベーションした後、反応混合液を湯浴中3分間煮沸し、反応混合液中の結果として生じる変性タンパク質を遠心分離により除去した。上清をAmberlite CG-120(Rohm and Haas Company, Philadelphia, Pennsylvania, USA)カラム(直径16 mm、長さ11 cm)に適用した。カラムを40 mlの水で洗浄し、5%アンモニウム溶液で展開した。アンモニウム溶液で溶出された画分をプールし、減圧下濃縮した。残渣を少量のメタノールに溶かし、その後、以下の解析条件下、高圧液体クロマトグラフィーで解析した:カラム、Capcell pak C18SG120カラム(直径4.6 mm、高さ250 mm、Shiseido Co., Tokyo, Japan);移動相、0.1 M過塩素酸ナトリウム、0.1 Mリン酸カリウム、および2%アセトニトリル(pH 3.5);流速、1 ml/分;292 nmに設定したUV検出器。その結果、ピリドキソールの標準試料と比較して、試料はピリドキソールであると同定された。

Claims (15)

  1. 以下の物理化学的性質を有するビタミンB6リン酸ホスファターゼ:
    a) 分子量:29,000±5,000(29,000±5,000の分子量を有するモノマーからなる)
    b) 補因子:Mn2+、Mg2+、Co2+、Sn2+、またはNi2+
    c) 基質特異性:ピリドキソール5'-リン酸、ピリドキサール5'-リン酸、およびピリドキサミン5'-リン酸に活性
    d) 至適温度:pH 7.5で30℃〜40℃
    e) 至適pH:7.0〜8.0。
  2. ビタミンB6リン酸ホスファターゼを製造することができる微生物であるシノリゾビウム属に属する微生物から得られる、請求項1記載のビタミンB6リン酸ホスファターゼ。
  3. 微生物がシノリゾビウム・メリロティIFO 14782(DSM No. 10226)またはその変異体である、請求項2記載のビタミンB6リン酸ホスファターゼ。
  4. 以下の段階を含む、請求項1記載のビタミンB6リン酸ホスファターゼを製造する方法:上記の物理化学的性質を有するビタミンB6リン酸ホスファターゼを製造することができるシノリゾビウム属に属する微生物を、栄養培養液中、好気性条件下で培養する段階;該微生物の細胞を破壊する段階;ならびに、該微生物の破壊された細胞の無細胞抽出物からビタミンB6リン酸ホスファターゼを単離および精製する段階。
  5. 微生物がシノリゾビウム・メリロティIFO 14782(DSM No. 10226)またはその変異体である、請求項4記載の方法。
  6. pH範囲5.0〜9.0、温度範囲10℃〜45℃で1日〜5日間発酵させる、請求項4記載の方法。
  7. pH範囲6.0〜8.0、温度範囲25℃〜40℃で1日〜3日間発酵させる、請求項4記載の方法。
  8. 以下の段階を含む、ビタミンB6リン酸からビタミンB6を製造する方法:ビタミンB6リン酸を、Mn2+、Mg2+、Co2+、Sn2+、またはNi2+の存在下、請求項1記載のビタミンB6リン酸ホスファターゼに接触させる段階;および結果として得られるビタミンB6を反応混合液から単離する段階。
  9. ビタミンB6リン酸ホスファターゼがシノリゾビウム・メリロティIFO 14782(DSM No. 10226)またはその変異体から得られる、請求項8記載の方法。
  10. pH範囲5.5〜9.0、温度範囲15℃〜45℃で15分〜5時間反応させる、請求項8または9記載の方法。
  11. pH範囲6.5〜8.0、温度範囲25℃〜40℃で30分〜3時間反応させる、請求項8から10のいずれか一項記載の方法。
  12. 以下の段階を含む、ビタミンB6リン酸からビタミンB6を製造する方法:ビタミンB6リン酸を、請求項1記載のビタミンB6リン酸ホスファターゼを製造することができるシノリゾビウム属に属する微生物の無細胞抽出物に接触させる段階;および結果として得られるビタミンB6を反応混合液から単離する段階。
  13. 微生物がシノリゾビウム・メリロティIFO 14782(DSM No. 10226)またはその変異体である、請求項12記載の方法。
  14. pH範囲5.5〜9.0、温度範囲15℃〜45℃で15分〜5時間反応させる、請求項12記載の方法。
  15. pH範囲6.5〜8.0、温度範囲25℃〜40℃で30分〜3時間反応させる、請求項12記載の方法。
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