JP2004529367A - X線及び核分光システムにおける基線補正方法及び装置 - Google Patents

X線及び核分光システムにおける基線補正方法及び装置 Download PDF

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Abstract

前置増幅器に接続された検出器に発生する事象のエネルギーを測定するために前置増幅器によるパルス出力をフィルタする核及び他の分光計のエネルギーフィルタ(110)の基線を測定する技術。これら分光計は、フィルタされたパルスのピーク振幅を、その基礎的な事象エネルギーの推定値として捕獲し、これら捕獲されたピーク値から基線値を減算して、前置増幅器の出力パルスが存在しないときのエネルギーフィルタの非ゼロ振幅を補償する。第2の基線フィルタ(120)が前置増幅器の出力(92)に接続され、この基線フィルタの基本巾は、エネルギーフィルタの場合より著しく短い。基線フィルタが前置増幅器の出力パルスをフィルタしないときの時間が決定され、基線フィルタからの出力値が、このように決定された時間中に捕獲され、そして基線フィルタからのこれら捕獲された基線値を使用して、エネルギーフィルタの基線値の正確な推定値が形成される。基線フィルタの基本巾は、エネルギーフィルタの基本巾より著しく短いので、非常に多数の有効な基線フィルタ値を、エネルギーフィルタ自体から基線サンプルを捕獲することが困難である非常に高い入力計数率で確実に捕獲することができる。従って、分光計のエネルギー分解能及び計数率に対するピーク位置安定性を、本発明の方法を使用しない場合の4倍以上高く維持することが可能となる。この技術は、デジタル及びアナログの両分光計に適用することができる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、X線、γ線、核粒子等の検出に使用される放射線検出器に接続された前置増幅器によって発生されるステップ状信号事象を検出し、計数しそして測定するためのシステムに係る。より詳細には、本発明は、事象が処理されていないときに事象エネルギーフィルタの基線出力を決定する精度を高めることにより、これらステップ状事象の振幅を測定する精度を高めることに係る。以下に説明する特定の実施形態は、ソリッドステート検出器を使用する分光器に係るが、他の検出器が使用されるときにも、それらの動作原理がほぼ同じであるから、同じ技術が適用される。
【背景技術】
【0002】
現在の分光計技術の概要
図1は、ソリッドステート検出ダイオード7を使用した公知の放射線分光システムの回路図である。X線、γ線、α線及びβ粒子線を測定するのに同様のシステムが使用されるが、主として検出ダイオード7の物理的形態が異なり、検出ダイオードは、比例カウンタ又は他の検出器に置き換えられてもよい。これら全ての検出器7は、電源8によりバイアスされると、吸収事象を検出したときに出力電流パルスを特徴的に発生し、このパルスの全電荷QEは、その事象において蓄積されるエネルギーEにほぼ比例する。前置増幅器10に電流が流れて、それが増幅器12により値Cfのフィードバックキャパシタ13において積分され、その出力は、振幅Ae=QE/Cfのステップ状パルスとなる。用語の問題として、事象に応答して前置増幅器により発生されるパルスを「事象パルス」とも称する。
【0003】
次いで、分光増幅器15でAEを測定する。近代的な分光増幅器15内では、前置増幅器10の出力が典型的に「低速」エネルギーフィルタ回路17と、「高速」パイルアップ検査回路18の両方に送信され、フィルタ回路17は、Aeステップをフィルタして、ピーク高さAEがAeに比例する低ノイズ出力パルスを発生し、そして検査回路18は、前置増幅器の出力にフィルタ及び弁別作用を適用してAe信号ステップ(事象)の存在を検出し、そしてフィルタピーク捕獲回路20に値Aeを捕獲するよう信号し、これら値Aeは、パイルアップしないように時間的に充分に分離されている。「高速」及び「低速」フィルタの時間は、用途によって異なるが、「高速」時間は、通常、「低速」時間より1桁短い(例えば、X線分光計では200ns対4μsである)。又、検査回路18は、エネルギーフィルタ出力がそのDC値に復帰するときを決定し、そして基線捕獲回路22にこれら値を捕獲するよう信号し、これら値は、捕獲されたピーク値から減算回路23により減算される。その差が、次いで、マルチチャンネル分析器(MCA)又はデジタル信号プロセッサ(DSP)25に通され、入射放射線におけるエネルギーのスペクトルを形成するようにビニング(binning)される。
【0004】
ほとんどの一般的な分光計は、整形されたパルスの振幅AEを捕獲してエネルギーEを推定するが、整形されたパルスの他の特性、例えば、その面積を測定するか、或いは整形されたパルス上の多数のポイントを捕獲して数学的関数をそれらに適合させる分光計も存在することに注意されたい。用語の問題として、これらの種々の測定値を、整形されたパルスの「特性」と称する。エネルギーフィルタは直線的フィルタであるために、これらの特性は全て互いに比例するが、それらの信号対雑音特性は、エネルギーフィルタ及びノイズスペクトルによって異なる。従って、本明細書では主として振幅AEを参照するが、それは、最も一般的な特性であるために、全ての種々の特性を表わしており、本発明は、それらの全てに適用されることを想起されたい。
【0005】
基線補正の必要性
図2Aは、なぜ基線補正が必要かを示す。曲線30は、前置増幅器の出力10を示し、事象からステップ34が発生する。曲線30の僅かな傾斜は、検出器の漏れ電流、非理想的増幅器12又はノイズの拾い上げから物理的に生じるものである。曲線32は、エネルギーフィルタの出力17を示し、整形されたパルス35は、入力ステップ34に応答するものである。パルス35の全振幅A37は、その高さと、基線(DC)オフセットB38との和であり、ここで、Bは、前置増幅器の信号傾斜に対するエネルギーフィルタ回路の応答である。従って、分光増幅器15において、ピーク捕獲回路20は、値A37を捕獲し、一方、基線捕獲回路22は、基線値B38を測定し、そして減算回路23は、検出器事象エネルギーを表わす信号A−Bを出力する。
【0006】
分光増幅器を形成する技術は、比較的成熟しており、図1に示す基本的な回路には、アナログ及びデジタルの両電子回路を使用する多数の様々なものが存在する。ノル著の参考文献「KNOLL-1989」は、この主題に対する良い入門書である。例えば、チャプター16、セクションIII、「Pulse Shaping」を参照されたい。例えば、デジタル分光計では、多数の基線サンプルを捕獲しそして平均化して、それらの変動を減少しなければならず、これは、DSP25において実行され、このDSPは、減算段階も実行できるか、又は基線値を減算回路23へ返送する。ワーバートン氏等の特許文献1、特許文献2及び特許文献3「WARBURTON- 1997, 1999A及び1999B」は、この問題に関する更なる詳細を与える。図1に示す基本的な機能は、これら分光計の動作の本質を1つのクラスとして捕えているが、本発明の段階を教示するには充分である。
【0007】
高い入力計数率の問題
高い計数率では、図2Bに示すように、正確な基線測定を得ることが困難である。というのは、エネルギーフィルタ回路17の出力がその基線値に復帰することは滅多になく、事象間の間隔を出力パルスの基本巾(即ち、図2Aのτb39)より著しく大きくする必要があるからである。τbを入力計数率(ICR)と比較すると、ICRが特定のエネルギーフィルタに対して「高い」かどうかが分かる。というのは、効率的なパイルアップ検査では、τbがエネルギーフィルタのデッドタイムτdになるからである。分光計の出力計数率(OCR)は、次の延長デッドタイム式により与えられる(KNOLL-1989、チャプター4、セクションVII、「Dead Time」)。
OCR=ICR exp(−ICRτd) (1)
その最大値OCRmax=ICRmax/e=(eτd-1は、ICRmax=τd -1=τo -1において生じる。
【0008】
従って、「高い」ICRは、ICRmax即ちτb -1を越えるものである。ICRmaxでは、ほとんどのパルス(63%)がパイルアップし、そして(37%)だけが有効ピーク振幅を有する。(図2Bを参照されたい。)同様に、基線値B48を捕獲する機会も、ICRmaxを越えると急速に下降する。
図3は、実際の結果を示している。データは、4つのピーキング時間(peaking time)1.0μs50、4.0μs52、16μs53、及び20μs55に対し異なる距離においてFe−55放射線源に露出された高品質HPGeのX線検出器に接続されたXIA DXP−4CデジタルX線分光計を使用して収集された。ICRmaxを越える3つのケースにおいて、エネルギー分解能は、鮮明に低下し始める。この形態において、サンプルは、もはや確実に収集することができず、そして捕獲されたものは、しばしば隣接パルスからのエネルギーで汚染される。又、同じ実験で、高いICR値において著しいセントロイドシフトが示されている。というのは、パルス振幅がそれらの最大値と基線との間で異なるからである。これらの問題は、検出器が露出される計数率又は計器が動作するノイズ環境を制限することにより、しばしば取り扱われるが、いずれの状態も容易に制御されないケースも多々ある。それ故、ノイズの多い環境でも分解能が低下せずに分光計が機能し得るICRの「ダイナミックレンジ」を向上させる方法は、種々様々な放射線検出用途において有益である。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第5,684,850号公報
【特許文献2】
米国特許第5,870,051号公報
【特許文献3】
米国特許第5,873,054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの問題は、事象エネルギーが前置増幅器の出力ノイズに近いような低いエネルギー放射線で機能するときに一層悪化する(例えば、1keV未満のX線検出器)。これらの場合、事象を検出するためにエネルギーフィルタも一般に使用されるが、これは、正確なパイルアップ検査を行う回路能力、又は捕獲された基線事象に、他の非常に低エネルギーの事象によるエネルギー汚染がないよう確保する回路能力を著しく低下させる。それ故、非常に低エネルギーの事象を取り扱うときにパイルアップ検査回路18の効率を向上させる方法も有益である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、高い入力計数率(ICR)において捕獲することのできる基線サンプルの数を増加し、それにより、実質的なエネルギー分解能の低下やスペクトルピーク特徴のシフトを伴わずに、放射線分光計を高いICRで機能できるようにする方法及び装置技術を提供する。
【0012】
簡単に述べると、この解決策は、エネルギーフィルタに加えて、第2のフィルタ(基線フィルタ)を設け、そしてこの基線フィルタから基線値を捕獲することを含む。これらの捕獲された基線値は、次いで、エネルギーフィルタの基線値を推定するのに使用される。
【0013】
より詳細には、エネルギーフィルタは、事象パルスを、時々エネルギーパルスとも称される整形されたパルスへ変換し、そしてそれら整形されたパルスの少なくとも幾つかに対して特性A(例えば、ピーク値、面積等)が測定されて、それらに関連した事象エネルギーEが推定される。エネルギーフィルタの基線値BEは、測定されたA値を、前置増幅器の出力パルスが存在しないときのエネルギーフィルタの非ゼロ出力に対して補償するのに必要とされる。本発明は、基線フィルタがそれ自身の基線値にあるときに基線フィルタから基線値BBを捕獲し、そしてそれらを使用して、必要なエネルギーフィルタ基線値BEを推定することを意図する。特定の実施形態では、エネルギーフィルタ及び基線フィルタは、直線的フィルタであり、そしてBE値は、BB値から、単に定数でスケーリングするだけで得られる。BB値の捕獲は、同じパイルアップ検査回路の制御のもとで適切に変更され、値Aを捕獲する。用語の問題として、基線フィルタは、事象パルスを、時々基線パルスとも称される整形されたパルスへと変換する。
【0014】
基線フィルタの基本巾は、エネルギーフィルタの基本巾より短くて、エネルギーフィルタより頻繁にその基線に存在するようにしなければならない。好ましい実施形態では、両フィルタは台形であり、基線フィルタの時定数は、エネルギーフィルタの1/4であり、それにより生じる倍率は16である。基線サンプルを確実に与えることにより、この実施形態は、たとえICRがICRmaxを越えたときでも、同じ係数4でエネルギー分解能及び安定なピークセントロイドの両方を保存する。従って、本発明は、フィルタが効果的に動作する最大ICRは、そのピーキング(又は整形)時間、ひいては、その基本巾が減少するときに増加することを認識しそしてそれを利用する。
【0015】
実施形態は、更に、本発明の性能を最適化するために1つ以上の改善策を更に含むことができる。第1に、基線フィルタは、そこからの値を捕獲する前にそれが真に基線に存在することを確保するためにテストすることができる。簡単なテストは、基線フィルタの出力が所定のスレッシュホールドより低いことを要求する。しかしながら、この方法は、偏った結果を生じることがある。従って、1つの好ましい実施形態では、パイルアップ検査装置を使用して、更に良好なテストを行い、即ち高速チャンネルにおいてパルスが検出されるたびに、パイルアップ検査装置が基線フィルタのクリア時間を測定する。このインターバル中に後続パルスが検出されない場合には、基線フィルタがその基線値に復帰しており、有効にサンプリングすることができる。
【0016】
第2に、基線フィルタの好ましい基本巾は、エネルギーフィルタより著しく短いので、多数の基線測定値を平均化して、AからBBを減算しても、得られるE値のノイズが著しく増加しないようにする。
第3に、基線スペクトルを使用して、他の滅多にない形態のパイルアップ又は処理エラーから生じることのある無効基線値を基線平均から排除する。全ての基線値をこのスペクトルに集合させ、時々、その巾WBを、最大値の所定の一部分(通常5%)において決定する。従って、基線平均値には、切断式|BB|<Wを満足する基線値のみを含む。
【0017】
又、基本的な発明の2つの拡張も提供される。第1に、基線平均化技術を変更して、i番目の測定値AであるAiから減算された平均値<BBiにおけるサンプルが、基本的な実施形態の場合と同様に、時間的に、Aiに続くのではなく、その周りに若干対称的に配置されるようにする。これは、低周波数ノイズの存在中で優れた基線追跡を許し、そして各Ai値を円形バッファに入れて、固定数のBBサンプル後に、そこから<BB>を減算することにより実行される。DSPメモリをバッファとして使用してこの目標を達成することが示される。
【0018】
第2の拡張では、基線フィルタに取り付けられた弁別器からの入力で高速チャンネルのパルス検出回路を増強し、基線フィルタのノイズが著しく低いことで弁別器のスレッシュホールドを非常に低いエネルギーにセットできるようにすることにより、軟X線又は他の低エネルギー事象を処理する性能を向上させる。X線検出器の場合に、これは、キロボルト以下の領域に対する信頼性の高い動作を許す。これで、パルス検出及び基線捕獲を同じフィルタから行うことができるので、BB値が、これから検出されるパルスで汚染されないよう確保するために更なる注意が必要となる。それ故、各捕獲されたBB値をバッファし、そしてパルスが、基線平均に含まれる前に、収集後のクリア時間内に検出されないことが要求される。同様に、軟エネルギーパイルアップを最小にするために付加的な注意が必要とされる。2つのパイルアップ検査の改善が示され、即ちパルス振幅に基づいてパルス巾を切断することと、基線とエネルギーフィルタとの間でピーク振幅を比較することである。この方法は、185eVにおける硼素KのX線ラインまできれいな動作を許すことが示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の特徴及び効果は、添付図面を参照した以下の詳細な説明から良く理解されよう。
1.はじめに
基線補正のための本発明の技術は、検出器にランダムに到着する放射線吸収事象が分光フィルタといかに相互作用して、基本巾τbの整形されたパルスを出力するか理解することが必要である。上記の式1は、デッドタイムτdを有するフィルタに対する出力計数率(OCR)対入力計数率(ICR)を与える。OCRは、ICRmax=1/τdで最大値に増加し、次いで、下降する。分光計のパイルアップ検査回路は、「デッド」タイムτdを、第2の事象が生じないところの2つの検査時間(事象に先行するtip及び事象に後続するtif)の和とする。従って、式1は、事象の周りに位置する長さτd=tip+tifの時間周期内にパルスが生じない「パイルアップなし」の確率を反映する。
【0020】
τdの値は、整形されたパルスの基本巾τbに密接に関連している。第1に、τbは、整形されたパルスが非ゼロ値を有する時間である。第2に、τbは、パルス立上り時間tr(ゼロからピーク)と、パルス立下り時間tf(ピークからゼロへ戻る)との2つの項で構成される。ここで、隣接するものとでパイルアップしないパルスの場合、tip及びtifは、次の式を満足しなければならず、
ip≧tf (2A)
if≧tr (2B)
従って、次のようになる。
τd=tip+tif≧tr+tf=τb (2C)
【0021】
従って、τbは、完全なパイルアップ検査で達成できる考えられる最小デッドタイムである。τd、τbと、フィルタを特徴付けるパラメータとの間に簡単な代数関係が存在してもしなくてもよいことに注意されたい。更に、「基本巾」は、主として、整形されたパルスの特徴であるが、通常は、フィルタの「基本巾」も指し、これは、「このフィルタにより出力されるパルスの基本巾」の省略表示である。又、真の入力が与えられる真のフィルタは、通常、パルスごとに、基本巾の異なるパルスを出力することも理解されよう。従って、2つの検査時間tip及びtifは、発生することが予想される最長の立上り及び立下り時間を越えるように調整されるが、これらの値は、その基礎となるフィルタ基本巾でスケーリングされる。
【0022】
ランダムに到着するパルスのポイズン性(毒性)は、τbが、所与のICRにおいてどれほど頻繁に良好なBB値を捕獲できるかの良好な尺度にもなることである。実際に、発生する有効基線の割合も、式1である。というのは、図2A及び2Bから、フィルタ出力が基線に復帰できるのは、2つの次々の事象の分離がパルス基本巾より大きい場合だけだからである。
【0023】
又、ポイズン統計情報から、ある事象の後に第2の事象が到着せずに長さτdのインターバルが発生する機会は、exp(−ICR τd)である。それ故、エネルギーフィルタから基線値BEを得ることのできる割合は、式1では、ICRmaxに到達した後に下降し、ICRが増加するにつれて推定値Bを次第に悪化させる。Bが多数のBE値の平均であるときには、平均値を形成するための時間がそれに応じて増加する。例えば、15625cpsのICRmaxで動作する32μsピーキング時間のフィルタ(τd=64μs)は、平均で0.174msごとに1つの良好な基線事象を発生する。32個のこのような値の<BE>平均は、これを得るのに5.57msを要し(これは、180Hzの周期である)、それ故、60Hzの共通の第3高調波において線周波数ノイズを追跡することができない。当業者に良く知られているように、アナログ基線サンプリング構成は、同様の問題で悩まされている。
【0024】
本発明は、BB値を得るために基本巾の短い個別の基線フィルタを使用することによりこの問題に対処し、従って、エネルギーフィルタからのBE値より相当に高いICR値に対してそれらを捕獲し続けることができる。この能力は、<BB>に必要とされる非常に多数のサンプルを容易に補償して、同等のノイズ性能を達成する。図4は、図2Bの前置増幅器及びエネルギーフィルタ曲線(40及び42)と同様であるが、ピーク、ギャップ及び基本巾時間がエネルギーフィルタの場合の1/4である台形基線フィルタからの曲線60が追加されている。明らかに、その基本巾は、エネルギーフィルタより相当に狭いので、少なくとも1つの基本巾だけ互いに分離された独立した基線サンプルを得るための多数の機会(ドット62で示す)が存在する。
【0025】
曲線42及び60は、同じ縦目盛上にプロットされていて、適切に取り扱わねばならない問題を即座に示し、即ち2つのフィルタの基線(43及び63)は等しくなく、前者は約0.32であり、そして後者は約0.02である。BB値は、エネルギーフィルタの基線値Bを適切に推定するためにスケーリングを必要とする。
【0026】
本発明の特徴であるこの振舞いは、全てのフィルタが特性的に直線的フィルタであるから、容易に取り扱うことができる。図5は、本発明の方法を示すもので、事象信号が存在せず且つ規則的なインターバル(即ちドット72)でデジタル化された傾斜S70の前置増幅器信号の部分を示している。ドットに重畳されて示されているのは、立上り時間L及びギャップGを有するデジタル台形フィルタの瞬時位置である。このフィルタは、正の連続和(「+」74でマークされた増強されたドット)と負の連続和(「−」75でマークされた増強されたドット)との間の差である平均差フィルタである。図5の式に関して、このフィルタの基線出力Bは、次のように表わされる。
B=L(L+G)SΔt (3)
但し、Δtは、サンプルとサンプルとの間の時間である。この式3は、両フィルタが台形である好ましい実施形態において基線フィルタ値BBをエネルギーフィルタ値BEに簡単に関連付けることができるようにする。従って、τpB=LBΔt及びτgB=GBΔtが基線フィルタのピーキング時間及びギャップ時間であって、エネルギーフィルタの項τpE及びτgEが同等に定義される場合には、BEとBBとの間の倍率関係は、次のようになる。
Figure 2004529367
【0027】
これは、フィルタが直線的フィルタであるために2つの基線が互いに直線的に比例し(そうでなければならない)、そして比例定数が、フィルタの特性を記述する定数の比であることを示している。
この比例性は、実際上、一般的なものであり、使用する特定のフィルタの形状とは独立して又はそれらがデジタルフィルタであるかアナログフィルタであるかに拘らず保持される。いずれの直線的フィルタiについても、式3と同様の式は、次のように書き表すことができる。
i=KiSΔt (5)
従って、基線フィルタB及びエネルギーフィルタEの両方が直線的である限り、式4は、上記のように一般化される。
E=BBE/KB=KEBB (6)
簡単な例として、エネルギーフィルタが台形であって且つ基線フィルタが三角形である場合には、それらの間の式6の関係は、GBをゼロにセットすることにより式4から見出すことができる。式6は、本発明を理解する上で重要である。というのは、基線フィルタ及びエネルギーフィルタが異なる関数式を有し、そしてその両方が直線的フィルタである限り、スケーリングしたBB測定値を使用してBEを決定できることを明確に示しているからである。式5及び6を分析で導出することが困難である場合には、制御された状態のもとでフィルタ出力比を測定してKEBを得ることができる。
【0028】
好ましい実施形態では、パラメータが2の累乗で異なる同じ関数式をもつフィルタが選択される。というのは、これは、本発明の組み合せデジタル信号プロセッサにおけるデジタル操作を相当に簡単化するからである。式6で示されるように、これは、単に便宜上の問題であり、他のデジタル処理方法が使用されるとき又はアナログ処理については、このような制約を遵守する必要はない。図4では、基線フィルタは、エネルギーフィルタに関して厳密に1/4であり、従って、LE/LB=GE/GB=4である。従って、式4から、図4において明らかなように、BE/BB=16であり、ここでは、BE/BB=0.32/0.02=16である。
【0029】
2.簡単なサンプリングを伴う第1実施形態
2.1 回路の説明
図6は、エネルギー事象しか存在しないときに充分に機能する第1の好ましい実施形態を示す(即ち、図1のパイルアップ検査回路18において高速チャンネル弁別器を確実にトリガーする事象)。図6の実施形態において、分光増幅器15は、デジタル回路90として実施され、該回路は、ADC92を備え、これは、デジタル処理回路93へ信号供給し、その出力は、DSP98へ供給される。処理回路93は、高速チャンネル95及び低速チャンネル96を備え、現場でプログラムできるゲートアレーにおいて組み合せロジックを使用して実施される。その動作は、実質的に「WARBURTON-1999B」に述べられた通りであり、即ち高速チャンネル95は、短い整形時間回路100、弁別器102、及びパイルアップテスト・タイマー回路103を使用してパイルアップ検査回路18を実施し、一方、低速チャンネル96は、台形エネルギーフィルタ110と、該エネルギーフィルタからのピーク値を捕獲するためのレジスタ112とを備え、パイルアップタイマー103は、パルスを検出し、カウントダウンタイマーをスタートし、そしてそれらがパイルアップされないときにエネルギーフィルタ110からのピーク値を捕獲するようにロードライン113を経てエネルギーレジスタ112に信号し、エネルギーフィルタの捕獲に続いて、パイルアップテスター103は、フラグライン114をDSP98へ上昇させ、DSP98は、アドレスバス118を経てエネルギーレジスタ112を選択した後にデータバス117を経てエネルギーレジスタ112の値を読み取る。
【0030】
本発明の基線捕獲回路は、エネルギー捕獲回路と同様に動作する。基線フィルタ120は、基線レジスタ122に接続され、該レジスタは、パイルアップテスター103によりロードライン124を経て制御される。パイルアップタイマー103は、パルスを検出し、基線カウントダウンタイマーをスタートし、そしてカウントダウンタイマーが時間切れしたときに基線フィルタ120からの基線値を捕獲するようにロードライン124を経て基線レジスタ122に信号する。基線捕獲を制御するために、カウントダウンタイムBASETIME1は、基線フィルタのピーキング時間にそのギャップ時間を加えた値の2倍に等しくなるように定義される。これは、基線フィルタがパルスに続いてその基線値に復帰したときにパルスに続く最も早い瞬間であり、従って、基線値を捕獲するために有効にサンプリングされる。このBASETIME1インターバル内に別のパルス事象が検出された場合には、収集が中断され、そしてカウントダウンタイマーが再スタートされる。何の事象も介在しない場合には、BASETIME1カウンタを再スタートし、そして更なるパルスが検出されずにそれが更に時間切れするたびにロードライン124を経て基線レジスタ122にロードすることにより次々の基線値が捕獲される。このようにBASETIME1を次々に使用すると、次々の基線サンプルは、それらが共通のデータポイントを含まないという意味で、前置増幅器の出力信号の非相関測定となるように確保される。
【0031】
低いICRにおいて、BASETIME1を、捕獲される基線サンプル間の最小インターバルとして使用すると、次々のサンプル間に1/BASETIME1の頻度で時間相関を導入することができる。というのは、それらは全てこのインターバルで下降する傾向があるからである。0とBASETIME1/2との間に均一に分布された小さなランダム数をBASETIME1テストに加えることによりこの相関を破壊することができる。ここでは、ゲートアレーにロジックを使用してランダム数ジェネレータを構築するのではなく、ADCからの適当な数の最下位ビットをこの目的に使用するだけである。
【0032】
高いICRでは、BASETIME1カウンタ方法は、フィルタの出力をスレッシュホールドに対してテストしてそれが基線にあるかどうか調べる通常の解決策よりも優れている。というのは、これは、偏った結果を生じないが、スレッシュホールドテストは、スレッシュホールドに向って偏った値を捕獲するからである。それ故、ランダム化されたBASETIME1カウンタ方法が好ましい実施形態である。
【0033】
DSP98は、アドレスバス118を使用して基線レジスタ122を選択した後にデータバス117を経て基線レジスタ122から捕獲された基線値を読み取る。この実施形態では、DSP98は、他の処理に参加していないときに、制御ループを、基線値を読み取って平均化するバックグランドタスクとして実行し、新たな値を求める。DSPは、基線レジスタをマイクロ秒当たり数回読み取ることができるので、基線レジスタの1ビットが読み取りフラグとして使用され、これは、値が捕獲されたときにセットされ、そしてそれが読み取られたときにクリアされる。次いで、DSPは、このビットをテストし、各基線値が基線平均値に一度だけ含まれるように確保する。
【0034】
2.2 基線平均化
好ましい実施形態では、「WARBURTON-1997」により教示されたように、次のような指数関数的に減衰する無限応答関数を使用して、基線フィルタからの次々のスケーリングされた値を平均化し基線平均化ノイズを減少する。
<b>i=Bi/N+<b>i-1(N−1)/N (7)
但し、Biは、i番目のスケーリングされた基線サンプルであり、<b>iは、i番目の基線平均値であり、そしてNBは、平均値の長さを制御する整数である。基線フィルタ及びエネルギーフィルタが分解能対ピーキング時間の曲線上のどこで下降するかに基づいて、NBは、エネルギーフィルタの基線平均化に使用される値NEから本質的に不変であってもよいし、又は実質的に大きい必要があってもよい。
【0035】
図7は、図6に示す好ましい実施形態の回路を、一般の商業用HPGe X線検出器に接続して、図1に示す公知のモードで実行するように構成したときのエネルギーフィルタ110からのエネルギー分解能ΔE対ピーキング時間τpを示すグラフである。「エネルギー」曲線125は、エネルギーフィルタ110からの低いICRにおいてMnKαX線に対するΔE対τpを示す。「基線」曲線126は、同じエネルギーフィルタから捕獲された基線サンプルにおけるノイズを示す。しかし、これは、図6の分光計において基線フィルタ120が同じピーキング時間τpを有するときにこの基線フィルタにより捕獲されるサンプルに見られる同じノイズである。明らかに、基線ピーキング時間が非常に長いときには、そのノイズがエネルギーフィルタとほぼ同じであり、NB及びNEは、ほぼ等しいものとなる。ピーキング時間が短く、ノイズがτp -1/2のように進行する場合には、NBは、NEの約4倍にならねばならない。というのは、ノイズは、サンプル数の平方根として減少するからである。例えば、τpB=1μs=τpE/4の場合には、その196eVノイズが、4μsにおいてエネルギーフィルタの126eVノイズの1.75倍である。この場合に、NBは、同じノイズ性能を得るためにはNEの3.06倍でなければならない。更に、τpB16μs(64μsエネルギーフィルタ)のときには、それらの各ノイズは、72.4及び58.0eVであり、NB/NEが1.6に過ぎないことを必要とする。それ故、本発明の方法は、長いピーキング時間を使用して最高のエネルギー分解能を得るときに特に効果的となる。というのは、短い基線フィルタを使用するために支払わねばならないペナルティNB/NEがこの領域において最小となるからである。
【0036】
2.3 基線の切断
多数のテストにも拘らず、前置増幅器の出力信号における時々の欠陥から誤った基線値が時々捕獲される。それらは、多くの標準偏差だけ真の値から相違し、そして基線平均値に含まれた場合には、数百の基線サンプルに対してそれを崩壊させる。それ故、このような値を基線平均値から除外するために更なる切断を適用する。第1に、捕獲された全ての基線値を基線スペクトルに入れる。第2に、時々、スペクトルのセントロイド及び標準偏差σを計算する。第3に、σのある倍数C(例えば、ピークの5%である3σ)である切断偏差をセットする。第4に、各捕獲された基線を比較して、それがセントロイドのCσ内にあるかどうか調べる。もしそうであれば、それが基線平均値に含まれる。もしそうでなければ、それが破棄される。要点は、各基線サンプルは、たとえそれが基線平均値から除外されても基線スペクトルに含まれることである。従って、例えば、基線分布が時間的に安定しない場合も、セントロイド推定値がそれを追跡するように確実に更新される。セントロイド推定値をいかに頻繁に更新する必要があるかは、分光計の安定性に依存する。典型的な値は、1000ないし10000の基線捕獲である。
【0037】
2.4 動作順序
最終的に基線補正されたエネルギーを得るために実行される多数の動作を以下に示す。即ち、BB値を捕獲し、これらの値を式4によりBEに対してスケーリングし、平均化<EE>を行ってノイズを減少し、エネルギーフィルタから値Aを捕獲し、そして<EE>をAから減算して、基線補正されたエネルギー値を得る。しかしながら、これらの動作を実行する順序は、ある程度任意であり、デジタル処理回路93とDSP98との間にどんな労力分担が希望されるかに一部依存する。例えば、基線値を捕獲する(デジタル処理回路93においてスケーリングすることにより)前、捕獲された値を平均化する前、又は捕獲されたエネルギーフィルタピーク値から平均値を減算する前に、基線スケーリングを実行することができる。同様に、エネルギーフィルタから基線平均値を減算することは、ピーク値を捕獲する前、又はそれらをDSPにより読み取る前に行うこともできる。実際に、全ての動作は、組み合せ論理のみを使用して回路93内で実施することができ、これは、最高のスループットが望まれるときには好ましい実施形態である。それ故、特定の好ましい実施形態の説明において取り上げられた動作の種々の順序は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0038】
2.5 性能の説明
図8は、図3と同様であるが、図6の好ましい実施形態を使用してピーキング時間4.0μs128、16μs129及び64μs131に対してデータが収集される。ΔEが低下せずにICRの範囲が延長したことが顕著である。図3では、ΔEの低下は、ICR>2ICRmaxの場合に顕著となり、そして3ICRmaxで発散されるが、好ましい実施形態の回路では、ICRは、かろうじて分かるΔEの低下が生じる前に3ICRmaxを越え、そして通常は、顕著な低下を生じることなくICRmaxの4倍に到達する。従って、64μs及び16μsの両方においては、5eV未満のΔEの増加が4ICRmaxによって生じ、一方、4μsでは、増加が10eV(7%)となるが、発散はまだ生じていない。同じICR範囲にわたって、MnKαエネルギーピークのセントロイドは、64μs及び4μsピーキング時間の場合に0.02%より良好に安定するが、16μsデータは、0.1%より良好に安定する。
【0039】
2.6 他の実施形態
図6の好ましい実施形態は、参照特許に開示された技術を使用し、そしてエネルギーフィルタの機能と基線フィルタの機能とを分離することによりその作用を増大し、これは、次いで、特定の基線フィルタ120、基線レジスタ122、パイルアップテスト・タイマー103の基線テストロジック、及びDSP98において実行される基線平均化コードの説明された変更を追加することにより実施される。
【0040】
しかしながら、本発明に関して、その説明された技術を使用して実施することを必要とするものは何もない。基線フィルタからのサンプルを捕獲することは、エネルギーフィルタからのサンプルを捕獲することと何ら相違しない。それ故、本発明は、近代的なパイルアップ検査分光計に見られる多数のデジタル及びアナログフィルタ捕獲及び検査技術のいずれかを使用して容易に実施することができる。以下のセクション5ではアナログ実施形態を説明する。
【0041】
2.7 基線フィルタの選択
本発明の原理が理解されると、「なぜ付加的なフィルタを追加するか?そしてなぜパイルアップフィルタを基線フィルタとして使用しないか?」という質問が当然生じる。この質問に対する回答は、主として3つの実施上の問題に依存する。
【0042】
その第1は、スケーリングが簡単なことである。特に、デジタルの場合には、エネルギーフィルタ及び基線フィルタのパラメータを2の累乗で異ならせると、DSPではなくゲートアレーにおいて補正を実施することができ、スループットを著しく向上させる。その第2は、基線サンプルのクオリティである。個別の基線フィルタでは、パイルアップフィルタを使用して、基線フィルタがその基線にあるかどうか確実に決定することができ、これは、基線サンプルのクオリティを高く保持する。以下のセクション4.1で示すように、基線フィルタがパイルアップ検査にも使用されるときには付加的なテストが必要とされ、従って、個別のパイルアップ検査フィルタをもつよりも著しく多数のリソースを必要とするが、依然としてクオリティの低い結果を生じさせる。第3のものは、セクション2.2で上述したように、基線ノイズを減少するのに必要とされるサンプルの数である。短いパイルアップフィルタに対し非常に多数の基線サンプルを捕獲して平均化することは、DSP及びゲートアレーの両リソースを消費し、スループットを著しく減少させる。
【0043】
統合すると、τpB=τpE/4であるような好ましい実施形態に到達する。スケーリングは容易であり、パイルアップフィルタを使用して、基線クオリティを確保することができ、そして低ノイズを達成するために著しく多数のサンプルが要求されることはない。当然、τpEが短くなって、τpE/4がパイルアップフィルタのτppに接近する場合には、パイルアップフィルタを基線フィルタとして使用すると、好ましい又は時には唯一の存立できる解決策となり得る。
【0044】
3.時間対称的基線連続平均の実施
3.1 問題の説明
式7の平均化された基線と、慣習的なサンプル・ホールド基線捕獲は、両方とも、時間遅れのある基線で、それらを使用して補正するところのA値の前の時間に捕獲された値を使用する。その時間遅れが長いほど、介在するノイズ又はドリフトが、Aが捕獲されるときに基線をその「真」の値から異ならせる確率がより高くなる。図9は、この状態を示している。実線の曲線132で示されたドリフトする基線信号は、多数の逐次ポイント(方形ドット)においてサンプリングされる。ポイントA133においてその値を推定し、正確なエネルギー測定値を与えることを望む。慣例的な解決策で6つの基線値を平均化しなければならないと仮定すると、これらは、ポイントB134でスタートし、時間Tにわたる遅れ平均値を形成する。この平均値は、ポイントAにおける希望値から著しくずれる。このずれは、ポイントS135でスタートして6つのポイントを捕獲しAに対して対称的な平均値を形成することにより減少できる。その値は、Aにおける瞬時基線値からも異なるが、平均では、時間遅れ方法の場合より厳密な1組の値を与える。以下のセクションでは、時間対称的な基線平均化を実施するための多数の考えられる方法の1つを説明する。
【0045】
3.2 メモリにピークをバッファする実施形態
図6に示す好ましい実施形態を使用して時間対称的基線平均値を形成するための1つの好ましい解決策は、若干のDSP98メモリと簡単なブックキーピングプログラムしか必要としない。図10は、このメモリ140を示し、第1カラムはメモリアドレスを示し、そして第2カラムはそれらの値を示し、これは最初ゼロにされる。メモリに対して2つのポインタ、即ち基線カウンタポインタBC−POINT142(最初ゼロ)と、振幅挿入ポインタAI−POINT144(最初NLEAD)とを形成する。メモリは、大きさBCma xの繰り返しバッファとして実施され、従って、両ポインタは、BCmaxに到達すると、ゼロに戻る(即ち、全てのポインタ演算は、モジュロBCmax)である。BCmaxは、NLEADを越えねばならないが、他の点では制約がない。
【0046】
ブックキーピングプログラムは、振幅挿入及び振幅比較の2つの手順を含む。振幅挿入は、DSPがエネルギーレジスタ113から値Aを読み取るたびに実行され、2つの段階を有する。第1に、DSPは、AI−POINT=BC−POINT+NLEADを計算する。第2に、DSPは、位置AI−POINT144にA値を記憶する。
【0047】
基線比較は、DSPが基線レジスタ122から有効値を読み取るたびに実行され、更新された<BE>を計算し、そして次の段階を有する。第1に、位置BC−POINT142における値がゼロと比較される。非ゼロの場合には、それが記憶されたA値であり、そこから<BE>が減算され、そして時間後続基線の場合と同様に事象エネルギーが計算される。次いで、BC−POINTにおける値がゼロにされる。最終的に、最初のゼロテストの結果に拘らず、値ゼロがBC−POINTに記憶され、そしてBC−POINTが1だけ増加される。従って、この方法は、捕獲されたA値を、基線平均値がそれに対して時間対称となるに充分な回数(即ちNLEAD)更新されるまでバッファすることにより機能する。この方法は、DSP98におけるソフトウェアの変更と、そのメモリの若干をバッファに対して使用するだけで、図6の回路において実施することができる。ハードウェアの変更は、必要とされない。明らかに、この方法は、ハードウェア又はソフトウェアのいずれでも、多数の異なるやり方で実施することができる。例えば、AI−POINTのみで使用される値は、BC−POINT+NLEADであるから、この方法は、単一のポインタBC−POINTだけを使用して容易に実施することができる。
【0048】
LEADは、基線平均化周期がA捕獲位置に重畳する量をセットする。基線平均値が単なる連続平均値であるときには、NLEADは、通常、平均長さの半分である(例えば、図9では、NLEAD=3)。しかしながら、基線平均値が式7で計算されるときには、NLEADは、通常、第1のNLEAD基線サンプルの重みの和が、全ての残りのサンプルの重みの和に等しくなるように選択される。j番目の基線サンプルの重みは、逆方向にカウントすると、次のようになるので、
j=((N−1)/N)j/N (8)
LEADは、次の式で与えられる。
Figure 2004529367
但し、lnは、自然対数である。例えば、N=32の場合には、NLEADは、22に等しい。
【0049】
最終的に、記憶されたA値が、それらを処理できるまでオーバーライトされないよう確保するために、各々の捕獲されたA値に対して少なくとも1つの有効な基線値を常に捕獲するようにDSPコードが変更される。通常、τpBをτpE/4にセットし、そして2つの事象を、パイルアップされないように少なくともτpEで分離しなければならないので、それらの間に少なくとも1つの有効な基線が存在することが常に保証される。この解決策が簡単であることは、本発明に関連して使用したときに特に効果的である1つの理由である。
【0050】
3.3 時間対称的基線の有益な応用
時間対称的基線により追加される有益さは、分光計の基線特性に強く依存する。基線が安定していて、低周波数ノイズにより汚染されないシステムでは、エネルギー分解能の改善がほとんど得られない。しかしながら、この方法は、電力ライン周波数及びその高調波が基線ノイズに影響するシステムや、低周波数電流フィードバック安定化システムでは、エネルギー分解能を著しく改善することができる。シリコンドリフト検出器において現在一般的であるこの解決策では、検出器における光子到着率の統計学的な変動に応答して基線が常時変動する。この状態では、本時間対称的基線方法は、特に、高いデータ率において、従来の基線サンプリング方法が上述したように破壊し始めたときに、優れた結果をもたらす。
【0051】
4.基線フィルタを超軟X線と共に使用
4.1 パイルアップ検査に対する基線フィルタの使用
図6に示す特定の実施形態では、3つの異なるピーキング時間(peaking time)(ひいては、基本巾)をもつデジタルフィルタ、即ち長いピーキング時間のエネルギーフィルタ、中間ピーキング時間の基線フィルタ、及び非常に短いパルスの検出又はトリガーフィルタが使用される。後者のピーキング時間が100から200nsであることは、そのノイズレベルが高く、典型的なSi(Li)X線検出器では約1000eVより低いエネルギーのX線を検出できないことを意味する。これは、185eVのBK又は280eVのCKまでのX線を検出しなければならない走査電子顕微鏡において元素を分析するといった多数の用途を除外するものである。従って、エネルギーフィルタは、従来、パルス検出に使用されるが、これは、パイルアップを検出する全ての能力を失う。しかしながら、セクション2.2で述べたように、長いピーキング時間における新たな基線フィルタのΔEは、たとえそのτpが4倍短くても、エネルギーフィルタのΔEに極めて匹敵することが多い。この場合には、基線フィルタをトリガーフィルタとして使用し、標準的な高速トリガーフィルタに置き換えるか又はそれを増強するのが非常に有益である。例えば、16μsの基線フィルタを64μsのエネルギーフィルタと共に使用するものとする。図7から、基線フィルタのΔEは、72eVであり、これは、エネルギーフィルタの53eVのノイズより19eV悪いだけであり、150eVのトリガースレッシュホールドを使用する185eVのBKX線と共に作用するに充分なほどおそらく良好である。
【0052】
図11は、パイルアップテスト・タイマーロジック103に関連して基線フィルタ120を使用するように図6の好ましい実施形態を変更したものを示す。第2の弁別器147を基線フィルタの出力に追加して、それをパイルアップテスト・タイマー103に接続することだけが必要とされる。必要に応じて、この入力は、a)無視することができ(古典的モード);b)高速チャンネル弁別器102からの入力に完全に置き換わることができ(軟X線モード);或いはc)高速チャンネル弁別器102からの入力と「オア」することができる(混合X線モード)。「オア」構成は、高エネルギーX線の大部分が存在するときに最も有用である。というのは、高速チャンネルは、これらX線に対して良好な時間分解能及びパイルアップ拒絶性を有するからである。主として軟X線が存在するときには、軟X線モードが、古典的モードよりもパイルアップ除去を著しく改善する。例えば、3900cps(ICRmaxの50%)では、64μsピーキング時間のフィルタにおいて1530cpsのパイルアップであるのに対して、16μsフィルタにおいては460μsのパイルアップに過ぎない。従って、軟X線モードは、スペクトルへのパイルアップをほぼ70%減少することができる。
【0053】
4.2 経時変化基線に対するスレッシュホールド調整
基線弁別器147にセットされるスレッシュホールドは、基線が時間的に著しく変化する場合には時間従属である必要がある。即ち、基線より上でフィルタ動作をトリガーすることを希望するので、基線スレッシュホールド値は、基線値を含まねばならず、そして基線値が変化する場合には、それと共に変化しなければならない。ワーバートン及びハバードにより説明された形式のデジタル分光計(WARBURTON-1997, 1999A)では、システムADCに対するダイナミックレンジ要求を低減するために、経時変化する傾斜信号をリセット型前置増幅器の出力から減算するケースがほとんどである。この減算は、信号に効果的な傾斜を付加し、従って、率従属である人為的な基線成分を生成する。上記から明らかなように、傾斜に対する基線値の従属性は、フィルタの時定数でスケーリングされるので、この作用は、高速チャンネルフィルタよりも基線フィルタにおいて著しく大きい。というのは、それらの時定数が大きく異なるからである(例えば、200nsに比して16μs)。それ故、傾斜信号ジェネレータが存在する場合には、基線を、各々傾斜信号発生項及び残余項である2つの項BS及びBRに分割される。次いで、基線スレッシュホールド値TBは、次の式に基づいてセットされる。
B=Δ+BS+BR (10)
但し、BSは、傾斜信号ジェネレータを調整するたびにDSPにより計算され、そしてBRは、時々更新される基線平均値<b>である。この場合には、基線平均値は、式7を使用して計算され、ここで、捕獲される値Biは、BSを減算した後に、それらを使用して<b>iを更新する。多数の実施形態では、このオフセット減算は、組み合せロジックを使用して直接実行することができ、従って、DSPは、Bi−BSの値を取り扱うだけでよい。このような実施形態を以下に示す。
【0054】
4.3 汚染のない基線値の確保
基線フィルタをパイルアップ検査に使用するときには、基線の連続平均に含ませるためにフィルタから捕獲された値が、まだ未確認の軟X線事象からのエネルギーで汚染されないように確保するために更に注意を払わねばならない。図12は、この問題を示すもので、トリガースレッシュホールドT152にかろうじて交差する3つの比較的至近離間されたピークを含む基線フィルタ曲線150を示している。上述したように、第1のパルスから始めて、下向きのスレッシュホールド交差の後であって基線値B1154を捕獲する前に、前捕獲検査周期PKINT153を待機する。しかしながら、図示されたように、別の軟X線が到来するが、そのスレッシュホールド交差によってまだ検出されない場合には、B1が真に基線に存在しないことがある。この問題は、付加的な後捕獲検査周期155を実施し、この検査周期が終了するまで付加的なスレッシュホールド交差が生じない場合だけ、捕獲した基線B2156が有効であると宣誓することにより解決される。従って、前捕獲PKINT検査157は、手前のピークが基線に戻るよう確保し、一方、後捕獲PKINT検査155は、その後到着するピークにより汚染されないことを確保する。実施の便宜上、2つの検査周期を同一にするが、これは、台形フィルタが時間対称的であるので良好に作用する。より一般的なフィルタの場合は、異なる検査周期PKINT1及びPKINT2が使用される。又、より一般的には、検査周期PKINT1がどこでスタートするかは、実際には、パルスが基線に復帰した後にどれほどで有効な基線値B2156を確実に捕獲できるかに対して、実施の容易さを妥協するところの工学的な問題である。従って、例えば、PKINT1は、スレッシュホールドの上向きの交差、パルスの検出されたピーク、又は検出された上向き交差と下向き交差との間の中間で開始することもできる。ここに実施する方法は、保守的であると共に、パイルアップ事象からの汚染を比較的免れるものである。
【0055】
4.4 軟X線変更に伴う結果
セクション4.14.3に記載する変更を利用して達成できる改善された性能の一例が図13に示され、これは、純粋な硼素の上に導電率のために薄い炭素膜を設けたもので構成されたSEMサンプルから得られたX線スペクトルを示す。このスペクトルは、高品質の10mm2Si(Li)検出器と、図11に示す回路とを使用して収集されたものである。185eVのB−K線158は、低エネルギーノイズ159から良好に分解され(54.3eVのFWHM)そして分離されている。又、282eVにおいて97eVしか離れていない隣接するC−K線162からの極めて良好な分離も示されている。制動放射バックグランド163は、右へゆっくり上昇する。個別の測定では、C−Kピークは、約58eVのエネルギー分解能を有することが分かった。
【0056】
4.5 超低エネルギー事象に対するパイルアップ検出の改善
基線フィルタを「高速」検査回路として使用するときには超軟X線又は他の低エネルギー事象に対して最も有効なパイルアップ確認を実施する上で問題が生じる。通常、2つのテストを使用してパイルアップ検査を取り扱う。即ち、次々のパルスをエネルギーフィルタのピーキング時間以上で分離することを必要とするインターバルテストと、スレッシュホールドにおけるトリガーフィルタの巾ttがテスト値MAXWIDTH未満であることを必要とするMAXWIDTH切断である(WARBURTON-1997)。この値は、通常、トリガーフィルタのピーキング時間の約2倍にセットされる。超軟X線の場合には、このテストは、図14に示すように、失敗となる。前置増幅器の出力170は、2つの至近離間された軟X線パルスを含み、これらパルスは、基線フィルタにより処理されて基線出力曲線171を発生し、これは、スレッシュホールド切断T173が図示されたようにセットされたときに単一ピークとして現われる。更に、このピークは、テスト周期MAXWIDTH174が経過する前にスレッシュホールドより下降する。それ故、基線トリガー回路に関する限り、前置増幅器の信号には単一のパルスしかない。
【0057】
この問題に対して2つの異なる解決策を案出した。その第1は、MAXWIDTHテストエネルギーを従属性にすることである。即ち、エネルギーEBの単一基線パルスが、ピーキング時間τp及びギャップτgのフィルタから到来してエネルギーTのスレッシュホールドに交差する場合に、アップ交差とダウン交差との間の時間分離は、次のように表わされる。
Δt(EB、T、τp、τg)=2(EB−T)τr/EB+τg (11)
それ故、この解決策では、MAXWIDTH=Δt(EB、T、τp、τg)+δをパルスごとのベースで調整し、ここで、δは、ノイズ変動を考慮するための小さなエラー余裕である。パイルアップ検査がゲートアレーロジックにおいてリアルタイムで実行される好ましい実施形態では、式11をパルスごとのベースで計算しない。EBがTより相当に大きい(例えば、T=200eVに対して>2000eV)ときには、
Figure 2004529367
であることはなく、むしろ、多数のEBレンジに対して1組のMAXWIDTHを前計算し、この数は、通常、小さく、10程度である。例えば、T=200eVで続けると、EBを、200、250、285、333、400、500、667、1000、2000及びEBmaxeVに境界をもつ1組の連続するレンジに分割した場合に、均一の離間された一連のテスト値が得られる。
MAXWIDTH={0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、
0.8、0.9、1.0}τp+τg+δ (12)
【0058】
これらの値は、次いで、ゲートアレーの小さなルックアップテーブルに記憶され、そしてEBの測定値に基づいてパルスごとに検索され、ttと比較される。
軟X線パイルアップ問題に対する第2の解決策は、エネルギー比較テストである。図14は、この解決策の基礎を示す。図14において、エネルギーフィルタを定数でスケーリングして、その出力を基線フィルタの出力に直接比較できるようにする。エネルギーフィルタの時定数は、相当長いので、その出力176は、この対のパルスを全く分解せず、従って、それらのエネルギーを加算する。従って、基線フィルタから見つかる最大エネルギーEB177は、エネルギーフィルタから見つかるスケーリングされた最大エネルギーEE178の約半分に過ぎない。それ故、この差を、超軟X線のための鋭敏なパイルアップテストとして使用することができる。基線フィルタを使用して「良好」なパルスを検出すると、基線フィルタからそのエネルギーEB177の第1推定値が捕獲される。パルスは「良好」であるから、エネルギーフィルタからそのエネルギーEE178の標準推定値も捕獲される。次いで、少なくともこのテストの検出能力内で次のテストを行う。
(KBEE<EB+Δn)の場合には、EEは良好である。 (13)
本発明の場合の台形フィルタについては、KBEは、式4について定義されたフィルタのピーキング時間定数値LE及びLBに次のように単純に関連付けられ、
BE=LB/LE (14)
そしてこの例の場合には4に等しい。より一般的な直線的フィルタの場合には、KBEは、式4に続く説明に基づき、導出することができるか、又は測定されねばならない。Δnは、2つのフィルタ回路における電子ノイズに基づくエラー帯域に過ぎない(同じX線を両方のケースにおいて測定するときには、「ファノ(Fano)」ノイズは同一である)。周囲環境に基づき、Δnは、分析で導出されても良いし、又は実験で決定されてもよい。典型的な値は、エネルギーフィルタのノイズの1ないし2倍は低下する。フィルタにおける基線値が顕著なときには、EE及びEBは、式10のテストに適用する前に基線補正されねばならない。
【0059】
上述した方法において、2つのフィルタからの対応するパルス出力の最大値を比較し、そしてそれらを、2つのパルスの「エネルギー」を表わすものとして述べた。明らかに、前記の説明から、エネルギーを表わす他のパルス特性(例えば、パルス面積)も、この比較に等しく良好に使用することができる。
【0060】
これら解決策は、両方とも、超軟X線に対して機能し、パイルアップの除去性能を改善することが分かっている。エネルギー解決策は、プログラムすべきFPGAリソースをあまり必要としないので、通常、好ましい解決策である。図15は、図11の分光計設計に追加されたこの回路を示す。ピーク検出器180は、弁別器147の出力によりゲート作動され、従って、基線フィルタ120の出力121に見られる最大値177を、それがスレッシュホールドT173より高い間に捕獲する。この最大値は、比較器182の入力Aに供給され、該比較器は、エネルギーレジスタ112からB入力も受ける。このレジスタの値は、上述したように、制御ライン113を経てパイルアップテスター103の制御のもとでロードされ、これは、次いで、比較器182のテスト入力に通じているストロー部ライン185をパルス付勢し、比較を行う。ライン186は、比較結果「真/偽」をパイルアップテスター103へ返送する。ピークがこのテストに合格すると、パイルアップテスターは、良好なパルスが見つかったというフラグをDSP98に立てる前に、到着するパルス間のインターバルに基づいて残りのパイルアップテストを終了するように動作を進めることができる。
【0061】
4.6 別の実施形態
セクション2.4において、種々の動作が実行される順序に関連した問題を説明した。特に、幾つかの動作をデジタル処理回路93へ移動できることを述べた。図16には、セクション4.5で述べたエネルギー比較テストも組み込んだ実施形態が示されている。この実施形態では、エネルギーフィルタ110及び基線フィルタ120の両方の出力がサンプルごとのベースで各基線値に対して補正される。従って、基線フィルタ120の出力に続いて減算器190があり、これは、レジスタ192に記憶された基線フィルタオフセット値を取り出し、この値は、データバス117及びアドレスライン118を使用してDSP98からロードすることができる。式10の説明を想起すると、Bフィルタオフセットレジスタ192へロードされた値は、通常、基線傾斜成分BSと残留基線成分BRとの和であり、従って、減算器190の出力は、基線フィルタ120がその基線にあるときには公称ゼロである。ゼロからのずれは、基線レジスタ122により通常の基線フィルタサンプリングの一部分として捕獲され、そしてDSP98によりBRの値を更新するのに使用される。この解決策は、パルス検出弁別器147及びピーク検出・捕獲回路180の両方の動作が、ここでは、基線フィルタの基線出力における変動とは独立したものになるので、効果的である。特に、回路180により捕獲されたピーク値は、ここでは、基線フィルタにより見た事象エネルギーの真の推定値で、式13で与えられるパイルアップ比較テストに必要とされるものである。
【0062】
エネルギーフィルタ110の出力も、同様に処理され、Eフィルタオフセットレジスタ195に記憶された値は、減算器194によりサンプルごとに一度減算される。Eフィルタオフセットレジスタ195に記憶された値は、実施されるアルゴリズムに基づくインターバルでDSP98により更新される。本発明の標準的な実施形態では、基線フィルタレジスタ122から有効な新たなサンプルを得て、式7に基づいて基線を再計算するたびに、更新される。エネルギーフィルタ及び基線フィルタの基線値は、式4に基づいて関連付けされるので、Eフィルタオフセットレジスタに<b>iをロードするたびにBフィルタオフセットレジスタ192に<b>i/KEBもロードすることにより、比較器182で実施されるエネルギー比較テストの精度を最大にすることもできる。ここで、<b>iは式4から得られ、そしてKEBは、式4から得られる。
【0063】
5.アナログ実施形態
図6、図11、図15及び図16に示された好ましい実施形態は、主に標準的な商業用のデジタル分光計がデジタルに基づくものであるので、デジタルに基づくものである。しかしながら、本発明は、デジタルの実施形態を必要とするものではなく、図17の技術を組み込んだアナログ分光器の回路図も示す。この回路には新規な要素が使用されず、アナログ回路において種々のフィルタ、弁別器、ゲート等を実施するための方法は、全て、当業者に良く知られたものである。図6の場合と同様に、3つの整形フィルタが使用され、即ちタイミングフィルタ200と、基線フィルタ202と、エネルギーフィルタ203であり、これらは、各々、短い整形時間、中間の整形時間及び長い整形時間(ひいては、短い基本巾、中間の基本巾及び長い基本巾)を有する。タイミングフィルタは、弁別器205に信号供給し、そして弁別器は、前置増幅器の信号にパルスが検出されるたびにパイルアップ検査・タイミング回路207に信号供給する。この回路207は、3つのゲート、即ち基線平均化ゲートBLGATE208、エネルギーピーク捕獲ゲートPCGATE210及びオプションの自動利得調整ゲートAGGATE212により、分光器の動作を制御する。図18は、これらゲートを制御する信号で、図4に示す信号に追加される信号を示す。ゲートは、それらの制御信号が高レベルであるときにオープン(導通)である。BLGATE208は、基線信号60がその基線値63にあり且つBLGATE信号230が高レベルであるときに基線フィルタ202を平均化フィルタ215へ接続する。BLGATE208を経て接続される次々の基線フィルタ値の平均値である平均化フィルタ215の出力は、可変利得増幅器217により振幅が調整され、そして減算回路218によりエネルギーフィルタ203の出力から減算される。ピーク検出・捕獲回路220は、この信号からピーク値を捕獲し、これらピーク値は、それらがパイルアップされない場合に、ピーク捕獲ゲートPCGATE210を通過し、多チャンネル分析器222へ到達する。図18のPCGATE信号232から明らかなように、PCGATEは、良好な振幅値A45及び46が捕獲された後にのみ短時間オープンする。予想通りに、基線フィルタは、その時間の良好な部分を有効な基線値において費やし、従って、BLGATE230信号も、同様の時間部分中に高レベルとなる。
【0064】
アナログ信号は、オフセット及びドリフトの両方を示すので、基線フィルタ回路の増幅された出力が実際にエネルギーフィルタの基線に一致することをテストするために自動利得調整回路を設計に含ませた。これは、サンプル・ホールド回路AGS&H212を経て行われ、この回路は、減算器218の出力のサンプルを長い時定数のフィルタ223へ接続し、時折、エネルギーフィルタが真にベースラインにあることをパイルアップ検査回路207が決定したときにサンプルを収集する。上述したように、そして図18のAGS&H信号234で示されるように、これらは、高いデータレートにおける比較的稀な事象B48である(即ち1秒当たり数百「のみ」)。フィルタ223の出力の偏差は、次いで、利得調整回路225により使用され、可変増幅器217の利得を変更する。発振を防止するために、2つの平均化フィルタ215及び223の時定数は、1桁以上相違しなければならない。基線フィルタ回路の役割は、ノイズを打ち消しそして基線の変動をピックアップすることであり、従って、その時定数は、通常、1ミリ秒より小さいが、利得調整回路は、低速の時間的ドリフトを補正し、そしてより一般的には数秒程度の時定数を有する。
【0065】
9.参照文献
参照文献として次のものが含まれる。
KNOLL-1989:「Radiation Detection and Measurement」、第2版、グレンF.ノル著(J.Wiley、ニューヨーク、1989)、チャプター4、セクションVII、「Dead Time」、及びチャプター16、セクションIII、「Pulse Shaping」;
WARBURTON-1997:1997年11月4日付、W.K.ワーブアトン及びB.ハバードの「Method and apparatus for digitally based high speed x-ray spectrometer」と題する米国特許第5,684,850号;
WARBURTON-1999A:1999年2月9日付、W.K.ワーブアトン及びB.ハバードの「Method and apparatus for Analog Signal Conditioning for High Speed, Digital X-ray Spectrometer」と題する米国特許第5,870,051号;及び
WARBURTON-1999B:1999年2月16日付、W.K.ワーブアトン及びZ.ゾウの「Method and apparatus for combinatorial logic signal processor in a digitally based high speed x-ray spectrometer」と題する米国特許第5,873,054号。
【0066】
10.結論
特定実施形態の以上の説明において、分光計のエネルギーフィルタの基線を、著しく短い基本巾を有する第2フィルタの基線出力をサンプリングすることにより推定する一般的な技術の例を説明した。この技術について考えるときには、その新規性が、付加的なフィルタ自体を含ませたことにあるのではなく、通常の高速及び低速エネルギーフィルタを越えて付加的なフィルタを使用する分光計が知られていることを理解するのが重要である。むしろ、その新規性は、第2フィルタにおいて基線測定を行うことにより第1フィルタの基線の推定値を形成し、そして2つのフィルタが共通の数学式を共用する必要がないことを実現する可能性を認識することにある。
【0067】
好ましい実施形態はデジタルであるが、本発明は、これを必要とせず、アナログの分光技術を使用して実施することもできる。更に、ソリッドステート検出器を使用する放射線分光器に関して本発明を主として説明したが、その基礎的な方法は、同じ基本的フィルタ技術を使用する核及び粒子分光器を含む他の分光器にも等しく良好に適用される。
【0068】
それ故、特定の実施形態の上記説明は、本発明を例示するためのものに過ぎない。本発明は、上述した厳密な形態に限定されるものではなく、上記教示に鑑み、多数の変更や修正が明らかに考えられる。上記実施形態は、本発明の原理及びその実際の応用を最良に説明するために選択されて説明されたものであり、当業者であれば、本発明を種々の実施形態に最良に利用し、且つ意図された特定の用途に本発明を最良に適合させるよう変更することができよう。
【0069】
本発明の多数の特定の実施形態、及び短い時定数(及び基本巾)の基線フィルタを使用して、長い時定数(及び基本巾)のエネルギーフィルタの基線に関する情報を捕獲する技術を以上に完全に説明したが、他の変形、別の構成及びその等効物も使用できる。第1の例として、好ましい実施形態は、ピーキング時間及びギャップが両方とも厳密にエネルギーフィルタの場合の長さの1/4である基線フィルタを使用した。上述したように、これは、実施の便宜上の事柄に過ぎない。第2に、好ましい実施形態では、DSPを使用して基線平均を捕獲し計算したが、この機能は、最高のデータレートを達成するために組み合わせロジックにおいて直接実行することもできる。第3に、対称的な基線補正を実施するためには特定のDSPメモリバッファ構造が好ましいが、多数の他のメモリ構造及びアドレス構成でも同じ結果を得ることができ、又は例えば、DSP外部の専用メモリを同様に使用できることも明らかである。第4に、完全にデジタル及び完全にアナログの両方で方法の実施を示したが、アナログ−デジタル混合回路も使用できることが明らかである。例えば、図16のアナログ回路では、BLGATE198をサンプリングADCに置き換えることができ、平均化フィルタ205をデジタルフィルタに置き換えることができ、そして可変利得増幅器207をDAC供給の減算器208に置きか言えることができる。第5に、DSPメモリにおいて図10の対称的基線補正を実施したが、アドレス可能なメモリに接続されたゲートアレーにおいて組み合せロジックを使用することもできる。第6に、上記実施形態では、整形されたパルスのピーク振幅のみが捕獲されたが、その面積や、整形されたパルスに沿った多数のポイントに適合された数学関数を含む整形されたパルスの他の特性を測定する実施形態でも同じ方法が作用し得る。
【0070】
それ故、上記説明は、本発明の範囲を何ら限定するものではなく、本発明は、特許請求の範囲によって限定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】公知の放射線分光計を示す回路図である。
【図2A】単一検出事象に応答した図1の前置増幅器及びフィルタ回路の出力を示す図である。
【図2B】図2Aと同様であるが、入力事象率が高い状態を示す図である。
【図3】図1に示した形式のX線分光計において4つの異なるピーキング時間についてエネルギー分解能対ICRの曲線を示すグラフである。
【図4】図2Bと同様であるが、基本巾が著しく短い追加フィルタをもつ場合を示す図である。
【図5】台形フィルタのフィルタパラメータとその基線出力との関係を示す図である。
【図6】エネルギーフィルタ及び基線フィルタの両方を含む本発明のデジタル分光計実施形態の回路図である。
【図7】図6に示す回路における全ノイズ及び基線ノイズ分解能対ピーキング時間を示すグラフである。
【図8】図3と同様であるが、図6に示す本発明を使用することにより得られる改善を示す図である。
【図9】基線が経時変化するときの対称的及び後続基線連続平均間のエラーを比較するグラフである。
【図10】時間対称的基線連続平均を実施する手段として円形バッファにデータを記憶する1つの方法を示す図である。
【図11】図6と同様であるが、基線フィルタ回路がパイルアップ検査回路へ入力を付加的に与えるデジタル分光計の回路図である。
【図12】軟X線作用に対する前後の基線サンプル検査周期の必要性を示す図である。
【図13】高分解能HPGe SEM X線検出器及び図11の回路を使用して得られた炭素被覆硼素サンプルのX線スペクトルである。
【図14】一対の密接にパイルアップされたパルスに対する前置増幅器、基線フィルタ及びエネルギーフィルタ信号のグラフで、MAXWIDTHテストが失敗した場合を示すグラフである。
【図15】図11と同様であるが、軟X線パイルアップ検査を改善するためにエネルギー比較回路が追加されたデジタル分光計の回路図である。
【図16】図15と同様であるが、エネルギー及び基線フィルタオフセットの減算がDSPからデジタル処理回路へ移動されたデジタル分光計の回路図である。
【図17】本発明のアナログ分光計実施形態を示す回路図である。
【図18】図4と同様であるが、図17に示した分光計の動作を制御するのに使用される3つのゲート信号が追加された前置増幅器及びフィルタ回路の出力を示す図である。

Claims (42)

  1. 事象に応答して事象パルスと称されるパルスを発生する前置増幅器に接続された検出器に発生する事象のエネルギーを測定する分光計において基線を決定するための方法であって、
    エネルギーフィルタと称される第1の直線的フィルタを使用して、上記事象パルスを、エネルギーパルスと称される整形されたパルスへと変換し、
    少なくとも幾つかのエネルギーパルスの特性を測定して、それらの関連事象のエネルギーの推定値を与え、
    基線補正を使用して、事象パルスがないときに上記エネルギーフィルタの出力が非ゼロであることに対して上記測定された特性を補償し、
    基線フィルタと称される第2の直線的フィルタを使用して、上記事象パルスを、基線パルスと称される整形されたパルスへと変換し、
    上記基線フィルタの出力がその基線値にある時間を決定し、
    このように決定された時間中に上記基線フィルタからの基線値を捕獲し、そして
    上記捕獲された基線値の少なくとも幾つかを使用して上記基線補正を更新する、
    という段階を備えた方法。
  2. 所与のエネルギーパルスの特性の上記測定は、そのピーク値、その面積又はその両方の推定を捕獲することを含む請求項1に記載の方法。
  3. 上記エネルギーフィルタは、基本巾τEを有し、その基本巾がτEに名目上等しいエネルギーパルスを発生し、
    上記基線フィルタは、基本巾τBを有し、その基本巾がτBに名目上等しい基線パルスを発生し、そして
    τBは、τEより短い請求項1に記載の方法。
  4. 上記基線フィルタがその基線値にある時間は、基線フィルタの出力が所定のスレッシュホールド値T未満である時間を測定することにより決定される請求項1に記載の方法。
  5. 上記基線フィルタがその基線値にある時間は、基線パルスの存在を検出し、そして基線カウントダウンタイマーを使用して、基線フィルタがその基線に復帰するに要する時間を測定することにより決定される請求項1に記載の方法。
  6. 基線補正の上記更新は、上記基線フィルタから捕獲された基線値に定数を乗算して、エネルギーフィルタ基線値の推定値を得ることを含む請求項1に記載の方法。
  7. 上記エネルギーフィルタ及び基線フィルタは、同じ数式を有し、そして
    2つのフィルタの各時定数は、定数Kだけ異なり、基線フィルタの基線の平均とエネルギーフィルタの基線の平均が同じ定数の平方だけ異なるようにする請求項6に記載の方法。
  8. 上記エネルギーフィルタ及び基線フィルタは、両方とも台形フィルタであり、
    上記基線フィルタは、ピーキング時間τpB及びギャップ時間τgBを有し、
    上記エネルギーフィルタは、ピーキング時間τpE及びギャップ時間τgEを有し、そして
    上記基線フィルタから捕獲された基線値BBに定数KEBを乗算して、エネルギーフィルタの基線値の推定値BEを得、但し、
    EB=(τpE(τpE+τgE))/(τpB(τpB+τgB))
    である請求項1に記載の方法。
  9. 上記基線補正の上記更新は、上記基線フィルタから捕獲された多数の基線値の平均値を形成することを含む請求項1に記載の方法。
  10. 上記平均値は、Nを定数とすれば、上記基線フィルタから最も最近捕獲されたN個の基線値の演算平均である請求項9に記載の方法。
  11. i番目の平均値<b>iは、次の式により計算され、
    <b>i=Bi/N+<b>i-1(N−1)/N
    但し、Biは、基線フィルタから捕獲されたi番目の基線値であり、<b>i-1は、手前の平均値であり、そしてNは、定数である請求項9に記載の方法。
  12. 上記基線フィルタは、デジタルフィルタであり、そして
    次々に捕獲される基線値間のインターバルをテストし、それらが最小許容インターバルBASETIME1を越えるよう確保して、次々に捕獲される基線値が、重畳するデータポイントを共用しないように確保する請求項1に記載の方法。
  13. 上記最小許容インターバルBASETIME1の値は、次々に捕獲される基線値間の時間相関を破壊するようにランダムなものとされる請求項12に記載の方法。
  14. 上記分光計は、測定された特性値をセーブするように変更され、上記測定値が捕獲された後の時間に更新された基線補正を使用して補償を行えるようにする請求項1に記載の方法。
  15. 上記分光計は、デジタルメモリを含むデジタル分光計であり、
    上記メモリに対するアドレスポインタ(BC−POINT)は、上記基線補正が更新されるたびに1だけ増加され、
    各測定された特性値は、上記アドレスポインタの値に定数NLEADを加算することにより計算されたメモリ位置にセーブされ、そして
    上記基線補正が更新されるたびに、位置BC−POINTにおけるメモリの値が読み取られ、そして
    読み取られたメモリの値がゼロの場合には、何も行わず、
    さもなければ、読み取られたメモリの値から上記更新された基線補正を減算しそして同じメモリ位置に値ゼロを書き込むことにより補償を実行する請求項14に記載の方法。
  16. 上記基線フィルタは、その基線フィルタの出力振幅をスレッシュホールド値Tと比較することにより上記前置増幅器の出力における事象パルスの存在を検出するのにも使用される請求項1に記載の方法。
  17. 上記補償は、上記基線フィルタの基線の値の変化に対し、
    上記スレッシュホールド値Tを時々調整するか、又は
    上記スレッシュホールド値Tとの比較を行う前に上記基線フィルタの出力からオフセット基線値を減算する、
    ことにより行われる請求項16に記載の方法。
  18. 上記パイルアップ検査は、
    検出された事象パルス間の時間分離を測定し、そして
    このような時間分離が充分小さくて上記エネルギーフィルタの対応出力パルスがパイルアップされるときには上記エネルギーフィルタからの特性値の上記捕獲を防止する、
    ことにより行われる請求項16に記載の方法。
  19. 上記前置増幅器の出力におけるパルスの存在を検出するための上記基線フィルタの使用は、前置増幅器の出力におけるパルスの存在を検出するための従来の高速チャンネルの分光計の使用に加えて行われ、そして
    上記高速チャンネルは、少なくとも、基本巾が上記基線フィルタの基本巾より著しく短いフィルタと、上記高速チャンネルフィルタの出力をスレッシュホールド値と比較するための比較器とを備えた請求項16に記載の方法。
  20. 上記基線フィルタがその基線値にある時間は、
    上記基線フィルタの出力において基線パルスが各々検出された後であって且つ基線値を上記のように捕獲する前に、上記出力がT未満の値に復帰するのを待機し、次いで、
    検査インターバルPKINT1も待機し、そして
    更に、基線値を上記のように捕獲した後に、
    上記基線フィルタの出力が、第2の検査インターバルPKINT2中に上記スレッシュホールド値Tを再び越えないことをテストする、
    ことにより決定され、ここで、
    上記PKINT1は、上記基線フィルタがその基線値に復帰するに充分な時間を有するよう確保するに足る長さであり、そして上記PKINT2は、上記前置増幅器の出力にまだ未検出のパルスが存在するために上記基線フィルタがその基線値から離脱しないことを確保するに足る長さである請求項16に記載の方法。
  21. 上記基線フィルタの出力においてパイルアップ検査テストを行って、時間分離が上記基線フィルタの時定数に匹敵するか又はそれ未満であるような事象パルスを検出し、これは、上記基線フィルタの出力がスレッシュホールドTを越えるたびに、
    上記基線フィルタの出力がスレッシュホールドTを越える時間ttと、この周期中に到達する最大値EBとの両方を測定し、
    上記EBの大きさに依存するテスト値MAXWIDTHを選択し、
    上記MAXWIDTHを上記ttと比較し、そして
    上記ttがMAXWIDTHを越えるところの事象を、パイルアップしたものとして拒絶する、
    ことにより行う請求項16に記載の方法。
  22. 上記テスト値MAXWIDTHは、
    上記分光計をセットするときに、
    1組の隣接するEBレンジを選択し、そして
    各レンジに対してMAXWIDTHの値を計算して記憶し、そして
    上記分光計を動作するときに、
    Bの値が見るかるたびに、それがどのEBレンジ内に存在するか決定し、そして
    そのEBレンジに対するMAXWIDTHの予め記憶された値を、選択されたMAXWIDTHテスト値として使用する、
    ことにより選択される請求項21に記載の方法。
  23. 上記基線フィルタの出力においてパイルアップ検査テストを行って、時間分離が上記基線フィルタの時定数に匹敵するか又はそれ未満であるような事象パルスを検出し、これは、上記基線フィルタの出力がスレッシュホールドTを越えるたびに、
    上記基線パルスの特性EBを測定し、
    測定されたエネルギーパルス特性EEを定数KBEでスケーリングし、
    BEEをEB+Δnと比較し、但し、Δnは定数であり、そして
    BEEがEB+Δnより小さい場合には、
    値EEを、このテストの検出能力内でパイルアップから影響されないものとして表示する、
    ことにより行う請求項16に記載の方法。
  24. 測定された特性EEをスケーリングしそしてKBEEをEB+Δnと比較する前に、EEをエネルギーフィルタの基線値に対して補正するか、EBを基線フィルタの基線値に対して補正するか、又はその両方を行う請求項23に記載の方法。
  25. 事象に応答して事象パルスと称されるパルスを発生する前置増幅器に接続された検出器に発生する事象のエネルギーを測定する分光計において基線を決定するための装置であって、
    上記事象パルスを、エネルギーパルスと称される整形されたパルスへと変換するエネルギーフィルタと称される第1の直線的フィルタと、
    少なくとも幾つかのエネルギーパルスの特性を測定して、それらの関連事象のエネルギーの推定値を与える手段と、
    基線補正を使用して、事象パルスがないときに上記エネルギーフィルタの出力が非ゼロであることに対して上記測定された特性を補償する手段と、
    上記事象パルスを、基線パルスと称される整形されたパルスへと変換する基線フィルタと称される第2の直線的フィルタと、
    上記基線フィルタの出力がその基線値にある時間を決定する手段と、
    このように決定された時間中に上記基線フィルタからの基線値を捕獲する手段と、
    上記捕獲された基線値の少なくとも幾つかを使用して上記基線補正を更新する手段と、
    を備えた装置。
  26. 所与のエネルギーパルスの特性を測定する上記手段は、そのピーク値、その面積又はその両方の推定を捕獲する手段を含む請求項25に記載の装置。
  27. 上記エネルギーフィルタは、基本巾τEを有し、その基本巾がτEに名目上等しいエネルギーパルスを発生し、
    上記基線フィルタは、基本巾τBを有し、その基本巾がτBに名目上等しい基線パルスを発生し、そして
    τBは、τEより短い請求項25に記載の装置。
  28. 上記基線フィルタがその基線値にある時間を決定する上記手段は、上記基線フィルタの出力が所定スレッシュホールド値T未満であるときを決定するための比較手段を含む請求項25に記載の装置。
  29. 上記基線フィルタがその基線値にある時間を決定する上記手段は、
    基線カウントダウンタイマーと、
    上記基線パルスの存在を検出し、そして上記カウントダウンタイマーをトリガーして、上記基線フィルタが基線へ復帰するに必要な時間を測定するための手段と、
    を備えた請求項25に記載の装置。
  30. 上記エネルギーフィルタ及び上記基線フィルタは、両方とも、直線的フィルタであり、そして
    上記基線補正を更新する上記手段は、上記捕獲された基線値に定数を乗算して上記基線補正の推定値を得るための手段を備えた請求項25に記載の装置。
  31. 上記エネルギーフィルタ及び基線フィルタは、同じ数式を有し、そして
    2つのフィルタの各時定数は、定数Kだけ異なり、基線フィルタの基線の平均とエネルギーフィルタの基線の平均が同じ定数の平方だけ異なるようにする請求項30に記載の装置。
  32. 上記基線補正を更新する上記手段は、上記基線フィルタから捕獲された多数の基線値の平均値を形成するための手段を備えた請求項25に記載の装置。
  33. 上記基線フィルタは、デジタルフィルタであり、そして
    上記基線値捕獲手段は、次々に捕獲される基線値間のインターバルをテストして、それらが最小許容インターバルBASETIME1を越えるよう確保し、次々に捕獲される基線値が、重畳するデータポイントを共用しないように確保するための手段を備えた請求項25に記載の装置。
  34. 上記分光計は、上記測定された特性値をセーブするための手段と、所与の特性が測定された後の時間に更新された基線補正を使用してその所与の特性を補償するための手段とを更に備えた請求項25に記載の装置。
  35. 上記分光計は、
    デジタルメモリと、
    上記基線補正が更新されるたびに1だけ増加される上記メモリに対するアドレスポインタ(BC−POINT)と、
    上記アドレスポインタの値に定数NLEADを加算することにより計算されたメモリ位置に各測定された特性値をセーブするための手段と、
    上記基線補正が更新されるたびに位置BC−POINTにおいてメモリの値を読み取るための手段と、
    を備えたデジタル分光計であり、そして
    上記読み取られたメモリの値がゼロの場合には、何も行わず、
    さもなければ、上記読み取られたメモリの値から上記更新された基線補正を減算しそして同じメモリ位置に値ゼロを書き込むことにより上記補償を実行する請求項34に記載の装置。
  36. 上記基線フィルタを、その基線フィルタの出力振幅をスレッシュホールド値Tと比較することにより上記前置増幅器の出力における事象パルスの存在を検出するのにも使用できるようにするための手段を更に備えた請求項25に記載の装置。
  37. 上記スレッシュホールド値Tを時々調整するか、又は
    上記スレッシュホールド値Tとの比較を行う前に上記基線フィルタの出力からオフセット基線値を減算することにより、
    上記基線フィルタの基線値の変化を補償するための手段を更に備えた請求項36に記載の装置。
  38. 検出された事象パルス間の時間分離を測定し、そしてこのような時間分離が充分小さくて上記エネルギーフィルタの対応出力パルスがパイルアップされるときに上記エネルギーフィルタからの特性値の上記捕獲を防止することによりパイルアップ検査を実施するための手段を更に備えた請求項36に記載の装置。
  39. 上記基線フィルタがその基線値にある時間を決定するための上記手段は、
    上記基線フィルタを上記のように使用してパルスを検出した後であって且つ基線値を上記のように捕獲する前に、先ず上記基線フィルタの出力がT未満の値に復帰するのを待機し、次いで、検査インターバルPKINT1も待機する手段と、
    各基線フィルタの基線値を捕獲した後に、上記基線フィルタの出力が、第2の検査インターバルPKINT2中に上記スレッシュホールド値Tを再び越えないことをテストする手段と、
    を備え、ここで、
    上記PKINT1は、上記基線フィルタがその基線値に復帰するに充分な時間を有するよう確保するに足る長さであり、そして上記PKINT2は、上記前置増幅器の出力にまだ未検出のパルスが存在するために上記基線フィルタがその基線値から離脱しないことを確保するに足る長さである請求項36に記載の装置。
  40. 上記基線フィルタの出力においてパイルアップ検査テストを行って、時間分離が上記基線フィルタの時定数に匹敵するか又はそれ未満であるような事象パルスを検出するための手段を更に備え、該手段は、上記基線フィルタの出力がスレッシュホールドTを越えるたびに、
    上記基線フィルタの出力が上記スレッシュホールドTを越える時間ttと、この周期中に到達する最大値EBとの両方を測定し、
    上記EBの大きさに依存するテスト値MAXWIDTHを選択し、
    上記MAXWIDTHを上記ttと比較し、そして
    上記ttがMAXWIDTHを越えるところの事象を、パイルアップしたものとして表示する、
    ための手段を含む請求項36に記載の装置。
  41. 上記基線フィルタの出力においてパイルアップ検査テストを行って、時間分離が上記基線フィルタの時定数に匹敵するか又はそれ未満であるような事象パルスを検出するための手段を更に備え、該手段は、上記基線フィルタの出力がスレッシュホールドTを越えるたびに、
    上記基線パルスの特性EBを測定し、
    上記測定されたエネルギーパルス特性EEを定数KBEでスケーリングし、
    BEEをEB+Δnと比較し、但し、Δnは定数であり、そして
    BEEがEB+Δnより小さい場合には、
    捕獲された値EEを、このテストの検出能力内でパイルアップから影響されないものとして表示する、
    ための手段を含む請求項36に記載の装置。
  42. 上記スケーリング及び比較手段の動作の前に呼び出されて、EBを基線フィルタの基線値に対して補正するか、EEをエネルギーフィルタの基線値に対して補正するか、又はその両方を行うための手段を更に備えた請求項41に記載の装置。
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