JP2004530147A - 複雑形状と基準背景との比較を使用するカラー画像表示精度 - Google Patents

複雑形状と基準背景との比較を使用するカラー画像表示精度 Download PDF

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Abstract

コンピュータ・ネットワーク上に存在するクライアントに関連するディスプレイ装置のカラー応答を特徴付ける情報を獲得し、その情報を使用してクライアントに配信されるカラー画像を修正することによって、コンピュータ・ネットワーク全体にわたってカラー画像表示精度が改善できる。その情報にはディスプレイ装置についての黒点推定が含まれる。本発明は、1つの実施形態では、数字、文字等といった非矩形形状の形態の暗色要素を使用して、黒点推定を決定する助けとする。特に、グレイ値を変化させた複雑形状の行または列を黒の背景の上で表示すればよい。複雑形状を使用して黒点を決定することは、グレイ・バランスの不良の原因となりうるR、G、及びBの小さな差を分析する助けとなる。一般に矩形であるパッチまたはバーの代わりに、さらに複雑な形状を使用してその差を分析する際人間の視覚を支援すればよい。例えば、クライアントを案内して、ディスプレイ装置のカラー応答をプロファイルするカラー・プロファイリィング処理を行わせることによって情報が得られる。例えば、その案内は、クライアントに配信される一連の指示ウェブ・ページの形態を取ってもよい。ウェブ・ページは対話式とし、クライアントからカラー特性データが収集できるようにしてもよい。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明はカラー・イメージングに関し、特に、ディスプレイ装置上でのカラー画像の表示に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの成長は、オンライン小売業者にとって大きな機会を生み出した。大手民生品小売業者の大部分は、ワールド・ワイド・ウェブ上の商業サイトを開設した。同時に、ウェブ・サイトという存在を利用できることで、これまで小規模小売業者が経験していたマーケティング上の障壁の多くが取り除かれた。現在では、ほぼどんな小売業者も、潜在的な顧客が簡単にアクセスできるように製品情報を掲示し、自動化された形でその製品を受注することができる。
【0003】
製品情報には多数の画像が含まれることもある。画像があると、クライアント装置側のウェブ顧客はオンライン購入注文を送信する前に製品を見ることができる。品目によっては、ユーザは「サムネイル」画像をクリックしてその品目をさらに高解像度のフォーマットで見ることができるものもある。しかし、多くの小売業者にとって、画像の品質は重大な関心事となりうる。特に、色精度は、色が問題となる製品の小売業者にとって非常に重大なことがある。
【0004】
例えば、衣類の小売業者の場合、セーターの画像はその実際の色とできる限り一致しているべきである。不都合にも、ディスプレイ装置が異なれば色出力特性は大きく異なったものになりうる。陰極線管(CRT)または平面パネル・ディスプレイ、ビデオカード、ドライバ・ソフトウェア、及びオペレーティングシステムの協働によって、RGBピクセル値がどのようにレンダリングされ表示されるかが決定されるのであって、それはシステム毎に大きく異なる。
【0005】
その結果、オンライン顧客は暗紅色に見えるセーターを注文してその代わりに明るい赤色のセーターを受け取るということがありうる。実際に、色の不正確さはオンライン顧客が注文した商品の重大な返品理由となった。場合によっては、この問題は、小売業者がオンライン販売促進策に取り組むことによって得られる利点を打ち消し、継続した投資の効果を薄れさせることもある。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、カラー出力特性の異なるディスプレイ装置を有するコンピュータ・ネットワークにおけるカラー画像表示精度の改善に関する。本発明の1つの実施形態では、数字、文字等といった複雑非矩形形状のグレイ要素を使用して、各ディスプレイ装置を特徴付けるための黒点(blackpoint)推定を支援する。
【0007】
特に、グレイ値の異なる非矩形形状の行または列を、基準背景の役目を果たす黒の背景上に表示する。背景に最も一致して見える形状、行、または列の1つを選択することによって黒点を推定する。複雑非矩形形状を使用して黒点を決定することは、グレイ・バランス不良の原因となりうるR、G及びBの小さな差を分析する助けとなる。
【0008】
一般に矩形である、パッチまたはバーの代わりにさらに複雑な形状を使用して、人間の目によるこの差の分析を助ける。例えば、ほぼ非矩形である数字、文字、及びその他の複雑形状は人間の目のパターン認識能力と関連して、グレイスケール差の感度を高めることができる。人間の目がパターン認識を行うよう要求される場合、あるパターンと周囲の領域との間の色のグラデーションの感度が増大する。複雑形状は一般に単純形状と比較して長い境界を有し、コントラストを得るための周囲長の増大を促進する。
【0009】
実施形態によっては、ディスプレイ装置の各カラー・チャネル、例えば、赤、緑、及び青(R、G、及びB)について各1つ、計3つの別個の黒点を推定することもある。多数の、チャネル固有の黒点を推定することは、CRTモニタのような一部のディスプレイ装置は異なるカラー・チャネルについて非常に異なった黒点を示し、単一のRGB黒点推定を使用するだけでは特徴付けが困難なことがあるという認識に基づいている。各カラー・チャネル(R、G、B)について個別に黒点を推定することによって、ディスプレイ装置の総合比色応答のさらに正確な特性が得られる。
【0010】
さらに正確な比色特性は、黒点推定において複雑形状を使用することから得られるが、それによって個々のディスプレイに配信され表示されるカラー画像を修正する処理の精度が向上する。この方法で、本発明はカラー画像表示精度を改善できる。これは、例えば、コンピュータ・ネットワーク上に存在するクライアント装置に関連するディスプレイ装置のカラー応答を特徴付ける多チャネル黒点推定及び他の情報を得ることによって達成できる。
【0011】
この情報を有利に使用して、ワールド・ワイド・ウェブのようなコンピュータ・ネットワーク上でクライアントに配信されるカラー画像を修正する。本発明を、さまざまな実施形態で適用し、クライアントに関連する個々のディスプレイ装置のカラー応答を補償するカラー画像修正を提供する。ディスプレイ装置は陰極線管モニタ、平面パネル・ディスプレイ、または同様のカラー画像ディスプレイ装置といった形態でよい。多チャネル黒点推定及び付加情報は、例えば、クライアントを案内して、ディスプレイ装置のカラー応答をプロファイルするカラー・プロファイリィング処理を行わせることによって得られる。この案内は、クライアントに配信される一連の指示ウェブ・ページの形態でよい。
【0012】
ウェブ・ページは対話式とし、クライアントからカラー特性データが収集できるようにしてもよい。カラー特性データを使用して、多チャネル黒点推定、ガンマ、グレイ・バランス等といったディスプレイ装置特性に関する多様な情報を推定できる。情報を収集したら、クライアントのディスプレイ装置に関するカラー・プロファイルを作成し、その後それを使用してクライアントに配信されるカラー画像を修正できる。カラー・プロファイルは、クライアントに配信されるカラー画像を修正するためクライアントが画像サーバに送信する情報に組み込んでもよい。クライアントが送信する情報は、ウェブ・クッキーまたは他のコンテンツ・コンテナとして具体化してもよい。
【0013】
一連の縦続的ステップを使用してRGBの平均ガンマの非常に正確な値を決定できる。例えば、実施形態によっては、粗ガンマ(cogrse gamma)測定のために選択されたグレイ・パッチを、さらに微調整されたガンマの測定に使用されるある範囲のグレイ・パッチに対する中央パッチとして使用する。本出願で使用される「グレイ」という用語は一般に、単一カラー・チャネルによって形成される色とは異なり、様々なグレイ・レベルの2つかそれ以上のカラー・チャネルの組み合わせによって形成される色を指す。次に、微ガンマ(fine gamma)を使用してグレイ・バランス決定用の中央グレイ・パッチを形成してもよい。有利にも、実施形態によっては、ユーザはわずか4クリックでカラー・プロファイリィング処理を完了でき、グレイ・バランス決定は1回のクリックで完了できる。
【0014】
クッキー、または代替コンテナは、クライアントのディスプレイ装置のカラー応答特性の永続的な表示を提供できる。クライアントがウェブ・サーバにアクセスしウェブ・ページ・コンテンツ中にカラー画像が識別される度に、クッキーを適当な画像サーバに送信し、クライアントのディスプレイ装置上に表示されるカラー画像の精度を改善すればよい。クッキーはディスプレイ装置について計算されたカラー・プロファイルまたはそのカラー・プロファイルを計算するために有用なパラメータを含み、それによってクライアントにレンダリングされるカラー修正または「補正」を提供してもよい。
【0015】
カラー画像精度が改善されるため、クライアントが見る画像は意図された通りになる。本システム及び方法はディスプレイ装置の正確な特徴付けを提供する一方で、ユーザに信頼性と使用の容易さをもたらす。例えば、小売販売のコンテンツでは、対象品目の色は実際の色により近づく。その結果オンライン顧客が注文した品目が色の不一致によって返品される恐れは少なくなる。オンライン小売業者は返品されることが少なくなり、オンライン顧客は、注文する品目について予想通りの色のものが届くというより大きな確信をもって買い物できるようになる。
【0016】
一般に、オンライン画像を見るユーザは、ディスプレイ装置を大幅に調整する必要なしに、元の情報源が意図した色を見ることができる。カラー画像精度の改善によって、クライアントのオンライン体験が向上する。同時に、多くの実施形態では、ユーザは、時間と貴重な注意力持続期間を費やすこともある、ダウンロード可能プラグイン、クライアント側スクリプト等によって煩わされる必要がない。その代りに、好適な実施形態において、カラー・プロファイリング処理はウエブ・ページの実行によって行われる。
【0017】
1つの実施形態では、本発明は、グレイ要素を背景上で表示し、各グレイ要素が異なったグレイ値及び非矩形形状とを有し、ユーザによって選択され、背景に最も一致して見えるグレイ要素の1つに基づいてディスプレイ装置について黒点を推定することを含む方法を提供する。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、コンピュータ・ネットワーク上に存在し、コンピュータ・ネットワーク上に存在する遠隔クライアントにウェブ・ページを送信するウェブ・サーバと、コンピュータ・ネットワーク上に存在し、クライアントに関連するディスプレイ装置上で表示するためウェブ・ページによって参照されるカラー画像をクライアントに送信するカラー画像サーバと、コンピュータ・ネットワーク上に存在し、クライアントを案内して、クライアントに関連するディスプレイ装置のカラー応答を特徴付ける情報を得るカラー・プロファイリィング処理を行わせ、そこでその情報がディスプレイ装置のカラー・チャネルについての黒点推定を含み、カラー・プロファイリィング処理が、黒の背景上でグレイ要素を表示し、そこで各グレイ要素が異なったグレイ値及び非矩形形状とを含み、黒の背景に最も一致して見えるグレイ要素の1つを選択し、及び選択されたグレイ要素に基づいてディスプレイ装置について黒点を推定することを含み、及びそれぞれのディスプレイ装置上で表示される時カラー画像の精度を改善するため、情報に基づいてカラー画像サーバによって送信されるカラー画像を修正する1つかそれ以上のカラー補正モジュールとを有するシステムを提供する。
【0019】
さらに別の実施形態では、本発明は、グレイ要素を背景上で表示し、そこで各グレイ要素が異なったグレイ値と非矩形形状とを有し、ユーザによって選択され、背景に最も一致して見えるグレイ要素の1つに基づいてディスプレイ装置について黒点を推定することをプロセッサに行わせるプログラム・コードを含むコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、コンピュータ・ネットワーク全体にわたってカラー画像表示精度を改善するシステム10の構成図である。コンピュータ・ネットワークは、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、またはワールド・ワイド・ウェブのようなグローバル・ネットワークの形態でよい。1つの実施形態によれば、システム10は、ネットワーク上のクライアントに関連するディスプレイ装置の比色応答を特徴とする多チャネル黒点推定を得るよう構成してもよい。
【0021】
すなわち、ディスプレイ装置の各カラー・チャネル、例えば、赤、緑、及び青(R、G、及びB)について1つ、計3つの個別の黒点を推定してもよい。多数の、チャネル固有の黒点を推定するのは、CRTモニタのような一部のディスプレイ装置は、異なるカラー・チャネルについて非常に異なった黒点を示し、単一RGB黒点推定を使用するだけでは特性決定が困難なことがあるという認識に基づいている。RGB全体の黒点だけを推定する代わりに、まず各カラー・チャネル(R、G、B)について黒点を個別に推定することによってディスプレイ装置の比色応答のさらに正確な特性決定が得られる。
【0022】
図1に示されるように、システム10はウェブ・サーバ12と、クライアント14と、カラー画像サーバ16と、カラー・プロファイル・サーバ18とを含んでもよい。ウェブ・サーバ12はクライアント14に、カラー画像のようなグラフィック・コンテンツを組み込んだウェブ・ページへのアクセスを提供する。カラー画像の一部はウェブ・サーバ12に格納されたウェブ・ページに組み込んでもよいが、他のカラー画像はカラー画像サーバ16に格納される。ウェブ・サーバ12は、例えば、低解像度であると共に色強度(color−intensive)が低いカラー画像を格納してもよい。より高解像度のカラー画像とより色強度の高い画像をカラー画像サーバ16に格納してもよい。
【0023】
ウェブ・サーバ12と、クライアント14と、カラー画像サーバ16と、カラー・プロファイル・サーバ18は各々それぞれの装置と共にローカルに存在するかまたはリモートで実行されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体上に格納されるプログラム・コードを実行する。例えば、クライアント14の場合、プログラム・コードは、クライアント・コンピュータによってアクセス及び実行されるランダム・アクセス・メモリ(RAM)中に存在してもよい。プログラム・コードは、クライアント14に関連する固定ハード・ドライブまたは取り外し可能媒体装置といった別のメモリ装置からメモリにロードしてもよい。特に、プログラム・コードは当初、磁気、光学、磁気光学または他のディスクまたはテープ媒体、またはEEPROMのような電子媒体といったコンピュータ読み取り可能な記録媒体上に置いてもよい。また、プログラム・コードは、例えばローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、またはインターネットのようなグローバル・ネットワークを介した遠隔データ・アーカイブからの伝送によって媒体にロードしてもよい。コードのかなりの部分はそれぞれの装置に伝送されサーバまたはブラウザ・アプリケーションによって実行されるウェブ・ページ・コードでもよい。
【0024】
ウェブ・サーバ12によって生成される、例えばハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML)、拡張マークアップ言語(XML)等のウェブ・ページ・コードは、カラー画像サーバ16またはその他の場所に格納される特定のカラー画像を指す画像タグを含んでもよい。クライアント14がウェブ・サーバ12によって配信される個々のウェブ・ページにアクセスし、ページ・コンテンツを構成するHTMLを実行すると、カラー画像サーバ16がアクセスされ、ウェブ・ページ・コード内でタグを付けられた画像が得られる。すなわち、クライアント14用に構成されたウェブ・ページのコンテンツは、ウェブ・サーバ12及びカラー画像サーバ16といったシステム10によって占有されるネットワーク内の様々なリソースから得られるオブジェクトを含んでもよい。実施形態によっては、ウェブ・サーバ12及びカラー画像サーバ16は互いに一体化してもよい。しかし、図1の例では、カラー画像サーバ16とウェブ・サーバ12とは別個の構成要素である。ウェブ・サーバ12とカラー画像サーバ16とは各々データベース・サーバ及びファイル・サーバと対話し、クライアント14に配信されるため選択されるカラー画像へのアクセスを得ればよい。
【0025】
クライアント14は、ユーザがシステム10上のリソースにアクセスしそのリソースから得られるカラー画像を表示できるような様々な装置の形態でよい。クライアント14の例には、ウィンドウズ、マッキントッシュ、ユニックス、またはリナックス環境で動作するデスクトップまたは携帯型コンピュータ、小型携帯型装置用のパーム、ウィンドウズCE、または同様のオペレーティング・システム環境に基づく携帯情報端末(PDA)、インターネット機能付き無線電話、インターネット・アクセス用セット・トップ・ボックス付き対話式テレビ、一般大衆が利用できるインターネット・キオスク、及び将来出現しうるインターネット家電が含まれる。各クライアント14は好適には、ウェブ・ブラウザのようなグラフィック・ビューイング・アプリケーションを実行して、システム10に付属するウェブ・サーバ12及びカラー画像サーバ16といった他のリソース上に存在するリソースにアクセスする。ウェブ・ブラウザ・アプリケーションによって、クライアント14に関連するユーザは、ウェブ・サーバ12によって生成されたウェブ・ページと、カラー画像サーバ16によって供給される画像を容易に見ることができる。情報がユーザ対話式フォーマットで表示されているならば、他のユーザ・インタフェース・アプリケーションがウェブ・サーバ12にアクセスする際有用なこともある。
【0026】
実施形態によっては、カラー画像サーバ16は、静止画像に加えて、カラー補正されたビデオ画像を配信するよう構成してもよい。MPEGクリップ、ストリーミング・ビデオ等といったビデオは、個々のクライアント14に関連するディスプレイ装置の影響を補償しない場合、同様のカラー精度の問題に見舞われることがある。すなわち、本発明の実施形態の中には、同報通信型(broadcast−like)ビデオ・コンテンツのために特に有用なものがある。
【0027】
各々の場合、クライアント14には陰極線管または平面パネル・ディスプレイといったディスプレイ装置が含まれ、ウェブ・サーバ12及びカラー画像サーバ16から得られるカラー画像を表示する。電子ペーパーのような他の種類のディスプレイ及びダイナミック・ビューイング(dynamic viewing)媒体も考慮される。ウェブ・サーバ12と、クライアント14と、カラー画像サーバ16との間の通信は、TCP/IPのような従来のネットワーク・プロトコルを使用して行えばよい。上記で説明したクライアント装置の中には、PDA及び無線電話のように、現在組み込んでいるカラー・ディスプレイの品質が比較的低いものもあるが、そうした装置も近い将来高品質カラー・ディスプレイの恩恵を享受することになると予想される。したがって、システム10は将来PDA、無線電話、及び同様の装置によって表示されるカラー画像の品質が向上する際にも容易に適用可能である。
【0028】
一例として、ウェブ・サーバ12は衣類販売店のようなオンライン小売業者に関連するウェブ・ページを配信すればよい。この例では、ウェブ・サーバ12によって配信されるウェブ・ページは、オンライン顧客が見るための品目のカラー画像と共に、小売業者が販売する一連の品目に関する情報を含んでもよい。カラー画像には、カラー画像サーバ16に格納された高解像度画像へのハイパーテキスト・リンクと同じ場所に配置された低解像度「サムネイル」画像を構成するものがあってもよい。クライアント14は、ブラウザ・アプリケーション内でウェブ・サーバ12によって配信されるコードを実行し、クライアントに関連するディスプレイ装置上で表示するウェブ・ページを構成する。
【0029】
クライアント14に関連するユーザがマウス、トラックボール、ペン等といったポインティング装置でサムネイル画像の1つをクリックすると、クライアント14はカラー画像サーバ16にアクセスして、ウェブ・ページ・コード中に埋め込まれた画像タグによって指定された高解像度カラー画像を得る。高解像度カラー画像をより高いカラー精度で表示できるようにするため、カラー画像サーバ16はクライアント14について得られた情報に基づいてカラー画像を修正する。特に、カラー画像サーバ16はクライアント14に関連するディスプレイ装置のカラー応答を特徴付ける情報を得る。情報は例えば、ウェブ・クッキーまたは他のコンテンツ・コンテナの形態で、カラー画像サーバ16にアップロードすればよい。また、カラー・プロファイル・サーバ18によって認識される、システム10中のいくつかの加入者カラー画像サーバに送信、すなわち同報通信してもよい。情報は、クライアント14に関連するユーザを案内して、ディスプレイ装置のカラー応答をプロファイル測定するカラー・プロファイリィング処理を行わせることによって生成すればよい。
【0030】
クライアント14がカラー画像サーバ16からのカラー画像にアクセスすると、ユーザは、デフォルト・カラー設定のバージョンで画像を見るか、それともユーザのディスプレイ装置用のカスタム・カラー設定を行い、それによってカラー画像の品質を改善するカラー・プロファイリィング処理を開始するかを選択できる。特に、カラー画像サーバ16によって配信されるカラー画像を、カラー・プロファイル・サーバ18との対話を通じてカラー・プロファイリィング処理を開始する1つかそれ以上のハイパーテキスト・リンクと共にウェブ・ページに埋め込めばよい。ユーザがハイパーテキスト・リンクをクリックすると、クライアント14はカラー・プロファイル・サーバ18にアクセスし、一連の指示ウェブ・ページをユーザに配信する。
【0031】
カラー・プロファイル・サーバ18によって提供される指示ウェブ・ページはユーザを案内して、クライアント14に関連する個々のディスプレイ装置のカラー応答特性を推定するよう設計されたいくつかのステップを行わせる。処理が完了すると、カラー・プロファイル・サーバ18は、実行される場合、カラー・プロファイル情報を含むクッキーを生成するコンテンツと共にウェブ・ページを配信する。その後クッキーはカラー画像サーバ16にアップロードされ、そのカラー画像と、その後アクセスされるカラー画像を修正するために使用され、クライアント14に関連するディスプレイ装置上で高品質カラー画像を生じる。カラー・プロファイリィング処理の例は、以下この詳細な説明の中でさらに詳細に説明される。
【0032】
カラー・プロファイル情報を得る他の技術では、ユーザがカラー画像サーバ16a−16nと直接対話することを要求しないこともある。その代わり、ユーザは自発的にウェブ・サイトを訪問し、カラー・プロファイル測定を行ってもよい。そのウェブ・サイトはカラー・プロファイル・サーバ18によって提供してもよく、またカラー・プロファイル・サーバと同じドメイン内にあってもよい。また、ユーザは、ダウンロードまたは物理的に配信されるソフトウェアを実行することで、個々のクライアント14a−14nに関連するディスプレイ装置のプロファイル測定を行ってもよい。さらに、使用される際、カラー・プロファイルを生成し、そのカラー・プロファイルを、例えばクッキー中で加入者カラー画像サーバに送信するようにディスプレイ装置を構成してもよい。各々の場合、カラー・プロファイル・サーバ18は、いくつかの個々のカラー画像サーバに転送し、カラー補正された画像をクライアント14に配信するため、本質的に同じ情報を受信する。
【0033】
図2は、図1に示されるシステムを組み込んだウェブベース環境20の構成図である。ウェブベース環境20には、いくつかの加入者22a、22b、及び22c−22nが含まれ、これらは各々オンライン販売ウェブ・サイトを有する商業的小売業者であってよい。もちろん、加入者22a−22nは、美術館等といった非商業的実体を含んでもよい。各加入者22a、22b、及び22c−、22nについて、加入者ウェブ・サーバ、または「加入者サーバ」(SS1−SSN)12a、12b、及び12c−12nは、加入者の商品を説明するコンテンツを有するウェブ・ページを配信し、カラー画像サーバ(CIS1−CISN)16a、16b、及び16c−16nは、個々のクライアント14a、14b、及び14c−14nについて生成されるカラー・プロファイルに基づいて修正されることもある高品質画像を配信する。すなわち、各加入者22a−22nは高品質カラー画像をそれぞれのカラー画像サーバ16a−16nに掲示し、それぞれの加入者サーバ12a−12nで高品質画像を呼び出すウェブ・ページを維持する。注意されたいが、クライアント14a−14nは加入者22a−22nより多くてもよい。
【0034】
加入者サーバ12a−12nの1つとカラー画像サーバ16a−16nの1つとは好適にはそれぞれの加入者の制御下にある。別言すれば、加入者22aが加入者サーバ12a及びカラー画像サーバ16aの維持、管理、及びコンテンツに責任を負うとすれば、加入者22bは加入者サーバ12b及びカラー画像サーバ16bに責任を負う。この方法で、加入者22a−22nは加入者サーバ12a−12n及びカラー画像サーバ16a−16nのコンテントを自分で容易に更新できる。その結果、加入者22a−22nは、本発明の実施形態によって考慮されるカラー画像品質の改善を利用するために、画像コンテンツの制御を何らかの第三者に譲渡する必要はない。その代わり、加入者22a−22nは、固有のカラー画像サーバ16a−16bと、クライアント14a−14nを案内してカラー・プロファイリィング処理を行わせるカラー・プロファイル・サーバ18との対話を利用する。それにもかかわらず、実施形態によっては、全ての加入者用の中央画像サーバの使用が望ましいこともある。加入者サーバ12a−12b及びカラー画像サーバ16a−16nに関連する商業的な実体は、それらの全てが1つかそれ以上の共通のカラー・プロファイル・サーバ18との対話によって生成されるカラー・プロファイルを使用するという意味で「加入者」である。すなわち、加入者とは、本出願で説明されるカラー補正を利用し、カラー・プロファイル・サーバ18を使用するウェブ・サイトを有する小売業者または小売業者の集まりであればよい。加入者サーバ12a−12nは加入者の主ウェブ・サーバであってもよい。カラー画像サーバ16a−16nは対応する加入者サーバ12a−12nと同じロケーションに置かれているかまたは遠隔ロケーションに置かれたサーバでよく、加入者の高解像度または色強度の高い(color−intensive)カラー画像と、画像を補正し補正された画像をクライアント14a−14nに供給するカラー補正モジュールとを含む。各カラー画像サーバ16a−16nはそれぞれの加入者サーバ12a−12nのドメイン内にあってもよいが、これは必要条件ではない。すなわち、図2の環境では、クライアント14a−14nは、自分のブラウザで加入者のウェブ・ページを見る加入者22a−22nの潜在的な顧客である。
【0035】
クライアント14a−14nは、ワールド・ワイド・ウェブ24を介して、加入者サーバ12a−12nと、カラー画像サーバ16a−16nと、カラー・プロファイル・サーバ18とにアクセスする。図1に示されるクライアント14a−14nと加入者22a−22nとの数は例示を容易にするため制限されているが、実際の数は加入者サーバ12a−12nと、カラー画像サーバ16a−16nと、カラー・プロファイル・サーバ18と、ウェブ24との帯域幅制限によってはほぼ無制限でよい。多数のクライアント14a−14nが加入者22a−22nにアクセスする場合、個々のディスプレイ装置のカラー応答はかなり異なることがありうる。しかし、カラー・プロファイル・サーバ18とカラー画像サーバ16a−16nとによって管理されるカラー・プロファイリィング処理及びカラー画像修正によって様々なクライアント・ディスプレイ装置間の差が補償され、それによってウェブ24全体にわたって位置するユーザが見るカラー出力の一貫性が向上する。例えば、加入者22a−22nが衣類小売業者である場合、異種類のディスプレイ装置上でクライアント14a−14nが見るカラー画像を、実際の衣類品目の色にさらに近付けることができる。
【0036】
図3は、図1及び図2に示されるコンピュータ・ネットワークにおけるカラー画像表示精度を改善する方法を例示する流れ図である。クライアント14が加入者サーバ12からウェブ・ページをダウンロードするよう要求すると、クライアントは、参照番号40によって示されるように、ディスプレイ装置上に表示される際にウェブ・ページ中に組み込まれるカラー画像の位置を示す画像タグが埋め込まれたHTMLコード(または他の形態のウェブ・ページ・コード)を受信する。いわゆる「サムネイル」のような低解像度画像の場合、画像タグは加入者サーバ12にあるロケーションを指してもよい。ユーザがサムネイルをクリックして高解像度画像にアクセスするか、または高解像度画像が初めからウェブ・ページに埋め込まれている場合、図3の参照番号42によって示されるように、クライアント14はウェブ・ページ・コードを実行して、指定されたカラー画像サーバ16のカラー画像にアクセスしそれをダウンロードする。
【0037】
図3の例では、参照番号44によって示されているように、カラー画像サーバ16にアクセスするためクライアント14によって実行されるウェブ・ページ・コードは、カラー画像サーバから見えるカラー・プロファイル・クッキーが個々のクライアントについて生成されているかを照会する。例えば、クッキーは、カラー画像サーバのドメインに対応している場合可視である。クッキーの管理は、この説明の後の部分で述べられる。カラー・プロファイル・クッキーは、クライアント14に関連するディスプレイ装置のカラー応答を特徴付ける情報を含み、クライアント側にローカルに存在する。カラー・プロファイル・クッキーが生成されていれば、参照番号46によって示されるように、クライアント14はクッキーをカラー画像サーバにアップロードする。クッキー画像サーバ48は、参照番号48によって示されるように、クライアント14によって要求された画像を検索し、カラー補正を適用することによって、クッキー・コンテンツに基づいて画像を補正する。カラー補正は、画像を補正して、クライアント14に関連するディスプレイ装置のカラー応答特性の変化を補償する。次に、参照番号50によって示されるように、カラー画像サーバ16はカラー補正された画像をクライアント14にダウンロードし、参照番号52によって示されるように、処理は終了する。上記の方法で、クライアント14はクライアントのディスプレイ装置についてカスタマイズされたカラー補正画像を受信し、さらに正確なカラー出力を提供する。
【0038】
カラー・プロファイル・クッキーが以前に生成されていない場合、参照番号54によって示されているように、クライアント14はカラー画像サーバ16からデフォルト・カラー画像をダウンロードし、クライアントに関連するディスプレイ装置上に表示する。この画像は、クライアント14に関連する個々のディスプレイ装置についてカラー補正または他の形でカスタマイズされていないという意味で「デフォルト」画像である。その結果、クライアント14によって表示される時、デフォルト画像は元のカラー画像に対して大きな色の不正確さを示すことがある。しかし、参照番号56によって示されるように、クライアント14はデフォルト画像と共に、カラー・プロファイル測定の選択肢を提示してもよい。特に、クライアント14は、画像と共に、カラー・プロファイル測定及び補正が画像に適用されているか否かの表示をダウンロードすればよい。画像と共に、クライアント14はその表示を行い、合わせてユーザにカラー・プロファイル測定を実行するよう勧誘するハイパーテキスト・アイコンを表示すればよい。ユーザはポインティング装置でプロファイル測定アイコンをクリックし、カラー・プロファイリィング処理にアクセスすればよい。実施形態によっては、プロファイル測定アイコンは、プロファイル測定がすでに行われ、画像が補正されていることを、例えばアイコンをカラーで表示することによって示してもよい。プロファイル測定が以前に行われていない場合、アイコンを白黒で表するかまたは何らかの表示を提供してもよい。アイコンをクリックすることで、ユーザは最初の機会かまたはプロファイルが更新される際にプロファイル測定を開始できる。
【0039】
参照番号58によって決定されるように、この選択肢が選ばれない場合、参照番号52によって示されるように、ユーザはそのままデフォルト画像を見て処理は終了する。しかし、その選択肢が選ばれると、クライアント14は、例えば、アイコンに関連するハイパーリンク・テキストを介して、カラー・プロファイル・サーバ18にアクセスするようユーザを誘導するコードを実行する。参照番号60によって示されるように、カラー・プロファイル・サーバ18は、クライアント14に関連するユーザを案内してカラー・プロファイリィング処理を行わせる。カラー・プロファイリィング処理は、個々のクライアント14に関連するディスプレイ装置が示すカラー応答を特徴付ける情報を生成する。カラー・プロファイリィング処理の完了に続いて、参照番号62によって示されるように、クライアント14はカラー・プロファイル・クッキーを生成する。カラー・プロファイル・クッキーはカラー特性決定情報を含む。次に、参照番号46によって示されるように、クライアント14はカラー・プロファイル・クッキーをカラー画像サーバにアップロードし、カラー補正された画像を得てカラー画像精度を改善する。以下説明されるように、クッキーはカラー画像サーバ16のドメイン用に書き換える必要があることもある。
【0040】
注目すべきことだが、以下説明されるように、カラー・プロファイリィング処理はオプションとして、プラグイン、ジャバ・スクリプト、または他の影響の大きいクライアント側処理を必要としない。その代わり、加入者サーバ12と、クライアント14と、カラー画像サーバ16と、カラー・プロファイル・サーバ18との間の対話は、クライアント14に配信されるウェブ・ページ・コードを実行することによって進められる。このアプローチは、クライアント14に関連するエンドユーザにとって大きな利便性を生じる。同時に、加入者22a−22nは個々のユーザについてのカラー情報を保持する必要はない。むしろ、クライアント14がカラー画像を要求する時いつでも、例えば、クッキーの形態で、情報をカラー画像サーバ16にアップロードすればよい。その上で、加入者22a−22nは固有のカラー画像をカラー画像サーバ16a−16nに維持し、個々のクライアント14a−14nによってアップロードされたカラー・プロファイル・クッキーを処理できるカラー補正モジュールを組み込むことによって、カラー補正を提供すればよい。従って、加入者22a−22nは、固有のウェブ・ページまたは画像を中央ウェブ・リポジトリに掲示する必要はない。
【0041】
図3を参照して説明されるカラー・プロファイリィング処理を実行するため、クライアント14はカラー・プロファイル・サーバ18と対話する。カラー・プロファイル・サーバ18は一連のウェブ・ページをクライアント14に配信する。各ウェブ・ページはユーザを案内してカラー・プロファイリィング処理における与えられたステップを行わせるように設計されている。例えば、1つのウェブ・ページは、ユーザからディスプレイ装置の黒点の推定を抽出するよう設計された指示及び画像コンテンツを含んでもよい。1つの実施形態では、黒点推定は多数のチャネル固有黒点の推定でもよい。他のウェブ・ページは、粗ガンマ、微ガンマ及びグレイ・バランス情報を抽出するよう設計された指示及びコンテンツを含んでもよい。すなわち、各ウェブ・ページは、ユーザがクリックすることでクライアント14からカラー・プロファイル・サーバ18に情報を転送できるハイパーテキスト・アイコン等といった対話式媒体を含んでもよい。
【0042】
必要な情報を収集すると、カラー・プロファイル・サーバ18はクッキーを作成し、それをローカルに格納して将来使用するためクライアント14に配信する。実施形態によっては、2つのクッキーをクライアント14に提供してもよい。第1のクッキーはカラー・プロファイル・サーバ18に関連するドメイン名に対応し、個々のクライアント14a−14nとカラー・プロファイル・サーバとの間の将来の対話のために使用してもよい。第1のクッキーを「プロファイラ・クッキー」と呼ぶこともある。第2のクッキーは、カラー画像のダウンロード元である、(小売業者のような個々の加入者に対応する)個々のカラー画像サーバ16a−16nに関連するドメイン名に対応してもよい。別言すれば、第2のクッキーは、カラー・プロファイリィング処理が開始されるカラー画像サーバ16a−16nに対応してもよい。この方法で、カラー画像サーバ16a−16が配信する将来の画像は、当該ドメインに関連するクッキー・コンテンツに基づいて修正される。第2のクッキーを「加入者クッキー」と呼ぶこともある。
【0043】
プロファイラ・クッキーを使用して、他のドメインに関連するカラー画像サーバ16a−16nと共に使用する追加加入者クッキーを生成すればよい。すなわち、クライアント14a−14nに位置するユーザは、それまでカラー補正された画像をダウンロードしたことのないカラー画像サーバ16a−16nにアクセスする場合、ユーザはカラー・プロファイル測定の選択肢をクリックしてカラー・プロファイル・サーバ18に向かってもよい。カラー・プロファイル・サーバ18と対話する際、クライアント14は、カラー・プロファイリィング処理を繰り返す代わりに単にプロファイラ・クッキーをアップロードする。新しいカラー画像サーバ16a−16nに関連するドメインに関する情報をプロファイラ・クッキーに組み込めばよい。
【0044】
プロファイラ・クッキーの受信に応答して、カラー・プロファイル・サーバ18は、目的のクライアント14a−14nに関連するユーザに助言してクッキー中に示されたドメインにクッキー・コンテンツを送信させるウェブ・ページを配信するが、その際、とりわけプライバシーの問題についてユーザの承認を要求してもよい。ユーザが承認すると、カラー・プロファイル・サーバ18は、プロファイラ・クッキー中のドメインによって指定されたカラー画像サーバ16a−16nにクッキー・コンテンツを送信する。それに応答して、カラー画像サーバ16a−16nはそれ自体のドメインについて加入者クッキーを作成し、そのクッキーを将来使用するためにクライアント14a−14nに書き込む。その後、当該加入者22a−22nにカラー補正された画像を要求する場合、クライアント14は適当な加入者クッキーを当該画像サーバ16a−16nにアップロードし、カラー・プロファイル・サーバ18との対話は回避してもよい。
【0045】
一方がカラー・プロファイル・サーバ18用であり、もう一方が個々の加入者サーバ12a−12nまたはカラー画像サーバ16a−16n用である第1及び第2のクッキーに依存することは、部分的には既存のウェブ設計の考慮事項によって行われる。特に、クライアントのブラウザ上に格納されたクッキーは通常、それを生成したサーバのドメインによってマークされ、一般に他のドメインからは見えない。すなわち、カラー・プロファイル・サーバ18によって作成されたクッキーは一般にカラー画像サーバ16a−16nからは見えず、その逆も同様である。さらに、クッキーの可視性は、クッキーにサーバのドメイン内のパスによるマークを付けることで、さらに制限してもよい。この種のクッキーは、たとえ同じドメインであっても、パス外のページを要求した場合には見えない。さらに、ブラウザは定期的に、要求がある都度すべての可視クッキーをサーバに送信する。これにはHTMLページに対する最初の要求だけでなく、ページ内に埋め込まれた画像に対する要求も含まれる。しかし、画像はHTMLページと異なるサーバから来ることもあるので、HTMLページに対して送信されるクッキーが画像に対して送信されるものと異なることもある。
【0046】
上記の考察に照らして、カラー・プロファイル・サーバ18はカラー・プロファイリィング処理の管理についてだけでなく、加入者クッキーの生成についても仲介手段の役目を果たしている。この仲介手段機能によって、集中型サイトにおいてでなくカラー画像サーバ16a−16nにおいて、全ての加入者画像のカラー補正が行えるようになる。また、この仲介手段機能によって、クライアントは一度カラー・プロファイリィング処理を行うと、その他の加入者について画像のカラー補正を得るためそれを繰り返す必要がなくなる。例外として、クライアント14a−14nに関連する、ローカルのドライバ・ソフトウェアまたはディスプレイ装置またはビデオカードといったハードウェアを変更した場合、ユーザは自発的にカラー・プロファイリィング処理を繰り返してもよい。実際には、ハードウェアの変更に対応するため時々更新することを奨励するため、プロファイラ・クッキーと加入者クッキーとに有効期限を適用してもよい。
【0047】
明らかなように、3つの異なるサーバ、すなわち、加入者サーバ12a−12nと、カラー画像サーバ16a−16nと、カラー・プロファイル・サーバ18とはカラー補正処理に伴う労力を分割している。特に、プロファイラ・クッキーと加入者クッキーとが存在することを想定すると、加入者サーバ12a−12nは加入者固有のウェブ・ページについてHTMLを供給し、それらのページについて他の要求の大部分を処理するが、それにはカラー補正の対象とならない画像を供給することも含まれる。カラー画像サーバ16a−16nはカラー画像訂正の対象となる画像を供給する。
【0048】
カラー画像サーバ16a−16nは、適当な加入者クッキーを受信すると、クッキー・コンテンツに基づいてカラー補正を行い、カラー補正された画像を適当なクライアント装置14a−14nに供給する。また、カラー画像サーバ16a−16nは、訂正可能なカラー画像の近くに、カラー画像が実際に訂正されているかを示すアイコンを供給してもよい。例えば、カラー画像サーバ16a−16nは、加入者クッキーを発見しなければ、ユーザがアイコンをクリックしてカラー・プロファイリィング処理を開始するよう勧めるアイコンを表示する。そうでない場合、アイコンはただ単に、カラー補正が「オン」であること、すなわち、カラー補正が画像に適用済みであることを表示する。
【0049】
上記で言及したように、カラー・プロファイル・サーバ18は、カラー・プロファイリィング処理のためのページを供給する。カラー画像サーバ16a−16nによって配信されたカラー画像と共に表示されたアイコンをクリックすることによってカラー・プロファイリィング処理が呼び出される場合、それぞれのクライアント14a−14nは恐らく、当該加入者22a−22nについて加入者クッキーを有していない。しかし、場合によっては、クライアント14a−14nは新しいハードウェアまたはソフトウェアのために、プロファイルを更新するためカラー補正処理を自発的に繰り返してもよい。プロファイラ・クッキーが存在する場合、単にクッキー・コンテンツを適当な加入者ドメインに送って加入者クッキーを作成することで処理を省略すればよい。
【0050】
プロファイラ・クッキーが存在しない場合、カラー・プロファイル・サーバ18によってフルカラー・プロファイリィング処理が供給される。カラー・プロファイリィング処理が完了すると、カラー・プロファイル・サーバ18はクライアント14a−14nについてプロファイラ・クッキーを生成し、プロファイラ・クッキー・コンテンツを当該カラー画像サーバ16a−16nに伝える。次に、カラー画像サーバ16a−16nは、プロファイラ・クッキー・コンテンツに基づいて加入者クッキーを生成し、カラー・プロファイリィング処理が呼び出された元の加入者URLを呼び出す。
【0051】
カラー・プロファイル・サーバ18によって生成されたプロファイラ・クッキーと、カラー画像サーバ16a−16nによって生成された加入者クッキーとの間でカラー補正情報を交換する機構は異なってもよい。特に、クッキーをクライアント14a−14nに配信する代わりに、カラー・プロファイル・サーバ18は、認識された加入者のグループ22a−22nに関連する全てのカラー画像サーバ16a−16nにカラー補正情報を送信するよう配置してもよい。この方法で、カラー・プロファイリィング処理の結果としてカラー・プロファイル・サーバ18によって得られたカラー・プロファイル情報を、加入者22a−22nが格納するように「同報通信」してもよい。このアプローチの利点は、情報転送がシームレスになることである。クライアント14a−14nに関連するユーザは、カラー・プロファイルを更新する以外、最初のカラー・プロファイリィング処理に続いてカラー・プロファイル・サーバ18と対話する必要はない。むしろ、各加入者22a−22nは、個々のクライアント14a−14n、例えばクライアントIDコードに関連するカラー補正情報を格納する。
【0052】
クライアント14a−14nがカラー画像サーバ16a−16nの1つにアクセスする場合、適当なカラー補正情報を検索しそれによってカラー補正された画像を供給するためクライアントIDコードが使用される。このことの欠点は、各加入者22a−22nが、それぞれの加入者サーバ12a−12nにアクセスしないかもしれないクライアントを含めて、参加加入者からカラー補正された画像を要求したクライアント14a−14nについてのカラー補正情報のデータベースを維持する必要があるということである。すなわち、カラー補正情報の転送のためにクッキーを使用するアプローチが加入者22a−22nによってはより望ましいこともある。それにもかかわらず、カラー補正情報を同報通信するのは実行可能な選択肢であり、加入者22a−22nによっては許容可能であり、エンドユーザにとってはきわめて便利なものになりうる。
【0053】
以下は、間接クッキー転送アプローチによる、加入者サーバ12a−12nと、クライアント14a−14nと、カラー画像サーバ16a−16nと、カラー・プロファイル・サーバ18との間の情報伝達に関連する詳細の一部を説明する。このアプローチは、プロファイラ・クッキー・コンテンツがカラー・プロファイル・サーバ18からそれぞれのカラー画像サーバ16a−16nに転送される前にユーザが介入し承認を入力するという意味で間接的である。ウェブ・ページをクライアント14a−14nに配信する際、加入者サーバ12a−12nは関連するカラー画像サーバ16a−16nに格納された訂正可能な画像のURLを伝える。さらに、加入者サーバ12a−12nは好適には、画像の近くにカラー・プロファイルアイコンを組み込んでいる。カラー・プロファイルアイコン用のURLは当該カラー画像サーバ16a−16nを指し、アイコンに関連するハイパーテキスト・リンクはカラー・プロファイル・サーバ18を指す。
【0054】
カラー補正情報をカラー画像サーバ16a−16nに戻すことを達成するため、クライアント14a−14nがアイコンに関連するハイパーテキスト・リンクをたどる場合、ユーザが見たページのURLがカラー・プロファイル・サーバ18に伝えられる。URLを伝えるこのステップは、目標URLに関するパラメータとしてURLを含めることによってか、またはアイコンを隠す形態から、すなわち、隠し入力フィールドに格納されたURLによって情報をPOSTすることによって達成すればよい。後者の場合、アイコンはボタンの役目を果たし、何らかの最小限のクライアント側スクリプト処理を要求することもある。さらに、以下説明されるように、加入者22a−22nの名称と、カラー・プロファイリィング処理が完了した後でカラー画像サーバ16a−16nによって供給される完了ページのURLとを、カラー・プロファイル・サーバ18に対する要求の中に含めてもよい。加入者22a−22nは、適当なURLと共にアイコン・コードを挿入するサーバ側スクリプト処理機能を備えてもよい。
【0055】
カラー・プロファイリィング処理のために、カラー・プロファイル・サーバ18は、加入者サーバ12a−12nが提供するウェブ・ページを実行することによって呼び出すことのできるいくつかのウェブ・ページを供給する。この場合、「戻りURL」がシーケンス中の各ページに渡される。戻りURLは目標URL中のパラメータとしてか、またはフォーム中の隠しフィールドを使用することによって渡せばよい。場合によっては、戻りURLはサーバ変数として格納してもよい。上記で言及したように、カラー・プロファイル・サーバ18は、(1)プロファイラ・クッキーが存在しない場合には、フルカラー・プロファイリィング、及び(2)プロファイラ・クッキーがすでに存在する場合加入者クッキーの作成、という2つのシナリオを処理する。どちらのシナリオでも、カラー・プロファイル・サーバ18は、既存または新しく作成されたプロファイル・クッキー・コンテンツを当該加入者22a−22nに転送する。すなわち、カラー・プロファイル・サーバ18は、クライアント14a−14nに関連するユーザに情報転送の許可を要求するボタンを提示してもよい。
【0056】
そのボタンに対応するURLは、カラー画像サーバ16a−16nによって供給されるページを指す。カラー画像サーバ16a−16nに送信される要求には戻りURLと、プロファイラ・クッキー中に書き込まれたカラー情報との両方が含まれる。この要求は好適には、長さを考慮して、URL中に記載の全ての情報に対するGET要求ではなく、フォームからのPOST要求である。カラー・プロファイル・サーバ18は、戻りURLを参照して加入者22a−22nの宛先ページのURLを決定する。クッキー・コンテンツを転送する前に、ユーザは宛先を知りたいだろう。従って、カラー・プロファイル・サーバ18は、ボタンと共にその特定加入者22a−22nの名称を表示する。加入者の名称がURLから容易に判定できない場合、そのURLとカラー・プロファイル・サーバ18がアクセス可能なデータベース中の名称とを相互参照することによってか、または加入者サーバ12a−12nによって生成されたページからの元の要求の中で戻りURLと共に名称を伝えることによって生成すればよい。
【0057】
カラー・プロファイル・サーバ18から情報を受信すると、当該カラー画像サーバ16a−16nは、カラー・プロファイリィング処理が完了したことを示すページを供給する。このページは、カラー・プロファイル・サーバ18から受信する際、カラー補正情報と「戻り」ページのURLとを含むPOST要求によって呼び出してもよい。カラー画像サーバ16a−16nはカラー補正情報を当該クライアント14a−14nにクライアント・クッキーとして書き込む。それ以降、加入者クッキーはそれぞれのクライアント14a−14nに格納され、カラー補正可能な画像に対する要求があれば当該加入者22a−22nに関連するカラー画像サーバ16a−16nに送信される。それに応答して、カラー画像サーバ16a−16nは加入者クッキー・コンテンツを抽出し、その内容に基づいて要求された画像にカラー補正を適用し、カラー補正された画像をクライアント14a−14nに配信する。
【0058】
代替アプローチとして、カラー補正は、クライアント14a−14nがボタン、アンカー、または他の入力媒体をクリックする時生成される要求中に埋め込まれた形でなく、直接要求によって、カラー・プロファイル・サーバ18から、それぞれの加入者22a−22nに関連するカラー画像サーバ16a−16nに伝えてもよい。このアプローチは、ユーザが介入して転送の承認をカラー・プロファイル・サーバ18に転送する必要がないという意味で直接的である。その代わり、適当なカラー画像サーバ16a−16nへのプロファイル・クッキー・コンテンツの転送をシームレスにすることができる。実際に、好適な実施形態では、クライアント14a−14nに関連するユーザは、最初のプロファイリィングに続いて情報を転送するためカラー・プロファイル・サーバ18によって送信されるページを見ることすらない。この方法で、カラー・プロファイル・サーバ18からカラー画像サーバ16a−16nへのカラー補正情報の転送は、クライアント14a−14nに関連するユーザが転送を行うリンクをクリックする必要なしに、自動的に行われる。このアプローチによって転送はユーザにとってさらにシームレスになる。最終的な結果は同じであり、すなわち、プロファイラ・クッキー中に含まれるカラー補正情報の転送によって、ユーザがカラー・プロファイリィング処理を再実行する必要なしに加入者クッキーが作成される。
【0059】
直接要求による転送を促進するため、クライアント14a−14nはクライアントIDを割り当てられている。通常、クライアントIDは加入者クッキー中に格納され、クライアント14a−14nに関連するブラウザ上でそこから受信すればよい。個々の加入者22a−22nにとって新しいクライアント14a−14n、すなわち、加入者クッキーを個々のカラー画像サーバ16a−16nに送信しないクライアントは、カラー画像サーバからの応答中HTMLを伴うクッキーとして送信される新しいクライアントIDを割り当てられる。カラー・プロファイル・サーバ18を指す全てのURLはその後、パラメータとしてクライアントIDと加入者IDとの両方を含むので、カラー・プロファイル・サーバはそれぞれのクライアント14a−14nについてカラー補正情報に対する要求を相関すればよい。カラー・プロファイル・アイコンに対するURLは、加入者クッキーがない場合カラー・プロファイル・サーバ18を指す。このアプローチの場合、それぞれの加入者サーバ12a−12nと対応するカラー画像サーバ16a−16nは、同じクッキーが見られるように同じドメインを占めることが好適である。
【0060】
間接アプローチの場合と同様、直接転送アプローチにおいて、カラー画像サーバが加入者クッキーを受信するか否かに応じて、カラー補正可能な画像に隣接して現れるカラー・プロファイル・アイコンを、カラー画像サーバ16a−16nかまたはカラー・プロファイル・サーバ18かの何れかから供給してもよい。加入者クッキーが存在する場合、プロファイル・アイコンがカラー画像サーバ16a−16nによって供給され、例えば、カラー補正が有効であるという意味のテキスト・メッセージによって、そのことを示す外観とされる。加入者クッキーを有さないのは新しいクライアント14a−14nだけであるから、カラー画像サーバ16a−16nによって供給される画像は大部分そのようになる。
【0061】
加入者クッキーが提示されない場合、アイコンはカラー・プロファイル・サーバ18によって供給される。別言すると、カラー画像サーバ16a−16nによって供給されるウェブ・ページの内部には、カラー・プロファイル・サーバ18によって供給されるアイコンが埋め込まれている。プロファイラ・クッキーが存在する場合、カラー・プロファイル・サーバ18は、クライアント14a−14nがすでにカラー・プロファイリィング処理を行っていることを示すアイコンを供給する。そうでない場合、アイコンは、それぞれのクライアント14a−14nがまだカラー・プロファイリィング処理を完了していないことを示す。これは、カラー・プロファイリィング処理が完了したことを示す色付きのアイコンと、それが完了していないことを示す白黒のアイコンとによって表してもよい。
【0062】
実施形態によっては、アイコンは、クライアント14a−14nはカラー・プロファイリィング処理を行っているが、カラー補正情報はまだ個々の加入者22a−22nに転送されておらず、画像はまだカラー補正されていないということを示してもよい。どちらの場合でも、カラー・プロファイル・サーバ18は、カラー・プロファイル・サーバ18に転送されるURL中に含まれるクライアント14a−14nと加入者22a−22nとのIDをも受信する。プロファイラ・クッキーが存在する場合、カラー・プロファイル・サーバ18はすぐにクライアントIDとプロファイラ・クッキー・コンテンツとを専用要求の中で当該カラー画像サーバ16a−16nに転送する。
【0063】
加入者クッキーが存在する場合、カラー画像サーバ16a−16nはクッキー中に含まれる情報に基づいてカラー補正を行う。加入者クッキーが存在しない場合、カラー画像サーバ16a−16nは短時間待って、カラー・プロファイル・サーバ18からこのクライアントについてのカラー情報を受信する。情報が受けられる場合、カラー画像サーバ16a−16nはカラー補正を適用し、加入者クッキーをクライアント14a−14nに関連するブラウザに書き込む。そうでない場合、カラー画像サーバ16a−16nは訂正されていない画像を供給する。
【0064】
この直接アプローチの場合、カラー・プロファイル・サーバ18によって転送されるカラー補正情報がクライアント14a−14nからの画像要求と同期して受信されないことがあるので、カラー画像サーバ16a−16nは、その情報を追跡する必要があることがある。従って、個々のクライアント14a−14nに関連するカラー補正情報を一時的に追跡するカラー画像サーバ16a−16nと、クライアントID情報を追跡及び生成する加入者サーバ12a−12nとによって共有されるデータベース・アプリケーションの組み込みが必要なこともある。一度情報が加入者クッキーに書き込まれれば、それぞれのクライアント14a−14nについてのIDとカラー補正情報とはデータベースから消去してもよい。
【0065】
直接転送アプローチによるIDの管理は次のように行われる。カラー・プロファイル・サーバ18によって生成された元のカラー補正情報は固有IDによって刻印すればよい。固有IDは加入者22a−22nに転送されるカラー補正情報のコピーの中で維持してもよい。このIDは、クライアント14a−14nがカラー・プロファイリィング処理を繰り返す場合に変化し、プロファイラIDと呼ばれることもある。プロファイラIDは、次回カラー・プロファイリィング処理が行われるまで変化せず、それは数ヵ月後となることもある。実際には、プロファイラIDは特定のカラー・プロファイリィング処理に対応する。プロファイラIDはクライアントIDと加入者IDとによって補足される。クライアントIDは、加入者22a−22nがカラー情報を要求する相手先のクライアントを特定し、加入者IDは特定の加入者を特定する。
【0066】
カラー画像サーバ16a−16nが特定のクライアント14a−14nに関するカラー補正情報を有さない時はいつでも、クライアント及び加入者IDがURLパラメータを介してカラー・プロファイル・サーバ18に渡される。プロファイラ・クッキー・コンテンツまたはカラー・プロファイリィング処理を実行した結果に基づいて、カラー・プロファイル・サーバがクライアントに関する適当な情報を決定すると、加入者IDは、カラー補正情報と共に、カラー・プロファイル・サーバ18からカラー画像サーバ16a−16nに戻される。カラー画像サーバ16a−16nがこの情報を受信し、それを加入者クッキーとしてクライアントのブラウザに書き込むと、加入者IDはもはや必要ない。
【0067】
図4は、ディスプレイ装置についてのカラー・プロファイリィング処理を例示する流れ図である。図4に示される処理を使用して図3を参照して上記で論じられたプロファイラ・クッキー・コンテンツを生成すればよい。注目すべきことだが、ユーザはカラー・プロファイリィング処理全体を、ポインティング装置をわずか3回「クリック」するだけで完了できる。ユーザがパッチを選択した後次に進むために継続ボタンをクリックすることを要求される場合、処理は追加のステップを取り入れてもよい。しかし、ユーザがパッチの選択に続いて自動的に次に進むことを許可される場合、処理全体は3クリックで完了できる。以下説明される、任意選択のアナログ調整、個別R、G、及びB黒点、及び微調整ガンマ・ステップを合わせると、処理は6〜7までのクリックを必要とすることがある。また、多くの実施形態では、カラー・プロファイリィング処理は、離散要素を選択する方法を利用する場合プラグインまたはクライアント側スクリプト処理を必要としないが、スライダ調整を使用する場合といった実施形態によっては、こうした機構を提供してもよい。
【0068】
カラー・プロファイリィング処理は、R、G、及びB蛍光体またはフォトダイオード素子について黒点及びガンマの正確な値を決定することによるディスプレイ装置の視覚的なプロファイリィングを可能にする。ガンマとは、デジタル装置の値の変化に伴う光強度の変化率を示すパラメータγを指す。「黒点」という用語は、ディスプレイ装置上で表示可能な最低RGB値を指す。黒点以下のカラー値については、ディスプレイ装置によって放出される光はそれ以上低下することがない。また、黒点はブラック・オンセット(black onset)と呼ばれることもある。本発明によれば、3つの別個の黒点が、モニタのR、G、及びBの各カラー・チャネルについて1つづつ、任意選択で測定される。さらに正確なモニタと共に使用するため、単一の暗灰色RGB選択を使用して、R、G、及びBについて単一平均黒点値を推定してもよい。
【0069】
古くなったCRTモニタといった、一部のディスプレイ装置では、異なるカラー・チャネルが非常に異なる黒点を生じることがある。従って、カラー・プロファイルを生成する際に単一RGB黒点測定に依存すると、不正確さをもたらすことがある。しかし、チャネル固有黒点を決定することで、不正確さの度合いを減少できる。別言すれば、各カラー・チャネルについて個別に黒点を推定することによって、ディスプレイ装置の比色応答のさらに正確な推定が得られる。比色特性決定がさらに正確になることで、特定のモニタ上で配信及び表示されるカラー画像の変換の際の精度が向上する。
【0070】
カラー・プロファイル・サーバ18は、一連の指示ウェブ・ページをクライアント14a−14nに供給することによって、図4に示されるカラー・プロファイリィング処理を管理してもよい。一般に、カラー・プロファイリィング処理は、(1)ディスプレイ装置の赤、緑、及び青(R、G、及びB)カラー・チャネル各々についての黒点、(2)R、G、及びBについての平均ガンマ、及び(3)R、G、及びBについてのガンマの差の決定を含んでもよい。ディスプレイ装置特性の差は広い範囲にわたるため、上記(2)の決定は、(2a)粗ガンマ推定、及び(2b)微ガンマ推定の決定にさらに分割してもよい。この処理は以下図4〜図11を参照して詳細に説明される。
【0071】
図4の参照番号64によって示されるように、カラー・プロファイリィング処理はまず、カラー・ディスプレイ装置の各カラー・チャネル、例えばR、G、Bについての推定黒点の決定を含む。黒点を決定した後、それは単に推定値でよいが、カラー・プロファイリィング処理は、ディスプレイ装置によって示されるガンマの決定を含む。特に、参照番号66によって示されるように、処理は粗ガンマの決定を含み、それに、参照番号68によって示されるような、微ガンマの決定が続いてもよい。微ガンマの決定は、部分的には粗ガンマに依存することがある。別言すれば、さらに微調整されたガンマに収束するための初期推定値及び開始点として、粗ガンマを使用してもよい。
【0072】
微ガンマを決定した後、処理は、図4の参照番号70によって示されるように、ディスプレイ装置によって示されるグレイ・バランスの決定を含んでもよい。グレイ・バランスは、ディスプレイ装置が使用する1つかそれ以上のカラー・チャネル、例えば、赤、緑、及び青の方向への中性グレイのカラー・シフトの量の表示を提供する。グレイ・バランスは、カラー・プロファイリィング処理において以前に決定されたガンマ、特に、特定の実施形態では、微ガンマに部分的に依存することがある。次に、カラー・プロファイリィング処理は、参照番号72によって示されるように、カラー・プロファイルの生成を含む。カラー・プロファイルは、参照番号64、66、68、70によって示される決定、すなわち、黒点、ガンマ、及びグレイ・バランスに基づいて、ディスプレイ装置のカラー応答を特徴付ける情報を含む。次に、参照番号74によって示されるように、カラー・プロファイルはクッキー、または他のコンテンツ・コンテナにロードして、必要な場合何れかのカラー画像サーバ16a−16nにアップロードするようクライアント14の元でローカルに格納すればよい。
【0073】
推定黒点パラメータは、ディスプレイ装置のダイナミック・レンジを定義する。最大RGB値は常に白を定義するので、黒点は黒の終点を定義し、ひいては、R、G、及びB各カラー・チャネルについて、黒から白への連続変化を得る値の領域を定義する。ここでも、黒点とは、その値以下でディスプレイ装置が放出する光がそれ以上減少しなくなるR、G、またはBの値を指す。個々のカラー・チャネル、例えばRについて、黒点は、Rの値がさらに減少しても、ディスプレイ装置が放出するRチャネル光は減少しなくなる点である。ディスプレイ装置のあるカラー・チャネルについての黒点が高い場合、画像補正が行われなければ、暗い領域のそのチャネルの値は最も暗い陰にマップされ、陰の細部は失われてしまう。従って、正確な黒点推定を得ることは、ディスプレイ装置によって表示される画像の精度のために重要である。
【0074】
多チャネル黒点推定に加えて、カラー・プロファイルはガンマ・パラメータとグレイ・バランス・パラメータを含んでもよい。これらのパラメータは共に、個々のディスプレイ装置の比色応答を定義するので、装置上でさらに正確な表示を行うためにカラー画像を修正することが可能になる。ガンマ・パラメータは画像の総合的な外観に最も大きく影響する。ガンマは画像が明るくなりすぎるかまたは暗くなりすぎるか、またはコントラストが強すぎるかまたは弱すぎるかを決定する。第3のパラメータであるR、G、Bガンマ差すなわち「グレイ・バランス」が重要なのは、人間の目がグレイ・バランスに非常に敏感だからである。グレイ・バランス・パラメータは、RGBカラーの組み合わせを生成する時の、ディスプレイ装置の異なるカラー・チャネル間の相対的な均衡、または不均衡を示す。
【0075】
図5は、図4に示されるカラー・プロファイリィング処理をさらに詳細に例示する流れ図である。図5に示されるように、黒点決定のため、カラー・プロファイル・サーバ18はまずディスプレイ装置調整用のウェブ・ページを供給すればよい。ウェブ・ページはディスプレイ装置の輝度とコントラストとを調整するようユーザに指示する。このディスプレイ装置調整のステップは任意選択であるが、黒点決定のためにディスプレイ装置を準備する際一般に望ましい。参照番号76によって示されるように、カラー・プロファイル・サーバ18はバー、パッチ、記号、文字、数字等といった暗色要素のいくつかの行を含むウェブ・ページを供給してもよい。
【0076】
パッチまたはバーの代わりに、数字のような代替形状を有する要素を表示するのが望ましいこともある。パッチまたはバーは一般に矩形でよいが、さらに複雑な形状を使用して差を分析する際人間の目を支援してもよい。すなわち、数字、文字、及び他の複雑形状は、例えば、人間の目のパターン認識能力と組み合わされて、グレイ・スケール差に対する感度を向上させることができる。人間の目はパターン認識を行うよう要求されると、あるパターンと周囲の領域との間のカラー階調に対する感度が増大する。複雑形状が提示する境界は単純形状より長いので、コントラストを得る周辺長が増大する。複雑形状を有する要素は、モニタを特徴付ける黒点、粗ガンマ、及び微調整ガンマ決定の際に使用してもよい。
【0077】
横の行に対する代替案として、ウェブ・ページ全体にわたって並行して配置される縦の列に要素を配置してもよい。また別の代替案として、各行または列は、数個の要素の代わりに、1つまたは少数の要素だけを含んでもよい。任意の各行中の要素の数が多いと、隣接する行中の要素間の差をユーザが分析する助けとなることもある。
【0078】
参照番号78によって示されるように、ウェブ・ページは、ディスプレイ装置の輝度とコントラストとを最大にするようユーザに指示してもよい。要素の行(または列)は一列に配置してもよい。各行中の要素は好適には同じ暗度または明度を示す。しかし、その一列の各行中の要素は、他の隣接する行中の要素に対して相対暗度または明度が異なっている。例えば、最も暗い行の要素を最下部に配置し、行に含まれる要素が上に向かって徐々に明るい陰になるようにしてもよい。参照番号80によって示されるように、ウェブ・ページは、最も暗い行の要素がほとんど見えなくなるまで輝度を下げるようユーザに指示する。この時点で、ユーザは「次へ」または何らかの同様のハイパーテキスト・アイコンを選択し、カラー・プロファイリィング処理における次のステップ、例えば、赤、青、及び緑各チャネル個別の黒点決定に進んでもよい。
【0079】
図6は、図5に示されるカラー・プロファイリィング処理におけるディスプレイ装置調整で使用されるウェブ・ページ122を例示する。暗色要素の行124が表示され、各行中の要素は同じグレイ・レベル値を有しているが、隣接行中の要素とはグレイ・レベル値が異なっている。一例として、(図6の例で数字で示される)暗色要素の行124は、8、16、24、及び32といったグレイ・レベル値でユーザに提示してもよい。別言すれば、「0」、「1」、「2」及び「3」の行は、それぞれ8、16、24及び32のグレイ・レベルを有してもよい。暗灰色要素の行が表示されると、ユーザは、ディスプレイ装置が備えているアナログまたはデジタル制御装置を使用して、ディスプレイ装置の輝度とコントラストとを最大に設定するよう指示される。次にユーザはさらに、最暗色(最低グレイ・レベル値)要素を有する行がほとんど見えなくなるまでディスプレイ装置の輝度を下げるよう指示され、完了したら「次へ」をクリックする。ディスプレイ装置調整のこの任意選択のステップは、以下説明されるように各カラー・チャネルについて黒点決定を実行するようモニタを準備するためのものである。
【0080】
各カラー・チャネルについて黒点決定処理を実行するため、各カラー・チャネルについてのいくつかの行(または列)の暗色要素を連続ウェブ・ページ上に表示してもよい。特別に、チャネル固有黒点決定のための赤チャネル、青チャネル、及び緑チャネルのウェブ・ページを任意の順序でクライアントに供給してもよい。各々の場合、ディスプレイ装置調整のために供給された、図6のウェブ・ページ122のような、ある色チャネルについての暗色要素を相対明度または暗度の昇順または降順で行中に配置してもよい。そうした行は一連のグレイ・レベル階調を提供する。
【0081】
例えば、赤チャネル黒点決定ウェブ・ページの最下部行は、そのウェブ・ページ上に示される要素のうち赤の最も暗い陰(最低グレイ値)を帯びた要素を有する「0」の行でもよい。ウェブ・ページ122の場合、行または列中の要素の配置は例示のためのものである。実施形態によっては、(要素の行ではなく)一連の個別要素を表示するだけで十分なこともある。
【0082】
ユーザにほとんど見えない最暗色要素の行はディスプレイ装置のそれぞれのチャネルについての黒点に依存することになる。要素の行は黒、すなわち、RGB=0の背景の上に表示される。ディスプレイ装置によっては、ユーザは8、16、またはそれより高い輝度レベルの要素が見られないこともある。ユーザは、ディスプレイ装置上でほとんど見えない要素の行を選択するよう指示される。このステップは、黒点、すなわち、それ以上カラー・チャネル値が低下しても、そのカラー・チャネルについてディスプレイ装置が放出する光が減少しない視覚的な「カットオフ」点を決定する。代替案として、あるカラー・チャネルについて、最も見えない要素の行が見えなくなるようにした後、残りのほとんど見えないバーをクリックするようユーザを促してもよい。どちらの場合でも、黒点が推定できる。
【0083】
図7は、図5に示されるカラー・プロファイリィング処理における黒点推定で使用されるウェブ・ページ128を例示する。ウェブ・ページ128は図6のウェブ・ページ122とほぼ同様のものでよい。例えば、ウェブ・ページ128は陰になった要素の行130を含んでもよい。ここでも、アプリケーションによっては、要素の列または一連の要素を表示するだけで十分なこともある。図7に示されるように、ウェブ・ページ128は、ディスプレイ装置上でほとんど見えない要素の行を選択するようユーザに指示する。ウェブ・ページ122の場合と同様、ウェブ・ページ128中の行130は、例えば、それぞれ8,16、24、及び32の輝度レベルを有する「0」、「1」、「2」及び「3」の行として配置してもよい。図7中のウェブ・ページ128は赤チャネル黒点決定のためのウェブ・ページを表し、黒の背景の上に置かれた赤チャネルの行を含む。
【0084】
赤チャネルについてほとんど見えない行を選択すると、例えば、行中の任意の要素をクリックすると、ユーザは自動的に、緑チャネル黒点を決定する目的で、黒の背景の上に置かれた緑要素の行を含むほぼ同一のウェブ・ページを供給される。この方法で、ユーザは黒の背景に最も一致して見える、または調和する可視の行または要素を選択する。ほとんど見えない緑の要素の行の選択に続いて、青チャネル黒点決定のためのほぼ同一のウェブ・ページがユーザに供給され、ユーザは同様の選択を行う。すなわち、各カラー・チャネルについての黒点決定を管理する連続ウェブ・ページは、前のチャネルについての行の選択に続いて自動的に供給すればよい。また、「次へ」アイコンまたは同様の装置をクリックするようユーザを促してもよい。もちろん、要素の選択に続いて連続ウェブ・ページを自動的に供給することは、処理中に含まれるクリックの合計数を減らすために望ましいといえる。
【0085】
上記の方法で、ユーザは各カラー・チャネルについてほとんど見えない要素の行を選択し、それによって各カラー・チャネルについての黒点の表示を提供する。図5はさらに処理を例示する。特に、図5は、暗赤色要素または記号の行の表示(82)と、ほとんど見えない行の選択(84)とを示し、さらに選択された行に基づく赤チャネルについての推定黒点の計算(86)を例示する。同様に、緑チャネルについて、暗緑色記号の行が表示され(88)、それにほとんど見えない行の選択(90)と、選択された行に基づく緑チャネルについての推定黒点の計算(92)とが続く。最後に、青チャネルについて、暗青色記号の行が表示され(94)、それにほとんど見えない行の選択(96)と、選択された行に基づく青チャネルについての推定黒点の計算(98)とが続く。
【0086】
各連続ウェブ・ページ上に表示されたほとんど見えない要素の行の選択に続いて、クライアント装置14a−14nはその結果をカラー・プロファイル・サーバ18に送信する。代替的に、最後のカラー・チャネルについての黒点決定を完了した後、全てのカラー・チャネルについての結果を同時に送信してもよい。その後、カラー・プロファイル・サーバ18は、参照番号86、92、98によって示されているように、各チャネルについての推定黒点を計算するか、または、例えばカラー画像サーバ16によって後で計算するため、パラメータをそのまま格納してもよい。
【0087】
ディスプレイ装置挙動の完全な記述は、RGBをXYZに関連付ける次の数式によって表すことができる。
【0088】
【数1】
Figure 2004530147
【0089】
ここで、変数dr、dg、及びdbは1.0に正規化されるデジタル入力値である。赤、緑、青チャネルについて、パラメータk0,r、k0,g、及びk0,bは黒点であり、パラメータγr、γg、及びγbはガンマである。
【0090】
パラメータk0,r、k0,g、及びk0,bの値は次のように決定する。(個々のモニタの特性に関わらず)赤チャネルについて、人間の目で検出できる、XYZの値の最小可視集合が存在すると想定し、それをベクトル(Xt,r,Yt,r,Zt,r)と呼ぶ。このベクトルは上記の数式中のRの値に対応する固有の値を有し、それをRtと呼ぶ。特定のγr及びk0,rの値を有する個々のモニタについて、Rtに関連する固有の装置値が存在し、それをdt,rと呼ぶ。
【0091】
【数2】
Figure 2004530147
【0092】
この装置値dt,rは、説明されたようなカラー・プロファイル測定手順を通じて、すなわち、赤についての黒点決定ウェブ・ページ中の最も暗いほとんど見えない要素の行を選択することで、ユーザによって決定される。Rtの値は経験的に決定する。例えば、k0,r=0.0及びγr=2.2の暗室中の較正されたディスプレイ・システムについて、dt,r=8/255グレイ・レベルで赤のパッチが見えるとすれば、Rt=(8・255)2.2ということである。
【0093】
0,rの正確な値は、2つの連立方程式、すなわち、上記のRtについての数式と、以下説明されるR.33についての数式とを解くことによって計算すればよい。また、2.2のγを想定することによって、k0,rについて妥当な推定を行ってもよい。この推定を行う場合、k0,rの値は次式のように推定すればよい。
【0094】
【数3】
Figure 2004530147
【0095】
同様の方法で、k0,g及びk0,bの値を決定すればよい。
【0096】
図8は、図5に示されるカラー・プロファイリィング処理におけるガンマ及びグレイ・バランス決定を例示する流れ図である。粗ガンマを決定するため、参照番号100によって示されるように、カラー・プロファイル・サーバ18によって供給されるウェブ・ページの1つは、ディザ緑背景(dithered green background)の上に、ある範囲の緑要素を表示する。粗ガンマ決定ウェブ・ページは、最後の黒点決定ウェブ・ページ中の要素の行の選択の直後に自動的に供給するか、または「次へ」アイコンまたは同様の装置の選択に応答して供給すればよい。
【0097】
1つの実施形態では、粗ガンマ決定は緑カラー・チャネルだけに制限されている。特別に、粗ガンマ決定は、緑のディザ背景の上の一連の緑要素を使用してなされる。赤、緑、及び青の中で、緑は最も支配的で強い蛍光体であり、最もコントラストが強い。また、緑は最も高いL*を有する。また、注意されたいが、緑は目の明所V(λ)応答に最も一致する。粗ガンマ決定に対するこのアプローチは緑カラー・チャネルだけを考慮し、本質的に赤及び緑を無視している。この方法で、粗ガンマ測定は最も支配的なカラー・チャネルに集中し、多くのディスプレイ装置で非常に一般的な、赤と青の不均衡を起こしうる誤差を回避している。すなわち、粗ガンマ決定のために表示される要素は、異なった暗度または明度値を有する緑パッチでよい。また、全てのカラー・チャネルについて、総合粗ガンマを決定してもよい。
【0098】
緑パッチを表示すると、図8の参照番号102によって示されるように、ユーザは、ディザ背景と最も調和して見えるパッチを選択するよう指示される。緑パッチがディザ背景と「調和する」というのは、背景のレベルに一致して見えるということである。緑のディザ背景の上に表示されたある範囲の緑パッチの例が図9によって示され、参照番号132によって示される。この範囲の緑パッチと緑のディザ背景とを、カラー・プロファイル・サーバ18が供給するウェブ・ページ中で表示すればよい。ここでもポインティング装置でクリックすることによって選択された緑パッチに基づいて、図8の参照番号104によって示されるように、カラー・プロファイル・サーバ18は粗ガンマを計算する。ディザ緑背景の上の緑パッチの集合から1つの緑パッチを選択することを通じて、このステップで決定される粗ガンマをR、G、及びBの平均ガンマの推定値として使用すればよい。ディザ緑背景は約25%〜50%に設定してもよい。ディザ付き背景が約33%に近づくとディスプレイ装置の黒から緑の遷移の実際の中間点にさらに近づき、通常のディスプレイ装置にとって好適なこともある。
【0099】
適当な頻度で黒と緑とを交替させることによって、25%、33%、または50%の緑背景を生成すればよい。CRTの場合、装置のビデオ帯域幅のため、ある水平線中の全てのピクセルを点滅させる方が、個々のピクセルを変調して垂直線を形成するより、ディスプレイ装置毎の出力が予測できるようになる。平面パネル装置の場合、これはそれほど問題にならない。しかし、CRTと平面パネル装置との両方を使用するクライアントに対応するため、交互水平線を使用してディザ付き背景を生成することが好適である。
【0100】
大部分のモニタは1.6〜2.5の範囲内にあるので、範囲132のパッチの中の中央パッチは、2.0の平均ガンマに基づいたものでよい。中央パッチを取り囲む他の緑パッチは、相互間8グレイ・レベルといった比較的大きなステップで順に進んでもよい。粗ガンマは次式を使用して推定すればよい。
【0101】
【数4】
Figure 2004530147
【0102】
ここで、d.33,gは、背景と最も調和して見える選択されたパッチの(1.0に正規化される)グレイ・レベル値であり、k0,gは前に決定された黒点であり、G.33は(1/3に等しい)緑チャネルの相対強度であり、γgは緑ガンマである。粗ガンマを実際に計算することに対する代替案では、選択されたパッチの緑レベル値をそのまま微ガンマ処理で使用するため転送する。この場合、その値は最終的に廃棄してもよい。
【0103】
粗ガンマ推定を得た後、微ガンマを推定する。微ガンマとはR、G、及びBの平均ガンマの微細化(refine)、すなわち「微調整」された推定値である。微ガンマは、ディザ付き緑背景の上で提示された緑パッチの集合から別の緑パッチを選択することによって決定すればよい。この場合、中央パッチは粗ガンマを決定するためユーザが選択した緑パッチと同一でよい。すなわち、粗ガンマ・ステップは微ガンマ・ステップに「情報提供」する。実際には、選択された粗ガンマ・パッチが微調整ガンマ決定のための開始点の役目を果たすようにしてもよい。詳しく言うと、粗ガンマ決定の際選択された緑パッチを、微ガンマ決定のための中央パッチとして使用してもよい。
【0104】
微ガンマを決定するためのある範囲のパッチを図10で例示し、参照番号134によって示す。この範囲のパッチは、粗ガンマ処理で選択された中央緑パッチを中心にしてより小さいステップで順に配置される。例えば、粗ガンマ設定の際差として使用された8緑レベルと異なり、4緑レベル間隔でパッチを設定してもよい。この方法で、より狭い範囲を使用して粗ガンマ推定を「微調整」するが、その際範囲の中央は粗ガンマ推定から「学習」している。
【0105】
参照番号106によって示されるように、カラー・プロファイル・サーバ18が供給するウェブ・ページは、より狭い範囲の緑パッチの中から粗ガンマ推定で選択された緑パッチを表示する。次に、参照番号108によって示されているように、ユーザは、粗ガンマについて使用されたのと同じディザ付き緑背景と最も調和する緑パッチを選択するよう指示される。参照番号110によって示されるように、選択されたパッチに基づいて、カラー・プロファイル・サーバ18は単一微RGBガンマを計算する。すなわち、微ガンマはRGBチャネルについて推定された総ガンマである。また、上記で言及されたように、微ガンマを計算し、カラー補正を提供する際カラー画像サーバ16a−16bが使用するように、選択されたパッチのRGB値をそのまま格納してもよい。何れにしても、ガンマの微細化された推定は、次式によって計算すればよい。
【0106】
【数5】
Figure 2004530147
【0107】
ここで、d.33,gは、背景と調和する選択されたパッチの(1.0に正規化される)緑レベル値であり、k0,gは前に決定された黒点であり、G.33は(1/3に等しい)緑チャネルの相対強度であり、γgは緑ガンマである。
【0108】
グレイ・バランスを決定するため、カラー・プロファイル・サーバ18は、複数のRGBパッチを供給するウェブ・ページを供給する。RGBパッチは、以前選択された緑の値とほぼ等しいかまたは故意にずらした赤及び青の値と共に、以前の微ガンマ・ステップで選択されたのと同じ緑の値によって生成すればよい。参照番号112によって示されるように、RGBパッチは、以前のステップ(微ガンマ)の緑ディザ付き背景と同じ方法でディザを付けられた灰色の背景の上で表示すればよい。ここでも、このステップは以前のステップから「学習」しており、正確なガンマの探索範囲を絞る助けとなるカスケイドされた一連のカラー・プロファイル測定ステップ(粗ガンマ、微ガンマ及びグレイ・バランス)の一部を形成する。参照番号114によって示されるように、次にユーザは、ディザ付き背景と最も調和して見えるグレイ・パッチを選択するよう指示される。参照番号116によって示されるように、選択されたグレイ・パッチに基づいて、個々のRGBガンマを計算する。注目すべきことだが、総グレイ・バランス決定はユーザのポインティング装置を1回クリックすることで行うことができる。
【0109】
すなわち、微ガンマ処理で選択された緑強度値を使用して、ガンマ推定から導出された中央グレイ・パッチの値付近の赤及び青において+/−(プラス/マイナス)差または「ずれ(shift)」を示すグレイ・パッチを生成する。例えば、微ガンマ処理で選択された値の緑を、ほぼ同一の値の赤及び青と共に範囲の中央に表示すればよい。次に、赤及び青についてのガンマをグレイ・バランス決定によって微調整するが、これはディスプレイ装置の赤−青不均衡を識別する助けとなる。すなわち、緑ガンマはグレイ・バランス・ステップで「固定」され、赤と青の不均衡が決定される。別言すれば、グレイ・バランス配列中の全てのパッチは、同じ緑の値を有しているが、異なった階調の赤及び青によって変調されている。このステップは緑という1つの変化軸を除去しているが、赤と緑または青と緑の間に不均衡がある場合の識別を可能にしている。このため選択の範囲が微調整された範囲に制限されるので、ユーザがさらに正確な選択を行う際の助けとなる。
【0110】
グレイ・バランス決定用パッチの範囲は、微ガンマ処理に由来するガンマ推定によって形成された中央グレイ・パッチの周囲に配置された赤と青にシフトされたパッチを含むパッチの二次元配列でもよい。他の実施形態では、赤チャネルを使用して初期RGBガンマ推定を決定し、それに続いて、緑及び赤または青及び赤の間の不均衡を分析するグレイ・バランス決定を行ってもよい。
【0111】
図11は、グレイ・バランス決定で使用される5×5行列に配置されたグレイ・パッチの二次元配列136の例を示す。各パッチは青軸、赤軸、またはそれらの両方に沿った中央グレイ・パッチからのずれを示すが、好適には緑方向のずれはない。ユーザは、ディザ付き背景と最も調和して見えるパッチを選択するが、この背景は33%ディザ付き背景でもよい。中央パッチを任意選択で強調し、好適なデフォルト選択肢であることを示してもよい。
【0112】
パッチの数と、各パッチのRGBの正確な値とは全く柔軟に考えてよい。例えば、図11の画像の場合、蛍光体、平均ガンマ、及び黒点に基づいてディスプレイについて推定されるプロファイルによって示される同一の値L*を有するように、全てのパッチを選択してもよい。中央に隣接するパッチは、上記のパラメータから構成されたマトリックスTRC(調子再現曲線)プロファイルから推定されるa*及びb*についての+/−3ΔEの全ての順列だけ異なってもよい。
【0113】
格子配列の外周付近のパッチは、R及びBにおいて+/−6ΔEだけ中心から異なってもよい。また、簡単にするため、R及びBが+/−5グレイ・レベル及び+/−10グレイ・レベルといった一定の量だけ変化することにしてもよい。好適には、全てのパッチはほぼ一定のL*のカラー空間の全ての方向で、中央パッチからのわずかな偏差である。この試験は、R、G、及びBのガンマに大幅な差が存在し、ひいてはRとBとの間に大幅な不均衡があるかどうかを鋭敏に決定する助けとなる。
【0114】
図11に示されるパッチの二次元フォーマットはユーザが正しいパッチを選択する助けとなることもある。カラー・プロファイリィング処理の前のステップ、すなわち微調整ガンマに由来するパッチは、この実施形態では中央に配置される。隣接するパッチのグレイ・レベルは、配列が外側に向かって延びるにつれて異なるので、配列の外周は、中央パッチから離れた2つの階調を含む。経験上、このアレイは視覚的な「ファンネル(funnel)」効果を生じ、背景と一致する開始点として中央パッチの方向にユーザを向かわせる傾向がある。二次元配列におけるパッチ間の差は、パッチの一次元の帯の場合より明瞭で劇的である。配列が外側に向かって延びるにつれて、ずれは大きくなる。すなわち、階調は顕著であり、そのことは適当なパッチを選択する際ユーザの助けとなるが、適当なパッチは、多くの場合、カラー・プロファイリィング処理の以前のステップで選択された中央パッチである。
【0115】
ユーザが中央パッチを選択する場合、R、G及びBチャネルについて単一のガンマ値を使用する。他のパッチの1つが選択される場合、次式に基づいて3つの別個のガンマを計算する。
【0116】
【数6】
Figure 2004530147
【0117】
ここで、γ及びd.33の添え字は、R及びBチャネルについての固有の値を示す。各チャネルについてのd.33の値は、このグレイ・バランス・ステップで選択された特定のパッチのRGBの値によって与えられる。これらの数式は周知であり、国際カラー・コンソーシアム(International Color Consortium、ICC)仕様においてマトリックスTRC形式と呼ばれる数式を使用して、クライアントのディスプレイ装置について正確なプロファイルを生成する蛍光値の集合と組み合わされる。ここでも、カラー・プロファイル・サーバ18または、カラー画像サーバ16a−16nに関連するカラー補正モジュールによって計算を行えばよい。
【0118】
好適な実施形態では、アプリケーション、アプレット、または他のクライアント側スクリプトをクライアント側にロードする必要がないため、粗ガンマ、微ガンマ及びグレイ・バランス決定ステップでパッチを選択するこの処理は有利である。その代わり、ユーザは単にウェブ・ページ中に表示されたパッチの1つを選択するだけでよい。しかし、他の実施形態では、アプリケーション、アプレット、またはクライアント側スクリプトを使用する場合、円滑なスライダ・バー、+/−矢印等を使用して、ディザ付き背景と比較するため1つのパッチの色を実時間で調整することが考えられる。この方法で、ユーザは、パッチの有限の集合から最も一致するものを選択するのではなく、1つのパッチを正確に一致させる能力を有する。また、この実時間調整の技術は、カラー較正及び特性決定への非ネットワーク・アプローチの場合も有用なことがある。この場合、黒点、ガンマ、及び/またはグレイ・バランスについて、ユーザが選択するパッチまたは要素は、スライダまたは他の調整媒体が色をユーザにとって視覚的に許容可能なレベル、すなわちパッチがディザ付き背景と一致して見える点に調整したという条件の単一の調整可能なパッチでもよい。
【0119】
黒点、粗ガンマ、微調整ガンマ、及びグレイ・バランス処理に基づいて、参照番号118によって示されるように、そのディスプレイ装置についてのカラー・プロファイルを生成する。カラー・プロファイルが生成されると、参照番号120によって示されるように、カラー・プロファイラ・クッキーが作成される。カラー・プロファイルを表す情報を将来使用するためカラー・プロファイラ・クッキーに追加する。特に、その情報を使用して、個々のクライアント14a−14nと、個々の加入者22a−22nと、カラー画像サーバ16a−16nとの間の将来の対話のため加入者クッキーを作成すればよい。カラー・プロファイルはネットワーク中でディスプレイ装置を特徴付けるため特に有用であるが、非ネットワーク・アプリケーションでも有用なことがある。特に、本出願で説明されるカラー・プロファイリィング処理は、ネットワーク上ではなく、装置がローカルで生成または獲得するコンテントを訂正するため個々のディスプレイ装置をキャリブレーション及び特徴付ける際すぐに用途を見出せる。
【0120】
有利な点として、クライアント14a−14nは、そのディスプレイ装置に関する情報を提供する必要はない。sRGB、アップル・マッキントッシュRGB(Apple Macintosh RGB)等といった公開標準に基づく蛍光値の平均集合を使用して、十分に満足すべき結果を生じることができる。望ましい場合、特に蛍光値と白点の問題に取り組むため、さらなるステップを追加してもよい。カラー・プロファイリィング処理は単に、クライアント14a−14nに関連するディスプレイ装置のカラー応答を特徴付ける情報をカラー画像サーバ16a−16nに伝えるコンテナ及び伝達手段の役目を果たすクッキーを生成する。また、色度情報及び白点は、場合によっては、VESAのような通信プロトコルを利用するディスプレイ、またはコンピュータのオペレーティング・システムから得てもよい。現在の技術では、RGB黒点及びガンマをハードウェア・レベルで完璧に維持することは、高価な電子回路を用いても難しいので、本発明の有用性は今後も継続する。
【0121】
普通は、個々のドメインに見える全てのクッキーを、クライアント14a−14nが実行するブラウザ・アプリケーションからの各要求に添付する。この理由で、通常のブラウザは、各ドメインを最大20クッキーまでに制限している。特定の加入者22a−22nのためにクッキーの割り当てを消費するのを避けるため、特定の加入者22a−22nのための全てのカラー補正情報は好適には1つのプロファイラ・クッキーと1つの加入者クッキーとにパックする。例えば、いくつかの項目を、その場合に応じて、加入者クッキーまたはプロファイラ・クッキーの値列にパックすればよい。すなわち、各クッキーはR、G、及びBのガンマ値を含むことになる。各ガンマ値は、1.0〜約3.0の値でよい。さらに、クッキーは、例えば、0〜+1000.0の値で表される黒及び白の色度値を含んでもよい。
【0122】
クッキーの例は、その値列にパックされ、各々セパレータによって仕切られた、以下の項目を有してもよい。
【0123】
(1)クッキー・フォーマット・バージョン・コード−数字コード、例えば1〜3バイト、プラスセパレータ。
【0124】
(2)クッキー導入期日−普通のクッキー方式タイムスタンプ(1970年1月1日グリニッジ標準時午前0時以後の経過ミリ秒)、例えば12〜13バイト、プラスセパレータ。
【0125】
(3)カラー補正順序によって生成される時に当該カラー情報に割り当てられる固有のプロファイラID、長い整数、例えば4バイト、プラスセパレータ(但し、もっと長いこともある)。
【0126】
(4)R、G、Bについてのガンマ及び黒点値−各々1.0〜約3.0の浮動小数点値を表すテキストであり、4つの10進数を保持する。小数点を含んでもよい。すなわち、ガンマ値は各々5または6バイト、プラスセパレータを占めることがあり、全体で3倍になる。また、R、G、及びBについて選択された色調値を表示して、後でクッキーをサーバにアップロードした際にガンマ及び黒点値を計算できるようにしてもよい。
【0127】
(5)黒と白の色度−各々0〜+1000.0の浮動小数点値を表すテキストであり、4つの有効数字を保持する。すなわち、これは各々6または7バイト、プラスセパレータを占めることがあり、全体で2倍になる。
【0128】
(6)カラー毎のビット数−2つの10進数、2バイト、プラスセパレータ。
【0129】
(7)ディスプレイ装置IDコード−ほぼ10バイト、プラスセパレータの英数字コード。
【0130】
(8)クッキー・データ・チェックサム−長い整数、4バイト。
上記で説明されたクッキーの例は68バイト、プラス10セパレータを有する。セパレータ記号は値列を「エスケープ」する必要がないように選択すればよく、脱字記号(^)が使用されることが多い。すなわち、値列の通常のサイズは約80バイトとなる。
【0131】
図12は、図1及び図2に示されるシステムにおいてクライアント14a−14nに送信されるカラー画像184の例である。図12に示されるように、画像184は、クライアント14a−14nに関連するディスプレイ装置の画面182上に提示すればよい。「ABC社」といった個々の加入者22a−22nに関連するカラー画像サーバ16a−16nは要求に応じて画像184をクライアント14a−14nに配信する。例示の目的で、画像184には、加入者22a−22nと、表示される個々の品目とを示す説明文186を添付してもよい。また、参照番号188によって示されるように、画像184にアイコン、ボタン等を添付して、カラー画像サーバ16a−16nによるカラー補正が適用されているかどうかを示すようにしてもよい。図12の例では、例えば、加入者クッキーがその特定の加入者22a−22nについて生成されていないといった理由で、カラー補正は適用されていない。参照番号190によって示されるように、別のアイコン、ボタン等を表示して、ディスプレイ装置のプロファイル測定を行うようユーザを促してもよい。
【0132】
要素188及び190は、以前に論じられたように一体化してもよく、カラー補正が適用されたことを示す特定の配色といった外観を呈してもよい。どちらの場合でも、要素190は、カラー・プロファイル・サーバ18に関連するURLへのハイパーテキスト・リンクを提供する。すなわち、ユーザが要素190をクリックすると、カラー・プロファイル・サーバ18から、カラー・プロファイリィング処理を開始するためのページが要求される。しかし、プロファイラ・クッキーがすでに存在する場合、クライアント14a−14nはそれをカラー・プロファイル・サーバ18に送信する。この場合、カラー・プロファイリィング処理を繰り返す必要はない。その代わり、カラー・プロファイル・サーバ18は当該加入者22a−22nについて加入者クッキーを作成し、以前説明されたように、ユーザの介入なしに直接か、またはユーザの承認を伴って間接的に、関連するカラー画像サーバ16a−16nに転送する。
【0133】
図13は、図1及び図2に示されるシステムにおけるカラー補正情報の送信を例示する構成図である。すなわち、図13は、個々のクライアント196がアクセスした特定の加入者22a−22nに関連するカラー画像サーバ194、198について加入者クッキーがすでに作成されている状況を例示する。この場合、加入者サーバ12a−12nからのウェブ・ページにアクセスして、クライアント196はカラー画像サーバ194からの画像を要求する。他の加入者22a−22nからの画像を要求する場合、クライアント196はカラー画像サーバ198からの画像を要求する。カラー画像サーバ194は、カラー補正モジュール200と、カラー画像のアーカイブ202とを組み込んでいる。同様に、カラー画像サーバ198には、カラー補正モジュール204と、カラー画像のアーカイブ206とが含まれる。
【0134】
線208によって示されるように、クライアント196は、画像要求をカラー画像サーバ194に送信する時、カラー・プロファイル・クッキー、すなわち加入者クッキーを一緒に送信する。同様に、線210によって示されるように、クライアント196は、画像を要求する時加入者クッキーをカラー画像サーバ198に送信する。各々の場合、加入者クッキーは、それぞれ画像アーカイブ202、206から供給される画像を修正、すなわちカラー補正する際対応するカラー補正モジュール200、204によって使用されるカラー補正情報を提供するカラー・プロファイルを含む。すなわち、要求を受信すると、カラー画像サーバ194または198は添付された加入者クッキーを処理して内容を抽出し、抽出した内容に基づいてカラー補正モジュール200を制御する。この方法で、参照番号212及び214によって示されるように、クライアント196はカラー補正画像を受信する。
【0135】
ここで、カラー補正モジュールが、加入者クッキー中に含まれるカラー・プロファイルを使用する方法を説明する。図4〜図11に関連する上記の議論は、黒点と、平均ガンマと、グレイ・バランスを考慮してRGBについて平均されたガンマとを説明する簡略化された1次元公式を利用していた。図4〜図11を参照して説明された実施形態では、それぞれのクライアント14a−14nに関連するユーザによって選択された赤、緑、及び青要素に基づいて、各カラー・チャネルについて黒点を推定している。すなわち、カラー・プロファイリィング処理の出力は、黒点RGB値及びガンマ、または個別のRGBガンマである。ここでは、上記で説明された方法でこれらの値が決定されていると想定する。ディスプレイ装置挙動の完全な記述は、RGB−>XYZに関連する次の等式によって表すことができる。
【0136】
【数7】
Figure 2004530147
【0137】
ここで、変数dr、dg、及びdbは1.0に正規化されるデジタル入力値である。パラメータk0,r、k0,g、及びk0,bは赤、緑、青チャネルについての黒点であり、パラメータγr、γg、及びγbは赤、緑、青チャネルについてのガンマである。すなわち、それぞれのディスプレイ装置についての加入者クッキー中に含まれるガンマおよび黒点情報を上記の数式で使用して、実際に、目的装置プロファイルを生じればよい。目的装置プロファイルを、要求された画像について以前に計算されたソース・プロファイルと共に使用して、ディスプレイ装置上にキャリブレイトされた出力を生じるのに十分な画像データの変換を行えばよい。
【0138】
上記のアプローチは、バーンズ(Berns)著、「CRT測色。第1部:理論と実際」における数式21のような、ディスプレイ装置を特徴付ける他の試みとは異なっている。多くの特性決定では、黒点ではなく黒オフセットを記述する「k」パラメータを使用している。黒オフセットとは、RGB=0の場合ディスプレイから測定または知覚される非ゼロ強度を指す。発明者の経験では、本発明の実施形態によるカラー・プロファイリィング処理で使用されるコントラスト/輝度調整手順はこの現象の影響を最小化する。しかし、コントラスト/輝度調整の後でも、黒点がゼロでないことは大いにありうるので、それを考慮することは必要である。
【0139】
このプロファイル記述は、このフォーマットで使用してもよく、またICCによって規定されるようなフォーマットに変換してもよい。このフォーマットはマトリックスTRCフォーマットとしても知られ、上記と同様の行列と組み合わされた数式ではなく、R、G、及びBに関する上記の数式についての汎用ルックアップ・テーブルを利用している。例えば、ガンマ、黒点等といった上記の情報を、クライアント14a−14nに関連するコンピュータ上のクッキー中に格納すればよい。また、ユーザが選択したパッチのRGB値である個別データをクッキー中に格納してもよく、それによって、後日同じ入力情報を使用して、改良されたプロファイル技術を使用することもできる。
【0140】
個々の加入者22a−22bについての既存の画像のアーカイブとHTMLコードベースによって本出願で説明されたシステムを実現するため、既存の加入者サーバ12a−12nを修正し、HTMLページ中に示された既存の画像ファイル参照を、カラー補正モジュールを備えた当該カラー画像サーバ16a−16nへの同様の参照と置き換える。例えば、「http://SubscriberName.com/images/ImageName.jpg」という既存の加入者画像ファイル参照を、「http://correction.SubscriberName.com/images/ImageName.jpg」といった参照と置き換えればよい。HTML中のこのように修正された参照は次に、カラー画像サーバ16a−16nに対して要求された画像を供給するよう指令を出す。カラー画像サーバ16a−16nは命令を受信すると、加入者クッキーが存在する場合はそれも受信し、クッキー中に含まれる情報を適用してカラー補正を行う。次に、カラー画像サーバ16a−16nは当該画像ファイルを読み込み、加入者クッキー中に格納されたディスプレイ・パラメータを利用して固有のディスプレイ・プロファイルを作成し、クライアントのブラウザに送信する前に画像をソースから目的画像に変換する。
【0141】
加入者サーバ12a−12n上に格納される全ての画像は、加入者カラー画像サーバ16a−16n上に存在する同じ名前の対応するコピー・ファイルを有してもよい。カラー画像サーバ16a−16nはこの画像ファイルのデータベースにアクセスして、クライアント14a−14nに送信されたHTMLページが参照する画像を読み込み、変換、及び送信してもよい。1つの実施形態では、カラー画像サーバ16a−16nはカラー・マネージメントのごく簡単で迅速な技術を使用してもよい。特に、カラー画像サーバ16a−16n上の全ての画像は好適には所定のRGBカラー空間を有する。このことは通常、元の画像が、スキャナ、デジタルカメラ等といった対応するソース装置のカラー空間から、加入者22a−22nによって決定される標準カラー空間に変換されることを意味する。標準RGBカラー空間の良好な例はカラーマッチRGB(ColorMatch RGB)であるが、これは「仮想ディスプレイ」についてD50の色温度を有する。アドビRGB(Adobe RGB)のような他のカラー空間は優秀なガマット(gamut)を有するが、D65の色温度を有する。クライアント14a−14nに送信されたHTMLページ上の画像を、「correction.SubscriberName.com/images/ImageName.jpg」といった加入者サーバ12a−12nに関連するカラー画像サーバ16a−16nを介して参照すると、カラー画像サーバ16a−16nは対応する画像にアクセスし、画像を宛先クライアントに送信する前にRGBデータを実時間で変換する。変換は下記の計算によって行えばよい。
【0142】
【数8】
Figure 2004530147
【0143】
注意されたいが、処理速度を増大するため、上記の行列を1つの行列に連結してもよい。
【0144】
図14は、コンピュータ・ネットワークにおけるカラー画像表示精度を改善するシステム214の代替アーキテクチャを例示する構成図である。システム214は、加入者に関する全ての画像が中央カラー画像サーバ16に格納される点以外は、図2に示されるシステムにほぼ一致する。カラー・プロファイル測定サーバ18は、図14の実施形態ではカラー画像サーバ16中に存在するか、またはそれと一体化してもよい。この場合、カラー・プロファイル測定サーバ18は、上記で説明されたカラー・プロファイリィング処理を案内するウェブ・ページを提供する。カラー画像サーバ16またはカラー・プロファイル・サーバ18は、クライアント14a−14nに関連する個々のカラー・プロファイルを格納するデータベース・サーバを含んでもよい。クライアント14a−14nは、加入者サーバ12a−12nの1つによって送信されるコード中でタグを付けられた画像を要求する時、中央カラー画像サーバ16に向かう。カラー画像サーバ16はクライアントから送信されたクライアントIDを使用して適当なカラー・プロファイルを検索し、それを適用した上で、カラー補正について本出願で説明された技術を使用して要求されたカラー画像を修正してもよい。この方法で、カラー画像サーバは、クライアント14a−14nとカラー画像サーバとの間でクッキーを転送する必要なくカラー補正された画像を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】コンピュータ・ネットワークにおけるカラー画像表示精度を改善するシステムの構成図である。
【図2】図1に示されるシステムを組み込んだウェブベース環境の構成図である。
【図3】コンピュータ・ネットワークにおけるカラー画像表示精度を改善する方法を例示する流れ図である。
【図4】ディスプレイ装置についてのカラー・プロファイリィング処理を例示する流れ図である。
【図5】図4に示されるカラー・プロファイリィング処理における多チャネル黒点決定を例示する流れ図である。
【図6】黒点決定前のカラー・ディスプレイのアナログ調整用のウェブ・ページの図である。
【図7】特定の色チャネルについての黒点決定用のウェブ・ページの図である。
【図8】図4に示されるカラー・プロファイリィング処理におけるガンマ及びグレイ・バランス決定を例示する流れ図である。
【図9】図4に示されるカラー・プロファイリィング処理において粗ガンマを決定する際使用されるグレイ要素の範囲を例示する。
【図10】図4に示されるカラー・プロファイリィング処理において微ガンマを決定する際使用されるグレイ要素の範囲を例示する。
【図11】図4に示されるカラー・プロファイリィング処理においてグレイ・バランスを決定する際使用されるグレイ要素の範囲を例示する。
【図12】図1及び図2に示されるシステムにおいてクライアントに送信されるカラー画像の例を示す。
【図13】図1及び図2に示されるシステムにおけるカラー補正情報の送信を例示する構成図である。
【図14】コンピュータ・ネットワークにおけるカラー画像表示精度を改善するシステムの代替アーキテクチャを例示する構成図である。

Claims (21)

  1. 方法であって、
    黒の背景上で一連の暗色要素を表示し、そこで前記暗色要素の各々が異なったグレイ値及び非矩形形状とを有し、
    ユーザによって選択され、可視であり前記背景に最も一致して見える前記暗色要素の1つに基づいて、ディスプレイ装置のための黒点を推定することを含む方法。
  2. さらに、
    前記推定された黒点に基づいて前記ディスプレイ装置についてカラー画像を修正し、及び
    前記ディスプレイ装置上で表示するため、コンピュータ・ネットワークを介して前記修正されたカラー画像を配信することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ディスプレイ装置が前記コンピュータ・ネットワーク上のクライアントに関連し、前記方法がさらに、
    前記クライアントから前記コンピュータ・ネットワーク上のサーバに、前記推定された黒点を表す情報を送信し、
    前記情報に基づいて前記サーバによって前記カラー画像を修正し、及び
    前記ディスプレイ装置上で表示するため、前記サーバから前記クライアントに前記修正されたカラー画像を配信することを含む、請求項1に記載の方法。
  4. さらに、
    前記情報をウェブ・クッキー中に格納し、
    前記ウェブ・クッキーを前記クライアントから前記サーバに送信し、及び
    前記ウェブ・クッキーのコンテンツに基づいて前記サーバによって前記カラー画像を修正することを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記ディスプレイ装置が前記コンピュータ・ネットワーク上のクライアントに関連し、前記方法がさらに、
    前記推定された黒点に基づいてカラー・プロファイルを生成し、
    前記クライアントから前記コンピュータ・ネットワーク上のサーバに前記カラー・プロファイルを送信し、
    前記カラー・プロファイルに基づいて前記サーバによって前記カラー画像を修正し、及び
    前記ディスプレイ装置上で表示するため、前記サーバから前記クライアントに前記修正されたカラー画像を配信することを含む、請求項1に記載の方法。
  6. さらに、
    前記ディスプレイ装置の各カラー・チャネルについて前記黒の背景上で暗色要素を表示し、
    各カラー・チャネルについて、可視であり前記黒の背景に最も一致して見える前記暗色要素の1つを選択し、及び
    前記選択された暗色要素に基づいて、前記ディスプレイ装置の前記カラー・チャネルについてチャネル固有の黒点を推定することを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記カラー・チャネルが赤、緑、及び青カラー・チャネルである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記ディスプレイ装置が陰極線管モニタまたは平面パネル・ディスプレイである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記非矩形形状が数字または文字を含む、請求項1に記載の方法。
  10. さらに、
    前記ディスプレイ装置についてガンマとグレイ・バランスとを推定し、
    推定された前記黒点と、前記ガンマと、前記グレイ・バランスとに基づいて前記ディスプレイ装置についてカラー・プロファイルを生成し、及び
    前記カラー・プロファイルを使用して前記ディスプレイ装置について前記カラー画像を修正することを含む、請求項1に記載の方法。
  11. コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
    背景上で暗色要素を表示し、そこで前記暗色要素の各々が異なったグレイ値及び非矩形形状とを有し、
    ユーザによって選択され、可視であり前記背景に最も一致して見える前記暗色要素の1つに基づいてディスプレイ装置のための黒点を推定する、
    ことをプロセッサに行わせるプログラム・コードを含むコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  12. 前記コードが、
    前記推定された黒点に基づいて前記ディスプレイ装置についてカラー画像を修正し、
    前記ディスプレイ装置上で表示するため、コンピュータ・ネットワークを介して前記修正されたカラー画像を配信する、
    ことを前記プロセッサに行わせる、請求項11に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  13. 前記ディスプレイ装置が前記コンピュータ・ネットワーク上のクライアントに関連し、前記コードが、
    前記クライアントから前記コンピュータ・ネットワーク上のサーバに、前記推定された黒点を表す情報を送信し、
    前記情報に基づいて前記サーバによって前記カラー画像を修正し、及び
    前記ディスプレイ装置上で表示するため、前記サーバから前記クライアントに前記修正されたカラー画像を配信する、
    ことを前記プロセッサに行わせる、請求項11に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  14. 前記コードが、
    前記情報をウェブ・クッキー中に格納し、
    前記ウェブ・クッキーを前記クライアントから前記サーバに送信し、及び
    前記ウェブ・クッキー・コンテンツに基づいて前記サーバによって前記カラー画像を修正する、
    ことを前記プロセッサに行わせる、請求項13に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  15. 前記ディスプレイ装置が前記コンピュータ・ネットワーク上のクライアントに関連し、前記コードが、
    前記推定された黒点に基づいてカラー・プロファイルを生成し、
    前記カラー・プロファイルに基づいて前記カラー画像を修正し、
    前記クライアントから前記コンピュータ・ネットワーク上のサーバに前記カラー・プロファイルを送信し、
    前記カラー・プロファイルに基づいて前記サーバによって前記カラー画像を修正し、及び
    前記ディスプレイ装置上で表示するため、前記サーバから前記クライアントに前記修正されたカラー画像を配信する、
    ことを前記プロセッサに行わせる、請求項11に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  16. 前記コードが、
    前記ディスプレイ装置の各カラー・チャネルについて前記黒の背景上で暗色要素を表示し、
    各カラー・チャネルについて、可視であり前記黒の背景に最も一致して見える前記暗色要素の1つを選択し、
    前記選択された暗色要素に基づいて、前記ディスプレイ装置の前記カラー・チャネルについてチャネル固有の黒点を推定する、
    ことを前記プロセッサに行わせる、請求項11に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  17. 前記カラー・チャネルが赤、緑、及び青カラー・チャネルである、請求項16に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  18. 前記ディスプレイ装置が陰極線管モニタまたは平面パネル・ディスプレイである、請求項17に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  19. 前記非矩形形状が数字または文字を含む、請求項11に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  20. 前記コードが、
    前記ディスプレイ装置についてガンマとグレイ・バランスとを推定し、
    推定された前記黒点、前記ガンマ及び前記グレイ・バランスに基づいて前記ディスプレイ装置についてカラー・プロファイルを生成し、及び
    前記カラー・プロファイルを使用して前記ディスプレイ装置について前記カラー画像を修正する、
    ことを前記プロセッサに行わせる、請求項11に記載の方法。
  21. システムであって、
    コンピュータ・ネットワーク上に存在し、前記コンピュータ・ネットワーク上に存在する遠隔クライアントにウェブ・ページを送信するウェブ・サーバと、
    前記コンピュータ・ネットワーク上に存在し、前記クライアントに関連するディスプレイ装置上に表示するために、前記ウェブ・ページによって参照されるカラー画像を送信するカラー画像サーバと、
    前記コンピュータ・ネットワーク上に存在し、カラー・プロファイリング処理を通じて前記クライアントを案内して、前記クライアントに関連する前記ディスプレイ装置のカラー応答を特徴付ける情報を得るカラー・プロファイル・サーバと、そこで前記情報が前記ディスプレイ装置のカラー・チャネルについての黒点推定を含み、前記カラー・プロファイリィング処理が、
    黒の背景上で暗色要素を表示し、そこで前記暗色要素の各々が異なったグレイ値及び非矩形形状とを有し、
    可視であり前記黒の背景に最も一致して見える前記暗色要素の1つを選択し、及び
    前記選択された暗色要素に基づいてディスプレイ装置について前記黒点を推定することを含み、
    それぞれのディスプレイ装置上で表示される時前記カラー画像の精度を改善するため、前記情報に基づいて前記カラー画像サーバによって送信される前記カラー画像を補正する1つかそれ以上のカラー補正モジュールとを有するシステム。
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