JP2004527564A - 安定性ヒドロゲルマイクロビーズ内に固定化される活性物質 - Google Patents
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Abstract
コアセルベートシェル内に封入されたフェロモンを含むマイクロビーズが提供される。コアセルベートシェルは、化学架橋なしにヒドロゲルマイクロビーズ内に取り込まれる。本発明のマイクロビーズは、脱水および再水和してフェロモンを意図される環境内に放出できる。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロゲルマイクロビーズを使用した、活性物質の封入、固定化、および放出の組み合わせに広く関する。具体的には活性物質は、コアセルベートシェル内に封入され、親水性マイクロビーズ内に固定化される。
【背景技術】
【0002】
果樹園、農作物、および森林から望まれない害虫を駆除する方法は、有機リン酸塩殺虫剤の使用を伴うことが多い。代案の方法は、昆虫フェロモンを使用して害虫を制御し農作物を保護する昆虫交尾撹乱を伴う。昆虫交尾撹乱法では、雌昆虫の交尾フェロモン噴煙柱が、その他のフェロモン点源で典型的にマスクされる。これによって雄昆虫が雌を見つける可能性が低下し、次いで撹乱され幼虫発生量が減少する。このようにして次世代の昆虫個体数が減少し、作物の被害の見込みも減少する。
【0003】
従来のスプレーできるフェロモン調合物は、概して活性物質を有する液体充填マイクロカプセル内に提供される。典型的にマイクロカプセルは、イソシアネートおよびアミンを必要とする界面法を使用して形成できる、ポリ尿素シェルを有する。この方法によるマイクロ封入は、例えばネスビット(Nesbitt)らの米国特許番号第4,487,759号明細書に記載されている。これらのポリ尿素シェルはほとんどの昆虫フェロモンについて、合わせて最高2〜3週間活性物質が大気中に放出されるようにする。ポリ尿素カプセルのシェルは概して半透性であるため、活性物質はシェルを超えて拡散し、経時的に緩慢に放出されることができる。潜在的に封入製品のデリバリまたはスプレー時に、高濃度の活性物質が空気中に直ちに観察できる。これはカプセル破裂の高い発生率または潜在的なマイクロカプセルの漏れに起因するかもしれない。
【0004】
ガードナー(Gardner)の米国特許第4,532,123号明細書は、第2のシェルにさらに封入されて二次カプセルを作り出す、一次カプセル内の医薬品活性物質を含有するカプセルを教示する。二次カプセルのカプセル内液体コアは酵素を含有して、一次カプセルのシェルを緩慢に加水分解する。この緩慢な加水分解によって、制御されたデリバリのために、一次カプセルからより大きなカプセルのコアへの活性物質の緩慢な放出ができるようになる。
【0005】
日本国特許第JP8−173794号明細書は、ポリメチルメタクリレートシェルの小型カプセル内のアミン封入を教示する。これらのカプセルは、エポキシ−アミンポリマーシェル内にさらに封入される。同様に極小カプセル内のアミンはより大きなカプセルのコア内に放出され、ポリマーシェルの破裂時に究極的にアミンがデリバリされる。
【0006】
医薬品、殺虫剤、および除草剤などの物質を封入するための界面縮合の使用は、バンデガー(Vandegaer)の米国特許第3,577,515号明細書で教示されている。封入工程には、撹拌によって片方が他方に分散される2つの不混和性液体相(典型的に水および有機溶剤)、および引き続くバルク(連続)相と分散された滴液との界面における各相からのモノマーの重合が必要である。ポリウレタンおよびポリ尿素は、マイクロカプセルを製造するのに適した材料である。使用されるモノマーと溶剤次第で、マイクロカプセルは、直径が30μm〜2mmの範囲であるポリマー球および液体中心を含む。
【0007】
高度に粘稠性かつ濃化されたヒドロゲルは、フェロモン、香水、およびその他の水不溶性活性物質をデリバリするために使用されている。スティア(Steer)の米国特許第4,755,377号明細書では、香料または芳香性材料を水性ゲル組成物内に封入する方法について記載している。得られた材料は、高度に粘稠性の半流動性の形態である。ヘンダーソン(Henderson)らの米国特許第5,645,844号明細書は、材料がコーキングガンなどの器具によってディスペンスできる、昆虫交尾を撹乱するフェロモンのデリバリのためのキトサンペーストの使用について記載している。しかし濃化され高度に粘稠性であるため、これらの材料は概してスプレーできない組成物である。
【0008】
ほとんどのヒドロゲルは、人間に対して安全かつ無毒である。ヒドロゲルは、調合物が、細胞、タンパク質、および関連材料の生存性に対して非致命的である、生物学的材料の封入のために使用されている。グーセン(Goosen)らの米国特許第4,689,293号明細書は、生体組織または細胞を封入する方法について記載している。封入シェルは材料および酸素の細胞への通過を可能にし、ゲルからの代謝副産物の拡散を可能にする。
【0009】
コアセルベーション法は、ノーカーボン複写紙カプセル、そしてロイコ染料、薬剤、着香料、および香水の封入などの用途のために技術分野で周知である。グリーン(Green)の米国特許第2,800,457号明細書では、多孔性であり、架橋ステップがpH9〜10で実施されると孔が締まるゲル化コロイドを開示する。
【0010】
コアセルベートマイクロカプセルを架橋するその他のアプローチでは、非アルデヒド架橋剤を用いている。シュノーリング(Schnoring)の米国特許第4,402,856号明細書では、天然および/または合成なめし剤およびカルボニル化合物を使用して、ゼラチンマイクロカプセルを硬化させることを開示する。京極(Kyogoku)らの米国特許第5,023,024号明細書では、イリドイド類の天然化学物質、具体的にはゲニピンの使用を開示している。ディビッド(David)らの米国特許第5,051,304号明細書でも架橋剤としてのタンニン酸の使用が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のアプローチは、コアセルベートシェルを特定条件下で架橋するのに満足できることが立証されているが、より環境に優しく、有毒架橋剤を使用せず、開示されたものよりも費用効率が高いコアセルベートシェルを提供する必要性がなおもある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
a)複合コアセルベーションによってマイクロカプセルを形成できる第1のポリマーと、フェロモンと、第1のポリマーを含む組成物と共に複合コアセルベーションによってマイクロカプセルを形成できる第2のポリマーとを含む溶液を提供するステップと、
b)コアセルベーションシェルを有するマイクロカプセルを前記シェルの化学架橋なしに構築(形成)するステップと、
c)ヒドロゲルマイクロビーズを形成するのに適する第3のポリマーをマイクロカプセル含有組成物を形成するのに効果的な量で添加するステップと、
d)マイクロカプセル含有組成物を配位溶液中にスプレーすることにより、化学架橋なしにコアセルベーションシェルを有するマイクロカプセルを含む安定性ヒドロゲルマイクロビーズを提供するステップと
を含む、フェロモンを封入する方法を提供する。
【0013】
本発明の別の態様は、上のステップc)の第3のポリマーが、ステップb)のマイクロカプセルが構築する前に添加される、フェロモンを封入する方法である。
【0014】
本発明は、上に挙げた方法によってコアセルベートシェル内に封入されるフェロモンも提供する。
【0015】
ヒドロゲルマイクロビーズは好ましくは親水性であり、水溶性または水不溶性のいずれであっても、広範囲のマイクロ封入された活性物質を固定できる。
【0016】
本発明の一態様では、ヒドロゲルマイクロビーズを水溶性マイクロカプセル含有材料から製造して、環境に優しいマイクロビーズを提供しても良い。マイクロビーズを接着剤で被覆して、意図される環境における適用を改善しても良い。
【0017】
さらに別の発明の態様では、マイクロビーズが最初の脱水後に再水和され、活性物質を放出できても良い。このようにして、マイクロビーズがデリバリされた環境の湿度を調節することで、フェロモンの放出および寿命は制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、コアセルベートシェル内に封入されるフェロモンを提供し、それは次にコアセルベートシェルを化学的に架橋する中間ステップなしに、ヒドロゲルマイクロビーズ内に取り込まれる。本発明の目的では、化学架橋とは共有結合によって形成される2つのポリマー間の架橋である。したがって本発明は、潜在的に環境に優しくない化学物質の使用なしに、ヒドロゲルマイクロビーズ構造体からのフェロモンの効果的なデリバリを提供することで、例えばグルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、およびタンニン酸などの化学物質の使用を回避する。本発明はさらに、マイクロカプセルからのフェロモンの時期尚早な放出の発生を低減する。本発明は、またヒドロゲルマイクロビーズ内に取り込まれていないコアセルベートシェルが形成するマイクロカプセルと比較して、コアセルベートシェルからのフェロモン放出を遅延および/または延長させる。ヒドロゲルマイクロビーズ内に取り込まれていない、非架橋コアセルベートマイクロカプセルは、典型的に不安定である。「不安定」とは、コアセルベートマイクロカプセルが、フェロモンを封入するための形態または形状を欠くために、意図される環境にフェロモン材料をデリバリする目的に適さなくなることを意味する。
【0019】
人に対する殺虫剤毒性およびその他の環境への懸念に対する関心の高まりを考慮すると、長期の放出寿命を有し、並びに封入されたシェルと、無毒で生分解性のヒドロゲルマイクロビーズとの双方を有する、フェロモンデリバリシステムを提供することは有利であろう。また広範囲のフェロモン材料に適用できる、スプレー可能で長持ちするフェロモンデリバリのためのシステムを提供することで、1つ以上のシェル構成要素に対するフェロモンの反応性の問題を排除することも有利であろう。
【0020】
本発明の方法は、アセテート、アルデヒド、ケトン、アルコール、エステル、エポキシ、エーテル、またはそれらの組み合わせなどの官能基を持つフェロモンを封入するのに使用できる。フェロモンは自然に生成される場合、動物種の一員によって分泌され、同一動物種の他の構成員の挙動または発育に影響を与えられる化合物として定義しても良い。フェロモンは種特異性であるので、昆虫の挙動変更のためのフェロモンの適用は非ターゲット害虫に対しては最小の効果を有する。昆虫の挙動変更のために提供されるフェロモンは、雌のフェロモン噴煙柱と競合する、またはそれをカムフラージュする、フェロモンの放出点源によって「配偶者発見過程」を妨害する。この後者のタイプの作用は、化学殺虫剤あるいは昆虫成長調節剤またはホルモンとは異なり、フェロモンは、現世代の昆虫でなく将来の世代をターゲットとする。フェロモンは非常に種特異性であり少量のみが使用されるので、それらの使用は殺虫剤の全面散布よりも環境的に許容できる。
【0021】
多くのフェロモンは、例えばアセテートやホルメート基などのエステル末端基を有する。典型的にこれらの物質は水不混和性であり、既知の方法によるこれらのマイクロカプセル内への組み込みは、特に問題ではない。ヒドロゲルマイクロビーズ内に封入して固定化できる追加的なフェロモンとしては、アルデヒド、エステル、アルコール、エポキシ化合物、エーテル、ケトン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。本発明は特に、例えばカルボニル基が芳香環の二重結合と共役するアセトフェノンのようなカルボニル基の二重結合が1つ以上の二重結合と共役する、反応性ケトンを含有するフェロモンのデリバリに有利である。
【0022】
本発明で有用なフェロモンは、好ましくは昆虫フェロモンである。フェロモン構造の説明において、以下の記号を使用する。タイプ(E(トランス)またはZ(シス))および二重結合(群)の位置を最初に記載し、次に鎖内の炭素原子数、そして末端基の性質を最後に記載する。例としてフェロモンZ−10 C19アルデヒドは、構造、
【化1】
を有する。
【0023】
フェロモンは、混合物の1構成要素が優位を占める、または少なくとも顕著な構成要素である、化合物の混合物であることができる。部分的に水混和性である昆虫フェロモンの顕著な、または優勢な構成要素としては(ターゲット種は括弧内)、例えばE/Z−11 C14アルデヒド(Eastern Spruce Budworm)、Z−10 C19アルデヒド(Yellow Headed Spruce Sawfly)、Z−11 C14アルコール(Oblique Banded Leafroller),Z−8 C12アルコール(Oriental Fruit moth)、E,E−8,10 C12アルコール(コドリンガ)、E−11 C14アルコール(Tufted Apple Budmoth)、E−11 C14アセテート(Sparganothis Fruitworm)、Z−11 C14アセテート(Blackheaded Fireworm)、Z−9 C12アセテート(Grape Berry Moth)、Z−11 C14アセテート(Leafroller)、E/Z−4C13アセテート(Tomato Pinworm)、Z,Z/Z,E−7,11−C16アセテート(Gossyplure)、Z−8−C12アセテート(Oriental Fruit Moth)、Z/Z−3,13 C18アセテート(Peach Tree Borer)、E,Z/Z,Z−3,13−C18アセテート(Lesser Peach Tree Borer)、および7,8−Epoxy−2−メチル−C18(マイマイガ)などが挙げられる。
【0024】
フェロモンであるケトンの例は、セマダラコガネに対して効果的であるEまたはZ 7−テトラデセン−2−オンである。フェロモンではないが価値のあるエーテルは、松の木をキクイムシ類(Southern pine beetle)にとって魅力のないものにするのに使用できる4−アリルアニソールである。
【0025】
任意に、香料、香水、着香料、共誘引物質などをはじめとする、その他の化合物を本発明のマイクロカプセル内に含めても良い。
【0026】
任意に、油吸収剤をフェロモン液滴に組み込むことができる。これらの吸収剤は、マイクロカプセル内にフェロモン液滴を保持するのを助けることができ、より長持ちする調合物が得られる。代案としては、この目的のために粘土およびデンプンが使用できる。
【0027】
本発明のマイクロカプセル内のフェロモン濃度は、ヒドロゲルマイクロビーズが、なおも強力な破裂抵抗性の網目状組織を提供し、意図される環境内に有効量のフェロモンをデリバリできるようなレベルでなくてはならない。したがってフェロモンは好ましくは、マイクロビーズ総重量の約0.1重量%〜約60重量%の間の量で存在する。より好ましくは、マイクロビーズ内に存在するフェロモンの量は、約0.2重量%〜約40重量%の間、そして最も好ましくは約0.3重量%〜約20重量%の間である。
【0028】
本発明は、一つにはコアセルベートマイクロカプセルまたはシェル内のフェロモンの封入に関する。従来のコアセルベートシェルは、架橋剤を使用してフェロモン材料封入シェルを硬化する。本発明のコアセルベートシェルは、アルデヒド、ケトンまたは酸などの潜在的に有毒または望ましくない架橋剤を使用することなく、安定である。ヒドロゲルマイクロビーズ内に取り込まれていない非架橋コアセルベートマイクロカプセルは、典型的に不安定である。典型的な架橋剤は毒性を有し、あるいは環境にあまり優しくないと見なされる。本発明の利点は、潜在的に有毒または望ましくない化学架橋剤の使用を避ける能力である。
【0029】
コアセルベートシェルは、典型的に、反対に荷電した2つのコロイドの中和から帰結する相分離によって形成される。本発明のコアセルベートシェルを形成するのに使用できる典型的なコロイドとしては、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーが挙げられる。コアセルベーションのために使用できるカチオン性ポリマーとしては、ゼラチン、キトサン、ポリ(ヘキサメチレン−コ−グアニジン)、およびポリ−L−リジンなどが挙げられる。アニオン性ポリマーとしては、アラビアゴム、アカシアガム、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、エチレン無水マレイン酸(EMA)、ゼラチン、カラゲナン、ポリ(アクリル酸)、ペクチン、血清アルブミン、デンプン、およびポリリン酸塩などが挙げられる。好ましくは本発明のコアセルベートシェルは、ゼラチンおよびアルギン酸塩またはアラビアゴム、あるいはそれらの組み合わせを含む。
【0030】
本発明はさらに、フェロモンをヒドロゲルマイクロビーズ内に封入するコアセルベートシェルを固定することを伴う。この固定化は、このようにして保護的マイクロビーズフォーマットに封入されたフェロモンを提供する。マイクロビーズを溶液内に懸濁して、システムが長期の放出期間を提供できる、フェロモンのためのデリバリシステムを提供できる。マイクロビーズは、例えばスプレーデリバリ中に生じるような外圧からの物理的保護をマイクロカプセルに提供する。これは次に、時期尚早なカプセル破裂を最小化して、フェロモン(群)放出期間を延長する。親水性マイクロビーズを脱水すると、フェロモンを含有するマイクロカプセルは、マイクロビーズ内に固定化されたままである。次にフェロモンは、カプセルシェルを通した拡散と、それに続く親水性マイクロビーズを超えた、または通した拡散によって、所望の環境内に放出されることができる。
【0031】
シェルの化学架橋なしにコアセルベーションシェルを有するマイクロカプセルは、従来の複合コアセルベーション工程を通じて構築される。この工程では、第1のポリマーと、第1のポリマーと共にコアセルベーションシェルを形成できる第2のポリマーとを混合する。この工程では2つのポリマーは、pH、温度、希釈などの環境の変化に応じてコアセルベートを形成する。典型的に第1および第2のポリマーの各溶液は、それぞれの電荷を有する。ここでの用法で「電荷」とは、ポリマーおよびフェロモンを含有する封入組成物をpHまたはその他の環境操作によって調節すると、シェルが化学架橋なしにコアセルベーションシェルを有するマイクロカプセルを構築するように、ポリマーが相互作用するように、ポリマーの官能価に関連している。コアセルベーションの手順は当業者の認識範囲内である。
【0032】
次に好ましくは希釈によって、カチオン性およびアニオン性ポリマー組成物に、複合体形成を引き起こす。場合によっては、組成物のpHを調節する必要があるかもしれない。pHまたはその他の環境条件を調節するのに先だって、フェロモン液滴が水性連続相内に分布して、コアセルベートシェルが液滴周囲に形成できるようにすることで、比較的均一で円形または楕円形のフェロモン含有マイクロカプセルが形成するように、組成物を混合しても良い。この希釈および/またはpH調節によって、組成物のゲル化点以下に温度が低下するに連れて、油溶性フェロモン周囲にゲルが形成するようになる。
【0033】
本発明のヒドロゲルマイクロビーズは、典型的に上述のコアセルベートマイクロカプセルを取り込む。本発明のマイクロビーズは、マイクロカプセル含有材料およびフェロモンを含んでも良い。ヒドロゲルマイクロビーズは、好ましくは親水性でもある。撹拌の程度および範囲、並びにマイクロビーズを形成するのに使用される界面活性剤のタイプは、マイクロビーズ内のマイクロカプセルのサイズおよび分散度に影響できる。マイクロビーズ内に取り込まれるマイクロカプセルは、直径が好ましくは約0.01nm〜約300,000nmである。より好ましくはマイクロカプセルは、直径が約0.5nm〜約200,000nmである。
【0034】
本発明でヒドロゲルマイクロビーズを製造するために有用なマイクロカプセル含有材料は、生体適合性、水溶性でペンダントの官能基を有し、イオン(例えば多価のカチオンおよび/またはアニオン)との複合体をなして、ヒドロゲルを形成する。マイクロカプセル含有材料の官能基としては、例えばカルボキシル、ヒドロキシル、一次または二次アミン、アルデヒド、ケトン、エステル、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは親水性マイクロカプセル含有材料は、アルギン酸塩、キトサン、ガム、寒天、カラゲナンなどの天然多糖類から製造でき、あるいはマトリックスは、例えばポリビニルアルコール、ポリ(N−イソプロイルアクリルアミド)、アクリルアミド、アクリレート、およびメタクリレート、あるいはそれらの組み合わせなどの合成水溶性モノマー、オリゴマーまたはポリマーから製造できる。
【0035】
適切な天然多糖類としては、アルギン、ペクチン、およびヒアルロン酸の水溶性塩と、ポリグルクロン酸、ポリマヌロン酸、ポリルイガラクツロン酸、およびポリアラビン酸の水溶性塩またはエステルと、ガムκ−カラゲナンとが挙げられる。好ましい多糖類は、アルギン酸のアンモニウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよびその他のアルカリ金属塩であり、最も好ましい多糖類はアルギン酸ナトリウムである。
【0036】
「アルギン酸塩」は、アルギン酸とその塩に対して与えられた一般名である。アルギン酸塩は、D−マンノシルウロン酸(マンヌロン酸−「M」)およびL−グロピラノシルウロン酸(グルロン酸−「G」)残基から構成される。フェロモン液滴を固定するのに使用されるアルギン酸塩は、適切なマイクロビーズが確実に形成し、保存およびデリバリ適用中のマイクロビーズが確実に安定しており、マイクロビーズが適切に収縮膨張して、所望のフェロモンを長期間(好ましくは4〜6週間)にわたって確実にデリバリできるように、注意深く選択しなくてはならない。好ましくはアルギン酸塩は、形成したマイクロビーズの強度が、スプレーノズルを通した適用中にマイクロビーズにかかる剪断力(条件)に耐えるのに十分で、すなわちマイクロビーズがスプレー適用中に破裂抵抗性であるように選択される。
【0037】
マイクロビーズの強度および安定性のためには、アルギン酸塩の分子量およびM:G比を選択して、究極的なマイクロビーズの好ましい特性を得ることが望ましい。マンヌロン酸含量が高いアルギン酸塩は概して濃化用途のために有用であり、一方グルロン酸レベルが高いアルギン酸塩はゲル形成のために使用されることが多いが、双方のアルギン酸塩カテゴリー(個別にまたはそれらの混合物)が、本発明のマイクロビーズのために適する。強度および破裂抵抗性を与える好ましいアルギン酸塩は、例えば約30重量%を超えるような高レベルでグルロン酸を有するアルギン酸塩である。過剰なレベルのマンヌロン酸を有するアルギン酸塩組成物からは、高グルロン酸ゲルよりも安定性が低く剛性が低いマイクロビーズが帰結するかもしれない。しかし高マンヌロン酸アルギン酸塩は、膨張して高グルロン酸含量マイクロビーズよりも多くの水を吸収する能力をマイクロビーズに与える。したがって適切なアルギン酸塩を選択するにあたり、MおよびG残基が与える利点の注意深い均衡を考慮しなくてはならない。
【0038】
好ましくは本発明のマイクロビーズで使用されるアルギン酸塩は、約100,000〜約2,500,000、より好ましくは約200,000〜約1,500,000の範囲の分子量を有する。さらにアルギン酸塩は、好ましくは約0.2〜約3.5、より好ましくは約0.3〜約1.85の範囲のM:G比を有する。
【0039】
高レベルのグルロン酸を有する好ましいアルギン酸は、例えば藻類Laminaria hyperboreaの茎、植物全体または葉状体からのアルギン酸塩である。高レベルのマンヌロン酸を有する好ましいアルギン酸としては、例えばAscophyllum nodosumが挙げられる。
【0040】
本発明のヒドロゲルマイクロビーズを形成するゲルマトリックスは、例えばペンダントのカルボキシレート基を持つ多糖類を配位させて形成しても良い。これらの多糖類化合物は、マグネシウムおよびアルカリ金属塩を除いては、アルギン酸の第II族金属塩を含む水不溶性アルギン酸塩を含む。水不溶性アルギン酸塩ゲルは、典型的に水性溶液中における水溶性アルギン酸塩から水不溶性アルギン酸塩への化学転換によって形成する。この転換は通常、水溶性アルギン酸塩と可溶性二価−または三価−金属塩から放出された多価のカチオンとの反応によって達成される。
【0041】
水溶性アルギン酸塩としては、アルギン酸のアンモニウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、およびその他のアルカリ金属塩を挙げることができる。本発明に適する水不溶性二価−または三価−金属塩は、2つの要件を満たさなくてはならない。(1)水不溶性金属塩は、水溶性多糖類のペンダントのカルボキシレート基と複合体をなして、水不溶性多糖類ゲルの形成を引き起こせる二価−または三価−金属イオンを含有する。(2)水不溶性金属塩は水溶性酸と反応して、水溶性金属塩を形成する。
【0042】
一般的で適切なアルギン酸塩ゲルは、アルギン酸カルシウムから構成される。
【0043】
アルギン酸カルシウムゲルのゲル化時間は、溶液中の遊離カルシウムイオン濃度を調節することで達成できる。典型的に遊離カルシウムイオン濃度は、カルシウム塩イオン化速度の操作によって、および/または遊離カルシウムイオンと反応するその他の化合物を溶液中に含めることで、制御される。
【0044】
本発明のマイクロビーズを製造する方法は、好ましくはフェロモン充填マイクロカプセルを製造するステップと、親水性マイクロカプセル含有材料中にマイクロカプセル懸濁液を分散するステップとを含む。次に混合物は硬化(ゲル化)されて、マイクロビーズが形成する。得られるマイクロビーズは、はじめに約30%を超える水を有するヒドロゲルマイクロビーズである。フェロモン充填マイクロカプセルを水−ポリマーマイクロビーズ内に分散させ、取り込ませる。
【0045】
マイクロビーズ内に取り込まれたマイクロカプセルを有する親水性マイクロビーズは、イオン性相互作用または熱固化のいずれかによって形成できる。イオン性相互作用によってマイクロビーズを形成する際、(1)スプレー法、および(2)乳化法、によって形成する2つの好ましい方法がある。スプレー法では、マイクロカプセル含有混合物を混合し、次に機械的に噴霧して小型球形液滴を形成する。マイクロビーズのサイズは、概してエマルジョン懸濁液固有の特性、送り速度、および同軸気流速度によって支配される。
【0046】
次に噴霧した液滴を直接、反応槽内に自由落下させることができる。反応槽はヒドロゲルが固まるように硬化または固化する。反応槽硬化は、化学的または非化学的手段を通じて達成できる。アルギン酸ナトリウムの場合、カルシウムイオンが使用されてポリマー鎖が配位される。好ましい配位化合物は塩化カルシウムである。
【0047】
本発明の目的では「配位化合物」は、その意図される環境に適用できるように、ヒドロゲルマイクロビーズおよびコアセルベートシェル構造体を与えるのに使用できる、化学物質または化合物に関連している。適切な配位化合物は、好ましくはモノマー、オリゴマー、およびポリマーをはじめとする低分子量無機または有機化合物などの二価および多価イオン性化合物である。適切な配位化合物の例は、アルギン酸塩のためのカルシウム(Ca++)イオンである。
【0048】
アルギン酸塩ゲルの形成に使用される配位化合物カルシウムイオンの供給源としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、酒石酸カルシウム、硝酸カルシウム、および水酸化カルシウムが挙げられる。その他の許容可能な配位化合物としては、塩化ランタン、塩化第二鉄、塩化コバルトが挙げられ、一般にはカルシウム(Ca++)、銅(Cu++)、バリウム(Ba++)、ストロンチウム(Sr++)などの多価カチオンを有するその他の化合物も挙げられる。
【0049】
代案としては、乳化法を使用してヒドロゲルマイクロビーズを製造できる。連続相材料の選択において、それは水性マイクロカプセル含有材料と不混和性であることが好ましい。
【0050】
マイクロカプセル含有材料は、好ましくは本発明の実施に使用できる範囲の濃度を有する。濃度は、取り扱いやすさ、ゲル化時間、フェロモン液滴周囲のヒドロゲルマイクロビーズ強度を最適化するように選択されるべきである。例えばアルギン酸ナトリウム溶液は、好ましくは水中に約1〜約10%、より好ましくは約1.5〜約5%、そして最も好ましくは1〜3%(w/v)の濃度で調製されることができる。しかしヒドロゲル剤濃度が高すぎると、溶液は非常に粘稠になり球形マイクロビーズの形成を妨げる。
【0051】
代案としては本発明のヒドロゲルマイクロビーズは、例えば選択された配位化合物にマイクロカプセル含有材料溶液を滴下して添加することで形成できる。例えば片方の供給源からヒドロゲル液滴を噴出し、他方の供給源からの配位化合物で液滴を被覆する振動ノズルによって、液滴形成および配位化合物添加が一段法で完了する方法を使用できる。米国特許第4,701,326号明細書は、この方法の使用を教示する。
【0052】
アルギン酸塩が使用されてフェロモンを固定する好ましい態様では、配位溶液は好ましくは1〜1000ミリモル、より好ましくは20〜500ミリモル、そして最も好ましくは50〜100ミリモルの濃度で製造される。濃度範囲は、配位化合物およびマイクロカプセル含有材料の性質次第で調節しなくてはならなかもしれない。
【0053】
マイクロカプセル含有材料およびフェロモンは、浸漬、スプレー、液浸、流し込みまたは、一定量の錯化剤を液滴上に付着させるあらゆるその他の方法によって、配位化合物または溶液で処理できる。浸漬では、溶液中の時間は1秒間〜24時間、好ましくは1分間〜1時間、そしてより好ましくは10〜30分間であっても良い。
【0054】
ヒドロゲルマイクロビーズ形成のための温度は、好ましくはフェロモンの損傷または変質を避けるように選択される。例えばアルギン酸塩が使用される好ましい態様では、温度は好ましくは約1℃〜約70℃、より好ましくは約10℃〜約40℃、そして最も好ましくは約15℃〜約30℃の範囲である。
【0055】
フェロモン充填マイクロカプセルを温度設定内で固定するためには、マイクロカプセル含有材料を最初に熱を使って水に可溶化しなくてはならない。加熱温度は、好ましくは約40℃〜約100℃の範囲内である。マイクロカプセル含有材料が完全に溶解したら、溶液がゲル固化温度よりも約5℃〜約10℃上になるように溶液温度を下げる。次にフェロモン充填マイクロカプセルを含有する懸濁液をマイクロカプセル含有溶液と同様の温度に予熱して、その後、双方の混合物を共に混和して均質に混合する。
【0056】
マイクロビーズを製造するために、溶融マイクロカプセル含有材料をノズルシステムを通して噴霧でき、あるいは油タイプの連続相を使用して乳化できる。スプレー法では、例えば同軸空気を使用して溶融懸濁液を噴霧し、蒸留水を含有する氷浴内に落下させることができる。次にその中にマイクロカプセルを取り込んで、マイクロビーズが形成する。
【0057】
乳化法を使用してマイクロビーズを製造するために、ジャケット付き反応器内で、連続油相を溶融マイクロカプセル懸濁液の温度に予熱する。連続相はあらゆる疎水性の液体であることができる。好ましく最も都合の良い液体は、植物油または鉱物油である。その他の可能な疎水性の液体としては、ヒドロフルオロエーテルと、シロキサンと、またはシクロヘキサンおよびクロロホルムなどの溶剤とが挙げられる。次にミキサーの助けを借りて、マイクロカプセル懸濁液を連続相内で乳化する。所望粒度が得られるまで混合を継続する。次に反応混合物の温度を氷水の温度(約5℃)に下げる。次にその中にマイクロカプセルを取り込んで、マトリックスが形成する。次にデリバリのために溶液中に懸濁するのに先だって、マイクロビーズを濾過して洗浄できる。
【0058】
本発明は、フェロモンが従来の技術によってデリバリおよびスプレーできるように、油溶性フェロモンおよびアルコールフェロモンの十分な固定化を提供できるマトリックスコアを有するマイクロビーズを提供する。親水性マイクロビーズは、好ましくはそして有利なことには、油溶性およびアルコールフェロモンのコアセルベートシェルを固定する能力をヒドロゲルマイクロビーズに与え、フェロモンとその固定化要素間の望まれない反応性のリスクを最小化する。このようにして本発明のマイクロビーズの使用によるフェロモンの固定化は、固定化された材料を不活性または無効にしない。
【0059】
ヒドロゲルマイクロビーズ内にフェロモンを固定するさらなる利点は、ヒドロゲルが湿潤条件下で「膨張」し、乾燥条件下で縮小する能力である。ここでの用法では「膨張」とは、吸水のためにサイズ(容積)が拡大(増大)するマイクロビーズの挙動を表す。これはおそらくフェロモンを固定するのに使用される、マイクロカプセル含有材料の親水性のためである。
【0060】
湿気の存在下、ヒドロゲルマイクロビーズは好ましくは水分を吸収して再水和し、その結果マイクロビーズ内に含有するフェロモンを放出できる。この挙動は循環できる。したがって周囲空気の湿度(または乾燥度)を調節することで、具体的放出期間が概して予測できるように、マイクロビーズからのフェロモン放出速度を制御できる。したがって本発明では、フェロモンをマイクロビーズから応需型に放出可能である。応需型の放出または「インテリジェント放出」は、特定時の放出が好ましい場合に有利であることができる。フェロモンをさらに放出するマイクロビーズの能力は、有効量フェロモンの放出寿命を増大させるかもしれない。好ましくはマイクロビーズは、所望効果を得るのに効果的な量で意図される環境にデリバリされる。例えばその中に取り込まれたフェロモンを有するマイクロビーズは、好ましくは所望領域に交尾撹乱をもたらすような量でデリバリされ、放出は4週間を超えて達成され、より好ましくはマイクロビーズは約6週間を超えて、そして最も好ましくは約8週間を超えて放出することができる。
【0061】
乾燥工程(すなわち脱水)中に、親水性マイクロビーズからの水蒸発の結果、表面フィルム層が形成する。最初にそして使用中に、マイクロビーズは容積に対する表面積の大きな比率によって特徴づけられ、これは使用中にフェロモン拡散速度を維持するのを助ける。このようにして本発明の方法に従って製造されたマイクロビーズはフェロモンを長期間にわたって放出できるので、優れたデリバリシステムを提供することが分かった。さらにフェロモンは水ベースのマイクロビーズ内に分散されるので、環境条件(すなわちUV)からの追加的な保護が提供できる。
【0062】
本発明のマイクロビーズは約5mmまでの直径を有するように製造できることが分かっているが、マイクロビーズが従来のスプレーノズルから確実に容易にスプレーできるように、マイクロビーズ径が約1μm〜約1000μm、そしてより好ましくは約1μm〜約500μmであることが好ましい。最も好ましくは、従来のノズル内における目詰まりが確実に最小であるように、マイクロビーズ径は約400μm未満である。しかし現在産業で使用されていないより大きなスプレーノズルの出現により、マイクロビーズをもっと大きな直径で提供できることも考えられる。
【0063】
スプレー用途、特に空中スプレーでは、マイクロビーズが溶液(水)内に懸濁したままで、マイクロビーズが懸濁液内で確実に沈下、沈降、または凝固しないようにできることが望ましい。これによってむらのないスプレーカバレージも確実になる。好ましくは本発明のマイクロビーズは懸濁したままであり、これによって適用中、そして任意に保存中に撹拌する必要性が、たとえ排除されなくとも最小化できる。また本発明のマイクロビーズを含有する懸濁液に、種々の懸濁助剤を含めることができる。適切な懸濁助剤の例としては、ラムサムガム、キサンタムガム、ジェランガム、ゼラチン、ペクチン、およびアラビアゴムが挙げられる。
【0064】
マイクロビーズが受ける取り扱いのために、本発明のマイクロビーズはいくらか弾性で、もろくないことが望ましい。例えばスプレー適用中の懸濁液の噴霧によって、放出ノズルのすぐ上流側にある2つの回転穿孔ディスクに、懸濁液が押し通されるかもしれない。マイクロビーズの十分な弾性は、ディクス通過中のマイクロビーズの物理的損傷を最小化する。
【0065】
本発明のマイクロビーズは、好ましくは水性または溶剤ベースの溶液内の懸濁液でデリバリされる。環境的理由そして生物に対する配慮から、水性懸濁液を使用することが好ましい。マイクロビーズが溶液内に確実に懸濁したままであるように、好ましくは懸濁助剤が懸濁液調合物に含まれる。
【0066】
好ましくは懸濁液溶液は、マイクロビーズの分解を避けるために、ナトリウムなどの一価のカチオンを実質的に含まない。好ましい一態様では、本発明のマイクロビーズを含む保存溶液内に、およそ50ミリモルの塩化カルシウムなどの配位化合物濃度が維持される。
【0067】
任意に接着材料を本発明の組成物に含めて、意図される基材へのマイクロビーズ保持を助けることができる。接着材料は、例えば,ラテックスまたは粘着性微小球などの様々な形態で提供できる。ヒドロゲルマイクロビーズに与えられる付着特性は、水性懸濁液内でなおも懸濁状態を保ち、凝結または凝固を最小化できるマイクロビーズに帰結しなくてはならない。さらに接着特性を与えるのに使用されるあらゆる接着材料は、粒子の完全性に影響してはならず、マイクロビーズ(群)を溶解または弱化してはならない。
【0068】
本発明の組成物に含めても良い適切な接着材料は、接着剤ラテックスである。接着剤ラテックスは、技術分野で入手できるあらゆる適切な水分散性接着剤であって良い。農業ビジネスでは、このようなラテックス組成物は、展着剤または拡展剤と称されることが多い。展着剤は非封入される農薬が植物に付着するのを助けるのに使用される。拡展剤は、非封入農薬を適用時に分散するのを助けるのに使用される。好ましい接着剤はアクリレートベースの接着剤である。1つの適するラテックスは、商品名コンパニオン(COMPANION)の下にローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)から入手できる。別のものは商品名DPIS−100(登録商標展着剤/拡展剤)の下にディアポイント・インダストリーズ(Deerpoint Industries)から入手できる。このような接着剤の例は、n−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレートなどの「軟質」モノマーから製造されるポリマー、あるいはイソブチレン、n−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレートなどの軟質構成要素から製造される共重合体、およびアクリル酸、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリル酸、メチルメタクリレートなどの極性モノマーである。非球形ポリアクリレート接着剤は、例えばローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)のロープレックス(RHOPLEX)系列の接着剤のように市販される。好ましくは非球形ポリアクリレート接着剤は、全懸濁液の約10〜35重量%の量で存在する。
【0069】
代案としては、接着剤の粘着性微小球を使用して、本発明のヒドロゲルマイクロビーズが意図される基材に付着するのを助けても良い。粘着性微小球は十分な接着特性を有して所望の接着機能を提供しながらも、マイクロビーズの放出特性を潜在的に阻害することにつながるかもしれないマイクロビーズの完全被覆の危険性はない。マイクロビーズと粘着性微小球の組み合わせは、従来の噴霧器のオリフィスを変更する必要なしに、目詰まりまたは閉塞の問題が最小で適用できる。さらに粘着性(接着剤)微小球をマイクロビーズ(調合物)懸濁液に組み込むことで、マイクロビーズ表面を粘着性にできる。したがってビーズが、例えば群葉および枝などの意図される表面に付着できる。接着性微小球は、特にそれらが中空であれば、いくらかのフェロモンをそれ自体の中に吸収するかもしれず、それによってフェロモン放出の第2の機構が提供される。これによって放出プロフィールの全体的変更、好ましくは向上が帰結する。
【0070】
好ましくは接着材料は、米国特許第3,691,140号明細書で開示されたような不溶解性、溶剤分散性、溶剤不溶性、本質的粘着性のエラストマー共重合体微小球を含む、アクリレート−またはメタクリレート−ベースの接着剤システムである。代案としてはこの接着剤組成物は、米国特許第5,045,569号明細書で開示されたような、中空、ポリマー、アクリレート、不溶解性、本質的粘着性、溶剤不溶性、溶剤分散性、エラストマー感圧接着剤微小球を含んでも良い。その他の適切な接着剤は、米国特許第5,508,313号明細書で開示されたような、ペンダントの親水性ポリマーまたはオリゴマー部分を有する粘着性微小球である。
【0071】
代案としては接着剤は、少なくとも1μmの直径を有する、約60〜100重量%の中空のポリマー、アクリレート、本質的粘着性、不溶解性、溶剤不溶性、溶剤分散性、エラストマー感圧接着剤微小球と、約0〜40重量%の非球形ポリアクリレート接着剤とを含む。中空微小球は、ヨーロッパ特許出願第371,635号明細書の教示に従って製造される。
【0072】
さらに別の代案は、特定のタイプBゼラチンとマイクロ封入される殺虫剤との会合、特に米国特許第4,436,719号明細書で開示されるような、マイクロカプセル壁内のポリ尿素サブユニットを用いるようなものである。
【0073】
本発明の組成物は、例えばゲル化補助剤、保存料、染料、保湿剤、固定剤、乳化剤、増量剤、および多価アルコールとそれらのエステルなどの凍結/融解安定剤をはじめとする1つ以上のアジュバントも含んで良い。これらの材料は、概して組成物の約5重量%未満、典型的に2重量%未満である、それらの延長された機能を達成するのに効果的な量で存在する。
【0074】
光安定剤の組み込みを本発明のマイクロビーズに含めることができる。適切な光安定剤としては、カナダ国特許番号第1,179,682号明細書で開示される三級フェニレンジアミン化合物が挙げられる。光安定剤は、それを水不混和性溶剤中にフェロモンと共に溶解することで組み込める。代案としては光安定剤は、カナダ国特許番号第1,044,134号明細書で教示されるようなマイクロビーズ内に組み込める。
【0075】
マイクロビーズを形成する工程で、界面活性剤を使用しても良い。異なる界面活性剤の組み込みによって、ヒドロゲル内で異なるタイプのフェロモンのマイクロエマルジョン液滴サイズが提供され、並びに反応槽溶液内で失われる遊離油量が決定される。好ましい界面活性剤は、例えば製品名ディスポニル(DISPONIL)SUS IC 875(CMC、約1%)の下にペンシルベニア州アンブラーのヘンケル(Henkel(Ambler,PA))から入手できる製品などのように高い臨界ミセル濃度を有する。
【0076】
特に好ましい界面活性剤は、非イオン性である。適切な界面活性剤の例としては、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリ(エトキシ)ノニルフェノールが挙げられる。PVPは使用に便利であり、約20,000〜約90,000の範囲の種々の分子量で入手できる。約40,000の分子量を有するPVPが好ましい。ポリ(エトキシ)ノニルフェノールは、エトキシ鎖の長さ次第で種々の分子量で、商品名イジェパル(IGEPAL)の下にニュージャージー州クランベリーのローヌ・プーラン(Rhone−Poulenc(Cranbury,NJ))から市販される。式、
【化2】
(式中、nは約9〜約13の平均値を有する。)を有するポリ(エトキシ)ノニルフェノールが使用できる。好ましいポリ(エトキシ)ノニルフェノールは、ニュージャージー州クランベリーのローヌ・プーラン(Rhone−Poulenc(Cranbury,NJ))から商品名イジェパル(IGEPAL)630(630は化合物のおよその分子量を表示する)の下に市販される。適切な界面活性剤の別の例としては、どちらもニュージャージー州ワシントンのBASF(BASF(Washington,NJ))から市販され、商品名プルロニック(PLURONIC)およびテトロニック(TETRONIC)の下に入手できるものなどのポリエーテルブロック共重合体と、デラウェア州ウィルミントンのICI(ICI(Wilmington,DE))から入手できるBRIJ界面活性剤などの脂肪アルコールのポリオキシエチレン付加物と、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸エステルなどが挙げられる。このような脂肪酸の例としては、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエートなどが挙げられる。脂肪エステルのアルコール部分の例としては、グリセロール、グルコシルなどが挙げられる。脂肪エステルは、デラウェア州ウィルミントンのICI(ICI(Wilmington,DE))から商品名ARLACEL Cの下に界面活性剤として市販される。
【0077】
例えば鎖長、官能基、および疎水性領域などの界面活性剤の種々の特性は、マイクロビーズ内に形成するフェロモン液滴のサイズに影響できる。例えばPVP(分子量40,000を有する)の使用は、ポリ(エトキシ)ノニルフェノール(IGEPAL 630)の使用よりも、より大きなサイズのフェロモン液滴の生成に帰結する傾向がある。
【0078】
代案としてはイオン性界面活性剤を本発明の方法で使用できる。適切なイオン性界面活性剤の例は、部分的に中和されたポリアクリル酸ナトリウムまたはカリウム、あるいはポリメタクリル酸ナトリウムまたはカリウムなどのポリアクリル酸塩である。
【0079】
本発明のマイクロビーズ内に取り込まれたマイクロ封入されたフェロモンは経時的に徐々に放出される。保護されていないマイクロカプセルは、例えばシェルの破裂時にフェロモンを潜在的にほとんど一度に放出できるので、これはフェロモンを衝撃緩和して保護する親水性マトリックスを有さない、従来のマイクロ封入材料で起きる機構のバリエーションである。本発明のマイクロビーズからのフェロモン放出は、好ましくはそして有利なことには、マイクロビーズが位置する環境内の湿度(および乾燥度)を制御することで制御できる。
【0080】
理論による制限はされないが、フェロモン放出の一機構は、ゲルマイクロビーズからの水蒸発、引き続いてマイクロカプセルシェルを通しての、次に親水性マイクロビーズを通してのフェロモンの拡散を伴うものと考えられる。この機構による放出(拡散)は、フェロモンの遅延放出に帰結することができる。さらに別の仮説的機構では、フェロモンはマイクロビーズから水中に取り込まれ、水が蒸発するにつれてフェロモンが大気中に放出される。
【0081】
好ましい適用では、これらのヒドロゲルマイクロビーズはスプレーされ、引き続いてゲル内で水が蒸発する。ヒドロゲルビーズが脱水するに連れて、マイクロビーズはサイズが縮小し、そのフェロモンを経時的に放出する。マイクロビーズの元のサイズからの縮小の程度は、調合物内で使用される構成要素に左右される。好ましくはマイクロビーズは元のサイズから約10%〜約90%、より好ましくは約40%〜約80%、そして最も好ましくは約50%〜約70%縮小する。
【0082】
有利なことに、マイクロビーズは湿気に再暴露すると、水を吸収して膨張し再水和する。湿気への再暴露は、種々のやり方で実施できる。例えばマイクロビーズの表面は、直接、水またはその他の水性溶液と接触できる。フェロモンが使用される農業用途では、農業従事者または管理人は草木および群葉に水をやって、ヒドロゲルマイクロビーズを再水和できる。代案としては、マイクロビーズが位置する環境または周囲空気の湿気が、空気中の連行空気液滴によって増大できる。このようにしてマイクロビーズを再水和によって「再活性化」することで、フェロモン放出時間を選択的に制御できる。
【0083】
本発明のマイクロビーズは、種々の方法によって意図される基材にデリバリできる。マイクロビーズを使用したフェロモンデリバリは、例えば所望の放出カバレージサイズなどの種々の要素に左右される。狭い集中領域では、マイクロビーズは中空繊維、プラスチックラミネートフレーク、またはツイストタイに含浸して、次に繊維またはタイを植物に物理的に付着して昆虫の侵襲から保護できる。より大きな領域では、スプレー(空中散布または背負い型による)がより良いオプションかもしれない。
【0084】
以下の実施例は例証のみを目的とし、本発明の範囲の制限を意図しない。特に断りのない限り、あらゆる部と百分率は重量を基準とする。
【実施例】
【0085】
比較例1:コアセルベートマイクロカプセルの調製
タービンかきまぜ羽根を装着した1リットルバッフル付きジャケット付き反応器内に、ニュージャージー州のフィッシャー・サイエンス(Fisher Scientific(New Jersey))から得られたブルーム300ゼラチンの10重量%水溶液100mLを装入した。溶液を1000rpmで10分間、50℃で混合した。ジャケット付き溶液内で、信越化学から得られた油相Z−11テトラデセニルアセテート100gを50℃で5分間乳化した。ニュージャージー州のフィッシャー・サイエンス(Fisher Scientific(New Jersey))から得られた11重量%ガムアカシア溶液90mLをエマルジョンに50℃で添加し、2分間混合した。次に50℃に予熱した1000mLの水を混合物に導入した。10%炭酸ナトリウム溶液を使用して、pHを約4.4に低下させた。次に混合物の温度を15〜25℃に下げた。850rpmで絶え間なく混合しながら、混合物をpH約4.4および温度15〜25℃で約1時間保持した。ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemica(Milwaukee,Wisconsin))から得られたグルタルアルデヒド溶液約2.6gを混合物に添加して、混合を一晩継続した。形成したコアセルベートマイクロカプセルは、平均径約20μmを有した。
【0086】
実施例2:非架橋コアセルベートマイクロカプセルの調製
タービンかきまぜ羽根を装着した1リットルバッフル付きジャケット付き反応器内に、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemica(Milwaukee,Wisconsin))から得られたブルーム275ゼラチンの10重量%水溶液100mLを装入した。溶液を1000rpmで10分間、50℃で混合した。ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemica(Milwaukee,Wisconsin))から得られた50重量%ドデカノール配合物を含有する油相100g、およびテキサス州ヒューストンのコンダエ・ビスタ(CondeaVista(Houston,Texas))から得られたミグリオール(Mygliol)812Nを50℃でジャケット付き溶液内において5分間乳化した。ニュージャージー州のフィッシャー・サイエンス(Fisher Scientific(New Jersey))から得られた11重量%ガムアカシア溶液90mLをエマルジョンに50℃で添加し、2分間混合した。次に50℃に予熱した1000mLの水を混合物に導入した。10%炭酸ナトリウム溶液を使用して、pHを約4.4に低下させた。次に混合物の温度を15〜25℃に低下させた。850rpmで絶え間なく混合しながら、混合物をpH約4.4および温度15〜25℃に約1時間保った。
【0087】
比較例3:ヒドロゲルマイクロビーズ
あらかじめ秤量したアルギン酸塩を既知の容積の蒸留水に溶解して、アルギン酸ナトリウム溶液を最初に調製した。溶液を完全に混合してポリマーを可溶化し、脱気して取り込まれた気泡を除去した。別の250mL容器内で、上の実施例1からの約25%のコアセルベートマイクロカプセル組成物、およびミズーリ州セントルイスのシグマ・ケミカル(Sigma Chemical(St.Louis,Missouri))から得られた2%多糖類溶液をアルギン酸ナトリウム溶液と混合して懸濁液を製造した。マリンタイプのかきまぜ羽根(3cm径)を使用して、約300rpmの速度で懸濁液を完全に混合した。次に同軸エアノズル噴霧器を使用して、塩化カルシウム浴(50mM濃度)内に、マイクロカプセル懸濁液を微粒子液滴に噴霧した。粒度は噴霧装置の設定によって定まった。生成したヒドロゲルマイクロビーズはサイズが異なり、平均径は約125μmであった。次にこれらのビーズを濾過して、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemica(Milwaukee,Wisconsin))から得られた塩化カルシウム溶液50mLおよびニュージャージーのケルコ(Kelco(New Jersey))から得られた0.4%キサンタンガム中に再懸濁した。
【0088】
実施例4:架橋のないヒドロゲルマイクロビーズ
あらかじめ秤量したアルギン酸塩を既知の容積の蒸留水に溶解して、アルギン酸ナトリウム溶液を最初に調製した。溶液を完全に混合してポリマーを可溶化し、脱気して取り込まれた気泡を除去した。別の250mL容器内で、上の実施例2からの約25%のコアセルベートマイクロカプセル組成物、およびミズーリ州セントルイスのシグマ・ケミカル(Sigma Chemical(St.Louis,Missouri))から得られた2%多糖類溶液をアルギン酸ナトリウム溶液と混合して懸濁液を製造した。マリンタイプのかきまぜ羽根(3cm径)を使用して、懸濁液を約300rpmの速度で完全に混合した。次に同軸エアノズル噴霧器を使用して、塩化カルシウム浴(50mM濃度)内に、マイクロカプセル懸濁液を微粒子液滴に噴霧した。粒度は噴霧装置の設定によって定まった。生成したヒドロゲルマイクロビーズはサイズが異なり、平均径は約125μmであった。次にこれらのビーズを濾過して、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemica(Milwaukee,Wisconsin))から得られた塩化カルシウム溶液50mLおよびニュージャージーのケルコ(Kelco(New Jersey))から得られた0.4%キサンタンガム中に再懸濁した。
【0001】
本発明は、ヒドロゲルマイクロビーズを使用した、活性物質の封入、固定化、および放出の組み合わせに広く関する。具体的には活性物質は、コアセルベートシェル内に封入され、親水性マイクロビーズ内に固定化される。
【背景技術】
【0002】
果樹園、農作物、および森林から望まれない害虫を駆除する方法は、有機リン酸塩殺虫剤の使用を伴うことが多い。代案の方法は、昆虫フェロモンを使用して害虫を制御し農作物を保護する昆虫交尾撹乱を伴う。昆虫交尾撹乱法では、雌昆虫の交尾フェロモン噴煙柱が、その他のフェロモン点源で典型的にマスクされる。これによって雄昆虫が雌を見つける可能性が低下し、次いで撹乱され幼虫発生量が減少する。このようにして次世代の昆虫個体数が減少し、作物の被害の見込みも減少する。
【0003】
従来のスプレーできるフェロモン調合物は、概して活性物質を有する液体充填マイクロカプセル内に提供される。典型的にマイクロカプセルは、イソシアネートおよびアミンを必要とする界面法を使用して形成できる、ポリ尿素シェルを有する。この方法によるマイクロ封入は、例えばネスビット(Nesbitt)らの米国特許番号第4,487,759号明細書に記載されている。これらのポリ尿素シェルはほとんどの昆虫フェロモンについて、合わせて最高2〜3週間活性物質が大気中に放出されるようにする。ポリ尿素カプセルのシェルは概して半透性であるため、活性物質はシェルを超えて拡散し、経時的に緩慢に放出されることができる。潜在的に封入製品のデリバリまたはスプレー時に、高濃度の活性物質が空気中に直ちに観察できる。これはカプセル破裂の高い発生率または潜在的なマイクロカプセルの漏れに起因するかもしれない。
【0004】
ガードナー(Gardner)の米国特許第4,532,123号明細書は、第2のシェルにさらに封入されて二次カプセルを作り出す、一次カプセル内の医薬品活性物質を含有するカプセルを教示する。二次カプセルのカプセル内液体コアは酵素を含有して、一次カプセルのシェルを緩慢に加水分解する。この緩慢な加水分解によって、制御されたデリバリのために、一次カプセルからより大きなカプセルのコアへの活性物質の緩慢な放出ができるようになる。
【0005】
日本国特許第JP8−173794号明細書は、ポリメチルメタクリレートシェルの小型カプセル内のアミン封入を教示する。これらのカプセルは、エポキシ−アミンポリマーシェル内にさらに封入される。同様に極小カプセル内のアミンはより大きなカプセルのコア内に放出され、ポリマーシェルの破裂時に究極的にアミンがデリバリされる。
【0006】
医薬品、殺虫剤、および除草剤などの物質を封入するための界面縮合の使用は、バンデガー(Vandegaer)の米国特許第3,577,515号明細書で教示されている。封入工程には、撹拌によって片方が他方に分散される2つの不混和性液体相(典型的に水および有機溶剤)、および引き続くバルク(連続)相と分散された滴液との界面における各相からのモノマーの重合が必要である。ポリウレタンおよびポリ尿素は、マイクロカプセルを製造するのに適した材料である。使用されるモノマーと溶剤次第で、マイクロカプセルは、直径が30μm〜2mmの範囲であるポリマー球および液体中心を含む。
【0007】
高度に粘稠性かつ濃化されたヒドロゲルは、フェロモン、香水、およびその他の水不溶性活性物質をデリバリするために使用されている。スティア(Steer)の米国特許第4,755,377号明細書では、香料または芳香性材料を水性ゲル組成物内に封入する方法について記載している。得られた材料は、高度に粘稠性の半流動性の形態である。ヘンダーソン(Henderson)らの米国特許第5,645,844号明細書は、材料がコーキングガンなどの器具によってディスペンスできる、昆虫交尾を撹乱するフェロモンのデリバリのためのキトサンペーストの使用について記載している。しかし濃化され高度に粘稠性であるため、これらの材料は概してスプレーできない組成物である。
【0008】
ほとんどのヒドロゲルは、人間に対して安全かつ無毒である。ヒドロゲルは、調合物が、細胞、タンパク質、および関連材料の生存性に対して非致命的である、生物学的材料の封入のために使用されている。グーセン(Goosen)らの米国特許第4,689,293号明細書は、生体組織または細胞を封入する方法について記載している。封入シェルは材料および酸素の細胞への通過を可能にし、ゲルからの代謝副産物の拡散を可能にする。
【0009】
コアセルベーション法は、ノーカーボン複写紙カプセル、そしてロイコ染料、薬剤、着香料、および香水の封入などの用途のために技術分野で周知である。グリーン(Green)の米国特許第2,800,457号明細書では、多孔性であり、架橋ステップがpH9〜10で実施されると孔が締まるゲル化コロイドを開示する。
【0010】
コアセルベートマイクロカプセルを架橋するその他のアプローチでは、非アルデヒド架橋剤を用いている。シュノーリング(Schnoring)の米国特許第4,402,856号明細書では、天然および/または合成なめし剤およびカルボニル化合物を使用して、ゼラチンマイクロカプセルを硬化させることを開示する。京極(Kyogoku)らの米国特許第5,023,024号明細書では、イリドイド類の天然化学物質、具体的にはゲニピンの使用を開示している。ディビッド(David)らの米国特許第5,051,304号明細書でも架橋剤としてのタンニン酸の使用が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のアプローチは、コアセルベートシェルを特定条件下で架橋するのに満足できることが立証されているが、より環境に優しく、有毒架橋剤を使用せず、開示されたものよりも費用効率が高いコアセルベートシェルを提供する必要性がなおもある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
a)複合コアセルベーションによってマイクロカプセルを形成できる第1のポリマーと、フェロモンと、第1のポリマーを含む組成物と共に複合コアセルベーションによってマイクロカプセルを形成できる第2のポリマーとを含む溶液を提供するステップと、
b)コアセルベーションシェルを有するマイクロカプセルを前記シェルの化学架橋なしに構築(形成)するステップと、
c)ヒドロゲルマイクロビーズを形成するのに適する第3のポリマーをマイクロカプセル含有組成物を形成するのに効果的な量で添加するステップと、
d)マイクロカプセル含有組成物を配位溶液中にスプレーすることにより、化学架橋なしにコアセルベーションシェルを有するマイクロカプセルを含む安定性ヒドロゲルマイクロビーズを提供するステップと
を含む、フェロモンを封入する方法を提供する。
【0013】
本発明の別の態様は、上のステップc)の第3のポリマーが、ステップb)のマイクロカプセルが構築する前に添加される、フェロモンを封入する方法である。
【0014】
本発明は、上に挙げた方法によってコアセルベートシェル内に封入されるフェロモンも提供する。
【0015】
ヒドロゲルマイクロビーズは好ましくは親水性であり、水溶性または水不溶性のいずれであっても、広範囲のマイクロ封入された活性物質を固定できる。
【0016】
本発明の一態様では、ヒドロゲルマイクロビーズを水溶性マイクロカプセル含有材料から製造して、環境に優しいマイクロビーズを提供しても良い。マイクロビーズを接着剤で被覆して、意図される環境における適用を改善しても良い。
【0017】
さらに別の発明の態様では、マイクロビーズが最初の脱水後に再水和され、活性物質を放出できても良い。このようにして、マイクロビーズがデリバリされた環境の湿度を調節することで、フェロモンの放出および寿命は制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、コアセルベートシェル内に封入されるフェロモンを提供し、それは次にコアセルベートシェルを化学的に架橋する中間ステップなしに、ヒドロゲルマイクロビーズ内に取り込まれる。本発明の目的では、化学架橋とは共有結合によって形成される2つのポリマー間の架橋である。したがって本発明は、潜在的に環境に優しくない化学物質の使用なしに、ヒドロゲルマイクロビーズ構造体からのフェロモンの効果的なデリバリを提供することで、例えばグルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、およびタンニン酸などの化学物質の使用を回避する。本発明はさらに、マイクロカプセルからのフェロモンの時期尚早な放出の発生を低減する。本発明は、またヒドロゲルマイクロビーズ内に取り込まれていないコアセルベートシェルが形成するマイクロカプセルと比較して、コアセルベートシェルからのフェロモン放出を遅延および/または延長させる。ヒドロゲルマイクロビーズ内に取り込まれていない、非架橋コアセルベートマイクロカプセルは、典型的に不安定である。「不安定」とは、コアセルベートマイクロカプセルが、フェロモンを封入するための形態または形状を欠くために、意図される環境にフェロモン材料をデリバリする目的に適さなくなることを意味する。
【0019】
人に対する殺虫剤毒性およびその他の環境への懸念に対する関心の高まりを考慮すると、長期の放出寿命を有し、並びに封入されたシェルと、無毒で生分解性のヒドロゲルマイクロビーズとの双方を有する、フェロモンデリバリシステムを提供することは有利であろう。また広範囲のフェロモン材料に適用できる、スプレー可能で長持ちするフェロモンデリバリのためのシステムを提供することで、1つ以上のシェル構成要素に対するフェロモンの反応性の問題を排除することも有利であろう。
【0020】
本発明の方法は、アセテート、アルデヒド、ケトン、アルコール、エステル、エポキシ、エーテル、またはそれらの組み合わせなどの官能基を持つフェロモンを封入するのに使用できる。フェロモンは自然に生成される場合、動物種の一員によって分泌され、同一動物種の他の構成員の挙動または発育に影響を与えられる化合物として定義しても良い。フェロモンは種特異性であるので、昆虫の挙動変更のためのフェロモンの適用は非ターゲット害虫に対しては最小の効果を有する。昆虫の挙動変更のために提供されるフェロモンは、雌のフェロモン噴煙柱と競合する、またはそれをカムフラージュする、フェロモンの放出点源によって「配偶者発見過程」を妨害する。この後者のタイプの作用は、化学殺虫剤あるいは昆虫成長調節剤またはホルモンとは異なり、フェロモンは、現世代の昆虫でなく将来の世代をターゲットとする。フェロモンは非常に種特異性であり少量のみが使用されるので、それらの使用は殺虫剤の全面散布よりも環境的に許容できる。
【0021】
多くのフェロモンは、例えばアセテートやホルメート基などのエステル末端基を有する。典型的にこれらの物質は水不混和性であり、既知の方法によるこれらのマイクロカプセル内への組み込みは、特に問題ではない。ヒドロゲルマイクロビーズ内に封入して固定化できる追加的なフェロモンとしては、アルデヒド、エステル、アルコール、エポキシ化合物、エーテル、ケトン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。本発明は特に、例えばカルボニル基が芳香環の二重結合と共役するアセトフェノンのようなカルボニル基の二重結合が1つ以上の二重結合と共役する、反応性ケトンを含有するフェロモンのデリバリに有利である。
【0022】
本発明で有用なフェロモンは、好ましくは昆虫フェロモンである。フェロモン構造の説明において、以下の記号を使用する。タイプ(E(トランス)またはZ(シス))および二重結合(群)の位置を最初に記載し、次に鎖内の炭素原子数、そして末端基の性質を最後に記載する。例としてフェロモンZ−10 C19アルデヒドは、構造、
【化1】
を有する。
【0023】
フェロモンは、混合物の1構成要素が優位を占める、または少なくとも顕著な構成要素である、化合物の混合物であることができる。部分的に水混和性である昆虫フェロモンの顕著な、または優勢な構成要素としては(ターゲット種は括弧内)、例えばE/Z−11 C14アルデヒド(Eastern Spruce Budworm)、Z−10 C19アルデヒド(Yellow Headed Spruce Sawfly)、Z−11 C14アルコール(Oblique Banded Leafroller),Z−8 C12アルコール(Oriental Fruit moth)、E,E−8,10 C12アルコール(コドリンガ)、E−11 C14アルコール(Tufted Apple Budmoth)、E−11 C14アセテート(Sparganothis Fruitworm)、Z−11 C14アセテート(Blackheaded Fireworm)、Z−9 C12アセテート(Grape Berry Moth)、Z−11 C14アセテート(Leafroller)、E/Z−4C13アセテート(Tomato Pinworm)、Z,Z/Z,E−7,11−C16アセテート(Gossyplure)、Z−8−C12アセテート(Oriental Fruit Moth)、Z/Z−3,13 C18アセテート(Peach Tree Borer)、E,Z/Z,Z−3,13−C18アセテート(Lesser Peach Tree Borer)、および7,8−Epoxy−2−メチル−C18(マイマイガ)などが挙げられる。
【0024】
フェロモンであるケトンの例は、セマダラコガネに対して効果的であるEまたはZ 7−テトラデセン−2−オンである。フェロモンではないが価値のあるエーテルは、松の木をキクイムシ類(Southern pine beetle)にとって魅力のないものにするのに使用できる4−アリルアニソールである。
【0025】
任意に、香料、香水、着香料、共誘引物質などをはじめとする、その他の化合物を本発明のマイクロカプセル内に含めても良い。
【0026】
任意に、油吸収剤をフェロモン液滴に組み込むことができる。これらの吸収剤は、マイクロカプセル内にフェロモン液滴を保持するのを助けることができ、より長持ちする調合物が得られる。代案としては、この目的のために粘土およびデンプンが使用できる。
【0027】
本発明のマイクロカプセル内のフェロモン濃度は、ヒドロゲルマイクロビーズが、なおも強力な破裂抵抗性の網目状組織を提供し、意図される環境内に有効量のフェロモンをデリバリできるようなレベルでなくてはならない。したがってフェロモンは好ましくは、マイクロビーズ総重量の約0.1重量%〜約60重量%の間の量で存在する。より好ましくは、マイクロビーズ内に存在するフェロモンの量は、約0.2重量%〜約40重量%の間、そして最も好ましくは約0.3重量%〜約20重量%の間である。
【0028】
本発明は、一つにはコアセルベートマイクロカプセルまたはシェル内のフェロモンの封入に関する。従来のコアセルベートシェルは、架橋剤を使用してフェロモン材料封入シェルを硬化する。本発明のコアセルベートシェルは、アルデヒド、ケトンまたは酸などの潜在的に有毒または望ましくない架橋剤を使用することなく、安定である。ヒドロゲルマイクロビーズ内に取り込まれていない非架橋コアセルベートマイクロカプセルは、典型的に不安定である。典型的な架橋剤は毒性を有し、あるいは環境にあまり優しくないと見なされる。本発明の利点は、潜在的に有毒または望ましくない化学架橋剤の使用を避ける能力である。
【0029】
コアセルベートシェルは、典型的に、反対に荷電した2つのコロイドの中和から帰結する相分離によって形成される。本発明のコアセルベートシェルを形成するのに使用できる典型的なコロイドとしては、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーが挙げられる。コアセルベーションのために使用できるカチオン性ポリマーとしては、ゼラチン、キトサン、ポリ(ヘキサメチレン−コ−グアニジン)、およびポリ−L−リジンなどが挙げられる。アニオン性ポリマーとしては、アラビアゴム、アカシアガム、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、エチレン無水マレイン酸(EMA)、ゼラチン、カラゲナン、ポリ(アクリル酸)、ペクチン、血清アルブミン、デンプン、およびポリリン酸塩などが挙げられる。好ましくは本発明のコアセルベートシェルは、ゼラチンおよびアルギン酸塩またはアラビアゴム、あるいはそれらの組み合わせを含む。
【0030】
本発明はさらに、フェロモンをヒドロゲルマイクロビーズ内に封入するコアセルベートシェルを固定することを伴う。この固定化は、このようにして保護的マイクロビーズフォーマットに封入されたフェロモンを提供する。マイクロビーズを溶液内に懸濁して、システムが長期の放出期間を提供できる、フェロモンのためのデリバリシステムを提供できる。マイクロビーズは、例えばスプレーデリバリ中に生じるような外圧からの物理的保護をマイクロカプセルに提供する。これは次に、時期尚早なカプセル破裂を最小化して、フェロモン(群)放出期間を延長する。親水性マイクロビーズを脱水すると、フェロモンを含有するマイクロカプセルは、マイクロビーズ内に固定化されたままである。次にフェロモンは、カプセルシェルを通した拡散と、それに続く親水性マイクロビーズを超えた、または通した拡散によって、所望の環境内に放出されることができる。
【0031】
シェルの化学架橋なしにコアセルベーションシェルを有するマイクロカプセルは、従来の複合コアセルベーション工程を通じて構築される。この工程では、第1のポリマーと、第1のポリマーと共にコアセルベーションシェルを形成できる第2のポリマーとを混合する。この工程では2つのポリマーは、pH、温度、希釈などの環境の変化に応じてコアセルベートを形成する。典型的に第1および第2のポリマーの各溶液は、それぞれの電荷を有する。ここでの用法で「電荷」とは、ポリマーおよびフェロモンを含有する封入組成物をpHまたはその他の環境操作によって調節すると、シェルが化学架橋なしにコアセルベーションシェルを有するマイクロカプセルを構築するように、ポリマーが相互作用するように、ポリマーの官能価に関連している。コアセルベーションの手順は当業者の認識範囲内である。
【0032】
次に好ましくは希釈によって、カチオン性およびアニオン性ポリマー組成物に、複合体形成を引き起こす。場合によっては、組成物のpHを調節する必要があるかもしれない。pHまたはその他の環境条件を調節するのに先だって、フェロモン液滴が水性連続相内に分布して、コアセルベートシェルが液滴周囲に形成できるようにすることで、比較的均一で円形または楕円形のフェロモン含有マイクロカプセルが形成するように、組成物を混合しても良い。この希釈および/またはpH調節によって、組成物のゲル化点以下に温度が低下するに連れて、油溶性フェロモン周囲にゲルが形成するようになる。
【0033】
本発明のヒドロゲルマイクロビーズは、典型的に上述のコアセルベートマイクロカプセルを取り込む。本発明のマイクロビーズは、マイクロカプセル含有材料およびフェロモンを含んでも良い。ヒドロゲルマイクロビーズは、好ましくは親水性でもある。撹拌の程度および範囲、並びにマイクロビーズを形成するのに使用される界面活性剤のタイプは、マイクロビーズ内のマイクロカプセルのサイズおよび分散度に影響できる。マイクロビーズ内に取り込まれるマイクロカプセルは、直径が好ましくは約0.01nm〜約300,000nmである。より好ましくはマイクロカプセルは、直径が約0.5nm〜約200,000nmである。
【0034】
本発明でヒドロゲルマイクロビーズを製造するために有用なマイクロカプセル含有材料は、生体適合性、水溶性でペンダントの官能基を有し、イオン(例えば多価のカチオンおよび/またはアニオン)との複合体をなして、ヒドロゲルを形成する。マイクロカプセル含有材料の官能基としては、例えばカルボキシル、ヒドロキシル、一次または二次アミン、アルデヒド、ケトン、エステル、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは親水性マイクロカプセル含有材料は、アルギン酸塩、キトサン、ガム、寒天、カラゲナンなどの天然多糖類から製造でき、あるいはマトリックスは、例えばポリビニルアルコール、ポリ(N−イソプロイルアクリルアミド)、アクリルアミド、アクリレート、およびメタクリレート、あるいはそれらの組み合わせなどの合成水溶性モノマー、オリゴマーまたはポリマーから製造できる。
【0035】
適切な天然多糖類としては、アルギン、ペクチン、およびヒアルロン酸の水溶性塩と、ポリグルクロン酸、ポリマヌロン酸、ポリルイガラクツロン酸、およびポリアラビン酸の水溶性塩またはエステルと、ガムκ−カラゲナンとが挙げられる。好ましい多糖類は、アルギン酸のアンモニウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよびその他のアルカリ金属塩であり、最も好ましい多糖類はアルギン酸ナトリウムである。
【0036】
「アルギン酸塩」は、アルギン酸とその塩に対して与えられた一般名である。アルギン酸塩は、D−マンノシルウロン酸(マンヌロン酸−「M」)およびL−グロピラノシルウロン酸(グルロン酸−「G」)残基から構成される。フェロモン液滴を固定するのに使用されるアルギン酸塩は、適切なマイクロビーズが確実に形成し、保存およびデリバリ適用中のマイクロビーズが確実に安定しており、マイクロビーズが適切に収縮膨張して、所望のフェロモンを長期間(好ましくは4〜6週間)にわたって確実にデリバリできるように、注意深く選択しなくてはならない。好ましくはアルギン酸塩は、形成したマイクロビーズの強度が、スプレーノズルを通した適用中にマイクロビーズにかかる剪断力(条件)に耐えるのに十分で、すなわちマイクロビーズがスプレー適用中に破裂抵抗性であるように選択される。
【0037】
マイクロビーズの強度および安定性のためには、アルギン酸塩の分子量およびM:G比を選択して、究極的なマイクロビーズの好ましい特性を得ることが望ましい。マンヌロン酸含量が高いアルギン酸塩は概して濃化用途のために有用であり、一方グルロン酸レベルが高いアルギン酸塩はゲル形成のために使用されることが多いが、双方のアルギン酸塩カテゴリー(個別にまたはそれらの混合物)が、本発明のマイクロビーズのために適する。強度および破裂抵抗性を与える好ましいアルギン酸塩は、例えば約30重量%を超えるような高レベルでグルロン酸を有するアルギン酸塩である。過剰なレベルのマンヌロン酸を有するアルギン酸塩組成物からは、高グルロン酸ゲルよりも安定性が低く剛性が低いマイクロビーズが帰結するかもしれない。しかし高マンヌロン酸アルギン酸塩は、膨張して高グルロン酸含量マイクロビーズよりも多くの水を吸収する能力をマイクロビーズに与える。したがって適切なアルギン酸塩を選択するにあたり、MおよびG残基が与える利点の注意深い均衡を考慮しなくてはならない。
【0038】
好ましくは本発明のマイクロビーズで使用されるアルギン酸塩は、約100,000〜約2,500,000、より好ましくは約200,000〜約1,500,000の範囲の分子量を有する。さらにアルギン酸塩は、好ましくは約0.2〜約3.5、より好ましくは約0.3〜約1.85の範囲のM:G比を有する。
【0039】
高レベルのグルロン酸を有する好ましいアルギン酸は、例えば藻類Laminaria hyperboreaの茎、植物全体または葉状体からのアルギン酸塩である。高レベルのマンヌロン酸を有する好ましいアルギン酸としては、例えばAscophyllum nodosumが挙げられる。
【0040】
本発明のヒドロゲルマイクロビーズを形成するゲルマトリックスは、例えばペンダントのカルボキシレート基を持つ多糖類を配位させて形成しても良い。これらの多糖類化合物は、マグネシウムおよびアルカリ金属塩を除いては、アルギン酸の第II族金属塩を含む水不溶性アルギン酸塩を含む。水不溶性アルギン酸塩ゲルは、典型的に水性溶液中における水溶性アルギン酸塩から水不溶性アルギン酸塩への化学転換によって形成する。この転換は通常、水溶性アルギン酸塩と可溶性二価−または三価−金属塩から放出された多価のカチオンとの反応によって達成される。
【0041】
水溶性アルギン酸塩としては、アルギン酸のアンモニウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、およびその他のアルカリ金属塩を挙げることができる。本発明に適する水不溶性二価−または三価−金属塩は、2つの要件を満たさなくてはならない。(1)水不溶性金属塩は、水溶性多糖類のペンダントのカルボキシレート基と複合体をなして、水不溶性多糖類ゲルの形成を引き起こせる二価−または三価−金属イオンを含有する。(2)水不溶性金属塩は水溶性酸と反応して、水溶性金属塩を形成する。
【0042】
一般的で適切なアルギン酸塩ゲルは、アルギン酸カルシウムから構成される。
【0043】
アルギン酸カルシウムゲルのゲル化時間は、溶液中の遊離カルシウムイオン濃度を調節することで達成できる。典型的に遊離カルシウムイオン濃度は、カルシウム塩イオン化速度の操作によって、および/または遊離カルシウムイオンと反応するその他の化合物を溶液中に含めることで、制御される。
【0044】
本発明のマイクロビーズを製造する方法は、好ましくはフェロモン充填マイクロカプセルを製造するステップと、親水性マイクロカプセル含有材料中にマイクロカプセル懸濁液を分散するステップとを含む。次に混合物は硬化(ゲル化)されて、マイクロビーズが形成する。得られるマイクロビーズは、はじめに約30%を超える水を有するヒドロゲルマイクロビーズである。フェロモン充填マイクロカプセルを水−ポリマーマイクロビーズ内に分散させ、取り込ませる。
【0045】
マイクロビーズ内に取り込まれたマイクロカプセルを有する親水性マイクロビーズは、イオン性相互作用または熱固化のいずれかによって形成できる。イオン性相互作用によってマイクロビーズを形成する際、(1)スプレー法、および(2)乳化法、によって形成する2つの好ましい方法がある。スプレー法では、マイクロカプセル含有混合物を混合し、次に機械的に噴霧して小型球形液滴を形成する。マイクロビーズのサイズは、概してエマルジョン懸濁液固有の特性、送り速度、および同軸気流速度によって支配される。
【0046】
次に噴霧した液滴を直接、反応槽内に自由落下させることができる。反応槽はヒドロゲルが固まるように硬化または固化する。反応槽硬化は、化学的または非化学的手段を通じて達成できる。アルギン酸ナトリウムの場合、カルシウムイオンが使用されてポリマー鎖が配位される。好ましい配位化合物は塩化カルシウムである。
【0047】
本発明の目的では「配位化合物」は、その意図される環境に適用できるように、ヒドロゲルマイクロビーズおよびコアセルベートシェル構造体を与えるのに使用できる、化学物質または化合物に関連している。適切な配位化合物は、好ましくはモノマー、オリゴマー、およびポリマーをはじめとする低分子量無機または有機化合物などの二価および多価イオン性化合物である。適切な配位化合物の例は、アルギン酸塩のためのカルシウム(Ca++)イオンである。
【0048】
アルギン酸塩ゲルの形成に使用される配位化合物カルシウムイオンの供給源としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、酒石酸カルシウム、硝酸カルシウム、および水酸化カルシウムが挙げられる。その他の許容可能な配位化合物としては、塩化ランタン、塩化第二鉄、塩化コバルトが挙げられ、一般にはカルシウム(Ca++)、銅(Cu++)、バリウム(Ba++)、ストロンチウム(Sr++)などの多価カチオンを有するその他の化合物も挙げられる。
【0049】
代案としては、乳化法を使用してヒドロゲルマイクロビーズを製造できる。連続相材料の選択において、それは水性マイクロカプセル含有材料と不混和性であることが好ましい。
【0050】
マイクロカプセル含有材料は、好ましくは本発明の実施に使用できる範囲の濃度を有する。濃度は、取り扱いやすさ、ゲル化時間、フェロモン液滴周囲のヒドロゲルマイクロビーズ強度を最適化するように選択されるべきである。例えばアルギン酸ナトリウム溶液は、好ましくは水中に約1〜約10%、より好ましくは約1.5〜約5%、そして最も好ましくは1〜3%(w/v)の濃度で調製されることができる。しかしヒドロゲル剤濃度が高すぎると、溶液は非常に粘稠になり球形マイクロビーズの形成を妨げる。
【0051】
代案としては本発明のヒドロゲルマイクロビーズは、例えば選択された配位化合物にマイクロカプセル含有材料溶液を滴下して添加することで形成できる。例えば片方の供給源からヒドロゲル液滴を噴出し、他方の供給源からの配位化合物で液滴を被覆する振動ノズルによって、液滴形成および配位化合物添加が一段法で完了する方法を使用できる。米国特許第4,701,326号明細書は、この方法の使用を教示する。
【0052】
アルギン酸塩が使用されてフェロモンを固定する好ましい態様では、配位溶液は好ましくは1〜1000ミリモル、より好ましくは20〜500ミリモル、そして最も好ましくは50〜100ミリモルの濃度で製造される。濃度範囲は、配位化合物およびマイクロカプセル含有材料の性質次第で調節しなくてはならなかもしれない。
【0053】
マイクロカプセル含有材料およびフェロモンは、浸漬、スプレー、液浸、流し込みまたは、一定量の錯化剤を液滴上に付着させるあらゆるその他の方法によって、配位化合物または溶液で処理できる。浸漬では、溶液中の時間は1秒間〜24時間、好ましくは1分間〜1時間、そしてより好ましくは10〜30分間であっても良い。
【0054】
ヒドロゲルマイクロビーズ形成のための温度は、好ましくはフェロモンの損傷または変質を避けるように選択される。例えばアルギン酸塩が使用される好ましい態様では、温度は好ましくは約1℃〜約70℃、より好ましくは約10℃〜約40℃、そして最も好ましくは約15℃〜約30℃の範囲である。
【0055】
フェロモン充填マイクロカプセルを温度設定内で固定するためには、マイクロカプセル含有材料を最初に熱を使って水に可溶化しなくてはならない。加熱温度は、好ましくは約40℃〜約100℃の範囲内である。マイクロカプセル含有材料が完全に溶解したら、溶液がゲル固化温度よりも約5℃〜約10℃上になるように溶液温度を下げる。次にフェロモン充填マイクロカプセルを含有する懸濁液をマイクロカプセル含有溶液と同様の温度に予熱して、その後、双方の混合物を共に混和して均質に混合する。
【0056】
マイクロビーズを製造するために、溶融マイクロカプセル含有材料をノズルシステムを通して噴霧でき、あるいは油タイプの連続相を使用して乳化できる。スプレー法では、例えば同軸空気を使用して溶融懸濁液を噴霧し、蒸留水を含有する氷浴内に落下させることができる。次にその中にマイクロカプセルを取り込んで、マイクロビーズが形成する。
【0057】
乳化法を使用してマイクロビーズを製造するために、ジャケット付き反応器内で、連続油相を溶融マイクロカプセル懸濁液の温度に予熱する。連続相はあらゆる疎水性の液体であることができる。好ましく最も都合の良い液体は、植物油または鉱物油である。その他の可能な疎水性の液体としては、ヒドロフルオロエーテルと、シロキサンと、またはシクロヘキサンおよびクロロホルムなどの溶剤とが挙げられる。次にミキサーの助けを借りて、マイクロカプセル懸濁液を連続相内で乳化する。所望粒度が得られるまで混合を継続する。次に反応混合物の温度を氷水の温度(約5℃)に下げる。次にその中にマイクロカプセルを取り込んで、マトリックスが形成する。次にデリバリのために溶液中に懸濁するのに先だって、マイクロビーズを濾過して洗浄できる。
【0058】
本発明は、フェロモンが従来の技術によってデリバリおよびスプレーできるように、油溶性フェロモンおよびアルコールフェロモンの十分な固定化を提供できるマトリックスコアを有するマイクロビーズを提供する。親水性マイクロビーズは、好ましくはそして有利なことには、油溶性およびアルコールフェロモンのコアセルベートシェルを固定する能力をヒドロゲルマイクロビーズに与え、フェロモンとその固定化要素間の望まれない反応性のリスクを最小化する。このようにして本発明のマイクロビーズの使用によるフェロモンの固定化は、固定化された材料を不活性または無効にしない。
【0059】
ヒドロゲルマイクロビーズ内にフェロモンを固定するさらなる利点は、ヒドロゲルが湿潤条件下で「膨張」し、乾燥条件下で縮小する能力である。ここでの用法では「膨張」とは、吸水のためにサイズ(容積)が拡大(増大)するマイクロビーズの挙動を表す。これはおそらくフェロモンを固定するのに使用される、マイクロカプセル含有材料の親水性のためである。
【0060】
湿気の存在下、ヒドロゲルマイクロビーズは好ましくは水分を吸収して再水和し、その結果マイクロビーズ内に含有するフェロモンを放出できる。この挙動は循環できる。したがって周囲空気の湿度(または乾燥度)を調節することで、具体的放出期間が概して予測できるように、マイクロビーズからのフェロモン放出速度を制御できる。したがって本発明では、フェロモンをマイクロビーズから応需型に放出可能である。応需型の放出または「インテリジェント放出」は、特定時の放出が好ましい場合に有利であることができる。フェロモンをさらに放出するマイクロビーズの能力は、有効量フェロモンの放出寿命を増大させるかもしれない。好ましくはマイクロビーズは、所望効果を得るのに効果的な量で意図される環境にデリバリされる。例えばその中に取り込まれたフェロモンを有するマイクロビーズは、好ましくは所望領域に交尾撹乱をもたらすような量でデリバリされ、放出は4週間を超えて達成され、より好ましくはマイクロビーズは約6週間を超えて、そして最も好ましくは約8週間を超えて放出することができる。
【0061】
乾燥工程(すなわち脱水)中に、親水性マイクロビーズからの水蒸発の結果、表面フィルム層が形成する。最初にそして使用中に、マイクロビーズは容積に対する表面積の大きな比率によって特徴づけられ、これは使用中にフェロモン拡散速度を維持するのを助ける。このようにして本発明の方法に従って製造されたマイクロビーズはフェロモンを長期間にわたって放出できるので、優れたデリバリシステムを提供することが分かった。さらにフェロモンは水ベースのマイクロビーズ内に分散されるので、環境条件(すなわちUV)からの追加的な保護が提供できる。
【0062】
本発明のマイクロビーズは約5mmまでの直径を有するように製造できることが分かっているが、マイクロビーズが従来のスプレーノズルから確実に容易にスプレーできるように、マイクロビーズ径が約1μm〜約1000μm、そしてより好ましくは約1μm〜約500μmであることが好ましい。最も好ましくは、従来のノズル内における目詰まりが確実に最小であるように、マイクロビーズ径は約400μm未満である。しかし現在産業で使用されていないより大きなスプレーノズルの出現により、マイクロビーズをもっと大きな直径で提供できることも考えられる。
【0063】
スプレー用途、特に空中スプレーでは、マイクロビーズが溶液(水)内に懸濁したままで、マイクロビーズが懸濁液内で確実に沈下、沈降、または凝固しないようにできることが望ましい。これによってむらのないスプレーカバレージも確実になる。好ましくは本発明のマイクロビーズは懸濁したままであり、これによって適用中、そして任意に保存中に撹拌する必要性が、たとえ排除されなくとも最小化できる。また本発明のマイクロビーズを含有する懸濁液に、種々の懸濁助剤を含めることができる。適切な懸濁助剤の例としては、ラムサムガム、キサンタムガム、ジェランガム、ゼラチン、ペクチン、およびアラビアゴムが挙げられる。
【0064】
マイクロビーズが受ける取り扱いのために、本発明のマイクロビーズはいくらか弾性で、もろくないことが望ましい。例えばスプレー適用中の懸濁液の噴霧によって、放出ノズルのすぐ上流側にある2つの回転穿孔ディスクに、懸濁液が押し通されるかもしれない。マイクロビーズの十分な弾性は、ディクス通過中のマイクロビーズの物理的損傷を最小化する。
【0065】
本発明のマイクロビーズは、好ましくは水性または溶剤ベースの溶液内の懸濁液でデリバリされる。環境的理由そして生物に対する配慮から、水性懸濁液を使用することが好ましい。マイクロビーズが溶液内に確実に懸濁したままであるように、好ましくは懸濁助剤が懸濁液調合物に含まれる。
【0066】
好ましくは懸濁液溶液は、マイクロビーズの分解を避けるために、ナトリウムなどの一価のカチオンを実質的に含まない。好ましい一態様では、本発明のマイクロビーズを含む保存溶液内に、およそ50ミリモルの塩化カルシウムなどの配位化合物濃度が維持される。
【0067】
任意に接着材料を本発明の組成物に含めて、意図される基材へのマイクロビーズ保持を助けることができる。接着材料は、例えば,ラテックスまたは粘着性微小球などの様々な形態で提供できる。ヒドロゲルマイクロビーズに与えられる付着特性は、水性懸濁液内でなおも懸濁状態を保ち、凝結または凝固を最小化できるマイクロビーズに帰結しなくてはならない。さらに接着特性を与えるのに使用されるあらゆる接着材料は、粒子の完全性に影響してはならず、マイクロビーズ(群)を溶解または弱化してはならない。
【0068】
本発明の組成物に含めても良い適切な接着材料は、接着剤ラテックスである。接着剤ラテックスは、技術分野で入手できるあらゆる適切な水分散性接着剤であって良い。農業ビジネスでは、このようなラテックス組成物は、展着剤または拡展剤と称されることが多い。展着剤は非封入される農薬が植物に付着するのを助けるのに使用される。拡展剤は、非封入農薬を適用時に分散するのを助けるのに使用される。好ましい接着剤はアクリレートベースの接着剤である。1つの適するラテックスは、商品名コンパニオン(COMPANION)の下にローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)から入手できる。別のものは商品名DPIS−100(登録商標展着剤/拡展剤)の下にディアポイント・インダストリーズ(Deerpoint Industries)から入手できる。このような接着剤の例は、n−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレートなどの「軟質」モノマーから製造されるポリマー、あるいはイソブチレン、n−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレートなどの軟質構成要素から製造される共重合体、およびアクリル酸、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリル酸、メチルメタクリレートなどの極性モノマーである。非球形ポリアクリレート接着剤は、例えばローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)のロープレックス(RHOPLEX)系列の接着剤のように市販される。好ましくは非球形ポリアクリレート接着剤は、全懸濁液の約10〜35重量%の量で存在する。
【0069】
代案としては、接着剤の粘着性微小球を使用して、本発明のヒドロゲルマイクロビーズが意図される基材に付着するのを助けても良い。粘着性微小球は十分な接着特性を有して所望の接着機能を提供しながらも、マイクロビーズの放出特性を潜在的に阻害することにつながるかもしれないマイクロビーズの完全被覆の危険性はない。マイクロビーズと粘着性微小球の組み合わせは、従来の噴霧器のオリフィスを変更する必要なしに、目詰まりまたは閉塞の問題が最小で適用できる。さらに粘着性(接着剤)微小球をマイクロビーズ(調合物)懸濁液に組み込むことで、マイクロビーズ表面を粘着性にできる。したがってビーズが、例えば群葉および枝などの意図される表面に付着できる。接着性微小球は、特にそれらが中空であれば、いくらかのフェロモンをそれ自体の中に吸収するかもしれず、それによってフェロモン放出の第2の機構が提供される。これによって放出プロフィールの全体的変更、好ましくは向上が帰結する。
【0070】
好ましくは接着材料は、米国特許第3,691,140号明細書で開示されたような不溶解性、溶剤分散性、溶剤不溶性、本質的粘着性のエラストマー共重合体微小球を含む、アクリレート−またはメタクリレート−ベースの接着剤システムである。代案としてはこの接着剤組成物は、米国特許第5,045,569号明細書で開示されたような、中空、ポリマー、アクリレート、不溶解性、本質的粘着性、溶剤不溶性、溶剤分散性、エラストマー感圧接着剤微小球を含んでも良い。その他の適切な接着剤は、米国特許第5,508,313号明細書で開示されたような、ペンダントの親水性ポリマーまたはオリゴマー部分を有する粘着性微小球である。
【0071】
代案としては接着剤は、少なくとも1μmの直径を有する、約60〜100重量%の中空のポリマー、アクリレート、本質的粘着性、不溶解性、溶剤不溶性、溶剤分散性、エラストマー感圧接着剤微小球と、約0〜40重量%の非球形ポリアクリレート接着剤とを含む。中空微小球は、ヨーロッパ特許出願第371,635号明細書の教示に従って製造される。
【0072】
さらに別の代案は、特定のタイプBゼラチンとマイクロ封入される殺虫剤との会合、特に米国特許第4,436,719号明細書で開示されるような、マイクロカプセル壁内のポリ尿素サブユニットを用いるようなものである。
【0073】
本発明の組成物は、例えばゲル化補助剤、保存料、染料、保湿剤、固定剤、乳化剤、増量剤、および多価アルコールとそれらのエステルなどの凍結/融解安定剤をはじめとする1つ以上のアジュバントも含んで良い。これらの材料は、概して組成物の約5重量%未満、典型的に2重量%未満である、それらの延長された機能を達成するのに効果的な量で存在する。
【0074】
光安定剤の組み込みを本発明のマイクロビーズに含めることができる。適切な光安定剤としては、カナダ国特許番号第1,179,682号明細書で開示される三級フェニレンジアミン化合物が挙げられる。光安定剤は、それを水不混和性溶剤中にフェロモンと共に溶解することで組み込める。代案としては光安定剤は、カナダ国特許番号第1,044,134号明細書で教示されるようなマイクロビーズ内に組み込める。
【0075】
マイクロビーズを形成する工程で、界面活性剤を使用しても良い。異なる界面活性剤の組み込みによって、ヒドロゲル内で異なるタイプのフェロモンのマイクロエマルジョン液滴サイズが提供され、並びに反応槽溶液内で失われる遊離油量が決定される。好ましい界面活性剤は、例えば製品名ディスポニル(DISPONIL)SUS IC 875(CMC、約1%)の下にペンシルベニア州アンブラーのヘンケル(Henkel(Ambler,PA))から入手できる製品などのように高い臨界ミセル濃度を有する。
【0076】
特に好ましい界面活性剤は、非イオン性である。適切な界面活性剤の例としては、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリ(エトキシ)ノニルフェノールが挙げられる。PVPは使用に便利であり、約20,000〜約90,000の範囲の種々の分子量で入手できる。約40,000の分子量を有するPVPが好ましい。ポリ(エトキシ)ノニルフェノールは、エトキシ鎖の長さ次第で種々の分子量で、商品名イジェパル(IGEPAL)の下にニュージャージー州クランベリーのローヌ・プーラン(Rhone−Poulenc(Cranbury,NJ))から市販される。式、
【化2】
(式中、nは約9〜約13の平均値を有する。)を有するポリ(エトキシ)ノニルフェノールが使用できる。好ましいポリ(エトキシ)ノニルフェノールは、ニュージャージー州クランベリーのローヌ・プーラン(Rhone−Poulenc(Cranbury,NJ))から商品名イジェパル(IGEPAL)630(630は化合物のおよその分子量を表示する)の下に市販される。適切な界面活性剤の別の例としては、どちらもニュージャージー州ワシントンのBASF(BASF(Washington,NJ))から市販され、商品名プルロニック(PLURONIC)およびテトロニック(TETRONIC)の下に入手できるものなどのポリエーテルブロック共重合体と、デラウェア州ウィルミントンのICI(ICI(Wilmington,DE))から入手できるBRIJ界面活性剤などの脂肪アルコールのポリオキシエチレン付加物と、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸エステルなどが挙げられる。このような脂肪酸の例としては、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエートなどが挙げられる。脂肪エステルのアルコール部分の例としては、グリセロール、グルコシルなどが挙げられる。脂肪エステルは、デラウェア州ウィルミントンのICI(ICI(Wilmington,DE))から商品名ARLACEL Cの下に界面活性剤として市販される。
【0077】
例えば鎖長、官能基、および疎水性領域などの界面活性剤の種々の特性は、マイクロビーズ内に形成するフェロモン液滴のサイズに影響できる。例えばPVP(分子量40,000を有する)の使用は、ポリ(エトキシ)ノニルフェノール(IGEPAL 630)の使用よりも、より大きなサイズのフェロモン液滴の生成に帰結する傾向がある。
【0078】
代案としてはイオン性界面活性剤を本発明の方法で使用できる。適切なイオン性界面活性剤の例は、部分的に中和されたポリアクリル酸ナトリウムまたはカリウム、あるいはポリメタクリル酸ナトリウムまたはカリウムなどのポリアクリル酸塩である。
【0079】
本発明のマイクロビーズ内に取り込まれたマイクロ封入されたフェロモンは経時的に徐々に放出される。保護されていないマイクロカプセルは、例えばシェルの破裂時にフェロモンを潜在的にほとんど一度に放出できるので、これはフェロモンを衝撃緩和して保護する親水性マトリックスを有さない、従来のマイクロ封入材料で起きる機構のバリエーションである。本発明のマイクロビーズからのフェロモン放出は、好ましくはそして有利なことには、マイクロビーズが位置する環境内の湿度(および乾燥度)を制御することで制御できる。
【0080】
理論による制限はされないが、フェロモン放出の一機構は、ゲルマイクロビーズからの水蒸発、引き続いてマイクロカプセルシェルを通しての、次に親水性マイクロビーズを通してのフェロモンの拡散を伴うものと考えられる。この機構による放出(拡散)は、フェロモンの遅延放出に帰結することができる。さらに別の仮説的機構では、フェロモンはマイクロビーズから水中に取り込まれ、水が蒸発するにつれてフェロモンが大気中に放出される。
【0081】
好ましい適用では、これらのヒドロゲルマイクロビーズはスプレーされ、引き続いてゲル内で水が蒸発する。ヒドロゲルビーズが脱水するに連れて、マイクロビーズはサイズが縮小し、そのフェロモンを経時的に放出する。マイクロビーズの元のサイズからの縮小の程度は、調合物内で使用される構成要素に左右される。好ましくはマイクロビーズは元のサイズから約10%〜約90%、より好ましくは約40%〜約80%、そして最も好ましくは約50%〜約70%縮小する。
【0082】
有利なことに、マイクロビーズは湿気に再暴露すると、水を吸収して膨張し再水和する。湿気への再暴露は、種々のやり方で実施できる。例えばマイクロビーズの表面は、直接、水またはその他の水性溶液と接触できる。フェロモンが使用される農業用途では、農業従事者または管理人は草木および群葉に水をやって、ヒドロゲルマイクロビーズを再水和できる。代案としては、マイクロビーズが位置する環境または周囲空気の湿気が、空気中の連行空気液滴によって増大できる。このようにしてマイクロビーズを再水和によって「再活性化」することで、フェロモン放出時間を選択的に制御できる。
【0083】
本発明のマイクロビーズは、種々の方法によって意図される基材にデリバリできる。マイクロビーズを使用したフェロモンデリバリは、例えば所望の放出カバレージサイズなどの種々の要素に左右される。狭い集中領域では、マイクロビーズは中空繊維、プラスチックラミネートフレーク、またはツイストタイに含浸して、次に繊維またはタイを植物に物理的に付着して昆虫の侵襲から保護できる。より大きな領域では、スプレー(空中散布または背負い型による)がより良いオプションかもしれない。
【0084】
以下の実施例は例証のみを目的とし、本発明の範囲の制限を意図しない。特に断りのない限り、あらゆる部と百分率は重量を基準とする。
【実施例】
【0085】
比較例1:コアセルベートマイクロカプセルの調製
タービンかきまぜ羽根を装着した1リットルバッフル付きジャケット付き反応器内に、ニュージャージー州のフィッシャー・サイエンス(Fisher Scientific(New Jersey))から得られたブルーム300ゼラチンの10重量%水溶液100mLを装入した。溶液を1000rpmで10分間、50℃で混合した。ジャケット付き溶液内で、信越化学から得られた油相Z−11テトラデセニルアセテート100gを50℃で5分間乳化した。ニュージャージー州のフィッシャー・サイエンス(Fisher Scientific(New Jersey))から得られた11重量%ガムアカシア溶液90mLをエマルジョンに50℃で添加し、2分間混合した。次に50℃に予熱した1000mLの水を混合物に導入した。10%炭酸ナトリウム溶液を使用して、pHを約4.4に低下させた。次に混合物の温度を15〜25℃に下げた。850rpmで絶え間なく混合しながら、混合物をpH約4.4および温度15〜25℃で約1時間保持した。ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemica(Milwaukee,Wisconsin))から得られたグルタルアルデヒド溶液約2.6gを混合物に添加して、混合を一晩継続した。形成したコアセルベートマイクロカプセルは、平均径約20μmを有した。
【0086】
実施例2:非架橋コアセルベートマイクロカプセルの調製
タービンかきまぜ羽根を装着した1リットルバッフル付きジャケット付き反応器内に、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemica(Milwaukee,Wisconsin))から得られたブルーム275ゼラチンの10重量%水溶液100mLを装入した。溶液を1000rpmで10分間、50℃で混合した。ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemica(Milwaukee,Wisconsin))から得られた50重量%ドデカノール配合物を含有する油相100g、およびテキサス州ヒューストンのコンダエ・ビスタ(CondeaVista(Houston,Texas))から得られたミグリオール(Mygliol)812Nを50℃でジャケット付き溶液内において5分間乳化した。ニュージャージー州のフィッシャー・サイエンス(Fisher Scientific(New Jersey))から得られた11重量%ガムアカシア溶液90mLをエマルジョンに50℃で添加し、2分間混合した。次に50℃に予熱した1000mLの水を混合物に導入した。10%炭酸ナトリウム溶液を使用して、pHを約4.4に低下させた。次に混合物の温度を15〜25℃に低下させた。850rpmで絶え間なく混合しながら、混合物をpH約4.4および温度15〜25℃に約1時間保った。
【0087】
比較例3:ヒドロゲルマイクロビーズ
あらかじめ秤量したアルギン酸塩を既知の容積の蒸留水に溶解して、アルギン酸ナトリウム溶液を最初に調製した。溶液を完全に混合してポリマーを可溶化し、脱気して取り込まれた気泡を除去した。別の250mL容器内で、上の実施例1からの約25%のコアセルベートマイクロカプセル組成物、およびミズーリ州セントルイスのシグマ・ケミカル(Sigma Chemical(St.Louis,Missouri))から得られた2%多糖類溶液をアルギン酸ナトリウム溶液と混合して懸濁液を製造した。マリンタイプのかきまぜ羽根(3cm径)を使用して、約300rpmの速度で懸濁液を完全に混合した。次に同軸エアノズル噴霧器を使用して、塩化カルシウム浴(50mM濃度)内に、マイクロカプセル懸濁液を微粒子液滴に噴霧した。粒度は噴霧装置の設定によって定まった。生成したヒドロゲルマイクロビーズはサイズが異なり、平均径は約125μmであった。次にこれらのビーズを濾過して、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemica(Milwaukee,Wisconsin))から得られた塩化カルシウム溶液50mLおよびニュージャージーのケルコ(Kelco(New Jersey))から得られた0.4%キサンタンガム中に再懸濁した。
【0088】
実施例4:架橋のないヒドロゲルマイクロビーズ
あらかじめ秤量したアルギン酸塩を既知の容積の蒸留水に溶解して、アルギン酸ナトリウム溶液を最初に調製した。溶液を完全に混合してポリマーを可溶化し、脱気して取り込まれた気泡を除去した。別の250mL容器内で、上の実施例2からの約25%のコアセルベートマイクロカプセル組成物、およびミズーリ州セントルイスのシグマ・ケミカル(Sigma Chemical(St.Louis,Missouri))から得られた2%多糖類溶液をアルギン酸ナトリウム溶液と混合して懸濁液を製造した。マリンタイプのかきまぜ羽根(3cm径)を使用して、懸濁液を約300rpmの速度で完全に混合した。次に同軸エアノズル噴霧器を使用して、塩化カルシウム浴(50mM濃度)内に、マイクロカプセル懸濁液を微粒子液滴に噴霧した。粒度は噴霧装置の設定によって定まった。生成したヒドロゲルマイクロビーズはサイズが異なり、平均径は約125μmであった。次にこれらのビーズを濾過して、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemica(Milwaukee,Wisconsin))から得られた塩化カルシウム溶液50mLおよびニュージャージーのケルコ(Kelco(New Jersey))から得られた0.4%キサンタンガム中に再懸濁した。
Claims (10)
- a)複合コアセルベーションによってマイクロカプセルを形成できる第1のポリマーと、フェロモンと、第1のポリマーを含む組成物と共に複合コアセルベーションによってマイクロカプセルを形成できる第2のポリマーとを含む溶液を提供するステップと、
b)コアセルベーションシェルを有するマイクロカプセルを前記シェルの化学架橋なしに形成するステップと、
c)ヒドロゲルマイクロビーズを形成するのに適する第3のポリマーをマイクロカプセル含有組成物を形成するのに効果的な量で添加するステップと、
d)マイクロカプセル含有組成物を配位溶液中にスプレーすることにより、化学架橋なしにコアセルベーションシェルを有するマイクロカプセルを含む安定性ヒドロゲルマイクロビーズを提供するステップと
を含む、フェロモンを封入する方法。 - ステップc)の第3のポリマーが、ステップb)のマイクロカプセルが形成される前に添加される、請求項1に記載の方法。
- フェロモンが、特定の害虫のためにあらかじめ選択された活性成分の配合物である、請求項1に記載の方法。
- ヒドロゲルマイクロビーズが天然ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
- 第1のポリマーがカチオン性である、請求項1に記載の方法。
- 第2のポリマーがアニオン性である、請求項1に記載の方法。
- 第3のポリマーがアニオン性である、請求項1に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法によって製造される、ヒドロゲルマイクロビーズ。
- マイクロカプセルを含むフェロモン含有ヒドロゲルマイクロビーズであって、前記マイクロカプセルがアルデヒド、ケトン、または酸で架橋されていないコアセルベートシェル内に封入されたフェロモンをさらに含み、前記マイクロカプセルがヒドロゲル複合体内に取り込まれる、ヒドロゲルマイクロビーズ。
- a)複合コアセルベーションによってマイクロカプセルを形成できる第1のポリマーと、フェロモンと、第1のポリマーを含む組成物と共に複合コアセルベーションによってマイクロカプセルを形成できる第2のポリマーとを含む溶液を提供するステップと、
b)コアセルベーションシェルを有するマイクロカプセルを前記シェルの化学架橋なしに形成するステップと、
c)ヒドロゲルマイクロビーズを形成するのに適する第3のポリマーをマイクロカプセル含有組成物を形成するのに効果的な量で添加するステップと、
d)マイクロカプセル含有組成物を配位溶液中にスプレーすることにより、化学架橋なしにコアセルベーションシェルを有するマイクロカプセルを含む安定性ヒドロゲルマイクロビーズを提供するステップと、
e)前記ヒドロゲルマイクロビーズを意図される環境内で基材上にデリバリするステップと
を含む、フェロモンを保持してデリバリする方法。
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