JP2004530041A - アルミニウムの電解採取用寸法安定陽極のための材料 - Google Patents
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Abstract
以下の式により定義される、アルミナのアルミニウム金属への電解還元における活性陽極表面としての使用に好適な材料:
A1+XB1+ δCdO4
ここでAは、8面体配位の相対的選好を有する2価のカチオンまたはカチオンの混合物である。
Bは、4面体配位の相対的選好を有する3価のカチオンまたはカチオンの混合物であり、
Cは、8面体配位の相対的選好を有する3価のカチオン、または8面体配位の相対的選好を有する4価のカチオンであり、
Oは元素酸素であり:
Cが3価である場合、x=0、0.8<d<1、δ<0.2であり、x+d+dは本質的に1に等しい。Cが4価である場合、0.4<x<0.6、0.4<d<0.6、δ<0.2であり、x+d+δ=1は本質的に1に等しい。
A1+XB1+ δCdO4
ここでAは、8面体配位の相対的選好を有する2価のカチオンまたはカチオンの混合物である。
Bは、4面体配位の相対的選好を有する3価のカチオンまたはカチオンの混合物であり、
Cは、8面体配位の相対的選好を有する3価のカチオン、または8面体配位の相対的選好を有する4価のカチオンであり、
Oは元素酸素であり:
Cが3価である場合、x=0、0.8<d<1、δ<0.2であり、x+d+dは本質的に1に等しい。Cが4価である場合、0.4<x<0.6、0.4<d<0.6、δ<0.2であり、x+d+δ=1は本質的に1に等しい。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ化物含有融解塩浴中に溶解されたアルミナの電気分解用の寸法安定陽極の、活性陽極表面層として作用し得る材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウムは、100年よりも古い Hall-Heroult 法により、氷晶石主体の融解塩浴中に溶解されたアルミナの電気分解により生産されている。この方法では炭素電極が使用され、ここで炭素陽極は、同時にCO2を生産する結果になる電解槽反応に加担している。該陽極の総消費は、生産されるアルミニウムの550kg/トンまでであり、CO2に加えてフッ化炭素化合物のような温室ガスの放出を引き起こす。コストおよび環境的な理由の両方のため、効果的に不活性な材料での炭素陽極の置き換えは、非常に有利であろう。その時は、電解槽は酸素およびアルミニウムを生産するであろう。
【0003】
このような陽極はしかしながら、極端な条件を前提とし、非常に厳しい要求を満たさなくてはならないであろう。該陽極は同時に、高温にて約1バールの酸素圧、酸化物用の溶媒であるように特別に設計された非常に腐食性の融解塩浴、および酸化アルミニウムの高い活性を前提とするであろう。腐食性生産物が、生産されるアルミニウムの品質要求に不利益に影響を及ぼしてはいけないことと同様、陽極の取り替えの間の合理的な時間が達成出来るように、この腐食の割合は充分低くなければならない。第1の基準は、1年につき数mmよりより高くはない腐食割合を意味し、一方第2の基準は、含まれる元素に非常に依存し、最高品質の商業用アルミニウムに対する今日の要求を満たすには、Feに関しての2000ppmと同じ高さから、Snのような元素に関しての僅か数10ppm以下までである。
【0004】
多くの試みが、不活性陽極を開発するためになされてきた。この仕事は、3つの主なアプローチに分けられる;
充分な電子伝導性のためにドープされたセラミック材料、
2つ以上の相のセラミック/金属複合物、または、
金属合金陽極。
【0005】
第1群中の、後に沢山活躍することとなる化合物の多くに焦点が当てられてきたが、Fe3O4、SnO2、Co3O4およびNiOについては Belyaev および Studentsov(Legkie Metal.6, No.3, 17-24(1937))、ならびにZnFe2O4、NiFe2O4については Belyaev (Legkie Metal.7, No.1, 7-20(1938))によるこの関連において、最初に研究された。
【0006】
第1群からの後者の例は、米国特許第4,233,148号(79重量%までのSnO2を有する電極)および第3,718,550号(80重量%よりも多いSnO2を有する電極)において文書化されている、例えばFe2O3、Sb2O3またはMnO2でドープされたSnO2主体の陽極である。生産されたアルミニウム中のSn不純物はしかしながら、非常に低い濃度においてさえ該金属の特性を強力に損ない、それでSnO2主体の陽極を非実用的にしてしまう。
【0007】
さらに、EP0030834A3 においては、ドープされたスピネルが記載され、式MIxMII3-xO4yMIII n+On/2主体の化学的組成物を有し、ここでMIは2価の金属(例えば、Ni、Mg、CuおよびZn)であり、一方MIIは、Ni、Co、MnおよびFe群からの1つ以上の2価/3価の金属であり,そしてMIIIは、4−、3−、2−および1価の金属の大きな群からの1つ以上である。
【0008】
他の例は、米国特許第4,039,401号および米国特許第4,173,518号に記載されているスピネルおよびペロブスカイト(灰チタン石)材料の範囲であるが、しかしながらこれらのいずれもが、アルミニウム電解槽中での使用に実用的であることが分かっていない。これは、部分的には限られた腐食耐性のためであり、部分的には低い電子伝導性のためである。
【0009】
米国特許第4,374,050号および米国特許第4,478,693号においては、可能性のある陽極材料の組成物を記載する一般式が開示されている。該式は、周期表の殆ど全ての元素の酸化物、カーバイド、窒化物、スルフィドおよびフッ化物の全ての組み合わせを実際的に覆い尽くすであろう。この例は、スピネル構造の様々な化学量論量および非化学量論量の酸化物に集中している。恐らくは溶解に対しての限られた安定性および低い電子伝導性のため、これらの内のどれもが、実用的であると分かっていない。米国特許第4,399,008号では、一方が2つの酸化物の化合物であり、他方が成分酸化物の内の1つの純粋な相である、酸化物の2つの相からなる材料が記載されている。
【0010】
陽極材料の低い電子伝導性が問題となってきたので、多くの努力が文書化されており、ここでその狙いは、不活性材料を金属相の織り込まれた基材と組み合わせることである。これは前記の第2群である。一般的な例は、米国特許第4,374,761号および米国特許第4,397,729号である。米国特許第4,374,761号では、前記米国特許第4,374,050号の組成物が、ある範囲の元素からなり得る金属相を有するサーメットのセラミック部分として記載されている。CuまたはNi主体の金属相を有する、スピネルのNiFe2O4主体のサーメット陽極上で行われる広範な動作からの例は、分散金属相を有する電極を作るための生産方法を記載している米国特許第4,871,437号である。米国特許第5,865,980号においては、該金属相は、銅および銀の合金である。これらの材料と共にある明らかな問題は、一部はセラミック相の腐食であり、一部は酸化および引き続いての工程条件下での該金属相の溶解である。
【0011】
第3群は、合金および合金形状に関する多くの特許により例示されている。その利点は、高い電子伝導性および魅力的な機械的特性であるが、しかしながら貴金属以外の何も、動作陽極条件下に、酸化に対して安定ではないであろうということは、全ての金属および金属合金にとって共通である。この問題を解決する異なる道筋が、伴われている。米国特許第5,069,771号は、電解質中に溶解されたフッ化セリウムの酸化により生成され維持されるセリウムオキシフルオリドから作られる保護層のその場での形成を含む方法を開示している。この技術は、セラミックおよびサーメット陽極を伴った使用に関しても、米国特許第4,614,569号において最初に記載されたが、広範な開発作業にも関わらず、商業的適用を見出すには程遠い。1つの問題は、生産される金属がセリウム不純物を含有し、これ故に更なる精製過程段階を要求するであろうということである。
【0012】
米国特許第4,620,905号においては、その場での酸化による保護層を形成するであろう金属陽極が記載されている。同様に、米国特許第5,284,562号は、形成された酸化物が更なる酸化に対して保護的である層を作り出す、銅、ニッケルおよび鉄主体の合金組成物を記載している。国際出願WO00/06800、WO00/06802、WO00/06804、WO00/6805は、非常に似たアプローチの変法を記載している。米国特許第6,083,362号においては、保護層が陽極の表面上でのアルミニウムの酸化により形成され、該層が許容可能な電気伝導性をなお持つに充分薄く、該陽極中のリザーバーからの該金属陽極を通じてのアルミニウムの拡散により補われる陽極が、記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、貴金属以外の金属または金属合金が、動作陽極条件下に酸化するであろうという問題に対する充分に満足な解決を、いずれもが提供していないということは、これら全ての示唆について共通である。形成された酸化物は、電解質中に徐々に溶解し、この溶解の割合は、形成された該酸化物に依存するであろう。いくつかの場合においてこのことは、低い電気伝導性および高い電解槽電圧を結果的にもたらす酸化物層の構築に至り、他の場合においては、陽極のスポーリングおよび過度の腐食を与える。理想的な場合においては、酸化物はそれが溶解されるのと同じ割合にて形成され、該割合は、該陽極の合理的な寿命の間は高過ぎ、生産される金属中の不純物の許容不可能な濃縮を引き起こす。このような系は、例示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
[本発明の目的]
本発明の目的は、実用的な不活性陽極アルミニウム電解槽において、電気化学的に活性な陽極であるために、電解質中における充分に低い溶解性、電解質中におけるアルミナとの反応に対しての安定性、低いイオン伝導性、および充分な電子伝導率を持つ材料を同定することである。
【0015】
[本発明の概要]
本発明は、不活性陽極材料に対する厳しい要求を満たすことの可能な材料に関する更なる探索の結論である。陽極にて850℃よりも高い温度および1バールのO2であると、貴金属以外の全ての元素は、酸化物を形成するであろう。全ての元素および元素の酸化物の特性の系統的な調査は、前記の要求に基づいて、不活性陽極材料は、以下の元素の酸化物からのみ作られ得ると結論付けた:TiO2、Cr2O3、Fe2O3、Mn2O3、CoO、NiO、CuO、ZnO、Al2O3、Ga2O3、ZrO2、SnO2およびHfO2。以下の理由の1つまたは幾つかによる:低い電子伝導性、絶縁性アルミン酸化合物または電解質中における高い溶解性、これらのうちのいずれもが、単一の酸化物としては実用的ではないであろう。
【0016】
これ故に陽極は、要求される特性を提供する化合物からのみで構成され得る。該化合物は、低い溶解性を有する1つの酸化物、および電子伝導性を供給する少なくとももう1つの酸化物を含有するべきで、該化合物は、第2成分の溶解性を充分に限定し、交換反応による絶縁性アルミン酸層の形成を妨げるのに充分安定である。これは、種々の配位における遷移金属の安定性を考慮に入れることにより達成される。
【0017】
組み合わされた評価は、組成Ni1+x(B1+ δCd)O4のスピネル化合物に至り、ここでNiは元素ニッケルであり、Bは4配位の選好を有する3価の元素であり、好ましくはFeである。Cは、Crのような8配位の選好を有する3価カチオンか、TiまたはSnのような8配位の選好を有する4価カチオンである。Oは元素酸素である。Cが4価の場合、0.4<x<0.6、0.4<d<0.6およびδ<0.2およびx+δ+d=1である。Cが3価の場合、xは本質的に0であり、0.8<d<1.2、δ<0.2およびx+d+δ=1である。この化合物は、前に探査された組成物に比較して優れた特性を持つであろう。
【0018】
[発明の詳細な説明]
氷晶石が重要な成分である、本質的にフッ化物主体の電解質中に溶解されたアルミナからのアルミニウムの電解質生産に適した、本質的に不活性な電極としての材料は、ある範囲の非常に厳しい要求を満たさなくてはならない。該材料は、充分な電子伝導性を持ち、酸化に対して抵抗性であり、電解質による腐食攻撃に抵抗性でなくてはならず、これについては、該電解質中での溶解同様、溶解されたアルミナとの陽極材料の反応による腐食性アルミン酸表面層の形成を考えることが出来る。電極が構成され得る元素酸化物の選択は、以下の基準に基づいて実行された:
−工程温度にてガスではないか、または高い蒸気圧を持つ
−氷晶石混合物中において氷晶石またはAlF3により変換されない、つまり、元素フッ化物および酸化アルミニウムを形成する、元素酸化物およびAlF3の間の反応に関する大きな正の値のΔGO(1)。
MOx+2x/3AlF3=MF2x+2x/6Al2O3 (1)
−アルミナにより変換されない、つまり、ナトリウム元素酸化物およびフッ化アルミニウムを形成する、元素酸化物アルミニウム酸化物およびフッ化ナトリウムの間の反応に関する負の値のΔGOではない(2)
MOx+6yNaF+yAl2O3=Na6yMOx+3y+2yAlF3 (2)
【0019】
正常な原子価2を有する元素に関しては、可能な元素はこれ故に、元素Co、Ni、CuおよびZnである。原子価3を有する元素に関しては、元素Cr、Mn、Fe、GaおよびAlしか残されていない。原子価4を有する元素に関しては、元素Ti、Zr、Hf、GeおよびSnしか残されていない。
【0020】
これらの内、3価および4価の元素が、フッ化物主体の電解質中での高い酸化アルミニウム活性では、2価の元素よりもより高い溶解性を持つであろう。2価の元素の酸化物の内、NiOおよびCoOが最も低い溶解性を持ち、腐食抵抗を考えると、最も良い選択であろう。しかしながら、純粋なNiOおよびCoOは、低い電子伝導性を持ち、伝導性を上昇させるであろう酸化リチウムのようなドーパントは、素速く電解質中に溶解し、高い抵抗を有する表面層を残す。純粋なCoOは、陽極条件下におけるスピネルCo3O4の形成を考えると、輪をかけて不安定であり、この化合物は再び徐々に酸化アルミニウムと反応し、x>0の場合Co(AlxCo1-x)2O4を形成し、酸化アルミニウムの活性が高い場合には結局CoAl2O4を形成するであろう。純粋なNiOは、高いアルミナ活性において、非常に低い電子伝導性を有する化合物であるCoAl2O4を形成するであろう。これは、実施例5において、更に例示されている。
【0021】
ZnOが低いアルミナ活性において高過ぎる溶解性を持つ一方、CuOは高過ぎる溶解性を持ち、高いアルミナ活性において絶縁性アルミン酸を形成する。ZnOを用いた試験は、実施例6において例示されている。
【0022】
本発明の本質は、許容可能な電子伝導性を伴って低い溶解性を維持する元素の組み合わせである。同じ価数を有する異なる元素の酸化物の化合物は、差を作るのに充分な安定性を提供しないであろう。これは、要求されている特性を有する結晶性化合物を形成する、異なる価数を有する元素の酸化物の組み合わせを求めるものである。2および3価の酸化物の化合物は、この場合スピネル構造をしている。前記のように、NiFe2O4、CoFe2O4、NiCr2O4およびCoCr2O4のようなスピネルが示唆されており、不活性陽極のための候補としてさらに試験されている。この問題は、溶解性、および低い電子伝導性を有するアルミン酸を形成する酸化アルミニウムとの反応に、主に関連付けられる。これは、実施例3および10において、さらに例示されている。
【0023】
2および3価の元素の酸化物の化合物は、ケイ酸塩として知られるカンラン石主体の構造に加えて、チタン鉄鉱および灰チタン石構造を形成し得る。前に提示された元素の酸化物と共に、チタン鉄鉱構造(NiTiO3、CoTiO3)およびスピネル構造(Zn2SnO4)のみが、関連している。これらの内、NiTiO3が、安定性の観点から最も良いポテンシャルを持っているであろうが、電子伝導性が低過ぎて、不活性陽極材料としてのポテンシャルは提供出来ない。Zn2SnO4は酸化アルミニウムに対して低い安定性に甘んじており、背景技術の議論から推論され得るように、それは恐らく生産される金属中にSnの高い混入を引き起こす。
【0024】
それでも、2および3価のスピネルが改善され得るのかどうかという疑問が残る。スピネル構造は、4面体部位の1/8および8面体部位の1/2を占めるカチオンと共に、酸化物イオンの立方細密格子から構築されている。4面体部位が2価カチオンにより占められ、8面体部位が3価カチオンにより占められる場合、該構造は「正常」スピネルと呼ばれる。他方、8面体部位にあるカチオンの半分が2価で、4面体部位にあるカチオンが3価である場合、該構造は「逆」スピネルと呼ばれる。
【0025】
異なる遷移金属は、d軌道電子の数に依存する配位幾何学に関しての種々の選好を持っているであろうことが知られている(H. J. Emeleus and A. G. Sharpe, "Modern Aspects of Inorganic Chemistry" Routledge & Kegan Paul, London 1978)。A. Navrotsky および O. J. Kleppa による出版物(J. inorg. nucl. Chem. 29(1967)2701 および 30(1968)479)において、スピネルの熱力学に関する効果が議論されている。2価のNiは8面体の位置の選好を有する一方、3価のFeは4面体配位の選好を有することが知られている。これはニッケルフェライトに、本質的に逆のスピネル構造を取らせる。正常スピネルを形成するZn類似体を除いて、問題に挙がっている2価の元素のフェライト全てが、逆スピネル構造を取る。アルミン酸塩は、2価のカチオンは8面体配位の選好を有することに依存する、部分的に逆の構造を形成する。Znが正常スピネルである一方、ニッケルは最も強力な逆スピネルを形成する。クロマイトは、ニッケルクロマイトを除いて全て正常であるが、ニッケルクロマイトは、部分的に逆である。総合すると、問題に挙がっている2価カチオンの間で、8面体配位の選好を有するのは:Ni>Cu>Co>Zn、および3価カチオンに関してはCr>Mn>Al>Ga>Fe。4価カチオンは全て、8面体配位の選好を有するであろう。
【0026】
本発明の本質は、電子伝導性を維持する一方で改善された安定性を有する陽極材料を構成するためにこれを利用することである。
【0027】
それで、最も安定なスピネルは、各成分の配位の選好が満足される、2価、3価および4価の酸化物の組み合わせから構成され得る。NiFe2O4は、述べられたように、最も研究された候補材料の1つである。3価のFeは4面体配位の選好を有する一方、NiOは低い溶解性を持ち、8面体配位の選好を有する。しかしながら、該化合物においてFeは、該化合物を、溶解されたアルミナとの交換反応に対して敏感にする8面体配位中にも見出される。実施例3において例示されているように、これは電子伝導性に、不利益に影響を及ぼすであろう。
【0028】
この安定性は、3価のFeの半分を、8面体配位の強力な選好を有する3価のカチオンで置換することにより改善され得る。これは、化合物ABCO4を示唆するであろう(ここで、Aは8面体配位の選好を有する2価のカチオン、好ましくはNiであり、Bは8面体配位の選好を有する3価のカチオン、好ましくはCrまたはMnであり、Cは4面体配位の選好を有する3価のカチオン、好ましくは3価のイオンとしてのFeであり、Oは酸素である)。実施例2および8においては、BがCrである材料が試験されている。実施例8は、この改善が、反応層の形成を完全に妨げるに充分ではなかったことを示している。
【0029】
もう1つ別の可能性は、前記化合物の近似の化学量論を確保する比で、鉄の半分を、8面体配位の選好を有する2価の金属および4価の金属で置換することである。8面体配位の強力な選好を有する2価のカチオン、および4面体配位の強力な選好を有する3価のカチオン、および4価のカチオンの組み合わせは、化学量論A1+x(B1+ δCd)O4(ここで、AはNi、BはFe、およびCはTiまたはSnである)を示唆するであろう。ZrおよびHfのような元素は大き過ぎて、どのような大きい角度に対しても、その構造に入り込むことが出来ない。実施例1、2および9において、CがTiである化合物が試験され、実施例9は、電気分解の間における反応層を含有するアルミナの形成が避けられたことを示している。
【実施例】
【0030】
[実施例1]
[Ni1.5+2xFeTi0.5+xO4+4xおよびNi1.5+xFe1+2xTi0.5O4+4x材料の電気伝導性測定]
この粉末が、穏やかな化学的手法により調製された。各合成に関しては、適切なNi(NO3)2、Fe(NO3)3、Cr(NO3)3、Al(NO3)3およびTiO5H14C10が、水中でクエン酸と錯体化された。幾つかの場合においては、NiまたはFeが、出発溶液としてHNO3中に溶解された。過剰の水の溜去後、この混合物は熱分解され焼成された。この焼成は、10時間900℃にて正常に実行された。この試料は、一軸方向で約100MPaにて加圧されるか、200MPaにて均一に低温加圧された。焼結温度は、3時間の保持時間で、正常に1300℃〜1500℃の範囲にあった。全ての材料は、XRDにより、スピネル型構造として特徴付けられた。
【0031】
合計の電気伝導性は、空気中で、4点 van der Pauw 直流−測定法により測定された(引用文献:van der Pauw, L. J., Phillips Res. Repts. 13 (1), 1958; および Poulsen, F. N., Buitink, P. および Malmgren-Hansen, B. - Second International Symposium on solid oxide fuel cells, July 2-5, 1995 - Athens)。前記試料は、約25mmの直径および2.5mmより薄い厚さを有する円盤であった。該試料の円周を、白金ペーストの小滴で4回接触させた。焼結後、該試料の密度は、イソプロパノール中でのアルキメデス法を使用して測定された。該密度は、理論量の84〜97%で変動した。合計の電気伝導性は、以下の関係を使用して、空隙率に関して修正された:
σdense=σporous/(1−porosity)2
以下の表は、過剰のNiFe2O4(xNiFe2O4)および過剰の「Ni2TiO4」(xNi2TiO4)(ここで、x=0、0.01、0.02および0.03)を有するNi1.5FeTi0.5O4に関する結果を示す。
【0032】
【表1】
【0033】
この結果は、過剰のNiFe2O4を有する材料、またはx>0であるNi1.5+xFe1+2xTi0.5O4+4xに関する電気伝導性が、化学量論的な材料よりもより高いことを示している。過剰の「Ni2TiO4」を有するNi1.5FeTi0.5O4、またはx>0であるNi1.5+2xFeTi0.5+xO4+4xの材料は、化学量論的な材料よりもより低い電気伝導性を持つ。電気伝導性を最適化するには、僅かに過剰なNiFe2O4を有する材料を作ることが有利である。
【0034】
[実施例2]
[Ni1+xCr2O4、NiFeCrO4およびNi1.5+xFeTi0.5-xO4材料の電気伝導性測定]
以下の組成物からの桿の形をした試料は、全て過剰のNi:NiCr2O4、NiFeCrO4およびNi1.5+xFeTi0.5-xO4を有し、前に実施例1において記載されたように調製された。全ての材料は、XRDによりスピネル型構造として特徴付けられた。この実験では、合計の電気伝導性は、空気中で4点直流−測定により測定された。電流を運ぶ白金から作られた配線は、白金ペーストを用いて桿の末端に接続された。白金配線は、電圧を測定するために、同様にして桿に接続された。この試料は、約28mmの長さ、および4mm x 6mmの横断面面積を有する桿であった。緻密試料に関する合計の電気伝導性は、実施例1において記載されたように計算された。以下の表は、空隙率に関して修正された合計の電気伝導性に関する結果を示す。
【0035】
【表2】
【0036】
この実験は、Ni1.1Cr2O4の合計の電気伝導性が、NiFeCrO4に関してよりもより高いことを示している。x=0.03(Ni1.53FeTi0.47O4)の場合のNi1.5+xFeTi0.5-xO4に関しては、電気伝導性は、NiFeCrO4材料に関してよりもより高かった。
【0037】
[実施例3]
[Ni1.01Fe2O4およびNiFe2-xAlxO4材料の電気伝導性]
この粉末の合成および試料の調製は、実施例1において記載されたものと同様にしてなされた。過剰のNiを有するNiFe2O4は、Feが部分的にAlで置換されている材料と比較される。全ての材料は、XRDによりスピネル型構造として特徴付けられた。合計の電気伝導性は、実施例2において記載されたように測定された。緻密試料に関して修正された値が、以下の表中で報告される。
【0038】
【表3】
【0039】
僅かに過剰のNiを有するNiFe2O4材料(Ni1.01Fe2O4)の合計の電気伝導性が測定され、900℃にて1.93S/cmである。この構造中のAlの量が上昇すると、合計の電気伝導性はかなり下降し、この材料がAlの生産のために電解槽中の陽極として使用された場合、FeのAlでの交換が障害性の効果を持つであろうことを示している。
【0040】
[実施例4]
[Ni1.52FeSn0.48O4材料の電気伝導性]
この粉末の合成および試料の調製は、実施例1において記載されたやり方で行われた。Sn源は、酢酸錫(II)であった。この材料は焼結後、XRDを用いてスピネル型構造として特徴付けられた。合計の電気伝導性は、実施例2において記載されたように測定され、実施例1において記載されたように空隙率に関して修正された。以下の表は、合計の電気伝導性に関する結果を示している。
【0041】
【表4】
【0042】
合計の電気伝導性が測定され、900℃にて1.23S/cmであったが、これは、チタン類似体(実施例2参照)に関してと同じ範囲にある。
【0043】
[実施例5]
[NiO陽極材料を用いてのアルミナの電気分解]
NiOは電子伝導性が低過ぎるので、動作陽極として作動出来ない。25重量%のNiおよび残りのNiOを有するサーメットは、このセラミックを貫通する金属の網目を与え、これにより金属的な伝導性を与えた。Ni源としては、INCO Ni 粉末210型、およびメルク(ダルムシュタット)からのNiOが使用された。この材料は、30分間1400℃にてアルゴン雰囲気中で焼結された。
【0044】
電解槽は、内径80mmおよび高さ150mmを有するアルミナの坩堝で出来ていた。高さ200mmを有する外側のアルミナ容器は安全のために使用され、該電解槽は高アルミナ接合剤から作られた蓋で覆われた。該坩堝の底には、5mmの厚さのTiB2円盤が置かれ、これは液体アルミニウム陰極を水平にし、良く定められた陰極領域を作り出した。該陰極への電気的接続は、酸化を避けるためのアルミナチューブにより支持されたTiB2桿により供給された。白金配線が、該TiB2陰極桿への電気的接続を供給した。Ni配線が、陽極への電気的接続に備えられた。電解質浴上の該Ni配線および該陽極は、酸化を防ぐためのアルミナチューブおよびアルミナ接合剤でマスクされた。
【0045】
電解質は、アルミナ坩堝中へ:
532gのNa3AlF6(グリーンランド氷晶石)
105gのAlF3(Norzink から、約10%のAl2O3を有する)
35gのAl2O3(数時間1200℃にてアニールされた)
21gのCaF2(Fluka p.a.)
の混合物を加えることにより作られた。該アルミナ坩堝の底には、Hydro Aluminium からの純粋な340gのAlが置かれた。
【0046】
該電解質が溶けていく間、陽極は前記蓋の下にぶら下がっていた。電気分解実験開始時に、該陽極が該電解質中へ浸された。温度は970℃であり、実験全体の間安定であった。陽極電流密度は、該陽極の末端横断面面積に基づき750mA/cm2へと設定された。本当の陽極電流密度は、該陽極の横側表面も電解質中へ浸されたので、幾分より低かった。
【0047】
電気分解実験は、8時間継続した。この電気分解の間、電解槽の電圧は上昇し続けた。該電気分解実験後の該陽極のXRD(X線回析)分析は、Ni金属がNiOへと酸化され、陽極材料がNiAl2O4の絶縁層により覆われたことを示した。
【0048】
このセラミックの伝導性を、900℃にて22S/cmへと上昇させるために、Li2Oとして4モル%のLiでNiO相をドープすることは、この電気分解の時間を約30時間へと延長させた。該Liドーパントは徐々に洗い出され、これにより電気伝導性が抑えられた。この実験後、陽極の内部での原子吸光分析では、Liは検出出来なかった。この場合においても、該陽極は絶縁性のNiAl2O4層で覆われた。
【0049】
[実施例6]
[ZnO陽極材料を用いたアルミナの電気分解]
純粋なZnOは電子伝導性が低過ぎ、これ故に0.5モル%のAlO1.5でドープされて、900℃にて250〜300S/cm2の伝導性を与えた。2つのPt配線が、該ZnO陽極の縦軸方向にこの材料中へと加圧され、電気的な導体として作用した。該材料は、1時間1300℃にて焼結された。
【0050】
この電気分解実験は、実施例5に記載されたものと同じ様式で実行された。電解質およびアルミニウムの量は、同じであった。温度は970℃であった。電流密度は、陽極の末端横断面面積に基づき1000mA/cm2へと設定された。この電気分解実験は、24時間継続した。この電気分解実験後の陽極材料のXRD(X線回析)分析は、ZnOが電気分解の間に有孔性ZnAl2O4へと変換されたことを示した。この浸漬されたZnO陽極の内側核には、元からのZnO材料の小片しか残っていなかった。
【0051】
[実施例7]
[Ni1+xCr2O4陽極材料を用いたアルミナの電気分解]
この陽極材料は、実施例1において記載されたように合成および焼結された。この電気分解実験は、実施例5に記載されたものと同じ様式で実行されたが、白金配線が動作陽極への電気的接続を供給した。該陽極への該白金配線は、5mmのアルミナチューブにより保護された。電気分解開始時に、該陽極は電解質中へ約1cm浸された。電気分解の前および後の該動作陽極の写真が、図1において示されている。幾らかの白金ペーストが、該陽極および該白金配線間の良好な電気的接触を供給するために使用された。
【0052】
電解質、温度および陽極電流密度は、実施例6において記載されたものと同じものであった。
【0053】
この電気分解実験は、50時間継続した。この実験後陽極が切り出され、研磨され、SEM(走査電子顕微鏡)中で検査された。反応領域は、Ni1.1Cr2O4−材料および電解質の間に見られた。図2は、該反応領域の後方散乱SEM写真を示している。この写真上に、該Ni1.1Cr2O4−材料の粒の境界における反応領域の浸透を見ることが出来る。
【0054】
以下の表において、相対的なEDS分析結果が報告されている。電解質からの元素は検出されず、Ni、CrおよびAl以外にOだけが検出された。前記の粒の内側に存在するアルミニウムは、分析用試料の調製のためのものであってもよいだろう。
【0055】
【表5】
【0056】
SEM分析からは、反応生産物が、式NiCr2-xAlxO4(ここで、xは0〜2で変動する)により記載されるように、クロム原子がアルミニウム原子で部分的に交換された材料からなっていることが明らかとなった。
【0057】
[実施例8]
[NiFeCrO4陽極材料を用いたアルミナの電気分解]
この電気分解実験は、実施例7において記載されたものと同じ様式で実行された。電解質およびアルミニウムの量は、同じであった。電流密度は、矩形の陽極の横断面面積に基づき1000mA/cm2へと設定された。この実験は、50時間継続した。この電気分解後の陽極の検査は、この材料中のCrが部分的にAl原子で交換された、幾つかのミクロンの厚さの反応層を示した。該反応層の後方散乱SEM写真は、図3において示されている。薄い灰色の領域は、元からのNiFeCrO4材料からなっている。中庸に灰色の領域は、殆どCr原子を含有せず、はるかにより低い含量のFeしか含有していない。
【0058】
元からのNiFeCrO4材料および図3においても示された陽極の薄い灰色領域の内側と比較した、図3において示された中庸に灰色の反応層のEDS分析が、以下の表にまとめられている。検出された元素は、Ni、Cr、Fe、AlおよびOだけであった。
【0059】
【表6】
【0060】
この電気分解実験の結論は、NiFeCrO4材料が電解質中のアルミナと反応し、NiFe1-xAl1+xO4型の反応生産物を形成するということである。実施例3において示されたように、NiFe1+xAl1-xO4材料の電気伝導性は非常に低く、これ故に電解槽の電圧における上昇を説明する。
【0061】
[実施例9]
[Ni1.5+xFeTi0.5-xO4陽極材料を用いたアルミナの電気分解]
この電気分解実験は、実施例7において記載されたものと同じ様式で実行された。電解質およびアルミニウムの量は、同じであった。電流密度は、矩形の陽極の横断面面積に基づいて1000mA/cm2へと設定された。この実験は、30時間継続した。この実験後陽極は切り出され、研磨されてSEM中で検査された。図4における後方散乱写真は、陰極へ向かう陽極の末端を開示している。幾つかの場所においては反応層の残りがあるように思われるが、分析は、この残りが電解質の残渣を含有していることを示した。
【0062】
線走査EDS分析は、反応層が存在可能である場所上でなされた。この線走査は、陽極上の電解浴成分の薄層を指し示している。この実験では、30時間の電気分解後に、Ni1.5+xFeTi0.5-xO4陽極上には、如何なる反応層をも検出され得なかった。
【0063】
[実施例10]
[Ni1.01Fe2O4陽極材料を用いたアルミナの電気分解]
この電気分解実験は、実施例7において記載されたものと同じ様式で実行された。電解質およびアルミニウムの量は、同じであった。電流密度は、矩形の陽極の横断面面積に基づいて1000mA/cm2へと設定された。この実験は、30時間後に停止された。実験後陽極は切り出され、研磨されてSEMにおいて検査された。図5は、陰極へ向かう末端における陽極の後方散乱写真を開示している。約10ミクロンの厚さの反応層が見られる。
【0064】
線走査EDS分析が、この層が反応層であるか吸収された電解質であるかを検査するためになされた。この線走査は、電解浴成分の薄層、それから約10ミクロンの厚さの反応層を指し示している。陽極の内部において、および反応層において、Ni、FeおよびAlに加えて、酸素だけが検出された。この結果は、以下の表において報告される。
【0065】
【表7】
【0066】
この実験では、約10ミクロンの厚さの反応層が形成された。鉄原子は、式NiFe2-xAlxO4(またはNi1-yFe2-xAlx+yO4)において記載されるように、アルミニウム原子で部分的に交換された。
【図面の簡単な説明】
【0067】
本発明は以下において、図および実施例により、さらに記載される。ここで:
【図1】図1は、実施例7の電気分解の前および後の、動作陽極の写真を示す。
【図2】図2は、電気分解の50時間後のNi1.1Cr2O4材料の反応領域の、後方散乱SEM写真を示す。
【図3】図3は、50時間の電気分解後のNiFeCrO4陽極の、後方散乱SEM写真を示す。
【図4】図4は、実施例9の電気分解実験後の陽極材料の、後方散乱SEM写真を示す。
【図5】図5は、30時間の電気分解後のNi1.01Fe2O4陽極の、後方散乱SEM写真を示す。
【0001】
本発明は、フッ化物含有融解塩浴中に溶解されたアルミナの電気分解用の寸法安定陽極の、活性陽極表面層として作用し得る材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウムは、100年よりも古い Hall-Heroult 法により、氷晶石主体の融解塩浴中に溶解されたアルミナの電気分解により生産されている。この方法では炭素電極が使用され、ここで炭素陽極は、同時にCO2を生産する結果になる電解槽反応に加担している。該陽極の総消費は、生産されるアルミニウムの550kg/トンまでであり、CO2に加えてフッ化炭素化合物のような温室ガスの放出を引き起こす。コストおよび環境的な理由の両方のため、効果的に不活性な材料での炭素陽極の置き換えは、非常に有利であろう。その時は、電解槽は酸素およびアルミニウムを生産するであろう。
【0003】
このような陽極はしかしながら、極端な条件を前提とし、非常に厳しい要求を満たさなくてはならないであろう。該陽極は同時に、高温にて約1バールの酸素圧、酸化物用の溶媒であるように特別に設計された非常に腐食性の融解塩浴、および酸化アルミニウムの高い活性を前提とするであろう。腐食性生産物が、生産されるアルミニウムの品質要求に不利益に影響を及ぼしてはいけないことと同様、陽極の取り替えの間の合理的な時間が達成出来るように、この腐食の割合は充分低くなければならない。第1の基準は、1年につき数mmよりより高くはない腐食割合を意味し、一方第2の基準は、含まれる元素に非常に依存し、最高品質の商業用アルミニウムに対する今日の要求を満たすには、Feに関しての2000ppmと同じ高さから、Snのような元素に関しての僅か数10ppm以下までである。
【0004】
多くの試みが、不活性陽極を開発するためになされてきた。この仕事は、3つの主なアプローチに分けられる;
充分な電子伝導性のためにドープされたセラミック材料、
2つ以上の相のセラミック/金属複合物、または、
金属合金陽極。
【0005】
第1群中の、後に沢山活躍することとなる化合物の多くに焦点が当てられてきたが、Fe3O4、SnO2、Co3O4およびNiOについては Belyaev および Studentsov(Legkie Metal.6, No.3, 17-24(1937))、ならびにZnFe2O4、NiFe2O4については Belyaev (Legkie Metal.7, No.1, 7-20(1938))によるこの関連において、最初に研究された。
【0006】
第1群からの後者の例は、米国特許第4,233,148号(79重量%までのSnO2を有する電極)および第3,718,550号(80重量%よりも多いSnO2を有する電極)において文書化されている、例えばFe2O3、Sb2O3またはMnO2でドープされたSnO2主体の陽極である。生産されたアルミニウム中のSn不純物はしかしながら、非常に低い濃度においてさえ該金属の特性を強力に損ない、それでSnO2主体の陽極を非実用的にしてしまう。
【0007】
さらに、EP0030834A3 においては、ドープされたスピネルが記載され、式MIxMII3-xO4yMIII n+On/2主体の化学的組成物を有し、ここでMIは2価の金属(例えば、Ni、Mg、CuおよびZn)であり、一方MIIは、Ni、Co、MnおよびFe群からの1つ以上の2価/3価の金属であり,そしてMIIIは、4−、3−、2−および1価の金属の大きな群からの1つ以上である。
【0008】
他の例は、米国特許第4,039,401号および米国特許第4,173,518号に記載されているスピネルおよびペロブスカイト(灰チタン石)材料の範囲であるが、しかしながらこれらのいずれもが、アルミニウム電解槽中での使用に実用的であることが分かっていない。これは、部分的には限られた腐食耐性のためであり、部分的には低い電子伝導性のためである。
【0009】
米国特許第4,374,050号および米国特許第4,478,693号においては、可能性のある陽極材料の組成物を記載する一般式が開示されている。該式は、周期表の殆ど全ての元素の酸化物、カーバイド、窒化物、スルフィドおよびフッ化物の全ての組み合わせを実際的に覆い尽くすであろう。この例は、スピネル構造の様々な化学量論量および非化学量論量の酸化物に集中している。恐らくは溶解に対しての限られた安定性および低い電子伝導性のため、これらの内のどれもが、実用的であると分かっていない。米国特許第4,399,008号では、一方が2つの酸化物の化合物であり、他方が成分酸化物の内の1つの純粋な相である、酸化物の2つの相からなる材料が記載されている。
【0010】
陽極材料の低い電子伝導性が問題となってきたので、多くの努力が文書化されており、ここでその狙いは、不活性材料を金属相の織り込まれた基材と組み合わせることである。これは前記の第2群である。一般的な例は、米国特許第4,374,761号および米国特許第4,397,729号である。米国特許第4,374,761号では、前記米国特許第4,374,050号の組成物が、ある範囲の元素からなり得る金属相を有するサーメットのセラミック部分として記載されている。CuまたはNi主体の金属相を有する、スピネルのNiFe2O4主体のサーメット陽極上で行われる広範な動作からの例は、分散金属相を有する電極を作るための生産方法を記載している米国特許第4,871,437号である。米国特許第5,865,980号においては、該金属相は、銅および銀の合金である。これらの材料と共にある明らかな問題は、一部はセラミック相の腐食であり、一部は酸化および引き続いての工程条件下での該金属相の溶解である。
【0011】
第3群は、合金および合金形状に関する多くの特許により例示されている。その利点は、高い電子伝導性および魅力的な機械的特性であるが、しかしながら貴金属以外の何も、動作陽極条件下に、酸化に対して安定ではないであろうということは、全ての金属および金属合金にとって共通である。この問題を解決する異なる道筋が、伴われている。米国特許第5,069,771号は、電解質中に溶解されたフッ化セリウムの酸化により生成され維持されるセリウムオキシフルオリドから作られる保護層のその場での形成を含む方法を開示している。この技術は、セラミックおよびサーメット陽極を伴った使用に関しても、米国特許第4,614,569号において最初に記載されたが、広範な開発作業にも関わらず、商業的適用を見出すには程遠い。1つの問題は、生産される金属がセリウム不純物を含有し、これ故に更なる精製過程段階を要求するであろうということである。
【0012】
米国特許第4,620,905号においては、その場での酸化による保護層を形成するであろう金属陽極が記載されている。同様に、米国特許第5,284,562号は、形成された酸化物が更なる酸化に対して保護的である層を作り出す、銅、ニッケルおよび鉄主体の合金組成物を記載している。国際出願WO00/06800、WO00/06802、WO00/06804、WO00/6805は、非常に似たアプローチの変法を記載している。米国特許第6,083,362号においては、保護層が陽極の表面上でのアルミニウムの酸化により形成され、該層が許容可能な電気伝導性をなお持つに充分薄く、該陽極中のリザーバーからの該金属陽極を通じてのアルミニウムの拡散により補われる陽極が、記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、貴金属以外の金属または金属合金が、動作陽極条件下に酸化するであろうという問題に対する充分に満足な解決を、いずれもが提供していないということは、これら全ての示唆について共通である。形成された酸化物は、電解質中に徐々に溶解し、この溶解の割合は、形成された該酸化物に依存するであろう。いくつかの場合においてこのことは、低い電気伝導性および高い電解槽電圧を結果的にもたらす酸化物層の構築に至り、他の場合においては、陽極のスポーリングおよび過度の腐食を与える。理想的な場合においては、酸化物はそれが溶解されるのと同じ割合にて形成され、該割合は、該陽極の合理的な寿命の間は高過ぎ、生産される金属中の不純物の許容不可能な濃縮を引き起こす。このような系は、例示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
[本発明の目的]
本発明の目的は、実用的な不活性陽極アルミニウム電解槽において、電気化学的に活性な陽極であるために、電解質中における充分に低い溶解性、電解質中におけるアルミナとの反応に対しての安定性、低いイオン伝導性、および充分な電子伝導率を持つ材料を同定することである。
【0015】
[本発明の概要]
本発明は、不活性陽極材料に対する厳しい要求を満たすことの可能な材料に関する更なる探索の結論である。陽極にて850℃よりも高い温度および1バールのO2であると、貴金属以外の全ての元素は、酸化物を形成するであろう。全ての元素および元素の酸化物の特性の系統的な調査は、前記の要求に基づいて、不活性陽極材料は、以下の元素の酸化物からのみ作られ得ると結論付けた:TiO2、Cr2O3、Fe2O3、Mn2O3、CoO、NiO、CuO、ZnO、Al2O3、Ga2O3、ZrO2、SnO2およびHfO2。以下の理由の1つまたは幾つかによる:低い電子伝導性、絶縁性アルミン酸化合物または電解質中における高い溶解性、これらのうちのいずれもが、単一の酸化物としては実用的ではないであろう。
【0016】
これ故に陽極は、要求される特性を提供する化合物からのみで構成され得る。該化合物は、低い溶解性を有する1つの酸化物、および電子伝導性を供給する少なくとももう1つの酸化物を含有するべきで、該化合物は、第2成分の溶解性を充分に限定し、交換反応による絶縁性アルミン酸層の形成を妨げるのに充分安定である。これは、種々の配位における遷移金属の安定性を考慮に入れることにより達成される。
【0017】
組み合わされた評価は、組成Ni1+x(B1+ δCd)O4のスピネル化合物に至り、ここでNiは元素ニッケルであり、Bは4配位の選好を有する3価の元素であり、好ましくはFeである。Cは、Crのような8配位の選好を有する3価カチオンか、TiまたはSnのような8配位の選好を有する4価カチオンである。Oは元素酸素である。Cが4価の場合、0.4<x<0.6、0.4<d<0.6およびδ<0.2およびx+δ+d=1である。Cが3価の場合、xは本質的に0であり、0.8<d<1.2、δ<0.2およびx+d+δ=1である。この化合物は、前に探査された組成物に比較して優れた特性を持つであろう。
【0018】
[発明の詳細な説明]
氷晶石が重要な成分である、本質的にフッ化物主体の電解質中に溶解されたアルミナからのアルミニウムの電解質生産に適した、本質的に不活性な電極としての材料は、ある範囲の非常に厳しい要求を満たさなくてはならない。該材料は、充分な電子伝導性を持ち、酸化に対して抵抗性であり、電解質による腐食攻撃に抵抗性でなくてはならず、これについては、該電解質中での溶解同様、溶解されたアルミナとの陽極材料の反応による腐食性アルミン酸表面層の形成を考えることが出来る。電極が構成され得る元素酸化物の選択は、以下の基準に基づいて実行された:
−工程温度にてガスではないか、または高い蒸気圧を持つ
−氷晶石混合物中において氷晶石またはAlF3により変換されない、つまり、元素フッ化物および酸化アルミニウムを形成する、元素酸化物およびAlF3の間の反応に関する大きな正の値のΔGO(1)。
MOx+2x/3AlF3=MF2x+2x/6Al2O3 (1)
−アルミナにより変換されない、つまり、ナトリウム元素酸化物およびフッ化アルミニウムを形成する、元素酸化物アルミニウム酸化物およびフッ化ナトリウムの間の反応に関する負の値のΔGOではない(2)
MOx+6yNaF+yAl2O3=Na6yMOx+3y+2yAlF3 (2)
【0019】
正常な原子価2を有する元素に関しては、可能な元素はこれ故に、元素Co、Ni、CuおよびZnである。原子価3を有する元素に関しては、元素Cr、Mn、Fe、GaおよびAlしか残されていない。原子価4を有する元素に関しては、元素Ti、Zr、Hf、GeおよびSnしか残されていない。
【0020】
これらの内、3価および4価の元素が、フッ化物主体の電解質中での高い酸化アルミニウム活性では、2価の元素よりもより高い溶解性を持つであろう。2価の元素の酸化物の内、NiOおよびCoOが最も低い溶解性を持ち、腐食抵抗を考えると、最も良い選択であろう。しかしながら、純粋なNiOおよびCoOは、低い電子伝導性を持ち、伝導性を上昇させるであろう酸化リチウムのようなドーパントは、素速く電解質中に溶解し、高い抵抗を有する表面層を残す。純粋なCoOは、陽極条件下におけるスピネルCo3O4の形成を考えると、輪をかけて不安定であり、この化合物は再び徐々に酸化アルミニウムと反応し、x>0の場合Co(AlxCo1-x)2O4を形成し、酸化アルミニウムの活性が高い場合には結局CoAl2O4を形成するであろう。純粋なNiOは、高いアルミナ活性において、非常に低い電子伝導性を有する化合物であるCoAl2O4を形成するであろう。これは、実施例5において、更に例示されている。
【0021】
ZnOが低いアルミナ活性において高過ぎる溶解性を持つ一方、CuOは高過ぎる溶解性を持ち、高いアルミナ活性において絶縁性アルミン酸を形成する。ZnOを用いた試験は、実施例6において例示されている。
【0022】
本発明の本質は、許容可能な電子伝導性を伴って低い溶解性を維持する元素の組み合わせである。同じ価数を有する異なる元素の酸化物の化合物は、差を作るのに充分な安定性を提供しないであろう。これは、要求されている特性を有する結晶性化合物を形成する、異なる価数を有する元素の酸化物の組み合わせを求めるものである。2および3価の酸化物の化合物は、この場合スピネル構造をしている。前記のように、NiFe2O4、CoFe2O4、NiCr2O4およびCoCr2O4のようなスピネルが示唆されており、不活性陽極のための候補としてさらに試験されている。この問題は、溶解性、および低い電子伝導性を有するアルミン酸を形成する酸化アルミニウムとの反応に、主に関連付けられる。これは、実施例3および10において、さらに例示されている。
【0023】
2および3価の元素の酸化物の化合物は、ケイ酸塩として知られるカンラン石主体の構造に加えて、チタン鉄鉱および灰チタン石構造を形成し得る。前に提示された元素の酸化物と共に、チタン鉄鉱構造(NiTiO3、CoTiO3)およびスピネル構造(Zn2SnO4)のみが、関連している。これらの内、NiTiO3が、安定性の観点から最も良いポテンシャルを持っているであろうが、電子伝導性が低過ぎて、不活性陽極材料としてのポテンシャルは提供出来ない。Zn2SnO4は酸化アルミニウムに対して低い安定性に甘んじており、背景技術の議論から推論され得るように、それは恐らく生産される金属中にSnの高い混入を引き起こす。
【0024】
それでも、2および3価のスピネルが改善され得るのかどうかという疑問が残る。スピネル構造は、4面体部位の1/8および8面体部位の1/2を占めるカチオンと共に、酸化物イオンの立方細密格子から構築されている。4面体部位が2価カチオンにより占められ、8面体部位が3価カチオンにより占められる場合、該構造は「正常」スピネルと呼ばれる。他方、8面体部位にあるカチオンの半分が2価で、4面体部位にあるカチオンが3価である場合、該構造は「逆」スピネルと呼ばれる。
【0025】
異なる遷移金属は、d軌道電子の数に依存する配位幾何学に関しての種々の選好を持っているであろうことが知られている(H. J. Emeleus and A. G. Sharpe, "Modern Aspects of Inorganic Chemistry" Routledge & Kegan Paul, London 1978)。A. Navrotsky および O. J. Kleppa による出版物(J. inorg. nucl. Chem. 29(1967)2701 および 30(1968)479)において、スピネルの熱力学に関する効果が議論されている。2価のNiは8面体の位置の選好を有する一方、3価のFeは4面体配位の選好を有することが知られている。これはニッケルフェライトに、本質的に逆のスピネル構造を取らせる。正常スピネルを形成するZn類似体を除いて、問題に挙がっている2価の元素のフェライト全てが、逆スピネル構造を取る。アルミン酸塩は、2価のカチオンは8面体配位の選好を有することに依存する、部分的に逆の構造を形成する。Znが正常スピネルである一方、ニッケルは最も強力な逆スピネルを形成する。クロマイトは、ニッケルクロマイトを除いて全て正常であるが、ニッケルクロマイトは、部分的に逆である。総合すると、問題に挙がっている2価カチオンの間で、8面体配位の選好を有するのは:Ni>Cu>Co>Zn、および3価カチオンに関してはCr>Mn>Al>Ga>Fe。4価カチオンは全て、8面体配位の選好を有するであろう。
【0026】
本発明の本質は、電子伝導性を維持する一方で改善された安定性を有する陽極材料を構成するためにこれを利用することである。
【0027】
それで、最も安定なスピネルは、各成分の配位の選好が満足される、2価、3価および4価の酸化物の組み合わせから構成され得る。NiFe2O4は、述べられたように、最も研究された候補材料の1つである。3価のFeは4面体配位の選好を有する一方、NiOは低い溶解性を持ち、8面体配位の選好を有する。しかしながら、該化合物においてFeは、該化合物を、溶解されたアルミナとの交換反応に対して敏感にする8面体配位中にも見出される。実施例3において例示されているように、これは電子伝導性に、不利益に影響を及ぼすであろう。
【0028】
この安定性は、3価のFeの半分を、8面体配位の強力な選好を有する3価のカチオンで置換することにより改善され得る。これは、化合物ABCO4を示唆するであろう(ここで、Aは8面体配位の選好を有する2価のカチオン、好ましくはNiであり、Bは8面体配位の選好を有する3価のカチオン、好ましくはCrまたはMnであり、Cは4面体配位の選好を有する3価のカチオン、好ましくは3価のイオンとしてのFeであり、Oは酸素である)。実施例2および8においては、BがCrである材料が試験されている。実施例8は、この改善が、反応層の形成を完全に妨げるに充分ではなかったことを示している。
【0029】
もう1つ別の可能性は、前記化合物の近似の化学量論を確保する比で、鉄の半分を、8面体配位の選好を有する2価の金属および4価の金属で置換することである。8面体配位の強力な選好を有する2価のカチオン、および4面体配位の強力な選好を有する3価のカチオン、および4価のカチオンの組み合わせは、化学量論A1+x(B1+ δCd)O4(ここで、AはNi、BはFe、およびCはTiまたはSnである)を示唆するであろう。ZrおよびHfのような元素は大き過ぎて、どのような大きい角度に対しても、その構造に入り込むことが出来ない。実施例1、2および9において、CがTiである化合物が試験され、実施例9は、電気分解の間における反応層を含有するアルミナの形成が避けられたことを示している。
【実施例】
【0030】
[実施例1]
[Ni1.5+2xFeTi0.5+xO4+4xおよびNi1.5+xFe1+2xTi0.5O4+4x材料の電気伝導性測定]
この粉末が、穏やかな化学的手法により調製された。各合成に関しては、適切なNi(NO3)2、Fe(NO3)3、Cr(NO3)3、Al(NO3)3およびTiO5H14C10が、水中でクエン酸と錯体化された。幾つかの場合においては、NiまたはFeが、出発溶液としてHNO3中に溶解された。過剰の水の溜去後、この混合物は熱分解され焼成された。この焼成は、10時間900℃にて正常に実行された。この試料は、一軸方向で約100MPaにて加圧されるか、200MPaにて均一に低温加圧された。焼結温度は、3時間の保持時間で、正常に1300℃〜1500℃の範囲にあった。全ての材料は、XRDにより、スピネル型構造として特徴付けられた。
【0031】
合計の電気伝導性は、空気中で、4点 van der Pauw 直流−測定法により測定された(引用文献:van der Pauw, L. J., Phillips Res. Repts. 13 (1), 1958; および Poulsen, F. N., Buitink, P. および Malmgren-Hansen, B. - Second International Symposium on solid oxide fuel cells, July 2-5, 1995 - Athens)。前記試料は、約25mmの直径および2.5mmより薄い厚さを有する円盤であった。該試料の円周を、白金ペーストの小滴で4回接触させた。焼結後、該試料の密度は、イソプロパノール中でのアルキメデス法を使用して測定された。該密度は、理論量の84〜97%で変動した。合計の電気伝導性は、以下の関係を使用して、空隙率に関して修正された:
σdense=σporous/(1−porosity)2
以下の表は、過剰のNiFe2O4(xNiFe2O4)および過剰の「Ni2TiO4」(xNi2TiO4)(ここで、x=0、0.01、0.02および0.03)を有するNi1.5FeTi0.5O4に関する結果を示す。
【0032】
【表1】
【0033】
この結果は、過剰のNiFe2O4を有する材料、またはx>0であるNi1.5+xFe1+2xTi0.5O4+4xに関する電気伝導性が、化学量論的な材料よりもより高いことを示している。過剰の「Ni2TiO4」を有するNi1.5FeTi0.5O4、またはx>0であるNi1.5+2xFeTi0.5+xO4+4xの材料は、化学量論的な材料よりもより低い電気伝導性を持つ。電気伝導性を最適化するには、僅かに過剰なNiFe2O4を有する材料を作ることが有利である。
【0034】
[実施例2]
[Ni1+xCr2O4、NiFeCrO4およびNi1.5+xFeTi0.5-xO4材料の電気伝導性測定]
以下の組成物からの桿の形をした試料は、全て過剰のNi:NiCr2O4、NiFeCrO4およびNi1.5+xFeTi0.5-xO4を有し、前に実施例1において記載されたように調製された。全ての材料は、XRDによりスピネル型構造として特徴付けられた。この実験では、合計の電気伝導性は、空気中で4点直流−測定により測定された。電流を運ぶ白金から作られた配線は、白金ペーストを用いて桿の末端に接続された。白金配線は、電圧を測定するために、同様にして桿に接続された。この試料は、約28mmの長さ、および4mm x 6mmの横断面面積を有する桿であった。緻密試料に関する合計の電気伝導性は、実施例1において記載されたように計算された。以下の表は、空隙率に関して修正された合計の電気伝導性に関する結果を示す。
【0035】
【表2】
【0036】
この実験は、Ni1.1Cr2O4の合計の電気伝導性が、NiFeCrO4に関してよりもより高いことを示している。x=0.03(Ni1.53FeTi0.47O4)の場合のNi1.5+xFeTi0.5-xO4に関しては、電気伝導性は、NiFeCrO4材料に関してよりもより高かった。
【0037】
[実施例3]
[Ni1.01Fe2O4およびNiFe2-xAlxO4材料の電気伝導性]
この粉末の合成および試料の調製は、実施例1において記載されたものと同様にしてなされた。過剰のNiを有するNiFe2O4は、Feが部分的にAlで置換されている材料と比較される。全ての材料は、XRDによりスピネル型構造として特徴付けられた。合計の電気伝導性は、実施例2において記載されたように測定された。緻密試料に関して修正された値が、以下の表中で報告される。
【0038】
【表3】
【0039】
僅かに過剰のNiを有するNiFe2O4材料(Ni1.01Fe2O4)の合計の電気伝導性が測定され、900℃にて1.93S/cmである。この構造中のAlの量が上昇すると、合計の電気伝導性はかなり下降し、この材料がAlの生産のために電解槽中の陽極として使用された場合、FeのAlでの交換が障害性の効果を持つであろうことを示している。
【0040】
[実施例4]
[Ni1.52FeSn0.48O4材料の電気伝導性]
この粉末の合成および試料の調製は、実施例1において記載されたやり方で行われた。Sn源は、酢酸錫(II)であった。この材料は焼結後、XRDを用いてスピネル型構造として特徴付けられた。合計の電気伝導性は、実施例2において記載されたように測定され、実施例1において記載されたように空隙率に関して修正された。以下の表は、合計の電気伝導性に関する結果を示している。
【0041】
【表4】
【0042】
合計の電気伝導性が測定され、900℃にて1.23S/cmであったが、これは、チタン類似体(実施例2参照)に関してと同じ範囲にある。
【0043】
[実施例5]
[NiO陽極材料を用いてのアルミナの電気分解]
NiOは電子伝導性が低過ぎるので、動作陽極として作動出来ない。25重量%のNiおよび残りのNiOを有するサーメットは、このセラミックを貫通する金属の網目を与え、これにより金属的な伝導性を与えた。Ni源としては、INCO Ni 粉末210型、およびメルク(ダルムシュタット)からのNiOが使用された。この材料は、30分間1400℃にてアルゴン雰囲気中で焼結された。
【0044】
電解槽は、内径80mmおよび高さ150mmを有するアルミナの坩堝で出来ていた。高さ200mmを有する外側のアルミナ容器は安全のために使用され、該電解槽は高アルミナ接合剤から作られた蓋で覆われた。該坩堝の底には、5mmの厚さのTiB2円盤が置かれ、これは液体アルミニウム陰極を水平にし、良く定められた陰極領域を作り出した。該陰極への電気的接続は、酸化を避けるためのアルミナチューブにより支持されたTiB2桿により供給された。白金配線が、該TiB2陰極桿への電気的接続を供給した。Ni配線が、陽極への電気的接続に備えられた。電解質浴上の該Ni配線および該陽極は、酸化を防ぐためのアルミナチューブおよびアルミナ接合剤でマスクされた。
【0045】
電解質は、アルミナ坩堝中へ:
532gのNa3AlF6(グリーンランド氷晶石)
105gのAlF3(Norzink から、約10%のAl2O3を有する)
35gのAl2O3(数時間1200℃にてアニールされた)
21gのCaF2(Fluka p.a.)
の混合物を加えることにより作られた。該アルミナ坩堝の底には、Hydro Aluminium からの純粋な340gのAlが置かれた。
【0046】
該電解質が溶けていく間、陽極は前記蓋の下にぶら下がっていた。電気分解実験開始時に、該陽極が該電解質中へ浸された。温度は970℃であり、実験全体の間安定であった。陽極電流密度は、該陽極の末端横断面面積に基づき750mA/cm2へと設定された。本当の陽極電流密度は、該陽極の横側表面も電解質中へ浸されたので、幾分より低かった。
【0047】
電気分解実験は、8時間継続した。この電気分解の間、電解槽の電圧は上昇し続けた。該電気分解実験後の該陽極のXRD(X線回析)分析は、Ni金属がNiOへと酸化され、陽極材料がNiAl2O4の絶縁層により覆われたことを示した。
【0048】
このセラミックの伝導性を、900℃にて22S/cmへと上昇させるために、Li2Oとして4モル%のLiでNiO相をドープすることは、この電気分解の時間を約30時間へと延長させた。該Liドーパントは徐々に洗い出され、これにより電気伝導性が抑えられた。この実験後、陽極の内部での原子吸光分析では、Liは検出出来なかった。この場合においても、該陽極は絶縁性のNiAl2O4層で覆われた。
【0049】
[実施例6]
[ZnO陽極材料を用いたアルミナの電気分解]
純粋なZnOは電子伝導性が低過ぎ、これ故に0.5モル%のAlO1.5でドープされて、900℃にて250〜300S/cm2の伝導性を与えた。2つのPt配線が、該ZnO陽極の縦軸方向にこの材料中へと加圧され、電気的な導体として作用した。該材料は、1時間1300℃にて焼結された。
【0050】
この電気分解実験は、実施例5に記載されたものと同じ様式で実行された。電解質およびアルミニウムの量は、同じであった。温度は970℃であった。電流密度は、陽極の末端横断面面積に基づき1000mA/cm2へと設定された。この電気分解実験は、24時間継続した。この電気分解実験後の陽極材料のXRD(X線回析)分析は、ZnOが電気分解の間に有孔性ZnAl2O4へと変換されたことを示した。この浸漬されたZnO陽極の内側核には、元からのZnO材料の小片しか残っていなかった。
【0051】
[実施例7]
[Ni1+xCr2O4陽極材料を用いたアルミナの電気分解]
この陽極材料は、実施例1において記載されたように合成および焼結された。この電気分解実験は、実施例5に記載されたものと同じ様式で実行されたが、白金配線が動作陽極への電気的接続を供給した。該陽極への該白金配線は、5mmのアルミナチューブにより保護された。電気分解開始時に、該陽極は電解質中へ約1cm浸された。電気分解の前および後の該動作陽極の写真が、図1において示されている。幾らかの白金ペーストが、該陽極および該白金配線間の良好な電気的接触を供給するために使用された。
【0052】
電解質、温度および陽極電流密度は、実施例6において記載されたものと同じものであった。
【0053】
この電気分解実験は、50時間継続した。この実験後陽極が切り出され、研磨され、SEM(走査電子顕微鏡)中で検査された。反応領域は、Ni1.1Cr2O4−材料および電解質の間に見られた。図2は、該反応領域の後方散乱SEM写真を示している。この写真上に、該Ni1.1Cr2O4−材料の粒の境界における反応領域の浸透を見ることが出来る。
【0054】
以下の表において、相対的なEDS分析結果が報告されている。電解質からの元素は検出されず、Ni、CrおよびAl以外にOだけが検出された。前記の粒の内側に存在するアルミニウムは、分析用試料の調製のためのものであってもよいだろう。
【0055】
【表5】
【0056】
SEM分析からは、反応生産物が、式NiCr2-xAlxO4(ここで、xは0〜2で変動する)により記載されるように、クロム原子がアルミニウム原子で部分的に交換された材料からなっていることが明らかとなった。
【0057】
[実施例8]
[NiFeCrO4陽極材料を用いたアルミナの電気分解]
この電気分解実験は、実施例7において記載されたものと同じ様式で実行された。電解質およびアルミニウムの量は、同じであった。電流密度は、矩形の陽極の横断面面積に基づき1000mA/cm2へと設定された。この実験は、50時間継続した。この電気分解後の陽極の検査は、この材料中のCrが部分的にAl原子で交換された、幾つかのミクロンの厚さの反応層を示した。該反応層の後方散乱SEM写真は、図3において示されている。薄い灰色の領域は、元からのNiFeCrO4材料からなっている。中庸に灰色の領域は、殆どCr原子を含有せず、はるかにより低い含量のFeしか含有していない。
【0058】
元からのNiFeCrO4材料および図3においても示された陽極の薄い灰色領域の内側と比較した、図3において示された中庸に灰色の反応層のEDS分析が、以下の表にまとめられている。検出された元素は、Ni、Cr、Fe、AlおよびOだけであった。
【0059】
【表6】
【0060】
この電気分解実験の結論は、NiFeCrO4材料が電解質中のアルミナと反応し、NiFe1-xAl1+xO4型の反応生産物を形成するということである。実施例3において示されたように、NiFe1+xAl1-xO4材料の電気伝導性は非常に低く、これ故に電解槽の電圧における上昇を説明する。
【0061】
[実施例9]
[Ni1.5+xFeTi0.5-xO4陽極材料を用いたアルミナの電気分解]
この電気分解実験は、実施例7において記載されたものと同じ様式で実行された。電解質およびアルミニウムの量は、同じであった。電流密度は、矩形の陽極の横断面面積に基づいて1000mA/cm2へと設定された。この実験は、30時間継続した。この実験後陽極は切り出され、研磨されてSEM中で検査された。図4における後方散乱写真は、陰極へ向かう陽極の末端を開示している。幾つかの場所においては反応層の残りがあるように思われるが、分析は、この残りが電解質の残渣を含有していることを示した。
【0062】
線走査EDS分析は、反応層が存在可能である場所上でなされた。この線走査は、陽極上の電解浴成分の薄層を指し示している。この実験では、30時間の電気分解後に、Ni1.5+xFeTi0.5-xO4陽極上には、如何なる反応層をも検出され得なかった。
【0063】
[実施例10]
[Ni1.01Fe2O4陽極材料を用いたアルミナの電気分解]
この電気分解実験は、実施例7において記載されたものと同じ様式で実行された。電解質およびアルミニウムの量は、同じであった。電流密度は、矩形の陽極の横断面面積に基づいて1000mA/cm2へと設定された。この実験は、30時間後に停止された。実験後陽極は切り出され、研磨されてSEMにおいて検査された。図5は、陰極へ向かう末端における陽極の後方散乱写真を開示している。約10ミクロンの厚さの反応層が見られる。
【0064】
線走査EDS分析が、この層が反応層であるか吸収された電解質であるかを検査するためになされた。この線走査は、電解浴成分の薄層、それから約10ミクロンの厚さの反応層を指し示している。陽極の内部において、および反応層において、Ni、FeおよびAlに加えて、酸素だけが検出された。この結果は、以下の表において報告される。
【0065】
【表7】
【0066】
この実験では、約10ミクロンの厚さの反応層が形成された。鉄原子は、式NiFe2-xAlxO4(またはNi1-yFe2-xAlx+yO4)において記載されるように、アルミニウム原子で部分的に交換された。
【図面の簡単な説明】
【0067】
本発明は以下において、図および実施例により、さらに記載される。ここで:
【図1】図1は、実施例7の電気分解の前および後の、動作陽極の写真を示す。
【図2】図2は、電気分解の50時間後のNi1.1Cr2O4材料の反応領域の、後方散乱SEM写真を示す。
【図3】図3は、50時間の電気分解後のNiFeCrO4陽極の、後方散乱SEM写真を示す。
【図4】図4は、実施例9の電気分解実験後の陽極材料の、後方散乱SEM写真を示す。
【図5】図5は、30時間の電気分解後のNi1.01Fe2O4陽極の、後方散乱SEM写真を示す。
Claims (10)
- 以下の式により定義される、アルミナのアルミニウムへの電解還元のための電解槽中の活性陽極表面としての使用に好適な材料であって、式A1+XB1+ δCdO4により特徴付けられ、ここで:
Aは、8面体配位の相対的選好を有する2価のカチオンまたは2価のカチオンの混合物であり、
Bは、4面体配位の相対的選好を有する3価のカチオンまたは3価のカチオンの混合物であり、
Cは、8面体配位の相対的選好を有する3価のカチオンまたは3価のカチオンの混合物であり、ここで、
x=0、0.8<d<1、δ<0.2であり、x+d+δは本質的に1に等しく、あるいは、
Cは、8面体配位の相対的選好を有する4価のカチオンまたはカチオンの混合物であり、ここで、
0.4<x<0.6、0.4<d<0.6、δ<0.2であり、x+d+δが本質的に1に等しく、
Oは、元素酸素である
材料。 - 前記カチオンAが本質的に2価のNiであることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記カチオンBが本質的に3価のFeであることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記カチオンCが本質的にCrまたはMnまたはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記カチオンCが本質的にTiまたはSnまたはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記カチオンAが本質的に2価のNiであり、前記カチオンBが本質的に3価のFeであり、前記カチオンCが本質的にTiであることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記カチオンAが本質的に2価のNiであり、前記カチオンBが本質的に3価のFeであり、前記カチオンCが本質的にSnであることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記カチオンAが本質的に2価のNiであり、前記カチオンBが本質的に3価のFeであり、前記カチオンCが本質的に3価のCrであることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 前記カチオンAが本質的に2価のNiであり、前記カチオンBが本質的に3価のFeであり、前記カチオンCが本質的にSnおよびTiの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
- 如何なる支持体上においても、フッ化物主体の電解質中に溶解されたアルミナの電気分解のための陽極材料として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
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