JP2004524265A - 大環状エステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
大環状エステル化合物が熱安定性ベンゼン誘導体の存在下での熱開裂によりオリゴエステルから製造される。
Description
【0001】
本発明は熱安定性ベンゼン誘導体の存在下で熱開裂によりオリゴエステルから大環状エステル化合物を製造する方法に関する。本発明の目的には、熱安定性とは200°Cと350°Cの間の温度でのオリゴエステル開裂時に大部分不活性な挙動を行なう化合物を指す。
【0002】
ジャコウ芳香物は取るに足りないとはいえない量で多くの香油中に存在する。従って、ジャコウ芳香物に対する年間の全世界の需要量は数1000トンである。これまでは最多の部分はいわゆる多環芳香族ジャコウ芳香物により供給されている。多環芳香族ジャコウ芳香物は、困難を伴ってしか生分解され得ず、結果として、極めて親油性の化合物であって生物蓄積性挙動を示すこと、すなわち生物の脂肪組織中に蓄積することができることが知られてきた。それゆえ、香料業界においては、放香性の点と、多環芳香族化合物に対する置換物として価格の点でも好適である生分解性ジャコウ芳香物に対する緊急な必要性が存在する。多環芳香族化合物と対照的に、大環状ジャコウ芳香物は生分解性とみなされている(米国特許第6,034,052号)。この既知の方法を満足な方法で経済的に実施することができない。
【0003】
対応する脂肪族ヒドロキシカルボン酸またはジカルボン酸とアルキレングリコールの線状オリゴエステルを解重合することにより、大環状エステル化合物を製造することができることが知られている。この熱解重合は、通常、触媒の存在下、真空(<100hPa)下及び高温(200−300°C)で希釈剤無しで行なわれる。ここで得られる開裂収率に対する同時決定的な因子は使用オリゴエステルの分子量である。この理由により、オリゴエステル形成時のこのパラメーターのコントロールが重要である。従って、ポリエステル反応に典型的な分子量の増大が始まる前にこの縮合反応を殆ど完全な転化率で停止させなければならい。ここで使用できる尺度は、例えば、製品粘度のモニタリングである。あるいは、高分子量を回避するために、縮合とそれによるオリゴエステルの形成を開裂に選ばれた溶媒中で行なうことができる。EP A 0 260 680は、モノカルボン酸及び/または単官能性アルコールによる目標とする停止を行なうことによって、使用オリゴエステルの分子量と 粘度をコントロールすることが有利であることを既に示した。それぞれ20または10未満の酸及びOH価のポリエステルが特に有利である。
【0004】
解重合時に、所望の環化反応は線状ポリエステルの更なる重縮合と更なる分子間架橋反応を伴なう。結果として、製品の収率が著しく減少する。更には、架橋反応の結果、粘度と反応器壁への製品の接着が増加する。これは製品の分解反応の開始を有利にし、分解生成物が放香性をかなり損なうことがある。
【0005】
高沸点の不活性反応媒体中で反応を行なうことにより、希釈剤無しの解重合の場合におけるこれらの欠点を克服することができる。この場合の反応媒体の選択は、得られる反応収率と製品の品質及びプロセスの経済的な効率に対して決定的である。例えば、EP A 0 260 680はオレフィンポリマーを提案し、JP A55−120581はポリエステル、ポリエーテルグリコール、ポリエーテルグリコールエステルまたはポリグリコール単独を提案し、DE A 3225431はパラフィンを提案し、そしてEP A 0 739 889はポリエチレングリコールジアルキルエーテルを高沸点媒体として提案した。
【0006】
これらの補助剤の使用は希釈剤無しの開裂に比べて製品収率を増加させることができるが、上記補助剤は大部分高融点を有し、このために取り扱いが困難になるという欠点を有する。当業界における一つの重要な要請は、反応が中断あるいは完結した時に蒸留缶中に残る熱安定性反応媒体を反応器から簡単に取り出すことができることであり、このことは、従来の反応媒体による既知の方法の場合には実質的に不可能であるということなので、この欠点がますます深刻となる。
【0007】
使用ポリエーテルグリコールの場合、またポリエーテルグリコールエステルの場合(JP−A55−120581)、これらは望ましくない方法でこの重合に関与し、多分著しい収率損失をもたらす官能基を有するという点で別な著しい欠点が存在する。加えて、パラフィンの場合には、これらは、また、反応物に比較して相対的に高い蒸気圧力を有し、それゆえ、気相に転化するという困難も生じる。この理由によって、これらのパラフィンの場合には、オリゴエステルの解重合の後に行なわれる製品の単離が著しく高い費用と関連付けられる。
【0008】
更には、例えば、パラフィン(DE−A 32 25 341)またはオレフィンポリマー(EP−A 0 260 680)などの高沸点反応媒体は、すべての線状のポリ−あるいはオリゴエステルに対して余り好適ではない溶媒である。多くの場合、これらは上記エステルを分散させるのみであり、そして粒子が凝固して、ブロックを形成する。多くの場合、更に希釈することにより救済され、結果として、既知の方法についてそうであるように、空時収率が著しく低下する。
【0009】
加えて、JP−B 55−120581は、各々の場合に高沸点を有するポリオキシアルキレングリコールとこれらの誘導体、一価アルコールとこれらの誘導体または一塩基性脂肪酸とこれらの誘導体の存在下で解重合と環化を行なう方法を記述している。この方法によると、添加ポリオキシアルキレングリコール中のエーテル結合が切断され、結果として、種々の分解生成物あるいはガスが生成し、そして、その結果、真空が低下するか、あるいは生成大環状エステル化合物の品質が損なわれる。
【0010】
加えて、この一価アルコールまたはこの一塩基性酸またはこれらの誘導体の匂いが蒸留物と混じり、結果としてこの大環状エステル化合物の香りが損なわれ、香料としての使用が妨げられる。これらの現象はこれらの慣用の方法の欠点としてみなされる。
【0011】
最後に、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルの使用(EP A 0 739 889)は、収率の増加の所望の効果が充分に大きな希釈比でしか得られないという欠点と関連付けられ、例えば、EP A 0 739 889においては、1重量部のオリゴマーに対する5と1000重量部の間のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの希釈比が示されている。ポリエチレングリコールジアルキルエーテルの使用の更なる重要な欠点は、また、この溶媒の仕上げ処理が容易に可能ではなく、それゆえ、溶媒を汚染する副生成物がこの溶媒の適合性をかなり制約するということである。
【0012】
それゆえ、本発明の目的は、香料としての大環状エステル化合物の使用を妨げる副生成物の生成を制限し、また低融点とそれによる良好な取り扱い性を有し、高沸点を有することにより生成物の分離を簡単化し、そして残渣形成の結果による相対的に大きな損失を生じずに、この工程において再使用の為容易に仕上げ処理を行なうことができる溶媒を使用することによって、可能な限り高い反応収率を得ることができ、そしてこの溶媒コストを低減することもできる大環状エステル化合物の製造方法を見出すことである。
【0013】
本発明者らは触媒を添加、あるいは無添加で熱解重合することにより線状オリゴエステルから得られる大環状エステル化合物を製造する方法であって、この解重合を熱安定性ベンゼン誘導体中100hPa未満の圧力及び200°Cから350°Cまでの温度で、そしてこのオリゴエステルの1重量部当り0.1ないし1000重量部の溶媒を使用して行なうことを特徴とする方法を見出した。
【0014】
本発明に記載の方法により製造することができる大環状エステル化合物は、一般に、14ないし17員環の系である。これらは次の一般式
【0015】
【化4】
【0016】
(ここで、
xとyは合計すると少なくとも10、多くて13であり、
Aはメチレン基または酸素もしくはイオウなどのヘテロ原子であってもよく、
Bはメチレン基またはカルボニル基であってもよく、あるいは
AとBは一緒になって炭素二重結合であってもよい)
により記述され得る。
【0017】
好ましくは、本発明に記載の方法を使用して、二重結合及び/または更なるヘテロ原子、例えば、酸素を場合によっては含んでなる、ω−ヒドロキシカルボン酸の大環状ラクトン、またはジカルボン酸とジオールの大環状ラクトンを製造することができる。
【0018】
特に好ましくは、本発明に記載の方法を使用して、1,15−ペンタデカノリド、シス−/トランス−1,15−ペンタデセ−11−エノリド、シス−/トランス−1,15−ペンタデセ−12−エノリドまたはこれらの混合物、1,16−ヘキサデカノリドまたはトランス−1,16−ヘキサデセ−9−エノリドまたはトリデカジオン酸エチレン、ドデカンジオン酸エチレンまたはウンデカンジオン酸エチレンまたはこれらの混合物を製造することができる。
【0019】
本発明に記載の方法のための線状オリゴエステルは、次の一般式
【0020】
【化5】
【0021】
(ここで、
xとyは合計すると少なくとも10、多くて13であり、
Aはメチレン基または酸素もしくはイオウなどのヘテロ原子であってもよく、
Bはメチレン基またはカルボニル基であってもよく、あるいは
AとBは一緒になって炭素二重結合であってもよい)
により記述され得る。
【0022】
本発明に記載の方法には、脂肪族ヒドロキシカルボン酸のオリゴエステルまたはジカルボン酸とジオールとのオリゴエステルが好ましい。
【0023】
本発明に記載の方法の出発化合物としての線状オリゴエステルは、式
【0024】
【化6】
【0025】
(ここで、
xとyは合計すると少なくとも10、多くて13であり、
Aはメチレン基または酸素もしくはイオウなどのヘテロ原子であってもよく、
Bはメチレン基またはAとBが一緒になって炭素二重結合であってもよく、
R1は水素原子または、例えば、メチルもしくはエチルなどの低級アルキル基であってもよい)、または式
【0026】
【化7】
【0027】
(ここで、
xとyは合計すると少なくとも10、多くて13であり、
R1は水素原子または、例えば、メチルもしくはエチルなどの低級アルキル基であってもよい)
の二官能性化合物の縮合により、本来既知の方法で(DE B 2731543;Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry)Vol.4/2,p.787ff.及びVol.6/2,p.738f)製造することができる。
【0028】
本発明に記載の方法は、オリゴエステルの所望の大環状エステルへの熱開裂に基づく。この開裂反応は、真空中及び極めて高い温度で不活性な高沸点反応媒体中、触媒の添加または無添加で行なわれ、化学反応が起こる容器の頂部に精留カラムを取り付け、生成する大環状エステルを分離し、濃縮するのに使用する。ここで、この 熱開裂は、反応媒体として例えば式
【0029】
【化8】
【0030】
(ここで
R1は
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
であり、そして
R2はHまたはCH3である)
の熱安定性の高沸点アルキルベンゼンまたはベンゼン誘導体中で行なわれる。これらの熱安定性のベンゼン誘導体を使用することにより、この収率は希釈剤無しでの開裂と比較して著しく増加する。タイプa)の誘導体は、本質的には、異性体のジベンジルトルエンであり、b)はジアリールアルキルの群を指し、c)はこのビ−あるいはトリアリール酸化物を表し、d)はターフェニルとそれらの部分的に水素化された類似体の群を含み、そして最後に、e)はこのアルキル化あるいは非アルキル置換ベンジルトルエンを表す。
【0034】
好ましい熱安定性ベンゼン誘導体は、ジベンジルトルエンとそれらの異性体混合物、及びターフェニルとこれらの部分的に水素化された類似体である。特に好ましいのはジベンジルトルエンとこれらの異性体混合物である。
【0035】
本発明に記載の方法用の熱安定性ベンゼン誘導体は、低融点と高沸点を同時に有する。しかしながら、高沸点であるにも拘わらず、これらは極めて蒸発性であり、それゆえ、高沸点不純物から容易に分離され得る。それゆえ、反応媒体としてこれらを使用することは、取り扱い性とまた製品分離性の両方に関して有利である。例えば、反応媒体からこの製品を分離することは、僅か数段の分離段の精留カラム中で 可能であり、必要とされる分離段数と設定すべき還流比は、生成大環状エステルと使用溶媒の間の沸点の差により支配される。
【0036】
ベンゼン誘導体を使用すると、90%以上の反応収率を得ることができる。この関連で、高反応収率を低溶媒コストで得ることができるということは、この方法の経済効率に必須である。特に、この解重合時にオリゴマーに対する溶媒の希釈比を低く設定し、そして、更に、工程中で再循環し、再使用するために使用済みの溶媒を仕上げ処理することにより、このことが可能となる。
【0037】
この熱解重合用の反応媒体として使用されるベンゼン誘導体が安定であることは驚くべきことであった。アルキル−及びベンジル置換ベンゼン誘導体がこの解重合に適した触媒の存在下及びこの高い反応温度でアルキル交換反応を起こすことができ、その過程で高沸点及び低沸点成分が不均化の結果として生成するので、これは予期されないことであった。溶媒損失と並んで、低沸点溶媒の構成成分が製品中に蓄積し、高沸点構成成分により蒸留ボトム物が樹脂化することがあり得るので、これは、また、溶媒の適合性も永久に損なわせる。
【0038】
特に、異性体混合物として工業用グレードの形で入手できるジベンゼントルエンは、高くて比較的狭い沸点範囲の結果として留去する製品から特に有効な分離が可能であるので、本発明に記載の方法に対し性質の優れたプロフィールを有する。
【0039】
簡単であるという理由により、線状オリゴエステルを生成する二官能性化合物の縮合は、本発明に記載の方法の上流に連結される。
【0040】
それゆえ、この方法の実施は、最初に、既知の方法に従って触媒を添加あるいは添加せずに高温で行なうことができる縮合から出発する。この工程では、ヒドロキシカルボン酸、またはヒドロキシカルボン酸エステルを加熱するか、あるいはジカルボン酸またはこれらのエステルがグリコールと反応する。この工程で生成する水またはアルコールは共沸剤を用いて、あるいは若干の真空の援用により留去あるいは除去される。過剰のグリコールの一部または全部の除去も以降の工程段階、すなわち開裂反応器で行なうことができる。
【0041】
次に、このオリゴマーは触媒成分と共に高沸点媒体が導入された開裂反応器に移される。使用される触媒は、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属とこれらの塩、及びマンガン、カドミウム、鉄、コバルト、錫、鉛、アルミニウム、ジルコニウム及びチタン元素の塩と有機金属化合物などの本来既知の(EP A 0739 889)慣用の触媒である。使用される対応するタイプに依って、触媒量は、100重量%のオリゴエステル基準で0.1から20重量%までの範囲、好ましくは0.5から10重量%までの範囲内にある。
【0042】
次に、200°Cと350°Cの間の、好ましくは220°Cと290°Cの間の高温、及び100hPa未満の真空で解重合が起こる。開裂生成物は、好ましくはこの工程時に蒸気の形で上昇し、従って液相で反応から直接に取り出される。反応容器の頂部に配置されている精留カラム中でこの生成物成分を反応媒体の成分から分離することができ、カラムの上端で製品成分を取り出し、そしてカラムの下端で反応混合物の成分を反応容器に再循環するために取り出す。このカラムをこの目的で<100hPaの圧力で運転するが、この圧力範囲は、好ましくは5から95hPaまで、特に好ましくは10から80hPaである。このカラムの頂部で0.1と100の間の、好ましくは10と80の間の還流比を設定する。
【0043】
この工程はバッチあるいは連続的に行なうことができる。バッチ法の場合には、オリゴマーを溶媒と共に一度に導入し、一つのバッチで開裂させる。対照的に、連続法の場合には、開裂時にオリゴマーをいくつかに分けるか、あるいは一定の材料流と共に反応媒体の中に計量注入する。この場合には生成物をカラムの頂部から一定の組成物で取り出すことができるので、好ましいのは、連続法を行なうことである。
【0044】
例えば、薄層エバポレーター中、100hPa未満の圧力、好ましくは50hPa未満の圧力で部分的に蒸発させることにより、この溶媒を回収する。
【0045】
極めて広範で、多様な大環状エステル化合物をこの方法により製造することができる。これは、本発明に記載の方法により特に純粋な形で製造することができるので、芳香物としての使用に極めてメリットがある、6ないし20個、好ましくは13ないし16個の炭素原子を有する大環状エステルの製造に特に好適である。特に、本発明に記載の方法を用いて、米国特許第6,034,052号に記述されているドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物を製造することも可能である。
実施例1
トリデカンジオン酸エチレンの製造
a)トリデカンジオン酸エチレングリコールポリエステルの製造
500gのトリデカンジオン酸ジメチル、250gのエチレングリコール及び3gのチタン酸テトラブチルを反応蒸留装置中、300hPaの真空下でゆっくり加熱する。140°Cの反応温度に達したら直ちに、メタノールの除去を開始する。メタノールがもはや除去されなくなるまで加熱を継続する。この関連で、蒸留缶の温度を185°Cまでゆっくりと上昇させる。真空を1hPaまで低下させ、過剰のエチレングリコールを留去する。510gのポリエステルを残渣として得る。
【0046】
b)トリデカンジオン酸エチレングリコールポリエステルの解重合
2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)、1重量部のトリデカンジオン酸エチレングリコールポリエステル及び0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫を含んでなる溶融混合物を2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)と0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫の混合物を含有する精留カラムを取り付けた反応容器の中に計量注入し、これを約280°Cまで加熱し、55hPaの圧力で還流する。モノマー形のトリデカンジオン酸エチレンの生成は蒸留塔頂での温度の低下から明白になる。ポリエステルを補給する速度で留出物を取り出す。取り付けられた精留カラムの分離効率と選ばれた還流比に依って、取り出された留出物は30と98%の間のトリデカンジオン酸エチレンを含んでなり、これは以降の精密蒸留で純粋な形で得られる。この方法によって、収率は使用されるトリデカンジオン酸ジメチル基準で約90%である。
【0047】
反応残渣を蒸留することにより、使用されたジベンジルトルエンの90%以上を回収する。
実施例2
ドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物の製造
a)ポリエステルの製造
40と60%の間のドデカンジオン酸と30−50%のウンデカンジオン酸を含んでなる225gの工業用グレードの混合物を105gのエチレングリコールと混和し、150°Cまでゆっくり加熱し、約130℃ないし140°Cで、水の除去を開始する。水の除去が完了し、過剰のエチレングリコールを除去したならば、温度を170°Cまで上昇させ、そして反応装置を1hPaの圧力までゆっくり排気する。
【0048】
b)解重合
残渣として生成するジカルボン酸/エチレングリコールポリエステルをポリエステル1重量部当り、3重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)及び0.05重量部のジラウリル酸ジブチル錫と混和し、精留カラム付きの反応容器中で55hPaの圧力、約280°Cで加熱し、還流する。この工程においては、このモノマー形の開裂生成物が蒸留される。開始時には、出発材料の組成に依って、この留出物は、40と60%の間のドデカンジオン酸エチレンと30ないし50%のウンデカンジオン酸エチレンを、また反応の更なる過程では、増加を示す少量のジベンジルトルエンも含んでなり、これらは以降の精密蒸留において分離される。全体で、この解重合で約91%の反応収率を得る。
【0049】
この反応残渣を蒸留することにより、使用されたジベンジルトルエンの90%以上を回収する。
実施例3
ドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物の製造
a)重合
250gのエチレングリコール、40ないし60%のドデカンジオン酸ジメチルと30−50%のドデカンジオン酸ジメチルからなる500gの工業用グレードの混合物、及び3gのチタン酸テトラブチルを反応蒸留装置中300hPaの真空下でゆっくり加熱する。130−140°Cの間の反応温度で、メタノールの除去を開始し、30cm充填カラムから留去する。メタノールがもはや除去されなくなるまで加熱を継続し、ここで、蒸留缶の温度を185°Cまでゆっくりと上昇させる。真空を1hPaまで低下させ、過剰のエチレングリコールを留去する。500gのポリエステルを残渣として得る。
【0050】
b)解重合
500gのジベンジルトルエン(異性体混合物)、a)におけるようにして得た250gのこのジ酸エチレングリコールポリエステル混合物及び5gのジラウリル酸ジブチル錫を含んでなる溶融混合物を500gのジベンジルトルエン(異性体混合物)と5gのジラウリル酸ジブチル錫の混合物を含有する精留カラムを取り付けた反応容器の中に計量注入し、これを約280°Cまで加熱し、55hPaの圧力で還流する。モノマー形のエステルの生成は蒸留塔頂での温度の低下から明白である。塔頂温度が220°C以下に低下したら直ちに、この留出物を取り出し、そしてポリエステル混合物を連続的に補給する。取り付けられた精留カラムの分離効率と選ばれた還流比に依って、取り出された留出物は30と98%の間のモノマードデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物を含んでなる。このケースの場合には、220−225°Cの塔頂温度と15:1の還流比で、225gのドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレン混合物の重量分率を有する490gの留出物を得るが、これは、使用されたジカルボン酸ジメチルエステル混合物基準で90%の収率に相当する。ドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物を以降の精密蒸留においてジベンジルトルエンから分離し、純粋な形で得た。
【0051】
この反応残渣を蒸留することにより、使用されたジベンジルトルエンの90%以上を回収する。
実施例4
1,15−ペンタデカノリドの製造
a)ポリエステルの製造
260gの15−ヒドロキシペンタデカン酸を僅かな真空(650hPa)下で1 70°Cまでゆっくり加熱する。水の除去が鎮まったら直ちに、この混合物を更に20hPaの真空で1時間及び1hPaの真空で30分間攪拌する。15−ヒドロキシペンタデカン酸のポリエステルが残渣として残る。
【0052】
b)解重合
残渣として残った1重量部の15−ヒドロキシペンタデカン酸ポリエステル、2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)及び0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫を含んでなる溶融混合物を2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)と0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫の混合物を含有する精留カラムを取り付けた反応容器の中に計量注入し、これを約280°Cまで加熱し、55hPaの圧力で還流する。モノマー形の1,15−ペンタデカノリドの生成は蒸留塔頂での温度の低下から明白である。ポリエステルを補給する速度で留出物を取り出す。取り付けられた精留カラムの分離効率と選ばれた還流比に依って,取り出された留出物は30と95%の間の1,15−ペンタデカノリドを含んでなる。
【0053】
このケースの場合には、215−220°Cの塔頂温度と10:1の還流比で、約60%の1,15−ペンタデカノリドの重量分率を有する留出物を得、以降の精密蒸留において純粋な形で得る。この方法で得られる1,15−ペンタデカノリドの収率は、使用された15−ヒドロキシペンタデカン酸ポリエステル基準で85%である。
【0054】
この反応残渣を蒸留することにより、使用されたジベンジルトルエンの90%以上を回収する。
実施例5
シス−/トランス−1,15−ペンタデセ−11/12−エノリドの製造
a)ポリエステルの製造
260gのシス−/トランス−l5−ヒドロキシ−11/12−ペンタデカン酸を僅かな真空(650hPa)下で170°Cまでゆっくり加熱する。水の除去が鎮まったら直ちに、この混合物を更に20hPaの真空で1時間及び1hPaの真空で30分間攪拌する。15−ヒドロキシペンタデカン酸のポリエステルが残渣として残る。
【0055】
b)解重合
残渣として残った1重量部のシス−/トランス−15−ヒドロキシ−11/12ペンタデカン酸ポリエステル、2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)及び0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫を含んでなる溶融混合物を2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)と0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫の混合物を含有する精留カラムを取り付けた反応容器の中に計量注入し、これを 約280°Cまで加熱し、55hPaの圧力で還流する。モノマー形のシス−/トランス−1,15−ペンタデセ11/12−エノリドの生成は蒸留塔頂での温度の低下から明白である。ポリエステルを補給する速度で留出物を取り出す。取り付けられた精留カラムの分離効率と選ばれた還流比に従って、取り出された留出物は30と90%の間の1,15−ペンタデカノリドを含んでなる。このケースの場合には、210−215°Cの塔頂温度と10:1の還流比で、約60%のシス−/トランス−1,15−ペンタデセ−11/12−エノリドの重量分率を有する留出物を得、以降の精密蒸留において純粋な形で得る。
【0056】
この方法で得られるシス−/トランス−1,15−ペンタデセ−11/12−エノリドの収率は、使用した15−ヒドロキシペンタデカン酸ポリエステル基準で約85%である。
【0057】
この反応残渣を蒸留することにより、使用されたジベンジルトルエンの90%以上を回収する。
実施例6
1,16−ヘキサデカノリドの製造
a)ポリエステルの製造
140gの16−ヒドロキシヘキサデカン酸を僅かな真空(650hPa)下で170°Cまでゆっくり加熱する。水の除去が鎮まったら直ちに、この混合物を更に20hPaの真空で1時間及び1hPaの真空で30分間攪拌する。16−ヒドロキシヘキサデカン酸のポリエステルが残渣として残る。
【0058】
b)解重合
残渣として残った1重量部の16−ヒドロキシヘキサデカン酸ポリエステル、2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)及び0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫を含んでなる溶融混合物を2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)と0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫の混合物を含有する精留カラムを取り付けた反応容器の中に計量注入し、これを約280°Cまで加熱し、55hPaの圧力で還流する。モノマー形の1,16−ヘキサデカノリドの生成は蒸留塔頂での温度の低下から明白である。ポリエステルを補給する速度で留出物を取り出す。取り付けられた精留カラムの分離効率と選ばれた還流比に依って、取り出された留出物は30と90%の間の1,16−ヘキサデカノリドを含んでなる。
【0059】
このケースの場合には、220−230°Cの塔頂温度と5:1の還流比で、約50%の1,16−ヘキサデカノリドの重量分率を有する留出物を得、以降の精密蒸留において純粋な形で得る。この方法で得られる1,16−ヘキサデカノリドの収率は、使用された16−ヒドロキシヘキサデカン酸ポリエステル基準で約75%である。
【0060】
この反応残渣を蒸留することにより、使用されたジベンジルトルエンの90%以上を回収する。
実施例7
トランス−1,16−ヘキサデセ−9−エノリドの製造
a)ポリエステルの製造
260gのトランス−l6−ヒドロキシ−9−ヘキサデセン酸を僅かな真空(650hPa)下で170°Cまでゆっくり加熱する。水の除去が鎮まったら直ちに、この混合物を更に20hPaの真空で1時間及び1hPaの真空で30分間攪拌する。トランス−l6−ヒドロキシ−9−ヘキサデカン酸が残渣として残る。
【0061】
b)解重合
残渣として残った1重量部のトランス−16−ヒドロキシ9−ヘキサデセン酸ポリエステル、2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)及び0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫を含んでなる溶融混合物を2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)と0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫の混合物を含有する精留カラムを取り付けた反応容器の中に計量注入し、これを約280°Cまで加熱し、55hPaの圧力で還流する。モノマー形のトランス−1,16−ヘキサデセ−9−エノリドの生成が蒸留塔頂での温度の低下から明白である。ポリエステルを補給する速度で留出物を取り出す。取り付けられた精留カラムの分離効率と選ばれた還流比に依って、取り出された留出物は30と90%の間のトランス−1,16−ヘキサデセ−9−エノリドを含んでなる。
【0062】
このケースの場合には、225−235°Cの塔頂温度と10:1の還流比で、約60%のトランス−1,16−ヘキサデセ−9−エノリドの重量分を有する留出物を得、以降の精密蒸留において純粋な形で得る。この方法で得られるトランス−1,16−ヘキサデセ−9−エノリドの収率は使用したトランス−16−ヒドロキシ−9−ヘキサデセン酸ポリエステル基準で約80%である。
【0063】
この反応残渣を蒸留することにより、使用されたジベンジルトルエンの90%以上を回収する。
実施例8
ドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物の製造
260gの部分的に水素化されたターフェニル(異性体混合物、商品名Diphyl THT,Bayer AG),実施例3a)におけるように得られた130gのジ酸のエチレングリコールポリエステル混合物、及び6.4gのジラウリル 酸ジブチル錫の溶融混合物を500gの部分的に水素化されたターフェニル(異性体混合物、上記を参照)の混合物を含有する精留カラムを取り付けた反応容器の中に計量注入し、これを約280°Cまで加熱し、110hPaの圧力で還流する。モノマー形のエステルの生成は蒸留塔頂の温度の低下から明白である。塔頂温度が240°C以下に低下したら直ちに、留出物を取り出し、ポリエステル混合物を連続的に補給する。取り付けられた精留カラムの分離効率と選ばれた還流比に依って、取り出された留出物は20と90%の間のモノマーのドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物を含んでなる。
【0064】
このケースの場合には、238−240°Cの塔頂温度と10:1の還流比で、95gのドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレン混合物の重量分率を有する250gの留出物を得、これは使用したジカルボン酸ジメチルエステル混合物基準で70%の収率に相当する。ドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物を以降の精密蒸留において部分的に水素化されたターフェニルから分離し、純粋な形で得た。
【0065】
この反応残渣を蒸留することにより、使用された部分的に水素化されたターフェニルの90%以上を回収する。
本発明は熱安定性ベンゼン誘導体の存在下で熱開裂によりオリゴエステルから大環状エステル化合物を製造する方法に関する。本発明の目的には、熱安定性とは200°Cと350°Cの間の温度でのオリゴエステル開裂時に大部分不活性な挙動を行なう化合物を指す。
【0002】
ジャコウ芳香物は取るに足りないとはいえない量で多くの香油中に存在する。従って、ジャコウ芳香物に対する年間の全世界の需要量は数1000トンである。これまでは最多の部分はいわゆる多環芳香族ジャコウ芳香物により供給されている。多環芳香族ジャコウ芳香物は、困難を伴ってしか生分解され得ず、結果として、極めて親油性の化合物であって生物蓄積性挙動を示すこと、すなわち生物の脂肪組織中に蓄積することができることが知られてきた。それゆえ、香料業界においては、放香性の点と、多環芳香族化合物に対する置換物として価格の点でも好適である生分解性ジャコウ芳香物に対する緊急な必要性が存在する。多環芳香族化合物と対照的に、大環状ジャコウ芳香物は生分解性とみなされている(米国特許第6,034,052号)。この既知の方法を満足な方法で経済的に実施することができない。
【0003】
対応する脂肪族ヒドロキシカルボン酸またはジカルボン酸とアルキレングリコールの線状オリゴエステルを解重合することにより、大環状エステル化合物を製造することができることが知られている。この熱解重合は、通常、触媒の存在下、真空(<100hPa)下及び高温(200−300°C)で希釈剤無しで行なわれる。ここで得られる開裂収率に対する同時決定的な因子は使用オリゴエステルの分子量である。この理由により、オリゴエステル形成時のこのパラメーターのコントロールが重要である。従って、ポリエステル反応に典型的な分子量の増大が始まる前にこの縮合反応を殆ど完全な転化率で停止させなければならい。ここで使用できる尺度は、例えば、製品粘度のモニタリングである。あるいは、高分子量を回避するために、縮合とそれによるオリゴエステルの形成を開裂に選ばれた溶媒中で行なうことができる。EP A 0 260 680は、モノカルボン酸及び/または単官能性アルコールによる目標とする停止を行なうことによって、使用オリゴエステルの分子量と 粘度をコントロールすることが有利であることを既に示した。それぞれ20または10未満の酸及びOH価のポリエステルが特に有利である。
【0004】
解重合時に、所望の環化反応は線状ポリエステルの更なる重縮合と更なる分子間架橋反応を伴なう。結果として、製品の収率が著しく減少する。更には、架橋反応の結果、粘度と反応器壁への製品の接着が増加する。これは製品の分解反応の開始を有利にし、分解生成物が放香性をかなり損なうことがある。
【0005】
高沸点の不活性反応媒体中で反応を行なうことにより、希釈剤無しの解重合の場合におけるこれらの欠点を克服することができる。この場合の反応媒体の選択は、得られる反応収率と製品の品質及びプロセスの経済的な効率に対して決定的である。例えば、EP A 0 260 680はオレフィンポリマーを提案し、JP A55−120581はポリエステル、ポリエーテルグリコール、ポリエーテルグリコールエステルまたはポリグリコール単独を提案し、DE A 3225431はパラフィンを提案し、そしてEP A 0 739 889はポリエチレングリコールジアルキルエーテルを高沸点媒体として提案した。
【0006】
これらの補助剤の使用は希釈剤無しの開裂に比べて製品収率を増加させることができるが、上記補助剤は大部分高融点を有し、このために取り扱いが困難になるという欠点を有する。当業界における一つの重要な要請は、反応が中断あるいは完結した時に蒸留缶中に残る熱安定性反応媒体を反応器から簡単に取り出すことができることであり、このことは、従来の反応媒体による既知の方法の場合には実質的に不可能であるということなので、この欠点がますます深刻となる。
【0007】
使用ポリエーテルグリコールの場合、またポリエーテルグリコールエステルの場合(JP−A55−120581)、これらは望ましくない方法でこの重合に関与し、多分著しい収率損失をもたらす官能基を有するという点で別な著しい欠点が存在する。加えて、パラフィンの場合には、これらは、また、反応物に比較して相対的に高い蒸気圧力を有し、それゆえ、気相に転化するという困難も生じる。この理由によって、これらのパラフィンの場合には、オリゴエステルの解重合の後に行なわれる製品の単離が著しく高い費用と関連付けられる。
【0008】
更には、例えば、パラフィン(DE−A 32 25 341)またはオレフィンポリマー(EP−A 0 260 680)などの高沸点反応媒体は、すべての線状のポリ−あるいはオリゴエステルに対して余り好適ではない溶媒である。多くの場合、これらは上記エステルを分散させるのみであり、そして粒子が凝固して、ブロックを形成する。多くの場合、更に希釈することにより救済され、結果として、既知の方法についてそうであるように、空時収率が著しく低下する。
【0009】
加えて、JP−B 55−120581は、各々の場合に高沸点を有するポリオキシアルキレングリコールとこれらの誘導体、一価アルコールとこれらの誘導体または一塩基性脂肪酸とこれらの誘導体の存在下で解重合と環化を行なう方法を記述している。この方法によると、添加ポリオキシアルキレングリコール中のエーテル結合が切断され、結果として、種々の分解生成物あるいはガスが生成し、そして、その結果、真空が低下するか、あるいは生成大環状エステル化合物の品質が損なわれる。
【0010】
加えて、この一価アルコールまたはこの一塩基性酸またはこれらの誘導体の匂いが蒸留物と混じり、結果としてこの大環状エステル化合物の香りが損なわれ、香料としての使用が妨げられる。これらの現象はこれらの慣用の方法の欠点としてみなされる。
【0011】
最後に、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルの使用(EP A 0 739 889)は、収率の増加の所望の効果が充分に大きな希釈比でしか得られないという欠点と関連付けられ、例えば、EP A 0 739 889においては、1重量部のオリゴマーに対する5と1000重量部の間のポリエチレングリコールジアルキルエーテルの希釈比が示されている。ポリエチレングリコールジアルキルエーテルの使用の更なる重要な欠点は、また、この溶媒の仕上げ処理が容易に可能ではなく、それゆえ、溶媒を汚染する副生成物がこの溶媒の適合性をかなり制約するということである。
【0012】
それゆえ、本発明の目的は、香料としての大環状エステル化合物の使用を妨げる副生成物の生成を制限し、また低融点とそれによる良好な取り扱い性を有し、高沸点を有することにより生成物の分離を簡単化し、そして残渣形成の結果による相対的に大きな損失を生じずに、この工程において再使用の為容易に仕上げ処理を行なうことができる溶媒を使用することによって、可能な限り高い反応収率を得ることができ、そしてこの溶媒コストを低減することもできる大環状エステル化合物の製造方法を見出すことである。
【0013】
本発明者らは触媒を添加、あるいは無添加で熱解重合することにより線状オリゴエステルから得られる大環状エステル化合物を製造する方法であって、この解重合を熱安定性ベンゼン誘導体中100hPa未満の圧力及び200°Cから350°Cまでの温度で、そしてこのオリゴエステルの1重量部当り0.1ないし1000重量部の溶媒を使用して行なうことを特徴とする方法を見出した。
【0014】
本発明に記載の方法により製造することができる大環状エステル化合物は、一般に、14ないし17員環の系である。これらは次の一般式
【0015】
【化4】
【0016】
(ここで、
xとyは合計すると少なくとも10、多くて13であり、
Aはメチレン基または酸素もしくはイオウなどのヘテロ原子であってもよく、
Bはメチレン基またはカルボニル基であってもよく、あるいは
AとBは一緒になって炭素二重結合であってもよい)
により記述され得る。
【0017】
好ましくは、本発明に記載の方法を使用して、二重結合及び/または更なるヘテロ原子、例えば、酸素を場合によっては含んでなる、ω−ヒドロキシカルボン酸の大環状ラクトン、またはジカルボン酸とジオールの大環状ラクトンを製造することができる。
【0018】
特に好ましくは、本発明に記載の方法を使用して、1,15−ペンタデカノリド、シス−/トランス−1,15−ペンタデセ−11−エノリド、シス−/トランス−1,15−ペンタデセ−12−エノリドまたはこれらの混合物、1,16−ヘキサデカノリドまたはトランス−1,16−ヘキサデセ−9−エノリドまたはトリデカジオン酸エチレン、ドデカンジオン酸エチレンまたはウンデカンジオン酸エチレンまたはこれらの混合物を製造することができる。
【0019】
本発明に記載の方法のための線状オリゴエステルは、次の一般式
【0020】
【化5】
【0021】
(ここで、
xとyは合計すると少なくとも10、多くて13であり、
Aはメチレン基または酸素もしくはイオウなどのヘテロ原子であってもよく、
Bはメチレン基またはカルボニル基であってもよく、あるいは
AとBは一緒になって炭素二重結合であってもよい)
により記述され得る。
【0022】
本発明に記載の方法には、脂肪族ヒドロキシカルボン酸のオリゴエステルまたはジカルボン酸とジオールとのオリゴエステルが好ましい。
【0023】
本発明に記載の方法の出発化合物としての線状オリゴエステルは、式
【0024】
【化6】
【0025】
(ここで、
xとyは合計すると少なくとも10、多くて13であり、
Aはメチレン基または酸素もしくはイオウなどのヘテロ原子であってもよく、
Bはメチレン基またはAとBが一緒になって炭素二重結合であってもよく、
R1は水素原子または、例えば、メチルもしくはエチルなどの低級アルキル基であってもよい)、または式
【0026】
【化7】
【0027】
(ここで、
xとyは合計すると少なくとも10、多くて13であり、
R1は水素原子または、例えば、メチルもしくはエチルなどの低級アルキル基であってもよい)
の二官能性化合物の縮合により、本来既知の方法で(DE B 2731543;Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry)Vol.4/2,p.787ff.及びVol.6/2,p.738f)製造することができる。
【0028】
本発明に記載の方法は、オリゴエステルの所望の大環状エステルへの熱開裂に基づく。この開裂反応は、真空中及び極めて高い温度で不活性な高沸点反応媒体中、触媒の添加または無添加で行なわれ、化学反応が起こる容器の頂部に精留カラムを取り付け、生成する大環状エステルを分離し、濃縮するのに使用する。ここで、この 熱開裂は、反応媒体として例えば式
【0029】
【化8】
【0030】
(ここで
R1は
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
であり、そして
R2はHまたはCH3である)
の熱安定性の高沸点アルキルベンゼンまたはベンゼン誘導体中で行なわれる。これらの熱安定性のベンゼン誘導体を使用することにより、この収率は希釈剤無しでの開裂と比較して著しく増加する。タイプa)の誘導体は、本質的には、異性体のジベンジルトルエンであり、b)はジアリールアルキルの群を指し、c)はこのビ−あるいはトリアリール酸化物を表し、d)はターフェニルとそれらの部分的に水素化された類似体の群を含み、そして最後に、e)はこのアルキル化あるいは非アルキル置換ベンジルトルエンを表す。
【0034】
好ましい熱安定性ベンゼン誘導体は、ジベンジルトルエンとそれらの異性体混合物、及びターフェニルとこれらの部分的に水素化された類似体である。特に好ましいのはジベンジルトルエンとこれらの異性体混合物である。
【0035】
本発明に記載の方法用の熱安定性ベンゼン誘導体は、低融点と高沸点を同時に有する。しかしながら、高沸点であるにも拘わらず、これらは極めて蒸発性であり、それゆえ、高沸点不純物から容易に分離され得る。それゆえ、反応媒体としてこれらを使用することは、取り扱い性とまた製品分離性の両方に関して有利である。例えば、反応媒体からこの製品を分離することは、僅か数段の分離段の精留カラム中で 可能であり、必要とされる分離段数と設定すべき還流比は、生成大環状エステルと使用溶媒の間の沸点の差により支配される。
【0036】
ベンゼン誘導体を使用すると、90%以上の反応収率を得ることができる。この関連で、高反応収率を低溶媒コストで得ることができるということは、この方法の経済効率に必須である。特に、この解重合時にオリゴマーに対する溶媒の希釈比を低く設定し、そして、更に、工程中で再循環し、再使用するために使用済みの溶媒を仕上げ処理することにより、このことが可能となる。
【0037】
この熱解重合用の反応媒体として使用されるベンゼン誘導体が安定であることは驚くべきことであった。アルキル−及びベンジル置換ベンゼン誘導体がこの解重合に適した触媒の存在下及びこの高い反応温度でアルキル交換反応を起こすことができ、その過程で高沸点及び低沸点成分が不均化の結果として生成するので、これは予期されないことであった。溶媒損失と並んで、低沸点溶媒の構成成分が製品中に蓄積し、高沸点構成成分により蒸留ボトム物が樹脂化することがあり得るので、これは、また、溶媒の適合性も永久に損なわせる。
【0038】
特に、異性体混合物として工業用グレードの形で入手できるジベンゼントルエンは、高くて比較的狭い沸点範囲の結果として留去する製品から特に有効な分離が可能であるので、本発明に記載の方法に対し性質の優れたプロフィールを有する。
【0039】
簡単であるという理由により、線状オリゴエステルを生成する二官能性化合物の縮合は、本発明に記載の方法の上流に連結される。
【0040】
それゆえ、この方法の実施は、最初に、既知の方法に従って触媒を添加あるいは添加せずに高温で行なうことができる縮合から出発する。この工程では、ヒドロキシカルボン酸、またはヒドロキシカルボン酸エステルを加熱するか、あるいはジカルボン酸またはこれらのエステルがグリコールと反応する。この工程で生成する水またはアルコールは共沸剤を用いて、あるいは若干の真空の援用により留去あるいは除去される。過剰のグリコールの一部または全部の除去も以降の工程段階、すなわち開裂反応器で行なうことができる。
【0041】
次に、このオリゴマーは触媒成分と共に高沸点媒体が導入された開裂反応器に移される。使用される触媒は、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属とこれらの塩、及びマンガン、カドミウム、鉄、コバルト、錫、鉛、アルミニウム、ジルコニウム及びチタン元素の塩と有機金属化合物などの本来既知の(EP A 0739 889)慣用の触媒である。使用される対応するタイプに依って、触媒量は、100重量%のオリゴエステル基準で0.1から20重量%までの範囲、好ましくは0.5から10重量%までの範囲内にある。
【0042】
次に、200°Cと350°Cの間の、好ましくは220°Cと290°Cの間の高温、及び100hPa未満の真空で解重合が起こる。開裂生成物は、好ましくはこの工程時に蒸気の形で上昇し、従って液相で反応から直接に取り出される。反応容器の頂部に配置されている精留カラム中でこの生成物成分を反応媒体の成分から分離することができ、カラムの上端で製品成分を取り出し、そしてカラムの下端で反応混合物の成分を反応容器に再循環するために取り出す。このカラムをこの目的で<100hPaの圧力で運転するが、この圧力範囲は、好ましくは5から95hPaまで、特に好ましくは10から80hPaである。このカラムの頂部で0.1と100の間の、好ましくは10と80の間の還流比を設定する。
【0043】
この工程はバッチあるいは連続的に行なうことができる。バッチ法の場合には、オリゴマーを溶媒と共に一度に導入し、一つのバッチで開裂させる。対照的に、連続法の場合には、開裂時にオリゴマーをいくつかに分けるか、あるいは一定の材料流と共に反応媒体の中に計量注入する。この場合には生成物をカラムの頂部から一定の組成物で取り出すことができるので、好ましいのは、連続法を行なうことである。
【0044】
例えば、薄層エバポレーター中、100hPa未満の圧力、好ましくは50hPa未満の圧力で部分的に蒸発させることにより、この溶媒を回収する。
【0045】
極めて広範で、多様な大環状エステル化合物をこの方法により製造することができる。これは、本発明に記載の方法により特に純粋な形で製造することができるので、芳香物としての使用に極めてメリットがある、6ないし20個、好ましくは13ないし16個の炭素原子を有する大環状エステルの製造に特に好適である。特に、本発明に記載の方法を用いて、米国特許第6,034,052号に記述されているドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物を製造することも可能である。
実施例1
トリデカンジオン酸エチレンの製造
a)トリデカンジオン酸エチレングリコールポリエステルの製造
500gのトリデカンジオン酸ジメチル、250gのエチレングリコール及び3gのチタン酸テトラブチルを反応蒸留装置中、300hPaの真空下でゆっくり加熱する。140°Cの反応温度に達したら直ちに、メタノールの除去を開始する。メタノールがもはや除去されなくなるまで加熱を継続する。この関連で、蒸留缶の温度を185°Cまでゆっくりと上昇させる。真空を1hPaまで低下させ、過剰のエチレングリコールを留去する。510gのポリエステルを残渣として得る。
【0046】
b)トリデカンジオン酸エチレングリコールポリエステルの解重合
2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)、1重量部のトリデカンジオン酸エチレングリコールポリエステル及び0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫を含んでなる溶融混合物を2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)と0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫の混合物を含有する精留カラムを取り付けた反応容器の中に計量注入し、これを約280°Cまで加熱し、55hPaの圧力で還流する。モノマー形のトリデカンジオン酸エチレンの生成は蒸留塔頂での温度の低下から明白になる。ポリエステルを補給する速度で留出物を取り出す。取り付けられた精留カラムの分離効率と選ばれた還流比に依って、取り出された留出物は30と98%の間のトリデカンジオン酸エチレンを含んでなり、これは以降の精密蒸留で純粋な形で得られる。この方法によって、収率は使用されるトリデカンジオン酸ジメチル基準で約90%である。
【0047】
反応残渣を蒸留することにより、使用されたジベンジルトルエンの90%以上を回収する。
実施例2
ドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物の製造
a)ポリエステルの製造
40と60%の間のドデカンジオン酸と30−50%のウンデカンジオン酸を含んでなる225gの工業用グレードの混合物を105gのエチレングリコールと混和し、150°Cまでゆっくり加熱し、約130℃ないし140°Cで、水の除去を開始する。水の除去が完了し、過剰のエチレングリコールを除去したならば、温度を170°Cまで上昇させ、そして反応装置を1hPaの圧力までゆっくり排気する。
【0048】
b)解重合
残渣として生成するジカルボン酸/エチレングリコールポリエステルをポリエステル1重量部当り、3重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)及び0.05重量部のジラウリル酸ジブチル錫と混和し、精留カラム付きの反応容器中で55hPaの圧力、約280°Cで加熱し、還流する。この工程においては、このモノマー形の開裂生成物が蒸留される。開始時には、出発材料の組成に依って、この留出物は、40と60%の間のドデカンジオン酸エチレンと30ないし50%のウンデカンジオン酸エチレンを、また反応の更なる過程では、増加を示す少量のジベンジルトルエンも含んでなり、これらは以降の精密蒸留において分離される。全体で、この解重合で約91%の反応収率を得る。
【0049】
この反応残渣を蒸留することにより、使用されたジベンジルトルエンの90%以上を回収する。
実施例3
ドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物の製造
a)重合
250gのエチレングリコール、40ないし60%のドデカンジオン酸ジメチルと30−50%のドデカンジオン酸ジメチルからなる500gの工業用グレードの混合物、及び3gのチタン酸テトラブチルを反応蒸留装置中300hPaの真空下でゆっくり加熱する。130−140°Cの間の反応温度で、メタノールの除去を開始し、30cm充填カラムから留去する。メタノールがもはや除去されなくなるまで加熱を継続し、ここで、蒸留缶の温度を185°Cまでゆっくりと上昇させる。真空を1hPaまで低下させ、過剰のエチレングリコールを留去する。500gのポリエステルを残渣として得る。
【0050】
b)解重合
500gのジベンジルトルエン(異性体混合物)、a)におけるようにして得た250gのこのジ酸エチレングリコールポリエステル混合物及び5gのジラウリル酸ジブチル錫を含んでなる溶融混合物を500gのジベンジルトルエン(異性体混合物)と5gのジラウリル酸ジブチル錫の混合物を含有する精留カラムを取り付けた反応容器の中に計量注入し、これを約280°Cまで加熱し、55hPaの圧力で還流する。モノマー形のエステルの生成は蒸留塔頂での温度の低下から明白である。塔頂温度が220°C以下に低下したら直ちに、この留出物を取り出し、そしてポリエステル混合物を連続的に補給する。取り付けられた精留カラムの分離効率と選ばれた還流比に依って、取り出された留出物は30と98%の間のモノマードデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物を含んでなる。このケースの場合には、220−225°Cの塔頂温度と15:1の還流比で、225gのドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレン混合物の重量分率を有する490gの留出物を得るが、これは、使用されたジカルボン酸ジメチルエステル混合物基準で90%の収率に相当する。ドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物を以降の精密蒸留においてジベンジルトルエンから分離し、純粋な形で得た。
【0051】
この反応残渣を蒸留することにより、使用されたジベンジルトルエンの90%以上を回収する。
実施例4
1,15−ペンタデカノリドの製造
a)ポリエステルの製造
260gの15−ヒドロキシペンタデカン酸を僅かな真空(650hPa)下で1 70°Cまでゆっくり加熱する。水の除去が鎮まったら直ちに、この混合物を更に20hPaの真空で1時間及び1hPaの真空で30分間攪拌する。15−ヒドロキシペンタデカン酸のポリエステルが残渣として残る。
【0052】
b)解重合
残渣として残った1重量部の15−ヒドロキシペンタデカン酸ポリエステル、2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)及び0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫を含んでなる溶融混合物を2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)と0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫の混合物を含有する精留カラムを取り付けた反応容器の中に計量注入し、これを約280°Cまで加熱し、55hPaの圧力で還流する。モノマー形の1,15−ペンタデカノリドの生成は蒸留塔頂での温度の低下から明白である。ポリエステルを補給する速度で留出物を取り出す。取り付けられた精留カラムの分離効率と選ばれた還流比に依って,取り出された留出物は30と95%の間の1,15−ペンタデカノリドを含んでなる。
【0053】
このケースの場合には、215−220°Cの塔頂温度と10:1の還流比で、約60%の1,15−ペンタデカノリドの重量分率を有する留出物を得、以降の精密蒸留において純粋な形で得る。この方法で得られる1,15−ペンタデカノリドの収率は、使用された15−ヒドロキシペンタデカン酸ポリエステル基準で85%である。
【0054】
この反応残渣を蒸留することにより、使用されたジベンジルトルエンの90%以上を回収する。
実施例5
シス−/トランス−1,15−ペンタデセ−11/12−エノリドの製造
a)ポリエステルの製造
260gのシス−/トランス−l5−ヒドロキシ−11/12−ペンタデカン酸を僅かな真空(650hPa)下で170°Cまでゆっくり加熱する。水の除去が鎮まったら直ちに、この混合物を更に20hPaの真空で1時間及び1hPaの真空で30分間攪拌する。15−ヒドロキシペンタデカン酸のポリエステルが残渣として残る。
【0055】
b)解重合
残渣として残った1重量部のシス−/トランス−15−ヒドロキシ−11/12ペンタデカン酸ポリエステル、2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)及び0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫を含んでなる溶融混合物を2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)と0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫の混合物を含有する精留カラムを取り付けた反応容器の中に計量注入し、これを 約280°Cまで加熱し、55hPaの圧力で還流する。モノマー形のシス−/トランス−1,15−ペンタデセ11/12−エノリドの生成は蒸留塔頂での温度の低下から明白である。ポリエステルを補給する速度で留出物を取り出す。取り付けられた精留カラムの分離効率と選ばれた還流比に従って、取り出された留出物は30と90%の間の1,15−ペンタデカノリドを含んでなる。このケースの場合には、210−215°Cの塔頂温度と10:1の還流比で、約60%のシス−/トランス−1,15−ペンタデセ−11/12−エノリドの重量分率を有する留出物を得、以降の精密蒸留において純粋な形で得る。
【0056】
この方法で得られるシス−/トランス−1,15−ペンタデセ−11/12−エノリドの収率は、使用した15−ヒドロキシペンタデカン酸ポリエステル基準で約85%である。
【0057】
この反応残渣を蒸留することにより、使用されたジベンジルトルエンの90%以上を回収する。
実施例6
1,16−ヘキサデカノリドの製造
a)ポリエステルの製造
140gの16−ヒドロキシヘキサデカン酸を僅かな真空(650hPa)下で170°Cまでゆっくり加熱する。水の除去が鎮まったら直ちに、この混合物を更に20hPaの真空で1時間及び1hPaの真空で30分間攪拌する。16−ヒドロキシヘキサデカン酸のポリエステルが残渣として残る。
【0058】
b)解重合
残渣として残った1重量部の16−ヒドロキシヘキサデカン酸ポリエステル、2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)及び0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫を含んでなる溶融混合物を2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)と0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫の混合物を含有する精留カラムを取り付けた反応容器の中に計量注入し、これを約280°Cまで加熱し、55hPaの圧力で還流する。モノマー形の1,16−ヘキサデカノリドの生成は蒸留塔頂での温度の低下から明白である。ポリエステルを補給する速度で留出物を取り出す。取り付けられた精留カラムの分離効率と選ばれた還流比に依って、取り出された留出物は30と90%の間の1,16−ヘキサデカノリドを含んでなる。
【0059】
このケースの場合には、220−230°Cの塔頂温度と5:1の還流比で、約50%の1,16−ヘキサデカノリドの重量分率を有する留出物を得、以降の精密蒸留において純粋な形で得る。この方法で得られる1,16−ヘキサデカノリドの収率は、使用された16−ヒドロキシヘキサデカン酸ポリエステル基準で約75%である。
【0060】
この反応残渣を蒸留することにより、使用されたジベンジルトルエンの90%以上を回収する。
実施例7
トランス−1,16−ヘキサデセ−9−エノリドの製造
a)ポリエステルの製造
260gのトランス−l6−ヒドロキシ−9−ヘキサデセン酸を僅かな真空(650hPa)下で170°Cまでゆっくり加熱する。水の除去が鎮まったら直ちに、この混合物を更に20hPaの真空で1時間及び1hPaの真空で30分間攪拌する。トランス−l6−ヒドロキシ−9−ヘキサデカン酸が残渣として残る。
【0061】
b)解重合
残渣として残った1重量部のトランス−16−ヒドロキシ9−ヘキサデセン酸ポリエステル、2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)及び0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫を含んでなる溶融混合物を2重量部のジベンジルトルエン(異性体混合物)と0.02重量部のジラウリル酸ジブチル錫の混合物を含有する精留カラムを取り付けた反応容器の中に計量注入し、これを約280°Cまで加熱し、55hPaの圧力で還流する。モノマー形のトランス−1,16−ヘキサデセ−9−エノリドの生成が蒸留塔頂での温度の低下から明白である。ポリエステルを補給する速度で留出物を取り出す。取り付けられた精留カラムの分離効率と選ばれた還流比に依って、取り出された留出物は30と90%の間のトランス−1,16−ヘキサデセ−9−エノリドを含んでなる。
【0062】
このケースの場合には、225−235°Cの塔頂温度と10:1の還流比で、約60%のトランス−1,16−ヘキサデセ−9−エノリドの重量分を有する留出物を得、以降の精密蒸留において純粋な形で得る。この方法で得られるトランス−1,16−ヘキサデセ−9−エノリドの収率は使用したトランス−16−ヒドロキシ−9−ヘキサデセン酸ポリエステル基準で約80%である。
【0063】
この反応残渣を蒸留することにより、使用されたジベンジルトルエンの90%以上を回収する。
実施例8
ドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物の製造
260gの部分的に水素化されたターフェニル(異性体混合物、商品名Diphyl THT,Bayer AG),実施例3a)におけるように得られた130gのジ酸のエチレングリコールポリエステル混合物、及び6.4gのジラウリル 酸ジブチル錫の溶融混合物を500gの部分的に水素化されたターフェニル(異性体混合物、上記を参照)の混合物を含有する精留カラムを取り付けた反応容器の中に計量注入し、これを約280°Cまで加熱し、110hPaの圧力で還流する。モノマー形のエステルの生成は蒸留塔頂の温度の低下から明白である。塔頂温度が240°C以下に低下したら直ちに、留出物を取り出し、ポリエステル混合物を連続的に補給する。取り付けられた精留カラムの分離効率と選ばれた還流比に依って、取り出された留出物は20と90%の間のモノマーのドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物を含んでなる。
【0064】
このケースの場合には、238−240°Cの塔頂温度と10:1の還流比で、95gのドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレン混合物の重量分率を有する250gの留出物を得、これは使用したジカルボン酸ジメチルエステル混合物基準で70%の収率に相当する。ドデカンジオン酸エチレンとウンデカンジオン酸エチレンの混合物を以降の精密蒸留において部分的に水素化されたターフェニルから分離し、純粋な形で得た。
【0065】
この反応残渣を蒸留することにより、使用された部分的に水素化されたターフェニルの90%以上を回収する。
Claims (8)
- 二官能性化合物を縮合して、線状オリゴエステルを得、そして引き続いて触媒を添加、あるいは無添加で熱解重合することにより得られる大環状エステル化合物を製造する方法であって、この解重合を熱安定性ベンゼン誘導体中及び100hPa未満の圧力及び200°Cから350°Cまでの温度で、そして該オリゴエステルの1重量部当り0.1ないし1000重量部の溶媒を使用して行なうことを特徴とする方法。
- 異性体ジベンジルトルエンを熱安定性ベンゼン誘導体として使用することを特徴とする請求項2に記載の方法。
- アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属又はこれらの塩、あるいはマンガン、カドミウム、鉄、コバルト、錫、鉛、アルミニウム、ジルコニウム又はチタン元素の塩もしくは有機金属化合物を触媒として使用することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシド、ジラウリル酸ジブチル錫、ジラウリル酸ジオクチル錫、ビス−2−エチルヘキサン酸ジブチル錫、トリス−2−エチルヘキサン酸ブチル錫、ブチル錫ヒドロキシドオキシドまたは環状錫酸ジブチルを触媒として使用することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
- 該触媒を該触媒の活性形の一定濃度を得るために小分けあるいは連続で補給することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
- 該生成した大環状エステルを頂部から取り出す精留カラムを該反応容器の頂部に配置することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
- 該熱安定性ベンゼン化合物を部分的な蒸発により50重量パーセント以上の量で高沸点反応残渣から取り出し、次に該オリゴエステル解重合における反応媒体として再使用することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
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