JP5425071B2 - パルスプロセッサのエネルギー測定フィルタの応答を調整する方法およびこの方法を実行するパルスプロセッサ、エネルギー分散型放射線分光分析システム - Google Patents

パルスプロセッサのエネルギー測定フィルタの応答を調整する方法およびこの方法を実行するパルスプロセッサ、エネルギー分散型放射線分光分析システム Download PDF

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Description

関連出願の参照:
本件出願は、2007年8月3日に出願された米国仮特許出願第60/963,312号、発明の名称「DIGITAL PULSE PROCESSOR SLOPE CORRECTION(デジタルパルスプロセッサの傾き補正)」に関する優先権を主張し、当該出願の開示は、引用を以て、本明細書の一部となる。
本発明は、X線分光分析システムやガンマ線分光分析システムなどのエネルギー分散型放射線分光分析システムに関しており、特に、エネルギー分散型放射線分光分析システムのデジタルパルスプロセッサにおける傾き補正改善する方法に関する。
X線分光分析システムやガンマ線分光分析システムなどのエネルギー分散型放射線分光分析システムは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)からのX線放射やガンマ線放射などの放射線放射を検出、測定、及び分析するために使用される。典型的なエネルギー分散型放射線分光分析システムは、以下の4つの主要構成要素を含んでいる:(1)検出器、(2)プリアンプ、(3)パルスプロセッサ、(4)コンピュータをベースとした分析装置。限定を目的とせず、便宜のみのために、以下では、X線分光分析システムとX線形態のフォトン(これと比較されるのは、例えば、ガンマ線分光分析システムで検出されるガンマ線形態のフォトン)とについて説明する。
検出器は、通常、あるタイプの半導体センサの形態であり、およそ数十から数百ナノ秒の間に、一般的には数万電子程度の微小な電流パルスに入射X線を変換する。電流パルスの各々の大きさは、X線のエネルギーに比例する。
プリアンプは、検出器から出力される電流パルスを増幅し、一般的に、これを数十ミリボルトから数百ミリボルトまでの範囲の電圧信号に変換する。プリアンプには、「テールパルス」又はRCカップルプリアンプと、パルスリセットプリアンプという、主たる2つのタイプがある。本明細書中のいずれに記述された内容も、これら2つのタイプのプリアンプに適用される。
パルスリセット型プリアンプでは、センサで生成された電荷は、その結果として生じる電圧が、上限に達するまで、段階的に多様な高さと間隔で上昇するようにフィードバックコンデンサ内に積分される。この上限に達すると、「リセット」パルスが適用され、これが蓄積された電荷をフィードバックコンデンサから放出し、一般的には数マイクロ秒という短時間に、プリアンプをその最小出力電圧近くまで復帰させる。そして、検出器とX線の相互作用による電荷が再度フィードバックコンデンサに蓄積して、このサイクルが繰り返される。対照的に、テールパルスプリアンプは、検出器から出力される電圧ステップ信号にハイパスフィルタとして作用し、 ベースラインへの指数的復帰の時定数は、プリアンプのフィードバックコンデンサにおける電荷積分時間と比較して長くなる。
パルスプロセッサは、プリアンプ信号を受け取り、積分処理によりX線エネルギーの数値表現を生成する。過去のエネルギー分散型放射線分光分析システムでは、パルスプロセッサは、所謂「整形(シェーピング)アンプ」と、アナログ/デジタル(A/D)コンバータという2つの別個の構成要素を含んでいた。一方、最近のエネルギー分散型放射線分光分析システムでは、一般的にこれらの機能が一体化しており、最新設計では、プリアンプ信号を直接デジタル化し、デジタル信号処理を使用した全パルス検出とフィルタ機能とを実行する。
コンピュータベースの分析装置は、パルスプロセッサから出力されるX線エネルギーを、それらエネルギーに対して検出されたX線の数のスペクトル又はプロットに集める。スペクトルは、「チャンネル」又は「ビン」と呼ばれる幾分恣意的な数の小さい領域に分割される。過去のシステムでは、マルチチャンネルアナライザ(MCA)と呼ばれるハードウエアが、X線のスペクトルチャンネルへの蓄積を行い、コンピュータが、その集計結果を読み出していた。近年のシステムでは、MCA機能は、コンピュータにより、またはパルスプロセッサ内で、ソフトウエアで取り扱われる。
パルスプロセッサの仕事は、いくつかの要因によって、より複雑になっている。例えば、電子ノイズは、プリアンプから受け取った元の信号に重畳される。ほとんど最低検出限界レベルのエネルギーのX線では、プリアンプ出力のステップ高さは、電子ノイズのピーク間偏位より格段に小さいことがある。このような場合、ノイズの寄与分を平均化除去するために、そのステップの前後で比較的長時間の信号をフィルター処理することによってしか、X線は検出されない。このようなノイズ平均化の量は、あらゆるパルスプロセッサで基本的な操作パラメータである。この平均化時間は、「整形時間」又は「ピーク時間」としてこの分野で様々に言及されている。
X線が生成する電子に加えて、プリアンプのフィードバックコンデンサへの電流の連続的な遅い流れが漏れによって生じる。この漏れ電流は、X線がない場合でさえも、非常に小さい正の傾きとしてプリアンプ出力に現れる。漏れ電流の量は、半導体検出器では温度の強い関数である。シリコン製のデバイスでは、温度が摂氏7度上昇する毎に漏れはおよそ倍になる。「シリコンドリフト検出器(SDD)」と呼ばれる市販のシリコンセンサの最新世代は、適切な動作に液体窒素温度への冷却を必要とするような従来の所謂リチウムドリフトシリコン(Si(Li))と比較して、非常に高い温度で動作する。従って、SDDが用いられる場合には、漏れ電流がより高くなって、プリアンプ出力のバックグラウンドの傾きもこれに対応して同様に高くなる。
デジタルパルスプロセッサで最も一般的に使用されるタイプのデジタルフィルタは、所謂三角又は台形フィルタであり、図2A乃至2Cに示されている。三角又は台形フィルタは、ステップエッジの前の短い時間周期の間、プリアンプ信号を単に平均し、場合によってはゼロ加重の小さい間隙によって分離されており、図2Aに示すようにそれらを減算する。このタイプのフィルタはこの分野で公知であり、演算が非常に容易であることからよく使用される。デジタル化した波形でのフィルタの連続コンボリューションには、デジタルプリアンプ波形のサンプル当たり、4つの算術演算しか必要としない。そのようなコンボリューションの応答は、図2Cの中央の部分に示すように、(フィルタにギャップがある場合は頂上が平らな)三角形であり、それ故に、このタイプのフィルタの通称となっている。
図2Bに一点鎖線で示すように、信号のバックグラウンドの傾きがゼロではない場合、それをコンボリューションされる三角又は台形フィルタは、図2Bの斜線部分と等しい一定の応答をする。ステップエッジが重ね合わされると、その結果として、フィルタの最大応答は、図2Cの下部分に示すように一定の量だけ増加する。このことは、当該分野では30年以上公知であり、1975年にKoemanの米国特許第3,872,287号で説明されている。バックグラウンドの傾きが既知ならば、デジタルフィルタの傾きへの既知の応答を減算することで、バックグラウンドの傾きの効果について、X線の測定エネルギーを補正できる。
傾きを決定する標準的な方法は、この米国特許第3,872,287号で説明され、また、幾つかの市販のアナログパルスプロセッサに使用されており、X線のない状態でエネルギー測定を人為的にトリガする方法である。そのような人為的なトリガの多数における平均的な応答は、実際のX線への応答のエネルギーを補正するのに必要なオフセットであろう。しかしながら、米国特許第3,872,287号が指摘しているように、これはバックグラウンドの傾きが一定であるという仮定に基づいている。
(上記のように)センサ温度が一定に保たれる場合、漏れ電流も、実際には一定であると予想されるが、信号にはバックグラウンドの傾きのその他の潜在的な要因があり、時間に渡って一定ではないかも知れない。リセットの残効は、プリアンプの設計に応じて、バックグラウンドの傾きに遅い指数関数的な変化を引き起こすことがある。プリアンプ出力と結合する様々なタイプの低周波ノイズは、通常、電源ライン周波数で、局所的な傾きを起こして、時間と共に変化する。当該分野において「マイクロフォニック雑音」として公知の現象は、検出器のアセンブリの物理的構成要素が容量マイクとして作用することによる外界からの音響信号のプリアンプ信号への結合を説明する。時間的に変化するバックグラウンドの傾きの影響は、人為的にトリガされたピークを含む全スペクトルが、エネルギーについて上下する原因となる。その結果、時間について平均されて、人為的にトリガされたピークの中央値は、依然として平均オフセットを示し得るが、ピークは、ピーク位置の不安定性によって、著しく広くなるだろう。
Mottによる米国特許第5,349,193号は、ステップエッジ近傍の局所的な傾きを計算する方法を開示している。米国特許第5,349,193号はまた、図6gにおいて傾きの影響を、図6hにおいて時間変化する傾きの影響を示している。米国特許第5,349,193号の図4を見ると、ブロック48とそれに関する文章は、全てのエネルギーのエッジ検出に三角フィルタを使用したと述べている。ブロック48は、図6aにて詳細に示されており、3つの演算ロジックユニット(ALU)202、204、206が三角フィルタを形成し、累算器208を伴うFIFO210が、ピーク検出フィルタの2SC連続出力の移動和(running sum)を累算している。フィルタ出力はまた、コンパレータ214でエネルギー閾値に対してテストされ、出力が閾値を越えると、FIFO210の蓄積は阻止される。このように、バックグラウンドの傾きからのサンプルのみがFIFOに累算される。(第220ブロックにて和を単純にSC個ビットまでビットシフトすることで単純計算した)傾きの平均が使用されて、ブロック52のエネルギー測定フィルタが適用される前に、データの流れは補正される。これによって、ブロック58とブロック60の係数テーブルに保存された多数の測定フィルタの各々の個々の補正係数が必要でなくなる。
米国特許第5,349,193号に述べられた方法は有効であるが、デジタルパルスプロセッサの傾きの補正の領域において改善の余地がある。
ある実施例では、プリアンプ信号の傾きに基づいて、FIRフィルタなどの、パルスプロセッサのエネルギー測定フィルタの応答を調整する方法が提供される。プリアンプ信号は、各々が個々のフォトンに対応している複数のステップエッジを有する。本発明の方法は、各々がデジタル値を有する連続的な複数のデジタルサンプルを含むプリアンプ信号のデジタルバージョンを受信する工程であって、プリアンプ信号は、複数のステップエッジの中の第1ステップエッジと、複数のステップエッジの第1ステップエッジの直後に続く、複数のステップエッジの中の第2ステップエッジとで規定される部分を有している工程を含んでいる。本発明の方法は更に、部分の第1半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値の第1積分を決定する工程と、第1半分に続く部分の第2半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値の第2積分を決定する工程と、第2積分と第1積分の間の差に等しい積分差を決定する工程と、部分の長さで前積分差を規格化することで、傾きの値を決定する工程と、エネルギー測定フィルタの応答を補正するために傾きの値を用いる工程とを含む。
あるの特定の実施例では、部分は、複数のデジタルサンプルの中における、その部分に関するn個を有しており、部分の第1半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値は、複数のデジタルサンプルのn個の中の第1グループであり、第1グループは、複数のデジタルサンプルのn個の中の第1の連続したn/2個であり、部分の第2半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値は、複数のデジタルサンプルのn個の中の第2グループであり、第2グループは、複数のデジタルサンプルのn個の中の、第1グループに続く第2の連続したn/2個であり、第1積分は、第1グループの複数のデジタルサンプルのデジタル値の積分であり、第2積分は、第2グループの複数のデジタルサンプルのデジタル値の積分であり、傾きの値を決定する工程は、積分差をn/2で割って、傾きの中間値を決定する工程と、傾きの中間値をn/2で割って、傾きの値を決定する工程とを含む。更に、好ましくは、第1積分は、第1グループの複数のデジタルサンプルのデジタル値の和であり、第2積分は、第2グループの複数のデジタルサンプルのデジタル値の和である。
傾きの値は、1単位時間に渡る傾きであってよい。加えて、傾きの値を用いる工程は、エネルギー測定フィルタの半幅を傾きの値に掛けて傾き補正値を得る工程と、傾き補正値を用いてエネルギー測定フィルタの応答を補正する工程とを含んでよい。部分の長さは、その部分に関するデジタルサンプルの個数であってよい。
別の一実施例では、上記の方法を実行するように構成されたパルスプロセッサが提供される。さらに別の一実施例では、X線分光分析システムやガンマ線分光分析システムなどのエネルギー分散型放射線分光分析システムは、入射フォトンを電流パルスである出力に変換する検出器と、検出器の出力を電圧信号であるプリアンプ信号に変換するプリアンプであって、プリアンプ信号は、各々が個々のフォトンに対応している複数のステップエッジを有するプリアンプと、FIRフィルタのようなエネルギー測定フィルタを有するパルスプロセッサとを備えている。パルスプロセッサは、上述した方法の様々な実施例を実行することで、エネルギー測定フィルタの応答を調整するように構成されている。
更に別の実施例では、各々が個々のフォトンに対応している複数のステップエッジを有するプリアンプ信号の傾きに基づいて、FIRフィルタのようなパルスプロセッサのエネルギー測定フィルタの応答を調整する方法が提供される。当該方法は、各々がデジタル値を有する連続的な複数のデジタルサンプルを含むプリアンプ信号のデジタルバージョンを受信する工程であって、プリアンプ信号は、複数のステップエッジの中の第1ステップエッジと、複数のステップエッジの第1ステップエッジの直後に続く、複数のステップエッジの中の第2ステップエッジとで規定される部分を有している工程と、部分の長さで規格化されたその部分の平均傾きを決定するために、その部分に関する複数のデジタルサンプルの各々のデジタル値を用いる工程と、エネルギー測定フィルタの応答を補正するために、部分の長さで規格化されたその部分の平均傾きを用いる工程とを含んでいる。
従って、本発明が、上記の特徴及び利点の全てを十分に達成することは明らかである。本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の説明で述べられ、また、ある程度は説明から明らかであり、本発明を実施することで理解できる。さらに、本発明の特徴及び利点は、特に添付の特許請求の範囲で示された手段及び組合せを用いて、実現及び獲得され得る。
添付の図面は、本発明の現在における好適な実施例を図示しており、上述の一般的な説明や以下の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するために供するものである。それら図面を通じて、同じ参照符号は、同じ又は関連する部分を示す。
図1は、本発明が実装され得る、限定を目的としない特定の実施例に基づいた、X線分光分析システムの全体的なブロック図である。 図2A乃至Cは、三角又は台形フィルタの概略図である。 図3は、SDDタイプ検出器とパルスリセットプリアンプからの信号を示す。 図4A及び4Bは、傾きの測定値の誤差を表す概略図である。 図5は、本発明で用いられるADCサンプルの和を計算するために使用され得る回路の概略図である 図6は、図5の回路で得られる結果の数学的説明を示す概略図である 図7は、図5の回路の累積器の内容を示す概略図である。
本明細書に記載する主題の事項は、エネルギー分散型放射線分光分析システム全般に適用される。しかしながら、図示と説明を容易にするために、X線分光分析システムを採用した実施例に関して、本発明を説明する。しかしながら、これに限定すると見なされるべきではない。また、これに限定されるものではないが、ガンマ線分光分析システムなどのその他のタイプのエネルギー分散型放射線分光分析システムに関して、本発明が適用されてよいことは理解されるべきである。
本発明は、上述したような米国特許第5,349,193号で開示された設計を顕著に改善した。以下では、一連のフィルタ出力を平均することは、一方が最初にあって他方が最後にあるX線間の各間隔の2つの小さい領域のみから傾きを計算することと数学的に同じであることが示される。−1で重み付けされたADCサンプルと、+1で重み付けされた隣接するADCサンプルとからなる、可能な限り短いピーク検出フィルタを考えてみる。X線エッジの任意の対の間で連続するADCサンプルを A1、A2、A3等として表示する。すると、コンボリューションの第1「フィルタ」出力は、A2−A1となる。An−An-1まで、第2出力はA3−A2、第3出力はA4−A3などとなる。ここで「n」は、X線ステップエッジ間のADCサンプルの番号である。この連続が合算されると、AnとA1を除く全ての項は相殺されて、最終的な和がAn−A1となることは明らかである。
ピーク検出三角フィルタの各1/2(半幅)の積分区間が2つADCサンプルに増えると、この連続は、(A4+A3−A2−A1)+(A5+A4−A3−A2)+(A6+A5−A4−A3)+...+(An+An-1−An-2−An-3)となる。同様に中間の項は相殺されて、An+2An-1+An-2−A1−2A2−A3 が残される。
重要な点は、三角フィルタの連続する出力で表される傾きのサンプルは、独立した傾きの計算値ではないことである。このために、計算値は、上述したように、三角フィルタの半幅に応じたX線ステップ間の各間隔の始点と終点の数個のADCサンプルの加重平均に基づく計算となる。従って、X線ステップのエッジ間のサンプルにおける情報のほとんどは使用されない。本発明は、以下に詳細を示すように、利用可能な情報の全てを有効に使うために、傾きの計算に使用する出力を独立させる。
本明細書で説明する主題は、時間的に変化するバックグラウンドの傾きが、プリアンプ信号に存在し得る中で、高計数率で著しく精度が向上するような、ステップエッジの瞬間の傾きを計算する新しい方法を提供するものである。図3は、SDDタイプ検出器とパルスリセットプリアンプからの実際の信号を示す。ステップエッジ間の間隔は、当該分野で知られているように大きく変化する。本明細書で説明する主題は、以下で詳細を説明するように、局所的な傾きをより良く計算するために間隔の幅を使用する。
ちょうど述べたように、本発明の目的は、半導体放射線検出器のパルスリセットプリアンプの出力においてステップエッジに重なる傾きを、リアルタイムで可能な限り精度良く測定して、その測定値を適用して、バックグラウンドの傾きに起因する誤差について測定エネルギーを補正することである。この方法は、低周波の時間変化が傾きに存在する下で効果的である。
さらに、本発明の方法は、デジタルベースであって、故に、開示された実施例では、プリアンプ信号をアナログ/デジタルコンバータ(ADC)でデジタル化する必要がある。以下の説明は、X線が検出される際に、正向きの(positive-going)プリアンプ出力を仮定するが、信号の極性は信号の連鎖の中で反転してもよく、本発明の方法が同様に有効であることは、当該分野で通常の知識を有するものには明らかであろう。また、シリコンベースのセンサと低エネルギー領域での放射を仮定しているが、同じく、この分野で通常の知識を有する者は、説明される方法は、ゲルマニウムなどその他の半導体製のセンサと、高エネルギーX線やガンマ線のフォトンとに適用されることを理解するであろう。
図1は、本発明が実装され得る特定の実施例に基づくX線分光分析システム1の全体的なブロック図である。図1に示すように、X線分光分析システム1は、点線で囲んだ部分に、その主要構成部分としてデジタルパルスプロセッサ(DPP)2を含んでおり、本明細書で説明されるように本発明が実装される。さらにX線分光分析システム1は、シリコンドリフト検出器(SDD)100とパルスリセット型プリアンプ101とを含む。本発明に関係しているDPP2のロジックブロックについてのみ詳細に説明される。引用された従来技術の特許における同様のブロックと機能的に等しいブロックは、当該分野で通常の知識を有するものには明らかであろう。
動作上、X線は、SDD100に入射して、電子−正孔対に変換され、電子の数は、X線エネルギーに比例する。これらの電子の合計からなる微小な電荷は、プリアンプ101のコンデンサに蓄積されて、図示された形の出力電圧信号に変換される。当該電圧信号では、小さなS字形ステップが、様々な振幅及び間隔でノイズに重なって生じる。電圧信号は、SDD100の漏れ電流により全体的に正の傾きを有する。定期的なリセットは、フィードバックコンデンサから電荷を放出して、出力を素早くその下限にもって行き、その結果、図1に示すような鋸歯状の波形となる。この一般的なアプローチは、長年にわたり当該分野で知られている。
プリアンプ101の出力は、DPP2の一部として提供される高速アナログ/デジタルコンバータ(ADC)102によりデジタル化される。好ましい実施例では、ADC102は、AD9446シリーズのように、Analog Devices社により製造された100MHz、16ビット部品である。図1に示した好ましい実施例は、名称と詳細を後述するロジックブロック103から119をFPGAロジックに配置し、名称と詳細を後述するロジックブロック120及び121をDSPチップソフトウエアに配置する。
ADC102の出力は、プリアンプ電圧波形からのデジタルサンプルと 図1にて後続する全てブロックのタイミングを規定するクロックとからなる。図1を簡潔にするために、このクロックは別個には示さないが、全ての機能ブロックは、後述するようにして、ADC102のクロック又はそのある約数により同期されると理解すべきである。
ADC102の出力とそのクロックは、検出器マッチングアベレージャ103を通る。検出器マッチングアベレージャ103は、随意的に複数のADCサンプルを合算し、その数で元のADCクロックを分周する。検出器マッチングアベレージャ103の目的は、DPP2に接続するSDD100の立ち上り時間に関して有効なサンプル間隔を最適化することにある。この合計の全ビットを保持することが、非常に短いフィルタリング時間での最終X線スペクトルの量子化誤差を避けるために好ましく、これにより、DPP2を経て処理を継続する際のデータパスがより広くなる。
SDD100から予想される平均立ち上がり時間が約150ナノ秒未満である場合、検出器マッチングアベレージャ103は動作せず、可能な最高のタイミング精度を得るために全100MHzレートが使用される。しかし、平面電極を伴った所謂リチウムドリフトシリコンまたはSi(Li)検出器のような、より速度の遅い検出器がDPP2に接続しており、その平均立ち上がり時間が数百ナノ秒である場合は、有効なサンプリングレートを低下させて、平均立ち上がり時間内に約16個未満のサンプルを生じるのが望ましい。
マッチングアベレージャ103からの(恐らく合算された)データとクロックは、2つの並行した経路を通る。一つの経路は、2つのサブセクションを有する高速パイルアップロジック104に導く。第1のサブセクションは、シングルステップロジックと呼ばれ、他方のサブセクションは、ランロジック(runs logic)と呼ばれる。シングルステップロジックは、適度に高エネルギーのX線について単一の連続立ち上がり内でX線のパイルアップを検出可能であり、ランロジックは、ノイズの制約の中で可能な限り素早く低エネルギーX線による連続立ち上がりの終了を検出するように設計されている。これらのロジック部分は、同日に出願された同時継続の特許出願、発明の名称「PILEUP REJECTION IN AN ENERGY-DISPERSIVE RADIATION SPECTROMETRY SYSTEM」の各々に詳細に説明されている。
第2経路は、フィルタアベレージャ105へと導く。フィルタアベレージャ105は、少数の、望ましくは、連続する4個のADCサンプルを合算して、ノイズ(サンプル間のランダム変動)を低減し、また、後続のデジタル処理ステップで要求される速度を低減する。4個を合算したデータと4で分周されたクロックとは、低速パイルアップロジック106に送られる。低速パイルアップロジック106は、高速パイルアップロジック104と機能的に同一だが、よりノイズが少なくて、より遅いデータを取り扱う。
フィルタアベレージャ105からの出力は、ピーク検出フィルタ107と複数の台形FIRデジタルフィルタ108、109、110とに並行して送られる。これらのフィルタは全て、少なくとも15年間当該分野で普通に使用されてきた従来の台形タイプである。 三角(または台形)フィルタの形は、それらを演算するのに必要な回路構成が簡単なために、よく使用される。任意の全長を有するFIRフィルタのFIFOクロックサイクル当たり、4回の演算のみが必要とされる。
ピーク検出フィルタ107は、X線エネルギーの測定に関与しないが、全X線の検出に、それらのエネルギーが低くとも関与して、可能な最高精度でそれらを時間的に配置する。ライズFIFOとフォールFIFOの幅はできる限り短くされるが、収集されるスペクトルの最低エネルギーX線の輝線を確実に検出する。電子顕微鏡に搭載されたX線分析装置では、それは、大抵の場合、277電子ボルト(eV)にある炭素の輝線である。故に、ピーク検出フィルタ107は、2007年8月3日に出願された前記の米国仮特許出願第60/963,320号、発明の名称「IMPROVED EDS PILEUP REJECTION FOR LOW ENERGIES AT HIGH COUNT RATES」で、頻繁に「炭素フィルタ」と呼ばれている。目標とする最小の輝線は、より低エネルギー(ホウ素またはベリリウム)であってよく、又は、低エネルギーでは非常に効率が悪い蛍光X線(XRF)励起用の検出器の場合はより高エネルギーでもよい。XRF検出器は、通常、センサの前にベリリウムウインドウを備えていて、約700eV以下の全てのX線を基本的に遮断する。その場合、顕著な数のX線を失う心配をせずに、ピーク検出フィルタ107を狭くして、そのパイルアップ検出性能を改善できる。
X線エネルギーレベルを測定するFIRフィルタ108、109及び110と、ピーク検出フィルタ107と、低速パイルアップロジック106と、高速パイルアップロジック104とは全て、適切なサイズのプログラム可能長さの調整遅延(programmable-length alignment delay)FIFO111、112、113、114、115及び116に接続している。これらは、全てのエッジ(イベント)検出器をトリガするのに十分なエネルギーを有しているノイズのない単一X線パルスについて、高速パイルアップロジック104と低速パイルアップロジック106からのエッジ(イベント)位置(時間)と、ピーク検出フィルタ107の最大値と、全てのエネルギー測定FIRフィルタ108、109及び110のギャップの中央に対応する出力データとが、(フィルタアベレージャ105のクロック分周(clock division)により強いられた時間量子化限界の範囲内で)同時にパルス検証ロジック117、ベースライン傾き測定ロジック118及びフィルタラッチロジック119に到達するように接続されている。また、ベースライン傾き測定ロジック118の遅延は、他の信号よりも小さく遅れるのが望ましいかもしれない。この効果は、計算される傾きのある部分が、測定されているX線エッジよりも後の時間から測定されることにある。Mottの米国特許第5,393,982号の第16コラムには、遅延差は大きく、測定されているX線エッジが、傾き測定間隔の中央に配置されている。上述したように、これは、マイクロフォニック雑音のような低周波干渉によって、傾きに若干に曲がりがある場合に誤差を小さくする。
フィルタラッチロジック119は、全てのFIRフィルタについて、ピーク検出フィルタ107の調整された最大出力時間に対応した出力を捉える。それは、従来のアナログパルス処理のサンプル・アンド・ホールド(S/H)回路と機能的に同一である。その出力は、エネルギー測定フィルタの列の中の最も長いFIRフィルタのFIRパルス幅の1/2(立ち下がりの時間と、ギャップの半分の時間の合計)に対応する期間だけ更に遅延して、ラッチをトリガするエッジに続くパイルアップを検出する時間を与える。
フィルタラッチロジック119はまたタイマーを含んでおり、現在のストローブ信号からその前後のストローブ信号(ピーク検出フィルタ107からの最大出力パルス)への時間を測定して、FIRスタックの最長フィルタ(存在するならば)の選択を可能にする。このフィルタは、Koemanの米国特許第3,872,287号とMottの米国特許第5,393,982号とに開示されている方法によると、パイルアップなく使用できる。この最大値より短い全てのフィルタの出力はまた、Koemanの米国特許第3,872,287号で教示された方法に従って、X線エネルギーのより良い推定値を得るために、異なる重みで結合されてよい。
パルス検証ロジック117は、高速パイルアップロジック104、低速パイルアップロジック106及びピーク検出フィルタ107からの信号を組み合わせて、ピーク検出フィルタ107からの単一出力パルスに、パイルアップが発生しているか否かを判断する。そのようなパイルアップが発生している場合は、ピーク検出フィルタ107では一つの最大出力パルスしか生成されないので、フィルタラッチロジック119で検出されないだろうが、抑止(inbibit)パルスが、生成及び適切に遅延されて、フィルタラッチロジック119の出力が傾き補正較正ロジック120に到達するのと同時に到達する。
ベースライン傾き測定ロジック118は、X線の到達によるS字ステップがない場合、プリアンプ101の電圧信号の漏れ電流に起因した正の傾きを測定する。台形FIRフィルタの応答が、線形の傾きに対して一定であり、フィルタの積分時間及びギャップの幅に依存することは当該分野で知られている。この傾きの応答は、X線エネルギーの正確な測定のためにフィルタ出力から減算される必要がある。図1に示すベースライン傾き測定ロジック118は、ある特定の実施例において本発明の傾き測定法を実施する。一旦バックグラウンドの傾きが正確に測定されると、それを使用してエネルギー測定フィルタの出力を補正する様々な方法は、従来技術においてよく説明されている。
高計数率では、X線間隔が平均して短いと、任意の2つのX線ステップエッジの間の傾きは、ほぼ直線になると仮定される。図3はSDDタイプの検出器とパルスリセットプリアンプからの実際の信号を示しており、横軸は、10ナノ秒の時間単位であり、表示のフルスケールは20,000単位、つまり200マイクロ秒である。この信号には、10個のステップエッジを確認でき(t=241,000単位付近の、一番右側の明らかなエッジのすぐ左にある非常に低エネルギーのステップエッジに注目)、X線のステップエッジ間の平均間隔は、それ故に、約20マイクロ秒であり、検出器の平均入射計数率は、およそ毎秒50,000カウント(cps)である。バックグラウンドの傾きにおける低周波の変化の予想源はより遅いので、X線間の直線局部近似は有効である。
直線は2点で決定される。傾きの概算精度は、図4A及び4Bに図示したように、2つの独立した要因に依存している。それらの要因は、選択した点での垂直誤差、つまりピーク間のノイズ偏位と、それらの間の時間である。測定可能な傾きの範囲は、図示したように、前の点に関する最悪な場合の正の偏差を後の点の最悪な場合の負の偏差につなぎ、逆の場合も同様にすることで決定される。ある垂直誤差「E」について、この範囲は、これらの点の時間間隔が長くなると小さくなる。図4Bの傾きの計算限界は、分離間隔「B」がより長く、図4Aの間隔「A」がより短い場合よりも狭い。
図4A及び4Bで「E」で示した垂直誤差は、時間上にて指定された点での値を決定するために平均化されるADCサンプルの数の関数である。その誤差は、より多くのサンプルを平均化することで低減できる(P−P間ノイズの低減)。
2つのX線エッジ間のベースラインの傾きの部分を考え、図4A及び4Bにおいて1点鎖線で示されるように、実際の傾きがゼロである瞬間を仮定する。各間隔について一つのADCサンプルの2つの測定点しか使用できないならば、それらは、前のエッジの直後であると共に後のエッジの直前にあって、傾き概算ベースラインは最大になるはずである。各点の2つのADCサンプルが平均化できる場合、それらは、右側のステップに最も近い2つのADCサンプルと左側のステップに最も近い2つのADCサンプルであるはずである。
この主張が論理的な結論に続くとすると、2つのX線ステップエッジ間の利用できる全てのサンプルを使用する最も正確な傾き測定は、サンプルの後半の平均を計算し、前半の平均を減算する。Mottの米国特許第5,393,982号に開示された方法は、X線の間隔の終点で最適な分離が可能であるが、加重平均のサンプル数は、上述したように、両端におけるピーク検出フィルタのおよそ半幅に制限される。先に指摘したように、可能なスループットの計数率を大きくするために、ピーク検出フィルタの半幅を小さくすることは望ましく、顕著なX線放射ラインの全てを検出する要求とにも合致する。現世代のSDDでは、エネルギー分解能とスループットの間での妥協のために、望ましいエネルギー測定の半幅はおよそ2マイクロ秒程度である可能性がある。従って、ピーク検出フィルタの半幅は1マイクロ秒以下の必要がある。故に、平均して、各間隔でのサンプルの前半と後半を使用する本明細書で述べた方法は、従来技術の手法と比べて、X線間隔当たりおよそ10倍のデータを用いることで、図3に示す現実のデータの流れについて、傾きの計算の精度が改善するだろう。
あるX線を検出した後、次のX線がいつ発生するかは分からないので、X線ステップエッジ間の間隔がどのくらい長くなるかは事前には分からない。幸いなことに、(図1のベースライン傾き測定ロジック118で用いられてよい)図5に示す簡単な回路配置によって、リアルタイムで所望の和の近似値を計算できる。その結果の数学的説明は、図6に図示される。
図5において、入力ラッチ503が取得する「移動和」は、一つ以上のADCサンプルの和であって、ADCサンプルは、図1のシステムについて上述したように、検出器マッチングフィルタ101とフィルタアベレージャ104の前ステージによって既に合計されていてもよい。好ましい実施例では、SDDタイプの検出器について、検出器マッチングフィルタ101が無効にされ(1に設定)、フィルタアベレージャ104は4に設定される(元の4個のADCサンプルを合算し、4で元の100Mhzクロックを分周)。更に、その好ましい実施例では、移動和は、ピーク検出フィルタ107の右側(後(trailing))半分として使用されるADCサンプルの連続的に更新される和であって、WのADCサンプルのユーザ制御の半幅を有する。これらは、10ナノ秒の元の10ナノ秒のADCサンプルから合算された40ナノ秒のADCサンプルであることに留意のこと。
ピーク検出フィルタ107の半幅より小さい値をWに使用する理由はない。ピーク検出フィルタ107の全幅より短いX線間隔は、上述したように、またMottの米国特許第5,393,982号で説明されているように、パイルアップとして直ちに排除される。傾きの計算値を得るには、WのADCサンプルが2グループの最小値が必要とされ、ちょうど説明したように全幅と等しい。つまり、X線の測定可能な最短間隔は、ピーク検出フィルタ107の2つの半幅に一致する。引用により本明細書に組み込まれた上述の同時係属出願の図2に示すように、WのADCサンプルの移動和がピーク検出フィルタ107のための計算の一部として既に計算されている必要があるのは便利である。
クロック分周/抑止ロジック501に入ったクロック信号はまた、図1に示す検出器マッチングフィルタ103とフィルタアベレージャ104によって分周されてよい。それはさらにWで分周されて、入力クロックの全てのWサイクルで入力ラッチ503をトリガするのに使用される新しいクロックWCLKが生成される。これは、上記のように好ましい、FIFO504の連続入力の統計的な独立性を保証する。Wの値は、外部コントロールコンピュータによってW−REGレジスタ502に配置される。
図1に示す「閾値越え」信号はピーク検出フィルタ107で生成され(ピーク検出フィルタ107がその閾値エネルギーを超えるときは常にハイである)、X線間の間隔の終了(即ち、新しいX線の到着の検出)を伝えるために使用される。それは、ORゲート508を通り、ラッチ512と513をトリガして、累算器511とC2Cカウンタ509の出力が夫々捉えられる。それはまた、FIFO504と出力ラッチ506をクリアする。累算器511に保持された値を捉える時間をラッチ512に与えるために、遅延507にて僅かな遅延した後、累算器511もまたクリアされる。
WCLKは、2で分周する回路505を通過して、半分のレートのクロックが生成される。FIFO504がWCLKのレートで満たされる間、出力ラッチ506は、その半分のレートでそこから出る入力のみを捉える。累算器511は、WCLKのレートで動作して、このように、累積和からFIFO504の各出力を2度差し引く。
C2Cは、「中心から中心(center-to-center)」を意味する。これは、WCLK単位での、傾きの計算に使用するADCサンプルの第1グループの中心と第2グループの中心との間の時間である。C2Cカウンタ509は、1に初期化され、WCLKサイクル毎にインクリメントされる。2つのX線間の間隔は、平均計数率とポアソン到着の統計に従って任意に長くなり得るので、C2CMAXREGレジスタ510のC2C値に配置される人為的な最大値があり、それは外部コントロールコンピュータから与えられる。C2Cカウンタ509がC2CMAXREGレジスタ510の値に到達すると、信号が生成されてORゲート508に入り、傾き平均化ロジック514用の累積和とC2C長の出力を生成する。
図7に関連して以下で説明するように、傾きが計算される間の全時間は、単一間隔の傾きの計算値のプログラム可能な数の平均によって定義される。全平均時間を制限するのが好ましいことから、バックグラウンドの傾きの変化を正確に追跡するために、C2CMAXREGレジスタ510に値が選択されており、その値は、エネルギー測定フィルタ幅に対して、全平均時間を長くするが、電源ライン電圧やマイクロフォニック雑音などのバックグラウンドの傾きの変化の源について予想される最も高い周波数に対して、全平均時間を短くする。
図5は、(C2CMAXREGレジスタ510の最大長制限を条件とする)X線間の単一間隔の傾きの計算に必要な和を導く計算の定常状態動作のロジックを示す。間隔の開始時に実行されなければならない初期化ロジックがあり、「閾値超え」信号の立ち下がりエッジでトリガされる。簡単化のために図5には示さないが、その設計は、当該分野で通常の知識を有する者には以下の説明から明らかであろう。
以下の理由から、FIFO504へのデータ入力は、「閾値超え」信号がローになった後、ピーク検出フィルタ107の半幅W分、遅延する必要がある。検出可能な最低限界のエネルギーのX線は、ピーク検出フィルタ107の全幅中央にて、閾値を僅かに超える程度でしかないであろう。従って、「閾値越え」信号がローになった直後に、フィルタにおける後の半幅内に、まだ低エネルギーエッジが存在することがある。従って、後の半幅にエッジが含まれないことを確実にするため、「閾値超え」信号がローである間、更なる時間Wが経過する必要がある。この制限から、一般的にピーク検出フィルタ107の全幅の1.5倍の間隔が、有効な傾きの計算に必要とされる。より短い間隔は無視される。これは、クロック分周/抑止ロジック501で取り扱われる。
X線の間隔の終わりでは、「閾値超え」信号がアクティブとなると、後の半幅が使用されているので、その中にはエッジがないことが分かっており、特別な動作をする必要はない。また、X線間隔の始めでは、FIFO504に入る最初のサンプルは、出力ラッチ506に直ちにロードするよう強制されなければならず、このことは、図6を参照して明らかにされる。
図6は、WCLKの最初の数サイクルの累積器511の内容を示す。WCLKの間隔における(ピーク検出フィルタ107の後の半幅である)移動和の値は、従来技術である米国特許第5,349,193号の議論で使用したものと同じ表記で、A1、A2、A3などとして表現されて、一番上のラインに示されている。連続するWCLKサイクル上の出力ラッチ506の内容は、第2ラインに示されている。上述したように、A1は、出力ラッチ506へ予めロードされていなければならない。
図6の3行目は、各WCLKサイクルにおける最後の和の半幅であり、2で分周されたWCLKサイクルの数の整数部分となるのが確認されるであろう。図6の4行目は、C2Cカウンタ509の現在値であり、現在の傾きを計算する間隔の前半と後半を作るWのADCサンプルの2つのグループの中心間距離である。これは、図4で論じた間隔であって、単位時間あたりの傾きの計算を可能にする。これが長くなるほど。計算値がより正確になる。WCLKの奇数サイクルでは、前半の間隔の和と後半の間隔の和における半幅Wの総数は一定のままであるが、それらの中心(C2C)間の時間の差は、1だけ増加する。偶数のサイクルでは、C2Cは一定だが、使用される半幅Wの数が1だけ増加する。
図6の残りの行は、累積器511に含まれる累積和を示す。1つのWCLKサイクルの後、その和はA2−A1となり、ピーク検出フィルタ107の出力と等しい。2つのWCLKサイクルの後では、その和はA3−A1で、第1サイクルの後に加えられたA2の値は再び減算されて、C2Cは2に増加する。
次のWCLKサイクルでは、A2の寄与は相殺から負となり、A4が加えられる。従って、累積和は、これまでの(時間の)間隔の後半の和から前半を引いたものである。さらなる2つのサイクルでは、合計間隔長がWの6倍となり、中心から中心の距離がWの3倍になり、そして(A6+A5+A4)−(A3+A2+A1)が累積和となる。このパターンは、「閾値越え」信号の立ち上がりエッジによりトリガされる次のX線の到着まで継続する。
このように、図5の回路は、2つのX線の間隔の長さを事前に知ることなく、そのX線間隔を形成するADCサンプルの前半の積分と後半の積分の間の差と、単位時間あたりの傾きにその差を規格化するために必要な値C2Cとをもたらす。上述したように、これは、その間隔内の全ての情報を十分に使用して、最も正確な直線計算を可能にする。
図7は、図5の傾き平均化ロジック514を示しており、最終的な平均傾き計算値を生成するための、複数のX線間間隔からの傾きの計算値の処理を図示する。図7の上部の波形702は、X線ステップエッジを囲んでいる「I」が付された抑止時間を示しており、上述したような1.5Wよりも小さい間隔を取り囲む、より長い抑止時間を含んでいる。
X線間の複数の単一間隔に関する傾き概算の累積和とそれらに関連するC2C長は、2つの並列なFIFOに、つまりS−FIFO702とC2C−FIFO703とに供給される。これらFIFOの正確な長さは重要ではないが、傾きが平均化される時間全体がエネルギー測定時間と比べて長くなるように、少なくとも50から100でなければならない。好ましい実施例では、その長さは64であり、C2CMAXREGレジスタ510も64であり、4に設定されたフィルタアベレージャ104と1に設定された検出器マッチングアベレージャ103について、Wは8となる。これは、各単位時間Wが、8×40、即ち320ナノ秒であることを意味する。C2C値は、X線間の間隔の約半分なので、64という制限は、最大測定間隔がWの128倍であることを意味する。従って、傾きの平均化に使用される最大合計時間は、320ナノ秒掛ける64掛ける128、つまり約2.6ミリ秒となる。
X線間の平均間隔は、Wの128倍よりもかなり短くなり得るので、実際の合計は高いレートのものよりも小さいだろう。図3の例では、平均間隔は20マイクロ秒であって、傾きの計算に使用される全時間は、(64×20)つまり1.2ミリ秒に近い値となるだろう。この計算をするのに経過する全時間の幅はより長くなるだろう。使用される時間が、累積する抑止間隔を含まないからである。しかし、非常に高い計数率である場合を除き、それらは比較的小さい割合であろう。
S−FIFO702とC2C−FIFO703における傾き計算の個々の累積和自体が、S−累算器704とC2C−累算器705にて夫々合算される。FIFOに新しい値が入力される毎に、現在の累算器の値が、S−SUM706とC2CSUM707に夫々ラッチされる。単位時間W当たりの傾き計算の現在値は、演算論理装置(ALU)708においてS−SUM706をC2C−SUM707で除算することで生成される。
X線間隔が長くなると、C2C−SUM707での割合がより大きくなるので、傾き計算にてより重く加重されることに留意すべきである。上述し、図4Aと4Bに示すように、より長い傾きの計算はより正確なので、これは望ましいことである。
図1に戻ると、傾き補正と較正ロジック120は、ベースライン傾き測定ロジック118から現在の傾きの計算値を受け取り、エネルギー測定FIRフィルタ108、109、110の全ての出力を受け取り、場合によっては、パルス検証ロジック117からの抑止信号を受け取る。それらは、全ては適切に時間調整される。好ましい実施例では、これらのイベントは、ADCサンプルレートよりかなり低いピーク検出フィルタ107のパルスレートで発生するので、これらの機能は、Texas Instruments社TMS320C6414などのデジタル信号処理チップ内のソフトウエアに実装される。
抑止信号がない場合は、このロジックは、当該分野でよく知られた方法で102からの信号中のベースラインの傾きによる誤差を除去し、FIRフィルタ108、109、110の一つ以上の生出力を重み付けして、ステップエッジを作ったX線の較正エネルギー計算値を生成する。
米国特許第5,349,193号で述べられているように、傾き計算に使用される時間がエネルギー測定時間のほぼ中央付近にあるように、エネルギー測定を遅延させるのは有利である。傾きに幾らかの変動がある場合には、これは好ましい。
これら測定されたエネルギーは当該分野で公知の方法でマルチチャンネルアナライザ(MCA)メモリ121に保存される。MCA121に蓄積されたスペクトルは、その後、分析のためにホストPC122に転送される。
本発明の好ましい実施例を説明及び図示したが、これらは本発明の典型例であって、限定として考えられるべきではないことを理解されるべきである。追加、削除、置換やその他の変更は、本発明の精神や目的から逸脱することなく行われてよい。従って、本発明は上述の説明によって制限されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。

Claims (19)

  1. 各々が個々のフォトンに対応している複数のステップエッジを有するプリアンプ信号の傾きに基づいて、パルスプロセッサのエネルギー測定フィルタの応答を調整する方法において、
    各々がデジタル値を有する連続的な複数のデジタルサンプルを含む前記プリアンプ信号のデジタルバージョンを受信する工程であって、前記プリアンプ信号は、前記複数のステップエッジの中の第1ステップエッジと、前記複数のステップエッジの第1ステップエッジの直後に続く、前記複数のステップエッジの中の第2ステップエッジとで規定される部分を有している工程と、
    前記部分の第1半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値の第1積分を決定する工程と、
    前記第1半分に続く前記部分の第2半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値の第2積分を決定する工程と、
    前記第2積分と前記第1積分の間の差に等しい積分差を決定する工程と、
    前記部分の長さで前記積分差を規格化することで、傾きの値を決定する工程と、
    前記エネルギー測定フィルタの応答を補正するために前記傾きの値を用いる工程と、
    を含む方法。
  2. 前記部分は、前記複数のデジタルサンプルの中における、前記部分に関するn個を有しており、
    前記部分の第1半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値は、前記複数のデジタルサンプルの前記n個の中の第1グループであり、前記第1グループは、前記複数のデジタルサンプルの前記n個の中の第1の連続したn/2個であり、
    前記部分の第2半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値は、前記複数のデジタルサンプルの前記n個の中の第2グループであり、前記第2グループは、前記複数のデジタルサンプルの前記n個の中の、前記第1グループに続く第2の連続したn/2個であり、
    前記第1積分は、前記第1グループの複数のデジタルサンプルのデジタル値の積分であり、
    前記第2積分は、前記第2グループの複数のデジタルサンプルのデジタル値の積分であり、
    前記傾きの値を決定する工程は、前記積分差をn/2で割って、傾きの中間値を決定する工程と、前記傾きの中間値をn/2で割って、前記傾きの値を決定する工程とを含む、請求項1の方法。
  3. 前記第1積分は、前記第1グループの複数のデジタルサンプルのデジタル値の和であり、前記第2積分は、前記第2グループの複数のデジタルサンプルのデジタル値の和である、請求項2の方法。
  4. 前記傾きの値は、1単位時間に渡る傾きである、請求項1の方法。
  5. 前記傾きの値を用いる工程は、前記エネルギー測定フィルタの半幅を前記傾きの値に掛けて傾き補正値を得る工程と、前記傾き補正値を用いて前記エネルギー測定フィルタの応答を補正する工程とを含む、請求項4の方法。
  6. 前記エネルギー測定フィルタは、FIRフィルタである、請求項1の方法。
  7. 前記部分の長さは、前記部分に関するデジタルサンプルの個数である、請求項1の方法。
  8. 前記プリアンプ信号は、1又は複数の追加部分を有しており、
    各追加部分は、前記複数のステップエッジの中の第1追加ステップエッジと、前記複数のステップエッジの中の第1追加ステップエッジの直後に続く、前記複数のステップエッジの中の第2追加ステップエッジとで個々に規定され、
    前記方法は、各追加部分について、
    (i)前記追加部分の第1半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値の第1積分を決定する工程と、
    (ii)前記追加部分の前記第1半分に続く前記追加部分の第2半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値の第2積分を決定する工程と、
    (iii)前記追加部分に関する第2積分と前記追加部分に関する第1積分の間の差に等しい、前記追加部分に関する積分差を決定する工程と、
    (iv)前記追加部分の長さで前記追加部分に関する積分差を規格化することで、前記追加部分について追加の傾きの値を決定する工程と、
    を行うことで、1又は複数の追加の傾きの値を決定する工程を含んでおり、
    前記エネルギー測定フィルタの応答を補正するために前記傾きの値を用いる工程は、前記傾きの値と、前記1又は複数の追加の傾きの値とを用いて傾きの平均値を決定する工程と、前記傾きの平均値を用いて前記エネルギー測定フィルタの応答を補正する工程とを含む、請求項1の方法。
  9. 請求項1の方法を実行するように構成されたパルスプロセッサ。
  10. 入射フォトンを電流パルスである出力に変換する検出器と、
    前記検出器の出力を電圧信号であるプリアンプ信号に変換するプリアンプであって、前記プリアンプ信号は、各々が個々のフォトンに対応している複数のステップエッジを有するプリアンプと、
    エネルギー測定フィルタを有するパルスプロセッサと、
    を備えており、
    前記パルスプロセッサは、
    各々がデジタル値を有する連続的な複数のデジタルサンプルを含む前記プリアンプ信号のデジタルバージョンを受信する工程であって、前記プリアンプ信号は、前記複数のステップエッジの中の第1ステップエッジと、前記複数のステップエッジの第1ステップエッジの直後に続く、前記複数のステップエッジの中の第2ステップエッジとで規定される部分を有している工程と、
    前記部分の第1半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値の第1積分を決定する工程と、
    前記第1半分に続く前記部分の第2半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値の第2積分を決定する工程と、
    前記第2積分と前記第1積分の間の差に等しい積分差を決定する工程と、
    前記部分の長さで前記積分差を規格化することで、傾きの値を決定する工程と、
    前記エネルギー測定フィルタの応答を補正するために前記傾きの値を用いる工程と、
    を行って、前記エネルギー測定フィルタの応答を調整するように構成されているエネルギー分散型放射線分光分析システム。
  11. 前記部分は、前記複数のデジタルサンプルの中における、前記部分に関するn個を有しており、
    前記部分の第1半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値は、前記複数のデジタルサンプルの前記n個の中の第1グループであり、前記第1グループは、前記複数のデジタルサンプルの前記n個の中の第1の連続したn/2個であり、
    前記部分の第2半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値は、前記複数のデジタルサンプルの前記n個の中の第2グループであり、前記第2グループは、前記複数のデジタルサンプルの前記n個の中の、前記第1グループに続く第2の連続したn/2個であり、
    前記第1積分は、前記第1グループの複数のデジタルサンプルのデジタル値の積分であり、
    前記第2積分は、前記第2グループの複数のデジタルサンプルのデジタル値の積分であり、
    前記傾きの値を決定する工程は、前記積分差をn/2で割って、傾きの中間値を決定する工程と、前記傾きの中間値をn/2で割って、前記傾きの値を決定する工程とを含む、請求項10のエネルギー分散型放射線分光分析システム。
  12. 前記第1積分は、前記第1グループの複数のデジタルサンプルのデジタル値の和であり、前記第2積分は、前記第2グループの複数のデジタルサンプルのデジタル値の和である、請求項11のエネルギー分散型放射線分光分析システム。
  13. 前記傾きの値は、1単位時間に渡る傾きである、請求項10のエネルギー分散型放射線分光分析システム。
  14. 前記傾きの値を用いる工程は、前記エネルギー測定フィルタの半幅を前記傾きの値に掛けて傾き補正値を得る工程と、前記傾き補正値を用いて前記エネルギー測定フィルタの応答を補正する工程とを含む、請求項13のエネルギー分散型放射線分光分析システム。
  15. 前記エネルギー測定フィルタは、FIRフィルタである、請求項10のエネルギー分散型放射線分光分析システム。
  16. 前記部分の長さは、前記部分に関するデジタルサンプルの個数である、請求項10のエネルギー分散型放射線分光分析システム。
  17. 前記プリアンプ信号は、1又は複数の追加部分を有しており、
    各追加部分は、前記複数のステップエッジの中の第1追加ステップエッジと、前記複数のステップエッジの中の前記第1追加ステップエッジの直後に続く、前記複数のステップエッジの中の第2追加ステップエッジとで個々に規定され、
    前記パルスプロセッサは、各追加部分について、
    (i)前記追加部分の第1半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値の第1積分を決定する工程と、
    (ii)前記追加部分の第1半分に続く前記追加部分の第2半分に関する複数のデジタルサンプルのデジタル値の第2積分を決定する工程と、
    (iii)前記追加部分に関する第2積分と前記追加部分に関する第1積分の間の差に等しい、前記追加部分に関する積分差を決定する工程と、
    (iv)前記追加部分の長さで前記追加部分に関する積分差を規格化することで、前記追加部分について追加の傾きの値を決定する工程と、
    を行って、1又は複数の追加の傾きの値を決定することで、前記エネルギー測定フィルタの応答を調整するように更に構成されており、
    前記エネルギー測定フィルタの応答を補正するために前記傾きの値を用いる工程は、前記傾きの値と、前記1又は複数の追加の傾きの値とを用いて傾きの平均値を決定する工程と、前記傾きの平均値を用いて前記エネルギー測定フィルタの応答を補正する工程とを含む、請求項10のエネルギー分散型放射線分光分析システム。
  18. 前記傾きの値と、前記1又は複数の追加の傾きの値とを用いて傾きの平均値を決定する工程は、各追加の傾きに係る追加部分の長さに比例して、各追加の傾きを重み付けする工程を含む、請求項8の方法。
  19. 前記傾きの値と、前記1又は複数の追加の傾きの値とを用いて傾きの平均値を決定する工程は、各追加の傾きに係る追加部分の長さに比例して、各追加の傾きを重み付けする工程を含む、請求項17のエネルギー分散型放射線分光分析システム。
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