JP2004526023A - 高い薬品耐性を有する難燃性ポリカーボネート組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、難燃性でかつ衝撃抵抗を有する、高い薬品耐性を示すポリカーボネート組成物、およびそれから製造される成形品に関する。
【0002】
ポリカーボネート、ABSなどのグラフトコポリマー、およびスチレン系コポリマーを含有する混合物は、例えば、自動車分野、電気工学およびデータテクノロジー分野、あるいは家庭用機器またはスポーツ分野のように、多数の用途に使用される。多くの適用領域では、プラスチック材料が難燃性にされている。特定の用途における、特にプラスチック材料が溶媒、グリース、油、酸または洗剤などの薬品と直接接触する領域では、前記プラスチック材料は、顕著な難燃性以外に、優れた応力クラック耐性(すなわち、良好なESC特性)を有する必要がある。これは、例えば、事務用機器や台所用機器のハウジング部品に関する場合であり、これらはしばしば、グリースや油またはこれらを含む食品の影響に晒される。前記目的に使用されるプラスチック材料は、特定の火災安全基準を満たさなければならない。例えば、特別な薄い壁用途では、ハウジング部品は、1.6mm以下の壁厚さでは、UL94Lに準拠した難燃性試験において「V0」と評価されることが必要である。
【0003】
ポリカーボネート組成物の難燃性や機械特性およびレオロジー特性に影響を及ぼすために、難燃剤、可塑剤または無機材料のような特定の補助物質が前記組成物に添加される。各補助物質は、前記材料の幾つかの特性にしばしば逆の影響を及ぼす。例えば、可塑剤を添加することにより達成されるポリカーボネート成形用組成物の流動性の改良は、一般に、VicatBに準拠して測定すると、熱安定性の低下と相殺される。そのため、バランスの良い特性範囲を有する好適なポリカーボネート組成物が製造し難いことが分かった。
【0004】
難燃性ポリカーボネート/ABS組成物は、多数の出願から公知である。例えば、米国特許第A5157065号公報、同第A5204394号公報および同第A5672645号公報には、モノリン酸エステル、オリゴリン酸エステルまたはこれらの混合物のような有機リン化合物を難燃剤として、およびフッ素化ポリオレフィンを滴り落ち防止剤として含有する難燃性ポリカーボネート/ABS成形用組成物が記載されている。前記公報に記載の成形用組成物は、UL94L火炎試験では、壁厚1.6mmで評価V0を達成する。例えば、特定の薄い壁のハウジング部品のような多くの出願では、この分類がしばしば不充分である。この場合、V0という評価は、壁厚1.6mmであっても、同時に、良好な機械特性やレオロジー特性および優れた薬品耐性と組み合わせて、大いに要求される。
【0005】
国際公開第WO99/07782号パンフレットには、ビスフェノールAと極めて細かく粉砕された無機化合物とをベースとするオリゴマー性リン酸エステル化合物を含有する難燃化されたポリカーボネート/ABS成形用組成物が開示されている。前記の成形用組成物は、高い機械特性(ノッチ付き衝撃強度、応力クラック特性)と、良好な熱安定性とを組み合わせて有する。しかし、この成形用組成物の不利益は、薄い壁用途に必要とされるような壁厚1.6mm以下の場合に、不充分な難燃性を示すことである。
【0006】
欧州特許第A0780438号公報には、ポリカーボネート/ABS成形用組成物の難燃性、靭性および流動性を改良するために、ハロゲンを含まないリン化合物を難燃剤として、そしてポリヒドロキシエーテルを難燃性共同薬として添加することが提案されている。レゾルシノールとヒドロキノンから生成されるモノマー性有機リン酸エステルまたはオリゴマー性有機リン酸エステルが、リン化合物として好ましく使用される。前記成形用組成物は、改良された流動性および衝撃強度のみならず、衝撃応力下での低いクラック形成傾向を特徴とする。実施例からは、製造されるポリカーボネート/ABS成形用組成物を用いると、UL94V試験における壁厚1.7mmでの後燃焼時間は、実際、ポリヒドロキシエーテルの添加によって計れる程度に低下するが、50秒以上の時間では評価VOは達成されないことが分かる。前記成形用組成物の更なる不利益は、溶媒に対して不充分な耐性を示すことである(ESC耐性)。
【0007】
最後に、米国特許第A5849827号公報には、難燃にされたポリカーボネート/ABS成形用組成物が開示されている。前記組成物において、後燃焼時間の低下は、少量の無機粉末をナノスケールに粉砕した形態で添加することにより達成される。
【0008】
先行技術において公知の難燃性ポリカーボネート/ABS組成物の不利益は、薄い壁厚において低過ぎる難燃性を示すか、あるいは十分に難燃性にされていても、不充分な機械特性および/または流動性などのレオロジー特性および/または低過ぎる熱安定性を示すことである。特に、良好な流動性、靭性および熱安定性に加えて、十分な溶媒耐性(すなわち、良好なESC特性)を示す、十分に難燃化されたポリカーボネート/ABS組成物を製造するのは極めて難しいことが分かった。
【0009】
本発明の目的は、かなり改良されたESC特性を、良好な靭性、高い熱安定性および良好な加工特性と同時に組み合わせて発現する、難燃化されたポリカーボネート組成物を提供することである。このようなポリカーボネート組成物は、UL94V難燃性試験において壁厚1.6mm以下でも評価V0を達成しなければならない。これは、良好な流動性を有しなければならず、しかも射出成形法により加工される場合は、難燃性添加物のブリーディング(すなわち、いわゆる「ジューシング」)のために、鋳型上に望ましくない析出を引き起こしてはいけない。
【0010】
この目的は、本発明によれば、
(A)少なくとも1種の芳香族ポリカーボネートおよび/またはポリエステルカーボネート、
(B)少なくとも1種のグラフトポリマー、
(C)下式:
【化1】
(式中、基R1、R2、R3およびR4は、互いに独立して、ハロゲンで任意に置換されたC1〜C8アルキル、あるいはC5〜C6シクロアルキル、C6〜C10アリールまたはC7〜C12アラルキル(これらはそれぞれハロゲンおよび/またはアルキルで任意に置換されていてよい)を表し、nは、互いに独立して0または1であり、qは、互いに独立して0、1、2、3または4であり、Nは、0.5〜30であり、R5およびR6は、互いに独立して、C1〜C4アルキルまたはハロゲンを表し、およびYは、C1〜C7アルキリデン、C1〜C7アルキレン、C5〜C12シクロアルキレン、C5〜C12シクロアルキリデン、-O-、-S-、-SO-、-SO2-または-CO-を表す。)
で表される少なくとも1種のオリゴホスフェート、
(D)滴り落ち防止剤、および
(E)少なくとも1種のポリヒドロキシエーテルであって、好ましくは少なくとも1種の脂肪族または芳香族ジオールとエピハロヒドリン(epihalogen hydrin)との反応によって生成されるタイプのうちの1種
を含むポリマー組成物によって達成される。
【0011】
ポリマー組成物の意図される特性範囲に依存して、本発明のポリマー組成物は、とりわけ、
(F)熱可塑性ビニル(コ)ポリマーおよび/またはポリアルキレンテレフタレート、
(G)非常に細かく粉砕された無機粉末、および/または
(H)更なるポリマー添加物
を更に含有していてよい。
【0012】
驚くことに、ポリヒドロキシエーテルEと特定のリン化合物Cがポリカーボネート組成物中に同時に存在することによって、優れたESC特性が良好な加工特性と同時に組み合わせて達成されることが分かった。さらに驚くことに、類似する化合物のESC特性は、欧州特許第A0780438A号公報において用いられているような他のリン化合物、例えば、トリフェニルホスフェート(TPP)またはレゾルシノールオリゴホスフェート(RDP)を用いると、かなり悪いことが分かった。本発明のポリカーボネート組成物から製造される試験品の場合、UL94V試験において1.5mmや1.2mmでも評価V0が達成される。同時に、本発明のポリカーボネート組成物は、トルエン/イソプロパノール混合液に対して応力下においてかなり高い耐性を示す。この結果により、本発明のポリカーボネート組成物は、例えば、ESC特性に関して厳しい要件を満たさなければならない難燃性の薄い壁の成形部品の製造に適している。
【0013】
本発明のポリカーボネート組成物に使用される成分を以降に詳細に説明する。
【0014】
成分 A
本発明において好適な成分Aの芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートは、文献公知であるか、または文献公知の方法で製造され得る(芳香族ポリカーボネートの製造に関しては、例えば、シュネル(Schnell)著、「ケミストリー・アンド・フィジクス・オブ・ポリカーボネーツ(Chemistry and Physics of Polycarbonates)」、インターサイエンス・パブリッシャーズ、1964年、および独国特許第AS1495626号公報、同第A2232877号公報、独国特許発明第A2703376号公報、同第A2714544号公報、同第A3000610号公報、同第A3832396号公報を、また芳香族ポリエステルカーボネートの製造に関しては、例えば、独国特許発明第A3077934号公報をそれぞれ参照のこと)。
【0015】
芳香族ポリカーボネートの製造は、例えば、ジフェノールと炭酸ハライド、好ましくはホスゲンとの、および/または芳香族ジカルボン酸ジハライド、好ましくはベンゼンジカルボン酸ジハライドとの反応によって、相境界法により、場合によりモノフェノールなどの連鎖停止剤を用い、そして場合により3官能以上の枝分かれ剤、例えば、トリフェノールまたはテトラフェノールを用いて行われる。
【0016】
芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートの製造のためのジフェノールは、好ましくは、式(I)で表されるものである。
【化2】
前記式中、Aは、単結合、C1〜C5アルキレン、C2〜C5アルキリデン、C5〜C6シクロアルキリデン、-O-、-SO-、-CO-、-S-、-SO2-、C6〜C12アリーレン(これはヘテロ原子を任意に含有する別の芳香環と縮合されていてよい)あるいは式(II)または(III):
【化3】
の基を表し、Bはそれぞれ、C1〜C12アルキル、好ましくはメチル、またはハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素を表し、xは、互いに独立して、0、1または2を表し、pは、1または0であり、およびR5およびR6は、各X1について個別に選択され、かつ互いに独立して水素またはC1〜C6アルキル、好ましくは水素、メチルまたはエチルを表し、X1は炭素を表し、そしてmは4〜7の整数、好ましくは4または5を表し、少なくとも1個のX1原子において、R5およびR6は同時にアルキルであることを条件とする。
【0017】
好ましいジフェノールは、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシジフェノール、ビス-(ヒドロキシフェニル)-C1〜C5-アルカン、ビス-(ヒドロキシフェニル)-C5〜C6-シクロアルカン、ビス-(ヒドロキシフェニル)-エーテル、ビス-(ヒドロキシフェニル)-スルホキシド、ビス-(ヒドロキシフェニル)-ケトン、ビス-(ヒドロキシフェニル)-スルホンおよびα,α-ビス-(ヒドロキシフェニル)-ジイソプロピルベンゼン、並びにこれらの核臭素化および/または核塩素化誘導体である。
【0018】
特に好ましいジフェノールは、4,4'-ジヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、2,4-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、およびこれらの二−および四−臭素化または−塩素化誘導体であり、例えば、2,2-ビス-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパン、または2,2-ビス-(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパンが挙げられる。
【0019】
2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-プロパン(ビスフェノールA)が特に好ましい。
【0020】
ジフェノールは、単独でまたは所望の混合物として使用されてよい。
【0021】
ジフェノールは、文献公知であるか、または文献公知の方法で生成され得る。
【0022】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートの製造に好適な連鎖停止剤は、例えば、フェノール、p-クロロフェノール、p-tert-ブチルフェノールまたは2,4,6-トリブロモフェノール、および独国特許第A2842005号公報に記載の4-(1,3-テトラメチルブチル)フェノールのような長鎖アルキルフェノール、またはアルキル置換基中に炭素原子を合計8〜20個有するモノアルキルフェノールもしくはジアルキルフェノールを包含し、例えば、3,5-ジ-tert-ブチルフェノール、p-イソ-オクチルフェノール、p-tert-オクチルフェノール、p-ドデシルフェノールおよび2-(3,5-ジメチルヘプチル)フェノールおよび4-(3,5-ジメチルヘプチル)フェノールなどが挙げられる。用いられる連鎖停止剤の量は、一般に、使用される特定のジフェノールの合計モル数に対して0.5モル%〜10モル%である。
【0023】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、平均的な重量平均分子量(Mw、超遠心分離法または光散乱測定法などによって測定されるもの)10,000〜200,000、好ましくは15,000〜80,000を有する。
【0024】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、それ自体公知の方法で、特に好ましくは3官能以上の化合物、例えば、フェノール性基を3個以上有するものを、用いられるジフェノールの合計に対して0.05〜2.0モル%混入することによって枝分かれされてよい。
【0025】
ホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートはいずれも好適である。本発明のコポリカーボネートの製造において、成分Aとして、ヒドロキシ-アリールオキシ末端基を有するポリジオルガノシロキサンを(用いられるジフェノールの合計量に対して)1〜25重量%、好ましくは2.5〜25重量%使用してもよい。これは、公知であるか(例えば、米国特許第3419634号公報参照)、または文献公知の方法で製造することができる。ポリジオルガノシロキサンを含むコポリカーボネートの製造は、独国特許第A3334782号公報に記載されている。
【0026】
好ましいポリカーボネートは、ビスフェノールAホモポリカーボネートに加えて、ビスフェノールAと、ジフェノールの合計モル数に対して15モル%までの前記の好ましいおよび/または特に好ましいジフェノール以外のジフェノールとのコポリカーボネート、特に15モル%までの2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパンとのコポリカーボネートも包含する。
【0027】
芳香族ポリエステルカーボネートの製造のための芳香族ジカルボン酸ジハライドは、好ましくはイソフタル酸の二酸二塩化物、テレフタル酸の二酸二塩化物、ジフェニルエーテル-4,4'-ジカルボン酸の二酸二塩化物およびナフタレン-2,6-ジカルボン酸の二酸二塩化物である。
【0028】
イソフタル酸の二酸二塩化物とテレフタル酸の二酸二塩化物との比1:20〜20:1の混合物が特に好ましい。
【0029】
炭酸ハライド、好ましくはホスゲンは、ポリエステルカーボネートの製造において二官能の酸誘導体として更に同時使用される。
【0030】
芳香族ポリエステルカーボネートの製造に好適な連鎖停止剤は、前述のモノフェノール以外に、その塩素化炭酸エステル、および芳香族モノカルボン酸の酸クロライド(これらは、C1〜C22アルキル基またはハロゲン原子で任意に置換されていてよい)、および脂肪族C2〜C22モノカルボン酸クロライドを包含する。
【0031】
連鎖停止剤の量は、フェノール性連鎖停止剤の場合は、ジフェノールのモル数に対して、そしてモノカルボン酸クロライド連鎖停止剤の場合は、ジカルボン酸ジクロライドのモル数に対して、それぞれ0.1〜10モル%である。
【0032】
芳香族ポリエステルカーボネートは、混入された芳香族ヒドロキシカルボン酸を包含していてもよい。
【0033】
芳香族ポリエステルカーボネートは、直鎖であっても、あるいはそれ自体公知の方法で枝分かれされていてもよい(これに関しては、独国特許第A2940024号公報および同第A3007934号公報を参照のこと)。
【0034】
枝分かれ剤として、例えば、トリメシン酸トリクロライド、シアヌール酸トリクロライド、3,3'-4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸テトラクロライド、1,4,5,8-ナフタレン-テトラカルボン酸テトラクロライドまたはピロメリット酸テトラクロライドなどの3官能または多官能のカルボン酸クロライドを、用いられるジカルボン酸ジクロライドに対して0.01〜1.0モル%の量で、あるいはフロログルシノール、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-ヘプテン-2、4,4-ジメチル-2,4,6-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-ヘプタン、1,3,5-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-ベンゼン、1,1,1-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-エタン、トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-フェニルメタン、2,2-ビス[4,4-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキシル]-プロパン、2,4-ビス-(4-ヒドロキシフェニルイソプロピル)-フェノール、テトラ-(4-ヒドロキシフェニル)-メタン、2,6-ビス-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-プロパン、テトラ-(4-[4-ヒドロキシフェニルイソプロピル]-フェノキシ)-メタン、1,4-ビス-[4,4'-ジヒドロキシトリフェニル)-メチル]-ベンゼンなどの3官能以上のフェノールを用いられるジフェノールに対して0.01〜1.0モル%の量で使用してよい。フェノール性枝分かれ剤は、ジフェノールと一緒に添加されてよく、また酸クロライド枝分かれ剤は、酸ジクロライドと一緒に添加されてよい。
【0035】
熱可塑性の芳香族ポリエステルカーボネート中のカーボネート構造単位の割合は、所望により変更してよい。好ましくは、カーボネート基の割合は、エステル基とカーボネート基の合計に対して100モル%まで、特に80モル%まで、特に好ましくは50モル%までである。芳香族ポリエステルカーボネートのエステルフラクションとカーボネートフラクションはいずれも、ブロックの形態で含まれていても、または重縮合物中に統計的に分布されていてよい。
【0036】
前記芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートの相対溶液粘度(ηrel)は、1.18〜1.4の範囲、好ましくは1.20〜1.32である(塩化メチレン溶液100mL中にポリカーボネートまたはポリエステルカーボネート0.5gを含有する溶液において25℃で測定したもの)。
【0037】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートは、単独で、あるいは互いの任意の混合物として使用されてよい。
【0038】
本発明の組成物において、前記成分Aは、前記組成物の重量に対して好ましくは5〜98.9重量%、特に好ましくは10〜90重量%、最も好ましくは40〜80重量%の量で含まれていてよい。
【0039】
成分 B
成分Bは、
B.1 少なくとも1種のビニルモノマー5〜95重量部、好ましくは30〜90重量部の、
B.2 ガラス転移温度が10℃未満、好ましくは0℃未満、特に好ましくは−20℃未満の1種以上のグラフトベース95〜5重量部、好ましくは70〜10重量部への
のグラフトポリマーを1種以上包含する。
【0040】
前記グラフトベースB.2は一般に、平均粒径(d50値)0.05〜10μm、好ましくは0.1〜8μm、特に好ましくは0.2〜5μmを有する。
【0041】
モノマーB.1は、好ましくは、
B.1.1 ビニル芳香族化合物および/または核置換ビニル芳香族化合物(例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレン)および/またはメタクリル酸(C1〜C8)アルキルエステル(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート)50〜99重量部と
B.1.2 ビニルシアニド(アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル)および/または(メタ)アクリル酸(C1〜C8)アルキルエステル(メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート)および/または不飽和カルボン酸の(無水物やイミドなどの)誘導体(例えば、無水マレイン酸およびN-フェニルマレイミド)1〜50重量部と
の混合物である。
【0042】
好ましいモノマーB.1.1は、モノマースチレン、α-メチルスチレンおよびメチルメタクリレートのうち少なくとも1種から選択され、そして好ましいモノマーB.1.2は、モノマーアクリロニトリル、無水マレイン酸およびメチルメタクリレートのうち少なくとも1種から選択される。
【0043】
特に好ましいモノマーは、B.1.1スチレンおよびB.1.2アクリロニトリルである。
【0044】
グラフトポリマーBに好適なグラフトベースB.2は、例えば、ジエンゴム、EP(D)Mゴム(すなわちエチレン/プロピレンおよび任意にジエンをベースとするもの)、アクリレートゴム、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴムおよびエチレン/酢酸ビニルゴムである。
【0045】
好ましいグラフトベースB.2は、ジエンゴム(例えば、ブタジエン、イソプレンをベースとするもの)またはジエンゴムの混合物またはジエンゴムのコポリマー、あるいはこれらと更なる共重合性モノマー(例えば、B.1.1およびB.1.2に挙げたもの)との混合物であり、成分B.2のガラス転移温度が10℃未満、好ましくは0℃未満、特に好ましくは−10℃未満であることを条件とする。
【0046】
純粋なポリブタジエンゴムが特に好ましい。
【0047】
特に好ましいポリマーBは、例えば、ABSポリマー(エマルション、バルクおよび懸濁ABS)であって、例えば、独国特許発明第A2035390号公報(米国特許第A3644574号公報に対応)または独国特許発明第A2248242号公報(英国特許第A1409275号公報に対応)、あるいはウルマン(Ulmann)著のエンサイクロペディ・デル・テクニッシェン・ヘミー(Encyklopadie der Technischen Chemie)、第19巻(1980年)、第280頁以降に記載されている。グラフトベースB.2のゲル含量は、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%である(トルエン中での測定)。
【0048】
グラフトポリマーBは、遊離基重合法、例えば、エマルション重合、懸濁重合、溶液重合または塊重合法、好ましくはエマルション重合または塊重合法により製造される。塊重合法により製造されるABSが特に好ましい。
【0049】
米国特許第4937285号公報に記載の、有機過酸化物とアスコルビン酸との開始剤系を用いてレッドクス開始により製造されるABSポリマーも、特に好適なグラフトゴムである。
【0050】
グラフト化反応において、グラフトモノマーは、公知のように、必ずしも完全にグラフトベースにグラフト化されないため、本発明のグラフトポリマーBは、グラフトベースの存在下でのグラフトモノマーの(共)重合によって生成される生成物や、精製中に前記生成物と一緒に形成されるものを表すと考えられる。
【0051】
ポリマーBの成分B.2に係る好適なアクリレートゴムは、好ましくは、アクリル酸アルキルエステルのポリマー、任意に、他の重合性エチレン性不飽和モノマーをB.2に対して40重量%まで含むものである。好ましい重合性アクリル酸エステルは、C1〜C8アルキルエステル(例えば、メチル-、エチル-、ブチル-、n-オクチル-および2-エチルヘキシル-エステル)、ハロゲン化アルキルエステル、好ましくはハロゲン化-C1〜C8-アルキルエステル(例えば、クロロエチルアクリレート)、およびこれらモノマーの混合物を包含する。
【0052】
1以上の重合性二重結合を含むモノマーは、その架橋性のために共重合されていてよい。架橋性モノマーの好ましい例は、炭素数3〜8の不飽和モノカルボン酸と炭素数3〜12の不飽和1価アルコールまたはOH基を2〜4個有しかつ炭素数2〜20の飽和ポリオール(例えば、エチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート)とのエステル、多重(multiple)不飽和複素環式化合物(例えば、トリビニルシアヌレートおよびトリアリルシアヌレート)、多官能ビニル化合物(ジビニルベンゼンおよびトリビニルベンゼン)、並びにトリアリルホスフェートおよびジアリルフタレートである。
【0053】
好ましい架橋性モノマーは、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレート、およびエチレン性不飽和基を少なくとも3個含有する複素環式化合物である。
【0054】
特に好ましい架橋性モノマーは、環状のモノマーであるトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリロイルヘキサヒドロ-s-トリアジンおよびトリアリルベンゼンである。架橋性モノマーの量は、グラフトベースB.2に対して、好ましくは0.02〜5重量%、特に0.05〜2重量%である。
【0055】
エチレン性不飽和基を少なくとも3個含有する環状の架橋性モノマーの場合、グラフトベースB.2の量を1重量%までに制限することが有利である。
【0056】
アクリル酸エステルに加えて、グラフトベースB.2の製造に任意に使用できる好ましい「他の」重合性エチレン性不飽和モノマーは、例えば、アクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリルアミド、ビニルC1〜C6アルキルエーテル、メチルメタクリレートおよびブタジエンである。グラフトベースB.2として好ましいアクリレートゴムは、ゲル含量が少なくとも60重量%のエマルションポリマーである。
【0057】
B.2に係る更に好適なグラフトベースは、グラフト活性部位を有するシリコーンゴムであり、例えば、独国特許発明第A3704657号公報、同第A3704655号公報、同第A3631540号公報および同第A3631539号公報に記載されている。
【0058】
グラフトベースB.2のゲル含量は、25℃において、好適な溶媒中で測定される(エム・ホフマン(M. Hoffmann)、エイチ・クレマー(H. Kromer)、アール・クーン(R. Kuhn)著、ポリマーアナリティーク(Polymeranalytik)IおよびII、ゲオルグ・ティエメ−フェルラーク、シュトゥットガルト1977年)。
【0059】
平均粒径d50は、粒子の50重量%がそれ以上でかつ50重量%がそれ以下の直径であって、超遠心分離測定によって求めてよい(ダブリュー・ショルタン(W. Scholtan)、エイチ・ランゲ(H. Lange)著、コロイド・ツァイシュリフト・ウント・ツァイシュリフト・フューア・ポリメレ(Kolloid, Z. und Z. Polymere)250巻(1972年)、第782〜1796頁)。
【0060】
本発明の組成物には、前記成分Bが、前記組成物の重量に対して好ましくは1〜94.9重量%、特に好ましくは2〜40重量%、特に5〜25重量%の量で含まれていてよい。
【0061】
成分 C
本発明の組成物は、難燃剤として、ビスフェノールAをベースとするか、またはそれと類似のビスフェノール性化合物をベースとする、オリゴマー性有機リン酸エステルを含有する。これは、以下の式で表される。
【化4】
前記式中、基R1、R2、R3およびR4は、互いに独立して、ハロゲンで任意に置換されたC1〜C8アルキル、あるいはC5〜C6シクロアルキル、C6〜C10アリールまたはC7〜C12アラルキル(これらはそれぞれハロゲンおよび/またはアルキルで任意に置換されていてよい)を表し、nは、互いに独立して0または1であり、qは、互いに独立して0、1、2、3または4であり、Nは、0.5〜30、好ましくは0.7〜15、特に0.9〜5であり、R5およびR6は、互いに独立して、C1〜C4アルキル、好ましくはメチル、またはハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素を表し、およびYは、C1〜C7アルキリデン、C1〜C7アルキレン、C5〜C12シクロアルキレン、C5〜C12シクロアルキリデン、-O-、-S-、-SO-、-SO2-または-CO-を表す。
【0062】
本発明において、成分Cに好適なリン化合物は、一般に公知である(例えば、ウルマンズ・エンサイクロペディ・デル・テクニッシェン・ヘミー、第18巻、第301頁以降、1979年、ホウベン−ヴェイル(Houben-Weyl)著、メトーデン・デル・オルガニッシェン・ヘミー(Methoden der Organischen Chemie)、第12/1巻、第43頁、およびバイルシュタイン(Beilstein)、第6巻、第177頁を参照)。
【0063】
好ましい置換基R1〜R4は、メチル、ブチル、オクチル、クロロエチル、2-クロロプロピル、2,3-ジブロモプロピル、フェニル、クレジル、クミル、ナフチル、クロロフェニル、ブロモフェニル、ペンタクロロフェニルおよびペンタブロモフェニルを包含する。特に好ましいのは、メチル、エチル、ブチル、フェニルおよびナフチルである。
【0064】
芳香族基R1、R2、R3およびはR4は、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキルで置換されていてよい。特に好ましいアリール基は、クレジル、フェニル、キシレニル、プロピルフェニルまたはブチルフェニル、並びにこれらの臭素化および塩素化誘導体である。
【0065】
R5およびはR6は、好ましくは、互いに独立して、メチルまたは臭素を表す。
【0066】
Yは、好ましくはC1〜C7アルキレン、特にイソプロピリデンまたはメチレン、または-SO2-、またはC5〜C12シクロアルキレンを表す。
【0067】
nは、0または1の値を表し得る。好ましくは、nは1である。
【0068】
qは、0、1、2、3または4であってよく、好ましくは0、1または2であり、特に好ましくは、qは0である。
【0069】
Nは、0.5〜30の値、好ましくは0.7〜15、特に0.9〜5を取り得る。本発明の成分Cとしては、異なるホスフェートの混合物を使用してもよい。この場合、Nは、前記間隔および好ましい範囲内の平均値を表す。この混合物は、モノリン化合物(Nが0であるもの)を含んでいてもよい。
【0070】
平均N値は、リン混合物の組成(分子量分布)を好適な方法(ガスクロマトグラフィー(GC)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)またはガス浸透クロマトグラフィー(GPC))を用いて求め、それからNについての平均値を計算することにより得られる。
【0071】
成分Cは、本発明の組成物中に、この組成物の重量に対して好ましくは0.01〜40重量%、特に1〜25重量%、特に好ましくは2〜20重量%の量で含まれていてよい。
【0072】
成分 D
本発明の難燃剤成分Cは、燃焼時の材料の燃焼滴の形成し易さを低下させる、いわゆる滴り落ち防止剤と組み合わせて使用される。例えば、フッ素化ポリオレフィン、シリコーンおよびアラミド繊維を含む物質の類の化合物が挙げられる。これらは、本発明の組成物中で使用されてもよい。好ましくは、フッ素化ポリオレフィンを滴り落ち防止剤として本発明の組成物中で使用する。
【0073】
フッ素化ポリオレフィンは、公知であり、例えば、欧州特許第A0640655号公報に記載されている。これは、デュポンから商品名テフロン( 登録商標 )30Nとして市販されている。
【0074】
フッ素化ポリオレフィンは、純粋な形態や、フッ素化ポリオレフィンのエマルションとグラフトポリマーのエマルション(成分B)または好ましくはスチレン/アクリロニトリル系のコポリマーのエマルションとの凝集混合物の形態で使用されてよい。後者の場合、前記フッ素化ポリオレフィンをエマルションとしてグラフトポリマーまたはコポリマーのエマルションと混合した後、凝集する。
【0075】
さらに、フッ素化ポリフィンは、グラフトポリマー(成分B)または好ましくはスチレン/アクリロニトリル系のコポリマーとのプレコンパウンドとして使用されてもよい。フッ素化ポリオレフィンは粉末として、グラフトポリマーまたはコポリマーの粉末または顆粒と混合して、一般には200℃〜330℃の温度において内部ニーダー、押出機または二軸スクリュー押出機などの汎用装置内で溶融物中でコンパウンド化する。
【0076】
フッ素化ポリオレフィンは、フッ素化ポリオレフィンの水性分散体の存在下での、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマーのエマルション重合により製造されるマスターバッチの形態で使用されてもよい。好ましいモノマー成分としては、スチレン、アクリロニトリルおよびこれらの混合物が挙げられる。ポリマーは、酸沈降およびその後の乾燥後、流動可能な粉末として使用される。
【0077】
凝集物、プレコンパウンドまたはマスターバッチは、通常、フッ素化ポリオレフィン固形分を5〜95重量%、好ましくは7〜60重量%有する。
【0078】
滴り落ち防止剤(成分D)は、本発明の組成物中に、この組成物の重量に対して好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.01〜2重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%の量で含まれていてよい。
【0079】
成分 E
成分Eとして、本発明の組成物は、少なくとも1種のポリヒドロキシエーテルを含有する。好ましいポリヒドロキシエーテルは、少なくとも1種の脂肪族または芳香族ジオールとエピハロヒドリンとの反応により生成される。好ましい本発明の組成物は、成分Eを0.01〜10重量%含有する。特に好ましくは、成分Eは、本発明のポリマー組成物中に0.05〜5重量%、特に0.1〜3重量%の量で含まれる。前記の重量百分率はそれぞれ、ポリマー組成物の重量に対する値を表す。
【0080】
成分Eとして使用できるポリヒドロキシエーテルは、例えば、脂肪族または芳香族ジオールとエピハロヒドリンとの縮合生成物である。好ましい脂肪族ジオールは、炭素数2〜10のものであり、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオールまたは1,6-ヘキサンジオールが挙げられる。特に好適な芳香族ジオールは、前記式(I)のジフェノールである。ビスフェノールA(2,2-ジ-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)が特に好ましく使用される。
【0081】
特に、エピクロロヒドリンがエピハロヒドリンとして使用される。成分Eとして特に好ましく使用されるのは、ビスフェノールAとエピクロロヒドロリンとの反応により生成されるポリヒドロキシエーテルである。成分Eの特に好ましい例は、ビスフェノールS(ジ-4,4'-ヒドロキシフェニルスルホン)をベースとするポリヒドロキシエーテルを包含する。
【0082】
特に好ましいポリヒドロキシエーテルは、下式(IV)で表される繰り返し単位を含有するものである。
【化5】
【0083】
好適な末端基は、例えば、水素、ハロゲンまたは任意の有機基である。
【0084】
ポリヒドロキシエーテルは、一般に、10,000〜150,000g/モル、好ましくは15,000〜120,000g/モルの範囲の平均的な分子量(重量平均分子量Mw、ゲル浸透クロマトグラフィーで求められるもの)を有する。
【0085】
ポリヒドロキシエーテルEは、自体公知であるか、または公知の方法により生成でき、しかも市販されている。本発明で使用できるポリヒドロキシエーテルの例は、とりわけ、欧州特許第O780438A3号公報に記載のポリヒドロキシエーテルである。
【0086】
成分 F
成分Fは、1種以上の熱可塑性ビニル(コ)ポリマーF.1および/またはポリアルキレンテレフタレートF.2を含有する。
ビニル(コ)ポリマーF.1として好適なのは、ビニル芳香族化合物、ビニルシアニド(不飽和ニトリル)、(メタ)アクリル酸(C1〜C8)アルキルエステル、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸の誘導体(例えば、無水物およびイミド)から成る群からの少なくとも1種のモノマーのポリマーである。特に好適なのは、
F.1.1 ビニル芳香族化合物および/または核置換ビニル芳香族化合物、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレン、および/またはメタクリル酸(C1〜C8)アルキルエステル、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート50〜99重量部、好ましくは60〜80重量部と、
F.1.2 ビニルシアニド(不飽和ニトリル)、例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル、および/またはメタクリル酸(C1〜C8)アルキルエステル(例えば、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート)、および/または不飽和カルボン酸(例えば、マレイン酸)、および/または不飽和カルボン酸の(無水物およびイミドなどの)誘導体(例えば、無水マレイン酸およびN-フェニル-マレイミド)1〜50重量部、好ましくは20〜40重量部との
(コ)ポリマーである。
【0087】
(コ)ポリマーC.1は、樹脂状で、熱可塑性であって、しかもゴムを含まない。
【0088】
特に好ましいのは、F.1.1スチレンとF.1.2アクリロニトリルとのコポリマーである。
【0089】
F.1に係る(コ)ポリマーは、公知であり、そして遊離基重合法、特にエマルション重合、懸濁重合、溶液重合または塊重合法により製造できる。(コ)ポリマーは、好ましくは平均的な分子量Mw(重量平均、光散乱または沈降法により求められるもの)15,000〜200,000を有する。
【0090】
成分F.2のポリアルキレンテレフタレートは、芳香族ジカルボン酸またはその反応性誘導体(例えば、ジメチルエステルまたは無水物)と、脂肪族、脂環式または芳香脂肪族ジオールとの反応生成物、そしてこれら反応生成物の混合物である。
【0091】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、テレフタル酸基を、前記ジカルボン酸成分に対して少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、およびエチレングリコール基および/またはブタンジオール-1,4基を、前記ジオール成分に対して少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90モル%含有する。
【0092】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、テレフタル酸エステルに加えて、炭素数8〜14の他の芳香族または脂環式ジカルボン酸の基あるいは炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸の基を20モル%まで、好ましくは10モル%まで含有していてよく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、4,4'-ジフェニルジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シクロヘキサン二酢酸などの基が挙げられる。
【0093】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、エチレングリコール基またはブタンジオール-1,4基に加えて、炭素数3〜12の他の脂肪族ジオールまたは炭素数6〜21の脂環式ジオールを20モル%まで、好ましくは10モル%まで含有していてよく、例えば、プロパンジオール-1,3、2-エチルプロパンジオール-1,3、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール-1,5、ヘキサンジオール-1,6、シクロヘキサンジメタノール-1,4、3-エチルペンタンジオール-2,4、2-メチルペンタンジオール-2,4、2,2,4-トリメチルペンタンジオール-1,3、2-エチルヘキサンジオール-1,3、2,2-ジエチルプロパンジオール-1,3、ヘキサンジオール-2,5、1,4-ジ-(β-ヒドロキシエトキシ)-ベンゼン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン、2,4-ジヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチルシクロブタン、2,2-ビス-(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)-プロパンおよび2,2-ビス-(4-ヒドロキシプロポキシフェニル)-プロパンなどの基が挙げられる(独国特許第A2407674号公報、同第2407776号明細書公報、同第2715932号公報)。
【0094】
ポリアルキレンテレフタレートは、例えば、独国特許第A1900270号公報および米国特許第PS3692744号公報によれば、比較的少量の3価または4価アルコールあるいは三塩基性または四塩基性カルボン酸を組み込むことにより枝分かれされ得る。好ましい枝分かれ剤の例は、トリメシン酸、トリメリット酸、トリメチロールエタンおよびトリメチロールプロパン、並びにペンタエリスリトールである。
【0095】
特に好ましいのは、テレフタル酸およびその反応性誘導体(例えば、そのジアルキルエステル)と、エチレングリコールおよび/またはブタンジオール-1,4とから単に生成されたポリアルキレンテレフタレート、および前記ポリアルキレンテレフタレートの混合物である。
【0096】
ポリアルキレンテレフタレートの混合物は、ポリエチレンテレフタレートを1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、およびポリブチレンテレフタレートを50〜99重量%、好ましくは70〜99重量%含有する。
【0097】
好ましく使用されるポリアルキレンテレフタレートは、一般には、フェノール/o-ジクロロベンゼン(1:1重量部)中、25℃においてウベローデ粘度計で測定される固有粘度0.4〜1.5dL/g、好ましくは0.5〜1.2dL/gを有する。
【0098】
ポリアルキレンテレフタレートは、自体公知の方法で製造され得る(例えば、クンシュトストッフ-ハンドブッフ(Kunststoff-Handbuch)、第VIII巻、第695頁以降、カール-ハンサー-フェルラーク、ミュンヘン1973年参照)
【0099】
成分Fは、本発明の組成物中に、この組成物の重量に対して好ましくは0.1〜60重量%、特に好ましくは1〜40重量%、最も好ましくは1〜30重量%の量で含まれていてよい。
【0100】
成分 G
成分Gは、非常に微細な粒状の無機粉末を包含する。
【0101】
本発明で使用できる非常に微細な粒状の無機粉末Gは、好ましくは、周期律表の主分類第I〜V類または副分類第I〜VIII類、好ましくは主分類第II〜V類または副分類第IV〜VIII類、特に好ましくは主分類第III〜V類または副分類第IV〜VIII類のうち少なくとも1種以上の金属、あるいは前記金属と、酸素、水素、硫黄、リン、ホウ素、炭素、窒素またはケイ素から選択される少なくとも1種の元素との化合物から成る。
【0102】
好ましい化合物は、例えば、酸化物、水酸化物、水含有酸化物、硫酸塩(sulfates)、亜硫酸塩(sulfites)、硫化物、炭酸塩、炭化物、硝酸塩(nitrates)、亜硝酸塩(nitrites)、窒化物(nitrides)、ホウ酸塩、珪酸塩、アルミノ珪酸塩、リン酸塩(phosphates)、水素化物、亜リン酸塩(phosphites)またはホスホン酸塩(phosphonates)である。
【0103】
非常に微細な粒状の無機粉末は、好ましくは酸化物、リン酸塩、水酸化物であり、好ましくはTiO2、SiO2、SnO2、ZnO、ZnS、ベーマイト、ZrO2、Al2O3、リン酸アルミニウム、並びにTiN、WC、Sb2O3、酸化鉄、Na2SO4、酸化バナジウム、ホウ酸亜鉛、珪酸塩および珪酸アルミニウム、特に珪酸Mgまたは珪酸Ca、あるいは1元系、2元系または3元系ケイ酸塩である。混合物およびドーピングされた化合物も使用され得る。
【0104】
さらに、ナノスケール粒子は、有機分子で表面変性して、ポリマーとのより良好な相溶性を達成してもよい。疎水性または親水性表面はこの方法で生成される。
【0105】
特に好ましいのは、二酸化チタンおよび水和物含有酸化アルミニウム、例えば、ベーマイトである。
【0106】
タルクまたは桂灰石などの鉱物シリケート化合物も好ましい。
【0107】
非常に微細な粒状の粉末の平均粒径は、2000nm以下、好ましくは1000nm以下、特に500nm以下である。
【0108】
粒子寸法および粒径という用語は、常に、ダブリュー・ショルタン(W. Scholtan)、エイチ・ランゲ(H. Lange)、コロイド・ツァイシュリフト・ウント・ツァイシュリフト・フューア・ポリメレ(Kolloid, Z. und Z. Polymere)250巻(1972年)、第782〜796頁に記載の超遠心分離測定法、あるいは沈降法などにより求められる平均的な最大粒径d50を表す。
【0109】
前記の無機粉末は、熱可塑性ポリマー組成物中に、この熱可塑性材料に対して5重量%まで、好ましくは0.01〜2重量%、特に好ましくは0.01〜1重量%の量で組み込まれる。
【0110】
本発明の好ましい態様によれば、平均粒径が約2,000nm以下のベーマイトまたはタルクを、非常に細かく粉砕された無機粉末として使用する。
【0111】
無機化合物は、粉末、ペースト、ゾル、分散体または懸濁液として存在していてよい。粉末は、分散体、ゾルまたは懸濁液から沈降により生成されてよい。
【0112】
前記粉末は、熱可塑性ポリマー組成物中に常套の方法で、例えば、ポリマー組成物と非常に細かく粉砕された無機粉末との直接混練または押出しによって組み込まれてよい。
【0113】
成分 H
本発明のポリマー組成物は、汎用のポリマー添加物、例えば、潤滑剤および離型剤(例えば、ペンタエリスリトールテトラステアレート)、核形成剤、帯電防止剤、安定化剤、フィラーおよび強化剤、並びに染料および顔料などのうち少なくとも1種を前記組成物の重量に対して20重量%まで、好ましくは0.01〜10重量%含有し得る。
【0114】
本発明のポリマー組成物は、更なる任意に共同的な作用をする難燃剤を、前記ポリマー組成物合計に対して20重量%まで含有していてよい。前記の更なる難燃剤の例としては、有機ハロゲン化合物(例えば、デカブロモビスフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA)、無機ハロゲン化合物(例えば、臭化アンモニウム)、窒素化合物(メラミン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂)、無機水酸化物(例えば、水酸化Mg、水酸化Al)、無機化合物(酸化アンチモン、メタホウ酸バリウム、ヒドロキソアンチモネート、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウム、メタホウ酸バリウム、タルク、桂灰石、マイカ、酸化ケイ素および酸化錫)およびシロキサン化合物が挙げられる。これらとは別の難燃剤として、成分Cとは異なるオリゴホスフェートまたはモノマー性有機リン酸エステルまたはホスホネートアミンを更に使用してもよい。
【0115】
前記組成物中に含まれる全成分の重量百分率の合計は100である。
【0116】
成分A〜Eおよび任意に更なる成分を含有する本発明のポリマー組成物は、各成分を公知の方法で混合し、その混合物を200℃〜300℃の温度において内部ニーダー、押出機および二軸スクリュー押出機などの汎用の装置内で溶融コンパウンド化および溶融押出ししすることにより生成される。
【0117】
各成分の混合は、公知の方法で、連続しておよび同時に、そしてより具体的には約20℃(室温)およびより高い温度で行われてよい。
【0118】
従って、本発明は、前記ポリマー組成物の製造方法も提供する。
【0119】
本発明のポリマー組成物は、あらゆるタイプの成形品を製造するのに使用されてよい。前記成形品は、射出成形法、押出成形法およびブロー成形法により製造される。加工の更なる形態は、予め製造されたシートまたはフィルムからの熱形成による成形品の製造である。
【0120】
前記成形品の例は、フィルム、プロファイルされた部品(profiled section)、あらゆるタイプのハウジング部品(例えば、ジューサー、コーヒーメーカー、ミキサーなどの家庭用機器のためのもの、モニター、プリンター、コピー機などの事務用機器のためのもの)、シート、管状材料、電気装置の導管、窓用プロファイル、ドア用プロファイル、および建物および建築分野における他のプロファイル(内部および外部適用)、並びにスイッチ、プラグおよびソケットなどの電気および電子部品を包含する。
【0121】
特に、本発明のポリマー組成物は、例えば、以下の成形品または成形部品を製造するのに使用されてよい。
列車、船舶、航空機、バスおよび他の原動機付き乗物用の内部構造部品、小さな変圧器を含む電気装置用のハウジング、情報プロセスおよび伝達のための装置用のハウジング、医療用装置のためのハウジングおよびケーシング、マッサージ装置およびそのためのハウジング、平面的な壁ユニット、安全装置用のハウジング、および断熱輸送容器。
【0122】
従って、本発明は、あらゆる種類の成形品、好ましくは前述のものの製造のための本発明のポリマー組成物の使用、および本発明のポリマー組成物から製造される成形品も提供する。
【0123】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
【0124】
実施例
表1の使用に応じて3種のポリカーボネート組成物を調製し、それを更に試験片に加工した後、試験する。
成分 A
溶媒としてのCH2Cl2中、25℃において濃度0.5g/100mLで測定される相対溶液粘度が1.25である、ビスフェノールAをベースとする直鎖ポリカーボネート。
成分 B
スチレンとアクリロニトリルの比73:27のスチレンとアクリロニトリルのコポリマー84重量部の、架橋ポリブタジエンゴム16重量部への塊重合によって製造されたグラフトポリマー。
成分 C
ビスフェノールA系のオリゴホスフェート:
【化6】
【0125】
成分 D
スチレンとアクリロニトリルの比73:27のコポリマー約40重量部の、エマルション重合により製造された粒状の架橋ポリブタジエンゴム(平均粒径d50=0.3μm)60重量部へのグラフトポリマーの水性エマルションと、テトラフルオロエチレンポリマー水中エマルションとの凝集混合物としてのテトラフルオロエチレンポリマー。前記混合物中のグラフトポリマーとテトラフルオロエチレンポリマーとの比は、90重量%対10重量%である。テトラフルオロエチレンポリマーエマルションは、固形分60重量%であり、平均粒径は0.05〜0.5ミクロンである。SAN−グラフトポリマーエマルションは、固形分34重量%である。
テトラフルオロエチレンポリマー(米国デュポン社製、テフロン( 登録商標 )30N)のエマルションをSANグラフトポリマーのエマルションと混合し、フェノール系酸化防止剤を前記ポリマー固形分に対して1.8重量%用いて安定化させる。前記混合物を85℃〜95℃において、MgSO4(エプソム塩)の水溶液と酢酸を用い、pH4〜5て凝集させ、濾過して、電解質が実質上無くなるまで洗浄し、その後、遠心分離によりほとんどの水を除去し、最後に100℃で乾燥させて粉末を形成する。
【0126】
成分 E
YP−50:ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとから製造された、分子量Mw56,500およびMw/Mn比5.38のポリヒドロキシエーテル/フェノキシ樹脂(東都化成株式会社(Tohto Kasei Co., Ltd.)、東京、日本)。
【化7】
【0127】
成分 H1
離型剤としてのペンタエリスリトールテトラステアレート。
成分 H2
亜リン酸塩(phosphite)安定化剤。
【0128】
本発明のポリマー組成物の製造および試験
前記組成物の成分の混合は、ZSK25ミキサー(ワーナー/フライダラー(Werner/Pfleiderer))で行う。成形品は、Arburg270E型射出成形機において240℃で製造した。
【0129】
前記成形用組成物の破壊パターン(耐久性)は、ISO180-1Aに記載の指示に従って、ノッチ付き試験片を用いた衝撃試験で求める。
VicatB熱安定性の測定は、寸法80mm×10mm×4mmのロッドについてDIN53460(ISO306)に準拠して行う。
溶融粘度は、260℃およびせん断速度1,000秒−1においてDIN54811に準拠して求める。
【0130】
応力クラック特性(ESC特性)は、寸法80mm×10mm×4mmのロッドで評価する。トルエン60体積%とイソプロパノール40体積%との混合液を試験媒体として使用する。試験片は、アーチ型のテンプレートを用いて予備延伸する。延伸率は2.4%である。これを試験媒体中、室温で貯蔵する。試験ロッドが破壊するのに要する時間を基に応力クラック特性を評価する。
【0131】
試料の火炎特性は、UL94V難燃性試験において、127mm×12.7mm×1.2mmのロッドを用いて評価する。全後燃焼時間を測定する。これは、「V0」評価を達成するためには50秒を超えてはいけない。
【0132】
【表1】
【0133】
壁厚さ1.5mmでは、本発明の成形用組成物1および2はいずれも、UL94V試験におけるV0評価に対する要件を満たす。
【0134】
表1の下方部分に示す結果は、本発明の組成物1および2が、ポリヒドロキシエーテルを含有しない比較組成物V1に比べて、かなり改良されたESC特性と、UL94V試験におけるより短い全後燃焼時間と、改良された流動特性(溶融粘度で表されるもの)とを有することを示している。ISO180-1Aに準拠した衝撃試験の結果は、ポリヒドロキシエーテルの添加にも関わらず、本発明の組成物1および2の耐久性が良好なままであることも示している。VicatB試験の結果は、ポリヒドロキシエーテルが熱安定性に対して可塑化効果を発揮しないことも更に示している。
Claims (26)
- (A)少なくとも1種の芳香族ポリカーボネートおよび/またはポリエステルカーボネート、
(B)少なくとも1種のグラフトポリマー、
(C)下式:
で表される少なくとも1種のオリゴホスフェート、
(D)少なくとも1種の滴り落ち防止剤、および
(E)少なくとも1種のポリヒドロキシエーテル
を含むポリカーボネート組成物。 - 成分Aが該組成物に対して5〜98.9重量%の量で含まれる請求項1記載のポリカーボネート組成物。
- 成分Aが該組成物に対して10〜90重量%の量で含まれる請求項1記載のポリカーボネート組成物。
- 成分Aが該組成物に対して40〜80重量%の量で含まれる請求項1記載のポリカーボネート組成物。
- 成分Bが該組成物に対して1〜94.9重量%の量で含まれる請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
- 成分Bが該組成物に対して2〜40重量%の量で含まれる請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
- 成分Bが、少なくとも1種のビニルモノマー5〜95重量%の、ガラス転移温度約10℃以下の少なくとも1種のグラフトベース95〜5重量%へのグラフトポリマーである請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
- グラフトポリマーが、ジエンゴム、EP(D)Mゴム、アクリレートゴムまたはシリコーンゴムをベースとする請求項7記載の組成物。
- エマルションまたは塊ABSまたはこれらの混合物がグラフトポリマーとして含まれる請求項7または8記載の組成物。
- 成分Cが該組成物に対して0.01〜40重量%の量で含まれる請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
- 成分Cが該組成物に対して1〜25重量%の量で含まれる請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
- 成分Dが該組成物に対して0.01〜5重量%の量で含まれる請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
- 成分Dが該組成物に対して0.01〜2重量%の量で含まれる請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
- 成分Dが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンまたはテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマーおよびエチレン/テトラフルオロエチレンコポリマーから成る群より選択される少なくとも1種のフッ素化ポリオレフィン化合物である請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
- 成分Eが該組成物に対して0.01〜10重量%の量で含まれる請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
- 成分Eが該組成物に対して0.05〜5重量%の量で含まれる請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
- 成分Eが該組成物に対して0.01〜3重量%の量で含まれる請求項1〜16のいずれかに記載の組成物。
- 熱可塑性ビニル(コ)ポリマーおよび/またはポリアルキレンテレフタレートのうち少なくとも1種が、更なる成分Fとして含まれている請求項1〜18のいずれかに記載の組成物。
- 非常に微細な粒状の無機粉末が、更なる成分Gとして含まれている請求項1〜19のいずれかに記載の組成物。
- 平均粒径約2000nmのベーマイトまたはタルクが、非常に微細な粒状の無機粉末として使用される請求項20記載の組成物。
- 更なる成分Hとして、潤滑剤および離型剤、核形成剤、帯電防止剤、安定化剤、フィラーおよび強化剤、並びに染料および顔料から成る群より選択される少なくとも1種のポリマー添加物が含まれている請求項1〜21のいずれかに記載の組成物。
- 成分A〜Eおよび任意に前記の更なる成分を互いに混合し、そして200℃〜300℃の温度において内部ニーダー、押出機および二軸スクリュー押出機などの汎用の装置内で溶融コンパウンド化および溶融押出しする請求項1〜22のいずれかに記載の組成物の製造方法。
- 成形品の製造のための請求項1〜22のいずれかに記載の組成物の使用。
- 請求項1〜22のいずれかに記載の組成物を含有する成形品。
- 自動車、トラック、航空機または水上の乗物(water vehicle)の部品、家庭内機器、事務用機器または小さな変圧器を含む装置のためのハウジング、電気もしくは電子部品、またはシート、プロファイルされた部品(profiled section)、または内装用もしくは外装用構造物用途のための平面ユニットである請求項25記載の成形品。
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