JP2004529323A - ミクロ機械加工した化学センサ・アレイ内に材料を閉じ込めるための方法および装置 - Google Patents
ミクロ機械加工した化学センサ・アレイ内に材料を閉じ込めるための方法および装置 Download PDFInfo
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- B01J2219/00274—Sequential or parallel reactions; Apparatus and devices for combinatorial chemistry or for making arrays; Chemical library technology
Abstract
Description
【0001】
本発明は、流体中の分析物を検出するための方法およびデバイスに関する。より詳細には本発明は、医療分野、食品/飲料、および環境分野の溶液に含まれる分析物、毒素、および/または細菌の混合物を識別することが可能なセンサ・アレイ・システムの開発に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の分析物、毒素、および細菌を識別することが可能なスマート・センサの開発は、臨床、環境、健康安全、遠隔探知、軍事、食品/飲料、および化学処理の適用分野においてますます重要になりつつある。高感度で選択性の高い検出が可能なセンサは、単一分析物の検出用として数多く作製されているが、溶液相複数分析物検出能力を示すアレイ・センサは、選択されたごくわずかな場合でしか作製されていない。そのようなアレイ・システムの利点は、複数の分析物の分析に利用できること、および新たな刺激に応答するよう「調整」できることにある。このアレイ構造によれば、その場に適応した分析を行うことができるので、将来様々な適用分野でこのアレイ構造を利用することが嘱望されている。複合蒸気を感知し識別する能力を示す、いくつかの異なる変換スキームを使用したアレイ・ベースのセンサが実際に示されている。例えば、弾性表面波(SAW)に基づく機能センサや、酸化スズ(SnO2)センサ、導電性有機ポリマー、カーボンブラック/ポリマー複合体が作製されている。例えば酸化スズ・センサの使用は、Hoffheins他の米国特許第5,654,497号に記載されている。これらのセンサは、部位間における応答特性のわずかな相違によって様々な有機蒸気を識別しこれらを区別する能力を示す。このアレイに関するフィンガープリント全体のパターン認識は、気相分析物種の嗅覚による検出の基準としての役割を果たす。
【0003】
いくつかの商用の「電子ノーズ」が最近開発された。十分確立されているほとんどの感知要素は、化学的に異なる応答特性が得られるよう作り出されたSnO2アレイをベースにしている。SAW結晶をベースにしたアレイは、蒸気に対して極めて感度の高い応答をもたらす。設計製作上問題があるために、複数のセンサ部位を有する大型SAWアレイは作製されていない。本発明者等が知るところによれば、今日まで報告されている最大SAWデバイスはわずか12個のセンサ要素しか備えていない。さらに、そのようなシステムは、分子の特徴に関する理解が不十分であり化学的多様性が制限されるので、より複雑な分析に利用するのが困難である。
【0004】
揮発性有機分子を同定し区別することができるその他の構造が開発されている。ある構造は、金属コンタクト層上に堆積された一連の導電性ポリマー層を含んでいる。これらのセンサを揮発性試薬に曝すと、一部の揮発性試薬がポリマー層に吸着し、この層の電気抵抗を少し変化させる。様々な部位の挙動が少し変化することによって、蒸気の区別、同定、および定量が可能になる。検出プロセスは数秒しかかからず、この比較的単純な手法によって10億分率の感度を実現することができる。この「電子ノーズ」システムは、Lewis他の米国特許第5,698,089号に記載されており、本明細書であたかも述べたように参照により本明細書に援用する。
【0005】
上述の電子ノーズは、揮発性試薬をモニタする素晴らしい能力を備えるが、このシステムには、代替のセンサ・アレイ・システムを開発しなければならないいくつかの望ましくない特徴がある。例えば、電子ノーズは揮発性試薬の同定にしか使用することができない。多くの環境、軍事、医療、および商業的な適用分野では、液体または固相サンプル中に含まれる分析物の同定および定量が必要である。さらに、電子ノーズ・システムは費用が高く(例えばAromascanシステムは約50,000ドル/ユニットかかる)、かさばる(≧1ft3)。さらに、現在使用可能な電子ノーズの機能的要素は、軍事用および民生用として問題とされる分析物の多くに対して化学的選択性がほとんどない導電性ポリマー系からなる。
【0006】
最も一般的に使用される感知技法の1つは、臨床分析におけるラテックス凝集試験(LAT)用のコロイド状ポリマー微小球を利用したものである。60種を超える分析物に対して商業上利用可能なLATが、感染症、不法薬物、および初期妊娠試験に日常的に使用されている。このタイプの大多数のセンサは、抗体由来の微小球が外来抗原によって効果的に「架橋」してフィルタに結合し、またはフィルタを通過することができなくなったときに生じるラテックス粒子(ポリマー微小球)の凝集の原理に基づいて作動する。染料ドープ型の微小球は、抗原を含む溶液を除去することによって比色法により検出する。しかしLATは、その応答性が、微小球をすべて回収するという協働作用に本質的に依存するので、複数の実時間での分析物検出スキームに利用することができない。
【0007】
電子ノーズと同様に分析上非常に将来性あるアレイ・センサは、「DNAオン・チップ」技術に基づくものである。これらのデバイスは、平面基板上の2次元パターン内に添着された高密度のDNAハイブリダイゼーション部位を持つ。ヌクレオチド配列情報を生成するには、様々なハイブリダイゼーション部位に結合する未知のDNA断片からパターンを作成する。放射化学的方法および光学的方法は共に、限られた量のDNAを分析するのに優れた検出限界をもたらした。(Stimpson,D.I.;Hoijer,J.V.;Hsieh,W.;Jou,C.;Gardon,J.;Theriault,T.;Gamble,R.;Baldeschwieler,J.D. Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1995、92、6379)。DNA断片の検出には実に有望であるが、これらのアレイは一般に非DNA分子用として設計されておらず、したがって、より小さい有機分子に対する感度は非常に低い。しかも民生用および軍事用として問題にされる標的分子の多くは、DNA成分を含んでいない。このため、フレキシブルな非DNAベースのセンサが依然として求められている。さらに、最大2〜3千個の異なる核酸プローブを含んだいくつかのプロトタイプのDNAチップが記述されているが、この既存の技術を実用サイズにまで広げて利用することは難しい。その結果、DNAチップを実際に使用すると極端に費用が高くなる可能性がある。
【0008】
感知レセプター・ユニットとして機能する不均質な半選択性薄膜で形成されたアレイを使用して流体サンプルを分析するためのシステムが、米国特許第6,023,540号、第5,814,524号、第5,700,897号、第5,512,490号、第5,480,723号、第5,252,494号、第5,250,264号、第5,244,813号、第5,244,636号、および第5,143,853号に記載されており、これらを本明細書であたかも述べるように参照により本明細書に援用する。これらのシステムは、光ファイバ束の遠位面に光重合を介して成長する共有結合したポリマー「コーン」の用法を述べていると考えられる。これらのセンサ・プローブは、染料ドープ型ポリマーの狭い局所領域から、独自の連続的で再現可能な応答を得る目的で設計されたと考えられる。ポリマーは、光学特性の変化を通して試験溶液に関する情報を提供するインジケーター分子の固体支持体としての役割を果たすと考えられる。これらのポリマーで支持されたセンサは、pHや金属、特定の生物学的部分などの分析物を検出するために使用されてきた。しかし、多数の再現可能なセンサを製造するための方法は、未だ開発されていない。さらにこのシステムでは、複数のデータの流れを同時に収集するための方法を商用として利用できない。これらのシステムでは、光学的アライメントに関する結果も問題になり得る。
【0009】
診断微生物学の分野で使用される迅速なサンプル分析の方法も求められている。迅速な微生物学的診断に現在使用されている技法は、抗原または核酸を検出する。迅速な抗原試験は、単細胞生物または感染細胞物質の存在を認識するために、抗体の使用を基本とする。この手法では、試験をする生体において、抗体と独自の構造とを結合させてその結合を特徴づけなければならない。適切な抗体の同定および単離は時間がかかるので、これらの技法は試験モジュール当たり単一の物質に限られ、存在する物質の量を評価する機会はない。
【0010】
ほとんどの抗体法は、比較的感度が低く、105〜107個の生体が存在することが必要である。このタイプの診断試験における抗体−抗原反応の応答時間は、検出方法に応じて10分から120分に及ぶ。最も速い方法は、一般に凝集反応であるが、この方法は、反応を視覚的に解釈することが難しく感度が低い。反応時間が遅い手法には、酵素または発色団に結合した抗体による抗原認識が含まれる。これらのタイプの試験は、特に抗原−抗体反応が生じたかどうかを決定する際に分光光度法を使用する場合、感度がより高くなる傾向にある。しかしこれらの検出スキームでは、単一の検出器プラットフォーム上で複数の分析物を同時に検出することができないと考えられる。
【0011】
抗原検出の代替例は核酸の検出である。核酸で診断試験を行う手法は、標的生体の標的特異領域に対するハイブリダイゼーションを使用する。これらの技法が必要とするのはより少ない数の生体であるが(103〜105個)、終了までに約5時間必要である。抗体−抗原反応の場合と同様にこの手法は、複数分析物の同時検出用として開発されていない。
【0012】
微生物の検出においてごく最近改善された点は、核酸増幅を使用することである。定性的データと定量的データの両方を生成する核酸増幅試験が開発されている。しかしこれらの試験方法は、分析物調製、増幅、および検出によって生じる遅延により、現在制約を受けている。現在、標準的な検定は、終了まで約5時間必要とする。様々な微生物の検出をさらに速く終了できることは、軍事情報、国家安全、医療、環境、および食品の領域で極めて重要と考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、医療/臨床診断、環境、健康および安全、遠隔感知、軍事、食品/飲料、および化学処理の適用分野では、種々の分析物、毒素、および細菌を区別することができる新しいセンサを開発することが望ましい。感知システムは、様々な化学的および生物学的な分析手順の実施中に処理量が改善されるよう、様々な分析物の同時検出に適用可能であることがさらに求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書において、本発明者等は、1種または複数の分析物を含有する流体を分析するためのシステムおよび方法について述べる。このシステムは、液状または気状の流体に使用することができる。いくつかの実施態様で、このシステムは、個々の分析物と分析物の混合物の両方の診断に用いられるパターンを生成することができる。いくつかの実施態様で、このシステムは、規則正しいアレイ状に形成された化学的に感受性のある粒子であって、数多くの異なる種類の分析物を素早く同時に検出することができる粒子を含む。このシステムの一態様は、微細加工処理を使用してアレイを形成することであり、したがってこのシステムを費用のかからない手法で製造することが可能になる。
【0015】
分析物を検出するためのシステムの一実施態様において、このシステムは、いくつかの実施態様で、光源と、センサ・アレイと、検出器を含む。センサ・アレイは、いくつかの実施態様で、化学的に感受性のある様々な粒子(本明細書では「粒子」と呼ぶ)を規則正しいアレイ状に保持するよう形成された支持部材から形成される。粒子は、いくつかの実施態様で、分析物の存在下、検出可能な信号を生成する要素である。粒子は、分析物に曝されると、光学的な信号(例えば吸光度や反射率)または蛍光/りん光信号を生成することができる。検出器(例えば電荷結合素子、「CCD」)は、いくつかの実施態様で、粒子からの光の反射率に関するデータを取得できるように、センサ・アレイの下方に位置決めされる。別の実施態様で、検出器は、粒子からの光の反射率に関するデータを取得できるように、センサ・アレイの上方に位置決めすることができる。
【0016】
光源から生じる光は、センサ・アレイを通過して、このセンサ・アレイの底面を通って出て行く。粒子によって変調した光は、センサ・アレイを通過して、近くに間隔を空けて配置された検出器に到達する。目視検査によって、あるいはCCD検出器のみ使用することによってまたは光学顕微鏡と組み合わせることによって、光学的変化の評価を行うことができる。CCD検出器または顕微鏡には、マイクロプロセッサを結合させることができる。センサ・アレイの支持部材には、流体送りシステムを結合することができる。この流体送りシステムは、いくつかの実施態様で、サンプルをセンサ・アレイに導入しまたはセンサ・アレイから引き出す。
【0017】
一実施態様では、センサ・アレイ・システムは粒子のアレイを含む。粒子は、ポリマー・ビーズに結合されたレセプター分子を含む。レセプターは、いくつかの実施態様で、分析物と相互に作用するよう選択される。この相互作用は、レセプターと分析物との結合/連結の形をとることができる。支持部材は、粒子を支持すると共に光の適切な波長が通過できるよう、任意の材料で作製することができる。支持部材は、複数の空洞を含んでよい。これらの空洞は、少なくとも1個の粒子がこの空洞内に実質的に含有されるよう形成することができる。
【0018】
一実施態様では、別個の検出するデバイスを使用するのではなく、光検出器を支持部材の底部に一体化することができる。光検出器は、別個の検出部品を使用することなく流体を評価することができるように、マイクロプロセッサに結合させることができる。さらに、流体送りシステムも支持部材に組み込むことができる。検出器および流体送りを支持部材と一体化することによって、コンパクトで携帯可能な分析物感知システムを形成することが可能になる。
【0019】
生物/化学剤との結合によって生じる光学特性の変化を測定するために、高感度CCDアレイを使用することができる。CCDアレイをフィルタ、光源、流体送り、および/またはミクロ機械加工した粒子レセプタクルに接続させて、機能的センサ・アレイを作製することができる。データ取得およびデータ処理は、既存のCCD技法により行うことができる。CCD検出器は、白色光、紫外光、または蛍光の測定に使用することができる。光電子増倍管や電荷誘導素子、フォトダイオード、フォトダイオード・アレイ、マイクロチャネル・プレートなど、その他の検出器も使用することができる。
【0020】
いくつかの実施態様で、粒子は、関心の分析物に結合して、変調信号を生成する能力を持っている。粒子は、関心の分析物に結合して変調信号を生成する能力を持つレセプター分子を含む。あるいは粒子は、レセプター分子およびインジケーターを含む。レセプター分子は関心の分析物に結合する能力を持つ。関心の分析物に結合すると、レセプター分子により、インジケーター分子は変調信号を生成することができる。
【0021】
様々な天然レセプターおよび合成レセプターを使用することができる。レセプター分子は、天然に生ずるレセプター、または合理的な設計または組み合わせた方法によって形成された合成レセプターでよい。天然レセプターのいくつかの例には、DNA、RNA、タンパク質、酵素、オリゴペプチド、抗原、および抗体が含まれるが、これらに限定されない。一実施態様で、天然に生ずるレセプターまたは合成レセプターは、粒子を生成するためにポリマー・ビーズに結合する。いくつかの実施態様で、粒子は、関心の分析物に結合しかつ検出可能な信号を生成することができる。いくつかの実施態様で、粒子は、関心の分析物に結合したとき、光信号を生成する。天然レセプターまたは合成レセプターは、特定の手法で分析物分子に結合する能力に応じて選択することができる。
【0022】
合成レセプターは、ポリヌクレオチド(例えばアプタマー)、ペプチド(例えば酵素や抗体)、合成レセプター、ポリマー非天然生体高分子(例えばポリチオ尿素、ポリグアニジニウム)、およびインプリンティングポリマーを含むがこれらに限定されない様々な種類から得ることができる。ポリヌクレオチドは、DNA配列を順次構築することによって得ることができる比較的小さいDNA断片である。ペプチドは、抗体や酵素などの天然のペプチドを含み、またはアミノ酸から合成することができる。非天然生体高分子は、天然生体高分子をベースにした化学的構造であるが、非天然結合単位から構築されたものである。例えばポリチオ尿素およびポリグアニジニウムは、ペプチドと同様の構造を有するが、アミノ酸ではなくジアミン(すなわち少なくとも2個のアミン官能基を含む化合物)から合成することができる。合成レセプターは、様々な分析物に結合可能な、設計された有機または無機構造である。
【0023】
一実施態様で、軍事用および民生用として関心が持たれている多数の化学/生物剤は、記述したアレイ・センサによって容易に感知することができる。細菌も、同様のシステムを使用して検出することができる。無傷の細菌を検出し、感知し、同定するために、ある細菌の細胞表面を他の細菌と差別化することができ、またはオリゴヌクレオチド・レセプターを使用してゲノム物質を検出することができる。この差別化を実現する1つの方法は、細胞表面オリゴ糖(すなわち糖残基)を標的とすることである。オリゴ糖に特異的な合成レセプターを使用して、細胞表面のオリゴ糖に関して分析を行うことにより、特定の細菌の存在を決定することができる。
【0024】
一実施態様では、レセプターをポリマー樹脂に結合することができる。レセプターは、信号が生成されるように分析物の存在下で化学反応することができる。インジケーターは、レセプターまたはポリマー・ビーズに結合することができる。レセプターと分析物の化学反応は、インジケーターの局所的微環境に変化を引き起こして、インジケーターの分光特性を変化させる。様々なシグナリング・プロトコルを使用して信号を生成することができる。そのようなプロトコルには、吸光度、蛍光共鳴エネルギー伝達、および/または蛍光消光を含めることができる。レセプターと分析物の組合せには、ペプチド−プロテアーゼ、ポリヌクレオチド−ヌクレアーゼ、およびオリゴ糖−オリゴ糖切断物質を含めることができるがこれらに限定されない。
【0025】
一実施態様では、レセプターとインジケーターを結合させてポリマー樹脂にすることができる。レセプターは、インジケーターの局所微環境に変化が生じるように、分析物の存在下で構造を変化させることができる。この変化により、インジケーターの分光特性を変化させることができる。レセプターとインジケーターとの相互作用により、使用されるシグナリング・プロトコルに応じて様々な異なる信号を生成することができるそのようなプロトコルには、吸光度、蛍光共鳴エネルギー伝達、および/または蛍光消光を含めることができる。
【0026】
一実施態様で、センサ・アレイ・システムは粒子のアレイを含む。粒子は、ポリマー・ビーズに結合したレセプター分子を含む。いくつかの実施態様で、レセプターは、分析物との相互作用に応じて選択される。この相互作用は、レセプターと分析物との結合/連結の形をとることができる。支持部材は、粒子を支持することができる任意の材料であって光の適切な波長を通すことが可能な材料で作製することができる。支持部材には、複数の空洞を含めることができる。これらの空洞は、少なくとも1個の粒子がこの空洞内に実質的に含有されるよう形成することができる。空洞には真空空間を結合することができる。センサ・アレイ全体を真空にすることができる。あるいは、空洞を真空にするために空洞に真空装置を結合することができる。真空装置は、差圧を生成して流体移動を引き起こすことが可能な任意のデバイスである。真空装置は、空洞内の任意の流体に引張り力を加えることができる。真空装置は、空洞を通して流体を引き抜くことができる。真空装置の例には、事前に封止された真空チャンバ、真空ポンプ、真空ライン、または吸引器タイプのポンプを含めることができる。
【0027】
本発明の方法および装置の特徴および利点は、現在のところ好ましいがそれでもなお例示的な本発明による実施形態に関する以下の詳細な記述を添付図面と併せて参照することにより、十分に理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本明細書において、本発明者等は、複数の分析物を含有する流体を同時に分析するためのシステムおよび方法について述べる。システムは、液状または気状流体に使用することができる。システムは、個々の分析物と分析物の混合物の両方の診断に用いられるパターンを生成することができる。いくつかの実施形態では、このシステムは、規則正しいアレイ状に配置された化学的に感受性のある粒子であって、数多くの異なる種類の分析物を同時に迅速に検出することができる粒子の組合せから作製される。このシステムの一形態では、微細加工プロセスを使用してアレイを形成することができ、したがってこのシステムを費用のかからない手法で製造することが可能になる。
【0029】
分析物を分析するためのシステム
図1に、流体中の分析物を検出するシステムの一実施形態を示す。いくつかの実施形態で、このシステムは、光源110と、センサ・アレイ120と、検出器130を含む。光源110は、白色光源または発光ダイオード(LED)でよい。一実施形態では、光源110を、蛍光信号の変化を利用するシステムに用いられる青色発光ダイオード(LED)にすることができる。比色分析(例えば吸光度)に基づくシステムでは、白色光源を使用することができる。いくつかの実施形態で、センサ・アレイ120は、様々な粒子124を保持するよう形成された支持部材から形成される。センサ・アレイの下には、データを取得できるように検出するデバイス130(例えば電荷結合素子「CCD」)を位置決めすることができる。別の実施形態では、この検出デバイス130をセンサ・アレイの上方に位置決めすることができる。
【0030】
いくつかの実施形態で、光源110から発せられる光はセンサ・アレイ120を通過してセンサ・アレイの底面から出て行く。いくつかの実施形態では、支持部材と粒子が一緒になって、その光学特性がスペクトル分析に十分適合するアセンブリを提供する。したがって粒子によって変調させられた光は、センサ・アレイを通過してその近くに間隔を空けて配置された検出器130に到達することができる。目視検査(例えば顕微鏡を用いて)によって、または検出器に接続されたマイクロプロセッサ140を使用することによって、光学的変化の評価を行うことができる。蛍光測定では、支持部材120と検出器130との間にフィルタ135を配置して励起波長を除去することができる。支持部材には流体送りシステム160を結合することができる。流体送りシステム160は、サンプルをセンサ・アレイに導入し、センサ・アレイから引き出すことができる。
【0031】
一実施形態で、センサ・アレイ・システムは粒子のアレイを含む。いくつかの実施形態で、粒子の表面および粒子の内部領域には、分析物と相互に作用する様々なレセプターが位置付けられている。いくつかの実施形態では、支持部材を使用してこれらの粒子を局在化させると共に、支持部材が、化学検定を実施することができる微環境として働くようにする。化学/生物剤のセンサ・アレイの場合、分析に使用される粒子の直径は約0.05〜500ミクロンであり、化学環境が変化したときにはそのサイズが実際に変更する可能性がある(例えば膨潤や収縮)。一般にこのような変化は、分析物を含む流体流れにアレイ・システムを曝したときに生じる。例えば無極性溶媒を含む流体流れでは、粒子が溶媒に曝されたときに無極性粒子によって体積が変化することがある。このような変化に順応させるため、支持部材は、ミクロ試験管として働く空洞のアレイを備えたものにすることができる。
【0032】
支持部材は、粒子を支持することができる任意の材料であって光の適切な波長を通過させることが可能な任意の材料から作製することができる。また支持部材は、分析物を含む流体を実質的に通さない材料で作製される。プラスチック、ガラス、シリコンをベースにした材料(例えばシリコンや二酸化シリコン、窒化シリコンなど)、および金属を含めた様々な材料を使用することができる。一実施形態では、支持部材が複数の空洞を含む。空洞は、少なくとも1個の粒子が空洞内に実質的に含まれるよう形成することができる。あるいは、複数の粒子を単一の空洞に入れることができる。
【0033】
一実施形態で、支持部材は、検出に必要な光の波長を実質的に通すストリップ状のプラスチックから形成することができる。このストリップには一連の空洞を形成することができる。空洞は、少なくとも1個の粒子を保持するよう形成される。分析物を含有する流体を空洞内に通すことができる透明なカバーによって粒子がストリップ内に含まれるようにすることができる。
【0034】
別の実施形態では、図2に示すようにシリコン・ウェーハを使用して支持部材を形成することができる。シリコン・ウェーハ210は、このウェーハの底面に形成された実質的に透明な層220を含む。一実施形態で、空洞230は、シリコン・ウェーハの異方性エッチング・プロセスによって形成される。一実施形態で、シリコン・ウェーハの異方性エッチングは、湿式水酸化物エッチングを使用して行う。空洞を形成するには、フォトリソグラフィ技法を使用することができる。空洞は、空洞の側壁が約50〜60度の間の角度で実質的に先細るよう形成することができる。そのような角度が付けられた空洞の形成は、<100>シリコンの湿式異方性エッチングによって行うことができる。「<100>シリコン」という用語はシリコン・ウェーハの結晶方向を指す。その他のタイプのシリコン(例えば<110>や<111>シリコン)では、より急な勾配の側壁にすることができる。例えば<111>シリコンでは、約90度で形成された側壁にすることができる。いくつかの実施形態で、角度が付けられた空洞の側壁は「ミラー層」としての役割をし、空洞の光収集効率を改善することができる。エッチング・プロセスは、形成された空洞がシリコン・ウェーハを通して延び透明層220の上面に至るよう制御することができる。ピラミッド状に示したが、空洞は、球状、楕円形、立方体、または長方形を含むがこれらに限定されないいくつかの形に形成することができる。支持部材にシリコン・ウェーハを使用する利点は、シリコン材料が、光源から生成された光を実質的に通さないことである。このため、光が1つの空洞から隣接する空洞に通過するのを阻止することができる。このように、1つの空洞からの光が、隣接する空洞で生じた分光学的変化に影響を及ぼすのを阻止することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、シリコン・ウェーハの面積は約1cm2から約100cm2であり、約101個から106個の空洞を含む。一実施形態では、約100個の空洞が10×10のマトリックス状に形成される。いくつかの実施形態で、空洞同士の中心間距離は約500ミクロンである。空洞のそれぞれは少なくとも1個の粒子を含む。
【0036】
透明層220は窓として働くことができ、様々な波長の光を空洞230を通過させ、検出器に到達させることができる。さらに、透明層はプラットフォームとして働くことができ、その表面に個々の粒子235を位置決めすることができる。透明層は、二酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si3N4)、または二酸化シリコン/窒化シリコンの多層スタックで形成することができる。いくつかの実施形態で、透明層は、空洞形成前にシリコン・ウェーハ上に堆積させておく。
【0037】
空洞230は、粒子235を実質的に含むよう寸法決めする。いくつかの実施形態で、空洞は粒子よりも大きい。いくつかの実施形態で、空洞は、空洞内に粒子を容易に配置しまたその粒子を除去できるように寸法決めされる。空洞は粒子よりもかなり大きく、そのため粒子は使用中に膨潤できる。例えば粒子は、図2の粒子235で示されるようなサイズを有する。使用中、流体(例えば溶媒)と接触することによって粒子に膨潤が生じ、例えば円236で示されるサイズになる可能性がある。いくつかの実施形態で、空洞は、使用中に粒子がそのように膨潤するよう寸法決めされる。粒子は、例えばマイクロマニピュレータを使用して空洞の底部に位置決めすることができる。粒子を空洞内に配置した後、透明なカバー・プレート240を支持部材の最上部に配置して、粒子を所定位置に保つことができる。
【0038】
複数の粒子を含むアレイを形成する場合、マイクロマニピュレータを使用して、規則正しい手法で粒子をアレイ状に配置することができる。このようにして、粒子の好ましい構成を有するよう規則正しく並んだアレイを形成することができる。あるいは、粒子を空洞内にランダムに配置することができる。その後アレイを較正試験にかけて、支持部材の任意の指定位置での粒子が何であるかを決定する。
【0039】
いくつかの実施形態では、粒子が空洞内から押し出されないように、透明なカバー・プレート240をシリコン・ウェーハ210の上面に結合させる。いくつかの実施形態では、図2に示すように、透明なカバー・プレート240がシリコン・ウェーハから上方に固定距離だけ離して位置決めされて、粒子を所定位置に保つと共に、流体が空洞内に入るようにする。いくつかの実施形態で、透明なカバー・プレート240は、粒子の幅よりかなり小さい距離だけ基板から上方に離して位置決めされる。透明なカバー・プレートは、検出に利用される光の波長を実質的に通す任意の材料で作製することができる。透明なカバー・プレートは、プラスチック、ガラス、石英、または二酸化シリコン/窒化シリコンで形成することができる。
【0040】
一実施形態で、透明なカバー・プレート240は薄い板ガラスである(例えば顕微鏡用スライド・カバー・スリップ)。そのスライドを、シリコン・ウェーハから上方に固定距離だけ離して位置決めすることができる。透明なカバー・プレート240を位置決めするため、シリコン・ウェーハ210上に支持構造241(図2参照)を配置することができる。支持構造は、ポリマーまたはシリコン・ベースの材料から形成することができる。別の実施形態では、透明なカバー・プレート240用の支持構造241を形成するために、シリコン・ウェーハにポリマー基板を結合させることができる。一実施形態では、接着基材(例えばセロハン・テープ)を有するプラスチック材料をシリコン・ウェーハ210上に位置決めする。支持構造241をウェーハ上に配置した後、透明なカバー・プレート240を支持構造上に配置する。支持構造は、透明なカバー・シートがシリコン・ウェーハ210に接触するのを防止する。このように、シリコン・ウェーハと透明なカバー・プレートとの間にチャネルを形成することによって、流体が空洞内に流入できると共に、その流体によって粒子が押し出されるのを阻止することができる。
【0041】
別の実施形態では、図3に示すように、透明なカバー・プレート240をシリコン・ウェーハの上面に留めることができる。この実施形態では、透明なカバー・プレート240によって、流体が空洞230内に入るのを阻止することができる。流体を空洞内に通すには、いくつかのチャネル250をシリコン・ウェーハに形成すればよい。一実施形態では、チャネルは、流体が実質的に全ての空洞に至るような向きに配置される。流体に接触すると、粒子は膨潤してチャネルを塞ぐようなサイズになる可能性がある。この詰まりを防止するには、図3に示すように、チャネルを空洞の上部付近に形成すればよい。一実施形態では、チャネルは、トレンチが形成される領域を区画するための標準的なフォトリソグラフィによるマスキングを使用し、その後、標準的なエッチング技法を使用して形成する。空洞の深さは、粒子がチャネルの位置よりもはるかに下に存在するような深さでよい。このようにして、粒子の膨潤に起因するチャネルの詰まりを防止することができる。
【0042】
空洞の内面は、空洞内での粒子の位置決めを補助する材料で被覆することができる。一実施形態では、金または銀の薄層を使用して、空洞の内面を裏打ちすることができる。金層または銀層は、粒子を固着する(例えばアルキルチオール結合を介して)固着面としての役割を果たすことができる。さらに、金層または銀層は、空洞内面の反射率も増大させることができる。この面の反射率が増大すると、その面によって、システムの分析物検出感度を高めることができる。あるいは、空洞内面に形成されたポリマー層および自己組織化単層膜を使用して、粒子の接着相互作用を制御することができる。Si−OH官能基に結合するシロキサン・タイプの試薬をベースとするような、シリコン面に対する追加の化学固着法を使用することができる。同様に、空洞の内部領域に結合するモノマーおよびポリマー試薬を使用して、空洞の局所湿潤特性を変えることができる。このタイプの方法は、粒子を固着し、かつ空洞の流体流通特性を変化させるためにも使用することができる。さらに、分析物に関する信号の増幅は、適切なタイプの化学環境で適切な分析物を予備濃縮するタイプの戦略により実現することができる。
【0043】
別の実施形態では、別個の検出デバイスを使用するのではなく、光検出器を支持部材の底部透明層220に一体化することができる。光検出器は、半導体ベースの光検出器255を使用して形成することができる。別個の検出部品を使用せずに流体を評価できるように、光検出器をマイクロプロセッサに結合させることができる。さらに、流体送りシステムも支持部材に組み込むことができる。流体が空洞内を通過するのを助けるため、マイクロロポンプやマイクロバルブもシリコン・ウェーハに組み込むことができる。検出器および流体送りシステムを支持部材と一体化することによって、コンパクトで可搬式の分析物感知システムを形成することが可能になる。光学フィルタも空洞の底面部材と一体化することができる。これらのフィルタは、短波長励起によって蛍光測定中に光検出システム内(例えばCCD検出器アレイ)で「擬似」信号が生成されるのを防止することができる。
【0044】
支持基板の底面に感知空洞を形成することができる。使用することができる感知空洞の例として、ファブリー−ペロー・タイプの空洞がある。ファブリー−ペロー空洞をベースとするセンサを使用して、屈折率の変化または空洞の物理的な長さの変化によって生じる光路長の変化を検出することができる。ミクロ機械加工技法を使用して、空洞の底面にファブリー−ペロー・センサを形成することができる。
【0045】
図4A〜Fは、シリコンをベースとした支持部材の底面に、空洞を形成させると共に平面上部ダイアフラム・ファブリー−ペロー・センサを形成するための一連のプロセス・ステップを示す。シリコン支持部材260の両面に犠牲バリア層262a/bを堆積させる。シリコン支持部材260は、厚さが約100μmから約500μmであり、好ましくは約200μmから約400μmであり、より好ましくは約300μmの両面研磨シリコン・ウェーハでよい。バリア層262a/bは、二酸化シリコン、窒化シリコン、または酸窒化シリコンからなるものでよい。一実施形態では、バリア層262a/bは誘電体スタックからなる。図4Aに示されるように、バリア層262a/bは、窒化シリコン層271a/bおよび二酸化シリコン層272a/bを含む誘電体スタックからなる。どちらの層も、低圧化学気相成長(「LPCVD」)プロセスを使用して堆積させることができる。
【0046】
窒化シリコンは、アンモニア(NH3)とジクロロシラン(SiCl2H2)とを、気体流量約3.5:1、温度約800℃、圧力約220mTorrで反応させることにより、LPCVD反応器を使用して堆積させることができる。窒化シリコン層271a/bは、約100Åから約500Åの範囲、好ましくは200Åから約400Å、より好ましくは約300Åの厚さに堆積させる。二酸化シリコンは、シラン(SiH4)と酸素(O2)とを、気体流量約3:4、温度約450℃、圧力約110mTorrで反応させることにより、LPCVD反応器を使用して堆積させることができる。二酸化シリコン層272a/bは、約3000Åから約7000Åの範囲、好ましくは4000Åから約6000Å、より好ましくは約5000Åの厚さに堆積させる。一実施形態で、表面二酸化シリコン層272aは主バリア層として働く。その下に在る窒化シリコン層271aは中間バリア層として働いて、後続のKOH湿潤異方性エッチング・ステップ中に主バリア層がオーバーエッチングされないようにする。
【0047】
支持部材260の両面のバリア層262a/b上には、底部ダイアフラム層264a/bを堆積させる。底部ダイアフラム層264a/bは、窒化シリコン、二酸化シリコン、または酸窒化シリコンからなるものでよい。一実施形態では、底部ダイアフラム層264a/bは誘電体スタックからなる。図4Aに示されるように、底部ダイアフラム層264a/bは、二酸化シリコン層274a/bを取り囲む1対の窒化シリコン層273a/bおよび275a/bを含む誘電体スタックからなる。これらの層全ては、LPCVDプロセスを使用して堆積させることができる。窒化シリコン層273a/bおよび275a/bの厚さは、約500Åから約1000Åの範囲、好ましくは700Åから約800Å、より好ましくは約750Åの厚さである。二酸化シリコン層274a/bの厚さは、約3000Åから約7000Åの範囲、好ましくは4000Åから約6000Å、より好ましくは約4500Åである。
【0048】
次に、粒子を保持することになる空洞を支持部材260に形成する。シリコン支持部材260の裏面261に形成した底部ダイアフラム層264bおよびバリア層262bを、標準的なフォトリソグラフィ技法を使用してパターニングしエッチングする。一実施形態では、これらの層をプラズマ・エッチング・プロセスにかける。二酸化シリコンおよび窒化シリコンのプラズマ・エッチングは、四フッ化炭素(CF4)と酸素(O2)の混合物を使用して行うことができる。パターニングした裏面層262bおよび264bは、シリコン支持部材260の異方性エッチング用マスクとして使用することができる。一実施形態では、40%水酸化カリウム(「KOH」)溶液を用い、80℃でシリコン支持部材260を異方性エッチングすることにより、空洞を形成することができる。図4Bに示されるように、表面窒化シリコン層271aに達したら、エッチングを停止する。窒化シリコン層271aは、このエッチング・プロセス中に主バリア層272aがエッチングされるのを阻止する。空洞267は、支持部材260の内部に及ぶように形成する。空洞形成後、裏面バリア層262bの残りの部分とダイアフラム層264bを除去する。
【0049】
ウェーハ表面の底部ダイアフラム層264aを通るようにエッチング窓266を形成する。底部ダイアフラム層264aの表面にマスキング層(図示せず)を形成し、標準的なフォトリソグラフィ技法を使用してパターニングする。マスキング層を使用して、プラズマ・エッチングでエッチング窓266を形成することができる。二酸化シリコンおよび窒化シリコンのプラズマ・エッチングは、四フッ化炭素(CF4)と酸素(O2)の混合物を使用して行うことができる。エッチングは、底部ダイアフラム層264aを通ってバリア層262aに一部達するまで続ける。一実施形態では、エッチングは、バリア層262aの厚さの約半分で停止する。バリア層262aが引き続き除去される場合、エッチング窓266は底部ダイアフラム層264aの内部に至って空洞267に連通することになる。バリア層の中間点でエッチングを停止すると、残されたバリア層があるために底部ダイアフラムは途切れのない状態を保ち、したがってボイドまたは不連続部分を減少させることができる。
【0050】
エッチング窓を形成した後、図4Cに示されるように、底部ダイアフラム層264a上と空洞267内に犠牲スペーサ層268a/bを堆積させる。スペーサ層268a/bは、LPCVDポリシリコンから形成することができる。一実施形態では、表面に堆積させたスペーサ層268aも、エッチング窓266を少なくとも部分的に満たす。ポリシリコンは、約650℃の温度でシラン(SiH4)を使用するLPCVD反応器を使用して、堆積させることができる。
【0051】
スペーサ層268a/bは、約4000Åから約10,000Åの範囲、好ましくは6000Åから約8000Å、より好ましくは約7000Åの厚さに堆積させる。スペーサ層268aの厚さは、ファブリー−ペロー検出器の内部空気空洞の所望の厚さに応じて様々に変えることができる。例えば、上部と底部ダイアフラム層の間に7000Åの空気空洞を含むファブリー−ペロー検出器が望まれる場合は、厚さ約7000Åのスペーサ層を形成する。スペーサ層を堆積させた後、スペーサ層268aのエッチング領域を決めるために、スペーサ層268aのエッチング用マスキング層(図示せず)を使用する。エッチングは、硝酸(HNO3)と水とフッ化水素(HF)の体積比がそれぞれ25:13:1である組成物を使用して行うことができる。引き続き形成される空洞の横方向のサイズは、スペーサ層268aのエッチング領域を区画するのに使用したマスキング・パターンによって決定する。
【0052】
スペーサ層268aをエッチングした後、上部ダイアフラム層270a/bを形成する。一実施形態で、上部ダイアフラム層270a/bは、支持部材の両面にあるスペーサ層268a/b上に堆積させる。上部ダイアフラム270a/bは、窒化シリコン、二酸化シリコン、または酸窒化シリコンからなるものでよい。一実施形態で、上部ダイアフラム270a/bは誘電体スタックからなる。図4Cに示すように、上部ダイアフラム270a/bは、二酸化シリコン層284a/bを取り囲む1対の窒化シリコン層283a/bおよび285a/bを含んだ誘電体スタックからなる。これらの層全てはLPCVDプロセスを使用して堆積させることができる。窒化シリコン層283a/bおよび285a/bの厚さは約1000Åから約2000Åの範囲内であり、好ましくは1200Åから約1700Å、より好ましくは約1500Åである。二酸化シリコン層284a/bの厚さは約5000Åから約15,500Åの範囲内であり、好ましくは7500Åから約12,000Å、より好ましくは約10,500Åである。
【0053】
上部ダイアフラム270a/bを堆積させた後、図4Dに示すように、支持部材の底面に積層されたこれらの層の全て(例えば層268b、283b、284b、および285b)を多段階のウェット・エッチングおよびプラズマ・エッチングによって除去する。これらの層を除去した後、その時点で露出しているバリア層262aの部分も除去する。この結果、エッチング窓266内に存在するスペーサ層268aが露出する。スペーサ層268aは、図4Dに示すように、KOH溶液を使用してウェット・エッチングすることにより、上部ダイアフラム270aとダイアフラム264aの間から除去する。スペーサ材料268aを除去することにより、上部ダイアフラム層270aと底部ダイアフラム層264aの間に空洞286が形成される。スペーサ材料を除去した後、脱イオン水を使用し、その後イソプロピルアルコールを使用して空洞286を洗浄し、残留するエッチング溶液を一掃することができる。
【0054】
ファブリー−ペロー・センサの空洞286には、図4Eに示されるように、感知基質290を充填することができる。空洞286を感知基質290で被覆するには、感知基質を溶媒中に溶解すればよい。この感知基質溶液を支持部材260に付着させる。溶液は、毛管作用を一部利用して、底部ダイアフラム264aのエッチング窓266を経て空洞286に素早く入り込むと考えられる。溶媒が蒸発するにつれ、感知基質290の薄膜は、空洞286の内壁ならびに底部ダイアフラム264aの外面を被覆する。支持部材を感知基質溶液で繰り返し処理することにより、感知基質の厚さを様々に変えることができる。
【0055】
一実施形態で、感知基質290は、酸化状態の変化に応答してその光学特性が変化するポリ(3−ドデシルチオフェン)である。感知基質ポリ(3−ドデシルチオフェン)は、クロロホルムやキシレンなどの溶媒中に溶解する。一実施形態では、ポリ(3−ドデシルチオフェン)の濃度が約0.1g/mLであるものを使用する。ポリ(3−ドデシルチオフェン)の溶液を支持部材に付着させることにより、ポリ(3−ドデシルチオフェン)の薄膜を空洞内面に形成することができる。
【0056】
ある場合には、ファブリー−ペロー検出器内に感知基質を堆積させることにより、検出器の上部ダイアフラムに応力が生じる可能性がある。感知ポリマーが平面上部ダイヤフラムを被覆する場合、上部ダイアフラムにかかる余分な残留応力によって、そのダイフラムが底部ダイアフラムに向かって歪むと考えられる。この歪みが非常に極端である場合、上部ダイアフラムと底部ダイアフラムとが付着する可能性がある。一実施形態では、図4Fに示されるように、空洞286内に形成された支持部材292を使用することによって、この応力を軽減することができる。支持部材292は、上述の工程にいかなる余分なプロセス・ステップも加えることなく形成することができる。支持部材292の形成は、空洞内にスペーサ層の一部を故意に残すことによって行うことができる。これは、スペーサ層をアンダーエッチングすることによって行うことができる(例えば、全エッチング・プロセスが終了する前にエッチング・プロセスを終わらせる)。残留するスペーサは、上部ダイアフラム部材の歪みが低減するよう、支持部材として振る舞うことになる。支持部材のサイズおよび形状は、スペーサ層のエッチング時間を変更しまたはエッチング窓266の形状を調整することによって、調整することができる。
【0057】
別の実施形態では、高感度CCDアレイを使用して、生物/化学剤の結合により生じる光学特性変化を測定することができる。CCDアレイを、機能的センサ・アレイが生成されるように、フィルタ、光源、流体送りおよびミクロ機械加工した粒子レセプタクルに接続することができる。データ取得およびデータ処理は、既存のCCD技術を用いて行うことができる。データ・ストリーム(例えば比色検定用の赤、緑、青;蛍光検定用のグレー強度)は、データ取得ボードを介してCCDからコンピュータまで転送することができる。現行のCCDでは、秒当たり105画素の読出し速度が可能になる。したがって、粒子アレイ全体を秒当たり何百回と評価することができ、様々なホスト−ゲスト間の対話速度に関する動力学、ならびに分析物/ポリマー拡散特性を調査することが可能になる。このデータ評価により、試験サンプルの化学的/生物学的組成物を同定し定量する方法を提供することができる。
【0058】
白色光、紫外光、または蛍光を測定するために、CCD検出器を使用することができる。光電子増倍管や電荷誘導素子、フォトダイオード、フォトダイオード・アレイ、マイクロチャネル・プレートなど、その他の検出器も使用することができる。検出器を支持部材の下に位置決めした状態が示されているが、検出器は支持部材の上方に位置決めできることも理解すべきである。また検出器は、典型的な場合、分光学的な事象を検出するための感知要素と検出された事象を表示するための構成要素を含むことも理解すべきである。表示構成要素は、感知要素とは物理的に切り離されたものでよい。感知要素はセンサ・アレイの上または下に位置決めすることができ、一方、表示構成要素はユーザの近くに位置決めされる。
【0059】
一実施形態では、CCD検出器を使用して、分析中に化学的に感受性のある粒子の色の変化を記録することができる。図1に示されるように、CCD検出器130は、支持部材120の下に配置することができる。空洞内を透過した光は、CCD検出器に捕えられ分析される。一実施形態で、光は赤、緑、および青の3色の成分に分解する。データを単純化するため、8ビットのデータを使用して各色を記録する。このため、各色に関するデータは0から255の間の値として表されることになる。化学的に感受性のある各要素の色は、赤値、青値、および緑値として表すことができる。例えばブランク粒子(例えばレセプターを含まない粒子)は一般に白色に見える。例えば、赤、緑、および青の成分に分解すると、典型的なブランク粒子の赤値は約253を示し、緑値は約250を示し、青値は約222を示すことがわかる。これは、ブランク粒子が赤色、緑色、または青色の光を著しく吸収しないことを意味する。
【0060】
レセプターで粒子をスキャンする場合、そのレセプターによる吸収が原因で、粒子が色の変化を示す可能性がある。例えば、5−カルボキシフルオレセイン・レセプターを含む粒子を白色光に当てると、その粒子は青色光を強度に吸収することがわかった。5―カルボキシフルオレセイン粒子に関するCCD検出器の値は、赤値約254、緑値約218、青値約57を示す。青色光の透過率低下は、5−カルボキシフルオレセインによる青色光の吸光度に起因すると考えられる。このように、粒子の色変化は定量的に特徴付けることができる。この色変化をモニタするためにCCD検出器を使用する利点は、人間の目に見える色変化を検出できることである。
【0061】
支持アレイは、様々な検出モードで実施できるよう設計することができる。一実施形態では、光源を使用して、粒子に向かって送り出される光を発生させる。光が粒子を照らすと、その粒子は光の一部を吸収する。次いで光は検出器に到達するが、粒子の吸収によってその強度は低下する。検出器を使用して粒子に起因する光強度(すなわち吸光度)の低下を測定することができる。別の実施形態では、検出器を支持部材の上方に配置することができる。検出器は、粒子から反射する光の量を測定するのに使用することができる。粒子による光の吸収は、空洞から反射される光の量が減少することにより明らかである。いずれの実施形態における光源も、白色光源または蛍光源でよい。
【0062】
化学的に感受性のある粒子
いくつかの実施形態で、粒子は、関心の分析物に結合する能力と変調信号を生成する能力の両方を有する。粒子は、関心の分析物に結合し変調信号を生成する能力を有するレセプター分子を含むか、あるいは、粒子はレセプター分子およびインジケーターを含んでよい。レセプター分子は、関心の分析物に結合する能力を有するものでよい。関心の分析物に結合すると、レセプター分子によって、インジケーター分子は変調信号を生成することができる。レセプター分子は、天然に生ずるもの、あるいは合理的な設計または組合せの方法によって形成された合成レセプターでもよい。天然に存するレセプターのいくつかの例には、DNA、RNA、タンパク質、酵素、オリゴペプチド、抗原、および抗体が含まれるが、これらに限定されない。天然または合成のレセプターは、特定の手法で分析物分子に結合する能力に応じて選択することができる。分子間の連結/認識を推進する力には、疎水作用、アニオン−カチオンの引力、および水素結合が含まれる。これらの力の相対的な強度は、溶媒の誘電特性やホスト分子の形状、また、ゲストをどのように補完するかなどのファクタに依存する。ホスト−ゲスト連結が生じると、引力による相互作用が生じ、これらの分子は1つにまとまる。この化学的相互作用に関して最も広く使用されるアナロジーは、「錠および鍵(lock and key)」である。鍵分子(ゲスト)が錠(ホスト)に適合すると、分子認識が行われる。
【0063】
粒子を生成させるために、天然に生ずるレセプターまたは合成レセプターをポリマー樹脂に結合させることができる。ポリマー樹脂は、アガロース、デキストロース、アクリルアミン、制御多孔質ガラスビーズ、ポリスチレン−ポリエチレングリコール樹脂、ポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂、ホルミルポリスチレン樹脂、トリチル−ポリスチレン樹脂、アセチルポリスチレン樹脂、クロロアセチルポリスチレン樹脂、アミノメチルポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂、カルボキシポリスチレン樹脂、クロロメチル化ポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂、ヒドロキシメチルポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂、2−クロロトリチルクロライドポリスチレン樹脂、4−ベンジルオキシ−2’4’−ジメトキシベンズヒドロール樹脂(Rink Acid樹脂)、トリフェニルメタノールポリスチレン樹脂、ジフェニルメタノール樹脂、ベンズヒドロール樹脂、スクシンイミジルカーボネート樹脂、p−ニトロフェニルカーボネート樹脂、イミダゾールカーボネート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−スルファミルベンゾイル−4’−メチルベンズヒドリルアミン−樹脂(Safety−catch樹脂)、2−アミノ−2−(2’−ニトロフェニル)プロピオン酸−アミノメチル樹脂(ANP樹脂)、p−ベンジルオキシベンジルアルコール−ジビニルベンゼン樹脂(Wang樹脂)、p−メチルベンズヒドリルアミン−ジビニルベンゼン樹脂(MBHA樹脂)、樹脂に結合したFmoc−2,4−ジメトキシ−4’−(カルボキシメチルオキシ)−ベンズヒドリルアミン(Knorr樹脂)、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)−フェノキシ樹脂(Rink樹脂)、4−ヒドロキシメチル−ベンゾイル−4’−メチルベンズヒドリルアミン樹脂(HMBA−MBHA樹脂)、p−ニトロベンゾフェノンオキシム樹脂(Kaiserオキシム樹脂)、および2−クロロトリチル樹脂に結合したアミノ−2,4−ジメトキシ−4’−(カルボキシメチルオキシ)−ベンズヒドリルアミン・ハンドル樹脂(Knorr−2−クロロトリチリル樹脂)を含めた様々なポリマーから作製することができるが、これらに限定するものではない。一実施形態で、ポリマー樹脂の形成に使用される材料は、分析物が溶解している溶媒に対して相溶性がある。例えば、ポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂は無極性溶媒中で膨潤するが、極性溶媒中では著しく膨潤しない。したがってポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂は、無極性溶媒中の分析物を分析するために使用することができる。あるいは、ポリスチレン−ポリエチレングリコール樹脂は、水などの極性溶媒で膨潤する。ポリスチレン−ポリエチレングリコール樹脂は、水性流体の分析に有用と考えられる。
【0064】
一実施形態では、ポリスチレン−ポリエチレングリコール−ジビニルベンゼン物質を使用して、ポリマー樹脂を形成することができる。ポリスチレン−ポリエチレングリコール−ジビニルベンゼン樹脂は、ポリスチレン375と、ジビニルベンゼン380と、ポリスチレン−ポリエチレングリコール385の混合物から形成される(図5参照)。一実施形態で、ポリスチレン−ポリエチレングリコール385のポリエチレングリコール部分は、その末端がアミンでよい。アミンは、レセプターとインジケーター染料の両方に固着するための化学的ハンドルとして働く。レセプター分子またはインジケーターにポリマー樹脂を適切に結合させるため、その他の化学官能基をポリエチレングリコールの末端に位置決めすることができる。
【0065】
一実施形態で、化学的に感受性のある粒子は、関心の分析物に結合すると共に検出可能な信号を生成することができる。一実施形態で粒子は、関心の分析物に結合したときに光信号を生成することになる。そのようなポリマー結合レセプターを使用することにより、コストと構造化の両方に利点がもたらされる。レセプターを合成しまたはレセプターを支持部材に直接結合する代わりに、ポリマー結合レセプターをまとめて合成して複数の異なる支持部材に割り当てることができる。その結果、センサ・アレイのコスト、すなわち大量生産される環境プローブの開発および医学的診断の大きな障害が減じられる。さらに、ポリマー結合レセプターを組み込んだセンサ・アレイは、レセプターが支持部材に直接結合されたアレイ・システムよりもさらに迅速に再構成することができる。例えば、病原体の新たな変異体または遺伝子工学によって合成されたタンパク質を含有する病原体が脅威である場合、事前に形成された支持部材に新しいセンサ要素(例えばポリマー結合レセプター)を付加するだけで新しいセンサ・アレイ・システムを容易に作製し、それによってこれらの変性した分析物を検出することができる。
【0066】
一実施形態では、流体サンプルのpHの変化に敏感なレセプターをポリマー樹脂に結合させて粒子を生成する。すなわちレセプターは、水素カチオン(H+)の濃度に敏感である。この場合、レセプターは一般に、流体溶液中のH+の濃度に敏感である。したがって関心の分析物はH+でよい。流体のpHが変化したときに色が変化する数多くのタイプの分子がある。例えば、数多くのタイプの染料は、流体媒体のpHが変化するにつれその色が著しく変化する。流体サンプルのpHをモニタするのに使用することができるレセプターの例には、図6に示すように、5−カルボキシフルオレセインとアリザリンのコンプレキソンが含まれる。これらのレセプターのそれぞれは、流体のpHが変化するとその色が大きく変化する。5−カルボキシフルオレセインは、流体のpHが増すにつれて黄から橙へと変化する。アリザリンコンプレキソンは、流体のpHが増すにつれて色が2回変化し、まず黄から赤に、次いで赤から青に変化する。ポリマー粒子に結合した染料により引き起こされた色の変化をモニタすることによって、溶液のpHを定性的に、かつ検出器(例えばCCD検出器)を使用することによって定量的にモニタすることができる。
【0067】
別の実施形態では、金属カチオンの存在に敏感なレセプターをポリマー粒子に結合させて粒子を生成する。この場合のレセプターは一般に、流体溶液中に存在する1種または複数の金属カチオンの濃度に敏感である。一般に、カチオンに結合する着色分子を使用して、流体溶液中に金属カチオンが存在するか否かを決定する。流体サンプル中のカチオンの存在をモニタするのに使用することができるレセプターの例には、アリザリンコンプレキソンとo−クレゾールフタレインコンプレキソンが含まれる(図6参照)。これらのレセプターのそれぞれは、流体中の特定の金属イオンの濃度が変化するにつれて、その色が著しく変化する。アリザリンコンプレキソンは、ランタンイオンに特に敏感である。ランタンが存在しない場合、アリザリンコンプレキソンは黄色を示す。ランタンの濃度が増すにつれ、アリザリンコンプレキソンは赤色へと変化する。o−クレゾールフタレインコンプレキソンはカルシウムイオンに特に敏感である。カルシウムが存在しない場合、o−クレゾールフタレインコンプレキソンは無色である。カルシウムの濃度が増すにつれ、o−クレゾールフタレインコンプレキソンは青色へと変化する。ポリマー粒子に結合した金属カチオンに敏感なレセプターの色の変化をモニタすることによって、特定の金属イオンの存在を定性的に、かつ検出器(例えばCCD検出器)を使用することによって定量的にモニタすることができる。
【0068】
図7を参照すると、o−クレゾールフタレインコンプレキソン・レセプターを含む粒子に関し、カルシウム(Ca2 +)の濃度に対する緑色光の吸光度のグラフが示されている。カルシウムの濃度が増すにつれ、緑色光の吸光度は、約0.0006Mの濃度まで線形に増大する。濃度0.0006Mは、流体中のカルシウムの溶解限界であり、この点以降は吸光度に著しい変化が見られない。濃度と吸光度とは線形の関係にあるので、流体サンプルの吸光度を測定することによってカルシウムの濃度を決定することができる。
【0069】
一実施形態では、レセプターまたはポリマー樹脂に結合したインジケーター・リガンドの物理特性を変化させることによって、検出可能な信号を発生させることができる。一実施形態では、2個の異なるインジケーターをレセプターまたはポリマー樹脂に結合させる。レセプターで分析物を捕捉する場合、インジケーターの分光特性に変化が生じるように、2個のインジケーターの間の物理的な距離を変化させることができる。この感知スキームには、様々な蛍光およびりん光インジケーターを使用することができる。このプロセスは、フォルスター・エネルギー伝達と呼ばれ、インジケーター分子間の距離の小さな変化に極めて敏感である。
【0070】
例えば図8に示すように、第1の蛍光インジケーター320(例えばフルオレセインン誘導体)および第2の蛍光インジケーター330(例えばローダミン誘導体)をレセプター300に結合させることができる。分析物が存在しない場合、短波長励起310によって第1の蛍光インジケーター320を励起することができ、312で示されるように蛍光を発する。しかし短波長励起では、第2の蛍光インジケーター330の蛍光をほとんど発しないかまたは全く発しない。分析物350がレセプターに結合した後、レセプター分子が構造的変化によって、第1および第2の蛍光インジケーターが互いに接近する。この分子間距離の変化により、励起された第1のインジケーター320は、蛍光エネルギー325の一部を第2の蛍光インジケーター330に伝達することができる。このエネルギー伝達は、第1のインジケーター分子320の蛍光エネルギーの低下によって、または第2のインジケーター分子330による蛍光314の増大を検出することによって、測定することができる。
【0071】
あるいは、第1および第2の蛍光インジケーター320および330はそれぞれ上述のように、短波長励起によって第1および第2の蛍光インジケーターがどちらも蛍光を発するように、初めに位置決めすることができる。分析物350がレセプターに結合した後、レセプター分子の構造変化により、第1および第2の蛍光インジケーターが引き離される。この分子間距離の変化は、第1のインジケーター320から第2の蛍光インジケーター330への蛍光エネルギーの伝達を阻止する。このエネルギー伝達の変化は、第2のインジケーター分子330の蛍光エネルギーの低下によって、または第1のインジケーター分子320による蛍光の増大を検出することによって、測定することができる。
【0072】
別の実施形態では、インジケーター・リガンドをレセプターに予め導入することができる。次いでインジケーター・リガンドを分析物で置換し、それによって粒子の分光特性を変化させることができる。この場合、初期バックグラウンド吸光度は比較的大きく、分析物が存在する場合は低下する。一実施形態で、インジケーター・リガンドは、測定することができる様々な分光特性をする。これらの分光特性には、紫外線吸収、可視光吸収、赤外線吸収、蛍光、および磁気共鳴が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態で、インジケーターは、蛍光が強度な染料、紫外線吸収が強度な染料、可視光吸収が強度な染料、またはこれらの物理特性を組み合わせた染料である。インジケーターの例には、カルボキシフルオレセイン、臭化エチジウム、7−ジメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、エオシン、エリトロシン、フルオレセイン、オレゴングリーン488、ピレン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン、テキサスレッド、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、エチルバイオレット、マラカイトグリーン、メチルグリーン、アリザリンレッドS、メチルレッド、ニュートラルレッド、o−クレゾールスルホンフタレイン、o−クレゾールフタレイン、フェノールフタレイン、アクリジンオレンジ、B−ナフトール、クマリン、およびα−ナフチオン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
インジケーターとレセプターを混合すると、インジケーターの上述の分光特性ならびにその他の分光特性が変化するように、レセプターとインジケーターが互いに相互に作用する。この相互作用の種類は結合相互作用でよく、インジケーターとレセプターが十分な力で互いに引き付けられて、新たに形成されたレセプター−インジケーター複合体が単一ユニットとして機能するようになる。インジケーターとレセプターとの相互結合は、共有結合、イオン結合、水素結合、ファン・デル・ワールス相互作用、またはこれらの結合を組み合わせた形をとることができる。
【0074】
インジケーターは、インジケーターとレセプターとの結合強度が分析物とレセプターとの結合強度より小さくなるよう選択することができる。このため、分析物が存在する場合、インジケーターとレセプターとの結合を破壊して、インジケーターをレセプターから解放することができる。解放されると、インジケーターの物理特性は、インジケーターがレセプターに結合させている場合に示された特性から変化する。インジケーターは、その元の構造に戻ることができ、したがってその元の物理特性が回復する。例えば、レセプターを含む粒子に蛍光インジケーターを結合する場合、その粒子の蛍光は、分析物含有流体で処理する前に強くなる可能性がある。分析物と粒子とを相互に作用させると、蛍光インジケーターを解放することができる。インジケーターが解放されると、その時点で粒子に結合させているインジケーター分子が少ないので、粒子の蛍光を低減させることができる。
【0075】
このタイプのシステムの例を、粒子としてボロン酸置換樹脂505を使用することにより示す。図9に示すように、試験前に、インジケーター(例えばレゾルフィン)で標識した糖510を用いてボロン酸置換樹脂505を処理することができる。糖510をボロン酸レセプター500に結合させて、ボロン酸置換樹脂505に色変化をもたらすことができる(例えばレゾルフィンで標識した糖の場合は黄色)。糖520を含む流体サンプルでボロン酸樹脂505を処理する場合、標識した糖510を置換して、ボロン酸置換樹脂505により生成される色素の量を減少させることができる。この減少は、定性的に、または検出器(例えばCCD検出器)を用いる場合は定量的にモニタすることができる。
【0076】
別の実施形態では、設計された合成レセプターを使用することができる。一実施形態では、ポリカルボン酸レセプターをポリマー樹脂に結合することができる。ポリカルボン酸レセプターは、参照により本明細書に援用する米国特許出願第08/950,712号で論じられている。
【0077】
一実施形態では、流体中の分析物分子をインジケーター・リガンドで前処理することができる。前処理では、分析物分子にインジケーター・リガンドを共有結合させることができる。インジケーターが分析物に結合した後、感知粒子上に流体を通すことができる。感知粒子表面でのレセプターと分析物との相互作用により、溶液から分析物を除去することができる。分析物はインジケーターを含むので、インジケーターの分光特性は粒子に反映される。分析物の流れが通過した後の感知粒子の物理特性を分析することによって、分析物の存在および濃度を決定することができる。
【0078】
例えば流体中の分析物は、粒子にその流れを導入する前に、蛍光標識で誘導体化することができる。分析物分子が粒子に吸着するにつれ、粒子の蛍光は増大する。蛍光信号の存在を使用して、特定の分析物の存在を決定することができる。さらに、蛍光強度を使用して、流れの中の分析物の量を決定することができる。
【0079】
レセプター
様々な天然レセプターおよび合成レセプターを使用することができる。合成レセプターは、ポリヌクレオチド(例えばアプタマー)、ペプチド(例えば酵素や抗体)、合成レセプター、ポリマー非天然型バイオポリマー(例えばポリチオ尿素、ポリグアニジニウム)、およびインプリンティングポリマーを含めた様々なクラスから得ることができるが、これらに限定されず、その一部を図10に概略的に示す。天然ベースの合成レセプターは、天然に生ずる分子に構造的に類似するレセプターを含む。ポリヌクレオチドは、DNA配列を順次構築することによって得ることができる比較的小さいDNA断片である。ペプチドは、アミノ酸から合成することができる。非天然型バイオポリマーは、天然バイオポリマーをベースにするが非天然型リンク単位から構築される化学的な構造である。
【0080】
ポリチオ尿素やポリグアニジニウムなどの非天然型バイオポリマーは、ジアミン(すなわち少なくとも2個のアミン官能基を含む化合物)から合成することができる。これらの分子は、天然に生ずるレセプター(例えばペプチド)の構造と同様である。一部のジアミンは、アミノ酸から合成することができる。これらの化合物の構築単位としてアミノ酸を使用することにより、広く様々な分子認識単位を考案することができる。例えば20個の天然アミノ酸は、疎水性残基、カチオンおよびアニオン残基、ならびに水素結合基を持つ側鎖を有する。これらの側鎖は、小分子から大きいオリゴ糖まで多数の標的に結合するように、化学的に良好な一致をもたらすことができる。アミノ酸ベースのペプチド、ポリチオ尿素、およびポリグアニジニウムを図10に示す。
【0081】
ポリマーペプチド上にDNA断片およびポリペプチド断片を構築するための技法は周知である。天然に生ずる抗体および酵素をポリマー樹脂上に固定化する技法も周知である。樹脂粒子上でのポリチオ尿素の合成は、図11に示す合成経路によって実現することができる。この手順は、ポリマー粒子に結合したアミノ酸の末端tBOC保護基を遊離することから始まる。保護基を除去した後、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBT)を使用して、得られたアミン405に硬質スペーサ410を結合させる。スペーサ基は、第1のアミノ酸とその後に形成されたチオ尿素との反応によるチアゾロンの形成を阻止することができる。スペーサ基がアミノ酸に結合した後、別のtBOC遊離を行ってスペーサ保護基を除去することにより、アミン415が得られる。この時点で、モノマーを漸増的に付加し、そのたびにtBOC遊離を行うことによって、鎖を成長させることができる。アミン415にジアミン420の誘導体(例えばイソチオシアネート)を付加することにより、モノチオ尿素425が得られる。第2のチオ尿素置換基を付加することも示されている。所望の数のモノマーを付加した後、ベンジルイソチオシアネートまたは無水酢酸の溶液を添加して、成長するオリゴマーに残存する全てのアミンをキャップすることができる。1〜20個のチオ尿素基を形成して、合成ポリチオ尿素レセプターを生成することができる。
【0082】
ポリグアニジニウムの合成は、図12に示されるように行うことができる。これらのグアニジニウム基をレセプターに組み込むため、Mukaiyama試薬の存在下、末端アミンにチオ尿素を結合することができる。第1のチオ尿素ジアミン430をポリマー粒子のアミノ基に結合することにより、モノグアニジニウム434が得られる。得られたモノグアニジニウムを第2のチオ尿素ジアミン436に結合することにより、ジグアニジニウム438が得られる。さらに結合を行うことによって、トリグアニジニウム440を生成することができる。1〜20個のグアニジニウム基を形成して、合成ポリグアニジニウム・レセプターを生成することができる。
【0083】
ポリチオ尿素およびポリグアニジニウムを作製するための上述の方法は、オリゴマー・レセプターにジアミン(すなわち少なくとも2個のアミン官能基を含む分子)を組み込むことに基づく。この方法は、少なくとも2個のアミノ基を有するどの化合物に関しても一般的である。一実施形態では、ジアミンをアミノ酸から誘導することができる。アミノ酸からジアミンを形成するための方法を図13に示す。保護アミノ酸450をボラン−THFで処理することにより、アミノ酸のカルボン酸部分を第1アルコール452に還元する。この1次アルコールを、Mitsunobu条件下(PPh3/DEAD)でフタルイミドを用いて処理する。得られた化合物454を水性メチルアミンで処理して、所望のモノ保護ジアミン456を形成する。このプロセスは、出発アミノ酸の鏡像体純度が維持されるように行うことができる。上述の方法では、天然または合成のいかなるアミノ酸も使用することができる。
【0084】
それぞれの官能基を形成するのに使用される3つの結合戦略は、互いに完全に互換性がある。側鎖(疎水性、カチオン性、アニオン性、および水素結合)と同様に結合基(アミド、チオ尿素、およびグアニジニウム)を混合することができるので、オリゴマーの多様性は、天然の生物学的レセプターで一般に見られるレセプターの多様性を超えたものにすることができる。特定の毒素、細菌、及び環境上の化学物質との相互作用を示す超敏感かつ超選択的なレセプターを生成することができる。さらに、これらの合成スキームを使用して、センサ・アレイに使用される粒子のコンビナトリアル・ライブラリーを構築することができる。
【0085】
一実施形態では、レセプターの合成中に、インジケーター・リガンドを合成レセプターに組み込むことができる。リガンドは、レセプターの合成中に使用されるジアミンなどのモノマー単位に組み込むことができる。このように、制御された位置で、インジケーターをレセプターに共有結合することができる。レセプターの合成中にレセプター内にインジケーターを配置することにより、レセプター内でのインジケーター・リガンドの位置決めを制御することができる。この制御は、レセプターの合成が完了した後に行うことが難しい。
【0086】
一実施形態では、一連の合成で使用されるジアミンモノマーに蛍光基を組み込むことができる。レセプターの合成に使用されるモノマー単位の例を図14に示す。示されるモノマーは、蛍光インジケーター基を含む。合成後、レセプターと分析物との相互作用により、分子の分光特性に変化が生じる。典型的な場合、分析物の結合に関わる蛍光モノマーの水素結合またはイオン性置換基は、蛍光環系の電子密度および/または剛性を変化させることができ、それによってインジケーターの分光特性に観察可能な変化が生じる。蛍光インジケーターの場合、そのような変化は、蛍光量子収量、最大励起波長、および/または最大発光波長の変化として示すことができる。この手法は、k( off )によって応答時間が制限される可能性がある、事前に導入された蛍光リガンドの解離を必要としない。本明細書では蛍光リガンドを示すが、比色リガンドを含めた様々なその他のリガンドを使用することができることを理解されたい。
【0087】
別の実施形態では、レセプターを合成するために、シグナリング用の2個の蛍光モノマーを使用することができる。例えば図14に示される化合物470(例えばフルオレセインの誘導体)および化合物475(例えばローダミンの誘導体)は、両方とも合成レセプターに組み込むことができる。化合物470は、いくつかの実施形態で分析物の結合により変調信号を送出することになる一般的な比色/蛍光プローブを含有してよい。変調は、化合物475への共鳴エネルギー伝達に起因するものでよい。
【0088】
分析物がレセプターに結合すると、レセプターの構造変化によってモノマー単位470と475の間の距離が変化する。これらの分子が正しい方向に向いている場合、フルオレセインの励起によってローダミンから発光が得られることは周知である。モノマー470から475への共鳴エネルギーの伝達効率は、分析物結合の存在に大きく依存することになり、したがってローダミン蛍光強度(フルオレセイン蛍光よりもかなり長い波長で)の測定は、分析物結合のインジケーターとしての役割を果たすことができる。修飾フルオレセイン−ローダミンの相互作用の可能性を大きく改善するには、バックグラウンドのローダミン蛍光を大幅に増大させることなく、複数のローダミン標識をレセプター分子に沿った異なる部位に結合すればよい(フルオレセインに非常に近いローダミンのみが、適切な信号をもたらす)。この方法は、いくつかの代替の蛍光対に適用することができる。
【0089】
一実施形態では、軍事用および民生用として関心が持たれている多数の化学/生物剤を、小型および中型の分子の両方を含む上述のアレイ・センサによって容易に感知することができる。例えば神経ガスは、一般に、水中での加水分解によってリン酸構造を生成することが知られている。リン酸官能基を含有する分子の存在は、ポリグアニジニウムを使用して検出することができる。汚染水源を有する神経ガスは、上述のポリグアニジニウム・レセプターを使用することによって検出できる。
【0090】
提案されたミクロ機械加工センサを使用して様々な細菌の存在を確認し、感知し、定量するために、2つの戦略を使用することができる。第1に、小分子の認識および検出を活用することができる。各細菌の、DNAやタンパク質、代謝産物、糖などの様々な細胞分子はその濃度が固有であり独特のものであるので、各生体のフィンガープリント(すなわちDNA、タンパク質、代謝産物、および糖の濃度およびタイプ)は独自のものと予想される。したがって、完全な細菌または分解した細菌から得られた分析物を使用して、特定の細菌が存在するか否かを決定することができる。DNA分子、タンパク質、代謝産物、および糖に特異的な一連のレセプターは、アレイに組み込むことができる。細菌、または分解した細菌を含有する溶液を、粒子のアレイ上に通すことができる。細菌の個々の細胞成分は、異なる手法で各粒子と相互に作用する。この相互作用は、個々の細菌に独自のパターンをアレイにもたらす。このように、流体中の細菌が存在することを決定することができる。
【0091】
別の実施形態では、地下水、エアロゾル、または血液の場合と同様に、細菌を完全な実体として検出することができる。無傷の細菌を検出し、感知し、同定するために、ある細菌の細胞表面をその他の細菌と差別化することができる。この差別化を実現する1つの方法は、細胞表面のオリゴ糖(すなわち糖残基)を標的とすることである。各細菌類(グラム陰性、グラム陽性など)は、その細胞表面に異なるオリゴ糖が現れる。オリゴ糖は、細胞の同定を行うその他の細胞によって読み取られるコードであり、細胞−細胞間の認識および伝達プロセスの一部である。オリゴ糖に特異的な合成レセプターの使用は、細胞表面のオリゴ糖を分析することによって特定の細菌の存在を決定するのに用いることができる。
【0092】
別の実施形態では、センサ・アレイを使用して、特定の分析物にどのレセプター分子を使用すべきか最適化することができる。レセプターのアレイは、支持部材の空洞内に配置することができ、分析物を含有する流れをアレイ上に通すことができる。感知アレイの各部分と既知の分析物との反応を分析し、どの粒子が、したがってどのレセプターが分析物に対して最も強力に反応するかを決定することによって、最適なレセプターを決定することができる。このように、多数の可能性あるレセプターを素早くスキャンすることができる。次いで分析物の混合物中の特定の分析物を検出するのに使用されるシステムに、最適なレセプターを組み込むことができる。
【0093】
いくつかの粒子は重要な化学種(生物剤、毒素、神経ガスなど)に結合するよう意図的に設計することができるが、ほとんどの構造は非特異的なレセプター基を有することを強調すべきである。提案したセンサ・アレイに関連する利点の1つは、様々な分析物への曝露を介して各粒子アレイを標準化し、その後、分析物と粒子との相互作用によって生じたパターンを記憶できることである。したがって、各粒子上の実際のレセプターが何であるかを知る必要がないと考えられる。各粒子アレイを特徴付けるパターンのみが重要である。実際に、多くの適用分野では、特定の粒子に関連する位置が特徴付けられるよう対策をとる必要がなく、様々な粒子をそれぞれのホルダに配置するのに時間がかからない。このように使用する場合、個々のセンサ・アレイのそれぞれは、調査される分析物のタイプを標準化する必要がある。
【0094】
このタイプのアレイでは、新しい毒素または未知の毒素の現場較正も可能である。分析物を複合体にすると、各インジケーターの局所的な微環境が変化し、光吸収および/または発光特性が変化する。コンピュータ・プラットフォーム上で完成した標準的なパターン認識アルゴリズムの使用は、分析に関する情報因子としての役割を果たすことができる。基質中の複数の部位で生じる同時相互作用により引き起こされたフィンガープリント状の応答を使用して、未知のサンプル中に存在する化学種を同定することができる。
【0095】
上述のセンサ・アレイ・システムは、既存の技術に優るいくつかの異なる利点をもたらす。1つの利点は、分析物の「実時間」検出を行うことができることである。別の利点は、複数の分析物の同時検出を行うことができることである。さらに別の利点は、このセンサ・アレイ・システムで、合成試薬ならびに生物学的に生成された試薬を使用できることである。合成試薬は一般に、生物学的試薬に比べて分析物に対して優れた感度および特異性を有する。さらに別の利点は、センサ・アレイ内に配置された粒子を単に変えることによって、センサ・アレイ・システムに容易に変更を加えることができることである。この互換性により、製造コストも削減できる。
【実施例】
【0096】
1.化学的に感受性のある粒子を使用したpHの決定
図15には、o−クレゾールフタレインで誘導体化した単一のポリマー粒子を透過する光信号の大きさが示されている。染料が最も強力に吸収される波長(すなわち約550nm)に分析物の焦点を合わせるため、フィルタを使用した。pHを酸性環境から塩基性環境まで循環させたときに、粒子に関するデータを得た。酸性媒体(すなわち約100〜150秒と約180〜210秒のとき)では粒子が透明であり、この系は、光検出器で大きい信号をもたらした(最大で約300,000カウントを超える)。0〜100秒の間、および150〜180秒の間では、溶液が塩基性になった。pHを上げると(すなわち容器をさらに塩基性にする)、粒子の色は紫に変わり、透過する緑色光は大幅に減少した。そのような環境下での大幅な信号減少を記録した。信号の漸進的な変化は、応答時間が実に素早く、約10秒程度であることを示していた。さらに、その振舞いは極めて再現可能なものであった。
【0097】
2.センサ・アレイ・システムによるCa2 +、Ce3 +、およびpHの同時検出
様々なインジケーター・リガンドをポリエチレングリコール−ポリスチレン(「PEG−PS」)樹脂粒子に結合することによって、4個の異なる粒子の合成を行った。PEG−PS樹脂粒子は、カリフォルニア州La JollaのNovabiochem Corp.から得た。粒子の平均直径は、乾燥時が約130μmであり、湿潤時が約250μmであった。フルオレセイン、o−クレゾールフタレインコンプレキソン、およびアリザリンコンプレキソンのインジケーター・リガンドを、インジケーター・リガンド上での末端樹脂結合アミンとカルボン酸とのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)カップリングを使用して、それぞれPEG−PS樹脂粒子に結合した。
【0098】
感知粒子を生成するためにPEG−PS上に局在化したこれらの合成レセプターを、シリコン/窒化シリコン・ウェーハにミクロ機械加工により形成されたウェル内に位置決めし、したがって粒子は、複数構成要素のチップ上で個々に指定可能な位置に閉じ込められた。これらのウェルは、膨潤状態および非膨潤状態にあるどの粒子も保持できるよう寸法決めされた。これらの構造を使用して、分析物の存在を調査する分光学的検定を可能にしつつ、試験流体の迅速な導入を行った。分析物種の同定および定量のため、固定化した樹脂粒子の光吸収および光放射特性の変化を活用した。吸収特性に基づく同定についてここで論じる。分析物への曝露では、色の変化が約90%終了するのに1分以内かかることがわかったが、通常は数秒しか必要としない。比色変化の分析を効率的、迅速、かつ高感度に行うため、CCD検出器をセンサ・アレイに直接接触させた。したがって、個々の粒子要素のそれぞれに関して赤、緑、および青(RGB)の光強度からなるデータ・ストリームを収集して処理した。様々な溶液に対する粒子の赤、青、および緑の応答を、図16にグラフで示す。
【0099】
様々な量のCa2 +またはF−を様々なpHレベルで含有する溶液の分析を、アリザリンコンプレキソン、o−クレゾールフタレインコンプレキソン、5−カルボキシフルオレセイン、およびアリザリン−Ce3 +錯体を使用して行った。PEG−PS樹脂粒子の末端アミンをアシル化したブランク粒子も使用した。この実施例では、pHを変化させる条件下でCa2 +(0.1M Ca(NO3)2)の存在を分析した。pHは、約2、7、および12の値に変化させ、全て、0.04Mホスフェート、0.04Mアセテート、および0.04Mボレートの混合物で緩衝させた。全ての環境における各センサのRGBパターンを測定した。o−クレゾールフタレインで誘導体化したビーズは、pH値が約12でCa2 +に応答した。同様に、5−カルボキシフルオレセインで誘導体化したビーズはpHセンサとして作用した。pH値が約7.4以下のとき、ビーズは淡黄色であった。pHが高くなると、ビーズは濃橙色に変化した。アリザリンコンプレキソンは、3つの異なる役割を果たした。第1に、プロトン・センサとして働き、pH値が約4.5以下で黄色になった。橙色は、pH値が約4.5から約11.5の間であることを意味していた。pH値が約11.5を超えると青色が観察された。第2に、アリザリンコンプレキソンは、黄から橙に変わることによって、より低いpH値でランタンイオンのセンサとして機能した。第3に、フッ化物イオンとランタンイオンの組合せによって、黄/橙の色彩になった。
【0100】
この実施例は、溶液分析用にミクロ機械加工したアレイ・センサの設計、試験、および機能性に関するいくつかの重要なファクタを実証した。第1に、比色分析用染料および蛍光染料を用いてポリマー粒子の誘導体化を終了させた。これらの構造は、pHおよびCa2 +に応答することを示した。第2に、1分よりも十分に短い応答時間であることがわかった。第3に、粒子の閉込めならびに粒子の光学的な特徴付けの両方に適する、ミクロ機械加工したアレイを準備した。第4に、市販のCCD検出器にテストベッド・アレイを一体化させた。最後に、センサ・アレイにより生成されたRGB色パターンの分析によって、混合物中の数種類の分析物の同時検出を可能にした。
【0101】
3.ボロン酸ベースのレセプターを使用した糖分子の検出
図9に示されるように、糖分子に強力に結合する官能基を用いて一連のレセプターを調製した。この場合、レゾルフィン誘導体化ガラクトース糖分子の競争的置換を使用してその他の糖分子の存在(または糖分子の欠如)を評価する感知スキームの新しいタイプの機能性を実証するために、ボロン酸糖レセプター500を利用した。ボロン酸レセプター500は、ベンジル臭化物の置換反応を介して形成した。ボロン酸レセプターを、PEG―PS樹脂粒子の「R」位置に結合した。初めに、ボロン酸誘導体化粒子をレゾルフィン誘導体化ガラクトース510と共に導入した。グルコース520を含有する溶液にこの粒子を曝すことにより、レゾルフィン誘導体化ガラクトース分子510を粒子レセプター部位から外した。糖溶液に曝す前および後に撮影した光学写真の目視検査では、ホウ素置換樹脂が水溶液から糖分子を隔離できることが示された。さらに、標識していない糖(例えばグルコース)の溶液に着色粒子を引き続き曝すことによって、結合している着色糖レポーター分子が移動する。この分子の移動によって、粒子の色に変化が生じる。糖センサは、グルコースを含有する溶液中で濃橙色から黄色に変化する。粒子は、pHを変化させる条件下でも試験する。粒子の色は、pHが低い値のpHから高い値のpHまで変化するにつれて濃橙色から黄色に変化することが示された。
【0102】
その他の改善点
1.システムの改善点
図17には、流体中の分析物を検出するためのシステムの一実施形態が示されている。一実施形態で、システムは、光源512と、センサ・アレイ522と、このセンサ・アレイを支持するためのチャンバ550と、検出器530を含む。センサ・アレイ522は、様々な粒子を保持するよう形成された支持部材を含んでよい。一実施形態で、光源512から発せられた光はセンサ・アレイ522を通過して、センサ・アレイの底面を経て出て行く。粒子によって変調した光は、近くに間隔を空けて配置された検出器530によって検出することができる。センサ・アレイの下に位置決めされるよう示されているが、この検出器は、反射率測定のためにセンサ・アレイの上方に位置決めできることを理解されたい。目視検査によって(例えば目で、または顕微鏡を用いて)、あるいは検出器に結合されたマイクロプロセッサ540を使用することによって、光学的変化の評価を行うことができる。
【0103】
この実施形態では、センサ・アレイ522をチャンバ550内に位置決めすることができる。チャンバ550では、流体流れがセンサ・アレイ522と相互に作用するように、流体流れがチャンバ内を通過することができる。チャンバは、ガラス(例えばホウケイ酸ガラスや石英)または光源からの光の一部を通すプラスチック材料で構成することができる。またこの材料は、流体に対して実質的に反応しないものであるべきである。チャンバの形成に使用することができるプラスチック材料の例には、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリイミド、ポリビニルポリマー(例えばポリ塩化ビニルやポリ酢酸ビニル、ポリ二塩化ビニル、ポリフッ化ビニルなど)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリウレタンが含まれるが、これらに限定されない。そのようなチャンバの例には、ニュージャージー州Bellco Glass,Inc.から市販されているSykes−Mooreチャンバがある。
【0104】
一実施形態で、チャンバ550は、流体入口ポート552と流体出口ポート554を含む。流体入口552および流体出口554の両ポートにより、使用中に流体流れがチャンバの内部556に入ることができる。流体をチャンバに移送するために入口および出口ポートにコンジットを配置してもよい。一実施形態で、これらのポートは中空コンジットである。中空コンジットの外形は、流体をチャンバに移送しまたは流体をチャンバから引き出す管の内径に実質的に等しい。例えば、流体を移送するためにプラスチック管またはゴム管を使用する場合、そのプラスチック管の内径は、入口および出口ポートの外径に実質的に等しい。
【0105】
別の実施形態では、入口および出口ポートはLuerロック・スタイルのコネクタである。入口および出口ポートは雌Luerロック・コネクタでよい。雌Luerロック・コネクタを使用することにより、シリンジを介して流体を導入することができる。一般にシリンジは、そのシリンジの吐出端に雄Luerロック・コネクタを含む。液体サンプルを導入する場合、Luerロック・コネクタを使用することによって、シリンジからチャンバ550までサンプルを直接移送することができる。またLuerロック・コネクタでは、Luerロック・チュービング・コネクタを使用してプラスチック管またはゴム管をチャンバに接続することが可能になる。
【0106】
チャンバは、流体通路をチャンバの内部556に実質的に閉じ込めることができる。流体を、容積の小さい内部に閉じ込めることによって、分析に必要な流体の量を最小限に抑えることができる。内部容積は、所望の適用例に応じて特別に変更を加えることができる。例えば、体積が小さい流体サンプルを分析するには、チャンバ内部が小さくなるようチャンバを設計すればよく、したがって、チャンバを満たすのに必要な流体の量が減少する。より大量のサンプルでは、内部がより大きいチャンバを使用することができる。より大きいチャンバでは、使用中の流体の処理能力をより速くすることが可能である。
【0107】
図18に示す別の実施形態では、流体中の分析物を検出するためのシステムは、光源512と、センサ・アレイ522と、このセンサ・アレイを支持するためのチャンバ550と、検出器530とを含み、全てが検出システム筐体560内に納められている。上述のようにセンサ・アレイ522は、様々な粒子が保持されるよう支持部材で形成することができる。したがって、単一の筐体内に、分析物検出システムの構成要素を全て含めることができる。
【0108】
単一筐体内に納められた分析物検出システムを形成することにより、可搬式検出システムを形成することが可能である。例えば、分析物検出システムには制御装置570を結合することができる。制御装置570は検出器と相互に作用し、分析結果を表示することができる。一実施形態で、制御装置は、情報をユーザに表示するための表示デバイス572を含む。この制御装置は、ユーザが分析物検出システムの操作を制御できるように、入力デバイス574(例えばボタン)も含む。制御装置は、光源512の動作と検出器530の動作を制御することができる。
【0109】
検出システム筐体560は、制御装置に対して交換可能である。結合部材576および578を使用して、制御器570から検出システム筐体560を取り外すことができる。制御装置には、結合部材576および578を使用して、第2の検出システム筐体を容易に結合することができる。このように、様々な種々の検出システム筐体を使用して、様々な種々のタイプの分析物を検出することができる。各検出システム筐体は、そのチャンバ内に取り付けられた種々のセンサ・アレイを含んでよい。異なるタイプの分析に合わせてセンサ・アレイを交換しなければならない代わりに、検出システム筐体全体を交換すればよい。これは、様々な検出スキームを使用する場合に有利であることを示している。
【0110】
例えば、第1の検出システム筐体を白色光の適用例に使用することができる。この第1の検出システム筐体は、白色光源と、分析物の存在下で可視光応答を生成する粒子を含んだセンサと、白色光に対して感受性のある検出器とを含む。第2の検出システム筐体を蛍光適用例に使用することができ、蛍光光源と、分析物の存在下で蛍光応答を生成する粒子を含んだセンサ・アレイと、蛍光検出器とを含んでいる。第2の検出システム筐体は、検出システムに必要なその他の構成要素を含んでもよい。例えば第2の検出システムは、蛍光測定中、短波長励起によって光検出システム内に「擬似」信号が生成されるのを防止するフィルタを含んでもよい。ユーザは、所望の分析物を検出するために、適正な検出システム筐体を選択するだけでよい。各検出システム筐体は必要とされる構成要素の多くを含むので、ユーザは、実現可能な検出システムを生成するために、光源の選択、センサ・アレイの選択、または検出器装置の選択を行う必要がない。
【0111】
別の実施形態では、システムの個々の構成要素が交換可能である。システムは、光源512および検出器530をそれぞれチャンバ550から取り外すことが可能な結合部材573および575を含む。このため、組立て方式のシステムが可能になる。例えば吸光度/反射率の分析に対応するデータを得るために、最初に白色光源を用いて分析を行うことができる。次いでこの光源を紫外光源に代えて、粒子の紫外光分析を行うことができる。粒子は、既に流体で処理してあるので、流体で粒子をさらに処理することなく分析を行うことができる。このように、単一のセンサ・アレイを使用して様々な試験を行うことができる。
【0112】
一実施形態で、支持部材は、光の適切な波長を通過させながら粒子を支持することが可能な任意の材料で作製される。支持部材は、分析物が含まれる流体を実質的に通さない材料で作製することもできる。プラスチック(例えばフォトレジスト材やアクリルポリマー、カーボネートポリマーなど)、ガラス、シリコン・ベースの材料(例えばシリコンや二酸化シリコン、窒化シリコンなど)、および金属を含めた様々な材料を使用することができる。
【0113】
一実施形態で、支持部材は、複数の空洞を含む。各空洞は、少なくとも1個の粒子が空洞内に実質的に含まれるように形成することができる。別の実施形態では、複数の粒子を単一の空洞内に入れることができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、センサ・アレイ上に液体を通すことが必要と考えられる。センサ・アレイを横断する液体の動的な動きにより、空洞から粒子が押し出される。別の実施形態では、透過型電子顕微鏡(「TEM」)のグリッドを使用することによって、支持部材に形成された空洞内に粒子を保持することができる。図19に示されるように、空洞580を支持部材582に形成する。空洞内に粒子584を配置した後、TEMグリッド586を支持部材582の最上部に配置して所定位置に固定することができる。TEMグリッドと、支持体にTEMグリッドを固定するための接着剤は、カリフォルニア州ReddingのTed Pella,Inc.から市販されている。TEMグリッド586は、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム、モリブデン、チタン、ナイロン、ベリリウム、炭素、およびベリリウム−銅を含めたいくつかの材料から作製することができるが、これらに限定するものではない。TEMグリッドのメッシュ構造により、空洞内に配置された粒子に溶液を接触させることができると共に光を当てることが可能になる。図20に、支持部材582の上面に固定されたTEMグリッド586を備えたセンサ・アレイの平面図をさらに示す。TEMグリッド586は、空洞580内に粒子584が捕捉されるよう、支持部材の上面に配置空洞580内に粒子584が保持することができる。図示されるように、TEMグリッド586の開口588は、空洞580内に粒子584が保持されるようにすると共に空洞580に流体が流れ光が当たるように、寸法決めすることができる。
【0115】
別の実施形態で、センサ・アレイは、粒子を支持すると共に光の適切な波長が粒子に届くように形成された支持部材を含む。一実施形態で、支持部材は複数の空洞を含む。空洞は、少なくとも1個の粒子が各空洞内に実質的に含まれるよう形成する。支持部材は、使用中に空洞から粒子が実質的に押し出されないように形成する。この支持部材で、空洞内を流体が通過することが可能になる。流体は、支持部材の上面から流れて粒子を通過し、さらに支持部材の底面から出て行くことができる。このため粒子と流体との接触時間を長くすることができる。
【0116】
図21A〜Gは、取外し可能な上部カバーおよび底部カバーを含んだシリコン・ベースの支持部材を形成するための、一連のプロセス・ステップを示す。取外し可能な上部カバーにより、流体は上部カバーを通過して空洞内に入ることができる。取外し可能な底部カバーにより、流体は底部カバーを通して空洞から出て行くこともできる。
【0117】
図21Aに示されるように、一連の層をシリコン基板610の両面に堆積させることができる。シリコン基板上には、第1の除去可能な層612を堆積させる。除去可能な層612は、二酸化シリコン、窒化シリコン、またはフォトレジスト材でよい。一実施形態では、二酸化シリコン層612をシリコン基板610の両面に堆積させる。除去可能な層612上にはカバー614を形成することができる。一実施形態では、除去可能な層612を形成するのに使用される材料とは異なる材料からカバー614を形成し、これは検出システムの光源を実質的に通すものである。例えば、除去可能な層612を二酸化シリコンで形成する場合は、カバー614を窒化シリコンで形成すればよい。カバー614上に、第2の除去可能な層616を形成することができる。第2の除去可能な層616は、カバー614を形成するのに使用される材料とは異なる材料で形成する。第2の除去可能な層616は、第1の除去可能な層612を形成するのに使用される材料と同様の材料で形成することができる。一実施形態で、第1および第2の除去可能な層612および616はそれぞれ二酸化シリコンから形成され、カバー614は窒化シリコンで形成する。
【0118】
これらの層は、標準的なフォトリソグラフィ技法を使用してパターニングされエッチングされる。一実施形態で、層の残存部分は、シリコン基板610に空洞が形成される位置に実質的に位置合せされる。
【0119】
層をエッチングした後、図21Bに示すように、第1の除去可能な層612とカバー614と第2の除去可能な層616の側壁に、スペーサ構造を形成する。スペーサ構造は、第2の除去可能な層616を形成するのに使用されるものと同じ材料で形成することができる。一実施形態では、適切な材料のスペーサ層を堆積させ、その材料を異方性エッチングによって、スペーサ構造を形成することができる。プラズマ・エッチングなどの異方性エッチングは、物理的な除去メカニズムと化学的な除去メカニズムの両方を使用する。一般に、半導体基板の上面に対して実質的に垂直な角度でイオンを衝突させる。その結果、実質的に垂直な面よりも実質的に水平な面のほうが速く除去される。このエッチング手順を実施中、残っているスペーサ層の領域だけが、実質的に垂直な面に近い領域になるように、例えばスペーサ構造618になるように、スペーサ層を除去する。
【0120】
スペーサ構造618を形成した後、図21Cに示されるカバー支持構造620を形成する。初めに、第2の除去可能な層616およびスペーサ構造618上に支持構造層を堆積させることによって、カバー支持構造を形成する。次いで標準的なフォトリソグラフィを使用して支持構造層をパターニングしてエッチングし、支持構造620を形成する。一実施形態で、支持構造は、除去可能な層の材料とは異なる材料で形成する。一実施形態で、除去可能な層は二酸化シリコンから形成できるが、支持構造およびカバーは窒化シリコンで形成することができる。
【0121】
図21Dを参照すると、ウェット・エッチング・プロセスを使用して、第2の除去可能な層616とスペーサ構造618の上部を除去する。第2の除去可能な層を除去することによって、カバー614の上面が露出する。このため、カバー内を延びる開口622が形成されるように、カバーをパターニングしエッチングすることが可能になる。開口622は、流体がカバー層を通過できるように、カバー614に形成することができる。一実施形態で、開口622は、引き続き形成される空洞内を流体が通過できるようにすると共にその空洞から粒子が押し出されないように形成される。
【0122】
開口622を形成した後、第1の除去可能な層612の残りの部分とスペーサ構造618の残りの部分を、ウェット・エッチングを使用して除去する。除去可能な層およびスペーサ構造を除去することによって、図21Eに示されるように「浮き」カバー614を生成する。カバー614は、支持構造620によって、シリコン基板610の近傍に保持させることができる。この場合、支持構造620からカバーを滑り出すことにより、カバー614を取り外すことができる。このように、取外し可能なカバー614が形成される。
【0123】
図21Fに示すように、カバー614を取り外した状態で、シリコン基板610に空洞640を形成する。初めにフォトレジスト材641をパターニングしエッチングしてマスキング層を形成することにより、空洞640を形成する。フォトレジスト材641をパターニングした後、前に述べたように水酸化物によるエッチングを使用して、空洞640をシリコン基板610にエッチングする。
【0124】
空洞640を形成した後、図21Gに示すように、フォトレジスト材を除去して粒子642を空洞内に配置する。シリコン基板610の上面および下面にカバー614を配置することによって、空洞640から粒子642が押し出されないようにすることができる。
【0125】
別の実施形態では、支持部材と、除去可能なカバーと、固定された底部層とを使用してセンサ・アレイを形成することができる。図22A〜Gは、除去可能な上部カバーと固定された底部層とを含んだシリコン・ベースの支持部材を形成するための、一連のプロセス・ステップを示す。除去可能な上部カバーにより、流体は上部カバーを通過して空洞内に入ることができる。
【0126】
図22Aに示されるように、一連の層をシリコン基板610の両面に堆積させる。シリコン基板610の上面611に第1の除去可能な層612を堆積させる。除去可能な層612は、二酸化シリコン、窒化シリコン、またはフォトレジスト材でよい。一実施形態では、二酸化シリコン層612をシリコン基板610に堆積させる。シリコン基板610の除去可能な層612上にはカバー614を形成する。一実施形態では、除去可能な層612を形成するのに使用される材料とは異なる材料であって検出システムの光源を実質的に通す材料からカバー614を形成することができる。例えば、除去可能な層612を二酸化シリコンで形成する場合は、カバー層614を窒化シリコンで形成すればよい。一実施形態では、シリコン基板610の底面613に底部層615を形成することができる。底部層615は、検出システムの光源を実質的に通す材料で形成することができる。カバー614上に第2の除去可能な層616を形成することができる。第2の除去可能な層616は、カバー614を形成するのに使用される材料とは異なる材料で形成することができる。第2の除去可能な層616は、第1の除去可能な層612を形成するのに使用される材料と同様の材料で形成することができる。一実施形態で、第1および第2の除去可能な層612および616はそれぞれ二酸化シリコンから形成され、カバー614は窒化シリコンで形成する。シリコン基板の上面611上に形成した層は、標準的なフォトリソグラフィ技法を使用してパターニングし、エッチングする。一実施形態では、上面に形成された層の残存部分は、シリコン基板610に空洞が形成される位置に実質的に位置合せされる。
【0127】
層をエッチングした後、図22Bに示すように、第1の除去可能な層612とカバー614と第2の除去可能な層616の側壁に、スペーサ構造を形成する。スペーサ構造は、第2の除去可能な層616を形成するのに使用されるものと同じ材料で形成することができる。一実施形態では、適切な材料のスペーサ層を堆積させ、そのスペーサ層を異方性エッチングすることによって、スペーサ構造を形成することができる。このエッチング手順を実施中、残っているスペーサ層の領域だけが、実質的に垂直な面に近い領域になるように、例えばスペーサ構造618になるように、スペーサ層を除去する。
【0128】
スペーサ構造618を形成した後、図22Cに示されるカバー支持構造620を、除去可能な層616およびスペーサ構造618上に形成することができる。第2の除去可能な層616およびスペーサ構造618上に支持構造層を堆積させることによって、カバー支持構造620を形成する。次いで標準的なフォトリソグラフィを使用して支持構造層をパターニングしてエッチングし、支持構造620を形成する。一実施形態で、支持構造は、除去可能な層の材料とは異なる材料で形成する。一実施形態で、除去可能な層は二酸化シリコンで形成できるが、支持構造およびカバーは窒化シリコンで形成することができる。
【0129】
図22Dを参照すると、ウェット・エッチング・プロセスを使用して、第2の除去可能な層616とスペーサ構造618の上部を除去する。第2の除去可能な層を除去することによって、カバー614の上面が露出する。このため、カバー614内を延びる開口622が形成されるように、カバー614をパターニングしエッチングすることが可能になる。開口622は、流体がカバーを通過できるように、カバー614に形成することができる。一実施形態で、開口622は、空洞内を流体が通過できるようにすると共にその空洞から粒子が押し出されないように形成される。同様に底部層615は、底部層615内を延びる開口623を形成することができるように、パターニングし、エッチングする。
【0130】
開口622および623を形成した後、第1の除去可能な層612とスペーサ構造618の残りの部分を、ウェット・エッチングを使用して除去する。除去可能な層およびスペーサ構造を除去することによって、図22Eに示されるように「浮き」カバー614を生成する。カバー614は、支持構造620によって、シリコン基板610の近傍に保持することができる。支持構造620からカバー614を滑り出すことにより、カバー614を取り外すことができる。このように、取外し可能なカバー614が形成される。
【0131】
カバー614を取り外した後、図22Fに示すように、空洞640をシリコン基板610に形成する。初めにフォトレジスト材641をパターニングしエッチングしてマスキング層を形成することによって、空洞640を形成する。フォトレジスト材614をパターニングした後、前に述べたように、水酸化物によるエッチングを使用して空洞640をシリコン基板610にエッチングすればよい。
【0132】
空洞640を形成した後、フォトレジスト材を除去し、図22Gに示すようにその空洞内に粒子642を配置することができる。シリコン基板610の上面611にカバー614を配置することによって、空洞640から粒子642が押し出されないようにすることができる。底部層615も、空洞640から粒子642が押し出されるのを阻止する助けをすることができる。カバー614の開口622と底部層615の開口623により、使用中に流体を空洞内に通すことが可能になる。
【0133】
別の実施形態では、支持部材および取外し可能なカバーを使用してセンサ・アレイを形成することができる。図23A〜Gは、取外し可能なカバーを含んだシリコン・ベースの支持部材を形成するための、一連のプロセス・ステップを示す。取外し可能なカバーにより、流体はそのカバーを通過して空洞内に入ることができる。
【0134】
図23Aに示されるように、一連の層をシリコン基板610の上面611に堆積させる。シリコン基板610の上面611には、第1の除去可能な層612を堆積させる。除去可能な層612は、二酸化シリコン、窒化シリコン、またはフォトレジスト材でよい。一実施形態では、二酸化シリコン層612をシリコン基板610に堆積させる。除去可能な層612上にはカバー614を形成する。カバーは、除去可能な層612の形成に使用された材料とは異なる材料であって検出システムの光源を実質的に通す材料で形成する。例えば、除去可能な層612を二酸化シリコンで形成する場合は、カバー614を窒化シリコンで形成すればよい。カバー614上に第2の除去可能な層616を形成する。第2の除去可能な層616は、カバー614を形成するのに使用される材料とは異なる材料で形成することができる。第2の除去可能な層616は、第1の除去可能な層612を形成するのに使用される材料と同様の材料で形成することができる。一実施形態で、第1および第2の除去可能な層612および616はそれぞれ二酸化シリコンで形成し、カバー614は窒化シリコンで形成する。シリコン基板の上面611上に形成した層を、標準的なフォトリソグラフィ技法を使用してパターニングしエッチングする。一実施形態で、上面に形成された層の残存部分は、シリコン基板610に空洞が形成される位置に実質的に位置合せされる。
【0135】
層をエッチングした後、図23Bに示すように、第1の除去可能な層612とカバー614と第2の除去可能な層616の側壁に、スペーサ構造618を形成する。スペーサ構造618は、第2の除去可能な層616を形成するのに使用されるものと同じ材料で形成する。一実施形態では、第2の除去可能な層上に適切な材料のスペーサ層を堆積させ、その材料を異方性エッチングすることによって、スペーサを形成する。このエッチング手順を実施中、残っているスペーサ層の領域だけが、実質的に垂直な面に近い領域になるように、例えばスペーサ構造618になるように、スペーサ層を除去する。
【0136】
スペーサ構造618を形成した後、図23Cに示されるカバー支持構造620を、除去可能な層616およびスペーサ構造618上に形成する。初めに第2の除去可能な層616およびスペーサ構造618上に支持構造層を堆積させることによって、カバー支持構造を形成する。次いで標準的なフォトリソグラフィを使用して支持構造層をパターニングしてエッチングし、支持構造620を形成する。一実施形態で、支持構造620は、除去可能な層の材料とは異なる材料で形成する。除去可能な層は二酸化シリコンで形成できるが、支持構造およびカバー層は窒化シリコンで形成する。
【0137】
図23Dを参照すると、ウェット・エッチング・プロセスを使用して、第2の除去可能な層616とスペーサ構造618の上部を除去する。第2の除去可能な層を除去することによって、カバー614の上面が露出する。このため、カバー614内を延びる開口622が形成されるように、カバー614をパターニングしエッチングすることが可能になる。開口622は、流体がカバー614を通過できるように、カバー614に形成する。
【0138】
開口622を形成した後、第1の除去可能な層612の残りの部分とスペーサ構造618の残りの部分を、ウェット・エッチングを使用して除去する。除去可能な層およびスペーサ構造を除去することによって、図23Eに示されるように「浮き」カバー614を生成する。カバー614は、支持構造620によって、シリコン基板610の近傍に保持する。この場合、支持構造620からカバー614を滑り出すことにより、カバー614を取り外すことができる。このように、取外し可能なカバー614が形成される。
【0139】
カバー614を取り外した後、図23Fに示すように、空洞640をシリコン基板610に形成する。初めにシリコン支持体610上にフォトレジスト材641を堆積させパターニングすることによって、空洞640を形成する。フォトレジスト材614をパターニングした後、前に述べたように、水酸化物によるエッチングを使用して空洞640をシリコン基板610にエッチングする。空洞のエッチングは、空洞底部643の幅が粒子642の幅よりも小さくなるように行えばよい。一実施形態では、エッチング時間を変化させることによって空洞底部の幅を制御する。このように空洞を形成することにより、空洞内に配置した粒子が大きすぎて空洞底部を通過することができなくなる。このため、支持部材は底部層を含まなくてよい。このプロセスの利点は、プロセス・ステップが少なく製造が簡単になることである。
【0140】
空洞640を形成した後、フォトレジスト材を除去し、図23Gに示すようにその空洞内に粒子642を配置する。シリコン基板610の上面611にカバー614を配置することによって、空洞640から粒子642が押し出されないようにする。空洞の狭い底部も、空洞640から粒子642が押し出されるのを阻止する。
【0141】
図24A〜Dは、部分的上部カバーおよび部分的底部カバーを含んだシリコン・ベースの支持部材を形成するための、一連のプロセス・ステップの一実施形態を示す。一実施形態では、部分的上部カバーおよび部分的底部カバーにより、流体が空洞内に入って空洞底部を経て外に出る。
【0142】
図24Aに示すように、シリコン基板710の底面に底部層712を堆積させる。底部層712は、二酸化シリコン、窒化シリコン、またはフォトレジスト材でよい。一実施形態では、窒化シリコン層712をシリコン基板710上に堆積させてもよい。図24Aに示すように、底部層712内を通るように開口714を形成する。開口714は、後に基板710に空洞が形成される位置に実質的に位置合わせされる。開口714の幅は、粒子の幅よりもかなり小さくてよい。したがって粒子は、開口714を通過することができない。
【0143】
図24Bに示すように、シリコン基板710に空洞716を形成する。空洞716は、初めにシリコン基板710上にフォトレジスト層を堆積させ、パターニングすることによって形成することができる。フォトレジスト材をパターニングした後、ウェット・エッチングおよびプラズマ・エッチングを含めたいくつかのエッチング技法を使用して、空洞716をシリコン基板710にエッチングする。空洞716の幅は粒子の幅よりも大きくてよく、したがって粒子を空洞のそれぞれに配置することが可能になる。一実施形態では、底部層に形成された開口714上に空洞が実質的に位置合わせされるよう、空洞716を形成する。
【0144】
空洞を形成した後、図24Cに示すように、粒子718を空洞716に挿入する。エッチングされた底部層712は、粒子718の支持体として働く。底部層712によって、粒子718は空洞から押し出られなくなる。底部層712の開口714により、使用中に流体が底部層を通過できる。
【0145】
空洞内に粒子を配置した後、シリコン基板710の上面717上に上部層720を配置する。一実施形態で、上部層720は、検出システムの光源を実質的に通す材料で形成する。上部層は、窒化シリコン、二酸化シリコン、またはフォトレジスト材で形成する。一実施形態では、フォトレジスト材シートを使用する。上部層620を形成した後、上部層に開口719を形成して、流体を空洞内に通すことができるようにする。上部層720がフォトレジスト材からなる場合、フォトレジスト材をシリコン基板の上面全体に堆積させた後、初めにフォトレジスト材を適切な光の波長およびパターンに曝露することによって開口を形成する。上部層720が二酸化シリコンまたは窒化シリコンからなる場合、上部層上にフォトレジスト材を堆積させ、フォトレジストを現像し、フォトレジストをアンダーカットして下に在る上部層をエッチングすることによって、上部層を形成する。
【0146】
支持部材にシリコン以外の材料を使用して、同様のセンサ・アレイを生成することもできる。例えば図25A〜Dに示すように、支持部材はフォトレジスト材からなるものでよい。一実施形態では、フォトレジストのフィルム・シートを使用して支持部材を形成することができる。フォトレジスト・フィルム・シートは、デラウェア州Wilmington、E.I.du Pont de Nemours and Companyから、RISTONという商標で市販されている。このシートには様々なサイズのものがあり、最も一般的なものの厚さは約1ミル(25μm)から約2ミル(50μm)に及ぶ。
【0147】
一実施形態では、開口724が形成されるように、第1のフォトレジスト層722を現像してエッチングする。開口724は、後に形成される空洞に近い位置に形成する。開口724の幅は、粒子の幅よりもかなり小さくてよい。開口724は、後に形成される空洞から粒子が押し出されるのを阻止することができる。第1のフォトレジスト層722をパターニングしてエッチングした後、第1のフォトレジスト層上にメイン層726を形成する。メイン層726は、粒子の典型的な幅よりもかなり大きい厚さのフォトレジストで形成する。例えば粒子の幅が約30μmの場合、メイン層726は、50μmのフォトレジスト材からなるものでよい。あるいはメイン層726は、後で実施形態で述べるように、所望の厚さが実現されるまで多数のフォトレジスト層を互いの上に配置したものでよい。
【0148】
図25Bに示すように、メイン・フォトレジスト層726をパターニングしエッチングして、空洞728を形成する。一実施形態で、空洞728は、前に形成した開口724に実質的に位置合わせされる。空洞728の幅は粒子の幅よりも大きくする。
【0149】
多くのタイプの分析では、フォトレジスト材は、使用される光源を通すものである。シリコン支持部材とは対照的に、メイン支持層に使用されるフォトレジスト材は、光源からの光を実質的に通すものである。支持部材の透過性により、第1の空洞からの光は、支持部材を介して第2の空洞まで通る。1つの空洞から次の空洞までの光の漏れにより、検出上の問題が生じる可能性がある。例えば第1の空洞内の第1の粒子は、分析物に応答して蛍光信号を生成し、その信号は支持部材を通して伝達されて、近傍の空洞で検出される。このため特に、極めて強度の信号が粒子と分析物との相互作用によって生成される場合は、近くに間隔を空けて配置された空洞に関する読取りが不正確になる可能性がある。
【0150】
上述の空洞間の「クロストーク」の発生を減らすには、空洞の内面に沿って実質的に反射性の層730を形成すればよい。一実施形態で、反射層730は、メイン層の上面および空洞の内面に形成された金属層からなる。金属層は、化学気相成長法または薄い金属層を堆積させるためのその他の既知の技法を使用して堆積させることができる。反射層が存在することにより、空洞間の「クロストーク」を阻止することができ、または実質的に低減する。
【0151】
空洞728を形成した後、図25Cに示すように空洞に粒子718を挿入する。第1のフォトレジスト層722は、粒子718の支持体としての役割を果たす。第1のフォトレジスト層722により、空洞728から粒子718が押し出されるのを十分阻止することができる。第1のフォトレジスト層722の開口724により、流体は使用中に空洞728を通過することが可能になる。
【0152】
空洞728に粒子728を配置した後、メイン層726および/または反射層730の上面に、カバー層として働く上部フォトレジスト層732を配置する。カバー層732を形成した後、カバー層に開口734を形成して、空洞内を流体が通過できるようにする。
【0153】
別の実施形態では、図26A〜Dに示すように、支持部材をプラスチック基板で形成する。一実施形態で、プラスチック基板は、1種または複数の分析物の流体に実質的に耐性のある材料からなる。プラスチック基板の形成に使用するプラスチック材料の例には、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリイミド、ポリビニルポリマー(例えばポリ塩化ビニルやポリ酢酸ビニル、ポリ二塩化ビニル、ポリフッ化ビニルなど)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリウレタンが含まれるが、これらに限定されない。プラスチック基板は、光源から生じる光を実質的に通し、または実質的に通さないものでよい。適切なプラスチック材料740を得た後、一連の空洞742をプラスチック材料に形成する。空洞740は、穴開け(例えば機械的に、またはレーザで)、トランスファ成形または射出成形(例えば適切に形作られた型を使用してプラスチック材料で空洞を形成する)によって、またはプラスチック材料に空洞を穿孔する穿孔装置によって、形成する。
【0154】
一実施形態では、空洞の下部743が空洞の上部744よりも実質的に狭くなるように空洞740を形成する。空洞の下部743の幅は粒子の幅よりも実質的に小さくてよい。空洞740の下部743により、空洞から粒子が押し出されるのを阻止する。空洞740は、図26A〜CおよびEで、下部の開口が狭くなっている矩形状に示されているが、空洞は、ピラミッド形、三角形、台形、および楕円形を含むがこれらに限定されないいくつかの形状で形成することもできる。図26Dには、粒子が空洞から押し出されないように先細りになっているピラミッド形空洞の例を示す。
【0155】
空洞742を形成した後、図26Bに示すように粒子718を空洞に挿入する。空洞の下部743は、粒子718の支持体としての役割をする。粒子718は、空洞の下部743により、空洞742から押し出されないようにする。空洞740内に粒子を配置した後、図26Cに示すように、プラスチック基板740の上面745にカバー744を配置する。一実施形態では、カバーをフォトレジスト材のフィルムで形成する。カバー744をプラスチック基板740上に配置した後、カバー層に開口739を形成して、空洞内に流体を通すことができるようにする。
【0156】
いくつかの実施形態では、実質的に透明なプラスチック材料を使用する。上述のように、透明な支持部材を使用すると、空洞間に「クロストーク」が生じる可能性がある。「クロストーク」の発生を少なくするには、図26Eに示すように、実質的に反射性の層748を空洞の内面746に形成すればよい。一実施形態で、反射層748は、空洞742の内面に形成される金属層からなる。金属層748は、化学気相成長法または薄い金属層を堆積させるためのその他の技法を使用して堆積させることがことができる。反射層が存在することにより、空洞間の「クロストーク」を阻止することができ、または大幅に低減させることができる。
【0157】
別の実施形態では、感知粒子用のシリコン・ベースの支持部材を底部層なしで形成する。この実施形態では、支持部材の底部を経て空洞から粒子が通過できないように、空洞を先細りにする。図27A〜Dは、シリコン基板から支持部材を形成する状態を示す。この実施形態では、図27Aに示すように、シリコン基板752の上面にフォトレジスト層750を形成する。フォトレジスト層750は、空洞が形成されることになるシリコン基板の領域が露出するように、パターニングし現像する。
【0158】
図27Bに示すように、シリコン基板を異方性エッチングすることによって、空洞754を形成する。一実施形態では、水酸化カリウムによるエッチングを使用して先細りの空洞を生成する。エッチングは、空洞750の底部の幅が粒子の幅より小さくなるように制御する。空洞をエッチングした後、図27Cに示すように、粒子756を空洞754に挿入する。空洞の狭い底部により、粒子756が空洞754から外に出て行くのを阻止することができる。粒子を空洞754内に位置決めした後、図27Dに示すように、カバー758をシリコン基板752上に形成する。カバーは、分析に使用される光源から生じる光を実質的に通す、任意の材料で形成することができる。カバー758に開口759を形成して、流体が支持部材752の上面から空洞内に入るようにする。カバーの開口759および空洞754の底部の開口により、流体は使用中に空洞内を通過する。
【0159】
別の実施形態では、感知粒子用の支持部材をフォトレジスト材の複数の層で形成する。この実施形態では、粒子が支持部材の底部を通って空洞から出て行かないように、空洞を先細りにする。図28A〜Eは、複数のフォトレジスト層から支持部材を形成する状態を示す。一実施形態では、図28Aに示すように、第1のフォトレジスト層760を現像してエッチングし、後に形成される空洞の底部に位置決めされた一連の開口762が形成されるようにする。図28Bに示すように、第1のフォトレジスト層760上には第2のフォトレジスト層764を形成する。第2のフォトレジスト層764を現像しエッチングして、第1のフォトレジスト層760の開口に実質的に位置合わせされた開口を形成する。一実施形態で、第2のフォトレジスト層764に形成された開口は、第1のフォトレジスト層760に形成された層よりも実質的に大きい。このように複数のフォトレジスト層を使用して、先細りの空洞を形成する。
【0160】
図28Cに示すように、第2のフォトレジスト層764上には、フォトレジスト材の追加の層766および768を形成する。追加のフォトレジスト層766および768の開口は各層がスタック状に付加されるにつれて徐々に大きくする。このように、先細りの空洞を形成する。フォトレジスト材の追加の層は、支持部材の所望の厚さが得られるまで付加する。一実施形態で、支持部材の厚さは粒子の幅よりも大きい。例えば、フォトレジスト材の層の厚さが約25μmであり粒子の幅が約100μmである場合は、4層以上のフォトレジスト材から支持部材を形成すればよい。図28にはピラミッド形のものが示されているが、空洞は、矩形、円形、楕円形、および台形を含むがこれらに限定されないいくつかの種々の形状に形成することができる。これらの形状のいずれも、フォトレジスト層を適切にパターニングしエッチングすることによって得る。
【0161】
いくつかの実施形態で、フォトレジスト材は、光源により生成される光を実質的に通すものでよい。上述のように、透明な支持部材を使用することによって、空洞間に「クロストーク」が生じる可能性がある。空洞間の「クロストーク」を少なくするには、図28Dに示すように、空洞762の背面に沿って実質的に反射性の層770を形成すればよい。一実施形態で、反射層は、空洞762の内面に形成された金属層からなる。金属層は、化学的気相成長法または薄い金属層を堆積させるその他の技法を使用して、堆積させることができる。反射層の存在により、空洞間の「クロストーク」を阻止する。
【0162】
空洞762を形成した後、図28Dに示されるように、空洞に粒子772を挿入する。空洞762の狭い部分は、粒子772の支持体としての役割をする。空洞の下部によって、粒子772が空洞762から押し出されるのを阻止する。空洞762内に粒子772を配置した後、図28Eに示すように、上部層778および/または反射層770の上面にカバー層774を配置する。一実施形態では、カバー層774を、フォトレジスト材のフィルムから形成する。カバー層774を形成した後、カバー層に開口778を形成して、流体を空洞762に通すことが可能になる。
【0163】
別の実施形態では、感知粒子用の支持部材を、粒子支持層を含んだフォトレジスト材で形成する。図29A〜Eは、一連のフォトレジスト層で支持部材を形成する状態を示す。一実施形態では、第1のフォトレジスト層780を現像しエッチングして、一連の開口782を形成する。別の実施形態では、上述のように、適切な深さの空洞は、フォトレジスト材の複数の層によるものである。図29Bに示されるように、第1のフォトレジスト層780上には第2のフォトレジスト層784を形成する。第2のフォトレジスト層784をパターニングして、第1のフォトレジスト層780の開口に実質的に位置合わせされた開口を形成する。第2のフォトレジスト層784に形成された開口のサイズは、第1のフォトレジスト層780に前もって形成された開口と実質的に同等でよい。あるいは開口は、種々の形状の空洞が形成されるよう様々に変える。
【0164】
上述の理由で、図29Cに示すように、空洞782の内面および第2のフォトレジスト層784の上面に沿って、実質的に反射性の層786を形成する。一実施形態で、反射層786は金属層からなる。金属層は、化学気相成長法または薄い金属層を堆積させるためのその他の技法を使用して堆積させることができる。反射層の存在により、空洞間の「クロストーク」を阻止することができる。
【0165】
金属層を堆積させた後、図29Dに示すように、第1のフォトレジスト層780の底面に粒子支持層788を形成する。粒子支持層788は、フォトレジスト材、二酸化シリコン、窒化シリコン、ガラス、または実質的に透明なプラスチック材料で形成する。粒子支持層788は、空洞782内に配置された粒子の支持体として働く。一実施形態では、粒子支持層は、光源により生成される光を実質的に通す材料で形成する。
【0166】
粒子支持層788を形成した後、図29Eに示すように、空洞782に粒子785を挿入する。粒子支持層788は、粒子の支持体として働く。粒子支持層788により、粒子785が空洞から押し出されるのを阻止する。粒子785を空洞782内に配置した後、図29Eに示すように、カバー787を第2のフォトレジスト層784および/または反射層786の上面に配置する。一実施形態で、カバー787は、フォトレジスト材のフィルムからも形成される。カバー787を形成した後、開口789をカバーに形成することにより、流体を空洞内に通すことが可能になる。この実施形態では、流体が支持部材を通過することができない。代わりに流体は、カバー787に形成された開口789を介して空洞内に流入し空洞から流出する。
【0167】
図30A〜Dに示すように、同様の支持部材をプラスチック材料で形成する。プラスチック材料は、1種または複数の分析物を含んだ流体に実質的に耐性があるものでよい。プラスチック材料は、光源により生成された光を実質的に通しまたは実質的に通さないものでよい。適切なプラスチック基板790を得た後、このプラスチックに一連の空洞792を形成する。空洞は、穴開け(例えば機械的に、またはレーザで)、トランスファ成形または射出成形(例えば適切に形作られた型を使用してプラスチック材料で空洞を形成する)によって、またはプラスチック材料に空洞を穿孔する穿孔装置を使用して、形成する。
【0168】
一実施形態の空洞は、プラスチック基板の一部を延びて、プラスチック基板を通過することなく底部近くで終端する。空洞792を形成した後、図30Bに示すように、空洞に粒子795を挿入する。空洞の底部は粒子795の支持体として働く。空洞内に粒子を配置した後、図30Cに示すように、プラスチック基板790の上面にカバー794を配置する。一実施形態では、カバーをフォトレジスト材のフィルムで形成する。カバー794を形成した後、カバーに開口796を形成して、空洞に流体が流入できるようにする。図30A〜Cには矩形状のものを示すが、空洞は、三角形、ピラミッド形、五角形、多角形、楕円形、または円形を含めた様々な種々の形状に形成することができる。図30Dに示すように、様々な種々の形状の空洞を共通のプラスチック基板に形成することができる。
【0169】
一実施形態では、図3に示すように、空洞の少なくともいくつかと相互接続する支持部材に一連のチャネルを形成する。支持部材には、空洞内を流体が通過するのを助けるように、ポンプおよび弁も組み込んでよい。図31に、ダイアフラム・ポンプ800の概略図を示す。ダイアフラム・ポンプ800は、空洞810と、柔軟なダイアフラム812と、入口弁814と、出口弁816とを含む。使用中、柔軟なダイアフラム812は矢印818で示すように反って、ポンピング力を生成する。ダイアフラムが空洞810のほうに反って入口弁814が閉じると出口弁816が開き、それによって空洞810内の全ての液体が出口816へと押しやられる。ダイアフラムが空洞810から離れるにつれ、出口弁816は閉位置に引き戻されて入口弁814は開くようになり、空の空洞810に流体がさらに流入するようになる。このように、ダイアフラム・ポンプを使用して、流体を空洞内に送出する。ダイアフラム・ポンプの代替の実施形態は、異なる形状のものを含んでよく、かつ/またはポンピング・デバイスとは切り離された入口弁および出口弁を有する。
【0170】
一実施形態では、ダイアフラム812を圧電材料で作製する。この材料は、ダイアフラムに適切な電圧が印加されると収縮しまたは膨張する。圧電ダイアフラムを使用するポンプが、米国特許第4,344,743号、第4,938,742号、第5,611,676号、第5,705,018号、および第5,759,015号に記載されており、その全てを参照により本明細書に援用する。その他の実施形態では、空気圧系統を使用してダイアフラムを作動させる。そのようなシステムでは、空気圧系統によって引き起こされたダイアフラムの周りの空気密度の変化によって、ダイアフラムが空洞に向かいまた空洞から離れるように、空気式システムをダイアフラムに結合させる。空気圧制御式のポンプが米国特許第5,499,909号に記載されており、これを参照により本明細書に援用する。ダイアフラムは、熱で活性化する材料を使用して制御することもできる。ダイアフラムは、温度感受性の材料で形成する。一実施形態で、ダイアフラムは、温度変化に応答して膨張し収縮する材料で形成する。温度で作動するダイアフラムを利用したポンプ・システムが米国特許第5,288,214号に記載されており、これを参照により本明細書に援用する。
【0171】
別の実施形態では、電極ポンプ・システムを使用する。図32は、電極をベースにしたシステムを示す。空洞824内の粒子826にいたるチャネル822に沿って、一連の電極820を配置する。電極820にかかる電圧を変化させることによって、チャネル822内の流体に電流の流れを引き起こさせる。電極ベースのシステムの例には、電気浸透システム、電気流体力学的システム、電気浸透システムと電気流体力学的システムとの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0172】
電気浸透は、毛管チャネルなどの小スペース内の流体に電圧を印加することを必要とするプロセスである。石英やガラスなどを含めた多くの固体の表面は、例えば塩や酸、塩基などのイオン性物質の存在で、負または正に様々に帯電する。帯電した表面は、水溶液中で、反対(正または負)に帯電した対イオンを引き付ける。そのような溶液に電圧を印加することによって、対イオンが、反対に帯電している電極へと移行し、流体の大部分を移動させる。体積流量は電流に比例する。流体で発生する体積流量は、印加電圧にも比例する。電気浸透ポンプ・システムは米国特許第4,908,112号に記載されており、これを参照により本明細書に援用する。
【0173】
流体の電気流体力学的なポンピングが知られており、小さい毛管チャネルに利用する。電気流体力学的システムでは、電圧が印加されたときに一般に電極が流体に接触するよう配置される。印加電圧により、流体への、または流体からの電子の移動または除去によって、電荷の移動が生じることがある。この電子移動は一般に、帯電した電極から反対に帯電した電極へと向かう方向に、液体の流れを引き起こす。有機溶媒などの流体のポンピングには、電気流体力学的ポンプを使用する。
【0174】
別の実施形態では、電気浸透ポンプと電気流体力学的ポンプの組合せを使用する。電気浸透デバイスと電気流体力学的デバイスとが交互に配置されるよう、事前に選択された間隔で、チャネル壁面にワイヤ電極を挿入する。電気浸透ポンプと電気流体力学的ポンプとが両方存在するので、極性および無極性の複数の異なる溶液を単一チャネルに沿って送出することができる。あるいは、複数の異なる溶液を、空洞に接続された複数の異なるチャネルに沿って通すことができる。電気浸透ポンプと電気流体力学的ポンプの組合せを含むシステムが米国特許第5,632,876号に記載されており、これを参照により本明細書に援用する。
【0175】
一実施形態では、図33に示すように、センサ・アレイ・システムにポンプを組み込むことができる。センサ・アレイ830は、粒子834を配置する少なくとも1個の空洞832を含む。空洞832は、使用中に空洞に流体を通すことが可能である。ポンプ836は、支持部材838の一部に組み込む。支持部材838には、ポンプ836と空洞832を結合するチャネル831を形成する。チャネル831により、流体はポンプ836から空洞832まで通ることが可能になる。ポンプ836は、使用中に光が空洞内を通り抜けるように、空洞832から離して位置決めする。支持部材838およびポンプ836は、シリコン基板、プラスチック材料、またはフォトレジスト材で形成することができる。ポンプ836は、図32の矢印で示されるように、チャネル831を介して流体を空洞に送る。流体が空洞832に到達すると、流体は粒子834を通過して、空洞の底部を経て出て行く。
【0176】
ポンプを使用する利点は、チャネル内をより良好に流れることである。チャネルおよび空洞の容積は小さい。容積が小さい空洞およびチャネルは、空洞内を通る流体流れを妨げる傾向がある。ポンプを組み込むことによって、空洞への、また空洞内を通る流体流れが増大し、流体サンプルのより迅速な試験が可能になる。図33はダイアフラム・ベースのポンプ・システムを示すが、流体流れが生成されるよう電極ベースのポンピング・システムをセンサ・アレイに組み込むことも理解されたい。
【0177】
別の実施形態では、図34に示すように、流体流れ中の分析物を分析するためにポンプを支持部材に結合させる。チャネル842は、ポンプ846と、支持部材840に形成された複数の空洞844とを結合する。空洞844は、感知粒子848を含んでよい。ポンプ846は、チャネル842を通って空洞844に至る流体流れを生成する。一実施形態で、空洞844は、空洞内を通る流体流れを阻止する。流体は、空洞844に流入し、粒子848を通過して、センサ・アレイ・システム内を通る流体の流れを生成する。このように、単一のポンプを使用して流体を複数の空洞に通す。図34にはダイアフラム・ポンプ・システムを示すが、同様の流体流れを生成するために、支持部材に電極ポンピング・システムを組み込むことも理解されたい。
【0178】
別の実施形態では、複数のポンプをセンサ・アレイ・システムの支持部材に結合させる。空洞のそれぞれに流体が送出されるよう、ポンプを互いに直列に結合する。図35に示すように、支持部材850には、第1のポンプ852および第2のポンプ854を結合する。第1のポンプ852は、第1の空洞856に結合する。第1のポンプは、使用中に第1の空洞856に流体を移送する。空洞856により、流体は空洞を通過して第1の空洞の出口チャネル858に流れる。第2のポンプ854も支持部材850に結合する。第2のポンプ854は、第2の空洞860および第1の空洞の出口チャネル858に結合する。第2のポンプ854は、第1の空洞の出口チャネル858から第2の空洞860の流体を移送する。ポンプは、空洞内を流れる流体の定常流が得られるように同期させる。第2の空洞の出口チャネル862には、流体が追加の空洞に送出されるように、追加のポンプを結合する。一実施形態では、支持部材の空洞のそれぞれを、空洞に流体流れを送出するのに使用されるポンプに結合する。
【0179】
別の実施形態では、複数の電極ベースのポンプをセンサ・アレイ・システムに組み込む。ポンプは、空洞を結合するチャネルに沿って形成する。図36に示すように、センサ・アレイの支持部材872には複数の空洞870を形成する。支持部材872には、空洞870に相互接続するチャネル874も形成する。流体をセンサ・アレイに流入させまたそこから流出される入口チャネル876および出口チャネル877をそれぞれ形成することもできる。一連の電極878は、チャネル874、876、および877上に位置決めする。電極は、電気浸透ポンピング・システムまたは電気流体力学的ポンピング・システムの形成に使用する。適切な電極に適切な電圧を印加してチャネル内を流れる流体流れが生成されるように、電極を制御器880に結合する。ポンプは、空洞内の流体の定常流が得られるように同期させる。電極は、空洞への光の照射をその電極が著しく妨げないように、空洞間に位置決めする。
【0180】
ある場合には、分析プロセスの前、そのプロセスの最中、またはそのプロセスの後に、粒子に試薬を添加する必要がある。試薬は、レセプター分子またはインジケーター分子を含んでよい。典型的な場合、そのような試薬は、試薬を含む流体流れをセンサ・アレイ上に通すことによって添加する。一実施形態では、2個の粒子を含むセンサ・アレイ・システムに試薬を組み入れる。この実施形態で、センサ・アレイ・システム900は、図37に示すようにセンサ・アレイの各感知位置ごとに、2個の粒子910および920を含んでよい。第1の粒子910は第1の空洞912に位置決めする。第2の粒子920は第2の空洞922に位置決めする。一実施形態では、第2の空洞を、チャネル930を介して第1の空洞に結合する。第2の粒子は、粒子から少なくとも一部除去可能な試薬を含む。また試薬は、第1の粒子に接触する場合、使用中に分析物との相互作用によって第1の粒子が信号を生成するよう、第1の粒子910を改質するのに使用することもできる。
【0181】
試薬は、流体分析の前、流体分析中、または流体分析の後に、第1の空洞に添加する。試薬は、第2の粒子920に結合する。第2の粒子に結合した試薬の部分は、脱結合溶液を粒子に通すことによって、粒子から切り離される。脱結合溶液は、試薬の少なくとも一部が粒子から解放されるように、脱結合剤を含む。リザーバ940は、脱結合溶液が保持されるようにセンサ・アレイ上に形成する。
【0182】
第1のポンプ950および第2のポンプ960も支持部材915に結合される。第1のポンプ950を使用して、流体入口952からチャネル930を介して第1の空洞912に流体を送出する。流体入口952は、分析物を含む流体をセンサ・アレイ・システムに導入する場所に位置付ける。第2のポンプ950を、リザーバ940と第2の空洞922に結合する。第2のポンプ960を使用して、脱結合溶液をリザーバから第2の空洞922に移送する。脱結合溶液は、第2の空洞922を通過して第1の空洞912に流入する。このため、試薬が第2の粒子から除去されると、試薬は第1の空洞912に移送され、そこで試薬と第1の粒子910とが相互に作用する。リザーバの出口942を取り外して追加の流体をリザーバ940に加えることにより、リザーバに充填しかつ/または補充する。図37にはダイアフラム・ベースのポンプ・システムを示すが、電極ベースのポンピング・システムをセンサ・アレイに組み込んで流体流れを生成できることも理解されたい。
【0183】
このようなシステムの用法を一例として述べる。ある場合には、流体を第1の粒子に通す前に、試薬を添加することが望ましい。試薬を第2の粒子に結合し、センサ・アレイに配置してから使用する。第2の粒子は、アレイの構成中にそのアレイ内に配置する。脱結合溶液は、使用前にリザーバに加える。図37に示す制御器970もこのシステムに結合させて、ポンプを自動的に作動させることが可能になる。制御器970は、第2のポンプ960を作動させることによって一連の分析手順を開始することができ、それによって脱結合溶液をリザーバ940から第2の空洞922まで流す。流体が第2の空洞922を通過するとき、脱結合溶液によって、試薬分子の少なくとも一部が第2の粒子920から解放される。脱結合溶液は第2の空洞922から出て行き、第1の空洞912に入る。溶液が第1の空洞を通過するとき、試薬分子の一部を第1の粒子910で捕える。十分な数の分子が第1の粒子910に捕えられた後、第2の空洞922を流れる流体流れを制御器970で停止させる。このシステムの初期化中、第1のポンプ内の流体流れは阻止される。
【0184】
システムを初期化した後、第2のポンプを停止して、流体を第1の空洞に導入する。流体を第1の空洞に移送するには第1のポンプを使用すればよい。第2のポンプはオフのままでよく、したがってリザーバから第1の空洞への流体流れは阻止される。第1の空洞に流体を加えながら、第1の空洞に試薬溶液を加えることを理解されたい。この実施形態では、第1のポンプと第2のポンプの両方を実質的に同時に作動させる。
【0185】
あるいは、分析後に試薬を加える。ある場合には、第1の粒子に結合したレセプターに変化が生じるように、粒子と分析物とは相互に作用してよい。しかしこのような変化では、検出可能な信号を生成することができない。第2の粒子に結合した試薬を使用して、特定の分析物が存在する場合には第1の粒子との相互作用により検出可能な信号を生成する。この実施形態では、最初に流体を空洞に導入する。分析物と粒子が反応するのに必要な時間が過ぎたら、試薬を第1の空洞に添加する。試薬と粒子との相互作用により、検出可能な信号が生成される。例えばインジケーター試薬は、分析物に曝された粒子と反応して、その粒子に色の変化をもたらす。分析物に曝されていない粒子は変化しないままであり、または異なる色変化を示す可能性がある。
【0186】
図1に示すように、流体中の分析物を検出するためのシステムは、光源110と、センサ・アレイ120と、検出器130を含む。センサ・アレイ120は、様々な粒子124が順序よく並べられた状態で保持されるよう形成された支持部材で形成する。高感度CCDアレイを使用して、生物/化学剤の結合により生じる光学特性の変化を測定する。データの取得および処理は、既存のCCD技術を使用して行う。上述のように、白色光源およびカラーCCD検出器を使用して、比色分析を行う。しかし、カラーCCD検出器は一般に、グレー・スケールCCD検出器よりも費用がかかる。
【0187】
一実施形態では、グレー・スケールCCD検出器を使用して、比色変化を検出する。グレー・スケール検出器をセンサ・アレイの下方に配置して、センサ・アレイ内を透過する光の強度を測定する。センサ・アレイの上方には一連の発光体(例えば発光ダイオード)を配置する。一実施形態では、アレイの各空洞の上方に、3個のLED発光体の群を配置する。これらLED発光体の群のそれぞれは、赤色光、青色光、および緑色光を含んでよい。各発光体は、これら発光体の1つが点灯すると同時に他の2個の発光体が消灯するように、個々に動作する。グレー・スケール検出器を使用する間に色の情報を得るために、各発光体を順次点灯させ、グレー・スケール検出器を使用してセンサ・アレイを通過する光の強度を測定する。各発光体から情報を収集した後、その情報を処理して粒子の吸収の変化を明らかにする。
【0188】
一実施形態では、グレー・スケール検出器により収集されたデータを、8ビットのデータを使用して記録する。したがって、データは0〜255の間の値として表現される。化学的に感受性のある要素の色は、赤値、青値、および緑値として表す。例えば、ブランク粒子(すなわちレセプターを含まない粒子)は一般に白色に見える。各LED発光体(赤、青、および緑)を作動させたとき、空洞内を透過する光の量に対応する値をCCD検出器が記録する。光の強度をブランク粒子と比較して、使用されるLED発光体に対する粒子の吸光度を決定する。このため、赤、緑、および青の成分を、カラーCCD検出器を使用せずに個々に記録する。
【0189】
一実施形態では、赤色LEDで照射した場合にブランク粒子が約253という吸光度を示し、緑色LEDで照射した場合はその値が約250であり、青色LEDで照射した場合はその値が約222であることがわかる。これは、ブランク粒子が赤色光、緑色光、または青色光を著しく吸収しないことを意味する。レセプターを備えた粒子をスキャンする場合、その粒子は、レセプターに起因する色の変化を示す可能性がある。例えば、5−カルボキシフルオレセイン・レセプターを含む粒子に白色光を当てた場合、その粒子は青色光を強く吸収することを示す。粒子を照射するのに赤色LEDを使用する場合、グレー・スケールCCD検出器は約254という値を検出する。緑色LEDを使用する場合、グレー・スケール検出器は約218という値を検出する。青色LEDを使用する場合、グレー・スケール検出器は約57という値を検出する。青色光の透過率の低下は、5−カルボキシフルオレセインによる青色光の吸光度に起因すると考えられる。このように粒子の色変化は、グレー・スケール検出器を使用して定量的に特徴付ける。
【0190】
上述のように、空洞を支持部材に形成した後、微調整装置を使用して空洞の底部に粒子を位置決めする。このため、アレイの製造中に、特定の粒子の位置付けが精密に制御される。しかし微調整装置の使用は、センサ・アレイ・システムの製造に実用的ではないと考えられる。
【0191】
空洞内に粒子を配置する代替の方法は、シルク・スクリーン式プロセスの使用を含んでよい。空洞に充填する前に、一連のマスキング材をセンサ・アレイの上面に配置する。マスキング材は、ガラス、金属、またはプラスチック材料からなるものでよい。マスキング材の上面に粒子の集合体を配置する。これらの粒子はその上面を横断するよう移動する。空洞に到達すると、空洞がマスクされていない場合は、粒子がその空洞内に落下する。したがって、既知の組成の粒子は、マスクされていない領域にのみ配置される。マスクされていない空洞を充填した後、マスキング・パターンに変化を加え、第2のタイプの粒子を上面全体に広げる。マスキング材は、既に粒子を充填した空洞をマスクする。マスキング材は、充填されていないその他の空洞をマスクすることもできる。全ての空洞が充填されるまで、この技法を繰り返せばよい。空洞を充填した後、上述のように支持部材上にカバーを配置して、粒子が押し出され混合されるのを阻止する。このようなプロセスの利点とは、支持部材を工業生産する際の、より制御しやすいプロセスであることである。
【0192】
2.システムのその他の改善点
化学センサ・システムの1つの課題は、「デッド・ボリューム(dead volume)」を最小限に保つことである。これは外界との接点(例えばチュービング接続)が必要とされる場合、特に問題となる。多くの場合、「ラブ・オン・チップ(lab−on−a−chip)」での反応部位へのサンプルの送りに関連する「デッド・ボリューム」は、その反応に必要とされる試薬の実際の量をはるかに超える。センサ・アレイ内の小さいフロー・チャネルが詰まらないようにするために、濾過もしばしば必要である。その場合、フィルタは、センサ・パッケージの一体化部分で作製する。
【0193】
一実施形態で、流体中の分析物を検出するためのシステムは、センサ・アレイに結合されたコンジットと、このコンジットに結合された真空チャンバとを含む。図38は、流体流れEがコンジットD内、センサ・アレイG上、および真空装置Fへと通過するシステムを示す。真空装置Fは、センサ・アレイGの下流でコンジットDに結合している。ここで真空装置は、大気圧よりも低い圧力である体積を生成しまたは維持することが可能な任意のシステムであると定義される。真空装置の例は、真空チャンバである。一実施形態で、真空チャンバは、封止した管を含むが、この管からは空気の一部が排出されてその管内に真空が生成されるものである。一般に使用されるそのような封止管の例には、Becton Dickinsonから市販されている「採血管(vacutainer)」システムがある。あるいは、可動ピストンにより封止された真空チャンバを使用して真空を生成することもできる。例えば、コンジットにシリンジを結合する。チャンバからピストン(すなわちプランジャ)が離れて行くと、チャンバ内に不完全真空が生成される。あるいは、真空装置は真空ポンプまたは真空ラインでよい。真空ポンプは、直動式ポンプ、オイル・ポンプ、アスピレータ・ポンプ、またはマイクロポンプを含む。センサ・アレイ・システムに組み込むマイクロポンプについては既に述べた。
【0194】
流体流れをセンサ・アレイに流すためにポンプを使用する前述の方法とは対照的に、真空装置を使用することによって、センサ・アレイを通して流体を引き込むことも可能である。図39を参照すると、センサ・アレイGの下流に真空装置Fを結合している。コンジットDに結合されると、真空装置は流体流れに吸引力を及ぼし、その流れの一部をセンサ・アレイG上に通し、またある場合にはセンサ・アレイGを通過させる。いくつかの実施形態で、流体は、センサ・アレイGを過ぎた後にコンジットD内を通過し続け、真空装置Fに入る。
【0195】
真空装置が事前に排気された管である一実施形態では、その管内の空気が大気圧にほぼ等しい圧力になるまで流体流れが継続する。真空装置は、貫通性壁面Hを含んでよい。貫通性壁面Hは、空気が真空装置Fに入るのを阻止する封止材を形成している。壁面Hが破壊されまたは穴が開くと、システム外部からの空気が真空装置内に入り始める。一実施形態で、コンジットDは、貫通性壁面に突き刺すことが可能な貫通部材(例えば注射針)を含む。貫通性壁面Hを穿孔することにより、真空装置FとコンジットDとの圧力が等しくなるまでコンジット内の空気および流体がコンジットから引かれて、真空装置内に入る。
【0196】
図39に示すように、センサ・アレイ・システムは、コンジットDに結合されたフィルタBも含んでよい。フィルタBは、センサ・アレイGの上流で、コンジットDに沿って位置決めする。フィルタBは、流体流れから成分を除去するための膜を含む多孔質フィルタでよい。一実施形態で、フィルタBは、最小サイズよりも大きい微粒子を除去するための膜を含む。除去される微粒子のサイズは、当技術分野で知られるように、膜の多孔率に依存する。あるいは、フィルタを使用して、流体流れの望ましくない成分を除去する。例えば、流体流れが血液サンプルの場合、このフィルタを使用して、その流れから赤血球および白血球を除去し、血漿およびその他の成分をその流れに残す。
【0197】
センサ・アレイは、試薬送りリザーバCを含んでもよい。試薬送りリザーバCは、センサ・アレイGの上流でコンジットDに結合する。試薬送りリザーバCは、関心の試薬を含む多孔質材料で形成されている。流体がこのリザーバを通過するとき、試薬送りリザーバ内の試薬の一部が流体流れに入る。流体リザーバは、上部に試薬を蓄える多孔質ポリマーまたは濾紙を含んでよい。試薬送りリザーバ内に貯蔵する試薬の例には、視覚化用物質(例えば染料や蛍光体)、補助因子、緩衝液、酸、塩基、酸化剤、および還元剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0198】
センサ・アレイは、コンジットDに結合された流体サンプリング・デバイスAを含んでもよい。流体サンプリング・デバイスAを使用して、センサ・アレイGの外部からコンジットDに流体サンプルを移送する。注射針、チュービング・コネクタ、毛細管、または注射器アダプタを含むがこれらに限定されないいくつかの流体サンプリング・デバイスを使用する。
【0199】
センサ・アレイは、コンジット内での流体の移送をさらに助けるため、コンジットに結合されたマイクロポンプまたはマイクロ弁システムを含んでもよい。マイクロポンプおよび弁については前に述べた。一実施形態では、マイクロ弁またはマイクロポンプを使用して、流体サンプルまたは試薬溶液をセンサ・アレイから切り離して保持する。一般に、これらのマイクロ弁およびマイクロポンプは薄い柔軟なダイアフラムを含む。一実施形態では、ダイアフラムの外側に真空をかけることによって、ダイアフラムを開位置に動かす。このように、センサ・アレイに結合された真空装置を使用して、離れたマイクロ弁またはポンプを開く。
【0200】
別の実施形態では、マイクロ弁を使用して、システムへの真空の適用を制御する。例えばマイクロ弁は、真空装置に隣接して位置決めする。マイクロ弁を作動させることによって、真空装置とコンジットまたはセンサ・アレイとを連通させることが可能である。マイクロ弁は、制御された時間でかつ制御された間隔で、離れた場所から作動させる。
【0201】
図39に示すようなセンサ・アレイ・システムは、血液サンプルの分析に使用する。例えば指に突き刺すなどして患者から少量の血液を抽出するには、マイクロパンクチャ・デバイスを使用する。血液は、望ましくない粒子状物質を除去する役割をする多孔質フィルタを介して引き出す。全血中の抗体または抗原を分析するには、白血球と赤血球の両方を除去しながら血漿および内部に含まれる成分全てを残すフィルタリング剤を選択すればよい。全血から血球を濾過する方法は、例えば米国特許第5,914,042号や第5,876,605号、第5,211,850号に教示されており、これらを参照により援用する。濾過した血液は、関心の試薬を染み込ませた多孔質層を含む試薬送りリザーバ内に通してもよい。多くの場合、関心の分析物が存在するか否か決定するように、この層に視覚化用物質が含まれる。処理した流体は、毛管層を経て電子舌チップ上を通過し、様々な感知粒子を経て下に向かい、チップを経て底部毛管層に流れる。中央領域を出た後、過剰な流体が真空装置内に流入する。この過剰な流体は、将来測定を行うためのサンプル供給源としての役割を果たす。サンプルの「ハード・コピー」はこのように生成されて、その試料に関して記録された電子データをバック・アップする。
【0202】
体液を試験するための手順のその他の例が、以下の米国特許:第4,596,657号;第4,189,382号;第4,115,277号;第3,954,623号;第4,753,776号;第4,623,461号;第4,069,017号;第5,053,197号;第5,503,985号;第3,696,932号;第3,701,433号;第4,036,946号;第5,858,804号;第4,050,898号;第4,477,575号;第4,810,378号;第5,147,606号;第4,246,107号;および第4,997,577号に記載されており、その全てを参照により援用する。
【0203】
概略的に述べたサンプリング法は、体液の抗体または抗原試験にも使用する。図40に、抗体を試験するための概略的なスキームを示す。図40Aは、相補的な抗体によって特定の手法で認識する、タンパク質被覆を有するポリマー・ビーズを示す。3種の抗体(破線の長方形内に示す)が、ポリマー・ビーズを浸した流体相に含まれることを示す。図40Bを参照すると、相補的抗体がビーズに結合し、その他の2種の抗体は流体相に含まれたままであることを示している。このビーズでは、相補的抗体の濃度が大きく増大したことがわかる。図40Cでは、タンパク質などの視覚化用物質(破線の長方形内に示す)を流体相に添加する。視覚化用物質は、強力な吸光度特性を持つので、または光学測定により関心の化学種を同定するのに使用することが可能な蛍光特性を示すので選択される。タンパク質は、ほとんどの抗体の共通領域に結合する試薬の一例である。染料、量子粒子、または蛍光団による視覚化用物質の化学誘導体化を使用して、所望の光学特性が得られる。図40Dに示すように、ビーズ−局在化抗体の結合後、視覚化用物質によって、特定のポリマー・ビーズ部位に相補的抗体が存在することが明らかになる。
【0204】
図41は、4個の個別のビーズからなるセンサ・アレイを使用した、抗体を検出するための別の概略的スキームを示す。4個のビーズのそれぞれは、異なる抗原で被覆されている(例えばタンパク質被覆)。図41Aに示すように、4種の抗体を含む流体サンプルでビーズを洗浄する。4種の抗体のそれぞれは、図41Bに示すように、その相補的な抗原被覆に結合する。視覚化用物質を、図41Cに示すようにチャンバ内に導入する。一実施形態で、視覚化用物質は、図41Dに示すように抗体に結合する。標識した抗体の存在は、光学的手段(例えば吸光度、反射率、および/または蛍光)により検定される。抗原被覆の位置は早めにわかるので、各部位で記録された光信号のパターンから流体相の化学/生物組成を決定する。
【0205】
代替方法では、図示しないが、サンプル中の抗体を視覚化物質に曝した後に、チップ・アレイに導入する。この結果、図41Cに示す視覚化ステップが不要になる。
【0206】
図42は、流体流れ中の分析物を検出するためのシステムを示す。このシステムは、真空装置と、センサ・アレイを配置するチャンバと、このチャンバにサンプルを導入するための入口システムとを含む。この実施形態では、入口システムをマイクロパンクチャ・デバイスとして示す。センサ・アレイを保持するチャンバは、前に述べたようにSikes−Mooreチャンバでよい。真空装置は、標準的な「採血管」タイプの真空チューブである。マイクロパンクチャ・デバイスは、注射針を受容するLuerロック・アタッチメントを含む。マイクロパンクチャ・デバイスとチャンバとの間には、サンプルがチャンバ内に入るときにサンプルが濾過されるよう、シリンジ・フィルタを配置する。あるいは、試薬をフィルタ内に配置する。試薬は、流体がフィルタを通過するときに、その流体を介してチャンバ内に運ばれる。
【0207】
前に述べたように、センサ・アレイによって、使用中に流体サンプルがセンサ・アレイを通過することが可能になる。センサ・アレイへの流体送りは、図43に示すように、毛管Aを介してチップの上部に流体を通すことにより行われる。流体はチップを横断し、底部毛管Bから出て行く。上部毛管と底部毛管の間では、流体が粒子を通過する。分析物を含有する流体には、粒子のレセプター部位に接触する機会がある。分析物の存在は、前述のような光学的手段を使用して確認する。順方向の流体流れにより、粒子は空洞の底部に押しやられる。このような環境下では、光路Dを考慮して、理想的な光学測定が行われるよう粒子を配置する。
【0208】
別の実施形態では、図44に示すように、流体流れはセンサ・アレイの底部からセンサ・アレイの上部に向かって進む。逆流方向では、流体は毛管Aを経てチップの上部から出て行く。流体流れはチップを横断し、底部毛管Bから空洞に入る。上部毛管と底部毛管の間では、流体は、間接的な経路Cをとることによって、粒子の少なくとも一部が避けられる。分析物の存在は、前述のように光学的手段を使用して確認する。残念ながら、光の一部しか粒子を通過することができない。逆流方向では、図44に示すように、流体の上向きの圧力によって、分析光ビームDの経路から粒子が部分的に除去される。このような環境下では、光の一部が経路Eによりチップを横断し、センサ粒子を通過せずに検出器に入る可能性がある。
【0209】
どのマイクロ流体化学感知システムでも、化学的に感受性のある要素を不活性な環境に保存する必要がある。粒子は、少なくとも部分的に、不活性な非反応性ガスや非反応性溶媒、液状緩衝溶液などの不活性流体で取り囲まれる。あるいは、粒子は真空中に維持される。粒子を分析物に曝す前に、分析物を含有するサンプルの試験が適正に行われるよう、不活性環境を取り除くことが必要である。一実施形態で、システムは、最小限のデッド・ボリュームでサンプルを導入する前に不活性流体を除去するための流体移送システムを含む。
【0210】
一実施形態では、ポンピング・システムを使用して、アレイの一方からそのアレイを通して不活性流体を引き出す。ポンピング・システムは、アレイの下流でポンピング動作を行う。不活性流体は、ビーズをセンサ・アレイ内に残しながら、効率的に除去する。さらに、不活性流体をセンサ・アレイから除去するときに、分析物サンプルをセンサ・アレイに向けて引き出す。空気のポケットがあるので、サンプルがアレイを通るときに、分析物サンプルと不活性流体とが分離される。あるいは、サンプルを上流のマイクロポンプから送出する。下流の真空によって頭部圧力が最大約1気圧になり、一方、上流のポンプによって任意の高い頭部圧力になる。このため、システムを通る流体移送速度に影響を及ぼす可能性がある。小体積マイクロ流体システムでは、流量係数が低い場合であっても、1気圧の頭部圧力によって許容可能な移送速度が多くの適用例で得られる。
【0211】
別の実施形態では、ミクロ機械加工したアレイに真空装置を直接形成する。真空装置は、単一の空洞または複数の空洞に流体を伝達し、またその空洞から流体を伝達させる。代替の実施形態では、別個の真空装置を空洞のそれぞれに結合させてよい。
【0212】
3.化学的な改善点
種々の分析物、毒素、および/または細菌を区別するスマート・センサの開発は、環境、健康安全、遠隔感知、軍事、および化学処理の適用分野で次第に重要になりつつある。高感度および高選択性の検出が可能な多くのセンサは、単一の分析物を検出するよう作られているが、選択されたごくわずかな場合のみ、複数の分析物を検出する能力を示すアレイ・センサが作製されている。そのようなアレイ・システムの明らかな利点とは、複数の分析物を分析するのに有用であること、また新たな刺激に応答するよう「調整」できることである。アレイ構造によってそのようなオン・サイト適応分析能力が得られるので、アレイ構造を利用することは、様々な将来の適用分野において有望なものになる。
【0213】
単一および複数の分析物センサは、典型的な場合、光信号の変化を利用する。これらのセンサは、分析物の結合により乱れが生じるインジケーターを利用する。インジケーターは、発色団または蛍光団でよい。蛍光団は、特性波長で光を吸収し、次いで特徴的に異なる波長で光を再放出する分子である。蛍光団には、ローダミンおよびローダミン誘導体、フルオレセインおよびフルオレセイン誘導体、クマリン、キレート化剤であってランタニドイオン系列を有するものが含まれるが、これらに限定されない。多くの蛍光団の発光スペクトル、吸収スペクトル、および化学組成は、例えば「Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals」、R.P.Haugland編に記載されており、これを参照により本明細書に援用する。発色団は、特性波長で光を吸収するが光を再放出しない分子である。
【0214】
前述のように、レセプターそのものをインジケーターに組み込む。分析物がレセプターに結合することで、インジケーターの特性の変調に直接導く。そのような手法は、典型的な場合、レセプターに対する、またはレセプターの一部としての、インジケーターの共有結合または強力な非共有結合を必要とし、その結果、追加の共有構造が得られる。レセプターのそれぞれおよび全ては、一般にレセプターに特有の、設計されたシグナリング・プロトコルが必要である。ほとんどの任意のレセプターに応用可能な信号変調を設計するための、一般的なプロトコルが望ましい。
【0215】
一実施形態では、固定化マトリックスに結合されたほとんどの任意のレセプターに関し、光信号の変調をもたらすための、一般的な方法を開発する。固定化マトリックスには、樹脂、ビーズ、およびポリマー表面が含まれるが、これらに限定されない。マトリックスにレセプターを固定化することによって、レセプターは、化学的に変更を加える構造の内部に保持され、分析物の結合に敏感な環境をレセプターの周りで調整し、また生成する。インジケーターと固定化マトリックスとが結合すると、分析物の結合によるインジケーターの信号変調を助長するミクロ環境の変化に敏感になる。さらに、インジケーターと固定化マトリックスとの結合によって、マトリックスそのものがシグナリング・ユニットになり、マトリックス上に固定化したレセプターのそれぞれおよび全てに特有の新たなシグナリング・プロトコルを必要としない。
【0216】
一実施形態では、特定の分析物またはクラスの分析物に対するレセプターを、マトリックス上および/またはマトリックス中への固定化に適切な化学的ハンドルにより設計して生成する。そのようないくつかのレセプターについては既に述べた。レセプターには、抗体、アプタマー、有機レセプター、コンビナトリアル・ライブラリー、酵素、およびインプリンティングポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0217】
固定化マトリックス上および/または固定化マトリックス中への固定化に適切な化学的ハンドルを有するシグナリング・インジケーター分子は、生成しまたは購入する。インジケーターは、そのミクロ環境に敏感な発色団または蛍光団を持つ。この発色団または蛍光団は、局所pH、疎溶媒性または親溶媒性、イオン強度、誘電性、イオン対形成、および/または水素結合を含むがこれらに限定されないミクロ環境の変化に敏感なものでよい。一般的なインジケーター、染料、量子粒子、および半導体粒子は、全ての可能なプローブ粒子の例である。プローブ分子は分析物と同様のエピトープを有し、したがってプローブ分子とレセプターとの間には、強力な結合または弱い結合が生じる。あるいはプローブ分子は、上記事項に列挙された影響の1つから生じるミクロ環境の変化に敏感なものでよい。
【0218】
分析物の結合により、以下の事項の1つ、すなわち1)レセプターの結合部位からのプローブ分子の変位、2)局所pHの変化、3)局所誘電特性の変化、4)溶媒の特徴の変化、5)個々の染料の蛍光量子収量の変化、6)ドナー−アクセプター蛍光団の対の間での蛍光共鳴エネルギー伝達(FRET)の速度/効率の変化、または7)プローブ付近の水素結合またはイオン対形成の変化が生じ、信号変調が生じる。
【0219】
代替の実施形態では、2個以上のインジケーターをマトリックスに結合させてよい。レセプターと分析物との結合によって、やはり1個または複数のインジケーターの変位を介してインジケーター間の連絡に変化が生じ、あるいは1個または複数のインジケーターの周りのミクロ環境が変化する。インジケーター間の連絡は、蛍光共鳴エネルギー伝達、消光現象、および/または直接結合でよいが、これらに限定されない。
【0220】
一実施形態で、分析物を検出するための粒子は、ポリマー樹脂からなるものでよい。レセプターおよびインジケーターは、このポリマー樹脂に結合する。インジケーターおよびレセプターは、分析物がレセプターと相互に作用する場合にインジケーターが信号を生成するように、ポリマー樹脂上に位置決めする。信号は、吸光度の変化(発色団インジケーターの場合)、または蛍光の変化(蛍光団インジケーターの場合)でよい。
【0221】
一実施形態では、様々なレセプターを使用することができ、そのレセプターは、ポリヌクレオチド、ペプチド、オリゴ糖、酵素、ペプチドミメティック、または合成レセプターでよい。
【0222】
一実施形態で、レセプターは、ポリマー樹脂に結合したポリヌクレオチドでよい。分析物の検出で、ポリヌクレオチドは2本鎖デオキシリボ核酸、1本鎖デオキシリボ核酸、またはリボ核酸でよい。ポリヌクレオチドをポリマー樹脂に結合しかつ/または合成するための方法は、例えば米国特許第5,843,655号に記載されており、これを参照により本明細書に援用する。本明細書では、「ポリヌクレオチド」を複数のヌクレオチドの鎖と定義する。複数のヌクレオチドは、リン酸ジエステル結合によって互いに結合する。「デオキシリボ核酸」はデオキシリボヌクレオチド残基からなるが、「リボ核酸」は、リボヌクレオチド残基からなる。
【0223】
別の実施形態で、レセプターは、ポリマー樹脂に結合したペプチドでよい。本明細書で「ペプチド」は、1つのアミノ酸のカルボキシル基と別のアミノ酸のアミノ基との縮合反応によって形成されたペプチド結合によってα−炭素が結合している複数のアミノ酸の鎖と定義する。ペプチドは、タンパク質を含むものとする。タンパク質またはペプチドをポリマー樹脂に結合しかつ/または合成するための方法は、例えば米国特許第5,235,028号および第5,182,366号に記載されており、これを参照により本明細書に援用する。
【0224】
あるいは、ペプチドミメティックをレセプターとして使用する。ペプチドおよびタンパク質は、アミド結合したアミノ酸構成単位の配列である。様々なペプチドミメティックは、アミド結合を置換しまたは修正を加えることによって形成する。一実施形態では、アミド結合をアルケン結合に代える。別の実施形態では、アミドをスルホンアミド結合に代える。別の実施形態では、アミノ酸の側鎖を窒素原子上に配置することができ、そのような化合物を一般にペプトイドと呼ぶ。ペプチドは、アミノ酸の非天然D−立体異性体から形成してもよい。ペプチドミメティックをポリマー樹脂に結合しかつ/または合成するための方法は、例えば米国特許第5,965,695号に記載されており、これを参照により本明細書に援用する。
【0225】
別の実施形態で、レセプターは、ポリマー樹脂に結合したオリゴ糖を含んでよい。「オリゴ糖」は2個以上の単糖からなり、一般にエーテル結合を介して1つに結合させている。オリゴ糖をポリマー樹脂に結合しかつ/または合成するための方法は、例えば米国特許第5,278,303号および第5,616,698号に記載されており、これを参照により本明細書に援用する。
【0226】
別の実施形態では、ポリヌクレオチド、ペプチド、および/またはオリゴ糖を基本単位に結合させてレセプターを形成する。一実施形態で、基本単位は一般構造
(R1)n−X−(R2)m
を有し、
上式で、Xは炭素環系またはC1〜C10アルカンを含み、nは少なくとも1の整数であり、mは少なくとも1の整数であり、また、
R1のそれぞれは独立に、−(CH2)y−NR3−C(NR4)−NR5、−(CH2)y−NR6R7、−(CH2)y−NH−Y、−(CH2)y−O−Zを表し、
yは少なくとも1の整数であり、
R3、R4、およびR5は独立に、水素、アルキル、アリール、アルキルカルボニルであって、炭素原子が1〜10個のもの、または炭素原子が1〜10個のアルコキシカルボニルを表し、あるいはR4およびR5が一緒になってシクロアルキル基を表し、
R6は、水素、アルキル、アリール、アルキルカルボニルであって、炭素原子が1〜10個のもの、または炭素原子が1〜10個のアルコキシカルボニルを表し、
R7は、アルキル、アリール、アルキルカルボニルであって、炭素原子が1〜10個のもの、または炭素原子が1〜10個のアルコキシカルボニルを表し、
R6およびR7が一緒になってシクロアルキル基を表し、
Yがペプチド、または水素であり、
Zはポリヌクレオチド、オリゴ糖、または水素であり、
R2のそれぞれは独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル、フェニルアルキル、アリールアルキル、アリールを表し、または別のR2基と一緒になって環状炭素を表す。上述のような基本単位を使用することにより、側基の配置および位置付けを助けて、より有効なレセプターを生成する。
【0227】
レセプターおよびインジケーターは、リンカー基によってポリマー樹脂に結合する。様々なリンカー基を使用する。本明細書で使用する「リンカー基」という用語は、レセプターとインジケーター;レセプターとポリマー樹脂または別のリンカー、あるいはインジケーターとポリマー樹脂または別のリンカーを結合するのに使用できる分子を指す。リンカーは、レセプター、インジケーター、その他のリンカーまたはポリマー樹脂との共有結合を形成することが可能な2つの反応性部位を含むヘテロまたはホモ二官能性分子である。適切なリンカーは、当業者に周知であり、直鎖または分枝鎖炭素リンカー、複素環式炭素リンカー、またはペプチドリンカーを含むが、これらに限定されない。特に好ましいリンカーは、アミノ基、カルボキシル基、またはスルフヒドリル基、または水酸基との共有結合を形成することが可能である。アミノ結合リンカーは、カルボキシル基やイソシアネート、イソチオシアネート、エステル、ハロアルキルなどの反応性基を含む。形成可能なカルボキシル結合リンカーは、様々なアミン、ヒドロキシルなどの反応性基を含む。スルフヒドリル結合リンカーは、スルフヒドリル基やアクリレート、イソチオシアネート、イソシアネートなどの反応性基を含む。ヒドロキシル結合基は、カルボキシル基やイソシアネート、イソチオシアネート、エステル、ハロアルキルなどの反応性基を含む。そのようないくつかのリンカーの使用が米国特許第6,037,137号に記載されており、これを参照により本明細書に援用する。
【0228】
インジケーターおよびレセプターをポリマー樹脂に結合するためのいくつかの組合せが考案されている。これらの組合せを図55に概略的に示す。図55Aに示す一実施形態では、レセプターRをポリマー樹脂に結合する。レセプターは、ポリマー樹脂上に直接形成することができ、またはリンカーを介してポリマー樹脂に結合する。インジケーターIもポリマー樹脂に結合する。インジケーターは、ポリマー樹脂に直接結合してもよく、リンカーを介してポリマー樹脂に結合させてもよい。いくつかの実施形態で、インジケーターをポリマー樹脂に結合するリンカーは、分析物が存在しない状態でそのインジケーターがレセプターと相互に作用するよう十分な長さのものである。
【0229】
図55Bに示す別の実施形態では、レセプターRをポリマー樹脂に結合する。レセプターは、ポリマー樹脂上に直接形成することができ、またはリンカーを介してポリマー樹脂に結合する。インジケーターBもポリマー樹脂に結合する。インジケーターは、ポリマー樹脂に直接結合してもよく、リンカーによってポリマー樹脂に結合させてもよい。いくつかの実施形態で、インジケーターをポリマー樹脂に結合するリンカーは、分析物が存在しない状態でそのインジケーターがレセプターと相互に作用するよう十分な長さのものである。追加のインジケーターCをポリマー樹脂に結合させてもよい。追加のインジケーターは、ポリマー樹脂に直接結合してもよく、リンカーによってポリマー樹脂に結合させてもよい。いくつかの実施形態では、使用中に追加のインジケーターがレセプターの近くになるように、追加のインジケーターをポリマー樹脂に結合する。
【0230】
図55Cに示す別の実施形態では、レセプターRをポリマー樹脂に結合する。レセプターは、ポリマー樹脂上に直接形成することができ、またはリンカーを介してポリマー樹脂に結合する。インジケーターIをレセプターに結合する。インジケーターは、レセプターに直接結合してもよく、リンカーによってレセプターに結合させてもよい。いくつかの実施形態で、インジケーターをポリマー樹脂に結合するリンカーは、図55Eに示すように、分析物が存在しない状態でそのインジケーターがレセプターと相互に作用するよう十分な長さのものである。
【0231】
図55Dに示す別の実施形態では、レセプターRをポリマー樹脂に結合する。レセプターは、ポリマー樹脂上に直接形成することができ、またはリンカーを介してポリマー樹脂に結合する。インジケーターBをレセプターに結合する。インジケーターは、レセプターに直接結合してもよく、リンカーによってレセプターに結合させてもよい。いくつかの実施形態で、インジケーターをポリマー樹脂に結合するリンカーは、図55Fに示すように、分析物が存在しない状態でそのインジケーターがレセプターと相互に作用するよう十分な長さのものである。追加のインジケーターCをレセプターに結合させてもよい。追加のインジケーターは、レセプターに直接結合してもよく、またはリンカーによってレセプターに結合させてもよい。
【0232】
図55Gに示す別の実施形態では、レセプターRをポリマー樹脂に結合する。レセプターは、ポリマー樹脂上に直接形成することができ、またはリンカーを介してポリマー樹脂に結合する。インジケーターBをレセプターに結合する。インジケーターは、ポリマー樹脂に直接結合してもよく、リンカーによってポリマー樹脂に結合させてもよい。いくつかの実施形態で、インジケーターをポリマー樹脂に結合するリンカーは、分析物が存在しない状態でそのインジケーターがレセプターと相互に作用するよう十分な長さのものである。追加のインジケーターCをレセプターに結合させてもよい。追加のインジケーターは、レセプターに直接結合してもよく、またはリンカーによってレセプターに結合させてもよい。
【0233】
図55Hに示す別の実施形態では、第1のリンカーによってレセプターRをポリマー樹脂に結合する。第1のリンカーにはインジケーターIを結合する。インジケーターは、第1のリンカーに直接結合することができ、または第2のリンカーによって第1のリンカーに結合する。いくつかの実施形態で、インジケーターをポリマー樹脂に結合する第2のリンカーは、分析物が存在しない状態でそのインジケーターがレセプターと相互に作用するよう十分な長さのものである。
【0234】
図55Iに示す別の実施形態では、第1のリンカーによってレセプターRをポリマー樹脂に結合する。第1のリンカーにはインジケーターBを結合する。インジケーターは、第1のリンカーに直接結合することができ、または第2のリンカーによって第1のリンカーに結合する。いくつかの実施形態で、インジケーターを第1のリンカーに結合する第2のリンカーは、分析物が存在しない状態でそのインジケーターがレセプターと相互に作用するよう十分な長さのものである。追加のインジケーターCをレセプターに結合させてもよい。追加のインジケーターは、レセプターに直接結合することができ、またはリンカーによってレセプターに結合する。
【0235】
これらのレセプター、インジケーター、リンカー、およびポリマー樹脂の様々な組合せを、様々な種々のシグナリング・プロトコルで使用する。分析物−レセプターの相互作用を、いくつかのメカニズムによって信号に変換する。1つの手法では、分析物のリガンドと競合して置き換えることのできるインジケーターを予めレセプター部位に導入する。この場合、得られる信号は、インジケーターによって生成される信号の低減として観察される。インジケーターは、蛍光団または発色団でよい。蛍光団インジケーターの場合、分析物の存在は、粒子の蛍光の低減によって決定される。発色団インジケーターの場合、分析物の存在は、粒子の吸光度の低下によって決定される。
【0236】
より良好な感度および応答動力学をもたらすことが可能な第2の手法は、組合せ配列のモノマー(図14に示されるいずれかの構造など)としてインジケーターを使用し、リガンドの結合でインジケーターが機能するレセプター用に選択することである。分析物の結合に関与するインジケーター上の水素結合またはイオン置換基は、インジケーターの電子密度および/または剛性を変える能力を有し、それによって、蛍光量子収量、最大励起波長、最大発光波長、および/または吸光度などの観察可能な分光特性が変化する。この手法は、予め導入した蛍光リガンドの解離を必要とせず(koffによる応答時間に限られる)、分析物がない場合の本質的にゼロの信号から分析物が存在する場合の高いレベルにまで信号を変調する。
【0237】
一実施形態で、樹脂ビーズの表面および内部のミクロ環境は、pHに敏感な染料またはソルバトクロミック染料をビーズに取り込んだときに分光法を使用して、都合よくモニタする。ゲストが結合すると、ビーズの局所pHおよび誘電率が変化し、染料は、予測可能な手法で応答する。DNAやタンパク質、ステロイドなど、大量に帯電し疎水性の高い表面に、大量の分析物が結合すると、局所的なミクロ環境に変化が生じ、そのためスペクトル変化は大きくなりかつ再現可能なものになる。これは、ほとんどの任意のレセプターを、既に染料が結合している樹脂ビーズに結合できることを意味し、またそのビーズは特定の分析物に対するセンサになることを意味する。
【0238】
一実施形態では、レセプターをインジケーターに共有結合する。分析物の結合は、レセプターの周りの局所的なミクロ環境を乱し、その結果、センサの吸光度または蛍光特性に変調が生じる。
【0239】
一実施形態では、そのミクロ環境に敏感な染料で既に誘導体化したビーズに単にレセプターを結合することにより、そのレセプターを感知モードで即座に使用する。このため、その他のシグナリング法に優る利点が得られるが、その理由はシグナリング・プロトコルが定常的になり設計製作する必要がないからであり、レセプターのみ設計製作すればよい。同じレセプターに数種の異なる染料を使用でき、また各ビーズ上には複数の染料を保つので、感知粒子の設計を柔軟に行うことが可能になる。
【0240】
蛍光団付近の局所pH、局所誘電性、またはイオン強度の変化により、信号が得られる。ミクロ環境の正電荷が高いと、ヒドロニウムが正の領域から離れて行くのでpHが増大する。逆に言えば、局所的な負の電荷はミクロ環境のpHを低下させる。どのように変化しても、そのミクロ環境に存在するpHに敏感なインジケーターのプロトン化状態が異なることになる。多くの一般的な発色団および蛍光団は、pHに敏感である。ビーズの内部は、インジケーターが局所pHに敏感な細胞の内部と非常に類似した状態で作用する。
【0241】
第3の光学的変換スキームは、蛍光エネルギー伝達を含む。この手法では、シグナリング用の2個の蛍光モノマーを、組合せスプリット合成物に利用する。これらのモノマーの例を図14に示す。化合物470(フルオレセインの誘導体)は、分析物の結合によって変調信号を送出する試薬としてオリゴマーに混入可能な、一般的な比色/蛍光プローブを含有する。この変調は、モノマー475(ローダミンの誘導体)への共鳴エネルギー伝達に起因すると考えられる。
【0242】
分析物とレセプターが結合すると、レセプターの構造変化によってモノマー間の距離が変化する(図8に概略的に示す。320はモノマー470に対応し、330はモノマー475に対応する)。これらの分子が正しい方向に向いている場合、フルオレセインの励起によってローダミンから発光が生じることは周知である。フルオレセインからローダミンへの共鳴エネルギー伝達の効率は、分析物の結合が存在するか否かに強く依存し、したがってローダミンの蛍光強度の測定(フルオレセインの蛍光よりも実質的に長い波長で)は、分析物の結合のインジケーターとして働くことになる。変調フルオレセイン−ローダミン相互作用の可能性を大きく改善するには、バックグラウンドのローダミン蛍光を実質的に増大させることなく、組み合わせた鎖に沿って複数のローダミン標識を異なる部位に結合すればよい(フルオレセインに非常に近いローダミンのみ感知可能な信号をもたらす)。図8に示す一実施形態では、リガンドが存在しない場合、短波長励起光(青色光)が蛍光団320を励起して、蛍光を発する(緑色光)。分析物リガンドとレセプターが結合した後、レセプター分子の構造変化によって蛍光団320と蛍光団330が接近し、励起状態の蛍光団320はそのエネルギーを蛍光団330に伝達することが可能になる。このプロセス、すなわち蛍光共鳴エネルギー伝達は、染料分子間の距離の小さい変化に極めて敏感である(例えば、効率約[距離]− 6)。
【0243】
別の実施形態では、光誘起電子移動(PET)を使用して、レセプターの周りの局所的なミクロ環境を分析する。この方法は一般に、蛍光染料と蛍光消光剤を含む。蛍光消光剤は、蛍光分子からの発光放射を吸収する分子である。蛍光染料は一般に、その励起状態で特性波長の光を吸収し、次いで特徴的に異なる波長の光を再放出する。しかし放出された光は、蛍光消光剤による電子移動によって減じられる可能性があり、その結果、蛍光が消光する。したがって、分析物の存在によって蛍光消光剤の消光特性が乱される場合には、蛍光染料の変調を観察する。
【0244】
上述のシグナリング法は、様々なレセプター−インジケーター−ポリマー樹脂系に組み入れる。図55Aに戻ると、インジケーターIおよびレセプターRをポリマー樹脂に結合する。分析物が存在しない場合、インジケーターは局所ミクロ環境に応じて信号を生成する。信号は、特定波長の吸光度または蛍光でよい。レセプターと分析物が相互に作用する場合、生成した信号が変化するように局所ミクロ環境が変化する。図55Aに示す一実施形態では、分析物が存在しない場合、インジケーターは部分的にレセプターに結合される。分析物が存在する場合、インジケーターはその分析物によってレセプターから外れる。したがってインジケーターに関する局所ミクロ環境は、インジケーターがレセプターに結合する環境から、インジケーターがもはやレセプターに結合しない環境へと変化する。このようなミクロ環境の変化により、インジケーターの吸光度または蛍光に変化がもたらされる。
【0245】
再び参照する図55Cに示される別の実施形態では、インジケーターIをレセプターRに結合する。レセプターはポリマー樹脂に結合する。分析物が存在しない場合、インジケーターは、局所ミクロ環境に応じて信号を生成する。信号は、特定波長の吸光度または蛍光でよい。レセプターが分析物と相互に作用する場合、生成される信号が変化するように局所ミクロ環境が変化する。図55Aに示される場合とは対照的に、局所ミクロ環境の変化は、分析物の結合に起因するレセプターの構造変化が原因と考えられる。このような環境の変化により、インジケーターの吸光度または蛍光に変化が生じる。
【0246】
図55Eに示す別の実施形態では、リンカーによってインジケーターIをレセプターに結合する。リンカーは、分析物が存在しない状態でインジケーターがレセプターに結合できるよう、十分な長さを有するものでよい。レセプターRは、ポリマー樹脂に結合する。分析物が存在しない場合、インジケーターは、局所ミクロ環境に応じて信号を生成する。図55Eに示すように、インジケーターは分析物が存在しない場合、レセプターに部分的に結合される。分析物が存在する場合、インジケーターは、分析物によってレセプターから外れる。したがってインジケーターの局所ミクロ環境は、インジケーターがレセプターに結合する環境からインジケーターがもはやレセプターに結合しない環境へと、変化する。このような環境の変化により、インジケーターの吸光度または蛍光に変化が生じる。
【0247】
図55Hに示す別の実施形態では、第1のリンカーによってレセプターRをポリマー樹脂に結合する。第1のリンカーにはインジケーターを結合する。分析物が存在しない場合、インジケーターは局所環境に応じて信号を生成する。信号は、特定波長の吸光度または蛍光でよい。レセプターと分析物が相互に作用すると、生成される信号が変化するように局所ミクロ環境が変化する。図55Hに示す一実施形態では、分析物が存在しない場合、インジケーターが部分的にレセプターに結合される。分析物が存在する場合、インジケーターは、分析物によってレセプターから外れる。したがってインジケーターの局所ミクロ環境は、インジケーターがレセプターに結合する環境からインジケーターがもはやレセプターに結合しない環境へと変化する。このような環境の変化により、インジケーターの吸光度または蛍光に変化が生じる。
【0248】
別の実施形態では、蛍光共鳴エネルギー伝達または光誘起電子移動を使用して、分析物の存在を検出する。これらの方法はいずれも、2個の蛍光分子を使用する必要がある。図55Bに戻ると、第1の蛍光インジケーターBをレセプターRに結合する。レセプターRはポリマー樹脂に結合する。このポリマー樹脂には第2の蛍光インジケーターCを結合してもよい。分析物が存在しない場合、蛍光エネルギー伝達が引き起こされるように第1および第2の蛍光インジケーターを位置決めする。一実施形態では、これらの分子が正しい向きにある場合、第1の蛍光インジケーターの励起によって第2の蛍光インジケーターから発光が生じる。あるいは、第1または第2の蛍光インジケーターは蛍光消光剤でよい。
【0249】
2個のインジケーターを適正に位置合わせした場合、蛍光インジケーターが励起すると、蛍光消光剤による放出光の消光が原因で、ごくわずかな発光しか生じない。いずれの場合も、分析物が存在しない場合に蛍光エネルギー伝達が生じるように、レセプターおよびインジケーターを位置決めする。分析物が存在する場合、2個のインジケーター間の蛍光エネルギー伝達が変化するように、2個のインジケーターの向きが変化する。一実施形態では、分析物の存在により、インジケーターがさらに離れるよう移動する。これには、蛍光エネルギー伝達を減少させる効果がある。分析物が存在しない場合に2個のインジケーターが相互に作用して放出信号を生成する場合は、分析物を存在させることによって、放出信号を低減させる。あるいは、一方のインジケーターが蛍光消光剤である場合、分析物の存在により消光が妨げられ、他方のインジケーターからの蛍光発光が増大する。分析物の存在によってインジケーターが互いにより近くに移動する場合は、これらの作用が逆になることを理解されたい。
【0250】
図55Dに示す別の実施形態では、第1の蛍光インジケーターBをレセプターRに結合する。レセプターには第2の蛍光インジケーターCを結合してもよい。レセプターRはポリマー樹脂に結合する。分析物が存在しない場合、蛍光エネルギー伝達が生じるように第1および第2の蛍光インジケーターを位置決めする。一実施形態では、これらの分子が正しい向きにある場合、第1の蛍光インジケーターの励起によって第2の蛍光インジケーターから発光が生じる。あるいは、第1または第2の蛍光インジケーターは蛍光消光剤でよい。2個のインジケーターを適正に位置合わせした場合、蛍光消光剤による放出光の消光が原因で、蛍光インジケーターの励起によってごくわずかな発光しか生じない。いずれの場合も、分析物が存在しない場合に蛍光エネルギー伝達が生じるように、レセプターおよびインジケーターを位置決めする。分析物が存在する場合、2個のインジケーター間の蛍光エネルギー伝達が変化するように2個のインジケーターの向きが変化する。図55Dに示す一実施形態では、分析物の存在によって、インジケーターがさらに離れるよう移動する。これは、蛍光エネルギー伝達を減少させる作用がある。分析物が存在しないときに2個のインジケーターが相互に作用して放出信号を生成する場合、分析物を存在させることによって放出信号が低減する。あるいは、一方のインジケーターが蛍光消光剤である場合は、分析物の存在によって消光が妨げられ、他方のインジケーターからの蛍光発光が増大する。これらの作用は、分析物の存在によってインジケーターが互いにより近くに移動する場合、逆になることを理解されたい。
【0251】
図55Dと同様の実施形態では、図55Fに示すように、第1の蛍光インジケーターBおよび第2の蛍光インジケーターCを共にレセプターRに結合する。レセプターRはポリマー樹脂に結合する。第1の蛍光インジケーターBは、リンカー基によってレセプターRに結合する。このリンカー基によって、図55Fに示すように第1のインジケーターをレセプターに結合する。分析物が存在しない場合、蛍光エネルギー伝達が生じるように、第1および第2の蛍光インジケーターを位置決めする。分析物が存在する場合、第1のインジケーターがレセプターから外れて、2個のインジケーター間の蛍光エネルギー伝達が変化する。
【0252】
図55Gに示す別の実施形態では、第1の蛍光インジケーターBをポリマー樹脂に結合する。ポリマー樹脂にはレセプターRを結合してもよい。レセプターRには第2の蛍光インジケーターCを結合する。分析物が存在しない場合、蛍光エネルギー伝達が生じるように第1および第2の蛍光インジケーターを位置決めする。一実施形態では、これらの分子が正しい向きにある場合、第1の蛍光インジケーターの励起によって第2の蛍光インジケーターから発光が生じる。あるいは、第1または第2のインジケーターは蛍光消光剤でよい。
【0253】
2個のインジケーターを適正に位置合わせした場合、蛍光消光剤による放出光の消光が原因で、蛍光インジケーターの励起によってごくわずかしか発光しない。いずれの場合も、分析物が存在しない場合に蛍光エネルギー伝達が生じるように、レセプターおよびインジケーターを位置決めする。分析物が存在する場合、2個のインジケーター間の蛍光エネルギー伝達が変化するように2個のインジケーターの向きが変化する。一実施形態では、分析物の存在により、これらのインジケーターがさらに離れるよう移動する。これには、蛍光エネルギー伝達を減少させる作用がある。2個のインジケーターが相互に作用して、分析物が存在しない場合に放出信号が生成される場合、分析物を存在させることにより、放出信号を低減する。あるいは、一方のインジケーターが蛍光消光剤である場合、分析物の存在によって消光が妨げられ、他方のインジケーターからの蛍光発光が増大する。これらの作用は、分析物の存在によってインジケーターが互いにより近くに移動する場合、逆になることを理解されたい。
【0254】
図55Iに示す別の実施形態では、第1のリンカーによってレセプターRをポリマー樹脂に結合する。第1のリンカーには第1の蛍光インジケーターBを結合する。レセプターRには第2の蛍光インジケーターCを結合する。分析物が存在しない場合、蛍光エネルギー伝達が生じるように、第1および第2の蛍光インジケーターを位置決めする。一実施形態では、これらの分子が正しい向きにある場合、第1の蛍光インジケーターの励起によって第2の蛍光インジケーターから発光が生じる。あるいは、第1または第2の蛍光インジケーターは蛍光消光剤でよい。2個のインジケーターを適正に位置合わせした場合、蛍光消光剤による放出光の消光が原因で、蛍光インジケーターの励起によってごくわずかしか発光しない。どちらの場合も、分析物が存在しない場合に蛍光エネルギー伝達が生じるように、レセプターおよびインジケーターを位置決めする。分析物が存在する場合、2個のインジケーター間の蛍光エネルギー伝達が変化するように、2個のインジケーターの向きが変化する。一実施形態では、分析物の存在によって、インジケーターはさらに離れるように移動する。これには、蛍光エネルギー伝達を減少させる作用がある。分析物が存在しないときに2個のインジケーターが相互に作用して放出信号を生成する場合、分析物を存在させて放出信号を低減する。あるいは、一方のインジケーターが蛍光消光剤である場合、分析物の存在によって消光が妨げられ、他方のインジケーターからの蛍光発光が増大する。これらの作用は、分析物の存在によってインジケーターが互いにより近くに移動する場合、逆になることを理解されたい。
【0255】
一実施形態では、透水性が高く、分析物の浸透に対する応答時間が速いので、ポリマー樹脂としてポリスチレン/ポリエチレングリコール樹脂ビーズを使用する。ビーズは、5ミクロンから250ミクロンにわたるサイズのものが得られる。共焦点顕微鏡を用いた分析では、これらのビーズが約1対1の割合でポリスチレンとポリエチレングリコールマイクロドメインに分離されることが明らかにされる。このビーズの体積と、報告されている導入量300pmol/ビーズとを使用して、末端部位間の平均距離を35Åと計算する。この距離は、本発明者等が蛍光共鳴エネルギー伝達(「FRET」)をベースにしたシグナリング手法で使用することを提案している蛍光染料の、Forester半径内に十分含まれるものである。この距離は、蛍光団の周りの結合事象とミクロ環境変化との情報交換にも妥当である。
【0256】
本発明者等のレセプターおよびインジケーターによるビーズの誘導体化は、EDCおよびHOBTを使用してカルボン酸とアミンを結合することにより行う。一般に結合効率は、定量ニンヒドリン試験を使用した場合、90%よりも高い(参照により本明細書に援用するNiikura,K.;Metzger,A.;およびAnslyn,E.V.の「A Sensing Ensemble with Selectivity for Iositol Trisphosphate」、J.Am.Chem.Soc.1998、120、0000参照)。ビーズの誘導体化のレベルは、十分に高いレベルのインジケーターおよびレセプターの導入によって検定が首尾良く行われるように、十分なものである。しかし、ビーズの内部に分析物を結合するための多価効果が増すので、さらに高いレベルの導入が有利と考えられる。導入レベルを2倍に高め、等量のリシンをビーズに結合することによって2つのアミンが確実に接近するよう配置する(図45D参照)。分析物とレセプターとの結合が近くのインジケーターの環境に影響を及ぼすよう、アミンを近くに保持する。
【0257】
インジケーターとレセプターとの完全にランダムな結合によって有効な感知粒子が得られたとしても、インジケーターとレセプターとは合理的に、接近させて配置するほうが良い。一実施形態では、2個の異なるアミン上に異なる保護基を有するリシンを使用することができ、インジケーターとレセプターとを順次結合させることが可能である。必要な場合は、リシンによるビーズの誘導体化をさらに繰り返して、最初に2〜3回発生させるデンドリマーの合成と同様に導入量を2の累乗ずつ増大させる。
【0258】
対照的に、蛍光団の導入量が非常に高いと自己消光が生じ、導入量が高い状態で放出信号は実際に低減する。市販のビーズ上の蛍光団に自己消光が生じる場合、末端アミンのキャップを徐々に増やし、それによってインジケーターの導入量を徐々に減少させる。
【0259】
さらに、レセプターとインジケーターには最適な比があるべきである。最適な比は、応答レベルを最高にするインジケーターとレセプターの比と定義される。レセプターに比べてインジケーターが非常に少ないと、インジケーターの近くにない数多くのレセプターが存在することになるので、分光法にはほとんど変化が見られない。レセプターに対してインジケーターが非常に多い場合も、インジケーターの多くはレセプター付近に存在しないことになり、したがって大量のインジケーターはそのミクロ環境が変化しないことになるので、分光法にほとんど変化が見られない。反復試験によって、任意のレセプター・インジケーター・システムに関する最適な比を決定する。
【0260】
この反復シーケンスを、流体中の分析物の存在を知らせるよう設計された粒子に関して詳細に論じる。このシーケンスは、レセプターの導入量を異ならせた状態で数個のビーズを合成することから始まる。任意のレセプターの導入量は、ニンヒドリン試験を使用して定量できる(ニンヒドリン試験は、参照により本明細書に援用するKaiser,E.;Colescott,R.L.;Bossinger,C.D.;Cook,P.I.の「Color Test for Detection of Free Terminal Amino Groups in the Solid−Phase Synthesis of Peptides」、Anal.Biochem.1970、34、595〜598に詳細に記載されている)。ビーズ上の遊離アミンの数を、レセプターで誘導体化する前と後に測定し、その差を導入量にする。次にビーズを、様々なレベルの分子プローブを用いて同様の分析にかける。インジケーター導入量は、ビーズの吸収スペクトルを得ることによって定量できる。このように、レセプターとインジケーターの絶対的な導入レベルと、それらの比を調整する。種々のビーズを使用した分析物の較正曲線を作成することにより、最適な比を決定することが可能になる。
【0261】
インジケーターの導入量は、本発明者等のサンドイッチ技法(図46D参照)を使用して、単層ビーズの吸収スペクトルを得ることにより定量できる。サンドイッチ技法は、単一の単層ビーズの分光法による測定を含む。ビーズを2つのカバー・スリップ間に挟み、単層ビーズが形成されるまで一緒に静かに擦る。一方のカバー・スリップを取り外し、次いでビーズと同様の寸法のメッシュをビーズ上に配置し、カバー・スリップを元の位置に戻す。次いでこのサンドイッチをキュベット内に置き、吸光度または発光スペクトルを記録する。あるいは、上述のセンサ・アレイ・システムを使用して、ビーズと分析物との相互作用を分析する。
【0262】
様々なレセプターをポリマー・ビーズに結合する。これらのレセプターの多くは既に述べた。その他のレセプターを図47に示す。
【0263】
既に概略的に述べたように、合成レセプターとプローブ分子を一緒に溶液に混合しまたは一緒に樹脂ビーズに結合することによって、集合体を形成する。プローブ分子の分光特性の変調は、レセプターと分析物との相互作用に起因するプローブのミクロ環境の乱れから生じ、しばしば単純pH効果が生じる。共通のポリマー支持体に結合したプローブ分子を使用することによって、分析物が結合すると色の変化をもたらす系を生成する。数多くの染料が市販されており、その多くは単純なEDC/HOBT結合を介してビーズに結合する(図48に、インジケーターのいくつかの例を示す)。これらのインジケーターはpHに敏感であり、イオン強度および溶媒特性にも応答する。分析物に接触すると、ポリマー樹脂のミクロ環境が著しく変化するようにレセプターと分析物とが相互に作用する。このミクロ環境の変化には、プローブ分子の色の変化が含まれる。このため、粒子の外観に全体的な変化が生じて、分析物の存在が示される。
【0264】
多くのインジケーターは、pH、局所イオン強度、屈折率、および/または金属結合に敏感であり、インジケーター付近の局所誘電率を低下させることによって、より応答しやすいようにインジケーターの動作を変える。ミクロ環境の正電荷の値が大きいと、ヒドロニウムイオンが正の領域から離れて行くので、pHが増大する。逆に、局所的な負の電荷はミクロ環境のpHを低下させる。どちらの変化も、ミクロ環境に存在するpH感受性インジケーターのプロトン化状態が異なるものになる。局所的な誘電環境の変化は、種々の誘電率の分子を、プローブ分子に近いビーズに結合することによって生じる。局所誘電環境を変化させるのに使用できる分子の例には、2次元的な芳香族と、長鎖脂肪酸と、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンのオリゴマー系が含まれるが、これらに限定されない。種々のパーセンテージでこれらの化合物をポリマー・ビーズに結合させて、局所誘電率を変化させる。
【0265】
競合検定を使用して分析物の存在を示す信号を生成することもできる。抗体の特異性が高いと、この検定は、分析物の混合物中に含まれる構造的複合分子の感知および定量のための、現行の選択ツールになる。これらの検定は、分析物を標識して抗体に結合する競合手法を利用する。標識されていない分析物を添加すると、標識された分析物が解放され、分光上の変調がモニタされる。驚くべきことに、合成レセプターとの結合定数を決定するために、競合検定を日常的に使用してきたが、合成レセプターをベースにしたセンサ開発のための競合的方法を活用する作業は、ほとんど行われていなかった。さらに、上述のように発色団のミクロ環境を変化させる全ての方法は、この競合的手法に適していると考えられる。合成レセプターを使用して開発されたこれらの手法は、主に、シクロデキストリンを使用することに焦点を当てている(例えば、参照により本明細書に援用するHamasaki,K.;Ikeda,H.;Nakamura,A.;Ueno,A.;Toda,F.;Suzuki,I.;Osa,T.の「Fluorescent Sensors of Molecular Recognition.Modified Cyclodextrins Capable of Exhibiting Guest−Responsive Twisted Intramolecular Charge Transfer Fluorescence」J.Am.Chem.Soc.1993、115、5035、およびその内部の参考文献(5)参照)。一連の親および誘導体化したシクロデキストリンを、そのミクロ環境の疎水性に応答する発色団と組み合わせて、センサ・システムを生成した。ゲスト結合によってシクロデキストリンのキャビティから発色団を移動させると、診断に利用できる分光変化が生じる。
【0266】
一実施形態では、イノシトール−1,4,5−三リン酸(IP3)などの炭水化物を検出するために、この競合的手法が首尾良く使用されてきた。一実施形態では、合成レセプター5を光シグナリング分子5−カルボキシフルオレセインと対にして、nM濃度でIP3を定量する。5−カルボキシフルオレセインとレセプター5の集合体を用いた競合検定を使用して、結合定数を測定した。レセプター5を5−カルボキシフルオレセインに付加することによって、5−カルボキシフルオレセインの吸収が赤方偏移した。502nmで吸収をモニタした後、Benesi−Hildebrand法を使用してデータ分析し、レセプター5に結合する5−カルボキシフルオレセインに関して親和定数2.2×104M− 1が得られた。5と5−カルボキシフルオレセインとで形成された複合体の溶液にIP3を添加した結果、5−カルボキシフルオレセインの置換が生じ、それに伴って青色偏移が生じた。
【0267】
IP3に対するレセプター5の親和性を高めるため、同様の検定をメタノール中で、2%の界面活性剤Triton−Xを用いて繰り返した。メタノールと清浄剤の溶液中で、5−カルボキシフルオレセインは、2−カルボキシレートがキノイド構造に分子内結合付加している環化形態をとりやすい。5−カルボキシフルオレセインのこの形態は無色であり、蛍光を発しない。レセプター5を付加すると、蛍光の場合と同様に再び黄色を発色する。このレセプターの正の電荷により、開環が生じ、5−カルボキシフルオレセインの発色/蛍光形態が得られる。吸収データに利用したBenesi−Hildebrand法を使用することにより、レセプター5および5−カルボキシフルオレセインに関する結合定数が1.2×105M− 1であることがわかった。溶液中でレセプター5に結合しまたは遊離しているときの5−カルボキシフルオレセインの分光法の差に基づいて予想されるように、IP3をレセプター5および5−カルボキシフルオレセインの溶液に添加すると、メタノール溶液中に5−カルボキシフルオレセインが解放されるので、吸光度および蛍光が低減する。メタノールと界面活性剤の溶液の場合、IP3およびレセプター5に関する結合定数はそれぞれ1.0×108M− 1および1.2×107M− 1であることがわかった。
【0268】
蛍光分光法はUV/可視分光法よりも非常に感度の高い技法であり、またメタノールの使用によってレセプター5と5−カルボキシフルオレセインとの結合、ならびにレセプター5とIP3との結合が著しく強力になるので、蛍光をモニタすることは、nM濃度のIP3を感知するのに最も適した方法であることがわかった。本発明者等は、水中のレセプター5および5−カルボキシフルオレセインの集合体にIP3を添加することによって、1mM程度に低い濃度でIP3を検出し定量できることを見出した。重要なことは、メタノール中で、濃度10nMのIP3が容易に検出されたことである。nM範囲内の検出レベルは、溶離剤としてメタノールまたは界面活性剤を使用し、細胞成分をサンプリングし分画するのにキャピラリー電気泳動法を使用する検定の開発に適切である。
【0269】
本発明者等は、細胞内に存在するその他同様の帯電種の場合よりも、レセプター5がIP3に極めて選択的に結合することを示してきた。しかし、IP4やIP5、オリゴヌクレオチドなど、IP3よりも帯電量の多いポリアニオンは、より高い親和性で結合することが予測される。信号伝達中に細胞成分を分画し、特にIP3をモニタするため、化学的に感受性のある粒子とキャピラリー電気泳動法(CE)との組合せを使用する。上述のように、センサ・アレイは、毛管が存在することになる溝と共に、粒子が配置されるウェルを含んでよい。毛管はそのまま直接ビーズの内部で終端する(図49参照)。粒子は、上方からの照射および下からのCCD分析を使用して分析する。100フェムトリットル程度に少ないサンプルを電気泳動キャピラリーに導入して分析に供する。高感度の多数の光子で励起された蛍光を使用して、わずか約50,000個の神経伝達物質、セロトニンの様々な前駆体/代謝産物の分子を検出する。細胞質基質サンプルは、ミクロン直径のキャピラリー電気泳動チャネルに収集して分画する。毛管の出口では、各成分が個々にチャネルから移行し、固定化したレセプター5と本発明者等の様々なシグナリング戦略に適する染料を収容するビーズ表面に向かう。IP3またはIP4のレセプター結合により、発光および/または吸収特性に変化が生じる。
【0270】
発色団を有するリガンドに対する金属のキレート化に伴って、劇的な分光学的変化が生じる。実際に、金属用のほとんどの比色/蛍光センサは、そのような方策を利用する。金属とリガンドの内圏との結合により、吸収スペクトルにリガンド/金属電荷移動帯が生じ、HOMO−LUMOギャップが変化して、蛍光に変化が生じる。
【0271】
一実施形態では、分析物の結合を、金属と発色リガンドとの結合に組み合わせ、この金属を使用して、分析を行うためにセンサの応答がトリガされるようにする。Indo−1と呼ばれる化合物(構造および発光特性に関しては図50参照)は、蛍光量が非常に多いインジケーターであり、Ca(II)に曝露されると波長シフトが大きくなるものである。さらに、化合物2はCe(III)に結合し、得られる錯体は蛍光を発する。一実施形態で、Ca(II)またはCe(III)とこれらセンサとの結合は、関心の分析物を付加することによって変化する。これら金属とレセプターとの結合が変化することによって、レセプターの存在を示す信号が発生する。
【0272】
一実施形態では、他の適用分野でCa(II)およびCe(III)レベルをモニタするのに使用されている蛍光インジケーターを、ポリマー支持系に利用する。一例としてCa(II)センサIndo−1を使用し、その方策を図51に示す。Indo−1は、nM濃度でCa(II)に結合する(図50参照)。Indo−1と、本発明者等のグアニジニウム/アミン・ベースのレセプター3〜6の1つとを樹脂ビーズに結合することにより(図45Dに示すようにリシンで誘導体化する)、Indo−1のカルボキシレートとレセプターのグアニジニウム/アンモニウムとの間に分子内相互作用が生じる。Indo−1のカルボキシレートの配位により、Ca(II)に対する親和性が低下する。しかし、Ca(II)と本発明者等の分析物との間には協同的結合があるべきである。アニオン性分析物の1つがそのそれぞれのレセプターに結合すると、Indo−1のカルボキシレートが競合的に置換され、Ca(II)結合が増加して、蛍光に変調が生じる。同様に、Ca(II)とIndo−1との結合により、レセプターのグアニジニウムが遊離して、シトレートに結合する。この検定は、レセプターが飽和せずかつ結合範囲の小さい変化によって蛍光が大きく変化するような、分析物とCa(II)の解離定数付近の濃度で、最も感度が高いと考えられる。
【0273】
金属とリガンドの役割を切り換えてもよい。Indo−1は、Ca(II)でまたはCa(II)なしで蛍光を発する。しかし化合物2は、Ce(III)がそこに結合するまで蛍光を発しない。したがって、分析物の存否に応じて生じるビーズ内部のミクロ環境の変化を利用した同様の検定は、Ce(III)と化合物2の結合を乱す。この場合、Ce(III)の結合に関し、グアニジニウム・ベースのレセプターの正電荷がアニオン性分析物との結合によって中和されない場合は、反発相互作用が予想される。
【0274】
一実施形態では、インジケーターをビーズに結合することができ、さらに、やはりこのビーズに結合されるレセプターに結合する。インジケーターを分析物に置換すると、信号が変調する。そのような系も、蛍光共鳴エネルギー伝達を利用して、分析物の存在下で信号を生成する。蛍光共鳴エネルギー伝達は、蛍光スペクトルのある位置から別の位置に発光波長をシフトするのに使用する技法である。このように、2つの波長で強度をモニタできるので、非常に感度の高い検定が行われる。この方法では、1つの蛍光団から別の蛍光団への励起エネルギーの無放射伝達が行われる。この伝達は、ドナーの振動双極子とアクセプターの遷移双極子との結合を介して生じる。この伝達の効率は、最初にForesterによって導き出された方程式によって表される。この方程式は、距離係数Rと、方向係数kと、溶媒の屈折率Nと、スペクトル・オーバーラップJとを含む。
【0275】
粒子に蛍光共鳴エネルギー伝達を取り込むため、レセプターおよび2個の異なるインジケーターをポリマー・ビーズ表面に組み入れる。分析物が存在しない場合、蛍光共鳴エネルギー伝達が生じて検出可能な信号が生成される。分析物がレセプターと相互に作用する場合、インジケーター間のスペースが変化する。このスペースの変化によって、蛍光共鳴エネルギー伝達に変化が生じ、したがって信号の強度または波長に変化が生じる。蛍光共鳴エネルギー伝達の効率は、2個のインジケーター間の距離Rに対し、1/R6で比例する。このように2個のインジケーター間の距離のわずかな変化により、蛍光共鳴エネルギー伝達に著しい変化が生じる。
【0276】
一実施形態では、FRETレベルがゼロから100%まで段階的に変化するように、様々なレベルのクマリンおよびフルオレセインを樹脂ビーズに導入する。図52は、水中でのみクマリンを励起したときの5−カルボキシフルオレセインおよびクマリンからの発光が70/30の比であることを示す。しかし、その他の溶媒では、FRETの程度が劇的に異なる。これは、ビーズ内部の変化によって分光学的応答が生じることを示す。またこのデータは、樹脂ビーズ上での様々な溶媒と5−カルボキシフルオレセインと異なる結合が、溶媒に関係するものとして示す。この振舞いは、意図的に添加したレセプターが存在しない状態で、ポリマーそのものとの溶媒結合により引き起こされる。戦略的分析物との強力/選択的な結合を示すレセプターも付加する。そのようなレセプターは、ポリスチレン/ポリエチレングリコール・マトリックスのミクロ環境内で、分析物の結合によりFRETの比に変化を引き起こすものでよい。
【0277】
蛍光検定に波長シフトを組み込むため、レセプター3〜6を上記論じたクマリン/5−カルボキシフルオレセイン・ビーズに結合する。5−カルボキシフルオレセインを様々なレセプターに結合させてクマリンを励起する場合、フルオレセインはレセプターに結合するので、その発光は主にクマリンからのものになる。5−カルボキシフルオレセインを分析物で置換すると、クマリンを持つビーズ環境に放出されるので、発光は、5−カルボキシフルオレセインのほうへとシフトする。このため蛍光の波長シフトが生じるが、これは信号波長での強度の変化よりも本質的に感度の高いものである。
【0278】
樹脂ビーズ上のインジケーター間の距離Rには大きい変化が生じる。5−カルボキシフルオレセインが結合すると、ドナー/アクセプターの対は、置換が生じた場合よりも離れ、FRET効率は1/R6の割合で変化する。クマリンは、フロッピー(登録商標)・リンカーを介してビーズに結合することができ、結合した5−カルボキシフルオレセインに対して数多くの構造をとることが可能になる。したがって、ドナーとアクセプターの遷移双極子が厳密に直交することはまずあり得ない。
【0279】
一実施形態では、ポリカルボン酸に対するレセプターと適切なプローブ分子をポリマー樹脂に結合させて、ポリカルボン酸分子を検出するための粒子を形成する。ポリカルボン酸に対するレセプター、ならびにポリカルボン酸の検出におけるその使用方法が、米国特許第6,045,579号に記載されており、これを参照により本明細書に援用する。一実施形態で、この系は、ジカルボキシレート、モノカルボキシレート、ホスフェート、糖、および単純な塩以上に、水中でのトリカルボン酸(例えばシトレート)の認識に選択的であることがわかったレセプター3を使用することを含む。レセプターは、水素結合用のグアニジニウム基と、トリカルボン酸との電荷対を含む。
【0280】
シトレートの検定では、5−カルボキシフルオレセインおよび3の集合体を使用してきた。3と、5−カルボキシフルオレセインとの結合により、3によって示される正電荷を有するミクロ環境が原因で、5−カルボキシフルオレセインのフェノールpKaが低下した。このpKa(局所pH)のシフトにより、5−カルボキシフルオレセインが溶液中で遊離している場合は、フェノール部分がより高いプロトン化状態になった。5−カルボキシフルオレセインの吸光度または蛍光は、フェノールのプロトン化が高い状態で減少する。吸光強度は、ホスト3を5−カルボキシフルオレセインに付加すると増大し、また予測されるように、その強度は、シトレートを3と5−フルオレセインとの集合体に付加することにより低下する。同じ作用が蛍光スペクトル(λmax=525nm)にも見られた。
【0281】
一実施形態では、金属を使用して、分析物の存在に対する発色団の応答をトリガする。例えば化合物7は、結合定数4.9×105M− 1でCu(II)に結合する(図53参照)。1当量のCu(II)を添加することにより、シトレートと化合物7との結合定数が少なくとも5倍増大する。重要なことは、シトレートの添加によって、Cu(II)とレセプターとの結合が少なくとも10倍増大することである。したがってシトレートとCu(II)は、互いの結合を協働的な手法で高める。さらに、化合物7の発光スペクトルは、Cu(II)が存在する場合のシトレートの付加に対して実に敏感であるが、Cu(II)が存在しない場合にはシトレートの付加に応答しない。したがって、「トリガ」の結合は関心の分析物によって乱され、そのトリガの結合の乱れを使用して、分析物の結合を分光学的にモニタする。付加した部分により生じた感知動作のトリガは、哺乳動物の味蕾上のレセプターによって認識可能な味成分に食べかすを分解する唾液中の酵素に関する要件と同様である。
【0282】
一実施形態では、クエン酸レセプター3をポリスチレン/ポリエチレングリコール・ビーズに固定化し、その同じビーズ表面に蛍光プローブ分子を結合する(図54)。種々の濃度のクエン酸溶液をビーズに添加して、単層の蛍光スペクトルを記録する。溶液中にあるビーズ上のレセプター3と5−カルボキシフルオレセインの集合体では、シトレートに対して全く同じ蛍光応答であることがわかる。5−カルボキシフルオレセインとレセプター3は、ビーズ全体にランダムに配置しただけであるが、明らかに、5−カルボキシフルオレセインの分光法を変化させるのと同様のミクロ環境変化がビーズに生じる。
【0283】
追加のセンサ・システムは、酒石酸塩およびテトラシクリンのセンサを含む。化合物4は、緩衝させた水(pH7.4)の中で、結合定数約105M− 1で酒石酸塩と結合する。結合したレセプターおよび遊離したレセプターと酒石酸塩とを観察するので、この結合は、NMRのタイム・スケール上ではゆっくりである。この結合は、驚くべきことに純水中では強力である。ゲスト付近のジオールと2つのカルボキシレートをそれぞれ認識するために、ホストのボロン酸部分と2個のグアニジニウム基との良好な協働性が反映されなければならない。化合物6は、テトラサイクリンの分子レセプターとして働く。この化合物を合成し、様々な温度のNMRによって、半球状の構造であることがわかった。いくつかのインジケーターとのその結合特性について調査した(ほとんどが104M− 1付近の親和性で結合する)。より重要なことは、テトラサイクリンの結合についても調査を行い、本発明者等の予備段階の結果では、水中での結合定数が103M− 1を超えることが示唆されたことである。
【0284】
別の実施形態で、感知粒子は、アニオン・レセプターとして働くよう設計された、図56に示すようなリシントリマーなどの正に帯電した側鎖を有するアミノ酸のオリゴマーと、シグナリングのために結合されたFRET対を含む。異なるアニオンの感知は、分析物がオリゴマーと相互に作用するときのFRET対の信号強度変化を光学的にモニタすることによって、行う。
【0285】
アニオン種を1に導入すると、分析物がトリマーに結合し、トリマー−フルオレセインの相互作用が妨げられ、それによって、エネルギー伝達のメカニズムに関与するフルオレセインの能力が変化する。従来の蛍光光度計に単層樹脂を使用すると、TG−NH2樹脂に結合したFRET対のD:A発光の比は、種々の溶媒ならびに溶液のイオン強度に敏感になる。エピ蛍光に関する研究を行って、溶媒依存性、イオン強度、およびFRET TG−NH2樹脂に対する種々のアニオンの結合作用を試験する。電荷結合素子(CCD)で撮影したセンサ・アレイ内のFRET TG−NH2樹脂の画像により、赤、緑、および青色光の強度を示す3つの出力チャネルが得られた。RGBの光強度によって、従来の蛍光光度計を使用して得られた結果の比較が可能になる。
【0286】
1の信号伝達について、標準的な蛍光光度計を使用して、またエピ蛍光顕微鏡法を使用するアレイ・プラットフォーム内で、調査する。RGB分析を使用して、FRET対の発光の相対的変化を特徴付ける。その他の樹脂結合センサは、オリゴマー内のアミノ酸サブユニットおよびペプチド鎖の長さを変化させることにより合成する。
【0287】
別の実施形態では、小さい有機ゲストに結合可能な樹脂ビーズに結合されたレセプター単位に、ソルバトクロミック染料を共有結合する。一実施形態で、ダンシルおよびダポキシルは、そのミクロ環境の感受性あるプローブとして働く。使用される染料を選択するとき、吸光係数が高いこと、蛍光量子収量が高いこと、Stokeのシフトが大きいことを考慮すべきである。ダポキシルおよびダンシルは、様々な溶媒系においてこれらの樹脂結合蛍光団のシグナリング応答を高めるために、6%アガロース・ビーズに固着した。アガロース・ビーズは、ポリスチレン−ポリエチレングリコール樹脂よりも親水性の高い架橋ガラクトースポリマーである。これらのソルバトクロミック染料とアガロース樹脂ビーズとの結合を、図57に概略的に示す。
【0288】
ダポキシル標識樹脂(6)は、還元剤としてホウ水素化ナトリウムを使用し、モノ(Fmoc)−ブチルジアミン塩酸塩でグリオキシル化アガロースを還元的にアミノ化することによって、形成した。塩基活性な保護基、Fmocを稀釈塩基で3から除去し、スルホンアミド結合を形成する反応を介してソルバトクロミック染料を4に固着することにより、6が得られた。ダンシルとアガロース樹脂との結合も同様に行った。
【0289】
ダンシルおよびダポキシルで誘導体化したアガロース樹脂の分析は、従来の蛍光光度計で単層サンプル細胞を使用して数回試みた。しかし、単層サンプル細胞の製造に制限を課すアガロース樹脂の脆性が原因で、異なる溶媒系では5および6の満足のいく発光スペクトルは得られなかった。
【0290】
溶媒系を50mMのリン酸緩衝液(pH=7.0)からエタノール(EtOH)、メタノール(MeOH)、およびアセトニトリル(CH3CN)に変更した場合、5および6の信号に著しい増大が見られた。6の発光は、緩衝液での6の発光に比べ、EtOHで3倍に、CH3CNで5倍になった。アガロース−ダンシル樹脂5は、異なる溶媒に対する応答で同様の傾向を示したが、強度は6の場合よりも小さかった。例えば、赤色チャネルに関するEtOHでの5の発光は、6に比べて強度単位が61%小さかった(任意の強度単位、2200対5800)。この観察は、ダポキシルの場合よりもダンシルの蛍光量子収量が低く吸光係数が小さいことによる。これらの初期調査から、赤色チャネルを横断するEtOH中のタイプ6の3個のビーズの平均蛍光強度は、任意強度カウント数が5800±300であり、%標準偏差が5.0%であった。また、新しい溶媒に変更する前に、アガロース−染料樹脂を基準点「ゼロ」に戻すため、アガロース・ビーズに緩衝液を5分間勢い良く流した。溶媒系を新たにするたびに緩衝液で洗浄するときの6の蛍光強度のバックグラウンド分散は、赤および緑のチャネルでそれぞれ5.0%および4.0%であった。
【0291】
2種の異なる溶媒の様々な比に対する5および6の応答についても調査した。図58に見られるように、50mMのリン酸緩衝液(pH=7)のパーセントがエタノール中で増大するにつれ、6の発光の検出可能な減少が観察される。6の蛍光強度は、100%EtOHから100%緩衝液に至るまで、その当初の値から3分の1に低下した。赤と緑のチャネルではいずれも、6の蛍光発光強度に漸増的な減少があった。この場合でも、5は、混合溶媒系の様々な比に対する応答に関して同様の傾向を示したが、強度は6よりも小さかった。
【0292】
別の実施形態では、溶液相での調査のため各染料をベンジルアミン(2〜4)で誘導体化し、サンドイッチ法およびエピ蛍光を使用する調査のため樹脂(5〜7)に固着した。染料および対応する樹脂を図59に示す。
【0293】
蛍光に関する調査は、溶液相で、また樹脂に結合させて、各染料ごとに行った。図60は、種々の溶媒系に曝すことによって生じた4(パートA)および7(パートB)の発光変化の例を示す。4の量子収量は極性の高いプロトン性媒体(すなわちエタノール)で減少したが、4の量子収量は疎水性の高い環境(すなわちシクロヘキサン)で増加した。また、各プローブのStokeのシフトは、無極性媒体と極性媒体とで著しく変化した。例えば、メタノールと1.0Mの水性リン酸緩衝液とが1:1の混合物における4のStokeのシフト(□em−□abs)は221nmであったが、シクロヘキサンにおける4のStokeのシフトは80nmであった。7は同様の結果を示したが、溶媒から溶媒へのStokeのシフトは劇的なものではなかった。5〜7の光学特性は、それら同質の類似体に比べてわずかに変化しただけであった。
【0294】
3種の蛍光団の中で、クマリンのソルバトクロミック特性は、ダンシルおよびダポキシルに比べてそれほど劇的なものではなかった。6および7は、最大のStokeシフトを示した。5〜7の発光波長は、より極性の高い溶媒に含まれる場合に赤色偏移した。しかし図60に示すように、6を水中に入れた場合、Stokeのシフトはシクヘキサンに入れた場合と同じになった。この傾向は、蛍光標識した樹脂のそれぞれで観察されるが、これらプローブが疎水性であり、水中に浸漬したときに実際にPEG−PS樹脂の疎水性コア内に存在し得ることから説明できる。
【0295】
別の実施形態では、ATPの選択的化学センサが見出された。図61に示すように、ATPのアデニン基と相互に作用することが知られている2つの長いポリペプチド・アームに、グアニジニウムを介してポリエチレン−グリコール・ベースのビーズを結合した。トリペプチド・アームは、5−カルボキシフルオレセイン(フルオレセイン)用の2つの蛍光団結合部位を含んでおり、7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボン酸(クマリン)用の結合部位は、コア構造に結合するリシンの末端に位置付けられていた。蛍光団は、所望の分析物に対してレセプターとして働く。また蛍光団は、分析物の添加前後での環境の変化を知らせるインジケーターとしても働く。
【0296】
ATPレセプターのスクリーニングのため、蛍光標識したN−メチルアントラニロイル−ATPを選択した。アミノ酸の配列をトリペプチドのように結合し、緩衝液で平衡にした。樹脂を顕微鏡スライドに移し、UV光を照射した。その結果、蛍光活性を示す活性ビーズを有する6配列と、検出可能な蛍光活性が見られない不活性ビーズを有する3配列が得られた。
【0297】
6個の活性ビーズから3個と、3個の不活性ビーズから1個を任意に選択して、ATP(下記の太字の配列)と反応させた。フルオレセインとクマリンを励起した場合、ATPを添加したときにFRETに検出可能な相違はなかった。これは、ビーズ内の蛍光団同士の間に、ATPに結合したときに著しく変化しない平均距離があるためと考えられる。しかし、1個の活性ビーズ(Thr−Val−Asp)を除く全てが、フルオレセインの励起によって蛍光変調を示した。活性ビーズからの応答が不十分であることは、誘導体化した分析物(この場合MANT−ATP)に対するスクリーニングにおいて、結合蛍光団を用いて合成した場合に活性ビーズが上首尾のセンサであると保証されないことを示している。この活性ビーズはMANT−ATPのMANT部分に結合し、またはATPに結合することによってThr−Val−Aspレセプターの蛍光団の周りに著しいミクロ環境変化はない。
【0298】
【表1】
【0299】
活性ビーズのSer−Tyr−Ser配列では、ATPの添加による大きいスペクトル応答が観察された。フルオレセイン発光の増大は、おそらくATPに結合することによってフルオレセインの周りの局所pHが高くなることに起因する。Ser−Tyr−Ser配列および分析物、AMP、GTPを用いてさらに調査を行ったが、これらの構造はATPと同様のものである。このペプチドライブラリーのメンバーは、これら構造的に同様の潜在的競合分析物よりも、ATPに関して非常に高い検出選択性を示した。AMPに対する応答が不十分であることは、レセプターのグアニジニウム部分に強力に結合するのにトリホスフェートが必要であることを示唆しており、一方、GTPに対する応答が不十分であることは、トリペプチド・アームによって与えられたヌクレオチド塩基に特異的であることを示している。セリンおよびチロシンの組合せは、tyrのフェノールとアデニンの間でのπ−積み重なりと、セリンOHおよび/またはリボースまたはアデニンの水素結合相互作用を示している。これらの調査は、証明されたコアと組み合わせた方法とを合体し、その後、蛍光団を結合することによって、選択性に優れた樹脂結合化学センサを作製できることを実証した。
【0300】
上述のようにいくつかの実施形態で、粒子は、関心の分析物と相互に作用すると共に変調信号を生成する。一実施形態で粒子は、関心の分析物の存在下で化学変化を受けるレセプター分子を含んでよい。この化学変化によって、粒子により生成された信号に変化が生じる。化学変化には、分析物とレセプターとの化学反応が含まれる。レセプターは、バイオポリマーまたは有機分子を含んでよい。そのような化学反応には、切断反応、酸化、還元、付加反応、置換反応、脱離反応、およびラジカル反応が含まれるが、これらに限定されない。
【0301】
一実施形態では、特定のバイオポリマー上での分析物の動作モードを、分析物検出システムの生成に利用できる。本明細書で使用するバイオポリマーは、天然および非天然の、ペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチド、およびオリゴ糖を指す。ある場合には、毒素や酵素などの分析物とバイオポリマーとを反応させて、バイオポリマーの切断が生じるようにする。一実施形態では、このバイオポリマーの切断を使用して、検出可能な信号を生成する。粒子は、バイオポリマーと、このバイオポリマーに結合したインジケーターを含んでよい。分析物の存在下では、バイオポリマーのインジケーター含有部分が粒子から切り離されるように、そのバイオポリマーを切断する。次いでそのインジケーターから生成された信号が粒子から変位する。したがってビーズの信号は変化し、特定の分析物が存在することを示す。
【0302】
プロテアーゼは、ペプチド結合を触媒で加水分解するタンパク質分解酵素のいくつかの系統を表す。プロテアーゼの主な群には、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、およびアスパラギン酸プロテアーゼが含まれる。プロテアーゼ、特にセリンプロテアーゼは、血液凝固や受精、ホルモン産生、免疫応答、繊溶など、いくつかの生理学的プロセスに関与する。
【0303】
非常に数多くの疾患状態は、特定のプロテアーゼおよびその阻害剤の活性の変化によって引き起こされ、またそのような変化によって特徴付けられる。例えば、気腫や関節炎、血栓症、癌の転移、いくつかの形態の血友病は、セリンプロテアーゼの活性の調節が不十分であることから生じる。ウイルス感染の場合、感染細胞にはウイルスプロテアーゼが存在することが確認されてきた。そのようなウイルスプロテアーゼには、例えばAIDSに伴うHIVプロテアーゼやC型肝炎に伴うNS3プロテアーゼが含まれる。プロテアーゼは、癌の転移にも関係している。例えば、プロテアーゼウロキナーゼの存在が増大することと、多くの癌を転移させる能力が増大することは、互いに関係している。
【0304】
一実施形態では、ポリマー樹脂に結合したバイオポリマーを使用することによって、プロテアーゼの存在を検出する。プロテアーゼを検出する場合、バイオポリマーはタンパク質またはペプチドでよい。ポリマー樹脂にタンパク質またはペプチドを結合しかつ/または合成するための方法は、例えば米国特許第5,235,028号に記載されており、これを参照により本明細書に組み込む。「タンパク質」および「ペプチド」は、本明細書では、1つのアミノ酸のカルボキシル基と別のアミノ酸のアミノ基との縮合反応によって形成されたペプチド結合によって、α−炭素が結合したアミノ酸の鎖と定義する。ペプチドは、アミノ結合とは対照的にエーテルによって結合された、アミノ酸のようなペプチドミメティックも含む。
【0305】
本明細書で使用する「プロテアーゼ結合部位」という用語は、プロテアーゼによって認識し切断するアミノ酸配列を指す。プロテアーゼ結合部位は、プロテアーゼによって加水分解されるペプチド結合を含み、このペプチド結合によって結合されたアミノ酸残基は、切断部位を形成すると言われている。プロテアーゼ結合部位と構造決定領域は、一続きのアミノ酸配列を形成する。プロテアーゼ結合部位は、特定のプロテアーゼによって認識され切断されるアミノ酸配列でよい。様々なプロテアーゼが特定のアミノ酸に隣接するペプチド結合を切断できることは周知である。したがって、例えばトリプシンは、アルギニンやリシンなどの塩基性アミノ酸に続くペプチド結合を切断し、キモトリプシンは、トリプトファンやフェニルアラニン、チロシン、ロイシンなどの大きい疎水性アミノ酸残基に続くペプチド結合を切断する。セリンプロテアーゼエラスターゼは、アラニンなどの小さい疎水性残基に続くペプチド結合を切断する。しかし、特定のプロテアーゼは、正確に隣接するアミノ酸を有するタンパク質中の全ての結合を切断できるわけではない。むしろプロテアーゼは、特定のプロテアーゼのそれぞれに対するプロテアーゼ結合部位として役立つ特定のアミノ酸配列に特異的である。
【0306】
プロテアーゼ結合部位であり、かつプロテアーゼによって認識し切断する任意のアミノ酸配列は、適切なプロテアーゼレセプターである。既知のプロテアーゼ結合部位およびプロテアーゼのペプチド阻害剤は、結合部位を切断するまたは阻害剤が阻害する特定のプロテアーゼによって認識される切断されるアミノ酸配列を持つ。このように既知の基質および阻害剤配列は、プロテアーゼレセプターとしての使用に適する塩基配列を提供する。プロテアーゼ結合部位としての使用に適するいくつかのプロテアーゼ基質および阻害剤配列は、米国特許第6,037,137号に記載されており、これを参照により本明細書に援用する。当業者なら、米国特許第6,037,137号に列挙されているプロテアーゼ基質が完全なリストではなく、その他のプロテアーゼ基質または阻害剤配列を使用できることを理解するであろう。
【0307】
プロテアーゼ(例えばボツリヌス毒素や破傷風毒素)は、神経伝達物質分泌小胞をその細胞放出部位に「ドッキング」するタンパク質上の特定の配列部位で、ペプチド結合を切断する(図45A、45B)。これらのタンパク質の1つまたは複数がこのように分解する場合、分泌は阻止されて寛容状態になる(図45C)。ボツリヌス毒素の通常のタンパク質基質をベースとした、分子量が比較的小さいペプチド(約15〜35個のアミノ酸)は、完全長タンパク質と同様の手法で毒素によって溶液中で素早く切断することが知られている。そのような実験は、Schmidt,J.J.;Stafford,R.G.;Bostian,K.A.による「Type A botulinum neurotoxin proteolytic activity:development of competitive inhibitors and implications for substrate specificity at the S1’ binding subsite」FEBS Lett.、1998、435、61〜64と、Shone,C.C.;Roberts,A.K.による「Peptide substrate specificity and properties of the zinc−endopeptidase acivity of botulinum type B neurotoxin」Eur.J.Biochem.、1994、225、263〜270に記載されており、これらを共に本明細書で述べたかのように参照により本明細書に援用する。またこれらのペプチド基質は、アミノ酸置換および蛍光標識によって化学的に変化させた場合であっても、ボツリヌス毒素および破傷風毒素の両方に対して高レベルの活性を保つことも実証されている(共に参照により本明細書に援用するSoleihac,J.−M.;Cornille,F.;Martin,L.;Lenoir,C.;Fournie−Zaluski,M.−C.;Roques,B.P.「A sensitive and rapid fluorescence−based assay for determination of tetanus toxin peptidase activity」Anal.Biochem、1996、241、120〜127、およびAdler,M.;Nicholson,J.D.;Hackley,B.E.,Jr.「Efficacy of a novel metalloprotease inhibitor on botulinum neurotoxin B activity」FEBS Lett.、1998、429、234〜238も参照)。
【0308】
新たに発見されたプロテアーゼ、またはプロテアーゼ認識配列が知られていないプロテアーゼでは、プロテアーゼ結合部位として使用される適切なアミノ酸配列を実験により決定する。ペプチドのライブラリーの合成と、このライブラリーを使用して特定のプロテアーゼに対するプロテアーゼ結合配列を決定することが米国特許第5,834,318号に記載されており、これを参照により本明細書に援用する。一般に、約2〜20個のアミノ酸からなるコンビナトリアル・ライブラリーを合成する。これらのライブラリーを使用して、プロテアーゼとの相互作用に関してスクリーニングする。プロテアーゼに結合する配列の分析を使用して、プロテアーゼのレセプターとして使用される可能性のある結合配列を決定する。
【0309】
レセプターとプロテアーゼとの相互作用は、レセプターまたはポリマー樹脂に結合されたインジケーター分子によって示す。一実施形態で、インジケーターは発色団または蛍光団でよい。蛍光団は、特性波長の光を吸収し、次いで最も典型的な場合には特徴的な異なる波長の光を再放出する分子である。蛍光団には、ローダミンおよびローダミン誘導体、フルオレセインおよびフルオレセイン誘導体、クマリン、およびキレート化剤であってランタニドイオン系列を有するものが含まれるが、これらに限定されない。発色団は、特性波長の光を吸収するが光を再放出しない分子である。
【0310】
一実施形態では、切断配列を含むペプチドを、共有結合または強力な非共有結合を介してセンサ・アレイ上の接触可能な部位に固定化する。一実施形態で、これは上述のように、ペプチドをポリマー樹脂に結合することによって実現できる。ポリマー樹脂は、上述のセンサ・アレイのようなセンサ・アレイの空洞内に位置決めされる。いくつかの実施形態では、様々なプロテアーゼに対して異なる切断配列を含む種々のペプチドを、異なるアレイ位置に固定化する。1つまたは複数のプロテアーゼを含むサンプルをアレイに利用することができ、ペプチド切断は、特定のプロテアーゼの存在に応じて特定のアレイ・アドレスで引き起こされる。あるいは、種々の切断配列を含む種々のペプチドを単一のポリマー・ビーズに結合させてよい。このように、単一のビーズを使用して多数のプロテアーゼを分析する。
【0311】
先に説明した切断反応に対して様々なシグナリング機構を使用する。一実施形態では、バイオポリマーの切断部位の対向する側に、蛍光染料と蛍光消光剤を結合させる。蛍光染料と蛍光消光剤は、フェルスター・エネルギー移動半径の中に配置する。フェルスター・エネルギー移動半径は、一方の分子から放射された蛍光エネルギーの少なくとも一部分がもう一方の分子によって消光される2分子間の最大距離と定義される。フェルスター・エネルギー移動についてはすでに説明した。切断前は、分子消光剤によって、蛍光はほとんど、または全く生成されない。切断後は、染料と消光剤の間の近接はもはや維持されず、蛍光が検出される(図62A)。蛍光消光の使用は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,037,137号に記載されている。このエネルギー移動の他の例が、以下の文献に記載されている。James,T.D.;Samandumara,K.R.A.;Iguchi,R.;Shinkai,S.J.Am.Chem.Soc.1955,117,8982.Murukami,H.;Nagasaki,T.;Hamachi,I.;Shinkai,S.Tetrahedron Lett.,34,6273.Shinkai,S.;Tsukagohsi,K.;Ishikawa,Y.;Kunitake,T.J.Chem.Soc.Chem.Commun.1991,1039.Kondo,K.;Shiomi,Y.;Saisho,M.;Harada,T.;Shinkai,S.Tetrahedron.1992,48,8239.Shiomi,Y.;Kondo,K.;Saisho,M.;Harada,T.;Tsukagoshi,K.;Shinkai,S.Supramol.Chem.1993,2,11.Shiomi,Y.;Saisho,M.;Tsukagoshi,K.;Shinkai,S.J.Chem.Soc.Perkin Trans I 1993,2111.Deng,G.;James,T.D.;Shinkai,S.J.Am.Chem.Soc.1994,116,4567.James,T.D.;Harada,T.;Shinkai,S.J.Chem.Soc.Chem.Commun.1993,857.James,T.D.;Murata,K.;Harada,T.;Ueda,K.;Shinkai,S.Chem.Lett.1994,273.Ludwig,R.;Harada,T.;Ueda,K.;James,T.D.;Shinkai,S.J.Chem.Soc.Perkin Trans 2.1994,4,497.Sandanayake,K.R.A.S.;Shinkai,S.J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1994,1083.Nagasaki,T.;Shinmori,H.;Shinkai,S.Tetrahedron Lett.1994,2201.Murakami,H.;Nagasaki,T.;Hamachi,I.;Shinkai,S.J.Chem.Soc.Perkin Trans 2.1994,975.Nakashima,K.;Shinkai,S.Chem.Lett.1994,1267.Sandanayake,K.R.A.S.;Nakashima,K.;Shinkai,S.J.Chem.Soc.1994,1621.James,T.D.;Sandanayake,K.R.A.S.;Shinkai,S.J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1994,477.James,T.D.;Sandanayake,K.R.A.S.;Angew.Chem.,Int.Ed.Eng.1994,33,2207.James,T.D.;Sandanayake,K.R.A.S.;Shinkai,S.Nature,1995,374,345。これらは全て、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0312】
蛍光団は、当業者に周知の任意の手段によってペプチド・レセプターに結合させる。一実施形態では、蛍光団の反応部位を、ペプチドの末端アミノ基、カルボキシル基などの反応基に、またはアミノ酸側鎖のイオウ部分、アミノ部分、ヒドロキシル部分、カルボキシル部分などの反応基に直接に結合させる。多くの蛍光団は通常、適当な反応部位を含む。あるいは、他の分子に結合するための反応部位を付与するために蛍光団を誘導体化することもできる。第2の分子に結合する官能基を持つように誘導体化された蛍光団が様々なメーカーから市販されている。この誘導体化は、単純に蛍光団自体の1つの基の置換によるもの、または、リンカーへの結合によるものとする。様々なリンカーが当業者には周知であり、これらについては後に論じる。
【0313】
発蛍光性のプロテアーゼ・インジケーターは、蛍光団を介して、またはインジケーターを含むペプチド主鎖を介して固体支持体に直接に結合させる。インジケーターをペプチド主鎖を介して固体支持体に結合させる実施形態では、ペプチド主鎖が追加のペプチド・スペーサを含む。スペーサは、ペプチド主鎖のアミノまたはカルボキシル末端に存在することができ、スペーサの長さは、約1から約50アミノ酸、好ましくは1から約20アミノ酸、より好ましくは1から約10アミノ酸とする。ペプチド・スペーサは、分子の活性成分を基板から引き離しそれによって望んでいない相互作用を防ぐ働きをするだけなので、スペーサのアミノ酸組成はそれほど重要ではない。しかし、スペーサのアミノ酸組成を、リンカーまたは固体支持体自体がそれに容易に結合する側鎖を有するアミノ酸(例えばシステインまたはリシン)を提供するように選択する。あるいは、リンカーまたは固体支持体自体を、アミノ末端またはカルボキシル末端に取り付けることもできる。
【0314】
一実施形態では、ペプチド・スペーサをリンカーによって固体支持体に接合する。本明細書で使用する用語「リンカー」は、ペプチドを他の分子(例えば固体支持体、蛍光団など)に結合する目的に使用できる分子を指す。リンカーは、ペプチドと共有結合を形成する第1の反応部位と、固体支持体の反応基と共有結合を形成する第2の反応部位とを有するヘテロまたはホモ二官能分子である。これらの実施形態で使用されるリンカーは以前に説明したリンカーと同じリンカーである。
【0315】
一実施形態では、バイオポリマーの切断部位の対向する側に第1の蛍光染料と第2の蛍光染料を結合させる。切断前には、FRET(fluorescence resonance energy transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)信号が長波長放射として観察される。切断後には、これらの2つの染料の相対位置の変化によって、FRET信号の減失、およびより短波長の染料からの蛍光の増大が生じる(図62B)。溶液相FRETの例が、Foerster,Th.「Transfer Mechanisms of Electronic Excitation」Discuss.Faraday Soc.,1959,27,7;Khanna,P.L.,Ullman,E.F.「4′,5′−Dimethoxyl−6−carboxyfluorescein:A novel dipole−dipole coupled fluorescence energy transfer acceptor useful for fluorescence immunoassays」,Anal.Biochem.1980,108,156;およびMorrison,L.E.「Time resolved Detection of Energy Transfer:Theory and Application to Immunoassays」,Anal.Biochem.1998,174,101に記載されている。これらは全て参照によって本明細書に組み込まれる。
【0316】
他の実施形態では、ペプチドの切断部位のポリマー樹脂とは反対の側に単一の蛍光染料を結合させる。切断前、染料は蛍光を発するが、染料は付着部位に空間的に局限される。切断後は、染料を含むペプチド断片が付着部位から(例えば空洞内の他の位置に)拡散する。拡散したペプチド断片は、共焦点顕微鏡法などの空間感受性の検出方法を用いて測定する(図62C)。あるいは、空洞内の溶液をシステムから洗い流すこともできる。粒子の蛍光の低減は、分析物(例えばプロテアーゼ)の存在を指示していると考えられる。
【0317】
他の実施形態では、ポリマー樹脂に残る側のペプチド・レセプターの切断部位、またはポリマー樹脂のレセプターのすぐ近くの位置に、単一のインジケーター(例えば発色団または蛍光団)を結合させる。切断前、インジケーターは、レセプターとインジケーターの相互作用によって決まるミクロ環境を反映した信号を生成する。分析物の結合に関与するインジケーター上の水素結合またはイオン置換基は、インジケーターの電子密度および/または剛性を変化させ、それによって蛍光団の蛍光量子収量、最大励起波長、最大放射波長、発色団の吸収スペクトルなどの観測可能な分光学的特性を変化させる能力を有する。ペプチド・レセプターが切断されると、ビーズの局所的なpHおよび誘電率が変化し、インジケーターは予測可能な方法で応答する。この方法の利点は、(koffによって応答時間が限定される)前もってロードした蛍光リガンドの解離を必要としないことである。さらに、同じレセプターでいくつかの異なるインジケーターを使用できる。同じレセプターを有する異なるビーズが異なるインジケーターを有することができ、これによってプロテアーゼの存在の多重試験が可能になる。あるいは、単一のポリマー樹脂が単一のレセプターと共に複数の染料を含むこともできる。これらのそれぞれの染料とレセプターの相互作用を監視して、分析物の存在を決定する。
【0318】
ヌクレアーゼは、核酸のホスホジエステル結合を接触加水分解するいくつかの酵素群を代表する。ヌクレアーゼは、それらが特異性を有する核酸に従って分類する。リボヌクレアーゼ(「RNアーゼ」)はRNAに特異的なヌクレアーゼであり、デオキシリボヌクレアーゼ(「DNアーゼ」)はDNAに特異的なヌクレアーゼである。いくつかの酵素はRNAとDNAの両方を加水分解する。ヌクレアーゼは、それらが攻撃する核酸上の位置に基づいて分類することもできる。核酸の3′末端または5′末端を攻撃するヌクレアーゼはエキソヌクレアーゼとして知られている。核酸鎖の中間部分を攻撃するヌクレアーゼはエンドヌクレアーゼと呼ばれる。
【0319】
制限酵素は、短いポリヌクレオチド配列を認識し、その配列内の特定の部位または配列に隣接した特定の部位で2本鎖核酸を切断する。230を超える異なる核酸配列を認識するおよそ3000の制限酵素が知られている。制限酵素はその大部分が細菌で見つかっているが、ウイルス、古細菌および真核生物からも分離されている。これらの制限酵素の多くは特定の生物にしか見られないので、核酸をレセプターとして使用して制限酵素を分析することによって、サンプル中に特定の生物が存在するかどうかを判定する。制限エンドヌクレアーゼは、制限エンドヌクレアーゼごとに異なる核酸の特定の認識配列のところに特異的に結合する。制限酵素は、認識配列の近傍でしか核酸を切断しないので、調査対称のヌクレアーゼの認識配列を含むレセプターを設計する。
【0320】
大部分のヌクレアーゼは、2本鎖のデオキシリボ核酸(「DNA」)に結合し、それに作用する。制限エンドヌクレアーゼは一般に対称形のダイマーである。それぞれのモノマー・ユニットが一方のDNA鎖に結合し、DNA認識配列の第1の半分を認識する。さらに、それぞれのモノマーは一般に1本のDNA鎖を切断する。このダイマーは、パリンドロームDNA配列を認識し、パリンドローム配列の中心点を中心に両方のDNA鎖を対称に切断する。一般に、制限エンドヌクレアーゼのそれぞれのモノマーは、それが認識する少なくとも2つの特定のヌクレオチドを必要とするが、2、3のケースでは、制限エンドヌクレアーゼ・モノマーが、特定の1つのヌクレオチド、およびそれに対するよりも特異性に劣る他の2つのヌクレオチドに結合する。これは、制限エンドヌクレアーゼが最低でも4つのヌクレオチドからなる配列を認識することができ、一般に、(それぞれのモノマーによって同じ部位が認識されるため)偶数個のヌクレオチドを含む配列を認識することを意味する。4、6または8個のヌクレオチドを認識する制限エンドヌクレアーゼが知られている。ただし8個のヌクレオチドを認識する制限エンドヌクレアーゼは少数しか知られていない。いくつかの制限エンドヌクレアーゼは、奇数個(一般に5または7個)のヌクレオチドを有する認識配列に結合する。この場合には、中央のヌクレオチドが特異的に認識され、あるいは中央の塩基対に対してある特異性または厳密な特異性を有する。数百の制限エンドヌクレアーゼの起源および配列特異性が知られており、それらは、New England Biolabs社(米マサチューセッツ州Boston)、Life Technologies社(米メリーランド州Rockville)、Promega Scientific社(米ウィスコンシン州Madison)、Rouche Molecular Biochemicals社(米インディアナ州Indianapolis)のカタログから知る。
【0321】
一実施形態では、ポリマー樹脂に結合させたポリヌクレオチドを使用することによって、ヌクレアーゼの存在を検出する。ヌクレアーゼの検出では、このポリヌクレオチドを、2本鎖のデオキシリボ核酸またはリボ核酸とする。ポリヌクレオチドを合成しかつ/またはポリマー樹脂に付着させる方法は、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,843,655号に記載されている。本明細書では「ポリヌクレオチド」を、複数のヌクレオチドからなるヌクレオチド鎖と定義する。これらのヌクレオチドは、ホスホジエステル結合によって互いに結合されている。「デオキシリボ核酸」はデオキシリボヌクレオチド残基からなり、「リボ核酸」はリボヌクレオチド残基からなる。
【0322】
本明細書で使用する用語「ヌクレアーゼ結合部位」は、ヌクレアーゼが認識し切断するポリヌクレオチド配列を指す。ヌクレアーゼ結合部位は、ヌクレアーゼによって切断されるホスホジエステル結合を含み、このホスホジエステル結合によって接合されたポリヌクレオチド残基は、切断部位を形成していると言われる。
【0323】
新しく発見されたヌクレアーゼ、またはそのヌクレアーゼ認識配列が知られていないヌクレアーゼでは、ヌクレアーゼ結合部位として使用する適当なポリヌクレオチド配列を実験的に決定する。一般に、約2から約20個のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドの組合せライブラリーを合成する。このようなライブラリーの合成は、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,843,655号に記載されている。これらのライブラリーを使用して、そのヌクレアーゼとの相互作用についてスクリーニングする。そのヌクレアーゼに結合する配列の分析を使用して、そのヌクレアーゼのレセプターとして使用する潜在的な結合配列を決定する。
【0324】
レセプターとヌクレアーゼの相互作用は、レセプターまたはポリマー樹脂に結合させたインジケーター分子によって指示される。一実施形態では、このインジケーターが発色団または蛍光団である。
【0325】
一実施形態では、ヌクレアーゼ結合配列を含むポリヌクレオチドを、共有結合または強い非共有結合を介して、センサ・アレイ上のアドレス可能な部位に固定化する。一実施形態では、これを、先に説明したように、ポリマー樹脂にポリヌクレオチドを結合させ、またはポリマー樹脂上でポリヌクレオチドを合成することによって実施する。ポリマー樹脂は、先に説明したセンサ・アレイなどのセンサ・アレイの空洞の中に配置する。いくつかの実施形態では、様々なヌクレアーゼに対する異なる切断配列を含む異なるポリヌクレオチドを、異なるアレイ位置に固定化する。1種または数種のヌクレアーゼを含むサンプルをアレイに適用する。ポリヌクレオチドの切断は、特定のヌクレアーゼの存在に基づいて、アレイ上の特定のアドレスで起こる。あるいは、異なる切断配列を含む異なるポリヌクレオチドを単一のポリマー・ビーズに結合させることもできる。このようにすると、単一のビーズを使用して、複数のヌクレアーゼを分析する。
【0326】
先に説明した切断反応に対して様々なシグナリング機構を使用する。一実施形態では、ポリヌクレオチドの切断部位の対向する側に、蛍光染料と蛍光消光剤を結合させる。蛍光染料と蛍光消光剤とは、フェルスター・エネルギー移動半径の中に配置する。切断前は、分子消光剤によって、蛍光はほとんど、または全く生成されない。切断後は、染料と消光剤の間の近接はもはや維持されず、蛍光が検出される(図62A)。
【0327】
蛍光団は、当業者に周知の任意の手段によってポリヌクレオチド・レセプターに結合させる。蛍光団および染料をポリヌクレオチドに付着させる方法の例が、米国特許第4,855,225号、第5,188,934号および第5,366,860号に記載されている。これらは全て参照によって本明細書に組み込まれる。
【0328】
他の実施形態では、ポリヌクレオチド・レセプターの切断部位の対向する側に第1の蛍光染料と第2の蛍光染料を結合させる。切断前には、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)信号が長波長放射として観察される。切断後には、これらの2つの染料の相対位置の変化によって、FRET信号の減失、およびより短波長の染料からの蛍光の増大が生じる(図62B)。
【0329】
他の実施形態では、ポリヌクレオチド・レセプターの切断部位のポリマー樹脂とは反対の側に単一の蛍光染料を結合させる。切断前、染料は蛍光を発するが、染料は付着部位に空間的に局限される。切断後は、染料を含む核酸断片が付着部位から(例えば空洞内の他の位置に)拡散する。拡散した核酸断片は、共焦点顕微鏡法などの空間感受性の検出方法を用いて測定する(図62C)。あるいは、空洞内の溶液をシステムから洗い流すこともできる。粒子の蛍光の低減は、分析物(例えばヌクレアーゼ)の存在を指示していると考えられる。
【0330】
図62Dに示す他の実施形態では、ポリマー樹脂に残る側のポリヌクレオチド・レセプターの切断部位、またはポリマー樹脂のポリヌクレオチド・レセプターのすぐ近くの位置に、単一のインジケーター(例えば発色団または蛍光団)を結合させる。切断前、インジケーターは、レセプターとインジケーターの相互作用によって決まるミクロ環境を反映した信号を生成する。分析物の結合に関与するインジケーター上の水素結合またはイオン置換基は、インジケーターの電子密度および/または剛性を変化させ、それによって蛍光団の蛍光量子収量、最大励起波長、最大放射波長、発色団の吸収スペクトルなどの観測可能な分光学的特性を変化させる能力を有する。ポリヌクレオチド・レセプターが切断されると、ビーズの局所的なpHおよび誘電率が変化し、インジケーターは予測可能な方法で応答する。この方法の利点は、(koffによって応答時間が限定される)前もってロードした蛍光リガンドの解離を必要としないことである。さらに、同じレセプターでいくつかの異なるインジケーターを使用できる。同じレセプターを有する異なるビーズが異なるインジケーターを有することができ、これによってヌクレアーゼの存在の多重試験が可能になる。あるいは、単一のポリマー樹脂が単一のレセプターと共に複数の染料を含むこともできる。これらのそれぞれの染料とレセプターの相互作用を監視して、分析物の存在を決定する。
【0331】
他の実施形態では、ポリヌクレオチド・レセプターを使用して、他のタイプの分析物の存在を決定する。いくつかの事例では、ポリヌクレオチド・レセプターが有機小分子に結合する。このような有機小分子は、ポリヌクレオチド・レセプターに対するヌクレアーゼの作用を妨害する。これらの小分子は一般に、ヌクレアーゼが結合する好ましい結合部位を占め、ポリヌクレオチドに対するヌクレアーゼの作用を妨げる。したがって、特定のポリヌクレオチドに結合することが分かっている有機小分子の存在を、この特定のポリヌクレオチドに対するヌクレアーゼ活性の低下を観察することによって検出する。類似の方法をペプチド−プロテアーゼ反応に適用する。
【0332】
他の実施形態では、オリゴ糖を使用して分析物の存在を判定する。ペプチドおよびポリヌクレオチドに関して先に説明したシステムと同様のシステムで、ポリマー樹脂にオリゴ糖を結合させる。オリゴ糖切断剤(例えばアミラーゼなどの酵素、長鎖糖ポリマーを切断する酵素、インベルターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ラクターゼなどの二糖切断酵素など)の存在下で、オリゴ糖を切断させる。オリゴ糖の切断を使用して信号を生成させる。オリゴ糖を合成しかつ/またはポリマー樹脂に付着させる方法は、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,278,303号および第5,616,698号に記載されている。
【0333】
他の実施形態では、分析物がバイオポリマーと相互作用したときに、分析物がバイオポリマーの変化を引き起こす。ただしこの変化がバイオポリマーの切断であるとは限らない。このように引き起こされた変化によって検出可能な信号を生成させる。インジケーター分子がバイオポリマーと結合または連結できるかどうかは一般に、バイオポリマーの構造に依存する。バイオポリマーの構造が変化した場合、インジケーター分子の連結は大幅に変化する。このような変化は、インジケーターによって生成される信号の変化を伴う。バイオポリマーに関しては、様々なタイプの多くの酵素が、バイオポリマーに様々な構造上の変化を引き起こすことができ、構造が変化したバイオポリマーは、連結したインジケーター分子の結合部位を変化させる。このような変化は、バイオポリマーの切断なしで生じる。
【0334】
あるいは、インジケーターおよびバイオポリマーをポリマー・ビーズに結合することもできる。このバイオポリマーは分析物の存在下で化学反応を受ける。この化学反応がさらに、インジケーターの化学構造の変化を誘導する。インジケーターの化学構造が変化する結果、粒子の検出可能な光学特性が変化し、これが分析物の存在を知らせる。
【0335】
一例では、NADおよびグルコースをポリマー・ビーズに結合させる。この系を使用して、炭水化物修飾酵素の存在を検出する。例えば、この系を使用してグルコース・デヒドロゲナーゼの存在を検出する。グルコース・デヒドロゲナーゼの存在下で、グルコースは消費され、この過程で、グルコースは、結合したNADをNADHに変換する。NADHは、NADとは異なるUV吸光度および蛍光特性を有する。これらの差異を使用して、流体サンプル中のグルコース・デヒドロゲナーゼの存在を知らせる。同様の方法で他のタイプの多くの酵素を検出する。
【0336】
一例では、プロテアーゼであるトリプシンを、トリプシンによって切断される固定化した「犠牲レセプター」を使用して分析した。この切断の結果、蛍光信号は変調される。プロテアーゼ検定の一実施形態では、トリプシン酵素によって2つのアミノ酸間で切断されるペプチドを固定化した。この固定化は、まず最初に、還元アミノ化法を使用して多くのストレプトアビジン分子をアルデヒド活性化6%アガロース・ビーズに結合させることによって実施した。このペプチドのアミノ末端に付着させたビオチン化学基を、固定化したストレプトアビジン分子によって強く結合し、それによってペプチド鎖を固定化した。ペプチドのカルボキシル末端にフルオレセイン基を付着させ、それによってビーズの蛍光性を高めた。重要なのは、固定化されたペプチドが、ビオチン付着部位とフルオレセインの間に、トリプシンが認識する切断部位を含むことである。そのため、トリプシン分析物にビーズを曝露すると、蛍光性のペプチド断片がビーズから遊離する。このペプチド断片の遊離は、ビーズの蛍光の減退として、または周囲の溶液の蛍光の増大によって視覚化される(図63参照)。
【0337】
コンピュータ・ネットワーク上での化学情報の伝送
ここでは、化学情報の収集およびコンピュータ・ネットワーク上での化学情報の伝送のためのシステムおよび方法について説明する。いくつかの実施形態ではこのシステムが、1種または数種の分析物を含む流体中の1種または数種の分析物あるいは分析物の混合物を検出するように動作する分析物検出デバイス(analyte detection device:「ADD」)と、クライアント・コンピュータ・システムとの間でコンピュータ・ネットワーク上でデータを送受信するコンピュータ・ハードウェアおよびソフトウェアとを含む。
【0338】
化学情報は、特定の化学物質または化学物質の組合せの検出を表す任意のデータを指す。これらのデータには例えば、化学物質の識別、化学物質の比率、または化学物質の検出に関係した他の様々な形態の情報が含まれる。ただしこれらに限定されるわけではない。この情報は、2値または英数字フォーマット・データあるいはレポートを含む生データの形態とする。いくつかの実施形態では、化学情報が、分析物検出デバイスから収集したデータに関する。このようなデータには、分析物検出デバイス上に含まれる粒子の色に関するデータが含まれる。分析物検出デバイスから収集される化学情報には例えば、生データ(例えば色、RBGデータ、特定の波長での強度)などが含まれる。あるいは、分析物検出デバイスによってデータを分析して、存在する分析物を決定することもできる。化学情報は例えば、流体サンプル中で検出された分析物の識別を含む。セキュリティ目的でこの情報を暗号化することもできる。
【0339】
一実施形態では、化学情報のフォーマットを、ロジカル・オブザベーション・アイデンティファイヤ・ネームズ・アンド・コーヅ(Logical Observation Identifiers Names and Codes:LOINC)フォーマットとする。LOINCフォーマットは、個々の実験結果(例えばヘモグロビン、血清ナトリウム濃度)、臨床観察(例えば退院診断、拡張期血圧)および診断研究観察(例えばPR間隔、心臓エコー左心室径、胸部X線結果)を識別するための汎用名およびコードの標準セットを提供する。
【0340】
より具体的には、化学情報は、分析物検出システムによって収集されたデータの形態をとる。先に説明したとおり、分析物検出システムは、1つまたは複数の粒子を含むセンサ・アレイを含む。これらの粒子は、分析物の存在の有無に応答して検出可能な信号を生成する。検出器を使用してこの信号を検出する。この検出器はこの信号を検出する。検出器はさらに、検出された信号に関する情報を含む出力信号を生成する。いくつかの実施形態ではこの出力信号が化学情報である。
【0341】
いくつかの実施形態では、検出器がフォト検出器であり、粒子によって生成される信号が変調された光である。この検出器は、検出された光変調を表す出力信号を生成する。出力信号は例えば、検出された光信号の波長を表す。あるいは、出力信号が、検出された光信号の強度を表す。他の実施形態では、出力信号が信号情報の波長と強度の両方を含む。
【0342】
いくつかの実施形態では、光源の使用が必須ではない。粒子は、化学ルミネセンス、熱ルミネセンスまたはピエゾルミネセンスの使用に依存して、信号を生成する。関心の分析物の存在下で、粒子を活性化させて光を生成するようにする。分析物が存在しない場合には、粒子が最低限の光しか生成せず、または光を全く生成しない。したがって、化学情報を、粒子によって変調された光ではなく、粒子によって生成された光の検出または不在に関係づける。
【0343】
検出器の出力信号情報は、分析ソフトウェアによって分析する。分析ソフトウェアは、生の出力データを、分析対象の流体系中の分析物を表す化学情報に変換する。この化学情報は、コンピュータ・ソフトウェアで分析する前の生データ、またはこの生データを処理することによって生成された情報とする。
【0344】
本明細書で使用する用語「コンピュータ・システム」は一般に、協力してコンピュータ・プログラムを実行するハードウェアおよびソフトウェア構成要素を表す。コンピュータ・プログラムはソフトウェアまたはハードウェアとして実装することができ、あるいはソフトウェアとハードウェアを組み合わせて実装する。コンピュータ・システムのハードウェアは一般に、プロセッサ、記憶媒体および入出力(I/O)デバイスを含む。本明細書で使用する用語「プロセッサ」は一般に、コンピュータ・システムを動かす基本命令に応答し、かつ基本命令を処理する論理回路を表す。用語「記憶媒体」は、CD−ROM、フロッピー・ディスクなどのインストレーション媒体;DRAM、SRAM、EDO RAM、Rambus RAMなどの揮発性のコンピュータ・システム・メモリ;または光記憶装置、磁気媒体、例えばハード・ディスクなどの不揮発性メモリを含む。本明細書では用語「メモリ」が「記憶媒体」と同じ意味で使用される。記憶媒体は、他のタイプのメモリまたはメモリの組合せを含む。さらに、記憶媒体は、プログラムが実行される第1のコンピュータに位置することができ、またはネットワーク上で第1のコンピュータに接続した第2のコンピュータに位置する。後者の例では、実行するプログラム命令を、第2のコンピュータが第1のコンピュータに供給する。さらに、コンピュータ・システムは、パーソナル・コンピュータ・システム、メインフレーム・コンピュータ・システム、ワークステーション、ネットワーク機器、インターネット機器、パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)、テレビジョン・システムまたは他のデバイスを含む様々な形態をとる。一般に、用語「コンピュータ・システム」は、記憶媒体からの命令を実行するプロセッサを有する任意のデバイスを包含すると幅広く定義する。
【0345】
記憶媒体は、分析物検出デバイス(ADD)によって生成された情報を受信し、記憶し、分析し、送信するための1つまたは複数のソフトウェア・プログラムを記憶する。ソフトウェア・プログラムは、手続きベースの技法、コンポーネント・ベースの技法、および/またはオブジェクト指向の技法などを含む様々な方法で実装する。例えば、ソフトウェア・プログラムは、希望に応じて、ActiveX制御、C++オブジェクト、Java(登録商標)Beans、マイクロソフト・ファウンデーション・クラス(MFC)、あるいは他の技術または方法を使用して実装する。記憶媒体からのコードおよびデータを実行するホストCPUなどの中央処理ユニット(CPU)は、後に説明する方法、流れ図および/またはブロック図に従って1つまたは複数のソフトウェア・プログラムを生成し実行するための手段を含む。
【0346】
コンピュータ・システムのソフトウェアは一般に、Windows(登録商標) NT、Windows 95、Windows 98、Windows ME(全てMicrosoft Corporation)、Mac OSおよびMac OS X Server(Apple Computer,Inc.)、MacNFS(Thursby Software)、PC MACLAN(Miramar Systems)などのオペレーティング・システム、またはVXWorks(Wind River Systems,Inc.)、QNX(QNX Software Systems,Ltd.)などのリアルタイム・オペレーティング・システムを少なくとも1つ含む。上記のオペレーティング・システムは全て、サービスを管理し、コンピュータ・システム上の他のソフトウェア・プログラムにサービスを提供する専門ソフトウェア・プログラムの例である。ソフトウェアはさらに、コンピュータ・システム上で様々なタスクを実行する1つまたは複数のプログラム、およびオペレーティング・システムまたはコンピュータ・システム上の他のプログラムによって使用される様々な形態のデータを含む。ソフトウェアはさらに、オペレーティング・システム(OS)の機能を実行するように動作可能である。データには例えばデータベース、テキスト・ファイルおよび画像ファイルが含まれる。ただしこれらに限定されるわけではない。コンピュータ・システムのソフトウェアは一般に、不揮発性メモリまたはインストレーション媒体に記憶される。コンピュータ・システムで実行するときにはプログラムを揮発性メモリにコピーする。プログラムがデータを必要とするときには、そのデータを揮発性メモリに読み込む。
【0347】
サーバ・プログラムは、実行されたときに、同じまたは別のコンピュータ・システムで実行中の他のコンピュータ・プログラムにサービスを提供するコンピュータ・プログラムと定義する。サーバ・プログラムが実行されているコンピュータ・システムをサーバと呼ぶ。ただしサーバは、いくつかのサーバ・プログラムおよびクライアント・プログラムを含む。クライアント/サーバ・モデルでは、サーバ・プログラムが、同じまたは別のコンピュータ・システムのクライアント・プログラムからのリクエストを待ち、これを履行する。サーバの働きをするコンピュータ・プログラムの例には、Windows NT(Microsoft Corporation)、Mac OS X Server(Apple Computer,Inc.)、MacNFS(Thursby Software)、PC MACLAN(Miramar Systems)などが含まれる。
【0348】
ウェブ・サーバは、様々なウェブ・ブラウザ・ソフトウェア・プログラムによって閲覧可能なウェブ・サイトを維持するコンピュータ・システムである。本明細書で使用する用語「ウェブ・ブラウザ」は、コンピュータ・ネットワーク上でウェブ・サイトにアクセスするように動作可能な任意のソフトウェア・プログラムを指す。
【0349】
イントラネットは、企業内に含まれるネットワークのネットワークである。イントラネットは、相互に連結された多くのローカル・エリア・ネットワーク(LAN)を含むことができ、データ接続を使用して、広域ネットワーク(WAN)内のLANに接続する。イントラネットはさらに、インターネットへの接続を含む。イントラネットは、TCP/IP、HTTPおよび他のインターネット・プロトコルを使用する。
【0350】
エクストラネット、すなわち仮想専用ネットワークは、インターネット・プロトコルおよび公衆電気通信システムを使用して、ビジネス情報またはオペレーションの一部を、供給業者、販売業者、協力会社、顧客または他の企業と安全に共有する専用ネットワークである。エクストラネットは、社外のユーザにまで拡張された自社のイントラネットの部分とみなす。エクストラネットは、セキュリティおよびプライバシーを要求することがある。企業はエクストラネットを使用して、大量のデータを交換し、顧客とだけ製品カタログを共有し、共同開発において他の会社と協力し、ある1つの会社が提供するサービスを他の一群の会社に提供し、協力会社とだけ共通の関心のニュースを共有する。
【0351】
ネットワークに含まれる接続機構には例えば、銅線、光ファイバ、無線伝送、衛星中継、あるいはコンピュータ・システムの通信が可能になるように動作する他の任意のデバイスまたは機構が含まれる。
【0352】
本明細書で使用する用語ADDは、流体サンプル中の1種または数種の特定の分析物または分析物の混合物を検出するように動作する任意のデバイスまたは機器を指す。流体サンプルは例えば、液体、気体、固体、気体中に浮遊した固体、または気体中に浮遊した液体である。具体的にはADDは、本明細書の他の場所で記載したとおり、センサ・アレイ、光および検出器を含む。
【0353】
図64に示すように、ADD102は、流体サンプルを分析し、流体サンプル中の1種または数種の分析物を検出し、この検出プロセスの結果を指示する出力データを生成するように動作する。ADD102は、インターネットなどのコンピュータ・ネットワーク104に接続するように動作する。本明細書で使用するとき、用語「コンピュータ・ネットワーク」は、複数のコンピュータおよび/またはコンピュータ・ネットワークを相互に接続し、それによって、TCP/IP、FTP、HTTP、HTTPSなどの様々なネットワーク通信プロトコルを使用した様々なシステム間の通信向けにこれらのシステム間の接続性を提供する、任意のタイプのイントラネットまたはエクストラネット・ネットワークを指す。ADD102は、ネットワーク104に接続された他のコンピュータ・システムと通信するソフトウェアを実行する。
【0354】
ネットワーク104にはさらに、クライアント・コンピュータ106を接続する。クライアント・システム106は、コンピュータ・システム、ネットワーク機器、インターネット機器、パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)またはその他のシステムとする。クライアント・コンピュータ・システム106は、ADD102と通信し、これによってADD102からクライアント・コンピュータ・システム106へ、およびクライアント・コンピュータ・システム106からADD102への化学データの送信を容易にするソフトウェアを実行する。
【0355】
一実施形態では、ADDが、ネットワーク上で様々な通信プロトコルを介して、1つまたは複数の受信クライアント・コンピュータ・システムに化学データを送信し、受信クライアント・コンピュータから応答を受け取るように動作するソフトウェアを実行する。これらのプロトコルには例えば、TCP/IP、FTP、HTTPおよびHTTPSが含まれる。ただしこれらに限定されるわけではない。先に述べたとおり、化学情報は、セキュリティ目的で暗号化する。
【0356】
図65に示すとおり、ステップ110で、ADD102を使用して、化学サンプルを分析し、1種または数種の特定の分析物または分析物の組合せを検出して、この検出プロセスの結果を含む出力データを生成する。先に述べたとおり、この情報は、2値、英数字、レポートなどを含む様々な形態およびフォーマットをとる。一実施形態では、ADDが、分析物と粒子センサ・アレイの反応によって生み出された光学信号を検出する。この光学信号を、この光学信号を表す出力データに変換する。
【0357】
ステップ112では、この化学情報を、ネットワーク104上で、1つまたは複数のクライアント・コンピュータ・システム106に、本明細書に記載した様々なネットワーク通信プロトコルを使用して送信する。
【0358】
ステップ114では、1つまたは複数のクライアント・コンピュータ・システム106がそれぞれ任意選択で、ADD102に応答を返す。この応答には例えば、追加情報の要求、データ受信の確認、またはADDへの化学情報の送信が含まれる。ただしこれらに限定されるわけではない。
【0359】
ADDのいくつかの実施形態は、光源、センサ・アレイおよび検出器を含む。いくつかの実施形態ではセンサ・アレイが、化学的に感受性のある様々な粒子(本明細書では「粒子」と呼ぶ)を順序付きアレイとして保持する支持部材で形成する。いくつかの実施形態では粒子が、分析物の存在下で検出可能な信号を生成する要素である。分析物に曝露されると粒子は、例えば、光学(例えば吸光度または反射率)信号または蛍光/りん光信号を生成する。粒子の例には官能基化されたポリマー・ビーズが含まれる。ただしこれに限定されるわけではない。粒子は、ポリマー・ビーズに結合させたレセプター分子を含む。いくつかの実施形態では、分析物と相互作用するレセプターが選択される。相互作用は、レセプターと分析物の結合/連結の形態をとる。支持部材は、粒子を支持し、一方で適当な波長の光を通過させる任意の材料から製作する。支持部材は複数の空洞を含む。空洞は、空洞の中に少なくとも1つの粒子が実質的に含まれるように形成する。ビーズを流体サンプルと接触させたときに、サンプル中の1つまたは複数の分析物とレセプター分子の反応によって、検出可能な光学信号が生成するようにする。
【0360】
本発明の代替形態では、図66に示すように、ADD102が、例えばシリアル・データ接続、無線データ・リンク、モデム、フロッピー・ドライブなどの通信リンクによって、ローカル・コンピュータ・システム108に化学データを直接にアップロードするように動作する。クライアント・コンピュータ・システム106と同様に、ローカル・コンピュータ・システム108もコンピュータ・ネットワーク104に接続する。ローカル・コンピュータ・システム108は、クライアント・コンピュータ・システム106に化学情報を送信し、クライアント・コンピュータ・システム106から応答情報を受け取るように実行可能なソフトウェアを有することができ、クライアント・コンピュータ・システム106は、化学情報を受け取り、ローカル・コンピュータ・システム108あるいは1つまたは複数の受信コンピュータ・システム107に応答を送信するように実行可能なソフトウェアを有する。
【0361】
図67に示すとおり、ステップ210で、ADD102を使用して、化学サンプルを分析し、1種または数種の特定の分析物または分析物の組合せを検出して、この検出プロセスの結果を含む出力データを生成する。
【0362】
ステップ212では、例えば先に説明した通信リンクによって、ローカル・コンピュータ・システム108に化学情報をアップロードする。ローカル・コンピュータ・システム108はネットワーク104に接続されており、ネットワーク104上に化学情報を送信するように実行可能なソフトウェア・プログラムを使用する。
【0363】
ステップ214に示すように、この化学情報を、ネットワーク104上で、1つまたは複数のクライアント・コンピュータ・システム106に、ネットワーク通信技術の熟練者によく知られている様々なネットワーク通信プロトコルを使用して送信する。
【0364】
ステップ216では、クライアント・コンピュータ・システム106が任意選択で、ローカル・コンピュータ・システム106または1つまたは複数の受信コンピュータ・システム107に、ネットワーク104上で応答を返す。
【0365】
図68に示すように、ADD102は、通信リンクを用いて直接に、またはコンピュータ・ネットワーク104を経由して遠隔的にサーバ302に接続する。サーバ302は、化学情報を受け取り、これを記憶し、やはりネットワーク104に接続されたクライアント・コンピュータ・システム106がこの化学情報を利用できるようにするように動作する。サーバ302は、様々なサーバのうちの任意のサーバとする。例えばサーバ302を、クライアント・コンピュータ・システム106がブラウザ・ソフトウェアを用いてアクセスできるようにウェブ・サイトを維持するよう動作するウェブ・サーバとする。クライアント・コンピュータ・システム106のユーザは、ブラウザ・ソフトウェアを使用して化学情報を閲覧しかつ/またはサーバ302から化学情報をダウンロードする。他例として、サーバをFTPサーバとする。この場合、クライアント・コンピュータ・システム106のユーザは、FTPソフトウェア・プログラムを使用してサーバ302からクライアント・コンピュータ・システム106へ化学情報を転送する。他例として、サーバ302は、クライアント・コンピュータ・システムのユーザが使用するために確立されたアカウントへのクライアント・コンピュータ・システム106のリモート・ログインを許可する。クライアント・コンピュータ・システム106のユーザは次いで、必要に応じて化学情報を閲覧し、編集し、または転送する。クライアント・コンピュータ・システム106は次いで、任意選択で、サーバ302へ応答を返す。この応答は次いでADDがアクセスする。クライアント・コンピュータ・システム106はさらに、1つまたは複数の追加のクライアント・コンピュータ・システム107に応答情報を送信する。これらの全ての実施形態では、セキュリティ手段を使用して、ユーザの識別、ならびに情報のプライバシーおよび完全性を保護する。このようなセキュリティ手段には例えば、安全ログイン、暗号化、専用通信回線および他のセキュリティ手段が含まれる。
【0366】
図69に示すとおり、ステップ310で、ADD102を使用して、化学サンプルを分析し、1種または数種の特定の分析物または分析物の組合せを検出して、この検出プロセスの結果を含む出力データを生成する。
【0367】
ステップ312では、この化学情報を、通信リンクによって直接に、またはコンピュータ・ネットワーク104を経由してサーバ302にアップロードする。サーバ302にこの化学情報を記憶する。
【0368】
先に説明したとおり、クライアント・コンピュータ・システム106と同様にサーバ302もネットワーク104に接続されている。ステップ314では、クライアント・コンピュータ・システム106がネットワーク104上でサーバ302に接続する。
【0369】
ステップ316に示すように、サーバ302はネットワーク上でクライアント・コンピュータ・システム106に化学情報を、TCP/IP、FTP、HTTP、HTTPSなどの様々なネットワーク通信プロトコルのうちの任意のプロトコルを使用して送信する。
【0370】
ステップ318では、クライアント・コンピュータ・システム106が任意選択で、サーバ302あるいは1つまたは複数の追加のクライアント・コンピュータ・システム107に応答情報を返す。次いで、ADD102はサーバ302にアクセスして、応答情報を検索する。
【0371】
一実施形態では、サーバ302が、ウェブ・サイトを維持するように動作するウェブ・サーバである。クライアント・コンピュータ・システムがウェブ・サーバ120のウェブ・サイトにアクセスすると、ウェブ・サーバ120は、クライアント・システム106上のクライアント・ブラウザに様々なデータおよび情報を提供する。クライアント・ブラウザはおそらく、情報、情報の説明、および/またはそのシステムのユーザに有用な他の情報を表示するグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を含む。
【0372】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のとおり、ADDが電子コントローラを含む。この電子コントローラによって、電子コントローラに結合されたクライアント・コンピュータがADDを操作することが可能になる。クライアント・コンピュータは、ADDの操作に関するユーザ情報を提供するソフトウェアを含む。クライアント・コンピュータは、クライアント・コンピュータのユーザが電子コントローラから、ADDの操作を可能にするコマンドを発行することを可能にする。発行されたコマンドは制御信号に変換される。電子コントローラはこの制御信号を受け取る。電子コントローラは、受け取った制御信号に応答してADDの構成部品を操作する。
【0373】
クライアント・コンピュータはADDに直接に結合する。あるいは、クライアント・コンピュータを、コンピュータ・ネットワークを経由してADDに結合することもできる。この実施形態では、ADDの位置とは異なる位置にオペレータがいる。コンピュータ・ネットワーク上で制御信号を送ることによって、オペレータはADDの動作を遠隔制御する。ADDはさらに、得られた化学情報をコンピュータ・ネットワークを経由してクライアント・コンピュータに送信する。
【0374】
他の実施形態では、以前に説明したとおり、クライアント・コンピュータをサーバを介してADDに結合する。クライアント・コンピュータは情報を受け取りかつ/またはADDに情報を送信する。一実施形態では、ADDが、サーバを経由してクライアント・コンピュータから制御信号を受け取る。したがって、クライアント・コンピュータによってADDの動作を、サーバを介して制御する。以前に論じたとおり、ADDはさらに、サーバを経由してクライアント・コンピュータに化学情報を送信する。
【0375】
一実施形態では、ADDを使用して、遠隔地にいる動物または人の血清中の1種または数種の分析物を検出し、これらを識別する。多数の異なる分析物のうちの任意の分析物の存在を検出するために、ADDは、適当な検出構成部品およびソフトウェアを含む。ADDによって血清サンプルを処理し、得られた結果、すなわち化学情報を、診断センター(例えば家畜病院または診療所)のクライアント・コンピュータ・システムに送信する。そこで、医療専門家が化学情報を受け取り、それを解釈して、検出された分析物の考えられる原因および/または源を診断する。医療専門家はこの情報を使用して、患者の医学的状態を診断する。診断された医学的状態に基づいて、医療専門家はさらに、その医学的状態を治療するための薬物を処方する。この情報を、コンピュータ・ネットワークまたはサーバを介してADDへ送信する。この情報をさらに、コンピュータ・ネットワークまたはサーバを使用してリンクされた他のクライアント・コンピュータ・システムに送信することもできる。例えば、医療専門家は、ADDおよび薬局のクライアント・コンピュータ・システムに処方を送信することができ、薬局ではその処方に従って調剤する。
【0376】
本発明の一実施形態の使用の他の例では、ADD102を使用して、水源、例えば遠く離れた湖または川の汚染物質を検出する。ADD102は水サンプルを処理し、その結果得られた検出情報を、環境モニタリング・ステーションにあるウェブ・サーバ302に送信する。汚染情報は、検出された化学物質の識別と濃度の両方を含む。そこでは、この情報を、汚染情報がその上に重ね合わされた区域の水路図を更新するソフトウェア・プログラムに入力する。更新された水路図は、利害関係者が使用するためにウェブ・サイト上に表示する。
【0377】
他の実施形態では、本発明を使用して、薬物の代謝産物を在宅で追跡する。ADD102による血液および尿成分の検出および測定を使用して、投薬後の様々な薬物成分の出現および消失を追跡する。ADD102のユーザは、健康管理者が使用しているクライアント・コンピュータ・システム106に検査結果をアップロードする。このアップロードは、ローカル・コンピュータ・システムに情報を転送し、次いでネットワーク104上で健康管理者のクライアント・コンピュータ・システム106に送信するか、または、(例えば、PDAまたは他のハンドヘルド・コンピューティング・デバイスで使用されているもとの同様の内部モデムを介して)ネットワーク104上でADD102からクライアント・システム106へ直接に送信することによって実施する。検査の結果は、人間またはソフトウェアが検討することができ、現在の投薬プロトコルを継続することを推奨し、または所望の代謝産物プロファイルを達成するために投薬を変更することを推奨する。次いでその推奨を、ADDの通信能力に応じてローカル・コンピュータ・システムを経由して、または直接にADD102のユーザに送信する。この方法によって、危険な過剰投薬を回避し、有効な治療を達成するのに必要な用量を正確に決定する。これは、人種、性別、年齢の違い、および他剤の投薬によらず集団の大部分の人または全ての人が全く同じ治療を受ける現行の方法に革命的な変化をもたらす。複数の研究によれば、このような様々な患者サブグループ内で、有効な用量レベルおよび有毒な用量レベルはかなり異なる。代謝産物の分析および評価を頻繁に実施できる単純かつ高速な手段を提供することによって、ADDの検出結果のネットワーク・アップローディング、およびそれに続く推奨の可能なダウンローディングは基本的に、患者を治療する新しい道を開く。
【0378】
他の実施形態によれば、この方法およびシステムを、患者による在宅血液成分分析に使用する。薬物代謝産物の追跡と同様に、自然の血液成分(例えばグルコース、インスリン、コレステロール(LDL/HDL)、トリグリセリド、前立腺特異抗原および健康状態の他の指標)の分析結果を、健康管理者のクライアント・コンピュータ・システム106にアップロードする。次いで検査結果の検討を診断に使用することができ、または、少なくとも、可能な病理の早期警戒スクリーニングに使用する。次いで、推奨される処置(例えば薬物の使用または受診予約)を、患者のADD102またはローカル・コンピュータ・システム106に送信し、あるいは患者に電話で伝える。この場合もやはり、単純、迅速かつ頻繁な測定が可能なことによって、ある種の危険群(例えば糖尿病)の患者にセーフガードを提供する。これが不可能な場合、このような患者は、検査室を頻繁に訪れる必要があり、または最小限、在宅検査の結果を電話で伝え/電子メールで送らなければならない。こうした方法は、ADDによる分析、化学情報の自動アップロードに比べてはるかに信頼性に劣る。
【0379】
本発明の他の実施形態は、環境条件の現地試験に関する。本発明の一実施形態を使用して、天然の化学物質、産業廃棄物および生物/化学兵器の存在を含む環境条件の自動センシングが可能である。無線送信を介した検査結果のアップロードは、リモート・センシング機能を提供し、人間または中央コンピュータの指示による処置を介した応答機能を提供する。次いで、センシング場所または戦略的な他の応答位置に、指示応答をダウンロードする。このようなシステムは例えば、公共水道中の毒素の存在の判定、および集中管理の下でのそれに続く給水池からの水流の停止に有用である。
【0380】
一実施形態では、遠隔地からデータを収集し、他の場所の第三者にそのデータを送信する。サンプルは、検査デバイスの一部として含める、複数の分析物センサを有する取替え可能なセンサ・カートリッジに入れる。サンプルは被検者(例えば患者)から採取し、オペレータが取替え可能なセンサ・カートリッジに入れる。複数の分析物センサからのサンプルに関するデータを、中央データ・サービスに送信する。中央データ・サービスでは、中央データ・サービスを使用して、この電子データに関する1つまたは複数の検査を実行する。検査を実行した後、電子メッセージを、中央データ・サービスから遠く離れた第三者に送信する。この情報は、先の1つまたは複数の検査の結果を含む。いくつかの実施形態では、第三者が検査を選択する。検査結果を受け取った後、この第三者は、適当な応答(例えば医療診断の場合には治療)を選択する。
【0381】
センサ・アレイ・システムを遠隔診断スクリーニングに使用することもできる。一実施形態では、医師が診察の間に患者に治療法を指示する。医師はさらに、患者に対する治療の量を監視したいかもしれない。一実施形態では、遠隔分析物検査デバイスに患者がサンプルを提供する。分析物検査デバイスによって生成された結果は、中央データ・サービス・センターに送信される。中央データ・サービス・センターはデータの分析を実行し、現在の治療を変更し、継続しまたは終えることを患者に推奨する。治療は、投薬または医学的手技の適用の形態をとる。投薬治療では、中央データ・センターがさらに他の投薬が存在するかどうかを記録する。存在する場合、中央データ・サービス・センターは、可能な有害な薬物相互作用を患者および/または医師に知らせる。このようにしてアレルギー反応を検出し報告することもできる。
【0382】
センサ・アレイ・システムを使用して診察を予約する。患者サンプルから収集されたデータは、センサ・アレイ・システムから中央データ・サービスに送られる。中央データ・サービスはこの電子検査データを分析する。検査結果は医師に送信される。医師は、検査結果を検討して、その患者の診察の予約を入れる。受診が必要なことを、中央データ・サービスを介して被検者に通知する。あるいは、受診は不要だが、治療は変更したほうがよいと医師が判断するかもしれない。医師は、直接または(中央データ・サービスを介して)間接に、治療法の変更を患者に知らせる。
【0383】
診断のためのセンサ・アレイ・システムの使用
健康管理産業の最大の市場の1つが診断市場である。全世界の診断製品の市場規模は年間で約200億ドルである。管理された現在の健康管理環境がこの市場の多くを駆りたてている。健康管理コストの低減には診断が重要なことから、早期かつより安価な診断の必要性が生じた。一般に、早期の正確な診断は、早期の予後、不必要な検査の減少、および大幅に低い保健医療費を可能にする。このことは特に、動物管理に対して当てはまる。動物の診断は、使用されている検査のタイプのために、あまり正確でない傾向がある。動物の詳細な診断検査を実行する代わりに、多くの動物管理員は、動物が罹っているかもしれない潜在的な様々な病気に対する複数の薬物を含む予防的な混合物を調合する傾向がある。これらの混合物は高価であり、抗生物質の場合には、抗生物質抵抗性の病原体を活性化させる可能性がある。
【0384】
以前に説明したセンサ・アレイ・システムを、動物およびヒトに対する多種多様な診断検査に使用する。以前に説明したとおり、センサ・アレイは、様々なタイプの分析物に対して化学的に感受性のある様々な粒子を含む。一実施形態では、粒子がポリマー・ビーズからなる。ポリマー・ビーズには、少なくとも1つのレセプターを付着させる。レセプターは、関心の分析物と結合する能力に基づいて選択する。
【0385】
センサ・アレイは、様々な体液と共に使用するように適合させる。診断検査に対して最も一般的に使用される体液は血液および尿である。唾液、汗、粘液、精液および乳汁などの他の体液もセンサ・アレイを使用して分析する。大部分の体液の分析では一般に、分析の前に材料の濾過が必要である。例えば、細胞物質およびタンパク質を体液から除去する必要があることがある。以前に説明したとおり、センサ・アレイ・プラットホームにフィルタを組み込むと、血液サンプルに対してセンサ・アレイを使用するようになる。これらのフィルタは、他の体液、特に尿に対しても同様の方法で機能する。あるいは、センサ・アレイ・システムのサンプル入口にフィルタを取り付けて、センサ・アレイにサンプルを導入するときに濾過が実施されるようにすることもできる。
【0386】
一実施形態では、免疫検定診断ツールとして使用するためにセンサ・アレイをカスタマイズする。免疫検定では、抗体または抗原の使用に依存して関心の成分を検出する。抗体は本来、異物(一般に「抗原」として知られる)に応答した免疫細胞によって生み出される。抗原に応答した免疫細胞によって生み出された抗体は一般に、この応答を引き出した抗原にしか結合しない。この抗体を収集し、生物に導入された抗原に対して特異性を有するレセプターとして使用する。
【0387】
多くの一般的な診断用検査では、抗体を使用して抗原特異応答を生み出す。抗体は一般に、動物(例えばマウス、ニワトリ、ウサギまたはヤギ)に抗原を注入し、その動物がその抗原に対する免疫応答を引き起こすようにすることによって生み出される。動物が、その抗原に対する抗体を生成し始めれば、その動物の体液、一般に動物の血液(血清または血漿)、またはその動物の乳汁から抗体を取り出す。動物で抗原に対する免疫応答を起こさせる技法は周知である。
【0388】
動物から取り出した後、抗体をポリマー・ビーズに結合させる。抗体は、その動物に導入された抗原のレセプターとして機能する。このようにして、化学的に特異的な様々なレセプターを生み出し、それを、化学的に感受性のある粒子の形成に使用する。粒子に結合させた後、いくつかの周知の技法を使用して、流体サンプル中の抗原の存在を判定する。この技法には、放射免疫測定法(RIA)、および酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)などの酵素免疫検定法が含まれる。ELISA検査プロトコルは、ポリマー・ビーズなどの固体支持体の使用に特に適している。ELISA検査は一般に、固体支持体への抗体の吸着を含む。抗原を導入し、抗体と相互作用させる。相互作用が完了した後、抗原が存在する場合に光学的に検出可能な信号を生み出す発色信号生成プロセスを実行する。あるいは、抗原を固体支持体に結合させることもでき、この場合には、抗体が存在する場合に信号が生成される。免疫検定技法は以前に記載されており、以下の米国特許にも記載されている:米国特許第3,843,696号、第3,876,504号、第3,709,868号、第3,856,469号、第4,567,149号。これらは全て参照によって組み込まれる。
【0389】
一実施形態では、免疫検定センサ・アレイを動物の細菌感染の診断に使用する。多くの動物が、動物管理者が監視せず、特定的に診断しない様々な細菌、ウイルス、寄生虫および/または菌性の病気に罹る。細菌性感染症は異なるいくつかの健康問題を引き起こす傾向があり、そのうちのいくつかは動物から生産される製品の質に影響するので、細菌性感染症は特に厄介である。動物の管理者は、このような問題をできるだけ迅速に診断し治療することが望ましい。動物の検査、特にニワトリ、ウシなどの動物の検査は、集団または群れの中に多数の個体がいるため難しい。動物検査用の診断ツールは使いやすく、正確で、迅速、かつ安価でなければならない。このようなツールは、動物、特に大きな動物集団の健康管理をより良好なものにするであろう。
【0390】
例えば、乳腺炎は、ウシの乳腺で起こる一般的な細菌性感染症である。乳腺炎を引き起こす細菌がウシに存在すると、そのウシが生産した乳汁が販売に適さなくなる可能性がある。細菌が検出された場合、その治療には混合抗生物質の使用が含まれ、これによっても乳汁は数日間、使用不能になる。特に感染が群れの他のウシにまで広がった場合、これは、ウシの所有者にとって莫大な財政的損失になる。
【0391】
現行の乳腺炎の検出は、バルク・タンクの体細胞数の毎日の観察を含む。バルク・タンクは、群れの多くの異なるウシから集められたバルク乳汁を代表する。体細胞数は、そのウシの乳汁中に存在する炎症性血球の目安であり、したがって、ウシの乳腺に影響を及ぼした可能性のある炎症プロセスの目安である。体細胞数は、群れおよび個々のウシの潜在的な問題をスクリーニングする方法となりうるが、乳腺炎の最終的な診断のためには確認検査が必要である。確認検査は一般に、乳汁を培養し、乳腺炎を引き起こす特定の細菌株がないかどうか乳汁を分析することを含む。このプロセスは完了までに1日から2日かかる。その間に、搾乳機の共同使用によって、群れの中で感染が広がる可能性がある。
【0392】
本明細書に記載のセンサ・アレイ・システムを使用して、ウシの乳汁サンプルを検査するこの診断方法を改良する。一実施形態では、乳腺炎を引き起こす細菌に対して特異的な抗体をレセプターに結合させる。乳腺炎検出のための免疫検定法は、参照によって組み込まれる米国特許第5,168,044号に記載されている。以前に説明した検査プロトコルを使用し、センサ・アレイ・システムを使用して、ウシの体液中の乳腺炎を引き起こす細菌の存在を検出する。免疫検定法は一般により短時間で済み(例えば、数日ではなく数時間で完了する)、群れの個々の個体のサンプリングを迅速にする。免疫検定法は一般に、偽陽性の結果を与える傾向がある細胞培養法よりもはるかに正確である。
【0393】
センサ・アレイ・システムを使用する他の利点は、複数の細菌株を同時に分析できることである。ウシの乳汁および他の体液には、その動物の健康問題を潜在的に引き起こす可能性がある他の細菌が含まれる可能性がある。例えば、流体サンプル中には、ブドウ球菌、連鎖球菌などの様々なグラム陽性菌、および大腸菌型細菌(例えばE.coli)、Proteus、Psuedomonasなどのグラム陰性菌も存在する可能性がある。一般に、乳腺炎検査はこれらの細菌を無視し、または、場合によっては、これらの細菌の存在を乳腺炎の原因菌の存在と混同する可能性がある。一実施形態では、センサ・アレイが複数の粒子を含むことができ、それぞれの粒子が特定の細菌株に特異的なレセプターを含む。1回の検査で、動物に存在する全ての細菌を検出する。このことは、動物に対する適当な治療法を決定するのに特に重要である。動物サンプル中に存在する細菌株を識別することによって、治療のための適当な抗生物質を選択する。これは、抗生物質の不必要な使用による抗生物質抵抗性病原体の増殖を回避するのに役立つ。
【0394】
ウシの乳腺炎検出の詳細を説明してきたが、体液中の細菌を検出する以上に説明した方法は、動物および/またはヒトに見られる異なる様々な細菌に適用できることを理解されたい。この場合、センサ・アレイには、その検査方法に使用する抗体(または抗原)のタイプに関する変更のみが必要である。
【0395】
さらに、免疫検定法を使用して、土壌および穀粒サンプル中の細菌を検出することもできる。土壌および穀粒の場合には、分析の前に、適当な溶媒を用いてこれらの媒質の抽出を実施する必要がある場合がある。例えば、穀粒サンプルを水に浸し、溶解しなかった物質をろ別してから、残った水を分析する。次いで、先に説明した流体サンプルに対する任意の方法を使用してこの水の分析を実施し、穀粒(または土壌)中の細菌の存在を判定する。
【0396】
一実施形態では、センサ・アレイを使用して、結核の原因因子であるMycobacterium tuberculosisを検出する。Mycobacterium tuberculosisを検出するための免疫検定法は、参照によって組み込まれる米国特許第5,631,130号に記載されている。
【0397】
多くの動物が様々な寄生虫病に罹る。寄生虫病はヒトでもたまに発生する。例えば、イヌに見られる最も一般的な寄生虫病の1つがイヌ糸状虫症である。イヌ糸状虫症は寄生虫D.immitisによって引き起こされる。イヌにこの寄生虫がいることを早期に検出することが重要である。早期に把握できた場合、この寄生虫は、心臓に対する永続性の損傷が引き起こされる前に薬物を使用して治療する。イヌ糸状虫症感染の検出にはいくつかの検査を使用する。センサ・アレイ・システムに最も適用可能な検査は免疫検定法に基づく。間接蛍光抗体検査として知られている1つの検査は、イヌ糸状虫ミクロフィラリアに対してイヌが産生する抗体に特異的である。他の検査は、ELISAベースのスクリーニングを利用して、循環蠕虫抗原を検出する。これらの免疫検定検査はともに、イヌ糸状虫症の検出に対して高い特異性を有する。
【0398】
以前に説明したセンサ・アレイを、これらの周知の技法のいずれかを使用してイヌ糸状虫症を検出するように適合させる。さらに、原生動物感染を含む他のタイプの寄生虫感染に対するレセプターを含む追加の粒子を使用することによって、他の寄生虫感染を同時に分析する。あるいは、寄生虫または細菌に対して特異的な粒子の混合物を、単一のセンサ・アレイ・ユニットに組み込む。細菌および寄生虫に関する分析物は同じ体液(例えば血液)中で見つかる傾向があるので、このようなセンサ・アレイの使用は、動物(またはヒト)の潜在的な細菌および寄生虫病の診断を同時に検出することを可能にする。以上の検査はイヌに関して説明したが、この検査方法は他の動物およびヒトにも適用可能であることを理解されたい。
【0399】
ヒトおよび動物の病気の他の原因はウイルス感染である。例えば、最近までネコの最も一般的な死病であったネコ白血病はウイルス感染症である。この病気は主として、ネコがネコ白血病ウイルス(FeLV)に曝露されることによって引き起こされる。ネコ白血病ウイルスは免疫検定法を使用して検出する。FeLVの存在の判定には主要な3つの検査が使用されている。血液ELISA検査が最も正確であり、あらゆる感染期のFeLVの存在を検出する。FeLV抗原を、FeLVに結合するレセプターとして使用する。これよりも古い1つの検査は、FeLVに対して産生される抗体の間接蛍光抗体(IFA)検査に基づく。第3の検査は涙/唾液ELISA検査である。IFAおよび涙/唾液ELISA検査はこの病気の後期に限って正確である。先に説明したとおり、適当な抗体または抗原を粒子に付着させると、センサ・アレイ・システムを使用してこれらの検査方法を実行できるようになる。
【0400】
HIVウイルスおよびC型肝炎ウイルス(トガウイルスおよびカリシウイルス)は、ヒトの検査で見つかるウイルスの例である。これらのウイルスは一般に、ELISA検査法を使用して検出される。HIVまたはC型肝炎ウイルスのELISA検査法では、検査対象者の体液中の抗体を探す。これらの検査で最も一般的に分析される体液は血液および唾液である。適当な抗原を粒子に付着させることによって、これらの検査方法をセンサ・アレイ・システムを使用して実施できるようになる。
【0401】
ヒトのウイルスの検出にセンサ・アレイを使用する利点は、他の多くの病原体を同時に分析できることである。例えば、適当な抗体または抗原を有する複数の粒子を使用することによって、他のウイルス(例えばA型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス8、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルスなど)によるウイルス感染症、および他の病原体(例えばPneumocystis carinii、Toxoplasma gondii、Mycobacterium avium、Mycobacterium intracellulare、Treponema pallidumを、HIVおよび/またはC型肝炎ウイルスと同時に検出する。Pneumocystis carinii、Toxoplasma gondii、Mycobacterium avium、Mycobacterium intracellulare、サイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8および水痘帯状疱疹ウイルスは、免疫無防備状態の患者に感染する生物である。Treponema pallidumは梅毒を引き起こす細菌である。Pneumocystis cariniiを検出するための免疫検定法は、参照によって組み込まれる米国特許第4,925,800号に記載されている。Toxoplasma gondii、サイトメガロウイルス、単純疱疹ウイルスおよびTreponema pallidumを検出するための免疫検定法は、参照によって組み込まれる米国特許第4,294,817号に記載されている。Toxoplasma gondiiを検出するための免疫検定法は、参照によって組み込まれる米国特許第5,965,590号にも記載されている。B型肝炎ウイルスを検出するための免疫検定法はB型肝炎表面抗原をレセプターとして使用する。
【0402】
センサ・アレイ・システムを使用すると、寄生虫、ウイルスおよび細菌の感染をほぼ同時に分析することを理解されたい。センサ・アレイ・システムは、これらのそれぞれの検査の視覚化のために必要な全ての必要な試薬およびインジケーターを含む。さらに、これらの試薬が区画に分けられるようにセンサ・アレイを形成する。このようにすると、ウイルス検査に必要な試薬を、細菌検査に使用される試薬から分離する。このセンサ・アレイは、動物またはヒトの体液の完全な病原体分析を1回の検査で提供する。
【0403】
センサ・アレイ・システムを使用して穀粒中の菌類の存在を検出することもできる。抽出技法を使用して穀粒中の菌類を取り出す。このサンプルを、様々な菌類の存在に対して感受性の粒子を含むセンサ・アレイ・システムを用いて分析する。このようにして、穀粒サンプル中に存在する菌類を監視する。
【0404】
ヒトおよび動物の体内の様々な有機分子の検出に診断用検査が使用されている。これらの分子は、免疫検定技法、酵素結合技法および合成レセプターを含む様々な検査方法によって検出する。ただし、使用できる検査方法はこれらに限定されるわけではない。
【0405】
ヒトの血液中のグルコース濃度は一般に、糖尿病患者に対して測定される。患者によっては、日に6回以上、血中グルコース濃度を測定することもある。現在使用可能な在宅検査は主に、血液検査に依存してグルコース濃度を決定している。グルコース濃度は一般に、グルコースの酵素分解によって決定される。血液中のグルコース濃度を決定するためのいくつかの方法が、参照によって組み込まれる米国特許第3,964,974号および第5,563,042号に記載されている。
【0406】
コレステロールも、頻繁に監視される一般的な血液成分である。グルコースと同様に、酵素ベースの検査方法の使用に依存して血中コレステロール量を決定するいくつかの在宅検査キットがすでに開発されている。血液中のコレステロールを決定するための方法が、参照によって組み込まれる米国特許第4,378,429号に記載されている。
【0407】
血液中のトリグリセリド濃度も一般的に検査されている。これは血中トリグリセリド濃度が肥満、糖尿病および心臓病の指標であるからである。体液中のトリグリセリドを評価するためのシステムが、参照によって組み込まれる米国特許第4,245,041号に記載されている。
【0408】
ホモシステイン濃度が、心臓血管疾患ならびに他の様々な病気および障害の重要な指標となることがある。体液中のホモシステイン濃度を測定するための様々な検査がすでに構築されている。血液、血漿および尿中のホモシステイン濃度を決定するための方法が、参照によって組み込まれる米国特許第6,063,581号に記載されている。
【0409】
センサ・アレイ・システムを使用して、コレステロール、トリグリセリド、ホモシステインおよびグルコースの検査を同時に実施する。コレステロール、トリグリセリド、ホモシステインまたはグルコースに感受性の粒子をセンサ・アレイの中に配置する。したがって、アレイの上に流した血清のグルコース、トリグリセリドおよびコレステロールを分析する。グルコース、トリグリセリド、ホモシステインおよび/またはコレステロール検査の重要な特徴は、検査によって、人の血液中のこれらの化合物の濃度を明らかにすることである。これは、センサ・アレイを使用し、コレステロール、トリグリセリドまたはグルコースに対する粒子の反応を較正することによって達成する。信号の強度を濃度に直接に相関させる。他の実施形態では、複数の粒子を使用して、例えばグルコースを検出する。それぞれの粒子は、特定の量のグルコースが存在するときに信号を生成する。存在するグルコースの濃度が所定の濃度よりも低い場合には、粒子は検出可能な信号を生成しない。どの粒子が信号を生成し、どの粒子が信号を生成しないかを視覚的に観察することによって、グルコースの濃度を半定量的に決定する。コレステロール、トリグリセリド、ホモシステインまたはこれらの任意の組合せ(例えばグルコース/コレステロール/トリグリセリド/ホモシステイン、コレステロール/トリグリセリド、グルコース/トリグリセリド、グルコース/コレステロールなど)に対しても同様の方法を使用する。
【0410】
センサ・アレイ・システムの他の使用法がホルモン検査である。現在使用されている最も一般的なタイプのホルモン検査は、受胎能検査デバイス(例えば妊娠検査および排卵検査)である。これらの検査はともに一般に免疫検定または酵素検定法に依存する。受胎能監視のためのプロゲステロン、ホルモン治療のためのエストロゲンなど、他のホルモンも監視する。特定のホルモンまたは複数のホルモンに対するホルモン検査では、センサ・アレイを、グルコース/コレステロール検査に関して説明した方法と同様の方法で使用する。
【0411】
センサ・アレイ・システムの他の実用的な使用法は治療薬物の監視である。治療薬物監視は、薬物の血清濃度を測定すること、およびこの血清濃度を血清治療範囲内に調整することからなる。血清治療範囲は、有効であり、かつ大部分の人に毒作用が生じないことが示されている薬物の濃度範囲である。治療薬物監視は一般に、患者の血清または血漿の分析に依存する。治療薬物監視は一般に、以前に説明したものと同様の免疫検定法の使用に依存する。
【0412】
患者が2種類以上の薬物を使用しているときには、薬物血清濃度の監視にまつわる一般的な問題が生じる可能性がある。いくつかの事例、特に薬物が似た化学構造を有する場合には、これらの薬物が免疫検定で陽性の結果を生み出す可能性がある。いくつかの事例では、特定の干渉を防ぐためにレセプター(抗体または抗原)が変更される。しかし、センサ・アレイの使用によってこの問題を回避する。センサ・アレイは異なる様々な粒子を含むので、それぞれの粒子を特定の薬物に合わせてカスタマイズする。患者の血清中に複数の薬物が存在する場合には、どの粒子が活性化されているのかを観察することによって、薬物の存在を決定する。たとえ一部の粒子が2種類以上の薬物に対して反応性であったとしても、他のレセプターを特定の薬物に対してより細かく調整する。粒子と薬物の間の反応のパターンおよび強度を使用して、患者の体内に存在する薬物を正確に評価する。
【0413】
治療監視の1つの分野は鎮痙薬の監視を含む。鎮痙薬は通常、免疫検定法によって測定される。監視を必要とする一般的な鎮痙薬には、フェニトイン(Dilantin(登録商標))、カルバマゼピン(Tegretol(登録商標))、バルプロ酸(Depakene(登録商標))、プリミドン(Mysoline(登録商標))およびフェノバルビタールが含まれる。プリミドンは代謝されるとフェノバルビタールになるので、患者がプリミドンを服用しているときには両方の薬物を測定しなければならない。
【0414】
センサ・アレイを使用する他の治療薬物監視はジゴキシンの監視である。ジゴキシンは、心臓の動きを遅くし、ポンプ作用をより効果的にするのを助ける薬剤である。異なるジゴキシン経口製剤のバイオアべイラビリティは、患者ごとに大きく異なる傾向がある。ジゴキシンの測定は免疫検定法を使用して実施する。しかし、ジゴキシンに対するいくつかの免疫検定法は、ジゴキシン様免疫反応性因子、すなわちDLIFとして知られているホルモン様物質との交差反応性を有する。ジゴキシンと別の強心配糖体であるジギトキシンとの間の区別には注意を払わなければばならない。ジゴキシン検定のジギトキシンとの交差反応性は一般に低いが、ジギトキシンの血清中の治療濃度がジゴキシンのそれの10倍にのぼることがある。その一部がDLIFまたはジギトキシンに対してより感受性である様々な粒子を含むセンサ・アレイ・システムの使用は、患者のジゴキシン濃度のより正確な評価を可能にする。
【0415】
テオフィリンは、人によってその動態が大きく異なる気管支拡張薬である。最大治療効力を保証し毒性を防ぐため、血清濃度は、定常状態濃度に達した後に監視しなければならない。この薬物の監視に最も一般的に使用されている方法は免疫検定法である。
【0416】
双極性抑うつ障害の治療にはリチウム化合物が使用される。血清リチウム濃度は、イオン選択性電極技術によって測定される。イオン選択性電極は、関心のイオンは通すが、他のイオンは通さない膜を有する。リチウム電極は、リチウム濃度に応答するが、カリウムなど他の小カチオンには応答しない。イオン選択性電極技術を使用してリチウムを測定するいくつかの小型分析器が使用可能である。以前に説明したリチウム・イオン濃度に感受性の粒子を使用することによって、リチウム・イオン電極を使用せずに、リチウム・イオン測定を実施する。リチウム・イオンだけにしか使用できない電極ベースのシステムとは違い、このようなシステムでは、血清中の複数のイオンを分析する。
【0417】
三環系抗うつ薬には、イミプラミンおよび薬理学的に活性なその代謝産物であるデシプラミン;アミトリプチリンおよびその代謝産物ノルトリプチリン;ドキセピンおよびその代謝産物ノルドキセピンが含まれる。これらの親薬物および代謝産物はともに医薬品として入手可能である。これらの薬物は主に双極性抑うつ障害の治療に使用されている。イミプラミンは、子供の遺尿症、およびメチルフェニデートに治療抵抗性の重症注意力欠陥過活動性障害の治療に使用することもできる。潜在的な心臓毒性がこれらの薬物を測定する主な理由である。免疫検定法を、イミプラミンおよび他の三環系抗うつ薬の測定に使用する。薬理学的に活性な代謝産物を有する三環系抗うつ薬を測定するときには、親薬物とその代謝産物の両方を測定することが重要である。センサ・アレイ・システムはこのタイプの分析によく適している。親薬物に対するレセプターと代謝産物に対するレセプターとの混合物を単一のセンサ・アレイに組み込む。さらに、センサ・アレイ・システムを使用して、1回の検査で、様々な三環系抗うつ薬を検出し、そのうちの任意の抗うつ薬を検査する。
【0418】
症状を区別するのを助け、または、医療手技を受ける前に患者がサブスタンス・フリー(substance−free)であることを保証するために、患者の尿中の乱用薬物のスクリーニングが必要である場合がある。薬物乱用経験のある妊婦の薬物スクリーニングは、教育手段として有効であり、新生児の治療の指針になる。さらに、一部の雇用者は、雇用中または雇用前健康診断の一部として薬物スクリーニングを義務づけている。法執行官、輸送従事者など、いくつかの職業に就いている人は、そのほとんどが、定期、任意および事後の薬物スクリーニングを受けなければならない。化学センサ・アレイを使用して、様々な乱用薬物を迅速かつ容易に検出する。一般に、それぞれのクラスの薬物を検査するためには、様々な異なる検査を使用しなければならない。単一のセンサ・アレイに複数の粒子を組み込むことによって、最も一般的に使用されている乱用薬物の一部または全部を、1回のステップで判定する。
【0419】
乱用薬物の尿スクリーニング検査では、アンフェタミン、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、アヘン剤など、一般的な化合物クラスを検出する。薬物スクリーニングにはさらに、コカイン、マリファナおよびフェンシクリジン(PCP)検査が含まれる。コカインのスクリーニング検査は、コカインの主な代謝産物であるベンゾイルエクゴニンを検出する。マリファナ検査は、マリファナ煙の主な生成物であるD−9−テトラヒドロカンナビノールを検出する。このスクリーニング検査の1つの問題は、事例によって、不法薬物と、それと同じクラスの処方箋化合物または店頭販売化合物とを区別できない場合があることである。コデインを服用している患者およびヘロインを服用している患者はともに、アヘン剤のスクリーニング検査で陽性となるだろう。店頭で売られているいくつかの薬剤が原因で、不法薬物や処方箋調剤を一切服用していない患者が、薬物スクリーニングで陽性となる可能性がある。例えば、店頭で売られているプソイドエフェドリン、フェニルプロパノールアミンなどの交感神経作用アミンによって、アンフェタミン・スクリーニングの結果が偽陽性になる可能性がある。ケシの実には天然のアヘン剤が含まれるので、ケシの実を含む食品を食べると、アヘン剤の尿スクリーニング検査の結果が陽性になる可能性がある。しかし、異なる代謝分解産物が存在するので、ケシの実の摂取に起因する陽性アヘン剤検査とヘロインまたは他のアヘン剤に起因する陽性アヘン剤検査とは確認検査によって区別される。モノアセチルモルフィン(別名6−モノアセチルモルフィンないし6−MAM)はヘロインの代謝産物である。この代謝産物の存在はヘロイン摂取の決定的な証拠となる。
【0420】
これらの偽陽性結果の問題の大部分は、センサ・アレイの使用によって回避する。センサ・アレイは、それぞれが特定の薬物に対して特異性を有する様々な粒子を含む。一部の粒子を特に、乱用薬物、例えばアンフェタミンと相互作用するように設計する。別の粒子を、店頭で売られているプソイドエフェドリンなどの薬物と相互作用するように設計する。様々な粒子の使用によって、パターン認識システムの使用を通して、より正確な分析またはより複雑な分析を実施する。多くの薬物が1種または数種の粒子と反応するとしても、センサ・アレイ中の粒子によって生成される信号のパターンおよび強度を使用して、患者の体内に存在する薬物の識別を決定する。乱用薬物の尿スクリーニングに最も一般的に使用される検査方法は免疫検定法である。免疫検定法が組み込まれ、従来の検査室以外で使用するように設計されたいくつかの単一使用デバイスが現在使用可能である。
【0421】
高血糖症は、偽影響、特にカフェイン、コルチコステロイド、インドメタシン、経口避妊薬、リチウム、フェニトイン、フロセミド、チアジドなどを含む薬物の影響を排除した後でないと診断することができない。したがって、センサ・アレイを使用し、偽陽性の原因となる可能性がある薬物の存在を判定することによって、高血糖症の診断を迅速化する。
【0422】
他の実施形態では、センサ・アレイを使用して、人または動物の系内の毒素の存在を評価する。一般に、毒素は、健康に有害であると考えられる摂取可能な任意の物質である。動物では、毒素の例として、鉛、有機リン酸塩、塩素化炭化水素、石油留分、アルカロイド(多くのタイプの有毒植物に存在する)、エチレングリコールなどが含まれる。人は、これらの様々な化合物を、いくつかの異なるタイプの市販薬、処方箋調剤または不法薬物と共に摂取する可能性がある。多くの場合、動物でもヒトでも、患者は、毒物の存在を指示する症状を示すが、その人が摂取した特定の毒物を診断することは難しい。動物または子供の場合には、動物/子供が何を食べたのかを所有者または保護者が知らない場合があるので、この診断は特に難しい。人については、中毒が重篤である場合には意識を失い、中毒の原因を医師に告げることができない場合がある。
【0423】
センサ・アレイの使用は、医療専門家が、患者の体内に存在する毒素のタイプを正確かつ迅速に評価することを可能にする。単一のセンサ・アレイが多種多様な毒素に反応する粒子を保持する。患者の体液(例えば血液)サンプルの1回の分析によって、医療専門家は、毒物の識別を決定する。毒物が識別されさえすれば、適当な治療を使用して患者を助ける。
【0424】
センサ・アレイを土壌の検査に使用することもできる。穀粒の検査と同様に、土壌サンプルの検査では、適当な溶媒による土壌サンプルの抽出が必要となる場合がある。金属および別の無機塩の抽出に関しては、使用する溶媒を水または薄い酸性水溶液とする。土壌サンプル中に存在する有機化合物を抽出するために、有機溶媒を用いて土壌を抽出することもある。抽出された物質を含む溶液をセンサ・アレイを使用して分析する。センサ・アレイは、塗料、鉛、リン酸塩、殺虫剤、石油製品、産業降下物、重合金などの様々な土壌汚染物質に特異性を有する粒子を含む。センサ・アレイを使用することによって、土壌サンプル中の1種または数種のこれらの物質を同時に分析する。
【0425】
実施例
下表は、本明細書に記載のセンサ・アレイ・システムを使用して検出された分析物の例である。レセプター/酵素の欄には、対応する分析物に対して使用するレセプターの例が記載されている。これらのレセプターは、本明細書に記載の方法を使用してポリマー樹脂に共有結合させる。
【0426】
【表2】
【0427】
核酸の識別方法
一実施形態では、化学センサ・アレイを核酸配列の決定に使用する。一般に、レセプターをポリマー・ビーズに付着させて粒子を形成する。レセプターに、所定の核酸配列に対する特異性を持たせる。レセプターの例には、天然または合成(例えばオリゴマー)デオキシリボ核酸(DNA)、天然または合成リボ核酸(RNA)、および酵素が含まれる。核酸を分析してその配列を決定する目的にはいくつかの方法を使用する。後に概要を説明するこれらの方法を、以前に説明した化学センサ・アレイで使用して核酸分析物を含むサンプルを分析するように適合させる。
【0428】
一実施形態では、ハイブリッド形成を使用して核酸を識別する。この方法は、DNA−DNA、DNA−RNAおよびRNA−RNAデュプレックス中の核酸相補鎖のプリン−ピリミジン対合特性に依存する。2本のDNA鎖は、アデニン−チミン(A−T)塩基間およびグアニン−シトシン(G−C)塩基間の水素結合の確立によって対合する。DNA−RNAまたはRNA−RNAデュプレックスでは水素結合がさらに、アデニン−ウラシル(A−U)塩基対を形成する。ハイブリッド形成は配列に高度に依存する。一方の配列(核酸)中のそれぞれのプリンに対して、対応するピリミジンがもう一方の核酸中に存在する場合、およびその逆の場合に、これらの配列は互いに最大の親和性を有する。関心の配列を有する標的断片を、一般にミスマッチを許さない非常に厳格な条件下で、ハイブリッド形成させる。Lipshutz他の米国特許第6,013,440号にはハイブリッド形成が詳細に説明されており、この特許は、あたかも本明細書に完全に記載されているかのごとく参照によって組み込まれる。
【0429】
ハイブリッド形成の高い特異性にもかかわらず、いくつかの不適正核酸鎖が生じることがある。不適正鎖が偽陽性の原因とならないようにするいくつかの方法がある。リボヌクレアーゼ酵素を使用して、RNA/DNAまたはRNA/RNAハイブリッド・デュプレックスを形成している不適正核酸対を除去する。この目的に使用できる多くのタイプのリボヌクレアーゼ酵素があり、これにはRNアーゼA、RNアーゼT1およびRNアーゼT2が含まれる。リボヌクレアーゼ酵素は1本鎖RNAを特異的に分解する。RNAをアニールして、2本鎖RNAまたはRNA/DNAデュプレックスを形成すると、このRNAをこれらの酵素を用いて分解することができなくなる。しかし、2本鎖分子にミスマッチが存在すると、このミスマッチ位置で切断が生じる。一実施形態では、粒子に結合させたRNAに標識を取り付ける。ミスマッチが存在すると、ミスマッチの位置で切断が生じる。この切断によって、標識された断片がビーズから外れ落ち、それによってビーズから検出される信号が低減する。核酸が完全に相補的である場合には、リボヌクレアーゼ酵素が存在しても断片は切断されず、粒子によって生成される信号の強度も変化しない。
【0430】
S1ヌクレアーゼ切断を使用して、不適正対を切断することもできる。1本鎖核酸に特異的なエンドヌクレアーゼであるS1ヌクレアーゼは、DNA:DNAまたはDNA:RNAデュプレックス中の不適正塩基対の限定された領域を認識し、切断する。S1ヌクレアーゼがデュプレックスを認識し切断するためには、通常、連続した少なくとも約4つの不適正塩基対が必要である。先に説明した方法と同様の方法で、標識された核酸断片の切断が、不適正核酸デュプレックスの存在を指示する。
【0431】
T4エンドヌクレアーゼVII(T4E7)およびT7E1は、ホモダイマーとして結合し、ホリデイ・ジャンクション(Holliday Junction)を含む異常なDNA構造を切断する、バクテリオファージ由来の小タンパク質である。これらの分子は、不適正デュプレックスを優先的に切断する(あたかも本明細書に完全に記載されているかのごとく参照によって組み込まれるYouil R,Kemper B,Cotton RGH.Detection of 81 of 81 Known Mouse Beta−Globin Promoter Mutations With T4 Endonuclease−VII −The EMC Method.Genomics 1996;32:431−5に記載されている)。
【0432】
他の方法では、ミスマッチの化学切断(Chemical Cleavage of Mismatch:CCM)を使用する。この技法は、インターカレーションの使用に依存する。インターカレータの例には、DNAヘテロ2本鎖中のミスマッチと反応する、ヒドロキシルアミンおよび四酸化オスミウムが含まれる。ただしこれらに限定されるわけではない。不適正チミンは、四酸化オスミウム(または酢酸テトラエチルアンモニウムおよび過マンガン酸カリウム)による修飾を受けやすく、不適正シトシンは、ヒドロキシルアミンによって修飾される。これらの修飾塩基を次いで、高温ピペリジン処理によって切断する。先に説明した方法と同様の方法で、標識された核酸断片の切断が、不適正核酸デュプレックスの存在を指示する。
【0433】
他の実施形態では、DNA結合タンパク質を使用して核酸を識別する。大部分の配列特異的DNA結合タンパク質は、αヘリックスを主溝に挿入することによってDNA二重らせんに結合する(Pabo & Sauer 1992 Annu.Rev.Biochem.61.1053−1095;Harrison 1991 Nature(London)353,715−719;およびKlug 1993 Gene 135,83−92)。Edwards他の米国特許第5,869,241号には、定義された核酸配列に結合する能力を有するタンパク質を識別する方法が詳細に記載されている。この特許は、あたかも本明細書に完全に記載されているかのごとく参照によって組み込まれる。一実施形態では、DNA結合タンパク質をポリマー粒子に付着させる。DNA結合タンパク質はポリマー粒子と相互作用して、以前に説明した様々なシグナリング・プロトコルを使用した信号を生成する。
【0434】
不適正対認識タンパク質、例えばMutSを使用して、2本鎖DNA中の不適正塩基対を検出することもできる。不適正対認識タンパク質を使用するいくつかの方法がある。不適正対認識タンパク質は不適正塩基対に結合させる。修飾された形態の不適正対認識タンパク質は、不適正塩基対の近くのヘテロ2本鎖を切断する。ミスマッチ修復系に依存した反応、例えばMutHLSを、1つまたは複数のGATC部位でのミスマッチ誘発性切断に使用する。ミスマッチ修復系を、ヘテロ2本鎖DNAのミスマッチ誘発性ギャップの形成に使用する。ミスマッチを含むヌクレオチドを、ヌクレオチド類似体、例えばビオチン化されたヌクレオチドで標識する。塩基対のミスマッチを含む分子は、ミスマッチ修復系の成分にこのミスマッチを結合させることによって、またはミスマッチとミスマッチ修復系の成分の複合体を他の細胞タンパク質に結合させることによって、除去する。ミスマッチを含む分子は、このような分子へのビオチンの組込み、およびアビジンへの結合によるその後の除去によっても除去する。不適正対認識タンパク質の使用は、あたかも本明細書に完全に記載されているかのごとく参照によって組み込まれるModrich他の米国特許第6,008,031号に詳細に記載されている。あたかも本明細書に完全に記載されているかのごとく参照によって組み込まれるHsu IC,Yang QP,Kahng MW,Xu JF.Detection of DNA point mutations with DNA mismatch repair enzymes.Carcinogenesis 1994;15:1657−62.1には、MutYをチミングリコシラーゼと組み合わせて使用して、ミスマッチを検出することが記載されている。
【0435】
他の技法は、オリゴヌクレオチド連結反応検定である。この方法では、酵素DNAリガーゼを使用して、2つのオリゴヌクレオチドを接合させ、正確に並置された1本のDNA鎖にアニールする。この2つのオリゴヌクレオチドの接合部の単一の塩基対ミスマッチは連結反応を妨げる。連結反応は、単一の分子上に存在するこの2つのオリゴヌクレオチド上の標識を検定することによって記録される。
【0436】
他の実施形態では、インターカレータ分子をレセプターとして使用する。インターカレータとポリマー・ビーズとの組合せを、センサ・アレイ・システムの粒子として使用する。インターカレータは一般に、デュプレックスDNAと反応してデュプレックスDNAに挿入される。インターカレータが可視または紫外吸光度または蛍光を有する場合、インターカレータがデュプレックスDNAにインターカレートすると、インターカレータ信号の波長または強度は変化する。このようなインターカレータの例には、臭化エチジウム、POTOおよびテキサスレッドが含まれる。ただしこれらに限定されるわけではない。多くのインターカレータがある程度の配列選択性を示す。したがって、ポリマー樹脂に結合したインターカレータを使用して、特定の配列に関してDNA分析物を分析する。単一のセンサ・アレイ内で様々な異なるインターカレータを使用することによって、核酸の識別をパターン認識法によって識別する。
【0437】
異なる様々な核酸検査に合わせてカスタマイズした粒子を使用することによって、現行の市販核酸デバイスよりも柔軟性は高まる。例えば、核酸レセプターをチップに直接に結合させたシリコン・チップの使用は、チップ上に構築されるオリゴマー・レセプターのサイズが25〜30塩基対に限定されるので、柔軟性に劣る。しかし、ビーズ上にオリゴマー核酸を合成する方法を使用すると、100を超える塩基対を含むオリゴマー核酸を結合させる。
【0438】
核酸の識別に使用される試験が、サンプル中の核酸量の増大を要求することがある。関心の化学物質を増幅する技法はすでに開発されている。例えば、希望していないほうの鎖のプライマーが増幅ステップの速度制限因子となるように量の異なるプライマーを使用することによって、デュプレックス核酸のどちらの鎖を増幅させるかを制御する。適当なプライマー比およびテンプレート・センスを決定する方法は当業者に周知である(例えば、Innis他編「PCR Protocols:a Guide to Methods and Applications」,Academic Press,Inc.N.Y.1990を参照されたい)。
【0439】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、そのヌクレオチド配列の少なくとも一部分がすでに分かっていれば、ゲノムの特定の領域のDNAおよびRNA配列を100万倍以上に増幅する広く使用されている技法である。増幅する領域の両側の部分を使用して、DNAポリメラーゼ酵素によって触媒された一連の合成反応のプライマーの働きをする、DNA二重らせんのそれぞれの鎖に相補的な2つの合成DNAオリゴヌクレオチドを生み出す。有効な増幅には、テンプレート核酸変性、プライマー・アニーリング、および熱安定ポリメラーゼの作用によるアニールされたプライマーのエクステンションからなる最高30から40の反復サイクルが必要である。PCRのより詳細な説明ならびに応用が、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号および第4,965,188号;Saiki他,1985,Science 230:1350−1354;Mullis他,1986,Cold Springs Harbor Symp.Quant.Biol.51:263−273;Mullis and Faloona,1987,Methods Enzymol.155:335−350;PCR Technology−principles and applications for DNA amplification,1989,(H.A.Erlich編)Stockton Press,New York;PCR Protocols:A guide to methods and applications,1990,(M.A.Innis他編)Academic Press,San Diego;PCR Strategies,1995,(M.A.Innis他編)Academic Press,San Diego;Barany,1991,PCR Methods and Applic.1:5−16;Gap−LCR(PCT特許公告番号WO90/01069)に出ている。これらの文献はそれぞれ、あたかも本明細書に完全に記載されているかのごとく参照によって組み込まれる。
【0440】
対立遺伝子特異PCR(Allele−Specific PCR)(増幅抵抗性突然変異系(amplification refractory mutation system)またはARMSとも呼ばれる)では、検定がPCR反応自体の範囲内で実施される。その末端3′ヌクレオチドが互いに異なる配列特異的PCRプライマーを使用して、一反応で正常な対立遺伝子だけを増幅し、別の反応で突然変異対立遺伝子だけを増幅する。特定のプライマーの3′末端が完全にマッチしているときに増幅は起こる。特定のプライマーの3′末端がミスマッチであるときに、増幅は失敗する。
【0441】
他の増幅技法には、あたかもその全体が本明細書に記載されているかのごとく参照によって組み込まれるWu and Wallace,1989,Genomics 4:560−569およびBarany,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189−193に記載のリガーゼ連鎖反応(Ligase Chain Reaction);鎖変位増幅(Strand Displacement Amplificaiton);核酸配列塩基増幅(Nucleic Acid Sequence Base Amplification);転写媒介増幅(Transcription Mediated Amplification);あたかもその全体が本明細書に記載されているかのごとく参照によって組み込まれる欧州特許公開番号439182 A2)、3SR(Kwoh他,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177;Guatelli他,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878;PCT特許公開番号WO92/0880A)、およびNASBA(米国特許第5,130,238号)に記載されている修復連鎖反応(Repair Chain Reaction);自立配列複製(Self−sustained Sequence Replicaiton);あたかもその全体が本明細書に記載されているかのごとく参照によって組み込まれるManak,DNA Probes,第2版,255−291ページ,Stockton Press(1993)に記載されている鎖変位増幅(Strand Displacement Amplificaiton)など;およびあたかもその全体が本明細書に記載されているかのごとく参照によって組み込まれるGoldrick MM,Kimball GR,Liu Q,Martin LA,Sommer SS,Tseng JYH.Nirca(Tm)−A Rapid Robust Method For Screening For Unknown Point Mutations.Biotechniques 1996;21:106−12に記載の非アイソトープRNアーゼ切断検定(Non−Isotopic RNase Cleavage Assay)が含まれる。非アイソトープRNアーゼ切断検定はRNAを増幅する。RNアーゼ酵素、例えばRNアーゼ1およびRNアーゼT1は検定の感度を増大させる。
【0442】
センサ・アレイの製造方法
先に説明したとおり、支持部材に空洞を形成した後に、マイクロマニピュレータを使用して空洞の底に粒子を配置する。これによって、アレイの製造中に、特定の粒子の位置を正確に制御する。しかし、センサ・アレイの大量生産のためにはマイクロマニピュレータの使用は実際的でない。工業応用になじむいくつかの粒子挿入方法がすでに考案されている。
【0443】
一実施形態では、マイクロマニピュレータの使用を自動化する。粒子を、自動化されたロボット・アセンブリを使用して「ピック・アンド・プレース(pick and place)」する。このロボット・アセンブリは、1つまたは複数の分配ヘッドを含む。分配ヘッドは、粒子を拾い上げ保持する。分配ヘッドはあるいは、複数の粒子を保持し、保持した粒子の一部分だけを分配する。分配ヘッドを使用する利点は、個々の粒子または少数の粒子からなる粒子群を、センサ・アレイ上の正確な位置に配置できることである。異なる様々なタイプの分配ヘッドを使用する。
【0444】
一実施形態では、真空ピックアップ/分配ヘッドを使用する。この分配ヘッドは真空システムを使用して、粒子を拾い上げる。分配ヘッドは、内径(ID)が粒子の外径(OD)よりも小さい小口径管を使用して形成する。分配ヘッドは、アームを介してロボット制御システムに結合する。このロボット制御システムは、まず最初に、適当な粒子タイプが保管されている保管場所に分配ヘッドを移動させるようにプログラムされる。分配ヘッドを粒子保管区画の中に「侵入」させた後に分配ヘッドに真空を適用すれば、分配ヘッドは1つの粒子を把持するであろう。ロボット制御システムは次いで、センサ・アレイ上の適当な位置のすぐ近くの位置(または実際に接触した位置)に分配ヘッドがくるように、アームを動かす(図70A参照)。次いで、分配ヘッドは真空をオフにする(すなわち真空を除く)。必要ならば、わずかな正圧を分配ヘッドに与えることもできる。これによって粒子は分配ヘッドから外れ、センサ・アレイ上へ落下する(図70B参照)。
【0445】
ロボット制御システムは、単一の分配ヘッドまたは複数の分配ヘッドを含む。複数の分配ヘッドを使用することによって、1回の充てん操作中にセンサ・アレイの複数の空洞に充てんを実施する。このようにすると、センサ・アレイの充てん効率を向上させる。
【0446】
ロボット真空ピックアップ/分配ヘッドの他の例が、参照によって本明細書に組み込まれるGeysenの米国特許第6,151,973号に記載されている。
【0447】
分配ヘッドを、「中実」ピックアップ・ワンドの形態とすることもできる。この中実分配ヘッドは、粒子と分配ヘッド材料との間の自然の引力に依存して、分配ヘッドに粒子を付着させる。例えば、分配ヘッドのごく近くに粒子を配置すると、粒子と分配ヘッドの間の静電相互作用によって、粒子が分配ヘッドに「張り付く」。分配ヘッドを、センサ・アレイの空洞の上空の適当な位置に配置する(図71A参照)。センサ・アレイのごく近くに粒子を配置すると、チップと粒子の間の引力と重力とによって、粒子は分配ヘッドからセンサ・アレイに移動する(図71B参照)。例えば、PEG粒子では、タングステン製の分配ヘッドによって、PEG粒子はタングステンの先端に付着するが、センサ・アレイのすぐ近くに近づけると、粒子は、シリコン・ベースのセンサ・アレイに移動する。単一の中実分配ヘッドまたは複数の中実分配ヘッドを使用する。
【0448】
他の実施形態では、内径が粒子の直径よりも大きい1本または数本の「ピペット」から分配ヘッドを形成する。ポンプ/分配システムを使用して粒子をピペットの内径の中に直接に送る。このようなシステムは、現在使用されている精密接着分配システムに似ている。粒子は、液体(例えば水)に懸濁させる。センサ・アレイ・チップ上の適当な位置に粒子を送るために、制御された量の液体をヘッドを通してポンピングする。このような分配システムでは、1度に粒子を1つだけ送ることは難しい。しかし余分の粒子は適用後にセンサ・アレイから除去する。さらに、ピペット・アレイを製作することによって、粒子の配置速度を増大させる。この方法の他の利点には、粒子の化学的特性が要求する場合には水性環境中で粒子を送ることができること、および、「ピックアップ」ステップが必要ないので、それぞれのヘッドに異なる粒子を高速かつ効率的に送ることができることが含まれる。
【0449】
この「ピペット」システムは、制御された量の液体の使用に依存して、保管場所から分配ヘッドの先端に粒子を輸送する。一実施形態では、エア・ブラストを使用して、分配ヘッドの先端に向かって液体の一部分を押し出す。他の実施形態では、「インクジェット」プリンタのヘッドで使用されているものと本質的に同一の技術を使用して、分配ヘッドを製作する。これらのヘッドは一般に、熱バーストに依存して液体を急速に加熱し、これによって液体の泡を分配ヘッドの先端に強制的に送り込む。
【0450】
ピックアップ/分配ヘッドが粒子または粒子の集合を、センサ・アレイ上の適当な1つまたは複数の位置に送りした後に、センサ・アレイの表面の正確な位置に1つの粒子が確実に集められることが望ましい。これは、図72A〜72Dに示す真空チャックに似た効果を使用して達成する。
【0451】
一実施形態では、センサ・アレイが、粒子を配置し、少なくとも部分的に粒子を包含する目的に使用される空洞を含む。主真空チャック上に配置されると、個々の空洞はそれぞれ真空チャックとしても機能する。センサ・アレイは、真空チャック上に配置されると、空洞を通る気流を流す。図72Aに、多数の粒子を同時に適用する多先端分配ヘッドを示す。適当な機械式位置合わせシステムを使用して、ヘッドを、センサ・アレイの空洞と整列させる。粒子を単純に空洞の近くに近づけた場合、空洞を通る流体(例えば空気。液体とすることもできる)の流れが、粒子をその適当な位置に引き寄せ、そこに粒子を保持する(図72B)。いくつかの実施形態では、分配ヘッドが2つ以上の粒子を所与の空洞へ送る。しかし、その場合も、分配された粒子のうち1つの粒子だけが、所与の空洞の真空によってその場所に保持される。分配ヘッドをセンサ・アレイから遠ざけた後、横方向の噴流(空気または他のある流体)を使用して、図72Cに示すように余分の粒子を除去する。真空チャックによって生み出されるピットを横切る圧力差によって、所望の粒子がその保管ピットの中に保持される。次に、このプロセスを繰り返す。図72Dには、第1のヘッドが分配した粒子セットとは別の粒子セットを分配する別のピペット・ヘッドが示されている。これによって、より多くのタイプの粒子をより迅速に分配する。
【0452】
センサ・アレイが真空チャックの上に置かれているときに、真空の分配ヘッドを用いて粒子を拾い上げる。分配ヘッドの真空を開放すると、粒子は、分配ヘッドから引き離される。真空チャックから適用された真空によって、粒子を空洞の中に保持する。粒子が分配した後、粒子をその場所に保持するために、センサ・アレイの上にカバーを配置する。カバーは、感圧型接着剤を使用してセンサ・アレイに取り付ける。センサ・アレイの上にカバーを配置した後、真空を開放し、真空チャックからセンサ・アレイを取り外す。
【0453】
流体サンプルの受動輸送
いくつかの化学センサ・アレイ・システムでは、使用中に、センサ・アレイの中へ、およびセンサ・アレイを横切って流体を輸送する。一実施形態では、チャネルの表面ぬれ特性の変化に依存したシステムを使用して、センサ・アレイの中へ、また、センサ・アレイの中で流体を移動させる。このようなシステムの利点は、システムを「受動」システム(すなわち外部電源または外部構成部品のないシステム)とすることである。サンプルは、導入されるとシステムの中へ引き込まれ、粒子に分配される。このことは特に、小型の携帯型センサ・アレイ・システムに有利である。
【0454】
一実施形態では、化学センサ・アレイが、重ね合わされた複数の層からなる。図73に、センサ・アレイ・システムの側断面図を示す。支持層1010(例えばガラス層)はシステムの基礎として使用される。支持層の上にはスペーサ層1020が形成されている。支持層は、比較的に不活性な材料から、標準の半導体リソグラフィ技法を使用して形成する。一実施形態では、支持層をフォトレジスト(例えばドライ・フィルム・フォトレジスト)で形成する。あるいは、窒化シリコンまたは二酸化シリコンをスペーサ層として使用する。スペーサ層は、スペーサ層がその上のセンサ層1030の外側部分を支持するようにパターニングする。スペーサ層1020をエッチングして、センサ層1030に形成された空洞の下にチャネル1022を形成する。チャネル1022は、空洞に流体を流し、かつセンサ・アレイ・システムから外部へ流体を排出するのを可能にする。
【0455】
センサ層1030は、粒子1038を保持するためのいくつかの空洞1036を含む。センサ層の空洞の形成についてはすでに説明した。一実施形態では、センサ層がシリコンで形成する。シリコン層に入口およびチャネルが形成されるように、シリコン・センサ層を部分的にエッチングする。図73に示すように、センサ層の外側部分を内側部分よりも厚くする。カバー層1050の適用は、センサ層の高くなった部分にカバー層を載せることによって実施する。これによって、カバー層とセンサ層の間にチャネル1042が形成される。
【0456】
センサ層のエッチングされた部分を、チャネルによって結合された複数のセグメントに分割する。図74Aにこのセンサ・アレイ・システムの上面図を、図74Bに下面図を示す。第1のセグメント1041は、流体サンプルを導入するためのウェルまたはリザーバの働きをする。第2のセグメント1045は、粒子を含んだいくつかの空洞を含む。センサ・アレイの中に形成された1本または数本のチャネル1043によって、第1のセグメントを第2のセグメントに結合する。このチャネルによって、リザーバから空洞へ流体を流す。支持層1030の上にカバー層1050を配置して、チャネル1042を形成する。カバー層を形成するための材料および方法についてはすでに説明した。
【0457】
図73を再び参照する。チャネルを通した流体の導通は、疎水性表面と親水性表面の組合せを使用して達成する。一実施形態では、一連の疎水性セグメント1032をチャネル1022および1042の表面に適用する。疎水性材料とは反対側のチャネルの表面には、親水性材料層1034を配置する。水性流体サンプルをチャネルに導入すると、水は、親水層に向かって引き寄せられ、同時に疎水層によってはじかれる。この引力/斥力によってチャネルの中に流れが生まれる。親水性表面は、シリコンまたはヘキサメチルジシランから構成する。疎水性表面は、二酸化シリコン、窒化シリコン、二窒化シリコン、シロキサンまたは酸窒化シリコンから構成する。
【0458】
図73に示したシステムは、左側から右側へ向かう流れを引き起こす。入口1040から導入された流体は、チャネル1042を通って粒子に向かって流れる。粒子と接触した後、流体は空洞を通り抜けて、下側のチャネル1022に入る。この下側チャネルの親水性および疎水性部分は、センサ・アレイ・システムの出口に向かって流体を流す流れを生じさせる。
【0459】
図77に示すシステムは、左側から右側へ向かう流れを引き起こす。あるいは、流体は、システムの上部のカバーを通って外へ出る。流体は入口1060から導入され、チャネル1062を流れる。次いで流体は、空洞1064の中の粒子1065を通過する。流体はさらに、空洞1066の中の粒子1067を通過する。壁1072は、空洞1066を通らずに流体がチャネル1062を流れることを防ぐ。空洞を通過した後、流体はチャネル1068の中を流れて、空洞1070の中を流れる。下側チャネルの親水性および疎水性部分は、センサ・アレイ・システムの出口1074に向かって流体を流す流れを生じさせる。図73にはさらに、泡トラップ1035が示されている。これは親水性領域の壁からなる。
【0460】
センサ・アレイは複数の層で形成する。これらの層は、ドライ・フィルム材料および紫外線硬化性エポキシ樹脂を用いて組み立てる。支持層はシステムの基礎の働きをする。支持層は、ガラス、窒化シリコン、シリコン、二酸化シリコン、プラスチックおよびドライ・フィルム・フォトレジストを含む様々な材料で形成する。ただしこれらに限定されるわけではない。支持層を図75Dに示す。
【0461】
支持層の上にスペーサ層を形成する。スペーサ層の一実施形態のパターンを図75Cに示す。スペーサ層は、空洞の真下を除く位置に配置する。スペーサ層は、センサ・アレイの下にチャネルを形成することを可能にする。
【0462】
スペーサ層の上にセンサ層を形成する。センサ層の一エッチング・パターンを図75Bに示す。陰影をつけた領域1031は、センサ層のうち、センサ層の他の部分1033よりも薄くなるようにエッチングされた部分を表す。以前に説明したとおり、センサ層は、シリコン、プラスチックおよびドライ・フィルム・フォトレジストを含む様々な材料で形成する。空洞の下にチャネルが形成されるように、センサ層の位置を支持層の位置と合わせる。このチャネルは、センサ・アレイ・システムから流体が流れ出ることを可能にする。
【0463】
センサ層の上にカバー層を配置する。カバー層をエッチングすることによって、センサ層とカバー層の間に上側チャネル1042(図73参照)を形成する。一実施形態ではカバー層が、カバー層を通して流体をセンサ層に流す開口1052を含む。カバー層の一パターンを図75Aに示す。開口の位置をセンサ層のリザーバ部分の位置と整列させる。
【0464】
一般に、受動流体輸送システムを使用すると、センサ・アレイは1回しか使用できない。センサ・アレイは多数の化学粒子を有し、したがって複数の分析物に対応する能力を有するが、表面ぬれ「ポンプ」は1回しか使用できない。多くの検査状況(例えば医学検査)では、これはそれほど重大な問題ではない。センシング要素は1度使用したら廃棄することが望ましいからである。複数回のサンプル検査を実施する場合には、図76に示すような「アレイのアレイ」を使用する。この場合には、自体のセンサ・サイトにそれぞれ結合された複数のサンプル導入サイトを形成する。この構成では、センサ・アレイを複数回、使用し(すなわち1回の検査に1組のセンサ・セットを使用する)、または複数のサンプルを同時に分析する。
【0465】
携帯型センサ・アレイ・システム
センサ・アレイ・システムは、関連機器を応用場所に運び、そこで利用できるときに最も有効となる。すなわち、遠隔地でサンプルを集め、中央に置かれた分析場所にサンプルを持ち込むのではなしに、検査場所で分析を実施できると有利である。このようなシステムは例えば、医療現場、プロセス制御応用の現場監視、軍事情報収集デバイス、環境モニタリング、および食品安全性検査で使用できる。
【0466】
携帯型センサ・アレイ・システムの一実施形態を図78に示す。一実施形態では携帯型センサ・アレイ・システムが、1人の人がこのデバイスを検査場所まで容易に運ぶサイズおよび重量を有する。携帯型センサ・アレイ・システムは、光源、センサ・アレイおよび検出器を含む。いくつかの実施形態ではセンサ・アレイが、様々な粒子を順序付きアレイとして保持する支持部材の上に形成される。いくつかの実施形態では粒子が、分析物の存在下で検出可能な信号を生成する要素である。粒子は、ポリマー・ビーズに結合させたレセプター分子を含む。特定の分析物と相互作用するレセプターを選択する。この相互作用は、レセプターと分析物の結合/連結の形態をとる。支持部材は、粒子を支持する任意の材料から製作する。支持部材は複数の空洞を含む。空洞は、空洞の中に少なくとも1つの粒子が実質的に含まれるように形成する。センサ・アレイについてはすでに詳細に説明した。
【0467】
携帯型センサ・アレイ・システムは、異なる様々な検査に使用できる。検査のタイプに関するセンサ・アレイ・システムの柔軟性は、センサ・アレイ・カートリッジの使用によって達成される。図78に戻る。検査前に、センサ・アレイ・カートリッジ1010を携帯型センサ・アレイ・システム1000に挿入する。使用するセンサ・アレイ・カートリッジのタイプは実施する検査のタイプによって決まる。それぞれのカートリッジは、化学的に感受性のある複数の粒子を含んだセンサ・アレイを含む。それぞれの粒子は、所望の検査に対して特異的なレセプターを含む。例えば、糖尿病検査で使用されるセンサ・アレイ・カートリッジは、糖類に感受性のあるいくつかの粒子を含む。しかし、水の検査に使用されるセンサ・アレイは、別の粒子、例えばpHおよび/または金属イオンに対して特異的な粒子を含むであろう。
【0468】
センサ・アレイ・カートリッジは、コンピュータのフロッピー・ディスクに類似の方法で所定の位置に保持する。センサ・アレイ・カートリッジは、携帯型センサ・システムの内部に配置されたホルダの中にカチッと収まるまで挿入する。ホルダは、携帯型センサ・システムからカートリッジが抜け落ちることを防ぎ、流体サンプルを受け取る適当な位置にセンサを配置する。ホルダはさらに、センサ・アレイ・カートリッジの位置を、光源および検出器の位置と整列させる。カートリッジを解放しホルダから排出することを可能にする解放機構をホルダに組み込む。あるいは、この携帯型センサ・アレイ・システムに、CD−ROM型のシステムに類似した方法でカートリッジを自動的に受け取り排出する機械システムを組み込む。
【0469】
酸/塩基、塩類、金属、アニオン、炭化水素燃料および溶媒のような単純な分析物種の分析は、可逆性に優れたレセプターを使用して繰り返す。これらの種の化学検査は、同じセンサ・アレイ・カートリッジを用いて繰り返し実施する。場合によっては、以前の検査の痕跡を除去するために、カートリッジを洗浄液で洗浄する必要がある。したがって、環境使用のためのカートリッジは、分析物および検査の頻度に応じてときおり(例えば毎日、毎週または毎月)取り替える必要があることがある。
【0470】
あるいは、センサ・アレイが高い特異性を有するレセプターを含む。このようなレセプターは、医学検査および化学/生物兵器の検査に特に有用である。これらのセンサ・アレイで陽性信号が記録されたら、センサ・アレイ・カートリッジをすぐに取り替える必要がある。センサ・アレイ・カートリッジの使用はこの交換を容易にする。
【0471】
流体サンプルは、ユニットの上部のポート1020および1022からシステムに導入する。2つのポートが示されているが、これよりも多くのポートを配置することもできる。ポート1022は、環境中に存在する液体およびいくつかの体液(例えば水、唾液、尿など)を導入するためのポートとする。ポート1020は、ヒトの全血サンプルの送りに使用する。血液の送りは、皮膚に穴をあけるピンプリック(pinprick)および血液サンプルを集める毛細管の使用によって実施する。ポート1020は、血液サンプルを含む毛細管または注射器を受け入れる。
【0472】
環境サンプルの収集では、注射器1030を使用してサンプルを集め、集めたサンプルを導入ポートへ移す。携帯型センサ・アレイ・システムは、携帯型センサ・アレイ・システムの側面に注射器を結合するホルダを含む。ポート1020は、注射器によって集めたサンプルを、注射器から携帯型センサ・アレイ・システムに直接に導入することを可能にする標準ルーアー・ロック・アダプタ(雄または雌)を含む。
【0473】
導入ポートを使用して、サンプルを連続的に導入することもできる。サンプルの連続導入を使用して、例えば流水を評価する。携帯型センサ・アレイ・システムにサンプルを連続的に導入するため、外部ポンプを使用する。あるいは、携帯型センサ・アレイ・システムの中に配置された内部ポンプを活動化して、携帯型センサ・アレイ・システムの中に流体サンプルの連続流を引き入れることもできる。これらのポートによって気体サンプルを導入する。
【0474】
場合によっては、携帯型センサ・アレイ・システムに導入する前にサンプルを濾過する必要がある。例えば、環境サンプルは、固体粒子を除去するために、携帯型センサ・アレイ・システムに導入する前に濾過する。この目的には、ユニットの上部に固定された市販のヌクレオポア(nucleopore)フィルタ1040を使用する。一実施形態では、フィルタ1040がその両端に、導入ポートおよび注射器にフィルタを直接に接続することを可能にするルーアー・ロック接続(雄又は雌)を有する。
【0475】
一実施形態では、携帯型センサ・アレイ・システムの中に、化学/生化学的分析に必要な全ての流体が含まれる。これらの流体は、1つまたは複数のカートリッジ1050に格納する。カートリッジ1050は、携帯型センサ・アレイ・システムから取外し可能なカートリッジとする。したがって、カートリッジ1050が空になったときには、そのカートリッジを新しいカートリッジと交換し、またはそのカートリッジを取り外して流体を充てんし直す。さらに、センサ・アレイ・カートリッジを変更するときには、カートリッジ1050を取り外し、別の流体が充てんされたカートリッジと交換する。このように、実施中の特定の検査に対して流体をカスタマイズする。流体カートリッジは取外し可能なカートリッジとし、または、この読取り装置と一体の部品として形成する。
【0476】
流体カートリッジ1050は、サンプルを分析するための様々な流体を含む。一実施形態では、それぞれのカートリッジが最大約5mLの流体を含むことができ、流体がなくなるまでに約100回の検査に対して使用する。1つまたは複数のカートリッジ1050が洗浄液を含む。新たな検査の前に、この洗浄液を使用して、センサ・アレイを洗浄し、かつ/または再充てんする。一実施形態では洗浄液が緩衝液である。別のカートリッジ1050は視覚化剤(visualization agent)を含む。
【0477】
粒子が流体サンプルと相互作用した後に、センサ・アレイの粒子から検出可能な信号を生成させるために、視覚化剤を使用する。一実施形態では、視覚化剤が、粒子と相互作用して検出可能な信号を生成する染料(可視または蛍光染料)または染料に結合した分子を含む。一実施形態では、カートリッジ1050が真空リザーバである。真空リザーバを使用して、センサ・アレイ・カートリッジに流体を引き込む。真空カートリッジは、以前に説明したバキュテーナ・カートリッジに類似した方法で機能する。他の実施形態では、流体カートリッジを使用して、センサ・アレイに通した後の流体サンプルを集める。集められた流体サンプルは、検査が完了した後で適当な方法で廃棄する。
【0478】
一実施形態では、英数字表示画面1014を使用して、環境サンプルまたは血液サンプルの化学/生化学に関連する情報を提供する。携帯型センサ・アレイ・システムにはさらに、データ通信システムを含める。このようなシステムは、数値データ、ビデオ・データおよび/または音声データを転送するためのデータ通信機器を含む。転送は、ディジタルまたはアナログ規格を使用して実施する。データは、電線、赤外線、RFおよび/または光ファイバなどの任意の伝送媒体を使用して送信する。一実施形態では、データ転送システムが、ディジタル化学/生化学データを、近くに配置された通信パッケージに転送するのに使用できる無線リンクを含む。他の実施形態では、データ転送システムが、データを記録し、コンピュータ・システムにデータを転送することを可能にするフロッピー・ディスク・ドライブを含む。他の実施形態では、データ転送システムが、コンピュータ・システムにデータを転送することを可能にするシリアルまたはパラレル・ポート接続ハードウェアを含む。
【0479】
携帯型センサ・アレイ・システムはさらに、全地球測位システム(「GPS」)を含む。GPSを使用して、サンプルが集められた地域を追跡する。サンプル・データを収集した後、このデータをサーバに送る。サーバはGPS情報と一緒にこのデータを編集する。この情報のその後の分析を使用して、ある地域の化学/生化学的プロファイルを作成する。例えば、広い地域の静水源の検査を使用して、農薬または産業汚染物質の環境分布を決定する。
【0480】
携帯型センサ・アレイはさらに、他の応用に対して特異的な他のデバイスを含む。例えば、医療用監視デバイスは、EKGモニタ、血圧デバイス、脈拍モニタおよび温度モニタを含む。ただしこれらに限定されるわけではない。
【0481】
この検出システムは、全ての検出構成部品が携帯型センサ・アレイ・システムのケーシングの中に収まるように、いくつかの異なる方法で実装する。光学検出/画像化デバイスについては、CMOSまたはCCD焦点面アレイを使用する。CMOS検出器は、コストおよび電力消費が低い点で有利であり、CCD検出器は可能な最も高い感度を提供する。照明システムに応じて、単色またはカラー検出器を使用する。ビーズ・センサ・アレイの画像を検出器の焦点面に投影するために、1対1転写レンズを使用する。全ての流体成分は、光学または電子構成部品と接触しないように密封する。検出器から流体を密封することによって、電子構成部品を検査流体に直接に曝露する必要があるシステムにおける汚染または腐食に起因する問題が回避される。フォトダイオード、カメラ、集積型検出器、光電池、干渉計、光電子増倍管などの他の検出器を使用することができる。
【0482】
比色検出用の照明システムは様々な方法で構築する。単色焦点面アレイを使用するときには、多色「ディスクリート・ウェーブレングス・インタイム(discrete−wavelength−in−time)」照明システムを使用する。最も単純な実施形態は、それぞれが異なる波長で動作するいくつかのLED(発光ダイオード)を含む。この目的には、現在、赤、緑、黄色および青の波長のLEDが市販されている。1つのLEDから次のLEDへスイッチングし、それぞれに関連した画像を集めることによって、比色データを集める。
【0483】
カラー焦点面検出器アレイを使用することもできる。カラー焦点面検出器では、信号取得後に画像処理方法を使用して比色情報を決定する。このケースでは、「白色光」照明器を光源として使用する。「白色光」LEDを、カラー焦点面検出器の光源として使用する。白色光LEDは、りん光体でコーティングした青色LEDを使用して、広帯域光学源を生み出す。このようなデバイスの発光スペクトルを、比色データ取得に適したものにする。複数のLEDを使用する。あるいは、単一のLEDを使用する。
【0484】
有用な他の光源には、エレクトロルミネセンス源、蛍光源、白熱光源、レーザ光源、レーザ・ダイオード、アーク・ランプおよび放電ランプが含まれる。このシステムはさらに、外部光源(自然および非自然光源)を照明に使用することができる。
【0485】
光源の照明域を広げるために、光源の前にレンズを配置する。このレンズによってさらに、センサ・アレイに届く光の強度を制御する。例えば、レンズを使用することによって、センサ・アレイの照明をより均一にする。一例では、単一のLED光を使用してセンサ・アレイを照明する。LEDと共に使用するレンズの例には、Edmund scientific社のDiffusing plate PN K43−717 Lens JML,PN61874が含まれる。
【0486】
比色シグナリングの他に、蛍光応答を生み出す化学増感剤を使用する。この場合も、検出システムは、単色システム(蛍光スペクトルに関心があるのではなく、ただ1つの蛍光信号の存在に関心がある場合)、または(実際の蛍光スペクトルを分析する)カラー・ベースのシステムとする。適当な励起ノッチ・フィルタ(一実施形態では長波長パス・フィルタ)を検出器アレイの前に配置する。蛍光検出システムを使用するときには紫外光源が必要となることがある。蛍光ベースの検出システムの照明システムとして、短波長LED(例えば青色から近UV)を使用する。
【0487】
いくつかの実施形態では、光源を使用する必要がない。粒子は、化学ルミネセンス、熱ルミネセンスまたはピエゾルミネセンスの使用に依存して信号を提供する。関心の分析物の存在下で、粒子を活動化させて粒子が光を発するようにする。分析物が存在しない場合、粒子は最小限の光を発し、または光を全く発しない。
【0488】
携帯型センサ・アレイ・システムはさらに、携帯型センサ・アレイ・システムの動作を制御する電子コントローラを含む。この電子コントローラはさらに、データを分析し、サンプル中に存在する分析物の識別を決定する能力を有する。本明細書では、この電子コントローラを、携帯型センサ・アレイ・システムと共に使用するものとして説明するが、電子コントローラは、これまでに説明した分析物検出システムのどの実施形態ででも使用できることを理解されたい。
【0489】
このコントローラを使用して、携帯型センサ・アレイの様々な動作を制御する。コントローラによって制御しまたは測定する動作には、(i)携帯型センサ・アレイ・システムに存在するセンサ・アレイのタイプを決定すること、(ii)センサ・アレイに基づいて分析に必要な光のタイプを決定すること、(iii)存在するセンサ・アレイに基づいて分析に必要な流体のタイプを決定すること、(iv)流体サンプルの分析中に生成されたデータを収集すること、(v)流体サンプルの分析中に生成されたデータを分析すること、(vi)導入された流体サンプル中に存在する成分のリストを作成すること、および(vii)サンプリング条件(例えば温度、時刻、流体の密度、濁度分析、脂血症、ビリルビン血症など)を監視することが含まれる。
【0490】
さらに、コントローラは、機器のオペレータにシステム診断および情報を提供する。コントローラは、定期保守の時期にきたこと、またはシステム・エラーが検出されたことをユーザに知らせる。コントローラはさらに、安全およびエネルギー節約目的のインターロック・システムを管理する。例えば、コントローラは、センサ・アレイ・カートリッジが存在しないときにランプが動作しないようにする。
【0491】
コントローラはさらに、オペレータと対話する。図78に示すように、コントローラは、入力デバイス1012および表示画面1014を含む。コントローラによって制御される先に述べたいくつかの動作を、オペレータの入力に依存する動作とする。コントローラは、実施する分析のタイプに基づいて一連の命令を準備する。コントローラは、検査のためにサンプルを導入するとき、および分析が完了したときに、そのことをユーザに知らせるメッセージを出力画面に送る。コントローラは、集められたデータに対して実施された分析の結果を、出力画面に表示する。
【0492】
検査パラメータの多くが、使用されるセンサ・アレイのタイプおよび集められるサンプルのタイプに依存する。適当な分析条件を設定するため、いくつかの実施形態ではコントローラが、センサ・アレイおよび実施中の検査の識別を要求する。サンプルおよびセンサ・アレイに関する情報はいくつかの方法で集める。
【0493】
一実施形態では、サンプルおよびセンサ・アレイ・データをユーザがコントローラに直接に入力する。あるいは、使用されているセンサ・カートリッジのタイプをカートリッジが挿入されたときに決定する読取りデバイスを携帯型センサ・アレイが含む。一実施形態では、この読取りデバイスが、センサ・アレイの表面に配置されたバー・コードを読み取るバー・コード・リーダである。このようにするとコントローラは、ユーザからの入力がなくてもセンサ・アレイの識別を決定する。他の実施形態では、読取りデバイスが事実上の機械式デバイスである。例えば、センサ・アレイ・カートリッジの表面に形成された突起またはくぼみが、機械式読取りデバイスのコードの役割を果たす。機械式読取りデバイスによって集められた情報を使用して、センサ・アレイ・カートリッジを識別する。バー・コード・リーダと同じ機能を果たす他のデバイスを使用することもできる。このようなデバイスには、スマートカード・リーダおよびRFIDシステムが含まれる。
【0494】
コントローラはさらに、実施中の検査のタイプに関する情報をユーザから受け取る。コントローラは、実施中の検査のタイプと、携帯型センサ・アレイ・システム内に存在するセンサ・アレイのタイプとを比較する。適当でないセンサ・アレイ・カートリッジが存在する場合には、エラー・メッセージを表示することができ、適当なカートリッジが挿入されるまで携帯型センサ・アレイ・システムを使用禁止にする。このようにして、間違ったセンサ・カートリッジの使用の結果生じる不適当な検査を回避する。
【0495】
コントローラはさらに、センサ・アレイ・カートリッジを監視し、センサ・アレイ・カートリッジが適切に機能しているかどうかを判定する。コントローラは、センサ・アレイの高速分析を実行して、そのセンサ・アレイがすでに使用されたものかどうか、およびそのセンサ・アレイ上にまだ分析物が存在するかどうかを判定する。分析物が検出された場合、コントローラは、分析物が検出されなくなるまでセンサ・アレイの上に洗浄液を流す洗浄シーケンスを開始する。あるいは、コントローラは、カートリッジを取り替えてから検査を開始するようユーザに知らせる。
【0496】
携帯型センサ・アレイ・システムの他の実施形態を図79Aおよび79Bに示す。この実施形態では、携帯型センサ・アレイ1100が、センサ・アレイ・システムと共に使用される様々な構成部品を保持する本体1110を含む。カートリッジ1120の中には、本明細書で説明したセンサ・アレイなどのセンサ・アレイを配置する。カートリッジ1120はセンサ・アレイを支持し、携帯型センサ・システム内の適当な位置にセンサ・アレイを配置することを可能にする。
【0497】
携帯型センサ・アレイ・システムの本体の概略断面図を図79Bに示す。その中にセンサ・アレイが配置されたカートリッジ1120が本体1110の中に延びている。本体の中には、カートリッジ1120のすぐ近くに、光源1130および検出器1140が配置されている。カートリッジ1120をこの読取り装置に挿入すると、カートリッジは本体1110によって、カートリッジの中のセンサ・アレイの位置のすぐ近くに保持される。光源1130および検出器1140を使用して、カートリッジの中に配置されたサンプルを分析する。検出器1140に電子コントローラ1150を結合する。電子コントローラ1150を使用して、携帯型センサ・アレイ・システムが集めたデータを受け取る。この電子コントローラを使用して、集められたデータをコンピュータに送信することもできる。
【0498】
センサ・アレイ・システムで使用されるカートリッジの一実施形態を図80に示す。カートリッジ1200は、検出器が使用する光の波長に対して実質的に透明な材料から形成されたキャリヤ・ボディ1210を含む。一実施形態では、プラスチック材料を使用する。使用できるプラスチック材料の例には、ポリカーボネートおよびポリアクリレートが含まれる。一実施形態では、ボディ1210を、厚さ約0.118インチおよび約0.236インチのCyrolon AR2 Abrasion Resistantポリカーボネート・シートで形成する。キャリヤ・ボディ1120上にセンサ・アレイ・ガスケット1220を配置する。センサ・アレイ・ガスケット1220は、センサ・アレイから漏出する流体の量を減らし、または流出を阻止するのに役立つ。漏れ出た流体が実施中の検査を妨害する可能性がある。
【0499】
センサ・アレイ・ガスケット1220の上にセンサ・アレイ1230を配置する。センサ・アレイは、1つまたは複数の空洞を含むことができ、空洞はそれぞれ、その中に配置された1つまたは複数の粒子を含む。粒子は、流体の中に存在する分析物と反応して検出可能な信号を生成する。本明細書で説明した任意のアレイを、この携帯型読取り装置で使用する。
【0500】
センサ・アレイ1230の上に第2のガスケット1240を配置する。第2のガスケット1240は、センサ・アレイ1230と窓1250の間に配置する。第2のガスケット1240は、センサ・アレイから流体が漏れることを防ぐシールを形成する。センサ・アレイに対する損傷を防ぐため、このガスケットの上に窓1250を配置する。
【0501】
ボディ1210にカバー1270を結合すれば組立ては完了である。カバーによって窓にかかる圧力を低減するために、カバーと窓の間にゴムばね1260を配置する。カバーは、センサ・アレイ、ガスケットおよび窓をカートリッジの中に封入する。センサ・アレイ、ガスケットおよび窓は感圧型接着剤を使用して一体として密封する。感圧型接着剤の例は、Seal products社製のOptimount 237である。ガスケットはポリマー材料から製作する。一例では、Arlon社のCalon II−High Performance材料を使用する。ゴムばねはシリコーン・ゴム材料から製作することができる。
【0502】
カバーは、取外し可能なカバーまたは密封されたカバーとする。取外し可能カバーを使用するときには、カバーを取り外し、センサ・アレイを取り替えることによって、カートリッジを再使用する。あるいは、カートリッジを、カートリッジの中にセンサ・アレイが封入された、1度しか使用できないカートリッジとする。
【0503】
カートリッジはさらにリザーバ1280を含む。リザーバは、分析物を含んだ流体をセンサ・アレイに導入した後に、この流体を保持する。図81に、カートリッジの中に形成されたチャネルの位置を示すカートリッジの破断図を示す。チャネルによって流体をカートリッジに導入する。チャネルはさらに、流体を入口からセンサ・アレイおよびリザーバまで導く。
【0504】
一実施形態では、カートリッジ・ボディ1210が、ボディの中に配置されたいくつかのチャネルを含む。入口ポート1282は、流体サンプルをカートリッジに導入する流体送り装置を受け取る。一実施形態では、入口ポートが、流体送り装置の対応するルーアー・ロック・アダプタと結合するルーアー・ロック・アダプタを含む。流体送り装置としては例えば注射器を使用する。注射器のルーアー・ロック取付け部品を、入口ポート1282の対合ルーアー・ロック取付け部品に結合する。ルーアー・ロック・アダプタを管に結合し、適当な管を通してカートリッジに流体を導入することによって、流体が送りされるようにすることもできる。
【0505】
流体は、チャネル1284を通ってチャネル出口1285に達する。チャネル出口1285をセンサ・アレイの入口ポートに結合する。チャネル出口1285は図80にも示されている。流体はセンサ・アレイに移動し、空洞に入る。空洞を通過した後、流体はセンサ・アレイを出て、チャネル入口1287を通ってチャネル1286に入る。流体は、チャネル1286を通ってリザーバ1280に入る。カートリッジ内での流体の移動を容易にするため、リザーバは空気出口ポート1288を含む。空気出口ポート1288は、空気をリザーバの外へ流し、その一方でリザーバの中に配置された流体を保持する。一実施形態では、空気出口ポート1288を、リザーバに形成され半透膜によって覆われた開口とする。市販の一空気出口ポートは、W.L.Gore社から販売されているDURAVENTコンテナ・ベントを含む。しかし、空気をリザーバから排出し、流体はリザーバの内部に保持する他の任意の材料を使用できることを理解されたい。長く使用すると、リザーバ1280が流体でいっぱいになる。さらに、ボディ1210の内部を延び、ボディから流体を除去する出口チャネル1290を形成する。センサ・アレイに追加の流体を導入するための流体カートリッジ1292をカートリッジに組み込む。
【0506】
磁性粒子の製造および使用
磁性粒子は様々な方法で製造する。一実施形態では、Fe(II)およびFe(III)(一般にFeCl2およびFeCl3)と、使用可能な配位部位を有するポリマー(例えばタンパク質)とを含む溶液を(例えば滴定によって)処理する。磁鉄鉱(Fe3O4)などの磁性鉄酸化物を、ポリマーとしっかりと結合した形態で沈殿させるために、この溶液をアンモニア水などの強塩基で処理する。再懸濁可能な磁性ポリマー粒子を生成するために、この沈殿は一般に、高速撹拌および任意選択の超音波撹拌を用いて実施される。
【0507】
沈殿後、粒子を洗浄し、続いてこれをほぼ中性の緩衝液中で再懸濁させる。他の実施形態は、共沈反応において鉄以外の金属の使用を含む。具体的には、Fe(III)の代わりに、広範囲にわたる任意の遷移金属イオンを使用する。いくつかのケースでは、適当に選択された遷移金属イオンによって鉄を完全に置き換える。いくつかのケースでは、鉄以外の金属の使用によって白色から暗褐色の有色粒子が生成される。
【0508】
様々なサイズの磁性ポリマー粒子を製造する。様々な分析、診断および他の生物学/医学応用において有用な特定の生物機能リガンド(biofunctional ligand)を含むように、磁性粒子をテーラーメードする。様々な分析応用で有用な選択された化学試薬を用いて磁性粒子を製造する。
【0509】
磁性ポリマー粒子の沈殿および再懸濁に続いて、磁性ポリマー粒子を二官能試薬で処理して、ポリマー上に存在する反応性部位を架橋させる。この架橋は、同じ粒子上の反応部位どうしが結合した微粒子内(intra−particulate)架橋として有効であるか、または所与の粒子上のポリマーに架橋する微粒子外(extra−particulate)リガンドの反応である。2番目のケースでは、粒子ポリマーと微粒子外種との間の結合を促進するために、その2つの官能基間の距離が比較的に短い二官能試薬が望ましい。反対に、微粒子内架橋は、二官能試薬の使用によって促進する。二官能試薬をより長くし、曲がりに対して立体障害をうけないようにし、それによって単一の粒子上の2つの反応部位が単一の二官能分子によって結合されるようにする。
【0510】
先に概説した沈殿または再懸濁ステップ中に超音波処理を使用する代わりに、他のタイプの撹拌(機械攪拌など)を使用することもできる。
【0511】
磁性ポリマー粒子の再懸濁は一般に、低イオン強度の緩衝液系(例えば40mMリン酸緩衝液)中で実施する。この緩衝液系では、非イオン性溶液中では再懸濁しない粒子を再懸濁させる。リン酸緩衝液の他に、ホウ酸および硫酸系を使用することもできる。ポリマーと金属の連結は、ポリマー上の配位部位による、共沈の間に存在する金属の配位から生じる。特定の原子によって形成される配位結合の強度、および周囲の原子によって課せられる空間障害に基づいて、ある種の配位部位は他の部位よりも「有効」である。例えば、「非共有」電子対を有する酸素原子は、アミンの窒素原子よりも強く、また、ヒドロキシル基の酸素原子よりもはるかに強く、鉄と複合体を形成する。したがって、オキシ酸官能基を持つポリマーは、アミン置換ポリマーよりも良好な粒子を生成する。同様に、近距離から自由に接近する配位部位は、接近経路または接近距離に障害がある部位よりも良好な結果を与える。
【0512】
上で述べた傾向は、様々な実験で定性的に観測可能である。再懸濁可能な磁性ポリマー粒子の製造にとって「有効な配位部位」の存在は必須であるように見える。例えば、天然タンパク質、合成タンパク質、ポリアミノ酸、カルボキシポリアルキル、アルコキシポリアルキル、アミノポリアルキル、ヒドロキシポリアルキル、様々なコポリマーなどの多様なポリマーは全て、適当な粒子を生成することが証明されている。さらに、スルホキシポリアルキル、ポリアクリルアミン、ポリアクリル酸および置換ポリアルキレンなどの他のポリマーも同様の粒子を生成する。
【0513】
共沈反応で使用する遷移金属の選択ではいくつかの基準が重要である。第1に、最終化合物がその構造中に、1つまたは複数の不対電子を有していなければならない。第2に、金属の1つが、ポリマーに結合するための有効な配位部位を持っていなければならない。第3に、共沈物は、立方または六方最密結晶構造を形成する能力を有していなければならない(例えば立方最密構造ではスピネルまたは逆スピネル)。この最後の要件は、化合物が磁性化合物であるためには非常に密に詰まっている必要があるためである。
【0514】
一実施形態では、磁性粒子を調製する際に有用なポリマーを、特定の生物機能活性を示すモノマーを含むように「テーラーメード」する。このようなポリマーの使用は、ポリマーの特定の生物機能活性に依存する検定で有用であるためにさらなる処理をほとんどまたは全く必要とすることなく、生物機能磁性ポリマー粒子の直接沈殿を可能にする。
【0515】
いくつかの実施形態では、より大きくより不安定な粒子ほど有用である。粒子は、その生物機能特性および磁気特性を保持したまま凝集するように製造する。粒子の凝集は、懸濁液を例えば所定量の塩化バリウム溶液で処理することによって達成する。この処理は、さらなる手順の実行を可能にするため、またはより大きな粒子を比較的に小さい磁石によって容易に引き付けることを可能にするために、粒子が所定の時間で懸濁液から沈降するように設計する。参照によって本明細書に組み込まれるOwen他の米国特許第4,795,698号には、磁性粒子を製造するためのさらなる詳細が記載されている。
【0516】
磁性粒子は、メタロセンおよび金属水酸化物化合物からも製造する。次いで、これらの粒子をポリマー材料に組み込んで、磁気的に活性な粒子を製造する。
【0517】
メタロセンは、金属のシクロペンタジエニル配位錯体である。シクロペンタジエニル基C5H5が金属またはメタロイド原子と錯体を形成することは、古くから知られている。一実施形態では、メタロセンを遷移金属のシクロペンタジエニル錯体とする。遷移金属には例えば、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)および銅(Cu)が含まれる。特に有用なメタロセンは、フェロセン(C5H5)2Fe、ニッケロセン(C5H5)2Niおよびコバルトセン(C5H5)2Coである。メタロセンの一般式は(C5H5)2Mであり(Mは金属)、メタロセンは「サンドイッチ」構成を有する。メタロセンのこの構造は、メタロセン分子に高い熱安定性を与える(例えばフェロセンで最高約500℃)。
【0518】
一実施形態では、メタロセンの水性スラリを生成する。このスラリは例えば、サンド・ミル、ボール・ミルなどの高エネルギー・ミルの中で混合または摩砕することによりメタロセン化合物と水を一緒にすることによって、調製する。スラリをミルにかける時間は、生成物の所望の粒径によって決まる。このスラリは一般に、約0.1から約40重量パーセント(%)のメタロセンを含む。メタロセンを約20から約25重量%含むスラリが特に有用である。
【0519】
この水性メタロセン・スラリを、金属水酸化物の第2の水性スラリと一緒にする。金属水酸化物の選択は、所望の粒子の特性によって決まる。例えば、磁鉄鉱粒子を製造するためには、水酸化鉄(II)(水酸化第一鉄)を使用する。磁性粒子の製造に使用される他の金属水酸化物には例えば、水酸化コバルト(II)、水酸化コバルト(III)、水酸化鉄(III)、および水酸化ニッケルが含まれる。これらの金属水酸化物のスラリは、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基を使用して水性媒質中で金属塩(例えば塩化物または硫酸塩)を沈殿させることによって調製する。水性水酸化鉄(II)スラリは、水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウムを用いて塩化第一鉄または硫酸第一鉄水溶液を沈殿させて水酸化第一鉄(FeO(OH))を形成させることによって調製する。得られた水酸化鉄(II)のゼラチン状沈殿物を濾過し、固形物を集め、水と混ぜ、高エネルギー・ミルで摩砕してスラリを形成する。この金属水酸化物スラリは、約0.1から約40パーセント(%)の金属水酸化物を含む。
【0520】
これらの2種類のスラリを一緒にし、得られた混合物を、市販のボール・ミル、サンド・ミルなどの高エネルギー・ミル内で、十分な時間、一般に約1時間から約60時間摩砕して、微細な磁性粒子を形成する。一般に、この摩砕ステップが長いほど、形成される粒子は細かくなる。
【0521】
一実施形態では、水酸化鉄(II)とフェロセンから、下式に従って磁鉄鉱粒子を形成する。
【0522】
2FeO(OH)+Fe(C5H5)2→Fe3O4+2(C5H5)+H2O+H2(気)
【0523】
水酸化鉄(II)粉末を、フェロセンとよく接触した状態で摩砕する。約20から約40時間にわたってこの2種類の材料を反応させ、水酸化物の緩やかな解離によって磁鉄鉱、遊離のシクロペンテン、水および水素を形成させる。反応中に形成される水素ガスの放出を収容するために、ミルの中に十分な空隙を確保し、または定期的にミルを換気する必要がある。次いで、粒子を分離し、ポリマー材料に組み込んで、磁性粒子を含むビーズを製造する。製造上の追加の詳細が、参照によって本明細書に組み込まれるChagnon他の米国特許第5,071,076号に出ている。
【0524】
一実施形態では、コロイド状のポリマー磁鉄鉱ないしタンパク質磁鉄鉱を、高度に制御可能なポリマー/タンパク質磁鉄鉱比を用いて調製する。粒子は、それぞれ3.5mg/mlおよび1.5mg/mlの水和塩化第二鉄と塩化第一鉄の溶液から沈殿させる。タンパク質含量は500μg/mlから1.5mg/mlである。このような沈殿物を適当な洗浄、再懸濁および超音波処理にかけると、磁気に応答するコロイド状の粒子が得られる。粒子の平均粒径は、出発タンパク質濃度におおむね反比例する。直径約20ナノメートル以下の粒子は、より高いタンパク質濃度で得ることができ、一方、直径約100ナノメートルの粒子は、タンパク質濃度範囲の下限の濃度で得る。様々なコロイド状溶液の塩析の容易さは、溶液のタンパク質濃度に反比例し、粒径に正比例する。言い換えると、タンパク質濃度が高いほど、また粒径が小さいほど塩析は難しい。これらの結果は、高いタンパク質濃度を有する粒子ほど親液性であることを示唆している。このことは、磁鉄鉱に比べ、溶媒水とタンパク質の間の相互作用が大きいことから予想する。この観察された現象に対する他の可能な説明としては、大きなコロイド粒子の磁心ほど、その磁気モーメントのために凝集しやすいこと、および小さい粒子ほど相対的に表面積が大きく、したがって中和すべき表面電荷も多いことが挙げられる。
【0525】
一実施形態では、(i)関心の標的物質に対して結合親和性を有する生物特異性結合材料、または(ii)標的物質に対するフルオレセイン化されたレセプターが使用される場合に、適当なリトリーブ剤(retrieval agent)、例えばアンチ・フルオレセイン(anti−fluorescein)を含む、磁気に応答するコロイド状粒子を、適当に標識された特定の結合物質および/または標的物質を含むと疑われる試験用サンプルと共にインキュベートする。インキュベーションはこのような粒子の凝集が起こらない条件で実施する。凝集が起こらないのは、例えば、特定の結合物質の結合能力または、検査媒質中の標的物質の濃度が低すぎるためである。標識された物質の十分な結合(またはその抑制)に続いて、非特異的または特異的な凝集剤(例えば単純な塩類溶液)をインキュベーション混合物に加えて凝集を引き起こす。所望ならば、第2の非特異的凝集剤(例えば適当に選択されたコロイド)を追加して凝集を生じさせる。
【0526】
あるいは、特異抗体などのコロイド状磁性粒子の構成要素を架橋する能力を有する特定の凝集剤によって凝集を達成することもできる。その結果得られる集塊は、遠心分離、濾過または磁気分離によって溶液から取り出すことができる。所望ならば、非特異的および/または特異的凝集剤を様々な組合せで使用することもできる。したがって、第2のコロイドの追加および塩析が実行可能である。検査サンプルに最初に加えられたコロイド状タンパク質磁鉄鉱上に存在する物質と架橋する能力があるレセプターを持つ磁気応答性の第2のコロイド粒子の使用も実行可能である。
【0527】
第2のコロイドの追加によってコロイド状材料を磁気によって分離可能な形態に変換する変換の他の有用な応用は、コロイド状タンパク質磁鉄鉱を、関心の標的物質を含む別の非磁性コロイド状材料の凝集剤として使用することである。
【0528】
コロイド状試薬および非特異的または特異的凝集剤を、先に説明したように逐次的にではなく、同時に検査媒質に加える。これは、リガンド/レセプター相互作用が実質的に起こった後にコロイドの変換が起こるように、検定で使用されるコロイド状試薬の1つに適当な凝集剤を加えることによって実施する。磁性コロイド粒子の製造についての追加の情報が、参照によって本明細書に組み込まれるLiberti他の米国特許第5,108,933号に出ている。
【0529】
他の実施形態では、永久磁化された材料を使用して磁性粒子を製造する。以前に論じた凝集技法を使用して粒子を形成する。この場合には粒子組成物が磁性材料をカプセル化する。一実施形態では、磁性材料を溶液に懸濁させ、そこから粒子を形成させる。粒子の形成が始まると、凝集法または他の方法によって、懸濁させた磁性材料がカプセル化され、それによって磁性粒子が形成される。磁性材料は、物理手段によって粒子に組み込むこともできる。一実施形態では、ボール・ミル、低強度ミキサ、パグ・ミルなどの方法を使用して、磁性材料を粒子と混合する。ただし使用できる方法はこれらに限定されるわけではない。磁化された多種多様な材料を磁性粒子に使用する。以前に論じた材料以外の磁化された材料の例には、アルニコ、フェライト、バリウム・フェライト、ストロンチウム・フェライト、ネオジム鉄ホウ素、サマリウム・コバルト、酸化鉄または他の強磁性材料が含まれる。ただしこれらに限定されるわけではない。
【0530】
磁性粒子の形成後、標的分析物材料を用いて磁性粒子をさらに修飾する。最終的には、センサ・アレイの中に磁性粒子を配置する。一実施形態では、磁性粒子が特定の位置に導かれるように、この場合には磁性粒子がセンサ・アレイの空洞に導かれるように永久磁石を配置することによって、センサ・アレイの1つまたは複数の空洞の中に磁性粒子を配置する。一実施形態では、永久磁石を関心の空洞の下に配置する。懸濁させた磁性粒子を含む溶液を空洞の上に流す。磁性粒子と永久磁石の相互作用によって磁性粒子は空洞の中に導かれる。空洞のサイズによって、別の粒子が空洞に導かれる場合と、導かれない場合がある。例えば、1つの磁性粒子を含むだけの大きさしかない空洞は、1つの粒子を捕捉することはできるが、空間の制約のため、この空洞に別の粒子を導くことはできない。反対に、複数の粒子を含むだけの十分な大きさを有する空洞は、粒子を捕捉できなくなるまでに空洞に導かれたいくつかの粒子を含む。所望の1つまたは複数の空洞がいっぱいになったら、以前のセクションで論じたように、粒子を保持するためのカバー層を基板に追加する。磁性粒子を収集のため磁石に導き、または特定の位置に導くことが、参照によって本明細書に組み込まれるMiller他の米国特許第4,813,277号で詳細に論じられている。
【0531】
いくつかの実施形態では、永久磁石を使用して磁性粒子を空洞の中へに導くが、他の実施形態も可能である。一実施形態では、所望の空洞に電磁石を配置して、磁性粒子が所望の空洞に引き寄せられるようにする。例えば、磁性粒子の流れをセンサ・アレイの上に通す。空洞の下に電磁石を配置して、電磁石に通電されているときに、流れている磁性粒子が所望の空洞の中に導かれるようにする。複数の空洞をセンサ・アレイ上に配置し、それぞれの空洞に別個の電磁石を割り当てる。1つまたは複数の磁性粒子が個々の空洞に導かれるように、それぞれの電磁石に流す電流を監視する。電磁石に流す電流を制御することによって、ある空洞には磁性粒子を充てんし、他の空洞は空のままにしておく。別の磁性粒子からなる第2の流れをセンサ・アレイの上に流し、同時に別の電磁石を活動化させ、これによってこの別の磁性粒子をその時点で空になっている空洞に導く。これとは別の磁性粒子を使用して、選択された空洞が充てんされるまでこの手順を継続する。このようにして、様々な空洞に異なる磁性粒子を充てんする。
【0532】
他の実施形態では、同じ空洞の中に複数の磁性粒子を配置し、それによって同じ空洞から複数の分析物を検出できる。これまでの実施形態に限定されない空洞および粒子の他のバリエーションも可能である。参照によって本明細書に組み込まれるBaseltの米国特許第5,981,297号には、磁石を用いた磁性粒子の認識が詳細に記載されている。
【0533】
保持用突起を有する空洞の形成
一実施形態では、バルク結晶(100)シリコン基板などの基板の表面にマスクを付着させて、一体型のカバー層を形成する。マスクは、窒化シリコン、二酸化シリコン、ポリシリコン、ポリマー、ドライ・フィルム・フォトレジスト材料またはこれらの組合せとする。ただしこれらに限定されるわけではない。このマスクを基板の表面に堆積させる。窒化シリコン、二酸化シリコンおよび/またはポリシリコン層から形成されたマスクは、低圧化学蒸着(LPCVD)によって基板の表面に堆積させる。あるいは、適当な接着剤を使用してポリマー・マスクを基板に固定する。他の実施形態では、基板をフォトレジスト材料でコーティングし、このフォトレジストを現像して、マスクを製作する。
【0534】
マスクの一部をエッチングまたはカットすることによって、マスクに開口を形成する。マスクの開口は、その下の基板の一部がマスクの開口を通して露出するように、マスクを貫通して延びる。マスクに開口を形成した後、基板にエッチング液を塗布して、マスクの開口を通して露出した部分を除去する。
【0535】
一実施形態では、基板をシリコンで形成する。シリコン基板をエッチングすると、開口の形状が、シリコンのエッチングされる部分を決め、したがって空洞のサイズを決める。空洞は、シリコン・ウェーハの異方性エッチング・プロセスによって形成する。一実施形態では、シリコン・ウェーハの異方性エッチングを湿式水酸化物エッチングを使用して実施する。マスクに形成された開口が、基板のエッチングされる部分を決める。シリコンの異方性エッチングによって、空洞の側壁が実質的に約50度から60度の角度のテーパを有するように空洞を形成する。このような角度のついた空洞の形成は、<100>シリコンの湿式異方性エッチングによって達成する。用語「<100>シリコン」は、シリコン・ウェーハの結晶方位を指す。他のタイプのシリコン(例えば<110>および<111>シリコン)では側壁はより急角度になる。例えば、<111>シリコンでは、約90度の側壁が形成される。形成される空洞がシリコン基板を貫通して延びるようにエッチング・プロセスを制御する。
【0536】
マスクに形成される開口のサイズによって、シリコン基板のエッチング中に形成される空洞のサイズは決まるが、空洞の形状は決まらない。例えば、図82A〜Bに、シリコン基板上に形成されたマスクを示す。図82Aでは、ほぼ正方形の開口1310がマスク1320に形成されており、その結果、シリコン基板1300の一部が露出している。この基板をエッチング条件に曝露すると空洞1330が形成される。空洞のサイズおよび形状は、開口の形状およびサイズに相補的である。マスク1320によって覆われた基板の部分では、エッチングが実質的に抑制される。
【0537】
図82Bでは、マスク1320に円形の開口1310が形成されている。シリコン基板の露出部分を、例えば湿式水酸化物エッチングを使用してエッチングすると、ピラミッド形の空洞1330が得られる。円形の開口1310は、形成される空洞のサイズは決まるが、形状は決まらない。形成される空洞のサイズは円形の開口の直径に相補的である。図82Bに示すように空洞の縁は円の縁まで延びている。しかし、空洞がそのピラミッド形の形状を依然として維持していることに留意されたい。
【0538】
いくつかの実施形態では、シリコンに富む層(例えばシリコン・リッチ窒化シリコン)を基板に堆積させる。このシリコン・リッチ層は、柔軟な突起の形成に有利な低応力層となる。低応力層に形成された柔軟な突起によって、柔軟な突起の弾性屈曲はより容易になる。さらに、柔軟な突起を通した粒子の挿入が大幅に容易になる。
【0539】
図83および84に、シリコン基板に形成される空洞のサイズを決めるのに使用する開口の他の形状を示す。ただしこれによって空洞の形状は決まらない。これらの例から分かるように、空洞のサイズは開口の長さと幅によって決定される。例えば図83Aには2本のみぞ穴が示されている。第1のみぞ穴の幅および第2のみぞ穴の幅がエッチングのサイズを制御し、ピラミッド形の空洞の形成をある程度まで可能にする。他の図に示すように別の形状を使用して空洞を形成する。一般に、あらかじめ決めた形状の空洞を形成するためには、開口が、所望の空洞の長さおよび幅に対応する幅および長さを有していればよく、開口の形状は無関係である。
【0540】
いくつかの実施形態では、様々な形状の開口を使用して空洞を形成するこの特徴を使用して、空洞の上面の一部分の上に延びる突起を含む空洞を形成する。図83および84に、基板をエッチングした後に形成された空洞の上に柔軟な突起を設ける構造を示す。図83Bでは、基板の上に十字形の開口が形成されている。この基板を異方性エッチングにかけて、基板に空洞を形成する。最初に、開口を通して露出した基板の領域に空洞を形成する。エッチングを続けると、空洞はマスクの下の領域まで広がり、マスクの一部分をアンダーカットする。十分な時間が経過すると、空洞は、図83Bの最後のパネルに示すようになる。空洞は、開口の長さおよび幅に相補的なサイズを有する。しかしこの空洞は、マスクの一部分をアンダーカットしている。マスクのアンダーカットされた部分は、空洞の一部分の上に延びる突起1340を形成する。後により詳細に論じるが、これらの突起を使用して、空洞の中に粒子を維持するのを助ける。
【0541】
図84A〜Cに、エッチング後に突起を残す開口を有するマスクの代替実施形態を示す。これらの図に示すように、異なるサイズの開口は異なるサイズの空洞を生み出す。後に詳細に説明するが、異なるサイズの開口を有するマスクを備えた異なるサイズの空洞を形成するできることは、空洞の中に粒子を配置するのに有用である。上で説明したマスクを用いて形成される空洞を、底にも開口があるように基板を貫通させて形成する。
【0542】
マスク1320に形成された柔軟な突起1340からなる一体型カバー層は、空洞1330の中に粒子1350を保持する方法を提供する。図85に示す実施形態では、空洞1330の上に柔軟な突起1340が形成されている。マスクの開口1310は、その下の空洞1330の上面よりも小さい。図85に示すように、柔軟な突起1340越しに粒子1350を空洞1330の中へ挿入する。粒子1350が柔軟な突起1340を通過するとき、柔軟な突起は、粒子が柔軟な突起を完全に通り過ぎ、空洞1330に入るまで、図85Bおよび図85Cに示すように下方へ弾力的に曲がる。図85Dに示すように、粒子1350が柔軟な突起1340を通過した後は、柔軟な突起はその最初の位置へ弾力的に戻り、それによって粒子は空洞1330の中に保持される。センサ・アレイのその後の取扱いの間、空洞1330中の粒子1350の保持は、柔軟な突起1340によって維持される。
【0543】
図86に、特定のサイズの粒子1350を空洞の中に捕捉し保持するために形成された柔軟な突起1340を有する空洞1330の断面および上面図を示す。一実施形態では、100cm2シリコン基板が、約101から約106個のマスク開口および空洞を有する。マスク開口1310は、基板1300の全体にわたって実質的に同じサイズとし、または異なるサイズとする。図86に示すとおり、空洞1330の上面開口1360のサイズおよび形状は、マスク1320の開口1310のコーナ1380の位置によって決定される。底面開口1370のサイズおよび形状は、コーナ1380の位置および基板1300の厚さによって決まる。このように、それぞれの空洞の上面開口と底面開口のサイズおよび形状は、独立に制御する。それぞれの空洞1330および柔軟な突起1340は、特定のサイズの粒子1350に対して設計する。
【0544】
基板1300の空洞1330のアレイは、特定のサイズの粒子1350が、粒子のサイズ、例えば粒子の直径に基づいて特定の空洞に自動的に割り振られるように形成する。空洞1330の上面開口1360よりも大きな直径を持つ大きな粒子1350は実質的に空洞に入ることができない。空洞1330の底面開口1370よりも小さい直径を有する大きな粒子1350は、柔軟な突起1340を通過して上面開口1360から空洞に入る。このより小さな粒子1350は、底面開口1370を通過して空洞から外へ出ていく。上面開口1360よりも小さく、かつ底面開口1370よりも大きな直径を有する小さい粒子1350は空洞1330の中に捕捉され、柔軟な突起1340を用いて空洞の中に保持する。
【0545】
センサ・アレイの一実施形態では、異なるサイズの粒子1350を使用して、異なるタイプの関心の分析物を標的とする。所定のサイズを有する粒子の混合物をアレイに導入する。空洞1330のアレイは、特定の粒径に対して、適切な粒径の粒子1350がそれぞれの空洞に自動的に割り振られるように設計する。一センサ・アレイ・システムでは、柔軟な突起1340が、空洞1330の中の粒子1350を照明するのに使用する光源の光の波長に対して透明である。
【0546】
一実施形態では、様々な技法を使用して粒子を空洞の中に配置する。マイクロマニピュレータを使用して、1つの空洞に1つの粒子を個別に配置し、または空洞のアレイに複数の粒子を配置する。真空またはフロー・システムを使用して、空洞アレイへの粒子の配置をより迅速にする。一実施形態では、所望の粒径を選択するように設計された1つまたは複数の空洞を有する基板を製作する。幅広い粒径分布を有する溶液を調製する。基板をこの溶液に浸す。真空または他の流体流れによって、柔軟な突起越しに粒子を空洞の上面開口の中へ引き込む。大きすぎる粒子は、上面開口から空洞に入ることができない。小さすぎる粒子は、空洞を通過して底面開口から出ていってしまう。粒子が大きすぎる場合には、粒子が突起を通過するときに柔軟な突起は必ずしも曲がる必要はない。所望のサイズの粒子は、柔軟な突起および上面開口を通過し、空洞の中に保持される。
【0547】
他の実施形態では、以前に説明したようにシリコン基板の異方性エッチングの際にマスクをアンダーカットしてマスクに柔軟な突起を作り出すことによって、基板に空洞を形成する。マスクおよび柔軟な突起によって形成された一体型カバー層、ならびに基板の空洞の上面および底面開口は、収縮した状態の所望の粒径の粒子に合わせて製作する。空洞の中に配置する粒子を、その中で粒子が収縮する媒質に曝露する。図87Aに示すように、収縮した状態の粒子1350は、柔軟な突起1340を通して基板1300の空洞1330の中へ容易に挿入する。空洞1330の中へ粒子1350を挿入した後、その中で粒子が図87Bに示すその正常な状態へ戻る媒質に、粒子を曝露する。その正常なサイズに戻った後、粒子1350は、柔軟な突起1340によって空洞1330の中に捕捉される。粒子1350の膨張状態および柔軟な突起1340を正確に設計することによって、以降の処理の間、粒子を空洞の中に保持する。
【0548】
正確なサイズの柔軟な突起と粒子を組み合わせて使用することによって、逆流リミッタおよびポンプまたは逆止め弁を作り出す。一実施形態では、マスクのスリット開口を使用して、長方形の底面開口を有する空洞を基板に形成する。第2のマスクを使用して、空洞の中に保持する所望のサイズの粒子よりも小さい開口を空洞の上方に形成する。この第2のマスクは、粒子の直径よりもわずかに小さい円形の開口を形成する。
【0549】
空洞の上方のこのマスクの開口の柔軟な突起は、特定のサイズ粒子が空洞の中に配置されるように設計する。上面開口から底面開口まで空洞の中に流体を流す。この流れを逆転させた場合、空洞の上の柔軟な突起および空洞の中の粒子が、上面開口から外への流れを止め、または実質的に抑制する。底面開口からの流れは、円形の上面開口に粒子を押しつけ、空洞から流れを遮断する。マスクのスリットはできる限り小さくすることができ、その結果、流れを逆転または停止させた場合のスリットを通した逆流能力は大幅に低減する。一実施形態では、マスクの小さいスリット開口が、円形の開口を有する第2のマスクなしで空洞を通る逆流を防ぐのに十分な大きさである。これらの実施形態では、一方向の流れに対しては高い用量係数を有し、反対方向の流れに対しては低い容量係数を有する弁を作り出す。
【0550】
柔軟な突起は、一方の方向に他方よりも有利に曲がるように設計する。一実施形態では、カバー層を生み出す複数のリソグラフィまたは堆積ステップによって、空洞の中に粒子を配置する方向に弾力的に曲がる柔軟な突起を形成する。例えば、第1のマスクの上に、第2の窒化シリコンおよび/または二酸化ケイ素層を堆積させて、柔軟な突起が元の位置から空洞から離れる方向へ移動することを実質的に阻止する。空洞から離れる方向に粒子を取り出す際に突起が曲がる必要がある方向への柔軟性を低減させる。一方の屈曲方向にだけ柔軟性を強化するすることによって、シリコン基板へのエッチング・アクセスを提供するのに必要なカバー層のスリットのサイズを小さくする。他の実施形態では、粒子を挿入するため、または空洞に流体を流したいときに、柔軟な突起が電気的に作動する。
【0551】
適当なサイズの粒子が空洞に配置される確率を求めるため、一実施形態では、粒子溶液中の粒径がガウス分布に従うと仮定する。非限定的な例では、空洞の上面開口の上に配置されるカバー層の柔軟な突起の開口のサイズを、ある定数値に、溶液中の粒子の平均粒径よりも大きなシグマ値を掛けたサイズとする。後に定義するこのシグマ値は、粒子のガウス分布の平均粒径を中心とした粒径の可変性である。空洞の底面開口は、この定数値に、溶液中の粒子の平均粒径よりも小さいシグマ値を掛けたサイズとする。この例では、平均粒径から1シグマ・サイズの上面および底面開口を使用すると、平均粒径の粒子が空洞に正確に配置される確率は約84%である。
【0552】
粒径を10%シグマ、空洞の上面および底面開口のサイズを±1シグマ、次に大きなサイズの底面開口と次に小さなサイズの上面開口の間の分離を1シグマとすると、平均粒径から出発して次に大きな粒径サイズまたは次に小さな粒径サイズだけが、空洞を充てんする有意な確率を有する。これらの変数を仮定すると、次に大きなサイズの粒子が空洞に配置される確率は約1000分の1である。次に小さなサイズの粒子が空洞に配置される確率は約300分の1である。
【0553】
粒径サイズの可変性を小さくし、空洞の上面開口と底面開口の間の可変性を小さくし、かつ/または空洞の次に大きな底面開口と次に小さな上面開口との分離を大きくすると、正確なサイズの粒子が空洞に配置されるパーセンテージは高くなる。例えば、粒径を5%シグマ、空洞の上面および底面開口を同じ±lシグマ、分離を先の例で使用した1シグマとすると、次に大きなサイズの粒子が空洞に配置される確率は約700分の1になる。次に小さなサイズの粒子が空洞に配置される確率は約300分の1のままである。しかし、粒径を5%シグマ、空洞の上面および底面開口を±lシグマ、分離を2シグマとすると、次に大きなサイズの粒子が空洞に配置される確率は約80万分の1まで向上する。次に小さなサイズの粒子が空洞に配置される確率は約5万分の1まで向上する。
【0554】
冗長度を3倍にするために選択サイズの3つの空洞を使用して粒子捕捉の選択性確率を決定する他の戦略を使用する。この戦略では、3つの空洞のうちの2つの空洞が正確な粒径の粒子を含む場合に空洞が正確に充てんされたとみなす選択基準を使用する。しかし、同じサイズの2つの空洞が同時に不正確に充てんされた場合には、エラーが生じる。3つの空洞のうちの2つの空洞に次に大きなサイズの粒子が配置される確率は約106分の1である。3つの空洞のうちの2つの空洞に次に小さなサイズの粒子が配置される確率は約7万7千分の1である。
【0555】
この3倍冗長度戦略を使用したエラー率は、粒径の可変性ならびに空洞の上面および底面開口のサイズを小さくし、かつ/または次に大きなサイズの底面開口と次に小さなサイズの上面開口との分離を大きくすることによって、低下させることができる。例えば、粒径を10%シグマ、空洞の上面および底面開口のサイズを±0.5シグマ、次に大きなサイズの底面開口と次に小さなサイズの上面開口との分離を2シグマとすると、3つの空洞のうちの2つの空洞に次に大きなサイズの粒子が配置される確率は約4×1010分の1である。3つの空洞のうちの2つの空洞に、次に小さなサイズの粒子が配置される確率は約9×106分の1である。
【0556】
粒径分布から1つの粒径だけを選択するためには、幅広い粒径分布を有する粒子の溶液を基板の上に流す。以前に説明した実施形態と同様に、基板にチャネルを形成して、基板の空洞の中へ、および空洞から外へ溶液が流れるようにする。真空または流れを使用して、基板に形成された空洞の中へ粒子を引き込む。直径が大きすぎる粒子は、空洞の上面開口がこの粒子よりも小さい場合、空洞によって捕捉されない。空洞の上面開口よりも大きな粒子はアレイを横断して流れ続ける。空洞の底面開口よりも小さな直径を有する粒子は、上面開口から空洞の中へ引き込まれるが、底面開口から基板の外部へ出ていってしまう。上面開口よりも小さく、かつ底面開口よりも大きな粒径の粒子は、基板の1つまたは複数の空洞の中に引き込まれ、その中で保持される。保持されなかった粒子は基板から流れ去ってしまう。
【0557】
流れを止め、かつ/または捕捉された粒子と一緒に基板を粒子溶液から取り出す。逆流を使用して、アレイから所望の位置に粒子を取り出す。このようにして、異なるサイズの空洞からなるアレイを使用して様々な粒径の溶液を振り分ける。基板は、実質的に同じサイズの複数の空洞、または実質的に異なるサイズの複数の空洞を含む。柔軟な突起を有する一体型カバー層が、取扱いおよび/または以降の処理の間、空洞の中に所望の粒径を保持する。空洞を通る流れを逆転させて、所望の標的位置に粒子を取り出す。このようにして様々なサイズの粒子を振り分け、または「フィルタ」にかける。この方法を使用して、多くの粒子を標的上に同時にピック・アンド・プレースすることもできる。
【0558】
他の実施形態を以下のクローズ(文)に記載する。
【0559】
クローズA:流体中の分析物を検出するための粒子であって、
ポリマー樹脂と、
ポリマー樹脂に結合されたバイオポリマーと、
バイオポリマーに結合され、使用中に信号を生成するインジケーター系と
を含み、
分析物の存在下でバイオポリマーが化学反応を受け、その結果、使用中に信号が変化する
粒子。
【0560】
粒子が約0.05ミクロンから約500ミクロンであるクローズAの粒子。
【0561】
流体と接触したときに粒子の体積が変化するクローズAの粒子。
【0562】
化学反応が、分析物によるバイオポリマーの少なくとも一部分の切断を含むクローズAの粒子。
【0563】
バイオポリマーがペプチドを含み、分析物がプロテアーゼを含み、化学反応が、プロテアーゼによるペプチドの少なくとも一部分の切断を含むクローズAの粒子。
【0564】
バイオポリマーがポリヌクレオチドを含み、分析物がヌクレアーゼを含み、化学反応が、ヌクレアーゼによるポリヌクレオチドの少なくとも一部分の切断を含むクローズAの粒子。
【0565】
バイオポリマーがオリゴ糖を含み、分析物がオリゴ糖切断剤を含み、化学反応が、オリゴ糖切断剤によるオリゴ糖の少なくとも一部分の切断を含むクローズAの粒子。
【0566】
粒子のインジケーター系が、第1のインジケーターおよび第2のインジケーターを含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1のインジケーターと第2のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、信号が生成されるクローズAの粒子。
【0567】
第1のインジケーターが蛍光染料であり、第2のインジケーターが蛍光消光剤であり、第1のインジケーターと第2のインジケーターが、第1のインジケーターの蛍光が第2のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1および第2のインジケーターが移動し、その結果、第2のインジケーターによる第1のインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズAの粒子。
【0568】
第1のインジケーターが蛍光染料であり、第2のインジケーターが別の蛍光染料であり、第1のインジケーターと第2のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1および第2のインジケーターの位置が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化するクローズAの粒子。
【0569】
インジケーター系が、バイオポリマーに結合した少なくとも1つのインジケーターを含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって、ポリマー樹脂に結合したバイオポリマーの少なくとも一部分から、インジケーターに結合したバイオポリマーの少なくとも一部分が切断されるように、バイオポリマーが切断されるクローズAの粒子。
【0570】
粒子が、複数の空洞の中に配置された複数の粒子を含む系の中に存在し、これらの複数の粒子が、分析物の存在下で検出可能なパターンを生成するクローズAの粒子。
【0571】
粒子のインジケーター系が、第1のインジケーターおよび第2のインジケーターを含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1のインジケーターと第2のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、信号が生成されるクローズAの粒子。
【0572】
クローズB:流体中の分析物を検出するためのシステムであって、
光源と、
支持部材を含み、支持部材が、自体に形成された少なくとも1つの空洞を含むセンサ・アレイと、
空洞の中に配置された粒子と
を備え、
粒子が、ポリマー樹脂に結合されたバイオポリマーを含み、バイオポリマーが、分析物の存在下で化学反応を受けて信号を生成し、
さらに、
使用中に分析物と粒子の相互作用によって生成される信号を検出するように構成された検出器
を備え、
光源および検出器が、使用中に光が光源から粒子へ、さらに検出器上へ伝わるように配置された
システム。
【0573】
複数の空洞の中に配置された複数の粒子を含み、流体中の複数の分析物を実質的に同時に検出するように構成されたクローズBのシステム。
【0574】
空洞の中に配置された複数の粒子を含むクローズBのシステム。
【0575】
光源が発光ダイオードを含むクローズBのシステム。
【0576】
光源が白色光源を含むクローズBのシステム。
【0577】
センサ・アレイがさらに、底層および上部カバー層を備え、底層が支持部材の底面の下に、上部カバー層が支持部材の上面の上に配置されており、底層および上部カバー層が、底層および上部カバー層によって粒子が空洞の中に実質的に含まれるように配置されているクローズBのシステム。
【0578】
底層および上部カバー層が、光源が生み出す光に対して実質的に透明であるクローズBのシステム。
【0579】
センサ・アレイがさらに、底層および上部カバー層を備え、底層が支持部材の底面に、上部カバー層が支持部材の上面に結合されており、底層および上部カバー層がともに、底層および上部カバー層によって粒子が空洞の中に実質的に含まれるように支持部材に結合されているクローズBのシステム。
【0580】
センサ・アレイがさらに、底層および上部カバー層を備え、底層が支持部材の底面に、上部カバー層が支持部材の上面に結合されており、底層および上部カバー層がともに、底層および上部カバー層によって粒子が空洞の中に実質的に含まれるように支持部材に結合されており、底層および上部カバー層が、光源が生み出す光に対して実質的に透明であるクローズBのシステム。
【0581】
センサ・アレイがさらに、底層および上部カバー層を備え、底層が支持部材の底面に、上部カバー層が支持部材の上面に結合されており、底層および上部カバー層がともに、底層および上部カバー層によって粒子が空洞の中に実質的に含まれるように支持部材に結合されており、センサ・アレイがさらに、支持部材に結合された底層を備え、支持部材がシリコンを含み、底層が窒化シリコンを含むクローズBのシステム。
【0582】
センサ・アレイがさらに、センサ・アレイの底面に形成されたセンシング空洞を含むクローズBのシステム。
【0583】
支持部材がプラスチック材料から形成されており、センサ・アレイがさらに上部カバー層を備え、粒子が空洞の中に実質的に含まれるように上部カバー層が支持部材に結合されており、上部カバー層が、上部カバー層を通して粒子へ流体を流すように構成されており、支持部材および上部カバー層がともに、光源が生み出す光に対して実質的に透明であるクローズBのシステム。
【0584】
支持部材に結合された流体送りシステムをさらに備えたクローズBのシステム。
【0585】
検出器が電荷結合デバイスを含むクローズBのシステム。
【0586】
検出器が紫外線検出器を含むクローズBのシステム。
【0587】
検出器が蛍フォト検出器を含むクローズBのシステム。
【0588】
検出器が半導体ベースのフォト検出器を含み、センサ・アレイに結合されているクローズBのシステム。
【0589】
粒子が約0.05ミクロンから約500ミクロンであるクローズBのシステム。
【0590】
流体と接触したときに粒子の体積が変化するクローズBのシステム。
【0591】
化学反応が、分析物によるバイオポリマーの少なくとも一部分の切断を含むクローズBのシステム。
【0592】
バイオポリマーがペプチドを含み、分析物がプロテアーゼを含み、化学反応が、プロテアーゼによるペプチドの少なくとも一部分の切断を含むクローズBのシステム。
【0593】
バイオポリマーがポリヌクレオチドを含み、分析物がヌクレアーゼを含み、化学反応が、ヌクレアーゼによるポリヌクレオチドの少なくとも一部分の切断を含むクローズBのシステム。
【0594】
バイオポリマーがオリゴ糖を含み、分析物がオリゴ糖切断剤を含み、化学反応が、オリゴ糖切断剤によるオリゴ糖の少なくとも一部分の切断を含むクローズBのシステム。
【0595】
粒子がさらに、バイオポリマーに結合された第1のインジケーターおよび第2のインジケーターを含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1のインジケーターと第2のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、信号が生成されるクローズBのシステム。
【0596】
粒子がさらに、バイオポリマーに結合された第1のインジケーターおよび第2のインジケーターを含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1のインジケーターと第2のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、信号が生成され、第1のインジケーターが蛍光染料であり、第2のインジケーターが蛍光消光剤であり、第1のインジケーターと第2のインジケーターが、第1のインジケーターの蛍光が第2のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1および第2のインジケーターが移動し、その結果、第2のインジケーターによる第1のインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズBのシステム。
【0597】
粒子がさらに、バイオポリマーに結合された第1のインジケーターおよび第2のインジケーターを含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1のインジケーターと第2のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、信号が生成され、第1のインジケーターが第1の蛍光染料であり、第2のインジケーターが第2の蛍光染料であり、第1のインジケーターと第2のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1および第2のインジケーターの位置が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化するクローズBのシステム。
【0598】
バイオポリマーに結合したインジケーターをさらに含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって、ポリマー樹脂に結合したバイオポリマーの少なくとも一部分から、インジケーターに結合したバイオポリマーの少なくとも一部分が切断されるように、バイオポリマーが切断されるクローズBのシステム。
【0599】
複数の空洞の中に配置された複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が、分析物の存在下で検出可能なパターンを生成するクローズBのシステム。
【0600】
粒子がさらに、粒子に結合したインジケーターを含み、化学反応によってバイオポリマーが変化し、その結果、インジケーターとバイオポリマーの相互作用が変化して信号が生成されるクローズBのシステム。
【0601】
粒子がさらに、粒子に結合されたインジケーターを含み、化学反応によってバイオポリマーおよびインジケーターが変化して信号が生成されるクローズBのシステム。
【0602】
クローズC:流体中の分析物を感知する方法であって、
センサ・アレイの上に流体を通すこと
を含み、
センサ・アレイが、支持部材の空洞の中に配置された少なくとも1つの粒子を含み、粒子がポリマー樹脂を含み、ポリマー樹脂にバイオポリマーが結合されており、バイオポリマーが、分析物の存在下で化学反応を受けて信号を生成し、バイオポリマーが、分析物の存在下で化学反応を受け、その結果、信号が変化し、
さらに、
センサ・アレイの上に流体を通したときに粒子によって生成される信号を監視することを含み、
この信号の変化が分析物の存在を指示する
方法。
【0603】
信号が粒子の吸光度を含み、信号の変化が粒子の吸光度の変化を含むクローズCの方法。
【0604】
信号が粒子の蛍光を含み、信号の変化が粒子の蛍光の変化を含むクローズCの方法。
【0605】
信号が粒子のりん光を含み、信号の変化が粒子のりん光の変化を含むクローズCの方法。
【0606】
化学反応が、バイオポリマーの少なくとも一部分の切断を含み、切断が分析物によって引き起こされるクローズCの方法。
【0607】
バイオポリマーがペプチドを含み、分析物がプロテアーゼを含み、化学反応が、プロテアーゼによるペプチドの少なくとも一部分の切断を含むクローズCの方法。
【0608】
バイオポリマーがポリヌクレオチドを含み、分析物がヌクレアーゼを含み、化学反応が、ヌクレアーゼによるポリヌクレオチドの少なくとも一部分の切断を含むクローズCの方法。
【0609】
バイオポリマーがオリゴ糖を含み、分析物がオリゴ糖切断剤を含み、化学反応が、オリゴ糖切断剤によるオリゴ糖の少なくとも一部分の切断を含むクローズCの方法。
【0610】
粒子がさらに、バイオポリマーに結合された第1のインジケーターおよび第2のインジケーターを含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1のインジケーターと第2のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、信号の変化が生み出されるクローズCの方法。
【0611】
粒子がさらに、バイオポリマーに結合された第1のインジケーターおよび第2のインジケーターを含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1のインジケーターと第2のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、信号の変化が生み出され、第1のインジケーターが蛍光染料であり、第2のインジケーターが蛍光消光剤であり、第1のインジケーターと第2のインジケーターが、第1のインジケーターの蛍光が第2のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1および第2のインジケーターが移動し、その結果、第2のインジケーターによる第1のインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズCの方法。
【0612】
粒子がさらに、バイオポリマーに結合された第1のインジケーターおよび第2のインジケーターを含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1のインジケーターと第2のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、信号の変化が生み出され、第1のインジケーターが蛍光染料であり、第2のインジケーターが別の蛍光染料であり、第1のインジケーターと第2のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1および第2のインジケーターの位置が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化し、信号の変化が生み出されるクローズCの方法。
【0613】
バイオポリマーに結合したインジケーターをさらに含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって、ポリマー樹脂に結合したバイオポリマーの少なくとも一部分から、インジケーターに結合したバイオポリマーの少なくとも一部分が切断されるように、バイオポリマーが切断されるクローズCの方法。
【0614】
信号の変化を監視することがCCDデバイスを用いて実施されるクローズCの方法。
【0615】
信号の強度を測定すること、および信号の変化の強度に基づいて分析物の濃度を計算することをさらに含むクローズCの方法。
【0616】
クローズD 流体中の分析物を感知する方法であって、
センサ・アレイの上に流体を通すこと
を含み、
センサ・アレイが、支持部材の空洞の中に配置された少なくとも1つの粒子を含み、粒子がポリマー樹脂を含み、ポリマー樹脂にバイオポリマーが結合されており、
さらに、
バイオポリマーが分析物の存在下で化学反応を受けて信号を生成するようにすること、および
センサ・アレイの上に流体を通したときに粒子によって生成される信号を検出することを含む方法。
【0617】
信号が粒子の吸光度を含み、信号の変化が粒子の吸光度の変化を含むクローズDの方法。
【0618】
信号が粒子の蛍光を含み、信号の変化が粒子の蛍光の変化を含むクローズDの方法。
【0619】
信号が粒子のりん光を含み、信号の変化が粒子のりん光の変化を含むクローズDの方法。
【0620】
化学反応が、バイオポリマーの少なくとも一部分の切断を含み、切断が分析物によって引き起こされるクローズDの方法。
【0621】
バイオポリマーがペプチドを含み、分析物がプロテアーゼを含み、化学反応が、プロテアーゼによるペプチドの少なくとも一部分の切断を含むクローズDの方法。
【0622】
バイオポリマーがポリヌクレオチドを含み、分析物がヌクレアーゼを含み、化学反応が、ヌクレアーゼによるポリヌクレオチドの少なくとも一部分の切断を含むクローズDの方法。
【0623】
バイオポリマーがオリゴ糖を含み、分析物がオリゴ糖切断剤を含み、化学反応が、オリゴ糖切断剤によるオリゴ糖の少なくとも一部分の切断を含むクローズDの方法。
【0624】
粒子がさらに、バイオポリマーに結合された第1のインジケーターおよび第2のインジケーターを含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1のインジケーターと第2のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、信号の変化が生み出されるクローズDの方法。
【0625】
粒子がさらに、バイオポリマーに結合された第1のインジケーターおよび第2のインジケーターを含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1のインジケーターと第2のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、信号の変化が生み出され、第1のインジケーターが蛍光染料であり、第2のインジケーターが蛍光消光剤であり、第1のインジケーターと第2のインジケーターが、第1のインジケーターの蛍光が第2のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1および第2のインジケーターが移動し、その結果、第2のインジケーターによる第1のインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズDの方法。
【0626】
粒子がさらに、バイオポリマーに結合された第1のインジケーターおよび第2のインジケーターを含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1のインジケーターと第2のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、信号の変化が生み出され、第1のインジケーターが蛍光染料であり、第2のインジケーターが別の蛍光染料であり、第1のインジケーターと第2のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって第1および第2のインジケーターの位置が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化し、信号の変化が生み出されるクローズDの方法。
【0627】
バイオポリマーに結合したインジケーターをさらに含み、分析物の存在下でのバイオポリマーの化学反応によって、ポリマー樹脂に結合したバイオポリマーの少なくとも一部分から、インジケーターに結合したバイオポリマーの少なくとも一部分が切断されるように、バイオポリマーが切断されるクローズDの方法。
【0628】
信号の変化を監視することをさらに含むクローズDの方法。
【0629】
信号の変化を監視することをさらに含み、監視することがCCDデバイスを用いて実施されるクローズDの方法。
【0630】
信号の変化を監視すること、信号の強度を測定すること、および信号の強度に基づいて分析物の濃度を計算することをさらに含むクローズDの方法。
【0631】
クローズE:流体中の分析物を検出するためのシステムであって、
光源と、
支持部材を含み、支持部材が、自体に形成された少なくとも1つの空洞を含むセンサ・アレイと、
空洞の中に配置された粒子と
を備え、
粒子が、ポリマー樹脂に結合されたレセプターを含み、ポリマー樹脂にインジケーターが結合されており、インジケーターが、使用中にレセプターが分析物と相互作用したときに信号を生成するように構成され、
さらに、
使用中に分析物と粒子の相互作用によって生成される信号を検出するように構成された検出器
を備え、
光源および検出器が、使用中に光が光源から粒子へ、さらに検出器上へ伝わるように配置された
システム。
【0632】
複数の空洞の中に配置された複数の粒子をさらに含み、流体中の複数の分析物を実質的に同時に検出するように構成されたクローズEのシステム。
【0633】
空洞の中に配置された複数の粒子をさらに含むクローズEのシステム。
【0634】
光源が発光ダイオードを含むクローズEのシステム。
【0635】
光源が白色光源を含むクローズEのシステム。
【0636】
センサ・アレイがさらに、底層および上部カバー層を備え、底層が支持部材の底面の下に、上部カバー層が支持部材の上面の上に配置されており、底層および上部カバー層が、底層および上部カバー層によって粒子が空洞の中に実質的に含まれるように配置されているクローズEのシステム。
【0637】
センサ・アレイがさらに、底層および上部カバー層を備え、底層が支持部材の底面の下に、上部カバー層が支持部材の上面の上に配置されており、底層および上部カバー層が、底層および上部カバー層によって粒子が空洞の中に実質的に含まれるように配置されており、底層および上部カバー層が、光源が生み出す光に対して実質的に透明であるクローズEのシステム。
【0638】
センサ・アレイがさらに、底層および上部カバー層を備え、底層が支持部材の底面に、上部カバー層が支持部材の上面に結合されており、底層および上部カバー層がともに、底層および上部カバー層によって粒子が空洞の中に実質的に含まれるように支持部材に結合されているクローズEのシステム。
【0639】
センサ・アレイがさらに、底層および上部カバー層を備え、底層が支持部材の底面に、上部カバー層が支持部材の上面に結合されており、底層および上部カバー層がともに、底層および上部カバー層によって粒子が空洞の中に実質的に含まれるように支持部材に結合されており、底層および上部カバー層が、光源が生み出す光に対して実質的に透明であるクローズEのシステム。
【0640】
センサ・アレイがさらに、支持部材に結合された底層を備え、支持部材がシリコンを含み、底層が窒化シリコンを含むクローズEのシステム。
【0641】
センサ・アレイがさらに、センサ・アレイの底面に形成されたセンシング空洞を含むクローズEのシステム。
【0642】
支持部材がプラスチック材料から形成されており、センサ・アレイがさらに上部カバー層を備え、粒子が空洞の中に実質的に含まれるように上部カバー層が支持部材に結合されており、上部カバー層が、上部カバー層を通して粒子へ流体を流すように構成されており、支持部材および上部カバー層がともに、光源が生み出す光に対して実質的に透明であるクローズEのシステム。
【0643】
支持部材に結合された流体送りシステムをさらに備えたクローズEのシステム。
【0644】
検出器が電荷結合デバイスを含むクローズEのシステム。
【0645】
検出器が紫外線検出器を含むクローズEのシステム。
【0646】
検出器が蛍フォト検出器を含むクローズEのシステム。
【0647】
検出器が半導体ベースのフォト検出器を含み、センサ・アレイに結合されているクローズEのシステム。
【0648】
粒子が約0.05ミクロンから約500ミクロンであるクローズEのシステム。
【0649】
流体と接触したときに粒子の体積が変化するクローズEのシステム。
【0650】
ポリマー樹脂が、ポリスチレン−ポリエチレングリコール−ジビニルベンゼンを含むクローズEのシステム。
【0651】
レセプターが、ポリヌクレオチド、ペプチド、酵素またはペプチドミメティックを含むクローズEのシステム。
【0652】
レセプターが、リンカーによってポリマー樹脂に結合されているクローズEのシステム。
【0653】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってポリマー樹脂に結合されているクローズEのシステム。
【0654】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、粒子がさらに、第3のリンカーによってポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズEのシステム。
【0655】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターがレセプターに結合されているクローズEのシステム。
【0656】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズEのシステム。
【0657】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってレセプターに結合されているクローズEのシステム。
【0658】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってレセプターに結合されており、粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズEのシステム。
【0659】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが第1のリンカーに結合されているクローズEのシステム。
【0660】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによって第1のリンカーに結合されているクローズEのシステム。
【0661】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズEのシステム。
【0662】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、粒子がさらに、第3のリンカーによって第1のリンカーに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズEのシステム。
【0663】
インジケーターが、分析物が存在しない状況でレセプターと相互作用するクローズEのシステム。
【0664】
粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが第1の蛍光染料であり、追加のインジケーターが第2の蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化するクローズEのシステム。
【0665】
粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが蛍光染料であり、追加のインジケーターが蛍光消光剤であり、インジケーターと追加のインジケーターが、インジケーターの蛍光が追加のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、追加のインジケーターによるインジケーターの蛍光の吸光度が変化するクローズEのシステム。
【0666】
粒子が約0.05ミクロンから約500ミクロンであるクローズEのシステム。
【0667】
ポリマー樹脂が、ポリスチレン−ポリエチレングリコール−ジビニルベンゼンを含むクローズEのシステム。
【0668】
複数の空洞の中に配置された複数の粒子をさらに含み、これらの複数の粒子が、分析物の存在下で検出可能なパターンを生成するクローズEのシステム。
【0669】
クローズF:流体中の分析物を検出するための粒子であって、
ポリマー樹脂と、
ポリマー樹脂に結合されたレセプターと、
ポリマー樹脂またはレセプターに結合されたインジケーターと
を含み、
インジケーターが、使用中にレセプターが分析物と相互作用したときに信号を生成するように構成されている
粒子。
【0670】
レセプターがポリヌクレオチドを含むクローズFの粒子。
【0671】
レセプターが、ペプチド、酵素またはペプチドミメティックを含むクローズFの粒子。
【0672】
レセプターが、リンカーによってポリマー樹脂に結合されているクローズFの粒子。
【0673】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってポリマー樹脂に結合されているクローズFの粒子。
【0674】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、分析物が存在しない状況でレセプターと相互作用するクローズFの粒子。
【0675】
粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズFの粒子。
【0676】
粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが第1の蛍光染料であり、追加のインジケーターが第2の蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化するクローズFの粒子。
【0677】
粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが蛍光染料であり、追加のインジケーターが蛍光消光剤であり、インジケーターと追加のインジケーターが、インジケーターの蛍光が追加のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、追加のインジケーターによるインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズFの粒子。
【0678】
粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、追加のインジケーターが、第3のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが第1の蛍光染料であり、追加のインジケーターが第2の蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化するクローズFの粒子。
【0679】
粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、追加のインジケーターが、第3のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが蛍光染料であり、追加のインジケーターが蛍光消光剤であり、インジケーターと追加のインジケーターが、インジケーターの蛍光が追加のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、追加のインジケーターによるインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズFの粒子。
【0680】
インジケーターがレセプターに結合されており、レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってレセプターに結合されているクローズFの粒子。
【0681】
インジケーターがレセプターに結合されており、レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってレセプターに結合されており、インジケーターが、分析物が存在しない状況でレセプターと相互作用するクローズFの粒子。
【0682】
インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズFの粒子。
【0683】
インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズFの粒子。
【0684】
インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが第1の蛍光染料であり、追加のインジケーターが第2の蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化するクローズFの粒子。
【0685】
インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが蛍光染料であり、追加のインジケーターが蛍光消光剤であり、インジケーターと追加のインジケーターが、インジケーターの蛍光が追加のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、追加のインジケーターによるインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズFの粒子。
【0686】
インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが蛍光消光剤であり、追加のインジケーターが蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが、追加のインジケーターの蛍光がインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、インジケーターによる追加のインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズFの粒子。
【0687】
インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが第1の蛍光染料であり、追加のインジケーターが第2の蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化するクローズFの粒子。
【0688】
インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが蛍光染料であり、追加のインジケーターが蛍光消光剤であり、インジケーターと追加のインジケーターが、インジケーターの蛍光が追加のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、追加のインジケーターによるインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズFの粒子。
【0689】
インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが蛍光消光剤であり、追加のインジケーターが蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが、追加のインジケーターの蛍光がインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、インジケーターによる追加のインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズFの粒子。
【0690】
インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってレセプターに結合されており、追加のインジケーターが、第3のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが第1の蛍光染料であり、追加のインジケーターが第2の蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化するクローズFの粒子。
【0691】
インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってレセプターに結合されており、追加のインジケーターが、第3のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが蛍光染料であり、追加のインジケーターが蛍光消光剤であり、インジケーターと追加のインジケーターが、インジケーターの蛍光が追加のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、追加のインジケーターによるインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズFの粒子。
【0692】
インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってレセプターに結合されており、追加のインジケーターが、第3のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが蛍光消光剤であり、追加のインジケーターが蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが、追加のインジケーターの蛍光がインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、インジケーターによる追加のインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズFの粒子。
【0693】
インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってレセプターに結合されており、追加のインジケーターが、第3のリンカーによってレセプターに結合されており、インジケーターが第1の蛍光染料であり、追加のインジケーターが第2の蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化するクローズFの粒子。
【0694】
インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってレセプターに結合されており、追加のインジケーターが、第3のリンカーによってレセプターに結合されており、インジケーターが蛍光染料であり、追加のインジケーターが蛍光消光剤であり、インジケーターと追加のインジケーターが、インジケーターの蛍光が追加のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、追加のインジケーターによるインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズFの粒子。
【0695】
インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってレセプターに結合されており、追加のインジケーターが、第3のリンカーによってレセプターに結合されており、インジケーターが蛍光消光剤であり、追加のインジケーターが蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが、追加のインジケーターの蛍光がインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、インジケーターによる追加のインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズFの粒子。
【0696】
粒子が約0.05ミクロンから約500ミクロンであるクローズFの粒子。
【0697】
流体と接触したときに粒子の体積が変化するクローズFの粒子。
【0698】
ポリマー樹脂が、ポリスチレン−ポリエチレングリコール−ジビニルベンゼンを含むクローズFの粒子。
【0699】
インジケーターが、ポリマー樹脂のすぐ近くの流体のpHの変化に応答して信号を生成するクローズFの粒子。
【0700】
分析物が金属イオンを含み、インジケーターが、金属イオンとレセプターの相互作用に応答して信号を生成するクローズFの粒子。
【0701】
分析物がリン酸官能基を含み、粒子が、リン酸官能基の存在下で信号を生成するように構成されているクローズFの粒子。
【0702】
分析物が細菌を含み、粒子が、細菌の存在下で信号を生成するように構成されているクローズFの粒子。
【0703】
クローズG:流体中の分析物を検出するための粒子であって、
ポリマー樹脂と、
第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されたレセプターと、
第1のリンカーに結合されたインジケーターと
を含み、
インジケーターが、使用中にレセプターが分析物と相互作用したときに信号を生成するように構成されている
粒子。
【0704】
レセプターが、ポリヌクレオチド、ペプチド、酵素またはペプチドミメティックを含むクローズGの粒子。
【0705】
レセプターが、第2のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、インジケーターが、第3のリンカーによって第1のリンカーに結合されているクローズGの粒子。
【0706】
レセプターが、第2のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、インジケーターが、第3のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、インジケーターが、分析物が存在しない状況でレセプターと相互作用するクローズGの粒子。
【0707】
粒子がさらに、第1のリンカーに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズGの粒子。
【0708】
粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズGの粒子。
【0709】
粒子がさらに、第1のリンカーに結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが第1の蛍光染料であり、追加のインジケーターが第2の蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化するクローズGの粒子。
【0710】
粒子がさらに、第1のリンカーに結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが蛍光染料であり、追加のインジケーターが蛍光消光剤であり、インジケーターと追加のインジケーターが、インジケーターの蛍光が追加のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、追加のインジケーターによるインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズGの粒子。
【0711】
粒子がさらに、第1のリンカーに結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが蛍光消光剤であり、追加のインジケーターが蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが、追加のインジケーターの蛍光がインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、インジケーターによる追加のインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズGの粒子。
【0712】
粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが第1の蛍光染料であり、追加のインジケーターが第2の蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化するクローズGの粒子。
【0713】
粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが蛍光染料であり、追加のインジケーターが蛍光消光剤であり、インジケーターと追加のインジケーターが、インジケーターの蛍光が追加のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、追加のインジケーターによるインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズGの粒子。
【0714】
粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが蛍光消光剤であり、追加のインジケーターが蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが、追加のインジケーターの蛍光がインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、インジケーターによる追加のインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズGの粒子。
【0715】
粒子がさらに、第1のリンカーに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが第2のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、インジケーターが第3のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、追加のインジケーターが第4のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、インジケーターが第1の蛍光染料であり、追加のインジケーターが第2の蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化するクローズGの粒子。
【0716】
粒子がさらに、第1のリンカーに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが第2のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、インジケーターが第3のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、追加のインジケーターが第4のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、インジケーターが蛍光染料であり、追加のインジケーターが蛍光消光剤であり、インジケーターと追加のインジケーターが、インジケーターの蛍光が追加のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、追加のインジケーターによるインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズGの粒子。
【0717】
粒子がさらに、第1のリンカーに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが第2のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、インジケーターが第3のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、追加のインジケーターが第4のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、インジケーターが蛍光消光剤であり、追加のインジケーターが蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが、追加のインジケーターの蛍光がインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、インジケーターによる追加のインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズGの粒子。
【0718】
粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが第2のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、インジケーターが第3のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、追加のインジケーターが第4のリンカーによってレセプターに結合されており、インジケーターが第1の蛍光染料であり、追加のインジケーターが第2の蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化するクローズGの粒子。
【0719】
粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが第2のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、インジケーターが第3のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、追加のインジケーターが第4のリンカーによってレセプターに結合されており、インジケーターが蛍光染料であり、追加のインジケーターが蛍光消光剤であり、インジケーターと追加のインジケーターが、インジケーターの蛍光が追加のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、追加のインジケーターによるインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズGの粒子。
【0720】
粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが第2のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、インジケーターが第3のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、追加のインジケーターが第4のリンカーによってレセプターに結合されており、インジケーターが蛍光染料であり、追加のインジケーターが蛍光消光剤であり、インジケーターと追加のインジケーターが、インジケーターの蛍光が追加のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、追加のインジケーターによるインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズGの粒子。
【0721】
粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターが第2のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、インジケーターが第3のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、追加のインジケーターが第4のリンカーによってレセプターに結合されており、インジケーターが蛍光消光剤であり、追加のインジケーターが蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが、追加のインジケーターの蛍光がインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、インジケーターによる追加のインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズGの粒子。
【0722】
第1のリンカーがペプチドまたはペプチドミメティックを含むクローズGの粒子。
【0723】
粒子が約0.05ミクロンから約500ミクロンであるクローズGの粒子。
【0724】
流体と接触したときに粒子の体積が変化するクローズGの粒子。
【0725】
ポリマー樹脂が、ポリスチレン−ポリエチレングリコール−ジビニルベンゼンを含むクローズGの粒子。
【0726】
インジケーターが、ポリマー樹脂のすぐ近くの流体のpHの変化に応答して信号を生成するクローズGの粒子。
【0727】
分析物が金属イオンを含み、インジケーターが、金属イオンとレセプターの相互作用に応答して信号を生成するクローズGの粒子。
【0728】
分析物がリン酸官能基を含み、粒子が、リン酸官能基の存在下で信号を生成するように構成されているクローズGの粒子。
【0729】
分析物が細菌を含み、粒子が、細菌の存在下で信号を生成するように構成されているクローズGの粒子。
【0730】
クローズH:流体中の分析物を感知する方法であって、
センサ・アレイの上に流体を通すこと
を含み、
センサ・アレイが、支持部材の空洞の中に配置された少なくとも1つの粒子を含み、粒子が、ポリマー樹脂に結合されたバイオポリマーを含み、ポリマー樹脂にインジケーターが結合されており、インジケーターが、使用中にレセプターが分析物と相互作用したときに信号を生成するように構成されており、
さらに、
センサ・アレイの上に流体を通したときに粒子によって生成される信号を監視することを含み、
信号が分析物を指示する
方法。
【0731】
信号がインジケーターの吸光度を含み、信号が粒子の吸光度の変化を含むクローズHの方法。
【0732】
信号がプローブ分子の蛍光を含み、信号が粒子の蛍光の変化を含むクローズHの方法。
【0733】
信号がプローブ分子のりん光を含み、信号が粒子のりん光の変化を含むクローズHの方法。
【0734】
分析物がアニオンであり、信号が、アニオンとレセプターの相互作用に応答して生成されるクローズHの方法。
【0735】
分析物がDNA分子であり、信号が、DNA分子とレセプターの相互作用に応答して生成されるクローズHの方法。
【0736】
分析物がタンパク質であり、信号が、タンパク質とレセプターの相互作用に応答して生成されるクローズHの方法。
【0737】
分析物が糖であり、信号が、糖とレセプターの相互作用に応答して生成されるクローズHの方法。
【0738】
分析物が細菌であり、信号が、細菌とレセプターの相互作用に応答して生成されるクローズHの方法。
【0739】
インジケーターが蛍光インジケーターであるクローズHの方法。
【0740】
分光学的変化を監視することがCCDデバイスを用いて実施されるクローズHの方法。
【0741】
信号の強度を測定すること、および信号の強度に基づいて分析物の濃度を計算することをさらに含むクローズHの方法。
【0742】
粒子が約0.05ミクロンから約500ミクロンであるクローズHの方法。
【0743】
流体と接触したときに粒子の体積が変化するクローズHの方法。
【0744】
ポリマー樹脂が、ポリスチレン−ポリエチレングリコール−ジビニルベンゼンを含むクローズHの方法。
【0745】
レセプターが、ポリヌクレオチド、ペプチド、酵素またはペプチドミメティックを含むクローズHの方法。
【0746】
レセプターが、リンカーによってポリマー樹脂に結合されているクローズHの方法。
【0747】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってポリマー樹脂に結合されているクローズHの方法。
【0748】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、粒子がさらに、第3のリンカーによってポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズHの方法。
【0749】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターがレセプターに結合されているクローズHの方法。
【0750】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズHの方法。
【0751】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってレセプターに結合されているクローズHの方法。
【0752】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターがレセプターに結合されており、粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズHの方法。
【0753】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってレセプターに結合されているクローズHの方法。
【0754】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによってレセプターに結合されており、粒子がさらに、レセプターに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズHの方法。
【0755】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが第1のリンカーに結合されているクローズHの方法。
【0756】
レセプターが、第1のリンカーによってポリマー樹脂に結合されており、インジケーターが、第2のリンカーによって第1のリンカーに結合されており、粒子がさらに、第3のリンカーによって第1のリンカーに結合された追加のインジケーターを含み、レセプターと分析物の相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズHの方法。
【0757】
インジケーターが、分析物が存在しない状況でレセプターと相互作用するクローズHの方法。
【0758】
粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが第1の蛍光染料であり、追加のインジケーターが第2の蛍光染料であり、インジケーターと追加のインジケーターが蛍光共鳴エネルギー移動信号を生成し、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、蛍光共鳴エネルギー移動信号が変化するクローズHの方法。
【0759】
粒子がさらに、ポリマー樹脂に結合された追加のインジケーターを含み、インジケーターが蛍光染料であり、追加のインジケーターが蛍光消光剤であり、インジケーターと追加のインジケーターが、インジケーターの蛍光が追加のインジケーターによって少なくとも部分的に消光されるように配置され、分析物とレセプターの相互作用によってインジケーターと追加のインジケーターの間の距離が変化し、その結果、追加のインジケーターによるインジケーターの蛍光の消光が変化するクローズHの方法。
【0760】
粒子が約0.05ミクロンから約500ミクロンであるクローズHの方法。
【0761】
ポリマー樹脂が、ポリスチレン−ポリエチレングリコール−ジビニルベンゼンを含むクローズHの方法。
【0762】
システムが、複数の空洞の中に配置された複数の粒子をさらに含み、これらの複数の粒子が、分析物の存在下で検出可能なパターンを生成するクローズHの方法。
【0763】
クローズI:流体中の分析物を検出するためのシステムであって、
光源と、
支持部材を含み、支持部材が、自体に形成された少なくとも1つの空洞を含むセンサ・アレイと、
空洞の中に配置された粒子と
を備え、
粒子が、使用中に粒子が分析物と相互作用したときに信号を生成するように構成されており、
さらに、
空洞に結合されており、使用中に空洞を通して流体を引き込むように構成された真空装置と、
使用中に分析物と粒子の相互作用によって生成される信号を検出するように構成された検出器と
を備え、
光源および検出器が、使用中に光が光源から粒子へ、そして検出器上へ伝わるように配置された
システム。
【0764】
複数の空洞の中に配置された複数の粒子を含み、流体中の複数の分析物を実質的に同時に検出するように構成されたクローズIのシステム。
【0765】
空洞の中に配置された複数の粒子を含むクローズIのシステム。
【0766】
光源が発光ダイオードを含むクローズIのシステム。
【0767】
光源が白色光源を含むクローズIのシステム。
【0768】
センサ・アレイがさらに、底層および上部カバー層を備え、底層が支持部材の底面の下に、上部カバー層が支持部材の上面の上に配置されており、底層および上部カバー層が、底層および上部カバー層によって粒子が空洞の中に実質的に含まれるように配置されているクローズIのシステム。
【0769】
底層および上部カバー層が、光源が生み出す光に対して実質的に透明であるクローズIのシステム。
【0770】
センサ・アレイがさらに、底層および上部カバー層を備え、底層が支持部材の底面に、上部カバー層が支持部材の上面に結合されており、底層および上部カバー層がともに、底層および上部カバー層によって粒子が空洞の中に実質的に含まれるように支持部材に結合されているクローズIのシステム。
【0771】
センサ・アレイがさらに、底層および上部カバー層を備え、底層が支持部材の底面に、上部カバー層が支持部材の上面に結合されており、底層および上部カバー層がともに、底層および上部カバー層によって粒子が空洞の中に実質的に含まれるように支持部材に結合されており、底層および上部カバー層が、光源が生み出す光に対して実質的に透明であるクローズIのシステム。
【0772】
センサ・アレイがさらに、支持部材に結合された底層を備え、支持部材がシリコンを含み、底層が窒化シリコンを含むクローズIのシステム。
【0773】
センサ・アレイに結合されたコンジットをさらに備え、コンジットが、流体サンプルをセンサ・アレイへ導き、かつ流体サンプルをセンサ・アレイから導くように構成されているクローズIのシステム。
【0774】
支持部材がプラスチック材料から形成されており、センサ・アレイがさらに上部カバー層を備え、粒子が空洞の中に実質的に含まれるように上部カバー層が支持部材に結合されており、上部カバー層が、上部カバー層を通して粒子へ流体を流すように構成されており、支持部材および上部カバー層がともに、光源が生み出す光に対して実質的に透明であるクローズIのシステム。
【0775】
空洞が、使用中に支持部材を通して流体を流すように構成されているクローズIのシステム。
【0776】
空洞が、使用中に支持部材を通して流体を流すように構成されており、空洞が、粒子を実質的に含むように構成されているクローズIのシステム。
【0777】
空洞が、使用中に支持部材を通して流体を流すように構成されており、システムがさらに、支持部材に結合されたカバー層と、支持部材に結合された底層とを含み、カバー層および底層が取外し可能であるクローズIのシステム。
【0778】
空洞が、使用中に支持部材を通して流体を流すように構成されており、システムがさらに、支持部材に結合されたカバー層と、支持部材に結合された底層とを含み、カバー層および底層が取外し可能であり、カバー層および底層が、使用中に空洞と実質的に整列する開口を含むクローズIのシステム。
【0779】
空洞が、使用中に支持部材を通して流体を流すように構成されており、システムがさらに、支持部材に結合されたカバー層と、支持部材に結合された底層とを含み、底層が、支持部材の底面に結合されており、カバー層が取外し可能であり、カバー層および底層が、使用中に空洞と実質的に整列する開口を含むクローズIのシステム。
【0780】
空洞が、使用中に支持部材を通して流体を流すように構成されており、システムがさらに、支持部材に結合されたカバー層と、支持部材に結合された底層とを含み、カバー層に、空洞と実質的に整列する開口が形成されており、底層に、空洞と実質的に整列する開口が形成されているクローズIのシステム。
【0781】
空洞が、使用中に支持部材を通して流体を流すように構成されており、支持部材の上面から支持部材の底面へ向かう方向に空洞の幅が狭くなるように、空洞に実質的なテーパがつけられており、空洞の最小幅が粒子の幅よりも実質的に狭いクローズIのシステム。
【0782】
空洞が、使用中に支持部材を通して流体を流すように構成されており、空洞の底面部分の幅が、空洞の上面部分の幅よりも実質的に狭く、空洞の底面部分の幅が粒子の幅よりも実質的に狭いクローズIのシステム。
【0783】
空洞が、使用中に支持部材を通して流体を流すように構成されており、システムがさらに、支持部材に結合されたカバー層と、支持部材に結合された底層とを含み、底層が、粒子を支持するように構成されており、カバー層に、空洞と実質的に整列する開口が形成されているクローズIのシステム。
【0784】
空洞が、使用中に支持部材を通して流体を流すように構成されており、支持部材がドライ・フィルム・フォトレジスト材料を含むクローズIのシステム。
【0785】
空洞が、使用中に支持部材を通して流体を流すように構成されており、支持部材が、ドライ・フィルム・フォトレジスト材料からなる複数の層を含むクローズIのシステム。
【0786】
空洞が、使用中に支持部材を通して流体を流すように構成されており、空洞の内表面が反射材料でコーティングされているクローズIのシステム。
【0787】
検出器が電荷結合デバイスを含むクローズIのシステム。
【0788】
検出器が紫外線検出器を含むクローズIのシステム。
【0789】
検出器が蛍フォト検出器を含むクローズIのシステム。
【0790】
検出器が半導体ベースのフォト検出器を含み、センサ・アレイに結合されているクローズIのシステム。
【0791】
粒子が約0.05ミクロンから約500ミクロンであるクローズIのシステム。
【0792】
流体と接触したときに粒子の体積が変化するクローズIのシステム。
【0793】
真空装置が真空チャンバを備え、真空チャンバが、真空チャンバとコンジットの間に配置された破壊可能な障壁を備え、真空チャンバが、破壊可能な障壁に穴があいたときにコンジットを通して流体を引き込むように構成されているクローズIのシステム。
【0794】
真空装置が真空ポンプを備えるクローズIのシステム。
【0795】
粒子が、ポリマー樹脂に結合されたレセプター分子を含むクローズIのシステム。
【0796】
粒子が、ポリマー樹脂に結合されたレセプター分子を含み、ポリマー樹脂が、ポリスチレン−ポリエチレングリコール−ジビニルベンゼンを含むクローズIのシステム。
【0797】
粒子が、ポリマー樹脂に結合されたレセプター分子を含み、レセプター分子が、流体のpHに応答して信号を生成するクローズIのシステム。
【0798】
粒子が、ポリマー樹脂に結合されたレセプター分子を含み、分析物が金属イオンを含み、レセプターが、金属イオンの存在に応答して信号を生成するクローズIのシステム。
【0799】
粒子が、ポリマー樹脂に結合されたレセプター分子を含み、分析物が炭水化物を含み、レセプターが、炭水化物の存在に応答して信号を生成するクローズIのシステム。
【0800】
粒子が、ポリマー樹脂に結合されたレセプター分子を含み、粒子がさらに、第1のインジケーターおよび第2のインジケーターを含み、第1および第2のインジケーターがレセプターに結合されており、レセプターと分析物の相互作用によって第1のインジケーターと第2のインジケーターが相互作用し、その結果、信号が生成されるクローズIのシステム。
【0801】
粒子が、ポリマー樹脂に結合されたレセプター分子を含み、粒子がさらにインジケーターを含み、インジケーターはレセプターと連結しており、分析物の存在下でインジケーターはレセプターから外れて信号を生成するクローズIのシステム。
【0802】
粒子が、ポリマー樹脂に結合されたレセプター分子を含み、レセプターがポリヌクレオチドを含むクローズIのシステム。
【0803】
粒子が、ポリマー樹脂に結合されたレセプター分子を含み、レセプターが、ペプチド、酵素、合成レセプター、非天然バイオポリマー、抗体または抗原を含むクローズIのシステム。
【0804】
分析物がリン酸官能基を含み、粒子が、リン酸官能基の存在下で信号を生成するように構成されているクローズIのシステム。
【0805】
分析物が細菌を含み、粒子が、細菌の存在下で信号を生成するように構成されているクローズIのシステム。
【0806】
複数の空洞の中に配置された複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が、分析物の存在下で検出可能なパターンを生成するクローズIのシステム。
【0807】
コンジットおよびセンサ・アレイに結合されたフィルタをさらに備え、センサ・アレイに到達する前に流体がフィルタを通過するクローズIのシステム。
【0808】
コンジットおよびセンサ・アレイに結合されたフィルタをさらに備え、センサ・アレイに到達する前に流体がフィルタを通過し、流体が血液サンプルであり、フィルタが、微粒子を除去するための膜を含むクローズIのシステム。
【0809】
コンジットおよびセンサ・アレイに結合されたフィルタをさらに備え、センサ・アレイに到達する前に流体がフィルタを通過し、流体が血液サンプルであり、フィルタが、血液サンプル中の白血球および赤血球を除去するための膜を含むクローズIのシステム。
【0810】
センサ・アレイに結合された試薬送りリザーバをさらに備え、試薬送りリザーバが、使用中に試薬を粒子に送るように構成されているクローズIのシステム。
【0811】
試薬送りリザーバがインジケーターを含むクローズIのシステム。
【0812】
クローズJ:流体中の分析物を感知する方法であって、センサ・アレイの中に流体を通すことを含み、センサ・アレイが、センサ・アレイの支持部材の空洞の中に配置された少なくとも1つの粒子を含み、空洞に真空装置が結合されており、真空装置が、空洞の中の流体に引っ張る力を加えるように構成されており、さらに、センサ・アレイの上に流体を通したときに粒子の分光学的変化を監視することを含み、分光学的変化が、分析物と粒子の相互作用によって生じる方法。
【0813】
分光学的変化が粒子の吸光度の変化を含むクローズJの方法。
【0814】
分光学的変化が粒子の蛍光の変化を含むクローズJの方法。
【0815】
分光学的変化が粒子のりん光の変化を含むクローズJの方法。
【0816】
分析物が陽子原子であり、分光学的変化が流体のpHが変化したときに生じ、粒子の分光学的変化を監視することによって流体のpHを決定するクローズJの方法。
【0817】
分析物が金属カチオンであり、分光学的変化が、流体中の金属カチオンの存在に応答して生じるクローズJの方法。
【0818】
分析物がアニオンであり、分光学的変化が、流体中のアニオンの存在に応答して生じるクローズJの方法。
【0819】
分析物がDNA分子であり、分光学的変化が、流体中のDNA分子の存在に応答して生じるクローズJの方法。
【0820】
分析物がタンパク質であり、分光学的変化が、流体中のタンパク質の存在に応答して生じるクローズJの方法。
【0821】
分析物が代謝産物であり、分光学的変化が、流体中の代謝産物の存在に応答して生じるクローズJの方法。
【0822】
分析物が糖であり、分光学的変化が、流体中の糖の存在に応答して生じるクローズJの方法。
【0823】
分析物が細菌であり、分光学的変化が、流体中の細菌の存在に応答して生じるクローズJの方法。
【0824】
粒子が、ポリマー樹脂に結合されたレセプターを含み、方法がさらに、センサ・アレイの上に流体を通す前に粒子をインジケーターに曝露することを含むクローズJの方法。
【0825】
粒子が、ポリマー樹脂に結合されたレセプターを含み、方法がさらに、センサ・アレイの上に流体を通す前に粒子をインジケーターに曝露することを含み、インジケーターのレセプターに対する結合強度が分析物のレセプターに対する結合強度よりも小さいクローズJの方法。
【0826】
粒子が、ポリマー樹脂に結合されたレセプターを含み、方法がさらに、センサ・アレイの上に流体を通す前に粒子をインジケーターに曝露することを含み、インジケーターが蛍光インジケーターであるクローズJの方法。
【0827】
センサ・アレイの上に流体を通す前に流体をインジケーターで処理することをさらに含み、インジケーターが、分析物と結合するように構成されているクローズJの方法。
【0828】
分析物が細菌であり、方法がさらに、センサ・アレイの上に流体を通す前に細菌を破壊することを含むクローズJの方法。
【0829】
分光学的変化を監視することがCCDデバイスを用いて実施されるクローズJの方法。
【0830】
分光学的変化の強度を測定すること、および分光学的変化の強度に基づいて分析物の濃度を計算することをさらに含むクローズJの方法。
【0831】
流体が血液であるクローズJの方法。
【0832】
センサ・アレイの上に流体を通す前に流体をフィルタに通すことをさらに含むクローズJの方法。
【0833】
センサ・アレイの上に流体を通す前に流体を試薬リザーバに通すことをさらに含むクローズJの方法。
【0834】
当初、粒子が緩衝液中に保管され、方法がさらに、センサ・アレイの上に流体を通す前に緩衝液を除去することを含むクローズJの方法。
【0835】
クローズK:流体中の分析物を検出するためのシステムであって、支持部材を含み、支持部材が、自体に形成された少なくとも1つの空洞を含むセンサ・アレイと、空洞の中に配置された粒子とを備え、粒子が、使用中に粒子が分析物と相互作用したときに信号を生成するように構成されており、さらに、空洞に結合されており、使用中に空洞を通して流体を引き込むように構成された真空装置と、使用中に分析物と粒子の相互作用によって生成される信号を検出するように構成された検出器とを備えたシステム。
【0836】
複数の空洞の中に配置された複数の粒子を含み、流体中の複数の分析物を実質的に同時に検出するように構成されたクローズKのシステム。
【0837】
空洞の中に配置された複数の粒子を含むクローズKのシステム。
【0838】
本発明の様々な形態のこの他の修正および代替実施形態は、この説明を検討すれば当業者には明白であろう。したがって、この説明は、単に例示を目的としたものと解釈すべきであり、この説明は、本発明を実施する一般的な方法を当業者に教示することを目的としたものである。本明細書に示し説明した本発明の諸形態は、現時点の好ましい実施形態であると考えるべきであることを理解されたい。本明細書に示し記載した要素および材料の代わりに他の要素および材料を使用することができ、部品およびプロセスを逆にすることができ、本発明のある種の特徴を独立に利用する。これらは全て、本発明のこの説明の恩典を得た当業者には明白であろう。冒頭の請求項に記載された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく本明細書に記載の要素に変更を加える。
【図面の簡単な説明】
【0839】
【図1】分析物検出システムの概略である。
【図2】空洞内に配置された粒子を示す図である。
【図3】センサ・アレイを示す図である。
【図4A】センサ・アレイの裏面にファブリー−ペロー空洞を形成する状態を示す図である。
【図4B】センサ・アレイの裏面にファブリー−ペロー空洞を形成する状態を示す図である。
【図4C】センサ・アレイの裏面にファブリー−ペロー空洞を形成する状態を示す図である。
【図4D】センサ・アレイの裏面にファブリー−ペロー空洞を形成する状態を示す図である。
【図4E】センサ・アレイの裏面にファブリー−ペロー空洞を形成する状態を示す図である。
【図4F】センサ・アレイの裏面にファブリー−ペロー空洞を形成する状態を示す図である。
【図5】粒子の化学構造を示す図である。
【図6】いくつかのレセプター化合物の化学式を示す図である。
【図7】o−クレゾールフタレイコンプレキソン・レセプターを含んだ粒子の、カルシウム(Ca2 +)濃度に対する緑色光の吸光度をプロットした図である。
【図8】分析物の存在下、第1のインジケーターから第2のインジケーターまでエネルギーが伝達する状態を示す概略図である。
【図9】糖分子とボロン酸ベースのレセプターとの相互作用を示す概略図である。
【図10】様々な合成レセプターを示す図である。
【図11】ポリチオ尿素を合成するための合成経路を示す図である。
【図12】ポリグアニジニウムを合成するための合成経路を示す図である。
【図13】アミノ酸からジアミンを合成するための合成経路を示す図である。
【図14】蛍光ジアミノモノマーを示す図である。
【図15】o−クレゾールフタレインに結合した粒子を取り囲む溶液のpHが酸性状態から塩基性状態まで循環したときの、時間に対するカウント数/秒(すなわち強度)をプロットした図である。
【図16】Ca2 +の溶液および様々なpHに対する様々な感知粒子の色応答を示す図である。
【図17】チャンバ内に配置されたセンサ・アレイを含む、分析物検出システムを示す図である。
【図18】一体型分析物検出システムを示す図である。
【図19】メッシュ・カバーによって覆われた空洞の断面図である。
【図20】メッシュ・カバーによって覆われた空洞の平面図である。
【図21A】取外し可能な上部および底部カバーを含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図21B】取外し可能な上部および底部カバーを含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図21C】取外し可能な上部および底部カバーを含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図21D】取外し可能な上部および底部カバーを含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図21E】取外し可能な上部および底部カバーを含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図21F】取外し可能な上部および底部カバーを含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図21G】取外し可能な上部および底部カバーを含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図22A】取外し可能な上部カバーおよび固定底部カバーを含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図22B】取外し可能な上部カバーおよび固定底部カバーを含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図22C】取外し可能な上部カバーおよび固定底部カバーを含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図22D】取外し可能な上部カバーおよび固定底部カバーを含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図22E】取外し可能な上部カバーおよび固定底部カバーを含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図22F】取外し可能な上部カバーおよび固定底部カバーを含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図22G】取外し可能な上部カバーおよび固定底部カバーを含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図23A】取外し可能な上部を含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図23B】取外し可能な上部を含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図23C】取外し可能な上部を含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図23D】取外し可能な上部を含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図23E】取外し可能な上部を含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図23F】取外し可能な上部を含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図23G】取外し可能な上部を含んだセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図24】空洞に位置合わせされた開口を有する上部および底部カバーを含んだシリコン・ベースのセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図25】空洞に位置合わせされた開口を有する上部および底部カバーを含んだフォトレジスト・ベースのセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図26】空洞に位置合わせされた開口を有する上部および底部カバーを含んだプラスチック・ベースのセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図27】空洞に位置合わせされた開口を有する上部カバーとテーパ状の空洞とを含んだシリコン・ベースのセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図28】空洞に位置合わせされた開口を有する上部カバーとテーパ状の空洞とを含んだフォトレジスト・ベースのセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図29】空洞に位置合わせされた開口を有する上部カバーと底部カバーとを含んだフォトレジスト・ベースのセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図30】空洞に位置合わせされた開口を有する上部カバーと底部カバーとを含んだプラスチック・ベースのセンサ・アレイを形成するための、一連のプロセス・ステップを示す断面図である。
【図31】マイクロポンプを概略的に示す断面図である。
【図32】電気流体力学ポンプを示す平面図である。
【図33】マイクロポンプを含んだセンサ・アレイを示す断面図である。
【図34】空洞に結合されたマイクロポンプおよびチャネルを含んだセンサ・アレイを示す断面図である。
【図35】各マイクロポンプが空洞に結合されている複数のマイクロポンプを含んだセンサ・アレイを示す断面図である。
【図36】複数の電気流体力学ポンプを含んだセンサ・アレイを示す平面図である。
【図37】試薬粒子から感知空洞まで試薬を送るためのシステムを含んだセンサ・アレイを示す断面図である。
【図38】真空チャンバを含んだセンサ・アレイを示す断面図である。
【図39】真空チャンバ、フィルタ、および試薬リザーバを含んだセンサ・アレイを示す断面図である。
【図40】抗体分析物の試験をするための一般的なスキームを示す図である。
【図41】4個の別個のビーズからなるセンサ・アレイを使用して抗体を検出するための一般的なスキームを示す図である。
【図42】真空チャンバ、センサ・アレイ・チャンバ、およびサンプリング・デバイスを含んだセンサ・アレイを示す図である。
【図43】センサ・アレイの上部から底部までセンサ・アレイを通る流体流れの流路を示す図である。
【図44】センサ・アレイの底部から上部までセンサ・アレイを通る流体流れの流路を示す図である。
【図45A】毒素による神経筋伝達の乱れを示す図である。
【図45B】毒素による神経筋伝達の乱れを示す図である。
【図45C】毒素による神経筋伝達の乱れを示す図である。
【図45D】様々に保護されたリシンとビーズとの結合を示す図である。
【図46】感知粒子の吸光度または発光を測定するためのシステムを示す図である。
【図47】レセプター3〜6を示す図である。
【図48】粒子に結合するpHインジケーターを示す図である。
【図49】細胞内のIP3を分析するためのデバイスを示す図である。
【図50】Indo−1および化合物2の構造と、Ca(II)およびCe(III)の存在下でのIndo−1および化合物2の発光スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図51】クエン酸塩とレセプターの結合によりIndo−1とCa(II)の結合が解放されたスキームを示す図である。
【図52】溶媒に応じたビーズ上でのクマリンと5−カルボキシフルオレセインとのFRETの変化を示す図である。
【図53】Cu(II)結合によってクエン酸塩へのapo−7の信号が誘発されるスキームを示す図である。
【図54】クエン酸塩の添加に対する樹脂ビーズ上のレセプター3および5−カルボキシフルオレセインの応答を示す図である。
【図55A】レセプター−インジケーター−ポリマー樹脂粒子に関する様々な感知プロトコルを示す図である。
【図55B】レセプター−インジケーター−ポリマー樹脂粒子に関する様々な感知プロトコルを示す図である。
【図55C】レセプター−インジケーター−ポリマー樹脂粒子に関する様々な感知プロトコルを示す図である。
【図55D】レセプター−インジケーター−ポリマー樹脂粒子に関する様々な感知プロトコルを示す図である。
【図55E】レセプター−インジケーター−ポリマー樹脂粒子に関する様々な感知プロトコルを示す図である。
【図55F】レセプター−インジケーター−ポリマー樹脂粒子に関する様々な感知プロトコルを示す図である。
【図55G】レセプター−インジケーター−ポリマー樹脂粒子に関する様々な感知プロトコルを示す図である。
【図55H】レセプター−インジケーター−ポリマー樹脂粒子に関する様々な感知プロトコルを示す図である。
【図55I】レセプター−インジケーター−ポリマー樹脂粒子に関する様々な感知プロトコルを示す図である。
【図56】ポリマー樹脂に結合したペプチドトリマー・レセプターおよび1対の蛍光インジケーターを示す図である。
【図57】ダンシルおよびダポキシル・インジケーターを6%アガロースグリオキシル化樹脂ビーズに固着するための合成スキームを示す図である。
【図58】緩衝液濃度を様々な割合に変化させた場合の、EtOH中の6のRGBエピ蛍光を示す図である。
【図59】蛍光観察に使用されるインジケーターおよびポリマー・ビーズを示す図である。
【図60】様々な溶媒中の誘導体化ダポキシル染料の発光スペクトルを示す図である。
【図61】ポリマー樹脂に結合したレセプターおよび複数のインジケーターを含む、化学的に感受性のある粒子の一般構造を示す図である。
【図62A−D】切断反応を引き起こす、レセプター−インジケーター−ポリマー樹脂粒子の様々な感知プロトコルを示す図である。
【図63】トリプシンの存在下、化学的に感受性のある粒子の蛍光信号をプロットした図である。
【図64】コンピュータ・ネットワーク上で化学情報を収集し伝送するためのシステムを示すブロック図である。
【図65】コンピュータ・ネットワーク上で化学情報を収集し伝送するための方法を示すフローチャートである。
【図66】コンピュータ・ネットワーク上で化学情報を収集し伝送するためのシステムを示すブロック図である。
【図67】コンピュータ・ネットワーク上で化学情報を収集し伝送するための方法を示すフローチャートである。
【図68】コンピュータ・ネットワーク上で化学情報を収集し伝送するためのシステムを示すブロック図である。
【図69】コンピュータ・ネットワーク上で化学情報を収集し伝送するための方法を示すフローチャートである。
【図70】真空ピックアップ・ディスペンサ・ヘッドを使用してセンサ・アレイに粒子を挿入する方法を示す図である。
【図71】固体ディスペンサ・ヘッドを使用してセンサ・アレイに粒子を挿入する方法を示す図である。
【図72A】真空チャックを使用してセンサ・アレイに粒子を挿入する方法を示す図である。
【図72B】真空チャックを使用してセンサ・アレイに粒子を挿入する方法を示す図である。
【図72C】真空チャックを使用してセンサ・アレイに粒子を挿入する方法を示す図である。
【図72D】真空チャックを使用してセンサ・アレイに粒子を挿入する方法を示す図である。
【図73】受動ポンプ・システムを含むセンサ・アレイの断面図である。
【図74】図57のセンサ・アレイの平面図と平面図である。
【図75】センサ・アレイの形成に使用される個々の層を示す平面図である。
【図76】複数の組のアレイを含んだセンサ・アレイを示す平面図である。
【図77】受動輸送システムを含んだセンサ・アレイを示す代替の断面図である。
【図78】可搬式センサ・アレイ・システムを示す図である。
【図79】代替の可搬式センサ・アレイを示す図である。
【図80】可搬式センサ・アレイ用のカートリッジを示す分解組立図である。
【図81】可搬式センサ・アレイ用のカートリッジを示す断面図である。
【図82A】マスクの正方形の開口を通してエッチングされた(100)シリコンの空洞の形成を示す図である。
【図82B】マスクの円形の開口を通してエッチングされた(100)シリコンの空洞の形成を示す図である。
【図83】マスクの十字構造の開口を通してエッチングされた(100)シリコンの空洞の形成を示す図である。
【図84】マスクの様々な星形構造の開口を通してエッチングされた(100)シリコンの空洞の形成を示す図である。
【図85】基板の空洞を覆う柔軟な突起を通して粒子を挿入する状態を示す図である。
【図86】粒子の特定のサイズ選択に合わせて形成された空洞および柔軟な突起を示す断面図および平面図である。
【図87】基板の空洞を覆う柔軟な突起を通して収縮した粒子を挿入する状態を示す図である。
Claims (151)
- 流体中の分析物を検出するためのセンサ・アレイを形成する方法において、
基板上にマスクを配置すること、
マスクに開口を形成して基板の一部を露出させること、
マスクの下の基板の一部がエッチングされ、空洞の一部を覆うよう位置決めされた柔軟な突起を形成するように空洞を形成するために、露出した基板の一部をエッチングすること、および
使用中に粒子と分析物とが相互に作用するときに信号を生成するように構成された粒子を空洞に、柔軟な突起が実施的に空洞からの粒子の除去を阻止し、粒子が空洞内に位置決めされるように挿入すること
を含む方法。 - マスクがシリコン窒化物を含む請求項1に記載の方法。
- 基板がバルク結晶(100)シリコン基板である請求項1に記載の方法。
- マスクに形成された開口の面積が、基板の空洞の上部開口の面積よりも小さい請求項1に記載の方法。
- マスクに形成された開口が四角形を構成する請求項1に記載の方法。
- マスクに形成された開口が円形を構成する請求項1に記載の方法。
- マスクに形成された開口が十字形を構成する請求項1に記載の方法。
- マスクに形成された開口が星形を構成する請求項1に記載の方法。
- マスクに形成された開口がスリットを構成する請求項1に記載の方法。
- マスクがプラスチックを含む請求項1に記載の方法。
- 空洞が底部開口を含む請求項1に記載の方法。
- 基板が空洞内の流体流れを可能にする請求項1に記載の方法。
- 空洞が、底部開口よりも小さい粒子が空洞内を通過するよう構成された底部開口を含む、請求項1に記載の方法。
- 空洞が、底部開口よりも大きい粒子が空洞内を通過しないよう構成された底部開口を含む、請求項0に記載の方法。
- 空洞の上部開口および底部開口により、空洞に実質的に含まれる粒子が選択される、請求項1に記載の方法。
- 空洞が、柔軟な突起によって上部開口よりも大きい粒子が空洞内に入らないよう構成された上部開口を含む、請求項1に記載の方法。
- 空洞が、柔軟な突起を介して上部開口よりも小さい粒子が空洞内に入るよう構成された上部開口を含む、請求項1に記載の方法。
- 粒子が、空洞の上部開口よりも小さく底部開口よりも大きい請求項1に記載の方法。
- 基板に複数の空洞を形成することをさらに含む請求項1に記載の方法。
- 基板に約10個から約106個の空洞を形成する請求項1に記載の方法。
- 基板に複数の粒子を提供することをさらに含む請求項1に記載の方法。
- 基板の複数の空洞に複数の粒子を挿入することをさらに含む請求項1に記載の方法。
- 空洞の上部開口に粒子の溶液を送り出すことをさらに含み、所望のサイズの粒子を空洞内に移送する請求項1に記載の方法。
- 粒子を媒体に曝露して粒子を収縮させ、空洞に挿入することをさらに含み、空洞に挿入した後の粒子の膨潤により空洞内に粒子が実質的に収容される、請求項1に記載の方法。
- 柔軟な突起が弾性を示し、柔軟な突起が下方に曲がって空洞への粒子の挿入を可能にし、柔軟な突起が上方に戻って空洞内に粒子を実質的に収容する、請求項1に記載の方法。
- 基板を異方性エッチングすることが、バルク結晶(100)シリコン基板をエッチングして基板を(111)平面にすることを含む、請求項1に記載の方法。
- マスクが二酸化シリコンを含む請求項1に記載の方法。
- マスクがドライ・フィルム・フォトレジスト材を含む請求項1に記載の方法。
- 光源で粒子を照射することをさらに含み、柔軟な突起が光源により生成された光を通す、請求項1に記載の方法。
- 柔軟な突起が、基板の空洞内に弾力的に曲がるよう構成される、請求項1に記載の方法。
- 柔軟な突起が初期位置から空洞を離れた位置まで曲がるのを阻止するよう構成された第2のマスクを配置することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 空洞に粒子を挿入することが、柔軟な突起を介して粒子を引き込む空気流を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
- 空洞に粒子を挿入することが、空洞内への粒子の挿入が可能になるように柔軟な突起を電気的に作動させることを含む、請求項1に記載の方法。
- 流体中の分析物を検出するためのセンサ・アレイにおいて、
少なくとも1つの空洞を含む基板と、
空洞内に位置決めされた粒子であって、分析物との相互作用により信号を生成するよう構成された粒子と、
空洞の一部を覆うよう位置決めされた柔軟な突起であって、使用中に粒子が実質的に押し出されないよう構成された柔軟な突起と
を含むセンサ・アレイ。 - 粒子が、ポリマー樹脂に結合したレセプター分子を含む、請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 粒子の直径が、約0.05ミクロンから約500ミクロンに及ぶサイズである請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 空洞が、粒子を実質的に収容するよう構成される請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と、基板に結合した底部層とをさらに含み、カバー層および底部層が除去可能である請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 開口が空洞の底部に形成され、開口が、使用中に流体が空洞内を流れかつ開口を経て空洞から流出するよう構成された、請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と基板に結合した底部層とをさらに含み、底部層が基板の底面に結合されカバー層が除去可能であり、カバー層および底部層が、使用中に空洞に実質的に位置合わせされる開口を含む、請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と基板に結合した底部層とをさらに含み、空洞に実質的に位置合わせされた開口がカバー層に形成され、空洞に実質的に位置合わせされた開口が底部層に形成される、請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板の上面から基板の底面に向かう方向で空洞の幅が狭くなるよう空洞が先細り、空洞の最小幅が粒子の幅よりも実質的に小さい請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 空洞の底部の幅が空洞の上部の幅よりも実質的に小さく、空洞の底部の幅が粒子の幅よりも実質的に小さい請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と基板に結合した底部層をさらに含み、粒子を支持するよう底部層が構成され、空洞に実質的に位置合わせされた開口がカバー層に形成される、請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合した除去可能なカバー層をさらに含む、請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板がプラスチック材料を含む請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板がシリコン・ウェーハを含む請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板がドライ・フィルム・フォトレジスト材を含む請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板がドライ・フィルム・フォトレジスト材の複数の層を含む請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 空洞の内面が反射性材料で被覆される請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板にチャネルをさらに含み、流体がチャネル内を流れて空洞に入りかつ空洞から出て行くよう構成された、請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板内の複数の追加の空洞内に位置決めされた複数の追加の粒子をさらに含む、請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板内の複数の追加の空洞を覆うように位置決めされた複数の追加の柔軟な突起をさらに含む、請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層をさらに含み、カバー層に柔軟な突起が形成される、請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 柔軟な突起が窒化シリコンを含む請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 柔軟な突起がプラスチックを含む請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 柔軟な突起が空洞内に粒子を保持するよう構成される請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 空洞の上部開口および底部開口が、空洞内に実質的に収容される粒子の選択を行う請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 粒子が空洞内に実質的に収容されるように、粒子のサイズが空洞の上部開口よりも小さく空洞の底部開口よりも大きい請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 柔軟な突起を介して粒子を引き込む空気流を使用することにより、粒子が空洞内に位置決めされる請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 柔軟な突起が二酸化シリコンを含む請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 光源をさらに含み、柔軟な突起が光源により生成された光を通す、請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と基板に結合した底部層とをさらに含み、カバー層および底部層が光源により生成された光を通す、請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 柔軟な突起が、弾性によって基板の空洞内に曲がるよう構成される請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 柔軟な突起が初期位置から空洞を離れた位置まで曲がるのを阻止するよう構成されたマスクをさらに含む、請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 空洞内への粒子の挿入が可能になるよう柔軟な突起を電気的に作動させる、請求項34に記載のセンサ・アレイ。
- 粒子を選択するためのセンサ・アレイを形成するための方法において、
基板上にマスクを配置すること、
マスクに開口を形成して基板の一部を露出させること、
上部開口および底部開口を含む空洞を基板に形成するように、基板の露出部分を異方性エッチングすること、および
直径が空洞の上部開口よりも小さく、空洞の底部開口よりも大きく、使用中に分析物と相互に作用したときに信号を生成するよう構成された粒子を空洞に挿入すること
を含む方法。 - マスクが窒化シリコンを含む請求項67に記載の方法。
- マスクがプラスチックを含む請求項67に記載の方法。
- マスクがドライ・フィルム・フォトレジスト材を含む請求項67に記載の方法。
- マスクが複数のドライ・フィルム・フォトレジスト材を含む請求項67に記載の方法。
- 基板がシリコンを含む請求項67に記載の方法。
- 基板がプラスチックを含む請求項67に記載の方法。
- 基板がドライ・フィルム・フォトレジスト材の複数の層を含む請求項67に記載の方法。
- マスクに開口を形成することがマスクをエッチングすることを含む請求項67に記載の方法。
- マスクに開口を形成することがマスクを切り取ることを含む請求項67に記載の方法。
- 基板を異方性エッチングすることが、1A族の金属の水酸化物溶液を用いてバルク結晶(100)シリコン基板をエッチングすることにより基板を(111)平面にすることを含む、請求項67に記載の方法。
- マスクに複数の追加の開口を形成することをさらに含む請求項67に記載の方法。
- 基板に複数の追加の空洞を形成することをさらに含む請求項67に記載の方法。
- 基板に形成された複数の追加の空洞の上に位置決めされた、マスクの複数の追加の開口をさらに含む、請求項67に記載の方法。
- 空洞の上部開口のサイズが空洞の底部開口のサイズに応じて制御される請求項67に記載の方法。
- 空洞の底部開口が、底部開口よりも大きい直径の粒子を保持し、底部開口よりも小さい直径の粒子を底部開口に通すことが可能である、請求項67に記載の方法。
- 空洞に粒子を挿入することが、マイクロマニピュレータによって粒子を配置することを含む請求項67に記載の方法。
- 基板上に粒子の溶液を流すことをさらに含む請求項67に記載の方法。
- 基板に形成された空洞上に粒子の溶液を流すことをさらに含む請求項67に記載の方法。
- 基板の複数の追加の空洞上に粒子の溶液を流すことをさらに含む請求項67に記載の方法。
- 粒子の溶液に真空を適用することによって基板上に粒子の溶液を流すことをさらに含む請求項67に記載の方法。
- 空洞に粒子を挿入することが、複数の空洞に複数の粒子を挿入することを含む請求項67に記載の方法。
- 空洞に粒子を挿入することが、空洞に粒子を引き込む空気流を使用することを含む請求項67に記載の方法。
- 光源で粒子を照射することをさらに含み、マスクが光源によって生成された光を通す請求項67に記載の方法。
- 粒子を選択するためのセンサ・アレイにおいて、
上部開口および底部開口を含んだ少なくとも1つの空洞を含む基板であって、空洞の上部開口および底部開口を通して流体が基板内を通過できるよう空洞が構成されている基板と、
空洞内に位置決めされた粒子であって、使用中に粒子と分析物とが相互に作用したときに信号を生成するように粒子が構成され、粒子の直径が空洞の上部開口よりも小さく、粒子の直径が空洞の底部開口よりも大きい粒子と
を含むセンサ・アレイ。 - 基板がシリコン・ウェーハを含む請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 基板がプラスチックを含む請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 基板がドライ・フィルム・フォトレジスト材を含む請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 基板が複数のドライ・フィルム・フォトレジスト材を含む請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 少なくとも1つの空洞が基板の複数の空洞を構成する請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 粒子の直径が約0.05ミクロンから約500ミクロンである請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 非常に小さい粒子が空洞の底部開口から外に出て行く請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 非常に大きい粒子が空洞の上部開口に入るのを受け付けない請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 基板が(100)シリコン基板を構成し、基板の空洞壁面がシリコン基板の(111)平面を構成する、請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 空洞の幅が約0.05ミクロンから約500ミクロンである請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 基板の上面から基板の底面に向かう方向で空洞の幅が狭くなるよう空洞が先細り、空洞の最小幅が粒子の幅よりも実質的に小さい請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 上部開口の最小幅が粒子の最大幅よりも実質的に大きくなるように空洞が先細る請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 基板にチャネルをさらに含み、流体がチャネル内を通って空洞に入りかつ空洞から出て行くようチャネルが構成される、請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に形成された複数の追加の空洞内に位置決めされた複数の追加の粒子をさらに含む請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 空洞内に粒子を引き込む空気流を使用して空洞内に粒子を位置決めする請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と基板に結合した底部層とをさらに含み、カバー層および底部層が除去可能である請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と基板に結合した底部層とをさらに含み、カバー層および底部層が除去可能であり、カバー層および底部層が、使用中に空洞に実質的に位置合わせされる開口を含む、請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と基板に結合した底部層とをさらに含み、底部層が基板の底面に結合されてカバー層が除去可能であり、カバー層および底部層が、使用中に空洞に実質的に位置合わせされる開口を含む、請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と基板に結合した底部層とをさらに含み、空洞に実質的に位置合わせされた開口がカバー層に形成され、空洞に実質的に位置合わせされた開口が底部層に形成される、請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と基板に結合した底部層とをさらに含み、底部層が粒子を支持するよう構成され、空洞に実質的に位置合わせされた開口がカバー層に形成される、請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と基板に結合した底部層とをさらに含み、カバー層および底部層が、光源によって生成された光を通す、請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- カバー層をさらに含み、カバー層が、光源によって生成された光を通す、請求項91に記載のセンサ・アレイ。
- 流体中の分析物を検出するためのセンサ・アレイにおいて、
基板と、
基板に形成された、第1の上部開口および第1の底部開口を有する第1の空洞と、
基板に形成された、第2の上部開口および第2の底部開口を有する第2の空洞と、
第1の空洞内に位置決めされた第1の粒径を有する第1の粒子であって、使用中に第1の粒子と分析物とが相互に作用したときに信号を生成するよう構成された第1の粒子と、
第2の空洞内に位置決めされた第2の粒径を有する第1の粒子であって、使用中に第2の粒子と分析物とが相互に作用したときに信号を生成するよう構成された第2の粒子と
を含み、第2の粒径が第1の上部開口よりも大きく、第1の粒径が第2の底部開口よりも小さいセンサ・アレイ。 - 第1の粒子が、第1の分析物の存在下で第1の信号を生成するよう構成され、第2の粒子が、第2の分析物の存在下で信号を生成するよう構成され、第1の分析物と第2の分析物が異なるものである請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 第1および第2の粒子がポリマー樹脂に結合されたレセプター分子を含む請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 第1および第2の粒子の直径が約0.05ミクロンから約500ミクロンに及ぶサイズである請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と基板に結合した底部層とをさらに含み、カバー層および底部層が除去可能である請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 空洞の一部を覆うように位置決めされた実質的に柔軟な突起をさらに含み、柔軟な突起が、使用中に粒子が押し出されるのを実質的に阻止するよう構成される請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と基板に結合した底部層とをさらに含み、底部層が基板の底面に結合されてカバー層が除去可能であり、カバー層および底部層が、使用中に空洞に実質的に位置合わせされる開口を含む請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と基板に結合した底部層とをさらに含み、カバー層に形成された開口が空洞に実質的に位置合わせされ、底部層に形成された開口が空洞に実質的に位置合わせされる請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 基板の上面から基板の底面に向かう方向で各空洞の幅が狭くなるように空洞が先細る請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 空洞の底部開口の幅が空洞の上部開口の幅よりも実質的に小さい請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合した除去可能なカバー層をさらに含む請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 基板がプラスチック材料を含む請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 基板がシリコン・ウェーハを構成する請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 基板がドライ・フィルム・フォトレジスト材を含む請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 基板がドライ・フィルム・フォトレジスト材の複数の層を含む請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 空洞の内面が反射性材料で被覆される請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 基板にチャネルをさらに含み、流体がチャネル内を通って空洞に入りかつ空洞から出て行くようチャネルが構成される請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 基板の上面に結合したマスクをさらに含み、空洞の一部を覆うよう位置決めされた柔軟な突起をさらに含み、柔軟な突起が、使用中に粒子が押し出されるのを実質的に阻止するよう構成され、柔軟な突起がマスクに形成される請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 空洞の一部を覆うよう位置決めされた柔軟な突起をさらに含み、柔軟な突起が、使用中に粒子が押し出されるのを実質的に阻止するよう構成され、柔軟な突起が窒化シリコンを含む請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 空洞の一部を覆うよう位置決めされた柔軟な突起をさらに含み、柔軟な突起が、使用中に粒子が押し出されるのを実質的に阻止するよう構成され、柔軟な突起がポリマーを含む請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 空洞の一部を覆うよう位置決めされた柔軟な突起をさらに含み、柔軟な突起が、使用中に粒子が押し出されるのを実質的に阻止するよう構成され、柔軟な突起が二酸化シリコンを含む請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 空洞の一部を覆うよう位置決めされた柔軟な突起をさらに含み、柔軟な突起が、使用中に粒子が押し出されるのを実質的に阻止するよう構成され、光源をさらに含み、柔軟な突起が、光源によって生成された光を通す請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 基板に結合したカバー層と基板に結合した底部層とをさらに含み、カバー層および底部層が、光源によって生成された光を通す請求項114に記載のセンサ・アレイ。
- 流体中の分析物を検出するためのセンサ・アレイを形成する方法において、
第1の上部開口および第1の底部開口を有する第1の空洞および第2の上部開口および第2の底部開口を有する第2の空洞を基板に形成すること、および
第1の粒子が第1の粒径を有し、使用中に第1の粒子が分析物と相互に作用したときに信号を生成するよう第1の粒子が構成され、第2の粒子が第2の粒径を有し、使用中に第2の粒子が分析物と相互に作用したときに信号を生成するよう第2の粒子が構成され、第2の粒径が第1の上部開口よりも大きく第1の粒径が第2の底部開口よりも小さいものであるとき、それらの第1の粒子と第2の粒子の混合物を基板上に配置すること、
空洞に粒子を挿入すること
を含む方法。 - 基板上に粒子の混合物を配置することが、空洞の上部開口に向けて粒子の懸濁液を送り出すことを含む請求項137に記載の方法。
- 粒子を媒体に曝露して粒子を収縮させ、複数の空洞に挿入すること、および空洞に挿入した後に異なる媒体に曝露することによって粒子を膨潤させることをさらに含む請求項137に記載の方法。
- 基板に空洞を形成することが、シリコン基板を異方性エッチングすることを含む請求項137に記載の方法。
- 基板上にマスクを配置すること、およびマスクに開口を形成することをさらに含み、基板に空洞を形成することが、マスクの開口を介して基板をエッチングすることを含む請求項137に記載の方法。
- 空洞に粒子を挿入することが、真空を使用して空洞内に粒子を引き込むことを含む請求項137に記載の方法。
- 基板上にマスクを配置すること、
マスクに開口を形成して基板の一部を露出させること、
上部開口および底部開口を含む空洞を基板に形成するために基板の露出部分を異方性エッチングすること、
基板のエッチング中にマスクをアンダーカットして、マスクの開口が空洞の上部開口よりも小さくなるように空洞を覆うよう位置決めされた柔軟な突起を形成すること、および
直径が空洞の上部開口よりも小さく空洞の底部開口よりも大きい粒子を空洞に柔軟な突起が空洞内に粒子を実質的に収容するように挿入すること
を含む、センサ・アレイを形成する方法。 - 上部開口および底部開口を含んだ少なくとも1つの空洞を含む基板であって、空洞の上部開口および底部開口を通して流体が基板内を通過できるよう空洞が構成されている基板と、
空洞内に位置決めされた粒子と、
空洞の上に位置決めされた柔軟な突起と
を含み、柔軟な突起が、使用中に空洞内に粒子を収容するよう構成されているセンサ・アレイ。 - 基板上にマスクを配置すること、
マスクに開口を形成して基板の一部を露出させること、
底部開口よりも大きい上部開口を有する空洞を基板に形成するために基板の露出部分を異方性エッチングすること、および
様々なサイズの粒子の溶液を、基板の空洞の上部開口および底部開口を通して基板に引き込むこと
を含む、様々なサイズの粒子を選別する方法。 - 上部開口および底部開口を含んだ少なくとも1つの空洞を有する基板であって、空洞の上部開口が空洞の底部開口よりも大きく、使用中に少なくとも1つの空洞の上部開口および底部開口を通して様々なサイズの粒子を含有する流体が基板内を通過できるよう空洞が構成されている基板を含む、様々なサイズの粒子を選別するためのデバイス。
- 基板上にマスクを配置すること、
マスクに複数の開口を形成して基板の一部を露出させること、
底部開口よりも大きい上部開口を有する複数の空洞を基板に形成するために基板の露出部分を異方性エッチングすること、
基板の複数の空洞の上部開口と底部開口を通して粒子の溶液を基板に引き込むこと、
ターゲット上の所望の位置に基板を配置すること、および
基板の空洞に捕えられた粒子をターゲット上に押しやること
を含む、ターゲット上に粒子のアレイを配置する方法。 - 基板上に第1のマスクを配置すること、
第1のマスクに第1の開口を形成して基板の一部を露出させること、
基板の露出部分を異方性エッチングして基板に空洞を形成すること、
基板のエッチング中に第1のマスクをアンダーカットして、空洞の上に位置決めされた柔軟な突起を形成すること、
第1のマスクの第1の開口上に位置決めされた第2の開口を第2のマスクに形成すること、および
直径が第2のマスクの第2の開口よりも大きく空洞の底部開口の長さよりも大きく、直径が空洞の底部開口の幅よりも小さい粒子を柔軟な突起を介して基板の空洞に挿入すること
を含む、逆止め弁アセンブリの形成方法。 - 空洞を含む基板と、
空洞内に位置決めされた粒子であって、粒子の直径が空洞の上部開口よりも大きく空洞の底部開口の長さよりも大きく、粒子の直径が空洞の底部開口の幅よりも小さい粒子と、
空洞の上に位置決めされた柔軟な突起であって、空洞に粒子を挿入するよう構成された柔軟な突起と
を含み、空洞の上部開口から底部開口に至る方向での流体流れが可能になり、流体流れが使用中に逆方向になるのを実質的に阻止する逆止め弁アセンブリ。 - 基板上に第1のマスクを配置すること、
マスクにスリットを形成すること、
上部開口および底部開口を含む空洞を基板に形成するために、マスクのスリットを通して基板を異方性エッチングすること、
基板のエッチング中にマスクをアンダーカットして、空洞の上に位置決めされた柔軟な突起を形成し、その柔軟な突起によって、空洞の上部開口から底部開口に至る方向での流体流れが可能になり、柔軟な突起によって、逆方向の流体流れを実質的に阻止するようにする突起を形成すること
を含む逆止め弁アセンブリを形成する方法。 - 空洞を含む基板と、
空洞の上部開口の上に位置決めされた柔軟な突起と
を含み、柔軟な突起によって、空洞の上部開口から底部開口に至る方向で基板内を通る流体流れが可能になり、柔軟な突起によって、使用中に流体流れが逆方向になるのを実質的に阻止する逆止め弁アセンブリ。
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